8035

東京エレクトロン(8035)は何で稼いでいるか — 事業の柱と依存度

電気機器 電機・精密

事業の概要

東京エレクトロンは、半導体製造装置の開発、製造、販売、保守サービスを主な事業としています。グループ会社が製品の製造を行い、当社がそれを仕入れて販売する体制です。保守サービスは国内外の子会社が担当し、次世代技術の開発もグループ全体で行っています。物流や施設管理、保険業務は別の子会社が担っており、エレクトロニクス技術を基盤とした半導体産業を支える企業です。

出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
セグメント構成

東京エレクトロンの事業は主に「半導体製造装置」と「フラットパネルディスプレイ製造装置」の2つのセグメントで構成されています。半導体製造装置事業は売上高2兆1552.06億円と圧倒的な規模を誇り、グループ全体の収益の大部分を占める主力事業です。フラットパネルディスプレイ製造装置事業は売上高536.74億円で、半導体製造装置事業に比べると規模は小さいですが、重要な事業の一つです。同社は「半導体製造装置」の単一セグメントとして報告しているため、詳細なセグメント別の利益情報は開示されていませんが、半導体製造装置が収益の柱であることが明確です。

2023-03 セグメント別業績
セグメント区分売上(億)営業利益(億)営業利益率
SemiconductorProductionEquipment 事業 21,552
FlatPanelDisplayProductionEquipment 事業 537
有価証券報告書「事業の内容」の全文を見る(年度切替)
FY2025|605 文字
3 【事業の内容】 当社グループは、当社及び27社の関係会社で構成され、エレクトロニクス技術を利用した半導体製造装置の開発・製造・販売・保守サービスを主な事業の内容としております。当該事業における当社グループの位置付けは、次のとおりであります。なお、当社グループは「半導体製造装置」の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。  当社は、連結子会社東京エレクトロン テクノロジーソリューションズ㈱、東京エレクトロン九州㈱、東京エレクトロン宮城㈱他が製造した製品を仕入れて販売しております。連結子会社TEL Manufacturing and Engineering of America, Inc.は、製品の製造及び販売等を行っております。保守サービス等については、連結子会社東京エレクトロンFE㈱、Tokyo Electron America, Inc.、Tokyo Electron Korea Ltd.、Tokyo Electron Europe Ltd.他が行っております。また、次世代技術の開発等については、当社及び連結子会社TEL Technology Center, America, LLC等が行っております。なお、当社グループの物流、施設管理業務及び保険業務については、連結子会社東京エレクトロンBP㈱が主として行っております。  事業の系統図は、次のとおりであります。

事業の優位性(モート)

事業の質(有価証券報告書から抽出)
数字に出ない事業の性質を、同じ物差しで全銘柄そろえています。FY2025時点の記載が出典です。
価格決定力値上げを通せるか。強いほどインフレ耐性が高い 強い
各製品分野における高い市場シェアの獲得と高利益率の実現に成功
参入障壁新規参入を阻む要因の種類 技術
最先端技術について継続的な研究開発投資を実施し、新製品を早期に市場投入
顧客集中度特定顧客への依存度。高いほど失注リスクが大きい 高い(依存)
景気敏感度業績が景気循環にどれだけ振られるか シクリカル
設備投資の性質稼いだ現金がどれだけ設備維持に消えるか 成長投資
規制依存規制は障壁にも足枷にもなる 高い
会社が挙げる主要リスク:市場変動 / 研究開発 / 地政学
同じ条件で他の銘柄を探す → 定性スクリーニング(価格決定力・参入障壁・景気敏感度などで絞り込めます)
モート総合 10 / 25 5類型それぞれの強度と、そう判定した根拠
無形資産★☆☆☆☆
根拠:弱いブランド・特許・許認可

東京エレクトロンは半導体製造装置分野で高い技術力を有するが、特許やブランド力は競合他社と比較して突出しているわけではない。特定の技術や知的財産が直接的な競争優位の源泉となっているとは言い難い。

スイッチングコスト★★★☆☆
根拠:中程度乗り換えの手間・コスト

半導体製造装置は、顧客である半導体メーカーの生産ラインに深く組み込まれる。装置の入れ替えやラインの再構築には巨額の投資と時間を要するため、顧客は容易にサプライヤーを変更できない。装置の性能や信頼性が確立されると、乗り換えコストは高くなる。

ネットワーク効果☆☆☆☆☆
根拠:弱い利用者増が価値を生む

半導体製造装置のビジネスモデルは、ユーザーが増えることで装置自体の価値が向上するネットワーク効果は基本的に働かない。個々の装置の性能や顧客との関係性が重要となる。

コスト優位★☆☆☆☆
根拠:弱い同じ物を安く作れる

大規模な生産体制やサプライチェーンの最適化により一定のコスト競争力はあると考えられるが、他社と比較して構造的に圧倒的なコスト優位を持つとは言えない。研究開発費や設備投資も巨額であり、コスト構造は複雑である。

規模の経済★★★★★
根拠:強い規模が参入障壁になる

東京エレクトロンは、CO2エッチング装置や成膜装置など、特定の半導体製造装置分野で世界トップクラスのシェアを持つ。この分野は高度な技術と巨額の設備投資が必要なため、参入障壁が高く、少数のプレイヤーによる寡占状態が形成されている。規模の経済が強く働いている。

東京エレクトロンは、最先端技術への継続的な研究開発投資と新製品の早期市場投入により、各製品分野で高い市場シェアと高利益率を実現してきました。顧客の技術要求に応える新製品をタイムリーに提供する能力と、グローバルな研究機関や最先端顧客との連携による技術ロードマップの共有が強みです。これにより、競合他社に先駆けて次世代製品を提供できる体制を確立し、製品競争力を維持しています。

出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)

経営戦略

有価証券報告書「経営方針・対処すべき課題・MD&A」の全文を見る(年度切替)
経営方針・経営戦略
1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】 当社グループは、「最先端の技術と確かなサービスで、夢のある社会の発展に貢献します」という基本理念のもと、半導体製造装置のリーディングカンパニーとしてビジネスを展開しております。 ① 経営方針 当社グループは、技術専門商社からスタートし、開発製造機能をもつメーカーへの移行、グローバルな販売・サポート体制の構築など、事業環境の変化をいち早く捉え、その変化に素早く対応しながら、時代をリードする独創的な技術を創出し、世界の市場に付加価値の高い製品・サービスを提供し成長してまいりました。 また、当社の事業領域は、継続的な技術革新と成長が見込まれる半導体製造装置市場を対象としております。 当社グループの原動力は、業界のリーディングカンパニーとして育んだ豊かな技術力と、確かな技術サービスに対するお客さまからの信頼、そして環境変化に柔軟かつ迅速に対応できる社員と、そのチャレンジ精神です。 今後も、当社グループのもつ専門性と最新技術を生かして事業を推進し、世の中の持続的な発展に不可欠な半導体の技術革新に貢献するとともに、ワールドクラスの高収益企業を目指してまいります。 ② ビジョン 当社グループのビジョンは「半導体の技術革新に貢献する夢と活力のある会社」です。 当社グループは、TSV(TEL's Shared Value)(注)1の考え方に基づき、半導体製造装置メーカーとしての専門性を生かし、付加価値の高い最先端の装置と技術サービスを継続的に創出することで、世の中の持続的な発展に必要な、デジタル化と地球環境保全に向けた脱炭素化を支える半導体の技術革新に貢献します。また、利益は製品とサービスの価値の大きさを示す尺度と考え、利益を追求します。その利益を次なる成長投資につなげることで、中長期的な利益の拡大と継続的な企業価値の向上を目指していきます。そして、「企業の成長は人、社員は価値創出の源泉」と位置づけ、ステークホルダーとのエンゲージメントを通じて、このビジョンの実現に向けて活動してまいります。  (注)1 当社版CSV(Creating Shared Value:企業の専門性を活用して社会課題を解決することで、社会的価値と経済的価値を創出し、企業価値の向上と持続的な成長を実現するという考え方) ③ 事業環境 近年の生成AIの登場に伴うAI利活用の一層の拡大に見られるように、デジタル技術と、私たちの暮らしやあらゆる産業との関係は、これまでにないほど密接になっています。これに伴い、半導体の役割とその技術革新の重要性がますます高まっています。半導体デバイス市場は、2024年に約6,300億ドル(注)2になりましたが、2030年頃には1兆ドル(注)3を超える市場規模に達すると見込まれております。半導体デバイス市場の成長を支える技術革新には、付加価値の高い新装置と技術サービスが不可欠であり、当社グループが参入する半導体製造装置事業は今後も大きく成長していくものと予想しております。  (注)2 世界半導体市場統計(WSTS) (注)3 当社による試算 ④ 中長期的な成長を見据えた取り組み 当社グループは、中期経営計画として、2027年3月期までに、売上高3兆円以上、営業利益率35%以上、ROE 30%以上を目指す財務目標を設定しております。業界最大の出荷実績(累計96,000台以上)及び業界最大の特許保有数(23,000件以上)に基づく幅広い製品ラインアップを軸に、半導体のスケーリング(微細化)と先端パッケージングの両領域へ付加価値の高い新製品と技術サービスを提供することで、中期経営計画の達成を目指します。 また上記に加え、当社グループの強みをさらに磨き、将来の成長機会を最大限に取り込むべく、2025年3月期からの5年間の成長投資計画を以下のとおり設定し、取り組みを進めております。・研究開発投資:1.5兆円以上(5年累計)・設備投資:7,000億円以上(5年累計)・人材採用:グローバルで10,000人(5年累計) ■ 人材に関する取り組み 当社グループでは、社員がそれぞれの能力を最大限発揮できるよう、社員の意欲と会社へのエンゲージメントを高めるため、次の5つのポイントからなる「やる気重視経営」に取り組んでいます。 1.自分の会社や仕事が産業や社会の発展に貢献しているという実感を持てること⇒TSV(TEL's Shared Value):デジタル化と地球環境保全に向けた脱炭素化を支える半導体の技術革新に貢献 2.会社の将来に対する夢と期待が持てること⇒中期経営計画に基づくワールドクラスの利益率の達成を当社グループ全体で追求 3.チャレンジできる機会があること⇒ワールドクラスの利益に基づく積極的な研究開発投資をはじめとした成長投資の実施 4.成果に対する公正な評価とグローバルに競争力のある報酬⇒ワールドクラスの営業利益に基づく業績連動報酬制度の採用 5.風通しの良い職場であること⇒社員集会や座談会をはじめとした社員と経営トップとのコミュニケーションの定期的な実施 また、人材多様性が重要であるという認識のもと、Global、Gender、Generationの3Gの観点を意識しながら、ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョンを推進しております。そして、様々なキャリアパスを示した上で教育プログラムの充実化も図り、社員の成長を支えております。 加えて、次世代の経営執行を担う人材を育成するため、TELサクセッションプランに基づき後継候補者の育成をおこなっております。指名委員会は育成状況を分析、精査し取締役会へ報告をおこない、取締役会は後継候補者育成プランの進捗を適切に監督しております。 さらに、学生や研究者など、将来の半導体産業を担う人材育成にも積極的に取り組んでおります。日米の大学によって構成される「半導体の人材育成と研究開発に関する未来に向けた日米大学間パートナーシップ(UPWARDS(注)4)」に参画するなど、様々な産学連携プログラムの支援を通じ、次世代の半導体人材の育成に寄与することで、半導体産業の発展に貢献してまいります。  (注)4 U.S.-Japan University Partnership for Workforce Advancement and Research & Development in Semiconductors ■ 環境・社会・ガバナンス(ESG)に関する取り組み 当社グループは、サステナビリティに関する取り組みを推進し、事業を遂行する上で直面し得るリスクの低減や排除に努めるとともに、TSV(TEL's Shared Value)の考え方に基づき、持続可能な社会の実現に貢献することで、企業価値の向上を図ります。 当社グループの活動は、「Dow Jones Sustainability™ Asia/Pacific Index」をはじめとした世界の代表的なESG投資インデックスの投資銘柄に継続して選定されるなど、高い評価を受けております。 ◇ 環境に関する取り組み 社会において地球環境保全の重要性がより一層高まる中、当社グループでは、持続可能な社会の実現に貢献すべく、あらゆる事業活動を通じて環境負荷低減、とりわけ脱炭素化に取り組んでいます。当社グループは、2040年までに温室効果ガス排出を実質ゼロにする「ネットゼロ」目標を設定しております。その活動の一環として、国内全事業所における再生可能エネルギー使用比率100%(グローバル90%)を2024年3月期に達成しました。 また、当社グループ内のみならず、お客さまやパートナー企業さまと連携しながら、製品のライフサイクル(注)5全体について環境負荷低減を進めております。その一環として、環境にフォーカスしたイニシアチブ「E-COMPASS(注)6」を推進しており、サプライチェーン全体で半導体の技術革新と環境負荷低減の実現を目指しております。 また、気候変動が事業に及ぼすリスクと機会について、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)の提言に基づき対応策を講じ、透明性の高い情報開示をおこないながら、責任あるグローバル企業として対応を進めてまいります。  (注)5 製品のライフサイクル:製品の企画・開発・設計から、調達、製造、物流、お客さまにおける使用時、メンテナンス・サービス、廃棄のバリューチェーン (注)6 Environmental Co-Creation by Material, Process and Subcomponent Solutions ◇ ガバナンスに関する取り組み 当社グループは、実効性の高い取締役会と攻めの経営執行体制により、機関投資家などからの意見も踏まえた課題に継続的に取り組むことで、強固なコーポレートガバナンス体制を実現してまいります。 このような体制で、「“攻め”と“攻め”のガバナンス」を基本姿勢として経営をおこなっております。1つ目の「攻め」は、既述のとおり、短中長期の利益を同時に志向しながら常にワールドクラスの利益率を追求していく「攻め」の事業活動です。2つ目の「攻め」は、すべての企業活動の基本である安全・品質・法令遵守や社員をはじめとするステークホルダーとのエンゲージメントやセキュリティの強化・向上を追求する「攻め」の経営基盤構築です。これに加え、ガバナンスの実効性を高めるために、以下の取り組みの実施とオペレーティングリズムに基づいた業務執行をおこなっております。  《ガバナンスの実効性を強化する取り組み》・監査役会設置会社:取締役会及び監査役会から構成される監査役会設置会社とし、監査役会による経営の監督・取締役会オフサイトミーティングの実施:取締役、監査役及びコーポレートオフィサーによる中長期的な戦略や課題などの議論(年2回)・CEO報告:取締役会でCEO自ら重要な業務執行状況を報告(毎取締役会)・代表取締役評価クローズドセッション:代表取締役を除く取締役、監査役及びコーポレートオフィサーによるセッション(年1回)  《業務執行を支えるオペレーティングリズム》・COM(コーポレートオフィサーズ・ミーティング):執行側の最高意思決定機関(月1回)・CSS(Corporate Senior Staff)ミーティング:全業務執行のグローバル横串の連携(年4回)・DOM(ディビジョンオフィサーズ・ミーティング):企業の変革と進化、イノベーション創出機会についての議論(月1回)・四半期レビュー会議:中期経営計画の進捗をモニタリング(年4回) ⑤ 資本市場との対話 当社グループでは、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を図るため、経営層が率先してIR(Investor Relations)、SR(Shareholder Relations)活動に取り組んでおります。IR活動においては、四半期ごとの決算説明会や中期経営計画説明会にCEO及び各担当役員が登壇し、事業戦略や成長のストーリーを共有しています。また、経営戦略本部の中にIR専門部署を設置しており、2023年11月には、ニューヨークにIR分室を設けました。これにより北米地域における投資家の皆さまとの対面での対話の機会が増加し、当社グループをはじめ、日本の半導体製造装置業界の認知が広がりました。 ⑥ 資本政策 当社グループの資本政策は、成長投資に必要な資金を確保し、積極的な株主還元に継続的に取り組み、中長期的成長の視点をもって、適切なバランスシート・マネジメントに努めることを基本としております。具体的には、営業利益率、資産効率をさらに高め、キャッシュ・フローの拡大に努めることで、持続的な成長を目指し、ROE向上など高い資本効率を追求します。 当社の配当政策につきましては、業績連動型を基本とし、親会社株主に帰属する当期純利益に対する配当性向50%を目処とします。この方針に基づき、2025年3月期においては、年間配当は過去最高となる592円といたしました。また、自己株式の取得については、現状のキャッシュポジションや中長期的な成長投資資金、株価水準、総還元額の状況などに鑑み、機動的に実施を検討することとしており、2025年3月期については1,499億円の自己株式取得を実施いたしました。 当社グループは、「最先端の技術と確かなサービスで、夢のある社会の発展に貢献します」という基本理念のもと、以上のような取り組みを通じて、持続的な成長とさらなる企業価値の向上を目指してまいります。  なお、文中の将来に関する記述は、本有価証券報告書の提出日現在において入手可能な情報をもとに、当社グループが合理的であると判断した一定の前提に基づいており、当社グループとしてその実現を約束する趣旨のものではありません。
対処すべき課題
1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】 当社グループは、「最先端の技術と確かなサービスで、夢のある社会の発展に貢献します」という基本理念のもと、半導体製造装置のリーディングカンパニーとしてビジネスを展開しております。 ① 経営方針 当社グループは、技術専門商社からスタートし、開発製造機能をもつメーカーへの移行、グローバルな販売・サポート体制の構築など、事業環境の変化をいち早く捉え、その変化に素早く対応しながら、時代をリードする独創的な技術を創出し、世界の市場に付加価値の高い製品・サービスを提供し成長してまいりました。 また、当社の事業領域は、継続的な技術革新と成長が見込まれる半導体製造装置市場を対象としております。 当社グループの原動力は、業界のリーディングカンパニーとして育んだ豊かな技術力と、確かな技術サービスに対するお客さまからの信頼、そして環境変化に柔軟かつ迅速に対応できる社員と、そのチャレンジ精神です。 今後も、当社グループのもつ専門性と最新技術を生かして事業を推進し、世の中の持続的な発展に不可欠な半導体の技術革新に貢献するとともに、ワールドクラスの高収益企業を目指してまいります。 ② ビジョン 当社グループのビジョンは「半導体の技術革新に貢献する夢と活力のある会社」です。 当社グループは、TSV(TEL's Shared Value)(注)1の考え方に基づき、半導体製造装置メーカーとしての専門性を生かし、付加価値の高い最先端の装置と技術サービスを継続的に創出することで、世の中の持続的な発展に必要な、デジタル化と地球環境保全に向けた脱炭素化を支える半導体の技術革新に貢献します。また、利益は製品とサービスの価値の大きさを示す尺度と考え、利益を追求します。その利益を次なる成長投資につなげることで、中長期的な利益の拡大と継続的な企業価値の向上を目指していきます。そして、「企業の成長は人、社員は価値創出の源泉」と位置づけ、ステークホルダーとのエンゲージメントを通じて、このビジョンの実現に向けて活動してまいります。  (注)1 当社版CSV(Creating Shared Value:企業の専門性を活用して社会課題を解決することで、社会的価値と経済的価値を創出し、企業価値の向上と持続的な成長を実現するという考え方) ③ 事業環境 近年の生成AIの登場に伴うAI利活用の一層の拡大に見られるように、デジタル技術と、私たちの暮らしやあらゆる産業との関係は、これまでにないほど密接になっています。これに伴い、半導体の役割とその技術革新の重要性がますます高まっています。半導体デバイス市場は、2024年に約6,300億ドル(注)2になりましたが、2030年頃には1兆ドル(注)3を超える市場規模に達すると見込まれております。半導体デバイス市場の成長を支える技術革新には、付加価値の高い新装置と技術サービスが不可欠であり、当社グループが参入する半導体製造装置事業は今後も大きく成長していくものと予想しております。  (注)2 世界半導体市場統計(WSTS) (注)3 当社による試算 ④ 中長期的な成長を見据えた取り組み 当社グループは、中期経営計画として、2027年3月期までに、売上高3兆円以上、営業利益率35%以上、ROE 30%以上を目指す財務目標を設定しております。業界最大の出荷実績(累計96,000台以上)及び業界最大の特許保有数(23,000件以上)に基づく幅広い製品ラインアップを軸に、半導体のスケーリング(微細化)と先端パッケージングの両領域へ付加価値の高い新製品と技術サービスを提供することで、中期経営計画の達成を目指します。 また上記に加え、当社グループの強みをさらに磨き、将来の成長機会を最大限に取り込むべく、2025年3月期からの5年間の成長投資計画を以下のとおり設定し、取り組みを進めております。・研究開発投資:1.5兆円以上(5年累計)・設備投資:7,000億円以上(5年累計)・人材採用:グローバルで10,000人(5年累計) ■ 人材に関する取り組み 当社グループでは、社員がそれぞれの能力を最大限発揮できるよう、社員の意欲と会社へのエンゲージメントを高めるため、次の5つのポイントからなる「やる気重視経営」に取り組んでいます。 1.自分の会社や仕事が産業や社会の発展に貢献しているという実感を持てること⇒TSV(TEL's Shared Value):デジタル化と地球環境保全に向けた脱炭素化を支える半導体の技術革新に貢献 2.会社の将来に対する夢と期待が持てること⇒中期経営計画に基づくワールドクラスの利益率の達成を当社グループ全体で追求 3.チャレンジできる機会があること⇒ワールドクラスの利益に基づく積極的な研究開発投資をはじめとした成長投資の実施 4.成果に対する公正な評価とグローバルに競争力のある報酬⇒ワールドクラスの営業利益に基づく業績連動報酬制度の採用 5.風通しの良い職場であること⇒社員集会や座談会をはじめとした社員と経営トップとのコミュニケーションの定期的な実施 また、人材多様性が重要であるという認識のもと、Global、Gender、Generationの3Gの観点を意識しながら、ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョンを推進しております。そして、様々なキャリアパスを示した上で教育プログラムの充実化も図り、社員の成長を支えております。 加えて、次世代の経営執行を担う人材を育成するため、TELサクセッションプランに基づき後継候補者の育成をおこなっております。指名委員会は育成状況を分析、精査し取締役会へ報告をおこない、取締役会は後継候補者育成プランの進捗を適切に監督しております。 さらに、学生や研究者など、将来の半導体産業を担う人材育成にも積極的に取り組んでおります。日米の大学によって構成される「半導体の人材育成と研究開発に関する未来に向けた日米大学間パートナーシップ(UPWARDS(注)4)」に参画するなど、様々な産学連携プログラムの支援を通じ、次世代の半導体人材の育成に寄与することで、半導体産業の発展に貢献してまいります。  (注)4 U.S.-Japan University Partnership for Workforce Advancement and Research & Development in Semiconductors ■ 環境・社会・ガバナンス(ESG)に関する取り組み 当社グループは、サステナビリティに関する取り組みを推進し、事業を遂行する上で直面し得るリスクの低減や排除に努めるとともに、TSV(TEL's Shared Value)の考え方に基づき、持続可能な社会の実現に貢献することで、企業価値の向上を図ります。 当社グループの活動は、「Dow Jones Sustainability™ Asia/Pacific Index」をはじめとした世界の代表的なESG投資インデックスの投資銘柄に継続して選定されるなど、高い評価を受けております。 ◇ 環境に関する取り組み 社会において地球環境保全の重要性がより一層高まる中、当社グループでは、持続可能な社会の実現に貢献すべく、あらゆる事業活動を通じて環境負荷低減、とりわけ脱炭素化に取り組んでいます。当社グループは、2040年までに温室効果ガス排出を実質ゼロにする「ネットゼロ」目標を設定しております。その活動の一環として、国内全事業所における再生可能エネルギー使用比率100%(グローバル90%)を2024年3月期に達成しました。 また、当社グループ内のみならず、お客さまやパートナー企業さまと連携しながら、製品のライフサイクル(注)5全体について環境負荷低減を進めております。その一環として、環境にフォーカスしたイニシアチブ「E-COMPASS(注)6」を推進しており、サプライチェーン全体で半導体の技術革新と環境負荷低減の実現を目指しております。 また、気候変動が事業に及ぼすリスクと機会について、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)の提言に基づき対応策を講じ、透明性の高い情報開示をおこないながら、責任あるグローバル企業として対応を進めてまいります。  (注)5 製品のライフサイクル:製品の企画・開発・設計から、調達、製造、物流、お客さまにおける使用時、メンテナンス・サービス、廃棄のバリューチェーン (注)6 Environmental Co-Creation by Material, Process and Subcomponent Solutions ◇ ガバナンスに関する取り組み 当社グループは、実効性の高い取締役会と攻めの経営執行体制により、機関投資家などからの意見も踏まえた課題に継続的に取り組むことで、強固なコーポレートガバナンス体制を実現してまいります。 このような体制で、「“攻め”と“攻め”のガバナンス」を基本姿勢として経営をおこなっております。1つ目の「攻め」は、既述のとおり、短中長期の利益を同時に志向しながら常にワールドクラスの利益率を追求していく「攻め」の事業活動です。2つ目の「攻め」は、すべての企業活動の基本である安全・品質・法令遵守や社員をはじめとするステークホルダーとのエンゲージメントやセキュリティの強化・向上を追求する「攻め」の経営基盤構築です。これに加え、ガバナンスの実効性を高めるために、以下の取り組みの実施とオペレーティングリズムに基づいた業務執行をおこなっております。  《ガバナンスの実効性を強化する取り組み》・監査役会設置会社:取締役会及び監査役会から構成される監査役会設置会社とし、監査役会による経営の監督・取締役会オフサイトミーティングの実施:取締役、監査役及びコーポレートオフィサーによる中長期的な戦略や課題などの議論(年2回)・CEO報告:取締役会でCEO自ら重要な業務執行状況を報告(毎取締役会)・代表取締役評価クローズドセッション:代表取締役を除く取締役、監査役及びコーポレートオフィサーによるセッション(年1回)  《業務執行を支えるオペレーティングリズム》・COM(コーポレートオフィサーズ・ミーティング):執行側の最高意思決定機関(月1回)・CSS(Corporate Senior Staff)ミーティング:全業務執行のグローバル横串の連携(年4回)・DOM(ディビジョンオフィサーズ・ミーティング):企業の変革と進化、イノベーション創出機会についての議論(月1回)・四半期レビュー会議:中期経営計画の進捗をモニタリング(年4回) ⑤ 資本市場との対話 当社グループでは、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を図るため、経営層が率先してIR(Investor Relations)、SR(Shareholder Relations)活動に取り組んでおります。IR活動においては、四半期ごとの決算説明会や中期経営計画説明会にCEO及び各担当役員が登壇し、事業戦略や成長のストーリーを共有しています。また、経営戦略本部の中にIR専門部署を設置しており、2023年11月には、ニューヨークにIR分室を設けました。これにより北米地域における投資家の皆さまとの対面での対話の機会が増加し、当社グループをはじめ、日本の半導体製造装置業界の認知が広がりました。 ⑥ 資本政策 当社グループの資本政策は、成長投資に必要な資金を確保し、積極的な株主還元に継続的に取り組み、中長期的成長の視点をもって、適切なバランスシート・マネジメントに努めることを基本としております。具体的には、営業利益率、資産効率をさらに高め、キャッシュ・フローの拡大に努めることで、持続的な成長を目指し、ROE向上など高い資本効率を追求します。 当社の配当政策につきましては、業績連動型を基本とし、親会社株主に帰属する当期純利益に対する配当性向50%を目処とします。この方針に基づき、2025年3月期においては、年間配当は過去最高となる592円といたしました。また、自己株式の取得については、現状のキャッシュポジションや中長期的な成長投資資金、株価水準、総還元額の状況などに鑑み、機動的に実施を検討することとしており、2025年3月期については1,499億円の自己株式取得を実施いたしました。 当社グループは、「最先端の技術と確かなサービスで、夢のある社会の発展に貢献します」という基本理念のもと、以上のような取り組みを通じて、持続的な成長とさらなる企業価値の向上を目指してまいります。  なお、文中の将来に関する記述は、本有価証券報告書の提出日現在において入手可能な情報をもとに、当社グループが合理的であると判断した一定の前提に基づいており、当社グループとしてその実現を約束する趣旨のものではありません。
MD&A(経営者による分析)
4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】(1) 経営成績等の状況の概要 当連結会計年度における当社グループの経営成績、財政状態及びキャッシュ・フローの状況の概要は次のとおりであります。① 経営成績及び財政状態の状況 当連結会計年度の世界経済につきましては、依然として地政学的リスクの高まりによる影響が懸念されましたが、欧米諸国においては、物価上昇率2%程度の水準が維持されており、景気拡大が継続している米国を中心に全体としては底堅く推移しました。 当社グループが参画しておりますエレクトロニクス産業におきましては、PCやスマートフォン等の最終製品の需要は軟調に推移する一方、生成AIの普及に伴うデータセンター向けAIサーバーの需要は拡大し、半導体市場全体の成長を牽引しました。 このような状況のもと、当連結会計年度における半導体製造装置市場は、生成AI用途のメモリやアドバンストパッケージ向け設備投資が顕著に伸長するとともに、中国における成熟世代向け設備投資も継続しました。また、先端世代向けロジック/ファウンドリの設備投資も前連結会計年度を上回りました。 情報通信技術の進展に伴うデータ社会への移行、生産性向上や新たな価値の創出に向けたAIの進化、そして脱炭素社会の実現に向けた取り組みを背景に、半導体の役割とその技術革新の重要性が高まるとともに、半導体製造装置市場も中長期的にさらなる成長が期待されております。  当連結会計年度の経営成績の状況は以下のとおりとなりました。 当連結会計年度の売上高は2兆4,315億6千8百万円(前連結会計年度比32.8%増)となりました。国内売上高が1,899億7千9百万円(前連結会計年度比2.7%増)、海外売上高が2兆2,415億8千8百万円(前連結会計年度比36.2%増)となり、連結売上高に占める海外売上高の比率につきましては92.2%となりました。 売上原価は1兆2,852億8千万円(前連結会計年度比28.5%増)、売上総利益は1兆1,462億8千7百万円(前連結会計年度比38.1%増)となり、売上総利益率は47.1%(前連結会計年度比1.7ポイント増)となりました。 販売費及び一般管理費は4,489億6千7百万円(前連結会計年度比20.0%増)となり、連結売上高に対する比率は18.4%(前連結会計年度比2.1ポイント減)となりました。 これらの結果、営業利益は6,973億1千9百万円(前連結会計年度比52.8%増)となり、営業利益率は28.7%(前連結会計年度比3.8ポイント増)となりました。経常利益は、営業外収益126億2千7百万円、営業外費用22億1千9百万円を加減し7,077億2千7百万円(前連結会計年度比52.8%増)となりました。 税金等調整前当期純利益は7,061億1千4百万円(前連結会計年度比49.1%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は5,441億3千3百万円(前連結会計年度比49.5%増)となりました。 この結果、1株当たり当期純利益は1,182円40銭(前連結会計年度の1株当たり当期純利益は783円75銭)となりました。  なお、当社グループは「半導体製造装置」の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。  また、当連結会計年度末の財政状態の状況は以下のとおりとなりました。 当連結会計年度末の流動資産は、前連結会計年度末に比べ1,003億4百万円増加し、1兆8,007億5千6百万円となりました。主な内容は、受取手形、売掛金及び契約資産の増加942億3百万円、有価証券の増加698億3千3百万円、現金及び預金の減少461億4千2百万円によるものであります。 有形固定資産は、前連結会計年度末から1,043億3千9百万円増加し、4,417億6百万円となりました。 無形固定資産は、前連結会計年度末から34億6千6百万円増加し、358億5千万円となりました。 投資その他の資産は、前連結会計年度末から385億9千2百万円減少し、3,476億6千8百万円となりました。 これらの結果、総資産は、前連結会計年度末から1,695億1千8百万円増加し、2兆6,259億8千1百万円となりました。 流動負債は、前連結会計年度末に比べ660億2千5百万円増加し、6,779億2千5百万円となりました。主として、未払法人税等の増加294億3千6百万円、未払消費税等の増加270億9千9百万円、支払手形及び買掛金の増加156億7千6百万円、前受金の減少335億1千2百万円によるものであります。 固定負債は、前連結会計年度末に比べ84億6千3百万円増加し、928億4千6百万円となりました。 純資産は、前連結会計年度末に比べ950億2千8百万円増加し、1兆8,552億9百万円となりました。主として、親会社株主に帰属する当期純利益5,441億3千3百万円を計上したことによる増加、前期の期末配当及び当期の中間配当2,362億7千6百万円の実施による減少、自己株式取得による減少1,500億8百万円、その他有価証券評価差額金の減少553億5千9百万円によるものであります。この結果、自己資本比率は70.1%となりました。 ② キャッシュ・フローの状況 現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は、前連結会計年度末に比べ234億6千3百万円増加し、4,850億7千2百万円となりました。なお、現金及び現金同等物に含まれていない満期日又は償還日までの期間が3ヶ月を超える定期預金及び短期投資111億6千6百万円を加えた残高は、前連結会計年度末に比べ236億9千万円増加し、4,962億3千8百万円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況は、次のとおりであります。 営業活動によるキャッシュ・フローにつきましては、前連結会計年度に比べ1,474億5千3百万円増加の5,821億7千4百万円の収入となりました。主な要因につきましては、税金等調整前当期純利益7,061億1千4百万円、減価償却費621億4千8百万円がそれぞれキャッシュ・フローの収入となり、法人税等の支払額1,428億1千4百万円、売上債権及び契約資産の増加975億1千9百万円がそれぞれキャッシュ・フローの支出となったことによるものであります。 投資活動によるキャッシュ・フローにつきましては、主として有形固定資産の取得による支出1,583億7千4百万円により、前連結会計年度の1,251億4千8百万円の支出に対し1,696億9百万円の支出となりました。 財務活動によるキャッシュ・フローにつきましては、主に配当金の支払2,362億7千6百万円、自己株式の取得による支出1,500億8百万円により、前連結会計年度の3,250億1千2百万円の支出に対し3,888億3千6百万円の支出となりました。 ③ 生産、受注及び販売の実績 当社グループは、市場の変化に柔軟に対応して生産活動を行っており、生産の実績は販売の実績と傾向が類似しているため、記載を省略しております。受注の実績については、短期の受注動向が顧客の投資動向により大きく変動する傾向にあり、中長期の会社業績を予測するための指標として必ずしも適切ではないため、記載しておりません。また、販売の実績については「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ① 経営成績及び財政状態の状況」に記載のとおりであります。 なお、主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は以下のとおりであります。 前連結会計年度(自 2023年4月1日 至 2024年3月31日)相手先販売高(百万円)割合(%)Samsung Electronics Co., Ltd.237,44113.0 当連結会計年度(自 2024年4月1日 至 2025年3月31日)相手先販売高(百万円)割合(%)Samsung Electronics Co., Ltd.286,80011.8Taiwan Semiconductor Manufacturing Company Ltd.280,61811.5(注) 販売高には、当該顧客と同一の企業集団に属する顧客に対する販売高を含めております。 (2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。 なお、文中の将来に関する事項は、本有価証券報告書の提出日現在において判断したものであります。 ① 経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容 当社グループの当連結会計年度の経営成績については、売上高は2兆4,315億6千8百万円(前連結会計年度比32.8%増)、営業利益は6,973億1千9百万円(前連結会計年度比52.8%増)と、前年度から増収増益となりました。半導体製造装置市場においては、AIサーバーの需要拡大に伴う広帯域幅メモリ向けの設備投資や、高性能のPCやスマートフォンの需要を見据えた先端世代向けロジック/ファウンドリの設備投資などが市場成長をけん引し、当社の付加価値の高い製品の販売が好調に推移しました。また、中国における半導体の自給率向上に向けた成熟世代向けの設備投資も継続し、増収増益に寄与しました。 このような状況のもと、売上総利益率は過去最高の47.1%(前連結会計年度比1.7ポイント増)となりました。また、営業利益率は、将来の成長に向けた積極的な研究開発投資を進める一方で、高水準の売上総利益率を達成し、28.7%(前連結会計年度比3.8ポイント増)となりました。なお、研究開発費の総額は、前連結会計年度から471億4千3百万円増加(前連結会計年度比23.2%増)し、2,500億1千7百万円となりました。 親会社株主に帰属する当期純利益は5,441億3千3百万円(前連結会計年度比49.5%増)となり、売上高に対する比率は、前連結会計年度から2.5ポイント増加し、22.4%となりました。この結果、1株当たり当期純利益は、1,182円40銭となりました。  経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等については、当社グループでは売上高、営業利益率、ROE(自己資本利益率)を中期経営計画上の財務モデルにおける指標として使用しております。 具体的には、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 ④ 中長期的な成長を見据えた取り組み」に記載のとおりであります。 ② 財政状態及びキャッシュ・フローの状況の分析・検討内容、並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報 財政状態については、当連結会計年度末における総資産が2兆6,259億8千1百万円となり、前連結会計年度末から1,695億1千8百万円増加しました。これは主に、売上債権や有形固定資産の増加によるものです。なお、現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は、前連結会計年度末から234億6千3百万円増加し、4,850億7千2百万円となりました。 流動資産は、前連結会計年度末に比べ1,003億4百万円増加し、1兆8,007億5千6百万円となりました。主に、顧客の設備投資の回復に伴う売上高の増加により、受取手形、売掛金及び契約資産が942億3百万円増加したことによるものです。棚卸資産は、在庫水準の適正化に努め、前連結会計年度末から138億3千1百万円減少し、7,491億2千6百万円となりました。 固定資産は、前連結会計年度末に比べ692億1千3百万円増加し、8,252億2千5百万円となりました。有形固定資産については、主に、熊本県合志市の開発棟や宮城県大和町の開発棟など各事業所の建設案件の推進や、最先端技術の研究開発に必要となる機械装置の取得に伴い、前連結会計年度末から1,043億3千9百万円増加し、4,417億6百万円となりました。投資その他の資産は、投資有価証券の時価評価額の減少等により、前連結会計年度末から385億9千2百万円減少し、3,476億6千8百万円となりました。 流動負債は、前連結会計年度末に比べ660億2千5百万円増加し、6,779億2千5百万円となりました。これは主に、未払法人税等の増加294億3千6百万円、未払消費税等の増加270億9千9百万円によるものです。 固定負債は、前連結会計年度末に比べ84億6千3百万円増加し、928億4千6百万円となりました。 純資産は、前連結会計年度末に比べ950億2千8百万円増加し、1兆8,552億9百万円となりました。これは主に、親会社株主に帰属する当期純利益5,441億3千3百万円を計上したことによる増加、前期の期末配当及び当期の中間配当2,362億7千6百万円の実施による減少、自己株式の取得による減少1,500億8百万円に加え、その他有価証券評価差額金の減少553億5千9百万円に起因しております。この結果、自己資本比率は70.1%となりました。  キャッシュ・フローについては、現金及び現金同等物に、満期日又は償還日までの期間が3ヶ月を超える定期預金及び短期投資を加えた残高が、前連結会計年度末から236億9千万円増加し、4,962億3千8百万円となりました。 営業活動によるキャッシュ・フローにつきましては、前連結会計年度に比べ1,474億5千3百万円増加の5,821億7千4百万円の収入となりました。主な要因は、税金等調整前当期純利益7,061億1千4百万円、減価償却費621億4千8百万円がそれぞれキャッシュ・フローの収入となり、法人税等の支払額1,428億1千4百万円、売上債権及び契約資産の増加975億1千9百万円がそれぞれキャッシュ・フローの支出となったことによるものです。 投資活動によるキャッシュ・フローにつきましては、有形固定資産の取得による支出1,583億7千4百万円などにより、前連結会計年度の1,251億4千8百万円の支出に対し1,696億9百万円の支出となりました。 財務活動によるキャッシュ・フローにつきましては、配当金の支払2,362億7千6百万円、自己株式の取得による支出1,500億8百万円などにより、前連結会計年度の3,250億1千2百万円の支出に対し、3,888億3千6百万円の支出となりました。 当連結会計年度においては、営業活動を通じて高水準のキャッシュを創出する一方で、将来の成長を見据え、競合との差別化を図ることができる革新的で付加価値の高い技術の創出のための研究開発投資や設備投資を継続しました。また、当社グループの株主還元政策である配当性向50%に基づく配当金の支払いと当連結会計年度に2度実施した自己株式の取得によって、3,862億7千4百万円を株主に還元しました。これらは、事業運営を通じて獲得した手元資金によって賄っております。引き続き、高利益率によって作り上げた強固な財務基盤を維持しながら、将来への成長投資と積極的な株主還元に取り組んでまいります。 なお、総資産回転日数(注)が前連結会計年度の475日から381日へ減少したことに加え、利益率の改善も実現したことから、当社グループの経営指標の一つであるROE(自己資本利益率)については30.3%となり、中期経営計画の目標としている30%を超える水準となりました。  (注) 総資産回転日数=当連結会計年度期首・期末の総資産の平均÷当連結会計年度の売上高×365 ③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定 当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表作成にあたって用いた会計上の見積り及び当該見積りの仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

事業リスク

半導体市場はIoTやAIの進展で成長が見込まれるものの、世界経済や地政学的要因により短期的な変動リスクがあります。市場の急激な縮小は過剰在庫や貸倒損失につながり、急激な需要増には供給が追いつかず機会損失が生じる可能性があります。また、研究開発において新製品をタイムリーに投入できない場合や、競合に先行された場合には製品競争力を失うリスクがあります。さらに、国際情勢の対立や地域紛争はサプライチェーンに影響を与え、事業活動を制約する可能性があります。地震や風水害などの自然災害、サプライヤーの供給停止、物流網の逼迫も生産・供給に影響を及ぼすリスクです。

出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
有価証券報告書「事業等のリスク」の全文を見る(年度切替)
FY2025|7,243 文字
3 【事業等のリスク】 本有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のようなものがあります。なお、これらの記載は、当社グループに関するすべてのリスクを網羅したものではなく、記載された項目以外のリスクも存在します。 また、文中の将来に関する事項は、本有価証券報告書の提出日現在において当社グループが判断したものであります。 (1) 市場変動半導体市場は、IoT、AI、5G等の情報通信技術の用途の拡がりやDXの進展、サステナビリティ・トランスフォーメーション(SX)への対応を背景としたデータ社会への移行が加速するなか、技術革新が続くことで中長期的にはさらなる成長が見込まれております。しかしながら、世界経済の動向や最終製品の需要、貿易・関税政策、地政学的要因等により、短期的には需給バランスが崩れ市場規模が変動することがあります。当社グループの売上高は、最先端の大手半導体メーカー等を中心とした投資動向の影響を受けやすい傾向にあり、半導体市場が急激に縮小した場合には、過剰生産及び在庫の増加、顧客の財務状況悪化による貸倒損失など、一方、急激な需要の増加に対応できなかった場合には、顧客に製品をタイムリーに供給できず、機会損失が生じるなど、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。当社グループは、こうした市場変動に対応するため、市場環境や受注状況を取締役会等の重要会議において定期的にレビューするなど、常に最新の市場動向を把握した上で、設備投資や人員・在庫計画等の適正化を図っております。また、当社グループは、世界中の幅広い顧客と緊密な連携を図る専門組織を設置し、顧客ニーズや投資動向をいち早く把握し、半導体需要の拡大に対応するために、販売体制及び顧客対応力の強化を図るとともに、新規顧客を開拓するなど顧客基盤の拡大に努めております。 (2) 研究開発当社グループは、最先端技術について継続的な研究開発投資を実施し、当該技術を搭載した新製品を早期に市場投入することによって、各製品分野における高い市場シェアの獲得と高利益率の実現に成功してきました。しかしながら、顧客の技術要求に応える新製品をタイムリーに投入できない場合、また、開発した新製品が顧客要求に合致しなかった場合や競合他社による新技術・製品が先行投入された場合には、製品競争力を失い、開発コストの回収が困難となるなど、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。当社グループは、コーポレートイノベーション本部を設置し、革新的な技術開発と各事業部門が持つ製品・技術を融合した独創的な技術提案を行うための全社的な開発体制を構築するとともに、グローバルに展開している研究機関との共同研究や最先端顧客との間で複数世代にわたる技術ロードマップを共有するなど、将来のニーズに対応した強いネクストジェネレーションプロダクトを常に競合に先立ち提供する体制を整えております。 (3) 地政学当社グループは、売上高に占める海外売上高の比率が高く、様々な国・地域において事業を展開しております。国際秩序やグローバルなマクロ経済情勢に影響を与える地政学的な対立や地域紛争は、各国・地域の安全保障、外交政策、産業政策及び環境政策に影響を与え、その結果、サプライチェーンへの影響、マクロ経済環境の悪化等が発生することにより、当社の事業活動を制約し、グループ業績に影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは、国際情勢や各国・地域の外交・安全保障上の措置、産業政策の動向を注視して、製品の輸出入や技術開発に関する規制、マクロ経済の変動による事業への影響を分析しております。これらへの対応策を事前に検討するとともに、政策当局や業界団体、有識者等との対話を行いながら、リスクの早期発見やリスク発現時の迅速かつ適切な対応にあたっております。 (4) 調達・生産・供給当社グループは、主要な生産拠点を日本国内に有し、国内外の顧客に製品を供給しております。そのため、国内における地震や風水害の自然災害等の不可抗力による被害や事故等の発生を受け、生産が停止し、復旧に時間を要する場合には、顧客に製品をタイムリーに供給できない可能性があります。また、安定した製品の製造にはサプライヤーによる部品等の安定供給が欠かせません。災害や事故等のリスクに加え、サプライヤーの経営状態悪化、半導体市場の拡大に伴う供給能力を上回る需要、法改正や労働人口減少等により、部品の調達が滞った場合や国内外の物流網が逼迫した場合には、顧客に製品をタイムリーに供給できなくなり、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは、コーポレート生産本部を設置し、サプライチェーンに関する事業継続計画(BCP)などの策定と定期的なレビューを行うとともに、リスク低減に向けた対策を推進しております。例として、代替生産体制の確立、生産棟の耐震強化、生産の平準化、情報システムのバックアップ体制整備や重要部品のマルチソース化、適正在庫の確保等を進めております。また、半導体の需要予測をベースとしたフォーキャストをサプライヤーに共有する等の取り組みを進め、安定供給体制の確立に取り組んでおります。 (5) 安全当社グループの製品の安全性に関する問題が発生した場合、受注取消や損害賠償責任が発生します。また、重大な人身事故が発生した場合には、当社グループの安全に対する意識や取り組み方が疑問視され、当社グループの社会的信用の低下を招き、業績に影響を及ぼす可能性があります。当社グループは、開発・製造・販売・装置据付・サービス・管理等の各業務の遂行における安全や健康に対する配慮を常に念頭において事業を進めております。この「Safety First」という方針のもと、製品開発段階でリスク低減を意識した本質的な安全設計を実践するとともに、現場作業においても危険予知ミーティングなどのリスクアセスメントを行うことで潜在的なリスクを特定して未然防止策を講じています。また、各従業員及び協力会社社員の業務に合わせた社内の資格認定と安全教育、顧客への装置トレーニング、事故報告システムの整備など、安全への取り組みを全従業員で継続的に推進しております。 (6) 品質当社グループの製品は、多くの最先端技術が統合された製品であり、不具合が発生した場合には、リコール等の製品の回収、品質責任に基づく損害賠償責任や不具合対策費用の発生、また、当社グループのブランドイメージ及び信頼の低下につながるなど、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは、全社統一の品質方針のもと、ISO9001の認証取得、継続的改善活動の実践、従業員、協力会社社員及びサプライヤーに対する品質教育など、品質保証体制や最高水準のサービスの確立に向けて取り組んでおります。開発においては、設計の初期段階から営業、サービス部門と連携し、顧客のニーズに対応すべく技術的な課題解決を図り、さらにシミュレーション技術を使用した検証を徹底するなど、リスク軽減、解消に取り組んでおります。また、不具合発生時においては、根本原因を究明し、再発防止策・類似不具合の未然防止策の実施・徹底を進めております。調達部品の品質管理においても同様に、常にサプライヤーの品質状態を把握し、監査、改善支援等を実施しております。 (7) 環境対応当社グループを取り巻くステークホルダーをはじめ、世界全体でサステナビリティに関する社会的要請が高まっており、特に喫緊の課題である気候変動に対する取り組みは急務です。このような状況のもと、脱炭素社会への移行に伴う各国の気候変動政策、環境法令や業界行動規範、技術革新や顧客ニーズ等に適切に対応できなかった場合には、新規製品の開発、仕様変更、改造等の追加対応の費用発生、製品競争力の低下、社会的信用の低下等により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。当社グループは、E-COMPASSプログラムを展開し、あらゆるお客さま、お取引先さまとのパートナーシップによりサプライチェーン全体での地球環境保全に取り組んでおります。環境法令や業界行動規範の遵守はもとより半導体デバイスの高性能化や低消費電力化に寄与する技術の提供、また業界をリードする環境目標の達成に向けて製品使用時の温室効果ガス排出量削減や事業所における再生可能エネルギーの使用比率の向上及びエネルギー使用量低減に努めております。そのほか、梱包材の見直し、モーダルシフトの推進など、事業活動を通じて地球の環境保全に取り組んでおります。 (8) 法令・規制当社グループは、グローバルに事業を展開する上で、各国・地域において、輸出入規制、環境法、競争法、労働法、汚職・贈賄を含む様々な分野の法令、規制による制約を受けており、その遵守に努めております。しかしながら、各国・地域の法令・規制に抵触した場合には、社会的信用の低下、課徴金・損害賠償、事業の制限などが発生する可能性があります。また、各国・地域における安全保障上の政策や予期せぬ法令・規制の改正が生じた際に適切に対応できなかった場合には、その対応に要する費用負担や事業の制限等により当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。当社グループは、チーフ・コンプライアンス・オフィサーのもと、国内外主要拠点においてコンプライアンスに関する活動状況を把握する体制を構築するとともに、法令や企業倫理上疑義のある事項を早期発見し、すみやかに対策を講じるため、当社グループ統一の内部通報制度を運用しております。また、各国・地域の法令・規制を踏まえて当社製品が遵守すべき規格や仕様等を網羅的に整理し、適切なオペレーションを支える製品コンプライアンス活動をリスク管理の一環として実施しています。 (9) 知的財産当社グループの製品は、多くの最先端技術が統合された製品であり、知的財産の権利化と第三者による権利侵害の防止は、製品の差別化と競争力強化の上で重要な要素となります。第三者が保有する知的財産権を侵害した場合には、当社グループ製品の生産・販売が制約され、損害賠償金の支払が発生すること等が考えられ、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。当社グループは、知的財産戦略を事業戦略及び研究開発戦略と三位一体で推進することにより、適切な知的財産権ポートフォリオを構築しております。また、他社特許を継続的にモニタリングし、事業及び研究開発部門と連携して適切な対策を講じることで他社特許の侵害を回避する体制を構築しております。このような取り組みを通じ、製品競争力の向上及び他社特許の侵害リスクの低減を図り、各製品分野における高い市場シェア獲得と利益率向上に努めております。 (10) 情報セキュリティ社会全体のデジタル化が進む中、第三者による不正アクセスやコンピュータウイルス等によるサイバー攻撃は世界的に増加傾向にあります。このような環境下において、当社グループ及びサプライヤーに対するサイバー攻撃、内部不正等による情報漏洩やサービス停止等が発生した場合には、競争力・技術的優位性の棄損、製品生産活動を含めた業務の停止、社会的信用の低下や損害賠償の発生等により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは、サイバーセキュリティに関するソリューション導入やセキュリティ監視、内部不正対策といった技術面・運用面の対策に加えて、グローバルセキュリティポリシーの全社的な展開、教育・啓発・訓練を通じて、情報資産の適切な管理・保護に努めております。また、情報セキュリティ委員会を設置することでグループ各社を含めた組織的強化を図るとともに、情報セキュリティに関する内部監査と外部機関によるアセスメントなどの活動を通じて、情報セキュリティ対策の実効性強化に努めております。 (11) 人材当社グループがグローバルな事業展開を進めるなか、イノベーションを創出し成長を続けるためには、国内外で多様な人材を確保し育成することやダイバーシティ、エクイティ&インクルージョンを実践することが重要となります。しかしながら、必要な人材を継続的に採用・維持することができない場合、また、多様な価値観・専門性を持った人材が個性を発揮して活躍できる環境が整備できない場合には、製品開発力の低下や顧客サポートの質の低下を招き、競争優位性のある組織が実現できないなど、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。当社グループは、従業員は持続的な価値創出の源泉であり、従業員のエンゲージメントを高めることは企業価値向上において最も重要な要素と考えております。具体的には、当社CEOによる定期的な社員集会を通じた方向性の共有、今後を担う人材を継続的に輩出するための育成計画の構築、従業員のキャリアパスの見える化、魅力的な報酬・福利厚生の提供、長時間労働・ハラスメントの防止を含めた労働環境の継続的な改善や健康経営の推進等に取り組んでおります。加えて、産官学連携の半導体人材育成やグローバルでの大学とのパートナーシップの強化を進めております。 (12) 感染症・自然災害等当社グループがグローバルな事業展開を進めるなか、世界各国または一部の地域で大規模な感染症の流行や自然災害、テロ等が発生し、当社グループの役員・従業員等やその家族の安全への影響、拠点運営の停止や各国間の移動が制限されるような事態となった場合、本社機能を含むグループ全体の事業活動等に影響を与える可能性があります。当社グループはこれらのリスクに対して、万が一の事態であっても被害を最小限にし、すみやかに事業継続のための体制を整えられるようにするため、事業継続計画(BCP)を土台として、役員・従業員やその家族の安否を確認するための安否確認システムの導入や防災訓練、役員・従業員等の防災意識向上の取り組み等に努めています。 (13) ファイナンス当社グループは移転価格税制等、各国・地域における税法及びその他の関連諸規定等に適切に対応できるよう努めていますが、当局との適用税法等の解釈に相違が生じた場合、当局からの指摘を受け追加の税負担が生じる可能性があります。各国・地域における経済環境、国際情勢、金利変動等の要因により、急激な為替変動があった場合には当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。当社グループは、当社製品の取引を原則円建てで行っていることに加えて、一部の外貨建売上等についても為替予約などによるリスクヘッジを行っております。当社グループはこれらのリスクに対して、ファイナンス担当役員のもとファイナンス本部が経営戦略本部や各グループ会社のファイナンス部門責任者と連携することでグローバルにリスク管理する体制を整えています。 (14) M&A当社グループは、既存市場や新規市場における企業や技術等の買収または投資を行う場合があります。買収対象の企業や事業のデューデリジェンス、または買収した企業や事業のPMI(ポスト・マージャー・インテグレーション)が十分でないことによって、企図した成果やグループ企業間の相乗効果を実現できない可能性があります。また、潜在的なターゲットを競合他社等に買収される等により、当社グループの競争力に影響を及ぼす可能性があります。当社グループはこれらのリスクに対して、経営戦略本部を中心に議論を行い、当社CEOを含む幹部会議で定期的に対応方針をレビューするなど、当社グループとのシナジー効果とリスクを考慮した投資判断を行うとともに、買収や出資後にも戦略とリスクを踏まえた計画を策定・実行するよう努めています。 (15) IT&オペレーション当社グループは、販売活動、サプライチェーン、研究開発、財務報告等を統合的に管理するため、大規模な基幹システムを活用しています。これらのシステムに重大なシステム障害が発生した場合、全社的な業務の中断や適切な財務報告が阻害されることなどにより、当社グループの事業活動に影響を及ぼす可能性があります。また、デジタル化や業務プロセス改革等の遅延によって、今後増加するビジネスや新たな規制等に対応したオペレーションが効果的・効率的に実行されない可能性があります。当社グループはこのようなリスクに対して、ITシステムに関する事業継続計画(BCP)を策定するとともにDR(ディザスターリカバリー)データセンターを活用して、バックアップシステムによる運用訓練を実施しています。また、業務改革DX推進プロジェクトを立ち上げ、社内全般の業務プロセス及びシステムについて、生産性向上、規制等の遵守、強靭化などの様々な観点から見直しを行い、リスク管理に努めています。 (16) 拠点展開当社グループはグローバルな事業展開を進めており、今後もさらなる拠点展開や運営の強化を推進します。新規ビジネスの増加に対する拠点戦略の検討が不十分もしくは投資計画の実行遅延、不十分な人員配置等によって、新規拠点の展開や既存拠点の強化・統制が効果的・効率的に実行されない可能性があります。当社グループはこれらのリスクに対し、事業戦略と整合する拠点戦略を策定し、実行しています。また、各拠点の運用に関しては、各国・地域を統括するグループ会社によって、各事業や各国・地域の特性に応じた円滑な運営及びリスク管理に努めています。

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