8032

日本紙パルプ商事(8032)は何で稼いでいるか — 事業の柱と依存度

卸売業 商社・卸売

事業の概要

日本紙パルプ商事グループは、紙やパルプなどの卸売を主な事業としています。これに加えて、紙製品の製造・加工、古紙などの再資源化、そして不動産賃貸事業も手掛けています。国内外の卸売事業が中心で、特に国内向けと海外向けの紙・板紙販売が収益の柱です。原材料の調達から製品の加工、販売、リサイクルまでを一貫して行うことで、事業間の相互補完により安定した収益構造を目指しています。

出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
セグメント構成

同社グループの事業は主に5つのセグメントで構成されています。最大の稼ぎ頭は「海外卸売」で、海外向けの紙、板紙、関連商品の販売を行っています。次に大きいのが「国内卸売」で、国内向けの紙、板紙、関連商品の販売に加え、倉庫業や情報機器販売も手掛けています。「製紙加工」は紙や板紙の製造・加工、「環境原材料」は古紙やパルプなどの原材料販売、総合リサイクル、再生可能エネルギー発電を担っています。「不動産賃貸」は不動産の賃貸事業です。海外卸売が売上高の大部分を占めており、グローバルな事業展開が特徴です。

2025-03 セグメント別業績
セグメント区分売上(億)営業利益(億)営業利益率
WholesalingJapanReportableSegment 地域 2,006
OverseasWholesalingReportableSegment 事業 2,755
PaperManufactureAndProcessingReportableSegment 事業 516
RawMaterialsAndEnvironmentReportableSegment 事業 227
RealEstateLeasingReportableSegment 事業 42
有価証券報告書「事業の内容」の全文を見る(年度切替)
FY2025|365 文字
3 【事業の内容】当社グループは、当社、子会社112社及び関連会社21社の計134社で構成されており、紙パルプ等の卸売を主な事業とし、これに関連する製造、加工等の事業並びに再資源化等の事業及び不動産賃貸事業に取り組んでおります。当社グループのセグメントごとの事業は、次のとおりであります。なお、関係会社のセグメントとの関連は、事業系統図、及び「4 関係会社の状況」に記載しております。事業区分主な業務国内卸売国内向の紙、板紙、関連商品の販売倉庫業・運送業等情報機器等の販売、及び情報サービス事業海外卸売海外向の紙、板紙、関連商品の販売等製紙加工製紙、及び紙・板紙・関連商品の加工等環境原材料古紙・パルプ等原材料の販売総合リサイクル、及び再生可能エネルギーによる発電事業等不動産賃貸不動産の賃貸 事業の系統図は次のとおりであります。

事業の優位性(モート)

事業の質(有価証券報告書から抽出)
数字に出ない事業の性質を、同じ物差しで全銘柄そろえています。FY2025時点の記載が出典です。
価格決定力値上げを通せるか。強いほどインフレ耐性が高い 弱い
製紙メーカーの寡占化が進んだ場合、仕入先メーカーの影響力が高まり、相対的に当社グループの影響力が低下する可能性があるため。
参入障壁新規参入を阻む要因の種類 設備
製紙加工事業や環境原材料事業における生産設備、不動産賃貸事業における賃貸用不動産等の固定資産を保有。
景気敏感度業績が景気循環にどれだけ振られるか 中程度
設備投資の性質稼いだ現金がどれだけ設備維持に消えるか 混合
規制依存規制は障壁にも足枷にもなる 高い
会社が挙げる主要リスク:主な取扱商品の需要減少、市況及びマクロ経済変動リスク / 不動産市況の影響 / 取引先の信用リスク
同じ条件で他の銘柄を探す → 定性スクリーニング(価格決定力・参入障壁・景気敏感度などで絞り込めます)
モート総合 8 / 25 5類型それぞれの強度と、そう判定した根拠
無形資産★☆☆☆☆
根拠:弱いブランド・特許・許認可

長年の業歴と業界内での信頼関係は無形資産となりうるが、特定のブランド力や特許、規制ライセンスによる明確な独占性は見られない。一部のプライベートブランドや独自サービスが差別化要因となる可能性はある。

スイッチングコスト★★☆☆☆
根拠:中程度乗り換えの手間・コスト

顧客は複数のサプライヤーから調達することが一般的であり、取引先変更のハードルはそれほど高くない。しかし、長年の取引で培われた信頼関係や、特定のニーズに合わせたカスタマイズされたサービス提供により、一定のスイッチングコストは存在する。

ネットワーク効果☆☆☆☆☆
根拠:弱い利用者増が価値を生む

卸売業であり、プラットフォームビジネスのようなネットワーク効果は基本的に働かない。顧客やサプライヤーが増加しても、それが直接的なサービス価値の向上に繋がる構造ではない。

コスト優位★★☆☆☆
根拠:中程度同じ物を安く作れる

規模の経済による効率化や、長年のサプライヤーとの関係による仕入れコストの優位性は考えられる。しかし、業界全体として価格競争も激しく、絶対的なコスト優位性を築くことは難しい。

規模の経済★★★☆☆
根拠:中程度規模が参入障壁になる

紙・パルプ関連の卸売業において、国内有数の規模を持つ企業の一つであり、一定の市場シェアを有している。この規模により、サプライヤーからの仕入れや物流において効率性を発揮できる可能性がある。

同社グループは、紙・パルプの卸売を核に、製造加工、環境原材料(古紙・パルプ等)、不動産賃貸まで多角的な事業ポートフォリオを構築している点が強みです。特に、原材料調達から製造、卸売までの一貫したサプライチェーンを持つことで、原材料価格の変動リスクを事業間で吸収し合う相互補完体制を構築しています。これにより、市場変動に対する耐性を高め、安定的な事業運営を目指しています。また、国内外に広がる販売ネットワークも優位性の一つと考えられます。

出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)

経営戦略

有価証券報告書「経営方針・対処すべき課題・MD&A」の全文を見る(年度切替)
経営方針・経営戦略
1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。 (1) 経営の基本方針について当社グループは紙流通業界のリーディングカンパニーとして、社会・産業・文化の発展を支え、人々の営みにおいて欠くことの出来ない紙・板紙の安定供給を通じ、循環型社会の構築に貢献していくことを基本方針としております。また、社会と地球環境のより良い未来を拓くことをグループの使命として、グループ役職員が、誠実、公正、調和を大切にすべき価値観とし、変革、挑戦、創造を積極的に実践することにより、全てのステークホルダーの皆様から信頼される企業を目指しております。 (2) 当社を取り巻く経営環境と事業環境当期における我が国経済は、雇用・所得環境の改善とともに各種政策効果により、緩やかな景気の回復が続きました。一方、世界経済におきましても、持ち直しの動きがみられましたが、世界的な金融引き締め、東欧・中東における地政学的リスク、中国における景気の足踏み、米国の通商政策等による景気の下振れ懸念が高まりました。 当社グループを取り巻く環境については、国内市場においては人口減少などの構造的要因やデジタル化の進展による紙需要の縮小傾向は今しばらく続く一方、配送の小口化により物流費などの販売コストはさらに上昇していくものと考えております。海外市場では、先進国においてはグラフィック用紙の需要減少は続くものの、パッケージング用紙は堅調に推移するとみており、新興国においては人口増加や経済発展による生活水準の向上、工業化による産業構造の変化がもたらす紙・板紙需要の増加を予想しています。 (3) 中長期的な経営戦略、目標とする経営指標及び事業上の対処すべき課題当社グループは、長期ビジョン『OVOL長期ビジョン2030 “Paper, and beyond”』(以下、「長期ビジョン2030」)を策定し、2030年のあるべき姿を掲げ、その実現を目指しております。 (当社グループのあるべき姿)「世界最強の紙流通企業グループ」「持続可能な社会と地球環境に一層貢献する企業グループ」「紙業界の枠を超えたエクセレントカンパニー」 長期ビジョン2030の実現に向け、2024年度からの3ヵ年(2025年3月期~2027年3月期)を対象とした中期経営計画『OVOL中期経営計画2026』を策定いたしました。当中期経営計画では、当該中計期間を2030年に当社グループがあるべき姿を実現するための経済価値と社会価値を創造する「具体的な仕組みづくり・仕掛けづくりの3年間」と位置づけ、以下の3つの基本方針に基づく施策を実行することにより、長期ビジョン2030の実現を目指すこととしております。「グループ内外のコミュニケーションを拡充し、機能やサービスなどの提供価値を圧倒的に高める」「人材力を引き上げるとともにワークエンゲージメントを飛躍的に高める」「M&Aを駆使して既存領域および新規領域での事業を躍進的に拡大する」 OVOL中期経営計画2026の最終年度における連結財務目標は以下のとおりです。連結経常利益220億円ROE(自己資本利益率)8.0%以上ROA(総資産利益率)5.0%以上ROIC(投下資本利益率)7.0%以上ネットD/Eレシオ1.0倍以下 セグメント別には次の方針を掲げております。 (セグメント別方針)「国内卸売セグメント」グループの総合力を駆使し収益の最大化を実現 「海外卸売セグメント」安定的な収益構造の構築と収益源のさらなる多様化 「製紙加工セグメント」地球環境保全への積極的な取り組みと安定収益の基盤構築 「環境原材料セグメント」循環型ビジネスを通じた持続可能な社会と地球の未来への貢献 「不動産賃貸セグメント」保有不動産からの安定収益の継続と不動産ポートフォリオの最適化 (4) 財務上の対処すべき課題当社グループの資本政策は、成長投資に必要な資金を確保し、安定的な株主還元に継続的に取り組み、中長期的成長の視点をもって、適切なバランスシート・マネジメントに努めることを基本としております。また、経常利益率、資本効率を高め、キャッシュ・フローの拡大に努めることで、ROA、ROE、ROICの向上など、持続的な成長を目指してまいります。当社の配当政策につきましては、安定的かつ継続的な株主還元を基本として、連結業績の動向を勘案して決定しております。また、OVOL中期経営計画2026の期間においては、市場の期待に応える積極的な株主還元方針として「連結配当性向を30%以上とする累進配当」を掲げており、当期末の配当を、1株当たり12円50銭といたしました。なお、当社は、2024年10月1日付で普通株式1株につき10株の割合で株式分割を実施しております。すでに実施済みの中間配当と合わせ、株式分割後に換算いたしますと年間配当額は1株当たり25円となり、前期実績から実質的に12円の増配となっております。また、OVOL中期経営計画2026の2年目となる2025年度においては、前期から3円増配となる1株当たり28円(中間配当14円)を予定しており、自己株式の取得についても機動的かつ柔軟に実施を検討してまいります。 (5) セグメントごとの経営環境と対処すべき課題① 国内卸売セグメント紙の需要は国内における人口の減少やデジタル化など構造的要因を背景に縮小しており、この流れは今しばらく継続するものと想定しております。板紙に関しては、賃上げによる個人消費マインドの改善や、インバウンド需要の継続が期待されております。そのような市場の中で取引先として選ばれるためには、物流改革やDX推進によるサプライチェーンにおける当社グループの機能や価値の提供に加え、製紙加工及び環境原材料セグメントなど、卸売事業以外に拡大しているグループの総合力が勝ち残りのための競合他社との差別化につながると考えており、これらを駆使して収益の最大化を実現してまいります。また、紙の価値普及に向けた取り組みを実施し、紙の特性、魅力、環境優位性等を改めて社会に伝えることで、紙需要のすそ野拡大を図るとともに業界イメージの向上にも貢献してまいります。 ② 海外卸売セグメント海外卸売セグメントにおいては、各市場に根差した卸商経営の拡充を基本としており、アメリカ、イギリス、アイルランド、オーストラリア、ニュージーランド、インド、ホンコン、シンガポール、マレーシアで自前の在庫・物流機能を有する各国屈指の紙商を経営し、世界最強の紙流通企業グループの実現に必要なプラットフォームを構築しております。当連結会計年度におきましては、ドイツ及びフランスにおいて国内全域をカバーする在庫・物流網を有する事業のM&Aを実施したことにより、欧州地域での当該機能の拡充を実現するとともに、高付加価値商材の欧州地域への販売拡大にも寄与するものと考えております。また、東南アジア地域においても在庫・加工・配送といった物流機能の充実化に取り組み、グローカル戦略を加速させ、アジアビジネスの規模拡大を目指します。各市場においてはデジタル化の進展により、グラフィック用紙の需要減少は継続しておりますが、当社グループはグローバルなサプライソースの活用、及び各拠点の在庫・物流機能を活かし取引先の需要を確実に取り込むとともに、サイン&ディスプレイ、パッケージ、軟包装、環境配慮型製品などの高付加価値製品の取り扱いをより一層拡大してまいります。また、補完的M&Aの継続的な実施により、各市場におけるシェアと事業領域を拡大し、安定的な収益構造の拡大と収益源のさらなる多様化を追求してまいります。 ③ 製紙加工セグメント当社グループは、再生原料である古紙の回収から製紙、加工、流通に至るまで、紙のサプライチェーンの川上から川下までをグループ内でカバーする事業体制を構築しております。この事業体制を活かして、古紙を原料とした段ボール原紙、印刷用紙及び家庭紙の製紙事業を展開し、安全操業と環境対応の管理を徹底しつつ、環境に配慮した商品を効率的に生産し、安定的にお客様へ供給する事業を展開しております。段ボール事業では、段ボール原紙製造会社と、多様なニーズに対応する段ボール製品の製造加工会社による総合パッケージサプライヤーとしての体制を国内及びインドネシアにおいて構築しており、国内の原紙製造においては木質バイオマス発電や水力発電等の再生可能エネルギーも活用しCO2の削減に取り組んでおります。再生家庭紙事業においては、同分野のリーディングカンパニーであるコアレックスグループによる安定的な生産・供給体制を構築しており、災害発生時のトイレットペーパーの供給支援や災害に備えた備蓄推進活動も行っております。また高度なリサイクル技術により難再生古紙の再資源化を実現し、限られた資源の有効活用と紙ごみの削減にも貢献するとともに、製造工程の徹底した効率化の推進によりCO2削減にも取り組んでおります。段ボール事業、再生家庭紙事業ともに原燃料価格や副資材、物流費等のコストの更なる上昇が想定されるものの、効率的生産への取り組みや徹底したコスト削減を継続するとともに、CO2排出量削減や省力化にむけた投資も積極的に行うことで、地球環境保全への積極的な取り組みと安定収益の基盤構築を進めてまいります。また、物流面においても、段ボール事業ではグループ内での横断的な戦略の検討、再生家庭紙事業ではグループ外とのアライアンスを拡大させることで、日本全国をカバーする物流体制を構築し、販売力を高めてまいります。 ④ 環境原材料セグメントイ 古紙再資源化事業:当社グループは、福田三商㈱を中心に日本全国をカバーする古紙事業のネットワークを構築しており、当社グループ内を含む国内製紙メーカーへの原料古紙の安定供給を最優先に古紙の発生減に対応した仕入・調達力の強化に取り組んでおります。国内の古紙リサイクルシステムの維持と古紙利用率の向上に貢献しつつ、採算とのバランスを勘案しながらアジア諸国への輸出も行っております。また、米国及びインドにおいても事業拠点を有し、事業を展開しております。 ロ 総合リサイクル事業:㈱エコポート九州が熊本県にてプラスチックや木質系廃棄物の総合リサイクル事業を行っております。2022年4月に施行された「プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律(プラ新法)」を受けて、増量が予想されるプラスチック廃棄物のリサイクルに対応するため、同県にて第2工場の建設を計画しております。 ハ 再生可能エネルギー事業:当社グループが参画している発電事業会社は、環境原材料セグメントにおいては、岩手県、島根県での木質バイオマス発電事業会社2社、北海道、岩手県、宮城県での太陽光発電事業会社3社の計5社であり、各事業会社で発電した電力はすべて再生可能エネルギー固定価格買取制度(FIT)を活用し社会に供給しております。なお、製紙加工セグメントにおいても、岐阜県の木質バイオマス発電事業会社である川辺バイオマス発電㈱が、主に段ボール原紙製造会社の大豊製紙㈱へ電力を供給しております。また、マレーシアにて木質バイオマス燃料の一つであるPKSの集荷と輸出を行うOVOL New Energy Sdn. Bhd.では、今後の一層の供給力拡大に向け第3ヤードの設立を検討しております。 以上の3つの事業によって、循環型ビジネスを通じた持続可能な社会と地球の未来への貢献を進めてまいります。 ⑤ 不動産賃貸セグメント当社が東京・大阪・京都等に所有する不動産は立地条件に恵まれており、オフィス・集合住宅等での活用及びホテル事業者への賃貸により得られる賃貸料収入は、当社グループ業績に対して継続して安定的に寄与するものと見込んでおります。物価上昇に伴う維持管理費等の増加が見込まれますが、上昇している賃料相場に合わせた契約更新などに取り組んでおります。引き続き主要物件における適正な管理と価値最大化を進め、また築年数が経過した物件の再開発や売却計画を策定・実行することにより、保有不動産からの安定収益の継続と不動産ポートフォリオの最適化を推進してまいります。
対処すべき課題
1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。 (1) 経営の基本方針について当社グループは紙流通業界のリーディングカンパニーとして、社会・産業・文化の発展を支え、人々の営みにおいて欠くことの出来ない紙・板紙の安定供給を通じ、循環型社会の構築に貢献していくことを基本方針としております。また、社会と地球環境のより良い未来を拓くことをグループの使命として、グループ役職員が、誠実、公正、調和を大切にすべき価値観とし、変革、挑戦、創造を積極的に実践することにより、全てのステークホルダーの皆様から信頼される企業を目指しております。 (2) 当社を取り巻く経営環境と事業環境当期における我が国経済は、雇用・所得環境の改善とともに各種政策効果により、緩やかな景気の回復が続きました。一方、世界経済におきましても、持ち直しの動きがみられましたが、世界的な金融引き締め、東欧・中東における地政学的リスク、中国における景気の足踏み、米国の通商政策等による景気の下振れ懸念が高まりました。 当社グループを取り巻く環境については、国内市場においては人口減少などの構造的要因やデジタル化の進展による紙需要の縮小傾向は今しばらく続く一方、配送の小口化により物流費などの販売コストはさらに上昇していくものと考えております。海外市場では、先進国においてはグラフィック用紙の需要減少は続くものの、パッケージング用紙は堅調に推移するとみており、新興国においては人口増加や経済発展による生活水準の向上、工業化による産業構造の変化がもたらす紙・板紙需要の増加を予想しています。 (3) 中長期的な経営戦略、目標とする経営指標及び事業上の対処すべき課題当社グループは、長期ビジョン『OVOL長期ビジョン2030 “Paper, and beyond”』(以下、「長期ビジョン2030」)を策定し、2030年のあるべき姿を掲げ、その実現を目指しております。 (当社グループのあるべき姿)「世界最強の紙流通企業グループ」「持続可能な社会と地球環境に一層貢献する企業グループ」「紙業界の枠を超えたエクセレントカンパニー」 長期ビジョン2030の実現に向け、2024年度からの3ヵ年(2025年3月期~2027年3月期)を対象とした中期経営計画『OVOL中期経営計画2026』を策定いたしました。当中期経営計画では、当該中計期間を2030年に当社グループがあるべき姿を実現するための経済価値と社会価値を創造する「具体的な仕組みづくり・仕掛けづくりの3年間」と位置づけ、以下の3つの基本方針に基づく施策を実行することにより、長期ビジョン2030の実現を目指すこととしております。「グループ内外のコミュニケーションを拡充し、機能やサービスなどの提供価値を圧倒的に高める」「人材力を引き上げるとともにワークエンゲージメントを飛躍的に高める」「M&Aを駆使して既存領域および新規領域での事業を躍進的に拡大する」 OVOL中期経営計画2026の最終年度における連結財務目標は以下のとおりです。連結経常利益220億円ROE(自己資本利益率)8.0%以上ROA(総資産利益率)5.0%以上ROIC(投下資本利益率)7.0%以上ネットD/Eレシオ1.0倍以下 セグメント別には次の方針を掲げております。 (セグメント別方針)「国内卸売セグメント」グループの総合力を駆使し収益の最大化を実現 「海外卸売セグメント」安定的な収益構造の構築と収益源のさらなる多様化 「製紙加工セグメント」地球環境保全への積極的な取り組みと安定収益の基盤構築 「環境原材料セグメント」循環型ビジネスを通じた持続可能な社会と地球の未来への貢献 「不動産賃貸セグメント」保有不動産からの安定収益の継続と不動産ポートフォリオの最適化 (4) 財務上の対処すべき課題当社グループの資本政策は、成長投資に必要な資金を確保し、安定的な株主還元に継続的に取り組み、中長期的成長の視点をもって、適切なバランスシート・マネジメントに努めることを基本としております。また、経常利益率、資本効率を高め、キャッシュ・フローの拡大に努めることで、ROA、ROE、ROICの向上など、持続的な成長を目指してまいります。当社の配当政策につきましては、安定的かつ継続的な株主還元を基本として、連結業績の動向を勘案して決定しております。また、OVOL中期経営計画2026の期間においては、市場の期待に応える積極的な株主還元方針として「連結配当性向を30%以上とする累進配当」を掲げており、当期末の配当を、1株当たり12円50銭といたしました。なお、当社は、2024年10月1日付で普通株式1株につき10株の割合で株式分割を実施しております。すでに実施済みの中間配当と合わせ、株式分割後に換算いたしますと年間配当額は1株当たり25円となり、前期実績から実質的に12円の増配となっております。また、OVOL中期経営計画2026の2年目となる2025年度においては、前期から3円増配となる1株当たり28円(中間配当14円)を予定しており、自己株式の取得についても機動的かつ柔軟に実施を検討してまいります。 (5) セグメントごとの経営環境と対処すべき課題① 国内卸売セグメント紙の需要は国内における人口の減少やデジタル化など構造的要因を背景に縮小しており、この流れは今しばらく継続するものと想定しております。板紙に関しては、賃上げによる個人消費マインドの改善や、インバウンド需要の継続が期待されております。そのような市場の中で取引先として選ばれるためには、物流改革やDX推進によるサプライチェーンにおける当社グループの機能や価値の提供に加え、製紙加工及び環境原材料セグメントなど、卸売事業以外に拡大しているグループの総合力が勝ち残りのための競合他社との差別化につながると考えており、これらを駆使して収益の最大化を実現してまいります。また、紙の価値普及に向けた取り組みを実施し、紙の特性、魅力、環境優位性等を改めて社会に伝えることで、紙需要のすそ野拡大を図るとともに業界イメージの向上にも貢献してまいります。 ② 海外卸売セグメント海外卸売セグメントにおいては、各市場に根差した卸商経営の拡充を基本としており、アメリカ、イギリス、アイルランド、オーストラリア、ニュージーランド、インド、ホンコン、シンガポール、マレーシアで自前の在庫・物流機能を有する各国屈指の紙商を経営し、世界最強の紙流通企業グループの実現に必要なプラットフォームを構築しております。当連結会計年度におきましては、ドイツ及びフランスにおいて国内全域をカバーする在庫・物流網を有する事業のM&Aを実施したことにより、欧州地域での当該機能の拡充を実現するとともに、高付加価値商材の欧州地域への販売拡大にも寄与するものと考えております。また、東南アジア地域においても在庫・加工・配送といった物流機能の充実化に取り組み、グローカル戦略を加速させ、アジアビジネスの規模拡大を目指します。各市場においてはデジタル化の進展により、グラフィック用紙の需要減少は継続しておりますが、当社グループはグローバルなサプライソースの活用、及び各拠点の在庫・物流機能を活かし取引先の需要を確実に取り込むとともに、サイン&ディスプレイ、パッケージ、軟包装、環境配慮型製品などの高付加価値製品の取り扱いをより一層拡大してまいります。また、補完的M&Aの継続的な実施により、各市場におけるシェアと事業領域を拡大し、安定的な収益構造の拡大と収益源のさらなる多様化を追求してまいります。 ③ 製紙加工セグメント当社グループは、再生原料である古紙の回収から製紙、加工、流通に至るまで、紙のサプライチェーンの川上から川下までをグループ内でカバーする事業体制を構築しております。この事業体制を活かして、古紙を原料とした段ボール原紙、印刷用紙及び家庭紙の製紙事業を展開し、安全操業と環境対応の管理を徹底しつつ、環境に配慮した商品を効率的に生産し、安定的にお客様へ供給する事業を展開しております。段ボール事業では、段ボール原紙製造会社と、多様なニーズに対応する段ボール製品の製造加工会社による総合パッケージサプライヤーとしての体制を国内及びインドネシアにおいて構築しており、国内の原紙製造においては木質バイオマス発電や水力発電等の再生可能エネルギーも活用しCO2の削減に取り組んでおります。再生家庭紙事業においては、同分野のリーディングカンパニーであるコアレックスグループによる安定的な生産・供給体制を構築しており、災害発生時のトイレットペーパーの供給支援や災害に備えた備蓄推進活動も行っております。また高度なリサイクル技術により難再生古紙の再資源化を実現し、限られた資源の有効活用と紙ごみの削減にも貢献するとともに、製造工程の徹底した効率化の推進によりCO2削減にも取り組んでおります。段ボール事業、再生家庭紙事業ともに原燃料価格や副資材、物流費等のコストの更なる上昇が想定されるものの、効率的生産への取り組みや徹底したコスト削減を継続するとともに、CO2排出量削減や省力化にむけた投資も積極的に行うことで、地球環境保全への積極的な取り組みと安定収益の基盤構築を進めてまいります。また、物流面においても、段ボール事業ではグループ内での横断的な戦略の検討、再生家庭紙事業ではグループ外とのアライアンスを拡大させることで、日本全国をカバーする物流体制を構築し、販売力を高めてまいります。 ④ 環境原材料セグメントイ 古紙再資源化事業:当社グループは、福田三商㈱を中心に日本全国をカバーする古紙事業のネットワークを構築しており、当社グループ内を含む国内製紙メーカーへの原料古紙の安定供給を最優先に古紙の発生減に対応した仕入・調達力の強化に取り組んでおります。国内の古紙リサイクルシステムの維持と古紙利用率の向上に貢献しつつ、採算とのバランスを勘案しながらアジア諸国への輸出も行っております。また、米国及びインドにおいても事業拠点を有し、事業を展開しております。 ロ 総合リサイクル事業:㈱エコポート九州が熊本県にてプラスチックや木質系廃棄物の総合リサイクル事業を行っております。2022年4月に施行された「プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律(プラ新法)」を受けて、増量が予想されるプラスチック廃棄物のリサイクルに対応するため、同県にて第2工場の建設を計画しております。 ハ 再生可能エネルギー事業:当社グループが参画している発電事業会社は、環境原材料セグメントにおいては、岩手県、島根県での木質バイオマス発電事業会社2社、北海道、岩手県、宮城県での太陽光発電事業会社3社の計5社であり、各事業会社で発電した電力はすべて再生可能エネルギー固定価格買取制度(FIT)を活用し社会に供給しております。なお、製紙加工セグメントにおいても、岐阜県の木質バイオマス発電事業会社である川辺バイオマス発電㈱が、主に段ボール原紙製造会社の大豊製紙㈱へ電力を供給しております。また、マレーシアにて木質バイオマス燃料の一つであるPKSの集荷と輸出を行うOVOL New Energy Sdn. Bhd.では、今後の一層の供給力拡大に向け第3ヤードの設立を検討しております。 以上の3つの事業によって、循環型ビジネスを通じた持続可能な社会と地球の未来への貢献を進めてまいります。 ⑤ 不動産賃貸セグメント当社が東京・大阪・京都等に所有する不動産は立地条件に恵まれており、オフィス・集合住宅等での活用及びホテル事業者への賃貸により得られる賃貸料収入は、当社グループ業績に対して継続して安定的に寄与するものと見込んでおります。物価上昇に伴う維持管理費等の増加が見込まれますが、上昇している賃料相場に合わせた契約更新などに取り組んでおります。引き続き主要物件における適正な管理と価値最大化を進め、また築年数が経過した物件の再開発や売却計画を策定・実行することにより、保有不動産からの安定収益の継続と不動産ポートフォリオの最適化を推進してまいります。
MD&A(経営者による分析)
4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。 (1) 経営成績等の状況① 経営成績の状況の概要当連結会計年度における当社グループの業績は、売上収益554,524百万円(前期比3.8%増)、営業利益15,071百万円(同13.4%減)、経常利益15,822百万円(同5.6%減)となり、親会社株主に帰属する当期純利益は、製紙加工及び海外卸売の連結子会社においてそれぞれ有形固定資産及びのれんの減損損失を計上したこと等から、前期比26.9%減の7,569百万円となりました。 ② セグメントごとの経営成績当連結会計年度のセグメントごとの経営成績は次のとおりであります。「国内卸売」紙は、デジタル化の進行などの構造的要因による需要の減少に加え、定期雑誌の発行部数の減少、またカタログ等の発行回数や部数の減少、判型縮小等の傾向が継続しており、販売数量は前期に比べて減少しました。板紙では、段ボール原紙は、天候不順による青果物向けが低調、また工業製品向けの需要回復の遅れも見られましたが、飲料向けは堅調に推移しました。白板紙はインバウンドの回復等による人流の増加に伴い医薬品・化粧品向け等が堅調、またアニメキャラクター等のトレーディングカード用途も増加したことから、板紙全体の販売数量は前期に比べて増加しました。エレクトロニクス関連を中心とする機能材料製品については、需要回復の傾向が継続し、販売は増加しました。これらの結果、販売数量は前期並みとなり、売上収益は前期比2.2%増の200,627百万円となりました。経常利益は、人件費や物流費の増加等により、前期比10.1%減の6,000百万円となりました。 「海外卸売」主要マーケットである米国、英国、豪州では、デジタル化の進行などによる紙・板紙の需要の減少傾向が継続しましたが、前連結会計年度の米国における在庫調整が一巡したことや、当連結会計年度に実施したドイツ及びフランスにおけるM&Aに伴う販売が第4四半期より加わり、売上収益は増加しました。本邦からの輸出においては、中国向けの板紙の販売は減少したものの、韓国、東南アジア向けの紙の販売が増加したこと等により、数量・金額ともに前期を上回りました。これらの結果に加えて為替換算の影響もあり、売上収益は前期比5.9%増の275,488百万円となりました。経常利益は、主要マーケットにおける需要が低調の中での競争激化による販売単価の下落、また人件費やインフレに起因する物流費等の増加に加え、ドイツ及びフランスにおけるM&Aに付随する費用の計上もあり、前期比8.2%減の3,195百万円となりました。 「製紙加工」段ボール事業は販売数量、販売単価ともに前期並みであったものの、燃料、電力及び副資材等の価格が依然として上昇し、また労務費も増加したことにより製造費用が増加しました。再生家庭紙事業は、販売数量は前期並みであったものの、コスト削減効果と販売単価の上昇がありました。これらの結果、売上収益は前期比3.1%増の51,597百万円、経常利益は製造費用に加え運賃等の増加もあり、前期比4.0%減の6,761百万円となりました。 「環境原材料」古紙事業は、国内、米国ともに紙・板紙需要の減少に伴う古紙の発生数量減少が継続し、また関東地区の3事業所を譲渡及び米国の事業拠点2カ所を閉鎖したことから販売は減少しました。パルプについては、国内・海外向けともに減少しました。一方、木質バイオマス発電所向け燃料の販売は、前連結会計年度にマレーシアに第2ヤードを開設し取扱量が大幅に増加、また販売価格も上昇しました。総合リサイクル事業及び太陽光発電事業は前期並みに推移しました。これらの結果、売上収益は前期比4.2%減の22,650百万円、経常利益は木質バイオマス発電所向け燃料販売事業が寄与し、前期比22.3%増の2,012百万円となりました。 「不動産賃貸」主要賃貸物件が高水準の稼働を継続しており、売上収益は前期比2.1%増の4,161百万円、経常利益は前期比0.8%増の1,553百万円となりました。 ③ 経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等当社グループは2024年度を初年度とした3年間の中期経営計画『OVOL中期経営計画2026』を策定しております。当中期経営計画の最終年度である2026年度の目標といたしました連結財務指標と当連結会計年度実績は以下のとおりです。連結財務指標当連結会計年度(実績)2026年度目標経常利益15,822百万円22,000百万円(セグメント別経常利益) 国内卸売6,000百万円7,000百万円海外卸売3,195百万円8,000百万円製紙加工6,761百万円7,500百万円環境原材料2,012百万円2,000百万円不動産賃貸1,553百万円1,500百万円調整額△3,698百万円△4,000百万円ROE(自己資本利益率)5.8%8.0%以上ROA(総資産経常利益率)4.1%5.0%以上ROIC(投下資本利益率)(注)5.7%7.0%以上ネットD/Eレシオ0.60倍1.0倍以下 (注)ROIC算出方法:NOPAT(税引後経常利益[利払前])÷投下資本(有利子負債+自己資本[期首・期末平均])算出式の分子であるNOPATは、連結財務指標目標である経常利益をベースとしております。 ④ 生産、受注及び販売の実績イ 生産実績当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。セグメントの名称金額(百万円)前連結会計年度比(%)製紙加工  38,69599.2環境原材料4,294101.4  (注) 金額は製造原価によっております。 ロ 商品仕入実績当連結会計年度における商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。セグメントの名称金額(百万円)前連結会計年度比(%)国内卸売      159,902103.2海外卸売      231,499105.1環境原材料17,72696.7  (注) 1 金額は仕入価格によっております。2 上記の金額は、セグメント間取引の相殺消去後の数値であります。 ハ 受注実績当社グループは、主として需要等を勘案した見込生産を行っているため、記載を省略しております。 ニ 販売実績当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。セグメントの名称金額(百万円)前連結会計年度比(%)国内卸売      200,627102.2海外卸売      275,488105.9製紙加工51,597103.1環境原材料22,65095.8不動産賃貸4,161102.1合計554,524103.8 (注) 上記の金額は、セグメント間取引の相殺消去後の数値であります。 (2) 財政状態の状況当連結会計年度末の総資産は、OVOL France, S.A.S.及びその子会社1社を連結子会社化したことや連結子会社OVOL Papier Deutschland GmbH等が実施した事業譲受により棚卸資産や土地等が増加し、前連結会計年度末に比べて19,590百万円増の392,234百万円となりました。総負債は、OVOL France, S.A.S.やOVOL Papier Deutschland GmbH等が新たに連結子会社となったことに伴う有利子負債の増加等により、前連結会計年度末に比べて12,372百万円増の246,670百万円となりました。純資産は、親会社株主に帰属する当期純利益の計上や為替換算調整勘定の増加等により、前連結会計年度末に比べて7,217百万円増の145,565百万円となりました。 (3) キャッシュ・フローの状況① キャッシュ・フローの分析当連結会計年度末の現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べて1,640百万円増加し、19,027百万円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況は、次のとおりであります。 (営業活動によるキャッシュ・フロー)税金等調整前当期純利益の計上や売上債権の減少等により、21,010百万円の収入となりました(前期は20,891百万円の収入)。 (投資活動によるキャッシュ・フロー)ドイツ、フランス及び豪州等において実施した事業譲受や連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得等により、11,217百万円の支出となりました(前期は2,917百万円の支出)。 (財務活動によるキャッシュ・フロー)社債の償還や長期借入金の返済及び配当金の支払等により、9,335百万円の支出となりました(前期は31,678百万円の支出)。 ② 資本の財源及び資金の流動性当社グループは、OVOL中期経営計画2026に掲げましたように、各事業活動に必要とされる運転資金及び投融資資金の確保について、直接金融または間接金融における多様な手段の中から調達時点の市場環境等を考慮して資金調達を実施しております。また、当社グループのさらなる成長に必要な事業投資の継続と財務の健全性維持との両立を基本方針としております。 イ 資金調達手段当社グループは、上記の資金調達の基本方針に則り、M&Aや設備投資資金ならびに運転資金といった資金使途を踏まえ、営業活動によって獲得されたキャッシュ・フローをベースに、直接金融市場においては社債及びコマーシャル・ペーパーを発行し、間接金融市場では銀行借入による長期借入金や短期借入金に加えて十分な当座貸越枠を確保しております。また、資金調達手段の多様化を図ることで、資金使途及び調達環境の情勢に応じた有利な手段を選択し、機動的な資金調達を実施しております。当連結会計年度末時点における当社の長期及び短期の信用格付けは以下のとおりとなっており、今後も一層の格付向上を目指し、収益性の向上、財務の健全性維持に努めてまいります。 長期短期㈱日本格付研究所(JCR)A/安定的J-1㈱格付投資情報センター(R&I)A/安定的a-1 「フリー・キャッシュ・フロー」                      (単位:百万円) 前連結会計年度当連結会計年度増減営業活動によるキャッシュ・フロー20,89121,010119投資活動によるキャッシュ・フロー△2,917△11,217△8,300フリー・キャッシュ・フロー17,9739,793△8,181 「有利子負債明細」                            (単位:百万円) 前連結会計年度当連結会計年度増減コマーシャル・ペーパー8,00015,5007,500社債         (※1)30,00020,000△10,000直接調達38,00035,500△2,500短期借入金36,39547,57211,178長期借入金      (※2)18,56315,966△2,597間接調達54,95763,5388,581有利子負債合計92,95799,0386,081      (※1)一年内償還予定分の残高を含みます。     (※2)一年内返済予定分の残高を含みます。 ロ 資金の効率化当社グループは、グループ内の資金効率向上を目的として、グループ各社における余剰資金の集中と配分を行うべく、グループファイナンス制度を国内及び海外の各地域にて導入しております。 ハ 財務指標目標当社グループは、OVOL中期経営計画2026にて策定した財務指標目標に対して、基幹事業である紙・板紙の卸売事業で必要な運転資金の安定的な調達と、事業の多角化及びグループ経営の強化につなげる成長投資資金の調達余力を確保するため、営業活動の収益性向上、保有資産の効率的活用、ネットD/Eレシオや自己資本比率などの財務の健全性を示す経営指標の向上に取り組んでおります。  「財務指標」 OVOL中期経営計画2026目標前連結会計年度当連結会計年度ROE(自己資本利益率)8.0%以上8.4%5.8%ROA(総資産経常利益率)5.0%以上4.4%4.1%ROIC(投下資本利益率)7.0%以上6.2%5.7%ネットD/Eレシオ1.0倍以下0.59倍0.60倍 ニ 株主還元当社グループは、株主の皆様に対する利益還元を経営上の重要施策のひとつとして位置づけ、長期にわたる経営基盤の安定と強化に努め、企業価値の向上を目指しております。配当の方針につきましては、安定的な配当を継続して行うことを基本方針とし、連結業績の動向も勘案することとしております。2024年度よりスタートしたOVOL中期経営計画2026の期間におきましては、市場の期待に応える積極的な株主還元として「連結配当性向30%以上とする累進配当」を掲げております。なお、当社は、「剰余金の配当等会社法第459条第1項各号に定める事項については、法令に別段の定めのある場合を除き、取締役会の決議により定めることができる。」旨を定款に定めております。(配当基準日 期末配当:毎年3月31日、中間配当:毎年9月30日) (4) 今後の見通し2026年3月期の連結業績予想については、営業利益16,500百万円(前期比9.5%増)、経常利益15,500百万円(同2.0%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は8,500百万円(同12.3%増)としております。 セグメントごとの経常利益(セグメント利益)予想は次のとおりであります。  セグメント利益(経常利益)                  (単位:百万円、%) 2025年3月期2026年3月期(予想)増減額増減率国内卸売6,0005,800△200△3.3海外卸売3,1953,90070522.1製紙加工6,7616,800390.6環境原材料2,0121,800△212△10.5不動産賃貸1,5531,400△153△9.8調整額△3,698△4,200△502- 計15,82215,500△322△2.0 「国内卸売」人口の減少や少子化の進行、またデジタル化の加速といった要因により、紙の需要は今後も縮小していくものと想定しております。一方、板紙に関しては、賃上げによる個人消費マインドの改善や、インバウンド需要の継続が期待されております。これらに加え、人件費等の経費の増加により経常利益は減益を見込んでおりますが、代理店機能とサプライチェーンの強化によるマーケットシェアの拡大を図っていきます。 「海外卸売」海外市場においては、先進国での紙の需要は縮小傾向ではあるものの、2024年度までに実施したM&Aによるシェア拡大や高付加価値製品の販売増加を見込んでおります。また、補完的M&Aを継続していきます。これらにより、経常利益は増益を見込んでおります。 「製紙加工」製紙加工事業においては、販売数量は段ボール事業では増加、家庭紙製造事業では2024年度並みを見込んでおります。燃料費や労務費をはじめとする製造関連コストは増加を想定しておりますが、製造工程の合理化・効率化による製造コストの削減を進め、経常利益は2024年度並みを見込んでおります。 「環境原材料」古紙事業においては、引き続き紙・板紙の需要減に伴う古紙発生量の減少が見込まれる中、仕入先開拓及び数量確保に取り組みます。太陽光発電事業及び総合リサイクル事業は安定した収益を見込んでおります。木質バイオマス発電所向け燃料販売事業は、販売数量は増加するものの、販売単価の下落を見込んでおります。これらにより、経常利益は減益を見込んでおります。 「不動産賃貸」一部テナントの退去移転に伴う賃貸料収入の減少や、物価上昇に伴う管理費・水道光熱費等の費用の増加を見込んでおります。これらにより、経常利益は減益を見込んでおりますが、高まるオフィス需要を背景に空室への早期の入居や、上昇している賃料相場に合わせた契約更新などに取り組んでおります。 (5) 財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成されております。連結財務諸表の作成にあたって、決算日における資産・負債及び報告期間における収益・費用の報告金額並びに開示に影響を与える見積りを必要とします。これらの見積りについては、過去の実績、現在の状況に応じ合理的な判断を行っておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積もり及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。

事業リスク

主なリスクとして、まず紙・板紙の需要減少が挙げられます。情報媒体の電子化や省包装化により、特に先進国での需要減少が顕在化しており、製紙原料である古紙の発生量も減少傾向にあります。次に、不動産賃貸事業において、人口減少や新しい働き方の浸透によるオフィス需要の減少、賃料水準の低下が懸念されます。また、主要な仕入先である製紙メーカーの方針変更や寡占化が進んだ場合、同社グループの仕入れにおける影響力が低下する可能性があります。さらに、物流業界の人手不足による配送・保管コストの上昇や、適時適切な商品供給が困難になるリスクも存在します。

出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
有価証券報告書「事業等のリスク」の全文を見る(年度切替)
FY2025|11,622 文字
3 【事業等のリスク】有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは以下のとおりであります。リスク項目は、「特に重要なリスク」、「その他のリスク」に区分しております。また、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであり、現時点では予見できないまたは重要と見なされていないリスクや、国内外の経済情勢等により影響を受ける可能性があります。 (1)特に重要なリスク①市況・市場リスクイ 主な取扱商品の需要減少、市況及びマクロ経済変動リスク・リスクの概要と発生可能性、当社グループが受ける影響当社グループが取り扱う主な製品及び商品である紙、板紙は、情報媒体の電子化、省包装やパッケージ素材の切り替え等の要因によって構造的に需要が減少するリスクがあります。また、製紙原料である古紙は紙・板紙の生産量及び消費量の減少によって需要、発生ともにより一層減少するリスクがあります。現に、日本をはじめとする先進国においては、印刷・情報用紙の需要減少傾向は顕在化しており、製紙原料である古紙についても既に発生量が減少傾向にあり、需要についても今後減少する可能性があります。しかしながら、新興国では経済成長に伴って今後も紙・板紙ともに需要の増加が見込まれるなど、現在のところ当社グループの経営成績に影響を与える可能性は僅少であると認識しております。また、事業を展開している地域における経済環境の悪化及びそれに伴う需要の減少、または消費動向に影響を及ぼすような不測の事態の発生や他社との厳しい競争による影響を受ける可能性があります。マクロ経済環境の悪化については、顕在化の時期・影響度について確定的な見積りを行うことは困難と認識しておりますが、当社グループが顧客の求める製品・商品を競争力ある価格により提供できない場合は、市場におけるシェアや顧客との取引関係を喪失する可能性があります。 影響を受けるセグメントと対応国内卸売主力の印刷情報及び包装用途に加え、環境配慮型・高機能素材等の高付加価値品の販売拡大を進めると同時に、紙の価値普及に向けた取り組みを実施し、紙の持つ特性、魅力や環境優位性等の発信を継続しております。海外卸売製紙加工・製紙加工段ボール事業、再生家庭紙事業においては、インバウンド需要も含め、今後も比較的安定した需要を見込んでおりますとともに、段ボール事業においては通販用緩衝材、再生家庭紙事業においては高付加価値製品などの開発・生産により、新たな需要の確保にも注力しております。さらに、再生家庭紙事業では、原料古紙の確保と取引先との関係強化に向け、難再生古紙の使用やクローズドループによる資源循環型リサイクル体制の構築に取り組んでおります。・環境原材料古紙調達網の整備等により、古紙調達量を確保し、国内製紙メーカーへの安定供給の維持に取り組んでおります。・製紙加工と環境原材料の相互補完当社グループは、川上である環境原材料セグメントから、川中である製紙加工セグメント、川下である国内卸売及び海外卸売の両セグメントまでの事業ポートフォリオを構築しております。そのため、原材料価格の下落時には、環境原材料セグメントの利益減少を製紙加工セグメントが製造コストの減少として吸収し、原材料価格の高騰時には、製紙加工セグメントの製造コストの増加を、環境原材料セグメントの利益増加として吸収する事業構造を構築しております。環境原材料 ロ 不動産市況の影響・リスクの概要と発生可能性、当社グループが受ける影響当社は、国内所有不動産の活用による収益基盤の安定化を目的として不動産賃貸事業を行っております。賃貸用不動産が人口減少等によって供給過剰になるリスクや、所有不動産のうち築年数が進んでいる建物について、大規模な修繕等が必要になるリスクがあります。しかしながら、当社が保有する賃貸用不動産は東京・大阪・京都等、今後の人口減少社会においても急激な人口の変動が起きにくい地域にあるため、供給過剰による空室率の上昇や賃貸条件の悪化等の影響を受ける可能性は現在のところ僅少であると考えております。ただし、今後New Normal(新しい働き方等)がより浸透・定着した場合、オフィス需要の減少、賃料水準の低下が顕在化する可能性があります。 影響を受けるセグメントと対応不動産賃貸人口減少社会においても一定の需要が見込める地域で事業を行っております。また、当社は短期、中期、長期の所有不動産修繕計画を策定し、当該不動産の状態及び賃貸不動産市場の動向を勘案して必要な修繕を実施する一方、築年数が経過した物件に対しては再開発計画の策定や不動産ポートフォリオの最適化を進めてまいります。 ②取引関係に係るリスクイ 取引先の信用リスク・リスクの概要と発生可能性、当社グループが受ける影響当社グループは、取引先に対して掛売りを行っているほか、前渡しや貸付を行う場合があります。このため、取引先の信用状況が悪化した場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。ただし、当該リスクの顕在化の時期・影響度については確定的な見積りを行うことは困難と認識しております。 当社グループの対応当社グループでは取引先ごとの信用限度額設定とその定期的な見直しや、与信先の信用状態に応じた担保・保証の設定、信用保険の付保等の債権保全策を講じております。 ロ 仕入先メーカーの方針変更リスク・リスクの概要と発生可能性、当社グループが受ける影響当社グループが商品を仕入れている製紙メーカー各社は、生産効率、輸送コスト等を勘案して紙及び板紙を製造しており、需要動向や製造コスト等を理由に既存商品の生産を中止する決断を下すことがあり、その場合は当社グループが失注する可能性があります。また、需要の減少に対応するため製紙メーカーの寡占化が進んだ場合、仕入先である製紙メーカーの市場に対する影響力が高まり、相対的に当社グループの影響力が低下する可能性があります。ただし、当該リスクの顕在化の時期・影響度については確定的な見積りを行うことは困難と認識しております。なお、当社は商品仕入総額に対して、王子ホールディングス㈱傘下の王子製紙㈱、王子エフテックス㈱及び王子マテリア㈱からの仕入比率は45.6%、日本製紙㈱からの比率は14.6%と高い比率となっております。 影響を受けるセグメントと対応国内卸売調達先のグローバル化など多様化を進め、商品の安定供給ができる体制を構築しております。また、サプライチェーンの中で主導的な立場に立てるよう、川上、川下双方から評価される機能や付加価値の創造を図ってまいります。海外卸売 ③その他の重要なリスクイ 紙販売代理店機能の低下に係るリスク・リスクの概要と発生可能性、当社グループが受ける影響紙の需要構造の変化や、デジタルトランスフォーメーション等の影響により、当社グループが果たしてきた機能役割を製紙メーカーもしくは顧客が担う可能性があります。その場合、当社グループの主力事業である卸売事業に大きな影響を与える可能性があります。ただし、当該リスクの顕在化の時期・影響度については確定的な見積りを行うことは困難と認識しております。 影響を受けるセグメントと対応国内卸売・国内卸売及び海外卸売以前から主力の印刷情報及び包装用途に加え、環境配慮型・高機能素材等の高付加価値品の販売拡大を進めると同時に、紙の価値普及に向けた取り組みを実施し、紙の持つ特性、魅力や環境優位性等の発信を継続しております。・当社グループ全体製紙加工や環境原材料等の事業を拡大し、事業ポートフォリオの多角化を通じて当該リスクの影響を低下させることを目指しております。また、人権侵害や環境負荷のリスクに配慮しながらサプライチェーンの中で主導的な立場に立てるよう、川上、川下双方から評価される機能や付加価値の創造を図ってまいります。海外卸売 ロ 物流機能に係るリスク・リスクの概要と発生可能性、当社グループが受ける影響人口減少及び高齢化社会の進展にともない、トラック配送のドライバー等、物流機能を担う人手が不足する状態が徐々に顕在化しており、配送・保管コストの上昇や、人手の確保が困難になることで商品を適時適切に運べない等の機会損失が発生するリスクが高まっております。 影響を受けるセグメントと対応国内卸売IT等を活用した合理化を徹底し、国内では、同業他社との物流共同化、週間配送量の平準化、委託倉庫における待機時間の削減、リードタイムの確保及び付帯作業の見直し等を推進しております。家庭紙においては、配送効率の向上とドライバーの作業負担軽減を両立させたノーパレット輸送を推進しております。海外卸売製紙加工環境原材料 ハ 新たな事業投資に関するリスク・リスクの概要と発生可能性、当社グループが受ける影響当社グループは、新たな事業展開及び既存事業の拡充・強化等を図り、事業ポートフォリオの最適化を目的として、新会社の設立やM&Aを含めた既存の会社への投資等を経営戦略のひとつとしております。当社グループが実行した事業投資について、当社グループ及び投資先企業を取り巻く事業環境の変化等により、当初期待していた収益やシナジー効果を得られない可能性があります。ただし、当該リスクの顕在化の時期・影響度については確定的な見積りを行うことは困難と認識しております。 影響を受けるセグメントと対応国内卸売新たな投資を行う際は事前にリスクについて十分な検討を行い、経営会議にて審議を重ねるほか、社内規程に基づく審査や、対象企業の財務内容、契約関係等について詳細なデュー・デリジェンスを実施するなど極力諸リスクを回避するように努めております。海外卸売製紙加工環境原材料 ニ 関係会社株式及びのれんの減損リスク ・リスクの概要と発生可能性、当社グループが受ける影響当社グループは、保有する関係会社の株式を貸借対照表に関係会社株式として計上しております。株式の実質価額が取得原価よりも著しく下落し、かつ、実質価額が取得原価まで回復する見込みがない場合、減損損失を計上することで、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また当社グループは、企業買収に伴って取得した子会社の将来の超過収益力として連結財務諸表にのれんを計上し、その効果の及ぶ期間にわたり償却を行っております。のれんの回収可能性については、子会社の業績や事業計画等を基に判断を行っておりますが、将来において当初想定した超過収益力が見込めなくなった場合には、のれんの減損損失が計上され、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 影響を受けるセグメントと対応国内卸売グループ会社の財政状態、経営成績、事業計画等について定期的に収集し、減損の兆候が認められるかの判断を定期的に行っております。海外卸売製紙加工環境原材料 ホ 有形固定資産の減損リスク・リスクの概要と発生可能性、当社グループが受ける影響当社グループは、国内卸売事業や海外卸売事業における事務所や倉庫、製紙加工事業や環境原材料事業における生産設備並びに、不動産賃貸事業における賃貸用不動産等の固定資産を保有しておりますが、将来の経済状況が悪化し、収益性が有形固定資産の回収可能価額を下回った場合、有形固定資産の減損が発生する可能性があります。有形固定資産の減損については、兆候の有無を判定し、兆候が認められるかの判断を定期的に行っております。 影響を受けるセグメントと対応国内卸売グループ会社の財政状態、経営成績について定期的に収集し、有形固定資産の減損の兆候がないか確認しております。海外卸売製紙加工環境原材料不動産賃貸 定期的に物件ごとの回収可能価額を調査し、有形固定資産の減損の兆候がないか確認しております。 (2)その他のリスク①経営環境に係るリスクイ 法的規制・リスクの概要と発生可能性、当社グループが受ける影響当社グループは国内外において、紙、板紙、パルプ、古紙等の卸売や、製紙加工、環境原材料、不動産賃貸等に関する事業を展開し、それぞれの事業分野において、日本及び各国の広範な各種法令・諸規則等の適用を受けていることから、これら法令・諸規則の改正もしくは解釈の変更、法的規制の新設によっては、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。このうち、製紙加工事業や環境原材料事業は、大気や土壌及び水質、また、廃棄物処理やリサイクル等さまざまな環境関連の法規制の適用を受け事業活動を行っており、これらの法規制がより厳格化された場合は、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。ただし、当該リスクの顕在化の時期・影響度については確定的な見積りを行うことは困難と認識しております。 当社グループの対応当社グループでは、コンプライアンス経営の確立を目指し、全従業員へのeラーニング、セミナー等の研修をはじめ、子会社で取締役等、重要な役職に就く出向者に向けた研修、ガイダンスを行うなど法令遵守に向けた取り組みを強化しております。グループ各社における環境関連法令・労働安全法令等へのコンプライアンス体制及び安全操業体制の強化にあたっては、環境・安全推進室が中心となり取り組んでおります。また、グループ横断組織である「OVOL環境・安全委員会」を通じ、法令遵守への意識啓蒙、定期的な環境法令の改正情報の発信、及び環境・労働安全に関するさまざまな情報共有を行っております。 ロ カントリーリスク・リスクの概要と発生可能性、当社グループが受ける影響当社グループは、海外の会社との取引や出資において、当該国の政治・経済・社会情勢に起因した、代金回収や事業遂行の遅延、不能等が発生するカントリーリスクを負っております。ただし、当該リスクの顕在化の時期・影響度については確定的な見積りを行うことは困難と認識しております。 影響を受けるセグメントと対応海外卸売当社子会社所在国の政治、経済、社会情勢の変化については、現地勤務者や専門機関、取引先金融機関からの情報を適宜入手し、適切な経営判断や営業取引条件の設定・見直しに努めております。製紙加工環境原材料 ②金融市場に係るリスクイ 資金調達に関するリスク・リスクの概要と発生可能性、当社グループが受ける影響当社グループは、事業活動及び事業投資等で必要となる資金について、財務の健全性維持を勘案し、国内外の金融機関等からの借入金及びコマーシャル・ペーパー、社債の発行による金融市場からの調達を行っております。金融市場の混乱や当社格付の引き下げ、或いは金融機関、機関投資家の融資及び投資方針の変更は、当社グループの資金調達に制約を課すとともに、調達コストを増大させ、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、インフレ率の変動や経済成長の鈍化、地政学的リスクの高まりなどを背景に、各国中央銀行はそれぞれの経済状況に応じて金融政策の転換を進めており、今後の国内外における動向によっては金融市場が大きく変動する余地があり、中期的に当該リスクが顕在化する可能性があります。 当社グループの対応当社グループは、各事業活動に必要とされる運転資金及び投融資資金の確保について、直接金融または間接金融における多様な手段の中から調達時点の市場環境等を考慮して資金調達を実施しております。また、当社グループのさらなる成長に必要な事業投資の継続と財務の健全性維持との両立を基本方針としております。 ロ 為替変動リスク・リスクの概要と発生可能性、当社グループが受ける影響当社グループは輸出入及び外国間等の貿易取引において外貨建ての決済を行うことに伴い、日本円に対する外国通貨レートの変動リスクを負っております。また、当社グループの連結財務諸表には、海外の連結子会社の資産・負債及び損益も組み込まれております。これらの企業はそれぞれ日本円以外の通貨にて財務諸表等を作成しており、各報告通貨を日本円に換算する時点の為替変動は、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。ただし、当該リスクの顕在化の時期・影響度については確定的な見積りを行うことは困難と認識しております。 影響を受けるセグメントと対応国内卸売当社グループは、貿易取引では原則として先物為替予約等によるヘッジ策を講じております。ただし、それによって完全に為替リスクが回避される保証はありません。海外卸売製紙加工環境原材料 ③気候変動・自然災害等に係るリスクイ 気候変動及び自然災害等に係るリスク・リスクの概要と発生可能性、当社グループが受ける影響脱炭素社会への移行に伴い、当社グループは、カーボンプライシングの導入、市場ニーズの急速な変化、環境規制等の強化、また、金融市場の投融資基準の見直し等の影響を受ける可能性があります。なお、これらへの対応が不十分あるいは遅れた場合は、温室効果ガス(GHG)排出量が多い製紙加工事業等において、炭素税の引き上げに伴う操業コストの著しい増加により、財政状態及び経営成績に重要な影響を及ぼす可能性があります。(移行リスク)また、国内において将来発生が懸念されている首都直下型地震や南海トラフ地震、大型台風や洪水等の自然災害により、当社グループの設備が被害を受けた場合、もしくは取引先や物流機能等が被害を受けサプライチェーンの分断など間接的な影響が生じた場合、事業活動が長期間にわたり中断し、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。(物理的リスク) 当社グループの対応当社グループは、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)提言への賛同を表明し、「TCFDコンソーシアム」に参加しております。TCFD提言に基づく情報開示は、IPCC(気候変動に関する政府間パネル)やIEA(国際エネルギー機関)などの専門機関が作成した、気温上昇が1.5℃(2.0℃)に抑制される場合と4℃以上になる場合の2つのシナリオを用いて、紙・板紙卸売、製紙加工、環境原材料、不動産賃貸の4つの事業分野における、気候変動に関するリスクが事業や業績に与える影響・対応策について、定性的なシナリオ分析を実施し、2022年度に開示いたしました。2023年度においては、移行リスク及び物理的リスクの財務インパクトを当社及び国内連結子会社を対象に試算し、開示しております。また、自然災害については、当社グループが2023年度末から2024年度上期にかけて実施したリスクアセスメントにおいて、最も優先的に対策の見直し・強化を必要とする課題として認識されました。これを受けて、現在、リスク対策を専門とするコンサルタントと協力し、事業復旧に重点を置いたBCPのプロセスと手順の見直しを進めております。 ④その他のリスクイ 保有する投資有価証券の価格変動リスク・リスクの概要と発生可能性、当社グループが受ける影響当社グループは、仕入先企業、販売先企業、取引金融機関等、業務上密接な関係にある企業の株式を保有しております。当社グループが保有する有価証券のうち、時価を有するものについては、金融商品市場の動向等による価格変動により、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、大幅な株式相場の下落や投資先における企業価値の毀損が生じた場合には、保有有価証券を減損処理する可能性があります。 当社グループの対応当社グループは、保有する有価証券については個別銘柄毎に時価及び定量・定性面での関係性を取締役会等に定期的に報告し、保有の適否を検証しており、継続保有の妥当性が認められない場合には、取引先企業との協議の上、保有株式の縮減を進めていく方針です。 ロ IT・セキュリティに係るリスク・リスクの概要と発生可能性、当社グループが受ける影響外部からの予期せぬ不正アクセスやコンピュータウイルスによる攻撃、災害等の不測の事態によって機密情報の漏洩、システムの障害及び通信回線のトラブル等が発生した場合、被害の規模によっては当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。ただし、当該リスクの顕在化の時期・影響度については確定的な見積りを行うことは困難と認識しております。 当社グループの対応当社グループは、ITインフラ整備と情報セキュリティに関する各種規程を整備し、当社グループが保有するシステムやデータ等の情報資産の適切な管理・保護に努め、ファイアウォールによる外部不正アクセスの防止、ウィルス防御システムの定期更新、システム及び通信回線の二重化等にも努めております。 ハ 訴訟に係るリスク・リスクの概要と発生可能性、当社グループが受ける影響当社グループは、国内及び海外事業に関連して、訴訟・係争・その他の法律的手続きの対象となるリスクがあります。当連結会計年度において当社グループに重大な影響を及ぼす訴訟等は提起されておらず、顕在化の時期・影響度については確定的な見積りを行うことは困難と認識しております。しかし、今後何らかの訴訟が提起された場合、当社グループの社会的な評判や財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 当社グループの対応リスク管理委員会を当社内に設置し、法律事務所等の専門家の助言を得ながらリーガルリスクの最小化、コンプライアンス違反の未然防止等に努めております。 ニ 人材確保及び労務関連リスク・リスクの概要と発生可能性、当社グループが受ける影響当社グループは、人材を最大の経営資本と位置付けており、人材こそが企業競争力の源泉であり、当社グループが将来にわたって持続的な成長を遂げていくための原動力であるという考えのもと、従業員一人ひとりが活躍しやすい環境・仕組みづくりを推進しております。また、当社グループが推進する新たな事業展開及び既存事業の拡充・強化等を図るため、新会社の設立や既存設備への追加投資等を行っており、事業運営には多様な人材が必要となっております。紙専門商社を起源とし主に国内卸売事業を営む当社と異なり、製紙加工事業や環境原材料事業等を営むグループ各社は工場や作業所等を有しているため、関連法令、設備、操業に精通した経営人材の育成に取り組んでいく必要があります。また、長期ビジョン2030にて当社グループのあるべき姿のひとつとして「世界最強の紙流通企業グループ」を掲げる中、海外卸売事業における在外子会社の経営管理に長けた人材の育成にも取り組んでいく必要があります。しかしながら、日本における少子高齢化による新卒学生数の減少や、日本を含む一部先進国における労働人口の減少等により、適切で十分な人材の確保が困難となった場合及び従業員の退職により人材が流出した場合には、当社グループの事業継続及び財政状態、経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。なお、世界的なコロナ禍を契機とした働き方の変容や、女性の活躍促進、高齢者・外国人労働者の雇用促進、企業の生産性向上といった社会の動きによって就業構造や企業の採用環境が変化することも考えられるため、当該リスクの顕在化の時期・影響度については確定的な見積りを行うことは困難と認識しております。 当社グループの対応当社グループは、事業を展開する各国において法令に基づく適正な労務管理等により、労務関連のリスクの低減に継続的に取り組むとともに、OVOL長期ビジョン2030で掲げる「紙業界の枠を超えたエクセレントカンパニー」を目指し、従業員の満足度をより高めつつ、多様な人材の確保を強化してまいります。また当社は、従業員が働きやすい環境や制度の拡充に積極的に取り組んでおります。・働き方改革(時間外勤務削減、有給休暇取得促進、時間単位の年次有給休暇制度、シフト勤務・育児短時間勤務拡張(法定以上)・勤務地限定制度等の柔軟な働き方拡張、在宅勤務制度、EAP相談室、育児介護休業法改正への対応推進等)・採用の多様化・強化(キャリア採用の推進、退職者の再雇用、新卒採用強化(オンライン説明会、1Day仕事体験等)、障がい者雇用の推進等)・定年延長の実施(65歳を定年とし、60歳以降も処遇は59歳以前と変わらず一律の役職定年も設けない制度とする)・人材育成(各種研修(階層別、選択型)、海外派遣研修制度、自己啓発支援制度、新入社員指導員制度等) ホ 人権問題に関するリスク・リスクの概要と発生可能性、当社グループが受ける影響当社グループは、人権尊重は事業活動の基盤であると認識し、当社グループ事業に関わるすべての人々の人権を尊重するとの考え方のもと、私たちのビジネスに関わるすべての人々の人権を尊重する責任を果たすべく「日本紙パルプ商事グループ人権方針」を策定しております。また、人権問題が与える事業リスクへの認識を深めるため、外部有識者による「ビジネスと人権」研修会を当社経営層向けに実施、2024年5月には「日本紙パルプ商事グループ 持続可能な調達に対する考え方」を策定、公表するとともに、グループ従業員への「ビジネスと人権」教育を実施し、当社グループならびにサプライヤーも含めたサプライチェーン全体での人権尊重への取組みを強化しております。その一方で、国連「ビジネスと人権に関する指導原則」や日本政府「責任あるサプライチェーン等における人権尊重のためのガイドライン」で示されている企業の人権尊重責任への要請・関心が高まるなか、当社グループによる人権への取組みが奏功しない、もしくは不十分である場合、顧客や金融機関、株主をはじめとするステークホルダーからの信用失墜等により、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。さらに、当社グループ内で人権問題が発生しその対応が不十分とされた場合は、顧客や金融機関等から監査要求や、取引・融資等の見直し要請を受ける可能性があります。加えて、当社グループのサプライヤーや業務委託先で人権問題が発生した場合は、当社グループとして改善・救済措置の対応が顧客や金融機関など市場から要請され、対応が不十分とされた場合は取引中止や信用失墜による業績への影響が想定されます。 当社グループの対応グループにおける人権尊重の風土醸成・浸透に向けて、2024年度には当社及び全グループ会社の役職員に対し「ビジネスと人権」教育(eラーニング)を実施しました。並行してグループ及びサプライチェーンにおける人権リスクの把握・改善に向けた人権デュー・デリジェンスを実施し、グループ内調査による当社グループの人権課題の特定のほか、当社主要サプライヤーに対し、アンケートによる人権リスクアセスメントを行っております。 ヘ 繰延税金資産の回収可能性リスク・リスクの概要と発生可能性、当社グループが受ける影響当社及び連結子会社は、日本及び様々な税務管轄において法人税を課されており、通常の営業活動において連結会社間の移転価格取引により最終的な税額の決定に不確実な状況が多く生じております。 また、当社グループは多くの税務管轄において税務当局から継続的な調査も受けております。 当社グループが計上している税金引当額、及び繰越欠損金や繰越税額控除を含む繰延税金資産の帳簿価額の計算には高度な判断と見積り(将来の課税所得の見積りを含む)が必要となっており、それらの変動によって繰延税金資産の回収可能性は影響を受け、将来の税金費用の計上額に影響を及ぼす可能性があります。 一部の税務管轄において、繰越欠損金又は繰越税額控除の使用が、翌期以降の課税所得に対する一定の水準に制限されており、ある特定の要因の所得との相殺にしか使用できない場合があります。その場合、課税所得が発生した税務管轄において、多額の繰越欠損金又は繰越税額控除があるにもかかわらず、税金の支払いが発生するため税金費用を計上する可能性があります。 当社グループの対応当社グループでは当社及び連結子会社が計上する繰延税金資産について、回収可能性を定期的に見直し、必要に応じて増額・減額を行っております。

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