研究開発活動(本文)
FY2025|4,028 文字
6 【研究開発活動】DNPグループは、新規事業の創出・新製品開発から生産技術の開発に至るまで、幅広い研究開発活動を続けており、その活動は事業活動の原動力として機能しております。DNPグループの研究開発は、研究開発・事業化推進センター、技術開発センター、AB(アドバンストビジネス)センター及び各事業分野の開発部門を中心に推進しております。当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費は37,561百万円、3つのセグメントに関する研究開発費が15,934百万円、各セグメントに配分することができない本社開発部門等の費用が21,626百万円であります。当連結会計年度における各セグメントごとの主な研究開発とその成果は次のとおりです。 (1) スマートコミュニケーション部門マーケティング分野では、小売業が新店舗をオープンする際の地域特性等に合わせた宣伝予算配分の効率化が求められています。そこで、AIを活用して宣伝手段の予算配分を最適化する「DNP販促最適化AI」を開発しました。これにより、企業はより効果的な宣伝活動を行い、費用対効果を最大化することが可能になります。店舗を持つ小売業を中心にサービスを展開し、精度向上や機能拡張を行っていきます。 認証・セキュリティ分野では、データの改ざんや漏洩、なりすましなどのプライバシーリスクが社会的な課題となっているため、より安全・安心なデータ流通が求められています。そこで、個人が管理しているアイデンティティ情報を保証するデジタル証明書の発行・検証を行う「DNP分散型ID管理プラットフォーム」を開発しました。金融・通信・旅行・自動車・教育などの業界を中心にプラットフォームを提供し、関連する製品・サービスの展開を目指します。 BPO(Business Process Outsourcing)分野では、郵便料金や人件費の増加、利用者の利便性向上のため、通知物のデジタル化が求められています。そこで、取引明細書や契約内容確認書などの通知物をWebサイト上で閲覧可能にする「DNP電子交付・web通知サービス」を開発しました。金融業界をはじめ幅広い業界へサービスを展開し、機能拡充を進めて企業の業務効率化を支援していきます。 XRコミュニケーション分野では、少子高齢化による人口減少や労働力不足が公共サービスの維持を困難にしているため、デジタル技術を活用した効率化が求められています。そこで、生活者が自治体の各種サービスをインターネット上の仮想空間「メタバース役所」で利用できるサービスを開発しました。継続的にサービスの機能を改善・強化することで、自治体のデジタルトランスフォーメーション推進を支援していきます。イメージングコミュニケーション分野では、昇華型熱転写方式の8インチ両面フォトプリンターで最軽量クラスの「DP-DS820DX」を開発しました。折り目加工機構や縦横カッターを搭載することで、フォトブックやグリーティングカード等の多様なフォト関連製品を様々なサイズでオンデマンドプリントすることができます。今後も、生活者の体験や感動をより楽しく、より印象的にする「写真」の価値を高める事業を展開していきます。当部門に係る研究開発費は2,786百万円であります。 (2) ライフ&ヘルスケア部門包装分野では、水分を吸収する「吸湿剤」を樹脂に混ぜてフィルムにして、パッケージの内部で湿度を一定にすることができる「DNP吸湿包材」を開発しました。経口剤や温湿度影響を受けやすいセンサー等の機器をターゲットとしています。本開発により、パッケージ内部に乾燥剤を入れる必要がなくなり、従来、乾燥剤が入れることができなかった小さいパッケージの内容物も水分から守ることができます。また、最適な寸法で製品を提供できるため、包装全体の省資源化に寄与します。今後も持続可能な社会に向けて環境に優しい製品を開発していきます。生活空間分野では、マンションや各種施設等の室内ドアや収納・内装向けの化粧シート「DNP EBオレフィンシート サフマーレ」を展開しています。この製品には、シート基材に塗布する各種機能性材料に電子線(Electron Beam)を照射し、耐傷性・耐汚染性・加工性等を高めるDNP独自のEBコーティング技術を用いています。生活者の環境意識が高まり、社会や企業等の環境配慮の取り組みが強化される中、表面コーティング層のコート剤に植物由来(バイオマス)原料を一部使用したバイオマス仕様を開発しました。植物由来のバイオマス原料により、環境負荷の低減につながるとともに、EBコーティングによって従来品と変わらない機能を実現することで長期間の使用に対応します。今後も環境に配慮した製品を開発し、建装材メーカー等に提供して、カーボンニュートラルと持続可能な社会の実現に貢献していきます。モビリティ分野では、リサイクルに貢献するポリプロピレン(PP)をベースとした自動車用加飾フィルムの量産技術を確立しました。DNPが長年培ったPPフィルムへの印刷・加工技術を活かして高い意匠性・成形性を実現したこの新製品は、温室効果ガス排出量の削減も期待できます。また、自動車部品や産業機器向けの加飾部品等の多くの成形品製造技術を保有する株式会社光金属工業所の完全親会社であるHKホールディング株式会社の全株式を2025年1月31日に取得しました。両社の技術、ネットワークを組み合わせることで、顧客への対応力を強化するとともに、大きく変化する市場に対し、先進的な商材の開発・提供を推進していきます。高機能マテリアル分野では、2017年から提供している真空断熱材を用いた「DNP多機能断熱ボックス」の重量を従来から約27%削減した軽量の新製品を開発、提供を開始しました。電源を使わずに内部の温度を長時間一定に保ち、長距離の輸送も可能な「DNP多機能断熱ボックス」の新製品は、一般的な発泡断熱材を用いた製品と比べ、保冷剤の使用量を大幅に削減でき、4時間は保冷剤なしでの保冷維持が可能です。また、保冷材量が同じ場合は、保冷時間を約2.2倍向上しました。保冷剤の使用量を大幅に削減することで、多くの荷物の搭載と配送の効率化につなげることができます。DNPは本製品の主なターゲットとして、冷凍・冷蔵食品、チルド食肉類、医薬品、化学薬品類等を想定しており、これらの輸送を手掛ける流通・小売業を中心に本製品を販売し、輸送に関する課題解決と環境負荷の低減に貢献していきます。メディカル・ヘルスケア分野では、医療・医薬分野における新たな価値創出を目的として、iPSC(人工多能性幹細胞)専門の韓国バイオ企業であるNEXEL Co.,Ltd.(本社:韓国ソウル特別市)と、ヒトiPS細胞由来の心筋細胞の培養に関する技術提携を行いました。本提携により、当社の細胞培養技術とNEXEL社のiPS細胞分化技術を融合し、新薬の研究開発に使用される高品質な心筋細胞の大量製造法の確立と販売を目指します。さらに、ヒトの臓器細胞をチップ上に模擬的に再現する生体模倣システム(Microphysiological System:MPS)の開発にも取り組んでいます。これらの取り組みは、動物実験の代替技術としての需要拡大が見込まれる中、当社のメディカル・ヘルスケア分野における事業拡大と収益基盤の強化に寄与するものと考えています。当部門に係る研究開発費は2,022百万円であります。 (3) エレクトロニクス部門福岡県北九州市の黒崎工場で有機EL(OLED)ディスプレイ製造用メタルマスクの新しい生産ラインを稼働開始しました。この新ラインは、第8世代(G8)サイズのガラス基板に対応し、生産能力が従来の2倍になります。またDNPが進める事業継続計画(BCP)の一環として既存工場(広島県三原市)のバックアップ機能を果たします。新ラインはOLEDディスプレイの大型化ニーズに対応し、スマートフォンやタブレット、ノートパソコンなどのIT製品向けに高品質なメタルマスクを供給します。この新ラインの稼働により、DNPはOLEDディスプレイ市場での競争力をさらに強化し、事業の拡大を目指します。最先端のロジック半導体では極端紫外線(EUV)光源を用いる生産が進み、国内でもRapidus株式会社が最新露光装置を導入し4月から試作を開始しています。DNPは国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「ポスト5G情報通信システム基盤強化研究開発事業」において、Rapidus株式会社の再委託先として参画しています。DNPは2ナノメートル世代のロジック半導体向けフォトマスク製造プロセスの開発を本格的に開始し、製造プロセスおよび保証にかかわる技術を提供します。また次世代の露光装置の高開口数(High-Numerical Aperture:高NA)に対応したフォトマスクの基礎評価を完了しました。2025年度までに製造プロセスの開発を完了し2027年度の量産開始を目指します。また、1ナノメートル世代も見据えた技術開発を推進します。ミニLEDディスプレイ向けの光拡散フィルムを開発しました。本フィルムは、従来の拡散板と比較して約40分の1の50μmの薄さにも関わらず、LED素子(ドット)の映り込みを効果的に抑えディスプレイの厚みや重量を低減することができます。また、光の透過率が高く、消費電力を抑えながら高輝度を維持します。ミニLEDディスプレイだけでなく、今後拡大が見込まれるマイクロLEDなどの次世代ディスプレイにも対応します。この新技術により、ディスプレイ市場での競争力をさらに強化し事業の拡大を目指します。当部門に係る研究開発費は11,124百万円であります。
FY2023|3,031 文字
6 【研究開発活動】DNPグループは、新規事業の創出・新製品開発から生産技術の開発に至るまで、幅広い研究開発活動を続けており、その活動は事業活動の原動力として機能しております。DNPグループの研究開発は、研究開発・事業化推進センター、技術開発センター、AB(アドバンストビジネス)センター及び各事業分野の開発部門を中心に推進しております。当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費は32,480百万円、3つの事業部門に関する研究開発費が12,237百万円、各事業部門に配分することができない本社開発部門等の費用が20,243百万円です。当連結会計年度における各事業部門の主な研究開発とその成果は次のとおりです。 (1) 情報コミュニケーション部門コンテンツ分野では、アニメ市場のグローバル成長が期待されていますが、制作負荷の高さからアニメ化が進まない優れたマンガが存在しています。そのため、マンガ原稿の活用により制作負荷を大幅に低減できる独自のアニメーション制作フロー「ライトアニメ」を開発しました。この制作フローを軸に、マンガを中心としたコンテンツの創出・制作・変換を支援する「Manga Creative Studio」を構築し、デジタルシフトが進むコンテンツ市場の発展を支援していきます。認証・セキュリティ分野では、社用車の安全運転管理に関して管理者の負担軽減や安全管理の精度向上を狙いとしたシステム化が進んでいます。そこで、電子鍵の不正な取得を防止する認証・セキュリティの機能が組み込まれた「デジタルキープラットフォーム」を活用し、社用車の効率的な管理を支援する「社用車管理サービス」を開発しました。モビリティやスマートシティ等の領域で、認証・セキュリティの機能を拡充して、ヒトとモノの移動を安全・安心に支えるサービスを推進していきます。BPO(Business Process Outsoursing)分野では、接客現場におけるBPOサービスの派遣スタッフの折衝力や対応力などのスキル標準化が課題となっています。そのため、人の多様な行動や振る舞いを統合的に捉え、人の特徴・状態・関心等を推定し把握する「行動認識AI(人工知能)」を本BPOサービスに導入しました。接客スタッフをはじめとする来訪者の行動データの収集・蓄積・分析を通して、派遣スタッフのパフォーマンスやエンゲージメントの向上を実現していきます。XRコミュニケーション分野では、地域活性化のための課題解決や魅力向上にデジタル技術の活用が図られています。そのため、リアルとバーチャルを融合する「XR(Extended Reality)」の技術を活用し、自治体や施設管理者公認のメタバースやCG空間を構築・運用する「地域共創型XRまちづくり」の事業を推進しています。地域の課題解決につながる空間開発や機能設計により、リアルな空間との連動を強化することで体験価値向上を図り、地域活性化を目指します。イメージングコミュニケーション分野では、「写真」の価値を高める撮影サービスの提供や証明写真画像の活用が図られています。証明写真機「Ki-Re-i」を活用したリアルな撮影とイベントや観光地でのバーチャル背景とを融合させた新たなフォトプリント体験の提供や、マイナンバー申請が可能な機種「ID-Spot」を拡充しました。当部門に係る研究開発費は2,263百万円です。 (2) 生活・産業部門包装分野では、脱アルミの動きが加速しています。そのため、「DNP透明蒸着フィルムIB-FILM®」の開発・提供で培った技術・ノウハウを応用して、高いバリア性を有するハイバリアアルミ蒸着フィルムを開発しました。酸素・水蒸気バリア性と遮光性が一般的なアルミ蒸着フィルムと比較して大幅に向上できたため、アルミ箔の代替品として使用でき、材料調達時、製造時を合わせたサプライチェーンでCO2排出量の削減に繋がります。今後も独自の材料加工技術を生かして、バリア性や耐熱性、強度などの性能を高めた製品ラインナップを充実させ、環境配慮製品・サービスの開発を進めていきます。生活空間分野では、DNPの印刷・塗装技術を生かした化粧金属板で、鋼製ドア・エレベーター・間仕切りのほか、医療施設・高齢者施設の内装等で、幅広い用途で使用されるエリオ鋼板において、PIAJ製品認証(※)を取得した抗ウイルス製品を「DNP抗菌・抗ウイルスマテリアル『Pure Effects®』」のラインアップに加えました。これからも「安全・安心」と「環境配慮」に加え、「衛生」に配慮した取り組みを推進していきます。※PIAJ製品認証とは、光触媒工業会が性能、利用方法等が適切であることを認めた光触媒製品に与える製品認証制度です。モビリティ分野では、既存のガソリン車から電気自動車(EV)へのシフトを加速する技術として、非接触でEVに充電するワイヤレス充電技術が注目を集めています。DNP、ダイヘン、双日の3社は、DNPが開発した「ワイヤレス充電用シート型コイル」を搭載した車両側受電コイルおよび地上側送電コイル設備のシステム化に成功しました。2023年2月にワイヤレス充電機能を搭載した商用EVでは国内初となる改造車登録の認可を軽自動車検査協会より取得し、実用化に向け公道での走行を開始しました。高機能マテリアル分野では、透明蒸着バリアフィルムを使用した中身の視認性と防錆機能を両立した包装材を開発し、2022年12月に開催された「サステナブルマテリアル展」に出展しました。金属製の部品等が長期間の保管や輸出の際に温度・湿度の影響で錆が発生する課題を解決するため、防錆添加剤を使用せず、中身の視認性と防錆機能を両立した包装材となります。部品の脱脂・洗浄が不要なため、洗浄剤や水の削減に繋がり、工程の環境負荷を低減できるとともに、透明性があるため保管・輸送中の検査で開梱せずに検査をすることが可能となります。当部門に係る研究開発費は1,605百万円です。 (3) エレクトロニクス部門データ流通量の急拡大を背景に、異なる複数の半導体チップを1つの基板上に高密度で実装して性能向上を実現する次世代半導体パッケージが注目されています。そのため、高密度実装用基板として、“TGV(Through Glass Via:ガラス貫通電極)ガラスコア基板”を開発しました。基板の表裏の配線を接続するために貫通孔の内壁に金属膜を薄く形成する「コンフォーマルタイプ」で、ガラスコア基板の板厚の制約が少ない特長を有します。開発済みのガラス貫通孔に銅を埋め込む「充填タイプ」に加えて、今回開発した「コンフォーマルタイプ」も製造プロセスの大型化が可能で、パネルサイズ約50cm角へのスケールアップを進めます。 道路区画線整備の工事で基準線・区画線等を路面上に表示する用途や、高速道路の規制工事でスムーズな車線変更を促すために表示する用途で、明るく明瞭なパターンを投影する要望があります。このような作業の効率化やコスト削減、車線誘導技術などのニーズの高まりに対して、多様な光制御技術を駆使し、遠方まで光で線や矢印などさまざまなパターンを明瞭に表示できるパターンライトを開発し、試験販売を開始しました。当部門に係る研究開発費は8,367百万円です。 (4) 飲料部門該当事項はありません。
FY2021|2,606 文字
5 【研究開発活動】DNPグループは、新規事業の創出・新製品開発から生産技術の開発に至るまで、幅広い研究開発活動を続けており、その活動は事業活動の原動力として機能しております。DNPグループの研究開発は、研究開発センター、技術開発センター及び各事業分野の開発部門に加え、全社横断で新規事業開発を推進するAB(アドバンストビジネス)センターを中心に推進しております。当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費は32,623百万円であり、3つの事業部門に関する研究開発費が11,305百万円、各事業部門に配分することができない本社開発部門等の費用が21,318百万円であります。当連結会計年度における各事業部門の主な研究開発とその成果は次のとおりであります。 (1) 情報コミュニケーション部門出版印刷分野では、デジタルメディアを活用して読者への提供価値を拡大することが課題になっています。そのため、出版のデジタルトランスフォーメーション(DX)を進める一環として、出版社がコンテンツをWEB記事として提供する月額課金制会員サービスを開発しました。本サービスでは、会員が登録した悩みや好みのデータを基に、AI(人工知能)が診断し、会員一人ひとりに最適な記事を抽出して提供します。セールスプロモーション分野では、企業による各種発行物の校正・校閲、契約書・申込書の審査等の業務の負荷軽減が課題になっています。そのため、これら業務の負荷をAIの活用で軽減するSaaS型の「DNP AI審査サービス」を開発しました。デジタル化したワークフローで進捗等を管理するため、テレワーク対応など企業の働き方改革を推進します。カード・セキュリティ分野では、新型コロナウイルスの影響で、衛生管理に対するニーズの高まりから、従来からの抗菌性能に加え、国内初となる抗ウイルス性能を兼ね備えた非接触ICカードを開発しました。新しい生活様式に対応したカード決済を実現するとともに、社員証や入館証を利用する従業員や施設利用者等の安全・安心を実現します。BPO分野では、業務効率の向上と社員のビジネススキルの平準化が課題になっています。そのため、企業の業務文書を自然言語処理AIを用いて知識グラフ化し、これを活用する「DNP業務知識活用プラットフォーム」を開発しました。保険会社や金融機関等の加入申込審査やコールセンターのオペレーション業務を支援できるため、業務経験の浅い担当者でも専門的な業務知識を容易に導き出すことができます。イメージングコミュニケーション分野では、感染リスクに対応した社会でも楽しい体験や感動をフォトで提供するため、センサーやタッチパネルを活用し、一人では撮影できない位置などから自動撮影し、利用者に体験価値の高いフォトを提供する自動撮影ソリューションを開発しました。アミューズメントパークやイベント施設等にこれらのサービスを販売していきます。当部門に係る研究開発費は2,184百万円であります。 (2) 生活・産業部門包装分野では、環境に配慮したパッケージのニーズの高まりから、単一素材(モノマテリアル)で構成した「DNPモノマテリアル包材」の新グレードを開発しました。これまではなかったボイルやレトルトに対応ができるもので、今後もリサイクルしやすい包装容器のラインアップを拡充していきます。また、バリア性を有し、かつ、再生可能資源である紙を使用してプラスチック量を削減した「DNPスーパーハイバリア紙包材」を開発しました。生活空間分野では、建装材・フィルム製品として抗菌製品技術評議会(SIAA)から抗菌・抗ウイルス性能認証を得たEB(電子線硬化)オレフィンシートや不燃塩ビ壁装材を開発しました。EBオレフィンシートに簡単に貼り直しができる粘着加工を施し、デスク等を抗菌・抗ウイルス化できるデスクトップシートの提供を開始しました。今後、これまでの「健康」と「環境」に加え、「衛生」に配慮した空間提供を推進していきます。高機能マテリアル分野では、新型コロナウイルス用のワクチンなどを対象として、電源を必要とせず、超低温を長時間保持した輸送に対するニーズが高まっています。近年、酸素等の気体を通しにくいバリアフィルムを使った高い断熱性能を持つ真空断熱材が使われており、DNPの「ハイバリアフィルム」等も使用されています。今回、DNPは真空断熱材を使った「va-Q-tec(バキュテック)」社製の医薬品専用断熱ボックスの日本国内での販売を開始しました。本製品の提供により非電源で長距離超低温輸送が可能となり、新型コロナウイルス用のワクチン等の安全な輸送を支援していきます。 モビリティ分野では、スマートフォンを自動車のドア施錠等の操作に用いるデジタルキー導入の流れが加速していますが、電池切れにより機能しなくなるという課題がありました。そのため、ワイヤレス充電機能を一体化したデジタルキー認証モジュールを開発しました。近距離無線通信の国際規格の通信機能と、ワイヤレス充電の標準規格に準拠した充電機能を組合せ、2つの機能を集約したことで自動車の限られたスペースに組み込んで使用することができます。当部門に係る研究開発費は1,610百万円であります。 (3) エレクトロニクス部門コロナ禍でオンライン診療のニーズが高まる中、患者の画像はカメラや撮影環境から色調等が異なるため、医療現場のモニターに正確な情報を表示することが課題になっていました。これに対し、DNPは小型のカラーチャートを被写体と同時に撮影し、専用サーバー上で色調を整えることで、一定水準の色調に補正し表示するシステムを開発しました。今後は様々なカラーチャートを用いた色調調整に関するシステムをオンライン医療で役立てるため国際標準化を進め、サービスの質の向上と普及を加速します。また、感染防止のマスクやフェイスシールドにより、医療・接客・手話通訳等の現場で表情が伝わりにくいことが課題になっています。そのため、ディスプレイ用のフィルムを活用し、反射による映り込みが少ない「DNP超低反射フェイスシールド」を開発しました。今後、同様の課題を有する業界に幅広く提供していきます。当部門に係る研究開発費は7,510百万円であります。 (4) 飲料部門該当事項はありません。