事業の概要
- 多角的な事業展開大日本印刷グループは、印刷技術を基盤としながらも、スマートコミュニケーション、ライフ&ヘルスケア、エレクトロニクスという3つの主要部門で幅広い事業を展開しています。書籍や雑誌の出版から、デジタルマーケティング支援、ICカード、決済サービス、さらにはリチウムイオン電池部材、食品包装材、ディスプレイ用光学フィルム、半導体フォトマスクといった多岐にわたる製品・サービスを提供し、社会の様々なニーズに応えることで収益を上げています。
- 情報と生活の基盤を支えるスマートコミュニケーション部門では、書籍や雑誌といった伝統的なメディアに加え、電子書籍やデジタルサイネージ、さらには生成AIを活用したサービスやバーチャル空間の企画・開発など、情報伝達とコミュニケーションの未来を創造しています。また、ICカードや決済関連サービス、認証・セキュリティサービスを通じて、安全で便利な社会インフラの構築にも貢献しており、人々の日常生活やビジネス活動の基盤を支えることで収益を確保しています。
- 先端技術で産業を支援ライフ&ヘルスケア部門では、リチウムイオン電池や太陽電池の部材、高機能包装材料、医薬品受託製造など、環境・エネルギーや医療分野の発展に不可欠な素材やサービスを提供しています。エレクトロニクス部門では、ディスプレイや半導体製造に欠かせない光学フィルムやフォトマスク、LSI設計などを手掛け、最先端技術産業の発展を支えることで、高付加価値な製品・サービスから収益を得るビジネスモデルを構築しています。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
セグメント構成
- スマートコミュニケーション部門この部門は、書籍や雑誌の出版、電子書籍、デジタルマーケティング支援、ICカード、決済サービス、さらには生成AIを活用したサービスやバーチャル空間の企画・開発など、情報とコミュニケーションに関する幅広い事業を展開しています。売上高は7139.77億円、営業利益は346.67億円と、グループ内で最も大きな売上を誇り、多岐にわたるサービスで社会のコミュニケーション基盤を支える稼ぎ頭となっています。
- ライフ&ヘルスケア部門この部門は、リチウムイオン電池用部材、太陽電池用部材、高機能包装材料、医薬品受託製造、飲料製造など、生活と健康に関わる製品やサービスを提供しています。売上高は4958.55億円、営業利益は237.89億円で、環境・エネルギー、食品、医療といった社会の重要なインフラを支える事業を通じて、安定した収益を上げています。
- エレクトロニクス部門この部門は、ディスプレイ用光学フィルム、有機ELディスプレイ用メタルマスク、半導体製品用フォトマスク、LSI設計など、エレクトロニクス産業の基盤を支える高機能材料や部品を提供しています。売上高は2477.76億円ですが、営業利益は573.63億円と、グループ内で最も高い利益率を誇る高収益部門です。最先端技術を要する製品が多く、技術力が競争優位の源泉となっています。
2025-03 セグメント別業績
| セグメント | 区分 | 売上(億) | 営業利益(億) | 営業利益率 |
|---|---|---|---|---|
| SmartCommunicationReportableSegment | 事業 | 7,140 | 347 | 4.9% |
| LifeAndHealthcareReportableSegment | 事業 | 4,959 | 238 | 4.8% |
| Electronics | 事業 | 2,478 | 574 | 23.2% |
有価証券報告書「事業の内容」の全文を見る(年度切替)
3 【事業の内容】DNPグループは、当社及び子会社139社、関連会社25社で構成され、スマートコミュニケーション、ライフ&ヘルスケア、エレクトロニクスに関連する事業活動を行っております。DNPグループの事業における位置づけ等は、おおむね次のとおりであります。なお、次の3部門は、セグメントの区分と同一であります。 ≪スマートコミュニケーション部門≫単行本・辞書・年史等の書籍、週刊誌・月刊誌・季刊誌等の雑誌、企業PR誌、教科書、電子書籍、販促から顧客分析に関わるデジタルマーケティング支援、企業の業務プロセス・販売プロセスに関わるBPRコンサルとBPOサービス、コンタクトセンター事業、IPS、ICカード、決済関連サービス、カード関連機器、認証・セキュリティサービスと関連製品、ICタグ、ホログラム、ビジネスフォーム、カタログ、チラシ、パンフレット、カレンダー、POP、デジタルサイネージ(電子看板)、イベント・店舗・商品・コンテンツ等の企画・開発・制作・施工・運営、生成AIを活用したサービス、バーチャル空間の企画・開発・制作・運営、昇華型熱転写製品(カラーインクリボン、受像紙、昇華型フォトプリンター)、溶融型熱転写製品(モノクロインクリボン)、証明写真機事業、顔写真・IDソリューション、エンタメ・アミューズフォトソリューション、電子書籍流通・販売、図書販売、図書館運営、その他 [主な関係会社](製 造)大口製本印刷㈱、㈱DNPイメージングコム、㈱DNPエスピーイノベーション、㈱DNPグラフィカ、㈱DNPコミュニケーションデザイン、㈱DNP書籍ファクトリー、㈱DNPデータテクノ、㈱DNPメディア・アート、㈱DNPメディアサポート (製 造・販 売)DNP Imagingcomm Asia Sdn. Bhd.、DNP Imagingcomm Europe B.V.、DNP Imagingcomm America Corporation※MK Smart Joint Stock Company (販売・サービス)丸善CHIホールディングス㈱、㈱インテリジェント ウェイブ、㈱DNPアイディーシステム、㈱DNPアートコミュニケーションズ、㈱DNPコアライズ、㈱DNPデジタルソリューションズ、㈱DNPハイパーテック、㈱DNPフォトイメージングジャパン、㈱DNPプランニングネットワーク、㈱DNPホリーホック、㈱トゥ・ディファクト、㈱ハコスコ、㈱モバイルブック・ジェーピー、丸善雄松堂㈱、丸善出版㈱、㈱丸善ジュンク堂書店、㈱図書館流通センター、㈱丸善リサーチサービス、Colorvision International, Inc.、DNP Photo Imaging Europe SAS、DNP Photo Imaging Russia, LLC、DNP Photo Imaging Spain S.L.U.、DNP Photo Imaging Belgium SA ※BIPROGY㈱、教育出版㈱ なお、丸善CHIホールディングス㈱、㈱インテリジェント ウェイブ及びBIPROGY㈱は東京証券取引所に上場しております。 ≪ライフ&ヘルスケア部門≫リチウムイオン電池用部材、太陽電池用部材、電子部品搬送用資材、多機能断熱ボックス、 その他産業用高機能材、食品・飲料・菓子・日用品・医療品用等の各種包装材料、カップ類、 プラスチックボトル、ラミネートチューブ、プラスチック成型容器、無菌充填システム、 住宅・店舗・オフィス・車両・家電製品・家具等の内外装材、自動車等のプラスチック成型部品、 金属化粧板、医薬原薬中間体受託製造、医薬品受託製剤、炭酸飲料、コーヒー飲料、ティー飲料、 果汁飲料、機能性飲料、ミネラルウォーター、アルコール飲料、その他 [主な関係会社](製 造)㈱DNPテクノパック、㈲エヌテック、㈱巴樹脂、相模容器㈱、㈱DNPエリオ、㈱DNP高機能マテリアル、㈱DNP生活空間、㈱DNP包装 (製 造・販 売)北海道コカ・コーラボトリング㈱、シミックCMO㈱、㈱DNP高機能マテリアル彦根、DNP田村プラスチック㈱、㈱アセプティック・システム、㈱DNPファインケミカル宇都宮、HKホールディング㈱、㈱光金属工業所、PT DNP Indonesia、DNP Vietnam Co.,Ltd. (販売・サービス)㈱ライフスケープマーケティング、㈱DNP・SIG Combibloc なお、北海道コカ・コーラボトリング㈱は、東京証券取引所、札幌証券取引所に上場しております。 ≪エレクトロニクス部門≫ディスプレイ用光学フィルム、有機ELディスプレイ用メタルマスク、 液晶ディスプレイ用大型フォトマスク、半導体製品用フォトマスク、リードフレーム、LSI設計、 ハードディスク用サスペンション部品、スマホ用カメラモジュール部品、その他 [主な関係会社](製 造)㈱DNPエル・エス・アイ・デザイン、㈱DNPファインオプトロニクス (製 造・販 売)ディー・ティー・ファインエレクトロニクス㈱、DNP Photomask Europe S.p.A.※Photronics DNP Mask Corporation、Photronics DNP Mask Corporation Xiamen (販 売)DNP Taiwan Co.,Ltd. (事業会社への投資)※JICC-04㈱ <複数の事業を行う関係会社>(製 造・販 売)㈱DNPファインケミカル、㈱DNPエンジニアリング、㈱DNP四国、DNP Denmark A/S※DICグラフィックス㈱ (販売・サービス)㈱DNPロジスティクス、大日本商事㈱、㈱DNPアカウンティングサービス、㈱DNP情報システム、㈱DNPヒューマンサービス、㈱DNPファシリティサービス、サンシ興産㈱、㈱UBE科学分析センター、㈱DNP北海道、㈱DNP東北、㈱DNP中部、㈱DNP西日本、DNP Asia Pacific Pte. Ltd.、DNP Korea Co.,Ltd.、DNP Corporation USA、DNP America, LLC、DNP Holding USA Corporation (注)※:持分法適用関連会社 <事業系統図>以上述べた事項を事業系統図によって示すと次のとおりであります。
事業の優位性(モート)
事業の質(有価証券報告書から抽出)
数字に出ない事業の性質を、同じ物差しで全銘柄そろえています。FY2025時点の記載が出典です。
| 価格決定力値上げを通せるか。強いほどインフレ耐性が高い | 中程度 多岐にわたる製品・サービスと技術開発力により、一定の価格決定力を持つと推測される。 |
|---|---|
| 参入障壁新規参入を阻む要因の種類 | 技術 AIを活用した販促最適化、分散型ID管理プラットフォーム、電子交付・web通知サービスなどの技術開発力。 |
| 景気敏感度業績が景気循環にどれだけ振られるか | 中程度 |
| 設備投資の性質稼いだ現金がどれだけ設備維持に消えるか | 混合 |
| 規制依存規制は障壁にも足枷にもなる | 高い |
会社が挙げる主要リスク:人権に関するリスク / 労働安全に関するリスク / 製品・サービスの安全と品質に関するリスク
同じ条件で他の銘柄を探す → 定性スクリーニング(価格決定力・参入障壁・景気敏感度などで絞り込めます)
モート総合 12 / 25 5類型それぞれの強度と、そう判定した根拠
無形資産★★★☆☆
大日本印刷は、長年にわたり培ってきた印刷技術、デザイン力、そして多様な顧客基盤を持つ。特に、情報・通信、生活・文化、産業・社会インフラ分野における高度なソリューション提供能力は、他社が容易に模倣できない無形資産となっている。例えば、ICカードや証券印刷などの高セキュリティ印刷技術は、長年の研究開発と実績に裏打ちされている。
スイッチングコスト★★★☆☆
顧客は、大日本印刷が提供する高度な印刷技術やソリューション(例:ICカード、証券印刷、ディスプレイ材料)に依存しており、他社への切り替えには、仕様変更、再認証、サプライチェーン再構築などのコストやリスクが伴う。特に、金融機関や政府機関向けの印刷物においては、セキュリティと信頼性が最優先されるため、切り替えは困難である。
ネットワーク効果☆☆☆☆☆
該当するネットワーク効果は確認できない。
コスト優位★★☆☆☆
大規模な生産設備と長年のオペレーション最適化により、一定のコスト競争力を持つが、業界全体として価格競争も存在するため、圧倒的なコスト優位とは言えない。特に、デジタル化の進展により、従来の印刷物の需要が変化する中で、コスト構造の維持・改善が課題となる。
規模の経済★★★★☆
印刷業界において、売上高、生産能力、技術力、顧客基盤のいずれにおいてもトップクラスの規模を誇る。この規模により、多様なニーズに対応できる生産体制と、大規模プロジェクトの遂行能力を有しており、業界内での寡占的な地位を築いている。特に、特殊印刷分野では、その規模が競争優位に直結する。
- 幅広い事業領域と技術力大日本印刷は、印刷技術を核に培ってきた多様な技術とノウハウを活かし、スマートコミュニケーション、ライフ&ヘルスケア、エレクトロニクスという広範な事業領域で製品・サービスを提供しています。これにより、特定の市場変動リスクを分散し、各分野での技術シナジーを生み出すことで、安定した収益基盤を築いていると考えられます。例えば、情報処理技術はデジタルマーケティングに、精密加工技術は半導体製造に活かされています。
- サプライチェーン全体への影響力同社は、書籍・雑誌の製造から流通・販売、さらには図書館運営まで手掛ける丸善CHIホールディングスや、コカ・コーラ製品のボトリングを行う北海道コカ・コーラボトリングなど、多数の子会社や関連会社を擁しています。これにより、サプライチェーンの様々な段階で事業を展開し、顧客への包括的なソリューション提供を可能にしています。この広範なネットワークは、顧客との強固な関係構築や市場での存在感強化に寄与している可能性があります。
- 研究開発と未来への投資生成AIを活用したサービスやバーチャル空間の企画・開発、電子書籍、さらにはリチウムイオン電池用部材や有機ELディスプレイ用メタルマスクといった先端技術分野への取り組みは、同社が常に新しい価値創造を目指していることを示しています。これらの研究開発と未来への投資は、技術革新が加速する現代において、持続的な競争優位性を確立し、将来の成長ドライバーとなる可能性を秘めていると考えられます。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
経営戦略
有価証券報告書「経営方針・対処すべき課題・MD&A」の全文を見る(年度切替)
経営方針・経営戦略
1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】DNPグループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題は次のとおりであります。文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、DNPグループが判断したものであります。 (1)会社の経営の基本方針DNPグループは、サステナブルな社会の実現を目指し、「人と社会をつなぎ、新しい価値を提供する。」ことを企業理念に掲げています。この理念に基づき、持続可能なより良い社会と、より心豊かな暮らしを実現するために、長期を見据えて、自らがより良い未来をつくり出すための事業活動を展開していくことを「経営の基本方針」としています。さまざまな活動を通じて、社会課題を解決するとともに、人々の期待に応える新しい価値を創出し、それらの価値を生活者の身近に常に存在する「あたりまえ」のものにしていきます。人々にとって「欠かせない価値」を生み出し続けることで、DNPグループ自身が「欠かせない存在」になるように努めており、こうした姿勢を「未来のあたりまえをつくる。」というブランドステートメントで表明しています。DNPグループは、「経営の基本方針」に沿った取り組みを通じて、持続的に事業価値・株主価値を創出していきます。また、事業活動の評価指標としてROEやPBRなどを用いて、価値向上の達成状況を評価・分析し、次の施策の効果を高めていきます。 (2)中長期的な会社の経営戦略DNPグループは、「経営の基本方針」に基づき、2026年3月期を最終年度とする3か年の中期経営計画を2023年4月から実行しています。この計画では、「事業戦略」を中心に持続的な価値創出の具体策を実行するとともに、それを支える経営資本の強化に向けて「財務戦略」と「非財務戦略」を推進し、事業価値・株主価値を高めていきます。 <三つの戦略>〔1:事業戦略〕〔1-1:中長期の事業ポートフォリオの考え方〕「事業戦略」では、市場成長性・魅力度と事業収益性を基準として、目指すべき中長期の事業ポートフォリオを明確にしています。市場成長性・魅力度が高い「成長牽引事業」(*1)と「新規事業」(*2)を「注力事業領域」と位置付け、この領域の事業にリソース(経営資源)を集中的に投入し、必要な組織・体制なども十分に整備して、利益を一層拡大させていきます。また、DNP独自の強みを進化・深耕させるほか、DNPならではの社会・関係資本である多様なパートナーとの共創(DNPと異なる強みを持った企業とのM&Aなど)も加速させて、「No.1」の獲得に努めていきます。 *1 成長牽引事業:デジタルインターフェース関連、半導体関連、モビリティ・産業用高機能材関連 *2 新規事業:コンテンツ・XRコミュニケーション関連、メディカル・ヘルスケア関連一方、市場成長性・魅力度の伸びは低水準ながら収益性の高い「基盤事業」(*3)については、事業プロセスの効率向上などによって、安定的なキャッシュの創出に努めていきます。また、現状では市場成長性と収益性がともに低い水準にある「再構築事業」(*4)については、生産能力や拠点の縮小・撤退を含めた最適化を進めるとともに、注力事業領域へのリソースの再配分や、独自の強みを有した製品・サービスの強化などを推進していきます。 *3 基盤事業:イメージングコミュニケーション関連、情報セキュア関連 *4 再構築事業:既存印刷関連、飲料事業 〔1-2:各セグメントにおける戦略〕〇スマートコミュニケーション部門当部門では、投下資本とキャッシュ創出のバランスを見ながら効率的・効果的な投資を行うほか、DNP独自の強みを活かし、国内外の企業との協業やサービス開発を進めていきます。また、紙メディアの印刷関連については、再構築事業の一つとして市場規模に対応した合理化・適正化をさらに進めます。新規事業の「コンテンツ・XRコミュニケーション関連」では、リアルとバーチャルの空間をシームレスかつセキュアに行き来できるメタバース上のDX(デジタルトランスフォーメーション)サービス等を実現し、人々の体験価値を高めていきます。国内外の多様なIPホルダーやクリエイターとの連携を深め、高精細画像処理やセキュリティ基盤を活かしたデータ処理の技術などの強みも活かし、人々のコミュニケーションの価値を高める新規市場を創出していきます。また、着実に収益を積み上げる基盤事業として、写真プリント等の多様な製品・サービスを展開する「イメージングコミュニケーション関連」や、国内トップシェアのICカードや各種認証サービス等の「情報セキュア関連」の事業で、グローバルな投資を拡大していきます。そのほか、企業・自治体等の業務効率化やDXのニーズを捉え、業務プロセスを最適化して関連業務を受託するBPO事業の拡大を図ります。 〇ライフ&ヘルスケア部門成長牽引事業である「モビリティ・産業用高機能材関連」では、世界シェアトップのリチウムイオン電池用バッテリーパウチのEV向けのグローバル展開について、海外拠点への積極的な設備投資などを推進します。この製品とモビリティ(移動用車両)向けの多様な内外装加飾材を中心に事業を展開し、数十年先を見据えて、EVの航続距離の延伸や自動運転、快適な移動空間の実現に取り組んでいきます。新規事業の「メディカル・ヘルスケア関連」では、各種印刷物や包装・半導体等の事業で培った画像処理やカラーマネジメント、無菌・無酸素充填、ミクロ・ナノ造形、精密有機合成などの技術を掛け合わせ、原薬製造・製剤・剤形変更・医療パッケージ製造などの製薬サポート事業を展開していきます。関連するパートナーとの相乗効果の最大化にも取り組み、画像診断やオンライン診療などのスマートヘルスケア事業の拡大に努め、人々の健康寿命の延伸に貢献していきます。包装関連事業等については、拠点の再編などによる収益性の改善・向上を図るとともに、「DNP透明蒸着フィルム IB(Innovative Barrier)-FILM®」等の独自製品や環境に配慮した各種包材のグローバル供給能力の拡大などに努めていきます。 〇エレクトロニクス部門当部門では、積極的な設備投資を推進するとともに、DNP独自の強みを活かした新製品の開発、社外のパートナーとのアライアンスによる半導体サプライチェーンへの提供価値拡大などによって、事業の拡大を加速させていきます。成長牽引事業の一つ「デジタルインターフェース関連」では、有機ELディスプレイ製造用メタルマスクやディスプレイ用光学フィルムなど、世界トップシェアの製品を中心に、技術革新の最新の潮流も捉えて、リアルとバーチャル、アナログとデジタルをつなぐ新しい価値を創出していきます。もう一つの成長牽引事業「半導体関連」では、自動運転や遠隔教育・遠隔医療、クラウド環境やデータセンターの広がりなどによって全世界のデータ流通量が飛躍的に増大するなか、半導体サプライチェーン全体に不可欠なファインデバイスを開発・提供していきます。 ■中期経営計画における主な経営目標指標中期経営計画における経営目標(2024年3月期~2026年3月期)実績(当連結会計年度)営業利益850億円936億円ROE8%以上9.6% 〔2:財務戦略〕持続的な事業価値と株主価値の創出に向けて、安定的な財務基盤を構築・維持した上で、キャッシュを成長投資に振り向けるとともに、株主還元にも適切に配分していきます。 〇キャッシュ・アロケーション戦略注力事業領域への積極的な投資と個々の事業の効率化を推進し、成長投資の原資となる営業キャッシュ・フローを安定的に創出していきます。資産効率の改善に向けては、政策保有株式の売却を加速し、遊休不動産の縮減にも着実に取り組んでいきます。また、有利子負債の活用を含む適切な資金調達方法を検討するなど、資金効率の最大化に努めていきます。創出したキャッシュは、注力事業領域に集中的に投資するとともに、経営基盤の構築に向けた投資にも配分していきます。長期にわたって企業活動を推進し、社会や人々に価値を提供し続けていくため、成長投資の推進と株主還元のバランスを考慮した上で、株主還元にも積極的に配分していきます。 〔3:非財務戦略〕〇人的資本の強化DNPグループは、引き続き「人への投資」を積極的に進めていきます。2022年には「人的資本ポリシー」を策定しており、「人への投資」を企業価値の向上にさらに明確に結びつけ、グローバルでの「人的創造性(付加価値生産性)」を飛躍的に高めていくための取り組みを進めています。価値創造に向けた社員のキャリア自律支援と組織力の強化に向けて、DNP版「よりジョブ型も意識した処遇と関連施策」を展開しています。また、複線型のポスト型処遇、キャリア自律支援に向けた人的投資、競争力の高い報酬の水準と体系の維持・確保、組織開発の充実などを進めています。健康経営については「DNPグループ健康宣言」に基づき、多様な個の強みを引き出すチーム力の強化とマネジメント改革に取り組んでいます。「DNP価値目標(DVO:DNP Value Objectives)制度」や組織のエンゲージメントを高める施策を展開し、社員の幸せ・幸福度を高めるよう推進しています。事業戦略に基づく適材適所の人材配置の実現については、タレントマネジメントシステムを活用したICT人材・DX人材のスキルレベルの可視化、人材ポートフォリオに基づく採用・育成、人材再配置に必要なリスキリングの強化などを進めていきます。また、DNPグループは、社員のあらゆる多様性を尊重し、一人ひとりの多様な強みを掛け合わせることが価値の創出に欠かせないと考え、ダイバーシティ&インクルージョン(D&I)の推進を重要な経営課題の一つとしています。D&I推進の基本方針である「多様な人材の育成」「多様な働き方の実現」「多様な人材が活躍できる風土醸成」の具現化に向けた施策をさらに進めていきます。 〇知的資本の強化DNP独自の強みと、DNPとは異なる強みを持った社外のパートナーとの連携を活かして、知的資本を強化していきます。研究開発の方針として、DNP自身がつくり出したい「より良い未来」の姿を描き、それを起点とした“未来シナリオ”を実現するため、独自の技術等の強みを強化・連動させて、新製品・新サービスの開発・提供につなげていきます。注力事業領域を中心とした新規テーマの創出、基盤技術の強化と新製品開発、オープンイノベーションによる戦略的な技術の獲得と製品化・事業化などを推進します。ライフ&ヘルスケア部門をはじめ、3つの事業セグメントで海外での事業展開・マーケティング・研究開発の強化にも努めます。また、多様な事業を通じて獲得してきた特許等の知的資本の新製品・新サービスへの展開、社内外の強みを積極的に掛け合わせる組織風土の構築・醸成なども進めて、既存事業と新規事業の両方で新しい価値を創出していきます。DNPグループにとっての「DX」は、アナログとデジタル、リアルとバーチャル、モノづくりとサービスなど、異なる分野での強みを融合し、独自のビジネスモデルや価値を生み出すことであると位置付けています。新規事業の創出と既存事業の変革、生産性の飛躍的な向上、社内の情報基盤の革新などを進めていきます。 〇環境への取り組みDNPグループは常に、事業活動と地球環境の共生を考え、地球環境問題への対応を重要な経営課題の一つに位置付けています。「価値の創出(事業の推進)」と「基盤の強化」の両輪で環境関連の課題の解決に取り組み、「脱炭素社会」「循環型社会」「自然共生社会」の実現に貢献していきます。「価値の創出(事業の推進)」については、環境負荷の低減と事業の付加価値の向上をともに実現する事業ポートフォリオへの転換、環境をテーマとした新規事業の創出、低炭素材料・素材の開発・活用、製品単位のCO2排出量の算定と削減、循環型社会に向けたリサイクルスキームの構築、リサイクル材の活用促進などに取り組んでいきます。「基盤の強化」では、環境負荷の見える化、再生可能エネルギーの導入、環境負荷を考慮した省エネ設備への投資、生産拠点の最適化、プラスチックを中心とした資源の効率的な利用、原材料のトレーサビリティの確保、生態系への負荷の低減などに取り組んでいきます。 〔4:ガバナンス〕DNPグループは、環境・社会・経済の急激な変化など、経営に大きな影響を与えるリスクを評価して中長期的な経営戦略に反映し、そのリスクを事業機会に転換していくプロセスの強化に取り組んでいます。この取り組みを加速させるため、代表取締役社長を委員長とする「サステナビリティ推進委員会」を運営しています。当委員会では、中期経営計画の実行の過程で環境・社会・経済の急激な変化を捉え、適切に経営戦略に反映していくため、経営会議・取締役会に報告・提言しています。
対処すべき課題
1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】DNPグループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題は次のとおりであります。文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、DNPグループが判断したものであります。 (1)会社の経営の基本方針DNPグループは、サステナブルな社会の実現を目指し、「人と社会をつなぎ、新しい価値を提供する。」ことを企業理念に掲げています。この理念に基づき、持続可能なより良い社会と、より心豊かな暮らしを実現するために、長期を見据えて、自らがより良い未来をつくり出すための事業活動を展開していくことを「経営の基本方針」としています。さまざまな活動を通じて、社会課題を解決するとともに、人々の期待に応える新しい価値を創出し、それらの価値を生活者の身近に常に存在する「あたりまえ」のものにしていきます。人々にとって「欠かせない価値」を生み出し続けることで、DNPグループ自身が「欠かせない存在」になるように努めており、こうした姿勢を「未来のあたりまえをつくる。」というブランドステートメントで表明しています。DNPグループは、「経営の基本方針」に沿った取り組みを通じて、持続的に事業価値・株主価値を創出していきます。また、事業活動の評価指標としてROEやPBRなどを用いて、価値向上の達成状況を評価・分析し、次の施策の効果を高めていきます。 (2)中長期的な会社の経営戦略DNPグループは、「経営の基本方針」に基づき、2026年3月期を最終年度とする3か年の中期経営計画を2023年4月から実行しています。この計画では、「事業戦略」を中心に持続的な価値創出の具体策を実行するとともに、それを支える経営資本の強化に向けて「財務戦略」と「非財務戦略」を推進し、事業価値・株主価値を高めていきます。 <三つの戦略>〔1:事業戦略〕〔1-1:中長期の事業ポートフォリオの考え方〕「事業戦略」では、市場成長性・魅力度と事業収益性を基準として、目指すべき中長期の事業ポートフォリオを明確にしています。市場成長性・魅力度が高い「成長牽引事業」(*1)と「新規事業」(*2)を「注力事業領域」と位置付け、この領域の事業にリソース(経営資源)を集中的に投入し、必要な組織・体制なども十分に整備して、利益を一層拡大させていきます。また、DNP独自の強みを進化・深耕させるほか、DNPならではの社会・関係資本である多様なパートナーとの共創(DNPと異なる強みを持った企業とのM&Aなど)も加速させて、「No.1」の獲得に努めていきます。 *1 成長牽引事業:デジタルインターフェース関連、半導体関連、モビリティ・産業用高機能材関連 *2 新規事業:コンテンツ・XRコミュニケーション関連、メディカル・ヘルスケア関連一方、市場成長性・魅力度の伸びは低水準ながら収益性の高い「基盤事業」(*3)については、事業プロセスの効率向上などによって、安定的なキャッシュの創出に努めていきます。また、現状では市場成長性と収益性がともに低い水準にある「再構築事業」(*4)については、生産能力や拠点の縮小・撤退を含めた最適化を進めるとともに、注力事業領域へのリソースの再配分や、独自の強みを有した製品・サービスの強化などを推進していきます。 *3 基盤事業:イメージングコミュニケーション関連、情報セキュア関連 *4 再構築事業:既存印刷関連、飲料事業 〔1-2:各セグメントにおける戦略〕〇スマートコミュニケーション部門当部門では、投下資本とキャッシュ創出のバランスを見ながら効率的・効果的な投資を行うほか、DNP独自の強みを活かし、国内外の企業との協業やサービス開発を進めていきます。また、紙メディアの印刷関連については、再構築事業の一つとして市場規模に対応した合理化・適正化をさらに進めます。新規事業の「コンテンツ・XRコミュニケーション関連」では、リアルとバーチャルの空間をシームレスかつセキュアに行き来できるメタバース上のDX(デジタルトランスフォーメーション)サービス等を実現し、人々の体験価値を高めていきます。国内外の多様なIPホルダーやクリエイターとの連携を深め、高精細画像処理やセキュリティ基盤を活かしたデータ処理の技術などの強みも活かし、人々のコミュニケーションの価値を高める新規市場を創出していきます。また、着実に収益を積み上げる基盤事業として、写真プリント等の多様な製品・サービスを展開する「イメージングコミュニケーション関連」や、国内トップシェアのICカードや各種認証サービス等の「情報セキュア関連」の事業で、グローバルな投資を拡大していきます。そのほか、企業・自治体等の業務効率化やDXのニーズを捉え、業務プロセスを最適化して関連業務を受託するBPO事業の拡大を図ります。 〇ライフ&ヘルスケア部門成長牽引事業である「モビリティ・産業用高機能材関連」では、世界シェアトップのリチウムイオン電池用バッテリーパウチのEV向けのグローバル展開について、海外拠点への積極的な設備投資などを推進します。この製品とモビリティ(移動用車両)向けの多様な内外装加飾材を中心に事業を展開し、数十年先を見据えて、EVの航続距離の延伸や自動運転、快適な移動空間の実現に取り組んでいきます。新規事業の「メディカル・ヘルスケア関連」では、各種印刷物や包装・半導体等の事業で培った画像処理やカラーマネジメント、無菌・無酸素充填、ミクロ・ナノ造形、精密有機合成などの技術を掛け合わせ、原薬製造・製剤・剤形変更・医療パッケージ製造などの製薬サポート事業を展開していきます。関連するパートナーとの相乗効果の最大化にも取り組み、画像診断やオンライン診療などのスマートヘルスケア事業の拡大に努め、人々の健康寿命の延伸に貢献していきます。包装関連事業等については、拠点の再編などによる収益性の改善・向上を図るとともに、「DNP透明蒸着フィルム IB(Innovative Barrier)-FILM®」等の独自製品や環境に配慮した各種包材のグローバル供給能力の拡大などに努めていきます。 〇エレクトロニクス部門当部門では、積極的な設備投資を推進するとともに、DNP独自の強みを活かした新製品の開発、社外のパートナーとのアライアンスによる半導体サプライチェーンへの提供価値拡大などによって、事業の拡大を加速させていきます。成長牽引事業の一つ「デジタルインターフェース関連」では、有機ELディスプレイ製造用メタルマスクやディスプレイ用光学フィルムなど、世界トップシェアの製品を中心に、技術革新の最新の潮流も捉えて、リアルとバーチャル、アナログとデジタルをつなぐ新しい価値を創出していきます。もう一つの成長牽引事業「半導体関連」では、自動運転や遠隔教育・遠隔医療、クラウド環境やデータセンターの広がりなどによって全世界のデータ流通量が飛躍的に増大するなか、半導体サプライチェーン全体に不可欠なファインデバイスを開発・提供していきます。 ■中期経営計画における主な経営目標指標中期経営計画における経営目標(2024年3月期~2026年3月期)実績(当連結会計年度)営業利益850億円936億円ROE8%以上9.6% 〔2:財務戦略〕持続的な事業価値と株主価値の創出に向けて、安定的な財務基盤を構築・維持した上で、キャッシュを成長投資に振り向けるとともに、株主還元にも適切に配分していきます。 〇キャッシュ・アロケーション戦略注力事業領域への積極的な投資と個々の事業の効率化を推進し、成長投資の原資となる営業キャッシュ・フローを安定的に創出していきます。資産効率の改善に向けては、政策保有株式の売却を加速し、遊休不動産の縮減にも着実に取り組んでいきます。また、有利子負債の活用を含む適切な資金調達方法を検討するなど、資金効率の最大化に努めていきます。創出したキャッシュは、注力事業領域に集中的に投資するとともに、経営基盤の構築に向けた投資にも配分していきます。長期にわたって企業活動を推進し、社会や人々に価値を提供し続けていくため、成長投資の推進と株主還元のバランスを考慮した上で、株主還元にも積極的に配分していきます。 〔3:非財務戦略〕〇人的資本の強化DNPグループは、引き続き「人への投資」を積極的に進めていきます。2022年には「人的資本ポリシー」を策定しており、「人への投資」を企業価値の向上にさらに明確に結びつけ、グローバルでの「人的創造性(付加価値生産性)」を飛躍的に高めていくための取り組みを進めています。価値創造に向けた社員のキャリア自律支援と組織力の強化に向けて、DNP版「よりジョブ型も意識した処遇と関連施策」を展開しています。また、複線型のポスト型処遇、キャリア自律支援に向けた人的投資、競争力の高い報酬の水準と体系の維持・確保、組織開発の充実などを進めています。健康経営については「DNPグループ健康宣言」に基づき、多様な個の強みを引き出すチーム力の強化とマネジメント改革に取り組んでいます。「DNP価値目標(DVO:DNP Value Objectives)制度」や組織のエンゲージメントを高める施策を展開し、社員の幸せ・幸福度を高めるよう推進しています。事業戦略に基づく適材適所の人材配置の実現については、タレントマネジメントシステムを活用したICT人材・DX人材のスキルレベルの可視化、人材ポートフォリオに基づく採用・育成、人材再配置に必要なリスキリングの強化などを進めていきます。また、DNPグループは、社員のあらゆる多様性を尊重し、一人ひとりの多様な強みを掛け合わせることが価値の創出に欠かせないと考え、ダイバーシティ&インクルージョン(D&I)の推進を重要な経営課題の一つとしています。D&I推進の基本方針である「多様な人材の育成」「多様な働き方の実現」「多様な人材が活躍できる風土醸成」の具現化に向けた施策をさらに進めていきます。 〇知的資本の強化DNP独自の強みと、DNPとは異なる強みを持った社外のパートナーとの連携を活かして、知的資本を強化していきます。研究開発の方針として、DNP自身がつくり出したい「より良い未来」の姿を描き、それを起点とした“未来シナリオ”を実現するため、独自の技術等の強みを強化・連動させて、新製品・新サービスの開発・提供につなげていきます。注力事業領域を中心とした新規テーマの創出、基盤技術の強化と新製品開発、オープンイノベーションによる戦略的な技術の獲得と製品化・事業化などを推進します。ライフ&ヘルスケア部門をはじめ、3つの事業セグメントで海外での事業展開・マーケティング・研究開発の強化にも努めます。また、多様な事業を通じて獲得してきた特許等の知的資本の新製品・新サービスへの展開、社内外の強みを積極的に掛け合わせる組織風土の構築・醸成なども進めて、既存事業と新規事業の両方で新しい価値を創出していきます。DNPグループにとっての「DX」は、アナログとデジタル、リアルとバーチャル、モノづくりとサービスなど、異なる分野での強みを融合し、独自のビジネスモデルや価値を生み出すことであると位置付けています。新規事業の創出と既存事業の変革、生産性の飛躍的な向上、社内の情報基盤の革新などを進めていきます。 〇環境への取り組みDNPグループは常に、事業活動と地球環境の共生を考え、地球環境問題への対応を重要な経営課題の一つに位置付けています。「価値の創出(事業の推進)」と「基盤の強化」の両輪で環境関連の課題の解決に取り組み、「脱炭素社会」「循環型社会」「自然共生社会」の実現に貢献していきます。「価値の創出(事業の推進)」については、環境負荷の低減と事業の付加価値の向上をともに実現する事業ポートフォリオへの転換、環境をテーマとした新規事業の創出、低炭素材料・素材の開発・活用、製品単位のCO2排出量の算定と削減、循環型社会に向けたリサイクルスキームの構築、リサイクル材の活用促進などに取り組んでいきます。「基盤の強化」では、環境負荷の見える化、再生可能エネルギーの導入、環境負荷を考慮した省エネ設備への投資、生産拠点の最適化、プラスチックを中心とした資源の効率的な利用、原材料のトレーサビリティの確保、生態系への負荷の低減などに取り組んでいきます。 〔4:ガバナンス〕DNPグループは、環境・社会・経済の急激な変化など、経営に大きな影響を与えるリスクを評価して中長期的な経営戦略に反映し、そのリスクを事業機会に転換していくプロセスの強化に取り組んでいます。この取り組みを加速させるため、代表取締役社長を委員長とする「サステナビリティ推進委員会」を運営しています。当委員会では、中期経営計画の実行の過程で環境・社会・経済の急激な変化を捉え、適切に経営戦略に反映していくため、経営会議・取締役会に報告・提言しています。
MD&A(経営者による分析)
4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】 (1)経営成績等の状況の概要当連結会計年度におけるDNPグループの状況の概要は次のとおりであります。 ① 経営成績の状況当連結会計年度におけるDNPグループを取り巻く状況は、国内の雇用・所得環境の改善による個人消費の持ち直しやインバウンド需要の拡大等により、景気に緩やかな回復が見られました。一方で、株価・為替の急激な変動、地政学リスクの長期化、原材料や燃料等のコストの高止まり、米国をはじめとする各国・地域の政策動向、国内の物価上昇など、景気の先行きは依然として不透明な状況にあります。また、地球環境や人権問題等への対応、AI(人工知能)やXR(Extended Reality)等の先進技術などによって、ビジネスはより複雑かつ多様になり、競争も激化しています。DNPグループは、環境・社会・経済の急激な変化やリスクに対応するだけでなく、自らが長期を見据えて変革を起こし、「より良い未来」をつくり出す事業活動を展開しており、独自の「P&I」(印刷と情報)の強みを掛け合わせ、多様なパートナーとの連携を深めて、事業領域の拡張と業績の向上に努めています。当期は2023-2025年度の3か年の「中期経営計画」の2年目として、「事業戦略」「財務戦略」「非財務戦略」に基づく具体的な取り組みを通じて、持続的な事業価値・株主価値の創出に注力しました。事業戦略では、中長期にわたって強みを発揮できる事業ポートフォリオの構築を進めるとともに、注力事業領域を中心に新しい価値の創出を加速させています。財務戦略では、創出したキャッシュを事業のさらなる成長のための投資と株主還元に適切に配分していきます。非財務戦略では、「人的資本の強化」「知的資本の強化」「環境への取り組み」を中心に推進し、サステナブルな成長を支える経営基盤の強化を図っています。三つの戦略のより詳細な内容は、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2)中長期的な会社の経営戦略 <三つの戦略>」に記載しています。また、常に経営環境の変化を見極めながら、グループを挙げて事業継続マネジメント(BCM)の徹底を図り、企業活動の持続的な推進に努めています。 これらの結果、当連結会計年度のDNPグループの売上高は1兆4,576億円(前期比2.3%増)、営業利益は936億円(前期比24.1%増)、経常利益は1,159億円(前期比17.4%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は1,106億円(前期比0.2%減)となりました。また、DNPグループが収益性指標の一つとしている自己資本利益率(ROE)は9.6%となりました。 セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。 (スマートコミュニケーション部門)イメージングコミュニケーション関連は、写真プリント用の昇華型熱転写記録材が欧米市場で好調に推移しました。また、国内の証明写真サービスや欧米での撮影サービスの増加もあり、前年を上回りました。情報セキュア関連は、1つのICチップで接触型と非接触型の規格に対応可能なデュアルインターフェイスカード等のICカードが堅調に推移したものの、BPO(Business Process Outsourcing)の大型案件が減少し、前年を下回りました。マーケティング関連は、長年培ったマーケティング施策の実績や知見とデジタルの強みを掛け合わせた価値の提供に努めましたが、紙媒体の市場縮小の影響もあり、前年を下回りました。出版関連は、図書館運営業務が受託館数の増加により堅調に推移したものの、雑誌等の市場縮小の影響などにより、前年を下回りました。なお、出版印刷事業は、意思決定の迅速化及び部門間の連携強化とともに、市場環境の変化の先取りをしていくため、2025年4月に組織再編を行い、製造・販売一体の事業推進体制に移行しました。 コンテンツ・XRコミュニケーション関連のうち、コンテンツ関連は、国内外で人気の知的財産(IP:Intellectual Property)を活用した大型企画展の主催をはじめ、イベント・物販ビジネスや、日本のIPの海外展開など、新たな価値の創出に努めました。XRコミュニケーション関連は、専門の強みを持つ社外のパートナーとの連携などに力を入れています。こうした取り組みやDNPの先進技術などが高く評価され、2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)における「日本政府館」のバーチャルパビリオンの企画制作に採択されました。今後も多様なパートナーとの共創を拡げ、仮想空間(メタバース)の活用を通じて、不登校の子どもの教育機会や居場所の創出など、社会課題の解決や体験価値の提供に向けてさらに事業を強化・拡大していきます。その結果、部門全体の売上高は7,155億円(前期比0.5%減)となりました。営業利益は、紙媒体等の市場縮小による減収の影響を受けたものの、為替のプラス効果、人的資本や固定資産の適正化などの事業構造改革により、346億円(前期比32.5%増)となりました。 (ライフ&ヘルスケア部門)モビリティ・産業用高機能材関連は、リチウムイオン電池用バッテリーパウチが、スマートフォンやタブレット端末等の新機種用を中心にIT向けの需要が伸長しました。一方、車載向けは、2024年10月以降に需要の回復が見られたものの、年間を通じて電気自動車(EV)市場の需要停滞の影響が大きく、前年を下回りました。太陽電池関連は、世界的な需要の高まりにより、封止材を中心に好調に推移しました。自動車用部材の加飾フィルムは、内装用製品の販売が好調に推移しました。M&Aも積極的に行っており、2025年1月に、多様な成形品製造技術を駆使して、独自の自動車部品や産業機器向けの加飾部品等の事業を手掛ける株式会社光金属工業所の完全親会社であるHKホールディング株式会社の全株式を取得しました。2025年2月には、二次電池外装材・包装材などを手掛ける株式会社レゾナック・パッケージング(株式会社DNP高機能マテリアル彦根に社名変更)の全株式を取得しました。各社とDNPグループが培ってきた経営資源や技術・ノウハウなどの強みを掛け合わせることで、顧客への対応力をさらに強化し、競争力を向上させていきます。包装関連は、原材料の値上げの影響を受けたものの、価格転嫁が進展したことに加え、スナックや日用品向け包材、ペットボトル用無菌充填システムなどが増加しました。また、「DNP環境配慮パッケージング GREEN PACKAGING®」や各種機能性包材の開発・販売にも注力し、前年を上回りました。メディカル・ヘルスケア関連は、医療用パッケージの開発・販売に注力しました。また、メディカル・ヘルスケア業界向けの物流拠点として、2025年4月に、東京都に「小豆沢(あずさわ)センター」を開設しました。各企業が個別に行っている医薬品・医療機器の保管からセット作業、配送までをBPOとして請け負うことにより、低コストで物流の効率化を実現いたします。また、この施設は、商業印刷関連の製造拠点をメディカル物流向けに転用したもので、投資の効率化を実現するとともに、事業ポートフォリオの変革につながっています。生活空間関連は、高い耐久性とデザイン性を両立させた外装材「アートテック®」が国内外で好調に推移したものの、国内の新設住宅着工戸数(持家)の減少などによって住宅向け内装材が減少し、前年を下回りました。飲料事業は、北海道外のボトラーへの販売が減少したものの、主要な販売チャネルでの価格改定の効果や、自動販売機・コンビニエンスストア・Webサイトでの販売が好調に推移し、前年を上回りました。その結果、部門全体の売上高は4,960億円(前期比5.0%増)となりました。営業利益は、包装関連事業の売上増加に加え、固定費の圧縮等のコストダウン、為替のプラス効果なども寄与し、237億円(前期比78.2%増)となりました。 (エレクトロニクス部門)デジタルインターフェース関連は、有機ELディスプレイ製造用メタルマスクが前期の旺盛な開発需要からの反動で減少したものの、光学フィルムが液晶テレビ用パネルの大型化にともなう出荷面積の拡大等で堅調に推移し、前年を上回りました。なお、当期は、福岡県北九州市の黒崎工場内に新設したメタルマスクの生産ラインが稼働を開始しており、タブレット端末やノートPC、車載デバイスでの有機ELディスプレイの採用拡大の状況を先取りしていきます。半導体関連は、市場の回復によって半導体製造用フォトマスクが堅調に推移し、前年を上回りました。その結果、部門全体の売上高は2,477億円(前期比5.3%増)となりました。営業利益は、デジタルインターフェース関連を中心に注力事業の売上が増加しましたが、メタルマスクの生産ライン増設による設備費増加の影響を受け、573億円(前期比1.4%減)となりました。 ② 財政状態の状況当連結会計年度末の資産、負債、純資産については、総資産は、現金及び預金の増加や、退職給付に係る資産、有形固定資産の減少などにより、前連結会計年度末に比べ377億円減少し、1兆9,178億円となりました。負債は、未払法人税等の増加や、支払手形及び買掛金、繰延税金負債の減少などにより、前連結会計年度末に比べ98億円減少し、7,090億円となりました。純資産は、当期純利益による増加や、剰余金の配当、自己株式の取得、その他有価証券評価差額金、退職給付に係る調整累計額の減少などにより、前連結会計年度末に比べ279億円減少し、1兆2,087億円となりました。 ③ キャッシュ・フローの状況当連結会計年度末の現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ160億円増加し、2,506億円となりました。 (営業活動によるキャッシュ・フロー)営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益1,686億円、減価償却費537億円などにより1,327億円の収入(前連結会計年度は725億円の収入)となりました。 (投資活動によるキャッシュ・フロー)投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出570億円、投資有価証券の取得による支出878億円、投資有価証券の売却による収入1,193億円などにより367億円の支出(前連結会計年度は183億円の収入)となりました。 (財務活動によるキャッシュ・フロー)財務活動によるキャッシュ・フローは、自己株式の取得による支出648億円、配当金の支払額150億円などにより874億円の支出(前連結会計年度は1,186億円の支出)となりました。 ④ 生産、受注及び販売の実績a.生産実績当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。 セグメントの名称金額(百万円)前期比(%)スマートコミュニケーション部門440,083△3.1ライフ&ヘルスケア部門412,648+6.5エレクトロニクス部門228,299△0.8合 計1,081,031+0.9 (注)金額は販売価格によっており、セグメント間取引については相殺消去しております。 b.受注実績当連結会計年度における受注状況をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。 セグメントの名称受注高(百万円)前期比(%)受注残高(百万円)前期比(%)スマートコミュニケーション部門592,923+0.6126,863+8.6ライフ&ヘルスケア部門443,396+1.2122,357+5.7エレクトロニクス部門246,275+0.940,570△2.7合 計1,282,596+0.8289,792+5.7 (注)金額は販売価格によっており、セグメント間取引については相殺消去しております。 c.販売実績当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。 セグメントの名称金額(百万円)前期比(%)スマートコミュニケーション部門713,977△0.5ライフ&ヘルスケア部門495,855+5.0エレクトロニクス部門247,776+5.3合 計1,457,609+2.3 (注)セグメント間取引については相殺消去しております。 (2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容経営者の視点によるDNPグループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。 ①当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容DNPグループの当連結会計年度の経営成績等は、売上高は、前連結会計年度(以下「前期」)に比べて327億円増加し、1兆4,576億円(前期比2.3%増)となりました。売上原価は、前期に比べて82億円増加して1兆1,193億円(前期比0.7%増)となり、売上高に対する比率は前期の78.0%から76.8%となりました。販売費及び一般管理費は、前期に比べて64億円増加して2,446億円(前期比2.7%増)となり、この結果、営業利益は前期に比べて181億円増加して936億円(前期比24.1%増)となりました。営業外収益は、持分法による投資利益の減少等により前期に比べて20億円減少して263億円(前期比7.3%減)となり、営業外費用は、前期に比べて11億円減少して40億円(前期比22.0%減)となりました。この結果、経常利益は前期に比べて172億円増加して1,159億円(前期比17.4%増)となりました。特別利益は、投資有価証券売却益の増加等により、前期に比べて445億円増加して1,304億円(前期比51.8%増)となり、特別損失は、減損損失の増加等により前期に比べて360億円増加して776億円(前期比86.8%増)となりました。この結果、親会社株主に帰属する当期純利益は1,106億円(前期比0.2%減)となりました。 DNPグループの経営成績に重要な影響を与えた要因は以下のとおりです。当連結会計年度におけるDNPグループを取り巻く状況は、国内の雇用・所得環境の改善による個人消費の持ち直しやインバウンド需要の拡大等により、景気に緩やかな回復が見られました。一方で、株価・為替の急激な変動、地政学リスクの長期化、原材料や燃料等のコストの高止まり、米国をはじめとする各国・地域の政策動向、国内の物価上昇など、景気の先行きは依然として不透明な状況にあります。また、地球環境や人権問題等への対応、AI(人工知能)やXR(Extended Reality)等の先進技術などによって、ビジネスはより複雑かつ多様になり、競争も激化しています。 セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりです。スマートコミュニケーション部門については、イメージングコミュニケーション事業や金融機関向けのICカードが増加したほか、図書館運営業務も堅調に推移しましたが、紙媒体の市場縮小の影響を受けて出版印刷物や商業印刷物が伸び悩んだことに加え、BPOの大型案件が減少し、結果、部門全体の売上高は前期比0.5%減の7,155億円となりました。営業利益は、紙媒体等の市場縮小による減収の影響を受けたものの、為替のプラス効果、人的資本や固定資産の適正化などの事業構造改革により、前期比32.5%増の346億円となりました。営業利益率は、前期の3.6%から1.2ポイント上昇し、4.8%となりました。ライフ&ヘルスケア部門については、包装関連事業は、価格転嫁が進展したことに加え、スナックや日用品向け包材、ペットボトル用無菌充填システムなどが増加し、前年を上回りました。生活空間関連事業は、国内の新設住宅着工戸数(持家)の減少などによって住宅向け内装材が減少し、前年を下回りました。モビリティ・産業用高機能材関連は、太陽電池関連が、世界的な需要の高まりにより、封止材を中心に好調であったほか、自動車用部材の加飾フィルムも、内装用製品の販売が好調に推移しましたが、年間を通じて電気自動車(EV)市場の需要停滞の影響が大きかった車載向けのリチウムイオン電池用バッテリーパウチが減少し、前年を下回りました。飲料事業は、主要な販売チャネルでの価格改定の効果もあり、前年を上回りました。メディカル・ヘルスケア関連は、医療用パッケージの開発・販売に注力しました。その結果、部門全体の売上高は前期比5.0%増の4,960億円となりました。営業利益は、包装関連事業の売上増加に加え、固定費の圧縮等のコストダウン、為替のプラス効果なども寄与し、前期比78.2%増の237億円となりました。営業利益率は、前期の2.8%から2.0ポイント上昇し、4.8%となりました。 エレクトロニクス部門については、デジタルインターフェース関連は、有機ELディスプレイ製造用メタルマスクが前期の旺盛な開発需要からの反動で減少したものの、光学フィルムが液晶テレビ用パネルの大型化にともなう出荷面積の拡大等で堅調に推移し、前年を上回りました。半導体関連は、市場の回復によって半導体製造用フォトマスクが堅調に推移し、前年を上回りました。その結果、部門全体の売上高は前期比5.3%増の2,477億円となりました。営業利益は、デジタルインターフェース関連を中心に注力事業の売上が増加しましたが、メタルマスクの生産ライン増設による設備費増加の影響を受け、前期比1.4%減の573億円となりました。営業利益率は、前期の24.7%から1.5ポイント低下し、23.2%となりました。 セグメント資産の状況については、スマートコミュニケーション部門は前期末に比べて、613億円減少して7,532億円(前期末比7.5%減)となりました。ライフ&ヘルスケア部門は前期末に比べて、631億円減少して4,847億円(前期末比11.5%減)となりました。エレクトロニクス部門は前期末に比べて、956億円増加して3,857億円(前期末比33.0%増)となりました。報告セグメント合計では前期末に比べて、288億円減少して1兆6,237億円(前期末比1.7%減)となりました。 ②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報DNPグループの当連結会計年度末の現金及び現金同等物は、前期末に比べ160億円増加し、2,506億円となりました。営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整当期純利益1,686億円、減価償却費537億円などにより1,327億円の収入(前期は725億円の収入)となりました。投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出570億円、投資有価証券の取得による支出878億円、投資有価証券の売却による収入1,193億円などにより367億円の支出(前期は183億円の収入)となりました。財務活動によるキャッシュ・フローは、自己株式の取得による支出648億円、配当金の支払額150億円などにより874億円の支出(前期は1,186億円の支出)となりました。 a.財務戦略の基本的な考え方DNPグループは、社会課題を解決し、人々の期待に応える新しい価値の創出のため、成長領域を中心とした事業へ集中的に事業投資(研究開発投資、設備投資、戦略的提携やM&A投資)を行うとともに、それらを支える人財投資に経営資源を投入していきます。そのほか、資本効率の向上、財務基盤の安定化と株主還元の実施など、さまざまな資本政策を総合的に勘案して推進していきます。 b.DNPグループの資本の財源DNPグループは、主に営業活動により確保されるキャッシュ・フローにより、成長を維持・発展させていくために必要な資金を確保しております。設備投資資金などの資金需要については自己資金で賄うことを基本としておりますが、自己資金に加え、他人資本も活用し、成長投資資金を調達していきます。 c.DNPグループの経営資源の配分に関する考え方DNPグループは、成長領域を中心とした注力事業への投資などを進めていきます。重要な資本的支出の予定及びその資金の調達源泉等については、「第3 設備の状況 3 設備の新設、除却等の計画 (1)新設等」に記載のとおりであります。また、利益の配分については、「第4 提出会社の状況 3 配当政策」に記載のとおりであります。 ③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定DNPグループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
事業リスク
- 人権問題による信頼失墜サプライチェーン全体における強制労働、児童労働、低賃金、長時間労働、ハラスメントなどの人権侵害は、企業の社会的信頼を大きく損ない、法規制違反による経済的損失につながる可能性があります。AI活用による新たな人権問題も発生しており、適切な対応を怠ると、ブランドイメージの低下や顧客離れを引き起こし、事業運営に深刻な影響を与えるリスクがあります。
- 労働安全問題による事業停滞労働災害やメンタルヘルス問題の発生は、社員の安全と健康を脅かすだけでなく、生産活動の停止や遅延、企業の信用失墜、法的責任、経済的損失につながる可能性があります。各国・地域で労働安全に関する規制が強化される中、適切な対策を講じない場合、事業運営に大きな支障をきたし、企業価値を低下させるリスクがあります。
- 製品・サービス品質問題製品の不具合や品質問題は、顧客からの信頼を失い、ブランドイメージを大きく毀損する可能性があります。また、法的な責任追及や多額の経済的損失につながることもあり、事業活動に深刻な影響を及ぼします。特に、安全性が求められる包装材料や医薬品関連製品において品質問題が発生した場合、その影響は甚大になるリスクがあります。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
有価証券報告書「事業等のリスク」の全文を見る(年度切替)
3 【事業等のリスク】DNPグループは、地球環境の持続可能性を高め、健全な社会と経済、快適で心豊かな人々の暮らしを実現していく新しい価値の創出に努めており、それによって当社自身の持続的な成長を達成していきます。社会環境の急変など、経営に影響を与える変動要因がますます多様かつ広範囲になるなか、全社のリスクを適切に評価・分析して中長期的な経営戦略に反映し、事業機会へと変換するプロセスを強化することが、よりサステナブルな社会への貢献と、当社が標榜する「未来のあたりまえ」につながると考えています。こうした考えに基づき、中長期的なリスクの管理と事業機会の把握、経営戦略への反映を担う「サステナビリティ推進委員会」を代表取締役社長が委員長に就いて運営しています。また、自然災害をはじめとする有事の際も社員の安全を確保して生産活動を維持し、企業継続を担保する「BCM推進委員会」、企業継続の基本となる社員のコンプライアンス意識の向上を図り、リスクの低減を図る「企業倫理行動委員会」を合わせた3つの委員会が互いに連携し、全社的リスクを網羅する体制を構築して、統合的なリスクマネジメントを推進しています。有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりです。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在においてDNPグループが判断したものです。 (1)人権に関するリスク人権に関する課題に対しては常に、自社だけでなくサプライチェーン全体を通じて、企業が責任を果たすことが求められています。強制労働や児童労働、低賃金や未払い、長時間労働、安全や衛生が不十分な労働環境、ハラスメント等の社会課題の解決に向けて、デュー・ディリジェンスによるサプライチェーンの可視化や、人権侵害が懸念される国・地域からの輸入禁止など、法規制も含めて人権の尊重を担保する動きが加速しています。また、AIの活用範囲の拡大など、技術革新による新たな人権問題も生じています。これらの社会課題を解決していくため、国際的な基準や規制の整備も進むなか、企業に対しても適切な取り組みが求められています。こうした対応を行わない企業は、社会的信頼を失うだけでなく、法的なリスクのマイナスの影響や経済的損失を被る可能性があります。これら企業を取り巻く状況の変化は、当社グループの事業環境にも大きな影響があると認識しています。これらの人権に関するリスクの事業への影響に対して、当社は「DNPグループ人権方針」に基づいて、多様な活動を行っています。また、当社の事業活動が、自社の社員だけでなく、サプライヤーや地域社会を含むサプライチェーン上の全てのステークホルダーの人権に影響を及ぼすことを認識しています。それらに対する負の影響を防止・軽減するため、人権デュー・ディリジェンスの実施や各ステークホルダーが利用できる通報窓口の実効性の強化、ステークホルダーとの対話などをそれぞれの責任部署を定めて強化・推進しています。<人権の取り組み> https://www.dnp.co.jp/sustainability/report/pdf/DNP_sustainabilitywebarchive2024.pdf#page=36 (2)労働安全に関するリスク近年ますます多様化する働き方や労働環境の変化により、社員の健康と安全を確保する企業の責任が一層重要となっています。特に、労働災害やメンタルヘルスの問題に対する社会的関心が高まっており、企業にはその具体策を講じることが求められています。また、各国・地域で労働安全に関する法律や規制が強化され、違反が発覚した場合には企業の信用失墜や経済的損失につながる可能性があります。これらの環境変化は、当社グループの事業運営にも深刻な影響を及ぼす可能性があると認識しています。こうした状況に対して当社は常に、社員が業務を通して負傷することなどはあってはならないとの認識のもと、人権上の重要課題である労働安全の確保のために、労使一体でグループ全体の安全衛生のレベル向上に努めています。さらに、人的資本ポリシーに基づいて定めた「DNPグループ安全衛生憲章」及び「DNPグループ健康宣言」のもと、代表取締役社長をトップとして安全衛生活動を推進しています。労働災害の防止に向けては、国の示す労働災害防止計画や社内の労働災害発生の動向を踏まえて、3年ごとに基本計画を見直し、具体的な活動を強化・推進しています。製造部門の全拠点においては、「真に健康と安全を全てに優先させる風土」の実現に向けて、「月1時間の対話・教育(ツキイチキョーイク)活動」を継続的に実施しています。特に重篤な災害につながる設備の対策については、既存・新規を問わず全ての設備について、リスク部位を抽出して“見える化”を行っています。そのなかでも特に重篤度の高い部位から優先して、全ての職場において、当社が独自に策定した設備安全規格に準じた安全対策を展開することで、「不安全な状態」や「不安全な行動」の見直しと改善を実践し、リスクアセスメント活動とそれに基づく対策に重点的に取り組んでいます。<労働安全の取り組み> https://www.dnp.co.jp/sustainability/report/pdf/DNP_sustainabilitywebarchive2024.pdf#page=57 (3)製品・サービスの安全と品質に関するリスク製品・サービスの安全と品質は、企業の社会的信頼の基盤を形成する重要な要素です。顧客企業や生活者は、企業が提供する製品やサービスに対して高い安全性や正確性を求めており、これに応えることは企業の責務です。近年はこうした企業責任に対する社会からの要請が一層高まっており、世界の各国・地域で新たな規制や品質基準の検討・制定が進行しています。このような環境変化は、当社グループの事業活動に対して深刻な影響を及ぼす可能性があります。特に、製品の不具合や品質問題が発生した場合、企業のブランドイメージや顧客からの信頼に対するダメージは非常に大きく、法的な責任や経済的損失を引き起こす可能性があります。したがって、製品安全・品質に関するリスクを適切に管理し、継続的な改善を図ることが不可欠です。当社は「品質経営」の基本方針として、自社の製品・サービスに関して、必要な規格や法の規制に適合させることはもちろん、顧客企業や生活者のニーズと期待を上回る安全性と品質を提供し、企業としての社会的責任を果たすことを定めています。その実現に向けて当社は、製品・サービスの安全性と品質の確保のために実施すべき事項を全社ルールとして定めるとともに、品質マネジメントシステムと製品安全管理の体制を構築・運用しています。また、当社が提供する全ての製品・サービスに対し、設計段階からリスクの抽出・評価を行い、検出したリスクの負の影響の低減を図り、安全性と品質の両面から、顧客企業や生活者等が安心できる品質・価値の継続的な提供に努めています。また、品質マネジメントシステムの運用状況の確認や品質不正の防止の観点から、本社の品質保証統括部門による「品質システム検査」を年1回実施しています。この点検の結果は「DNPグループ品質保証・製品安全委員会」及び「企業倫理行動委員会」に報告し、指示に基づく改善を進めています。<製品・サービスの安全と品質の取り組み> https://www.dnp.co.jp/sustainability/report/pdf/DNP_sustainabilitywebarchive2024.pdf#page=76 (4)情報セキュリティに関するリスク社会の急速なデジタル化にともない、世界規模な情報ネットワークでのデータ連携が活発化する一方で、サイバー攻撃や情報漏えいなどのリスクが一層高まっています。近年は特に、個人情報の保護が重要視されるなか、各国・地域で規制の強化などが進められています。これらの環境変化は、当社グループの事業運営に対して深刻な影響を及ぼす可能性があると認識しています。仮に情報漏えいが発生した場合、顧客企業や生活者の信頼を失うだけでなく、法的責任や経済的損失を招く恐れがあり、その影響はサプライチェーン全体に派生する可能性があります。そのため情報セキュリティに関するリスクを適切に管理し、常に最新の対策を講じることが不可欠です。当社は国内外の環境変化を先取りして、いち早く対応し、一層の情報セキュリティ施策の強化に努めています。具体的には、全社の統括組織として、本社に情報セキュリティ委員会と情報セキュリティ本部を設置し、事業部・グループ会社への検査・指導を実施しています。また、サイバーセキュリティの対応組織としてDNPシーサート(DNP Computer Security Incident Response Team)を本社に設置し、不測事態(インシデント)発生時の事業継続性を維持・強化しています。当社はこうしたマネジメント推進体制のもと、「組織的対策」「人的対策」「物理的・技術的対策」を柱として、情報セキュリティ関連の施策を進めています。<情報セキュリティの取り組み> https://www.dnp.co.jp/sustainability/report/pdf/DNP_sustainabilitywebarchive2024.pdf#page=107 (5)法令・社内規定の遵守に関するリスク近年は特に、企業の社会的責任や倫理的な行動を重視する傾向が強まっており、法令や社内規定を遵守することは、企業の信頼性を維持・向上させるためにますます不可欠となっています。仮にコンプライアンス違反が発生・発覚した場合、企業のブランドイメージや顧客の信頼を損なうだけでなく、法的な責任や経済的損失を引き起こすリスクがあります。これらのリスクは、当社グループの事業運営にも深刻な影響を及ぼす可能性があると認識しています。当社は、あらゆるステークホルダーから信頼される企業であり続けるために、事業活動を遂行するにあたり、社員一人ひとりが単に法令を遵守するだけでなく、高い倫理観を持つ必要があると考えています。それによって、常に公正・公平な態度で秩序ある自由な競争市場の維持・発展に寄与することで初めて、社会や人々からの信頼を得ることができると認識し、グループ全体での企業倫理の浸透・定着を図っています。具体的な取り組みの一つとして、当社は社員に対する研修・教育を徹底し、統合的なコーポレート・ガバナンスの充実に努めています。また、企業活動において全ての社員が取るべき行動を「DNPグループ行動規範」として制定し、そのなかで「法令と社会倫理の遵守」などの10の項目を定めています。この規範の各項目については、社会環境などの変化に合わせて定期的に見直しを行い、「階層別研修」や国内外の全グループ社員を対象とした「自律的企業倫理研修」を通じて、教育・浸透を図っています。また、社員が万が一不正行為等に遭遇した際、上長や周囲の社員に適時・適切に相談するとともに、自部門だけでは解決できない場合の相談・通報の窓口として、2002年に「オープンドア・ルーム」を設けました。加えて、2015年には弁護士が相談・通報を受け付ける「オープンドア・ルーム」の外部窓口を、2020年には多言語に対応した「グローバル内部通報窓口」を整備し、組織の自浄能力をDNPグループ全体でさらに適正に機能させるよう努めています。<公正な事業慣行の取り組み> https://www.dnp.co.jp/sustainability/report/pdf/DNP_sustainabilitywebarchive2024.pdf#page=99 (6)サプライチェーンに関するリスク近年、グローバル・サプライチェーンの拡大にともない、人権・労働、汚職・腐敗等の社会課題や、気候変動をはじめとした環境問題など、企業活動が社会と環境に及ぼす影響は一層大きなものになっています。そのなかで、原材料の調達から生産・利用・廃棄・リサイクルまでのサプライチェーン全体を見据え、起こりうるリスクを把握・分析して、適切に課題を解決するマネジメントの強化がさらに重要となっています。加えて、グローバルに広がるサプライチェーン全体のリスクを的確に捉え、多様な課題を解決して持続可能な社会に貢献するため、国内外のサプライヤーや業務委託先(以下「ビジネスパートナー」)とともに「責任ある調達」に取り組むことがますます重要になっていると、当社は認識しています。当社は、「DNPグループ サステナブル調達ガイドライン」に則した取り組みを条項の一つとして定めた「取引基本契約書」をビジネスパートナー各社と締結しています。特に重要度が高い個別のテーマについては、「DNPグループ印刷・加工用紙調達ガイドライン」や「DNPグループ化学物質に関するグリーン購入ガイドライン」などを制定し、ビジネスパートナー各社の指導に努めています。また、ビジネスパートナーに対する定期的な「サステナブル調達ガイドライン」遵守状況の調査とその結果のフィードバック、各種説明会を通じたサプライチェーンマネジメントの強化なども継続的に行っています。また、毎年、年間購入額の上位9割程度を占めるサプライヤーや事業継続上重要なサプライヤーに対し、「サステナブル調達ガイドライン」に基づく調査及びリスクアセスメントを実施しています。リスクが認められる一部のサプライヤーに対しては、改善計画の提出を求め、書類指導や個別面談を行い、課題や改善策を確認して次年度の活動に反映するといった継続的なマネジメントを行っています。<責任ある調達の取り組み> https://www.dnp.co.jp/sustainability/report/pdf/DNP_sustainabilitywebarchive2024.pdf#page=68 (7)自然災害等に関するリスク気候変動による豪雨や洪水等の水リスクや、大規模地震発生の可能性の高まり、新たな感染症の発生なども含む自然災害等によるリスクは増大しています。仮に甚大な規模の自然災害等の緊急事態が発生して、社員や家族の安全が脅かされ、建物・設備・インフラや取引先・サプライヤー各社の被害によって事業活動が中断することは、自社だけではなく、顧客企業や取引先で働く人たちをはじめ、さまざまなステークホルダーに影響を及ぼすことになります。DNPグループはこれらのリスクの負の影響を低減するため、対策推進組織として本社にBCM推進委員会を設置するとともに、各事業部に事業部グループBCM推進委員会を設置しています。この体制を活かし、「災害発生時の人的安全対策を最優先すること」「会社の災害に対する対応力と復旧力を高めること」を基本として、日頃から災害リスクを正しく認識し、適切な予防対策などを推進しています。具体的には、製造設備やその他の主要施設に防火・耐震・水害対策等を施すとともに、製造拠点や原材料調達先の分散を図り、生産活動の停止や製品供給の混乱を最小化する事業継続計画(BCP)を策定し、その適切なマネジメント(BCM)を推進しています。各種保険によるリスク移転も図っており、事業の存続を脅かすような緊急事態が発生した場合でも、事業活動が早急に復旧できる強い企業体質の構築に努めています。体制としては、当社グループ全体の基本的な防災対策を整備・推進する「中央防災会議」、各事業の特性に合った具体的な防災対策を推進する「事業部・グループ会社防災会議」、地区・エリアでの連携を深めて防災対策を推進する「地区防災会議」を設置し、防災計画の作成や予防対策の推進を行っています。災害等の不測の事態に対しては、「DNPグループ災害基本規程」として基本方針や推進体制を定め、社員と家族、関係者の安全を確保し、多様なステークホルダーに安心していただけるようにさまざまな防災対策を進めています。 (8)中長期的に特に対応が必要なリスク① 環境関連のリスク・機会となる変動要因‐ 気候変動による自然災害の頻発・激甚化、渇水や洪水等の水リスクの高まり‐ プラスチック汚染や生物多様性の損失の加速‐ ネイチャーポジティブ・カーボンニュートラル・循環経済への移行の加速、規制の強化‐ 環境ポジティブな市場拡大、技術革新の加速 など 地球環境の持続可能性を高めていくことは、企業活動や社会全体において、ますます重要なテーマとなっています。気候変動による自然災害の頻発や激甚化は、企業の運営に直接的な影響を及ぼし、特に渇水や洪水といった水リスクの高まりは、サプライチェーンや生産工程に深刻な影響を及ぼす可能性があります。さらに、プラスチック汚染や生物多様性の損失が加速しており、これらの問題は企業の社会的責任も強く問うものとなっています。グローバルな市場においては、ネイチャーポジティブやカーボンニュートラル、循環経済への移行が強く求められるようになっており、それにともなう規制の強化が進んでいます。これらの変化に適応できない企業は、競争力を失うだけでなく、法的リスクや経済的損失を被る可能性もあるため、環境ポジティブな製品・サービスの市場拡大に対応した技術革新を加速させることが強く求められています。こうした状況に対してDNPグループは、事業活動と地球環境の共生を絶えず考え、「DNPグループ環境ビジョン2050」を掲げて「脱炭素社会」「循環型社会」「自然共生社会」の実現に向けた取り組みを加速させています。このビジョンを実現していくため、2030年をターゲットとした中期目標を設定し、環境負荷の低減・削減を計画的に進めています。一方で、GHG排出量削減のさらなる強化、脱石化製品への移行の加速と代替素材への切り替え要請の高まりなどによって、当社の目標の一層の引き上げや、製品・サービスの仕様の見直しなどが必要となる場合があり、その際は事業に大きな影響が及ぶ可能性があります。また、当社の事業は、印刷用の基材である紙やプラスチックフィルム、鉱物資源等の原材料、製造工程で使用する水やエネルギー等の資源、事業所における土地利用など、さまざまな形で自然の恩恵を受けています。さらに、グローバルなサプライチェーンの構築にも関わり、原材料の原産地やビジネスパートナーがいる地域社会とも密接に関係しながら、事業活動を展開しています。現在はさらに、気候変動への対応や生物多様性の保全に関する法規制や要請が、各国・地域で厳格化する傾向にあります。当社は、こうした変化を先取りし、迅速かつ柔軟に対応していくことに加え、自ら主体的に「より良い未来」の実現に向けた変革を起こすことによって、価値創造と基盤強化の両輪で環境課題の解決に取り組んでいます。具体的な当社の活動については、「2.サステナビリティに関する考え方及び取組」及び当社Webサイトにて紹介しています。<環境関連の取り組み> https://www.dnp.co.jp/sustainability/report/pdf/DNP_sustainabilitywebarchive2024.pdf#page=14 ② 社会関連のリスク・機会となる変動要因・人的資本関連‐ グローバルビジネスの進展(グローバルでの人口増加)‐ 国内生産年齢人口の減少・少子高齢化・労働力不足‐ 人々の尊厳(人権・労働環境)に関する意識の変化‐ 経済的な不均衡・サプライチェーン関連‐ 地政学的リスク・カントリーリスクの拡大‐ 文化や制度・ルールの違いによるリスクの顕在化‐ 企業の社会的責任・倫理的行動の重要性の高まり など 社会関連の中長期的なリスクは、企業の持続可能性にとって、ますます重要な要素となっています。「人的資本」の観点では、世界人口の増加と国内の少子高齢化が進むなかで、国内の労働力不足や、グローバルでの雇用の流動化が加速しています。これによって企業は、高い専門性を持つ人材の確保・育成が一層困難になり、競争優位性を維持・強化するための組織体制構築の課題がさらに顕在化する可能性があります。また、心身の健康や安全衛生など、あらゆる人が心地よく生きるための条件や環境も国内外で変化しており、企業はこれらに対応した職場環境の整備も求められています。加えて、人口動態の変化などによる地域間の格差や、世帯間での教育格差なども拡大しており、社会的な分断が一層深まることも懸念されています。 「サプライチェーン」に関しては、各国・地域の法制度や政治制度等の変化、地政学的リスクやカントリーリスクの拡大が加速しています。これらによって企業は、国際的な取引や原材料調達において、新しい急激なリスクに直面する可能性が高まっています。特に、労働環境の適正化や人権への配慮が強く求められるなかで、当社及びビジネスパートナーが活動する国・地域の法制度やルールを遵守するだけでなく、現地の文化にも寄り添って事業を展開することがますます重要になると認識しています。こうした状況に対して当社は、“人に対するDNPグループの普遍的・基本的な考え方”を「人的資本ポリシー」として制定し、人的資本の強化・最大化を加速させるため、社員の心理的安全性が高く、健康で活力ある職場の実現に注力しています。具体的には、注力事業領域等の強靭な事業ポートフォリオの構築に向けた採用・人材配置・リスキリングや、多様な強みを掛け合わせる「ダイバーシティ&インクルージョン」の取り組みを推進し、社員一人ひとりの状況に配慮した働き方を実現しています。これらの取り組みを通じて当社は、社会関連の中長期的なリスクに適切に対処し、持続可能な成長につなげています。企業としての社会的責任を果たしながら、変化する社会環境に柔軟に対応することに加え、DNP自らが変革を起こしていくことが、今後の発展にとって不可欠であると考えています。当社のサプライチェーンについては、グローバルに拡大しているため、原材料の調達から生産・利用・廃棄・リサイクルまでのサプライチェーン全体を見据え、起こりうるリスクを把握・分析して、適切に解決していくマネジメントの強化がますます重要になっていると認識しています。当社は、グローバルに広がるサプライチェーン全体のリスクを的確に捉え、多様な課題を解決して持続可能な社会に貢献するため、DNPグループとサプライヤーや業務委託先の各社が取り組むべき事項として、「サステナブル調達ガイドライン」を定めています。特に、調達段階において重要度が高いテーマについては、「印刷・加工用紙調達ガイドライン」や「化学物質に関するグリーン購入ガイドライン」など、自社とサプライヤーが取り組むべき事項を個別に制定し、周知・徹底を図っています。また、定期的な「サステナブル調達ガイドライン」遵守状況の調査とその結果のフィードバック、各種説明会を通じたサプライチェーンマネジメントの強化も継続的に行っています。グループ内では、例えば購買業務のスタッフに対して、調達に関する基本的な知識やマネジメント手法の習得を目的とした専門資格取得のフォロー研修を実施するなど、社員の理解と適切な行動を促進しています。具体的な当社の活動については、「2.サステナビリティに関する考え方及び取組」及び当社Webサイトにて紹介しています。<社会関連の取り組み> https://www.dnp.co.jp/sustainability/report/pdf/DNP_sustainabilitywebarchive2024.pdf#page=34 ③ 経済関連のリスク・機会となる変動要因・経済活動関連‐ 市場・サプライチェーンのグローバル化‐ 地政学的要因によるバランス変化やサプライチェーンの分断化‐ 経済指標の急激な変動‐ 各種規制の強化・技術的動向関連‐ DXの推進・AI利用の拡大‐ デジタル技術の革新による生活・ワークスタイルの変化、グローバルネットワーク等の加速‐ 情報・サイバーセキュリティの脅威、規制の強化‐ 情報格差の拡大やプライバシー侵害 など 経済関連の中長期的なリスクは、企業の持続的な成長に直結する重要な要素であり、特にグローバル市場における経済活動や技術動向の変動が大きな影響を及ぼします。DXの推進やAIの利用拡大、デジタル技術の革新は、ビジネスモデルやワークスタイルを大きく変革させるとともに、企業の生産性や業務効率の向上、取引先等のビジネスパートナーとの接点の強化などにつながります。一方で、情報セキュリティやサイバーセキュリティへの脅威も増大しており、各国・地域での規制強化が進むなか、企業はこれらの変化を適切に把握し、迅速に対処するための体制を整える必要があります。 また、地政学的要因による世界経済のバランス変化や分断化のリスクも高まっています。各国・地域の政策の変化や法令・規制等の強化、各種経済指標の急激な変動、エネルギーや資源の供給不足・価格高騰などは、企業の経営戦略に影響を与え、事業運営の不確実性を増加させています。こうした状況に対して当社は、特定の業種・業態に偏らない数万社の企業や、自治体・各種団体、生活者と多様な事業活動を行うことで、強靭で安定的な事業基盤を強みとして構築しています。グループ全体の「オールDNP」の相乗効果を強みとし、社外のパートナーとの連携も深化・強化させて、「成長牽引事業」と「新規事業」の「注力事業領域」と、安定的に長期間キャッシュを生み出す「基盤事業」、新たな市場開拓と構造改革をともに進める「再構築事業」の4つの事業で価値創出を加速させることで、事業環境の変化に対しても揺らぐことのない強い事業ポートフォリオの構築に努めています。また、デジタル技術の進展、AIの利用拡大にともない、リアルとデジタルをつなぐ価値の創出や、事業化のスピードアップに取り組んでいます。AIを取り巻くリスクに対しても、「DNPグループAI倫理方針」を策定するなど、AIの適切かつ効果的な利活用を推進しています。このような情報システムの技術革新や利活用が進むなかで、日々巧妙化するサイバー攻撃に対しては、情報セキュリティを経営の最重要課題の一つとして捉え、体制の強化や社員教育、セキュリティ人材の採用強化などに取り組み、システムとデータの持続的な運用・保守・管理を実現するために万全を期しています。これらの情報セキュリティに対する取り組みは、当社の社会的信用を高めるだけでなく、当社が保有する知的財産やノウハウの適切な保護と活用に対しても重要な役割を果たしており、他にはない競争力の維持・向上にも寄与しています。原材料の調達における経済的な変動要素に対しては、国内外の複数のメーカーから印刷用紙やフィルム材料等を購入するなど、安定的な数量の確保と最適な調達価格の維持に努めています。しかし、地政学的リスクの高まり、石油価格や為替の変動、新興国での急激な需要の増加、天然資源の枯渇、気候変動の影響などによって需給バランスが大きく崩れる懸念があります。為替相場のリスクに対して当社は、現地生産化や為替予約などによってリスクをヘッジしていますが、これらの状況が急激に変動する場合には、業績に影響を与える可能性があります。当社は、これらの経済関連の中長期的なリスクに対して、戦略的な事業展開とリスクマネジメントを通じて、持続可能な成長に努めています。引き続きDNPグループは、未来の不確実性に立ち向かい、市場環境の変化に柔軟に対応するだけでなく、DNP自身による技術革新の挑戦を続けて、企業価値の向上に努めるとともに、持続可能な社会の実現に貢献していきます。具体的な当社の各活動については、Webサイトにて紹介しています。<部門別事業戦略> https://www.dnp.co.jp/ir/library/annual/pdf/DNP_integrated2024j.pdf#page=17<知的資本の強化> https://www.dnp.co.jp/ir/library/annual/pdf/DNP_integrated2024j.pdf#page=30<情報セキュリティ> https://www.dnp.co.jp/sustainability/report/pdf/DNP_sustainabilitywebarchive2024.pdf#page=107<責任ある調達> https://www.dnp.co.jp/sustainability/report/pdf/DNP_sustainabilitywebarchive2024.pdf#page=68