研究開発費(時系列)
| 年度 | R&D費用(億円) | 設備投資(億円) |
|---|---|---|
| 2025-12 | - | 667 |
| 2024-12 | - | 646 |
| 2023-12 | - | 623 |
| 2022-12 | - | 636 |
| 2021-12 | - | 585 |
研究開発活動(本文)
FY2025|6,500 文字
6【研究開発活動】 カメラメーカーとして創業した当社は、これまで光学技術を核に時代の要請に応じた多角化を進め、事務機、光学機器と事業領域を拡大させ、現在ではプリンティング、メディカル、イメージング、インダストリアルの4つの産業別グループでビジネスを展開しております。この間、経営と研究開発が一枚岩となって技術マネジメントに取り組み、最適なR&D体制を構築してきました。 当社が多様な事業で構成されているにもかかわらず、一つのキヤノンとして成長を続ける背景には、蓄積した技術を全社で利活用できる仕組みの存在があります。全社の技術は、商品に入る(コアコンピタンス/基盤要素)技術と商品を支える(価値創造基盤)技術、それらの技術を製品にまとめあげる商品化する技術に分類されています。商品に入る技術は単独で存在するのではなく、商品を支える技術のプラットフォームと一体となって製品設計を行うことで、他社に真似されにくい競争力のある製品を生みだしています。この開発環境は、技術を組み合わせて相乗効果を生みだすという性質から、新たに習得した技術やM&Aでグループ入りした会社の有する技術との融合にも効果を発揮し、当社が進化を続ける新たな価値創造の推進力の源となっています。 当事業年度におけるグループ全体の研究開発費は、339,288百万円であり、セグメントごとの主な研究開発の成果は次のとおりです。 Ⅰ.プリンティングビジネスユニット 商業印刷向け大型複合機は、高速印刷を実現する、熱効率を高めた定着システム「Print on Demand-Surface Rapid Fusing(POD-SURF)」を搭載した「imagePRESS Vシリーズ」を2022年より販売しています。「V1350」では、135枚/分のシリーズ最高の高速印刷を実現、印刷物の短納期化に寄与し、効率的に大量出力したい印刷業などのお客様のビジネスを力強く支援します。「V1000」では、一冊の冊子で厚紙と普通紙が混在するような印刷でも用紙ごとに定着温度を切り替える頻度を抑制し、温度調整によるダウンタイムを削減しました。厚紙と普通紙で機器を分けずに、1台で高い生産性を維持した連続印刷が可能です。「V900」では、コンパクト設計でありながら、オプションユニットの拡張性と幅広い用紙対応力で多様な印刷が可能になりました。これまで上位機種でしか採用されていなかったオプションのインライン分光センサーで、高精度な色調整がボタン一つで実施可能になり、オペレーターの負荷軽減を実現します。ハードウエアだけでなく、PRISMAsyncコントローラー使用時にはリモート印刷管理アプリ「PRISMAremote Manager」を活用することで、印刷機から離れた場所でも用紙の補充タイミングや稼働状況をリアルタイムに把握可能です。用紙切れなどのエラーを事前に防止することで、ダウンタイムを削減し業務効率化を支援します。また「imagePRESS Vシリーズ」向けに新たに開発した、エアー給紙機構を搭載して貼りつきやすい合成紙、重量のある厚紙・磁性紙なども安定して給紙できる大容量フルエアーデッキや、検品工程をインラインで自動化し、人手では負荷の大きい全数検品を実現するインスペクションシステムなどのオプションにより、印刷物の品質安定化、作業の省力化、省人化を支援します。 大判インクジェットプリンターは、スペースの限られた場所でも使いやすいコンパクトな筐体を採用したデスクトップモデル「TC-21」「TC-21M」を新たに開発し、ビジネスおよび教育分野における多様な大判出力ニーズに対応しました。また、グラフィックアート市場向けには、画質を向上させながら耐光性と光沢紙/半光沢紙での耐擦過性を強化した顔料インク「LUCIA PRO II(ルシアプロツー)」を搭載した機種を2024年より展開しています。「PRO-6600/PRO-4600/PRO-2600」は、imagePROGRAF(イメージプログラフ)シリーズ最高の写真画質とプリントの長期保存を両立させています。さらに、人目を引く鮮やかなグラフィックポスターの高速出力が可能な「GP-6600S/GP-4600S/GP-2600S」は、印刷面の擦過キズを抑制し、印刷後のカット作業や掲示の効率性を向上させています。これらグラフィックアート市場向けの機種に加え、CAD・ポスター市場向けの「TZ-32000/TX-4200/TX-3200/TX-2200」には、用紙の給紙や種類の検知、残量の推計を自動で行う「スマートロール紙セット」機能を搭載し、ロール紙セットにかかる時間を従来機種より短縮しています。また、インクセンシングシステムにより、インク吐出状態を定期的にモニタリングし、インク着弾位置を自動で最適化することで高画質を維持し、作業効率および生産性の向上に寄与しています。 オフィス向け複合機は、2024年に立ち上げた新ブランド「imageFORCE」のラインアップの強化を進め、新たに5シリーズ15モデルを発売しました。オフィスの中核機であるA3複合機“C5100”/“C6100”/“C3150”シリーズでは、光源にLEDマルチチップを採用した次世代露光デバイス「D² Exposure(ディー・スクエア・エクスポージャー)」を搭載し、キヤノンのオフィス向け複合機としては最高解像度となる4,800×2,400dpiを実現しています。また、高速印刷機“8100”シリーズでは商業印刷機の露光技術を搭載、A4複合機“C431”シリーズではトナーを刷新するなど、ラインアップ共通で高品位なプリントが可能です。セキュリティ面では、ゼロトラストポリシーに基づいて設計された強固なセキュリティ性能や、ユーザーの使用環境に最適な設定を推奨する機械学習AIを活用した環境推定エンジンを備え、IT管理者がいない企業でもセキュアな運用を支援します。高性能で使いやすい複合機とクラウド型MFP機能拡張プラットフォーム「uniFLOW Online」を介した多彩なデジタルサービスの組み合わせで、オフィス業務のデジタルトランスフォーメーションを強力にサポートします。 ビジネス向けインクジェットプリンターは、低ランニングコストを実現する特大容量タンク製品シリーズを強化しています。在宅勤務に特化したフルフロントオペレーション対応の「GX2030/GX1030」、物流・薬局・小売りで使用される用紙の種類・サイズに幅広く対応し、1台で様々な印刷ができる「GX5530」、さらには、受付業務や窓口業務に特化したフロント操作のADF(Automatic Document Feeder)による対面業務の効率化を実現した「GX6530」により、さまざまな角度からビジネスを支援していきます。 家庭用インクジェットプリンターは、仕事や趣味・学習などのさまざまなユースシーンに応える機能と使い勝手を向上させました。写真や文書印刷に適した「PIXSUS XK510/XK140/TS8930/TS7630」、特大容量タンクを搭載し大量文書を印刷するユーザーに最適な「G3390」では、ユーザーのユースシーンに合わせて選択できるUI(ユーザーインターフェース)の採用により、それぞれの活動に適した使いたい機能に素早くアクセスできます。「PIXSUS TS5530/TS5630」は、わかりやすい操作と新機構採用による印刷待機時間の短縮で、使いやすさと効率性を兼ね備えたモデルとして幅広いユーザーのニーズに応えます。また、新たなキヤノンプリンター連携サービス「MyPrint With」により、プリンターをより便利に、長く安心して使用できる環境を提供していきます。 当社は、次世代の太陽電池として注目されているペロブスカイト太陽電池の耐久性及び量産安定性を向上させることが期待される高機能材料を開発しました。ペロブスカイト太陽電池は軽量で曲げられるほか、室内光でも発電できるため、現在の主流となっているシリコン型と比較して設置の自由度が高く、設備投資コストの抑制も期待されています。新開発の高機能材料は、複合機やレーザープリンターの基幹部品である感光体の開発を通して培ってきた材料技術を応用することで、従来の構成と比較し、耐久劣化を抑制し、大幅に耐久性を高めることができることが特長です。現時点では当社の材料の採用をご検討頂いているパネルメーカーの日程に合わせ2026年の生産開始を予定しています。 当ビジネスユニットに係る研究開発費は、94,762百万円であります。 Ⅱ.メディカルビジネスユニット 当社は2025年2月に慶應義塾大学医学部放射線科学教室との産学連携により共同開発した、世界初の全身用マルチポジションCT「Aquilion Rise」を慶應義塾大学病院に設置し、臨床稼働を開始しました。本製品は、2017年5月より慶應義塾大学病院で臨床稼働している立位・座位CTにて積み重ねてきた知見や臨床ニーズを踏まえ、従来の臥位によるCT検査はもちろんのこと、さらに立位・座位での検査も可能とした、マルチポジションで検査が可能な全身用X線CT装置の世界1号機です。国内でのリリース以降、国内のみならず世界中から多くの関心を頂いており、各国の法規取得とともに、グローバルでの拡販を進めてまいります。また、フォトンカウンティングCTについても、国立がん研究センター東病院/先端医療開発センターならびに米国内でトップクラスの施設であるペンシルベニア大学に導入し、臨床研究試験を開始しました。2026年以降、欧州やカナダへの導入も計画されており、各国での早期販売の開始に向けて準備を進めてまいります。 超音波装置では「Aplio beyond」の販売を開始しました。コンパクト性と先進のイメージング技術を両立し検査効率の向上を図ることが可能となり、近年の医師の働き方改革等で課題解決に取り組む医療機関をサポートしております。一般X線撮影システムやX線マンモグラフィ装置もAIを用いて開発したノイズ低減処理「Advanced intelligent Clear-IQ Engine(AiCE)」を搭載した新製品の販売を開始しました。低ノイズ・高画質な画像を提供し、画像診断の精度向上に貢献しています。 今後は、臨床価値を追求する最先端技術を搭載した製品の開発を進めるとともに、より効率的な開発投資の実現を目指し、メディカル事業構造改革により新たな開発体制のもと、更なる原価低減にも一層注力してまいります。 当ビジネスユニットに係る研究開発費は、46,971百万円であります。 Ⅲ.イメージングビジネスユニット デジタルカメラ(デジタルシネマカメラを含む)では、多様化する動画ニーズに対応するため、デジタルシネマカメラ「EOS C50」や、「EOS/PowerShot V series」として動画クリエーター向けのミラーレスカメラ「EOS R50 V」とコンパクトデジタルカメラ「PowerShot V1」を投入しました。あわせて、動画撮影を重視したRFレンズ群を増強し、カメラとレンズの両面から動画対応製品のラインアップを充実させました。また、動画機能に加えて静止画性能も向上させたハイアマチュア向けハイブリッドモデル「EOS R6 Mark III」や、手頃な価格帯の望遠レンズおよび小型軽量の大口径単焦点レンズ等も投入しており、EOS Rシステムの総合的な価値を高めました。スマホネイティブ世代を中心に「カメラ特有の撮影体験や映像表現」が再評価され、コンパクトデジタルカメラの需要が拡大しています。その流れを受け、「IXY 650 m」を投入しました。 放送レンズにおいて、4K放送用カメラ対応フィールドズームレンズに新機能を追加するサービスの提供を開始しました。光学パーツをフィールドズームレンズに組み込むことで、背景をぼかして被写体を際立たせた印象的な映像表現「Novel Look」を実現します。 リモートカメラシステムではリモートカメラとメインカメラの色合わせを簡易化するアプリ「カメラカラーマッチングアプリケーション」を発売しました。人物の動きに合わせて自動で被写体を追尾する「自動追尾アプリケーション」の機能強化をし、幅広い映像制作現場での撮影を支援しています。 高度監視市場向け製品では、SPADセンサーの特性を活かすための開発を続けており、SPADセンサー搭載で低照度環境でも鮮明に撮影できる超高感度カメラ「MS-500」をさらにアップグレードしました。ゲインやシャッタースピードの範囲を拡大して幅広いシーンで画質を向上するとともに、補正機能の強化でより多くのユースケースをカバーできるようになりました。 製造や流通における点検・検査の自動化を支援する映像解析ソフトウェア「Vision Edition」では、AI処理により作業者の動作を把握できるようにしました。これにより、作業手順の正誤判断や品質の可視化を支援し、教育・技術伝承の高度化にも貢献しています。さらに、公共・社会インフラ分野などへの展開も推進しています。 3Dイメージングの領域においては、「ボリュメトリックビデオシステム」により、東京ドームにおける読売ジャイアンツ戦やMLB開幕戦を対象に、カメラ位置にとらわれない自由な視点からの映像を展開しました。さらに外野までの映像範囲の拡張やボール軌跡の重畳などによって野球観戦の魅力を高めました。3Dコンテンツの撮影から編集までをワンストップで実現した「ボリュメトリックビデオスタジオ-川崎」では、ミュージックビデオなどの映像制作やAR/VRの3Dコンテンツ制作で実績を積み重ねました。またMR(Mixed Reality:複合現実)では、製造業に加えて医療・イベントなど幅広い分野に新しい映像体験を提供してまいりました。 当ビジネスユニットに係る研究開発費は、112,298百万円であります。 Ⅳ.インダストリアルビジネスユニット 半導体露光装置においては、ハンコのように押し付けるシンプルな仕組みで微細な回路パターン形成を実現するナノインプリント半導体製造装置「FPA-1200NZ2C」により、最先端の半導体デバイス製造に貢献します。この装置は、投影露光装置のように光源の波長による微細化を必要としないため、消費電力やCO2の削減にも貢献しています。また、高透過率と高耐久性が特徴の新投影レンズを採用したi線ステッパー「FPA-3030i6」により、パワーデバイス、グリーンデバイスなどの製造をサポートします。 FPD露光装置においては、第6世代ガラス基板向け「MPAsp-E1003H」により、ディスプレイパネルの使用用途拡大に貢献しています。この装置は、65型パネルを一括で露光可能な第8世代ガラス基板向け投影光学系を搭載したことで、一度に露光できる幅を約1.2倍に拡大、高解像力と高生産性を両立しました。さらに車載用途に使われる横長の大型特殊ディスプレイも繋ぎ目なく2ショットで露光できるため、量産時の生産性向上に寄与します。 計測機器分野においては、判別が困難な黒色プラスチック片とその他プラスチック片を高精度に選別する「トラッキング型ラマン分光技術」を用いたプラスチック選別装置および分析装置を開発しました。再利用できるプラスチック量の最大化により、サーキュラーエコノミーの構築に寄与します。 当ビジネスユニットに係る研究開発費は、32,286百万円であります。 また、基礎研究等のその他及び全社に係る研究開発費は52,971百万円であります。 注:製品名は日本国内での名称です。
FY2024|7,061 文字
6【研究開発活動】 当社は創業当時から、業界をリードするコア製品を生みだす「コアコンピタンス技術(以下、コア技術)」と、技術蓄積のベースとなる「基盤要素技術」、さらには、商品化技術のベースとなる「価値創造基盤技術」を多様に組み合わせた「コアコンピタンスマネジメント」を展開して事業の多角化を行ってきました。 コアコンピタンスマネジメントでは、コア技術はその進化にともない、他事業でも再活用できる基盤要素技術として蓄積されていきます。たとえば、カメラの人物認識というコア技術は、AI・データ統計解析という基盤要素技術として蓄積され進化し、現在では、多角化を担うメディカル事業の医療ITシステムに組み込まれて事業の強化に貢献しています。 このコアコンピタンスマネジメントは、研究開発のプロセスのなかでは「マトリックス研究開発体制」を通して行われています。本社の研究部門とそれぞれの製品を担う事業部の開発部門がマトリックス型の体制を敷き、全社技術の利活用が可能な体系を構築しています。製品の競争力のもととなるコア技術は事業部の開発部門が主体ですが、本社の研究部門は、先行的なトレンドリサーチと基盤技術開発を担い、事業部のもつコア技術の先行的な開発につなげています。 さらに、コア技術/基盤要素技術という「製品に入る技術」と、価値創造基盤技術という「製品を支える技術」が一体となって全社で利活用が可能なホリスティックな(技術を複合的に連携できる)開発環境が整っていることが、当社の研究開発の最大の特徴となっています。これにより、製品に入る技術と製品を支える技術が強い技術として、同時に製品開発に投入されることで、競争力のある製品を生みだしています。 当事業年度におけるグループ全体の研究開発費は、337,348百万円であり、セグメントごとの主な研究開発の成果は次のとおりです。 Ⅰ.プリンティングビジネスユニット 商業印刷向け大型複合機は、高速印刷を実現する、熱効率を高めた定着システム「Print on Demand-Surface Rapid Fusing(POD-SURF)」を搭載した「imagePRESS Vシリーズ」を2022年より販売しています。「V1350」では、135枚/分のシリーズ最高の高速印刷を実現、印刷物の短納期化に寄与し、効率的に大量出力したい印刷業などのお客様のビジネスを力強く支援します。「V1000」では、一冊の冊子で厚紙と普通紙が混在するような印刷でも用紙ごとに定着温度を切り替える頻度を抑制し、温度調整によるダウンタイムを削減しました。厚紙と普通紙で機器を分けずに、1台で高い生産性を維持した連続印刷が可能です。「V900」では、コンパクト設計でありながら、オプションユニットの拡張性と幅広い用紙対応力で多様な印刷が可能になりました。これまで上位機種でしか採用されていなかったオプションのインライン分光センサーで、高精度な色調整がボタン一つで実施可能になり、オペレーターの負荷軽減を実現します。ハードウエアだけでなく、リモート印刷管理アプリ「PRISMAremote Manager」を活用することで、印刷機から離れた場所でも用紙の補充タイミングや稼働状況をリアルタイムに把握可能です。用紙切れなどのエラーを事前に防止することで、ダウンタイムを削減し業務効率化を支援します。 大判インクジェットプリンターは、基本性能の強化と印刷作業の省力化に取り組みました。新たに画質を向上させながら耐光性と光沢紙/半光沢紙での耐擦過性を強化した顔料インク「LUCIA PRO II(ルシアプロツー)」を開発しました。このインクを搭載したグラフィックアート市場向けの「PRO-6600/PRO-4600/PRO-2600」は、imagePROGRAFシリーズ最高の写真画質とプリントの長期保存を両立させました。また、広告などのグラフィックポスターの出力を担う出力センターや社内印刷部門向けの「GP-6600S/GP-4600S/GP-2600S」は、人目を引く鮮やかなポスターを高速出力するとともに、擦れによる印刷面のキズを抑制し、カット作業などの印刷後の加工や掲示を容易にしました。これらの機種と、CAD・ポスター市場向けの大判インクジェットプリンター「TZ-32000/TX-4200/TX-3200/TX-2200」は、用紙の給紙や種類の検知、残量の推計を自動で行う「スマートロール紙セット」機能を備え、給紙処理を高速化することでロール紙セットにかかる時間を従来機種より短縮しました。また、新開発のインクセンシングシステムにより、インク吐出状態を定期的にモニタリングし、インク着弾位置を自動で最適化して高画質を維持するなど、作業の効率化や生産性向上に寄与します。 オフィス向け複合機は、「imageRUNNER ADVANCE DX シリーズ」において、業界トップレベル※1の標準消費電力量(TEC2018※2)の実現、小サイズ紙の出力生産性向上、さまざまな静音化の工夫による稼働音の低減などの、複合機としての本質性能向上に加え、セキュリティ面でも強固な暗号化機能を提供する最新規格への対応など、ラインアップの強化を進めてきました。2024年に新たに加わった「imageFORCE C7165F」は、光源にLEDマルチチップを採用した次世代露光デバイス「D² Exposure(ディー・スクエア・エクスポージャー)」を搭載し、4,800×2,400dpiの高品位プリントを実現しています。また、新搭載した紙種を判別する「メディアセンサー」による用紙に応じた最適な印刷設定の自動適応や、プリンタードライバー画面上のガイダンス機能による操作性向上により、高品位成果物の内製ワークフローを簡略化します。セキュリティ面では、AIを活用したネットワーク環境分析により、最適なセキュリティ設定を推奨することで、IT管理者 がいない企業でもセキュアな運用を支援します。高性能で使いやすい複合機とクラウド型MFP機能拡張プラットフォーム「uniFLOW Online」を介した多彩なデジタルサービスの組み合わせで、オフィス業務のデジタルトランスフォーメーションを強力にサポートします。 ビジネス向けインクジェットプリンターは、低ランニングコストを実現する特大容量タンク製品シリーズを強化しています。在宅勤務に特化したフルフロントオペレーション対応の「GX2030/GX1030」、物流・薬局・小売りで使用される用紙の種類・サイズに幅広く対応し、1台で様々な印刷ができる「GX5530」、さらには、受付業務や窓口業務に特化したフロント操作のADF(Automatic Document Feeder)による対面業務の効率化を実現した「GX6530」により、さまざまな角度からビジネスを支援していきます。 家庭用インクジェットプリンターは、仕事や趣味・学習などのさまざまなユースシーンに応える機能と使い勝手を向上させました。写真や文書印刷に適した「PIXSUS XK130/TS8830」、特大容量タンクを搭載し大量文書を印刷するユーザーに最適な「G3390」では、ユーザーのユースシーンに合わせて選択できるUI(ユーザーインターフェース)の採用により、それぞれの活動に適した使いたい機能に素早くアクセスできます。 当社は、次世代の太陽電池として注目されているペロブスカイト太陽電池の耐久性及び量産安定性を向上させることが期待される高機能材料を開発しました。ペロブスカイト太陽電池は軽量で曲げられるほか、室内光でも発電できるため、現在の主流となっているシリコン型と比較して設置の自由度が高く、設備投資コストの抑制も期待されています。新開発の高機能材料は、複合機やレーザープリンターの基幹部品である感光体の開発を通して培ってきた材料技術を応用することで、従来は難しかった高い光電変換効率を維持しながら光電変換層を厚く被覆できることが特長です。今後、さらなる技術開発を進め、2025年の生産開始をめざします。 当ビジネスユニットに係る研究開発費は、100,361百万円であります。 ※1 オフィス向けカラー複合機(A4片面、毎分25-35枚の出力速度)において。2024年12月3日現在。 オフィス向けモノクロ複合機(A4片面、毎分25-45枚の出力速度)において。2024年12月3日現在。(当社調べ)※2 国際エネルギースタープログラムで定められた測定法による数値。 Ⅱ.メディカルビジネスユニット 当社では国産としては初めてのフォトンカウンティング検出器を搭載したX線CTの医療機器としての認証を2022年12月に取得、国立がん研究センター先端医療開発センター・国立がん研究センター東病院と連携し、特定臨床研究として早期のフォトンカウンティングCT(PCCT)実用化に向けた研究を推進、2024年にはオランダのラドバウド大学、広島大外、ペンシルベニア大学でも、PCCTを用いた臨床研究を開始しました。当社は、共同臨床研究で得られた意見や評価を開発にフィードバックし、PCCTの開発研究を加速します。これまでにキヤノンが培ってきた数々の技術を結集したPCCTの早期実用化を通じてCTグローバルシェアNo.1を実現し、画像診断技術のさらなる発展に寄与してまいります。超音波診断装置では「Aplio iシリーズ」のアプリケーション「Liver Package」を用いた非侵襲的な肝病態の評価法を検証する研究を支援しており、多施設共同研究「iLEAD (innovative Liver Elasticity, Attenuation, and Dispersion ultrasound study)」において、「Liver Package」の「Attenuation Imaging(ATI)」、「Shear Wave Dispersion(SWD)」、「Shear Wave Elastography(SWE)」から得られる情報が、肝臓の脂肪化、炎症、線維化と関連があることが確認され、研究成果に関する論文が国際学術誌「Radiology」に採択され臨床エビデンスとして掲載されました。 このような新たな臨床価値を生み出す技術をベースにアップストリームマーケティングを強化するべく、米国クリーブランド市近郊に「Canon Healthcare USA,Inc.」を設立し、臨床ニーズをとらえたグローバルな製品開発につなげる活動を行っています。さらに米国クリーブランド・クリニック財団と戦略的研究パートナーシップに合意し、クリーブランド・クリニックの生物医学研究や臨床ケアにおける高い専門性と当社のイメージング技術を生かして共同研究を推進しています。また、DXを取り入れた、より効率的な販売活動についても進めています。新製品や販売情報を集中管理し、お客様にとって最適な情報やテクノロジーをタイムリーに提供するという「Canon Medical Academy構想」のもと、オランダとアメリカに新たにトレーニングセンターを稼働させ、プレゼンスの向上にも取り組んでいます。 当ビジネスユニットに係る研究開発費は、52,639百万円であります。 Ⅲ.イメージングビジネスユニット レンズ交換式デジタルカメラ(デジタル一眼レフカメラ及びミラーレスカメラ)では、プロ・ハイアマチュア向けの主力モデル「EOS R5 Mark II」及び「EOS Rシステム」初のフラッグシップ機「EOS R1」を発売しました。新開発のエンジンシステムやディープラーニング技術の活用により、静止画・動画機能を進化させ、プロ・ハイアマチュア顧客の高い要望に応えるラインアップを構築しました。 また、「RFレンズ」では、動画機能を強化したハイブリッドレンズやVRレンズなどの新製品を投入し、ラインアップを拡充いたしました。 「CINEMA EOS SYSTEM」と業務用ビデオカメラにおいて、マルチカメラワークフローを効率化するワイヤレスリモートアプリケーション「Canon Multi-Camera Control」の提供を開始しました。「CINEMA EOS SYSTEM」では、印象的な映像表現を可能とするRFマウント採用・6Kフルサイズセンサ搭載の「EOS C400」「EOS C80」、RFマウント採用・通信機能拡充のCINE-SERVO レンズ「CN7×17 KAS T/R1」を発売しました。放送レンズにおいて、運用性と機能性を高めた新開発のデジタルドライブユニットを搭載した4K放送用カメラ対応ポータブルズームレンズ「CJ27e×7.3B IASE T」の発売を開始しました。 リモートカメラシステムでは映像制作から講義・会議まで用途に適した商品ラインアップを整備し、さらにリモートカメラコントローラー最上位モデル「RC-IP1000」の導入や最大200台までカメラ接続の一括管理が可能な「マルチカメラマネジメントアプリ」によりリモートプロダクションの利便性向上を実現しました。また、登録した画角へ繰り返し動作する「自動ループアプリケーション」や人物の動きに合わせて自動で被写体を追尾する「自動追尾アプリケーション」の機能強化など、映像制作の効率化・省人化や講義・会議の映像コミュニケーションを支援します。 高度監視市場向けに発売した「映像鮮明化ソフトウェア」は、カメラメーカーとして蓄積してきた膨大な画像データベースと画像処理の知見をもとに、独自開発したディープラーニング画像処理技術を採用しています。カメラ単体では避けられない低照度環境下などで発生するノイズに対して、さらなる低減処理を行うことが可能です。また、SPADセンサーの特性を活かすための開発を続けており、SPADセンサー搭載の超高感度カメラ「MS-500」をアップグレードして明暗差が大きい環境やより強いノイズ低減が求められる環境に適応できるようにしました。同時にネットワーク接続による制御や映像配信も可能とし、より多様なユーザーニーズに対応できる製品になりました。 製造や流通における点検・検査の自動化を支援する映像解析ソフトウェア「Vision Edition」のバージョンアップ版をリリースしました。大規模遠隔モニタリングに対応するため、マルチカメラ接続機能を拡張し、ビデオ管理ソフトウェア「Milestone XProtect」からの画像取得も可能です。また、画像添付可能なメール通知機能やAI画像処理との連携機能により、製造工程や物流拠点など、さまざまなシーンで顧客のDX推進に貢献しております。 3Dイメージングの領域においては、「ボリュメトリックビデオシステム」によりスポーツ放送で実際のカメラ位置にとらわれない自由な視点からの映像を展開しました。3Dコンテンツの撮影から編集までをワンストップで実現した「ボリュメトリックビデオスタジオ-川崎」では、ミュージックビデオなどの映像制作やAR/VRの3Dコンテンツ制作で実績を積み重ねました。またMR(Mixed Reality:複合現実)では、製造業をはじめとして幅広い分野に3Dデータを活用したソリューションを提供してまいります。 当ビジネスユニットに係る研究開発費は、101,200百万円であります。 Ⅳ.インダストリアルビジネスユニット 半導体露光装置においては、ハンコのように押し付けるシンプルな仕組みで微細な回路パターン形成を実現するナノインプリント半導体製造装置「FPA-1200NZ2C」により、最先端の半導体デバイス製造に貢献します。この装置は、投影露光装置のように光源の波長による微細化を必要としないため、消費電力やCO2の削減にも貢献しています。また、高透過率と高耐久性が特徴の新投影レンズを採用したi線ステッパー「FPA-3030i6」により、今後も成長が見込まれるパワーデバイス、グリーンデバイスなどの製造をサポートします。 FPD露光装置においては、第6世代ガラス基板向け「MPAsp-E1003H」により、ディスプレイパネルの使用用途拡大に貢献しています。この装置は、65型パネルを一括で露光可能な第8世代ガラス基板向け投影光学系を搭載したことで、一度に露光できる幅を約1.2倍に拡大、高解像力と高生産性を両立しました。さらに車載用途に使われる横長の大型特殊ディスプレイも繋ぎ目なく2ショットで露光できるため、量産時の生産性向上に寄与します。 計測機器分野においては、判別が困難な黒色プラスチック片とその他プラスチック片を高精度に選別する「トラッキング型ラマン分光技術」を用いたプラスチック選別装置を開発しました。再利用できるプラスチック量の最大化により、サーキュラーエコノミーの構築に寄与します。 当ビジネスユニットに係る研究開発費は、30,559百万円であります。 また、基礎研究等のその他及び全社に係る研究開発費は52,589百万円であります。 注:製品名は日本国内での名称です。
FY2023|6,610 文字
6【研究開発活動】 当社は創業当時から、業界をリードするコア製品を生みだす「コアコンピタンス技術(以下、コア技術)」と、技術蓄積のベースとなる「基盤要素技術」、さらには、商品化技術のベースとなる「価値創造基盤技術」を多様に組み合わせた「コアコンピタンスマネジメント」を展開して事業の多角化を行ってきました。 コアコンピタンスマネジメントでは、コア技術はその進化にともない、他事業でも再活用できる基盤要素技術として蓄積されていきます。たとえば、カメラの人物認識というコア技術は、AI・データ統計解析という基盤要素技術として蓄積され進化し、現在では、多角化を担うメディカル事業の医療ITシステムに組み込まれて事業の強化に貢献しています。 このコアコンピタンスマネジメントは、研究開発のプロセスのなかでは「マトリックス研究開発体制」を通して行われています。本社の研究部門とそれぞれの製品を担う事業部の開発部門がマトリックス型の体制を敷き、全社技術の利活用が可能な体系を構築しています。製品の競争力のもととなるコア技術は事業部の開発部門が主体ですが、本社の研究部門は、先行的なトレンドリサーチと基盤技術開発を担い、事業部のもつコア技術の先行的な開発につなげています。 さらに、コア技術/基盤要素技術という「製品に入る技術」と、価値創造基盤技術という「製品を支える技術」が一体となって全社で利活用が可能なホリスティックな(技術を複合的に連携できる)開発環境が整っていることが、当社の研究開発の最大の特徴となっています。これにより、製品に入る技術と製品を支える技術が強い技術として、同時に製品開発に投入されることで、競争力のある製品を生みだしています。 当期におけるグループ全体の研究開発費は、331,914百万円であり、セグメントごとの主な研究開発の成果は次のとおりです。 Ⅰ.プリンティングビジネスユニット 商業印刷向け大型複合機においては、定着ベルトの温度を均一に制御できる大径加熱ローラーと、用紙との接触面積が広いワイドニップを用いた新定着システム「POD-SURF」を開発し、「imagePRESS V1350」と「imagePRESS V1000」の2機種に搭載しました。「imagePRESS V1350」では、従来機種より35%向上した135枚/分のシリーズ最高の高速印刷を実現し、印刷物の短納期化に寄与します。「imagePRESS V1000」では、一冊の冊子で厚紙と普通紙が混在するような印刷でも用紙ごとに定着温度を切り替える頻度を抑制し、温度調整によるダウンタイムを削減しました。厚紙と普通紙で機器を分けずに、1台で高い生産性を維持した連続印刷が可能です。「imagePRESS V900」では、コンパクト設計でありながら、オプションユニットの拡張性と幅広い用紙対応力で多様な印刷が可能になりました。これまで上位機種でしか採用されていなかったオプションのインライン分光センサーで、高精度な色調整がボタン一つで実施可能になり、オペレーターの負荷軽減を実現します。ハードウエアだけでなく、リモート印刷管理アプリ「PRISMAremote Manager」を活用することで、印刷機から離れた場所でも用紙の補充タイミングや稼働状況をリアルタイムに把握可能です。用紙切れなどのエラーを事前に防止することで、ダウンタイムを削減し業務効率化を支援します。 プロダクションCAD市場向けの大判インクジェットプリンター「imagePROGRAF TZ-30000 MFP」は、業界初となる「ストップレスロール紙交換システム」を搭載しています。本体にセットされた上下2段のロール紙のうち、一方が印刷中でも、もう一方のロール紙交換が可能となり、ダウンタイムを削減します。また、ポスター市場向けの「imagePROGRAF GP-4000/GP-2000/GP-300/GP-200」は、業界初となる蛍光インクを搭載し、ポスター印刷での明度と彩度を向上させ、明るく柔らかな色表現が可能になりました。図面印刷とポスター印刷のマルチユースに対応する「imagePROGRAF TM-355/350/340/255/250/240」はフラットトップデザインを採用し、ユーザーにロール紙を置く作業スペースとして平らな天面をご活用頂く事で、手間のかかるロール紙交換を簡単にしました。 オフィス向け複合機においては、「imageRUNNER ADVANCE DX シリーズ」のラインアップを強化しています。新開発の低融点トナーにより定着温度を下げたことで、業界トップレベル※1の標準消費電力量(TEC2018※2)を実現しており、加えて小サイズ紙の出力生産性向上や、さまざまな静音化の工夫により稼働音の低減を図るなど、複合機としての本質性能を向上させています。増加するセキュリティリスクに対しても、ネットワークに接続されるIoT機器として、データの保存や通信において強固な暗号化機能を提供する「TPM 2.0」や「TLS 1.3」、無線LANのセキュリティプロトコル「WPA3」といった最新規格への対応、米国政府機関が定めたセキュリティ基準を示すガイドライン「NIST SP 800-171/172/193」への対応、「ネットワーク機能付き事務機セキュリティーガイドライン」への適合を示す「BMSec」マークの取得を行っています。加えて、「imageRUNNER ADVANCE DX シリーズ」はクラウド型MFP機能拡張プラットフォーム「uniFLOW Online」を介して、認証によるセキュアな印刷や集計レポート機能、さまざまなクラウドサービスとの連携や在宅勤務時でもオフィス同様のセキュリティを保って業務印刷が行える機能などを実現し、幅広いユーザーの業務のさらなる効率化に寄与します。使いやすく高性能な複合機と多彩なデジタルサービスの組み合わせで、オフィス業務のデジタルトランスフォーメーションを強力にサポートします。 家庭用インクジェットプリンター「PIXUS XK120/TS8730/TS6730/TS6630」は、仕事や趣味・学習などのさまざまなユースシーンに応える機能と使い勝手を向上させました。写真や文書印刷に適した「XK120/TS8730」には、ユーザーのユースシーンに合わせて選択できるUI(ユーザーインターフェース)を採用し、少ない操作でプリントやスキャンなどを行えます。文書を印刷するユーザーに最適な「TS6730/TS6630」では、新開発のインクカートリッジの採用により、導入しやすいスタンダードモデルながら高速な文書スピードを実現しています。また、ビジネス向けインクジェットプリンターについては、低ランニングコストを実現する特大容量タンクを搭載した各種のプリンターを発売しました。在宅勤務に特化したフルフロントオペレーション対応の「GX2030/GX1030」、物流・薬局・小売りで使用される用紙の種類・サイズに幅広く対応し、1台で様々な印刷ができる「GX5530」、さらには、受付業務や窓口業務に特化したフロント操作のADFによる対面業務の効率化を実現した「GX6530」により、さまざまな角度からビジネスを支援していきます。 当ビジネスユニットに係る研究開発費は、97,925百万円であります。 ※1 オフィス向けカラー複合機(A4片面、毎分25-35枚の出力速度)において。2023年8月1日現在。 オフィス向けモノクロ複合機(A4片面、毎分25-45枚の出力速度)において。2022年9月27日現在。(当社調べ)※2 国際エネルギースタープログラムで定められた測定法による数値。 Ⅱ.メディカルビジネスユニット 当社では国産としては初めてのフォトンカウンティング検出器を搭載したX線CTの医療機器としての認証を2022年12月に取得、国立がん研究センター先端医療開発センター・国立がん研究センター東病院と連携し、特定臨床研究として早期のフォトンカウンティングCT(PCCT)実用化に向けた研究を推進し、新たな診断法の開発とその臨床的有用性の探索を行っています。加えて、専用の椅子に座ったままでも全身をスキャンできる世界初の全身用320列面検出器型の立位・座位CTの開発にも取り組んでおり、既に国内における健診での活用が開始されています。 このような新たな臨床価値を生み出すユニークな技術をベースにアップストリームマーケティングを強化するべく、米国クリーブランド市近郊に「Canon Healthcare USA,Inc.」を設立し、臨床ニーズをとらえたグローバルな製品開発につなげる活動を行っています。 また、2023年11月には米国クリーブランド・クリニック財団と当社は、患者さんにとってより良い医療を実現する画期的な医用画像ソリューションおよびヘルスケアIT技術の開発を目指す戦略的研究パートナーシップに合意しました。クリーブランド・クリニックの生物医学研究や臨床ケアにおける高い専門性と当社のイメージング技術を生かして共同研究を推進していきます。 超音波診断装置では2023年度科学技術分野の文部科学大臣表彰において、「2つの基本波の差周波と第2高調波を利用する超音波診断装置の開発」が科学技術賞(開発部門)を受賞しました。また画像処理の分野において2023年度全国発明表彰「心臓血管内治療中における治療用器具の表示方法改善の発明(特許第5523791号)」が「発明協会会長賞」および「発明実施功績賞」を受賞いたしました。 当ビジネスユニットに係る研究開発費は、47,182百万円であります。 Ⅲ.イメージングビジネスユニット レンズ交換式デジタルカメラ(デジタル一眼レフカメラ及びミラーレスカメラ)の世界市場において、2003年から21年連続で台数シェアNo.1※3を達成しました。これからも基本コンセプトである「快速・快適・高画質」を追求し続けることで、幅広い製品ラインアップを揃え、写真・映像文化の発展に貢献していきます。 「EOS Rシステム」では、さらなるラインアップ拡充として、小型・軽量のフルサイズミラーレスカメラ「EOS R8」やAPS-Cサイズのエントリーモデル「EOS R50」、「EOS R100」を発売しました。一眼レフカメラからの買い替えを促進するとともに、初めてフルサイズカメラやレンズ交換式カメラを使用するユーザーでも本格的な撮影を気軽に楽しめるモデルを投入することで、多様化する顧客のニーズにお応えし、新規顧客獲得に努めています。 また、「RFレンズ」では、大口径望遠ズームレンズ「RF100-300mm F2.8 L IS USM」や静止画撮影・映像制作現場両方のニーズに応える大口径標準ズームレンズ「RF24-105mm F2.8 L IS USM Z」、APS-C 専用の「RF-Sレンズ」2機種など、9機種をラインアップに加え累計41本まで拡充しています。 超高感度カメラでは、世界最高画素数の約320万画素※4 1.0型SPADセンサーを搭載した「MS-500」を発売しました。当社は、SPADセンサーをはじめ、放送用レンズ、カメラの映像エンジンなどを自社で開発・製品化しています。各デバイスの特性と知見を十分に生かすことで、センサーやレンズの性能の良さを引きだしつつ、解像感や階調・色再現性の基本性能を向上しています。また、「映像鮮明化ソフトウエア」は、カメラメーカーとして蓄積してきた膨大な画像データベースと画像処理の知見をもとに、独自開発したディープラーニング画像処理技術を採用しています。カメラ単体では避けられない低照度環境下などで発生するノイズに対して、さらなる低減処理を行うことが可能です。 製造や流通などにおける点検・検査の自動化を支援する映像解析ソフトウエア「Vision Edition」では、大規模遠隔監視システムに対応するためのマルチカメラ接続や、ビデオ管理ソフトウエア「Milestone XProtect」からの映像取得が可能になりました。また、画像添付可能なメール通知機能やAI画像処理との連携機能なども新機能として追加し、より多くの場面で顧客のDX推進に貢献してまいります。 リモートカメラシステムでは、パン、チルト機構とズーム機能を備えた「CR-N100」で映像出力機能を講義や会議市場向けに改良することで従来機種からのローコスト化を実現しました。リモートカメラコントローラー「RC-IP1000」はIP接続され入力されたリモートカメラ映像を最大9台分表示し、表示映像のタッチ操作で制御カメラの切り替えが可能です。また最大200台までのカメラ接続が可能な「マルチカメラマネジメントアプリ」や人物の動きに合わせて自動で被写体を追尾する「自動追尾アプリケーション」、登録した画角へ繰り返し動作する「自動ループアプリケーション」によって、作業負荷軽減や省人化を支援します。 「CINEMA EOS SYSTEM」と業務用ビデオカメラにおいては、ファームウエアアップデートによる商品力強化を図りました。またiPhoneアプリ「Canon Multi-Camera Control」は複数カメラの状態や映像表示可能とし、効率的な機材設定やリモート撮影ができるようになるなど、マルチカメラワークフローの効率化が実現できます。 映像ソリューションにおいては、「ボリュメトリックビデオシステム」によりスポーツ放送で実際のカメラ位置にとらわれない自由な視点からの映像を展開しました。3Dコンテンツの撮影から編集までをワンストップで実現した「ボリュメトリックビデオスタジオ-川崎」では、CMやミュージックビデオ、TV番組で実績を積み重ね、虎ノ門ヒルズの情報発信拠点「TOKYO NODE」にも最先端のボリュメトリックビデオスタジオを開設しました。東京から世界に発信するためのクリエイティブエコシステム作りを目指します。 当ビジネスユニットに係る研究開発費は、93,834百万円であります。 ※3 2024年3月現在。(当社調べ)※4 映像撮影用のSPADセンサーとして。2023年7月31日現在。(当社調べ)有効画素数約210万画素。 Ⅳ.インダストリアルビジネスユニット 半導体露光装置においては、ハンコのように押し付けるシンプルな仕組みで微細な回路パターン形成を実現するナノインプリント半導体製造装置「FPA-1200NZ2C」により、最先端の半導体デバイス製造に貢献します。この装置は、投影露光装置のように光源の波長による微細化を必要としないため、消費電力やCO2の削減にも貢献しています。また、広画角と高解像力の両立により、フルサイズCMOSセンサーの製造に求められる高解像力での一括露光を実現するi線ステッパー「FPA-5550iX」により、拡大が期待されるXR市場等の幅広いデバイス製造をサポートします。 FPD露光装置においては、第8世代ガラス基板にて、高生産性と高精細化を両立したIT機器用ディスプレイ向け露光装置「MPAsp-H1003H」により、需要が増加するノートPCやタブレット向けディスプレイパネルのニーズに応えています。この装置は第6世代ガラス基板向け露光装置の超解像技術を採用しており、1.5マイクロメートルの解像力を実現しています。また、従来から定評のある高速ステージ技術の進化改良により生産性向上にも寄与しています。 計測機器分野においては、リサイクルの際に判別が困難な黒色プラスチック片とその他プラスチック片を高精度に選別する「トラッキング型ラマン分光技術」を開発し、再利用できるプラスチック量の最大化を目指します。 当ビジネスユニットに係る研究開発費は、27,872百万円であります。 また、基礎研究等のその他及び全社に係る研究開発費は65,101百万円であります。 注:製品名は日本国内での名称です。
FY2022|7,267 文字
5【研究開発活動】 当社は創業当時より、業界をリードするコア製品を生み出す「コアコンピタンス技術(以下、コア技術)」と、技術蓄積のベースとなる「基盤要素技術」、さらには成長の中で蓄えられてきたキヤノンブランドを支える技術・ノウハウであり、商品化技術のベースとなる「価値創造基盤技術」を多様に組み合わせた「コアコンピタンスマネジメント」を展開して事業の多角化を行うと共に、事業の競争力を高めてきました。 研究開発における主要戦略としては、1.「基盤要素技術と価値創造基盤技術のさらなる強化」、2.「強いコア技術と基盤要素技術に基づく次なる事業の芽の創出」、及び3.「時代の要請に応じたイノベーション型の技術開発の強化」を掲げ、その取り組みを進めています。 1.では、価値創造基盤技術をさらに進化させることによって、現行事業の高効率化に貢献します。並行して現行事業がもつ幅広いコア技術のエッセンスを抽出し、基盤要素技術を深化させ、新規事業のコア技術に注入します。これにより、現行事業と新規事業の競争力の徹底強化を図ります。 2.では、例えば、インク・トナー材料の基礎となる材料技術を生かした新たな機能性材料、特徴ある材料を生かした装置を開発し、事業の芽につながる次世代技術の育成に取り組む等、技術多角化を通して、新事業領域の開拓につなげていきます。 3.では、DXやカーボンニュートラルなどのトレンドを捉え、企業価値の向上につながる技術開発を推進します。特に、多様なサービスの結合を可能とするサイバー(仮想)空間と人との接点であるフィジカル(現実)空間、これらを高度に融合するサイバー&フィジカルシステムに注目しています。フィジカル領域において世界トップレベルのコア技術に、アライアンスなども活用しながら高度なサイバー技術の拡張開発を進め、一歩先を行くサイバー&フィジカルのビジネスモデルと商品を開発し、さまざまなイノベーションを生み出していきます。 当期におけるグループ全体の研究開発費は、306,730百万円であり、セグメントごとの主な研究開発の成果は次のとおりです。 Ⅰ.プリンティングビジネスユニット オフィス向け複合機においては、「imageRUNNER ADVANCE DX シリーズ」のラインアップを強化しています。新開発の低融点トナーにより定着温度を下げたことで、業界トップレベル※1の標準消費電力量(TEC2018※2)を実現しており、加えて小サイズ紙の出力生産性向上や、さまざまな静音化の工夫により稼働音の低減を図るなど、複合機としての本質性能を向上させています。増加するセキュリティリスクに対しても、ネットワークに接続されるIoT機器として、データの保存や通信において強固な暗号化機能を提供する「TPM 2.0」や「TLS 1.3」、無線LANのセキュリティプロトコル「WPA3」といった最新規格に対応を行っています。加えて、「imageRUNNER ADVANCE DX シリーズ」はクラウド型MFP機能拡張プラットフォーム「uniFLOW Online」を介して、認証によるセキュアな印刷や集計レポート機能、さまざまなクラウドサービスとの連携や在宅勤務時でもオフィス同様のセキュリティを保って業務印刷が行える機能などを実現し、業務のさらなる効率化に寄与します。使いやすく高性能な複合機と多彩なデジタルサービスの組み合わせで、オフィス業務のデジタルトランスフォーメーションを強力にサポートします。 商業印刷向け大型複合機においては、定着ベルトの温度を均一に制御できる大径加熱ローラーと、用紙との接触面積が広いワイドニップを用いた新定着システム「POD-SURF」を開発し、「imagePRESS V1350」と「imagePRESS V1000」の2機種に搭載しました。「imagePRESS V1350」では、従来機種より35%向上した135枚/分のシリーズ最高の高速印刷を実現し、印刷物の短納期化に寄与します。「imagePRESS V1000」では、一冊の冊子で厚紙と普通紙が混在するような印刷でも用紙ごとに定着温度を切り替える頻度を抑制し、温度調整によるダウンタイムを削減しました。厚紙と普通紙で機器を分けずに、1台で高い生産性を維持した連続印刷が可能です。「imagePRESS V900」では、コンパクト設計でありながら、オプションユニットの拡張性と幅広い用紙対応力で多様な印刷が可能になりました。これまで上位機種でしか採用されていなかったオプションのインライン分光センサーで、高精度な色調整がボタン一つで実施可能になり、オペレーターの負荷軽減を実現します。ハードウェアだけでなく、リモート印刷管理アプリ「PRISMAremote Manager」を活用することで、印刷機から離れた場所でも用紙の補充タイミングや稼働状況をリアルタイムに把握可能です。用紙切れなどのエラーを事前に防止することで、ダウンタイムを削減し業務効率化を支援します。 プロダクションCAD市場向けの大判インクジェットプリンター「imagePROGRAF TZ-30000 MFP」は、業界初となる「ストップレスロール紙交換システム」を搭載しています。本体にセットされた上下2段のロール紙のうち、一方が印刷中でも、もう一方のロール紙交換が可能となり、ダウンタイムを削減します。また、ポスター市場向けの「imagePROGRAF GP-4000/GP-2000/GP-300/GP-200」は、業界初となる蛍光インクを搭載し、ポスター印刷での明度と彩度を向上させ、明るく柔らかな色表現が可能になりました。 家庭用インクジェットプリンター 「PIXUS XK500/XK110/TS8630/TS3530」は、仕事や趣味・学習などのさまざまなユースシーンに応える機能と使い勝手を向上させました。「XK500」の4.3型液晶タッチパネルは、素早く簡単に写真印刷ができるUI を採用しています。「XK110」のタッチパネルには、「標準モード」に加えて、「仕事」「学習」「ライフ」といったシーンごとに使う機能をまとめた「Switch UI」を新たに採用しました。また、「TS8630」には「かんたんモード」を採用し、よく使う機能の設定を簡素化することで、手軽にプリントやコピーが行えます。加えて、特大容量タンクを搭載した「G3370/G1330」では、低ランニングコストと新デザインによる使いやすさを実現します。 特大容量タンク搭載のビジネス向けインクジェットプリンター「GX5030/GX4030」は、低ランニングコストながら全色顔料インク採用で高画質を実現しました。窓付き封筒やポスター、ラベル用紙などの多様な用紙にも対応し、1台でさまざまな制作物を印刷できます。さらに「GX4030」は、「背面水平トレイ」をサポートし、厚手の用紙を曲げることなく給紙でき、ビジネスシーンで使用するさまざまな掲示物の印刷に対応しています。 当ビジネスユニットに係る研究開発費は、100,422百万円であります。 ※1 オフィス向けカラー複合機(A4片面、毎分70枚の出力速度)において。2021年7月5日現在。 オフィス向けモノクロ複合機(A4片面、毎分25-45枚の出力速度)において。2022年9月27日現在。(当社調べ)※2 国際エネルギースタープログラムで定められた測定法による数値。 Ⅱ.イメージングビジネスユニット レンズ交換式デジタルカメラ(デジタル一眼レフカメラ及びミラーレスカメラ)の世界市場において、2003年から19年連続で台数シェアNo.1※3を達成しました。これからも基本コンセプトである「快速・快適・高画質」を追求し続けることで、幅広い製品ラインアップを揃え、写真・映像文化の発展に貢献していきます。 「EOS Rシステム」では、さらなるラインアップ拡充として、「EOS R7」「EOS R10」を発売しました。APS-Cサイズのセンサーでありながら、上位機種である「EOS R3」のオートフォーカス被写体検出技術を継承するなど、静止画・動画撮影のあらゆる面で高い性能を備えています。 また、「RFレンズ」では、ミラーレスカメラ用の大口径超望遠レンズとして大幅な小型・軽量を実現した「RF800mm F5.6 L IS USM」「RF1200mm F8 L IS USM」や、APS-C 専用の「RF-Sレンズ」2機種など、6機種をラインアップに加え累計32本まで拡充しています。 ネットワークカメラでは、低照度性能、ワイドダイナミックレンジ、配信・圧縮性能を大幅に強化したラインアップに刷新しました。高度監視カメラでは、赤外撮影時の赤みを低減した自然な色調での撮影機能を開発し、ノイズを抑えた鮮鋭な画質で低照度環境での視認性を向上しています。映像解析ソフトウエアでは、独自のAIを利用して、指定した場所を通過する大人数のカウントが可能な「群衆通過カウント」を開発し、大型イベントでの人数推移の把握など、様々なシーンに応用できるようになりました。また、ネットワークカメラをAIカメラ化できる「AIアクセラレーター」と専用映像解析アプリケーションを開発しました。映像解析に必要な学習をしたディープラーニングモデルをmicroSDカード型のハードウェアに内蔵することで、AIカメラではない従来のネットワークカメラでもAIを使った複雑な映像解析が可能となります。 社会インフラ点検向けサービスとしては、橋梁やトンネルなどの画像からひび割れや漏水といった変状を検知するAIを開発してきましたが、2022年11月より、そのAI技術でひび割れ等を検知するクラウドサービスの提供を開始しました。これにより、高速道路や鉄道といったより多くの構造物の点検作業の高度化・効率化に貢献して参ります。 「CINEMA EOS SYSTEM」においては、デジタルシネマカメラ「EOS R5 C」は、自社開発のフルサイズCMOSセンサーと、映像エンジン「DIGIC X」の搭載により、8K/30P・RAW動画に加え、外部電源供給による8K/60P・RAW動画の内蔵記録を実現しました。また、デジタルシネマカメラの機能拡張ユニット「EU-V3」は、オンエア中の映像がどのカメラで撮影した映像かを認識できるようにするタリー機能や、オンエア中の映像をカメラマンが確認するためのリターン機能など、ライブ制作用のシステムカメラに求められる機能を使用可能とし、「EOS C500 Mark Ⅱ」と「EOS C300 Mark Ⅲ」のライブ制作における運用性を高めます。 業務用4Kビデオカメラにおいては、「XA60」と「XA75/70」はUSB接続で映像伝送を可能にする通信規格「UVC(USB Video Class)」に対応することで、昨今、普及が加速しているストリーミング配信にも活用用途を広げました。 映像制作用のリモートカメラシステムにおいては、パン、チルト機構とズーム機能を備えた「CR-N700」は業務用4Kビデオカメラ同等の映像プラットフォームを採用し、4K/60Pの高品位映像の撮影が可能です。また、キヤノン独自のIP「XCプロトコル」や映像制作現場にて広く普及する「NDIIHX」※4に加え、高品質・低遅延・安全な映像伝送を特長に、近年広く採用されている「SRTプロトコル」※5に対応し、リモートカメラシステムとしての拡張性、安全性を高めつつ、さまざまな機器との連携が可能です。 また、新たな映像制作手法であるバーチャルプロダクションにおいても活用できるよう「free-d プロトコル」※6にも対応し、高品質なVR/AR映像制作に貢献します。映像ソリューションにおいては「ボリュメトリックビデオシステム」(旧称:自由視点映像生成システム)で、撮影・映像生成技術の改良により画質の改善を進め、プロ野球、バスケットボール、柔道、競輪などのスポーツ放送に、実際のカメラ位置にとらわれない自由な視点からの映像を展開しました。3Dコンテンツの撮影から編集までをワンストップで実現した「ボリュメトリックビデオスタジオ-川崎」では、CMやミュージックビデオ、TV番組で実績を積み重ね、さらに虎ノ門ヒルズエリアにおける11社XRコンテンツ開発プロジェクトに参画しました。東京から世界に発信するためのクリエイティブエコシステムの構築を目指します。 当ビジネスユニットに係る研究開発費は、86,343百万円であります。 ※3 2022年3月現在。(当社調べ)※4 NDIは、NewTek, Inc.の米国およびその他の国における商標または登録商標。※5 Haivision社によって開発、オープンソース化され、SRTAllianceを通じてサポートされている映像伝送プロト コル。「Secure Reliable Transport」の略。※6 主にバーチャルスタジオシステムにおいてカメラのトラッキング情報伝達用に広く採用されているプロトコル。 Ⅲ.メディカルビジネスユニット 国産初のフォトンカウンティング検出器搭載型X線CT(以下PCCT)を開発し、国立がん研究センターに設置され、今後の実用化に向けた研究が開始されています。PCCTには、レドレン社の検出器材料を生産する結晶製造/加工技術を生かした、高品質な最新のモジュラー型フォトンカウンティング検出器が搭載されております。最新のモジュラー型にしたことで、検出器サイズの拡張や、製造、サービスコストの低減が可能となります。レドレン社の技術に、当社独自のAI画像再構成や解析技術などを融合した次世代のPCCTを実用化することで、CTグローバルシェアNo.1の早期実現を目指します。また、レドレン社のフォトンカウンティング検出器を全世界の医療機器メーカーに供給することで、画像診断技術の発展に寄与してまいります。 超音波診断装置では2022年度全国発明表彰において、「低速微細血流を映像化する超音波映像装置用信号処理法の発明:Superb Micro-vascular Imaging(SMI)(特許第6553140号)」が「経済産業大臣賞」および「発明実施功績賞」を受賞しました。 「Altivity」ブランドのもと、これまでAI技術の一つであるディープラーニングを画像再構成に適用した「AiCE」をはじめ、ヘルスケアITの分野においても「Automation Platform」のような読影業務の効率化を支援するシステムをAI技術の活用により実現してまいりました。また、AI技術を使ったがん診断領域における様々な診断支援ソリューションの開発も進めております。例えば、すい臓がんの発見に不可欠な膵管の抽出も、当社の高精細CT画像に独自のAI技術を適用することで、数ミリ程度と言われる細い膵管の抽出が可能となり、すい臓がんの早期発見、早期治療への貢献が期待されています。次のステップとして画像及び非画像を用いた診断支援システムへの展開を進めてまいります。 当ビジネスユニットに係る研究開発費は、45,262百万円であります。 Ⅳ.インダストリアルビジネスユニット 半導体露光装置においては、新たなアフターサービスとしてソリューションプラットフォーム「Lithography Plus」を加え、装置のリアルタイム分析、異常時の自動復旧、最適な製造条件提案等、当社の露光装置を導入しているユーザーの生産性向上に貢献しています。また、「NILによる超微細半導体の省エネルギー加工技術」が、半導体製造時の消費電力削減に貢献し、今後のIoT(Internet of Things)社会の急速な拡大を支える技術として評価され、国立研究開発法人 国立環境研究所/日刊工業新聞社主催、環境省後援の第49回環境賞で優良賞を受賞いたしました。ポストSi半導体として他分野で注目される化合物半導体などのデバイス製造に対応し、半導体製造に必要な総コストの指標であるCoO(Cost of Ownership)を低減したi線ステッパー「FPA-3030i5a」により、多様な半導体デバイス製造を可能としました。これにより今後需要が見込まれる車載向けパワーデバイスや5G対応の通信デバイスなどの半導体デバイス製造に対応していきます。また、後工程向けi線ステッパー「FPA-5520iV LF2オプション」では、現行機種の基本性能を継承しつつ、繋ぎ露光による100×100mmの超広画角を実現しており、半導体業界に新しいパラダイムを生むと言われる先端パッケージングのニーズに応えています。 FPD露光装置においては、第8世代ガラス基板にて、高生産性と高精細化を両立したIT機器用ディスプレイ向け露光装置「MPAsp-H1003H」をラインアップに追加しました。第8世代ガラス基板向け露光装置に第6世代ガラス基板向け露光装置の超解像技術を採用することで、第8世代ガラス基板でも1.5マイクロメートルの解像力を実現しています。また、従来から定評のある高速ステージ技術の進化改良により生産性向上にも貢献しています。 真空分野においては、2021年度日本真空工業会表彰にて「EC7430誘電体成膜用スパッタリング装置製品化」が真空装置部門賞を受賞いたしました。 当ビジネスユニットに係る研究開発費は、25,900百万円であります。 また、基礎研究等のその他及び全社に係る研究開発費は48,803百万円であります。 注:製品名は日本国内での名称です。
FY2021|5,391 文字
5【研究開発活動】 当社は創業当時より、業界をリードするコア製品を生み出す「コアコンピタンス技術(以下、コア技術)」と、技術蓄積のベースとなる「基盤要素技術」、さらには成長の中で蓄えられてきたキヤノンブランドを支える技術・ノウハウであり、商品化技術のベースとなる「価値創造基盤技術」を多様に組み合わせた「コアコンピタンスマネジメント」を展開して事業の多角化を行うと共に、事業の競争力を高めてきました。 研究開発における主要戦略としては、1.「基盤要素技術と価値創造基盤技術のさらなる強化」、2.「強いコア技術と基盤要素技術に基づく次なる事業の芽の創出」、及び3.「時代の要請に応じたイノベーション型の技術開発の強化」を掲げ、その取り組みを進めています。 1.では、価値創造基盤技術をさらに進化させることによって、現行事業の高効率化に貢献します。並行して現行事業がもつ幅広いコア技術のエッセンスを抽出し、基盤要素技術を深化させ、新規事業のコア技術に注入します。これにより、現行事業と新規事業の競争力の徹底強化を図ります。 2.では、例えば、インク・トナー材料の基礎となる材料技術を生かした新たな機能性材料、特徴ある材料を生かした装置を開発し、事業の芽につながる次世代技術の育成に取り組む等、技術多角化を通して、新事業領域の開拓につなげていきます。 3.では、DXやカーボンニュートラルなどのトレンドを捉え、企業価値の向上につながる技術開発を推進します。特に、多様なサービスの結合を可能とするサイバー(仮想)空間と人との接点であるフィジカル(現実)空間、これらを高度に融合するサイバー&フィジカルシステムに注目しています。フィジカル領域において世界トップレベルのコア技術に、アライアンスなども活用しながら高度なサイバー技術の拡張開発を進め、一歩先を行くサイバー&フィジカルのビジネスモデルと商品を開発し、さまざまなイノベーションを生み出していきます。当期におけるグループ全体の研究開発費は、287,338百万円であり、セグメントごとの主な研究開発の成果は次のとおりです。 Ⅰ.プリンティングビジネスユニットオフィス向け複合機においては、「imageRUNNER ADVANCE DX シリーズ」のラインアップを強化。新開発の低融点トナーにより定着温度を下げたことで、業界トップレベル※1の標準消費電力量(TEC2018※2)を実現しています。また、小サイズ紙の出力生産性向上や、さまざまな静音化の工夫により稼働音の低減を図るなど、複合機としての本質性能を向上させています。加えて、「imageRUNNER ADVANCE DX」9モデルはクラウド型MFP機能拡張プラットフォーム「uniFLOW Online」を介して、認証によるセキュアな印刷や集計レポート機能、さまざまなクラウドサービスとの連携などを実現し、業務のさらなる効率化に寄与していきます。使いやすく高性能な複合機と多彩なデジタルサービスの組み合わせで、オフィス業務のデジタルトランスフォーメーションを強力にサポートします。商業印刷向け大型複合機においては、「imagePRESS C10010VP/C9010VP」で検品工程を自動化する「インスペクションユニット・A1※3」の機能を拡張し、特別なスキルに依存することなく印刷業務の手間を大幅に削減。検査業務の大幅な効率化、検品工程に対する依頼主からの信頼向上に寄与します。プロダクションCAD市場向けの大判インクジェットプリンター「imagePROGRAF TZ-30000 MFP」は、業界初となる「ストップレスロール紙交換システム」を搭載。本体にセットされた上下2段のロール紙のうち、一方が印刷中でも、もう一方のロール紙交換が可能となり、ダウンタイムを削減します。また、ポスター市場向けの「imagePROGRAF GP-4000/GP-2000/GP-300/GP-200」は、業界初となる蛍光インクを搭載し、ポスター印刷での明度と彩度を向上させ、明るく柔らかな色表現が可能になりました。家庭用インクジェットプリンター「PIXUS XK100/TS8530/TS7530/TS5430」においては、新開発したWindows PC用アプリ「Canon Inkjet Smart Connect」により、直感的な操作で初心者でも簡単にプリントやスキャンが可能です。また「PIXUS XK100」は、「標準モード」のホーム画面に加え、自宅での仕事や学習によく利用する機能を一画面にまとめた「仕事/学習モード」のホーム画面の選択が可能。在宅業務や在宅学習の効率化をサポートします。当ビジネスユニットに係る研究開発費は、101,151百万円であります。 ※1 オフィス向けカラー複合機(A4片面、毎分70枚の出力速度)において。2021年7月5日現在。キヤノン調べ。※2 国際エネルギースタープログラムで定められた測定法による数値。※3 同製品をお持ちの場合は、システムのバージョンアップでバリアブル印刷の自動検品機能が使用可能。なお、 新規の使用時は、「クーリングユニット・A1」、「インスペクションコントローラー・A2」、電源ケーブル 100V(全て別売り)が必要。Ⅱ.イメージングビジネスユニットレンズ交換式デジタルカメラ(デジタル一眼レフカメラ及びミラーレスカメラ)の世界市場において、2003年から18年連続で台数シェアNo.1※4を達成しました。これからも基本コンセプトである「快速・快適・高画質」を追求し続けることで、幅広い製品ラインアップを揃え、写真・映像文化の発展に貢献していきます。2018年に導入した「EOS Rシステム」では、キヤノンのレンズ交換式カメラEOSシリーズのフルサイズミラーレスカメラにおいて、EOSシリーズ初搭載となる新開発のフルサイズ裏面照射積層型CMOSセンサーと、映像エンジン「DIGIC X」を搭載し、プロやハイアマチュアユーザーから求められる高い性能と信頼性を兼ね備えたフルサイズミラーレスカメラ「EOS R3」や、VR(Virtual Reality:仮想現実)映像撮影システム「EOS VR SYSTEM」に対応する「RF5.2mm F2.8 L DUAL FISHEYE」を含む「RFレンズ」8機種をラインアップに加えました。映像解析ソリューションとして、「群衆人数カウント」や「顔認証」などのディープラーニングを用いた映像解析技術の開発と精度向上を推し進めています。「群衆人数カウント」技術はネットワークカメラで撮影した映像や、ビデオ管理ソフトウエアに保管した録画映像から人の頭部を検出することで、人が密集している状況下における人数カウントを実現しました。さらに「顔認証」技術では、入退室管理などの個別認証へと市場のニーズが急速に拡がる中、ディープラーニングの進化とともにマスクや眼鏡装着時を含め精度向上を実現しています。画像を用いた橋梁やトンネルの点検では、撮影した画像の品質確認に手間がかかっています。この解決のため、カメラで培ったキヤノン独自の撮像面位相差AF技術「デュアルピクセルCMOS AF」を応用し、ピンボケを可視化する点検画像品質確認ツール「Inspection Image Quality Checker」を開発しました。これにより、人手による作業負荷を軽減し、点検作業全体のさらなる高度化・効率化を実現しています。業務用4Kビデオカメラにおいては、「XF605」はフラグシップモデル「XF705」と同等の高画質を実現しながらも、小型、軽量化を実現。IPストリーミング機能によりニュース番組や動画サイトでのライブ配信を可能とし、またiPhoneアプリ「Content Transfer Mobile」との連携ワークフローによって、ニュース番組の即時性を向上させます。映像制作用のリモートカメラシステムにおいては、パン、チルトとズーム機能を備えた「CR-N500」、「CR-N300」は業務用ビデオカメラ同等の4K映像プラットフォームを採用し高画質な映像撮影が可能です。また、映像制作現場にて広く普及する「NDI|HX」※5へ対応し、スイッチャーなどのNDI対応機器とネットワーク接続が可能です。更に全方向に対応するコントロールレバーを搭載したリモートカメラコントローラ「RC-IP100」やPC用ソフトウエア「リモートカメラコントロールアプリ」によって、ネットワーク接続された複数のカメラを制御可能となり、映像制作の効率化・省人化が実現できます。映像ソリューションにおいては、ラグビー国際大会へ映像を提供した「自由視点映像生成システム」の技術を応用し、3Dコンテンツの撮影から編集までをワンストップで実現した「ボリュメトリックビデオスタジオ-川崎」にて、CMやミュージックビデオ、TV番組、オンラインライブ配信の試験運用を行いました。撮影・映像生成技術の改良により画質の改善を進め、サッカーやラグビー以外のスポーツへの対応も準備しています。当ビジネスユニットに係る研究開発費は、76,028百万円であります。 ※4 2021年3月現在(当社調べ)。※5 NDIは、NewTek, Inc.の米国およびその他の国における商標または登録商標。 Ⅲ.メディカルビジネスユニットCT装置においては、新世代320列エリアディテクターCTにおいて、超解像画像再構成技術「Precise IQ Engine(PIQE:ピーク)※6」および新たな被ばく低減技術「SilverBeam Filter(シルバービームフィルター)」を導入することで、高精細画像による診断能向上や、さらなる低被ばく検査に貢献します。プレミアムクラスの超音波診断装置においても、より鮮明な画像を描出する技術やAI技術を用いて開発されたアプリケーション、そして計測の自動化機能などを搭載し、より簡単・効率的に検査が行える環境を提供し、質の高い検査の実現を追求します。公益社団法人発明協会が主催する2021年度全国発明表彰において、「大視野CT検出器用データ読み出し方法の発明(特許第5135425号)」が「恩賜発明賞」および「発明実施功労賞」を受賞しました。当社で確立された技術である「造影剤を用いずに血管を良好に描出できるMRI装置の開発」について、2021年春の褒章において当社の元社員が紫綬褒章を受章することとなりました。また、モノづくり日本会議と日刊工業新聞社が主催する2021年“超”モノづくり部品大賞において、新型コロナウイルス抗原検査キットをはじめとする迅速検査キット製品に使われている高感度検出技術「免疫光導波路センサ」が、「モノづくり日本会議 共同議長賞」を受賞しました。当社は、国立研究開発法人国立がん研究センター(東京都中央区、以下国立がん研究センター)と、2020年7月に締結した包括協定および同年11月に締結した共同研究基本契約に基づき、国立がん研究センター先端医療開発センター(千葉県柏市)および同センター東病院(千葉県柏市)と、次世代の画像診断機器として期待されているPhoton Counting Computed Tomographyの日本で初めての実用化に向けた共同研究を開始しております。当ビジネスユニットに係る研究開発費は、42,732百万円であります。 ※6 PIQEは画像再構成に用いるネットワーク構築にてディープラーニングを使用しており,本システム自体に自己学習機能は有しておりません。 Ⅳ.インダストリアルその他ビジネスユニット半導体露光装置においては、ポストSi半導体として他分野で注目される化合物半導体などのデバイス製造に対応し、半導体製造に必要な総コストの指標であるCoO(Cost of Ownership)を低減したi線ステッパー「FPA-3030i5a」により、多様な半導体デバイス製造を可能としました。これにより今後需要が見込まれる車載向けパワーデバイスや5G対応の通信デバイスなどの半導体デバイス製造に対応していきます。また、後工程向けi線ステッパー「FPA-5520iV LFオプション」では、現行機種の基本性能を継承しつつ、52×68mmの広画角を実現しており、半導体業界に新しいパラダイムを生むと言われる先端パッケージングのニーズに応えています。FPD露光装置においては、第6世代ガラス基板サイズにて解像力1.2マイクロメートルを実現する中小型ディスプレイ向け露光装置「MPAsp-E903T」を上市し、ディスプレイの更なる高精細化に貢献しています。真空分野においては、2020年度日本真空工業会表彰にて「BC7000原子拡散接合装置製品化」が真空装置部門賞を受賞致しました。当ビジネスユニットに係る研究開発費は、40,408百万円であります。 また、各ビジネスユニットに配分できない基礎研究に係る研究開発費は27,019百万円であります。 注:製品名は日本国内での名称です。
FY2020|6,514 文字
5【研究開発活動】当社は創業当時より、業界をリードするコア製品を生み出す「コアコンピタンス技術(以下、コア技術)」と、技術蓄積のベースとなる「基盤要素技術」を多様に組み合わせた「コアコンピタンスマネジメント」を展開して事業の多角化を行ってきました。また、成長の中で蓄えられてきたキヤノンブランドを支える技術・ノウハウ―品質、コスト、納期を支える技術―を価値創造基盤技術としてコアコンピタンスマネジメントに組み込んでいます。研究開発における主要戦略としては、1.「基盤要素技術と価値創造基盤技術のさらなる強化」、2.「強いコア技術と基盤要素技術に基づく次なる事業の芽の創出」、及び3.「時代の要請に応じたイノベーション型の技術開発の強化」を掲げ、その取組みを進めています。1.では、価値創造基盤技術をさらに進化させることによって、既存事業の高効率化に貢献します。並行して事業グループがもつ幅広いコア技術のエッセンスを抽出し、基盤要素技術を深化させ、新規事業のコア技術に注入します。これにより、既存事業の強化と新事業グループの成長に向けたコアコンピタンスマネジメントを推進します。2.では、その一例として、インク・トナー材料の基礎となる機能材料技術を生かした新機能材料、特徴ある材料を生かした装置を開発し、事業の芽につながる次世代技術の育成に新たに取り組むなど、技術多角化を通して、新事業領域の開拓を進めます。3.では、DXやカーボンニュートラルなどのトレンドを捉え、企業価値の向上につながる技術開発を推進します。特に、多様なサービスの結合を可能とするサイバー(仮想)空間と人との接点であるフィジカル(現実)空間、これらを高度に融合するサイバー&フィジカルシステムに注目しています。フィジカル領域において世界トップレベルのコア技術に、高度なサイバー技術をアライアンスなども活用しながら取り込み、一歩先を行くサイバー&フィジカル技術を開発します。当期におけるグループ全体の研究開発費は、272,312百万円であり、セグメントごとの主な研究開発の成果は次のとおりです。 Ⅰ.オフィスビジネスユニットオフィス向け複合機においては、「imageRUNNER ADVANCE DX」シリーズが、業界最高クラスの高速・高品質スキャナーにより、ファイルのメール添付送信や共有フォルダ―への格納などの紙文書の電子化を促進し、さらにユーザビリティーを追求したシンプルな操作パネルにより、お客様の業務の効率化に貢献します。新シリーズに搭載された新ADFは、読み取り画像の傾きを自動補正するデジタル斜行補正機能を採用することで、両面読み取りスピード最大270ページ/分※1を実現しました。また、この技術により機械的に斜行を補正する際の紙の衝突音を軽減し、高速性と静音性を両立しています。重送検知機能や汚れ防止を搭載し、原稿から情報の欠落、劣化を防ぎ、読み取りの正確性向上に貢献しています。新スキャナーと新ADFによる高速、高品質の新シリーズは、キヤノンのクラウド型MFP機能拡張プラットフォーム「uniFLOW Online」の進化に対応可能な複合機です。機能拡張との組み合わせで、さらなる業務の効率化、生産性の向上をサポートし、オフィスのデジタルトランスフォーメーションの加速を促進します。商業印刷向け大型複合機においては、「imagePRESS C10010VP/C9010VP」は、従来機種※2の高画質・高信頼性・高生産性を継承し、さらに長尺用紙や厚紙、合成紙などの用紙への対応力を強化しました。重厚感のある厚紙の名刺、合成紙を用いた耐水・耐久性に優れた飲食店のメニューなど、さまざまなグラフィックアーツ成果物を作成できます。また、長尺用紙の自動両面印刷および1,000枚の大量給紙にも新たに対応しました。三つ折りメニューのような両面の長尺成果物を大量に印刷する場合でも、給紙の手間をかけずに容易に作成できます。これらの機能拡充により、商業印刷を営むお客様のビジネス拡大を支援します。中小規模事業所向けレーザー複合機(MFP)及びレーザープリンタでは,「Satera MF260」シリーズが、さらなる省スペース化と高速化を実現したA4モノクロレーザー複合機です。設置場所に限りのある在宅勤務などのテレワークをはじめ、中小規模オフィスや医療機関、店舗、窓口などでの業務において、設置場所の自由度の向上、出力時間の短縮などによりユーザーの業務効率化に貢献します。当事業セグメントに係る研究開発費は、75,618百万円であります。 ※1 従来機種「imageRUNNER ADVANCE C5500」シリーズ(2019年1月発売)と比べ約70%アップ。A4サイズ普通紙両面カラー原稿読み取り時。※2 「imagePRESS C10000VP/imagePRESS C8000VP」(2015年10月発売)。出力速度はそれぞれ毎分100枚、毎分80枚(ともにA4ヨコ)。 Ⅱ.イメージングシステムビジネスユニットレンズ交換式デジタルカメラ(デジタル一眼レフカメラ及びミラーレスカメラ)の世界市場において、2003年から17年連続で台数シェアNo.1※3を達成しました。これからも基本コンセプトである「快速・快適・高画質」を追求し続けることで、幅広い製品ラインアップを揃え、写真・映像文化の発展に貢献していきます。2018年に導入した「EOS Rシステム」では、キヤノンのレンズ交換式カメラEOSシリーズのフルサイズミラーレスカメラにおいて、新開発のフルサイズCMOSセンサーを搭載し、さらなる高速連写や8K動画撮影を可能としたミラーレスカメラ「EOS R5」や、フルサイズセンサー搭載のカメラ用交換レンズとして、「RFマウント」の特長である大口径・ショートバックフォーカス※4を生かした設計により、焦点距離100mmから500mmのズーム全域で高画質を実現した「RF100-500mm F4.5-7.1 L IS USM」など「RFレンズ」8機種をラインアップに加えました。また、革新性・技術力・デザイン・使いやすさなどの観点から、「EOS-1D X Mark III」、「EOS 90D」、及び「RF70-200mm F2.8 L IS USM」の3製品が、世界的に権威のある写真・映像関連の賞「TIPA アワード 2020」※5、及び「EISA アワード 2020-2021」※6の両賞を受賞しましたインクジェットプリンターにおいては、家庭用インクジェットプリンター「PIXUS TS8430/TS7430/XK90」が、QRコードをスマホで読み取るだけでプリンターとダイレクト接続することができる新機能「QRコードダイレクト接続」を搭載、更に「新しい生活様式」にむけて、自宅業務での書類や資料、オンライン学習の課題や解答用紙、家族で楽しめるペーパークラフトなどの多様なプリントを自宅で簡単・便利に印刷できる新しいサービスに対応しています。また、写真やアート作品、商業広告などのグラフィックアート市場向けの大判インクジェットプリンター「imagePROGRAF PRO 6100/4100/2100/6100S/4100S」は、ロール紙を給紙部に置くだけで、自動で用紙を給紙・搬送し印刷可能な状態に調整する「自動ロール紙セット」機能を搭載、日々の作業を効率化し生産性向上に貢献しています。当事業セグメントに係る研究開発費は、52,258百万円であります。 ※3 2020年3月現在(当社調べ)。※4 最後部のレンズ面の頂点から撮像面までの光軸上の距離が短いこと。※5 2020年4月 TIPA:Technical Image Press Association (欧州を中心とした14カ国・地域のカメラ、ビデオなどの分野における主要な専門誌、30誌が加盟している業界団体)より26年連続受賞、他に「RF85mm F1.2 L USM DS」、「PowerShot G7 X Mark III」が同時受賞。※6 2020年8月 EISA:European Imaging and Sound Association (29カ国・地域のカメラ、ビデオ、オーディオなどの専門誌約55誌が加盟している欧州を代表する業界団体)より31年連続受賞、他に「EOS R5」、「RF24-70mm F2.8L IS USM」、「RF600mm F11 IS STM」、「RF800mm F11 IS STM」が同時受賞。 Ⅲ.メディカルシステムビジネスユニットCT装置においては、大開口径80列マルチスライスCT「Aquilion Exceed LB」ではディープラーニングを用いて設計された画像再構成法であるAdvanced intelligent Clear-IQ Engine-integrated (AiCE-i) を搭載することで、治療計画をはじめ、通常の診断用としても高画質を実現することが可能となり、被ばく線量の低減にも貢献します。また、放射線治療時に患部に正確かつ効率的に放射線を照射できるように、900mmの大開口径により、治療時と同じ体位で固定器具と共にCT撮影が可能となります。MRI装置においても、ディープラーニングを用いて設計したSNR向上技術「AiCE」により、高画質と撮像時間短縮の両立に必要なSNRを最大3.2倍に引き上げることができます。1.5テスラMRIと比較した3テスラMRIのSNRが理論上2倍であるため、Vantage Gracianでは3テスラMRIに匹敵する高いSNRを得ることができます。これにより、日常検査において従来の3テスラMRIのような高分解能の画像診断が可能になり、より確実な診断を支援します。読影ワークフローの効率化を図る読影支援ソリューション「Abierto RSS」として、マルチベンダによるアプリケーションが搭載できるプラットフォーム「Automation Platform」を開発、第1弾としてAIの技術の一つであるディープラーニング等を用いて設計・開発した脳卒中向けアプリケーションを提供しています。頭部単純CT画像から周囲と比べ低コントラスト及び高輝度の領域を自動で強調表示することができ、画像診断のワークフローを大幅に改善できるため、病院搬送後の迅速な治療方針の決定に役立つことが期待されます。新型コロナウイルス抗原定性検査キット「Rapiim SARS-CoV-2-N」は、公立大学法人横浜市立大学(神奈川県横浜市)との共同研究をもとに開発しました。鼻咽頭ぬぐい液に加え、医療従事者の管理下で患者様自身が採取可能な鼻腔ぬぐい液にも対応し、医療従事者への感染リスクを低減可能です。横浜市立大学が開発した抗SARS-CoV-2抗体を採用し、近縁ウイルスであるSARS-CoV、MERS、また、風邪症状を引き起こすヒトコロナウイルスや、A型インフルエンザウイルス(H1N1、H3N2)、B型インフルエンザウイルス、ライノウイルス、RSウイルス、アデノウイルス等、37種類のウイルスや細菌で交差反応を示しません。これにより、偽陽性の発生リスクを低減させています。Rapiim独自の高感度検出技術を、インフルエンザウイルス、RSウイルスに続き、SARS-CoV-2に採用し、6.64pg/mLの抗原※7、203RNAコピー/テストのウイルス※8を15分で検出します。また、多量のウイルスでは、4分で陽性を判定します。眼科機器においては、ディープラーニング技術を用いて設計した独自の新画像処理技術「Intelligent denoise」を「OCT-A1」に搭載しました。眼底の血管形態を描出したOCTA※9画像からノイズを除去し、血管の細部まで可視化された高精細OCTA画像の生成が可能です。加えて、高性能GPUを搭載することで画像処理時間を高速化し、患者さんや医療従事者の負担を軽減します。また、この上位機種である「OCT-S1」には、レーザー光源に波長掃引式光源を採用し、スキャン幅約23mm、深さ約5.3mmの超広角撮影を実現します。広範囲かつ深部に至るまでの画像を一度の撮影でとらえることが可能となり、大学病院や専門性の高い眼科医療施設での研究や診断に貢献します。当事業セグメントに係る研究開発費は、39,927百万円であります。 ※7 組換えSARS-CoV-2抗原※8 SARS-CoV-2 JPN/TY/WK-521(国立感染症研究所株)※9 Optical Coherence Tomography Angiographyの略。 Ⅳ.産業機器その他ビジネスユニット半導体露光装置においては、キヤノンの半導体露光装置として初めて大型四角基盤に対応した後工程向け露光装置「FPA-8000iW」により、高い解像力と広画角の露光、高い生産性を達成してきました。これにより半導体パッケージングのさらなる微細化と大型化、コストダウンを実現しています。FPD露光装置においては、第6世代ガラス基板サイズに対応した中小型ディスプレイ向け露光装置「MPAsp-E903T」により、解像力1.2マイクロメートル(Line and Space)での露光を実現してきました。これによりディスプレイの更なる高精細化に貢献しています。ネットワークカメラにおいては、群衆人数カウントや顔認証などのディープラーニングを用いた映像解析技術の開発を推し進めました。群衆人数カウント技術はネットワークカメラで撮影した映像や、ビデオ管理ソフトウエアに保管した録画映像から人の頭部を検出することで、人が密集している状況でも人数をカウントすることができます。また、キヤノンが開発している顔認証エンジンは、研究・開発を行う企業や研究所において客観的指標として用いられているNIST※10の評価にて高い顔認証精度が認められており、今後実用化を進めてまいります。デジタルシネマカメラにおいては、RFマウントを採用した「EOS C70」は、小型・軽量設計に加えて、4Kスーパー35mmのCMOSセンサー「DGO(Dual Gain Output)センサー」を搭載し、CanonLog2ガンマと組み合わせることで、16+ストップの広いダイナミックレンジの高画質な映像を撮影可能です。また、高速処理が可能な映像処理プラットフォーム「DIGIC DV 7」により、4K/120Pのハイフレーム動画記録や多彩な記録モードによる撮影が可能です。更にCinema EOS Systemのカメラとして初めてディープラーニング技術による被写体認識アルゴリズムを搭載し、「デュアルピクセルCMOS AF」時に被写体の頭部を検出して安定した追尾を行うほか、タッチパネル操作で素早く撮影設定を変更でき、快適な映像制作ワークフローを実現しています。映像ソリューションにおいては、サッカーやラグビーの映像を提供した「自由視点映像システム」の技術を応用し、3Dコンテンツの撮影から編集までをワンストップで実現する「ボリュメトリックビデオスタジオ」を川崎事業所内に開設しました。画像処理ハードウエアとアルゴリズムの改良により映像生成時間の短縮と精細度向上を進め、自由視点映像によるテレビ番組制作やインターネット配信を実現しました。当事業セグメントに係る研究開発費は、78,956百万円であります。 ※10 NIST(National Institute of Standards and Technology | 米国国立標準技術研究所) また、各事業セグメントに配分できない基礎研究に係る研究開発費は25,553百万円であります。 注:製品名は日本国内での名称です。
FY2019|5,618 文字
5【研究開発活動】当グループは、2016年からの5カ年計画「グローバル優良企業グループ構想 フェーズⅤ」のもと、研究開発における主要戦略として、1.「原価率45%を実現する新生産システムの確立」、2.「新規事業の強化拡大と将来事業の創出」、及び3.「オープンイノベーションによる研究開発力の強化」を掲げ、その取組みを進めています。1.では、開発・調達・生産・製造が一体となった日本のマザー工場機能を強化するとともに、ロボットの高精度化やIoT・ビッグデータ・AIなどの次世代技術の導入による生産技術の高度化を進め、トータルコストダウンを追及していきます。2.では、現行事業の横展開による関連多角化の強化として、従来とは異なる分野における当社技術の応用可能性を探り、新たな事業の創出・拡大を図ります。また、商業印刷、ネットワークカメラ、ヘルスケアなど将来有望な分野に重点的に開発投資を行い、補強的なM&Aも駆使して事業の早期拡大を図ります。3.では、より開かれた研究開発体制を構築し、広く世界から最先端技術情報を取り入れて、開発のスピードアップや効果的な成果につなげます。特に基礎研究の分野について、国内外の大学や研究機関、スタートアップとも広く連携し、共同研究・委託研究を推進します。ボストンに拠点を置くヘルスケアオプティクスリサーチラボラトリーにおいては、マサチューセッツ総合病院及びブリガム・アンド・ウィメンズ病院と連携し、超小型ファイバー内視鏡や画像誘導ナビゲーションソフトと穿刺ロボットで構成される穿刺補助システムなどの製品化に向けた開発を進めています。CMSCにおいては、AI技術の一つであるディープラーニングのMRI撮像への適応に関して、熊本大学及びボルドー大学との共同研究を進めています。また、キヤノングループと京都大学iPS細胞研究所は高品質な自己由来iPS細胞の実現に向けた共同研究を開始しました。開発効率の向上に向けては、光学設計を含めた画像形成プロセスの一貫シミュレーションシステムや、製品作動音解析、熱気流解析などのシミュレーションシステムを開発し、これらのシミュレーターによって製品開発期間の短縮及び試作台数、開発費用の削減を実現しています。当期におけるグループ全体の研究開発費は、298,503百万円であり、セグメントごとの主な研究開発の成果は次のとおりです。 Ⅰ.オフィスビジネスユニットオフィス向け複合機においては、「imageRUNNER ADVANCE Gen3 3rd Edition」シリーズが、不正プログラムの実行を防ぐ「起動時のシステム検証」と「ランタイムシステム保護」機能を新たに搭載します。さらに、大企業を中心に導入が進んでいるIT機器セキュリティー管理システム(SIEM)へ複合機の操作履歴などのログ情報を転送する機能を搭載し、脅威が生じた場合、管理者はSIEMから通知を受け取ることが可能です。業務を効率化する機能とともにセキュリティー機能を大幅に強化したことにより、多様化する脅威に対して多層的な防御を実現し、より安全なオフィス環境の構築に貢献します。商業印刷向け大型複合機においては、「imagePRESS C165」が、新たに開発した紙搬送技術により高い表裏見当精度※1を実現し、大量印刷時にも用紙の種類やサイズを問わず、印字位置のずれを抑制します。また、毎分65枚(A4ヨコ)の高い生産性を有しており、パンフレットや名刺、ポスターなどの制作作業の効率化を図ることができます。レーザープリンターにおいては、A3カラーレーザープリンターにおけるクラス最小サイズの「Satera LBP853Ci」をはじめとした「Satera」シリーズが、用途や業種にあった機能やサービスを組み合わせることで、一般オフィスに加え、流通・小売、医療・調剤など特定業務のニーズにも応じた業務の効率化に貢献します。デジタル連帳プリンターにおいては、UVインクジェット方式の高速デジタルラベルプレス「Océ LabelStream 4000」シリーズにて、品質、パフォーマンス、高密度の3つの異なる印刷モードを提供します。品質モードでは高品位の印刷で毎分50mの高い生産性を実現、パフォーマンスモードでは1時間あたり最大1,845㎡の業界トップの生産性を実現します。また、高密度モードでは長時間のセットアッププロセスに代わるコスト効率の高い代替手段を提供します。当事業セグメントに係る研究開発費は、83,557百万円であります。 ※1 両面印刷における表面と裏面の印刷位置精度のこと。 Ⅱ.イメージングシステムビジネスユニットレンズ交換式デジタルカメラ(デジタル一眼レフカメラ及びミラーレスカメラ)の世界市場において、2003年から16年連続で台数シェアNo.1※2を達成しました。また、レンズ交換式カメラEOSシリーズが2019年9月20日に累計生産台数1億台※3を達成することができました。これからも基本コンセプトである「快速・快適・高画質」を追求し続けることで、幅広い製品ラインアップを揃え、写真・映像文化の発展に貢献していきます。 新たなイメージングシステムである「EOS Rシステム」においては、キヤノンのレンズ交換式カメラEOSシリーズのフルサイズセンサー搭載モデルにおいて、最小・最軽量を実現した「EOS RP」や、フルサイズセンサー搭載のレンズ交換式カメラ用焦点距離70-200mm、開放F値2.8のレンズとして、世界最短・最軽量※4を実現した「RF70-200mm F2.8L IS USM」など「RFレンズ」6機種をラインアップに拡充し、「EOS RP」、「RF50mm F1.2 L USM」、が、世界的に権威のある写真・映像関連の賞「TIPA アワード 2019」※5、及び「EISA アワード 2019-2020」※6の両賞を受賞しました。革新性・技術力・デザイン・使いやすさなどの観点で選定されました。インクジェットプリンターにおいては、カラー複合機の「G7030」、モノクロ複合機の「GM4030」が、特大容量タンク「GIGA TANK」を搭載し、大量給紙などにより高生産性と高画質印刷を実現します。今後、「GIGA TANK」搭載モデルのラインアップを拡充し、幅広いユーザーのプリントニーズに応えていきます。また、CAD・ポスター市場向けの大判インクジェットプリンター「imagePROGRAF TA」シリーズを新たに展開します。ハイエンドモデルのコア技術を継承し、高画質プリントを実現します。また、内部構造の見直しやカッター性能の向上などにより静音化を図り、印刷時に発生する稼働音約42dbを達成しています。さまざまな印刷用途に一台で対応できるコストパフォーマンスに優れた本シリーズを投入することで、幅広い大判プリントニーズに応えます。当事業セグメントに係る研究開発費は、73,087百万円であります。 ※2 2019年3月現在(当社調べ)。※3 映像制作用のシネマカメラを含む。※4 世界最短はレンズ収納時。2019年10月現在(当社調べ)。※5 2019年4月 TIPA:Technical Image Press Association (欧州を中心とした14カ国・地域のカメラ、ビデオなどの分野における主要な専門誌、30誌が加盟している業界団体)より25年連続受賞、他に「EF400mm F2.8L IS Ⅲ USM」、「EF-M32mm F1.4 STM」が同時受賞。※6 2019年8月 EISA:European Imaging and Sound Association (29カ国・地域のカメラ、ビデオ、オーディオなどの専門誌約55誌が加盟している欧州を代表する業界団体)より31年連続受賞、他に「EF600mm F4L IS Ⅲ USM」、「RF24-105mm F4 L IS STM」、「RF28-70mm F2 L USM」が同時受賞。 Ⅲ.メディカルシステムビジネスユニットCT装置においては、新たなデュアルエナジー技術「Spectral Imaging System」をエリアディレクターCTに搭載可能となりました。これは1回のスキャンにおいて高低2種の管電圧を高速で切り替えての撮影及び、自動照射制御との併用が可能な独自の撮影技術「Spectral Scan」とディープラーニングを用いて設計された画像再構成法である「Spectral Reconstruction」から構成されます。従来のCT画像と比べ、アーチファクトの低減やコントラスト向上等の画質改善効果が得られるとともに、仮想単色X線画像の作成※7や、様々な物質の弁別が可能となります。MRI装置においては、3テスラ「Vantage Centurian」が、AIを用いて設計したノイズ除去再構成技術「Advanced intelligent Cleer-IQ Engine(AiCE)」を世界で初めて搭載しました。ディープラーニングによって、ノイズの多い画像とノイズの少ない画像との関係性を予め解析しモデル化させることで、新たに得られた画像からノイズ成分のみを選択的に除去することが可能です。また、新たな圧縮センシング応用技術をはじめとする撮像の高速化技術を搭載し、高画質化と高速化を両立します。これにより、高分解能の画像診断が可能になり、高い臨床的価値を提供するとともに、検査時間の短縮化により患者さんの負担を軽減します。眼科機器においては、ディープラーニング技術を用いて設計した独自の新画像処理技術「Intelligent denoise」を「OCT-A1」に搭載しました。眼底の血管形態を描出したOCTA※8画像からノイズを除去し、血管の細部まで可視化された高精細OCTA画像の生成が可能です。加えて、高性能GPUを搭載することで画像処理時間を高速化し、患者さんや医療従事者の負担を軽減します。また、この上位機種である「OCT-S1」には、レーザー光源に波長掃引式光源を採用し、スキャン幅約23mm、深さ約5.3mmの超広角撮影を実現します。広範囲かつ深部に至るまでの画像を一度の撮影でとらえることが可能となり、大学病院や専門性の高い眼科医療施設での研究や診断に貢献します。当事業セグメントに係る研究開発費は、38,762百万円であります。 ※7 2つの異なるX線管電圧の投影データから仮想的に算出される単色X線相当の画像。※8 Optical Coherence Tomography Angiographyの略。 Ⅳ.産業機器その他ビジネスユニット半導体露光装置においては、レンズの刷新と多様なウエハーに対応した搬送システムを組み合わせたi線ステッパー「FPA-3030iWa」により、シリコンウエハーだけでなく、電気自動車に使われるパワーデバイスや5Gへの移行により需要の拡大が見込まれる通信デバイスなどに用いられる化合物半導体のウエハーも搬送できるようになりました。ネットワークカメラにおいては、ディープラーニング技術を用いて群衆人数を算出する映像解析技術を開発しました。この技術はネットワークカメラで撮影した映像や、ビデオ管理ソフトウエアに保管した録画映像から人の頭部を検出することで、人が密集している状況でも、人数をカウントすることができます。また、指定した領域の中にいる人数の表示や、推移のグラフ表示ができるため、混雑状況の把握や分析に活用することができます。これにより、都市や公共施設、スタジアムなどの監視、イベント会場や店舗での集客状況の把握、広告効果の検証など、様々な用途での導入に期待されます。デジタルシネマカメラにおいては、5.9Kフルサイズセンサーと新開発の映像処理プラットフォームを搭載した「EOS C500 MarkⅡ」が、最大で15+ストップの広いダイナミックレンジの実現により、明暗差の大きい環境でも、高画質な映像を撮影することが可能です。また、高速処理が可能な新開発の映像処理プラットフォーム「DIGIC DV7」の搭載により5.9KRAW/60P及び4K/60P記録を実現しているほか、2K/120P記録が可能です。宇宙関連分野においては、キヤノンの新高感度CMOSセンサーを84台搭載した、東京大学木曽観測所の新観測システム「トモエゴゼン」が本格稼働を開始しました。「トモエゴゼン」の広視野動画カメラで使用されているのは、キヤノンの35mmフルサイズ超高感度CMOSセンサーです。このCMOSセンサーを84台並べることにより、合計すると約1億9,000万画素で、20平方度※9の超広視野を動画で観測することが可能です。これからもイメージングのリーディングカンパニーとして培ってきた技術力を生かして、科学技術の発展に寄与していきます。映像ソリューションにおいては、「自由視点映像生成システム」がカメラ配置や撮影方法の改善、画像処理アルゴリズムとハードウエアの改良による画質の向上や映像生成時間の短縮など技術進化を遂げました。ラグビーワールドカップ2019TM においては、7試合において自由視点映像を撮影し、ハイライトシーン映像を提供しました。当事業セグメントに係る研究開発費は、82,837百万円であります。 ※9 天文学において、空の広さを表すために用いられる単位。20平方度は満月84個分の領域に相当。 また、各事業セグメントに配分できない基礎研究に係る研究開発費は20,260百万円であります。 注:製品名は日本国内での名称です。
FY2018|6,742 文字
5【研究開発活動】当グループは、2016年からの5カ年計画「グローバル優良企業グループ構想 フェーズⅤ」のもと、研究開発における主要戦略として、1.「原価率45%を実現する新生産システムの確立」、2.「新規事業の強化拡大と将来事業の創出」、及び3.「オープンイノベーションによる研究開発力の強化」を掲げ、その取組みを進めています。1.では、開発・調達・生産・製造が一体となった日本のマザー工場機能を強化するとともに、ロボットの高精度化やIoT・ビッグデータ・AIなどの次世代技術の導入による生産技術の高度化を進め、トータルコストダウンを追及していきます。2.では、現行事業の横展開による関連多角化の強化として、従来とは異なる分野における当社技術の応用可能性を探り、新たな事業の創出・拡大を図ります。また、商業印刷、ネットワークカメラ、ヘルスケアなど将来有望な分野に重点的に開発投資を行い、補強的なM&Aも駆使して事業の早期拡大を図ります。3.では、より開かれた研究開発体制を構築し、広く世界から最先端技術情報を取り入れて、開発のスピードアップや効果的な成果につなげます。特に基礎研究の分野について、国内外の大学や研究機関、スタートアップとも広く連携し、共同研究・委託研究を推進します。ボストンに拠点を置くヘルスケアオプティクスリサーチラボラトリーにおいては、マサチューセッツ総合病院及びブリガム・アンド・ウィメンズ病院と連携し、医療ロボティクスや心臓血管内視鏡などの共同研究を進めています。CMSCにおいては、AI技術の一つであるディープラーニングのMRI撮像への適応に関して、熊本大学及びボルドー大学との共同研究を開始しました。開発効率の向上に向けては、光学設計を含めた画像形成プロセスの一貫シミュレーションシステムや、製品作動音解析、熱気流解析などのシミュレーションシステムを開発し、これらのシミュレーターによって製品開発期間の短縮及び試作台数、開発費用の削減を実現しています。当期におけるグループ全体の研究開発費は、315,842百万円であり、セグメントごとの主な研究開発の成果は次のとおりです。 Ⅰ.オフィスビジネスユニットオフィス向け複合機においては、「imageRUNNER ADVANCE」シリーズが、米国で権威あるオフィス機器の独立評価機関であるBLI(Buyers Laboratory LLC)より、A3複合機の分野で「最優秀コピアMFPラインアップ賞」を3年連続受賞※1しました。消耗品の交換しやすさ、利便性、優れた給紙能力により、生産性と信頼性が最も高いと評価されました。さらに、ワークフローの効率化とコスト削減につながるソリューションも提供することで、高品質な成果物を生み出し、あらゆるビジネスを快適にサポートする点も受賞理由として挙げられました。また、「imageRUNNER ADVANCE Gen3 2nd Edition」シリーズが、クラウドサービスとの連携を実現する新機能「uniFLOW Online Express」を提供することにより、専用サーバーの購入や維持管理が不要で、ユーザー認証、ユーザー別使用状況・本体利用状況の管理とレポート作成を容易化し、ユーザーのコスト管理・削減に貢献します。さらに、クラウド上でMFP機能を拡張するプラットフォームサービスにて、モバイル環境対応、スキャン業務の効率化など、オフィス業務を強力にサポートします。デジタル連帳プリンターにおいては、UVインクジェット方式の高速デジタルラベルプレス「Océ LabelStream 4000」シリーズにて、ラベルプリント市場への参入を果たしました。高品位の印刷で毎分48mの高い生産性を最大基材幅410mmで実現します。ラベル印刷で重要となる不透過率の高い白インクにも対応し、PP、PE、PETなどフィルム系の基材にも印刷が可能です。当事業セグメントに係る研究開発費は、87,967百万円であります。 ※1 2018年2月 他に個別表彰として「imageRUNNER C3020F」、「Satera MF630シリーズ」、「Satera MF730シリーズ」、「Therefore Online」、「uniFLOW 2018 LTS」、「IRIS Powerscan 10(日本未発売)」が同時受賞 Ⅱ.イメージングシステムビジネスユニットレンズ交換式デジタルカメラ(デジタル一眼レフカメラ及びミラーレスカメラ)の世界市場において、2003年から15年連続で台数シェアNo.1※2を達成しました。基本コンセプトである「快速・快適・高画質」を追求し、キーデバイスであるCMOSセンサー、映像エンジン、および交換レンズを独自に開発しています。幅広い製品ラインアップに加え、多彩な表現を可能にする豊富な交換レンズ「EFレンズ」を揃え※3、多様なニーズに応え続けています。また、「EOS 6D Mark Ⅱ」、「EOS Kiss M」、「EF85mm F1.4L IS USM」、及び世界初のバウンス撮影※4の自動化機能を備えた「スピードライト470EX-AI」が、世界的に権威のある写真・映像関連の賞「TIPA アワード 2018」※5、及び「EISA アワード 2018-2019」※6の両賞を受賞しました。革新性・技術力・デザイン・使いやすさなどの観点で選定されました。光学の可能性を広げるカメラ・レンズ、「EOS R」・「RFレンズ」で構成する新たなイメージングシステム「EOS Rシステム」を立ち上げました。新開発の「RFマウント」を採用し、レンズ設計の自由度を高める大きなマウント径とショートバックフォーカス※7、新マウント通信システムという特長を備え、さらなる高画質化と利便性の向上を実現します。今後、ラインアップを拡充し、撮影領域の拡大に貢献します。デジタルシネマカメラにおいては、新開発の38.1×20.1mmフルサイズセンサーを搭載した「EOS C700 FF」が、最大5.9Kの豊かな映像情報を活用し、オーバーサンプリング※8による4K / 60P映像の本体内記録を可能としました。さらなる低ノイズ、15ストップを超える広い階調性、次世代放送規格「ITU-R BT.2020」を上回る色域を備えており、高画質な映像表現を実現します。インクジェットプリンターにおいては、「WG7350F/WG7350FM」にて、A3ビジネスインクジェット複合機市場に本格参入しました。新開発「FINEラインヘッド」による最速80枚/分(A4・普通紙)の高速印刷と、両面同時読み取りADF(自動原稿送り装置)搭載による最速65ページ/分(A4横・両面)の高速スキャンが可能です。新開発インクの顔料が用紙表面に素早く定着するため、高濃度でくっきりと印字でき、高生産性と高画質印刷を実現します。また、CAD・ポスター市場向けの大判インクジェットプリンター「imagePROGRAF TM」シリーズが、消音構造体の配置による印刷稼働音の低減や、用紙カット音の抑制など、新たな静音化技術により、高速印字を維持したまま、印刷稼動音約44dBを達成しました。従来機種と比べ稼動音を約60%※9削減し、少人数のオフィスやスペースに限りのある小規模な店舗でも、快適な大判プリント環境を実現します。マルチメディアプロジェクターにおいては、ネイティブ4K解像度のLCOSパネルを搭載したレンズ交換式プロジェクター「4K6020Z/4K5020Z」が、独自のレーザー光源システムや照明光学システム「AISYS 4.2」により、世界最小・最軽量※10を実現しました。企業内のデザインレビューや美術館・博物館など高精細な表現力や高い色再現性を求められるシーンに活用できます。放送機器においては、「UHD-DIGISUPER 122」が、4K放送用カメラ対応フィールドズームレンズとして世界最広角※11の広角端8.2mmから世界最長※11の望遠端1000mmの焦点距離で世界最高※11の122倍ズームを実現し、幅広いシーンで4K撮影ニーズに対応します。レンズの最適配置や高度な部品精度・組み立て精度を追求することで、4Kを超える高い光学性能を達成しており、画面中心から周辺部の隅々まで、高い解像力と高いコントラストを実現する高精細な映像撮影ができます。当事業セグメントに係る研究開発費は、85,626百万円であります。 ※2 2018年3月現在(当社調べ)※3 合計93種類(エクステンダー2種類、海外モデル2種類、EFシネマレンズ14種類を含む) 2018年3月現在※4 天井にストロボの照射光を反射させることで、背景まで広く光を回し自然な仕上がりの撮影を楽しむことができる撮影手法※5 2018年4月 TIPA:Technical Image Press Association (欧州を中心とした14カ国・地域のカメラ、ビデオなどの分野における主要な専門誌、30誌が加盟している業界団体)より24年連続受賞、他に「EOS Kiss X9」、「PowerShot G1 X MarkⅢ」が同時受賞※6 2018年8月 EISA:European Imaging and Sound Association (27カ国・地域のカメラ、ビデオ、オーディオなどの専門誌約53誌が加盟している欧州を代表する業界団体)より30年連続受賞※7 無限遠に焦点を合わせたときの、レンズの最後のガラス面の頂点から撮像面までの光軸上の距離が短いこと※8 記録画素よりも大きなデータから、記録映像を生成する手法※9 普通紙、線画・文字、標準モードにて「TM-305/TM-300/TM-300 MFP」と従来機種「iPF780(2014年7月発売)/iPF770 School(2015年8月発売)/iPF770 MFP-2(2017年10月発売)」と比較した場合※10 レーザー光源を搭載したネイティブ4K解像度6000lm/5000lmクラスのプロジェクターにおいて 2018年11月現在(当社調べ)※11 2/3型センサー搭載の4K放送用カメラ対応フィールドズームレンズにおいて 2018年9月現在(当社調べ) Ⅲ.メディカルシステムビジネスユニットCT装置においては、AIを用いて設計したCTの画像再構成技術「AiCE (Advanced Intelligent Clear-IQ Engine) 」を開発し、「Aquilion Precision」及び「Aquilion ONE /GENESIS Edition」に搭載しました。ディープニューラルネットワークを用いてノイズ成分とシグナル成分を識別する処理を、CTの画像再構成に適用したもので、CT装置が持つ最大限の分解能を引き出しながら、高いノイズ低減効果を短い画像再構成時間※12で得られるため、より低被ばくで高画質なCT検査を提供することができます。また、内閣総理大臣表彰「第7回ものづくり日本大賞」において、「臓器の立体かつ動きを撮影でき、低被ばくで環境に優しい、4次元X線CT技術」が経済産業大臣賞を受賞※13しました。臓器の動きを4次元(3D+時間差)撮影で捉えることで、従来の臓器の形を診る形態診断から、機能を診る機能診断を可能とし、医師の診断に貢献したことが評価されました。MRI装置においては、1.5テスラ「Vantage Orian」が、3テスラ装置で培った高画質化技術に加え、新たに開発した信号収集効率化による高速撮像技術や理想的な傾斜磁場波形を生成する高精度デジタル制御技術、SNRを向上する電子ノイズ低減技術、クラストップの消費電力削減※14技術を搭載しました。高度な臨床性能と高い採算性を両立し、病院経営に貢献します。公益社団法人発明協会が主催する2018年度全国発明表彰において、「複数の基本波の差周波と第2高調波を利用する超音波診断装置の発明(特許第4557573号)」で「文部科学大臣賞」を受賞※15しました。従来は映像化できなかった深部の組織を高解像度で映像化する技術で、病変の早期発見が可能となると共に、消化管や筋肉・腱の高解像度の映像化により、新たな診断を確立しました。また、超音波診断装置においては、「Xario g-series」が、最大8時間の連続駆動※16が可能な大容量バッテリーの搭載やスマートスタンバイモードによるわずか2秒の高速起動、周辺機器とのワイヤレス接続など、高い機動性を備えており、手軽に院内を移動して迅速に検査することができます。当事業セグメントに係る研究開発費は、38,421百万円であります。 ※12 最速で従来の1/5程度※13 2018年1月※14 2018年4月現在(当社調べ)※15 2018年5月 他に「撮像面位相差オートフォーカス方式を実現するイメージセンサの発明(特許第4500434 号)」が「内閣総理大臣賞」を受賞※16 「Xario 200G」のみ、「Xario 100G」は最大4時間 Ⅳ.産業機器その他ビジネスユニット半導体露光装置においては、最先端の半導体デバイスをより低コストで実現する、ナノインプリント半導体製造装置「FPA-1200NZ2C」により、量産現場にて実デバイスの良品率向上に取り組んでいます。ナノレベルでの欠陥制御、重ね合わせ精度向上など数々の技術的課題を克服し、世界初となるナノインプリント技術を用いた半導体デバイスの量産化に向けた検証を進めています。FPD露光装置においては、第8世代ガラス基板サイズ※17 に対応した「MPAsp-H1003T」が、新たに開発したミラー光学系、及び独自の加工技術により、解像力2.0 マイクロメートル(Line and Space)での一括露光範囲を65 型まで広げました。これにより、従来機種と比較して露光のタクトタイムを約37%短縮※18 しており、Ultra HD Premium※19に認定される高品位な65 型パネルを、高い生産性で量産できます。ネットワークカメラにおいては、「ME20F-SHN」が、画素部および読み出し回路に独自技術を搭載したCMOS センサーにより、超高感度と低ノイズを両立しました。これまでのネットワークカメラでは難しかった低照度環境下での映像撮影が可能※20となり、夜間の重要施設、河川・国境や、災害現場などのモニタリングで威力を発揮します。また、7月に完全子会社化したブリーフカム社の映像要約技術を活用した映像解析ソフトウエア「BriefCam」が、オリジナル映像の約3~5%の時間に映像を短縮し、さまざまな条件での検索※21と、必要な映像へ瞬時のアクセスを可能とします。複数映像を同時に検索可能な「マルチカメラサーチ」、人物・車両の「サムネイル表示(一覧表示)」などの新機能を搭載することにより、映像分析のさらなる効率化を実現します。宇宙関連分野においては、低価格・高性能・短納期を目指す小型地球観測衛星「CE-SAT-I」の実証実験を進めています。衛星内部にデジタル一眼レフカメラと直径約400mmの反射鏡を組み合わせた光学的画像処理システムを搭載し、地上500kmの軌道上から6km×4kmのフレームサイズで0.9mの地上分解能画像を取得できます。世界的に高まりつつある小型人工衛星打上げの需要に応えるべく、本格的な事業化へ向けた取り組みを加速していきます。当事業セグメントに係る研究開発費は、71,996百万円であります。 ※17 2,200×2,500mmサイズのガラス基板で、主にテレビ用ディスプレイの製造に用いられる※18 第8世代ガラス基板で65型を3パネル露光するタクトタイムの比較において※19 Ultra High Definitionプラットフォームの統合された基準を作るために設立されたUHD Allianceが定める基準をすべて満たしたディスプレイなどに与えられる認定名称※20 最低被写体照度0.0005ルクス、星明かりなどの非常にわずかな光でもカラー撮影が可能※21 人物や乗り物、大きさ、速度、方向、色など また、各事業セグメントに配分できない基礎研究に係る研究開発費は31,832百万円であります。 注:製品名は日本国内での名称です。
FY2017|6,145 文字
6【研究開発活動】 当グループは、2016年からの5カ年計画「グローバル優良企業グループ構想 フェーズⅤ」のもと、研究開発における主要戦略として、1.「原価率45%を実現する新生産システムの確立」、2.「新規事業の強化拡大と将来事業の創出」、及び3.「オープンイノベーションによる研究開発力の強化」を掲げ、その取組みを進めています。1.では、開発・調達・生産・製造が一体となった日本のマザー工場機能を強化するとともに、ロボットの高精度化やIoT・ビッグデータ・AIなどの次世代技術の導入による生産技術の高度化を進め、トータルコストダウンを追及していきます。2.では、現行事業の横展開による関連多角化の強化として、従来とは異なる分野における当社技術の応用可能性を探り、新たな事業の創出・拡大を図ります。また、商業印刷、ネットワークカメラ、ヘルスケアなど将来有望な分野に重点的に開発投資を行い、補強的なM&Aも駆使して事業の早期拡大を図ります。3.では、より開かれた研究開発体制を構築し、広く世界から最先端技術情報を取り入れて、開発のスピードアップや効果的な成果につなげます。特に基礎研究の分野について、国内外の大学や研究機関、ベンチャーとも広く連携し、共同研究・委託研究を推進します。2014年に内閣府の革新的研究開発推進プログラム(ImPACT)に採択された「イノベーティブな可視化技術による新成長産業の創出」においては、非侵襲・無被曝な医療検査装置の実現に向けて研究開発を進めています。また、2013年に開設した米国ヘルスケアオプティクスリサーチラボにおいては、マサチューセッツ総合病院及びブリガム・アンド・ウィメンズ病院との間で生体医学に関する光イメージングや医用ロボットなどに関する共同研究を進めています。TMSCにおいては、仏ボルドー大学と超高分解能技術を搭載したMRIの共同研究を開始しました。開発効率の向上に向けては、光学設計を含めた画像形成プロセスの一貫シミュレーションシステムや、製品作動音解析、熱気流解析などのシミュレーションシステムを開発し、これらのシミュレーターによって製品開発期間の短縮及び試作台数、開発費用の削減を実現しています。当期におけるグループ全体の研究開発費は、330,053百万円であり、事業の種類別セグメントごとの主な研究開発の成果は次のとおりです。 Ⅰ.オフィスビジネスユニットオフィス向け複合機においては、「imageRUNNER ADVANCE」シリーズが、米国で権威あるオフィス機器の独立評価機関であるBLIより、A3複合機の分野で「最優秀A3 MFPラインアップ賞」を2年連続受賞※1しました。優れた操作性や機器の稼働時間の長さ、さらにはワークフローの合理化とコスト削減につながるソリューション・サービスを提供していることが高く評価されました。また、ソリューション部門で、「優秀インフォメーション・マネジメント・プラットフォーム」として「Therefore 2016※2」が、「優秀アウトプット・マネジメント・プラットフォーム」として「uniFLOW V5.4※2」が、それぞれ受賞しました。レーザープリンターにおいては、法人向けサービス「Remote Service for Satera※3」に対応したプリンター・複合機のラインアップを大幅に拡充しました。A4モノクロレーザープリンター「Satera LBP312i」は、従来機種※4に比べ体積の約36%小型化と最大2,660 枚の給紙※5を実現し、スペースが限られる小売業の店頭や医療機関の窓口などで高速かつ大量の印刷ニーズに応えます。デジタルプロダクションプリンティングシステムにおいては、「Océ VarioPrint 6330」が、カット紙のモノクロプロダクションプリンターで業界最速の印刷速度※6となる毎分328ページ(A4両面)を実現しました。安定した用紙搬送と優れた両面印刷時の表裏の見当合わせ精度により、書籍やマニュアル、教材の分野で高品位な成果物を提供します。また、サイン&ディスプレイ市場向けの64インチ対応ワイドフォーマットプリンター「Océ Colorado 1640」が、新開発の「UVジェルテクノロジー」により、最速毎時159m2の高い生産性を実現しているほか、熱に弱いとされるオフセットコート紙や粘着紙、壁紙など幅広いメディアへの出力に対応します。当事業セグメントに係る研究開発費は、91,763百万円であります。 ※1 BLI:Buyers Laboratory LLC(米国に本社を置き、50 年以上高い信頼を得ている、ビジネスユーザー向けのオフィス機器に対する独立評価機関)、他に本体部門で「A3 カラーMFP(31-40ppm)優秀製品賞」として「imageRUNNER ADVANCE C5535/C5535F」、「A3 カラーMFP(41-50ppm)優秀製品賞」として「imageRUNNER ADVANCE C5550/C5550F」が同時受賞※2 「Therefore 2016」、「uniFLOW V5.4」は日本未発売※3 機器の快適な稼働環境を提供する総合サービス※4 「Satera LBP6710i」※5 「ペーパーフィーダー・PF-C1」装着時※6 2017年8月現在(当社調べ) Ⅱ.イメージングシステムビジネスユニットレンズ交換式デジタルカメラの世界市場において、2003年から14 年連続で台数シェアNo.1※7を達成しました。キーデバイスであるCMOS センサー、映像エンジン、及び交換レンズを独自開発しており、強力なラインアップを揃えることで、幅広いニーズに応えています。また、デジタル一眼レフカメラ「EOS 5D Mark Ⅳ」が、世界的に権威のある写真・映像関連の賞「TIPA アワード 2017」※8、及び「EISA アワード 2017-2018」※9の両賞を受賞しました。有効画素数約3040万画素の35mmフルサイズCMOSセンサーと、映像エンジン「DIGIC 6+(プラス)」を搭載し、静止画撮影における最高約7コマ/秒の連写性能に加え、4K/30pの高精細な動画撮影ができることや、ネットワーク機能を内蔵していることなどが評価されました。ミラーレスカメラ「EOS M6」は、独自のAF技術である「デュアルピクセルCMOS AF」の搭載により、素早く動く被写体や暗いシーンなどの撮影環境下でも高精度なAFを可能とし、動画撮影時も連続した位相差AFによる滑らかなフォーカスを実現しました。デジタルシネマカメラにおいては、「EOS C200/EOS C200B」が、新開発の映像処理プラットフォーム「デュアル DIGIC DV 6」の搭載により、映像の情報量を維持しながらデータサイズを軽量化した新ビデオフォーマット「Cinema RAW Light※10」や、「MP4※10」で撮影した4K映像を本体内に記録可能とすることで、効率的に4K映像制作を行うことができます。また、大判(スーパー35mm相当)のセンサーを搭載した4Kカメラに対応する映像制作用ズームレンズ群の開発を評価され、米国のテレビ芸術科学アカデミーより、第69回「テクノロジー&エンジニアリングエミー®賞」※11を受賞しました。放送業界における技術開発及びイノベーションを評価するもので、業界の発展に目覚ましい貢献をした企業や団体、個人に対して授与されます。インクジェットプリンターにおいては、家庭用インクジェットプリンター「PIXUS XK70/XK50」が、新6色インクの採用により、赤領域の色域が拡大したことで、光沢紙における発色性が向上し、より鮮やかなプリントを可能としました。また、新開発のフォトブルーインクにより、粒状感を低減した滑らかなプリント表現を実現しています。CAD・ポスター市場向けの大判インクジェットプリンター「imagePROGRAF TX-4000/TX-3000」は、新開発のプリントヘッドと印刷処理の最適化により、A1 横サイズで約19 秒※12の高速プリントを実現したほか、ロール紙を本体給紙部に置くだけで、自動で用紙を給紙、調整する「自動ロール紙セット」機構を業界で初めて※13搭載し、ユーザーの作業負荷を軽減します。マルチメディアプロジェクターにおいては、「4K600Z」が、独自のレーザー光源システムと光学システム「AISYS」により、 4Kレーザー光源プロジェクターで世界最小・最軽量※14を実現しました。4Kデジタルシネマを上回る4096×2400画素のLCOS方式のネイティブ4Kパネルを採用することで、4K映像を忠実に表現することができ、格子感がなく滑らかで臨場感のある映像投射が可能です。長年培ってきたイメージング技術を用いた映像ソリューションとして、スポーツイベントなどにおける活用を想定し、「自由視点映像生成システム」の開発に取り組んでいます。さまざまな視点や角度からの映像体験を実現し、さらなる映像表現の拡大と映像文化の発展に寄与していきます。当事業セグメントに係る研究開発費は、91,784百万円であります。 ※7 2017年3月現在(当社調べ)※8 2017年4月 TIPA:Technical Image Press Association (欧州を中心とした5大陸15カ国・地域のカメラ、ビデオなどの分野における主要な専門誌、30誌が加盟している業界団体)より23年連続受賞、他にズームレンズ「EF 24-105mm F4L IS II USM」、4Kデジタルビデオカメラ「XC15」が同時受賞※9 2017年8月 EISA:European Imaging and Sound Association (欧州23カ国・地域のカメラ、ビデオ、オーディオなどの専門誌約50誌が加盟している業界団体)より29年連続受賞、他に「EOS 9000D」、「EF16-35mm F2.8L Ⅲ USM」が同時受賞※10 「Cinema RAW Light」は4K DCI(4096×2160)/60P、「MP4」は4K UHD(3840×2160)/60P※11 2017年10月 ATAS:The Academy of Television Arts & Science より「CN-E(単焦点レンズを除く)」、「COMPACT-SERVO」、「CINE-SERVO」シリーズなどの映像制作用ズームレンズ群が受賞※12 プロッター用紙、「線画速い」モード※13 大判インクジェットプリンター(A2以上の用紙サイズ対応)において 2017年12月現在(当社調べ)※14 レーザー光源を搭載したネイティブ4K解像度以上 5000lmクラスのプロジェターおいて 体積約7万cm3、重量 約26㎏ 2017年11月現在(当社調べ) Ⅲ.メディカルシステムビジネスユニットデジタルラジオグラフィにおいては、X線デジタル撮影装置「CXDI-710C Wireless」が、カーボン素材を新採用し、業界最軽量※15の約2.3kg を実現したほか、コントロールPCを使わずに撮影が可能な「スタンドアローンモード」を新搭載するなど、撮影現場での作業効率を追求しました。CT装置においては、「Aquilion Precision」が、X線検出器/X線管装置/撮影寝台など、核となるすべてのコンポーネントを刷新し、従来に比べ面内・体軸方向にそれぞれ2倍となる空間分解能を実現しました。これまで検出不可能だった細かな生体情報を得ることができる世界で唯一の高精細CT装置※16として、新たな臨床価値を提供します。MRI装置においては、1.5テスラ「Vantage Elan / Zen Edition」が、撮像の際の電流波形の変動を限りなく小さくすることにより、検査時の騒音を最大99%※17低減する静音化技術「Pianissimo Zen」を搭載し、快適な検査空間を実現します。超音波診断装置においては、「Aplio i」シリーズが、「2016年日経優秀製品・サービス賞」において、最高位の「日本経済新聞賞最優秀賞」を受賞※18しました。浅部から深部まで細く均一な超音波のビームを高密度で送受信できる技術開発により、均一で高精細な画像を描出可能とし、検査効率の向上に貢献します。当事業セグメントに係る研究開発費は、36,210百万円であります。 ※15 半切サイズのDR方式ワイヤレスX線デジタル撮影装置において(バッテリーパックを含む) 2017年3月現在(当社調べ)※16 0.25mm×160列マルチスライス、空間分解能0.15mm 2017年4月現在(当社調べ)※17 使用条件、撮像条件による(当社調べ)※18 2017年1月 Ⅳ.産業機器その他ビジネスユニット半導体露光装置においては、数々の技術的課題を克服し、従来の光露光装置に比べ、より微細な10nm台の回路パターンをより低コストで実現する、ナノインプリント技術を用いた次世代半導体製造装置「FPA-1200NZ2C」及び、ナノインプリント用のマスターマスクを低コストで複製する、量産用マスクレプリカ製造装置「FPA-1100NR2」を製品化しました。これらにより、世界初となるナノインプリント技術を用いた半導体メモリーの量産に向けた取り組みが、大きく加速します。ネットワークカメラにおいては、「VB-H45/VB-M44」が、高感度CMOS センサーの搭載により、カラー撮影における最低被写体照度0.05 ルクスを実現しました。暗いシーンでも、ノイズの少ない映像で、細部までクリアに認識することができ、夜間警備などに威力を発揮します。また、ネットワークカメラの映像から、人の特徴を検知し解析することで、大人数※19を精度よくカウントするソフトウエア「People Counter Version 1.0」は、マイルストーンシステムズ社のビデオ管理ソフトウエア「XProtect」への機能追加や、アクシス社のネットワークカメラ本体で動作可能とするソフトウエアなど、ラインアップを拡充※20しました。さまざまな施設で、混雑状況や人の流れを把握し、安全対策に加え、マーケティングでの活用にも貢献します。当事業セグメントに係る研究開発費は、68,131百万円であります。 ※19 フルHDで撮影した映像において約1,500人までの人数※20 「People Counter for Milestone XProtect Version 1.0」及び「People Counter for ACAP Version 1.0」 また、各事業セグメントに配分できない基礎研究に係る研究開発費は42,165百万円であります。 注:製品名は日本国内での名称です。
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6【研究開発活動】 当グループは、2016年からの5カ年計画「グローバル優良企業グループ構想 フェーズⅤ」のもと、研究開発における主要戦略として、1.「原価率45%を実現する新生産システムの確立」、2.「新規事業の強化拡大と将来事業の創出」、及び3.「オープンイノベーションによる研究開発力の強化」を掲げ、その取組みを進めています。1.では、開発・調達・生産・製造が一体となった日本のマザー工場機能を強化するとともに、ロボットの高精度化やIoT・ビッグデータ・AIなどの次世代技術の導入による生産技術の高度化を進め、トータルコストダウンを追及していきます。2.では、現行事業の横展開による関連多角化の強化として、従来とは異なる分野における当社技術の応用可能性を探り、新たな事業の創出・拡大を図ります。また、商業印刷、ネットワークカメラ、ヘルスケアなど将来有望な分野に重点的に開発投資を行い、補強的なM&Aも駆使して事業の早期拡大を図ります。3.では、より開かれた研究開発体制を構築し、広く世界から最先端技術情報を取り入れて、開発のスピードアップや効果的な成果につなげます。特に基礎研究の分野について、国内外の大学や研究機関、ベンチャーとも広く連携し、共同研究・委託研究を推進します。2014年に内閣府の革新的研究開発推進プログラム(ImPACT)に採択された「イノベーティブな可視化技術による新成長産業の創出」においては、非侵襲・無被曝な医療検査装置の実現に向けて研究開発を進めております。また、2013年に開設した米国ヘルスケアオプティクスリサーチラボにおいては、マサチューセッツ総合病院及びブリガム・アンド・ウィメンズ病院との間で生体医学に関する光イメージングや医用ロボットなどに関する共同研究を進めております。開発効率の向上に向けては、光学系からメカニクス、センサー、画像処理まで含めた画像形成の一貫シミュレーションシステムを業界に先駆けて開発し、このシミュレーターによって製品開発期間の短縮及び試作台数、開発費用の削減を実現しております。当期におけるグループ全体の研究開発費は、302,376百万円であり、事業の種類別セグメントごとの主な研究開発の成果は次のとおりです。 Ⅰ.オフィスビジネスユニットオフィス向け複合機においては、A3カラー複合機「imageRUNNER ADVANCE C5500シリーズ」が、操作画面の初期表示や言語などを個人ごとに設定できる「パーソナライズ」機能を搭載し、操作性を向上するとともに、同個人設定を同一ネットワーク内の複合機間でサーバーを介せずに同期する機能を業界で初めて※1搭載しました。また、米国で権威あるオフィス機器の独立評価機関であるBLI社より、「imageRUNNER ADVANCE」シリーズがA3複合機の分野で「2016年最優秀A3 MFPラインアップ賞」を受賞※2しました。大量印刷にも対応可能な高い信頼性や、低速機から高速機まで一貫したプリンタードライバーの提供、マルチデバイスへの出力や複合機管理の一元化が可能な統合管理ソフトウエアの提供による利便性などが高く評価されました。レーザープリンターにおいては、A4対応モノクロレーザープリンター「Satera LBP352i」が、シリーズ最速となる毎分62枚の高速印刷に加え、最大3,800枚の大容量給紙※3を実現し、製造業や自治体、医療現場などさまざまな業種で求められる高速・大量出力業務を強力にサポートします。デジタルプロダクションプリンティングシステムにおいては、プロダクションプリンター「imagePRESS C850/C750/C650」が、新たに190線ドットスクリーンを追加することで、階調表現の幅を拡大するとともに、高精細な印刷を実現するレーザースキャナーR-VCSEL※4と、耐久性に優れたCV※4トナーの採用により、大量印刷時でも高品質な画像を安定して提供できる高い信頼性を備えました。また、業務用高速・連帳プリンター「Océ ImageStream 2400」が、新顔料インクの採用によりオフセット軽量紙からコート紙まで多様なメディアに対応し、1200×1200dpiによる圧倒的な印刷品質と印刷速度160m/分の高生産性を両立しました。当事業セグメントに係る研究開発費は、94,440百万円であります。 ※1 オフィス向け複合機市場において 2016年6月現在(当社調べ)※2 2016年2月 BLI社:Buyers Laboratory LLC(米国に本社を置き、50年以上高い信頼を得ている、ビジネス ユーザー向けのオフィス機器に対する独立評価機関)※3 「ペーパーフィーダーPF-B1」及び「ペーパーデッキユニットPD-G1」装着時※4 R-VCSEL:Red-Vertical Cavity Surface Emitting Laser、CV:Consistently Vivid Ⅱ.イメージングシステムビジネスユニットレンズ交換式デジタルカメラ(一眼レフカメラ及びミラーレスカメラ)において、2003年から13年連続で世界市場の台数シェアNo.1を達成※5しました。キーデバイスであるCMOSセンサー、映像エンジン、及び交換レンズを独自開発しており、幅広いニーズに応える強力なラインアップを構築しています。また、最高約14コマ/秒の高速連写性能と優れた動態撮影性能を実現した「EOS-1D X MarkⅡ」、及びプロフォトグラファーのニーズに応える高画質と高生産性を実現したA2対応インクジェットプリンター「imagePROGRAF PRO-1000」が、世界有数の写真・映像関連の賞である「TIPAアワード2016」※6、及び「EISAアワード2016-2017」※7の両賞を獲得しました。交換レンズにおいては、高倍率ズームレンズ「EF-S18-135mm F3.5-5.6 IS USM」が、新開発の超音波モーター「ナノUSM」の搭載により、静止画撮影時におけるフォーカスレンズの駆動速度の大幅な向上※8と、動画撮影時におけるスムーズで滑らかなAFを実現しました。デジタルシネマカメラにおいては、新開発の全画素を同時に露光するグローバルシャッター方式のCMOSセンサーを搭載した「EOS C700 GS PL」が、高速で動く被写体でもゆがみなく、広いダイナミックレンジを持つ4K映像を撮影可能にしました。放送機器においては、スタジオズームレンズ「UHD-DIGISUPER 27」が、レンズの最適配置を行うとともに、高度な部品精度や組み立て精度を追求することで、4Kを超える高い光学性能と優れた運用性を両立しました。色再現性の優れた高い描写力を発揮し、臨場感あふれる映像制作に貢献します。業務用ディスプレイにおいては、「DP-V1710」が、4Kの高画質性能を持ちながら、業界初※9となる17型の小型サイズを実現しました。撮影現場での持ち運びや放送局の中継車、スタジオなどのスペースが限られた場所での運用ニーズに応えました。インクジェットプリンターにおいては、家庭用インクジェットプリンター「PIXUS TS9030/TS8030」が、本体の基板や電源サイズの小型化、用紙の搬送機構の改良などにより、従来機種に比べて、設置面積比で約25%※10の小型化を実現しました。また、大判インクジェットプリンター「imagePROGRAF」シリーズが、BLI社より、「2017年最優秀大判プリンターラインアップ賞」を受賞しました。信頼性や画質、使いやすさ、カラーマネジメント、生産性、接続性などが高く評価されました。マルチメディアプロジェクターにおいては、「4K500ST」が、独自の光学システム「AYSIS」により、5,000lmの高輝度な4Kプロジェクターで、世界最小・最軽量※11を実現しました。新開発の4K解像度に対応した短焦点ズームレンズと高解像度LCOSパネル、高性能映像エンジンを搭載することで、臨場感のある高精細な4K映像投写を実現しました。当事業セグメントに係る研究開発費は、91,752百万円であります。 ※5 2016年3月現在(当社調べ)※6 2016年4月 TIPA:Technical Image Press Association (欧州を中心とした5大陸15カ国のカメラ、ビデ オなどの分野における主要な専門誌30誌が加入する業界団体)より22年連続受賞、他に「EOS 5Ds R」、コン パクトカメラ「PowerShot G5 X」、「IXUS 285 HS(国内未発売)」が同時受賞※7 2016年8月 EISA:European Imaging and Sound Association (カメラ、ビデオ、オーディオなどの分 野における欧州の主要な専門誌約50誌が加入する業界団体)より28年連続受賞、他に「EOS 80D」、「EF35mm F1.4LⅡUSM」が同時受賞※8 従来機種に比べて最大約4.3倍:ファインダーAF・静止画撮影時・焦点距離135mm・最短撮影距離から無限遠 までの駆動時(当社基準)※9 業務用4Kディスプレイ市場において 2016年9月現在(当社調べ)※10 「PIXUS MG7730」との比較※11 「4K解像度以上5,000lmクラスのプロジェクターにおいて 2016年1月現在(当社調べ) Ⅲ.産業機器その他ビジネスユニット半導体露光装置においては、i線ステッパー「FPA-5550iZ2」が、シーケンス最適化や独自技術のショット形状補正機能「SSC(Shot Shape Compensator)」の搭載などにより、ロジック/メモリー/イメージセンサーなどIoT・ビッグデータ・AI時代のデバイス製造に最適な最高水準※12の生産性と重ね合わせ精度を実現しました。ネットワークカメラにおいては、「VB-M50B」が、長年培ってきた光学技術を結集した大口径超望遠ズームレンズを搭載し、高感度CMOSセンサーや高性能映像処理エンジンとの組み合わせにより、肉眼の認識が困難な低照度環境でも、遠距離の被写体のカラー撮影※13を可能にしました。また、当社の光学技術やイメージング技術とアクシス社のネットワーク映像処理技術の融合により、高解像度監視が可能なレンズ交換式ネットワークカメラ「AXIS Q1659」を共同開発しました。今後も両社の強みを生かしながら連携を進め、先進的で高性能なネットワークカメラ、及び関連するソリューションを提供していきます。MRシステムにおいては、ヘッドマウントディスプレイ「MREAL Display MD-10」が、現実映像とCGを融合した3D映像を広画角、高精細で再現し、自動車本体のような大きな立体物のデザインの確認から、細かい部品を用いた作業の確認まで、使用用途を拡大しました。ヘルスケア事業においては、世界トップクラスの技術力及びグローバル・プラットフォームを有する東芝メディカルシステムズ株式会社(以下「TMSC」という。)を当グループへ迎え入れました。当社の持つX線高速動画センサー技術をはじめとするイメージングデバイスおよびその要素技術、光超音波トモグラフィー技術、医療用ロボットシステム技術、低侵襲技術などと、TMSCが有する研究開発力を生かし、共に技術開発を進めていくことで、今後、グループとして革新的な新製品やサービスをグローバルに提供していきます。当事業セグメントに係る研究開発費は、67,887百万円であります。 ※12 同等クラスのi線ステッパーにおいて 2016年12月現在(当社調べ)※13 望遠端630mmにおいても最低被写体照度0.07ルクスを達成 また、各事業セグメントに配分できない基礎研究に係る研究開発費は48,297百万円であります。 注:製品名は日本国内での名称です。