事業等のリスク
オリンパスグループの業績は、マクロ経済の変動(インフレ、地政学的緊張、貿易摩擦など)や、デジタル技術・AIの急速な進化に伴うデータプライバシー・サイバーセキュリティの懸念、気候変動と持続可能性への対応(大規模な設備投資など)といった外部環境の変化に大きく影響される可能性があります。また、医療制度改革や各国の医療機器規制(FDA、EU-MDRなど)の動向も、業界特有のリスクとして事業に影響を与える可能性があります。これらのリスクに対し、グローバルなリスクマネジメント体制を構築し、リスクの特定、評価、対策、モニタリングを継続的に行っています。
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FY2025|8,436 文字
3【事業等のリスク】 当社グループの業績は、今後起こりうる様々なリスク(不確実性)によって大きな影響を受ける可能性があります。当社グループは、経営理念や基本的な指針を含む事業目標を達成するために、グローバルなエンタープライズ・リスクマネジメントの枠組みを構築しています。この体制は、「リスクマネジメント及び危機対応方針」に基づいて運用されています。また、当社グループは、「機会」と「脅威」の両面からエンタープライズ・リスクマネジメントに取り組んでいます。機会は、当社グループの持続的な成長と価値創造につながる積極的かつ適切なリスクテイクを通じて捉えられる一方、脅威は、事業目標の確実な達成とコンプライアンス違反の防止のために特定され、優先順位をつけて対処されます。 グローバル組織体制では、リスク&コントロール、コンプライアンス、プライバシー、情報セキュリティーの4つの機能が統合されています。この体制は、4つの機能に加えて、製品セキュリティー、サイバーセキュリティーを含む関連管理システムおよび当社グループにおけるリスク全体像を把握しビジネスプロセスに組み込む、いわゆるアラインド・アシュアランスを推進することを目的としています。2025年3月期において、これらの領域はグローバル法務機能と統合され、グローバルジェネラルカウンセルの管轄下にあるリーガル・リスク・コンプライアンス機能(以下、LRC)として再編されました。グローバル・チーフ・コンプライアンス・オフィサー(GCCO)は、引き続きグループ経営執行会議に出席するとともに、CEO、取締役会、監査委員会へ定期的な報告を行います。 エンタープライズ・リスクマネジメントにおいて特に注力する活動は以下の通りです。- LRC機能におけるグローバルなリスクコントロール機能の構築- グローバルなエンタープライズ・リスクマネジメント手法とアプローチの強化- グローバルに一貫性のあるエンタープライズ・リスクマネジメントの構築 これらの活動に注力することで、合理的なエンタープライズ・リスクマネジメントが実行され、事業計画及び財務計画にリスクを反映することを企図しています。また、十分な情報に基づいた経営の意思決定をサポートすることで、当社の事業目標と経営戦略の達成の確度を高めることを目指しています。当社は2024年3月期に構築した統合的なグローバルリスクマネジメントポートフォリオを更に発展させ、2025年3月期には、全ての関連部門のリスク評価を実施し、地域別およびグローバルなリスクポートフォリオを検証、更新しました。 エンタープライズ・リスクマネジメントの組織体制 当社グループは、グローバルおよび地域レベルの委員会組織として、グローバル及び地域リスクアシュアランス・コンプライアンス委員会(以下、G-RACC、R-RACC、総称してRACCs)を設立しました。RACCsは、リスクに対処し、適用される方針、法律、規制を遵守するための枠組みを確立、実施、管理することを目的としています。また、勧告、指導、重要リスクについては、グループ経営執行会議(以下、GEC)、取締役会、 監査委員会に定期的に報告され、継続的なモニタリングが行われます。 また、リスクオーナーとして、グローバル事業・機能責任者、地域事業・機能責任者を任命し、更に各事業・機能でリスク管理を担うリスクコーディネーターを任命しています。リスクオーナーは、自身が管轄する領域において対策(例:組織体制、プロセス準備、重点対策など)を講じる責任を負います。 <エンタープライズ・リスクマネジメント体制> エンタープライズ・リスクマネジメントの手法とアプローチ 当社グループでは、5つのリスクカテゴリー(1.戦略(外部環境変化を含む)、2.オペレーション&製品、3.ファイナンス、4.ガバナンス、5.IT&デジタル)、及びそれらを具体化したサブカテゴリーによるエンタープライズ・リスクマネジメント手法とアプローチを用いています。 <エンタープライズ・リスクマネジメント リスクカテゴリー> また、当社グループでは、事業目標の達成や経営戦略に影響を及ぼす可能性があると合理的に判断されるリスクを評価し、明示するために、3つのリスク評価基準(1.エクスポージャー、2. 脆弱性、3.速度)を用いています。- エクスポージャーは、発生可能性と発生時の影響によって決定します。可能性とは、リスクが顕在化する確率を示し、影響度とは、リスクが顕在化した場合の結果の重大性を示します。可能性と影響度のレベルは、定量的(財務的数値に基づく)または定性的基準として評価します。- 脆弱性(Vulnerability)とは、リスクが発生した場合に、組織がそのリスクを管理する準備がどの程度できているかを示します。- 速度 (Velocity)とは、リスク発生後、当社がどの程度の速さでリスクの影響を受けるかを示します。 <エンタープライズ・リスクマネジメント評価手法> これらの基準に基づき、当社グループはリスクを積極的に特定、軽減し、監視しており、対応策を定期的に見直し、その有効性を検証しています。また、リスクを可視化して管理するため、エクスポージャー、脆弱性、速度を組み合わせてリスク評価結果を4つの象限に分け、当該リスクにどのように対処するべきかについて示す「3Dリスクマトリックス」と呼ばれる手法を用いています。さらに、最新のITツールを用いたデータベース及びダッシュボードを導入しています。2025年3月期においては、リスクポートフォリオを最適化し、同時にリスク記述を構造化、分類、標準化してより明瞭で分かりやすい記載を実現するため、社内で設計された人工知能ツールを用いてITツールをアップグレードしています。 エンタープライズ・リスクマネジメント・プロセス 当社グループのエンタープライズ・リスクマネジメント・プロセスの主な構成要素は以下の通りです。- リスクアセスメント(リスクの特定、分析、評価)- 対応策(リスクの低減、リスクマネジメント活動の実行及び調整)- リスクモニタリング(リスクモニタリングプロセスの設計、実施、リスクトリートメント活動の有効性の評価)- リスク報告(リスク及びその対応策を集約・評価し、関連するステークホルダーに定期的に報告する。リスク報告は、リスクマネジメントの年次計画の一部として立案・社内へ展開される) エンタープライズ・リスクマネジメント・プロセスでは、いわゆる3つのラインモデルの考え方に沿って、リスクコントロール機能と各事業・機能が緊密に連携を行っています。また、リスクコントロール機能は、エンタープライズ・リスクマネジメント手法及び運用ガイダンスを提供、維持、開発する責任を負っています。 <エンタープライズ・リスクマネジメント・プロセス> マクロ経済ビジネス環境 2024年4月以降の世界経済においては、サプライチェーンの混乱、エネルギー価格の上昇等により、多くの国で予想を上回ってインフレが進展しました。 地政学的緊張は引き続き世界のマクロ経済環境にリスクをもたらしています。ウクライナにおける戦争や中東情勢、米国と中国を含む主要経済国間の貿易摩擦等による不確実性に加え、足元では米国における追加関税に関する動向にも不透明感がみられ、グローバルな貿易とサプライチェーンにも大きな影響を与えています。 技術面では、デジタル技術、人工知能、自動化の急速な浸透が、生産性の向上を促進し、新たな経済機会を生み出している一方、データプライバシーとサイバーセキュリティーに関する懸念など、課題ももたらしています。 気候変動と持続可能性は、世界的に重要視されており、持続可能性の重視、二酸化炭素排出量の削減が求められていますが、一方で、大規模な設備投資の必要性や従来の産業への混乱が生じる可能性など、課題も抱えています。 業界特有のビジネス環境 メドテック企業各社は、上記のマクロ経済ビジネス環境に加えて、業界に特有の要因にも大きく影響を受けています。 この業界では、医療費の抑制や医療サービスの安全性・有効性の向上による患者さんのQOL(Quality of Life:生活の質)の向上を目指し、国内外で医療制度改革が継続的に実施されています。また、米国食品医薬品局(以下、FDA)や欧州医療機器規制(以下、EU-MDR)をはじめ、各国の医療機器申請・登録・市販後調査に対する法規制要件は年々厳格になっており、感染予防や再処理(洗浄・消毒・滅菌)に関する要件も複雑化しています。 各国の医療政策の変化、医療費の削減、医療関連法規の強化、感染予防や再処理に対する要求のさらなる高まりなどにより、技術開発のハードルや複雑さは増しています。それに伴い、新技術や代替技術だけでなく、IT技術大手をはじめとする異業種からの医療業界への参入もあり、事業環境は大きく変化しています。 さらに、先進国を中心に社会の高齢化が進むにつれ、医療に対するニーズは確実に高まっています。当社グループが関わる事業領域には多くの競合他社が存在しており、技術革新も進む中で、競争は一層激化しています。新興国市場においては、経済成長とともに医療ニーズが高まっており、さらなる成長が期待出来ると考えています。 また、当社グループが事業を展開する業界では、 グローバルで人材獲得競争が激化しており、労働市場の変化で退職率の高まりもみられ、人材の採用・育成・確保がますます重要になっています。 当社グループのリスク状況(2025年3月期) 2025年3月期に実施したグローバルリスクアセスメントに基づき、リスクを特定・評価しました。 3Dリスクマトリックスにおいて"Improve"の領域に特定されたリスクについては、対応策の優先順位を高く設定しています。"Test"の領域に特定されたリスクについては、既にコントロールが実施されていますが、同時に、定期的なモニタリングにより、既存のコントロールが適切にかつ効果的に機能しているか、確認しています。"Monitor"の領域に特定されたリスクは、エクスポージャーが許容可能なレベルであることを継続的に確認し、必要に応じて追加の対応策を設定します。 当社グループでは、リスクカテゴリーごとに、以下のトップリスクを報告しています。 リスクカテゴリー:戦略(外部環境変化を含む)リスクタイプ:機会と脅威リスク傾向:上昇リスクシナリオ このリスクカテゴリーには、「計画・資源配分」、「事業開発・投資」、「コミュニケーション・ステークホルダーマネジメント」、「マーケットダイナミクス」、及び「不可抗力」が含まれます。最も高いリスクとして評価された中には、地政学上の脅威、不安定な市場における事業展開、サプライチェーンの混乱、が含まれています。 ・地政学的緊張は、軍事紛争や貿易戦争によるサプライチェーンへの脅威、コスト増、急速に変化する制裁措置によるコンプライアンスリスクの発生などにより、トップリスクとして認識されています。・主要な市場において、国内産業の保護措置の実施等により、市場環境が大きく変化しています。関税の引き上げや国内サプライヤーへの優遇措置等により収益性が低下する可能性があります。・また、競争環境が激化する中で、価格・技術・品質等様々な面において競争力を有する製品を適時に投入する必要があります。・M&A活動には機会と脅威の両方が存在し、厳格なデューデリジェンスと体系的な統合プロセスが必要です。リスク軽減策が不十分な場合、のれんの減損や関連費用により、事業遂行、業績、財務状況に悪影響が及ぶ可能性があります。対応策 当社グループでは、上記のリスクに対応するために以下の対応策を実施しています。 ・サプライチェーンの混乱に対する脆弱性を軽減するために、サプライチェーンの可視性を高め、サプライヤーを多様化させています。・競争環境をモニタリングし、代替技術や市場動向を特定することで、新技術の迅速な開発を可能とする体制の構築を推進しています。また、各主要市場の動向に応じて対応策を実施しています。中国においては現地製造に向けた準備を進展させているほか、米国においては追加関税の動向を注視しつつ、患者さんの安全と健康を最優先に、業界団体と緊密に連携しています。・潜在的な混乱を回避して顧客と患者さんへの継続的な供給を確保するための、グローバルな事業継続管理体制を強化しています。・自社開発とM&Aや戦略的提携を通じた外部技術獲得の両方を通じたイノベーションへのバランスの取れたアプローチ、およびインテリジェント内視鏡医療エコシステムをはじめとした高付加価値製品の開発を推進しています。・ターゲット選定、デューデリジェンス、買収後の統合効果を向上させるため、M&Aプロセスと体制を継続的に改善しています。経営戦略・方針との関連:患者さんの安全と持続可能性、成長のためのイノベーション、生産性の向上 リスクカテゴリー:オペレーション&製品リスクタイプ:機会と脅威リスク傾向:変化なしリスクシナリオ このリスクカテゴリーには、「研究開発」、「製造・修理」、「エンド・ツー・エンド・サプライチェーン」、「販売・マーケティング・サービス」、「品質」、「資産」、及び「人的資源」が含まれます。最も重大なリスクは、主に製品品質、エンド・ツー・エンドのサプライチェーン、マーケティング&セールスに関連しており、製品の安定的な供給とライフサイクル管理に影響を与えます。主な課題は以下の通りです。 ・製造、品質、サプライチェーンマネジメント、研究開発機能にまたがり、大規模な資源配分を行いつつ、FDAから受領した警告書に係る是正活動を継続しています。・地政学的緊張の高まりと気候変動にともなう自然災害が増加する中、サプライチェーンの回復力は依然として持続的な課題と認識しています。対応策 当社グループは、患者さんの安全を重視した高品質のサービスを提供するために、エンド・ツー・エンド・サプライチェーンの安定と品質プロセスの改善に優先的に取り組んでいます。主な活動は以下の通りです。 ・グローバルな事業継続管理体制に継続的に取り組んでいます。・サプライチェーンの可視化向上プロジェクト推進とサプライヤーの多様化により、特定サプライヤーへの依存度を軽減させています。・品質マネジメントシステムとプロセスを強化し一貫性を持たせるために、グローバルな複数年にわたる品質プログラムを実施しています。経営戦略・方針との関連:患者さんの安全と持続可能性、生産性の向上 リスクカテゴリー:ファイナンスリスクタイプ:機会と脅威リスク傾向:変化なしリスクシナリオ このリスクカテゴリーには、「資本構造」、「会計・報告」、「流動性・信用」、「収益サイクル」、及び「税務」が含まれています。 ・外国為替レートの変動は、大きなリスクをもたらします。外貨建て取引に対するヘッジを行っていますが、円高は業績に悪影響を及ぼし、円安は業績に好影響をもたらす可能性があります。• 資金調達リスクは、資本及び借入等へのアクセスに影響を与える金融市場の変動や、借入コストに影響を与える企業業績から生じます。業績の悪化や金融市場の環境変化は、資金調達オプションを制限する可能性があります。• グローバルな管轄当局における適用税法や解釈の変更により、税負担が増大する可能性があります。また、事業環境の変化や組織再編により、繰延税金資産の評価の見直しが必要になる可能性もあります。・顧客やサプライヤーの信用リスクが当社の財務の安定性に影響を与える可能性があります。対応策 当社グループでは、次のような方法でファイナンスリスクの軽減を図っています。 ・為替変動を管理するために、為替予約や通貨スワップなどのデリバティブ取引を導入しています。この対応は外貨エクスポージャー低減のためのグローバルなキャッシュプーリングによって補完されています。・調達コストを最適化するための公募社債発行等による資金調達方法の多様化と、金利変動を最小化するための長期債務に対する固定金利採用を組み合わせて対応しています。・繰延税金資産を最適化するために管轄当局間の税法改正を積極的に監視し、グループ内取引ルールの適切な調整と徹底した収益性管理を行っています。・与信先の財務状況を体系的にモニタリングし、適切な対応を実施しています。経営戦略・方針との関連性:生産性の向上 リスクカテゴリー:ガバナンスリスクタイプ:機会と脅威リスク傾向:変化なしリスクシナリオ このリスクカテゴリーには、「カルチャー」、「規制」、「法務」、「コンプライアンス」、「データプライバシー」、及び「コーポレートガバナンス」が含まれます。 ・断片化された契約管理プロセスとデータベースは透明性の欠如を生み出し、契約違反、クレームあるいは法的責任を招く可能性があります。・複雑な医療機器および貿易規制への対応には包括的な文書化が要求されますが、その不備により製品供給に直結するコンプライアンス違反を引き起こす可能性があります。・2023年3月期にFDAから受領した警告書で指摘された事項に対して実施中の是正活動は、規制を遵守するために完全に実行する必要がありますが、今後の経過によっては、FDAによりさらなる規制措置が取られる可能性があります。・不十分な事業継続管理体制は、自然災害やその他の緊急事態の際のオペレーションに混乱をきたす可能性があります。対応策 当社グループでは、以下の対応でガバナンス改善を図っています。 ・プロセス改善とデータベースの更新を伴う契約管理強化プロジェクトに取り組んでいます。・グローバルな品質保証・法規制対応の変革プロジェクト「Elevate」を推進しています。・2023年3月期にFDAから受領した警告書に関する是正措置に関して、引き続き全社で対応を推進しています。・既存の事業継続対策を標準化するために、一貫性があり、かつ的をしぼった事業継続管理体制を策定、実行します。・また、2025年3月期にCEOが辞任した件を踏まえて、当社はグローバル行動規範および関連する研修を改定し、私たちは当社の行動規範、ポリシー、および適用されるすべての法律・規制を遵守しなければならないことを明確化します。2026年3月期には、改定されたグローバル行動規範に関する年次研修を、全従業員を対象に実施するとともに、役員のメンタルケアの強化のサポート等に取り組んでいます。経営戦略や方針との関連:患者さんの安全と持続可能性 リスクカテゴリー:IT&デジタルリスクタイプ:機会と脅威リスク傾向:変化なしリスクシナリオ このリスクカテゴリーには、「ITセキュリティー・サイバー」、「ITアプリケーション」、「ITガバナンス」、「ITインフラ・サービス」及び「デジタル」が含まれます。 ・デジタルシステムへの高い依存により、IT障害によるオペレーション混乱に関する脆弱性が生じる可能性があります。・サイバーセキュリティー侵害は、継続的なモニタリングと対応が必要な優先度の高いリスクと認識しています。・老朽化したITアプリケーションが耐用年数を迎えることにより、システム障害やオペレーション混乱を引き起こす重大なリスクとなる可能性があります。・当社製品におけるデジタル技術の統合が進むにつれ、バリューチェーン全体で包括的なサイバーセキュリティー対策が必要となります。対応策 当社では、IT&デジタルリスクに対して以下の対応を図っています。 ・複数年にわたる包括的なITセキュリティー・プログラムを計画通りに推進しています。・ITインフラの大規模な刷新、アップグレード、移管を計画通りに進めています。・サードパーティのプロバイダーに対するセキュリティーおよび協業要件を強化しています。・セキュリティー・インシデント発生時の顧客への影響を最小化するため、グローバルな事業継続管理体制構築プロジェクトにおいて、事業継続計画および災害復旧計画をアップグレードします。・最新のサイバーセキュリティー要件に沿った技術とプロセスにより、当社製品とデジタルサービスを保護します。・サイバーセキュリティーの脅威および日常業務における予防策に関する定期的な社員教育を実施します。経営戦略・方針との関連:患者さんの安全と持続可能性、生産性の向上
FY2024|8,847 文字
3【事業等のリスク】 当社グループの業績は、今後起こりうる様々なリスク(不確実性)によって大きな影響を受ける可能性があります。当社グループは、経営理念や企業戦略などの事業目的達成を支援するため、グローバルなエンタープライズ・リスクマネジメント手法を導入しており、リスクマネジメントは、「リスクマネジメント及び危機対応方針」及び関連規程に基づいています。また、当社グループは、「機会」と「脅威」の両面からエンタープライズ・リスクマネジメントに取り組んでいます。機会は、当社グループの持続的な成長と価値創造につながる積極的かつ適切なリスクテイクを通じて捉えられる一方、脅威は、事業目標の確実な達成とコンプライアンス違反の防止のために特定され、優先順位をつけて対処されます。 2023年4月より当社グループは、ガバナンス・リスク・コンプライアンス(以下、GRC)に関連するリスク&コントロール、コンプライアンス、プライバシー、情報セキュリティの4つの機能を統合し、グローバルGRC組織として新たに立ち上げました。加えて、既存のエンタープライズ・リスクマネジメント・ポートフォリオを先進的な手法に移行し、当社の全ての機能で、この強化された方法にしたがってグローバルなリスクポートフォリオを検証、改良するためのリスク評価を実施しました。 特に注力したエンタープライズ・リスクマネジメントの活動は以下の通りです。- グローバルなリスクコントロール機能の構築- グローバルな手法とアプローチの構築- グローバルに調和したプロセスの構築 これらの活動に注力することで、合理的なエンタープライズ・リスクマネジメントが実行され、事業計画及び財務計画にリスクを反映することを企図しています。また、十分な情報に基づいた経営の意思決定をサポートすることで、当社の事業目標と企業戦略の達成の確度を高めることを目指しています。 エンタープライズ・リスクマネジメントの組織体制 当社グループは、グローバルおよび地域レベルの新しい委員会組織として、グローバル及び地域リスクアシュアランス・コンプライアンス委員会(以下、G-RACC、R-RACC、総称してRACCs)を設立しました。RACCsは、リスクに対処し、適用される方針、法律、規制を遵守するための枠組みを確立、実施、管理することを目的としています。また、勧告、指導、重要リスクについては、グループ経営執行会議(以下、GEC)、取締役会、 監査委員会に定期的に報告され、継続的なモニタリングが行われます。 また、リスクオーナーとして、グローバル事業・機能責任者、地域事業・機能責任者を任命しました。また、各事業・機能でリスク管理を担うリスクコーディネーターを任命しました。リスクオーナーは、自身が管轄する領域において対策(例:組織体制、プロセス準備、重点対策など)を講じる責任を負います。 <エンタープライズ・リスクマネジメント体制> エンタープライズ・リスクマネジメントの手法とアプローチ 当社グループでは、5つのリスクカテゴリー(1.戦略(外部環境変化を含む)、2.オペレーション&製品、3.ファイナンス、4.ガバナンス、5.IT&デジタル)、及びそれらを具体化したサブカテゴリーによるエンタープライズ・リスクマネジメント手法とアプローチを用いています。 <エンタープライズ・リスクマネジメント リスクカテゴリー> また、当社グループでは、事業目的の達成や企業戦略に影響を及ぼす可能性のある個々のリスクを評価し、明示するために、3つのリスク評価基準(1.エクスポージャー、2. 脆弱性、3.速度)を用いています。- エクスポージャーは、発生可能性と発生時の影響によって決定します。可能性とは、リスクが顕在化する確率を示し、影響度とは、リスクが顕在化した場合の結果の重大性を示します。可能性と影響度のレベルは、定量的(財務的数値に基づく)または定性的基準として評価します。- 脆弱性(Vulnerability)とは、リスクが発生した場合に、組織がそのリスクを管理する準備がどの程度できているかを示します。- 速度 (Velocity)とは、リスク発生後、当社がどの程度の速さでリスクの影響を受けるかを示します。 これらの基準に基づき、当社グループは積極的にリスクを特定、軽減し、監視しており、対応策を定期的に見直し、有効性を検証しています。また、リスクを可視化して管理するため、エクスポージャー、脆弱性、速度を組合わせてリスク評価結果を4つの象限に分け、当該リスクにどのように対処するべきかについて示す「3Dリスクマトリックス」と呼ばれる手法を用いています。さらに、最新のITツールを用いたデータベース及びダッシュボードを導入することにより、十分な情報に基づくリスクベースの意思決定を行うための支援も行っています。 <エンタープライズ・リスクマネジメント評価手法> エンタープライズ・リスクマネジメント・プロセス 当社グループのエンタープライズ・リスクマネジメント・プロセスの主な構成要素は以下の通りです。- リスクアセスメント(リスクの特定、分析、評価)- 対応策(リスクの低減、リスクマネジメント活動の実行及び調整)- リスクモニタリング(リスクモニタリングプロセスの設計、実施、リスクトリートメント活動の有効性の評価)- リスク報告(リスク及びその対応策を集約・評価し、関連するステークホルダーに定期的に報告する。リスク報告は、リスクマネジメントの年次計画の一部として立案・社内へ展開される) エンタープライズ・リスクマネジメント・プロセスでは、スリーラインモデルの考え方に沿って、リスクコントロール機能と各事業・機能が緊密に連携を行っています。また、リスクコントロール機能は、エンタープライズ・リスクマネジメント手法及び運用ガイダンスを提供、維持、開発する責任を負っており、新しい組織体制・手法の社内への浸透を進めています。 <エンタープライズ・リスクマネジメント・プロセス> マクロ経済ビジネス環境 ウクライナにおける戦争と中東情勢の影響により、世界のマクロ経済が大きな影響を受けており、エネルギー価格は上昇し、世界レベルで高止まりしています。さらに、インフレの進展は、引き続きサプライチェーンの混乱の影響も受けています。顕著な技能労働者の不足もあり、経済と消費の全体的な減速につながっていましたが、供給サイドの問題が解消され、金融引き締めが続く中、ほとんどの地域でインフレ率は想定よりも早く低下しつつあります。 また、地政学的な不安定性は経済成長にとって最大の脅威の1つであり、他にもサイバー攻撃、大きな災害を伴う異常気象、原材料や部品の調達から製品供給までの不確実性などに起因し、潜在的な影響の大きいサプライチェーン・リスクは近年増加しています。貿易摩擦が激化し、原材料の安定的な調達が難しくなることで、原材料価格の上昇や製品の供給不足が発生しており、サプライヤー管理の強化に集中的に取り組む必要があります。 さらに、世界的に環境問題への意識が著しく高まっており、あらゆるステークホルダーからの要請が増加しています。 技術面では、あらゆる領域でデジタルトランスフォーメーションが加速しています。それに伴い、開発サイクルの短縮が求められる傾向にあり、いわゆる技術革新領域(AI/ロボット/ICT)の実用化も進んでいます。 業界特有のビジネス環境 医療分野では、医療費の抑制や医療サービスの安全性・有効性の向上による患者のQOL(Quality of Life:生活の質)の向上を目指し、国内外で医療制度改革が継続的に実施されています。その結果、米国食品医薬品局(以下、FDA)や欧州医療機器規制(以下、EU-MDR)をはじめ、各国の医療機器申請・登録に対する法規制要件は年々厳格になっています。また、感染予防や再処理(洗浄・消毒・滅菌)に関する要件も複雑化しています。 各国の医療政策の変化、医療費の削減、医療関連法規の強化、感染予防や再処理に対する要求のさらなる高まりなどにより、技術開発のハードルや複雑さは増しています。それに伴い、新技術や代替技術だけでなく、IT技術大手をはじめとする異業種からの医療業界への参入もあり、事業環境は厳しさを増しています。 さらに、先進国を中心に社会の高齢化が進むにつれ、医療に対するニーズは確実に高まっています。高騰する医療費を適正化し、効果的で質の高い医療サービスを提供するため、各国で医療制度改革が進められています。また、このような状況下、当社グループが関わる事業領域には多くの競合他社が存在し、技術革新も進んでおり、特に治療機器事業における競争は、一層激化しています。 中国市場では、米中貿易摩擦が激化し、国産優遇政策や集中購買の推進など、不透明感が強まっており、今後も注意が必要ですが、当社グループは、中国市場を持続的な成長が期待できる市場であると認識しています。その他の新興国市場においても、経済成長とともに医療ニーズが高まっており、さらなる成長が期待出来ると考えています。 また、当社グループが事業を展開する業界では、 グローバルで人材獲得競争が激化しており、労働市場の変化で退職率の高まりもみられ、人材の採用・育成・確保がますます重要になっています。 当社グループのリスク状況(2024年3月期) 2024年3月期に実施したグローバルリスクアセスメントに基づき、リスクを特定・評価しました。 3Dリスクマトリックスにおいて"Improve"の領域に特定されたリスクについては、対応策の優先順位を高く設定しています。"Test"の領域に特定されたリスクについては、既にコントロールが実施されていますが、同時に、定期的なモニタリングにより、既存のコントロールが適切にかつ効果的に機能しているか、確認しています。"Monitor"の領域に特定されたリスクは、エクスポージャーが許容可能なレベルであることを継続的に確認し、必要に応じて追加の対応策を設定します。 リスクカテゴリー:戦略(外部環境変化を含む)リスクタイプ:機会と脅威リスクシナリオ このリスクカテゴリーは、「計画・資源配分」、「事業開発・投資」、「コミュニケーション・ステークホルダーマネジメント」、「マーケットダイナミクス」、及び「不可抗力」のサブカテゴリーで構成されています。最も高いリスクとして評価されたのは、地政学の脅威、サプライチェーンの中断、不安定な市場における事業展開であり、このカテゴリーには市場・競合状況に関するリスクも含まれています。以下はその一例です:•価格、技術、品質等において、競争力を有する製品を適時に投入する必要がありますが、その成否によっては収益確保に影響を及ぼす可能性があります。•M&A先の選定には、機会と脅威の両方があり、リスクに基づいた慎重な選定、契約前のデューデリジェンス、デューデリジェンス結果をフォローアップする統合プロセス、契約後のデューデリジェンスが必要ですが、その成否によっては当社グループの事業遂行に影響が生じるほか、のれんの減損や、その他これに伴う費用の発生など、業績および財政状態に影響を与える可能性があります。対応策 当社グループでは、上記のリスクに対応するために以下の対応策を実施しています。•市場における代替技術・製品の出現などを含めた競争環境を注視し、マーケティングや知的財産および関連部署との協力の下で、採用すべき新技術の選定および開発の迅速化に努めています。社内での開発のみならず、M&Aやアライアンス等を通じた社外の技術の取り込みも積極的に検討するとともに、市場ニーズに即した高付加価値の新製品・技術の開発にも取り組んでいます。•サプライチェーンの脆弱性を低減するための、サプライチェーンのビジビリティを高める取り組み。•グローバルな事業継続マネジメントシステムの強化。•合併・買収プロセスの見直しと強化。経営戦略・方針との関連:成長のためのイノベーション、生産性の向上 リスクカテゴリー:オペレーション&製品リスクタイプ:機会と脅威リスクシナリオ このカテゴリーは、「研究開発」、「製造・修理」、「エンド・ツー・エンド・サプライチェーン」、「販売・マーケティング・サービス」、「品質」、「資産」、及び「人的資源」のサブカテゴリーで構成されています。最も重大なリスクは、製品品質、エンド・ツー・エンドのサプライチェーン、マーケティング&セールスに存在します。これらは、製品のライフサイクルだけでなく、製品の安定的な供給に関するリスクも含まれています。以下はその一例です:•2023年3月期にFDAより受領した警告書のフォローアップ活動に関連し、大規模な品質改善プログラムと改善活動の推進により、製造、品質、サプライチェーンマネジメント、及び研究開発の非常に多くのリソースが用いられ、通常行うべき業務とリソースのバランスを保つ必要があり、その成否によっては当社グループの事業遂行に影響を及ぼす可能性があります。•地政学的危機、自然災害、その他サプライチェーン上の課題が増加する中で、サプライチェーンの外的な混乱に対する当社の回復力を更に向上させる必要性を認識しています。自然災害リスクが顕在化した例としては、令和6年能登半島地震があり、当社の製造機能にとって重要なサプライヤー及び当該サプライヤーからの短期・中期的な原材料供給に影響を与えています。対応策 当社グループは、患者様の安全に最も重点を置き、顧客に高品質な製品・サービスを提供するため、エンド・ツー・エンド・サプライチェーンの安定と品質プロセスの改善に注力しています。主な活動は以下の通りです:•品質マネジメントシステムと品質プロセスをグローバルかつ持続的に強化し、調和させるために、グローバルな複数年にわたる品質プログラムを実施。•サプライチェーンの可視性を向上させ、特定のサプライヤーに依存しない体制を構築するためのプロジェクトを実施。•グローバルな事業継続マネジメントシステムの強化。経営戦略・方針との関連:患者様の安全と持続可能性、生産性の向上 リスクカテゴリー:ファイナンスリスクタイプ:機会と脅威リスクシナリオ このカテゴリーは、「資本構造」、「会計・報告」、「流動性・信用」、「収益サイクル」、及び「税務」のサブカテゴリーで構成されています。 当社グループは、世界のさまざまなマーケットにおいて製品およびサービスを提供しており、為替についてのリスクを認識しています。為替が円高に推移した場合、当社グループの業績に悪影響を及ぼし、一方、円安は好影響を与える可能性があります。外貨建債権・債務について可能なものについてはヘッジを行っていますが、急激な為替変動が生じた場合、あるいはヘッジの対象となる債権・債務の発生が予定と大きく異なった場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。 資金調達のリスクについて、当社グループは、金融機関等からの借入、社債発行による資金調達を行っていますが、金融市場の環境変化によっては、当社グループの資金調達に影響が生じる可能性があります。また、当社グループの業績悪化等により資金調達コストが上昇した場合、当社グループの資金調達に悪影響が生じ、一方、業績良化等により資金調達コストが低下した場合、好影響を与える可能性があります。 さらに、世界各国の租税法令またはその解釈や適用指針の変更等により、追加の税負担が生じる可能性があります。繰延税金資産については、経営状況の変化や組織再編の実施等により、回収可能性の評価を見直した場合、繰延税金資産に対する評価性引当金の積み増しが必要となる可能性があります。そのような事態が生じた場合、当社グループの業績および財政状態に影響が生じる可能性があります。 この他にも、当社グループでは、顧客や取引先等の信用リスクなども認識しています。対応策 当社グループでは、為替変動リスクを軽減することを目的として、先物為替予約や通貨スワップ等のデリバティブ取引を利用しています。また、グローバル・キャッシュ・プーリングの導入により、グループ資金の効率化などを通じて、外貨建債権・債務の縮小を図っています。 資金調達に関するリスクに対しては、コマーシャル・ペーパーや公募社債の発行等、資金調達手段の多様化による調達コストの低減に取り組んでおり、長期の有利子負債は基本的に固定金利を採用することで、金利上昇の影響を限定的にしています。また、グローバル・キャッシュ・プーリングの導入により、グループ資金の効率化や財務管理の強化を図っています。 世界各国の租税法令またはその解釈や適用指針の変更等に関しては、法令の改正や規則の変更に対するモニタリングを行いながら、社内の取引ルールを適宜見直していきます。繰延税金資産については、グループ各社の収益性をモニタリングしながら、それぞれの会社が適切な収益を確保出来る様に業績を管理することに加えて、グループ会社間の組織再編においても再編後の収益性の変化に留意することでリスクの最小化を図ります。 また、信用リスクについては、与信先の財務状態等をモニタリングの上、必要に応じた対応を行います。経営戦略・方針との関連性:生産性の向上 リスクカテゴリー:ガバナンスリスクタイプ:機会と脅威リスクシナリオ このカテゴリーは、「カルチャー」、「規制、法務」、「コンプライアンス」、「データプライバシー」、及び「コーポレートガバナンス」のサブカテゴリーで構成されています。以下はその一例です:•契約管理プロセスと契約管理データベースの統合が不十分なことで、透明性の欠如を引き起こし、契約違反やクレーム、債務を誘発する可能性があります。•多くの医療機器規制や法律、複雑な貿易規制に直面しており、書類の不備や違反が直ちに製品供給に影響を及ぼす可能性があります。•2023年3月期にFDAから受領した警告書で指摘された事項に対して実施中の是正活動は、規制を遵守するために完全に実行する必要がありますが、今後の経過によっては、FDAによりさらなる規制措置が取られる可能性があります。•グローバルに一貫した事業継続マネジメントシステムの統合に遅れが生じる可能性があります。対応策 これらのリスクに対して実施・継続している主な活動は、以下の通りです。•契約管理プロセスの評価および強化。•規制要件に対応する改善プロジェクト及び全社の品質向上プログラムを統合し、総合的な品質・規制対応を強化。また、グローバルなメドテック企業での経験と知見を有する社外取締役で構成される品質保証及び法規制委員会を設置し、同プログラムの活動の監督および戦略的な助言を実施。•当社と規制当局の間における、計画と期待の整合性を確保するための緊密なコミュニケーションの確立。•グローバルに一貫した事業継続マネジメントシステムを構築し実行するためのプロジェクトをキックオフし、既存の事業継続措置との統合を目指す。経営戦略や方針との関連:患者様の安全と持続可能性 リスクカテゴリー:IT&デジタルリスクタイプ:機会と脅威リスクシナリオ このカテゴリーは、「ITセキュリティ・サイバー」、「ITアプリケーション」、「ITガバナンス」、「ITインフラ・サービス」及び「デジタル」のサブカテゴリーで構成されています。当社においてはサイバーセキュリティ侵害のリスクを重く評価しており、常に注意と対応が必要だと考えています。 また、患者様への治療の質と効率を向上させるために、当社製品にデジタル技術を活用することが増えており、サイバーセキュリティの侵害に対する対策は、製品開発からバリューチェーン全体に及んでいます。対応策 サイバーセキュリティ侵害を回避し、適切に管理するための最も重要な対応策は以下のとおりです。•ITおよび情報セキュリティに関する取り組みの維持・管理のため、ITおよび情報セキュリティ機能を強化。全社的なセキュリティ態勢強化のため、グローバルプロジェクトを実施・継続•エンタープライズ・リスクマネジメントシステムに直結する、ITリスクマネジメントフレームワークを導入•サードパーティのプロバイダーとのセキュリティおよび連携要件を見直し、強化•サイバーセキュリティ侵害が顕在化した際に顧客や患者様への影響を最小限に留めるため、事業継続管理を全社で整合させるプロジェクトのもと、事業継続計画と災害復旧計画を強化 •サイバーセキュリティ侵害から製品とデジタルサービスを守るため、最新のサイバーセキュリティ要件を考慮した技術やプロセスなどの対策を講じるための全社的な取り組みを開始•サイバーセキュリティの脅威や日常の業務で取ることのできる回避策について、従業員教育を定期的に実施経営戦略・方針との関連:患者様の安全と持続可能性、生産性の向上 リスク評価手法の変更およびリスクポートフォリオの全面的な見直しにより、リスクの内容および順位を変更しました。この結果、以下のリスクは前述のトップリスクよりも評価が低くなったため、上記に記載していません。なお、これらのリスクはすべて、当社グループのリスクポートフォリオに含まれており、現在も対応・モニタリングを行っています。•訴訟に関するリスク•人材に関するリスク•気候および環境を含むサステナビリティに関するリスク
FY2023|17,744 文字
3【事業等のリスク】 当社グループの業績は、今後起こりうる様々なリスク(不確実性)によって大きな影響を受ける可能性がありま す。当社グループでは、経営理念、経営戦略等を含めた「経営の基本方針」を実現するためのリスクマネジメントの取り組みを実施しています。具体的には、「リスクマネジメント及び危機対応方針」及び関連規程に基づき、積極的かつ適切なリスクテイクによる企業の持続的成長や価値創出に繋げる“攻め”と、不正や事故の防止という“守り”の両方の視点で、リスクマネジメントを行っています。 リスクマネジメント体制においては、グローバルなリスクマネジメント体制を構築し、経営戦略ほか当社の事業目標の達成に影響を与えうるリスクの分類を定義し、各リスク分類を管掌する執行役を明確にしています(リスクアシュアランスの確立)。各執行役は管掌するリスク分類に付随するリスクを許容範囲に収めるために必要な各種活動(組織体制の整備、プロセスの整備、重点施策の策定・実行など)を遂行します。 2023年4月よりGRC(ガバナンス、リスク、コンプライアンス)に関する4つの機能(リスク&コントロール、コンプライアンス、プライバシー、情報セキュリティ)を統括する新組織を発足させました。機能間の連携を高めることで、執行機能におけるリスクマネジメント体制の更なる強化を図ります。 また、リスクマネジメントのプロセスをリスクアセスメント(リスクの特定、分析、評価およびリスク対応策の設定)、リスク対応策の実行、モニタリングおよびレポーティング、改善のPDCAサイクルで運用しています。リスクアセスメントは、年度計画策定プロセスに連動させ、全社共通の評価基準を用いてリスクを評価し、全社のリスクを可視化、一元管理しています。また、グループの重要リスクについてはその対応状況を定期的にグループ経営執行会議、取締役会および監査委員会へ報告し、継続的にモニタリングしています。 <リスクマネジメント体制><「経営の基本方針」を達成するためのリスクマネジメント> 以下において、当社グループの経営意思決定以外の要因で、業績変動を引き起こす要因となり得る、事業展開上の主なリスクを記載しています。 なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。 <全社重要リスクマップ> <全社重要リスク一覧> <直近の事業環境変化>当社グループ全体に影響を及ぼす基本的な環境認識を以下のように捉え、全社および各組織でのリスク認識、対応策の検討を行っています。Political政治地政学米中貿易摩擦の激化による先端技術の輸出規制が当社グループの業績へ影響を及ぼす可能性。戦争・紛争の影響を考慮した対応策(BCP策定等)の整備。Economical経済マクロ経済各国間の経済摩擦、経済制裁の発生、主要原材料の不足あるいは需給バランスの悪化などの複雑な要素に起因する世界的なインフレーション、金利の変動や急激な為替変動。Social社会ステークホルダー世界的かつ各地域でのステークホルダーからのサステナビリティの観点での要請の高まり、および情報開示の法制化の加速。※サステナビリティについての詳細につきましては、「第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組」をご覧下さい。Technological技術新技術ビジネスモデルや競合関係の多様化。DX、ロボティクスの加速、AI技術の急速な実用化、医療への適用検討、法規制への影響。 <事業環境に関するリスク>(医療行政、製品関連法規制強化および感染管理に関するリスク)種類:機会と脅威影響度・緊急度:A傾向:増加↑リスク 医療分野においては、国内外で医療費抑制や、医療サービスの安全性や有効性の向上を通じた患者様の生活の質(QOL)の向上を目的とした医療制度改革が継続的に行われており、米国食品医薬品局(FDA)や、欧州医療機器規制(EU-MDR)をはじめとする各国の医療機器申請・登録等の法規制要求は年々高まっています。加えて、感染管理、リプロセス(洗浄・消毒・滅菌)要求も高度化しています。 今後、各国の医療関連法規制や関連した行政の方針などにより、新製品やサービス等をタイムリーに提供できない場合、また、販売した製品等に対する市場対応等を行う場合、収益確保に影響を及ぼす可能性があります。一方で、各国における医療政策変更の兆候を早期に捉えることができた場合、具体的な法規制への確実な対応、あるいはオペレーションの計画的な変更に繋がります。 現在当社は2020年に米国で販売を開始した十二指腸内視鏡に関する市販後調査を実施していますが、今後の経過によっては、FDAにより更なる規制措置が取られる可能性があります。 また、2022年11月から2023年3月にかけて、当社グループは、コンプレイント対応、医療機器報告(MDR)、是正予防処置、リスクアセスメント、プロセスおよび設計の検証に関連して、日本の施設に対してFDAより3件のWarning Letterを受領しました。今後の経過によっては、FDAによりさらなる規制措置が取られる可能性があります。対応策 当社グループは、早期診断および低侵襲治療に寄与する製品ラインアップにより、医療サービスと患者様のQOLの向上に貢献しており、製品ライフサイクルマネジメントおよび感染予防に係る戦略を通じ、法規制に適合した安全な商品の開発と選定に取り組んでいます。今後も、重要な法規制・品質戦略・計画の実行力強化や定期的な監査などを通じて、関連法規の遵守を最優先していきます。 当社グループは、患者様の安全が最も重要だと考えており、各国当局からの指摘事項への対応は必要不可欠です。過去に受けた指摘事項に対する是正処置を遅滞なく行い、直近で当社グループがFDAから受領した3つのWarning Letterに確実に対応していきます。 また、QARAの組織体制・製造プロセス・品質マネジメントシステム・医療事業のクオリティカルチャーに存在すると考えられる根本原因(脆弱性)の改善を推進します。経営戦略・方針との関連性:患者様の安全と持続可能性 (市場・競合状況に関するリスク)種類:機会と脅威影響度・緊急度:A傾向:増加↑リスク 先進国を中心に、高齢化が進展しており、医療へのニーズは堅調に推移するものと考えられます。また、各国では増加する医療費の適正化や効率的かつ質の高い医療サービスの提供を図ることを目的とした医療制度改革が進められています。 このような環境下で、当社グループが関連する事業分野においては多くの競合会社が存在し、技術革新も進んでいます。特に治療機器事業における競争がこれまで以上に激化しています。当社が価格、技術、品質等において、競争力を有する製品を適時に投入する必要がありますが、その成否によっては収益確保に影響を及ぼす可能性があります。短期的にはEVIS X1などの新製品の投入、中長期ではDX、エンドルミナルなどの内視鏡技術開発が進むことによる収益の増加等の機会を得られる可能性があります。 特に中国市場については、中長期的に高い成長ポテンシャルを有する市場と認識しています。一方で、米中貿易摩擦の激化、中国政府・当局による国産優遇策や集中購買の推進など、中国市場に係る不確実性がこれまでに増して高まっています。さらに、新興国市場についても、経済成長に伴い医療に対するニーズが高まっており、さらなる成長余地があります。今後の政治情勢や政府・当局の政策・規制の動向、あるいは競合会社との競争状況によっては、当社の売上に大きな影響を及ぼす可能性があります。対応策 当社グループでは、特定の地域での事業展開にとどまらず、全世界の様々な事業分野・地域において、多様な製品・サービスの提供に努めています。また、内視鏡を操作できる医師を増やすべく、トレーニングプログラムの提供など、内視鏡医の育成をサポートしています。 また、当社グループでは市場における代替技術・製品の出現などを含めた競争環境を注視し、マーケティングや知的財産および関連部署との協力の下で、採用すべき新技術の選定および開発の迅速化に努めます。社内での開発のみならず、M&Aやアライアンス等を通じた社外の技術の取り込みも積極的に検討します。市場ニーズに即した高付加価値の新製品・技術の開発にも取り組んでいます。当社グループにおいては特に、内視鏡事業では消化器内視鏡システムEVIS X1の拡販によって強固なシェアを維持し、治療機器事業では消化器科・泌尿器科・呼吸器科の製品ラインアップの強化によってシェアを拡大し、シングルユース内視鏡等の次世代の医療機器の開発を推進することによって、収益拡大を目指しています。 重要な市場の一つである中国においては、国産優遇策などへ対応するため、以下の対応策を検討し、推進しています。・中国での製造拠点(一部研究開発機能含む)立ち上げ・グローバルでのサプライチェーン全体の最適化・米中関係などに関する各種情報収集・有事の際の影響を考慮した対応策(BCP策定等)の整備 新興国についても、専任組織の設置や優先順位の高い国における長期的な投資の開始など、機会を最大化するための活動を推進しています。経営戦略・方針との関連性:成長のためのイノベーション <マーケットに関するリスク>(経済環境に関するリスク)種類:機会と脅威影響度・緊急度:C傾向:増加↑リスク ウクライナにおける戦争や米中貿易摩擦のほか、地政学的リスクの顕在化や、資源価格の動向等の経済環境の変化により、世界的なインフレーションや急激な為替変動が生じ、当社グループの収益確保に影響を及ぼす可能性があります。 当社グループは、内視鏡事業や治療機器事業等において製品およびサービスを世界中の顧客に提供していますが、これらの事業の収益はグローバル経済や各国の景気動向に大きく影響を受けます。 医療分野では、各国の国家予算が縮小された場合、あるいは政策の転換等により、収益確保に影響を及ぼす可能性があります。 一方で、政策等により関連国家予算が増加した場合、収益の増加等の機会を得られる可能性があります。対応策 当社グループでは、特定の地域での事業展開にとどまらず、全世界の様々な事業分野・地域において、多様な製品・サービスの提供に努めています。また、各国による自国の産業育成・保護等の政策につき、特に注視すべき状況となった場合には、必要に応じてタスクフォースの設置や定期的な社内報告等を行います。経営戦略・方針との関連性:成長のためのイノベーション (為替変動に関するリスク)種類:機会と脅威影響度・緊急度:D傾向:増加↑リスク 当社グループは、世界のさまざまなマーケットにおいて製品およびサービスを提供しています。為替が円高に推移した場合、当社グループの業績に悪影響を及ぼし、一方、円安は好影響を与える可能性があります。外貨建債権・債務について可能なものについてはヘッジを行っていますが、急激な為替変動が生じた場合、あるいはヘッジの対象となる債権・債務の発生が予定と大きく異なった場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。対応策 為替変動リスクを軽減することを目的として、先物為替予約や通貨スワップ等のデリバティブ取引を利用しています。また、グローバル・キャッシュ・プーリングの導入により、グループ資金の効率化などを通じて、外貨建債権・債務の縮小を図っています。経営戦略・方針との関連性:成長のためのイノベーション (資金調達に関するリスク)種類:機会と脅威影響度・緊急度:D傾向:継続→リスク 当社グループは、金融機関等からの借入、社債発行による資金調達を行っていますが、金融市場の環境変化によっては、当社グループの資金調達に影響が生じる可能性があります。 また、当社グループの業績悪化等により資金調達コストが上昇した場合、当社グループの資金調達に悪影響が生じ、一方、業績良化等により資金調達コストが低下した場合、好影響を与える可能性があります。対応策当社グループでは、コマーシャル・ペーパーや公募社債の発行等、資金調達手段の多様化による調達コストの低減に取り組んでおり、長期の有利子負債は基本的に固定金利を採用することで、金利上昇の影響を限定的にしています。また、グローバル・キャッシュ・プーリングの導入により、グループ資金の効率化や財務管理の強化を図っています。経営戦略・方針との関連性:成長のためのイノベーション <事業活動に関するリスク>(開発活動に関するリスク)種類:機会と脅威影響度・緊急度:A傾向:継続→リスク 当社グループの医療分野は、高齢化、環境意識の高まりなどを主な要因として、これまで以上に急速な社会環境の変化、不確実性に直面しています。各国の医療政策の変更、医療費削減、医療関連法規制の強化、感染予防・リプロセスに対する要請の更なる高まりにより、技術開発に対するハードル・複雑さは増しています。また、欧米では、環境対応に対する意識が顕著になってきています。それらに対して要求される開発サイクルは短くなる傾向にあります。 技術的には、すべての領域でデジタル・トランスフォーメーション(DX)が加速しており、いわゆるテクノロジー・イノベーション技術(AI/ロボティクス/ICT)も実用化の段階に入ろうとしています。それに伴い、新技術・代替技術のみならず、巨大IT企業など異業種からの医療業界への参入により事業環境は厳しさを増しています。また、当社グループの医療分野では、患者様ファーストの考えに基づき消化器科、泌尿器科、呼吸器科を中心にケア・パスウェイを広げ、技術開発、イノベーションを通じて診療水準の向上に貢献し、患者様のアウトカムの改善を目指しています。既存の製品・技術に対して顧客のニーズに応じた改良をおこなう「持続型イノベーション」だけでなく、社会環境の変化に対応した新たな発想で技術を実用化する「破壊型イノベーション」とのバランスが重要だと考えています。市場の変化を適切に予測できない、あるいは製品の開発が予定通り進展しないことにより、顧客のニーズに合致した新製品をタイムリーに開発できない場合には、収益確保に影響を及ぼす可能性があります。また、開発期間の長期化に伴う費用の増加あるいは回収可能額が相対的に低下することによる開発資産の減損損失等が発生する可能性があります。 機会として、当社グループの注力領域における技術開発の発展、およびアンメットニーズに対するソリューション提供を通じた医療への貢献、中長期ではロボティクス技術の普及による、低侵襲治療、医療費削減、医療従事者の負荷軽減の可能性があります。対応策 当社グループでは、医療分野にフォーカスした機動力のあるコンカレントな技術開発を行うための組織体制を整備しています。また、技術開発およびイノベーションに対して、以下の様な複合的なアプローチを用いるとともにそれを推進する多様な人材の育成、獲得にも注力しています。①既存事業および製品に対する継続的な技術開発、②適切なプロダクトライフサイクル管理による製品の安全性の追求、開発効率向上、開発コストの削減、③M&Aを通じた技術獲得および製品ポートフォリオの拡充、④自社のコア・テクノロジー、コスト、開発期間などを勘案した業務提携、内製・外製の検討、⑤社会課題の解決にもつながる将来の事業および環境対応に配慮した製品開発のためのイノベーションなど。 当社の既存製品に対する技術面での取り組みとして、製品ラインアップの拡充、製品関連法規制への対応、感染予防およびリプロセスへの対応、製品セキュリティ強化の取り組みが必須です。また、感染対策への意識の高まりにより市場のニーズが増している、シングルユース内視鏡に対する複数のラインナップを用意することは優先度の高い開発テーマです。また、当社ではDXを加速させ、デジタル技術を活用したサービスを本格的に始めようとしています。さらに、近い将来に向けて、診療プロセス全体の最適化および新しいビジネスモデル構築のための、より高度なAI、ICTの活用検討、次世代の低侵襲手術に向けたロボティクスの活用検討も推進しています。このような開発活動を通して、予防から診療、予後にいたるまで、患者様がたどる一連のケア・パスウェイに着目し、向上させるためのソリューションを構築していきます。経営戦略・方針との関連性:患者様の安全と持続可能性, 成長のためのイノベーション, 生産性の向上 (サプライチェーンに関するリスク)種類:機会と脅威影響度・緊急度:A傾向:継続→リスク 当社グループでは、製品を開発し、必要な部品等を外部の供給元から調達し、生産、製品供給まで、適時に行う必要があります。近年、特に地政学的緊張の高まり、サイバー攻撃、影響力の大きい気象現象、世界的な輸送網の寸断によって、影響力の大きいサプライチェーンの潜在的なリスクが増加しており、原材料および部品調達から製品供給までの不確実性は以前より増しています。貿易における障壁の増加や原材料の入手困難など、外部要因による原材料価格の上昇や製品の不足に対して、強力なサプライヤーマネジメントに集中的に取り組む必要があります。 特定の供給元に依存する部品等について、調達に制約を受ける場合には、当社における生産および供給が中断あるいは遅延する可能性があります。これらのマクロ経済の不確実性および地政学の脅威は、製造供給部門で進めている生産構造改革およびサプライチェーン全体の最適化に大きな影響を及ぼす可能性があります。 世界的な半導体およびその他の部品不足に関しては、全体的な需給は安定化の傾向にあり、リスクも減少方向に向かっています。しかしながら、当社が調達している半導体は供給量が限られ、供給不足が長期化する可能性もあり、引き続き注意が必要です。 地政学的リスク、自然災害、疫病、戦争、内戦、暴動、テロ、サイバー攻撃、港湾労働者によるストライキ、或いは輸送事故などの理由により物流が停滞する場合、配送遅延による売上機会の損失、復旧対応のコスト増加により当社の収益確保に影響を及ぼす可能性があります。 製品については外部への生産委託を含め、厳格な品質基準に基づき生産を行っていますが、万一、製品に不具合等が発生した場合には、リコール等、多額のコストが発生するだけでなく、当社グループの信頼が損なわれ、収益確保に影響を及ぼす可能性があります。 一方で、これらサプライチェーンのリスク及び課題に適切に対応することで、生産効率の向上、安定した製品供給、顧客の信頼獲得に繋がり、収益増加の機会を得られる可能性が高まります。対応策 当社グループでは、不確実性の高い環境下においても、透明性が高く、統合的で強靭なサプライチェーンを構築することを重視しています。事業継続と持続可能な価値創造を見据えて、サプライチェーン方針や、「オリンパスグループグリーン調達基準」を制定し、これらのもとで、法令・社会規範遵守の強化に取り組んでいます。取引先に向けては、法令・社会規範の遵守、汚職・賄賂などの禁止、公平・公正な取引の推進、環境への配慮など、具体的な行動指針を定めています。これらをもとに、公平、公正かつ透明性の高い取引に基づく良好な関係の構築と関係強化に取り組んでいます。 また、当社グループは、サプライチェーンマネジメントの強化を目指しており、部品等の調達から顧客への納品まで、全体を統合したEnd-to-Endサプライチェーンを構築し、顧客満足度およびビジネスの変化対応力の向上、コストの効率化、在庫の最適化を目的とした施策を実行しています。End-to-Endサプライチェーントランスフォーメーションの目標は、製造および調達と緊密に連携してこれらのリスクによる影響を管理し、外的な逆風による影響を制限するための計画および流通プロセスと機能を強化することです。新たに設置されたグローバルディストリビューション機能(End-to-Endサプライチェーントランスフォーメーションの一部)は、安定した配送と、課題やサポートの必要性に対するタイムリーな問題解決をするため、リスクの軽減と対策を、監督および調整しています。サプライチェーン、調達、製造、および営業機能間の緊密なコラボレーションと迅速な意思決定を推進します。 取引先の動向把握や取引先との関係強化を推進するとともに、バックアップ計画の検討を含むBCP(事業継続計画)の強化等を行っており、特に半導体の調達に関しては、社内横断タスクフォースを設置し、取引先との関係強化により、必要量の確保を図っています。また、製品の安定供給のため、各拠点で適切な在庫量を設定するとともに、製造・調達・サプライチェーン機能が一体となって、リスク管理体制を構築し、End-to-Endでのサプライチェーンの変化に対して対応策を講じています。さらに、品質管理部門との協働のもとで、最適な生産システムの構築と品質の向上に努め、製品開発プロセスを事業レビューや技術レビューなどに分けるなど、品質改善活動を推進することで品質問題の抑制を目指しています。製造の観点では、グローバルでの生産負荷最適化、内製/外製の検討、バリューエンジニアリングの推進、製造DXの推進などを通じて、製造コストの最適化を図っています。経営戦略・方針との関連性:患者様の安全と持続可能性, 成長のためのイノベーション, 生産性の向上 (業務提携、企業買収、事業売却および投資全般等に関するリスク)種類:機会と脅威影響度・緊急度:A傾向:継続→リスク 当社グループは事業ポートフォリオの選択と集中を行っており、特に消化器科・泌尿器科・呼吸器科の領域について優先的に投資を実施しています。事業に係る様々な領域で設備投資や研究開発投資等の投資を実施しており、当該投資に係る意思決定を行った時点から外部環境が急激に変化する等、予期せぬ状況の変化が発生した場合には、当社グループの業績および財政状態に影響を与える可能性があります。技術および製品開発、販売・マーケティングに関して、業界の先進企業と長期的な戦略的提携関係を構築していますが、これらの戦略的パートナーに、財務上あるいはその他事業上の問題が発生した場合、また戦略の変更等により提携関係を維持できなくなる等の問題が発生した場合には、当社グループの事業活動に影響が生じる可能性があります。 事業拡大のため、企業買収等を実施することがありますが、買収の対象事業を当社グループの経営戦略に沿って適切に統合できない場合、あるいは既存事業および買収の対象事業について効率的な活用を行うことができなかった場合は、当社グループの事業遂行に影響が生じるほか、のれんの減損や、その他これに伴う費用の発生等が生じる可能性があります。 当社グループは、業務提携の推進等を目的として、投資有価証券等を保有しています。市場経済の動向や投資先の財政状態等により、株価および評価額に著しい変動が生じる場合には、当社グループの業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 また、事業ポートフォリオの戦略的な見直しの一環で、当社はノンコア事業と位置付けられた関連会社あるいは事業の売却を実行することがありますが、各国の法規制や経済情勢および相手先の経営状況の変化などにより実施が困難となる場合、あるいは売却損、評価損が発生する場合、当社グループへの経営あるいは財務上の影響が生じる可能性があります。 適切な対応策の下で行われる業務提携および企業買収等を通じて、当社は製品ポートフォリオの拡充や新技術の獲得を進め、ターゲットとする領域および疾患におけるリーディング・ポジションを確立し、長期的な成長と企業価値の向上を実現することが可能となります。対応策 当社グループでは、投資前には投資評価の妥当性を審議し、投資の可否を判断しており、外部環境の変化等に応じて、投資後も評価を行っています。M&Aや出資の検討に際しては、契約の成立後に深刻な問題が発見されるようなリスクを低減すべく、外部の弁護士や財務アドバイザー等も活用して、各種デューデリジェンスを実施した上で、社内で定められた承認プロセスに従って投資評価の妥当性を審議するなどのプロセスを経て、投資の可否について判断を行っています。また、コンプライアンスを遵守するための内部指針、価値評価モデル、デューデリジェンス項目の見直しを定期的に行うとともに、取引が完了した後も対象事業のモニタリングを実施するなど、投資に関するプロセス全体の改善に取り組んでいます。事業売却等においても同様の承認プロセスを経て判断を行い、プロセス全体の改善に取り組んでいます。経営戦略・方針との関連性:成長のためのイノベーション, 生産性の向上 <経営全般に影響を及ぼすリスク>(コンプライアンスに関するリスク)種類:脅威影響度・緊急度:D傾向:継続→リスク 当社グループおよび当社グループの販売店、供給者の多くが政府系の企業、政府系の医療機関および公務員と取引を行っています。また、当社グループでは、規制業種である医療分野を含む各種事業を世界各地で展開しており、本邦の法律に加えて各国・地域における医療に関する法律や独占禁止法のほか、米国海外腐敗行為防止法(FCPA)の贈賄禁止条項や英国反贈収賄法を始めとした各国・地域の贈収賄禁止に関する法律の適用を受けています。さらに、不当景品類および不当表示防止法、米国反キックバック法や米国虚偽請求取締法を含む、ヘルスケア事業に関連する様々な不正防止法の規制対象にあります。当社グループと協力関係にある取引先(ディーラー・サプライヤー)に対しても、高い水準のコンプライアンスが維持されるように取り組む必要があります。 法的規制への違反は罰金や課徴金、禁固刑、特定の国における医療制度への参加禁止などの処罰につながる可能性があります。さらに、当社グループの顧客の多くが公的医療保険その他、政府による医療制度から医療費を補助されており、法的規制への違反によって制度への参加を制限された場合には、当社グループの製品に対する需要やそれを使用した症例数の減少などの影響が生じる可能性があります。 当社グループは、世界中のプライバシーに関する規制を受けています。個人情報の取り扱いに関して、世界各国の個人情報保護法制(日本の「個人情報保護法」、欧州連合(EU)の「EU一般データ保護規則(GDPR: General Data Protection Regulation )」)等に違反することにより、政府機関から罰金その他の処分を受ける、またはステークホルダーから訴訟を提起される可能性があります。 当社グループでは、これらの法的規制を遵守することを徹底していますが、違反する行為を行った場合、違反の意図の有無にかかわらず、当社グループの事業、財政状態、経営成績、キャッシュ・フローの状況および株価に影響を及ぼす可能性があります。対応策 当社グループではグローバル行動規範において示しているとおり、法令順守に基づいた業務遂行を従業員に徹底しており、贈賄防止や各国の競争関連法を順守することの重要性について従業員への教育を行っています。また、世界中の販売店や第三者を対象に法規制遵守等に係るトレーニングや監査も実施しています。 法務、コンプライアンス、内部監査などの統制部門が、当社グループに適用されるすべての法律、規制、内部方針を遵守しているかどうかという観点から、事業活動をモニタリングしています。また、当社グループは、従業員に対しても必要かつ適切な研修や教育を実施しており、全従業員、第三者、一般の方が懸念事項を報告できる、グローバル通報窓口を開設しています。このグローバル通報窓口は、独立した第三者によって運営されており、365日、24時間いつでも、多言語での受付が可能です。事業を展開するすべてのマーケットにおいて、当社事業に関連する規制をモニタリングし、情報収集を行う体制の構築を進めています。また、関連する法律や規制に改正や変更があった場合には、従業員に対して周知徹底するとともに、その改正や変更に対応した製品を速やかに開発し、供給していきます。 個人情報保護規制に関わるリスク対応としては、2022年3月期にセキュリティおよびプライバシーコンプライアンス戦略を策定し、各地域における個人情報保護関連専門人材の配置を含む対応力の強化を進めるとともに、当社グループ全体での連携をより確実にするためグローバル体制の強化に取り組んでいます。経営戦略・方針との関連性:患者様の安全と持続可能性, 生産性の向上 (訴訟に関するリスク)種類:脅威影響度・緊急度:D傾向:継続→リスク 国内外の事業に関連して、訴訟、紛争、その他の法的手続きの対象となるリスクがあります。第三者より、将来、損害賠償請求や使用差し止め等の重要な訴訟が提起された場合は、当社グループの業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 また、当社は研究開発および生産活動において様々な知的財産権を使用しており、それらは当社グループが所有しているもの、あるいは適法に使用許諾を受けたと認識しているものでありますが、当社グループの認識の範囲を超えて第三者から知的財産権を侵害したと主張され、係争等が発生した場合には、収益確保に影響を及ぼす可能性があります。 当社の連結子会社であるOlympus (China) Co., Ltd.が保有する中国・深圳市にある当社の中国現地法人Olympus (Shenzhen) Industrial Ltd.は、深圳市安平泰投資発展有限公司およびShenzhen YL Technology Co., Ltd.との間で計2件のビジネス上の紛争に関与しており、今後の経過によっては、当社グループの業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。対応策 訴訟その他法的な手続きが必要となる事案が発生した場合に、適時に弁護士等の外部専門家と対策を検討することが出来る体制を構築し、日本、米州、欧州、中国、アジア・オセアニアの各地域統括会社においても社内の関連部署のスキル・専門知識の強化に努めています。また、財務上のリスクを極小化する目的で、訴訟による予期せぬ損失に備えて、保険の付保等を行っています。経営戦略・方針との関連性:成長のためのイノベーション (情報セキュリティに関するリスク)種類:脅威影響度・緊急度:A傾向:増加↑リスク 当社製品やサービスを安定的に継続して提供するため、事業継続を妨げるサイバー攻撃に備え、当社およびステークホルダーの機密情報や個人情報の漏えい防止などの情報セキュリティリスクの低減や、法令違反の防止に努めています。しかしながら世界的に医療機関や製造業、そのサプライチェーンを標的としたサイバー攻撃が急増しており、攻撃の高度化・組織化が進んでいることから、以下にあげるような不測の事態が発生することにより、当社グループの企業価値の毀損、事業競争力の低下、社会的信用の失墜、影響を受けるステークホルダーに対する補償、各国当局からの制裁・罰金により、当社グループの業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。・医療機関に設置された当社の製品を標的としたサイバー攻撃により、顧客医療機関において検査や治療行為が継続できなくなること、あるいは患者様の個人情報が漏洩または毀損すること・当社の顧客である医療機関を標的としたサイバー攻撃により、当社製品の使用やその保守作業を介して患者様の情報が漏えいし、顧客が事業を継続することが出来なくなること・当社やそのサプライチェーンを標的としたサイバー攻撃により、当社において業務が中断したり、保守サービスの提供が滞るなどの結果として、医療機関において検査や治療行為が継続できなくなること・情報セキュリティ対策の不備や内部不正により、当社内に保管される技術情報・顧客情報が漏えいまたは毀損すること 上記の医療行為の継続性に対するリスクは各国の法規制当局にも認識されており、新製品だけではなく既販品も含め製品およびその供給に関する情報セキュリティ・サイバーセキュリティリスクを製品安全性の一環として扱うことが求められています。対応策 サイバー攻撃等により不正アクセスが発生した場合に、より迅速な対応により顧客やビジネスパートナー、当社業績への影響を最少化するため、全従業員への定期的な教育の実施の徹底や、当社グループ全体を対象とするインシデント対応体制の構築に取り組んでいます。 上記に加えてこれまでの活動をさらに強化するため、まず2022年3月期において、当社グループ全体で情報/サイバーセキュリティ、プライバシーのリスク管理を可能にし、複数年にわたる戦略ロードマップをグローバルで一貫して実行していくことを目的として、新たなセキュリティおよびプライバシーコンプライアンス戦略とその実行のためのガバナンスモデルを策定し、続いて2023年3月期においては、戦略ロードマップ実行に必要となる関係各機能におけるグローバル体制づくり、およびロードマップ施策の実行を開始しました。具体的には、サイバー攻撃に対するグローバル対応体制の整備、製品開発および製造環境における情報資産管理プロセスのグローバル標準化、製品開発フェーズにおけるセキュリティ保証プロセスやセキュリティに関する顧客からの問い合わせへの応対プロセスのグローバル標準化などの活動を開始しました。これにより、以下のことが可能になります。・一般的なITシステムのみならず製品開発環境や製造環境においてもサイバー攻撃への耐性を高めること・セキュリティを製品安全の一部と捉え、開発段階だけでなく製品ライフサイクル全体にわたり製品セキュリティを継続的に担保し、当社サプライヤーを含めサプライチェーン全体で安定した製品供給を維持すること・各国・地域の最新動向や法規制に基づき、さらにプライバシー保護を強化すると共に、様々なデータの種類や機密度に応じた保護と利活用を実現すること経営戦略・方針との関連性:患者様の安全と持続可能性, 成長のためのイノベーション, 生産性の向上 (人材に関するリスク)種類:機会と脅威影響度・緊急度:A傾向:増加↑リスク 当社グループの競争力を維持するためには、事業遂行に必要な優秀かつ多様な人材を採用し、維持し続ける必要があります。当社グループの業界における人材獲得競争はグローバルに激化しており、コロナ禍を経て労働市場が変化したことによる退職率の高まりも一部地域で見られ、人材の採用、育成、リテンションの重要性が増しています。当社グループではダイバーシティ、エクイティ、インクルージョンや人権尊重に関する取り組みの推進等、一人ひとりがベストな状態でパフォーマンスを発揮できる健やかな組織文化の醸成を目指していますが、当社が高い技能を有する人材を採用し、維持することができなかった場合、今後の製品やサービスの供給や持続的な成長に影響を及ぼす可能性があります。対応策 当社グループは、従業員一人一人がグループ共通の理念や価値観を深く理解し、高い専門性を有する人材をグローバルで適所に配置することが重要であると考えています。この実現に向けて、理念・価値観の浸透のための活動を行うほか、スキルトレーニングプログラムなどを展開しています。経営戦略の遂行に必要となる職務を定義し、グローバル共通のタレント・マネジメントシステムを導入し、重要ポジションから順に後継者育成計画を作成しています。また、国籍や性別等を問わない多様な人材が活躍し、高い専門性を発揮し続けることを可能にする体制の整備も進めています。このほかにも、グローバル共通のリーダーシップ・コンピテンシー・モデルを定めたほか、リーダーシップの発揮を支援するためのプログラムの整備を行い、従業員が高いパフォーマンスを発揮し続けるための文化醸成、人材開発のための取り組みを行っています。報酬についても、常にマーケットトレンドを意識しながら、競争力のある報酬水準と報酬体系を社員に提供しています。例えば、日本地域においては、2023年4月より、職務と成果をより反映した報酬体系に移行しました。また、日本を含むグループ全体では、グローバル共通の職務評価と報酬ポリシーにより公平性を担保するとともに、一定層以上の社員に株式報酬を付与することで、報酬水準の底上げと同時に中長期目標達成へのコミットメントの向上を図ることとしています。人材採用に関しては、新卒などの定期採用に加えて、専門性を有する人材を不定期に採用しており、人材採用の体制を強化するとともに、当社に入社した社員が早期に活躍できるようにオンボーディングの取り組みを充実させています。経営戦略・方針との関連性:患者様の安全と持続可能性, 成長のためのイノベーション, 生産性の向上 (税務に関するリスク)種類:脅威影響度・緊急度:D傾向:継続→リスク 世界各国の租税法令またはその解釈や適用指針の変更等により、追加の税負担が生じる可能性があります。繰延税金資産については、経営状況の変化や組織再編の実施等により、回収可能性の評価を見直した場合、繰延税金資産に対する評価性引当金の積み増しが必要となる可能性があります。そのような事態が生じた場合、当社グループの業績および財政状態に影響が生じる可能性があります。対応策 世界各国の租税法令またはその解釈や適用指針の変更等に関しては、法令の改正や規則の変更に対するモニタリングを行いながら、社内の取引ルールを適宜見直していきます。繰延税金資産については、グループ各社の収益性をモニタリングしながら、それぞれの会社が適切な収益を確保出来る様に業績を管理することに加えて、グループ会社間の組織再編においても再編後の収益性の変化に留意することでリスクの最小化を図ります。経営戦略・方針との関連性:成長のためのイノベーション (気候および環境を含むサステナビリティに関するリスク)種類:機会と脅威影響度・緊急度:C傾向:継続→リスク 顧客を含むステークホルダーからのサステナビリティの観点での要請は増加しています。例えば、欧州においては顧客からの入札要件にサステナビリティ(ESGやBCP)の視点が加わるケースが増加しており、他地域でも同様の傾向が見られます。対象は当社のみならず、当社のサプライチェーンも包括的に対象となる傾向があります。また、各地域でサステナビリティ情報開示の法制化が進んでいます。日本のみならず欧州(EU CSRD)、米州(SEC)においても法制化が進んでおり、今後当社への影響が考えられます。これらのステークホルダーからの要請に応えられない場合には、ビジネスにおいて入札に参加できない、投資家からの投資が制限される、地域によっては企業活動に制限が生じるといったリスクがあります。 環境分野については、気候変動の緩和と適応、水資源の保全、持続的な資源利用、生物多様性の保護といった環境課題を認識しています。世界各国において脱炭素・循環型社会の実現に向けての炭素税導入や二酸化炭素の排出規制、資源循環に関する規制、化学物質管理などの規制が強化されることにより、事業コストが増加する可能性があります。また、気候変動に起因する自然災害の深刻化によって、自社拠点の操業やサプライチェーンに影響する可能性が高まり、適切な対応が取れなかった場合に、事業機会の損失等が生じる可能性があります。 気候および環境を含むサステナビリティの課題に適切に対応することで、企業の持続的成長と世界的課題への取組みを両立し、中長期において各地域及びステークホルダーからの信頼を築くことで、収益だけに限定されない企業価値の向上に繋がると認識しています。対応策 サステナビリティ全体の観点では、当社ESGチームが中心となり、事業活動を通じて当社が定めるESGマテリアリティを実現する活動を推進しています(機能戦略、ESG戦略の一体化)。 環境分野については、環境活動を推進する専門の機能を設置し、ISO14001に沿った環境マネジメント体制を整備しています。本体制のもと、規定類の維持、環境管理責任者および推進者への教育、現地運用のモニタリングと改善を通じて環境法規制への対応を推進しています。サステナビリティについての詳細につきましては、「第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組」をご覧下さい。 また、当社グループは、重要課題(マテリアリティ)に「社会と協調した脱炭素・循環型社会実現への貢献」を掲げ、2021年4月にTCFDへの賛同を表明しました。長期的に製品ライフサイクル全体のカーボンニュートラルを目指しつつ、2030年までに自社事業所からの二酸化炭素排出量(Scope 1、2*)を実質ゼロとすること、2030年までに自社の事業所で使用する電力を100%再生可能エネルギー由来とするという2つの野心的な目標を策定しました。 また、脱炭素社会の実現に広く貢献するためには、自社からの二酸化炭素排出量に加えて、サプライチェーン上の二酸化炭素排出量までを含めた取組みが必要であると考え、2023年5月にサプライチェーン全体の二酸化炭素排出量(Scope1,2,3)を2040年までにネットゼロとする目標を策定しました。本目標は、パリ協定で努力目標とされる高水準の1.5℃目標に沿ったものです。 本目標達成およびサプライチェーンでの環境リスク対策として、世界各国の拠点での製造改善活動や再生可能エネルギーの導入とともに、環境配慮型製品の開発や物流効率改善、サプライヤーとの協働による自主削減目標の設定、脱炭素活動への支援に継続的に取り組みます。* Scope 1:敷地内における燃料の使用による直接的な温室効果ガス排出、Scope 2:敷地内で利用する電気・熱の使用により発生する間接的な温室効果ガス排出、Scope 3:その他の間接的な温室効果ガス排出(Scope1、Scope2を除く)経営戦略・方針との関連性:患者様の安全と持続可能性 (自然災害、感染症、戦争、内戦およびその他のリスク)種類:脅威影響度・緊急度:C傾向:増加↑リスク その他、自然災害、感染症、戦争、内戦、暴動、テロ、経済制裁等が発生した場合、収益確保に影響が生じる可能性があります。対応策 重大な危機が発生した際には、グループ全体に適用される危機対応ルールに基づいて対策本部を設置し、企業価値に及ぼす影響を最小限にとどめるべく、危機管理に努めるとともに、平時においてもBCP(事業継続計画)の策定、定期的な見直しおよびBCPの実効性を高めるための教育・訓練を通じて事業中断リスクへの対応を強化しています。経営戦略・方針との関連性:成長のためのイノベーション
FY2022|16,511 文字
2【事業等のリスク】 当社グループの業績は、今後起こりうる様々なリスク(不確実性)によって大きな影響を受ける可能性がありま す。当社グループでは、経営理念、経営戦略等を含めた「経営の基本方針」を実現するためのリスクマネジメントの取り組みを実施しています。具体的には、「リスクマネジメント及び危機対応方針」及び関連規程に基づき、積極的かつ適切なリスクテイクによる企業の持続的成長や価値創出に繋げる“攻め”と、不正や事故の防止という“守り”の両方の視点で、リスクマネジメントを行っています。 リスクマネジメント体制においては、グローバルなリスクマネジメント体制を構築し、経営戦略ほか当社の事業目標の達成に影響を与えうるリスクの分類を定義し、各リスク分類を管掌する執行役を明確にしています(リスクアシュアランスの確立)。各執行役は管掌するリスク分類に付随するリスクを許容範囲に収めるために必要な各種活動(組織体制の整備、プロセスの整備、重点施策の策定・実行など)を遂行します。 また、リスクマネジメントのプロセスをリスクアセスメント(リスクの特定、分析、評価およびリスク対応策の設定)、リスク対応策の実行、モニタリングおよびレポーティング、改善のPDCAサイクルで運用しています。リスクアセスメントは、年度計画策定プロセスに連動させ、全社共通の評価基準を用いてリスクを評価し、全社のリスクを可視化、一元管理しています。また、グループの重要リスクについてはその対応状況を定期的にグループ経営執行会議、取締役会および監査委員会へ報告し、継続的にモニタリングしています。 <リスクマネジメント体制> <「経営の基本方針」を達成するためのリスクマネジメント> 以下において、当社グループの経営意思決定以外の要因で、業績変動を引き起こす要因となり得る、事業展開上の主なリスクを記載しています。 なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。 <事業環境に関するリスク>(医療行政の方針変更、製品関連法規制強化および感染管理に係るリスク)リスク医療分野においては、国内外で医療費抑制や、医療サービスの安全性や有効性の向上を通じた患者さまの生活の質(QOL)の向上を目的とした医療制度改革が継続的に行われており、米国食品医薬品局(FDA)や、欧州医療機器規制(EU-MDR)をはじめとする各国の医療機器申請・登録等の法規制要求は年々高まっています。加えて、感染管理、リプロセス(洗浄・消毒・滅菌)要求も高度化しています。今後、各国の医療関連法規制や関連した行政の方針変更などにより、新製品やサービス等をタイムリーに提供できない場合、また、販売した製品等に対する市場対応等を行う場合、収益確保に影響を及ぼす可能性があります。FDAより、十二指腸内視鏡の洗浄・消毒に関する市販後の調査研究の実施を遵守していないという理由で、2018年3月に当社グループを含む十二指腸内視鏡メーカー各社に警告書が発行されました。その後、FDAと協力をしながら市販後の調査研究を完了し、2020年2月に市販後調査の最終報告書を提出しました。現在は2020年に米国で販売を開始した後継機種に関する市販後調査を実施していますが、今後の経過によっては、FDAによる更なる規制措置が取られる可能性があります。対応策 当社グループは、早期診断および低侵襲治療に寄与する製品ラインアップにより、患者さまのQOLの向上に貢献しており、製品ライフサイクルマネジメントおよび感染予防に係る戦略を通じ、安全な商品の開発と選定、法規制に適合した商品開発、各国への提出資料の共有化などに取り組んでいます。また、当社では品質および法規制対応関連部門等、当社グループ内部の人材の育成や対応力の強化を通じて、定期的な監査、検証の手順を継続しながら、市場の変化に速やかに対応できるよう、是正処置および予防処置に係るプロセスを改善していきます。さらに、医療政策や規制関連の事項について、定期的なモニタリングを実施し経営陣に対して状況のアップデートを行い、関連法令に対する理解を徹底させるとともに、ベストプラクティスを共有するなど、関連業務に従事する従業員に対して定期的なトレーニングを実施しています。 (市場・競合状況に係るリスク)リスク先進国を中心に、高齢化が進展しており、医療へのニーズは堅調に推移するものと考えられます。また、新興国においては、経済成長に伴い医療に対するニーズも高まっています。主に先進国では、増加する医療費の適正化や効率的かつ質の高い医療サービスの提供を図ることを目的とした医療制度改革が進められています。これらの変化は当社グループの収益確保に影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループが関連する事業分野においては多くの競合会社が存在し、技術革新も進んでいます。競合会社との競争激化や、代替技術・製品の出現等の進む環境下において、当社が競争力を維持するためには、当社が価格、技術、品質等において、競争力を有する製品を適時に投入する必要がありますが、その成否によっては収益確保に影響を及ぼす可能性があります。一方で、当社グループが、市場環境の変化や、代替技術、市場に投入される競合製品の動向をキャッチアップし、適時に競争力のある製品を市場へ投入できた場合には、販売単価の上昇や当社シェアの拡充等による収益の増加等の機会を得られる可能性があります。対応策当社グループでは、特定の地域での事業展開にとどまらず、全世界の様々な事業分野・地域において、多様な製品・サービスの提供に努めています。新興国では内視鏡を操作できる医師を増やすことが重要なことから、内視鏡医の育成をサポートしています。また、当社グループでは市場における代替技術・製品の出現などを含めた競争環境を注視し、マーケティングや知的財産および関連部署との協力の下で、採用すべき新技術の選定および開発の迅速化に努めます。社内での開発のみならず、M&Aやアライアンス等を通じた社外の技術の取り込みも積極的に検討します。市場ニーズに即した高付加価値の新製品・技術の開発にも取り組んでいます。当社グループにおいては特に、内視鏡事業では消化器内視鏡システムEVIS X1の拡販によって圧倒的なシェアを維持し、治療機器事業では消化器科・泌尿器科・呼吸器科の製品ラインアップの強化によってシェアを拡大し、シングルユース内視鏡等の次世代の医療機器の開発を推進することによって、収益拡大を目指しています。 <マーケットに関するリスク>(経済環境に係るリスク)リスクウクライナにおける戦争や米中貿易摩擦のほか、地政学的リスクの顕在化や、資源価格の動向等の経済環境の変化により、当社グループの収益確保に影響を及ぼす可能性があります。当社グループは、内視鏡事業、治療機器事業、科学事業等において製品およびサービスを世界中の顧客に提供していますが、これらの事業の収益はグローバル経済や各国の景気動向に大きく影響を受けます。医療分野では、各国の国家予算が縮小された場合、あるいは政策の転換等により、収益確保に影響を及ぼす可能性があります。科学事業のライフサイエンス分野では、国公立の研究機関向けの販売の割合が高く、各国の国家予算が縮小された場合には、収益確保に影響を及ぼす可能性があります。産業分野では、自動車産業・航空産業・石油関連産業向けの販売の割合が高く、企業の設備投資動向が収益確保に影響を及ぼす可能性があります。一方で、医療分野および科学事業のライフサイエンス分野については、政策等により関連国家予算が増加した場合、また、科学事業の産業分野についても、企業の事業環境の変化等により設備投資需要が増加した場合、収益の増加等の機会を得られる可能性があります。新型コロナウイルス感染症の世界的な感染拡大は、厳しい状況が徐々に緩和される中で、持ち直しの動きが見られていますが、一部の地域では、医療機関など顧客先への訪問の制限や商談の延期・中止など、販売活動に影響が生じている他、症例数の減少に伴う製品の販売量の減少などの影響が生じています。詳細は「新型コロナウイルス感染症に係るリスク」に記載しています。対応策 当社グループでは、特定の地域での事業展開にとどまらず、全世界の様々な事業分野・地域において、多様な製品・サービスの提供に努めています。また、各国による自国の産業育成・保護等の政策につき、特に注視すべき状況となった場合には、必要に応じてタスクフォースの設置や定期的な社内報告等を行います。 (為替変動に係るリスク)リスク当社グループは、世界のさまざまなマーケットにおいて製品およびサービスを提供しており、海外売上高比率(連結ベース)は、2022年3月期において約84%です。円高に推移した場合、当社グループの業績に悪影響を及ぼし、一方、円安は好影響を与える可能性があります。外貨建債権・債務について可能なものについてはヘッジを行っていますが、急激な為替変動が生じた場合、あるいはヘッジの対象となる債権・債務の発生が予定と大きく異なった場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。対応策為替変動リスクを軽減することを目的として、先物為替予約や通貨スワップ等のデリバティブ取引を利用しています。また、グローバル・キャッシュ・プーリングの導入により、グループ資金の効率化などを通じて、外貨建債権・債務の縮小を図っています。 (資金調達に係るリスク)リスク当社グループは、金融機関等からの借入、社債発行による資金調達を行っていますが、金融市場の環境変化によっては、当社グループの資金調達に影響が生じる可能性があります。また、当社グループの業績悪化等により資金調達コストが上昇した場合、当社グループの資金調達に悪影響が生じ、一方、業績良化等により資金調達コストが低下した場合、好影響を与える可能性があります。対応策当社グループでは、コマーシャル・ペーパーや公募社債の発行等、資金調達手段の多様化による調達コストの低減に取り組んでおり、長期の有利子負債は基本的に固定金利を採用することで、金利上昇の影響を限定的にしています。また、グローバル・キャッシュ・プーリングの導入により、グループ資金の効率化や財務管理の強化を図っています。 <事業活動に関するリスク>(開発活動に係るリスク)リスク当社グループの医療分野は、新型コロナウイルス感染症、高齢化、環境意識の高まりなどを主な要因として、これまで以上に急速な社会環境の変化、不確実性に直面しています。各国の医療政策の変更、医療費削減、医療関連法規制の強化、感染予防・リプロセスに対する要請の更なる高まりにより、技術開発に対するハードル・複雑さは増しています。それに対して開発サイクルは短くなる傾向にあります。技術的には、すべての領域でデジタル・トランスフォーメーション(DX)が加速しており、いわゆるテクノロジー・イノベーション技術(AI/ロボティクス/ICT)も実用化の段階に入ろうとしています。それに伴い、新技術・代替技術のみならず、巨大IT企業など異業種からの医療業界への参入により事業環境は厳しさを増しています。また、当社グループの医療分野では、消化器科、泌尿器科、呼吸器科を中心にケア・パスウェイを広げ、技術開発、イノベーションを通じて診療水準の向上に貢献し、患者さまのアウトカムの改善を目指しています。既存の製品・技術に対して顧客のニーズに応じた改良をおこなう「持続型イノベーション」だけでなく、社会環境の変化に対応した新たな発想で技術を実用化する「破壊型イノベーション」とのバランスが重要だと考えています。市場の変化を適切に予測できない、あるいは製品の開発が予定通り進展しないことにより、顧客のニーズに合致した新製品をタイムリーに開発できない場合には、収益確保に影響を及ぼす可能性があります。また、開発期間の長期化に伴う費用の増加あるいは回収可能額が相対的に低下することによる開発資産の減損損失等が発生する可能性があります。機会として、当社グループの注力領域における技術開発の発展、およびアンメットニーズに対するソリューション提供を通じた医療への貢献、中長期ではロボティクス技術の普及による、低侵襲治療、医療費削減、医療従事者の負荷軽減の可能性があります。対応策当社グループでは、医療分野にフォーカスした機動力のある技術開発を行うための組織体制を整備しています。また、技術開発およびイノベーションに対して、以下の様な複合的なアプローチを用いています。①既存事業および製品に対する継続的な技術開発、②適切なプロダクトライフサイクル管理による製品の安全性の追及、開発効率向上、開発コストの削減、③M&Aを通じた技術獲得および製品ポートフォリオの拡充、④自社のコア・テクノロジー、コスト、開発期間などを勘案した業務提携、内製・外製の検討、⑤将来の事業および製品のためのイノベーションなど。当社の既存製品に対する技術面での取り組みとして、製品ラインアップの拡充、製品関連法規制への対応、感染予防およびリプロセスへの対応、製品セキュリティ強化の取り組みが必須です。また、感染対策への意識の高まりにより市場のニーズが増している、シングルユース内視鏡に対する複数のラインナップを用意することは優先度の高い開発テーマです。また、当社ではDXを加速させ、デジタル技術を活用したサービスを本格的に始めようとしています。さらに、近い将来に向けて、診療プロセス全体の最適化および新しいビジネスモデル構築のための、より高度なAI、ICTの活用検討、次世代の低侵襲手術に向けたロボティクスの活用検討も推進しています。このような開発活動を通して、予防から診療、予後にいたるまで、患者さまがたどる一連のケア・パスウェイに着目し、向上させるためのソリューションを構築していきます。 (サプライチェーンに係るリスク)リスク当社グループでは、製品を開発し、必要な部品等を外部の供給元から調達し、生産、製品供給まで、適時に行う必要があります。特定の供給元に依存する部品等について、調達に制約を受ける場合には、当社における生産および供給が中断あるいは遅延する可能性があります。昨今の世界的な半導体およびその他の部品不足に関し、今後さらに供給が減少する、または供給不足が長期化する可能性があります。これらのリスクが顕在化した場合、収益確保に影響を及ぼす可能性があります。地政学的リスク、自然災害、疫病、戦争、内戦、暴動、テロ、サイバー攻撃、港湾労働者によるストライキ、或いは輸送事故などの理由により物流が停滞する場合、配送遅延による売上機会の損失、復旧対応のコスト増加により当社の収益確保に影響を及ぼす可能性があります。例えば、中国では、新型コロナウイルスの感染拡大状況に応じて、厳しいロックダウンが実施されており、特に上海における2022年3月下旬以降のロックダウンは、当社グループの中国国内におけるサプライチェーンとグローバルな物流に影響を及ぼしています。製品については外部への生産委託を含め、厳格な品質基準に基づき生産を行っていますが、万一、製品に不具合等が発生した場合には、リコール等、多額のコストが発生するだけでなく、当社グループの信頼が損なわれ、収益確保に影響を及ぼす可能性があります。対応策当社グループでは、事業継続と持続可能な価値創造を見据えて、サプライチェーン方針や、「オリンパスグループグリーン調達基準」を制定し、これらのもとで、法令・社会規範遵守の強化に取り組んでいます。取引先に向けては、法令・社会規範の遵守、汚職・賄賂などの禁止、公平・公正な取引の推進、環境への配慮など、具体的な行動指針を定めています。これらをもとに、公平、公正かつ透明性の高い取引に基づく良好な関係の構築と関係強化に取り組んでいます。また、当社グループは、サプライチェーンマネジメントの強化を目指しており、部品等の調達から顧客への納品まで、全体を統合したEnd-to-Endサプライチェーンを構築し、顧客満足度およびビジネスの変化対応力の向上、コストの効率化、在庫の最適化を目的とした施策を実行しています。End-to-Endサプライチェーントランスフォーメーションの目標は、製造および調達と緊密に連携してこれらのリスクによる影響を管理し、外的な逆風による影響を制限するための計画および流通プロセスと機能を強化することです。新たに設置されたグローバルディストリビューション機能(End-to-Endサプライチェーントランスフォーメーションの一部)は、安定した配送と、課題やサポートの必要性に対するタイムリーな問題解決をするため、リスクの軽減と対策を、監督および調整しています。サプライチェーン、調達、製造、および営業機能間の緊密なコラボレーションと迅速な意思決定を推進します。取引先の動向把握や取引先との関係強化を推進するとともに、バックアップ計画の検討を含むBCP(事業継続計画)の強化等を行っており、特に半導体の調達に関しては、社内横断タスクフォースを設置し、取引先との関係強化により、必要量の確保を図っています。また、製品の安定供給のため、各拠点で適切な在庫量を設定するとともに、製造・調達が一体となって、サプライチェーンの変化に対して対応策を講じています。さらに、品質管理部門との協働のもとで、最適な生産システムの構築と品質の向上に努め、製品開発プロセスを事業レビューや技術レビューなどに分けるなど、品質改善活動を推進することで品質問題の抑制を目指しています。 (業務提携、企業買収、事業売却および投資全般等に係るリスク)リスク当社グループはグローバル・メドテックへの転換を目指して2019年に発表した経営戦略に則り、事業ポートフォリオの選択と集中を行っており、医療分野、特に消化器科・泌尿器科・呼吸器科の領域について優先的に投資を実施しています。事業に係る様々な領域で設備投資や研究開発投資等の投資を実施しており、当該投資に係る意思決定を行った時点から外部環境が急激に変化する等、予期せぬ状況の変化が発生した場合には、当社グループの業績および財政状態に影響を与える可能性があります。技術および製品開発、販売・マーケティングに関して、業界の先進企業と長期的な戦略的提携関係を構築していますが、これらの戦略的パートナーに、財務上あるいはその他事業上の問題が発生した場合、また戦略の変更等により提携関係を維持できなくなる等の問題が発生した場合には、当社グループの事業活動に影響が生じる可能性があります。事業拡大のため、企業買収等を実施することがありますが、買収の対象事業を当社グループの経営戦略に沿って適切に統合できない場合、あるいは既存事業および買収の対象事業について効率的な活用を行うことができなかった場合は、当社グループの事業遂行に影響が生じるほか、のれんの減損や、事業売却損、事業清算損、その他これに伴う費用の発生等が生じる可能性があります。当社グループは、業務提携の推進等を目的として、投資有価証券等を保有しています。市場経済の動向や投資先の財政状態等により、株価および評価額に著しい変動が生じる場合には、当社グループの業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、事業ポートフォリオの戦略的な見直しの一環で、当社はノンコア事業と位置付けられた関連会社あるいは事業の売却を実行することがありますが、各国の法規制や経済情勢および相手先の経営状況の変化などにより実施が困難となる場合、あるいは売却損、評価損が発生する場合、当社グループへの経営あるいは財務上の影響が生じる可能性があります。当社は、連結子会社であるOlympus (China) Co., Ltd.の保有する中国・深圳市にある当社の中国現地法人Olympus (Shenzhen) Industrial Ltd.の持分譲渡に向けた活動を継続しています。また、当社は、科学事業を第三者へ譲渡する可能性なども念頭に置いた検討を進めています。これらの結果によっては、当社グループの業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。適切な対応策の下で行われる業務提携および企業買収等を通じて、当社は製品ポートフォリオの拡充や新技術の獲得を進め、ターゲットとする領域および疾患におけるリーディング・ポジションを確立し、長期的な成長と企業価値の向上を実現することが可能となります。対応策当社グループでは、投資前には投資評価の妥当性を審議し、投資の可否を判断しており、外部環境の変化等に応じて、投資後も評価を行っています。M&Aや出資の検討に際しては、契約の成立後に深刻な問題が発見されるようなリスクを低減すべく、外部の弁護士や財務アドバイザー等も活用して、各種デューデリジェンスを実施した上で、社内で定められた承認プロセスに従って投資評価の妥当性を審議するなどのプロセスを経て、投資の可否について判断を行っています。また、コンプライアンスを遵守するための内部指針、価値評価モデル、デューデリジェンス項目の見直し定期的に行うとともに、取引が完了した後も対象事業のモニタリングを実施するなど、投資に関するプロセス全体の改善に取り組んでいます。事業売却等においても同様の承認プロセスを経て判断を行い、プロセス全体の改善に取り組んでいます。 (事業構造改革に係るリスク)リスク当社グループは、2019年に公表した経営戦略に基づき、全社横断的な効率改善に向けた取り組みを推進し、持続的な成長と収益性を伴う真のグローバル・メドテックカンパニーを目指しています。これらの取り組みの進展に遅れが発生した場合、当社グループの業績および財政状態に影響を与える可能性があります。対応策ボトムアップ型の施策に加えて、各執行役がイニシアチブをとってオペレーティングモデルやプロセスの改善に向けた重点分野の施策を実行することにより、取り組みを一層加速し、持続的に成長できる企業文化の醸成と、経営基盤の強化を目指しています。各イニシアチブの進捗は、グループ経営執行会議にも報告されています。 <経営全般に影響を及ぼすリスク>(法的規制に係るリスク)リスク当社グループおよび当社グループの販売店、供給者の多くが政府系の企業、政府系の医療機関および公務員と取引を行っています。また、当社グループでは、規制業種である医療分野を含む各種事業を世界各地で展開しており、本邦の法律に加えて各国・地域における医療に関する法律や独占禁止法のほか、米国海外腐敗行為防止法(FCPA)の贈賄禁止条項や英国反贈収賄法を始めとした各国・地域の贈収賄禁止に関する法律の適用を受けています。さらに、不当景品類および不当表示防止法、米国反キックバック法や米国虚偽請求取締法を含む、ヘルスケア事業に関連する様々な不正防止法の規制対象にあります。法的規制への違反は罰金や課徴金、禁固刑、特定の国における医療制度への参加禁止などの処罰につながる可能性があります。さらに、当社グループの顧客の多くが公的医療保険その他、政府による医療制度から医療費を補助されており、法的規制への違反によって制度への参加を制限された場合には、当社グループの製品に対する需要やそれを使用した症例数の減少などの影響が生じる可能性があります。当社は、米国司法省と2018年12月3日に締結した司法取引契約において「当社の子会社であるオリンパスメディカルシステムズ株式会社が法規制を遵守するプロセスを強化し、本合意に基づき同社が期待される水準に達していることの確認を定期的に実施する」という義務が課されています。今後の実施状況によっては、米国司法省によりさらなる措置が取られる可能性があります。当社グループは、世界中のプライバシーに関する規制を受けています。個人情報の取り扱いに関して、世界各国の個人情報保護法制(日本の「個人情報保護法」、欧州連合(EU)の「EU一般データ保護規則(GDPR: General Data Protection Regulation )」)等に違反することにより、政府機関から罰金その他の処分を受ける、またはステークホルダーから訴訟を提起される可能性があります。当社グループでは、これらの法的規制を遵守することを徹底していますが、違反する行為を行った場合、違反の意図の有無にかかわらず、当社グループの事業、財政状態、経営成績、キャッシュ・フローの状況および株価に影響を及ぼす可能性があります。対応策 当社グループではグローバル行動規範において示しているとおり、法令順守に基づいた業務遂行を従業員に徹底しており、贈賄防止や各国の競争関連法を順守することの重要性について従業員への教育を行っています。また、中国では、代理店を対象に法規制遵守等に係るトレーニングも実施しています。 法務、コンプライアンス、内部監査などの統制部門が、当社グループに適用されるすべての法律、規制、内部方針を遵守しているかどうかという観点から、事業活動をモニタリングしています。また、従業員に対しても必要かつ適切な研修や教育を実施しています。事業を展開するすべてのマーケットにおいて、当社事業に関連する規制をモニタリングし、情報収集を行う体制の構築を進めています。また、関連する法律や規制に改正や変更があった場合には、従業員に対して周知徹底するとともに、その改正や変更に対応した製品を速やかに開発し、供給していきます。 個人情報保護規制に関わるリスク対応としては、2022年3月期にセキュリティおよびプライバシーコンプライアンス戦略を策定し、各地域における個人情報保護関連専門人材の配置を含む対応力の強化を進めるとともに、当社グループ全体での連携をより確実にするためグローバル体制の強化に取り組んでいます。 (訴訟に係るリスク)リスク 国内外の事業に関連して、訴訟、紛争、その他の法的手続きの対象となるリスクがあります。第三者より、将来、損害賠償請求や使用差し止め等の重要な訴訟が提起された場合は、当社グループの業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 また、当社は研究開発および生産活動において様々な知的財産権を使用しており、それらは当社グループが所有しているもの、あるいは適法に使用許諾を受けたと認識しているものでありますが、当社グループの認識の範囲を超えて第三者から知的財産権を侵害したと主張され、係争等が発生した場合には、収益確保に影響を及ぼす可能性があります。 当社の連結子会社であるOlympus (China) Co., Ltd.が保有する中国・深圳市にある当社の中国現地法人Olympus (Shenzhen) Industrial Ltd.は、深圳市安平泰投資発展有限公司から2016年12月23日付で訴訟を提起され、2018年7月30日付で判決が出されています。当社はこの第一審判決を不服として2018年8月17日付で控訴しておりました。2020年7月1日付で広東省高級人民法院から、安平泰側が請求の根拠とする事実関係が不明確であるなどとして、第一審判決を取り消し、本案の審理を差し戻す裁定が下されました。2021年12月31日付で判決が出され、当社はこの第一審(差戻審)判決を不服として、2022年1月24日付で控訴しており、現在係属中ですが、今後の経過によっては、当社グループの業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。対応策 訴訟その他法的な手続きが必要となる事案が発生した場合に、適時に弁護士等の外部専門家と対策を検討することが出来る体制を構築し、日本、米州、欧州、中国、アジア・オセアニアの各地域統括会社においても社内の関連部署のスキル・専門知識の強化に努めています。また、財務上のリスクを極小化する目的で、訴訟による予期せぬ損失に備えて、保険の付保等を行っています。 (情報セキュリティに係るリスク)リスク 当社製品やサービスを安定的に継続して提供するため、事業継続を妨げるサイバー攻撃に備え、当社およびステークホルダーの機密情報や個人情報の漏えい防止などの情報セキュリティリスクの低減や、法令違反の防止に努めています。しかしながら世界的に医療機関や製造業、そのサプライチェーンを標的としたサイバー攻撃が急増しており、攻撃の高度化・組織化が進んでいることから、以下にあげるような不測の事態が発生することにより、当社グループの企業価値の毀損、事業競争力の低下、社会的信用の失墜、影響を受けるステークホルダーに対する補償、各国当局からの制裁・罰金により、当社グループの業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。・当社の顧客である医療機関を標的としたサイバー攻撃により、当社製品の使用やその保守作業を介して患者さまの情報が漏えいし、顧客が事業を継続することが出来なくなること・当社やそのサプライチェーンを標的としたサイバー攻撃により、当社において業務が中断したり、保守サービスの提供が滞るなどの結果として、医療機関において検査や治療行為が継続出来なくなること・情報セキュリティ対策の不備や内部不正により、当社内に保管される技術情報・顧客情報が漏えいまたは毀損すること 2022年3月期には、EMEA(ヨーロッパ、中東、アフリカ地域)における一部地域および米州(米国、カナダ、ラテンアメリカ)地域のITサーバーが不正アクセスの対象となりました。EMEA地域における不正アクセスでは当社のデータの損失、不正使用ならびに漏洩の痕跡は確認されませんでしたが、米州地域においては、一部のデータが流出した可能性があり、影響を受けた可能性のある方々に対して通知を行いました。対応策2022年3月期に発生したインシデントの解析結果に基づき、各種セキュリティの強化を行っています。また、サイバー攻撃等により不正アクセスが発生した場合に、より迅速な対応により顧客やビジネスパートナー、当社業績への影響を最少化するため、全従業員への定期的な教育の実施の徹底や、当社グループ全体を対象とするインシデント対応体制の構築に取り組んでいます。上記に加えて、これまでの活動をさらに強化するため、2022年3月期において、新たなセキュリティおよびプライバシーコンプライアンス戦略を策定しました。この戦略には新たなガバナンスモデルの構築が含まれ、これにより私たちは当社グループ全体で情報/サイバーセキュリティ、プライバシーのリスク管理を可能にし、複数年にわたる戦略ロードマップをグローバルで一貫して実行していくことを目指します。具体的には、当社全体におけるグローバル化の進捗に合わせて機能軸での連携をより強化し、ITセキュリティ、Operational Technologyセキュリティ、製品セキュリティ、プライバシー保護、データ保護、それぞれについて関係各機能の責任を明確化しました。これにより、以下のことが可能になります。・一般的なITシステムのみならず製品開発環境や製造環境においてもサイバー攻撃への耐性を高めること・開発段階だけでなく製品ライフサイクル全体にわたり、製品セキュリティを継続的に担保すること・各国・地域の最新動向や法規制に基づき、さらにプライバシー保護を強化すると共に、様々なデータの種類や機密度に応じた保護と利活用を実現すること (人材に係るリスク)リスク当社グループの競争力を維持するためには、事業遂行に必要な優秀かつ多様な人材を採用し、維持し続ける必要があります。当社グループの業界における人材獲得競争はグローバルに激化しており、コロナ禍を経て労働市場が変化したことによる退職率の高まりも一部地域で見られ、人材の採用、育成、リテンションの重要性も増す中、当社が高い技能を有する人材を採用し、維持することができなかった場合、今後の製品やサービスの供給や持続的な成長に影響を及ぼす可能性があります。対応策当社グループは、従業員一人一人がグループ共通の理念や価値観を深く理解し、高い専門性を有する人材をグローバルで適所に配置することが重要であると考えています。この実現に向けて、理念・価値観の浸透のための活動を行うほか、スキルトレーニングプログラムなどを展開しています。経営戦略の遂行に必要となる職務を定義し、グローバル共通のタレント・マネジメントシステムを導入し、重要ポジションから順に後継者育成計画を作成しています。また、国籍や性別を問わず適切な人材が活躍し、高い専門性を発揮し続けることを可能にする体制の整備も進めています。このほかにも、グローバル共通のリーダーシップ・コンピテンシー・モデルを定めたほか、リーダーシップの発揮を支援するためのプログラムの整備を行い、従業員が高いパフォーマンスを発揮し続けるための文化醸成、人材開発のための取り組みを行っています。報酬についても、常にマーケットトレンドを意識しながら、競争力のある報酬水準と報酬体系を社員に提供しています。例えば、日本地域においては、職務と成果をより反映した報酬体系に移行すべく労働組合と協議しています。また、日本を含むグループ全体では、グローバル共通の職務評価と報酬ポリシーにより公平性を担保するとともに、一定層以上の社員に株式報酬を付与することで、報酬水準の底上げと同時に中長期目標達成へのコミットメントの向上を図ることとしています。人材採用に関しては、新卒などの定期採用に加えて、専門性を有する人材を不定期に採用しており、人材採用の体制を強化するとともに、当社に入社した社員が早期に活躍できるようにオンボーディングの取り組みを充実させています。 (内部統制に係るリスク)リスク 有効な内部統制システムを構築している状況においても、様々な要因により内部統制システムが機能せず、不測の事態が生じる可能性があります。その結果、当社の社会的信用の失墜により事業に悪影響が生じる、あるいは行政処分による課徴金や刑事訴訟による罰金、民事訴訟による損害賠償金等の支払いにより、当社グループの業績および財政状態に影響が及ぶ可能性があります。 内部統制システムが有効に機能しないことで、経営者が、内部・外部の環境変化を適切に把握し、迅速な意思決定を行えない場合、当社の経営戦略、事業戦略の達成に悪影響を与える可能性があります。対応策 当社グループは、グループ・グローバルでの内部統制システムを整備・運用・改善し、教育・啓蒙活動を通じて浸透を図っています。ガバナンス関連の組織がグループ・グローバルで連携して取り組みを最適化するとともに、戦略立案、方針・施策策定と関連付けることにより、業務執行と監督活動が一連のサイクルとして実施できる仕組み作りを進めています。加えて、内部統制システムの運用状況に対するモニタリングを行い、経営に対する定期的な報告を実施しています。これらの対応策により、内部統制システムが有効に機能していることを検証し、継続的に改善を行います。 (税務に係るリスク)リスク 世界各国の租税法令またはその解釈や適用指針の変更等により、追加の税負担が生じる可能性があります。繰延税金資産については、経営状況の変化や組織再編の実施等により、回収可能性の評価を見直した場合、繰延税金資産に対する評価性引当金の積み増しが必要となる可能性があります。そのような事態が生じた場合、当社グループの業績および財政状態に影響が生じる可能性があります。対応策 世界各国の租税法令またはその解釈や適用指針の変更等に関しては、法令の改正や規則の変更に対するモニタリングを行いながら、社内の取引ルールを適宜見直していきます。繰延税金資産については、グループ各社の収益性をモニタリングしながら、それぞれの会社が適切な収益を確保出来る様に業績を管理することに加えて、グループ会社間の組織再編においても再編後の収益性の変化に留意することでリスクの最小化を図ります。 (気候変動・環境規制に係るリスク)リスク 当社グループは、気候変動の緩和と適応、水資源の保全、持続的な資源利用、生物多様性の保護といった環境課題を認識しています。世界各国においておよび脱炭素・循環型社会の実現に向けての炭素税導入や二酸化炭素の排出規制、資源循環に関する規制、化学物質管理などの規制が強化されることにより、事業コストが増加する可能性があります。また、気候変動に起因する自然災害の深刻化によって、自社拠点の操業やサプライチェーンに影響する可能性が高まり、適切な対応が取れなかった場合に、事業機会の損失等が生じる可能性があります。対応策 当社グループでは、環境活動を推進する専門の機能を設置し、ISO14001に沿った環境マネジメント体制を整備しています。本体制のもと、規定類の維持、環境管理責任者および推進者への教育、現地運用のモニタリングと改善を通じて環境法規制への対応を推進しています。 また、当社グループは、社会と協調した環境活動の推進が重要であることを認識し、2021年4月にTCFDへの賛同を表明しました。長期的に製品ライフサイクル全体のカーボンニュートラルを目指しつつ、2030年までに自社事業所からの二酸化炭素排出量(Scope 1、2*)を実質ゼロとすること、2030年までに自社の事業所で使用する電力を100%再生可能エネルギー由来とするという2つの野心的な目標を、同年に策定しました。 本目標達成およびサプライチェーンでの環境リスク対策として、世界各国の拠点での製造改善活動や再生可能エネルギーの導入とともに、環境配慮型製品の開発、物流効率改善、取引先と連携したグリーン調達に継続的に取り組みます。* Scope 1:敷地内における燃料の使用による直接的な温室効果ガス排出、Scope 2:敷地内で利用する電気・熱の使用により発生する間接的な温室効果ガス排出 (新型コロナウイルス感染症に係るリスク)リスク 新型コロナウイルス感染症の世界的な流行の影響による厳しい状況は徐々に緩和され、ワクチン接種も進み、経済活動は持ち直していますが、地域によっては感染再拡大の傾向が見られるなど、依然として不確実性の高い状況が続いています。 当社グループの事業活動においても影響は緩和されつつあるものの、引き続き医療機関など顧客先への訪問の制限や商談の延期・中止など、販売活動に影響が生じている他、症例数の減少に伴う製品の販売量の減少などの影響が生じています。医療機関が新型コロナウイルスへの対応を優先せざるを得ない状況において、当社の事業に関連する医療行為が減少した場合や設備投資が減少した場合等において、当社グループの販売活動にさらなる影響を及ぼす可能性があります。また、特定の製品および部品調達や、製造・製品供給に制約が生じた場合、当社グループの収益確保および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。対応策 当社グループは、感染防止対策の徹底に努めており、在宅勤務等の柔軟な働き方の積極的な活用、感染状況を勘案した出張やイベントの実施等の措置を講じています。販売活動においては、オンラインでのトレーニングやデモンストレーション、セミナーを継続的に実施している他、新たな環境に対応したソリューションの提供に努めています。 (自然災害、感染症、戦争、内戦およびその他のリスク)リスク その他、自然災害、感染症、戦争、内戦、暴動、テロ、経済制裁等が発生した場合、収益確保に影響が生じる可能性があります。対応策 重大な危機が発生した際には、グループ全体に適用される危機対応ルールに基づいて対策本部を設置し、企業価値に及ぼす影響を最小限にとどめるべく、危機管理に努めるとともに、平時においてもBCP(事業継続計画)の策定、定期的な見直しおよびBCPの実効性を高めるための教育・訓練を通じて事業中断リスクへの対応を強化しています。
FY2021|11,758 文字
2【事業等のリスク】 当社グループの業績は、今後起こりうる様々なリスク(不確実性)によって大きな影響を受ける可能性があります。当社グループでは、「リスクマネジメント及び危機対応方針」及び関連規程に基づき、グローバルなリスクマネジメント体制を構築し、積極的かつ健全なリスクテイクによる企業の持続的成長や価値創出に繋げる“攻め”と、不正や事故の防止という“守り”の両方の視点で、リスクマネジメントを行っています。当社グループのリスクマネジメント体制においては、経営戦略ほか当社の事業目標の達成に影響を与えうるリスクを管掌する執行役を明確にし(リスクアシュアランスの確立)、各執行役は担当するリスクを許容範囲に収めるために必要な各種活動(組織体制、プロセス整備、重点施策など)を遂行します。 また、当社グループでは、リスクマネジメントのプロセスをリスクアセスメント(リスクの特定、分析、評価および対応策設定)、リスク対応策の実行、モニタリングおよびレポーティング、改善のPDCAサイクルで運用しています。リスクアセスメントは、年度計画策定プロセスに連動させ、全社共通の評価基準を用いてリスクを評価し、全社のリスクを可視化、一元管理しています。また、グループの重点リスクについてはその対応状況を定期的にモニタリングし、グループ経営執行会議および取締役会へ報告しています。これらのリスクマネジメントの取り組みにより「経営の基本方針」を実現していきます。 以下において、当社グループの経営意思決定以外の要因で、業績変動を引き起こす要因となり得る、事業展開上の主なリスクを記載しています。 なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。 (1)医療行政の方針変更及びリプロセスに関する規制強化に係るリスクリスク 医療分野においては、国内外で医療費抑制や、医療サービスの安全性や有効性の向上を通じた患者様の生活の質(QOL)の向上を目的とした医療制度改革が継続的に行われており、米国食品医薬品局(FDA)や、欧州医療機器規制(EU-MDR)をはじめとする各国の医療機器申請・登録等の法規制要求は年々高まっています。加えて、リプロセス(洗浄・消毒・滅菌)要求も高度化しています。 今後、各国の医療関連法規制や関連した行政の方針変更や予測できない環境変化などにより、新製品やサービス等をタイムリーに提供できない場合、また、販売した製品等に対する市場対応等を行う場合、収益確保に影響を及ぼす可能性があります。 FDAより、十二指腸内視鏡の洗浄・消毒に関する市販後の調査研究の実施を遵守していないという理由で、2018年3月に当社グループを含む十二指腸内視鏡メーカー各社に警告書が発行されました。その後、FDAと協力をしながら市販後の調査研究を完了し、2020年2月に市販後調査の最終報告書を提出しました。現在は2020年に米国で販売を開始した後継機種に関する市販後調査を実施していますが、今後の経過によっては、FDAによる更なる規制措置が取られる可能性があります。対応策 当社グループは、製品ライフサイクルマネジメントおよび感染予防に係る戦略を通じ、安全な商品の開発と選定、法規制に適合した商品開発、各国への提出資料の共有化などに取り組んでいます。また、当社では品質及び法規制対応関連部門等、当社グループ内部の人材の育成や対応力の強化を通じて、定期的な監査、検証の手順を継続しながら、市場の変化に速やかに対応できるよう、是正処置及び予防処置に係るプロセスを改善していきます。さらに、規制関連の事項について、定期的なモニタリングを実施し経営陣に対して状況のアップデートを行い、関連法令に対する理解を徹底させるとともに、ベストプラクティスを共有するなど、関連業務に従事する従業員に対して定期的なトレーニングを実施していきます。 (2)マクロ経済等に係るリスクリスク 先進国を中心に、高齢化が進展しており、医療へのニーズは堅調に推移するものと考えています。また、新興国においては、経済成長に伴い医療に対するニーズも高まっています。一方で、主に先進国では、増加する医療費に対して、医療費の適正化や効率的かつ質の高い医療サービスの提供を図ることを目的とした医療制度改革が進められており、これらの変化は当社グループの収益確保に影響を及ぼす可能性があります。 また、地政学的リスクの顕在化による経済環境の変化により、当社グループの収益確保に影響を及ぼす可能性があります。 当社グループは、内視鏡事業、治療機器事業、科学事業等において製品及びサービスを世界中の顧客に提供していますが、これらの事業の収益はグローバル経済や各国の景気動向に大きく影響を受けます。 医療分野では、各国の国家予算が縮小された場合、あるいは政策の転換等により、収益確保に影響を及ぼす可能性があります。 科学事業のライフサイエンス分野では、国公立の研究機関向けの販売の割合が高く、各国の国家予算が縮小された場合には、収益確保に影響を及ぼす可能性があります。一方、産業分野では、自動車産業・航空産業・石油関連産業向けの販売の割合が高く、企業の設備投資動向が収益確保に影響を及ぼす可能性があります。 さらに、新型コロナウイルス感染症の世界的な感染拡大に伴い、医療機関など顧客先への訪問の制限や商談の延期・中止など、販売活動に影響が生じている他、症例数の減少に伴う製品の販売量の減少などの影響が生じています。詳細は「新型コロナウイルス感染症に係るリスク」に記載しています。対応策・機会 当社グループでは、特定の地域での事業展開にとどまらず、全世界の様々な事業分野・地域において、多様な製品・サービスの提供に努めています。また、新興国では内視鏡を操作できる医師を増やすことが重要なことから、内視鏡医の育成をサポートしています。 医療分野及び科学事業のライフサイエンス分野については、政策等により関連国家予算が増加した場合、また、科学事業の産業分野についても、顧客企業の事業環境の変化等により設備投資需要が増加した場合、収益の増加等の機会を得られる可能性があります。 (3)市場競合状況に係るリスクリスク 当社グループが関連する事業分野において、競合会社との競争激化による製品販売単価の下落や当社シェアの侵食、代替技術・製品の出現等が考えられます。その競争環境において、技術、品質等において競争力を有する製品を適時に市場へ投入する必要がありますが、その成否によっては収益確保に影響を及ぼす可能性があります。対応策・機会 当社では市場における代替技術・製品の出現などを含めた競争環境を注視し、マーケティングや知的財産および関連部署との協力の下で、採用すべき新技術の選定および開発の迅速化に努めます。また、社内での開発のみならず、アライアンス等を通じた社外の技術の取り込みも積極的に検討します。市場ニーズに即した高付加価値の新製品・技術の開発にも取り組んでいます。 市場環境の変化、代替技術や市場に投入される製品の動向をキャッチアップし、適時に競争力のある製品を市場へ投入できた場合には、販売単価の上昇や当社シェアの拡充等による収益の増加等の機会を得られる可能性があります。 (4)販売活動に係るリスクリスク 当社グループ及び当社グループの販売店、供給者の多くが政府系の企業、政府系の医療機関及び公務員と取引を行っています。また、ヘルスケア事業に関連する様々な不正防止法の法的規制は多岐にわたり、解釈や適用指針の変更によって当社グループの販売や営業活動が制限される可能性があります。対応策 当社グループではグローバル行動規範において示している通り、法令順守に基づいた業務遂行を従業員に徹底させており、贈賄防止や各国の競争関連法を順守することの重要性について従業員への教育を行っています。また、中国では、代理店を対象に法規制遵守等に係るトレーニングも実施しています。 (5)生産・開発活動に係るリスクリスク 特定の供給元に依存する製品及び部品について、その供給元の事情により、調達に制約を受ける場合には、生産及び供給能力に影響を及ぼす可能性があります。また、急激な市況の変化等に柔軟に対応ができない場合には、当社グループの収益確保及びサプライチェーンに影響が生じる可能性があります。 製品については外部への生産委託を含め、厳格な品質基準に基づき生産を行っていますが、万一、製品に不具合等が発生した場合には、リコール等、多額のコストが発生するだけでなく、当社グループの信頼が損なわれ、収益確保に影響を及ぼす可能性があります。 技術的な進歩が速く、市場の変化を適切に予測できず、顧客のニーズに合致した新製品をタイムリーに開発できない場合には、収益確保に影響を及ぼす可能性があります。また、開発期間の長期化に伴い費用の増加あるいは開発資産の減損損失等が発生する可能性があります。対応策・機会 取引先の動向把握の推進や取引先との関係強化施策、バックアップ計画の検討等により、供給上の課題の軽減を目指しています。また、製品開発プロセスを事業レビューや技術レビューなどに分けるなど、品質改善活動を推進することで品質問題の抑制を目指しています。 医療分野では、当社内での技術開発に加えM&A等を通じて製品ポートフォリオの拡充および新技術の獲得を推進しています。近年では、感染管理等への意識の高まりとともにニーズの高まっているシングルユース内視鏡、AIを用いた診断などに期待が高まっており、当社としても製品開発に積極的に取り組んでいます。 競争力のある製品を継続的に上市することができた場合には、成長機会の獲得につなげることができます。 また、生産・開発活動にあたっては、自社のコア・テクノロジーを見極めた上で、社内あるいは社外のどちらのリソースを用いるか、戦略的に検討を行っています。検討の結果を踏まえた最適なリソースの活用を通じて、さらなるコスト削減と利益率の向上を目指します。 (6)為替変動に係るリスクリスク 当社グループは、世界のさまざまなマーケットにおいて製品及びサービスを提供しており、海外売上高比率(連結ベース)は、2021年3月期において約83%です。円高に推移した場合、当社グループの業績に悪影響を及ぼし、一方、円安は好影響を与える可能性があります。外貨建債権・債務について可能なものについてはヘッジを行っていますが、急激な為替変動が生じた場合、あるいはヘッジの対象となる債権・債務の発生が予定と大きく異なった場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。対応策 為替変動リスクを軽減することを目的として、主に先物為替予約を利用しています。また、グローバル・キャッシュ・プーリングの導入により、グループ資金の効率化などを通じて、外貨建債権・債務の縮小を図っています。 (7)業務提携及び企業買収等に係るリスクリスク 技術及び製品開発、販売・マーケティングに関して、業界の先進企業と長期的な戦略的提携関係を構築していますが、これらの戦略的パートナーに、財務上あるいはその他事業上の問題が発生した場合、また戦略の変更等により提携関係を維持できなくなる等の問題が発生した場合には、当社グループの事業活動に影響が生じる可能性があります。 事業拡大のため、企業買収等を実施することがありますが、買収の対象事業を当社グループの経営戦略に沿って適切に統合できない場合、あるいは既存事業及び買収の対象事業について効率的な活用を行うことができなかった場合は、当社グループの事業遂行に影響が生じるほか、のれんの減損や、事業売却損、事業清算損、その他これに伴う費用の発生等が生じる可能性があります。 当社グループは、業務提携の推進等を目的として、投資有価証券等を保有しています。市場経済の動向や投資先の財政状態等により、株価及び評価額に著しい変動が生じる場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 また、事業ポートフォリオの戦略的な見直しの一環で、当社はノンコア事業と位置付けられた関連会社あるいは事業の売却を実行することがありますが、各国の法規制や経済情勢および相手先の経営状況の変化などにより実施が困難となる場合、あるいは売却損、評価損が発生する場合、当社グループへの経営あるいは財務上の影響が生じる可能性があります。 当社は、連結子会社である Olympus (China) Co., Ltd.の保有する中国・深圳市にある当社の中国現地法人 Olympus (Shenzhen) Industrial Ltd.の持分譲渡に向けた活動を継続していますが、その活動の結果によっては、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。対応策・機会 M&Aや出資の検討に際しては、契約の成立後に深刻な問題が発見されるようなリスクを低減すべく、外部の弁護士や財務アドバイザー等も活用して、各種デューデリジェンスを実施した上で、社内で定められた承認プロセスに従って投資評価の妥当性を審議するなどのプロセスを経て、投資の可否について判断を行っています。また、コンプライアンスを遵守するための内部指針、価値評価モデル、デューデリジェンス項目の見直しを定期的に行うとともに、取引が完了した後も対象事業のモニタリングを実施するなど、投資に関するプロセス全体の改善に取り組んでいます。事業売却等においても同様の承認プロセスを経て判断を行い、プロセス全体の改善に取り組んでいます。 適切な対応策の下で行われる業務提携及び企業買収等を通じて、当社は製品ポートフォリオの拡充や新技術の獲得を進め、長期的な成長と企業価値の向上を実現することが可能となります。 (8)投資全般に係るリスクリスク 当社グループは、事業に係る様々な領域で投資を実施しており、当該投資に係る意思決定を行った時点から外部環境が急激に変化する等、予期せぬ状況の変化が発生した場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。対応策 投資前には投資評価の妥当性を審議、投資の可否を判断しています。 (9)情報セキュリティに係るリスクリスク 当社製品やサービスを継続的に提供するため、事業継続を妨げるサイバー攻撃に備え、機密情報やステークホルダーの個人情報の漏えい防止などの情報セキュリティリスクの低減や、法令違反の防止に努めています。しかしながら以下にあげるような不測の事態が発生することにより、当社グループの企業価値の毀損、事業競争力の低下、社会的信用の失墜につながることに加えて、影響を受けるステークホルダーに対する補償等により、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。・進化したサイバー攻撃により、顧客の環境において、当社製品の使用やその保守作業を通じて患者様の情報が漏えいし、顧客が事業を継続することが出来なくなる、また当社において業務が中断したり、保守サービスの提供が滞るなどの結果として、医療機関において検査や治療行為が継続出来なくなるといった事象が発生すること・情報セキュリティ対策の不備や内部不正による、当社内に保管される技術情報・顧客情報の漏えいまたは毀損・個人情報の取り扱いに関して、世界各国の個人情報保護法制(日本における「個人情報保護法」、欧州連合(EU)の「EU一般データ保護規則(GDPR: General Data Protection Regulation )」、米国カリフォルニア州の「カリフォルニア州消費者保護法(CCPA: California Consumer Privacy Act)」)等に違反することにより、政府機関から罰金その他の処分を受ける、またはステークホルダーから訴訟を提起されること対応策 当社グループでは、チーフ情報セキュリティオフィサーの下、情報セキュリティに係るリスクに適切に対処するための体制を構築し、情報セキュリティリスクの低減を推進しています。その中で、以下の対策を行っています。・製品のセキュリティレベルの向上による顧客環境でのサイバーリスクの低減、事業活動や顧客接点におけるセキュリティリスクの低減のために、製品セキュリティマネジメントシステムを導入し、リスク分析と評価に基づき、脆弱性に対処し、インシデント対応体制を整備しています。・機密情報や個人情報を含む外部への情報流出のリスク低減する為に、セキュリティマネジメントシステムを導入し、各種アクセスログの収集、分析による異常の早期検知などの対策を講じています。・個人情報保護の専任部門を設置し、日本、米州、欧州、中国、アジア・オセアニアの各地域統括会社とともに個人情報の保護に関する国外の法令に対応するための体制を整備し、対処方針の制定やモニタリングを行っています。 (10)内部統制に係るリスクリスク 有効な内部統制システムを構築している状況においても、従業員等の悪意あるいは重大な過失に基づく行動など、様々な要因により内部統制システムが機能しなくなる可能性があります。このような事象に適切に対処できない場合、将来的に法令違反等の問題が発生する可能性があり、また当社の社会的信用の失墜により事業に悪影響が生じる、あるいは行政処分による課徴金や刑事訴訟による罰金、民事訴訟による損賠賠償金等の支払いが生じることにより、当社の業績に影響が及ぶ可能性があります。 内部統制システム構築時点では想定していなかった事業・社会環境等の変化、また、こうした変化によるシステムの無効化に対して、社内の組織・機能が適切に対応できないなど、様々な要因によりシステムが機能しなくなる可能性があります。このような事象に適切に対処できない場合、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。対応策 当社グループは、財務報告の適正性と信頼性を確保するための体制を整備・運用し、継続的な改善を図っています。また、業務の有効性と効率性を確保するための体制についても、整備・運用しており、継続的な改善を図っています。 (11)法的規制に係るリスクリスク 当社グループでは、規制業種である医療分野を含む各種事業を世界各地で展開しており、本邦の法律に加えて各国・地域における医療に関する法律や独占禁止法の他、米国海外腐敗行為防止法(FCPA)の贈賄禁止条項や英国反贈収賄法を始めとした各国・地域の贈収賄禁止に関する法律の適用を受けています。また、不当景品類及び不当表示防止法、米国反キックバック法や米国虚偽請求取締法を含む、ヘルスケア事業に関連する様々な不正防止法の規制対象にあります。 法的規制への違反は罰金や課徴金、禁固刑、特定の国における医療制度への参加禁止などの処罰につながる可能性があります。さらに、当社グループの顧客の多くが公的医療保険その他、政府による医療制度から医療費を補助されており、法的規制への違反によって制度への参加を制限された場合には、当社グループの製品に対する需要やそれを使用した症例数の減少などの影響が生じる可能性があります。 当社は、米国司法省と2018年12月3日に締結した司法取引契約において「当社の子会社であるオリンパスメディカルシステムズ株式会社が法規制を遵守するプロセスを強化し、本合意に基づき同社が期待される水準に達していることの確認を定期的に実施する」という義務が課されています。今後の実施状況によっては、米国司法省によりさらなる措置が取られる可能性があります。 当社グループでは、これらの法的規制を遵守することを徹底していますが、違反する行為を行った場合、違反の意図の有無にかかわらず、当社グループの事業、財政状態、経営成績、キャッシュ・フローの状況及び株価に影響を及ぼす可能性があります。対応策 当社グループではグローバル行動規範において示している通り、法令順守に基づいた業務遂行を従業員に徹底しています。法務、コンプライアンス、内部監査などの統制部門が、当社グループに適用されるすべての法律、規制、内部方針を遵守しているかどうかという観点から、事業活動をモニタリングしています。また、従業員に対しても必要かつ適切な研修や教育を実施しています。事業を展開するすべてのマーケットにおいて、当社事業に関連する規制をモニタリングし、情報収集を行う体制の構築を進めています。また、関連する法律や規制に改正や変更があった場合には、従業員に対して周知徹底するとともに、その改正や変更に対応した製品を速やかに開発し、供給していきます。 (12)訴訟に係るリスクリスク 国内外の事業に関連して、訴訟、紛争、その他の法的手続きの対象となるリスクがあります。第三者より、将来、損害賠償請求や使用差し止め等の重要な訴訟が提起された場合は、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 また、当社は研究開発及び生産活動において様々な知的財産権を使用しており、それらは当社グループが所有しているもの、あるいは適法に使用許諾を受けたと認識しているものでありますが、当社グループの認識の範囲を超えて第三者から知的財産権を侵害したと主張され、係争等が発生した場合には、収益確保に影響を及ぼす可能性があります。 当社の連結子会社である Olympus (China) Co., Ltd.が保有する中国・深圳市にある当社の中国現地法人 Olympus (Shenzhen) Industrial Ltd.は、深圳市安平泰投资发展有限公司から2016年12月23日付で訴訟を提起され、2018年7月30日付で判決が出されています。当社はこの第一審判決を不服として2018年8月17日付で控訴しておりました。2020年7月1日付で広東省高級人民法院から、安平泰側が請求の根拠とする事実関係が不明確であるなどとして、第一審判決を取り消し、本案の審理を差し戻す裁定が下されましたが、今後の経過によっては、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。対応策 訴訟その他法的な手続きが必要となる事案が発生した場合に、適時に弁護士等の外部専門家と対策を検討することが出来る体制を構築し、日本、米州、欧州、中国、アジア・オセアニアの各地域統括会社においても社内の関連部署のスキル・専門知識の強化に努めています。また、財務上のリスクを極小化する目的で、訴訟による予期せぬ損失に備えて、保険の付保等を行っています。 (13)資金調達に係るリスクリスク 当社グループは、金融機関等からの借入、社債発行による資金調達を行っていますが、金融市場の環境変化によっては、当社グループの資金調達に影響が生じる可能性があります。 また、当社グループの業績悪化等により資金調達コストが上昇した場合、当社グループの資金調達に悪影響が生じ、一方、業績良化等により資金調達コストが低下した場合、好影響を与える可能性があります。対応策 当社グループでは、コマーシャル・ペーパーや公募社債の発行等、資金調達手段の多様化による調達コストの低減に取り組んでおり、長期の有利子負債は基本的に固定金利を採用することで、金利上昇の影響を限定的にしています。また、グローバル・キャッシュ・プーリングの導入により、グループ資金の効率化や財務管理の強化を図っています。 (14)事業構造改革に係るリスクリスク 当社グループは、2019年1月に企業変革プラン「Transform Olympus」を公表しました。また、2019年11月に経営戦略を公表し、製品(売上原価、研究開発)、コマーシャル(セールス・マーケティング、保守サービス)、コーポレート(コーポレート機能の間接費)の分野で大規模な効率改善を見込む、全社横断的な効率改善プログラムも推進し、持続的な成長と収益性を伴う真のグローバル・メドテックカンパニーを目指しています。 これらのプログラムの進展に遅れが発生した場合、当社グループの業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。対応策 企業変革プラン「Transform Olympus」においては、担当する役員(チーフトランスフォーメーションオフィサー)を任命するとともに、各プロジェクトにプロジェクトリーダーをおき、各施策にゲートプロセスやマイルストーンを設定して、月次で各施策の進捗をモニタリングしています。なお、重大な遅れが生じた場合は、プロジェクトリーダーからチーフトランスフォーメーションオフィサーに必要な報告がなされ、全社として課題を解決するプロセスを構築しています。 (15)その他のリスクリスク 当社は、国内外の子会社や関連会社等を通じて、事業を世界各地で展開しており、これらについては随時国内外当局の各種調査の対象となること、法令遵守の観点から当局との協議・報告(例えば、独占禁止法や医薬品医療機器等関連法の遵守状況に関する検査への対応、あるいは米司法省に対するFCPA遵守に関する自主的な開示)を行うことがあり、これらの調査や協議の結果によっては、収益確保に影響が生じる可能性があります。 また、世界各国の租税法令またはその解釈や適用指針の変更等により、追加の税負担が生じる可能性があります。繰延税金資産については、経営状況の変化や組織再編の実施等により、回収可能性の評価を見直した場合、繰延税金資産に対する評価性引当金の積み増しが必要となる可能性があります。そのような事態が生じた場合、当社グループの業績及び財政状態に影響が生じる可能性があります。 その他、自然災害、疾病、戦争、内戦、暴動、テロ、サイバー攻撃等が発生した場合、収益確保に影響が生じる可能性があります。対応策 当社グループではグローバル行動規範において示している通り、法令順守に基づいた業務遂行を従業員に徹底しています。 世界各国の租税法令またはその解釈や適用指針の変更等に関しては、法令の改正や規則の変更に対するモニタリングを行いながら、社内の取引ルールを適宜見直していきます。繰延税金資産については、グループ各社の収益性をモニタリングしながら、それぞれの会社が適切な収益を確保出来る様に業績を管理することに加えて、グループ会社間の組織再編においても再編後の収益性の変化に留意することでリスクの最小化を図ります。 また、リスクマネジメントの一環として、戦略および年度目標の達成におけるリスクを同一のプロセス/基準で抽出/評価した上で、リスクの重要度に応じた重点施策を効率的、有効的に策定し、年間を通じて施策の実行状況をモニタリングしています。 重大な危機が発生した際には、グループ全体に適用される危機対応ルールに基づいて対策本部を設置し、企業価値に及ぼす影響を最小限にとどめるべく、危機管理に努めるとともに、平時においてもBCP(事業継続計画)の策定、定期的な見直し及びBCPの実効性を高めるための教育・訓練を通じて事業中断リスクへの対応を強化しています。 (16)新型コロナウイルス感染症に係るリスクリスク 新型コロナウイルス感染症の世界的な流行の影響により、経済活動の再開は段階的に進められているものの、感染再拡大の傾向が見られるなど、全体として厳しい状況が続いています。 当社グループの事業活動においては、医療機関など顧客先への訪問の制限や商談の延期・中止など、販売活動に影響が生じている他、症例数の減少に伴う製品の販売量の減少などの影響が生じています。医療機関が新型コロナウイルスへの対応を優先せざるを得ない状況において、当社の事業に関連する医療行為が減少した場合、当社グループの販売活動にさらなる影響を及ぼす可能性があります。また、特定の製品及び部品調達に制約が生じた場合、当社グループの生産及び供給能力ひいては収益確保及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。対応策 当社グループは、感染防止対策の徹底に努めており、職場でのフィジカルディスタンスの確保やマスク着用の徹底、施設の換気、出張やイベントの自粛等の措置を講じています。また、確実な事業継続のために必要に応じてグローバルタスクフォースを設置します。 新型コロナウイルスの世界的な感染拡大が続く中、当社グループではオンラインでのトレーニングやデモンストレーション、セミナーを継続的に実施している他、新たな環境に対応したソリューションの提供に努めています。
FY2020|7,040 文字
2【事業等のリスク】 当社グループの業績は、今後起こりうる様々な要因によって大きな影響を受ける可能性があります。当社グループでは、「リスクマネジメント及び危機対応方針」及び関連規程に基づき、グローバルなリスクマネジメント体制を構築し、事業リスクの低減に取り組んでいます。 具体的には、戦略、年度戦略及び年度目標の達成におけるリスクを同一のプロセス/基準で抽出/評価した上で、リスクの重要度に応じて有効な施策を効率性にも配慮しながら策定しています。また、グループレベルのテーマとして策定された重点施策は可視化され、定期的に進捗がモニタリングされるシステムが構築されています。さらに、各地域に展開された事業目標の達成に向けても、同一のリスクマネジメントプロセスが有効に機能するようにプロセスのグローバル標準化活動も開始しました。この取り組みを実施することにより戦略及び年度目標の達成につなげていきます。 以下において、当社グループの経営意思決定以外に、業績変動を引き起こす要因となり得る、事業展開上の主なリスクを記載しています。 なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末時点において当社グループが判断したものです。 (1)医療行政の方針変更及びリプロセスに関する規制強化に係るリスク 医療分野においては、国内外で医療費抑制や生活の質(QOL)の向上を目的とした医療制度改革が継続的に行われており、EU-MDR(欧州医療機器規制)をはじめとする各国の医療機器申請・登録等の法規制要求は年々高まっております。加えて、リプロセス(洗浄・消毒・滅菌)要求も高度化しております。 今後、各国の医療関連法規制や関連した行政の方針変更や予測できない環境変化などにより、新製品やサービス等をタイムリーに提供できない場合、また、販売した製品等に対する市場対応等を行う場合、収益確保に影響を及ぼす可能性があります。 米国食品医薬品局(FDA)より、十二指腸内視鏡の洗浄・消毒に関する市販後の調査研究の実施を遵守していないという理由で、2018年3月に当社グループを含む十二指腸内視鏡メーカー各社に警告書が発行されました。その後、FDAと協力しながら市販後の調査研究を進捗させていますが、今後の経過によっては、FDAによる更なる規制措置が取られる可能性があります。 (2)市場競合状況に係るリスク 当社グループが関連する事業分野において、競合会社との競争激化による製品販売単価の下落や当社シェアの侵食、代替技術・製品の出現等が考えられます。 今後もこれまでの研究開発に加え、アライアンスやオープンイノベーションで必要技術を獲得しながら、製品・サービスの研究開発及びマーケティング・販売活動を継続的に実施してまいりますが、その成否によっては収益確保に影響を及ぼす可能性があります。 (3)販売活動に係るリスク 医療分野では、全世界的に政府系の医療制度が発達しており、当社グループ及び当社グループの販売店、供給者の多くが政府系の企業、政府系の医療機関及び公務員と取引を行っています。当社グループ及び当社グループの販売店、供給者は過去に贈収賄が発生した国・地域で事業を行っており、適正な取引の実施に向け従業員への教育に努めています。一方で、ヘルスケア事業に関連する様々な不正防止法の法的規制は多岐にわたり、解釈や適用指針の変更によって当社グループの販売や営業活動が制限される可能性があります。 科学事業では、収益において各国の国家予算による研究に対するシステム供給が占める割合が高く、マクロ経済の変動により各国の国家予算が縮小された場合には、収益確保に影響を及ぼす可能性があります。 映像事業のデジタルカメラ分野では、予想を超える急激な市場の縮小が生じた場合には、当社グループが進めている事業再編施策が売上減少に追いつかず、収益確保に影響を及ぼす可能性があります。(4)生産・開発活動に係るリスク 特定の供給元に依存する製品及び部品について、その供給元の事情により、調達に制約を受ける場合には、生産及び供給能力に影響を及ぼす可能性があります。また、急激な市況の変化等に柔軟に対応ができない場合には、当社グループの収益確保及びサプライチェーンに影響が生じる可能性があります。 製品については外部への生産委託を含め、厳格な品質基準に基づき生産を行っていますが、万一、製品に不具合等が発生した場合には、リコール等、多額のコストが発生するだけでなく、当社グループの信頼が損なわれ、収益確保に影響を及ぼす可能性があります。 最先端の技術を用いた製品の開発を継続的に進めていますが、技術的な進歩が速く、市場の変化を充分に予測できず、顧客のニーズに合致した新製品をタイムリーに開発できない場合には、収益確保に影響を及ぼす可能性があります。また、開発期間の長期化に伴い費用の増加あるいは開発資産の減損損失等が発生する可能性があります。 (5)為替変動に係るリスク 当社グループは、世界のさまざまなマーケットにおいて製品及びサービスを提供しており、海外売上高比率(連結ベース)は、2020年3月期において約82%です。また、生産拠点の一部を海外に設けております。 為替変動リスクを軽減することを目的として、主に先物為替予約を利用しております。しかしながら、急激な為替変動が生じた場合、あるいはヘッジの対象となる債権・債務の発生が予定と大きく異なった場合、当社グループの業績に影響が及ぶ可能性があります。 (6)業務提携及び企業買収等に係るリスク 技術及び製品開発、販売・マーケティングに関して、業界の先進企業と長期的な戦略的提携関係を構築していますが、これらの戦略的パートナーと、財務上あるいはその他事業上の問題が発生した場合、戦略の変更等により提携関係を維持できなくなる等の問題が発生した場合には、当社グループの事業活動に支障が生じる可能性があります。 事業拡大のため、企業買収等を実施することがありますが、買収の対象事業を当社グループの経営戦略に沿って適切に統合できない場合、あるいは既存事業及び買収の対象事業について効率的な活用を行うことができなかった場合は、当社グループの事業に影響が生じるほか、のれんの減損や、事業売却損、事業清算損、その他これに伴う費用の発生等が生じる可能性があります。 当社グループは、業務提携の推進等を目的として、投資有価証券等を保有しております。市場経済の動向や投資先の財政状態等により、株価及び評価額に著しい変動が生じる場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 当社は、連結子会社である Olympus (China) Co., Ltd.の保有する中国・深圳市にある当社の中国現地法人 Olympus (Shenzhen) Industrial Ltd.の持分譲渡に向けた活動を継続しておりますが、その活動の結果によっては、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 (7)投資全般に係るリスク 当社グループは、事業に係る様々な領域で投資を実施しており、その実行にあたっては様々な観点から検討を行っております。しかしながら、当該投資に係る意思決定を行った時点から外部環境が急激に変化する等、予期せぬ状況の変化が発生した場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。 (8)情報の流出に係るリスク 当社グループは、技術情報等の重要な機密情報や、顧客その他関係者の個人情報を保有しております。 これらの情報の外部への流出を防止するため、社内規程の整備や社員教育の徹底、セキュリティシステムの強化等さまざまな対策を講じておりますが、不測の事態によりこれらの情報が漏洩した場合、当社グループの企業価値の毀損、社会的信用の失墜につながることに加えて、流出の影響を受けた顧客その他関係者に対する補償等により、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 (9)内部統制に係るリスク 当社グループは、財務報告の適正性と信頼性を確保するための体制を整備し、運用するとともに、継続的な改善を図っています。しかしながら、有効な内部統制システムを構築している状況においても、従業員等の悪意あるいは重大な過失に基づく行動など、様々な要因により内部統制システムが機能しなくなる可能性があります。このような事象に適切に対処できない場合、将来的に法令違反等の問題が発生する可能性があり、また当社の社会的信用の失墜により事業に悪影響が生じる、あるいは行政処分による課徴金や刑事訴訟による罰金、民事訴訟による損賠賠償金等の支払いが生じることにより、当社の業績に影響が及ぶ可能性があります。 さらに、業務の有効性と効率性を確保するための体制についても、整備・運用をしており、継続的な改善を図っております。しかしながら、内部統制システム構築時点では想定していなかった事業・社会環境等の変化、また、こうした変化によるシステムの無効化に対して、社内の組織・機能が適切に対応できないなど、様々な要因によりシステムが機能しなくなる可能性があります。このような事象に適切に対処できない場合、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。 (10)法的規制に係るリスク 当社グループでは、規制業種である医療分野を含む各種事業を世界各地で展開しており、本邦の法律に加えて各国・地域における医療に関する法律や独占禁止法の他、米国海外腐敗行為防止法(FCPA)の贈賄禁止条項や英国反贈収賄法を始めとした各国・地域の贈収賄禁止に関する法律の適用を受けています。また、不当景品類及び不当表示防止法、米国反キックバック法や米国虚偽請求取締法を含む、ヘルスケア事業に関連する様々な不正防止法の規制対象にあります。 法的規制への違反は罰金や課徴金、禁固刑、特定の国における医療制度への参加禁止などの処罰につながる可能性があります。さらに、当社グループの顧客の多くが公的医療保険その他、政府による医療制度から医療費を補助されており、法的規制への違反によって制度への参加を制限された場合には、当社グループの製品に対する需要やそれを使用した症例数の減少などの影響が生じる可能性があります。 当社は、米国司法省と2018年12月3日に締結した司法取引契約において「当社の子会社であるオリンパスメディカルシステムズ株式会社が法規制を遵守するプロセスを強化し、本合意に基づき同社が期待される水準に達していることの確認を定期的に実施する」という義務が課されております。今後の実施状況によっては、米国司法省によりさらなる措置が取られる可能性があります。 当社グループでは、これらの法的規制を遵守することを徹底しておりますが、違反する行為を行った場合、違反の意図の有無にかかわらず、当社グループの事業、財政状態、経営成績、キャッシュ・フローの状況及び株価に影響を及ぼす可能性があります。 (11)訴訟に係るリスク 国内外の事業に関連して、訴訟、紛争、その他の法的手続きの対象となるリスクがあります。第三者より、将来、損害賠償請求や使用差し止め等の重要な訴訟が提起された場合は、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 また、当社は研究開発及び生産活動において様々な知的財産権を使用しており、それらは当社グループが所有しているもの、あるいは適法に使用許諾を受けたと認識しているものでありますが、当社グループの認識の範囲を超えて第三者から知的財産権を侵害したと主張され、係争等が発生した場合には、収益確保に影響を及ぼす可能性があります。 当社グループが製造・販売している十二指腸内視鏡に関して、被害を受けたと主張する民事訴訟が米国で提起されていますが、現時点では当社グループの業績及び財政状態への影響は大きくないと考えられます。 当社の連結子会社である Olympus (China) Co., Ltd.が保有する中国・深圳市にある当社の中国現地法人 Olympus (Shenzhen) Industrial Ltd.は、深圳市安平泰投资发展有限公司から2016年12月23日付で訴訟を提起され、2018年7月30日付で判決が出されております。当社はこの第一審判決を不服として2018年8月17日付で控訴しておりますが、今後の経過によっては、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 (12)資金調達に係るリスク 当社グループは、金融機関等からの借入、社債発行による資金調達を行っていますが、金融市場の環境変化によっては、当社グループの資金調達に影響を及ぼす可能性があります。 また、当社グループの業績悪化等により資金調達コストが上昇した場合、当社グループの資金調達に影響を及ぼす可能性があります。 (13)事業構造改革に係るリスク 当社グループは、2019年11月に真のグローバル・メドテックカンパニーとして、持続的な成長を実現させるための経営戦略を公表しました。 本経営戦略において、内視鏡事業においてはシングルユース内視鏡によるポートフォリオの拡充、治療機器事業においては注力領域への新製品の導入による売上成長を重点施策として掲げております。また、当社は全社横断的な効率改善プログラムとして製品(売上原価、研究開発)、コマーシャル(セールス・マーケティング、保守サービス)、コーポレート(コーポレート機能の間接費)の分野で大規模な効率改善を見込んでおります。 このプログラムの進展に遅れが発生した場合、当社グループの業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。 (14)その他、包括的なリスク 当社は、国内外の子会社や関連会社等を通じて、各種事業を世界各地で展開しており、これらについては随時国内外当局の各種調査の対象となること、法令遵守の観点から当局との協議・報告(例えば、独占禁止法や医薬品医療機器等関連法の遵守状況に関する検査への対応、あるいは米司法省に対するFCPA遵守に関する自主的な開示)を行うことがあり、これらの調査や協議の結果によっては、収益確保に影響を及ぼす可能性があります。 また、当社グループは国内外で事業を展開しており、世界各国の租税法令またはその解釈や適用指針の変更等により、追加の税負担が生じる可能性があります。繰延税金資産については、経営状況の変化や組織再編の実施等により、回収可能性の評価を見直した場合、繰延税金資産に対する評価性引当金の積み増しが必要となる可能性があります。そのような事態が生じた場合、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 その他、自然災害、疾病、戦争、テロ等が発生した場合、収益確保に影響を及ぼす可能性があります。 (15)新型コロナウイルス感染症に係るリスク 2019年12月に中華人民共和国湖北省武漢市において、新型コロナウイルス感染症の発生が複数報告されて以来、世界各地で感染者の発生報告が続いています。これにより、感染拡大を阻止するためのロックダウンや経済活動の自粛などによる経済収縮が世界的な景気後退をもたらしており、全体として当面は極めて厳しい状況が見込まれています。 当社グループの事業活動においては、医療機関など顧客先への訪問の制限や商談の延期・中止など、販売活動に影響が生じております。加えて、当社グループにおいても感染の予防及び拡散の防止を目的として、国内外の従業員に対して在宅勤務を指示する等の対応を実施しております。それに伴い、販売活動以外の事業活動にも一部制約や遅れが生じており、2020年3月期の決算発表及び第152期定時株主総会についても延期しております。 今後、医療機関が新型コロナウイルスへの対応を優先せざるを得ない状況において、当社の事業に関連する医療行為が減少した場合、当社グループの販売活動にさらなる影響を及ぼす可能性があります。また、感染拡大が長期間にわたって続き、特定の製品及び部品調達に制約が生じた場合、当社グループの生産及び供給能力ひいては収益確保及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。加えて、当初予定した決算発表及び定時株主総会の開催などにも遅延が生じる可能性があります。 当社グループは、確実な事業継続のためにグローバルタスクフォースを設置し、感染防止対策の徹底に努めております。具体的には、職場でのフィジカルディスタンスの確保やマスク着用の徹底、施設の換気、出張やイベントの自粛等の措置を講じています。なお、日本では緊急事態宣言の全面解除を受け、2020年3月末から原則在宅勤務としていたものを、2020年6月からは出社率の制限に緩和する等、「新しい行動様式」を取り入れたガイドラインを定めています。引き続き、従業員、医療従事者の皆様、患者様、そしてコミュニティの健康と安全を守ることを最優先に製品とサービスの供給を維持すべく、あらゆる対策を講じてまいります。
FY2019|4,317 文字
2【事業等のリスク】 「企業内容等の開示に関する内閣府令の一部を改正する内閣府令」(平成31年1月31日内閣府令第3号)による改正後の「企業内容等の開示に関する内閣府令」第二号様式記載上の注意(31)の規定を当事業年度に係る有価証券報告書から適用しております。 当社グループの業績は、今後起こりうる様々な要因によって大きな影響を受ける可能性があります。当グループでは、「リスクマネジメントおよび危機対応方針・規程」に基づき、グローバルなリスクマネジメント体制を構築し、事業リスクの低減に取り組んでいます。具体的には、戦略に基づく年度単位の活動テーマに対して、リスクを同一基準で評価し、重点施策を効率的、有効的に策定しています。また、グループレベルのテーマとして策定された重点施策は可視化され、定期的に進捗がモニタリングされるシステムが構築されています。さらに、各地域ごとの活動テーマにおいても、同一のリスクマネジメントプロセスが実行されるようにプロセスの標準化活動も開始しました。この取り組みを実施することにより、同一基準で共有化されたリスク評価情報やインシデント情報に基づき、適切にグループ全体でリスクをコントロールする活動の精度向上につなげていきます。 以下において、当社グループの経営意思決定以外の要因で、業績変動を引き起こす要因となり得る、事業展開上の主なリスク要因を記載しています。 なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。 (1)販売活動に係るリスク① 医療事業では、医療制度改革による予測できない大規模な医療行政の方針変更その他医療業界に係る変化が発生し、その環境変化に対応できない場合や、事業活動に必要な各国の許認可を適時に取得することができない場合、収益確保に影響を及ぼす可能性があります。② 科学事業では、各国の国家予算による研究に対するシステム供給が占める収益割合が高く、マクロ経済の変動により各国の国家予算が縮小された場合には、収益確保に影響を及ぼす可能性があります。③ 映像事業のデジタルカメラ分野では、市場環境が厳しさを増しており、予想を超える急激な市場の縮小が生じた場合には、当社グループが進めている事業再編施策が売上減少に追いつかず、収益確保に影響を及ぼす可能性があります。(2)生産・開発活動に係るリスク① 当社グループでは、その生産拠点の一部を海外に置いているため、為替変動等の影響によってはコスト増となり、収益確保に影響を及ぼす可能性があります。② 当社グループ内で開発・生産できない製品および部品については、特定の供給元へ開発から生産までを依存しています。その供給元の都合により、調達に制約を受けた場合には、生産および供給能力に影響を及ぼす可能性があります。③ 外部の生産委託先を含め、厳格な品質基準により製品の生産を行っていますが、万一、製品の不具合等が発生した場合にはリコール等、多額のコストが発生するだけでなく、当社グループの信頼が損なわれ、収益確保に影響を及ぼす可能性があります。④ 最先端の技術を用いた製品の開発を継続的に進めていますが、技術的な進歩が速く、市場の変化を充分に予測できず、顧客のニーズに合った新製品をタイムリーに開発できない場合には、収益確保に影響を及ぼす可能性があります。⑤ 研究開発および生産活動を行う中ではさまざまな知的財産権を使用しており、それらは当社グループが所有しているもの、あるいは適法に使用許諾を受けたものであると認識していますが、当社グループの認識の範囲外で第三者から知的財産権を侵害したと主張され、係争等が発生した場合には、収益確保に影響を及ぼす可能性があります。(3)業務提携および企業買収等に係るリスク① 技術および製品開発に関して、業界の先進企業と長期的な戦略的提携関係を構築していますが、これらの戦略的パートナーと、財務上その他の事業上の問題の発生、目標変更等により提携関係を維持できなくなることで、当社グループの事業活動に支障が出る可能性があります。② 事業拡大のため、企業買収等を実施することがありますが、買収等の対象事業を当社グループの経営戦略に沿って統合できない場合や、既存事業および買収等の対象事業について効率的な経営資源の活用を行うことができなかった場合は、当社グループの事業に影響を受けるほか、のれんの減損や、事業再編等に伴う事業売却損、事業清算損その他これに伴う費用の発生等により、業績、財政状態に影響を受ける可能性があります。③ 当社グループは、業務提携の円滑な実施等の政策投資目的で、投資有価証券等を保有しております。市場経済の動向や投資先の財政状態等により、株価および評価額に著しい変動が生じる場合には、当社グループの業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。(4)資金調達に係るリスク 当社グループは、金融機関等からの借入、社債発行による資金調達を行なっていますが、金融市場環境に変化があった場合、当社グループの資金調達に影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループの業績悪化等により資金調達コストが上昇した場合、当社グループの資金調達に悪影響を及ぼす可能性があります。(5)情報の流出に係るリスク 当社グループは、技術情報等の重要な機密情報や、顧客その他関係者の個人情報を保有しております。これらの情報の外部への流出を防止するため、社内規程の整備や社員教育の徹底、セキュリティシステムの強化等さまざまな対策を講じておりますが、不測の事態によりこれらの情報が漏洩した場合、当社グループの企業価値の毀損、社会的信用の失墜、流出の影響を受けた顧客その他関係者への補償等により、当社グループの業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。(6)内部統制に係るリスク 当社グループは、財務報告の適正性と信頼性ならびに業務の有効性と効率性を確保するための体制を整備し、運用するとともに、継続的な改善を図っています。しかしながら、いかに有効な内部統制システムを構築したとしても、従業員等の悪意あるいは重大な過失に基づく行動、もしくはシステム構築当時には想定していなかった事業・社会環境等の変化、また、こうした変化によるシステムの無効化など、様々な要因によりシステムが機能しなくなる可能性があります。このような事象に適切に対処できない場合、将来的に法令違反等の問題が発生する可能性があり、その場合、行政処分による課徴金や刑事訴訟による罰金、民事訴訟による損賠賠償金等の支払いが生じ、加えて当社の社会的信用の失墜により事業に悪影響が生じるなど、当社の業績に影響が及ぶ可能性があります。(7)法的規制に係るリスク 当社グループでは規制業種である医療事業を含む各種事業を世界各地で展開しており、本邦の法律に加え各国・地域における医療に関する法律や独占禁止法の他、米国海外腐敗行為防止法(「FCPA」)の贈賄禁止条項や英国反贈収賄法を始めとした各国・地域の贈収賄禁止に関する法律の適用を受けています。また、不当景品類及び不当表示防止法、米国反キックバック法や米国虚偽請求取締法を含む、ヘルスケア事業に関連する様々な不正防止法の規制対象にあります。 医療事業においては全世界的に政府系の医療制度が発達しており、当社グループ及び当社グループの販売店、供給者の多くが政府系の企業、政府系の医療機関および公務員と取引を行っています。一方で当社グループ及び当社グループの販売店、供給者は過去に贈収賄が発生した国・地域で事業を行っており、一定の状況においては現地の実務慣行が上記の贈収賄禁止法の厳格な適用に抵触する可能性があります。また、ヘルスケア事業に関連する様々な不正防止法の法的規制は多岐にわたり、解釈や適用指針の変更によって当社グループの販売や営業習慣が制限される可能性があります。 法的規制への違反は罰金や課徴金、禁固刑、特定の国における医療制度への参加禁止などの処罰の対象となりえます。更に、当社グループの顧客の多くが公的医療保険その他、政府による医療制度から医療費を補助されており、法的規制への違反によって制度への参加を制限された場合には当社グループの製品の需要やそれを使用した手術の症例数に対して悪影響を与える可能性があります。 当社グループではこれらの法的規制への遵守徹底を図っていますが、違反する行為を行った場合、違反の意図の有無にかかわらず、当社グループの事業、財政状態、経営成績、キャッシュ・フローの状況および株価に影響を及ぼす可能性があります。 (8)米国における十二指腸内視鏡に係るリスク 当社グループが製造・販売している十二指腸内視鏡に関して、被害を受けたと主張する民事訴訟が米国で提起されています。現在の状況から考えると、当社グループの業績及び財政状態への影響は大きくないと考えられます。また、米国食品医薬品局(FDA)より、当該製品の洗浄・消毒に関する市販後の調査研究の実施を遵守していないという理由で、2018年3月に当社グループを含む十二指腸内視鏡メーカー各社に警告書が発行されました。その後、FDAと協力しながら市販後の調査研究を進捗させていますが、今後の経過によっては、FDAによる更なる規制措置が取られる可能性があります。 米国司法省と2018年12月3日に締結した司法取引契約において当社の子会社であるオリンパスメディカルシステムズ株式会社が「法規制を遵守するプロセスを強化し、本合意に基づき同社が期待される水準に達していることの確認を定期的に実施する」義務が規定されました。今後の実施状況によっては、米国司法省により更なる措置が取られる可能性があります。 (9)その他、包括的なリスク 当社は、国内外の子会社や関連会社等を通じて、各種事業を世界各地で展開しており、これらについては随時国内外当局の各種調査の対象となったり、法令遵守の観点から当局との協議・報告(例えば、独占禁止法や医薬品医療機器等関連法の遵守状況に関する検査への対応、あるいは米司法省へのFCPA遵守に関する自発開示)を行うことがあり、これらの調査や協議の結果によっては、収益確保に影響を及ぼす可能性があります。また、自然災害、疾病、戦争、テロ等が発生した場合や予想を超える金利の上昇、為替レートの変動が発生した場合にも、収益確保に影響を及ぼす可能性があります。
FY2018|4,409 文字
2【事業等のリスク】 当社グループの業績は、今後起こりうる様々な要因によって大きな影響を受ける可能性があります。以下において、当社グループの経営意思決定以外の要因で、業績変動を引き起こす要因となり得る、事業展開上の主なリスク要因を記載しています。当社グループはこれらリスク発生の可能性を認識した上で、発生の予防および発生した場合の対応に努める方針です。 なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。 (1)販売活動に係るリスク① 医療事業では、医療制度改革による予測できない大規模な医療行政の方針変更その他医療業界に係る変化が発生し、その環境変化に対応できない場合や、事業活動に必要な各国の許認可を適時に取得することができない場合、収益確保に影響を及ぼす可能性があります。② 科学事業では、各国の国家予算による研究に対するシステム供給が占める収益割合が高く、マクロ経済の変動により各国の国家予算が縮小された場合には、収益確保に影響を及ぼす可能性があります。③ 映像事業のデジタルカメラ分野では、市場環境が厳しさを増しており、予想を超える急激な市場の縮小が生じた場合には、当社グループが進めている事業再編施策が売上減少に追いつかず、収益確保に影響を及ぼす可能性があります。(2)生産・開発活動に係るリスク① 当社グループでは、その生産拠点の一部を海外に置いているため、為替変動等の影響によってはコスト増となり、収益確保に影響を及ぼす可能性があります。② 当社グループ内で開発・生産できない製品および部品については、特定の供給元へ開発から生産までを依存しています。その供給元の都合により、調達に制約を受けた場合には、生産および供給能力に影響を及ぼす可能性があります。③ 外部の生産委託先を含め、厳格な品質基準により製品の生産を行っていますが、万一、製品の不具合等が発生した場合にはリコール等、多額のコストが発生するだけでなく、当社グループの信頼が損なわれ、収益確保に影響を及ぼす可能性があります。④ 最先端の技術を用いた製品の開発を継続的に進めていますが、技術的な進歩が速く、市場の変化を充分に予測できず、顧客のニーズに合った新製品をタイムリーに開発できない場合には、収益確保に影響を及ぼす可能性があります。⑤ 研究開発および生産活動を行う中ではさまざまな知的財産権を使用しており、それらは当社グループが所有しているもの、あるいは適法に使用許諾を受けたものであると認識していますが、当社グループの認識の範囲外で第三者から知的財産権を侵害したと主張され、係争等が発生した場合には、収益確保に影響を及ぼす可能性があります。(3)業務提携および企業買収等に係るリスク① 技術および製品開発に関して、業界の先進企業と長期的な戦略的提携関係を構築していますが、これらの戦略的パートナーと、財務上その他の事業上の問題の発生、目標変更等により提携関係を維持できなくなることで、当社グループの事業活動に支障が出る可能性があります。② 事業拡大のため、企業買収等を実施することがありますが、買収等の対象事業を当社グループの経営戦略に沿って統合できない場合や、既存事業および買収等の対象事業について効率的な経営資源の活用を行うことができなかった場合は、当社グループの事業に影響を受けるほか、のれんの減損や、事業再編等に伴う事業売却損、事業清算損その他これに伴う費用の発生等により、業績、財政状態に影響を受ける可能性があります。③ 当社グループは、業務提携の円滑な実施等の政策投資目的で、投資有価証券等を保有しております。市場経済の動向や投資先の財政状態等により、株価および評価額に著しい変動が生じる場合には、当社グループの業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。(4)資金調達に係るリスク 当社グループは、金融機関等からの借入、社債発行による資金調達を行なっていますが、金融市場環境に変化があった場合、当社グループの資金調達に影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループの業績悪化等により資金調達コストが上昇した場合、当社グループの資金調達に悪影響を及ぼす可能性があります。(5)情報の流出に係るリスク 当社グループは、技術情報等の重要な機密情報や、顧客その他関係者の個人情報を保有しております。これらの情報の外部への流出を防止するため、社内規程の整備や社員教育の徹底、セキュリティシステムの強化等さまざまな対策を講じておりますが、不測の事態によりこれらの情報が漏洩した場合、当社グループの企業価値の毀損、社会的信用の失墜、流出の影響を受けた顧客その他関係者への補償等により、当社グループの業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。(6)過去の損失計上先送りに係るリスク 過去に当社が1990年代ころから有価証券投資等にかかる損失計上の先送りを行っており、Gyrus Group PLCの買収に際しファイナンシャルアドバイザーに支払った報酬や優先株の買戻しの資金ならびに国内三社(株式会社アルティス、NEWS CHEF株式会社および株式会社ヒューマラボ)の買収資金が、複数のファンドを通す等の方法により、損失計上先送りによる投資有価証券等の含み損を解消するためなどに利用されていたことについて、当社の不適切な財務報告の結果、当社に対して当社株主が訴訟を提起しており、当社グループの業績および財政状態に影響が及ぶ可能性があります。当有価証券報告書提出日現在において係属中の訴訟の訴額の合計は282億87百万円であり、そのうち主な訴訟は以下のとおりです。 三菱UFJ信託銀行株式会社ほか信託銀行5行、合計6行が、2014年4月7日付(当社への訴状送達日は2014年4月17日)で当社に対し、279億15百万円および各株式について発生した損害額に対する当該株式の取得約定日の翌日から支払済みまで年5分の割合による金員の支払いを求める損害賠償請求訴訟を提起しています。 (7)内部統制に係るリスク 当社グループは、財務報告の適正性と信頼性ならびに業務の有効性と効率性を確保するための体制を整備し、運用するとともに、継続的な改善を図っています。しかしながら、いかに有効な内部統制システムを構築したとしても、従業員等の悪意あるいは重大な過失に基づく行動、もしくはシステム構築当時には想定していなかった事業環境等の変化など、様々な要因によりシステムが機能しなくなる可能性があります。したがって、将来的に法令違反等の問題が発生する可能性があり、その場合、行政処分による課徴金や刑事訴訟による罰金、民事訴訟による損害賠償金等の支払いが生じ、加えて当社の社会的信用の失墜により事業に悪影響が生じるなど、当社の業績に影響が及ぶ可能性があります。(8)法的規制に係るリスク 当社グループでは規制業種である医療事業を含む各種事業を世界各地で展開しており、本邦の法律に加え各国・地域における医療に関する法律や独占禁止法の他、米国海外腐敗行為防止法(「FCPA」)の贈賄禁止条項や英国反贈収賄法を始めとした各国・地域の贈収賄禁止に関する法律の適用を受けています。また、不当景品類及び不当表示防止法、米国反キックバック法や米国虚偽請求取締法を含む、ヘルスケア事業に関連する様々な不正防止法の規制対象にあります。 医療事業においては全世界的に政府系の医療制度が発達しており、当社グループ及び当社グループの販売店、供給者の多くが政府系の企業、政府系の医療機関および公務員と取引を行っています。一方で当社グループ及び当社グループの販売店、供給者は過去に贈収賄が発生した国・地域で事業を行っており、一定の状況においては現地の実務慣行が上記の贈収賄禁止法の厳格な適用に抵触する可能性があります。また、ヘルスケア事業に関連する様々な不正防止法の法的規制は多岐にわたり、解釈や適用指針の変更によって当社グループの販売や営業習慣が制限される可能性があります。 法的規制への違反は罰金や課徴金、禁固刑、特定の国における医療制度への参加禁止などの処罰の対象となりえます。更に、当社グループの顧客の多くが公的医療保険その他、政府による医療制度から医療費を補助されており、法的規制への違反によって制度への参加を制限された場合には当社グループの製品の需要やそれを使用した手術の症例数に対して悪影響を与える可能性があります。 当社グループではこれらの法的規制への遵守徹底を図っていますが、違反する行為を行った場合、違反の意図の有無にかかわらず、当社グループの事業、財政状態、経営成績、キャッシュ・フローの状況および株価に影響を及ぼす可能性があります。 また、当社の海外子会社は、過去の医療事業関連活動に関する米国反キックバック法、米国虚偽請求取締法及びFCPAの違反容疑について2016年2月に米国司法省との間で訴追の留保に関する協定の締結に合意しております。今後、これらの法的規制に違反する行為を行った場合、当該違反に係る制裁を受けるだけでなく、訴追の留保の対象となった過去の事案についても訴追が行われ、当社グループの事業、財政状態、経営成績、キャッシュ・フローの状況及び株価に影響を及ぼす可能性があります。 (9)米国における十二指腸内視鏡に係るリスク 当社グループが製造・販売している十二指腸内視鏡に関して、2015年3月および8月に、当社の子会社であるオリンパスメディカルシステムズ株式会社宛てに米国司法省より情報の提供を求める旨の召喚状が発行され、その後、同省による事実関係の調査が継続しています。また、当有価証券報告書提出日現在、当社グループに対して、当社グループの十二指腸内視鏡によって被害を受けたと主張する民事訴訟が米国で提起されています。これらの今後の経過によっては、当社グループの業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 (10)その他、包括的なリスク 当社は、国内外の子会社や関連会社等を通じて、各種事業を世界各地で展開しており、これらについては随時国内外当局の各種調査の対象となったり、法令遵守の観点から当局との協議・報告(例えば、独占禁止法や医薬品医療機器等関連法の遵守状況に関する検査への対応、あるいは米司法省へのFCPA遵守に関する自発開示)を行うことがあり、これらの調査や協議の結果によっては、収益確保に影響を及ぼす可能性があります。また、自然災害、疾病、戦争、テロ等が発生した場合や予想を超える金利の上昇、為替レートの変動が発生した場合にも、収益確保に影響を及ぼす可能性があります。
FY2017|4,546 文字
4【事業等のリスク】 当社グループの業績は、今後起こりうる様々な要因によって大きな影響を受ける可能性があります。以下において、当社グループの経営意思決定以外の要因で、業績変動を引き起こす要因となり得る、事業展開上の主なリスク要因を記載しています。当社グループはこれらリスク発生の可能性を認識した上で、発生の予防および発生した場合の対応に努める方針です。 なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。 (1)販売活動に係るリスク① 医療事業では、医療制度改革による予測できない大規模な医療行政の方針変更その他医療業界に係る変化が発生し、その環境変化に対応できない場合や、事業活動に必要な各国の許認可を適時に取得することができない場合、収益確保に影響を及ぼす可能性があります。② 科学事業では、各国の国家予算による研究に対するシステム供給が占める収益割合が高く、マクロ経済の変動により各国の国家予算が縮小された場合には、収益確保に影響を及ぼす可能性があります。③ 映像事業のデジタルカメラ分野では、市場環境が厳しさを増しており、予想を超える急激な市場の縮小が生じた場合には、当社グループが進めている事業再編施策が売上減少に追いつかず、収益確保に影響を及ぼす可能性があります。(2)生産・開発活動に係るリスク① 映像事業では、その生産拠点の中心を中国およびベトナムに置いているため、為替変動等の影響によってはコスト増となり、収益確保に影響を及ぼす可能性があります。また、中国における反日活動など国情の不安定化、治安の悪化によっては、生産活動に影響を及ぼす可能性があります。② 当社グループ内で開発・生産できない製品および部品については、特定の供給元へ開発から生産までを依存しています。その供給元の都合により、調達に制約を受けた場合には、生産および供給能力に影響を及ぼす可能性があります。③ 外部の生産委託先を含め、厳格な品質基準により製品の生産を行っていますが、万一、製品の不具合等が発生した場合にはリコール等、多額のコストが発生するだけでなく、当社グループの信頼が損なわれ、収益確保に影響を及ぼす可能性があります。④ 最先端の技術を用いた製品の開発を継続的に進めていますが、技術的な進歩が速く、市場の変化を充分に予測できず、顧客のニーズに合った新製品をタイムリーに開発できない場合には、収益確保に影響を及ぼす可能性があります。⑤ 研究開発および生産活動を行う中ではさまざまな知的財産権を使用しており、それらは当社グループが所有しているもの、あるいは適法に使用許諾を受けたものであると認識していますが、当社グループの認識の範囲外で第三者から知的財産権を侵害したと主張され、係争等が発生した場合には、収益確保に影響を及ぼす可能性があります。(3)業務提携および企業買収等に係るリスク① 技術および製品開発に関して、業界の先進企業と長期的な戦略的提携関係を構築していますが、これらの戦略的パートナーと、財務上その他の事業上の問題の発生、目標変更等により提携関係を維持できなくなることで、当社グループの事業活動に支障が出る可能性があります。② 事業拡大のため、企業買収等を実施することがありますが、買収等の対象事業を当社グループの経営戦略に沿って統合できない場合や、既存事業および買収等の対象事業について効率的な経営資源の活用を行うことができなかった場合は、当社グループの事業に影響を受けるほか、のれんの減損や、事業再編等に伴う事業売却損、事業清算損その他これに伴う費用の発生等により、業績、財政状態に影響を受ける可能性があります。③ 当社グループは、業務提携の円滑な実施等の政策投資目的で、投資有価証券等を保有しております。市場経済の動向や投資先の財政状態等により、株価および評価額に著しい変動が生じる場合には、当社グループの業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。(4)資金調達に係るリスク 当社グループは、金融機関等からの借入による資金調達を行なっていますが、金融市場環境に変化があった場合、当社グループの資金調達に影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループの業績悪化等により資金調達コストが上昇した場合、当社グループの資金調達に悪影響を及ぼす可能性があります。(5)情報の流出に係るリスク 当社グループは、技術情報等の重要な機密情報や、顧客その他関係者の個人情報を保有しております。これらの情報の外部への流出を防止するため、社内規程の整備や社員教育の徹底、セキュリティシステムの強化等さまざまな対策を講じておりますが、不測の事態によりこれらの情報が漏洩した場合、当社グループの企業価値の毀損、社会的信用の失墜、流出の影響を受けた顧客その他関係者への補償等により、当社グループの業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。(6)過去の損失計上先送りに係るリスク 過去に当社が1990年代ころから有価証券投資等にかかる損失計上の先送りを行っており、Gyrus Group PLCの買収に際しファイナンシャルアドバイザーに支払った報酬や優先株の買戻しの資金ならびに国内三社(株式会社アルティス、NEWS CHEF株式会社および株式会社ヒューマラボ)の買収資金が、複数のファンドを通す等の方法により、損失計上先送りによる投資有価証券等の含み損を解消するためなどに利用されていたことについて、当社の不適切な財務報告の結果、当社に対して当社株主等が訴訟を提起しており、当社グループの業績および財政状態に影響が及ぶ可能性があります。当有価証券報告書提出日現在において係属中の訴訟の訴額の合計は290億80百万円であり、そのうち主な訴訟は以下のとおりです。 なお、当社は、当連結会計年度末において、係属中であった訴訟のうち、訴訟の進行状況等に鑑み、2億17百万円を訴訟損失引当金として流動負債に計上しています。 三菱UFJ信託銀行株式会社ほか信託銀行5行、合計6行が、平成26年4月7日付(当社への訴状送達日は平成26年4月17日)で当社に対し、279億15百万円および各株式について発生した損害額に対する当該株式の取得約定日の翌日から支払済みまで年5分の割合による金員の支払いを求める損害賠償請求訴訟を提起しています。 (7)内部統制に係るリスク 当社グループは、財務報告の適正性と信頼性ならびに業務の有効性と効率性を確保するための体制を整備し、運用するとともに、継続的な改善を図っています。しかしながら、いかに有効な内部統制システムを構築したとしても、従業員等の悪意あるいは重大な過失に基づく行動、もしくはシステム構築当時には想定していなかった事業環境等の変化など、様々な要因によりシステムが機能しなくなる可能性は皆無ではありません。したがって、将来的に法令違反等の問題が発生する可能性があり、その場合、行政処分による課徴金や刑事訴訟による罰金、民事訴訟による損害賠償金等の支払いが生じ、加えて当社の社会的信用の失墜により事業に悪影響が生じるなど、当社の業績に影響が及ぶ可能性があります。(8)法的規制に係るリスク 当社グループでは規制業種である医療事業を含む各種事業を世界各地で展開しており、本邦の法律に加え各国・地域における医療に関する法律や独占禁止法の他、米国海外腐敗行為防止法(「FCPA」)の贈賄禁止条項や英国反贈収賄法を始めとした各国・地域の贈収賄禁止に関する法律の適用を受けています。また、不当景品類及び不当表示防止法、米国反キックバック法や米国虚偽請求取締法を含む、ヘルスケア事業に関連する様々な不正防止法の規制対象にあります。 医療事業においては全世界的に政府系の医療制度が発達しており、当社グループ及び当社グループの販売店、供給者の多くが政府系の企業、政府系の医療機関および公務員と取引を行っています。一方で当社グループ及び当社グループの販売店、供給者は過去に贈収賄が発生した国・地域で事業を行っており、一定の状況においては現地の実務慣行が上記の贈収賄禁止法の厳格な適用に抵触する可能性があります。また、ヘルスケア事業に関連する様々な不正防止法の法的規制は多岐にわたり、解釈や適用指針の変更によって当社グループの販売や営業習慣が制限される可能性があります。 法的規制への違反は罰金や課徴金、禁固刑、特定の国における医療制度への参加禁止などの処罰の対象となりえます。更に、当社グループの顧客の多くが公的医療保険その他、政府による医療制度から医療費を補助されており、法的規制への違反によって制度への参加を制限された場合には当社グループの製品の需要やそれを使用した手術の症例数に対して悪影響を与える可能性があります。 当社グループではこれらの法的規制への遵守徹底を図っていますが、違反する行為を行った場合、違反の意図の有無にかかわらず、当社グループの事業、財政状態、経営成績、キャッシュ・フローの状況および株価に影響を及ぼす可能性があります。 また、当社の海外子会社は、過去の医療事業関連活動に関する米国反キックバック法、米国虚偽請求取締法及びFCPAの違反容疑について平成28年2月に米国司法省との間で訴追の留保に関する協定の締結に合意しております。今後、これらの法的規制に違反する行為を行った場合、当該違反に係る制裁を受けるだけでなく、訴追の留保の対象となった過去の事案についても訴追が行われ、当社グループの事業、財政状態、経営成績、キャッシュ・フローの状況及び株価に影響を及ぼす可能性があります。 (9)米国における十二指腸内視鏡に係るリスク 当社グループが製造・販売している十二指腸内視鏡に関して、平成27年3月および8月に、当社の子会社であるオリンパスメディカルシステムズ株式会社宛てに米国司法省より情報の提供を求める旨の召喚状が発行され、その後、同省による事実関係の調査が継続しています。また、当有価証券報告書提出日現在、当社グループに対して、当社グループの十二指腸内視鏡によって被害を受けたと主張する民事訴訟が米国で提起されています。これらの今後の経過によっては、当社グループの業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 (10)その他、包括的なリスク 当社は、国内外の子会社や関連会社等を通じて、各種事業を世界各地で展開しており、これらについては随時国内外当局の各種調査の対象となったり、法令遵守の観点から当局との協議・報告(例えば、独占禁止法や医薬品医療機器等関連法の遵守状況に関する検査への対応、あるいは米司法省へのFCPA遵守に関する自発開示)を行うことがあり、これらの調査や協議の結果によっては、収益確保に影響を及ぼす可能性があります。また、自然災害、疾病、戦争、テロ等が発生した場合や予想を超える金利の上昇、為替レートの変動が発生した場合にも、収益確保に影響を及ぼす可能性があります。
FY2016|5,711 文字
4【事業等のリスク】 当社グループの業績は、今後起こりうる様々な要因によって大きな影響を受ける可能性があります。以下において、当社グループの経営意思決定以外の要因で、業績変動を引き起こす要因となり得る、事業展開上の主なリスク要因を記載しています。当社グループはこれらリスク発生の可能性を認識した上で、発生の予防および発生した場合の対応に努める方針です。 なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。(1)販売活動に係るリスク① 医療事業では、医療制度改革による予測できない大規模な医療行政の方針変更その他医療業界に係る変化が発生し、その環境変化に対応できない場合や、事業活動に必要な各国の許認可を適時に取得することができない場合、収益確保に影響を及ぼす可能性があります。② 科学事業では、各国の国家予算による研究に対するシステム供給が占める収益割合が高く、マクロ経済の変動により各国の国家予算が縮小された場合には、収益確保に影響を及ぼす可能性があります。③ 映像事業のデジタルカメラ分野では、市場環境が厳しさを増しており、予想を超える急激な市場の縮小が生じた場合には、当社グループが進めている事業再編施策が売上減少に追いつかず、収益確保に影響を及ぼす可能性があります。(2)生産・開発活動に係るリスク① 映像事業では、その生産拠点の中心を中国およびベトナムに置いているため、為替変動等の影響によってはコスト増となり、収益確保に影響を及ぼす可能性があります。また、中国における反日活動など国情の不安定化、治安の悪化によっては、生産活動に影響を及ぼす可能性があります。② 当社グループ内で開発・生産できない製品および部品については、特定の供給元へ開発から生産までを依存しています。その供給元の都合により、調達に制約を受けた場合には、生産および供給能力に影響を及ぼす可能性があります。③ 外部の生産委託先を含め、厳格な品質基準により製品の生産を行っていますが、万一、製品の不具合等が発生した場合にはリコール等、多額のコストが発生するだけでなく、当社グループの信頼が損なわれ、収益確保に影響を及ぼす可能性があります。④ 最先端の技術を用いた製品の開発を継続的に進めていますが、技術的な進歩が速く、市場の変化を充分に予測できず、顧客のニーズに合った新製品をタイムリーに開発できない場合には、収益確保に影響を及ぼす可能性があります。⑤ 研究開発および生産活動を行う中ではさまざまな知的財産権を使用しており、それらは当社グループが所有しているもの、あるいは適法に使用許諾を受けたものであると認識していますが、当社グループの認識の範囲外で第三者から知的財産権を侵害したと主張され、係争等が発生した場合には、収益確保に影響を及ぼす可能性があります。(3)業務提携および企業買収等に係るリスク① 技術および製品開発に関して、業界の先進企業と長期的な戦略的提携関係を構築していますが、これらの戦略的パートナーと、財務上その他の事業上の問題の発生、目標変更等により提携関係を維持できなくなることで、当社グループの事業活動に支障が出る可能性があります。② 事業拡大のため、企業買収等を実施することがありますが、買収等の対象事業を当社グループの経営戦略に沿って統合できない場合や、既存事業および買収等の対象事業について効率的な経営資源の活用を行うことができなかった場合は、当社グループの事業に影響を受けるほか、のれんの減損や、事業再編等に伴う事業売却損、事業清算損その他これに伴う費用の発生等により、業績、財政状態に影響を受ける可能性があります。③ 当社グループは、業務提携の円滑な実施等の政策投資目的で、上場株式を678億71百万円、非上場株式等を13億24百万円、それぞれ平成28年3月31日時点で保有しています。上場株式については、株価は市場原理に基づき決定されるため、市場経済の動向によっては株式の価額が下落する可能性があります。また、非上場株式等についても、投資先の財政状態等によりその評価額が下落する可能性があります。こうした価額の変動により、投資有価証券評価損を計上する等、当社グループの業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。(4)資金調達に係るリスク 当社グループは、金融機関等からの借入による資金調達を行なっていますが、金融市場環境に変化があった場合、当社グループの資金調達に影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループの業績悪化等により資金調達コストが上昇した場合、当社グループの資金調達に悪影響を及ぼす可能性があります。(5)情報の流出に係るリスク 当社グループは、技術情報等の重要な機密情報や、顧客その他関係者の個人情報を保有しております。これらの情報の外部への流出を防止するため、社内規程の整備や社員教育の徹底、セキュリティシステムの強化等さまざまな対策を講じておりますが、不測の事態によりこれらの情報が漏洩した場合、当社グループの企業価値の毀損、社会的信用の失墜、流出の影響を受けた顧客その他関係者への補償等により、当社グループの業績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。(6)過去の損失計上先送りに係るリスク 過去に当社が1990年代ころから有価証券投資等にかかる損失計上の先送りを行っており、Gyrus Group PLCの買収に際しファイナンシャルアドバイザーに支払った報酬や優先株の買戻しの資金ならびに国内三社(株式会社アルティス、NEWS CHEF株式会社および株式会社ヒューマラボ)の買収資金が、複数のファンドを通す等の方法により、損失計上先送りによる投資有価証券等の含み損を解消するためなどに利用されていたことについて、当社の不適切な財務報告の結果、当社に対して当社株主等が損害賠償を求め、または訴訟を提起しており、当社グループの業績および財政状態に影響が及ぶ可能性があります。当有価証券報告書提出日現在において係属中の訴訟の訴額の合計は769億74百万円であり、そのうち主な訴訟は以下のとおりです。 なお、当社は、当連結会計年度末において、係属中の訴訟のうち、訴訟の進行状況等に鑑み、5億67百万円を訴訟損失引当金として流動負債に計上しています。 ① ティーチャーズ・リタイアメント・システム・オブ・ステート・オブ・イリノイほか、当社株主の海外機関投資家および年金基金等、合計49社(うち1社が訴状送達前に訴えを取り下げ)が、平成24年6月28日付(当社への訴状送達日は平成24年11月12日)で当社に対し、損害賠償請求訴訟を提起しています。その後、請求の趣旨変更申立ておよび複数原告による訴えの取り下げにより、現時点で原告は45社、損害賠償請求金額は208億28百万円およびこれに対する平成23年11月8日から支払済みまで年5分の割合による金員に変更されています。 なお、本件損害賠償訴訟については平成27年3月27日に裁判外の和解が原告らを含む投資家等との間で成立し、下記③と合計で最大110億円の和解金を支払うことで合意し、うち、104億33百万円については決算発表日現在で支払い済みです。② カリフォルニア・パブリック・エンプロイーズ・リタイアメント・システムほか、当社株主の海外機関投資家等、合計68社が、平成24年12月13日付(当社への訴状送達日は平成25年3月29日)で当社に対し、損害賠償請求訴訟を提起しています。その後、訴状訂正申立書および複数原告による訴えの取り下げにより、現時点で原告は59社、損害賠償請求金額は57億49百万円およびこれに対する平成23年10月14日から支払済みまで年5分の割合による金員に変更されています。③ カリフォルニア・ステート・ティーチャーズ・リタイアメント・システムほか、当社株主の海外機関投資家および年金基金等、合計43社が、平成25年6月27日付(当社への訴状送達日は平成25年7月16日)で当社に対し、損害賠償請求訴訟を提起しています。その後、原告による訴えの取り下げおよび原告らの吸収合併により、現時点で原告は40社、損害賠償請求金額は167億99百万円およびこれに対する平成23年11月8日から支払済みまで年5分の割合による金員に変更されています。 なお、本件損害賠償訴訟については平成27年3月27日に裁判外の和解が原告らを含む投資家等との間で成立し、上記①と合計で最大110億円の和解金を支払うことで合意し、うち、104億33百万円については決算発表日現在で支払い済みです。④ 三菱UFJ信託銀行株式会社ほか信託銀行5行、合計6行が、平成26年4月7日付(当社への訴状送達日は平成26年4月17日)で当社に対し、279億15百万円および各株式について発生した損害額に対する当該株式の取得約定日の翌日から支払済みまで年5分の割合による金員の支払いを求める損害賠償請求訴訟を提起しています。 (7)内部統制に係るリスク 当社グループは、財務報告の適正性と信頼性ならびに業務の有効性と効率性を確保するための体制を整備し、運用するとともに、継続的な改善を図っています。しかしながら、いかに有効な内部統制システムを構築したとしても、従業員等の悪意あるいは重大な過失に基づく行動、もしくはシステム構築当時には想定していなかった事業環境等の変化など、様々な要因によりシステムが機能しなくなる可能性は皆無ではありません。したがって、将来的に法令違反等の問題が発生する可能性があり、その場合、行政処分による課徴金や刑事訴訟による罰金、民事訴訟による損賠賠償金等の支払いが生じ、加えて当社の社会的信用の失墜により事業に悪影響が生じるなど、当社の業績に影響が及ぶ可能性があります。(8)法的規制に係るリスク 当社グループでは規制業種である医療事業を含む各種事業を世界各地で展開しており、本邦の法律に加え各国・地域における医療に関する法律や独占禁止法の他、米国海外腐敗行為防止法(「FCPA」)の贈賄禁止条項や英国反贈収賄法を始めとした各国・地域の贈収賄禁止に関する法律の適用を受けています。また、不当景品類及び不当表示防止法、米国反キックバック法や米国虚偽請求取締法を含む、ヘルスケア事業に関連する様々な不正防止法の規制対象にあります。 医療事業においては全世界的に政府系の医療制度が発達しており、当社グループ及び当社グループの販売店、供給者の多くが政府系の企業、政府系の医療機関および公務員と取引を行っています。一方で当社グループ及び当社グループの販売店、供給者は過去に贈収賄が発生した国・地域で事業を行っており、一定の状況においては現地の実務慣行が上記の贈収賄禁止法の厳格な適用に抵触する可能性があります。また、ヘルスケア事業に関連する様々な不正防止法の法的規制は多岐にわたり、解釈や適用指針の変更によって当社グループの販売や営業習慣が制限される可能性があります。 法的規制への違反は罰金や課徴金、禁固刑、特定の国における医療制度への参加禁止などの処罰の対象となりえます。更に、当社グループの顧客の多くが公的医療保険その他、政府による医療制度から医療費を補助されており、法的規制への違反によって制度への参加を制限された場合には当社グループの製品の需要やそれを使用した手術の症例数に対して悪影響を与える可能性があります。 当社グループではこれらの法的規制への遵守徹底を図っていますが、違反する行為を行った場合、違反の意図の有無にかかわらず、当社グループの事業、財政状態、経営成績、キャッシュ・フローの状況および株価に影響を及ぼす可能性があります。 また、当社の海外子会社は、過去の医療事業関連活動に関する米国反キックバック法、米国虚偽請求取締法及びFCPAの違反容疑について平成28年2月に米国司法省との間で訴追の留保に関する協定の締結に合意しております。今後、これらの法的規制に違反する行為を行った場合、当該違反に係る制裁を受けるだけでなく、訴追の留保の対象となった過去の事案についても訴追が行われ、当社グループの事業、財政状態、経営成績、キャッシュ・フローの状況及び株価に影響を及ぼす可能性があります。 (9)米国における十二指腸内視鏡に係るリスク 平成27年3月および8月に米国司法省が当社グループが製造・販売している十二指腸内視鏡に関する情報の提供を求める旨の召喚状を当社の子会社であるオリンパスメディカルシステムズ株式会社宛てに発行しました。また、当有価証券報告書提出日現在、当社グループの十二指腸内視鏡によって被害を受けたと主張する民事訴訟が当社グループに対して米国で提起されています。これらの今後の経過によっては、当社グループの業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 (10)熊本地震に係るリスク 平成28年4月に発生した熊本地震において、当社の取引先企業が被災したため、今後、主に映像事業にかかわる一部の部品調達に支障が生じ、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。 (11)その他、包括的なリスク 当社は、国内外の子会社や関連会社等を通じて、各種事業を世界各地で展開しており、これらについては随時国内外当局の各種調査の対象となったり、法令遵守の観点から当局との協議・報告(例えば、独占禁止法や医薬品医療機器等関連法の遵守状況に関する検査への対応、あるいは米司法省へのFCPA遵守に関する自発開示)を行うことがあり、これらの調査や協議の結果によっては、収益確保に影響を及ぼす可能性があります。また、自然災害、疾病、戦争、テロ等が発生した場合や予想を超える金利の上昇、為替レートの変動が発生した場合にも、収益確保に影響を及ぼす可能性があります。