FY2025|2,434 文字
6 【研究開発活動】当社は、現時点において受託加工が主たる事業となっておりますが、製造業としてグローバルでの成長を目指すにあたり、下記の開発にも取り組んでおり、当事業年度における当社が支出した研究開発費の総額は200,154千円であります。 (1) チタンアルミブレード用新材料開発当社は、現在、仏SAFRAN社から無償支給されたチタンアルミブレードの材料であるチタンアルミ合金を、チタンアルミブレードに加工し、仏SAFRAN社に納入しております。一方、当該材料は航空機需要が拡大する中で、欧州企業1社のみに生産を依存していることから、供給リスクを抱えております。このような状況を踏まえ、当社では当該リスクへの対応策として、材料供給から加工までを担う垂直統合体制の構築と、収益拡大を目指し、国立研究開発法人物質・材料研究機構と共同で数年にわたり、チタンアルミ合金の製造プロセス(以下、新材料)の開発に取り組んでおります。新材料は、チタンやアルミ等の原料を鋳造することで生産したチタンアルミ合金であり、LEAPエンジン向けの材料となります。新材料は、現行の材料と比較して完成形状に近いことから、原料の使用量を削減することができ、原料コストを抑えるとともに、その後の加工コストも削減することが可能になります。また、環境面においても、日本国内で材料生産を行うことにより、従来よりも材料の輸送距離を削減し、サプライチェーン全体でのCO2削減が見込めます。当事業年度においては、引き続き当社が保有する溶解炉を用いて試作数を拡大し、量産に向けた条件最適化、品質改善、コスト削減検討を継続してまいりました。また、チタンアルミ合金の品質保証に必要な合金成分の化学分析等各種分析技術に関する開発を進め、分析装置の具体的な仕様選定を概ね完了致しました。加えて、量産に向けて原料をはじめとする調達基本戦略を策定し、原料や一部工程の外注を含め、強靭なサプライチェーンの構築に向け、各サプライヤーとの検討も開始しました。その結果、新材料の量産化への目途が立ち、2025年8月の取締役会においては、仏SAFRAN社と新材料の供給、並びにマーケットシェア(LEAPエンジンの生産に必要なチタンアルミブレードの供給シェア)の拡大に関する契約を締結することを決議いたしました。なお、新材料は、技術的な評価を仏SAFRAN社と共に数年にわたり実施し、LEAPエンジンに搭載可能であることが技術的に確認されています。LEAPエンジン用チタンアルミブレードにおいて、材料から加工まで一貫で量産する企業は、当社が世界で初めてであり、チタンアルミブレードサプライヤーとして確固たる地位を確立することが可能になると考えております。 (2) AM技術開発当社は、AM(Additive Manufacturing、積層造形、いわゆる3Dプリンタ)技術の開発を進めております。積層造形とは、電子ビームやファイバーレーザーにより金属粉末の溶融凝固を繰り返すことにより、金属部品を製作する技術のことをいいます。積層造形技術を活用することにより、今までは加工が困難であった複雑形状のものを作り上げることが可能となります。しかしながら、積層造形は高額な設備が必要となること、また、造形には時間がかかることが量産にあたっての課題となります。保有する金属積層造形設備2台を活用した研究開発を推進するとともに、積層造形を活用した試作品の受託を行い、設計機能や当社が実績を持つ精密加工や非破壊検査技術をも取り込んだ新たなビジネスモデルの構築を検討しております。また、積層造形は、デジタル製造や分散型製造モデルとも言われており、従来のサプライチェーンや大量生産モデルと異なるビジネスモデルが可能となると考えられております。このような特徴を有する積層造形とデジタル技術を組み合わせたビジネスモデルの検討も推進しております。当事業年度においては、鉄道車輌部品の試作に加えて、宇宙関連機器部品の製造、医療機器のAM適用検討のための試作を受託し、幅広い産業に対してAM技術による課題解決を提案しました。これに伴い、異なる材料種やアプリケーションに必要な要素技術やノウハウも蓄積することができました。また、当社では、長期の取り組みとして、AM技術を担う人材の育成が市場創造につながっていくという視点のもと、AMについての学びを提供する活動を展開しており、この活動を象徴する商標として「AM NATIVE®」を作成、正式に特許庁に認められ登録されました。引き続き、AM技術と親和性が高い産業やアプリケーションに向け、技術開発、並びに事業開発を進めながら、長期的な視点での市場創造に取り組んでまいります。 (3) AMを活用したMRO技術開発航空機エンジンはその安全性を担保するため、一定の飛行距離や時間に応じて、MROとして定期的にエンジンを点検することが求められており、航空機エンジンに搭載される様々なタービンブレードもその過程で補修することが必要となります。当社は、当該MRO市場に参入すべき技術開発を進めております。当事業年度においては、チタンアルミ特有の材料特性を考慮し、AMを用いてブレードを補修するために必要な周辺要素技術の開発を行いました。研究開発の成果は投稿論文にまとめ、国際ジャーナルに受理されるとともに3Dプリンティングに関するグローバルなカンファレンス等でも発表を行うに至りました。また、チタンアルミブレードの補修技術開発で得た知見と、AM受託事業で得た顧客ニーズ情報に基づき、ニーズが高い部品および材料の特定を進めました。また、並行して船舶部品など形状や材料が航空機部品に類似する部品の補修検証を積み重ね、技術の成熟度を高めております。引き続き、AMを活用した補修技術の確立と市場展開に向けて研究開発活動を進めてまいります。
FY2024|2,134 文字
6 【研究開発活動】当社は、現時点において受託加工が主たる事業となっておりますが、ものづくり製造業としてグローバルでの成長を目指すにあたり、下記の開発にも取り組んでおり、当事業年度における当社が支出した研究開発費の総額は139,634千円であります。 (1) チタンアルミブレード用新材料開発LEAPエンジン向けチタンアルミブレードの合金材料は仏SAFRAN社から無償支給されておりますが、現在その材料メーカーは海外の1社のみとなっております。当社は、新たな材料調達先に選定されるべく、材料の開発を進めております。当社が開発している新材料は、Near Net Shape(NNS)形状と呼ばれ、現在のスラグ形状(鋳塊)と異なり、最終製品により近い形状の材料となります。そのため、コストの高いチタンアルミ原料の利用の削減、及び加工段階におけるコストが高い初期工程の削減が可能となります。その結果、環境負荷低減や材料及び副資材調達の海外依存からの脱却につながるとともに、調達リードタイムの短縮や物流費の低減にも寄与することとなります。また、工法開発に加え、適用範囲の拡大につながる合金の改良にも取り組んでおります。なお、当該開発は、国立研究開発法人物質・材料研究機構と共同で進めております。当事業年度においては、前事業年度に導入した試験用の溶解炉を用いて一定量の試作を行い、特に量産に向けての品質改善、コストを継続的に検証してまいりました。特に量産時に安定的に生産が可能となる鋳造設備の一部自動化機能の設計や改修作業を進めました。また、昨今航空機エンジンメーカーが推進する品質保証の考え方として、プロセスの開発段階から量産時のあらゆるリスクを低減するために、所望のフレームワークや管理ツールを用いた開発を推進しております。品質管理の技術として、チタンアルミ鋳造材料の化学分析技術の知見を深めており、来期は仏SAFRAN社と有効な化学分析手法について検討する予定です。当該開発は、当社の主力事業であるチタンアルミブレードの材料の供給多様化等の観点において、顧客の期待も高いことから優先的に推進してまいります。 (2) AM技術開発当社は、AM(Additive Manufacturing、積層造形、いわゆる3Dプリンタ)技術の開発を進めております。積層造形とは、電子ビームやファイバーレーザーにより金属粉末の溶融凝固を繰り返すことにより、金属部品を製作する技術のことをいいます。積層造形技術を活用することにより、今までは加工が困難であった複雑形状のものを作り上げることが可能となります。しかしながら、積層造形は高額な設備が必要となること、また、造形には時間がかかることが量産にあたっての課題となります。保有する金属積層造形設備2台を活用した研究開発を推進するとともに、積層造形を活用した試作品の受託を行い、設計機能や当社が実績を持つ精密加工や非破壊検査技術をも取り込んだ新たなビジネスモデルの構築を検討しております。また、積層造形は、デジタル製造や分散型製造モデルとも言われており、従来のサプライチェーンや大量生産モデルと異なるビジネスモデルが可能となると考えられております。このような特徴を有する積層造形とデジタル技術を組み合わせたビジネスモデルの検討も推進しております。当事業年度においては、これまで培ってきた技術力やノウハウをもって市場開発と営業強化を行い、特定の顧客と金属・樹脂を問わずAM技術を活用した鉄道車輌用のスペア部品の試作、実験に着手しました。鉄道産業においても、運用年数が何十年と非常に長く、航空機産業におけるMRO(Maintenance Repair Overhaul、整備・補修・オーバーホール)ビジネスとの類似性もあり、引き続きAM技術と親和性が高い産業やアプリケーションに向け、技術開発、並びに事業開発を進めてまいります。 (3) AMを活用したチタンアルミブレードMRO技術開発航空機エンジンはその安全性を担保するため、一定の飛行距離や時間に応じて、MROとして定期的にエンジンを点検することが求められております。航空機エンジンに搭載される様々なタービンブレードもその過程で補修することが必要となりますが、LEAPエンジン向けのチタンアルミブレードについてはその素材の特徴から補修する技術が確立しておらず、不具合が見つかった場合には、現時点では全て取り換えることが必要となります。当社は、AM技術を活用し、チタンアルミブレードの補修技術を確立すべく、研究開発を進め、MRO市場に参入することを目指しております。当事業年度においては、欧州の研究機関とも連携を強め、チタンアルミ部品の補修時に発生し得る欠陥を低減するための技術やプロセス条件について検討を進めてまいりました。解決策の方向性の目処付けが出来つつあることから、今後は製品形状に特化した最適化を行ってまいります。また、当該技術は、生産過程で生じる欠陥の補修にも技術的には活用可能であるため、こうした技術の活用により、生産現場におけるスクラップ率の低減に向けても開発を進めてまいります。
FY2023|2,603 文字
6 【研究開発活動】当社は、現時点において受託加工が主たる事業となっておりますが、ものづくり製造業としてグローバルでの成長を目指すにあたり、下記の開発にも取り組んでおり、当事業年度における当社が支出した研究開発費の総額は169,738千円であります。 (1) チタンアルミブレード用新材料開発LEAPエンジン向けチタンアルミブレードの合金材料は仏SAFRAN社から無償支給されておりますが、現在その材料メーカーは海外の1社のみとなっております。当社は、新たな材料調達先に選定されるべく、材料の開発を進めております。当社が開発している新材料は、Near Net Shape(NNS)形状と呼ばれ、現在のスラグ形状(鋳塊)と異なり、最終製品により近い形状の材料となります。そのため、コストの高いチタンアルミ原料の利用の削減、及び加工段階におけるコストが高い初期工程の削減が可能となります。その結果、環境負荷低減や材料及び副資材調達の海外依存からの脱却につながるとともに、調達リードタイムの短縮や物流費の低減にも寄与することとなります。また、工法開発に加え、適用範囲の拡大につながる合金の改良にも取り組んでおります。なお、当該開発は、国立研究開発法人物質・材料研究機構と共同で進めております。当事業年度においては、当社が独自で提案する大気鋳造方法の技術妥当性を確認するため、実験炉を用いた鋳造試験を実施し、鋳造の原理確認、ブレード形状に近い形を有する材料の鋳造テスト、並びに鋳造サンプルの各種評価を実施いたしました。当該開発は、当社の主力事業であるチタンアルミブレードの材料の供給多様化等の観点において、顧客の期待も高いことから優先的に推進してまいります。当事業年度においては、当社が独自で提案する大気鋳造方法の技術妥当性を確認し、開発を加速すべく独自の実験炉を導入し、量産を目指す上での技術課題の洗い出しを実施致しました。これらの課題に対し、対応方法を検討しながら、品質面におけるリスクアセスメントについても実施すると共に、開発進捗は顧客である仏SAFRAN社と適時共有し、認証取得に向けた必要実施項目の明確化を進めてまいりました。当該開発は、当社の主力事業であるチタンアルミブレードの材料の供給多様化等の観点において、顧客の期待も高いことから優先的に推進してまいります。 (2) AM技術開発当社は、AM(Additive Manufacturing、積層造形、いわゆる3Dプリンタ)技術の開発を進めております。積層造形とは、電子ビームやファイバーレーザーにより金属粉末の溶融凝固を繰り返すことにより、金属部品を製作する技術のことをいいます。積層造形技術を活用することにより、今までは加工が困難であった複雑形状のものを作り上げることが可能となります。しかしながら、積層造形は高額な設備が必要となること、また、造形には時間がかかることが量産にあたっての課題となります。保有する金属積層造形設備2台を活用した研究開発を推進するとともに、積層造形を活用した試作品の受託を行い、設計機能や当社が実績を持つ精密加工や非破壊検査技術をも取り込んだ新たなビジネスモデルの構築を検討しております。また、積層造形は、デジタル製造や分散型製造モデルとも言われており、従来のサプライチェーンや大量生産モデルと異なるビジネスモデルが可能となると考えられております。このような特徴を有する積層造形とデジタル技術を組み合わせたビジネスモデルの検討も推進しております。当事業年度においては、社内の開発として造形技術・ノウハウの拡充を推進するとともに、顧客への積層造形による設計提案の実績を重ねております。造形材料の基礎研究につきまして、一部の成果は国際学会等や専門誌に寄稿するなど、国内外での発表も継続しております。積層造形とデジタル技術を統合した新たなビジネスモデルの検討をさらに推進するため、他社とのネットワーク構築、ビジネスモデルの検討を進めております。 (3) AMを活用したチタンアルミブレードMRO技術開発MROとは、整備・補修・オーバーホール(Maintenance Repair Overhaul)のことをいいます。航空機エンジンはその安全性を担保するため、一定の飛行距離や時間に応じて定期的にエンジンを点検することが求められております。航空機エンジンに搭載される様々なタービンブレードもその過程で補修することが必要となりますが、LEAPエンジン向けのチタンアルミブレードについてはその素材の特徴から補修する技術が確立しておらず、不具合が見つかった場合には、現時点では全て取り換えることが必要となります。当社は、AM技術を活用し、チタンアルミブレードの補修技術を確立すべく、研究開発を進め、MRO市場に参入することを目指しております。当事業年度においては、補修技術の課題に対する対策の妥当性検証を実施するため、海外研究機関との連携を強め、DED方式(ダイレクトエネルギーディポジション)の設備を用いて初期検証評価までを実施しております。今後さらに実験で得たサンプルの詳細解析を学術機関と共に実施し、補修条件の最適化を実施してまいります。当該開発は、まだ実現していない技術として、顧客からの期待も大きく、また、MRO市場に参入する機会となり得ることから、チタンアルミブレード用新材料開発と合わせて、優先的に推進してまいります。 (4) X線AI技術開発航空機ブレード生産においては、その品質要求の高さから、全ての製品についてX線(X-ray)による内部欠陥検査が求められますが、検査にあたっては、X線の資格を持った検査オペレーターが暗室の中、日々数時間に渡って目を酷使することとなります。当該検査オペレーターの負担を低減し、社内工数の削減を行うことを目的に、X線画像スクリーニング技術を開発し、AIによる自動判別検査の実現及びシステムの外販による収益拡大を目指しております。当事業年度においては、開発パートナー企業と、X線検査の工程と合否判定基準を共有し、アルゴリズムのコンセプト設計・要件定義を行い、画像解析ソフトの試作を実施いたしました。現在もアルゴリズムの妥当性を検証するため、試作ソフトの性能評価を継続しております。