研究開発費(時系列)
| 年度 | R&D費用(億円) | 設備投資(億円) |
| 2025-03 |
- |
3,618 |
| 2024-03 |
- |
3,215 |
| 2023-03 |
- |
2,699 |
| 2022-03 |
- |
1,894 |
| 2021-03 |
- |
1,709 |
研究開発活動(本文)
FY2025|8,909 文字
6 【研究開発活動】当社グループは、お客様の立場になった価値ある製品づくりをモットーとし、世界中のお客様の日々の移動を支え、環境にも優しく、いつも身近にあって頼れる生活のパートナーとなる製品・サービスを提供しながら、下記のように研究開発に取り組んでいます。 当社は、社是と行動理念「小・少・軽・短・美」、「現場・現物・現実」、「中小企業型経営」を具現化し、モビリティのライフサイクル全体でエネルギー極少化を目指して技術開発を行っています。この理念を基に世界の国・地域に最適な商品を生み出し、持続可能なカーボンニュートラル社会の実現と世界中の人々に移動する喜びを提供してまいります。中期経営計画(2025年~2030年度)「By Your Side」を2月に発表し、私たちチームスズキが目指す姿は、お客様の生活に密着したインフラモビリティ、そのものでありたいと示しています。お客様、社会にとって身近で、頼りになる存在であり続けるために今までの事業の延長線、同じやり方のアップデートだけでなく、新しい取組みを行い、非連続へ挑戦し、成長していきます。 当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費は2,656億円であり、セグメントごとの活動状況は次のとおりです。 (1)四輪事業① 新商品の開発状況[国内市場]当社は、2025年3月12日に軽四輪車と登録車を合わせた日本国内の四輪車累計販売台数3,000万台を達成※1しました。内訳は軽自動車が約2,707万台、登録車が約293万台です。当社はこれまで独創的かつお客様に求められる商品を提供してきました。今後も、ものづくりの理念である「小・少・軽・短・美」を通じて、お客様のニーズに合った価値ある商品を開発していきます。・2024年9月に、ハイトワゴンタイプの軽乗用車 新型「スペーシア ギア」を発売しました。「アウトドアライフに欠かせないアクティブ軽ハイトワゴン」をコンセプトに、2023年11月にフルモデルチェンジしたスペーシア・スペーシア カスタムに採用した使い勝手の良い装備に加え、アウトドアライフに寄り添う専用のデザイン・装備を採用しました。・2024年10月に、コンパクトSUV新型「フロンクス」を発売しました。「扱いやすいクーペスタイルSUV」をコンセプトに、力強さ・上質さ・洗練さを合わせ持つデザイン、取り回しの良さと快適な室内空間、スムーズかつスポーティーな走りを実現する高い走行性能、毎日の安心・安全をサポートする最新の安全機能を兼ね備えた、新ジャンルのコンパクトSUVです。日本国内専用仕様として4WD車を設定しました。「フロンクス」は、2024-2025 日本カー・オブ・ザ・イヤー(主催:日本カー・オブ・ザ・イヤー実行委員会)の「10ベストカー」に選出されました。グローバルカーとして、インド、中南米、中近東、アフリカなどでも販売し、ご好評いただいています。・2025年1月に、ジムニーシリーズで初となる5ドアモデル 新型「ジムニー ノマド」を発表しました。「本格的な悪路走破性を持つ5ドア コンパクトクロカン4×4」をコンセプトに、ジムニーシリーズ最大の魅力である悪路走破性を維持しながら、リヤドアの採用やホイールベースの延長などにより、後席の乗降性・居住性向上と荷室空間の拡大を実現し、ロングドライブでの快適性を高めました。走行性能は、ジムニーシリーズの特長であるラダーフレームを「ジムニー ノマド」用に新作し、重量増加に対して必要な剛性を確保したほか、「FRレイアウト」、「副変速機付パートタイム4WD」、「3リンクリジッドアクスル式サスペンション」などの車体構成を継承しました。・「スイフト」は2025年次RJCカーオブザイヤーを受賞しました。2004年の発売開始から4代目にあたるモデルで、4代連続での受賞です。 [海外市場]当社は、海外市場においてもお客様の立場になって、常にお客様の期待を超える価値をもつ商品を開発し、提供してきました。・2024年5月に、当社のインド子会社Maruti Suzuki India Ltd.(以下、マルチ・スズキ)はインドで新型「スイフト」の販売を開始しました。新型「スイフト」は、マルチ・スズキの子会社、スズキ・モーター・グジャラート社で生産しています。インドの若者世代へ、進化したプレミアムハッチバックという新たな価値を提供していきます。・2024年11月に、マルチ・スズキはコンパクトセダンの新型「ディザイア」をインド国内で発売しました。「ディザイア」は、2008年3月に販売を開始して以来、これまでにインド国内で累計270万台以上※2の販売を記録している主力モデルのひとつです。新型「ディザイア」は「Progressive Stylish Compact Sedan(先進的でスタイリッシュなコンパクトセダン)」を商品コンセプトに、歴代ディザイアの強みであるセダンらしいフォーマルなデザインと高い経済性に更なる磨きをかけ、伝統的なデザインを求める従来のセダンユーザーだけでなく、先進技術やスタイリングに関心が高い、若いエントリーユーザーにも選んでいただける商品として開発しました。・当社のパキスタン子会社Pak Suzuki Motor Co.,Ltd.(以下、パックスズキ)は、2024年10月に新型「エブリイ」を発表しました。新型「エブリイ」は、パキスタンで長年ご愛用いただき、仕事でもファミリーカーとしても活躍するワンボックスタイプのコンパクトバン「ボラン」の後継となる新型バンです。日本で販売している軽商用車「エブリイ」と同じボディサイズ及びエンジン排気量を採用しました。パックスズキは、1982年の生産開始以来、日本の軽自動車をベースとしたモデルを中心に、信頼性が高くお求めやすい価格のコンパクトカーを提供してきました。これからも「生活を支えるモビリティ企業」として、地域社会に貢献する企業を目指していきます。 ② エネルギー極少化への対応当社は、お客様の選択肢の幅を広げ、地域のニーズに合った製品・サービスをお届けするとの考え方を軸に、各国でのカーボンニュートラル目標達成に貢献します。お客様のニーズや利用スタイルに対応した電動化技術の開発を進めるとともに、既存内燃機関の更なる熱効率改善やCN燃料に対応したCO2削減、水素燃料を使ったエンジンの研究開発など、マルチパスウェイでの取組みを行っています。電気自動車(BEV)の開発・製品化の推進はもちろんのこと、内燃機関の更なる改善にも力を入れ、ハイブリッド車(HEV)の効率を向上させていきます。また、CO2排出が少なく、安全な軽量ボディを効率的なエネルギーで生産することにも取り組んでいます。具体的には、引張り強さ1.5GPaの超々ハイテン材を用い、生産CO2排出が少ない「冷間での超々ハイテン成形技術」の開発と実用化、複雑形状成形を短工程で実現する「新金型構造工法」の開発、高強度材接合品質を監視する「溶接電流値コントロール技術」の実用化等の活動を進めています。これらの技術を基に、安全でエコなモビリティを提供します。アルトを100kg軽量化する「Sライトプロジェクト」の活動を開始しました。部品の材料置換や小型化、機能統合だけでなく、ちょうどいいパッケージの探求により、「軽くて安全」を全社で連携して実現していきます。軽量化によって、車両全体にさまざまな良いことにつながる「天使のサイクル」を生み出します。EV、HEVの取組みにおいてもエネルギー極少化を進めます。国や地域、お客様の使用状況に合わせ、エネルギー効率がベストとなる選択で過剰にバッテリーを搭載しない、「バッテリーリーンな電動車」をお客様にお届けすることを目指し、開発しています。BEVでは、スズキBEV世界戦略車第一弾である「e VITARA」を、2024年11月にイタリア・ミラノ、2025年1月にインドで開催された「Bharat Mobility Global Expo 2025」で公開しました。「e VITARA」は、「Emotional Versatile Cruiser」をコンセプトに、近代的なBEVの先進感とSUVの力強さを併せ持つデザイン、高効率なeAxleと安心・安全を追求したリン酸鉄リチウムイオンバッテリーで構成するBEVパワートレイン、前後に独立した2つのeAxleを配置した電動4WDモーターで駆動する「ALLGRIP-e」、BEV専用に新しく開発したプラットフォーム「HEARTECT-e」を商品特長としたSUVです。2025年春よりスズキ・モーター・グジャラート社で生産を開始し、2025年夏頃からインド、欧州、日本など世界各国で順次販売を開始します。また、スズキ、ダイハツ、トヨタの3社で共同開発したBEVシステムを搭載したBEV軽商用バンにつきましても、2025年度中の導入を目指しています。HEVでは、現在主軸の12Vマイルドハイブリッドからモーター出力を向上させつつバッテリーリーンな48Vスーパーエネチャージを開発しています。これは、小さく軽い車を作る当社の特徴を活かしたハイブリッドシステムです。また将来のCN燃料との組み合わせも考慮し、更なるエネルギー極少化に向けて、電動車の開発を積極的に進めていきます。内燃機関車両の改善としては、2023年12月から販売開始した新型スイフトに搭載したZ12E型新エンジンと高効率の新CVTを2025年1月にマイナーチェンジした新型ソリオにも搭載し、WLTCモード22.0km/L(2WD車)という低燃費を実現しました。このパワートレインは採用を拡大し、車両の環境性能を高めていきます。新型軽乗用車「ワゴンR スマイル」は、デュアルインジェクションやクールドEGRを採用して燃焼効率を高めたR06Dエンジンと、軽量で高効率な新CVT、マイルドハイブリッドの組み合わせにより、25.1km/L(HYBRID X 2WD車)の低燃費を実現し、走行性能との両立を図りました。さらに、インドでは多様なニーズに応える環境性能に優れた技術を搭載する自動車をラインナップするため、CNG燃料に対応した自動車をマルチ・スズキと共同で開発しました。実績として2023年度にインド国内で約43万台、2024年度には前年比1.5倍の約60万台を販売しています。また、牛糞をベースとしたバイオガス事業を推進するため、スズキ、全国酪農開発機構(NDDB)及びアジア最大規模の乳業メーカーであるBanas Dairy社の3社は、2023年9月にバイオガス生産プラント設置(2025年稼働)について合意しました。現在、バイオメタンガス燃料に対応したCNG/CBG車の開発と安定した品質のバイオガス燃料を生産する製造技術開発を推進しています。さらに2024年10月には新たに2つの乳業組合とバイオガス生産プラント設置で合意しました。加えて、当社が支援しマルチ・スズキが開発した高エタノール混合ガソリン対応エンジンを搭載した車を今年度に市場へ投入できるように開発を進めています。また、燃料を「つくる」プロセスの効率化を研究することを目的とした「次世代グリーンCO2燃料技術研究組合」に参画し、カーボンニュートラル社会の実現に向けて、バイオマスの利用、生産時の水素・酸素・CO2を最適に循環させて効率的に自動車用バイオエタノール燃料を製造する技術研究を進めています。 ③ 安全・安心技術の開発当社は、事故そのものを未然に防ぐ予防安全技術と、万一の衝突被害を軽減する衝突安全技術を培い続けています。安心して楽しく車に乗っていただくために、事故の無い未来に向けて、さらなる技術の進化と普及に努めていきます。特に予防安全技術については、各国の道路環境や運転事情を熟知し、確実にお客様の安全運転をサポートする技術を構築することが重要です。当社にとって重要な市場であるインドは、過度な交通渋滞や特有の運転習慣があり、日本の技術をそのまま適用することは容易ではありません。インドでの40年にわたる市場経験を活かし、インドの街中でも有効に機能する予防安全技術を独自に開発する計画です。 ④ 環境に優しい生産技術の開発自動車塗装で塗膜として製品になるのは使用する塗料の約65%です。塗膜にならなかった塗料は回収し、廃棄物として処理しています。廃棄物を減らし、地球に優しい塗装技術へ革新するため、以下の活動を進めています。・超々近接塗装機を導入し、被塗物と塗装機の距離を250㎜から100㎜に縮め、静電気の力を利用して塗装効率を65%から98%に向上(2025年導入開始)。・塗装効率の改善により、ブース内の風量を減らし、エネルギー消費を50%削減(2027年開発完了)。・樹脂塗装をフィルムに置き換えブースや乾燥炉を不要とし、CO2排出を75%低減(2029年開発完了) 。材料面でも、環境に優しいバイオ樹脂素材「デュラビオ」を用いた樹脂部品の生産技術開発に取り組んでいます。「デュラビオ」は植物由来のでんぷんを53%配合、また塗装を必要とせず美しい高輝度の外観を実現できる材料です。この材料を使用するため、デザイン意匠を具現化する成形技術及び少ないエネルギーで生産する工法の開発活動を進めています。この材料を活用することで塗装時に排出されるCO2や大気汚染の原因となるVOCの削減に貢献します。 ⑤ 情報通信・自動化技術の開発2021年12月より国内向け新型「スペーシア」、2022年2月よりインド向け新型「バレーノ」、2022年8月より欧州向け新型「Sクロス」へコネクテッド技術を搭載して以降、合計16車種に対し「スズキコネクト」サービスを提供し、充実させています。コネクテッド技術を活用して、緊急時の迅速かつきめ細やかなお客様サポートや、離れた場所で車両の状態確認や操作を可能とするリモート機能など、より安心・快適・便利なカーライフをお客様へ提供しています。今後も、他地域への展開や他モデルへの搭載を順次進めるとともに、コネクテッドデータを活用した品質向上や設計支援の促進、次世代の通信技術を採用し、通信ナビやBEV向け新機能を実装した、新しい世代のコネクテッド開発を進めていきます。また、2023年3月より法人向け車両管理サービス「スズキフリート」を開始しており、コネクテッド技術を活用し、車両を日々活用されている法人企業の車両運行管理や社員の安全運転啓発などの業務を支援しています。簡易装着可能な通信機を活用することで、法人企業が既に所有されている車両にも装着することが可能です。今後は、走行データを分析することで、各業種・企業に適したカスタマイズサービスを提供することや、カーボンニュートラル対応のEV導入を支援するサービスへの展開を進めていきます。四輪車のみならず、二輪車や船外機、セニアカーなど他製品への通信技術の搭載にも取り組むとともに、新しい電動モビリティユニットなどの新製品や、カーボンニュートラルを支えるためのIoT先進技術の検討も進めていきます。「SDV(Software Defined Vehicle)」に対し、有線と無線(OTA)をベストミックスしたソフトウェア更新、ハードウェアを共用し部品費を抑えるECU統合、ソフトウェアを再利用して開発費を抑えるソフトウェアプラットフォームを柱とした「SDVライト(right)」の開発を進めています。「SDVライト」により、決して過剰ではなくアフォーダブル(手頃)な仕組みで、ソフトウェアによる車の価値を創造し、お客様にお届けします。高齢化や人口減少により、人や物の移動を支えるドライバの人手不足解消が社会課題となっています。この社会課題を解決する自動運転技術の実用化にチャレンジしています。人の移動については、「交通空白地における交通弱者の足の確保」を目標に、官民一体のプロジェクト(浜松自動運転やらまいかプロジェクト)に2016年から参画してきました。当社のものづくりの根幹である「現場・現物・現実」に即した自動運転技術、モビリティサービスを実現するため、2017年度、2019年度、2022年度、2023年度、2024年度に実証実験を行い、地域住民や自治体の方々から多くの意見をいただきながら、開発を進めています。2024年度は、利用者の予約情報をもとに運行ルート上の停留所に自動で停車する機能や、ソフトウェアの改善によるスムーズな運行について、3か月間の長期実証実験を通して検証しました。今後、これらの検証結果を精査・分析し、ステップアップで自動運転技術の実用化につなげてまいります。物の移動については、豪州のスタートアップ企業「Applied EV」と共同でジムニーのラダーフレームを活用した物流向けの自動運転電動台車の開発を進めています。当社が培ってきたものづくりの強みとスタートアップ企業の強みである発想力・柔軟性をかけ合わせることで、さまざまな用途で使える自動運転電動台車のプラットフォームを創造し、新たな価値につなげてまいります。当社はオーナーカーだけでなく人や物の移動による喜びを皆様に提供していきます。当連結会計年度における四輪事業の研究開発費は2,391億円です。 ※1 一般社団法人 全国軽自動車協会連合会及び、一般財団法人 自動車検査登録情報協会データより当社調べ。※2 2024年9月末までのインド国内販売台数 (2)二輪事業二輪事業では、カーボンニュートラル達成に向けた技術、お客様の望む魅力的な二輪車を提供する技術の開発を行っています。2025年1月にインドで開催された「Bharat Mobility Global Expo 2025」にて、二輪バッテリーEV(BEV)の世界戦略車第一弾となる新型「e-ACCESS(e-アクセス)」、燃費改善した新型スクーター「ACCESS(アクセス)」、及びバイオエタノール燃料対応の「GIXXER SF 250(ジクサーSF250)」の3車種を公開しました。また、2024年7月に行われた鈴鹿8時間耐久ロードレースに、サステナブル燃料を使用したGSX-R1000Rで出場し、8位完走を果たしました。カーボンニュートラル達成に向かい、多様な選択肢の開発を継続して行きます。また、新型デュアルパーパスモデル「DR-Z4S」、及び新型スーパーモトモデル「DR-Z4SM」向けに電子スロットルコントロールシステム「Ride-by-wire Electronic Throttle System」を採用しました。アクセルとセンサーの間にワイヤーを介する事で、アクセル操作に忠実且つ繊細なレスポンスを実現しました。当連結会計年度における二輪事業の研究開発費は202億円です。 (3)マリン事業マリン事業において、当社は水上での「楽しさ」と「働く」を支える頼れるパートナーとして、環境保護と利便性の向上に努めています。お客様の生活に密接に関わる水辺の環境をクリーンで持続可能なものにするため、製品の改良や新技術の導入に積極的に取り組んでいます。主な成果として、全面マットブラック仕上げのデザインが高く評価されている船外機「ステルスラインシリーズ」にDF140BTなど新たな3機種を開発し、全7機種としました。スズキ船外機の性能向上と持続可能な取組みの一環として、エンジン部品(シリンダーブロック及びシリンダーヘッド)向けのアルマイト処理技術を開発し、2024年8月からDF140BTの一部仕様に採用しました。この取組みは、量産船外機として世界初※3の試みです。その結果、エンジンの冷却水路の耐食性が向上し、従来の表面処理と比較して製造時のCO2排出量を約50%削減することができました。また、2020年から始まったスズキクリーンオーシャンプロジェクトの一環として、海洋マイクロプラスチックの回収に取り組んでいます。2024年には静岡大学との共同研究により、タンパク質を利用したマイクロプラスチックへの染色に成功し、この技術を活用したマイクロプラスチック判別方法の確立を進めています。さらに、船外機製品や部品のプラスチック梱包資材の削減にも継続的に取り組んでおり、梱包資材を紙や生分解性素材に変更することで、2020年10月から2025年2月までの間に約89トンのプラスチックを削減しました。当社は、マリン事業におけるすべての活動を通じて、SDGsの目標14「海の豊かさを守ろう」を実現しています。当連結会計年度におけるマリン事業の研究開発費は60億円です。 ※3 2025年2月当社調べ。 (4)その他の事業その他代表的なものとして、小型低速電動モビリティ事業において、当社がこれまで培ってきた電動車いすの技術を応用し、乗用モビリティから産業用ロボットまで様々な用途で活躍する電動モビリティの技術開発に取り組んでいます。具体的には、若者から高齢者まで多くの人の生活の足となる新しいモビリティの提案として「JAPAN MOBILITY SHOW 2023」に出展したSUZU‐RIDE等の商品化に向けて開発を進めています。また、様々な分野の産業用ロボットの足となる電動モビリティベースユニットを2024年9月の国際物流総合展や2025年1月のCES2025など国内外の展示会に出展し、多くのパートナーに共感をいただき各種社会課題解決に取り組んでいます。現在、お待ちいただいているパートナー企業様のために、商品化に向けて開発を進めています。当連結会計年度におけるその他事業の研究開発費は3億円です。
FY2024|7,038 文字
6 【研究開発活動】当社グループは、お客様の立場になった価値ある製品づくりをモットーとし、世界中のお客様の日々の移動を支え、環境にも優しく、いつも身近にあって頼れる生活のパートナーとなる製品・サービスを提供しながら、下記のように研究開発に取り組んでいます。 当社の行動理念である「小・少・軽・短・美」を具現化し、モビリティのライフサイクル全体でエネルギー消費の極少化を目指して技術開発を行っています。この理念から生み出される商品を通じて、持続可能なカーボンニュートラル社会の実現と世界中の人々に移動する喜びを提供してまいります。生産、技術、調達、IT一体の「中期経営計画(2021年4月~2026年3月)~「小・少・軽・短・美」~」の基本理念「世界の生活の足を守り抜く」を主眼にお客様に価値ある製品・サービスを提供するため、AIを活用した品質向上・保証とデータ活用基盤の強化などに挑戦しています。これらは、スズキスマートファクトリー創造のもとに取り組んでいます。電動化の製造技術は、量産が視野におさまり、製造領域のCO2排出削減は、湖西工場でドライブース導入とブース排気のリサイクルを採用した塗装設備への刷新(生産開始:2025年3月~)や、水素活用で燃料電池を動力とする荷役運搬車を運用し、データ取得を進めています(2022年12月~)。当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費は2,342億円であり、セグメントごとの活動状況は以下のとおりです。 (1)四輪事業① 新商品の開発状況[国内市場]2023年11月に新型「スペーシア」、「スペーシア カスタム」を発売しました。「わくわく満載!自由に使える安心・快適スペーシア」をコンセプトに、楽しさを感じられるデザイン、快適で居心地のよい室内空間、安全機能など、スペーシア本来の魅力をより進化させました。2023年12月に新型「スイフト」を発売しました。「エネルギッシュ×軽やか 日常の移動を遊びに変える洗練されたスマートコンパクト」をコンセプトに、歴代のスイフトで培ってきたデザイン性や走行性能に加え、安全装備や利便性の高い装備が充実したことで、スイフトの魅力であるデザインと走りに「クルマと日常を愉しめる」という新たな価値を加え進化させました。2024年2月に、軽商用車「エブリイ」、軽乗用車「エブリイワゴン」を一部仕様変更して発売しました。今回の一部仕様変更では、CVT車を新たに設定し、燃費性能や静粛性を高めました。また、CVT車に使用状況や路面状況に応じて「2WD」、「4WD AUTO」、「4WD LOCK」の3つのモードが選択可能な電子制御式4WDや、ぬかるみ脱出アシストを採用し、利便性を高めました。福祉車両ではウィズシリーズに、2023年11月に全面改良した新型「スペーシア」をベースとした、新型「スペーシア 車いす移動車」を設定し、2WD車は12月、4WD車は2024年3月に発売しました。テールゲート一体型スロープに前倒し機構を採用したほか、車いす乗員用の手すりを回転タイプとすることで利便性を高めました。 [海外市場]当社は、特に強みとするインド市場において2024年3月末までに四輪車の累計生産3,000万台を達成しました。成長を続けるインドにおいて、お客様の立場になって多様なモビリティの選択肢を提供しています。2023年4月に、インド子会社Maruti Suzuki India Ltd.(以下、マルチ・スズキ)は、インドで新型「フロンクス」を発売しました。力強さと流麗さを際立たせた新しいクーペスタイルと取り回しの良さを備えた、新ジャンルのSUVであり、発売から10か月で累計販売10万台を達成しました。また6月には新型「ジムニー5ドア」をインドで発売しました。後席には専用のリヤシートや内装を採用するなど、インドにおいても、お客様が求める本格的な四輪駆動車としての走行性能を備えるとともに、幅広いお客様がレジャーを楽しみ、ライフスタイルを表現するための道具として選んでいただけるデザイン、装備としました。「フロンクス」及び「ジムニー5ドア」の販売により、マルチ・スズキのSUVラインアップを拡充し、拡大が見込まれるインドのSUVセグメントにおいても、多様な選択肢をお客様に提供していきます。2023年7月に、マルチ・スズキは新型プレミアム3列シート車の「インビクト」をインドで発売しました。当社がトヨタ自動車(株)と2017年に業務提携に向け締結した覚書に基づく協業に取り組む中OEM供給を受け、パワートレインはトヨタ自動車(株)のハイブリッドシステムを搭載しました。この協業を通じて、両社それぞれの強みを持ち寄ることでお客様に幅広い電動化技術を提供することが可能となり、インドにおける電動化の加速とカーボンニュートラル社会の実現に貢献していきます。 ② カーボンニュートラルへの対応当社は、お客様の選択肢の幅を広げ、地域のニーズに合った製品・サービスをお届けするとの考え方を軸に、各国でのカーボンニュートラル目標達成に貢献します。お客様のニーズや利用スタイルに対応した電動化技術の開発を進めるとともに、内燃機関などの既存技術を活用したCO2削減や、水素燃料を使ったエンジンの研究開発など、マルチパスウェイでの取組みを行っています。電気自動車(EV)の開発・製品化の推進はもちろんのこと、内燃機関の更なる改善にも力を入れ、ハイブリッドシステムの効率を向上させていきます。EVの取組みについては、当社はお客様のニーズと利用スタイルに対応した適所適材のEVを開発し、適切な時期に市場に投入していく方針です。「JAPAN MOBILITY SHOW 2023」にて、インドの「Auto Expo 2023」で世界初公開したEV世界戦略車第一弾のコンセプトモデル「eVX」のエクステリアを進化させるとともに、インテリアを初めて公開しました。電子制御の四輪駆動技術をさらに進化させ、スズキのSUVに相応しい本格的な走行性能を実現するEVモデルです。また、毎日の生活に寄り添う軽ワゴンEVコンセプトモデル「eWX」も世界初公開しました。日本では、小型SUV・軽乗用・軽商用などのEV投入を予定しており、2024年度から2030年度までに6モデルを展開します。欧州では2024年度よりEVを投入、SUV・Bセグメントなどに広げていき2030年度までに5モデルを、インドでは2024年度から2030年度までに6モデルを展開します。EVの開発では、複数地域でプロトタイプ車を走行させてデータを収集しており、これらのテスト結果は、トヨタ自動車(株)と共同で開発したEVにもフィードバックしています。また、インド・グジャラート州への投資など、インドでのEV生産の準備も合わせて進めています。内燃機関車両の改善としては、2023年12月から販売開始した新型スイフトには、高速燃焼を実現したZ12E型新エンジンと高効率の新CVTを搭載しWLTCモード24.5km/Lの低燃費と走行性能の両立を実現しました。また2024年2月からエブリイに対してFR(後輪駆動)用の新CVTを搭載し、軽商用車も燃費向上を行いました。新型軽乗用車「スペーシア」は、高効率領域を拡大し燃焼効率を高めたR06Dエンジンと、軽量で高効率な新CVT、マイルドハイブリッドの組み合わせにより、先代スペーシア(HYBRID G 2WD車)に対してWLTCモード走行で燃費2.9km/L向上し、軽ハイトワゴントップクラスとなる燃費値25.1km/Lを実現しています。さらに、インドでは多様なニーズに応える環境性能に優れた技術を搭載する自動車をラインナップするための技術として、CNG燃料に対応した自動車をマルチ・スズキと共同で開発、実績として2022年度にインド国内で約30万台、2023年度には前年比1.5倍の約45万台を販売しました。また、牛糞をベースとしたバイオガス事業を推進するため、スズキ、全国酪農開発機構(NDDB)及びアジア最大規模の乳業メーカーであるBanas Dairy社の3社は、2023年9月にバイオガス生産プラント設置(2025年稼働)について合意しました。これにより、バイオメタンガス燃料に対応したCNG/CBG車開発と安定した品質のバイオガス燃料を生産する製造技術開発を推進します。加えて、当社が支援しマルチ・スズキが開発した高エタノール混合ガソリン対応エンジンをプロトタイプ車に搭載し開発を進めています。また、燃料を「つくる」プロセスの効率化を研究することを目的とした「次世代グリーンCO2燃料技術研究組合」に参画し、カーボンニュートラル社会実現のため、バイオマスの利用、生産時の水素・酸素・CO2を最適に循環させて効率的に自動車用バイオエタノール燃料を製造する技術研究を進めています。 ③ 安全・安心技術の開発当社は、小さなクルマで大きな安心をお届けするため、誰もが安心して乗れる運転のしやすさを考えた基本安全技術、事故そのものを未然に防ぐ予防安全技術「スズキ セーフティ サポート」、万一の衝突被害を軽減する衝突安全技術を培い続けています。安心して楽しく車に乗っていただくために、事故の無い未来に向けてさらなる技術の進化と普及に努めていきます。2023年11月より国内向け新型「スペーシア」、2023年12月より国内・欧州向け新型「スイフト」に、ミリ波レーダーと単眼カメラを組み合わせた衝突被害軽減ブレーキ「デュアルセンサーブレーキサポートⅡ」を採用し、新たに交差点事故シナリオに対応しました。また、アダプティブクルーズコントロールはより自然な加減速を、車線維持支援機能はより車線中央付近の走行維持を実現し、アダプティブハイビームシステムなどの高機能前照灯との組み合わせにより、日常運転の負担を更に軽減しています ④ 情報通信・自動化技術の開発2021年12月より国内向け新型「スペーシア」、2022年2月よりインド向け新型「バレーノ」、2022年8月より欧州向け新型「Sクロス」へコネクテッド技術を搭載し、「スズキコネクト」サービスの提供を開始し充実させています。コネクテッド技術を活用して、緊急時の迅速かつきめ細やかなお客様サポートや、離れた場所で車両の状態確認や操作を可能とするリモート機能など、より安心・快適・便利なカーライフをお客様へ提供しています。そして、他地域への展開や他モデルへの搭載を順次進めるとともに、コネクテッドデータを活用した品質向上や設計支援の促進、次世代の通信技術を採用し通信ナビやBEV向け新機能を実装した、新しい世代のコネクテッド開発を進めています。また、2023年3月より法人向け車両管理サービス「スズキフリート」を開始しており、コネクテッド技術を活用し、車両を日々活用されている法人企業の車両運行管理や社員の安全運転啓発などの業務を支援しています。簡易装着可能な通信機を活用することで、法人企業が既に所有されている車両にも装着することが可能です。今後は、走行データを分析することで、各業種・企業に適したカスタマイズサービスを提供することや、カーボンニュートラル対応のEV導入を支援するサービスへ展開することを進めていきます。また四輪車のみならず、二輪車やセニアカーなど他製品への通信技術の搭載にも取り組むとともに、新しい電動モビリティユニットなどの新製品やカーボンニュートラルを支えるための、IoT先進技術の検討も進めていきます。高齢化や人口減少により、人や物の移動を支えるドライバの人手不足が社会課題となっています。この社会課題を解決する自動運転技術の実用化にチャレンジしています。人の移動については、「交通空白地における交通弱者の足の確保」を目標に、官民一体のプロジェクト(浜松自動運転やらまいかプロジェクト)に参画しています。スズキのものづくりの根幹である「現場・現物・現実」に即した自動運転技術、モビリティサービスを実現するため、2017年、2019年、2022年に実証実験を行い、地域住民や自治体の方々から多くの意見をいただきながら、開発を進めています。2023年度は、約3ヶ月の長期実証実験を行うことで、これまでの短期間の実証実験では抽出できなかった技術面、運用面の課題を抽出することができました。これら課題を2024年度の実証に反映し、ステップアップで自動運転技術の実用化につなげてまいります。物の移動については、豪州のスタートアップ企業「Applied EV」と共同でジムニーのラダーフレームを活用した物流向けの自動運転電動台車の開発を開始しました。スズキが培ってきたものづくりの強みとスタートアップ企業の強みである発想力・柔軟性をかけ合わせることで、さまざまな用途で使える自動運転電動台車のプラットフォームを創造し、新たな価値につなげてまいります。2024年度は、開発車を製作し実証実験をスタートします。スズキはオーナーカーだけでなく人や物の移動による喜びを皆様に提供していきます。当連結会計年度における四輪事業の研究開発費は2,108億円です。 (2)二輪事業二輪事業では、カーボンニュートラル達成に向けた技術、お客様の立場になった「価値ある製品」を提供する技術の開発を行っています。 2023年10月に開催された「JAPAN MOBILITY SHOW 2023」に、共通仕様バッテリーシェアリングサービス「Gachaco(ガチャコ)」を利用した電動スクーター「e-BURGMAN」の実証実験車のほか、水素を燃料とした「水素エンジンバーグマン」を参考展示しました。そして、2024年3月にサステナブル燃料を使用するGSX-R1000Rで鈴鹿8時間耐久ロードレースへ参加することを発表しました。カーボンニュートラル達成に向かい、多様な選択肢の開発を行っています。また、新たな電子制御技術を開発し、新型大型二輪車「GSX-S1000GX」向けに、「スズキアドバンスドエレクトロニックサスペンション(S.A.E.S.)」をスズキの二輪車として初採用しました。電子制御により路面入力に応じた減衰特性を調整し、長距離走行時の疲労を軽減、快適な走行に貢献します。当連結会計年度における二輪事業の研究開発費は176億円です。 (3)マリン事業 マリン事業では、マリン製品における環境や利便性向上とお客様の価値向上に関わる技術開発を行っています。お客様の価値向上のため、船外機「DF200A」「DF150A」にマットブラック(艶消し黒)色を追加、発表しました。また、2020年から活動を開始した「スズキクリーンオーシャンプロジェクト」の一環として、2023年9月静岡大学とマイクロプラスチック判別技術の共同研究を開始しました。2022年7月からマイクロプラスチック回収装置(以下、MPC)を一部船外機に搭載、その回収物にはマイクロプラスチックの他に砂や木くず、微小な海洋生物などが含まれ、手作業と目視による分別には経験やスキルが必要です。この課題を解決するため、画像認識技術を利用し、現場でも容易に分別できる判別技術の共同研究を実施しています。今後、MPCを搭載する機種を増やしていくと共に、その有効活用のため、技術開発を進めていきます。一方、本活動で船外機製品及び部品のプラスチック梱包資材の削減にも取り組んでいます。従来使用していた包装用のプラスチックや固定用の発泡スチロールを、紙や生分解性の素材に変更しました。その結果、2020年10月から2024年3月までの累計で61トンを超えるプラスチックを削減しました。マリン事業に関わる全ての活動において、SDGs 14「海の豊かさを守ろう」を実行します。これらを通じて、地域の環境教育活動として小学校での勉強会も開催しています。当連結会計年度におけるマリン事業の研究開発費は55億円です。 (4)その他の事業その他代表的なものとして、小型低速電動モビリティ事業において、当社がこれまで培ってきた電動車いすの技術を応用し、乗用モビリティから産業用ロボットまで様々な用途で活躍する電動モビリティの技術開発に取り組んでいます。具体的には、若者から高齢者まで多くの人の生活の足となる新しいモビリティの提案として、2023年10月から11月に開催された「JAPAN MOBILITY SHOW 2023」にSUZU‐RIDE、SUZU‐KARGO、SUZUKI GO!を出展し、「近未来的でワクワクする」「様々な場面で活躍してくれそう」「四輪で安定感が高そう」等、好意的な意見を多数頂き、引き続き開発中です。また、様々な分野の産業用ロボットの足となる電動モビリティベースユニットを2023年12月に開催された国際ロボット展に出展し多くの業界のお客様から引き合いを頂きました。人々の移動の自由や搬送問題を解決し、新たなモビリティ社会に貢献するモビリティの開発を進めています。当連結会計年度におけるその他事業の研究開発費は4億円です。
FY2023|6,956 文字
6 【研究開発活動】当社グループの研究開発活動は主に当社が行っています。モノづくりの根幹である「小・少・軽・短・美」、お客様の立場になった「価値ある製品」づくりをモットーとし、世界中のお客様の日々の移動を支え、環境にも優しく、いつも身近にあって頼れる生活のパートナーとなる製品・サービスの提供に挑戦しながら、下記のように取り組んでいます。 生産、技術、調達、IT一体の「中期経営計画(2021年4月~2026年3月)~「小・少・軽・短・美」~」の基本理念「世界の生活の足を守り抜く」を主眼にお客様に価値ある製品・サービスを提供するため、AIを活用した品質向上・保証とデータ活用基盤の強化などに挑戦しています。これらは製品の電動化、製造領域のカーボンニュートラル対応と結びつきスズキスマートファクトリーの体系となり取り組んでいます。電動化の製造技術は、量産が視野におさまり、製造領域のCO2排出削減は、排出量の多い塗装設備の刷新計画の開始や水素活用で燃料電池を動力とする荷役運搬車の実証実験など技術活用を進めています。 当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費は2,056億円であり、セグメントごとの活動状況は以下のとおりです。 (1)四輪事業① 新商品の開発状況[国内市場] 2022年4月に「エスクード」にハイブリッドシステムを搭載し発売しました。高い走破性と低燃費を両立しました。 2022年6月に「アルト ラパン」を一部仕様変更し、安全装備や快適装備の充実を図りました。また、新たに「アルト ラパン LC」を設定し発売しました。「アルト ラパン LC」は、エクステリアはどこか懐かしさを感じるデザインとし、インテリアは落ち着きのある空間としました。 2022年8月に、「ワゴンR」、「ワゴンR スティングレー」を一部仕様変更し、安全機能の充実を図りました。また、新たに「ワゴンR カスタムZ」を設定し発売しました。「ワゴンR カスタムZ」は専用のヘッドランプ、フロントグリル、フロントバンパーを採用し、精悍なデザインに仕上げました。 2022年8月に新型軽商用車「スペーシア ベース」を発売しました。「遊びに仕事に空間自由自在。新しい使い方を実現する軽商用バン」をコンセプトに、商用車の積載性や広い荷室空間、使い勝手のよさと、乗用車のデザインや快適性、運転のしやすさを融合しました。 2022年12月にハイブリッドを搭載した小型乗用車「ソリオ HYBRID S」、「ソリオ バンディット HYBRID SV」を発売しました。WLTCモード走行での燃費値22.3km/Lを実現しています。[海外市場] 2022年6月に、インド子会社Maruti Suzuki India Ltd.(以下、マルチ・スズキ)は、新型「ブレッツァ」をインド国内で発売しました。フードやベルトラインを強調することで、SUVらしい大胆でスポーティーな力強いエクステリアを進化させました。全方位モニターやヘッドアップディスプレイなどの先進装備を採用するとともに、コネクテッドサービス「スズキコネクト」に対応しました。 2022年7月に、マルチ・スズキは、グローバルにおけるSUVのフラッグシップモデルである新型「グランドビターラ」を発表しました。トヨタ自動車株式会社(以下、トヨタ自動車(株))と当社の業務提携に基づく協業のひとつであるグローバルでの車両のOEM相互供給契約のもと、当社が開発し、トヨタ・キルロスカ・モーターにて8月より生産を開始しました。インド国内での販売をはじめ、アフリカなど海外への輸出も開始しました。 2022年8月に、マルチ・スズキはインドで新型「アルト」を発売しました。軽量・高剛性のプラットフォームに1.0Lガソリンエンジンを搭載することで、優れた低燃費と高い走行性能を実現しました。 ② カーボンニュートラルへの対応 当社は、お客様の選択肢を広げ、地域のニーズに合った製品・サービスをお届けするとの考え方を軸に、事業・地域毎のカーボンニュートラル目標の達成に取り組んでいます。ハイブリッドシステムの性能向上はもちろんEVの開発・製品化に向けた電動化技術開発や、内燃機関の更なる改善にも力を入れています。 ハイブリッド車としては、小型乗用車「ソリオ HYBRID S」及び「ソリオ バンディット HYBRID SV」に一定速走行時などでEV走行可能な当社独自のハイブリッドシステムを搭載し、2022年12月より販売を開始しました。コンパクトながら瞬間的に大きな力を発揮する駆動用モーターとコンパクトで伝達効率に優れたオートギヤシフト(5速AGS)を組み合わせた当社独自のハイブリッドシステムを採用した他、6Ahのリチウムイオンバッテリーとの組み合わせを採用しました。 コンパクトSUV「エスクード」に搭載したハイブリッドシステムは、ハイブリッドシステムの電圧、リチウムイオンバッテリーの容量、モーターの最大出力、トルクの変更により、EV走行が可能な時間や速度の範囲を拡大※1し、WLTCモード走行での燃費値19.6km/Lを実現しています。また、ブレーキをかけた際に効率よくバッテリーが充電できる回生協調ブレーキ、後退時のEV走行※2を採用しました。 新型「グランドビターラ」のパワートレインにはマイルドハイブリッドのほか、ハイブリッドシステム「インテリジェントエレクトリックハイブリッド」を設定しました。トヨタ自動車(株)との協業を通じて、両社それぞれの強みを持ち寄ることで、お客様に幅広い電動化技術を提供することが可能となり、インドにおける電動化の加速と、カーボンニュートラル社会の実現に貢献していきます。 電気自動車の取組みについては、当社はお客様のニーズと利用スタイルに対応した適所適材のEVを開発し、適切な時期に市場に投入していく方針です。 日本では、2023年度の軽商用バッテリーEVの投入を皮切りに、小型SUV・軽乗用などの投入を予定しており、2030年度までに6モデルを展開します。また、軽自動車や小型車向けに新型ハイブリッドを開発し、バッテリーEVと併せることでお客様に多くの選択肢を提供していきます。 また、電気自動車の開発では、2022年3月より開始した、プロトタイプ車を用いた一般のドライバーに通勤や休日に使用していただく中でデータを収集するテストを継続しています。インド・グジャラート州への投資など、インドでのEV生産の準備を進めており、これらのテスト結果を、現在トヨタ自動車(株)と共同で開発しているEVにもフィードバックしていきます。 2022年7月に、当社、ダイハツ工業株式会社、トヨタ自動車(株)、Commercial Japan Partnership Technologies株式会社の4社は、カーボンニュートラルの実現に貢献するために、2023年度に商用軽バン電気自動車(以下、BEV商用軽バン)の導入を目指しています。現場での使い方、走り方等を調査し、「Commercial Japan Partnership」プロジェクトで足並みを揃えながら開発を進めています。 欧州では、2024年度よりバッテリーEVを投入し、SUV・Bセグメントなどに広げていき、2030年度までに5モデルを展開します。欧州各国の環境規制やお客様ニーズに合わせて柔軟に対応していきます。 インドでは、2023年1月に開催された「Auto Expo 2023」のマルチ・スズキのブースにおいて、EVコンセプトモデル「eVX」を世界初公開しました。2025年までに市販化を計画している当社のEV世界戦略車第一弾のコンセプトモデルです。このコンセプトモデルをベースとした商品を2024年度に市場投入し、2030年度までに6モデルを展開します。バッテリーEVだけではなく、当社はあらゆる製品・サービスを提供すべく、ハイブリッド車・CNG・バイオガス・エタノール配合の燃料などを使用したカーボンニュートラルな内燃機関車も継続的に投入する計画です。 さらに、インドでは多様なニーズに応える環境性能に優れた技術を搭載する自動車をラインナップするための技術として、CNG燃料に対応した自動車をマルチ・スズキと共同で開発、既に100万台以上をインド市場にて販売しました。加えて、当社が支援しマルチ・スズキが開発した高エタノール混合ガソリン対応エンジン(E20-E85に対応)を搭載したプロトタイプ車の開発も進めていきます。 また、燃料を「つくる」プロセスの効率化を研究することを目的とした「次世代グリーンCO2燃料技術研究組合」に参画し、カーボンニュートラル社会実現のため、バイオマスの利用、生産時の水素・酸素・CO2を最適に循環させて効率的に自動車用バイオエタノール燃料を製造する技術研究を進めています。 ③ 新興国への取組み マルチ・スズキは、2023年1月9日にインド国内累計販売2,500万台を達成しました。 現在、インドでは17モデル※3が生産・販売されており、近年では成長著しいSUVモデルの投入に加え、ハイブリッドやCNG仕様車の普及にも取り組んでいます。また、インド国内市場のみならず、アフリカをはじめとする新興国市場への輸出にも積極的に取り組んでいます。 マルチ・スズキは、これからも安全で信頼性が高く、環境に配慮した商品を提供し、自動車市場の持続可能な発展に貢献していきます。 ④ 安全・安心技術の開発 当社は、小さなクルマで大きな安心をお届けするため、誰もが安心して乗れる運転のしやすさを考えた基本安全技術、事故そのものを未然に防ぐ予防安全技術「スズキ セーフティ サポート」、万一の衝突被害を軽減する衝突安全技術を培い続けています。安心して楽しく車に乗っていただくために、事故の無い未来に向けてさらなる技術の進化と普及に努めていきます。 新型「スペーシアベース」では、夜間の歩行者も検知する「デュアルカメラブレーキサポート」を搭載した「スズキ セーフティ サポート」を全車に標準装備したほか、XFには全車速追従機能付きのアダプティブクルーズコントロール(以下、ACC)を採用しました。また、すれ違い支援機能を搭載した全方位モニター用カメラをメーカーオプションとして設定しました。また「ワゴンR」、「ソリオ」において、ACCや車線逸脱抑制機能の装備を拡充しました。 ⑤ 情報通信技術の開発 2021年12月より国内向け新型「スペーシア」、2022年2月よりインド向け新型「バレーノ」、2022年8月より欧州向け新型「Sクロス」へコネクテッド技術を搭載し、「スズキコネクト」※4サービスの提供を開始しました。コネクテッド技術を活用して、緊急時の迅速かつきめ細やかなお客様サポートや、離れた場所で車両の状態確認や操作を可能とするリモート機能など、より安心・快適・便利なカーライフをお客様へ提供しています。今後は、他地域への展開や他モデルへの搭載を順次進めるとともに、コネクテッドデータを活用した品質向上や設計支援の促進、次世代の通信技術を採用した新たなコネクテッド機能の開発を進めていきます。 また、2023年3月より法人向け車両管理サービス「スズキフリート」を開始しました。コネクテッド技術を活用し、車両を日々活用されている法人企業の車両運行管理や社員の安全運転啓発などの業務を支援します。簡易装着可能な通信機を活用することで、法人企業が既に所有されている車両にも装着することが可能です。今後は、走行データを分析することで、各業種・企業に適したカスタマイズサービスを提供することや、カーボンニュートラル対応のEV導入を支援するサービスへ展開することを進めていきます。 2016年より進めている「浜松自動運転やらまいかプロジェクト」では、浜松市内で第3回目の実証実験を行いました。自動運転システムの技術レベルが向上し自動走行可能な領域を広げることができました。また、自動運転を活用したサービスとして労働力不足が深刻になっている農業分野において、作物の圃場から集荷場の自動搬送を目的とした自動運転軽トラックの開発に取り組んでいます。内閣府のSIP施策に参加し埼玉県鴻巣市で行われたフォーラムで農道での自動搬送デモを実施しました。今後も地域や様々な業種のニーズを捉え、人や社会に役立つ自動運転の開発に取り組んでいきます。 当連結会計年度における四輪事業の研究開発費は1,862億円です。 ※1 スイフト HYBRID SZに搭載されているハイブリッドシステムと比較。※2 後退前にエンジンがかかっている場合やアクセルの踏み込み具合、バッテリーの残量等により、EV走行しない場合があります。※3 2023年1月30日時点※4 メーカーオプションとして設定しています。(別途ご契約が必要な有料サービス) (2)二輪事業 二輪事業では、カーボンニュートラル達成に向けた技術、お客様の立場になった「価値ある製品」を提供する技術の開発を行っています。カーボンニュートラル達成に向けた、より環境にやさしい電動二輪車の開発では、電動二輪車の共通仕様バッテリーシェアリングサービス「Gachaco(ガチャコ)」を利用した電動スクーター「e-BURGMAN」での実証実験を開始しました。実証実験において種々のデータを収集し、今後の電動二輪車の開発を行います。 また、新型大型二輪車「V-STROM800DE」及び「GSX-8S」向けに、新たに775cm3の2気筒エンジンを開発しました。新開発の「スズキクロスバランサー」を採用し、エンジンの振動を抑えながら、軽量・コンパクト化を実現しました。 当連結会計年度における二輪事業の研究開発費は145億円です。 (3)マリン事業 マリン事業では、マリン製品における環境や利便性向上に関わる技術開発を行っています。主な成果として、「マイクロプラスチック回収装置」を標準装備した船外機「DF140BG」、「DF115BG」、「DF140B」、「DF115B」、「DF100C」を開発しました。 「マイクロプラスチック回収装置」は、水面付近のマイクロプラスチックを回収することを可能とした装置です。近年、正しくリサイクルや回収されずに海に流れ込む大量の海洋プラスチックごみは環境問題となっており、それらが自然環境下で微細に破砕されたマイクロプラスチックは生態系への影響が懸念されています。この問題への対応として、船外機がエンジン冷却用に大量の水を汲み上げ、冷却後にその水を戻す構造であることに着目し、戻り水ホースに取り付け可能なフィルター式の「マイクロプラスチック回収装置」を開発しました。この装置は冷却後の戻り水を活用するため船外機の走行性能に影響しません。お客様はフィルターを確認することが可能で、回収できるマイクロプラスチック量は多くはありませんが、その存在を身近に感じ、SDGsの14「海の豊かさを守ろう」の意識をさらに高めていただけるものと考えます。 その他環境面として、この装置が標準装備された船外機は、定評のある「スズキリーンバーン(希薄燃焼)システム」の採用、高圧縮比化による熱効率向上、吸入空気温度上昇を抑制したエアインテークによる燃焼室内流入空気温度の低減の効果により優れた燃費性能を有しています。また、利便性の向上として、スムーズで確実なシフト操作、素早く正確なスロットルコントロールを実現する電子式シフトと電子式スロットルを備えた「スズキプレシジョンコントロール」を採用したモデルも設定しました。 当連結会計年度におけるマリン事業の研究開発費は45億円です。 (4)その他の事業 その他代表的なものとして、小型低速電動モビリティ事業において高齢者の生活を支援する新たな商品と、電動車いすの技術を応用した電動台車の技術開発に取り組んでいます。 具体的には、2021年11月に実施したはままつフラワーパークでの電動アシストカート「KUPO(クーポ)」の試験運用に続き、2022年11月に屋内商業施設での有用性を検証する試験運用を実施しました。「KUPO」は、歩行を補助する電動アシストカートから、乗って移動できる電動車いすにもなり、生活を支援し歩く嬉しさを提案する「歩く・広がるモビリティ」として開発を進めてきた活動支援モビリティです。 また、2023年3月に自動配送ロボットの開発・提供・サービス運用を手掛けるスタートアップ企業であるLOMBY株式会社と自動配送ロボットの共同開発契約を締結しました。当社は電動台車の設計・開発を担当し、当社が長年築き上げてきた電動車いす技術の流用と部品の共通化を図ることにより、自動配送ロボットの量産化における品質確保と製造コスト低減に取り組んでいます。当連結会計年度におけるその他事業の研究開発費は4億円です。
FY2019|3,755 文字
5 【研究開発活動】当社グループの研究開発活動は主に当社が行っており、環境問題や多様化するお客様のニーズに対応し独創的で競争力のある商品を提供することを目指し、積極的に取り組んでいます。生産、技術、購買、ITが一体で、「中期経営計画SUZUKI NEXT 100」に掲げた「ものづくりの強化」として、お客様に対し価値ある商品を届ける仕組みの改善を推進しています。先進安全技術を搭載した商品とその生産システムのほか、製品性能を安定して保証する技術の導入、ひとに優しい作業、電動化技術、環境負荷軽減技術の取組み展開により、商品性向上のみならず、経営面でも成果を上げています。モトGPレース活動に関しても、高い技術力を示すことによりブランドイメージを向上させるとともに、最先端のレースで得た技術等の四輪、マリン技術を含めた全社での交流の推進を目指し、より魅力的な商品の開発を進めています。当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費は1,581億円であり、セグメントごとの活動状況は、以下のとおりです。 (1) 四輪事業四輪事業では、人びとの暮らしに役立ち、心を満たす真の価値ある製品を世に送り出すために、常に時代の足音に耳を傾け、人の心に寄り添いながら、お客様にワクワクしていただける車づくりに取り組んでいます。また、環境性能の実現と、安心・安全な車づくりに向け、環境性能に配慮しながら更に便利で楽しい車を実現する次世代環境技術「スズキグリーン テクノロジー」や衝突被害軽減ブレーキや誤発進抑制機能をはじめとする予防安全技術「スズキ セーフティ サポート」の採用を積極的に展開しています。2018年7月発売の新型「ジムニー」、「ジムニーシエラ」は大自然の中で行動する「プロの道具」として、機能に徹した、飾らない潔さを追求し20年ぶりに全面改良を行いました。開発にあたっては、本格的な四輪駆動車としてのこだわりと技術を継承しつつ、運転のしやすさ、荷室空間の広さや使いやすさを進化させ、様々なニーズに応える使い勝手を追求しました。新型「ジムニー」、「ジムニーシエラ」は、道具として求められる機能を追求することで進化したデザインが評価され、公益財団法人日本デザイン振興会が主催する「2018年度グッドデザイン賞」※1において、「グッドデザイン金賞」(経済産業大臣賞)を受賞しました。また、ワールド・カー・アワーズ(WCA)主催の「ワールド・カー・アワーズ」において日本車メーカーとして初となる「2019ワールド・アーバン・カー」※2を受賞し、都市に似合う車としての評価もいただきました。2018年12月に発売した新型「スペーシア ギア」では軽ハイトワゴンをもっとアクティブに使いたいと考えるお客様に、SUVデザインの新しいスタイルの車を提案しました。タフでアクティブなエクステリア、遊び心が感じられるインテリア、そしてアウトドアやレジャーでの使い勝手に優れたユーティリティを備えた「広い室内空間とアクティブスタイルを融合したSUVな軽ハイトワゴン」をコンセプトとした、「スペーシア」の新モデルです。発進時にモーターのみで走行できる※3マイルドハイブリッドを全車に搭載したほか、前方の車両や歩行者の検知を可能とした衝突被害軽減ブレーキ「デュアルセンサーブレーキサポート」に加え、後退時の衝突被害軽減ブレーキ「後退時ブレーキサポート」を全車に標準装備するなど、環境性能や安全装備を充実させました。また、当社の安全技術に対する評価として、予防安全技術においては「スズキ セーフティ サポート」を搭載した小型乗用車「ソリオ」、「ソリオ バンディット」※4が、2018年度JNCAP※5予防安全性能評価において、最高評価となる「ASV※6+++(トリプルプラス)」を獲得、小型乗用車「クロスビー」※7が、2018年度JNCAP衝突安全性能評価において、同じく「ファイブスター賞」を受賞しています。次に先行開発への取組みとして、電気自動車の開発では2018年10月からプロトタイプの電気自動車50台のフリート走行をインドにて開始しました。この公道走行で様々なデータやお客様の声を集め、市場に受け入れられる性能や耐久性を検証し、2020年頃に市場投入するEVの開発へ反映させていきます。また自動運転への取組みとして「将来の自動運転を活用した地域の交通課題解決」を目的に、2016年より浜松市、SBドライブ株式会社、遠州鉄道株式会社とともに「浜松自動運転やらまいかプロジェクト」に参加、自動運転技術によって創出される新たなニーズの発掘を含め、自動運転技術の開発に取り組んでいます。 他社との協力に関する取り組みでは、当社は2019年3月20日にトヨタ自動車株式会社と協業に関する具体的な検討に着手することに合意しました。両社は、トヨタ自動車株式会社が持つ強みである電動化技術と当社が持つ強みである小型車技術を持ち寄り、生産領域での協業や電動車の普及等の分野において、新たなフィールドで共にチャレンジしてまいります。当連結会計年度における四輪事業の研究開発費の金額は1,378億円です。 ※1 「グッドデザイン賞」:1957年に通商産業省(現 経済産業省)によって創立された「グッドデザイン商品選定制度」(通称Gマーク制度)を母体とする、我が国唯一の総合的デザイン評価・推奨制度。※2 WCAは2004年に世界各国の自動車ジャーナリストによって設立され、世界で販売されている自動車の中から優れたモデルを選考・評価し、本賞「ワールド・カー・オブ・ザ・イヤー」や複数の部門賞を授賞している。「ワールド・アーバン・カー」は、全長4m程度までのモデルを対象に「世界で最も都市に似合う車」を選出する部門賞として、2017年度より設けられた賞である。※3 モーターによる走行は、アイドリングストップ後の停車状態からの発進時、ブレーキから足を離してアクセルを踏まなくても車がゆっくりと動き出すクリープ走行(最長10秒間)が可能。※4 対象車は、「ソリオ HYBRID SZ、HYBRID SX、HYBRID MZ、HYBRID MX(スズキ セーフティ サポート装着車)」の全方位モニター用カメラパッケージ装着車及び「ソリオ バンディット HYBRID SV、HYBRID MV」の全方位モニター用カメラパッケージ装着車。全方位モニターは対応ナビゲーションの装着を前提とした仕様。※5 JNCAP:Japan New Car Assessment Program※6 ASV:Advanced Safety Vehicle※7 対象車は、「クロスビー HYBRID MZ、HYBRID MX(スズキ セーフティ サポートパッケージ装着車)」。 (2) 二輪事業二輪事業では、環境に配慮した技術開発に取り組んでいます。新型「GIXXER250SF」は、150cm3クラスの車両に搭載可能な249cm3エンジンを新開発して優れた走行性能と低燃費を実現しました。このエンジンは、水を使わずエンジンオイルで冷却する独自技術の「SOCS(スズキ オイル クーリング システム)」や出力と燃費を両立する環境技術「SEP(スズキ エコ パフォーマンス)」を採用することで、優れた出力性能と軽量コンパクト化を実現しました。軽量化についても最新の解析技術や試験装置を活用して、形状、材質、製法の見直しを進め、新型「RM-Z250」では、現行車に対しフレームで4%、スイングアームで4%、燃料タンクで26%の軽量化を実現し、車両全体の軽量化に貢献しました。当連結会計年度における二輪事業の研究開発費の金額は172億円です。 (3) マリン事業他マリン事業他では、マリン製品における環境や利便性向上に関わる技術開発を行っています。環境面では、熱効率向上、吸排気損失低減による燃費向上を行い、主な成果として「DF175A」、「DF150A」の2機種の新型船外機を開発しました。低燃費化技術として、旧機種から採用されている「リーンバーン(希薄燃焼)制御」システムの採用に加え、高圧縮比化、「セミダイレクト・エアインテーク」の採用による燃焼室内吸入空気温度の低減による熱効率の向上を行い、旧機種に比べて巡航速度域で最大7%の燃費向上を達成しました。利便性向上面では、ボートのダッシュパネルに装備する「スズキマルチファンクションディスプレイ」を新たに開発しました。情報表示画面には船外機の装備品と調和したデザインを採用、船外機の一定回転数運転を実現するトロールスピードコントロール機能に加え、海図表示、魚群探知機、レーダーなどを備え、デザイン性、機能性、視認性を高めました。また、船外機の運転情報を取得するSDSMアプリにも対応し、サービス性を向上しました。4種類のディスプレイサイズをラインアップすることで、30馬力クラスから350馬力を複数搭載するクラスのボートまで、幅広いボートへの搭載を可能としています。当連結会計年度におけるマリン事業他の研究開発費の金額は31億円です。
FY2017|3,139 文字
6 【研究開発活動】当社グループの研究開発活動は主に当社が行っており、環境問題や多様化するお客様のニーズに対応し独創的で競争力のある商品を提供することを目指し、積極的に取り組んでいます。平成27年から「SUZUKI NEXT 100」の「ものづくりの強化」を推進しています。これは、生産、技術、購買が一体となってお客様に価値ある商品を届ける仕組みを見直す取り組みです。現在までに新プラットフォーム「HEARTECT(ハーテクト)」に対応し、50%の投資額で実現できる新溶接ラインの開発とインドのグジャラート工場への展開、先進安全技術を搭載した商品の開発及び生産システムの導入を行うなど商品性向上のみならず、経営面でも多大な成果を上げています。当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費は1,315億円であり、セグメントごとの活動状況は、以下のとおりです。 (1) 四輪車四輪車事業では、国内軽自動車をはじめとした小型車の開発においてトップクラスの環境性能の実現と、安心・安全な車づくりに取り組んでいます。まず環境性能への取り組みとして、環境に配慮しながら更に便利で楽しい車を実現する次世代環境技術「スズキグリーン テクノロジー」の開発と採用車の拡大を進めています。「スズキグリーン テクノロジー」では、まず車体の軽量化を進めました。軽量化と高剛性を両立した新プラットフォーム「HEARTECT(ハーテクト)」の開発及び採用を進め、平成29年1月発売の新型「スイフト」では従来モデル比で120kgの軽量化を実現しました。また、パワートレインの電動化において、発電も可能な駆動用モーター(MGU)と伝達効率に優れたトランスミッションであるオートギヤシフト(AGS)を組み合わせ、高効率なEV走行を実現した当社独自のハイブリッドシステムを新開発しました。新システムは「ソリオ」、「ソリオ バンディット」に搭載し、クラスNo.1※1の低燃費32.0km/L※2を実現しています。次に安心・安全な車づくりへ向けた取り組みとして、ステレオカメラ方式の衝突被害軽減ブレーキ「デュアルカメラブレーキサポート(DCBS)」や単眼カメラと赤外線レーザーレーダーで前方の歩行者や車を検知して衝突の被害を軽減するシステム「デュアルセンサーブレーキサポート(DSBS)」、また、車両周囲の俯瞰映像を表示する「全方位モニター」などの先進安全技術の開発・採用を進めました。これらの先進安全技術を搭載したスズキ車は、平成28年度JNCAP※3予防安全性能アセスメントにおいて最高ランクの評価である「ASV※4++(ダブルプラス)」を獲得しました。小型乗用車「イグニス」がスズキ車で初めて獲得したことに続き、軽自動車の「スペーシア」、「ハスラー」、「ワゴンR」、「ワゴンRスティングレー」及び小型乗用車の「ソリオ」、新型「スイフト」が獲得しています。予防安全性能アセスメントは、国土交通省と独立行政法人 自動車事故対策機構(NASVA)が自動車の先進安全技術について評価し、結果を公表する制度です。当社グループは今後も安全技術の取り組みを強化し、安心・安全な車づくりを進めていきます。また、平成28年度は当社グループが取り組んできた技術開発が評価され、著名な賞を受賞しました。主なものとして、まず当社のインド子会社Maruti Suzuki India Ltd.が製造販売する新型SUV「ビターラ ブレッツァ」が、インドのカー・オブ・ザ・イヤーである「Indian Car of the Year(ICOTY)2017」を受賞しました。また、無塗装でも塗装に匹敵する外観と高い耐久性能を実現した樹脂材料を開発し、世界で初めて自動車で実用化した功績により、第49回「市村産業賞 貢献賞」を受賞しました。当連結会計年度における四輪車事業の研究開発費の金額は1,117億円です。 ※1 コンパクトハイトワゴンクラス=総排気量1.5L以下・全高1,600㎜以上の2列座席5ドアワゴン。JC08モード走行燃費(国土交通省審査値)に基づく。平成29年3月現在、当社調べ。※2 燃料消費率JC08モード走行(国土交通省審査値)。ソリオ HYBRID SZ、HYBRID SX、ソリオ バンディット HYBRID SV。※3 JNCAP:Japan New Car Assessment Program※4 ASV:Advanced Safety Vehicle (2) 二輪車二輪車事業では、環境に配慮した技術開発に取り組んでいます。MotoGPで開発された技術を取り入れた新機構「ブロードパワーシステム」を採用し、高回転域での出力向上と低中速域での出力を両立するとともに、欧州新排出ガス規制「ユーロ4」に対応した、新型「GSX-R1000」及び「GSX-R1000R」を投入しました。またアセアン向けに、軽量でコンパクトな車体に147.3㎤の水冷4バルブ単気筒DOHCエンジンを搭載した新モデル「GSX-R150」、「GSX-S150」を投入しました。軽量化についても最新の解析技術や試験装置を活用して、形状、材質、製法の見直しを進め、新型「GSX-R1000」及び「GSX-R1000R」では、現行車に対しフレームで9%、シートレールで36%、タンクで15%の軽量化を実現しました。その他の新興国向け及び欧州向けの各機種においても車体部品と電装部品において、現行車に対し最大65%の軽量化を実現し、車両全体の軽量化に貢献しました。また、資源の有効利用促進のため、PPリサイクル材の利用拡大に継続して取り組んでいます。また、リサイクル設計を推進する上で、容易に車両を解体し部品を取り外せる構造を追求しています。その他の研究開発として、水素を用いた空冷式燃料電池二輪車「バーグマン フューエルセル」は、平成28年8月に型式認定を取得し、平成29年3月から市場性の確認を目的に公道走行を開始しました。レース活動に関しても、高い技術力を示すことによりブランドイメージを向上させるとともに、レースを通して得られる技術を量産車開発に還元し、より魅力的な商品の開発を進めていきます。当連結会計年度における二輪車事業の研究開発費の金額は171億円です。 (3) 特機等特機等事業では、マリン製品における環境や利便性向上に関わる技術開発を行っています。環境面では、熱効率向上、吸排気損失低減による燃費向上を行いました。主な成果として、「DF175AP/150AP」の2機種の新型船外機を開発しました。旧機種から採用されている「リーンバーン(希薄燃焼)制御システム」の採用に加え、高圧縮比化による熱効率向上、セミダイレクト吸気の採用による燃焼室内流入空気温度の低減、電子スロットルバルブ制御の最適化による吸排気損失低減を行い、旧機種に比べて巡航速度域で最大4%の燃費低減を達成しました。利便性及び信頼性の向上面では、「DF175AP/150AP」に電子制御方式の操作系を採用し、反応の良いスロットル制御と滑らかなシフト操作を実現するとともに、新たにプロペラの正/逆回転を統合した「スズキ・セレクティブ・ローテーション」を採用することで、多機掛けボートへの搭載性の向上を実現しました。さらに燃料性状に合わせて燃焼を最適化するためのノックセンサー、O2センサーを新たに採用、また、燃料内への水分混入を検知し警告を発する水分検知機能付燃料フィルタを採用し、信頼性を向上しました。当連結会計年度における特機等事業の研究開発費の金額は28億円です。
FY2016|3,198 文字
6 【研究開発活動】当社グループの研究開発活動は主に当社が行っています。環境問題や多様化するお客様のニーズに対応し独創的で競争力のある商品を提供することを目指し、積極的に取り組んでいます。当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費は1,310億円であり、セグメントごとの活動状況は、以下のとおりです。 (1) 二輪車二輪車事業では、環境に配慮した技術開発に取り組んでいます。まず低燃費化技術の分野では、主な成果として、新興国向け機種で、MotoGPをはじめとするレースで培われた技術と最新の解析技術を用いた「SEP(Suzuki Eco Performance)」エンジンの採用を拡大しました。採用機種のインドネシア向け150ccアンダーボーン「Satria F150」、及びインド向け110ccバックボーン「Hayate EP」、同125ccスクーター「Access 125」は、優れた燃費性能と力強い加速を両立しました。また、欧州で発売した「SV650」では、ピストンの改良を行いメカニカルロスの低減を図ることで燃焼効率を高めました。これにより新排出ガス規制「ユーロ4」を満たしながら優れた出力と燃費性能を実現しました。軽量化についても最新の解析技術による部品毎の要素技術開発を通して形状、材質、製法の見直しを進め、車体構成部品と電装部品において、現行車に対し10%から最大65%の軽量化を実現しました。軽量化した部品は上記の新興国向けおよび欧州向けの各機種に採用しました。次に環境性能の分野では、資源の有効利用促進のため、PPリサイクル材の利用拡大に取り組んでいます。また、リサイクル設計を推進する上で、部品の分解の容易性を追求しています。その他の研究開発としては、水素を用いた空冷式燃料電池二輪車「バーグマン フューエルセル スクーター」の実用化に向けて開発を進めています。レース活動に関しても、高い技術力を示すことによりブランドイメージを向上させるとともに、レースを通して得られる技術を量産車開発に還元し、より魅力的な商品の開発を進めます。当連結会計年度における二輪車事業の研究開発費の金額は157億円です。 (2) 四輪車四輪車事業では、国内軽自動車をはじめ、燃費の優れた小型車の普及こそが環境問題に貢献できると考え、トップクラスの環境性能を目指すと同時に、安心と喜びのある車をお求めやすい価格で提供することを方針として技術開発を行っています。特に環境に配慮しながら更に便利で楽しい車を実現する次世代環境技術「スズキグリーン テクノロジー」の開発・採用拡大を進めています。まず低燃費化技術の分野では、徹底した軽量化、パワートレインの高効率化、電動化を進めるとともに、新興国市場で低燃費として要望の高いディーゼルエンジンの自主開発にも取り組んでおります。主な成果としては、軽量プラットフォームの開発において、これまでの軽自動車に加え、AセグメントとBセグメントでも新たに開発し、当連結会計年度に発売した「ソリオ」、「イグニス」、「バレーノ」に採用しました。これは車体重量の軽減だけでなく、複数のプラットフォームを統合することで開発の効率化も同時にもたらすものであり、今後も新商品に順次採用していきます。また、ガソリンエンジンの新たな取り組みとして、排気量のダウンサイジングと直噴ターボにより、1.4Lの小排気量ながら2.2L自然吸気エンジン並みの出力性能を発揮し、さらに低燃費・低排出ガスも両立した「BOOSTERJET」エンジンを開発し、 平成27年8月に中国で発売した「S-CROSS」に採用しました。電動化技術では、独自の低燃費化技術「エネチャージ」を進化させ、ISG(モーター機能付発電機)を搭載することで燃費向上とエンジン停止後のスムーズな再始動を実現した「S-エネチャージ」の採用拡大を進め、当連結会計年度発売の軽乗用車「ワゴンR」、「ワゴンRスティングレー」、「ハスラー」、「スペーシア」に採用しました。小型車の「ソリオ」でも出力を高めたISGと専用リチウムイオンバッテリーを採用した独自の「マイルドハイブリッド」と、新開発の「K12C型デュアルジェット エンジン」を組み合わせ、優れた低燃費と力強い走りを両立しました。現在、電動化を更に進めた新型ハイブリッドの開発を進めています。ディーゼルエンジンの取り組みとしては、初の自社製となる2気筒・800ccの「E08A型ディーゼルエンジン」を新興国向けに開発し、平成27年6月にインド向けの「セレリオ」に搭載し、発売しました。 次にトランスミッションの分野では、5速マニュアルトランスミッションのクラッチとシフト操作を自動化した当社独自のAMT(Automated Manual Transmission)である「AGS(Auto Gear Shift)」の採用車を拡大すると共に、軽商用車の「エブリイ」や「キャリイ」に新たに2速発進モードを追加し、空荷や軽積載時・少人数乗車時における、よりスムーズな発進と快適な乗り心地を実現しました。さらに先進安全技術分野ではステレオカメラ方式の衝突被害軽減ブレーキ「デュアルカメラブレーキサポート」及び「全方位モニター」を搭載した軽乗用車「ハスラー」が、JNCAP予防安全性能アセスメントにおいて軽自動車で初めて46点満点を取得し、最高ランクの評価「先進安全車プラス(ASV+)」を獲得しました。予防安全性能アセスメントは、国土交通省と独立行政法人 自動車事故対策機構(NASVA)が自動車の先進安全技術について評価し、結果を公表する制度です。当社は今後も安全技術の取り組みを強化し、積極的に安全性を向上させていきます。その他の商品では、軽乗用車「アルト」、「アルト ラパン」が市場で高く評価され、日本自動車研究者ジャーナリスト会議(RJC)が主催する2016年次 RJC カー オブ ザ イヤー及び日本カー・オブ・ザ・イヤー実行委員会が主催する2015-2016 日本カー・オブ・ザ・イヤー スモールモビリティ部門賞を受賞しました。当連結会計年度における四輪車事業の研究開発費の金額は1,125億円です。 (3) 特機等特機等事業では、マリン製品における環境や利便性向上に関わる技術開発を行っています。まず環境面では、低燃費化技術として軽量化を行った他、環境への配慮としてリサイクル性の向上を行いました。主な成果として、部品、レイアウトを徹底的に見直すことにより旧機種に比べて9%の軽量化を実現した3機種の新型船外機「DF4A/DF5A/DF6A」を開発しました。本機種はロアカバー、ヘッドカバーの樹脂化により軽量化を図るとともに、軸受系に上位機種と同様のプレーンベアリングを採用することで信頼性も向上させています。更にロアカバーを無塗装とすることでリサイクル性を高めました。次に利便性向上面では、ボートから取り外した後の運搬時や保管時の方向の自由度を増す3方向保管に加えて、長期保管後の始動性を著しく向上する新しい燃料系や、ワンアクションで動作するチルトシステム(船外機の姿勢を変更する機構)を開発し、新型船外機「DF4A/DF5A/DF6A」に採用しました。また、「DF300AP」をはじめとする7機種において、従来は2機掛けボートでしか使用できなかったジョイスティックコントロールを3機掛けボートでも使用可能にしました。ジョイスティックコントロールは船の横方向の移動やその場の回転を可能にする装置で、マリーナでの離着岸など高い操船技術を要求される場面においても直感的な操作ができるため操船が容易になります。当連結会計年度における特機等事業の研究開発費の金額は28億円です。