事業の概要
- 多言語CRMと営業代行インバウンドテックは、多言語対応のコンタクトセンター運営受託と営業アウトソーシングを二本柱としています。顧客企業の多様なニーズに応え、単なるコストセンターではなく、収益を生み出す「プロフィットセンター」へと転換させるビジネスソリューションを提供しています。
- ワンストップの顧客対応要件分析から課題抽出、企画提案、業務実行、アフターフォローまで、顧客企業に対して一貫したサービスを提供できる体制が強みです。これにより、顧客企業は複数のベンダーとやり取りする手間を省き、効率的に顧客関係管理を進めることができます。
- 多様な通信手段に対応電話だけでなく、ウェブサイト、電子メール、SNS、映像通信など、様々な通信手段を駆使してエンドユーザーとの接点を包括的に管理する「コンタクトセンター」を標榜しています。これにより、顧客は自身の都合の良い方法で企業とコミュニケーションを取ることが可能になります。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
セグメント構成
- 多言語CRM事業この事業は、主にコールセンター運営受託によるカスタマーサービス、IVRシステム提供、クラウド型通話サービス、生成AIサービスなどを提供しています。日本語を含む12カ国語に24時間365日対応し、顧客企業の顧客関係管理を支援しており、売上高は17億8,365万3千円、営業利益は3億241万3千円と、同社の主要な稼ぎ頭となっています。
- セールスアウトソーシング事業この事業では、顧客企業に代わって見込み顧客への営業活動(商品紹介、販売勧誘、アンケート調査など)を電話や訪問で行います。また、営業員の研修や事務所内でのオペレーター採用・育成なども請け負い、売上高は7億6,089万円、営業利益は1億2,278万円です。
- 事業間の相乗効果インバウンドテックは、コンタクトセンターを基点とし、これら2つの事業セグメントのサービスを組み合わせることで、対応領域を拡大しています。これにより、顧客企業に対してCRMをコストセンターからプロフィットセンターへ転換させるビジネスソリューションを提供し、収益性の向上を目指しています。
2025-03 セグメント別業績
| セグメント | 区分 | 売上(億) | 営業利益(億) | 営業利益率 |
|---|---|---|---|---|
| MultilingualCRM | 事業 | 18 | 3 | 17.0% |
| SalesOutsourcingBusiness | 地域 | 8 | 1 | 16.1% |
有価証券報告書「事業の内容」の全文を見る(年度切替)
3【事業の内容】 当社は、「マルチリンガルCRM事業」と「セールスアウトソーシング事業」を軸とし、クライアントの多様なニーズや課題に対応するビジネスモデルをプログラムし、画一的なサービス提供にとらわれない柔軟なビジネスソリューションを展開しております。特にクライアントに対して要件分析から課題抽出、企画提案、開始準備、業務実行、アフターフォローまで一貫対応できる体制が強みになります。 かつて電話やFAXだけであった通信手段は、情報技術の発達に伴いウェブサイト、電子メール、SNS(注1)など選択肢が拡がっております。CRM(注2)においては、電話による「コール」だけではなく、様々な通信手段を利用することによりエンドユーザーとの接点を包括的に示す「コンタクト」という言葉が浸透してきております。当社では、単なるコールセンターに留まらず、エンドユーザーとの多様な接点を有するコンタクトセンターを標榜しております。 当社では、クライアントとエンドユーザーの接点であるコンタクトセンターを基点としつつ、2つの事業セグメントのサービスメニューを組み合わせることにより、当社の対応領域を拡大させる一方、クライアントに対してCRMをコストセンターからプロフィットセンターへ転換を図るビジネスソリューションを提供し、それを実行する体制を備えております。 <当社のサービス提供イメージ> なお、これら2つの事業については「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項」に掲げるセグメントの区分と同一であります。 (注)1.SNS:Social Networking Service/インターネット上で人と人とのつながりを促進するサービス 2.CRM:Customer Relationship Management/顧客満足度の向上を通じて売上・利益拡大を目指す経営手法 (1) マルチリンガルCRM事業 「マルチリンガルCRM事業」は、株式会社インバウンドテックと連結子会社である株式会社OmniGridが運営しており、主にコールセンター運営の受託を通じたカスタマーサービス、IVRシステムの機能の提供、クラウド型通話サービス及び生成AIサービスを提供するOmniGrid事業、レンタルサーバーの提供をするデスクウイング事業などのクライアントの顧客(エンドユーザー)との関係の管理・維持を支援するサービスを中心としております。当社の特徴としては、カスタマーサービスについては24時間365日体制で稼動しているため、夜間や休日などでもエンドユーザーからの問い合わせを逃すことなく対応が可能である点、また、日本語を含めた12カ国語(日本語、英語、中国語、韓国語、ポルトガル語、スペイン語、タイ語、ベトナム語、ロシア語、フランス語、タガログ語、ネパール語)に常時対応している点であります。さらに、エンドユーザーとのコミュニケーションについては電話による音声形式に加え、タブレット型デバイスを使った映像通信、ウェブサイト、電子メール、SNSなど様々な通信手段に対応しており、国内における日本語を対象としたサポートだけでなく、外国語でのサポートや海外マーケティング等が必要な業種など、時間帯・通信手段・言語を問わず幅広い活用が可能になります。また、1人のオペレーターが複数案件対応できるシェアード体制を採っているため、専用の人員を用意する規模にない小型案件にも柔軟に対応でき、かつ、新規案件開始時のオペレーター確保を短期間で行うことができます。さらに、小規模オフィス・店舗向けにクラウド型ビデオ通話システムを利用した1分150円(最低利用限度額3,000円/月)から利用可能な通訳サービス「エコノミー通訳®」を開発し、当社からの直接販売に加えて、代理店への委託による販売や提携企業へのサービス卸売なども行っております。 クライアントでは、当社の多言語カスタマーサービスを利用することで事業領域を拡大し、その結果、これまで逃していた利益獲得につながる事業展開が可能となっております。 <マルチリンガルCRM事業概略図><サービスの例> 日本を取り巻くインバウンド環境においては、2020年初頭より新型コロナウイルス感染症が世界的な猛威を振るったことで急速に停滞し、訪日外国人は激減する形となり、在留外国人においても2019年の293万人をピークに減少に転じたものの、2023年末には417万人に増加いたしました(出典:法務省出入国在留管理庁「在留外国人統計」)。新型コロナウイルス感染症の収束によって、今後は更なる在留外国人の増加が見込まれます。こうした中、在留外国人をサポートする生活インフラ回りの多言語対応は課題となっております。 当事業においては、当社のコンタクトセンターにてクライアントの顧客向けサービスを提供する他に、コンタクトセンター自体の設計、運用検討、オペレーターの採用及び研修、マニュアルやトークスクリプト作成等の構築サービスも提供しております。 「マルチリンガルCRM事業」における多言語事業については成長途上の市場であり、当社のように専門で行っている競合他社は小規模の非上場企業が中心であります。当社は同業他社のアウトソーシングを含めて当事業を運営しております。 (2) セールスアウトソーシング事業「セールスアウトソーシング事業」は、株式会社インバウンドテックと株式会社シー・ワイ・サポートが運営しており、当社グループがクライアントに代わって、クライアントの見込み顧客に対して営業を行うサービスを提供しております。一般的な「セールスアウトソーシング事業」では、成果報酬型と呼ばれる契約形態が多く、見込み顧客との契約が成立した段階でクライアントへの売上が発生するため、業務に従事する営業スタッフがどれだけ契約を獲得できるかという点がポイントになるビジネスモデルですが、当社では営業スタッフの契約獲得量のみではなく、稼動人数あたりの固定売上が併せて支払われる契約を前提とする方針の下で活動しております。このため、より安定した収益構造が形成されている点、及び、クレームになるような過剰な販売勧誘を抑止するコンプライアンス体制である点が特徴であります。 当事業は、当社がクライアントに代わって、当社のコンタクトセンターや業務委託先から、クライアントの見込み顧客に対して、商品等の紹介、販売勧誘、アンケート調査等の営業活動を電話(アウトバウンド)及び訪問により行うことに加え、クライアントの営業員や営業スタッフに対する研修の展開など、営業に関連する様々な業務を請け負っております。さらにクライアントの事務所内において、オペレーターの採用・育成、業務設計、並びにオペレーターを指導・監督するスーパーバイザー(SV)業務など、営業に関する業務を一括して受託する場合もあります。 こうした柔軟な運用体制が当社の「セールスアウトソーシング事業」における最大の特徴となっております。 事業系統図は、以下のとおりであります。
事業の優位性(モート)
事業の質(有価証券報告書から抽出)
数字に出ない事業の性質を、同じ物差しで全銘柄そろえています。FY2025時点の記載が出典です。
| 価格決定力値上げを通せるか。強いほどインフレ耐性が高い | 弱い BPO市場は参入障壁が低く、大手からベンチャーまで多数の企業が参入し競合が激しい。 |
|---|---|
| 参入障壁新規参入を阻む要因の種類 | なし BPO市場は参入障壁が低い点から大手からベンチャーまで多数の企業が参入しており、群雄割拠の状態が続いている。 |
| 顧客集中度特定顧客への依存度。高いほど失注リスクが大きい | 中程度 |
| 景気敏感度業績が景気循環にどれだけ振られるか | 中程度 |
| 規制依存規制は障壁にも足枷にもなる | 中程度 |
会社が挙げる主要リスク:インバウンド需要が伸びない可能性 / 特定取引先への依存と取引変動リスク / 競合激化による競争優位の喪失リスク
同じ条件で他の銘柄を探す → 定性スクリーニング(価格決定力・参入障壁・景気敏感度などで絞り込めます)
モート総合 1 / 25 5類型それぞれの強度と、そう判定した根拠
無形資産☆☆☆☆☆
インバウンドテックは、特定のブランド力や特許、規制ライセンス、独占的IPに関する具体的な情報が不足しており、無形資産による競争優位性は現時点では確認できません。
スイッチングコスト★☆☆☆☆
インバウンドテックのサービスは、特定の予約・管理システムに依存している可能性があり、乗り換えには一定の手間やコストが発生する可能性があります。しかし、その程度は限定的と考えられます。
ネットワーク効果☆☆☆☆☆
現時点では、インバウンドテックのサービスにおいて、ユーザー数の増加がサービスの価値を直接的に高めるネットワーク効果は確認されていません。
コスト優位☆☆☆☆☆
インバウンドテックの事業モデルにおいて、構造的に競合他社よりも低コストでサービスを提供できるような優位性は、現時点では明確に示されていません。
規模の経済☆☆☆☆☆
インバウンドテックの事業規模が、業界全体に対して最適化された少数寡占状態を生み出すほどの規模を持っているかは不明であり、効率規模の優位性は確認できません。
- 時間365日多言語対応日本語を含む12カ国語に常時対応し、24時間365日体制でサービスを提供している点が大きな強みです。これにより、夜間や休日、外国人からの問い合わせも逃さず対応でき、顧客企業の事業機会損失を防ぎ、顧客満足度向上に貢献します。
- 柔軟な案件対応力1人のオペレーターが複数の案件に対応できるシェアード体制を採用しているため、専用の人員を確保する規模ではない小規模案件にも柔軟に対応可能です。また、新規案件開始時のオペレーター確保も短期間で行えるため、顧客企業の急なニーズにも迅速に対応できます。
- 安定収益型の営業代行セールスアウトソーシング事業では、成果報酬型だけでなく、稼働人数に応じた固定売上が支払われる契約を前提としています。これにより、安定した収益構造を確保しつつ、過剰な販売勧誘を抑止するコンプライアンス体制を構築し、顧客企業のブランドイメージ保護にも貢献しています。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
経営戦略
有価証券報告書「経営方針・対処すべき課題・MD&A」の全文を見る(年度切替)
経営方針・経営戦略
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】 当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は以下の通りであります。文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末において当社グループが判断したものであります。(1)経営方針 当社グループは、「私たちが関わる全ての人に最上級の感動を提供し続けること」をミッションとして、大きく変化・進化し続ける社会の中で、「常にお客様の要望に応えるため、一人一人がより良き選択肢を「思考」し「行動」すること」、「お客様、仲間、全てのステークホルダーに貢献するため、常に良きサービスを探求し、提供し続けること」を経営理念として掲げております。また、中長期的なビジョンとして「企業・エンドユーザーの枠を超えた全ての利用者が豊かになるサービスを提供する」ことを目標に、時間・言語の枠にとらわれない、あらゆるニーズに対応するグローバルなコンタクトセンターを中心に、カスタマー向けサービス提供企業として持続的な成長を目指してまいります。 (2)経営環境 マルチリンガルCRM事業については、人手不足や技術革新に対応するための外国人人材の受け入れ拡大及び観光先進国の実現という政府の方針の下、在留外国人及び訪日外国人旅行者(インバウンド)の増加を背景に様々な分野で事業機会が広がるとみられております。政府は技能実習生に対する現行制度の改善や専門的な技術力や知識を有する高度外国人材の更なる就業促進に向けても取り組んでおり、在留外国人の人口は、2020年初頭より新型コロナウイルス感染症が世界的な猛威を振るったことで2019年の293万人をピークに減少に転じたものの、2023年末には417万人に増加いたしました(出典:法務省出入国在留管理庁「在留外国人統計」)。同じく訪日外国人旅行者(インバウンド)数もコロナ禍の影響で激減しておりましたが、観光庁「明日の日本を支える観光ビジョン」(2016年3月)及び「観光ビジョン実現プログラム2020」(2020年7月)において、訪日外国人旅行者(インバウンド)数は2030年に6,000万人を目指すとされ、中長期的には回復・増加に転じており、外国人に対応したマルチリンガルCRMサービスのニーズは今後も高まるものと想定しております。また、CRMやSNSによるVOC(Voice of Customer:顧客の声)などのビッグデータをAI(人工知能)にてリアルタイムに収集・分析することによって、新たなマーケティング活動や業務改善をクライアントに提案・提供する動きが活発化しております。 セールスアウトソーシング事業については、オペレーターの確保・育成、スーパーバイザーによる業務指導・監督、顧客サポート、コンプライアンス研修まで一括して提供するなど、クライアントとの協業関係が深まっております。そのためクライアントのニーズに対応した高いコンサルティング能力や効率的な業務運営体制が必要となっております。 (3)目標とする経営指標(連結) 当社グループは、持続的な成長と企業価値の向上のため、収益力を高めるとともに、経営の効率化を図ってまいります。売上高営業利益率を重要な経営指標と位置づけ、各経営課題に取り組んでまいります。 (4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題①コンサルティング営業の強化 当社は、既存クライアントと信頼関係を保ちながら、ビジネスパートナーとして協業関係を深耕していくとともに、外国人労働者増加に伴い、在留外国人向けのインフラサービスを提供する自治体や企業の多言語化ニーズを取り込み、新規クライアントの獲得を推進していく方針であります。そのため、営業人員の増加に加え、営業員間での取引事例や課題についての情報共有による顧客対応能力の強化等に積極的に取り組んでおります。クライアントの視点からは気付き難いエンドユーザー目線でのニーズの拾い上げやサービスの利用方法の指導等により、取引機会の拡大を推進してまいります。 ②サービス品質の向上 24時間365日、多言語に対応するマルチリンガルCRM事業は発展途上のサービスと認識しており、クライアントやエンドユーザーにとっての利便性・満足度を向上させ、利用頻度の高いサービスへの進化が重要な課題であると考えております。コアな要望を持つクライアント向け専用のコンタクトセンターの開設や映像通訳システムのアップデート、オペレーターの対応能力の強化等により、サービス品質の向上を図ってまいります。 ③コンシューマー向けサービス展開の推進 マルチリンガルCRM事業における取引先は企業・自治体が中心ですが、事業領域の拡大のため、今後はコンシューマー向けサービス展開の推進が必要であると認識しております。AIと人間(当社オペレーター)がハイブリッド対応する通訳機能に特化した端末や世界中に点在する通訳者とユーザーをマッチングさせるプラットフォーム等、新たにコンシューマー向けサービスの開発に取り組み、事業領域の拡大を図ってまいります。 ④セールスアウトソーシング事業におけるインフラ関連商材の取り扱い拡大 当社のセールスアウトソーシング事業は、設立以来、市場のニーズや時代の流行に合わせて適宜、取り扱う商材・サービスを入れ替え、事業を展開しており、現在、当社が取り扱う商材・サービスは、東京電力グループである東京電力エナジーパートナー株式会社の電力関連が中心となっております。今後も、同社グループとの取引関係を重視かつ、協業関係を深耕していくとともに、経営資源の拡充により当社が得意とするインフラ関連の新たな商材・サービスの取り扱いを推進してまいります。 ⑤グローバル展開の推進 マルチリンガルCRM事業については、成長著しいアジア市場をはじめとする海外市場への事業展開を視野に入れております。具体的には、海外企業との提携による対応言語の拡大や業務対応キャパシティの向上、さらには多国籍企業や日本で事業展開を行う外資系企業など海外クライアントの開拓など事業のグローバル展開を検討しております。 ⑥ビッグデータの収集・分析によるサービス品質の向上・新たな付加価値の創造 これまで当社に集積された通話・通訳の録音データは、新たな価値の創造につながる重要な資産であると認識しております。今後、当社AI通訳の精度向上、業界別・場面別にデータをAIにて分析しマーケティングやコンサルティング分野への応用、開発企業へのデータ提供等、ビッグデータの活用に取り組んでまいります。 ⑦優秀な人材の確保と育成 当社は、今後持続的な成長を遂げるために、優秀な人材の確保及び成長フェーズに沿った組織設計、人材育成体制の強化が不可欠、かつ、課題であると認識しております。 優秀な人材の確保のため、新卒採用を開始し、成長の資質を備え、かつ、当社の企業風土に合致した人材の登用を進めるとともに、人材育成体制の整備を推進し、人材の定着と組織力の底上げを図ってまいります。 ⑧内部管理体制の強化 当社グループの従業員数は、臨時雇用者を含めて196名(2025年3月末現在)であり、内部管理体制も当該規模に応じたものとなっております。今後も事業規模の拡大を図っていくため、必要なスキルをもった人材を適宜確保・育成しながら内部管理体制の強化を推進してまいります。
対処すべき課題
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】 当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は以下の通りであります。文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末において当社グループが判断したものであります。(1)経営方針 当社グループは、「私たちが関わる全ての人に最上級の感動を提供し続けること」をミッションとして、大きく変化・進化し続ける社会の中で、「常にお客様の要望に応えるため、一人一人がより良き選択肢を「思考」し「行動」すること」、「お客様、仲間、全てのステークホルダーに貢献するため、常に良きサービスを探求し、提供し続けること」を経営理念として掲げております。また、中長期的なビジョンとして「企業・エンドユーザーの枠を超えた全ての利用者が豊かになるサービスを提供する」ことを目標に、時間・言語の枠にとらわれない、あらゆるニーズに対応するグローバルなコンタクトセンターを中心に、カスタマー向けサービス提供企業として持続的な成長を目指してまいります。 (2)経営環境 マルチリンガルCRM事業については、人手不足や技術革新に対応するための外国人人材の受け入れ拡大及び観光先進国の実現という政府の方針の下、在留外国人及び訪日外国人旅行者(インバウンド)の増加を背景に様々な分野で事業機会が広がるとみられております。政府は技能実習生に対する現行制度の改善や専門的な技術力や知識を有する高度外国人材の更なる就業促進に向けても取り組んでおり、在留外国人の人口は、2020年初頭より新型コロナウイルス感染症が世界的な猛威を振るったことで2019年の293万人をピークに減少に転じたものの、2023年末には417万人に増加いたしました(出典:法務省出入国在留管理庁「在留外国人統計」)。同じく訪日外国人旅行者(インバウンド)数もコロナ禍の影響で激減しておりましたが、観光庁「明日の日本を支える観光ビジョン」(2016年3月)及び「観光ビジョン実現プログラム2020」(2020年7月)において、訪日外国人旅行者(インバウンド)数は2030年に6,000万人を目指すとされ、中長期的には回復・増加に転じており、外国人に対応したマルチリンガルCRMサービスのニーズは今後も高まるものと想定しております。また、CRMやSNSによるVOC(Voice of Customer:顧客の声)などのビッグデータをAI(人工知能)にてリアルタイムに収集・分析することによって、新たなマーケティング活動や業務改善をクライアントに提案・提供する動きが活発化しております。 セールスアウトソーシング事業については、オペレーターの確保・育成、スーパーバイザーによる業務指導・監督、顧客サポート、コンプライアンス研修まで一括して提供するなど、クライアントとの協業関係が深まっております。そのためクライアントのニーズに対応した高いコンサルティング能力や効率的な業務運営体制が必要となっております。 (3)目標とする経営指標(連結) 当社グループは、持続的な成長と企業価値の向上のため、収益力を高めるとともに、経営の効率化を図ってまいります。売上高営業利益率を重要な経営指標と位置づけ、各経営課題に取り組んでまいります。 (4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題①コンサルティング営業の強化 当社は、既存クライアントと信頼関係を保ちながら、ビジネスパートナーとして協業関係を深耕していくとともに、外国人労働者増加に伴い、在留外国人向けのインフラサービスを提供する自治体や企業の多言語化ニーズを取り込み、新規クライアントの獲得を推進していく方針であります。そのため、営業人員の増加に加え、営業員間での取引事例や課題についての情報共有による顧客対応能力の強化等に積極的に取り組んでおります。クライアントの視点からは気付き難いエンドユーザー目線でのニーズの拾い上げやサービスの利用方法の指導等により、取引機会の拡大を推進してまいります。 ②サービス品質の向上 24時間365日、多言語に対応するマルチリンガルCRM事業は発展途上のサービスと認識しており、クライアントやエンドユーザーにとっての利便性・満足度を向上させ、利用頻度の高いサービスへの進化が重要な課題であると考えております。コアな要望を持つクライアント向け専用のコンタクトセンターの開設や映像通訳システムのアップデート、オペレーターの対応能力の強化等により、サービス品質の向上を図ってまいります。 ③コンシューマー向けサービス展開の推進 マルチリンガルCRM事業における取引先は企業・自治体が中心ですが、事業領域の拡大のため、今後はコンシューマー向けサービス展開の推進が必要であると認識しております。AIと人間(当社オペレーター)がハイブリッド対応する通訳機能に特化した端末や世界中に点在する通訳者とユーザーをマッチングさせるプラットフォーム等、新たにコンシューマー向けサービスの開発に取り組み、事業領域の拡大を図ってまいります。 ④セールスアウトソーシング事業におけるインフラ関連商材の取り扱い拡大 当社のセールスアウトソーシング事業は、設立以来、市場のニーズや時代の流行に合わせて適宜、取り扱う商材・サービスを入れ替え、事業を展開しており、現在、当社が取り扱う商材・サービスは、東京電力グループである東京電力エナジーパートナー株式会社の電力関連が中心となっております。今後も、同社グループとの取引関係を重視かつ、協業関係を深耕していくとともに、経営資源の拡充により当社が得意とするインフラ関連の新たな商材・サービスの取り扱いを推進してまいります。 ⑤グローバル展開の推進 マルチリンガルCRM事業については、成長著しいアジア市場をはじめとする海外市場への事業展開を視野に入れております。具体的には、海外企業との提携による対応言語の拡大や業務対応キャパシティの向上、さらには多国籍企業や日本で事業展開を行う外資系企業など海外クライアントの開拓など事業のグローバル展開を検討しております。 ⑥ビッグデータの収集・分析によるサービス品質の向上・新たな付加価値の創造 これまで当社に集積された通話・通訳の録音データは、新たな価値の創造につながる重要な資産であると認識しております。今後、当社AI通訳の精度向上、業界別・場面別にデータをAIにて分析しマーケティングやコンサルティング分野への応用、開発企業へのデータ提供等、ビッグデータの活用に取り組んでまいります。 ⑦優秀な人材の確保と育成 当社は、今後持続的な成長を遂げるために、優秀な人材の確保及び成長フェーズに沿った組織設計、人材育成体制の強化が不可欠、かつ、課題であると認識しております。 優秀な人材の確保のため、新卒採用を開始し、成長の資質を備え、かつ、当社の企業風土に合致した人材の登用を進めるとともに、人材育成体制の整備を推進し、人材の定着と組織力の底上げを図ってまいります。 ⑧内部管理体制の強化 当社グループの従業員数は、臨時雇用者を含めて196名(2025年3月末現在)であり、内部管理体制も当該規模に応じたものとなっております。今後も事業規模の拡大を図っていくため、必要なスキルをもった人材を適宜確保・育成しながら内部管理体制の強化を推進してまいります。
MD&A(経営者による分析)
4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】 当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。 (1)経営成績等の状況の概要 当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は、次のとおりであります。 ① 財政状態の状況資産の部 当連結会計年度末における流動資産は前連結会計年度末に比べ217,864千円減少し2,064,593千円となり、主な内訳は現金及び預金1,407,147千円、売掛金480,316千円であります。また、固定資産は前連結会計年度末に比べ716,491千円減少し778,916千円となり、内訳は有形固定資産116,147千円、無形固定資産496,726千円、投資その他の資産166,041千円であります。以上により、資産合計は前連結会計年度末に比べ934,355千円減少し2,843,510千円となりました。 負債の部 当連結会計年度末における流動負債は前連結会計年度末と比較して99,817千円減少し742,388千円となり、主な内訳は買掛金71,795千円、短期借入金400,000千円、1年内返済予定の長期借入金144,000千円であります。また、固定負債は前連結会計年度末と比較して135,182千円減少し117,843千円となり、主な内訳は長期借入金108,000千円であります。以上により、負債合計は前連結会計年度末と比較して235,000千円減少し860,232千円となりました。 純資産の部 当連結会計年度末における純資産合計は前連結会計年度末と比較して699,355千円減少し1,983,277千円となりました。主な内訳は資本金548,024千円、資本剰余金536,449千円、利益剰余金635,496千円、非支配株主持分327,586千円であります。 ② 経営成績の状況 当連結会計年度における当社グループを取り巻く事業環境は、マルチリンガルCRM事業における日本語案件につきましては、民間企業から受託する案件数は安定的な増加が続いておりますが、案件単位での売上・利益の額が大きい官公庁等の入札業務については、競合の参入増による競争激化に加えて昨今の経済状況から係る人件費の高騰など厳しい環境が続き、当初計画を下回る推移となりました。一方、多言語分野に係る業務の受注及び入電数については、インバウンド需要増に伴い順調に増加傾向が続いており、今後も安定した成長が見込まれる状況です。しかしながら、日本語の入札業務の剥落分をカバーできるまでの規模には至りませんでした。また、事業の新たな柱を目指して前期より医師会及び健康保険組合の帳票作成代行等のヘルスケアBPO事業に取り組んでおりますが、当該事業については成長途上であり、人材の採用活動費用及び人件費並びに事業拠点の整備に係る費用などについて先行支出が続いており、収益化が視野に入りつつある状況となっておりますが、グループへの利益貢献につきましては2026年3月期後半以降になるものと見込んでおります。また、連結子会社である株式会社OmniGridにつきましては、同社が提供するIVRサービスの主顧客であるEPARKのID数が昨年ごろから予想を上回る減少となり、今後回復の見込みがないこと及びIP音声サービスであるBizTAPの主要な開発は完了したものの、販売実績が計画を下回る推移であり、損益分岐となる獲得まで相当な時間を要する状況であることなどを鑑み、IVRサービス及びBizTAPに関する事業売却を決定した結果、のれん及び固定資産の減損損失として604,596千円を計上いたしました。 セールスアウトソーシング事業においては、主力業務であります訪問による東京電力グループの顧客向け営業業務が計画に近い形で進捗してまいりました。また、もう一つの主力業務であるソフトバンクモバイルにおける契約勧奨業務については、中間連結会計期間以降徐々に計画との乖離が生じ、加えて今期に計画していた新規案件の立ち上がりが計画より大きく遅れている状況となっていることから、セグメント売上高・利益共に計画を下回る推移となりました。 その結果、当期の売上高は前期と比べ773,535千円減少し2,544,543千円、営業利益は前期と比べ308,842千円減少し21,387千円、経常利益は前期と比べ308,829千円減少し15,851千円、減損損失を計上したことを主因に、親会社株主に帰属する当期純損失414,576千円となりました(前期親会社株主に帰属する当期純利益208,291千円)。 セグメント別の状況は以下のとおりであります。また、各事業分野のセグメント利益は、全社管理部門費用403,806千円を含まない額であります。 (マルチリンガルCRM事業) マルチリンガルCRM事業におきましては、日本語を含む12カ国語を活用し、外国人と日本人のコミュニケーション問題を解決する多言語・通訳ソリューションを24時間365日体制で提供しております。 コロナ禍以降長らく低迷していた多言語によるサポートニーズですが、訪日外国人観光客の増加に伴い、当期においては入電数や新規案件の引き合い増など、インバウンド関連は回復基調が右肩上がりで継続しております。しかしながら、BtoB市場におけるインバウンド関連の本格的な需要増及び業績への更なる寄与につきましては途上であると認識しております。また、前期までセグメント売上・利益を大きく牽引していた新型コロナウイルス関連のスポット案件のシュリンクに伴い、新たな事業の柱とするべく医師会及び健康保険組合の帳票作成代行等のヘルスケアBPO事業に取り組んでおりますが、当該事業については成長途上であり、人材の採用活動費用及び人件費並びに事業拠点の整備に係る費用などについて先行支出が続いております。当事業については収益化が視野に入りつつある状況となっておりますが、グループへの利益貢献につきましては今しばらく時間を要するものと見込んでおります。また、案件単位の売上・利益の額が大きい官公庁等の入札業務については、競合の参入増や係る人件費の高騰に加え、公示が見込みを下回ったことなどから、当初計画を下回る厳しい環境となりました。一方、民間企業からの日本語案件につきましては受託は安定して増加基調にあり、今期後半からは通販のカスタマーサポートなどの新たなセグメントの主軸が見込まれる業務が立ち上がっております。 以上の結果、マルチリンガルCRM事業全体では、売上高は前期と比べ434,956千円減少し1,783,653千円、セグメント利益は前期と比べ222,056千円減少し302,413千円となりました。 (セールスアウトソーシング事業) セールスアウトソーシング事業では、主に当社がクライアント企業に代わって見込みユーザーに対してインサイドセールス等を行っております。当期については主力業務であります訪問による東京電力グループの顧客向け営業業務が計画に近い形で進捗してまいりました。また、もう一つの主力業務であるソフトバンクモバイルにおける契約勧奨業務については、今期半ば以降徐々に計画との乖離が生じ、加えて今期に計画していた新規案件の立ち上がりがクライアントとの条件折衝や稼働人員の確保などに時間を要したことで、計画より大きく遅れた状況となったことから、セグメント売上高・利益共に計画を下回る推移となりました。 以上の結果、セールスアウトソーシング事業全体では、売上高は前期と比べ338,578千円減少し760,890千円、セグメント利益は前期と比べ116,504千円減少し122,780千円となりました。 ③ キャッシュ・フローの状況 当連結会計年度における現金及び現金同等物は前連結会計年度末に比べ294,388千円減少し、現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は1,407,147千円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。 (営業活動によるキャッシュ・フロー) 当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、75,846千円の収入で、税金等調整前当期純損失の計上、減損損失の発生、減価償却費、のれん償却額などの発生により前年同期に比べ110,692千円の収入減少となりました。 (投資活動によるキャッシュ・フロー) 当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、145,429千円の支出で、固定資産の取得などによるものです。前年同期に比べ62,290千円の支出減少となりました。 (財務活動によるキャッシュ・フロー) 当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、224,804千円の支出で、短期借入れによる収入及び長期借入金の返済及び自己株式の取得などによるものです。前年同期に比べ97,076千円の支出減少となりました。④ 生産、受注及び販売の実績a.生産実績 当社の提供するサービスの性質上、生産実績の記載になじまないため、記載を省略しております。 b.受注実績 当社の提供するサービスの性質上、受注実績の記載になじまないため、記載を省略しております。 c.販売実績 当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。セグメントの名称当連結会計年度(自 2024年4月1日 至 2025年3月31日)販売高(千円)前年同期比(%)マルチリンガルCRM事業1,783,653△19.6セールスアウトソーシング事業760,890△30.8合計2,544,543△23.3(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。 相手先前連結会計年度(自 2023年4月1日至 2024年3月31日)当連結会計年度(自 2024年4月1日至 2025年3月31日)金額(千円)割合(%)金額(千円)割合(%)東京電力エナジーパートナー株式会社509,56015.4462,76718.2ソフトバンク株式会社463,92914.0262,60910.3 (2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末において判断したものであります。 ① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。その作成には、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要としております。経営者は、これらの見積りについて、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、見積りによる不確実性のため、実際の結果はこれらの見積りと異なる場合があります。 ② 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容a.財政状態の分析財政状態の分析につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態の状況」に記載のとおりであります。b.経営成績の分析(売上高) 当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度に比べ773,535千円減少し、2,544,543千円となりました。これは主にマルチリンガルCRM事業における官公庁や自治体などの公共関連業務の受注が予測を下回ったこと及びセールスアウトソーシング事業におけるソフトバンク株式会社のテレマーケティング案件が計画を下回ったことに加え、新規案件が計画通りの推移に至らなかったことによるものであります。 (売上原価、売上総利益) 売上原価は、前連結会計年度に比べ454,673千円減少し、1,972,446千円となりました。これは主に売上高の減少に伴う外注費が減少したことなどによるものです。その結果、売上総利益は、前連結会計年度に比べ318,861千円減少し、572,096千円となりました。 (販売費及び一般管理費、営業利益、売上高営業利益率) 販売費及び一般管理費は前連結会計年度に比べ10,018千円減少し、550,709千円となりました。この結果、営業利益は前連結会計年度に比べ308,842千円減少し、21,387千円となりました。また、売上高営業利益率は0.8%となっております。 (営業外収益、営業外費用及び経常利益) 営業外収益は主に利息の受取により1,201千円、営業外費用は主に借入金の利息支払いにより6,737千円となり、この結果、経常利益は前連結会計年度に比べ308,829千円減少し、15,851千円となりました。 (特別利益、特別損失及び当期純利益) 自己新株予約権消却益により特別利益を837千円、株式会社OmniGridの一部事業売却の決定によりのれん及び固定資産の減損損失として特別損失を604,596千円計上し、税金等調整前当期純損失は587,908千円となりました。また、法人税等合計が53,414千円、非支配株主に帰属する当期純損失226,747千円となり、親会社株主に帰属する当期純損失は414,576千円となりました(前期親会社株主に帰属する当期純利益208,291千円)。 ③ 経営成績に重要な影響を与える要因について 当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因については「第2 事業の状況 3.事業等のリスク」に記載の通りであります。 ④ キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報 当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローは、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。 当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、当社の資金需要の主なものは、運転資金、法人税等の支払、借入金の返済等であり、その資金の源泉といたしましては、営業活動によるキャッシュ・フロー、金融機関からの長期及び当座貸越による短期借入により、必要とする資金を調達しております。これらの資金需要に対し、現状は自己資金の範囲内で賄えており、当連結会計年度末における現金及び預金残高は1,407,147千円であり、現状の当社グループの資金需要に対して十分な流動性を確保しております。今後は当社サービスの認知度向上のための広告宣伝費及び事業拡大にかかる人材採用費並びに人件費に加え、さらにシステム開発等の投資を実施していく方針であります。これらの資金需要につきましては、自己資金、金融機関からの借入及び新株発行等により資金調達していくことを基本方針としておりますが、財政状態を勘案しつつ、資金使途及び需要額に応じて柔軟に検討を行う予定であります。 ⑤ 目標とする経営指標 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等については「第2 事業の状況 1.経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。当連結会計年度における分析につきましては「(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容 ② 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容 b.経営成績の分析」に記載の通りであります。 ⑥ 経営者の問題認識と今後の方針について 当社グループの事業に関係が深いインバウンド環境の現状については、中長期的にみれば訪日外国人旅行者の増加によって更なる市場拡大が予想され、それに伴う企業の取り組みが拡大及び深化するものと見込まれます。特に、民泊関連やホテルなどからの受注が見込まれていることから、当社グループとしては、積極的に同業種への拡販に努めてまいります。 このような環境の中、当社グループは引き続き幅広い業種のクライアントに満足頂けるソリューションの提供に努め、質の高いサービスを提供し、継続的な取引をして頂くことで、売上及び利益の最大化を図ってまいります。
事業リスク
- インバウンド需要の変動マルチリンガルCRM事業はインバウンド需要に大きく依存しており、法律・規制の変更、社会・政治・経済情勢の変化などにより訪日外国人旅行者数やインバウンド需要が伸び悩んだ場合、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
- 特定取引先への依存セールスアウトソーシング事業を中心に、東京電力グループなど特定の取引先数社に売上が集中する傾向があります。これらの取引先との関係悪化や、取扱商材・サービスの入れ替えが計画通りに進まない場合、業績に影響が出る可能性があります。
- 競合激化と代替技術BPO市場は参入障壁が低く、大手からベンチャーまで多数の企業が参入しており競争が激しいです。また、AIや音声認識技術の発達により、熟練オペレーターに代替し得る自動応答システムが出現した場合、同社の競争優位性が損なわれる可能性があります。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
有価証券報告書「事業等のリスク」の全文を見る(年度切替)
3【事業等のリスク】 本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が提出会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。 なお、以下の記載事項については、本書提出日現在において当社グループが判断したものであり、将来において不確実性を内在しているため、実際の結果とは異なる可能性があります。 (1)事業環境に関するリスクについて①インバウンド需要について 当社グループはマルチリンガルCRM事業において本書提出日現在、日本語を含め12カ国語に対応する体制を整えており、中長期的にはコロナ禍によって減少したインバウンドの回復に伴い様々な分野でのインバウンド需要の拡大が見込まれるものと判断しております。当社グループでは単なる外国人向けCRM業務の受託にとどまらず、クライアントに対してインバウンド需要を取り込むための新たなCRMの企画提案に注力するとともに、対応言語の拡大や業務対応キャパシティの向上を行っております。しかしながら、法律または規制の変更、社会・政治及び経済情勢の変化等により訪日外国人旅行者(インバウンド)数やインバウンド需要が伸びない場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 ②クライアントの業況について 当社グループは新規クライアントの開拓、サービスを提供するクライアントの業種を拡大し、特定の業界・クライアントの景況に左右されないよう事業展開を図っております。しかしながら、当社グループはBtoBtoCの事業形態であることから、クライアントの業況や外注方針等によって業務受託量や受託価格が左右される結果、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 ③特定取引先への依存状況について 当社グループは主にセールスアウトソーシング事業において、経営資源配分の関係などから特定の販売先数社に取引が集中する傾向にあり、さらにその相手先についても、市場のニーズや時代の流行に合わせて適宜、取り扱う商材・サービスを入れ替える必要があることから、年度によって大きく変遷しております。2019年3月期からは東京電力グループとの間でセールスアウトソーシング事業を中心に業務を受託しており、同グループに対する売上高が2023年3月期653,567千円(当社グループ売上高比19.9%)、2024年3月期509,560千円(当社グループ売上高比15.4%)、2025年3月期463,589千円(当社グループ売上高比18.2%)であります。当社グループでは、来期以降も同社グループとの取引関係を重視し、さらに、経営資源の拡充により新たな商材・サービスの取り扱いを推進していく方針でありますが、同グループとの取引や取扱商材・サービスの入れ替えが計画通りに進まなかった場合や、他の受託会社における不祥事等の発生により、行政処分またはクライアントの自主的判断によって営業活動が停止となった場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 ④競合会社について 当社グループは、BPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)として主にマルチリンガルCRMサービス、営業アウトソーシングサービスを提供しております。マルチリンガルCRMサービスにおいては大手の寡占化が進んでおり、各社付加価値を高めてサービスの質の向上を目指すと共に、派生する事業への参入を進めるなど競合が進んでおります。また、BPOは市場規模が2023年度において約4.8兆円(出典:株式会社矢野経済研究所「BPO(ビジネスプロセスアウトソーシング)市場調査(2024年)」(2024年11月))と大きな市場ではありますが、参入障壁が低い点から大手からベンチャーまで多数の企業が参入しており、群雄割拠の状態が続いております。 当社グループの特徴として営業機能を備えた24時間365日、多言語に対応するマルチリンガルCRMサービスの提供など得意分野に特化した差別化戦略を採用しておりますが、今後同領域に新規参入が続き、当社グループが明確な競争優位を維持できなかった場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 (2)事業内容に関するリスクについて①クライアントとの契約について クライアントとの契約期間は1ヵ月から年単位まで様々ありますが、主要取引先との契約において他企業への切り替えや内製化に伴う途中解約等によって契約更新が行われなかった場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。②代替システムの発達による優位性や競争力の低下について 当社グループは、熟練した専門オペレーションスタッフを育成することによってエンドユーザー目線の顧客満足度が高いマルチリンガルCRMサービスや成果の大きい営業アウトソーシングサービスをクライアントに提供しており、それが当社グループの優位性や競争力になっているものと認識しております。しかしながら、将来的に通信技術やAI、音声認識等の技術革新に伴って熟練した専門オペレーションスタッフに代替し得る完成度の高い自動音声応答システムが出現した場合には、当社グループの優位性や競争力が損なわれ、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 ③システムトラブルについて 当社グループは通信インフラの利用について、電話回線の他にインターネット回線を利用したIP通話や、クラウド型のCTI(Computer Telephony Integration)システム(注)を利用しております。これら通信インフラの堅牢性向上のためサーバーの負荷分散、稼働状況の常時監視、バックアッププランの確立等の手段を講じることで、システムトラブルの防止及び回避に努めております。しかしながら、何らかのトラブルによるインターネット回線の遮断やCTIシステムのトラブルなどにより通信インフラが損なわれ、障害が生じた場合には、責任の所在にかかわらず損害賠償請求による損失の発生や信用の失墜により、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。(注)CTI(Computer Telephony Integration)システムとは、電話がかかってきた際に、電話の着信音と同時にその顧客情報をコンピュータ画面に表示させるものであります。 ④事業のグローバル展開について 当社グループではマルチリンガルCRM事業において海外企業との提携による対応言語の拡大や業務対応キャパシティの向上、さらには多国籍企業や日本で事業展開を行う外資系企業など海外クライアントの開拓など事業のグローバル展開を推進しております。しかし、現在のところは取り組みから間もない段階にあり、事業のグローバル展開が今後進捗し、当社グループが期待するような成果を実現できる保証はありません。 (3)組織体制に関するリスクについて①人材の確保及び雇用形態について 当社グループの事業は人材の質・量に大きく左右されるビジネスモデルであることから、事業の中核となる専門知識やスキルを持った優秀な人材に加え、コンタクトセンターにおけるオペレーションスタッフ及びスーパーバイザーの確保と育成が大きな課題であります。当社グループでは通年採用による求人及び、人事制度の改定、各種研修の実施等により、人材の確保及び定着率上昇を常に意識しております。しかしながら、経済環境や雇用情勢の変化等により計画どおりの人員を確保することができなかった場合には、増加する業務量に対応できずサービス品質の低下を招くなどクライアントの信用を喪失し、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。なお、コンタクトセンターにおけるオペレーションスタッフについては、契約社員、受入派遣社員、パートタイムなど多様な雇用形態が存在しております。近年、これら非正規雇用に関する労働法令が頻繁に改正されており、人材を安定的に確保していくうえで雇用形態や処遇を見直す必要が生じた場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 ②小規模組織体制について 当社グループは現状の事業規模に応じた比較的小規模な経営管理組織及び業務執行体制で運営を行っております。今後は事業拡大に合わせて、専門知識やスキルを持った優秀な人材の確保・育成に努めながら経営管理組織及び業務執行体制の充実を図っていく方針でありますが、計画どおりに優秀な人材の確保・育成が進まない場合、あるいは役職員が予期せず退社した場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 ③内部管理体制の強化について 当社グループでは、企業価値の継続的な増大を図るにはコーポレート・ガバナンスが有効に機能することが必要不可欠であると認識し、今後とも業務の適正性及び財務報告の信頼性の確保のために内部管理体制の適切な運用、さらに健全な倫理観に基づく法令遵守を徹底してまいります。しかしながら、事業の急速な拡大により、内部管理体制の構築が追いつかず、コーポレート・ガバナンスが有効に機能しなかった場合には、適切な業務運営が困難となり、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 (4)法的規制に関するリスクについて①情報管理に関するリスク 当社グループでは、クライアントが取得・管理する個人情報及び機密情報を取り扱っております。当社グループでは個人情報の取扱いと管理には細心の注意を払い、情報管理の重要性を鑑み、2016年10月にプライバシーマークを取得して以降、日本工業規格(JISQ15001:2006)に合致した個人情報保護規程を策定し、個人情報の機密性を高める施策を講じており、さらに2021年7月には情報セキュリティマネジメントシステムであるISMS(JISQ27001:2014)認証を取得しております。しかしながら、当社グループが取り扱う個人情報及び機密情報について何らかの理由により情報漏洩や改ざん、不正使用等の事態が生じた場合には、損害賠償請求による損失の発生や信用の失墜により、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 ②法的規制について セールスアウトソーシング事業では、エンドユーザーに対する営業活動を代行または代理する場合があり、電気通信事業法、特定商取引法、電気事業法など法的規制を遵守する義務があります。そのため、業務委託先を含めてコンプライアンス研修の徹底に努めているほか、クライアントによる定期的な監査も受けておりますが、何らかの不適切な営業活動等によってエンドユーザーからクレームを受けるなどしてクライアントの評判や信用を毀損した場合には、損害賠償請求による損失の発生や信用の失墜により、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 (5)その他のリスクについて①自然災害等による影響について 地震、台風、津波等の自然災害、火災、停電、各種感染症等が発生した場合、当社グループの事業運営に深刻な影響を及ぼす可能性があります。特に、当社グループの本社及び代理店・提携企業の主要な事業拠点である首都圏及び近畿圏、コンタクトセンターがある鹿児島県南さつま市において大規模な自然災害等が発生した場合には、正常な事業運営が行えなくなる可能性があり、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 当社グループでは、自然災害等が発生した場合に備え、危機管理体制を整備しておりますが、自然災害等による人的、物的損害が甚大である場合は、事業の継続そのものが不可能になる可能性があります。 ②レピュテーションリスクについて SNS等の急速な広がりは、個人同士または個人と企業との多岐にわたる相互コミュニケーションを可能とする一方、SNS等を通じた情報はその真偽に関わらず急速に拡散される可能性があり、コントロールが難しい側面を持ちます。 当社グループの事業における風評や批判的評価、誤った情報等がSNS等を通じて拡散した場合、当社グループの社会的信用が毀損し、レピュテーションの低下が、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。(注)レピュテーションリスクとは、企業に対する批判的な評価や評判が広まることで、ブランド価値や企業の信用が低下し、損失を被るリスクのことをいいます。 ③ストック・オプションの行使による株式価値の希薄化について 当社グループは、取締役及び従業員に対して当社グループの業績向上に対する意欲や士気を高め、より一層の企業価値向上を図ることを目的として、新株予約権方式によるストック・オプション制度を採用しております。新株予約権が権利行使された場合、当社株式が新たに発行され、既存の株主が有する株式の価値及び議決権割合が希薄化する可能性があります。なお、2025年6月1日時点におけるこれらの新株予約権による潜在株式数は307,200株であり、発行済株式総数の12.3%に相当しております。また、当社グループは今後においても優秀な人材確保のためにストック・オプション制度を活用していくことを検討しており、現在付与している新株予約権に加え、将来付与される新株予約権について権利行使が行われた場合には、当社グループの1株当たりの株式価値が希薄化する可能性があります。 ④配当政策について 当社グループは、株主に対する利益還元を重要な経営課題と認識しており、財政状態及び経営成績を勘案して、株主への利益配当を実現することを基本方針としております。しかしながら、当社グループは事業拡大の途上にあり、経営計画達成のための事業展開と財政基盤強化のために必要な内部留保を優先するため、これまでのところ配当は実施しておりません。現時点においても、当社グループは事業拡大の途上にあると認識し内部留保の充実に努めておりますが、将来的には、財政状態及び経営成績を勘案しながら株主への利益還元を実行する方針であります。なお、現時点において、配当実施の可能性及びその実施時期等については未定であります。