研究開発費(時系列)
| 年度 | R&D費用(億円) | 設備投資(億円) |
|---|---|---|
| 2025-03 | - | 92 |
| 2024-03 | - | 121 |
| 2023-03 | - | 112 |
| 2022-03 | - | 101 |
| 2021-03 | - | 65 |
研究開発活動(本文)
FY2025|4,410 文字
6【研究開発活動】 当社グループは、アルミ電解コンデンサ、導電性高分子アルミ固体電解コンデンサ、導電性高分子ハイブリッドアルミ電解コンデンサ、フィルムコンデンサ、小形リチウムイオン二次電池等の電子デバイスを主体としたコンデンサ事業と、家庭用/公共・産業用蓄電システム、EV・PHV用急速充電器、V2Hシステムの環境関連製品、スイッチング電源、機能モジュール、研究・医療・産業用特殊電源等の回路製品を主力製品としたNECST事業を展開し、「エネルギー・環境・医療機器」、「自動車・車両関連機器」、「白物家電・産業用インバータ機器」、「情報通信機器」の4市場を重点分野と定め、高信頼性、高安全性、高機能性を追求し、競争力に優れる新製品開発により社会課題の解決に貢献し、既存事業の拡大と新規事業の創出に努めています。 当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費は7,230百万円であり、セグメントごとの内訳は、コンデンサ事業2,146百万円、NECST事業5,084百万円です。セグメント区分ごとの研究開発状況は、次のとおりです。(1)コンデンサ事業①アルミ電解コンデンサは、カーボンニュートラルを目指して急速に電動化が進む「自動車・車両関連機器」向け、また高度化するネットワーク社会においては生成AIサーバーなど「情報通信機器」向けで需要が拡大する導電性高分子アルミ固体電解コンデンサおよび導電性高分子ハイブリッドアルミ電解コンデンサの開発に取り組みました。さらに情報通信機器や各種インフラ装置に電力を供給するために不可欠な高性能電源、省力化ロボットなどの産業用インバータ、EV(電気自動車)・PHEV(プラグインハイブリッド)において不可欠なOBC(車載充電器)に向けたアルミ電解コンデンサにおいては、小形・高容量化、高温度対応、長寿命化による商品力強化に取り組みました。これらの研究成果として、導電性高分子アルミ固体電解コンデンサにおいては、AIサーバー、通信基地局などの情報通信機器で課題になっているデータ処理量増加に伴う消費電力増加、機内温度上昇といった市場ニーズに対して、業界最高水準の125℃ 12,000時間保証のチップ形導電性高分子アルミニウム固体電解コンデンサ「PCYシリーズ」を市場投入、情報通信機器におけるデータ処理の高度化、高信頼化に貢献します。導電性高分子ハイブリッドアルミ電解コンデンサでは、xEV(EV、HEV、PHEV、FCEV)のみならずICE(内燃機関)も含めて電動化が急速に進んでいます。これら各種ECUでは小形化、高性能化が進んでおり、搭載コンデンサに対してさらなる高容量化、大電流対応を求めるニーズが高まっており、当社は従来の標準シリーズ「GYAシリーズ」から3ランク上の高容量化と最大1.8倍の高リプル化を実現した「GYGシリーズ」を開発しました。特に大電流対応が求められているEPS(電動パワーステアリング)、EWP(電動ウォーターポンプ)、EOP(電動オイルポンプ)といった用途において機器の小形化、軽量化へ貢献します。アルミ電解コンデンサでは、車載関連機器用途で要求が高まっている高リプル電流重畳保証のリード線形アルミニウム電解コンデンサ「UTFシリーズ」を開発しました。コンデンサに出し入れ可能な充放電電流を表す許容リプル電流値を最大51.1%向上させました。EV、PHEVに不可欠なOBC(車載充電器)では搭載電池の大容量化を背景に短時間充電が求められており、大電流対応コンデンサはこの実現に貢献します。また、情報通信分向け製品として、通信基地局用電源では、部品実装の高密度化およびデータ通信量の増加による高出力化に伴い電源内部の高温度化が進んでおり、この市場ニーズに対応すべく、従来シリーズに対して2.5倍の長寿命化を図った125℃ 5,000時間保証の「UBRシリーズ」を開発、市場投入しました。②小形リチウムイオン二次電池「SLBシリーズ」は、異常時にも発煙発火の可能性が極めて低い特長が評価されて2019年の販売開始以来、累計5,000万個以上を出荷する小形二次電池市場におけるベストセラー製品です。現在、カーボンニュートラルに向け、使い捨て一次電池から自然界のエネルギーを電気に変換する「環境発電」と「二次電池」の組み合わせへの置き換え検討が進行しており、電池には極低温から高温まで対応できる広範な温度耐久性が求められています。この市場ニーズに対して、製品の使用温度範囲を従来製品の最高使用温度60℃から80℃に高めた高温耐久品を開発しました。従来電池を使用することが難しかった環境、用途への採用拡大を見込んでいます。③フィルムコンデンサは、xEVに搭載される走行用モータの駆動インバータに不可欠なDC-LINKコンデンサ用途で需要が引き続き拡大しています。当社は主要材料である金属蒸着フィルムを自社開発する強みを活かして、高耐電圧化、大電流対応を実現、車種ごとに形状、搭載性を考慮したモジュール設計技術をさらに進化させたことで、国内外メーカーの多くの車種に採用されています。大容量電池を搭載するEVでは、充電時間短縮を背景とした800V以上の高電圧化ニーズ、SiC(シリコンカーバイド)などパワー半導体の進化に伴い、125℃を超える高温度化ニーズが見込まれることから、当社はフィルム材料の性能向上や蒸着パターン技術の開発、DC-LINKコンデンサ本体と周辺部品も融合させ高度なモジュール化技術を実現するための製法、設備など、生産技術開発にも注力しています。④電力・機器用コンデンサでは、防災形進相コンデンサ「GeoDRY®」をはじめ、受変電高圧側、または末端低圧負荷側に設置される用途に各種進相コンデンサとその附属機器をラインアップしています。進相コンデンサは、社会インフラを支えるために製品安全性を最優先に、誘電体絶縁破壊時に自己回復する信頼性の高い「金属蒸着電極(SH)コンデンサ」を全機種に採用しています。附属機器は、省エネルギー化を目的としてさらに導入が進むインバータ機器から発生する高調波電流に起因した電力系統の電圧ひずみや、お客さまの配電系統における高調波電流障害から設備や電気機器を保護するため高調波継電器を市場投入、高調波障害から電気機器を守るとともに、電力バックアップや電力供給の安定化に寄与する瞬時電圧低下/停電補償装置などの関連装置を取り揃え、BCP対策をはじめ総合的に高品位な電力の安定化を提案しています。 (2)NECST事業当社グループは、「価値ある製品を創造し、明るい未来社会づくりに貢献」することを経営理念に掲げ、その具現化を目指して、再生可能エネルギーの普及、エネルギーの地産地消、EVやPHVなどの次世代自動車とそのインフラの普及を目指した取り組みを進めています。2020年10月に日本政府が発表した方針において、2050年にカーボンニュートラルを目指すことを掲げ、環境関連政策を重視する姿勢を明確にしました。世界中でガソリン車からEVに大きくシフトが始まっていますが、日本においてもEVや充電インフラ設備の購入や設置費用に対して政府や地方自治体から様々な導入支援策が出され、それに伴いV2H、急速充電器の需要が広がってきています。この状況に対応する製品として当社は、新型EVパワー・ステーション(V2H)や大容量の急速充電器の開発、提供を進めています。また、運輸事業者の車両の電動化に対応すべく、商用EV(EVバス、EVトラック)向け急速充電器「サイクリックマルチ充電器」を開発しました。TCFDやCDPといった世界的な気候変動対策の広がりを受け、企業各社からはカーボンニュートラルに向けた具体的な取り組みや計画が開されており、企業の投資行動を後押しする国の支援策も多くなってきました。この動向を先取りする製品として、公共・産業用蓄電システムにV2Hを3台直流リンクで接続したシステムが再生可能エネルギーを効率よく使える装置を開発、それが評価され、令和5年度の新エネルギー大賞を受賞することができました。さらに、将来的に期待される水を電気分解して水素を製造するシステムの電源の開発をNEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)の事業として山梨県と共に進めています。水電解システム開発のNEDO事業に6年前から参加し、この電源部分を開発、その成果を500kWワンパックモデルとして製品化しました。今後は規模を拡大して効率よく水素を発生するシステムの開発も進めます。医療関係分野では、がん治療として注目されている粒子線(陽子線・重粒子線)治療向けの医療用加速器電源の性能向上や、小型化など次世代の粒子線治療装置に求められる電源の開発に取り組みました。研究用途の加速器電源では、東北地方に新たに建設される日本国内初の高輝度中型3GeV級放射光施設「NanoTerasu(ナノテラス)」向けに電源を開発、納入し、現地試験の上、引き渡しが完了しました。また、事務機器向けスイッチング電源関連では、新たな分野への展開を目指して技術開発を進めています。 (3)産学連携による研究開発最近は技術の進歩が早く、最新の技術を取り入れた製品の開発には産学連携を効果的に活用することが重要になってきています。そうした状況の中、当社は、2016年9月に東京大学生産技術研究所と包括的な産学連携研究協力協定を締結し、一定額のファンドを原資として複数のテーマをその道の専門家である教授陣と柔軟に共同研究できる体制を構築しました。この共同研究実施にあたり当社技術者を東京大学生産技術研究所へ派遣し、コンデンサの素材基礎開発からNECST事業の次世代ビジネスに関わるシミュレーションや、家庭用蓄電システムやV2Hの先進デザインにより、製品価値の向上とブランドイメージ確立を行っていきます。一方、次世代半導体として期待され、一部に実用化が進んでいるSiCのモジュール化の開発においては、大阪大学などと共同開発を継続的に行っており、NECST製品やサービスの要素開発やプラットフォーム構築、および製品開発に寄与しています。また、2024年10月に長崎総合科学大学と「未来指向グリーンエネルギー変換ニチコン共同研究講座」を設置しました。電力変換器の効率改善だけでなく、負荷の変動に応じて電力変換器を最適動作させるEMS(エネルギーマネジメントシステム)の開発と機器の開発効率を向上させるためのシミュレーション技術の構築を目指します。こうした産学連携を継続することで大学の教員と当社社員との交流を通じて知のネットワークが広がりつつあります。
FY2024|4,015 文字
6【研究開発活動】 当社グループは、アルミ電解コンデンサ、導電性高分子アルミ固体電解コンデンサ、導電性高分子ハイブリッドアルミ電解コンデンサ、フィルムコンデンサ、小形リチウムイオン二次電池等の電子デバイスを主体としたコンデンサ事業と、家庭用/公共・産業用蓄電システム、EV・PHV用急速充電器、V2Hシステムの環境関連製品、各種電源、機能モジュール、応用関連機器等の回路製品を主力製品としたNECST事業を展開し、「エネルギー・環境・医療機器」、「自動車・車両関連機器」、「白物家電・産業用インバータ機器」、「情報通信機器」の4市場を重点分野と定め、高信頼性、高安全性、高機能性を追求し、競争力に優れる新製品開発に取り組んでいます。 当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費は6,579百万円であり、セグメントごとの内訳は、コンデンサ事業1,950百万円、NECST事業4,629百万円です。セグメント区分ごとの研究開発状況は、次のとおりです。(1)コンデンサ事業①アルミ電解コンデンサは重点分野向け製品の研究開発に取り組みました。カーボンニュートラルを目指して急速に電動化が進む「自動車・車両関連機器」、高度化するネットワーク社会を支える5G通信基地局、生成AIサーバーといった「情報通信機器」において需要が拡大する導電性高分子アルミ固体電解コンデンサおよび導電性高分子ハイブリッドアルミ電解コンデンサの開発に取り組みました。また情報通信機器や各種インフラ装置に電力を供給するために不可欠な高性能電源、省力化ロボットなどの産業用インバータ、EV(電気自動車)・PHEV(プラグインハイブリッド)において不可欠なOBC(車載充電器)に向けたアルミ電解コンデンサにおいて、小形・高容量化、高温度対応、長寿命化による商品力強化に取り組みました。これら研究成果として、導電性高分子固体アルミ電解コンデンサにおいては、生成AIサーバーで採用が拡大しているチップ形導電性高分子アルミニウム固体電解コンデンサ「PCRシリーズ」をベースに、生成AIサーバーの電力消費増大に伴うリプル電流性能強化(大電流対応)ニーズに対応した、業界最高125℃高許容リプル電流重畳保証チップ形導電性高分子アルミニウム固体電解コンデンサ「PCAシリーズ」を開発、市場投入しました。導電性高分子ハイブリッドアルミ電解コンデンサでは、xEV(EV、HEV、PHEV、FCEV)のみならずICE(内燃機関)も含めて電動化が急速に進んでいる自動車用途において、特に大電流対応が求められているEPS(電動パワーステアリング)、EWP(電動ウォーターポンプ)、EOP(電動オイルポンプ)といった燃費性能改善効果が高い一方で、アルミ電解コンデンサにとっては過酷なアプリケーションに最適化を図るため、リプル電流性能を従来比で1.3~2.1倍に強化して業界トップレベルの高リプル電流対応品となる、135℃4,000時間保証導電性高分子ハイブリッドアルミニウム電解コンデンサ「GXCシリーズ」を開発、市場投入しました。アルミ電解コンデンサでは、各種電源用途、EV・PHEVのOBC用途などに最適な小形アルミ電解コンデンサとして、従来品と比較して製品高さで最大50%、体積比で最大52.4%の小形化を実現した、105℃5,000時間保証小形長寿命リード線形アルミニウム電解コンデンサ「UTHシリーズ」を市場投入しました。②小形リチウムイオン二次電池「SLBシリーズ」は、異常時にも発煙発火の可能性が極めて低い特長が評価されて2019年の販売開始以来、累計5,000万個以上を出荷する小形二次電池市場におけるベストセラー製品です。現在、カーボンニュートラルに向け、使い捨て一次電池から自然界のエネルギーを電気に変換する「環境発電」と「二次電池」の組み合わせへの置き換え用途検討が進行していますが、当社はこの用途に向けた評価ボードを開発、太陽光をはじめ様々な環境発電デバイスと「SLBシリーズ」を用いた電源回路を簡易に評価することが可能になりました。③フィルムコンデンサは、xEVに搭載される走行用モータの駆動インバータに不可欠なDC-LINKコンデンサ用途で需要が拡大しています。高い信頼性とコンパクト化を両立させるニーズに対して、当社は主要材料である金属蒸着フィルムを自社開発する強みを活かして、高耐電圧化、大電流対応を実現し、これまでに多くのxEVに採用された実績があります。また、車種ごとに形状、搭載性を考慮したモジュール設計技術をさらに進化させ、国内外メーカーの多くの車種に採用されています。今後、特にEVにおける充電時間短縮を背景とした800V以上の高電圧化ニーズ、SiC(シリコンカーバイド)などパワー半導体の進化に伴い、125℃を超える高温度化ニーズが見込まれることから、当社はフィルム材料の性能向上や蒸着パターン技術の開発、DC-LINKコンデンサ本体と周辺部品も融合させ高度なモジュール化技術を実現するための製法、設備など、生産技術開発にも注力しています。④電力・機器用コンデンサでは、防災形進相コンデンサ「GeoDRY®」をはじめ、受変電高圧側、または末端低圧負荷側に設置される用途に各種進相コンデンサとその附属機器をラインアップしています。進相コンデンサは、社会インフラを支えるために製品安全性を最優先に、誘電体絶縁破壊時に自己回復する信頼性の高い「金属蒸着電極(SH)コンデンサ」を全機種に採用しています。附属機器は、省エネルギー化を目的としてさらに導入が進むインバータ機器から発生する高調波電流に起因した電力系統の電圧ひずみや、お客さまの配電系統における高調波電流障害から設備や電気機器を保護するため高調波継電器を市場投入、高調波障害から電気機器を守るとともに、電力バックアップや電力供給の安定化に寄与する瞬時電圧低下/停電補償装置などの関連装置を取り揃え、BCP対策をはじめ総合的に高品位な電力の安定化を提案しています。(2)NECST事業当社グループは、「価値ある製品を創造し、明るい未来社会づくりに貢献」することを経営理念に掲げ、その具現化を目指して、再生可能エネルギーの普及、エネルギーの地産地消、EVやPHVなどの次世代自動車とそのインフラの普及を目指した取り組みを進めています。2020年10月に日本政府が発表した方針において、2050年にカーボンニュートラルを目指すことを掲げ、環境関連政策を重視する姿勢を明確にしました。世界中でガソリン車からEVに大きくシフトが始まっていますが、日本においてもEVや充電インフラ設備の購入や設置費用に対して政府や地方自治体の補助金が増額され、それに伴いV2H、急速充電器の需要が広がってきています。この状況に対応する製品として当社は、新型EVパワー・ステーション(V2H)や大容量の急速充電器の開発、提供を進めています。2022年4月に東京証券取引所の市場区分の再編に伴い、プライム上場企業に対し環境に関する情報開示が求められるようになりました。その中にはカーボンニュートラルに向けた具体的な取り組みや計画の開示も含まれており、企業の投資行動を後押しする国の支援策も多くなってきました。この動向を先取りする製品として、公共・産業用蓄電システムにV2Hを3台直流リンクで接続したシステムが再生可能エネルギーを効率よく使える装置を開発、それが評価され、令和5年度の新エネルギー大賞を受賞することができました。さらに、将来的に期待される水を電気分解して水素を製造するシステムの電源の開発をNEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)の事業として山梨県と共に進めています。水電解システム開発のNEDO事業に6年前から参加し、この電源部分を開発、その成果を500kWワンパックモデルとして製品化しました。今後は規模を拡大して効率よく水素を発生するシステムの開発も進めます。医療関係分野では、がん治療として注目されている粒子線(陽子線・重粒子線)治療向けの医療用加速器電源の性能向上や、小型化など次世代の粒子線治療装置に求められる電源の開発に取り組みました。研究用途の加速器電源では、東北地方に新たに建設される日本国内初の高輝度中型3GeV級放射光施設「NanoTerasu(ナノテラス)」向けに電源を開発、納入し、現地試験の上、引き渡しが完了しました。また、事務機器向けスイッチング電源関連では、新たな分野への展開を目指して技術開発を進めています。(3)産学連携による研究開発最近は技術の進歩が早く、最新の技術を取り入れた製品の開発には産学連携を効果的に活用することが重要になってきています。そうした状況の中、当社は、2016年9月に東京大学生産技術研究所と包括的な産学連携研究協力協定を締結し、一定額のファンドを原資として複数のテーマをその道の専門家である教授陣と柔軟に共同研究できる体制を構築しました。この共同研究実施にあたり当社技術者を東京大学生産技術研究所へ派遣し、コンデンサの素材基礎開発からNECST事業の次世代ビジネスに関わるシミュレーションや、家庭用蓄電システムやV2Hの先進デザインにより、製品価値の向上とブランドイメージ確立を行っていきます。一方、次世代半導体として期待され、一部に実用化が進んでいるSiCのモジュール化の開発においては、大阪大学などと共同開発を継続的に行っており、NECST製品やサービスの要素開発やプラットフォーム構築、および製品開発に寄与しています。こうした産学連携を継続することで大学の教員と当社社員との交流を通じて知のネットワークが広がりつつあります。
FY2023|3,841 文字
6【研究開発活動】 当社グループは、アルミ電解コンデンサ、導電性高分子アルミ固体電解コンデンサ、導電性高分子ハイブリッドアルミ電解コンデンサ、フィルムコンデンサ、小形リチウムイオン二次電池等の電子デバイスを主体としたコンデンサ事業と、家庭用/公共・産業用蓄電システム、EV・PHV用急速充電器、V2Hシステムの環境関連製品、各種電源、機能モジュール、応用関連機器等の回路製品を主力製品としたNECST事業を展開し、「エネルギー・環境・医療機器」、「自動車・車両関連機器」、「白物家電・産業用インバータ機器」、「情報通信機器」の4市場を重点分野と定め、高信頼性、高安全性、高機能性を追求し、競争力に優れる新製品開発に取り組んでいます。当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費は6,273百万円です。製品区分毎の研究開発状況は、次のとおりです。(1)コンデンサ事業①アルミ電解コンデンサは、電極箔や電解液といった主要部材を自社で研究開発する強みを活かして、重点分野向け製品の研究開発に取り組みました。カーボンニュートラルを目指して急速に電動化が進む「自動車・車両関連機器」、高度化するネットワーク社会を支える5G通信基地局やサーバーといった「情報通信機器」において需要拡大する導電性高分子アルミ固体電解コンデンサおよび導電性高分子ハイブリッドアルミ電解コンデンサ、各種電源装置やエアコンインバータ等の白物家電・産業用インバータ機器、情報通信機器に加え、EVの世界的な普及に伴いOBC(車載充電器)などの自動車・車両関連機器が伸長するアルミ電解コンデンサにおいて、小形・高容量化、高温度対応、長寿命化といった商品力強化に取り組みました。これらの研究成果として、導電性高分子固体アルミ電解コンデンサは情報通信機器から車載機器まで需要拡大している組込みCPU/FPGAボードに最適な業界最高レベルの125℃3000時間保証の「RDSシリーズ」を市場投入し、高温度・高信頼ニーズへの対応を図りました。また、MLCC(積層セラミックコンデンサ)が使用されていた大電流用途に対して、業界初となるリプル電流重畳で耐久性を保証する125℃2000時間保証の「PCWシリーズ」を開発しました。導電性高分子ハイブリッドアルミ電解コンデンサは、業界トップレベルの高容量化を達成した新シリーズ「GYFシリーズ」を市場投入し、小形・高容量化ニーズへの対応強化を図りました。②小形リチウムイオン二次電池「SLBシリーズ」は、異常時にも発煙発火の可能性が極めて低い特長を活かした開発を進めました。エネルギーハーベスティング用PMIC(パワーマネジメントIC)のリーディングカンパニーであるe-peas(ベルギー)と小形チタン酸リチウムイオン(LTO)二次電池のリーディングカンパニーである当社は、高性能PMICとマイクロエネルギー貯蔵デバイスという独自の価値を組み合わせ、バッテリーメンテナンス不要の超小型、軽量、長期間に渡る電源供給ソリューションをセンサー機器開発者に提案開始しました。③フィルムコンデンサは、xEV(EV、HEV、PHEV、FCEV)に搭載される走行用モータの駆動インバータに不可欠なDC-LINKコンデンサ用途で需要が拡大しています。高い信頼性とコンパクト化を両立させるニーズに対して、当社は基本材料である金属蒸着フィルムを自社開発するとともに、これまでに多くのxEVに採用された実績を活かして、車種ごとに最適な性能をより小形サイズで提案できることを強みとし、国内外メーカーの多くの車種に採用されています。今後の技術トレンドとして、特にEVにおける充電時間短縮を背景とした800V以上の高電圧化ニーズ、SiC(シリコンカーバイド)などパワー半導体の進化に伴い、125℃を超える高温度化ニーズが見込まれることから、当社はフィルム材料の性能向上や蒸着パターン技術の開発、DC-LINKコンデンサ本体と周辺部品も融合させ高度なモジュール化技術を実現するための製法、設備など、生産技術開発にも注力しています。④電力・機器用コンデンサでは、防災形進相コンデンサ「GeoDRY®」をはじめ、受変電高圧側、または末端低圧負荷側に設置される用途に各種進相コンデンサとその附属機器をラインアップしています。進相コンデンサは、製品の安全性を重視し、誘電体絶縁破壊時に自己回復する信頼性の高い「金属蒸着電極(SH)コンデンサ」を全機種に採用しています。附属機器は、省エネルギー化を目的としてさらに導入が進むインバータ機器から発生する高調波電流に起因した電力系統の電圧ひずみや、お客さまの配電系統における高調波電流障害から設備や電気機器を保護するための高調波継電器を市場投入しました。この高調波継電器は、一般的な高調波に対する保護モードに加え、コンデンサ回路に特化した保護モードなど、保護対象に応じた保護モードの選定ができるほか、保護方式においても電圧ひずみ率、電流ひずみ率、電流値の3種類の保護方式に対応でき、高調波障害から電気機器を守ります。加えて、電力のバックアップや安定化に寄与する瞬時電圧低下/停電補償装置などの関連装置を取り揃え、BCP対策をはじめ総合的に高品位な電力の安定化を提案しています。(2)NECST事業当社グループは、「価値ある製品を創造し、明るい未来社会づくりに貢献」することを経営理念に掲げ、その具現化を目指して、再生可能エネルギーの普及、エネルギーの地産地消、EVやPHVなどの次世代自動車とそのインフラの普及を目指した取り組みを進めています。2020年10月に日本政府が発表した方針において、2050年にカーボンニュートラルを目指すことを掲げ、環境関連政策を重視する姿勢を明確にしました。そうした中、世界の自動車メーカーがEVの開発を加速させる動きを見せており、ガソリン車からEVに大きくシフトを始めました。日本においてもEVや充電インフラ設備の購入や設置費用に対して政府や地方自治体の補助金が増額され、それに伴って急速充電器の需要が広がりを見せています。これまでは高速道路のサービスエリアや道の駅などが主な設置場所でしたが、課金制度の見直しや通信機能の拡大などにより民間企業の設置が増加してきております。この状況に対応する商品として課金認証を組み込んだ大容量の急速充電器として2台を同時に充電できる100kW出力システムと一口で50kWの2種類の急速充電器の新製品を開発しました。当社は、充電サービスの提供と充電インフラの整備・拡充を行う株式会社e-Mobility Power様と共同で高速道路のサービスエリア向けに複数の充電ポートを持ち、それぞれの充電ポートの充電電力を可変できる新型200kW出力EV・PHV用マルチ急速充電器を開発し、首都高速道路のサービスエリアなど複数個所に納入しました。2022年4月に東京証券取引所の市場区分の再編に伴い、プライム上場企業に対し環境に関する情報開示を求められるようになりました。その中にはカーボンニュートラルに向けた具体的な取り組みや計画の開示も含まれており、企業の投資行動を後押しする国の支援策も多くなってきました。この社会の動向を先取りする製品として、公共・産業用蓄電システムの大容量化の要請に応えて200kWのパワーコンディショナーと650kWhの蓄電池を備えたシステムを開発し、初号機を納入しました。医療関係分野では、がん治療として注目されている粒子線(陽子線・重粒子線)治療向けの医療用加速器電源の性能向上や、小型化など次世代の粒子線治療装置に求められる電源の開発に取り組みました。研究用途の加速器電源では、東北地方に新たに建設される日本国内初の高輝度中型3GeV級放射光施設「NanoTerasu(ナノテラス)」向けに電源を開発、納入し、現地試験の上、引き渡しが完了しました。事務機器向けスイッチング電源関連では、新たな分野への展開を目指して技術開発を進めています。(3)産学連携による研究開発最近は技術の進歩が早く、社内で研究開発だけでは最新の技術を取り入れた製品の開発が難しくなっています。そうした状況の中、当社は最先端技術を社内の開発に取り入れることや、その過程において当社技術者の成長にもつながることを配慮した産学連携プログラムを実施しています。その中でも2016年9月に締結した東京大学生産技術研究所と包括的な産学連携研究協力協定では、一定額のファンドを拠出し、それを原資として複数の教授陣との共同研究をフレキシブルに実施できる体制を構築しています。当社技術者を派遣し、コンデンサの素材基礎開発からNECSTの次世代ビジネスに関わるシミュレーションまで、多岐にわたる開発テーマを展開しており、当社技術者の育成にも効果を発揮しています。一方、次世代半導体として期待され、一部に実用化が進んでいるSiCのモジュール化の開発においては、大阪大学などと共同開発を継続的に行っており、NECST製品やサービスの要素開発やプラットフォーム構築、および商品開発に寄与しています。こうした産学連携を数年来継続しており、大学の教員と当社社員との交流も深まり、当社技術者に対する教育効果を含めて研究開発力強化が図られつつあります。
FY2022|3,990 文字
5【研究開発活動】 当社グループは、アルミ電解コンデンサ、導電性高分子アルミ固体電解コンデンサ、フィルムコンデンサ、小形リチウムイオン二次電池等の電子デバイスと、各種電源、機能モジュール、応用関連機器等の回路製品を主力製品とし、コンデンサと回路製品設計のコア技術を用いて「エネルギー・環境・医療機器」、「自動車・車両関連機器」、「白物家電・産業用インバータ機器」、「情報通信機器」の4市場を重点分野と定め、高信頼性、高安全性、高機能性を追求し、競争力に優れる新製品開発を展開しています。当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費は5,544百万円です。製品区分毎の研究開発状況は、次のとおりです。(1)コンデンサ事業①アルミ電解コンデンサは、電極箔や電解液といった主要部材を自社で研究開発する強みを活かし、重点分野向け製品の研究開発に取り組みました。電動化が進む「自動車・車両関連機器」、5Gやサーバーといった「情報通信機器」の需要が拡大する導電性高分子アルミ固体電解コンデンサおよび導電性高分子ハイブリッドアルミ電解コンデンサ、各種電源装置やエアコンインバータ等の白物家電・産業用インバータ機器、情報通信機器に加え、EVの世界的な普及に伴ってOBC(車載充電器)などの自動車・車両関連機器が伸長するアルミ電解コンデンサにおいて、小形・高容量化、高温度対応、長寿命化といった商品力強化に取り組みました。これらの研究成果として、導電性高分子ハイブリッドアルミ電解コンデンサは、従来よりさらに高容量化を達成した新シリーズ「GYEシリーズ」を開発、またこれまでφ10x10Lまでのサイズ対応であった「GYA,GYB,GYCシリーズ」にφ10x12.5Lを追加することで、小形・高容量化ニーズへの対応強化を図りました。アルミ電解コンデンサにおいては、5Gサービス提供エリア拡大に伴い、小形通信基地局がビルや地下街、街灯や電柱、屋根裏など温度や湿度環境が過酷でメンテナンス困難な場所にも設置されることから、基板自立形アルミ電解コンデンサは、従来の「LGNシリーズ(105℃3000時間保証)」を125℃対応にした「LHTシリーズ」、チップ形アルミ電解コンデンサは125℃5000時間保証の「UYAシリーズ」を市場投入し、高温度、長寿命ニーズへの対応を図りました。②小形リチウムイオン二次電池「SLBシリーズ」は、異常時にも発煙発火の可能性が極めて低い特長を活かした開発を進めました。これまでの単セル提案に加え、複数セルをモジュール化した公称電圧12Vと14.4Vの電池パックを第14回オートモーティブワールドに参考出品しました。セル直列数を変更することで、用途に合わせた電圧仕様にカスタマイズ可能であり、過充電、過放電等に対する保護機能やセルバランス機能なども搭載しています。安全性の高い長所を活かした電源バックアップ、応答性の高い特性を活かした瞬低対策等の需要を見込みます。③フィルムコンデンサは、基本材料である金属蒸着フィルムを自社開発し、自動車・車両関連機器分野、産業機器・電子機器まで幅広く採用されています。今後カーボンニュートラルに向けて電動自動車の流れが益々加速し、EV、HV、PHVなどのモーター駆動用インバータ回路向け平滑用フィルムコンデンサの対応車種を広げ、市場投入しています。これらの駆動用インバータユニットに用いられるフィルムコンデンサは、高周波特性・耐電流性能に優れ、長寿命で高信頼、高安全性に加え、顧客要求に応じたフレキシブルな対応が可能であることから、国内外の自動車メーカーへの採用が拡大しています。今後の技術トレンドとしてパワー半導体の進化による高電圧化、高温度化に対応する誘電体や蒸着パターン技術の開発、システムトータルで小形化に寄与するフィルムモジュール化技術といった製法やライン開発、生産技術開発にも注力しています。また、風力発電、太陽光発電などの再生可能エネルギー分野や汎用インバータなどの産機分野でも長寿命、高信頼の直流フィルタ用コンデンサが強く求められています。こうした市場ニーズに応える直流フィルタ用・平滑用コンデンサとして乾式樹脂モールド形「EJシリーズ」や円筒形「ERシリーズ」を取り揃えています。また当社のフィルムコンデンサは、金属蒸着フィルムに保安機構を採用することで高い安全性を確保するとともに長寿命化を実現しています。④電力・機器用コンデンサでは、防災形進相コンデンサ「GeoDRY®」をはじめ、受変電高圧側、または末端低圧負荷側に設置される用途に各種進相コンデンサとその附属機器をラインアップしています。進相コンデンサは、製品の安全性を重視し、誘電体絶縁破壊時に自己回復する信頼性の高い「金属蒸着電極(SH)コンデンサ」を全機種に採用しています。附属機器は、インバータ機器などによる発生高調波電流を起因とする電力系統の電圧ひずみや、お客さまの配電系統における高調波電流障害から設備や電気機器を保護するための高調波継電器を市場投入しました。この高調波継電器は、一般的な高調波に対する保護モードに加え、コンデンサ回路に特化した保護モードなど、保護対象に応じた保護モードの選定ができるほか、保護方式においても電圧ひずみ率、電流ひずみ率、電流値の3種類の保護方式に対応でき、高調波障害から電気機器を守ります。加えて、電力のバックアップや安定化に寄与する瞬時電圧低下/停電補償装置などの関連装置を取り揃え、BCP対策をはじめ総合的に高品位な電力の安定化を提案しています。(2)NECST事業当社グループは、「価値ある製品を創造し、明るい未来社会づくりに貢献」することを経営理念に掲げ、その具現化を目指して、再生可能エネルギーの普及、エネルギーの地産地消、EVやPHVなどの次世代自動車とそのインフラの普及を目指した取り組みを進めています。2020年10月に日本政府が発表した方針において、2050年にカーボンニュートラルを実現することを掲げ、環境関連政策を重視する姿勢を明確にしました。さらに国内外の機関投資家がESGを投資基準として各企業との対話姿勢を強く示したことから、企業の投資行動も変化を見せており、それを後押しする国の支援策も多くなってきました。この社会の動向を先取りする製品として、公共・産業用蓄電システムのパワーコンディショナーに複数台のV2X(EV用充放電器)を直流(DC)で接続するDCリンク型産業用蓄電システムを開発し、既に自社工場のニチコン亀岡株式会社などに設置しました。また、当社独自の製品として好評をいただいている「トライブリッド蓄電システム®(太陽光発電+蓄電池+V2H)」の新製品を開発し、2022年4月から発売しています。もう一つの潮流として世界の自動車メーカーがEVの開発を加速させる動きを見せており、ガソリン車からEVに大きくシフトを始めました。日本においても高速道路のサービスエリアでEV・PHV用急速充電器の前に行列ができる状況(充電渋滞)が発生しており、EV・PHV用急速充電器の設置拡充が喫緊の課題になってきています。当社は、充電サービスの提供と充電インフラの整備・拡充を行う株式会社e-Mobility Power様と共同で高速道路のサービスエリア向けに複数の充電ポートを持ち、それぞれの充電ポートの充電電力を可変できる新型200kW出力EV・PHV用マルチ急速充電器を開発し、首都高速道路の大黒パーキングエリアに納入しました。一方、地球温暖化の影響と考えられる大型台風や豪雨災害において、公共・産業用蓄電システムや、EVを独立電源として電力を供給する外部給電器「パワー・ムーバー®」は、被災地の避難所などで電気を供給することを可能にし、被災した方々のスマートフォンの充電や、避難所での照明などに活用されています。医療関係分野では、がん治療として注目されている粒子線(陽子線・重粒子線)治療向けの医療用加速器電源の性能向上や、小型化など次世代の粒子線治療装置に求められる電源の開発に取り組みました。研究用途の加速器電源では、東北地方に新たに建設される日本国内初の高輝度中型3GeV級放射光施設「NanoTerasu(ナノテラス)」向けに電源を開発し、納入しました。事務機器向けスイッチング電源関連では、環境関連であるLED用電源など新たな分野への展開を目指して技術開発を進めています。(3)産学連携による研究開発当社は、産学連携を技術開発の重要な要素と位置づけ、積極的な活用を進めております。最先端技術を社内の開発に取り入れることや、その過程において当社技術者の成長にもつながるよう配慮した産学連携プログラムを実施しています。その中でも2016年9月に締結した東京大学生産技術研究所と包括的な産学連携研究協力協定では、一定額のファンドを拠出し、それを原資として複数の教授陣との共同研究をフレキシブルに実施できる体制を構築しています。当社技術者を派遣し、コンデンサの素材基礎開発からNECSTの次世代ビジネスに関わるシミュレーションまで、多岐にわたる開発テーマを展開しており、当社技術者の育成にも効果を発揮しています。一方、次世代半導体として期待され、一部に実用化が進んでいるSiCのモジュール化の開発においては、大阪大学などと共同開発を継続的に行っており、NECST製品やサービスの要素開発やプラットフォーム構築、および商品開発に寄与しています。こうした産学連携を数年来継続しており、大学の教員と当社社員との交流も深まり、当社技術者に対する教育効果を含めて研究開発力強化が図られつつあります。
FY2021|4,056 文字
5【研究開発活動】 当社グループは、アルミ電解コンデンサ、導電性高分子アルミ固体電解コンデンサ、フィルムコンデンサ、小形リチウムイオン二次電池等の電子デバイスと、各種電源、機能モジュール、応用関連機器等の回路製品を主力製品とし、コンデンサと回路製品設計のコア技術を用いて「エネルギー・環境・医療機器」、「自動車・車両関連機器」、「白物家電・産業用インバータ機器」、「情報通信機器」の4市場を重点分野と定め、高信頼性、高安全性、高機能性を追求し、競争力に優れる新製品開発を展開しています。当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費は4,569百万円です。製品区分毎の研究開発状況は、次のとおりです。(1)コンデンサ事業①アルミ電解コンデンサは、電極箔や電解液といった主要部材を自社で研究開発する強みを活かして、上記の重点分野向けに研究開発を進めました。陰極に導電性高分子を用いた導電性高分子アルミ固体電解コンデンサや電解質に導電性高分子と電解液の両方を使用した導電性高分子ハイブリッドアルミ電解コンデンサは、車載機器や情報通信機器で需要拡大しており、高耐熱化や低ESR化といった高性能化を図るとともに、各種電源装置やインバータ機器向け需要の大きな低圧、高圧アルミ電解コンデンサは小形化や長寿命化による商品力強化に取り組みました。導電性高分子ハイブリッドアルミ電解コンデンサでは、車載分野や産業機器分野および5G基地局などの情報通信分野におけるニーズに対応し、高容量タイプの「GYEシリーズ」を新たに開発するとともに、従来は63V定格までのラインアップであった「GYAシリーズ」に、80V定格を新たに追加して高電圧用途への対応を図りました。導電性高分子アルミ固体電解コンデンサでは、業界最高クラスの長寿命化を実現している105℃20000時間保証のチップ形導電性高分子アルミ固体電解コンデンサ「PCLシリーズ」に定格電圧2.5Vを追加しました。データ処理増大により回路電圧安定化が必要なサーバー機器や自動車ADAS機器などのアプリケーションに対して、MLCC(積層セラミック)と比較して静電容量や温度特性の安定性といったメリットを訴求しています。チップ形アルミ電解コンデンサは、車載電装ユニットがエンジンルームや発熱の大きな電動車の走行モーター付近に搭載される機会が増加しているニーズに応えて、超高温度対応の150℃2000時間保証のチップ形アルミ電解コンデンサ「UBHシリーズ」を開発しました。従来品の150℃1000時間保証「UBCシリーズ」に対して長寿命化と最大1.5倍の静電容量を実現したことにより、特に部品搭載スペースの限られた電装ユニットの小形化と高信頼化の両立が実現できます。小形リチウムイオン二次電池「SLBシリーズ」は負極にチタン酸リチウムを採用することで高レートでの急速充放電性能を有し、短絡や劣化の原因となるリチウム金属の析出が起こりにくいことで、破裂・発火の危険性が極めて低い安全な小形リチウムイオン二次電池であることが認められ、リード線形で直径3㎜長さ7㎜の超小形品をIoTエッジ端末やスマートフォン等のスタイラスペンに供給しています。新たに大容量化のニーズに応えて直径8㎜長さ11.5㎜、直径12.5㎜長さ40㎜サイズをラインアップに追加しました。②フィルムコンデンサは、基本材料である金属蒸着フィルムから開発し、自動車・車両関連機器分野、特に環境負荷が小さく、市場拡大の目覚しいHV、EV、PHVなどの動力モーター駆動用インバータ回路向け平滑用フィルムコンデンサの開発に注力しました。これらの駆動用インバータユニットに用いられるフィルムコンデンサは、高周波特性・耐電流性能に優れ、長寿命で高信頼、高安全性に加え、顧客要求に応じたフレキシブルな対応が可能であることから、国内外の自動車メーカーへの採用が大きく拡大しています。今後の技術トレンドとして予想される次世代パワーデバイスSiC採用による高電圧化、高温度化に対応する誘電体や蒸着パターン技術開発、システムトータルで小形化に寄与するフィルムモジュール化技術といった製法や生産技術開発にも注力しています。また、風力発電、太陽光発電などの再生可能エネルギー分野や汎用インバータなどの産機分野でも長寿命、高信頼の直流フィルタ用コンデンサが強く求められています。こうした市場ニーズに応える直流フィルタ用・平滑用コンデンサとして乾式樹脂モールド形「EJシリーズ」や円筒形「ERシリーズ」をとりそろえています。また当社のフィルムコンデンサは、金属蒸着フィルムに保安機構を採用することで安全性を高くするとともに長寿命化を実現しています。③電力・機器用コンデンサでは、防災形進相コンデンサ「GeoDRY®」をはじめ、受変電高圧側、または、末端低圧負荷側に設置される用途に各種進相コンデンサとその附属機器をラインアップしています。進相コンデンサは、製品の安全性を重視し、誘電体絶縁破壊時に絶縁回復する信頼性の高い「金属蒸着電極(SH)コンデンサ」を全機種に採用しています。附属機器は、インバータ機器などによる発生高調波電流を起因とする電力系統の電圧ひずみや、お客さまの配電系統における高調波電流障害から設備や電気機器を保護するための高調波継電器を市場投入しました。この高調波継電器は、一般的な高調波に対する保護モードに加え、コンデンサ回路に特化した保護モードなど、保護対象に応じた保護モードの選定ができるほか、保護方式においても電圧ひずみ率、電流ひずみ率、電流値の3種類の保護方式に対応でき、高調波障害から電気機器を守ります。加えて、電力のバックアップや安定化に寄与する瞬時電圧低下/停電対策装置やパワーコントロールシステムなどの関連装置を取り揃え、BCP対策をはじめ総合的に高品位な電力の安定化を提案しています。(2)NECST事業当社グループは、「価値ある製品を創造し、明るい未来社会づくりに貢献します。」を経営理念に掲げ、その具現化を目指して、再生可能エネルギーの普及、エネルギーの地産地消、EVやPHVなど次世代自動車とそのインフラの普及を目指した取り組みを進めています。2020年10月に政府が発表した方針において、2050年にカーボンニュートラルを実現することを掲げ、環境関連政策を重視する姿勢を明確にしました。その具現化に向けて化石燃料の使用を抑制し、再生可能エネルギーの活用を拡大する政策が打ち出されています。しかしながら太陽光発電や風力発電は気象状況に左右されるため、発電変動が大きいという課題があり、電力系統の安定とエネルギーの有効活用を実現するには蓄電システムとその効果的な運用が必要です。大規模太陽光発電施設の増加に伴い、電力の需給バランスが変化し、大量の余剰電力の発生が生じ、出力抑制というせっかく発電した再生可能エネルギーを利用できない事態が発生しています。このように無駄になっている余剰電力を有効活用して水を電気分解し、水素に転換して貯蔵し、電力が不足する時に水素を用いて発電する試みが国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の支援を得て山梨県で進められています。当社は、再生可能エネルギーが発電した電力で水素製造するための大電流電源の開発を担当し、再生可能エネルギーの有効活用に貢献しています。カーボンニュートラルを支える要素としてZEH(ネットゼロエネルギーハウス)も有望視されており、当社は住宅メーカーが販売しているZEHに家庭用蓄電システムや太陽光発電を含むハイブリッド型、さらにV2H(Vehicle to Home)機能も併せ持ったトライブリッド型などの複合システム商品を設置してZEHの拡大に貢献しています。当連結会計年度は、自立時全負荷対応が可能な家庭用蓄電システムの新商品を開発し、発売しました。また、過年度においては、電気自動車から家庭に電気を供給できるV2Hシステムを業界に先駆けて開発し、EVパワー・ステーション®として市場投入してきました。これらの商品は、公共・産業用蓄電システムや、電気自動車から独立電源を供給するパワー・ムーバー®(V2L)などと共に、最近増加している甚大な自然災害による長期停電時に避難所に電力供給できる商品として、避難された方々に重宝されています。医療関係分野では、がん治療として注目されている粒子線(陽子線・重粒子線)治療向けの医療用加速器電源の性能向上や小型化などに取り組み、国内外の医療機関への納入を増やしました。研究用途の加速器用電源では、東北地方に新たに建設される放射光施設向けの電源の開発が進展しました。事務機器向けスイッチング電源関連では、環境関連であるLED用電源など新たな分野への展開を目指して技術開発を進めています。(3)産学連携による研究開発当社は、産学連携を技術開発の重要な要素と位置づけ、積極的に活用してきております。2016年9月に締結した東京大学生産技術研究所と包括的な産学連携研究協力協定では、当社の技術者を東大に派遣して研究開発を共同で推進し、独自の運営方式により、コンデンサの素材基礎開発からNECSTの次世代ビジネスに関わるシミュレーションまで、幅広い課題を解決するだけでなく、当社技術者の育成にも効果を発揮しています。一方、次世代半導体として期待され、一部に実用化が進んでいるSiCのモジュール化の開発においては、京都大学、大阪大学、大阪工業大学などと共同開発を継続的に行っており、NECSTの要素開発やプラットフォーム構築、および商品開発に寄与しています。こうした産学連携を数年来継続しており、大学の教員と当社社員との関係も深まり、当社の技術者に対する教育効果を含めて研究開発力強化が図られつつあります。
FY2020|4,003 文字
5【研究開発活動】 当社グループは、アルミ電解コンデンサ、導電性高分子アルミ固体電解コンデンサ、フィルムコンデンサ、小形リチウムイオン二次電池等の電子デバイスと、各種電源、機能モジュール、応用関連機器等の回路製品を主力製品とし、コンデンサと回路製品設計のコア技術を用いて「エネルギー・環境・医療機器」、「自動車・車両関連機器」、「白物家電・産業用インバータ機器」、「情報通信機器」の4市場を重点分野と定め、高信頼性、高安全性、高機能性を追求し、競争力に優れる新製品開発を展開しています。当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費は4,496百万円です。製品区分毎の研究開発状況は、次のとおりです。(1)電子機器用コンデンサ①アルミ電解コンデンサは、電極箔、電解液などの基本部材から自社で研究開発し、上記の各重点分野に向けてネジ端子の大形品から面実装に適したチップ品、また、導電性高分子材料を陰極に用いた導電性高分子アルミ固体電解コンデンサ、電解質に導電性高分子と電解液を両方使用した導電性高分子ハイブリッドアルミ電解コンデンサなど多彩なデバイスを取り揃え、使用環境がますます多様化する中でのさらなる高機能化のニーズに応える製品開発に取り組んでいます。チップ形アルミ電解コンデンサでは、車載関連機器の高性能化および長寿命化に最適な高温度、低温ESR規定品として業界最高レベルの125℃2000時間保証、耐久試験後ESR規定品「UCHシリーズ」に、50V品、63V品を新たに追加しラインアップを拡充しました。さらに、現行の150℃対応1000時間保証UBCシリーズに対して1.5倍の静電容量となる150℃2000時間保証品を開発し、これにより現行品では対応できなかった超高温度環境下に使用される様々なアプリケーションに対して、高性能化および長寿命化の実現が期待できます。チップ形導電性高分子アルミ固体電解コンデンサでは、高信頼性が要求される車載用途・産業機器向けに、125℃保証品では業界最長寿命の8000時間保証「PCMシリーズ」を市場投入しました。さらに、業界最高温度150℃2000時間保証の「PCZシリーズ」に、新たに16V品、20V品、50V品、63V品および低背品を追加し、ラインアップを拡充しました。導電性高分子ハイブリッドアルミ電解コンデンサでは、車載分野などにおいて要求される超高温度化に対応するため、150℃1000時間保証の「GYDシリーズ」を市場投入しました。高リプル電流対応でもあり、現行品では対応できなかった超高温度環境下で使用される様々なアプリケーションに対して、高性能化および長寿命化の実現が期待できます。急速充放電・長寿命・高い安全性が特長の小形リチウムイオン二次電池「SLBシリーズ」を量産開始しました。負極にチタン酸リチウムを採用することにより、高レート(最大20C)での急速充放電性能を有し、キャパシタに迫る高入出力密度を実現しました。また、充放電10Cレートで25,000回以上が可能な耐久性と-30℃でも動作可能な低温特性を保持しています。さらに短絡や劣化の原因となるリチウム金属の析出が起こりにくいことで、破裂・発火の危険性が極めて低い安全な小形リチウムイオン二次電池です。Samsung Electronics Co., Ltd.の新型スマートフォン「Galaxy Note10」と「Note10+」に搭載したスタイラスペンにご採用頂きました。②フィルムコンデンサは、基本材料である金属蒸着フィルムから開発し、自動車・車両関連機器分野、特に環境負荷が小さく、市場拡大の目覚しいHV、EV、PHVなどの動力モーター駆動用インバータ回路向け平滑用フィルムコンデンサの開発に注力しています。これらの駆動用インバータユニットに用いられるフィルムコンデンサは、高周波特性・耐電流性能に優れ、長寿命で高信頼、高安全性に加え、顧客要求に応じたフレキシブルな対応が可能であることから、国内外の自動車メーカーへの採用が大きく拡大しています。また、風力発電、太陽光発電などの再生可能エネルギー分野や汎用インバータなどの産機分野でも長寿命、高信頼の直流フィルタ用コンデンサが強く求められています。こうした市場ニーズに応える直流フィルタ用・平滑用コンデンサとして乾式樹脂モールド形「EJシリーズ」や円筒形「ERシリーズ」をとりそろえています。また当社のフィルムコンデンサは、金属蒸着フィルムに保安機構を採用することで安全性を高くするとともに長寿命化を実現しています。(2)電力・機器用コンデンサ電力・機器用コンデンサでは、防災形進相コンデンサ「GeoDRY®」をはじめ、受変電高圧側、または、末端低圧負荷側に設置される用途に各種進相コンデンサとその附属機器をラインアップしています。進相コンデンサは、製品の安全性を重視し、誘電体絶縁破壊時に絶縁回復する信頼性の高い「金属蒸着電極(SH)コンデンサ」を全機種に採用しています。附属機器は、インバータ機器などによる発生高調波電流を起因とする電力系統の電圧ひずみやお客さまの配電系統における高調波電流障害から設備や電気機器を保護するための高調波継電器を市場投入しました。この高調波継電器は、一般的な高調波に対する保護モードに加え、コンデンサ回路に特化した保護モードなど、保護対象に応じた保護モードの選定ができるほか、保護方式においても電圧ひずみ率、電流ひずみ率、電流値の3種類の保護方式に対応でき、高調波障害から電気機器を守ります。加えて、電力のバックアップや安定化に寄与する瞬時電圧低下/停電対策装置やパワーコントロールシステムなどの関連装置を取り揃え、BCP対策をはじめ総合的に高品位な電力の安定化を提案しています。(3)回路製品当社グループは、「価値ある製品を創造し、明るい未来社会づくりに貢献します。」を経営理念に掲げ、その具現化を目指して、再生可能エネルギーの普及、エネルギーの地産地消、EVやPHVなど次世代自動車とそのインフラの普及を目指した取り組みを進めています。ここ数年、大型台風や、集中豪雨による河川の氾濫や長期間の停電など国民の生活に甚大な悪影響を及ぼす異常気象が頻発しています。その対策として、化石燃料の使用を抑制し、再生可能エネルギーの活用を拡大しようと国を挙げて取り組んでいますが、太陽光発電や風力発電は気象状況に左右されるため発電変動が大きく、電力系統の安定とエネルギーの有効活用には蓄電システムが不可欠です。当社は2012年に家庭用蓄電システムの第1号のJET認証取得し、それをベースに太陽光発電を含むハイブリッド型、さらにV2H(Vehicle to Home)機能も併せ持ったトライブリッド型などの複合システム商品を開発し、家庭用蓄電システムのトップシェアを維持し続けています。一方、電気自動車から家庭に電気を供給できるV2Hシステムを業界に先駆けて開発し、EVパワー・ステーション®として市場投入してきました。当連結会計年度は、電力系統に接続できる系統連系型V2HシステムでJET認証第1号を取得しました。これらの商品は、自然災害による長期停電や、避難所における電力供給に役立つ商品として公共・産業用蓄電システムや、電気自動車から独立電源を供給するパワー・ムーバー(V2L)などと共に、社会の課題を解決しております。経営理念にある「よりよい地球環境の実現や明るい未来社会つくり」に貢献すると共に、最近注目されているSDGsの活動の一つとして、大容量の蓄電池と太陽光発電を組み合わせたシステムを開発し、電力系統が不安定な海外(アジア地域)に納入しました。国内では、大規模太陽光発電施設の増加に伴い、大量の余剰電力の発生が懸念されており、その余剰電力を用いて水を電気分解し、水素に転換してそのエネルギーを貯蔵する試みが国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の支援を得て山梨県で進められています。当社は、水素製造のための大電流電源の開発を担当し、将来の再生可能エネルギー大量導入時に余剰エネルギーを有効活用できるようにすることを目指しています。医療関係分野では、がん治療として注目されている粒子線(陽子線・重粒子線)治療向けの医療用加速器電源の性能向上や小型化などに取り組み、日本国内のみではなく海外医療機関への納入を増やしました。研究用途の加速器用電源では、東北地方に新たに建設される放射光施設向けの電源を受注しました。事務機器、デジタル家電機器およびアミューズメント機器向け電源では、新たな分野への展開を視野に入れた技術開発を進めています。(4)産学連携による研究開発現代は、社会の変化や技術革新のスピードが極めて速く、ビジネスチャンスを活かしていくには外部の知見、経験を活用する産学連携が不可欠です。東京大学生産技術研究所と包括的な産学連携研究協力協定を2016年9月に締結し、技術者を派遣して研究開発を推進し、卓越した運営方式により、コンデンサからNECST商品まで、幅広い課題を柔軟かつ素早く解決してきています。大学の教員、当社の組織を含めた関係者のすそ野も広がり、その教育効果を含めて研究開発力強化が図られつつあります。既に14年以上継続している立命館大学とのR&E包括協定では、NECSTに関わる商品開発だけでなく、それを用いたシミュレーションや実証実験など幅広い取り組みが、次世代の商品開発に活かされています。また、MOT教育による最新技術を新規ビジネスに結びつけるノウハウの習得など、新たな価値創造や、新規ビジネスの立ち上げを担う人材の育成を継続して行っています。
FY2019|4,199 文字
5【研究開発活動】 当社グループは、アルミ電解コンデンサ、導電性高分子アルミ固体電解コンデンサ、フィルムコンデンサ等の電子デバイスと、各種電源、機能モジュール、応用関連機器等の回路製品を主力製品とし、コンデンサと回路製品設計のコア技術を用いて「エネルギー・環境・医療機器」、「自動車・車両関連機器」、「白物家電・産業用インバータ機器」、「情報通信機器」の4市場を重点分野と定め、高信頼性、高安全性、高機能性を追求し、競争力に優れる新製品開発を展開しています。当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費は4,818百万円です。製品区分毎の研究開発状況は、次のとおりです。(1)電子機器用コンデンサ①アルミ電解コンデンサは、電極箔、電解液などの基本部材から自社で研究開発し、上記の各重点分野に向けてネジ端子の大形品から面実装に適したチップ品、また、導電性高分子材料を陰極に用いた導電性高分子アルミ固体電解コンデンサなど多彩なデバイスを取り揃え、使用環境がますます多様化する中でのさらなる高機能化のニーズに応える製品開発に取り組んでいます。チップ形アルミ電解コンデンサでは、車載関連機器および情報通信機器において要求される機器の小型化・高性能化に対応する、小形高容量・高リプルの「UCMシリーズ」に業界最高容量レベルのφ12.5~φ18mm品を新たに追加しました。既存の105℃チップ品「UCDシリーズ」に比べ同一サイズで最大約1.9倍の高容量化、約2.1倍の高リプル化を実現し、機器の省スペース化、高性能化に一段と貢献可能にしました。チップ形導電性高分子アルミ固体電解コンデンサでは、高温度条件下でも動作する高信頼性が要求される車載用途向けに、業界最高温度となる150℃ 2,000時間保証を可能とした「PCZシリーズ」を開発しました。また、車載用として業界最高レベルの135℃ 4,000時間保証「PCHシリーズ」に16V、80V品、およびφ6.3サイズの小サイズ品を追加し、ラインアップを拡充しました。さらに、業界最高クラスの長寿命品である高信頼性「PCLシリーズ」には20V、25V品を追加し、製品ラインアップを強化しました。導電性高分子ハイブリッドアルミ電解コンデンサでは、自動車電装分野や産業機器分野で要求される高温度・低ESR・高リプル対応「GYAシリーズ」に加え、民生機器分野および産業機器分野で要求される長寿命・高リプル対応となる105℃ 10,000時間保証の「GYBシリーズ」を開発しました。また、高温度化への要求に対応するため、135℃ 4,000時間保証の「GYCシリーズ」を市場投入しました。また、車載分野や産業機器分野で要求されるアルミ電解コンデンサの高性能化に対応する、高温度・長寿命・高許容リプル、低ESR対応である125℃4,000時間保証の「GYAシリーズ」に、新たに16V品を追加しました。株式会社東芝と技術援助契約を締結し、同社が市場導入しているSCiBTMの技術を応用した小形リチウムイオン二次電池を開発しました。負極にチタン酸リチウムを採用することにより、高レート(最大20C)での急速充放電性能を有し、キャパシタに迫る高入出力密度を実現しました。また、充放電10Cレートで25,000回以上が可能な耐久性と-30℃でも動作可能な低温特性を保持しています。さらに短絡や劣化の原因となるリチウム金属の析出が起こりにくいことで、破裂・発火の危険性が極めて低い安全な小形リチウムイオン二次電池です。当社の強みであるアルミ電解コンデンサ製造で培った多品種の巻回型製品製造技術を活用し、リード線形で直径3mm長さ7mmの超小形から直径12.5mm長さ40mmまでのラインアップを順次市場導入する予定です。今後も効率的なエネルギーの活用を実現する製品群を積極的に開発し、明るい未来社会の実現と地球温暖化の防止に貢献します。②フィルムコンデンサは、基本材料である金属蒸着フィルムから開発し、自動車・車両関連機器分野、特に環境負荷が小さく、市場拡大の目覚しいHV、EV、PHVなどの動力モーター駆動用インバータ回路向け平滑用フィルムコンデンサの開発に注力しています。これらの駆動用インバータユニットに用いられるフィルムコンデンサは、高周波特性・耐電流性能に優れ、長寿命で高信頼、高安全性に加え、顧客要求に応じたフレキシブルな対応が可能であることから、国内外の自動車メーカーへの採用が増えています。また、風力発電、太陽光発電などの再生可能エネルギー分野や汎用インバータなどの産機分野でも長寿命、高信頼の直流フィルタ用コンデンサが強く求められています。こうした市場ニーズに応える直流フィルタ用・平滑用コンデンサとして乾式樹脂モールド形「EJシリーズ」や円筒形「ERシリーズ」をとりそろえています。また当社のフィルムコンデンサは、金属蒸着フィルムに保安機構を採用することで安全性を高くするとともに長寿命化を実現しています。(2)電力・機器用コンデンサ電力・機器用コンデンサでは、防災形進相コンデンサ「GeoDRY®」をはじめ、受変電高圧側、または、末端低圧負荷側に設置される用途に各種進相コンデンサとその附属機器をラインアップしています。進相コンデンサは、製品の安全性を重視し、誘電体絶縁破壊時に絶縁回復する信頼性の高い「金属蒸着電極(SH)コンデンサ」を全機種に採用しています。附属機器は、インバータ機器などによる発生高調波電流を起因とする電力系統の電圧ひずみやお客さまの配電系統における高調波電流障害から設備や電気機器を保護するための高調波継電器を開発しました。この高調波継電器は、一般的な高調波に対する保護モードに加え、コンデンサ回路に特化した保護モードなど、保護対象に応じた保護モードの選定ができるほか、保護方式においても電圧ひずみ率、電流ひずみ率、電流値の3種類の保護方式に対応でき、高調波障害から電気機器を守ります。加えて、電力のバックアップや安定化に寄与する瞬時電圧低下/停電対策装置やパワーコントロールシステムなどの関連装置を取り揃え、BCP対策をはじめ総合的に高品位な電力の安定化を提案しています。(3)回路製品当社グループは、「価値ある製品を創造し、明るい未来社会づくりに貢献します。」を経営理念に掲げ、その具現化を目指して、再生可能エネルギーの普及、エネルギーの地産地消、EVやPHVなど次世代自動車とそのインフラの普及を目指した取り組みを進めています。化石燃料によるCO2発生が地球温暖化を加速させ、それにより、自然災害や異常気象が頻発しています。その対策として、政策的に再生可能エネルギーの活用が拡大していますが、太陽光発電は気象状況に左右されるため発電変動が大きく、その有効活用と安定化には蓄電システムが不可欠です。当社は2012年に電気自動車から家庭に電気を供給できる系統非連系型V2H(Vehicle to Home)システムを業界に先駆けて開発し、EVパワー・ステーション®として市場投入してきました。今年度は、電力系統に接続できる系統連系型V2Hシステムを開発しました。この系統連系型V2Hシステムは様々な利用シーンに合わせて柔軟に活用いただける機能を搭載していることから、将来の分散型電力系統や、それを実現するバーチャル・パワー・プラント(VPP)の実証実験を国内外の企業等と共に推進し、系統連系型V2Hシステムの有効性を検証しています。これは、V2Hシステムを提供する国際的なリーディングカンパニーとして当社に対する高い評価の表れであり、経営理念で掲げる「地球環境の保護」や「明るい未来社会づくり」に具体的に貢献できる未来を先取りした商品です。国内の太陽光発電設備の急激な増加に伴い、需給バランスを崩すような大量の太陽光発電電力が系統に入ることによる電力系統の不安定化や、系統の受容容量を超える地域も現れています。こうしたエネルギーの需給ミスマッチを解決する手法として太陽光発電による発電電力で水を電気分解して水素を発生、貯蔵させる試みが国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の支援を得て山梨県で進められています。このプロジェクトにおいて当社は、水素製造のための大電流電源の開発を担当し、将来の再生可能エネルギー大量導入時の系統安定やエネルギーの有効活用に貢献することを目指しています。医療関係分野では、研究用途の加速器用電源で培ったパワエレ技術を応用し、がん治療として注目されている粒子線(陽子線・重粒子線)治療向けの医療用加速器電源の性能向上や、小型化などに取り組み、国内のみならず、海外案件の受注が増加しています。研究用途の加速器用電源では、X線FEL(Free Electron Laser)のビームを複数にするための振り分けキッカー電磁石電源の開発に対して、加速器学会の技術貢献賞を理化学研究所、高輝度光科学研究センターとともに受賞しました。事務機器、デジタル家電機器およびアミューズメント機器向け電源では、新たな分野への展開を視野に入れた技術開発を進めています。(4)産学連携による研究開発現代は、社会の変化や技術革新のスピードが極めて速く、ビジネスチャンスを活かしていくには外部の知見、経験を活用する産学連携が不可欠です。東京大学生産技術研究所と包括的な産学連携研究協力協定を2016年9月に締結し、技術者を派遣して研究開発を推進し、卓越した運営方式により、コンデンサからNECST商品まで、幅広い課題を柔軟かつ素早く解決してきています。大学の教員、当社の組織を含めた関係者のすそ野も広がり、その教育効果を含めて研究開発力強化が図られつつあります。既に14年以上継続している立命館大学とのR&E包括協定では、NECSTに関わる商品開発だけでなく、それを用いたシミュレーションや実証実験など幅広い取り組みが、次世代の商品開発に活かされています。また、MOT教育による最新技術を新規ビジネスに結びつけるノウハウの習得など、新たな価値創造や、新規ビジネスの立ち上げを担う人材の育成を継続して行っています。
FY2018|4,397 文字
5【研究開発活動】 当社グループは、アルミ電解コンデンサ、導電性高分子アルミ固体電解コンデンサ、フィルムコンデンサ等の電子デバイスと、各種電源、機能モジュール、応用関連機器等の回路製品を主力製品とし、コンデンサと回路製品設計のコア技術を用いて「エネルギー・環境・医療機器」、「自動車・車両関連機器」、「白物家電・産業用インバータ機器」、「情報通信機器」の4市場を重点分野と定め、高信頼性、高安全性、高機能性を追求し、競争力に優れる新製品開発を展開しています。当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費は4,236百万円です。製品区分毎の研究開発状況は、次のとおりです。(1)電子機器用コンデンサ①アルミ電解コンデンサは、電極箔、電解液などの基本部材から自社で研究開発し、上記の各重点分野に向けてネジ端子の大形品から面実装に適したチップ品、また、導電性高分子材料を陰極に用いた導電性高分子アルミ固体電解コンデンサなど多彩なデバイスを取り揃え、使用環境がますます多様化する中でのさらなる高機能化のニーズに応える製品開発に取り組んでいます。小形アルミ電解コンデンサでは、車載用途市場において要求される振動環境に最適な高耐振動構造を有する「UXYシリーズ」の量産を開始しました。さらに、LED照明用・電源全般用として、機器の小型化や出力向上に向け要求されるアルミ電解コンデンサの小形化、低インピーダンス化に対応した「UHWシリーズ」に、φ5×11L~φ10×12.5Lの小形サイズを拡充し、電源用低インピーダンス品としては業界最高レベルとなる最大12,000時間の耐久性を実現しています。チップ形アルミ電解コンデンサでは、車載用として業界最高レベルの125℃ 2,000時間保証、耐久試験後ESR規定品「UCHシリーズ」を定格拡充しました。また、デジタル家電や車載用途として、業界最小の105℃ 2,000時間保証、高容量・低インピーダンス品「UCVシリーズ」の定格を拡充しました。さらにオーディオ機器や映像・音声分野に最適な、業界最高ランクの音質を有するオーディオ用「UCQシリーズ」をラインアップに加えました。導電性高分子ハイブリッドアルミ電解コンデンサでは、自動車電装分野や産業機器分野で要求される高温度・低ESR・高リプル対応「GYAシリーズ」に加え、民生機器分野および産業機器分野で要求される長寿命・高リプル対応となる105℃ 10,000時間保証の「GYBシリーズ」を開発しました。電気二重層コンデンサでは、ドライブレコーダや衝撃感知式ドアロック解除システムなどのバックアップ電源用として、現行品と比較して抵抗は1/4以下、耐久性が2倍の2,000時間となる「JUAシリーズ」を開発し、さらなる用途拡大を可能にしました。東芝インフラシステムズ株式会社と技術援助契約を締結し、同社が市場導入しているSCiBTMの技術を応用した小形リチウムイオン二次電池を開発しました。負極にチタン酸リチウムを採用することにより、高レート(最大20C)での急速充放電性能を有し、キャパシタに迫る高入出力密度を実現しました。また、充放電10Cレートで18,000回以上が可能な耐久性と-30℃でも動作可能な低温特性を保持しています。さらに短絡や劣化の原因となるリチウム金属の析出が起こりにくいことで、発火発煙の危険性が極めて低い安全な小形リチウムイオン二次電池です。当社の強みであるアルミ電解コンデンサ製造で培った多品種の巻回型製品製造技術を活用し、リード線形で直径3mm長さ7mmの超小形から直径12.5mm長さ40mmまでのラインアップを順次市場導入する予定です。今後も効率的なエネルギーの活用を実現する製品群を積極的に開発し、明るい未来社会の実現と地球温暖化の防止に貢献します。②フィルムコンデンサは、基本材料である金属蒸着フィルムから開発し、自動車・車両関連機器分野、特に環境負荷が小さく、市場拡大の目覚しいHV、EV、PHVなどの動力モーター駆動用インバータ回路向け平滑用フィルムコンデンサの開発に注力しています。これらの駆動用インバータユニットに用いられるフィルムコンデンサは、高周波特性・耐電流性能に優れ、長寿命で高信頼、高安全性に加え、顧客要求に応じたフレキシブルな対応が可能であることから、国内外の自動車メーカーへの採用が増えています。また、風力発電、太陽光発電などの再生可能エネルギー分野や汎用インバータなどの産機分野でも長寿命、高信頼の直流フィルタ用コンデンサが強く求められています。こうした市場ニーズに応える直流フィルタ用・平滑用コンデンサとして乾式樹脂モールド形「EJシリーズ」や円筒形「ERシリーズ」をとりそろえています。また当社のフィルムコンデンサは、蒸着フィルムに保安機構を採用することで安全性を高くするとともに長寿命化を実現しています。(2)電力・機器用コンデンサ電力・機器用コンデンサでは、防災型進相コンデンサ「GeoDRY®」をはじめ、受変電高圧側、または、末端低圧負荷側に設置される用途に各種進相コンデンサとその付属機器をラインアップしています。進相コンデンサは、製品の安全性を重視し、誘電体絶縁破壊時に絶縁回復する信頼性の高い「蒸着電極(SH)コンデンサ」を全機種に採用しています。油入式高圧進相コンデンサのモデルチェンジを行い、従来の製品と比べ製品設置面積を最大27%、製品の高さを最大7%小型化し、キュービクルへの収納性と簡便化を図った業界最小クラスのコンデンサを実現しました。製品の保護については、当社の進相コンデンサの特長である自己遮断可能な保安装置を全機種に内蔵しており、設備容量150kvar以上の機種には保護接点(圧力スイッチ)も付属しています。加えて、電力のバックアップや安定化に寄与する瞬時電圧低下/停電対策装置やパワーコントロールシステムなどの関連装置を取り揃え、BCP対策をはじめ総合的に高品位な電力の安定化を提案しています。(3)回路製品当社グループは、「価値ある製品を創造し、明るい未来社会づくりに貢献します。」と経営理念に掲げており、NECST事業は、その具現化のために、再生可能エネルギーの普及、エネルギーの地産地消、EVやPHVなど次世代自動車とそのインフラの普及を目指した取り組みを進めています。地球環境保護には再生可能エネルギーの活用が注目を集めていますが、発電変動が大きく、その有効活用と安定化には蓄電システムが大きな役割を果たします。当社は平成24年に系統連系規定をクリアした家庭用蓄電システムを業界に先駆けて開発し、市場投入してきましたが、今年度は、太陽光発電と蓄電システム、さらに電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド車(PHV)に接続できるV2Hを組み合わせた大容量・高出力トライブリッド蓄電システム「ESS-T1」を開発しました。トライブリッド蓄電システム™は太陽電池と蓄電池とEV・PHVの内蔵電池を直流のまま接続できるため、電気の変換効率がよく、また、さまざまな利用シーンに合わせて柔軟に活用いただける家庭用トータルエネルギーシステムです。特に太陽光で発電した電力を家庭で利用するだけでなく、EVやPHVに充電することで生活のあらゆる場面でCO2を排出しないクリーンでスマートな生活が可能になります。当社が掲げる「地球環境の保護」や「明るい未来社会つくり」に具体的に貢献できる未来を先取りした商品です。上記のことを評価いただき、CEATEC AWARD 2017の「コミュニティ・イノベーション部門」”において「準グランプリ」を受賞しました。平成29年は、欧州各国や、中国政府がEV、PHVへの急激なシフトを打ち出した年でした。世界の潮流として大きな市場拡大が予想されており、上記トライブリッドの追い風になるとともに、これまで取り組んできたEV・PHVに関連する急速充電器やV2Hのビジネスチャンスの拡大につながると期待しております。そうした中、EV・FCV・PHVの電気を非常用電源やアウトドアユースで活用する可搬型のV2L(Vehicle to Load)システムを開発し、EVパワー・ステーション「パワー・ムーバー」として発売を開始しました。産業用途や避難所向けの大容量蓄電システムは、従来までは20kWの変換機と120kWhの蓄電容量が上限でした。今年度はメガソーラーと呼ばれる大規模太陽光発電システムに蓄電池を併設して系統に安定した電力供給をするシステムを開発し納入しました。変換機容量は240kW、蓄電容量は678kWhと従来比で6倍程度の規模のものであり、設置工事を簡略化できるようコンテナに収納しました。医療関係分野では、研究用途の加速器用電源で培ったパワエレ技術を応用し、陽子線用や重粒子線用といった医療用加速器電源の性能向上や、小型化などにとりくみ、国内のみならず、海外案件の受注が増加しております。研究用加速器では、日本への誘致活動をしている国際リニアコライダー(ILC)の研究開発にも参画して、新たな技術領域へのチャレンジをしています。事務機器、デジタル家電機器およびアミューズメント機器向け電源では、新たな分野への展開を視野に入れた技術開発を進めています。(4)産学連携による研究開発現代は、社会の変化や技術革新のスピードが極めて速く、そうした動きに的確に対応し、ビジネスチャンスを活かしていくには外部の知見、経験を活用することが不可欠であり、産学連携の重要性が高まっています。平成26年から文部科学省のスーパークラスタープログラムに参画し、京都大学との連携により、SiCのパワーMOS-FETを用いた小型高周波電源の開発を行いました。従来比2桁高い周波数で半導体素子を駆動する技術を習得し、それらを並列で駆動するという、より高度な制御技術を確立しました。また、産業技術総合研究所との共同開発を通じてSiCの高電圧素子の開発やその評価を進めており、最先端素子を使いこなすことで競争力を高めることを目指しています。一方、東京大学生産技術研究所と包括的な産学連携研究協力協定を平成28年9月に締結し、技術者を派遣して研究開発を推進し、一定の成果を挙げてきています。派遣技術者の人数も増え、その教育効果を含めて今後の研究開発力強化につなげていきます。既に13年以上継続している立命館大学とのR&E包括協定では、NECST商品に使用する部材の評価や、MOT教育による最新技術を新規ビジネスに結びつけるノウハウの習得など、新たな価値創造や、新規ビジネスの立ち上げを担う人材の育成を行っています。
FY2016|4,298 文字
6【研究開発活動】 当社グループは、アルミ電解コンデンサ、導電性高分子アルミ固体電解コンデンサ、フィルムコンデンサ等の電子デバイスと、各種電源、機能モジュール、応用関連機器等の回路製品を主力製品とし、コンデンサと回路製品設計のコア技術を用いて「エネルギー・環境・医療機器」、「自動車・車両関連機器」、「白物家電・産業用インバータ機器」、「情報通信機器」市場を重点分野と定め、高信頼性、高安全性、高機能性を追求し、競争力に優れる新製品開発を展開しています。 当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費は3,708百万円です。 製品区分毎の研究開発状況は、次のとおりです。(1)電子機器用コンデンサ①アルミ電解コンデンサは、電極箔、電解液などの基本部材から自社で研究開発し、上記の重点分野に向けてネジ端子の大形品から面実装に適したチップ品、また、導電性高分子材料を陰極に用いた導電性高分子アルミ固体電解コンデンサなど多彩なデバイスを取り揃え、使用環境がますます多様化する中での更なる高機能化のニーズに応える製品開発に取り組んでいます。基板自立形アルミ電解コンデンサでは、パワーエレクトロニクス用インバータ回路、スイッチング電源回路などの各種産業機器用を主用途に105℃保証 超小形化品「LGMシリーズ」を開発しました。新規開発した高容量電極箔のほか、耐久性に優れる電解液および電解紙を採用することで業界最小の製品サイズを実現し、既存の「LGLシリーズ」に比べて最大で体積比16%の小形化を達成し、省スペース化を図った回路設計に最適な製品を提案しています。また、太陽光発電用や風力発電用など、再生可能エネルギー関連分野においては高耐電圧化の強い要求があり、105℃保証 小形化品「LGNシリーズ」に、業界最高となる600V定格を追加し、ラインアップを充実させています。600V定格品は、高耐電圧酸化皮膜を擁する高信頼電極箔のほか、長期安定性があり高電圧での皮膜修復能力を高めた電解液および高耐電圧電解紙を採用することで、業界最高電圧を実現しています。特に電解液については、組成の最適化をおこなうことで約20~30%の高耐電圧化を図り、105℃600Vの電圧に耐える電解液を新規開発しました。定格電圧を高めたことにより、入力電圧が変動するような電力事情が不安定な地域へ向けての電源平滑用として推奨しています。小形アルミ電解コンデンサでは、LED照明用および電源全般を主な用途とする長寿命・小形・低インピーダンス品「UHWシリーズ」の定格を拡充しました。高容量化、低抵抗化、長寿命化などの市場要求が常によせられており、製品設計の最適化および低インピーダンス・長寿命化が図れる新たな電解液を使用することで、既存の「UHEシリーズ」と比較し、体積比約30%の小形化および約60%の低インピーダンス化を実現しました。車載用途市場において要求される、車載環境に最適な125~135℃の高容量・高リプル品として小形アルミ電解コンデンサ「UBYシリーズ」を開発しました。快適な車内空間実現に向けてECUや各種制御ユニットは、その搭載位置をエンジンルーム付近へと移しながら省スペース化・高効率化が求められています。当社がこれまで培ってきたエッチング技術をはじめとするコア技術をベースに自社開発の高容量電極箔の採用および内部構造の最適化により、既存の「UBTシリーズ」と比較して最高3倍の高容量化を実現しました。また、高温度領域でも安定性に優れた高性能電解液および耐久性に優れた封口ゴムの適用により既存品と比較して2倍以上のリプル電流を流すことが可能となっています。チップ形アルミ電解コンデンサでは、デジタル部へ採用される製品には低ノイズ、低インピーダンス化が要求されています。また、高密度実装化に加えセット機器の小型、高性能化に伴い、コンデンサ単体での小形・高容量化も求められており、業界最小サイズの105℃保証 低インピーダンスの「UCVシリーズ」を開発しました。高倍率陽極箔および薄手化陰極箔、薄手化電解紙の適用と使用部材の最適な組合せにより、既存の「UCMシリーズ」から1ランク高容量化し、業界の最高容量レベルを実現しました。セット機器当たりの員数削減、省スペース・高効率化へ貢献しています。②フィルムコンデンサは、基本材料である金属蒸着フィルムから開発し、自動車・車両関連機器分野、特に環境負荷が小さく、市場拡大の目覚しいHV、EV、燃料電池車などの動力モーター駆動用インバータ回路向け平滑用フィルムコンデンサの開発に注力しています。これらの駆動用インバータユニットに用いられるフィルムコンデンサは、高周波特性・耐電流性能に優れ、長寿命で高信頼、安全性に加え、顧客要求に応じたフレキシブルな対応が可能であることから、国内外の自動車メーカーから高い評価を得ています。また、風力発電、太陽光発電などの再生可能エネルギー分野や汎用インバータなどの産機分野でも長寿命、高信頼の直流フィルタ用コンデンサが強く求められています。こうした市場ニーズに応える直流フィルタ用・平滑用コンデンサとして乾式樹脂モールド形「EJシリーズ」や円筒形「ERシリーズ」をとりそろえています。また当社のフィルムコンデンサは、蒸着フィルムに保安機構を採用することで安全性を高くするとともに長寿命化を実現しています。(2)電力・機器用コンデンサ電力・機器用コンデンサでは、防災型進相コンデンサ「GeoDRY®」をはじめ、受変電高圧側、または、末端低圧負荷側に設置される用途に各種進相コンデンサとその付属機器をラインアップしています。進相コンデンサを設置することによって、線路電流の減少による損失の低減、電圧降下の低減、さらには電気料金の大幅な節減に寄与しています。油入式コンデンサは植物系絶縁油を使用し、また、乾式コンデンサもSF6ガスに変わり窒素ガスを使用しているため、地球環境にやさしいコンデンサとなっています。加えて、電力のバックアップや安定化に寄与する瞬低補償装置・停電補償装置やパワーコントロールシステムなどの関連装置を取り揃え、BCP対策をはじめ総合的に高品位な電力の安定化を提案しています。(3)回路製品地球温暖化、CO2削減、電力自由化、電力の地産地消等々、環境問題と再生可能エネルギーの活用は密接に関連しており、より良い地球環境を目指し、回路製品として創エネ、省エネ、蓄エネへの製品開発に取組んでいます。そういった取り組みとして、EVおよびEV用急速充電器では、CO2削減の急先鋒として世界初のEV量産車が発売されて以降、車載搭載品として充電器、DC-DCコンバータ等の供給を継続しており、その裾野を広げる為、ベンチャー企業への支援を進めました。また、EV普及の周辺環境に不可欠な急速充電器(出力容量:10kW、20kW、30kW、50kW)のラインナップとして普通充電器並みの小形・省スペース急速充電器(新型10kWモデル)を開発し、普及を促進しました。家庭用蓄電システム「ホーム・パワー・ステーション」では、ユーザーニーズに合わせ、電池容量を7.2kWhから業界最大クラスの12kWhモデルを開発するにより、ピークシフトによる電力需要の平準化や電力供給不安解消への貢献および再生可能エネルギーの活用として、ご好評をいただき販売量を伸ばすことが出来ました。加えて、一般住宅への電力供給システムとして、EVに搭載された電池を活用する「EVパワー・ステーション」では、家庭用蓄電システムと連携した蓄電池付きモデルを開発し、家側、車側からの利活用ニーズによる更なるご支持を頂きました。同じリチウムイオン蓄電システムですが、公共・産業用の分散型電源では、震災復興やグリーンニューディール政策としての避難所向用途をより考慮し、業界最高水準の蓄電池性能をもった製品を開発し、非常用電源としての地域貢献やBCP、CSP対応、通常時の電力ピークカット、ピークシフトによる節電対策と、「もしも」の安心と「いつも」の節電をサポートしてまいりました。上述のように当社は、リチウムイオン電池を利用した電源を多く手掛けることと合わせ、リチウムイオン電池の製造工程で使用されるエージング用の充放電電源も20年近く提供しており、要求される厳しい制御精度を達成しつつ、コストを抑えたシステムを開発し、従来にない台数を納入しており、生産、利活用の双方で環境製品対応を促進しています。医療関係、学術研究分野では、研究用途の加速器用電源で培ったパワエレ技術を応用し、陽子線用や重粒子線用といった医療用加速器電源の取組みを強化し、建設中を含め国内17のがん粒子線治療施設の内12施設に加速器用電源を納入しました。事務機器、デジタル家電機器およびアミューズメント機器向け電源では、市場ニーズにあわせた独自方式の各種共振回路技術、電源開発を進めています。特にCO2削減に寄与する高効率電源による省エネ効果や、業界をリードする待機電力の低減を特徴として、事業の拡大に努めています。将来必要になる要素技術の研究開発も積極的に関与し、国が推進するスーパークラスター事業に参加し、産学官連携により次世代半導体を用いた小型高効率電源の開発を推進するとともに、NEDOの採択を受けたクリーンデバイス社会実装推進事業(次世代半導体を用いた超小型電力変換モジュールの多用途社会実装)にも取組んでいます。(4)環境対応製品社会の持続可能な発展に向けて、当社は地球環境に配慮した製品作りに努めています。端子に鉛を含まないコンデンサおよび外装材料にポリ塩化ビニルを含まないコンデンサを「GeoCapシリーズ」として市場へ供給しており、欧州でのELV指令(2000/53/EC)、改正RoHS指令(2011/65/EU)(有害物質の使用が一部の例外を除き禁止)、中国版RoHS(電子情報製品生産汚染防止管理弁法)等に代表される有害物質の規制に対応しています。同様に電力・機器用コンデンサおよび付属機器についても環境対応への取り組みを推進しています。CO2の排出を抑制する「省エネ」機器の能力を最大限引き出す電子デバイスの開発や、高効率・省電力設計の回路製品、「創エネ」&「蓄エネ」型エネルギーマネジメントシステムの開発にも積極的に取り組み、明るい未来社会づくりとその実現に貢献してまいります。