研究開発活動(本文)
FY2025|4,034 文字
6【研究開発活動】当社グループにおける研究開発は、「イノベーションによる社会課題の解決」を基本方針に掲げ、地球の環境保全・改善や、人々の生活の質の向上のための新製品や新サービス、新規事業を創造することを目指しています。「粘接着」「光学設計」「回路形成」「薄膜形成」「多孔」「分離」「核酸合成」「ドラッグデリバリーシステム」の8つの基幹技術をベースに様々な技術を組み合わせて新たな価値を提供しています。全社技術部門は、研究開発本部、新規事業本部、核酸医薬開発統括部の3つの部署と技術知財戦略本部が密接に連携し、将来の事業とそれを支える技術を育成しています。研究開発拠点として、2016年3月に大阪府茨木市に開設した“inovas”(イノヴァス)を中核に、海外にNitto Denko Technical Corporation(U.S.A.-Oceanside)、Nitto BioPharma, Inc.(U.S.A.-San Diego)、Nitto Bend Technologies, Inc.(U.S.A.-Farmington)、Nitto Denko Asia Technical Centre Pte. Ltd.(Singapore)を配置しています。当社グループでは地球環境の保全に大きく貢献する取組みとして、工場のボイラー排ガスに含まれるCO2を分離・回収する技術の開発を行っています。当連結会計年度、アゼルバイジャン共和国で開催された国連気候変動枠組条約第29回締約国会議(COP29)の「ジャパン・パビリオン」で、初めてこの技術を展示し大きな反響を得ました。2025年度中の事業化に向けて開発を加速させていきます。また、当社グループはオープンイノベーションにも積極的に取り組んでおり、様々なアカデミアや企業と連携をしながら新技術や新製品の開発を行っています。当連結会計年度、北海道大学と行っているドラッグデリバリー技術に関する共同研究で、核酸医薬の一つであるmRNAを選択的に脾臓に送り届ける技術を確立しました。今後も様々なアカデミアや企業と連携しながらドラッグデリバリー技術の開発を進め、核酸医薬品の実用化に貢献してまいります。さらに、当社グループでは知財戦略を重視して研究開発を進めており、研究開発で確立した技術を戦略的な特許出願で支えながら着実に事業につなげています。この活動の結果として、当連結会計年度「クラリベイト Top 100 グローバル・イノベーター2025」に選出されました。これは、クラリベイト・アナリティクス社が「影響力」「成功率」「グローバル性」「希少性」の4つの基準から優れた研究開発活動、知的財産管理を行っている企業や研究機関100社を選出したもので、2012年の開始からNittoは12度目の受賞となります。 当連結会計年度の研究開発部門の人員は、当社単体で1,136名、グループ全体で1,785名です。また、当社グループの研究開発費の総額は46,771百万円です。このうち、各事業セグメントに直接関連しない全社技術部門の研究開発費は10,725百万円です。 セグメント別の研究開発活動成果は下記のとおりであります。(1)インダストリアルテープ当社グループの持続的成長と持続可能な環境・社会の実現にCO2排出削減は不可欠です。そのため、有機溶剤を使用しない新製品の開発を拡大し生産活動におけるCO2排出削減に取り組んでいます。また、サプライチェーン全体のCO2削減にもつながるバイオマス粘着剤、資源循環によるリサイクル材料の活用や当社グループの粘着技術を用いて「熱・光・電気等」をトリガーとした剥離技術を構築し、リワーク・リサイクルを実現可能にする製品開発に取り組んでいます。新製品開発はデジタルデバイス、半導体、水素・電池の3つを重点分野と定め、お客様のご要望に応える新製品開発、そして製品ラインアップの拡充を進めています。デジタルデバイス分野では従来テープに求められる接着性や衝撃吸収性だけでなく、循環社会を目指し、再剝離性の付与、リサイクル材使用によるサステナビリティ向上にも貢献してまいります。半導体分野では半導体の製造工程、特に先端半導体向け製造工程などでご使用いただくプロセステープの開発を進め、高品質を追求し続けるお客様の製造工程において生産性向上に貢献してまいります。また、水素・電池分野では新規用途のマーケティング・開発活動を進め、安心・クリーンな社会実現に向けて貢献してまいります。当連結会計年度における研究開発費の金額は7,504百万円です。 (2)オプトロニクスディスプレイ業界では、スマートフォンを中心に有機ELディスプレイ(OLED)の普及が進んでおり、今後はタブレットPC、ノートPC、家電製品、車載ディスプレイへの採用拡大が期待されています。ディスプレイとしての表示品位などの基本特性の向上に加え、デバイス特有の屈曲性、高信頼性、曲面追従性など、多様なご要望に対応しています。偏光フィルム、位相差フィルム、粘着剤に機能を付与し、各フィルム、粘着剤トータルでの設計を最適化することで、お客様のニーズに応えています。また、お客様の生産工程の生産性向上に貢献できる製品開発にも注力しています。新規デバイスとして仮想現実(VR)デバイス向けの製品開発に加え、2024年度に出資したTruLife Optics社との協業による拡張現実(AR)グラスに関わる光学フィルムの開発にも着手いたしました。ディスプレイ以外では、ITOフィルム製膜に用いているスパッタ技術を活用し、タッチセンサ用途だけでなく、自動車の調光ルーフ用など、様々なセンサ向けの電極フィルムの製品開発も行っています。これらの開発活動において、リサイクル材料やバイオベース材料の採用、粘着剤の無溶剤化など、環境技術と融合することで、お客様、社会及び地球環境への価値提供を加速させています。回路材料関連では、データセンターで使用されるハードディスク(HDD)向け回路基板を提供しています。データセンター市場は、昨今のAI技術の進化・普及に伴い大きく成長しております。HDDの記録密度の技術開発も進むなど、期待の高まる同市場の継続成長に引き続き貢献してまいります。また、HDD向け回路基板を応用したスマートフォン向け「高精度基板」を展開しており、プリント回路基板における生産能力拡大を進めています。新しい市場への挑戦では、当社グループ独自の多孔化技術を用いた低誘電材料でフレキシブル回路基板の量産を開始しました。高速信号伝送用途での拡販を進めてまいります。環境配慮に対する取組みでは、フッ素規制(PFAS)に対応した絶縁材料を開発し、自社製品への適用を推進してまいります。当連結会計年度における研究開発費の金額は17,249百万円です。 (3)ヒューマンライフライフサイエンス関連では、核酸プロセス材料の新工場での2025年度本格生産に向け、製造能力増強のためのプロセス開発を実施できました。また、核酸合成での新製法や新技術に対応し、核酸合成での高収量や純度向上につながる核酸プロセス材料の開発にも着手いたしました。さらには、核酸合成事業においてもお客様のコスト削減や新合成法に対応した技術開発を行っており、お客様のイノベーションに貢献できることを目指します。一方、医療材事業では環境負荷を低減した製品開発に取り組み、製品化を完了しました。溶剤を使わない粘着剤開発、環境負荷を低減したパッケージなど工夫を行っています。将来動向を見据えながら社会や顧客ニーズに基づく製品開発及びプロセス開発を行うとともに、引き続きCO2負荷削減に取り組んでいきます。分離膜・メンブレン関連では、処理される原水の多様化の中で、省エネ、長期安定性、廃棄物の削減といった、新たなニーズに合わせた製品開発に取り組んでおります。そのような市場ニーズに合わせ、2024年度は省エネに特化し、従来品よりも運転時のエネルギーを約30%削減できる省エネに優れた新製品を開発しました。また、メンブレンの製品の中から新たに「省エネ排水処理RO膜」と「長寿命NF膜」の2製品が、環境貢献に優れた製品に授与されるPlanetFlagsTMに社内認定されました。今後も、社会的ニーズにあわせた製品開発を進めるとともに、サステナブルな原材料を使用するなど、省エネと長寿命に加えてさらにCO2排出量削減や循環型社会へ貢献できる製品開発へ取り組んでまいります。パーソナルケア材料関連では、フィルム技術と不織布技術をコア技術とし、おむつ部材などの衛生材料製品の開発を行っています。地球環境に貢献できる無溶剤の接着・ラミネーションや加工技術・バイオマスや生分解性材料を用いた製品創出で、消費者様がより快適に、より安全にお使いいただける衛生材料のイノベーションに寄与できるよう、市場の最先端分野に注力してまいります。また、機能性フィルム・不織布の製造技術を社内外へ用途展開することで、衛生材料関連以外の「半導体関連」「モバイル関連」「自動車関連」などの事業展開を積極的に促進いたします。製品設計活動を社内で密接かつ迅速に行えることから、新事業の開拓並びに事業成長のシナジー活動に注力してまいります。当連結会計年度における研究開発費の金額は5,962百万円です。 (4)その他新規事業関連では、デジタルヘルス領域や次世代半導体領域など新しい領域に向けて様々な製品を開発しています。当連結会計年度、米国メンタルヘルス市場に向けて、生体情報をリアルタイムに解析・可視化する心理カウンセラー向けサービスを米国カリフォルニア州で開始しました。当連結会計年度における研究開発費の金額は5,329百万円です。
FY2024|3,811 文字
6【研究開発活動】当社グループにおける研究開発は、「イノベーションによる社会課題の解決」を基本方針に掲げ、地球の環境保全・改善や、人々の生活の質の向上のための新製品や新サービス、新規事業を創造することを目指しています。「粘接着」「光学設計」「回路形成」「薄膜形成」「多孔」「分離」「核酸合成」「ドラッグデリバリーシステム」の8つの基幹技術をベースに様々な技術を組み合わせて新たな価値を提供しています。全社技術部門は、研究開発本部、新規事業本部、核酸医薬開発本部の3つの部署と技術知財戦略本部が密接に連携し、将来の事業とそれを支える技術を育成しています。研究開発拠点として、2016年3月に大阪府茨木市に開設した“inovas”(イノヴァス)を中核に、海外にNitto Denko Technical Corporation(U.S.A.-Oceanside)、Nitto BioPharma, Inc.(U.S.A.-San Diego)、Nitto Bend Technologies, Inc.(U.S.A.-Farmington)、Nitto Denko Asia Technical Centre Pte. Ltd.(Singapore)を配置しています。全社技術部門では、溶剤を使わない製造プロセスの開発に加え、工場から出るCO2を分離して回収する技術の開発を加速させています。その一環として、当連結会計年度、自社の分離膜技術を用いたボイラー排気ガスからのCO2を分離・回収する装置を滋賀事業所に設置し、実証試験を開始しました。今後は、空気中のCO2を捕らえたり、CO2を別の物質に変換したりする技術の構築を進め、CO2削減のトータルソリューションを新たなビジネスチャンスに繋げます。また、当社グループでは特許戦略を重視して研究開発を進めており、研究開発で確立した技術を戦略的な特許出願で支えながら着実に事業につなげています。この活動の結果として、当連結会計年度「クラリベイト Top 100 グローバル・イノベーター2024」に選出されました。これは、クラリベイト・アナリティクス社が「数量」「影響力」「成功率」「グローバル性」「希少性」の5つの基準から優れた研究開発活動、知的財産管理を行っている企業や研究機関100社を選出したもので、2012年の開始からNittoは11度目の受賞となります。 当連結会計年度の研究開発部門の人員は、当社単体で1,079名、グループ全体で1,711名です。また、当社グループの研究開発費の総額は43,485百万円です。このうち、各事業セグメントに直接関連しない全社技術部門の研究開発費は9,974百万円です。 セグメント別の研究開発活動成果は下記のとおりであります。(1)インダストリアルテープ当社グループの持続的成長と持続可能な環境・社会の実現にCO2排出削減は不可欠です。そのため、有機溶剤を使用しない新製品の開発を拡大して生産活動におけるCO2排出削減に取り組んでいます。また、サプライチェーン全体のCO2削減にもつながるようバイオマス粘着剤や資源循環によるリサイクル材料の活用や、当社グループの剝離技術を用いてリワーク・リサイクルを実現可能にする製品開発に取り組んでいます。新製品開発はデジタルデバイス、半導体、水素・電池の3つを重点分野と定め、お客様のご要望に応える新製品開発、そして製品ラインアップの拡充を進めています。デジタルデバイス分野では従来テープに求められる接着性や衝撃吸収性だけでなく、循環社会を目指し、再剝離性の付与、リサイクル材使用によるサステナビリティ向上にも貢献してまいります。半導体分野では半導体の製造工程、特に先端半導体向け製造工程などでご使用いただくプロセステープの開発を進め、高品質を追求し続けるお客様の製造工程において生産性向上に貢献してまいります。また、水素・電池分野では新規用途のマーケティング・開発活動を進め、安心・クリーンな社会実現に向けて貢献してまいります。当連結会計年度における研究開発費の金額は7,918百万円です。 (2)オプトロニクスディスプレイ業界では、スマートフォンを中心に有機ELディスプレイ(OLED)が拡がり、今後、タブレットPC、Lap Top PC等家電製品、及び車載ディスプレイへ採用拡大が期待されています。ディスプレイとしての表示品位等の基本特性の向上に加え、デバイス特有の屈曲性、高信頼性、曲面追従性等、様々なご要望を頂いております。偏光フィルム、位相差フィルム、粘着剤に機能を付与するとともにトータルでの設計を最適化しお客様のご要望にお応えしていきます。また、お客様の生産工程の生産性向上に貢献できる製品開発にも注力しています。新規デバイスとして注目を集めているVRデバイス向けの製品開発も行っています。VRゴーグルに映し出される仮想空間のリアリティ向上が求められており、超高品質光学フィルムの製品開発を行っています。ディスプレイ以外では、ITOフィルム製膜に用いているスパッタ技術を活用し、タッチセンサ用途だけでなく、自動車の調光ルーフ用等、様々なセンサ向けの電極フィルムの製品開発も行っています。上記の開発活動において、リサイクル材料やバイオベース材料の採用、粘着剤の無溶剤化等、環境技術と融合することでお客様、社会への価値提供も加速させています。回路材料関連では、データセンターで使用されるハードディスク(HDD)向け回路基板を提供しています。2023年度はストレージ市場全体が冷え込みましたが、AI技術の普及に伴い再度成長が期待されています。HDDの記録密度を大幅に向上させる新技術向け回路基板も立ち上がり、業界の継続成長に貢献してまいります。また、HDD向け回路基板を応用したスマートフォン向け「高精度基板」を展開しており、プリント回路基板における生産能力拡大を進めています。新しい市場への挑戦では、当社グループ独自の多孔化技術を用いた低誘電基板を開発し、高速信号伝送向けのフレキシブル回路基板の上市に向けて活動中です。情報通信領域においては、高速大容量通信を変革するプラスチック光ファイバーケーブルを開発し、量産体制を整えVRゴーグル用途向けに出荷を開始しました。環境配慮に対する取組みでは、回路基板製造時の環境負荷低減を可能にする新たな廃液処理技術を開発し、自社製品への適用を推進してまいります。当連結会計年度における研究開発費の金額は14,735百万円です。 (3)ヒューマンライフライフサイエンス関連では、東北事業所での2024年度新工場立上げに向け、核酸プロセス材料の製造能力増強を目的としたプロセス開発を実施しています。一方、製薬企業様からの環境負荷低減の要望が本格化しました。以前から溶剤削減の取組みを行っていましたが、核酸プロセス材料に加え核酸医薬品原薬の製造プロセスにおける環境負荷物質を減らす、代える、無くす技術開発テーマを実装に向けて加速します。品質向上、コスト低減と併せ、競合との差別化を図っていきます。医療材事業でも環境負荷物質を低減した製品の上市を図るとともに、予防・早期治療につながる技術開発の取組みを引続き、推進していきます。分離膜・メンブレン関連では、滋賀事業所において生産工程で使用される有機溶剤のDMF(ジメチルホルムアミド)の回収再利用を進めています。2023年度には工場で使用するDMFの約80%を、RO膜と蒸留操作により再生し再利用できるまでに至りました。さらに、2022年度からは神戸大学とのNEDOエネルギー・環境新技術先導研究プログラム「産業廃水からの革新膜による有機資源回収」において、当社グループRO膜と神戸大学の革新膜を用いた新しいシステムにより、エネルギー消費を従来の蒸留法に比べ約1/50に低減できる画期的なシステム開発にも取り組んでいます。今後も社会的ニーズにあわせた製品開発を進めるとともに環境に優しい分離技術で水資源の循環、お客様の生産工程での省エネ、CO2排出量削減に貢献してまいります。パーソナルケア材料関連では、フィルム技術と不織布技術をコア技術とし、おむつ部材などの衛生材料製品の開発を行っています。地球環境に貢献できる完全無溶剤の接着・ラミネーションや加工技術・バイオマスや生分解性材料を用いた製品創出で、消費者様がより快適に、より安全にお使いいただける衛生材料のイノベーションに寄与できるよう、市場の最先端で挑戦してまいります。また、機能性フィルム・不織布の製造技術を社内外へ用途展開することで、衛生材料以外の事業展開を積極的に促進いたします。製品設計活動を社内で密接かつ迅速におこなえることから、新事業の開拓並びに事業成長のシナジー活動に注力してまいります。当連結会計年度における研究開発費の金額は6,833百万円です。 (4)その他新規事業関連では、デジタルヘルス領域や次世代半導体領域など新しい領域に向けて様々な製品を開発しています。当連結会計年度、デジタルヘルス領域において、使い切り仕様ホルター心電計のパイロット販売を継続しています。当連結会計年度における研究開発費の金額は4,022百万円です。
FY2023|3,863 文字
6【研究開発活動】当社グループにおける研究開発は、「イノベーションによる社会課題の解決」を基本方針に掲げ、地球の環境保全・改善や、人々の生活の質の向上のための新製品や新サービス、新規事業を創造することを目指しています。「粘接着」「薄膜形成」「光学設計」「回路形成」「分離」「多孔」「ドラッグデリバリーシステム」「核酸合成」の8つの基幹技術をベースに様々な技術を組み合わせて新たな価値を提供しています。全社技術部門は、研究開発本部、新規事業本部、核酸医薬開発本部の3つの部署と技術知財戦略本部が密接に連携し、将来の事業とそれを支える技術を育成しています。研究開発拠点として、2016年3月に大阪府茨木市に開設した“inovas”(イノヴァス)を中核に、海外にNitto Denko Technical Corporation(U.S.A.-Oceanside)、Nitto BioPharma, Inc.(U.S.A.-San Diego)、Nitto Bend Technologies, Inc.(U.S.A.-Farmington)、Nitto Denko Asia Technical Centre Pte. Ltd.(Singapore)を配置しています。当社グループではオープンイノベーションに積極的に取組み、様々な新技術や新製品の開発を行っています。当連結会計年度、Bend Labs, Inc.をグループに統合し、Nitto Bend Technologies, Inc.(U.S.A.-Farmington)として活動を開始いたしました。今後、同社が培ってきたセンサデバイス技術と当社グループの強みを融合した新製品を開発するとともに、センサで取得したデータを活用した新規事業の創出を目指します。また、当社グループでは特許戦略を重視して研究開発を進めており、研究開発で確立した技術を戦略的な特許出願で支えながら着実に事業につなげています。この活動の結果として、当連結会計年度「クラリベイト Top 100 グローバル・イノベーター2023」に選出されました。これは、クラリベイト・アナリティクス社が「数量」「影響力」「成功率」「グローバル性」「希少性」の5つの基準から優れた研究開発活動、知的財産管理を行っている企業や研究機関100社を選出したもので、2012年の開始からNittoは10度目の受賞となります。 当連結会計年度の研究開発部門の人員は、当社単体で1,063名、グループ全体で1,720名です。また、当社グループの研究開発費の総額は40,175百万円です。このうち、各事業セグメントに直接関連しない全社技術部門の研究開発費は9,128百万円です。 セグメント別の研究開発活動成果は下記のとおりです。(1)インダストリアルテープ当社グループの持続的成長と持続可能な環境・社会の実現にCO2排出削減は不可欠です。そのため、有機溶剤を使用しない新製品の開発を拡大して生産活動におけるCO2排出削減に取り組んでいます。さらにサプライチェーン全体のCO2削減にもつながるようバイオマス粘着剤や資源循環によるリサイクル材料の活用も始めています。新製品開発はパワー&モビリティ、デジタルインターフェース、ヒューマンライフの3つを重点分野として、お客様のご要望に応える新製品開発、そして製品ラインアップの拡充を進めています。パワー&モビリティ分野では、加速する電動車市場の拡大と技術の変化への対応を進めています。リチウムイオンバッテリーの安全性・性能向上にかかわる新製品開発に加え、燃料電池やモーター/オルタネータ用の絶縁材料、電装部品用の内圧調整材料、車載デバイスの熱マネジメント材料などのラインナップ拡充を進めています。デジタルインターフェース分野では半導体や電子部品などの製造工程、さらに次世代ディスプレイの製造工程などでご使用いただくプロセステープの開発を進めています。高品質を追求し続けるお客様の製造工程において生産性向上に貢献してまいります。また、ハイエンドスマートフォン用の接合材料では、接着性や衝撃吸収性だけでなく再剥離性を付与することも進めています。デジタルインターフェース製品の修理やリサイクル促進によるサステナビリティ向上にも貢献してまいります。ヒューマンライフ分野では特殊エンジニアプラスチックを精密加工した医療用包装フィルムや多孔質材料により、人の暮らしをよりよくするためのソリューションを開発してまいります。当連結会計年度における研究開発費の金額は7,430百万円です。 (2)オプトロニクス情報機能材料関連では、スマートフォンをはじめ、各種ディスプレイが液晶ディスプレイ(LCD)から有機ELディスプレイ(OLED)への切り替えが加速する中、偏光フィルム、位相差フィルムなどの光学フィルムに加えて、OLEDパネル生産時に使用する工程材、機能性フィルム等の開発にも注力しています。偏光フィルムだけではなく、ディスプレイとその周辺部材含めたトータルソリューションをお客様へご提案し、様々な価値提供を行っています。自動車業界では自動運転技術の発展により車内のエンタメ・快適性が重視され、車内ディスプレイ数の増加及び大型化が進んでいます。それに伴い、使用される偏光フィルムも大型化し、従来品より耐熱性、耐紫外線(UV)性、低収縮性が要望されており、これらの要望に応える製品を開発しています。新規デバイスとして注目を集めているVRデバイス向けの製品開発も行っています。VRゴーグルに映し出される仮想空間のリアリティ向上が求められており、超高品質光学フィルムの製品開発を行っています。ディスプレイ以外では、ITOフィルム製膜に用いているスパッタ技術を活用し、自動車の調光ルーフや様々なセンサ向けの電極フィルムの製品開発も行っています。上述のような今後の開発品においては、環境への影響を配慮し、無溶剤化製品の開発や、リサイクル材料、バイオベースの材料を取り入れた新製品開発を加速させています。回路材料関連では、データセンターで使用されるハードディスク(HDD)向け回路基板の需要が増加しており、今後もHDDの記録密度向上に貢献するため、微細配線技術や新規メッキ技術の開発を進めています。また、HDD向け回路基板を応用したスマートフォン向け「高精度基板」を展開しており、プリント回路基板における生産能力拡大を進めています。新しい市場への挑戦では、当社グループ独自の多孔化技術を用いた低誘電回路基板材料を開発中で、お客様へ提案を行っています。環境配慮に対する取組みでは、回路基板製造時の環境負荷低減を可能にする新たな廃液処理技術を開発し、自社製品への適用を推進してまいります。当連結会計年度における研究開発費の金額は11,548百万円です。 (3)ヒューマンライフライフサイエンス関連では、核酸プロセス材料の需要拡大に備えた製造能力増強に必要なプロセス開発とともに、使用する溶剤を削減する取組みを行っています。溶剤削減の取組みは、核酸プロセス材料だけではなく核酸医薬品原薬の製造プロセスにおける環境負荷物質を減らす、代える、無くす中長期の技術開発テーマにも着手しました。医療材事業では製品やパッケージに至る環境負荷物質の低減を図るとともに、医療領域の変化点を見据えた予防・早期治療に繋がる技術開発の取組みを推進しています。分離膜・メンブレン関連では、滋賀事業所において、2018年より5年間の計画で、逆浸透膜製造工程で生じる排水を再利用する取組みを始め、2022年度末に目標値である再利用率90%を達成いたしました。この取組みの過程で開発された製品の一部はPROシリーズとして上市され、中国、インドなどの排水規制の厳しい地域で工場からの排水・廃液のゼロ化(ZLD;Zero Liquid Discharge)に貢献しています。今後も社会的ニーズにあわせた製品開発を進めるとともに環境に優しい分離技術で水資源の循環、お客様の生産工程での省エネ、CO2排出量削減に貢献していきます。パーソナルケア材料関連では、フィルム技術と不織布技術をコア技術とし、おむつ部材などの衛生材料製品の開発を行っています。地球環境に貢献できる完全無溶剤の接着・ラミネーションや加工技術を用い、消費者様がより快適に、より安全にお使いいただける衛生材料のイノベーションに寄与できるよう、市場の最先端で挑戦してまいります。また、機能性フィルム・不織布の製造技術を社内外へ用途展開することで、衛生材料以外の事業展開を積極的に促進いたします。製品設計活動を社内で密接かつ迅速におこなえることから、新事業の開拓並びに事業成長のシナジー活動に注力してまいります。当連結会計年度における研究開発費の金額は7,224百万円です。 (4)その他新規事業関連では、情報通信領域において高速大容量通信を変革するプラスチック光ファイバーケーブルを開発し、当連結会計年度、量産体制を整えVRゴーグル用途向けに出荷を開始しました。また、デジタルヘルス領域において、使い切り仕様のホルター心電計を開発し、当連結会計年度、アステラス製薬株式会社、株式会社エムハートと共同でパイロット販売を開始しました。当連結会計年度における研究開発費の金額は4,842百万円です。
FY2022|3,530 文字
5【研究開発活動】当社グループにおける研究開発は、「イノベーションによる社会課題の解決」を基本方針に掲げ、地球の環境保全・改善や、人々の生活の質の向上のための新製品や新サービス、新規事業を創造することを目指しています。「粘着技術」「塗工技術」「高分子機能制御技術」「高分子分析・評価技術」の4つのコア・テクノロジーをベースに様々な技術を組み合わせて新たな価値を提供しています。全社技術部門は、研究開発本部、新規事業本部、核酸医薬開発本部、新規モビリティ事業開発部の4つの部署と技術知財戦略本部が密接に連携し、将来の事業とそれを支える技術を育成しています。研究開発拠点として、2016年3月に大阪府茨木市に開設した“inovas”(イノヴァス)を中核に、海外にNitto Denko Technical Corporation(U.S.A.-Oceanside)、Nitto BioPharma, Inc.(U.S.A.-San Diego)、Nitto Denko Asia Technical Centre Pte. Ltd.(Singapore)、Nitto (Qingdao) Technology Research Institute Co., Ltd.(中国-青島市)を配置しています。当社ではオープンイノベーションに積極的に取組み、様々な新製品・新技術開発を行っています。当連結会計年度においては、株式会社aceRNA Technologiesとスイッチ付mRNA治療薬の共同開発、並びに出資に関する契約を締結しました。同社は京都大学 齊藤博英教授による合成生命システム研究で生まれたRNAデザイン技術を基に設立されたバイオベンチャー企業で、同社がもつmRNA技術と当社のドラッグデリバリー技術と組み合わせ、生体内でより安定的かつ精緻な作用制御を可能とする治療薬の開発を進めます。情報通信領域においても、外部技術と当社の光学材料の設計技術を融合し、高速大容量通信を変革するプラスチック光ファイバーケーブルを開発しています。当連結会計年度では、事業化に向け着実に進展しました。また、当社では特許戦略を重視して研究開発を進めており、研究開発で確立した技術を戦略的な特許出願で支えながら着実に事業につなげています。この活動の結果として、当連結会計年度において「クラリベイト Top 100 グローバル・イノベーター2022」に選出されました。これは、クラリベイト・アナリティクス社が「数量」「影響力」「成功率」「グローバル性」「技術分野の広さ」の5つの基準から優れた研究開発活動、知的財産管理を行っている企業や研究機関100社を選出したもので、2012年の開始から当社は9度目の受賞となります。 当連結会計年度の研究開発部門の人員は、当社単体で1,021名、グループ全体で1,619名です。また、当社グループの研究開発費の総額は37,271百万円です。このうち、各事業セグメントに直接関連しない全社技術部門の研究開発費は8,116百万円です。セグメント別の研究開発活動成果は下記のとおりです。 (1)インダストリアルテープ粘着テープ製造工程の環境負荷低減のために、粘着剤の無溶剤化やバイオマス材料を用いた環境配慮製品の開発を進めています。環境配慮ニーズはますます高まっており、今後も原材料調達から製造工程、廃棄までを含めて、環境負荷低減に貢献できる製品開発に注力してまいります。モバイル機器分野では有機EL(OLED)ディスプレイの表示品位の向上や薄層化、フレキシブル化が進んでいます。このようなデバイス周辺で使用されるテープには、光学性能や衝撃吸収性能の向上、折り曲げ耐性の付与など、さらなる品質や性能の向上が求められています。お客様の高い要求に応えつつ、環境負荷を低減する製品を開発していきます。半導体・電子部品・金属加工の産業分野に対しては、弊社の強みである剥離技術を活かした新製品開発を進めています。次世代ディスプレイの製造工程でご使用いただくプロセステープ、薄ガラス用の保護テープなど、テープをきれいに簡単に剥離できる技術により、お客様の製造工程での生産性向上、ロス低減に貢献できる製品を開発していきます。また、フッ素系の機能性材料を用いた製品の用途拡大を進めており、モバイル機器分野、半導体や電子部品、さらに衛生用品分野に向けた製品開発に注力しています。また、フッ素系産業廃棄物を減らすための環境貢献型の製品開発にも注力していきます。自動車・鉄道車両・航空機などの輸送機分野におきましては、モーター/オルタネータ用絶縁材料、燃料電池用材料(バストラック)、電装部品用内圧調整材料など、電動車両の急速な市場拡大を見据えてラインアップの拡充をはかっています。今後はリチウムイオンバッテリーの性能向上にかかわる新製品開発にも注力していきます。当連結会計年度における研究開発費の金額は7,066百万円です。 (2)オプトロニクススマートフォンをはじめ、各種ディスプレイでOLEDの比率が高まっており、OLED向けの製品開発を強化しています。OLEDは、表示品位の向上、低消費電力、フレキシブル化が進んでおり、偏光フィルムに加えて位相差フィルム、粘着剤トータルでの設計を最適化し、お客様のご要望にお応えしています。また、偏光フィルム以外ではOLED工程材、機能性フィルム等の開発にも注力しており、ディスプレイとその周辺部材をご提案しお客様へ価値提供を行っています。自動車業界では自動運転技術の発展により、車内ディスプレイ数の増加及び大型化が進んでいます。それに伴い、使用される偏光フィルムも大型化し、従来品より耐熱性、耐紫外線(UV)性、低収縮性が要望されており、これらの要望に応える製品を開発しています。ディスプレイ以外では、透明導電性フィルムに用いているスパッタ技術を活用し、自動車の調光ルーフや様々なセンサ向けの電極フィルムの製品開発も行っています。ESG、SDGsへの取組みとしては、環境への影響を配慮し、無溶剤化製品の開発や、リサイクル材料、バイオベースの材料を取り入れた新製品開発を推進しています。プリント回路製品は、データセンターで使用されるハードディスク(HDD)向け回路基板の需要が増加しており、今後もHDDの記録密度向上に貢献するため、微細配線技術や新規メッキ技術の開発を進めています。また、HDD向け回路基板を応用してスマートフォン向けにも「高精度基板」として展開しており、増産を進めています。新しい市場への挑戦では、当社独自の多孔化技術を用いた低誘電回路基板材料を開発中で、お客様へ提案を行っています。ESGに対する取組みでは、回路基板製造時の環境負荷低減を可能にする新たな廃液処理技術を開発、自社製品への適用を推進していきます。当連結会計年度における研究開発費の金額は11,050百万円です。 (3)ライフサイエンス核酸プロセス材料は、合成の足場材料であるポリマービーズの需要が大きく伸長しました。今後は、さらなる高性能化や溶剤使用量の低減を行い、お客さまや地球環境に貢献できる開発に注力します。医療材事業では、培ってきた肌に貼る粘着技術をベースにウェアラブルデバイス向けの長期貼付用粘着剤を上市しました。また、ESGを見据えて、粘着剤の無溶剤化にも積極的に取組みます。さらには新事業創出に向けた取組みでは、社内外の連携を強化し、早期に社会に提供できるように開発を進めていきます。当連結会計年度における研究開発費の金額は5,081百万円です。 (4)その他分離膜・メンブレン事業関連では、2021年度に中国の浄水施設に省エネに貢献する新製品が採用されました。中国の浄水施設には安全な水の提供を従来よりも省エネで運営していく事が計画されており、分離膜への期待がいっそう高くなっています。また、中国、インドでは排水・廃液のゼロ化(ZLD;Zero Liquid Discharge)の動きが速く、世界に先んじて設備の導入が進んでおり、弊社製品の導入実績数も増加しています。これらの製品は従来捨てられていた水を再利用するばかりではなく、処理に必要なエネルギーを従来に比べ低減し、お客様のCO2排出量低減に寄与しており、それだけではなく従来廃水とともに捨てられていた有価物の回収に役立っています。また、新規事業では、当連結会計年度においてネオジム磁石の開発を中止しました。当連結会計年度における研究開発費の金額は5,956百万円です。
FY2021|3,009 文字
5【研究開発活動】当社グループ(当社および当社の関係会社)における研究開発は、新規事業の創出と「グローバルニッチトップ™」製品・「エリアニッチトップ™」製品の開発という方針を掲げ、さまざまな産業分野での市場ニーズを捉え、それをNittoグループの全技術で解決することを目指しています。「粘着技術」「塗工技術」「高分子機能制御技術」「高分子分析・評価技術」の4つのコア・テクノロジーをベースに様々な技術を組み合わせて新たな価値を提供しています。全社技術部門は、研究開発本部、新規事業本部、核酸医薬開発本部、新規モビリティ事業開発部の4つの部署と技術知財戦略本部が密接に連携し、将来の事業とそれを支える技術を育成しています。研究開発拠点として、2016年3月に大阪府茨木市に開設した“inovas”(イノヴァス)を中核に、海外に日東電工テクニカル(米国-オーシャンサイド)、日東バイオファーマ(米国-サンディエゴ)、日東電工アジアテクニカルセンター(シンガポール)、日東(青島)研究院(中国-青島)を配置しています。当社ではオープンイノベーションに積極的に取り組み、様々な新製品・新技術開発を行っています。当連結会計年度、日本電気硝子株式会社と共同で連続生産性に優れた「超薄板ガラス偏光フィルム」の開発に成功しました。日本電気硝子株式会社の100μm厚の超薄板ガラスと当社の薄型偏光フィルムをロール・ツー・ロールプロセスにより貼り合わせて一体化した世界初の製品で、非常に薄く、軽量なため、ディスプレイパネルのカバーに使用することで、ディスプレイ最表面と画像表示面との視差低減による視認性向上やタッチセンサー感度向上に大きく寄与します。また、情報通信領域において高速大容量通信を変革するプラスチック光ファイバーケーブルの開発では、外部技術と当社が保有する光学材料の設計技術を融合し、事業化に向け着実に進展しました。これらの技術を戦略的な特許出願で支えながら着実に事業につなげていきます。 当連結会計年度の研究開発部門の人員は、当社単体で959名、グループ全体で1,585名です。また、当社グループの研究開発費の総額は35,261百万円です。このうち、各事業セグメントに直接関連しない全社技術部門の研究開発費は6,641百万円です。セグメント別の研究開発活動成果は下記のとおりです。 (1)インダストリアルテープ粘着テープ製造工程での有機溶剤削減やバイオマス材料の利用促進などの検討を進めています。バイオマス材料では、ミドリムシ由来のパラミロン変性プラスチックに関心を持っており、パラレジンジャパンコンソーシアムに参加し、さらなる検討を進めてまいります。さらに、お客様の製造工程での産業廃棄物量を減らす取り組みとして、永久接着ではなく、再剥離技術を付与した製品開発を進めています。引き続きESG、SDGsを見据えたサステナブルな環境配慮型の製品開発に注力していきます。半導体分野においても、環境対応製品の検討を進めてまいりました。環境負荷材料である鉛半田の置き換え可能な焼結金属シートの新規開発/上市を行い、今後、用途拡大を進めてまいります。フッ素系の機能性材料を用いた製品の用途拡大も進めており、従来から注力している半導体や電子部品、モバイル機器分野に加えて、COVID-19によって需要が拡大した衛生製品分野への製品開発に注力していきます。自動車・鉄道車両・航空機などの輸送機分野におきましては、性能向上に貢献する新製品開発を推進しています。特に電動車両の急速な市場拡大を見据えて、ワイヤーハーネス関連材料、モーター用絶縁材料や電装部品用内圧調整材料のラインアップを拡充。またCASE関連市場で、レーダー用電波吸収材料を新規開発/上市しました。当連結会計年度における研究開発費の金額は7,067百万円です。 (2)オプトロニクス大型ディスプレイ用途関連では、昨今の在宅需要に伴い、液晶ディスプレイ(LCD)を使用したモニター、ノートPC、タブレットPCの需要も増加しており、各デバイスの要望に応えられる製品開発を行っています。モバイルディスプレイ用途関連では、有機ELディスプレイ(OLED)を中心に表示品位の向上、低消費電力、フレキシブル化が進んでおり、偏光板への要望としては、光学機能の向上、薄型化、フレキシブル化を要望されています。従来品以上の光学機能を有し、かつ薄型や折り曲げ可能な製品開発を行っています。自動車業界では自動運転技術の発展により、車内ディスプレイ数の増加および大型化が始まっています。それに伴い、使用される偏光板も大型化し、従来品より耐熱性、耐紫外線(UV)性、低収縮性が要望されており、これらの要望に応える製品を開発しています。加えて、社内の内装デザインの自由度を高める曲面、異形状ディスプレイ用途の製品開発にも注力しています。偏光板以外のディスプレイ周辺材料として、ディスプレイ層間充填粘着剤、OLED工程材、機能性フィルム等の開発にも注力し、ディスプレイとそれを組み込む機器のお客様への価値提供を行っています。ESG、SDGsへの取り組みとしては、環境への影響を配慮し、無溶剤化製品の開発や、リサイクル材料、バイオベースの材料を取り入れた新製品開発を推進しています。プリント回路製品は、感光性ポリイミドおよびセミアディティブ法による回路形成技術を用いたハードディスク(HDD)向け回路基板を展開していますが、さらなる記録密度向上に貢献する製品開発を進めています。また、HDD向け回路基板をベースに、新基材を適用して新たな機械特性を付与した「高精度基板」を開発し、スマートフォン向けに量産を開始しました。今後もスマートフォンのさらなる性能向上のため、継続的に製品開発に取り組みます。当連結会計年度における研究開発費の金額は10,358百万円です。 (3)ライフサイエンス核酸プロセス材料は、合成の足場材料であるポリマービーズの需要が大きく増加しました。さらに高性能なビーズや高機能化した新規プロセス材料など、お客様へ新しい価値の提供に繋がる開発に注力します。医療材事業では、肌に優しい粘着技術をベースに、人体に貼るウェアラブルデバイス向けの新しい機能材料の開発に注力しています。また、新領域の事業開発として、他事業部門との協業と社外連携の体制を強化して、新しい市場及び地域への展開を推進しています。当連結会計年度における研究開発費の金額は4,834百万円です。 (4)その他分離膜・メンブレン事業関連では、2019年度に上市、注力してきた排水再利用用途向けの製品群にて、世界的な排水・廃液のゼロ化(ZLD;Zero Liquid Discharge)の動きに対応すると同時に、膜製造工場である滋賀事業所における排水の再利用率の70%化も達成いたしました。滋賀事業所は、2021年度には新システムの導入により排水利用率を90%以上にまで向上させ、廃液の再利用も同時実施することで環境負荷の低減を図り、循環型グリーン工場を目指します。さらに、これらの膜技術は拠点にも展開し、当社グループのESG、SDGsへの取り組みを牽引していきます。当連結会計年度における研究開発費の金額は6,359百万円です。
FY2020|2,796 文字
5【研究開発活動】当社グループ(当社および当社の関係会社)における研究開発は、新規事業の創出と“グローバルニッチトップ”(GNT)、“エリアニッチトップ”(ANT)製品の開発という方針を掲げ、さまざまな産業分野での市場ニーズを捉え、それをNittoグループの全技術で解決することを目指しています。「粘着技術」「塗工技術」「高分子機能制御技術」「高分子分析・評価技術」の4つのコア・テクノロジーをベースに様々な技術を組み合わせて新たな価値を提供しています。全社技術部門は、研究開発本部、新規事業本部、核酸医薬開発本部の3つの本部を軸としており、これらと知的財産本部とプロセス技術本部が密接に連携し、将来の事業とそれを支える技術を育成しています。さらに、部門内にイノベーションマーケティングセンターを設置し、早い段階から市場を見据えた取り組みを行っています。研究開発拠点として、大阪府茨木市の“inovas”(イノヴァス)を中核に、海外に日東電工テクニカル(米国-オーシャンサイド)、日東バイオファーマ(米国-サンディエゴ)、日東電工アジアテクニカルセンター(シンガポール)、日東(青島)研究院(中国-青島)を配置しています。全社技術部門では、オープンイノベーションに積極的に取り組み、様々な新製品・新技術開発を加速しています。特に情報通信領域において高速大容量通信を変革するプラスチック光ファイバーケーブルの開発では、外部技術とNittoが保有する光学材料の設計技術を融合し、20年度の量産開始に向け大きく進展しました。また、ライフサイエンス領域においては、ドラッグデリバリー技術を強みにして核酸医薬開発の新しい展開を進めています。当連結会計年度、地方独立行政法人大阪府立病院機構大阪国際がんセンターの研究所内に新規核酸医薬品の開発を目的とした共同研究部(名称:Nitto核酸創薬共同研究部)を設立し、難治がん・希少がんの新規分子標的治療法及びがん免疫療法をになう核酸医薬品の創薬研究に着手しました。これらの技術を戦略的な特許出願やモノづくりで支えながら、着実に事業につなげていきます。 当連結会計年度の研究開発部門の人員は、当社単体で917名、グループ全体で1,512名です。また、当社グループの研究開発費の総額は33,765百万円です。このうち、各事業セグメントに直接関連しない全社技術部門の研究開発費は6,203百万円です。セグメント別の研究開発活動成果は下記のとおりです。 (1)インダストリアルテープ粘着テープ製造工程での有機溶剤削減やバイオマス材料の利用促進などの検討を進めています。環境配慮型製品として「有機溶剤フリーの両面接着テープ」で、2019年度の第46回環境賞の優良賞を頂きました。(国立環境研究所・日刊工業新聞社共催、環境省後援)引き続きESG、SDGsを見据えたサステナブルな環境配慮型の製品開発に注力していきます。半導体分野において、ウェハ表面の凹凸を埋め込むプロセステープを新規に開発しました。半導体製造プロセスの高度化に伴い、必要とされるプロセステープの特性進化は必須であり、継続的に新製品開発を進めていきます。フッ素系の機能性材料を用いた製品の用途拡大を進めており、半導体や電子部品、モバイル機器分野に新たな機能を付与した製品の開発に注力していきます。トランスポーテ―ション分野では、自動車・鉄道車両・航空機などの輸送機の性能向上に貢献する新製品の開発を推進しています。電動車両の急速な市場拡大や電装部品の搭載数増加を見据えて、モーター用絶縁材料や電装部品用の内圧調整材料の製品拡充が進みました。また自動運転市場の本格的な到来に備えて、レーダー用電波吸収材料の展開を進めています。さらにCASE関連市場での新規事業創出のために、全社次世代モビリティ推進センターとのコンバージェンスで新たな価値創造に取り組んでいます。当連結会計年度における研究開発費の金額は7,110百万円です。 (2)オプトロニクス大型ディスプレイ用途関連では、PID(パブリックインフォメーションディスプレイ)、モニター、ノートPC、タブレットなど液晶ディスプレイ(LCD)やOLED-TVに代表されるように有機ELディスプレイ(OLED)の大型化への対応に加え、それぞれの要望に応えられる製品開発を行っています。モバイルディスプレイ用途関係では、OLEDの表示品位の向上に加え薄型要望とフレキシブル化が進んでおり、これまで以上の光学性能を有し、かつ薄型や折り曲げ可能な偏光板の製品開発を行っています。自動車業界では自動運転化技術の発展に伴い、車内のディスプレイ数の増加および大型化が見込まれています。車載用途では用いられる偏光板に高耐熱・低収縮が求められるため、その要望に応える製品を開発しています。加えてHigh-End向けの車内の内装デザインの自由度を高める曲面・異形状ディスプレイで用いられる偏光板製品に必要な性能を有する製品開発にも注力しています。さらに、偏光板以外のディスプレイ周辺光学材料としてディスプレイ層間充填粘着剤、OLED工程材などの開発にも注力し、ディスプレイとそれを組み込む機器のお客様への価値提供を行っています。プリント回路製品は、感光性ポリイミドおよびセミアディティブ法による回路形成技術を応用した高精度基板を、ハードディスク(HDD)とは異なる新市場へ展開を進めています。当連結会計年度、補聴器用ワイヤレス充電システムやスマートフォン用部品などに採用され、売上に寄与し始めておりますが、さらに新しい要望に応えるべく、製品開発に注力しています。当連結会計年度における研究開発費の金額は9,918百万円です。 (3)ライフサイエンス医薬品関連では、非定型抗精神薬が2019年6月に審査当局からの承認を受け、商業レベルの製造を開始しました。9月より大日本住友製薬株式会社様より日本国内市場への販売が開始されました。医療衛生材料関連では社内他事業部門との協業に加え、社外協業体制を強化して、新領域での事業開発と、新しい市場及び地域への展開を推進しています。当連結会計年度における研究開発費の金額は4,221百万円です。 (4)その他世界的な水環境の変化として、排水・廃液をゼロ化(ZLD;Zero Liquid Discharge)して再利用する動きが進んでいます。逆浸透膜製造工場である滋賀事業所にて排水・廃液を再利用する技術検証を行い、2019年度には再利用用途向けの新製品群を市場投入しました。今後も社会的ニーズにあわせた製品開発を進めるとともに分離技術で水資源の再利用化の促進に貢献していきます。当連結会計年度における研究開発費の金額は6,312百万円です。
FY2019|2,806 文字
5【研究開発活動】 当社グループ(当社および当社の関係会社)における研究開発は、新規事業の創出と“グローバルニッチトップ”(GNT)、“エリアニッチトップ”(ANT)製品の開発という方針を掲げ、さまざまな産業分野での市場ニーズを捉え、それをNittoグループの全技術で解決することを目指しています。「粘着技術」「塗工技術」「高分子機能制御技術」「高分子分析・評価技術」の4つのコア・テクノロジーをベースに様々な技術を組み合わせて新たな価値を提供しています。 全社技術部門は、研究開発本部(基幹技術研究センター、サステナブル技術研究センター)、新規事業本部(情報インターフェース技術センター、スペースイノベーション技術センター)、核酸医薬開発本部の3つの本部を軸としており、これらと知的財産本部とプロセス技術本部が密接に連携し、将来の事業とそれを支える技術を育成しています。 研究開発拠点として、2016年3月大阪府茨木市に開設した“inovas”(イノヴァス)を中核に、海外に日東電工テクニカル(米国-オーシャンサイド)、日東バイオファーマ(米国-サンディエゴ)、日東電工アジアテクニカルセンター(シンガポール)、日東(青島)研究院(中国-青島)を配置しています。 当連結会計年度はオープンイノベーションに積極的に取り組み、様々な新製品・新技術開発を行いました。特に情報通信領域において高速大容量通信を変革するプラスチック光ファイバーケーブルの開発では、Nittoが保有する光学材料の設計技術を融合し、事業化に向け着実に進展しました。 また、ライフサイエンス領域においては、ドラッグデリバリー技術を強みにして核酸医薬開発の新しい展開を進めています。当連結会計年度はKRAS変異がんを対象とした新しい核酸医薬品について、米国FDA(食品医薬品局)より臨床試験実施の許可を取得し、治験第1相試験を開始しました。これらの技術を戦略的な特許出願やモノづくりで支えながら、着実に事業につなげていきます。 当連結会計年度の研究開発部門の人員は、当社単体で886名、グループ全体で1,511名です。また、当社グループの研究開発費の総額は31,990百万円です。このうち、各事業セグメントに直接関連しない全社技術部門の研究開発費は6,806百万円です。 セグメント別の研究開発活動成果は下記のとおりです。 (1)インダストリアルテープ スマートフォンなどモバイル機器市場の次の柱となる事業に向けて、さらなる機能製品の開発を進めており、半導体、電子部品、デバイス機器通音膜、住宅関連、自動車関連などの分野へ製品を拡充・展開しています。今後は足元のモバイル機器市場への継続的な新製品開発を行いながら、さらにESG、SDGsを見据えサステナブルな環境配慮型の製品開発にも注力していきます。 トランスポーテ―ション分野では、自動車・鉄道車両・航空機などの輸送機の性能向上に貢献する新製品の開発を推進しています。自動車材料としては、車体軽量化や電装部品の搭載数増加を見据えてアルミニウム用補強材料や、電装部品用の内圧調整材料の製品拡充が進みました。また、電動車両の急速な市場拡大に向けて、パワートレインの小型化・低コスト化ニーズに応える絶縁材料の開発を進めています。さらに自動運転の安全レベル向上のために、全社基幹技術とのコンバージェンスで新たな価値創造と新製品開発に取り組んでいます。 当連結会計年度における研究開発費の金額は6,782百万円です。 (2)オプトロニクス 大型ディスプレイ用途関連では、大型化が進む市場への対応を強化しています。また、液晶ディスプレイ(LCD)に加え、有機ELディスプレイ(OLED)の大型化も進んでおり、視認性向上のための反射防止用偏光板の大型化を進めています。 モバイルディスプレイ用途関係では、ディスプレイのフルアクティブ化、異形化が進み、加工精度の向上に取り組んでいます。さらにOLEDではフレキシブル化が進んでおり、湾曲や折れ曲がるディスプレイへの追従性などこれまでにない要望に応えられる製品開発を行っています 自動車業界では表示のディスプレイ化が進み、非常に大きなディスプレイが採用されており、用いられる偏光板にも非常に高い耐久性が求められます。加えて車内の意匠性を満足させるためにこれまでにない形状の偏光板製品も求められており、これらの要望に応える製品開発にも注力しています。 さらに、偏光板以外のディスプレイ周辺光学フィルムも開発し、さまざまな光学部材・インターフェース材の製品を通じて、ディスプレイとそれを組み込む機器のお客様への価値提供を行っています。 プリント回路製品では、金属ベースに感光性ポリイミドとセミアディティブ銅メッキ法で形成する高精度基板を、ハードディスク(HDD)市場以外への展開を試みています。また、低誘電多孔ポリイミド材料では、高速通信の5G市場が立上る際に必要となる回路基板開発に取り組んでおり、量産準備態勢に入っています。 半導体分野では、NANDフラッシュメモリー向けに新規プロセスが採用され、そのプロセス向けの接着フィルムを開発しました。また、そのプロセスに使用されるプロセス材料の開発も完了し、売上が拡大しました。今後、さらなる売上拡大を目指します。 LED分野におきましては、屋内向けディスプレイ向けに、高耐熱性、高耐光性を有した樹脂を開発しました。今後の市場拡大が期待できます。 当連結会計年度における研究開発費の金額は9,527百万円です。 (3)ライフサイエンス 核酸医薬受託合成事業関連では、グローバルに開発が活発化しており、お客様からの要望への対応を着実に進めています。 医薬品関連では、高血圧症を対象として開発した経皮吸収型テープ製剤が頻脈性心房細動にも適用されることになりました。また、経皮吸収型統合失調症薬は国内臨床第3相試験結果をもとに審査当局への申請を完了しました。 医療衛生材料関連では社内他事業部門との協業により、新しい市場及び地域への展開を推進しています。 当連結会計年度における研究開発費の金額は4,526百万円です。 (4)その他 分離膜・メンブレン関連では、海水淡水化、超純水用途向けの需要に対応したことにより売上は順調に増加しました。かん水脱塩の用途向けの新製品も南アジアの大型プロジェクトに採用され、売上拡大に貢献できました。世界各地の水環境により、お客様の水処理プラントに対する要望も様々です。今後も各エリアの需要に応える製品の開発を通じて売上拡大に努めています。また、廃水再利用の用途向けの新製品市場投入により、循環型社会の実現に貢献していきます。 当連結会計年度における研究開発費の金額は4,347百万円です。
FY2018|2,723 文字
5【研究開発活動】 当社グループ(当社および当社の関係会社)における当連結会計年度の研究開発は、新規事業の創出と、“グローバルニッチトップ”(GNT)、“エリアニッチトップ”(ANT)製品の開発という方針を掲げ、さまざまな産業分野での市場ニーズを捉えて、それをNittoグループの全技術で解決することに取り組んでいます。「粘着技術」「塗工技術」「高分子機能制御技術」「高分子分析・評価技術」の4つのコア・テクノロジーをベースにして様々な技術を組み合わせて、新たな価値を提供しています。 全社技術部門においては、研究開発本部(基幹技術研究センター、サステナブル技術研究センター、ライフサイエンス研究センター)と新規事業本部(情報インターフェイス技術センター、スペースイノベーション技術センター)を両輪として、知的財産本部とプロセス技術本部が、密接に連携して、将来の事業とそれを支える技術を育成していきます。 研究開発拠点として、国内では、研究開発と人財育成のために2016年3月大阪府茨木市に開設した“inovas”(イノヴァス)を中核としており、海外では、日東電工テクニカル(米国-サンディエゴ)、日東電工アジアテクニカルセンター(シンガポール)、日東(青島)研究院(中国-青島)を配置しています。 当連結会計年度は、産学でのオープンイノベーションにも取り組み、情報通信領域においてNittoの光学材料の設計技術を融合してさまざまな新製品開発を進めてきました。その中でも、2017年9月にニュースリリースした高速大容量通信を変革するプラスチック光ファイバーケーブルの開発も事業化に向け着実に進展しています。また、ライフサイエンス領域においてもドラッグデリバリー技術を強みにして核酸医薬分野での新しい展開も進めてきました。これら技術をしっかりした知的財産やモノづくりで支えながら、結果をともなった実行力“実現力”を発揮して事業化につなげていきます。 当連結会計年度の研究開発部門の人員は、当社単体で842名、グループ全体で1,443名です。また、当社グループの研究開発費の総額は31,243百万円です。このうち、各事業セグメントに直接関連しない全社技術部門の研究開発費は6,591百万円です。 セグメント別の研究開発活動成果は下記のとおりです。 (1)インダストリアルテープ スマートフォンなどモバイル機器市場での変化を捉えて新製品を市場に投入することができました。さらに機能製品の開発を進めており、半導体、電子部品、家電エアフィルター、住宅関連などの分野へ製品を拡充・展開しています。今後は足元のモバイル機器市場への継続的な新製品開発を行いながら、機能付加した新規製品の開発で新市場へ展開し、さらにグリーン環境対応技術にも注力していきます。 トランスポーテ―ション分野では、自動車・鉄道車両・航空機などの輸送機の性能向上、生産効率化、環境負荷低減に役立つ新製品の開発を推進しています。自動車材料としては、車体軽量化や電動化を見据えてアルミニウム合金用補強材や主機モーター用の絶縁材料、車載電池やランプ用の内圧調整材料を開発しました。また自動運転の安全レベル向上のために、光学技術とのコンバージェンスで新たな価値創造と新製品開発に取り組んでいます。 当連結会計年度における研究開発費の金額は7,399百万円です。 (2)オプトロニクス 大型ディスプレイ用途関連では、これまでの家庭用TVに加え、デジタルサイネージや車載ディスプレイの大型化などの特殊用途への需要が広がりを見せており、当社の偏光板製品に対しても日射のもとでの耐久性向上の要望が増えてきています。これに対して高耐久偏光板の開発に取り組み、これら用途への展開と提案を進めています。また、液晶ディスプレイ(LCD)に加え、有機ELディスプレイ(OLED)の大型化も進んでおり、視認性向上のための円偏光板の大型化を進めています。 モバイルディスプレイ用途関係では、ディスプレイのフルアクティブ化、異形化、フレキシブル化が進んでおり、当社偏光板にも低収縮化、加工精度の向上、フレキシブルディスプレイへの対応が求められています。このような要望に対して製法改革して開発した薄型低収縮偏光板に加えて、粘着材技術や、切断、貼りあわせなどの加工技術を向上して、ディスプレイの高付加価値化に貢献していきます。 さらに、偏光板だけではなく、タッチパネル用部材、光学透明粘着剤などとの複合化製品やディスプレイ周辺光学フィルムも開発し、さまざまな光学部材・インターフェイス材の製品を通じて、ディスプレイとそれを組み込む機器のお客様への価値提供を行っています。 プリント回路製品では、ハードディスク(HDD)市場で培った技術を展開し、小型化や低背化の要望に対応するため、高精度、高密度、薄膜回路を形成できる技術の構築を進めてきました。現在は、信号の大容量化、高速化、5G通信を見据えて、超低誘電ポリイミドを開発するなど、新たな技術ラインナップを拡充して、多様な市場への展開を試みています。 半導体分野では、新規構造のメモリー向けに使用されるプロセス材、構造材を開発しました。今後の市場の成長とともに売り上げ拡大が期待されます。また、環境法規制に準拠したプロセス材の開発を進めました。 当連結会計年度における研究開発費の金額は10,706百万円です。(3)ライフサイエンス 核酸薬関連ではグローバルに開発が活発化しており、お客様からの要望への対応を着実に進めています。 医薬品関連では、経皮吸収型統合失調症薬の国内臨床第3相試験で良好な結果が得られました。さらに、幅広い薬物に対応可能な次世代経皮吸収型製剤の技術開発を進めています。 医療衛生材料関連では社内他事業部門との協業により、新しい市場及び地域への展開を進めるとともに、グループ企業のニトムズとの連携によるブランド価値向上に向けた製品開発を推進しています。 当連結会計年度における研究開発費の金額は3,447百万円です。 (4)その他 分離膜・メンブレン関連では、中国市場の超純水システム用途や油田注入水処理用途への逆浸透膜の売上が好調に推移しました。また、省エネ性と高透水性を両立した新製品も大型プロジェクトへの採用が決まりました。今後も、超純水、海水淡水化、かん水脱塩などの用途向けはもとより、油田注入水処理など付加価値の高い新製品を継続的に投入し、多様化する水資源確保に貢献していきます。 当連結会計年度における研究開発費の金額は3,099百万円です。
FY2017|2,627 文字
6【研究開発活動】 当社グループ(当社および当社の関係会社)における当連結会計年度の研究開発は、新規事業の創出と、“エリアニッチトップ”(ANT)製品の開発という方針を掲げ、お客様が困っていることを見出して、それをNittoの全技術で解決することに取り組んでいます。「粘着技術」「塗工技術」「高分子機能制御技術」「高分子分析・評価技術」の4つのコア・テクノロジーをベースにして様々な技術を組み合わせて、“グリーン”“クリーン”“ファイン”の事業領域において、新たな価値を提供していきます。 その中でも、当年度は“ファイン”=ライフサイエンスの領域において、核酸分野での薬剤設計や受託合成が事業業績に貢献しただけでなく、ドラッグデリバリー技術を強みにして、免疫分野や経皮吸収薬での新しい展開も進めてきました。 研究開発の推進体制としては、2016年3月に大阪府茨木市に開設した研究と人財育成の拠点“inovas”(イノヴァス)を中核として、国内の基幹技術研究センター、環境ソリューション研究センター、エネルギーマテリアル研究センター、ライフサイエンス研究センターを、海外には、アドバンストテクノロジーセンター(米国-サンディエゴ)、日東電工アジアテクニカルセンター(シンガポール)、日東電工ヨーロッパテクニカルセンター(スイス-ローザンヌ)、日東(青島)研究院(中国-青島)を配置しています。 さらに、2017年度からは、これまでの研究開発本部に加えて、新規事業本部、知的財産本部、プロセス技術本部を設置して、全社技術部門を4本部体制としています。変化の速い情報通信分野においても、Nittoの光学材料の設計技術を融合して新製品を生み出し、しっかりした知的財産やモノづくりで支えながら、結果をともなった実行力=“実現力”を発揮して事業化につなげていきます。 当連結会計年度の研究開発部門の人員は、当社単体で886名、グループ全体で1,426名です。また、当社グループの研究開発費の総額は30,366百万円です。このうち、各事業セグメントに直接関連しない全社技術部門の研究開発費は6,584百万円です。 セグメント別の研究開発活動成果は下記のとおりです。 (1)インダストリアルテープ モバイル市場向けのテープ製品の次の柱となる事業に向けて、機能製品の開発を進めております。具体的にはストレージ関連や住宅関連、クリーンルーム用のフッ素樹脂フィルターなどの製品拡充・展開に力を掛けてきました。 今後は足元のモバイル市場への継続的な新製品開発を行いながらも、機能付加した新規製品の開発で新市場へ展開し、さらにグリーン環境対応技術に力を入れた活動を行ってまいります。 自動車関係では、NVH製品の拡販に加えて、次世代自動車に向けた新製品創出を加速しております。主機モーターに向けた絶縁材料、車載電池に向けた内圧調整材料においては、グローバルの顧客にて採用が拡大しております。 また、自動運転を見据えた安全系分野においては、欧州(ドイツ)マーケティング拠点の設置により、顧客との接点が増えてきております。光学材料を中心とした社内技術を融合することにより、新たな価値創造・新製品創出に努めてまいります。 当連結会計年度における研究開発費の金額は5,370百万円です。 (2)オプトロニクス テレビ用途関係では、LCD(液晶ディスプレイ)は大画面化、狭額縁化、薄型化が進み、弊社の偏光板製品に対しても、薄型、低収縮の要望がますます増えてきています。このような市場の要求に対して、大きく製法改革して開発した薄型低収縮偏光板をテレビ用にも展開を進め、ロール to パネル技術と組み合わせた提案を進めています。引き続き性能向上とコストダウンに取り組み、お客様のご要望にお応えしていきます。 モバイル用途関係では、LCDだけでなく有機ELディスプレイにも、視認性向上のための弊社の円偏光板が広く使われています。両分野において高機能偏光板を展開することにより、ディスプレイの更なる高性能化に貢献していきます。更に、偏光板だけではなく、タッチパネル用部材、光学透明粘着剤などとの複合化製品やディスプレイ周辺光学フィルムも開発し、お客様に価値提供を行ってまいります。 プリント回路関係では、小型化、低背化が要望されるアプリケーションに対応するため、高精度、高密度、薄膜回路を形成できる技術の構築を進めてきました。現在、新たな技術ラインナップを拡充し、多様な市場への展開を試みています。また、今後の信号の大容量化、高速化を見据えた光伝送基板の開発、試作ラインの構築を進めております。並行して光信号市場での実績化を目指しお客様への提案を進めております。 半導体関係では、メモリー向けのダイアタッチフィルムは好調を維持しました。新規構造のメモリー向けに使用されるダイアタッチフィルムの開発は完了、今後実績化を図っていきます。 また、電子部品関連では、熱硬化性封止シートの売上げが伸びており、さらに機能を付加させた新製品での新規提案を進めてまいります。 当連結会計年度における研究開発費の金額は12,024百万円です。(3)ライフサイエンス 核酸関係ではグローバルに開発市場が活発化しており、顧客要求への対応を着実に進めました。 医薬品関係では、世界初となる経皮吸収型統合失調症薬の製剤開発が進展いたしました。さらに、幅広い薬物に対応可能な次世代経皮吸収型製剤の技術開発を進めています。 医療衛生材料関係では南アジア諸国での経済発展に伴う需要増に対応し、医療用テープ類の販売が伸長しました。グループ企業のニトムズとの連携によるブランド価値向上に向けた製品開発を推進しています。 当連結会計年度における研究開発費の金額は3,496百万円です。 (4)その他 メンブレン関係では、中国、インドなどで成長している家庭用浄水器用途への逆浸透膜の売上が増加しました。今後もこの分野に注力し、この地域の民間レベルでの水環境の向上に貢献し、事業を拡大していきます。また、従来の事業領域である、超純水、海水淡水化、かん水脱塩の用途向けはもとより油田注入水処理用途への最適で付加価値の高い新製品の開発を行い、多様化する市場の要求に応えていきます。 当連結会計年度における研究開発費の金額は2,891百万円です。
FY2016|2,565 文字
6【研究開発活動】 当社グループ(当社および連結子会社)における当連結会計年度の研究開発は、『C・S・C with Passion』のスローガンのもと、“危機感(C)”“スピード(S)”“コミュニケーション(C)”を念頭に、Passion(情熱)をもって成長戦略を進めてきました。“エリア・ニッチ・トップ”(ANT)や、“多軸創出”という方針を掲げ、お客様が本当に困っていることを見出して、それをNittoの全技術で解決することに取り組んでいます。今後もCTO(Chief Technology Officer)を中心とするR&Dマネジメント体制を強化して、「粘着技術」「塗工技術」「高分子機能制御技術」「高分子分析・評価技術」の4つのコア・テクノロジーをベースにして様々な技術を融合し、“グリーン”“クリーン”“ファイン”の事業領域において、新たな価値を提供していきます。 その推進体制としては、全社技術部門として、国内には、基幹技術研究センター、環境ソリューション研究センター、エネルギーマテリアル研究センター、ライフサイエンス研究センターを、海外には、アドバンストテクノロジーセンター(米国-サンディエゴ)、日東電工アジアテクニカルセンター(シンガポール)、日東電工ヨーロッパテクニカルセンター(スイス-ローザンヌ)、日東(青島)研究院(中国-青海)を配置しています。また、お客様との共創でイノベーションを生み出すために、2016年3月に研究と人財育成の新しい拠点“inovas”(イノヴァス)を大阪府茨木市にオープンしました。 さらに、新規事業創出を目的として、2015年4月には多軸創出統括部を新設しました。グローバルの研究開発拠点と連携しながら、推進テーマの早期事業化、新規事業の拡大を積極的に進めており、窓用遮熱&断熱フィルム ペンジェレックスをはじめとした当社の成長を支える新規事業を継続的に生み出します。 当連結会計年度の研究開発部門の人員は、当社単体で948名、グループ全体で1,488名です。また、当グループが支出した研究開発費の総額は32,120百万円です。このうち、各事業セグメントに直接関連しない全社技術部門の研究開発費は11,854百万円です。 セグメント別の研究開発活動成果は下記のとおりです。 (1)インダストリアルテープ モバイル市場向けのテープ製品の次の柱となる事業に向けて製品開発しています。具体的には新たな事業展開としてアグリカルチャー分野において農水路補修用テープ、さつま芋苗生育保護シートを製品化しました。引き続き本分野における製品の拡充・展開を行っています。 継続的に成長するエレクトロニクス市場においては、環境対応によるガラス材からの変更やクリーンルーム用でフッ素樹脂膜の需要が大幅に増加しました。 自動車関係では、将来の環境対応型、自動運転化を見据えた最適な自動車関連材料を提案するため、実際の部材を使ってその効果を評価・検証するAutomotive Technical Center(ATC)を日本、ベルギー、アメリカ、中国、タイの世界5カ国で連携し、グローバルでお客様の新たな価値創造に努めていきます。 当連結会計年度における研究開発費の金額は5,110百万円です。 (2)オプトロニクス テレビ用途関係では、LCD(液晶ディスプレイ)は大画面化、狭額縁化、薄型化が進み、当社の偏光板製品に対しても、薄型、低収縮の要望がますます増えてきています。このような市場の要求に対して、大きく製法改革して開発した薄型低収縮偏光板をテレビ用にも展開を進め、ロール to パネル技術と組み合わせた提案を進めています。 モバイル用途関係では、LCDだけでなく有機ELディスプレイにも、視認性向上のための当社の円偏光板が広く使われています。今後のディスプレイのフレキシブル化やウェアラブル化にむけて、偏光板だけではなく、タッチパネル用部材、窓用フィルムなどとの複合化製品も開発しながら、お客様に新規光学フィルムの提案を進めていきます。 プリント回路関係では、動きの激しいスマートフォン業界等に対応するため、高精細化、高密度化、薄型化等に対応できる技術の整備を進めてきました。結果として、多様なFPC(フレキシブルプリント回路基板)に対応できる環境が整いつつあり、次の成長市場への展開へ踏み出すことができました。 HDD(ハード・ディスク・ドライブ)関係においては、次世代HDDに向けた技術開発が進み、高密度記録に対応した高精度の読み出しの技術確立を完了しました。新用途展開である光伝送基板も量産ラインの整備を進めています。 半導体関係では、フラッシュ・DRAMメモリー向けに使用されるダイアタッチフィルムが引き続き堅調に成長しました。メモリー以外への展開も進んでいます。さらに放熱や導電といった機能の付加を進め、次世代への対応を進めています。 電子部品関係では、昨年度上市した熱硬化型封止シートが順調に売り上げを伸ばしており、今後はスマートフォン等向け電子部品での採用により大きく伸ばす活動を推進します。 当連結会計年度における研究開発費の金額は13,564百万円です。(3)その他(メディカルおよびメンブレン) 医薬品関係では、世界初となる経皮吸収型統合失調症薬の製剤開発を進めました。 医療衛生材料関係では、日本市場向けにフィット感に優れる極薄フィルムを用いた皮膚保護テープの開発を行いました。アジア諸国・欧州で医療用テープ類の販売が伸展いたしました。 核酸関係ではグローバルに開発市場が活発化し、東北事業所の少量合成サービス(OliGrow® Japan)も順調に滑り出しました。 メンブレン関係では、従来の事業領域である、海水淡水化、かん水脱塩、廃水再利用の用途向けの製品は引き続き膜性能向上とコストダウンの取り組みを行い、世界各地のお客様の需要に応えていきます。また、新しい市場へのアプローチとして、油田注入水処理用途の膜製品、中国、インドなどで成長している家庭用浄水器用途への膜製品を投入し、売上拡大に努めています。 当連結会計年度における研究開発費の金額は1,590百万円です。