研究開発費(時系列)
| 年度 | R&D費用(億円) | 設備投資(億円) |
|---|---|---|
| 2025-12 | - | 38 |
| 2024-12 | - | 19 |
| 2023-12 | - | 13 |
| 2022-12 | - | 14 |
| 2021-12 | - | 11 |
研究開発活動(本文)
FY2025|11,201 文字
6【研究開発活動】当社グループは、「見えないものを、見るしごと。」の実現を果たすために、世の中の様々な課題やニーズに対してその解決方法を提案し、顧客満足度の向上を目指して研究開発を進めております。センシング技術に加え、照明技術やさまざまな要素技術を取り入れ、変化や状態を「見る」、見えないものを「視る」、観察し判断する「観る」を包含した「見る」技術を進化させ、多様化するお客様に価値ある提案を行い、新たなソリューションを創造してまいります。当連結会計年度の研究開発費の総額は3,760百万円であり、対売上高比率は5.7%となっております。 <SS事業>(1) 防犯関連近年、地政学的リスクの高まりや社会インフラの高度化を背景に、データセンター、発電所、空港、政府関連施設などの重要インフラを対象としたセキュリティ対策の重要性が一層高まっております。これらの施設では、侵入を確実に検知する性能に加え、警備が途切れない高い信頼性や、誤警報を抑えた安定的な運用が求められております。このような重要インフラ特有の要求に対応するため、当社グループは、屋内外の警戒用途に適した複数のセンシング技術を活用した、高精度かつ継続性の高い侵入検知ソリューションの研究開発を重点的に推進しております。特に、施工や運用の負担を抑えながら、長期間に渡り安定した警備を実現する製品の提供を目指しております。当連結会計年度の主な成果は、次のとおりです。 ① レーザースキャン侵入検知センサー「REDSCAN Lite」シリーズ屋内向けレーザースキャン侵入検知センサー 「REDSCAN Lite」シリーズを開発し、グローバル市場に向けてリリースいたしました。本シリーズは、レーザーを用いた検知方式により人や物体の動きを高精度に捉え、誤警報を抑えながら侵入検知を可能とする製品です。本製品は、1台で最大10m×10mの警戒エリアをカバーでき、データセンターや研究施設、倉庫など、高い安全性が求められる屋内空間での利用を想定しております。従来の高性能センサーと比較し、設置を簡易化する設計により、施工負担を軽減いたしました。また、周囲環境に応じて検知エリアを自動的に最適化する機能を備えることで、導入後の調整作業を最小限に抑えるとともに、長期間にわたり安定した検知性能の維持を可能としております。本シリーズは、重要インフラ向け屋内セキュリティ分野における当社グループの競争力を高める戦略製品として位置づけております。 ② ポイント・ロケーション侵入検知システム「Point Defender PD500」重要施設向け外周警備市場におけるニーズの高度化に対応するため、周辺フェンス侵入検知システム「Point Defender PD500」を開発、リリースいたしました。本製品は、フェンスに沿って設置したセンサーケーブルを用い、侵入が発生した位置を約1メートル単位で特定することが可能です。また、妨害や破壊を受けて設備の一部に損傷が生じた場合でも検知を継続できる構造を採用しているほか、システムの一部に不具合が生じた場合も、他の機器が検知機能を引き継ぐことで警備全体が停止するリスクを低減しております。加えて、フェンス全域で検知性能を自動的に均一化することにより、設置環境の差による検知のばらつきを抑え、不要な警報の低減を実現しております。空港、発電設備、データセンターなど、警備の中断が許容されない外周警備用途において、高い信頼性と実用性を備えたソリューションとなっております。今後も、上記の屋内向けレーザースキャン方式と外周向けフェンス侵入検知を組み合わせた重要施設向け侵入検知ソリューションをさらに強化し、グローバル市場における防犯分野での競争力向上を図ってまいります。 (2) 自動ドア関連自動ドア関連におきましては、公共施設、オフィス、店舗や工場施設などで人々が安全・安心・快適に通行できる自動開閉扉用センサーを開発、販売しております。創業以来培ってきた独自のセンシング技術で業界最高水準の安全性と、あらゆる設置環境下でも安定したパフォーマンスを発揮すべく研究開発を行っております。現在、国内においては、自動ドアセンサー分野は約5割、工場や倉庫の高速シャッターセンサー分野は約7割と、当社グループは高い市場シェアを保持し、海外においては、開口部周辺の安全要求が各地域の法令として定義されるなか、各地域特性に応じた製品を開発し、北米、欧州、アジア地域での市場シェアも順調に伸長しております。 また、自動ドア関連事業において進めている「モノ売り」から「コト売り」への事業拡大に関しても、システム開発やアプリ開発を積極的に進め、2025年には不動産ディベロッパー各社とスマートエントランスサービスの提供を開始しました。得意とする光技術に加え、二酸化炭素排出量削減や新しい付加価値創造を実現するための技術開発をさらに積極的に進め、より快適な社会環境の実現に貢献してまいります。当連結会計年度の主な成果は、次のとおりです。 ① 日本市場向け シートシャッター用センサー「OAM-EXPLORER(J)・LINK-BT2」工場や倉庫において、夏季の暑熱環境の悪化に加え、冷暖房の効いた空気が外部に流出することによる空調効率の低下により、作業環境の悪化が加速しており、遮熱対策及び熱中症対策の重要性が高まっております。このような現場に向けて、シートシャッター用センサー「OAM-Explorer(J)」とシャッター起動用の信号を発信する小型の無線リモコン「LINK-BT2」を組み合わせた暑さ対策ソリューションを展開しております。本ソリューションは、移動中の人や車両を捉えるマイクロウェーブ方式と、静止している対象を捉える近赤外線反射方式を装備したハイブリッド検知が特長である「OAM-EXPLORER(J)」と、無線リモコン「LINK-BT2」を組み合わせております。これにより、無駄な開閉を抑制し必要時のみシャッターを開放することが可能となりました。開閉数を最適化することで、空調効率の低下を抑制し、作業環境の改善及び安全性の向上に貢献しております。今後もカーボンニュートラルなど、社会課題に対応したセンサーソリューションを提供してまいります。 ② OMNICITY「スマートエントランス」日本市場において自動ドアセンサーを活用した情報シェアリングサービス「OMNICITY(オムニシティ)※」を開始し、Bluetooth機能を搭載した自動ドアメディアセンサー「OAB-215シリーズ(以下、OAB-215)」を市場投入して順調にビジネスを拡大しております。特にオートロックのアクセスコントロールを実現する「スマートエントランス」は国内大手ディベロッパーと連携し、マンション共用エントランスへの導入が進んでおります。また、スマートフォンアプリに加えてエレベーターやロボットなどの多様なハードウェアと連携することで、オートロックの解錠のみならず、ロボットが荷物を専有部まで配達するなど、人手不足の解消に貢献する取り組みを開始いたしました。現在は日本国内のみでの導入となりますが、北米、欧州、アジア市場での立ち上げに向けて準備を進めております。今後もスマートエントランスの拡販を進めるとともに、連携可能なデバイス・サービスを拡充し、スマートフォンと自動ドアセンサーを活用した新たなサービス及びアプリケーションの構築に取り組んでまいります。※OMNICITY:出入り口に設置された自動ドアセンサーにBluetooth機能を搭載することで、通行者に商品情報やクーポンの配信、病院やホテルなどで自動チェックイン・アウトが可能となるプラットフォーム ③ 客数情報カウントシステム客数情報カウントシステムの分野では、クラウドサービスのプラットフォーム「パッサークラウド(PASSER-Cloud)」におけるセンサー及び位置情報データの処理基盤強化に向けたシステム開発を継続してまいりました。小売業界では、リテールメディア※による店舗集客や購買促進のDX化が進んでおり、店舗マネジメントの基礎データとなる客数情報システムにおいてもクラウドサービスへの移行が加速しております。センサーによる客数計測に加え、無線通信でスマートフォンなどの位置情報を取得できる「パッサービーコン」をセンサーに内蔵し、店内購買利用での導線分析や来店時のクーポン発行などの購買促進にも活用できるなど、多様な店舗DXの施策に寄与するセンサーとパッサークラウドでのデータ分析が評価され契約数が増加いたしました。また、画像処理AIを用いて人・車両(二輪・四輪)を識別し計測するセンサー・システムを開発し、施設内のみならず、屋外の人流や来店手段など、より広域かつ詳細な分析を実現しました。これにより、近隣居住者や最寄り駅利用者などの来店属性に応じた広告展開や販売促進の効率化など、顧客の課題に対しセンサーとデータによる店舗DXのソリューションに、より貢献することが可能になりました。今後はセンシング技術の高度化及び有益なデータの拡充を進めるとともに、セキュリティ対策を強化し、安全かつ便利なセンサー・クラウドサービスを継続してまいります。※リテールメディア:小売企業が保有する店舗・アプリ・ECサイトなどにおける顧客の購買・来店・行動データをもとに、最適な情報発信や販促を行う仕組み。 (3) 社会・環境関連社会・環境関連におきましては、駐車場などで車を検知する車両検知用センサーと、液体の色や濁りを素早く正確に測定する水質計測用センサーの開発を行っております。車両検知用センサーの分野では、「人」を無視(キャンセル)し、車のみを確実に検出できるセンシング技術が求められております。この分野では長年、特殊な電線を地中に埋設する「ループコイルセンサー」が世界に普及し、駐車場業界における標準となっており、施工時の作業コストや環境への負荷が大きい点が指摘されております。その課題を解決すべく、業界でいち早く、マイクロウェーブを活用した高精度かつ地上設置が可能なエリアセンサーを開発し、全世界へ訴求・提案を進めてまいりました。その結果、世界的にループコイルセンサーからエリアセンサーへの転換が加速しつつあります。また、センサー端末販売のみならず大型施設向け駐車場への車両誘導システムの導入を推進し、利用者の駐車待ち時間・ストレスの軽減や交通誘導員不足の解消など、社会課題の解決に注力しております。水質計測用センサーの分野では、安全・品質・衛生管理の特殊な計測ニーズに対応した製品の開発を行っており、DXを活用した計測ニーズに対応し、顧客の意思決定の根拠となる高精度なデータを提供できる様々なセンサー製品の開発に取り組んでまいります。当連結会計年度の主な成果は、次のとおりです。 ① 車両検知用センサー「OVS-02GTシリーズ」2023年に発売したOVS-02シリーズは人キャンセル性能の大幅向上、検知エリアの拡大、スマートフォンアプリによるきめ細かな機器設定や施工性の向上など、様々な顧客要望を取り入れてまいりました。その結果、ループコイルセンサーから当社グループ製品への置き換えが進み、北米のオフィスや集合住宅向けセキュリティゲートの開閉用途を中心に全世界で継続的に販売数量が増加いたしました。今後は欧州地区でのさらなる拡販を目指すべく、欧州安全規格に対応したOVS-02GT派生モデルの市場投入を予定しております。 ② 車路管制システム(車両誘導システム)大型商業施設や公共向け駐車場へ、車両検知センサー、誘導灯(招き灯)、表示機器、制御システム及び表示用ソフトウェアから構成される車両誘導システムの提案を推進いたしました。これにより、宮崎空港をはじめとする様々な公共施設や商業施設への導入が実現しました。今後も交通誘導員不足などの社会課題を背景に、同分野の需要は継続すると見込んでおります。 ③ 水質モニタリングサービス「WATER it」計測データを含むソリューションを提供する簡易水質測定システム「WATER it」に、当社グループの環境防災機器を接続することが可能となりました。これにより、水環境と設備の異常の有無を同一システム上で把握することができます。本システムは、DXを活用し現場の負担を大幅に削減できるソリューションとして、近年、利用件数が順調に増加しております。これは水質管理市場において同システムの認知度が向上してきたことに加え、ワンストップで遠隔モニタリングを迅速に利用できるという利点が評価を受けていることによるものです。今後も継続して市場への普及を目指してまいります。また気候変動による災害においては、社会的及び制度的課題として取り上げられた地下駐車場の冠水事故の影響から、当社グループの冠水センサーについて多数のお問い合わせがあり、実案件に向けた動きも見られました。引き続き「WATER it」の普及のため、市場の防災ニーズへの高まりを注視し、水質管理及び環境防災機器のモニタリング機能の充実を図ってまいります。 <IA事業>(1) FA関連FA関連におきましては、さまざまな製造業の工場における製造ラインの自動化・省力化に不可欠なFA用センサー(産業用センサー)の製品開発、研究に取り組んでおります。可視光や赤外光を用いた光電センサーのみならず、距離を計測する変位センサー、カメラを用いた画像センサー、LED照明機器、非接触温度計などのセンサー、さらに産業IoT(IIoT)※、環境の構築に貢献するIO-Link※製品など、幅広く開発しております。当連結会計年度の主な成果は、次のとおりです。※産業IoT(IIoT):Industrial Internet of Thingsの略で、産業用機械や装置・設備・システムなどをネットワークで相互接続し、現場作業の効率化や見える化などを実現するもの※IO-Link:センサーと制御システムの間で各種データ交換を行う通信技術のこと。設備の予知保全などに役立つ ① 防塵防水(IP67)の高輝度センシングバー照明「OPB-X-IPシリーズ」従来からの独自技術であるセンシング照明を進化させた新技術「FALUX sensing +」を搭載したセンシングLED照明シリーズにおけるバー照明(OPB-Xシリーズ)の防塵防水タイプとなります。バー照明は特に水や粉塵が舞う過酷な環境下での使用用途が多いため、標準のOPB-Xシリーズと同等の明るさなどの照明性能に加え、防塵防水性能を有したモデルを追加いたしました。 ② 高輝度センシングリング照明「OPR-X 32-10サイズ」新技術「FALUX sensing +」を搭載したセンシングLED照明シリーズとして、バー照明(OPB-Xシリーズ)に続く第2弾となるリング照明をラインナップに追加いたしました。本製品では、Φ32サイズの小型リング照明に対応したローアングル用アタッチメントレンズを新たに開発し、傷などの欠陥が検出しやすい暗視野照明への対応を可能としました。 ③ LED照明用電源「OPPXシリーズ」EtherNet/IPモデル追加好評を頂いているLED照明用電源「OPPXシリーズ」に、EtherNet/IP※に対応したモデルを追加いたしました。これまでEtherNet/IPに対応したLED照明用電源は、標準的な電源とは別モデルの位置付けであり、製品仕様も異なっておりましたが、今回のOPPXシリーズでは標準電源仕様そのままにEtherNet/IPに対応しているため、ユーザーの利便性向上に貢献いたします。※EtherNet/IP : 基本的なEthernet技術をベースに、産業用共通プロトコル(CIP)を組み合わせて使用する産業用ネットワーク規格のこと。 ④ IO-Linkデバイス「UR-DS8RTD」白金測温抵抗体モデル追加白金の電気的特性を利用して温度を測定するセンサーである白金測温抵抗体を接続し、-200℃~+1000℃の温度データをIO-Link通信に変換するユニットです。8本分の白金測温抵抗体を同時に接続することが可能です。他のデバイスユニットと合わせて、各種データをIO-Link通信にてやり取りすることで、製造現場における温度管理の見える化をさらに推進する製品となっております。 ⑤ 超小型レーザー変位センサー「CD2Sシリーズ」超小型筐体の高精度変位センサーを開発いたしました。上位機種で採用している独自開発のイメージセンサー「ATMOS」を搭載し、堅牢な金属筐体で安定した検出性能を提供いたします。表示部には上位機種と同様のOLEDディスプレイ※を採用し、より分かりやすく直感的な操作が可能です。インターフェースはセンサー類で採用が広がるIO-Linkに対応するとともに、従来の工業用アナログ電流・電圧出力も装備しております。限られた設置スペースでも安定した測定を実現し、搭載装置の小型化及び高密度化に貢献いたします。※Organic Electro light Luminescence Diode (有機ELダイオード)ディスプレイ ⑥ OLEDディスプレイ搭載ローコストファイバーセンサー「D12Rシリーズ」シンプルな機能構成及び低価格を追求しながら、OLEDディスプレイの採用により直感的な操作を可能にしたデジタルファイバーセンサーD12Rを開発いたしました。上位機種と統一感のあるデザイン、操作性を維持しつつ、機能を絞り込むことで低価格を実現しております。一方で、50μsの高速応答や、異周波設定により最大4台まで同一センサーを近接設置しても誤作動しない干渉防止機能に加え、豊富な外部入力機能も装備し、利便性にもこだわりました。 ⑦ IO-Link対応高機能デジタルファイバーセンサー「D4RFシリーズ」近距離・高精度タイプ追加超高速応答(16μs)、高機能デジタルファイバーセンサーD4RFシリーズに新たな機種を追加いたしました。近距離での検出でも光量過多になることなく、スクリーンファイバ(帯状に広がる光)を使用した際に、微小な物体の通過による僅かな光量の変化を検出することが可能です。本機種は小型電子部品や錠剤の落下検出などの用途を想定しております。また、同シリーズの従来機種と同様に、高速応答やOLEDディスプレイによる可読性、操作性も備えております。 (2) 検査用照明関連検査用照明関連におきましては、お客様の困り事を解決するために光を軸としたソリューション提案を磨くことで、お客様の検査品質向上に努めてまいりました。さらに、市場規模が拡大している半導体ウェハや二次電池部材などの検査需要にお応えするため、カメラ、レンズ、画像処理ソフト、装置、産業ロボットなどを活用した検査・計測のトータルソリューションへ活動の幅を広げております。そして、高度化・多様化しているお客様の課題を解決すべく、従来からの照明や関連機器の高性能化・高機能化のみならず、生成AI、レーザー光源などの先進技術の積極的な利用や、光学・制御に関する研究開発、当社グループ企業間の技術連携によるシナジー効果の発現にも力を入れております。当連結会計年度の主な成果は、次のとおりです。 ① 業界最高クラスの明るさを実現したラインスキャンカメラ用照明「LN2シリーズ」の開発独自の光学設計(特許出願済)と放熱設計により、ラインスキャンカメラ用照明にて自然空冷方式で業界最高クラスの明るさを出力する製品「LN2シリーズ」を開発いたしました。二次電池向けの電極シートやフィルムシート市場の成長に伴い、ラインスキャンカメラを用いた検査の高精細化・高速化が求められておりますが、従来製品では明るさが不足するという課題がありました。この課題を解決すべく、光学設計を改良することで明るさを向上させるとともに、検査物の特徴に適した配光を3種類ラインナップいたしました。これにより、様々なシートやフィルムの検査シーンにて、高精度・高速化の需要に対応しております。 ② 照明制御機能を拡充したデジタル電源「PD4-Aシリーズ」の開発2022年度に発売した「PD4シリーズ」に、多彩な照明点灯制御機能などを追加した「PD4-Aシリーズ」を開発いたしました。近年ではフォトメトリックステレオ法※などを代表とした、一回の検査において複数の照明を制御する検査ニーズが増加しており、電源においてもよりフレキシブルな点灯制御が可能となる機能の追加が求められておりました。今回の開発では、複数の照明を制御することに特化したシーケンス制御機能において多様な検査に応えるように機能を拡充いたしました。従来は使用する照明の点灯・消灯を切り替えるのみでしたが、それに加え調光値や点灯時間の設定、外部からの動作指示信号の選択、点灯順序の変更を可能とし、より細かな設定ができるようになりました。また、検査装置の多くは電源を制御するためにプログラマブルロジックコントローラ(以降PLC)が使用され、電源と通信が行われております。PLC専用の通信機能(PLCCOM通信機能)においても利便性をさらに向上させる機能を拡充いたしました。今までは通信用のコマンド理解がユーザーに必要でしたが、それを不要とする簡単設定モードを追加し、照明制御やデータの読み取りや書き取りを容易にしております。このように、制御及び機器接続の利便性を高めることで、複雑化・高度化する検査需要に対応してまいります。※フォトメトリックステレオ法:検査対象物へ複数方向から照射し、撮像した画像の差分によって検査対象物の情報を抽出する手法 ③ 3次元計測技術の進展検査物の欠陥有無の検出にとどまらず、定量的に欠陥の寸法を計測できる「二光束干渉法※を用いた3次元計測装置」の開発に取り組んでまいりました。二光束干渉法に特化した独自の光学設計により光の可干渉性(干渉のしやすさ)を高め、様々な表面状態の検査対象物にも対応が可能となりました。また、駆動部と画像処理部も自社開発することで、ミクロンからミリオーダーまでの幅広い高さ領域の計測を実現いたしました。さらに、産業用カメラにおける標準規格であるCマウントのカメラが使用可能であり、レンズ倍率や高さ分解能(測定の細かさの限界)などもカスタマイズでき、お客様の幅広い検査ニーズにも対応できます。本技術は今後ラインカメラへの応用も検討しており、二光束干渉法を用いた高速かつ広視野な3次元計測の実現に向け、引き続き検討を進めてまいります。※二光束干渉法:一つの光を二つの光に分離し重ね合わせ、両者の光路差(距離の差)を干渉縞の強度として検出する手法。 (3) 産業用PC関連産業用PC関連におきましては、様々な産業分野向けとして、高い品質と長期供給性を追求した組み込みボード製品の製造や、生産ライン、社会インフラ向けのシステムを構築し、CPUボード、I/Oボード、コントローラー装置など組み込み用コンピュータ構築に必要なプラットフォーム提供からアプリケーション・システムの構築、さらには最新のセンシングや制御装置・ロボットの提供など、幅広くお客様のニーズに対応しております。 ① 消防ロボット2022年より、当社グループ会社のサンリツオートメイション㈱・愛知県豊田市消防本部・愛知工業大学と共同開発を進めてまいりました、火災及び災害現場における遠隔調査が可能な消防用ロボット(製品名:高温下作業用クローラロボットARTHUR-FireFighter )が、豊田市消防本部へ導入されました。中核市での消防用ロボットの導入は全国初であり、地方においても、火災や特殊な災害現場での要救助者捜索などで、本製品の活躍が期待されております。また、本製品の検証や改良を継続的に推進できる体制を構築するため、豊田市と「消防用ロボットの能力開発の協力に関する協定」を締結いたしました。協定を通じて、より広く活用ができ、より救命・防災・減災に役立つロボットとして、多くの自治体・機関での社会実装に向けて活動してまいります。 ② 屋内マップ生成機能付き無線環境測定ツール屋内のWi-Fiなどの無線通信は、部屋の構造や設置物の影響を受けやすく、同じ建物内でも位置によって通信品質にばらつきが生じます。エンドユーザーに通信環境をレポートするためには、屋内の構造が分かるマップを作成したうえで、電波状況をマップ上にプロット(記録・表示)する必要があり、作業に多くの時間を要します。そこで、屋内構造のマップ作成と無線状況のプロットを同時に行うシステムの研究を行い、自動マップ生成機能を有した無線環境測定ツールを開発しました。現状は無線研究者向けのツールとなりますが、屋内を歩いて無線の状態を計測するだけで、屋内のマップを自動作成しながら電波強度・電波混雑率をマップにプロットすることが可能となりました。今後は、一般ユーザーでも容易に操作できる屋内マップ生成機能付き無線環境測定ツールの研究・開発を進めてまいります。 (4) 自動化装置関連自動化装置関連におきましては、電動自動車用などの二次電池製造装置や、電気・電子・医薬品などの多様な産業分野向け自動化装置及び画像処理検査装置・非接触3次元形状測定機などを開発・製造・販売しております。高度なメカトロ技術※や画像処理技術により、ものづくりの現場の生産性向上と品質向上に貢献しております。当連結会計年度の主な成果は、次のとおりです。※メカトロ技術:メカトロニクス技術の略称で、機械工学(メカニクス)と電子工学(エレクトロニクス)を融合させた技術分野のこと ① 3次元形状測定機向け紙図面自動読み込みソフトウェア非接触3次元形状測定機「DMS-800」のオプションとして、AIを用いて部品や製品の紙図面・PDFデータを読み込み、実測データと比較できるソフトウェアを世界で初めて※開発・発売いたしました。これまでCADデータ(コンピューター上で制作した設計図)を読み込み、実測データと比較する機能は多くの測定装置に採用されておりました。しかし、設計元が外部の加工会社に製造委託する際は、データ改ざん防止及び機密保持の観点からCADデータを提供できず、PDFデータや紙図面で発注されるケースが多数あります。この場合、加工会社が図面に記載された寸法情報などを目視で確認し、装置に手動入力した上で、実測データと比較する必要がありました。本ソフトウェアは複数のAIエンジンを組み合わせて使用することで、図面の寸法や、設計値に対して許容される寸法の範囲を示す「公差」を、高精度かつ自動で読み込むことが可能です。これにより、検査測定箇所の図面寸法入力の時間を大幅に短縮し、生産効率向上に貢献いたします。今後も中小規模の部品加工メーカーや、多種多様な取引先から受託する加工メーカーが効率よく検査測定を行えるよう、ユーザー視点で差別化した機能拡充を図り、さらなる事業拡大を目指してまいります。※ミツテック㈱調べ(2025年7月24日時点、非接触3次元形状測定機向けに同様の機能を有する製品として)
FY2024|9,828 文字
6【研究開発活動】当社グループは、「見えないものを、見るしごと。」の実現を果たすために、世の中の様々な課題やニーズに対してその解決方法を提案し、顧客満足度の向上を目指して研究開発を進めております。センシング技術に加え、照明技術やさまざまな要素技術を取り入れ、変化や状態を「見る」、見えないものを「視る」、観察し判断する「観る」を包含した「見る」技術を進化させ、多様化するお客様に価値ある提案を行い、新たなソリューションを創造してまいります。当連結会計年度の研究開発費の総額は3,697百万円であり、対売上高比率は5.8%となっております。 <SS事業>(1) 防犯関連近年、世界的な地政学的リスクの高まりや、経済の不透明感が続く中、社会の安全・安心に対するニーズが引き続き高まっております。特に、サイバー攻撃やテロリズムの脅威の増加により、重要インフラ施設の防犯対策が一層強化される傾向にあります。また、都市部を中心とした犯罪の巧妙化や、個人情報の流出リスクの増大に伴い、一般住宅や商業施設においても高度な防犯対策が求められるようになっております。このような状況のもと、各国ではデータセンター、発電所、政府機関などの重要施設のみならず、オフィスビル、商業施設、一般住宅においても、防犯カメラシステム、侵入警戒システム、遠隔監視システムなどの導入が進んでおります。当社は、こうした社会のニーズに対応し、より高度なセキュリティソリューションを提供するため、防犯カメラシステムとの親和性が高く、高信頼性・高精度の侵入検知技術を核とした製品やシステムを開発し、社会の安全・安心の確保に貢献してまいります。当連結会計年度の主な成果は、次のとおりです。 ① 屋外防犯センサー付きカメラ一般住宅、工事現場、資材置き場、店舗・事業所などの屋外警戒を目的とした、センサーとカメラを融合した防犯カメラシステムを開発いたしました。屋外専用の高信頼性センサーにより、誤報を抑えながら侵入者を検知し、その決定的瞬間の画像を遠隔監視システムや警備会社に送信することで、不審者の動向を即時に把握し、迅速かつ適切な対応をサポートいたします。さらに、電池駆動と業界トップクラスの電波到達距離・安定性を実現しており、敷地の広い現場や障害物の多い環境でも安定した運用が可能です。ワイヤレス化により配線工事を大幅に簡略化したことで、施工時間とコストを削減するとともに、メンテナンス性の向上を実現いたしました。また、屋外環境に耐え得る堅牢設計を施しているため、雨天や粉塵などの影響を最小限に抑え、長期間にわたる安定稼働が可能となりました。本製品は多様化するセキュリティニーズに対応し、敷地全体の防犯性を高める有効なソリューションとして期待されております。 ② 防犯用センサーライト「LA-11PRO」シリーズ当社は1987年に日本で初めてセンサーと照明を一体化した製品を開発し、警備会社や防犯・電気工事店向けのプロ仕様の製品として長く販売してまいりました。防犯意識の高まりにより、一般住宅にも防犯用センサーライトが広く普及しておりますが、より広範囲を照らす照明のニーズを受け、「LA-11PRO」を開発いたしました。本製品は侵入者を検知すると同時に高輝度LEDライトを点灯し、威嚇と視認性を両立させるセンサーライト一体型の防犯システムです。当モデルは、従来モデルの設置しやすいサイズはそのままに、1.7倍の光量を実現いたしました。また、新たにシルバー色のモデルを追加したほか、人気の高い昼白色LEDを採用したことで、様々な建築物に調和するデザインとなっております。そして、省エネルギー性を重視し消費電力を抑えながらも、十分な照度を確保しております。既存の照明設備との置き換えも容易で、工事現場や資材置き場、店舗・事業所など様々な屋外環境に導入できる設計となっております。ネットワークカメラや各種警報装置との連動にも対応しており、侵入リスクの早期発見と抑止効果を同時に高めることができます。屋外セキュリティの重要性が増す中、当社は今後も「LA-11PRO」シリーズを通じ、多様化する防犯ニーズに応えてまいります。 (2) 自動ドア関連自動ドア関連におきましては、公共施設、オフィス、店舗や工場施設などで人々が安全・安心・快適に通行できる自動開閉扉用センサーを開発、販売しております。創業以来培ってきた独自のセンシング技術で業界最高水準の安全性と、あらゆる設置環境下でも安定したパフォーマンスを発揮すべく研究開発を行っております。現在、国内におきましては、自動ドアセンサー分野は約5割、工場や倉庫の高速シャッターセンサー分野は約7割と、当社は高い市場シェアを保持し、海外におきましては、開口部周辺の安全要求が各地域の法令として定義されるなか、各地域特性に応じた製品を開発し、北米、欧州、アジア地域での市場シェアも順調に伸長しております。また、自動ドア関連事業において進めている「モノ売り」から「コト売り」への事業拡大に関しても、システム開発やアプリ開発を積極的に進め、2025年には不動産ディベロッパー各社とスマートエントランスサービスの立ち上げを予定しております。さらに、当社が得意とする光技術に加え、二酸化炭素排出量削減や新しい付加価値創造を実現するための技術開発を積極的に進め、より快適な社会環境実現に貢献してまいります。当連結会計年度の主な成果は、次のとおりです。 ① 日本市場向け自動ドア用非接触スイッチ 「Clean Wave™」OMH-100D食品工場や冷蔵冷凍倉庫、クリーンルームなどの自動ドア向けの非接触スイッチ「Clean Wave™」OMH-100Dを2024年2月に発売し、同年10月にはグッドデザイン賞を受賞いたしました。本受賞を機に大手自動ドアメーカー・ディーラーやパネルメーカーでの採用が加速し、2025年は大幅な採用台数増加が期待できます。同製品は0℃以下の厳しい温度環境下でも使用可能な耐環境性能及び薄型のデザインを特徴とし、これまでセンサーの設置が避けられてきた冷蔵冷凍倉庫などにおける自動ドアへの普及を目指してまいります。また今後は、自動ドア以外の用途の普及に加え、北米市場への拡販も目指してまいります。 ② OMNICITY新サービス 「スマートエントランス」2020年より、日本市場において自動ドアセンサーを活用した情報シェアリングサービス「OMNICITY(オムニシティ)※」を開始し、Bluetooth機能を搭載した自動ドアメディアセンサー「OAB-215シリーズ(以下、OAB-215)」を市場投入して順調にビジネスを拡大しております。また、OMNICITYの新しいサービスとして、マンション共用部におけるドア開閉のアクセスコントロールを自動ドアセンサーOAB-215とスマートフォンアプリで実現するシステム「スマートエントランス」を開発いたしました。従来必要であったアクセスコントロール用の制御器や無線タグなどを使用せず、既存の自動ドアセンサーを、Bluetooth機能を搭載した自動ドアセンサーOAB-215に交換し、専用のスマートフォンアプリをダウンロードするだけでハンズフリー通行や宅配業者の置き配連携が可能になります。これにより、これまでにない低コストでスマートなマンションエントランスを簡単に実現できるシステム・サービスとなります。2025年からは国内大手ディベロッパーと連携して順次サービスを開始し、また北米、欧州、アジア市場においてもサービスを立ち上げる予定です。※OMNICITY:出入り口に設置された自動ドアセンサーにBluetooth機能を搭載することで、通行者に商品情報やクーポンの配信、病院やホテルなどで自動チェックイン・アウトが可能となるプラットフォーム ③ 客数情報カウントシステム客数情報カウントシステムの分野では、クラウドサービスのプラットフォーム「パッサークラウド(PASSER-Cloud)」におけるデータベース拡張、他システムとのデータ連携、AI解析、セキュリティ対策など基盤整備を進めてまいりました。その結果、店舗マネジメントでの集客トレンド把握・分析などの客数指標(客数・属性・滞在時間・購買データなど)を、より便利に安全に利用できるサービスとして高評価を受け、契約数が増加いたしました。また、ビーコンを内蔵し、無線通信で位置を特定する人数カウントセンサー「パッサービーコン」は、店舗来店時のクーポン自動発行などの販促や、顧客の回遊性を高めるデジタルマーケティングに採用されております。店舗内のみならず、店舗周辺の人流分析も含めた広域のマーケティング支援サービスとして、継続的にコンテンツ開発を進めております。今後はAI技術の開発・活用を進めることで、センシングの検知性能を向上させ、様々な施設・場所における人流計測の精度改善に取り組んでまいります。さらに、付加価値の高い情報提供を実現するため、計測データの集計解析にクラウドを活用し、「店舗DXニーズ」に対応したソリューションの提供を拡充してまいります。 (3) 社会・環境関連社会・環境関連におきましては、駐車場などで車を検知する車両検知用センサーと、液体の色や濁りを素早く正確に測定する水質計測用センサーの開発を行っております。車両検知用センサーの分野では、「人」を無視(キャンセル)し、車のみを確実に検出できるセンシング技術が求められております。この分野では長年、特殊な電線を地中に埋設する「ループコイルセンサー」が世界に普及し、駐車場業界における標準となっており、施工時の作業コストや環境への負荷が大きい点が指摘されております。その課題を解決すべく、当社は業界でいち早く、マイクロウェーブを活用した高精度かつ地上設置が可能なエリアセンサーを開発し、全世界へ訴求・提案を進めてまいりました。その結果、世界的にループコイルセンサーからエリアセンサーへの転換が加速しつつあります。水質計測用センサーの分野では、安全・品質・衛生管理の特殊な計測ニーズに対応した製品の開発を行っており、DXを活用した計測ニーズに対応し、顧客の意思決定の根拠となる高精度なデータを提供できる様々なセンサー製品の開発に取り組んでまいります。当連結会計年度の主な成果は、次のとおりです。 ① 車両検知用センサー「OVS-02GTシリーズ」2017年に発売したOVS-01シリーズの高付加価値モデルを開発いたしました。市場要求が高かった「人キャンセル」性能の大幅向上、検知エリアの拡大、スマートフォンアプリによるきめ細かな機器設定や施工性の向上など様々な顧客要望を取り入れた結果、海外ではオフィスや集合住宅向けセキュリティゲートの開閉用途、国内ではコインパーキング用途向けで好評いただき、事業を拡大しております。 ② 水質モニタリングサービス 「WATER it」計測データを含むソリューションを提供する簡易水質測定システム「WATER it」の展開に引き続き注力しております。本サービスは、「水の未来をつくる」をコンセプトに、いつでも、どこでも水環境を把握できる水質管理のDXとして現場の負担を大幅に削減できるソリューションです。2022年のリリース以降、順調にご利用件数が増加しております。また、昨今の社会を取り巻く様々な環境の変化や気候変動などにより、自然災害のリスクが高まっております。このような中、当連結会計年度には、遠隔モニタリングサービスのひとつとして、当社の環境防災機器も「WATER it」に接続することが可能となりました。これにより、冠水状況や設備の異常監視のモニタリングも水質測定と同じシステムで利用できるワンストップ化を実現いたしました。 <IA事業>(1) FA関連FA関連におきましては、さまざまな製造業の工場における製造ラインの自動化・省力化に不可欠なFA用センサー(産業用センサー)の製品開発、研究に取り組んでおり、可視光や赤外光を用いた光電センサーのみならず、距離を計測する変位センサー、カメラを用いた画像センサー、LED照明機器、非接触温度計などのセンサー及び産業IoT(IIoT)※、環境の構築に貢献するIO-Link※製品など、幅広く開発しております。当連結会計年度の主な成果は、次のとおりです。※産業IoT(IIoT):Industrial Internet of Thingsの略で、産業用機械や装置・設備・システムなどをネットワークで相互接続し、現場作業の効率化や見える化などを実現するもの※IO-Link:センサーと制御システムの間で各種データ交換を行う通信技術のこと。設備の予知保全などに役立つ ① 高輝度センシングバー照明 「OPB-X 幅15mmサイズ」従来からの独自技術であるセンシング照明を進化させた、新技術「FALUX sensing +」を搭載したセンシングLED照明シリーズのOPB-Xにおいて、従来の幅30mmに加え、幅15mmサイズを発売いたしました。多機能LED照明コントローラーOPPXシリーズと接続することでモニタリング・フィードバック制御に加え、照明個体の識別が可能で、個体ごとに異なる累積点灯時間などのデータを参照でき、予知保全に利用できます。さらに、通常は照明延長ケーブルを使用すると、ケーブルによる電圧降下の影響で照明の明るさが低下しますが、FALUX sensing +に対応したOPB-Xシリーズは、上記OPPXシリーズに接続することで、この課題を解決する新しい調光方式L-INT※モードで点灯させることができます。※L-INT:FALUX sensing +対応照明の内部で明るさを変更する、当社独自の調光方式です。 ② IO-Link対応非接触温度計「TI-Sシリーズ」業界初の同軸リングレーザーポインタを内蔵し、測定ポイントが一目瞭然となる非接触温度計を販売いたしました。これにより、暗く狭い場所でも、ポインタを確認しながら簡単に位置調整を行うことが可能となりました。また、非接触温度計としては業界最高レベルの高精度測定(±1℃)を実現しており、シビアな測定要求にも対応可能です。さらに、応答時間50ms以下の高速応答にも対応し、ライン上で移動するワーク(測定対象となる物体)の温度測定などにも有効となっております。 ③ レーザー変位センサー 「CD2Hシリーズ」RS485シリアル通信インターフェースモデル追加操作性に優れた高精度小型レーザー変位センサーCD2Hシリーズに、産業分野で標準的なRS485シリアル通信インターフェースモデルを追加いたしました。既存モデルと同じくイメージセンサー「ATMOS」を搭載し、樹脂筐体ながらクラス最高レベルの測定精度と高速化を実現しております。業界で一般的なRS485通信に対応することで、現場の設備を大きく変更することなく高精度な変位センサーを導入することが可能となりました。 ④ IO-Link対応高機能デジタルファイバーセンサー「D4RFシリーズ」赤外光源タイプ追加超高速応答(16μs)、高機能デジタルファイバーセンサーD4RFシリーズに新たな機種を追加いたしました。水分やフィルムに吸収されやすい性質を持つ1450nmの赤外光源を活用しているため、一般的な赤色光源や1,000nm以下の赤外光では検出が難しい透明体内での液体有無検知やフィルムなどの重なり検知に対応しております。同シリーズの高速応答やOLEDディスプレイ※による可読性、操作性も引き継いでおります。※OLEDディスプレイ:Organic Electro light Luminescence Diode (有機ELダイオード)ディスプレイ (2) MVL関連MVL関連におきましては、お客様の困り事を解決するために光を軸としたソリューション提案を磨くことで、お客様の検査品質向上に努めてまいりました。さらに、昨今の人手不足改善へのご要望にお応えするため、カメラ、レンズ、画像処理ソフト、装置、産業ロボットなどを活用した検査・計測のトータルソリューションへ活動の幅を広げております。そして、高度化・多様化しているお客様の課題を解決すべく、従来からの照明や関連機器の高性能化・高機能化だけではなく、生成AIなどの先進技術の積極的な利用や、光学・制御に関する研究開発、当社グループ企業間の技術連携によるシナジー効果の発現にも力を入れております。当連結会計年度の主な成果は、次のとおりです。 ① レーザーダイオードを活用した超高出力光源製品のさらなる強化半導体、電子部品などの製造工程で行う画像処理検査では、一部の製造ラインにて強い明るさを出力するキセノンフラッシュ光源が使用されております。しかしこのキセノンフラッシュ光源には、ランプ寿命によるランプ交換の手間や、発光抜け(信号入力時に発光しなくなる現象)が起こりやすいこと、ジッター(発光のふらつき)が発生するなどの課題があり、これらを改善した製品開発へのニーズは強く、多くのご要望をいただいておりました。当社はこれらのご要望に対応すべく、キセノンフラッシュ光源に代わりレーザーダイオードを活用した光源の開発に取り組んでまいりました。2018年に「PFBR-600SW シリーズ」を、2022年に後継機を開発・発売し、小型電子部品などの高速かつ高精細画像が必要とされる製造ラインで多数採用されております。当連結会計年度には、さらなる明るさを実現した超高出力光源製品「PFBR-2400SW-LL-XF」を開発・発売いたしました。「PFBR-2400SW-LL-XF」は4灯のレーザーダイオード光源を同時に発光させ、光出力を一つに集約することで明るさ1億5千万ルクス※を実現いたしました。さらに、繰り返し発光周期を最短250kHzまで高速化することが可能となり、取得画像のぶれの低減を実現いたしました。当社はレーザーダイオードを活用した高出力技術を成長させることで、半導体、電子部品などの検査用光源としてシェア拡大を目指してまいります。※調光最大、出射側の結束系φ10、全長1,000㎜のストレートガイド装着時 ② 3次元計測技術「位相シフト法」の画像検査ソリューションへの展開3次元計測の技術として用いられてきた位相シフト法を外観検査に用いる技術開発を行い、プロトタイプ「二軸位相シフト照明」を発表いたしました。凹凸などの高さ方向に高い感度を持っているため、浅い打痕やヒケ(成形過程の収縮で発生する表面のくぼみ)の観察に有効であり、自動車のボディやパーツ、鋼材などの大型なワークを外観検査する手法として期待を寄せております。さらに、一般的な位相シフト照明と異なり、縦縞、横縞の二軸方向で点灯させることができるため、ワークの傷に方向性がある場合も検査の精度損失を軽減することができます。お客様の幅広い検査ニーズに対応できるよう、発光面サイズや形状、縞パターンの幅などをカスタマイズでき、エリアカメラとラインカメラ双方に対応が可能となっております。 (3) IPC関連IPC関連におきましては、様々な産業分野向けとして、高い品質と長期供給性を追求した組み込みボード製品の製造や、生産ライン、社会インフラ向けのシステムを構築し、CPUボード、I/Oボード、コントローラー装置など組み込み用コンピュータ構築に必要なプラットフォーム提供からアプリケーション・システムの構築、さらには最新のセンシングや制御装置の提供など、幅広くお客様のニーズに対応しております。 ① 無線環境モニタリングシステムの研究2023年11月より、国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)の高度通信・放送研究開発委託研究の公募で採択された「無線環境モニタリングシステムの研究開発」を行っております。製造現場や医療現場では、無線機器の活用が進む一方で、無線通信トラブル発生時に原因特定に時間がかかり、復旧が遅れる事例が多く見られることが分かってまいりました。本研究では、現場で利用されている無線通信の潜在的な課題を見える化し、ユーザーの無線通信に関するスキルや理解度に合わせた行動示唆を行い、無線通信トラブルを未然に回避するシステムの研究を行っております。当連結会計年度では、実際の製造現場で無線通信トラブルが発生した際の状況を把握するため、状況分析に必要なデータの種類及びデータ収集の間隔を調査・研究しました。今年度は、より適切な無線通信環境の実現を目指し、無線センサーの設置台数・設置場所の評価検証を行います。また、ネットワーク監視の専門家に利用されるツールではなく、作業者への自動的かつリアルタイムな行動示唆ができるツールの研究開発を進めてまいります。 ② 監視カメラの業界規格に対応した追尾装置の研究開発監視カメラの業界規格(ONVIFなど)に対応した次世代追尾装置の研究開発を進めております。本装置の開発に最新のAI技術と映像解析技術を活用したことにより、監視カメラが捉えた物体の自動追跡が可能となりました。また、既存の監視ソフトウェア(例:VMS)をはじめとした様々な監視カメラ製品との高い互換性を実現したため、今後、幅広い用途での活用が期待されております。 (4) MECT関連MECT関連におきましては、電動自動車用などの二次電池製造装置や、電気・電子・医薬品などの多様な産業分野向け自動化装置及び画像処理検査装置・非接触3次元形状測定機などを開発・製造・販売しております。高度なメカトロ技術※や画像処理技術により、ものづくりの現場の生産性向上と品質向上に貢献しております。当連結会計年度の主な成果は、次のとおりです。※メカトロ技術:メカトロニクス技術の略称で、機械工学(メカニクス)と電子工学(エレクトロニクス)を融合させた技術分野のこと ① 5軸構造ダブルレーザー3次元形状測定機「DMS-800」従来の、接触針がワークに直接触れることで測定を行う「接触式3次元測定機」とは異なり、レーザー光をワークに照射し、その反射光を観察することで、ワークに接触することなく形状を高速かつ高精度で測定できる装置を開発いたしました。近年、自動車関連部品や様々な精密機器などに使用される鋳造品、加工品、成型品などで、接触針が入らない複雑な形状のワークが増加しており、正確な測定が困難になる課題が生じております。こうした課題に対し、当社グループで培ってきたレーザー光を用いた光測定方式を採用し、高精度かつ高速に形状測定を行う装置を開発いたしました。また当社のもう一つの強みであるメカトロ技術を活かし、機械加工装置と同じ5軸構造を実現することで、複雑な形状のワークに対しても正確な測定を可能にしました。さらに光測定方式の弱点でもある影(死角)ができる点に対して「ダブルレーザー」を搭載することで解決を図っております。 ② 卓上型3次元形状測定機「新 3D-Eyeスキャナー」試験開発や製造現場における様々な形状測定のニーズに対し、光測定方式を用いて顧客が抱える課題を解決する、卓上型非接触3次元形状測定機を開発いたしました。持ち運びが可能な卓上型でありながら、XYZ軸の調整が可能なステージを標準装備しており、高さ・面積・体積の測定を高精度に行うことができます。また、スキャンしたデータに含まれるノイズ成分を最小限に抑え、より精度の高い計測結果を導き出すことができる「サブラインスキャンテクノロジー(特許出願中)」を搭載するなど、当社グループが過去に発売した従来品から大きく進化しております。今後は、金属加工部品、鋳造部品、樹脂成型部品製造など様々な分野に、これまで進めてきた外観検査ソリューション事業と合わせ、非接触3次元形状測定機事業を拡大展開してまいります。
FY2023|9,715 文字
6【研究開発活動】当社グループは、「見えないものを、見るしごと。」の実現を果たすために、世の中の様々な課題やニーズに対してその解決方法を提案し、顧客満足度の向上を目指して研究開発を進めております。センシング技術に加え、照明技術やさまざまな要素技術を取り入れ、変化や状態を「見る」、見えないものを「視る」、観察し判断する「観る」を包含した「見る」技術を進化させ、多様化するお客様に価値ある提案を行い、新たなソリューションを創造してまいります。当連結会計年度の研究開発費の総額は3,385百万円であり、対売上高比率は6.0%となっております。 <SS事業>(1) 防犯関連防犯関連におきましては、ウクライナ情勢の長期化や物価高騰に伴う社会不安の増大、さらには、近年の自然災害の頻発などにより、社会の安全・安心に対するニーズがますます高まっております。このような背景のもと、各国ではデータセンター・発電所などの重要施設のみならず、事業所・商業施設などの民間施設及び一般住宅でも、防犯カメラシステム、侵入警戒システム、遠隔監視システムなどの需要が高まっております。当社はこのような社会インフラと住環境の安全・安心への要求に対し、より信頼性が高く、防犯カメラシステムとの親和性も高いセキュリティシステムの研究、開発をベースとしたソリューションを提供しております。当連結会計年度の主な成果は、次のとおりです。 ① レーザースキャンセンサー 「REDSCAN mini Proシリーズ」データセンター及び発電所などの重要インフラ施設でのスポットエリア警戒を目的とした「REDSCAN mini Proシリーズ」を開発いたしました。このセンサーはレーザー光を照射し、対象物の「大きさ」「速度」「センサーからの距離」を識別できる高機能レーザースキャンセンサーです。2021年に発売いたしました「REDSCAN Proシリーズ」に続き、さらなる進化を遂げラインアップを強化いたしました。警戒エリアは20m/90°のスポットエリア警戒用とし、防犯カメラシステムとの統合への要求に応え、新たに開発した赤外線LED照明照射技術とフルHDカメラを組合せることで、より映像確認がしやすくなり、様々な警戒環境での利用を実現いたしました。夜間や暗所での映像撮影においても、赤外線LED照明が侵入者の位置に応じて自動調整し、鮮明な映像を提供いたします。また、様々な警戒用途、顧客ニーズに対応するため、柔軟な警戒エリア設定や方向判別機能、検知時の映像記録など、高度な機能を搭載いたしました。これにより、屋外問わず通用口や窓以外もくまなく警戒でき、セキュリティ性の向上が期待できます。 ② 屋内防犯センサー一般家庭、小規模店舗などにて電池駆動ワイヤレス型センサーの需要が高まる中、2022年に発売した「FlipXシリーズ」をベースにワイヤレスRF信号送受信機能を搭載した電池駆動モデルを開発いたしました。低消費電流を保ちつつ業界最長クラスの電波到達飛距離を実現いたしました。また、オフィス、工場などにてシリアルバス通信型センサーの需要も高まっており、同「FlipXシリーズ」をベースにバス通信機能を搭載したモデルを開発いたしました。バス通信にて双方向通信を実現し、アラームコントロールパネルより遠隔でセンサー感度などを調整できる機能も備えております。これらのシリーズラインアップ拡充により、より幅広い顧客ニーズに応え様々な用途に対応することが期待できます。 (2) 自動ドア関連自動ドア関連におきましては、公共施設、オフィス、店舗や工場施設などで人々が安全・安心・快適に通行できる自動開閉扉用センサーを開発、販売しております。創業以来培ってきた独自のセンシング技術で業界最高水準の安全性と、あらゆる設置環境下でも安定したパフォーマンスを発揮すべく研究開発を行っております。現在、国内におきましては、自動ドアセンサー分野は約6割、工場や倉庫の高速シャッターセンサー分野は約7割と、当社は高い市場シェアを保持し、海外におきましては、開口部周辺の安全要求が各地域の法令として定義されるなか、各地域特性に応じた製品を開発し、北米、欧州、アジア地域での市場シェアも順調に伸長しております。また、自動ドア関連事業において進めている「モノ売り」から「コト売り」への事業拡大に関しても、システム開発やアプリ開発を積極的に進め、2024年には新たなサービスの立上げを予定しております。さらに、当社が得意とする光技術に加えて、二酸化炭素排出量削減に寄与できる新しい技術開発を積極的に進め、より快適な社会環境実現に貢献してまいります。当連結会計年度の主な成果は、次のとおりです。 ① 日本市場向けスライドドア戸袋用センサー「プロセーフFシリーズ」 OA-220CAN(FL)/(FR)日本市場において2017年3月に自動ドア全般にわたる安全規格「JIS A 4722 歩行者用自動ドアセット-安全性」が制定されました。同規格制定を機にスライドドアの戸袋側安全を実現する手段として防護柵などに加え、センサーによる対策としてご利用頂ける新機種「プロセーフFシリーズ」を開発いたしました。このセンサーは従来機種では設定できなかった戸袋に対応したエリア調整機能を搭載し、様々な設置環境に応じてご利用頂けるセンサーとなっております。現在、戸袋側の安全対策としては、防護柵の設置が主流となっておりますが、センサーによる戸袋側の安全対策を実現することで、エントランスの美観性や施工性の向上に貢献することが可能となります。また、センサーによる戸袋側の安全対策は日本における新たなセンサー市場拡大の契機と捉え、さらなる普及を目指してまいります。 ② 日本市場向け自動ドア用非接触スイッチ 「Clean Wave™」OMH-100D食品工場や冷蔵冷凍倉庫、クリーンルームなどの自動ドア向けの非接触スイッチ「Clean Wave™」OMH-100D」を2024年2月より販売開始いたしました。0℃以下の厳しい温度環境下でも使用可能な耐環境性能及び薄型のデザインを特徴とし、これまでセンサーの設置が避けられてきた冷蔵冷凍倉庫などの自動ドアへの普及を目指してまいります。また今後は、自動ドア以外の用途への普及に加え、北米市場への拡販も目指してまいります。 ③ OMNICITY新サービス 「スマートエントランス」2020年より、日本市場において自動ドアセンサーを活用した情報シェアリングサービス「OMNICITY(オムニシティ)※」を開始いたしました。その後、Bluetooth機能を搭載した自動ドアメディアセンサー「OAB-215シリーズ(以下、OAB-215)」を市場投入し、順調にビジネスを拡大しております。また、「OMNICITY」の新しいサービスとして、マンション共用部における入退室を自動ドアセンサーOAB-215とスマートフォンアプリで実現するシステム「スマートエントランス」を開発いたしました。従来必要であったアクセスコントロール用の制御器、無線タグなどを使用せず、既存の自動ドアセンサーからBluetooth機能を搭載した自動ドアセンサーOAB-215に交換し、専用のスマートフォンアプリをダウンロードするだけでハンズフリーでの入室や宅配業者の置き配連携が可能になるなど、これまでにない低コストでスマートなマンションエントランスを簡単に実現できるシステム・サービスになります。2024年にはマンションディベロッパー様と連携し、順次サービスを開始する予定です。※OMNICITY:出入り口に設置された自動ドアセンサーにBluetooth機能を搭載することで、通行者に商品情報やクーポンの配信、病院やホテルなどで自動チェックイン・アウトが可能となるプラットフォーム (3) その他その他のSS事業におきましては、液体の色や濁りを素早く正確に測定する水質計測用センサーなど、安全・品質・衛生管理の特殊な計測ニーズに対応した製品の開発を行っております。また、独自の画像センシング技術による人検知・人数計測など客数情報システムの開発・販売も手掛けております。これまでの客数データによる集客・購買のマーケティング分析での活用に加え、施設利用者の快適性・利便性の向上を目的に、フロアやゾーンの滞在人数・滞在時間といったリアルタイムデータを用いた空調制御・混雑案内などにセンサーを利用する事例が増えております。この様にDX(デジタルトランスフォーメーション)を活用した計測ニーズに対応し、顧客の意思決定の根拠となる高精度なデータを提供するために、様々なセンサー製品の開発に取り組んでまいります。当連結会計年度の主な成果は、次のとおりです。 ① 水質モニタリングサービス 「WATER it」水質計測分野におきましては、計測データを含むソリューションを提供する簡易水質測定システム「WATER it」の展開に引き続き注力しております。本サービスは、「水の未来をつくる」をコンセプトに、いつでも、どこでも水環境を把握できる水質管理のDXとして現場の負担を大幅に削減できるソリューションです。2023年には1台の変換器でより多くの計測器を使用したいというご意見にお応えして、ユニバーサル変換器(SC-U1)に接続できるアナログ拡張ボード(SC-U-EB2)を開発いたしました。これによりアナログ式の計測器も接続が可能となり現場対応力が増しご利用いただきやすくなりました。本サービス「WATER it」において、お客様のご意見、ご要望に寄り添った対応を進め、ご利用満足度の向上を図っております。 ② 客数情報カウントシステム客数情報カウントシステムにおきましては、店舗に来店される客数・属性・購買・混雑など、運営におけるマーケティングデータの取得・活用の課題に対し、センサー及びクラウドサービスにて商品展開を進めております。新製品として「客数+男女年齢」計測センサー「AIO-FX1」を開発し、売場内の購買行動計測センサー「AIO-CX1」とのラインアップを揃え、クラウドサービスプラットフォームの「パッサークラウド(PASSER-Cloud)」にて、データ集計・分析・遠隔保守などをサブスクリプションにて提供し、小売業界の店舗マネージメントを支援します。今後は、さらなる客数データの活用を可能とするコンテンツとして、予測分析ツール、リアルタイム混雑案内、センサービーコンによる販促支援など「店舗DXニーズ」に対応したソリューションの提供を拡充してまいります。 <IA事業>(1) FA関連FA関連におきましては、さまざまな製造業の工場における製造ラインの自動化・省力化に不可欠なFA用センサー(産業用センサー)の製品開発、研究に取り組んでおり、可視光や赤外光を用いた光電センサーのみならず、距離を計測する変位センサー、カメラを用いた画像センサー、LED照明機器、非接触温度計などのセンサー及び産業IoT(IIoT)※、環境の構築に貢献するIO-Link※製品など、幅広く開発しております。当連結会計年度の主な成果は、次のとおりです。※産業IoT(IIoT):Industrial Internet of Thingsの略で、産業用機械や装置・設備・システムなどをネットワークで相互接続し、現場作業の効率化や見える化などを実現するもの※IO-Link:センサーと制御システムの間で各種データ交換を行う通信技術のこと。設備の予知保全などに役立つ ① 高輝度センシングバー照明 「OPB-Xシリーズ」従来からの独自技術であるセンシング照明を進化させた、新技術「FALUX sensing +」を搭載したセンシングLED照明第一弾を発売いたしました。多機能LED照明コントローラーOPPXシリーズと接続することでモニタリング・フィードバック制御に加え、照明個体の識別が可能で、個体ごとに異なる累積点灯時間などのデータを参照でき、予知保全に利用できます。さらに、従来のコントローラー、照明では同じ調光値(明るさ)設定でも、ケーブル長が異なることで照明の明るさに違いが発生しておりました。このような課題に対応すべく、新しい調光方式L-INT(照明内調光)を内蔵し、延長ケーブルによる電圧降下に伴う光量低下が発生せず、安定した明るさが得られるようになりました。 ② IO-Link拡張ユニット(アナログI/O)「UR-DS4AD/DA」IO-Linkポート1CHを4CHのアナログI/Oに変換するIO-Link拡張ユニットを新たに機種追加いたしました。IO-Link拡張ユニットの上位はIO-LinkマスタURシリーズで、IO-Link通信にて1:1で接続いたします。本製品により、IO-Linkポート1CHをアナログ・デジタルI/Oに変換し拡張できるようになり、現場のI/O機器をまとめ、省配線・大幅なコストダウンを実現いたします。 ③ マルチプロトコル対応IO-Linkマスタ 「URシリーズ」 e-CON接続対応機種追加コンパクトなIO-Linkマスタの利便性をさらに向上させるべく、業界で広く普及しているe-CONコネクタ接続が可能な機種を追加いたしました。16チャネルのセンサー接続部分をe-CON化することにより現場での配線工数、メンテナンス工数の削減に貢献いたします。本製品により、IoTやIndustry4.0※への対応をより加速させることができると考えております。※Industry4.0:ドイツ政府が推進する製造業の高度化を目指す国家プロジェクトのこと。工場内のあらゆる機器類をインターネット経由で一括管理することにより、生産性と収益性の向上に役立つ ④ IO-Link対応高機能デジタルファイバーセンサー「D4RFシリーズ」高精度タイプ・アナログ出力タイプ追加超高速応答(16μs)、高機能デジタルファイバーセンサーD4RFシリーズに新たに機種を追加いたしました。高精度タイプは、受光量飽和の影響を低減し、近距離での微小物体検出、あるいは僅かな受光量の変化を捉える微分検知の検出能力を向上させました。アナログ出力タイプは、OLEDディスプレイ※による操作性・視認性の良さはそのままに、受光量に応じたアナログ電圧あるいは電流値が出力可能になりました。検出物の状態変化のモニターにアナログ入力機器などの従来資産をご活用いただけます。設備導入コストを抑えながら製造品質の監視、簡易フィードバック制御が可能となります。※OLEDディスプレイ:Organic Electro light Luminescence Diode (有機ELダイオード)ディスプレイ(2) MVL関連MVL関連におきましては、お客様の困り事を解決するために光を軸としたソリューション提案を磨くことで、お客様の検査品質向上に努めてまいりました。さらに、昨今の人手不足改善へのご要望にお答えするため、カメラ、レンズ、画像処理ソフト、装置、産業ロボットなどを活用した検査・計測のトータルソリューションへ活動の幅を広げております。そして、高度化・多様化しているお客様の課題を解決すべく、従来からの照明や関連機器の高性能化・高機能化だけではなく、生成AIなどの先進技術の積極的な利用や、光学・制御に関する研究開発、オプテックスグループ企業間の技術連携によるシナジー効果にも力を入れております。当連結会計年度の主な成果は、次のとおりです。 ① 検査照明の新規アプリケーションへの挑戦スマートフォン用や車載用のデジタルカメラモジュールの生産工程に用いられ、明るさや色を調整する際に基準となる光源として基準光源「LDF-RLSシリーズ」を開発いたしました。4種類の色温度切替を可能にした「4色温度切替タイプ」と2800K~7600Kの間で任意に色温度を調整可能な「2色混合調色タイプ」の2タイプをラインアップし、複数の色温度が必要となる検査用途に対して1台の基準光源で対応を可能といたしました。これによって課題とされていた光源の変更作業が不要となり、お客様の生産効率向上に大きく貢献しております。フィルム・半導体・ガラスなどの製造で行われるコーティング工程にて塗装のムラや有無を検出するために、三波長蛍光灯やナトリウムランプなどの代替光源としてレーザー光検査用照明「LDF-NBシリーズ」を開発いたしました。ムラの検出に有効とされる干渉縞を発生させるのに適しているレーザー光を利用すると同時に、レーザー光固有の問題とされるスペックルノイズに対して独自の光学設計によってノイズを低減させ、発光面の均一度も高めております。このように、市場ニーズを敏感に捉え、照明開発によって新規アプリケーションへの挑戦を続けております。 ② LED照明用多機能デジタル電源 「CDーVAシリーズ」/PCI Expressボード型照明コントローラー「CXシリーズ」シーシーエス株式会社及びオプテックス・エフエー株式会社にて、両社の技術を集約しマシンビジョンに不可欠な機能を搭載した照明コントローラーを共同開発いたしました。調光制御は、定番のPWM及び電圧可変のほか、高速生産ラインで必要とされるオーバドライブが可能です。点灯制御のためのシーケンスやレシピ設定機能は、分割発光のパターン制御に適しており、フォトメトリックステレオ法での撮像に便利な機能です。外部制御通信方式は、イーサネット、パラレル通信、USB通信のほかRS-232Cをサポートします。また、シーシーエス株式会社及びサンリツオートメイション株式会社にてパソコンのマザーボード規格であるPCI Expressに対応する照明コントローラーを共同開発いたしました。照明コントローラーをパソコン内部に組み込めるため、電源を設置するスペースやパソコンとの配線が不要となり、画像処理検査システムの省スペース化、省配線化に貢献します。最大4チャネルの照明を接続でき、出力60W/120Wの2タイプがあるためシーシーエス株式会社の照明の大部分に対応しています。フォトメトリックステレオ法での撮像に便利なシーケンス制御機能も備えています。また、トリガー出力が可能なため、カメラとの同期や次の発光を設定するためのシステム構築工数を削減できます。今後もこのようにグループの総合力を活用し、お客さまに求められる新しい価値を提供できる製品を開発してまいります。 ③ AIによる外観検査の取り組み外観検査にAIを活用するためには、学習用データを作成・検証しAIモデルを作成する「学習」と、AIモデルに検査画像を入力して「推論」を行うプロセスが必要です。2022年には、直感的な操作でAI推論用アプリケーションを構築できる「ソリューション愛(AI)」(ソリューションアイ)の提供を開始いたしました。AIの活用をさらに加速すべく、2023年は、生成AI技術をコアにした株式会社データグリッドとの業務提携契約を結びました。データグリッド社が保有する生成AI技術は、少量の不良品画像から高品質で多種多様な不良品画像を大量に生成できるため、外観検査システムのAI導入課題とされている学習用データの作成が可能となります。シーシーエス株式会社では、2018年にAIラボを開設して以降、複数のAIベンダーとパートナーシップを構築し、お客様に最適なAIソフトウェアの提案をするなど、外観検査の「見える」を実現するためのソリューションをグローバルに展開しております。生成AI技術の特徴を組み合わせることで、製造現場へのAI外観検査導入を強力にサポートしてまいります。 (3) IPC関連IPC関連におきましては、様々な産業分野向けとして、高い品質と長期供給性を追求した組み込みボード製品の製造や、生産ライン、社会インフラ向けのシステムを構築し、CPUボード、I/Oボード、コントローラー装置など組み込み用コンピュータ構築に必要なプラットフォーム提供からアプリケーション・システムの構築、さらには最新のセンシングや制御装置の提供など、広くお客様のニーズに対応しております。当連結会計年度では、国立の研究機関・大学と共同で、次の新しい取り組みを始めました。 ① 磁歪発電IoT端末の研究2023年8月に、東北特殊鋼株式会社及び国立大学法人東北大学と共同で磁歪発電IoT端末の研究開発を「宮城県新規参入・新産業創出等支援事業費補助金(グループ開発型)」に応募し、採択されました。各種データ収集に、IoT端末が利用されますが、往々にして電源確保が課題となります。電池で賄う場合も、意図しない電池劣化で情報収集が出来なくなる、また定期的な電池交換も必要になり、メンテナンスも課題です。当社では、各課題を解決するメンテナンスフリーの自己発電型IoT端末の研究開発に取り組んでおります。振動で発電する磁歪発電と小電力で稼働するIoT端末で、今まで運用が困難だった場所でのデータ収集に貢献したいと考えております。 ② 無線環境モニタリングシステムの研究2023年11月に、無線環境モニタリングシステムの研究開発が国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)の高度通信・放送研究開発委託研究の公募で採択されました。製造現場では、トータルの導入コスト低減や、作業者の生産性向上を目的に無線機器の活用が増えております。また、医療現場でも、機器の移動に便利な無線機器の活用が増えております。一方、無線通信トラブル発生時、原因が分からず復旧までに時間がかかる事例も多く発生していることが分かって来ました。本研究で、無線通信トラブルの復旧に向けた具体的な行動示唆を行い、トラブル発生から復旧までの時間を従来の1/2以下にすることを目指した、無線環境モニタリングシステムの研究を行っております。 (4) MECT関連MECT関連におきましては、電動自動車用などの二次電池製造装置や、電気・電子・医薬品などの多様な産業分野向け自動化装置及び画像処理検査装置を開発・製造・販売しております。高度なメカトロ技術※や画像処理技術により、ものづくりの現場の生産性向上と品質向上に貢献しております。当連結会計年度の主な成果は、次のとおりです。※メカトロ技術:メカトロニクス技術の略称で、機械工学(メカニクス)と電子工学(エレクトロニクス)を融合させた技術分野のこと ① 立体物(鋳造品・成型品)高速外観検査プラットフォーム複雑な形状をしたワーク(製品)でも、超高速の駆動機構を用いて様々な撮像方向から自由自在に外観検査をすることができます。また、凹凸に強い独自の照明技術を用いて検出能力を向上させており、良品を不良品と判定してしまう過検出の低減を実現できます。また多関節ロボットなどを用いて外観検査を自動化する場合、検査所用時間の点で量産品全数検査などに利用できないことがありますが、当社の高速外観検査装置は、スムーズかつ高速に動き、検査の時間を短縮することに成功いたしました。 ② 簡単・直感的に設定できる「ラクラクティーチング」アルゴリズム画像検査装置やロボットの利用経験がない担当者でも、3Dモデルのデータ上から検査したい個所を直感的な操作で指定するだけで、装置が最適な動作をするように自動生成するプログラムを、外観検査装置の全ラインアップに搭載可能といたしました。今後は、鋳造部品、樹脂成型部品製造や、電子機器組立など、様々な分野の幅広い企業規模の皆様に外観検査ソリューション事業を展開してまいります。
FY2022|9,952 文字
5【研究開発活動】当社グループは、「見えないものを、見るしごと。」の実現を果たすために、世の中の様々な課題やニーズに対してその解決方法を提案し、顧客満足度の向上を目指して研究開発を進めております。センシング技術に加え、照明技術やさまざまな要素技術を取り入れ、変化や状態を「見る」、見えないものを「視る」、観察し判断する「観る」を包含した「見る」技術を進化させ、多様化するお客様に価値ある提案を行い、新たなソリューションを創造してまいります。当連結会計年度の研究開発費の総額は3,382百万円であり、対売上高比率は6.2%となっております。 <SS事業>(1) 防犯関連防犯関連におきましては、テロへの不安、コロナ禍などの影響による治安悪化で、社会不安はより一層増大しており、如何にいち早く異常を察知し安全を維持できるかが課題となっております。このような背景のもと、各国ではデータセンター・発電所などの重要施設のみならず、事業所・商業施設などの民間施設及び一般住宅でも防犯カメラシステム、侵入警戒システムの需要が高まっております。当社はこのような社会インフラと住環境の安全・安心への要求に対し、より信頼性が高く、防犯カメラシステムとの親和性も高いセキュリティシステムの研究、開発をベースとしたソリューションを提供しております。当連結会計年度の主な成果は、次のとおりです。 ① 屋外防犯センサー付きカメラ 「InSightシリーズ」工事現場、資材置き場、店舗・事業所などの屋外警戒センサー市場においては、センサー発報時の画像確認を行う警備サービス(ビジュアルベリフィケーション)のニーズが高まっていることから、屋外立体警戒センサーとネットワークカメラを一体にしたカメラ付き屋外防犯センサー「InSightシリーズ」を開発いたしました。当製品は建物に近づく侵入者を検知するとともに、警備会社及び監視センターにアラーム通知とアラーム発報時の決定的瞬間の画像を送信し、不正侵入を画像で確認し警察への通報など早期対処ができるセキュリティ製品です。センシング部分においては、遠赤外線センサーと画像センサーの融合に挑み、信頼性向上を図るとともに、従来の遠赤外線センサーでは実現できなかった検知エリアの詳細設定や方向判別機能を搭載いたしました。これにより設置、運用、保守性を格段に向上させることができました。 ② アラーム監視ソフトウェア 「AMS-01Vシリーズ」高レベルの警戒・警備システムが必要な重要施設は、セキュリティレベルを維持するため、最新の防犯警備機器への更新や、施設の運用変更に連動したセンサーの移設・増設など、継続的なメンテナンスが行われます。そのような警備システムの更新や運用変更には多大な労力とリソースが必要で、セキュリティ対策とメンテナンスの効率化を両立できるシステムの構築が求められており、お客様からは監視ソフトを含めた機器提供や、IPネットワークを利用したシステム構築のご要望をいただいておりました。これを受けて、自社センサーの活用度や保守性をさらに高めた、アラーム監視ソフトウェア「AMS-01Vシリーズ」を開発いたしました。当製品では、侵入検知センサーのIP化対応により各センサー信号をネットワークで集約し、センサーの状態をリアルタイムで確認することができます。センサー発報時、どの場所で発報したのか画面を見ればひと目で分かるほか、システム全体の警戒設定/解除の切り替えやセンサーの検知感度の変更も行うことができます。現地に足を運ばなくてもセンサーの設定変更ができるため、現場負担を低減できます。また、ネットワーク接続により、センサー類の配線を大幅に簡素化することも可能です。これにより、導入・運用・保守・増設のそれぞれにおけるトータルコストを大幅に低減することが可能となりました。 ③ 屋内防犯センサー 「Flip Xシリーズ」当社のロングセラーモデルである、屋内防犯用遠赤外線センサーシリーズを、より競争力を高めるため大幅にアップデートいたしました。当製品シリーズは各国の防犯機器規格に準拠するとともに、独自の信頼性試験を実施し、また小動物などの検知をキャンセルする機能を備え、誤検知の低減を実現いたしました。また、センサーをインテリアの一部として捉え、デザイン性を重視し、店舗や家庭に設置しても違和感がないモダンなデザインを目指しました。さらに、特に製品名の由来でもある「Flip Lens」は、レンズの上下を入れ替えるだけでワイドエリアとロングエリアの双方に対応し、設置現場に応じてフレキシブルに検知範囲を調整することが可能です。(2) 自動ドア関連自動ドア関連におきましては、公共施設、オフィス、店舗や工場施設などで人々が安全・安心・快適に通行できる自動開閉扉用センサーを開発、販売しております。創業以来培ってきた独自のセンシング技術で業界最高水準の安全性と、あらゆる設置環境下でも安定したパフォーマンスを発揮すべく研究開発を行っております。現在、国内におきましては、自動ドアセンサー分野は約6割、工場や倉庫の高速シャッターセンサー分野は約7割と、当社は高い市場シェアを保持し、海外におきましては、開口部周辺の安全要求が各地域の法令として定義されるなか、当社が得意とする光技術を軸としたセンサー投入により、市場シェアは大きく拡大しております。国内自動ドア関連事業において進めている「モノ売り」から「コト売り」への事業拡大に関しても、システム開発やアプリ開発を積極的に進め、実績に繋がっております。また、世界的な電子部品不足の中でお客様への製品の安定供給を実現すべく、適時製品設計の変更を実施するなど、新規開発以外にも注力し、お客様とのさらなる信頼関係の構築をすすめております。当連結会計年度の主な成果は、次のとおりです。 ① 北米市場向けスイングドア用センサー「ELITE PROシリーズ」北米スイングドア市場向けの上位機種であるELITEシリーズの安全性と利便性を強化した新機種、「ELITE PROシリーズ」を開発いたしました。このセンサーは、従来機種で必要だった複雑な設定がワンタッチで設定できる機能を有し、施工時間を大幅に削減できるなど、効率的な自動ドア施工が可能になります。また、センサーの状態をスマートフォンで確認できる機能を有し、これまで以上に安全性を高めたセンサーになっております。現在、北米市場において、当社はスライドドアセンサー分野で7割、スイングドアセンサー分野においては3割の市場シェアを有しております。スイングドアセンサーに関するシェア拡大の余地が大きく、この市場シェアを大きく変える機種として2023年以降に本格投入を開始します。 ② アジア市場向けスライドドア用センサー「OA-FUNXIONシリーズ」大きな経済成長を遂げているアジア市場向けにスライドドアセンサーの新機種として「OA-FUNXIONシリーズ」を開発いたしました。価格競争の厳しいアジア市場ですが、自動ドアセンサーの安全性に対する要求は徐々に高まっており、アジア向け機種として初めてBLUEZONE※機能を搭載した安全性の高い「OA-FUNXION」と、必要機能を最小限に絞った廉価版モデル「OA-FUNXION LITE」の2モデルを投入し、アジア市場でのシェア拡大を目指してまいります。※BLUEZONE:ドアレール上の安全性を向上する赤外線検出技術 ③ メディアセンサー「OB-01シリーズ」2020年より、国内市場において自動ドアセンサーを活用した情報シェアリングサービス「OMNICITY(オムニシティ)※」を開始、ビーコン※機能を搭載した自動ドアメディアセンサー「OAB-215シリーズ」を市場投入し、順調にビジネスを拡大しております。「OMNICITY」のさらなるニーズ拡大が期待される中、お客様から色々な箇所への取付けを可能にしたいという要望をいただき、既存センサーに後付けできるメディアセンサー「OB-01シリーズ」を開発いたしました。OB-01シリーズを活用することで、「OMNICITY」をより簡単に導入できるようになります。※OMNICITY:出入り口に設置された自動ドアセンサーにビーコン機能を搭載することで、通行者に商品情報やクーポンの配信、病院やホテルなどで自動チェックイン・アウトが可能となるプラットフォーム※ビーコン:BLE(Bluetooth Low Energy)という無線技術を利用した伝達手段。範囲内のビーコン信号受信端末に対し、位置情報の取得や、情報の送信が可能 (3) その他その他のSS事業におきましては、液体の色や濁りを素早く正確に測定する水質計測用センサーなど、安全・品質・衛生管理の特殊な計測ニーズに対応した製品の開発を行っております。また、独自の画像センシング技術による、客数情報システムの開発・販売も手掛けております。客数情報は、これまでは導入者側の分析データとして活用されておりましたが、コロナ禍においては、施設利用者が混雑状況を把握できる安全・安心のためのデータとしてご利用の範囲が広がっております。今後はセンシングエリアをさらに細分化し、より詳細な人数データを提供できる新しい人数情報カウント用センサーの開発に取り組んでまいります。当連結会計年度の主な成果は、次のとおりです。 ① 水質モニタリングサービス 「WATER it」水質計測分野におきましては、計測データを含むソリューションを提供する簡易水質測定システム「WATER it」の展開に引き続き注力しております。本サービスは、『「はかる」「つたえる」「みる」をカンタンに。』をコンセプトに、いつでも、どこでも水環境を把握できる水質管理のDX(デジタルトランスフォーメーション)として現場の負担を大幅に削減できるソリューションです。2022年には、新たに開発した4G対応のゲートウェイ※(SC-AG2)を追加ラインナップすることで「WATER it」の通信性をさらに高め、入力インターフェースを拡充させることで接続可能な機器の幅を広げました。また、クラウドによるデータマネジメントサービスでは、「WATER it」の標準仕様を、お客様ブランドやご要望の仕様に合わせてカスタマイズするという、お客様に寄り添った対応により、ご利用満足度の向上を図っております。今後もこのカスタマイズ対応によって、様々なお客様がより使いやすく、利用の範囲を広げられるように努めてまいります。※ゲートウェイ:通信手段の異なるネットワーク同士を中継する役割を担う機器 ② 客数情報カウントシステム店舗売場内における顧客の購買行動のデータ化を目的とした、人検出センサー「AIO-CX1」を開発いたしました。このセンサーは、360°の人物認識・追跡ができる画像処理技術を搭載しており、店舗への入店、商品棚への立ち寄り、レジの購買データなどのマーケティングデータを計測します。その計測データはクラウドと連携し、購買行動の可視化・分析用のデータサービス「TRASTREAM」にて、定額課金制での提供を行います。また、「客数カウント+性別年齢推定」の機能を一つの製品に搭載した製品シリーズの開発を進めております。センサー&クラウドサービスを活用し小売業界における「店舗DXニーズ」に対応したソリューションの提供を拡充してまいります。 <IA事業>(1) FA関連FA関連におきましては、さまざまな製造業の工場における製造ラインの自動化・省力化に不可欠なFA用センサー(産業用センサー)の製品開発、研究に取り組んでおり、可視光や赤外光を用いた光電センサーのみならず、距離を計測する変位センサー、カメラを用いた画像センサー、LED照明機器、非接触温度計などのセンサー及び産業IoT(IIoT)※、環境の構築に貢献するIO-Link※製品など、幅広く開発しております。当連結会計年度の主な成果は、次のとおりです。※産業IoT(IIoT):Industrial Internet of Thingsの略で、産業用機械や装置・設備・システムなどをネットワークで相互接続し、現場作業の効率化や見える化などを実現するもの※IO-Link:センサーと制御システムの間で各種データ交換を行う通信技術のこと。設備の予知保全などに役立つ ① 多機能LED照明コントローラ 「OPPXシリーズ」12V・24V入力に対応したことにより、当社製照明だけでなく、他社製の照明も接続が可能なLED照明コントローラ製品を開発いたしました。PWM、定電圧、ストロボオーバードライブの3つの調光方式に対応し、種類の異なる照明を使用する場合でもコントローラを統一でき、省配線・省スペース化を実現します。また、高密度実装技術と最適な放熱設計により、コンパクトサイズで大容量を実現いたしました。主要PLC(Programmable Logic Controller)の高さ(100mm)と同等のため、盤内の設置も容易に行うことができます。さらに、新技術「FALUX sensing +」による照明の個体識別およびモニタリング・フィードバックが可能で、従来からの当社独自技術を進化させております。 ② IO-Link対応高機能デジタルファイバーセンサー「D4RFシリーズ」従来機種の超高速応答(16μs)を引き継ぎながら、ハイパワーLEDと高効率集光レンズにより大幅に検出距離を向上させた、高機能デジタルファイバーセンサーを開発いたしました。基本的な検出性能だけでなく、OLEDディスプレイ※による操作性・視認性の向上、ファイバサインによるファイバユニットの挿入不足防止などより、使いやすさにこだわった機能を多数搭載いたしました。また、IO-Linkへの標準対応により、これからの製造現場のデジタル化にも貢献いたします。※OLEDディスプレイ:Organic Electro light Luminescence Diode (有機ELダイオード)ディスプレイ ③ マルチプロトコル対応IO-Linkマスタ 「UR-ES16DT」 対応プロトコル追加スプリングクランプ端子台によるコンパクトなIO-Linkマスタの対応ネットワークを拡充するべく、市場要求の高いEtherCATプロトコルを追加いたしました。今回の対応により、EtherCAT、Ethernet/IP、Ethernet/TCP、Modbus/TCP、CC-Link IE Field Basicの5つのプロトコルを本体設定で簡単に切り替えて接続することが可能になりました。本製品により、IoTやIndustry4.0※への対応をより加速させることができると考えております。※Industry4.0:ドイツ政府が推進する製造業の高度化を目指す国家プロジェクトのこと。工場内のあらゆる機器類をインターネット経由で一括管理することにより、生産性と収益性の向上に役立つ ④ レーザー変位センサー 「CD2Hシリーズ」 60-200mm測定レンジ拡充2021年に開発した高精度小型レーザー変位センサーに、新たにミドルレンジを追加いたしました。OLEDディスプレイによる優れた操作性と上位機種譲りの高精度測定はそのままに、お客様の設計に合わせて、より柔軟な選択肢を提供いたします。 (2) MVL関連コロナ禍を発端とした製造業の人手不足、海洋汚染や温暖化ガス発生を抑えるためのプラスチックごみ削減など、新たな社会問題が発生しております。これらの問題解決が、MVL関連においては新しい用途になっております。そのため、MVL関連におきましては、照明や関連機器の高性能化・高機能化だけではなく、先進技術の積極的な活用によるソリューション提案力の強化に努めてまいりました。 具体的には、AIを組み込んだ自動外観検査システム「ソリューション愛(AI)」、材質の違いを可視化できるハイパースペクトルイメージング、目視検査に適した照明と作業の改善方法を提案する「目視検査改善コンサルティング」などに取り組んでまいりました。また、これらの最先端ソリューションをじかに体感していただくため、国内主要都市でプライベート展示会やソリューションEXPOを開催し、多くのお客様にご来場いただき大変好意的な評価をいただきました。他方で海外市場でも着実にシェアを伸ばしておりますが、それを加速すべく、CCS KOREA Inc.を駐在員事業所から現地法人に格上げし、発展が進むアジアエリアのサポート強化を実現しております。また、英語圏のマシンビジョン業界で最も影響力が強いメディアの一つであるVision System Designが開催する2022 Innovators Awardsにて「OLB-LTシリーズ(曲げられるマシンビジョン用有機EL照明)」が銀賞を受賞するなど、海外市場でも高い評価を頂いております。当連結会計年度の主な成果は、次のとおりです。 ① ソリューションの促進 「ソリューション愛(AI)」製造業では、人手不足の解消や検査精度の向上を目的として、目視検査などの工程にAIを活用し、自動化を実現したいというニーズが高まっております。画像処理開発ツール「TechView(日本エレクトロセンサリデバイス株式会社)」に、シーシーエス独自開発の AI推論用プラグインを実装し、各社AIソフトウェアを組み合わせて、「ソリューション愛(AI)」として販売を開始いたしました。「ソリューション愛(AI)」では、直感的な操作でAI推論用アプリケーション構築ができるため、プログラミングやデバッグなどの作業工数やコストの大幅削減に繋がり、製造現場へのAI外観検査導入が容易になっております。 ② 可視化技術の向上 「ハイパースペクトルイメージング照明」2022年に施行されたリサイクル資源循環法で、より重要度を増したリサイクル産業においては、従来技術では対応できない樹脂分別の需要が高まっております。多くの場合、分別にはハイパースペクトルカメラが利用されますが、このカメラは広い波長領域の照明を必要とします。シーシーエスと子会社であるEFFILUX社(フランス)では、ハイパースペクトルイメージングに適した照明ラインナップを充実させ、お客様の幅広い用途や素材に対応しております。 ③ ライティング技術の活用 「目視検査改善コンサルティング」シーシーエスが長年培ってきたライティング技術と検査ノウハウをもとに、目視検査での適切な照明と作業の改善方法を提案する「目視検査改善コンサルティング」を開始いたしました。照明の提案だけでなく、カメラ・レンズなどの検査関連メーカーと連携し、お客様のご要望に応じた機器選定や設定を最適化するトータルソリューション提案を行っております。 ④ 製品の多機能化 「デジタル電源 PD4シリーズ」当社照明用電源の主力シリーズであるPD3シリーズの後継機として、多彩な機能を追加し、製造現場での使い易さを追求したデジタル電源、PD4シリーズを発売いたしました。最大 16 ステップの照明点灯・消灯の発光パターンを設定するシーケンス制御機能を追加し、フォトメトリックステレオ法を用いた検査などに活用することが可能です。また、PLC(Programmable Logic Controller)との連携やカメラとの同期が容易となり、設定の工数を削減できます。さらに、照明の稼動状況やログをリアルタイムにモニタリングできるので、予防保全にも役立てることができます。 ⑤ 複数の照射方法を一つの照明で選択可能 「拡散光バー照明 LBシリーズ」バー型の画像処理検査用LED照明「LBシリーズ」を発売いたしました。均一な拡散光で広範囲を明るく照射し、正反射光観察やバックライト、広範囲均一照射、拡散光ドーム照射といった複数の照射方法を選択でき、幅広い用途に対応しております。さらに発光面幅は50mm/100mm/150mmの3種類、発光面長は200mm~2700mmで100mm刻みの26種類、LED発光色は白/赤/青/赤外の4種類、また一部モデルではオーバードライブ発光が可能な高出力タイプもラインアップに加えて、計338機種を一斉発売しております。これまで特注対応していた形状やサイズの照明を、今回は標準品としてラインアップに加え、納期面や価格面などでご利用いただきやすくなっております。 (3) IPC関連IPC関連におきましては、様々な産業分野向けとして、高い品質と長期供給性を追求した組み込みボード製品の製造や、生産ライン、社会インフラ向けのシステムを構築し、CPUボード、I/Oボード、コントローラ装置など組み込み用コンピュータ構築に必要なプラットフォーム提供からアプリケーション・システムの構築、さらには最新のセンシングや制御装置の提供など、広くお客様のニーズに対応しております。当連結会計年度の主な成果は、次のとおりです。 ① EMI可視化サービスEMI※の適合は様々な業界からの要求がありますが、EMI試験所での測定結果は合否判定及び測定した装置全体のノイズ周波数特性が分かるのみであり、具体的にどこからどの周波数のノイズが漏れているかは分かりません。当社では、EMIを含めたEMC※について研究を行い、その成果を応用して製品づくりを行っております。その成果の一つであるEMIの可視化システム(プリント基板上などの電磁波発生状況を画像で見える仕組み)を使用し、問題となるノイズ発生源をつきとめ、対策を行うサービスを開始いたしました。※EMI:Electro Magnetic Interferenceの略で、電波や高周波の電磁波がノイズとして電子機器などに影響を与えること※EMC:Electro Magnetic Compatibilityの略で、電磁両立性のこと。電磁波障害の加害者にも被害者にもならない性能を持つ ② 無線見える化システム近年、自動搬送装置を無線で制御するなど、生産現場で利便性のある、無線を利用した機器の導入が増えております。しかし、有線とは異なり、突然通信ができなくなるなど、生産現場で必要とされる安定稼働に不安が残り、本格導入に踏切ることができないという声が聞かれます。当社は、国立研究開発法人情報通信研究機構との共同研究を通して、無線の強弱や外乱となる登録外無線の状況を色分けして可視化する「無線見える化システム」を開発いたしました。今後は、「無線見える化システム」で明らかになる無線状況から課題を見つけ、その対策を行うサービスに着手いたします。これにより、生産現場だけでなく、様々な現場で安定した無線通信の導入に貢献したいと考えております。 (4) MECT関連MECT関連におきましては、電動自動車用などの二次電池製造装置や、電気・電子・医薬品などの多様な産業分野向け自動化装置および画像処理検査装置を開発・製造・販売しております。高度なメカトロ技術※や画像処理技術により、ものづくりの現場の生産性向上と品質向上に貢献しております。当連結会計年度の主な成果は、次のとおりです。※メカトロ技術:メカトロニクス技術の略称で、機械工学(メカニクス)と電子工学(エレクトロニクス)を融合させた技術分野のこと 立体物(鋳造品・成型品)高速外観検査プラットフォーム複雑な形状をしたワーク(製品)でも、超高速の駆動機構を用いて様々な撮像方向から自由自在に外観検査をすることができます。また、凹凸に強い独自の照明技術を用いて検出能力を向上させており、良品を不良品と判定してしまう過検出の低減を実現できます。通常、複雑な立体形状のワークに対する外観検査を自動化する場合、多関節ロボットなどの複雑な動作を用いてカメラを動かす必要があるため、どうしても検査に時間がかかってしまいます。当社の高速外観検査装置は、スムーズかつ高速に動き、検査の時間を短縮することができます。今後は、鋳造部品製造や樹脂成型部品製造など、様々な分野で外観検査ソリューション事業を展開してまいります。
FY2021|9,786 文字
5【研究開発活動】当社グループは、「見えないものを、見るしごと。」の実現を果たすために、世の中の様々な課題やニーズに対してその解決方法を提案し、顧客満足度の向上を目指して研究開発を進めております。センシング技術に加え、照明技術やさまざまな要素技術を取り入れ、変化や状態を「見る」、見えないものを「視る」、観察し判断する「観る」を包含した「見る」技術を進化させ、多様化するお客様に価値ある提案を行い、新たなソリューションを創造してまいります。当連結会計年度の研究開発費の総額は3,103百万円であり、対売上高比率は6.8%となっております。 <SS事業>(1) 防犯関連防犯関連におきましては、テロへの不安、コロナ禍などの影響による治安悪化で、社会不安はより一層増大しており、如何にいち早く異常を察知し安全を維持出来るかが課題となっております。このような背景のもと、各国ではデータセンター・発電所などの重要施設のみならず、事業所・商業施設などの民間施設でも防犯カメラシステム、侵入警戒システムへの投資が活発化しております。このような社会インフラと住環境の安全・安心への要求に対し、より信頼性が高く、防犯カメラシステムとの親和性も高いセキュリティシステムの研究、開発をベースとしたソリューションを提供しております。当連結会計年度の主な成果は、次のとおりです。 ① レーザースキャンセンサー 「REDSCAN Proシリーズ」データセンターや発電所などの重要インフラ施設での広域警戒を目的とした「REDSCAN Proシリーズ」を開発いたしました。このセンサーはレーザー光を照射し、対象物の「大きさ」「速度」「センサーからの距離」を識別できる高機能レーザースキャンセンサーです。レーザースキャンセンサー「REDSCANシリーズ」は発売以来10年以上に渡り、世界各国におけるセキュリティ性の高い現場で採用されております。重要施設向けの防犯システムには、ネットワーク対応型の防犯カメラシステム及びアクセスコントロールシステムとの統合、より高次元な警戒、設置・メンテナンス性の向上、情報セキュリティ対策への要求が高まっており、これらの要求に応える次世代型レーザースキャンセンサーを開発いたしました。業界で初めてレーザースキャンセンサーにカメラを搭載し、センサー検知時の画像を記録し検知エリアを画像で確認することが可能となりました。また、検知範囲については従来機種の1.7倍、50m/190°の広範囲を1台で警戒でき、検知エリアの複数設定と検知ロジックにより、これまで以上に柔軟で高度な警戒が可能となります。 ② 光ファイバーセンサー 「FIBER DEFENDER FD7104シリーズ」軍施設、石油プランドなどの最重要施設での外周警戒を目的とした「FIBER DEFENDER FD7104シリーズ」を開発いたしました。このセンサーはフェンスに取り付けられ、光ファイバー技術を用いてケーブルの振動幅、周波数を解析することで、フェンスへのよじ登りやフェンスの切断などを確実に検出することが可能です。光ファイバーセンサー「FIBER DEFENDERシリーズ」は、世界で最も厳しいと言われる米国空軍の認証を取得している唯一の光ファイバーセンサーとして、世界各国における多くの最重要施設で採用されております。最重要施設向けの防犯システムにおいても、重要インフラ向け同様にネットワーク対応型の防犯カメラシステム及びアクセスコントロールシステムとの統合、より高次元な警戒、設置・メンテナンス性の向上、情報セキュリティ対策への要求が高まっており、「FIBER DEFENDER FD7104シリーズ」はこれらの要求に応える次世代光ファイバーセンサーとして開発いたしました。 ③ ワイヤレスセンサーカメラ技術一般住宅の防犯においても、いち早く異常を察知し安全を維持できるかが重要となっており、お客様に屋外センサーを設置していただくことで、不審者が屋内へ侵入する前に異常を検知する「屋外事前防犯」を推し進めております。今後、更に安全を確実に確保する場合に、カメラによる画像確認への期待要求は高まると考えております。そこでこの度、屋外センサーと監視カメラを融合させ、センサーで検知した決定的瞬間の画像を無線送信する技術を開発いたしました。また、電池駆動を可能とする低消費電力を実現し、完全なワイヤレスセンサーカメラの製品化を可能といたしました。 (2) 自動ドア関連自動ドア関連におきましては、公共施設、オフィス、店舗や工場施設などで人々が安全・安心・快適に通行できる自動開閉扉用センサーを開発、販売しております。創業以来培ってきた独自のセンシング技術で業界最高水準の安全性と、あらゆる設置環境下でも安定したパフォーマンスを発揮すべく研究開発を行っております。現在、国内におきましては、自動ドアセンサー分野は約5割、工場や倉庫の高速シャッターセンサー分野は約7割と高い市場シェアを保持し、海外におきましては、開口部周辺の安全要求が各地域の法令として定義されるなか、当社グループが得意とする光技術を軸としたセンサー投入により、シェアは堅調に拡大しております。国内自動ドア関連事業におきまして、自動ドアシステムの安全、価値向上のためCAN通信※タイプセンサーの開発・普及及び従来の「物売り」のみならず「コト売り」を目指してシステム開発を進めております。当連結会計年度の主な成果は、次のとおりです。※ CAN通信:(Controller Area Network) ISO(国際標準化機構)の規格に準拠した通信技術で、自動車をはじめとして医療機器やFA・産業機器など幅広い分野で採用されている。 ① ワイヤレスドアスイッチ「OW-503CAN(R)シリーズ」国内の商業施設に多数設置されているワイヤレスドアスイッチOW-503にCAN通信タイプの受信機OW-503CAN(R)シリーズを市場投入しラインナップ強化を図りました。CAN通信タイプのセンサーは、センサーと自動ドアが双方向で通信するため、さまざまな機能アップが可能となります。本製品は業界最小クラスの筐体サイズ実現などの特徴に加え、CAN通信タイプのセンサーならではの新機能「アシストモード」を搭載致しました。車いすの方やベビーカーを押しながら通行する方にとって、「タッチする」という動作が必要なタッチスイッチ式の自動ドアは、スムースな通行を妨げる場合があります。「アシストモード」なら、ドアの前で数秒間待つだけでタッチスイッチに触れなくてもドアを開けることができ、安全・安心に加え、より快適な通行をサポートいたします。 ② CAN/リレー変換器「OU-IO103CAN」CAN通信タイプセンサー拡充の一環で、CAN通信タイプセンサーの検出信号と接点信号を相互に変換する信号変換器を市場投入しラインナップ強化を図りました。本製品は自動ドアシステムに接続されたCANセンサーの検出信号を無電圧接点へ変換する機能(出力機能)と無電圧接点をCANセンサー検出信号に変換する機能(入力機能)を備えております。出力機能により、警備会社のシステムや入退管理システム、音声機器、回転灯などとの連動が可能となります。また、入力機能により、外部の接点入力信号で自動ドア開閉が可能となり、自動ドアシステムの使用用途が広がります。 ③ メディアセンサー「OAB-215CAN」2020年より国内市場において、ビーコン※搭載自動ドアセンサー「OAB-215V」を活用した情報シェアリングサービス「OMNICITY(オムニシティ)」を開始しております。ビーコン機能を搭載した自動ドアメディアセンサー「OAB-215V」のCAN通信タイプを市場投入し、ラインナップ強化を図りました。店舗の出入り口に設置された自動ドアセンサーは、毎日多くの通行者とのタッチポイントとなっております。この自動ドアセンサーに、ビーコン機能を搭載することで、通行者に、商品情報やクーポンをはじめとした店舗広告の配信が可能となります。また、病院やホテルなどで自動チェックイン・アウトが可能となる、美術館や観光施設は音声ガイドを提供するなど、エントランスを新たなメディアとしてご利用いただけるようになります。※ ビーコン:BLE(Bluetooth Low Energy)という無線技術を利用した伝達手段。範囲内のビーコン信号受信端末に対し、位置情報の取得や、情報の送信が可能。 (3) その他その他のSS事業におきましては、液体の色や濁りを素早く正確に測定する水質計測用センサーなど、安全・品質・衛生管理の特殊な計測ニーズに対応した製品の開発を行っております。また、独自の画像センシング技術による、客数情報システムの開発・販売及も手掛けております。客数情報は、これまでは導入者側の分析データとして活用されておりましたが、コロナ禍においては、施設利用者が混雑状況を把握できる安全・安心の為のデータとしてご利用の範囲が広がっております。今後はセンシングエリアを更に細分化し、より詳細な人数データを提供できる新しい人数情報カウント用センサーの開発に取り組んでまいります。当連結会計年度の主な成果は、次のとおりです。① 水質モニタリングサービス 「WATER it」水質計測分野におきましては、今までのセンサーを提供する「モノ売り」事業から、データを含むソリューションを提供する「コト売り」事業への転換として、簡易水質測定システム「WATER it」の展開を開始しております。さらに「WATER it」を連続モニタリングできるシステムまで拡張し、お客様が遠隔かつリアルタイムで水質管理を行うことが可能となりました。これに伴い、pH※計、ORP※計、導電率※計など、接続できるセンサーラインナップを拡充し、ワンストップサービスが実現可能となりました。水質管理を行う現場では、従来からの人手不足や従業員の高齢化に加え、新型コロナ感染症の影響もあり、定期巡回を減らしたいというご要望が高まっております。一方で、設備の老朽化や異常発生を迅速に把握し対応できる体制構築も求められております。本サービスは、『「はかる」「つたえる」「みる」をカンタンに。』をコンセプトに、いつでも、どこでも水環境を把握できる水質管理のDX(デジタルトランスフォーメーション)として現場の負担を大幅に削減できるソリューションです。また、クラウドによるデータサービスの更なる需要に対応すべく、遠隔モニタリングのラインナップ強化に向けて対応を進めております。今後は、2021年に投入した水の濁度と色度を測定できる濁色度チェッカー(TDC-Mi)を軸に、上水道分野へ事業展開を広げてまいります。※ pH:酸性もしくはアルカリ性の度合いを表す指標※ ORP:酸化力と還元力の度合いを表す指標※ 導電率:電気の流れやすさを示す指標 ② 客数情報カウントシステム独自の画像認識技術を搭載した新製品「AIO—CX1」を開発し、市場投入前のフィールドテストを進めております。「AIO-CX1」は、360°広角カメラを搭載することで、検知エリアが従来品に比べ約4倍に拡大し、これまで検出困難であった着座人物の検知を可能にした人数情報カウント用センサーです。今後は、ラインナップ最上位機種として、小売チェーン店舗及び展示場並びに大型商業施設でのDX推進に使用する基礎データ(入店者数、滞留者数、滞留時間など)と運用データ(混雑率、立ち寄り率など)の提供を進めてまいります。 ③ 画像処理技術画像処理技術におきましては、独自技術である画像鮮明化アルゴリズムを簡単に汎用組込みボードへ導入するための各種インタフェースを開発いたしました。AIなどを使った画像認識のニーズが高まる中、鮮明化を前処理に使用することで認識率の大幅な向上が期待されます。鮮明化とAIをワンチップに搭載することにより、コンパクト化が求められるエッジでの高度な画像認識を提供いたします。 <IA事業>(1) FA関連FA関連におきましては、さまざまな製造業の工場における製造ラインの自動化・省力化に不可欠なFA用センサー(産業用センサー)の製品開発、研究に取り組んでおり、可視光や赤外光を用いた光電センサーのみならず、距離を計測する変位センサー、カメラを用いた画像センサー、LED照明機器、非接触温度計など、センサー及びその周辺機器を幅広く開発しております。当連結会計年度の主な成果は、次のとおりです。 ① 非接触温度計IO-Link※タイプ 「SA-80T-4IO」M18のシリンダ形状で、装置内の限られたスペースへの取り付けが可能な据え置きタイプの非接触温度計にIO-Link通信に対応した製品を開発いたしました。SA-80T-4IOでは、「URシリーズ」などのIO-Linkマスタに接続する事で、PLCレベルとデバイスレベルで1対1の双方向シリアル通信が可能となります。それにより、制御装置で対象物温度データの常時モニタリングが可能となるほか、一括設定やIOチェックをPLCから行うことや、交換時にIO-Linkマスタから設定情報をインポートすることが可能になります。また、センサーに断線など不具合があればエラー表示も設定可能です。その結果、設備の立ち上げ/保守時間を短縮し、センサレベルの予知保全を行うことができます。※ IO-Link:センサーと制御システムの間で各種データ交換を行う通信技術のこと。設備の予知保全などに役立つ。② マルチプロトコル対応IO-Linkマスタ 「UR-ES16DT」スプリングクランプ端子台によるコンパクトなIO-Linkマスタのラインナップを拡充するべく開発いたしました。ハードウェア処理による高速なサイクルタイムの実現、チャンネル毎にPNP・NPN入出力にも設定可能な柔軟性はそのままに、新たにEthernet/IP、Ethernet/TCP、Modbus/TCP、CC-Link IE Field Basicに対応いたしました。これらは本体設定より簡単に切り替えて接続することが可能です。本製品によりIoTやIndustry4.0※への対応をより加速させることが出来ると考えております。※ Industry4.0:ドイツ政府が推進する製造業の高度化を目指す国家プロジェクトのこと。工場内のあらゆる機器類をインターネット経由で一括管理することにより、生産性と収益性の向上に役立つ。 ③ IO-Link対応リモートI/Oユニット 「UR-DSシリーズ」IO-Linkマスタのデジタル入出力を手軽に拡張できる最大16点のリモートI/Oユニットを開発いたしました。上位制御側へはIO-Link通信により接続し、IO-Linkマスタと同様にPNP、NPNタイプのデジタル機器を混在して接続が可能です。IO-Linkマスタのポート辺り16点のデジタルI/O を割り付けることが可能となり、「URシリーズ」の IO-Linkマスタと併用することでデジタルI/Oを16x16=256点まで拡張が可能です。これにより導入コストを大幅に抑ながら、デジタル機器のネットワーク対応が可能となります。 ④ レーザー変位センサー 「CD2Hシリーズ」操作性に優れた高精度小型レーザー変位センサーを開発いたしました。上位機種でも採用している独自開発によるイメージセンサー「ATMOS」を搭載し、樹脂筐体ながらクラス最高の繰り返し精度とサンプリング速度を実現しております。IO-Linkにも対応することで、取り込み側機器のAD変換部のコストを抑えノイズの影響も排除した高品位なデータの利用が可能になっております。また、表示部にOLEDディスプレイ※を採用し、より分かりやすく多彩な表現で直感的な操作が可能になっております。表示言語も主要7言語に対応し、よりグローバルな環境でご利用いただけると確信しております。※ OLEDディスプレイ:Organic Electro light Luminescence Diode (有機ELダイオード)ディスプレイ ⑤ 照明モニタリングセンサーアナログ出力タイプ 「MDF-Aシリーズ」照明モニタリングセンサー「MDFシリーズ」にアナログ出力タイプを追加いたしました。従来機種は照明の光量低下検知などの予防保全に活用いただけましたが、アナログ出力を装備することで調光制御での利用が可能となり、また照明光量の見える化にも貢献いたします。 ⑥ UVセンサーヘッド 「NF-MTA08UV」ファイバユニットに取付け可能な業界最小サイズでUV波長帯の光を可視光に変換するユニットを開発いたしました。特殊な蛍光体を使用することにより高効率で可視光に変換します。従来UV光源の光量監視などは専用の測定機器が必要でしたが、照明モニタリングセンサー「MDFシリーズ」と組み合わせることで、導入コスト・設置スペースを削減しながらUV光源の予防保全、調光制御、光量監視などが可能となります。 (2) MVL関連MVL関連におきましては、お客様に高い精度の検査環境を提案し、実現することで、お客様の製品の品質向上や廃棄ロスの低減に、ひいては社会全体の資源問題に貢献してまいりました。検査品質向上や生産性向上といった従来からの課題に加え、昨今のSDGsやコロナ禍への対応のため、お客様の課題は更に高度化・多様化しております。一方、LEDの波長が紫外や赤外に広がり、赤外領域に感度をもつ新しい撮像素子や、LEDにない機能・性能を持つ光源が製品化され、さらにはAIを利用した画像解析が普及するなど、お客様の課題を解決するための技術も多彩になってまいりました。そこで、高度化・多様化しているお客様の課題を解決すべく、従来からの照明や関連機器の高性能化・高機能化だけではなく、先進技術の積極的な利用や、ソリューション提供のための研究開発にも力を入れております。なお、産業用カメラメーカー大手の独Basler AG社と共同開発した「Basler SLP Lighting Solutions」が、最も革新的な技術、製品、システムを表彰する「Vision Systems Design 2021 Innovators Awards」で銀賞を受賞し、3年連続で高い評価を獲得いたしました。当連結会計年度の主な成果は、次のとおりです。 ① 有機EL照明「OLB-LTシリーズ」2019年に立ち上げた新ブランド「CCS-LT」の第2弾として、マシンビジョン業界初の、発光面が曲面の有機EL照明「OLB-LTシリーズ」を発売いたしました。「CCS-LT」ブランドのLT は、Leading Technology、すなわち先進技術を活用し、今までに無い製品をいち早くお客様にご提案することを意味しております。今回製品化した「OLB-LT」の有機ELパネルは、0.1mm厚のフレキシブルガラス上に有機発光層を複数重ねた構造で、小電流駆動により長寿命化を実現しつつ、マシンビジョン用途に必要な明るさを実現しております。また、照明筐体は独自技術であるフローティング構造とし、繊細なフレキシブルガラスを衝撃から守ります。さらに、設置環境や検査対象物に合わせ、お客様が自由に有機ELパネルの曲げ方向や曲げ半径を選ぶことができます。高度化・多様化するお客様の課題を解決すべく、これからも先進技術を積極的に取り入れたソリューションをご提案してまいります。 ② 高出力紫外・紫LED照明「UV3/VL3シリーズ」2020年12月に発売した高出力赤外照明に続き、2021年9月に高出力紫外・紫LED照明を発売しました。接着剤、グリス、インク、コーティング剤などは紫外光によって蛍光を発します。紫外LED照明は、この性質を利用して、電子部品や梱包パッケージの塗布検査や印字検査などに、さらに可視光においては困難な素材の選別や物体表面上の微細な傷や欠陥の検査などにも利用されております。「UV3/VL3シリーズ」は、LEDの高出力化と新しい光学系の開発により、従来品に対し最大2倍の明るさを実現しました。また、高速搬送の製造ラインでも、明るく精細な画像を取得することが可能になります。LEDの波長は、365nmに加えて、385nm、395nm、405nmを追加しており、検査対象物に適した波長を選択することができます。波長の選定につきましては、ライティングコンサルタントが国内に13拠点あるテスティングルーム(実験室)でお客様をサポートしてまいります。 ③ LEDバー照明「HLDL3シリーズ」、 リング照明「HLDR3シリーズ」を発売自動車部品などの大型ワーク、ロボットピッキング、物流バーコードの読み取りのような用途では、照明から離れた場所を広範囲に明るく照らす必要があります。このような用途で広く利用されているHLDL2シリーズをリニューアルいたしました。物流業務の生産性向上と人手不足解消に対する期待は高まる一方です。HLDR3では、光の指向性を3種類から選択することができ、どのような環境でも広い視野を確保できます。対象物のサイズに関わらず、効率的に仕分けを行うことができ、全体的なスループットが向上いたします。また、リング型の照明形状の拡充、約20%の軽量化、コンパクト化を実現し、ロボットアームへも容易に取り付け可能となりました。さらに、検査装置に取り付けやすい照明構造やブラケットの開発により、製造ラインでの照射角度の調整が容易で、取り付け自由度も非常に高くなっております。従来品比で約1.7倍の明るさと、合計156機種に及ぶ豊富なラインナップにより、様々な用途でお客様に最適なソリューションを提供してまいります。 (3) IPC関連IPC関連におきましては、様々な産業分野向けとして、高い品質と長期供給性を追求した組み込みボード製品の製造や、生産ライン、社会インフラ向けのシステムを構築し、CPUボード、I/Oボード、コントローラー装置など組み込み用コンピュータ構築に必要なプラットフォーム提供からアプリケーション・システムの構築、さらには最新のセンシングや制御装置の提供など、広くお客様のニーズに対応しております。当連結会計年度の主な成果は、次のとおりです。 ① 5G遠隔監視カメラシステム実証実験第5世代移動通信システム(以下 5G)の整備の進展とともに、様々な実証実験が実施されております。国立研究開発法人情報通信研究機構から公募された、5Gを活用したフルハイビジョンの映像伝送の実証実験において、当社の提案が採用されました。内容は、5Gでフルハイビジョンの映像伝送や制御可能な追尾カメラの試作、5Gキャリア通信での通信品質及び実性能評価、遠隔での映像処理及びフィードバック制御による遠隔監視・操作性能評価を実施するものです。5G及びフルハイビジョン映像を活用した遠隔監視が実現することで、防犯分野への貢献にも繋がると考えております。 ② 遠隔監視点検ロボット現在、社会インフラの老朽化が急速に進んでおり、老朽化が原因となる重大事故も発生しております。メンテナンス費用の増大や少子高齢化による高度点検人材不足など、これらの社会課題を解決すべく、悪環境下でも稼働可能な屋内外点検用クローラロボットを開発いたしました。大学研究のレスキューロボット技術と遠隔操作・制御の組み込み技術を融合し、人間の代わりに立入困難な場所の現場を可視化して点検業務を支援することができます。既に土管の損傷点検などに活用されており、今後更に点検技術の開発を進め、プラント点検などへの用途拡大を推進してまいります。
FY2020|8,787 文字
5【研究開発活動】当社グループは、「見えないものを、見るしごと。」の実現を果たすために、世の中の様々な課題やニーズに対してその解決方法を提案し、顧客満足度の向上を目指して研究開発を進めております。センシング技術に加え、照明技術やさまざまな要素技術を取り入れ、変化や状態を「見る」、見えないものを「視る」、観察し判断する「観る」を包含した「見る」技術を進化させ、多様化するお客様に価値ある提案を行い、新たなソリューションを創造してまいります。当連結会計年度の研究開発費の総額は2,749百万円であり、対売上高比率は7.9%となっております。 <SS事業>(1) 防犯関連防犯関連におきましては、テロへの不安、コロナ禍等の影響による治安悪化で、社会不安はより一層増大しており、如何にいち早く異常を察知し安全を維持出来るかが課題となっております。このような背景のもと、各国ではデータセンター・発電所等の重要施設のみならず、事業所・商業施設等の民間施設でも防犯カメラシステム、侵入警戒システムへの投資が活発化しております。当社はこのような社会インフラと住環境の安全・安心への要求に対し、より信頼性が高く、防犯カメラシステムとの親和性も高いセキュリティシステムの研究、開発をベースとしたソリューションを提供しております。当連結会計年度の主な成果は、次のとおりです。 ① 屋外防犯センサー 「QXIシリーズ」一般住宅や商業施設、事業所での屋外立体警戒を目的とした「QX-Infinity」を開発いたしました。防犯対策への要求が益々高まる屋外警戒センサー市場において、顧客ニーズは多様化しており、低所・高所を選択して設置することを可能とした小型かつ信頼性の高いセンサーとして市場投入しラインアップ強化を図りました。当製品は建物や敷地の壁に設置され、120°の広範囲を立体警戒し、建物に近づく侵入者を検知すると同時に、警備会社及び監視センター並びに警報システムに通知し、不正侵入を早期に発見することで犯罪の抑止に繋げ、更に居住者の自衛を促すことができるセキュリティ製品です。一般住宅向けに定評のある従来の低所設置型のセンサーでは、設置位置及び運用に制約が多くありましたが、当製品は小型化により、軒下・高所の壁面等、目立たない場所への設置が実現し、更にスタイリッシュなデザインとして一般住宅、事務所などの壁面に違和感なく設置することが可能となりました。また、追加機能として独自の小動物誤検知対策機能、ノイズキャンセル技術による誤検知対策機能を開発し搭載いたしました。 ② 共連れ検出システム 「OVシリーズ」高度な入退室管理が求められる重要施設において、重要エリアへの入室権限がある人に続き権限のない人が入室する“共連れ”防止を目的とした、アクセスコントロール向け共連れ検出システム「OV-302シリーズ」を開発いたしました。「OVシリーズ」は、発売以来15年以上に渡り、世界各国におけるセキュリティ性の高い現場でご利用いただいて参りましたが、この度、一層の信頼性向上とIP化への対応を実現したシステムとしてリニューアルいたしました。本製品は、Time-Of-Flight(TOF)※方式のイメージセンサーを利用しており、従来品よりさらに解像度の高い素子を採用するとともに、PoE※を採用することで施工性の向上を実現いたしました。今後は顧客のご要望に合わせて、他システムとの連携や統合等にも対応してまいります。※ TOF:パルス投光された光が対象物にあたって戻ってくるまでの時間を計測し、距離に換算する測定方式。※ PoE:(Power over Ethernet)LANケーブルを通して電力を供給する技術のこと。屋外や天井などの電源を確保しにくい場所でも設置しやすく、省線化ができるなどのメリットがある。 ③ クラウド型セキュリティソリューションシステム技術現在、アジア地域向けに集合住宅、事務所での屋外警戒を目的とした屋外警戒センサー及び制御盤システム(コントロールパネル)「GENIOシリーズ」、並びに屋外警戒センサーのステータス情報をマップ上で見える化できるソフトウェア「GENIOマップ」を販売しております。更なるユーザー層の拡大を図るためシステム導入コストの低減や運用管理・メンテナンス性の向上を実現する製品システム開発のため、クラウドシステム技術開発を行いました。 (2) 自動ドア関連自動ドア関連におきましては、公共施設、オフィス、店舗や工場施設などで人々が安全・安心・快適に通行できる自動開閉扉用センサーを開発、販売しております。創業以来培ってきた独自のセンシング技術で業界最高水準の安全性と、あらゆる設置環境下でも安定したパフォーマンスを発揮すべく研究開発を行っております。現在、国内におきましては、自動ドアセンサー分野は約5割、工場や倉庫の高速シャッターセンサー分野は約7割と高い市場シェアを維持し、海外におきましては、開口部周辺の安全要求が各地域の法令として定義されるなか、当社が得意とする光技術を軸としたセンサー投入により、シェアは堅調に拡大しております。現在自動ドア関連事業におきましてコロナ禍に於いて、いっそう注目される非接触製品の開発ならびに、従来の「物売り」だけでなく「コト売り」を目指してシステム開発を進めております。当連結会計年度の主な成果は、次のとおりです。 ① 非接触スイッチ 「Clean Switch」ドアノブやスイッチは、不特定多数の人が触れるためウイルスや細菌が付着しやすく、感染リスクが高まります。衛生への意識が高まる中、触れることなく扉を自動で開閉することができる非接触スイッチは、利用者の利便性の向上だけでなく、衛生管理用途としても普及が進んでおり、売上も順調に推移しております。 ② 自動ドア遠隔モニタリングのデータプラットフォーム現在国内の自動ドアは継続的な維持管理のために、定期的に担当者が現場に出向き確認・点検を行っていますが、保守・メンテナンス業務の効率化、予防保全によるリスクやコスト低減は、業界での課題となっています。今回、当社は自動ドアシステム(CAN通信※)にIoT技術を組み合わせ、データを伝送するゲートウェイ、設定アプリ、各種データサーバーで構成された自動ドアデータプラットフォームを開発いたしました。このシステムを活用することで、現場から離れた場所でも自動ドアの利用状況がリアルタイムに可視化でき、機器や設備の予防保全や保守サポートの効率化を図ることが可能となります。※ CAN通信:(Controller Area Network) ISO(国際標準化機構)の規格に準拠した通信技術で、自動車をはじめとして医療機器やFA・産業機器など幅広い分野で採用されている。 ③ ビーコン搭載自動ドアセンサー「OAB-215V」を活用したシェアリングサービス「OMNICITY(オムニシティ)」商業施設や店舗のエントランス周辺は、1日数千万人の人々が行き交っています。そのエントランスに設置される自動ドアセンサーは従来、ドアの開閉用途として活用していましたが、当社は、通行者に役立つ情報や体験をお届けする「メディア」に用途を広げ、エントランスに新しい価値を生み出すプラットフォームを構築いたしました。このメディアの有効活用を促進するシェアリングサービス「オムニシティ」は、業界初の試みとなります。既存の自動ドアセンサーを当社のビーコン※機能付き自動ドアセンサーに置き換え、利用登録をするだけで運用が開始できます。自動ドアオーナーは、このメディアを活用して自社の情報発信に利用、もしくはメディアを他店舗や他企業に貸し出し、利用収入を得る運用も可能となります。※ ビーコン:BLE(Bluetooth Low Energy)という無線技術を利用した伝達手段。範囲内のビーコン信号受信端末(スマートフォンなど)に対し、位置情報の取得や、情報の送信が可能。 (3) その他その他のSS事業におきましては、液体の色や濁りを素早く正確に測定する水質計測用センサーなど、安全・品質・衛生管理の特殊な計測ニーズに対応した製品の開発を行っております。また、独自のセンシング技術に新たな要素技術を融合させた、客数情報カウントシステムの開発・販売及び画像処理技術も手掛けております。客数情報は、店舗運営や経営に必要な基礎データとして、さらにあらゆる空間での混雑状況(密状況)を把握する為のデータとして広範囲にご利用いただいております。近年、高精度な人数情報は、多種多様なIoTデータを扱う上で重要性が増し、更にはクラウドによるデータサービスの需要にも対応いたしております。当連結会計年度の主な成果は、次のとおりです。① 水質モニタリングサービス 「WATER it」の確立水質計測分野におきましては、データ収集までを自動化する簡易水質測定システム「WATER it」を連続モニタリングできるシステムまで拡張し、今までのセンサーを提供する「モノ売り」事業から、データを含むソリューションを提供する「コト売り」事業への転換を開始いたしました。これに伴い、様々なセンサーを複数個接続できるユニバーサルコントローラー(SC-U1)及び、通信網を経由しデータを送受信するゲートウェイ(SC-AG1)の投入並びに、クラウド活用のデータマネジメントサービス(DMS)を拡充いたしました。また、これらに接続するセンサーとして、今までの濁度チェッカーをアナログ出力だけでなくデジタル出力タイプも投入し、「pH計」「ORP※計」「導電率計」等、様々なセンサーもデジタルタイプで統一し、簡易にデータ収集できるように「オプテックスMODBUS」として通信プロトコルも統一いたしました。さらに、上水道分野できれいな水の濁度と色度を測定できる濁色度チェッカー(TDC-Mi)も新たに投入し、昨年投入したきれいな水の濁度を測定する低濁度チェッカー(TC-Mi)とともに、上水道分野への事業展開も強めてまいります。※ ORP:(Oxidation-Reduction Potential,酸化還元電位)水処理微生物や農業土壌の健康度合いを表す指標。 ② 客数情報カウントシステム客数情報カウントシステムにおきましては、客数情報センサーを使用し、3段階の情報発信で商業施設・公共施設の混雑をコントロールすることができる「集客対策ソリューション」を開発し、ラインアップいたしました。第1段階として、分散来店を促すことを目的とし、施設内の混雑状況をWeb上で公開し、リアルタイムの混雑状況と、曜日・時間帯別の混雑傾向をご利用者がスマートフォンを使って閲覧できるサービス「PASSER-Information Public」を開発いたしました。第2段階として、来店客の誘導を目的とし、施設内に滞留している人数の情報を元に、混雑状況を施設内のモニターに表示し、注意喚起をすることで「密集」が回避するように誘導できるシステム「PASSER-Information 混雑モニター」を開発いたしました。第3段階として、店内密集の回避を目的とし、検知エリア内の人数が設定された数値を越えると、人数にあわせた注意警告表示を行い、3段階の混雑表示で、リアルタイムに注意を促すことができるデバイス「AIO-Information」を開発いたしました。 ③ 画像処理技術画像処理技術におきましては、独自の見える化技術である画像鮮明化において、新たに4K解像度対応ハードウェアIPを開発いたしました。霧や暗所など不鮮明な映像を低遅延でリアルタイム鮮明化する特長を活かしたまま、従来はFull-HDまでしか処理できなかった解像度を4K映像にまで対応することで、画像センシングにおいて、より高精細な映像を提供いたします。 <FA事業>FA事業におきましては、様々な製造業の工場における製造ラインの自動化・省力化に不可欠なFA用センサー(産業用センサー)の製品開発、研究に取り組んでおり、可視光や赤外光を用いた光電センサーのみならず、距離を計測する変位センサー、カメラを用いた画像センサー、LED照明機器、非接触温度計など、センサー及びその周辺機器を幅広く開発しております。当連結会計年度の主な成果は、次のとおりです。 ① 印字検査用画像センサー 「GVSシリーズ」簡単操作を追求した印字検査カメラを開発いたしました。既存製品で培ったノウハウを集約し、食品業界における印字検査のあらゆるニーズに応えた製品となっております。保護等級IP67※対応、電動アクチュエーター内蔵によるリモートフォーカス調整、及びティーチング機能の高精度化により、設置のしやすさや操作性を向上させ、印字検査導入のハードルを大幅に下げることができました。また、カメラ自体にWEBサーバ、及びEthernet通信機能を搭載したことにより、専用のパソコンソフト、及びコントローラーがなくとも、事務所等から工場内の検査状況の確認、設定値の読出しや書込み、NG画像の保存等の遠隔操作することが可能となりました。トレーサビリティ目的の検査画像の全画像保存にも対応しております。なお、近年、食品ロス削減とトレーサビリティの両立のために日付・時刻の暗号化が進んでおりますが、当センサーでは、この暗号化された日付・時刻の認識も可能となっているなど、印字検査専用機ならではの高い検査品質を誇っております。本センサーを拡販していくことにより、SDGsの目標達成にも貢献してまいります。※ 保護等級IP67:防塵性能は6級で「完全防塵」、防水性能は7級で「30分間の水没に耐えられる防水性能」を意味する。② センシング マルチリング/ドーム照明 「OPM/OPDシリーズ」ラインアップ拡充ローアングルからハイアングルまで1台で対応可能なマルチリング照明、及び光沢や凸凹の影響を抑えることが可能なドーム照明に、新たに50mm、75mm、200mmサイズを追加いたしました。これらは、グループ会社であるシーシーエス㈱のラインアップにセンシング機能※を搭載した形となっており、両社のシナジーを発揮した製品となっております。※ センシング機能:内蔵したフォトダイオードが輝度をモニタリングし、輝度劣化をフィードバックすることで、5万時間でも最大輝度を一定に保つ。 ③ CC-Link IE Field/TSN 対応IO-Linkマスタ 「UR-MS16DT」スプリングクランプ端子台によるコンパクトなIO-Link※マスタを開発いたしました。ハードウェアで処理することにより16チャンネル搭載ながら一般的なIO-Linkマスタに比べて約6倍高速な0.3msのサイクルタイムを実現いたしました。また、チャンネル毎にPNP・NPN入出力にも設定可能なため機器コストの増加を抑え従来にない柔軟な運用が可能です。上位側ネットワークには1Gbpsの高速ネットワークであるCC-Link IE Field及び次世代のCC-Link IE TSNに一台で対応いたしました。現場の要望に併せて簡単に切り替えて接続が可能です。本製品によりIoTやIndustry4.0※への対応をより加速させることが出来ると考えております。※ IO-Link:センサーと制御システムの間で各種データ交換を行う通信技術のこと。設備の予知保全等に役立つ。※ Industry4.0:ドイツ政府が推進する製造業の高度化を目指す国家プロジェクトのこと。工場内のあらゆる機器類をインターネット経由で一括管理することにより、生産性と収益性の向上に役立つ。 ④ IO-Link対応汎用光電スイッチ 「Z4シリーズ」ラインアップ拡充IO-Link対応Z4シリーズの追加機種としてBGS(Back Ground Suppression、背景抑制)タイプを開発いたしました。Z4シリーズが持つIO-Link機能や予知保全に役立つ基本的な機能に加え製造現場からの要望に応え従来よりも更に近距離、小スポットサイズとなる検出範囲の機種も同時追加いたしました。新世代の汎用光電センサーとして幅広く活用していただけるものと確信しております。 ⑤ 超小型レーザー距離センサー 「TOF-DLシリーズ」ラインアップ拡充Time-Of-Flight(TOF)※方式による小型レーザー距離センサーTOF-DLシリーズにIO-Link対応タイプを追加いたしました。小型高性能はそのままに手軽にIO-Linkを通してネットワーク上での制御が可能になりました。※ TOF:パルス投光された光が対象物にあたって戻ってくるまでの時間を計測し、距離に換算する測定方式。 ⑥ IO-Linkゲートウェイ 「UC2-IOL」従来のファイバアンプや変位センサーを簡単にネットワークに繋ぐIO-Link対応ゲートウェイを開発いたしました。IO-Linkは1対1の通信技術のため、これまでであればセンサーの数に応じたチャンネル数を持つIO-Linkマスタが必要でした。本ゲートウェイを使用することでIO-Linkの1つのチャンネルに複数台のセンサーの情報を送ることが可能になりました。設置時の機器配線コストの増加を抑えながら様々なネットワークに対応するソリューションの一つと位置づけております。 <MVL事業>MVL事業におきましては、様々な製造業の検査工程で使われる照明や関連機器の高性能化・高機能化だけではなく、お客様が「簡単に使える」ようにするための開発・研究に取り組み、多彩な製品を提供しております。画像処理による自動検査におきましては、検査品質向上、人手不足解消、生産性向上を目指し、さらにはコロナ禍に対応するために、お客様の課題が高度化・多様化しております。このような高度な課題の解決に向け、AIを用いた画像解析などソリューションの拡充と先進的な技術開発にも注力しております。2020年6月19日、最も革新的な技術、製品、システムを表彰する「Vision Systems Design 2020 Innovators Awards」で当社グループは金賞を受賞し、昨年に続き高い評価を獲得いたしました。当連結会計年度の主な成果は、次のとおりです。 ①(CCS Aitecブランド)ラインドーム照明 「LN-EAAシリーズ」「LN-EBAシリーズ」ラインセンサを用いた画像処理用照明の分野において、株式会社アイテックシステムとの共同開発を開始いたしました。製品は、「CCS Aitec」ブランドとして提供してまいります。第1弾として、ラインドーム照明「「LN-EAAシリーズ」「LN-EBAシリーズ」を開発いたしました。ガラスや各種シート、金属表面等の外観検査に幅広く使用できる製品となっております。高出力かつ高均一な光を照射でき、ワークの凹凸による陰影やハレーションを抑えた撮像が可能となりますので、検査速度と検査品質を大きく向上させることができます。 ② 産業用カメラ大手Basler社との共同開発によるLED照明生産ラインなどで自動検査システムを構築する際、カメラ、照明、制御機器などのコンポーネントを統合する必要があります。その統合時の工数と費用を大幅に削減できる製品をBasler AGと共同開発いたしました。これにより、機器接続のためのソフトウェア開発や細かな設定が不要になるとともに、照明とコントローラーの総コストを従来よりも2~3割低減できます。Basler SLPコントローラーは、カメラとコントローラー、コントローラーと照明をそれぞれ1本のケーブルで接続して使用します。Basler SLPという独自のプロトコルにより、カメラが照明を直接制御することができます。照明は、当社グループの1000機種を超える製品から自由に選択可能です。Basler Camera Lightは、照明とコントローラーを一体化し、より簡便さを追求した製品になります。照明としては、バータイプ、リングタイプ、フラットタイプ、大型バータイプの4種の形状と赤、白、青の3種の発光色を用意いたしました。 ③ 波長1,000ナノメートル以上の画像検査用赤外照明可視光から短波長赤外光(SWIR:Short-Wavelength Infrared、900から2,500ナノメートルの波長帯)までの幅広い波長に感度を持つマシンビジョンカメラが2020年に市場投入されました。従来は困難だったシリコンウエハー透過検査や、ウェットシート水分含有量検査など、赤外カメラを利用した検査方法が世界的に広まりつつあります。それにともない、赤外照明のニーズも急速に高まっております。当社が製品化した赤外照明は、1,050、1,200、1,300、1,450、1,550、1,650ナノメートルの6種の波長をラインアップに揃えておりますので、さまざまな検査材料に対応することができます。また、高出力LEDの採用と優れた光学設計により、従来品比3~4倍の明るさを実現しましたので、高速搬送の製造ラインでもお使いいただけます。2020年に発売したリング型およびスポット型照明のご好評を受けて、2021年にはライン型、ドーム型、フラット型照明を追加し、より広範囲な検査対象に対応してまいります。
FY2019|7,256 文字
5【研究開発活動】当社グループは、「見えないものを、見るしごと。」の実現を果たすために、世の中の様々な課題やニーズに対してその解決方法を提案し、顧客満足度の向上を目指して研究開発を進めております。センシング技術に加え、照明技術やさまざまな要素技術を取り入れ、変化や状態を「見る」、見えないものを「視る」、観察し判断する「観る」を包含した「見る」技術を進化させ、多様化するお客様に価値ある提案を行い、新たなソリューションを創造してまいります。当連結会計年度の研究開発費の総額は2,761百万円であり、対売上高比率は7.4%となっております。 <SS事業>(1) 防犯関連防犯関連におきましては、国内では東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会に向けて、多数の訪日客を想定し、あらゆる公共機関等での防犯対策強化が進んでおります。海外では、テロへの不安、移民問題等により社会不安は増大し続けており、如何にいち早く異常を察知し安全を維持出来るかが課題となっております。このような背景のもと、各国では空港・発電所等の重要施設のみならず事業所・商業施設等の民間施設でも防犯カメラシステム、侵入警戒システムへの投資が活発化しております。当社はこのような社会インフラと住環境の安全・安心への要求に対し、より信頼性が高く、防犯カメラシステムとの親和性も高いセキュリティシステムの研究、開発をベースとしたソリューションを提供しております。当連結会計年度の主な成果は、次のとおりです。 ① 屋外防犯センサー 「WX-Shieldシリーズ」一般住宅や商業施設、事業所での屋外広域警戒を目的とした「WX-Shield」を開発いたしました。防犯対策への要求が益々高まる屋外警戒センサー市場において、顧客ニーズは多様化しており、2018年に開発いたしました「WX-Infinity」の上位機種として市場投入しラインアップ強化を図りました。当製品は建物や敷地の壁に設置され、180°の広範囲を警戒し、建物に近づく侵入者を検知すると同時に、警備会社及び監視センター並びに警報システムに通知し、不正侵入を早期に発見することで犯罪の抑止に繋げ、更に居住者の自衛を促すことができるセキュリティ製品です。また、追加機能として、高所設置、画策検知機能※を搭載いたしました。※ 防犯センサーが作動しないように手を加える妨害行為を検知する機能 ② 屋外防犯センサー 後付けWi-Fiカメラ 「VXI-CMOD」主に一般住宅向けの屋外警戒、画像確認を目的とした「VXI-CMOD」を開発いたしました。一般住宅においては、犯罪をいち早く察知し対処したいというニーズが高まっており、更に屋外センサーのユーザーからは、検知時の状況を確認したいという要望を多く頂いた為、人気シリーズのVXIセンサーに後付けできるWi-Fiカメラユニットを開発いたしました。当製品は、センサーが検知した際のカメラ画像をスマートフォンで確認できる機能が搭載されており、犯罪の早期発見・対処を促すことができるセキュリティ製品です。 ③ 画像確認ソリューション 「Intelligent Visual Monitoring」主に海外の商業施設、事業所での屋外警戒における画像確認を目的としたサービス「Intelligent Visual Monitoring」を開発いたしました。海外の警報監視システム導入先では、ユーザーの機械操作ミスや防犯センサーの誤動作などが原因で誤報が多発しています。現場には防犯センサーと監視カメラが設置されているにも関わらず連動していない為、警報を受信した警備会社は真報か誤報かを判断せずに警察に出動を要請することがあります。欧米諸国では、この様な誤報により警察の無駄な出動が増え、本来の業務に支障をきたしたり、ユーザーに罰金が科せられるなど、現状の警報監視システムに対する問題点が指摘されています。当サービスは、戦略的提携先である米国「チェクト社」の画像確認ソリューションを組み入れた中継器を利用しており、警備会社は常に警報信号とリンクしたカメラ映像を受信し、現場の正確な状況確認が可能となります。更に、業界標準規格のネットワークカメラに接続可能なシステムを構築しているほか、クラウド型で使いやすく、安価なオペレーションソフトを搭載しており、高度なITスキルが無くても導入できます。これにより、従来主流であったセンサーの単品売りだけでなく、システムの提供による継続収入型ビジネスへの展開を推進してまいります。 (2) 自動ドア関連自動ドア関連におきましては、公共施設、オフィス、店舗や工場施設などで人々が安全・安心・快適に通行できる自動開閉扉用センサーを開発、販売しております。創業以来培ってきた独自のセンシング技術で業界最高水準の安全性と、あらゆる設置環境下でも安定したパフォーマンスを発揮すべく研究開発を行っております。現在、国内におきましては、自動ドアセンサー分野は約6割、工場や倉庫の高速シャッターセンサー分野は約7割と高い市場シェアを維持し、海外におきましては、開口部周辺の安全要求が各地域の法令として定義されるなか、当社が得意とする光技術を軸としたセンサー投入により、シェアは堅調に増加しております。また昨年度、高速シャッター向けに開発いたしました「OAM-EXPLORER」は、検出能力に加え携帯端末アプリによる設定機能が欧米市場でも評価され、OEM供給及び協業案件が数多くスタートし、売上は堅調に推移しております。当連結会計年度の主な成果は、次のとおりです。 ① Beacon機能搭載センサー 「OAB-215V」開発Beaconは近距離を得意とする信号発信装置であり、この信号を受信する携帯端末アプリと組み合わせることで目標を定めた情報発信や立ち寄り先履歴など、ユーザーの有益情報をタイミングよく提供することができるサービスツールとして注目されています。自動ドアセンサーは出入り口に設置され、通行者、施設利用者との距離も近くBeacon情報の発信源として理想的ポジションにあることから、当社はセンサーにBeacon機能を内蔵した「OAB-215V」を開発いたしました。センサーに内蔵することで、電池交換、持ち去りなどこれまでの課題を解消し、継続的に安定した情報発信を可能とするBeaconとして各種サービス提供企業様より期待の声を数多くいただいております。 ② 欧州 避難経路規格適合センサー「OAM-DUAL TE」開発欧州の避難経路用自動ドア装置は、災害等発生時、建物内の人々を脱出させるためドアを素早く開放させることや、定期的にドアシステムの自己診断を行い、診断結果に異常項目が確認された場合速やかにドアを開放維持することが要求されています。しかしながら、ドアシステムとセンサー間の接続方式が複数存在しており、配線の煩わしさが長年の課題となっていました。当社は欧州の避難経路規格に併せて、各種接続方法を1モデルに統合した「OAM-DUAL TE」を開発いたしました。この機種の投入により施工性の向上が評価され、欧州で売上を堅調に伸ばしております。 また、自動ドア・シャッター業界は欧州安全規格の世界的波及や、センサーでの自動開閉による、通行の効率化、衛生面への配慮など「安全」「安心」「快適」が求められる中、当社は「お客様の感動」という次のフェーズに向け新製品・新サービスの投入を行うことで、更なるオプテックスファンの獲得を図ってまいります。 (3) その他その他のSS事業におきましては、液体の色や濁りを素早く正確に測定する水質計測用センサーなど、安全・品質・衛生管理の特殊な計測ニーズに対応した製品の開発を行っております。また、独自のセンシング技術に新たな要素技術を融合させた、客数情報カウントシステムの開発・販売及び画像処理技術も手掛けております。客数情報は、店舗運営や経営に必要な基礎データで、このデータに基づき、店舗経営分析や効果測定、人材不足の課題対応オペレーションなど、広範囲にご利用いただいております。近年、高精度な人数情報は、多種多様なIoTデータを扱う上で、更に重要性が増してきております。当連結会計年度の主な成果は、次のとおりです。 ① 低濁度チェッカー「TC-Mi」、簡易水質測定システム「WATER it」水質計測分野におきましては、上水道やプールなどきれいな水の濁度を簡易に測定するセンサー、低濁度チェッカー「TC-Mi」を投入し、日本のみならず中国・インド・東南アジアを中心に全世界で展開を始めており、他社との提携を強めています。今後、下水処理場など汚い水の測定から上水などのきれいな水の測定まで、より幅広い分野で水質を簡易に測定できるような製品開発をしていく予定です。また、2017年に発売した下水処理場や河川などあらゆる現場の水質をセンサーで簡易に測定し、データ収集までを自動化する簡易水質測定システム「WATER it」は、独立行政法人国際協力機構の中小企業海外展開支援事業としてベトナムのODA案件として正式に導入され、2019年11月から本格的な調査が開始されました。 ② 客数情報カウントシステム客数情報センサーを使用した、広い範囲における人の移動を追跡処理するシステムを開発いたしました。また今後の高度センシング処理に対応する為、パワーアップしたセンシングプロセッサを開発いたしました。更に人と人以外の動きを見分けるアルゴリズム開発により、複合的な情報提供の実現を目指しております。今後は、AIを用いたセンサー基礎開発や、幅広いニーズに対して、クラウドを使って情報提供する為のシステム開発やソフト開発も進めてまいります。 ③ 画像処理技術画像処理技術におきましては、電子式ブレ補正技術のハードウェア開発に着手いたしました。従来の電子式ブレ補正では捉えることのできなかった霧や暗所での特徴点を抽出することで、より高い映像安定性を提供いたします。既に有しております鮮明化技術、鮮鋭化技術と組み合わせることで、画像センシングにおいて、より高度な「見える化」への要求に対応いたします。 <FA事業>FA事業におきましては、さまざまな製造業の工場における製造ラインの自動化・省力化に不可欠なFA用センサー(産業用センサー)の製品開発、研究に取り組んでおり、可視光や赤外光を用いた光電センサーのみならず、距離を計測する変位センサー、カメラを用いた画像センサー、LED照明機器、非接触温度計など、センサー及びその周辺機器を幅広く開発しております。当連結会計年度の主な成果は、次のとおりです。 ① センシング同軸照明 90°回転タイプ 「OPX-SVシリーズ」省スペース化を実現する90°回転タイプ同軸照明を開発いたしました。標準タイプの同軸照明は、カメラの設置を含めると高さ方向のスペースが必要になりますが、OPX-SVシリーズは、カメラの設置方向を90°曲げることができ、検査面に対して並行に設置可能です。従って、標準タイプに比べ高さ方向のスペースが削減可能なため、ラインの下など限られたスペースへの設置に有効です。また、ハーフミラーの表面反射を利用するため、高精細撮像に適しています。なお、当社センシング対応LED照明コントローラとの併用で、照明の明るさ、及び温度をモニタリングでき、IoTによる照明の予知保全を実現することができます。 ② センシング マルチリング/ドーム照明 「OPM/OPDシリーズ」ローアングルからハイアングルまで1台で対応可能なマルチリング照明、及び光沢や凸凹の影響を抑えることが可能なドーム照明にセンシング機能を搭載いたしました。これらは、グループ会社であるシーシーエス㈱のラインアップを流用して開発した製品であり、両社のシナジーを発揮した製品となっています。 ③ フィールドネットワーク接続ユニット 「UC1-EC, -EP」ファイバアンプの情報をフィールドネットワークのEtherCAT、Ethernet/IPに接続して提供する、UC1-EC及びUC1-EPを開発いたしました。昨今ニーズが高まっております、IoT並びにIndustry 4.0対応を、当社ファイバアンプのD3RFシリーズ、そして変位センサーのCD22シリーズ、TD1シリーズを本製品と接続することで実現いたしました。 ④ 白色ファイバアンプ 「D3WFシリーズ」包材のマーク検知、並びにワークの色の濃淡で検知が可能なD3WFシリーズを開発いたしました。世界最速のファイバアンプ、D3RFをベースにし、マーク検知や濃淡検知に特化した機能を搭載し、より高速化する生産ライン、特に三品(食品・医薬品・化粧品)業界向けに拡販してまいります。 ⑤ IO-Link対応汎用光電スイッチ 「Z4シリーズ」従来のZ3シリーズをIO-Link ※1 対応したZ4シリーズを開発いたしました。IoTやIndustry 4.0 ※2 で求められる、センサーの見える化をローエンド汎用光電スイッチでも提供いたします。単にIO-Linkに接続する機能を追加しただけでなく、新機能のメンテナンス時期予測機能や、検出安定度モニタ機能を搭載し、更には個体ばらつきを大幅に減らし、新世代の汎用光電スイッチとして幅広く活用していただけるものと確信しております。※1 センサーと制御システムの間で各種データ交換を行う通信技術のこと。設備の予知保全等に役立つ。※2 ドイツ政府が推進する製造業の高度化を目指す国家プロジェクトのこと。工場内のあらゆる機器類をインターネット経由で一括管理することにより、生産性と収益性の向上に役立つ。 <MVL事業>MVL事業におきましては、様々な製造業の検査工程で使われるMachine Vision Lighting用LED照明や関連機器の開発・研究に取り組み、多彩な製品を提供しております。昨今、検査品質向上、人手不足解消、生産性向上を目指して、お客様のニーズが高度化・多様化しております。このようなニーズに応えるため、AIを用いた画像解析などソリューションの拡充に務めるとともに、近赤外光等の目に見えない光やLED以外の新しい光源を利用した今までにない照明を商品化しております。2019年4月8日にシカゴで開催されたVision Systems Design 2019 Innovators Awards では、シーシーエスグループの新製品が3賞を受賞し、高い評価を獲得することができました。当連結会計年度の主な成果は、次のとおりです。 ① 画像処理検査用 フラットドーム照明「LFXVシリーズ」フラットドーム照明は、水平方向に配置したLED の光を導光板表面でワーク方向に拡散させることによりドーム効果を得ます。薄型で製造装置内に設置がし易いことから、電子部品や金属、医薬品、包装パッケージの検査など、多くの製造現場でご好評をいただいております。新しい「LFXV シリーズ」は、従来シリーズの光学系を全面的に見直し、高品質な画像を得られるようにいたしました。キーとなるのは導光板ですが、表面に最適化された形状の微細なディンプル(凹み)を設けるとともに、使用素材に異物や気泡が混入しないよう、サプライヤーとの協力のもと製法にも工夫を重ねました。その結果、従来シリ―ズよりもクリアで明るい視野を確保でき、画像も極めて明瞭になりました。製品ラインアップとしては、導光板が25×25(mm)から300×300(mm)の10サイズ、LED発光色は赤・白・青・赤外の4色になります。 ② 新ブランド「CCS-LT」の第一弾 有機ELを活用した検査用照明「OLF-LTシリーズ」新ブランド「CCS-LT」のLT はLeading Technology の略であり、先進的な技術にチャレンジし、その技術を活用した製品をスピーディにお客様に提供することを目的として誕生いたしました。その第一弾である「OLF-LT」シリーズは、検査用照明では国内初となるOLED(有機EL)を光源とする全く新しい照明です。OLEDならではの薄く軽い形状と放射輝度の高均一性に加え、発光層を重ねることで発光効率を高め、検査用照明に必要とされる長寿命と高輝度も実現いたしました。形状に関しては、従来のLED照明では薄さ6~8(mm)が限界でしたが、約3(mm)という新次元の薄さを達成し、照明設置範囲の自由度を拡大することに成功いたしました。 ③ UV(紫外線)硬化用の高出力ライン型LED照射器と電源UV-LEDは、UVランプに比べ、応答性が良い、省電力、長寿命、水銀を使わないため低環境負荷といった特徴があり、印刷インクの乾燥、ハードコート塗装、部品の接着分野などで急速に普及が進んでおります。高出力ライン型LED照射器は、新開発した独自の放熱構造により大電力の投入を可能にし、業界最高クラスの出力を実現しております。また、モジュール構造を採用し、最大2,000(mm)まで連結可能です。更に、ご利用のUV硬化材料に応じて4種類のLED波長を選ぶことができます。専用ハイパワー電源PSCUは、回路単位(発光面10(mm)ごと)の調光が可能で、均一な放射照度分布を実現いたします。また、調光とON/OFFの情報を8パターンまで記録し、読み出せる機能を搭載いたしました。更に、LEDの故障、コネクタ挿抜、照射器温度異常、ファン停止・減速エラーなどの異常検出機能が充実しており、照射器のメンテナンスや交換時期の予測に役立てることができます。
FY2018|6,429 文字
5【研究開発活動】当社グループは、「見えないものを、見るしごと。」の実現を果たすために、世の中の様々な課題やニーズに対してその解決方法を提案し、顧客満足度の向上を目指して研究開発を進めております。センシング技術に加え、照明技術やさまざまな要素技術を取り入れ、変化や状態を「見る」、見えないものを「視る」、観察し判断する「観る」を包含した「見る」技術を進化させ、多様化するお客様に価値ある提案を行い、新たなソリューションを創造してまいります。当連結会計年度の研究開発費の総額は28億84百万円であり、対売上高比率は7.2%となっております。 <SS事業>(1) 防犯関連防犯関連におきましては、国内では東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会に向けて、多数の訪日客を想定し、あらゆる公共機関等での防犯対策強化が進んでおります。海外では、テロへの不安、移民問題等により社会不安は増大し続けており、如何にいち早く異常を察知し安全を維持出来るかが課題となっております。このような背景のもと、各国では空港・発電所等の重要施設のみならず事業所・商業施設等の民間施設でも防犯カメラシステム、侵入警戒システムへの投資が活発化しております。当社はこのような社会インフラと住環境の安全・安心への要求に対し、より信頼性が高く、防犯カメラシステムとの親和性も高いセキュリティシステムの研究、開発をベースとしたソリューションを提供しております。当連結会計年度の主な成果は、次のとおりです。① 屋外防犯センサ 「WX Infinityシリーズ」一般住宅や商業施設、事業所での屋外広域警戒を目的とした「WX Infinity 」を開発いたしました。防犯対策への要求が益々高まる屋外警戒センサ市場において、顧客ニーズは多様化しており、2017年に開発いたしました「BX-Shield」に引き続き市場投入しラインナップ強化を図りました。当製品は建物や敷地の壁に設置され、180°の広範囲を警戒し建物に近づく侵入者を検知すると同時に、警備会社や監視センター及び警報システムに通知し、不正侵入を早期に発見することで犯罪の抑止に繋げ、更に居住者の自衛を促すことができるセキュリティ製品です。監視カメラによる画像確認ニーズの高まりに対応するため、2つに分けたエリア毎に警報出力し監視カメラシステムとの連動も実現いたしました。 ② 屋外レーザースキャンセンサ 「RLS-3060SHシリーズ」重要施設の屋外における外周警戒を目的とした「RLS-3060SH Ver.8」を開発いたしました。2009年の発売以降、高評価を頂いている屋外レーザースキャンシリーズ(60m警戒)の新たなソフト開発により、長距離警戒モードによる100m警戒を実現いたしました。当製品はフェンス沿い及び建物の壁に設置され、警戒エリアに侵入する人の場所を特定する特徴を活かし監視カメラシステムと連動することで、長距離、広範囲における監視効率を更に高めることができます。 (2) 自動ドア関連自動ドア関連におきましては、公共施設、オフィス、店舗や工場施設などで人々が安全・安心・快適に通行できる自動開閉扉用センサを開発、販売しております。創業以来培ってきた独自のセンシング技術で業界最高水準の安全性の維持と、あらゆる設置環境下でも安定したパフォーマンスを発揮すべく研究開発を行っております。これにより現在では国内の自動ドアセンサ分野は約6割、高速シャッターセンサ分野は約7割と高い市場シェアを維持し、海外におきましては開口部周辺の安全要求が各地域の法令として明確に定義されるなか、当社の得意とする光技術を基軸としたセンサ投入により、シェアは堅調に増加しております。特に北米ではドア走行部を監視する「BLUE ZONE」機能を搭載した「X-ZONE」が高評価を頂き、大手ドアメーカのOEM認定を受けるなど、今後の拡大が期待できるものとなっております。当連結会計年度の主な成果は、次のとおりです。① 電池不要の無線式押しボタンスイッチ 「Energy Switch Series」2017年に発売いたしました「e-スムースセンサー」に引き続き、環境配慮への取り組みとして北米市場向けに電池不要の無線式押しボタンスイッチを開発いたしました。当製品は、人がスイッチを押す力を電力に変換する「エネルギー・ハーヴェスティング技術」を備え、その電力で開閉信号を無線伝送するものです。従来製品とは異なり、「配線工事と電池」が共に不要な環境配慮型の無線式スイッチであり、今後は、欧州、日本などへの展開も視野に入れております。国内における安全意識の高まりにより、2017年3月、歩行者用自動ドアの安全性に関するJIS制定がなされました。制定のポイントは、稼動する自動ドアによる挟まれ回避、指詰め防止、保全点検の実施などで、センサは保護装置としての位置づけを担う場面もあり、これらが明確化されました。要求事項の大部分が欧州自動ドア市場で既に運用されている規格を引用しており、当社は欧州市場で培った技術投入によりラインナップを強化いたしました。 ② 高速開閉シャッター用起動センサ 「OAM-EXPLORER」工場施設では搬入口や各区画間の空調効率ならびに運搬効率を上げる目的で、軽量素材を用いた高速開閉シャッターが多く設置されています。これまで当社は国内市場を中心に高速開閉シャッター用起動センサを開発してまいりましたが、欧米市場の要求に対応した「OAM-EXPLORER」を開発いたしました。当製品は、当社が得意とする近赤外線技術とマイクロ波技術を搭載し、進入・退出及びシャッター前の横切りを判別することで、不要なシャッター開放による空調効率の低下防止の実現と、シャッターへ進入・停止する車両や作業者を的確に捉え、シャッター開閉の効率化に貢献いたします。なお、自動ドア・シャッター業界は全世界的に欧州安全規格の影響が波及しており、この機会を確実に捉え「光を用いた検出技術」を軸にグローバル市場において、「安全」「快適」の基本スローガンに加え、次の目標である「感動を共有する」フェーズに向け、継続的に新製品の投入を行い、さらなるオプテックスファンの獲得を図ってまいります。 (3) その他その他のSS事業におきましては、液体の色や濁りを素早く正確に測定する水質計測用センサなど、安全・品質・衛生管理の特殊な計測ニーズに対応した製品の開発を行っております。また、独自のセンシング技術に新たな要素技術を融合させた、客数情報カウントシステムの開発・販売及び画像処理技術も手掛けております。客数情報は、店舗運営や経営に必要な基礎データで、このデータに基づき、店舗経営分析や効果測定、人材不足の課題対応オペレーションなど、広範囲にご利用いただいております。近年、高精度な人数情報は、多種多様なIoT(Internet of Things)データを扱う上で、更に重要性が増してきております。当連結会計年度の主な成果は、次のとおりです。① 低濁度チェッカー「TC-Mi」、簡易水質測定システム「WATER it」水質計測分野におきましては、上水道やプールなどきれいな水の濁度を簡易に測定するセンサ、低濁度チェッカー「TC-Mi」を開発し、日本のみならず中国・インド・東南アジアを中心に全世界で展開できるようになりました。今後、下水処理場など汚い水の測定から上水などのきれいな水の測定まで、より幅広い分野で水質を簡易に測定できるような製品開発をしていく予定です。また、2017年に発売した下水処理場や河川などあらゆる現場の水質をセンサで簡易に測定し、データ収集までを自動化する簡易水質測定システム「WATER it」は、独立行政法人国際協力機構の中小企業海外展開支援事業としてベトナムのODA案件として正式に導入され、2019年から本格的な調査が開始されます。 ② 客数情報カウントシステム「AIO-Air」、Cloudオペレーティング及びアプリケーションソフト「PASSER-Cloud-AIRPORT」客数情報カウントシステムの無線化製品「AIO-Air」と共に、Cloudオペレーティングソフト及びアプリケーションソフトの「PASSER-Cloud-AIRPORT」を開発いたしました。当製品は当社の主要顧客である長期間ご利用中の小売業界はもとより、「短期間でも情報提供が出来る・リアルタイム情報が提供出来る」特徴を活かし、公共交通機関の流動調査やスマートシティ構想の調査、各種繁忙期の混雑対応など利用範囲が広まります。また、幅広い顧客ニーズに応えるべく、高度情報を提供できるセンサの開発に向けた研究を開始しております。 ③ 画像処理技術画像処理技術においては、電子式ブレ補正技術のハードウェア開発に着手いたしました。従来の電子式ブレ補正では捉えることのできなかった霧や暗所での特徴点を抽出することで、より高い映像安定性を提供いたします。既に有しております鮮明化技術、鮮鋭化技術と組み合わせることで、画像センシングにおいて、より高度な「見える化」への要求に対応いたします。<FA事業>FA事業は、さまざまな製造業の向上における製造ラインの自動化・省力化に不可欠なFAセンサ(産業用センサ)の製品開発、研究に取り組んでおり、可視光や赤外光を用いた光電センサのみならず、距離を計測する変位センサ、カメラを用いた画像センサ、LED照明機器などセンサおよびその周辺機器を幅広く開発しております。当連結会計年度の主な成果は、次のとおりです。① 高解像度撮像対応センシング同軸照明 「OPX-S27/35/50シリーズ」従来はビームスプリッタを用いた小型サイズでしか実現できていなかった高解像度撮像対応照明を、新たな27㎜サイズ、及び35/50㎜サイズまで開発いたしました。構造変更、製法の見直しを図る事で業界最薄のハーフミラーを採用し、このサイズではビームスプリッタ方式以上の解像力を、従来価格のままで実現いたしました。また、狭指向角で均一な面光源を採用しており、当社センシング対応LED照明コントローラとの併用で、照明の明るさ、及び温度をモニタリングでき、IoT(Internet of Things)による照明の予知保全を実現することができます。 ② センシングリング照明 「OPR-S43-16シリーズ」センシング対応のリング照明として、最小の外径43㎜サイズを開発いたしました。これまで最小サイズである55㎜サイズでは、小型化の進む電子部品業界としては設置できない事が多くなり、小型化が求められておりました。明るさも従来比最大4倍を実現し、よりご使用していただきやすいスペックに仕上げております。 ③ 高リニアリティ光学式変位計 「CDXシリーズ 正反射・ショートレンジタイプ」センサヘッド単体でサブミクロンの変位量を測定できる変位計CDXのショートレンジタイプ・正反射タイプを開発いたしました。開発済みのCDXで採用している測定対象物の表面状態変化に対応する自動露光停止機能の搭載はもちろん、短距離での測定に最適化した光学系を搭載し測定の難しい透明体、鏡面体等も高精度に測定が可能になっております。特にショートレンジのワイドスポットタイプは世界最高レベルの高いリニアリティを実現いたしました。更に要求の高まるスマートフォン向けの部品、半導体、有機ELディスプレイなど先進機器の高精度な品質管理に貢献することができます。 ④ 透過型レーザー変位計 「TD1シリーズ」小型高精度透過型変位計TD1シリーズを開発いたしました。平行度の高いラインビームの実現によりシート材の蛇行・巻取り制御及び位置決めや幅測定を高精度に行うことが可能です。アンプユニットCDAシリーズと接続することによりわかりやすい操作でティーチングや演算も行うことが出来ます。今後更に需要の高まるリチウムイオン電池、半導体、液晶等の製造工程の品質向上に貢献いたします。 <MVL事業>MVL事業は、長年にわたり、さまざまな製造業の検査工程で使われるMachine Vision Lighting用LED照明や関連機器の開発・研究に取り組み、多彩な製品を提供してまいりました。近年、人手不足解消、製造コスト低減、検査品質向上を目的として、お客様のニーズが急速に高度化・多様化しております。このような動向にいちはやく対応すべく、既存技術の進化を加速するとともに、昨今は、半導体レーザーや有機ELなどの新光源の利用、深紫外や近赤外光への波長域の拡大、寿命予測や予知保全の実現、画像解析へのAIの導入等、新しい技術の開発に取り組んでおります。これらの技術を駆使し、お客様に喜んでいただけるソリューションや今までにない画期的な製品を間断なく提供してまいります。当連結会計年度の主な成果は、次のとおりです。 ① 大出力光源BOX 「PFBR-600シリーズ」本製品は、世界最高クラスの明るさを実現した1,000万ルクスの光源BOXです。従来、このような大出力の光源BOXには、メタルハライドランプやキセノンランプが使われておりました。しかしながら、メタルハライドランプには、発光制御の自由度に制限がある、ON/OFFの切替えが困難である、ワーク(検査対象物)が熱せられる、消費電力が大きいといった問題がありました。また、キセノンランプには、数10kHz(キロヘルツ)以上の高速点灯が難しい、発光抜けが起きやすいといった問題がありました。発光部にLEDを採用しますと、これらランプ特有の問題は解決できるものの、小~中出力の光源BOXしか実現できませんでした。今回、半導体レーザーを使うことで、ランプ特有の問題を解決しつつ、LEDの7倍とランプに引けをとらない明るさを達成することができました。さらに、一定の明るさを保つための光量フィードバック制御機能を付加することで、長期の高信頼性も実現いたしました。 ② 角型ローアングル照明 「FPQ3シリーズ」FPQシリーズは4方向から均一な拡散光を照射する照明で、四角形状のワークの輪郭を明確に撮像できます。このため、電子部品や包装パッケージなどの検査用照明として広く使用されてまいりました。FPQ3シリーズは、第3世代の製品で、LEDの高出力化と光学設計の刷新により、全機種で従来機以上の明るさ、特に白色タイプにおいては従来機の2倍の明るさを達成いたしました。検査用カメラのシャッタースピードを高速に設定できますので、生産ラインの搬送速度を上げることが可能となり、生産性の向上に貢献いたします。筐体サイズは、従来機と同じ20x20(mm)から120x120(mm)までの8種類に100x50(mm)の長方形サイズも追加し、ワークに最適なサイズが選択できるようになっております。 ③ 近赤外照明 「TH-CIR」昨今の近赤外カメラの性能向上と低価格化に伴い、食品・医薬品・化粧品をはじめとする様々な分野において、近赤外線を利用する非破壊・非接触検査の導入が検討されております。しかしながら、近赤外カメラに最適な長波長・大出力の照明が得られないことが採用の阻害要因となっておりました。本製品は、可視光域から近赤外線までの幅広い波長の光を放射する検査用照明です。特殊ランプの採用や独自の光学設計により、ランプを光源としながらも、長寿命でワークに熱を与えにくい照明を実現することができました。本製品により、近赤外線を利用した検査の普及にはずみがつくものと期待しております。
FY2017|5,815 文字
6【研究開発活動】当社グループは、センシングテクノロジーをベースに人々の暮らしや産業に「安全・安心・快適」の実現を果たすため、世の中の様々な課題やニーズに対してその解決方法を提案し、顧客満足度の向上を目指して研究開発を進めております。同時に、基礎研究を通してマイクロウェーブ、レーザー、加速度といったセンシングに関わる要素技術や通信技術を確立させ、それらモジュールの内製化を進めることにより、製品の差別化や付加価値を高めるなど、新たな事業機会を創出しております。また、複数の部門が共同で新製品開発を進める「コンカレント開発体制」の整備を進めるとともに、調達・設計・生産技術・品質管理、そして国内外の営業など各部門が開発情報を共有できるシステムを利用し、相互に協力することで、開発スピードを向上させ、大幅なコストダウンを実現致しました。当社グループにおける研究開発活動は、国内関係会社であるオプテックス株式会社、オプテックス・エフエー株式会社、シーシーエス株式会社、技研トラステム株式会社、株式会社ジーニック及びジックオプテックス株式会社、海外関係会社であるFIBER SENSYS,INC.、OPTEX(DONGGUAN)CO., LTD.、RAYTEC LIMITED及びGARDASOFT VISION LIMITEDにおいて行っております。当連結会計年度の研究開発費の総額は27億59百万円であり、対売上高比率は7.4%となっております。 <SS事業>(1) 防犯関連国内では、2020年に開催される東京オリンピックに向けて、多数の訪日客を想定し、あらゆる公共機関等での防犯対策強化が進んでいます。海外では、テロへの不安、移民問題等により社会不安は増大し続けており、如何にいち早く異常を察知し安全を維持出来るかが課題となっています。このような背景のもと、各国では空港・発電所等の重要施設のみならず事業所・商業施設等の民間施設でも防犯カメラシステム、入退室管理システム、侵入警戒システムへの投資が活発化しています。当社はこのような社会インフラと住環境への安全・安心への要求に対し、より信頼性の高いセキュリティシステムの研究、開発をベースとしたソリューションを提供しております。当連結会計年度の主な成果は、次のとおりです。① 共連れ(※)逆行検出システムACCURANCEシリーズ情報セキュリティ強化、テロ対策強化等のニーズ高まりを受けて、データセンターや重要施設の共連れ不正侵入の警戒を目的とした共連れ検出システム「ACCURANCE OV-102」及び空港等で一方通行通路を逆行する不審者の警戒を目的とした逆行検出システム「ACCURANCE R1002」を発売いたしました。これらは、当社独自の「ベクトル焦点法」を用いたアルゴリズム技術をベースとすることで、高い検出精度を実現いたしました。共連れ検出システム「OV-102シリーズ」は、従来の個人認証による入退室管理システムでは不正侵入を見逃してしまいがちな「共連れ/すれ違い侵入」を高い精度で検出し、入室阻止や、警告・記録が可能な製品です。逆行検出システム「R1002」は、一定のエリア内で決まった方向とは逆に通行する人を確実に検出することができ、空港ターミナルなどにおいて、一方通行の通路を逆行してくる不審者のみを検出することで、テロ対策の強化等が可能です。※共連れとは、入退室管理システムにおいて、入退室権限を持たない人が持つ人に連なって出入り口等を通過することです。 ② 屋外防犯センサBX-Shield一般住宅や商業施設、事業所での外周警戒を目的とした「BX-Shield」を発売いたしました。当社は既に南欧や南アフリカにて高い市場シェアを維持しておりますが、西欧、北欧、北米、アジアでの屋外防犯のニーズの高まりを受け、2016年に発売いたしました「VX-Shield」に続き市場投入しラインナップの強化を図りました。当製品は建物の窓際や敷地の壁に設置され、建物に近づく侵入者を検知し、即座に警備会社や監視センター及び警報システムに通知し、不正侵入を早期に発見し犯罪の抑止や居住者の自衛を促すセキュリティ製品となります。 (2) 自動ドア関連自動ドア分野におきましては、公共施設、オフィス、店舗や工場などで人が安全・安心・快適に出入りできる自動開閉扉用センサを開発、販売しております。創業以来培ってきました独自のセンシング技術で常に業界最高水準の安全性を維持しつつ、あらゆる設置環境下における安定動作を実現すべく研究開発を行っております。これにより、現在では国内の自動ドアセンサ分野におきましては、約6割のシェアを確保し、海外におきましては安全要求が各地域の法令として明確に定義されるなか、これらへの適切なアプローチを当社の得意な光技術で行うことで、シェアは堅調に増加しております。当連結会計年度の主な成果は、次のとおりです。① 国内JIS A 4722対応センサの10機種ラインナップ国内における安全意識の高まりにより、2017年3月、歩行者用自動ドアの安全性に関するJIS制定がなされました。制定のポイントは、稼動する自動ドアによる挟まれ回避、指詰め防止、保全点検の実施などで、センサは保護装置としての位置づけを担う場面もあり、これらが明確化されました。要求事項の大部分が欧州自動ドア市場で既に運用されている規格を引用しており、当社は欧州市場で培った技術投入によりラインナップを強化いたしました。 ② 国内フラッグシップモデルe-スムースセンサ安全要求とともに通行快適性、空調効率化の要求も自動ドアには求められます。これら相反する課題実現のため当社は長年に渡り研究開発を進めており、2017年5月、画像による人認識と動線捕捉によるセンシング技術を搭載した「e-スムースセンサ」を発売いたしました。「e-スムースセンサ」は当社が保有する通行者カウント技術を用い、ドアに入る方向と動きを見極め、検出判定を行います。これにより横切るだけの歩行者に対してはドアの開放を抑止でき、空調効率化に貢献いたします。また、動きとともに速度も認識しており、早い人には遠くから、遅い人には近くでドアを開けることができ、歩行者の動きにドアが合わせてくれる快適性を実現いたしました。また、全世界的に欧州安全規格を意識した要求が浸透しており、この機会を確実に捉え「光を用いた検出技術」を軸にグローバル市場において、「安全」「快適」をキーワードとした継続的なセンサの投入を行い、さらなるオプテックスファンの獲得を図ってまいります。 (3) その他その他の分野におきましては、触らず、素早く、安全に物体の表面温度を計測する非接触温度計や、液体の色や濁りを素早く正確に測定する水質計測用センサなど、安全・品質・衛生管理の特殊な計測ニーズに対応した製品の開発を行っております。また、独自のセンシング技術に新たな要素技術を融合させた、客数情報カウントシステムの開発・販売及び画像処理技術も手掛けております。客数情報は、店舗運営や経営に必要な基礎データで、このデータに基づき、来客者の分析やイベント等の効果測定、適材適所のオペレーションなどマーケティングデータとして活用されております。当連結会計年度の主な成果は、次のとおりです。① 簡易水質測定システム下水処理場や河川などあらゆる現場の水質をセンサで簡易に測定し、データ収集までを自動化する簡易水質測定システム「WATER it」を、インターネットとセンシング技術を融合したIoS(※)システムとして、2017年には東南アジア・発展途上国を中心とした全世界で展開できるようにグローバル対応を行いました。本研究開発は独立行政法人国際協力機構の中小企業海外展開支援事業において、2018年にベトナムのODA案件として導入される予定です。また、今までの下水処理場や河川の水質測定から、上水道や純水測定等、より安全・安心が重要になる分野への展開に向けた調査を行い、2018年以降、新製品を投入予定です。※IoS(Internet of Sensing Solution)はオプテックス独自のコンセプトで、当社のセンシング技術で膨大なデータから有用な情報のみを抽出し、インターネットにつなげソリューションの提供をする考え方です。 ② 客数情報カウントシステム多店舗展開ストア向け客数情報システムのクラウド対応アプリケーションソフトウエアの開発に着手いたしました。従来の製品売り切り型ビジネスから、将来のデータ提供ビジネスへの展開を視野に入れ、顧客にとって価値あるソリューションを提供するための解析ソフトウエア、使いやすいアプリケーションデザインの開発も並行して進めてまいりました。また、ハードウェア開発においては、システム導入時のLAN工事等の負担軽減に向けたセンサの無線化を実現いたしました。 ③ 画像処理技術画像処理技術においては、リアルタイム画像鮮明化の最上位製品「FV-3011HS」を開発いたしました。当社グループ保有の鮮明化技術(ForteVisionフォルテビジョン)と新たに開発したぼやけた映像を改善する鮮鋭化技術(ForteFocusフォルテフォーカス)を同時搭載することによって、霧・モヤ・水中・煙及び水蒸気等の要因で不鮮明になった映像を、より鮮明にくっきりと改善します。さらに、グラフィカルで操作性の高い、細かな調整機能も追加されており、屋外監視市場等のより高度な視認性への要求に対応いたします。 <FA事業>当社グループは、さまざまな製造業の向上における製造ラインの自動化・省力化に不可欠なFAセンサ(産業用センサ)の製品開発、研究に取り組んでおり、可視光や赤外光を用いた光電センサのみならず、距離を計測する変位センサ、カメラを用いた画像センサ、LED照明機器などセンサおよびその周辺機器を幅広く開発しております。当連結会計年度の主な成果は、次のとおりです。① 小型同軸照明OPX-S18シリーズ狭指向角の面光源を採用し、輝度、及び均一度の向上を実現した上で、コンパクトなサイズのままにモニタリング/フィードバック機能を搭載しました。当社センシング対応LED照明コントローラとの併用で、照明の明るさ、及び温度をモニタリングでき、IoT(Internet of Things)による照明の予知保全を実現することができます。 ② 高リニアリティ光学式変位計CDXシリーズセンサヘッド単体でサブミクロンの変位量を測定できる変位計を開発いたしました。測定対象物の表面状態変化に対応するため、世界初の自動露光停止機能を搭載したイメージセンサを新開発し、従来機種から何一つ同じ部品や設計を使用せず、一から最高を求めた結果、競合品と比較しても高いリニアリティを実現いたしました。スマートフォン向けの部品、半導体、有機ELディスプレイなど先進機器の高精度な品質管理に貢献することができます。 <MVL事業>当社グループは、LED検査用照明分野におきましては、積極的な研究開発に努めております。昨今のファクトリーオートメーションや画像検査装置の進歩には著しいものがあり、お客様のニーズの高度化・多様化が加速しております。当社グループでは、このような動向にいちはやく対応すべく、長年に亘って蓄積してきた光学技術、制御技術、評価・解析技術を駆使する事に加えて、新技術の研究開発にも積極的に取り組み、卓越した性能の製品や革新的な機能を備えた製品をお客様に提供しております。当連結会計年度の主な成果は、次のとおりです。① PFシリーズ ラインナップ拡充「PFシリーズ」は、キセノンランプ置き換えを狙う、ストロボ発光の照明と電源です。発光時間は0.1μsec(1μsec は 100 万分の 1 秒)単位で設定可能です。瞬間的に極めて強力な光を照射できることから、検査対象物が高速で移動するような製造ラインにおける画像処理検査に適しております。今回この「PFシリーズ」に、2タイプ16 機種の照明を追加し、シリーズを拡充いたしました。「HPR-PF」はリング形状、「HPD-PF」はドーム形状で、両タイプとも発光色は白色と赤色の2種、サイズは4種を準備いたしました。いずれも均一な拡散光を照射することで、検査対象物の表面に光沢や凹凸などがある場合でも精細な撮像が可能であり、飲料容器、包装パッケージ、薬品、小型電子部品の外観検査や文字読み取りに適しております。 ② LNISシリーズ リニューアル「LNISシリーズ」は、従来のラインセンサ用照明では検出が困難だったストリークなどの流れ方向のキズの検出を目的に、独自の光学設計で両側斜光照射を実現した、まったく新しいコンセプトの製品です。今回リニューアルした「LNIS2シリーズ」は、従来の「LNISシリーズ」と比較して最大1.5倍の高出力を実現しており、より広い用途での利用が見込まれます。コンパクトな筐体設計で省スペースを実現するとともに、発光面を片側に寄せた筐体設計により、カメラの視野を遮ることなく検査対象物に照明を近づける事が可能となります。発光色は白色で、サイズは100mmから1,000mmの10種を用意いたしました。 ③ スポット照明HLV3シリーズ今回製品化いたしました「HLV3シリーズ」では、当社での製造時にLEDに供給する電流を個別に調整することで、明るさの個体差がない機種を用意いたしました。これにより、お客様の照明取り付けやメンテナンス時の明るさ調整の工数削減に貢献いたします。また、全機種でLEDを高出力化することで明るさを向上させ、専用電源との組み合わせで最大2倍の明るさを実現した機種もラインナップに追加いたしました。さらに、光学系について根本的に見直し、当社テレセントリックレンズと組み合わせた際の均一度は全機種で80%以上を達成しております。 以上のように、全機種の明るさと均一性を向上させることに加えて、用途に合わせた多様なタイプを追加し、全29機種を製品化いたしました。
FY2016|5,989 文字
6【研究開発活動】当社グループは、センシングテクノロジーをベースに人々の暮らしや産業に「安全・安心・快適」の実現を果たすため、世の中の様々な課題やニーズに対してその解決方法を提案し、顧客満足度の向上を目指して研究開発を進めております。同時に、基礎研究を通してマイクロウェーブ、レーザー、加速度といったセンシングに関わる要素技術や通信技術を確立させ、それらモジュールの内製化を進めることにより、製品の差別化や付加価値を高めるなど、新たな事業機会を創出しております。また、複数の部門が共同で新製品開発を進める「コンカレント開発体制」の整備を進め、従前から展開してきました開発情報の共有システムを活用しつつ、調達・設計・生産技術・品質管理、そして国内外の営業など各部門が協力することで、開発スピードを向上させ、大幅なコストダウンを実現いたしました。当社グループにおける研究開発活動は、国内関係会社であるオプテックス株式会社、オプテックス・エフエー株式会社、シーシーエス株式会社、技研トラステム株式会社、株式会社ジーニック及びジックオプテックス株式会社、海外関係会社であるFIBER SENSYS,INC.、OPTEX(DONGGUAN)CO., LTD.、RAYTEC LIMITED及びGARDASOFT VISION LIMITEDにおいて行っております。当連結会計年度の研究開発費の総額は23億18百万円であり、対売上高比率は7.5%となっております。 <センシング事業>(1) 防犯関連2020年に開催される東京オリンピックに向け、国内では防犯意識が高まっており、如何にいち早く異常を察知し安全を維持出来るかが課題となっています。中でもオリンピック会場はもちろん、ビルや商業施設等の不特定多数の人々が集まる場所では防犯カメラシステムを中心としたセキュリティシステムへの投資が活発化しています。海外では、テロへの不安と世界的な移民規制強化の動きを背景とした社会不安が増大し続けており、発電所・空港等の重要施設と住宅・事業所・商業施設等の民間施設での防犯意識が一層高まっています。当社はこのような社会インフラと住環境への安全・安心への要求に対し、より信頼性の高いセキュリティシステムの研究、開発をベースとしたソリューションを提供しております。当連結会計年度の主な成果は、次のとおりです。① 新レーザースキャナーセンサ(RLS-2020シリーズ)データセンターや重要施設の屋内外の警戒を目的としたハイエンド用セキュリティレーザースキャンセンサ「REDSCAN mini」を発売いたしました。従来の「REDSCAN」が主に広域な外周警戒をターゲットとしたものに対し、「REDSCAN mini」は屋内での利用を前提とする為、センササイズを小型化し、更に屋内で使用されているIPカメラとの併用でも調和するデザインに拘りました。当製品の投入で、屋外・屋内両アプリケーションでのラインナップが広がり、一層の採用件数増加を狙います。 ② 屋外防犯センサ(VX―Shield)一般住宅や商業施設、事業所での外周警戒を目的とした「VX-Shield」を発売いたしました。当社は既に南欧や南アフリカにて高い市場シェアを維持していますが、本製品では当該市場でのシェア維持と向上はもちろん、西欧・東欧、北米市場でも屋外防犯のニーズの高まりを受けて市場投入いたしました。当製品は建物や敷地の壁に設置され、建物内部に侵入される前の段階で侵入者を検知し、即座に警備会社や監視センター及び警報システムに通知し、不正侵入を早期に発見し犯罪の抑止や居住者の自衛を促すセキュリティ製品となります。 (2) 自動ドア関連自動ドア分野におきましては、公共施設、オフィス、店舗や工場などで人が安全・安心・快適に出入りできる自動開閉扉用センサを開発、販売しております。創業以来培ってきました独自のセンシング技術で常に業界最高水準の安全性を維持しつつあらゆる設置環境下における安定動作を実現すべく研究開発を行っております。これにより、現在では国内の自動ドアセンサ分野におきましては、約6割のシェアを確保し、海外におきましては安全要求が各地域の法令として明確に定義されるなか、これらへの適切なアプローチを当社の得意な光技術で行うことで、シェアは堅調に増加しております。当連結会計年度の主な成果は、次のとおりです。① 米州「BLUE ZONE」シリーズ拡充とANSI規格の改定版対応前年度、ドア作動部の安全補助エリア「BLUE ZONE」の標準搭載を完了し、当年度は新たに「i-oneX T」シリーズを投入いたしました。米国での要求に対応すべく、近赤外線技術により、センサが歩行者を検出できる範囲を幅方向、奥行方向共に広く確保したシリーズです。建物構造、設置環境に応じたセンサの選定をいただけるラインナップを拡充いたしました。更に、当年度は米国自動ドア規格であるANSI/BHMA A156.10において、安全性の向上を目的としたセンサ状態の自己診断の実施と、判定結果のドアへの伝達の要求が追加され、すべての製品の対応を完了いたしました。これにより、センサ選択肢の自由度とともに、安全性の提供を可能とし、販売拡大しております。 ② 欧州歩行者用自動ドア規格(EN16005)対応センサ世界的にも安全に対する牽引市場である欧州市場におきまして、欧州統一規格である歩行者用自動ドア規格EN16005の施行以降、当社が長年培ってきたセンシング技術の一つである近赤外光を用いた検出技術は、『安全性能』が競合他社と比較して高い優位性をもち、当該規格施行のタイミングに合わせた製品ラインナップの強化策を推進してまいりました。結果、欧州市場における顧客の好評を博し当社製品の採用が拡大いたしました。今後は、欧州主要市場において継続した製品投入と技術サポート体制を更に充実させることにより、顧客満足度を高めシェア向上を図ってまいります。また、全世界的に欧州安全規格を意識した要求が高まってきており、この機会を確実に捉え「近赤外光による検出技術」を軸にグローバル市場において、「安全」をキーワードとした継続的なセンサの投入を行い、さらなるシェア向上を図ってまいります。 (3) その他その他のセンシング分野におきましては、触らず、素早く、安全に物体の表面温度を計測する非接触温度計や、液体の色や濁りを素早く正確に測定する水質計測用センサなど、安全・品質・衛生管理の特殊な計測ニーズに対応した製品の開発を行っております。またドライバーの継続的な安全運転をサポートする自動車向け製品の開発も行っております。当連結会計年度の主な成果は、次のとおりです。① 水質計測下水処理場や河川などあらゆる現場の水質をセンサで簡易に測定し、データ収集までを自動化する簡易水質測定システム「WATER it(中国語名:水益特)」を開発し、インターネットとセンシング技術を融合したIoS(※)システムとして、環境問題が注目を集める中国からサービスを開始いたしました。2017年はこのシステムを東南アジア・発展途上国を中心とした全世界で展開できるようにグローバル対応を行い、新たな取り組みを始めて参ります。また、今までの下水処理場や河川の水質測定から、上水道や純水測定等、より安全・安心が重要になる分野への展開に向けた調査を開始し、2018年以降、新製品を投入予定です。 ② 安全運転支援ツール(セーフメーター)スムーズな発進・停止を促すことで、事故につながる危険運転を削減し安全運転を継続できる、法人車両向け安全運転支援ツール、セーフメーターを開発いたしました。運転者は専用端末の表示とアラームにより、自身の運転状況に気づくことで安全運転意識を高め、管理者はクラウドサーバーに蓄積された全車両の運転状況を一元化するアプリケーションにより、管理の一元化が簡単に実現できます。 ※IoS(Internet of Sensing Solution)はオプテックス独自のコンセプトで、当社のセンシング技術で膨大なデータから有用な情報のみを抽出し、インターネットにつなげソリューションの提供をする考え方です。 <FA事業>当社グループは、さまざまな製造業の向上における製造ラインの自動化・省力化に不可欠なFAセンサ(産業用センサ)の製品開発、研究に取り組んでおり、可視光や赤外光を用いた光電センサのみならず、距離を計測する変位センサ、カメラを用いた画像センサ、LED照明機器などセンサ及びその周辺機器を幅広く開発しております。当連結会計年度の主な成果は、次のとおりです。① イーサネット対応LED照明コントローラ OPPD-30シリーズ簡単・シンプル・省スペースをコンセプトに、照明制御の工数を削減するイーサネット対応のLED照明コントローラを開発いたしました。パソコンやPLCから照明の調光・点灯制御を簡単に設定できるほか、三菱電機のiQSSにも対応し、製造現場における様々なエンジニアリング環境に対応します。さらに「OPPD-30E」は、照明の明るさ低下を把握できるコントローラとして、IoT(Internet of Things)による照明の予知保全を実現します。 ② 長距離レーザー距離センサ TOF-DLシリーズ距離表示を搭載したTOF方式の距離センサとして世界最小サイズの「TOF-DLシリーズ」を開発いたしました。当製品は、レーザー光が対象物に当たって戻ってくるまでの時間を距離に換算するタイムオブフライト(TOF)方式を採用し、2.5mまでの長距離測定が可能です。TOF方式を採用したセンサは、受光量の差で判別するセンサに比べ対象物の表面状態の影響に強く、長距離でも検出精度が落ちにくいのが特長です。主に、製造現場におけるレベル測定、位置測定やループ制御など、物体の高さ・距離に応じた制御を必要とする用途に適しています。 <マシンビジョン照明事業>当社グループは、LED検査用照明分野において、積極的な研究開発に努めております。昨今のファクトリーオートメーションの進歩や画像処理技術の高度化には著しいものがあり、お客様のニーズは年々、複雑化・高度化しています。当社グループでは、これらの市場変化に応えるべく、長年に渡って蓄積してきた独自の光学技術、制御技術、評価・解析技術を駆使するとともに、市場の技術トレンドを先取りした新たな製品をお客様に提供しております。当連結会計年度の主な成果は、次のとおりです。① TH2シリーズ検査対象物の後方から光を照射する、発光面が大きくフラットな形状の照明「TH2シリーズ」を開発いたしました。外観形状検査、寸法計測、液体内容量検査、異物検査等での利用を企図し、検査対象物のシルエットの撮像に最適な機能と性能を実現しました。また、従来の小型・中型タイプに加え、大型タイプ、横長タイプ、撮像用開口タイプの合計4タイプを商品化し、多彩なタイプ、発光色、サイズによりシリーズ全体で73機種の商品ラインアップとなっており、さまざまな検査に最適なライティングソリューションを提供することができます。 ② LNLPシリーズ放熱フィンの表面積を大きく取るなど独自の放熱設計により、冷却ファンを不要としながら、照度100万ルクスを実現したラインセンサ用照明「LNLPシリーズ」を開発いたしました。ラインセンサによる画像処理検査では、検査対象物が製造ライン上を高速で流れるため、検査用カメラは、非常に短い露光時間で鮮明な画像を得る必要があり、照明には高い照度が要求されます。当社は従来から高照度のラインセンサ用照明を提供してきましたが、発熱量が多いために冷却ファンにより放熱する構造を採用していました。しかし、不織布や紙などの製造現場では、発生した粉塵がファンに詰まる可能性があり、また光学系フィルム製造等のクリーンルームでは、管理された空気の流路を乱す可能性があるため、ファンのない高照度のラインセンサ用照明が求められていました。 ③ LNSP2シリーズ照度を徹底的に追求したLNLPシリーズに対して、照度と軽量・省スペースを高い水準で両立させた照明「LNSP2シリーズ」を開発いたしました。検査内容に応じて、標準タイプとNDF(None-Diffuser)タイプの2タイプをご利用いただけます。標準タイプは、発光面の高均一性と高照度の両立を企図した汎用的な商品であり、NDFタイプは、高照度を追求し、不織布など高い拡散性を持つ検査対象物に適しています。サイズは標準タイプもNDFタイプも共に10種類を揃え、シリーズ全体で20機種の商品ラインナップとなっております。 <その他>当社グループは、独自のセンシング技術に新たな要素技術を融合させた、客数情報カウントシステムの開発・販売及び画像処理技術を手掛けております。客数情報は、店舗運営や経営に必要な基礎データで、このデータに基づき、来客者の分析やイベント等の効果測定、適材適所のオペレーションなどマーケティングデータとして活用されています。当連結会計年度の主な成果は、次のとおりです。① 客数情報カウントシステム高所からの人数カウントを行える画像処理センシング技術を開発し、既存技術(ステレオカメラ・TOFを用いた商品)ではカウント出来ない場所に於いても導入が可能となり、実際に駅施設等に於いて約50mの高さから計測運用いただくに至りました。また、従来はシステム導入に際してLAN工事等のインフラ施工が導入への大きな負担となっていた問題を解決する為、無線化に取り組み、カウントデータ及び映像をクラウドサーバー管理するシステムへ進化させてまいりました。この取り組みにより、インフラ構築コストの大幅な軽減がはかれるだけでなく、数日のカウントモニタリング利用など市場・利用用途拡大が期待できる商品開発となりました。 ② 画像処理技術画像処理技術においては、ぼやけた映像をリアルタイムにくっきりと映し出すように改善する鮮鋭化技術「ForteFocus(フォルテフォーカス)」を開発いたしました。屋外監視市場、特に霧・モヤ・水中・煙及び水蒸気等の要因で不鮮明になった映像は対象物への焦点が合わせにくいため、当社グループ保有の画像鮮明化技術で鮮明に映し出したとしても、ぼやけた映像しか得られないという問題がありました。当社グループが開発した鮮鋭化技術と組み合わせることにより表示画像の改善に効果を発揮します。