経営方針・経営戦略
1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。 (1) 経営方針当社グループは、「革新」により社業の発展を図り、「信頼」により顧客との共存を維持し、「創造」により社会に貢献し続ける存在でありたいという経営理念のもと1990年に創業して以降、経営資源を研究開発に集中することで独自技術を磨くとともに、顧客の製品やサービスなどのアプリケーションに関する知識と長年培ってきたLSIの知識を融合させることで、顧客の課題解決と競争力向上に貢献するシステムLSIを企画・開発してまいりました。また、生産を外部に委託するファブレスメーカーでありながら製品の解析を行う開発解析センターを整備するなど、厳格な品質保証体制を構築することで信頼性の高い製品を供給するとともに、システムLSIの企画・開発から供給まで一貫して顧客サポートができる体制で顧客の課題を解決するソリューションを提供し、顧客と共に成長してまいりました。今後も当社グループは、経営理念のもと、「システム(機器)のソリューションを提供し、顧客と共に発展する」ことをミッションとして掲げ、新たな価値創造に挑戦し、独創性のある幅広いソリューションを顧客に提供することで、より豊かで安心できる社会の実現に貢献してまいります。そして、持続可能な社会の実現のために事業活動を通じて何ができるか、これらの課題をどう解決して社会に貢献できるかという発想で事業を展開し、地球環境、資源、社会、人権、多様性といった様々な課題に対して、ステークホルダーとの協働により長期的な視点で課題解決に取り組み、当社グループの成長と持続可能な社会をともに実現することを目指してまいります。また、株主の皆様への適切な利益還元を重要な経営課題のひとつとして位置付け、経営環境の変化に柔軟に対応できる健全な財務体質を維持しながら積極的な利益還元に努めてまいります。 〔価値創造プロセスの循環〕当社グループは独創性のある技術を活かし、お客様の製品やアプリケーションの問題を解決するLSIの設計、開発、生産を行っております。近年ますます高度化する多種多様な電子機器に使われる半導体製品により、複雑化する機能や仕様に新たな価値を提供していくことで、電子機器やシステムの性能を向上させ、さまざまな課題を解決いたします。当社の経営理念のもと、この価値創造プロセスを循環させ、より豊かで安心な持続可能な社会の実現に貢献してまいります。 (2) ビジョン当社グループが属するエレクトロニクス産業分野においては、あらゆるものがネットワークに繋がる高度なネットワーク社会の実現に向けて、様々な機器に搭載される電子部品の高性能化・多機能化が進み、今後の産業発展を支えるものとしてその重要性が高まってきております。当社が成長市場として主要なターゲットとする通信分野では、様々なものがインターネットに接続されるようになり、通信速度や通信距離の向上、タイムラグの減少、多数の機器が同時に接続できる多接続の実現等、IoT時代に対応する多岐にわたる通信技術の開発が進展しております。また、産業機器分野では、世界的な自動化ニーズの高まりやデジタルシフトが進む中で、物流、製造オートメーションをはじめ日常のいたるところで自動化の動きが加速し、産業用ロボットや各種の自動化機器の重要性が増しております。このような状況から、様々な分野の機器に使用される電子部品の高性能化のニーズが高まるにつれ、機器の高精度・多機能・小型・低消費電力などを実現するためのキーデバイスとなるLSI製品の需要拡大は続くものと見込まれております。このような環境の中、当社グループは、これまで培ってきた独自技術と他社の独創的な最先端技術やノウハウとを融合させることで、より付加価値の高い製品やサービスの創造に取り組み、顧客の課題を解決するソリューションを提供してまいります。主力事業であるアミューズメント事業の事業基盤を強化しつつ、成長市場である産業機器分野、通信機器分野等をターゲットに経営資源を集中的に投下し、ASIC・ASSP事業の拡大と新規事業の育成により事業構造転換を推進してまいります。あわせて、自社の資本コストを把握した上で収益性や資本効率性を高めること、投資家との建設的な対話により市場評価を高めること、また、企業活動を通じたサステナビリティに関する取り組みを積極的に推進することで、会社の持続的成長と、エレクトロニクス産業の発展への貢献をともに実現していく考えです。 (3) 中長期の経営戦略今後の中長期においては、主力のアミューズメント事業と、ビジネスモデルの異なるASIC事業、ASSP事業の三つの事業を柱として事業ポートフォリオを強化するとともに、次世代を担う新たな事業の育成にも注力し、さらなる成長力と収益構造の強化を図っていく考えです。各事業においては、国内はもとより、北米、アジアを中心とした海外展開を推進するとともに、新技術の獲得、当社技術との融合、最先端技術によるソリューションの創造、新市場・顧客の開拓などを狙いとして、国内外の大学との共同研究開発や、最先端の技術やアイデアを持つスタートアップ企業に対しての事業投資や戦略的提携を推進し、独自性のあるビジネスの創出と事業化につなげていく考えです。さらに、「社会・環境・人にやさしい会社」としてサステナビリティ経営を推進するとともに、社内環境整備とダイバーシティ、健康経営施策、エレクトロニクス分野の技術者やグローバル人材の育成など、人材強化に向けた取り組みを推進いたします。また、投資家との対話を重視するとともに、安定的な配当と機動的な自己株式取得により株主還元策の充実を図ってまいります。これらの経営戦略を着実に実行することで企業価値の向上を図り、中長期で目指す姿としては、収益力と資本効率性の目標としてROE8%以上、市場評価の目標としてPBR1倍以上の安定化を達成できるよう取り組んでまいります。 ① アミューズメント事業主力事業であるアミューズメント事業においては、引き続き顧客密着型の提案活動とサポート体制を強化することで、さらなるサービスの向上に努めるとともに、シェア獲得や製品の安定供給のため、パートナー企業や製造委託先等との情報連携や生産体制の強化を図り、サプライチェーン全体が盤石なものとなるように取り組むことで、これまで以上に主要なサプライヤーとしての地位を確実なものとし、安定した売上と収益の確保を目指します。 ② ASIC事業ASIC事業については、これまでの主力であったコンシューマ機器分野やOA機器分野等を中心とした事業展開に、産業機器分野と通信インフラ分野を新たな成長ターゲットとして加え、引き続き事業の拡大に取り組みます。今後は、これまで培ってきた上流設計やアナログ技術、特に当社が得意とする通信インターフェース技術、セキュリティ技術や画像処理技術などを活用し、画像関連機器・FA機器・通信インフラ機器向けの製品開発を進め、順次量産化してまいります。あわせて、国内に加え海外(北米・アジア地域)における市場開拓とビジネス獲得にも注力し、中長期における継続的な増収増益を目指します。 ③ ASSP事業ASSP事業においては、オーストラリアのMorse Micro社との戦略的提携による通信ビジネスの本格量産化を進めております。この通信ビジネスにおいては、当社がこれまで培ってきた有線通信技術と、約1kmの非常に長い通信距離と低消費電力を実現したMorse Micro社の無線通信技術によって、LSIやモジュールを提供し顧客のニーズに応じた幅広い通信ソリューションによる事業展開を進めております。あわせて、最先端の技術やアイデアを持つスタートアップ企業に対しての事業投資や戦略的提携を推進し、日本国内及び海外(北米・アジア地域)において、新市場の開拓や新製品の開発を積極的に推進することで、新規事業の事業化を目指します。 ④ サステナビリティに関する取り組みサステナビリティに関する取り組みについては、「第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組」をご参照ください。 ⑤ 資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応当社グループは、高い資本効率と健全な財務体質の両立を目指しており、市場環境・競争環境・成長機会などに応じて適切な経営資源の配分を行ってまいります。資本効率については、自社の資本コストを把握するとともに、資本収益性を評価する指標であるROEと市場評価に関する指標であるPBRを重要な指標として捉え、中長期の企業価値向上を図るべく資本コストを意識した経営に取り組んでまいります。当社グループの自己資本利益率(ROE)は、現状において当社が認識している資本コストを下回る水準となっております。当社としては、自社が把握する資本コストを上回るROEの水準を8%程度以上として定め、中長期においてこの水準を超えるROEを達成すべく、引き続き資本効率の向上と中長期の経営戦略を着実に実行し収益性の向上を図っていく考えです。また、資本効率の向上を図るとともに、投資家との対話を通じ当社の成長戦略について十分な理解を得ていくことで市場評価を高め、PBR1倍以上の安定化を図っていく考えです。IR活動においては、機関投資家との個別のIRミーティング等のコミュニケーション機会を充実し、経営戦略等について建設的な対話を推進し理解を得ていくとともに、対話から得られた意見や要望を社内で共有し、今後の取り組み検討にも活用いたします。また、当社のウェブサイト等において、非財務情報についても積極的に発信し、投資家との対話の材料となる情報の提供に努めてまいります。
対処すべき課題
1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。 (1) 経営方針当社グループは、「革新」により社業の発展を図り、「信頼」により顧客との共存を維持し、「創造」により社会に貢献し続ける存在でありたいという経営理念のもと1990年に創業して以降、経営資源を研究開発に集中することで独自技術を磨くとともに、顧客の製品やサービスなどのアプリケーションに関する知識と長年培ってきたLSIの知識を融合させることで、顧客の課題解決と競争力向上に貢献するシステムLSIを企画・開発してまいりました。また、生産を外部に委託するファブレスメーカーでありながら製品の解析を行う開発解析センターを整備するなど、厳格な品質保証体制を構築することで信頼性の高い製品を供給するとともに、システムLSIの企画・開発から供給まで一貫して顧客サポートができる体制で顧客の課題を解決するソリューションを提供し、顧客と共に成長してまいりました。今後も当社グループは、経営理念のもと、「システム(機器)のソリューションを提供し、顧客と共に発展する」ことをミッションとして掲げ、新たな価値創造に挑戦し、独創性のある幅広いソリューションを顧客に提供することで、より豊かで安心できる社会の実現に貢献してまいります。そして、持続可能な社会の実現のために事業活動を通じて何ができるか、これらの課題をどう解決して社会に貢献できるかという発想で事業を展開し、地球環境、資源、社会、人権、多様性といった様々な課題に対して、ステークホルダーとの協働により長期的な視点で課題解決に取り組み、当社グループの成長と持続可能な社会をともに実現することを目指してまいります。また、株主の皆様への適切な利益還元を重要な経営課題のひとつとして位置付け、経営環境の変化に柔軟に対応できる健全な財務体質を維持しながら積極的な利益還元に努めてまいります。 〔価値創造プロセスの循環〕当社グループは独創性のある技術を活かし、お客様の製品やアプリケーションの問題を解決するLSIの設計、開発、生産を行っております。近年ますます高度化する多種多様な電子機器に使われる半導体製品により、複雑化する機能や仕様に新たな価値を提供していくことで、電子機器やシステムの性能を向上させ、さまざまな課題を解決いたします。当社の経営理念のもと、この価値創造プロセスを循環させ、より豊かで安心な持続可能な社会の実現に貢献してまいります。 (2) ビジョン当社グループが属するエレクトロニクス産業分野においては、あらゆるものがネットワークに繋がる高度なネットワーク社会の実現に向けて、様々な機器に搭載される電子部品の高性能化・多機能化が進み、今後の産業発展を支えるものとしてその重要性が高まってきております。当社が成長市場として主要なターゲットとする通信分野では、様々なものがインターネットに接続されるようになり、通信速度や通信距離の向上、タイムラグの減少、多数の機器が同時に接続できる多接続の実現等、IoT時代に対応する多岐にわたる通信技術の開発が進展しております。また、産業機器分野では、世界的な自動化ニーズの高まりやデジタルシフトが進む中で、物流、製造オートメーションをはじめ日常のいたるところで自動化の動きが加速し、産業用ロボットや各種の自動化機器の重要性が増しております。このような状況から、様々な分野の機器に使用される電子部品の高性能化のニーズが高まるにつれ、機器の高精度・多機能・小型・低消費電力などを実現するためのキーデバイスとなるLSI製品の需要拡大は続くものと見込まれております。このような環境の中、当社グループは、これまで培ってきた独自技術と他社の独創的な最先端技術やノウハウとを融合させることで、より付加価値の高い製品やサービスの創造に取り組み、顧客の課題を解決するソリューションを提供してまいります。主力事業であるアミューズメント事業の事業基盤を強化しつつ、成長市場である産業機器分野、通信機器分野等をターゲットに経営資源を集中的に投下し、ASIC・ASSP事業の拡大と新規事業の育成により事業構造転換を推進してまいります。あわせて、自社の資本コストを把握した上で収益性や資本効率性を高めること、投資家との建設的な対話により市場評価を高めること、また、企業活動を通じたサステナビリティに関する取り組みを積極的に推進することで、会社の持続的成長と、エレクトロニクス産業の発展への貢献をともに実現していく考えです。 (3) 中長期の経営戦略今後の中長期においては、主力のアミューズメント事業と、ビジネスモデルの異なるASIC事業、ASSP事業の三つの事業を柱として事業ポートフォリオを強化するとともに、次世代を担う新たな事業の育成にも注力し、さらなる成長力と収益構造の強化を図っていく考えです。各事業においては、国内はもとより、北米、アジアを中心とした海外展開を推進するとともに、新技術の獲得、当社技術との融合、最先端技術によるソリューションの創造、新市場・顧客の開拓などを狙いとして、国内外の大学との共同研究開発や、最先端の技術やアイデアを持つスタートアップ企業に対しての事業投資や戦略的提携を推進し、独自性のあるビジネスの創出と事業化につなげていく考えです。さらに、「社会・環境・人にやさしい会社」としてサステナビリティ経営を推進するとともに、社内環境整備とダイバーシティ、健康経営施策、エレクトロニクス分野の技術者やグローバル人材の育成など、人材強化に向けた取り組みを推進いたします。また、投資家との対話を重視するとともに、安定的な配当と機動的な自己株式取得により株主還元策の充実を図ってまいります。これらの経営戦略を着実に実行することで企業価値の向上を図り、中長期で目指す姿としては、収益力と資本効率性の目標としてROE8%以上、市場評価の目標としてPBR1倍以上の安定化を達成できるよう取り組んでまいります。 ① アミューズメント事業主力事業であるアミューズメント事業においては、引き続き顧客密着型の提案活動とサポート体制を強化することで、さらなるサービスの向上に努めるとともに、シェア獲得や製品の安定供給のため、パートナー企業や製造委託先等との情報連携や生産体制の強化を図り、サプライチェーン全体が盤石なものとなるように取り組むことで、これまで以上に主要なサプライヤーとしての地位を確実なものとし、安定した売上と収益の確保を目指します。 ② ASIC事業ASIC事業については、これまでの主力であったコンシューマ機器分野やOA機器分野等を中心とした事業展開に、産業機器分野と通信インフラ分野を新たな成長ターゲットとして加え、引き続き事業の拡大に取り組みます。今後は、これまで培ってきた上流設計やアナログ技術、特に当社が得意とする通信インターフェース技術、セキュリティ技術や画像処理技術などを活用し、画像関連機器・FA機器・通信インフラ機器向けの製品開発を進め、順次量産化してまいります。あわせて、国内に加え海外(北米・アジア地域)における市場開拓とビジネス獲得にも注力し、中長期における継続的な増収増益を目指します。 ③ ASSP事業ASSP事業においては、オーストラリアのMorse Micro社との戦略的提携による通信ビジネスの本格量産化を進めております。この通信ビジネスにおいては、当社がこれまで培ってきた有線通信技術と、約1kmの非常に長い通信距離と低消費電力を実現したMorse Micro社の無線通信技術によって、LSIやモジュールを提供し顧客のニーズに応じた幅広い通信ソリューションによる事業展開を進めております。あわせて、最先端の技術やアイデアを持つスタートアップ企業に対しての事業投資や戦略的提携を推進し、日本国内及び海外(北米・アジア地域)において、新市場の開拓や新製品の開発を積極的に推進することで、新規事業の事業化を目指します。 ④ サステナビリティに関する取り組みサステナビリティに関する取り組みについては、「第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組」をご参照ください。 ⑤ 資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応当社グループは、高い資本効率と健全な財務体質の両立を目指しており、市場環境・競争環境・成長機会などに応じて適切な経営資源の配分を行ってまいります。資本効率については、自社の資本コストを把握するとともに、資本収益性を評価する指標であるROEと市場評価に関する指標であるPBRを重要な指標として捉え、中長期の企業価値向上を図るべく資本コストを意識した経営に取り組んでまいります。当社グループの自己資本利益率(ROE)は、現状において当社が認識している資本コストを下回る水準となっております。当社としては、自社が把握する資本コストを上回るROEの水準を8%程度以上として定め、中長期においてこの水準を超えるROEを達成すべく、引き続き資本効率の向上と中長期の経営戦略を着実に実行し収益性の向上を図っていく考えです。また、資本効率の向上を図るとともに、投資家との対話を通じ当社の成長戦略について十分な理解を得ていくことで市場評価を高め、PBR1倍以上の安定化を図っていく考えです。IR活動においては、機関投資家との個別のIRミーティング等のコミュニケーション機会を充実し、経営戦略等について建設的な対話を推進し理解を得ていくとともに、対話から得られた意見や要望を社内で共有し、今後の取り組み検討にも活用いたします。また、当社のウェブサイト等において、非財務情報についても積極的に発信し、投資家との対話の材料となる情報の提供に努めてまいります。
MD&A(経営者による分析)
4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】(経営成績等の状況の概要)当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という)の状況の概要は次のとおりであります。 (1) 経営成績の状況 昨今の世界経済は、米国をはじめとした各国の関税政策の影響が懸念される中、不確実性が一層高まっています。さらに、ロシアによるウクライナ侵攻の長期化や中東情勢の緊迫化といった地政学的リスクに加え、世界的なインフレ圧力の高まりにより世界経済の先行きが一層不透明となっております。日本経済は緩やかな回復基調を維持しているものの、世界経済の減速懸念や原材料価格の上昇といった要因が景気の下振れリスクとして依然存在しております。また、為替市場では、各国の金融政策の違いが影響し、当年度前半は円安基調が続いていました。しかし、円高が急速に進む場面もあり、為替相場は激しい変動を繰り返しています。そのため、今後の動向を予測することが極めて困難な状況となっています。このような市況の中で、当社の主力であるASIC(顧客専用LSI)においては、需要減少による一時的な在庫調整局面にあるものの、引き続きAIやIoT技術の進展によって産業機器分野や通信分野の半導体需要の拡大が進展しております。このような状況の下、当社はアミューズメント分野向けにおいて顧客密着型の提案活動とサポート活動に注力するとともに、これまで培ってきた上流設計やアナログ技術、特に当社が得意とする通信インターフェース技術、セキュリティ技術や画像処理技術などを活用し、画像関連機器や成長市場である産業機器分野や通信インフラ分野向けの製品開発を進め、事業の基盤強化による収益拡大を図っております。ASSP(特定用途向けLSI)においては、AIやIoT、5Gによる情報通信技術の革新が進展している状況の下、今後の成長が見込める通信分野・産業機器分野などをターゲットとした新規LSI事業の立ち上げに経営資源を集中しております。アナログ・デジタル回路の開発・設計技術の競争力強化を図るとともに、通信分野においては、Morse Micro PTY. LTD.(以下、Morse Micro社という)との資本提携及び戦略的パートナーシップによる事業化を進めており、長距離の無線通信技術を活用したLSIやモジュールを提供し、顧客のニーズに応じた幅広い通信ソリューションによる事業展開を図っております。引き続き、当社グループは安定した収益基盤を維持しつつ、事業ポートフォリオの強化による収益拡大を図ってまいります。また、次世代を担う新たな事業の育成のため、新市場の開拓や新製品開発に取り組み、独自性のあるビジネス創出と事業化を図ってまいります。これらの取り組みを通じて、中長期の持続的な成長を目指してまいります。当連結会計年度の経営成績につきましては、アミューズメント事業においてLSIの需要が減少したこと、ASIC事業において受託開発売上(NRE売上)が堅調に推移したものの、顧客の在庫調整によりLSIの需要が減少したことにより、売上高は42,326百万円(前年同期比27.0%減)、営業利益は2,190百万円(同60.1%減)となりました。経常利益は、受取利息が275百万円、投資事業組合に係る投資有価証券評価益が206百万円発生したこと等により、2,608百万円(同24.5%減)となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は、SiTime Corporation株式の一部売却による投資有価証券売却益が7,705百万円あった一方で、固定資産除却損が1,326百万円、投資有価証券評価損が919百万円それぞれ発生したこと等により、5,371百万円(同19.7%増)となりました。当社グループは単一の事業セグメントであるため、セグメント情報に関連付けた記載を行っておりません。 (2) 財政状態の変動状況<資産>当連結会計年度末における総資産は149,940百万円(前連結会計年度末に比べ23,329百万円の増加)となりました。主要な項目を前連結会計年度末と比較すると、受取手形、売掛金及び契約資産が5,080百万円、主にSiTime Corporation株式の時価評価により投資有価証券が26,012百万円それぞれ増加した一方で、現金及び預金が7,229百万円減少しております。<負債>当連結会計年度末における負債は31,699百万円(前連結会計年度末に比べ7,762百万円の増加)となりました。主要な項目を前連結会計年度末と比較すると、繰延税金負債が9,171百万円増加した一方で、未払法人税等が1,408百万円減少しております。<純資産>当連結会計年度末における純資産は118,241百万円(前連結会計年度末に比べ15,567百万円の増加)となりました。主要な項目を前連結会計年度末と比較すると、その他有価証券評価差額金が17,416百万円増加した一方で、自己株式の取得等により自己株式が3,922百万円増加しております。 (投資有価証券 SiTime Corporation株式の時価評価による影響について)当社が保有するSiTime Corporation(以下「SiTime社」という)株式について、前連結会計年度末に持分法適用の関連会社から除外したことに伴い、関係会社株式から投資有価証券へ科目が変更となり、各決算期末に時価評価を行っております。この影響により、連結貸借対照表においては、投資有価証券の額が1千億円を超える水準となり、総資産に占める投資有価証券の割合が高い状況で推移しております。あわせて、負債・純資産の部においても、相手科目となる繰延税金負債及びその他有価証券評価差額金の占める割合が高い状況となりました。当社として、SiTime社株式については、当社の中長期における持続的成長に向けた事業構造改革を含む成長投資及び株主還元に活用する方針です。今後においても、SiTime社株式の売却によって得られる資金は、事業の成長投資及び株主還元に充当し、最適な経営資源の配分により中長期における持続的成長に向けた事業構造改革を推進する考えであります。既存事業の強化に加え、産業機器や通信インフラ等の成長分野をターゲットとして新規事業の立ち上げを推進することで、企業価値の向上を目指してまいります。 (3) キャッシュ・フローの状況当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、17,547百万円となり、前連結会計年度末に比べ7,612百万円の減少(前連結会計年度末は4,442百万円の増加)となりました。また、営業活動によるキャッシュ・フローと投資活動によるキャッシュ・フローを合算したフリー・キャッシュ・フローは、136百万円の支出(前連結会計年度末に対し8,511百万円のマイナス)となりました。 当連結会計年度末における各キャッシュ・フローの状況は以下のとおりです。<営業活動によるキャッシュ・フロー>当連結会計年度末における営業活動によるキャッシュ・フローは、3,726百万円の支出(前連結会計年度末に対し11,887百万円のマイナス)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益が8,067百万円あった一方で、投資有価証券売却益が7,705百万円、売上債権の増加が5,080百万円、法人税等の支払額が4,169百万円あったことによるものです。 <投資活動によるキャッシュ・フロー>当連結会計年度末における投資活動によるキャッシュ・フローは、3,590百万円の収入(前連結会計年度末に対し3,376百万円のプラス)となりました。これは主に、投資有価証券の売却による収入が8,708百万円あった一方で、有形固定資産の取得による支出が2,299百万円あったことによるものです。<財務活動によるキャッシュ・フロー>当連結会計年度末における財務活動によるキャッシュ・フローは、7,511百万円の支出(前連結会計年度末に対し2,119百万円のマイナス)となりました。これは主に、自己株式の取得による支出が5,621百万円、配当金の支払額が1,994百万円あったことによるものです。 (4) 生産、受注及び販売の実績当連結会計年度における生産実績、受注実績及び販売実績は次のとおりであります。なお、当社グループは単一の事業セグメントであるため、セグメント情報に関連付けた記載を行っておりません。 ① 生産実績 当連結会計年度(自 2024年4月1日至 2025年3月31日)前年同期比(%)生産高(千円)35,523,75977.6 ② 受注実績 当連結会計年度(自 2024年4月1日至 2025年3月31日)前年同期比(%)受注高(千円)42,547,34172.9受注残高(千円)8,277,377102.7 ③ 販売実績 当連結会計年度(自 2024年4月1日至 2025年3月31日)前年同期比(%)販売高(千円)42,326,42873.0 (注) 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。前連結会計年度(自 2023年4月1日 至 2024年3月31日)相手先金額(千円)割合(%)任天堂㈱42,976,96374.2 当連結会計年度(自 2024年4月1日 至 2025年3月31日)相手先金額(千円)割合(%)任天堂㈱30,520,98972.1 (経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容)当連結会計年度における経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。 (1) 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容① 売上高アミューズメント事業においてLSIの需要が減少したこと、ASIC事業において受託開発売上(NRE売上)が堅調に推移したものの、顧客の在庫調整によりLSIの需要が減少したことにより、売上高は42,326百万円(前年同期比27.0%減)となりました。② 売上原価・販売費及び一般管理費並びに営業利益当連結会計年度の売上原価は34,500百万円となりました。売上の製品構成の変化等に伴い当連結会計年度の原価率は前年同期比1.2ポイント増加し81.5%となった一方で、売上高の減少に伴い売上総利益は7,826百万円(前年同期比31.6%減)となりました。販売費及び一般管理費は5,636百万円となり、前連結会計年度と比較して325百万円減少いたしました。この主な内訳は、給料、賞与引当金繰入額等の人件費が2,171百万円(同1.0%減)、研究開発費が1,715百万円(同16.1%減)となっております。以上の結果、当連結会計年度の営業利益は2,190百万円(同60.1%減)となりました。当社は連結売上高営業利益率を重要な指標と考えており、その動向を注視しております。当該指標等の5年間の推移は次のとおりであります。回次第31期第32期第33期第34期第35期決算年月2021年3月2022年3月2023年3月2024年3月2025年3月売上高(百万円)83,81475,25670,72257,94242,326研究開発費(百万円)3,0582,5371,9722,0451,715営業利益又はのれん等償却前営業利益(百万円)5,6087,0306,0295,4832,190売上高営業利益率又は売上高のれん等償却前営業利益率(%)6.79.38.59.55.2 (注)1.各指標の計算方法は下記のとおりであります。なお、第31期は営業利益に代えてのれん等償却前営業利益を使用しております。のれん等償却前営業利益: 営業利益+企業買収によるのれん及び無形固定資産の償却費 売上高営業利益率: 営業利益/売上高×100売上高のれん等償却前営業利益率: のれん等償却前営業利益/売上高×100 2.各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により計算しております。3.「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を第32期の期首から適用しており、第32期以降に係る主要な経営指標等については、当該会計基準等を適用した後の指標等となっております。 ③ 税金等調整前当期純利益営業外収益として受取利息が275百万円、投資事業組合に係る投資有価証券評価益が206百万円、為替差益が111百万円それぞれ発生した一方で、投資事業組合管理費が115百万円発生したこと等により、営業外収益及び営業外費用の差引額は418百万円の収益となりました。また、特別利益としてSiTime Corporationの株式を一部売却したこと等により投資有価証券売却益が7,705百万円発生した一方で、特別損失として固定資産除却損が1,326百万円、投資有価証券評価損が919百万円それぞれ発生したことにより、特別利益及び特別損失の差引額は5,459百万円の利益となりました。以上の結果、当連結会計年度の税金等調整前当期純利益は8,067百万円(前年同期比1.9%減)となりました。④ 親会社株主に帰属する当期純利益当連結会計年度の法人税、住民税及び事業税の額は2,808百万円(前年同期比23.2%減)、法人税等調整額がマイナス133百万円(前年同期はプラス95百万円)となった結果、親会社株主に帰属する当期純利益は5,371百万円(19.7%増)となりました。当社は自己資本当期純利益率を重要な指標と考えており、その動向を注視しております。当該指標の5年間の推移は次のとおりであります。回次第31期第32期第33期第34期第35期決算年月2021年3月2022年3月2023年3月2024年3月2025年3月自己資本当期純利益率(%)53.646.910.05.14.9 (注)1.各指標の計算方法は下記のとおりであります。自己資本当期純利益率: 親会社株主に帰属する当期純利益/期中平均自己資本×100 2.各指標は、連結ベースの財務数値により計算しております。 (2) キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報① 資本の財源及び資金の流動性についての分析当社グループは、経営環境が急激に変化するような状況下におきましても、顧客にとって基幹部品である当社製品を長期にわたり安定的に供給し続けるという社会的使命を担っております。この使命を確実に果たしていくため、財務基盤の安定性を高め、内部留保の充実に努めるとともに、一定の水準で資金流動性を維持することを基本方針としております。当連結会計年度末における総資産は149,940百万円(前連結会計年度末比23,329百万円の増加)となりました。流動資産は、現金及び預金、受取手形、売掛金及び契約資産を中心に43,602百万円(2,527百万円の減少)となりました。固定資産は、投資有価証券を中心に106,338百万円(25,857百万円の増加)となりました。流動負債は7,962百万円(650百万円の減少)となり、流動比率は547.6%となりました。流動資産から、棚卸資産4,428百万円を控除した額は39,174百万円となり、当座比率は492.0%となりました。このような財務基盤の安定性を確保できている背景は、当社グループが資金を長期に亘り固定化する生産設備等の資産を持たないファブレスメーカーとして事業を展開してきたことによるものです。当社グループは、今後も流動性の向上と健全な資産構成のバランスシートの維持に努めてまいります。当連結会計年度末の負債合計は31,699百万円(7,762百万円の増加)となりました。負債の主な内容は、LSI製品の製造委託先からの仕入等に対する仕入債務及び繰延税金負債であります。なお、有利子負債の残高はありません。純資産合計は118,241百万円(15,567百万円の増加)となりました。以上の結果、自己資本は117,805百万円となり、自己資本比率は78.6%(同2.3ポイントの下落)となりました。引き続き、経営環境の変化に柔軟かつ迅速に適応できるよう健全で強靭な財務体質を維持してまいります。当社グループの安全性指標等の推移は次のとおりであります。 回次第31期第32期第33期第34期第35期決算年月2021年3月2022年3月2023年3月2024年3月2025年3月流動比率(%)213.5269.0350.7535.6547.6自己資本比率(%)67.175.183.780.978.6時価ベースの自己資本比率(%)109.092.480.764.760.4 (注)1.各指標の計算方法は下記のとおりであります。流動比率: 流動資産/流動負債×100自己資本比率: 自己資本/総資産 時価ベースの自己資本比率: 株式時価総額(期末株価終値×期末発行済株式数)/総資産 2.各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により計算しております。 ② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容当社グループは、営業キャッシュ・フローの創出力を強化し、事業運営および持続的成長に必要な資金を安定的に確保するため、売掛債権の回収期間短縮と棚卸資産の効率化を推進してまいります。また、当社グループの成長に必要な資金を、保有する売掛債権の売却、銀行借入れ又は増資などにより、必要に応じて調達できるものと考えております。 当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは3,726百万円のマイナス(前連結会計年度は8,160百万円のプラス)となり、これは主に、これまで実施してきた売上債権の流動化を取りやめたことによる、売上債権の増加によるものです。 当社グループのキャッシュ・フロー関連指標の5年間の推移は下記のとおりであります。回次第31期第32期第33期第34期第35期決算年月2021年3月2022年3月2023年3月2024年3月2025年3月営業活動によるキャッシュ・フロー(百万円)5,513△1951,2418,160△3,726フリー・キャッシュ・フロー(百万円)22,53619,823△4,2798,375△136有利子負債(百万円)4,790----キャッシュ・フロー対有利子負債比率(%)86.9---- (注)1.各指標の計算方法は下記のとおりであります。フリー・キャッシュ・フロー: 営業活動によるキャッシュ・フロー+投資活動によるキャッシュ・フロー キャッシュ・フロー対有利子負債比率: 有利子負債/営業活動によるキャッシュ・フロー2.各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により計算しております。3.有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としております。4.第31期を除く期間のキャッシュ・フロー対有利子負債比率については、有利子負債の残高がないため記載しておりません。 (3) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、当社グループの重要な判断と見積りに大きな影響を及ぼすと考えられる特に重要な会計方針は以下のとおりであります。連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。 ① 貸倒引当金貸倒引当金に関して、過去の貸倒実績率により算定した額のほか、個別に債権の回収可能性を見積もって計上いたします。② 棚卸資産棚卸資産に関して、正味売却価額が取得原価よりも下落した場合に簿価の切下げを行います。③ 投資有価証券投資有価証券に関して、時価が著しく低下した場合には、当該投資有価証券は時価で連結貸借対照表に計上し、時価と簿価との差額はその期間の損失として認識いたします。適正な時価が容易に入手できない場合で、当該投資有価証券の実質価額が著しく低下している場合は、実質価額まで簿価の切下げを行います。詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。④ 有形固定資産、無形固定資産及び長期前払費用有形固定資産、無形固定資産及び長期前払費用に関して、回収見込額が取得価額よりも下落した場合に簿価の切下げを行います。⑤ 工事損失引当金工事契約に関して、工事原価総額が工事収益総額を超過する可能性が高く、かつ、その金額を合理的に見積もることができる場合に、その超過すると見込まれる額を計上いたします。⑥ 繰延税金資産繰延税金資産に関して、事業計画やタックス・プランニングを基に将来の課税所得を見積って計上いたします。その見積りの変更により回収が見込めなくなった場合に繰延税金資産の取崩しを行います。