研究開発活動(本文)
FY2025|4,931 文字
6 【研究開発活動】当社グループは、グローバルな視点での事業運営と顧客価値の追求に徹し、優れた製品をタイムリーに市場に供給するため、グローバルマーケティング力の強化及び技術開発力の強化を積極的に推進しております。これを牽引し支えるために、商品開発センターにおいては、基礎・応用技術の研究開発を主体に、各事業部の技術部門においては、所管事業に関する新製品、新製法の開発を主体に、それぞれが連携をとりながら長年にわたって培ってきた経験と実績を生かして研究開発活動を実施しております。また、各生産子会社は、所管製品に関連する事業部との密接な連携のもとに新製法の開発を主体に取り組んでおります。当連結会計年度における研究開発費の総額は11,268百万円であり、セグメント別の主な研究開発成果は次のとおりであります。 (1) 商品開発センターIoT社会に貢献する新たな電気接続技術の構築を目指した探索的研究に取り組んでおります。具体的には柔軟性や伸縮性という新たな電気接続の市場要求に応えるべくフィルム型コネクタ(Film Type Connector:FTC)の研究を継続し、ウェアラブル用途のセンサ機器に搭載すべく、お客様と協業して製品適用を目指しております。また、このFTCは柔軟性や伸縮性による電気機器内の省スペース化に加え、はんだや接着剤レスによる省資源、省エネルギー化というカーボンニュートラル対策にも繋がるとの認識がお客様に拡がりつつあり、大面積型のセンサやフレキシブルディスプレイなどの用途でも注目を集めております。IoT社会の鍵となるセンサ及び解析技術分野では、構造物診断市場への参入を目的として、独自に開発したMEMS加速度計を用いた高精度のセンサシステムによる橋梁の劣化診断研究を継続しております。大学や地方自治体と連携し、センサシステムを数多くの一般道と高速道路上の橋梁に設置した実証実験を行うことで、劣化診断に資するデータ取得技術を獲得しました。得られた成果の一部を土木学会にて公表し、“橋梁補修の優先順位を考える手段として、業務効率化と経費削減に繋がる有効な手段”との高評価をいただいております。 このほか、産学官連携で独自の水位計システムを山岳エリアに設置し、過疎化する山岳農村地帯の安全確保に貢献すべく地すべりセンシングの実証実験を継続しており、農地や工場内での水位計システムとしても実証実験を開始しております。さらに、将来の当社事業を支える超高感度センサシステムの構築を目指して、国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)の経済安全保障プロジェクトの下、資源探査や自動運転などに貢献すべく超高感度センサとそれを利用した次世代航法システム開発を推進しました。当該航法システムに必要な量子ジャイロ、重力勾配計、及び加速度計の開発を進めております。モノづくり面では、電磁両立性(EMC)解析技術や材料分析技術による製品設計へのフィードバック強化に加え、カーボンニュートラルの実現に向け、再生材料や植物由来材料の特性把握を目指す材料分析研究も進めております。また、撥水付与・潤滑・摩耗といった現象に関する材料特性の制御技術を磨き上げ、EV充電端子などの接点部における金属めっき膜の摩耗を大幅に抑制する接点界面の設計技術を自動車関連のコネクタ端子部分に適用しました。本技術は摩耗抑制に加え、材料使用量の低減なども実現した点がお客様からも評価されております。当連結会計年度における研究開発費の金額は579百万円であります。 (2) コネクタ事業製品開発では、自動車内でのインフォテイメントシステムが益々充実していく中で、USB3.2伝送を可能とした車内配線用コネクタ「MA07」シリーズに加え、情報量の増加に対応して、ECU基板に数個並べて搭載可能とするため、「MA07」より幅寸法を21%削減した「MA07C」シリーズを開発しました。アジアを始めとする新興国における2輪車のUSBチャージャーでは、車載用の製造工程管理要件を満たしたIATF 16949準拠USB Type-C®コネクタの開発を行いました。既製USB Type-C®コネクタのIATF 16949対応品のバリエーションを拡充し、今後も自動車市場への展開を図ってまいります。劣化した信号波形を再生成するリタイマ―を内蔵したUSB4®(~20Gbps)対応ハーネス付製品の開発においては、ケーブルの細径長尺化、信号線と電源の共用による省資源及び軽量化の研究を進めております。車載カメラなどの高速シリアル伝送向けハーネス製品の動作検証環境の構築及び車載イーサネット技術への製品展開の検討も進めております。TESLAが発表した充電規格がNACS(North American Charging Standard:北米充電標準規格)として一般公開され、北米市場の主要自動車メーカーが新車にNACSを採用する意向を示しています。さらに自動車技術者協会(SAE)は、NACSを標準規格として制定を進めており、NACSに準拠した充電コネクタの市場シェアが拡大することが見込まれています。このような市場のニーズに応えるため、NACSに準拠した充電コネクタ「KW51」シリーズを開発しました。また、従来の車載用コネクタの高い組立作業性を維持しつつ、低背・狭ピッチ化を実現した基板対ケーブルコネクタ「MB01」シリーズを開発しました。主な用途としては、BMS(Battery Management System)、カーナビゲーションシステム、オーディオ機器、エアコンなどが挙げられ、特に車内に搭載される非防水コネクタ全般に幅広く対応しています。基板に搭載する際の面積を削減したことで、機器の薄型化や軽量化に貢献できる製品となっております。一次予防(病気の発生を防ぐ)分野のEMS(Electrical Muscle Stimulation:電気筋肉刺激)アパレル製品に採用されているスマートテキスタイル用コネクタ「RK01」シリーズについて、従来の導電繊維とは異なる金属電線との接続に対応するとともに、化粧品など薬品への耐性に優れた樹脂を採用し、さらに従来比2倍の挿抜回数を可能にした製品を開発しております。また、スポーツ・フィットネスや予防医療などの様々な用途に向けてスマートテキスタイル用コネクタの小型化と多品種化の開発を推進しております。生産技術開発では、ICT用、車載用、インフラ用コネクタを中心に、組立工程やハーネス加工工程における自動化設備開発による省人化を進め、高品質、低価格の実現を目指しております。車載ハーネスにおいては、全自動生産を可能とするフラッグシップ生産ラインを国内に立上げて量産を開始しております。生産能力を更に増強しつつ、様々な社会情勢に柔軟に対応できるように海外の生産拠点に順次展開を図ってまいります。また、産学連携なども活用したモノづくりを推進し、自動生産化の基礎レベルや部品加工精度の引き上げも図っております。サステナビリティに関する取り組みとして、バイオマスやリサイクル材料を活用した部品生産のノウハウ構築及び生産設備の省エネルギー化の研究を推進しております。また、ケーブルの高周波特性の検査回路を開発し、必要な機能に絞り込むことで、消費電力の抑制を目指しております。基盤技術開発では、製品開発に関するものとして、次世代車載ネットワークの光化に向けた車載用AOC(Active Optical Cable)を試作開発しております。このほかにもデータセンター向け224G内装ケーブルの研究開発を推進しております。要素技術としては、アルミ太径電線とコンタクトの超音波結線技術、低荷重接点向け接触技術の開発を推進し、解析技術としては、車載高速伝送ケーブルの解析設計技術、100GHz伝送の解析設計技術、振動環境下での繰返荷重の解析技術、熱環境下でのゴム解析技術の他、最適化解析のコネクタ設計への応用にも取り組んでおります。新領域のアンテナでは、PCB/FPCに接続した細線同軸ケーブルを介して、通信用回路基板から離れた場所にも配置可能な、「AP01/02」シリーズの開発が完了しました。北米の5G・LTE周波数帯に対応する為の広帯域化や広汎な使用環境での動作を保証し、高い放射効率及び金属接近時の特性向上を実現した製品となります。また、板金のアンテナについては車載用途のGNSS(Global Navigation Satellite System:全球測位衛星システム)向けに、単一の素子でL1(1.5GHz)とL5(1.1GHz)の周波数帯に対応するアンテナ構造の研究開発に取り組んでおります。このほか、アンテナを基板に搭載した無線通信モジュールの検討を行っております。当連結会計年度における研究開発費の金額は9,051百万円であります。 ※USB4®、USB Type-C®はUSB Implementers Forum, Inc.の登録商標です。 (3) インターフェース・ソリューション事業自動車市場における自動運転技術の進展に伴い、LiDARなどADASセンサの搭載が拡大しており、センサを保護するカバーには、高い透過性と雪や霜が付着した場合の素早い除去が求められております。これらの課題に対応すべくフィルムヒーター及びカバーを開発しており、お客様と製品適用に向けた評価を進めております。フィルムヒーター開発では、低抵抗且つ高精細といった特徴を持つ当社のメタルメッシュ印刷技術により均一な熱分布と迅速な昇温を実現し、素早い解氷・除霜が可能なことを実証しました。また、カバー開発では、シミュレーションを駆使した設計により、少ない表面処理回数で高い透過性を実現し、センサ性能向上に繋げたことに加え、材料や電力使用量も削減したことでサステナビリティにも対応しています。これらの技術はインフラ市場のお客様からも評価をいただいており、更なる設計改良を進めています。ADASセンサ以外の用途展開に向けては、メタルメッシュの特徴である柔軟性を活かし、3次元曲面にメタルメッシュを形成する開発を推進しています。産機市場に向けては、静電タッチパネルと液晶を組合せた表示ユニットを開発しており、液晶の表面を覆うカバーに光の反射を低減する表面処理を行うことで、液晶本来の表示に近づけるよう取り組んでおります。当連結会計年度における研究開発費の金額は1,131百万円であります。 (4) 航機事業センサ製品開発では、一般計測市場において、MEMS型と比較して精度面で優位性を持つ小型の3軸一体型のクオーツ型加速度計の開発を進めています。従来の1軸型製品の磁気回路構造を継承しながら、機構の高密度レイアウト設計や回路の高集積化、接合部へのドットコネクタの採用などにより、当初容積比で50%の小型化を実現しました。あわせて、センサ出力のデジタル化やBluetoothによる無線化などの研究も進めています。光応用センサにおいては、将来防衛市場製品への適用も視野に入れながら、小型化とバイアス安定性などの性能及び耐環境性能向上に向け、光学部品の製造プロセス開発も含めた製品開発を継続しています。また、ガラスブロックなどキーパーツの精度向上に向けた加工プロセスの最適化や新たなデジタル制御方式の研究などによりセンサ精度の向上へ取り組んでおります。ドローン市場製品では、より安全性を向上させたフライトコントローラの開発として冗長化機能の研究と、電波を用いたセンサとして高度計測だけでなく水平方向の障害物検知が可能な電波距離計の開発を進めております。航機製品共通課題である安定した接着工程の確立に関し、接着剤を使用しない接合技術において、東大との産学連携で取組み、円筒形状同士の接合について、射出成型の技術を応用した研究を行いました。当連結会計年度における研究開発費の金額は506百万円であります。
FY2024|4,291 文字
6 【研究開発活動】当社グループは、グローバルな視点での事業運営と顧客価値の追求に徹し、優れた製品をタイムリーに市場に供給するため、グローバルマーケティング力の強化及び技術開発力の強化を積極的に推進しております。これを牽引し支えるために、商品開発センターにおいては、基礎・応用技術の研究開発を主体に、各事業部の技術部門においては、所管事業に関する新製品、新製法の開発を主体に、それぞれが連携をとりながら長年にわたって培ってきた経験と実績を生かして研究開発活動を実施しております。また、各生産子会社は、所管製品に関連する事業部との密接な連携のもとに新製法の開発を主体に取り組んでおります。当連結会計年度におけるセグメント別の主な研究開発成果は次のとおりであります。 (1) 商品開発センターIoT社会に貢献する探索研究に取り組んでいます。具体的には柔軟性や伸縮性という新たな電気接続の市場要求に応えるべくフィルム型コネクタ(Film Type Connector:以下FTC)の研究を継続し、FTCをモビリティやヘルスケアなどで使用されるセンサモジュールに搭載し、お客様と協業して製品適用を目指しております。また、FTCは柔軟性や伸縮性による電気機器内の省スペース化に加え、はんだや接着剤レスによる省資源、省エネルギー化というカーボンニュートラル対策にも繋がるものであります。一方、IoT領域拡張の鍵となるセンサおよび解析技術分野では、構造物診断市場への参入を目的として、独自に開発したMEMS加速度計を用いた高精度のセンサシステムによる橋梁の劣化診断研究を継続しております。大学や地方自治体と連携し、このセンサシステムを一般道と高速道路上の橋梁に設置した実証実験を行い、劣化診断に資するデータ取得技術の向上に加え、道路事業者と連携し事業性を調査しております。 この他、産学官連携で独自の水位計システムを山岳エリアに設置し、過疎化する山岳農村地帯の安全確保に貢献すべく地すべりセンシングの実証実験を継続しております。また、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)の研究助成の下、産学連携を通じて、ウイルスなどの生体物質の多数検体同時検査を目指した多点電気化学測定システムを試作し、ビジネス化に向けた新興国のニーズ探索を目的とする実証実験も行いました。これらの活動を通じて、IoTによるデータ駆動型のビジネス創出(デジタルデータを有効活用した商品開発)に必要なデータ統合・解析・呈示技術、省電力化技術、ならびにニーズ探索手法などが醸成されました。量子センサの開発では、国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)の未来社会創造事業の下、資源探査や自動運転などに貢献すべく高感度センサとそれを利用した次世代航法システム開発を推進しました。今後はJSTの経済安全保障プロジェクトにて技術開発を継続しこのプロジェクトを通じて、当社事業を支える将来のセンサシステムの構築を目指します。モノづくり面では、電磁両立性(EMC)解析技術や材料分析技術による製品設計へのフィードバック強化に加え、カーボンニュートラルの実現に向け、再生材料や植物由来材料の特性把握を目指す材料分析研究も進めております。また、撥水付与や潤滑や摩耗といった現象に関する材料特性の制御技術を磨き上げ、EV充電端子などの接点部における金属めっき膜の摩耗を大幅に抑制する接点界面の設計技術 「wearzerO™ 」を一部の製品に適用し、摩耗抑制に加え、材料使用量の低減なども実現しております。 (2) コネクタ事業製品開発では、スマートフォンやPCをはじめとするICT(情報通信技術)が、広く社会に浸透し、自動車市場における車載インフォテインメントシステムなどでも広がりを見せている中で、当社の強みである小型で堅ろうなICT機器向けコネクタである、狭ピッチ基板対基板(FPC)コネクタ「WP26DK」シリーズとUSB Type-C®コネクタ「DX07」シリーズを、より厳しい車載環境相当の試験にも適合する製品として販売を開始しました。また、microSD™・microSIM・nanoSIMなどのカード用コネクタの自動車市場対応も進めております。車載のECU(Electronic Control Unit)とディスプレイ間の映像信号伝送や、車内のPC、スマートフォン、ゲーム機器との通信のニーズに対応して、USB3.2伝送(最大データ転送速度20Gbps)やDisplayPort1.4伝送(最大データ転送速度32.4Gbps)を可能とした車載向けコネクタ「MA07」シリーズを開発しました。本品は、民生市場で拡大しているUSB3.2伝送などの高速伝送性能に加え、車載対応として4種類のかん合キーバリエーション、また斜め挿入を防止するアウターハウジングを採用した堅ろう構造、さらにかん合時の明確なクリック感とかん合音が得られるロック構造を装備しており、自動車内装のハーネス組立ラインにおいて目視が困難な場合でも、未かん合を防止できる製品となっております。その他に車載向けでは、自動運転などで用いられるカメラの性能向上に応じ、高度な伝送特性に加え、高周波ノイズ耐性を高次元で実現する車載高周波コネクタの研究開発を進めております。車載向け以外では、データセンター通信業界最速クラスの224Gbpsに対応するハイスピードコネクタの開発を進めております。またUSB4®(~20Gbps)対応のリタイマ―を内蔵したハーネスの開発においては、ケーブルの細径長尺化、信号と電源のライン共用による省資源及び軽量化の研究を進めております。生産技術開発では、携帯機器用、車載用、インフラ用コネクタを中心に、組立工程、ハーネス加工工程における自動化設備開発による省人化を進め、作業人員確保が困難な状況や人件費高騰への対応を強化するとともに高品質、低価格の製品の実現を目指しております。車載ハーネス工程では、完全自動化ラインの開発に取り組み、生産ラインの省人化及び品質安定性を大きく向上させるとともに、属人的なモノづくりから改善を図りました。また成形工程、プレス工程、表面処理加工工程におけるシミュレーションソフトを導入し、部品の加工工程を事前にシミュレーションすることで、手戻りのない効率的な開発及び改善活動を引き続き推進しております。サステナビリティに関する取り組みとして、バイオマスやリサイクル材料を活用した部品生産のノウハウ構築や、検査工程において、必要な機能に絞り込むとともに消費電力を抑制した高周波対応の検査回路の開発など、サステナブルな生産に向け取り組んでおります。基盤技術開発では、洗濯対応スマート衣料向けコネクタの小型化や多品種化の検討開発や、次世代車載ネットワークの光化に向けた車載用AOC(Active Optical Cable)の研究開発、車載コネクタ及びハーネスの電磁ノイズ低減技術と100GHz伝送解析技術などの開発を推進しております。また、振動解析技術、熱環境下でのゴム解析技術、最適化解析技術の研究に取り組んでおります。大電流対応としては、アルミ太径電線とコンタクトの超音波結線技術の開発と、大電流コネクタ接点の長寿命化の研究を推進しております。新領域である高性能アンテナでは、金属製表面実装アンテナ「AN01」「AN02」シリーズに加えて、新たなラインアップとして同軸ケーブル付PCBアンテナ「AP01」、同軸ケーブル付FPCアンテナ「AP02」シリーズの開発を行いました。「AP01」「AP02」シリーズは、アンテナに接続した同軸ケーブルを介して、通信用回路基板から離れた場所にも配置できるのが特徴で、取り付け場所の自由度が高いというメリットやスプリットリング共振器構造による小型化、高い放射効率及び金属接近時の特性向上を実現しております。 ※microSD™のロゴはSD-3C, LLCの商標です。USB4®、USB Type-C®はUSB Implementers Forum, Inc.の登録商標です。 (3) インターフェース・ソリューション事業自動車市場では自動運転技術の進展に伴い、LiDAR等ADASセンサの搭載が拡大しており、これまで車室内用タッチセンサ向けに開発してきたメタルメッシュ印刷技術と、低反射・透過性・防汚性といった機能を付与できる表面処理技術を活用する為の開発を進めております。ADASセンサでは、雪や霜の付着による性能低下が課題であり、素早い解氷・除霜機能をもつヒーターが求められており、低抵抗且つ高精細といった特徴を持つ当社のメタルメッシュ印刷技術では、均一な熱分布と素早い昇温を実現する事が可能となります。また、ADASセンサを保護するカバーは、表面処理技術の応用で、高い透過性の実現により、センサ性能向上に繋がります。これらの実現に向け、構造設計、シミュレーション技術を駆使した透過性能の作り込み、量産プロセス開発に取り組んでおります。また、メタルメッシュ印刷技術の更なる用途拡大に向け、印刷技術をより高度化する研究を産学連携で取り組んでおります。産機・インフラ市場では、ロボット用操作端末の作業者の疲労軽減や操作性向上に取り組んでおり、製品重量が軽く感じる低重心化などの設計を盛り込んだ試作品を展示会へ出展しました。 (4) 航機事業ドローン市場向け製品では、都市部での実用化を想定し、より安全性を向上させたフライトコントローラの冗長化機能の研究と、従来製品である電波高度計の計測範囲を拡大し、高度計測だけでなく水平方向の障害物も検知可能な電波距離計の開発を進めております。産機市場向け製品開発では、ICT建機向けの小型IMUについて、振動、衝撃等のより厳しい耐環境性への対応技術の研究を継続しており、実証モデルによる実運用を想定した環境での評価試験が完了し、量産化に向けたハードウエアでの最終検証を実施しております。また、スマート農業における農機の自動運転化に向けた小型IMUについては、GNSS信号を受信できない環境でも位置精度を保持出来る慣性アルゴリズムの開発を進めております。高性能光応用センサでは、将来防衛市場製品への適用も視野に入れた小型化・高精度化及び耐環境性能向上のための製品開発を行っております。 以上の研究開発費総額は10,922百万円であります。
FY2023|3,834 文字
6 【研究開発活動】当社グループは、グローバルな視点での事業運営と顧客価値の追求に徹し、優れた製品をタイムリーに市場に供給するため、グローバルマーケティング力の強化及び技術開発力の強化を積極的に推進しております。これを牽引し支えるために、商品開発センターにおいては、基礎・応用技術の研究開発を主体に、各事業部の技術部門においては、所管事業に関する新製品、新製法の開発を主体に、それぞれが連携をとりながら長年にわたって培ってきた経験と実績を生かして研究開発活動を実施しております。また、各生産子会社は、所管製品に関連する事業部との密接な連携のもとに新製法の開発を主体に取り組んでおります。当連結会計年度におけるセグメント別の主な研究開発成果は次のとおりであります。 (1) 商品開発センター独自性のあるIoT製品に貢献する技術開発に取り組んでいます。電気接続分野では小型化や薄型化といった従来からの要求に加え、柔軟性や伸縮性への接続信頼性が要求されております。このような要求に応えるべく粘着性のフィルム型コネクタ(Film Type Connector:以下FTC)の開発に取り組んでおり、振動耐久性を必要とするモビリティ、ロボット向けにFTCを利用したセンサモジュール試作を進めております。一方、IoT領域での鍵となる技術分野のひとつであるセンサ・解析分野では、独自のMEMS加速度計を用いた高精度センサシステムの構造物診断市場への参入を目的とする実証実験を継続しており、劣化診断に有効なデータ取得技術の向上と共に、当該技術の事業性を調査しております。 社会課題解決に資する高精度センサおよびそれを用いたシステム関連の技術開発に取り組んでおり、過疎化する山岳農村地帯の安全確保に貢献する地すべりセンシング用途の水位計システムを産学連携で開発し、山岳エリアに設置・実装いたしました。また、電気化学センサの技術開発では、これまでに開発してきた小型多点電気化学測定装置をベースとしてウイルスなどの生体物質の多数検体同時検査を目指したシステムを試作し、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)の研究助成の下、インドでの医療機器関連展示会に開発品を出展し、ビジネス化に向けニーズ探索を行いました。量子センサ開発では、国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)の未来社会創造事業のプロジェクトとして、資源探査用途の計測応用の可能性実証や自動運転などに貢献すべく高感度センサ開発を継続しております。また、衛星測位と慣性航法装置とのデータ統合化技術の磨き上げを加速させ、スマート農業やスマート建設機械などの自動運転に資する制御技術とモジュール開発も進めております。モノづくり面ではコネクタ製品向けに、材料分析技術、電磁両立性(EMC)解析技術、潤滑や摩耗といった現象に関するトライボロジー技術の磨き上げに注力しております。材料分析技術では、カーボンニュートラルの実現に向けた取り組みとして関連する再生材料や植物由来材料の化学・機械特性に関する分析調査も進めております。トライボロジー技術に関しては、EV充電端子などの大電流コネクタの接点部における金属めっき膜の摩耗を大幅に抑制するJAE独自の接点界面設計技術 「wearzerO™ (ウェアゼロ)」 を開発し、実用性能の実証を行っております。 (2) コネクタ事業製品開発では、スマートフォンをはじめとしたICT機器の実装基板における更なる高密度実装に対応するため、実装の確実性と高密度実装を両立した千鳥配列端子の基板対基板(FPC)コネクタ「WP86SD」シリーズ(嵌合部コンタクトピッチ0.25mm、端子部コンタクトピッチ0.5mm)を開発しました。本製品は狭ピッチ化に加え、業界初となる8Aの通電が可能なハイパワーホールドダウン(基板への固定補強用金具)を備えることで、スマートフォンの急速充電に必要な大電流にも対応しております。PC及び周辺機器の外部I/Oにおいては、USB4® Version2.0(最大80Gbps)の高速伝送及び新たに追加された大電力の給電規格のEPR(Extended Power Range:最大給電能力は48V/5A、240W)に対応したUSB4®プラグコネクタを開発しました。本製品は、USB-IF(USB Implementers Forum, Inc.)が認証テストツールに唯一採用している「USB4® Golden Plug」に認定されており、業界最高レベルの伝送品質が実証されております。また、高精細サイネージ用や産業機器用では、DisplayPortやUSBなどにおける高速信号の伝送距離を10m~20mまで延長可能とするため、劣化した信号の補正能力が優れたリタイマーICをハーネス内に実装したACC(Active Copper Cable)の製品化を推進しております。EV向けにおいては、高温/低温環境下に耐える防水/防油性能をインサート成形で実現し、コネクタの小型化と原価削減を図りました。また、5万回の繰返し挿抜にも耐えられるEV用充電プラグの開発に向けて表面処理材料の最適化を確立しました。生産技術開発では、画像認識などを用いた新工法により、ケーブルの配置補正の工程など今まで属人的なモノづくりになっていた工程を自動化することで、生産ラインの省人化及び品質安定を実現するとともに、汎用性を考慮した設備の開発を進めております。また、成形、プレス、表面処理加工におけるシミュレーションソフトを導入し、部品の加工工程を事前にシミュレーションすることで、手戻りのない効率的な開発及び改善活動を推進しております。基盤技術開発では、次世代製品の開発として、洗濯に対応したスマート衣料向けコネクタの小型化及び多品種化や基板対基板用高密度コネクタの要素技術の開発を推進しております。次世代製品の要素技術の開発としては、高速伝送コネクタで必要となる車載コネクタ・ハーネスの電磁ノイズ低減技術、PAM4(4値パルス振幅変調)伝送の設計評価技術の開発を推進するとともに、EV用コネクタで必要となる太径電線やアルミ電線とコンタクトとの超音波結線技術の開発、大電流コネクタの長寿命接点構造の研究を推進しております。また、解析技術の開発としては、振動解析技術、防水用のゴム解析技術、コネクタ形状の最適化解析技術の開発を行っております。新領域である小型・高性能アンテナでは、「AN01」シリーズに加えて、新たなラインナップとして、車載端末、企業向けWi-Fiアクセスポイント、5G基地局向けに「AN02」シリーズの開発を行いました。周波数帯としてはWi-Fiで主に用いられる2.4 GHz、5 GHz、6 GHzと、ローカル5Gで用いられる4.6~4.9 GHzに対応しております。また、「AN01」が水平置きの構造であったのに対し、「AN02」は垂直置きの構造になっており、フットプリントの省スペース化を図ったことに加えて、放射パターンの等方性の向上、金属接近時のさらなる特性改善も実現しております。 ※USB4®は、USB-IF(USB Implementers Forum, Inc.)の商標です。 (3) インターフェース・ソリューション事業自動車市場では、EV化の拡大、自動運転技術の進展とともに、車室内における居住空間の変化が進み、ディスプレイ大型化に伴う軽量化、デザイン性や視認性向上のニーズが高まっております。これらに対応するため、軽量で屈曲性を有し低反射を実現するフィルムタイプのメタルメッシュタッチセンサの開発を行っており、機能・材料開発および新たなプロセス・設備検討を推進しました。また、低反射化に伴い顕在化する防汚性課題に対して、指紋目立ち性と指紋ふき取り性を大幅に改善する表面処理の開発を行いました。産機・インフラ市場向けには、工作機械、ロボット用操作端末の開発において、作業者の操作性向上に繋がる軽量化やデザイン検討に取り組み、試作サンプルを製作し評価を進めました。新領域の製品創出に向けた取り組みとして、メタルメッシュセンサ技術の応用により、従来のタッチ機能に加え、非接触・感圧機能を有した静電容量式多機能センサの開発を進め、試作品を展示会へ出展しました。また、メタルメッシュセンサの更なる高精細印刷の実現による用途拡大に向けて、産学連携での共同研究を推進しております。 (4) 航機事業産機市場向け製品開発では、実運用が開始された国内ドローン市場におけるレベル4環境(有人地帯目視外無人飛行)に対応するフライトコントローラとして、飛行安全を実現する冗長化と慣性センサの最適化の開発を進めております。また、制御のデジタル化による小型/高分解能の電波高度計の開発も進めております。慣性計測装置としては、i-Construction、スマート農業向けの小型IMUについて、より厳しい耐環境性への対応技術の研究を継続しており、実証モデルによる実環境での検証を実施しております。高精度光応用センサにおいては、性能向上に向けて光学系の要素技術を研究しており、システムレベルでの評価を含む製品化に向けた取り組みを行っております。 以上の研究開発費総額は12,123百万円であります。
FY2022|3,652 文字
5 【研究開発活動】当社グループは、グローバルな視点での事業運営と顧客価値の追求に徹し、優れた製品をタイムリーに市場に供給するため、グローバルマーケティング力の強化及び技術開発力の強化を積極的に推進しております。これを牽引し支えるために、商品開発センターにおいては、基礎・応用技術の研究開発を主体に、各事業部の技術部門においては、所管事業に関する新製品、新製法の開発を主体に、それぞれが連携をとりながら長年にわたって培ってきた経験と実績を生かして研究開発活動を実施しております。また、各生産子会社は、所管製品に関連する事業部との密接な連携のもとに新製法の開発を主体に取り組んでおります。当連結会計年度におけるセグメント別の主な研究開発成果は次のとおりであります。 (1) 商品開発センター独自性のあるIoT製品に貢献する技術開発を行っています。電気接続技術分野では従来からの小型化や薄型化といった要求に加え、折り曲げスマートフォンやウェアラブル機器に代表されるような電子機器の多様化に伴い、柔軟性や伸縮性などの動きに追随する接続信頼性が要求されております。このような要求に応えるべく粘着性のフィルム型コネクタ(Film Type Connector:以下FTC)の開発に取り組んでおり、FTCが示す柔軟性を小型携帯機器内実装の省スペース化に活用した製品開発を進めております。また、FTCの示す柔軟性と伸縮性が動きだけではなく、振動を伴うデバイスに対しても有効であることを実証し、振動への耐久性が必要なロボット、ヘルスケア、モビリティ用途向けにFTCを利用したセンサモジュール試作を進めると共に、事業性への調査を継続しております。IoT領域における鍵技術のひとつであるセンサ・解析分野では、独自のMEMS加速度計を用いた高精度センサシステムの構造物診断市場への参入を目的とする実証実験を継続しております。具体的には高速道路の橋梁に設置した高精度センサシステムから橋梁の劣化診断に資する情報を取得できることを実証しました。引き続き、データ取得技術の向上と共に、事業性を調査します。また、高精度センサに関する要素技術開発として、産学連携により独自の電気化学センサや量子センサなどの技術開発も継続しております。電気化学センサ開発では、これまでに開発してきた小型多点電気化学測定装置をベースとして、ウイルスなどの生体物質の多数検体同時検査を目指したシステム試作を提案し、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)の研究助成に採択され開発を加速させております。量子センサ開発では、引き続き国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)の未来社会創造事業のプロジェクトとして、資源探査用途の計測応用の可能性実証や自動運転などに貢献すべく高感度センサ開発を推進しております。さらに、センサ設計技術やコイル製造技術などを利用して、SDGsに寄与するヘルスケア、環境保全、災害防止などの用途に向けたIoT製品の試作も進めており、新たな市場創出を目的として実証実験への参画や展示会への出展などを行っております。一方、モノづくり面では、自動車関連のコネクタ製品向けに、材料分析技術、電磁両立性(EMC)解析技術、潤滑や摩耗といった現象に関するトライボロジー技術の磨き上げに注力しました。特にトライボロジー技術に関し、EV充電端子などの大電流コネクタの接点部における銀めっき膜の摩耗を大幅に抑制するJAE独自の接点界面設計技術「wearzerO™ (ウェアゼロ)」を開発し製品化を進めております。 (2) コネクタ事業製品開発では、スマートフォンをはじめとした小型携帯機器向けとして、5Gミリ波アンテナモジュールの中継に最適な高周波伝送対応・フルシールドタイプの基板対基板(FPC)用コネクタ「WP16RS」シリーズを開発しました。USB Type-C®コネクタ「DX07」シリーズでは、最大転送速度40GbpsのUSB4™及び240Wのパワーデリバリーに対応するとともに、基板上に実装するタイプ以外にも、機器の薄型化を図れる基板落とし込みタイプと、基板実装メーカーにおけるはんだ付けの修正を容易にするために、2列あるSMT端子のうち内側の列をスルーホール端子にしたタイプを開発しました。また、USB4™の20Gbpsの高速信号を増幅/整形できるIC部品をプラグ部に搭載し長尺(2-5m)の伝送を可能にするとともに、屈曲性や線径のニーズに対応したハーネス製品をあわせて開発するなど、バリエーションを拡充しました。自動車市場向けには、電動車(EV)用途で要求される大電流接続信頼性と、過酷な環境下においても防水、防油を実現できる製品構造の研究開発を行っております。産機市場向けでは、5Gの普及と今後のBeyond 5G実用化により一層の性能向上が求められるルーター、スイッチなど各種通信機器の信号処理の高速化に向けた112Gbps対応内装用ケーブルコネクタを開発しました。また、Beyond 5G以降の伝送対応を目的とした800Gbps伝送可能内装用AOC(Active Optical Cable)の基礎研究も行っております。生産技術開発では、自動組立設備及びロボットを活用して更なる自動化・省人化を目指した生産革新を推進しております。特に自動化が困難と考えられていた工程の自動化を進め、どの地域でも同じコスト・品質で生産を可能にすることを目指しております。これらの実現には生産・品質状況のタイムリーな把握が必須であり、IoTを活用した見える化・スマートファクトリー化を進めております。また、EV対応コネクタの生産技術開発にも重点を置き、高導電部品のプレス・めっき加工、大型樹脂部品の成形技術開発などに関しても積極的に取り組んでおります。基盤技術開発では、洗濯に対応したスナップボタン型スマート衣料向けコネクタの小型化品の開発を推進しております。また、高密度コネクタの基盤技術開発、アルミ太径電線とコンタクトの結線技術開発、大電流コネクタ接点の長寿命化研究も行っております。解析技術に関しては、車載コネクタ・ハーネスの電磁ノイズ低減、通信市場向けPAM4(4値パルス振幅変調)伝送に対応した設計及び評価、液冷解析、振動解析などの技術開発を行っております。新領域である小型・高性能アンテナ「AN01」シリーズは、従来の2.4GHz帯、5GHz帯、920MHz帯に対応した製品に加え、Wi-Fi 6Eで新たに利用可能になった周波数帯である6GHz帯に対応した製品、及び欧州におけるLPWA(Low Power Wide Area)通信で主に使われている860MHz帯に対応した製品を開発し、ラインアップの拡充を図りました。また、「AN01」シリーズの技術的先進性が評価され、モノづくり日本会議及び日刊工業新聞社主催の「2021年"超"モノづくり部品大賞」電気・電子部品賞を受賞しました。 (3) インターフェース・ソリューション事業車載用タッチパネル技術開発では、メタルメッシュを活用した額縁配線のない全面透明なタッチパネル「Full Touch Sensor ™ 」の機能向上に取り組んでおり、ディスプレイの高コントラスト化や曲面デザインのニーズに対応した、低反射で屈曲性を有するフィルムタイプセンサの開発を行っております。低反射に伴い顕在化する防汚性課題に対しては、耐指紋性能の定量評価方法を確立し、指紋の目立ちにくさと拭き取り性を両立する表面処理の開発を推進しました。産機・インフラ市場向けでは、工作機械、ロボット向けに、切削液等の化学的影響に対する高い耐久性に加え、薄型・軽量を実現する操作パネル開発に取り組んでおり、試作サンプルを製作し評価を進めております。加えて、非接触ユーザーインターフェースの開発に着手し、メタルメッシュや静電センサ技術を応用した取り組みを進め、試作品をオンライン展示会へ出展しました。 (4) 航機事業産機市場向け製品開発では、社会実装が予定されている国内ドローン市場におけるレベル4環境(有人地帯目視外無人飛行)への対応製品として、2種類のオープンソース制御ソフトウエアへの対応、MEMS慣性センサの最適化により、小型で高い信頼性を有する飛行制御装置の開発、制御のデジタル化による小型/高分解能の電波高度計の開発を進めております。また、慣性計測装置の製品開発として、i-Construction、スマート農業、無人搬送車向けの小型IMUについて、より厳しい耐環境性への対応技術の研究を継続しております。光応用センサにおいては、性能向上にむけて光学系の要素技術を研究しており、システムレベルでの評価を含む製品化に向けた取り組みを行っております。 以上の研究開発費総額は12,385百万円であります。
FY2021|3,119 文字
5 【研究開発活動】当社グループは、グローバルな視点での事業運営と顧客価値の追求に徹し、優れた製品をタイムリーに市場に供給するため、グローバルマーケティング力の強化及び技術開発力の強化を積極的に推進しております。これを牽引し支えるために、商品開発センターにおいては、基礎・応用技術の研究開発を主体に、各事業部の技術部門においては、所管事業に関する新製品、新製法の開発を主体に、それぞれが連携をとりながら長年にわたって培ってきた経験と実績を生かして研究開発活動を実施しております。また、各生産子会社は、所管製品に関連する事業部との密接な連携のもとに新製法の開発を主体に取り組んでおります。当連結会計年度におけるセグメント別の主な研究開発成果は次のとおりであります。 (1) 商品開発センター独自性のあるIoT製品に貢献する技術開発を行っています。電気接続技術分野では従来からの小型化や薄型化といった要求に加え、折り曲げスマートフォンやウェアラブル機器に代表されるような電子機器の多様化に伴い、柔軟性や伸縮性などの特性が要求されています。このような要求に応えるべく粘着性のフィルム型コネクタ(Film Type Connector:以下FTC)の開発に取り組んでおり、FTCが示す柔軟性を小型携帯機器内実装の省スペース化に活用した製品開発を進めています。また、FTCの示す柔軟性と伸縮性が、動きや振動を伴うデバイスに対して有効性を実証し、製造設備、ヘルスケア、モビリティ用途向けにFTCを利用したセンサモジュール試作を進めると共に、その事業性を調査しております。IoT領域における鍵技術のひとつであるセンサ・解析分野では、独自のMEMS加速度計を用いた高精度センサシステムの構造物診断市場への参入を目的とする実証実験を継続しています。具体的には高速道路などの大規模インフラに対する劣化診断システム開発を目指し、課題抽出とその解決に向けた取り組みを継続し、事業性を調査しております。また、高精度センサに関する要素技術開発として、産学連携により独自の電気化学センサや量子センサなどの技術開発も進めております。電気化学センサ開発では、生体組織片を測定対象として小型多点電気化学測定装置「JEC-200」を開発しました。さらに、測定対象を小さくし、ウイルスなどの生体物質の多数検体同時検査を目指したシステム試作を進めております。量子センサ開発では資源探査で重要となるジオイド計測応用の可能性を実証し、自動運転などに貢献すべく高感度化を図っております。さらに、センサ設計技術やコイル製造技術などを利用して、SDGsに寄与するヘルスケア、環境、海洋などの用途に向けたIoT製品の試作も進めており、新たな市場創出を目的として、実証実験への参画、オンライン展示会への出展などを行っております。一方、モノづくり面では自動車関連製品群に向けて材料分析技術や電磁両立性(EMC)解析技術、潤滑や摩耗といった現象に関するトライボロジー技術の磨き上げに注力しました。これらの活動の一環として、第15回電子回路世界大会において撥水加工手法の新提案に関する論文が最優秀論文賞を受賞しました。 (2) コネクタ事業製品開発では、ICT機器市場向けとして、業界最小クラスの端子間ピッチ0.3mm、製品幅1.6mm、嵌合高さ0.6mmの電源端子付き小型スタッキングタイプ基板対基板(FPC)コネクタ「WP56DK」シリーズを開発しました。USB Type-C®コネクタ「DX07」シリーズでは、最新の規格であるUSB4™及びThunderbolt™4に対応した製品を開発してラインナップを充実するとともに、高速伝送信号(USB3.2 Gen2規格)を増幅するIC部品を搭載して長尺(~5m)伝送を可能にするハーネス製品を開発しました。自動車市場向けには、カメラ等の車載情報通信機器向けの高速伝送用コネクタ「MX79」シリーズで、近年の厳しいEMC要求に対応したグランド強化品及びロックレバー位置変更品の開発、また、電動車向けに、大電流接続信頼性と堅牢性を備えたコネクタ「MX70B」シリーズの開発を推進しました。産機市場向けでは、基板間の位置ずれ吸収機能を有した、5G基地局向け6GHz対応の高速伝送コネクタ「CP08」シリーズを開発しました。生産技術開発では、製品競争力を高めるために、生産性向上、投資費用の大幅抑制、製品立ち上げリードタイム短縮を可能とする新型組立自動機を開発して量産ラインに投入するとともに、国内外生産拠点における生産性と品質の改善のために、IoTを活用したSmart Factory化を進めております。また、ICT機器市場向け製品を構成する部品の更なる微細精密加工、電動車向け製品用の高導電材部品の加工においても、各種ものづくりシミュレーション技術を積極的に活用し、顧客満足を実現すべく技術開発に取り組んでおります。基盤技術開発では、次世代製品として製品化した、スマートテキスタイル向け洗濯対応スナップボタン型コネクタ「RK01」シリーズの量産を開始し、後継小型化品の開発を推進しました。要素技術開発では、アクティブハーネスや車載モジュール等の高速伝送性能向上と電磁ノイズ低減のために統合設計環境と解析評価環境を構築しました。また、大電流コネクタ接点の長寿命化研究、太径電線とコンタクトの結線技術開発、液冷技術研究を推進しました。加えて、新事業である小型・高性能アンテナについて、アンライセンス周波数帯である2.4 GHz帯、5 GHz帯および920 MHz帯の3つの周波数帯に対応する「AN01」シリーズを開発しました。また、「Wi-Fi 6E」新規格及び縦偏波に対応するアンテナの研究開発を推進しました。 (3) インターフェース・ソリューション事業車載用タッチパネル技術開発では、自動車のCASEにおける技術革新に伴うディスプレイの大型化や高精細化、多様なデザインニーズに対応した、メタルメッシュ電極を活用した額縁配線のない全面透明なタッチパネル「Full Touch Sensor ™」を開発しました。また、車室内の外光による画面の反射や映り込みを抑制する低反射化技術、タッチ部の指紋目立ち性や拭き取り性を改善する表面処理技術の開発を行い、操作性や視認性、耐指紋への改善など、更なる高機能化に向け取り組んでおります。産機・インフラ市場向けには、産機環境における静電タッチパネルのノイズ耐性及びユーザビリティ確立の為、タッチ検出アルゴリズムの最適化を行いました。また、工作機械環境における切削液等の化学的影響に対する高い耐久性に加え、確実な操作性を実現する操作スイッチの開発を行っております。 (4) 航機事業産機市場向け慣性計測装置の製品開発として、i-Construction、スマート農業及び産業用ドローンを含む無人機などの自動運転のセンサとして使用する小型IMUについて、更なる実用化に向けたアルゴリズムの最適化、信頼性、耐環境性対応技術の研究を継続しています。基幹センサである高精度光応用センサにおいては、新しい制御則による性能改善を研究しており、中精度光応用センサにおいては、光学系の要素技術を研究し、製品化に向けた取り組みを行っております。更に、アビオニクスにおいては、将来機器への適用を目指し、モデルベース設計手法において、センサ及び制御則モデルを構築し、評価を進めております。 以上の研究開発費総額は11,146百万円であります。
FY2020|2,528 文字
5 【研究開発活動】当社グループは、グローバルな視点での事業運営と顧客価値の追求に徹し、優れた製品をタイムリーに市場に供給するため、グローバルマーケティング力の強化及び技術開発力の強化を積極的に推進しております。これを牽引し支えるために、商品開発センターにおいては、基礎・応用技術の研究開発を主体に、各事業部の技術部門においては、所管事業に関する新製品、新製法の開発を主体に、それぞれが連携をとりながら長年にわたって培ってきた経験と実績を生かして研究開発活動を実施しております。また、各生産子会社は、所管製品に関連する事業部との密接な連携のもとに新製法の開発を主体に取り組んでおります。当連結会計年度におけるセグメント別の主な研究開発成果は次のとおりであります。 (1) 商品開発センター小型携帯機器、自動車などで利用される電気コネクタ開発では、従来からの小型化や薄型化に加え、折りたたみスマートフォンに代表されるような電子機器の多様化に伴う柔軟性や伸縮性などの特性が課題となっております。このような課題に対応した粘着性のフィルム型電気接続技術を開発し、電子回路基板の柔軟性を小型携帯機器内の実装の省スペース化に利用するモノづくり改革の進展に対応した製品開発を目指しております。このフィルム型電気接続技術の示す柔軟性と伸縮性は「動きのあるデバイス」に優位性を持つことが分かり、ロボット用途のフレキシブルな触覚センサモジュールに当該技術を適用した「ロボットハンド用グローブ型センサモジュール」は、日刊工業新聞社主催の2019年「超モノづくり大賞」奨励賞を受賞しました。現在、配線用の伸縮材料開発などの要素技術開発と共に、ウェアラブル機器や次世代型の生産ロボット、介護ロボットに広く適用可能となる配線接続およびフレキシブルなセンサモジュールの試作を行いながら事業性を調査しております。IoT製品の鍵技術のひとつであるセンシングモジュール関連の開発では、独自のMEMS加速度計を用いて高精度のセンサシステムを試作し、構造物診断市場への参入を目的とする実証実験を通じ、劣化診断システムに要求される課題抽出とその解決に向け取り組んでおり、高速道路などの大規模なインフラに対する劣化診断システムを目指し、事業化企画を進めております。また、高精度センサに関する様々な要素開発として、独自の電気化学計測および量子センサなどの技術開発も進めております。量子センサ開発においては、文部科学省の大型プロジェクトに参画し、断層調査や資源探査に重要なジオイド計測の可能性の実証を進め、自動運転などで必要となるセンサ技術への醸成を図る予定です。更に、当社の有するセンシングデバイス設計技術やコイル製造技術などを利用し、ヘルスケア、環境、海洋などの産業向けの様々なIoT製品の試作を行い、新たな市場創出を目的とした事業性の調査を進めております。(2) コネクタ事業製品開発では、ICT機器市場向けとして、USB Type-C™コネクタ「DX07」シリーズに、充電用等に需要の多い、省スペース、低価格な16芯製品をラインナップしました。自動車市場向けでは、環境車向けに、モーター近傍の高温に対応した、省スペースのコネクタ「MX71」シリーズの開発、エアバッグの起爆装置用コネクタとして、欧米で標準的に採用されているAK規格準拠製品の「MX72」シリーズを開発しました。産機市場向けには、ロボット、工作機械等の基板間接続用として、高速伝送、かつ2点接点による高い接触信頼性を実現したフローティングコネクタ「AX01」シリーズを開発しました。生産技術開発では、自動化による安定品質、高速加工、高稼働加工に加え、変量多品種生産用設備の製作リードタイム短縮、設備費用削減を目的とした汎用設備開発を進めております。また、成形、プレス、表面処理加工においてはシミュレーション技術の積極的活用による製品開発、改善活動を推進し、顧客要求に応えるべくものづくり力の強化を図っております。基盤技術開発では、次世代製品開発として、洗濯対応及び多種導電素材対応の研究を実施し、スマート衣料向けコネクタ「RK01」シリーズを製品化しました。要素技術開発では、高速伝送コネクタの設計・解析環境を充実させたほか、大電流コネクタ接点の長寿命化や、太径電線とコンタクトの結線技術などの大電流に関する研究を進めました。(3) インターフェース・ソリューション事業車載静電タッチパネル技術開発では、車載ディスプレイの大型化トレンドに対応した、メタルメッシュ電極センサの機能向上、生産性改善に取り組んでおります。特にフィルム型メタルメッシュセンサでは、インク等の各種物性を分析し高精細印刷への最適化を実現したことにより、歩留まりの改善を図りました。またタッチパネル製品のカバー部品では、表面の反射光抑制等の外観見栄えやタッチ部表面の清掃性改善など、更なる高機能化に向け取り組んでおります。産機・インフラ市場向けには、静電センサのノイズ耐性及びユーザビリティを向上する開発を行いました。またロボット用ティーチングペンダントの開発では、材料の選定や制御部の機能集約などの改善により、軽量化と耐衝撃性能を向上した製品の開発が完了し、量産化に向けた取組みを行なっております。 (4) 航機事業産機市場向け慣性計測装置の製品開発として、i-Construction、スマート農業及び無人機などの自動運転のセンサとして使用する小型IMUについて、更なる実用化に向けたアルゴリズムの最適化および環境・EMC対応技術の研究を継続しています。基幹センサである高精度光応用センサにおいては、新しい制御則による性能改善を研究しており、中精度光応用センサにおいては、光学系の要素技術を研究し、小型・高性能の市場要求に対応するための機能・性能改善を進めています。更に、アビオニクスにおいては、将来機器への適用を目指し、モデルベース設計手法の研究を進め、具体的なモデル構築による評価を開始しております。 以上の研究開発費総額は11,158百万円であります。
FY2019|2,459 文字
5 【研究開発活動】当社グループは、グローバルな視点での事業運営と顧客価値の追求に徹し、優れた製品をタイムリーに市場に供給するため、グローバルマーケティング力の強化及び技術開発力の強化を積極的に推進しております。これを牽引し支えるために、商品開発センターにおいては、基礎・応用技術の研究開発を主体に、各事業部の技術部門においては、所管事業に関する新製品、新製法の開発を主体に、それぞれが連携をとりながら長年にわたって培ってきた経験と実績を生かして研究開発活動を実施しております。また、各生産子会社は、所管製品に関連する事業部との密接な連携のもとに新製法の開発を主体に取り組んでおります。当連結会計年度におけるセグメント別の主な研究開発成果は次のとおりであります。 (1) 商品開発センター小型携帯機器や自動車市場などで利用される電気コネクタ開発では、従来からの小型・薄型化といった課題に加え、折り曲げ可能スマートフォンなどの電子機器の多様化に伴い、柔軟性や伸縮性などの特性が要求されており、粘着性のフィルム型電気接続技術を開発してきました。この技術が与える柔軟性と伸縮性は、フレキシブルな動きのあるデバイスに優位性を持つことが分かり、ロボット用途のフレキシブルな触覚センサモジュールに当該技術を適用しました。また、配線用の伸縮材料開発などの要素技術開発と共に、ウェアラブル機器や次世代型の生産ロボット、介護ロボットに広く適用可能となる配線接続およびフレキシブルなモジュール試作を行っております。センシングモジュール関連の開発では、独自のMEMS加速度計を用いて高精度のセンサシステムを試作し、構造物診断市場への参入を目的とする実証実験を通じて劣化診断システムに要求される課題抽出とその解決に向けた取り組みを継続しており、NECの推進する実証実験に参入し、大規模なインフラ劣化診断システムに資する社会実装を目指します。さらに、高精度センサに関する様々な要素開発として、独自の電気化学計測および量子センサなどの技術開発を進めております。特に、量子センサ開発において、文部科学省の大型プロジェクトに参画し、断層調査や資源探査に重要なジオイド計測の可能性を実証しました。今後は自動運転などで必要となるセンサ技術の醸成を図る予定です。また、センサモジュール開発に必須の各種センサから得られるデータの統合技術についても要素開発を醸成しています。GNSS測位技術を獲得し、GNSSデータと慣性計測装置(IMU)から得られるデータとの統合を図り、スマートコンストラクションやスマート農業などで必要となる機械の自動化を支える統合化技術の獲得を目指しています。(2) コネクタ事業製品開発では、ICT機器市場向けに、当社の電磁界シミュレーション及び評価/検証技術を駆使することで高速・大容量伝送を実現した、VR用USB Type-C™ 準拠コネクタ「DX07」シリーズを開発しました。自動車市場向けでは、電気自動車用中速充電器やV2X(Vehicle to Everything communication)など広い領域で利用可能で、かつ操作性や安全性に配慮しUL、CEなどの海外安全規格に対応したコネクタ「KW03」シリーズを開発しました。産機市場向けには、高速伝送が可能なAOC(Active Optical Cable)コネクタ「RP」シリーズにおいて、市場ニーズに対応したバリエーションの拡充や本格量産に向けた対応を図りました。生産技術開発では、組立・検査工程の超高速自動化設備の開発、協働ロボットを採用したラインの導入を進め、高品質・低価格を実現するとともに、汎用性の高い設備開発を進めました。また、成形、プレス、表面処理加工のシミュレーターによる事前予測を活用したや改善活動を開始しました。基盤技術開発では、次世代製品開発としてスマートウェア市場向けコネクタの研究の他、高速伝送コネクタの要素技術開発、また大電流接続・接続信頼性技術開発として大電流用の接点やめっきの耐摩耗性向上による高信頼性実装・結線技術研究開発を実施しました。(3) インターフェース・ソリューション事業車載用静電タッチパネル製品開発では、自動車のCASE(Connected, Autonomous, Shared & Services, Electric)の動きに伴うディスプレイ大型化に対応したメタルメッシュ電極構造のガラス型タッチセンサの量産を開始しました。既に開発済みのフィルム型と併せ二種類のセンサラインナップで展開しております。またタッチパネル製品のカバー部品では、ラミネート方式のカバーの開発を完了しました。反射やぎらつき抑止等の外観見栄えや、タッチ部表面の清浄性や指滑り性等の各種の特性を有するフィルムをカバー素材に貼り合わせることで高機能を実現し、量産化の対応に取り組んでおります。産機・インフラ市場向けの操作ユニット製品開発において、工作機械ノイズへの耐久性に優れた静電センサの開発が完了し、本静電センサを搭載する表示器ユニットの量産化に向け取り組みを行なっております。また、組込みOSを搭載した軽量型ハンディーターミナルの開発・量産化が完了し、市場ニーズに合わせた応用展開に取り組んでおります。 (4) 航機事業産機市場向け慣性計測装置の製品開発として、スマートコンストラクション、スマート農業及び無人機などの自動運転のセンサとして使用する小型IMUについて、実用化に向け機能拡張・精度向上の研究を行っております。基幹センサである高精度光応用センサにおいては、データ収集及び解析を実施し、更なる改善を行いました。また、将来に向けて高精度角速度センサの要素試作モデルを評価しています。更に、アビオニクスについて、将来機器への適用を目指し、モデルベース設計手法の研究を進めています。 以上の研究開発費総額は10,331百万円であります。
FY2018|2,201 文字
5 【研究開発活動】当社グループは、グローバルな視点での事業運営と顧客価値の追求に徹し、優れた製品をタイムリーに市場に供給するため、グローバルマーケティング力の強化及び技術開発力の強化を積極的に推進しております。これを牽引し支えるために、商品開発センターにおいては、基礎・応用技術の研究開発を主体に、各事業部の技術部門においては、所管事業に関する新製品、新製法の開発を主体に、それぞれが連携をとりながら長年にわたって培ってきた経験と実績を生かして研究開発活動を実施しております。また、各生産子会社は、所管製品に関連する事業部との密接な連携のもとに新製法の開発を主体に取り組んでおります。当連結会計年度におけるセグメント別の主な研究開発成果は次のとおりであります。(1) 商品開発センター小型携帯機器、自動車・輸送機器、及びインフラ設備市場などで利用される電気コネクタの開発では、コネクタの小型化や薄型化といった課題が普遍的ではありますが、IoT化に向けたトレンドとして、大電流化や柔軟性・伸縮性など、コネクタ開発に求められる要求は拡張しております。このような背景の下、当センターではIoT時代を見据えた粘着性のフィルム型コネクタを開発してきました。この開発のなかでの大きな課題は電極形成の生産性です。電極形成手法のひとつとして印刷技術を立ち上げ、その有効性を明らかにし、2017年“超”モノづくり部品大賞の電気・電子部品賞を受賞することが出来ました。更に、ウェアラブル製品をはじめとするヘルスケアIoT向けのアプリケーションに広く展開可能となる柔軟かつ伸縮可能なセンサモジュールの試作を行い、フレキシブルなエレクトロニクス用途の電気接続・実装部品に要求される課題を抽出しております。センシング機器関連の開発では、独自のMEMS加速度計を用いて高精度のセンサシステムを試作し、構造物診断市場への参入を目的とする社会実証実験を通じて劣化診断システムに要求される課題抽出とその解決に向けた取り組みを継続しております。また、センサシステムの開発と共に、さらなる高精度センサの要素開発にも着手しております。具体的には独自の電気化学計測技術および量子センサなどの技術開発を進め、自動運転やロボットなどで必要となる技術を先行的に蓄積しております。特に、量子センサ開発においては、文部科学省の大型プロジェクトに参画し、開発を加速しております。その他、モノづくり分野では、金型などの製品化ツールの超長寿命化を目的として、粒子ビーム照射技術によるツール刃先の耐摩耗化技術を確立し、製品へ適用しております。(2) コネクタ事業製品開発では、ICT機器市場向けに、USB Type-C™準拠コネクタ「DX07」シリーズに対する防水、ローコスト等の市場ニーズに対応した製品ラインナップの拡張を行いました。自動車市場向けでは、主に車載カメラ用途のデジタル伝送対応コネクタ・ハーネスとして、欧州標準のHSDコネクタに準拠し、かつ多彩なバリエーションをもつコネクタ「MX65」シリーズを開発しました。インフラ関連では、データセンタ向け25Gbps対応I/Oコネクタについて、量産化に向けた各種シミュレーションなどの基礎評価、試作を行い、高速伝送特性評価を完了しました。生産技術開発では、組立・検査工程における超高速自動化設備の開発を進め、高品質・低コストを実現しました。またより汎用性に富んだ設備開発にも着手しております。精密めっき加工技術開発では、コネクタ端子めっき工程の効率化を進め、従来に比べ、品質向上及び高速化を図りました。基盤技術開発では、次世代製品開発としてAR/VR市場向け超薄型接続コンセプトの研究及び試作品の製作、ハーネス品の振動衝撃応答解析技術の開発、大電流用特殊めっきの研究開発、SMT実装強度の研究等を実施しました。(3) インターフェース・ソリューション事業車載用静電タッチパネル製品開発では、自動運転を見据えて進んでいる先進運転支援システム(ADAS)やコネクテッド化に伴うディスプレイの大型化に対応するため、タッチセンサの高感度化を進めており、センサ電極をメタルメッシュ構造とするセンサを開発し、フィルムセンサ製品の量産を開始しました。また、ガラスセンサ製品への適用も完了し、量産化に向け取り組んでおります。産機・インフラ市場向けには、産業機器向けの操作ユニット機器開発において、組込みOSを搭載したハンディーターミナルを開発し、製品量産化に向け取り組んでおります。また、工作機械向け操作パネル機器開発において、低背でスムーズな動作が出来る構造により、優れた操作感覚が得られるスイッチ開発を進めており、工作機械向け操作パネルなどへ適用するための取り組みを行っております。(4) 航機事業基幹センサである高精度光応用センサにおいて、生産技術、使用部品及び信号処理/調整方法について更なる改善を図り、精度及び生産の安定性を向上しました。あわせて、将来に向けて高精度角速度センサの研究を継続するとともに、MEMSセンサを使用した小型IMUの実用化のための研究を行っております。更に、アビオニクスについて、将来を見据えた新しい設計手法の研究を実施しております。 以上の研究開発費総額は96億12百万円であります。
FY2017|2,122 文字
6 【研究開発活動】当社グループは、グローバルな視点での事業運営と顧客価値の追求に徹し、優れた製品をタイムリーに市場に供給するため、グローバルマーケティング力の強化並びに技術開発力の強化を積極的に推進しております。これを牽引し支えるために、商品開発センターにおいては、基礎・応用技術の研究開発を主体に、各事業部の技術部門においては、所管事業に関する新製品、新製法の開発を主体に、それぞれが連携をとりながら長年にわたって培ってきた経験と実績を生かして研究開発活動を実施しております。また、各生産子会社は、所管製品に関連する事業部との密接な連携のもとに新製法の開発を主体に取り組んでおります。当連結会計年度におけるセグメント別の主な研究開発成果は次のとおりであります。(1) 商品開発センター従来からのコネクタ設計手法の基盤である機構設計技術に加え、新たに材料・プロセス設計技術をベースに取り込み、柔軟で折り曲げ可能なフレキシブル電気接続・実装技術の醸成を図ってきました。この技術を基にウェアラブル製品のようなIoT向けアプリケーションに広く展開可能となるフレキシブルな振動センサモジュールを試作し、2017年国際ナノテク展へ出展しプリンタブルエレクトロニクス2017アプリケーション部門賞を受賞することができました。また、この試作品を通じてフレキシブルエレクトロニクス用途の電気接続・実装部品に要求される課題を抽出し、その解決に向けた取り組みと量産レベルに対応する配線製法開発の醸成を図っております。センシング機器関連の開発では、独自のMEMS加速度計を用いて高精度のセンサシステムを試作し、構造物診断市場への参入を目的とする産学連携での軍艦島プロジェクト等を通じて劣化診断システムに要求される課題抽出とその解決に向けた取り組みを行っております。一方、ライフサイエンス市場への参入を目指した活動として、高精度のバイオLSI計測システムを試作し、再生医療分野などでの課題を抽出すべくマーケティングを加速しております。その他、モノづくり技術分野では、金型や切削などの製品化ツールのメンテナンスフリーを目指した新たな表面改質技術を開発し、その可能性を実証し製品適用を検討しております。その他、接続部品やセンサ部品への撥水性付与や超小型・薄型化対応に向けて、新たな材料加工/微細加工技術の検討を進め、独自撥水技術の製品適用や低接圧型の防水接続機構を開発しました。(2) コネクタ事業製品開発では、ICT機器市場向けに、USB Type-C™認証品であるスリムタイプコネクタ「DX07」をインターフェースとした、USB3.1 Gen1(転送速度5Gbps)、Gen2(同10Gbps)に対応した高速機器間接続ハーネス製品を開発・量産化しました。自動車市場向けでは車載用USB2.0コネクタハーネスとして、従来品と同等性能を確保しながら小型化・ケーブルの細径化を図った、「MX59」コネクタを開発しました。インフラ関連では、データセンタ向け25Gbps対応I/Oコネクタの量産化に向けて開発の推進を図っております。生産技術開発では、超高速画像検査技術の開発により、組立てから検査までの一貫自動生産工程において、高品質を維持しながら原価低減を実現しました。また、精密めっき加工技術開発により、コネクタ端子めっき工程の効率化を進め、高品質と工程の高速化の両立を実現しました。基盤技術開発では、振動/衝撃や熱解析技術開発として、組立て時のハウジング破損リスク予測技術の研究、高精度ジュール熱解析技術の適用を開始しました。また、大電流接続/接続信頼性技術開発として、太径電線接続技術及び高信頼性接触技術の研究開発を行いました。(3) インターフェース・ソリューション事業車載用静電タッチパネル製品開発では、運転支援システム(ADAS)の進化やコネクテッド化のトレンドに伴うディスプレイの大画面化に対応するため、センサの高感度化を図っており、電極を従来のITOでは無いメタルメッシュ構造とするセンサ開発を進めております。先行して開発したフィルムセンサへの適用が完了し、続いてガラスセンサにおいてもメタルメッシュ仕様の製品量産化に向け取り組んでおります。産機・インフラ市場向けには、産業用ロボットのティーチングペンダント開発において、本質安全防爆構造型の製品を開発・量産化しました。また、工作機械向け機器開発において、優れた操作感覚、良好な視認性の照光型スイッチを用い、さらに長期耐久性も備えた構造の操作パネルの開発が完了し、量産を開始しました。(4) 航機事業基幹センサである高精度光応用センサにおいて、生産技術改善に取り組み、使用部品の改良、信号処理/調整方法の改善により、精度向上、生産の安定化を実現しました。また、従来のジャイロに替わり、角速度を測定できるセンサの実用化のための基礎研究を継続し、データの収集を行いました。更に、将来を見据えた新しい考え方のアビオニクスについての研究を引き続き実施しております。 以上の研究開発費総額は92億52百万円であります。
FY2016|1,907 文字
6 【研究開発活動】当社グループは、グローバルな視点での事業運営と顧客価値の追求に徹し、優れた製品をタイムリーに市場に供給するため、グローバルマーケティング力の強化並びに技術開発力の強化を積極的に推進しております。これを牽引し支えるために、商品開発センターにおいては、基礎・応用技術の研究開発を主体に、各事業部の技術部門においては、所管事業に関する新製品、新製法の開発を主体に、それぞれが連携をとりながら長年にわたって培ってきた経験と実績を生かして研究開発活動を実施しております。また、各生産子会社は、所管製品に関連する事業部との密接な連携のもとに新製法の開発を主体に取り組んでおります。当連結会計年度におけるセグメント別の主な研究開発成果は次のとおりであります。(1) 商品開発センター高密度実装やウェアラブル機器用途として、従来のコネクタとは異なる柔軟で折り曲げ可能なフレキシブル電気接続技術の開発に取り組み、機能性材料技術を基盤として数種類のフレキシブルな電気接続部品を試作しました。この試作を通じて、次世代のコネクタに要求される新たな用途と実用化に向けた課題を抽出し、その解決に向けた取り組みと量産レベルに対応する製法開発の醸成を図るとともに、社会実証実験へも参入しております。センシング機器に関連する開発では、MEMS加速度計を用いた高精度センサシステムを開発しており、土木・建設分野の社会実証実験への参入を通じて、当該分野で実用レベルのセンサシステムに要求される課題解決に向けた取り組みを図っております。一方、モノづくり技術分野では、金型や切削などの製品化ツールを長寿命化するために、ガスクラスタイオンビーム(GCIB)技術を基盤とした微細加工技術による刃先の耐摩耗技術を確立しました。また、製品ツールのメンテナンスフリーを目指した新たな表面改質技術にも取り組んでおります。その他、接続部品やセンサ部品の防水や小型薄型化などの要求に対応するために新たな材料加工・微細加工技術の検討を進め、独自の撥水技術を事業部と共同開発し製品に展開しております。(2) コネクタ事業製品開発では、ICT機器向けには、USB Type-C™標準規格コネクタをインターフェースとした、高速機器間接続ハーネス製品の開発を行いました。自動車関連では、環境車向け電源回路遮断用コネクタや、従来品に対し同等性能を維持しながらも小型化を図った車載ボディ用コネクタを開発しました。インフラ市場には、映像伝送やデータセンターに適用可能なAOC(Active Optical Cable)の開発を推進し、製品展開を図りました。生産技術開発では、ICT機器、車載用コネクタを中心に、高速成型技術開発及び超高速自動組立機の開発に注力し、低コスト・高品質を両立させたモノづくりを実現しました。また、金属3Dプリンタ技術を駆使し、試作工程のリードタイム短縮化に取り組んでおります。基盤技術開発では、市場における伝送速度の高速化ニーズに対応するため、各種解析精度の向上、測定技術の高精度化を図り、伝送諸特性の向上や製品設計の効率化を実現しました。その他、ジュール熱解析技術に基づく大電流用コネクタの設計ツールの開発を完了しました。(3) インターフェース・ソリューション事業車載用静電タッチパネル製品開発では、インストルメントパネルとのシームレスなデザインニーズに適した静電タッチパネルフィルムタイプのセンサを内製化技術で確立し、量産化の準備を進めております。また、ガラスセンサ製品においては、従来構造を見直した高品質・低価格な新型センサを開発し、製品展開を図りました。産機・インフラ分野向け製品開発では、産業用ロボットの教示向けティーチングペンダントの開発において、本質安全防爆構造を持つ防爆製品の開発を行いました。また、工作機械及びインバータ機器では、優れた操作感覚、長期耐久性、スイッチ照光による良好な視認性を持つ操作パネルを開発し量産化の見通しを立てました。(4) 航機事業基盤デバイスである慣性センサの内、高精度光応用ジャイロにおいて、引続き性能安定と生産安定のための生産技術開発に取り組み、使用部品の改良、信号処理の改善により大幅な歩留まり向上を実現しました。また、従来の機械式ジャイロに替わり、光ジャイロにより角速度を測定できるセンサの実用化のための基礎研究を継続し、データの収集を行いました。更に、将来を見据え、従来と異なる新しい考え方のアビオニクスについての研究を開始しました。 以上の研究開発費総額は91億76百万円であります。