研究開発費(時系列)
| 年度 | R&D費用(億円) | 設備投資(億円) |
|---|---|---|
| 2025-03 | - | 22 |
| 2024-03 | - | 30 |
| 2023-03 | - | 38 |
| 2022-03 | - | 37 |
| 2021-03 | - | 43 |
研究開発活動(本文)
FY2025|6,847 文字
6【研究開発活動】当連結会計年度の研究開発投資(無形資産に計上された開発費を含む)の内訳は、次のとおりです。 セグメントの名称当連結会計年度 売上収益比率(%)通信計測事業7,276百万円 10.4PQA事業1,663百万円 5.9環境計測事業512百万円 6.0その他の事業142百万円 2.3基礎研究開発284百万円 -合 計9,879百万円 8.7 また、セグメント別の主な研究開発成果は次のとおりです。 (1) 通信計測事業1) ME7873NR/ME7834NR RF/プロトコル コンフォーマンス試験・通信事業者受入試験システムの規格追従による機能強化コンフォーマンス試験は、モバイル通信サービスの品質を保つための世界的な評価基準で、世界中の通信事業者に広く受け入れられています。また、多くの先進的な通信事業者は、このコンフォーマンス試験に加え、独自の端末品質評価体系を整備し、運用しています。ME7873NR及びME7834NRは、RFとプロトコルそれぞれのコンフォーマンス試験及び通信事業者受入試験に対応した自動試験システムです。すでに数多くの試験機能が認証団体(GCFやPTCRB) (*1)や大手通信事業者に認証され、実際の5G端末コンフォーマンス認証試験や端末受け入れ試験に使用されています。当社はテストシステムの機能強化により、導入が進んでいるIoT機器向けの通信規格RedCapや衛星を使用した通信網NTN(Non-Terrestrial Network)の認証に対応しました。また、LTEおよび5Gを使用した欧州の次世代車載緊急通報システムであるNG-eCallのGCF認証も取得し、スマートフォン以外を対象とした認証へと対応を広げました。加えて、大型化の一途をたどるテストシステムの利便性を向上する簡易構成モデルや、多様化する被試験体へ試験環境を提供するためのOTA試験にも対応することで、より多くの通信端末の認証試験への使用を可能としました。引き続き、日本及び米国の主要通信事業者7社の端末受入試験を提供する唯一のメーカーとして、5G端末の品質向上に貢献します。 2) Virtual Signaling Testerの開発モバイル通信は、IoT市場向けのRedCapやモバイル通信のカバレッジ拡張、災害等の非常時におけるネットワークとして期待されるNTN技術が進む中、Beyond5G/6Gへの検討が進められています。通信用チップセットの開発においてはシフトレフト化が進んでおり、半導体設計の初期段階で行われる検証プロセスが重視されてきています。当社は、このような状況を踏まえ、仮想環境での5Gネットワークシミュレータ Virtual Signaling Testerを開発し、販売を開始しています。引き続き、Beyond5G/6Gの社会実装に貢献すべく、先端技術への対応を継続しています。 3) MT8000A/MD8475B 車両緊急通報システムeCallテスタ機能強化eCall (Emergency Call)は、交通事故発生時にモバイルネットワークを介してIVS(車載システム)からPSAP(Public Safety Answering Point)と呼ばれる緊急連絡センターへ自動通報を行う緊急通報システムです。欧州連合(EU)では、新型車両へのeCallシステムの搭載が義務化され、その後各国への導入が拡大しています。また、自動車安全テストを実施しレーティングを公表する団体、例えばEuro NCAPにおいても消費者視点の安全性指標として採用されており、安全・安心なモビリティ社会の実現に向けたコネクテッドサービスの一つとして、その重要性が高まっています。近年、モバイルネットワークの世代交代・共存からeCallも従来の2G/3Gから4G化(NG-eCall)の規格が策定され、欧州では2026年1月1日から義務化が予定されています。幅広いお客様にご使用いただいている当社eCallテスタを、本製品の特徴である実ネットワークを想定した各世代間の相互運用試験としてご使用いただけるよう4G/5G対応させることで2G~5G全世代に対応できるようになりました。また本製品は、EU規格にて規定された適合性試験にも対応し、認定機関から試験機器として認定されています。当社は本ソリューションを通じて、実ネットワーク運用で必要な機能評価のほか、規格準拠した適合性試験に対応することで、車載機器の品質向上に貢献します。 4) MT8862A IEEE802.11be(Wi-Fi 7) MIMO機能追加スマートフォン・タブレット端末等を用いた4K/8Kなどの動画の再生、ウェアラブルデバイスでのAR(拡張現実)/VR(仮想現実)技術を活用したサービスの拡充、工場・医療機器における制御・遠隔監視アプリケーションなどWLAN(Wireless LAN)搭載機器のユースケースは広がり続けています。IEEE(米国電気電子学会)は増加するデータトラフィック需要に対応するため、最新WLAN規格IEEE 802.11be(Wi-Fi 7)で320 MHzチャネルへの広帯域化、変調方式の4096QAMへの多値化によるWLAN搭載機器の最大通信速度の高速化が進み、複数アンテナを使用するMIMO技術の評価に関する重要性が高まっています。当社は、ワイヤレスコネクティビティテストセット MT8862Aの機能を拡張し、Wi-Fi 7の2x2 MIMOに対応させました。本製品は、デバイスを実動作状態で評価できるネットワークモードの使用により、特別な制御設定が不要で、Wi-Fi 7 2x2 MIMO搭載機器の受信感度や送信パワー測定の測定系を簡易に構築できる特徴を持っています。これにより、WLAN搭載機器の通信品質向上に加えて、通信技術の進化に大きく貢献いたします。 5) MP1900A USB4 v2対応ソリューションの開発4K/8K HD動画の大容量データ転送や、AIを活用したIoT機器間の高速通信の需要増加により、データ転送速度の高速化が求められ、スマートフォンやタブレットPCと周辺機器との通信をサポートするUSB通信の高速化が必要になってきています。最新のUSB通信規格USB4 v2は、従来のUSB4 v1と比べ、データ転送速度が2倍に高速化されています。そのため、USB Type-Cケーブルを介した、動画データのディスプレイやストレージドライブへの高速転送を、よりスムーズに行うことが可能です。一方で、Baud(*2)レートの高速化とPAM3(*3)変調の採用により、USB4 v2通信時に生じるノイズや信号の揺らぎ(ジッタ)が、通信速度の低下や通信品質劣化を引き起こすことが考えられます。そのため、USB4 v2のレシーバ評価では、USBデバイスのデータ送信規格より高品質な信号を用いる必要があります。加えて、高品質な信号にノイズやジッタを擬似的に付加して通信品質の悪い状態を模擬して評価を行えるパターン発生器(PPG)が求められています。当社はシグナルクオリティアナライザMP1900A用にUSB4 v2に対応したソフトウェアを開発しました。MP1900Aは同ソフトウェアを搭載することで低ジッタ・高品質波形性能により、確かなレシーバテストをサポートします。さらに、USB接続時に安定した通信状態を確立するための最新のUSB4 v2コンプライアンステスト仕様もサポートしています。本ソリューションの提供を通じて、USB4 v2搭載機器の接続性改善、通信品質向上に貢献します。 6) MT1040AおよびMS9740Bを用いた光伝送路品質測定技術の開発従来のネットワークインフラの限界を超えた高速大容量通信や膨大な計算リソースを提供可能なネットワーク・情報処理基盤の実現のため、IOWN構想がNTTによって主導されています。そのIOWN構想における主要技術分野の一つとして、ネットワークに対する社会的要請である光伝送の低消費電力化、高品質・大容量化、低遅延化を実現するAPN(オールフォトニクス・ネットワーク)が掲げられ、その活用に向けた研究開発がNTT各研究所を中心として進められています。APNにおいては、DCO(デジタルコヒーレントオプティクス)を活用した多様な光送受信装置の接続が想定されており、光伝送路の異常に早期に対応する品質管理技術が求められます。当社はNTT NIC(ネットワークイノベーションセンタ)と共同して、光伝送路の品質評価指標であるGSNR(Generalized Signal-to-Noise Ratio)を推定する技術を開発しました。本技術では、当社製品であるネットワークマスタプロMT1040Aと光スペクトラムアナライザMS9740Bを使用し、評価対象の光伝送路を通過したDCO信号を測定・解析を行うことで、高確度でのGSNR推定に成功しました。本成果はNTT NICと当社の連名にて特許出願され、また、電子情報通信学会ネットワークシステム研究会での発表論文として掲載されました。 7) 標準化活動通信計測事業における研究開発活動の重要な取り組みのひとつとして、国内外の標準化活動へ積極的に参画しています。情報通信産業における最先端の知識・技術を常に製品へ反映し、競争力に優れたソリューションをタイムリーに提供するために、主要な標準団体として現在3GPP、ITU-T、IEEE、PCI Express、IOWN等へ参加し、4G/5G、データセンター、IoT/M2M、コネクテッドカーといった有線・無線通信事業の戦略立案や情報収集に役立てています。特に移動通信システムの規格を策定する3GPPにおいては、 基地局と携帯端末の通信手順試験用コンフォーマンステスト(端末認証試験)の仕様策定に際し4G/5Gの規格策定段階から参画しています。国内外の通信オペレータ、チップセットベンダ、端末ベンダとも協業し、今年度はNTN, AI/Machine Learningなどのリリース18、19規格策定および、既存規格保守に取り組みました。中でもNTNにおいては低軌道衛星(LEO-600等)が地球上空を周回する際の衛星軌道、信号伝送遅延、周波数ドップラーシフトの計算法の検討に貢献しました。これら試験規格を端末の認証試験用プログラムとして四半期毎に製品に取り込んでおり、認証団体(GCFやPTCRB)を介して無線通信端末の市場投入をサポートしています。また、PCI Express(*4)の規格を主導するPCI-SIGに参画し、次世代規格PCIe6.0/7.0に対応した測定器の開発と検証を通じて標準化の早期確立に貢献しています。またPCI-SIGの定期会合や年に数回行われる認証テストイベントに参加し、対応製品の認証プロセスに寄与しています。この取り組みにより、信頼性の高い測定ソリューションを提供し、技術革新を推進しています。また複数ベンダによる光伝送ネットワークの相互接続・運用の実現を推進するOpen ROADM(*5) MSAにおいては、アンリツは2023年からデモメンバとして参画し、2024年にMSAメンバへ加盟しました。相互接続性を検証するテキサス大学ダラス校のOpen Labと協業し、展示会などではオーケストレーションシステムを連携させ、ネットワークの効率的な検証やエンドツーエンドの通信品質モニタの実証実験に取り組み、相互接続の検証提案やサポートに貢献しております。 (*1)GCF/PTCRBGCF: Global Certification ForumPTCRB: PCS Type Certification Review Boardそれぞれヨーロッパ発祥、アメリカ発祥の認証機関であり、携帯端末が3GPPの規格に準拠していることの認証を行うとともに、コンフォーマンステストシステムの認証の役割も担っている。(*2)Baud単位時間あたりの変調回数を表す単位。(*3)PAM3Pulse Amplitude Modulation 3の略。3値の電圧レベルで表現する信号方式の一つ。(*4)PCI ExpressPCI ExpressはPCI-SIGによって策定されたコンピュータの拡張バスの標準仕様で、CPUやメモリなどと通信する為のI/Oシリアルインターフェース。5.0は32GT/s、6.0は64GT/sのデータ転送速度。(*5)Open ROADMROADM技術をオープン化し、複数ベンダ間の相互運用性を確保するための取り組みを行う光通信ネットワークに関する標準規格。 (2) PQA事業1)異物検査の精度と安定性を高めたX線検査機(XR76シリーズ)の開発食品への異物の混入は、消費者の安全や企業ブランドの信用失墜に直結する重大な問題です。また、近年はエネルギーや原材料価格の高騰および生産現場の人手不足が食品製造業の収益を圧迫しており、食品メーカー各社はさらなる品質向上と生産性向上の両立を目指し、生産ラインの自動化・省人化を推し進めています。このような中、品質検査機にはさらなる異物検出感度の向上に加え、誤検出に伴う対象物の再検査や廃棄ロスを最小限に抑えることができる安定した検査性能が求められています。XR76シリーズX線検査機は、従来モデルが持つ長寿命技術を継承しつつ、高感度・高精細化した新型X線センサーと画像処理アルゴリズム技術の高度化により、検査精度が最高約40%向上(*1)し、微細な異物も検出可能になりました。また、判定リミットの設定に余裕が生まれたことで誤検出率を85%低減(*2)することに成功しました。高精度で安定した異物検査を実現したこの新製品は、再検査作業の省力化やフードロスの抑制といった課題解決を支援し、多くのお客様の生産性と品質向上に貢献します。 (*1)検査精度の向上検出可能なステンレス球の最小サイズが、従来モデルの直径0.5mmから0.3mmに向上していることを検証実験で確認しています。(*2)誤検出率の低減凹凸が激しく誤検出しやすい検査対象物を使用し、5000回以上の検証実験を行った結果から算出しています。 (3) 環境計測事業1) 実車試験を模擬したパワートレイン/バッテリ評価ソリューションの開発脱炭素社会の実現に向け、自動車市場では内燃機関からEVやFCVへのシフト(電動化)の動きが急速に進んでいます。EV開発は、更なる高性能化と車種の拡大に伴い、より複雑化・多様化しつつあります。また、新規参入企業の増加により、EV開発競争はグローバルで激しさを増しており、開発期間の更なる短縮が大きな課題となっています。当社子会社である高砂製作所のRZ-X2シリーズ ハイブリッド電源は、多くの自動車・自動車部品メーカーにEV開発におけるパワートレインおよびバッテリ評価用設備として広く採用され、ハイブリッド車を含むEVの普及・性能向上に貢献してきました。当社は、さらなるEV開発の効率化をめざし、モデルベース開発ツールベンダとの協業で、電源装置とモデルシミュレーションを連携させた、より実車試験に近いパワートレイン/バッテリ評価ソリューションの開発を行いました。この新しい評価環境を導入することにより、設計評価における手戻りの発生が抑制され、EV開発の期間とコストが大幅に削減できると期待されています。今後の本ソリューションの開発を継続し、EVの普及を通じて脱炭素社会の実現に貢献してまいります。 2) 広域センサネットワークシステムの開発近年、自然災害の頻発化と激甚化が進む中、災害時に広域かつ迅速に情報を収集する手段の確保が重要性を増しています。国土交通省は、公共インフラ分野における技術開発や技術導入の方向性を示す「電気通信技術ビジョン4」の取り組みとして「センサネットワークによる広域的な情報の収集」を掲げ、情報収集基盤整備の技術開発を推進しています。一方、広域的かつ迅速な情報収集の実現には、広域通信インフラの構築、高信頼性、セキュリティ対策、機器導入・維持管理コストの低減、など多くの課題があります。当社は、災害発生時における広域かつリアルタイムな情報収集システム構築を目指し、国土交通省ビジョン4のプロジェクトに参画、共創パートナーと共同技術研究を開始しました。当社のネットワーク通信技術、制御技術を有効活用し、広域災害情報を迅速に収集できる広域センサネットワークシステム開発を進め、防災・減災の情報インフラ構築に貢献してまいります。
FY2024|7,006 文字
6【研究開発活動】当連結会計年度の研究開発投資(無形資産に計上された開発費を含む)の内訳は、次のとおりです。 当連結会計年度 売上収益比率(%)通信計測事業7,496百万円 10.6PQA事業1,625百万円 6.4環境計測事業417百万円 5.6その他の事業129百万円 2.1基礎研究開発274百万円 -合 計9,943百万円 9.0 また、セグメント別の主な研究開発成果は次のとおりです。 (1) 通信計測事業1) ME7873NR/ME7834NR RF/プロトコル コンフォーマンス試験・通信事業者受入試験システムの機能拡充コンフォーマンス試験は、モバイル通信サービスの品質を保つための世界的な評価基準で、世界中の通信事業者に広く受け入れられています。また、多くの先進的な通信事業者は、このコンフォーマンス試験に加え、独自の端末品質評価体系を整備し、運用しています。ME7873NR及びME7834NRは、RFとプロトコルそれぞれのコンフォーマンス試験及び通信事業者受入試験に対応した自動試験システムです。すでに数多くの試験機能が認証団体(GCFやPTCRB) (注1)や大手通信事業者に認証され、実際の5G端末コンフォーマンス認証試験や端末受け入れ試験に使用されています。当社は、従来のスマートフォン向け通信におけるDownlink 4CC, Uplink MIMOなどデータ速度向上に寄与する機能の認証に加え、IoT市場向けの認証にも対応しました。また、RF、プロトコルコンフォーマンス試験の両方で、5G IoT用途機器向けの通信であるRedCap(Reduced Capability)や NTN(Non-Terrestrial Network)の認証取得を開始しました。通信事業者受入試験に関しては、主に各事業者のSA(Stand Alone)サービスの拡大に向けた試験に対応しました。特に、日本においてはネットワーク障害時の緊急呼試験の検討会に参加し、技術基準適合試験の仕様策定等に貢献しました。引き続き、日本及び米国の主要通信事業者7社の端末受入試験を提供する唯一のメーカーとして、5G端末の品質向上に貢献します。 2) MT8000A ラジオ コミュニケーション テストステーションの機能拡張MT8000A ラジオ コミュニケーション テストステーションは、2018年の販売以来、第5世代通信システム(5G NR)のプロトコル試験、無線特性試験及びアプリケーション機能試験に対応した、チップセットなどのデバイス開発を含むモバイル端末開発用試験プラットフォームとして活用され、LTEネットワークとの組み合わせで5G技術を活用するNSA(Non Stand Alone)方式、およびLTEネットワークに頼らないSA方式、FR1/FR2周波数帯、高速大容量(eMBB : Enhanced Mobile Broadband)/超高信頼性低遅延(URLLC : Ultra Reliable Low Latency Communication)など、様々な方向に進化を続ける5G NR通信技術の普及と発展に貢献しています。5G NR通信は、IoT市場向けのRedCapやモバイル通信のカバレッジ拡張、災害時の非常時におけるネットワークの確保が期待されるNTN技術の導入が進んでおり、当社は、MT8000Aへの機能拡張を進めることで、これらの新しい技術に対する5G端末の評価に貢献してきました。また、MT8000Aは、B5G/6Gで新たな周波数帯として検討が進められているFR3(7.125GHz-24GHz)への対応も進めており、パートナー企業との協業を継続しながら、5Gおよびその先のBeyond 5G/6Gへの発展に貢献すべく、先端技術への対応を継続しています。 3) MT8862A ワイヤレスコネクティビティテストセット IEEE 802.11be(Wi-Fi 7)機能追加IEEE 802.11be(Wi-Fi 7)は、11axに続いて6 GHz帯をサポートし、既存技術を拡張して最大チャネル幅320MHz、最大シンボル数4096QAM、空間多重技術は16ストリームまでをサポートします。無線通信で30Gbps超のデータスループットを低遅延で提供することにより、4Kを超える高解像度のビデオストリーミングやAR(拡張現実)/VR(仮想現実)などの最新アプリケーション・サービスを支える基盤技術となることが期待されています。MT8862Aは、WLAN IEEE 802.11 a/b/g/n/ac/ax/be(2.4GHz帯、5GHz帯、6GHz帯)搭載機器のRF送受信特性測定器です。ダイレクトモードによる柔軟な測定環境の提供に加え、標準WLANプロトコルメッセージング(WLANシグナリング)を使用して、被測定物(DUT:Device Under Test)と接続することで送受信測定が可能となるネットワークモードを搭載しているのが特長です。ネットワークモードは、通信チップとテスタ双方に実装されているデータリンク層通信プロトコルを利用し、通信チップとテスタ間の通信を確立させた実動作状態でRF送受信特性を評価する方法です。当社は、本ソリューションの提供を通じて、有線接続(Conducted)試験によるRF評価のほか、無線接続(OTA:Over the Air)試験(注2)に対応することで、WLAN搭載機器の接続性改善、信号品質向上に貢献します。 4) MP1900A PCI Express 5.0/6.0対応ソリューションの開発AI(人工知能)やML(機械学習)の普及に伴い超高速・大容量に対応するネットワークインフラの整備、およびデータセンターの高速大容量化、省電力化が社会課題となっています。データセンターを構築する伝送装置やサーバでは、内部インターフェースの高速化に向けてPCI Express 5.0(32GT/s) (注3)の採用が進んでおり、MP1900Aは認証機器としてデバイス認証試験(ワークショップ)や、PCI-SIG®の認証試験プログラム設備として採用されています。次世代PCI Express 6.0規格では、信号速度は64GT/sに高速化し、PAM4(Pulse Amplitude Modulation)変調方式やFEC(Forward Error Correction)が採用され、IPや先端デバイスベンダーの研究開発が進んでいます。当社は、自社製の超高速デバイスによる高品質波形生成、高感度測定に加え、試験に必要なPCI Express 6.0 Link Training機能や、FECシンボルエラーのリアルタイム測定によるエラー訂正解析機能を業界に先駆けリリースしました。 5) MT1040A MU104014B OpenZR+測定ソリューションの機能拡張データセンターやメトロネットワークの増設が急速に進む背景には、生成AIやクラウドサービスの普及、DX(デジタルトランスフォーメーション)推進などの社会的要請があります。これまではデータセンター間接続(DCI)には大手通信キャリアが提供する高額なWDM回線が広く使用されていましたが、これに代わり、マルチベンダーの光トランシーバ相互接続を可能にし、100Gから400Gまでの伝送速度を低価格かつ長距離伝送に対応したOpenZR+規格が策定されました。当社は、ネットワークマスタプロ MT1040Aのモジュールとして「400G(QSFP-DD) マルチレートモジュール MU104014B」をリリースし、OpenZR+を使用したデータセンターネットワーク試験に対応しました。 6) 標準化活動通信計測事業における研究開発活動の重要な取組のひとつとして、国内外の標準化活動へ積極的に参画しています。情報通信産業における最先端の知識・技術を常に製品へ反映し、競争力に優れたソリューションをタイムリーに提供するために、主要な標準団体として現在3GPP、ITU-T、IEEE、PCI Express、IOWN等へ参加し、4G/5G、データセンター、IoT/M2M、コネクテッドカーといった有線・無線通信事業の戦略立案や情報収集に役立てています。特に移動通信システムの規格を策定する3GPPにおいては、 基地局と携帯端末の通信手順試験用コンフォーマンステスト(端末認証試験)の仕様策定に際し4G/5Gの規格策定段階から参画しています。国内外の通信オペレータ、チップセットベンダ、端末ベンダとも協業し今年度はNTN, RedCapなどのリリース17、18規格策定および、既存規格保守に取り組みました。中でも5G用ミリ波通信周波数帯(注4)においては国内法整備も考慮し、希少な測定器ベンダとしてバンドn259(40GHz帯通信周波数)のOTA(Over The Air)の測定限界、測定方法の検討、および、測定の不確かさ算出に貢献しました。これら試験規格を端末の認証試験用プログラムとして四半期毎に製品に取り込んでおり、認証団体(GCFやPTCRB)を介して無線通信端末の市場投入をサポートしています。また、PCI ExpressではPCI-SIG®の会合へ参加し、次世代6.0, 7.0の規格化や認証試験に向けた測定手順書の作成、規格化に向けた測定結果の提示、測定課題解決に向けた提案、更にはワークショップでのデバイス認証のための測定サポートを行うなどPCI Expressの普及発展に貢献しています。NTTが主導するIOWN構想では、2023年3月に初めての商用サービスとして、APNを用い低遅延を実現したIOWN1.0の提供を開始されました。2025年に開催される大阪・関西万博においてIOWN2.0サービスの商用化を目指し、IOWN2.0に向け各社共同検証等を発表しています。アンリツはOFC2024においてNTTやテキサス大学ダラス校(UTD)とのIOWN Open APN向けエンドツーエンド通信品質評価の共同検証に参加しました。また、2030年の最終的なIOWN構想実現に向けて、標準化活動や、IOWNの各タスクフォースでの会合に参加するだけではなく、参加企業・団体と協力し、技術の実証実験となるPoC活動にも取り組んでまいります。 (注1)GCF/PTCRBGCF: Global Certification ForumPTCRB: PCS Type Certification Review Boardそれぞれヨーロッパ発祥、アメリカ発祥の認証機関であり、携帯端末が3GPPの規格に準拠していることの認証を行うとともに、コンフォーマンステストシステムの認証の役割も担っている。(注2)OTA (Over The Air)物理的にケーブル接続を行い通信するのに対し、無線での通信、電波の測定を行うこと。5Gのミリ波帯通信信号の携帯端末・基地局内における品質劣化を防ぐために回路の集積化が進められた結果、従来は携帯端末や基地局と測定器間は物理的にケーブルを用いて接続されていたのに対し、5Gのミリ波帯では携帯端末・基地局のアンテナから送信される無線信号を測定器のアンテナで受信し、その品質を評価する形となった。(注3)PCI ExpressPCI ExpressはPCI-SIGによって策定されたコンピュータの拡張バスの標準仕様で、CPUやメモリなどと通信するためのI/Oシリアルインターフェース。5.0は32GT/s、6.0は64GT/sのデータ転送速度。(注4)ミリ波通信周波数帯3GPPリリース15より採用された移動通信システム用通信周波数帯の一つ。採用されている周波数としては24.25 GHz~29.5 GHz、37.0 GHz~43.5 GHz、47.2 GHz~48.2 GHzがある。その周波数帯では既存の6 GHz以下の周波数帯と比較し広い帯域を用いた高速大容量通信が可能である反面、電波の空間伝送損失が非常に大きいため通信信号の品質劣化が大きく、通信可能な距離に制約があるため端末性能の評価がより重要となる。 (2) PQA事業1) 超高速タイプ自動重量選別機の開発食品・医薬品メーカーは、市場のグローバル化、原料コストの高騰、労働人口の減少などの環境変化を背景に、生産ラインの高速化や自動化など、さらなる生産性と品質向上の両立に取り組んでいます。そのため、包装機の高速化も進んでおり、当社の検査機においても検査選別能力の向上が求められています。AW9シリーズ超高速タイプ自動重量選別機は、当社の強みである電磁平衡式はかりの性能を向上させ、従来機比で70%アップとなる世界最高水準の選別能力1,000個/分を実現しました。新開発のデジタル振動制御やフレーム構造など、多面的な振動除去技術により、振動影響が無視できない高速ラインで高精度を実現しました。さらに、高速で搬送される商品の揺れを抑制する小径ローラーを採用したことにより、サイズの小さな商品でも安定計量を実現しました。これらの高速・高精度計量技術によって、従来では対応が難しかった超高速計量ラインへの導入を可能にしました。 2) AIを搭載し検査性能を高めたX線検査機の開発当社が以前から研究開発に取り組んでいる深層学習技術をベースにした独自の異物検出用AIは、近年のAI技術の急速な進歩を活用し、その学習・判断能力を飛躍的に高め、実用に供するまでに至りました。当社は、このAIを高精細なX線撮像能力を持つX線検査機XR75シリーズHRタイプに搭載することにより、その検査性能を大きく向上させました。高品質な食肉への需要が世界的に高まる中、加工工程での確実な骨の検出と除去が課題となっています。当製品は、食肉の中でも特に検出難度が高い鶏肉における軟骨や樹脂系異物を自動検出し、従来機では検出が困難であった異物の排除に威力を発揮します。また、食肉加工食品のソーセージにおける折れや欠けなどの形状不良検査に対しても、ソーセージ同士の重なりなどの検出難度が高い条件下で高精度な検出を可能にしました。 (3) 環境計測事業1) 製造業のDXを加速するAccelVisionやローカル5Gパフォーマンスモニタの開発製造業では、労働人口の減少に対する生産性の維持・向上が課題となっています。当社は、映像及び通信のコンピテンシーを活用し、ヒト・モノ・コトを繋げて見える化を加速する産業DXソリューションであるAccelVisionを開発しました。これにより、生産現場で生じる様々な事象を技術者や作業員の“目”の代わりとなっていち早く収集・伝達します。製造現場の工程ごとに散在していた生産情報を一元的に可視化し、トラブル発生時の生産ロスを大幅に削減することが期待されます。また、ローカル5Gは広帯域・低遅延・高セキュリティなどの特徴により製造現場での活用が期待されていますが、電波は目に見えないため、異常発生時に状況把握が困難という課題がありました。当社は、通信計測技術とパートナーである株式会社構造計画研究所のシミュレーション技術を融合し、電波環境を可視化する「ローカル5G運用パフォーマンスモニタ」を開発しました。複数のプローブ端末で多点同時測定を行うことで、時間変動も考慮した電波環境が把握でき、ヒートマップと時系列グラフで電波環境を可視化することで、通信障害の迅速な復旧や未然防止を支援します。 2) 大容量ズーム直流電源(DZ-X)、電力回生型双方向電源(RZ-XA)の開発カーボンニュートラル社会の実現に向け、自動車市場では内燃機関から EVやFCVへのシフト(電動化)の動きが急速に進んでいます。その流れは自動車から、建機や農機、船舶といった市場へと広がっており、搭載されるモータやインバータ、電池が多様化し、各メーカーでは試験の効率化や試験環境構築のための投資最適化が課題となっています。当社はモータやインバータの特性試験、電池の充放電試験、さらには車載電装品の試験を行うことができる大容量の電源装置を販売しており、設備投資費や運用コストの大幅な削減に貢献しています。この度、開発時の試験から生産ラインにおける出荷検査まで幅広い場面での活用を想定した2種類の電源装置を開発し、販売を開始しました。DZ-X は直流給電専用電源装置、RZ-XA は電力供給(力行)と電力吸収(回生)の機能を併せ持つ双方向電源装置です。また、RZ-XAは試験対象のモータなどで回生した電力を系統側に戻し、電力を再利用することができます。どちらも当社が強みとする電源制御技術により、装置を直列/並列で複数台接続し、お客様の試験環境に必要な電源容量を実現できます。さらに、当社のオリジナルであるズーム機能により、多様化する試験ニーズに合わせた出力設定が可能です。装置の高さも従来比で1/3にコンパクト化を達成し、試験環境最適化に貢献します。
FY2023|9,786 文字
6【研究開発活動】当連結会計年度の研究開発投資(無形資産に計上された開発費を含む)の内訳は、次のとおりです。 当連結会計年度 売上収益比率(%)通信計測事業8,785百万円 12.1PQA事業1,760百万円 7.1その他の事業689百万円 5.2基礎研究開発184百万円 -合 計11,420百万円 10.3 また、セグメント別の主な研究開発成果は次のとおりです。 (1) 通信計測事業通信計測事業は、日本、米国、英国、スロバキア、中国、インド、フィリピンに設置した開発拠点を相互に連動させたグローバルな開発体制により開発を進めております。 1) MT8000A ラジオ コミュニケーション テストステーションの機能拡張MT8000A ラジオ コミュニケーション テストステーションは、2018年の販売以来、第5世代通信システム(5G NR)のプロトコル試験、無線特性試験及びアプリケーション機能試験に対応した、チップセット等のデバイス開発を含むモバイル端末開発用試験プラットフォームとして活用され、LTEネットワークとの組み合わせで5G技術を活用するNSA(Non Stand Alone)方式、およびLTEネットワークに頼らないSA(Stand Alone)方式や、FR1/FR2周波数帯、高速大容量(eMBB : Enhanced Mobile Broadband)/超高信頼性低遅延(URLLC : Ultra Reliable Low Latency Communication)など様々な方向に進化を続ける5G NR通信技術の普及と発展に貢献しています。このような中、当社はLTEと5Gサービスで採用されている全ての周波数に対応可能(FR2は要別オプション)な新RFユニットMT8000A-033を搭載したMT8000A 1台でLTEと5G NR対応を可能にするSingle Boxや、FR2無線特性試験時間の短縮をML(Machine Learning)活用で実現したEIS-CDF Optimization using Machine Learning機能をリリースすることでMT8000Aの顧客価値を高めてきました。また、パートナー企業との協業を継続し、OTA(Over The Air)試験(注1)、SAR(Specific Absorption Rate)試験や映像/音声品質試験など5G端末実使用時に必要となる試験に幅広く活用されています。更に、IoT市場での導入が期待されるRedCap(Reduced Capability)やFR2 14CAによる10Gbps超のスループット実現等、Release17以降の先端技術への対応も継続しています。 2) ME7873NR/ME7834NR RF/プロトコル コンフォーマンス試験・通信事業者受入試験システムの機能拡充コンフォーマンス試験は、モバイル通信サービスの品質を保つための世界的な評価基準で、世界中の通信事業者に広く受け入れられています。また、多くの先進的な通信事業者は、このコンフォーマンス試験に加え、独自の端末品質評価体系を整備し、運用しています。ME7873NR、ME7834NRは、RFとプロトコルそれぞれのコンフォーマンス試験及び通信事業者受入試験に対応した自動試験システムで、すでに数多くの試験機能がGCF及びPTCRBといった認証団体や大手通信事業者に認証され、実際の5G端末コンフォーマンス認証試験や端末受け入れ試験に使用されています。2022年度は、RFコンフォーマンス試験においては、5G NR FR1のCA(Carrier Aggregation)の機能拡張である3CA、 4CAの認証を取得し、日本、米国で予定されているSAサービスでの高速通信に向けた端末の性能評価に貢献しました。さらに、主に米国で成長しているFWA(Fixed Wireless Access)サービス用途の機器で要求されるカバレッジ拡大のためのPower Class 1.5の認証を取得しました。また、FR2では技術課題の1つであるモビリティの安定性向上のため、ハンドオーバ機能を検証する2AoA(2 Angle of Arrival)試験を実現するために2つの基地局と端末が通信する電波伝搬環境を模擬したMA8172B CATR Chamberを開発、販売開始しました。プロトコル コンフォーマンス試験においては、FR1,FR2を同時接続し高速通信を行うFR1+FR2 DC(Dual Connectivity)試験の他、NPN(Non-Public Network)、Network Slicing等、今後 SAサービスで活用される機能の認証を取得しました。また、通信事業者受入試験に関しては、主に各事業者のSAサービスの拡大に向けた試験に対応し、引き続き日本及び米国の主要通信事業者7社の端末受入試験を提供する唯一のメーカーとして5G端末の品質向上に貢献いたします。 3) O-RAN Radio Unit試験ソリューションMX770000PC/MX773000PCの開発従来、無線アクセスネットワーク(Radio Access Network : RAN)は単一ベンダのネットワーク機器で構築されてきました。しかし、5G導入によりRANは様々なアプリケーションに活用され、利用シーンに合わせたネットワークの構築・運用が求められるようになりました。そこで、ネットワーク機器間のインタフェースをオープン化したOpen RAN(O-RAN)の検討・導入が進んでいます。本技術はモバイルネットワークオペレータに複数ベンダのネットワーク機器を組み合わせて使用する選択肢を与え、また一部のネットワーク制御機能を専用装置を用いず、クラウド上などにソフトウェア化できるため、柔軟かつ拡張性の高いRAN構築が、安価に実現できると期待されています。反面、O-RAN普及には複数ベンダから供給される装置の相互接続性の検証が課題になっています。そこで当社はこの問題を解決するために、O-DU(O-RAN Distribution Unit)の動作を模擬するMX773000PC O-DUエミュレータプラットフォームソフトウェアを開発、5G基地局製造向けMT8000Aと組み合わせることでO-RAN.WG4.CONFに規定されている試験を可能にしました。また、各測定器を統括して制御するMX772000PC ORANテストプラットフォームによりO-RANフロントホールの効率的な検証を実現しました。当社は、本ソリューションの提供を通してO-RANの普及と拡張性の高い柔軟な無線アクセスネットワークの構築に貢献いたします。 4) シグナルアナライザ MS2840A/MX284059Bの機能拡充パルスレーダ装置は、主に気象観測、船舶の航行、沿岸監視、飛行経路監視などの目的で使用され、安全・安心な社会生活を支えるインフラの一部となっています。近年増加傾向にあるゲリラ豪雨や線状降水帯の雨量予測に不可欠な高性能気象レーダならびに民間気象会社が設置するレーダの増加により、パルスレーダ装置の維持に必要なテストの需要も増えています。パルスレーダ装置の安定運用に欠かせない送信性能検査では、スペクトラムアナライザ、オシロスコープ、パワーメータ、周波数カウンタなど多くの測定器が使用されてきました。特にフィールドでの送信スプリアス測定において、これら複数の測定器を用いた測定結果からのマスク線(合否基準線)作成に長時間を要していた為、テストの自動化・時短化と、必要な測定器の可搬性向上が求められています。当社はこの問題を解決するために、シグナルアナライザMS2840Aに搭載するパルスレーダ測定機能 MX284059Bを開発、パルスレーダ装置の保守点検や製造検査での主要な送信評価項目の自動測定や、USBピークパワーセンサMA24406A/18A/40Aと連動制御して、精度の高い送信電力やパルス幅の自動測定や合否判定を可能にしました。この機能強化により、パルスレーダ装置送信部のフィールド保守点検のほか、製造ラインでのテスト効率化・省力化にさらに貢献してまいります。 5) MT8870A ユニバーサルワイヤレステストセット Wi-Fi7機能追加4Kを超える高解像度のビデオストリーミング・AR(拡張現実)/VR(仮想現実)などの最新アプリケーション・サービスの拡大により、高速大容量通信・低遅延に対応できる無線LAN機能を搭載したスマートフォン、通信機器の増加が見込まれています。MT8870Aは、5G NR sub-6 GHz、LTE/LTE-Advanced、LTE-V2X、NB-IoT、Cat-M、V2X 802.11p、WLAN、Bluetoothなどさまざまな無線通信規格に対応した、スマートフォン、オートモーティブ、IoT端末および通信モジュールなどの大量生産製造ライン向けの測定器です。当社は、無線LANの最新規格IEEE802.11be (Wi-Fi 7)に対応したMX887034Aをリリース、既存のIEEE802.11b/g /a/n/ac/axを搭載した無線通信機器の製造ラインに対して、ソフトウェアの更新のみで、Wi-Fi 7の送受信試験を行うことが可能となります。これにより、高品質なスマートフォン・無線通信機器の量産製造に貢献いたします。 6) MP1900A PCI Express 5.0/6.0対応ソリューションの開発5G(第5世代通信システム)の導入、自動運転・遠隔医療の実現や、AI ・機械学習の広がりから超高速・大容量に対応するネットワークの検討が進んでいます。一方で、データセンターは高速大容量化に伴い、多くの電力が消費され、省電力化も社会課題となっています。データセンターを構築する伝送装置、サーバ、ストレージでは、内部インタフェースの高速、広帯域化に向けてPCI Express 5.0(32GT/s) (注2)のコンプライアンステストが2022年4月から開始されました。MP1900Aは認証機器としてコンプライアンステストが行われるWorkshopでの場で機器やチップセットなどの認証試験に使われております。また、次世代となるPCI Express 6.0では、信号速度は64GT/sへの高速化に向けてPAM4(Pulse Amplitude Modulation)変調方式やFEC(Forward error correction)が採用され、IPや先端デバイスベンダの研究開発が2022年から開始されています。 MP1900Aは、自社開発の超高速デバイスの採用により、高品質な信号の送受信を可能にした、市場をリードするビットエラーレートテスタです。PCI Express 6.0をカバーする信号解析ソリューションを業界最速で2019年後半から2020年初めに市場投入し、多くの先端デバイスや装置開発メーカーにご使用いただいております。また、PCI-SIG®はMP1900Aを認証試験プログラム設備として採用しております。2022年には、協業パートナーとのPCI Express 6.0 Base Specに対応したAutomationソフトウェアのソリューションをリリースし、先行R&D顧客へのサポートを開始しました。2023年にはPCI Express 6.0コンプライアンス試験に向けた機能拡張をリリース予定です。特にPCI Express 6.0で課題となる被測定物のワースト条件での伝送ロス補正や、新規採用されたFECにおいては評価方法が課題となっています。MP1900Aでは被測定物の伝送ロスを補正するイコライザ機能や、業界初となるFECシンボルエラーのリアルタイム測定によるエラー訂正解析への対応を行い、信号品質評価への提案やAutomationソフトウェアによって検証期間短縮に貢献します。また、データセンターのさらなる低消費電力化や低遅延化に向け、PCI Express信号を直接光で伝送する光コンピューティングの検討が開始されています。アンリツはOFC2023で京セラ株式会社のオンボード光電気集積モジュールを用いて、業界初となるPCI Express 5.0での光信号伝送試験のデモンストレーションを行いました。今後、PCI Expressの更なる高速化や、低消費電力伝送の実現に向け、測定手法など規格策定に合わせたソリューションを提供し業界の普及発展に貢献していきます。 7) MT1000A Local5G/Private5Gに向けた遅延測定ソリューション5G(第5世代通信システム)は、「超高速」「高信頼・低遅延」「多数同時接続」といった様々なシナリオに対応するネットワークとして普及が進んでいます。これに対し、企業や自治体等が独自に5Gネットワークを構築し、利用するLocal5Gや通信キャリアから専用の無線帯域を割り当てられ利用するPrivate5Gが注目されています。これらの専用ネットワークは5Gの特長を最大限に活用できることから、自動運転や遠隔医療、スマートファクトリなどの様々なサービスが検討されています。一方、サービスプロバイダにとってこれらのネットワークの回線品質は自社のサービス品質に直結することから、遅延やジッタ(ゆらぎ)などを高精度かつ定量的に評価することが課題となっています。例えば、遠隔医療などでは0.001秒以下のリアルタイム性が求められ、ネットワークの遅延が多大な影響を及ぼします。MT1000Aネットワークマスタプロは高精度GNSS同期発振器モジュールMU100090Bを組み合わせることで、GPS、QZSS(みちびき)、Galileo、GLONASSおよびBeiDouなどのGNSS(注3)と同期して、高精度な片方向遅延測定を実現します。さらにMX109020A Site Over Remote Accessを組み合わせることで、遠く離れた複数のサイトに置かれたMT1000Aを中央局からクラウド経由で一括して遠隔操作・監視することができ、ネットワーク内の複数地点のUp Link、Down Linkそれぞれの遅延を効率よく測定することができます。これらのソリューションによりLocal5G、Private5Gによる5Gサービス普及に貢献していきます。 8) 標準化活動通信計測事業における研究開発活動の重要な取り組みのひとつとして、国内外の標準化活動へ積極的に参画しています。情報通信産業における最先端の知識・技術を常に製品へ反映し、競争力に優れたソリューションをタイムリーに提供するために、主要な標準団体として現在3GPP、ITU-T、IEEE、PCI Express、IOWN等へ参加し、4G/5G、データセンター、IoT/M2M、コネクテッドカーといった有線・無線通信事業の戦略立案や情報収集に役立てています。特に移動通信システムの規格を策定する3GPPにおいては、基地局と携帯端末の通信手順試験を可能とするコンフォーマンステスト(端末認証試験)仕様策定に際し、LTE/LTE-Advanced(4G)/New Radio(5G)の規格策定段階から数多くの寄書を行っています。2022年度はCOVID-19の活動制限も緩和され、オンラインに加えて対面方式の会合となったことで議論がより活性化・加速されました。当社は海外現地法人と協力しながら国内外の通信オペレータ、チップセットベンダ、端末ベンダとも積極的にコラボレーション開発を実施継続し、そこで得た知見を活用し5G移動通信システム関連規格を含む Release 17、18の策定および、Release 15、16の保守に貢献しました。中でも5Gより採用されたミリ波通信周波数帯(注4)における測定方法の策定においては、国内でも規格整備が進行中であるハイパワー端末(Power Class 1)や、Release 18の機能の一つとして検討中の複数方向セルとの同時通信を可能とする端末のOTA(Over The Air)での測定方法検討、測定限界に関する情報の提供、また測定の不確かさ算出に貢献しました。当社はこの5G、5G-advancedの議論に対し数少ない測定器ベンダ視点での寄書を提出することにより、現実的かつタイムリーなソリューションを規格に取り込む様努めています。これらの活動の結果策定された試験規格は最終的に端末のコンフォーマンステスト用プログラムとして四半期毎に製品に取り込まれ、認証団体であるGCFやPTCRB (注5)による審査・承認を経て、携帯端末の認証取得および、市場投入をサポートしています。また、これらの活動により、国内規格および法整備の推進にも貢献しています。 この他、データセンター向けサーバなどの内部インタフェースに使われるPCI Express 5.0や次世代6.0の認証試験開始に先駆け研究開発者に測定ソリューションを提供し測定手順書の作成、規格化に向けた測定結果の提示や、測定課題解決に向けた提案などで貢献しています。NTTが主導するIOWN構想は、当初、2030年の実現に向けて活動を開始しましたが、提供可能なサービスから市場に展開していく方針に変わりました。2023年3月に初めての商用サービスとして、通信ネットワークの全区間で光波長を専有するオールフォトニクス・ネットワーク(All-Photonics Network、以下、APN)IOWN1.0の提供を開始し、2025年に開催される大阪・関西万博においてIOWN2.0サービスの商用化することを発表しています。更に、KDDIがIOWNへの参加を表明し、NTTと光ネットワーク技術のグローバル標準化に向けた基本合意書を締結するなど、2030年の最終的なIOWN構想実現に向けて、業界全体が大きく動いています。上記の標準化活動に加え、IOWN構想実現に向けて、IOWN の各タスクフォースでの会合に参加するだけではなく、参加企業・団体と協力し、技術の実証実験となるPoC活動にも取り組んでまいります。加えて、APN実現のキーデバイスである光電融合デバイスに関して、NEDO 次世代グリーンデータセンター用デバイス・システムに関する協議会に参画し、低消費電力化が期待されている光配線技術および光ディスアグリゲーションシステムの開発検証に貢献していきます。検討に先駆け、京セラ株式会社と協業しPCI Express 5.0の光伝送試験の実施検証を行い、OFC2023にて共同で発表をいたしました。今後、高速大容量に対応するためPCI Express 6.0への適応が期待されており、アンリツが持つ測定ソリューションを活用することで測定課題の解決に向け取り組んでまいります。 (注1)OTA (Over The Air)物理的にケーブル接続を行い通信するのに対し、無線での通信、電波の測定を行うこと。5Gのミリ波帯通信信号の携帯端末・基地局内における品質劣化を防ぐために回路の集積化が進められた結果、従来は携帯端末や基地局と測定器間は物理的にケーブルを用いて接続がなされていたのに対し、5Gのミリ波帯においては携帯端末・基地局のアンテナ端から送信される無線信号を測定器のアンテナで受信しその品質を評価する形となった。(注2)PCI ExpressPCI ExpressはPCI-SIGによって策定されたコンピュータの拡張バスの標準仕様で、CPUやメモリなどと通信するためのI/Oシリアルインタフェース。5.0は32GT/s、6.0は64GT/sのデータ転送速度。(注3)GNSS(Global Navigation Satellite System)人工衛星を用いた測位システムであり、GPSは米国の運用するGNSSのひとつ。欧州の運用するGalileo、ロシアの運用するGLONASS、中国の運用するBeiDouのほかに日本の運用する準天頂衛星システム(QZSS: みちびき)などがある。(注4)ミリ波通信周波数帯3GPP Release 15より採用された移動通信システム用通信周波数帯の一つ。採用されている周波数としては24.25 GHz~29.5 GHz、37.0 GHz~43.5 GHz、47.2 GHz~48.2 GHzがある。その周波数帯では既存の6 GHz以下の周波数帯と比較し広い帯域を用いた高速大容量通信が可能である反面、電波の空間伝送損失が非常に大きいため通信信号の品質劣化が大きく、通信可能な距離に制約があるため端末性能の評価がより重要となる。(注5)GCF/PTCRBGCF: Global Certification ForumPTCRB: PCS Type Certification Review Boardそれぞれヨーロッパ発祥、アメリカ発祥の認証機関であり、携帯端末が3GPPの規格に準拠していることの認証を行うとともに、コンフォーマンステストシステムの認証の役割も担っている。 (2) PQA事業1) 食肉加工および水産加工向けX線検査機XR75シリーズの開発高品質な食肉への需要が世界的に高まる中、加工工程での確実な骨の検出と除去が課題となっています。当社は、新方式の高精細センサを搭載し凹凸や重なりに強く微小異物を精度よく検出できるX線検査機「XR75シリーズHRタイプ」を開発し、2021年度から販売を開始しています。この度開発したX線検査機は、HRタイプの高精細なX線撮像能力をベースに、食肉中の骨検出精度を向上した新開発の画像処理を搭載したほか、食肉を扱う生産ラインでは一般的な高圧ジェットによる清掃に耐えるよう保護等級IP69K(注1)に準拠した堅牢かつサニタリー特性に優れたボディを採用しています。また、日本やアジアを中心に高まる細くて小さい魚骨の検査ニーズに対し、高精度に検出できる画像処理も並行して開発し搭載しました。進化を続けるこれらの新製品は、多くのお客様の品質向上に貢献するとともに、加工後の廃棄ロスを最小限に抑え、食品生産プロセスの歩留まり向上と食品ロスの低減に貢献します。 2) 自動重量選別機SSVシリーズの型式承認食品加工のオートメーション化が進む中、生産ラインでは食品を搬送しながら計量する「ダイナミック計量」が一般化しており、現在我が国では3万台以上の「自動はかり」が稼働しています。このような実態をふまえ、経済産業省は公正な商取引を担保する目的で計量制度に関する政省令の一部を改正し、自動はかりの一種である自動重量選別機の検定を義務化しました。(注2)自動重量選別機を以前から製造・販売している当社は、このような法令改正に早くから注目し、技術適合要件をクリアすべく開発に取り組んでいます。その結果、当社の独自技術である電磁平衡式はかりにより世界最高クラスの高精度計量(検査目量0.05g)を実現したことで、「精度等級XII」の型式承認を国内で初めて取得しました。高速かつ高精度な当社の自動重量選別機は、生産ラインの歩留まり向上に貢献するだけでなく、公正な商取引の普及に貢献しています。 (注1) IP69Kドイツ工業規格のDIN40050 PART9で規定されている高温・高圧水に対する保護規定。(注2) 指定検定機関による検定義務化2024年4月1日から義務付けられ、ひょう量が5kgを超える場合などを除き、新たに導入する自動重量選別機は検定に合格しないと取引・証明に使用できない。既に使用されている自動重量選別機については2027年3月31日までに合格すれば継続使用できる。
FY2022|8,838 文字
5【研究開発活動】当連結会計年度の研究開発投資(無形資産に計上された開発費を含む)の内訳は、次のとおりです。 当連結会計年度 売上収益比率(%)通信計測事業8,964百万円 12.2PQA事業1,758百万円 8.0その他の事業572百万円 5.7基礎研究開発91百万円 -合 計11,386百万円 10.8 また、セグメント別の主な研究開発成果は次のとおりです。 (1) 通信計測事業通信計測事業は、日本、米国、英国、スロバキア、中国、インド、フィリピンに設置した開発拠点を相互に連動させたグローバルな開発体制により開発を進めております。 1) MT8000A ラジオ コミュニケーション テストステーションの機能拡張MT8000A ラジオ コミュニケーション テストステーションは、2018年の販売以来、第5世代通信システム(5G NR)のプロトコル試験、 無線特性試験及びアプリケーション機能試験に対応した、チップセット等のデバイス開発を含むモバイル端末開発用の試験プラットフォームとして活用され、モバイル通信技術の普及と発展に貢献しています。5G NRは様々な社会課題の解決に役立つ柔軟性の高い移動体通信技術として期待され、従来のLTEネットワークとの組み合わせで5G技術を活用するNSA(Non Stand Alone)方式を中心に2019年から商用サービスが開始されました。現在はLTEネットワークに頼らないSA(Stand Alone)方式のサービスも増え、5GサービスはFR1周波数帯を中心に導入期から普及期に移行しています。またFR2と呼ばれるミリ波を利用したサービスに向けた技術開発投資も続いています。このような中、当社はLTEと5G FR1そしてFR1で新たに定義されたNR-U(Unlicensed Band、7GHz帯)を全て対応する新RFユニットMT8000A-033、MT8000A 1台でLTEと5G NR対応を可能にするSingle Box、更に端末修理、アンテナ評価ニーズを満たす低価格版Entry Modelの販売を開始しました。これによりMT8000Aは5G普及期に増加するハイエンドからミドル・ローエンドの市場要求に柔軟に対応できるプラットフォームに進化しました。また、パートナー企業との協業によりOTA(Over The Air)試験、SAR(Specific Absorption Rate)試験や映像/音声品質試験など5G端末実使用時に必要となる試験に幅広く活用可能となりました。更に、URLLC(Ultra Reliable Low Latency Communication)で必要とされるDAPS(Dual Active Protocol Stack)対応によるハンドオーバ時のデータ信頼性向上、FR1 + FR2 DC(Dual Connectivity)接続での10Gbpsのスループット実現等、Release16以降の先端技術への対応も進めています。 2) ME7873NR/ME7834NR RF/プロトコル コンフォーマンス試験・通信事業者受入試験システムの機能拡充コンフォーマンス試験は、モバイル通信サービスの品質を保つための世界的な評価基準で、世界中の通信事業者に広く受け入れられています。また、多くの先進的な通信事業者は、このコンフォーマンス試験に加え、独自の端末品質評価体系を整備し、運用しています。ME7873NR、ME7834NRは、RFとプロトコルそれぞれのコンフォーマンス試験及び通信事業者受入試験に対応した自動試験システムで、すでに数多くの試験機能がGCF及びPTCRBといった認証団体や大手通信事業者に認証され、実際の5G端末コンフォーマンス認証試験や端末受け入れ試験に使用されています。2021年度は、RFコンフォーマンス試験に関してFR1のテストケースの拡張だけでなく、業界に先駆けてFR2 Performance試験のGCF認定基準(TPAC)を取得した他、法人サービス用途の無線アクセス機器の試験対応のため、MA8172A CATR Chamberを機能強化し、対象機器サイズや重量を拡張するなど、今後のFR2の市場活性化に向けた試験強化も実施しました。プロトコル コンフォーマンス試験においては、先端チップセット・メーカーとの早期共同検証により3GPPの規格であるFR1 Release16の認証を業界で初めて取得し、スマートフォンで期待されるPower Saving(消費電力抑制)などの先端機能の試験を拡充しました。また、通信事業者受入試験に関しては、新たに独自の受入試験を開始した米国通信事業者への対応を完了したことで、当社は日本及び米国の主要通信事業者7社の端末受入試験を提供する唯一のメーカーとして5G端末の品質向上に貢献いたします。 3) MT8870A 5G端末製造ソリューションの機能拡張2021年は5G FR1サービス拡大に伴い、年間で5億台を超える5Gスマートフォンが製造されました。今後も増加が続き2024年には年間10億台以上の5Gスマートフォンが製造されると予測されます。5Gスマートフォンを含むハイエンドスマートフォンは、高速通信を実現するMIMO(Multi Input Multi Output)技術やキャリアアグリゲーション技術に加え、WLAN、 Bluetooth、 GPSなどの様々な通信方式に対応するため多くのアンテナポートを持っています。当社は、これらの多ポート型スマートフォンの製造検査を効率よく測定するため業界最多の24ポートのRFコネクタを1モジュールに実装した測定モジュールMU887002Aをリリース、更にこの測定モジュールの7GHz拡張を販売開始しました。これにより各国で順次利用が開始される6GHz帯のWLANと、将来必要となる5G FR1 NR-Uにソフトウエア追加のみで対応可能になります。MU887002Aの供給を通して、より安価で高品質なスマートフォンの量産製造に引き続き貢献いたします。 4) ワイヤレスコネクティビティテストセットMT8862A Wi-Fi6/6Eの開発WLAN機能を搭載した無線通信機器は、IoTやリモートワーク環境の普及に伴い、ノートブックPC、ゲートウェイ、プリンタやテレビなどのIT/Network、 Consumer/Smart Home分野で市場が拡大しています。今後はさらに、車載機器分野においても大きな成長が見込まれています。このWLAN搭載機の普及を後押ししている無線技術IEEE802.11axは、Wi-Fi6/6Eと呼ばれ、多数端末接続時のスループットが改善されます。この技術の実現には新しい周波数(6GHz帯)の利用とデバイス間の相互接続性の担保が重要であり、実際の通信状態における無線品質測定と接続性検試験の実現が期待されております。この要求に応えるため、通信プロトコルを搭載するMT8862Aにて、6GHz帯周波数拡張、および測定帯域160MHz拡張に対応、実動作状態にてWi-Fi6/6E搭載機の信号品質を評価できる業界初の測定器を実現しました。当社は、最新WLAN試験環境の提供を通して、WLAN搭載機の普及に貢献いたします。 5) 5G基地局製造向けMT8000Aの開発5Gサービスの本格的な拡大にともなって、5G基地局の生産数が増加し、その種類も多様化する傾向にあります。基地局は対応する周波数帯ごとに設計され、性能調整の方法や試験仕様が異なります。基地局に搭載されるアンテナ数(RFポート数)も増えつつあり、試験時間は長くなる傾向があります。こうした状況の中、基地局の製造ラインでは柔軟な検査設備の構築と試験コストの削減、試験時間の短縮が課題となっています。当社はこの課題を解決するために、ラジオコミュニケーションテストステーションMT8000Aの機能拡充をおこない、FR1とFR2のそれぞれに複数のRF送受信ポートを備えることで5G基地局の効率的なRF試験を実現しました。当社は、Base Station Test Suite for NR mmWave MX800045AとBase Station Test Suite for NR sub-6GHz MX800046Aを通して、より安価で高品質な基地局製造に貢献いたします。 6) MP1900A PCIe 5.0/6.0(PCI Express)対応ソリューションの開発5G(第5世代通信システム)の導入、自動運転・遠隔医療の実現などに向け超高速・大容量に対応するネットワークの検討が進んでいます。これらの技術革新によりデータセンターも高速大容量のデータを処理する必要性が高まっています。これにともない、データセンターを構築する伝送装置、サーバ、ストレージなどの内部インタフェースも高速、広帯域化が進み、内部インタフェースに導入されているPCI Expressは、次世代規格5.0(32GT/s)の装置の認証が2022年4月から開始されます。認証取得に向け装置メーカー各社はPCIe5.0接続検証の加速を始めています。また、PCI-SIG®では、さらに次々世代となるPCIe6.0の規格策定を進めており、信号速度は64GT/sへ高速化し、その実現に高度な信号生成技術を用いる32Gbaud PAM4(Pulse Amplitude Modulation)の採用が決定しております。チップセットの物理的特性を規定しているBASE規格は2022年1月にリリースをされ、装置に要求されるCEM規格は2023年リリースに向けてPCI-SIG®にて活発な議論が行われています。MP1900Aは、自社開発の超高速デバイスの採用により、高品質な信号の送受信を可能にした、市場をリードするビットエラーレートテスタです。PCIe5.0をサポートする信号解析ソリューションを業界最速で2019年後半から2020年初めで市場投入し、多くの先端デバイスや装置開発メーカーにご使用いただいており、装置に先行して測定器としての認証を2022年4月に取得しました。また、PCI-SIG®はMP1900Aを認証試験プログラム設備として採用しております。昨今では、PCIe5.0対応製品開発で設備導入を検討されるお客様は、今後チップセットの開発が始まるPCIe6.0への拡張も見据えた検討をしています。MP1900Aは、販売開始している64Gbaud PAM4信号を生成可能なPAM4 PPGユニットへのPCIe5.0オプション対応を2021年10月に行い、PCIe 5.0開発及びコンプライアンステスト対応と次世代PCIe 6.0で用いられるPAM4の性能評価を1boxで可能とするソリューションの提供を開始しており、新たに導入されるFEC(Forward error correction)測定手法など規格策定に合わせたソリューションの提供によりデータセンターの高速大容量化に貢献していきます。 7) 5Gネットワーク、データセンター増強を支える400GbEテスタMT1040Aの機能拡充5Gサービス、テレワークやオンライン授業の急速な普及、社会的な要請であるDX(デジタルトランスフォーメーション)推進等により、データセンターの増設が急ピッチで進んでいます。データセンターは、電源・空調システムの制約上、建設後にデータ処理量を大幅に増加させることは困難であり、スケールアップのためには、拠点の追加・分散化が効果的な手段となります。このため、拠点同士を接続するDCI構築の需要が高っています。DCIには通信キャリアが提供するWDM回線が広く使われてきましたが、回線のコスト化のためシステムのオープン化が推進されています。その実現に400ZRトランシーバーの導入が加速しています。しかし、この技術導入のトレードオフとしてユーザ自身がDCI回線の通信品質を担保する必要が生じます。このようなニーズに応えるために、400GbEテスタMT1040Aネットワークマスタプロを機能拡充し、400ZRインタフェース規格に対応しました。また、1拠点あたりの効率化も同時進行しています。外部から引き込んだ高速回線を内部の低速レートに接続するには間に伝送装置を挟まなければならず、その分だけ多くのスペースを取ります。ブレイクアウトと呼ばれる方式はこの問題を解消するインタフェースとして、導入が進んでおり、このブレイクアウト方式の品質評価を実現する、イーサネットN Port BERT測定機能を追加しました。これらの機能強化により、400ZRを使用した回線への移行試験や、ブレイクアウトインターフェースの導入試験を効率化し、データセンターの構築・拡張のコスト削減に貢献いたします。 8) MT1000A 5Gモバイルネットワークの開通・保守での同期測定機能を強化5G(第5世代通信システム)は、「超高速」「高信頼・低遅延」「多数同時接続」といった様々なシナリオに対応するネットワークとして普及が進んでいます。5Gで使われるミリ波では上りと下りの送受信タイミングを時分割で切り替えるTDD(注1)方式が採用されます。この方式では全ての基地局が精密に時刻同期していないと干渉を起こし、通信品質の劣化を招きます。基地局間の同期は、これらを結ぶ有線ネットワークに SyncE、PTPと呼ばれる技術を適用することにより実現されます。このため、セルサイトの建設・保守においてネットワークの時刻同期性能を測定し、ネットワーク性能を保証することがネットワークオペレータにとって重要になります。このニーズに応えるため高精度GNSS同期発振器モジュールMU100090Bを開発し、MT1000Aネットワークマスタプロの時刻同期測定を強化しました。MU100090BはGPS、QZSS(みちびき)、Galileo、GLONASSおよびBeidouに対応したGNSS(注2)同期発振器です。各国・地域が運用する衛星測位システムからの信号を受信し、UTCとトレーサビリティのある基準時刻および10MHz周波数信号を時刻同期精度測定の基準タイミングとして出力します。この基準タイミングを用いて、最大25GbpsまでのSyncE、PTP試験をサポートし、ネットワークの時刻同期精度を測定します。さらにMX109020A Site Over Remote Accessを組み合わせることで、遠く離れた複数のサイトに置かれたMT1000Aを中央局からクラウド経由で一括して遠隔操作・監視することができます。これにより同期障害が発生している個所を素早く特定することができます。これらのソリューションによりローカル5GやO-RAN基地局による5Gサービス普及を支える時刻同期インフラの構築に貢献していきます。 9) 標準化活動通信計測事業における研究開発活動の重要な取り組みのひとつとして、国内外の標準化活動へ積極的に参画しています。情報通信産業における最先端の知識・技術を常に製品へ反映し、競争力に優れたソリューションをタイムリーに提供するために、主要な標準団体として現在3GPP、ITU-T、IEEE、PCI Express(注3)、IOWN等へ参加し、4G/5G、データセンター、IoT/M2M、コネクテッドカーといった有線・無線通信事業の戦略立案や情報収集に役立てています。特に移動通信システムの規格を策定する3GPPにおいては、基地局と携帯端末の通信手順試験を可能とするコンフォーマンステスト(端末認証試験)仕様策定に際し、LTE/LTE-Advanced(4G)/New Radio(5G)の規格策定段階から数多くの寄書を行っています。2021年度はCOVID-19のパンデミックにより活動に制限を受けながらも海外現地法人と協力しながら前年度同様に国内外の通信オペレータ、チップセットベンダ、端末ベンダとも積極的にコラボレーション開発を実施継続し、そこで得た経験を活用し5G移動通信システム関連規格を含むリリース16、17の策定および、リリース15の保守に参加しました。中でも5Gより採用されたミリ波通信周波数帯(注4)における測定方法の策定おいては、オンラインで開催されている会合に参加し、引き続きOTA(Over The Air)(注5)での測定方法検討、測定限界に関する情報の提供、また測定の不確かさ算出に貢献しました。これらの活動の結果策定された試験規格は最終的に端末のコンフォーマンステスト用プログラムとして四半期毎に製品に取り込まれ、認証団体であるGCFやPTCRB (注6)による審査・承認を経て、携帯端末の認証取得および、市場投入をサポートしています。 この他、データセンター向けサーバなどの内部インタフェースに使われるPCI Expressでは、Gen5や次世代Gen6の認証試験開始に向けて測定手順書の作成、規格化に向けた測定結果の提示や、測定課題解決に向けた提案などで貢献しました。本PCI Expressは今後コネクテッドカーや、VR/ARなど内部インタフェースでの使用が検討されています。また、NTTが主導するIOWNはオールフォトニクス・ネットワーク、デジタルツインコンピューティング、コグニティブ・ファウンデーションの3つの要素でスマートな社会実現に向けて、高速大容量、低遅延、低消費電力を実現可能なAPN (All Photonics Network)実現を目標としている。APN実現のキーデバイスである光電融合デバイスに関して測定課題の提案や、各タスクフォースでの会合に参加し、2024年に仕様確定、2030年の実現に向けた提案活動を通して貢献していきます。 (注1)TDD(Time Division Duplexing)ネットワークから端末への下り通信と、その逆の上り通信を決められた時間間隔で切り替えながら通信する方式。同一の周波数帯を両方向で共有するため、帯域の利用効率が高い。(注2)GNSS(Global Navigation Satellite System)人工衛星を用いた測位システムであり、GPSは米国の運用するGNSSのひとつ。欧州の運用するGalileo、ロシアの運用するGLONASS、中国の運用するBeidouのほかに日本の運用する準天頂衛星システム(QZSS: みちびき)などがある。(注3)PCI ExpressPCI ExpressはPCI-SIGによって策定されたコンピュータの拡張バスの標準仕様で、CPUやメモリなどと通信するためのI/Oシリアルインタフェース。Gen5は32GT/s、Gen6は64GT/sのデータ転送速度。(注4)ミリ波通信周波数帯3GPPリリース15より採用された移動通信システム用通信周波数帯の一つ。採用されている周波数としては24.25 GHz~29.5 GHz、37.0 GHz~43.5 GHz、47.2 GHz~48.2 GHzがある。その周波数帯では既存の6 GHz以下の周波数帯と比較し広い帯域を用いた高速大容量通信が可能である反面、電波の空間伝送損失が非常に大きいため通信信号の品質劣化が大きく、通信可能な距離に制約があるため端末性能の評価がより重要となる。(注5)OTA (Over The Air)物理的にケーブル接続を行い通信するのに対し、無線での通信、電波の測定を行うこと。5Gのミリ波帯通信信号の携帯端末・基地局内における品質劣化を防ぐために回路の集積化が進められた結果、従来は携帯端末や基地局と測定器間は物理的にケーブルを用いて接続がなされていたのに対し、5Gのミリ波帯においては携帯端末・基地局のアンテナ端から送信される無線信号を測定器のアンテナで受信しその品質を評価する形となった。(注6)GCF/PTCRBGCF: Global Certification ForumPTCRB: PCS Type Certification Review Boardそれぞれヨーロッパ発祥、アメリカ発祥の認証機関であり、携帯端末が3GPPの規格に準拠していることの認証を行うとともに、コンフォーマンステストシステムの認証の役割も担っている。 (2) PQA事業新方式の高精細センサを搭載したデュアルエナジーセンサ搭載X線検査機(HRタイプ)の開発世界全体の食肉需要の高まりに伴い、より高品質な食肉へのニーズが高まっています。食肉には解体の過程で除去しきれなかった骨が残っていることがあり、原材料が加工されるにつれて細かく砕け、除去が難しくなります。そのため加工工程での確実な骨の検出と除去を求められており、当社は各種手法を駆使して検出性能を向上させてきました。今回、更なる高感度での異物検出を実現させるため新方式の高精細デュアルエナジーセンサと新設計の画像処理を搭載したX線検査機を開発し販売を開始しました。これにより、厚みがあり凹凸が多い食肉や冷凍食品などに混入している骨や金属、石などの異物をより高精度に自動検出することができます。この新製品は、加工後の廃棄ロスを最小限に抑え、食品生産プロセスの歩留まり向上と食品ロスの低減に貢献します。また、新方式のセンサは素子の劣化が少なく、大幅な高寿命化を実現したことにより、TCO(総所有コスト)の低減にも貢献します。
FY2021|7,730 文字
5【研究開発活動】当連結会計年度の研究開発投資(無形資産に計上された開発費を含む)の内訳は、次のとおりです。 当連結会計年度 売上収益比率計測事業8,906百万円 11.9%PQA事業1,771百万円 8.3%その他の事業447百万円 4.6%基礎研究開発120百万円 -合 計11,246百万円 10.6% また、セグメント別の主な研究開発成果は次のとおりです。 (1) 計測事業計測事業は、日本、米国、英国、スロバキア、中国、インド、フィリピンに設置した開発拠点を相互に連動させたグローバルな開発体制により開発を進めております。 1) MT8000A ラジオ コミュニケーション テストステーションの機能拡張MT8000A ラジオ コミュニケーション テストステーションは、2018年の販売以来、第5世代通信システム(5G NR)のプロトコル試験、 無線特性試験及びアプリケーション機能試験に対応した、チップセット等のデバイス開発を含むモバイル端末開発用の試験プラットフォームとして活用され、モバイル通信技術の普及と発展に貢献しています。5G NRは様々な社会課題の解決に役立つ柔軟性の高い移動体通信技術として期待され、2019年から商用サービスが始まっています。現在は、従来のLTEネットワークとの組み合わせで5G技術を活用するNSA(Non Stand Alone)方式が中心ですが、今後は、LTEネットワークに頼らないSA(Stand Alone)方式のサービスが発展してきます。また、周波数も、現在はFR1と呼ばれる比較的低い周波数を利用した5Gサービスが主に展開されていますが、今後はFR2と呼ばれる非常に高い周波数を利用したサービスが拡大することが期待されています。このような中で、当社は今後の5G技術開発で要求される測定機能を積極的に開発し、MT8000Aに搭載しております。SA対応では、プロトコル試験、無線特性試験に加え、5G端末の機能試験用ツールであるMX800070A SmartStudio NRのSA試験機能を開発し、追加オプションとして販売を開始しました。また、FR2対応では、世界の先端チップセットメーカと協力してFR1+FR2 DC(Dual Connectivity)接続で業界最高速となる7Gbps以上のスループットを実現しています。さらに、FR2での無線特性評価で必須となるETC(Extreme Condition)環境でのOTA(Over The Air)試験への対応に業界として初めて成功しMA8172A CATR Anechoic Chamber ETCオプションとして販売を開始しています。 2) ME7873NR/ME7834NR RF/プロトコル コンフォーマンス試験・通信事業者受入試験システムの機能拡充コンフォーマンス試験は、モバイル通信サービスの品質を保つための世界的な評価基準で、世界中の通信事業者に広く受け入れられています。また、多くの先進的な通信事業者は、このコンフォーマンス試験に加え、独自の端末品質評価体系を整備し、運用しています。ME7873NR、ME7834NRは、RFとプロトコルそれぞれのコンフォーマンス試験及び通信事業者受入試験に対応した自動試験システムで、すでに数多くの試験機能がGCF及びPTCRBといった認証団体や大手通信事業者に認証され、実際の5G端末コンフォーマンス認証試験や端末受け入れ試験に使用されています。コンフォーマンス試験や通信事業者受入試験では、サービスの拡張や通信規格の発展に伴う新たなテストケースの開発が継続的に必要となることから、試験ソリューションの供給には、体系的に十分に整備された品質の高い開発体制が必要となります。当社では、この要件を満たすため、日本を中心に、米国、英国、スロバキア、中国、インド、フィリピンに設置した開発拠点を連動させた強力な開発体制を構築することと合わせて、主要な先端チップセットメーカとの密接な共同検証体制を確立しています。このような活動を通して、2020年度は、RFコンフォーマンス試験におけるミリ波スプリアス試験やミリ波Demodulation/CSI試験、プロトコル コンフォーマンス試験におけるVoNR (Voice over New Radio) 試験等の分野で、業界初となるGCFからの認証を獲得しています。 3) 5G端末製造ソリューションの開発2020年は、中国市場を中心に5Gスマートフォンの出荷台数が急速に増加し、年間で2億台を超える5Gスマートフォンが製造されました。2021年は5Gの普及が中国市場以外でも加速し、年間5億台以上の5Gスマートフォンが製造されると予想されています。5Gスマートフォンを含むハイエンドスマートフォンは、高速通信を実現するMIMO(Multi Input Multi Output)技術やキャリアアグリゲーション技術に対応するため多くのアンテナポートを持っています。当社は、製造検査において、これらの多ポート型のスマートフォンを正確に効率よく測定するため、24ポートのRFコネクタを1モジュールに実装した新しい測定モジュールMU887002Aを開発いたしました。当社は、MU887002Aの供給を通して、より安価で高品質なスマートフォンの量産製造に貢献いたします。4) Connected Vehicleの5G化に向けて機能強化対応したMT8000Aの開発5G通信技術を活用することで、高速大容量、高信頼・低遅延な通信が可能となり、Connected Vehicleに新たなユーザ体験の創造が可能になります。当社はConnected Vehicleを支える5G車載通信器の開発/実装を行うお客様向けに効率的な評価を行えるSmartStudio Automotive Suiteを開発しました。5Gで現実する高速大容量通信は、送信/受信マルチアンテナ技術などを用いた高密度データ伝送によって実現されますが、一方で設計技術者の皆様は、複雑な組合せ試験の増加などによって開発期間の長期化、開発費増大などを招いています。当社が開発したSmartStudio Automotive Suiteは、車載通信機が対応する通信機能を自動的に取得し、組合せ試験の自動生成、自動評価を行う業界初のTurn Keyソリューションです。SmartStudio Automotive Suiteにより、5G車載通信器の品質・信頼性向上に寄与することでConnected Vehicleでの新たなユーザエクスペリエンス創造や自動運転早期実現に貢献いたします。 5) ローカル5G体験施設の開設と、お客様・パートナー企業様とのソリューション共創に向けた取り組み当社は5Gの効果を体感頂ける施設として「ANRITSU 5G LAB」を本社(神奈川県厚木市)に新設いたします。ANRITSU 5G LABでは実際にローカル5G免許を取得し、基地局および5G端末を導入、当社5Gテストプラットフォームや試験ソリューションを併せて展示し、5G効果を体験頂ける施設となっています。本施設開設にあたり、当社自身で無線局免許申請からエリア評価を行い、当社無線従事者が運用管理いたします。設置した基地局と利用可能な端末の周波数は28GHz帯と2.5GHz帯に対応しており、ローカル5Gの電波伝搬特性解析・カバーエリア調査、ネットワーク開通・保守、5G端末のR&D・品質保証・キャリア受入検証などの実証実験を行うことで、ローカル5Gのネットワーク品質の確保・向上のための知見を積み重ねてまいります。そこで培った技術と経験をお客様やパートナー企業様と共有することで、新たなソリューションを共創し、ローカル5Gの普及に貢献していきます。 6) MP1900A PCIe 5.0(PCI Express)対応ソリューションの開発5G(第5世代通信システム)などによる超高速、大容量に対応するネットワークの検討が進んでいます。これらの技術革新によりデータセンターも高速大容量のデータを処理する必要性が高まっています。これにともない、データセンターを構築する伝送装置、サーバ、ストレージなどの内部インタフェースも高速、広帯域化が進み、内部インタフェースに導入されているPCI Expressは、PCIe4.0(16GT/s)が普及期に入り、さらに高速化に向けた次世代規格であるPCIe5.0(32GT/s)対応のチップセットや装置開発が進んでいます。装置のPCIe5.0規格認証の開始が2022年から予定され、装置メーカ各社は2021年から接続検証を始めています。また、PCI-SIG®では、さらに次々世代となるPCIe6.0の規格策定に着手しており、信号速度は64GT/sへ高速化し、その実現に高度な信号生成技術を用いる32Gbaud PAM4(Pulse Amplitude Modulation)の採用が決定しました。MP1900Aは、自社開発の超高速デバイスの採用により、高品質な信号の送受信を可能にした、市場をリードするビットエラーレートテスタです。PCIe5.0をサポートする信号解析ソリューションを業界最速で2019年後半から2020年初めで市場投入し、多くの先端デバイスや装置開発メーカにご使用いただいています。昨今では、PCIe5.0対応製品開発で設備導入を検討されるお客様は、今後チップセットの開発が始まるPCIe6.0への拡張も見据えた検討をしています。MP1900Aは、販売開始している64Gbaud PAM4信号を生成可能なPAM4 PPGユニットへのPCIe5.0オプション対応を2021年10月に行い、PCIe 5.0開発及びコンプライアンステスト対応と次世代PCIe 6.0で用いられるPAM4の性能評価を1boxで可能とするソリューションの提供を開始しています。 7) 5Gネットワーク、データセンター増強を支える400GbEテスタMT1040Aの開発5Gサービスやクラウドサービス普及でネットワークやデータセンターの通信量は大幅に増加しており、通信方式も高速化に対応して進化が進んでいます。400GbEのネットワークやデータセンターへの導入が本格的に立上りはじめています。通信事業者は通信品質を維持、管理するために新たな通信規格への対応が必要となっており、さらにこの測定需要は、通信品質の向上、セキュリティ強化の為にモジュールやネットワークの検証を自ら行うデータセンター事業者にも広がりを見せ始めています。このようなニーズに応えるために、MT1040Aネットワークマスタ プロを2020年7月に販売開始しました。10Mbit/s~400Gbit/sまで1台で対応可能とした400Gマルチレートモジュールを主体に光ファイバー品質測定のOTDRモジュールなどを組み合わせ、様々なお客様にネットワークの建設、保守、及びネットワーク機器の検証を支える測定ソリューションを提供します。特に、400Gマルチレートモジュールでは、400GbEで必要とされるFEC(Foreword Error Correction)の測定機能に対応しました。FECは通信品質を向上させる一方、その訂正限界を超えると突発的な通信品質低下が生じます。MT1040Aの連続的・定量的FEC測定により、その訂正限界エラー発生を検証し、ネットワーク建設や定期保守時に予後保全が可能となります。 8) クラウドベースのリモート制御ソリューションSORA(Site Over Remote Access)の開発ネットワークの建設・保守の業務効率化を推進するサービスとして、MX109020A Site Over Remote Accessを開発しました。5Gモバイル網(フロントホール、ミドルホール、バックホール)やコアネットワークの建設・保守用測定器であるMT1000A/MT1040Aネットワークマスタ プロを管理センタのエキスパートエンジニアがフィールドエンジニアに代わり遠隔操作することや現場の作業者の操作をモニタして指示することがAWS等のクラウドサービスを介してできるサービスです。ネットワークの建設・保守を行うフィールドエンジニアは、測定器を用いて、不慣れな操作や障害切り分けを行う場合もあり、エキスパートエンジニアのサポートが作業効率を改善します。エキスパートエンジニアは現場に駆け付けることなくオフィスの自席や自宅から測定器を遠隔操作でき、さらに本サービスを介して測定器で作成した測定レポートをお客様の指定するサーバへ格納することも可能です。5GやIoTなどネットワーク技術の進化に伴って、現場作業者も新たな測定スキルを必要とします。エキスパートエンジニアによる現場サポートの他、実機の遠隔操作でのトレーニングなども有効となります。このようなクラウド経由のサービスはこれから立ち上がるローカル5G網の設計・敷設・運用・保守においても有効なツールとなります。デジタルトランスフォーメーションによる進化が生み出すネットワーク構築の様々な場面での有効活用をこれからも模索していきます。 9) 標準化活動計測事業における研究開発活動の重要な取り組みのひとつとして、国内外の標準化活動へ積極的に参画しています。情報通信産業における最先端の知識・技術を常に製品へ反映し、競争力に優れたソリューションをタイムリーに提供するために、主要な標準団体として現在3GPP、ITU-T、IEEE、PCI Express(注1)、IOWN等へ参加し、4G/5G、データセンター、IoT/M2M、コネクテッドカーといった有線・無線通信事業の戦略立案や情報収集に役立てています。特に移動通信システムの規格を策定する3GPPにおいては、基地局と携帯端末の通信手順試験を可能とするコンフォーマンステスト(端末認証試験)仕様策定に際し、LTE/LTE-Advanced(4G)/New Radio(5G)の規格策定段階から数多くの寄書を行っています。2020年度は活動に制限を受けながらも海外現地法人と協力しながら前年度同様に国内外の通信オペレータ、チップセットベンダ、端末ベンダとも積極的にコラボレーション開発を実施継続し、そこで得た経験を活用し5G移動通信システム関連規格を含むリリース16の策定に参加しました。中でも5Gより採用されたミリ波通信周波数帯(注2)における測定方法の策定おいては、オンラインで開催されている会合に参加し、引き続きOTA(Over The Air)(注3)での測定方法検討、測定限界に関する情報の提供、また測定の不確かさ算出に貢献しました。これらの策定にあたっては3GPPに先行して進められていた国内法規策定にも配慮し、国内外の規格間での整合を取る活動にも貢献しています。この他、データセンター向けサーバなどの内部インタフェースに使われるPCI Expressでは、次世代Gen5、Gen6のコンプライアンス試験に向けた規格会議に参画し、規格化に向けた測定結果の提示や、測定方法の提案などで貢献しました。本PCI Expressは今後コネクテッドカーなど内部インタフェースに使われることが期待されています。また、NTTが主導するIOWN構想は、これまでのインフラの限界を超え、あらゆる情報を基に個と全体との最適化を図り、多様性を受容できる豊かな社会を創るため、光を中心とした革新的技術を活用した高速大容量通信、膨大な計算リソース等を提供可能な、端末を含むネットワーク・情報処理基盤として、2024年に仕様確定、2030年の実現を目指して開始されており、この実現に向けた規格化会議に参加しています。今後規格化に向けた提案で貢献していきます。 (注1)PCI ExpressPCI ExpressはPCI-SIGによって策定されたコンピュータの拡張バスの標準仕様で、CPUやメモリなどと通信するためのI/Oシリアルインタフェース。Gen5は32GT/s、Gen6は64GT/sのデータ転送速度。(注2)ミリ波通信周波数帯3GPPリリース15より採用された移動通信システム用通信周波数帯の一つ。新たに採用されている周波数としては24.25 GHz~29.5 GHz、37.0 GHz~40.0 GHzがある。その周波数帯では既存の6 GHz以下の周波数帯と比較し電波の空間伝送損失が非常に大きいため通信信号の品質劣化が大きい。そのため規格内で求められている端末性能を評価するために、物理的な測定限界付近での試験性能が求められる場合も有る。(注3)OTA (Over The Air)物理的にケーブル接続を行い通信するのに対し、無線での通信、電波の測定を行うこと。5Gのミリ波帯通信信号の携帯端末・基地局内における品質劣化を防ぐために回路の集積化が進められた結果、従来は携帯端末や基地局と測定器間は物理的にケーブルを用いて接続がなされていたのに対し、5Gのミリ波帯においては携帯端末・基地局のアンテナ端から送信される無線信号を測定器のアンテナで受信しその品質を評価する形となった。 (2) PQA事業PQA事業は、アンリツインフィビス㈱が研究開発を行っております。「食品ロスの低減」に貢献する品質保証ソリューション近年、我が国をはじめとする世界各国において、SDGs(Sustainable Development Goals、持続可能な開発目標)の実現に向けた機運が高まっています。SDGsの目標12.3では、「世界全体の一人当たりの食料の廃棄を半減させる」ことを宣言しており、世界各国の食品産業においては「安全・安心な食品の安定供給」に加えて、「生産・サプライチェーンにおける食品の損失を減少させる」取組が加速しています。PQA事業では、食品原材料に混入した金属異物を食品製造の工程内で検出して排除することができる「M6-hシリーズ 落下型金属検出機」を開発し販売を開始しました。この製品は、新開発の筒状センサーユニットにより高感度かつ安定性に優れた異物検査を実現したほか、防塵・防水性や清掃性を大幅に向上して包装前の検査対象物を衛生的に検査することができます。また、併せて提供する選別ユニットは、十分な応答性を確保して確実な異物排除を可能にした高信頼設計となっています。コンパクトなセンサーユニットは、狭い空間にも設置が可能で、複数ラインによる生産においては、各々の材料をミックスする前に検査することで、異物を検出した際の廃棄ロスを最小限に抑えることができるなど、食品生産プロセスの歩留まり向上と食品ロスの低減に貢献します。
FY2020|8,060 文字
5【研究開発活動】当連結会計年度の研究開発投資(無形資産に計上された開発費を含む)の内訳は、次のとおりです。 当連結会計年度 売上収益比率計測事業10,489百万円 14.0%PQA事業2,180百万円 9.7%その他の事業467百万円 5.0%基礎研究開発184百万円 -合 計13,321百万円 12.4% また、セグメント別の主な研究開発成果は次のとおりです。 (1) 計測事業計測事業は、当社、Anritsu Company(米国)、Azimuth Systems, Inc.(米国)、Anritsu Ltd.(英国)、Anritsu A/S(デンマーク)等において、保有する技術を相互補完することによりシナジー効果を上げるため、協調して開発を進めております。 1) 5G NRのRF試験とプロトコル試験及び5G端末の機能・アプリケーション試験に対応したMT8000Aの開発MT8000Aは、第5世代通信システム5G NR(New Radio)のRF試験とプロトコル試験に対応した、モバイル端末、チップセット及びデバイス開発用テストプラットフォームとして2018年4月に販売が開始されました。2019年度は引き続き、Sub-6GHzにおけるデータ通信を高速化する4x4M MIMO 2CCを対応するためのMulti RF Module MT8000A-031や、ミリ波の28GHz帯と39GHz帯の両方に対応するMultiband RF Converter MA80003Aの機能強化開発を行いました。また、既存5G機能の組合わせであるFDD + TDDやFR1 + FR2のキャリア・アグリゲーション機能や、4Gの周波数で5G通信を行うDSS(Dynamic Spectrum Sharing)機能に対応しました。さらに、GUI操作のみで5Gネットワークと端末の通信状況を再現するSmartStudio NR MX800070Aを2020年3月に販売開始しました。これにより5G端末の通信速度、消費電力、端末のアプリケーション動作、ソフトウェアリグレッション試験(*1)が可能になります。(*1) ソフトウェアリグレッション試験:ソフトウェアをバージョンアップした際、その変更によって予想外の問題が現れていないかを確認する試験。 2) 5G NRモバイルデバイステストプラットフォームME7834NRの開発ME7834NRは、3GPPで規定される5G NRのプロトコルコンフォーマンス試験と通信事業者受入試験に対応する自動試験システムです。5G NRのスタンドアローンモード(SA)/ノンスタンドアローンモード(NSA)双方での試験に対応します。また、OTAチャンバと組み合わせて、5Gで使用されるSub-6GHz帯、ミリ波帯の周波数帯域におけるOTA環境での試験に対応します。ME7834NRは、モバイル端末の認証試験基準を定めているGCF(Global Certification Forum )及びPTCRB(PCS Type Certification Review Board)のプラットフォームとして認証されています。また、グローバルの大手通信事業者が独自受入試験を実施している各種プロトコル試験、データパフォーマンス試験に対応しています。今後もGCF・PTCRB、通信事業者受入試験でのプロトコル試験プラットフォームとして認証カバー率を増やしていきます。 3) 5G NR RFコンフォーマンステストシステムME7873NRの開発ME7873NRは、3GPPで規定される5G NRのRF試験、基地局と携帯端末間の無線リソース制御、例えば隣接基地局間のハンドオーバなどが正しく動作しているかを確認するための試験であるRRM(Radio Resource Management)試験に対応する自動試験システムです。5G NRのスタンドアローンモード(SA)/ノンスタンドアローンモード(NSA)双方での試験に対応します。また、OTAチャンバと組み合わせて、5Gで使用されるSub-6GHz帯、ミリ波帯の周波数帯域におけるOTA環境での試験に対応します。ME7873NRは、5G NR Sub-6GHz NSAのRFコンフォーマンス試験において、ネットワークでの運用基準や携帯端末の認証試験基準を定めているGCFが規定する5G端末の認証開始に必要なテストケース数のGCF認証を取得しました。対象の周波数バンドは、日本、韓国、中国で使用される予定のものです。今回認証開始基準を達成したRFコンフォーマンス試験は、端末のRFの送受信性能を測定する基本試験であり、5G対応端末を早期に市場投入するうえで重要な試験項目です。さらに、技術的難易度が高い5G NR ミリ波NSAにおいても、RFコンフォーマンス試験でGCF認証を取得しました。これらにより、端末ベンダは、ミリ波の5G端末についてもRFコンフォーマンス試験開始が可能となりました。 4) ワイヤレスコネクティビティテストセットMT8862Aの開発IoTの普及に伴い、スマートフォンなどの携帯端末に加えて、プリンタやテレビなどの家電、車載機器、産業機器、センサー機器などでも急速にWLAN機能の搭載が進展しています。IEEE 802.11axは、既に5G搭載のスマートフォンやPC市場でも採用が始まっており、今後主要なWLAN規格となることが見込まれています。これに伴い、IEEE 802.11ax搭載機器の送受信性能を評価できる測定器の需要が急速に高まっています。MT8862Aは、WLAN機能を搭載した通信機器のRF評価用測定器であり、IEEE 802.11a/b/g/n/acに対応しています。さらに今回IEEE 802.11axに対応したオプションを開発しました。本オプションを使用することにより、IEEE 802.11ax 搭載機器のRF評価を、ダイレクトモードによる短時間での評価に加え、ネットワークモードでは通信プロトコルを使用した実動作の状態で評価が行えます。また、WLANの信号品質はデータレートごとに特性が異なるため、データレートごとでの信号評価が非常に重要です。MT8862Aは、通信プロトコルを使用した実動作状態での測定モードにて、現在使用されている主要なWLAN規格のすべてのデータレートで信号品質評価が可能な業界初の測定器となりました。 5) 5Gエリアテスタの開発2020年春から開始された5G本格サービスに向けて多数の基地局の配備が、今後必要となります。さらに、一般企業が限られたエリアで5Gを自営網として利用できるローカル5Gが制度化され、自営通信による5G基地局の整備も本格化します。オペレーター各社及びローカル5G事業者は、通信品質の安定や向上のために、基地局のカバーエリア内の電波伝搬特性の評価と、基地局の運用状態の確認を行います。これに伴い、評価用測定器のニーズが高まることが見込まれています。そこで、携帯電話基地局サービスエリアの電波伝搬状況を評価するエリアテスタ™ ML8780A/ML8781Aの機能を強化し、5G NR(第5世代通信システム)測定用オプションを開発しました。新開発の5G NR測定用オプションは、5G NR基地局のエリア評価に必要な項目が測定できる「5G NR信号測定機能」、マルチパスの確認と改善に有効な「RS遅延プロファイル機能」、5G NR信号のフレームタイミングが許容範囲に収まっているかを確認できる「Frame Timing機能」などを標準搭載しています。ML8780A/ML8781Aは5G測定用オプションを搭載することにより、5G NR基地局から出力される5G信号の電波伝搬特性を高精度に評価し、カバーエリアを正確に検証することができます。 6) Automotive機能強化対応したMD8475Bの開発基地局シミュレータ/シグナリングテスタ MD8475A/MD8475BとeCall Tester MX703330Eを組み合わせた自動車向け緊急通報システム eCall試験ソリューションを拡張し、NG112 LTE eCallオプションを開発しました。本オプションを使用することにより、次世代のeCall over LTE(NG-eCall)に対応した車載機器の評価が行えます。eCallは、事故が発生した際に、緊急連絡センターに緊急呼接続を行い、事故情報を音声信号で送信するシステムです。EUでは、すべての新型車へのeCallシステム装備が2018年3月31日から義務化され、各国で導入が本格化しています。欧州の通信事業者は、2G及び3Gから4G LTE及び5Gインフラへの移行を進めています。eCallシステムもこの移行に従い、4G LTE及び5Gを使用した次世代緊急通報システム“NG-eCall”の開発が進展しています。シグナリングテスタ MD8475A/MD8475Bは、eCallが運用されるモバイルネットワークを擬似的に構築できる基地局シミュレータです。eCall Tester MX703330Eは、eCall車載器と緊急連絡センター間の通信シーケンスをエミュレートできるソフトウェアです。MX703330Eに、今回開発したNG112 LTE eCallオプションを追加することにより、NG-eCall機能試験及びエンドツーエンドでの音声評価が、疑似的なLTEネットワークで行えます。ギガビットLTEのシミュレーション及びNG-eCall 車載器の評価をシグナリングテスタ MD8475B一台で実現し、テレマティクス総合試験の効率化と試験コストを低減しています。 7) 5Gネットワークを支える光ファイバー建設・保守機能を強化したMT1000A用OTDRモジュールの開発SNSやインターネットビデオの普及により、スマートフォン、タブレットなどの通信容量が増大しています。さらに5Gサービスの本格普及に伴い、通信容量の急増が見込まれており、無線基地とアンテナ装置間/無線基地と交換局間の光ネットワーク化、メトロネットワークの波長分割多重化が更に進展しています。このため、ネットワークの建設や現用回線の保守作業が増大しています。光ファイバの建設・保守時には、光ファイバの品質試験だけでなく伝送品質試験も求められ、これらの評価を1台で可能とするマルチプラットフォームのニーズが高まっています。今回開発したMU100023Aは、MT1000A用測定モジュールとして、1310/1550nmに加え、現用回線の保守で使用される1650nmの3波長で光ファイバー特性の測定を行えます。MU100023Aは、OTDR、安定化光源、光パワーメータを標準搭載していることに加え、オプションで可視光源機能、光ファイバスコープ機能を搭載できます。これにより、1台で各種光回線の通信品質の検証や現用回線を含む障害箇所の検知が行えます。さらに、MU100023Aと既存の10Gマルチレートモジュール MU100010Aや100Gマルチレートモジュール MU100011Aを同時に搭載することにより、光回線測定と伝送品質測定が1台のMT1000Aで実現できます。 8) MP1900A用400GbE PAM4 BER測定モジュールの開発次世代5Gモバイル通信やクラウド通信サービスの普及により、データ通信トラフィックの更なる増大が予想されています。それに伴い、データセンタでは、53.125 Gbaud PAM4 x 4レーン方式を用いる400GbE通信規格や、さらに将来は8レーン化による800GbEへの高速化が検討されています。4値の振幅レベルで情報を表すPAM4方式では、2値で表すNRZ方式に対して信号レベル間の差は1/3となるため、信号品質を評価する測定器には従来よりも高感度な入力性能が求められます。また、高速化に伴い伝送路損失による測定結果への影響が無視できなくなるため、クロックリカバリやイコライザなど、損失影響を補償するための機能を高度に統合したソリューションが求められています。MP1900Aは、高度な信号発生と信号性能の解析をサポートし、400Gを超える通信速度に向けた、市場をリードするビットエラーレートテスタです。今回開発したPAM4 EDモジュールは、オリジナルInP半導体技術を用いた受信回路により、58 Gbaud PAM4入力に対応、Typ. 50mVの感度性能を実現しました。さらに、クロックリカバリ・イコライザ機能を内蔵し、動作上限・感度性能や、伝送路損失の影響によって、これまでできなかったBER測定結果の妥当性検証をサポートします。既に商品化されているMP1900AのPAM4パターン発生器と組み合わせて、より精度の高いPAM4信号のBER測定を行えます。 9) BERTWave™ MP2110Aサンプリングオシロスコープに内蔵可能な53Gbaudクロックリカバリの開発5Gの本格普及によりデータ通信ネットワークの高速大容量化の需要はますます高まっています。この高速大容量ネットワークに使用される100G~400Gに対応した光モジュールでは、従来のデジタル信号伝送方式であるNRZ方式に代わりPAM4方式の光信号が出力されます。サンプリングオシロスコープではデータ信号に同期したトリガクロック信号が別途必要ですが、PAM4信号を出力する光モジュールではトリガ信号を用意できないケースが多くなってきています。クロックリカバリによりデータ信号からトリガ信号を生成することができますが、導入コストが高くなるという課題がありました。そこで、BERTWave™ MP2110Aのサンプリングオシロスコープの機能を強化し、変調レート53GbaudのPAM4光信号からトリガクロックを生成することができるクロックリカバリユニットオプションを開発しました。このクロックリカバリオプションは内蔵タイプであるため、外付けタイプよりも低価格であり、操作性も優れています。本オプション追加により、現在IEEEで規格化が完了しているすべての種類のPAM4光モジュール評価を、外部のトリガクロックなしに1台で行うことが可能となりました。また、4チャネルオシロスコープを選択すると複数のチャネルを一括で測定できるため、製造のスループットを改善できます。現場で必要な試験系を、柔軟に、かつ最適なコストで構築できます。 10) 標準化活動計測事業における研究開発活動の重要な取組のひとつとして、国内外の標準化活動へ積極的に参画しています。情報通信産業における最先端の知識・技術を常に製品へ反映し、競争力に優れたソリューションをタイムリーに提供するために、主要な標準団体として現在3GPP、ITU-T、IEEE等へ参加し、4G/5G、データセンタ、IoT/M2M、コネクテッドカーといった有線・無線通信事業の戦略立案や情報収集に役立てています。特に移動通信システムの規格を策定する3GPPにおいては、基地局と携帯端末の通信手順試験を可能とするコンフォーマンステスト(端末認証試験)仕様策定に際し、LTE/LTE-Advanced(4G)/New Radio(5G)の規格策定段階から数多くの寄書を行っています。2019年度は国内外の通信オペレータ、チップセットベンダ、端末ベンダとも積極的にコラボレーション開発を実施し、そこで得た経験を活用し5G移動通信システム関連規格を含むリリース16の策定に参加しました。中でも5Gから採用されたミリ波通信周波数帯(注1)における測定方法の策定においては、従来用いられていなかったOTA(Over The Air)(注2)での測定方法検討、測定限界に関する情報の提供、また測定の不確かさの算出に貢献しました。これらの策定に当たっては3GPPに先行して進められていた国内法規策定にも配慮し、国内外の規格間での整合を取る活動にも貢献しています。このほか、5Gモバイルフロントホール構築に必要な規格開発に参画し、「IEEE 1914.3-2018(注3)」の公開に貢献しました。本規格は、5Gの無線信号と有線インターフェースの親和性を高め、モバイルフロントホールを効率化するための規格であり、2018年10月にIEEEにより新規に公開されました。 (注1)ミリ波通信周波数帯3GPPリリース15より採用された移動通信システム用通信周波数帯の一つ。新たに採用されている周波数としては24.25 GHz~29.5 GHz、37.0 GHz~40.0 GHzがある。その周波数帯では既存の6 GHz以下の周波数帯と比較し電波の空間伝送損失が非常に大きいため通信信号の品質劣化が大きい。そのため規格内で求められている端末性能を評価するために、物理的な測定限界付近での試験性能が求められる場合も有る。(注2)OTA (Over The Air)物理的にケーブル接続を行い通信するのに対し、無線での通信、電波の測定を行うこと。5Gのミリ波帯通信信号の携帯端末・基地局内における品質劣化を防ぐために回路の集積化が進められた結果、従来は携帯端末や基地局と測定器間は物理的にケーブルを用いて接続がなされていたのに対し、5Gのミリ波帯においては携帯端末・基地局のアンテナ端から送信される無線信号を測定器のアンテナで受信しその品質を評価する形となった。(注3)IEEE 1914.3-2018RoEを使用したイーサネットフレーム上での転送のための無線プロトコルのカプセル化とマッピングを定義。IEEE 1914.3™の採用により、ルーティングされたイーサネットネットワークで、デジタル化された無線データ、CPRI™、I/Qデータ、コントロールチャネルフレームを利用できるようになる。イーサネットをIEEE 1914.3フレームでトランスポート層として利用すると、より優れたリンク能力や転送効率やネットワーク仮想化など、5Gサービスに適したフロントホールネットワークを構築することが可能となる。 (2) PQA事業PQA事業は、アンリツインフィビス㈱が研究開発を行っております。医薬品の「安全・安心」に貢献する品質保証ソリューションの開発医療は、食品と並んで人々が健康で豊かな社会生活を営むための最も基本的な要素であり、医薬品の開発や製造に携わる企業は、「安全・安心」を約束する品質保証に日夜取り組んでいます。少量で身体に強い効能を発揮する医薬品には、精度が高い品質検査とその品質を保証する厳格な管理が欠かせません。PQA事業では、錠剤やカプセル剤の検査用に「M6-hシリーズ金属検出機 KDS1004PSW」を開発し、販売を開始しました。この新製品は、新開発のセンサー構造と信号処理を搭載し、業界最高レベルの金属検出感度と安定性を実現したほか、装置内部の状態監視や自己診断、選別部の動作確認など高度なバリデーション機能を備え、医薬品の厳格な品質保証に貢献します。また、併せて開発した医薬品向け総合品質管理・制御システム「QUICCA Pharma」は、医薬品製造ラインに設置された検査機をネットワークで接続し、判定結果や来歴などをリアルタイムに収集・分析します。アメリカ食品医薬品局の定める「電子的記録,電子署名に関する規則(FDA 21CFR Part11)」に準拠した品質データ管理を提供することでデータ不正のリスクを軽減し、品質保証の信頼性向上に貢献します。
FY2019|7,462 文字
5【研究開発活動】当連結会計年度の研究開発投資(無形資産に計上された開発費を含む)の内訳は、次のとおりであります。 当連結会計年度 売上収益比率計測事業9,086百万円 13.3%PQA事業2,174百万円 9.4%その他の事業526百万円 6.3%基礎研究開発220百万円 -合 計12,008百万円 12.0% また、セグメント別の主な研究開発成果は次のとおりです。 (1) 計測事業計測事業は、当社、Anritsu Company(米国)、Azimuth Systems, Inc.(米国)、Anritsu Ltd.(英国)、Anritsu A/S(デンマーク)等において、保有する技術を相互補完することによりシナジー効果を上げるべく協調して開発を進めております。 1) 5G NRのRF試験とプロトコル試験に対応したMT8000Aの開発MT8000Aは、第5世代通信システム5G NR(New Radio)のRF試験とプロトコル試験に対応した、モバイル端末、チップセット及びデバイス開発用テストプラットフォームとして2018年4月に販売を開始しました。2018年度は引き続いて、Sub-6GHzにおけるデータ通信を高速化する4x4 MIMOや、ミリ波の広帯域化を実現する8CCなどの最新技術への対応、ミリ波の28GHz帯に加え39GHz帯への対応を行いました。さらに、プロトコル試験で必要なテストケースの編集、実行、解析を統合的にサポートするRapid Test Designer(RTD)の開発、そしてOTA(Over The Air)環境でのRF試験とプロトコル試験に使用するOTAチャンバとして、RF Chamber MA8171A及びCATR Anechoic Chamber MA8172Aの開発にも取り組みました。これによりミリ波のビーム特性評価とビーム検証試験が可能となります。 2) 5G NR モバイルデバイステストプラットフォームME7834NRの開発5G NR対応のモバイル端末のプロトコルコンフォーマンス試験と通信事業者受入試験に対応する自動試験システムとして、5G NRモバイルデバイステストプラットフォームME7834NRを開発しました。OTAチャンバとRFコンバータを組み合わせることで、Sub-6GHz及びミリ波を含む3GPPで規定される5G周波数帯域をカバーします。2018年8月には、モバイル端末の認証試験基準を定めているGCF(Global Certification Forum)及びPTCRB(PCS Type Certification Review Board)により、5G NRモバイル端末用テストプラットフォームとして登録されました。その後、2019年1月に開催されたGCFミーティングにおいて、複数のミリ波の周波数帯で認証を得ました。今後もGCF及びPTCRBのプロトコルコンフォーマンステストの認証カバー率を増やしていきます。 3) 5G NR RF コンフォーマンステストシステムME7873NRの開発5G NR対応のモバイル端末のRF試験に対応する自動試験システムとして、5G NR RFコンフォーマンステストシステムME7873NRを開発しました。3GPPで規定されるRF試験の他、基地局と携帯端末間の無線リソース制御、例えば隣接基地局間のハンドオーバなどが正しく動作しているかを確認するための試験であるRRM(Radio Resource Management)試験にも対応しています。OTAチャンバとRFコンバータを組み合わせることで、Sub-6GHz及びミリ波を含む3GPPで規定される5G周波数帯域をカバーします。2019年1月からSub-6GHzノンスタンドアローンモード(NSA)でGCFによる認証取得を開始し、3月にはGCFでもスプリアス試験の認証を取得しました。今後、Sub-6GHz スタンドアローンモード(SA)やミリ波の周波数帯でも認証を取得していく予定です。 4) 5G波形生成ソフトウェアMX370113A、MX269913Aの開発5Gでは、28GHz、39GHzを使用するミリ波に加え、6GHz以下を使用するSub-6GHzの周波数帯も利用します。4G LTEに近い周波数帯であることから、Sub-6GHzに対応した5Gシステムの送信/受信特性評価においては、LTE、LTE-Advancedなど従来の通信システムで使用している信号発生器を活用したいというニーズが高まっています。そこで、各種通信方式に対応してきたベクトル信号発生器MG3710A、シグナルアナライザMS2690A/MS2691A/MS2692Aを機能強化し、5G NR信号の出力を可能とするソフトウェアを開発しました。アップリンク信号とダウンリンク信号をサポートし、コンポーネントキャリア(最大100MHz)、サブキャリア間隔、変調方式などのパラメータを設定することで、3GPPで規定される5G NR信号の波形ファイルを生成できます。 5) MT8870A 5G NR Sub-6GHzソフトウェアの開発Sub-6GHzは、モビリティやワイドエリアカバレッジなど、4G LTEに近い周波数特性の中でサービスを提供できるというメリットがあり、2020年ころまでには5Gシステムの主役になることが予測されています。このため、スマートフォンなど5Gデバイスベンダにとって、Sub-6GHzに対応することが最初のステップになることから、今後量産用測定器として生産性向上のニーズが高まることが見込まれています。そこで、ユニバーサルワイヤレステストセット MT8870Aのソフトウェアを拡充し、Sub-6GHz対応モバイル端末の評価を可能とするソフトウェアを開発しました。MT8870Aは上限6GHzのシームレスな周波数バンドと160 MHz帯域幅を標準搭載しており、ハードウェアをアップグレードすることなく、3GPP 5G NR Sub-6GHzで定義される試験が行えます。また、次世代のモバイルデバイスで一般的なデザインになる4G + 5G + IEEE 802.11ax + Bluetooth 5を共通のプラットフォームで試験可能となり、試験コストを削減できます。 6) 5Gネットワークを支える光ファイバ建設・保守用MT9085シリーズOTDRの開発5Gの実用化に向け、モバイルネットワークそしてメトロ・コアネットワークの大容量化が急ピッチで進んでいます。これらのネットワークを支えるのが光ファイバであり、その建設・保守作業でOTDR(Optical Time Domain Reflectometer)が利用されます。しかし、建設・保守作業の増加とともに光ファイバ測定に不慣れな作業者が増え、使いやすくかつ分かりやすいOTDRが求められています。そこで、新たにMT9085シリーズOTDRを開発しました。MT9085は、ロータリノブ、ハードキーなど従来の使い勝手の良さを継承しつつ、8インチワイドの大画面にタッチスクリーン操作を追加することで、今までOTDRを操作したことのない作業者にも直感的に操作できるようにしました。また、測定結果が一目でわかるFiber Visualizer機能を追加しました。これにより、熟練した作業者だけでなく初めての作業者まで光ファイバ建設・保守現場作業が容易に行えるようになりました。さらに、WLANやBluetoothなどを利用し、測定結果の一元管理も簡単に行えます。 7) 5Gネットワークの建設・保守に貢献するハンドヘルドスペクトラムアナライザ MS2090Aの開発5Gネットワーク建設・保守用測定器として求められる機能や性能を有し、各種無線通信ネットワークの品質向上に最適なフィールドマスタ プロ MS2090Aを開発しました。MS2090Aは、9kHzから9/14/20/26.5/32/44GHz及び54GHzまでの周波数範囲をカバーします。表示平均ノイズレベル(DANL)-160dBm未満、3次相互変調歪(TOI)+20dBm(代表値)など、最高クラスの性能を備え、高精度でスペクトラムクリアリング(周波数の空き状況)、アンテナアライメント、高調波及び歪み測定が可能です。また、変調解析帯域幅は100MHz、位相ノイズは100kHzオフセットで‒110dBc/Hz(@1GHz、代表値)と最高クラスを実現しており、デジタル無線システムにおける高精度な変調測定が行えます。さらに、±0.5dB(代表値)の振幅確度により、送信機パワー及びスプリアス測定において、信頼性の高い結果が得られます。さらに、5G帯域(Sub-6GHz及びミリ波)における変調解析をサポートしています。コンプライアンステスト、そして高調波やスプリアスのテストにも使用できます。最大100MHzのリアルタイムスペクトラム解析スパンで、セルラ帯域や無線LAN帯域での干渉をモニタリングできます。 8) 5Gモバイルネットワークの開通・保守機能を強化したMT1000Aの開発MT1000Aは、10Mbpsから100Gbpsまでの通信速度で運用される各種ネットワークの伝送品質を評価できるポータブル測定器です。ネットワーク評価の標準試験であるRFC2544試験やY.1564試験に加え、OTNやSDH/SONET、モバイルネットワークで使用されるCPRIやOBSAIも試験できます。今後5G基地局インターフェースであるCPRIは、EthernetをベースとしたeCPRI/RoEに拡張されます。Ethernetはベストエフォート通信のため、5Gでの運用においてはネットワークの遅延時間を厳しく管理する必要があります。5Gではミリ波など飛距離の短い高周波数帯の電波を使用するため、数多くの基地局が必要になります。これらの基地局の時刻同期を行うためにPTPが用いられます。このため、eCPRI/RoEや時刻同期を評価できる測定器のニーズが高まっていました。そこで、eCPRI/RoEや時刻同期を評価できる機能を開発しました。MT1000Aはマスター機とスレーブ機として連携させ、マスター機からスレーブ機をリモート動作させることができます。これによりマスター機でアップリンク(端末からサーバーへのデータ転送)の通信速度を、スレーブ機でダウンリンクの通信速度を同時かつ正確に測定できるようにしました。また、オプションの高精度GPS同期発振器 MU100090Aと組み合わせることにより、GPSから得られた時刻情報を元にした時刻同期試験や遠く離れた2台のMT1000A間の片方向遅延の高精度な測定が行えます。 9) MP1900A用400GbE PAM4 BER測定モジュールの開発次世代5Gモバイル通信やクラウド通信サービスのインフラとなるデータセンタでは、高速化に加え、PAM4やマルチレーンを用いた伝送容量の拡張が検討されています。400GbEは、26.5625 Gbaud PAM4 x 8レーン、53.125 Gbaud PAM4 x 4レーンの伝送方式によって実現されます。4値の振幅レベルで情報を表すPAM4方式では、NRZ方式に対して信号レベル間の差が1/3となり、高baudレート化にともない1シンボルの単位時間は短くなるため、高速伝送を実現する上でテスト信号の品質の重要度が増しています。また、マルチレーン化や集積設計によりクロストークやノイズなどに起因する信号品質の劣化が避けられなくなっており、劣化要因のストレスを加えたテスト信号による最小受信感度評価の要求が高まっています。そこで、高信号品質を実現した64 Gbaud PAM4 PPGと、高感度性能の32 Gbaud PAM4 EDを開発しました。64 Gbaud PAM4 PPGモジュールは、高品質信号性能の要求へ応え、Tr/Tf(20-80%)時間8.5 ps(代表値)、低残留ジッタ170 fs(代表値)を実現しました。4chまで拡張可能なマルチチャネル機能、伝送路損失による信号劣化を補償するためのエンファシス機能も備えています。32 Gbaud PAM4 EDモジュールは、23 mV(代表値)の高感度性能を実現しているとともに、受信感度評価で必須となるクロックリカバリ機能を内蔵し、PAM4シンボルエラー測定に対応しました。マルチチャネル機能により、測定器導入計画に合わせた拡張を可能にするとともに、複数レーン同時測定による測定時間短縮に貢献します。 10) BERTWave™ MP2110A用4チャネルのサンプリングオシロスコープオプションの開発光通信ネットワークを構成する光モジュールは、チャネル数、波長、伝送方式(NRZ/PAM4)などによりさまざまな種類が存在しますが、一方でコスト要求は厳しさを増しています。そのため、評価系構築にあたってはさまざまな方式に対応し、かつコストパフォーマンスの高いシステム構成が求められています。そこで、光モジュールの評価用測定器として提供している、オシロスコープとBERTを一体化したBERTWave™ MP2110Aの機能を強化し、4チャネルのサンプリングオシロスコープオプションを開発しました。100GbEや400GbEなど光モジュール評価で必要とされるアイパターン解析、アイマスク試験、TDECQ(Transmitter and Dispersion Eye Closure Quaternary)測定が行えます。また、従来の2チャネルモデルに比べ、チャネル単価が約1/2に低減されています。さらに、多チャネル同時測定と、各チャネルの個別測定の両方が可能です。これにより、多チャネルモジュールだけでなく単チャネルモジュールを複数同時に測定することが可能であり、測定システムを柔軟に構築できます。 11) 標準化活動計測事業における研究開発活動の重要な取り組みのひとつとして、国内外の標準化活動へ積極的に参画しています。情報通信産業における最先端の知識・技術を常に製品へ反映し、競争力に優れたソリューションをタイムリーに提供するために、主要な標準団体として現在3GPP、ITU-T、IEEE等へ参加し、4G/5G、データセンタ、IoT/M2M、コネクテッドカーといった有線・無線通信事業の戦略立案や情報収集に役立てています。特に移動通信システムの規格を策定する3GPPにおいては、基地局と携帯端末の通信手順試験を可能とするコンフォーマンステスト(端末認証試験)仕様策定に際し、LTE/LTE-Advanced(4G)/New Radio(5G)の規格策定段階から数多くの寄書を行っています。2018年度は国内外の通信オペレータ、チップセットベンダ、端末ベンダとも協力しつつ、5G移動通信システム関連規格を含むリリース16の策定に参加しました。この他、5Gモバイルフロントホール構築に必要な規格開発に参画し、「IEEE 1914.3-2018(注)」の公開に貢献しました。本規格は、5Gの無線信号と有線インターフェースの親和性を高め、モバイルフロントホールを効率化するための規格であり、2018年10月にIEEEにより新規に公開されました。(注)IEEE 1914.3-2018RoEを使用したイーサネットフレーム上での転送のための無線プロトコルのカプセル化とマッピングを定義。IEEE 1914.3™の採用により、ルーティングされたイーサネットネットワークで、デジタル化された無線データ、CPRI™、I/Qデータ、コントロールチャネルフレームを利用できるようになる。イーサネットをIEEE 1914.3フレームでトランスポート層として利用すると、より優れたリンク能力や転送効率など、フロントホールネットワーク性能が改善することに加え、必要なネットワーク遅延保証を維持することができる。 (2) PQA事業PQA事業は、アンリツインフィビス㈱が研究開発を行っております。持続可能社会の実現に貢献する品質保証ソリューションの開発世界各国で、SDGs(Sustainable Development Goals、持続可能な開発目標)の実現に向けた機運が高まっています。PQA事業の主な市場である食品産業においても、「安全・安心な食品の安定供給」に加えて、食品の廃棄ロスを減らして「持続可能な生産と消費のスタイル」を構築することが課題として注目されています。お客様の品質保証活動の高度化や生産性の向上などの便益をご提供するPQA事業の品質保証ソリューションは、家庭から食品工場へと食品加工の集約化を促します。高度に品質管理された生産ラインで食品を長期に保存可能な状態に加工することで、不良品の回収、消費期限切れ、家庭での調理などによる廃棄ロスを減少させる効果が期待できます。当社は、このような品質保証ソリューションが持つ社会的価値に以前から注目し、品質検査に有効なセンシング技術の研究と品質保証の高度化に貢献するソリューションの開発に取り組んでおります。当期におきましては、新開発のデュアルエナジ―センサと画像処理アルゴリズムを採用した「デュアルエナジ―センサ搭載XR75シリーズX線検査機」を開発し販売を開始いたしました。この新製品は、肥育された鶏肉に残った微小な骨を検出するなど、従来機では検出が困難であった異物の排除に威力を発揮します。また、併せて開発した総合品質管理・制御システム「QUICCA3」は、品質検査機が出力する大量の品質データを分析し、生産状況や品質状況の見える化を通じて、出荷品質と生産性の向上に貢献します。また、最新のIoT技術を取り入れてお客様の工場で導入が進むMES(Manufacturing Execution System、製造実行システム)などとの連携性を向上しています。PQA事業は、オリジナルでハイレベルな品質保証ソリューションのご提供を通じて、「持続可能な社会」の実現に貢献しています。
FY2018|6,245 文字
5【研究開発活動】当連結会計年度の研究開発投資(無形資産に計上された開発費を含む)の内訳は、次のとおりであります。 当連結会計年度 売上収益比率計測事業7,609百万円 14.0%PQA事業2,283百万円 10.1%その他の事業471百万円 5.2%基礎研究開発191百万円 -合 計10,556百万円 12.3% また、セグメント別の主な研究開発成果は次のとおりです。 (1) 計測事業計測事業は、当社、Anritsu Company(米国)、Azimuth Systems, Inc.(米国)、Anritsu Ltd.(英国)、Anritsu A/S(デンマーク)等において、保有する技術を相互補完することによりシナジー効果を上げるべく協調して開発を進めております。当連結会計年度においては、フィリピンに開発センターのAnritsu Philippines, Inc.を設立しました。 1) ラジオ コミュニケーション テストステーション MT8000Aの開発第5世代通信システム(5G)が、「超高速」「高信頼・低遅延」「多数同時接続」といった様々な要求条件に対応できるネットワークとして検討が進んでいます。MT8000Aは、5Gシステムの開発用テストプラットフォームです。5Gの擬似基地局機能を有し、5Gで使用するサブ6GHz帯とミリ波帯の両方の帯域に1台で対応します。OTA(Over The Air) Chamberと組み合わせることで、3GPPで規定された呼接続によるミリ波帯のRF測定や、ビームフォーミング試験もサポートします。また、モジュラーアーキテクチャによる柔軟性と拡張性を備えた先進のデザインを採用し、高速大容量通信だけでなく、今後広がる超高信頼低遅延、超多端末接続などの新しい5G試験需要にフレキシブルに対応します。さらに、長年の市場実績があり最先端機能を網羅しているLTEテストプラットフォームを活かした試験環境を提供します。お客様のLTE試験環境やシナリオなどの試験資産を活用し、5GとLTEのNSA(ノンスタンドアローン)をシミュレートする連動試験環境をスムーズに構築できます。今後、5Gサービスの早期普及に寄与する計測ソリューションを提供し、4Gから5Gシステムへのスムーズな移行に貢献いたします。 2) PCIe Gen4に対応したMP1900Aシグナルクオリティアナライザ-Rの開発スマートフォンやモバイル端末によるデータ通信量の増加に伴い、データセンタ内のネットワークインタフェースは200Gbpsおよび400Gbpsイーサネットに、通信機器バスインタフェースはPCIe Gen4(16.0GT/s)に高速化されようとしています。PCIeは、それまでほとんどのコンピュータに採用されていたPCI(Peripheral Com-ponent Interconnect)バスを高速化する目的でシリアル化され、2002年に初めて2.5GT/sのGen1が公開されました。その後ボトルネックを解消する目的で2006年に5.0GT/sのGen2、2010年に8.0GT/sのGen3と高速化が図られました。そして2017年には、16.0GT/sのGen4の規格化が完了し、今後テスト方法などの規定が予定されています。PCIeの規格はPCI-SIGという規格団体により策定されており、そこにはチップベンダ、IP(Intellectual Property)ベンダ、測定器ベンダが参画し、相互接続性を考慮したコンプライアンステストとして、そのテスト手法だけでなく、使用する測定器や治具が細かく規定されています。Gen4の規格化は予定より1年ほど遅れましたが、これは16.0GT/sの高速化を実現することが当初の想定以上に困難であったことが要因です。現在規格化が開始された32.0GT/sのGen5ではさらにその難易度が高まると思われます。我々はこれまで10Gbps、25Gbps、および100Gbpsイーサネット等の光モジュールや高速デバイスの品質評価・管理を目的とした幅広い測定需要に応えるため、MP1800Aシグナルクオリティアナライザ(以下、SQA)をリリースしています。今までのSQAの試験と異なり、PCIeでジッタ耐力試験を行う場合には、測定に先立ち、被測定物(DUT: Device Under Test)と測定器の間でリンクトレーニングを行い、DUTをループバック状態に遷移させなければなりません。PCIeに対応するため、MP1900Aシグナルクオリティアナライザ-R(以下、SQA-R)では以下を開発しました。・DUTとのリンクトレーニング機能を提供する、Link Training and Status State Machine(LTSSM)・PCIeの測定要求である高速エンファシス切り替えに対応したパルスパターン発生器MU195020A 21G/32G bit/s SI PPG(以下、SI PPG)・高精度Continuous Time Linear Equalizer(CTLE)を備えた誤り検出器 MU195040A 21G/32G bit/s SI ED(以下、SI ED)・さまざまなストレス用ノイズを印加可能なMU195050A Noise Generator(以下、Noise Gen)・DUTとのリンクトレーニングを制御するMX183000A-PL021 PCIeリンクトレーニングソフトウェアさらに、SQA-Rではコンプライアンステストの対応だけでなく、開発初期段階の不具合などを解析可能なLTSSMの解析、イベントトリガ発生機能などを含み、設計検証時間の短縮を可能としています。同時に将来のソフトウェアアップデートによりGen5対応も可能な性能を装備し、投資コスト低減に貢献します。 3) MP2110Aサンプリングオシロスコープの開発クラウドコンピューティングサービスの普及に伴う情報量の増大により、データセンタで使用されているサーバやネットワーク機器の伝送容量を増やすことが急務となっています。データセンタではサーバやネットワーク機器の光インタフェース化が進んでおり、光トランシーバの需要が急増しています。特に25GbE(25 Gigabit Ethernet)用SFP28や、100GbE(25Gbit/s×4レーン)用のQSFP28と呼ばれるフォームファクタを採用した光トランシーバの需要は2016年以降急増しています。光トランシーバの製造・開発にはBERT(Bit Error Rate Tester)とアイパターン解析用のサンプリングオシロスコープが必要となり、2015年に光トランシーバの製造・開発用に4ch BERTとサンプリングオシロスコープを1台に搭載したMP2100Bを開発しました。しかしMP2100Bは測定可能なビットレートが最大12.5Gbit/sであり、25GbEや100GbE用光トランシーバ測定に対応できていませんでした。そこで25Gbit/sに適した4ch BERTとサンプリングオシロスコープを1台に搭載するMP2110Aを開発しました。これによりSFP28やQSFP28といった光トランシーバモジュールのBER測定とサンプリングオシロスコープによる光出力波形測定を1台で実施できるようになります。MP2110Aの開発では、25Gbit/s信号を観測するため、サンプリングオシロスコープの全面的な設計変更を行いました。具体的には、アナログ入力帯域の広域化のため、光帯域40GHzのO/E(Optical to Electrical)変換モジュールと電気帯域40GHzのサンプラモジュールを新規設計しました。また新しいトリガシステムを採用し、測定器内部で生じる残留ジッタを平均200fs rms以下に低減しています。今後もBERやアイパターン等を評価するための最適なソリューションを提供することで、高速・大容量の通信インフラを支えるさまざまな光トランシーバの開発・生産効率の改善や評価品質の向上に貢献していきます。 4) IEEE 802.11ac WLANネットワークモードに対応したワイヤレスコネクティビティテストセットの開発インターネット、モバイル通信環境の普及に伴い、スマートフォンをはじめとした通信端末機器にはWLAN(Wireless LAN)が標準的な通信インタフェースとして搭載されています。加えて、家電製品や自動車など、従来想定された通信機器以外の近距離無線インフラとしてWLANの利用範囲が広がり続けています。近年注目されているIoT(Internet of Things)機器においても、WLANはその中心的な通信技術として重視されています。WLANはIEEE 802.11として標準化されていますが、RF(Radio Frequency)性能評価の手順は明示されておらず、ダイレクトモード(チップベンダ独自のテストモード)による評価が主流となっています。一方でダイレクトモードが使用できない完成品状態でのRF性能評価や、CTIA CWG(Cellular Telecommunications and Internet As-sociation Converged Wireless Group)で標準化されているOTA(Over The Air)試験など、ネットワーク接続状態を前提とした試験要求が高まっています。そこで現在主流となっているIEEE 802.11acのWLANネットワーク接続機能に対応したRF測定器としてMT8862Aを開発しました。従来のダイレクトモードでは困難であった完成品状態でWLAN性能評価やネットワーク接続を前提としたRF測定機能を提供します。ネットワーク接続を利用したセットアップの容易さ、ウェブGUIによる操作の利便性によって、WLANデバイスの製品評価を手軽に実現する環境を提供し、IoT技術を含めて今後も広く普及が見込まれるWLAN機器の品質の向上に貢献していきます。 5) 標準化活動計測事業における研究開発活動の重要な取り組みの1つとして、国内外の標準化活動へ積極的に参画しています。情報通信産業における最先端の知識・技術を常に製品へ反映し、競争力に優れたソリューションをタイムリーに提供するために、主要な標準団体として現在3GPP(注1)、ITU-T(注2)、IEEE(注3)等へ参加し、4G/5G、データセンタ、IoT/M2M(注4)、コネクテッドカー(注5)といった有線・無線通信事業の戦略立案や情報収集に役立てています。特に移動通信システムの規格を策定する3GPPにおいては、基地局と携帯端末の通信手順試験を可能とするコンフォーマンステスト(端末認証試験)仕様策定に際し、LTE/LTE-Advancedの規格策定段階から数多くの寄書を行い、2017年度は国内外の通信オペレータ、チップセットベンダー、端末ベンダーとも協力しつつ第5世代移動通信システム関連規格を含むリリース15(注6)の早期公開に貢献しました。2018年度も引き続きリリース15、リリース16(注6)の規格化に参画し、2020年の5Gサービス提供開始へ向け貢献をしていきます。(注1)3GPPThe 3rd Generation Partnership Projectの略。各国・各地域の標準化団体所属企業による、移動通信システム規格の国際標準化プロジェクト。(注2)ITU-TInternational Telecommunication Union-Telecommunicationの略。国際電気通信連合の電気通信標準化部門。(注3)IEEEThe Institute of Electrical and Electronics Engineers, Inc.の略。アメリカ合衆国に本部を持つ電気工学・電子工学技術の学会。IEEE 802.11(WiFi)や、IEEE802.3(Ethernet)などの規格を策定している。(注4)IoT/M2MInternet of Things、Machine to Machineの略。コンピュータなどの情報・通信機器だけでなく、世の中に存在するあらゆる物に通信機能を持たせ、インターネットに接続したり人手を介さずに相互に通信することにより、自動認識や自動制御、遠隔計測などを行う技術。(注5)コネクテッドカーICT端末としての機能を有する自動車のこと。車両の状態や周囲の道路状況などの様々なデータをセンサーにより取得し、ネットワークを介して集積・分析することで、新たな価値を生み出すことが期待されている。(注6)リリース15、163GPPから公開されている移動通信システム規格の版数。リリース15は2018年1月に公開。リリース16は2018年6月より活動開始予定。 (2) PQA事業PQA事業は、アンリツインフィビス㈱が研究開発を行っております。品質保証の厳格化に呼応した新型金属検出機の開発食品原材料や加工食品の国際流通が進む中、国連食糧農業機関(FAO: Food and Agriculture Organization)と世界保健機関(WHO: World Health Organization)の合同機関であるコーデックス委員会は、食品安全の管理手法であるHACCP (Hazard Analysis and Critical Control Point)のガイドラインを発表して世界各国に推奨しており、我が国においても導入が加速しています。食品に混入した金属異物を磁界の揺らぎを利用して非接触で検出できる金属検出機は、HACCPにおける最も基本的な危害モニタリング手段の1つとして広く普及しており、現在も需要が拡大しています。金属検出機は、原理的に検査対象物や外部から飛来する電磁ノイズの影響により検出性能が変化することがあり、検査性能の安定化が従来から課題でした。また、HACCPでは危害のモニタリングが適切に行われていることを検証し記録することが求められ、品質管理工数の軽減が新たな課題となっています。このようなお客様の課題に以前から注目し、検査に有用なセンシング技術の研究と品質保証の高度化に貢献するソリューションの開発に取り組んでおります。当連結会計年度におきましては、新開発の信号処理回路とアルゴリズムの採用により、検出感度のさらなる向上と使用環境に対する高い安定性を実現した「M6-hシリーズ金属検出機」を開発し販売を開始しました。M6-hシリーズ金属検出機は、基本性能の向上にとどまらず、設定ミスを未然に防ぐスマートガイド機能、検査の健全性を検証するバリデーション機能、異常動作時の診断機能などHACCPを念頭に置いた各種機能を搭載しており、食品生産ラインにおける品質保証の高度化と生産性の向上に貢献します。PQA事業は、オリジナルでハイレベルな商品と、お客様の品質保証活動をサポートするサービスのご提供を通じて、「安全・安心」な社会の実現に貢献していきます。
FY2017|5,380 文字
6【研究開発活動】当社グループは、安全・安心で豊かなグローバル社会の実現に貢献するため、日本、アメリカ、ヨーロッパに有する開発拠点でグローバルに“オリジナル&ハイレベル”な商品とサービスの研究開発を行っております。計測事業は、当社、Anritsu Company(米国)、Azimuth Systems, Inc.(米国)、Anritsu Ltd.(英国)、Anritsu A/S(デンマーク)等において、保有する技術を相互補完することによりシナジー効果を上げるべく協調して開発を進めております。PQA事業は、アンリツインフィビス㈱が研究開発を行っております。国際会計基準(IFRS)の適用に伴い、当社グループでは開発投資の一部について資産化を行い、無形資産に計上しております。無形資産に計上された開発費を含む当連結会計年度の研究開発投資の内訳は次のとおりであります。 当連結会計年度 売上収益比率計測事業8,324百万円 14.0%PQA事業2,076百万円 10.6%その他の事業609百万円 7.0%基礎研究開発202百万円 -合 計11,212百万円 12.8% また、セグメント別の主な研究開発成果は次のとおりです。 (1) 計測事業1) 高精度な網同期検証に対応したネットワーク試験器の開発LTE(Long Term Evolution)をさらに高速化させたLTE-AdvancedにおいてTDD(Time Division Duplex)方式のTD-LTE方式の採用が進んでいます。TD-LTE方式採用に合わせてMBH(Mobile Back Houl)における時刻・位相同期精度クラスに対する要求も高くなっており、高精度かつ安価なPTP(Precision Time Protocol)ネットワーク網評価のニーズが高まっています。本開発ではネットワーク試験器であるMT1000Aネットワークマスタプロに、高精度なPTPネットワーク網評価で必要とされる機能を拡充しました。従来、PTP網の時刻精度検証のために専用測定器が用いられてきましたが、専用測定器は高価でありPTP網敷設時のコストを押し上げる原因となっています。またPTP網に要求される機能・性能評価では複雑な試験が求められ、検証測定器の複雑化や作業者へのトレーニングコスト増加にもつながっています。これらの問題を解決することを目的として、操作が安易で、安価なPTP網評価測定を提供するため、以下の開発を行いました。・最新テレコムプロファイル対応、時刻・位相差測定を含めたPTP機能拡張により、最新PTP網評価を可能とします。・UTC時刻に同期可能な高精度GPS同期モジュールをMT1000Aの新規モジュールとして開発し、MT1000Aポータビリティを継承した高精度PTP測定器を提供します。・簡単な操作で複雑なPTP網評価を可能とすることで作業者の負担を軽減できる自動試験機能を提供します。今後も時刻・位相同期技術は5Gモバイル技術などを支える重要な基盤技術となっていくと考えられます。引き続き新たな測定ニーズに応えて、今後もネットワークの進展に貢献していきます。 2) MP2100B 12.5Gbit/s 4ch ビットエラーレートテスタの開発クラウドコンピューティングサービスの普及に伴う、データセンタの情報量の急増により、データセンタで使用されているサーバやネットワーク機器の伝送容量を増やすことが急務となっています。そのためデータセンタではサーバやネットワーク機器の光インタフェース化が進んでおり、光トランシーバの需要が急増しています。特に10GbE用SFP+や40GbE(10Gbit/s×4)用QSFP+の需要が急増しています。これら急増する光トランシーバの試験要求に応えるべく、今回12.5Gbit/s 4ch ビットエラーレートテスタ(BERT)とサンプリングオシロスコープを1台に搭載したMP2100Bを開発しました。本開発では、4チャネルBERTの小型化設計により、従来機種のMP2100Aの2ch BERTと同じ筐体サイズを実現しました。また性能面ではPPG(Pulse Pattern Generator)波形の高品質化とED(Error Detector)の高感度化に取り組み、光トランシーバの受光感度試験ではMP2100Aより0.7dB改善しました。今後もビットエラーレートやアイパターン等を評価するための最適なソリューションを提供することで、高速・大容量の通信インフラを支えるさまざまな光トランシーバの開発・生産効率の改善や評価品質の向上に貢献していきます。 3) 低位相雑音シンセサイザを搭載したシグナルアナライザMS2840Aの開発マイクロ波帯の無線バックホールやVHF/UHF帯の公共・業務用無線機などの評価では、ほかの通信チャネルへの干渉を防ぐため、近傍スプリアスや隣接チャネル漏洩電力等が必須の測定項目となっています。これらの測定には、高い位相雑音性能が求められ、ハイエンドモデルのスペクトラムアナライザが必要とされてきました。MS2840Aは、ミドルレンジのスペクトラムアナライザでありながら、ハイエンドモデルに匹敵する近傍位相雑音性能を実現し、さらに測定機能を拡充することで、狭帯域通信装置の評価を可能としました。キャリア近傍のSSB位相雑音性能は、ハイエンドモデルに匹敵する値(測定周波数1GHz、オフセット周波数10kHzにて123dBc/Hz)を実現し、低位相雑音オプション(MS2840A-066)を搭載することで最高機種を凌駕する性能(測定周波数500MHz、オフセット周波数10kHzにて133dBc/Hz)を実現しました。また、MS2840Aはシグナルアナライザ機能を標準で搭載しており、瞬時スペクトラム観測、周波数変化vs.時間、位相変化vs.時間、スペクトログラム表示など多彩な測定ができます。さらにオプションとして位相雑音測定機能(MS2840A-010)、ベクトル変調解析ソフトウェア(MX269017A)、アナログ測定ソフトウェア(MX269018A)、雑音指数測定機能(MS2840A-017)等が追加可能であり、これにより狭帯域通信で必要となる送信試験を1台で実現可能としました。今後も、進化する無線機器の開発に必要なソリューションを提供し、無線通信技術の進化と発展に貢献していきます。 4) LTE-Advanced商用端末評価に対応したMD8475Bシグナリングテスタの開発最新の移動通信方式であるLTE(Long Term Evolution)並びに、LTEを発展させたLTE-Advancedの導入が、携帯電話のデータ通信量の増加を背景に世界中で加速しています。これらの通信方式に加え、GSMやW-CDMAに代表される既存の移動通信システム(第2~3.5世代)にも対応し、第2世代から最新のLTE-Advancedまでの主要な移動通信規格に1台で対応できるMD8475Bシグナリングテスタを開発しました。本器は基本的な各種呼接続試験に加えてデータ転送試験、消費電流試験、複数セル試験、またVoLTE(Voice over LTE)などに代表されるIMS(Internet protocol Multimedia Subsystem)をフレームワークとした各種サービス試験機能を提供できます。また、これまでのシグナリングテスタでは、試験内容に合わせたシナリオの準備が必要であり、より複雑化する商用端末の試験需要に伴う煩雑なシナリオスクリプトの作成と管理の必要性から、シミュレーション環境構築までに多大な労力を要していました。これらの問題を解決するために、基地局と商用端末間のさまざまな通信状況を再現し、多岐にわたる煩雑な試験をスマートに行うためのコンセプトツールとしてMD8475A/Bシグナリングテスタのアプリケーション・ソフトウェアであるSmartStudioの開発も行いました。 5) 標準化活動計測事業における研究開発活動の重要な取り組みのひとつとして、国内外の標準化活動へ積極的に参画しています。情報通信産業における最先端の知識・技術を常に製品へ反映し、競争力に優れたソリューションをタイムリーに提供するために、主要な標準団体として現在3GPP、ITU-T(注1)、IEEE(注2)等へ参加し、4G/5G、データセンタ、IoT/M2M(注3)、コネクテッドカー(注4)といった有線・無線通信事業の戦略立案や情報収集に役立てています。特に携帯電話システムの規格を策定する3GPPにおいては、基地局と携帯端末の通信手順試験を可能とするコンフォーマンステスト(端末認証試験)仕様策定に際し、LTE/LTE-Advancedの規格策定段階から数多くの寄書を行い、2016年度はリリース14(注5)の公開に貢献し、引き続きリリース15(注5)の規格化に参画していきます。(注1)ITU-TInternational Telecommunication Union-Telecommunicationの略。国際電気通信連合の電気通信標準化部門。(注2)IEEEThe Institute of Electrical and Electronics Engineers, Inc.の略。アメリカ合衆国に本部を持つ電気工学・電子工学技術の学会。IEEE 802.11(WiFi)や、IEEE802.3(Ethernet)などの規格を策定している。(注3)IoT/M2MInternet of Things、Machine to Machineの略。コンピュータなどの情報・通信機器だけでなく、世の中に存在するあらゆる物に通信機能を持たせ、インターネットに接続したり人手を介さずに相互に通信することにより、自動認識や自動制御、遠隔計測などを行う技術。(注4)コネクテッドカーICT端末としての機能を有する自動車のこと。車両の状態や周囲の道路状況などの様々なデータをセンサーにより取得し、ネットワークを介して集積・分析することで、新たな価値を生み出すことが期待されている。(注5)リリース14、153GPPから公開されている移動通信システム規格の版数。リリース14は2017年3月に公開。 (2) PQA事業高機能化と多様化が進む食品包装に対応する品質検査機器の開発世界的な人口の増加が進むなか、安全で安心な食糧の安定供給は持続可能な社会の実現に向けて国際社会が協調して取り組むべき最重要の課題となっています。食品包装の業界では、生産ラインの自動化・高度化による生産性の向上や、食品ロスを低減するための包装技術の研究開発が進んでいます。このような食品生産ラインの発達と包装形態の多様化に追従しつつ、安全・安心な食品の安定供給に貢献する品質保証ソリューションの開発に取り組んでおります。当連結会計年度におきましては、包装技術の進化に対応した「X線かみこみ検査機」や「複連用重量選別機」などの品質検査機器を開発し、販売を開始しました。X線かみこみ検査機は、当社独自の画像センシング技術を駆使し、従来のカメラ式検査機では検査が困難であったアルミ蒸着包装などの不透明包装の封止部分への食材のかみこみ検査を実現しました。複連用重量選別機は、その利便性から世界的に増加傾向にある小袋包装の質量検査に特化し、最大12連の複列包装ラインにおいて同時かつ高速な検査を実現することで生産ラインの生産性向上に貢献します。PQA事業は、オリジナルでハイレベルな商品と、お客様の品質保証活動をサポートするサービスのご提供を通じて、安全・安心な社会の実現に貢献していきます。 (3) その他の事業情報通信事業 ユニファイドネットワークコントローラ PureFlow WSXシリーズの開発昨今、企業活動で取り扱うデータの大容量化が進み、集められたビッグデータの保管・分析・共有のためにクラウドサービスをグローバルに活用する企業が続々と登場しています。このデータグローバル化の波を受けて、WAN回線を利用した長距離間通信の利用頻度は増加の一途を辿っています。長距離における大容量データ通信で発生するパフォーマンス低下などの諸問題を解決し、快適な事業環境を提供するソリューションとして2015年度に商品化した「トラフィックアクセラレータPureFlow WSX」の機能強化開発を行いました。主として、ファイル共有プロトコルの高速化や、障害発生時に冗長回線へ切り替え通信を維持するバイパス機能、SDNを見据えたOpenFlow機能などに対応し、WSXシリーズの製品ラインナップを拡充しました。また、製品コンセプトを「ユニファイドネットワークコントローラ」へと変更し、様々な課題をアプリケーションの追加により統合的に解決可能なワンボックスソリューションと位置付け、今後も世界中のネットワークで安全・安心、そして高速で快適な通信環境の実現に貢献していきます。
FY2016|5,564 文字
6【研究開発活動】当社グループは、安全・安心で豊かなグローバル社会の実現に貢献するため、日本、アメリカ、ヨーロッパに有する開発拠点でグローバルに“オリジナル&ハイレベル”な商品とサービスの研究開発を行っております。計測事業は、当社、Anritsu Company(米国)、Anritsu Ltd.(英国)、Anritsu A/S(デンマーク)、Anritsu Solutions S.r.l.(イタリア)及びAnritsu Solutions SK,s.r.o.(スロバキア)において、保有する技術を相互補完することによりシナジー効果を上げるべく協調して開発を進めております。PQA事業は、アンリツインフィビス㈱が研究開発を行っております。国際会計基準(IFRS)の適用に伴い、当社グループでは開発投資の一部について資産化を行い、無形資産に計上しております。無形資産に計上された開発費を含む当連結会計年度の研究開発投資の内訳は次のとおりであります。 当連結会計年度 売上収益比率計測事業9,822百万円 14.5 %PQA事業1,901百万円 10.1 %その他の事業795百万円 8.9 %基礎研究開発570百万円 -合 計13,089百万円 13.7 % また、セグメント別の主な研究開発成果は次のとおりです。 (1)計測事業1) 4x4/8x2 MIMOフェージング機能に対応したMD8430Aの開発3GPP(注1)で標準化された移動通信システムであるLTEが広く普及されている中、急激に増加している通信量に対応するためにLTEを更に高速化したLTE-Advancedの採用が進んでおります。LTE-Advancedは、通信帯域幅を拡張するキャリアアグリゲーション(注2)に加え、複数のアンテナを用いることにより、移動時に1Gbpsから最大3Gbpsのデータ通信を可能とする移動通信システムです。移動通信システムは、フェージング(注3)により実効通信速度が変動することから、複数のアンテナを使用するMIMO(注4)では、実効通信速度の検証が重要な評価項目となっています。現在、4x4 MIMO、8x2 MIMO(注4)技術の開発が進展しており、このフェージング環境で実効通信速度を検証できる基地局シミュレータのニーズが高まっています。そこで本開発では、MD8430Aシグナリングテスタの機能を強化し、新たに4x4 MIMO/8x2 MIMOフェージング試験を可能としました。(注1)3GPP:The 3rd Generation Partnership Project 第3世代、第4世代及び、次世代移動通信システム規格の検討・作成を行う標準化プロジェクト(注2)キャリアアグリゲーション 複数のLTEコンポーネントキャリアを同時に使用することで、広い帯域を確保し、通信速度を向上させる技術。(注3)フェージング 無線通信において、時間差をもって到達した電波が干渉し合うことによって電波レベルの強弱に影響を与える現象のことである。フェージングは、電波が地上の障害物や大気中の電離層などによって反射することによって生じるが、移動体通信においては、送受信する端末そのものが移動することでも発生する。(注4)4x4/8x2 MIMO:Multiple Input Multiple Output MIMOは複数アンテナを使用して同時にデータを送受信し、データ通信を高速化・高信頼化する技術。4x4 MIMOは、送受信で各4本のアンテナを使用し、8x2 MIMOは、送信側で8本、受信側で2本のアンテナを使用する。 2) LTE-Advanced/3G/2Gに1台で対応したMT8821Cの開発LTE並びに、LTEを発展させたLTE-Advancedの通信方式に加え、GSMやW-CDMAに代表される既存の移動通信システム(第2~3.5世代)にも対応し、第2世代から最新のLTE-Advancedまでの主要な移動通信規格に1台で対応できるMT8821Cラジオコミュニケーションアナライザを開発しました。本製品は呼制御を用いたRF性能試験並びに機能試験を行うことができ、移動通信端末(移動機)や端末用チップセットの開発に大いに貢献するものと考えます。また、従来は複数台の測定器が必要であった機能を1台に集約したこと、そして新開発のGUI(Graphical User Interface)が「タッチパネルのGUIは素直で直感的に理解容易にデザインされており、見た目や色も本体と統一感がある。多用途、多機能をシンプルにまとめた優れたデザインである」として高く評価され、2015年度グッドデザイン賞を受賞しました。 3) 高性能導波管ミキサMA2806A/08Aの開発ミリ波(注1)の市場は、次世代の無線通信システムを担う周波数帯として注目が高まっております。一方でユーザの要求を満足する測定器がなく、ユーザは、個別に測定環境を構築して評価を実施している状況です。そのため、R&D市場、認証市場のユーザ等から、次世代無線通信システムに対応した測定器の開発が待ち望まれていました。こうした要求に対応するため、高性能導波管ミキサの開発と、MS2830Aシグナルアナライザの外部ミキサ機能の拡張を行い、それらを組み合わせることで、50~75GHz帯及び60~90GHz帯で市場要求を満足する高ダイナミックレンジのミリ波帯スペクトラム測定を実現しました。(注1)ミリ波 30GHz以上の周波数を持つ電波。波長1cm以下。無線通信システムや衛星通信、レーダーなどで用いられる電波。周波数帯域により、各通信システムの運用が割り当てられている。 4) 近傍位相雑音性能を大幅に向上したMS2840Aの開発近年発売されているスペクトラムアナライザは、需要が拡大しているLTEや無線LANなどの測定用として、広帯域での測定性能を重視したモデルが主流となっています。一方、マイクロ波帯の無線バックホールやV/UHF帯業務用無線機などの測定では、狭帯域での測定性能を重視したスペクトラムアナライザが必要ですが、市場に多く存在するLTE対応スペクトラムアナライザは、これらの用途に適合していませんでした。そのため、狭帯域性能を必要とするお客様は10年~20年前に購入した旧型モデルを継続利用するか、著しく高価な最高級モデルを購入する必要がありました。そこで、狭帯域での測定性能を重視したミドルレンジモデルとしてMS2840Aシグナルアナライザを開発しました。本製品は、9kHz~44.5GHzの測定周波数範囲を持ち、内蔵発振器のSSB位相雑音性能(注1)を、測定周波数1GHz、オフセット周波数10kHzにて−123dBc/Hzと大幅に向上させています。これにより、これまで大型で高価格の位相雑音専用測定器でしか実現できなかった狭帯域通信装置の近傍スプリアス性能評価を、充分な余裕を持って実現できます。(注1)SSB位相雑音性能 SSBはSingle Side Band(搬送波単側波帯)の略。信号発生の原理上、必ず含まれる余分な周波数成分。 5) 高速シリアルBUSインターフェース規格に対応したMP1800A用アプリケーションソフトの開発データ通信トラフィックの拡大により、デジタル通信システムには更なる大容量化と高速化が求められています。PCI Express(注1)やUSBに代表される高速BUSインターフェース規格では高速化に伴いシグナルインテグリティ(注2)の確保がますます困難になってきており、ジッタ耐力試験では実測によるマージン確認が必須となってきています。そこで、MP1800Aシグナルクオリティアナライザに搭載することで、PCI ExpressやUSBデバイスの評価で必要とされるリンクシーケンスパターン(注3)の発生とジッタ耐力(注4)試験が可能となるアプリケーションソフトウェアを開発しました。(注1)PCI Express PCI-SIGにより策定されるシリアルデータバス規格。主にパソコン内部の通信で使用される。最新はGen4.0で1レーンあたりの帯域を16GT/sとしている。(注2)シグナル インテグリティ 信号が伝播する際に生じる波形のひずみなど、信号の品質を指す。(注3)リンクシーケンスパターン ホストとターゲットの接続を確立するシーケンスパターン。(注4)ジッタ耐力 シリアルデータバスの性能を見極めるための試験方法で、レシーバにジッタ可変変調データを入力し、そのBERによって定義される。 6) 標準化活動計測事業における研究開発活動の重要な取り組みのひとつとして、国内外の標準化活動へ積極的に参画しています。情報通信産業における最先端の知識・技術を常に製品へ反映し、競争力に優れたソリューションをタイムリーに提供するために、主要な標準団体として現在3GPP、ITU-T(注1)、IEEE(注2)等へ参加し、4G/5G、データセンタ、IoT/M2M(注3)、コネクテッドカー(注4)といった有線・無線通信事業の戦略立案や情報収集に役立てています。特に携帯電話システムの規格を策定する3GPPにおいては、基地局と携帯端末の通信手順試験を可能とするコンフォーマンステスト(端末認証試験)仕様策定に際し、LTE/LTE-Advancedの規格策定段階から数多くの寄書を行い、2015年度はリリース13(注5)の公開に貢献しました。(注1)ITU-T International Telecommunication Union-Telecommunicationの略。国際電気通信連合の電気通信標準化部門。(注2)IEEE The Institute of Electrical and Electronics Engineers, Inc.の略。アメリカ合衆国に本部を持つ電気工学・電子工学技術の学会。IEEE 802.11 (WiFi)や、IEEE802.3 (Ethernet)などの規格を策定している。 (注3)IoT/M2M Internet of Things、Machine to Machineの略。コンピュータなどの情報・通信機器だけでなく、世の中に存在するあらゆる物に通信機能を持たせ、インターネットに接続したり人手を介さずに相互に通信することにより、自動認識や自動制御、遠隔計測などを行う技術。(注4)コネクテッドカー ICT端末としての機能を有する自動車のこと。車両の状態や周囲の道路状況などの様々なデータをセンサーにより取得し、ネットワークを介して集積・分析することで、新たな価値を生み出すことが期待されている。(注5)リリース13 3GPPから公開されている移動通信システム規格の版数。リリース13は2016年3月に公開。 (2)PQA事業医薬品等のカプセル用重量選別機の開発世界的な人口の増加と新興国の経済発展を背景に医薬品の需要は増加の一途をたどっております。生命に直結する医薬業界において、医薬メーカー各社は、食品より更に厳格な品質保証を自社の課題としています。近年、医薬業界では製薬技術の発達により従来薬よりも少量で薬効が期待できる高活性薬剤が増加しており、質量管理の高精度化、更には医薬品製造プロセスの健全性を証明するバリデーション体制の厳格化が求められています。当社は、このような医薬業界のお客様の課題に注目し、医薬品製造現場のニーズにお応えする品質検査機器の開発に取り組んでおります。当連結会計年度におきましては、種々の医薬のなかでも内容量のバラつきが生じやすく、厳格な全数管理が必要なカプセル医薬の質量検査に特化した重量選別機「KWS9001シリーズ カプセル重量選別機」を開発し、販売を開始いたしました。本機は、従来機に比べて約2倍の処理速度と4倍の計測精度を両立したことに加え、検査の健全性検証過程を支援する各種機能や、米国の医薬品管理基準「FDA21CFR Part11」に準拠したデータ管理機能を搭載することで、医薬製造における品質保証の向上に貢献いたしました。PQA事業は、食品産業のみならず医薬製造の現場においても、オリジナルでハイレベルな商品と、お客様の生産活動を24時間サポートするサービスの提供を通じて安全・安心な社会の実現に貢献しています。(3)その他の事業情報通信事業 トラフィックアクセラレータ PureFlow WSX NF7601Aの開発近年、企業活動のグローバル化と、それに伴うクラウドサービスの適用で、WAN回線の利用頻度が格段に増してきています。更にWAN回線に流すデータ量も急激に増加し、同時に回線上で発生する往復遅延時間やパケット損失の影響により、本来の転送能力を発揮できず、業務に支障をきたし生産性の悪化を招いています。このように遠距離間での大容量データ通信で発生しているパフォーマンス問題を解決することで快適なデータのやり取りを実現したいという社会的要請に応え、トラフィックアクセラレータPureFlow WSX NF7601Aを開発し、PureFlowシリーズのラインナップに追加いたしました。今後もPureFlowシリーズは、クラウドサービス基盤と連動したトラフィック制御を実現するためコントロールインタフェースを提供するなど、進化するクラウド環境をリードし、世界中のネットワークで安全・安心、そして快適な通信環境を提供してまいります。