事業等のリスク
ニデックグループは、グローバルな事業展開に伴う多様なリスクに直面しています。特に、世界経済の変動や保護主義的な貿易政策、地政学的リスクは、需要の変動、原材料調達難、サプライチェーンの寸断などを引き起こし、業績に影響を与える可能性があります。また、技術革新や産業構造の変化、競合の激化も重要なリスクです。製品の品質問題や情報セキュリティリスク、M&Aに伴うリスクも経営に大きな影響を及ぼす可能性があります。これらのリスクに対し、事業ポートフォリオの最適化やサプライチェーンの強靭化などで対応しています。
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FY2025|16,831 文字
3【事業等のリスク】(1)リスク管理体制と運用状況 NIDECグループでは、グローバルな事業展開における多様なリスクに対し、中長期的な視点と日常的な視点の両方から、事業継続の確保を図っています。そのために、以下に示すとおり、リスク事象の調査・評価、現状対策の実効性確認、改善策の実施といった一連の仕組みを整備しています。 図1 全社リスク管理体制図上記管理体制図に掲載された組織等の役割は、以下のとおりです。 ・取締役会事業年度の冒頭にリスク管理委員会からリスク管理についての基本方針の報告を受け、適正なリスク管理活動を指導・助言します。また、リスク管理に関する責任体制を定めた「リスク管理規程」の改廃に係る承認を行い、リスクガバナンス体制の実効性確保を図ります。・リスク管理委員会リスク管理担当役員を委員長とし、業務執行上の意思決定機関である経営会議のメンバーで構成され、リスク管理方針・施策の決定、取締役会への報告・建議を行います。・リスク管理担当役員全社的なリスク管理を統括し、リスク管理委員会の運営、リスク管理状況の監視、必要な資源配分の検討を行います。・リスク管理室リスク管理委員会の常設事務局として、リスク管理に関する企画立案、各リスク管理者、リスク統括責任部署との間における連絡調整等を担当します。・リスク管理者事業所長、部門長及びリスク管理委員会が別途定める者を担当業務領域についてのリスク管理者とし、その担当業務領域におけるリスク管理の責任を負います。・リスク管理統括部署後述するリスク評価活動の結果を踏まえて決定されたリスク管理領域の本社主管部署をリスク管理統括部署とし、その担当役員をリスク統括責任者とします。リスク管理統括部署は、それぞれの担当領域に係るリスクについてリスク管理者から報告を受け、その対応を支援し、モニタリングします。 (2)リスク調査・評価活動リスク管理室より依頼を受けた本社・グループ会社・事業本部のリスク管理者は、全社リスク管理フロー図(図2)、リスク調査・評価活動階層(図3)に基づき、定期的に事業に影響を及ぼすリスク事象の調査・評価を行います。対象とするリスク事象は、経営戦略リスク、事業運営リスク、ガバナンスリスク、偶発的リスクの4つに分類されます。 図2 全社リスク管理フロー図 上記フロー図内の主なアクションの概要は、以下のとおりです。・リスク特定リスク管理室により任命されたリスク管理者が、毎年度、事業に影響を及ぼす可能性のあるリスク事象を洗い出します。・リスク評価当該リスク管理者は、洗い出されたリスク事象について、全社共通の指標に則り発生可能性と影響度を評価の上、リスクレベルを特定します(図4参照)。リスク評価に当たっては、事象毎にリスクシナリオを検討し、潜在リスクの把握に努めます。・追加リスク低減措置特にリスクレベルが「重大」「高」の場合、現行のリスク管理活動に追加するリスク低減策を立案、実施します。・モニタリングリスク管理委員会で決定したNIDECの経営成績、株価、財政状態等に影響を及ぼす可能性のあるリスク(後述 項番(3)参照)については、KRI (Key Risk Indicator)を定め、モニタリングします。・改善リスク低減策の実施状況を確認の上、必要に応じて改善策を講じます。リスク管理活動の結果を分析し、リスク管理体制や運用状況の継続的な改善を図ります。 図3 リスク調査・評価活動階層 リスク調査・評価に当たっては、現状のリスク管理活動とリスク低減対策の実施状況を確認のうえ、残存リスクのモニタリングを行い、結果をほかの階層の施策に相互利用しています。例えば、L2で特定されたリスクについてはL3でも内容を確認し、その中にL3主導で改善しなければならない全グループ共通の課題を発見した場合は適宜L3のリスク管理活動に反映する等、階層別リスク管理活動を相互に関連づける動きを進めています(図3参照)。 図4 リスクレベル特定マトリックスリスクレベルはリスク対策実施後の残存リスクに対して、発生の可能性と結果の重大性を5段階に分類した上で図4のマトリックスにあてはめ、重大・高・中・低の4段階で評価します。「重大」、「高」に特定されたリスク事象は、追加のリスク低減措置の検討が必須となっており、年度末に低減措置の実施状況をリスク管理室が確認し、課題があればリスク管理委員会に報告されます。 (3)事業等のリスク前掲のリスク評価活動の結果を踏まえて特定された、NIDECの経営成績、株価、財政状態等に影響を及ぼす可能性のあるリスクには、次のようなものがあります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在においてNIDECが判断したものです。 リスク項目リスクレベル前年との比較評価1) 経営戦略リスク ① 政治・経済状況の変動に係るリスク高-② 技術環境・産業構造の変化に係るリスク高増大③ 競合に係るリスク高-④ 先行投資に係るリスク高-⑤ M&Aに係るリスク重大-2) 事業運営リスク ① 高度な専門性を有した人材の採用・保持に係るリスク中増大② 研究開発に係るリスク中低減③ 製品の品質に係るリスク重大-④ 原材料・部品調達に係るリスク中増大⑤ 知的財産権に係る訴訟リスク中-⑥ 情報セキュリティに係るリスク高-⑦ 人権に係るリスク中-⑧ 為替に係るリスク高-⑨ 金利の変動に係るリスク高-⑩ 資金の流動性に係るリスク高-⑪ 繰延税金資産の不確実性に係るリスク中低減3) ガバナンスリスク ① 経営継承に係るリスク高-② 内部統制に係るリスク重大-③ 適正決算に係るリスク重大-4) 偶発的リスク ① 自然災害・人的災害に係るリスク中-② 気候変動に係るリスク高- 上記の各リスク内容、主要な対応策については、次ページ以降をご参照ください。 1)経営戦略リスク①政治・経済状況の変動に係るリスクリスク内容NIDECは、世界40カ国以上に300社を超えるグループ会社を有し、海外売上高比率が約9割に達する等、グローバルに事業を展開しています。そのため、事業を展開する各国・地域における政治・経済情勢の変動が当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。特に、近年の米中間の通商問題に代表される保護主義的な貿易政策の台頭、特定国によるレアアース等の重要な原材料に関する輸出規制、更には国家間の緊張の高まりや地域紛争といった地政学的リスクの顕在化は、以下のような形で当社グループに影響を与える可能性があります。・製品・サービスに対する需要の変動・原材料・部品の調達難や価格高騰・サプライチェーンの寸断や非効率化・製造・物流コストの上昇・為替レートの急激な変動・事業活動の制限や停止これらの事象が複合的に発生した場合、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。主要な対応策上記のリスクによる影響を最小限に抑えるため、以下の対応策を講じています。・事業ポートフォリオの最適化と市場分散特定の国・地域への過度な依存を避け、各市場の特性に応じた事業戦略を展開します。また、成長市場への積極的な進出や製品・技術開発による事業領域の多角化を推進し、リスクの分散を図ります。・地営地開/地産地消体制(メイド・イン・マーケット戦略)の推進主要市場において、開発・生産・販売・サービスまでの一貫体制を構築し、現地顧客のニーズに迅速に対応すると共に、関税等の貿易障壁や地政学的変動による影響を低減します。・サプライチェーンの強靭化と多元化重要部品や原材料については、特定の調達先に依存しないよう、複数購買化や代替サプライヤーの開拓を常時進めます。また、生産拠点の最適配置や在庫管理の高度化を通じて、サプライチェーン全体の柔軟性と耐性を向上させ、不測の事態にも対応できる体制を構築します。・情報収集体制の強化と迅速な意思決定各国・地域の政治・経済動向、通商政策、法規制の変更等に関する情報を適時的確に収集・分析し、経営判断に活かす体制整備に取り組みます。必要に応じて、生産拠点の移管や事業戦略の機動的な見直しを検討します。 ②技術環境・産業構造の変化に係るリスクリスク内容急速な技術革新や産業構造の変化は、NIDECのビジネスモデルに深刻な影響を与える可能性があります。特に、AIの進化や自動運転技術の進展に伴い、従来の製品に対する需要が急激に減少する可能性があります。例えば、電動モータやセンサ技術の進化が、従来の機械部品の需要を脅かすことが考えられます。また、競争が激化する中で、新たな市場プレイヤーの台頭や技術の急速な進化が、NIDECの市場シェアを脅かす要因となる可能性があります。これらの変化に対して適切に対応できない場合、売上や利益の減少を招く恐れがあります。主要な対応策技術環境・産業構造の変化に対して適切な措置を取れるよう、以下の対応策を講じています。・研究開発部門の強化次世代技術の開発に注力することで、新たな市場ニーズに迅速に対応します。・外部技術の導入や共同開発の促進他社との戦略的提携やアライアンスを積極的に進め、競争力を高めます。特に、スタートアップ企業との連携を強化し、革新的な技術を迅速に取り込む体制を整えます。・顧客ニーズの把握顧客ニーズの変化を的確に把握するためのマーケティングリサーチを強化し、製品ポートフォリオの見直しを行います。・技術者の力量向上社内の技術者や専門家による定期的なワークショップを開催する等最新技術に関する知識を全社で共有し、技術環境の変化に対する柔軟性を高めます。 ③競合に係るリスクリスク内容NIDECは、事業を行う様々な市場で激しい競争にさらされており、特に車載、家電市場においては、新興国の地場メーカーの台頭で競争が激化する傾向が継続しており、以下のような状況において、NIDECの競争力や収益性が低下する可能性があります。・競合他社がNIDECの技術開発を上回る速度で新製品を投入し、市場での優位性を確保する場合・原材料価格の急騰や供給網の混乱によりコスト削減が困難になり、価格競争において不利な立場に置かれる場合・競合他社が新たなビジネスモデルやサービスを導入し、顧客の選択肢が増加することで、NIDECの製品に対する需要が減少する場合・業界の再編成が進み、競合他社の合併や提携によって、NIDECの競争環境が一層厳しくなる場合・国際市場において、地域特有の規制やニーズに適応できず、競争力を失う場合主要な対応策市場動向を踏まえた以下5つの注力事業領域を設定し、グループ内の協業・シナジーの最大化を図ることで競争優位性を確保します。・AI社会を支える・サステナブル・インフラとエネルギーの追求・産業の生産効率化・より良い生活の追求 ー Better Life・モビリティ・イノベーション5つの注力事業領域別の当社の取組は、統合報告書2024の8~10頁をご参照ください。(https://www.nidec.com/jp/sustainability/integrated-report/2024/) ④先行投資に係るリスクリスク内容NIDECは、需要の拡大を予測した場合、受注に先駆けて生産設備を拡張したり、リードタイムを考慮して部品や材料を先行発注することがあります。これには以下のリスクが伴います。・需要が予測を下回った場合、固定資産の稼働率が低下し、減価償却費の増加や過剰在庫の発生による棚卸資産の評価減が生じ、経営成績に悪影響を及ぼすリスク・競合他社の新製品や技術革新により、当社の製品が市場で競争力を失う可能性があり、その結果として市場シェアが減少するリスク・経済環境の変化や顧客のニーズの変動により、計画した投資が期待したリターンを得られないリスク・需要を過小に見積り必要な設備投資を行わなかった場合、顧客の要求を満たせずシェアを失うリスク主要な対応策持続可能な成長を目指し、以下の対応策を講じています。・ROIC(投下資本利益率)経営ROICを経営指標のひとつとして導入し、ROIC12%以上の達成を目標に掲げ、収益性と資本効率の両面から改善活動を推進します。・投資判断に資する新たな仕組みの導入投資判断に当たり、相対的に収益率の高い事業分野や将来の成長が見込める分野を明確にし、事業により創出した資金を最適に配分できるよう、事業ポートフォリオ戦略を支える新たな体制を構築します。 ⑤M&Aに係るリスクリスク内容NIDECは、事業の成長に必要な技術、製品、販売網、顧客基盤を所有する他社の買収や他社への資本提携を通じて大幅な成長を達成していきました。買収や出資活動を継続的に成功させることは、NIDECの事業戦略を達成する上で極めて重要な要素です。市場が急速に変化する中で、ビジネスモデルの転換に必要な技術を適確に選択・買収することが出来なかった場合に、市場の成長スピードに追随できなくなる可能性があります。また、適切な買収や出資の対象会社を見つけることができない場合、そのことがNIDECの事業、経営成績、財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。買収した資産に関して、買収した事業の効率的な統合により得られる将来の収益力を適切に反映したものと考えていますが、事業環境の悪化等により予想どおりの収益が得られないと判断された場合、NIDECはこれらの資産について減損を認識しなければならず、NIDECの経営成績、財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。更に、同意なき買収等の新たな買収施策を講じることにより、当社買収方針に対するネガティブキャンペーン等によるレピュテーションリスク発生の可能性があります。主要な対応策M&Aリスク低減のため、以下の対応策を講じています。・買収対象企業は、当社事業戦略に沿った企業を選定・事前調査を徹底し適正価格で買収・買収後の迅速かつ徹底したPMI・当社の経営理念や経営手法を全従業員に深く浸透させ、当社グループ入りによるシナジー効果を創出しながら、買収対象企業の企業価値を向上してのれん減損リスクを極小化・M&A活動に係るメディアコミュニケーション等の広報戦略の事前準備 2)事業運営リスク①高度な専門性を有した人材の確保・保持に係るリスクリスク内容NIDECは、目指す姿である「100年を超えて成長し続けるグローバル企業」、「人類が抱える多くの課題を解決する世界No.1のソリューション企業集団」を実現するためには、高度な専門性をもつ優れた人材、グローバルに活躍できる人材の確保が不可欠であると考えています。人材の流動化や少子高齢化等により人材の獲得競争の激化が懸念される中、これらの人材を確保できなければ、競争優位性を失い、事業成長に悪影響を及ぼす可能性があります。また、優秀な人材の流出が続く場合、独自技術の流出や長期的な競争力の低下を招く恐れもあります。主要な対応策高度な専門性を有した人材の採用・保持のため、以下の対応策を講じています。・戦略的な人材採用事業部門の要望を適切に吸い上げ、ターゲットを明確にした採用計画を策定しています。特に新卒採用においては大学や専門機関との連携の強化や、部門とも協力したインターンシッププログラムを通じて優秀な人材の早期獲得を行っています。・キャリア開発支援上司・若手向けキャリア研修やキャリアプランシートを活用した上司とのキャリア面談を通じて、社員のキャリア開発を支援しています。また、社内公募等の機会を定期的に設け、社員の自律的なキャリア形成を後押ししています。・スキル開発支援社員の現在や今後の業務に役立つ知識・スキルの習得を支援するためのプログラムを導入し、社員のスキル開発を支援しています。・グローバル人事戦略コミッティ事業・地域の枠を超えた適所適材を実現すべく、専門性を有した人材の発掘・開発等グローバルに優先すべき人事課題や施策について、事業・地域の人事キーパーソンが集まり、議論・推進しています。 ②研究開発に係るリスクリスク内容急速な技術革新が求められる事業環境にあって、NIDECが市場の変化や技術トレンドを適切に把握できず、研究開発の成果を市場に迅速に投入できなければ、競合他社に対して劣位に立たされ、製品の競争力が低下し、売上の減少や市場シェアの喪失を招く可能性があります。また、研究開発活動が期待通りの成果を上げられなかった場合、企業全体の成長戦略に深刻な影響を及ぼし、経営成績や財政状態に悪影響を及ぼすリスクが高まります。主要な対応策研究開発に係るリスク低減のため、以下の対応策を講じています。・グループシナジーの推進研究開発活動においてもグループシナジーを追求し、高度化、スピード化を図っています。ニデック新川崎テクノロジーセンター、ニデック製品技術研究所台湾センターにおけるモータ全般の要素技術研究、ニデックけいはんなテクノロジーセンターにおける生産技術の進化に主軸を置く研究開発等はその一例です。・技術戦略コミッティの設置研究開発機能のグループ横串となる技術戦略コミッティを中心に、市場・技術・顧客動向の予測と要求に沿った新製品・ソリューションの開発に係る課題の見える化、対応をモニタリングし、One NIDECで研究開発に係るリスク管理に当たります。 ③製品の品質に係るリスクリスク内容近年、顧客の製品品質に対する要求レベルが高度化してきています。安全で高品質な製品を提供できない場合、製品自体の故障のみならず物損や人命に係る事故へ繋がる可能性があります。このような問題がNIDECの製品を原因として発生した場合、顧客からの求償要求や訴訟、リコールや行政処分に繋がる恐れがあり、その結果として、不良品回収・修理等の損失費用支払い、ブランドイメージの悪化による販売の落込みが発生し、財務的な負担や人的資源の喪失によってNIDECの経営に深刻な悪影響を与えることが懸念されます。主要な対応策製品の品質に係るリスク低減のため、以下の対応策を講じています。・品質保証体制の構築による品質ガバナンスの強化NIDECグループ全体の品質保証を統括するCQO(Chief Quality Officer)とその実働部隊であるグローバル品質統括本部を設置し、CQOを頂点として事業本部及びグループ各社の品質保証責任者を繋ぐ品質保証体制を構築することによって、品質面でのガバナンス強化を図っています。・品質横串活動の推進NIDECグループ全体の品質保証部門が参加する品質会議を定期的に開催し、品質状況や好事例及びトラブル事例等を共有することを通じて、継続的かつ全社的な改善活動を推進しています。・国際規格に準拠した品質マネジメントシステムの構築と運用製品に応じた国際規格(ISO9001、IATF16949等)に基づいた品質マネジメントシステムを構築、運用することにより、製品品質の維持・向上を図っています。 ④原材料・部品調達に係るリスクリスク内容NIDECは、製品の製造に必要な原材料及び部品の多くを外部から調達していることから、それらの需給環境が極端に悪化すると生産計画や納期にも深刻な影響を与える恐れがあります。また、原材料の種類や部品の使用条件等に関わる各国政府政策の変更や、顧客による調達方針の変更により、原材料・部品調達に支障をきたす可能性があります。主要な対応策原材料・部品調達に係るリスク低減のため、以下の対応策を講じています。・サプライヤーのマルチソース化特定の供給先に依存しない体制を構築しています。これにより、特定の原材料や部品の供給が途絶えた場合も、ほかの供給元から迅速に調達できるようにしています。尚、サプライヤー選定に当たっては、環境、人権、労働環境、資源入手可能性への配慮を事前確認しています。・突発的な需要変動への対応重要な原材料については、長期契約を締結し、価格変動や供給不足のリスクを軽減しています。更に、在庫管理の最適化を図り、必要な資材を適切に確保することで、突発的な需要変動にも対応できるよう努めています。 ⑤知的財産権に係る訴訟リスクリスク内容NIDECは、自社技術及びその他の知的財産を、特許権、意匠権、商標権、著作権、営業秘密等の知的財産権として保護しています。しかし、以下のようなリスクが存在します。・当社が第三者の知的財産権を侵害し、事業の差し止め、損害賠償、特許使用料を求められるリスクがあります。・第三者により当社の知的財産権が侵害されることで、事業活動が阻害され、競争力が低下するリスクがあります。・各国の法制度の違いにより、既存の知的財産権が無効になる等で十分に事業が保護されないリスクがあります。主要な対応策知的財産に関連するリスクを最小限に抑えるため、以下の対策を講じています。・製品開発の初期段階から第三者の知的財産権に対する包括的かつ継続的な調査を徹底し、第三者の知的財産権を侵害するリスクの排除を行っています。必要に応じ、外部の法律事務所と連携し、迅速かつ適切な対応を図っています。・当社の独自技術保護による競争力維持のため、コア技術に関する積極的な知的財産権の取得、維持管理、他社製品の監視、事業活動の保護対応を行うと共に、従業員に対する情報管理教育を徹底、機密情報の流出を防止しています。・各国の知的財産権の法制度に応じた適切な知的財産権の取得、維持管理を行うことで、国際的な事業の保護を強化しています。これらの対策により、NIDECは知的財産に関連するリスクを最小限に抑え、持続的な事業成長を目指します。 ⑥情報セキュリティに係るリスクリスク内容NIDECは、顧客、取引先、従業員に関する機密情報や個人情報を広範に取り扱っています。これらの情報を適切に取り扱うことは、競争上の優位性を確保し、顧客との信頼関係を維持するために不可欠です。情報の管理を巡ってはサイバー攻撃被害や内部の者による不正行為、あるいは人的ミス等により生じる情報セキュリティリスクが存在します。特に情報漏洩が発生した場合NIDECは法的責任を負う可能性があり、これにより多額の賠償金や罰金が発生する恐れがあります。また顧客や取引先からの信頼を失うことで、売上の減少や市場シェアの低下を招き、企業のブランドイメージにも深刻な影響を与えることになります。このような事態はNIDECの持続的成長や経営の安定性に重大なリスクをもたらすことになります。主要な対応策情報セキュリティに係るリスク低減のため、以下の対応策を講じています。・グループ横断のセキュリティ管理体制の構築(情報セキュリティ専任チームの設置、情報セキュリティ委員会による活動の監視、情報セキュリティ管理責任者及び情報セキュリティ推進責任者の設置)・社員に対する情報セキュリティ教育の実施・サイバー攻撃の標的にされやすいVPN(Virtual Private Network;仮想専用通信網)機器の脆弱性点検と是正措置の実施・サイバー攻撃被害を想定した初期動作と対応体制、組織間のコミュニケーション等をあらかじめ定めた「インシデント対応マニュアル」の整備と定期的な訓練の実施 ⑦人権に係るリスクリスク内容人権に関する社会的責任が重視されている昨今、特に労働環境、サプライチェーンにおける強制労働や児童労働、差別問題がクローズアップされており、これらの問題に対する企業の姿勢も企業価値を測る評価項目となっています。人権問題への社会的責任を果たさない企業に対する評価は厳しく、これらの問題への対策が不十分な場合には法的制裁やブランド価値の棄損、売上や市場シェアへの影響が懸念されます。主要な対応策NIDECは、国際ガイドラインに基づき人権尊重の重要性を認識し、強制労働や児童労働の禁止、差別の排除、適切な労働条件の確保に取り組むと共に、サプライチェーンを活かしてビジネスパートナーやサプライヤーも含めた取り組みを行っています。具体的な活動は以下のとおりです。・「NIDECグループ人権基本方針」の策定・更新・啓発2021年には「NIDECグループ人権基本方針」を策定し、全役員と従業員、ビジネスパートナーやサプライヤーにも周知し、遵守を促しています。また、2024年には社会情勢等を踏まえ、本基本方針を改定し、常に企業として必要な取り組みの見直しを行っています。・人権影響評価の実施人権影響評価を実施し、事業活動に関連する人権への影響の特定・評価に努めています。2023年度には、NIDECグループの約300拠点に人権に関するセルフアセスメント(SAQ)を実施しています。またサプライヤーに対しても人権に関する設問を含んだSAQを行い、2024年度は1000を超えるサプライヤーから回答をいただきました。この回答結果から、特に人権を中心とした詳細な評価、分析を実施しました。分析からリスクが大きいと判断したサプライヤーに対しては、個別のヒアリングや調査を行い改善活動につなげると共に、人権に関する教育資料を展開しサプライヤーの理解促進を行っています。・人権への取組体制整備定期的なモニタリングや教育・研修を通じて職場環境の改善や人権意識の向上を図り、問題発生時には迅速に是正・救済に取り組む体制を整えています。また、社長を議長とするサステナビリティ推進会議及び担当部門により構成される人権分科会の日々の活動を通じて、負の影響の停止・防止・軽減を図っています。人権分科会の取り組みは取締役で構成されるサステナビリティ委員会により監督されており、定期的に報告されています。また、サステナビリティ委員会への報告事項はサステナビリティ委員長より、取締役会に報告されます。 ⑧為替に係るリスクリスク内容当社の事業はグローバルに展開しており、売上の多くが日本円以外の通貨(米ドル、ユーロ、中国元、タイバーツ等)で構成されています。このため、為替レートの変動は当社の業績に直接的な影響を及ぼす可能性があります。特に円高が進行した場合、海外での売上が円換算で減少し、結果として営業利益や当期利益が圧迫されることになります。また、海外子会社の業績を連結財務諸表に統合する際、為替変動による影響が大きく、特に新興市場における通貨の不安定さがリスク要因となります。更に、外貨建ての資産や負債の変動が為替差損益を引き起こし、財務状況に悪影響を与えることも懸念されます。主要な対応策為替リスクを軽減するため、以下の対応策を講じています。・売上と仕入の外貨建て取引を相殺し、ナチュラルヘッジを活用します。・定期的に為替リスクの状況をモニタリングし、必要に応じて取引通貨の見直しを実施しています。・海外市場における多様な通貨での取引を行い、特定通貨への依存度を低下させることでリスク分散を図ります。 ⑨金利の変動に係るリスクリスク内容NIDECは、固定金利や変動金利の長期債権、短期債権、及び有利子負債を保有しており、これらの金利の変動が資金調達コストや投資収益に重大な影響を及ぼす可能性があります。金利が上昇する場合、借入コストが増加し、これが直接的に利益率やキャッシュ・フローに悪影響を及ぼす恐れがあります。主要な対応策金利変動リスク低減のため、以下の対応策を講じています。・金利スワップや金利オプション等のデリバティブ商品を活用し、予測可能な資金調達コストを確保します。・定期的に金利の動向をモニタリングし、資産及び負債の構成を見直すことでリスクの分散を図ります。また、金利に敏感な資産や負債の比率を最適化します。・長期的な資金計画においては、複数のシナリオを想定したストレステストを実施し、金利変動に対する耐性を評価することで、迅速な意思決定を支援します。・経済動向や金融政策の変化を注視し、必要に応じて資金調達戦略を柔軟に見直します。 ⑩資金の流動性に係るリスクリスク内容NIDECは、事業の成長や運営に必要な資金を、主に金融機関からの借入や資本市場からの調達に依存しています。金融市場の変動や経済環境の不確実性により、金融機関による貸付条件の厳格化や、資金調達の機会が制限されるリスクがあります。特に、グローバルな経済状況が悪化した場合、信用格付けの低下や投資家のリスク回避行動が強まり、必要な資金を適切な条件で調達できない可能性が高まります。このような状況下では、運転資金の不足や設備投資の遅延が生じ、結果として事業の成長戦略や競争力に深刻な影響を及ぼすことがあります。また、資金調達コストの上昇や資金繰りの悪化が、財務状況の悪化を招く懸念もあります。主要な対応策資金の流動性リスク低減のため、以下の対応策を講じています。・資金調達の多様化銀行融資や社債発行等の資金調達手段を検討し、資金源を広げます。特に、長期的な資金計画を策定し、短期的な資金需要に対するリスクを軽減するためのストレステストを定期的に実施します。・運転資金の効率的な管理在庫管理や売掛金の回収プロセスを見直すことで、キャッシュ・フローを安定化させ、急な資金需要にも迅速に対応できる体制を構築します。・信用格付けの維持・向上財務健全性を重視した経営を推進し、透明性の高い財務報告を行います。・グローバルなキャッシュ・マネジメント・システム各地域の余剰資金を集約することで、資金の効率的な配分を図ります。 ⑪繰延税金資産の不確実性に係るリスクリスク内容NIDECは、繰延税金資産が将来の課税所得から回収可能であるかどうかを継続的に評価する必要があります。経済情勢の変化や業績の悪化、又は新たな規制の導入があった場合、繰延税金資産の回収可能性が大きく影響を受ける可能性があります。このため、当社が繰延税金資産の一部又は全てについて回収不能と判断するリスクが存在し、その結果、利益が減少することが予想されます。特に、競争の激化や市場の変動が影響を及ぼす要因となり、当社の財務健全性に対する圧力が高まることが懸念されます。主要な対応策繰延税金資産の不確実性リスク低減のため、以下の対応策を講じています。・繰延税金資産の回収可能性に関する定期的な評価を実施し、業績や市場動向に応じた引当金の見直しを行うためのフレームワークを整備します。・税務戦略の策定においては、将来の課税所得の見込みを精緻に分析し、シナリオプランニングを通じてリスクを可視化します。・専門の税務アドバイザーと連携し、最新の税制改正や業界動向に基づいた情報収集を強化し、迅速な意思決定を支援する体制を構築します。 3)ガバナンスリスク①経営継承に係るリスクリスク内容NIDECの継続的な成功は主にNIDECの創業者である永守重信氏の能力と手腕に依存してきました。様々な経済的・政治的なリスクが顕在化している昨今の状況下において、NIDECの創業精神でもある「すぐやる、必ずやる、できるまでやる」という成長を牽引する原動力となる新たなリーダーを輩出することができない場合、そのことがNIDECの事業、経営成績、財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。主要な対応策NIDECでは創業者依存から脱却し、集団経営体制の強化を図るため、グループ全体の重要ポストの可視化を進め、経営幹部候補人材の「発掘・開発・動機付け」に力を注いでいます。具体的な取り組みは以下のとおりです。・発掘経営幹部がサクセッションプラン(後継者計画)の妥当性を議論し、安定・継続的な組織運営に努めています。更に、当社の社長ポストをはじめとした特に重要な一部のポストについては、2022年11月に「指名委員会」を設置し、経営層(取締役・執行役員)の選任に繋がる仕組みを構築しています。また、次世代の経営幹部候補を発掘すべく、サクセッションプランを参考に、特に地域や事業を跨いで開発すべき人材の特定をグローバル人事戦略コミッティを中心に進めています。・開発それぞれの事業本部の中での人材開発を基本としつつも、特に地域や事業を跨いで開発すべき人材については、更なる開発施策を提供しています。(例)企業再建や抜擢登用等のタフアサインメント当社理念や経営マインドの浸透を目的とした創業者による育成塾グローバル企業のトップとして高いレベルの経営知識習得を目的としたグローバル経営大学校※グローバル経営大学校については、グローバル人事戦略コミッティ発足後、更なる改善に向けて取り組みの見直しを進めています。・動機付け経営幹部及び幹部候補人材の発掘・開発のみにとどまらず、動機付けを行うことも、集団経営体制の強化を図る上で重要となります。上記の開発施策の提供のほか、各種報酬の仕組みの定期的な見直し等を通じて動機付け・定着を図っています。更に2025年4月1日付けで役員体制の見直し及びチーフオフィサー制の強化を実施しています。CxOを中心に新たにグローバル本社体制を構築し、創業者の強いリーダーシップによる経営から仕組み化された組織機能体制とすることで、各事業部門リーダーと各機能リーダー(CxO)が連携して、今後の様々な事業課題の解消に向けてスピーディーかつ大胆な改革を推進していく経営体制とします。 ②内部統制に係るリスクリスク内容(過年度の開示すべき重要な不備)当社グループは、コンプライアンス遵守、財務報告の適正性確保を達成するために内部統制システムを整備し、運用してまいりましたが、過年度決算において当社の連結子会社において、連結決算手続における当社グループの連結子会社間取引を伴う売上高等の連結調整の一部について調整対象を誤認し、売上高が過大に計上されていることが判明し、2023年3月期及び2024年3月期の決算・財務報告プロセスの内部統制上、開示すべき重要な不備に該当すると判断しました。当社は、財務報告に係る内部統制の重要性を十分に認識しており、前連結会計年度末における財務報告に係る内部統制の開示すべき重要な不備を是正するために、以下の再発防止策を実行し、内部統制の改善状況を確認してまいりました。(1)他の関連した問題の識別や会計処理及び表示の改善を行うための、過年度に開示した書類及び訂正された連結財務諸表に含まれる連結決算仕訳に対しての詳細なレビューの実施(2)連結決算手続に係る方針の更新、連結子会社間取引に関連する調整対象案件を特定する際に必要な正確かつ網羅的な情報を把握するための体制の強化、並びに連結決算処理に対する検証及び承認権限者による承認手続に重点を置いた研修の実施(3)当社及び子会社の経理財務責任者による連結決算手続に対する包括的なモニタリング機能の強化及び決算・財務報告プロセスにおける連結子会社間取引の調整に関する査閲・承認手続の強化その結果、前連結会計年度末における開示すべき重要な不備について、当社は当連結会計年度において、開示すべき重要な不備が解消し、当該内部統制の評価結果は有効であると判断しました。当社は、再発防止の取り組みを今後も継続的に実行し、内部統制の強化を図ってまいりますが、内部統制に本質的に内在する固有の限界があるため、今後、上記の対応が有効に機能しなかった場合には、当社グループの財務報告の信頼性に影響が及ぶ可能性があります。(当連結会計年度の開示すべき重要な不備)また、当社の連結子会社において、製造したモータの原産国申告の誤りに伴う未払関税額の過少計上が判明し、2025年3月期の全社的な内部統制及び経理決算プロセスの内部統制上、開示すべき重要な不備に該当すると判断しました。当社としましては、財務報告に係る内部統制の重要性を十分に認識しており、開示すべき重要な不備を是正するために、当社グループにおいて、以下の再発防止策を速やかに策定、実行することで財務報告の信頼性を確保しましたが、今後開示すべき重要な不備が再度発生した場合には、当社グループの財務報告の信頼性に影響が及ぶ可能性があります。 ②内部統制に係るリスク主要な対応策当社は、コンプライアンス重視の経営を行っていくほか、財務報告に係る内部統制の整備及び運用を重要な経営課題のひとつとして位置付け、グループを挙げて関係会社の管理体制等の点検・改善等に取り組むことにより、これらのリスクの回避及び最小化に努めております。また、2025年3月期の全社的な内部統制及び決算プロセスの内部統制上識別した開示すべき重要な不備を是正するため、以下の対応策を策定しています。なお、第三者委員会による調査及びその他の社内調査等の結果、以下の対応策に変更が生じる可能性があります。 (1)コンプライアンス最優先の意識/企業風土の醸成・当社取締役会から当社グループ内に対する明確なメッセージの発信・人事処分を通じたコンプライアンスを最優先にした対応の必要性の周知徹底・法務コンプライアンス部門の機能強化・権限強化(2)組織・体制の強化・貿易コンプライアンス体制の強化・グローバルガバナンス体制の強化(3)手順・規程・仕組みの改善・当社グループのレポーティングラインの改善・当社グループの法務コンプライアンス部門間の情報共有・内部統制の適切な整備(4)人事処分・適切な人事処分の実施 ③適正決算に係るリスクリスク内容当社は、当社及びグループ会社の経営陣の関与又は認識の下で、資産性にリスクのある資産に関する評価減の時期の恣意的な調整などの連結財務諸表全体又は財務諸表全体に重要な影響を及ぼす可能性のある不適切な会計処理の疑義を認識したため、当社から独立した第三者委員会による客観性のある調査を行う必要があると判断し、2025年9月3日に日本弁護士連合会が定める「企業不祥事における第三者委員会ガイドライン」に準拠した第三者委員会を設置しました。また、これとは別に、当社は、貿易取引及び関税に係る諸問題等の社内調査等を実施しています。現時点において、第三者委員会による調査及びその他の社内調査等は継続中であり、調査により虚偽表示が識別された場合には、連結財務諸表又は財務諸表に重要かつ広範な影響を及ぼす可能性があります。第三者委員会による調査及びその他の社内調査等の詳細につきましては、連結財務諸表の「連結財務諸表注記」(第三者委員会による調査及びその他の社内調査等について)及び財務諸表の「注記事項」(第三者委員会の調査及びその他の社内調査等について)に記載しています。主要な対応策当社は、第三者委員会による調査及びその他の社内調査等の一環としての外部専門家による調査に対し、全面的に協力してまいります。現時点において、第三者委員会による調査及びその他の社内調査等は継続中です。第三者委員会等からの調査報告書を受領次第、再発防止策の策定及び実施を迅速に行います。また、過年度及び当年度の財務諸表に訂正すべき重要な虚偽表示が識別された場合には、過年度及び当年度の有価証券報告書の訂正等を含め、適切な対応を行う方針です。その際には、訂正の内容、影響額等を速やかに開示します。 4)偶発的リスク①自然災害・人的災害に係るリスクリスク内容NIDECが事業を展開する国内外の地域において、自然災害(地震、台風、洪水等)や人的災害(戦争、紛争、テロ等)は、企業活動に深刻な影響を及ぼす可能性があります。特に、主要な製造拠点やサプライチェーンが集中する地域で大規模な災害が発生した場合、製品の生産や供給が停滞し、顧客への納品遅延や生産コストの上昇を招く恐れがあります。また、これに伴い、企業のブランドイメージや顧客信頼度が低下し、長期的な収益に悪影響を与える可能性があります。主要な対応策自然災害・人的災害に係るリスク低減のため、以下の対策を講じています。・リスクモニタリング世界の各拠点に設置したリスク管理者を中心に、事業継続を妨げる要因の早期の察知と的確な対応に努めています。・リスク分散生産拠点の地理的分散やサプライチェーンの二重化により、災害発生時の影響を最小限に抑えることに努めています。・リスク転嫁損害保険を付保し、損害発生時の財務的な影響の低減を図ります。・事業継続管理事業の中断に備え、「BCP(Business Continuity Plan: 事業継続計画)基本方針」を整備し、国内外の拠点で訓練を実施しています。 ②気候変動に係るリスクリスク内容気候変動は、企業の持続可能性や競争力に対する重大な脅威であり、特に製造業においてはその影響が顕著です。以下に挙げるリスク事象の現実化はNIDECの財務状況に重大な悪影響を及ぼす可能性があります。気候変動に係るリスクの詳細及び対応策につきましては「第2 事業の状況 2サステナビリティに関する考え方及び取組(参考)事業インパクトの大きい気候変動リスク・機会及び対応策」をご参照ください。主要な対応策「第2 事業の状況 2サステナビリティに関する考え方及び取組(参考)事業インパクトの大きい気候変動リスク・機会及び対応策」をご参照ください。
FY2024|9,528 文字
3【事業等のリスク】NIDECの経営成績、株価、財政状態等に影響を及ぼす可能性のあるリスクには、次のようなものがあります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在においてNIDECが判断したものであります。 (1)経営戦略リスク①政治・経済状況の変動に係るリスク(特に重要なリスク)リスク内容NIDECの製品及びNIDECの製品を搭載した製品はアジア、米州、欧州及び日本で生産、消費されており、これらの国または地域の予期せぬ景気変動、政治・政策動向や消費動向は、NIDECの製品需要や生産状況に悪影響を及ぼす可能性があります。製造部門における設備投資の水準は景気動向によって左右され、その減退がNIDECの産業用製品に係る売上に悪影響を及ぼす恐れがあります。主要な対応策・地営地開(現地における営業及び開発活動)、地産地消(現地における生産及び販売活動)の推進によるリスクの低減、事業機会の最大化・事業ポートフォリオの適時確認・見直しによる既存事業のビジネスモデルに対する依存度の低下と事業及び組織の新陳代謝の促進による持続可能な企業成長 ②技術環境・産業構造の変化に係るリスク(特に重要なリスク)リスク内容技術変遷を背景とした需要の変容、それに呼応する顧客動向の変化がNIDECの想定を上回るスピードで生じた場合に、同市場におけるNIDECの経営環境に影響を及ばす場合があります。例えばHDD用モータ事業はNIDECの主要事業の一つであり長期に亘り当社の収益基盤をなしてきましたが、半導体メモリーSSDやクラウドコンピューティングの定着によるストレージ市場の構造変化が顧客のビジネスモデル変化を招き、当社HDD用モータの需要低下に繋がっています。 主要な対応策・クラウドサーバー向けHHDD用モータ等、需要の高い製品へ注力することによるビジネスの最適化・新規商材へのリソース集中投下等、ビジネスポートフォリオ転換の早期化 ③競合に係るリスク(特に重要なリスク)リスク内容NIDECは事業を行う様々な市場で激しい競争にさらされております。特に車載、家電市場においては、新興国の地場メーカーの台頭で競争が激化する傾向があります。NIDECは次のような場合に、市場における競争力が低下したり収益力を損なう可能性があります。・市場がNIDECの予測を超える速度で発展した結果、需要拡大等の市場変化への対応において競合他社がNIDECの能力を上回った場合・NIDECのコスト削減活動が、市場販売価格の減少や原材料費の上昇による悪影響を吸収するには不十分となった場合・競合他社が技術革新、製造効率の改善または研究開発能力の強化を行った結果、NIDECの製品や技術が陳腐化した場合・NIDECの競合企業同士の合併によりNIDECの競争力が相対的に弱まった場合・必要な投資を継続・強化するための財産的、技術的、人的な資源を調達できない場合主要な対応策・研究開発分野への投資の維持・増強、製造能力・販売力・マーケティング力の拡大・新製品のタイムリーな投入・既存製品における収益性の更なる改善・利益性確保のためのコスト削減活動 ④先行投資に係るリスク(特に重要なリスク)リスク内容NIDECは需要の拡大を予想した場合、受注に先駆けて生産設備を拡張したり、リードタイムを考慮して部品や材料を先行発注することがあります。従って、競合他社の開発・市場参入動向、製品の需要動向の変化を正しく見積もることができない場合、NIDECの経営成績及び財政状態に大きな影響を及ぼす次のようなリスクがあります。・需要が生産能力を下回る場合、稼動損による償却負担の増加または過剰在庫による棚卸資産の評価減が収益を圧迫するリスク・需要を過小に見積もり必要な設備投資を行わなかった場合、顧客の要求を満たせずシェアを失うリスク主要な対応策・設備投資の決定過程における必要性・投資回収可能性・投資金額の徹底的な検討・毎月の計画に対する達成度の確認と適切な施策の打ち出しの検討・損失リスクの最小化・陳腐化による経済的価値の棄損の最小化・投資金額の最小化による金額リスクの低減 ⑤M&Aに係るリスク(特に重要なリスク)リスク内容NIDECは事業の成長に必要な技術、製品、販売網、顧客基盤を所有する他社の買収や他社への資本提携を通じて大幅な成長を達成してまいりました。買収や出資活動を継続的に成功させることは、NIDECの事業戦略を達成する上で極めて重要な要素です。市場が急速に変化する中で、ビジネスモデルの転換に必要な技術を適確に選択・買収することが出来なかった場合に、市場の成長スピードに追随できなくなる可能性があります。また、適切な買収や出資の対象会社を見つけることができない場合、そのことがNIDECの事業、経営成績、財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。買収した事業の効率的な統合により得られる将来の収益力を適切に反映したものと考えておりますが、事業環境の悪化等により予想どおりの収益が得られないと判断された場合、NIDECはこれらの資産について減損を認識しなければならず、NIDECの経営成績、財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。主要な対応策・買収対象企業は、当社事業戦略に沿った企業を選定・事前調査を徹底し適正価格で買収・買収後の迅速かつ徹底したPMI・当社の経営理念や経営手法を全従業員に深く浸透させ、当社グループ入りによるシナジー効果を創出しながら、買収対象企業の企業価値を向上してのれん減損リスクを極小化 (2)事業運営リスク①高度な専門性を有した人材の採用・保持に係るリスク(特に重要なリスク)リスク内容技術革新の大波が押し寄せ、その波に乗れるかどうかの瀬戸際である昨今、NIDECは新市場に対する高い知見・スキルを持つ人材を追加雇用し、NIDEC人材としての意識醸成を図りながら育成・活用する体制づくりを進めていく必要があります。NIDECがこのような追加の人材を引き付けることが出来ない場合は、技術革新の大波に乗れる機会を失う可能性があります。主要な対応策・3つの人事制度改革(評価制度・等級制度・報酬制度)の段階的導入・専門性の高い人材の採用、幹部人材の確保、育成プロセスの強化 ②研究開発に係るリスクリスク内容NIDECが製品を提供する市場では継続的に急速な技術革新が起きており、脱炭素化、省電力化、省人化、5Gやサーマルソリューション、デジタルデータ爆発といった5つの分野を中心にリソースを投入しています。そのような市場環境下で、NIDECの成功の成否は、顧客の要求を満たせる、より優れた技術、製品、生産工程を開発し続けることができるかどうかにかかっています。もしNIDECが、市場動向を正確に予測できなかったり、適時に効果的な研究開発活動を実施できず、他社がNIDECより優れた技術、製品、生産工程を開発すれば、NIDECの製品は陳腐化し、販売シェアが縮小すると同時に、新製品の事業及び市場の拡大が妨げられることになります。研究開発活動がうまく成果を出すことができなければ、NIDECの事業、経営成績、財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。主要な対応策・市場・技術・顧客動向の予測と要求に沿った新製品・ソリューションの開発・実効性と効率性の向上と革新的なイノベーション創出・更なる製品開発力の強化と生産技術の先進化・高度化 ③製品の品質に係るリスクリスク内容顧客の品質要求条件が都度変化しており、製品に使用する材料の環境規制や製品に対する品質要求レベルが高度化してきています。安全で高品質な製品を提供できない場合、物損や人命に係る事故へ繋がる可能性があり、法令上のリコールが適用される他、社会的要請としても特に高い安全性が要求されます。このような問題がNIDECの製品を原因として発生すれば、顧客からの求償要求や顧客との係争、行政処分につながる恐れがあり、その結果不良品回収等の損失費用発生、ブランドイメージの悪化及び販売の落込みによりNIDECの経営成績が悪影響を受ける可能性があります。更に、訴訟に伴う人的・財務的負担が正確な経営判断の阻害要因となる可能性があります。主要な対応策・製品の品質・安全性を確保のための潜在的な課題の深堀と対応及び品質マネジメントシステムの整備による製品不具合の未然防止・規定・ガイドラインの適宜見直し ④原材料・部品調達に係るリスクリスク内容ニデックは製品の製造に必要な原材料及び部品の多くを外部から調達していることから、それらの需給環境が極端に悪化するとニデックの生産能力は低下します。また、原材料の種類や部品の使用条件等に関わる各国政府政策の変更や、顧客による調達方針の変更もニデックの原材料・部品調達能力を制約する要因になります。主要な対応策・部品の調達過程における環境、人権、労働環境、資源入手可能性への配慮に基づく代替材料の確保・原材料・部品の使用量低減を目指す継続的な設計思想の見直し ⑤知的財産権に係る訴訟リスクリスク内容NIDECは自社技術及びその他の知的財産を、特許権、商標権、著作権及びその他の知的財産権、更には機密管理や個別契約により保護しておりますが、一部の地域では、法制度が不十分な場合もあり、NIDECはこれらの知的財産権に関して次のようなリスクを負っております。・NIDECは第三者からの知的財産権侵害の主張に対して反論をしていくためコストが必要になる場合があります。また、当該主張の結果、予め認識していない第三者の知的財産権を利用してしまったことによりNIDECに賠償責任が発生する場合や、差止命令によりNIDECの事業の継続が妨げられる場合があります。その結果、そのことがNIDECの事業、経営成績、財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。・NIDECの知的財産権の保護対策は十分でない可能性があります。・NIDECより大規模な資源を有する競合他社を含むその他の企業が、独自に技術を開発するか、または優越する技術を獲得した場合、NIDECはこれら企業の知的財産を使用するためのロイヤリティを支払わなければならなくなる可能性があります。・現行または将来の特許出願に関して、特許権を取得できなかったり、NIDEC自身が保有するまたは使用を許諾されている特許が無効になったり回避されたりすることで技術戦略上困難な状況に陥る可能性があります。・特定の特許権の下で認められている権利では、NIDECに競争上の優位をもたらさない可能性や、適切に保護されない可能性、技術力の維持に繋がらない可能性があります。・第三者による特許、重要な営業秘密、その他の知的財産権に関する侵害や無断使用に対して提起する訴訟に伴い多大なコストが必要になる可能性があります。・NIDECの製品を製造及び販売している諸外国の法律が、NIDECの製品や知的財産権を、日本の法律と同じ範囲で保護していない場合や、法律が存在したとしても効果的に施行されていない可能性があります。主要な対応策・製品開発初期からの、第三者所有の知的財産権に対する包括的かつ継続的な調査の徹底・当社独自技術の保護による優位性強化及び競争力維持のための、積極的な知的財産権の取得と維持管理 ⑥情報の流出に係るリスクリスク内容NIDECは事業活動において顧客、他企業の機密情報及び取引先関係者、従業員の個人情報を保有しております。NIDECはこれらの機密情報に関してセキュリティ対策、研究開発拠点における入退室管理、CADデータ厳格管理等を行っておりますが、同情報が人的及び技術的な過失や違法または不正なアクセス等により漏洩した場合、機密情報を保護できなかったために発生する責任や規制措置の対象となる可能性があります。そのような場合、NIDECは競争上の優位性を喪失し、顧客や市場の信頼が失われ、NIDECの事業、経営成績、財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。加えてNIDECの営業活動やシステム、ブランドイメージに対する社会的信頼を落とすことになります。主要な対応策・グループ横断のセキュリティ管理体制の構築(情報セキュリティ管理室の設置、情報セキュリティ委員会による活動の監視、情報セキュリティ管理責任者 及び情報セキュリティ推進責任者の設置)・社員に対する情報セキュリティ教育の実施・M&A関連の個別案件ごとに守秘義務契約を締結し情報管理を徹底 ⑦年金制度に係るリスクリスク内容NIDECの一部では、一定の要件を満たす従業員のための確定給付年金制度と確定拠出年金制度を併用している会社があります。特に、確定給付年金制度に関しては、年金資産の公正価値や年金資産の収益率が下落した場合、または、退職給付債務の計算の基礎となる想定値が変動した場合、損失が発生する可能性があります。また将来、既存の年金制度を変更し、従来は認識していない勤務費用が発生する可能性があります。そして、利率の変動、NIDECをとりまく環境の変化やその他の要因により、年金資産の積立状況等に悪影響を与える可能性があります。更に、将来の年金費用の計算に使用される想定値も変動する可能性があります。主要な対応策・退職金制度を確定拠出年金に一本化・年金制度のガバナンス体制の構築と第三者機関との連携 ⑧為替に係るリスクリスク内容NIDECの海外への売上の大部分は日本円以外の米国ドル、ユーロ、中国元、タイバーツ等の通貨で構成されており、各通貨に対する円の上昇は一般的に、NIDECの売上、営業利益、当期利益に悪影響を及ぼします。加えて、日本円以外の通貨で運営している子会社の業績を連結財務諸表として統合した際、為替変動が大きく影響する可能性があります。主要な対応策・売上と仕入の為替を相殺することで為替リスクの軽減を図る ⑨金利の変動に係るリスクリスク内容NIDECは固定利率と変動利率の長期債権や有利子負債を保有しております。これらの債権及び負債にかかる金利の変動により、支払利息や受取利息、金融資産・負債の価値に影響を及ぼす可能性があります。主要な対応策・長期債権や有利子負債については金利スワップ等の契約を締結することにより金利変動リスクの低減を図る ⑩資金の流動性に係るリスクリスク内容NIDECは自社の資本支出やM&Aに関する資金を金融機関からの借入や金融市場からの直接調達に依存しております。金融市場の急速な変化やその他の要因により金融機関が貸付枠、信用供与枠額や条件を圧縮した場合、またはNIDECがそれまでと同等またはより良い条件で取引可能な代替的資金調達源を見つけることができない場合、そのことがNIDECの事業に悪影響を及ぼす可能性があります。更に、NIDECの財政状態が悪化した結果、信用格付機関がNIDECの信用格付けを大幅に引下げた場合や経済状況の後退により投資家の意欲が減少した場合、NIDECが必要な資金を必要な時期に、希望する条件で調達できない可能性があり、資金調達がより制限されるとともに、資金繰り費用が大幅に増加する可能性があります。この場合、そのことがNIDECの事業、経営成績、財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。主要な対応策・信用格付けの維持・向上に努めると共に資金調達の多様化を図る。また、設備投資の抑制や運転資金の圧縮によるキャッシュ・フローの改善を進め、グローバルでCMS(キャッシュ・マネジメント・システム)を使うことでグループの余剰資金を集約し、資金需要に対応することで資金効率化を図る。 ⑪繰延税金資産の不確実性に係るリスクリスク内容NIDECは繰延税金資産が将来の課税所得から回収される可能性を評価しなければならず、回収可能性が見込めない場合は繰延税金資産を減少させることとなります。経済状況や経営成績が悪化した場合、繰延税金資産の全てまたはその一部に関して回収可能性が見込めないと判断し、繰延税金資産を減少させることによりNIDECの利益が減少する可能性があります。主要な対応策・繰延税金資産の回収可能性と評価性引当金の計上の要否に関する定期的なレビューの実施とタックス・プランニングの策定 (3)ガバナンスリスク①NIDEC代表取締役グローバルグループ代表である永守重信氏への依存に係るリスクリスク内容NIDECの継続的な成功は主にNIDECの創業者である永守重信氏の能力と手腕に依存してきました。様々な経済的・政治的なリスクが顕在化している昨今の状況下において、NIDECの創業精神でもある「すぐやる、必ずやる、できるまでやる」という成長を牽引する原動力となる新たなリーダーを輩出することができない可能性があり、そのことがNIDECの事業、経営成績、財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。主要な対応策・次の50年を見据えた新たな後継者計画の継続的な実行・運用(1)集団経営(集団指導)体制による持続可能な経営の推進(2)岸田新社長(最高経営責任者)のもと、強固な経営基盤の構築と、創業者依存体制の変革の推進 ※新社長は、指名委員会にて審議のうえ、取締役会にて決議を行っている。(3)当社グループ経営陣の組織的連携の強化(チーフオフィサー制の強化) ②内部統制に係るリスクリスク内容当社の連結子会社において、連結決算手続における当社グループの連結子会社間取引を伴う売上高等の連結調整の一部について調整対象を誤認し、売上高が過大に計上されていることが判明し、決算・財務報告プロセスの内部統制上、開示すべき重要な不備に該当すると判断致しました。当社としましては、財務報告に係る内部統制の重要性を十分に認識しており、開示すべき重要な不備を是正するために、当社グループにおいて、決算処理に対する多角的視点での検証及び承認権限者による承認手続の強化等の以下の再発防止策を速やかに策定、実行することで財務報告の信頼性を確保しましたが、今後開示すべき重要な不備が再度発生した場合には、当社グループの財務報告の信頼性に影響が及ぶ可能性があります。主要な対応策・他の関連した問題の識別や会計処理及び表示の改善を行うための、過年度に開示した書類及び訂正された連結財務諸表に含まれる連結決算仕訳に対しての詳細なレビューの実施・連結決算手続に係る方針の更新、連結子会社間取引に関連する調整対象案件を特定する際に必要な正確かつ網羅的な情報を把握するための体制の強化、並びに連結決算処理に対する検証及び承認権限者による承認手続に重点を置いた研修の実施 ・当社及び子会社の経理財務責任者による連結決算手続に対する包括的なモニタリング機能の強化及び決算・財務報告プロセスにおける連結子会社間取引の調整に関する査閲・承認手続の強化 (4)偶発的リスク①自然災害・人的災害に係るリスクリスク内容NIDECやサプライヤーが事業を展開する国内外において、自然災害、火災、公衆衛生、戦争、テロ行為やその他の人的災害が発生した場合、NIDECやサプライヤー、顧客に損害が及ぶ可能性があります。交通・エネルギーインフラへ甚大な損害を及ぼす大規模な自然災害や広域感染症が発生すると、被災地におけるNIDEC及びサプライチェーンによる生産・営業活動は安全が確保されるまでの間停止することになります。NIDECの生産・開発拠点及びその顧客、サプライチェーンの多くが活動している中国等の海外地域や、NIDECの本社機能、その他重要研究開発施設が集中する日本で大規模な災害が発生した場合は特に大きな被害が想定されます。また、NIDECの事業に必要不可欠なネットワーク及び情報システムは、停電、自然災害、テロ行為、ハードウエアやソフトウエアの不具合、コンピュータウィルスによる攻撃、不正侵入により被害を受ける可能性があります。これらの事態の全てを回避することは困難です。これらの事態が発生した場合には、NIDECの生産活動及び販売活動に大きな支障をきたし、製品の納入が遅れ、サプライヤーから材料や部品を入手することが困難となり、製造工場の修復に多大な費用が必要となる可能性があります。主要な対応策・損害保険の付保によるリスクの転嫁・生産拠点の分散、サプライチェーンの二重化、サイバーセキュリティ対策の強化等の事業継続対策実施・事業継続計画(BCP)の策定とシミュレーション訓練の実施によるBCPの実効性向上 ②気候変動に係るリスクリスク内容2015年12月にCOP21がパリ協定を採択して以降、気候変動問題はあらゆる国・地域、企業が取り組むべき地球規模の優先事項と位置付けられるようになりました。製品の開発・生産活動を主軸に世界各地で事業を展開するNIDECにとって、気候変動はビジネス創出の機会であると同時に、広範にわたる中長期的事業リスクの源泉でもあります。以下に挙げるリスク事象の現実化はNIDECの財務状況に重大な悪影響を及ぼす可能性があります。 「移行リスク」(気候変動に関わる政策及び規制、技術開発、市場動向、市場評価等の変化に起因する間接的損失リスク)a)炭素税その他脱炭素社会実現へ向けた各国のエネルギー転換施策への対応が遅れることによる税負担の上昇b)既存製品・サービスに適用される規制の厳格化や新基準への不適合に伴う市場機会の損失及びコンプライアンスコストの増加c)世界的「電化」傾向に起因する電子部品原材料(希少鉱物、鋼材、その他ハイエンドアルミや銅等の非鉄金属)の入手困難あるいは調達コストの上昇d)新たな低炭素製品が要求する代替原材料の研究・開発の遅れ及び付帯コストの増加e)非効果的な気候変動対策に起因する企業価値の低下とそれに伴う投資誘引力の減退及び信用格付けの低下 「物理的リスク」(気候変動がもたらす災害等による直接的損失リスク)a)台風・多雨等がもたらす広域水害の頻発による事業活動の停止b)渇水による事業活動への制約c)気温上昇による健康被害d)上記事由によるサプライチェーンの混乱主要な対応策「移行リスク」への対応・2024年3月にCO2排出量削減に関する新たな中長期目標を設定。2050年度にサプライチェーン全体のCO2排出量のネットゼロを目指し、2030年度までにスコープ1・2での排出量を2022年度に比べて42%削減(2040年度にカーボンニュートラル化)、スコープ3での排出量も2022年度に比べて25%削減。・SDGsコンセプトに基づく研究・開発活動の推進・複数購買ルートの確保・2022年4月に「環境統括部」を設立(2024年1月に「サステナビリティ推進部」を設立し、「環境統括部」を移管)・2022年8月にサステナビリティ委員会を設置・TCFDに沿ったシナリオ分析の実施と対応策の検討 「物理的リスク」への対応・グローバル・ロケーション戦略を通じた生産リスクの分散・気候変動リスクが高い国・地域で操業する事業所を対象とする認識度調査の実施・生産ラインのイノベーション・サプライチェーンの可視化ならびに柔軟性の強化・国内外事業所におけるBCPトレーニングの継続・TCFDに沿ったシナリオ分析の実施と対応策の検討
FY2023|14,931 文字
3【事業等のリスク】NIDECの経営成績、株価、財政状態等に影響を及ぼす可能性のあるリスクには、次のようなものがあります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在においてNIDECが判断したものであります。 (1)経営戦略リスク①政治・経済状況の変動に係るリスク(特に重要なリスク)NIDECの製品及びNIDECの製品を搭載した製品は主に中国を主とするアジア、米国、欧州及び日本で生産、消費されており、これらの国または地域の予期せぬ景気変動、政治・政策動向は、NIDECの製品需要や生産状況に悪影響を及ぼす可能性があります。特にNIDECの製品はPCやスマートフォン等の最終製品に組み込まれているため消費動向に左右され、一般消費水準の減退はNIDECの売上に悪影響を与える可能性があります。同様に、製造部門における設備投資の水準は景気動向によって左右され、設備投資水準の減退がNIDECの産業用製品に係る売上に悪影響を及ぼす恐れがあります。今後経済環境の悪化が進んだ場合、NIDECの事業、経営成績、財政状態に悪影響が及ぶ可能性があります。2022年度は米中貿易摩擦とウクライナ危機を発端とした地政学上のリスクの高まりによるサプライチェーンの不安定化等が世界経済の悪化や原材料価格や物流費の高騰を招き、NIDECの財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼしました。 ②技術環境・産業構造の変化に係るリスク(特に重要なリスク)技術変遷を背景とした需要の変容、それに呼応する顧客動向の変化がNIDECの想定を上回るスピードで生じた場合に、同市場におけるNIDECの経営環境に影響を及ばす場合があります。例えばHDD用モータ事業はNIDECの主要事業の一つであり長期に亘り当社の収益基盤をなしてきましたが、半導体メモリーSSDやクラウドコンピューティングの定着によるストレージ市場の構造変化が顧客のビジネスモデル変化を招き、当社HDD用モータの需要低下に繋がっています。今後はクラウド市場の拡大に牽引されるサーバー向けのHDD用モータに注力し一定の収益を確保すると同時に、端末向けHDD用モータの開発・生産に振り分けていたリソースをモビリティソリューション分野をはじめとする新規商材へ集中投下し、ビジネスポートフォリオ転換のスピードを早めます。 ③競合に係るリスク(特に重要なリスク)NIDECは事業を行う様々な市場で激しい競争にさらされております。特に車載、家電市場においては、新興国の地場メーカーの台頭で競争が激化する傾向があります。市場で競争力を高めるため、NIDECは研究開発分野への多額な投資の維持・増強、製造能力・販売力・マーケティング力の拡大、サービス力とサポート源の拡大、タイムリーな新製品の開発、既存製品の更なる改善を実施していく必要があると考えております。また、利益性を確保するためのコスト削減活動もNIDECにとって必要です。NIDECは次のような場合に、市場における競争力が低下したり収益力を損なう可能性があります。・市場がNIDECの予測を超える速度で発展した結果、需要拡大等の市場変化への対応において競合他社がNIDECの能力を上回った場合・NIDECのコスト削減活動が、市場販売価格の減少や原材料費の上昇による悪影響を吸収するには不十分となった場合・競合他社が技術革新、製造効率の改善または研究開発能力の強化を行った結果、NIDECの製品や技術が陳腐化した場合・NIDECの競合企業同士の合併によりNIDECの競争力が相対的に弱まった場合・必要な投資を継続・強化するための財産的、技術的、人的な資源を調達できない場合例えば現在、EV用トラクションモータシステムに関してNIDECの主な市場は中国です。中国は国策により自動車のEV化を推進しており、現在世界最大のEV市場を擁しています。NIDECは現在、EVのエンジンに相当するトラクションモータを重要な戦略製品と位置付けており、コスト競争力と開発スピードに優れる地場メーカーの台頭により同市場における競争力を失うと、NIDECの成長戦略全体に重大な影響が及ぶ可能性があります。対策として、同市場における影響力が大きい中国企業との提携を強化しています。2019年にはEV用トラクションモータシステムに関しては、同国の有力自動車メーカーである広州汽車グループと提携を結びました。更に、同国における生産能力を増強することで急激な需要の高まりを想定した供給体制を整備しています。既に平湖市、広州市では工場が稼働していますが、今後、大連市でも生産を予定しています。開発におきましても2019年に蘇州市に蘇州開発センターを設立し、開発の現地化により顧客要求に迅速に対応する体制を整えております。 ④先行投資に係るリスク(特に重要なリスク)NIDECは需要の拡大を予想した場合、受注に先駆けて生産設備を拡張することがあります。従って需要が生産能力を下回ると、稼動損による償却負担の増加または過剰在庫による棚卸資産の評価減が収益を圧迫する可能性があります。例えば、急速な市場規模拡大が予想されるEV用トラクションモータシステムの生産工場が既に中国平湖市で稼働しております。今後、平湖地区に新建屋を建設予定で、需要拡大に備えた体制を構築中です。また、欧州のセルビアにEV用モータ、インバータの生産工場を建設済みで今後も拡張を予定しており、脱炭素化を追い風にEV需要拡大が見込まれる欧州での供給体制を強化してまいります。しかし、競合他社の開発・市場参入動向、最終製品の需要動向の変化により、当初予想した受注量を確保できない場合には、NIDECの経営成績及び財政状態に大きな影響を及ぼす可能性があります。更に工場に導入した設備が急速な技術革新によって陳腐化や用途変更が発生した場合には、現在の見積耐用年数を短縮させる必要性が生じ、連結会計期間あたりの償却負担が増加する可能性があります。他方、もしNIDECが需要を過小に見積もり必要な設備投資を行わなかった場合、顧客の需要を満たせずにシェアを失う可能性があります。また、部品や材料を調達する際のリードタイムを考慮してサプライヤーへ材料を先行注文することがあるため、実際の受注数量が予想に満たない場合は過剰在庫が生じ予期せぬ棚卸資産の評価減を招く可能性があります。 ⑤M&Aに係るリスク(特に重要なリスク)NIDECは事業の成長に必要な技術、製品、販売網、顧客基盤を所有する他社の買収や他社への資本提携を通じて大幅な成長を達成してまいりました。買収や投資活動を継続的に成功させることは、NIDECの事業戦略を達成する上で極めて重要な要素です。そして車載事業を中心とした技術・商流の獲得が益々重要度を増しています。車載事業の中でも特にEV用トラクションモータシステムは今後の成長の柱となることが大きく期待されています。EV市場はグリーンリカバリーの動きの中で拡大ペースが急加速すると見込まれることから、EV用トラクションモータシステムの製造に必要な技術・商流・設備等の買収を市場の成長スピードに追随する適切なタイミングで実施出来なかった場合に、NIDECの競争力が低下する可能性があります。更に、2030年度売上高10兆円を目指す中で、NIDECのビジネスモデルがモータ単品売りからモジュール、システムへと転換していくことが予想されます。市場が急速に変化する中で、ビジネスモデルの転換に必要な技術を適確に選択・買収することが出来なかった場合に、市場の成長スピードに追随できなくなる可能性があります。また、NIDECの買収や出資活動が成就しなかった場合、NIDECの製品ラインナップ、販売網、顧客基盤の拡大計画が停滞したり、成長率が低下したりする可能性があります。買収や資本提携を成功させるためには、買収した事業の効率的な統合が重要です。しかし、買収した事業がNIDECの予想どおりに収益を生むという確証はありません。NIDECは今後の買収や資本提携を成功させるために必要な条件を次のように考えております。・買収対象企業の正確な事前調査(各種デューデリジェンス)・事前調査の過程でNIDECに悪影響を与える買収対象企業の負債を特定する能力・買収した事業に係る製品を製造・販売する能力及び買収した事業に係る技術を既存技術と統合して新製品を開発する能力・買収した事業の経営、製品、社員に関するNIDECの統合能力・買収した事業におけるキーパーソンの保持・買収した事業における財務面や経営面でのNIDECの管理能力・買収した事業からの報告体制及び買収した事業の法令遵守体制の整備こうした買収、出資活動はNIDECの事業に重要な影響を与え得る不確定要素です。例えば、出資先企業の業績が悪化した場合、投資価値が毀損する可能性があります。出資先企業が拠点を置く国の政府による経済政策、法律、規制、または会計基準の変更が出資先企業に適用されることでNIDECの業績へ多大な影響が及ぶ可能性があります。買収や出資の効果が得られないか、または適切な買収や出資の対象会社を見つけることができない場合、そのことがNIDECの事業、経営成績、財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。また、NIDECは、買収に伴い取得した多額ののれん及び無形資産を計上しており、当連結会計年度末現在、のれん及び無形資産はそれぞれ、3,635億円及び2,217億円計上しております。NIDECは、これらの資産については、買収した事業の効率的な統合により得られる将来の収益力を適切に反映したものと考えておりますが、事業環境の悪化等により予想どおりの収益が得られないと判断された場合、NIDECはこれらの資産について減損を認識しなければならず、NIDECの経営成績、財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 ⑥法令・規制に係るリスクNIDECの事業は、事業運営を行っている国内外における法令、規制、政策、行動規範、会計基準等の変更や解釈の差異、適用誤りに起因するコンプライアンスリスクを負っており、製品ラインナップの拡充またはビジネスの地理的拡大により、NIDECは各種産業、市場及び行政地区特有のリスクにさらされることになります。よって、NIDECのリスク管理体制によっても、これらのコンプライアンスに完全に対処することができない可能性があります。NIDECは日本、アジア、北米、欧州、その他地域の環境法令を遵守しております。これら環境法令は大気汚染、水質汚濁、危険物質の対応、水質管理、リサイクル、温暖化防止、土壌及び地下水の汚染等に関連する規則を含みます。欧州委員会は2050年に温室効果ガス排出を実質ゼロにする目標を法制化することで合意しました。それに付随して、2030年に向けた目標も、1990年の水準から少なくとも55%削減する新たな目標で合意しています。更にEUを始め米国や日本でも輸入品のCO2排出量に応じて関税を課す国境炭素税の導入が検討されている等、脱炭素に向けた全世界的な取り組みが急激に加速しています。また、NIDECの事業の多くは環境法令に基づく営業許可を必要とし、それにより製造活動は制約され、法令遵守のための費用が発生します。こうした環境法令は当局により修正、改定、廃止される可能性があります。これらの法令が厳格化することにより環境法令の継続的遵守に必要な投資やその他の支出が増加したり、事業の見直しを行う必要が生じ、そのことがNIDECの事業、経営成績、財政状態に深刻な影響を及ぼす可能性があります。また、NIDECの事業は国内外において独占禁止法、贈賄防止条約、反テロ法、知的財産権、消費者保護法、税法、輸出規制、関税法、海外貿易規制及び為替規制等の取引規制や市場規制を遵守する必要があります。更に、我々は新規市場開拓を行い続けており、法令遵守体制をより強化する必要があります。NIDECは東京証券取引所に上場しているため、金融商品取引法その他法令の適用を受け、財務報告の適正性の遵守が求められます。NIDECは、事業成長に伴い、業務拡大を継続しており、財務報告の適正性に関する法令遵守体制をより強化する必要があります。これら規制を遵守できない場合、その結果生じる罰金、社会的制裁、信用毀損、営業停止、更には営業許可の剥奪がNIDECの事業に深刻な影響を及ぼす可能性があります。こうした法律、規制、政策、自主行動規範、会計基準等の変更及びその影響を予測することは困難であり、新たな遵守体制整備のために追加的な財務、管理、人的資源が必要になる可能性があります。 (2)事業運営リスク①高度な専門性を有した人材の採用・保持に係るリスク(特に重要なリスク)NIDECの事業は、代替することが非常に困難な多数の上層部経営者、エンジニア等の継続的な雇用に依存しております。技術革新の大波が押し寄せ、その波に乗れるかどうかの瀬戸際である昨今、NIDECはAI、IoT等の新市場に対する高い知見を持つ人材、大多数の高度なスキルを持つ人材を追加雇用し、育成し、意識統一し、そして活用する体制づくりを進めていく必要があります。世界的にこのような人材の獲得競争は極めて激しいため、NIDECがこのような追加の人材を引き付けることが出来ない場合は、技術革新の大波に乗れる機会を失う可能性があります。NIDECは2030年度売上高10兆円を目指すにあたって、3つの人事制度改革(評価制度・等級制度・報酬制度)を段階的に進め、国内主要グループ会社にて導入を完了・運用を開始しています。実力・実績主義を徹底するため、成果に応じたメリハリのある評価・報酬、適所適材でのスムーズな人事異動、人材育成を行うことで専門性の高い人材の採用、幹部人材の確保、育成プロセスの強化を図ります。 ②研究開発に係るリスクNIDECは基礎研究、新製品開発、製品改良、生産工程の改善、低コストの製品開発等を研究開発活動として継続的に行っております。NIDECが製品を提供する市場では継続的に急速な技術革新が起きており、脱炭素化、省電力化、省人化、5Gやサーマルソリューション、デジタルデータ爆発といった5つの分野を中心にリソースを投入しています。特に脱炭素化を背景にEV向けトラクションモータの需要は今後益々高まることが予想されますが、欧米を中心に環境規制強化が進んでいることから、法規制を発端とする製品の環境性能(高効率・省資源)や納期に関する顧客からの要求は今後も高まり続けると予想されます。そのような市場環境下で、NIDECの成功の成否は、顧客の要求をタイムリーかつ効果的に満たせるような、より優れた技術、製品、生産工程を開発し続けることができるかどうかにかかっています。もしNIDECが、市場動向を正確に予測できなかったり、適時に効果的な研究開発活動を実施できず、他社が、NIDECより優れた技術、製品、生産工程を開発すれば、NIDECの製品は陳腐化し、販売シェアが縮小すると同時に、新製品の事業及び市場の拡大が妨げられることになります。そのような変化を的確に予測し、求められる技術、製品、生産工程の開発をタイムリーに行うことは非常に困難です。特に基礎研究については、研究活動の方向性を定めることには一層の困難を伴うため、研究開発に要した費用を回収することへの不確実性が高いと考えられます。研究開発活動がうまく成果を出すことができなければ、NIDECの事業、経営成績、財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 ③製品の品質に係るリスク昨今、品質に対する捉え方が大きく変化しています。製品に使用される材料の調達過程における人権や労働環境、含有している物質の環境規制、発掘時のCO2排出量等の観点を含めて、製品の品質を定義する必要があります。NIDECは最先端のモータやその他の電気製品を製造しており、事業活動を行う上でNIDECの製品に欠陥がある、もしくは欠陥の疑いがあることや、顧客システムの高度化により発生する想定外の問題を理由として、保証や製造責任を訴訟で問われる可能性があります。特に、NIDECの製品が組み込まれている最終製品が万一大量に故障した場合、消費者からの苦情、不良品の回収、更に損害賠償請求訴訟等が起こり得ます。事業拡大を試みている車載及び家電・商業・産業用モータ及びその他の部品の市場では、安全で高品質な製品を提供できない場合、深刻な物損や人命に係る事故へ繋がる可能性があり、法令上のリコールが適用される他、社会的要請としても特に高い安全性が要求されます。このような問題がNIDECの作る製品を原因として発生すれば、顧客からの重大な法的要求や顧客との紛争、行政処分につながる恐れがあり、その結果不良品回収等の損失費用発生、ブランドイメージの悪化及び販売の落込みによりNIDECの経営成績が悪影響を受ける可能性があります。更に、訴訟に伴う人的・財務的負担が正確な経営判断の阻害要因となる可能性があります。NIDECは損害賠償請求訴訟等に備え、保険を付しておりますが、これらの保険では対応しきれない賠償請求が将来的に発生する、またはNIDECの希望どおりに保険が適用されない可能性があります。保険の適用範囲を超える賠償請求や、大規模な製品回収が発生した場合、NIDECの事業、経営成績、財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。④原材料・部品調達に係るリスクNIDECは製品の製造に必要な原材料及び部品の多くを外部から調達していることから、それらの需給環境が極端に悪化するとNIDECの生産能力は低下します。直近では、ウクライナ危機に端を発するグローバルエネルギー供給体制の再編並びに米中貿易問題の激化が原材料・組立部品価格の世界的高騰を誘発し、NIDECの製品供給能力を圧迫する結果となりました。また、原材料の種類や部品の使用条件等に関わる各国政府政策の変更や顧客による調達方針の変更もNIDECの原材料・部品調達能力を制約する要因になります。部品の調達過程における環境、人権、労働環境、資源入手可能性への配慮に基づき、NIDECは代替材料の確保及び当該原材料・部品の使用量低減を目指す設計思想の見直しを継続的に実施していますが、諸要因により調達資材の質的・量的不足が長期間に及ぶとNIDECの生産活動が遅滞し、事業、経営成績、財政状態に悪影響が及ぶ可能性が高まります。 ⑤海外拠点での事業活動に係るリスクNIDECは事業活動の相当部分を米国、欧州及び中国を含むその他地域で行っております。NIDECは海外生産比率が圧倒的に高い為、こうした海外市場で事業を行う際には、例えば以下のような特有のリスクがあります。・海外市場における関係産業の景気悪化または沈滞・国際通貨の変動・中国、東南アジア等における労働力不足や労働紛争、賃金水準の上昇・政治不安・貿易規制や関税の変更・グローバルな経営活動を行える人材の確保の困難・一般的に長期の債権回収期間・不利に取り扱われる恐れのある税制・文化、商習慣の相違・投資効果の実現までに要する長い期間と多額の資金NIDECでは、事業活動拠点を分散させ、カントリーリスクによる経営への影響低減に努めております。 ⑥知的財産権に係る訴訟リスクNIDECは自社技術及びその他の知的財産を、特許権、商標権、著作権及びその他の知的財産権、更には機密管理や個別契約により保護しておりますが、一部の地域では、法制度が不十分な場合もあり、NIDECはこれらの知的財産権に関して次のようなリスクを負っております。・NIDECは第三者からの知的財産権侵害の主張に対して反論をしていくためコストが必要になる場合があります。また、当該主張の結果、予め認識していない第三者の知的財産権を利用してしまったことによりNIDECに賠償責任が発生する場合や、差止命令によりNIDECの事業の継続が妨げられる場合があります。その結果、そのことがNIDECの事業、経営成績、財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。・NIDECの知的財産権の保護対策は十分でない可能性があります。・NIDECより大規模な資源を有する競合他社を含むその他の企業が、独自に技術を開発するか、または優越する技術を獲得した場合、NIDECはこれら企業の知的財産を使用するためのロイヤリティを支払わなければならなくなる可能性があります。・現行または将来の特許出願に関して、特許権を取得できなかったり、NIDEC自身が保有するまたは使用を許諾されている特許が無効になったり回避されたりすることで技術戦略上困難な状況に陥る可能性があります。・特定の特許権の下で認められている権利では、NIDECに競争上の優位をもたらさない可能性や、適切に保護されない可能性、技術力の維持に繋がらない可能性があります。・第三者による特許、重要な営業秘密、その他の知的財産権に関する侵害や無断使用に対して提起する訴訟に伴い多大なコストが必要になる可能性があります。・NIDECの製品を製造及び販売している諸外国の法律が、NIDECの製品や知的財産権を、日本の法律と同じ範囲で保護していない場合や、法律が存在したとしても効果的に施行されていない可能性があります。 ⑦情報の流出に係るリスクNIDECは事業活動において顧客、他企業の機密情報及び取引先関係者、従業員の個人情報を保有しております。NIDECはこれらの機密情報に関してセキュリティ対策、研究開発拠点における入退室管理、CADデータ厳格管理等を行っておりますが、同情報が人的及び技術的な過失や違法または不正なアクセス等により漏洩した場合、機密情報を保護できなかったために発生する責任や規制措置の対象となる可能性があり、NIDECは競争上の優位性を喪失し、顧客や市場の信頼が失われ、そのことがNIDECの事業、経営成績、財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。加えてNIDECの営業活動やシステム、ブランドイメージに対する社会的信頼を落とすことになります。これらへの対策として、2019年にNIDECは情報セキュリティ管理室を発足するとともに、情報セキュリティに関する方針を定め同領域の活動を監視する情報セキュリティ委員会や、各組織に情報セキュリティ管理責任者及び情報セキュリティ推進責任者を設置し、グループ横断のセキュリティ管理体制を構築しています。2022年度も引き続き、情報セキュリティ管理部門が主体となって社員に対する情報セキュリティeラーニングを実施する他、情報セキュリティ強化月間を設けて情報セキュリティ意識の向上を目的とした情報発信を行うとともに、M&Aによりグループ入りした企業も含めて情報セキュリティ対策の強化を進めており、グループ全体の情報セキュリティの均質化・高位平準化に取り組んでいます。なお、M&A関連の情報流出防止の策として、社内関係者とは個別案件ごとに守秘義務契約を締結し情報管理をしております。 ⑧年金制度に係るリスクNIDECの一部では、一定の要件を満たす従業員のための確定給付年金制度と確定拠出年金制度を併用している会社があります。特に、確定給付年金制度に関しては、年金資産の公正価値や年金資産の収益率が下落した場合、または、退職給付債務の計算の基礎となる想定値が変動した場合、損失が発生する可能性があります。また将来、既存の年金制度を変更し、従来は認識していない勤務費用が発生する可能性があります。そして、利率の変動、NIDECをとりまく環境の変化やその他の要因により、年金資産の積立状況等に悪影響を与える可能性があります。更に、将来の年金費用の計算に使用される想定値も変動する可能性があります。なお、国内の主要グループ会社においては、退職金制度を確定拠出年金に一本化するとともに、過去分の確定給付企業年金制度および確定拠出年金の運営においては、年金制度のガバナンス体制を構築し、第三者機関から専門的・客観的見地のアドバイスを得ながら進めています。 ⑨為替に係るリスクNIDECの海外への売上の大部分は日本円以外の米国ドル、ユーロ、中国元、タイバーツ等の通貨で構成されており、各通貨に対する円の上昇は一般的に、NIDECの売上、営業利益、当期利益に悪影響を及ぼします。このリスクを軽減するため、売上と仕入の通貨を合わせることにより為替リスクの軽減に取り組んでおります。例えば、もしある製品の売上が米国ドル建てであれば、この製品の生産に使用する材料や資源の購入を米国ドル建てで購入するようにしております。それでもなお、NIDECは為替リスクにさらされています。加えて、日本円以外の通貨で運営している子会社の業績を連結財務諸表として統合した際、為替変動が大きく影響する可能性があります。 ⑩金利の変動に係るリスクNIDECは固定利率と変動利率の長期債権や有利子負債を保有しており、それらの金利変動やキャッシュ・フロー増減リスクを防ぐため、金利スワップや他の契約を締結することがあります。その場合、ヘッジされていない部分に関して、支払利息や受取利息、金融資産・負債の価値に影響する金利の変動リスクにさらされる可能性があります。 ⑪資金の流動性に係るリスクNIDECは自社の資本支出やM&Aに関する資金を金融機関からの借入や金融市場からの直接調達に依存しております。2030年度売上高10兆円を目指す当社で、今後資金調達規模の拡大が予想されるため、調達ソースの多様化を図っております。そのために、格付の維持・向上等により資金調達力を一層高める必要があるとともに、近年定着しつつあるESGを加味した企業価値判断基準への適合が重要となります。金融市況の変化やその他の要因により金融機関が貸付枠、信用供与枠額や条件を圧縮した場合、またはNIDECがそれまでと同等またはより良い条件で取引可能な代替的資金調達源を見つけることができない場合、そのことがNIDECの事業に悪影響を及ぼす可能性があります。更に、NIDECの財政状態が悪化した結果、信用格付機関がNIDECの信用格付けを大幅に引下げた場合や経済状況の後退により投資家の意欲が減少した場合、NIDECが必要な資金を必要な時期に、希望する条件で調達できない可能性があり、資金調達がより制限されるとともに、資金繰り費用が大幅に増加する可能性があります。この場合、そのことがNIDECの事業、経営成績、財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 ⑫繰延税金資産の不確実性に係るリスクNIDECは繰延税金資産が将来の課税所得から回収される可能性を評価しなければならず、回収可能性が見込めない場合は繰延税金資産を減少させることとなります。経済状況や経営成績が悪化した場合、繰延税金資産の全てまたはその一部に関して回収可能性が見込めないと判断し、繰延税金資産を減少させることによりNIDECの利益が減少する可能性があります。 (3)ガバナンスリスク①NIDEC代表取締役会長である永守重信氏への依存に係るリスクNIDECの継続的な成功は主にNIDECの創業者である永守重信氏の能力と手腕に依存してきました。これを脱却すべく、後継者候補も含め、これまで外部人材を中心とした幹部登用などを積極的に進めて参りましたが、様々な経済的・政治的なリスクが顕在化している昨今の状況下においては、NIDECの創業精神でもある「すぐやる、必ずやる、できるまでやる」という成長を牽引する原動力となる新たなリーダーを輩出することはできませんでした。そのうえで、この難局を乗り越えるだけの判断・スピード感を持った人材として、永守氏(最高経営責任者)とともに、NIDECを創業当時から支えてきた小部氏を代表取締役社長(最高執行責任者)といたしました。永守氏・小部氏による経営体制のもと、NIDEC本来のスピード感のある経営を行い、2025年売上4兆円、2030年売上10兆円の実現を目指して参ります。また、本体制は、後継者計画を踏まえた短期的なものであり、NIDECの企業文化を身に着けた内部人材から副社長を5名選任しております。2024年度には、選任した副社長から次期社長を決定する方針にあります。将来に向けた強固な経営基盤を築くことで、創業者依存体制の変革を進め、当社グループ経営陣が組織的な連携を強化(チーフオフィサー制を強化)してまいります。 ②内部統制に係るリスクNIDECは上場企業として、金融商品取引法に基づく財務報告に係る内部統制に関する要件を満たさなければなりません。そして、事業運営及び資産管理に必要で効果的な内部統制システム、コンプライアンス機能、会計システムの整備は極めて重要であると認識しております。また、内部統制システムの設計、実施には多くの管理、人材、その他資源が必要になります。内部統制上の重要な不備、弱点が認められた場合、改善に要する新たな資源投入により追加的コストが発生する可能性があります。NIDECはグローバルな内部統制システムの強化を図るべく不断の検討・見直しを続けておりますが、財務報告に関わる内部統制に重要な不備がある場合、内部統制の逸脱により、適時開示義務を充足できなかったり、投資家及び経営者等の利害関係者の正確な意思決定を妨げる可能性があり、その結果、市場におけるNIDECの評価が毀損する恐れがあります。また、不備の重要性や原因等の内容に応じて様々な法的責任が課せられ、金融市場における資金調達力が制限される可能性があります。NIDECは2020年度に更なる内部統制の強化並びに持続的な企業価値の拡大を図るため、監査等委員会設置会社へ移行いたしました。取締役会の監督機能を強化するとともに、経営の効率性を高めることによる意思決定の迅速化や、取締役会における議論の充実に努めることにより、内部統制の一層の充実に取り組んでいます。また、コーポレート・ガバナンス体制において、着実な体制構築・運営を目指し、段階的な取り組みを進めています。まず、2021年2月に報酬委員会を設置のうえ、役員報酬に関して独立社外取締役の適切な関与・助言を得ることで、公正性・透明性・客観性を担保することとしており、この仕組み化・運営が軌道に乗ったことを見極め、さらに次の段階として、2022年11月の指名委員会の設置に至っています。報酬委員会、指名委員会ともに取締役会の決議によって選定された5名の取締役で構成し、そのうち3名を独立社外取締役としております。なお、指名委員会においては、取締役候補者の選任などの重要な事項について、報酬委員会同様、独立社外取締役の適切な関与・助言を得ながら、運営を進めることができており、取締役会の諮問機関としての位置づけを十分に発揮するものです。今後もコーポレート・ガバナンス体制のより一層の充実を図ってまいります。 (4)偶発的リスク①自然災害・人的災害に係るリスクNIDECやサプライヤーが事業を展開する国内外において、自然災害、火災、公衆衛生、戦争、テロ行為やその他の人的災害が発生した場合、NIDECやサプライヤー、顧客に損害が及ぶ可能性があります。交通・エネルギーインフラへ甚大な損害を及ぼす大規模な自然災害や広域感染症が発生すると、被災地におけるNIDEC及びサプライチェーンによる生産・営業活動は安全が確保されるまでの間停止することになります。NIDECの生産・開発拠点及びその顧客、サプライチェーンの多くが活動している中国等の海外地域や、NIDECの本社機能、その他重要研究開発施設が集中する日本で大規模な災害が発生した場合は特に大きな被害が想定されます。また、NIDECの事業に必要不可欠なネットワーク及び情報システムは、停電、自然災害、テロ行為、ハードウエアやソフトウエアの不具合、コンピュータウィルスによる攻撃、不正侵入により被害を受ける可能性があります。これらの事態の全てを回避することは困難です。これらの事態が発生した場合には、NIDECの生産活動及び販売活動に大きな支障をきたし、製品の納入が遅れ、サプライヤーから材料や部品を入手することが困難となり、製造工場の修復に多大な費用が必要となります。更に、NIDECは資産の損害及びその他のリスクに対し、様々な種類の第三者保険を付しております。これらの保険の種類及び保険額はその有用性、コスト、自家保険による補償範囲を勘案し決定します。NIDECの保険契約は、控除条件、適用範囲及び除外項目の対象となる場合があり、その結果、自家保険と同等の補填金額に留まる可能性もあります。NIDECが加入する保険の適用範囲と補償金額はほぼ業界水準と考えておりますが、保険対象外の損失が増加すればNIDECの事業、経営成績、財政状態に悪影響が及ぶ可能性があります。新型コロナウイルスの世界的蔓延は、NIDECの事業、サプライチェーン機能に影響を与えていました。2022年度は中国政府の厳格なゼロコロナ政策により、NIDECの一部工場が操業停止、あるいは稼働率が低下することとなりましたが、本稿開示時点において回復しております。 ②気候変動に係るリスク2015年12月にCOP21がパリ協定を採択して以降、気候変動問題はあらゆる国・地域、企業が取り組むべき地球規模の優先事項と位置付けられるようになりました。製品の開発・生産活動を主軸に世界各地で事業を展開するNIDECにとって、気候変動はビジネス創出の機会であると同時に、広範にわたる中長期的事業リスクの源泉でもあります。気候変動に関わる政策および規制、技術開発、市場動向、市場評価等の変化に起因する間接的損失リスクを「移行リスク」と定義し、気候変動がもたらす災害等による直接的損失リスクを「物理的リスク」と定義した場合、以下に挙げるリスク事象の現実化はNIDECの財務状況に重大な悪影響を及ぼす可能性があります。 「移行リスク」a)炭素税その他脱炭素社会実現へ向けた各国のエネルギー転換施策への対応が遅れることによる税負担の上昇b)既存製品・サービスに適用される規制の厳格化や新基準への不適合に伴う市場機会の損失およびコンプライアンスコストの増加c)世界的「電化」傾向に起因する電子部品原材料(希少鉱物、鋼材、その他ハイエンドアルミや銅等の非鉄金属)の入手困難あるいは調達コストの上昇d)新たな低炭素製品が要求する代替原材料の研究・開発の遅れおよび付帯コストの増加e)非効果的な気候変動対策に起因する企業価値の低下とそれに伴う投資誘引力の減退および信用格付けの低下 これら「移行リスク」へ対処するため、NIDECは以下の施策を実施しています。◇2040年度カーボンニュートラルの実現を目指す新たな環境目標を2021年7月に策定。具体的な取り組み内容は以下の通り。・省エネルギーの推進 ・再生可能エネルギーへのシフト (再生可能エネルギーの導入比率については2025年度に40%、2030年度に80%を予定。)・低炭素燃料への移行◇SDGsコンセプトに基づく研究・開発活動の推進◇複数購買ルートの確保◇2022年4月に「環境統括部」を設立◇2022年8月にサステナビリティ委員会を設置 「物理的リスク」a)台風・多雨等がもたらす広域水害の頻発による事業活動の停止‐浸水・その他電力・ガス供給網の機能停止‐家屋倒壊や道路寸断等による従業員生活へのダメージ‐運輸サービス機能の停止による製品輸送の停滞b)渇水による事業活動への制約‐行政当局による取水制限の強化に起因する工場用水の不足‐水価格の上昇による生産性の低下(洗浄・冷却・従業員寮の生活水、等)c)気温上昇による健康被害‐熱中症件数の増加‐感染症の伝達速度上昇d)上記事由によるサプライチェーンの混乱 これら「物理的リスク」へ対処するため、NIDECは以下の施策を実施しています。◇グローバル・ロケーション戦略を通じた生産リスクの分散◇気候変動リスクが高い国・地域で操業する事業所を対象とする認識度調査の実施◇生産ラインのイノベーション◇サプライチェーンの可視化ならびに柔軟性の強化◇国内外事業所におけるBCPトレーニングの継続
FY2022|15,285 文字
2【事業等のリスク】NIDECの経営成績、株価、財政状態等に影響を及ぼす可能性のあるリスクには、次のようなものがあります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在においてNIDECが判断したものであります。 (1)経営戦略リスク①政治・経済状況の変動に係るリスク(特に重要なリスク)NIDECの製品及びNIDECの製品を搭載した製品は主に中国を主とするアジア、米国、欧州及び日本で生産、消費されており、これらの国または地域の予期せぬ景気変動、政治・政策動向は、NIDECの製品需要や生産状況に悪影響を及ぼす可能性があります。特にNIDECの製品はパーソナルコンピュータ(以下、「PC」)や家電、自動車等の最終製品に組み込まれているため消費動向に左右され、一般消費水準の減退はNIDECの売上に悪影響を与える可能性があります。同様に、製造部門における設備投資の水準は景気動向によって左右され、設備投資水準の減退がNIDECの産業用製品に係る売上に悪影響を及ぼす恐れがあります。今後経済環境の悪化が進んだ場合、NIDECの事業、経営成績、財政状態に悪影響が及ぶ可能性があります。2021年度は米中貿易摩擦の影響に加え、新型コロナウイルスの度重なる変異株の発生による感染拡大が継続し、移動の制限、生産活動や個人消費の波が大きく、サプライチェーンの不安定化等が世界経済の悪化や原材料価格や物流費の高騰を招き、NIDECの財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼしました。特に、自動車メーカーの工場稼働停止や設備投資の減少や家電製品の巣ごもり需要の一巡が同分野における一部NIDEC製品の需要減に繋がりました。また、欧米を中心に、気候変動対策に積極的に対応する姿勢が強まり、脱炭素に向けた全世界的な動きがますます加速することが予想されており、NIDECとしては、当社工場における再生エネルギーの大幅導入を検討しています。直近では、需給バランスの乱れによる半導体の不足や、電磁鋼板等モーターには欠かせない原材料の供給不足や価格の高騰、更には、ロシアによるウクライナ侵攻を発端とした地政学上のリスクも高まっており、エネルギー供給の不確定性やグローバルサプライチェーンの混乱による価格の高騰等も懸念されます。半導体・電磁鋼板等については調達戦略の見直しによる供給確保を、また原材料市況の悪化に対しては、原価低減と売価調整、技術革新により対策を図っております。 ②技術環境・産業構造の変化に係るリスク(特に重要なリスク)技術変遷を背景とした需要の変容、それに呼応する顧客動向の変化がNIDECの想定を上回るスピードで生じた場合に、同市場におけるNIDECの経営環境に影響を及ばす場合があります。例えばHDD用モータ事業はNIDECの主要事業の一つであり長期に亘り当社の収益基盤をなしてきましたが、半導体メモリーSSDやクラウドコンピューティングの定着によるストレージ市場の構造変化が顧客のビジネスモデル変化を招き、当社HDD用モータの需要低下に繋がっています。今後はクラウド市場の拡大に牽引されるサーバー向けのHDD用モータに注力し一定の収益を確保すると同時に、端末向けHDD用モータの開発・生産に振り分けていたリソースをモビリティソリューション分野をはじめとする新規商材へ集中投下し、ビジネスポートフォリオ転換のスピードを早めます。 ③競合に係るリスク(特に重要なリスク)NIDECは事業を行う様々な市場で激しい競争にさらされております。特に車載、家電市場においては、新興国の地場メーカーの台頭で競争が激化する傾向があります。市場で競争力を高めるため、NIDECは研究開発分野への多額な投資の維持・増強、製造能力・販売力・マーケティング力の拡大、サービス力とサポート源の拡大、タイムリーな新製品の開発、既存製品の更なる改善を実施していく必要があると考えております。また、利益性を確保するためのコスト削減活動もNIDECにとって必要です。NIDECは次のような場合に、市場における競争力が低下したり収益力を損なう可能性があります。・市場がNIDECの予測を超える速度で発展した結果、需要拡大等の市場変化への対応において競合他社がNIDECの能力を上回った場合・NIDECのコスト削減活動が、市場販売価格の減少や原材料費の上昇による悪影響を吸収するには不十分となった場合・競合他社が技術革新、製造効率の改善または研究開発能力の強化を行った結果、NIDECの製品や技術が陳腐化した場合・NIDECの競合企業同士の合併によりNIDECの競争力が相対的に弱まった場合・必要な投資を継続・強化するための財産的、技術的、人的な資源を調達できない場合 例えば現在、EV用トラクションモータシステムに関してNIDECの主な市場は中国です。中国は国策により自動車のEV化を推進しており、現在世界最大のEV市場を擁しています。NIDECは現在、EVのエンジンに相当するトラクションモータを重要な戦略製品と位置付けており、コスト競争力と開発スピードに優れる地場メーカーの台頭により同市場における競争力を失うと、NIDECの成長戦略全体に重大な影響が及ぶ可能性があります。対策として、同市場における影響力が大きい中国企業との提携を強化しています。2019年にはEV用トラクションモータシステムに関しては、同国の有力自動車メーカーである広州汽車グループと提携を結びました。更に、同国における生産能力を増強することで急激な需要の高まりを想定した供給体制を整備しています。既に平湖市では工場が稼働していますが、今後、大連市、広州市でも生産を予定しています。開発におきましても2019年に蘇州市に蘇州開発センターを設立し、開発の現地化により顧客要求に迅速に対応する体制を整えております。 ④先行投資に係るリスク(特に重要なリスク)NIDECは需要の拡大を予想した場合、受注に先駆けて生産設備を拡張することがあります。従って需要が生産能力を下回ると、稼動損による償却負担の増加または過剰在庫による棚卸資産の評価減が収益を圧迫する可能性があります。例えば、急速な市場規模拡大が予想されるEV用トラクションモータシステムの生産工場が既に中国平湖市で稼働しております。今後、平湖地区に新建屋を建設予定で、需要拡大に備えた体制を構築中です。また、欧州のセルビアにEV用モータ、インバータの生産工場の建設を行っており、脱炭素化を追い風にEV需要拡大が見込まれる欧州での供給体制を強化してまいります。しかし、競合他社の開発・市場参入動向、最終製品の需要動向の変化により、当初予想した受注量を確保できない場合には、NIDECの経営成績及び財政状態に大きな影響を及ぼす可能性があります。更に工場に導入した設備が急速な技術革新によって陳腐化や用途変更が発生した場合には、現在の見積耐用年数を短縮させる必要性が生じ、連結会計期間あたりの償却負担が増加する可能性があります。他方、もしNIDECが需要を過小に見積もり必要な設備投資を行わなかった場合、顧客の需要を満たせずにシェアを失う可能性があります。また、部品や材料を調達する際のリードタイムを考慮してサプライヤーへ材料を先行注文することがあるため、実際の受注数量が予想に満たない場合は過剰在庫が生じ予期せぬ棚卸資産の評価減を招く可能性があります。 ⑤M&Aに係るリスク(特に重要なリスク)NIDECは事業の成長に必要な技術、製品、販売網、顧客基盤を所有する他社の買収や他社への資本提携を通じて大幅な成長を達成してまいりました。買収や投資活動を継続的に成功させることは、NIDECの事業戦略を達成する上で極めて重要な要素です。そして車載事業を中心とした技術・商流の獲得が益々重要度を増しています。車載事業の中でも特にEV用トラクションモータシステムは今後の成長の柱となることが大きく期待されています。EV市場はグリーンリカバリーの動きの中で拡大ペースが急加速すると見込まれることから、EV用トラクションモータシステムの製造に必要な技術・商流・設備等の買収を市場の成長スピードに追随する適切なタイミングで実施出来なかった場合に、NIDECの競争力が低下する可能性があります。更に、2030年度売上高10兆円を目指す中で、NIDECのビジネスモデルがモータ単品売りからモジュール、システムへと転換していくことが予想されます。市場が急速に変化する中で、ビジネスモデルの転換に必要な技術を適確に選択・買収することが出来なかった場合に、市場の成長スピードに追随できなくなる可能性があります。また、NIDECの買収や出資活動が成就しなかった場合、NIDECの製品ラインナップ、販売網、顧客基盤の拡大計画が停滞したり、成長率が低下したりする可能性があります。買収や資本提携を成功させるためには、買収した事業の効率的な統合が重要です。しかし、買収した事業がNIDECの予想どおりに収益を生むという確証はありません。NIDECは今後の買収や資本提携を成功させるために必要な条件を次のように考えております。・買収対象企業の正確な事前調査(各種デューデリジェンス)・事前調査の過程でNIDECに悪影響を与える買収対象企業の負債を特定する能力・買収した事業に係る製品を製造・販売する能力及び買収した事業に係る技術を既存技術と統合して新製品を開発する能力・買収した事業の経営、製品、社員に関するNIDECの統合能力・買収した事業におけるキーパーソンの保持・買収した事業における財務面や経営面でのNIDECの管理能力・買収した事業からの報告体制及び買収した事業の法令遵守体制の整備 こうした買収、出資活動はNIDECの事業に重要な影響を与え得る不確定要素です。例えば、出資先企業の業績が悪化した場合、投資価値が毀損する可能性があります。出資先企業が拠点を置く国の政府による経済政策、法律、規制、または会計基準の変更が出資先企業に適用されることでNIDECの業績へ多大な影響が及ぶ可能性があります。買収や出資の効果が得られないか、または適切な買収や出資の対象会社を見つけることができない場合、そのことがNIDECの事業、経営成績、財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。また、NIDECは、買収に伴い取得した多額ののれん及び無形資産を計上しており、当連結会計年度末現在、のれん及び無形資産はそれぞれ、3,399億円及び2,145億円計上しております。NIDECは、これらの資産については、買収した事業の効率的な統合により得られる将来の収益力を適切に反映したものと考えておりますが、事業環境の悪化等により予想どおりの収益が得られないと判断された場合、NIDECはこれらの資産について減損を認識しなければならず、NIDECの経営成績、財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 ⑥法令・規制に係るリスクNIDECの事業は、事業運営を行っている国内外における法令、規制、政策、行動規範、会計基準等の変更や解釈の差異、適用誤りに起因するコンプライアンスリスクを負っており、製品ラインナップの拡充またはビジネスの地理的拡大により、NIDECは各種産業、市場及び行政地区特有のリスクにさらされることになります。よって、NIDECのリスク管理体制によっても、これらのコンプライアンスに完全に対処することができない可能性があります。NIDECは日本、アジア、北米、欧州、その他地域の環境法令を遵守しております。これら環境法令は大気汚染、水質汚濁、危険物質の対応、水質管理、リサイクル、温暖化防止、土壌及び地下水の汚染等に関連する規則を含みます。欧州委員会は2050年に温室効果ガス排出を実質ゼロにする目標を法制化することで合意しました。それに付随して、2030年に向けた目標も、1990年の水準から少なくとも55%削減する新たな目標で合意しています。更にEUを始め米国や日本でも輸入品のCO2排出量に応じて関税を課す国境炭素税の導入が検討されている等、脱炭素に向けた全世界的な取り組みが急激に加速しています。また、NIDECの事業の多くは環境法令に基づく営業許可を必要とし、それにより製造活動は制約され、法令遵守のための費用が発生します。こうした環境法令は当局により修正、改定、廃止される可能性があります。これらの法令が厳格化することにより環境法令の継続的遵守に必要な投資やその他の支出が増加したり、事業の見直しを行う必要が生じ、そのことがNIDECの事業、経営成績、財政状態に深刻な影響を及ぼす可能性があります。また、NIDECの事業は国内外において独占禁止法、贈賄防止条約、反テロ法、知的財産権、消費者保護法、税法、輸出規制、関税法、海外貿易規制及び為替規制等の取引規制や市場規制を遵守する必要があります。更に、我々は新規市場開拓を行い続けており、法令遵守体制をより強化する必要があります。NIDECは東京証券取引所に上場しているため、金融商品取引法その他法令の適用を受け、財務報告の適正性の遵守が求められます。NIDECは、事業成長に伴い、業務拡大を継続しており、財務報告の適正性に関する法令遵守体制をより強化する必要があります。これら規制を遵守できない場合、その結果生じる罰金、社会的制裁、信用毀損、営業停止、更には営業許可の剥奪がNIDECの事業に深刻な影響を及ぼす可能性があります。こうした法律、規制、政策、自主行動規範、会計基準等の変更及びその影響を予測することは困難であり、新たな遵守体制整備のために追加的な財務、管理、人的資源が必要になる可能性があります。 (2)事業運営リスク①高度な専門性を有した人材の採用・保持に係るリスク(特に重要なリスク)NIDECの事業は、代替することが非常に困難な多数の上層部経営者、エンジニア等の継続的な雇用に依存しております。技術革新の大波が押し寄せ、その波に乗れるかどうかの瀬戸際である昨今、NIDECはAI、IoT等の新市場に対する高い知見を持つ人材、大多数の高度なスキルを持つ人材を追加雇用し、育成し、意識統一し、そして活用する体制づくりを進めていく必要があります。世界的にこのような人材の獲得競争は極めて激しいため、NIDECがこのような追加の人材を引き付けることが出来ない場合は、技術革新の大波に乗れる機会を失う可能性があります。NIDECは2030年度売上高10兆円を目指すにあたって、3つの人事制度改革(評価制度・等級制度・報酬制度)を進めています。実力・実績主義を徹底するため、成果に応じたメリハリのある評価・報酬、適所適材でのスムーズな人事異動、人材育成を行うことで専門性の高い人材の採用、幹部人材の確保、育成プロセスの強化を図ります。 ②研究開発に係るリスクNIDECは基礎研究、新製品開発、製品改良、生産工程の改善、低コストの製品開発等を研究開発活動として継続的に行っております。NIDECが製品を提供する市場では継続的に急速な技術革新が起きており、脱炭素化、省電力化、省人化、5Gやサーマルソリューション、デジタルデータ爆発といった5つの分野を中心にリソースを投入しています。特に脱炭素化を背景にEV向けトラクションモータの需要は今後益々高まることが予想されますが、欧米を中心に環境規制強化が進んでいることから、法規制を発端とする製品の環境性能(高効率・省資源)や納期に関する顧客からの要求は今後も高まり続けると予想されます。そのような市場環境下で、NIDECの成功の成否は、顧客の要求をタイムリーかつ効果的に満たせるような、より優れた技術、製品、生産工程を開発し続けることができるかどうかにかかっています。もしNIDECが、市場動向を正確に予測できなかったり、適時に効果的な研究開発活動を実施できず、他社が、NIDECより優れた技術、製品、生産工程を開発すれば、NIDECの製品は陳腐化し、販売シェアが縮小すると同時に、新製品の事業及び市場の拡大が妨げられることになります。そのような変化を的確に予測し、求められる技術、製品、生産工程の開発をタイムリーに行うことは非常に困難です。特に基礎研究については、研究活動の方向性を定めることには一層の困難を伴うため、研究開発に要した費用を回収することへの不確実性が高いと考えられます。研究開発活動がうまく成果を出すことができなければ、NIDECの事業、経営成績、財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 ③製品の品質に係るリスク昨今、品質に対する捉え方が大きく変化しています。製品に使用される材料の調達過程における人権や労働環境、含有している物質の環境規制、発掘時のCO2排出量等の観点を含めて、製品の品質を定義する必要があります。NIDECは最先端のモータやその他の電気製品を製造しており、事業活動を行う上でNIDECの製品に欠陥がある、もしくは欠陥の疑いがあることや、顧客システムの高度化により発生する想定外の問題を理由として、保証や製造責任を訴訟で問われる可能性があります。特に、NIDECの製品が組み込まれている最終製品が万一大量に故障した場合、消費者からの苦情、不良品の回収、更に損害賠償請求訴訟等が起こり得ます。事業拡大を試みている車載及び家電・商業・産業用モータ及びその他の部品の市場では、安全で高品質な製品を提供できない場合、深刻な物損や人命に係る事故へ繋がる可能性があり、法令上のリコールが適用される他、社会的要請としても特に高い安全性が要求されます。このような問題がNIDECの作る製品を原因として発生すれば、ブランドイメージの悪化、行政処分、顧客からの重大な法的要求や顧客との紛争につながる恐れがあり、その結果販売の落込み及び不良品回収等の損失費用によりNIDECの経営成績が悪影響を受ける可能性があります。更に、訴訟に伴う人的・財務的負担が正確な経営判断の阻害要因となる可能性があります。NIDECは損害賠償請求訴訟等に備え、保険を付しておりますが、これらの保険では対応しきれない賠償請求が将来的に発生する、またはNIDECの希望どおりに保険が適用されない可能性があります。保険の適用範囲を超える賠償請求や、大規模な製品回収が発生した場合、NIDECの事業、経営成績、財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。④原材料・部品調達に係るリスクNIDECは製品の製造に必要な原材料及び部品の多くを外部から調達しております。コロナ禍及び米中の貿易問題による需給バランスの崩れで、これら原材料、組立部品の価格が高騰及び供給枠制限により、NIDECの生産量が制限される可能性があります。対策として代替品の検討によるマルチソースの確保と中長期の所要を提示し、供給枠確保を行っております。また、原材料の種類や部品の使用条件等に関わる各国政府の政策変化や顧客の調達条件の変化がNIDECの原材料・部品調達能力を制約することがあります。部品の調達過程における人権や労働環境、資源の入手可能性の検討といった条件の多様化と厳格化が進んでいることから、これらの要因により原材料や部品の調達余地が制限された場合、NIDECは代替材料を提供するサプライヤーの確保及び当該原材料・部品の使用量低減を可能にする設計及び開発への投資を行いますが、調達資材の質的・量的不足が長期間に及ぶとNIDECの生産活動が遅滞し、NIDECの事業、経営成績、財政状態に悪影響が及ぶ可能性があります。対策として、購買担当部署に対して、サプライヤーとのコミュニケーション強化を目的とした研修を実施しています。2021年度第4四半期、ロシアによるウクライナ侵攻を受け各国が対ロシア経済制裁措置を発動しました。これに伴うエネルギー事情の悪化やグローバルサプライチェーンの混乱による原材料生産・調達能力の圧迫が、当社事業の製品原価を押し上げる可能性があります。 ⑤海外拠点での事業活動に係るリスクNIDECは事業活動の相当部分を米国、欧州及び中国を含むその他地域で行っております。NIDECは海外生産比率が圧倒的に高い為、こうした海外市場で事業を行う際には、例えば以下のような特有のリスクがあります。・海外市場における関係産業の景気悪化または沈滞・国際通貨の変動・中国、東南アジア等における労働力不足や労働紛争、賃金水準の上昇・政治不安・貿易規制や関税の変更・グローバルな経営活動を行える人材の確保の困難・一般的に長期の債権回収期間・不利に取り扱われる恐れのある税制・文化、商習慣の相違・投資効果の実現までに要する長い期間と多額の資金NIDECでは、事業活動拠点を分散させ、カントリーリスクによる経営への影響低減に努めております。 ⑥知的財産権に係る訴訟リスクNIDECは自社技術及びその他の知的財産を、特許権、商標権、著作権及びその他の知的財産権、更には機密管理や個別契約により保護しております。NIDECはこれらの知的財産権に関して次のようなリスクを負っております。・NIDECは第三者からの知的財産権侵害の主張に対して反論をしていくためコストが必要になる場合があります。また、当該主張の結果、予め認識していない第三者の知的財産権を利用してしまったことによりNIDECに賠償責任が発生する場合や、差止命令によりNIDECの事業の継続が妨げられる場合があります。その結果、そのことがNIDECの事業、経営成績、財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。・NIDECの知的財産権の保護対策は十分でない可能性があります。・NIDECより大規模な資源を有する競合他社を含むその他の企業が、独自に技術を開発するか、または優越する技術を獲得した場合、NIDECはこれら企業の知的財産を使用するためのロイヤリティを支払わなければならなくなる可能性があります。・現行または将来の特許出願に関して、特許権を取得できなかったり、NIDEC自身が保有するまたは使用を許諾されている特許が無効になったり回避されたりすることで技術戦略上困難な状況に陥る可能性があります。・特定の特許権の下で認められている権利では、NIDECに競争上の優位をもたらさない可能性や、適切に保護されない可能性、技術力の維持に繋がらない可能性があります。・第三者による特許、重要な営業秘密、その他の知的財産権に関する侵害や無断使用に対して提起する訴訟に伴い多大なコストが必要になる可能性があります。・NIDECの製品を製造及び販売している諸外国の法律が、NIDECの製品や知的財産権を、日本の法律と同じ範囲で保護していない場合や、法律が存在したとしても効果的に施行されていない可能性があります。 ⑦情報の流出に係るリスクNIDECは事業活動において顧客、他企業の機密情報及び取引先関係者、従業員の個人情報を保有しております。NIDECはこれらの機密情報に関してセキュリティ対策、研究開発拠点における入退室管理、CADデータ厳格管理等を行っておりますが、同情報が人的及び技術的な過失や違法または不正なアクセス等により漏洩した場合、機密情報を保護できなかったために発生する責任や規制措置の対象となる可能性があり、NIDECは競争上の優位性を喪失し、顧客や市場の信頼が失われ、そのことがNIDECの事業、経営成績、財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。加えてNIDECの営業活動やシステム、ブランドイメージに対する社会的信頼を落とすことになります。これらの対策として、2019年にNIDECは情報セキュリティ管理室を発足しました。それに伴い、情報セキュリティ委員会や、各組織に情報セキュリティ管理責任者や情報セキュリティ推進責任者を設置し、グループ横断のセキュリティ管理体制を構築しています。2021年度も引き続き、情報セキュリティ管理室が主体となって社員に対する情報セキュリティeラーニングを実施する他、情報セキュリティ強化月間を設けて情報セキュリティ意識の向上を目的とした情報発信を行いました。尚、M&A関連の情報流出防止の策として、社内関係者とは個別案件ごとに守秘義務契約を締結し情報管理をしております。 ⑧年金制度に係るリスクNIDECの一部では、一定の要件を満たす従業員のための確定給付年金制度と確定拠出年金制度を併用している会社があります。特に、確定給付年金制度に関しては、年金資産の公正価値や年金資産の収益率が下落した場合、または、退職給付債務の計算の基礎となる想定値が変動した場合、損失が発生する可能性があります。また将来、既存の年金制度を変更し、従来は認識していない勤務費用が発生する可能性があります。そして、利率の変動、NIDECをとりまく環境の変化やその他の要因により、年金資産の積立状況等に悪影響を与える可能性があります。更に、将来の年金費用の計算に使用される想定値も変動する可能性があります。 ⑨為替に係るリスクNIDECの海外への売上の大部分は日本円以外の米国ドル、ユーロ、中国元、タイバーツ等の通貨で構成されており、各通貨に対する円の上昇は一般的に、NIDECの売上、営業利益、当期利益に悪影響を及ぼします。このリスクを軽減するため、売上と仕入の通貨を合わせることにより為替リスクの軽減に取り組んでおります。例えば、もしある製品の売上が米国ドル建てであれば、この製品の生産に使用する材料や資源の購入を米国ドル建てで購入するようにしております。それでもなお、NIDECは為替リスクにさらされています。加えて、日本円以外の通貨で運営している子会社の業績を連結財務諸表として統合した際、為替変動が大きく影響する可能性があります。 ⑩金利の変動に係るリスクNIDECは固定利率と変動利率の長期債権や有利子負債を保有しており、それらの金利変動やキャッシュ・フロー増減リスクを防ぐため、金利スワップや他の契約を締結することがあります。その場合、ヘッジされていない部分に関して、支払利息や受取利息、金融資産・負債の価値に影響する金利の変動リスクにさらされる可能性があります。 ⑪資金の流動性に係るリスクNIDECは自社の資本支出やM&Aに関する資金を金融機関からの借入や金融市場からの直接調達に依存しております。2030年度売上高10兆円を目指す当社で、今後資金調達規模の拡大が予想されるため、調達ソースの多様化を図っております。そのために、格付の維持・向上等により資金調達力を一層高める必要があるとともに、近年定着しつつあるESGを加味した企業価値判断基準への適合が重要となります。金融市況の変化やその他の要因により金融機関が貸付枠、信用供与枠額や条件を圧縮した場合、またはNIDECがそれまでと同等またはより良い条件で取引可能な代替的資金調達源を見つけることができない場合、そのことがNIDECの事業に悪影響を及ぼす可能性があります。更に、NIDECの財政状態が悪化した結果、信用格付機関がNIDECの信用格付けを大幅に引下げた場合や経済状況の後退により投資家の意欲が減少した場合、NIDECが必要な資金を必要な時期に、希望する条件で調達できない可能性があり、資金調達がより制限されるとともに、資金繰り費用が大幅に増加する可能性があります。この場合、そのことがNIDECの事業、経営成績、財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 ⑫繰延税金資産の不確実性に係るリスクNIDECは繰延税金資産が将来の課税所得から回収される可能性を評価しなければならず、回収可能性が見込めない場合は繰延税金資産を減少させることとなります。経済状況や経営成績が悪化した場合、繰延税金資産の全てまたはその一部に関して回収可能性が見込めないと判断し、繰延税金資産を減少させることによりNIDECの利益が減少する可能性があります。 (3)ガバナンスリスク①NIDEC代表取締役会長である永守重信(氏)への依存に係るリスクNIDECの継続的な成功は主にNIDECの創業者である永守重信氏の能力と手腕に依存してきました。また、2021年6月22日より代表取締役社長である関潤氏が最高経営責任者として就任しておりましたが、様々な経済的・政治的なリスクが顕在化している昨今の状況下を鑑み、永守氏が最高経営責任者として経営の責任を担い、関氏は代表取締役社長(最高執行責任者)として日本電産の中長期経営計画上の主たる事業の一つである車載事業に注力する体制を取ってまいります。永守氏による経営指導体制のもと、日本電産本来のスピード感のある経営を行い、2030年売上10兆円の実現を強固なものとしてまいります。しかしながら、永守氏の突然の離脱があった場合NIDECの事業、経営成績、財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。本体制は後継者育成を踏まえた短期的なものであり、創業者依存体制の変革を目指し、関氏をはじめとする当社グループ経営陣が組織的な連携を強化(チーフオフィサー制を強化)してまいります。 ②内部統制に係るリスクNIDECは上場企業として、金融商品取引法に基づく財務報告に係る内部統制に関する要件を満たさなければなりません。そして、事業運営及び資産管理に必要で効果的な内部統制システム、コンプライアンス機能、会計システムの整備は極めて重要であると認識しております。また、内部統制システムの設計、実施には多くの管理、人材、その他資源が必要になります。内部統制上の重要な不備、弱点が認められた場合、改善に要する新たな資源投入により追加的コストが発生する可能性があります。NIDECはグローバルな内部統制システムの強化を図るべく不断の検討・見直しを続けておりますが、財務報告に関わる内部統制に重要な不備がある場合、内部統制の逸脱により、適時開示義務を充足できなかったり、投資家及び経営者等の利害関係者の正確な意思決定を妨げる可能性があり、その結果、市場におけるNIDECの評価が毀損する恐れがあります。また、不備の重要性や原因等の内容に応じて様々な法的責任が課せられ、金融市場における資金調達力が制限される可能性があります。NIDECは2020年度に更なる内部統制の強化並びに持続的な企業価値の拡大を図るため、監査等委員会設置会社へ移行いたしました。取締役会の監督機能を強化するとともに、経営の効率性を高めることによる意思決定の迅速化や、取締役会における議論の充実に努めることにより、内部統制の一層の充実に取り組んでいます。また取締役会の任意の諮問機関として報酬委員会を設置し、役員報酬に関して独立社外取締役の適切な関与・助言を得ることで、公正性・透明性・客観性を担保してまいります。 (4)偶発的リスク①自然災害・人的災害に係るリスクNIDECやサプライヤーが事業を展開する国内外において、自然災害、火災、公衆衛生、戦争、テロ行為やその他の人的災害が発生した場合、政治的、経済的不安定を招き、NIDECやサプライヤー、顧客に損害を与える可能性があります。仮にインフラに甚大な損害を及ぼしたり電力不足をもたらすような大規模な自然災害、あるいは感染症が発生すれば、従業員が勤務できなくなったり、顧客からの受注が低下したり、サプライヤーの生産活動が阻害されることでNIDECの事業に悪影響が及ぶ可能性があります。また、例えばタイや中国といったNIDECの主要な顧客や生産、開発拠点が集中している地域や、NIDECの本社や重要な研究開発施設が集中している日本でこのような大規模な災害が発生すれば、際立って大きな悪影響が及ぶ恐れがあります。更に、NIDECの事業に必要不可欠なネットワーク及び情報システムは、停電、自然災害、テロ行為、ハードウエアやソフトウエアの不具合、コンピュータウィルスによる攻撃、不正侵入により被害を受ける可能性があります。これらの事態の全てを回避することは困難です。これらの事態が発生した場合には、NIDECの生産活動及び販売活動に大きな支障をきたし、製品の納入が遅れ、サプライヤーから材料や部品を入手することが困難となり、製造工場の修復に多大な費用が必要となります。更に、NIDECは資産の損害及びその他のリスクに対し、様々な種類の第三者保険を付しております。これらの保険の種類及び保険額はその有用性、コスト、自家保険による補償範囲を勘案し決定します。NIDECの保険契約は、控除条件、適用範囲及び除外項目の対象となる場合があり、その結果、自家保険と同等の補填金額に留まる可能性もあります。NIDECが加入する保険の適用範囲と補償金額はほぼ業界水準と考えておりますが、保険対象外の損失が増加すればNIDECの事業、経営成績、財政状態に悪影響が及ぶ可能性があります。2019年度後半に顕在化した新型コロナウイルスの世界的蔓延は、NIDECの事業、サプライチェーン機能に影響を与えています。事業継続の為の対策として、NIDECは2020年1月に危機管理対策本部を立ち上げ、従業員の安全を確保しつつ、事業への影響を最小化する対策を講じております。これまで、感染拡大により一時的に操業が停止又は低下した海外の工場はありましたが、本稿開示時点において回復しております。ただし、変異株の感染拡大など、コロナウイルスが及ぼす新たなマイナス影響が発生した場合、NIDECの事業、経営成績、財政状態へ悪影響が及ぶ可能性があります。 ②気候変動に係るリスク2015年12月にCOP21がパリ協定を採択して以降、気候変動問題はあらゆる国・地域、企業が取り組むべき地球規模の優先事項と位置付けられるようになりました。製品の開発・生産活動を主軸に世界各地で事業を展開するNIDECにとって、気候変動はビジネス創出の機会であると同時に、広範にわたる中長期的事業リスクの源泉でもあります。気候変動に関わる政策および規制、技術開発、市場動向、市場評価等の変化に起因する間接的損失リスクを「移行リスク」と定義し、気候変動がもたらす災害等による直接的損失リスクを「物理的リスク」と定義した場合、以下に挙げるリスク事象の現実化はNIDECの財務状況に重大な悪影響を及ぼす可能性があります。 「移行リスク」a)炭素税その他脱炭素社会実現へ向けた各国のエネルギー転換施策への対応が遅れることによる税負担の上昇b)既存製品・サービスに適用される規制の厳格化や新基準への不適合に伴う市場機会の損失およびコンプライアンスコストの増加c)世界的「電化」傾向に起因する電子部品原材料(希少鉱物、鋼材、その他ハイエンドアルミや銅等の非鉄金属)の入手困難あるいは調達コストの上昇世界の主要国が気候変動対策へ舵を切るなか、再生エネルギー発電施設の建設や電気自動車(EV)の製造に必要な金属材料(アルミ、銅その他)の市場価格が上昇傾向にあります。また、主な温室効果ガス発生源の一つである火力発電への投資が急速に縮小するなか、2021年度期初より欧州では風況・日射量の極端な低下から再生可能エネルギーが不足し、中国では石炭の生産・輸入制限下における急速な電力需要の拡大が大規模な計画停電を誘発しました。これらの事象はグローバルサプライチェーンの原材料生産・調達能力を著しく制約すると同時に当社の部材購買コストを引き上げる要因となりました。d)新たな低炭素製品が要求する代替原材料の研究・開発の遅れおよび付帯コストの増加e)非効果的な気候変動対策に起因する企業価値の低下とそれに伴う投資誘引力の減退および信用格付けの低下 これら「移行リスク」へ対処するため、NIDECは以下の施策を実施しています。◇2040年度カーボンニュートラルの実現を目指す新たな環境目標を2021年7月に策定。具体的な取り組み内容は以下の通り。・省エネルギーの推進 ・再生可能エネルギーへのシフト (再生可能エネルギーの導入比率については2025年度に40%、2030年度に80%を予定。)・低炭素燃料への移行◇SDGsコンセプトに基づく研究・開発活動の推進◇複数購買ルートの確保 「物理的リスク」a)台風・多雨等がもたらす広域水害の頻発による事業活動の停止‐浸水その他電力・ガス供給網の機能停止‐家屋倒壊や道路寸断等による従業員生活へのダメージ‐運輸サービス機能の停止による製品輸送の停滞b)渇水による事業活動への制約‐行政当局による取水制限の強化に起因する工場用水の不足‐水価格の上昇による生産性の低下(洗浄・冷却・従業員寮の生活水、等)c)気温上昇による健康被害‐熱中症件数の増加‐感染症の伝達速度上昇d)上記事由によるサプライチェーンの混乱 これら「物理的リスク」へ対処するため、NIDECは以下の施策を実施しています。◇グローバル・ロケーション戦略を通じた生産リスクの分散◇気候変動リスクが高い国・地域で操業する事業所を対象とする認識度調査の実施◇生産ラインのイノベーション◇サプライチェーンの可視化ならびに柔軟性の強化◇国内外事業所におけるBCPトレーニングの継続
FY2021|14,769 文字
2【事業等のリスク】NIDECの経営成績、株価、財政状態等に影響を及ぼす可能性のあるリスクには、次のようなものがあります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在においてNIDECが判断したものであります。 (1)経営戦略リスク①政治・経済状況の変動に係るリスク(特に重要なリスク)NIDECの製品及びNIDECの製品を搭載した製品は主に中国を主とするアジア、米国、欧州及び日本で生産、消費されており、これらの国または地域の予期せぬ景気変動、政治・政策動向は、NIDECの製品需要や生産状況に悪影響を及ぼす可能性があります。特にNIDECの製品はパーソナルコンピュータ(以下、「PC」)や家電、自動車等の最終製品に組み込まれているため消費動向に左右され、一般消費水準の減退はNIDECの売上に悪影響を与える可能性があります。同様に、製造部門における設備投資の水準は景気動向によって左右され、設備投資水準の減退がNIDECの産業用製品に係る売上に悪影響を及ぼす恐れがあります。今後経済環境の悪化が進んだ場合、NIDECの事業、経営成績、財政状態に悪影響が及ぶ可能性があります。2020年度は米中貿易摩擦の影響が引き続き懸念される中で、新型コロナウイルスの感染拡大に起因する都市封鎖や移動の制限、生産活動や個人消費の減少、サプライチェーンの不安定化等が世界経済の悪化を招き、NIDECの財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼしました。特に、自動車メーカーの工場稼働停止や設備投資の減少が同分野における一部NIDEC製品の需要減に繋がりました。また、米国での新政権樹立を契機に同国がパリ協定に復帰し、気候変動対策に積極的な姿勢へと転換したことから脱炭素に向けた全世界的な動きが今後加速することが予想されます。更に、欧州委員会における国境炭素税導入の検討を契機に、米国を中心に日本でもそれに追随する動きが明確化しています。NIDECが提供する製品及びその生産活動が期待される環境価値を備えていないと判断された場合、追加課税により製品販売価格が上昇し、価格競争力の低下を招く可能性があります。また、上記のような法的変化を踏まえて、顧客が当社製品と生産活動に対しての脱炭素化を取引条件に課す場合があります。対策として、当社工場における再生エネルギーの大幅導入を検討しています。 ②技術環境・産業構造の変化に係るリスク(特に重要なリスク)技術変遷を背景とした需要の変容、それに呼応する顧客動向の変化がNIDECの想定を上回るスピードで生じた場合に、同市場におけるNIDECの経営環境に影響を及ばす場合があります。例えばHDD用モータ事業はNIDECの主要事業の一つであり長期に亘り当社の収益基盤をなしてきましたが、半導体メモリーSSDやクラウドコンピューティングの定着によるストレージ市場の構造変化が顧客のビジネスモデル変化を招き、当社HDD用モータの需要低下に繋がっています。このような状況の下、2020年度は主要顧客である一部HDDメーカーからの受注量が大きく減少しました。今後はクラウド市場の拡大に牽引されるサーバー向けのHDD用モータに注力し一定の収益を確保すると同時に、端末向けHDD用モータの開発・生産に振り分けていたリソースをモビリティソリューション分野をはじめとする新規商材へ集中投下し、ビジネスポートフォリオ転換のスピードを早めます。 ③競合に係るリスク(特に重要なリスク)NIDECは事業を行う様々な市場で激しい競争にさらされております。特に車載、家電市場においては、新興国の地場メーカーの台頭で競争が激化する傾向があります。市場で競争力を高めるため、NIDECは研究開発分野への多額な投資の維持・増強、製造能力・販売力・マーケティング力の拡大、サービス力とサポート源の拡大、タイムリーな新製品の開発、既存製品の更なる改善を実施していく必要があると考えております。また、利益性を確保するためのコスト削減活動もNIDECにとって必要です。NIDECは次のような場合に、市場における競争力が低下したり収益力を損なう可能性があります。・市場がNIDECの予測を超える速度で発展した結果、需要拡大等の市場変化への対応において競合他社がNIDECの能力を上回った場合・NIDECのコスト削減活動が、市場販売価格の減少や原材料費の上昇による悪影響を吸収するには不十分となった場合・競合他社が技術革新、製造効率の改善または研究開発能力の強化を行った結果、NIDECの製品や技術が陳腐化した場合・NIDECの競合企業同士の合併によりNIDECの競争力が相対的に弱まった場合・必要な投資を継続・強化するための財産的、技術的、人的な資源を調達できない場合 例えば現在、EV用トラクションモータシステムに関してNIDECの主な市場は中国です。中国は国策により自動車のEV化を推進しており、現在世界最大のEV市場を擁しています。NIDECは現在、EVのエンジンに相当するトラクションモータを重要な戦略製品と位置付けており、コスト競争力と開発スピードに優れる地場メーカーの台頭により同市場における競争力を失うと、NIDECの成長戦略全体に重大な影響が及ぶ可能性があります。対策として、同市場における影響力が大きい中国企業との提携を強化しています。2019年にはEV用トラクションモータシステムに関しては、同国の有力自動車メーカーである広州汽車グループと提携を結びました。更に、同国における生産能力を増強することで急激な需要の高まりを想定した供給体制を整備しています。既に平湖市では工場が稼働していますが、今後、大連市、広州市でも生産を予定しています。開発におきましても2019年に蘇州市に蘇州開発センターを設立し、開発の現地化により顧客要求に迅速に対応する体制を整えております。 ④先行投資に係るリスク(特に重要なリスク)NIDECは需要の拡大を予想した場合、受注に先駆けて生産設備を拡張することがあります。従って需要が生産能力を下回ると、稼動損による償却負担の増加または過剰在庫による棚卸資産の評価減が収益を圧迫する可能性があります。例えば、急速な市場規模拡大が予想されるEV用トラクションモータシステムの生産工場が既に中国平湖市で稼働しております。EV用単品モータについては、ポーランドで近々生産開始予定であることに加え、今後は中国大連市、広州市の生産工場を建設する予定です。また欧州のセルビアにEV用インバータの生産工場の建設を計画しており、脱炭素化を追い風にEV需要拡大が見込まれる欧州での供給体制を強化してまいります。しかし、競合他社の開発・市場参入動向、最終製品の需要動向の変化により、当初予想した受注量を確保できない場合には、NIDECの経営成績及び財政状態に大きな影響を及ぼす可能性があります。更に工場に導入した設備が急速な技術革新によって陳腐化や用途変更が発生した場合には、現在の見積耐用年数を短縮させる必要性が生じ、連結会計期間あたりの償却負担が増加する可能性があります。他方、もしNIDECが需要を過小に見積もり必要な設備投資を行わなかった場合、顧客の需要を満たせずにシェアを失う可能性があります。また、部品や材料を調達する際のリードタイムを考慮してサプライヤーへ材料を先行注文することがあるため、実際の受注数量が予想に満たない場合は過剰在庫が生じ予期せぬ棚卸資産の評価減を招く可能性があります。 ⑤M&Aに係るリスク(特に重要なリスク)NIDECは事業の成長に必要な技術、製品、販売網、顧客基盤を所有する他社の買収や他社への資本提携を通じて大幅な成長を達成してまいりました。買収や投資活動を継続的に成功させることは、NIDECの事業戦略を達成する上で極めて重要な要素です。そして車載事業を中心とした技術・商流の獲得が益々重要度を増しています。車載事業の中でも特にEV用トラクションモータシステムは今後の成長の柱となることが大きく期待されています。EV市場はグリーンリカバリーの動きの中で拡大ペースが急加速すると見込まれることから、EV用トラクションモータシステムの製造に必要な技術・商流・設備等の買収を市場の成長スピードに追随する適切なタイミングで実施出来なかった場合に、NIDECの競争力が低下する可能性があります。更に、2030年度売上高10兆円を目指す中で、NIDECのビジネスモデルがモータ単品売りからモジュール、システムへと転換していくことが予想されます。市場が急速に変化する中で、ビジネスモデルの転換に必要な技術を適確に選択・買収することが出来なかった場合に、市場の成長スピードに追随できなくなる可能性があります。また、NIDECの買収や出資活動が成就しなかった場合、NIDECの製品ラインナップ、販売網、顧客基盤の拡大計画が停滞したり、成長率が低下したりする可能性があります。買収や資本提携を成功させるためには、買収した事業の効率的な統合が重要です。しかし、買収した事業がNIDECの予想どおりに収益を生むという確証はありません。 NIDECは今後の買収や資本提携を成功させるために必要な条件を次のように考えております。・買収対象企業の正確な事前調査(各種デューデリジェンス)・事前調査の過程でNIDECに悪影響を与える買収対象企業の負債を特定する能力・買収した事業に係る製品を製造・販売する能力及び買収した事業に係る技術を既存技術と統合して新製品を開発する能力・買収した事業の経営、製品、社員に関するNIDECの統合能力・買収した事業におけるキーパーソンの保持・買収した事業における財務面や経営面でのNIDECの管理能力・買収した事業からの報告体制及び買収した事業の法令遵守体制の整備 こうした買収、出資活動はNIDECの事業に重要な影響を与え得る不確定要素です。例えば、出資先企業の業績が悪化した場合、投資価値が毀損する可能性があります。出資先企業が拠点を置く国の政府による経済政策、法律、規制、または会計基準の変更が出資先企業に適用されることでNIDECの業績へ多大な影響が及ぶ可能性があります。買収や出資の効果が得られないか、または適切な買収や出資の対象会社を見つけることができない場合、そのことがNIDECの事業、経営成績、財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。また、NIDECは、買収に伴い取得した多額ののれん及び無形資産を計上しており、当連結会計年度末現在、のれん及び無形資産はそれぞれ、3,200億円及び1,956億円計上しております。NIDECは、これらの資産については、買収した事業の効率的な統合により得られる将来の収益力を適切に反映したものと考えておりますが、事業環境の悪化等により予想どおりの収益が得られないと判断された場合、NIDECはこれらの資産について減損を認識しなければならず、NIDECの経営成績、財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 ⑥法令・規制に係るリスクNIDECの事業は、事業運営を行っている国内外における法令、規制、政策、行動規範、会計基準等の変更や解釈の差異、適用誤りに起因するコンプライアンスリスクを負っており、製品ラインナップの拡充またはビジネスの地理的拡大により、NIDECは各種産業、市場及び行政地区特有のリスクにさらされることになります。よって、NIDECのリスク管理体制によっても、これらのコンプライアンスに完全に対処することができない可能性があります。NIDECは日本、アジア、北米、欧州、その他地域の環境法令を遵守しております。これら環境法令は大気汚染、水質汚濁、危険物質の対応、水質管理、リサイクル、温暖化防止、土壌及び地下水の汚染等に関連する規則を含みます。欧州委員会は2050年に温室効果ガス排出を実質ゼロにする目標を法制化することで合意しました。それに付随して、2030年に向けた目標も、1990年の水準から少なくとも55%削減する新たな目標で合意しています。更にEUを始め米国や日本でも輸入品のCO2排出量に応じて関税を課す国境炭素税の導入が検討されている等、脱炭素に向けた全世界的な取り組みが急激に加速しています。また、NIDECの事業の多くは環境法令に基づく営業許可を必要とし、それにより製造活動は制約され、法令遵守のための費用が発生します。こうした環境法令は当局により修正、改定、廃止される可能性があります。これらの法令が厳格化することにより環境法令の継続的遵守に必要な投資やその他の支出が増加したり、事業の見直しを行う必要が生じ、そのことがNIDECの事業、経営成績、財政状態に深刻な影響を及ぼす可能性があります。また、NIDECの事業は国内外において独占禁止法、贈賄防止条約、反テロ法、知的財産権、消費者保護法、税法、輸出規制、関税法、海外貿易規制及び為替規制等の取引規制や市場規制を遵守する必要があります。更に、我々は新規市場開拓を行い続けており、法令遵守体制をより強化する必要があります。NIDECは東京証券取引所に上場しているため、金融商品取引法その他法令の適用を受け、財務報告の適正性の遵守が求められます。NIDECは、事業成長に伴い、業務拡大を継続しており、財務報告の適正性に関する法令遵守体制をより強化する必要があります。これら規制を遵守できない場合、その結果生じる罰金、社会的制裁、信用毀損、営業停止、更には営業許可の剥奪がNIDECの事業に深刻な影響を及ぼす可能性があります。こうした法律、規制、政策、自主行動規範、会計基準等の変更及びその影響を予測することは困難であり、新たな遵守体制整備のために追加的な財務、管理、人的資源が必要になる可能性があります。 (2)事業運営リスク①高度な専門性を有した人材の採用・保持に係るリスク(特に重要なリスク)NIDECの事業は、代替することが非常に困難な多数の上層部経営者、エンジニア等の継続的な雇用に依存しております。技術革新の大波が押し寄せ、その波に乗れるかどうかの瀬戸際である昨今、NIDECはAI、IoT等の新市場に対する高い知見を持つ人材、大多数の高度なスキルを持つ人材を追加雇用し、育成し、意識統一し、そして活用する体制づくりを進めていく必要があります。世界的にこのような人材の獲得競争は極めて激しいため、NIDECがこのような追加の人材を引き付けることが出来ない場合は、技術革新の大波に乗れる機会を失う可能性があります。NIDECは2030年度売上高10兆円を目指すにあたって、3つの人事制度改革(評価制度・等級制度・報酬制度)を進めています。実力・実績主義を徹底するため、成果に応じたメリハリのある評価・報酬、適所適材でのスムーズな人事異動、人材育成を行うことで専門性の高い人材の採用、幹部人材の確保、育成プロセスの強化を図ります。 ②研究開発に係るリスクNIDECは基礎研究、新製品開発、製品改良、生産工程の改善、低コストの製品開発等を研究開発活動として継続的に行っております。NIDECが製品を提供する市場では継続的に急速な技術革新が起きており、脱炭素化、省電力化、省人化、5Gやサーマルソリューション、デジタルデータ爆発といった5つの分野を中心にリソースを投入しています。特に脱炭素化を背景にEV向けトラクションモータの需要は今後益々高まることが予想されますが、欧米を中心に環境規制強化が進んでいることから、法規制を発端とする製品の環境性能(高効率・省資源)や納期に関する顧客からの要求は今後も高まり続けると予想されます。そのような市場環境下で、NIDECの成功の成否は、顧客の要求をタイムリーかつ効果的に満たせるような、より優れた技術、製品、生産工程を開発し続けることができるかどうかにかかっています。もしNIDECが、市場動向を正確に予測できなかったり、適時に効果的な研究開発活動を実施できず、他社が、NIDECより優れた技術、製品、生産工程を開発すれば、NIDECの製品は陳腐化し、販売シェアが縮小すると同時に、新製品の事業及び市場の拡大が妨げられることになります。そのような変化を的確に予測し、求められる技術、製品、生産工程の開発をタイムリーに行うことは非常に困難です。特に基礎研究については、研究活動の方向性を定めることには一層の困難を伴うため、研究開発に要した費用を回収することへの不確実性が高いと考えられます。研究開発活動がうまく成果を出すことができなければ、NIDECの事業、経営成績、財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 ③製品の品質に係るリスク昨今、品質に対する捉え方が大きく変化しています。製品に使用される材料の調達過程における人権や労働環境、発掘時のCO2排出量等の観点を含めて、製品の品質を定義する必要があります。NIDECは最先端のモータやその他の電気製品を製造しており、事業活動を行う上でNIDECの製品に欠陥がある、もしくは欠陥の疑いがあることを理由として、保証や製造責任を訴訟で問われる可能性があります。特に、NIDECの製品が組み込まれている最終製品が万一大量に故障した場合、消費者からの苦情、不良品の回収、更に損害賠償請求訴訟等が起こり得ます。事業拡大を試みている車載及び家電・商業・産業用モータ及びその他の部品の市場では、安全で高品質な製品を提供できない場合、深刻な物損や人命に係る事故へ繋がる可能性があり、法令上のリコールが適用される他、社会的要請としても特に高い安全性が要求されます。このような問題がNIDECの作る製品を原因として発生すれば、ブランドイメージの悪化、行政処分、顧客からの重大な法的要求や顧客との紛争につながる恐れがあり、その結果販売の落込み及び不良品回収等の損失費用によりNIDECの経営成績が悪影響を受ける可能性があります。更に、訴訟に伴う人的・財務的負担が正確な経営判断の阻害要因となる可能性があります。NIDECは損害賠償請求訴訟等に備え、保険を付しておりますが、これらの保険では対応しきれない賠償請求が将来的に発生する、またはNIDECの希望どおりに保険が適用されない可能性があります。保険の適用範囲を超える賠償請求や、大規模な製品回収が発生した場合、NIDECの事業、経営成績、財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。④原材料・部品調達に係るリスクNIDECは製品の製造に必要な原材料及び部品の多くを外部から調達しております。これら原材料、組立部品の価格が高騰して所要量を充足できない場合、NIDECの生産能力が制限されます。また、原材料の種類や部品の使用条件等に関わる各国政府の政策変化や顧客の調達条件の変化がNIDECの原材料・部品調達能力を制約することがあります。部品の調達過程における人権や労働環境、資源の入手可能性の検討といった条件の多様化と厳格化が進んでいることから、これらの要因により原材料や部品の調達余地が制限された場合、NIDECは代替材料を提供するサプライヤーの確保及び当該原材料・部品の使用量低減を可能にする設計及び開発への投資を行いますが、調達資材の質的・量的不足が長期間に及ぶとNIDECの生産活動が遅滞し、NIDECの事業、経営成績、財政状態に悪影響が及ぶ可能性があります。対策として、購買担当部署に対して、サプライヤーとのコミュニケーション強化を目的とした研修を実施しています。またコロナ禍及び米中の貿易問題による需給バランスの崩れで、樹脂・電子部品等の原材料調達環境が悪化し、NIDECの生産数量が制限される可能性があります。対策として代替品の検討によるマルチソースの確保と中長期の所要を提示し、供給枠確保を行っております。 ⑤海外拠点での事業活動に係るリスクNIDECは事業活動の相当部分を米国、欧州及び中国を含むその他地域で行っております。NIDECは海外生産比率が圧倒的に高い為、こうした海外市場で事業を行う際には、例えば以下のような特有のリスクがあります。・海外市場における関係産業の景気悪化または沈滞・国際通貨の変動・中国、東南アジア等における労働力不足や労働紛争、賃金水準の上昇・政治不安・貿易規制や関税の変更・グローバルな経営活動を行える人材の確保の困難・一般的に長期の債権回収期間・不利に取り扱われる恐れのある税制・文化、商習慣の相違・投資効果の実現までに要する長い期間と多額の資金 ⑥知的財産権に係る訴訟リスクNIDECは自社技術及びその他の知的財産を、特許権、商標権、著作権及びその他の知的財産権、更には機密管理や個別契約により保護しております。NIDECはこれらの知的財産権に関して次のようなリスクを負っております。・NIDECは第三者からの知的財産権侵害の主張に対して反論をしていくためコストが必要になる場合があります。また、当該主張の結果、予め認識していない第三者の知的財産権を利用してしまったことによりNIDECに賠償責任が発生する場合や、差止命令によりNIDECの事業の継続が妨げられる場合があります。その結果、そのことがNIDECの事業、経営成績、財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。・NIDECの知的財産権の保護対策は十分でない可能性があります。・NIDECより大規模な資源を有する競合他社を含むその他の企業が、独自に技術を開発するか、または優越する技術を獲得した場合、NIDECはこれら企業の知的財産を使用するためのロイヤリティを支払わなければならなくなる可能性があります。・現行または将来の特許出願に関して、特許権を取得できなかったり、NIDEC自身が保有するまたは使用を許諾されている特許が無効になったり回避されたりすることで技術戦略上困難な状況に陥る可能性があります。・特定の特許権の下で認められている権利では、NIDECに競争上の優位をもたらさない可能性や、適切に保護されない可能性、技術力の維持に繋がらない可能性があります。・第三者による特許、重要な営業秘密、その他の知的財産権に関する侵害や無断使用に対して提起する訴訟に伴い多大なコストが必要になる可能性があります。・NIDECの製品を製造及び販売している諸外国の法律が、NIDECの製品や知的財産権を、日本の法律と同じ範囲で保護していない場合や、法律が存在したとしても効果的に施行されていない可能性があります。 ⑦情報の流出に係るリスクNIDECは事業活動において顧客、他企業の機密情報及び取引先関係者、従業員の個人情報を保有しております。NIDECはこれらの機密情報に関してセキュリティ対策、研究開発拠点における入退室管理、CADデータ厳格管理等を行っておりますが、同情報が人的及び技術的な過失や違法または不正なアクセス等により漏洩した場合、機密情報を保護できなかったために発生する責任や規制措置の対象となる可能性があり、NIDECは競争上の優位性を喪失し、顧客や市場の信頼が失われ、そのことがNIDECの事業、経営成績、財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。加えてNIDECの営業活動やシステム、ブランドイメージに対する社会的信頼を落とすことになります。これらの対策として、2019年にNIDECは情報セキュリティ管理室を発足しました。それに伴い、情報セキュリティ委員会や、各組織に情報セキュリティ管理責任者や情報セキュリティ推進責任者を設置し、グループ横断のセキュリティ管理体制を構築しています。2020年度は、情報セキュリティ管理室が主体となって社員に対する情報セキュリティeラーニングを実施する他、情報セキュリティ強化月間を設けて情報セキュリティ意識の向上を目的とした情報発信を行いました。 ⑧年金制度に係るリスクNIDECの一部では、一定の要件を満たす従業員のための確定給付年金制度と確定拠出年金制度を併用している会社があります。特に、確定給付年金制度に関しては、年金資産の公正価値や年金資産の収益率が下落した場合、または、退職給付債務の計算の基礎となる想定値が変動した場合、損失が発生する可能性があります。また将来、既存の年金制度を変更し、従来は認識していない勤務費用が発生する可能性があります。そして、利率の変動、NIDECをとりまく環境の変化やその他の要因により、年金資産の積立状況等に悪影響を与える可能性があります。更に、将来の年金費用の計算に使用される想定値も変動する可能性があります。 ⑨為替に係るリスクNIDECの海外への売上の大部分は日本円以外の米国ドル、ユーロ、中国元、タイバーツ等の通貨で構成されており、各通貨に対する円の上昇は一般的に、NIDECの売上、営業利益、当期利益に悪影響を及ぼします。このリスクを軽減するため、売上と仕入の通貨を合わせることにより為替リスクの軽減に取り組んでおります。例えば、もしある製品の売上が米国ドル建てであれば、この製品の生産に使用する材料や資源の購入を米国ドル建てで購入するようにしております。それでもなお、NIDECは為替リスクにさらされています。加えて、日本円以外の通貨で運営している子会社の業績を連結財務諸表として統合した際、為替変動が大きく影響する可能性があります。 ⑩金利の変動に係るリスクNIDECは固定利率と変動利率の長期債権や有利子負債を保有しており、それらの金利変動やキャッシュ・フロー増減リスクを防ぐため、金利スワップや他の契約を締結することがあります。その場合、ヘッジされていない部分に関して、支払利息や受取利息、金融資産・負債の価値に影響する金利の変動リスクにさらされる可能性があります。 ⑪資金の流動性に係るリスクNIDECは自社の資本支出やM&Aに関する資金を金融機関からの借入や金融市場からの直接調達に依存しております。2030年度売上高10兆円を目指す当社で、今後資金調達規模の拡大が予想されるため、調達ソースの多様化を図っております。そのために、格付の維持・向上等により資金調達力を一層高める必要があるとともに、近年定着しつつあるESGを加味した企業価値判断基準への適合が重要となります。金融市況の変化やその他の要因により金融機関が貸付枠、信用供与枠額や条件を圧縮した場合、またはNIDECがそれまでと同等またはより良い条件で取引可能な代替的資金調達源を見つけることができない場合、そのことがNIDECの事業に悪影響を及ぼす可能性があります。更に、NIDECの財政状態が悪化した結果、信用格付機関がNIDECの信用格付けを大幅に引下げた場合や経済状況の後退により投資家の意欲が減少した場合、NIDECが必要な資金を必要な時期に、希望する条件で調達できない可能性があり、資金調達がより制限されるとともに、資金繰り費用が大幅に増加する可能性があります。この場合、そのことがNIDECの事業、経営成績、財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 ⑫繰延税金資産の不確実性に係るリスクNIDECは繰延税金資産が将来の課税所得から回収される可能性を評価しなければならず、回収可能性が見込めない場合は繰延税金資産を減少させることとなります。経済状況や経営成績が悪化した場合、繰延税金資産の全てまたはその一部に関して回収可能性が見込めないと判断し、繰延税金資産を減少させることによりNIDECの利益が減少する可能性があります。 (3)ガバナンスリスク①NIDEC代表取締役会長である永守重信(氏)への依存に係るリスクNIDECの継続的な成功は主にNIDECの創業者である永守重信氏の能力と手腕に依存してきましたが、2020年1月に成長分野の車載事業に精通している関潤氏が参画し、2020年4月より永守氏と関氏で経営を主導する体制への移行を経て、後継者の育成に注力してまいりました。2021年6月22日より永守氏は代表取締役会長に専任し、関氏が最高経営責任者として、経営の執行と結果の最終責任を負う体制へ移行しております。永守氏は、今後も創業者兼取締役会議長として、関氏を全面的にサポートすると共に、代表取締役会長として当社の今後の持続的成長のために重要な経営の意思決定への参画を継続し、2030年売上10兆円の実現を強固なものとして参ります。しかしながら、永守氏の突然の離脱があった場合、NIDECの事業、経営成績、財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 ②内部統制に係るリスクNIDECは上場企業として、金融商品取引法に基づく財務報告に係る内部統制に関する要件を満たさなければなりません。そして、事業運営及び資産管理に必要で効果的な内部統制システム、コンプライアンス機能、会計システムの整備は極めて重要であると認識しております。また、内部統制システムの設計、実施には多くの管理、人材、その他資源が必要になります。内部統制上の重大な欠陥、弱点が認められた場合、改善に要する新たな資源投入により追加的コストが発生する可能性があります。NIDECはグローバルな内部統制システムの強化を図るべく不断の検討・見直しを続けておりますが、財務報告に関わる内部統制に欠陥がある場合、または内部統制の逸脱により、NIDECは適時開示義務を充足できなかったり、投資家及び経営者等の利害関係者の正確な意思決定を妨げる可能性があり、その結果、市場におけるNIDECの評価が毀損する恐れがあります。また、欠陥の重大性や原因等の程度に応じて様々な法的責任が課せられ、金融市場における資金調達力が制限される可能性があります。NIDECは2020年度に更なる内部統制の強化並びに持続的な企業価値の拡大を図るため、監査等委員会設置会社へ移行いたしました。取締役会の監督機能を強化するとともに、経営の効率性を高めることによる意思決定の迅速化や、取締役会における議論の充実に努めることにより、内部統制の一層の充実に取り組んでいます。また取締役会の任意の諮問機関として報酬委員会を設置し、役員報酬に関して独立社外取締役の適切な関与・助言を得ることで、公正性・透明性・客観性を担保してまいります。 (4)偶発的リスク①自然災害・人的災害に係るリスクNIDECやサプライヤーが事業を展開する国内外において、自然災害、火災、公衆衛生、戦争、テロ行為やその他の人的災害が発生した場合、政治的、経済的不安定を招き、NIDECやサプライヤー、顧客に損害を与える可能性があります。仮にインフラに甚大な損害を及ぼしたり電力不足をもたらすような大規模な自然災害、あるいは感染病の流行が発生すれば、従業員が勤務できなくなったり、顧客からの受注が低下したり、サプライヤーの生産活動が阻害されることでNIDECの事業に悪影響が及ぶ可能性があります。また、例えばタイや中国といったNIDECの主要な顧客や生産、開発拠点が集中している地域や、NIDECの本社や重要な研究開発施設が集中している日本でこのような大規模な災害が発生すれば、際立って大きな悪影響が及ぶ恐れがあります。更に、NIDECの事業に必要不可欠なネットワーク及び情報システムは、停電、自然災害、テロ行為、ハードウエアやソフトウエアの不具合、コンピュータウィルスによる攻撃、不正侵入により被害を受ける可能性があります。これらの事態の全てを回避することは困難です。これらの事態が発生した場合には、NIDECの生産活動及び販売活動に大きな支障をきたし、製品の納入が遅れ、サプライヤーから材料や部品を入手することが困難となり、製造工場の修復に多大な費用が必要となります。更に、NIDECは資産の損害及びその他のリスクに対し、様々な種類の第三者保険を付しております。これらの保険の種類及び保険額はその有用性、コスト、自家保険による補償範囲を勘案し決定します。NIDECの保険契約は、控除条件、適用範囲及び除外項目の対象となる場合があり、その結果、自家保険と同等の補填金額に留まる可能性もあります。NIDECが加入する保険の適用範囲と補償金額はほぼ業界水準と考えておりますが、保険対象外の損失が増加すればNIDECの事業、経営成績、財政状態に悪影響が及ぶ可能性があります。2019年度後半に顕在化した新型コロナウイルスの世界的蔓延は、NIDECの事業、サプライチェーン機能に影響を与えています。事業継続の為の対策として、NIDECは2020年1月中旬に危機管理対策本部を立ち上げ、従業員の安全を確保しつつ、事業への影響を最小化する対策を講じてきました。感染蔓延地域に所在する海外の工場では、一時的に操業率の低下がみられましたが、本稿開示時点において回復しております。ただし、今後、変異株の感染拡大など、コロナウイルスが及ぼす新たなマイナス影響が発生した場合、NIDECの事業、経営成績、財政状態へ悪影響が及ぶ可能性があります。 ②気候変動に係るリスク2015年12月にCOP21がパリ協定を採択して以降、気候変動問題はあらゆる国・地域、企業が取り組むべき地球規模の優先事項と位置付けられるようになりました。製品の開発・生産活動を主軸に世界各地で事業を展開するNIDECにとって、気候変動はビジネス創出の機会であると同時に、広範にわたる中長期的事業リスクの源泉でもあります。気候変動に関わる政策および規制、技術開発、市場動向、市場評価等の変化に起因する間接的損失リスクを「移行リスク」と定義し、気候変動がもたらす災害等による直接的損失リスクを「物理的リスク」と定義した場合、以下に挙げるリスク事象の現実化はNIDECの財務状況に重大な悪影響を及ぼす可能性があります。 「移行リスク」a)炭素税その他脱炭素社会実現へ向けた各国のエネルギー転換施策への対応が遅れることによる税負担の上昇b)既存製品・サービスに適用される規制の厳格化や新基準への不適合に伴う市場機会の損失およびコンプライアンスコストの増加c)世界的「電化」傾向に起因する電子部品原材料(希少鉱物、鋼材、その他ハイエンドアルミや銅等の非鉄金属)の入手困難あるいは調達コストの上昇d)新たな低炭素製品が要求する代替原材料の研究・開発の遅れおよび付帯コストの増加e)非効果的な気候変動対策に起因する企業価値の低下とそれに伴う投資誘引力の減退および信用格付けの低下 これら「移行リスク」へ対処するため、NIDECは以下の施策を実施しています。◇NIDECの事業運営過程で排出されるCO2の総量を2030年度までに30%(基準年:2017年度実績)削減することを目標とするSMART2030(Sustainable Manufacturing and Resilient Tomorrow)プロジェクトを2019年4月に開始◇SDGsコンセプトに基づく研究・開発活動の推進◇複数購買ルートの確保 「物理的リスク」a)台風・多雨等がもたらす広域水害の頻発による事業活動の停止‐浸水その他電力・ガス供給網の機能停止‐家屋倒壊や道路寸断等による従業員生活へのダメージ‐運輸サービス機能の停止による製品輸送の停滞b)渇水による事業活動への制約‐行政当局による取水制限の強化に起因する工場用水の不足‐水価格の上昇による生産性の低下(洗浄・冷却・従業員寮の生活水、等)c)気温上昇による健康被害‐熱中症件数の増加‐感染症の伝達速度上昇d)上記事由によるサプライチェーンの混乱 これら「物理的リスク」へ対処するため、NIDECは以下の施策を実施しています。◇グローバル・ロケーション戦略を通じた生産リスクの分散◇気候変動リスクが高い国・地域で操業する事業所を対象とする認識度調査の実施◇生産ラインのイノベーション◇サプライチェーンの可視化ならびに柔軟性の強化◇国内外事業所におけるBCPトレーニングの継続
FY2020|12,849 文字
2【事業等のリスク】NIDECの経営成績、株価、財政状態等に影響を及ぼす可能性のあるリスクには、次のようなものがあります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在においてNIDECが判断したものであります。 (1)経営戦略リスク ①政治・経済状況の変動に係るリスク(特に重要なリスク)NIDECの製品及びNIDECの製品を搭載した製品は主に中国を主とするアジア、米国、欧州及び日本で生産、消費されており、これらの国または地域の予期せぬ景気変動、政治・政策動向は、NIDECの製品需要や生産状況に悪影響を及ぼす可能性があります。特にNIDECの製品はパーソナルコンピュータ(以下、「PC」)や家電、自動車等の最終製品に組み込まれているため消費動向に左右され、一般消費水準の減退はNIDECの売上に悪影響を与える可能性があります。同様に、製造部門における設備投資の水準は景気動向によって左右され、設備投資水準の減退がNIDECの産業用製品に係る売上に悪影響を及ぼす恐れがあります。今後経済環境の悪化が進んだ場合、NIDECの事業、経営成績、財政状態に悪影響が及ぶ可能性があります。2019年度は中国経済の減速と米中貿易摩擦に起因する自動車需要の減速や設備投資の減少が、一部NIDEC製品の需要減に繋がりました。NIDECは世界40ヵ国以上に事業を展開しており、車載を中心とした戦略的製品については生産拠点の国際分散体制を敷き、並行生産を強化すると同時にサプライチェーンの上流に位置する重要工程の把握に努めています。米中貿易摩擦に対する関税リスク軽減策としては、米国向けの車載用や家電用の一部モータの生産を中国からメキシコに移管しました。 ②ハード・ディスク・ドライブ市場が依然として重要であるリスク(特に重要なリスク)HDD用モータ事業は当社の収益基盤を支える重要な事業であり、当社の収益の重要な割合を占めています。クラウドコンピューティングの定着に従い、PC等の端末におけるストレージ需要においてはHDDからSSDへ置き換えが進んでおり、これがHDD用モータの需要低下要因となっております。一方で大量のデータを保存するデータセンターのサーバーなどではHDDが使われており、今後データ量の増加に伴いサーバー向けのHDD数量は増加傾向にあります。しかし、同HDD、延いてはNIDECのHDD用モータへの需要はデータセンターを設立する顧客の設備投資動向に左右されるため、想定より顧客の設備投資が減速した場合に、NIDECの受注台数に影響を及ぼす可能性があります。対策として、HDDメーカー全ての主要サプライヤーとしてHDDモータ市場における高シェア維持だけでなく、数量基準の価格体系構築を行います。 ③競合に係るリスク(特に重要なリスク)NIDECは事業を行う様々な市場で激しい競争にさらされております。特に車載、家電市場においては、新興国の地場メーカーの台頭で競争が激化する傾向があります。市場で競争力を高めるため、NIDECは研究開発分野への多額な投資の維持・増強、製造能力・販売力・マーケティング力の拡大、サービス力とサポート源の拡大、タイムリーな新製品の開発、既存製品の更なる改善を実施していく必要があると考えております。また、利益性を確保するためのコスト削減活動もNIDECにとって必要です。NIDECは次のような場合に、市場における競争力が低下したり収益力を損なう可能性があります。・市場がNIDECの予測を超える速度で発展した結果、需要拡大等の市場変化への対応において競合他社がNIDECの能力を上回った場合・NIDECのコスト削減活動が、市場販売価格の減少や原材料費の上昇による悪影響を吸収するには不十分となった場合・競合他社が技術革新、製造効率の改善または研究開発能力の強化を行った結果、NIDECの製品や技術が陳腐化した場合・NIDECの競合企業同士の合併によりNIDECの競争力が相対的に弱まった場合・必要な投資を継続・強化するための財産的、技術的、人的な資源を調達できない場合例えば現在、EV用トラクションモータシステムに関してNIDECの主な市場は中国です。中国は国策により自動車のEV化を推進しており、現在世界最大のEV市場を擁しています。NIDECは現在、EVのエンジンに相当するトラクションモータを重要な戦略製品と位置付けており、コスト競争力と開発スピードに優れる地場メーカーの台頭により同市場における競争力を失うと、NIDECの成長戦略全体に重大な影響が及ぶ可能性があります。対策として、同市場における影響力が大きい中国企業との提携を強化しています。EV用トラクションモータシステムに関しては、同国の有力自動車メーカーである広州汽車グループと提携を結びました。 ④先行投資に係るリスク(特に重要なリスク)NIDECは需要の拡大を予想した場合、受注に先駆けて生産設備を拡張することがあります。従って需要が生産能力を下回ると、稼動損による償却負担の増加または過剰在庫による棚卸資産の評価減が収益を圧迫する可能性があります。例えば、急速な市場規模拡大が予想されるEV用トラクションモータシステムの生産工場が既に中国浙江省で稼働しており、今後は中国遼寧省、メキシコ、ポーランドにも工場を建設する予定です。しかし、競合他社の開発・市場参入動向、最終製品の需要動向の変化により、当初予想した受注量を確保できない場合には、NIDECの経営成績及び財政状態に大きな影響を及ぼす可能性があります。更に工場に導入した設備が急速な技術革新によって陳腐化や用途変更が発生した場合には、現在の見積耐用年数を短縮させる必要性が生じ、連結会計期間あたりの償却負担が増加する可能性があります。他方、もしNIDECが需要を過小に見積もり必要な設備投資を行わなかった場合、顧客の需要を満たせずにシェアを失う可能性があります。また、部品や材料を調達する際のリードタイムを考慮してサプライヤーへ材料を先行注文することがあるため、実際の受注数量が予想に満たない場合は過剰在庫が生じ予期せぬ棚卸資産の評価減を招く可能性があります。 ⑤M&Aに係るリスク(特に重要なリスク)NIDECは事業の成長に必要な技術、製品、販売網、顧客基盤を所有する他社の買収や他社への資本提携を通じて大幅な成長を達成してまいりました。買収や投資活動を継続的に成功させることは、NIDECの事業戦略を達成する上で極めて重要な要素です。そして車載事業を中心とした技術・商流の獲得が益々重要度を増しています。車載事業の中でも特にEV用トラクションモータシステムは今後の成長の柱となることが大きく期待されますが、同製品の需要はEVの普及ペースに大きく左右されます。さらに新市場への参入であるがゆえに今後の市場規模拡大スピードの変化点を予測するのが困難で、適切な買収のタイミング、価格の妥当性を精査するにあたって経験則が通用しません。また、NIDECの買収や出資活動が成就しなかった場合、NIDECの製品ラインナップ、販売網、顧客基盤の拡大計画が停滞したり、成長率が低下したりする可能性があります。買収や資本提携を成功させるためには、買収した事業の効率的な統合が重要です。しかし、買収した事業がNIDECの予想どおりに収益を生むという確証はありません。NIDECは今後の買収や資本提携を成功させるために必要な条件を次のように考えております。・買収対象企業の正確な事前調査(各種デューデリジェンス)・事前調査の過程でNIDECに悪影響を与える買収対象企業の負債を特定する能力・買収した事業に係る製品を製造・販売する能力及び買収した事業に係る技術を既存技術と統合して新製品を開発する能力・買収した事業の経営、製品、社員に関するNIDECの統合能力・買収した事業におけるキーパーソンの保持・買収した事業における財務面や経営面でのNIDECの管理能力・買収した事業からの報告体制及び買収した事業の法令遵守体制の整備こうした買収、出資活動はNIDECの事業に重要な影響を与え得る不確定要素です。例えば、出資先企業の業績が悪化した場合、投資価値が毀損する可能性があります。出資先企業が拠点を置く国の政府による経済政策、法律、規制、または会計基準の変更が出資先企業に適用されることでNIDECの業績へ多大な影響が及ぶ可能性があります。買収や出資の効果が得られないか、または適切な買収や出資の対象会社を見つけることができない場合、そのことがNIDECの事業、経営成績、財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。また、NIDECは、買収に伴い取得した多額ののれん及び無形資産を計上しており、当連結会計年度末現在、のれん及び無形資産はそれぞれ、3,563億円及び1,393億円計上しております。NIDECは、これらの資産については、買収した事業の効率的な統合により得られる将来の収益力を適切に反映したものと考えておりますが、事業環境の悪化等により予想どおりの収益が得られないと判断された場合、NIDECはこれらの資産について減損を認識しなければならず、NIDECの経営成績、財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 ⑥法令・規制に係るリスクNIDECの事業は、事業運営を行っている国内外における法令、規制、政策、行動規範、会計基準等の変更や解釈の差異、適用誤りに起因するコンプライアンスリスクを負っており、製品ラインナップの拡充またはビジネスの地理的拡大により、NIDECは各種産業、市場及び行政地区特有のリスクにさらされることになります。よって、NIDECのリスク管理体制によっても、これらのコンプライアンスに完全に対処することができない可能性があります。NIDECは日本、アジア、北米、欧州、その他地域の環境法令を遵守しております。これら環境法令は大気汚染、水質汚濁、危険物質の対応、水質管理、リサイクル、温暖化防止、土壌及び地下水の汚染等に関連する規則を含みます。NIDECの事業の多くは環境法令に基づく営業許可を必要とし、それにより製造活動は制約され、法令遵守のための費用が発生します。こうした環境法令は当局により修正、改定、廃止される可能性があります。これらの法令が厳格化することにより環境法令の継続的遵守に必要な投資やその他の支出が増加したり、事業の見直しを行う必要が生じ、そのことがNIDECの事業、経営成績、財政状態に深刻な影響を及ぼす可能性があります。また、NIDECの事業は国内外において独占禁止法、贈賄防止条約、反テロ法、知的財産権、消費者保護法、税法、輸出規制、関税法、海外貿易規制及び為替規制等の取引規制や市場規制を遵守する必要があります。NIDECは精密小型モータ市場における世界シェアが高いため、特に同市場の売上や製造に影響する規制、行政措置がNIDECの事業、経営成績、財政状態に深刻な影響を及ぼす可能性があります。更に、我々は新規市場開拓を行い続けており、法令遵守体制をより強化する必要があります。NIDECは東京証券取引所に上場しているため、金融商品取引法その他法令の適用を受け、財務報告の適正性の遵守が求められます。NIDECは、事業成長に伴い、業務拡大を継続しており、財務報告の適正性に関する法令遵守体制をより強化する必要があります。これら規制を遵守できない場合、その結果生じる罰金、社会的制裁、信用毀損、営業停止、更には営業許可の剥奪がNIDECの事業に深刻な影響を及ぼす可能性があります。こうした法律、規制、政策、自主行動規範、会計基準等の変更及びその影響を予測することは困難であり、新たな遵守体制整備のために追加的な財務、管理、人的資源が必要になる可能性があります。 (2)事業運営リスク ①高度な専門性を有した人材の採用・保持に係るリスク(特に重要なリスク)NIDECの事業は、代替することが非常に困難な多数の上層部経営者、エンジニア等の継続的な雇用に依存しております。技術革新の大波が押し寄せ、その波に乗れるかどうかの瀬戸際である昨今、NIDECはAI、IoT等の新市場に対する高い知見を持つ人材、大多数の高度なスキルを持つ人材を追加雇用し、育成し、意識統一し、そして活用する体制づくりを進めていく必要があります。世界的にこのような人材の獲得競争は極めて激しいため、NIDECがこのような追加の人材を引き付けることが出来ない場合は、技術革新の大波に乗れる機会を失う可能性があります。 ②研究開発に係るリスクNIDECは基礎研究、新製品開発、製品改良、生産工程の改善等を研究開発活動として継続的に行っております。NIDECが製品を提供する市場では継続的に急速な技術革新が起きており、製品の性能や納期に関する顧客からの要求は今後も高まり続けると予想されます。そのような市場環境下で、NIDECの成功の成否は、顧客の要求をタイムリーかつ効果的に満たせるような、より優れた技術、製品、生産工程を開発し続けることができるかどうかにかかっています。もしNIDECが、市場動向を正確に予測できなかったり、適時に効果的な研究開発活動を実施できず、他社が、NIDECより優れた技術、製品、生産工程を開発すれば、NIDECの製品は陳腐化し、販売シェアが縮小すると同時に、新製品の事業及び市場の拡大が妨げられることになります。そのような変化を的確に予測し、求められる技術、製品、生産工程の開発をタイムリーに行うことは非常に困難です。特に基礎研究については、研究活動の方向性を定めることには一層の困難を伴うため、研究開発に要した費用を回収することへの不確実性が高いと考えられます。研究開発活動がうまく成果を出すことができなければ、NIDECの事業、経営成績、財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 ③製品の品質に係るリスクNIDECは最先端のモータやその他の電気製品を製造しており、事業活動を行う上でNIDECの製品に欠陥がある、もしくは欠陥の疑いがあることを理由として、保証や製造責任を訴訟で問われる可能性があります。特に、NIDECの製品が組み込まれている最終製品が万一大量に故障した場合、消費者からの苦情、不良品の回収、更に損害賠償請求訴訟等が起こり得ます。事業拡大を試みている車載及び家電・商業・産業用モータ及びその他の部品の市場では、安全で高品質な製品を提供できない場合、深刻な物損や人命に係る事故へ繋がる可能性があり、法令上のリコールが適用される他、社会的要請としても特に高い安全性が要求されます。このような問題がNIDECの作る製品を原因として発生すれば、ブランドイメージの悪化、行政処分、顧客からの重大な法的要求や顧客との紛争につながる恐れがあり、その結果販売の落込み及び不良品回収等の損失費用によりNIDECの経営成績が悪影響を受ける可能性があります。更に、訴訟に伴う人的・財務的負担が正確な経営判断の阻害要因となる可能性があります。NIDECは損害賠償請求訴訟等に備え、保険を付しておりますが、これらの保険では対応しきれない賠償請求が将来的に発生する、またはNIDECの希望どおりに保険が適用されない可能性があります。保険の適用範囲を超える賠償請求や、大規模な製品回収が発生した場合、NIDECの事業、経営成績、財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 ④原材料・部品調達に係るリスクNIDECは製品の製造に必要な原材料及び部品の多くを外部から調達しております。これら原材料、組立部品の価格が高騰して所要量を充足できない場合、NIDECの生産能力が制限されます。また、原材料の種類や部品の使用条件等に関わる各国政府の政策変化がNIDECの原材料・部品調達能力を制約することがあります。諸要因により原材料や部品の調達余地が制限された場合、NIDECは代替材料を提供するサプライヤーの確保及び当該原材料・部品の使用量低減を可能にする設計及び開発への投資を行いますが、調達資材の質的・量的不足が長期間に及ぶとNIDECの生産活動が遅滞し、NIDECの事業、経営成績、財政状態に悪影響が及ぶ可能性があります。 ⑤海外拠点での事業活動に係るリスクNIDECは事業活動の相当部分を米国、欧州及び中国を含むその他地域で行っております。NIDECは海外生産比率が圧倒的に高い為、こうした海外市場で事業を行う際には、例えば以下のような特有のリスクがあります。・海外市場における関係産業の景気悪化または沈滞・国際通貨の変動・中国、東南アジア等における労働力不足や労働紛争、賃金水準の上昇・政治不安・貿易規制や関税の変更・グローバルな経営活動を行える人材の確保の困難・一般的に長期の債権回収期間・不利に取り扱われる恐れのある税制・文化、商習慣の相違・投資効果の実現までに要する長い期間と多額の資金 ⑥知的財産権に係る訴訟リスクNIDECは自社技術及びその他の知的財産を、特許権、商標権、著作権及びその他の知的財産権、更には機密管理や個別契約により保護しております。NIDECはこれらの知的財産権に関して次のようなリスクを負っております。・NIDECは第三者からの知的財産権侵害の主張に対して反論をしていくためコストが必要になる場合があります。また、当該主張の結果、予め認識していない第三者の知的財産権を利用してしまったことによりNIDECに賠償責任が発生する場合や、差止命令によりNIDECの事業の継続が妨げられる場合があります。その結果、そのことがNIDECの事業、経営成績、財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。・NIDECの知的財産権の保護対策は十分でない可能性があります。・NIDECより大規模な資源を有する競合他社を含むその他の企業が、独自に技術を開発するか、または優越する技術を獲得した場合、NIDECはこれら企業の知的財産を使用するためのロイヤリティを支払わなければならなくなる可能性があります。・現行または将来の特許出願に関して、特許権を取得できなかったり、NIDEC自身が保有するまたは使用を許諾されている特許が無効になったり回避されたりすることで技術戦略上困難な状況に陥る可能性があります。・特定の特許権の下で認められている権利では、NIDECに競争上の優位をもたらさない可能性や、適切に保護されない可能性、技術力の維持に繋がらない可能性があります。・第三者による特許、重要な営業秘密、その他の知的財産権に関する侵害や無断使用に対して提起する訴訟に伴い多大なコストが必要になる可能性があります。・NIDECの製品を製造及び販売している諸外国の法律が、NIDECの製品や知的財産権を、日本の法律と同じ範囲で保護していない場合や、法律が存在したとしても効果的に施行されていない可能性があります。 ⑦情報の流出に係るリスクNIDECは事業活動において顧客、他企業の機密情報及び取引先関係者、従業員の個人情報を保有しております。NIDECはこれらの機密情報に関してセキュリティ対策を行っておりますが、同情報が人的及び技術的な過失や違法または不正なアクセス等により漏洩した場合、機密情報を保護できなかったために発生する責任や規制措置の対象となる可能性があり、NIDECは競争上の優位性を喪失し、顧客や市場の信頼が失われ、そのことがNIDECの事業、経営成績、財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。加えてNIDECの営業活動やシステム、ブランドイメージに対する社会的信頼を落とすことになります。これらの対策として、NIDECは情報セキュリティ管理室を発足しました。それに伴い、情報セキュリティ委員会や、各組織に情報セキュリティ管理責任者や情報セキュリティ推進責任者を設置し、グループ横断のセキュリティ管理体制を構築しています。 ⑧年金制度に係るリスクNIDECの一部では、一定の要件を満たす従業員のための確定給付年金制度と確定拠出年金制度を併用している会社があります。特に、確定給付年金制度に関しては、年金資産の公正価値や年金資産の収益率が下落した場合、または、退職給付債務の計算の基礎となる想定値が変動した場合、損失が発生する可能性があります。また将来、既存の年金制度を変更し、従来は認識していない勤務費用が発生する可能性があります。そして、利率の変動、NIDECをとりまく環境の変化やその他の要因により、年金資産の積立状況等に悪影響を与える可能性があります。更に、将来の年金費用の計算に使用される想定値も変動する可能性があります。 ⑨為替に係るリスクNIDECの海外への売上の大部分は日本円以外の米国ドル、ユーロ、中国元、タイバーツ等の通貨で構成されており、各通貨に対する円の上昇は一般的に、NIDECの売上、営業利益、当期利益に悪影響を及ぼします。このリスクを軽減するため、売上と仕入の通貨を合わせることにより為替リスクの軽減に取り組んでおります。例えば、もしある製品の売上が米国ドル建てであれば、この製品の生産に使用する材料や資源の購入を米国ドル建てで購入するようにしております。それでもなお、NIDECは為替リスクにさらされています。加えて、日本円以外の通貨で運営している子会社の業績を連結財務諸表として統合した際、為替変動が大きく影響する可能性があります。 ⑩金利の変動に係るリスクNIDECは固定利率と変動利率の長期債権や有利子負債を保有しており、それらの金利変動やキャッシュ・フロー増減リスクを防ぐため、金利スワップや他の契約を締結することがあります。その場合、ヘッジされていない部分に関して、支払利息や受取利息、金融資産・負債の価値に影響する金利の変動リスクにさらされる可能性があります。 ⑪資金の流動性に係るリスクNIDECは自社の資本支出やM&Aに関する資金を金融機関からの借入や金融市場からの直接調達に依存しております。金融市況の変化やその他の要因により金融機関が貸付枠、信用供与枠額や条件を圧縮した場合、またはNIDECがそれまでと同等またはより良い条件で取引可能な代替的資金調達源を見つけることができない場合、そのことがNIDECの事業に悪影響を及ぼす可能性があります。更に、NIDECの財政状態が悪化した結果、信用格付機関がNIDECの信用格付けを大幅に引下げた場合や経済状況の後退により投資家の意欲が減少した場合、NIDECが必要な資金を必要な時期に、希望する条件で調達できない可能性があり、資金調達がより制限されるとともに、資金繰り費用が大幅に増加する可能性があります。この場合、そのことがNIDECの事業、経営成績、財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 ⑫繰延税金資産の不確実性に係るリスクNIDECは繰延税金資産が将来の課税所得から回収される可能性を評価しなければならず、回収可能性が見込めない場合は繰延税金資産を減少させることとなります。経済状況や経営成績が悪化した場合、繰延税金資産の全てまたはその一部に関して回収可能性が見込めないと判断し、繰延税金資産を減少させることによりNIDECの利益が減少する可能性があります。 (3)ガバナンスリスク ①NIDEC代表取締役会長である永守重信(氏)への依存に係るリスクNIDECの継続的な成功は主にNIDECの創業者であり代表取締役会長(最高経営責任者)の永守重信氏の能力と手腕に依存してきました。一方で、創業者依存体制の変革を目指し、現下の厳しい経営環境において経営体制のより一層の強化・充実を図るため、2020年4月に成長分野の車載事業に精通している関潤氏が永守氏の有力な後継者候補として社長執行役員(2020年6月17日付で代表取締役社長執行役員に就任)に就任すると同時に、永守氏と関氏が経営を主導する体制に移行し、後継者の育成に注力しております。しかしながら、永守氏の突然の離脱があった場合、そのことがNIDECの事業、経営成績、財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 ②内部統制に係るリスクNIDECは上場企業として、金融商品取引法に基づく財務報告に係る内部統制に関する要件を満たさなければなりません。そして、事業運営及び資産管理に必要で効果的な内部統制システム、コンプライアンス機能、会計システムの整備は極めて重要であると認識しております。また、内部統制システムの設計、実施には多くの管理、人材、その他資源が必要になります。内部統制上の重大な欠陥、弱点が認められた場合、改善に要する新たな資源投入により追加的コストが発生する可能性があります。NIDECはグローバルな内部統制システムの強化を図るべく不断の検討・見直しを続けておりますが、財務報告に関わる内部統制に欠陥がある場合、または内部統制の逸脱により、NIDECは適時開示義務を充足できなかったり、投資家及び経営者等の利害関係者の正確な意思決定を妨げる可能性があり、その結果、市場におけるNIDECの評価が毀損する恐れがあります。また、欠陥の重大性や原因等の程度に応じて様々な法的責任が課せられ、金融市場における資金調達力が制限される可能性があります。 (4)偶発的リスク ①自然災害・人的災害に係るリスクNIDECやサプライヤーが事業を展開する国内外において、自然災害、火災、公衆衛生、戦争、テロ行為やその他の人的災害が発生した場合、政治的、経済的不安定を招き、NIDECやサプライヤー、顧客に損害を与える可能性があります。仮にインフラに甚大な損害を及ぼしたり電力不足をもたらすような大規模な自然災害、あるいは感染病の流行が発生すれば、従業員が勤務できなくなったり、顧客からの受注が低下したり、サプライヤーの生産活動が阻害されることでNIDECの事業に悪影響が及ぶ可能性があります。また、例えばタイや中国といったNIDECの主要な顧客や生産、開発拠点が集中している地域や、NIDECの本社や重要な研究開発施設が集中している日本でこのような大規模な災害が発生すれば、際立って大きな悪影響が及ぶ恐れがあります。更に、NIDECの事業に必要不可欠なネットワーク及び情報システムは、停電、自然災害、テロ行為、ハードウエアやソフトウエアの不具合、コンピュータウィルスによる攻撃、不正侵入により被害を受ける可能性があります。これらの事態の全てを回避することは困難です。これらの事態が発生した場合には、NIDECの生産活動及び販売活動に大きな支障をきたし、製品の納入が遅れ、サプライヤーから材料や部品を入手することが困難となり、製造工場の修復に多大な費用が必要となります。更に、NIDECは様々な種類の資産、死傷及び他のリスクについての第三者保険を付しております。これらの保険の種類及び保険額はその有用性、コスト、自家保険による補償範囲を勘案し決定します。NIDECの保険契約は、控除条件、適用範囲及び除外項目の対象となる場合があり、その結果、自家保険と同等の補填金額に留まる可能性もあります。NIDECが加入する保険の適用範囲と補償金額はほぼ業界水準と考えておりますが、保険対象外の損失が増加すればNIDECの事業、経営成績、財政状態に悪影響が及ぶ可能性があります。2019年度後半に顕在化した新型コロナウイルスの世界的蔓延は、NIDECの事業、サプライチェーン機能に影響を与えています。事業継続の為の対策として、NIDECは危機管理対策本部の設立、新型コロナウイルス情報共有サイトの立上げを通じて全事業所を結ぶ情報共有体制を構築するとともに、感染リスクが高い国や地域への渡航及びそれらの国や地域からの入国を原則禁止する措置をとっております。これと並行して、国内外の事業所は手洗い励行・マスク着用など感染防止対策の徹底や在宅勤務制度の拡大適用を通じて、従業員の安全を確保し、事業継続に対する影響の最小化を図っております。ただし、コロナウイルスが及ぼすマイナス影響の解消にはしばらく時間がかかるとみられます。仮に感染症による市場・経済への影響が想定以上に長期化した場合、NIDECの事業、経営成績、財政状態へ引き続き悪影響が及ぶ可能性があります。 ②気候変動に係るリスク2015年12月にCOP21がパリ協定を採択して以降、気候変動問題はあらゆる国・地域、企業が取り組むべき地球規模の優先事項と位置付けられるようになりました。製品の開発・生産活動を主軸に世界各地で事業を展開するNIDECにとって、気候変動はビジネス創出の機会であると同時に、広範にわたる中長期的事業リスクの源泉でもあります。気候変動に関わる政策および規制、技術開発、市場動向、市場評価等の変化に起因する間接的損失リスクを「移行リスク」と定義し、気候変動がもたらす災害等による直接的損失リスクを「物理的リスク」と定義した場合、以下に挙げるリスク事象の現実化はNIDECの財務状況に重大な悪影響を及ぼす可能性があります。 「移行リスク」a)炭素税その他脱炭素社会実現へ向けた各国のエネルギー転換施策への対応が遅れることによる税負担の上昇b)既存製品・サービスに適用される規制の厳格化や新基準への不適合に伴う市場機会の損失およびコンプライアンスコストの増加c)世界的「電化」傾向に起因する電子部品原材料(希少鉱物、鋼材、その他ハイエンドアルミや銅等の非鉄金属)の入手困難あるいは調達コストの上昇d)新たな低炭素製品が要求する代替原材料の研究・開発の遅れおよび付帯コストの増加e)非効果的な気候変動対策に起因する企業価値の低下とそれに伴う投資誘引力の減退および信用格付けの低下 これら「移行リスク」へ対処するため、NIDECは以下の施策を実施しています。◇NIDECの事業運営過程で排出されるCO2の総量を2030年度までに30%(基準年:2017年度実績)削減することを目標とするSMART2030(Sustainable Manufacturing and Resilient Tomorrow)プロジェクトを2019年4月に開始◇SDGsコンセプトに基づく研究・開発活動の推進◇複数購買ルートの確保 「物理的リスク」a)台風・多雨等がもたらす広域水害の頻発による事業活動の停止‐浸水その他電力・ガス供給網の機能停止‐家屋倒壊や道路寸断等による従業員生活へのダメージ‐運輸サービス機能の停止による製品輸送の停滞b)渇水による事業活動への制約‐行政当局による取水制限の強化に起因する工場用水の不足‐水価格の上昇による生産性の低下(洗浄・冷却・従業員寮の生活水、等)c)気温上昇による健康被害‐熱中症件数の増加‐感染症の伝達速度上昇d)上記事由によるサプライチェーンの混乱 これら「物理的リスク」へ対処するため、NIDECは以下の施策を実施しています。◇グローバル・ロケーション戦略を通じた生産リスクの分散◇気候変動リスクが高い国・地域で操業する事業所を対象とする認識度調査の実施◇生産ラインのイノベーション◇サプライチェーンの可視化ならびに柔軟性の強化◇国内外事業所におけるBCPトレーニングの継続
FY2019|12,035 文字
2【事業等のリスク】NIDECの経営成績、株価、財政状態等に影響を及ぼす可能性のあるリスクには、次のようなものがあります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在においてNIDECが判断したものであります。 (1)経済状況の変動に係るリスク NIDECの製品及びNIDECの製品を搭載した製品は主に中国を主とするアジア、米国、欧州及び日本で生産、消費されており、これらの国または地域の予期せぬ景気変動、政治・政策動向は、NIDECの製品需要に悪影響を及ぼす可能性があります。特にNIDECの製品はパーソナルコンピュータ(以下、「PC」)や家電、自動車等の最終製品に組み込まれているため消費動向に左右され、一般消費水準の減退はNIDECの売上に悪影響を与える可能性があります。同様に、製造部門における設備投資の水準は景気動向によって左右され、設備投資水準の減退がNIDECの産業用製品に係る売上に悪影響を及ぼす恐れがあります。今後経済環境の悪化が進んだ場合、NIDECの事業、経営成績、財政状態に悪影響が及ぶ可能性があります。 (2)事業ポートフォリオの転換に係るリスク NIDECの事業は、主に情報機器産業に対しモータとその応用製品、設備、部品といった製品を提供してきましたが、広範囲な技術的シナジーと将来の成長を目的として、NIDECは他の事業領域への事業ポートフォリオ拡大を進めております。しかしながら、必要な情報、経営資源、顧客関係、事業の専門知識、ブランド認知度が常に適時に確保できるとは限りません。例えば、NIDECの事業ポートフォリオ拡大の成否に重要な影響を及ぼすM&A活動は、常にその成果の不確実性にさらされております。加えて、NIDECが進出を進めている車載・家電・商業・産業用製品の業界では、サプライチェーンが非常に広範囲にわたるため、その中で生じる操業停止や労働問題がNIDECの業績に悪影響を及ぼす恐れがある上に、より厳しい環境規制・安全規制が追加的費用をもたらす恐れがあります。更に、事業ポートフォリオ転換の過程において、相対的に収益性が低い製品や事業における売上の割合が増加する方向へ製品構成が変化すれば、営業利益率に悪影響を及ぼす恐れがあります。 (3)ハード・ディスク・ドライブ市場が依然として重要であるリスク NIDECは新しい事業領域への事業ポートフォリオ転換を進めており、その結果、ハード・ディスク・ドライブ(以下、「HDD」)に使われるモータ(以下、「HDD用モータ」)への依存は軽減されました。しかし、HDD用モータ事業は他の事業に比べ利益率が高く、当社の収益基盤を支える重要な事業であり、依然として当社の収益の重要な割合を占めています。 HDD用モータの需要はHDD市場の動向に直接的な影響を受けます。現在、HDDはソリッド・ステート・ドライブ(以下、「SSD」)と競合しており、これがHDD用モータの需要低下要因のひとつになっています。HDDはSSDに比べ安価のため、大量のデータを保存するデータセンターのサーバーなどではHDDが使われていますが、従来からHDDが使われていたデバイス、特にパソコンにおいては処理速度が速く、故障リスクの少ないSSDへの置き換えが進んでいます。また、SSDの価格は漸減傾向にあります。そのため、HDDの需要台数は今後、減少することが予測されています。 更に、HDDメーカーは3社しか存在せず、NIDECはそれら全てに主要サプライヤーとしてHDD用モータを供給しており、HDDモータ市場におけるシェアが8割を超えます。従ってどの顧客の動向に急激な変化が生じても、NIDECの事業、経営成績、財政状態に大きな影響を及ぼす可能性があります。 (4)競合に係るリスク NIDECは事業を行う様々な市場で激しい競争にさらされております。特に車載、家電市場においては、新興国の地場メーカーの台頭で競争が激化する傾向があります。市場で競争力を高めるため、NIDECは研究開発分野への多額な投資の維持・増強、製造能力・販売力・マーケティング力の拡大、サービス力とサポート源の拡大、タイムリーな新製品の開発、既存製品の更なる改善を実施していく必要があると考えております。また、利益性を確保するためのコスト削減活動もNIDECにとって必要です。 NIDECは次のような場合に、市場における競争力が低下したり収益力を損なう可能性があります。・市場がNIDECの予測を超える速度で発展した結果、需要拡大等の市場変化への対応において競合他社がNIDECの能力を上回った場合・NIDECのコスト削減活動が、市場販売価格の減少や原材料費の上昇による悪影響を吸収するには不十分となった場合・競合他社が技術革新、製造効率の改善または研究開発能力の強化を行った結果、NIDECの製品や技術が陳腐化した場合・NIDECの競合企業同士の合併によりNIDECの競争力が相対的に弱まった場合・必要な投資を継続・強化するための財産的、技術的、人的な資源を調達できない場合 (5)研究開発に係るリスク NIDECは基礎研究、新製品開発、製品改良、生産工程の改善等を研究開発活動として継続的に行っております。NIDECが製品を提供する市場では継続的に急速な技術革新が起きており、製品の性能や納期に関する顧客からの要求は今後も高まり続けると予想されます。そのような市場環境下で、NIDECの成功の成否は、顧客の要求をタイムリーかつ効果的に満たせるような、より優れた技術、製品、生産工程を開発し続けることができるかどうかにかかっています。もしNIDECが、市場動向を正確に予測できなかったり、適時に効果的な研究開発活動を実施できず、他社が、NIDECより優れた技術、製品、生産工程を開発すれば、NIDECの製品は陳腐化し、販売シェアが縮小すると同時に、新製品の事業及び市場の拡大が妨げられることになります。そのような変化を的確に予測し、求められる技術、製品、生産工程の開発をタイムリーに行うことは非常に困難です。特に基礎研究については、研究活動の方向性を定めることには一層の困難を伴うため、研究開発に要した費用を回収することへの不確実性が高いと考えられます。研究開発活動がうまく成果を出すことができなければ、NIDECの事業、経営成績、財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 (6)製品の品質に係るリスク NIDECは最先端のモータやその他の電気製品を製造しており、事業活動を行う上でNIDECの製品に欠陥がある、もしくは欠陥の疑いがあることを理由として、保証や製造責任を訴訟で問われる可能性があります。特に、NIDECの製品が組み込まれている最終製品が万一大量に故障した場合、消費者からの苦情、不良品の回収、更に損害賠償請求訴訟等が起こり得ます。事業拡大を試みている車載及び家電・商業・産業用モータ及びその他の部品の市場では、安全で高品質な製品を提供できない場合、深刻な物損や人命に係る事故へ繋がる可能性があり、法令上のリコールが適用される他、社会的要請としても特に高い安全性が要求されます。このような問題がNIDECの作る製品を原因として発生すれば、ブランドイメージの悪化、行政処分、顧客からの重大な法的要求や顧客との紛争につながる恐れがあり、その結果販売の落込み及び不良品回収等の損失費用によりNIDECの経営成績が悪影響を受ける可能性があります。更に、訴訟に伴う人的・財務的負担が正確な経営判断の阻害要因となる可能性があります。 NIDECは損害賠償請求訴訟等に備え、保険を付しておりますが、これらの保険では対応しきれない賠償請求が将来的に発生する、またはNIDECの希望どおりに保険が適用されない可能性があります。保険の適用範囲を超える賠償請求や、大規模な製品回収が発生した場合、NIDECの事業、経営成績、財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 (7)原材料・部品調達に係るリスク NIDECは製品の製造に必要な原材料及び部品の多くを外部から調達しております。これら原材料、組立部品の価格が高騰して所要量を充足できない場合、NIDECの生産能力が制限されます。 また、原材料の種類や部品の使用条件等に関わる各国政府の政策変化がNIDECの原材料・部品調達能力を制約することがあります。諸要因により原材料や部品の調達余地が制限された場合、NIDECは代替材料を提供するサプライヤーの確保及び当該原材料・部品の使用量低減を可能にする設計及び開発への投資を行いますが、調達資材の質的・量的不足が長期間に及ぶとNIDECの生産活動が遅滞し、NIDECの事業、経営成績、財政状態に悪影響が及ぶ可能性があります。 (8)海外拠点での事業活動に係るリスク NIDECは事業活動の相当部分を米国、欧州及び中国を含むその他地域で行っております。こうした海外市場で事業を行う際には、以下のような特有のリスクがあります。・海外市場における関係産業の景気悪化または沈滞・国際通貨の変動・ゼネスト等の労働紛争・中国、タイ等における労働力不足と賃金水準の上昇・政治不安・貿易規制や関税の変更・グローバルな経営活動を行える人材の確保の困難・一般的に長期の債権回収期間・法律や規制の予想し得ない制定または改正・特定の国における比較的弱い知的財産の保護・不利に取り扱われる恐れのある税制・文化、商習慣の相違・関税、輸送費用、その他の価格競争力を低下させる負担費用・投資効果の実現までに要する長い期間と多額の資金 (9)四半期の業績比較におけるリスク NIDECは四半期ごとの売上や経営成績の変動が大きい場合があり、今後もこの変動が続き得ると考えております。そのため、四半期ごとの経営成績を比較することはそれほど有用性が高くないかもしれません。また、このような比較により判断される将来の傾向は、信頼のよりどころとならないかもしれません。NIDECの経営成績は、次にあげる主要な要因によって、四半期ごとに変動する場合があります。・情報機器、家電・商業・産業用を含めた、NIDECの製品を購入または使用する業界での周期的及び季節的な製品需要の変動・NIDECの海外子会社の経営成績、外貨建て資産、負債に関する為替レートの変動による影響・NIDECの製造能力とその限界・短期的なNIDECの製品または顧客、競合の変化・短期的な主要な注文のキャンセルまたは納期の延期・新製品や戦略的製品に対する顧客の注文遅延・とりわけ限られた調達先からの部品、原材料の短期間での調達可能性及び価格の変動 (10)先行投資に係るリスク NIDECでは通常、顧客の先行注文、コミットメント、数量予想と自社の需要調査を総合的に評価した上で生産、在庫計画を策定します。しかし、とりわけ競争が激化した場合や、季節的需要変動その他要因により顧客製品への需要が減少した場合、予測を立てることは非常に困難であり、かつ予測が大幅に変動する可能性があります。このためNIDECは十分な生産量と生産性を確保する必要から受注に先駆けて生産設備を拡張することがあります。今後NIDECは新興国を中心に設備投資を拡大する方針であり、生産能力が需要を著しく上回った場合、稼動損による償却負担の増加または過剰在庫による棚卸資産の評価減がNIDECの事業、経営成績、財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。他方、もしNIDECが需要を過小に見積もり必要な設備投資を行わなかった場合、顧客の需要を満たせずにシェアを失う可能性があります。 また、部品や材料を調達する際の長いリードタイムを考慮してサプライヤーへ材料を先行注文することがあるため、実際の受注数量が予想に満たない場合は過剰在庫が生じ予期せぬ棚卸資産の評価減を招く可能性があります。 更に、営業費用を需要の急減に即応して削減する余地は限られているため、需要減により売上高が想定を下回ると経営成績全体に悪影響を及ぼす可能性があります。 (11)M&Aに係るリスク NIDECは事業の成長に必要な技術、製品、販売網、顧客基盤を所有する他社の買収や他社への資本提携を通じて大幅な成長を達成してまいりました。買収や投資活動を継続的に成功させることは、NIDECの事業戦略を達成する上で極めて重要な要素です。NIDECの買収や出資活動が成就しなかった場合、NIDECの製品ラインナップ、販売網、顧客基盤の拡大計画が停滞したり、成長率が低下したりする可能性があります。買収や資本提携を成功させるためには、買収した事業の効率的な統合が重要です。しかし、買収した事業がNIDECの予想どおりに収益を生むという確証はありません。NIDECは今後の買収や資本提携を成功させるために必要な条件を次のように考えております。・買収した事業に係る製品を製造・販売する能力及び買収した事業に係る技術を既存技術と統合して新製品を開発する能力・買収した事業の製品に対する顧客の継続的な需要・買収した事業の経営、製品、社員に関するNIDECの統合能力・買収した事業におけるキーパーソンの保持・買収した事業における財務面や経営面でのNIDECの管理能力・買収した事業からの報告体制及び買収した事業の法令遵守体制の整備・買収対象企業の正確な事前調査(各種デューデリジェンス)・事前調査の過程でNIDECに悪影響を与える買収対象企業の負債を特定する能力こうした買収、出資活動はNIDECの事業に重要な影響を与え得る不確定要素です。例えば、出資先企業の業績が悪化した場合、投資価値が毀損する可能性があります。出資先企業が拠点を置く国の政府による経済政策、法律、規制、または会計基準の変更が出資先企業に適用されることでNIDECの業績へ多大な影響が及ぶ可能性があります。NIDECが出資先企業の非支配持分株主である場合、通常その会社の資産や経営に対する決定権がありません。従って、重要な意思決定には他の株主や出資者の同意を得るか、または出資比率を上げることにより経営権を獲得することが必要になります。買収や出資の効果が得られないか、または適切な買収や出資の対象会社を見つけることができない場合、そのことがNIDECの事業、経営成績、財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 (12)業務拡大による管理運営に係るリスクNIDECはグループ会社の統合を含む事業成長に即応したマネジメント体制拡充の成否が将来の成功を左右する重要な要素のひとつであると考えます。即ち、NIDECは事業戦略として自律成長やM&Aによる事業規模の拡大を掲げておりますが、その実現に当たっては管理、運営、IT、財務資源、法令遵守等のマネジメント体制拡充に関する負担が増加すると予想されます。これらの負担が想定以上に発生した場合、マネジメント体制の拡充が十分に行えず、NIDECの事業、経営成績、財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 (13)NIDEC代表取締役会長である永守重信(氏)への依存に係るリスクNIDECの継続的な成功は主にNIDECの創業者であり代表取締役会長(最高経営責任者)の永守重信氏の能力と手腕に依存してきました。一方で、創業者依存体制の変革を目指し、代表取締役社長執行役員(最高執行責任者)の吉本浩之氏をはじめとする当社グループ経営陣が、より組織的な連携を強化して、グループ事業戦略を立案・実行しておりますが、永守氏の突然の離脱があった場合、そのことがNIDECの事業、経営成績、財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 (14)高度な専門性を有した人材の採用・保持に係るリスクNIDECの事業は、多数の入れ替えることが非常に困難な上層部経営者、エンジニア等の継続的な雇用に依存しております。現在の市場シェアを維持し、将来の成長をサポートするため、NIDECは大多数の高度なスキルを持つ人材を追加雇用し、育成し、意識統一し、そして維持し続ける必要があります。世界的にこのような人材の獲得競争は極めて激しいため、NIDECがこのような追加の人材を引き付けそして維持することができない可能性があります。 (15)法令・規制に係るリスクNIDECの事業は、事業運営を行っている国内外における法令、規制、政策、行動規範、会計基準等の変更や解釈の差異、適用誤りに起因するコンプライアンスリスクを負っており、製品ラインナップの拡充またはビジネスの地理的拡大により、NIDECは各種産業、市場及び行政地区特有のリスクにさらされることになります。よって、NIDECのリスク管理体制によっても、これらのコンプライアンスに完全に対処することができない可能性があります。NIDECは日本、アジア、北米、欧州、その他地域の環境法令を遵守しております。これら環境法令は大気汚染、水質汚濁、危険物質の対応、水質管理、リサイクル、温暖化防止、土壌及び地下水の汚染等に関連する規則を含みます。NIDECの事業の多くは環境法令に基づく営業許可を必要とし、それにより製造活動は制約され、法令遵守のための費用が発生します。こうした環境法令は当局により修正、改定、廃止される可能性があります。これらの法令が厳格化することにより環境法令の継続的遵守に必要な投資やその他の支出が増加したり、事業の見直しを行う必要が生じ、そのことがNIDECの事業、経営成績、財政状態に深刻な影響を及ぼす可能性があります。また、NIDECの事業は国内外において独占禁止法、贈賄防止条約、反テロ法、知的財産権、消費者保護法、税法、輸出規制、関税法、海外貿易規制及び為替規制等の取引規制や市場規制を遵守する必要があります。NIDECは精密小型モータ市場における世界シェアが高いため、特に同市場の売上や製造に影響する規制、行政措置がNIDECの事業、経営成績、財政状態に深刻な影響を及ぼす可能性があります。更に、我々は新規市場開拓を行い続けており、法令遵守体制をより強化する必要があります。NIDECは東京証券取引所に上場しているため、金融商品取引法その他法令の適用を受け、財務報告の適正性の遵守が求められます。NIDECは、事業成長に伴い、業務拡大を継続しており、財務報告の適正性に関する法令遵守体制をより強化する必要があります。これら規制を遵守できない場合、その結果生じる罰金、社会的制裁、信用毀損、営業停止、更には営業許可の剥奪がNIDECの事業に深刻な影響を及ぼす可能性があります。こうした法律、規制、政策、自主行動規範、会計基準等の変更及びその影響を予測することは困難であり、新たな遵守体制整備のために追加的な財務、管理、人的資源が必要になる可能性があります。 (16)内部統制に係るリスクNIDECは上場企業として、金融商品取引法に基づく財務報告に係る内部統制に関する要件を満たさなければなりません。そして、事業運営及び資産管理に必要で効果的な内部統制システム、コンプライアンス機能、会計システムの整備は極めて重要であると認識しております。また、内部統制システムの設計、実施には多くの管理、人材、その他資源が必要になります。内部統制上の重大な欠陥、弱点が認められた場合、改善に要する新たな資源投入により追加的コストが発生する可能性があります。NIDECはグローバルな内部統制システムの強化を図るべく不断の検討・見直しを続けておりますが、財務報告に関わる内部統制に欠陥がある場合、または内部統制の逸脱により、NIDECは適時開示義務を充足できなかったり、投資家及び経営者等の利害関係者の正確な意思決定を妨げる可能性があり、その結果、市場におけるNIDECの評価が毀損する恐れがあります。また、欠陥の重大性や原因等の程度に応じて様々な法的責任が課せられ、金融市場における資金調達力が制限される可能性があります。 (17)知的財産権に係る訴訟リスクNIDECは自社技術及びその他の知的財産を、特許権、商標権、著作権及びその他の知的財産権、更には機密管理や個別契約により保護しております。NIDECはこれらの知的財産権に関して次のようなリスクを負っております。・NIDECは第三者からの知的財産権侵害の主張に対して反論をしていくためコストが必要になる場合があります。また、当該主張の結果、予め認識していない第三者の知的財産権を利用してしまったことによりNIDECに賠償責任が発生する場合や、差止命令によりNIDECの事業の継続が妨げられる場合があります。その結果、そのことがNIDECの事業、経営成績、財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。・NIDECの知的財産権の保護対策は十分でない可能性があります。・NIDECより大規模な資源を有する競合他社を含むその他の企業が、独自に技術を開発するか、または優越する技術を獲得した場合、NIDECはこれら企業の知的財産を使用するためのロイヤリティを支払わなければならなくなる可能性があります。・現行または将来の特許出願に関して、特許権を取得できなかったり、NIDEC自身が保有するまたは使用を許諾されている特許が無効になったり回避されたりすることで技術戦略上困難な状況に陥る可能性があります。・特定の特許権の下で認められている権利では、NIDECに競争上の優位をもたらさない可能性や、適切に保護されない可能性、技術力の維持に繋がらない可能性があります。・第三者による特許、重要な営業秘密、その他の知的財産権に関する侵害や無断使用に対して提起する訴訟に伴い多大なコストが必要になる可能性があります。・NIDECの製品を製造及び販売している諸外国の法律が、NIDECの製品や知的財産権を、日本の法律と同じ範囲で保護していない場合や、法律が存在したとしても効果的に施行されていない可能性があります。 (18)情報の流出に係るリスクNIDECは事業活動において顧客、他企業の機密情報及び取引先関係者、従業員の個人情報を保有しております。NIDECはこれらの機密情報に関してセキュリティ対策を行っておりますが、同情報が人的及び技術的な過失や違法または不正なアクセス等により漏洩した場合、機密情報を保護できなかったために発生する責任や規制措置の対象となる可能性があり、NIDECは競争上の優位性を喪失し、顧客や市場の信頼が失われ、そのことがNIDECの事業、経営成績、財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。加えてNIDECの営業活動やシステム、ブランドイメージに対する社会的信頼を落とすことになります。 (19)年金制度に係るリスクNIDECの一部では、一定の要件を満たす従業員のための確定給付年金制度と確定拠出年金制度を併用している会社があります。特に、確定給付年金制度に関しては、年金資産の公正価値や年金資産の収益率が下落した場合、または、退職給付債務の計算の基礎となる想定値が変動した場合、損失が発生する可能性があります。また将来、既存の年金制度を変更し、従来は認識していない勤務費用が発生する可能性があります。そして、利率の変動、NIDECをとりまく環境の変化やその他の要因により、年金資産の積立状況等に悪影響を与える可能性があります。更に、将来の年金費用の計算に使用される想定値も変動する可能性があります。 (20)減損に係るリスクNIDECは多額の営業権や有形固定資産等を保有しており、今後買収を通じて更に営業権を保有する可能性があります。これらの資産につき収益性の低下が発生した場合、NIDECは減損を認識しなければならず、NIDECの経営成績、財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 (21)繰延税金資産の不確実性に係るリスクNIDECは繰延税金資産が将来の課税所得から回収される可能性を評価しなければならず、回収可能性が見込めない場合は繰延税金資産を減少させることとなります。経済状況や経営成績が悪化した場合、繰延税金資産の全てまたはその一部に関して回収可能性が見込めないと判断し、繰延税金資産を減少させることによりNIDECの利益が減少する可能性があります。 (22)為替に係るリスクNIDECの海外への売上の大部分は日本円以外の米国ドル、ユーロ、中国元、タイバーツ等の通貨で構成されており、各通貨に対する円の上昇は一般的に、NIDECの売上、営業利益、当期利益に悪影響を及ぼします。このリスクを軽減するため、売上と仕入の通貨を合わせることにより為替リスクの軽減に取り組んでおります。例えば、もしある製品の売上が米国ドル建てであれば、この製品の生産に使用する材料や資源の購入を米国ドル建てで購入するようにしております。それでもなお、NIDECは為替リスクにさらされています。加えて、日本円以外の通貨で運営している子会社の業績を連結財務諸表として統合した際、為替変動が大きく影響する可能性があります。 (23)金利の変動に係るリスクNIDECは固定利率と変動利率の長期債権や有利子負債を保有しており、それらの金利変動やキャッシュ・フロー増減リスクを防ぐため、金利スワップや他の契約を締結することがあります。その場合、ヘッジされていない部分に関して、支払利息や受取利息、金融資産・負債の価値に影響する金利の変動リスクにさらされる可能性があります。 (24)資金の流動性に係るリスクNIDECは自社の資本支出やM&Aに関する資金を金融機関からの借入や金融市場からの直接調達に依存しております。金融市況の変化やその他の要因により金融機関が貸付枠、信用供与枠額や条件を圧縮した場合、またはNIDECがそれまでと同等またはより良い条件で取引可能な代替的資金調達源を見つけることができない場合、そのことがNIDECの事業に悪影響を及ぼす可能性があります。更に、NIDECの財政状態が悪化した結果、信用格付機関がNIDECの信用格付けを大幅に引下げた場合や経済状況の後退により投資家の意欲が減少した場合、NIDECが必要な資金を必要な時期に、希望する条件で調達できない可能性があり、資金調達がより制限されるとともに、資金繰り費用が大幅に増加する可能性があります。この場合、そのことがNIDECの事業、経営成績、財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 (25)偶発的リスクNIDECやサプライヤーが事業を展開する国内外において、自然災害、火災、公衆衛生、戦争、テロ行為やその他の人的災害が発生した場合、政治的、経済的不安定を招き、NIDECやサプライヤー、顧客に損害を与える可能性があります。仮にインフラに甚大な損害を及ぼしたり電力不足をもたらすような大規模な自然災害、あるいは感染病の流行が発生すれば、従業員が勤務できなくなったり、顧客からの受注が低下したり、サプライヤーの生産活動が阻害されることでNIDECの事業に悪影響が及ぶ可能性があります。また、例えばタイや中国といったNIDECの主要な顧客や生産、開発拠点が集中している地域や、NIDECの本社や重要な研究開発施設が集中している日本でこのような大規模な災害が発生すれば、際立って大きな悪影響が及ぶ恐れがあります。更に、NIDECの事業に必要不可欠なネットワーク及び情報システムは、停電、自然災害、テロ行為、ハードウエアやソフトウエアの不具合、コンピュータウィルスによる攻撃、不正侵入により被害を受ける可能性があります。これらの事態の全てを回避することは困難です。これらの事態が発生した場合には、NIDECの生産活動及び販売活動に大きな支障をきたし、製品の納入が遅れ、サプライヤーから材料や部品を入手することが困難となり、製造工場の修復に多大な費用が必要となります。更に、NIDECは様々な種類の資産、死傷及び他のリスクについての第三者保険を付しております。これらの保険の種類及び保険額はその有用性、コスト、自家保険による補償範囲を勘案し決定します。NIDECの保険契約は、控除条件、適用範囲及び除外項目の対象となる場合があり、その結果、自家保険と同等の補填金額に留まる可能性もあります。NIDECが加入する保険の適用範囲と補償金額はほぼ業界水準と考えておりますが、保険対象外の損失が増加すればNIDECの事業、経営成績、財政状態に悪影響が及ぶ可能性があります。 (26)株価下落のリスクNIDECの発行済普通株式は、東京証券取引所にて売買可能です。大株主によるNIDEC株式の大量の市場売却や、そのような売却の可能性は、NIDECの普通株式の市価を低下させ、NIDECが有価証券を発行または売却して追加資本を捻出する際の妨げとなる可能性があります。更に、NIDECは将来、追加の資本支出、運転資金、研究開発、または買収用の資金を捻出するため、有価証券を発行または売却する可能性があります。NIDECが現金または普通株式で追加の関係会社株式の購入を行うことも考えられます。NIDECはNIDEC株式に転換可能な有価証券を発行する可能性もあり、これらの事態が発生した場合、NIDECの株式価値が希薄化し、NIDECの株価に悪影響を与える可能性があります。
FY2018|11,898 文字
2【事業等のリスク】NIDECの経営成績、株価、財政状態等に影響を及ぼす可能性のあるリスクには、次のようなものがあります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在においてNIDECが判断したものであります。 (1)経済状況の変動に係るリスク NIDECの製品及びNIDECの製品を搭載した製品を販売している国または地域の予期せぬ景気変動は、NIDECの製品需要に悪影響を及ぼす可能性があります。特にNIDECの製品はパーソナルコンピュータ(以下「PC」)や家電、自動車等の最終製品に組み込まれているため消費動向に左右され、一般消費水準の減退はNIDECの売上に悪影響を与える可能性があります。同様に、製造部門における設備投資の水準は景気動向によって左右され、設備投資水準の減退がNIDECの産業用製品に係る売上に悪影響を及ぼす恐れがあります。今後経済環境の悪化が進んだ場合、NIDECの事業、経営成績、財政状態に悪影響が及ぶ可能性があります。 (2)事業ポートフォリオの転換に係るリスクNIDECの事業は、主に情報機器産業に対しモータとその応用製品、設備、部品といった製品を提供してきましたが、広範囲な技術的シナジーと将来の成長を目的として、NIDECは他の事業領域への事業ポートフォリオ拡大を進めております。しかしながら、必要な情報、経営資源、顧客関係、事業の専門知識、ブランド認知度が常に適時に確保できるとは限りません。例えば、NIDECの事業ポートフォリオ拡大の成否に重要な影響を及ぼすM&A活動は、常にその成果の不確実性にさらされております。加えて、NIDECが進出を進めている車載・家電・商業・産業用製品の業界では、サプライチェーンが非常に広範囲にわたるため、その中で生じる操業停止や労働問題がNIDECの業績に悪影響を及ぼす恐れがある上に、より厳しい環境規制・安全規制が追加的費用をもたらす恐れがあります。さらに、事業ポートフォリオ転換の過程において、相対的に収益性が低い製品や事業における売上の割合が増加する方向へ製品構成が変化すれば、営業利益率に悪影響を及ぼす恐れがあります。 (3)ハード・ディスク・ドライブ市場が依然として重要であるリスクNIDECは新しい事業領域への事業ポートフォリオ転換を進めており、その結果、ハード・ディスク・ドライブ(以下「HDD」)に使われるモータ(以下「HDD用モータ」)への売上依存度は軽減されました。しかし、依然として利益依存度は高い状態が続いています。HDD用モータの需要はHDD市場の動向に直接的な影響を受けます。現在、HDDはソリッド・ステート・ドライブと競合しており、これがHDDモータの需要低下要因のひとつになっています。さらに、HDDメーカーは3社しか存在せず、NIDECはそれら全てに主要サプラヤーとしてHDD用モータを供給しており、HDDモータ市場におけるシェアが8割を超えます。従ってどの顧客の動向に急激な変化が生じても、NIDECの事業、経営成績、財政状態に大きな影響を及ぼす可能性があります。 (4)競合に係るリスクNIDECは事業を行う様々な市場で激しい競争にさらされております。特に車載、家電市場においては、新興国の地場メーカーの台頭で競争が激化する傾向があります。市場で競争力を高めるため、NIDECは研究開発分野への多額な投資の維持・増強、製造能力・販売力・マーケティング力の拡大、サービス力とサポート源の拡大、タイムリーな新製品の開発、既存製品のさらなる改善を実施していく必要があると考えております。また、利益性を確保するためのコスト削減活動もNIDECにとって必要です。NIDECは次のような場合に、市場における競争力が低下したり収益力を損なう可能性があります。・市場がNIDECの予測を超える速度で発展した結果、需要拡大等の市場変化への対応において競合他社がNIDECの能力を上回った場合・NIDECのコスト削減活動が、市場販売価格の減少や原材料費の上昇による悪影響を吸収するには不十分となった場合・競合他社が技術革新、製造効率の改善または研究開発能力の強化を行った結果、NIDECの製品や技術が陳腐化した場合・NIDECの競合企業同士の合併によりNIDECの競争力が相対的に弱まった場合・必要な投資を継続・強化するための財産的、技術的、人的な資源を調達できない場合 (5)研究開発に係るリスクNIDECは基礎研究、新製品開発、製品改良、生産工程の改善等を研究開発活動として継続的に行っております。NIDECが製品を提供する市場では継続的に急速な技術革新が起きており、製品の性能に関する顧客からの要求は今後も高まり続けると予想されます。そのような市場環境下で、NIDECの成功の成否は、顧客の要求をタイムリー且つ効果的に満たせるような、より優れた技術、製品、生産工程を開発し続けることができるかどうかにかかっています。もしNIDECが、市場動向を正確に予測できなかったり、適時に効果的な研究開発活動を実施できず、他社が、NIDECより優れた技術、製品、生産工程を開発すれば、NIDECの製品は陳腐化し、競争力が低下する恐れがあります。そのような変化を的確に予測し、求められる技術、製品、生産工程の開発をタイムリーに行うことは非常に困難です。特に基礎研究については、研究活動の方向性を定めることには一層の困難を伴うため、研究開発に要した費用を回収することへの不確実性が高いと考えられます。研究開発活動がうまく成果を出すことができなければ、NIDECの事業、経営成績、財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。加えて、NIDECの顧客はカスタマイズ製品を決められた納期内に確実に提供するよう要求します。より高性能な製品をより短い納期で納入することへの顧客からの要求はますます強まっており、そうした顧客要求を満たせなければNIDECは信頼を失い、販売シェアが縮小すると同時に新製品の事業及び市場の拡大を妨げることになります。さらに、NIDECが多額の投資を経て開発した製品を搭載した顧客製品が予期したとおりに商品化されなかったまたは販売されなかった場合、NIDECはその製品を開発するのに要した費用を回収できない恐れがあります。その結果、NIDECの事業、経営成績、財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 (6)製品の品質に係るリスクNIDECは最先端のモータやその他の電気製品を製造しており、事業活動を行う上でNIDECの製品に欠陥がある、もしくは欠陥の疑いがあることを理由として、保証や製造責任を訴訟で問われる可能性があります。特に、NIDECの製品が組み込まれている最終製品が万一大量に故障した場合、消費者からの苦情、不良品の回収、さらに損害賠償請求訴訟等が起こりえます。事業拡大を試みている車載及び家電・商業・産業用モータ及びその他の部品の市場では、安全で高品質な製品を提供できない場合、深刻な物損や人命に係る事故へ繋がる可能性があり、法令上のリコールが適用される他、社会的要請としても特に高い安全性が要求されます。このような問題がNIDECの作る製品を原因として発生すれば、ブランドイメージの悪化、行政処分、顧客からの重大な法的要求や顧客との紛争につながる恐れがあり、その結果販売の落込み及び不良品回収等の損失費用によりNIDECの経営成績が悪影響を受ける可能性があります。さらに、訴訟に伴う人的・財務的負担が正確な経営判断の阻害要因となる可能性があります。NIDECは損害賠償請求訴訟等に備え、保険を付しておりますが、これらの保険では対応しきれない賠償請求が将来的に発生する、またはNIDECの希望どおりに保険が適用されない可能性があります。保険の適用範囲を超える賠償請求や、大規模な製品回収が発生した場合、NIDECの事業、経営成績、財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 (7)原材料・部品調達に係るリスクNIDECは製品の製造に必要な原材料及び部品の多くを外部から調達しております。これら原材料、組立部品の価格が高騰して所要量を充足できない場合、NIDECの生産能力が制限されます。また、原材料の種類や部品の使用条件等に関わる各国政府の政策変化がNIDECの原材料・部品調達能力を制約することがあります。諸要因により原材料や部品の調達余地が制限された場合、NIDECは代替材料を提供するサプライヤーの確保及び当該原材料・部品の使用量低減を可能にする設計及び開発への投資を行いますが、調達資材の質的・量的不足が長期間に及ぶとNIDECの生産活動が遅滞し、NIDECの事業、経営成績、財政状態に悪影響が及ぶ可能性があります。 (8)海外拠点での事業活動に係るリスクNIDECは事業活動の相当部分を米国、欧州及び中国を含むその他地域で行っております。こうした海外市場で事業を行う際には、以下のような特有のリスクがあります。・海外市場における関係産業の景気悪化または沈滞・国際通貨の変動・ゼネスト等の労働紛争・中国、タイ等における労働力不足と賃金水準の上昇・政治不安・貿易規制や関税の変更・グローバルな経営活動を行える人材の確保の困難・一般的に長期の債権回収期間・法律や規制の予想し得ない制定または改正・特定の国における比較的弱い知的財産の保護・不利に取り扱われる恐れのある税制・文化、商習慣の相違・関税、輸送費用、その他の価格競争力を低下させる負担費用・投資効果の実現までに要する長い期間と多額の資金 (9)四半期の業績比較におけるリスクNIDECは四半期ごとの売上や経営成績の変動が大きい場合があり、今後もこの変動が続き得ると考えております。そのため、四半期ごとの経営成績を比較することはそれほど有用性が高くないかもしれません。また、このような比較により判断される将来の傾向は、信頼のよりどころとならないかもしれません。NIDECの経営成績は、次にあげる主要な要因によって、四半期ごとに変動する場合があります。・情報機器、家電、商業、産業用を含めた、NIDECの製品を購入または使用する業界での周期的及び季節的な製品需要の変動・NIDECの海外子会社の経営成績、外貨建て資産、負債に関する為替レートの変動による影響・NIDECの製造能力とその限界・短期的なNIDECの製品または顧客、競合の変化・短期的な主要な注文のキャンセルまたは納期の延期・新製品や戦略的製品に対する顧客の注文遅延・とりわけ限られた調達先からの部品、原材料の短期間での調達可能性及び価格の変動 (10)先行投資に係るリスクNIDECでは通常、顧客の先行注文、コミットメント、数量予想と自社の需要調査を総合的に評価したうえで生産、在庫計画を策定します。しかし、とりわけ競争が激化した場合や、季節的需要変動その他要因により顧客製品への需要が減少した場合、予測を立てることは非常に困難であり、かつ予測が大幅に変動する可能性があります。このためNIDECは十分な生産量と生産性を確保する必要から受注に先駆けて生産設備を拡張することがあります。今後NIDECは新興国を中心に設備投資を拡大する方針であり、生産能力が需要を著しく上回った場合、稼動損による償却負担の増加または過剰在庫による棚卸資産の評価減がNIDECの事業、経営成績、財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。他方、もしNIDECが需要を過小に見積もり必要な設備投資を行わなかった場合、顧客の需要を満たせずにシェアを失う可能性があります。また、部品や材料を調達する際の長いリードタイムを考慮してサプライヤーへ材料を先行注文することがあるため、実際の受注数量が予想に満たない場合は過剰在庫が生じ予期せぬ棚卸資産の評価減を招く可能性があります。さらに、営業費用を需要の急減に即応して削減する余地は限られているため、需要減により売上高が想定を下回ると経営成績全体に悪影響を及ぼす可能性があります。 (11)M&Aに係るリスクNIDECは事業の成長に必要な技術、製品、販売網、顧客基盤を所有する他社の買収や他社への資本提携を通じて大幅な成長を達成してまいりました。買収や投資活動を継続的に成功させることは、NIDECの事業戦略を達成する上で極めて重要な要素です。NIDECの買収や出資活動が成就しなかった場合、NIDECの製品ラインナップ、販売網、顧客基盤の拡大計画が停滞したり、成長率が低下したりする可能性があります。買収や資本提携を成功させるためには、買収した事業の効率的な統合が重要です。しかし、買収した事業がNIDECの予想どおりに収益を生むという確証はありません。NIDECは今後の買収や資本提携を成功させるために必要な条件を次のように考えております。・買収した事業に係る製品を製造・販売する能力及び買収した事業に係る技術を既存技術と統合して新製品を開発する能力・買収した事業の製品に対する顧客の継続的な需要・買収した事業の経営、製品、社員に関するNIDECの統合能力・買収した事業におけるキーパーソンの保持・買収した事業における財務面や経営面でのNIDECの管理能力・買収した事業からの報告体制及び買収した事業の法令遵守体制の整備・買収対象企業の正確な事前調査(各種デューデリジェンス)・事前調査の過程でNIDECに悪影響を与える買収対象企業の負債を特定する能力こうした買収、出資活動はNIDECの事業に重要な影響を与え得る不確定要素です。例えば、出資先企業の業績が悪化した場合、投資価値が毀損する可能性があります。出資先企業が拠点を置く国の政府による経済政策、法律、規制、または会計基準の変更が出資先企業に適用されることでNIDECの業績へ多大な影響が及ぶ可能性があります。NIDECが出資先企業の非支配持分株主である場合、通常その会社の資産や経営に対する決定権がありません。従って、重要な意思決定には他の株主や出資者の同意を得るか、または出資比率を上げることにより経営権を獲得することが必要になります。買収や出資の効果が得られないか、または適切な買収や出資の対象会社を見つけることができない場合、そのことがNIDECの事業、経営成績、財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 (12)業務拡大による管理運営に係るリスクNIDECはグループ会社の統合を含む事業成長に即応したマネジメント体制拡充の成否が将来の成功を左右する重要な要素のひとつであると考えます。すなわち、NIDECは事業戦略として自律成長やM&Aによる事業規模の拡大を掲げておりますが、その実現にあたっては管理、運営、IT、財務資源、法令遵守等のマネジメント体制拡充に関する負担が増加すると予想されます。これらの負担が想定以上に発生した場合、マネジメント体制の拡充が十分に行えず、NIDECの事業、経営成績、財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 (13)NIDEC代表取締役会長である永守重信(氏)への依存に係るリスクNIDECの継続的な成功は主にNIDECの創業者であり代表取締役会長(最高経営責任者)の永守重信氏の能力と手腕に依存しております。永守氏は積極的にNIDECの経営に携わり、特に企業買収活動をはじめとした戦略的意思決定に関与しております。今後は新たに当社代表取締役社長執行役員(最高執行責任者)に就任した吉本浩之氏をはじめとする当社グループ経営陣が、より組織的な連携を強化して、グループ事業戦略を立案・実行してまいりますが、永守氏の突然の離脱があった場合、そのことがNIDECの事業、経営成績、財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 (14)高度な専門性を有した人材の採用・保持に係るリスクNIDECの事業は、多数の入れ替えることが非常に困難な上層部経営者、エンジニア等の継続的な雇用に依存しております。現在の市場シェアを維持し、将来の成長をサポートするため、NIDECは大多数の高度なスキルを持つ人材を追加雇用し、育成し、意識統一し、そして維持し続ける必要があります。世界的にこのような人材の獲得競争は極めて激しいため、NIDECがこのような追加の人材を引き付けそして維持することができない可能性があります。 (15)法令・規制に係るリスクNIDECの事業は、事業運営を行っている国内外における法令、規制、政策、行動規範、会計基準等の変更や解釈の差異に起因するコンプライアンスリスクを負っており、製品ラインナップの拡充またはビジネスの地理的拡大により、NIDECは各種産業、市場及び行政地区特有のリスクにさらされることになります。よって、NIDECのリスク管理体制によっても、これらのコンプライアンスに完全に対処することができない可能性があります。NIDECは日本、アジア、北米、欧州、その他地域の環境法令を遵守しております。これら環境法令は大気汚染、水質汚濁、危険物質の対応、水質管理、リサイクル、温暖化防止、土壌及び地下水の汚染等に関連する規則を含みます。NIDECの事業の多くは環境法令に基づく営業許可を必要とし、それにより製造活動は制約され、法令遵守のための費用が発生します。こうした環境法令は当局により修正、改定、廃止される可能性があります。これらの法令が厳格化することにより環境法令の継続的遵守に必要な投資やその他の支出が増加したり、事業の見直しを行う必要が生じ、そのことがNIDECの事業、経営成績、財政状態に深刻な影響を及ぼす可能性があります。また、NIDECの事業は国内外において独占禁止法、贈賄防止条約、反テロ法、知的財産権、消費者保護法、税法、輸出規制、関税法、海外貿易規制及び為替規制等の取引規制や市場規制を遵守する必要があります。NIDECは精密小型モータ市場における世界シェアが高いため、特に同市場の売上や製造に影響する規制、行政措置がNIDECの事業、経営成績、財政状態に深刻な影響を及ぼす可能性があります。さらに、我々は新規市場開拓を行い続けており、法令遵守体制をより強化する必要があります。これら規制を遵守できない場合、その結果生じる罰金、社会的制裁、信用毀損、営業停止、さらには営業許可の剥奪がNIDECの事業に深刻な影響を及ぼす可能性があります。こうした法律、規制、政策、自主行動規範、会計基準等の変更及びその影響を予測することは困難であり、新たな遵守体制整備のために追加的な財務、管理、人的資源が必要になる可能性があります。 (16)内部統制に係るリスクNIDECは上場企業として、金融商品取引法に基づく財務報告に係る内部統制に関する要件を満たさなければなりません。そして、事業運営及び資産管理に必要で効果的な内部統制システム、コンプライアンス機能、会計システムの整備は極めて重要であると認識しております。また、内部統制システムの設計、実施には多くの管理、人材、その他資源が必要になります。内部統制上の重大な欠陥、弱点が認められた場合、改善に要する新たな資源投入により追加的コストが発生する可能性があります。さらに、財務報告に関わる内部統制に欠陥がある場合、NIDECは適時開示義務を充足できなかったり、投資家及び経営者等の利害関係者の正確な意思決定を妨げる可能性があり、その結果、市場におけるNIDECの評価が毀損する恐れがあります。また、欠陥の重大性や原因等の程度に応じて様々な法的責任が課せられ、金融市場における資金調達力が制限される可能性があります。 (17)知的財産権に係る訴訟リスクNIDECは自社技術及びその他の知的財産を、特許権、商標権、著作権及びその他の知的財産権、さらには機密管理や個別契約により保護しております。NIDECはこれらの知的財産権に関して次のようなリスクを負っております。・NIDECは第三者からの知的財産権侵害の主張に対して反論をしていくためコストが必要になる場合があります。また、当該主張の結果、予め認識していない第三者の知的財産権を利用してしまったことによりNIDECに賠償責任が発生する場合や、差止命令によりNIDECの事業の継続が妨げられる場合があります。その結果、そのことがNIDECの事業、経営成績、財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。・NIDECの知的財産権の保護対策は十分でない可能性があります。・NIDECより大規模な資源を有する競合他社を含むその他の企業が、独自に技術を開発するか、または優越する技術を獲得した場合、NIDECはこれら企業の知的財産を使用するためのロイヤリティを支払わなければならなくなる可能性があります。・現行または将来の特許出願に関して、特許権を取得できなかったり、NIDEC自身が保有するまたは使用を許諾されている特許が無効になったり回避されたりすることで技術戦略上困難な状況に陥る可能性があります。・特定の特許権の下で認められている権利では、NIDECに競争上の優位をもたらさない可能性や、適切に保護されない可能性、技術力の維持に繋がらない可能性があります。・第三者による特許、重要な営業秘密、その他の知的財産権に関する侵害や無断使用に対して提起する訴訟に伴い多大なコストが必要になる可能性があります。・NIDECの製品を製造及び販売している諸外国の法律が、NIDECの製品や知的財産権を、日本の法律と同じ範囲で保護していない場合や、法律が存在したとしても効果的に施行されていない可能性があります。 (18)情報の流出に係るリスクNIDECは事業活動において顧客、他企業の機密情報及び取引先関係者、従業員の個人情報を保有しております。NIDECはこれらの機密情報に関してセキュリティ対策を行っておりますが、同情報が人的及び技術的な過失や違法または不正なアクセス等により漏洩した場合、機密情報を保護できなかったために発生する責任や規制措置の対象となる可能性があり、NIDECは競争上の優位性を喪失し、顧客や市場の信頼が失われ、そのことがNIDECの事業、経営成績、財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。加えてNIDECの営業活動やシステム、ブランドイメージに対する社会的信頼を落とすことになります。 (19)年金制度に係るリスクNIDECの一部では、一定の要件を満たす従業員のための確定給付年金制度と確定拠出年金制度を併用している会社があります。特に、確定給付年金制度に関しては、年金資産の公正価値や年金資産の収益率が下落した場合、または、退職給付債務の計算の基礎となる想定値が変動した場合、損失が発生する可能性があります。また将来、既存の年金制度を変更し、従来は認識していない勤務費用が発生する可能性があります。そして、利率の変動、NIDECをとりまく環境の変化やその他の要因により、年金資産の積立状況等に悪影響を与える可能性があります。さらに、将来の年金費用の計算に使用される想定値も変動する可能性があります。 (20)減損に係るリスクNIDECは多額の営業権や有形固定資産等を保有しており、今後買収を通じてさらに営業権を保有する可能性があります。これらの資産につき収益性の低下が発生した場合、NIDECは減損を認識しなければならず、NIDECの経営成績、財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 (21)繰延税金資産の不確実性に係るリスクNIDECは繰延税金資産が将来の課税所得から回収される可能性を評価しなければならず、回収可能性が見込めない場合は繰延税金資産を減少させることとなります。経済状況や経営成績が悪化した場合、繰延税金資産の全てまたはその一部に関して回収可能性が見込めないと判断し、繰延税金資産を減少させることによりNIDECの利益が減少する可能性があります。 (22)為替に係るリスクNIDECの海外への売上の大部分は日本円以外の米国ドル、ユーロ、中国元、タイバーツ等の通貨で構成されており、各通貨に対する円の上昇は一般的に、NIDECの売上、営業利益、当期利益に悪影響を及ぼします。このリスクを軽減するため、売上と仕入の通貨を合わせることにより為替リスクの軽減に取り組んでおります。例えば、もしある製品の売上が米国ドル建てであれば、この製品の生産に使用する材料や資源の購入を米国ドル建で購入するようにしております。それでもなお、NIDECは為替リスクにさらされています。加えて、日本円以外の通貨で運営している子会社の業績を連結財務諸表として統合した際、為替変動が大きく影響する可能性があります。 (23)金利の変動に係るリスクNIDECは固定利率と変動利率の長期債権や有利子負債を保有しており、それらの金利変動やキャッシュ・フロー増減リスクを防ぐため、金利スワップや他の契約を締結することがあります。その場合、ヘッジされていない部分に関して、支払利息や受取利息、金融資産・負債の価値に影響する金利の変動リスクにさらされる可能性があります。 (24)資金の流動性に係るリスクNIDECは自社の資本支出やM&Aに関する資金を金融機関からの借入や金融市場からの直接調達に依存しております。金融市況の変化やその他の要因により金融機関が貸付枠、信用供与枠額や条件を圧縮した場合、またはNIDECがそれまでと同等またはより良い条件で取引可能な代替的資金調達源を見つけることができない場合、そのことがNIDECの事業に悪影響を及ぼす可能性があります。さらに、NIDECの財政状態が悪化した結果、信用格付機関がNIDECの信用格付けを大幅に引下げた場合や経済状況の後退により投資家の意欲が減少した場合、NIDECが必要な資金を必要な時期に、希望する条件で調達できない可能性があり、資金調達がより制限されるとともに、資金繰り費用が大幅に増加する可能性があります。この場合、そのことがNIDECの事業、経営成績、財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 (25)偶発的リスクNIDECやサプライヤーが事業を展開する国内外において、自然災害、火災、公衆衛生、戦争、テロ行為やその他の人的災害が発生した場合、政治的、経済的不安定を招き、NIDECやサプライヤー、顧客に損害を与える可能性があります。仮にインフラに甚大な損害を及ぼしたり電力不足をもたらすような大規模な自然災害、あるいは感染病の流行が発生すれば、従業員が勤務できなくなったり、顧客からの受注が低下したり、サプライヤーの生産活動が阻害されることでNIDECの事業に悪影響が及ぶ可能性があります。また、例えばタイや中国といったNIDECの主要な顧客や生産、開発拠点が集中している地域や、NIDECの本社や重要な研究開発施設が集中している日本でこのような大規模な災害が発生すれば、際立って大きな悪影響が及ぶ恐れがあります。さらに、NIDECの事業に必要不可欠なネットワーク及び情報システムは、停電、自然災害、テロ行為、ハードウエアやソフトウエアの不具合、コンピュータウィルスによる攻撃、不正侵入により被害を受ける可能性があります。これらの事態の全てを回避することは困難です。これらの事態が発生した場合には、NIDECの生産活動及び販売活動に大きな支障をきたし、製品の納入が遅れ、サプライヤーから材料や部品を入手することが困難となり、製造工場の修復に多大な費用が必要となります。さらに、NIDECは様々な種類の資産、死傷及び他のリスクについての第三者保険を付しております。これらの保険の種類及び保険額はその有用性、コスト、自家保険による補償範囲を勘案し決定します。NIDECの保険契約は、控除条件、適用範囲及び除外項目の対象となる場合があり、その結果、自家保険と同等の補填金額に留まる可能性もあります。NIDECが加入する保険の適用範囲と補償金額はほぼ業界水準と考えておりますが、保険対象外の損失が増加すればNIDECの事業、経営成績、財政状態に悪影響が及ぶ可能性があります。 (26)株価下落のリスクNIDECの発行済普通株式は、東京証券取引所にて売買可能です。大株主によるNIDEC株式の大量の市場売却や、そのような売却の可能性は、NIDECの普通株式の市価を低下させ、NIDECが有価証券を発行または売却して追加資本を捻出する際の妨げとなる可能性があります。さらに、NIDECは将来、追加の資本支出、運転資金、研究開発、または買収用の資金を捻出するため、有価証券を発行または売却する可能性があります。NIDECが現金または普通株式で追加の関係会社株式の購入を行うことも考えられます。NIDECはNIDEC株式に転換可能な有価証券を発行する可能性もあり、これらの事態が発生した場合、NIDECの株式価値が希薄化し、NIDECの株価に悪影響を与える可能性があります。
FY2017|12,176 文字
4【事業等のリスク】NIDECの経営成績、株価、財政状態等に影響を及ぼす可能性のあるリスクには、次のようなものがあります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在においてNIDECが判断したものであります。 (1)経済状況の変動に係るリスク NIDECの製品及びNIDECの製品を搭載した製品を販売している国または地域の予期せぬ景気変動は、NIDECの製品需要に悪影響を及ぼす可能性があります。特にNIDECの製品はパーソナルコンピュータ(以下「PC」)や家電、自動車等の最終製品に組み込まれているため消費動向に左右され、一般消費水準の減退はNIDECの売上に悪影響を与える可能性があります。同様に、製造部門における設備投資の水準は景気動向によって左右され、設備投資水準の減退がNIDECの産業用製品に係る売上に悪影響を及ぼす恐れがあります。今後経済環境の悪化が進んだ場合、NIDECの事業、経営成績、財政状態に悪影響が及ぶ可能性があります。 (2)事業ポートフォリオの転換に係るリスクNIDECの事業は、主に情報機器産業に対しモータとその応用製品、設備、部品といった製品を提供してきましたが、広範囲な技術的シナジーと将来の成長を目的として、NIDECは他の事業領域への事業ポートフォリオ拡大を進めております。しかしながら、必要な情報、経営資源、顧客関係、事業の専門知識、ブランド認知度が常に適時に確保できるとは限りません。例えば、NIDECの事業ポートフォリオ拡大の成否に重要な影響を及ぼすM&A活動は、常にその成果の不確実性にさらされております。加えて、我々が進出を進めている車載・家電・商業・産業用製品の業界では、サプライチェーンが非常に広範囲にわたるため、その中で生じる操業停止や労働問題がNIDECの業績に悪影響を及ぼす恐れがある上に、より厳しい環境規制・安全規制が追加的費用をもたらす恐れがあります。さらに、事業ポートフォリオ転換の過程において、相対的に収益性が低い製品や事業における売上の割合が増加する方向へ製品構成が変化すれば、営業利益率に悪影響を及ぼす恐れがあります。 (3)ハード・ディスク・ドライブ市場が依然として重要であるリスクNIDECは新しい事業領域への事業ポートフォリオ転換を進めており、その結果、ハード・ディスク・ドライブ(以下「HDD」)に使われるモータ(以下「HDD用モータ」)への売上依存度は軽減されました。しかし、依然として利益依存度は高い状態が続いています。HDD用モータの需要はHDD市場の動向に直接的な影響を受けます。現在、HDDはソリッド・ステート・ドライブと競合しており、これがHDDモータの需要低下要因の一つになっています。さらに、HDDメーカーは3社しか存在せず、NIDECはそれら全てに主要サプラヤーとしてHDD用モータを供給しており、HDDモータ市場におけるシェアが8割を超えます。従ってどの顧客の動向に急激な変化が生じても、NIDECの事業、経営成績、財政状態に大きな影響を及ぼす可能性があります。 (4)競合に係るリスクNIDECは事業を行う様々な市場で激しい競争にさらされております。特に車載、家電市場においては、新興国の地場メーカーの台頭で競争が激化する傾向があります。市場で競争力を高めるため、NIDECは研究開発分野への多額な投資の維持・増強、製造能力・販売力・マーケティング力の拡大、サービス力とサポート源の拡大、タイムリーな新製品の開発、既存製品のさらなる改善を実施していく必要があると考えております。また、利益性を確保するためのコスト削減活動もNIDECにとって必要です。NIDECは次のような場合に、市場における競争力が低下したり収益力を損なう可能性があります。・市場がNIDECの予測を超える速度で発展した結果、需要拡大等の市場変化への対応において競合他社がNIDECの能力を上回った場合・NIDECのコスト削減活動が、市場販売価格の減少や原材料費の上昇による悪影響を吸収するには不十分となった場合・競合他社が技術革新、製造効率の改善または研究開発能力の強化を行った結果、NIDECの製品や技術が陳腐化したり競争優位性を失った場合・NIDECの競合企業同士の合併によりNIDECの競争力が相対的に弱まった場合・必要な投資を継続・強化するための財産的、技術的、人的な資源を調達できない場合 (5)研究開発に係るリスクNIDECは基礎研究、新製品開発、製品改良、生産工程の改善等を研究開発活動として継続的に行っております。NIDECが製品を提供する市場では継続的に急速な技術革新が起きており、製品の性能に関する顧客からの要求は今後も上がり続けると予想されます。そのような市場環境下で、NIDECの成功の成否は、顧客の要求をタイムリー且つ効果的に満たせるような、より優れた技術、製品、生産工程を開発し続けることができるかどうかにかかっています。もしNIDECが、市場動向を正確に予測できなかったり、適時に効果的な研究開発活動を実施できず、他社が、NIDECより優れた技術、製品、生産工程を開発すれば、我々の製品は陳腐化し、競争力が低下する恐れがあります。そのような変化を的確に予測し、求められる技術、製品、生産工程の開発をタイムリーに行うことは非常に困難です。特に基礎研究については、研究活動の方向性を定めることには一層の困難を伴うため、研究開発に要した費用を回収することへの不確実性が高いと考えられます。研究開発活動がうまく成果を出すことが出来なければ、NIDECの事業、経営成績、財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。加えて、NIDECの顧客はカスタマイズ製品を決められた納期内に確実に提供するよう要求します。より高性能な製品をより短い納期で納入することへの顧客からの要求はますます強まっており、そうした顧客要求を満たせなければNIDECは信頼を失い、販売シェアが縮小すると同時に新製品の事業及び市場の拡大を妨げることになります。さらに、NIDECが多額の投資を経て開発した製品を搭載した顧客製品が予期したとおりに商品化されなかったまたは販売されなかった場合、NIDECはその製品を開発するのに要した費用を回収できない恐れがあります。その結果、NIDECの事業、経営成績、財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 (6)製品の品質に係るリスクNIDECは最先端のモータやその他の電気製品を製造しており、事業活動を行う上でNIDECの製品に欠陥がある、もしくは欠陥の疑いがあることを理由として、保証や製造責任を訴訟で問われる可能性があります。特に、NIDECの製品が組み込まれている最終製品が万一大量に故障した場合、消費者からの苦情、不良品の回収、さらに損害賠償請求訴訟等が起こりえます。事業拡大を試みている車載及び家電・商業・産業用モータ及びその他の部品の市場では、安全で高品質な製品を提供できない場合、深刻な物損や人命に係る事故へ繋がる可能性があり、法令上のリコールが適用される他、社会的要請としても特に高い安全性が要求されます。このような問題がNIDECの作る製品を原因として発生すれば、ブランドイメージの悪化、行政処分、顧客からの重大な法的要求や顧客との紛争につながる恐れがあり、その結果販売の落込み及び不良品回収等の損失費用によりNIDECの経営成績が悪影響を受ける可能性があります。さらに、訴訟に伴う人的・財務的負担が正確な経営判断の阻害要因となる可能性があります。NIDECは損害賠償請求訴訟等に備え、保険を付しておりますが、これらの保険では対応しきれない賠償請求が将来的に発生する、またはNIDECの希望どおりに保険が適用されない可能性があります。保険の適用範囲を超える賠償請求や、大規模な製品回収が発生した場合、NIDECの事業、経営成績、財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 (7)原材料・部品調達に係るリスクNIDECは、製品の製造に必要な原材料及び部品の多くを外部から調達しております。これら原材料、組立部品の価格が高騰して所要量を充足できない場合、NIDECの生産能力が制限されます。また、サプライヤーの経営状態が悪化した場合にも、NIDECの原材料、組立部品調達に悪影響を及ぼす恐れがあります。さらに、原材料や部品の使用条件に関わる各国政府の政策変化がNIDECの原材料・部品調達能力を制約する可能性があります。例えば、コンゴ及びその周辺諸国で活動する武装勢力の資金源とされる鉱山・製錬所との鉱物取引を規制する米国法(ドッド・フランク法第1502条)により、米国上場企業によるサプライチェーン管理が厳格化しています。米国上場企業に直接または間接的に製品を供給しているNIDECには責任ある鉱物調達体制を構築するサプライヤーとしての義務があり、その過程で調達の融通性を限定する必要が生じる可能性があります。サプライヤーがNIDECの望む原材料や部品の供給を停止すると決めた場合にも、NIDECの資材調達に悪影響が及ぶ恐れがあります。原材料や部品の調達が制限されれば、代替材料を提供してくれるサプライヤーを確保したり、当該原材料・部品の使用量低減を可能にする設計及び技術の開発を行なうために、多くの資源を投入する必要性に迫られる恐れがあります。こうした調達不足が長期間に渡りかつ代替部品のサプライヤーを見つけることもできない場合、NIDECの事業、経営成績、財政状態に悪影響が及ぶ可能性があります。 (8)海外拠点での事業活動に係るリスクNIDECは事業活動の相当部分を米国、欧州及び中国を含むその他地域で行っております。こうした海外市場で事業を行う際には、以下のような特有のリスクがあります。・海外市場における関係産業の景気悪化または沈滞・国際通貨の変動・ゼネスト等の労働紛争・中国、タイ等における労働力不足と賃金水準の上昇・政治不安・貿易規制や関税の変更・グローバルな経営活動を行える人材の確保の困難・一般的に長期の債権回収期間・法律や規制の予想しえない制定または改正・特定の国における比較的弱い知的財産の保護・不利に取り扱われる恐れのある税制・文化、商習慣の相違・関税、輸送費用、その他の価格競争力を低下させる負担費用・投資効果の実現までに要する長い期間と多額の資金 (9)四半期の業績比較におけるリスクNIDECは四半期ごとの売上や経営成績の変動が大きい場合があり、今後もこの変動が続き得ると考えております。そのため、四半期ごとの経営成績を比較することはそれほど有用性が高くないかもしれません。また、このような比較により判断される将来の傾向は、信頼のよりどころとならないかもしれません。NIDECの経営成績は、次にあげる主要な要因によって、四半期ごとに変動する場合があります。・情報機器、家電、商業、産業用を含めた、NIDECの製品を購入または使用する業界での周期的及び季節的な製品需要の変動・NIDECの海外子会社の経営成績、外貨建て資産、負債に関する為替レートの変動による影響・NIDECの製造能力とその限界・短期的なNIDECの製品または顧客、競合の変化・短期的な主要な注文のキャンセルまたは納期の延期・新製品や戦略的製品に対する顧客の注文遅延・とりわけ限られた調達先からの部品、原材料の短期間での調達可能性及び価格の変動 (10)先行投資に係るリスクNIDECでは、通常、顧客の先行注文、コミットメント、数量予想と自社の需要調査を総合的に評価したうえで生産、在庫計画を策定します。しかし、とりわけ競争が激化したり季節的需要変動その他要因により顧客製品への需要が減少した場合、予測を立てることは非常に困難であり、かつ予測が大幅に変動する可能性があります。このためNIDECは十分な生産量と生産性を確保する必要から受注に先駆けて生産設備を拡張することがあります。今後NIDECは新興国を中心に設備投資を拡大する方針であり、生産能力が需要を著しく上回った場合、稼動損による償却負担の増加または過剰在庫による棚卸資産の評価減がNIDECの事業、経営成績、財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。他方、もしNIDECが需要を過小に見積もり必要な設備投資を行わなかった場合、顧客の需要を満たせずにシェアを失う可能性があります。また、部品や材料を調達する際の長いリードタイムを考慮してサプライヤーへ材料を先行注文することがあるため、実際の受注数量が予想に満たない場合は過剰在庫が生じ予期せぬ棚卸資産の評価減を招く可能性があります。さらに、営業費用を需要の急減に即応して削減する余地は限られているため、需要減により売上高が想定を下回ると経営成績全体に悪影響を及ぼす可能性があります。 (11)M&Aに係るリスクNIDECは事業の成長に必要な技術、製品、販売網、顧客基盤を所有する他社の買収や他社への資本提携を通じて大幅な成長を達成してまいりました。買収や投資活動を継続的に成功させることは、NIDECの事業戦略を達成する上で極めて重要な要素です。NIDECの買収や出資活動が成就しなかった場合、NIDECの製品ラインナップ、販売網、顧客基盤の拡大計画が停滞したり、成長率が低下したりする可能性があります。買収や資本提携を成功させるためには、買収した事業の効率的な統合が重要です。しかし、買収した事業がNIDECの予想どおりに収益を生むという確証はありません。NIDECは今後の買収や資本提携を成功させるために必要な条件を次のように考えております。・買収した事業に係る製品を製造・販売する能力及び買収した事業に係る技術を既存技術と統合して新製品を開発する能力・買収した事業の製品に対する顧客の継続的な需要・買収した事業の経営、製品、社員に関するNIDECの統合能力・買収した事業におけるキーパーソンの保持・買収した事業における財務面や経営面でのNIDECの管理能力・買収した事業からの報告体制及び買収した事業の法令遵守体制の整備・買収対象企業の正確な事前調査(各種デューデリジェンス)・事前調査の過程でNIDECに悪影響を与える買収対象企業の負債を特定する能力こうした買収、出資活動はNIDECの事業に重要な影響を与え得る不確定要素です。例えば、出資先企業の業績が悪化した場合、投資価値が毀損する可能性があります。出資先企業が拠点を置く国の政府による経済政策、法律、規制、または会計基準の変更が出資先企業に適用されることでNIDECの業績へ多大な影響が及ぶ可能性があります。NIDECが出資先企業の非支配持分株主である場合、通常その会社の資産や経営に対する決定権がありません。従って、重要な意思決定には他の株主や出資者の同意を得るか、または出資比率を上げることにより経営権を獲得することが必要になります。買収や出資の効果が得られないか、または適切な買収や出資の対象会社を見つけることができない場合、そのことがNIDECの事業、経営成績、財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 (12)業務拡大による管理運営に係るリスクNIDECは、グループ会社の統合を含む事業成長に即応したマネジメント体制拡充の成否が将来の成功を左右する重要な要素の一つであると考えます。すなわち、NIDECは事業戦略として自律成長やM&Aによる事業規模の拡大を掲げておりますが、その実現にあたっては管理、運営、IT、財務資源、法令遵守等のマネジメント体制拡充に関する負担が増加すると予想されます。これらの負担が想定以上に発生した場合、マネジメント体制の拡充が十分に行えず、NIDECの事業、経営成績、財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 (13)NIDEC会長兼社長である永守重信(氏)への依存に係るリスクNIDECの継続的な成功は主にNIDECの創業者であり会長兼社長(最高経営責任者)の永守重信氏の能力と手腕に依存しております。永守氏は積極的にNIDECの経営に携わり、特に企業買収活動をはじめとした戦略的意思決定に関与しております。永守氏への依存を軽減するためデザインされた経営構造の確立過程で、永守氏の突然の離脱があった場合、そのことがNIDECの事業、経営成績、財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 (14)高度な専門性を有した人材の採用・保持に係るリスクNIDECの事業は、多数の入れ替えることが非常に困難な上層部経営者、エンジニア等の継続的な雇用に依存しております。現在の市場シェアを維持し、将来の成長をサポートするため、NIDECは大多数の高度なスキルを持つ人材を追加雇用し、育成し、意識統一し、そして維持し続ける必要があります。世界的にこのような人材の獲得競争は極めて激しいため、NIDECがこのような追加の人材を引き付けそして維持することができない可能性があります。 (15)法令・規制に係るリスクNIDECの事業は、事業運営を行っている国内外における法令、規制、政策、行動規範、会計基準等の変更や解釈の差異に起因するコンプライアンスリスクを負っており、製品ラインナップの拡充またはビジネスの地理的拡大により、NIDECは各種産業、市場及び行政地区特有のリスクにさらされることになります。よって、NIDECのリスク管理体制によっても、これらのコンプライアンスに完全に対処することができない可能性があります。NIDECは日本、アジア、北米、欧州、その他地域の環境法令を遵守しております。これら環境法令は大気汚染、水質汚濁、危険物質の対応、水質管理、リサイクル、温暖化防止、土壌及び地下水の汚染等に関連する規則を含みます。NIDECの事業の多くは環境法令に基づく営業許可を必要とし、それにより製造活動は制約され、法令遵守のための費用が発生します。こうした環境法令は当局により修正、改定、廃止される可能性があります。これらの法令が厳格化することにより環境法令の継続的遵守に必要な投資やその他の支出が増加したり、事業の見直しを行う必要が生じ、そのことがNIDECの事業、経営成績、財政状態に深刻な影響を及ぼす可能性があります。また、NIDECの事業は国内外において独占禁止法、贈賄防止条約、反テロ法、知的財産権、消費者保護法、税法、輸出規制、関税法、海外貿易規制及び為替規制等の取引規制や市場規制を遵守する必要があります。NIDECは精密小型モータ市場における世界シェアが高いため、特に同市場の売上や製造に影響する規制、行政措置がNIDECの事業、経営成績、財政状態に深刻な影響を及ぼす可能性があります。さらに、我々は新規市場開拓を行い続けており、法令遵守体制をより強化する必要があります。これら規制を遵守できない場合、その結果生じる罰金、社会的制裁、信用毀損、営業停止、さらには営業許可の剥奪がNIDECの事業に深刻な影響を及ぼす可能性があります。こうした法律、規制、政策、自主行動規範、会計基準等の変更及びその影響を予測することは困難であり、新たな遵守体制整備のために追加的な財務、管理、人的資源が必要になる可能性があります。 (16)内部統制に係るリスクNIDECは上場企業として、金融商品取引法に基づく財務報告に係る内部統制に関する要件を満たさなければなりません。そして、事業運営及び資産管理に必要で効果的な内部統制システム、コンプライアンス機能、会計システムの整備は極めて重要であると認識しております。また内部統制システムの設計、実施には多くの管理、人材、その他資源が必要になります。内部統制上の重大な欠陥、弱点が認められた場合、改善に要する新たな資源投入により追加的コストが発生する可能性があります。さらに、財務報告に関わる内部統制に欠陥がある場合、NIDECは適時開示義務を充足できなかったり、投資家及び経営者等の利害関係者の正確な意思決定を妨げる可能性があり、その結果、市場におけるNIDECの評価が毀損する恐れがあります。また、欠陥の重大性や原因等の程度に応じて様々な法的責任が課せられ、金融市場における資金調達力が制限される可能性があります。 (17)知的財産権に係る訴訟リスクNIDECは、自社技術及びその他の知的財産を、特許権、商標権、著作権及びその他の知的財産権、さらには機密管理や個別契約により保護しております。NIDECはこれらの知的財産権に関して次のようなリスクを負っております。・NIDECは第三者からの知的財産権侵害の主張に対して反論をしていくためコストが必要になる場合があります。また、当該主張の結果、予め認識していない第三者の知的財産権を利用してしまったことによりNIDECに賠償責任が発生する場合や、差止命令によりNIDECの事業の継続が妨げられる場合があります。その結果、そのことがNIDECの事業、経営成績、財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。・NIDECの知的財産権の保護対策は十分でない可能性があります。・NIDECより大規模な資源を有する競合他社を含むその他の企業が、独自に技術を開発するか、または優越する技術を獲得した場合、NIDECはこれら企業の知的財産を使用するためのロイヤリティを支払わなければならなくなる可能性があります。・現行または将来の特許出願に関して、特許権を取得できなかったり、NIDEC自身が保有するまたは使用を許諾されている特許が無効になったり回避されたりすることで技術戦略上困難な状況に陥る可能性があります。・特定の特許権の下で認められている権利では、NIDECに競争上の優位をもたらさない可能性や、適切に保護されない可能性、技術力の維持に繋がらない可能性があります。・第三者による特許、重要な営業秘密、その他の知的財産権に関する侵害や無断使用に対して提起する訴訟に伴い多大なコストが必要になる可能性があります。・NIDECの製品を製造及び販売している諸外国の法律が、NIDECの製品や知的財産権を、日本の法律と同じ範囲で保護していない場合や、法律が存在したとしても効果的に施行されていない可能性があります。 (18)情報の流出に係るリスクNIDECは、事業活動において顧客、他企業の機密情報及び取引先関係者、従業員の個人情報を保有しております。NIDECはこれらの機密情報に関してセキュリティ対策を行っておりますが、同情報が人的及び技術的な過失や違法または不正なアクセス等により漏洩した場合、機密情報を保護できなかったために発生する責任や規制措置の対象となる可能性があり、NIDECは競争上の優位性を喪失し、顧客や市場の信頼が失われ、そのことがNIDECの事業、経営成績、財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。加えてNIDECの営業活動やシステム、ブランドイメージに対する社会的信頼を落とすことになります。 (19)年金制度に係るリスクNIDECの一部では、一定の要件を満たす従業員のための確定給付年金制度と確定拠出年金制度を併用している会社があります。特に、確定給付年金制度に関しては、年金資産の公正価値や年金資産の収益率が下落した場合、または、退職給付債務の計算の基礎となる想定値が変動した場合、損失が発生する可能性があります。また将来、既存の年金制度を変更し、従来は認識していない勤務費用が発生する可能性があります。そして、利率の変動、NIDECをとりまく環境の変化やその他の要因により、年金資産の積立状況等に悪影響を与える可能性があります。さらに、将来の年金費用の計算に使用される想定値も変動する可能性があります。 (20)減損に係るリスクNIDECは、多額の営業権や有形固定資産等を保有しており、今後買収を通じてさらに営業権を保有する可能性があります。これらの資産につき収益性の低下が発生した場合、NIDECは減損を認識しなければならず、NIDECの経営成績、財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 (21)繰延税金資産の不確実性に係るリスクNIDECは、繰延税金資産が将来の課税所得から回収される可能性を評価しなければならず、回収可能性が見込めない場合は繰延税金資産を減少させることとなります。経済状況や経営成績が悪化した場合、繰延税金資産の全てまたはその一部に関して回収可能性が見込めないと判断し、繰延税金資産を減少させることによりNIDECの利益が減少する可能性があります。 (22)為替に係るリスクNIDECの海外への売上の大部分は日本円以外の米国ドル、ユーロ、中国元、タイバーツ等の通貨で構成されており、各通貨に対する円の上昇は一般的に、NIDECの売上、営業利益、当期利益に悪影響を及ぼします。このリスクを軽減するため、売上と仕入の通貨を合わせることにより為替リスクの軽減に取り組んでおります。例えば、もしある製品の売上が米国ドル建てであれば、この製品の生産に使用する材料や資源の購入を米国ドル建で購入するようにしております。それでもなお、NIDECは為替リスクにさらされています。加えて、日本円以外の通貨で運営している子会社の業績を連結財務諸表として統合した際、為替変動が大きく影響する可能性があります。 (23)金利の変動に係るリスクNIDECは、固定利率と変動利率の長期債権や有利子負債を保有しており、それらの金利変動やキャッシュ・フロー増減リスクを防ぐため、金利スワップや他の契約を締結することがあります。その場合、ヘッジされていない部分に関して、支払利息や受取利息、金融資産・負債の価値に影響する金利の変動リスクにさらされる可能性があります。 (24)資金の流動性に係るリスクNIDECは自社の資本支出やM&Aに関する資金を金融機関からの借入や金融市場からの直接調達に依存しております。金融市況の変化やその他の要因により金融機関が貸付枠、信用供与枠額や条件を圧縮した場合、またはNIDECがそれまでと同等またはより良い条件で取引可能な代替的資金調達源を見つけることができない場合、そのことがNIDECの事業に悪影響を及ぼす可能性があります。さらに、NIDECの財政状態が悪化した結果、信用格付機関がNIDECの信用格付けを大幅に引下げた場合や経済状況の後退により投資家の意欲が減少した場合、NIDECが必要な資金を必要な時期に、希望する条件で調達できない可能性があり、資金調達がより制限されるとともに、資金繰り費用が大幅に増加する可能性があります。この場合、そのことがNIDECの事業、経営成績、財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 (25)偶発的リスクNIDECやサプライヤーが事業を展開する国内外において、自然災害、火災、公衆衛生、戦争、テロ行為やその他の人的災害が発生した場合、政治的、経済的不安定を招き、NIDECやサプライヤー、顧客に損害を与える可能性があります。仮にインフラに甚大な損害を及ぼしたり電力不足をもたらすような大規模な自然災害、あるいは感染病の流行が発生すれば、従業員が勤務できなくなったり、顧客からの受注が低下したり、サプライヤーの生産活動が阻害されることでNIDECの事業に悪影響が及ぶ可能性があります。また、例えばタイや中国といったNIDECの主要な顧客や生産、開発拠点が集中している地域や、NIDECの本社や重要な研究開発施設が集中している日本でこのように大規模な災害が発生すれば、際立って大きな悪影響が及ぶ恐れがあります。さらに、NIDECの事業に必要不可欠なネットワーク及び情報システムは、停電、自然災害、テロ行為、ハードウエアやソフトウエアの不具合、コンピュータウィルスによる攻撃、不正侵入により被害を受ける可能性があります。これらの事態の全てを回避することは困難です。これらの事態が発生した場合には、NIDECの生産活動及び販売活動に大きな支障をきたし、製品の納入が遅れ、サプライヤーから材料や部品を入手することが困難となり、製造工場の修復に多大な費用が必要となります。さらに、NIDECは様々な種類の資産、死傷及び他のリスクについての第三者保険を付しております。これらの保険の種類及び保険額はその有用性、コスト、自家保険による補償範囲を勘案し決定します。NIDECの保険契約は、控除条件、適用範囲及び除外項目の対象となる場合があり、その結果、自家保険と同等の補填金額に留まる可能性もあります。NIDECが加入する保険の適用範囲と補償金額はほぼ業界水準と考えておりますが、保険対象外の損失が増加すればNIDECの事業、経営成績、財政状態に悪影響が及ぶ可能性があります。 (26)株価下落のリスクNIDECの発行済普通株式は、東京証券取引所にて売買可能です。大株主によるNIDEC株式の大量の市場売却や、そのような売却の可能性は、NIDECの普通株式の市価を低下させ、NIDECが有価証券を発行または売却して追加資本を捻出する際の妨げとなる可能性があります。さらに、NIDECは将来、追加の資本支出、運転資金、研究開発、または買収用の資金を捻出するため、有価証券を発行または売却する可能性があります。NIDECが現金または普通株式で追加の関係会社株式の購入を行うことも考えられます。NIDECはNIDEC株式に転換可能な有価証券を発行する可能性もあり、これらの事態が発生した場合、NIDECの株式価値が希薄化し、NIDECの株価に悪影響を与える可能性があります。
FY2016|13,117 文字
4【事業等のリスク】NIDECの経営成績、株価、財政状態等に影響を及ぼす可能性のあるリスクには、次のようなものがあります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在においてNIDECが判断したものであります。 (1)経済状況の変動に係るリスク NIDECの製品及びNIDECの製品を搭載した製品を販売している国または地域の予期せぬ景気変動は、NIDECの製品需要に悪影響を及ぼす可能性があります。特にNIDECの製品はパーソナルコンピュータ(以下「PC」)や家電、自動車等の最終製品に組み込まれているため消費動向に左右され、一般消費水準の減退はNIDECの売上に悪影響を与える可能性があります。同様に、製造部門における設備投資の水準は景気動向によって左右され、設備投資水準の減退がNIDECの産業用製品に係る売上に悪影響を及ぼす恐れがあります。例えば平成24年度には、一部の欧州における信用収縮や財政危機、及び消費支出の縮小により世界経済が悪化し、NIDECの経営成績に重大な影響を及ぼしました。今後経済環境の悪化が進んだ場合、NIDECの事業、経営成績、財政状態に悪影響が及ぶ可能性があります。 (2)事業ポートフォリオの転換に係るリスクNIDECの事業は、主に情報機器産業に対しモータとその応用製品、設備、部品といった製品を提供してきましたが、リスクの分散と将来の成長を目的として、NIDECは他の事業領域への事業ポートフォリオ拡大を進めております。しかしながら、必要な情報、経営資源、顧客関係、事業の専門知識、ブランド認知度が常に適時に確保できるとは限りません。例えば、NIDECの事業ポートフォリオ拡大の成否に重要な影響を及ぼすM&A活動は、常にその成果の不確実性にさらされております。加えて、我々が進出を進めている車載・家電・商業・産業用製品の業界では、サプライチェーンが非常に広範囲にわたるため、その中で生じる操業停止や労働問題がNIDECの業績に悪影響を及ぼす恐れがある上に、より厳しい環境規制・安全規制が追加的費用をもたらす恐れがあります。さらに、事業ポートフォリオ転換の過程において、相対的に収益性が低い製品や事業における売上の割合が増加する方向へ製品構成が変化すれば、営業利益率に悪影響を及ぼす恐れがあります。 (3)情報機器産業が依然として重要であるリスクNIDECは新しい事業領域への事業ポートフォリオ転換を進めておりますが、精密小型モータを含めた情報機器産業における装置や周辺機器に用いられる製品の売上は、依然として重要な割合を占めております。特にハードディスクドライブ(以下「HDD」)業界はNIDECにとって極めて重要であり、HDDの需要低迷や価格低下はNIDECが販売するHDD用スピンドルモータの販売減少へとつながり、NIDECの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。近年、従来のHDD搭載型PCから、タブレットコンピュータやスマートフォンといったソリッド・ステート・ドライブ(以下「SSD」)搭載製品への需要シフトが進行しています。容量当たり価格においてSSDはHDDよりも依然高額ですが、タブレットコンピュータやスマートフォンへの使用において重要視されるデータの読み/書き速度の点でHDDに対し高い優位性を備えています。SSDの容量当たり価格は漸減傾向にあり、HDD搭載型PCの需要は一段と圧迫され、NIDECが供給するHDD用スピンドルモータ売上の新たな減少要因になる可能性があります。さらに、NIDECのHDD用スピンドルモータは特定の少数顧客に販売されており、NIDECの他の顧客に比べて高い割合の売上を占めております。仮に、それら顧客がNIDECへの注文を大幅に減らした場合、NIDECの事業、経営成績、財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 (4)競合に係るリスクNIDECは事業を行う様々な市場で激しい競争にさらされております。NIDECの主要製品を投入しているHDD市場では、製品寿命よりも早く製品価格が下落する傾向があり、絶えず価格下落圧力にさらされております。一方、NIDECが将来的な事業拡大を試みている車載、家電、商業、産業用製品市場における競合他社はNIDECよりも大規模な資金力、研究開発力、製造能力、販売力、マーケティング力、サービス力とサポート源を有し、また、十分な知名度や長期に渡る顧客との良好な関係を維持している可能性があります。また、電気自動車部品やハイブリッド自動車部品等の新興市場では新規参入企業との激しい競争が予想されます。NIDECの主要既存市場で競争力を維持し、将来的な事業拡大を試みているその他の市場で競争力を高めるため、NIDECは研究開発分野への多額な投資の維持・増強、製造能力・販売力・マーケティング力の拡大、サービス力とサポート源の拡大、タイムリーな新製品の開発、既存製品のさらなる改善を実施していく必要があると考えております。また、利益性を確保するためのコスト削減活動もNIDECにとって必要です。NIDECは次のような場合に、市場における競争力が低下したり収益力を損なう可能性があります。・市場がNIDECの予測を超える速度で発展した結果、需要拡大等の市場変化への対応において競合他社がNIDECの能力を上回った場合・NIDECのコスト削減活動が、市場販売価格の減少や原材料費の上昇による悪影響を吸収するには不十分となった場合・競合他社が技術革新、製造効率の改善または研究開発能力の強化を行った結果、NIDECの製品や技術が陳腐化したり競争優位性を失った場合・NIDECの競合企業同士の合併によりNIDECの競争力が相対的に弱まった場合・必要な投資を継続・強化するための財産的、技術的、人的な資源を調達できない場合 (5)研究開発に係るリスクNIDECは基礎研究、新製品開発、製品改良、生産工程の改善等を研究開発活動として継続的に行っております。NIDECが製品を提供する市場では継続的に急速な技術革新が起きており、製品の性能に関する顧客からの要求は今後も上がり続けると予想されます。そのような市場環境下で、NIDECの成功の成否は、顧客の要求をタイムリー且つ効果的に満たせるような、より優れた技術、製品、生産工程を開発し続けることができるかどうかにかかっています。もしNIDECが、市場動向を正確に予測できなかったり、適時に効果的な研究開発活動を実施できず、他社が、NIDECより優れた技術、製品、生産工程を開発すれば、我々の製品は陳腐化し、競争力が低下する恐れがあります。そのような変化を的確に予測し、求められる技術、製品、生産工程の開発をタイムリーに行うことは非常に困難です。特に基礎研究については、研究活動の方向性を定めることには一層の困難を伴うため、研究開発に要した費用を回収することへの不確実性が高いと考えられます。研究開発活動がうまく成果を出すことが出来なければ、NIDECの事業、経営成績、財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。加えて、NIDECの顧客はカスタマイズ製品を決められた納期内に確実に提供するよう要求します。より高性能な製品をより短い納期で納入することへの顧客からの要求はますます強まっており、そうした顧客要求を満たせなければNIDECは信頼を失い、販売シェアが縮小すると同時に新製品の事業及び市場の拡大を妨げることになります。さらに、NIDECが多額の投資を経て開発した製品を搭載した顧客製品が予期したとおりに商品化されなかったまたは販売されなかった場合、NIDECはその製品を開発するのに要した費用を回収できない恐れがあります。その結果、NIDECの事業、経営成績、財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 (6)製品の品質に係るリスクNIDECは最先端のモータやその他の電気製品を製造しており、事業活動を行う上でNIDECの製品に欠陥がある、もしくは欠陥の疑いがあることを理由として、保証や製造責任を訴訟で問われる可能性があります。特に、NIDECの製品が組み込まれている最終製品が万一大量に故障した場合、消費者からの苦情、不良品の回収、さらに損害賠償請求訴訟等が起こりえます。事業拡大を試みている車載及び家電・商業・産業用モータ及びその他の部品の市場では、安全で高品質な製品を提供できない場合、深刻な物損や人命に係る事故へ繋がる可能性があり、法令上のリコールが適用される他、社会的要請としても特に高い安全性が要求されます。このような問題がNIDECの作る製品を原因として発生すれば、ブランドイメージの悪化、行政処分、顧客からの重大な法的要求や顧客との紛争につながる恐れがあり、その結果販売の落込み及び不良品回収等の損失費用によりNIDECの経営成績が悪影響を受ける可能性があります。さらに、訴訟に伴う人的・財務的負担が正確な経営判断の阻害要因となる可能性があります。NIDECは損害賠償請求訴訟等に備え、保険を付しておりますが、これらの保険では対応しきれない賠償請求が将来的に発生する、またはNIDECの希望どおりに保険が適用されない可能性があります。保険の適用範囲を超える賠償請求や、大規模な製品回収が発生した場合、NIDECの事業、経営成績、財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 (7)原材料・部品調達に係るリスクNIDECは、アルミニウムやレアアース等の原材料及び電子回路、磁石、コネクタ等組立部品を外部から調達しております。こうした原材料、組立部品が価格高騰により十分に調達できない場合、NIDECの生産能力が制限されます。また、サプライヤーの経営状態が悪化した場合にも、NIDECの原材料、組立部品調達に悪影響を及ぼす恐れがあります。さらに原材料や部品の使用条件に関わる各国政府の政策変化または追加的開示義務が発生した場合、これら原材料及び部品の調達に支障が生じる可能性があります。例えば、コンゴ民主共和国及びその周辺国で採取された紛争鉱物の利用に関する開示規制により、NIDECのサプライヤーが限定される可能性があり、また鉱物の出所を十分に確認できない場合には、顧客や投資家から厳しい評価を受ける可能性があります。サプライヤーがNIDECの望む原材料や部品の供給を停止すると決めた場合にも、NIDECの資材調達に悪影響が及ぶ恐れがあります。原材料や部品の調達が制限されれば、代替材料を提供してくれるサプライヤーを確保したり、当該原材料・部品の使用量低減を可能にする設計及び技術の開発を行なうために、多くの資源を投入する必要性に迫られる恐れがあります。こうした調達不足が長期間に渡りかつ代替部品のサプライヤーを見つけることもできない場合、NIDECの事業、経営成績、財政状態に悪影響が及ぶ可能性があります。 (8)海外拠点での事業活動に係るリスクNIDECは中国、タイ、フィリピン、ベトナム、マレーシア、メキシコ、インドネシア等で製造、販売、開発を行なっております。また、インド、ブラジル等の新興国市場へも新規参入を行い、事業の拡大を図っております。これらの国々は、経済的、社会的、またはその他のインフラを整備している段階にあるため、様々な不確定要素の影響を受けやすくなっております。これらの国々の政治、社会、経済状況下では、NIDECの製品をコスト上効率よく製造するための環境を維持できるかどうか定かではありません。さらに、これらの地域の政治当局は、NIDECがその地で事業活動を展開することに対し、経済的、法的またはその他の面で困難な状況を生み出したり、実践的でないものにしたり、不可能にしたりする規制や制限を課す可能性があります。そして、海外における事業活動は、次のような外国取引に関する様々なリスクをNIDECにもたらすため、それらがNIDECの事業、経営成績、財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。・海外市場における関係産業の景気悪化または沈滞・国際通貨の変動・ゼネスト等の労働紛争・中国、タイ等における労働力不足と賃金水準の上昇・政治不安・貿易規制や関税の変更・グローバルな経営活動を行える人材の確保の困難・一般的に長期の債権回収期間・法律や規制の予想しえない制定または改正・特定の国における比較的弱い知的財産の保護・不利に取り扱われる恐れのある税制・文化、商習慣の相違・関税、輸送費用、その他の価格競争力を低下させる負担費用・投資効果の実現までに要する長い期間と多額の資金 (9)四半期の業績比較におけるリスクNIDECは四半期ごとの売上や経営成績の変動が大きい場合があり、今後もこの変動が続き得ると考えております。そのため、四半期ごとの経営成績を比較することはそれほど有用性が高くないかもしれません。また、このような比較により判断される将来の傾向は、信頼のよりどころとならないかもしれません。NIDECの経営成績は、次にあげる主要な要因によって、四半期ごとに変動する場合があります。・情報機器、家電、商業、産業用を含めた、NIDECの製品を購入または使用する業界での周期的及び季節的な製品需要の変動・NIDECの海外子会社の経営成績、外貨建て資産、負債に関する為替レートの変動による影響・NIDECの製造能力とその限界・短期的なNIDECの製品または顧客、競合の変化・短期的な主要な注文のキャンセルまたは納期の延期・新製品や戦略的製品に対する顧客の注文遅延・とりわけ限られた調達先からの部品、原材料の短期間での調達可能性及び価格の変動 (10)先行投資に係るリスクNIDECでは、通常、顧客の先行注文、コミットメント、数量予想と自社の需要調査を総合的に評価したうえで生産、在庫計画を策定します。しかし、とりわけ競争が激化したり季節的需要変動その他要因により顧客製品への需要が減少した場合、予測を立てることは非常に困難であり、かつ予測が大幅に変動する可能性があります。このためNIDECは十分な生産量と生産性を確保する必要から受注に先駆けて生産設備を拡張することがあります。今後NIDECは新興国を中心に設備投資を拡大する方針であり、生産能力が需要を著しく上回った場合、稼動損による償却負担の増加または過剰在庫によるたな卸資産の評価減がNIDECの事業、経営成績、財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。他方、もしNIDECが需要を過小に見積もり必要な設備投資を行わなかった場合、顧客の需要を満たせずにシェアを失う可能性があります。また、部品や材料を調達する際の長いリードタイムを考慮してサプライヤーへ材料を先行注文することがあるため、実際の受注数量が予想に満たない場合は過剰在庫が生じ予期せぬたな卸資産の評価減を招く可能性があります。さらに、営業費用を需要の急減に即応して削減する余地は限られているため、需要減により売上高が想定を下回ると経営成績全体に悪影響を及ぼす可能性があります。 (11)M&Aに係るリスクNIDECは事業の成長に必要な技術、製品、販売網、顧客基盤を所有する他社の買収や他社への資本提携を通じて大幅な成長を達成してまいりました。買収や投資活動を継続的に成功させることは、NIDECの事業戦略を達成する上で極めて重要な要素です。NIDECの買収や出資活動が成就しなかった場合、NIDECの製品ラインナップ、販売網、顧客基盤の拡大計画が停滞したり、成長率が低下したりする可能性があります。買収や資本提携を成功させるためには、買収した事業の効率的な統合が重要です。しかし、買収した事業がNIDECの予想どおりに収益を生むという確証はありません。NIDECは今後の買収や資本提携を成功させるために必要な条件を次のように考えております。・買収した事業に係る製品を製造・販売する能力及び買収した事業に係る技術を既存技術と統合して新製品を開発する能力・買収した事業の製品に対する顧客の継続的な需要・買収した事業の経営、製品、社員に関するNIDECの統合能力・買収した事業におけるキーパーソンの保持・買収した事業における財務面や経営面でのNIDECの管理能力・買収した事業からの報告体制及び買収した事業の法令遵守体制の整備・買収対象企業の正確な事前調査(財務及び法務デューデリジェンス)・事前調査の過程でNIDECに悪影響を与える買収対象企業の負債を特定する能力こうした買収、出資活動はNIDECの事業に重要な影響を与え得る不確定要素です。例えば、出資先企業の業績が悪化した場合、投資価値が毀損する可能性があります。出資先企業が拠点を置く国の政府による経済政策、法律、規制、または会計基準の変更が出資先企業に適用されることでNIDECの業績へ多大な影響が及ぶ可能性があります。NIDECが出資先企業の非支配持分株主である場合、通常その会社の資産や経営に対する決定権がありません。従って、重要な意思決定には他の株主や出資者の同意を得るか、または出資比率を上げることにより経営権を獲得することが必要になります。買収や出資の効果が得られないか、または適切な買収や出資の対象会社を見つけることができない場合、そのことがNIDECの事業、経営成績、財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 (12)業務拡大による管理運営に係るリスクNIDECは、グループ会社の統合を含む事業成長に即応したマネジメント体制拡充の成否が将来の成功を左右する重要な要素の一つであると考えます。すなわち、NIDECは事業戦略として自律成長やM&Aによる事業規模の拡大を掲げておりますが、その実現にあたっては管理、運営、IT、財務資源、法令遵守等のマネジメント体制拡充に関する負担が増加すると予想されます。これらの負担が想定以上に発生した場合、マネジメント体制の拡充が十分に行えず、NIDECの事業、経営成績、財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 (13)NIDEC会長兼社長である永守重信(氏)への依存に係るリスクNIDECの継続的な成功は主にNIDECの創業者であり会長兼社長(最高経営責任者)の永守重信氏の能力と手腕に依存しております。永守氏は積極的にNIDECの経営に携わり、特に企業買収活動をはじめとした戦略的意思決定に関与しております。永守氏への依存を軽減するためデザインされた経営構造の確立過程で、永守氏の突然の離脱があった場合、そのことがNIDECの事業、経営成績、財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 (14)高度な専門性を有した人材の採用・保持に係るリスクNIDECの事業は、多数の入れ替えることが非常に困難な上層部経営者、エンジニア等の継続的な雇用に依存しております。現在の市場シェアを維持し、将来の成長をサポートするため、NIDECは大多数の高度なスキルを持つ管理者、エンジニア、製造者、営業担当者、マーケティング担当者、サポート担当者及び管理担当者を追加雇用し、育成し、意識統一し、そして維持し続ける必要があります。世界的にこのような人材の獲得競争は極めて激しいため、NIDECがこのような追加の人材を引き付けそして維持することができない可能性があります。 (15)法令・規制に係るリスクNIDECの事業は、事業運営を行っている国内外における法令、規制、政策、行動規範、会計基準等の変更や解釈の差異に起因するコンプライアンスリスクを負っており、製品ラインナップの拡充またはビジネスの地理的拡大により、NIDECは各種産業、市場及び行政地区特有のリスクにさらされることになります。よって、NIDECのリスク管理体制によっても、これらのコンプライアンスに完全に対処することができない可能性があります。NIDECは日本、アジア、北米、欧州、その他地域の環境法令を遵守しております。これら環境法令は大気汚染、水質汚濁、危険物質の対応、水質管理、リサイクル、温暖化防止、土壌及び地下水の汚染等に関連する規則を含みます。NIDECの事業の多くは環境法令に基づく営業許可を必要とし、それにより製造活動は制約され、法令遵守のための費用が発生します。こうした環境法令は当局により修正、改定、廃止される可能性があります。これらの法令が厳格化することにより環境法令の継続的遵守に必要な投資やその他の支出が増加したり、事業の見直しを行う必要が生じ、そのことがNIDECの事業、経営成績、財政状態に深刻な影響を及ぼす可能性があります。また、NIDECの事業は国内外において独占禁止法、贈賄防止条約、反テロ法、知的財産権、消費者保護法、税法、輸出規制、関税法、海外貿易規制及び為替規制等の取引規制や市場規制を遵守する必要があります。NIDECは精密小型モータ市場における世界シェアが高いため、特に同市場の売上や製造に影響する規制、行政措置がNIDECの事業、経営成績、財政状態に深刻な影響を及ぼす可能性があります。さらに、我々は新規市場開拓を行い続けており、法令遵守体制をより強化する必要があります。これら規制を遵守できない場合、その結果生じる罰金、社会的制裁、信用毀損、営業停止、さらには営業許可の剥奪がNIDECの事業に深刻な影響を及ぼす可能性があります。こうした法律、規制、政策、自主行動規範、会計基準等の変更及びその影響を予測することは困難であり、新たな遵守体制整備のために追加的な財務、管理、人的資源が必要になる可能性があります。 (16)内部統制に係るリスクNIDECは上場企業として、金融商品取引法に基づく財務報告に係る内部統制に関する要件を満たさなければなりません。そして、事業運営及び資産管理に必要で効果的な内部統制システム、コンプライアンス機能、会計システムの整備は極めて重要であると認識しております。また内部統制システムの設計、実施には多くの管理、人材、その他資源が必要になります。内部統制上の重大な欠陥、弱点が認められた場合、改善に要する新たな資源投入により追加的コストが発生する可能性があります。さらに、財務報告に関わる内部統制に欠陥がある場合、NIDECは適時開示義務を充足できなかったり、投資家及び経営者等の利害関係者の正確な意思決定を妨げる可能性があり、その結果、市場におけるNIDECの評価が毀損する恐れがあります。また、欠陥の重大性や原因等の程度に応じて様々な法的責任が課せられ、金融市場における資金調達力が制限される可能性があります。 (17)知的財産権に係る訴訟リスクNIDECは、自社技術及びその他の知的財産を、特許権、商標権、著作権及びその他の知的財産権、さらには機密管理や個別契約により保護しております。NIDECはこれらの知的財産権に関して次のようなリスクを負っております。・NIDECは第三者からの知的財産権侵害の主張に対して反論をしていくためコストが必要になる場合があります。また、当該主張の結果、予め認識していない第三者の知的財産権を利用してしまったことによりNIDECに賠償責任が発生する場合や、差止命令によりNIDECの事業の継続が妨げられる場合があります。その結果、そのことがNIDECの事業、経営成績、財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。・NIDECの知的財産権の保護対策は十分でない可能性があります。・NIDECより大規模な資源を有する競合他社を含むその他の企業が、独自に技術を開発するか、または優越する技術を獲得した場合、NIDECはこれら企業の知的財産を使用するためのロイヤリティを支払わなければならなくなる可能性があります。・現行または将来の特許出願に関して、特許権を取得できなかったり、NIDEC自身が保有するまたは使用を許諾されている特許が無効になったり回避されたりすることで技術戦略上困難な状況に陥る可能性があります。・特定の特許権の下で認められている権利では、NIDECに競争上の優位をもたらさない可能性や、適切に保護されない可能性、技術力の維持に繋がらない可能性があります。・第三者による特許、重要な営業秘密、その他の知的財産権に関する侵害や無断使用に対して提起する訴訟に伴い多大なコストが必要になる可能性があります。・NIDECの製品を製造及び販売している諸外国の法律が、NIDECの製品や知的財産権を、日本の法律と同じ範囲で保護していない場合や、法律が存在したとしても効果的に施行されていない可能性があります。 (18)情報の流出に係るリスクNIDECは、事業活動において顧客、他企業の機密情報及び取引先関係者、従業員の個人情報を保有しております。NIDECはこれらの機密情報に関してセキュリティ対策を行っておりますが、同情報が人的及び技術的な過失や違法または不正なアクセス等により漏洩した場合、機密情報を保護できなかったために発生する責任や規制措置の対象となる可能性があり、NIDECは競争上の優位性を喪失し、顧客や市場の信頼が失われ、そのことがNIDECの事業、経営成績、財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。加えてNIDECの営業活動やシステム、ブランドイメージに対する社会的信頼を落とすことになります。 (19)年金制度に係るリスクNIDECの一部では、一定の要件を満たす従業員のための確定給付年金制度と確定拠出年金制度を併用している会社があります。特に、確定給付年金制度に関しては、年金資産の公正価値や年金資産の収益率が下落した場合、または、退職給付債務の計算の基礎となる想定値が変動した場合、損失が発生する可能性があります。また将来、既存の年金制度を変更し、従来は認識していない勤務費用が発生する可能性があります。そして、利率の変動、NIDECをとりまく環境の変化やその他の要因により、年金資産の積立状況や数理計算上の差異の償却に悪影響を与える可能性があります。さらに、将来の年金費用の計算に使用される想定値も変動する可能性があります。 (20)減損に係るリスクNIDECは、多額の営業権や有形固定資産等を保有しており、今後買収を通じてさらに営業権を保有する可能性があります。これらの資産につき収益性の低下が発生した場合、NIDECは減損を認識しなければならず、NIDECの経営成績、財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 (21)繰延税金資産の不確実性に係るリスクNIDECは、繰延税金資産が将来の課税所得から回収される可能性を評価しなければならず、回収可能性が見込めない場合は繰延税金資産を減少させることとなります。経済状況や経営成績が悪化した場合、繰延税金資産の全てまたはその一部に関して回収可能性が見込めないと判断し、繰延税金資産を減少させることによりNIDECの利益が減少する可能性があります。 (22)為替に係るリスクNIDECの海外への売上の大部分は日本円以外の米国ドル、ユーロ、中国元、タイバーツ等の通貨で構成されており、各通貨に対する円の上昇は一般的に、NIDECの売上、営業利益、純利益に悪影響を及ぼします。このリスクを軽減するため、売上と仕入の通貨を合わせることにより為替リスクの軽減に取り組んでおります。例えば、もしある製品の売上が米国ドル建てであれば、この製品の生産に使用する材料や資源の購入を米国ドル建で購入するようにしております。それでもなお、NIDECは為替リスクにさらされています。加えて、日本円以外の通貨で運営している子会社の業績を連結財務諸表として統合した際、為替変動が大きく影響する可能性があります。 (23)金利の変動に係るリスクNIDECは、固定利率と変動利率の長期債権や有利子負債を保有しており、それらの金利変動やキャッシュ・フロー増減リスクを防ぐため、金利スワップや他の契約を締結することがあります。その場合、ヘッジされていない部分に関して、支払利息や受取利息、金融資産・負債の価値に影響する金利の変動リスクにさらされる可能性があります。 (24)資金の流動性に係るリスクNIDECは自社の資本支出やM&Aに関する資金を金融機関からの借入や金融市場からの直接調達に依存しております。金融市況の変化やその他の要因により金融機関が貸付枠、信用供与枠額や条件を圧縮した場合、またはNIDECがそれまでと同等またはより良い条件で取引可能な代替的資金調達源を見つけることができない場合、そのことがNIDECの事業に悪影響を及ぼす可能性があります。さらに、NIDECの財政状態が悪化した結果、信用格付機関がNIDECの信用格付けを大幅に引下げた場合や経済状況の後退により投資家の意欲が減少した場合、NIDECが必要な資金を必要な時期に、希望する条件で調達できない可能性があり、資金調達がより制限されるとともに、資金繰り費用が大幅に増加する可能性があります。この場合、そのことがNIDECの事業、経営成績、財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 (25)偶発的リスクNIDECやサプライヤーが事業を展開する国内外において、自然災害、火災、公衆衛生、戦争、テロ行為やその他の人的災害が発生した場合、政治的、経済的不安定を招き、NIDECやサプライヤー、顧客に損害を与える可能性があります。仮にインフラに甚大な損害を及ぼしたり電力不足をもたらすような大規模な自然災害、あるいは感染病の流行が発生すれば、従業員が勤務できなくなったり、顧客からの受注が低下したり、サプライヤーの生産活動が阻害されることでNIDECの事業に悪影響が及ぶ可能性があります。また、例えばタイや中国といったNIDECの主要な顧客や生産、開発拠点が集中している地域や、NIDECの本社や重要な研究開発施設が集中している日本でこのように大規模な災害が発生すれば、際立って大きな悪影響が及ぶ恐れがあります。さらに、NIDECの事業に必要不可欠なネットワーク及び情報システムは、停電、自然災害、テロ行為、ハードウェアやソフトウェアの不具合、コンピュータウィルスによる攻撃、不正侵入により被害を受ける可能性があります。これらの事態の全てを回避することは困難です。これらの事態が発生した場合には、NIDECの生産活動及び販売活動に大きな支障をきたし、製品の納入が遅れ、サプライヤーから材料や部品を入手することが困難となり、製造工場の修復に多大な費用が必要となります。さらに、NIDECは様々な種類の資産、死傷及び他のリスクについての第三者保険を付しております。これらの保険の種類及び保険額はその有用性、コスト、自家保険による補償範囲を勘案し決定します。NIDECの保険契約は、控除条件、適用範囲及び除外項目の対象となる場合があり、その結果、自家保険と同等の補填金額に留まる可能性もあります。NIDECが加入する保険の適用範囲と補償金額はほぼ業界水準と考えておりますが、保険対象外の損失が増加すればNIDECの事業、経営成績、財政状態に悪影響が及ぶ可能性があります。 (26)株価下落のリスクNIDECの発行済普通株式は、東京証券取引所にて売買可能です。大株主によるNIDEC株式の大量の市場売却や、そのような売却の可能性は、NIDECの普通株式の市価を低下させ、NIDECが有価証券を発行または売却して追加資本を捻出する際の妨げとなる可能性があります。さらに、NIDECは将来、追加の資本支出、運転資金、研究開発、または買収用の資金を捻出するため、有価証券を発行または売却する可能性があります。NIDECが現金または普通株式で追加の関係会社株式の購入を行うことも考えられます。NIDECはNIDEC株式に転換可能な有価証券を発行する可能性もあり、これらの事態が発生した場合、NIDECの株式価値が希薄化し、NIDECの株価に悪影響を与える可能性があります。