6594

ニデック(6594)は何で稼いでいるか — 事業の柱と依存度

電気機器 電機・精密

事業の概要

ニデックは、精密小型モーター、車載用製品、家電・商業・産業用製品、機器装置、電子・光学部品の製造・販売を主な事業とするグローバル企業です。世界40カ国以上に300社を超えるグループ会社を持ち、海外売上高比率が約9割を占めています。HDD用モーターなどの精密小型モーターから、電気自動車向けの車載用製品、工場などで使われる産業用モーターまで、幅広い分野でモーター関連製品を提供し、多様な市場で収益を上げています。

出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
セグメント構成

ニデックの事業セグメントは、主に6つの報告対象セグメントで構成されています。SPMS(精密小型モーター)はHDD用モーターやその他の小型モーターを扱い、AMEC(車載用製品)は自動車関連製品を提供しています。MOENとACIMは、それぞれ家電・商業・産業用製品を手掛けており、機械事業は機器装置や工作機械を製造しています。グループ会社事業は、車載用製品、家電・商業・産業用製品、機器装置、電子部品、その他小型モーターなど多岐にわたる製品を扱っています。これらのセグメントを通じて、グローバルに幅広い製品を展開し、収益を上げています。

有価証券報告書「事業の内容」の全文を見る(年度切替)
FY2025|1,700 文字
3【事業の内容】当社グループ(当社、連結子会社342社、持分法適用関連会社4社を中心に構成)は、精密小型モータ、車載用製品、家電・商業・産業用製品、機器装置、電子・光学部品等の製造・販売を主な事業内容としています。当社は、IFRS会計基準に準拠して連結財務諸表を作成しており、関係会社の範囲についてもIFRS会計基準の定義に基づいています。セグメント区分に関しては、6つの報告対象セグメントにより構成されています。各セグメントの内容は次のとおりです。なお、このセグメント区分は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表」の連結財務諸表注記に掲げるセグメントをはじめ、本有価証券報告書の当連結会計年度に関するセグメントの区分と全て同一です。また、第2四半期連結会計期間より報告セグメントの区分を変更しています。詳細は「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 5.セグメント情報」に記載のとおりです。名称主要製品主要な会社SPMSHDD用モータ及びその他小型モータ当社、ニデックエレクトロニクスタイランド㈱、ニデックモータ(香港)有限公司、ニデックプレシジョンタイ㈱、ニデックベトナム㈱、ニデック(上海)国際貿易有限公司、ニデックモータ(東莞)有限公司、ニデックCCI股份有限公司、ニデック台湾股份有限公司AMEC車載用製品ニデック自動車モータ(浙江)有限公司、ニデックGPM GmbH、ニデックモータ(大連)有限公司、ニデックモーターズ アンド アクチュエーターズドイツ㈲、ニデックモーターズ アンド アクチュエーターズポーランド㈲、ニデック(上海)国際貿易有限公司、ニデック台湾股份有限公司MOEN家電・商業・産業用製品ニデックホールディングアメリカ㈱、Nidec ASI㈱、Nidec Control Techniques LimitedACIM家電・商業・産業用製品ニデックグローバル・アプライアンス・ブラジル社機械事業機器装置、工作機械ニデックマシンツール㈱、ニデックミンスター㈱グループ会社事業車載用製品、家電・商業・産業用製品、機器装置、電子部品及びその他小型モータ、その他ニデックモビリティ㈱、ニデックインスツルメンツ㈱、ニデックテクノモータ(浙江)有限公司、ニデックパワートレインシステムズ㈱、ニデックパワートレインシステムズ(ベトナム)会社、ニデックアドバンステクノロジー㈱、ニデックコンポーネンツ㈱ 当社グループの主要な製品の内容に係る当社及び主要な連結子会社の位置づけは次のとおりです。主要な製品の内容主要な会社精密小型モータHDD用モータ当社、ニデックエレクトロニクスタイランド㈱、ニデックモータ(香港)有限公司、ニデックプレシジョンタイ㈱その他小型モータ当社、ニデックモータ(香港)有限公司、ニデックベトナム㈱、ニデック(上海)国際貿易有限公司、ニデックモータ(東莞)有限公司、ニデックCCI股份有限公司、ニデック台湾股份有限公司、ニデックインスツルメンツ㈱、ニデックコンポーネンツ㈱車載当社、ニデック自動車モータ(浙江)有限公司、ニデックGPM GmbH、ニデックモータ(大連)有限公司、ニデックモーターズ アンド アクチュエーターズドイツ㈲、ニデックモーターズ アンド アクチュエーターズポーランド㈲、ニデック(上海)国際貿易有限公司、ニデック台湾股份有限公司、ニデックモビリティ㈱、ニデックパワートレインシステムズ㈱、ニデックパワートレインシステムズ(ベトナム)会社家電・商業・産業用ニデックホールディングアメリカ㈱、Nidec ASI㈱、Nidec Control Techniques Limited、ニデックグローバル・アプライアンス・ブラジル社、ニデックテクノモータ(浙江)有限公司機器装置ニデックマシンツール㈱、ニデックミンスター㈱、ニデックインスツルメンツ㈱、ニデックアドバンステクノロジー㈱電子・光学部品ニデックインスツルメンツ㈱、ニデックコンポーネンツ㈱その他 ニデックインスツルメンツ㈱ [事業系統図]

事業の優位性(モート)

事業の質(有価証券報告書から抽出)
数字に出ない事業の性質を、同じ物差しで全銘柄そろえています。FY2025時点の記載が出典です。
価格決定力値上げを通せるか。強いほどインフレ耐性が高い 中程度
競合激化や原材料価格高騰による価格競争の激化リスクがあるため
参入障壁新規参入を阻む要因の種類 技術
モータ全般の要素技術研究、電子回路、熱、騒音・振動、制御といった要素技術の高度化
景気敏感度業績が景気循環にどれだけ振られるか 中程度
設備投資の性質稼いだ現金がどれだけ設備維持に消えるか 成長投資
規制依存規制は障壁にも足枷にもなる 中程度
会社が挙げる主要リスク:政治・経済状況の変動に係るリスク / 技術環境・産業構造の変化に係るリスク / 競合に係るリスク
同じ条件で他の銘柄を探す → 定性スクリーニング(価格決定力・参入障壁・景気敏感度などで絞り込めます)
モート総合 13 / 25 5類型それぞれの強度と、そう判定した根拠
無形資産★★☆☆☆
根拠:中程度ブランド・特許・許認可

ニデックは、長年にわたり培ってきたモーター技術に関するノウハウや、特定の産業分野(例:ハードディスクドライブ用モーター)における高い技術力は無形資産となり得る。しかし、特許の有効性やブランド認知度に関する具体的な情報は限定的であり、明確な競争優位性を示すには至っていない。

スイッチングコスト★★★☆☆
根拠:中程度乗り換えの手間・コスト

HDD用モーターや車載モーターなど、顧客の製品性能に直結する部品を供給しており、仕様変更やサプライヤー変更には開発コストや時間的ロスが伴うため、一定のスイッチング・コストが存在する。特に、高度なカスタマイズが求められる分野では、顧客の乗り換えは容易ではない。

ネットワーク効果☆☆☆☆☆
根拠:弱い利用者増が価値を生む

ニデックの事業モデルは、特定のプラットフォーム上でユーザーが増えることで価値が増大するネットワーク効果を直接的に生み出すものではない。個々の顧客との取引関係が中心であり、プラットフォーム型のビジネスではない。

コスト優位★★★☆☆
根拠:中程度同じ物を安く作れる

グローバルな生産体制と、M&Aによる規模拡大を通じて、一定のコスト競争力を確保している。特に、汎用品モーターにおいては、効率的な生産プロセスとサプライチェーン管理により、価格競争力を維持していると考えられる。

規模の経済★★★★★
根拠:強い規模が参入障壁になる

ニデックは、HDD用モーター市場で圧倒的なシェアを誇り、また、車載モーターや家電用モーターなど、複数の分野で世界トップクラスの生産能力を持つ。この規模の経済性は、競合他社が容易に追随できない強力な競争優位性となっている。

ニデックは、グローバルな事業展開と多角的な製品ポートフォリオにより、特定の市場や地域への依存を低減しています。開発から生産、販売、サービスまでを一貫して現地で行う「地営地開/地産地消体制(メイド・イン・マーケット戦略)」を推進し、各市場のニーズに迅速に対応しつつ、貿易障壁や地政学的リスクの影響を軽減しています。また、重要部品や原材料の調達先を複数化・多元化することで、サプライチェーンの強靭化を図り、安定的な事業継続を可能にしている点が強みと言えます。

出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)

経営戦略

有価証券報告書「経営方針・対処すべき課題・MD&A」の全文を見る(年度切替)
経営方針・経営戦略
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであり、その達成を保証するものではありません。 (1)会社の経営の基本方針当社は2027年度をターゲットとする新中期経営計画(Conversion2027)を策定しました。2025年度より事業再編・拠点統廃合・人員削減等収益構造の抜本的転換を図り利益率の改善を実現するため、3つの観点で強力に「転換」を実行していきます。 ①高収益構造へ「転換」変動費については、不採算・ノンコア事業の見直しにより収益性の高い事業ポートフォリオへの転換に加え、技術力により材料費の更なる削減や品質の作り込みを加速します。固定費については、拠点統廃合やプロセス抜本変革(PSI/MRP等)により製造間接中心に人員削減を断行します。一方で、システム・DX投資、先行開発投資、自動化投資には売上高の1%を目途に戦略投資枠を確保し、高収益構造を確立します。 ②成長を支える「事業5本柱」へ「転換」市場動向を踏まえた5つの注力事業領域を「事業5本柱」として明示し、①AI社会を支える、②サステナブル・インフラとエネルギーの追求、③産業の生産効率化、④より良い生活の追求(Better Life)、⑤モビリティイノベーションの各領域で、既存事業の枠を超えてシナジーを追求します。各地域の需要に応じて地産地消をベースにビジネスを展開し、顧客目線の”One Nidec”活動へリソースを結集します。 ③真のグローバル体制へ「転換」チーフオフィサー制(CxO)の強化と執行役員のスリム化を図り、よりスピーディーな経営体制を実現します。高度な技術・技能・知識を有する「フェロー」と次世代の役員候補者である「理事」を新設し、グローバルでリーンな体制を構築します。 新中期経営計画(Conversion2027)の業績目標は次のとおりです。 2027年度①連結売上高 2.9兆円②営業利益 3,500億円(営業利益率 12%)③ROIC(投下資本利益率) 12% (2)経営環境及び中長期的な会社の経営戦略経営の基本方針を踏まえた経営環境及び経営戦略については次のとおりです。①精密小型モータ精密小型モータ事業にはHDD用モータ事業とその他小型モータ事業があります。HDDは主にPCやサーバをはじめとした多くの情報機器に用いられていますが、その心臓部を担うのがHDD用モータです。タブレットやスマートフォン等の新しいIT端末の普及によりPC用途のHDDは今後大きな市場拡大を望めませんが、一方で5G通信の拡がりにより画像や動画等の高画質・高容量化、ソーシャルメディアやゲームの普及といったビッグデータ化は益々加速すると考えられます。それに伴うストレージ需要の拡大により、今後もサーバ用途等ではHDD用モータ需要は安定して継続すると見込まれます。2024年度ではデータセンター向けのニアラインHDDの需要が増加したことで売上高が増加しました。その他小型モータに関しては当社が手掛けてきた光ディスク用やOA機器用モータは中長期トレンドとして需要が減少しています。そこで成長事業として新しく取り組んでいるのがAIサーバ向け水冷モジュールです。今後拡大が見込まれるAIは膨大なデータを基に学習処理を行うため、AI向け半導体演算装置(CPU/GPU)が高い熱を発します。AIの発展に伴い、空冷式に対して格段に高い冷却能力を持つ水冷モジュールの需要が高まっており当社では生産キャパシティの拡大、パーツの内製化、次世代製品の開発等に取り組んでいます。また、電動二輪車向けモータの開発にも取り組んでいます。四輪車同様、二輪車でも電動化の波が押し寄せており、駆動ユニット向けモータ需要の大幅拡大が今後期待できる市場と認識しています。最大の市場であるインドにて、インドの二輪車メーカー向けの営業活動に注力し、既に複数のトップメーカーへ製品を供給しています。その他のAV・IT・OA・通信機器や家電・産業機器等多岐にわたる分野においても新たな活用の場を開拓し、持続的な成長につなげていきます。 ②車載車載オーガニック(既存事業)においては、「CASE革命」に伴う自動車部品の電動化といった市場の変化の追い風を捉え、世界No.1シェアを誇る電動パワステ用モータやブレーキ用モータをはじめとした車載用モータに加え、電動オイルポンプや電動ウォーターポンプ等の車載製品を提供し、更なる市場シェアの獲得と、売上・利益の成長を強力に推進していきます。また、欧米オペレーションに強みを持つ家電産業事業本部(ACIM)と統合することで地域毎の強力な横串機能によりオペレーション(調達、生産、物流)を統合し競争力強化を図っています。更に、拡大する電子・電源制御領域において、ニデックモビリティとニデックエレシスを統合することで協業・知見集約を図り、更なる競争力の強化を進めます。EVトラクションモータ事業においては、激しい価格競争の進展によって健全な競争環境が失われつつある中国EV市場において、開発や部品調達の更なる現地化による徹底したコスト削減、次世代のE-Axle開発等、中国EV市場の競争に対応するための施策を実行しています。一方、欧州ではStellantisグループとの合弁会社であるニデックPSAイーモーターズが2024年度にE-Axleの本格的な量産を開始し、連結業績への算入も始まっており、材料費・外注費の改善や品質の向上を通して収益性の向上を図っています。また、車載事業全般においては組織の枠を超えた一体化の取り組みを継続しており、一貫した戦略を基にしたシナジーにより市場に更なる価値を提供してまいります。 ③家電・商業・産業用現在、世界の電力使用量の約半分をモータが占めていると言われており、特に産業用モータによる消費量が大きいことから、より高効率なモータへの置き換えが急務となっています。当社は、家電関連では、洗濯機、乾燥機、食洗機用モータや冷蔵庫用のコンプレッサー及びコンプレッサー用のモータ等を手掛けており、効率に優れるブラシレスDCモータへの置き換え需要の更なる高まりに応えていきます。また、家電需要の新興国への拡大も中期的に期待されます。商業部門ではエアコン向けモータやECの配送センターで使用されるロボット向けのモジュール等を提供し、産業部門では農業、ガス、鉱業、上下水道、海洋といったマーケットを中心に事業を展開しています。特に、データセンターに必要不可欠な非常用電源向けの発電機、社会インフラ更新に伴う大型モータの需要が増大しており、これらの事業においては付加価値の高いメンテナンス事業にも注力しています。また各国の発電・送電事業者に向けたバッテリーエネルギー貯蔵システム(BESS)の需要も高まっています。再生可能エネルギーの増加と共に、当社BESS関連ビジネスは今後も大きな成長が期待されます。ブラジルの航空機メーカーEMBRAER社との合弁会社を設立したeVTOL(電動垂直離着陸機)向けモータも移動インフラの変化と共に今後の成長が期待される分野です。 ④機器装置機械事業本部は、主に減速機事業・プレス事業・工作機械事業に分かれます。減速機事業については、先進国を中心に広がる少子高齢化による労働力不足が今後の需要を拡大させると考えられ、中でも成長が期待される協働ロボット用減速機の開発・生産に注力していきます。プレス機事業については、プレス機、送り装置等の周辺機器を揃え、日本・アメリカ・スペイン他に生産拠点を持ち、グローバルで幅広い製品をワンストップで供給できる体制を整えています。工作機械事業については、現在の製品ポートフォリオとして、マシニングセンタ・旋盤・歯車機械・大型汎用工作機械が揃い、多くのお客様にワンストップで製品・サービスを提供できる体制が整っています。当社は新製品・新技術の開発を通じて新市場を開拓し、2030年度までにグローバルNo.1の総合工作機械メーカーとなることを目指しています。 ⑤M&A上記の目標を達成するために、当社では被買収企業と既存の技術を掛け合わせることで企業価値を最大化し、更なる成長を図っています。特に機械事業本部では、グローバルNo.1の総合工作機械メーカーを目指すためM&Aを積極的に行っています。2021年8月に高精度・高効率の歯車加工技術を持つ三菱重工工作機械株式会社(現 ニデックマシンツール)を買収し工作機械事業に参入して以降、2022年2月にマシニングセンタの老舗であるOKK株式会社(現 ニデックオーケーケー)、2023年2月に横中ぐり盤の世界トップメーカーであるPAMA社、2023年12月に旋盤の専門メーカーである株式会社TAKISAWAを買収しました。これら一連の買収により製品ラインアップの拡充と海外市場におけるシェア強化を図っています。また、2024年10月にプレス周辺機器製造、販売等を事業内容とするLinear Transfer Automation Inc.及び同関連会社を買収したことで、プレス機本体と前後工程の周辺ライン一式というトータルシステムのソリューション提供が可能になり売上拡大が期待できます。 ⑥ESG当社事業の持続性を担保する取り組みとして「脱炭素社会の実現」「人権の尊重・適正な労働慣行の浸透」「国際競争力が高い人材の確保・育成」を含む5つの重要分野(マテリアリティ)において改善活動を進めており、それらの成果は役員報酬に反映されます。「脱炭素社会の実現」を例に挙げると、2040年度までにスコープ1・2のCO2排出量を、2050年度にはサプライチェーンのCO2排出量(Scope3)をネットゼロ状態にする長期目標を設定しており、そこへ至る道程には、2030年度までにスコープ1・2排出量を42%削減(2022年度比)し、スコープ3排出量を25%削減(2022年度比)する中間目標を据えています。この中間目標は国際的気候変動イニシアティブであるSBTi (Science-based Target initiative)の検証を経ており、当社は再生可能エネルギーの導入や省エネ活動、ならびに軽薄短小技術を活かした省資源・省エネルギー製品の開発を目標到達の主軸としています。 今後、当社は「中長期の方向性」を明確化するため、市場動向を踏まえた5つの注力事業領域を「事業5本柱」として位置付け、①AI社会を支える、②サステナブル・インフラとエネルギーの追求、③産業の生産効率化、④より良い生活の追求(Better Life)、⑤モビリティイノベーションの各領域でニデック各社の強みを活かし、協業とシナジーの発揮によりビジネス機会を獲得し事業拡大を目指すとともに、顧客目線・要望を意識し、既存事業の枠を超えてグループ内の強み・価値を提供していきます。 (3)会社の対処すべき課題1.第三者委員会の設置及びその他の社内調査等の趣旨及び経緯当社は、当社の連結子会社で、家電・車載事業統括本部 家電産業事業本部配下の NIDEC FIR INTERNATIONAL S.R.L.(以下、「FIR社」)に関する貿易取引上の問題を認識し、国際貿易法及び関税法の経験を有する第三者の専門家に調査を依頼しました。当社は、FIR社製造のモータについて、原産国申告に誤りがあり、未払関税の発生につながった可能性を認識しました。受領した調査の状況報告に基づき、当社は第三者の専門家とともに、社内の更なる調査・検討を行いこの問題への対処を進めていました。また、FIR社に関する貿易取引上の問題及び関税問題に関し調査を進めていた際に、2025年7月22日に、当社の子会社であるニデックテクノモータ株式会社(以下、「テクノ」)から当社の監査等委員会に対し、その中国子会社であるニデックテクノモータ(浙江)有限公司において、2024年9月下旬にサプライヤーからの値引きに相当する購買一時金(金額1,000万元、約2億円)に関して不適切な会計処理が行われた疑いがある(以下、「テクノ事案」)との報告がありました。これを受け、当社は、当社の監査等委員会の監督の下、テクノ事案を解明するため、社外の弁護士、公認会計士その他の外部専門家を起用してデジタルフォレンジック手続を含む社内調査を行っていました。その調査の過程で、テクノ以外の当社及びそのグループ会社においても、当社及びグループ会社の経営陣の関与又は認識の下で、資産性にリスクのある資産に関して評価減の時期を恣意的に検討しているとも解釈しうるなど、不適切な会計処理が行われていたことを疑わせる資料が複数発見されました。上記に鑑み、これまでの外部専門家を起用した当社の監査等委員主導の調査体制には限界があり、会社から独立した第三者委員会による客観性のある調査を行う必要があると判断し、2025年9月3日に日本弁護士連合会の定める「企業不祥事における第三者委員会ガイドライン」に準拠した第三者委員会を設置することを決定しました。また、上述のデジタルフォレンジック手続を含む貿易取引上の問題及び関税問題に関する調査の過程において、ニデックエレシス株式会社(現ニデック株式会社車載事業本部インバータ事業部)において、過年度の中国への輸出取引に際して、中古品の無償取引における申告価格を正当な理由なく適正金額より低く関税申告していたことが疑われる事案が発見されました。本件については、社内調査の一環として外部専門家による追加調査を依頼しています。さらに、当社のスイス連結子会社が必要な登録をせずに輸出取引を行っていた事案について適切な対応がなされていなかった疑いがFIRの貿易取引上の問題及び関税問題に関する調査の過程において発見され、また、内部通報において当社の中国連結子会社が過年度を含む連結会計年度に源泉所得税を意図的に過少申告していたことが疑われる事案を認識したため、事実確認を含めて必要な対応を進めています。(注)FIR社に関する貿易取引上の問題の詳細につきましては、インターネット上の当社ウェブサイトに掲載されている2025年6月26日付プレスリリースをご参照ください。(https://www.nidec.com/jp/corporate/news/2025/news0626-01/) 2.今後の対応及び会計処理の方針当社は、第三者委員会による調査及びその他の社内調査等の一環としての外部専門家による調査に対し、全面的に協力していきます。現時点において、第三者委員会による調査及びその他の社内調査等は継続中です。調査の結果、不適切な事象が判明し次第、原因の究明と分析、再発防止策の策定及び実施を迅速に行います。また、過年度及び当年度の財務諸表に訂正すべき重要な虚偽表示が識別された場合には、過年度及び当年度の有価証券報告書の訂正等を含め、適切な対応を行う方針です。その際には、訂正の内容、影響額等を速やかに開示します。
対処すべき課題
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであり、その達成を保証するものではありません。 (1)会社の経営の基本方針当社は2027年度をターゲットとする新中期経営計画(Conversion2027)を策定しました。2025年度より事業再編・拠点統廃合・人員削減等収益構造の抜本的転換を図り利益率の改善を実現するため、3つの観点で強力に「転換」を実行していきます。 ①高収益構造へ「転換」変動費については、不採算・ノンコア事業の見直しにより収益性の高い事業ポートフォリオへの転換に加え、技術力により材料費の更なる削減や品質の作り込みを加速します。固定費については、拠点統廃合やプロセス抜本変革(PSI/MRP等)により製造間接中心に人員削減を断行します。一方で、システム・DX投資、先行開発投資、自動化投資には売上高の1%を目途に戦略投資枠を確保し、高収益構造を確立します。 ②成長を支える「事業5本柱」へ「転換」市場動向を踏まえた5つの注力事業領域を「事業5本柱」として明示し、①AI社会を支える、②サステナブル・インフラとエネルギーの追求、③産業の生産効率化、④より良い生活の追求(Better Life)、⑤モビリティイノベーションの各領域で、既存事業の枠を超えてシナジーを追求します。各地域の需要に応じて地産地消をベースにビジネスを展開し、顧客目線の”One Nidec”活動へリソースを結集します。 ③真のグローバル体制へ「転換」チーフオフィサー制(CxO)の強化と執行役員のスリム化を図り、よりスピーディーな経営体制を実現します。高度な技術・技能・知識を有する「フェロー」と次世代の役員候補者である「理事」を新設し、グローバルでリーンな体制を構築します。 新中期経営計画(Conversion2027)の業績目標は次のとおりです。 2027年度①連結売上高 2.9兆円②営業利益 3,500億円(営業利益率 12%)③ROIC(投下資本利益率) 12% (2)経営環境及び中長期的な会社の経営戦略経営の基本方針を踏まえた経営環境及び経営戦略については次のとおりです。①精密小型モータ精密小型モータ事業にはHDD用モータ事業とその他小型モータ事業があります。HDDは主にPCやサーバをはじめとした多くの情報機器に用いられていますが、その心臓部を担うのがHDD用モータです。タブレットやスマートフォン等の新しいIT端末の普及によりPC用途のHDDは今後大きな市場拡大を望めませんが、一方で5G通信の拡がりにより画像や動画等の高画質・高容量化、ソーシャルメディアやゲームの普及といったビッグデータ化は益々加速すると考えられます。それに伴うストレージ需要の拡大により、今後もサーバ用途等ではHDD用モータ需要は安定して継続すると見込まれます。2024年度ではデータセンター向けのニアラインHDDの需要が増加したことで売上高が増加しました。その他小型モータに関しては当社が手掛けてきた光ディスク用やOA機器用モータは中長期トレンドとして需要が減少しています。そこで成長事業として新しく取り組んでいるのがAIサーバ向け水冷モジュールです。今後拡大が見込まれるAIは膨大なデータを基に学習処理を行うため、AI向け半導体演算装置(CPU/GPU)が高い熱を発します。AIの発展に伴い、空冷式に対して格段に高い冷却能力を持つ水冷モジュールの需要が高まっており当社では生産キャパシティの拡大、パーツの内製化、次世代製品の開発等に取り組んでいます。また、電動二輪車向けモータの開発にも取り組んでいます。四輪車同様、二輪車でも電動化の波が押し寄せており、駆動ユニット向けモータ需要の大幅拡大が今後期待できる市場と認識しています。最大の市場であるインドにて、インドの二輪車メーカー向けの営業活動に注力し、既に複数のトップメーカーへ製品を供給しています。その他のAV・IT・OA・通信機器や家電・産業機器等多岐にわたる分野においても新たな活用の場を開拓し、持続的な成長につなげていきます。 ②車載車載オーガニック(既存事業)においては、「CASE革命」に伴う自動車部品の電動化といった市場の変化の追い風を捉え、世界No.1シェアを誇る電動パワステ用モータやブレーキ用モータをはじめとした車載用モータに加え、電動オイルポンプや電動ウォーターポンプ等の車載製品を提供し、更なる市場シェアの獲得と、売上・利益の成長を強力に推進していきます。また、欧米オペレーションに強みを持つ家電産業事業本部(ACIM)と統合することで地域毎の強力な横串機能によりオペレーション(調達、生産、物流)を統合し競争力強化を図っています。更に、拡大する電子・電源制御領域において、ニデックモビリティとニデックエレシスを統合することで協業・知見集約を図り、更なる競争力の強化を進めます。EVトラクションモータ事業においては、激しい価格競争の進展によって健全な競争環境が失われつつある中国EV市場において、開発や部品調達の更なる現地化による徹底したコスト削減、次世代のE-Axle開発等、中国EV市場の競争に対応するための施策を実行しています。一方、欧州ではStellantisグループとの合弁会社であるニデックPSAイーモーターズが2024年度にE-Axleの本格的な量産を開始し、連結業績への算入も始まっており、材料費・外注費の改善や品質の向上を通して収益性の向上を図っています。また、車載事業全般においては組織の枠を超えた一体化の取り組みを継続しており、一貫した戦略を基にしたシナジーにより市場に更なる価値を提供してまいります。 ③家電・商業・産業用現在、世界の電力使用量の約半分をモータが占めていると言われており、特に産業用モータによる消費量が大きいことから、より高効率なモータへの置き換えが急務となっています。当社は、家電関連では、洗濯機、乾燥機、食洗機用モータや冷蔵庫用のコンプレッサー及びコンプレッサー用のモータ等を手掛けており、効率に優れるブラシレスDCモータへの置き換え需要の更なる高まりに応えていきます。また、家電需要の新興国への拡大も中期的に期待されます。商業部門ではエアコン向けモータやECの配送センターで使用されるロボット向けのモジュール等を提供し、産業部門では農業、ガス、鉱業、上下水道、海洋といったマーケットを中心に事業を展開しています。特に、データセンターに必要不可欠な非常用電源向けの発電機、社会インフラ更新に伴う大型モータの需要が増大しており、これらの事業においては付加価値の高いメンテナンス事業にも注力しています。また各国の発電・送電事業者に向けたバッテリーエネルギー貯蔵システム(BESS)の需要も高まっています。再生可能エネルギーの増加と共に、当社BESS関連ビジネスは今後も大きな成長が期待されます。ブラジルの航空機メーカーEMBRAER社との合弁会社を設立したeVTOL(電動垂直離着陸機)向けモータも移動インフラの変化と共に今後の成長が期待される分野です。 ④機器装置機械事業本部は、主に減速機事業・プレス事業・工作機械事業に分かれます。減速機事業については、先進国を中心に広がる少子高齢化による労働力不足が今後の需要を拡大させると考えられ、中でも成長が期待される協働ロボット用減速機の開発・生産に注力していきます。プレス機事業については、プレス機、送り装置等の周辺機器を揃え、日本・アメリカ・スペイン他に生産拠点を持ち、グローバルで幅広い製品をワンストップで供給できる体制を整えています。工作機械事業については、現在の製品ポートフォリオとして、マシニングセンタ・旋盤・歯車機械・大型汎用工作機械が揃い、多くのお客様にワンストップで製品・サービスを提供できる体制が整っています。当社は新製品・新技術の開発を通じて新市場を開拓し、2030年度までにグローバルNo.1の総合工作機械メーカーとなることを目指しています。 ⑤M&A上記の目標を達成するために、当社では被買収企業と既存の技術を掛け合わせることで企業価値を最大化し、更なる成長を図っています。特に機械事業本部では、グローバルNo.1の総合工作機械メーカーを目指すためM&Aを積極的に行っています。2021年8月に高精度・高効率の歯車加工技術を持つ三菱重工工作機械株式会社(現 ニデックマシンツール)を買収し工作機械事業に参入して以降、2022年2月にマシニングセンタの老舗であるOKK株式会社(現 ニデックオーケーケー)、2023年2月に横中ぐり盤の世界トップメーカーであるPAMA社、2023年12月に旋盤の専門メーカーである株式会社TAKISAWAを買収しました。これら一連の買収により製品ラインアップの拡充と海外市場におけるシェア強化を図っています。また、2024年10月にプレス周辺機器製造、販売等を事業内容とするLinear Transfer Automation Inc.及び同関連会社を買収したことで、プレス機本体と前後工程の周辺ライン一式というトータルシステムのソリューション提供が可能になり売上拡大が期待できます。 ⑥ESG当社事業の持続性を担保する取り組みとして「脱炭素社会の実現」「人権の尊重・適正な労働慣行の浸透」「国際競争力が高い人材の確保・育成」を含む5つの重要分野(マテリアリティ)において改善活動を進めており、それらの成果は役員報酬に反映されます。「脱炭素社会の実現」を例に挙げると、2040年度までにスコープ1・2のCO2排出量を、2050年度にはサプライチェーンのCO2排出量(Scope3)をネットゼロ状態にする長期目標を設定しており、そこへ至る道程には、2030年度までにスコープ1・2排出量を42%削減(2022年度比)し、スコープ3排出量を25%削減(2022年度比)する中間目標を据えています。この中間目標は国際的気候変動イニシアティブであるSBTi (Science-based Target initiative)の検証を経ており、当社は再生可能エネルギーの導入や省エネ活動、ならびに軽薄短小技術を活かした省資源・省エネルギー製品の開発を目標到達の主軸としています。 今後、当社は「中長期の方向性」を明確化するため、市場動向を踏まえた5つの注力事業領域を「事業5本柱」として位置付け、①AI社会を支える、②サステナブル・インフラとエネルギーの追求、③産業の生産効率化、④より良い生活の追求(Better Life)、⑤モビリティイノベーションの各領域でニデック各社の強みを活かし、協業とシナジーの発揮によりビジネス機会を獲得し事業拡大を目指すとともに、顧客目線・要望を意識し、既存事業の枠を超えてグループ内の強み・価値を提供していきます。 (3)会社の対処すべき課題1.第三者委員会の設置及びその他の社内調査等の趣旨及び経緯当社は、当社の連結子会社で、家電・車載事業統括本部 家電産業事業本部配下の NIDEC FIR INTERNATIONAL S.R.L.(以下、「FIR社」)に関する貿易取引上の問題を認識し、国際貿易法及び関税法の経験を有する第三者の専門家に調査を依頼しました。当社は、FIR社製造のモータについて、原産国申告に誤りがあり、未払関税の発生につながった可能性を認識しました。受領した調査の状況報告に基づき、当社は第三者の専門家とともに、社内の更なる調査・検討を行いこの問題への対処を進めていました。また、FIR社に関する貿易取引上の問題及び関税問題に関し調査を進めていた際に、2025年7月22日に、当社の子会社であるニデックテクノモータ株式会社(以下、「テクノ」)から当社の監査等委員会に対し、その中国子会社であるニデックテクノモータ(浙江)有限公司において、2024年9月下旬にサプライヤーからの値引きに相当する購買一時金(金額1,000万元、約2億円)に関して不適切な会計処理が行われた疑いがある(以下、「テクノ事案」)との報告がありました。これを受け、当社は、当社の監査等委員会の監督の下、テクノ事案を解明するため、社外の弁護士、公認会計士その他の外部専門家を起用してデジタルフォレンジック手続を含む社内調査を行っていました。その調査の過程で、テクノ以外の当社及びそのグループ会社においても、当社及びグループ会社の経営陣の関与又は認識の下で、資産性にリスクのある資産に関して評価減の時期を恣意的に検討しているとも解釈しうるなど、不適切な会計処理が行われていたことを疑わせる資料が複数発見されました。上記に鑑み、これまでの外部専門家を起用した当社の監査等委員主導の調査体制には限界があり、会社から独立した第三者委員会による客観性のある調査を行う必要があると判断し、2025年9月3日に日本弁護士連合会の定める「企業不祥事における第三者委員会ガイドライン」に準拠した第三者委員会を設置することを決定しました。また、上述のデジタルフォレンジック手続を含む貿易取引上の問題及び関税問題に関する調査の過程において、ニデックエレシス株式会社(現ニデック株式会社車載事業本部インバータ事業部)において、過年度の中国への輸出取引に際して、中古品の無償取引における申告価格を正当な理由なく適正金額より低く関税申告していたことが疑われる事案が発見されました。本件については、社内調査の一環として外部専門家による追加調査を依頼しています。さらに、当社のスイス連結子会社が必要な登録をせずに輸出取引を行っていた事案について適切な対応がなされていなかった疑いがFIRの貿易取引上の問題及び関税問題に関する調査の過程において発見され、また、内部通報において当社の中国連結子会社が過年度を含む連結会計年度に源泉所得税を意図的に過少申告していたことが疑われる事案を認識したため、事実確認を含めて必要な対応を進めています。(注)FIR社に関する貿易取引上の問題の詳細につきましては、インターネット上の当社ウェブサイトに掲載されている2025年6月26日付プレスリリースをご参照ください。(https://www.nidec.com/jp/corporate/news/2025/news0626-01/) 2.今後の対応及び会計処理の方針当社は、第三者委員会による調査及びその他の社内調査等の一環としての外部専門家による調査に対し、全面的に協力していきます。現時点において、第三者委員会による調査及びその他の社内調査等は継続中です。調査の結果、不適切な事象が判明し次第、原因の究明と分析、再発防止策の策定及び実施を迅速に行います。また、過年度及び当年度の財務諸表に訂正すべき重要な虚偽表示が識別された場合には、過年度及び当年度の有価証券報告書の訂正等を含め、適切な対応を行う方針です。その際には、訂正の内容、影響額等を速やかに開示します。
MD&A(経営者による分析)
4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。当連結会計年度において、企業結合に係る暫定的な会計処理の確定を行っており、前連結会計年度の連結財務諸表については、暫定的な会計処理の確定による取得原価の当初配分額の見直しが反映された後の金額によっています。 (1)重要性のある会計方針及び重要な見積り当社の連結財務諸表は、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」第312条の規定により、IFRS会計基準に準拠して作成しています。この連結財務諸表の作成において、連結決算日における資産・負債の金額と連結会計年度の収益・費用に影響を及ぼす見積り・判断・仮定が必要となります。これらの実際の結果は見積り・判断・仮定と異なる場合があります。もし会計上の見積りが行われる時点で高い不確実性に対する見積りを作成しなければならない場合、その会計上の見積りは、直近の会計期間にて合理的に見積った見積りや、該当する発生期間において合理的に見積ることができる場合とは異なり、財政状態やその変化、経営成績に重要な影響を与えると予想されます。重要性のある会計方針及び重要な見積りの詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 3.重要性のある会計方針 4.重要な会計上の見積り、判断及び仮定」に記載しています。 (2)経営成績の状況岸田光哉が社長に就任し、新経営体制がスタートして1年が経過しました。One Nidecをキーワードにグループ間で横串を通してシナジーを創出しながら成長していく全体最適の経営、すなわちグループ一体化経営の実現を目指して、技術・製品・人材のグローバルベースでの融合をはじめ各種の施策を強力に推進する体制を整えてきました。製品グループ別については、まず精密小型モータはニアライン用途を中心にHDD用モータの需要が回復し、収益を押し上げました。また、新分野となるAIデータセンター向け水冷モジュールは来る次世代GPU仕様サーバ向けを含め、精密モータの開発・生産で培った精密加工技術とコスト競争力を活かし、部品供給も含め付加価値の高い戦略商材の生産体制を整備し、顧客ニーズを満たす収益性の高い事業ポートフォリオへの転換を加速しています。車載はEVトラクションモータ関連事業においてBEV市場の拡大鈍化と価格競争の激化をいち早く察知し昨年度に他社に先駆けて収益性最優先へ戦略転換を行い、不採算機種の受注制限の徹底と部品単体ビジネスへの転換を推進しています。また、車載オーガニック(既存事業)は欧州市場の冷え込み等の影響を受けながらも高度な電動化の波が強くなる中、モータ及び周辺部品の需要を着実に取り込み拡販活動を展開しています。なお、2025年1月1日より欧米のマネジメント・オペレーションと生産・購買・人事等の横串機能が充実している家電産業事業本部(ACIM)に車載オーガニック(既存事業)の統合を進め、車載オーガニック事業運営の最適化を進めています。更に2025年4月1日付でニデックモビリティとニデックエレシスを経営統合しました。両社のリソース一体化を図り、強力なソリューションを提供できる体制作りを加速していきます。家電・商業・産業用は、データセンターの非常用電源向けの発電機やグリーンイノベーションの進展に伴うバッテリーエネルギー貯蔵システム(BESS)、社会インフラ更新に伴う大型モータの需要が拡大しています。これらの旺盛な需要に応えるためにインド・フランス・北中米にて生産能力の増強投資を鋭意進めると共に、バリューチェーンの下流領域の保守・点検等のリカーリングビジネスも強化しています。機器装置ではグループ全体の上流での品質の作り込みに直結する工作機械を強化しています。生産体制の集約や営業・サービスの一体運営によるシナジー効果が結実しつつある中、市場も景気変動サイクルにおける低迷期を経て上昇トレンドへの兆しが出始めています。このように新経営体制の下、グループ一丸となってスリー新(新市場、新製品、新顧客)活動を強化した結果、当連結会計年度の売上高、営業利益、税引前当期利益、当期利益のいずれにおいても過去最高を更新しました。更に、当社は2027年度をターゲットとする新中期経営計画(Conversion2027)を策定しました。2025年度より3つの「転換(Conversion)」として、①高収益構造へ「転換」・②成長を支える「事業5本柱」へ「転換」・③真のグローバル体制へ「転換」を設定し、事業ポートフォリオの見直し、拠点統廃合、製造間接中心に人員削減、戦略投資の推進等により収益構造の抜本的転換を図り利益率の改善を目指します。 当連結会計年度における主な経営成績は次のとおりです。 (単位:百万円) 前連結会計年度当連結会計年度増減額増減率売上高2,347,1592,607,813260,65411.1%営業利益161,856238,11676,26047.1%(利益率)(6.9%)(9.1%)--税引前当期利益201,669233,30931,64015.7%継続事業からの当期利益125,395160,87235,47728.3%非継続事業からの当期損失△44△204△160-親会社の所有者に帰属する当期利益124,455164,36539,91032.1% 当期の継続事業からの連結売上高は、前期比11.1%増収の2兆6,078億13百万円となり、過去最高を更新しました。各事業分野・市場において順調に推移し、精密小型モータではニアライン用途を中心にHDD用モータが回復したことやAIデータセンター向け水冷モジュールをはじめとする新分野での売上高が増加しました。また、家電・商業・産業用では発電機やバッテリーエネルギー貯蔵システム(BESS)等のエネルギー分野を中心に売上高が増加したほか、車載及び機器装置における新規連結の影響も含め、売上高が拡大しました。営業利益は、精密小型モータにおけるHDD用モータの回復、新分野となる水冷モジュールの売上拡大、家電・商業・産業用におけるエネルギー分野を中心とした需要拡大が収益改善を牽引しました。一方、家電・商業・産業用及び機器装置において、分散拠点の合理化や生産体制の集約等を推進したことに伴うコスト負担もありましたが、ニデックPSAイーモーターズの連結子会社化に伴う段階取得に係る差益を計上したこと、また前期においてEVトラクションモータ関連事業にて構造改革を計上した影響も含め、前期比47.1%増益の2,381億16百万円となり、過去最高を更新しました。税引前当期利益は、為替差損約141億円を計上した影響も含め、前期比15.7%増益の2,333億9百万円、親会社の所有者に帰属する当期利益は前期比32.1%増益の1,643億65百万円となり、いずれも過去最高を更新しました。当期の対米ドル平均為替レート(1ドル当たり152.58円)は前期比約6%の円安、対ユーロ平均為替レート(1ユーロ当たり163.75円)は前期比約4%の円安となりました。なお、当期の売上高、営業利益への為替影響は下記のとおりです。 - 売上高:前期比約1,007億円の増収- 営業利益:前期比約67億円の増益 セグメント別の経営成績は次のとおりです。(単位:百万円) 総売上高営業損益 前連結会計年度当連結会計年度増減額前連結会計年度当連結会計年度増減額SPMS333,328395,58862,26025,95841,13015,172AMEC339,748350,85411,106△55,694△3,00452,690MOEN463,509577,907114,39861,28570,3199,034ACIM437,990467,77629,78642,64640,647△1,999機械事業207,084220,92413,84028,35317,828△10,525グループ会社事業634,636665,05730,42175,58287,58912,007調整及び消去/全社△69,136△70,293△1,157△16,274△16,393△119連結2,347,1592,607,813260,654161,856238,11676,260 (注)1.総売上高は外部顧客に対する売上高とセグメント間の売上高の合計です。2.第2四半期連結会計期間より報告セグメントの区分を変更しています。詳細は「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 5.セグメント情報」に記載のとおりです。 「SPMS」の総売上高は3,955億88百万円(前年度比622億60百万円増)となりました。これは、HDD用モータ及びAIサーバ向け水冷システムをはじめとする新分野の売上高の増加によるものです。営業利益は411億30百万円(前年度比151億72百万円増)となりました。これは増収の影響に加えて、ニアライン向けHDDモータやAIデータセンター向け水冷モジュールをはじめとする製品構成良化の影響によるものです。 「AMEC」の総売上高は3,508億54百万円(前年度比111億6百万円増)となりました。これは、世界各国の先進安全装置や自動運転に向けた高度な電動化の波が強くなる中、電動パワーステアリング用モータや電動ブレーキブースター用モータ等の需要を取り込んだことによる車載オーガニック(既存事業)売上高の増加及び為替影響による増収です。営業損益は当期に構造改革費用を計上した結果、30億4百万円の営業損失となりました。 「MOEN」の総売上高は5,779億7百万円(前年度比1,143億98百万円増)となりました。これは、発電機等及びグリーンイノベーション関連需要の増加及び為替影響、並びにニデックPSAイーモーターズ連結子会社化の影響によるものです。営業利益は703億19百万円(前年度比90億34百万円増)となりました。これは、増収による影響、固定費の大幅低減、原価改善による増益及びニデックPSAイーモーターズ連結子会社化による段階取得に係る差益の計上等の影響によるものです。 「ACIM」の総売上高は4,677億76百万円(前年度比297億86百万円増)となりました。これは、商業・産業用モータ等の売上増加及び為替影響による増収です。また、営業利益は406億47百万円(前年度比19億99百万円減)となりました。これは、欧州を中心とする分散拠点の合理化等を推進したことに伴う一時的なコスト負担の増加によるものです。 「機械事業」の総売上高は2,209億24百万円(前年度比138億40百万円増)となりました。これは、新規連結の影響による増収です。営業利益は178億28百万円(前年度比105億25百万円減)となりました。これは、前年同期に不動産売却益等の一過性収益があったことに加え、工作機械関連各社の生産体制集約等に伴う一時的な費用発生や生産能力低下によるものです。 「グループ会社事業」の総売上高は6,650億57百万円(前年度比304億21百万円増)となりました。これは、ニデックインスツルメンツやニデックプレシジョンの売上増加によるものです。営業利益は875億89百万円(前年度比120億7百万円増)となりました。これは、売上の増加によるものです。 製品グループ別の経営成績は次のとおりです。 (単位:百万円) 売上高営業損益 前連結会計年度当連結会計年度増減額前連結会計年度当連結会計年度増減額精密小型モータ415,709487,88972,18037,47458,37020,896車載580,909664,62383,714△31,19225,78056,972家電・商業・産業用966,0821,052,65586,573114,874118,3053,431機器装置298,375314,59116,21643,16937,914△5,255電子・光学部品81,83984,4042,56513,21414,039825その他4,2453,651△594349207△142消去/全社---△16,032△16,499△467連結2,347,1592,607,813260,654161,856238,11676,260 「精密小型モータ」製品グループの売上高は、前期比17.4%増収の4,878億89百万円となりました。HDD用モータの売上高は、ニアライン用途を中心とした高付加価値ゾーンでの増加を主因に、前期比41.9%増収の1,002億19百万円となりました。その他小型モータの売上高は、AIデータセンター向け水冷モジュールをはじめとする新分野での売上高が増加した結果、前期比12.3%増収の3,876億70百万円となりました。営業利益は、増収の影響に加えて、ニアライン向けHDDモータやAIデータセンター向け水冷モジュールをはじめとする製品構成良化の影響も含め、前期比55.8%増益の583億70百万円となりました。なお、当期の売上高、営業利益への為替影響は下記のとおりです。- 売上高:前期比約173億円の増収- 営業利益:前期比約12億円の増益 「車載」製品グループの売上高は、車載オーガニック(既存事業)において、世界各国の先進安全装置や自動運転に向けた高度な電動化の波が強くなる中、電動パワーステアリング用モータや電動ブレーキブースター用モータ等の需要を取り込み、前期比14.4%増収の6,646億23百万円となりました。営業利益は、車載オーガニック(既存事業)において、欧州市場の冷え込みに加え、家電産業事業本部(ACIM)の下で抜本的な改善対策に着手したこと、EVトラクションモータ関連事業においては、量産化途上にあるニデックPSAイーモーターズを新規連結化した影響、中国市場での収益性最優先への戦略転換に伴う構造改革の効果に加え、継続的に原価低減や固定費の削減を粘り強く実施した結果、前期比569億72百万増益の257億80百万円となりました。なお、当期の売上高、営業利益への為替影響は下記のとおりです。- 売上高:前期比約232億円の増収- 営業利益:前期比約19億円の減益 「家電・商業・産業用」製品グループの売上高は、データセンターの非常用電源向け発電機やグリーンイノベーションの進展に伴うバッテリーエネルギー貯蔵システム(BESS)や社会インフラ更新に伴う大型モータの需要が拡大しており、前期比9.0%増収の1兆526億55百万円となりました。営業利益は、収益性の改善を目指して欧州を中心とする分散拠点の合理化や生産体制の集約等を進めた結果、先行して一時的なコスト負担が発生したものの、発電機やバッテリーエネルギー貯蔵システム(BESS)をはじめエネルギー分野の拡大に伴う製品構成の良化や為替の影響も含め前期比3.0%増益の1,183億5百万円となりました。なお、当期の売上高、営業利益への為替影響は下記のとおりです。- 売上高:前期比約521億円の増収- 営業利益:前期比約68億円の増益 「機器装置」製品グループの売上高は、新規連結による影響や液晶ガラス基板搬送用ロボットの増収を主因に、前期比5.4%増収の3,145億91百万円となりました。営業利益は、前年同期に不動産売却益等の一過性収益があったことに加え、景気変動サイクルに伴う高収益の半導体検査装置の売上減少や、工作機械関連各社の生産体制集約等に伴う一時的な費用発生や生産能力低下により、前期比12.2%減益の379億14百万円となりました。なお、当期の売上高、営業利益への為替影響は下記のとおりです。- 売上高:前期比約63億円の増収- 営業利益:前期比約5億円の増益 「電子・光学部品」製品グループの売上高は、前期比3.1%増収の844億4百万円、営業利益は前期比6.2%増益の140億39百万円となりました。なお、当期の売上高、営業利益への為替影響は下記のとおりです。- 売上高:前期比約19億円の増収- 営業利益:前期比約1億円の増益 「その他」製品グループの売上高は、前期比14.0%減収の36億51百万円、営業利益は、前期比40.7%減益の2億7百万円となりました。 (3)財政状態の状況NIDECの現金及び現金同等物は、当連結会計年度末は2,462億39百万円であり、前連結会計年度末は2,170億5百万円で292億34百万円増加いたしました。この主な要因は、営業キャッシュ・フローが2,844億28百万円の収入となった一方で、有形固定資産の取得等による投資キャッシュ・フローが1,472億55百万円の支出と、財務キャッシュ・フローが801億93百万円の支出となったことによります。また、手元現金の有効活用のため、日本、中国及び米国等各地域内においてキャッシュマネジメントシステム(CMS)を活用したグループ間での余剰資金活用を継続しており、更に各国を結ぶCMSを既に導入し、全世界ベースでCMS網を拡大させています。なお、当連結会計年度末時点において、現金及び現金同等物の約65%を日本以外の子会社で保有しています。NIDECの資金の効率化を高めるため、海外子会社を含めたグループ間のノーショナルプーリングシステムを特定の金融機関と構築しており、特定の金融機関に対する預入総額を上限に参加会社は借入を行っています。そのため、現金及び現金同等物に含まれる銀行預金には、単一の会計単位として認識したノーショナルプーリングシステムにおける預入金及び借入金の純額が含まれています。グループ会社間での送金には、一部の特定された状況下において制限事項があります。特定地域における送金制限は、資金の効率的なグループ内移動、特に海外子会社から当社への送金を妨害する場合がありますが、後述の継続的なキャッシュ・フロー、外部借入を通じて流動性の需要を満たすように努めています。なお、この制限によるNIDECの流動性や財政状態、経営成績への重大な影響はございません。短期借入金は前年度比507億56百万円増加の937億10百万円となりました。当連結会計年度末時点での短期借入金は主に銀行からの円建の借入で構成されています。当連結会計年度末時点ではコマーシャル・ペーパーの残高はありません。1年以内返済予定長期債務は前年度比207億21百万円増加の1,638億49百万円となりました。これは主に1年内予定長期借入金への振り替えにより214億80百万円増加、1年内返済予定社債への振り替えにより1,314億95百万円の増加、1年内返済予定社債の償還により1,300億円減少したことによります。当連結会計年度末時点での1年以内返済予定長期債務は主に、無担保社債で構成されています。長期債務は前年度比363億30百万円減少の3,784億87百万円となりました。これは主に1年以内返済予定長期社債への振り替えにより1,314億95百万円の減少、借入により717億87百万円の増加、新規連結により465億42百万円増加したことによります。当連結会計年度末時点での長期債務は主に、銀行からの円建の借入及び無担保社債で構成されています。 社債について、期末時点で連結財政状態計算書に含まれる額面総額は次のとおりです。銘柄発行月額面総額償還期限資金使途第11回無担保社債(社債間限定同順位特約付) (グリーンボンド)2019年11月200億円2026年11月電気自動車向けトラクションモータの製造ユーロ建無担保普通社債 (グリーンボンド)2021年3月5億ユーロ2026年3月電気自動車向けトラクションモータの製造第13回無担保社債(社債間限定同順位特約付)2022年7月300億円2025年7月社債の償還及び短期借入金の返済第14回無担保社債(社債間限定同順位特約付)2022年7月200億円2032年7月社債の償還及び短期借入金の返済第15回無担保社債(社債間限定同順位特約付)2022年11月200億円2025年11月社債の償還及び短期借入金の返済第16回無担保社債(社債間限定同順位特約付)2022年11月500億円2027年11月社債の償還及び短期借入金の返済 なお、ユーロ建無担保普通社債を除く上記社債は2019年3月に関東財務局長へ提出した2019年4月5日から2020年4月4日の期間に有効となる3,000億円の社債発行登録書及び2020年4月に関東財務局長へ提出した2020年4月9日から2021年4月8日期間に有効となる3,000億円の社債発行登録書及び2022年4月に関東財務局長へ提出した2022年4月9日から2024年4月8日の期間に有効となる6,000億円の社債発行登録書を基に発行しています。本発行登録は、資金調達手段の多様化による財務安定性の向上を企図し、金融機関からの間接金融による資金調達等と合わせて、NIDECの必要資金を機動的に調達できる体制を構築することを目的としています。NIDECの無担保資金調達の大部分は、当社が調達した後、それぞれのグループ会社の資本要件を満たすために貸与しています。NIDECは、資金調達コストの低減及び十分な信用枠を維持し、グループ会社全体の機動的な資金を確保いたします。NIDECは、将来のM&A、研究開発活動、設備投資のために追加融資を検討しています。また、今後もM&A、研究開発活動、及び設備投資を機動的に行う基盤構築のため、追加的な資金を得ることを検討しています。有価証券報告書の提出日現在において、2025年5月28日から2026年5月27日の期間に13百万株及び350億円を上限とする自己株式取得が決議されています。なお、2024年5月27日から2025年5月26日の期間に10百万株及び350億円を上限とする自己株式取得が決議されています。当プログラムにおいて2024年5月27日から2025年3月31日の期間に約78億円で2,920,300株を取得しています。なお、2024年1月25日から2024年5月24日の期間に4百万株及び110億円を上限とする自己株式取得が決議されています。当プログラムにおいて2024年1月25日から2025年3月31日の期間には自己株式の取得はありませんでした。NIDECは、これらの資金源と営業活動から得るキャッシュ・フロー及び未実行の与信枠は、将来の資金需要に十分対応するものであると考えています。 NIDECの資産合計残高は、前期末(2024年3月末)比1,555億84百万円増加の3兆3,152億93百万円となりました。これは主にニデックPSAイーモーターズの支配権を獲得したことにより、有形固定資産が545億74百万円増加、営業債権及びその他の債権が293億32百万円増加、無形資産が299億21百万円増加したことによります。負債合計残高は、前期末比700億12百万円増加の1兆5,715億円となりました。これは主に売上高の増加に伴い営業債務及びその他の債務が486億41百万円増加し、ニデックPSAイーモーターズの支配権を獲得したことにより有利子負債が351億47百万円増加したことによります。ワーキングキャピタル(流動資産-流動負債)は5,617億87百万円で前年度比202億76百万円の減少となりました。また、売上債権(営業債権及びその他の債権)回転率(売上高÷売上債権)は3.7で、前年度比0.2ポイントの増加となりました。棚卸資産回転率(売上原価÷棚卸資産)は3.7で、前年度比0.4ポイントの増加となりました。親会社の所有者に帰属する持分は、856億68百万円増加の1兆7,171億49百万円となりました。これは主に利益剰余金が1,186億1百万円増加し、在外営業活動体の換算差額を主因にその他の資本の構成要素が246億20百万円減少したことによります。親会社所有者帰属持分比率は51.8%(前期末51.6%)となりました。 (4)キャッシュ・フローの状況①資金需要の状況NIDECの資金需要は、主に設備投資・研究開発費・材料購入のための支払・従業員への給料、賃金やその他人件費の支払・M&A・関係会社に対する投資・長期及び短期債務の返済・自己株式の取得があります。当連結会計年度末時点において、NIDECは営業債務及びその他の債務を5,765億93百万円、短期借入金を937億10百万円、1年以内返済予定長期債務を含む長期債務を5,423億36百万円保有しています。当連結会計年度の設備投資による支払は1,207億11百万円であり、翌連結会計年度は1,400億円を計画しています。また、当連結会計年度末の固定資産購入契約残高は153億51百万円です。当連結会計年度の研究開発活動に係る支出額(無形資産に計上された開発費の支出額を含む)は1,024億85百万円であり、翌連結会計年度も同水準の金額発生を計画しています。当連結会計年度に、NIDECは下記の会社を買収完了しています会社名地域主要な事業内容Linear Transfer Automation Inc.北米プレス周辺機器製造・販売・サービス等Linear Automation USA Inc.北米プレス周辺機器製造・販売・サービス等Presstrader Limited北米プレス周辺機器製造・販売・サービス等 NIDECは今後も子会社への追加投資と新たな買収の機会を模索し続けます。 ②資金調達の状況NIDECの必要資金については、営業活動によるキャッシュ・フローに加えて、良好な取引関係にある複数の金融機関からの借入や、6,000億円の国内社債発行登録枠及び1,000億円のコマーシャル・ペーパー発行枠に基づく社債の発行等により調達を行っており、資金調達手段の多様化を図っています。なお、グループ会社については原則として金融機関からの資金調達を行わず、統括会社のキャッシュマネジメントシステム等を利用したグループ内ファイナンスにより、資金調達の一元化と資金効率化を継続して推進しています。 (5)生産、受注及び販売の実績①生産実績当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。セグメントの名称金額(百万円)前年度比(%)SPMS291,247102.0AMEC297,386110.4MOEN507,084110.0ACIM430,094104.3機械事業183,970103.9グループ会社事業701,870107.9 合計2,411,651106.9 (注)1.金額は販売価格によっており、セグメント間の内部振替前の数値によっています。2.第2四半期連結会計期間より報告セグメントの区分を変更しています。詳細は「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 5.セグメント情報」に記載のとおりです。 ②受注実績当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。セグメントの名称受注高(百万円)前年度比(%)受注残高(百万円)前年度比(%)SPMS393,545118.527,393107.1AMEC346,016101.413,58282.8MOEN638,719134.8402,353117.3ACIM459,505113.862,90794.7機械事業209,68698.5106,66496.0グループ会社事業453,102103.278,21591.9合計2,500,573113.5691,114106.7 (注)1.セグメント間の取引については相殺消去しています。2.第2四半期連結会計期間より報告セグメントの区分を変更しています。詳細は「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 5.セグメント情報」に記載のとおりです。 ③販売実績当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。セグメントの名称金額(百万円)前年度比(%)SPMS391,265118.4AMEC348,685103.0MOEN573,921124.8ACIM462,269108.0機械事業213,386104.4グループ会社事業618,287105.5合計2,607,813111.1 (注)1.セグメント間の取引については相殺消去しています。2.第2四半期連結会計期間より報告セグメントの区分を変更しています。詳細は「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 5.セグメント情報」に記載のとおりです。

事業リスク

ニデックの事業には、いくつかの重要なリスクが存在します。まず、世界的な政治・経済状況の変動、特に米中間の通商問題や地政学的リスクは、需要変動、原材料調達難、サプライチェーンの寸断、為替変動などを引き起こし、業績に影響を与える可能性があります。次に、技術革新や産業構造の変化、特にAIや自動運転技術の進展は、既存製品の需要を減少させるリスクがあります。また、製品の品質問題や内部統制、適正決算に関するリスクも「重大」と評価されており、これらが顕在化した場合、経営成績や財政状態に大きな影響を及ぼす可能性があります。

出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
有価証券報告書「事業等のリスク」の全文を見る(年度切替)
FY2025|16,831 文字
3【事業等のリスク】(1)リスク管理体制と運用状況 NIDECグループでは、グローバルな事業展開における多様なリスクに対し、中長期的な視点と日常的な視点の両方から、事業継続の確保を図っています。そのために、以下に示すとおり、リスク事象の調査・評価、現状対策の実効性確認、改善策の実施といった一連の仕組みを整備しています。 図1 全社リスク管理体制図上記管理体制図に掲載された組織等の役割は、以下のとおりです。 ・取締役会事業年度の冒頭にリスク管理委員会からリスク管理についての基本方針の報告を受け、適正なリスク管理活動を指導・助言します。また、リスク管理に関する責任体制を定めた「リスク管理規程」の改廃に係る承認を行い、リスクガバナンス体制の実効性確保を図ります。・リスク管理委員会リスク管理担当役員を委員長とし、業務執行上の意思決定機関である経営会議のメンバーで構成され、リスク管理方針・施策の決定、取締役会への報告・建議を行います。・リスク管理担当役員全社的なリスク管理を統括し、リスク管理委員会の運営、リスク管理状況の監視、必要な資源配分の検討を行います。・リスク管理室リスク管理委員会の常設事務局として、リスク管理に関する企画立案、各リスク管理者、リスク統括責任部署との間における連絡調整等を担当します。・リスク管理者事業所長、部門長及びリスク管理委員会が別途定める者を担当業務領域についてのリスク管理者とし、その担当業務領域におけるリスク管理の責任を負います。・リスク管理統括部署後述するリスク評価活動の結果を踏まえて決定されたリスク管理領域の本社主管部署をリスク管理統括部署とし、その担当役員をリスク統括責任者とします。リスク管理統括部署は、それぞれの担当領域に係るリスクについてリスク管理者から報告を受け、その対応を支援し、モニタリングします。 (2)リスク調査・評価活動リスク管理室より依頼を受けた本社・グループ会社・事業本部のリスク管理者は、全社リスク管理フロー図(図2)、リスク調査・評価活動階層(図3)に基づき、定期的に事業に影響を及ぼすリスク事象の調査・評価を行います。対象とするリスク事象は、経営戦略リスク、事業運営リスク、ガバナンスリスク、偶発的リスクの4つに分類されます。 図2 全社リスク管理フロー図 上記フロー図内の主なアクションの概要は、以下のとおりです。・リスク特定リスク管理室により任命されたリスク管理者が、毎年度、事業に影響を及ぼす可能性のあるリスク事象を洗い出します。・リスク評価当該リスク管理者は、洗い出されたリスク事象について、全社共通の指標に則り発生可能性と影響度を評価の上、リスクレベルを特定します(図4参照)。リスク評価に当たっては、事象毎にリスクシナリオを検討し、潜在リスクの把握に努めます。・追加リスク低減措置特にリスクレベルが「重大」「高」の場合、現行のリスク管理活動に追加するリスク低減策を立案、実施します。・モニタリングリスク管理委員会で決定したNIDECの経営成績、株価、財政状態等に影響を及ぼす可能性のあるリスク(後述 項番(3)参照)については、KRI (Key Risk Indicator)を定め、モニタリングします。・改善リスク低減策の実施状況を確認の上、必要に応じて改善策を講じます。リスク管理活動の結果を分析し、リスク管理体制や運用状況の継続的な改善を図ります。 図3 リスク調査・評価活動階層 リスク調査・評価に当たっては、現状のリスク管理活動とリスク低減対策の実施状況を確認のうえ、残存リスクのモニタリングを行い、結果をほかの階層の施策に相互利用しています。例えば、L2で特定されたリスクについてはL3でも内容を確認し、その中にL3主導で改善しなければならない全グループ共通の課題を発見した場合は適宜L3のリスク管理活動に反映する等、階層別リスク管理活動を相互に関連づける動きを進めています(図3参照)。 図4 リスクレベル特定マトリックスリスクレベルはリスク対策実施後の残存リスクに対して、発生の可能性と結果の重大性を5段階に分類した上で図4のマトリックスにあてはめ、重大・高・中・低の4段階で評価します。「重大」、「高」に特定されたリスク事象は、追加のリスク低減措置の検討が必須となっており、年度末に低減措置の実施状況をリスク管理室が確認し、課題があればリスク管理委員会に報告されます。 (3)事業等のリスク前掲のリスク評価活動の結果を踏まえて特定された、NIDECの経営成績、株価、財政状態等に影響を及ぼす可能性のあるリスクには、次のようなものがあります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在においてNIDECが判断したものです。 リスク項目リスクレベル前年との比較評価1) 経営戦略リスク ① 政治・経済状況の変動に係るリスク高-② 技術環境・産業構造の変化に係るリスク高増大③ 競合に係るリスク高-④ 先行投資に係るリスク高-⑤ M&Aに係るリスク重大-2) 事業運営リスク ① 高度な専門性を有した人材の採用・保持に係るリスク中増大② 研究開発に係るリスク中低減③ 製品の品質に係るリスク重大-④ 原材料・部品調達に係るリスク中増大⑤ 知的財産権に係る訴訟リスク中-⑥ 情報セキュリティに係るリスク高-⑦ 人権に係るリスク中-⑧ 為替に係るリスク高-⑨ 金利の変動に係るリスク高-⑩ 資金の流動性に係るリスク高-⑪ 繰延税金資産の不確実性に係るリスク中低減3) ガバナンスリスク ① 経営継承に係るリスク高-② 内部統制に係るリスク重大-③ 適正決算に係るリスク重大-4) 偶発的リスク ① 自然災害・人的災害に係るリスク中-② 気候変動に係るリスク高- 上記の各リスク内容、主要な対応策については、次ページ以降をご参照ください。 1)経営戦略リスク①政治・経済状況の変動に係るリスクリスク内容NIDECは、世界40カ国以上に300社を超えるグループ会社を有し、海外売上高比率が約9割に達する等、グローバルに事業を展開しています。そのため、事業を展開する各国・地域における政治・経済情勢の変動が当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。特に、近年の米中間の通商問題に代表される保護主義的な貿易政策の台頭、特定国によるレアアース等の重要な原材料に関する輸出規制、更には国家間の緊張の高まりや地域紛争といった地政学的リスクの顕在化は、以下のような形で当社グループに影響を与える可能性があります。・製品・サービスに対する需要の変動・原材料・部品の調達難や価格高騰・サプライチェーンの寸断や非効率化・製造・物流コストの上昇・為替レートの急激な変動・事業活動の制限や停止これらの事象が複合的に発生した場合、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。主要な対応策上記のリスクによる影響を最小限に抑えるため、以下の対応策を講じています。・事業ポートフォリオの最適化と市場分散特定の国・地域への過度な依存を避け、各市場の特性に応じた事業戦略を展開します。また、成長市場への積極的な進出や製品・技術開発による事業領域の多角化を推進し、リスクの分散を図ります。・地営地開/地産地消体制(メイド・イン・マーケット戦略)の推進主要市場において、開発・生産・販売・サービスまでの一貫体制を構築し、現地顧客のニーズに迅速に対応すると共に、関税等の貿易障壁や地政学的変動による影響を低減します。・サプライチェーンの強靭化と多元化重要部品や原材料については、特定の調達先に依存しないよう、複数購買化や代替サプライヤーの開拓を常時進めます。また、生産拠点の最適配置や在庫管理の高度化を通じて、サプライチェーン全体の柔軟性と耐性を向上させ、不測の事態にも対応できる体制を構築します。・情報収集体制の強化と迅速な意思決定各国・地域の政治・経済動向、通商政策、法規制の変更等に関する情報を適時的確に収集・分析し、経営判断に活かす体制整備に取り組みます。必要に応じて、生産拠点の移管や事業戦略の機動的な見直しを検討します。 ②技術環境・産業構造の変化に係るリスクリスク内容急速な技術革新や産業構造の変化は、NIDECのビジネスモデルに深刻な影響を与える可能性があります。特に、AIの進化や自動運転技術の進展に伴い、従来の製品に対する需要が急激に減少する可能性があります。例えば、電動モータやセンサ技術の進化が、従来の機械部品の需要を脅かすことが考えられます。また、競争が激化する中で、新たな市場プレイヤーの台頭や技術の急速な進化が、NIDECの市場シェアを脅かす要因となる可能性があります。これらの変化に対して適切に対応できない場合、売上や利益の減少を招く恐れがあります。主要な対応策技術環境・産業構造の変化に対して適切な措置を取れるよう、以下の対応策を講じています。・研究開発部門の強化次世代技術の開発に注力することで、新たな市場ニーズに迅速に対応します。・外部技術の導入や共同開発の促進他社との戦略的提携やアライアンスを積極的に進め、競争力を高めます。特に、スタートアップ企業との連携を強化し、革新的な技術を迅速に取り込む体制を整えます。・顧客ニーズの把握顧客ニーズの変化を的確に把握するためのマーケティングリサーチを強化し、製品ポートフォリオの見直しを行います。・技術者の力量向上社内の技術者や専門家による定期的なワークショップを開催する等最新技術に関する知識を全社で共有し、技術環境の変化に対する柔軟性を高めます。 ③競合に係るリスクリスク内容NIDECは、事業を行う様々な市場で激しい競争にさらされており、特に車載、家電市場においては、新興国の地場メーカーの台頭で競争が激化する傾向が継続しており、以下のような状況において、NIDECの競争力や収益性が低下する可能性があります。・競合他社がNIDECの技術開発を上回る速度で新製品を投入し、市場での優位性を確保する場合・原材料価格の急騰や供給網の混乱によりコスト削減が困難になり、価格競争において不利な立場に置かれる場合・競合他社が新たなビジネスモデルやサービスを導入し、顧客の選択肢が増加することで、NIDECの製品に対する需要が減少する場合・業界の再編成が進み、競合他社の合併や提携によって、NIDECの競争環境が一層厳しくなる場合・国際市場において、地域特有の規制やニーズに適応できず、競争力を失う場合主要な対応策市場動向を踏まえた以下5つの注力事業領域を設定し、グループ内の協業・シナジーの最大化を図ることで競争優位性を確保します。・AI社会を支える・サステナブル・インフラとエネルギーの追求・産業の生産効率化・より良い生活の追求 ー Better Life・モビリティ・イノベーション5つの注力事業領域別の当社の取組は、統合報告書2024の8~10頁をご参照ください。(https://www.nidec.com/jp/sustainability/integrated-report/2024/) ④先行投資に係るリスクリスク内容NIDECは、需要の拡大を予測した場合、受注に先駆けて生産設備を拡張したり、リードタイムを考慮して部品や材料を先行発注することがあります。これには以下のリスクが伴います。・需要が予測を下回った場合、固定資産の稼働率が低下し、減価償却費の増加や過剰在庫の発生による棚卸資産の評価減が生じ、経営成績に悪影響を及ぼすリスク・競合他社の新製品や技術革新により、当社の製品が市場で競争力を失う可能性があり、その結果として市場シェアが減少するリスク・経済環境の変化や顧客のニーズの変動により、計画した投資が期待したリターンを得られないリスク・需要を過小に見積り必要な設備投資を行わなかった場合、顧客の要求を満たせずシェアを失うリスク主要な対応策持続可能な成長を目指し、以下の対応策を講じています。・ROIC(投下資本利益率)経営ROICを経営指標のひとつとして導入し、ROIC12%以上の達成を目標に掲げ、収益性と資本効率の両面から改善活動を推進します。・投資判断に資する新たな仕組みの導入投資判断に当たり、相対的に収益率の高い事業分野や将来の成長が見込める分野を明確にし、事業により創出した資金を最適に配分できるよう、事業ポートフォリオ戦略を支える新たな体制を構築します。 ⑤M&Aに係るリスクリスク内容NIDECは、事業の成長に必要な技術、製品、販売網、顧客基盤を所有する他社の買収や他社への資本提携を通じて大幅な成長を達成していきました。買収や出資活動を継続的に成功させることは、NIDECの事業戦略を達成する上で極めて重要な要素です。市場が急速に変化する中で、ビジネスモデルの転換に必要な技術を適確に選択・買収することが出来なかった場合に、市場の成長スピードに追随できなくなる可能性があります。また、適切な買収や出資の対象会社を見つけることができない場合、そのことがNIDECの事業、経営成績、財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。買収した資産に関して、買収した事業の効率的な統合により得られる将来の収益力を適切に反映したものと考えていますが、事業環境の悪化等により予想どおりの収益が得られないと判断された場合、NIDECはこれらの資産について減損を認識しなければならず、NIDECの経営成績、財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。更に、同意なき買収等の新たな買収施策を講じることにより、当社買収方針に対するネガティブキャンペーン等によるレピュテーションリスク発生の可能性があります。主要な対応策M&Aリスク低減のため、以下の対応策を講じています。・買収対象企業は、当社事業戦略に沿った企業を選定・事前調査を徹底し適正価格で買収・買収後の迅速かつ徹底したPMI・当社の経営理念や経営手法を全従業員に深く浸透させ、当社グループ入りによるシナジー効果を創出しながら、買収対象企業の企業価値を向上してのれん減損リスクを極小化・M&A活動に係るメディアコミュニケーション等の広報戦略の事前準備 2)事業運営リスク①高度な専門性を有した人材の確保・保持に係るリスクリスク内容NIDECは、目指す姿である「100年を超えて成長し続けるグローバル企業」、「人類が抱える多くの課題を解決する世界No.1のソリューション企業集団」を実現するためには、高度な専門性をもつ優れた人材、グローバルに活躍できる人材の確保が不可欠であると考えています。人材の流動化や少子高齢化等により人材の獲得競争の激化が懸念される中、これらの人材を確保できなければ、競争優位性を失い、事業成長に悪影響を及ぼす可能性があります。また、優秀な人材の流出が続く場合、独自技術の流出や長期的な競争力の低下を招く恐れもあります。主要な対応策高度な専門性を有した人材の採用・保持のため、以下の対応策を講じています。・戦略的な人材採用事業部門の要望を適切に吸い上げ、ターゲットを明確にした採用計画を策定しています。特に新卒採用においては大学や専門機関との連携の強化や、部門とも協力したインターンシッププログラムを通じて優秀な人材の早期獲得を行っています。・キャリア開発支援上司・若手向けキャリア研修やキャリアプランシートを活用した上司とのキャリア面談を通じて、社員のキャリア開発を支援しています。また、社内公募等の機会を定期的に設け、社員の自律的なキャリア形成を後押ししています。・スキル開発支援社員の現在や今後の業務に役立つ知識・スキルの習得を支援するためのプログラムを導入し、社員のスキル開発を支援しています。・グローバル人事戦略コミッティ事業・地域の枠を超えた適所適材を実現すべく、専門性を有した人材の発掘・開発等グローバルに優先すべき人事課題や施策について、事業・地域の人事キーパーソンが集まり、議論・推進しています。 ②研究開発に係るリスクリスク内容急速な技術革新が求められる事業環境にあって、NIDECが市場の変化や技術トレンドを適切に把握できず、研究開発の成果を市場に迅速に投入できなければ、競合他社に対して劣位に立たされ、製品の競争力が低下し、売上の減少や市場シェアの喪失を招く可能性があります。また、研究開発活動が期待通りの成果を上げられなかった場合、企業全体の成長戦略に深刻な影響を及ぼし、経営成績や財政状態に悪影響を及ぼすリスクが高まります。主要な対応策研究開発に係るリスク低減のため、以下の対応策を講じています。・グループシナジーの推進研究開発活動においてもグループシナジーを追求し、高度化、スピード化を図っています。ニデック新川崎テクノロジーセンター、ニデック製品技術研究所台湾センターにおけるモータ全般の要素技術研究、ニデックけいはんなテクノロジーセンターにおける生産技術の進化に主軸を置く研究開発等はその一例です。・技術戦略コミッティの設置研究開発機能のグループ横串となる技術戦略コミッティを中心に、市場・技術・顧客動向の予測と要求に沿った新製品・ソリューションの開発に係る課題の見える化、対応をモニタリングし、One NIDECで研究開発に係るリスク管理に当たります。 ③製品の品質に係るリスクリスク内容近年、顧客の製品品質に対する要求レベルが高度化してきています。安全で高品質な製品を提供できない場合、製品自体の故障のみならず物損や人命に係る事故へ繋がる可能性があります。このような問題がNIDECの製品を原因として発生した場合、顧客からの求償要求や訴訟、リコールや行政処分に繋がる恐れがあり、その結果として、不良品回収・修理等の損失費用支払い、ブランドイメージの悪化による販売の落込みが発生し、財務的な負担や人的資源の喪失によってNIDECの経営に深刻な悪影響を与えることが懸念されます。主要な対応策製品の品質に係るリスク低減のため、以下の対応策を講じています。・品質保証体制の構築による品質ガバナンスの強化NIDECグループ全体の品質保証を統括するCQO(Chief Quality Officer)とその実働部隊であるグローバル品質統括本部を設置し、CQOを頂点として事業本部及びグループ各社の品質保証責任者を繋ぐ品質保証体制を構築することによって、品質面でのガバナンス強化を図っています。・品質横串活動の推進NIDECグループ全体の品質保証部門が参加する品質会議を定期的に開催し、品質状況や好事例及びトラブル事例等を共有することを通じて、継続的かつ全社的な改善活動を推進しています。・国際規格に準拠した品質マネジメントシステムの構築と運用製品に応じた国際規格(ISO9001、IATF16949等)に基づいた品質マネジメントシステムを構築、運用することにより、製品品質の維持・向上を図っています。 ④原材料・部品調達に係るリスクリスク内容NIDECは、製品の製造に必要な原材料及び部品の多くを外部から調達していることから、それらの需給環境が極端に悪化すると生産計画や納期にも深刻な影響を与える恐れがあります。また、原材料の種類や部品の使用条件等に関わる各国政府政策の変更や、顧客による調達方針の変更により、原材料・部品調達に支障をきたす可能性があります。主要な対応策原材料・部品調達に係るリスク低減のため、以下の対応策を講じています。・サプライヤーのマルチソース化特定の供給先に依存しない体制を構築しています。これにより、特定の原材料や部品の供給が途絶えた場合も、ほかの供給元から迅速に調達できるようにしています。尚、サプライヤー選定に当たっては、環境、人権、労働環境、資源入手可能性への配慮を事前確認しています。・突発的な需要変動への対応重要な原材料については、長期契約を締結し、価格変動や供給不足のリスクを軽減しています。更に、在庫管理の最適化を図り、必要な資材を適切に確保することで、突発的な需要変動にも対応できるよう努めています。 ⑤知的財産権に係る訴訟リスクリスク内容NIDECは、自社技術及びその他の知的財産を、特許権、意匠権、商標権、著作権、営業秘密等の知的財産権として保護しています。しかし、以下のようなリスクが存在します。・当社が第三者の知的財産権を侵害し、事業の差し止め、損害賠償、特許使用料を求められるリスクがあります。・第三者により当社の知的財産権が侵害されることで、事業活動が阻害され、競争力が低下するリスクがあります。・各国の法制度の違いにより、既存の知的財産権が無効になる等で十分に事業が保護されないリスクがあります。主要な対応策知的財産に関連するリスクを最小限に抑えるため、以下の対策を講じています。・製品開発の初期段階から第三者の知的財産権に対する包括的かつ継続的な調査を徹底し、第三者の知的財産権を侵害するリスクの排除を行っています。必要に応じ、外部の法律事務所と連携し、迅速かつ適切な対応を図っています。・当社の独自技術保護による競争力維持のため、コア技術に関する積極的な知的財産権の取得、維持管理、他社製品の監視、事業活動の保護対応を行うと共に、従業員に対する情報管理教育を徹底、機密情報の流出を防止しています。・各国の知的財産権の法制度に応じた適切な知的財産権の取得、維持管理を行うことで、国際的な事業の保護を強化しています。これらの対策により、NIDECは知的財産に関連するリスクを最小限に抑え、持続的な事業成長を目指します。 ⑥情報セキュリティに係るリスクリスク内容NIDECは、顧客、取引先、従業員に関する機密情報や個人情報を広範に取り扱っています。これらの情報を適切に取り扱うことは、競争上の優位性を確保し、顧客との信頼関係を維持するために不可欠です。情報の管理を巡ってはサイバー攻撃被害や内部の者による不正行為、あるいは人的ミス等により生じる情報セキュリティリスクが存在します。特に情報漏洩が発生した場合NIDECは法的責任を負う可能性があり、これにより多額の賠償金や罰金が発生する恐れがあります。また顧客や取引先からの信頼を失うことで、売上の減少や市場シェアの低下を招き、企業のブランドイメージにも深刻な影響を与えることになります。このような事態はNIDECの持続的成長や経営の安定性に重大なリスクをもたらすことになります。主要な対応策情報セキュリティに係るリスク低減のため、以下の対応策を講じています。・グループ横断のセキュリティ管理体制の構築(情報セキュリティ専任チームの設置、情報セキュリティ委員会による活動の監視、情報セキュリティ管理責任者及び情報セキュリティ推進責任者の設置)・社員に対する情報セキュリティ教育の実施・サイバー攻撃の標的にされやすいVPN(Virtual Private Network;仮想専用通信網)機器の脆弱性点検と是正措置の実施・サイバー攻撃被害を想定した初期動作と対応体制、組織間のコミュニケーション等をあらかじめ定めた「インシデント対応マニュアル」の整備と定期的な訓練の実施 ⑦人権に係るリスクリスク内容人権に関する社会的責任が重視されている昨今、特に労働環境、サプライチェーンにおける強制労働や児童労働、差別問題がクローズアップされており、これらの問題に対する企業の姿勢も企業価値を測る評価項目となっています。人権問題への社会的責任を果たさない企業に対する評価は厳しく、これらの問題への対策が不十分な場合には法的制裁やブランド価値の棄損、売上や市場シェアへの影響が懸念されます。主要な対応策NIDECは、国際ガイドラインに基づき人権尊重の重要性を認識し、強制労働や児童労働の禁止、差別の排除、適切な労働条件の確保に取り組むと共に、サプライチェーンを活かしてビジネスパートナーやサプライヤーも含めた取り組みを行っています。具体的な活動は以下のとおりです。・「NIDECグループ人権基本方針」の策定・更新・啓発2021年には「NIDECグループ人権基本方針」を策定し、全役員と従業員、ビジネスパートナーやサプライヤーにも周知し、遵守を促しています。また、2024年には社会情勢等を踏まえ、本基本方針を改定し、常に企業として必要な取り組みの見直しを行っています。・人権影響評価の実施人権影響評価を実施し、事業活動に関連する人権への影響の特定・評価に努めています。2023年度には、NIDECグループの約300拠点に人権に関するセルフアセスメント(SAQ)を実施しています。またサプライヤーに対しても人権に関する設問を含んだSAQを行い、2024年度は1000を超えるサプライヤーから回答をいただきました。この回答結果から、特に人権を中心とした詳細な評価、分析を実施しました。分析からリスクが大きいと判断したサプライヤーに対しては、個別のヒアリングや調査を行い改善活動につなげると共に、人権に関する教育資料を展開しサプライヤーの理解促進を行っています。・人権への取組体制整備定期的なモニタリングや教育・研修を通じて職場環境の改善や人権意識の向上を図り、問題発生時には迅速に是正・救済に取り組む体制を整えています。また、社長を議長とするサステナビリティ推進会議及び担当部門により構成される人権分科会の日々の活動を通じて、負の影響の停止・防止・軽減を図っています。人権分科会の取り組みは取締役で構成されるサステナビリティ委員会により監督されており、定期的に報告されています。また、サステナビリティ委員会への報告事項はサステナビリティ委員長より、取締役会に報告されます。 ⑧為替に係るリスクリスク内容当社の事業はグローバルに展開しており、売上の多くが日本円以外の通貨(米ドル、ユーロ、中国元、タイバーツ等)で構成されています。このため、為替レートの変動は当社の業績に直接的な影響を及ぼす可能性があります。特に円高が進行した場合、海外での売上が円換算で減少し、結果として営業利益や当期利益が圧迫されることになります。また、海外子会社の業績を連結財務諸表に統合する際、為替変動による影響が大きく、特に新興市場における通貨の不安定さがリスク要因となります。更に、外貨建ての資産や負債の変動が為替差損益を引き起こし、財務状況に悪影響を与えることも懸念されます。主要な対応策為替リスクを軽減するため、以下の対応策を講じています。・売上と仕入の外貨建て取引を相殺し、ナチュラルヘッジを活用します。・定期的に為替リスクの状況をモニタリングし、必要に応じて取引通貨の見直しを実施しています。・海外市場における多様な通貨での取引を行い、特定通貨への依存度を低下させることでリスク分散を図ります。 ⑨金利の変動に係るリスクリスク内容NIDECは、固定金利や変動金利の長期債権、短期債権、及び有利子負債を保有しており、これらの金利の変動が資金調達コストや投資収益に重大な影響を及ぼす可能性があります。金利が上昇する場合、借入コストが増加し、これが直接的に利益率やキャッシュ・フローに悪影響を及ぼす恐れがあります。主要な対応策金利変動リスク低減のため、以下の対応策を講じています。・金利スワップや金利オプション等のデリバティブ商品を活用し、予測可能な資金調達コストを確保します。・定期的に金利の動向をモニタリングし、資産及び負債の構成を見直すことでリスクの分散を図ります。また、金利に敏感な資産や負債の比率を最適化します。・長期的な資金計画においては、複数のシナリオを想定したストレステストを実施し、金利変動に対する耐性を評価することで、迅速な意思決定を支援します。・経済動向や金融政策の変化を注視し、必要に応じて資金調達戦略を柔軟に見直します。 ⑩資金の流動性に係るリスクリスク内容NIDECは、事業の成長や運営に必要な資金を、主に金融機関からの借入や資本市場からの調達に依存しています。金融市場の変動や経済環境の不確実性により、金融機関による貸付条件の厳格化や、資金調達の機会が制限されるリスクがあります。特に、グローバルな経済状況が悪化した場合、信用格付けの低下や投資家のリスク回避行動が強まり、必要な資金を適切な条件で調達できない可能性が高まります。このような状況下では、運転資金の不足や設備投資の遅延が生じ、結果として事業の成長戦略や競争力に深刻な影響を及ぼすことがあります。また、資金調達コストの上昇や資金繰りの悪化が、財務状況の悪化を招く懸念もあります。主要な対応策資金の流動性リスク低減のため、以下の対応策を講じています。・資金調達の多様化銀行融資や社債発行等の資金調達手段を検討し、資金源を広げます。特に、長期的な資金計画を策定し、短期的な資金需要に対するリスクを軽減するためのストレステストを定期的に実施します。・運転資金の効率的な管理在庫管理や売掛金の回収プロセスを見直すことで、キャッシュ・フローを安定化させ、急な資金需要にも迅速に対応できる体制を構築します。・信用格付けの維持・向上財務健全性を重視した経営を推進し、透明性の高い財務報告を行います。・グローバルなキャッシュ・マネジメント・システム各地域の余剰資金を集約することで、資金の効率的な配分を図ります。 ⑪繰延税金資産の不確実性に係るリスクリスク内容NIDECは、繰延税金資産が将来の課税所得から回収可能であるかどうかを継続的に評価する必要があります。経済情勢の変化や業績の悪化、又は新たな規制の導入があった場合、繰延税金資産の回収可能性が大きく影響を受ける可能性があります。このため、当社が繰延税金資産の一部又は全てについて回収不能と判断するリスクが存在し、その結果、利益が減少することが予想されます。特に、競争の激化や市場の変動が影響を及ぼす要因となり、当社の財務健全性に対する圧力が高まることが懸念されます。主要な対応策繰延税金資産の不確実性リスク低減のため、以下の対応策を講じています。・繰延税金資産の回収可能性に関する定期的な評価を実施し、業績や市場動向に応じた引当金の見直しを行うためのフレームワークを整備します。・税務戦略の策定においては、将来の課税所得の見込みを精緻に分析し、シナリオプランニングを通じてリスクを可視化します。・専門の税務アドバイザーと連携し、最新の税制改正や業界動向に基づいた情報収集を強化し、迅速な意思決定を支援する体制を構築します。 3)ガバナンスリスク①経営継承に係るリスクリスク内容NIDECの継続的な成功は主にNIDECの創業者である永守重信氏の能力と手腕に依存してきました。様々な経済的・政治的なリスクが顕在化している昨今の状況下において、NIDECの創業精神でもある「すぐやる、必ずやる、できるまでやる」という成長を牽引する原動力となる新たなリーダーを輩出することができない場合、そのことがNIDECの事業、経営成績、財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。主要な対応策NIDECでは創業者依存から脱却し、集団経営体制の強化を図るため、グループ全体の重要ポストの可視化を進め、経営幹部候補人材の「発掘・開発・動機付け」に力を注いでいます。具体的な取り組みは以下のとおりです。・発掘経営幹部がサクセッションプラン(後継者計画)の妥当性を議論し、安定・継続的な組織運営に努めています。更に、当社の社長ポストをはじめとした特に重要な一部のポストについては、2022年11月に「指名委員会」を設置し、経営層(取締役・執行役員)の選任に繋がる仕組みを構築しています。また、次世代の経営幹部候補を発掘すべく、サクセッションプランを参考に、特に地域や事業を跨いで開発すべき人材の特定をグローバル人事戦略コミッティを中心に進めています。・開発それぞれの事業本部の中での人材開発を基本としつつも、特に地域や事業を跨いで開発すべき人材については、更なる開発施策を提供しています。(例)企業再建や抜擢登用等のタフアサインメント当社理念や経営マインドの浸透を目的とした創業者による育成塾グローバル企業のトップとして高いレベルの経営知識習得を目的としたグローバル経営大学校※グローバル経営大学校については、グローバル人事戦略コミッティ発足後、更なる改善に向けて取り組みの見直しを進めています。・動機付け経営幹部及び幹部候補人材の発掘・開発のみにとどまらず、動機付けを行うことも、集団経営体制の強化を図る上で重要となります。上記の開発施策の提供のほか、各種報酬の仕組みの定期的な見直し等を通じて動機付け・定着を図っています。更に2025年4月1日付けで役員体制の見直し及びチーフオフィサー制の強化を実施しています。CxOを中心に新たにグローバル本社体制を構築し、創業者の強いリーダーシップによる経営から仕組み化された組織機能体制とすることで、各事業部門リーダーと各機能リーダー(CxO)が連携して、今後の様々な事業課題の解消に向けてスピーディーかつ大胆な改革を推進していく経営体制とします。 ②内部統制に係るリスクリスク内容(過年度の開示すべき重要な不備)当社グループは、コンプライアンス遵守、財務報告の適正性確保を達成するために内部統制システムを整備し、運用してまいりましたが、過年度決算において当社の連結子会社において、連結決算手続における当社グループの連結子会社間取引を伴う売上高等の連結調整の一部について調整対象を誤認し、売上高が過大に計上されていることが判明し、2023年3月期及び2024年3月期の決算・財務報告プロセスの内部統制上、開示すべき重要な不備に該当すると判断しました。当社は、財務報告に係る内部統制の重要性を十分に認識しており、前連結会計年度末における財務報告に係る内部統制の開示すべき重要な不備を是正するために、以下の再発防止策を実行し、内部統制の改善状況を確認してまいりました。(1)他の関連した問題の識別や会計処理及び表示の改善を行うための、過年度に開示した書類及び訂正された連結財務諸表に含まれる連結決算仕訳に対しての詳細なレビューの実施(2)連結決算手続に係る方針の更新、連結子会社間取引に関連する調整対象案件を特定する際に必要な正確かつ網羅的な情報を把握するための体制の強化、並びに連結決算処理に対する検証及び承認権限者による承認手続に重点を置いた研修の実施(3)当社及び子会社の経理財務責任者による連結決算手続に対する包括的なモニタリング機能の強化及び決算・財務報告プロセスにおける連結子会社間取引の調整に関する査閲・承認手続の強化その結果、前連結会計年度末における開示すべき重要な不備について、当社は当連結会計年度において、開示すべき重要な不備が解消し、当該内部統制の評価結果は有効であると判断しました。当社は、再発防止の取り組みを今後も継続的に実行し、内部統制の強化を図ってまいりますが、内部統制に本質的に内在する固有の限界があるため、今後、上記の対応が有効に機能しなかった場合には、当社グループの財務報告の信頼性に影響が及ぶ可能性があります。(当連結会計年度の開示すべき重要な不備)また、当社の連結子会社において、製造したモータの原産国申告の誤りに伴う未払関税額の過少計上が判明し、2025年3月期の全社的な内部統制及び経理決算プロセスの内部統制上、開示すべき重要な不備に該当すると判断しました。当社としましては、財務報告に係る内部統制の重要性を十分に認識しており、開示すべき重要な不備を是正するために、当社グループにおいて、以下の再発防止策を速やかに策定、実行することで財務報告の信頼性を確保しましたが、今後開示すべき重要な不備が再度発生した場合には、当社グループの財務報告の信頼性に影響が及ぶ可能性があります。 ②内部統制に係るリスク主要な対応策当社は、コンプライアンス重視の経営を行っていくほか、財務報告に係る内部統制の整備及び運用を重要な経営課題のひとつとして位置付け、グループを挙げて関係会社の管理体制等の点検・改善等に取り組むことにより、これらのリスクの回避及び最小化に努めております。また、2025年3月期の全社的な内部統制及び決算プロセスの内部統制上識別した開示すべき重要な不備を是正するため、以下の対応策を策定しています。なお、第三者委員会による調査及びその他の社内調査等の結果、以下の対応策に変更が生じる可能性があります。 (1)コンプライアンス最優先の意識/企業風土の醸成・当社取締役会から当社グループ内に対する明確なメッセージの発信・人事処分を通じたコンプライアンスを最優先にした対応の必要性の周知徹底・法務コンプライアンス部門の機能強化・権限強化(2)組織・体制の強化・貿易コンプライアンス体制の強化・グローバルガバナンス体制の強化(3)手順・規程・仕組みの改善・当社グループのレポーティングラインの改善・当社グループの法務コンプライアンス部門間の情報共有・内部統制の適切な整備(4)人事処分・適切な人事処分の実施 ③適正決算に係るリスクリスク内容当社は、当社及びグループ会社の経営陣の関与又は認識の下で、資産性にリスクのある資産に関する評価減の時期の恣意的な調整などの連結財務諸表全体又は財務諸表全体に重要な影響を及ぼす可能性のある不適切な会計処理の疑義を認識したため、当社から独立した第三者委員会による客観性のある調査を行う必要があると判断し、2025年9月3日に日本弁護士連合会が定める「企業不祥事における第三者委員会ガイドライン」に準拠した第三者委員会を設置しました。また、これとは別に、当社は、貿易取引及び関税に係る諸問題等の社内調査等を実施しています。現時点において、第三者委員会による調査及びその他の社内調査等は継続中であり、調査により虚偽表示が識別された場合には、連結財務諸表又は財務諸表に重要かつ広範な影響を及ぼす可能性があります。第三者委員会による調査及びその他の社内調査等の詳細につきましては、連結財務諸表の「連結財務諸表注記」(第三者委員会による調査及びその他の社内調査等について)及び財務諸表の「注記事項」(第三者委員会の調査及びその他の社内調査等について)に記載しています。主要な対応策当社は、第三者委員会による調査及びその他の社内調査等の一環としての外部専門家による調査に対し、全面的に協力してまいります。現時点において、第三者委員会による調査及びその他の社内調査等は継続中です。第三者委員会等からの調査報告書を受領次第、再発防止策の策定及び実施を迅速に行います。また、過年度及び当年度の財務諸表に訂正すべき重要な虚偽表示が識別された場合には、過年度及び当年度の有価証券報告書の訂正等を含め、適切な対応を行う方針です。その際には、訂正の内容、影響額等を速やかに開示します。 4)偶発的リスク①自然災害・人的災害に係るリスクリスク内容NIDECが事業を展開する国内外の地域において、自然災害(地震、台風、洪水等)や人的災害(戦争、紛争、テロ等)は、企業活動に深刻な影響を及ぼす可能性があります。特に、主要な製造拠点やサプライチェーンが集中する地域で大規模な災害が発生した場合、製品の生産や供給が停滞し、顧客への納品遅延や生産コストの上昇を招く恐れがあります。また、これに伴い、企業のブランドイメージや顧客信頼度が低下し、長期的な収益に悪影響を与える可能性があります。主要な対応策自然災害・人的災害に係るリスク低減のため、以下の対策を講じています。・リスクモニタリング世界の各拠点に設置したリスク管理者を中心に、事業継続を妨げる要因の早期の察知と的確な対応に努めています。・リスク分散生産拠点の地理的分散やサプライチェーンの二重化により、災害発生時の影響を最小限に抑えることに努めています。・リスク転嫁損害保険を付保し、損害発生時の財務的な影響の低減を図ります。・事業継続管理事業の中断に備え、「BCP(Business Continuity Plan: 事業継続計画)基本方針」を整備し、国内外の拠点で訓練を実施しています。 ②気候変動に係るリスクリスク内容気候変動は、企業の持続可能性や競争力に対する重大な脅威であり、特に製造業においてはその影響が顕著です。以下に挙げるリスク事象の現実化はNIDECの財務状況に重大な悪影響を及ぼす可能性があります。気候変動に係るリスクの詳細及び対応策につきましては「第2 事業の状況 2サステナビリティに関する考え方及び取組(参考)事業インパクトの大きい気候変動リスク・機会及び対応策」をご参照ください。主要な対応策「第2 事業の状況 2サステナビリティに関する考え方及び取組(参考)事業インパクトの大きい気候変動リスク・機会及び対応策」をご参照ください。

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