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冨士ダイス(6167)は何で稼いでいるか — 事業の柱と依存度

機械 機械

事業の概要

  • 超硬合金製品の製造販売: 冨士ダイスグループは、超硬合金という非常に硬い特殊な金属を用いた耐摩耗工具や、その素材となる超硬合金チップの製造販売を主要事業としています。超硬合金は、タングステンカーバイドなどの硬い金属炭化物とコバルトなどの鉄系金属を混ぜて高温で焼き固める「粉末冶金法」で作られ、鋼よりも硬く変形しにくい特性を持ちます。この特性を活かし、高精度で長寿命な工具や金型を提供しています。
  • 耐摩耗工具の提供価値: 超硬合金製の工具は、一般的な鋼製工具に比べて摩耗や変形が起こりにくいため、顧客の生産工程において加工速度や精度を向上させ、生産性改善に大きく貢献します。主に自動車部品、鉄鋼、非鉄金属、飲料缶、電機・電子部品など幅広い産業分野で使用されており、顧客の多様なニーズに応えることで収益を上げています。
  • カスタムメイドと一貫生産体制: 顧客の生産工程や使用環境は多岐にわたるため、耐摩耗工具のほとんどは顧客ごとのカスタムメイドです。冨士ダイスグループは、国内10箇所、海外5ヶ国に営業拠点を配置し、約100名の営業担当者が顧客と密に連携。さらに、原材料の調達から粉末混合、成形・焼結、精密加工、検査まで、全ての工程をグループ内で完結させる一貫生産体制を構築し、多品種少量生産に効率的に対応しています。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
セグメント構成
  • 耐摩耗工具関連事業: 冨士ダイスグループは、超硬合金を用いた耐摩耗工具及びその素材である超硬合金チップの製造販売を主たる事業としています。この事業は、超硬製工具類、超硬製金型類、その他の超硬製品、そして超硬以外の素材を用いた製品に分類されます。単一セグメントであるため、セグメント情報の詳細な記載は省略されています。
  • 主要製品と用途の多様性: 主力製品には、線材やパイプの生産に用いる「ダイス、プラグ」、自動車部品製造用の「自動車部品生産用金型」、飲料缶などの容器製造に用いる「製缶金型」、各種金型・工具の素材となる「超硬合金チップ」などがあります。これらの製品は、輸送用機械、鉄鋼、非鉄金属、飲料缶、電機・電子部品など、幅広い産業分野で使用されており、多様な顧客ニーズに対応しています。
  • グローバルな事業展開: 冨士ダイスグループは、日本国内だけでなく、中国、タイ、インドネシア、マレーシア、インド(休眠中)といったアジア諸国にも子会社や営業拠点を持ち、グローバルに事業を展開しています。これにより、各地域の経済成長を取り込みつつ、多様な市場からの需要に対応できる体制を構築しており、地域分散によるリスクヘッジも図っています。
有価証券報告書「事業の内容」の全文を見る(年度切替)
FY2025|4,341 文字
3 【事業の内容】 当社グループは、当社及び子会社7社(国内法人2社、海外法人5社)で構成され、超硬合金を用いた耐摩耗工具及びその素材である超硬合金チップの製造販売を主たる事業としております。 なお、当社グループは耐摩耗工具関連事業の単一セグメントであるため、セグメント情報の記載を省略しております。  (1) 当社グループの事業概要並びに生産、営業及び研究開発の体制①当社グループの事業概要 当社グループは、創業以来、超硬合金を用いた耐摩耗工具を専門に取り扱い、工具・金型に対する高精度化、長寿命化のニーズに応え、実績を重ねてまいりました。 超硬合金は、タングステンカーバイドに代表される硬質の金属炭化物と、コバルトなどの鉄系金属を粉末状にして混ぜ合わせ、型に入れて成形し、高温で焼き固める方法(粉末冶金法)によって作られる合金であり、鋼よりも硬く、変形しにくいという特性を有しています。上記の方法で作られる超硬合金は、精密加工が施されて、主に塑性(切屑の出ない)加工に用いられる高精度かつ耐摩耗性に優れた工具・金型(耐摩耗工具)となるほか、一部は中間製品である超硬合金チップとしても販売されます。 超硬合金を用いた耐摩耗工具は、一般的に用いられる鋼製の工具等よりも摩耗、変形しにくいため、生産工程に効果的に用いることにより、被加工材を加工する速度や精度が向上し、生産性改善が可能となります。 当社グループの超硬合金を用いた製品は「超硬製工具類」、「超硬製金型類」、「その他の超硬製品」に分類され、輸送用機械、鉄鋼、非鉄金属、飲料缶に代表される金属製品、電機・電子部品、生産・業務用機械等の幅広い分野で使用されております。 また、当社グループは、超硬合金の精密加工で培った加工技術、検査技術を活用し、超硬合金以外の素材(鋼やセラミックスなど)を用いた耐摩耗工具等の製造販売も行っております。 ②営業、生産及び研究開発の体制 顧客の生産工程で用いられる工具・金型は、使用される過程で摩擦・圧力・熱等による摩耗、変形・割れ等によって寿命を迎えますが、その要因やスピードは、工具・金型を使用する環境によって様々です。その結果、耐摩耗工具には、顧客の設計思想や生産プロセスが色濃く反映されることとなるため、耐摩耗工具のほとんどは、顧客ごとのカスタムメイドとなります。そこで当社グループでは、顧客のニーズを的確に捉え、個別受注の多品種少量生産に対応するために、営業、生産及び研究開発に関して、以下のような体制を整備しております。 (営業体制) 国内10箇所、アジア5ヶ国(中国、タイ、インドネシア、マレーシア、インド(休眠中))の営業拠点に約100名の営業担当者を配置しております。これらの営業担当者が、直接顧客を訪問し、緊密なコミュニケーションを図ることによって、顧客ニーズの的確な把握が可能な体制をとっております。 また、超硬合金に関する専門的な知識を持つ技術サービス員や、工具・金型等の生産を担う生産部門の技術者が営業担当者をサポートし、超硬合金素材や加工方法の選定から、製品の管理に至るまで、高度な提案を行うことができる体制を整備しております。 (生産体制) 当社グループでは、商社を通じて主要原料であるタングステンカーバイド他原材料等を仕入れ、①原料となる粉末の混合(調粉工程)、②混合した粉末の成形・焼結による超硬合金(素材)の生産(冶金工程)、③超硬合金の工具・金型等への加工(加工工程)、④工具・金型等の寸法形状の測定検査(検査工程)という、超硬合金を用いた工具・金型の製造に必要な工程を全てグループ内で完結できる、一貫生産体制を整備しております。 その結果、顧客の使用条件に最も適合した超硬合金(素材)を選択でき、かつ各工程の有機的な連携によって、ニーズに応じた様々なサイズ・形状の工具・金型を効率的に生産することが可能となっております。 生産拠点は、国内に7箇所、海外に2箇所(タイ、インドネシア)を設けておりますが、そのほとんどが営業拠点と近接しており、生産部門と営業部門の緊密な連携が可能となっております。 (研究開発体制) 研究開発においては、粉末冶金技術を基軸とした素材開発、超硬合金素材の加工精度や加工効率を向上させるための加工開発、新たな市場を作り出すための製品開発を行っており、様々な顧客のニーズに柔軟に対応できる体制を整備しております。 特に、素材開発については、長年にわたる研究開発によって、金属粉末の種類や粒のサイズの組み合わせ、焼き固める条件等に関する知見が蓄積されております。これらの粉末冶金技術を通じて、新しい超硬合金素材の研究開発に注力しつつ、超硬合金以外の素材に対しても超硬合金素材の開発で培った技術を応用することで研究開発を実施しております。  (2) 事業系統図     (注) FUJILLOY INDIA PRIVATE LIMITEDはインド共和国の経済環境、当社顧客の動向を鑑み、2016年8月から事業を    休眠しております。今後につきましては当社において市場調査、拡販を行い、事業再開を予定しております。  (3) 主要な製品とその主な用途   当社グループの主要な製品と具体的な用途例は次のとおりであります。製品区分主要製品具体的な用途例超硬製工具類ダイス、プラグ線材、パイプの生産用工具 溝付プラグ熱交換器用パイプの生産用工具 熱間圧延ロール鉄鋼素材の生産用工具 冷間フォーミングロール建材、パイプの生産用工具 超高圧発生用工具人工ダイヤモンド・cBN等の生産用工具 混錬工具樹脂・セラミックス等の生産用工具 刃物類鋼板、フィルム、箔などを切断する刃物超硬製金型類自動車部品生産用金型エンジン・駆動系・操舵系・安全装置部品の生産用金型 製缶金型飲料缶、食用缶の生産用金型 電池関連金型電池ケース、電池部材の生産用金型、車載電池用金型 光学素子成形用金型ガラスレンズの生産用金型 粉末成形用金型磁石、焼結部品の生産用金型 半導体・電子部品用金型封止材生産用金型その他の超硬製品各種部品各種装置部品 超硬合金チップ各種金型・工具、刃物の素材超硬以外の製品鋼製品飲料缶、エンジン部品等の生産用金型 セラミックス製品機械工具、冶工具 FHR製品耐熱用部材、鋳造用部材 KF2製品樹脂等の生産用工具、冶工具 銅タングステン合金放電加工用電極 電着工具硬質材料の加工用砥石 固体潤滑複合材料(NFメタル)真空蒸着装置用軸受、特殊環境用軸受 引抜鋼管ベアリング、自転車部品の部材  (4) 主要製品の内容①ダイス、プラグ ダイス、プラグは、様々な部品や製品の材料となる線材や棒、パイプを引抜き、あるいは押出し加工することで、寸法(外径、内径、肉厚)や硬さ、強度を決めるために用いられる耐摩耗工具です。外径の寸法を決める工具をダイス、内径を決める工具をプラグといい、この工具は鉄鋼、非鉄金属、自動車、電機・電子部品といった幅広い業界で線材、パイプを生産するために使用されております。 超硬合金を使用したダイス、プラグは創業当時から現在まで当社グループの主力製品であり、特にダイスは、当社の社名の由来にもなっている製品であります。 ②自動車部品生産用金型 自動車部品生産用金型は、安全性のために強度と精度が求められ、かつ大量生産が必要な自動車部品を製造するための金型として用いられる耐摩耗工具です。自動車部品の金型は高精度、高強度及び耐摩耗性を有した超硬合金を使用したものが多く、エンジン、トランスミッション、サスペンション、ステアリング、安全装置部品、燃料電池車等に組み込まれるクリーンエネルギーシステムなどの部品が耐摩耗工具で製造されており、当社グループの主力製品となっております。 ③製缶金型 アルミ、鉄系の板材から、抜き、絞り、しごき、曲げ加工により容器及び蓋を製造するために用いられる耐摩耗工具です。この工具で作られた製品としては飲料缶、食缶、エアゾール缶、一斗缶などがあります。特にビール等の低アルコール飲料やコーヒー等に使用される飲料缶については、非常に生産量が多く、原材料からの歩留まりや製品精度が重要視され、非常に高い精度及び耐摩耗性が求められることから超硬合金の製缶金型が使用されることが多く、当社グループの主力製品となっております。 ④超硬合金チップ 丸棒、板材、ニアネット形状の原料を焼結し、超硬合金とした塑性加工用の工具、金型の素材であります。超硬合金チップは当社グループのうち当社でのみ製造しており、当社グループの製品の中では海外への販売比率が高い製品であります。 ⑤鋼製品 当社グループでは、超硬合金の精密加工で培った高い加工技術、検査技術を活かし、超硬合金の耐摩耗工具と重なる使用分野において鋼工具の製品の提供を行っております。顧客の生産ラインの各工程では、使用環境や被加工材、加工方法等によって、耐摩耗性、耐衝撃性、コスト等、求められる工具の性能がそれぞれ異なるのが一般的であり、求められる工具性能に応じて超硬合金と鋼の両方の材料を使い分けることで顧客の多様なニーズに応えております。   <用語解説>   1.工具:工具とは、部品を加工したり,組立てるときに用いる道具類の総称です。   2.耐摩耗工具:耐摩耗工具は、生産工程の製造加工装置等に装着され、主として塑性(切屑の出ない)加工に           用いられる工具の総称です。   3.金型:金型とは、材料を一定の形にするために用いる金属製の型のことです。        耐摩耗工具の中には金型も含まれています。   4.超硬工具:超硬工具には、切削工具、耐摩耗工具、鉱山土木用工具があります。   5.切削工具:切削工具は、主として、金属切削用として用いられ、加工時に切屑の出る工具の総称です。   6.ロール:主として金属材料等の素材に圧力をかけて延ばしたり、成形、つや出しなどを行う際に用いる円筒 形の工具の総称です。   7.超高圧発生用工具:人工ダイヤモンドを合成する時などに使用される工具です。合成時に、超高圧をかけ              ます。超高圧に耐えられる強靭な材料特性と寸法精度が要求されます。  8.ニアネット形状:ニアネット形状とは、最終製品である工具・金型に近い形状を意味します。 ニアネット形状に焼結された超硬合金チップを使用することで、チップを最終製品(工 具・金型)に加工する際のコストを削減できます。

事業の優位性(モート)

事業の質(有価証券報告書から抽出)
数字に出ない事業の性質を、同じ物差しで全銘柄そろえています。FY2025時点の記載が出典です。
価格決定力値上げを通せるか。強いほどインフレ耐性が高い 強い
顧客の設計思想や生産プロセスが色濃く反映されるカスタムメイド製品であるため。
参入障壁新規参入を阻む要因の種類 技術
超硬合金の粉末冶金法による製造、精密加工技術、検査技術、顧客ニーズへの個別対応力。
顧客集中度特定顧客への依存度。高いほど失注リスクが大きい 低い(分散)
景気敏感度業績が景気循環にどれだけ振られるか シクリカル
設備投資の性質稼いだ現金がどれだけ設備維持に消えるか 混合
規制依存規制は障壁にも足枷にもなる 中程度
会社が挙げる主要リスク:自然災害による操業停止 / 景気後退や経済危機による需要低下 / 市場の縮小による受注・売上減少
同じ条件で他の銘柄を探す → 定性スクリーニング(価格決定力・参入障壁・景気敏感度などで絞り込めます)
モート総合 6 / 25 5類型それぞれの強度と、そう判定した根拠
無形資産★☆☆☆☆
根拠:弱いブランド・特許・許認可

特定のブランド力や特許による独占的な優位性は限定的。ただし、長年の経験に裏打ちされた技術ノウハウは存在する可能性があるが、定量的な評価は困難。

スイッチングコスト★★★☆☆
根拠:中程度乗り換えの手間・コスト

特殊な用途向けのダイカストマシンや金型は、顧客の生産ラインに深く組み込まれており、他社製品への切り替えには多大なコストと時間を要する。特に既存設備との互換性やオペレータの習熟度が障壁となる。

ネットワーク効果☆☆☆☆☆
根拠:弱い利用者増が価値を生む

ネットワーク効果が働くビジネスモデルではない。

コスト優位★★☆☆☆
根拠:中程度同じ物を安く作れる

大量生産による規模の経済は限定的。ただし、長年の生産経験による効率化や、特定の部品調達における交渉力は一定程度存在する可能性がある。

  • 超硬合金の一貫生産体制: 冨士ダイスグループは、超硬合金製品の製造に必要な全ての工程(原料調達、調粉、冶金、加工、検査)をグループ内で完結できる一貫生産体制を確立しています。これにより、顧客の使用条件に最適な超硬合金素材を選定し、各工程の連携を通じて様々なサイズや形状の工具・金型を効率的に生産できる点が強みです。
  • 顧客密着型の営業・技術支援: 国内外に多数の営業拠点を持ち、約100名の営業担当者が顧客を直接訪問し、緊密なコミュニケーションを通じてニーズを的確に把握しています。さらに、超硬合金の専門知識を持つ技術サービス員や生産部門の技術者が営業をサポートすることで、素材選定から加工方法、製品管理まで高度な提案が可能となり、顧客との強固な関係を築いています。
  • 長年の粉末冶金技術と研究開発力: 創業以来、超硬合金を用いた耐摩耗工具を専門に扱い、長年にわたる研究開発で粉末冶金技術に関する豊富な知見を蓄積しています。金属粉末の種類や粒度、焼き固める条件などに関するノウハウを活かし、新しい超硬合金素材の開発に注力するだけでなく、超硬合金以外の素材にも応用することで、多様な顧客ニーズに柔軟に対応できる技術力が競争優位となっています。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)

経営戦略

有価証券報告書「経営方針・対処すべき課題・MD&A」の全文を見る(年度切替)
経営方針・経営戦略
1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。  (1) 会社の経営の基本方針 当社グループは、「事業を通じて広く社会に貢献し、幸せな人を育てる」「人間尊重、人間中心の経営」を企業理念とし、広く産業とくらしを支え、社会に貢献できる人、そして、自分を必要としてくれる社会に対して感謝の気持ちを持つことができる人、そういう幸せな人を育て、真に人間が働く喜びを味わえる企業経営を行うことを、経営の基本方針としております。  (2) 目標とする経営指標 当社グループは、安定的な成長を目指すため収益性を意識した経営が重要との観点から「売上高経常利益率」を重視しており、また資本効率を高め企業価値の向上を図る観点から「ROE(自己資本当期純利益率)」を重視しております。  (3) 中長期的な会社の経営戦略と対処すべき課題当連結会計年度におけるわが国経済は、引き続き緩やかに回復しているものの、ウクライナ情勢に伴う資源・エネルギー価格の高騰や世界的な物価上昇、中東での紛争の発生や中国経済の停滞、米国新政権の関税政策の変更や、株価、為替の乱高下等の影響を受け、依然として先行き不透明な状況が続いております。中長期的には、当社グループの主要顧客が関連する自動車産業において電動化への流れは一時的に減速しているもののCASE(コネクテッド、自動化、シェアリング、電動化)への流れが着実に進んでおり、当社グループとしてもその変化への対応として次世代自動車への対応・拡販を成長戦略とし、対応を進めております。また生成AIをはじめとしたAIの普及やデジタルトランスフォーメーション(DX)の進展等により当社グループが関連する半導体等の市場は世界的に拡大が続くものと考えられます。社会的な環境としましては持続可能で強靱な社会の構築のため「脱炭素社会」、「循環型社会」の形成が強く求められており、企業においても持続的な成長のためその実現に向けた責任ある取り組みが求められております。日本を取り巻く環境としては少子高齢化・人口減少による市場縮小や人財確保の競争激化、コロナ禍を契機とした事業構造・生活様式の変化、デジタル化の一層の推進など様々な変化が予測されております。このような変化の激しい環境のもと顧客と社会の期待に応え成長し続けるため「変化に対応できる企業体質への転換」を中期方針とした2025年3月期からの3年を対象期間とする「中期経営計画2026」を策定しました。この中期方針のもと国内事業は成長の基盤(安定的に成長)とし、成長を牽引するのは海外事業、将来の成長基盤の育成として新事業の実現という方向性を定め、1.経営基盤の強化、2.生産性向上・業務効率化、3.海外事業の飛躍、4.脱炭素・循環型社会への貢献、5.新事業の確立を成長戦略として持続的に取り組んでおります。 1.経営基盤の強化 当社グループは様々な環境・社会課題の解決と事業の持続的な成長の両立を実現するため、サステナビリティ経営に取り組んでおります。サステナビリティ委員会の活動を通じてサステナビリティ方針に基づくマテリアリティへの取り組みを進めており、エネルギー関連向け新製品の開発や超硬工具・金型のリサイクルについての活動を強化しております。 ガバナンスの強化として、2025年1月1日付で品質保証本部を新設しました。ガバナンス及び品質管理の強化を目的としたグループ横断部署を新設することで、安全で安定した生産体制を堅持し、高品質な製品づくりで企業価値の向上を目指します。 人的資本の強化の取り組みとしては、社員エンゲージメントの向上のため新たな福利厚生制度を導入しました。またEラーニングのプログラムを拡充し、社員が自己研鑽できる環境を整備しました。 情報基盤の整備として基幹システムを刷新し、紙での管理からデータ管理に変えてデジタル化を進めるとともに検索性の向上等によるデータの利活用を進めております。 ブランドイメージの社外浸透やインナーブランディングの強化のためのコーポレートブランディングにも着手し、経営基盤の強化に努めております。 2.生産性向上・業務効率化 生産性向上・業務効率化としては国内生産部門にて前中期経営計画より生産効率改革活動として取り組みを続けており、前中期経営計画ではフェーズ1としては生産管理の強化と現場改善等を組み合わせて生産性向上に取り組んでまいりました。本中期経営計画(2025年3月期-2027年3月期)においては多品種少量の生産工程におけるロボットの導入等による自動化、省人化を進めてまいります。 2025年3月期はモデル工場である郡山製造所の研削加工作業に自動化ロボットを導入・本格稼働させました。ロボット導入による無人加工により産出量が10%向上しております。更に、2024年10月末には郡山製造所の冶金工程の自動化ロボットの対応製品範囲を広げる改修を実施しました。 熊本製造所の冶金工程にCAD・CAMを駆使したNC加工機による自動加工ラインを導入し平面加工における手作業から自動加工に約60%移管しております。また材料費のコストダウンを進めるため、部品取りを最適化するCAD・CAMの自動ネスティングを2026年3月期からの導入に向けてテストをしております。 3.海外事業の飛躍 海外事業につきましては本中期経営計画期間(2025年3月期-2027年3月期)に海外売上高比率25%以上(2027年3月期)を目指し、売上高拡大による成長を積極的に目指してまいります。 中国では当社は2024年3月に東莞に新規開設した営業拠点を足掛かりに、展示会に出展するなど、知名度向上の取り組みを行うとともに、商材を拡充したことで新規顧客の獲得に成功し、販売を拡大しています。今後はEV関連メーカーへの新規拡販を強化してまいります。 アセアンではタイ・インドネシアの生産拠点にて日本からの技術指導等により工場の生産性が向上しております。タイは日本と同等な高精度品を製造することができるようになっており、インドネシアでは対応製品の幅が広がり、現地企業との取引が拡大しております。 インドにおいては、輸出ベースでの出荷額が増加傾向にあります。知名度向上と潜在需要獲得を目的に、2025年1月に展示会に初めて出展しました。2027年3月期までの営業再開を目指して、2025年の夏頃を目途に再開プロジェクトを立ち上げる予定です。 北米においては、シカゴで開催された展示会に初めて出展するなど市場調査を進めております。 4.脱炭素・循環型社会への貢献 当社グループは環境・社会の課題解決を事業機会と捉え、脱炭素・循環型社会の形成に貢献する製品を積極的に開発、市場投入してまいります。 従来から取り組んでいる次世代自動車関連製品にも引き続き注力しており、車載用モーターコアの金型に適した材種のラインナップ拡充や、車載用電池缶向けの金型の拡販に向けた取り組みを進めております。 また次世代エネルギー分野に向けて、当社の強みである粉末冶金技術を活かした触媒や電極の開発も進めております。その一つとして2024年11月にJIMTOFという工作機械の大きな展示会で、エネルギー関連での新製品「グリーン水素の製造装置向け電極」を発表しました。 循環型社会への貢献としては、省タングステン・コバルト合金の開発、拡販による希少な金属の使用量低減を図るとともに、超硬工具・金型のリサイクルについても活動を強化してまいります。 5.新事業の確立 当社グループは「既存事業」と「新規事業」が独立しながら両輪で走ることが企業価値の向上に繋がるとの観点から、新事業シーズの探索、事業化検討が可能な体制を構築するため組織を2024年7月に発足させました。当該組織においては、新たな事業の柱となる新規事業の実現や事業創出サイクルの短縮化に取り組んでまいります。 また新規事業の早期実現に向けて、M&Aや業務提携の検討についても積極的に進めてまいります。
対処すべき課題
1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。  (1) 会社の経営の基本方針 当社グループは、「事業を通じて広く社会に貢献し、幸せな人を育てる」「人間尊重、人間中心の経営」を企業理念とし、広く産業とくらしを支え、社会に貢献できる人、そして、自分を必要としてくれる社会に対して感謝の気持ちを持つことができる人、そういう幸せな人を育て、真に人間が働く喜びを味わえる企業経営を行うことを、経営の基本方針としております。  (2) 目標とする経営指標 当社グループは、安定的な成長を目指すため収益性を意識した経営が重要との観点から「売上高経常利益率」を重視しており、また資本効率を高め企業価値の向上を図る観点から「ROE(自己資本当期純利益率)」を重視しております。  (3) 中長期的な会社の経営戦略と対処すべき課題当連結会計年度におけるわが国経済は、引き続き緩やかに回復しているものの、ウクライナ情勢に伴う資源・エネルギー価格の高騰や世界的な物価上昇、中東での紛争の発生や中国経済の停滞、米国新政権の関税政策の変更や、株価、為替の乱高下等の影響を受け、依然として先行き不透明な状況が続いております。中長期的には、当社グループの主要顧客が関連する自動車産業において電動化への流れは一時的に減速しているもののCASE(コネクテッド、自動化、シェアリング、電動化)への流れが着実に進んでおり、当社グループとしてもその変化への対応として次世代自動車への対応・拡販を成長戦略とし、対応を進めております。また生成AIをはじめとしたAIの普及やデジタルトランスフォーメーション(DX)の進展等により当社グループが関連する半導体等の市場は世界的に拡大が続くものと考えられます。社会的な環境としましては持続可能で強靱な社会の構築のため「脱炭素社会」、「循環型社会」の形成が強く求められており、企業においても持続的な成長のためその実現に向けた責任ある取り組みが求められております。日本を取り巻く環境としては少子高齢化・人口減少による市場縮小や人財確保の競争激化、コロナ禍を契機とした事業構造・生活様式の変化、デジタル化の一層の推進など様々な変化が予測されております。このような変化の激しい環境のもと顧客と社会の期待に応え成長し続けるため「変化に対応できる企業体質への転換」を中期方針とした2025年3月期からの3年を対象期間とする「中期経営計画2026」を策定しました。この中期方針のもと国内事業は成長の基盤(安定的に成長)とし、成長を牽引するのは海外事業、将来の成長基盤の育成として新事業の実現という方向性を定め、1.経営基盤の強化、2.生産性向上・業務効率化、3.海外事業の飛躍、4.脱炭素・循環型社会への貢献、5.新事業の確立を成長戦略として持続的に取り組んでおります。 1.経営基盤の強化 当社グループは様々な環境・社会課題の解決と事業の持続的な成長の両立を実現するため、サステナビリティ経営に取り組んでおります。サステナビリティ委員会の活動を通じてサステナビリティ方針に基づくマテリアリティへの取り組みを進めており、エネルギー関連向け新製品の開発や超硬工具・金型のリサイクルについての活動を強化しております。 ガバナンスの強化として、2025年1月1日付で品質保証本部を新設しました。ガバナンス及び品質管理の強化を目的としたグループ横断部署を新設することで、安全で安定した生産体制を堅持し、高品質な製品づくりで企業価値の向上を目指します。 人的資本の強化の取り組みとしては、社員エンゲージメントの向上のため新たな福利厚生制度を導入しました。またEラーニングのプログラムを拡充し、社員が自己研鑽できる環境を整備しました。 情報基盤の整備として基幹システムを刷新し、紙での管理からデータ管理に変えてデジタル化を進めるとともに検索性の向上等によるデータの利活用を進めております。 ブランドイメージの社外浸透やインナーブランディングの強化のためのコーポレートブランディングにも着手し、経営基盤の強化に努めております。 2.生産性向上・業務効率化 生産性向上・業務効率化としては国内生産部門にて前中期経営計画より生産効率改革活動として取り組みを続けており、前中期経営計画ではフェーズ1としては生産管理の強化と現場改善等を組み合わせて生産性向上に取り組んでまいりました。本中期経営計画(2025年3月期-2027年3月期)においては多品種少量の生産工程におけるロボットの導入等による自動化、省人化を進めてまいります。 2025年3月期はモデル工場である郡山製造所の研削加工作業に自動化ロボットを導入・本格稼働させました。ロボット導入による無人加工により産出量が10%向上しております。更に、2024年10月末には郡山製造所の冶金工程の自動化ロボットの対応製品範囲を広げる改修を実施しました。 熊本製造所の冶金工程にCAD・CAMを駆使したNC加工機による自動加工ラインを導入し平面加工における手作業から自動加工に約60%移管しております。また材料費のコストダウンを進めるため、部品取りを最適化するCAD・CAMの自動ネスティングを2026年3月期からの導入に向けてテストをしております。 3.海外事業の飛躍 海外事業につきましては本中期経営計画期間(2025年3月期-2027年3月期)に海外売上高比率25%以上(2027年3月期)を目指し、売上高拡大による成長を積極的に目指してまいります。 中国では当社は2024年3月に東莞に新規開設した営業拠点を足掛かりに、展示会に出展するなど、知名度向上の取り組みを行うとともに、商材を拡充したことで新規顧客の獲得に成功し、販売を拡大しています。今後はEV関連メーカーへの新規拡販を強化してまいります。 アセアンではタイ・インドネシアの生産拠点にて日本からの技術指導等により工場の生産性が向上しております。タイは日本と同等な高精度品を製造することができるようになっており、インドネシアでは対応製品の幅が広がり、現地企業との取引が拡大しております。 インドにおいては、輸出ベースでの出荷額が増加傾向にあります。知名度向上と潜在需要獲得を目的に、2025年1月に展示会に初めて出展しました。2027年3月期までの営業再開を目指して、2025年の夏頃を目途に再開プロジェクトを立ち上げる予定です。 北米においては、シカゴで開催された展示会に初めて出展するなど市場調査を進めております。 4.脱炭素・循環型社会への貢献 当社グループは環境・社会の課題解決を事業機会と捉え、脱炭素・循環型社会の形成に貢献する製品を積極的に開発、市場投入してまいります。 従来から取り組んでいる次世代自動車関連製品にも引き続き注力しており、車載用モーターコアの金型に適した材種のラインナップ拡充や、車載用電池缶向けの金型の拡販に向けた取り組みを進めております。 また次世代エネルギー分野に向けて、当社の強みである粉末冶金技術を活かした触媒や電極の開発も進めております。その一つとして2024年11月にJIMTOFという工作機械の大きな展示会で、エネルギー関連での新製品「グリーン水素の製造装置向け電極」を発表しました。 循環型社会への貢献としては、省タングステン・コバルト合金の開発、拡販による希少な金属の使用量低減を図るとともに、超硬工具・金型のリサイクルについても活動を強化してまいります。 5.新事業の確立 当社グループは「既存事業」と「新規事業」が独立しながら両輪で走ることが企業価値の向上に繋がるとの観点から、新事業シーズの探索、事業化検討が可能な体制を構築するため組織を2024年7月に発足させました。当該組織においては、新たな事業の柱となる新規事業の実現や事業創出サイクルの短縮化に取り組んでまいります。 また新規事業の早期実現に向けて、M&Aや業務提携の検討についても積極的に進めてまいります。
MD&A(経営者による分析)
4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】 (1) 経営成績等の状況の概要 当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。 ① 財政状態及び経営成績の状況 当連結会計年度におけるわが国経済は、引き続き緩やかに回復しているものの、ウクライナ情勢に伴う資源・エネルギー価格の高騰や世界的な物価上昇、中東での紛争の発生や中国経済の停滞、米国新政権の関税政策の変更や、株価、為替の乱高下等の影響を受け、依然として先行き不透明な状況が続いております。 こうした状況の中、当社グループは「共生」を年度方針に掲げ、高品質・低コスト・短納期・充実したサービスの向上に努めてまいりました。 また、「変化に対応できる企業体質への転換」を目指し、2025年3月期から3ヵ年を対象期間とした中期経営計画を策定しており、1.経営基盤の強化、2.生産性向上・業務効率化、3.海外事業の飛躍、4.脱炭素・循環型社会への貢献、5.新規事業の確立を重点施策に掲げ、諸施策への取り組みを推進しております。 経営基盤の強化については、コーポレート・ガバナンスの機能をより一層高め、加速する外部環境の変化への対応力を強化するため、監査役会設置会社から監査等委員会設置会社へ移行することを決定いたしました。また、品質の安定・向上や職場の安全性の強化を通じて企業価値向上を目指すため、2025年1月に品質保証本部を新設いたしました。 生産性向上・業務効率化については、自動化のモデル工場である郡山製造所において、研削加工作業に自動化ロボットを導入し、産出量を10%向上させることができました。 海外事業の飛躍については、インド現地子会社の営業再開に向けた知名度向上と潜在需要獲得を目指して、IMTEX2025(インド工作機械展)に初めて出展いたしました。 脱炭素・循環型社会への貢献については、11月に行われたJIMTOF2024(第32回日本国際工作機械見本市)において、当社のコア技術である粉末冶金技術と超高圧合成技術を掛け合わせて開発した、貴金属フリーで省電力のグリーン水素発生装置向け触媒・電極(PME)や、車載用モーターコア金型向け新材種として開発した水切りワイヤー放電加工用超硬合金(フジロイVG51)を発表いたしました。 新規事業の確立については、新事業探索・事業化検討に関する組織を立ち上げ、リサイクル事業等の検討を開始しております。これらの結果、当連結会計年度における売上高は16,595百万円(前連結会計年度比0.5%減)となりました。超硬製工具類では、昨年度好調であった海外向け溝付きロールの顧客での在庫調整による大幅な売上減少により、売上高は4,183百万円(前連結会計年度比12.6%減)となりました。超硬製金型類では、製缶金型や車載用電池向け金型の販売が堅調に推移した結果、売上高は4,268百万円(前連結会計年度比8.9%増)となりました。その他の超硬製品では、半導体製造装置向けが堅調に推移したほか、超硬素材の販売が好調に推移した結果、売上高は4,257百万円(前連結会計年度比6.3%増)となりました。超硬以外の製品では、一部の鋼製自動車部品用工具・金型の売上が堅調に推移したものの、混錬工具等の販売が低調に推移した結果、売上高は3,886百万円(前連結会計年度比2.0%減)となりました。また利益につきましては、生産性向上・業務効率化の施策等に一定の成果があったものの、原材料の高騰、IT投資や人財投資の拡充により、営業利益は488百万円(前連結会計年度比39.7%減)、経常利益は603百万円(前連結会計年度比31.6%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は426百万円(前連結会計年度比39.9%減)となりました。なお、当社グループは耐摩耗工具関連事業の単一セグメントであるため、セグメント情報の記載を省略しております。  (流動資産)当連結会計年度末における流動資産は14,909百万円(前連結会計年度末15,024百万円)となり、115百万円減少いたしました。これは主に、現金及び預金が564百万円増加したものの、電子記録債権が381百万円減少、受取手形が136百万円減少、売掛金が151百万円減少したことによるものであります。(固定資産)当連結会計年度末における固定資産は10,694百万円(前連結会計年度末11,114百万円)となり、419百万円減少いたしました。これは主に、建物及び構築物(純額)が278百万円減少、機械装置及び運搬具(純額)が106百万円減少したことによるものであります。  (流動負債)当連結会計年度末における流動負債は3,395百万円(前連結会計年度末3,871百万円)となり、476百万円減少いたしました。これは主に、支払手形及び買掛金が273百万円減少、未払法人税等が143百万円減少したことによるものであります。 (固定負債)当連結会計年度末における固定負債は1,460百万円(前連結会計年度末1,619百万円)となり、159百万円減少いたしました。これは主に、退職給付に係る負債が135百万円減少、リース債務が15百万円減少したことによるものであります。  (純資産)当連結会計年度末の純資産は、20,748百万円(前連結会計年度末20,647百万円)となり、100百万円増加いたしました。これは主に、親会社株主に帰属する当期純利益の計上により利益剰余金が426百万円増加、剰余金の配当により利益剰余金が635百万円減少、為替換算調整勘定が232百万円増加したことによるものであります。 ② キャッシュ・フローの状況当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ377百万円増加し、7,361百万円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、以下のとおりであります。 (営業活動によるキャッシュ・フロー)当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは税金等調整前当期純利益603百万円、減価償却費1,011百万円の計上、売上債権の減少額699百万円などにより1,800百万円の収入(前連結会計年度は2,050百万円の収入)となりました。 (投資活動によるキャッシュ・フロー)当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは定期預金への預入による支出679百万円、定期預金の払戻による収入541百万円、有形固定資産の取得による支出620百万円などにより849百万円の支出(前連結会計年度は1,656百万円の支出)となりました。この結果、フリー・キャッシュ・フローは951百万円の収入(前連結会計年度は394百万円の収入)となりました。 (財務活動によるキャッシュ・フロー)当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは配当金の支払額634百万円などにより659百万円の支出(前連結会計年度は651百万円の支出)となりました。 ③ 生産、受注及び販売の実績 a.生産実績  当連結会計年度における生産実績は、次のとおりであります。セグメントの名称生産高(百万円)前年同期比(%)耐摩耗工具関連事業12,45599.8 (注)1.当社グループの事業区分は「耐摩耗工具関連事業」の単一セグメントであります。 2.金額は当期製品製造原価によっております。  b.受注実績 当連結会計年度における受注実績は、次のとおりであります。セグメントの名称受注高(百万円)前年同期比(%)受注残高(百万円)前年同期比(%)耐摩耗工具関連事業16,712100.92,650104.6 (注)当社グループの事業区分は「耐摩耗工具関連事業」の単一セグメントであります。 c.販売実績 当連結会計年度における販売実績を製品区分ごとに示すと、次のとおりであります。製品区分販売高(百万円)前年同期比(%)超硬製工具類4,18387.4超硬製金型類4,268108.9その他の超硬製品4,257106.3超硬以外の製品3,88698.0合計16,59599.5 (注)当社グループの事業区分は「耐摩耗工具関連事業」の単一セグメントであります。 (2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。 ① 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容当連結会計年度の経営成績は、売上高は16,595百万円、営業利益は488百万円、経常利益は603百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は426百万円となりました。当連結会計年度は在庫調整の一巡による自動車関連製品の需要回復や新拠点である富士模具貿易(上海)有限公司東莞支店を足掛かりにした中国での販売拡大を見込み、売上高の目標を前連結会計年度比7.9%増の18,000百万円としておりました。しかしながら想定より自動車部品関連金型の回復が遅れたことや昨年度好調であった海外向け溝付きロールの在庫調整による大幅な売上高の減少、混錬工具の売上高が低調に推移したこと等により当連結会計年度の売上高は目標比7.8%減の16,595百万円となりました。当連結会計年度の営業利益は、生産性向上・業務効率化の施策等に一定の成果があったものの、売上高の減少に加え、原材料の高騰、IT投資や人財投資の拡充により、営業利益は目標比52.1%減の488百万円となりました。当連結会計年度の経常利益は、営業利益が対目標で下回ったことから目標比47.6%減の603百万円となり、また親会社株主に帰属する当期純利益は、経常利益が対目標で下回ったことから目標比48.7%減の426百万円となりました。これにより当社グループが重視する経営指標である売上高経常利益率は3.6%(対目標比2.8ポイント減)、ROE(自己資本当期純利益率)は2.1%(対目標比1.9ポイント減)となりました。 当連結会計年度における売上高経常利益率、ROEの目標未達は売上高の未達や費用構造の悪化が原因であり、収益力の改善が今後の課題であると捉えております。 このような状況のもと、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等(3)中長期的な会社の経営戦略と対処すべき課題」に記載のとおり、「変化に対応できる企業体質への転換」を中期方針とした2025年3月期からの3年を対象期間とする「中期経営計画2026」を策定しております。当社グループは成長戦略である1.経営基盤の強化、2.生産性向上・業務効率化、3.海外事業の飛躍、4.脱炭素・循環型社会への貢献、5.新事業の確立に着実に取り組むとともに、価格戦略の見直しも実施し、持続的な成長を目指してまいります。 ② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報当社グループは事業活動のための適切な資金確保、流動性の維持、並びに健全な財政状態を目指し、その財源として安定的な営業キャッシュ・フローの創出を最優先事項と考えております。当社グループは事業活動に必要な運転資金及び設備投資資金は、主に手元のキャッシュと営業活動によるキャッシュ・フローで賄っており、また、健全な財政状態、営業活動によるキャッシュ・フローを生み出す能力により、当社グループの成長を維持するために将来必要な運転資金及び設備投資資金についても調達することが可能と考えております。またコミットメントライン契約により、自然災害等の緊急時も含め流動性を担保できるよう備えております。当社におけるコミットメントライン契約の状況につきましては、以下のとおりであります。コミットメントライン契約 10億円(当連結会計年度末の借入実行残高はありません) ③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。 (a)仕掛品(完成粉末を除く)の評価仕掛品(完成粉末を除く)の評価に関しては「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。 (b)繰延税金資産の回収可能性繰延税金資産の回収可能性は、将来の税金負担額を軽減する効果を有するかどうかで判断しております。当該判断は、収益力に基づく一時差異等加減算前課税所得の十分性、タックス・プランニングに基づく一時差異等加減算前課税所得の十分性及び将来加算一時差異の十分性のいずれかを満たしているかどうかにより行っております。収益力に基づく一時差異等加減算前課税所得の十分性を判断するにあたっては、一時差異等の解消見込年度及び繰戻・繰越期間における課税所得を見積っております。課税所得は、中期経営計画の前提となった数値を、経営環境などの外部要因に関する情報や当社グループが用いている内部の情報(予算など)と整合的に修正し見積っており、また中期経営計画の見積期間を超える期間の課税所得については、それまでの計画に基づく趨勢を踏まえた一定の仮定をおいて見積っております。当該見積り及び当該仮定について、将来の不確実な経済条件の変動等により見直しが必要となった場合、翌連結会計年度以降の連結財務諸表において認識する繰延税金資産及び法人税等調整額の金額に重要な影響を与える可能性があります。 (c)退職給付債務の算定当社グループには、確定給付制度を採用している会社が存在します。確定給付制度の退職給付債務及び関連する勤務費用は、数理計算上の仮定を用いて退職給付見込額を見積り、割り引くことにより算定しております。数理計算上の仮定には、割引率、退職率、予想昇給率、直近の統計数値に基づいて算出される死亡率等の様々な計算基礎があります。退職給付債務の算定にあたっては、退職給付見込額の期間帰属方法を給付算定式基準とし、割引率の設定は加重平均期間アプローチによる方法により算出しております。当該見積り及び当該仮定について、将来の不確実な経済条件の変動等により見直しが必要となった場合、翌連結会計年度以降の連結財務諸表において認識する退職給付に係る負債及び退職給付費用の金額に重要な影響を与える可能性があります。なお、当連結会計年度末の退職給付債務の算定に用いた主要な数理計算上の仮定は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (退職給付関係)(6)数理計算上の計算基礎に関する事項」に記載のとおりであります。 (d)減損会計における将来キャッシュ・フロー減損損失を認識するかどうかの判定及び使用価値の算定において用いられる将来キャッシュ・フローは、中期経営計画の前提となった数値を、経営環境などの外部要因に関する情報や当社グループが用いている内部の情報(予算など)と整合的に修正し、資産グループの現在の使用状況や合理的な使用計画等を考慮し見積っております。当社グループは、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (連結損益計算書関係) ※8 減損損失」に記載のとおり、当連結会計年度において減損損失(0百万円)を計上いたしました。回収可能価額は正味売却価額により算定しております。当該見積り及び当該仮定について、将来の不確実な経済条件の変動等により見直しが必要となった場合、翌連結会計年度以降の連結財務諸表において追加の減損損失(特別損失)が発生する可能性があります。

事業リスク

  • 自然災害による事業停止リスク: 地震や台風などの自然災害が発生した場合、建物や設備の損壊、ライフラインや輸送ルートの寸断により、操業が停止する可能性があります。これにより、顧客への製品供給に支障が生じ、グループの財政状態や経営成績に悪影響を及ぼすリスクがあります。対策として、防災訓練、BCP策定、防災設備の設置、火災保険加入などを行っています。
  • 景気変動による需要減少リスク: 冨士ダイスグループは日本やアジアを中心にグローバルに事業を展開しており、幅広い業種と取引があります。しかし、事業展開する国や地域で景気後退や経済危機が発生した場合、設備投資需要の低下などにより、製品の販売量が減少し、グループの財政状態や経営成績に影響を与える可能性があります。国内外の経済動向を注視し、与信管理を徹底する体制を構築しています。
  • 市場縮小による収益性低下リスク: 冨士ダイスグループの製品は生産財であり、設備投資需要に大きく左右されます。顧客が事業を展開する国・地域の景気減速や後退は、設備投資需要の低下を招き、結果として製品の販売機会が減少する可能性があります。これにより、グループの収益性が低下し、財政状態や経営成績に悪影響を及ぼすリスクがあります。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
有価証券報告書「事業等のリスク」の全文を見る(年度切替)
FY2025|10,665 文字
3 【事業等のリスク】(1)当社グループのリスクマネジメント体制当社グループは、リスクマネジメント基本方針に基づき、リスクマネジメントの効果的かつ円滑な運営及び適切な指導を行うために、代表取締役社長を委員長とするリスクマネジメント委員会を設置しております。リスクマネジメント委員会はリスクマネジメント基本規程に基づき定期的に開催され、重要リスクの特定・分析・評価・見直し、年間の活動計画(対応策)の策定及び活動状況の確認・評価、新規に発生したリスクのモニタリング等を行っております。 [リスクマネジメント基本方針]当社グループは、次に示す方針のもと、リスクマネジメントに取り組み、企業価値の向上と持続可能な社会の発展に貢献する。1.社会的責任を果たすために、可能な限り危機の未然防止を図り、リスクの組織的な監視体制を構築する。2.リスクマネジメント委員会を中心に、リスクの識別・評価・低減等の活動を推進し、リスク対応力の強化を図   る。3.危機発生時には、ステークホルダーの安全確保を第一とし、経営資源の保全及び被害・損失の極小化を図る。   また、早期復旧と継続操業に向け組織的に対応する。4.教育、訓練、研修及びリスク情報の共有化により、リスクに対する認識を高め、対応能力の向上を図る。5.定期的にリスクマネジメント体制の見直しを行い、リスクマネジメントが有効に機能するよう継続的な改善を   行う。 [リスクマネジメント体制]※リスクマネジメント委員会は、当社より各本部長、副本部長、内部監査室長、安全管理部長、各事業所長及び 総務課長、国内子会社(2社)より子会社社長及び総務課長、在外子会社(4社)より子会社社長のメンバー で構成されております。なお、事務局は当社の総務部が担当しております。 (2)リスクマネジメントプロセス①リスクマネジメントプロセスの概要当社グループにおける重要リスクの選定は年1回実施しており、そのプロセスの概要は次のとおりであります。・リスクマネジメント委員会で当社グループの重要リスクになり得るリスクを「リスク候補」として選定。これら  のリスク候補ごとに所管部署を決定し、リスク候補に対する年間の活動計画(対応策)を策定。・定期的に開催されるリスクマネジメント委員会にて、活動計画(対応策)に対する活動状況の確認・評価、新規  に発生したリスクのモニタリング等を実施。・リスクマネジメント委員会の年間の活動等を踏まえ、事務局がリスク候補ごとに影響度及び発生可能性の面から  分析・評価を実施し、当社グループのリスクマップを作成。・リスクマネジメント委員会の事務局が実施した分析・評価結果及び当社グループのリスクマップをリスクマネジ  メント委員会で審議。リスク値の高いリスクを当社グループの「重要リスク」として選定。・リスクマネジメント委員会で選定した当社グループの重要リスクは取締役会へ報告し、承認を得る。・影響度及び発生可能性は以下の目安をもとに評価を行っております。影響度の目安 発生可能性の目安1小さい 1低い2やや小さい 2やや低い3中 3中4やや大きい 4やや高い5大きい 5高い ②当連結会計年度の当社グループのリスク候補及び重要リスクリスク候補評価大分類中分類小分類No.影響度発生可能性※重要リスク外部環境自然災害 1大きい高い①環境問題環境規制2やや小さいやや高い 気候変動3やや大きいやや高い②経済環境景気変動(国内・海外)4やや大きい中③為替変動5中中 制度変更(会計・税務等)6やや小さいやや高い 市場の変化市場の縮小7中やや高い④新素材・新製品の出現8小さいやや低い 既存製品の陳腐化9小さいやや低い パンデミック感染症・伝染病10小さいやや低い 地政学リスク 11やや大きいやや高い⑤内部環境戦略リスク新規事業への投資(M&A含む)12大きいやや高い⑥プライム市場上場維持基準13中中 原材料調達 14大きいやや高い⑦協力会社 15中やや高い⑧人財の育成及び確保16大きい高い⑨財務リスク棚卸資産の価値下落17中高い⑩投資有価証券の時価下落18中やや低い 繰延税金資産の計上19やや大きいやや低い 固定資産の価値下落20やや大きいやや高い⑪生産拠点の集約 21小さい中 オペレーショナルリスクシステムシステム障害22小さい高い 情報セキュリティ23やや大きい高い⑫事故製品事故24中やや低い 火災・爆発事故25中やや低い 電気的・機械的事故26中やや高い⑬労働災害・交通事故27中高い⑭コンプライアンス人権問題28中やや高い⑮知的財産権29中中 法令違反30中やや高い⑯不正行為31やや大きいやや低い 社内規程違反32やや小さいやや高い 品質関係33中やや低い (注)当連結会計年度において当社グループが重要リスクと選定したリスクについては、(3)事業等のリスクに詳細を記載しております。 (3)事業等のリスク当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況等に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。但し、これらのリスクは当社グループに関する全てのリスクを網羅したものではなく、予見できないリスクや重要性が低いと考えられるリスクも存在し、将来的にそれらのリスクが、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況等に影響を与える可能性もあります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。 ①自然災害に関するリスク影響度:大きい発生可能性:高い[当該リスクが顕在化した場合の影響]  当社グループでは、自然災害への対応として各種対策を講じております。しかしながら、全ての被害や影響を回避できるとは限らず、予想を超える規模の災害により建物や設備の倒壊・破損、ライフライン・輸送ルート・情報インフラの寸断等による操業の停止、といった不測の事態が発生した場合、顧客への製品供給に支障をきたすこと等により、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。[リスクへの対応]  当社グループでは、地震、台風等の自然災害により操業停止をせざるを得ないような事態の発生に備え、自然災害を想定した防災訓練、社員の安否確認訓練を定期的に行うとともに、防災設備の設置、火災保険への加入、必要物資の備蓄、BCP(事業継続計画)の策定等の対策を講じております。災害の発生に対しては、緊急連絡体制を通じて、国内外の拠点や関係会社と連携する仕組みを構築しており、代表取締役社長を本部長とする対策本部を速やかに設置し、BCP(事業継続計画)が実行できる体制を整えております。 ②気候変動に関するリスク影響度:やや大きい発生可能性:やや高い 気候変動に関するリスクについては、「第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (2)気候変動に関する取組について」に記載しております。 ③景気変動に関するリスク影響度:やや大きい発生可能性:中[当該リスクが顕在化した場合の影響]  当社グループは、日本及びアジアを中心にグローバルに事業を展開しており、幅広い業種との安定かつ多くの顧客との取引実績(取引社数約3,000社)がございますが、当社グループ及び当社グループの顧客が事業を展開する国・地域において、景気後退や経済危機が発生した場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。[リスクへの対応]  当社グループでは、定期的に開催する子会社業績報告会等において、進出する国の政治・経済情勢等の動向を当社グループ全体でモニタリングしております。また、日本国内の状況に関しては、与信管理の徹底に加え、当社グループに影響があると思われる事象・事案が発生した場合には、影響度調査、顧客の生産動向等の状況確認を迅速に行い、リスクマネジメント委員会へ報告する体制としております。これらの活動により、国内外の景気動向を注視するとともに、当社グループ全体で課題を認識・共有し、迅速に対応できる体制を構築しております。 ④市場の縮小に関するリスク影響度:中発生可能性:やや高い[当該リスクが顕在化した場合の影響]  当社グループの販売品目の多くは生産財であり、設備投資需要等に大きく影響を受けます。 当社グループ及び当社グループの顧客が事業を展開する国・地域の景気が減速・後退する場合は、設備投資需要の低下等をもたらし、その結果、当社グループが提供する製品又はサービスの受注・売上が減少するなど、当社グループの事業、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。[リスクへの対応]  当社グループでは、日本機械工具工業会から配信される情報等をもとに国内の市場動向を把握するとともに、営業活動から得られた顧客情報、各種課題、競合する他社の情報等を明確化し全社的に共有・分析することで、市場動向の変化に迅速に対応できる体制を整備しております。海外の市場動向については、在外子会社との連携を強化し、進出国の市場の変化を迅速に把握できる体制を構築しております。また、進出国以外の市場動向については、現地への出張やWeb面談等を活用した積極的な情報の収集活動を行っております。これらに加え、国内営業との情報の共有化も図っており、海外の市場動向の変化等にも迅速に対応できる体制を整備しております。[機会]  当社グループでは、自然環境に配慮した市場ニーズに応えるため、粉末冶金技術及び超精密加工技術を活かした、新材料・高付加価値製品の開発が、持続可能な事業運営の実現につながるものと考えております。特に、低炭素技術関連では、EV(電気自動車)の普及により、EV関連製品の需要拡大が見込まれ、次世代技術関連では、3Dプリンタ技術の活用による金型製作時の省資源化を実現することで、持続的な事業成長の機会が得られるものと考えております。 ⑤地政学リスク影響度:やや大きい発生可能性:やや高い[当該リスクが顕在化した場合の影響]  当社グループは、日本及びアジアを中心にグローバルに事業を展開しております。これらの国・地域において政治・経済情勢等の変化や社会的混乱により、生産の停止、物流の停滞等が発生した場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。なお、地政学リスクは当社グループの原材料調達にも大きく関連するリスクであると認識しております。詳細については「⑦原材料調達に関するリスク」に記載しております。[リスクへの対応]  当社グループでは、定期的に開催する子会社業績報告会等において、進出する国の政治・経済情勢等の動向を当社グループ全体でモニタリングしております。また、当社グループでは、中期経営計画(2025年3月期-2027年3月期)の重要施策の一つとして「海外事業の飛躍」を掲げており、現在、アジア地域でのシェア拡大、北米・インドにおける市場開拓等に向けて積極的に活動を行っている状況であります。特に関連する国の政治・経済情勢や法規制、米国の関税引き上げの状況やそれに対する各国の報復措置の状況等も含めた情報収集活動も強化しており、当社グループに影響があると思われる事象・事案が想定される場合には、リスクマネジメント委員会へ報告し、ケースに応じて迅速に対応できる体制を整備しております。 ⑥新規事業への投資(M&Aを含む)に関するリスク影響度:大きい発生可能性:やや高い[当該リスクが顕在化した場合の影響]  当社グループは、中長期の成長基盤の構築として新成長エンジンの創出を目指し、新規事業を開始する可能性があります。新規事業への投資を行う際は、これらのリスクへの対応として各種対策を講じる予定ですが、不確定要素も多く成功する保証はありません。当初期待した効果が得られず目的が達成できなかった場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。[リスクへの対応]  当社グループでは、中期経営計画(2025年3月期-2027年3月期)の重要施策の一つとして「新規事業の確立」を掲げております。これらを実現するため、当連結会計年度においては、当社に新規事業組織を発足し、事業化に向けての活動を推進しております。新規事業については、ゼロからのスタートではなく、その領域において実績のある企業との業務提携やM&Aを主な手段とする等でリスクを低減してまいります。また、選択肢の一つであるM&Aを行う場合には、対象企業の財務内容や契約関係等について、弁護士・税理士・公認会計士等の外部専門家の助言を含めたデューデリジェンスを実施すること等により、十分にリスクを検討した上で決定する方針であります。 ⑦原材料調達に関するリスク影響度:大きい発生可能性:やや高い[当該リスクが顕在化した場合の影響]  当社グループの主力製品である超硬工具は、産出地や生産量が限定されるタングステンカーバイド、コバルト等といった稀少な金属を原材料としております。 当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性のあるリスクには以下のようなものがあります。 ・原料相場が大きく高騰した場合のリスク ・為替が大きく変動した場合のリスク ・戦争、暴動、テロ、伝染病、自然災害による社会的混乱 タングステンカーバイド、コバルトの需給が世界的に逼迫して原料相場が高騰した場合、あるいは為替が円安になった場合、原材料費が上昇し、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 また、タングステンカーバイドの調達はそのほとんどを中国からの輸入に、コバルトは粗原料をアフリカでの産出、中間原料の製錬を中国での生産に依存しております。中国やアフリカの政治・経済情勢等の変化、社会的混乱が発生し、生産の停止、物流の停滞等によりタングステンカーバイド及びコバルトが調達できなくなった場合は、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。[リスクへの対応]  当社グループでは、原材料の調達に関するリスクへの対応として、一定量の原材料在庫を社内に保有すると共に、原材料調達連絡会を定期的に開催し、関連部署間による各種課題の情報共有や具体的な対応策の検討等を行っております。また、原料相場の高騰や為替の変動、調達リスクへの対策及び環境への配慮等も踏まえ、リサイクル原料の購入も計画的に実施しております。更に、原材料の主要な調達先を対象にCSR調査を実施し、紛争鉱物への対応や環境への配慮等の社会的責任の観点も踏まえ、調達先との連携を強化するとともに、継続的な新規調達先の検討等、原材料の安定調達に向けた活動を行っております。[機会]  当社グループの製品に使用される鉱物資源が、コンフリクト・フリーであることを常にモニタリングし、安全性の高い製品を提供することで、当社グループの競争力向上につながる可能性があると考えております。また、脱タングステン合金など新規材料の開発を実現した場合、資源価格高騰に対するレジリエンス性を発揮することができるものと考えております。 ⑧協力会社に関するリスク影響度:中発生可能性:やや高い[当該リスクが顕在化した場合の影響]  当社グループは製品の製造において協力会社にその加工の全てもしくは一部を委託しており、総製造費用に対する外注費の割合は約1割を占めております。現時点では優良な協力会社が多数あるものの、事業環境の悪化による外注費の値上がり、景気低迷による協力会社の経営破綻、協力会社の後継者不足による事業の廃止などのリスクがあります。これらのリスクに当社グループが対処できない場合には、外注費の増加、外注していた工程の内製化による設備投資の増加や製造原価の高騰により、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。[リスクへの対応]  当社グループでは、協力会社に関するリスクへの対応として、今までどおり協力会社との良好な関係を維持しつつ、特に重要度の高い協力会社とは、協働して安定的かつ継続的な生産体制を構築しております。当連結会計年度においては、数社の協力会社が廃業となったものの、委託品の内製化等により対応いたしました。なお、協力会社の廃業等によるリスクを低減するため、継続的に新規の協力会社の検討・評価等を実施しております。 ⑨人財の育成及び確保に関するリスク影響度:大きい発生可能性:高い[当該リスクが顕在化した場合の影響]  当社グループは人を中心とした経営を実践しており、中長期的な成長は優秀かつ多様な人財を確保・育成し、適材適所の配置を実現することに大きく依拠しております。当社グループでは事業運営上必要な人財を採用し、その雇用の継続に努めておりますが、 ・適切な時期に優秀な人財を必要な事業領域において計画通り採用することができない ・事業活動を進める上で必要となる知識・スキル・能力を有した人財を適切な時期及び規模で育成できない ・優秀な人財が社外に流出してしまう等により、中長期的な視点から当社グループの事業目的の達成が困難となり、その結果、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。[リスクへの対応]  当社グループでは、中期経営計画(2025年3月期-2027年3月期)の基本コンセプトとして「変化に対応できる企業体質への転換」を掲げておりますが、これらを実現するためには自立型人財の育成が不可欠であると考えております。そのため、階層別教育研修プログラムを導入し、各階層のスキルマップに沿った研修の充実を図り、体系的かつ継続的な人財育成に取り組んでおります。 また、多様なライフスタイルに応じたワークライフバランスの実現に向け、継続的に各種労働環境の整備等を進めており、多様な人財を確保するための活動を推進しております。 なお、人的資本に関する取組については、「第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組(3)人的資本に関する取組」に記載しております。 ⑩財務リスク-(1)棚卸資産の価値下落影響度:中発生可能性:高い[当該リスクが顕在化した場合の影響]  当社グループが保有している棚卸資産については、主として、個別法に基づく原価法(収益性の低下に基づく簿価切下げの方法)により評価しております。そのため、原料相場の高騰や稼働率の低下により製品原価が売価を上回った場合、収益性の低下による評価損が発生し、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 ⑪財務リスク-(2)固定資産の価値下落影響度:やや大きい発生可能性:やや高い[当該リスクが顕在化した場合の影響]  当社グループでは、生産能力や生産性の向上等のため製造設備などの設備投資を継続的に行っており、その結果、当連結会計年度末の連結貸借対照表において、有形固定資産を9,870百万円計上しております。当該有形固定資産については固定資産の減損に係る会計基準等に従い、資産の簿価が回収できない兆候が認められた場合は減損テストを行い、当該資産が十分な将来キャッシュ・フローを生み出さない場合は、減損損失を認識しております。多額の減損損失を認識した場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 ⑫情報セキュリティに関するリスク影響度:やや大きい発生可能性:高い[当該リスクが顕在化した場合の影響]  当社グループは、情報セキュリティ対策として各種対策を講じておりますが、予期せぬ事態により、情報流出や破壊もしくは改ざん又は情報システムの停止等が引き起こされる可能性があります。このような事態が生じた場合には、社会的信用の失墜、損害賠償等の費用の発生、業務の停止等により、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。[リスクへの対応]  当社グループでは、事業遂行に関連して多くの顧客情報や機密情報を有しております。これらの情報については、外部流出や破壊、改ざん等が発生しないよう厳格な管理体制を構築し、情報システムのハード面・ソフト面を含めた適切なセキュリティ対策、情報の取扱い等に関する規程類の整備や従業員等への周知・徹底を図るなど、情報セキュリティを強化しております。また、当連結会計年度においては、上記の各種対策に加え、ネットワーク・モバイル等のセキュリティ方針の策定(見直し)やITリテラシー教育の一環として標的型メール訓練の実施等、更なる情報セキュリティの強化に向けた活動を推進いたしました。 ⑬電気的又は機械的事故に関するリスク影響度:中発生可能性:やや高い[当該リスクが顕在化した場合の影響]  当社グループの主たる事業である超硬合金を用いた耐摩耗工具及びその素材である超硬合金のチップの生産活動は、重要設備に依存しております。これらの重要設備において、電気的又は機械的事故等が発生した場合、生産活動に支障をきたし、また操業の停止により顧客への製品供給が停止する等といった事態も想定されます。それらに加え、破損・故障設備の復旧に伴う費用等も発生することから、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。[リスクへの対応]  当社グループでは、電気的又は機械的事故に関するリスクへの対応として、生産設備の定期点検に加え、特に重要な設備については第三者立会のもとで実施する点検も導入し、生産設備の管理体制を強化しております。また、重要設備の一つである焼結炉の管理についてはメンテナンスチームによる会議を定期的に開催し、設備の更新計画や消耗品の更新計画の策定、各事業所間で課題を共有する等、電気的又は機械的事故の未然防止に努めております。 ⑭労働災害及び交通事故に関するリスク影響度:中発生可能性:高い[当該リスクが顕在化した場合の影響]  当社グループは、生産活動においては多くの生産設備を用いた業務、また営業活動においては自動車を使用しての顧客訪問等が主であります。労働災害や交通事故は、従業員の健康や人命に係わる重大なリスクであり、従業員の安全管理が不可欠であると認識しております。しかしながら、万一重大な労働災害や交通事故等が発生した場合には、生産活動や営業活動に支障をきたし、また補償金等の負担等も生じることが想定されることから、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。[リスクへの対応]  当社グループでは、労働災害及び交通事故に関するリスクへの対応として、各事業所ごとに実施しているリスクアセスメント活動や安全衛生防火委員会の活動を推進し、安全な職場環境の整備に努めております。また、産業医による職場巡視時の助言や指導があった場合には、早急に改善策を検討する等、労働災害や交通事故等の未然防止に努めております。更に、中期経営計画(2025年3月期-2027年3月期)の重要施策の一つとして「経営基盤の強化」を掲げておりますが、これらを実現するため、当連結会計年度においては、当社に品質保証本部を新設し、本部内に労働災害の発生防止及び安全安心な職場の実現を目的とした安全管理部を設置いたしました。なお、労働災害や交通事故等が発生した場合には、リスクマネジメント委員会へ報告する体制としており、当社グループ全体で課題を認識・共有し、再発防止にも努めております。 ⑮人権問題に関するリスク影響度:中発生可能性:やや高い[当該リスクが顕在化した場合の影響]  当社グループ及び当社グループのサプライチェーンにおいて、各種ハラスメント及び差別並びに強制労働や児童労働等の人権問題が発生した場合には、社会的信用の失墜、人財の流出、損害賠償等の費用の発生、生産活動や調達への影響等により、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。[リスクへの対応]  当社グループでは、2022年10月に「パワーハラスメント防止宣言」を行い当社グループ全体に周知するとともに、ハラスメント教育の充実、内部通報制度や社内外の相談窓口の運用等を通じて、人権問題の未然防止及び早期把握に努めております。当連結会計年度においては、一般職の従業員を対象に「ハラスメント防止研修」を実施いたしました。また、事業活動を通じて社会的責任を果たすため、「責任ある鉱物調達方針」に沿った原材料の調達を推進しております。 ⑯法的規制等に関するリスク影響度:中発生可能性:やや高い[当該リスクが顕在化した場合の影響]  当社グループは、日本及びアジアを中心にグローバルに事業を展開しており、様々な国の法令・規則の適用を受けております。法的規制等に関するリスクへの対応として各種対策を講じておりますが、グローバルに事業を展開するなか、これらのリスクを完全に回避することは困難であります。また、当社グループの役員及び従業員によるコンプライアンス違反等の不祥事も懸念されます。これらの法令違反や不祥事等が発生した場合には、社会的信用の失墜、損害賠償等の費用の発生、事業活動の制限による影響等により、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。[リスクへの対応]  当社グループでは、コンプライアンス意識の徹底・向上を図るため、当社グループ全体でコンプライアンス教育を継続的に実施しております。また、内部通報制度や社内外の相談窓口の運用等を通じて、法令違反や不祥事等の未然防止及び早期把握にも努めております。なお、当社グループに影響を及ぼすと考えられる法令・規則の新設や改正等があった場合及び当社グループ内で法令違反や不祥事等が発生した場合には、コンプライアンス委員会へ報告する体制としており、当社グループ全体で課題を認識・共有し、法令違反の未然防止等に努めております。

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