事業の概要
- 超硬小径エンドミル製造販売日進工具グループは、主にマシニングセンタ(金属などを削る機械)に取り付けて使う「エンドミル」という切削工具を製造・販売しています。特に、超硬素材で作られた直径6mm以下の小さいエンドミルに特化しており、これが売上の約8割を占める主力事業です。精密な加工が必要な分野で使われています。
- 製品の製造・販売を国内外で展開日本国内だけでなく、香港や米国にも子会社を持ち、グローバルに製品を販売しています。これにより、特定の地域に依存せず、幅広い市場で収益を上げています。また、一部の子会社では製品の再加工やプラスチック成形品の製造も行っています。
- 工具ケース等の製造販売も展開主力のエンドミル事業の他に、「その他」の事業セグメントとして、工具ケースなどのプラスチック成形品の製造販売も行っています。ただし、この事業の売上や利益はグループ全体の10%未満であり、エンドミル事業が圧倒的な収益源となっています。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
セグメント構成
- エンドミル関連事業日進工具グループの主力の事業セグメントであり、超硬小径エンドミルを中心とした切削工具の製造販売を行っています。このセグメントは、製品のサイズによって「エンドミル(6mm以下)」、「エンドミル(6mm超)」、「エンドミル(その他)」にさらに区分されており、特に直径6mm以下の小径エンドミルが売上の約8割を占める稼ぎ頭です。
- その他事業このセグメントは、工具ケースを中心としたプラスチック成形品の製造販売などを行っています。ただし、この「その他」セグメントの売上高、利益、資産の金額は、すべての事業セグメントの合計額の10%未満であるため、報告セグメントとしては「エンドミル関連」の1つとしてまとめられています。
- グローバルな販売体制日進工具は、日本国内の代理店に加え、中国(日進工具香港有限公司)や米国(NS TOOL USA,INC.)にも販売子会社を置いています。これにより、海外市場でのエンドミルの販売を強化し、グローバルな事業展開を進めています。また、一部の子会社では製品の再加工も行っています。
有価証券報告書「事業の内容」の全文を見る(年度切替)
3【事業の内容】当社グループは、当社及び連結子会社5社の6社で構成されており、マシニングセンタ(工作機械)に取り付けて金属等の加工を行う切削工具「エンドミル」の製造・販売を中心に事業を行っております。特色としましては、エンドミルの中でも超硬素材でかつ小径(刃径6mm以下)サイズの製品に注力しており、取扱高(金額ベース)の約8割を占めております。当社グループでは、製品の製造様式、製品の市場及び顧客を系統的に区分した製品部門別に戦略を構築し、事業活動を展開しております。したがって、当社グループは製品部門別のセグメントから構成されており、「エンドミル関連」と「その他」の2つを事業セグメントとしております。「エンドミル関連」は当社グループが営む主力の事業であり、超硬小径エンドミルを中心とした切削工具の製造販売にかかる事業であります。また、「その他」は工具ケースを中心としたプラスチック成形品の製造販売にかかる事業等であります。なお、「エンドミル関連」は、製品のサイズ等により、エンドミル(6mm以下)、エンドミル(6mm超)、エンドミル(その他)に区分しております。なお、「その他」の事業セグメントの売上高、利益又は損失の額及び資産の金額がいずれもすべての事業セグメントの合計額の10%未満であるため、報告セグメントを1つとしております。 (1)当社当社は、超硬小径エンドミルを中心とした切削工具を生産し、代理店及び連結子会社である株式会社ジーテック、日進工具香港有限公司、NS TOOL USA,INC.に販売しております。 (2)子会社株式会社ジーテックは、製品の販売及び一部再加工を行っております。日進工具香港有限公司は、中国地区での製品の販売を行っております。NS TOOL USA,INC.は、米国での製品の販売を行っております。株式会社牧野工業は、工具ケースを中心としたプラスチック成形品の製造・販売を行っております。株式会社日進エンジニアリングは、当社の加工委託先であります。 事業の系統図は次のとおりであります。(2025年3月31日現在)
事業の優位性(モート)
事業の質(有価証券報告書から抽出)
数字に出ない事業の性質を、同じ物差しで全銘柄そろえています。FY2025時点の記載が出典です。
| 価格決定力値上げを通せるか。強いほどインフレ耐性が高い | 中程度 原材料価格上昇を一部価格改定で吸収。高付加価値製品で優位性をアピール。 |
|---|---|
| 参入障壁新規参入を阻む要因の種類 | 技術 専用加工機の自社開発、小径エンドミルに特化した開発・生産・販売体制の強化 |
| 景気敏感度業績が景気循環にどれだけ振られるか | 中程度 |
| 設備投資の性質稼いだ現金がどれだけ設備維持に消えるか | 混合 |
| 規制依存規制は障壁にも足枷にもなる | 中程度 |
会社が挙げる主要リスク:災害や新型感染症による事業所・工場への影響 / 生産・開発拠点の集中による災害リスク / 超硬小径エンドミル以外の素材・加工方法への代替
同じ条件で他の銘柄を探す → 定性スクリーニング(価格決定力・参入障壁・景気敏感度などで絞り込めます)
モート総合 9 / 25 5類型それぞれの強度と、そう判定した根拠
無形資産★☆☆☆☆
日進工具は超硬工具分野で長年の実績と一定のブランド認知を持つが、特許や独占的IPによる明確な優位性は限定的。特定のニッチ市場での評価は存在するものの、広範な無形資産による強力な競争優位とは言い難い。
スイッチングコスト★★★☆☆
超硬工具は、切削性能や工具寿命が生産性に直結するため、顧客は一度採用した工具メーカーを容易には変更しない傾向がある。特に、特定の加工プロセスに最適化された工具の場合、乗り換えコストは無視できない。
ネットワーク効果☆☆☆☆☆
超硬工具の製造・販売事業において、ネットワーク効果はほとんど見られない。製品の価値は個々の性能に依存し、ユーザー数の増加が直接的な価値向上に繋がる構造ではない。
コスト優位★★☆☆☆
長年の製造ノウハウによる効率化や、材料調達における一定の交渉力は考えられるが、競合他社と比較して構造的なコスト優位を確立している明確な証拠は少ない。規模の経済によるコスト削減効果も限定的。
規模の経済★★★☆☆
超硬工具市場は、大手グローバル企業から中小企業まで多数のプレイヤーが存在するが、日進工具は特定のニッチ分野(例:マイクロ・精密工具)において一定のシェアを確保しており、その分野では効率規模の優位性が働きやすい。
- 超硬小径エンドミルへの特化日進工具は、超硬素材の小径エンドミルに経営資源を集中することで、この分野における高い専門性と技術力を確立しています。専用加工機の自社開発や、小径エンドミルに特化した開発・生産・販売体制を強化することで、高付加価値製品を効率的に提供できるビジネスモデルを構築しています。
- 独自の製造プロセスと品質管理自社開発の専用機を製造工程に投入し、独自の製造プロセスを確立することで、高性能で品質のばらつきが少ない製品を安定的に生産しています。ISO9001などの国際的な品質管理基準に加え、独自の「ものづくり行動指針」に基づき、社員が継続的に改善を行うことで高い品質を維持しています。
- 災害からの迅速な復旧実績生産・開発拠点が集中する宮城県での地震対策に注力し、「オールラウンド免震」機構などの新技術を導入しています。これにより、2021年と2022年に発生した震度6強の地震の際も、1~2日で生産を完全に復旧できた実績があり、災害時の事業継続能力が高いことを示しています。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
経営戦略
有価証券報告書「経営方針・対処すべき課題・MD&A」の全文を見る(年度切替)
経営方針・経営戦略
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。なお、本文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末時点において、当社グループが判断したものであり、その実現を保証するものではありません。 (1)会社の経営の基本方針当社グループは「SOFT(技術)・HARD(機械)・HEART(心)を創ります。人と地球に優しい製品を開発し社会に貢献します」の経営理念のもと、生産性の向上に役立つ切削工具等の開発・製造・販売に携わってまいりました。また、ブランドステートメントとして“「つくる」の先をつくる”を掲げ、お客様や社会のニーズに応える高付加価値製品を生み出し、モノづくりの夢と可能性を切り拓くことを経営の基本方針としております。また、当社グループは、社会との共存と自社の持続可能性を同期させた「サステナビリティ基本方針」を策定しております。自社グループの中長期的課題と向き合い、社会と共生しつつ企業としての持続的成長を維持継続するため、超硬小径エンドミルを中心に「人と地球にやさしい高付加価値製品を、最小限の資源でつくり、環境負荷の低減に努める」ことで、精密・微細加工用工具分野で圧倒的なプレゼンスを目指します。 (2)中長期的な会社の経営戦略当社グループの持続的成長と社会との共存を実現するため、当社の各部門とグループ企業体が互いに連携し、製品開発サイクルの好循環をつくり出すことで、高付加価値製品の継続的な創造、提供の実現を図ります。 上記目的達成のため、開発・生産・販売の各部門においては、下記戦略を実施してまいります。 ① 開発部門新製品開発では、当社グループの強みである製品群の豊富な品揃えをさらに強化、充実するとともに、他社との「違い」を意識したユニークな製品の開発を目指します。新たな素材を使った工具の開発や、新たな工具の加工方法やコーティング技術の改良を推進するとともに、営業部門と連携して製品開発に関わる情報の収集と共有化を図り、販売店やユーザー様に支持される製品を開発してまいります。また、生産技術開発では、次世代加工技術への取り組みによる既存技術の革新を基本方針として、自社開発工具研削盤の更なる機能向上や画像処理技術による自動測定の範囲拡大を図ります。 ② 生産部門仙台工場で策定した「ものづくり行動指針」を生産活動の基本としつつ、自社開発機による自動化ラインの増強、自動化範囲の拡大等により無人化・省力化を引き続き推進し、高性能でバラツキのない、かつ価格競争力のある高付加価値製品を安定的に供給できる体制を深化させてゆきます。また、品質改善と原価低減のための小集団改善活動「オレンジFC活動」(FCはFuture Challenge)を一段と強化してまいります。また、子会社工場での生産増強による小径エンドミル生産体制のリスク分散や、生産効率と環境に配慮した生産活動を推進するため電力使用量の削減等を引き続き進めてまいります。③ 販売部門国内販売は、製品の拡販を図るための仕組みづくりに再度注力し、ユーザー様に、タイムリーかつ効率的に全製品をお届けするための販売網の整備や在庫の充実を図りつつ、販売店に配慮した施策の展開を行うほか、ユーザー様に対してはデジタル技術を活用し、自社サイトでの工具検索機能を充実させるほか、情報サイト「オウンドメディア」等を活用した製品情報の提供や、データ分析に基づいたマーケティングを進めてまいります。また、海外では地域別戦略に基づき、地域特性に合わせたアプローチにより精密・微細加工市場の開拓、拡大を目指し活動してまいります。 (3)経営環境について当社グループの主力製品である超硬エンドミルは、切削工具の一種で、工作機械に取り付け、主に精密・微細加工を必要とする金型や各種部品の製作といった金属等の加工に使用されます。それらの金型や部品は様々な工業製品に用いられることから、当社製品は自動車、半導体、電子部品、光学機器、日用品、医療機器等、多くの産業で使用され、当社グループの業績はこれら工業製品の生産動向に大きく影響されます。この数年間、成長ドライバであったスマホや自動車の分野での製品需要が一段落し、国内市場が横ばい推移しておりますが、中期的には、DXの発展を支える半導体、電子部品等に対する着実な需要増加や、医療や航空宇宙等、新たな成長が期待される分野において、当社の製品が強みを発揮する精密・微細加工技術が必要とされる機会が増加すると思われ、小径切削工具の市場は引き続き成長してゆくものと考えております。当社グループを取り巻く現在の経営環境としましては、米国関税問題を巡る交渉の帰趨が見通せない中、我が国及び世界における経済活動の安定性、予見可能性が担保できない状況であり、一方で素材費や人件費を中心とした着実なコストアップが見込まれるため、現時点におきましては、当社グループを取り巻く経営環境は一段厳しいものになるとの前提を置かざるを得ません。このような環境の中、主要需要先の動向といたしましては、自動車関連は、認証問題等の供給制約要因が解消し、電気自動車(EV)シフトが一段落する中でハイブリッド自動車(HV)や燃料電池自動車(FCV)の需要回復、生産増加が期待されますが、米国関税政策の動向によっては輸出の大幅減や世界景気の底割れが顕在化するリスクがあるため、当社製品のユーザー様の動きは鈍いものと予想されます。半導体や電子部品関連は、AI関連の需要に加え在庫調整が一巡し、全般的に徐々に需要回復してゆくものと見込まれますが、米国の動向によってはサプライチェーンが分断されるリスクがあるため、当社製品の販売量が非連続となる可能性があります。 (4)優先的に対処すべき事業上および財務上の課題我が国のモノづくりが圧倒的な強みを発揮する精密・微細加工分野を、小径工具を使った切削加工技術の面から支え続けてゆくこと、ユーザー様が安心して新たな精密・微細加工にチャレンジできるよう、高性能で品質の安定した高付加価値製品を、販売店を通じ妥当な価格で安定的に供給していくことが当社グループの使命であると認識しております。当社グループが対処すべき事業上の課題としましては、上記使命を踏まえ、内外の代理店、販売店による販売網の一段の充実を図りつつ、小径工具の分野で、他社との「違い」を意識したユニークな新製品を供給する一方、標準品の圧倒的な品揃えと豊富な在庫を確保することで、小径工具市場でのプレゼンスを再度確立することに重点を置いて業務を推進してまいります。当社グループが対処すべき財務上の課題としましては、ここ数年成長が鈍化し設備投資が伸び悩んだことから、総資産に占める現預金の割合が増加し資産効率の悪化を招いている点が挙げられます。これに対処するため足元は株主還元を強化しておりますが、早期に成長軌道へ復帰することで増産や生産効率改善のための新規設備投資へ現預金を振り向けることにより、資産効率を改善してまいる所存です。 (5)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等当社グループは、売上よりも利益を優先する経営方針を掲げ、売上高経常利益率20%の確保を中長期的な目標としておりましたが、当期の売上高経常利益率は18.9%、前期比2.2ポイント減となり、11期ぶりに目標とする指標を下回りました。国内の小径工具市場が停滞する中で、販売価格を据え置いて対応する一方、人件費や販売費の増加による原価率、経費率の上昇が利益を圧迫する結果となりました。次期につきましても、世界情勢や景気動向の不透明感から販売や原価低減の見通しが困難な一方、引き続き人件費等の原価、費用の着実な上昇が見込まれることから、売上高経常利益率は当期を0.8ポイント下回る18.1%を予想しております。また、株主資本を効率的に活用する観点から自己資本利益率(ROE)10%の確保も経営指標としておりますが、当期は7.1%に止まっております。厳しい経営環境が続く中、足元では次年度施策の着実な遂行により、経常利益率の計画水準達成と資本コストを上回るROEの回復を目標としつつ、中期経営戦略と施策の推進により利益成長機会を再度確保し、中期的に両指標の達成を目指します。 (6)経営戦略の現状と見通し「中期的な会社の経営戦略」に記載の通り、この数年間市場が踊り場を迎える中、製品開発では製品群の品揃えの充実を図る一方で、高硬度鋼材向けの新コーティングを使った製品やユニークなレンズ形状エンドミル等を開発して発売し、生産現場では自社製研削盤の改善や測定技術の向上を図るとともに、自動化を推進してコストの低減を進め、販売部門では内外の販売網を活用して多様な製品を滞りなくユーザーに届ける仕組みの充実を図っております。今後の見通しにつきましては、精密・微細加工の市場は中長期的に着実な拡大が見込まれると想定し、引き続き小径工具の製造販売に特化し、他社との「違い」を追求しつつ市場と共に成長してゆくための中期的施策を策定し実行することで、再び持続的な利益成長の実現を目指してまいります。 (7)その他、会社の経営上重要な事項① 内部管理体制の整備・運用状況当社グループでは、社内規程や稟議制度を整備し、ルールに基づいた業務運営を実施しております。また、内部統制報告制度への対応につきましては、常務取締役を委員長とする「内部統制委員会」を設置し、内部統制の整備・運用の推進及びその評価、また監査法人により実施される内部統制監査への対応を行っております。② 指名・報酬委員会の設置当社グループでは、ガバナンス強化の観点から任意の指名・報酬委員会を設置しております。指名・報酬委員会は独立社外取締役が過半を構成し、委員長は独立社外取締役から選任される諮問委員会であり、取締役等の候補者の指名(監査等委員である取締役を除きます)や、取締役等の報酬(監査等委員である取締役を除きます)について取締役会より諮問を受け、審議内容を答申することで、取締役会の独立性を高めるものであります。③ 資本コストや株価を意識した経営の実現に向けての対応当社グループでは従前より自社の連結資本コストを8.6%と想定し、これを上回る資本効率を達成するため自己資本利益率(ROE)10%を経営目標としております。また、このROE目標達成のため、売上高経常利益率20%を維持することをもう一つの経営目標として事業に取り組んでおります。当期のROEは7.1%、売上高経常利益率は18.9%といずれも目標となる指標を大きく下回る結果となりました。厳しい経営環境下、次期業績予想でも指標の目標未達が見込まれます。会社の中期的課題については総括が終了し対策を開始しており、足元は次期計画を着実に遂行することで、まず漸減傾向にある経常利益額と経常利益率を反転させ、併せてグループ全社一丸で中期課題に向き合い解決することで次の持続的成長を実現し、資本コストを上回る水準へROEを回復させることに注力してまいります。④ その他その他の取組みといたしましては、監査等委員による各部門長へのヒアリングの実施、内部監査部門による各部門への内部監査の実施等を行っております。なお、内部監査につきましては、社長及び取締役会の両方へ報告、答申等を行うデュアルレポーティング制度を採用しております。コンプライアンスにつきましては、コンプライアンス担当役員を中心に推進を図っており、従業員研修会や社内業務連絡(コンプライアンス便り 月1回配信)で取り上げることにより、社内教育に努めております。また外部弁護士を窓口とする「コンプライアンス相談窓口」を設け、内部通報制度の窓口といたしております。
対処すべき課題
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。なお、本文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末時点において、当社グループが判断したものであり、その実現を保証するものではありません。 (1)会社の経営の基本方針当社グループは「SOFT(技術)・HARD(機械)・HEART(心)を創ります。人と地球に優しい製品を開発し社会に貢献します」の経営理念のもと、生産性の向上に役立つ切削工具等の開発・製造・販売に携わってまいりました。また、ブランドステートメントとして“「つくる」の先をつくる”を掲げ、お客様や社会のニーズに応える高付加価値製品を生み出し、モノづくりの夢と可能性を切り拓くことを経営の基本方針としております。また、当社グループは、社会との共存と自社の持続可能性を同期させた「サステナビリティ基本方針」を策定しております。自社グループの中長期的課題と向き合い、社会と共生しつつ企業としての持続的成長を維持継続するため、超硬小径エンドミルを中心に「人と地球にやさしい高付加価値製品を、最小限の資源でつくり、環境負荷の低減に努める」ことで、精密・微細加工用工具分野で圧倒的なプレゼンスを目指します。 (2)中長期的な会社の経営戦略当社グループの持続的成長と社会との共存を実現するため、当社の各部門とグループ企業体が互いに連携し、製品開発サイクルの好循環をつくり出すことで、高付加価値製品の継続的な創造、提供の実現を図ります。 上記目的達成のため、開発・生産・販売の各部門においては、下記戦略を実施してまいります。 ① 開発部門新製品開発では、当社グループの強みである製品群の豊富な品揃えをさらに強化、充実するとともに、他社との「違い」を意識したユニークな製品の開発を目指します。新たな素材を使った工具の開発や、新たな工具の加工方法やコーティング技術の改良を推進するとともに、営業部門と連携して製品開発に関わる情報の収集と共有化を図り、販売店やユーザー様に支持される製品を開発してまいります。また、生産技術開発では、次世代加工技術への取り組みによる既存技術の革新を基本方針として、自社開発工具研削盤の更なる機能向上や画像処理技術による自動測定の範囲拡大を図ります。 ② 生産部門仙台工場で策定した「ものづくり行動指針」を生産活動の基本としつつ、自社開発機による自動化ラインの増強、自動化範囲の拡大等により無人化・省力化を引き続き推進し、高性能でバラツキのない、かつ価格競争力のある高付加価値製品を安定的に供給できる体制を深化させてゆきます。また、品質改善と原価低減のための小集団改善活動「オレンジFC活動」(FCはFuture Challenge)を一段と強化してまいります。また、子会社工場での生産増強による小径エンドミル生産体制のリスク分散や、生産効率と環境に配慮した生産活動を推進するため電力使用量の削減等を引き続き進めてまいります。③ 販売部門国内販売は、製品の拡販を図るための仕組みづくりに再度注力し、ユーザー様に、タイムリーかつ効率的に全製品をお届けするための販売網の整備や在庫の充実を図りつつ、販売店に配慮した施策の展開を行うほか、ユーザー様に対してはデジタル技術を活用し、自社サイトでの工具検索機能を充実させるほか、情報サイト「オウンドメディア」等を活用した製品情報の提供や、データ分析に基づいたマーケティングを進めてまいります。また、海外では地域別戦略に基づき、地域特性に合わせたアプローチにより精密・微細加工市場の開拓、拡大を目指し活動してまいります。 (3)経営環境について当社グループの主力製品である超硬エンドミルは、切削工具の一種で、工作機械に取り付け、主に精密・微細加工を必要とする金型や各種部品の製作といった金属等の加工に使用されます。それらの金型や部品は様々な工業製品に用いられることから、当社製品は自動車、半導体、電子部品、光学機器、日用品、医療機器等、多くの産業で使用され、当社グループの業績はこれら工業製品の生産動向に大きく影響されます。この数年間、成長ドライバであったスマホや自動車の分野での製品需要が一段落し、国内市場が横ばい推移しておりますが、中期的には、DXの発展を支える半導体、電子部品等に対する着実な需要増加や、医療や航空宇宙等、新たな成長が期待される分野において、当社の製品が強みを発揮する精密・微細加工技術が必要とされる機会が増加すると思われ、小径切削工具の市場は引き続き成長してゆくものと考えております。当社グループを取り巻く現在の経営環境としましては、米国関税問題を巡る交渉の帰趨が見通せない中、我が国及び世界における経済活動の安定性、予見可能性が担保できない状況であり、一方で素材費や人件費を中心とした着実なコストアップが見込まれるため、現時点におきましては、当社グループを取り巻く経営環境は一段厳しいものになるとの前提を置かざるを得ません。このような環境の中、主要需要先の動向といたしましては、自動車関連は、認証問題等の供給制約要因が解消し、電気自動車(EV)シフトが一段落する中でハイブリッド自動車(HV)や燃料電池自動車(FCV)の需要回復、生産増加が期待されますが、米国関税政策の動向によっては輸出の大幅減や世界景気の底割れが顕在化するリスクがあるため、当社製品のユーザー様の動きは鈍いものと予想されます。半導体や電子部品関連は、AI関連の需要に加え在庫調整が一巡し、全般的に徐々に需要回復してゆくものと見込まれますが、米国の動向によってはサプライチェーンが分断されるリスクがあるため、当社製品の販売量が非連続となる可能性があります。 (4)優先的に対処すべき事業上および財務上の課題我が国のモノづくりが圧倒的な強みを発揮する精密・微細加工分野を、小径工具を使った切削加工技術の面から支え続けてゆくこと、ユーザー様が安心して新たな精密・微細加工にチャレンジできるよう、高性能で品質の安定した高付加価値製品を、販売店を通じ妥当な価格で安定的に供給していくことが当社グループの使命であると認識しております。当社グループが対処すべき事業上の課題としましては、上記使命を踏まえ、内外の代理店、販売店による販売網の一段の充実を図りつつ、小径工具の分野で、他社との「違い」を意識したユニークな新製品を供給する一方、標準品の圧倒的な品揃えと豊富な在庫を確保することで、小径工具市場でのプレゼンスを再度確立することに重点を置いて業務を推進してまいります。当社グループが対処すべき財務上の課題としましては、ここ数年成長が鈍化し設備投資が伸び悩んだことから、総資産に占める現預金の割合が増加し資産効率の悪化を招いている点が挙げられます。これに対処するため足元は株主還元を強化しておりますが、早期に成長軌道へ復帰することで増産や生産効率改善のための新規設備投資へ現預金を振り向けることにより、資産効率を改善してまいる所存です。 (5)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等当社グループは、売上よりも利益を優先する経営方針を掲げ、売上高経常利益率20%の確保を中長期的な目標としておりましたが、当期の売上高経常利益率は18.9%、前期比2.2ポイント減となり、11期ぶりに目標とする指標を下回りました。国内の小径工具市場が停滞する中で、販売価格を据え置いて対応する一方、人件費や販売費の増加による原価率、経費率の上昇が利益を圧迫する結果となりました。次期につきましても、世界情勢や景気動向の不透明感から販売や原価低減の見通しが困難な一方、引き続き人件費等の原価、費用の着実な上昇が見込まれることから、売上高経常利益率は当期を0.8ポイント下回る18.1%を予想しております。また、株主資本を効率的に活用する観点から自己資本利益率(ROE)10%の確保も経営指標としておりますが、当期は7.1%に止まっております。厳しい経営環境が続く中、足元では次年度施策の着実な遂行により、経常利益率の計画水準達成と資本コストを上回るROEの回復を目標としつつ、中期経営戦略と施策の推進により利益成長機会を再度確保し、中期的に両指標の達成を目指します。 (6)経営戦略の現状と見通し「中期的な会社の経営戦略」に記載の通り、この数年間市場が踊り場を迎える中、製品開発では製品群の品揃えの充実を図る一方で、高硬度鋼材向けの新コーティングを使った製品やユニークなレンズ形状エンドミル等を開発して発売し、生産現場では自社製研削盤の改善や測定技術の向上を図るとともに、自動化を推進してコストの低減を進め、販売部門では内外の販売網を活用して多様な製品を滞りなくユーザーに届ける仕組みの充実を図っております。今後の見通しにつきましては、精密・微細加工の市場は中長期的に着実な拡大が見込まれると想定し、引き続き小径工具の製造販売に特化し、他社との「違い」を追求しつつ市場と共に成長してゆくための中期的施策を策定し実行することで、再び持続的な利益成長の実現を目指してまいります。 (7)その他、会社の経営上重要な事項① 内部管理体制の整備・運用状況当社グループでは、社内規程や稟議制度を整備し、ルールに基づいた業務運営を実施しております。また、内部統制報告制度への対応につきましては、常務取締役を委員長とする「内部統制委員会」を設置し、内部統制の整備・運用の推進及びその評価、また監査法人により実施される内部統制監査への対応を行っております。② 指名・報酬委員会の設置当社グループでは、ガバナンス強化の観点から任意の指名・報酬委員会を設置しております。指名・報酬委員会は独立社外取締役が過半を構成し、委員長は独立社外取締役から選任される諮問委員会であり、取締役等の候補者の指名(監査等委員である取締役を除きます)や、取締役等の報酬(監査等委員である取締役を除きます)について取締役会より諮問を受け、審議内容を答申することで、取締役会の独立性を高めるものであります。③ 資本コストや株価を意識した経営の実現に向けての対応当社グループでは従前より自社の連結資本コストを8.6%と想定し、これを上回る資本効率を達成するため自己資本利益率(ROE)10%を経営目標としております。また、このROE目標達成のため、売上高経常利益率20%を維持することをもう一つの経営目標として事業に取り組んでおります。当期のROEは7.1%、売上高経常利益率は18.9%といずれも目標となる指標を大きく下回る結果となりました。厳しい経営環境下、次期業績予想でも指標の目標未達が見込まれます。会社の中期的課題については総括が終了し対策を開始しており、足元は次期計画を着実に遂行することで、まず漸減傾向にある経常利益額と経常利益率を反転させ、併せてグループ全社一丸で中期課題に向き合い解決することで次の持続的成長を実現し、資本コストを上回る水準へROEを回復させることに注力してまいります。④ その他その他の取組みといたしましては、監査等委員による各部門長へのヒアリングの実施、内部監査部門による各部門への内部監査の実施等を行っております。なお、内部監査につきましては、社長及び取締役会の両方へ報告、答申等を行うデュアルレポーティング制度を採用しております。コンプライアンスにつきましては、コンプライアンス担当役員を中心に推進を図っており、従業員研修会や社内業務連絡(コンプライアンス便り 月1回配信)で取り上げることにより、社内教育に努めております。また外部弁護士を窓口とする「コンプライアンス相談窓口」を設け、内部通報制度の窓口といたしております。
MD&A(経営者による分析)
4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】(1)経営成績等の概要当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。① 経営成績の状況当連結会計年度における我が国経済は、為替相場の変動や原材料・エネルギー価格の高止まり、物価の上昇、ウクライナや中東情勢の地政学的問題等の影響があったものの、全体を通して緩やかな回復基調となりました。当社グループ製品の主要需要先の状況といたしましては、半導体や電子・デバイス関連は、AI関連需要に牽引され堅調に推移しましたが、自動車関連は、後半にかけて生産台数の持ち直しが見られたものの、新規車種の開発が少なかったことから、工具需要は低調に推移しました。一方海外では、中華圏でのEVやスマートフォン向け電子部品関連の受注獲得により好調に推移しました。このような環境の中、当社グループでは、営業面では、国内での「INTERMOLD2024」や「JIMTOF2024」、米国での「IMTS2024」などの展示会に出展し、新製品の発表やユーザーニーズに合わせた技術提案を行うことにより、新たな需要開拓を図りました。製品面では、新たに開発したMPXコーティングを採用した、SUS420系の焼入れ鋼の加工に特化したロングネックボールエンドミル「XRBH230」を11月に発売しました。被削材を限定することで、より高い加工精度を発揮する「XRBH230」は、高付加価値製品を追求する当社らしい製品開発となりました。生産面では、当社グループの小集団改善活動である「オレンジFC活動」を中心に、精度向上を目指しながら生産効率を上げる取り組みを継続し、加工時間短縮等によるコスト削減を行ってまいりましたが、労務費等上昇する製造原価を吸収するには至りませんでした。これらの結果、当連結会計年度における売上高は9,431百万円(前期比4.3%増)、営業利益は1,767百万円(同5.4%減)、経常利益は1,779百万円(同6.8%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は1,264百万円(同4.2%減)となりました。なお、KPIとして売上高経常利益率20%を目標としておりましたが、当期の売上高経常利益率は前期比2.2ポイント減の18.9%となりました。需要先の市況に鑑みて販売価格を据え置いた一方、賃上げによる人件費や物価高による諸費用の増加により製造原価、販管費ともに増加したため、売上高経常利益率が低下いたしました。もう一つの目標であるROE10%につきましては、親会社株主に帰属する当期純利益が前期比4.2%減となったこと等から7.1%に止まり、目標を下回る結果となりました。製品区分別の売上高では、「エンドミル(6mm以下)」が7,539百万円(前期比5.4%増)、「エンドミル(6mm超)」が798百万円(同1.6%増)、「エンドミル(その他)」が430百万円(同1.9%減)、「その他」が662百万円(同0.0%増)となりました。 (注)報告セグメントが1つでありますので、製品区分別に記載しております。なお「その他」の事業セグメントは、製品区分別の「その他」に含めております。 ② 財政状態の状況当連結会計年度末における財政状態は、資産合計が19,941百万円(前期末比700百万円増)、負債合計が1,526百万円(同13百万円増)、純資産合計が18,415百万円(同686百万円増)となりました。各資産・負債の増減要因は以下のとおりであります。<流動資産>当連結会計年度末における流動資産の残高は13,791百万円で、前期末比1,071百万円、8.4%の増加となりました。これは主に、設備投資額の減少に伴う現金及び預金の増加等によるものであります。<固定資産>当連結会計年度末における固定資産の残高は6,150百万円で、前期末比371百万円、5.7%の減少となりました。これは主に、減価償却費が設備投資額を上回ったことによるものであります。<資産合計>上記により、資産合計は前期末に比べ700百万円、3.6%増加し19,941百万円となりました。<負債合計>当連結会計年度末における負債の残高は、1,526百万円と前期末に比べ13百万円、0.9%の増加となりました。これは主に、買掛金及び未払法人税等の増加等によるものであります。<純資産合計>当連結会計年度末における純資産の残高は18,415百万円と前期末に比べ686百万円、3.9%の増加となりました。これは親会社株主に帰属する当期純利益の計上による利益剰余金の増加等によるものであります。 ③ キャッシュ・フローの状況当社は足元の業績に左右されず、今後の成長に必要な投資を継続的に行うこととしており、毎期5%程度の売上高の増加に対応できる設備投資を基本としております。具体的には、工具研削盤等の機械設備を中心に実施いたしておりますが、その計画において設置スペースのキャパシティーが不足すると判断された場合に、工場建設等大がかりな投資を行っております。資金の調達につきましては、無借金を前提としておりますことから、基本的には自己資金の範囲内とし、通常は営業活動により得られた資金を上回ることはありません。この数年、市場の成長鈍化に伴い生産活動に係る設備投資額が伸び悩んだことから一時的に手元資金が増加しましたが、今後の事業成長機会に向け準備を進めており、上記基本方針に変更はございません。また運転資本につきましては、販売、仕入れともに原則翌月決済とさせていただいており、当連結会計年度における売上債権回転期間は1.7ヶ月となっております。手許資金につきましては、不測の事態に陥った場合でも当面の期間に亘り雇用や設備を維持し、企業活動を継続できる資金を余裕をもって蓄えておく必要があると考えており、その額は現時点で80億円程度と想定しております。株主還元につきましては、安定的な経営基盤の確保並びに事業展開のための内部留保を勘案しながら、業績に応じた利益還元策を実施していくことを基本方針としておりますが、資本市場からの要請も考慮し、資本効率を意識した運営を行ってまいります。配当につきましては、安定性・継続性にも配慮しつつ、業績動向、資本効率、配当性向等を総合的に勘案したうえで、手元流動性を中期的な事業遂行に必要な水準に維持する事を前提に成長に応じた分配を意識し決定してまいります。なお、当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。連結ベースでの現金及び現金同等物(以下(資金)という)は、前連結会計年度末に比較し、974百万円増加し、9,768百万円(前期比11.1%増)となりました。(営業活動によるキャッシュ・フロー)営業活動の結果得られた資金は2,011百万円(前期比9.6%増)となりました。これは主に税金等調整前当期純利益1,778百万円による資金の増加と、減価償却費による資金の増加や法人税等の支払いによる資金の流出などを反映したものです。(投資活動によるキャッシュ・フロー)投資活動の結果使用した資金は392百万円(同31.7%減)となりました。これは主に有形固定資産の取得による支出と新規保険契約に係る保険積立金の積立による支出を反映したものです。(財務活動によるキャッシュ・フロー)財務活動の結果使用した資金は684百万円(同22.6%減)となりました。これは主に配当金の支払によるものです。 ④ 生産、受注及び販売の実績当社グループは、報告セグメントが1つでありますので、製品区分別に記載しております。なお「その他」の事業セグメントは、製品区分の「その他」に含めております。a.生産実績当連結会計年度の生産実績を製品別に示すと、次のとおりであります。製品別の名称生産高(千円)前年同期比(%)エンドミル(6mm以下)8,320,19312.5エンドミル(6mm超)772,795△3.9エンドミル(その他)229,278△6.4その他475,159△0.4合計9,797,4269.8(注)金額は販売価格によっております。 b.受注実績当連結会計年度における受注実績を製品別に示すと、次のとおりであります。製品別の名称受注高(千円)前年同期比(%)受注残高(千円)前年同期比(%)エンドミル(6mm以下)7,426,3506.9139,308△44.8エンドミル(6mm超)789,3465.216,510△36.0エンドミル(その他)435,7146.0119,7854.5その他663,9273.758,4422.8合計9,315,3396.5334,047△25.7(注)金額は販売価格によっております。 c.販売実績当連結会計年度の販売実績を製品別に示すと、次のとおりであります。製品別の名称販売高(千円)前年同期比(%)エンドミル(6mm以下)7,539,5105.4エンドミル(6mm超)798,6461.6エンドミル(その他)430,601△1.9その他662,3320.0合計9,431,0904.3(注)最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。相手先前連結会計年度(自 2023年4月1日至 2024年3月31日)当連結会計年度(自 2024年4月1日至 2025年3月31日)金額(千円)割合(%)金額(千円)割合(%)株式会社サカイ1,387,59215.31,479,39215.7 (2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討の内容当社グループに関する財政状態及び経営成績の分析・検討内容は、原則として連結財務諸表に基づいて分析した内容であります。本項においては、将来に関する事項が含まれておりますが、当該事項は当連結会計年度末現在において判断したものであります。① 財政状態及び経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容●経営成績等当社グループの当連結会計年度の経営成績等は、売上高が前期比4.3%増加の9,431百万円、営業利益は同5.4%減少の1,767百万円となりました。為替相場の変動や原材料・エネルギー価格の高止まり、物価の上昇、ウクライナや中東情勢の地政学的問題等の影響があったものの、全体を通して緩やかな回復基調となりました。当社グループ製品の主要需要先の状況といたしましては、半導体や電子・デバイス関連は、AI関連需要に牽引され堅調に推移しましたが、自動車関連は、後半にかけて生産台数の持ち直しが見られたものの、新規車種の開発が少なかったことから、工具需要は低調に推移しました。一方海外では、中華圏でのEVやスマートフォン向け電子部品関連の受注獲得により好調に推移しました。 ●重要な影響を与える要因当社グループの製品はそれ自体が人々の暮らしを支えるものではなく、人々の暮らしを支える様々な工業製品を作る際に必要となるものです。従いまして、その需要動向は精密・微細加工を必要とする工業製品群の需要にリンクしております。例えば、スマートフォンや自動車といった最終製品がこれに該当します。従って、当社の製品需要は世界の景気動向や新たな製品の登場等に大きく影響を受けます。当連結会計年度における状況は、第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等(3)に記載の通りでありますが、経済の先行きについては不透明感が一段強くなっており、当社グループを取り巻く経営環境は更に厳しいものになる可能性があります。当社グループ製品の主要需要先では、自動車関連は米国関税問題が落ち着いた後、生産台数の回復が本格化すると期待されます。また、電気自動車(EV)シフトの動きが一段落し、ハイブリッド自動車(HV)や燃料電池自動車(FCV)の需要復活、生産増加が予想され、新モデルの開発等に伴う金型や部品向けの精密・微細加工に必要な工具需要の回復を見込んでいます。半導体、電子部品関連は、地政学的な経済分断が長期化しない限り、AI関連のデータセンター向けなどの一部底堅い需要に加え、汎用品も在庫調整が一巡し徐々に需要回復してゆくものと想定しております。当社グループとしましては、足元は効率的な業務体制を維持しコスト削減に努める一方、工具需要回復のタイミングに向け、高機能・高付加価値製品の品揃えの充実を図り、マーケティングを推進してまいります。 ●資本の財源及び資金の流動性当社グループは、運転資金及び設備資金を内部留保で賄うこととしております。運転資金につきましては、売上に係る決済を原則締め日の翌月応当日とさせて頂いており、当連結会計年度における売上債権回転期間は1.7カ月となっております。また、当期は在庫拡充を目的に製品在庫が前期比109百万円増加する一方で、生産効率改善のため仕掛品が同85百万円減少し、この結果棚卸資産回転期間は6.3カ月となりました。当社グループでは、標準品の販売比率が高く欠品を起こすとユーザー様にご迷惑をお掛けしてしまうほか、失注につながる可能性もあるため、一定水準の製品在庫を揃えておく必要があります。設備資金につきましては、生産設備へ継続的な投資を行いつつ、必要に応じ工場建設等の大規模投資を実施しており、通常は設備投資が営業活動から得られるキャッシュ・フローを上回ることはありません。なお、当連結会計年度における設備投資は、前期に購入した設備の稼働が当期にずれ込んだため、前期比452百万円減少し、111百万円となりました。 ●経営上の目標の達成状況当社グループは、売上よりも利益を優先する経営方針を掲げ、連結売上高経常利益率20%の確保を中期的な目標としております。当期の連結売上高経常利益率は前期比2.2ポイント減の18.9%となり、11期ぶりに目標を下回りました。既存製品の販売価格を据え置く中、労務費人件費、電力費等のコストアップ要因を原価低減で吸収しきれず、利益率が低下いたしました。次期につきましては、米国関税問題等により販売動向が不透明な中、原材料費や労務費人件費の更なる上昇が見込まれるため、当期よりも一段厳しい環境を想定しており、連結売上高経常利益率は当期を0.8ポイント下回る18.1%を予想しております。また、株主資本を効率的に活用する観点から連結自己資本利益率(ROE)10%の確保も経営指標として重視しておりますが、当期は7.1%に止まり、目標値及び当社が想定する資本コスト8.6%を下回る結果となりました。厳しい経営環境下、次期業績予想でも指標の目標未達が見込まれます。会社の中期的課題については総括が終了し対策を開始しており、足元は次期計画を着実に遂行することで、まず漸減傾向にある経常利益額と経常利益率を反転させ、併せてグループ全社一丸で中期課題に向き合い解決することで次の売上、利益の持続的成長を実現し、資本コストを上回る水準までROEを回復させることに注力してまいります。 ② 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている企業会計の基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当たり、当社経営陣は資産、負債及び収益、費用の各報告数値に影響を与える見積りの過程を過去の実績や状況に応じて合理的に設定し、算定しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。当社グループは、米国関税問題、中東やウクライナを巡る地政学上の紛争による不安定な世界情勢、労務費人件費の着実な上昇など、今後の見通しを含め、重要な会計方針及び見積りが連結財務諸表に重要な影響を及ぼす事項であるかを検討いたしましたが、現時点で入手可能な情報に基づき実施した合理的な見積り及びその影響額等を勘案した結果、当期の連結財務諸表に影響を及ぼす事項は無いと判断いたしました。
事業リスク
- 災害・感染症による事業停滞大規模な災害や新型感染症が発生した場合、事業所へのアクセス制限や従業員の出社困難により、製品の出荷や生産が停滞する可能性があります。これにより、市場への製品供給が滞り、売上や利益に悪影響を及ぼす可能性があります。対策として、分散勤務体制や製品在庫の複数拠点保有、生産拠点の分散を進めています。
- 生産・開発拠点の集中リスク主要な生産・開発拠点が宮城県の仙台北部中核工業団地内に集中しているため、この地域で大規模な災害が発生した場合、グループ全体の生産・開発体制が大きな影響を受ける可能性があります。これにより、製品供給が滞り、事業活動に深刻な影響が出る可能性があります。地震対策の強化や在庫・生産拠点の分散でリスク軽減を図っています。
- 小径エンドミル市場の変化主力である超硬小径エンドミルは精密加工に広く使われていますが、将来的に他の素材や3Dプリンター、レーザー加工といった新たな加工方法に代替される可能性があります。もし代替技術が普及した場合、エンドミルの需要が減少し、日進工具の事業に大きな影響を及ぼす可能性があります。代替素材の研究やエンドミルの優位性アピールで対応しています。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
有価証券報告書「事業等のリスク」の全文を見る(年度切替)
3【事業等のリスク】「有価証券報告書」に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を及ぼす可能性があると認識している、当社グループの事業展開上のリスク要因となる可能性のある主な事項と当社の取組状況について以下に記載しております。なお、本文中における将来に関する事項は、「有価証券報告書」提出日(2025年6月25日)現在において当社グループが判断したものであります。(1)災害や新型感染症等の影響について大規模な災害や新型感染症等の発生により、事業所や工場へのアクセスが制限され、従業員の出社が困難となった場合には、製品在庫の出荷が出来ず市場への製品供給が停滞する可能性や、生産体制に影響が出る可能性があります。当社グループでは、かかる事態への対応として、社内規程を整備しチーム分けによる分散勤務体制や在宅勤務体制を可能としているほか、製品在庫を仙台・東京・海外現法2社にて分散保有し、また新潟工場の生産能力増強により、仙台工場との分散生産体制を推進するなど、複合的な対策を講じております。 (2)生産・開発拠点の集中について当社グループは、生産・開発拠点を宮城県の仙台北部中核工業団地内に集約することで、効率的な生産・開発体制を構築し、製品の品質、精度、価格競争力等を高める一方、生産・開発拠点における震災対策の強化・徹底にも注力してまいりました。また、前述の通り在庫の複数拠点での保有や新潟工場での生産拡充など、リスク分散のための対策も並行して行ってまいりました。しかしながら、当該地域にて大地震等の災害が発生した場合には当社グループの生産・開発体制全体が影響を受ける可能性があるほか、場合によっては市場への製品供給が滞る可能性があります。当社グループでは特に仙台工場での地震対策に重点を置いて取り組んでおり、現場における日頃の対策の一段の工夫、徹底に加えて、新開発センターで採用した「オールラウンド免震」機構など、新たな技術を取り込むことで、より高度な地震対策が可能となっております。この結果、2021年2月、2022年3月に東北地方で発生した震度6強の地震に際しては、いずれも1両日で完全に生産復旧できており、一定の成果を生んでいると考えております。引き続き仙台地区での地震対策の充実と、在庫、生産拠点の分散による複合的な取り組みを推進してまいります。 (3)小径エンドミルへの集中について当社グループは超硬小径エンドミルの製造販売に経営資源を集中しております。超硬小径エンドミルは、主に電子機器、民生機器、自動車部品等の精密金型製作や部品の精密・微細加工に広く使用されており、今後も様々な分野で精密・微細加工技術を使った部材や金型の需要が大きく増加すると考えております。精密・微細加工の方法としては、超硬小径エンドミルを使った切削加工が一般的ですが、将来は他の素材を使った製品や新たな加工方法に代替される可能性があり、この場合当社の事業に影響が出ることが予想されます。素材につきましては、現時点で超硬素材に全面的に取って代わる素材の出現の可能性は低いと考えておりますが、今後他の素材に代替される可能性はございます。当社グループでは以前より、cBN(立方晶窒化ホウ素)やPCD(多結晶ダイヤモンド)といった超硬合金以外の素材を使用した製品の開発・製造等も行っており、他の素材についても鋭意研究を進めております。加工方法につきましては、ここ数年3Dプリンターの普及が進み、金属を積層焼結成形する加工機も出てきており、またレーザー加工等、技術革新によりエンドミルを全く使用しない新たな精密・微細加工技術が開発される可能性もございます。当社グループでは、高性能(高精度、高能率、多機能、長寿命)でバラツキのない、環境にやさしい小径エンドミルを合理的な価格で提供していくことにより、エンドミルを使った精密・微細加工の優位性をアピールしてまいります。 (4)競合について当社グループが事業展開している小径エンドミル市場では、国内大手の工具メーカーや超硬メーカーがその成長性に着目して生産・販売体制を強化しており、また中国市場などでも、中国国内で製造された製品が徐々に出回ってきていることから、今後ますます競争が激化していくものと考えられます。当社グループでは、小径エンドミルに経営資源を集中し、専用加工機の自社開発をはじめ、小径エンドミルに特化した開発・生産・販売体制を強化、充実することにより、高付加価値製品を低コストで創造、提供する事業モデルを構築できていると考えており、一段の体制強化を図ってまいります。 (5)原材料の調達及び資源価格の上昇について当社グループの主要製品である超硬エンドミルの主要素材は超硬合金であり、その主要成分となるタングステンは国際市況商品で、供給量の8割強を中国が占めていることから、その価格は世界的な需給関係や産出国の思惑等によって大きく影響を受けます。また超硬合金で結合剤として使用されるコバルトはスマートフォンや電気自動車(EV)の電池にも使用されており、その需要拡大により需給逼迫が懸念されております。加えてタングステン、コバルトとも「紛争鉱物」として、以前より一部の生産地域において、その採掘過程での若年者労働や過酷労働による人権蹂躙が問題となっている経緯があります。当社グループにおきましては、まず原材料のトレーサビリティを徹底し、調達先から証明書の提出や原料調達方法の説明を受けるなどの方法により紛争鉱物の混入を排除しつつ、長期安定調達が可能な取引先を選んで材料の調達を行っております。また昨今の資源価格上昇に伴う材料価格や電気代、運賃等の上昇に関しましては、生産工程の効率化追求や製造経費の削減等、原価低減活動によりある程度までは自社でコスト上昇を吸収してまいりましたが、諸般の状況を考慮し、2022年11月に超硬製品の価格改定を実施しております。 (6)特定の仕入先・協力会社への依存について当社グループは、超硬エンドミルの主要素材である超硬合金の大半を特定の仕入先より仕入れております。また、超硬エンドミル生産の主要工程の一つであるコーティングにおきましては、内製化を進めているものの一部を特定の協力会社に委託しております。これは、増産時の対応又は万が一のためのリスク対応等を狙いとするものであります。当社グループと当該仕入先・協力会社とは、長年にわたり極めて緊密な関係にあり、今後ともこれまでの取引関係を維持発展していく方針でありますが、災害や不測の事態によるサプライチェーンの混乱等に備えるため、安全在庫の積み増しや、設備の増強による内製化比率の引き上げ等、製品の安定供給の観点から対策を講じております。 (7)製品の品質確保について当社グループは、製造工程に自社開発専用機を投入し、独自の製造プロセスを創りあげることにより、当社特有の生産体制を構築し、この結果高性能でバラツキのない高付加価値製品を安定生産しておりますが、製造ラインが自社独自のものであり、市販の製造設備等での代替ができません。従って、製品の品質維持・確保のためには外部に頼らず自社のみで対応する必要があります。当社グループは、ISO9001及び14001等の世界的に認められている品質管理及び環境管理のマネジメント基準に従って製品を製造することに加え、当社独自の「ものづくり行動指針」に基づき、社員自らが社内で不断に自社開発機や製造プロセスの見直しと改善を行うことで、高い品質確保のため盤石の体制を維持、発展させてまいります。 (8)環境問題について当社グループでは、ISOの環境管理基準や「サステナビリティ基本方針」に従って、「人と地球にやさしい製品を、最小限の資源でつくり、環境負荷の低減に努めます」を目標に掲げ活動しております。一方で、環境に対する配慮を求める社会の要請は日々高まっており、GHGの排出削減、資源の3Rや再生可能エネルギーの利用など、販売先、仕入先や株主等の様々なステークホルダーから、より高い目線での対応が求められております。ステークホルダーからの様々な要請、期待に応えられない場合、企業としての社会的信用や事業の成長に影響が出る可能性があります。当社グループでは、2021年にサステナビリティ委員会を設置して当社グループの環境問題について定期的に討議して報告を作成し、これを取締役会で審議しております。また、各部門のKPIを「サステナビリティ基本方針」に基づき策定することで、環境についても経営目標に織り込んで対応することとしております。気候変動への対応につきましては、TCFDに基づく情報開示を行っており、スコープ1.2排出量は当期より決算期に合わせ当期分を開示しております。