研究開発費(時系列)
| 年度 | R&D費用(億円) | 設備投資(億円) |
|---|---|---|
| 2025-12 | - | 295 |
| 2024-12 | - | 438 |
| 2023-12 | - | 425 |
| 2022-12 | - | 411 |
| 2021-12 | - | 233 |
研究開発活動(本文)
FY2025|1,714 文字
6【研究開発活動】当社が提唱するMX(マシニングトランスフォーメーション)が多くのお客様で受け入れが進んでまいりました。これにより複合加工機、5軸加工機を主体とした工程集約と自動化が進んでいます。MXにおいては、夜間や休日に無人運転をさせることで、従来の平均稼働時間の約3倍にもなる月間に500時間、年間で6,000時間もの稼働時間になることが多くあります。MXを実現するための重要な要素はいくつかありますが、最初に実現すべきは「頑丈で、精度よく、故障しない機械」です。これはDMG森精機の経営理念の最初の文言で、当社が最も大切にしている機械の設計理念になります。工作機械は長期に渡って使用されます。長期間に渡る過酷な使用でも、精度良く、安定した加工ができる工作機械が最も重要です。当社はこれまでも長期に渡り、安定した稼働を実現するために手厚いサービス体制でお客様をサポートしてきましたが、MXにおいてはこれが更に重要になります。2026年の第4四半期より当社工作機械にグローバル携帯モジュールを搭載し、更なる安定稼働を実現します。すなわち世界中に出荷する工作機械と当社をグローバル携帯モジュールで接続し、安定稼働に有効に使用します。具体的にはコアユニットである、主軸やボールねじの遠隔モニタリングを行い停止する前に予知保全を実施し、機械のアラーム情報から異常を判断するものです。また実際にサービス依頼を受けた時には制御装置の診断情報などを遠隔で確認し、早期復旧を行います。このインフラを利用して、ソフトウェアの遠隔アップデートも実施します。導入いただいた機械に対して新しいソフトウェアがリリースされたタイミングでアップデートすることが可能になっており、お客様は常に最新のソフトウェアを使用いただくことが出来ます。例えば購入いただいたときには開発されていなかったソフトウェアを購入いただいたのちにも使用いただくことが可能になり、最新のテクノロジーサイクルを使用してこれまで対応できなかった加工を実現するなどの付加価値を提供いたします。また、2024年から2025年にかけて新しいヒューマンマシンインタフェースERGOline X with CELOS Xを主要機種に搭載しリリースしました。この際に操作盤の変更だけではなく、新機種として機能面やデザイン面でも大きく改善しております。更に日本生産機についても主要機種において電源電圧を400V化しています。これにより特に主軸の高出力化を図りました。高出力主軸を利用することでサイクルタイムの短縮が可能になり、生産性の向上と合わせて大幅な省エネも実現しています。ERGOline X with CELOS Xの操作性は多くのお客様に好評に受け入れられており引き続き搭載を進めてまいります。当期においては、複合加工機NTXシリーズの第3世代となるNTX 3rd Generation、横形マシニングセンタNHXシリーズの第4世代となるNHX 4th Generation及びNLX 2500 2nd Generationの心間1250仕様の販売を開始し、工程集約、省エネルギー化を一段と進めました。これらの新機種は、切削能力や動作速度の向上によりサイクルタイム短縮を実現するとともに、エネルギー効率の改善や切りくず処理技術の高度化により、長時間の安定稼働と環境負荷低減を可能としています。さらに、ワークとパレットのハンドリングを一体化した自動化パッケージシステム「MATRIS WPH」や3Dモデルから加工形状を認識して加工プログラムを作成するソフトウェア「CELOS VISUALprogramming 3D」等、お客様の生産効率化を加速させる商品も多数開発いたしました。 以上の研究開発活動の結果、無形資産に計上された開発費を含む当連結会計年度の研究開発費の総額は31,715百万円となっており、セグメント別としては、マシンツール25,583百万円、インダストリアル・サービス6,132百万円となっております。なお、上記研究開発費の総額には、研究開発活動間接費は含めておりません。
FY2024|1,769 文字
6【研究開発活動】当社はMX(マシニング・トランスフォーメーション)を推進しています。MXは、高精度な5軸マシニングセンタや複合加工機により、ワンチャッキングでワークピースの5面もしくは6面を加工し、自由曲面加工、ギヤ加工、研削加工、そして付加加工なども実現します。さらに加工物を高精度に機上で計測することにより、従来複数台の工作機械で製作していたプロセスを1台の機械に工程集約します。機械台数が少なくなることで自動化が容易になり、オペレーターをワークピースの脱着作業という、単純な重労働から解放します。これを実現するためには複合加工機にロボットを取り付けるだけでなく、切りくずの除去作業、工具の監視や交換作業、ワークの精度測定さらに補正の作業、機械の稼働監視などをセンシング、モニタリング機能などのDX(デジタル・トランスフォーメーション)のサポートにより自動化することが必要です。この取り組みにより世界中で稼働していると予想される500万台の従来機を100万台のMXシステムに置き換えることを当社のミッションとしています。MXを導入することで人手不足の解消、省エネ、省スペース、仕掛品の削減が可能となり、GX(グリーン・トランスフォーメーション)を実現します。高精度の5軸加工機、複合加工機による部品の複合化や部品精度の向上も達成されます。高精度、高品質、高機能の工作機械、自動化などの周辺機器、工具・クーラントなどの消耗品、システム構築、立上も含めたエンジニアリング、そしてサービスをワンストップでライフサイクルに渡って提供します。MXを実現するにはDXが最も重要となり、非常に開発工数のかかる課題です。当社では日独のソフトウェアエンジニアが数年間注力し、ERGOline X with CELOS Xを開発しました。ERGOlineは工作機械のヒューマンマシンインタフェース(HMI)のハードウェアで、搭載されるソフトウェアCELOSと合わせDMG MORIの顔として、日独共通の操作システムをお客様に提供しています。工作機械のHMIは非常に重要な役割を果たしています。DMG MORIでは複数メーカーの制御装置を機械特性やお客様の要望に合わせて使い分けています。CELOS Xにより各メーカーの制御装置の特徴を生かしながら、共通のソフトウェアとしてHMIだけではなく、自動化システムソフトウェア、シミュレーション、独自のテクノロジーサイクルをはじめとするプログラム作成支援、加工状況や工具のモニタリング、機上計測、そしてAIを積極的に応用して工作機械や周辺装置に組み込みMXの高度化を推進しています。CELOS Xの大きな特徴としてオンラインアップデートがあります。工作機械は約20年の長期間に渡りお客様の工場で使用されます。お客様が製品を導入した時点では最新であっても使用を続けるうちにソフトウェアモデルは更新され最新機との性能差が出ていました。今後はオンラインアップデートにより常に最新のソフトウェアに進化するメリットを得ることができます。これらのソフトウェアは概ね年に2回程度の頻度で更新されます。例えば新しいテクノロジーサイクルにより、これまで専用機でしか実現できなかった加工がDMG MORIの5軸加工機や複合加工機で実現できるようになり、それを既存の納入機にオンラインで導入しお試し加工ができるようになるのです。DMG MORIはソフトウェアの開発を最優先で進めています。また2024年はMXを実現するための加工機として19機種をリリースし、自動化、ソフトウェア、機械コンポーネンツ、省エネ機能など33機能をリリースしています。2025年にはこれを上回る、25機種、38機能を開発する所存です。グローバル生産・販売を大規模で実現することで、日本とドイツを中心に強力な開発組織を維持・発展を可能にしています。 以上の研究開発活動の結果、無形資産に計上された開発費を含む当連結会計年度の研究開発費の総額は31,395百万円となっており、セグメント別としては、マシンツール25,439百万円、インダストリアル・サービス5,956百万円となっております。なお、上記研究開発費の総額には、研究開発活動間接費は含めておりません。
FY2023|1,278 文字
6【研究開発活動】近年、人手不足による省人化や生産工程における省エネ化への対策は益々需要が高まっています。そこで当社は、工作機械を中心として実現する一連の効果をMX(マシニング・トランスフォーメーション)として、お客様に提案しています。まずは、高精度な5軸・複合加工機により工程を集約し、周辺機器の導入で自動化を実現することで、生産性の向上が可能になります。工程の自動化が進むことで、全工程で生じる情報をデジタル・AI技術で収集・分析・可視化することが可能となり、DX(デジタル・トランスフォーメーション)を実現します。これらにより、不要な仕掛品や中間在庫、廃棄物、エネルギー消費量の削減が進み、GX(グリーン・トランスフォーメーション)の実現が可能となります。そのため、当社ではMXを実現するために機械・要素・電気・ソフトの開発リソースを適切に配分した体制を整えております。2023年9月、ドイツのハノーバーで開催されたEMOショーでMXを実現できる新商品を発表しました。世界初公開の5軸制御横形マシニングセンタ「INH 63」では、解析を駆使し高剛性構造を実現し、優れた切削能力と空間精度を両立させ高付加価値部品の加工を可能にしました。新開発の立型大容量クーラントタンク「zero-sludge COOLANT pro」の採用により、クーラントの保守頻度を大幅に削減し長時間の自動運転も可能にしました。また、新操作盤「ERGOline X」を搭載することで優れた操作性と最新のDXも実現しています。zero-sludge COOLANT proやERGOline Xは他機種へも搭載を進めています。また、自立走行ロボット「WH-AMR」では、新たな機能として工具搬送を追加しました。計測装置との組み合わせで、機械への補正済み工具投入の完全自動化を実現しました。これにより、更なる工程集約により予想される工具本数増加にも対応できます。3D造形が可能な「LASERTEC 3000 DED hybrid」では、新たにコーティング機能を開発しました。熱処理やコーティング工程も含めた集約が可能になり大幅な製作リードタイムやエネルギー消費量削減につながる提案が可能になりました。また、機械稼働の遠隔モニタリング「DMG MORI Messenger」、機械の遠隔操作「NETSERVICE」といったアプリケーションや、機械のネットワーク接続をワンストップで支援する「DMG MORI GATEWAY」など、DXを邁進できる商品の提供を進めています。今後もMXを提案できる商品開発を進め、お客様の生産性向上とサステナブルな社会づくりに貢献していきます。 以上の研究開発活動の結果、無形資産に計上された開発費を含む当連結会計年度の研究開発費の総額は28,172百万円となっており、セグメント別としては、マシンツール23,058百万円、インダストリアル・サービス5,114百万円となっております。なお、上記研究開発費の総額には、研究開発活動間接費は含めておりません。
FY2022|1,616 文字
5【研究開発活動】R&D部門では、機械・要素・ソフトウエアの開発をバランスよくできる布陣を継続しつつ、2022年からはお客様のカスタマイズ対応をする受注設計も部門に含め、市場の変化に更に迅速に対応する開発体制をとっております。社内のエンジニアリング部門や加工技術部門との連携を更に強化し、お客様への加工提案が迅速にでき、市場からのフィードバックを得やすい体制を構築いたしました。近年、製造現場では効率向上のために工程間のワーク搬送を減らす、仕掛在庫を削減する、といった要求が高まっております。また、労働人口減少による人手不足や人件費高騰も深刻になっております。そこで当社では「工程集約」「自動化」「DX化」によりお客様の生産性を高めることを軸として研究開発を進めております。工程集約においては、小型複合加工機「NTX 500」と複雑部品の超量産対応が可能な「NZ-Platform」をJIMTOF期間中に発表いたしました。NTX 500では、人口増加・高齢化により需要が継続的に高まっているインプラント、センサなどの小型で複雑な形状の部品、DXにより生産量が増えているセンサ類や半導体製造装置の部品を高効率に加工することができます。NZ-Platformは最大4基の刃物台を搭載でき、すべてにオプションでB軸を追加できます。これにより、複合加工機で対応するような複雑部品を高効率に加工することができ、EV関連の部品加工などで需要が高まっております。自動化においては、モジュラー型ロボットシステム「MATRIS」や自律走行型ロボット「WH-AMR」による新しい自動化の提案が多くのお客様で稼働するようになりました。これに加えて自動化のレトロフィットを可能とする「MATRIS light」をリリースし好評を博しております。自動化システムではロボット、ローダ、パレット交換などでワークを自動的に交換するだけではなく、長時間の無人運転を実現するため、切りくず、オイルミストを効率よく回収し、クーラント液をクリーンに維持する必要があります。ビルトインで省エネ性能にすぐれたミストコレクタzeroFOG、スラッジを効率よく回収するゼロスラッジクーラントタンク、機内の画像情報から切りくず堆積部分をAIにより認識し、効率よく切りくずを洗い流すAIチップリムーバブルにより、少ないエネルギーでクリーンな機械を維持することが可能です。DX化においては、テスト加工をデジタルで実現する「デジタルツインテストカット」での経験を増やし、更に加工提案できる体制を整えつつあります。「デジタルツインテストカット」により複雑で長時間を要する部品加工において加工精度、加工負荷、振動、干渉、サイクルタイムを効率よく短時間にシミュレーションし、最適な加工条件を提供します。また、工程集約や自動化が進むと、お客様において更に高効率に生産したいという要求が高まります。それに応えるべく、以前より開発していた機械稼働の遠隔モニタリング「Messenger」、機械の遠隔操作「NETservice」といったアプリケーションの提供だけでなく、JIMTOFにて発表した機械のネットワーク接続をワンストップで支援する「DMG MORI GATEWAY」サービスなど、更なるDXを支援する商品の提供も開始いたしました。工程集約、自動化、DX化を推し進めることで高効率な生産が可能になり、GX化も進みます。持続可能な社会を実現するため、今後も研究・開発を進めてまいります。 以上の研究開発活動の結果、無形資産に計上された開発費を含む当連結会計年度の研究開発費の総額は22,330百万円となっており、セグメント別としては、マシンツール19,368百万円、インダストリアル・サービス2,962百万円となっております。なお、上記研究開発費の総額には、研究開発活動間接費は含めておりません。
FY2021|1,910 文字
5【研究開発活動】R&D部門では、機械・要素・ソフトウエアの開発をバランスよくできる布陣を継続しつつ、2022年からはお客様のカスタマイズ対応をする受注設計も部門に含め、市場の変化にさらに迅速に対応する開発体制をとっております。近年、製造現場では効率向上のために工程間のワーク搬送を減らす、仕掛在庫を削減する、といった要求が高まっております。また、労働人口減少による人手不足も深刻で、これらの背景により、工程集約や自動化への注目がさらに高まっております。昨年は、次世代の工程集約機として複合加工機をベースとしたアディティブ・マニュファクチャリング機LASERTEC 3000 3D hybridを開発いたしました。金属の3次元積層、コーティングなど多彩な機能により、例えば従来5工程だった歯車の製造を2工程に削減できます。さらには、設備数削減によるCO₂排出量削減も期待できます。また、複合加工機NTX2500,3000Ge2/3000も開発いたしました。射出成型機のスクリューなどの長尺複雑ワークだけでなく、イレギュラーな短尺ワークにも対応可能で、フレキシブルな生産に対応できます。さらには9月にミラノで開催されたEMOに、当社イタリアのGITAL工場と協同開発したNZ Platformを出展いたしました。この機械は、最大で4つの刃物台を搭載可能でオプションでB軸機能もあり、複雑形状ワークを圧倒的に高い生産性で対応できます。EVに用いられるモータシャフトなどの加工でお客様からの引合いが加速しております。なお、これら機種開発において、トポロジー最適化などで学んだ解析技術を駆使し、静剛性・動剛性・熱変位において構造最適化を行い、機械パフォーマンスを最大限に発揮できるようにしております。自動化への対応として、WH-AGVを開発いたしました。複数の加工機へのワークの自動搬送が可能であり、自社開発の台車により、段差があるような工場フロアでもスムーズに走行できます。搭載するロボットには協業ロボットを採用し、人との親和性も意識した設計になっております。そのスケジューリングソフトウエアLPS4も自社開発し、複数の加工機をまたがる生産計画にも柔軟に対応し、製造現場の生産性向上に寄与できます。また、MATRIS Lightも開発いたしました。手押し台車に協業ロボットを搭載した装置であり、加工機の前に設置することで、ワークの搬出入の自動化が可能になります。短時間でセットアップ可能なため、日毎の自動化計画にも臨機応変に対応できます。工程集約と自動化を進めるにあたり、計測、ソフトウエア、周辺装置も重要です。計測において、工具形状や摩耗・寸法測定を自動で行うツールビジュアライザーを開発いたしました。従来手動で行っていた工具形状入力や摩耗観察を自動化できます。工程集約や自動化するためには工具本数が100本を超えるような場合もありますが、この商品によりオペレーターの手間を大幅に削減することが出来ます。ソフトウエアにおいては、CELOS DYNAMICpostを開発いたしました。工程集約において加工プログラムが複雑なためCAMを使うことが多いのですが、CAMと機械をつなげるポストプロセッサが適切に運用されなければ、迅速な生産立上げや干渉のない安全な加工、機械能力の最大化ができません。CELOS DYNAMICpostではこれらの課題を解決することができると共に、CAMで作成した加工プログラムの切削負荷を解析して調整することで、より高能率な生産を実現することができます。周辺装置として、ミストコレクタzeroFOGを開発いたしました。加工時に発生するミストを確実に回収することで、工場環境改善を図ることができます。また、工作機械本体にマッチングしたデザインにすることで、工場の美観向上にもつながっており、これらの特長により想定を大幅に上回る受注を頂いております。COVID-19の影響が続き、カーボンニュートラルなどSDGsへの注目が高まる中、工程集約や自動化を推し進めることができる商品開発を通じて、お客様の生産性向上につなげたいと考えております。 以上の研究開発活動の結果、無形資産に計上された開発費を含む当連結会計年度の研究開発費の総額は18,936百万円となっており、セグメント別としては、マシンツール16,261百万円、インダストリアル・サービス2,675百万円となっております。なお、前連結会計年度より、上記研究開発費の総額には客先の要望等による設計変更や仕様変更等に要した開発活動費用を含めております。
FY2020|1,802 文字
5【研究開発活動】R&Dカンパニーが2019年に発足し3年目を迎えました。機械・要素開発とソフトウェア開発をバランスよく開発できる布陣としております。従来は他社より少しでも高速で、加工領域が広くて、多くの工具が収納できる機械を出すことが最重要課題でした。今でもそれは重要ですが機械の価値の半分くらいはソフトウェアが占めるようになってきたと言えます。新機種開発においては、トポロジー最適化で学んだ解析技術と最適化技術を用いて、機械を製作する前に徹底して最適化を繰り返し、静剛性、動剛性、熱変位抑制を最適化しております。機械を試作する前に加工能力、精度等が見えるようになっております。より性能の高い機械を、素早くリリースすることに大きく貢献しております。またこの技術を応用してデジタルツインテストカットが実施できるようになりました。これは5軸加工機や複合加工機による加工をコンピュータ上で仮想的に実現する技術で加工時間、加工負荷、干渉、加工状況等の結果を素早く確認可能になります。特に手間のかかる大型で複雑なワーク等で有効に活用でき、デジタルツインテストカットで素早くお客様の要望に応えること、実テスト加工の時間を短縮することが可能です。2020年末から2021年にかけ、R&Dカンパニー発足時から力を入れて取り組んでいたAIチップリムーバルと非接触機上計測を相次いでリリースいたしました。AIチップリムーバルは機内の切屑堆積箇所をAIにより特定し、制御ノズルを用いて堆積した切屑を効率的に洗い流す経路を自動生成し効率よく切屑を洗い流します。自動化システムのトラブルの多くは切屑の堆積によるものであり、自動化システムを安定的に稼働させます。また機内清掃の負担や切屑流しのクーラントに必要な電力を大幅に削減する効果があります。このユニークな技術は他社に先駆けて開発したもので数多くの特許も出願しております。本年は切屑流しに続いて、ミスト、クーラント処理の画期的な商品をリリースする予定です。非接触機上計測は、株式会社ニコンとの技術協力により生まれた商品で、機上で複雑形状ワークを高速に高精度で計測します。これまでは加工したワークを3次元計測装置で測定し、精度の修正が必要な場合には再度機械に戻していましたが、機上ですべての作業が可能になったため、作業者の負担を減らし、工数を大幅に削減します。風力発電にもちいられる大型ギヤ等を3次元測定器と同等の精度で、レーザスキャナにより高速に測定します。ギヤ計測においてはギヤのパラメータを入力するだけで計測パスを自動生成する機能があり、容易に高精度な計測が可能となっております。まずはドイツ製の5軸マシニングセンタ用にリリースし、日本製の複合加工機にも展開します。今後もニコンの光学技術や画像処理技術を工作機械に搭載しさらなる高機能化、高精度化を実現します。自動化においては、これまで開発を進めていたAGVに共同ロボットを搭載したフレキシブルな搬送装置をお客様へ導入し始めております。また弊社事業所内でも利用を開始する予定です。このAGVロボットはレール等の軌道や安全柵が不要なためレイアウト変更が容易に可能です。変種変量生産に対応できる自動化システムとしてさらに発展させる所存です。セル制御システムについては、DMG MORI AGとDMG森精機株式会社で共通のフレームワークを用いております。リニアパレットプールを自動化システムのコアとして、数千本の工具倉庫から工具の自動入れ替えを行うような大規模で長時間の無人運転にも対応しております。ドイツ製の高精度な5軸工作機械の自動化対応ができるようになっております。2021年は新機種、要素技術、周辺技術、自動化、ソフトウェアをバランスよくリリースする計画にしております。お客様の効率化とグリーンマニュファクチャリングに貢献する製品群を提供してまいります。 以上の研究開発活動の結果、無形資産に計上された開発費を含む当連結会計年度の研究開発費の総額は16,253百万円となっており、セグメント別としては、マシンツール13,913百万円、インダストリアル・サービス2,340百万円となっております。なお、当連結会計年度より、上記研究開発費の総額には客先の要望等による設計変更や仕様変更等に要した開発活動費用を含めております。
FY2019|2,481 文字
5【研究開発活動】2009年の協業開始より、これまで当社とAG社で蓄積してきた技術や経験を最大限に活かした商品やサービスをご提供すべく、グループの力を結集して日々の研究開発活動を推進しております。当社では当期にR&Dカンパニーを発足し、要素技術、新機種開発、既存機種の改善改良、マニュアル、知財からなる組織構成で運営しております。要素技術に関しては自動化・省人化を実現するために自動化システムの開発を強化するとともに、自動化システムで重要になる切屑処理、プロセスモニタリング、機上計測、機械の稼働状況モニタリング、長時間にわたる運転での精度維持等の技術開発を、新機種開発においては複合加工機、5軸加工機とAM機の強化を進めております。当期には欧州での横形マシニングセンタ販売を強化するためにSIEMENSコントロール付き機種を新たに投入いたしました。またインドのラクシュミ社でのライセンス生産の開始、中国・天津工場での大型横形マシニングセンタの生産を開始してさらなる海外市場対応の強化に努めております。熟練加工技術者が確保しにくい状況であることと、高コスト国での競争力維持のため、自動化・省人化の要求が高まっております。当社ではワークの取り付け、取り外し作業からオペレータを解放し、人間はより高度なプログラミング、初品チェック、加工技術の開発等に専念できるよう自動化システムの開発に注力しております。ワークハンドリングに関しては、従来から好評であったロボットを用いた自動化モジュールシステムのMATRISをさらに高度化し、より複雑なシステムに対応できるようにすることでシステム適用数を倍増しております。さらにAGVに協働ロボットを搭載し、レーザとカメラで障害物を検出し、自動的に回避しながら運転し、段取りステーションで非接触給電を行うことにより連続無人運転が可能な自律型走行ロボットAGVを新たに開発いたしました。当社では当期から切屑・クーラント・ミスト部を発足させて専門的に取り組んでおります。その成果としてカメラ画像をもとに切屑の場所と堆積量をAIが推論し、クーラントの吐出角度を自動調整することで機内の切屑を排出する技術も開発し、長時間オペレータが機内の清掃を行わなくても機内がクリーンに保てる機械を実現いたします。さらに、NHXシリーズにゼロスラッジクーラントタンクを標準装備して販売を開始いたしました。これはタンク内でクーラントを攪拌し、微細なスラッジの堆積を抑えて効率的に回収し処理する当社の新技術です。これらの技術は、お客様の生産現場では清掃作業の時間や故障を減少させ、長時間の無人運転が可能になる等生産性向上に寄与いたします。さらなる自動化、複合化を進めるために工作機械と計測装置の複合化に取り組み、機上での計測機能として非接触機上計測と非接触の工具形状摩耗測定のシステムの開発も進めております。新機種開発においては、大型部品を安定して加工できるNLX 6000|1000は、ベルトレス駆動のモータ一体型大径主軸やその主軸と完璧に同期する回転工具主軸が特徴であり、建機・エネルギープラント業界のお客様に満足いただける新製品であります。DMP 70では全軸に搭載したスケールフィードバックと高い剛性、冷却機能によって、5㎛という高い位置決め精度を実現いたしました。その他トポロジー最適化技術を活用し、切削能力は据え置きながらも大幅な剛性向上と軽量化を達成した工作機械を製作いたしました。AM機においては、パウダーベッド方式の、切削では不可能な複雑形状ワークの造形に適するLASERTEC 30 SLM の販売を開始いたしました。同機は、新開発のパウダーモジュールシステム「rePLUG」を採用しており、カートリッジ内に材料粉末用のフィルタを2つ搭載し、一方のフィルタ交換が必要な場合でも機械を停止せずに自動的に切り替えることで、長時間運転を可能にいたしました。またパウダーノズル方式でも直径1m以上の積層可能なAM機LASERTEC 125 3D hybridと、最長3.5mの長尺ワークの積層が可能なLASERTEC 6600 3D hybridを開発し、航空宇宙関連部品等での大型積層造形を可能といたします。また、お客様にとって煩雑で手間と時間がかかる段取り等の作業の負担を大幅に軽減させるソリューションをご提案する「テクノロジーサイクル」の開発に注力しております。「テクノロジーサイクル」とは、機械本体、工具やロボット等の周辺機器、アプリケーションやソフトウエア、そしてCELOS等のHMI(Human Machine Interface)を融合したソリューションであります。これを用いることによって、従来は専用機や専用プログラム、複雑な工具を使って加工していた高度な製品を、簡単、短時間で、高精度に加工することを可能にしております。当期は平面の研削を行う”フラットグラインディング”、スプライン等のブローチ加工を簡単に実現可能とする”ギヤグラインディング”を新たに開発いたしました。来期はさらにテクノロジーサイクルの拡張を計画しており、今後もお客様の生産性向上につながるソリューション提供を続けてまいります。 当期には数多くの新規開発プロジェクトを進めました。これらの開発プロジェクトのほとんどは来期に製品となります。内容としては、複合加工機、AM機、自動ワーク搬送装置、テクノロジーサイクル、自動計測システム、主軸、刃物台、モータ等の要素技術等、多岐にわたります。来期にも同規模の開発を推進し、お客様に最大の価値をご提供し、お客様の発展、ひいては全世界の製造業の発展に寄与していきたいと考えております。 以上の研究開発活動の結果、無形資産に計上された開発費を含む当連結会計年度の研究開発費の総額は12,407百万円となっており、セグメント別としては、マシンツール11,828百万円、インダストリアル・サービス578百万円となっております。
FY2018|2,896 文字
5【研究開発活動】2009年の協業開始より、これまで当社とDMG MORI AKTIENGESELLSCHAFT(以下、「AG社」)で蓄積してきた技術や経験を最大限に活かした商品やサービスをご提供すべく、グループの力を結集して日々の研究開発活動を推進しております。これまで、3D CADシステム、開発部品表や開発プロセス等開発環境の統一整備を行いながら、新機種の共同開発、基幹ユニットの共通化も推し進めてまいりました。AG社との協業がスタートした2009年の時点で両社合わせて300以上あった機種数も、重複機種や低利益率機種の整理を行い、2018年末時点では152まで集約することができております。今後も集約を進め、日独で蓄積した技術を最大に活用する開発環境を整備してまいります。さらに近年においては、ロボットを使った自動化システムや機械オペレータの作業を軽減するテクノロジーサイクル(組込ソフト)の開発、アディティブ・マニュファクチャリング(積層造形)やレーザ加工等の先端加工技術を使った新しいもの造り、人工知能(AI)やIoTを駆使して機械の稼働率や加工能率を最大化するための研究開発に重要課題として取組んでおります。2018年度は、最高レベルの高速性と高精度を両立させた横形マシニングセンタの決定版NHX4000/5000 3rd Generationや、36種類のワイドバリエーション、省スペース設計で自動化のベースマシンとして最適なALXシリーズ、圧倒的な切削能力と高精度を実現した大型ターニングセンタNLX6000/1000等、AG社と合わせて10の新機種発表を行いました。2019年度はターニングセンタ、マシニングセンタ、積層造形機(アディティブ・マニュファクチャリング、以下「AM機」)等5機種の新機種発表を予定しております。近年熟練加工技術者の不足から自動化の要求が高まっております。当社では2017年に生産した工作機械の17%であった自動化率が、2018年には24%、2019年には30%と飛躍的に増大する見込みであり、そのなかでもフレキシブルに対応できるロボットを用いた自動化システムの増加が顕著になっております。これまで主として自動車部品などの量産部品を自動化の対象としておりましたが、中品種中量生産や多品種少量生産の複雑なワークに対しても自動化要求が発生しており、これからは5軸加工機や複合加工機を中心とした工程集約と自動化の組み合わせが重要になってくると考えられます。当社ではワークの取り付け・取り外し作業からオペレータを開放し、人間はより高度なプログラミングや加工技術の開発等に専念できるよう自動化システムの開発に注力しております。具体的にはロボットを用いたモジュール型システムのMATRISに続き、より容易に導入可能なMATRIS-mini、設置面積を最小限におさえた自動搬送システムD-CARRY等の新しいロボットの利用や、軌道が不要な自動走行AGVと協調ロボットのシステム等であります。自動化システムでは24時間365日のシステム稼働を目指し、また特に夜間や休日等は無人で運転することが求められるため、工作機械とシステムに組み込まれる周辺装置の品質が非常に重要となります。また、オペレータに依存していた切屑の清掃等の保守、加工状況の監視、加工精度の管理、工具状態の監視と摩耗や折損した工具の交換等をシステムが監視する必要があります。これらの要求に対処するために自動化をサポートする技術の開発に注力しております。現在開発中の技術として、周囲温度変化だけではなく加工状況に応じて熱変形をAIで推定し熱変位補正を行う機能、加工中のビビリ振動を検出しその発生を軽減する機能、切屑の堆積を画像で検出し自動的に洗い流す機能、機上で3次元測定器のように加工精度を測定する機能、工具の摩耗や折損を加工中や工具交換時に検出し予備工具と交換する機能等であります。IoT、センシング、AIの技術が用いられることによって、このような機能を実現いたします。AM機においては、パウダーベッド方式の製品で生産性、安全性、操作性、メンテナンス性等に関するお客様の声を反映し、全面的に改良したLASERTEC 30 SLM 2nd Generationや、LASERTEC 12 SLMを発表し、製品の改善、シリーズ拡充を図っております。またパウダーノズル方式でも直径1m以上の積層可能なAM機の開発を行っており、医療や航空宇宙関連部品での積層造形需要に応えてまいります。また、お客様にとって煩雑で手間と時間がかかる段取り等の作業の負担を大幅に軽減させるソリューションをご提案する「テクノロジーサイクル」の開発に注力しております。「テクノロジーサイクル」とは、機械本体、工具やロボット等の周辺機器、アプリケーションやソフトウエア、そしてCELOSなどのHMI(Human Machine Interface)を融合したソリューションであります。これを用いることによって、従来は専用機や専用プログラム、複雑な工具を使って加工していた高度な製品を、簡単、短時間で、高精度に加工することを可能にしております。今後もお客様の生産性向上につながるソリューション提供を続けてまいります。 2018年度は、5軸加工機の回転軸の幾何公差を自動で簡単に測定・補正し、温度変化や重力等の影響による運動誤差を補正する3Dクイックセット、ギヤ加工のプログラム作成や加工時間を1/3以下に短縮可能な“ギヤスカイビング”や“ギヤホビング”の対象機種を拡大いたしました。2019年度もグラインディング加工サイクル等新たに3種類の機能を開発し合計で30以上のテクノロジーサイクルラインナップとする計画であります。これらハードウエア・ソフトウエア製品の開発だけでなく、お客様へ価値を提供するサービスの充実にも力を入れております。そのひとつとしてCELOS Clubがあげられます。これは操作パネルのソフトウエアの無償アップグレードサービス、機械を集中管理するPCソフトウエアの提供、機械の稼動情報の提供等を継続的に行い、15~20年という長期間にわたって使用される工作機械に新しい価値を提供し続けるサービスであります。2016年から2018年末までにすでに600台(約450社)以上にご利用いただいており、2019年も引き続き300台以上の受注を目標としております。このようにDMG MORIグループ全体が一丸となって研究開発を進めております。これらの活動を推進することによって、お客様に最大の価値をご提供し、お客様の発展、ひいては全世界の製造業の発展に寄与していきたいと考えております。 以上の研究開発活動の結果、無形資産に計上された開発費を含む当連結会計年度の研究開発費の総額は12,018百万円となっており、セグメント別としては、マシンツール11,380百万円、インダストリアル・サービス637百万円となっております。
FY2017|2,406 文字
6【研究開発活動】2009年の協業開始より、これまで当社とDMG MORI AKTIENGESELLSCHAFT(以下、「AG社」)で蓄積してきた技術や経験を最大限に活かした商品やサービスをご提供すべく、グループの力を結集して日々の研究開発活動を推進しております。これまで、3D CADシステム、開発部品表や開発プロセス等開発環境の統一整備を行いながら、新機種の共同開発、基幹ユニットの共通化も推し進めてまいりました。AG社との協業がスタートした2009年の時点で両社合わせて300以上あった機種数も、重複機種や低利益率機種の整理を行い、2017年末時点では164まで集約することができております。また、日本とドイツで共同開発したspeedMASTER主軸は、従来比の3倍以上の信頼性を達成する等日本とドイツによる共同研究開発の効果が表れてきております。さらに近年においては、ロボットを使った自動化システムや機械オペレータの作業を軽減するテクノロジーサイクル(組込ソフト)の開発、Additive Manufacturing(積層加工法)やレーザ加工等の先端加工技術を使った新しいもの造り、人工知能(AI)やIoTを駆使して機械の稼働率や加工能率を最大化するための研究開発に重要課題として取組んでおります。2017年度は、工程集約生産に応える高精度5軸制御マシニングセンタDMU 50 3rd Generationや複合加工機NTX2500、重切削性能と高精度を両立させた立形マシニングセンタNVX5000 2nd Generation等AG社と合わせて16の新機種発表を行いました。2018年度も、ターニングセンタ、マシニングセンタ、複合加工機、積層加工機(Additive Manufacturing、以下「AM機」)等13の新機種発表を予定しております。AM機においては、昨年、積層効率が高いパウダーノズル方式に加え、ドイツのREALIZER GmbH社をグループ化し高精度なパウダーベッド方式のAM機もラインナップに追加しました。これにより100mm以下の小サイズから直径500mm程度のサイズの部品の積層加工が可能となります。2018年度は直径1m以上の積層可能なAM機の開発を行い医療や航空宇宙関連部品での積層加工需要に応えてまいります。年々要求が高まっている自動化システムについては、既に開発されているパレット搬送システムLPP、RPP等に加えて、ロボットモジュールシステムMATRIS(マトリス)を開発しました。モジュール設計により、お客様の個別要求に対して従来の30%以下の期間で対応が可能となります。2020年までに自動化案件での受注を現在の10%から30%に押し上げる計画であります。また、お客様がお困りの煩雑で手間と時間がかかる段取り等の作業を一手に引き受け、お客様に一括でソリュー ションをご提案する「テクノロジーサイクル」の開発に注力しております。「テクノロジーサイクル」を用いることによって、これまで専用機や専用プログラム、特殊な工具で行っていた加工・段取り・計測を汎用的な工作機械や標準的な工具・治具等で、誰もが簡単かつ短時間で素早い立上げと高い加工品質を実現することができます。2017年度は、ギヤ加工のプログラム作成や加工時間を1/3以下に短縮可能な“ギヤスカイビング”や“ギヤホビング”、センシング技術により機械の加工状況や稼動状況を可視化しAI(人工知能)等を駆使して最適な切削条件に誘導する“MVC”、機械稼働率を最大限に高める機械異常検知機能“MPC”や予知保全、“稼動状況モニタ”等オペレータの作業を軽減するテクノロジーサイクル等合計で7個のテクノロジーサイクルを昨年リリースしました。2018年度も3Dクイックセット等新たに4種類の機能を開発し合計で30以上のテクノロジーサイクルラインナップとなる計画であります。IoTに関しては、さらにお客様工場内の設備や当社クラウドをネットで繋ぎ、工場内設備の一元管理や最適稼動に導くDMG MORI“ADAMOS”を昨秋ドイツで行われた国際工作機械展示会EMOで発表しております。一部のお客様での試験運用や効果の実証を終えて、2018年度は本格的に販売を開始いたします。また、工作機械トップメーカーを維持するために、精度、切削能率、信頼性(耐久性)、省エネ性等について、簡単には他社が真似できない基本技術を追求することも重要な研究開発課題だと考えております。たとえば3年前にAG社と当社でこれまでの両社の技術を結集して共同開発したマシニングセンタ用主軸speedMASTERは、回転振れ精度やトルク性能をワンランク押し上げ、DMG MORI製のマシニングセンタの競争力向上に貢献しています。さらに従来比3倍の耐久性があることも実証され、2018年から業界先駆けてスタートした主軸3年保証のきっかけともなりました。その他、マグネスケール社の分解能10ナノメータのスマートスケール標準採用、空間精度10μm/mのμプレジ ジョン仕様、従来比40%消費電力を低減するGREENmode、熱変位抑制機能、圧倒的な操作性と機能を備えた操作盤CELOS等の開発も計画しております。このようにDMG MORIグループ全体が一丸となって研究開発を進めております。これらの活動を推進することによって、お客様に最大の価値をご提供し、お客様の発展、ひいては全世界の製造業の発展に寄与していきたいと考えております。 以上の研究開発活動の結果、無形資産に計上された開発費を含む当連結会計年度の研究開発費の総額は10,681百万円となっており、セグメント別としては、マシンツール9,814百万円、インダストリアル・サービス866百万円となっております。
FY2016|2,369 文字
6【研究開発活動】2009年の協業開始より、これまで当社とDMG MORI AKTIENGESELLSCHAFT(以下、「AG社」)で蓄積してきた技術や経験を最大限に活かした商品やサービスをご提供すべく、グループの力を結集して日々の研究開発活動を推進しています。また、欧州、日本、米国での開発効率や各工場での生産性を最大化するために、機種統合、主軸等主要ユニット、機械操作盤、機械デザイン等の統一や共通化、 CADシステムや開発プロセスの統一についても精力的に取組んでいます。最近では、機械本体の開発だけでなく、お客様がワークを完成させるまでの最適なソリューションを提供するために、ロボットやローダ等を使ったワーク自動搬送や計測システム、加工やワーク完成までのプロセスを最適にするためのアプリケーションソフトウエア、工場の機械の状態や稼動状況を一目で確認管理できるようにするための機械のセンシングや機械間、工場間のネットワーク化のための技術開発にも注力しています。2016年度は、290種類の多彩なオプションによりお客様のご要望に合わせたカスタマイズ化が容易な立形マシニングセンタ「CMX Vシリーズ」を米国シカゴで開催された国際見本市「IMTS2016」で発表する等、合計で8機種の新機種開発を行い発表しました。2017年度は、ターニングセンタ、マシニングセンタ、複合加工機等13の新機種発表を予定しています。レーザ加工、超音波加工等最先端技術の分野では、レーザ焼入れ技術と高硬度材切削加工技術を組み込み、焼入れ部品の工程集約が可能となるターニングセンタの開発を行い、2016年6月に開催された「IGA INNOVATION DAYS 2016」で発表しました。また新分野のレーザ積層造形(Additive Manufacturing)においては、国内外の著名大学の先生方と加工プロセスや積層材料信頼性評価等に関して共同研究をさせていただきながら開発を進めています。共同研究で得られた知見や成果は、切削加工とレーザ積層造形を複合したハイブリッド機「LASERTEC 3D」シリーズに反映させて、「LASERTEC 3D」シリーズの商品力をさらに高めていく予定です。年々要求が高まっている自動化システムについては、既に開発されたパレット搬送システムLPP、RPP等に加えて、ワーク供給、洗浄、計測等の機能を有しカスタマイズが容易なモジュールシステムや、これまでと比べて短時間でロボット運転の準備ができるロボットシステム「Robo2GO」の開発を行い2016年に発表しました。また、お客様がお困りな煩雑で手間と時間がかかる段取り等の作業を一手に引き受け、お客様に一括でソリュー ションをご提案するために、「テクノロジーサイクル」の開発に注力しています。「テクノロジーサイクル」を用いることによって、これまで専用機や専用プログラム、特殊な工具で行っていた加工・段取り・計測を汎用的な工作機械や標準的な工具・治具等で、誰もが簡単かつ短時間で素早い立上げと高い品質を実現することができます。2016年度はギヤ加工等の加工支援機能、工具長計測の支援機能、自動化システムによるハンドリング機能、センシング技術を活用したモニタリング機能等、合計11種類の「テクノロジーサイクル」を発表しました。2017年度は新たに15種類の機能のリリースを予定、お客様により付加価値の高いソリューションを提案していく計画です。IoTやインダストリー4.0に関しては、「スマートマシン」、「スマートファクトリー」、「スマートカンパニー」のコンセプトを「JIMTOF2016」で発表しました。機械の最適稼動や予知保全を実現するセンシング、機械及び周辺機器や工場間を安全に接続する通信、人工知能AI等を活用した大容量データの解析及び活用、さらに自社開発操作盤ERGOlineやオペレーティングソフトウエアCELOSを介したヒューマンインタフェース等の機能開発を、AG社、ビー・ユー・ジーDMG森精機とともに進めると同時に、各パートナー企業とも連携しながらオープンイノベーションとして取組んでいます。機種集約については、協業開始時点に両社で約300種類あった機種数を2016年末で約190機種まで集約しました。2020年までに150機種に集約する計画で進めています。ユニットの共通化に関しては、既に欧州、日本、米国で生産しているマシニングセンタや複合加工機に対して内製開発した統合主軸の搭載が完了しています。新たにターニングセンタ用主軸、ATC/工具マガジン、刃物台等について内製ユニット開発を2016年にスタートさせました。2017年度は、これらの開発したユニットを、欧州、日本、米国で生産している製品に順次搭載していく計画です。また昨年のAG社との統一CADシステム運用開始に続き、2017年度は統一開発部品表の運用開始も予定しています。これらの運用開始により日本、米国、欧州各開発拠点で作成された設計図面の相互利用が可能となり、DMG MORIグループ内での機種統合、部品共通化や最適地生産が促進されると考えています。このようにDMG MORIグループ全体が一丸となって研究開発を進めています。これらの活動を推進することによって、お客様に最大の価値をご提供し、お客様の発展、ひいては全世界の製造業の発展に寄与していきたいと考えております。 以上の研究開発活動の結果、無形資産に計上された開発費を含む当連結会計年度の研究開発費の総額は9,377百万円となっており、セグメント別としては、マシンツール8,631百万円、インダストリアル・サービス746百万円となっております。