事業の概要
- 船舶用ディーゼル機関製造販売: 阪神内燃機工業は、船舶の動力源となるディーゼル機関の製造と販売を主な事業としています。これには、大型船の推進力を生み出す主機関だけでなく、プロペラやスラスタ、潤滑油・燃料油清浄装置、遠隔機関監視システムといった関連製品も含まれます。船舶の心臓部ともいえるエンジンを提供することで収益を得ています。
- 部分品販売・修理工事: 製造販売した船舶用ディーゼル機関の保守・メンテナンスも重要な収益源です。機関が稼働し続けるためには定期的な部品交換や修理が不可欠であり、同社はこれらの部分品の販売や修理工事、保守管理サービスを提供しています。これにより、製品販売後も継続的な収益を確保し、顧客との長期的な関係を築いています。
- 総合的な船舶推進システム: 単にエンジンを売るだけでなく、可変ピッチプロペラやサイドスラスタなど、船舶の推進に関わる多様な製品を提供しています。これにより、顧客は同社から一貫した推進システムを調達でき、運用効率の向上やメンテナンスの簡素化といったメリットを享受できます。製品とサービスを組み合わせたビジネスモデルです。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
セグメント構成
- 主機関事業: 船舶用ディーゼル機関の製造販売が主な事業内容です。主要製品には、船舶の推進力を生み出すディーゼル機関のほか、可変ピッチプロペラ、サイドスラスタ、潤滑油・燃料油清浄装置、遠隔機関監視システムなどが含まれます。船舶の心臓部となるエンジンとその関連機器を提供し、売上の大部分を占める基幹事業です。
- 部分品・修理工事事業: 船舶用ディーゼル機関の稼働を支える部分品の販売と、修理工事、保守管理サービスを提供しています。機関が長期間にわたり安全に稼働するためには、定期的なメンテナンスや部品交換が不可欠であり、この事業が製品販売後の継続的な収益源となっています。機械加工なども含まれ、顧客の運用をサポートします。
- セグメント情報非記載: 有価証券報告書では、セグメント情報を記載していないため、事業内容を「主機関」と「部分品・修理工事」の二つの区分で説明しています。これにより、同社の事業構造が大きく分けて製品販売とアフターサービスで構成されていることが分かります。具体的な売上比率や利益貢献度は開示されていません。
有価証券報告書「事業の内容」の全文を見る(年度切替)
3【事業の内容】当社が営んでいる主な事業内容は、船舶用ディーゼル機関等の製造販売、並びに当該製品に伴う部分品の販売・修理工事等であります。なお、セグメント情報を記載していないため、「主機関」と「部分品・修理工事」の区分で記載しております。(1)主機関…主要な製品は船舶用ディーゼル機関、可変ピッチプロペラ、サイドスラスタ、潤滑油・燃料油清浄装置、遠隔機関監視システム等であります。(2)部分品・修理工事…主要な製品・サービスは部分品、修理工事、保守管理、機械加工等であります。 〔事業系統図〕以上述べた事項を事業系統図によって示すと次のとおりであります。
事業の優位性(モート)
事業の質(有価証券報告書から抽出)
数字に出ない事業の性質を、同じ物差しで全銘柄そろえています。FY2025時点の記載が出典です。
| 価格決定力値上げを通せるか。強いほどインフレ耐性が高い | 弱い 資材価格の高騰を販売価格に転嫁することが困難な場合があるため |
|---|---|
| 参入障壁新規参入を阻む要因の種類 | 技術 低速4サイクルディーゼルエンジンの高い熱効率とシステム信頼性、メタノール燃料エンジン開発 |
| 顧客集中度特定顧客への依存度。高いほど失注リスクが大きい | 高い(依存) |
| 景気敏感度業績が景気循環にどれだけ振られるか | 中程度 |
| 設備投資の性質稼いだ現金がどれだけ設備維持に消えるか | 混合 |
| 規制依存規制は障壁にも足枷にもなる | 高い |
会社が挙げる主要リスク:国内内航船業界偏重による主機関受注減少リスク / 低速4サイクルディーゼルエンジン偏重による受注減少リスク / IMO規制への未対応リスク
同じ条件で他の銘柄を探す → 定性スクリーニング(価格決定力・参入障壁・景気敏感度などで絞り込めます)
モート総合 6 / 25 5類型それぞれの強度と、そう判定した根拠
無形資産☆☆☆☆☆
財務データが未収録のため、ブランド力、特許、規制ライセンス、独占的IPに関する具体的な評価は不可能。
スイッチングコスト★☆☆☆☆
船舶用ディーゼルエンジンの分野では、既存顧客が新たなエンジンに切り替える際には、適合性、保守、トレーニングなどのコストが発生する可能性がある。しかし、具体的なスイッチングコストの高さを示すデータはない。
ネットワーク効果☆☆☆☆☆
ネットワーク効果が事業の競争優位性に寄与する要素は見当たらない。顧客基盤の拡大が直接的な製品・サービスの価値向上に繋がる構造ではない。
コスト優位★★☆☆☆
長年の製造業としての経験やノウハウにより、一定の生産効率は維持していると考えられるが、競合他社と比較した構造的なコスト優位性を示す具体的な情報は現時点では不明。
規模の経済★★★☆☆
船舶用エンジン市場において、一定のシェアを占めていると推測される。特定のニッチ市場で寡占的な地位を築いている可能性はあるが、その規模や効率性に関する詳細なデータは不足している。
- 低速4サイクルエンジンの技術優位性: 同社の主力である低速4サイクルディーゼルエンジンは、ロングストローク化と低回転数により高い熱効率を実現しています。これにより、中速エンジンに比べて燃費が良く、メンテナンスコストを含む生涯コストが低いという特長があります。特に内航海運用途で高い評価を得ており、強みとなっています。
- システム信頼性とメンテナンス性: 低速エンジンはプロペラと直接結合できるため、複雑な減速機が不要となり、システム全体の信頼性が向上します。また、機関回転数が低いことで部品の摩耗が少なく、メンテナンス頻度やコストを抑えることができます。これらの特長が、顧客にとっての運用上の大きなメリットとなり、競争優位につながっています。
- 環境対応技術への取り組み: IMO規制(国際海事機関による地球環境保全規制)に対応するため、NOx3次規制適合ガスエンジンの開発を完了しています。また、メタノール燃料エンジンの開発も進めており、将来的なGHG削減や脱炭素化のニーズに応える技術力を有しています。これにより、環境意識の高まりに対応し、新たなビジネスチャンスを獲得できる可能性があります。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
経営戦略
有価証券報告書「経営方針・対処すべき課題・MD&A」の全文を見る(年度切替)
経営方針・経営戦略
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】当社の経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります (1)経営方針当社は、100年を超える経験と知識をもとにさらなる発展を求めて、前事業年度に経営理念を改定いたしました。事業分野の制約をはずし、根幹のモットーは継承しながら社会課題の解決を第一に認識し、その解決に尽力する結果として、お客様の満足度を向上させ、経済価値を高めることを基本の理念としております。この理念のもとに、GHGフリーの技術開発、CMR(鋳物・金属機械加工)事業の拡大、新規事業の研究開発等を力強く進めてまいります。そのスローガンは「鉄と工(たくみ)の創造力で掴むWIN-NOVATION(WIN+INNOVATION)」と設定しております。 (2)経営戦略等2023年4月より、「自ら、見つめ、考えて、そしてチャンスをつかみとる」をスローガンに企業価値を高める活動を行うことを目標とした2ヵ年の中期経営計画「進化・新加・真価」が一定の成果を得て終了しました。新製品開発面では、国内初となるメタノール燃料エンジンの開発から生産および出荷を終えた他、GHG排出改善バージョンの低速4サイクル機関や、バージョンアップしたハンシン高度船舶安全管理システムHANASYS 5EXも開発を完了しました。生産面においては、複雑な木型・金型等の模型の製作を不要にした砂型3Dプリンターを導入し、稼働を開始しました。営業面につきましては、内航海運向け主機関の回復や海外向けを中心とした大型機関の出荷増加と相まって、売上高は大幅に増加する等、良好な成果を収めることができました。これらの成果を踏まえ、本年4月より3ヵ年新中期経営計画「Go for it ! やってみなはれ !!」をスタートさせました。中期目標は「ORIGINAL HANSHIN」において、既存事業の付加価値最大化、「NEW HANSHIN」における、CMR事業の更なる拡大のための体制構築、生産効率・事務効率のレベルアップと工場改善、海外市場の開拓および経営資源の活用検討、「FUTURE HANSHIN」については、カーボンニュートラル・カーボンフリーエンジンの研究開発、新ビジネス・新商品・新サービスの探求と具現化、これらを3本の柱として位置づけております。外的環境はますます厳しくなると予想されますが全社員がベクトルを合わせて新中期経営計画の達成に尽力してまいります。なお、経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等については、業績予想として公表しております、売上高、営業利益、経常利益、当期純利益があります。公表数値の達成に向けた経営計画に基づき、各種重点課題の着実な推進を図っております。 (3)経営環境当期におけるわが国経済は、企業業績・所得環境の改善による経済活動の活性化やインバウンド需要の増加等から、緩やかな回復基調となっております。世界経済については、地政学リスクの継続に加えて、米国の関税政策の発動により、不確実性の高まる状況となっております。外航海運業界は、大型船市場においては中国の主要造船所が既に2028年の船台を完売していることから船台不足の懸念が高まり、この流れを受けて国内外の船主が新造整備に動いた結果、国内造船所も2028年の船台はほぼ完売し、新規の商談は2029年の船台となっています。また、当社2サイクル機関の対象である近海船建造の造船所も、わずかに2028年の船台を残すのみですが、貨物船については運賃が現状の船価に見合わないことから、新造船建造に前向きな動きは見えておりません。一方で、近海ケミカル船の引き合いは継続しております。当社の主要マーケットである内航海運業界におきましては、引き続き船価高の状態は続いておりますが、船員不足および船舶の老朽化が顕著となってきた影響から、輸送能力の維持・確保に向けて大手オペレーターを中心に用船料の改善がなされ、これを受けて多くの船主が代替建造に向け船台予約に動き始めており、数年先までの船台予定を立てている造船所も出てまいりました。また、海外案件につきましても、アジア圏で受注が回復しており、引き合いも増加傾向を示しております。 (4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題①営業活動国内、海外ともに鋼材価格高騰による船価高が継続する中、引き続き建造隻数の大幅な伸びは期待できない状況でありますが、老齢船の増加により、多くの船主が代替建造に向け船台予約に動き始めております。その機会を逃さず引合案件をひとつひとつ確実に受注に結び付けていく丁寧な営業活動を展開してまいります。国内においては、主機関販売において資材価格の高騰に起因したコストアップに対する価格転嫁が非常に遅れている状況となっていることから、各取引先にご理解いただき、適正価格へ是正することが最大の注力点になっております。加えて、GHG排出改善バージョンの低速4サイクルの販売拡大や機関監視システムのブラッシュアップなどで付加価値を高めながら、全ての顧客、全ての船、全ての空き船台を完全網羅した活動により、内航船における主機関のトップシェアを堅持し、部分品販売についても全てのお客様とその保有船に寄り添った、きめ細かく積極的なサービス活動と部分品営業を充実いたします。海外においては、主機関は中国市場の開拓に注力する他、主機関販売以外での周辺サポート(据え付け、運転、メンテナンス、機関モニター等)について、東南アジア・東アジアをターゲットに代理店・サービス部門・営業部門の三者が一体となった同行営業活動・提案営業活動を強化し、CS向上活動に注力しながら受注拡大に邁進してまいります。②生産活動生産面におきまして、CMR事業については、エンジンに続く第2の事業の柱を目指し、鋳造技術を駆使した各種鋳物製作サービス、当社独自の大物部品の精密加工技術を活用した加工サービス、お客様要望のレトロフィットも含めた設備修理サービスを基軸として活動しております。更なる拡大のため、複合加工機等による製品加工品目の拡大や、生産の全体最適化を図るべく生産効率・事務効率のレベルアップと工場改善(ムダの削減)に加えて、CMR専用製造ラインの検討にも鋭意取り組んでまいります。また、資材価格の高騰に対応するため内製化が困難な部材につきましては、これまでも進めてきました海外調達を含めた購買努力やVA、VEによる原価低減を徹底し、加えて、聖域のない経費節減や作業の標準化によるムダの排除と品質の向上に引き続き鋭意努めてまいります。③新製品の開発・販売商品開発面では、引き続き低速4サイクル機関の更なる高効率化を推し進め、最高レベルの熱効率を目指し取り組んでまいります。国内の内航船において初搭載となったメタノール燃料エンジンについては、顧客ニーズに応えるためデュアルフューエルエンジンの製品化を行い、商品ラインナップの充実を図ってまいります。また、バイオ燃料を活用したエンジンは陸上試験や海上実証試験済で、今後市場に出回るバイオ燃料に対応してまいります。さらに、GHG削減を目的としたアンモニアや水素燃焼技術の確立およびエンジン開発に向けて、低速4サイクルガスエンジンの気体燃焼技術の活用や、コモンレール式燃料噴射技術の確立に注力してまいります。お客様に安全・安心を提供する高度船舶安全管理システムや機関モニタリングシステム「HANASYS 5」の市場投入を拡大しておりますが、さらなる発展形の「HANASYS 5EX」について、今後、ハードとソフトの両面から最高の顧客満足を獲得するよう努力してまいります。起業家精神を持った人材育成とともに進める社内ベンチャーの位置付けとし、将来の阪神内燃機工業の人材や技術の礎となる活動で新事業や新商品を追求する「F-WINGプロジェクト」については、新設の特命担当チームにおいて、鋳物新製品の市場調査および実験販売の他、AI技術の応用に向けた取り組みを開始し、新事業の具現化に注力してまいります。
対処すべき課題
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】当社の経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります (1)経営方針当社は、100年を超える経験と知識をもとにさらなる発展を求めて、前事業年度に経営理念を改定いたしました。事業分野の制約をはずし、根幹のモットーは継承しながら社会課題の解決を第一に認識し、その解決に尽力する結果として、お客様の満足度を向上させ、経済価値を高めることを基本の理念としております。この理念のもとに、GHGフリーの技術開発、CMR(鋳物・金属機械加工)事業の拡大、新規事業の研究開発等を力強く進めてまいります。そのスローガンは「鉄と工(たくみ)の創造力で掴むWIN-NOVATION(WIN+INNOVATION)」と設定しております。 (2)経営戦略等2023年4月より、「自ら、見つめ、考えて、そしてチャンスをつかみとる」をスローガンに企業価値を高める活動を行うことを目標とした2ヵ年の中期経営計画「進化・新加・真価」が一定の成果を得て終了しました。新製品開発面では、国内初となるメタノール燃料エンジンの開発から生産および出荷を終えた他、GHG排出改善バージョンの低速4サイクル機関や、バージョンアップしたハンシン高度船舶安全管理システムHANASYS 5EXも開発を完了しました。生産面においては、複雑な木型・金型等の模型の製作を不要にした砂型3Dプリンターを導入し、稼働を開始しました。営業面につきましては、内航海運向け主機関の回復や海外向けを中心とした大型機関の出荷増加と相まって、売上高は大幅に増加する等、良好な成果を収めることができました。これらの成果を踏まえ、本年4月より3ヵ年新中期経営計画「Go for it ! やってみなはれ !!」をスタートさせました。中期目標は「ORIGINAL HANSHIN」において、既存事業の付加価値最大化、「NEW HANSHIN」における、CMR事業の更なる拡大のための体制構築、生産効率・事務効率のレベルアップと工場改善、海外市場の開拓および経営資源の活用検討、「FUTURE HANSHIN」については、カーボンニュートラル・カーボンフリーエンジンの研究開発、新ビジネス・新商品・新サービスの探求と具現化、これらを3本の柱として位置づけております。外的環境はますます厳しくなると予想されますが全社員がベクトルを合わせて新中期経営計画の達成に尽力してまいります。なお、経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等については、業績予想として公表しております、売上高、営業利益、経常利益、当期純利益があります。公表数値の達成に向けた経営計画に基づき、各種重点課題の着実な推進を図っております。 (3)経営環境当期におけるわが国経済は、企業業績・所得環境の改善による経済活動の活性化やインバウンド需要の増加等から、緩やかな回復基調となっております。世界経済については、地政学リスクの継続に加えて、米国の関税政策の発動により、不確実性の高まる状況となっております。外航海運業界は、大型船市場においては中国の主要造船所が既に2028年の船台を完売していることから船台不足の懸念が高まり、この流れを受けて国内外の船主が新造整備に動いた結果、国内造船所も2028年の船台はほぼ完売し、新規の商談は2029年の船台となっています。また、当社2サイクル機関の対象である近海船建造の造船所も、わずかに2028年の船台を残すのみですが、貨物船については運賃が現状の船価に見合わないことから、新造船建造に前向きな動きは見えておりません。一方で、近海ケミカル船の引き合いは継続しております。当社の主要マーケットである内航海運業界におきましては、引き続き船価高の状態は続いておりますが、船員不足および船舶の老朽化が顕著となってきた影響から、輸送能力の維持・確保に向けて大手オペレーターを中心に用船料の改善がなされ、これを受けて多くの船主が代替建造に向け船台予約に動き始めており、数年先までの船台予定を立てている造船所も出てまいりました。また、海外案件につきましても、アジア圏で受注が回復しており、引き合いも増加傾向を示しております。 (4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題①営業活動国内、海外ともに鋼材価格高騰による船価高が継続する中、引き続き建造隻数の大幅な伸びは期待できない状況でありますが、老齢船の増加により、多くの船主が代替建造に向け船台予約に動き始めております。その機会を逃さず引合案件をひとつひとつ確実に受注に結び付けていく丁寧な営業活動を展開してまいります。国内においては、主機関販売において資材価格の高騰に起因したコストアップに対する価格転嫁が非常に遅れている状況となっていることから、各取引先にご理解いただき、適正価格へ是正することが最大の注力点になっております。加えて、GHG排出改善バージョンの低速4サイクルの販売拡大や機関監視システムのブラッシュアップなどで付加価値を高めながら、全ての顧客、全ての船、全ての空き船台を完全網羅した活動により、内航船における主機関のトップシェアを堅持し、部分品販売についても全てのお客様とその保有船に寄り添った、きめ細かく積極的なサービス活動と部分品営業を充実いたします。海外においては、主機関は中国市場の開拓に注力する他、主機関販売以外での周辺サポート(据え付け、運転、メンテナンス、機関モニター等)について、東南アジア・東アジアをターゲットに代理店・サービス部門・営業部門の三者が一体となった同行営業活動・提案営業活動を強化し、CS向上活動に注力しながら受注拡大に邁進してまいります。②生産活動生産面におきまして、CMR事業については、エンジンに続く第2の事業の柱を目指し、鋳造技術を駆使した各種鋳物製作サービス、当社独自の大物部品の精密加工技術を活用した加工サービス、お客様要望のレトロフィットも含めた設備修理サービスを基軸として活動しております。更なる拡大のため、複合加工機等による製品加工品目の拡大や、生産の全体最適化を図るべく生産効率・事務効率のレベルアップと工場改善(ムダの削減)に加えて、CMR専用製造ラインの検討にも鋭意取り組んでまいります。また、資材価格の高騰に対応するため内製化が困難な部材につきましては、これまでも進めてきました海外調達を含めた購買努力やVA、VEによる原価低減を徹底し、加えて、聖域のない経費節減や作業の標準化によるムダの排除と品質の向上に引き続き鋭意努めてまいります。③新製品の開発・販売商品開発面では、引き続き低速4サイクル機関の更なる高効率化を推し進め、最高レベルの熱効率を目指し取り組んでまいります。国内の内航船において初搭載となったメタノール燃料エンジンについては、顧客ニーズに応えるためデュアルフューエルエンジンの製品化を行い、商品ラインナップの充実を図ってまいります。また、バイオ燃料を活用したエンジンは陸上試験や海上実証試験済で、今後市場に出回るバイオ燃料に対応してまいります。さらに、GHG削減を目的としたアンモニアや水素燃焼技術の確立およびエンジン開発に向けて、低速4サイクルガスエンジンの気体燃焼技術の活用や、コモンレール式燃料噴射技術の確立に注力してまいります。お客様に安全・安心を提供する高度船舶安全管理システムや機関モニタリングシステム「HANASYS 5」の市場投入を拡大しておりますが、さらなる発展形の「HANASYS 5EX」について、今後、ハードとソフトの両面から最高の顧客満足を獲得するよう努力してまいります。起業家精神を持った人材育成とともに進める社内ベンチャーの位置付けとし、将来の阪神内燃機工業の人材や技術の礎となる活動で新事業や新商品を追求する「F-WINGプロジェクト」については、新設の特命担当チームにおいて、鋳物新製品の市場調査および実験販売の他、AI技術の応用に向けた取り組みを開始し、新事業の具現化に注力してまいります。
MD&A(経営者による分析)
4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。(1)経営成績等の状況の概要当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。 ①財政状態の状況(資産)資産合計は、25,000百万円(前事業年度末比2,248百万円増)となりました。流動資産の増加(同1,671百万円増)は、受取手形の減少(同326百万円減)があったものの、現金及び預金の増加(同570百万円増)、棚卸資産の増加(同524百万円増)、売掛金の増加(同452百万円増)が主な要因となっております。固定資産の増加(同577百万円増)は、投資有価証券の増加(同316百万円増)、有形固定資産の増加(同133百万円増)、無形固定資産の増加(同89百万円増)が主な要因となっております。(負債)負債合計は、10,203百万円(同1,868百万円増)となりました。流動負債の増加(同1,835百万円増)は、買掛金の増加(同465百万円増)、契約負債の増加(同954百万円増)、未払金の増加(同221百万円増)、受注損失引当金の増加(同81百万円増)が主な要因となっております。固定負債はほぼ横ばいとなっております。(純資産)純資産合計は、14,796百万円(同380百万円増)となりました。株主資本の増加(同352百万円増)は、利益剰余金の増加(同342百万円増)が主な要因となっております。評価・換算差額等の増加(同28百万円増)は、ほぼ横ばいとなっております。 ②経営成績の状況当期の経営成績につきましては、受注高は主機関の受注が増加し、前期比17.6%増の14,175百万円となりました。売上高についても、主機関、部分品ともに増加したことから、前期比38.4%増の13,337百万円となりました。受注残高は前期比13.6%増の7,009百万円となりました。損益面につきましては、主機関について資材価格高騰によるコストアップとその価格転嫁が進まなかったことや、2サイクル電子制御機関における受注損失引当金の想定外の多額計上がありましたが、期末にかけて部品売上が好調に推移したことや生産量の増加、経費の抑制に努めた結果、営業利益は611百万円(前期比11.1%増)、経常利益は682百万円(前期比6.0%増)、当期純利益は研究開発税制、賃上げ促進税制適用による税金費用の減少もあり、536百万円(前期比17.6%増)となりました。事業区分別では、主機関の売上高は、近海船向け2サイクル機関の出荷が増加したことから7,981百万円(前期比75.3%増)となりました。部分品等の売上高は、国内の部分品・修理工事や、舶用事業以外のCMR(鋳造・金属機械加工)も増加したことから5,355百万円(前期比5.3%増)となりました。 ③キャッシュ・フローの状況当事業年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前事業年度末に比べ1,370百万円増加し、当期末は4,669百万円となりました。当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。(営業活動によるキャッシュ・フロー)営業活動の結果得られた資金は、1,585百万円となりました。これは主に、棚卸資産の増加524百万円があったものの、税引前当期純利益688百万円、仕入債務の増加444百万円、減価償却費の計上434百万円、及び売上債権の減少415百万円によるものであります。 (投資活動によるキャッシュ・フロー)投資活動の結果使用した資金は、6百万円となりました。これは主に、定期預金の払戻による収入4,000百万円があったものの、定期預金の預入による支出3,200百万円、有形及び無形固定資産の取得による支出603百万円、投資有価証券の取得による支出201百万円によるものであります。(財務活動によるキャッシュ・フロー)財務活動の結果使用した資金は、207百万円となりました。これは主に、配当金の支払額193百万円によるものであります。 ④生産、受注及び販売の実績当社は舶用機関関連事業の単一セグメントでありますが、以下のとおり「主機関」と「部分品・修理工事」の区分で記載しております。 a.生産実績当事業年度における生産実績は次のとおりであります。区分当事業年度(自 2024年4月1日至 2025年3月31日)前年同期比(%)主機関(千円)8,040,92363.9部分品・修理工事(千円)5,376,7744.7合計(千円)13,417,69733.6(注)金額は平均販売価格により示しております。 b.受注実績当事業年度における受注実績は次のとおりであります。区分受注高(千円)前年同期比(%)受注残高(千円)前年同期比(%)主機関8,819,14226.57,009,00113.6部分品・修理工事5,355,8575.3--合計14,175,00017.67,009,00113.6 c.販売実績当事業年度における販売実績は次のとおりであります。区分当事業年度(自 2024年4月1日至 2025年3月31日)前年同期比(%)主機関(千円)7,981,24175.3部分品・修理工事(千円)5,355,8575.3合計(千円)13,337,09838.4 (2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。 ①重要な会計方針及び見積り財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、 第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)に記載のとおりであります。 ②当事業年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容当社の当事業年度の経営成績等は、「(1)経営成績等の状況の概要」及び以下のとおりであります。当事業年度においては、内航海運向けについては、船主の建造様子見の状況を脱してきたことに伴い増加基調を辿りました。輸出については、大型エンジンが韓国中心にアジア圏への販売が増加しました。また、部分品売上についても期末にかけて拡販活動を強化したことから好調な結果となりました。しかし、第2の柱と位置付けるCMR(鋳造・金属機械加工)については、半導体や工作機械業界の市況低迷を受け、売上高は前事業年度並みにとどまりました。利益面につきましては、資材価格高騰によるコストアップとその価格転嫁が進まなかったことや、2サイクル電子制御機関における受注損失引当金の想定外の多額計上がありましたが、期末にかけて部品売上が好調に推移したことや生産量の増加、経費の抑制に努めた結果、前事業年度より増益となりました。当社の経営成績に重要な影響を与える要因については、「3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。当社の資本の財源及び資金の流動性については、「(1)経営成績等の状況の概要」に記載のとおりであります。当社の資金状況は、営業活動によるキャッシュ・フロー及び内部留保を財源に経営を行っており、十分な流動性を有していると考えております。なお、当事業年度における借入実績はありません。
事業リスク
- 国内内航船業界の市場縮小と競争激化: 国内の内航海運業界では、船員の高齢化や若手船員の不足により、稼働隻数が減少傾向にあります。一方で、国内の舶用4サイクルエンジンメーカーは5社存在し、年間100隻に満たない建造能力の市場で受注競争が激化しています。このため、主機関の受注が減少するリスクがあります。
- 低速4サイクルディーゼルエンジンへの依存: 同社の主力製品である低速4サイクルディーゼルエンジンは高い熱効率とシステム信頼性を持つ一方で、環境規制の強化や他方式のエンジン技術の進歩により、その優位性が失われる可能性があります。ディーゼルエンジンそのものへの風当たりが強まれば、主機関の受注が減少するリスクがあります。
- IMO規制への未対応による影響: NOx3次規制など、国際海事機関(IMO)による環境規制への対応が遅れた場合、規制に適合するエンジンや技術を提供できなくなり、経営成績や財政状態に大きな影響を及ぼす可能性があります。また、関連する他社の技術開発が遅れることで新船建造が停滞し、主機関の受注に影響が出る可能性もあります。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
有価証券報告書「事業等のリスク」の全文を見る(年度切替)
3【事業等のリスク】当社の経営成績及び財務状況に影響を与える可能性のあるリスクには、次のようなものがあります。なお、当社の事業に関する全てのリスクを網羅したものではありません。また、文中における将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。 (1) 国内内航船業界偏重による主機関受注減少リスク内航海運業界では、ここ数年稼働隻数は5,200隻前後で推移しておりましたが、直近は5,050隻程度まで減少している状況です。1隻当たりの平均総トン数が10年前に比べ約3割増加し船が大型化する結果、従来の小型船の隻数が減少するとともに、船員の高齢化や若手船員の減少等による内航船員の慢性的な不足により、トータルとしての緩やかな隻数の減少傾向が継続しております。一方、内航船を建造できる造船所はおよそ30社で、そのすべての建造能力を合わせても建造可能隻数は年間100隻に満たないとされています。その市場に対して国内の舶用4サイクルエンジンメーカー5社が存在し受注競争が一層激化しております。このようななかで、当社は新しい技術に裏打ちされた付加価値によりお客様に満足を提供し、国内内航船業界のシェアの拡大を図るとともに、海外、特に東南アジアを中心としたマーケットの開拓に注力してまいります。 (2) 低速4サイクルディーゼルエンジン偏重による主機関受注減少リスク当社の主力商品は、低速4サイクルディーゼルエンジンであり、その特長はロングストローク化と機関回転数を低くすることにより燃焼を確実に行うことができる結果としての、中速エンジンに比べた高い熱効率であります。また低回転が必要なプロペラと複雑な減速機を介さず直接に結合できることと、機関回転数が低いことが相まって高いシステム信頼性を有しており、その結果メンテナンスコストを含めた生涯コストが低くなっています。この特長が内航海運用途で評価され高いシェアを誇っております。しかし、この特長による中速機関への優位性が認められにくくなる、又は環境対応としてディーゼルエンジンそのものに対する風当たりが強くなれば、受注減少のリスクがあります。まずは、その優位性を確保するため現有ディーゼルエンジンの継続的な性能改善を進めております。また、付加価値の向上として、高度船舶安全管理システムや機関モニタリングシステム「HANASYS 5」等ソフト面でのサポート機能の充実も図っております。加えて、メタノール燃料エンジンも完成しており、今後のGHG削減に対して脱炭素を視野に入れ研究開発を進めてまいります。 (3) IMO規制(国際海事機関により採択された地球環境保全に対する規制)への未対応リスク当社に関連のある規制としましては、NOx3次規制、SOx規制、EEDI規制及びEEXI規制(CO2規制)、船内騒音規制等があります。現時点で、将来直接的に対応が必要と考えられる規制はNOx3次規制であり、規制に適合できるエンジン又は技術が開発できない場合は当社の経営成績及び財政状態に大きな影響を及ぼす可能性があります。対策のひとつとして規制に適合できるガスエンジンの開発をいたしました。SOx規制は燃料油に、EEDI規制、EEXI規制及び船内騒音規制は船舶全般に関わる規制となりますので、それらに対する関係各社の対策技術が開発されない場合、新船建造に歯止めがかかり当社の主機関受注に大きな影響を及ぼす可能性があります。お客様のご要望に対する可能な限りの各種技術データの提供等にて、最大限の協力をさせていただいております。地球環境保全に対する積極的な貢献が当社の使命でもあり、ビジネスチャンスを掴み取る機会でもありますので、主機関を含めた推進システムの総合メーカーとして課題解決に向けて技術的可能性を追求してまいります。 (4) 資材価格の高騰に起因したコストアップを主機関の価格に転嫁が困難な場合のリスク当社製品の製造において使用するいくつかの原材料・部分品については、コストダウンのため新規調達先の開拓や調達コストの低減に取り組んでおりますが、原料やエネルギーの高騰、円安等様々な要因により価格高騰が避けられない場合があります。その変動分を販売価格に反映することが困難な場合、当社の業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。 (5) 新卒人材採用の困難継続リスク日本の少子高齢化に伴い新卒の人材採用が困難な状況になっており、当社においても採用計画の充足が困難となってきております。状況がさらに厳しくなり計画人数に満たない状況が継続すれば、技術やノウハウの社内伝承が進まず事業機会を失うことにより、当社の経営成績や財政状態に大きな影響を及ぼす可能性があります。対策として、大学との個別コンタクトや積極的な会社説明会への参加、通年採用や経験者採用のオープン化、初任給のアップ、マイナビやラッピングバス、自社ウェブサイトの活用(当社の魅力発信等)を行っております。加えて、経験者人材の採用を進めるため、リファラル採用や転職サイトの有効活用をしております。 (6) 感染症パンデミックの影響による損失拡大リスク社内で感染者が多発した場合、操業停止等により経営成績や財政状態へ大きな影響を受ける可能性があります。新型コロナウイルス感染症は収束しましたが、今後、同感染症の再流行や新たな感染症が流行した際には、今般得た経験を生かし、対策本部の設置による情報の一元化、時差出勤・テレワークの活用など迅速に対応してまいります。 (7) SDGs対応に貢献できなかった場合のリスクSDGsへの貢献は、既に一般企業、一般社会人の果たすべき当然の義務という位置づけです。その義務を果たさなければ、ビジネス社会の責任ある一員と捉えてもらえない大きなリスクがあります。今回の新中期経営計画においても引き続きSDGsへの貢献を基軸に据え、中期目標にてSDGsに貢献できる具体的な目標を設定しております。これからも地球と人を大切にする企業活動に邁進してまいります。 (8) ロシアのウクライナ侵攻による地政学的リスクロシア向けの主機及び部品の販売につきましては、2022年3月の経済産業省の輸出貿易管理令の一部改正以降、一切の販売を取りやめております。元々ロシアへの主機販売の実績はなく、部品販売も少額であったため部品の売上高に対する影響は極めて軽微なものとなっております。ただし、エネルギーや原材料等の資源高騰のリスクがあり、金属材料や部品の二次的な高騰につながり利益を圧迫する可能性があります。いずれにせよリスク状況をよく見極め、可能な限りの対策を実施していく所存であります。 (9) ランサムウエア攻撃による損失リスク当社基幹システムがランサムウエアによる攻撃を受けた場合、システム障害による操業停止に陥り、経営成績に大きな影響を与える可能性があります。現在、侵入防止のため、社内のセキュリティを可視化して内部からの不正を監視するソフト、業務上閲覧することが不適切なウェブサイトを閲覧制限するソフト、インターネットと企業内LANの間に設置して外部からの不正アクセスを防ぐシステム・パソコンを様々なサイバー攻撃から守るソフトを導入していますが、実際に暗号化され、攻撃が発覚するまでの期間が長期化し、暗号化被害が拡大するリスクがあります。対策としてサイバーリスク保険の加入に加え、オフラインバックアップシステムを構築しております。 (10) 重要な会計上の見積りによるリスク当社の財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成されておりますが、財務諸表の作成にあたり、当事業年度末時点の状況を基に行った見積りと当該見積りに用いた仮定のうち、製品保証引当金及び受注損失引当金の見積りには一定の不確実性が含まれております。製品保証引当金については、不具合の予測発生台数及び過去の費用実績を基に見積っておりますが、本質的に将来の不具合発生の予測は不確実なため、見積費用が変動することがあります。受注損失引当金については、契約ごとの仕様及び販売基準価格表から算出した総費用等を基に見積っておりますが、契約仕様は顧客の要求に基づくものであり個別性が強く、また作業工程の遅れ等、当初予定していない事象により見積費用が変動する場合があります。これらの状況変化に伴い結果として、翌事業年度の財務諸表に重要な影響を及ぼすリスクがあります。