事業の概要
- 産業用フィルター・コンベア: 日本フイルコンは、紙・パルプ製造に使われる網や、様々な工業用の特殊な網を製造・販売しています。これは、工場などで製品を作る過程で液体や固体を分離したり、物を運んだりするために不可欠な部品であり、同社の主要な収益源となっています。
- 電子部材・フォトマスク: スマートフォンやパソコンなどの電子機器に使われる、半導体製造の際に回路を焼き付けるための「フォトマスク」や、その他の電子部品の製造・販売も行っています。これは高度な技術が必要な分野で、現代社会のデジタル化を支える重要な事業です。
- 環境・水処理関連: プール本体や水をきれいにする装置、その他環境に配慮した製品の設計・販売も手掛けています。人々の生活環境を快適に保つためのインフラを支える事業であり、社会貢献性の高いビジネスモデルと言えます。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
セグメント構成
- 産業用機能フィルター・コンベア事業: この事業は、紙・パルプ製造用の網や、様々な工業分野で使われる特殊な網の製造・販売が中心です。売上高は200.3億円と最も大きく、営業利益も7.86億円で、同社の主力事業として収益を牽引しています。
- 電子部材・フォトマスク事業: 半導体製造に不可欠なフォトマスクや、その他の電子部品の製造・販売を行っています。売上高は45.57億円、営業利益は3.69億円と、主力事業に次ぐ規模で、高い技術力が求められる分野で安定した収益を上げています。
- 不動産賃貸事業: 不動産の賃貸を行う事業で、売上高は10.32億円ですが、営業利益は7.79億円と非常に高い利益率を誇ります。これは、安定した収益源として同社の経営基盤を支える重要な事業の一つです。
2025-11 セグメント別業績
| セグメント | 区分 | 売上(億) | 営業利益(億) | 営業利益率 |
|---|---|---|---|---|
| IndustrialFunctionalFilterAndConveyer | 地域 | 200 | 8 | 3.9% |
| ElectronicComponentMaterialsAndPhotoMasks | 事業 | 46 | 4 | 8.1% |
| EnvironmentAndWaterProcessingRelated | 事業 | 22 | 1 | 2.9% |
| RealEstateLeasingBusiness | 地域 | 10 | 8 | 75.5% |
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3 【事業の内容】当社の企業集団は、当社、子会社19社および関連会社2社で構成されております。主要な事業活動は、産業用機能フィルター・コンベア事業(紙・パルプ抄造用網、各種工業用特殊網)、電子部材・フォトマスク事業であります。2025年11月30日現在の当社グループの事業に係る位置づけは次の通りであります。なお、FILCON EUROPE SARLは2025年11月22日付で解散し、新たに欧州地区の販売会社としてFILCON Germany GmbHを設立しております。(産業用機能フィルター・コンベア事業)紙・パルプ抄造用網の製造・販売は、主として当社、FILCON FABRICS & TECHNOLOGY CO.,LTD.(タイ王国)、斉藤特殊金網㈱が行っておりますが、北米地区の販売については、Filcon America,Inc.が行っております。また、欧州地区の販売については、FILCON Germany GmbHが行っております。また、各種工業用特殊網の製造は、当社、関西金網㈱、ダイアエンタプライズ㈱、NK工業㈱、Siam Wire Netting Co.,Ltd.、関西金属網科技(昆山)有限公司が行っており、販売は主として当社、関西金網㈱、ターミメッシュジャパン㈱が行っておりますが、海外については、International Mesh Products Pte.Ltd.(シンガポール)、TMA CORPORATION PTY LTD(オーストラリア)、関西金属網科技(昆山)有限公司(中国)等が行っております。(電子部材・フォトマスク事業)フォトエッチング等電子部材・フォトマスク事業での製造・販売は、当社および徳輝科技股份有限公司が行っております。また、エスデイアイ・エレクトロニクス・ジャパン㈱は電子部品の輸入販売業務を行っております。(環境・水処理関連事業)プール本体および水処理装置、その他環境関連製品等の設計・販売は㈱アクアプロダクトが行っております。(不動産賃貸事業)不動産賃貸事業は当社が行っております。(その他)フイルコンサービス㈱はワイン輸入販売等を行っております。 2025年11月30日現在の事業の系統図は次の通りであります。
事業の優位性(モート)
事業の質(有価証券報告書から抽出)
数字に出ない事業の性質を、同じ物差しで全銘柄そろえています。FY2025時点の記載が出典です。
| 価格決定力値上げを通せるか。強いほどインフレ耐性が高い | 弱い 全ての事業・製品で販売価格を見直しできておらず、得意先との対話を通じて適切な販売価格実現を目指しているため |
|---|---|
| 参入障壁新規参入を阻む要因の種類 | 技術 紙・パルプ抄造用網、各種工業用特殊網、フォトマスクの高精細化、直接駆動方式コンベアベルトなどの技術開発 |
| 景気敏感度業績が景気循環にどれだけ振られるか | 中程度 |
| 設備投資の性質稼いだ現金がどれだけ設備維持に消えるか | 混合 |
| 規制依存規制は障壁にも足枷にもなる | 中程度 |
会社が挙げる主要リスク:市場リスク(国内需要縮小、競争激化) / 為替の変動に関するリスク / 資源・エネルギーの高騰リスク
同じ条件で他の銘柄を探す → 定性スクリーニング(価格決定力・参入障壁・景気敏感度などで絞り込めます)
モート総合 7 / 25 5類型それぞれの強度と、そう判定した根拠
無形資産☆☆☆☆☆
日本フイルコンは特定のブランド力、特許、規制ライセンス、独占的IPに依存する事業モデルではない。主力製品であるフィルターエレメントは技術的な優位性を持つ可能性があるが、それが特許等で強固に保護されているという情報は限定的である。
スイッチングコスト★★☆☆☆
産業用フィルターエレメントは、特定の用途や機器に適合させる必要があり、顧客が他のサプライヤーに切り替える際には、適合性確認や再設計、テストなどの手間やコストが発生する可能性がある。しかし、代替品の選択肢が全くないわけではない。
ネットワーク効果☆☆☆☆☆
同社の事業は、ユーザー数の増加が製品価値を直接的に高めるネットワーク効果を持つビジネスモデルではない。BtoBの産業資材供給であり、プラットフォーム型ビジネスとは異なる。
コスト優位★★☆☆☆
長年の製造経験やノウハウにより、一定の生産効率やコスト管理能力は有していると考えられる。しかし、原材料価格の変動や、競合他社とのコスト競争力において、構造的な圧倒的優位性を示す情報は少ない。
規模の経済★★★☆☆
産業用フィルターエレメント市場において、特定のニッチ分野で一定のシェアを確保している可能性があり、その分野においては効率的な規模の経済を享受している可能性がある。しかし、市場全体での寡占度は限定的と推測される。
- 多角的な事業展開: 同社は産業用フィルター・コンベア、電子部材、環境・水処理、不動産賃貸など、幅広い事業を展開しています。これにより、特定の市場の変動リスクを分散し、安定した経営基盤を築いていると考えられます。
- グローバルな生産・販売網: 紙・パルプ抄造用網の製造は日本、タイ、北米、欧州で行い、各種工業用特殊網も日本、タイ、中国などで製造・販売しています。これにより、世界各地の需要に対応できる体制を構築し、地域ごとの市場特性に合わせた事業展開が可能です。
- 技術と品質への信頼: 産業用機能フィルターや電子部材といった分野は、高い技術力と品質が求められます。長年の経験と実績により培われた技術力は、顧客からの信頼を獲得し、競争優位性につながっていると推測されます。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
経営戦略
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経営方針・経営戦略
1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。(1)会社の経営の基本方針当社グループの企業理念である、「夢を持ち一生懸命を楽しもう」、「総力で一歩先行くものづくり」、「感謝と誠意をかたちで社会へ」を基本に置き、行動指針や行動規範のもと、グループをあげて事業活動に邁進し、適正な収益を確保しつつ、株主・投資家、顧客や取引先、従業員、地域社会等のあらゆるステークホルダーの皆様に対して、企業としての社会的責任を全うできるよう努力を継続してまいります。また、社会から信任される企業たることを目指し、内部統制システムの効果的・効率的運用に引き続き務め、コーポレート・ガバナンスのさらなる強化、コンプライアンスの徹底、リスク管理体制の充実、環境活動への積極的取り組み等を継続してまいる方針であります。 (2)事業ポートフォリオに関する基本的な方針当社グループは、産業用機能フィルター・コンベア事業、電子部材・フォトマスク事業、環境・水処理関連事業、不動産賃貸事業と、多方面で事業を展開しております。当社グループでは、「グループ長期ビジョンと整合性ある事業」、「自社としてガバナンスできる事業」、「特定の領域でリーダーの地位を得られる事業」、「中長期的に資本コストを上回るリターンを継続できる事業」という観点から原則として中期経営計画策定時に事業ポートフォリオの見直しを実施いたします。 (3)2026年度~2028年度中期経営計画(対処すべき課題)次期中期経営計画2026年度~2028年度についてグループ長期ビジョン「100年超え企業として、次の100年も社会が必要とする製品・サービスを生み出し続ける企業集団」 マテリアリティ・生活に不可欠な製品群の提供による社会の利便性向上および環境負荷低減・顧客ニーズに応える営業力と高品質な製品・人的資本の開発・グループガバナンスの強化 経営重点課題長期ビジョンの達成に向け、マテリアリティに基づき、次期中期経営計画の期間で取り組むべき課題は以下のとおりであります。① 収益力の回復前中期経営計画から引き続き最優先課題として認識しております。売上高などの規模拡大ではなく、稼ぐ力の向上に注力するため、現在の事業運営状況を抜本から見直し、失敗を恐れず、策を実行してみることを重視いたします。② 人的資本の開発人を活かす経営に向け、与えられた仕事をこなすだけではなく、自ら考えて動ける人材を育て、チャレンジできる機会も提供してまいります。 ③ グループガバナンスの強化グループ全体としては、会議体の運営見直しや、新たに設置する任意の指名・報酬委員会による活動によりガバナンスをさらに強化してまいります。グループ内の子会社管理につきましても、収益力向上と内部統制の両面から最適なガバナンス体制を再検討してまいります。 2028年度の中期目標2028年度の中期目標を以下のとおり設定いたしました。・グループ定量目標 (単位:百万円) 産業用機能フィルター・コンベア事業電子部材・フォトマスク事業環境・水処理関連事業不動産賃貸事業本社部門等にかかる全社費用合計売上高19,0305,5043,3101,025―28,869営業利益1,305733259733△1,5291,500 ・グループ資本効率目標 ROE6.0%・グループ株主還元目標 配当性向30%以上かつDOE2.4%以上 各事業の目標値、事業環境、強み、戦略は以下のとおりであります。 産業用機能フィルター・コンベア事業目標値 2028年度 売上高19,030百万円、営業利益1,305百万円 事業環境製紙製品分野では、国内はペーパーレス化が進み市場の縮小が継続しており、今後もその流れは変わらないと想定しております。海外は緩やかに市場が成長していくことが見込まれます。そのような状況下、環境配慮・サステナブル製品への関心は高まっており、得意先のマシンの駆動負荷低減への貢献や再生可能資源への対応が求められております。産業用コンベヤーベルト・フィルター分野では、食品用コンベヤーベルトの需要は堅調であり、設備更新を含めた需要は安定して推移すると想定しております。フィルターにつきましては、国内の不織布業界が苦境にあるなかで不織布製造向けの需要は伸び悩んでいますが、電子部材をはじめとするその他の市場における今後のシェア拡大に向けて販売強化に努めてまいります。 強み製紙製品分野では、得意先毎の抄造条件にあわせた豊富な製品群とその知見を有しております。産業用コンベヤーベルト・フィルター分野では、幅広い業界に張り巡らされた販売網で得意先の状況・変化をいち早くつかみ、豊富で顧客要求に応じた製品・サービス・品質の提供で得意先の多様なニーズに応えることができます。 戦略製紙製品分野では、海外販売で利益を稼ぐ体制への転換を図ってまいります。海外はエリア毎に収益性を評価し、より販売単価が高く収益性の高いエリアでの拡販に注力してまいります。また、日本と同様に需要が低迷している欧州につきましては、人員体制の見直しや不織布向け製品をターゲットとした拡販に注力するため、フランスの販売子会社を清算し、需要の大きいドイツに新たに販売子会社を設置いたしました。なお、減少が続く国内では、駆動負荷低減や断紙減少、汚れ減少などといった得意先のニーズを捉えた戦略品種を取り揃え、シェアアップを図ってまいります。また、生産性向上による収益力回復に向けた取り組みも進めており、静岡工場から低コストのタイ子会社へ生産の移管を実施中であります。生産性向上、すなわち原価低減・工数削減・在庫削減・納期短縮を実現していくために、多様化により増加してきた仕様数の削減、省人化設備の導入、歩留まり改善に具体的に取り組んでまいります。なお、当分野では次期中期経営計画の期間で大型の設備投資は計画しておりません。 産業用コンベヤーベルト・フィルター分野では、国内工業用金網の最大手で幅広い業界に販売網を持っている強みを活かし、国内の得意先の多様なニーズ・品質要求に応える製品・サービスを提供するとともに、海外においては、海外子会社製コンベヤーベルトを活用してアジア地域を中心に拡販に注力してまいります。 また、国内における主力工場であります大阪工場(兵庫県川西市)の建屋老朽化が進んでおり、2028年度末の完成を目指して現敷地内で建て替えを予定しております。この投資につきましては、当分野の基幹製品の製造に関わるものであり、実施は不可欠であると経営判断いたしました。 電子部材・フォトマスク事業目標値 2028年度 売上高5,504百万円、営業利益733百万円 事業環境エッチング加工製品分野およびフォトマスク製品分野では、電子部品業界のなかで特にAIの急速な普及やデータセンターの建設ラッシュに伴う、省エネ・高集積製品需要が増大し続けております。そのような状況下、他社より優れた開発力・生産技術力を保有し付加価値のある市場・製品の獲得や、試作認定品の短納期対応とタイムリーな量産化体制の整備が重要となっております。なお、近年のインフレや円安の影響により、生産設備の取得価額や保守サービス料の値上げ・高騰が進んでおり、減価償却負担や保守費が増加し、損益にも影響を与えております。競合先が複数存在する市場であり、販売価格への転嫁は失注に繋がるリスクも高い状況ではありますが、コスト上昇要因を定量的に示し、得意先との価格交渉を進めてまいります。 強み多様な設備を保有しているため試作から量産までを手掛け、得意先の多様なニーズに応えることができます。 戦略エッチング加工製品分野では、前中期経営計画まで積極的に実施してきた設備投資により技術力と生産力を向上してまいりました。得意先からの試作依頼から認定、量産に至るまで期間は年単位で要するうえに、途中で開発が中止となり、案件が消失してしまうことも多い業界でありますが、従来対応できなかった得意先からの需要を捉え、量産獲得に邁進いたします。フォトマスク製品分野では、現在得意先からの需要が旺盛な高周波デバイス・各種センサー向けフォトマスクの販売活動を強化いたします。また、ガラス加工品などの応用製品について、得意先の開発段階から対応すべく社内で光学設計ができる体制を構築し、拡販に注力してまいります。なお、2025年度にエッチング加工製品分野およびフォトマスク製品分野ともに減損損失を計上しており、次期中期目標の営業利益は減価償却費の減少を織り込んだ数値となっております。次期中期経営計画の期間におきましても、現有する装置の老朽化が進み、装置メーカーによる保守の継続が困難となりつつあるリスクへの対応として、また今後もフォトマスク製品の需要は拡大していくことが見込まれるため、フォトマスク製品分野の主要設備を順次更新していく計画としております。 環境・水処理関連事業目標値 2028年度 売上高3,310百万円、営業利益259百万円 事業環境国内の少子化による学校数の減少や猛暑によるプール利用の減少、水泳授業の民間委託などにより、学校プール市場は全体として減少しており、今後もその傾向は継続していくと想定しております。ただし、学校プール市場において圧倒的なシェアを有していた競合が事業から撤退したことにより、市場が縮小するよりも当社グループへの引き合いが多くなる状況は当面継続する見込みであります。また、プールが設置されるアッパークラスも含めホテルの建設需要は好調であり、今後も需要は途切れることが無いと想定しております。 強みプールとろ過装置の双方を自社で取り扱う国内唯一のプール総合メーカーとして得意先の様々なニーズに応えることができます。特に各種材質のプールを取りそろえていることや、排水処理装置・ガス絶縁継手での海外メーカーとの協業など、競争力のある商品群を有しております。 戦略次期中期経営計画期間におきましては、学校プールの需要取り込みに注力してまいります。同時に、長期的には学校プールから民間のホテル・マンションプールへと注力すべき需要(市場)が移っていくことを見越し、プールとろ過装置のセット販売という強みを活かした営業強化や、生産・施工能力の拡大に努めてまいります。 不動産賃貸事業目標値 2028年度 売上高1,025百万円、営業利益733百万円 不動産賃貸事業では、当社の工場や社宅の跡地の有効活用を目的として運営しております。都心部に複数の物件を有し、商業施設やマンションなどとして賃貸しております。次期中期経営計画の期間においても、物件の老朽化対策としての大規模修繕を計画的に実施し、賃料維持や契約更新時の賃料アップ交渉に努めてまいります。
対処すべき課題
1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。(1)会社の経営の基本方針当社グループの企業理念である、「夢を持ち一生懸命を楽しもう」、「総力で一歩先行くものづくり」、「感謝と誠意をかたちで社会へ」を基本に置き、行動指針や行動規範のもと、グループをあげて事業活動に邁進し、適正な収益を確保しつつ、株主・投資家、顧客や取引先、従業員、地域社会等のあらゆるステークホルダーの皆様に対して、企業としての社会的責任を全うできるよう努力を継続してまいります。また、社会から信任される企業たることを目指し、内部統制システムの効果的・効率的運用に引き続き務め、コーポレート・ガバナンスのさらなる強化、コンプライアンスの徹底、リスク管理体制の充実、環境活動への積極的取り組み等を継続してまいる方針であります。 (2)事業ポートフォリオに関する基本的な方針当社グループは、産業用機能フィルター・コンベア事業、電子部材・フォトマスク事業、環境・水処理関連事業、不動産賃貸事業と、多方面で事業を展開しております。当社グループでは、「グループ長期ビジョンと整合性ある事業」、「自社としてガバナンスできる事業」、「特定の領域でリーダーの地位を得られる事業」、「中長期的に資本コストを上回るリターンを継続できる事業」という観点から原則として中期経営計画策定時に事業ポートフォリオの見直しを実施いたします。 (3)2026年度~2028年度中期経営計画(対処すべき課題)次期中期経営計画2026年度~2028年度についてグループ長期ビジョン「100年超え企業として、次の100年も社会が必要とする製品・サービスを生み出し続ける企業集団」 マテリアリティ・生活に不可欠な製品群の提供による社会の利便性向上および環境負荷低減・顧客ニーズに応える営業力と高品質な製品・人的資本の開発・グループガバナンスの強化 経営重点課題長期ビジョンの達成に向け、マテリアリティに基づき、次期中期経営計画の期間で取り組むべき課題は以下のとおりであります。① 収益力の回復前中期経営計画から引き続き最優先課題として認識しております。売上高などの規模拡大ではなく、稼ぐ力の向上に注力するため、現在の事業運営状況を抜本から見直し、失敗を恐れず、策を実行してみることを重視いたします。② 人的資本の開発人を活かす経営に向け、与えられた仕事をこなすだけではなく、自ら考えて動ける人材を育て、チャレンジできる機会も提供してまいります。 ③ グループガバナンスの強化グループ全体としては、会議体の運営見直しや、新たに設置する任意の指名・報酬委員会による活動によりガバナンスをさらに強化してまいります。グループ内の子会社管理につきましても、収益力向上と内部統制の両面から最適なガバナンス体制を再検討してまいります。 2028年度の中期目標2028年度の中期目標を以下のとおり設定いたしました。・グループ定量目標 (単位:百万円) 産業用機能フィルター・コンベア事業電子部材・フォトマスク事業環境・水処理関連事業不動産賃貸事業本社部門等にかかる全社費用合計売上高19,0305,5043,3101,025―28,869営業利益1,305733259733△1,5291,500 ・グループ資本効率目標 ROE6.0%・グループ株主還元目標 配当性向30%以上かつDOE2.4%以上 各事業の目標値、事業環境、強み、戦略は以下のとおりであります。 産業用機能フィルター・コンベア事業目標値 2028年度 売上高19,030百万円、営業利益1,305百万円 事業環境製紙製品分野では、国内はペーパーレス化が進み市場の縮小が継続しており、今後もその流れは変わらないと想定しております。海外は緩やかに市場が成長していくことが見込まれます。そのような状況下、環境配慮・サステナブル製品への関心は高まっており、得意先のマシンの駆動負荷低減への貢献や再生可能資源への対応が求められております。産業用コンベヤーベルト・フィルター分野では、食品用コンベヤーベルトの需要は堅調であり、設備更新を含めた需要は安定して推移すると想定しております。フィルターにつきましては、国内の不織布業界が苦境にあるなかで不織布製造向けの需要は伸び悩んでいますが、電子部材をはじめとするその他の市場における今後のシェア拡大に向けて販売強化に努めてまいります。 強み製紙製品分野では、得意先毎の抄造条件にあわせた豊富な製品群とその知見を有しております。産業用コンベヤーベルト・フィルター分野では、幅広い業界に張り巡らされた販売網で得意先の状況・変化をいち早くつかみ、豊富で顧客要求に応じた製品・サービス・品質の提供で得意先の多様なニーズに応えることができます。 戦略製紙製品分野では、海外販売で利益を稼ぐ体制への転換を図ってまいります。海外はエリア毎に収益性を評価し、より販売単価が高く収益性の高いエリアでの拡販に注力してまいります。また、日本と同様に需要が低迷している欧州につきましては、人員体制の見直しや不織布向け製品をターゲットとした拡販に注力するため、フランスの販売子会社を清算し、需要の大きいドイツに新たに販売子会社を設置いたしました。なお、減少が続く国内では、駆動負荷低減や断紙減少、汚れ減少などといった得意先のニーズを捉えた戦略品種を取り揃え、シェアアップを図ってまいります。また、生産性向上による収益力回復に向けた取り組みも進めており、静岡工場から低コストのタイ子会社へ生産の移管を実施中であります。生産性向上、すなわち原価低減・工数削減・在庫削減・納期短縮を実現していくために、多様化により増加してきた仕様数の削減、省人化設備の導入、歩留まり改善に具体的に取り組んでまいります。なお、当分野では次期中期経営計画の期間で大型の設備投資は計画しておりません。 産業用コンベヤーベルト・フィルター分野では、国内工業用金網の最大手で幅広い業界に販売網を持っている強みを活かし、国内の得意先の多様なニーズ・品質要求に応える製品・サービスを提供するとともに、海外においては、海外子会社製コンベヤーベルトを活用してアジア地域を中心に拡販に注力してまいります。 また、国内における主力工場であります大阪工場(兵庫県川西市)の建屋老朽化が進んでおり、2028年度末の完成を目指して現敷地内で建て替えを予定しております。この投資につきましては、当分野の基幹製品の製造に関わるものであり、実施は不可欠であると経営判断いたしました。 電子部材・フォトマスク事業目標値 2028年度 売上高5,504百万円、営業利益733百万円 事業環境エッチング加工製品分野およびフォトマスク製品分野では、電子部品業界のなかで特にAIの急速な普及やデータセンターの建設ラッシュに伴う、省エネ・高集積製品需要が増大し続けております。そのような状況下、他社より優れた開発力・生産技術力を保有し付加価値のある市場・製品の獲得や、試作認定品の短納期対応とタイムリーな量産化体制の整備が重要となっております。なお、近年のインフレや円安の影響により、生産設備の取得価額や保守サービス料の値上げ・高騰が進んでおり、減価償却負担や保守費が増加し、損益にも影響を与えております。競合先が複数存在する市場であり、販売価格への転嫁は失注に繋がるリスクも高い状況ではありますが、コスト上昇要因を定量的に示し、得意先との価格交渉を進めてまいります。 強み多様な設備を保有しているため試作から量産までを手掛け、得意先の多様なニーズに応えることができます。 戦略エッチング加工製品分野では、前中期経営計画まで積極的に実施してきた設備投資により技術力と生産力を向上してまいりました。得意先からの試作依頼から認定、量産に至るまで期間は年単位で要するうえに、途中で開発が中止となり、案件が消失してしまうことも多い業界でありますが、従来対応できなかった得意先からの需要を捉え、量産獲得に邁進いたします。フォトマスク製品分野では、現在得意先からの需要が旺盛な高周波デバイス・各種センサー向けフォトマスクの販売活動を強化いたします。また、ガラス加工品などの応用製品について、得意先の開発段階から対応すべく社内で光学設計ができる体制を構築し、拡販に注力してまいります。なお、2025年度にエッチング加工製品分野およびフォトマスク製品分野ともに減損損失を計上しており、次期中期目標の営業利益は減価償却費の減少を織り込んだ数値となっております。次期中期経営計画の期間におきましても、現有する装置の老朽化が進み、装置メーカーによる保守の継続が困難となりつつあるリスクへの対応として、また今後もフォトマスク製品の需要は拡大していくことが見込まれるため、フォトマスク製品分野の主要設備を順次更新していく計画としております。 環境・水処理関連事業目標値 2028年度 売上高3,310百万円、営業利益259百万円 事業環境国内の少子化による学校数の減少や猛暑によるプール利用の減少、水泳授業の民間委託などにより、学校プール市場は全体として減少しており、今後もその傾向は継続していくと想定しております。ただし、学校プール市場において圧倒的なシェアを有していた競合が事業から撤退したことにより、市場が縮小するよりも当社グループへの引き合いが多くなる状況は当面継続する見込みであります。また、プールが設置されるアッパークラスも含めホテルの建設需要は好調であり、今後も需要は途切れることが無いと想定しております。 強みプールとろ過装置の双方を自社で取り扱う国内唯一のプール総合メーカーとして得意先の様々なニーズに応えることができます。特に各種材質のプールを取りそろえていることや、排水処理装置・ガス絶縁継手での海外メーカーとの協業など、競争力のある商品群を有しております。 戦略次期中期経営計画期間におきましては、学校プールの需要取り込みに注力してまいります。同時に、長期的には学校プールから民間のホテル・マンションプールへと注力すべき需要(市場)が移っていくことを見越し、プールとろ過装置のセット販売という強みを活かした営業強化や、生産・施工能力の拡大に努めてまいります。 不動産賃貸事業目標値 2028年度 売上高1,025百万円、営業利益733百万円 不動産賃貸事業では、当社の工場や社宅の跡地の有効活用を目的として運営しております。都心部に複数の物件を有し、商業施設やマンションなどとして賃貸しております。次期中期経営計画の期間においても、物件の老朽化対策としての大規模修繕を計画的に実施し、賃料維持や契約更新時の賃料アップ交渉に努めてまいります。
MD&A(経営者による分析)
4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】(経営成績等の状況の概要)当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要は次のとおりであります。(1) 財政状態及び経営成績の状況当連結会計年度におけるわが国経済は、物価の上昇が続くなか、個人消費や設備投資は緩やかに持ち直しはじめている状況となっております。海外経済は通商政策などアメリカの政策動向による影響が大きく、先行き不透明な状況が継続しております。このような状況下、当社グループの当連結会計年度における業績は、売上高は27,842百万円(前期比2.8%減)、営業利益は668百万円(前期比27.8%減)、経常利益は944百万円(前期比16.5%減)となりました。親会社株主に帰属する当期純損失は、減損損失や特別退職金を特別損失として計上したため726百万円(前期親会社株主に帰属する当期純利益622百万円)となりました。 セグメントの業績は次のとおりであります。 ①産業用機能フィルター・コンベア事業産業用機能フィルター・コンベア事業は以下の分野で構成されます。製紙製品分野紙を抄くために使われる網(ワイヤー)の製造・販売産業用コンベヤーベルト・フィルター分野※「ふるい分け」・「ろ過」・「搬送」用の工業用金網の製造・販売 ※その他産業用フィルター・コンベア分野から名称のみ変更。 製紙製品分野では、国内は紙の需要が減少するなか、製紙会社の生産能力削減の動きも顕著になっております。海外は板紙や衛生紙、不織布などの需要は堅調ですが、特に欧州で景気後退により減少した需要が回復しておりません。このような状況下、国内および海外の売上高は前期と比べ減少いたしました。産業用コンベヤーベルト・フィルター分野では、需要が堅調であり売上高は国内海外ともに前期並みとなりました。結果、当セグメントの外部顧客への売上高は20,030百万円(前期比0.3%減)、営業利益は人件費や製造費の上昇の影響もあり786百万円(前期比30.7%減)となりました。 ②電子部材・フォトマスク事業電子部材・フォトマスク事業は以下の分野で構成されます。エッチング加工製品分野金属材料・複合フィルム材料をエッチング加工した製品の製造・販売フォトマスク製品分野半導体・ディスプレイ・プリント基板・MEMSなどを製造するときに使用されるツールで、パターニングの原版となるフォトマスクの製造・販売 電子部品業界は、AI関連の最先端製品の需要は旺盛でありますが、車載や産業機械向けの需要は軟調となっております。そのような状況下、エッチング加工製品分野につきましては、新規量産案件の獲得に向け努めておりますが、試作から量産に至るまでに時間を要しており、売上高は前期と比べ減少いたしました。フォトマスク製品分野は通信デバイス向けなどが好調であり、売上高は前期と比べ増加いたしました。結果、当セグメントの外部顧客への売上高は4,556百万円(前期比4.4%増)、営業利益は製造経費が増加したことにより368百万円(前期比26.3%減)となりました。 ③環境・水処理関連事業環境・水処理関連事業は、プールおよびろ過装置の設計・販売、天然ガスパイプラインの腐食・ガス漏れを防ぐ絶縁継手の販売などを行っております。前期まで不採算の案件を抱えており、新たな大型案件の受注については慎重に検討し控えていた影響により、当連結会計年度の外部顧客への売上高は2,223百万円(前期比29.5%減)、営業利益は64百万円(前期営業損失62百万円)となりました。 ④不動産賃貸事業不動産賃貸事業は、当社が保有する不動産を店舗・マンション・駐車場等として賃貸しております。既存の賃貸物件が順調に稼働した結果、当セグメントの外部顧客への売上高は1,031百万円(前期比0.1%減)、営業利益は779百万円(前期比0.2%減)となりました。 (注)各セグメントの営業利益の合計額と連結業績における営業利益との差異1,329百万円(前期比6.9%減)は、主として各セグメントに配分していない全社費用であります。 流動資産は、前連結会計年度末に比べ2百万円増加し、21,443百万円となりました。これは主として受取手形、売掛金及び契約資産が306百万円、商品及び製品が305百万円それぞれ減少した一方で、現金及び預金が293百万円、仕掛品が166百万円それぞれ増加したことによるものであります。 固定資産は、前連結会計年度末に比べ264百万円減少し、21,513百万円となりました。これは主として、投資有価証券が330百万円、退職給付に係る資産が345百万円それぞれ増加した一方で、建設仮勘定が632百万円、機械装置及び運搬具が233百万円それぞれ減少したことによるものであります。 この結果、資産合計は、前連結会計年度末に比べ262百万円減少し、42,957百万円となりました。 流動負債は、前連結会計年度末に比べ752百万円増加し、14,776百万円となりました。これは主として、短期借入金が371百万円、1年内返済予定の長期借入金が301百万円それぞれ増加したことによるものであります。 固定負債は、前連結会計年度末に比べ308百万円減少し、5,627百万円となりました。これは主として、その他固定負債が124百万円、長期借入金が103百万円それぞれ減少したことによるものであります。 この結果、負債合計は、前連結会計年度末に比べ443百万円増加し、20,404百万円となりました。 純資産合計は、前連結会計年度末に比べ706百万円減少し、22,552百万円となりました。これは主として、為替換算調整勘定が548百万円、その他有価証券評価差額金が224百万円それぞれ増加した一方で、利益剰余金が1,298百万円減少したことによるものであります。 (2) キャッシュ・フローの状況当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前連結会計年度末に比べ291百万円増加し、5,113百万円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況は次のとおりであります。 (営業活動によるキャッシュ・フロー)営業活動によるキャッシュ・フローは、減価償却費1,904百万円、減損損失1,579百万円などにより、2,994百万円の収入(前連結会計年度に比べ1,022百万円の収入増)となりました。(投資活動によるキャッシュ・フロー)投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出2,932百万円などにより2,439百万円の支出(前連結会計年度に比べ1,425百万円の支出増)となりました。(財務活動によるキャッシュ・フロー)財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入れによる収入1,900百万円などがあった一方、長期借入金の返済による支出1,714百万円、配当金の支払額572百万円などにより、345百万円の支出(前連結会計年度に比べ233百万円の支出減)となりました。 (3) 生産、受注及び販売の状況① 生産実績当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。 セグメントの名称生産高(千円)前期比(%)産業用機能フィルター・コンベア事業11,472,5680.2電子部材・フォトマスク事業3,630,1567.3合計15,102,7251.8 (注) 金額は製造原価によっております。 ② 受注実績当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。 セグメントの名称受注高(千円)前期比(%)受注残高(千円)前期比(%)産業用機能フィルター・コンベア事業20,465,3785.26,648,9067.3電子部材・フォトマスク事業4,508,3963.5286,841△14.5環境・水処理関連事業3,188,71059.92,037,44590.1合計28,162,4859.18,973,19318.0 (注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。2 当連結会計年度において、環境・水処理関連事業の受注高および受注残高が増加しております。これは主に、ホテル・マンションやレジャープール等の大型案件の受注が増加したことによります。 ③ 販売実績当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。 セグメントの名称販売高(千円)前期比(%)産業用機能フィルター・コンベア事業20,030,658△0.3電子部材・フォトマスク事業4,556,9134.4環境・水処理関連事業2,223,071△29.5不動産賃貸事業1,031,501△0.1合計27,842,145△2.8 (注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。2 当連結会計年度において、環境・水処理関連事業の販売高が減少しております。これは主に、前期まで不採算の案件を抱えており、新たな大型案件の受注について慎重に検討し控えていた影響であります。 (経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容)経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。 (1) 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容当社グループは、2023年度~2025年度中期経営計画を策定しております。最終年度である当連結会計年度の実績と目標の達成度は下記のとおりとなりました。 (百万円) 産業用機能フィルター・コンベア事業電子部材・フォトマスク事業環境・水処理関連事業不動産賃貸事業本社部門等にかかる全社費用合計目標実績目標実績目標実績目標実績目標実績目標実績売上高20,58020,0304,6604,5563,0402,2231,0101,031――29,29027,842営業利益1,51478628736821364732779△1,471△1,3291,275668 当社グループでは前中期経営計画策定時、コロナ禍から徐々に市況が回復するという予測に基づき、経営重点課題の筆頭に収益力の回復を掲げました。同時に、ESG経営への取り組みや個人の自律意識向上といった、サステナビリティや人的資本を意識した経営にも注力してまいりました。 結果として、収益力の回復につきましては、特に製紙製品分野での市場縮小が想定を超えて進行したため達成が困難となりました。当社グループでは2019年度に中長期的なありたい姿(2028年度にありたい姿)を社内で設定し、それに向けた取り組みを進めてまいりましたが、足元の大きな環境変化を踏まえ、改めて中長期的なありたい姿を再設定し、その達成に向けた取り組みを検討し直すことにいたしました。2025年1月10日に開示した「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応(進捗状況)について」のなかで触れております、2034年度にありたい姿(営業利益23億円・ROE8%以上)の設定がその端緒であります。そこから次期中期経営計画に向けて収益力の回復を実現すべく、喫緊の課題である事業構造の見直しに取り組んだ結果として、当社静岡工場における早期退職優遇措置制度の時限的拡充や欧州事業拠点の再編、電子部材・フォトマスク事業における減損損失の計上などを実施いたしました。サステナビリティや人的資本への取り組みといたしましては、日本フイルコングループサステナビリティ委員会の設置や人権方針をはじめとする各種方針を策定して土台を整備し、マテリアリティの特定から価値創造ストーリーの作成まで実施いたしました。これらの取り組みは統合報告書にまとめ、当社ホームページにて開示しております。セグメント別の状況は以下のとおりであります。産業用機能フィルター・コンベア事業につきましては、製紙製品分野における需要減少により売上高・営業利益ともに目標を達成することができませんでした。なお、産業用コンベヤーベルト・フィルター分野につきましては、国内での需要が堅調であり、目標に近い実績となりました。 電子部材・フォトマスク事業につきましては、通信デバイス向け需要などが好調であり、営業利益は目標を達成いたしました。ただし、フォトマスク製品分野では、描画装置や検査装置などが老朽化しており、その更新が事業継続の課題となっております。2025年度までに各工程の主要な装置を1台更新しており、その減価償却費負担が重くなっております。この先を見据えますと、老朽化した装置はメーカーによる保守サービスが終了してしまうリスクがあり、主要な設備の更新を続けていくことが事業継続には不可欠となります。2025年度に減損損失を計上したものの、中長期では需要増加への期待と事業の成長像を描くことができるため、事業と投資を継続するべきであると経営判断いたしました。 環境・水処理関連事業につきましては、2024年度までコロナ禍で工事が遅れた大型案件を多数同時期に施工しなければならなくなったことにより、工賃の大幅な上昇や業務の逼迫が発生いたしました。一部競技用プールの施工においては、海外からの資材輸入があり、円安に伴う資材の急騰も発生し、当セグメントの利益を圧迫いたしました。これらの対応に追われた結果、2025年度には不採算の大型案件の影響は無くなりましたが、業務逼迫に伴う積極的な新規案件の営業活動も一時停滞したため、売上高・営業利益は目標を達成することができませんでした。 不動産賃貸事業につきましては、物件の老朽化対策としての大規模修繕を計画的に実施しつつ、安定した収益を維持することができました。 なお、グループ資本効率目標であるROE5%以上につきましては、2023年度は達成できましたが、2024年度以降は5%以上の維持に課題を残しました。また、グループ株主還元目標である配当性向30%以上かつDOE2.4%以上につきましては、目標どおりの状況を維持できております。 (2) 重要な会計方針及び見積り当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたり、見積りが必要となる事項につきましては、合理的な基準に基づき継続的にこれを行っております。個々の項目につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項 4 会計方針に関する事項」に記載のとおりであります。 (3) 資本の源泉及び資金の流動性についての分析当社グループの資金需要の主なものは、原材料等の仕入のほか、製造費用、販売費及び一般管理費等の営業費用や設備投資等によるものであり、営業活動により獲得した資金及び金融機関からの借入によりまかなわれております。資金の配分方針については、当社グループでは常に生産設備に係る設備投資が必要であり、その資金需要に備えた手許現金及び現金同等物を確保しております。設備投資につきまして2025年度は2,460百万円、2026年度は2,030百万円を見込んでおります。設備投資計画における重要な設備の詳細については、「第3 設備の状況 3 設備の新設、除却等の計画」をご参照ください。株主還元につきましては、経営における重要課題の一つと考えており連結配当性向30%以上、かつDOE2.4%以上を目標としております。配当政策については、「第4 提出会社の状況 3 配当政策」をご確認ください。資金の流動性につきましては、予測不能な事態が生じない限り、安定的な資金運用が可能であると認識しております。なお、資金の流動性保持の観点から主要取引銀行と特定融資枠契約等を締結しております。特定融資枠等の総額は13,443百万円であり、当連結会計年度末の借入実行残高は6,175百万円であります。 (4) 経営成績に重要な影響を与える要因について当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
事業リスク
- 国内市場の縮小と競争激化: 日本の人口減少は、国内市場の縮小につながり、同社の売上高に影響を与える可能性があります。また、技術革新への対応の遅れや競合他社の新製品投入、価格競争の激化も、業績に悪影響を及ぼすリスクがあります。
- 為替変動と資源価格高騰: 海外での事業展開や原材料調達を行っているため、為替レートの変動は収益に影響を与えます。特に円高は海外売上高の減少や輸入コストの増加につながる可能性があります。また、資源やエネルギー価格の高騰も、製造コストを押し上げ、利益を圧迫するリスクがあります。
- 災害・事故および事業投資: 地震や洪水などの自然災害、工場での火災・爆発事故は、生産活動の停止や設備損壊、社会的信用の失墜につながる可能性があります。また、事業成長のための設備投資やM&Aが期待通りの成果を上げられない場合、減損処理が発生し、財務状況に悪影響を及ぼすリスクがあります。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
有価証券報告書「事業等のリスク」の全文を見る(年度切替)
3 【事業等のリスク】有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。当社におけるリスクマネジメント活動は主にリスクマップの作成・リスクの優先順位付け・リスクオーナーの決定・対策の進捗確認であります。実際にリスク管理を行う部署は、事業計画の策定時に取締役会に対してリスク管理状況の報告を行います。また、各部署からの報告をもとに経営企画室で当社グループ全体のリスクの洗い出しと対応策を検討し、取締役会に報告いたします。これを受けて取締役会では、毎年リスクマネジメント活動のモニタリングおよびリスク管理体制の見直しを実施しております。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。 (1)市場リスク当社グループは世界各地で事業を展開しておりますが、全売上高に占める国内売上高は依然として高い水準にあり、業績は国内の各種需要に大きく左右されます。今後、国内では人口減少が続くと予想されております。人口減少は消費需要を中心とする国内市場の縮小要因となり、当社グループの経営成績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループが取り扱う製品に係る技術の進化や変化への対応の遅れ、競合先による競争力のある新製品の発売、価格競争の激化、低価格品などへの需要シフト、競合先同士の提携による規模拡大などの事象は当社グループの経営成績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。 当連結会計年度は、産業用機能フィルター・コンベア事業におきましては、国内および欧州の紙の需要は回復しておりません。また、環境・水処理関連事業におきましては、学校でのプール利用廃止・民間プールの利用の動きが加速しております。このような状況下、産業用機能フィルター・コンベア事業では、国内市場に対しては現在シェアの低いターゲットマシンに駆動負荷低減などの付加価値製品を投入し、シェアアップを図ってまいります。海外市場に対しては、エリアごとの損益管理を徹底し、低利益率のエリアから高利益率のエリアへと注力領域をシフトしてまいります。環境・水処理関連事業では、最大手競合先の撤退により、この先数年間は需要増加が見込める学校プールに注力すると同時に、中長期的に需要が増加しているホテル・マンションプールの取り込みに向け、生産能力や技術対応力の増強に注力してまいります。 (2)為替の変動に関するリスク当社グループは、製品販売、原材料調達等の事業活動において、様々な通貨を用いて取引を行っており、為替レートの変動は、当社グループの財政状態および経営成績に対して影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは外国為替取引について、必要に応じて為替レートの変動リスクを回避し、将来の費用、収益、キャッシュ・フローを固定化することをヘッジ方針としております。 当連結会計年度は、米ドル円相場で円安の状況が継続しており、当社グループの収益に好影響がございました。将来的に円高の局面となった場合でも収益を毀損しないために、原価低減などの取り組みに注力してまいります。また、海外からの資材輸入に際しては、為替予約を検討するとともに、為替の変動を織り込んだうえで得意先と契約を締結してまいります。 (3)資源・エネルギーの高騰リスク資源・エネルギーの高騰をはじめとするインフレが世界的に発生しており、当社グループの経営成績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。また、物流の混乱や一部部材・原材料の調達が遅れるリスクがございます。当社グループでは原材料メーカーや設備購入先との日常的なコンタクトにより信頼関係を築いており、早期に在庫を確保しております。また、物流の混乱に備え、得意先とも協議して緊急の出荷を減少させ、運送の効率化も実施しております。 当連結会計年度は、資源・エネルギーに限らず、物価が全体的に上昇しており、収益にも影響しております。また、当社グループは設備産業であり、インフレや円安の進行による生産設備の購入価額・保守費用の高騰が継続しております。 当社グループでは、全ての事業・製品で販売価格を見直しできている状況ではなく、今後も得意先と丁寧な対話を通じて適切な販売価格実現に向けた取り組みを実施してまいります。 (4)災害・事故リスク当社グループは、生産拠点および販売拠点を国内外に展開しており、大規模地震・洪水等予測不能の自然災害等により甚大な被害を受けた場合、当社グループの経営成績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループの工場で火災・爆発事故等により従業員や周辺地域に被害が発生した場合、経営成績に影響を及ぼすとともに、社会の信用を失う可能性があります。当社グループでは、工場の操業にあたっては安全第一を掲げ、定期的に職場のパトロールを実施して事故防止を図っております。また、災害対応基準やBCPを制定しており、自然災害や火災を想定した定期訓練を毎年実施することなどにより緊急事態に備えております。 当連結会計年度も継続して当社工場の老朽化設備の更新を実施しております。また、製紙製品分野においては、日本よりも相対的に災害リスクの低いタイでの生産能力向上のための設備投資も実施しております。 (5)事業投資リスク当社グループは、事業成長のために積極的な設備投資やM&Aを進めております。しかしながら、投資判断時に想定していなかった市場環境や技術の変化により、期待されるキャッシュ・フローを生み出せない場合は、設備投資により計上した固定資産やM&Aにより計上したのれんなどの減損処理により、経営成績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは、重要な投資の際には内部収益率(IRR)が社内で算出した加重平均資本コスト(WACC)を上回っているかを重要な基準とし、その他のシナジー効果を含めた総合的な観点から可否を判断しております。投資後は経営会議などにおいて業績の進捗や設備の使用状況報告を実施しております。 当連結会計年度も、個別案件ごとに投資リスクについて検討しております。なお、老朽化した生産設備の更新も常に必要となっておりますが、近年のインフレ・円安進行に伴い、償却負担が増加しつつあります。設備の老朽化による更新では大幅な増収は見込めないこともあり、投資の効果判断はより慎重に行ってまいります。 (6)人材確保関連リスク当社グループは、継続的な事業運営のために人材の確保が重要であると認識しておりますが、国内における少子高齢化や働き方の価値観が変化しつつあり、社員の高齢化や離職、新規採用の困難化などの状況により、事業活動が停滞し経営成績に影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは人材の多様性確保に努めるとともに、従業員自らが考え、行動することで成長を促すことを人事制度の基本方針としております。また、人権の尊重や従業員の健康管理、教育制度の充実による人材の確保に努めてまいります。 具体的な課題に対する取り組みとして、①新卒採用の困難化については、通年採用・中途採用へのシフトを進めてまいります。②若手の離職率上昇については、チャレンジする機会の創出、面談を含めたコミュニケーションの質を高める取り組み、当社の良さを積極的にアピールする施策などに取り組んでまいります。③情報セキュリティ人材およびDX推進人材不足については、情報システム部の積極的参画および情報集約、最新デジタル技術研修の充実や専門人材の中途採用、現行社員のリカレント教育を進めてまいります。④高齢化については、シニア社員活用、健康促進、求める資格一覧の整備とリカレント教育に取り組んでまいります。 (7)環境関連リスク当社グループは、事業活動により発生する廃棄物や有害物質等について、環境関連法令の適用を受け、これらの規制を順守するとともに、ISO14001の認証を取得する等して環境に配慮した事業活動を展開しております。しかしながら、過去、現在および将来の当社グループの事業活動に関して、環境に関する法的、社会的責任を負う事態が生じた場合には、当社グループの経営成績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。 当社グループでは、環境関連法令を順守しており、適宜社内においても監視・検査体制を構築しております。また、社内で省エネ委員会を立ち上げており、今後もその活動を通じてエネルギー、電力の省力化に取り組んでまいります。 (8)コンプライアンスリスク当社グループは、事業活動を行う上で様々な法規制の適用を受けており、その遵守に努めておりますが、価値観の変化に伴うハラスメントのリスクや不正の機会も増加しつつあります。当社グループが重大なコンプライアンス違反を起こした場合には、社会的信用の失墜や経営成績へ影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは、日本フイルコングループコンプライアンス推進委員会を設置し、従業員の判断・行動の拠り所である「日本フイルコングループ行動規範」の実践に向けて、階層別の集合研修やe-learningによる教育・啓発を継続的に実施しております。 当連結会計年度も継続してコンプライアンス推進委員会からの「コンプライアンス便り」を毎月配信し、3ヶ月ごとに小集団による教育活動を実施しております。また、当期は特にハラスメント(セクハラ・パワハラ)防止に注力し、管理職への研修を実施しております。今後は、内部通報制度の充実、よろず相談窓口の運営継続など、今までより相談しやすいデジタル活用などを検討しております。 (9)情報セキュリティリスク当社グループは、業務効率向上のため、受注・生産・販売や人事・会計等の情報システムを有しており、これらの情報システムと機密情報の運用管理について、情報セキュリティに関する基本方針を制定し、その順守とセキュリティレベルの確保に継続的に取り組んでおります。しかしながら、このような取り組みにもかかわらず予期せぬ外部からのサイバー攻撃や不正アクセス、コンピュータウイルスの感染その他の不測の事態により、機密情報の滅失、社外漏洩ならびに情報システムの一定期間停止等のリスクを完全に排除できるものではありません。そのような事態が発生した場合、当社グループの経営成績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは、近年脅威を増している標的型攻撃メール対策として、定期的に従業員に訓練を実施するなど、リスクの低減に注力しております。 今後は、ファイアウォール機能クラウド化検討や、基幹系システムのクラウド利用時のサービス選定基準の明確化、メールZIP添付の代替え検討を進めてまいります。また、サイバー攻撃やウイルス感染によるデータ消滅・遺失・改ざん等に備え、主要サプライチェーンの対策を把握することや、緊急時のバックアップ体制見直し(オンライン・オフライン双方での備え)に取り組んでまいります。 (10)訴訟等のリスク当社グループは、国内外に事業活動を展開しており、それらが訴訟その他法的手続きの対象となる可能性があります。また、新製品の開発にあたり、事前に調査は実施するものの、他社特許権・商標権を侵害する可能性があります。これらの事態が発生した場合には、その結果により当社グループの経営成績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは、事業活動にあたっては各種法令を遵守するとともに、他社特許の侵害回避のために、特許調査や知財に係る教育を今後も充実させてまいります。 (11)海外展開に伴うリスク当社グループは、日本国内にとどまらず、アジア、オセアニア、北米、ヨーロッパ等海外に生産・販売活動を展開しております。グローバルな事業活動を展開するうえで、現地の法的規制、政情不安や事業環境等の変動は、当社グループの経営成績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは、各国の状況については、適宜現地より必要な情報を収集し対応を行っております。また、日本フイルコングループ人権方針に則った取り組みとしまして、児童労働や長時間労働のリスクを把握するための調査を継続して実施しております。また、グループへのコンプライアンス研修の展開、現地会計基準と国際会計基準の差異分析などに取り組んでまいります。なお、グループ内ガバナンスの強化も次期中期経営計画では重点課題として検討しております。