5803

フジクラ(5803)は何で稼いでいるか — 事業の柱と依存度

非鉄金属 鉄鋼・非鉄

事業の概要

  • 多角的な事業展開
    フジクラは、情報通信、エレクトロニクス、自動車、エネルギー、不動産という非常に幅広い分野で事業を展開しています。これは、特定の市場の変動に左右されにくい安定した収益基盤を構築していることを示唆しています。
  • グローバルな製造・販売網
    同社は日本国内だけでなく、アジア、アメリカ、ヨーロッパなど世界各地に子会社や関連会社を持ち、製品の製造から販売、サービスまでをグローバルに展開しています。これにより、多様な地域の需要を取り込み、事業規模を拡大しています。
  • インフラと部品供給
    主力事業の多くは、光ファイバや電力ケーブルといった社会インフラを支える製品、あるいは自動車用ワイヤハーネスや電子部品といった最終製品に組み込まれる部品の製造・販売です。これは、社会の基盤を支える重要な役割を担っていることを意味します。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
セグメント構成
  • 情報通信システム事業
    光ファイバや光ケーブル、通信部品、ネットワーク機器などの製造・販売を手掛けており、売上高4,512.62億円、営業利益921.67億円と、フジクラグループで最も大きな収益源となっています。現代社会のデジタル化を支える基幹事業であり、国内外で幅広く展開しています。
  • エレクトロニクス事業
    プリント配線板、電子ワイヤ、ハードディスク用部品、各種コネクタなどを提供し、売上高1,858.99億円、営業利益229.02億円を計上しています。スマートフォンやPC、家電製品など、様々な電子機器に不可欠な部品を供給しており、技術革新のスピードが速い分野です。
  • 自動車製品事業
    自動車用ワイヤハーネスや電装品などを製造・販売しており、売上高1,770.55億円、営業利益58.21億円です。自動車の電動化や自動運転化が進む中で、その基盤となる部品を提供しており、グローバルな自動車産業の動向に影響を受けやすい事業です。
2025-03 セグメント別業績
セグメント区分売上(億)営業利益(億)営業利益率
TelecommunicationSystems 事業 4,513 922 20.4%
ElectronicsBusiness 地域 1,859 229 12.3%
AutomotiveProducts 事業 1,771 58 3.3%
PowerSystems 事業 1,452 119 8.2%
RealEstateBusinessUnit 地域 108 49 44.9%
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FY2025|2,926 文字
3【事業の内容】 当社及び当社の関係会社は、㈱フジクラ(当社)、子会社108社及び関連会社13社により構成されており、情報通信事業部門、エレクトロニクス事業部門、自動車事業部門、エネルギー事業部門、不動産事業部門に亘って、製品の製造、販売、サービス等の事業活動を展開しております。各事業における当社及び当社の関係会社の位置づけ等は次のとおりであります。 なお、次表の区分は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項」に掲げるセグメントの区分と同一であります。 区分主要品種主な関係会社情報通信事業部門光ファイバ、光ケーブル、通信部品、光部品、光関連機器、ネットワーク機器、工事等当社[国内連結子会社]西日本電線㈱、㈱フジクラハイオプト、フジクラプレシジョン㈱、フジクラソリューションズ㈱、フジクラ電装㈱、㈱スズキ技研、藤倉商事㈱、㈱フジクラ・ダイヤケーブル、ファイバーテック㈱[在外連結子会社]Fujikura Fiber Optics Vietnam Ltd.、America Fujikura Ltd.、Verrillon Inc.、AFL Telecommunications LLC、藤倉烽火光電材料科技有限公司、AFL Telecommunications, Inc.、AFL Telecommunications Holdings LLC、AFL Network Services Inc.、Tier2 Technologies Ltd.、ATI Holdings, Inc.及びその子会社4社、AFL Telecomunicaciones de Mexico, S. de R.L. de C.V.、America Fujikura de Mexico S. de R.L. de C.V.、藤倉(中国)有限公司、AFL Telecommunications Australia pty Ltd.、Fujikura Asia Ltd.、Fujikura America, Inc.、Fujikura Europe Ltd.、Dossert Corporation、AFL Telecommunications Holdings UK Limited及びその子会社6社、AFL Solutions, Inc.、America Fujikura India Private Ltd.、AFL Netherlands B.V.、LFA Ventures LLC、AFL Enterprise Services, Inc.、ITC Service Group Intermediary LLC、ITC Service Group Acquisition LLC、Spligitty Fiber Optic Services, Inc.、AFL East Inc.、Beam Wireless Incorporated、藤倉香港貿易有限公司、ForzaTelecom NPC, LLC、DAS Group Professionals, LLC[在外持分法適用会社]南京華信藤倉光通信有限公司、烽火藤倉光繊科技有限公司、US Conec Ltd.、Lat Long Infrastructure, LLC、Green Lambda Corporationエレクトロニクス事業部門プリント配線板、電子ワイヤ、ハードディスク用部品、各種コネクタ等当社[国内連結子会社]㈱東北フジクラ、第一電子工業㈱、藤倉商事㈱、㈱フジクラプリントサーキット、フジクラ電装㈱[在外連結子会社]Fujikura Electronics (Thailand) Ltd.、DDK (Thailand) Ltd.、藤倉電子(上海)有限公司、第一電子工業(上海)有限公司、Fujikura Electronics Vietnam Ltd.、 America Fujikura Ltd.、DDK VIETNAM LTD.、Fujikura Asia Ltd.、Fujikura Hong Kong Ltd.、FIMT Ltd.、Fujikura America, Inc.、Fujikura Europe Ltd.、Fujikura Electronic Components (Thailand) Ltd.、広州藤倉電線電装有限公司、藤倉香港貿易有限公司、藤倉(上海)商務服務有限公司自動車事業部門自動車用ワイヤハーネス、電装品等当社[国内連結子会社]フジクラ電装㈱、藤倉商事㈱[在外連結子会社]Fujikura Automotive (Thailand) Ltd.、Fujikura Automotive Vietnam Ltd.、珠海藤倉電装有限公司、広州藤倉電線電装有限公司、Fujikura Automotive America LLC、Fujikura Europe (Holding) B.V.、Fujikura Automotive Europe S.A.U.及びその子会社7社、Fujikura Automotive Holdings LLC、Fujikura Automotive Mexico Queretaro, S.A. de C.V.、Fujikura Automotive Mexico, S. de R.L. de C.V.、Fujikura Automotive Paraguay S.A.、Fujikura Automotive do Brasil Ltda.、Fujikura Asia Ltd.、Fujikura Europe Ltd.、America Fujikura Ltd.、Fujikura America, Inc.、Fujikura Automotive India Private Ltd.、Fujikura Automotive Services Inc.エネルギー事業部門電力ケーブル、通信ケーブル、アルミ線、被覆線等当社[国内連結子会社]西日本電線㈱、米沢電線㈱、沼津熔銅㈱、㈱シンシロケーブル、藤倉商事㈱、㈱フジクラ・ダイヤケーブル、フジクラ物流㈱、富士資材加工㈱、㈱フジクラビジネスサポート、㈱フジクラエナジーシステムズ[在外連結子会社]藤倉(中国)有限公司、Fujikura Asia Ltd.、Fujikura Europe Ltd.[国内持分法適用会社]藤倉化成㈱、㈱ビスキャス[在外持分法適用会社]Fujikura (Malaysia) Sdn.Bhd.、Barons & Fujikura EPC Co.,Ltd.不動産事業部門不動産賃貸等当社その他新規事業等当社[国内連結子会社]フジクラソリューションズ㈱、藤倉商事㈱、フジクラプレシジョン㈱[在外連結子会社]Fujikura Fiber Optics Vietnam Ltd.、Fujikura Europe Ltd.、Fujikura America, Inc.、藤倉(中国)有限公司  以上に述べた事項の概要図は次のとおりです。

事業の優位性(モート)

事業の質(有価証券報告書から抽出)
数字に出ない事業の性質を、同じ物差しで全銘柄そろえています。FY2025時点の記載が出典です。
価格決定力値上げを通せるか。強いほどインフレ耐性が高い 弱い
銅価格の急激な変化による仕入価格の変動が即座に製品価格に反映されるとは限らないため。
参入障壁新規参入を阻む要因の種類 技術
高密度・大容量伝送を可能にするマルチコアファイバ(MCF)と接続技術の実用化に向けた開発。
景気敏感度業績が景気循環にどれだけ振られるか シクリカル
規制依存規制は障壁にも足枷にもなる 中程度
会社が挙げる主要リスク:需要動向 / 為替レートの変動 / 金利の変動
同じ条件で他の銘柄を探す → 定性スクリーニング(価格決定力・参入障壁・景気敏感度などで絞り込めます)
モート総合 10 / 25 5類型それぞれの強度と、そう判定した根拠
無形資産★★☆☆☆
根拠:中程度ブランド・特許・許認可

フジクラは光ファイバーケーブル分野で長年の実績と技術力を有し、一部製品で高いブランド認知度を持つ。しかし、特許の有効性や競合他社の技術革新により、無形資産の優位性は限定的。

スイッチングコスト★★★☆☆
根拠:中程度乗り換えの手間・コスト

通信インフラ分野では、一度導入されたケーブルシステムは交換に多大なコストと時間を要するため、顧客の乗り換え障壁は高い。特に大規模通信事業者との長期契約はスイッチング・コストを形成する。

ネットワーク効果☆☆☆☆☆
根拠:弱い利用者増が価値を生む

フジクラの事業には、ユーザー数の増加が製品・サービスの価値を直接的に高めるネットワーク効果は基本的に見られない。

コスト優位★★☆☆☆
根拠:中程度同じ物を安く作れる

非鉄金属の加工や電線製造において、規模の経済や生産効率の追求は行われているが、原材料価格の変動やグローバルな価格競争により、構造的なコスト優位性は確立されていない。

規模の経済★★★☆☆
根拠:中程度規模が参入障壁になる

光ファイバーケーブルや電線といったインフラ関連製品において、フジクラは業界内で一定のシェアを有しており、大規模な生産能力と供給網を持つ。しかし、グローバルにはより巨大な競合も存在する。

  • 幅広い技術と製品ポートフォリオ
    情報通信、エレクトロニクス、自動車、エネルギーといった多岐にわたる分野で製品を製造・販売しており、それぞれの分野で培った技術やノウハウを相互に活用できる可能性があります。これにより、顧客の多様なニーズに対応し、安定した事業運営に繋がります。
  • グローバルな事業展開力
    世界中に多数の子会社や関連会社を有し、製品の製造から販売、サービスまでをグローバルに展開しています。これにより、特定の地域に依存することなく、世界中の市場機会を捉え、リスクを分散しながら事業を拡大できる強みがあります。
  • 社会インフラを支える基盤
    光ファイバや電力ケーブルなど、現代社会に不可欠なインフラ製品を供給している点は大きな強みです。これらの製品は安定した需要が見込まれるため、景気変動の影響を受けにくい安定した収益源となり得ます。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)

経営戦略

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経営方針・経営戦略
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】 当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、次のとおりであります。 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。 (1) 経営方針 当社は、グループ経営理念である「ミッション・ビジョン・基本的価値」を指針とし、“つなぐ”テクノロジーを通じて「顧客価値創造型」事業へ積極的に展開し、収益性重視のスピード感ある積極経営で豊かな社会づくりに貢献してまいります。 (2) 経営環境 2025年度の当社グループを取り巻く環境は、米国のトランプ政権が打ち出した世界各国・地域に対する相互関税をめぐる動きにより、景気後退懸念や為替変動リスク等、先行きの不確実性が高まっております。 このような中、当社グループでは、外部環境の変化に迅速かつ柔軟に対応するべくサプライチェーンの見直しを図るとともに、生産性向上等のコスト競争力の強化に努めてまいります。 情報通信事業部門では、2023年度後半からの生成AIの普及・拡大を背景としたデータセンタの投資が、2025年度も加速すると見込まれます。また、データトラフィックの増加に加え、英国での補助金政策等により、欧米通信事業者の設備投資が回復傾向にあり、当社の光ファイバケーブルの需要が増加すると期待されます。また中東・アジア等の新規市場における顧客開拓も進捗する等、データセンタ市場及び通信インフラ市場での需要増加を見据えて、生産体制の整備や拡販活動を推進してまいります。 エレクトロニクス事業部門では、FPC(フレキシブルプリント配線板)やコネクタが多く使用されている主要顧客のスマートフォンの需要は堅調に推移すると見られます。しかし、主要顧客向けの製品におけるサプライチェーン上でのリスクの顕在化や、産業機械市場の回復の遅れ等には注視が必要です。 自動車事業部門では、自動車の世界生産台数が2024年度比で増加することが見込まれているものの、米国政府による自動車への追加関税の発動の影響や、EV市場の成長鈍化には注視が必要です。 (3) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題・2025年中期経営計画 当社は、当社グループの持続的な成長を図り、更なる企業価値の向上を実現するために、25中期を策定し、2023年5月に公表いたしました。 25中期では、当社が培ってきた“つなぐ”テクノロジーを軸に、基盤技術やコア技術を存分に活かせる「情報インフラ」「情報ストレージ」「情報端末」の3つを核心的事業領域として位置づけ、経営資源を集中的に投入し、高収益な企業グループを目指すことを基本戦略といたしました。 また、SDGs(持続可能な開発目標)に示された社会課題の一つである「カーボンニュートラルの実現」は、当社グループの新たなビジネス創出の好機であると捉え、2025年度より先も見据え、核融合発電への利用が見込まれている高温超電導線材を始め、ファイバレーザ、EV(電気自動車)の3つの分野を「Beyond2025」として、当社の技術力を活かし技術開発・製品開発を進めております。 25中期の定量目標としては、最終年度(2025年度)の売上高8,250億円、営業利益850億円、営業利益率10.3%、ROE(株主資本利益率)16.5%、ROIC(投下資本利益率)12.8%、自己資本比率51.7% を設定いたしました。 ・2025年度経営方針 当期は売上高9,794億円、営業利益1,355億円となり、25中期の定量目標を1年前倒しで概ね達成することができました。2025年度につきましては、25中期における事業の方向性を基本としつつ、新たな中期経営計画の開始となる次年度以降において更なる飛躍を期すための成長投資等の施策を実行してまいります。 ①資本政策 2024年度の業績は急峻に拡大し、2025年度も外部環境の変化には注視が必要なものの、引き続き堅調な事業環境が期待され、総じてキャッシュ・フローの創出力が向上しております。その結果、3か年累計の営業キャッシュ・フローは、25中期を超過する見込みとなることから、超過したキャッシュの使途について検討した結果、成長投資と株主還元に充当することといたしました。株主還元につきましては、2026年3月期の連結配当性向を40%といたします。 ②事業上の重点課題1.インフラ向けビジネスの拡大 光ファイバケーブルのビジネス基盤の強化と市場拡大に取り組んでまいります。 国内では、通信インフラ市場における新たな市場の創出を目指し、光ファイバケーブルの施工効率向上のための空気圧送工法に対応した光ファイバケーブル(AB-WTC™)の普及促進に注力します。 海外では、欧州通信事業者向けの需要回復や、中東・アフリカ地域の通信事業者向けビジネスの拡大を見据えて当社の戦略商品である「Spider Web Ribbon®/Wrapping Tube Cable®」(以下、「SWR®/WTC®」という。)の供給体制を強化します。具体的には、欧州・中東・アフリカ地域の顧客に対して、迅速な光ファイバケーブルの供給を可能とすべく当社の自動車事業部門のモロッコ拠点にWTC®の生産ラインを構築します。さらに、東南アジアや南米等、次期有望市場における事業展開を視野に入れた取り組みも積極的に進める等により、中長期的にはWTC®の海外生産比率を5割超まで引き上げ、グローバル生産体制の構築を図ります。 さらに、生産能力の増強と生産性向上のための新たな光ファイバやSWR®工場の建設の検討を開始するとともに、光ファイバの革新的製造技術の開発を推進いたします。 2.データセンタ向けビジネスの拡大 米国のハイパースケールデータセンタ向けビジネスでの更なるシェア拡大を目指し、次世代小型多心コネクタの生産能力を拡大するとともに、省スペース化及び施工時間の短縮に貢献する製品の開発を進めてまいります。 米国以外の地域においてもデータセンタ需要の拡大が見込まれることから、日本や欧州、東南アジア等での需要獲得に向け、ソリューション提案力の強化や販売チャネルの構築に注力してまいります。 また、データセンタ向けの旺盛な需要にこたえるため、ハードディスクドライブ用アクチュエータの増産投資を実行いたします。 3.Beyond2025 a.超電導 核融合発電のR&D案件の取り込みによる売上拡大を目指します。また、増産投資に加えて、コストダウンの施策を進め、超電導線材のサプライチェーンの構築を推進いたします。 b.ファイバレーザ 半導体の高集積化を実現する半導体加工市場の開拓に注力いたします。また、核融合を始めレーザーの幅広い運用を研究している株式会社EX-Fusionとの協業によるCFRP切断ビジネスの確立を目指すとともに、レーザー核融合ビジネスの展開に注力してまいります。 c.EV(電気自動車) EV普及の課題の一つとなっている急速充電向け事業として、2025年度中のCHAdeMO規格の適合を目指し、細径・軽量かつ超急速充電を実現する急速充電コネクタ付き液冷ケーブルの開発を推進します。
対処すべき課題
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】 当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、次のとおりであります。 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。 (1) 経営方針 当社は、グループ経営理念である「ミッション・ビジョン・基本的価値」を指針とし、“つなぐ”テクノロジーを通じて「顧客価値創造型」事業へ積極的に展開し、収益性重視のスピード感ある積極経営で豊かな社会づくりに貢献してまいります。 (2) 経営環境 2025年度の当社グループを取り巻く環境は、米国のトランプ政権が打ち出した世界各国・地域に対する相互関税をめぐる動きにより、景気後退懸念や為替変動リスク等、先行きの不確実性が高まっております。 このような中、当社グループでは、外部環境の変化に迅速かつ柔軟に対応するべくサプライチェーンの見直しを図るとともに、生産性向上等のコスト競争力の強化に努めてまいります。 情報通信事業部門では、2023年度後半からの生成AIの普及・拡大を背景としたデータセンタの投資が、2025年度も加速すると見込まれます。また、データトラフィックの増加に加え、英国での補助金政策等により、欧米通信事業者の設備投資が回復傾向にあり、当社の光ファイバケーブルの需要が増加すると期待されます。また中東・アジア等の新規市場における顧客開拓も進捗する等、データセンタ市場及び通信インフラ市場での需要増加を見据えて、生産体制の整備や拡販活動を推進してまいります。 エレクトロニクス事業部門では、FPC(フレキシブルプリント配線板)やコネクタが多く使用されている主要顧客のスマートフォンの需要は堅調に推移すると見られます。しかし、主要顧客向けの製品におけるサプライチェーン上でのリスクの顕在化や、産業機械市場の回復の遅れ等には注視が必要です。 自動車事業部門では、自動車の世界生産台数が2024年度比で増加することが見込まれているものの、米国政府による自動車への追加関税の発動の影響や、EV市場の成長鈍化には注視が必要です。 (3) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題・2025年中期経営計画 当社は、当社グループの持続的な成長を図り、更なる企業価値の向上を実現するために、25中期を策定し、2023年5月に公表いたしました。 25中期では、当社が培ってきた“つなぐ”テクノロジーを軸に、基盤技術やコア技術を存分に活かせる「情報インフラ」「情報ストレージ」「情報端末」の3つを核心的事業領域として位置づけ、経営資源を集中的に投入し、高収益な企業グループを目指すことを基本戦略といたしました。 また、SDGs(持続可能な開発目標)に示された社会課題の一つである「カーボンニュートラルの実現」は、当社グループの新たなビジネス創出の好機であると捉え、2025年度より先も見据え、核融合発電への利用が見込まれている高温超電導線材を始め、ファイバレーザ、EV(電気自動車)の3つの分野を「Beyond2025」として、当社の技術力を活かし技術開発・製品開発を進めております。 25中期の定量目標としては、最終年度(2025年度)の売上高8,250億円、営業利益850億円、営業利益率10.3%、ROE(株主資本利益率)16.5%、ROIC(投下資本利益率)12.8%、自己資本比率51.7% を設定いたしました。 ・2025年度経営方針 当期は売上高9,794億円、営業利益1,355億円となり、25中期の定量目標を1年前倒しで概ね達成することができました。2025年度につきましては、25中期における事業の方向性を基本としつつ、新たな中期経営計画の開始となる次年度以降において更なる飛躍を期すための成長投資等の施策を実行してまいります。 ①資本政策 2024年度の業績は急峻に拡大し、2025年度も外部環境の変化には注視が必要なものの、引き続き堅調な事業環境が期待され、総じてキャッシュ・フローの創出力が向上しております。その結果、3か年累計の営業キャッシュ・フローは、25中期を超過する見込みとなることから、超過したキャッシュの使途について検討した結果、成長投資と株主還元に充当することといたしました。株主還元につきましては、2026年3月期の連結配当性向を40%といたします。 ②事業上の重点課題1.インフラ向けビジネスの拡大 光ファイバケーブルのビジネス基盤の強化と市場拡大に取り組んでまいります。 国内では、通信インフラ市場における新たな市場の創出を目指し、光ファイバケーブルの施工効率向上のための空気圧送工法に対応した光ファイバケーブル(AB-WTC™)の普及促進に注力します。 海外では、欧州通信事業者向けの需要回復や、中東・アフリカ地域の通信事業者向けビジネスの拡大を見据えて当社の戦略商品である「Spider Web Ribbon®/Wrapping Tube Cable®」(以下、「SWR®/WTC®」という。)の供給体制を強化します。具体的には、欧州・中東・アフリカ地域の顧客に対して、迅速な光ファイバケーブルの供給を可能とすべく当社の自動車事業部門のモロッコ拠点にWTC®の生産ラインを構築します。さらに、東南アジアや南米等、次期有望市場における事業展開を視野に入れた取り組みも積極的に進める等により、中長期的にはWTC®の海外生産比率を5割超まで引き上げ、グローバル生産体制の構築を図ります。 さらに、生産能力の増強と生産性向上のための新たな光ファイバやSWR®工場の建設の検討を開始するとともに、光ファイバの革新的製造技術の開発を推進いたします。 2.データセンタ向けビジネスの拡大 米国のハイパースケールデータセンタ向けビジネスでの更なるシェア拡大を目指し、次世代小型多心コネクタの生産能力を拡大するとともに、省スペース化及び施工時間の短縮に貢献する製品の開発を進めてまいります。 米国以外の地域においてもデータセンタ需要の拡大が見込まれることから、日本や欧州、東南アジア等での需要獲得に向け、ソリューション提案力の強化や販売チャネルの構築に注力してまいります。 また、データセンタ向けの旺盛な需要にこたえるため、ハードディスクドライブ用アクチュエータの増産投資を実行いたします。 3.Beyond2025 a.超電導 核融合発電のR&D案件の取り込みによる売上拡大を目指します。また、増産投資に加えて、コストダウンの施策を進め、超電導線材のサプライチェーンの構築を推進いたします。 b.ファイバレーザ 半導体の高集積化を実現する半導体加工市場の開拓に注力いたします。また、核融合を始めレーザーの幅広い運用を研究している株式会社EX-Fusionとの協業によるCFRP切断ビジネスの確立を目指すとともに、レーザー核融合ビジネスの展開に注力してまいります。 c.EV(電気自動車) EV普及の課題の一つとなっている急速充電向け事業として、2025年度中のCHAdeMO規格の適合を目指し、細径・軽量かつ超急速充電を実現する急速充電コネクタ付き液冷ケーブルの開発を推進します。
MD&A(経営者による分析)
4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】 当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。 (1) 財政状態及び経営成績の状況①経営成績 当社グループの当連結会計年度の売上高は9,794億円(前年度比22.5%増)、営業利益は1,355億円(同95.0%増)、経常利益は1,372億円(同96.8%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は911億円(同78.6%増)となりました。  セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。 [情報通信事業部門] 生成AIの普及・拡大を背景としたデータセンタ向けの需要が引き続き伸長したこと、及び為替の影響により、売上高は前年度比51.8%増の4,513億円、営業利益は同135.2%増の922億円となりました。 [エレクトロニクス事業部門] データセンタ向けHDD需要増、高採算製品の選択受注による品種構成の良化、及び為替の影響により、売上高は前年度比12.9%増の1,859億円、営業利益は同37.7%増の229億円となりました。 [自動車事業部門] 売上高は前連結会計年度並みの1,771億円となり、生産性の改善、受注変動によるコストアップ分の顧客転嫁の推進等により、営業利益は前年度比395.6%増の58億円となりました。 [エネルギー事業部門] 国内の再開発や新工場建設等の需要が引き続き堅調に推移し、売上高は前年度比4.4%増の1,452億円、営業利益は同37.2%増の119億円となりました。 [不動産事業部門] 当社旧深川工場跡地再開発事業である「深川ギャザリア」の賃貸収入等により、売上高は前年度比2.9%増の108億円、営業利益は前連結会計年度並みの49億円となりました。  2026年3月期の当社連結の業績予想につきましては、売上高は9,570億円(前年度比2.3%減)、営業利益は1,220億円(同10.0%減)、経常利益は1,260億円(同8.2%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は900億円(同1.2%減)を予想しております。為替や米国関税政策の影響を受けるものの、情報通信事業部門ではデータセンタ向けの需要が引き続き伸長する見通しであります。 ②財政状態 当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末と比較し、1,064億円増加の8,303億円となりました。これは主に、情報通信事業部門における需要増を背景に、売上債権及び棚卸資産等の流動資産が増加したことによるものです。 負債の部は、前連結会計年度末と比較し、377億円増加の3,950億円となりました。これは主に、情報通信事業部門における需要増を背景に、支払債務が増加したことによるものです。 純資産の部は、前連結会計年度末と比較し、687億円増加の4,353億円となりました。これは主に、親会社株主に帰属する当期純利益の計上によるものです。 (2) キャッシュ・フローの状況 当連結会計年度におけるキャッシュ・フローにつきましては、営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益1,214億円等を源泉とした収入により、1,159億円の収入(前年度比215億円の収入増加)となりました。 投資活動によるキャッシュ・フローは設備投資を中心に209億円の支出(前年度比6億円の支出減少)となりました。 財務活動によるキャッシュ・フローは借入金の返済や配当金の支払による支出を中心に574億円の支出(前年度比214億円の支出増加)となりました。 以上の結果、現金及び現金同等物の期末残高は1,842億円(前年度比372億円の増加)となりました。  当連結会計年度については、業績好調及び資本効率改善等により、ネットD/Eレシオは-10:110(前連結会計年度は8:92)と、現預金残高が有利子負債残高を上回る結果となりました。 2023年度から2025年度の3か年累計の営業キャッシュ・フローは、25中期を超過する見込みとなることから、超過したキャッシュは成長投資と株主還元に充当することといたしました。2025年度につきましては、25中期における事業の方向性を基本としつつ、新たな中期経営計画の開始となる次年度以降において更なる飛躍を期すための成長投資等の施策を実行してまいります。 (3) 生産、受注及び販売の実績 当社グループの生産・販売品目は広範囲かつ多種多様であり、同種の製品であっても、その容量、構造、形式等は必ずしも一様ではなく、また受注生産形態をとらない製品も多く、セグメントごとに生産規模及び受注規模を金額又は、数量で示すことはしていません。このため、生産、受注及び販売の実績については、「(1)財政状態及び経営成績の状況」における各セグメント経営成績に関連付けて示しています。 (4) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定 会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりです。

事業リスク

  • 景気変動と需要動向
    フジクラの製品はインフラや最終消費財の部品が多いため、経済全体の景気変動や、各市場での設備投資の動向、競合状況、顧客の購買方針の変化などが業績に直接影響を与えます。特に景気後退期には、製品需要の減少により収益が悪化する可能性があります。
  • 為替・金利・原材料価格変動
    海外での事業展開が広いため、為替レートの変動は海外収益の円換算価値に影響を与え、業績を悪化させる可能性があります。また、金利上昇は借入金の利息負担を増やし、銅などの主要原材料やエネルギー価格の高騰は製造コストを押し上げ、利益を圧迫するリスクがあります。
  • 災害・感染症・地政学リスク
    国内外に多数の工場を持つため、地震や台風などの自然災害、感染症の流行、あるいは各国の政治経済情勢の不安定化、貿易摩擦、紛争・テロなどが生産活動やサプライチェーンに大きな影響を及ぼす可能性があります。これにより、生産停止やコスト増加、事業活動の制限が生じ、業績に悪影響を与える恐れがあります。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
有価証券報告書「事業等のリスク」の全文を見る(年度切替)
FY2025|3,115 文字
3【事業等のリスク】 当社グループの経営成績、株価及び財務状況等に影響を及ぼす可能性のあるリスクには、以下のようなものがあります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。(1) 需要動向 当社グループの経営成績は、製品が主としてインフラ用や最終消費財の部品等であるため、景気循環の影響を受けることはもとより、各マーケットの設備投資の動向や競合環境、サプライヤの動向、顧客の購買政策の変化や信用状況等によって影響を受けます。 (2) 為替レートの変動 当社グループは、実需の範囲内で通貨ヘッジ取引を行い、外貨建売上取引等における為替変動による悪影響を最小限に抑える努力をしておりますが、必ずしも為替リスクを完全に回避するものではないため、為替レートの変動は当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。 また、当社グループの事業には、海外における製品の生産、販売が含まれており、各地域における現地通貨建ての収益、費用、資産等の各項目は連結財務諸表作成のため、円換算しており、換算時の為替レートにより、これらの項目は現地通貨における価値が変わらなかったとしても、円換算後の価値が影響を受ける可能性があります。(3) 金利の変動 当社グループは、資金需要、金融市場環境及び調達手段のバランスを考慮し資金調達を実施しておりますが、金利が上昇した場合には、支払利息が増加し、当社グループの経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。 (4) 原材料等の調達及び価格変動に関するリスク 当社グループは、事業に必要な原材料や副資材、重要な希少資源などの調達において、計画的かつ安定的な数量の確保に取り組んでおります。しかしながら、サプライチェーンの混乱や需給の逼迫、供給元の方針変更、資源の枯渇等により必要量の確保に至らなかった場合や、これらの原材料等の価格ならびにエネルギー価格の高騰が著しく進んだ場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響が及ぶ可能性があります。 また、当社グループの製品の主要な材料である銅の価格は、国際的な需給動向等の影響により変動しますが、銅価格の急激な変化による仕入価格の変動が即座に製品価格に反映されるとは限らないため、銅価格の著しい変動によって当社グループの経営成績は影響を受ける可能性があります。 (5) 製品の欠陥及び品質に関するリスク 当社グループは、全社方針『フジクラ クオリティ方針』のもと、品質管理体制の強化および品質コンプライアンス意識の向上に取り組むとともに、厳格な品質管理基準に従って各種の製品を製造しております。また、万が一の場合に備えて、製造物責任賠償については保険に加入しております。 しかしながら、重大なクレームや製造物責任賠償につながるような製品及びサービスの欠陥あるいは品質問題が発生した場合、製品回収や補償のための費用、品質管理体制の改善・強化に要するコスト、また信用低下による販売活動への影響が生じる可能性があり、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 (6) 法的規制等 当社グループの事業活動においては、事業展開する各国の様々な法的規制の適用を受けております。このような規制には、事業・投資を行うために必要な政府の許認可、商取引、輸出入に関する規制、租税、金融取引、環境に関する法規制等があります。当社グループはこれらの規制を遵守し事業活動を行っておりますが、将来において法的規制の重要な変更や強化が行われた場合、当社グループがこれらの法規制に従うことが困難になり事業活動が制限されたり、規制遵守のためのコスト負担が増加すること等により、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。 (7) 訴訟、規制当局による措置その他の法的手続等 当社グループは、事業を遂行するうえで、訴訟、規制当局による措置その他の法的手続に関するリスクを有しております。訴訟、規制当局による措置その他の法的手続により、当社グループに対して損害賠償請求や規制当局により課徴金等が賦課され、又は事業の遂行に関する制約が加えられる可能性があり、かかる訴訟、規制当局による措置その他の法的手段は、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 (8) 政治経済情勢 当社グループは、情報通信事業部門、エレクトロニクス事業部門、自動車事業部門、エネルギー事業部門等、国内外にて事業展開しているため、各国の政治経済や環境情勢、貿易摩擦の激化、新興国の経済の変動、並びに紛争・テロの発生等により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。 (9) 知的財産 当社グループは、特許権、その他の知的財産権の取得により自社技術の保護を図ると共に、第三者の知的財産権に対しても細心の注意を払っております。しかし、製品の構造・製造技術の多様化や、海外での事業活動の拡大等により、当社グループの製品が意図せず他社の製品の知的財産権を侵害した場合、販売中止、設計変更等の処置をとらざるを得ない可能性があります。また、第三者が当社グループの知的財産権を侵害しても、各国の法制度等の相違により、適切な保護が得られるとは限らず、当社グループの事業活動や経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。 (10) 情報セキュリティに関するリスク 当社グループは、事業遂行に関連して多くの個人情報・顧客情報を含む機密事項を有しております。これらの情報の秘密保持については、最大限の対策を講じておりますが、第三者によるサイバー攻撃やコンピューターウイルス感染等の予期せぬ事態により情報が外部に流出する可能性があり、その結果、当社グループのイメージの低下や損害賠償の発生等により、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、同様の予期せぬ事態により、当社グループの情報システム及びネットワークの正常な運営が妨げられた場合、事業の停止や生産効率の低下、復旧のための費用増等、当社グループの生産体制、経営成績、財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。(11) 災害、感染症等のリスクについて 当社グループは、国内外に多数の工場を有しており、当該地域において大規模な地震や台風などによる風水害などの自然災害が発生し、生産設備に被害を受けた場合、操業停止に伴う生産能力の低下、設備修復による費用増など、当社グループの生産体制、経営成績、財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。 また、新興感染症あるいは再興感染症の流行拡大により、政治、経済環境に制限が課されることとなった場合、当社グループのサプライチェーンの機能不全等様々な事業活動の制約により、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 (12) 人財確保に関するリスク 当社は、グループの成長の原動力は人財であるとの認識のもと、柔軟な働き方や多様性を実現する労働環境の整備、キャリア形成支援、公正な評価制度の整備や適材適所の配置などの人財マネジメント諸施策を実行し、多様な人財がグローバルに活躍できる組織作りを推進しております。しかしながら、人財の獲得競争は国内外とも激しくなっており、必要な人財の確保や流出防止ができない場合、当社の競争力の源泉である開発力や技術力の停滞、デジタル技術の活用の遅れといった事業活動への制約が生じ、当社グループの事業活動や生産体制、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

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