研究開発費(時系列)
| 年度 | R&D費用(億円) | 設備投資(億円) |
|---|---|---|
| 2025-03 | - | 307 |
| 2024-03 | - | 208 |
| 2023-03 | - | 157 |
| 2022-03 | - | 82 |
| 2021-03 | - | 177 |
研究開発活動(本文)
FY2025|6,571 文字
6【研究開発活動】 当社グループでは、環境問題やエネルギー問題などの社会課題解決を通じた事業の持続的発展を目指し、情報通信事業部門、エレクトロニクス事業部門、自動車事業部門を中心に新技術並びに新商品の開発を積極的に推進しています。当社グループの研究開発活動は、新事業創生・研究開発部門、及び各事業部門内の開発部にて実施しています。 [新事業創生・研究開発部門] 生成AIをはじめとするデジタル技術の革新により、通信データ量は指数関数的に増加しています。こうした背景のもと、情報通信ネットワークには高速化、大容量化、低遅延化が求められる一方で、データセンタを含むネットワーク全体の消費電力の増加が新たな社会課題となりつつあります。 当社は次世代光通信分野において、高密度・大容量伝送を可能にするマルチコアファイバ(Multi-Core Fiber;MCF)と、MCF用コネクタを含む接続技術の実用化に向けた開発を進めています。特に近年では、テレコムネットワークやデータセンタでの実装が期待される、標準クラッド外径で4つのコアを持つMCFの開発に注力しています。MCFは用途や伝送距離に応じて異なる伝送性能が求められるため、光学特性の異なる複数種類の4コアMCFを用途別に開発中です。2025年3月には、情報通信研究機構(NICT)が構築する非圧縮8K映像伝送システムに、当社製4コアMCFケーブルが導入されました。これにより、従来の光ファイバでは導入が難しかった限られた配線空間での大容量伝送を実現しました。さらに、2025年3月に開催されたOFC(Optical Fiber Communication Conference:光通信に関する世界最大級の国際学会)では、将来の超高密度ファイバの候補として、短距離伝送用における世界最高密度の16コアMCFを新たに発表しました。MCFの実用化には、既存のシングルコア光ファイバとの接続互換性の確保も極めて重要であり、入出力デバイスやコネクタなど周辺技術も含めた開発を加速させていきます。 次世代エネルギーの分野では、すでに事業化を進めているファイバレーザの高性能化・高出力化をさらに加速するとともに、光を用いたエネルギー伝送や情報伝送への応用に向けた研究開発を推進しています。ファイバレーザの高性能化・高出力化では、ビーム品質に優れるシングルモードファイバレーザの出力を5kWまで向上させると同時に、レーザ光を出射するデリバリーケーブルの長尺化を実現しました。これにより加工効率の大幅な向上と装置の使用性向上に貢献できると考えています。また、本ファイバレーザは、特にCFRP(炭素繊維強化プラスチック)などの難加工材料に適用可能と考えており、周辺機器メーカやユーザ企業と連携を取りながら加工優位性を実証し、市場展開を進めていきます。 ミリ波の分野では、超高速で大容量な無線通信インフラを実現する、5G基地局向けミリ波帯通信デバイスの開発を進めています。2024年度には、世界トップクラスのビーム制御能力と送受信能力を持つ、WLP(Wafer Level Package)版高周波IC及びこれを搭載したミリ波アンテナボードを開発しました。現在の5Gミリ波基地局市場は想定より低調ですが、将来の需要増に備え、高性能、高付加価値、低コストのミリ波無線デバイスの開発を進め、高速・大容量無線通信技術の構築に貢献していきます。また、産業用無線映像伝送システム向けには、60GHz帯無線通信モジュールの開発を進めています。本モジュールは、2Gbpsを超える通信スピードや500mを超える長距離伝送、ミリ秒オーダーの超低遅延など、世界トップクラスの性能を有しており、遠隔監視や遠隔制御など、高リアリティ・高レスポンスを求められる用途において高い評価を得ています。ミリ波技術をはじめとする高周波技術の応用範囲は広く、獲得したコア技術を既存事業に展開するとともに、他分野への応用も行ってまいります。 以上のような当社既存事業との親和性の高い「次世代光通信」、「次世代エネルギー」、「ミリ波応用」の3分野を中心とした研究開発を進め、革新的な情報通信ネットワークの構築や、環境負荷低減などの社会貢献につなげてまいります。 [Beyond2025] ~持続可能な社会に向けた取り組み~(高温超電導線材) レアアース系高温超電導線材は、液体ヘリウムを使用しない次世代の高温超電導機器を実現する製品としてエネルギー分野、医療や分析、産業機器などへの応用・展開が期待されています。当社はこの高温超電導線材の開発および量産技術開発を精力的に進め、世界トップレベルの性能を実現しています。最近ではカーボンニュートラル実現のために欧米を中心に高温超電導線材を用いた核融合発電の開発が精力的に行われています。高温超電導線材は核融合発電に必要なプラズマを閉じ込め、制御するための高温超電導マグネットに用いられ、当社製品を採用したお客様より高い評価を得ています。また、当社はフュージョンエネルギー産業協議会(J-Fusion)に理事企業として参画し、国内外への関連イベントにもJ-Fusionのメンバーとして参加しています。今後も環境負荷の低減と持続可能なエネルギー供給の実現に向け、さらなるイノベーションを追求し、高温超電導の技術開発、事業化を通じて社会の発展に貢献してまいります。 (ファイバレーザ) 金属のマーキング、溶接、切断で使用されるレーザ加工機の市場では、従来の固体レーザから、ビーム品質が良く、かつ小型で電力変換効率が高いファイバレーザへの置き換えが進み、加工用途も拡大しています。固体レーザでは、レーザ光は空間を伝搬させていましたが、ファイバレーザではファイバで導光することによって、レーザ光の扱いが飛躍的に容易かつ安全となり、様々な加工機やバイオ分析、医療分野などへの応用が可能となりました。当社は、光通信用ファイバや光部品で培ったコア技術をベースにファイバレーザの研究開発に注力してきました。2023年度は金属切断加工分野における厚板対応や高速化といった要望に応えるため、レーザの高出力化を進め20kW超高出力レーザを上市しました。また成長を続けている半導体市場において、半導体製造装置メーカと共に各工程用途に最適化したパルスファイバレーザの開発を継続し、生成AIの急速な半導体需要拡大に対する生産性向上を支えています。またレーザ核融合の分野において、レーザ核融合エネルギーの社会実装を目指す国内スタートアップである株式会社EX-Fusionと連携し、将来ファイバレーザのレーザ核融合への適用も視野に入れ、パートナーシップを構築しています。今後も低消費電力かつ長寿命なファイバレーザ製品により、環境負荷低減および持続可能な社会の実現に貢献していきます。 (急速充電) 政府が策定した「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」により、今後拡大が見込まれる電気自動車の充電インフラの領域において、急速充電ケーブルコネクタの開発を推進しています。電気自動車の台数増加や搭載されるバッテリの大容量化に伴い、充電時間短縮や充電渋滞解消を目的に定格出力90kW以上の急速充電器の設置が進んでいます。当社では、2023年に国内初となる定格150kWの液冷方式のケーブルコネクタを上市し、現在は操作性と高出力を両立させる液冷方式のケーブルコネクタの開発に取り組んでおり、液冷ケーブルの太さを現行比20%減、ケーブル重量を現行比36%減、コネクタ重量を現行比16%減を目指しています。電気自動車の普及を側面から支援することで、カーボンニュートラル社会の実現に貢献していきます。 セグメント別の研究開発活動及びその成果は次のとおりで、当連結会計年度の連結研究開発費は184億円であります。 [情報通信事業部門] SNSや動画配信サービス、クラウドサービスの普及の他、近年では生成AI技術の拡大による通信トラフィックの急増に伴い、光ファイバケーブルの需要が世界的に拡大しています。当社では、既存設備を有効利用しながら経済的に光ファイバ網を構築する技術として、世界トップレベルの細径・高密度な光ファイバケーブル「SWR®/WTC®」技術を用いた様々な新製品を開発し、上市しています。2024年度は、データセンタ間、及びメトロネットワークでの旺盛な需要を背景に、当社既存品比で約20%の細径化と30%の軽量化、2倍の高密度化を実現した細径864心空気圧送用光ケーブルAir Blown Wrapping Tube Cable™を開発し、リリースしました。今後もSWR®/WTC®の技術をもとに革新的な光ファイバケーブルを開発し、世界各国の通信ネットワークの発展に貢献していきます。 生成AI需要の高まりを受け、世界的にデータセンタの構築が急ピッチで進む中、より高密度に光配線を収容可能な小型・細径の光コネクタ付きケーブルの需要が拡大しています。2024年度は、Multi-Fiber Push On (MPO)コネクタ付きトランクケーブルにSWR®/WTC®を採用することで、小型軽量化したデータセンタ向けトランクケーブルをリリースいたしました。2025年度は、さらなる小型・細径化を実現するミニ多心コネクタ(MMC)付きSWR®/WTC®トランクケーブルの開発を進めております。ミニ多心光コネクタ(MMC)については、既に製品化している16心タイプに続き、更に高密度実装が可能な24心及び32心タイプの開発を進めていきます。また、光伝送装置周辺の静電気保護区域でも安全に使用出来る静電気発生防止対策多心光コネクタ用クリーナをリリースいたしました。今後も、光通信工事の作業性向上と高品質な光ネットワーク網の構築に引き続き貢献してまいります。 通信用の光ファイバでは、データセンタを中心とした急速なデータトラフィック量の増大に伴う光ファイバケーブルの更なる高密度・細径化の要求に対応するため、細径ファイバの生産性向上および低コスト化に注力いたしました。また光通信機器等で使用される偏波面保持機能ファイバに関し、高速通信で使用される小型光通信機器での収納に適した曲げ半径4mmに対応したTitaniaBend PANDA PM* ファイバを、国際学会Photonics West2025にて発表しました。2025年度から当製品のサンプル出荷を開始いたします。今後も通信、及び通信機器メーカの要望に応じたファイバを開発していきます。*PANDA:Polarization-maintaining AND Absorption-reducing、PM:Polarization-Maintaining 光ファイバケーブルの敷設工事等で使用される光ファイバ融着接続機や、光機器の製造等で使用される特殊光ファイバ用融着接続機及び周辺工具を開発しています。2024年度は工事用光ファイバ融着接続機として主にデータセンタで使用されるSWR®の多心化に併せて多心融着接続機のシリーズ製品のラインナップを増やしております。また、光機器の製造等で使用される工具に関してもお客様のニーズに応えるために、被覆除去機と光ファイバリコータの製品ラインナップを拡充しました。被覆除去機は光ファイバを融着接続する前の光ファイバの被覆除去を行う装置で、一部機能を削除した廉価モデルを追加しました。光ファイバリコータは融着後の光ファイバ融着接続部をUV硬化樹脂で再被覆するための装置で、再被覆する部分の長さが標準機の2倍のモデルを追加しました。今後も引き続き光ファイバ融着接続の品質向上に貢献する製品を開発し、光ファイバの敷設や光部品製造の品質向上・効率向上に貢献していきます。 なお、当セグメントに係る研究開発費は129億円であります。 [エレクトロニクス事業部門] 民生及び産業用の電子機器に使われるフレキシブル・プリント配線板(FPC)、コネクタ、メンブレン*、電子ワイヤ、センサ、ハードディスク、サーマル製品の開発を行っています。スマートフォンに代表されるモバイル機器は、情報通信速度の高速化や高機能化が進み、周辺機器との連携が強く要求されています。また、自動車の電動化、情報化、知能化が加速する中で、近年需要が増えている自動車用電子部品は、各種環境下での高い信頼性が要求されています。*メンブレン:銀などの金属インクを樹脂基板に印刷することにより形成した電子回路基板 (FPC事業) FPCについては、スマートフォンを中心とした電子機器の高密度化や高速伝送に対応するため、高精細回路、電気特性を向上させた多層基板の開発を進めています。また、車載用途として、バッテリ監視用途などの車両の電動化や、先端運転支援システム(ADAS)に対応する製品群の技術開発を進めています。加えて、医療、ウェアラブル用途などの特殊構造の製品開発にも取り組んでおります。 (コネクタ事業) コネクタについては、「小型・低背」「堅牢」「高速伝送」「作業性」「防水」をキーワードに、高機能化(高操作性、高強度、大電流、複合化など)した製品開発を推進しています。モバイル機器用途では、Board to Boardコネクタの小型・堅牢化や、バッテリ用コネクタ等の製品バラエティ拡充を進めています。産業機器用途では、NC工作機やロボット、半導体製造装置に対応した小型・防水・多芯の製品ラインナップ拡充を進めています。また5G関連の通信用途向けコネクタの開発や、自動車用途における自動車の情報化・知能化に対応すべく、高速通信用コネクタの開発に注力しています。 (電子部品事業) メンブレンについては、印刷回路の細線化や新規機能性ペーストの商品化を進め、従来のパソコン、車載市場に加え、医療、ヘルスケア、産業機器といった新しい市場を開拓しています。その中でも特に、ストレッチャブルメンブレン(伸縮性印刷回路)を応用した立体配線基板の開発に注力しています。 電子ワイヤについては、エレクトロニクス市場での更なる高速、高容量データ伝送やモバイル機器、ウェアラブル機器で求められる高屈曲耐久を実現する機器内配線用極細同軸ケーブルアセンブリの開発や極細同軸ケーブルの技術を応用し絶縁体に圧電材料を使用したケーブル型圧電センサの開発を進めています。また極細同軸によるケーブルの細径化により、内視鏡用途など医療市場の開拓に取り組んでいます。 センサについては、産業分野、医療分野で求められる、高精度な超微圧センサの研究開発に取り組んでいます。サーマル製品については、生成AIや大規模データ解析に使われるCPU/GPUの高発熱化に対応するため、独自構造を持つ新型コールドプレート、3Dベーパーチャンバの高性能化に取り組んでいます。また、産業機器、電気自動車で使われるパワー半導体の高発熱化にはベーパーチャンバやヒートパイプ製品の大容量化に取り組んでいます。 なお、当セグメントに係る研究開発費は23億円であります。 [自動車事業部門] 自動車の高機能化に伴う電装品への小型軽量化のニーズに対応した細径・軽量電線や、半導体ヒューズや半導体リレーを内蔵した小型電源分配ボックス、CASEに代表される分野の技術革新に対応した新商品・新技術の開発を推進しています。 また、車載LANの高速化ニーズに対応した1G~10Gbpsの高速通信ハーネスや、10Gbps以上の超高速通信ハーネスの開発を推進しています。さらに、車両の電動化ニーズに対応した、高屈曲細径ケーブルや高電圧電源分配ボックスなどの開発、カーメーカーの車両開発期間短縮を実現するハーネス製造シミュレーションシステムの開発、ワイヤハーネスのBCPの一環として生産自動化システムの構築を推進しています。 なお、当セグメントに係る研究開発費は22億円であります。
FY2024|6,054 文字
6【研究開発活動】 当社グループでは、環境問題やエネルギー問題など社会課題解決を通じた事業の持続的発展を目指し、情報通信事業部門、エレクトロニクス事業部門、自動車事業部門を中心に新技術並びに新商品の開発を積極的に推進しています。当社グループの研究開発活動は、新事業創生・研究開発部門、及び各事業部門内の開発部にて実施しています。 [新事業創生・研究開発部門] 生成AIに代表されるデジタル技術の革新により、通信データ量は指数関数的に増大しており、情報ネットワークの高速化、大容量化、低遅延化だけでなく、データセンタを含めた通信ネットワークの消費電力増加は社会問題になりつつあります。 次世代光通信の分野では、高密度・大容量伝送が可能なマルチコアファイバ(Multi-Core Fiber;MCF)とコネクタを含む接続技術の実用化に向けた開発を進めています。2023年度は、標準クラッド外径でコアが4つあるMCFの融着接続技術や検査技術の開発を行いました。また、MCFケーブルの製造や敷設の際の極性管理の課題を解決する技術や、MCFのクラッドや被覆を細径化し高密度化する技術も進展いたしました。これらの成果は2023年10月のECOC*(英国)や2024年3月のOFC*(米国)、国内の学会や研究会に報告しています。既存の一般的な光ファイバとの接続技術も重要であり、その入出力デバイス、コネクタ接続技術など周辺技術も含めて実用化を加速させます。*ECOC:The European Conference on Optical Communication、OFC : Optical Fiber Communication Conference。いずれも光通信に関する最大規模の主要国際学会。 ミリ波の分野では、5G(第5世代移動通信システム)や、その発展形である5G-Advancedによる大容量高速無線通信サービスの本格普及に向け、5G基地局向けミリ波帯通信デバイスの開発を進めています。米国IBM社よりライセンスを受けた技術を基に、当社独自の高度化設計を加えたミリ波高周波ICとアンテナなどを組み合わせ、世界トップクラスのビーム制御性能(校正不要で緻密に電波の送受信方向を制御)を有する28GHz帯アンテナ一体型高周波モジュールが完成しました。2023年度には、送信出力が従来比2倍となる高出力版モジュールのサンプル出荷も開始しています。今後もミリ波帯無線デバイスのさらなる高性能化・低コスト化を進め、5G時代に求められる高速・大容量無線通信網の構築に貢献します。また、産業用無線映像伝送システムへの導入を目指し、60GHz帯無線通信モジュールの開発も進めています。2Gbps超の通信スピードや500m超の長距離伝送、ミリ秒オーダーの超低遅延など、世界トップクラスの性能を有する本モジュールは、高リアリティ・高レスポンスな遠隔監視や遠隔制御を無線ネットワーク経由で実現するデバイスとして高い評価を得ています。当社は、ミリ波帯無線を応用したこのような省人化システムの実現に寄与することで、少子高齢化に伴う社会課題の解決に貢献します。ミリ波技術は様々な場面で活用されることが期待されており、将来に向けて応用製品を幅広く検討しております。 次世代エネルギーの分野では、すでに事業化を推進しているファイバレーザの高性能化・高出力化をさらに推し進めるとともに、光のエネルギー伝送や情報伝送に応用する研究開発も行っております。 以上のような当社既存事業との親和性の高い「次世代光通信」、「ミリ波応用」、「次世代エネルギー」の3分野を中心とした研究開発を進め、革新的な情報通信ネットワークの構築や、環境負荷低減などの社会貢献につなげてまいります。 [Beyond2025] ~持続可能な社会に向けた取り組み~(高温超電導線材) レアアース系高温超電導線材は、液体ヘリウムを使用しない次世代の高温超電導機器を実現する製品としてエネルギー分野、医療や分析、産業機器などへの応用・展開が期待されています。当社はレアアース系高温超電導線材の開発および量産技術開発を精力的に進め、世界トップレベルの性能を実現しています。最近ではカーボンニュートラル実現のために欧米を中心に高温超電導線材を用いた核融合発電の開発が精力的に行われています。高温超電導線材は核融合発電に必要なプラズマを閉じ込め、制御するための高温超電導マグネットに用いられ、当社製品を採用したお客様より高い評価を得ています。また、当社は「京都フュージョニアリング株式会社」と共に、英国原子力公社(UKAEA)向けの核融合発電炉用高温超電導マグネット領域の研究推進プロジェクトにおける協業を発表しています。今後も環境負荷の低減と持続可能なエネルギー供給の実現に向け、さらなるイノベーションを追求し、高温超電導の技術開発、事業化を通じて社会の発展に貢献して参ります。 (ファイバレーザ) 金属のマーキング、溶接、切断で使用されるレーザ加工機の市場では、従来の固体レーザから、ビーム品質が良く、かつ小型で電力変換効率が高いファイバレーザへの置き換えが進み、加工用途も拡大しています。固体レーザでは、レーザ光は空間を伝搬させていましたが、ファイバレーザではファイバで導光することによって、レーザ光の扱いが飛躍的に容易かつ安全となり、様々な加工機やバイオ分析、医療分野などへの応用が可能となりました。当社は、光通信用ファイバや光部品で培ったコア技術をベースにファイバレーザの研究開発に注力してきました。2023年度は金属切断加工分野における厚板対応や高速化といった要望に応えるため、レーザの高出力化を進め20kW超高出力レーザを上市しました。また成長を続けている半導体市場において、半導体製造装置メーカと共に各工程用途に最適化したパルスファイバレーザの開発を継続しています。今後も低消費電力かつ長寿命なファイバレーザ製品により、環境負荷低減および持続可能な社会の実現に貢献していきます。 (急速充電) 政府が策定した「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」により、今後拡大が見込まれる電気自動車の充電インフラの領域においては、急速充電ケーブルコネクタの開発を推進しています。電気自動車の台数増加や搭載されるバッテリの大容量化に伴い、充電時間短縮や充電渋滞解消を目的に、高出力急速充電コネクタ規格の整備が進められています。当社では、国内初となる液冷方式のケーブルコネクタを開発し、2023年から150kW連続充電に対応した急速充電器への搭載を開始しました。更なる高出力化のニーズに対応するため、最大出力900kWに適合した液冷方式のケーブルコネクタの開発にも取り組み、国内の実証プロジェクトに参画しています。 セグメント別の研究開発活動及びその成果は次のとおりで、当連結会計年度の連結研究開発費は171億円であります。 [情報通信事業部門] 5G(第5世代移動通信システム)やIoT(Internet of Things)、近年では生成AIの活況など多様な情報通信サービスの普及にともない、光ファイバケーブルの需要が世界的に拡大しています。フジクラでは、既存設備を有効利用しながら経済的に光ファイバ網を構築する技術として、世界トップレベルの細径・高密度な光ファイバケーブル「SWR®/WTC®」技術を用いた様々な新製品を開発し、上市しています。2023年度は、データセンタで要求される高難燃特性と低発煙特性を有した、空気圧送タイプの光ケーブルである難燃AirBlown WTC®を開発し、リリースしました。今後もSWR®/WTC®の技術をもとに革新的な光ファイバケーブルを開発し、世界各国の通信ネットワークの発展に貢献していきます。 また、光ケーブルの接続点に使用される光コネクタについても、高性能化・小型化の開発を進めており、2023年度は、既存製品のSWR®/WTC®の片端末または両端末に牽引端を取り付けた牽引端付きMulti-Fiber Push On (MPO) 成端ケーブルを更に細径化することで、より細径の管路に対応できるようにしました。多心コネクタの主力製品であるMPOコネクタについては、従来の1/3のフットプリントで実装可能なミニ多心コネクタ(MMC)の16心タイプをリリースし、更に24心タイプの開発も進めています。また、接続作業の際に端面を清掃するMMC用光コネクタクリーナも開発いたしました。今後も、高密度・大容量伝送のニーズに応えられるよう、小型・高密度収容の光コネクタ開発を積極的に進めていきます。 通信用の光ファイバでは、データセンタおよび長距離通信市場において必要とされるITU-T G.654.Eに準拠した光ファイバFutureGuide®HSC-110およびFutureGuide®HSC-125について、生産性向上および低コスト化に注力いたしました。また光通信機器等で使用されるPANDA*(偏波面保持機能)ファイバに関し、次世代の高速通信で使用される小型光通信機器での収納に適した曲げ半径2mmに対応したPANDAファイバを、国際学会Photonics West2024にて発表いたしました。今後も通信、及び通信機器メーカの要望に応じたファイバを開発していきます。*PANDA:Polarization-maintaining AND Absorption-reducing 光ファイバケーブルの敷設工事等で使用される光ファイバ融着接続機や、光部品の製造等で使用される特殊光ファイバ用融着接続機を開発しています。特殊光ファイバ用融着接続機は、細径から大口径までの光ファイバを接続可能であり、2023年度はこの用途で使用される特殊光ファイバストリッパと高性能光ファイバカッタを上市しました。これらは光ファイバを融着接続する前の光ファイバの被覆除去・切断に使用される工具です。両工具とも、RFIDを用いた自動条件変更機能を搭載し作業効率を向上させており、また被覆除去の品質安定のための引き抜き速度制御や、切断品質安定のためのテンション自動制御を採用しております。今後も引き続き光ファイバ融着接続の品質向上に貢献する製品を開発し、光ファイバの敷設や光部品製造の品質向上・効率向上に貢献していきます。 なお、当セグメントに係る研究開発費は119億円であります。 [エレクトロニクス事業部門] 民生及び産業用の電子機器に使われるフレキシブル・プリント配線板(FPC)、コネクタ、メンブレン*、電子ワイヤ、センサ、ハードディスク、サーマル製品の開発を行っています。スマートフォンに代表されるモバイル機器は、情報通信速度の高速化や高機能化が進み、周辺機器との連携が強く要求されています。また、自動車の電動化、情報化、知能化が加速する中で、近年需要が増えている自動車用電子部品は、各種環境下での高い信頼性が要求されています。*メンブレン:銀などの金属インクを樹脂基板に印刷することにより形成した電子回路基板 (FPC事業) FPCについては、スマートフォンを中心とした電子機器の高密度化や高速伝送に対応するため、高精細回路、電気特性を向上させた多層基板の開発を進めています。また、車載用途として、バッテリ監視用途などの車両の電動化や、先端運転支援システム(ADAS)に対応する製品群の技術開発を進めています。加えて、医療、ウェアラブル用途などの特殊構造の製品開発にも取り組んでおります。 (コネクタ事業) コネクタについては、「小型・低背」「堅牢」「高速伝送」「作業性」「防水」をキーワードに、高機能化(高操作性、高強度、大電流、複合化など)した製品開発を推進しています。モバイル機器用途では、Board to Boardコネクタの小型・堅牢化や、バッテリ用コネクタ等の製品バラエティ拡充を進めています。産業機器用途では、NC工作機やロボット、半導体製造装置に対応した小型・防水・多芯の製品ラインナップ拡充を進めています。また5G関連の通信用途向けコネクタの開発や、自動車用途における自動車の情報化・知能化に対応すべく、高速通信用コネクタの開発に注力しています。 (電子部品事業) メンブレンについては、印刷回路の細線化や新規機能性ペーストの商品化を進め、従来のパソコン、車載市場に加え、医療、ヘルスケアといった新しい市場を開拓しています。その中でも特に、ストレッチャブルメンブレン(伸縮性印刷回路)を応用した立体配線基板の開発、銀印刷回路に電解銅めっきを付与した環境に優しい低抵抗なフレキシブル基板の開発に注力しています。 電子ワイヤについては、エレクトロニクス市場での更なる高速、高容量データ伝送やモバイル機器、ウェアラブル機器で求められる高屈曲耐久を実現する機器内配線用極細同軸ケーブルアセンブリの開発を進めています。また極細同軸によるケーブルの細径化により、内視鏡用途など医療市場の開拓に取り組んでいます。 センサについては、空圧機器市場や医療市場の要求に応え、また製品ラインナップを強化するため、高分解能デジタル出力圧力センサは量産フェーズに移行し、小型圧力センサは量産化に向けた開発を継続しています。 サーマル製品については、スーパーコンピュータやハイエンドサーバ、ハイパースケールデータセンタ用の次世代CPU/GPUの発熱量の増加に対応するため、独自構造を持つ新型高性能コールドプレートの開発、及び空冷式ヒートパイプモジュールの高性能化に向けた開発を進めています。また、IGBT等パワー半導体向けに、大容量に対応したベーパーチャンバやヒートパイプ製品の高性能化に向けた開発を進めています。 なお、当セグメントに係る研究開発費は18億円であります。 [自動車事業部門] 自動車の高機能化に伴う電装品への小型軽量化のニーズに対応した細径・軽量電線や、半導体ヒューズや半導体リレーを内蔵した小型電源分配ボックス、CASEに代表される分野の技術革新に対応した新商品・新技術の開発を推進しています。 また、車載LANの高速化ニーズに対応した1G~10Gbpsの高速通信ハーネスや、10Gbps以上の超高速通信ハーネスの開発を推進しています。さらに、車両の電動化ニーズに対応した、高屈曲細径ケーブルや高電圧電源分配ボックスなどの開発、カーメーカーの車両開発期間短縮を実現するハーネス製造シミュレーションシステムの開発、BCPの一環として生産自動化システムの構築を推進しています。 なお、当セグメントに係る研究開発費は19億円であります。
FY2023|5,821 文字
6【研究開発活動】 当社グループでは、環境問題やエネルギー問題など社会課題解決を通じた事業の持続的発展を目指し、エネルギー・情報通信事業部門、電子電装・コネクタ事業部門(エレクトロニクス事業部門・自動車事業部門)を中心に新技術並びに新商品の開発を積極的に推進しています。当社グループの研究開発活動は、新事業創生・研究開発部門、及び各事業部門内の開発部にて実施しています。 [新事業創生・研究開発部門] 情報通信サービスの多様化に伴い、高速・大容量のデータを扱う無線通信技術や、通信網を支える光技術に革新が求められています。また、データ量の増大に伴い、データセンタでの消費電力は指数関数的に増大しており、従来の化石燃料や原子力に代わる環境負荷の少ないエネルギー源が求められています。新事業創生・研究開発部門では、これらの社会課題に対し、当社既存事業とも親和性の高い「ミリ波応用」「次世代光通信」「次世代エネルギー」の3分野を中心とした研究開発をすすめています。 (ミリ波応用) 「5G」(第5世代移動通信システム)の本格普及に向けて、移動体通信基地局や、基地局への中継回線網、固定通信網ラストマイルなどの次世代大容量高速無線通信に利用されるミリ波帯通信デバイスの開発を進めています。当社は、米国IBM社よりライセンスを受けたミリ波高周波半導体(IC)技術と、当社の強みであるアンテナ設計・基板製造技術を組み合わせ、すべて自社開発で5G向けミリ波帯製品を実現します。現在サンプル出荷中の28GHz帯5G向けアンテナ一体型高周波モジュールは、アンテナ、IC、フィルタを統合しており、自社開発の強みを生かしてさらなる高性能・高機能化を目指した製品開発を行っています。当社は、ミリ波無線デバイス技術を通じて5G時代に求められる高速・大容量無線通信網の構築に貢献します。 8K映像による遠隔監視など、産業用途の自営無線通信システムに利用される60GHz帯無線通信モジュールの開発を進めています。2023年度中の製品化を目指す本モジュールは、2Gbps超の通信スピードや500m超の長距離伝送など、世界トップクラスの性能を実現するとともに、各国の無線認証を取得して出荷されるため、お客様は60GHz帯の通信・産業機器をより短期間・低コストで開発可能となります。当社は、5G向けに加え、手軽に使える自営システムに適用可能なミリ波製品を開発・提供することで、目的に応じた多彩な次世代高速無線通信網の展開をサポートします。 (次世代光通信) 将来の高密度・大容量伝送に向けて、光ファイバ1本に複数のコアを持つマルチコアファイバ(Multi-Core Fiber;MCF)の実用化に向けた開発を進めています。2022年度は、標準クラッド外径でコアが4個のMCFの評価として、288心の4コアMCFを実装したMCFケーブルをダクトに敷設し、ケーブル両端に576個の入出力デバイスを融着接続したビル間のフィールドリンクを構築し、光学特性の調査を行いました。200心を超える実用的な心数を備えたMCFケーブルでは世界初のフィールド敷設実験であり、2023年3月に米国にて開催されたOFC2023※にて発表しました。また当社は国立研究開発法人 情報通信研究機構 (NICT) の委託を受け、NTT、KDDI総合研究所、他のファイバメーカーと共に「マルチコアファイバの実用化加速に向けた研究開発」を進めています。一方、MCFの実用化のためにはコアがひとつの汎用光ファイバとの接続技術も重要であり、その入出力デバイス、接続技術など周辺技術の確立により実用化を加速させます。※OFC : Optical Fiber Communication Conference。光通信に関する最大規模の主要国際学会の一つ。 (次世代エネルギー) レアアース系高温超電導線材は、液体ヘリウムを使用しない次世代の高温超電導機器を実現する製品としてエネルギー分野、医療や分析、産業機器などへの応用・展開が期待されています。当社はレアアース系高温超電導線材の開発および量産技術開発を精力的に進め、世界トップレベルの性能を実現しています。最近ではカーボンニュートラル実現のために欧米を中心に高温超電導線材を用いた核融合発電の開発が精力的に行われており、当社製品を採用したお客様より高い評価を得ています。当社は、今後も高温超電導線材の更なる長尺化、低コスト化に向けた活動を行っていくと共に、応用開発も進め、カーボンニュートラル社会の実現に向けて研究開発、事業化を進めて参ります。 セグメント別の研究開発活動及びその成果は次のとおりで、当連結会計年度の連結研究開発費は150億円であります。 [エネルギー・情報通信事業部門] 「5G」(第5世代移動通信システム)やIoT(Internet of Things)など多様な情報通信サービスの普及にともない、光ファイバケーブルの需要が世界的に拡大しています。当社では、既存設備を有効利用しながら経済的に光ファイバ網を構築する技術として、世界トップレベルの細径・高密度な光ファイバケーブル「Spider Web Ribbon®/Wrapping Tube Cable®」(以降、SWR®&WTC®)技術を用いた様々な新製品を開発し、上市しています。2022年度は、かねてより開発してきた難燃性・低発煙特性を有する難燃性光ケーブルが、欧州・北米を中心とした通信ネットワーク網等に採用されました。また、空気圧送敷設に適したAir Blown WTCは、最大心数1008心のタイプを加えることで製品ラインアップの充実を図りました。当社は今後もSWR®&WTC®の技術を活かした革新的な光ファイバケーブルを開発し、世界各国の通信ネットワークの発展に貢献していきます。 これらの光ケーブルの接続点に使用される光コネクタの高性能化、および、小型化開発を進めています。2022年度は、既存製品のSWR®&WTC®の片端末または両端末に取り付けた牽引端付きMulti-Fiber Push On (MPO) 成端ケーブルを開発完了しリリースするとともに、更なる細径化開発をいたしました。また、今後、高密度・大容量伝送が進展することを受けて、小型・高密度収容の光コネクタ開発を積極的に進めて参ります。2022年度は、現存の主力多心コネクタであるMPOの1/3のフットプリントで実装可能な、ミニ多心コネクタ(MMC)について、従来の16心に加え、24心タイプを開発しました。さらに光コネクタ接続作業部において、先端のキャップ取り外しをなくしてお客様の作業性を大きく向上させたOne-Click® Cleaner PROシリーズを開発し、リリースしました。一方、伝送装置周辺や装置基盤で使用される光コネクタの小型化、高性能化、および高機能化開発にも注力しています。2022年度は、データセンタ、長距離通信市場で必要とされる大容量高速通信伝送装置に関して、LSI近傍で光ファイバを接続する方式であるCo-Packaged Optics用に、PANDAファイバおよびSMファイバ付き多心コネクタ結線品を開発しました。 光ファイバケーブルの敷設工事等で使用される光ファイバ融着接続機や、光部品の製造等で使用される特殊光ファイバ用融着接続機を開発しています。特殊光ファイバ用融着接続機は、細径から大口径までの光ファイバを接続可能であり、2022年度はこの用途で使用される光ファイバカッタと光ファイバリコータを上市しました。光ファイバリコータは、融着接続した光ファイバのガラス部分をUV硬化樹脂で再被覆する装置です。光ファイバカッタでは従来切断前に光ファイバのたわみを防止する部材の位置合わせ作業が必要でしたが、これを『自動で位置合わせする機能』を、光ファイバリコータではUV硬化樹脂注入機構の見直し等により『作業時間約25%短縮』を実現しました。今後もより安定で、より速く、確実な作業を可能とする製品を開発することで、光ファイバの敷設効率や光部品製造効率の改善に貢献していきます。 金属のマーキング、溶接、切断で使用されるレーザ加工機の市場では、従来の固体レーザから、ビーム品質が良く、かつ小型で電力変換効率が高い光源を利用したファイバレーザへの切り換えが進んでいます。ファイバレーザでは、従来空間を伝搬していたレーザ光をファイバで導光することにより、レーザ光の扱いが安全かつ容易となり、様々な加工機やバイオ分析、医療分野などへの応用が可能となりました。当社は、光通信用ファイバや光部品で培ったコア技術をベースにファイバレーザの研究開発に注力してきました。2021年度からは、安定した供給が課題となっている半導体などの電子デバイス製造装置向けに、用途に応じて最適な特殊ファイバを用いたパルスファイバレーザの開発・製品化を進めており、これからも電子分野の旺盛な需要に応えていきます。 なお、当セグメントに係る研究開発費は102億円であります。 [電子電装・コネクタ事業部門] 民生及び産業用の電子機器に使われるフレキシブル・プリント配線板(FPC)、メンブレン※、コネクタ、電子ワイヤ、センサ、ハードディスク、サーマル製品の開発を行っています。スマートフォンに代表されるモバイル機器は、情報通信速度の高速化や高機能化が進み、周辺機器との連携が強く要求されています。また、自動車の電動化、情報化、知能化が加速する中で、近年需要が増えている自動車用電子部品は、各種環境下での高い信頼性が要求されています。※メンブレン:銀などの金属インクを樹脂基板に印刷することにより形成した電子回路基板。 (PC事業部門) FPCについては、スマートフォンを中心とした電子機器の高密度化や高速伝送に対応するため、高精細回路、電気特性を向上させた多層基板の開発を進めています。また、車載用途として、バッテリ監視用途などの車両の電動化や、先端運転支援システム(ADAS)に対応する製品群の技術開発を進めています。加えて、医療、ウェアラブル用途などの特殊構造の製品開発にも取り組んでおります。 メンブレンについては、印刷回路の細線化や新規機能性ペーストの商品化を進め、従来のパソコン、車載市場に加え、医療、ヘルスケアといった新しい市場を開拓しています。さらに伸縮性基板上に配線を形成したストレッチャブルメンブレンを応用した商品の開発を進め、新たな用途への展開を進めています。 (コネクタ事業部門) コネクタについては、「小型・低背」「堅牢」「防水」「高速伝送」「作業性」をキーワードに、高機能化(高操作性、高強度、大電流、複合化など)した製品開発を推進しています。モバイル機器用途では、Board to Boardコネクタの小型・堅牢化や、バッテリ用コネクタ等の製品バラエティ拡充を進めています。産業機器用途では、NC工作機やロボット、半導体製造装置に対応した小型・防水・多芯の製品ラインナップ拡充を進めています。また5G関連の通信用途向けコネクタの開発や、自動車用途における自動車の情報化・知能化に対応すべく、高速通信用コネクタの開発に注力しています。(電子部品事業部門) 電子ワイヤについては、エレクトロニクス市場での更なる高速、高容量データ伝送の要求に応えるべく開発を進めています。モバイル機器やウェアラブル機器では、非常に限られたスペース内で高速な信号を伝送する用途や、高屈曲耐久を有した接続のニーズがあり、これらを実現する機器内配線用極細同軸ケーブルアセンブリの開発を進めています。 センサについては、空圧機器市場や医療市場の要求に応え、また製品ラインナップを強化するため、高分解能デジタル出力圧力センサは量産フェーズに移行し、小型圧力センサは量産化に向けた開発を継続しています。 サーマル製品については、高性能化が進むスーパーコンピュータやハイエンドサーバ、市場の拡大するデータセンタ用サーバ向けに、CPUの発熱量や発熱密度の増加に対応するため水冷式クーリングユニット、及び空冷式ヒートパイプモジュールの高性能化に向けた開発を進めています。また、IGBT等パワー半導体向けに、大容量に対応したベーパーチャンバやヒートパイプ製品の高性能化に向けた開発を進めています。 なお、当セグメントに係る研究開発費は19億円であります。 (自動車事業部門) 自動車の高機能化に伴う電装品への小型軽量化のニーズに対応した細径・軽量電線や、半導体ヒューズや半導体リレーを内蔵した小型電源分配ボックス、CASEに代表される分野の技術革新に対応した新商品・新技術の開発を推進しています。 Connected(コネクテッド)とAutonomous(自動運転)の分野では、車載LANの高速化ニーズに対応した1G~10Gbpsの高速通信ハーネスや、10Gbps以上の超高速通信ハーネスの開発を推進しています。Electric(電動化)の分野では、車両の電動化ニーズに対応した、高屈曲細径ケーブルや高電圧電源分配ボックスなどの開発を推進しています。さらに、カーメーカーの車両開発期間短縮を実現するハーネス製造シミュレーションシステムの開発や、BCPの一環として生産自動化システムの構築を推進しています。 また、カーボンニュートラルに向けた産業政策「グリーン成長戦略」により、今後拡大が見込まれる電気自動車の充電インフラの領域においては、急速充電ケーブルコネクタの開発を推進しています。電気自動車の台数増加や搭載されるバッテリの大容量化に伴い、充電時間短縮や充電渋滞解消を目的に、高出力急速充電コネクタ規格の整備が進められています。当社では、国内初となる液冷方式のケーブルコネクタを開発し、2023年から最大出力200kW級の急速充電器への搭載を開始しました。更なる高出力化のニーズに対応するため、最大出力900kWに適合した液冷方式のケーブルコネクタの開発にも取り組んでいます。 なお、当セグメントに係る研究開発費は10億円であります。
FY2022|6,447 文字
5【研究開発活動】 当社グループでは、環境問題やエネルギー問題など社会課題解決を通じた事業の持続的発展を目指し、エネルギー・情報通信、電子電装・コネクタ各分野を中心に新技術並びに新商品の開発を積極的に推進しています。当社グループの研究開発活動は、新事業創生・研究開発部門及び各事業部門内の開発部にて実施しています。 [新事業創生・研究開発部門] 「5G」(第5世代移動通信システム)時代に向けて、移動体通信基地局や、そのフロントホール・バックホール、固定通信網ラストマイルなどの次世代大容量高速無線通信に利用されるミリ波帯通信デバイスの開発を進めています。当社は、米国IBM社よりライセンスを受けた28GHz帯ミリ波高周波半導体(IC)技術と、当社強みであるアンテナ設計・基板製造技術を組み合わせて製品を実現します。28GHz帯5G向けアンテナ一体型高周波モジュールは、アンテナ、IC、フィルタを統合しており、2022年上期のサンプル出荷を予定しています。当社は、ミリ波無線技術を通じて5G時代に求められる高速・大容量無線通信網の構築に貢献します。 当社で開発中の60GHz帯無線通信モジュールは、2 Gbps超の通信スピードや500 m超の長距離伝送など、世界トップクラスの性能を実現しており、2022年度中の製品化を目指しています。2021年度は、株式会社テラピクセル・テクノロジーズ、intPix SA. 社と共同で、超低遅延な4K動画の無線伝送に成功しました。また関西電力送配電株式会社ら11社と共同で実施したスマートポール(各種センサや表示・通信機能を備えた電柱)による安全運転支援実証実験では、複数のスマートポール間を接続する低遅延・低干渉な無線制御信号網を提供しました。今後、これらの技術の実用化を推進してまいります。 ICや受動部品などをポリイミド多層配線板に埋め込んだ薄型部品内蔵基板「WABE Package®」(Wafer And Board level device Embedded Package)の開発、量産化を進めています。本製品は独自の一括積層法によりICチップを厚さ方向に重ねて埋め込む構造を特徴としており、2021年度は世界初の3個のICチップを埋め込んだ、3段Chip-stack WABE®についても量産を開始しました。当社は複数部品を内蔵した超高精細・高密度の部品内蔵基板により、製品の小型・軽量化に貢献していきます。 医療機器用極小CMOSイメージセンサを用いた撮像モジュールの開発、量産化を進めています。極小サイズで安価なCMOS撮像素子モジュールは、電子内視鏡のディスポーザブル化を実現して感染防止に寄与するとともに、極細・可撓性の特徴を活かして可視アクセス領域を拡大し、病巣の検出能力を向上します。2021年度より、当社の光技術及び電子技術を活用した極細径撮像素子モジュールを量産化し、大手医療機器メーカーに納入を行っています。また、世界の医療機器開発の中心の一つである米国ミネアポリスに拠点を構えるグループ会社のFAI社 (Fujikura America, Inc.)では、治療法の確立していない疾患に対する医療ニーズ(アンメットニーズ)に応える活動を展開しています。 レアアース系高温超電導線材は、液体ヘリウムを使用しない次世代の高温超電導機器を実現する製品として医療や分析、産業機器、エネルギー分野など更なる応用機器の展開が期待されています。当社は精力的にレアアース系高温超電導線材の開発及び量産技術開発を進め、世界トップレベルの性能を実現する技術力を確立して参りました。既に高分解能核磁気共鳴装置に適用されアルツハイマー病やがん研究などに用いられています。当社は、さらに量産製造技術開発を進めており、線材の更なる長尺化、低コスト化に向けた活動を行っています。今後もレアアース系高温超電導線材及び応用技術の提供により低炭素社会の実現に向けた研究開発、事業化を進めて参ります。 エネルギー問題がますます重要性を増す中で、省エネルギーの推進、環境負荷の低減、資源の有効活用につながるケーブル・機器の開発を積極的に進めています。環境保護政策により普及が進む電気自動車の充電インフラとして、短時間での充電を可能とする急速充電器の設置が加速しています。電気自動車の台数増加やバッテリ容量の拡大に伴い、充電時間短縮や充電渋滞解消のため、従来の3~7倍の出力を持つ充電器が実用化されており、液冷ケーブル用コネクタの規格化が進んできました。当社では、国内初となる400 kWクラスの充電器に適用可能な高出力急速充電用のケーブル及びコネクタ接続端子冷却技術を開発しています。更に次世代の充電規格に対応するため、900 kWクラスに適用可能な冷却技術の研究開発を進め、冷却効率に優れ、操作性・取扱い性に優れる充電コネクタ・ケーブルの開発に注力します。 セグメント別の研究開発活動及びその成果は次のとおりで、当連結会計年度の連結研究開発費は164億円であります。 [エネルギー・情報通信事業部門] 5G(第5世代移動通信システム)やIoT(Internet of Things)など多様な情報通信サービスの普及にともない、光ファイバケーブルの需要が世界的に拡大しています。フジクラでは、既存設備を有効利用しながら経済的に光ファイバ網を構築する技術として、世界トップレベルの細径・高密度な光ファイバケーブル 「Spider Web Ribbon®/Wrapping Tube Cable®」(以降、SWR®&WTC®)技術を用いた様々な新製品を開発し、上市しています。2021年度は、2020年度にリリースした6912心光ケーブルに比べて10%強、細径・軽量化した世界最高水準の6912心光ケ―ブルを開発しました。また、空気圧送布設に適したAir Blown WTCの最大心数はこれまでの2倍の心数となる864心タイプを加えることで製品ラインアップの充実を図りました。今後もSWR®&WTC®の技術をもとに革新的な光ファイバケーブルを開発し、世界各国の通信ネットワークの発展に貢献していきます。 これらの光ケーブルの接続点に使用される光コネクタの高性能化及び小型化開発を進めています。2021年度は、高速大容量通信に適した超低損失多心光コネクタを開発しました。既存製品のSWR®&WTC®の両端末に取り付けた牽引端付きMulti-Fiber Push On (MPO) 成端ケーブルやMPOコネクタ付きトランクケーブルの更なる低損失接続を実現する製品開発を加速していきます。また、今後、高密度・大容量伝送が進むにつれ、小型・高密度収容の光コネクタ開発を積極的に進めています。2021年度は、現存の主力多心コネクタであるMPOの1/3のフットプリントで実装可能な、ミニ多心コネクタ(MMC)を開発しました。さらに光コネクタ接続作業部において、安定した接続特性と作業効率化を実現できるMMC用クリーナーを開発しました。これらの成果は、2022年度に開催される国際学会で発表を予定しています。また、光ケーブルの接続点収容及び各種光コネクタを切替接続可能に収容した多心光接続収容箱を開発・製品化し、国内外のケーブルキャリアに採用されました。一方、伝送装置周辺や装置基盤で使用される光コネクタの小型化、高性能化及び高機能化開発にも注力しています。フロント、バックパネル光コネクタ、取り扱い性に優れた多心レンズ型光コネクタには、これまで磨いてきた高精度技術、レンズ技術を適用すべく開発を進めています。2021年度は、データセンタ、長距離通信市場で必要とされる大容量高速通信伝送装置に関して、LSI近傍で光ファイバを接続する方式である、Co-Packaged Optics用小型多心光コネクタを開発しました。 通信用光ファイバは、高密度ケーブル向けに被覆の細径化が大きな流れになっており、通常のファイバよりも断面積を35%低減させた200 µm被覆径ファイバは、FutureGuide® LWP plus-200、 SR15E-200として好評をいただいております。当社ではケーブルのさらなる高密度化に向けて被覆径160 µmのファイバ及び本ファイバを用いた1,728心SWR®&WTC®を開発し、2021年6月に米国にて開催されたOFC2021※にて発表しました。本論文はTop Scored Papersの一つに選ばれ、高い評価を受けました。引き続き、商用化に向けた開発を進めて参ります。※OFC : Optical Fiber Communication Conference。光通信に関する最大規模の主要国際学会の一つ。 光ファイバ1本に複数のコアを持つマルチコアファイバ(Multi-Core Fiber;MCF)は、今後の高密度・大容量伝送用光ファイバ候補のひとつであり、当社では実用化に向けた開発を進めています。2021年度は、現在の汎用光ファイバと同じ外径を有し、コアが4個のMCFの製造技術開発・低コスト化に注力しました。国立研究開発法人 情報通信研究機構の委託を受け、NTT、KDDI総合研究所、他のファイバメーカと共に「マルチコアファイバの実用化加速に向けた研究開発」を進めております。一方、MCFの実用化のためにはコアがひとつの汎用光ファイバとの接続技術も重要であり、その入出力デバイス、接続技術など周辺技術の確立により実用化を加速させます。今後、マルチコアファイバの実用化をめざすとともに、将来の多大なデータ通信需要に対応可能な光伝送基盤の実現に貢献していきます。 光ファイバケーブルの敷設施工等で使用される光ファイバ融着接続機を開発しています。コア調心融着接続機に搭載した自動放電制御機能をクラッド調心機にも搭載し、上市しました。この機能は、①融着接続前の切断端面状態に応じて最適な放電制御を行う、②放電時の光ファイバ熱発光強度を分析しリアルタイムで放電制御を行う、ことができます。従来から備えている無線通信による光ファイバカッタ切断刃の状態を管理する機能と一緒に使用することで、融着接続のやり直し作業の低減に貢献します。今後も引き続き、より低損失で安定した接続を可能とする製品を開発することを通じて光ファイバの敷設施工効率改善に貢献していきます。 金属のマーキング、溶接、切断で使用されるレーザ加工機の市場では、ビーム品質が良く、かつ小型で電力変換効率が高い光源を利用したファイバレーザへの乗り換えが進んでいます。当社は、光通信用ファイバや光部品で培ったコア技術をベースにファイバレーザの研究開発に注力してきました。2021年度は、半導体を中心とした電子デバイス向けに、各用途に最適な特殊ファイバを用いたパルスファイバレーザの開発・製品化を進めており、巣ごもり需要を中心とした電子分野の旺盛な需要に応えていきます。 なお、当セグメントに係る研究開発費は108億円であります。 [電子電装・コネクタ事業部門] (エレクトロニクス事業部門) 民生及び産業用の電子機器に使われるフレキシブル・プリント配線板(FPC)、メンブレン※、コネクタ、電子ワイヤ、センサ、ハードディスク、サーマル製品の開発を行っています。スマートフォンに代表されるモバイル機器は、情報通信速度の高速化や高機能化が進み、周辺機器とのつながりやすさが強く要求されています。また、自動車の電動化、情報化、知能化が加速する中で、需要が増えている自動車用電子部品は、各種環境下での高い信頼性が要求されています。※メンブレン:銀などの金属インクを、樹脂基板に印刷することにより形成した電子回路基板。 FPCについては、スマートフォンを中心とした電子機器の高密度化や高速伝送に対応するため、高精細回路、電気特性を向上させた多層基板の開発を進めています。また、車載用途として、バッテリ監視用途などの車両の電動化及び先端運転支援システム(ADAS)に対応する製品群の技術開発を進めています。加えて、医療、ウェアラブル用途などの特殊構造の製品開発にも取り組んでおります。 メンブレンについては、印刷回路の細線化や新規機能性ペーストの商品化を進め、従来のパソコン、車載市場に加え、医療、ヘルスケアといった新しい市場を開拓しています。さらにストレッチャブルメンブレンを応用した商品の開発を進め、新たな用途への展開を進めています。 コネクタについては、「小型・低背」「堅牢」「防水」「高速伝送」「作業性」をキーワードに、高機能化(高操作性、高強度、大電流、複合化など)した製品開発を推進しています。モバイル機器用途では、Board to Boardコネクタの小型・堅牢化や、バッテリ用コネクタ等の製品バラエティ拡充を進めています。産業機器用途では、NC工作機やロボット、半導体製造装置に対応した小型・防水・多芯の製品ラインナップ拡充を進めています。また5G関連の通信用途向けコネクタの開発や、自動車用途における自動車の情報化・知能化に対応すべく、高速通信用コネクタの開発に注力しています。 電子ワイヤについては、エレクトロニクス市場での更なる高速、高容量データ伝送の要求に応えるべく開発を進めています。モバイル機器やウェアラブル機器では、非常に限られたスペース内で高速な信号を伝送する用途や、高屈曲耐久を有した接続のニーズがあり、これらを実現する機器内配線用極細同軸ケーブルアセンブリの開発を進めています。 センサについては、空圧機器市場や医療市場の要求に応え、また製品ラインナップを強化するため、高分解能デジタル出力圧力センサ、高精度差圧計測用センサ、小型圧力センサを開発しています。 サーマル製品については、高性能化が進むスーパーコンピュータやハイエンドサーバ、市場の拡大するデータセンタ用サーバ向けに、CPUの発熱量や発熱密度の増加に対応するため水冷式クーリングユニット及び空冷式ヒートパイプモジュールの高性能化に向けた開発を進めています。また、IGBT等パワー半導体向けに、大容量に対応したベーパーチャンバやヒートパイプ製品の高性能化に向けた開発を進めています。 なお、当セグメントに係る研究開発費は29億円であります。 (自動車事業部門) CASE (Connected、Autonomous, Shared & Services、Electric) と呼ばれる自動車業界トレンドに対応すべく、Electric Distribution System (EDS)※ 関連の新商品・新技術開発を推進しています。 ※EDS:自動車用ワイヤハーネス及び配電部品を使用した、電源・信号の分配・制御システム ConnectedとAutonomousの分野では、その進化を支えるために必須となる大容量高速通信が可能なハーネスや車載ネットワーク配線のシミュレーション技術などの開発を推進しています。 Electricの分野では、軽量化による低燃費化、低消費電力化などのカーメーカーのニーズに対応すべく、高電圧ハーネスや軽量化ハーネスのほか、大電流電源分配BOX、急速充電コネクタに加えて、電源供給の最適化を目指した車両全体の電気回路シミュレーション技術の開発や、電源制御技術の開発を推進しています。当社は、100年に1度とも言われる自動車の大変革の時代に向けて、EDSのみならず、CASEで広がりが期待される新しい領域の技術開発も推進しています。 なお、当セグメントに係る研究開発費は13億円であります。
FY2021|6,877 文字
5【研究開発活動】 当社グループでは、環境問題やエネルギー問題などの社会課題解決を通じて事業を発展することを目指し、エネルギー・情報通信、及び電子電装・コネクタ各分野を中心に、新技術並びに新商品の開発を積極的に推進しています。当社グループの研究開発活動は、コーポレートR&D部門、新規事業推進センターおよび各カンパニーにおいて実施しております。 【コーポレートR&D部門・新規事業推進センター】 「5G」時代に向けて、移動体通信基地局や、そのフロントホール・バックホール、固定通信網ラストマイルなどの次世代大容量高速無線通信に利用されるミリ波帯通信デバイスの開発を進めています。当社は、米国IBM社よりライセンスを受けたミリ波RF(高周波)-IC技術と、当社のアンテナ設計・基板製造技術を組み合わせて製品を実現します。28GHz帯5G向けアンテナ一体型RFモジュールは、アンテナ、IC、フィルタを統合しており、2021年秋にサンプル出荷を予定しています。 60GHz帯においては、関西電力送配電株式会社、京セラ株式会社、神姫バス株式会社ら6社と共同で路車間通信の実証実験を行いました。当社開発の60GHzミリ波無線通信モジュールをはじめとする各種の通信機器を電柱及び路線バスに設置し、路車間の高速無線接続による車載カメラ映像のリアルタイムアップロードや、安全運転支援に必要となる車両位置の高精度測位等により、性能を実証しております。当社60GHz無線通信モジュールは、2 Gbps超の通信スピードと500m超の長距離伝送を同時に実現する世界トップクラスの性能を有しており、2020年よりサンプル提供を開始しています。 ICや受動部品などをポリイミド多層配線板に埋め込んだ薄型部品内蔵基板「WABE Package®」(Wafer And Board level device Embedded Package)の開発、量産化を進めています。2個のICチップを厚さ方向に重ねて埋め込んだ2チップスタック型部品内蔵基板の量産出荷に続き、2020年度は世界初の技術である3個のICチップを埋め込んだ3段Chip-stack WABE®についても開発を完了し、顧客への拡販を進めています。当社は複数部品を内蔵した超高精細・超多層の高密度部品内蔵基板により、製品の小型・軽量化に貢献していきます。 医療用機器用極小CMOSイメージセンサを用いた撮像モジュールの開発を進めています。極小サイズで安価なCMOS撮像素子モジュールは、電子内視鏡のディスポーザブル化を実現して感染防止に寄与するとともに、極細・可撓性の特徴を活かして可視アクセス領域を拡大し、病巣の検出能力を向上します。2020年度より、当社の光技術及び電子技術を活用した極細径撮像素子モジュールを大手医療機器メーカーに、納入開始しました。また、世界の医療機器開発の中心の一つである米国ミネアポリスに拠点を構えるFAIでは、治療法の確立していない疾患に対する医療ニーズ(アンメットニーズ)に応える活動を展開しています。 色素増感太陽電池を電源としたLoRaWAN※方式のエネルギーハーベスト型センサシステムに、独自に構築(IoTクラウドを組み合わせた、センサシステムからクラウドアプリケーションまでの総合ソリューションサービスを開始しました。2020年度は、西日本電信電話株式会社と共同で熱中症対策や季節性インフルエンザの見える化システムの販売を開始しました。※LoRaWAN:LoRa Allianceが定めた省電力・長距離通信を特徴とする広域無線ネットワーク規格の名称で、IoT向け無線規格として世界的に広く利用されています。 人工ピンの導入により世界トップの臨界電流特性を有する高温超電導線材の量産技術開発を完了し、販売、提供を開始しました。また、米国BRUKER Corporationと共同で、1.2GHz(磁場強度28.2テスラ)の高分解能Nuclear Magnetic Resonance(NMR;核磁気共鳴)用超高磁場超電導磁石の実用化に成功しました。28.2テスラの磁場強度は、2020年5月時点で高分解能NMRにおける世界記録であります。NMRの分解能の向上は新型コロナウィルス感染症(COVID-19)に関する研究や、アルツハイマー病、パーキンソン病、がん研究などを促進し、社会に大きな貢献をもたらすと期待されます。 当社超電導研究部フェローの飯島康裕博士(工学)は、2020年11月に、電気・情報工学分野における世界最大級の学術研究団体であり、また技術標準化機関であるIEEE(アイ・トリプル・イー)より、Dr. James Wong Awardを授与されました。この賞は、レアアース系高温超電導の線材実用化の大きな課題であった、超電導結晶の配向制御に欠かせないイオンビームアシスト蒸着法の発明と、同法および人工ピン技術を効果的に取り入れた高特性長尺線材実用化における顕著な貢献が認められたものです。本技術は、現在当社をはじめ、多くの超電導線材開発製造機関に採用されています。 セグメント別の研究開発活動及びその成果は次のとおりで、当連結会計年度の連結研究開発費は165億円であります。 【エネルギー・情報通信カンパニー】 5GやIoTなど多様な情報通信サービスの普及にともない、光ファイバケーブルの需要が世界的に拡大しています。フジクラでは、既存設備を有効利用し経済的に光ファイバ網を構築する技術として、世界トップレベルの細径・高密度な光ファイバケーブル「Spider Web Ribbon®/Wrapping Tube Cable®」(以降,SWR®/WTC®)を製品化しています。2020年度は、細径光ファイバを用いた超多心光ケーブルや、欧州建設資材規制(CPR)に適合した高い難燃性を有する屋内配線用光ケーブルを開発し、世界的に拡大するデータセンター需要に応えました。さらに、国内の通信環境に適合し、従来の1.5倍の高密度化を実現した国内最大心数の3000心光ファイバケーブルを実用化しました。今後もSWR®/WTC®の技術をもとに革新的な光ファイバケーブルを開発し、世界各国の通信ネットワークの発展に貢献していきます。 これらの光ケーブルの接続点に使用される光コネクタの高性能化、および、高機能化開発を進めています。2020年度は、高速大容量通信に適した低損失多心光コネクタを開発しました。また、この低損失多心コネクタをSWR®/WTC®の両端末に取り付けた牽引端付きMPO成端ケーブルを製品化しました。コネクタの高密度収容と施工工数の削減が認められ、大手ハイパースケールデータセンター事業者に採用されました。また、屋外の光ケーブル布設に適した防水多心コネクタ、多心接続収容箱、さらには光コネクタ接続時の作効率化が図れる防水コネクタ用クリーナーを開発、製品化し、国内外のケーブルキャリアに採用されました。一方、伝送装置周辺や装置基盤で使用される光コネクタの小型化、高性能化、および、高機能化開発にも注力しています。フロント、バックパネル光コネクタ、取り扱い性に優れた多心レンズ型光コネクタには、これまで磨いてきた高精度技術、レンズ技術を適用すべく開発を進めています。2020年度は、通信データの大容量化に対応した伝送装置やデータセンターへの適用が見込める超低損失小型多心光コネクタを開発しました。 通信用の光ファイバでは、高密度ケーブル向けに被覆の細径化が大きな流れになっています。通常のファイバよりも断面積を35%低減させた200µm被覆径ファイバはFutureGuide® LWP plus-200, SR15E-200として好評をいただいております。さらなるケーブルの高密度化に向けて被覆径160µmファイバの開発を進めており、その成果については2021年6月に米国にて開催されるOFC2021※にて発表を予定しています。※OFC : Optical Fiber Communication Conference。光通信に関する最大規模の主要国際学会の一つ。 光通信機器等で使用されるPANDA※(偏波面保持機能)ファイバにおいては、次世代の高速通信で使用される小型光通信機器での収納に適した曲げ半径5mmに対応したクラッド径80µm-PANDAファイバをリリースしました。今後も通信機器メーカーの要望に応じたPANDAファイバを開発していきます。※PANDA:Polarization-maintaining AND Absorption-reducing 光ファイバ1本に複数のコアを持つマルチコアファイバ(Multi-Core Fiber;MCF)は、今後の高密度・大容量伝送用光ファイバの候補のひとつであり、当社では実用化に向けた開発を進めています。2020年度は、現在の汎用光ファイバと同じ外径を有し、コアが4個のMCFの製造技術開発・低コスト化に注力しました。国立研究開発法人情報通信研究機構殿の委託を受け、NTT、KDDI総合研究所、他のファイバメーカと共に「マルチコアファイバの実用化加速に向けた研究開発」を進めております。本開発の狙いはMCFの早期実用化です。一方、MCFの実用化のためにはコアがひとつの汎用光ファイバとの接続技術も重要となっており、その入出力デバイス、接続技術などの周辺技術の確立により実用化を加速させます。今後、マルチコアファイバの実用化をめざすとともに、将来の多大なデータ通信需要に対応可能な光伝送基盤の実現に貢献していきます。 光ファイバケーブルの敷設施工で使用される光ファイバ融着接続機を開発しています。コア調心融着接続機では、更なる低損失接続実現のため、新たな放電制御機能を搭載し、上市しました。この機能は、①融着接続前の切断端面状態に応じて最適な放電制御を行う、②光ファイバ種類の自動判別結果に基づき最適な放電条件を選定する、③放電時の光ファイバ熱発光強度を分析しリアルタイムで放電制御を行う、ことができます。従来から備えている無線通信による光ファイバカッタ切断刃の状態を管理する機能と一緒に使用することで、より安定した低損失接続が可能となり、融着接続のやり直し作業低減に貢献します。今後も引き続き融着接続技術を改善し、施工効率に貢献する製品を開発していきます。 金属のマーキング、溶接および切断で使用されるレーザ加工機の市場では、ビーム品質が良く、かつ小型で電力変換効率が高い光源を利用したファイバレーザへの乗り換えが進んでいます。当社は、光通信用ファイバや部品で培ったコア技術をベースにファイバレーザの研究開発に注力してきました。2020年度は、高出力マルチモード・ファイバレーザで出力12kWを実現し、製品ラインナップを拡充しました。また、半導体を中心とした電子デバイス向けには、各用途に最適な特殊ファイバを用いたパルスレーザの開発・製品化を進めており、巣ごもり需要を中心とした電子分野の旺盛な需要に応えていきます。 エネルギー問題がますます重要性を増す中で、省エネルギーの推進、環境負荷の低減、資源の有効活用につながるケーブル・機器の開発を積極的に進めています。環境保護政策により普及が進む電気自動車の充電インフラとして、航続距離延長のため急速充電器の設置が加速しています。バッテリ容量の拡大および充電時間の短縮のため、従来の3~7倍の出力の充電器が実用化されており、液冷ケーブル用コネクタの規格化が進んできました。当社では、国内初となる400kWクラスの充電器に適用可能な大容量充電のための、ケーブルおよびコネクタ接続端子冷却技術を開発しています。更に次世代の充電器に対応するため、900kWクラスに適用できる冷却技術の研究開発を進め、冷却効率に優れ、操作性・取扱い性に優れる充電コネクタ・ケーブルの開発に注力します。 なお、当セグメントに係る研究開発費は113億円であります。 【電子電装・コネクタカンパニー】(エレクトロニクス事業部門) 民生及び産業用の電子機器に使われるフレキシブル・プリント配線板(FPC)、メンブレン※、コネクタ、電子ワイヤ、センサ、ハードディスク、サーマル製品の開発を行っています。スマートフォンに代表されるモバイル機器は、情報通信速度の高速化や高機能化が進み、周辺機器とのつながりやすさが強く要求されています。また、自動車の電動化、情報化、知能化が加速する中で、需要が増えている自動車用電子部品は、各種環境下での高い信頼性が要求されています。※メンブレン:銀などの金属インクを,樹脂基板に印刷することにより形成した電子回路基板。 FPCについては、スマートフォンを中心とした電子機器の高密度化や高速伝送に対応するため、高精細回路、電気特性を向上させた多層基板の開発を進めています。特に、高精細FPCはセミアディティブ基板※をRoll to Rollで製造する技術を確立しており、用途拡大の段階に入りました。車載用途としては、車両の電動化及び先端運転支援システム(ADAS)に対応する製品群の技術開発を進めています。また、医療、ウェアラブル用途の特殊構造の製品開発にも取り組んでおります。※セミアディティブ基板:選択的銅めっき技術を用いて作製される、高精細配線を有するFPC メンブレンについては、印刷回路の細線化や新規機能性ペーストの商品化を進め、従来のパソコン、車載市場に加え、医療、ヘルスケアといった新しい市場を開拓しています。さらに、ストレッチャブルメンブレンを応用した商品の開発を進め、新たな用途への展開を進めています。 コネクタについては、「小型・低背」「堅牢」「防水」「高速伝送」「作業性」をキーワードに、高機能化(高操作性、高強度、大電流、複合化など)した製品開発を推進しています。モバイル機器用途としては、Board to Boardコネクタの小型・堅牢化、バッテリ用コネクタ等の製品バラエティ拡充を進めています。産業機器用途では、屋内照明用低背型コネクタや、4K/8K放送用、5G基地局用等のコネクタの開発を進めています。また、自動車用途についても、自動車の情報化・知能化に対応すべく、高速通信用コネクタなどの開発に注力しています。 電子ワイヤについては、エレクトロニクス市場での更なる高速、高容量データ伝送の要求に答えるべく開発を進めています。モバイル機器やウェアラブル機器などの用途では、非常に限られたスペース内で、高速な信号を伝送する用途や、高屈曲耐久を有した接続のニーズがあり、これらを実現する機器内配線用極細同軸ケーブルアセンブリの開発を進めています。 センサについては、製品ラインナップを強化するため、高分解能デジタル出力圧力センサ、高精度差圧計測用センサ、小型圧力センサを開発しています。 サーマル製品については、スーパーコンピュータやハイエンドサーバの高性能化に伴い、CPUの発熱密度の増加に対応した更なる冷却性能の向上が求められており、これらのニーズに応えるべく、水冷式クーリングユニットの高性能化を進めています。また、IGBT等パワー半導体向けに、大容量に対応した高性能ベーパーチャンバや、ヒートパイプ製品の開発を進めています。 なお、当セグメントに係る研究開発費は34億円であります。 (自動車事業部門) CASE(Connected、Autonomous, Shared & Services、Electric)と呼ばれる自動車業界トレンドに対応すべく、ワイヤハーネスを中心としたElectric Distribution System (EDS)※ 関連の新商品・新技術開発を推進しています。※EDS:自動車用ワイヤハーネス及び配電部品を使用した、電力・情報の分配システムConnectedとAutonomousの分野では、その進化を支えるために必須となる大容量高速通信が可能なハーネスや、車載ネットワーク配線のシミュレーション技術のほか、将来を見据えた10Gbps超の高速通信ネットワーク制御技術の開発を推進しています。 Electricの分野では、軽量化による低燃費化、低消費電力化などのカーメーカーのニーズに対応すべく、高電圧ハーネスやコネクタのほか、電源供給の最適化を目指した車両全体の電気回路シミュレーション技術の開発や、大電流電源制御技術の開発を推進しています。 また、EDSのみならず、CASEで広がりが期待される新しい領域の技術に向けた開発も推進しています。 なお、当セグメントに係る研究開発費は11億円であります。
FY2020|7,059 文字
5【研究開発活動】 当社グループは、①エネルギー・情報通信、②電子電装・コネクタ、各分野の新商品並びに新技術の開発を積極的に行っております。当社グループの研究開発活動は、光応用技術R&Dセンター、電子応用技術R&Dセンター、自動車電装R&Dセンター、および材料応用技術・分析センター、新たな技術領域を創造する目的で設立した「アドバンスト・リサーチ・コア」が全社研究開発を、また各事業部門の開発部が部門別開発活動を進めています。 環境対応型製品開発の一環として、高温超電導線材、色素増感太陽電池とそれを用いたセンサシステムなどの商品化に向けた開発を進めています。高温超電導線材では、人工ピンの導入により世界トップの臨界電流特性を有する線材の開発を完了し、量産の目途が立ったことから、販売、提供を開始しました。幅広い温度域、磁場領域に適用できるレアアース系高温超電導線材は、分析用NMRや医療用MRIなどの強磁場コイル用途において、システムのコンパクト化、高解像度化などが期待されています。 色素増感太陽電池では、この太陽電池を電源としたこれまでのLoRaWAN※方式広域センサシステムに加え、独自のIoTクラウドを構築することで、センサシステムからクラウドアプリケーションまでのソリューションサービスを開始し、西日本電信電話株式会社と共同で熱中症対策システムを実施しました。 ※LoRaWAN:LoRa Allianceが定めた無線ネットワーク規格の名称で、IoT向け無線規格として世界的に広く利用されています。 「5G」(第5世代移動通信システム)時代に向けて、次世代大容量高速無線通信に利用されるミリ波帯通信機器や受動デバイスの開発を進めています。移動体通信フロントホール・バックホールや、固定通信網ラストマイルなどの通信インフラ用途にミリ波モジュールを提供します。昨年、International Business Machine Corporation (以下「IBM」)より5G関連のミリ波RF-IC技術のライセンスを受けることで合意し、IBMのチップ及びパッケージ設計技術と当社のプロセス・アンテナ技術を組み合わせて、次世代28GHz帯RF-ICの開発に着手しました。この自社RF-IC製品を確立することにより、高性能な5G向けミリ波帯無線通信デバイスの開発を加速します。また、60GHz帯においては、高速無線通信を実現するミリ波無線通信モジュールを開発し、サンプル提供を開始しました。このモジュールは、世界トップクラスの2Gbps超の通信スピードと500m超の長距離伝送を同時に実現しています。 ICや受動部品などをポリイミド多層配線板に埋め込んだ薄型部品内蔵基板、「WABE Package®」(Wafer And Board level device Embedded Package)の開発、量産化を進めています。2個のICチップを厚さ方向に重ねて埋め込んだ2チップスタック型部品内蔵基板の量産出荷を開始し、世界初の技術である3個のICチップを厚さ方向に重ねて埋め込んだ超多層構造の3チップスタック型についても開発が完了しました。複数部品を内蔵した超高精細・超多層の高密度部品内蔵基板を提供し、製品の軽薄短小化に貢献していきます。 人々の健康とQOLを維持向上すべく、医用機器用極小CMOS撮像モジュールの開発を進めています。極小サイズで安価なCMOS撮像素子モジュールは、感染防止のための電子内視鏡のディスポ化を実現するとともに、極細・可撓性の特徴を活かして従来困難だった領域への可視アクセスが可能になります。本年度、大手医療機器メーカ向けに当社の光技術及び電子技術を活用した極細径撮像素子モジュールの納入を開始する予定です。また、米国ミネアポリスに医療ビジネスの開拓拠点を設けました。世界の医療機器開発の中心の一つである当地で、アンメットニーズに応える活動を展開していきます。 AI(ディープラーニング)を用いた革新的なものづくりに取り組んでいます。製品検査工程において、AIによる外観異常の検出や、AIによる複数物体からの検査対象物の抽出など、画像に関する独自のAI技術のものづくりへの適用を進めています。また画像以外にも、数値データをAIで分析することにより、異常などを予測する技術の開発も行っています。ものづくりに新しいAI技術を適用し、飛躍的に生産性を向上することを目指しています。 当社は、2020年2月に、世界的な情報サービス企業クラリベイト・アナリティクスより「グローバルイノベータ2020」に選出され、受賞しました。この賞は、保有する特許データを基に知的財産動向を分析し、世界の革新企業・機関トップ100を選出するものです。当社は日米欧中の特許ポートフォリオ強化により、その「グローバル性」を評価され初の受賞となりました。 セグメント別の研究開発活動及びその成果は次のとおりで、当連結会計年度の連結研究開発費は172億円であります。 ①エネルギー・情報通信カンパニー 情報通信量の飛躍的な増大に伴う光通信ネットワーク整備に向けて、需要拡大が予想される細径ファイバ、ならびに光ファイバの低損失化の開発を進めています。 5G通信やクラウドサービスなどの高速大容量通信の拡大を背景に、既存設備を有効利用し、経済的に光ファイバケーブル網を構築する技術として、世界トップレベルの細径・高密度な光ファイバケーブル「Spider Web Ribbon®/Wrapping Tube Cable™」を開発し製品化しています。2019年度は、Spider Web Ribbon®/Wrapping Tube Cable™ 技術を用いた新たな製品として、空気圧送布設に適したAir Blown WTC(AB-WTCTM)を開発し、英国の最大手通信事業社British Telecommunications plcに本格採用されました。これらの技術をもとにしたICT事業への技術的進捗と普及への貢献が認められ、一般社団法人電気通信協会の「ICT事業奨励賞」を受賞しました。今後もSpider Web Ribbon®/Wrapping Tube Cable™の技術による差別化、高機能光ケーブルを開発し、日本のみならず世界各国の光通信ネットワークの構築に貢献していきます。 これらの光ケーブルの接続点に使用される防水型光コネクタ、現場付けコネクタ等の性能を向上するためにも高精度技術が一層重要になってきています。2019年度は、通信の品質向上が図れる低反射現場付けコネクタを開発しました。光コネクタを搭載した光ケーブル成端ユニット等の開発も進め、相反することもある接続のしやすさと高性能・高機能を独自の技術で解決し、製品の魅力を高めていきます。また、伝送装置周辺で使用される光コネクタの高性能化、および、高機能化にも注力しています。フロント、バックパネル光コネクタ、取り扱い性に優れた多心レンズ型光コネクタには、これまで磨いてきた高精度技術、レンズ技術を適用すべく開発を進めています。2019年度は、通信データの大容量化に対応した伝送装置やデータセンターへの適用が見込める超低損失多心光コネクタを開発しました。また、伝送装置のバックプレーンでの光コネクタの接続時に、作業効率化が図れるバックプレーンコネクタクリーナーを開発しました。 光通信機器等で使用されるPANDA※(偏波面保持機能)ファイバにおいては、次世代の小型光通信機器に使用され始めたシリコンフォトニック(SiPh)デバイスに適したTEC-PANDAファイバ(TEC:Thermally-diffused Expanded Core)を開発しました。このファイバは、スポットサイズの小さなシリコン光導波路との接続損失を低減でき、また融着時にコア径を拡大させるTEC技術により汎用光ファイバとの接続損失も低減します。 ※PANDA:Polarization-maintaining AND Absorption-reducing 将来の大容量伝送用光ファイバの有力候補であるマルチコアファイバは、光ファイバ1本に複数のコアを持つファイバで、実用化に向けた開発を進めています。2019年度は、現在の汎用光ファイバと同じ外径を有し、コアが4個のマルチコアファイバの低コスト化に注力しました。国立研究開発法人情報通信研究機構の委託を受け、日本電信電話株式会社、株式会社KDDI総合研究所、他のファイバメーカと共に「マルチコアファイバの実用化加速に向けた研究開発」を進めています。本開発の狙いは普及型MCFの早期実用化です。一方、汎用光ファイバとの接続技術も重要となっており、その入出力デバイス、接続技術などの周辺技術の確立により実用化を加速させます。今後、マルチコアファイバの実用化をめざすとともに、将来の多大なデータ通信需要に対応可能な光伝送基盤の実現に貢献していきます。 光ファイバケーブルの敷設施工の効率化のため、新型のコア調心融着接続機と多心融着接続機を開発し、上市しました。コア調心融着接続機では、施工時間の短縮と作業性の向上を実現する機能を追加しました。追加機能により、「接続された光ファイバの取り出し、補強用スリーブの位置決め、加熱器へセット」までの作業時間を従来機に比較して大幅に短縮しました。多心融着接続機では、光ファイバの位置決め部であるV溝ユニットを現地で接続心数に合わせて交換し、最適な専用機とすることができます。また、V溝に付着したゴミによる接続損失発生時にも、V溝交換により即座に対応できます。今後も引き続き融着接続技術を改善し、施工に貢献する製品を開発していきます。 金属のマーキング、溶接および切断で使用されるレーザ加工機の市場では、ビーム品質が良く、かつ小型で電力変換効率が高い光源を利用したファイバレーザへの乗り換えが加速しています。当社は、光通信用ファイバや部品で培ったコア技術をベースにファイバレーザの研究開発に注力してきました。2019年度は、高出力シングルモード・ファイバレーザで出力8kWを出力出来ることを確認し、製品化へ向け大きく前進しました。 また、こうしたフジクラのファイバレーザを支えている、半導体レーザの分野においても19年度は大きな進歩がありました。従来から高出力技術でトップを走ってきた当社は、昨年度、従来比3ポイント以上(64%→67%以上)の高効率化を達成しました。商用として世界トップレベルのこの半導体レーザを活用した高効率ファイバレーザの開発により、低消費電力社会に貢献していきます。 エネルギー問題がますます重要性を増す中で、省エネルギーの推進、環境負荷の低減、資源の有効活用につながるケーブル・機器の開発を積極的に進めています。航続距離延長や環境保護政策により、普及が進む電気自動車の充電インフラとして、急速充電器の設置数が増大しています。バッテリ容量の大容量化に伴う充電時間短縮のニーズに応えるため、従来の3~7倍の出力の充電器が実用化されており、液冷ケーブル用コネクタの規格化が検討されています。当社では、国内初となる400kWクラスの充電器に適用可能な高出力充電ケーブルおよびコネクタ接続端子の冷却技術を開発しています。大容量急速充電に対応する冷却効率に優れ、操作性・取扱い性に優れる充電ケーブルおよびコネクタの開発に注力しています。 また、電力インフラの老朽化、保全工事の担い手不足が課題となる中、リアルタイムデータに基づいたスマートメンテナンスに不可欠なセンシング技術による常時監視システムの開発を進めています。エネルギー問題がますます重要性を増す中で、省エネルギーの推進、環境負荷の低減、資源の有効活用につながるケーブル・機器の開発を積極的に進めています。 なお、当セグメントに係る研究開発費は112億円であります。 ②電子電装・コネクタカンパニー (エレクトロニクス事業部門) 民生及び産業用の電子機器に使われるFPC・メンブレン・コネクタ・電子ワイヤ・センサ・ハードディスク・サーマル製品の開発を行っています。スマートフォンに代表されるモバイル機器は、情報通信速度の高速化や高機能化が進み、周辺機器とのつながりやすさが強く要求されています。また、自動車の電動化、情報化、知能化が加速する中で、需要が増えている自動車用電子部品は、各種環境下での高い信頼性が要求されています。 FPCについては、電子機器の高密度化や高速伝送化に対応するため、高精細FPCをコア技術とした高密度実装のトータルソリューションの提供を目的として開発を進めています。高精細FPCの対応についてはセミアディティブ法の採用を進め、高速伝送化への対応については低誘電率・低誘電損失の材料を適用した製品開発を進めています。また、車載用途としては、軽量化や立体配線を実現する配線材料のニーズが高まっており、これを実現するための技術開発を進めています。加えて、高信頼性確保のため、自動化を推進し、製造での更なる工程能力向上、検査能力向上に取り組んでいます。また、FPCとアルミ材を直接接合する技術を開発し、FPCを利用した大電流アプリケーションへの適用を目指しています。 メンブレンについては、細線印刷技術や機能性ペーストの開発を進めることでパソコン、家電、車載用など従来の需要に加え、医療、ヘルスケアといった新しい市場を開拓してまいります。さらに、ストレッチャブルメンブレンでは、ウェアラブル製品への拡販や他用途への応用も進めてまいります。 コネクタについては、「小型・低背」「堅牢」「防水」「高速伝送」「作業性」をキーワードに、高機能化(高操作性、高強度、大電流、複合化など)した製品開発を推進しています。モバイル機器用途としては、Board to Boardコネクタの小型・堅牢化、バッテリ用コネクタ等の製品バラエティ拡充を進めています。産業機器用途では、屋内照明用低背型コネクタや、4K/8K放送用、5G基地局用等のコネクタの開発を進めています。また、自動車用途についても、自動車の情報化・知能化に対応すべく、高速通信用コネクタなどの開発に注力しています。 電子ワイヤについては、エレクトロニクス市場での更なる高速、高容量データ伝送の要求に答えるべく開発を進めています。モバイル機器やウェアラブル機器などの用途では、非常に限られたスペース内で、高速な信号を伝送する用途や、高屈曲耐久を有した接続のニーズがあり、これらに貢献する機器内配線用極細ケーブルアセンブリの開発を進めています。 センサについては、高精度な増幅・温度補償済み圧力センサの製品ラインナップに加え、絶対圧計測用圧力センサ、差圧計測用センサを開発しています。また、酸素センサについても、小型化製品を開発し提供しています。 サーマル製品については、スーパーコンピュータやハイエンドサーバーの高性能化に伴い、CPUの発熱密度の増加に対応した更なる冷却性能の効率化が求められており、これらのニーズに応えるべく、水冷式クーリングユニットの高性能化を進めています。また、スマートフォン等のモバイル機器向けに、薄型省スペースの熱対策部品のニーズに応えるべく、0.4mm以下の厚さの超薄型ベーパーチャンバー、超薄型ヒートパイプ製品のさらなる熱性能の向上、薄型化の開発を進めています。 なお、当セグメントに係る研究開発費は35億円であります。 (自動車事業部門) CASEの自動車業界トレンドに対応するため、ワイヤハーネスを中心としたEDS(Electric Distribution System)の分野と、エレクトロニクス事業で培った薄型配線材の技術を応用した機能モジュールの分野で、新商品・新技術の開発を推進しています。 自動車電装R&Dセンターでは、大容量高速通信に対応するハーネスと、それを用いた車載ネットワークシステムとシミュレーション技術を開発し、ワイヤハーネスの進化を支えます。従来の12V系に加えて高電圧系も含めた電源システム全体を俯瞰し、ジョイントボックスその他の電源分配システムの電子化と高機能化をさらに進め、車両一台分の電気回路シミュレーションを活用して電源供給を最適化し、低燃費化、軽量化などのカーメーカーのニーズに応えます。ワイヤハーネスのみならず、CASEで広がりを期待される新しい領域の技術に向けた開発も推進しています。 機能モジュールの分野では、シートベルトリマインダに関する保安基準の改正により、後席シートにおけるセンサ適用の検討を進めており、後席における特有の検知・非検知スペックに対応できるセンサ構造の標準化を推進しています。 欧州顧客に対しては、ドイツのFujikura Technology Europe GmbH(FTE社)を活用し、最新トレンドを把握しつつ、現地顧客との共同プロジェクトを通して、次世代車向けの研究開発活動に注力しています。 なお、当セグメントに係る研究開発費は17億円であります。
FY2019|6,376 文字
5【研究開発活動】 当社グループは、①エネルギー・情報通信、②エレクトロニクス、③自動車電装各分野の新商品並びに新技術の開発を積極的に行っております。当社グループの研究開発活動は、先端技術総合研究所、自動車電装R&Dセンター、および材料応用技術・分析センターが全社研究開発を、また各事業部門の開発部が部門別開発活動を進めています。 環境対応型製品開発の一環として、高温超電導線材、色素増感太陽電池とそれを用いたセンサシステムなどの商品化に向けた開発を進めています。高温超電導線材では、人工ピンの導入による世界トップの性能を達成し、さらなる特性・信頼性の向上とともに事業化に向けた量産技術の開発に取り組んでいます。高磁場中でも高い特性を有するイットリウム系高温超電導線材は、分析用NMRや医療用MRIなどの強磁場コイル用途において、システムのコンパクト化、高解像度化などが期待されています。 色素増感太陽電池においては、低照度下での高効率発電特性を利用したエネルギーハーベスティング用薄型モジュールを自立型電源として利用し、IoT無線センシングをより広範囲なエリアに適用可能とするLPWA(Low Power Wide Area Network)技術による無線システムを搭載した「エネルギーハーベスト型LoRaWAN™屋内/屋外センサノード」を開発しました。このセンサノードは、温度、湿度、照度、気圧などのメンテナンスフリー・IoTセンシングを可能にします。 ※LoRaWAN: LoRa Allianceが定めた無線ネットワーク規格の名称で、IoT向け無線規格として世界的に広く利用されています。 「5G」(第5世代移動通信システム)時代に向けて、次世代大容量高速無線通信に利用されるミリ波帯通信機器や受動デバイスの開発を進めています。移動体通信フロントホール・バックホールや、固定通信網ラストマイルなどの通信インフラ用途にミリ波モジュールを提供します。このモジュールは、フェーズドアレイを用いたビームフォーミング機能により、高利得で鋭いアンテナビームを広範囲に方向制御できるもので、ミリ波帯を用いて、大容量データを中距離で超高速伝送することを実現します。 新しいダイレクト印刷技術を用いて透明電極フィルムの開発を進めています。このフィルムは、樹脂フィルム状へ独自の新印刷法により線幅2μmの超極細銀配線を形成し、低抵抗・高透明・優れた可撓性を実現します。大型タッチパネル用途をはじめとして、透明アンテナや曇り止めヒータ、スマートウィンドウ用電極など様々な微細配線ソリューションへの展開を進めていきます。 ICや受動部品などをポリイミド多層配線板に埋め込んだ薄型部品内蔵基板、「WABE Package®」(Wafer And Board level device Embedded Package)の開発、量産化を進めています。2個のICチップを厚さ方向に重ねて埋め込んだ2チップスタック型部品内蔵基板の量産出荷を開始し、世界初の技術である3個のICチップを厚さ方向に重ねて埋め込んだ超多層構造の3チップスタック型についても開発が完了しました。複数部品を内蔵した超高精細・超多層の高密度部品内蔵基板を提供し、製品の軽薄短小化に貢献していきます。 人々の健康とQOLを維持向上すべく、医用機器に搭載可能な極小CMOS撮像素子のモジュール化を進めています。極小サイズで安価なCMOS撮像素子モジュールは、使い捨てが困難であった電子内視鏡の単回使用を実現するとともに、極細・可撓性の特徴を活かして従来困難だった領域への可視アクセスが可能になります。極小CMOS撮像素子により、医療イノベーションの創出を促進し医療の発展に貢献していきます。ディープ・ラーニングを用いた人工知能(AI)の研究開発に取り組んでいます。独自の学習方法を開発し、製品製造工程での異常をAIにより可視化することにより、先進的なAIによる工程管理を進めています。画像に関するAI技術のさらなる高度化を進め、これまで実施してきたLDウエハ外観検査の安定運用と共に適用範囲を拡大しています。独自のAI技術の製品製造工程への展開を進めることにより、AI+IoTを導入したものづくりを推進しています。当社は、今年度、国際的な情報サービス企業トムソン・ロイターにより世界5,000社のテクノロジー企業を対象にして選出される「Top100グローバル・テクノロジー・リーダー2018」を受賞しました。 セグメント別の研究開発活動及びその成果は次のとおりで、当連結会計年度の連結研究開発費は174億円であります。 ①エネルギー・情報通信カンパニー 光ファイバ1本に複数のコアを持つマルチコアファイバは、将来の大容量伝送用光ファイバの有力候補で、フジクラでは実用化に向け開発を進めています。2018年度は、現在の汎用光ファイバと同じ外径を有し、コアが4個のマルチコアファイバの低コスト化に注力しました。国立研究開発法人情報通信研究機構殿の委託を受け、NTT・KDDI総合研究所・他のファイバメーカと共に「マルチコアファイバの実用化加速に向けた研究開発」を開始しました。本開発の狙いは普及型MCFの早期実用化です。既存光ファイバと同一なクラッド外径を有する普及型MCFの製造法および周辺技術を確立させることで実用化を加速させます。今後、マルチコアファイバ技術の標準化、実用化をめざすとともに、将来の多様なデータ通信需要に対応可能な光伝送基盤の実現に貢献していきます。 通信用光ファイバの新製品として、被覆径200μmの細径光ファイバFutureGuide®-LWP plus 200を商品化いたしました。200μmファイバの断面積は通常ファイバの65%程度であり、細径・高密度ケーブルの実現に大きく寄与します。本ファイバは、国際電気通信連合の低曲げ損失ファイバ勧告(ITU-T G.657.A1)に準拠しながらも、通常ファイバと同程度のコア径を有し、幅広いケーブル構造および用途に適しております。 PANDA(Polarization-maintaining AND Absorption-reducing)ファイバは通信機器等で使用される偏波面保持機能を備えた光ファイバです。フジクラは、現代の通信設備に必須である光通信機器の高密度化、小型化要求に応えるため、省スペース収納を可能とするPANDAファイバを開発しました。汎用のR=15mm、改良品のR=7.5mmをさらに改善したPANDAファイバBIR5シリーズは曲げ半径R=5mmに対応しております。光ファイバをより小さく曲げた際の光学特性の劣化を抑制したうえで、汎用の光ファイバと低損失接続が可能です。 クラウドサービスやIoT(Internet of Thing)技術の発展、5Gサービスの展開を背景に、光ファイバケーブルの需要が拡大しています。光通信の大容量化を支えるケーブル技術として、光ファイバを高密度で実装した細径・軽量な光ファイバケーブル「Spider Web Ribbon®&Wrapping Tube CableTM」を開発し製品化しています。2018年度はデータセンタ市場向けに、世界一の超多心ケーブルとなる6912心ケーブルを開発し製品化しました。また、欧州市場向けに空気圧送布設に適したAir Blown WTCを新たに開発しました。Spider Web Ribbon® & Wrapping Tube CableTMの技術をもとに光ケーブルの差別化、高機能化を図り、世界に向けた製品開発に取り組んでいきます。通信データの大容量化要求を背景に、光コネクタの高性能化、および、高機能化に注力しています。伝送装置周辺で使用されるフロント、バックパネル光コネクタ、取り扱い性に優れた多心レンズ型光コネクタでは、これまで磨いてきた高精度技術、レンズ技術を適用すべく開発を進めています。 光インフラ網を構築する光ケーブル接続点に使用される防水型光コネクタ、現場付けコネクタ等の性能を向上するためにも高精度技術が一層重要になってきています。これらの光コネクタを搭載した光ケーブル成端ユニット等の開発も進め、相反することもある接続のしやすさと高性能・高機能を独自の技術で解決し、製品の魅力を高めていきます。 海外市場でのFTTHネットワーク構築の効率化に向け、新型のFTTH融着接続機を開発し、上市しました。従来機は光ファイバを固定V溝に載せて融着接続を行っていましたが、新型機では可動するV溝が調心した後に融着接続するので低損失が得られます。さらに、融着接続機と光ファイバカッタのそれぞれにBluetooth機能を搭載しました。融着接続機は光ファイバの切断状態を監視し、切断状態が悪化してくると、光ファイバカッタの刃が摩耗してきたと判断します。融着接続機から光ファイバカッタに対して内蔵モータで刃を回転交換させるようBluetoothで指示を出します。自動的に刃を良好な状態に維持するため、接続品質の向上が可能です。今後も光ファイバケーブルの接続作業性を向上するため、融着接続技術の改善を継続します。 金属のマーキング、溶接および切断で使用されるレーザ加工機の市場では、ビーム品質が良く、かつ小型で電力変換効率が高い光源を利用したファイバレーザへの乗り換えが加速しています。当社は、光通信用ファイバや部品で培ったコア技術をベースにファイバレーザの研究開発に注力しています。2018年度は小型・軽量化を図ったパルスファイバレーザ、小型・軽量化および電力変換効率アップを図った高出力連続波ファイバレーザなどをリリースしました。高出力マルチモードファイバレーザでは、新たに出力12kW品を開発し、サンプル出荷を始めています。また、シングルモードファイバレーザでは出力8kWを実現しました。さらなる小型・軽量化および高出力化、電力変換効率アップを目指して研究開発を進めてまいります。 エネルギー問題がますます重要性を増す中で、省エネルギーの推進、環境負荷の低減、資源の有効活用につながるケーブル・機器の開発を積極的に進めております。 航続距離延長や環境政策により、ますます普及が進む電気自動車の充電インフラとして、急速充電器の設置数が増大しています。バッテリ容量の拡大および充電時間の短縮のため、従来の3~7倍の出力の充電器が実用化されており、液冷ケーブルコネクタの規格化が検討されています。大容量急速充電に対応する冷却効率に優れ、操作性・取扱い性に優れる充電コネクタ・ケーブルの開発に注力しております。 また、ケーブル設備の経年化が進む中、リアルタイムデータに基づいたスマートメンテナンスに不可欠なセンシング技術による常時監視システムおよび劣化診断システムの開発を進めています。 なお、当セグメントに係る研究開発費は122億円であります。 ②エレクトロニクスカンパニー 民生及び産業用の電子機器に使われるフレキシブルプリント回路基板(FPC)・メンブレン・コネクタ・電子ワイヤ・センサ・ハードディスク・サーマル製品の開発を行っています。スマートフォンに代表されるモバイル機器は、情報通信速度の高速化や高機能化が進み、周辺機器とのつながりやすさが強く要求されています。また、電気自動車普及の加速に伴い、需要が増えている自動車用電子部品は、各種環境下での高い信頼性が要求されています。 FPCについては、高密度化や高速伝送化に対応するため、高精細FPCをコア技術とした高密度実装のトータルソリューションの提供を目的として開発を進めています。高精細FPCには従来のサブトラクティブ法だけでなく、セミアディティブ法の採用も進めています。また、高速伝送化への対応については、低誘電率・低誘電損失の材料を適用した製品開発を進めています。加えて、高信頼性確保のため、自動化を推進し、製造での更なる工程能力向上、検査能力向上に取り組んでいます。 メンブレンについては、細線印刷技術や機能性ペーストの開発を進めることでパソコン、家電、車載用など従来の需要に加え、医療・ウエアラブル・ヘルスケアといった新しい市場を開拓していきます。 コネクタについては、「小型・低背」「堅牢」「防水」「高速伝送」「作業性」をキーワードに製品開発を推進しています。モバイル機器用途としては、Board to Boardコネクタの小型・堅牢化、バッテリ用コネクタ等の製品バラエティ拡充に取り組みました。産業機器用途では、屋内照明用低背型コネクタや、4K/8K放送用、5G基地局用等のコネクタの開発に取り組みました。 電子ワイヤについては、エレクトロニクス市場での更なる高速、高容量データ伝送の要求に答えるべく開発を進めています。モバイル機器やウエアラブル機器などの用途では、非常に限られたスペース内で、高速な信号を伝送する用途や、高屈曲耐久を有した接続のニーズがあり、これらに貢献するケーブルアセンブリの開発を進めています。センサについては、高精度な増幅・温度補償済み圧力センサの製品ラインナップを拡充すべく、開発を進めています。新たに、絶対圧計測用圧力センサ、差圧計測用センサを開発し、製品ラインナップを拡充しています。 また、酸素センサについても、小型化製品の量産を始めます。 サーマル製品については、スマートフォン等のモバイル機器向けに、薄型の熱対策部品のニーズが高まっていることに応え、0.4mm厚さの超薄型ベーパーチャンバーを開発しました。さらなる熱性能の向上、薄型化に取り組み、開発を進めています。また、スーパーコンピュータ等の大容量冷却向けの水冷式クーリングユニットは、CPUの高性能化、ボードの高密度実装化に伴い、更なる冷却性能の効率化が求められており、これらのニーズに応えるべく開発を進めています。 なお、当セグメントに係る研究開発費は35億円であります。 ③自動車電装カンパニー 自動車電装では、従来の「環境」、「安全」、「快適」に加え、「Connectivity」、「Autonomous」、「Shared & Service」、「Electric」のいわゆるCASEの自動車業界トレンドに対応するため、ワイヤハーネスを中心としたEDS(Electric Distribution System)の分野と、エレクトロニクス事業で培った薄型配線材の技術を応用した機能モジュールの分野で、新商品・新技術の開発を推進しています。 新たに設置した自動車電装R&Dセンターでは、CASEでの大容量高速通信に対応するハーネスと、それを用いた車載ネットワークシステムとシミュレーション技術を開発しています。電気自動車に向けては、急速充電ニーズに対応するための大電流充電・高電圧ハーネス技術の開発を進めています。 機能モジュールの分野では、シートベルトリマインダに関する保安基準の改正により、後席シートにおけるセンサ適用の検討を進めており、後席における特有の検知・非検知スペックに対応できる、センサ構造の標準化を進めています。 2019年度は、ドイツに組織したFujikura Technology Europe GmbH(FTE社)と協力し、欧州顧客の最新トレンドも把握しつつ、次世代車向けの研究開発を進めてまいります。 なお、当セグメントに係る研究開発費は16億円であります。
FY2018|5,579 文字
5【研究開発活動】 当社グループは、①エネルギー・情報通信、②エレクトロニクス、③自動車電装各分野の新商品並びに新技術の開発を積極的に行っております。当社グループの研究開発活動は、先端技術総合研究所が全社研究開発を、また各事業部門の開発部が部門別開発活動を進めております。 環境対応型製品開発の一環として、高温超電導線材、色素増感太陽電池などの商品化に向けた開発を進めています。高温超電導線材では、人工ピンの導入など、更なる特性向上とともに事業化に向けた量産技術の開発に取り組んでいます。高磁場中でも高い特性を有するイットリウム系高温超電導線材は、分析用NMRや医療用MRIなどの強磁場コイル用途において、システムのコンパクト化、高解像度化などが期待されています。国家プロジェクトで高い評価を頂くとともに、超電導線材の基礎研究では低温工学・超電導学会より「業績賞(工業技術業績)」を受賞しました。 色素増感太陽電池においては、低照度下での高効率発電特性を利用したエネルギーハーベスティング用薄型モジュールを自立型電源として利用し、無線部に「高精度同期によるマルチホップ機能」を実装した「マルチホップ無線エネルギーハーベスト(EH)型環境センサシステム」を開発しました。このマルチホップ通信のエネルギーハーベスト化技術は、Embedded Technology & IoT Technology 2017において「IoT Technology優秀賞」を受賞しました。 次世代大容量高速無線通信に利用されるミリ波帯通信機器や受動デバイスの開発を進めています。移動体通信フロントホール・バックホールや、固定通信網ラストマイルなどの通信インフラ用途にミリ波モジュールを提供します。このモジュールは、フェーズドアレイを用いたビームフォーミング機能により、高利得で鋭いアンテナビームを広範囲に方向制御でき、60GHz帯を用いて超高速伝送、長距離伝送を実現します。 新しいダイレクト印刷技術を用いて透明電極フィルムの開発を進めています。このフィルムは、線幅が数マイクロメートルの高精細配線を用いることで高透過率、低抵抗を実現します。フレキシブル用途も含めた大型タッチパネルへの展開を進めています。 ICや受動部品などをポリイミド多層配線板に埋め込んだ薄型部品内蔵基板、「WABE Package®」(Wafer And Board level device Embedded Package)の開発を進めています。3個のICチップを厚さ方向に重ねて埋め込んだ16層の超多層構造となる3チップスタック型部品内蔵基板を世界で初めて実用化しました。このような複数部品を内蔵した高精細・高多層の高密度配線板を提供し、製品の軽薄短小化に貢献していきます。 ディープ・ラーニングを用いた人工知能(AI)の研究開発に取り組んでいます。独自の学習方法を開発し、製品製造工程での異常をAIにより可視化することにより、先進的なAIによる工程管理を進めています。このAI技術により、半導体ウエハ上の各レーザーダイオード(LD)素子の高度の外観判定を達成しました。他の製品製造工程への展開を進め、AI+IoT(Internet of Things)を導入したものづくりを推進します。 セグメント別の研究開発活動及びその成果は次のとおりで、当連結会計年度の連結研究開発費は162億円であります。 ①エネルギー・情報通信カンパニー 長距離高速伝送システム用ファイバとして、低損失光ファイバFutureGuide®-HSCを商品化いたしました。本ファイバは国際電気通信連合の陸上長距離システム向け勧告(ITU-T G.654.E)に準拠しており、デジタル信号処理を用いた最新の伝送システムに最適な特性を有しています。 光ファイバ1本に複数のコアを持つマルチコアファイバは、将来の大容量伝送用光ファイバの有力候補です。2017年度は、現在の汎用光ファイバと同じ外径を有し、コア数が多いファイバの開発に注力しました。日本電信電話株式会社、株式会社KDDI総合研究所、住友電気工業株式会社、古河電気工業株式会社、日本電気株式会社、千葉工業大学と共に開発を行い、世界最大の毎秒118.5テラ・ビット伝送を実現しました。(本開発の一部は国立研究開発法人情報通信研究機構殿の委託研究成果です。)今後、マルチコアファイバ技術の標準化、実用化をめざすとともに、将来の多様なデータ通信需要に対応可能な光伝送基盤の実現に貢献していきます。 PANDA(Polarization-maintaining AND Absorption-reducing)ファイバは通信用偏波面保持光ファイバの代表的な構造で、当社が世界でトップシェアを誇る製品です。2017年度は、高密度、大容量通信に必要な集積シリコン光回路と低損失な結合を可能とする新製品を開発しました。集積シリコン光回路に必要な小コア・小クラッド径を有しながら、汎用の光ファイバとの低損失な結合も可能な特長を備えています。 クラウドサービスやIoT技術の発展を背景に、光ファイバケーブルの需要が拡大しています。光ファイバケーブル網を経済的に構築する技術として、光ファイバを高密度で実装した細径・軽量な光ファイバケーブル「Spider Web Ribbon ®」及び「Wrapping Tube Cable®」を開発し製品化しています。昨年度は世界最高水準の細径・高密度となる3456心ケーブルを製品化しました。また、更なる細径・軽量化を実現するため、被覆径200μmの細径光ファイバを用いた「Spider Web Ribbon ®」及び「Wrapping Tube Cable®」の開発にも取り組んでいます。本ケーブルは、テレコムネットワーク用途のみならず、世界的に拡大するデータセンタ等にも導入が進んでおり、今後も製品ラインナップの拡充と高機能化に注力します。 通信データの大容量化要求を背景に、光コネクタの高機能化にも注力しています。超多心かつ低接続損失を実現する技術に一層の磨きをかけるとともに、伝送装置に使用されるフロント、バックパネル光コネクタ、屋外で使用される多心防水型光コネクタ、取り扱い性に優れた多心レンズ型光コネクタ等製品ラインナップを充実させました。また光デバイス内で使用される高実装密度型光コネクタの開発にも注力しております。 光ファイバケーブルを接続する融着接続装置を中心としたシステムを継続して改良しています。操作性、保守性を大幅に向上させた切断工具の新製品を発売しました。繰り返し切断により切断刃の一部は摩耗しますが、ダイヤルを回すだけで摩耗していない部分へ簡単に位置変更できます。また、光ファイバを把持するゴムクランプや切断刃自体を、お客様が交換できるようになりました。さらに、光ファイバ融着接続装置には無線機能を追加搭載しました。スマートフォンや切断工具との通信を利用した連携動作を実現し、光ファイバケーブルの接続作業性を改善しています。 金属のマーキング、溶接及び切断で使用されるレーザ加工機の市場では、ビーム品質が良く、かつ小型で電力変換効率が高い光源を利用したファイバレーザへの乗り換えが加速しています。当社は、光通信用ファイバや部品で培ったコア技術をベースにファイバレーザの研究開発に注力しています。2017年度は小型・軽量化を図ったパルスファイバレーザ、小型・軽量化及び電力変換効率アップを図った高出力連続波ファイバレーザなどの新製品をリリースしました。高出力マルチモードファイバレーザでは、新たに出力8kWを製品化して製品ラインアップを拡充しました。また、シングルモードファイバレーザでは出力5kWの開発に成功しました。産業応用を踏まえたファイバレーザの高出力化の推進により、レーザ学会より「業績賞(進歩賞)」を受賞しました。更なる小型・軽量化及び高出力化、電力変換効率アップを目指して研究開発を進めてまいります。 エネルギー問題がますます重要性を増す中で、省エネルギーの推進、環境負荷の低減、資源の有効活用につながるケーブル・機器の開発を積極的に進めております。 航続距離延長や環境政策により、ますます普及が進む電気自動車の充電インフラとして、急速充電器の設置数が拡大しています。バッテリ容量の拡大及び充電時間の短縮のため、充電器は現行の3~7倍の出力になるものと予測され、大容量急速充電に対応するためケーブル冷却機能を付加し、操作性・取扱い性に優れる充電コネクタ・ケーブルの開発に注力しております。 また、ケーブル設備の経年化が進む中、リアルタイムデータに基づいたスマートメンテナンスに不可欠な常時監視型劣化診断システムの開発を進めています。 なお、当セグメントに係る研究開発費は103億円であります。 ②エレクトロニクスカンパニー 民生及び産業用の電子機器に使われるフレキシブルプリント回路基板(FPC)・メンブレン・コネクタ・電子ワイヤ・センサ・ハードディスク・サーマル製品の開発を行っています。スマートフォンに代表されるモバイル機器は、情報通信速度の高速化や高機能化が進み、周辺機器とのつながりやすさが強く要求されています。また、電気自動車普及の加速に伴い、車載向けの電子部品の需要も増えており、これらの開発にも力を入れています。自動車用電子部品は、各種環境下での高い信頼性が要求されています。 FPCについては、高密度化や高速伝送化に対応するため、部品内蔵基板、狭ピッチ表面実装、高精細FPCを基盤とした高密度実装のトータルソリューションの提供を目的として開発を進めています。高精細FPCには従来のサブトラクティブ法だけでなく、セミアディティブ法の採用も進めています。また、高信頼性確保のため、自動化を推進し、製造での更なる工程能力向上、検査能力向上に取り組んでいます。 メンブレンについては、細線印刷技術や機能性ペーストの開発を進めることでパソコン、家電、車載用など従来の需要に加え、医療、ウエアラブル、ヘルスケアといった新しい市場を開拓していきます。 コネクタについては、「小型・低背」「堅牢」「防水」「高速伝送」「作業性」をキーワードに製品開発を推進しています。モバイル機器用途としては、Board to Boardコネクタの小型・堅牢化、バッテリ用コネクタ等の製品バラエティ拡充に取り組みました。産業機器用途では、防水丸形コネクタの小型軽量化、結線/嵌合作業の改善に取り組みました。車載用、4K/8K放送用、5G基地局用等のコネクタの開発も進めています。 電子ワイヤについては、エレクトロニクス市場での更なる高速、高容量データ伝送の要求に答えるべく開発を進めています。インターフェースケーブルとしては、USB3.1 Type-C(Gen.2) 10Gbps対応ケーブルアセンブリ品を開発し、USBの認証を取得しました。機器内配線としては、モバイル機器やウエアラブル機器などの用途に向け、高速伝送が可能で、かつ高屈曲耐久の需要に貢献するケーブルアセンブリの開発を進めています。 センサについては、高精度な増幅・温度補償済み圧力センサの製品ラインナップを拡充すべく、開発を進めています。特に、数kPaクラスの微圧領域の圧力検知が必要とされる呼吸器関係の医療機器や産業機器などのニーズに応えるため、新たに微圧レンジ用デジタル出力圧力センサの新製品AL4シリーズを開発し、製品ラインナップを拡充しています。 サーマル製品については、スマートフォン等のモバイル機器向けに、薄型の熱対策部品のニーズが高まっていることに応え、0.3mm厚さの超薄型ヒートパイプ及び0.4mm厚さの超薄型ベーパーチャンバーを開発しました。更なる熱性能の向上、薄型化に取り組み、開発を進めています。また、スーパーコンピュータ等の大容量冷却向けの水冷式クーリングユニットは、CPUの高性能化、ボードの高密度実装化に伴い、更なる冷却性能の効率化が求められており、これらのニーズに応えるべく開発を進めています。 なお、当セグメントに係る研究開発費は44億円であります。 ③自動車電装カンパニー 自動車電装においては、「環境」、「安全」、「快適」をキーワードとし、ワイヤハーネスを中心としたEDS(Electric Distribution System)の分野と、エレクトロニクス事業で培った薄型配線材の技術を応用した機能モジュールの分野で、新商品・新技術の開発を推進しております。 2017年度の主な研究開発の成果として、EDS分野ではワイヤハーネスの軽量化を目的とした太物アルミハーネスの開発を完了し、量産準備を進めています。また、電気自動車の大電流化に対応しつつ、車両レイアウト自由度の向上に貢献するために、柔軟性が高いケーブルの開発に着手し、早期の開発完了を目指しています。 機能モジュールの分野では、シートベルトリマインダに関する保安基準の改正により、後席シートにおけるセンサ適用の検討を開始しました。後席における特有の検知・非検知スペックに対応できる、センサ構造の標準化を進めています。 2018年4月に、新たに「自動車電装R&Dセンター」を開設しました。「車両電動化」、「自動運転」、「コネクテッドカー」などのトレンドに沿った新技術・新製品を創出する活動を拡大してまいります。 なお、当セグメントに係る研究開発費は14億円であります。
FY2017|5,281 文字
6【研究開発活動】 当社グループは、①エネルギー・情報通信、②エレクトロニクス、③自動車電装各分野の新商品並びに新技術の開発を積極的に行っております。当社グループの研究開発活動は、先端技術総合研究所が全社研究開発を、また各事業部門の開発部が部門別開発活動を進めております。 環境対応型製品開発の一環として、高温超電導線材、色素増感太陽電池、リチウムイオンキャパシタ、及び磁気冷凍など商品化に向けた開発を進めています。 高温超電導線材では、更なる特性向上とともに事業化に向けた量産技術の開発に取り組んでいます。高磁場中でも高い特性を有するイットリウム系高温超電導線材は、分析用NMRや医療用MRIに対して、世界的に供給不足となるヘリウム冷媒を使用しないこと、システムのコンパクト化、高磁場中でも高い特性を有するイットリウム系高温超電導線材は、分析用NMRや医療用MRIなどの強磁場コイル用途において、世界的に供給不足となるヘリウム冷媒を使用しないこと、システムのコンパクト化、高磁場実現による高解像度化などが期待されています。国家プロジェクトで高い評価を頂くとともに、超電導線材の基礎研究では「21世紀発明賞」を受賞しました。 色素増感太陽電池においては、低照度下での高効率発電特性を利用したエネルギーハーベスティング用薄型モジュールを開発しました。また、この色素増感太陽電池をセンサ機器電源として、無線部に「高精度な同期によるマルチホップ機能」を実装することで、多段中継を極低消費電力で実現したセンサシステムを開発しました。 リチウムイオンキャパシタは、高出力・小型・軽量かつ大容量なセル及び電源モジュールを開発し、急速充放電特性及びサイクル寿命を生かした用途に展開を進めています。 磁気冷凍では、地球温暖化係数の高い代替フロンを利用した冷凍機に替わる次世代冷凍技術の開発に取り組んでいます。利用する磁気作業物質(MCM)の線状化に成功し、その大きな冷却性能を確認しました。この成果は国際学会ThermagⅦにおいても注目されています。 また、光通信ネットワークの高速化、大容量化に向けて、シリコンフォトニクスの研究基幹光通信網、データセンタを初めとして、AOC(Active Optical Cable)への適用により、インフラ、自動車、医療など幅広い用途で利用される産業用AOCへの展開を目指しています。 また、次世代高速無線通信に利用されるミリ波帯に適したパッシブデバイス及び関連技術の開発を進めています。移動体通信フロント・バックホールや、固定通信網ラストマイルなどの通信インフラ用途にミリ波モジュールを提供します。 新しいダイレクト印刷技術を用いて透明電極フィルムの開発を進めています。このフィルムは、線幅が数マイクロメートルの高精細配線を用いることで高透過率、低抵抗を実現します。現在その商品化を進めています。 ICや受動部品などをポリイミド多層配線板に埋め込んだ薄型部品内蔵基板の開発を進めています。複数の部品を内蔵した高精細・高多層の高密度配線板を提供し、製品の軽薄短小化に貢献していきます。 セグメント別の研究開発活動及びその成果は次のとおりで、当連結会計年度の連結研究開発費は156億円であります。 ①エネルギー・情報通信カンパニー 長距離高速伝送システムに向けて、低損失光ファイバの開発を進めています。本光ファイバは国際電気通信連合の陸上長距離システム向け勧告(ITU-T G.654.E)に準拠しており、近日中に商品化する予定です。 将来の伝送用光ファイバの候補であるマルチコアファイバの開発を並行して進めています。2014年より開始した日欧連携開発プロジェクト(SAFARI)において、弊社の30コアファイバを用いて、複雑な電気的処理を用いることなく、1 Pbit/s以上の伝送が可能であることを示しました。その成果に対して、欧州連合(EU)欧州委員会の「Horizon Prize」を共同受賞(フジクラ、デンマーク工科大学、サウサンプトン大学)いたしました。また、情報通信研究機構(NICT)殿の委託研究(i-Free2)の成果として、汎用光ファイバに近い製造方法で200kmを超えるマルチコアファイバを製造し、国内外の学会にて発表を行いました。こうした最先端の研究と共に実用化に向けた検討も進めております。 PANDA(Polarization-maintaining AND Absorption-reducing)ファイバは通信用偏波面保持光ファイバの代表的な構造で、世界でトップシェアを誇る製品です。シリコン変調器と低損失な結合を可能とする新製品の開発を進めています。シリコン変調器に合わせた小さなコア径を有しながら、汎用の光ファイバとの低損失な結合も可能な特長を備えています。 近年の光通信網の急速な拡大に伴い、光ファイバケーブル網を経済的に構築する要求が高まっております。これに応えるべく、光ファイバを高密度でケーブルに実装する技術であるSWR&WTC(Spider Web RibbonTM and Wrapping Tube CableTM)を開発し、世界最高となる超多心・超細径高密度光ケーブルを製品化しました。本ケーブルは公衆通信用途のみならずデータセンタ等への導入も進んでおり、さらに製品ラインナップの充実と高機能化に注力していきます。 通信データの大容量化要求を背景に、光コネクタの高機能化に注力しております。超多心かつ低接続損失を実現する技術に一層の磨きをかけるとともに、伝送装置で使用されるバックパネル光コネクタ、屋外で使用される多心防水型光コネクタ、取り扱い性に優れた多心レンズ型光コネクタ等製品ラインナップを充実させました。また光デバイス内で使用される高実装密度型光コネクタの開発にも注力しております。 光ファイバを2本~12本並べてテープ状に接着した光ファイバテープ心線の融着接続において、テープ心線用被覆除去器は重要な工具です。このたび、大幅に改良を施した新製品を発売しました。操作性を重視したデザインの採用と、被覆除去力の低減により、作業性を向上させました。また、600回の被覆除去が可能な大容量のバッテリ、加熱条件をスマートフォンで設定する無線通信など、新機能を搭載しています。さらに、被覆径200mmあるいは250mmの光ファイバを並べ間欠的に接着したSWRの被覆除去にも対応しました。 製造分野で使用されるレーザ加工の市場では、ビーム品質が良く、かつ小型で電力変換効率が高いファイバレーザへの乗り換えが加速しています。当社は、光通信用ファイバや部品で培ったコア技術をベースにファイバレーザの研究開発を推進しています。2016年度はパルスファイバレーザ、空冷中出力ファイバレーザ、高出力連続波ファイバレーザ等の製品群の拡充を進めました。新型の励起レーザダイオードとレーザ共振器の開発により実現した光出力8kwの連続波ファイバレーザは、さらに幅広い応用が期待される新製品です。 エネルギー問題がますます重要性を増す中で、省エネルギーの推進、環境負荷の低減、資源の有効活用につながるケーブル・機器の開発を積極的に進めております。メガソーラーや風力発電等の再生可能エネルギーに不可欠な電力機材として、変圧器などの機器への接続施工性に配慮した端末等を開発し、製品ラインナップの拡充を図りました。また、世界的なエネルギー需要増大による海洋資源開発や今後進められる海洋発電の導入により、海洋構造物市場の成長が見込まれており、洋上浮体構造物用ケーブルシステムの開発を進めております。 航続距離延長で普及が予測される電気自動車の充電インフラとして、急速充電器の設置数が拡大しております。大容量急速充電に対応するためケーブル冷却機能を付加し、操作性・取扱い性に優れる充電コネクタ・ケーブルの開発に注力しております。 また、ケーブル設備の経年化が進む中、リアルタイムデータに基づいたスマートメンテナンスに不可欠な常時監視型劣化診断システムを開発していきます。 なお、当セグメントに係る研究開発費は94億円であります。 ②エレクトロニクスカンパニー 民生及び産業用の電子機器に使われるフレキシブルプリント回路基板(FPC)・タッチキー・コネクタ・電子ワイヤ・センサ・ハードディスク・サーマル製品の開発を行っています。スマートフォンに代表される携帯情報端末機器は、情報通信速度の高速化や高機能化が進み、周辺機器とのつながりやすさが強く要求されています。また、電気自動車普及の加速に伴い、車載向けの電子部品の需要も増えており、これらの開発にも力を入れています。自動車用電子部品は、各種環境下での高い信頼性が要求されています。 FPCでは、高密度化や高速伝送化に対応し、部品内蔵基板・狭ピッチ表面実装・高精細FPCをベースとした高密度実装のトータルソリューションの提供を目的として開発を進めています。高精細FPCには従来のサブトラクティブ法だけでなく、セミアディティブ法の積極的な採用を進めています。高信頼性確保のため、製造工程の更なる行程能力向上、検査能力向上に取り組んでいます。 プリンテッド・エレクトロニクス分野では、メンブレンの細線印刷技術や機能性ペーストの開発を進めることでパソコン、家電、車載用など従来の需要に加え、医療、ウェアラブルタグといった新しい市場を開拓していきます。 コネクタ分野では、「小型・低背」「堅牢」「防水」「高速伝送」「作業性」をキーワードに開発を推進しています。車載・産業機器用に開発した基板間コネクタの拡充を進めています。省スペース、位置ズレを吸収できるフローティング機構、2点接触での高信頼性がその特長です。携帯機器用では、業界トップクラスの超小型FPC用コネクタを開発しました。放送機器用では、4K対応の同軸コネクタを開発しました。 電子ワイヤでは、エレクトロニクス市場での更なる高速、高容量データ伝送の要求に答え、高精細カメラやウェアラブル機器に適した高速インターフェースケーブルや、情報端末機器の内部に使用される、更なる小径化、高速化に対応した内部配線ケーブルを開発中です。また、車載分野のエレクトロニクス化や将来の自動運転用途に対応するため、車載向け高速伝送電子ワイヤ製品の開発を進めております。 センサ製品では、防水性能を必要とする民生機器向けに小型絶対圧センサの量産出荷を開始しました。またASIC圧力センサ(Application Specific Integrated Circuit)の製品ラインナップを拡充すべく、製品開発を進めています。そのほか、精度、信頼性、感度をより一層高めた微圧センサ、流量センサなども開発中です。 サーマル製品では、スマートフォン等の小型携帯機器向けに、ヒートパイプの更なる薄型化を進めており、熱性能を維持しながら0.3mmの厚さを実現しました。次期スーパーコンピュータ(エクサ級)等の大容量冷却向けには、水冷式クーリングユニットの高性能化と低コスト化を行っています。また、今後EV化が加速し採用が期待される車載製品に対応したヒートパイプも量産化に向け開発を進めています。なお、当セグメントに係る研究開発費は49億円であります。③自動車電装カンパニー 自動車電装においては、「環境」、「安全」、「快適」をキーワードとし、ワイヤハーネスを中心としたEDS(Electric Distribution System)の分野と、エレクトロニクス事業で培った薄型配線材の技術を応用した機能モジュールの分野で、新商品・新技術の開発を推進しております。 2016年度の主な研究開発の成果として、EDS分野ではワイヤハーネスの軽量化を目的とした細物アルミハーネスや、従来よりも可とう性を向上させたHEV/EV用高電圧アルミハーネスの開発を完了しました。また、CHAdeMO規格Ver.1.1に準拠したEV/PHEV用急速充電インレットを昨年度より量産を開始しましたが、新たに大電流充電に対応可能なCHAdeMO規格Ver.1.2準拠品の開発に着手しました。 機能モジュールの分野では、「次世代型シートベルト警告用乗員検知センサ(SBRセンサ)」の量産を開始しました。次世代型SBRセンサは従来品よりも小型でシートの形状影響による仕様変更の必要性が少なく、汎用性に優れたセンサで後席用センサとしても流用が可能な製品です。 2017年度も、オール・フジクラの技術を結集して、「車両電動化」、「自動運転」、「コネクテッドカー」などのトレンドに沿った新技術・新製品を創出する活動を継続してまいります。 なお、当セグメントに係る研究開発費は12億円であります。
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6【研究開発活動】 当社グループは、①エネルギー・情報通信、②エレクトロニクス、③自動車電装各分野の新商品並びに新技術の開発を積極的に行っております。当社グループの研究開発活動は、従来の環境・エネルギー研究所、光電子技術研究所の2研究所と自動車先端技術開発センターを統合して新設した先端技術総合研究所が全社研究開発を、また各事業部門の開発部が部門別開発活動を進めております。 環境対応型製品開発の一環として、高温超電導線材、色素増感太陽電池、リチウムイオンキャパシタの商品化に向けた開発を進めております。高温超電導線材では、事業化に向けた長尺量産技術の開発に取り組んでおります。液体ヘリウムが不要で強磁場中でも高い特性を有するイットリウム系高温超電導線材は、分析用NMRや医療用MRIなどへの応用が期待されます。国家プロジェクトによる高温超電導コイル基盤技術開発も進捗しており、コイル用線材として高い評価を受けております。また、色素増感太陽電池においては、その低照度における高効率発電特性を利用したエネルギーハーベスティング型ワイヤレス環境センサシステムを開発しました。リチウムイオンキャパシタは、高出力・小型・軽量かつ大容量なセル及び電源モジュールを開発しました。 また、光通信ネットワークの100Gb/sを超える高速化、大容量化に向けて、シリコンフォトニクスの研究開発を進めております。この技術は光変調器などの高速光デバイスの小型化・低消費電力化を実現するものであります。 さらに、車載レーダー、並びに次世代高速無線通信の使用周波数帯として注目されるミリ波帯で使用するパッシブフロントエンド、アンテナ及び実装関連技術を開発しています。 また、新しいダイレクト印刷技術を用いて透明電極フィルムの開発を進めております。このフィルムは高精細配線による高透過率を達成し、その商品化を進めています。 薄く研磨したICや低背型受動部品をポリイミド多層配線板に埋め込んだ薄型部品内蔵基板の開発・商品化を進めています。薄型・軽量であることに加え柔軟性を有する素材の特性を生かし、モバイル・ウェアラブル機器に最適なソリューションを提供いたします。 セグメント別の研究開発活動及びその成果は次のとおりで、当連結会計年度の連結研究開発費は162億円であります。 ①エネルギー・情報通信カンパニー 光ファイバ分野では、低損失長距離伝送用ファイバの開発を進めております。一方、将来の伝送用光ファイバの候補であるマルチコアファイバの開発にも取り組んでいます。2015年度は日欧連携の開発体制の中で、32コアファイバを用いたPDM-16QAM, 1600 km超の伝送を実現しました。また、情報通信研究機構(NICT)殿の委託研究の成果として、114の空間多重(6モードx19コア)を実現した世界最高密度のフューモードマルチコアファイバを実現しました。これらのファイバは、3月に開催された国際学会にて先端論文(post deadline paper)として採択されました。 近年の光ファイバ通信網の拡大に伴い、経済的なFTTH網構築のため地下管路などの既設設備を有効活用したいという要求が高まっております。これに応えるべく、Spider Web Ribbon技術を用いた世界最高レベルの超高密度細径軽量光ケーブルを実用化しました。今後、データセンタ等への用途拡大を含めた製品ラインナップの充実と、さらなる高機能化を求めて開発を進めていきます。 PANDA(Polarization-maintaining AND Absorption-reducing)ファイバは通信用偏波面保持光ファイバの代表的な構造で、世界でトップシェアを誇る製品であります。新規リリースいたしました許容曲げ半径7.5mmのBISM15-PXシリーズは光通信機器の小型化を進めるお客様に御好評をいただいております。 光コネクタの分野では、通信データの大容量化の要求に応えるため、光コネクタの多心化・低損失化を図った高性能品を実用化しました。当社で開発した多心防水型光コネクタは、超高精細のテレビジョン信号を伝送するスタジオ機器間インタフェース規格において標準化され、4K8K放送の発展に貢献しております。また迅速な展開が期待される光ファイバ網に対応していくため、取扱い性に優れたレンズ型多心光コネクタの開発にも注力しております。 光ファイバ融着接続機では、近年需要が高まっている特殊大口径光ファイバ接続装置の商品群を拡充しました。販売を開始した直径1.25mmまで切断可能な特殊光ファイバカッタに加え、光ファイバの把持機構を簡素化した直径0.6mm以下の光ファイバを切断可能な廉価版カッタを間もなくリリースする予定です。また、好評を得ているCO2レーザを用いたレーザ融着機は、様々なガラス加工を行いたいというお客様のご要望に応えるため、ソフトウェア機能を拡張しました。レーザを加熱源として用いることにより、直径2.3mmの光ファイバまで加工可能であり、放電電極による光ファイバへの汚染が皆無となります。 福島第一原子力発電所をはじめとした廃炉作業において、高放射線環境下における観察技術の確立が求められています。当社では、石英系イメージファイバの耐放射線性能の向上を進めております。2015年度は、要求される高放射線量下(γ線の累積照射線量2MGy)においても可視光での観察が可能なイメージファイバを開発しました。この結果を日本原子力研究開発機構(JAEA)が主催する「廃炉に向けた耐放射線性センサー及び関連研究に関する国際ワークショップ(RTSRT2016) 」にて発表いたしました。 生産技術の高度化に伴ってレーザ加工分野市場が拡大しております。光通信用部品で培ったコア技術をベースにファイバレーザの研究開発を進め、パルスファイバレーザに続いて高出力連続波ファイバレーザの量産を開始しました。2015年度は、高効率な励起レーザダイオードと増幅用Yb添加ファイバの開発により6kW出力の連続波ファイバレーザを製品化いたしました。加工時に反射光を受けた場合でも出力が安定する独自技術を採用し、高出力化と相まって幅広い応用が期待されます。 エネルギー問題がますます重要性を増す中で、省エネルギーの推進、環境負荷の低減、資源の有効活用につながるケーブル・機器の開発を積極的に進めております。 メガソーラ―や風力発電等の再生可能エネルギーには不可欠な電力系統連系機材として、変圧器やリングメインなどの機器に接続する施工性良好な耐塩害端末等を開発し、製品ラインナップの拡充を図りました。また、世界的なエネルギー需要増大による海洋資源開発や今後進められる海洋発電の導入により、海洋構造物市場の成長が見込まれており、洋上浮体構造物用ケーブルシステムの開発を進めております。 航続距離延長で普及が予測される電気自動車の充電インフラとして、急速充電器の設置が拡大しております。日本発のCHAdeMO規格及び欧州発のCOMBO規格の二つの国際標準に対応した操作性・取扱い性に優れる充電コネクタ・ケーブルを開発いたしました。また、軽量化、省エネに効果的なCA(Copper Clad Aluminum)線を利用したソリューションを多くのお客様に提案させていただきました。非接触給電用コイルをはじめとしたCA線応用製品の開発を進めております。 なお、当セグメントに係る研究開発費は106億円であります。 ②エレクトロニクスカンパニー 民生及び産業用の電子機器に使われるフレキシブルプリント回路(FPC)・タッチキー・コネクタ・電子ワイヤ・センサ・ハードディスク・サーマル製品の開発を行なっています。スマートフォンやウエアラブル端末等の携帯情報端末機器は、デザイン性を追求しつつ、ますます高速化、多機能化が進み、周辺機器とのつながりやすさが強く要求されています。また、低価格化への要求も強くなってきています。 FPCでは、高密度化や高速伝送化に対応し、部品内蔵基板・狭ピッチ表面実装・高精細FPCをベースとした高密度実装のトータルソリューションの提供を目的として開発を進めています。ますます高精細化するFPCに対応するため、セミアディティブ法の積極的な採用を進めており、デジタル機器分野に上市することで、さらに市場が成長すると考えています。 プリンテッド・エレクトロニクス分野では、メンブレンの細線印刷技術を進化させ、グラビアオフセット印刷法及びスクリーン印刷法の両技術を用いて、お客様にソリューションを提供しています。パソコン、家電用などのスイッチ、静電センサーなどの幅広い分野への採用拡大につながりつつあります。 コネクタ分野では、スマホ・タブレット・ウェアラブル用に低背・狭ピッチコネクタを開発しました。また産業及び車載用では、車両の電子制御化・小型化の要求に対応した基板間コネクタを開発しました。今後とも、両用途には、更なる低背型、狭ピッチ型のコネクタを開発していきます。 電子ワイヤでは、ウェアラブル機器や医療機器用に、柔軟な高速伝送インターフェイスケーブルやアクティブケーブルの開発品を横展開し市場に投入しました。より高速伝送が可能なUSB3.1 typeCの商品化に向けて生産体制の構築を進めています。車輌分野のエレクトロニクス化や将来の自動運転用途に対応するため、車輌用高速伝送電子ワイヤ製品を開発中です。 センサ製品では、防水性能を必要とする民生機器用に、直径4mmの防水小型絶対圧センサを開発しました。圧力と併せて環境温度情報をデジタル出力でき、消費電流が極めて小さい点が特長です。また、精度と信頼性を高めた医療機器向けデジタル出力微圧センサ、より一層の高感度化を図った流量/微差圧センサ、ウェアラブルアプリケーション向け超小型圧力センサなども開発中です。 サーマル製品では、細径化、薄型化を達成しかつ熱性能を向上させたヒートパイプを開発し、スマートフォン等の小型携帯機器への搭載を実現しました。また、次期スーパーコンピュータ(エクサ級)の水冷式クーリングユニット技術の開発を進めています。また、急速な電子化が進む車載製品に対応して、車載用ヒートパイプの開発も進めています。なお、当セグメントに係る研究開発費は41億円であります。 ③自動車電装カンパニー 自動車電装においては、「環境」、「安全」、「快適」をキーワードとし、ワイヤハーネスを中心としたEDS(Electric Distribution System)の分野と、エレクトロニクス事業で培ったメンブレン技術等を応用した機能モジュールの分野で、新商品・新技術の開発を推進しております。 2015年度のEDS分野では、CHAdeMO規格に準拠したEV/PHEV用急速充電車両側コネクタの量産化や、従来よりも可とう性を向上したHEV/EV用アルミ太物電線をカーメーカー様の試作車向けに提供するなどの開発成果が上がっています。 機能モジュールの分野では、「次世代型シートベルト警告用乗員検知センサ(SBRセンサ)」の量産準備を進めています。 次世代型SBRセンサは従来品よりも小型でシートの形状影響による仕様変更の必要性が少なく、汎用性に優れたセンサです。法規制の改正で装着が拡大するであろう後席用センサとしても流用が可能な製品となります。 車載用FPCでは、これまでのLEDランプ用、インパネ用FPCに加えて、電子化に対応する新機能FPCの開発を進めています。 オール・フジクラの技術を結集して、「車両電動化」、「自動運転」、「コネクテッドカー」などのトレンドに沿った新技術・新製品を創出する2015年度からの活動を、2016年度は更に強化してまいります。 なお、当セグメントに係る研究開発費は14億円であります。