研究開発費(時系列)
| 年度 | R&D費用(億円) | 設備投資(億円) |
|---|---|---|
| 2025-03 | - | 386 |
| 2024-03 | - | 390 |
| 2023-03 | - | 438 |
| 2022-03 | - | 381 |
| 2021-03 | - | 400 |
研究開発活動(本文)
FY2025|6,105 文字
6 【研究開発活動】当社グループは、古河電工グループ ビジョン2030を達成するために、情報/エネルギー/モビリティ融合領域での社会課題解決に向け、積極的に研究開発へ取り組んでおります。当事業年度における当社グループの研究体制は、国内の当社研究所等(サステナブルテクノロジー研究所、エレクトロニクス研究所、フォトニクス研究所、マテリアル研究所、デジタルトランスフォーメーション&イノベーションセンター)及び海外の OFS Laboratories, LLC (米国)、 Furukawa Electric Institute of Technology Ltd.(ハンガリー)、SuperPower Inc.(米国)、 Silicon Valley Innovation Laboratories, Furukawa Electric (米国)を中心に構成されております。 当連結会計年度における研究開発費は、前連結会計年度比3.7%増の25,449百万円であり、各セグメントの主な成果等は以下のとおりであります。 (1)インフラ① Beyond5G社会に貢献する取組みとして、次世代データセンタを支える光電融合技術であるCo-Packaged Optics(CPO)の実現に向けて、光ネットワーク技術に関する業界団体のOptical InternetWorking Forumより発行されたELSFP(External Laser Small Form Factor Pluggable)IA(Implementation Agreement)に基づくCPO用16チャンネルのブラインドメイト型外部光源を世界で初めて開発し、光通信に関する国際会議のEuropean Conference on Optical Communicationにおいて本製品を発表いたしました。本製品はすでにサンプル出荷を開始しており、2025年度以降に量産を開始する予定です。 また、光電融合デバイスの実現に向けて、研究開発を加速しております。CPOなどの光電融合デバイスにおける光接続についての課題に対応するため、当社が参画している国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の委託事業「ポスト5G情報通信システム基盤強化研究開発事業」における研究開発等により、CPOに適した小型多心光コネクタを開発しました。さらに、総務省から委託を受けている「グリーン社会に資する先端光伝送技術の研究開発」プロジェクトにおいて、低遅延・大容量情報伝送などが期待される空孔コアファイバの実用化に向け、次世代のPassive Optical Network(PON)の研究開発を進めており、ハイパワー入力による256分岐PONの実証実験に成功いたしました。この実用化に向けて、慶應義塾大学に敷設した空孔コアファイバケーブルを用いた実証フィールドでの特性評価も継続して行っております。② 大規模な空間多重光ネットワークの実現に向けて、空間クロスコネクト装置とマルチコアファイバ光増幅器を用いた1,000 km級の光ネットワークにおける実証実験に世界で初めて成功いたしました。また、海底用2コアファイバの融着技術における成果を、光工学に関する世界最大規模の国際会議Photonics West 2025で発表いたしました。さらに、同コアファイバの性能評価において世界最高レベルの低損失と低クロストーク特性を達成し、その結果を記載した論文を海洋光通信に関する国際学術会議SUBOPTIC2025に投稿予定です。 以上、当該事業に係る研究開発費は12,604百万円であります。 (2)電装エレクトロニクス① カーボンニュートラルに向けた電動車市場の拡大に対する取組みとして、引き続き高圧ハーネス・高圧部品の開発に注力し、高圧製品のラインナップ拡充を進めております。このほか、引き続き電動車用コネクタについては次世代製品の開発や表面処理を含む端子材料の開発も進めるとともに、自動車用ワイヤハーネスについては車両軽量化へのニーズに応えるため、当社独自のα端子を活用しアルミ電線のさらなる適用部位拡大を進めております。また、当社が開発したBSS®(鉛バッテリ状態検知センサ)が、過充電抑制による燃費向上及び過放電によるバッテリ上がり防止等に貢献しており、今後予想される車載電子機器の増加や頻繁なソフトウエアアップデートに向けて、精度とロバスト性の向上を図ることで拡販及び受注活動を進めております。加えて当社は、軽量かつ金属異物を加熱し難い特徴を有する電界共振結合方式を用いて、世界トップクラスとなる9.1kWの電力伝送に成功しております。高齢者や身体障がい者が自由に移動できる社会の実現に向けて、電動ロボット・電動車椅子向けに充電作業負荷を軽減することを目的に、本方式による安全・安心・快適なワイヤレス充電システムの開発を進めております。さらに素材開発としては、高強度・高導電・高機能な銅合金及び貴金属めっきの開発を引き続き行っております。本開発により、電子機器における接続部品(コネクタ、端子等)の多極化・高密度化、発熱の制御、電流を検出・制御する抵抗器(チップ抵抗器、シャント抵抗器等)の高性能化、電装品(ワイヤハーネス等)の高電圧化・大電流化への対応を進めております。また、加工用高出力レーザの対象材料については、これまで、光反射率が極めて高く難加工素材とされてきた純銅の加工において、高水準の品質・深度・加工速度を実現いたしました。② 自動運転に向けた取組みとしては、汚れや雪の付着、降雨の影響も受けにくく、安定して物体検知可能な車載用の24GHz帯周辺監視レーダの量産を継続しており、引き続き建機・農機等向けにも展開しております。また、就農人口の減少による人手不足により、農機の自動走行及び農作業の自動化・効率化が課題となっていることから、その解決に向け、より高分解能な77GHz帯レーダの開発を進めており、北海道大学と連携して実証実験を行っております。③ シミュレーション技術及び分析技術に関する取組みとしては、大学や公的機関の先端分析装置を有効活用して研究開発の効率化を推進しており、ワイヤハーネスなどの自動車用部品においては変形・応力シミュレーション、電子機器開発においては振動・熱流体・電磁界シミュレーションを実施いたしました。また、Furukawa Electric Institute of Technology Ltd. (ハンガリー)では、先進的なシミュレーション技術開発に取り組んでおり、触媒構造解析のための分子動力学シミュレーションを実施いたしました。 以上、当該事業に係る研究開発費は4,878百万円であります。 (3)機能製品① 当社グループは、「古河電工グループ環境ビジョン2050」に基づき、脱炭素社会、水・資源循環型社会及び自然共生社会への貢献を目指しております。このため、CO2の排出量削減に向けたバリューチェーン全体における再生材の利用を促進すべく、再生ポリエチレンを100%使用した地中埋設用ケーブル保護管の「角型エフレックス®」・「エフレックス®S」や、植物由来の樹脂を使用した無架橋低発泡ポリプロピレンシート「エフセル®」を開発いたしました。また、カーボンニュートラルに向けた取組みとして、セルロース繊維強化樹脂「CELRe®」の開発を進めております。本製品は、セルロース繊維の高分散化技術により、強度と耐衝撃性を両立させつつ、低コストでの製造が可能となっており、さらに樹脂材料からバイオマス材のセルロース繊維に置き換えることで、石油資源の節約とCO2排出量削減に貢献してまいります。さらに、製品の高発熱化、薄型化、軽量化へ対応するヒートパイプ式ヒートシンクのほか、データセンタの高発熱密度に対応した製品、エレクトロニクス機器の高発熱化、軽量化に対応した製品の開発にも注力しております。② 情報分野においては、通信基地局用のルーター、スイッチや無線通信用のアンテナ、生成系AI用やデータセンタ用のサーバー等に使用されるプリント基板の高周波化が進展しており、高周波プリント基板を構成する銅箔の需要も高まっていることから、当社は、さらなる高周波化にも対応できる次世代高周波プリント基板用銅箔「F0X-WS」の量産化を進めており、より高周波のグレードが高い平滑銅箔「F0-WS」の開発を進めております。 以上、当該事業に係る研究開発費は2,595百万円であります。 (4)サービス・開発等① 超電導分野では、低温超電導線材及び高温超電導線材の開発・製造リソースを持つ強みを生かし、顧客への新製品提案・開発を引き続き進めております。超電導製品部では、低温超電導線材の開発・量産化を進めており、顧客のコイル製造プロセスを効率化する自己融着機能を有する新製品を販売しております。SuperPower Inc.(米国)においては、イットリウム高温超電導線材の研究開発及び製造をしております。高温超電導線材は、当社製低温超電導線材と併せて用いることにより、新素材や先端医薬の開発に欠かせない高磁場マグネットなどに利用されております。さらに、先進核融合原型炉の分野では、高温超電導線材の供給を通じて海外有力顧客との関係強化を進めており、そのうちトカマクエナジー社(英国)とは約1,000万ポンドの出資契約を締結し、商用核融合エネルギーの推進に向けてパートナーシップを強化しております。また、フュージョンエネルギー産業の創出を目的として設立された「一般社団法人フュージョンエネルギー産業協議会」において、同法人の常任理事を当社の代表取締役が務めるなど、当社は積極的に参画しており、活動を通じてフュージョンインダストリーの育成に貢献しております。さらに、国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)の戦略的創造研究推進事業ALCA-Nextの新規未来本格型研究開発において、京都大学との共同研究により、キロアンペア級の交流電流を低損失で流せる高温超電導集合導体ケーブルの開発を進めております。② Silicon Valley Innovation Laboratories, Furukawa Electric(米国)では、社会課題解決型の新技術や新事業の創出を目的に、スタートアップを中心としたイノベーションエコシステムのステークホルダーとのオープンイノベーションを積極的に推進しております。現地アクセラレータと提携し、当社グループのコア技術とシリコンバレーに集まる技術やビジネスモデルを結合させ新たな顧客体験や価値創出を目指す共創に加え、米国内の大学と提携し当社の技術課題のみならず社会課題を解決する新技術の探索に取り組んでおります。さらに、現地ネットワークを活用したVOC(Voice Of Customer)の収集、北米のエコシステム調査分析などのマーケティング、ユースケース探索や当社技術のインキュベーションの北米拠点として活動しております。③ 技術開発及び事業開発の両方の機能を担うソーシャルデザイン統括部では、社会インフラ維持管理・ライフサイエンス・航空宇宙等の各領域において、当社の技術を活かし、外部のステークホルダーとの共創を重視して新事業開発を進めております。社会インフラ維持管理の領域では、「みちてん®」「てつてん®」に代表される当社インフラDX市場向け製品・サービスの展開を加速させ、着実に社会実装を進めております。ライフサイエンス領域では、2022年12月に設立したMFオプテックス株式会社(当事業年度において株式を追加取得し当社の連結子会社化)との連携強化により新事業開発を加速し、引き続き光技術を活用した医療機器向け部品等の開発及び市場展開を行っております。航空宇宙領域では、新興企業との協業による高精度なリアルタイム風況観測機器開発の社会実装を進めたほか、国立大学法人との社会連携講座を活用し、事業創出を加速させております。④ 当社の高出力ファイバレーザの技術をさらに発展させるために、営業統括本部内にレーザ応用事業部を新設いたしました。インフラ構造物のメンテナンスに使用するインフラレーザに関する分野では、鉄道車両の塗膜除去などのメンテナンスに最適な小型レーザ施工システムを製品化いたしました。また、船舶塗装の下地処理における錆・塗膜除去を行うためのレーザ施工システムの開発を行っており、実船での実証実験を進めております。産業用レーザに関する分野では、光ファイバからの輝度で世界最高レベルとなる出力5kWの青色レーザ発振器を日亜化学工業株式会社と共同で開発し、多様な加工ニーズに対応するための開発拠点となる「古河電工・日亜化学 先進レーザ加工ソリューションラボ」(愛知県刈谷市)を開設いたしました。また、欧州ではハンガリー(当社グループ会社のFurukawa Electric Institute of Technology Ltd. (ハンガリー)社内)にレーザアプリケーションラボを設け、グローバルな開発体制を構築いたしました。⑤ 2050年のカーボンニュートラル実現と持続可能なエネルギーの安定供給のために、化石燃料によらないグリーンLPガスの社会実装に向けて取り組んでおります。世界で年間数百万トン規模のグリーンLPガスを製造することを目標に、2023年11月には、商業化のノウハウと国際的なLPガスの供給網を保有するアストモスエネルギー株式会社及びSHVエナジー(オランダ)との間でグリーンLPガス共同検討に関する基本合意書を締結いたしました。国内では、グリーンLPガス製造技術の実証実験に向けて、北海道鹿追町に建設予定の実証実験用プラントの起工式を2024年8月に執り行うなど、実証実験用プラントの建設を進めております。また、北海道大学との共創を通じて、様々な地域資源を最大限利活用した脱炭素社会・循環型社会の実現に向けて技術開発を進めるとともに、専門人材の育成に取り組んでおります。⑥ 近年の激甚化する自然災害への対策として、風水害発生時の自主避難を支援する自治体向けサービス「みんなんサポート®」を開発し、これまでに鹿児島県薩摩川内市・島根県美郷町など全9地区で実証実験を実施しております。これらの実績が高く評価された結果、次世代に向けたレジリエンス社会構築のため先進的な取組みを行っている企業等を評価・表彰する「ジャパン・レジリエンス・アワード(強靭化大賞)2023」では優良賞を受賞いたしました。また、2024年7月からは島根県美郷町の複数地区にて災害対策で相互連携を目指す実証実験を行っております。 以上、当該事業に係る研究開発費は5,371百万円であります。
FY2024|5,896 文字
6 【研究開発活動】当社グループは、古河電工グループ ビジョン2030を達成するために、情報/エネルギー/モビリティ融合領域での社会課題解決に向け、積極的に研究開発へ取り組んでおります。当事業年度における当社グループの研究体制は、国内の当社研究所等(サステナブルテクノロジー研究所、エレクトロニクス研究所、フォトニクス研究所、マテリアル研究所、デジタルトランスフォーメーション&イノベーションセンター)及び海外の OFS Laboratories, LLC (米国)、 Furukawa Electric Institute of Technology Ltd.(ハンガリー)、SuperPower Inc.(米国)、 Silicon Valley Innovation Laboratories, Furukawa Electric (米国)を中心に構成されております。 当連結会計年度における研究開発費は、前連結会計年度比5.2%増の24,539百万円とし、各セグメントの主な成果等は以下のとおりであります。 (1)インフラ① 大容量かつ消費電力が少ない次世代ネットワークスイッチの実現に向けて、エネルギー効率に優れたCo-packaged Optics用外部光源を開発し、2024年1月より量産を開始いたしました。本製品には、伝送速度の高速化及び消費電力低減を両立させた、高出力で電力変換効率が高いDFBレーザダイオードチップが内蔵されております。また、データセンタや陸上の光通信におけるマルチコアファイバの適用への期待に伴い、当社は従来のシングルモードファイバから外径を変えずにコア数のみを増やした19コアのマルチコアファイバを作製いたしました。この成果を、光通信及びネットワークに関する展示会であるOFC2024にて報告いたしました。さらに、光ファイバによる通信容量の拡大が期待されているO(オー)バンドについても研究を進めております。従来の直接変調方式ではさらなる高速化、大容量化が難しいとされておりましたが、株式会社KDDI総合研究所との研究により、Oバンドに超広帯域なビスマス添加光ファイバ増幅器を適用することで、大容量なコヒーレント高密度波長多重信号の伝送実験に世界で初めて成功いたしました。このビスマス添加光ファイバ増幅器は当社独自の技術を用いた製品であり、この製品の活用によりOバンドの欠点であるファイバの伝送損失の高さを補いました。このほか、当社は、2024年2月に国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)「ポスト5G情報通信システム基盤強化研究開発事業/先端半導体製造技術の開発」プロジェクトに採択されて以降、光と電子の融合を実現するための光半導体デバイスの実現に向けた研究開発を加速させております。また、総務省から委託を受けている「グリーン社会に資する先端光伝送技術の研究開発」プロジェクトにおいて、低遅延・大容量情報伝送などが期待される空孔コアファイバケーブルを慶應義塾大学キャンパス内に敷設し、実用化に向けた実験を進めております。② モビリティの電動化に向けた取組みとしては、加工用高出力レーザの製品群として、高輝度青色レーザダイオードモジュールを搭載するBlue-IRハイブリッドレーザ「BRACE®シリーズ」を販売しております。当社と日亜化学工業株式会社は、この「BRACE®シリーズ」の新たなラインナップとして、出力が従来比で2倍の500W以上となる青色レーザダイオードモジュールを共同開発いたしました。本製品は、電動モビリティ向け主要部品であるリチウムイオン電池、モータ、インバータ等の導体となる銅の溶接工程の生産性向上(品質・加工速度の向上)や製造工程の省人化に貢献することができます。③ カーボンニュートラルに向けた取組みとしては、再生可能エネルギーにより発電した電力の安定供給に貢献するため、古河電池株式会社とバイポーラ型蓄電池の共同開発を推進しております。本製品は、シンプルな構造のため電池の大容量化が可能であるほか、従来の鉛蓄電池と同様に稼働時の空調コストを抑制できる高い経済性を持ち合わせた電力貯蔵用蓄電池です。2023年4月からは株式会社関電工及び古河電池株式会社と共同での性能確認試験を開始しており、本試験を通じてバイポーラ型鉛蓄電池の社会実装に向けた共創に取り組んでおります。 以上、当該事業に係る研究開発費は12,876百万円であります。 (2)電装エレクトロニクス① カーボンニュートラルに向けた電動車市場の拡大に対する取組みとして、引き続き、高圧ハーネス・高圧部品の開発に注力しております。その成果として、EV車向けに新たに開発した変換ボックスを顧客向けに量産納入しており、本製品が内蔵されたEV車は2023年7月から市場投入されております。このほか、引き続き、電動車用コネクタ・電線については、次世代製品の開発や表面処理を含む端子材料の開発も進めているとともに、自動車用ワイヤハーネスについては、車両軽量化へのニーズに応えるため、当社独自のα端子を活用し、アルミ電線のさらなる適用部位拡大を進めております。また、当社が開発したBSS®(鉛バッテリ状態検知センサ)が、過充電抑制による燃費向上及び過放電によるバッテリ上がり防止等に貢献しており、今後予想される車載電子機器の増加や頻繁なソフトウェアアップデートに向けて、拡販及び受注活動を進めております。加えて当社は、軽量かつ金属異物を加熱し難い特徴を有する電界共振結合方式を用いて、世界トップクラスとなる9.1kWの電力伝送に成功しております。本方式を採用した電動キックボードのワイヤレス充電ポートシステムを株式会社大林組とともに開発し、引き続き実証実験を行っております。さらに素材開発としては、高強度・高導電・高機能な銅合金及び貴金属めっきの開発を引き続き行っております。本開発により、電子機器における接続部品(コネクタ、端子等)の多極化・高密度化、発熱の制御、電流を検出・制御する抵抗器(チップ抵抗器、シャント抵抗器等)の高性能化、電装品(ワイヤハーネス等)の高電圧化・大電流化への対応を進めております。また、加工用高出力レーザの対象材料については、これまで、光反射率が極めて高く難加工素材とされてきた純銅の加工において、高水準の品質・深度・加工速度を実現いたしました。② 自動運転に向けた取組みとしては、雨・雪等の環境下でも安定して物体検知可能な車載用の24GHz帯周辺監視レーダのほか、先進安全運転支援システム高度化に適応するため、後方監視だけでなく前方監視まで機能を拡張し、体積と重量をそれぞれ約30%削減した周辺監視レーダの量産を行っております。また汚れやホコリに強い特長を活かして建機・農機等向け周辺監視レーダの量産を開始しております。③ シミュレーション技術及び分析技術に関する取組みとしては、大学や公的機関の先端分析装置を有効活用して研究開発の効率化を推進しており、ワイヤハーネスなどの自動車用部品においては変形・応力シミュレーション、電子機器開発においては振動・熱流体・電磁界シミュレーションを実施いたしました。また、Furukawa Electric Institute of Technology Ltd. (ハンガリー)では、先進的なシミュレーション技術開発に取り組んでおり、触媒構造解析のための分子動力学シミュレーションを実施いたしました。 以上、当該事業に係る研究開発費は5,219百万円であります。 (3)機能製品① 当社グループは、「古河電工グループ 環境ビジョン2050」に基づき、脱炭素社会、水・資源循環型社会及び自然共生社会への貢献を目指しております。このため、CO2の排出量削減に向けたバリューチェーン全体における再生材の利用を促進すべく、再生ポリプロピレンの使用比率を従来の約50%から100%に高めた無架橋低発泡ポリプロピレンシート「エフセル®」のRCグレードや、排出された木粉を再生プラスチックに配合した木粉複合景観色グリーントラフ®を開発いたしました。また、カーボンニュートラルに向けた取組みとして、セルロース繊維強化樹脂「CELRe®」の開発を進めております。本製品は、セルロース繊維の高分散化技術により、強度と耐衝撃性を両立させつつ、低コストでの製造が可能となっております。さらに、自動車分野などでの利用が期待されるセルロース繊維強化樹脂の量産に向けた技術開発や、プラスチック再生技術におけるセルロース繊維利用の検証も行っております。このほか社外での取組みとして、当社は、環境省が実施する「プラスチック・スマート」に参加しております。さらに、製品の高発熱化、薄型化、軽量化へ対応するヒートパイプ式ヒートシンクのほか、データセンタの高発熱密度に対応した製品、エレクトロニクス機器の高発熱化、軽量化に対応した製品や、次世代モビリティに向けた熱技術を応用した製品の開発にも注力しております。② 情報分野においては、通信基地局用のルーター、スイッチ、アンテナや、生成系AI用やデータセンタ用のサーバー等に使用されるプリント基板の高周波化が進展しており、高周波プリント基板を構成する銅箔の需要も高まっていることから、当社は、さらなる高周波化にも対応できる次世代高周波プリント基板用銅箔であるF0X-WSを開発し、量産化を進めております。 以上、当該事業に係る研究開発費は1,869百万円であります。 (4)サービス・開発等① 超電導分野では、低温超電導線材及び高温超電導線材の開発・製造リソースを持つ強みを生かし、顧客への新製品提案・開発を進めております。超電導製品部では、低温超電導線材の開発・量産化を進めており、顧客のコイル製造プロセスを効率化する自己融着機能を有する新製品を販売しております。SuperPower Inc.(米国)においては、イットリウム高温超電導線材の研究開発及び製造をしております。高温超電導線材は、当社製低温超電導線材と併せて用いることにより、新素材や先端医薬の開発に欠かせない高磁場マグネットなどに利用されております。さらに、先進核融合原型炉の分野では、高温超電導線材の供給を通じて海外有力顧客との関係強化を進めており、そのうちトカマクエナジー社(英国)へは約1,000万ポンドの出資契約を締結し、商用核融合エネルギーの推進に向けて同社とのパートナーシップを強化しております。また、内閣府が2024年3月に設立した「一般社団法人フュージョンエネルギー産業協議会」において、当社は理事を務めており、活動を通じてフュージョンインダストリーの育成に貢献しております。さらに、国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)の未来社会創造事業において、京都大学との共同研究により、キロアンペア級の交流電流を低損失で流せる高温超電導集合導体ケーブルを開発いたしました。② Silicon Valley Innovation Laboratories, Furukawa Electric(米国)では、社会課題解決型の新技術や新事業の創出を目的に、スタートアップを中心としたイノベーションエコシステムのステークホルダーとのオープンイノベーションを積極的に推進しております。現地アクセラレータと提携し、当社グループのコア技術とシリコンバレーに集まる技術やビジネスモデルを結合させ新たな顧客体験や価値創出を目指す共創に加え、米国内の大学と提携し当社の技術課題のみならず社会課題を解決する新技術の探索を開始しております。さらに、現地ネットワークを活用したVOC(Voice Of Customer)の収集や北米のエコシステム調査分析などのマーケティングを行い、当社技術のインキュベーション北米拠点として活動しております。③ 技術開発及び事業開発の両方の機能を担うソーシャルデザイン統括部では、社会インフラ維持管理・ライフサイエンス・宇宙等の各領域において、当社の技術を活かした新事業開発を進めております。社会インフラ維持管理の領域では、「みちてん®」「てつてん®」に代表されるインフラDXや、当社のレーザ技術を活用したインフラレーザについて、市場展開を加速させ着実に社会実装を進めております。ライフサイエンス領域では、2022年12月に設立したMFオプテックス株式会社との共創を継続しており、光技術を活用した医療機器向け部品等の開発及び市場展開を行っております。宇宙領域では、2023年度からの東京大学大学院工学系研究科との社会連携講座を活用し、事業創出を加速させております。④ 2050年のカーボンニュートラル実現と持続可能なエネルギーの安定供給のために、化石燃料によらないグリーンLPガスの社会実装に向けて取り組んでおります。グリーンLPガスを世界で年間数百万トン規模で製造することを目標に、2023年11月には、商業化のノウハウと国際的なLPガスの供給網を保有するアストモスエネルギー株式会社及びFuturia Fuels社(オランダ)との間でグリーンLPガス共同検討に関する基本合意書を締結いたしました。このほか、北海道鹿追町での実証実験用プラントの開発や、北海道大学との共創を通じて、様々な地域資源を最大限利活用した脱炭素社会・循環型社会の実現に向けて技術開発を進めるとともに、専門人材の育成に取り組んでおります。⑤ 近年の激甚化する自然災害への対策として、風水害発生時の自主避難を支援する自治体向けサービス「みんなんサポート®」を開発いたしました。本サービスは、これまでに鹿児島県薩摩川内市・島根県美郷町・長野県長野市など全7地区で実証実験を実施しており、これらの実績が高く評価された結果、次世代に向けたレジリエンス社会構築のため先進的な取組みを行っている企業等を評価・表彰する「ジャパン・レジリエンス・アワード(強靭化大賞)2023」において優良賞を受賞いたしました。また、2023年6月からは島根県美郷町の地区防災計画作成支援業務において本サービスの社会実装を開始し、災害を想定した自助・共助・公助の連携強化に貢献しております。 以上、当該事業に係る研究開発費は4,574百万円であります。
FY2023|6,337 文字
6 【研究開発活動】当社グループは、新商品、新技術開発による新規事業の創出と展開を図るべく、国内の当社研究所等(サステナブルテクノロジー研究所、自動車・エレクトロニクス研究所、情報通信・エネルギー研究所、インキュベーター統括部、デジタルイノベーションセンター)及び海外の OFS Laboratories, LLC (米国)、 Furukawa Electric Institute of Technology Ltd.(ハンガリー)、SuperPower Inc.(米国)、 Silicon Valley Innovation Laboratories, Furukawa Electric (米国)を中心とした研究体制を有し、積極的に研究開発へ取り組んでおります。なお、2023年4月1日付で、「マテリアル研究所」を新設し、「自動車・エレクトロニクス研究所」を「エレクトロニクス研究所」に、「情報通信・エネルギー研究所」を「フォトニクス研究所」に、「デジタルイノベーションセンター」を「デジタルトランスフォーメーション&イノベーションセンター」に名称を変更し、また、「インキュベーター統括部」を廃止しその機能を事業部門・各研究所へ移管しております。 当連結会計年度における研究開発費は、前連結会計年度比12.3%増の23,324百万円とし、各セグメントの主な成果等は以下のとおりであります。 (1)インフラ①次世代の大容量光デジタルコヒーレント通信向け超小型狭線幅制御回路付信号光源(Nano-ITLA)の製品化を進めております。本製品は、大幅な小型化と低消費電力化に対応し、かつ超高速光通信に用いられる多値変調の光デジタルコヒーレント通信に要求される狭線幅の特性を有しております。この技術は、Beyond5G時代の急激なトラフィックの増大を見据えて世界的に開発が進む400Gbps超の光デジタルコヒーレント通信を支えるキーデバイスです。引き続き次世代光ファイバ通信システムの高速化・大容量化・長距離化を支える技術開発を進め、人々の生活利便性の向上に大きく貢献してまいります。②情報通信サービスの普及にともないデータセンタにおける情報処理量が飛躍的に増大しており、次世代ネットワークスイッチ装置の実現が求められております。この次世代ネットワークスイッチ装置ではCPO(Co-Packaged Optics)と呼ばれる光電融合デバイスを用いた新しい実装形態が必要になると見込まれていることから、CPO用外部光源の製品開発を行っており、サンプルを出荷しております。今後も次世代データセンタ向けの光部品提供により大容量情報通信と高効率エネルギー社会の実現に貢献してまいります。③光ファイバ及び光ファイバケーブルについては、長距離用途におけるさらなる高性能化・低コスト化を進めております。総務省から委託を受けている「新たな社会インフラを担う革新的光ネットワーク技術の研究開発」の成果として、マルチコアファイバによる光海底ケーブルの大容量化を実現する基盤技術を開発・実証しました。国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT(エヌアイシーティー)) からは、「マルチコアファイバの実用化加速に向けた研究開発」、「Beyond5G超大容量無線通信を支える空間多重光ネットワーク・ノード技術の研究開発」及び「Beyond5G時代に向けた空間モード制御光伝送基盤技術の研究開発」を受託し、将来の超大容量光通信における空間多重技術の長距離幹線系・加入者アクセス系への適用に向けて、光ファイバ及び光ファイバケーブルの製造技術やこれらの性能検証、光ファイバの接続技術並びにマルチコア光増幅技術の向上にむけた検証を継続、推進しております。一方、データセンタ用途や大都市ネットワーク用途で光ファイバネットワークの大容量化・多心化が求められていることから、省スペース化が可能な「ローラブルリボンを搭載した光ファイバケーブル」のさらなる高密度化も引き続き推し進めております。④加工用高出力レーザの製品群として、高輝度青色レーザダイオードモジュールを搭載し、青色レーザ出力1kWを有するBlue-IRハイブリッドレーザ「BRACE®X」を販売しております。本製品は、電動モビリティ向け主要部品であるリチウムイオン電池、モータ、インバータ等の導体となる銅の溶接工程の生産性向上(品質・加工速度の向上)や製造工程の省人化に貢献することができます。これまで、光反射率が極めて高い純銅は難加工素材とされておりましたが、本製品は銅加工において高水準の品質・深度・加工速度を実現しました。さらに、溶接品質管理のためのモニタリング技術等の開発も引き続き進めております。加えて、最先端のレーザ加工装置を設置した加工ラボCALL(Chubu Advanced Laser processing Laboratory)を愛知県豊田市に開設いたしました。レーザ加工技術の向上を図るとともに、顧客へのレーザ溶接ソリューションの提案やパートナーとの共創を進められる環境を構築しました。これらの研究開発により、自動車や船舶における難接合材の溶接等、高度な加工技術でものづくり競争力を支援し、持続可能な社会の実現に貢献してまいります。⑤再生可能エネルギーにより発電した電力の安定供給に貢献するため、古河電池株式会社とバイポーラ型蓄電池の共同開発を推進しております。本製品は、シンプルな構造のため電池の高容量化が実現でき、稼働時の空調コストを抑制できる高い経済性を持ち合わせた電力貯蔵用蓄電池です。2023年2月から当社平塚事業所においてバイポーラ型鉛蓄電池のシステム運用時における性能評価を中心とした実証実験を開始しました。また、再生可能エネルギー及びEVの大量導入に伴う課題へ対応するため、当社横浜事業所のコンテナ型蓄電システムをリニューアルし、太陽光発電及びEV急速充放電器を直流で接続した実証環境を構築しました。本実証環境において当社優位技術の開発を行うとともに、パートナーとの共創フィールドとして活用してまいります。 以上、当該事業に係る研究開発費は11,944百万円であります。 (2)電装エレクトロニクス①自動車用部品においては、カーボンニュートラルに向けた電動車市場の拡大に対応して、高圧ハーネス・高圧部品の開発に注力しております。電動車用コネクタ・電線については、次世代製品の開発や表面処理を含む端子材料の開発も進めております。自動車用ワイヤハーネスについては、車両軽量化へのニーズに応えるため、当社独自のα端子を活用し、アルミ電線のさらなる適用部位拡大を進めております。また、情報/エネルギー/モビリティの融合領域の新事業創出により、多様化するクルマの進化に貢献できる技術・製品の開発にも取り組んでおります。②BSS®(鉛バッテリ状態検知センサ)は、過充電抑制による燃費向上及び過放電によるバッテリ上がり防止等に貢献しており、拡販及び受注活動を進めております。また、今後予想される車載電子機器の増加やソフトウェアアップデート、自動車の電動化・自動運転化に向けて、鉛バッテリ電源を確実に提供し、安全・安心・快適な社会の実現に貢献できる製品開発を行っております。③雨、雪等の環境下でも安定して物体検知可能な車載用の24GHz帯周辺監視レーダの量産を行っております。先進安全運転支援システム高度化に適応するため、後方監視だけでなく前方監視まで機能を拡張し、体積と重量をそれぞれ約30%削減した次世代品の量産を開始しました。また汚れやホコリに強い特長を活かして建機・農機等向け周辺監視レーダの量産を開始しております。今後も、小型・高性能・高機能化を進めてまいります。④新しいワイヤレス電力伝送方法として期待され、軽量かつ金属異物を加熱し難い特徴を有する電界共振結合方式を用いて、世界トップクラスとなる9.1kWの電力伝送に成功しております。本方式を採用した電動キックボードのワイヤレス充電ポートシステムを株式会社大林組とともに開発し、実証実験を行っております。引き続き、小型・軽量化と大電力・高効率化を実現させ、モビリティの電動化に貢献してまいります。⑤シミュレーション技術及び分析技術を有効活用し、研究開発の効率化を推進しております。ワイヤハーネスなどの自動車用部品は変形・応力シミュレーション、電子機器開発は振動・熱流体・電磁界シミュレーションを活用したほか、車載ソフト用のアルゴリズム構築についてのモデルベース開発等を行いました。先端分析装置や手法を活用した解析を行っており、日本顕微鏡学会や日本銅学会において講演を行いました。Furukawa Electric Institute of Technology Ltd. (ハンガリー)では、先進的なシミュレーション技術開発に取り組んでおり、触媒構造解析のための分子動力学シミュレーションを実施しました。引き続き、シミュレーション技術及び分析技術を活用し、メカニズムの解明や設計の最適化に加え、試作代替による環境負荷低減への取組みを推進してまいります。⑥高強度・高導電な銅合金及び貴金属めっきの開発を引き続き行っております。本開発により、電子機器における小型化・大容量化に伴う接続部品(コネクタ、端子等)の多極化・高密度化、発熱の制御、電装品(ワイヤハーネス等)の高電圧化・大電流化への対応を進めてまいります。また、銅材及びめっき材のスクラップに対するリサイクルプロセスについては、カーボンニュートラルの実現へ向けて技術開発を推進してまいります。 以上、当該事業に係る研究開発費は4,732百万円であります。 (3)機能製品①植物由来の素材であるセルロース繊維の高剛性及び軽量性の特長を活かし、自動車分野など様々な用途での活用が期待されるセルロース繊維強化樹脂の量産技術開発とその実用化に向けた検証を行っております。また、海洋汚染の対策やCO2排出量削減を目的に、プラスチックごみをプラスチックに再生する過程でセルロース繊維を用い、より強度を向上させて再生する技術を開発し、環境省の「プラスチック・スマート」に参加しております。加えて、当社は経済産業省が公表した「GX(グリーントランスフォーメーション)リーグ基本構想」に賛同しており、本研究開発を通して、カーボンニュートラル実現への取組みを推進してまいります。②情報/エネルギー/モビリティ分野に関わる製品の高発熱化、薄型化、軽量化へ対応するヒートパイプ式ヒートシンクを開発しております。当社は引き続き、データセンタの高発熱密度に対応した製品、エレクトロニクス機器の高発熱化、軽量化に対応した製品や、次世代モビリティに向けた熱技術を応用した製品の開発に注力してまいります。③5Gサービスの本格化に伴い、通信基地局用のルーター、スイッチ、アンテナや、データセンタ用のサーバー等に使用されるプリント基板の高周波化が進展しております。これにより高周波プリント基板を構成する銅箔の需要も高まっています。当社は、さらなる高周波化にも対応できる次世代高周波プリント基板用銅箔であるF0X-WSを開発し、量産化を進めております。今後も、高周波プリント基板用銅箔の製品群を拡充し、5G及びBeyond5Gに対応する高周波プリント基板用銅箔の需要に対応してまいります。 以上、当該事業に係る研究開発費は2,166百万円であります。 (4)サービス・開発等①超電導製品部では、高機能低温超電導線材の開発・量産化を進めており、顧客のコイル製造プロセスを効率化する新商品の量産化を開始し、販売しております。また、SuperPower Inc.(米国)と連携し、低温超電導線材及び高温超電導線材の新製品の開発を進めております。②SuperPower Inc.(米国)において、イットリウム高温超電導線材の研究開発を継続しております。高温超電導線材は、当社製低温超電導線材と併せて用いることにより、次世代エネルギー源と期待される核融合炉や、新素材や先端医薬の開発に欠かせない高磁場マグネットなど、各方面への応用が期待されます。先進核融合原型炉に用いる高温超電導線材の供給をとおして海外有力顧客との関係強化が進んでおります。また、国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)からの委託により開発を行う未来社会創造事業において、京都大学と連携した共同研究グループでは、交流損失の低減を達成しました。標準的な薄膜高温超電導線と比較し、交流損失が約20分の1になることを実証しております。③Silicon Valley Innovation Laboratories, Furukawa Electric(米国)では、「古河電工グループ ビジョン2030」の実現につながる社会課題解決型の新技術や新事業の創出を目的に、スタートアップを中心としたイノベーションエコシステムのステークホルダーとのオープンイノベーションを積極的に推進しております。現地アクセラレータとパートナー契約を結び、当社グループのコア技術とシリコンバレーに集まる技術やビジネスモデルを結合させ新たな顧客体験や価値創出を目指す共創機能を強化しております。さらに、現地ネットワークを活用したVOC(Voice Of Customer)の収集や北米の市場調査分析などのマーケティング機能を加え、当社技術のインキュベーション北米拠点として、その活動を開始いたしました。④技術開発及び事業開発の両方の機能を担うソーシャルデザイン統括部において、社会インフラ維持管理・ライフサイエンス・宇宙等の各領域において、当社の技術を活かした新事業開発を進めております。社会インフラ維持管理やライフサイエンスの領域では、当社が携わる製品・サービスの市場展開が加速する等、着実に社会実装が進んでおります。加えて、宇宙領域では、2023年度から新たに東京大学大学院工学系研究科と社会連携講座を開始し、事業創出を加速しております。⑤2022年4月に国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)によるグリーンイノベーション基金事業「CO2等を用いた燃料製造技術開発プロジェクト/化石燃料によらないグリーンなLPガス合成技術の開発」に採択されました。この実証候補地として北海道鹿追町と包括連携協定を締結し共創を開始しております。また、北海道大学とはこれまで、温室効果ガスの削減に向けて共同研究を進めてまいりましたが、より一層連携を進めるべく寄附分野「地域元素資源利活用工学分野」を開設しました。二酸化炭素とメタンに加え様々な地域資源を最大限利活用した脱炭素社会・循環型社会の実現に向けて技術開発を進めるとともに、専門人材の育成に取り組んでおります。⑥「いちご一会とちぎ国体・とちぎ大会」オフィシャルサプライヤーとして、炬火台用燃料の一部にバイオガスを原料としたグリーンLPガスを提供しました。提供したグリーンLPガスは、栃木県畜産酪農研究センターのプラントで牛のふん尿を活用して生産したバイオガスから合成したもので、燃料の1%程度が本グリーンLPガスに置き換えられております。今後、この技術を応用させ、実用化に向けた開発を進めてまいります。 以上、当該事業に係る研究開発費は4,479百万円であります。
FY2022|6,148 文字
5 【研究開発活動】当社グループは、新商品、新技術開発による新規事業の創出と展開を図るべく、国内の当社研究所等(サステナブルテクノロジー研究所、自動車・エレクトロニクス研究所、情報通信・エネルギー研究所、インキュベーター統括部、デジタルイノベーションセンター)及び海外の OFS Laboratories, LLC (米国)、 Furukawa Electric Institute of Technology Ltd.(ハンガリー)、SuperPower Inc.(米国)、 Silicon Valley Innovation Laboratories, Furukawa Electric (米国)を中心とした研究体制を有し、積極的に研究開発へ取り組んでおります。当連結会計年度における研究開発費は、前連結会計年度比2.7%増の20,761百万円とし、各セグメントの主な成果等は次のとおりであります。 (1)インフラ①次世代の大容量光デジタルコヒーレント通信向け超小型狭線幅制御回路付信号光源(Nano ITLA)の製品化を進めております。本製品は、大幅な小型化と低消費電力化に対応し、かつ超高速光通信に用いられる多値変調の光デジタルコヒーレント通信に要求される狭線幅の特性を有しております。この技術は、Beyond 5G時代の急激なトラフィックの増大を見据えて世界的に開発が進む600Gbps超の光デジタルコヒーレント通信を支えるキーデバイスです。引き続き次世代光ファイバ通信システムの高速化・大容量化・長距離化を支える技術開発を進め、人々の生活利便性の向上に大きく貢献してまいります。②情報通信サービスの普及にともないデータセンタにおける情報処理量が飛躍的に増大しており、次世代ネットワークスイッチ装置の実現が求められております。この次世代ネットワークスイッチ装置ではCo-Packaged Opticsと呼ばれる光電融合デバイスが中心になると見込まれていることから、2022年4月Co-Packaged Optics向け外部光源を開発しサンプル出荷を開始いたしました。今後も次世代データセンタ向けの光部品提供により大容量情報通信と高効率エネルギー社会の実現に貢献してまいります。③光ファイバ及び光ファイバケーブルについては、長距離用途におけるさらなる高性能化・低コスト化を進めております。総務省から委託を受けている「新たな社会インフラを担う革新的光ネットワーク技術の研究開発」の成果として、マルチコアファイバによる光海底ケーブルの大容量化を実現する基盤技術を開発・実証しました。国立研究開発法人情報通信研究機構からは、新たに「Beyond 5G超大容量無線通信を支える空間多重光ネットワーク・ノード技術の研究開発」及び「Beyond 5G時代に向けた空間モード制御光伝送基盤技術の研究開発」を受託し、将来の超大容量光通信における空間多重技術の長距離幹線系・加入者アクセス系への適用に向けて、光ファイバ及び光ファイバケーブルの製造技術やこれらの性能検証、光ファイバの接続技術並びにマルチコア光増幅技術の向上にむけた検証を継続、推進しております。一方、データセンタ用途や大都市ネットワーク用途で光ファイバネットワークの大容量化・多心化が求められていることから、省スペース化が可能な「ローラブルリボンを搭載した光ファイバケーブル」のさらなる高密度化も引き続き推し進めております。④ファイバレーザの製品群として、18kWのマルチモードファイバレーザの更なる高出力化・高輝度化の研究開発を進めております。ビーム品質を良好に維持しつつ高出力化を行うことで、金属の厚板溶接や薄板の高速溶接が可能となり、高付加価値加工の実現及び製造コスト削減に大きく貢献しております。かねてより開発を進めているビームモード制御技術を活用することで、10kW超の高出力レーザを用いた厚板溶接で課題となるスパッタ飛散の抑制、自動車用亜鉛めっき鋼板やアルミニウム合金の高速かつ高品質な溶接を可能としております。また、日亜化学工業株式会社と共同開発した高輝度青色レーザダイオードモジュールを搭載し、青色レーザ出力1kWを有する、Blue-IRハイブリッドレーザ「BRACE®X」の販売を開始いたしました。本製品は、電動モビリティ向け主要部品であるリチウムイオン電池、モータ、インバータ等の導体となる銅の溶接工程の生産性向上(品質・加工速度の向上)や製造工程の省人化に貢献することができます。これまで、光反射率が極めて高い純銅は難加工素材とされておりましたが、本製品は銅加工において高水準の品質・深度・加工速度を実現しました。さらに、溶接品質管理のためのモニタリング技術等の開発も引き続き進めております。これらの研究開発により、自動車や船舶における難接合材の溶接等、高度な加工技術でものづくり競争力を支援し、持続可能な社会の実現に貢献してまいります。 ⑤情報/エネルギー/モビリティが融合した次世代の新しいインフラを考案し社会実装を目指す組織として設立した次世代インフラ創生センターでは、「古河電工グループ ビジョン2030」を具現化するため、安全・安心・快適で地球環境にやさしい社会基盤の創出、さらに社会的受容性のあるコストでのスマートコミュニティの実現を目指し、パートナーの皆様との共創により活動を行っております。再生可能エネルギーにより発電した電力の安定供給に貢献するため、バイポーラ型蓄電池の開発を推進しております。本製品は、シンプルな構造のため電池の高容量化が実現でき、稼働時に空調レスとすることも可能であり電力貯蔵用リチウムイオン蓄電池と比してトータルコストを2分の1以下に抑制できる高い経済性も持ち合わせた電力貯蔵用蓄電池です。「ゼロカーボン社会に向けた共創」を目的とした「EVを中心としたまちづくりプロジェクト」へ賛同し、本製品を活用した災害などの緊急時における電力レジリエンスの強化等に貢献します。また、総務省から5.9GHz帯におけるV2X通信用の実験試験局免許を取得し、グリーントラフを地表面に配置して歩車共存の実現に貢献する「インテリジェント歩道®」の実証環境を当社平塚事業所内従業員駐車場に構築しました。本実証環境はパートナーの皆様との共創フィールドとして活用されており、今後も社内、社外で実証実験を進めてまいります。また、横浜未来機構に参画し、5Gエリアの拡大、まちを活性化する歩車共存空間の実現、無電柱化コストの低減など、新しい街づくりをコンセプトとする実証実験を予定しております。 以上、当該事業に係る研究開発費は10,850百万円であります。 (2)電装エレクトロニクス①自動車用部品においては、カーボンニュートラルに向けた電動車市場の拡大に対応して、高圧ハーネス・高圧部品の開発に注力しております。電動車用コネクタ・電線については、次世代製品の開発や表面処理を含む端子材料の開発も進めております。自動車用ワイヤハーネスについては、車両軽量化へのニーズに応えるため、大電流用途のα端子のバリエーションを増やし、アルミ電線のさらなる適用部位拡大を進めております。今後予想される車両内外でのデータ通信の増加に対応した高速通信用ケーブルの開発にも取り組んでおります。②BSS®(鉛バッテリ状態検知センサ)は、過充電抑制による燃費向上及び過放電によるバッテリ上がり防止等に貢献しており、拡販及び受注活動を行うとともに、鉛バッテリ交換タイミングの通知といった高機能化に向けた開発を継続しております。また、今後予想される車載電子機器の増加やソフトウェアアップデート、自動車の電動化、自動運転化に対して、電源品質を維持する電源マネジメントシステムに関連した製品の開発を行っております。③雨、雪等の環境下でも安定して物体検知可能な車載用の24GHz帯周辺監視レーダの量産を行っております。先進安全運転支援システム高度化に適応するため、後方監視だけでなく前方監視まで機能を拡張し、体積と重量をそれぞれ約30%削減した次世代品の量産を開始しました。また汚れやホコリに強い特長を生かして建機・農機等向け周辺監視レーダの量産を開始しております。今後も、小型・高性能・高機能化を進め安全・安心・快適な社会の実現に貢献してまいります。④新しいワイヤレス電力伝送方法として期待され、軽量かつ金属異物を加熱し難い特徴を有する電界共振結合方式を用いて、世界で初めて4.7kWの電力の伝送に成功しております。2021年12月には本方式を採用した電動キックボードのワイヤレス充電ポートシステムを株式会社大林組とともに開発し、実証実験を行っております。引き続き、小型・軽量化と大電力・高効率化を実現させ、モビリティの電動化に貢献してまいります。⑤シミュレーション技術及び分析技術を有効活用し、研究開発の効率化を推進しております。ワイヤハーネスなどの自動車用部品は変形・応力シミュレーション、電子機器開発は振動・熱流体・電磁界シミュレーションを活用したほか、車載ソフト用のアルゴリズム構築についてのモデルベース開発等を行いました。先端分析装置や手法を活用した解析を行っており、合金中の析出相の解析では日本銅学会で論文賞を受賞しました。Furukawa Electric Institute of Technology Ltd. (ハンガリー)では、先進的なシミュレーション技術開発に取り組んでおり、触媒構造解析のための分子動力学シミュレーションを実施しました。引き続き、シミュレーション技術及び分析技術を活用し、メカニズムの解明や設計の最適化に加え、試作代替による環境負荷低減への取組みを推進してまいります。⑥高強度・高導電な銅合金及び貴金属めっきの開発を引き続き行っております。本開発により、電子機器における小型化・大容量化に伴う接続部品(コネクタ、端子等)の多極化・高密度化、発熱の制御、電装品(ワイヤハーネス等)の高電圧化・大電流化への対応を進めてまいります。 以上、当該事業に係る研究開発費は4,021百万円であります。 (3)機能製品①セルロース繊維の高剛性及び軽量性の特長を活かし、自動車分野など様々な用途での活用が期待されるセルロース繊維強化樹脂の高効率製造法の実用化に向けた検証を行っております。また、プラスチック海洋汚染の対策やCO2排出量削減に取り組むべく、プラスチックパッケージごみをセルロース繊維強化材料にし、当社ケーブル関連商品に使用しております。さらに一般消費財の原材料にも使用し、環境省の「プラスチック・スマート」に参加しております。当社は経済産業省が公表した「GX(グリーントランスフォーメーション)リーグ基本構想」に賛同しており、本研究開発を通して、カーボンニュートラル実現への取組みを推進してまいります。②高熱輸送量、高発熱密度に対応するヒートパイプ技術を継続的に開発しております。本技術により、情報/エネルギー/モビリティ分野の高発熱化、薄型化、軽量化への対応が可能となります。当社は引き続き、データセンタの高発熱密度に対応した製品や、エレクトロニクス機器の高発熱化、軽量化に対応する製品や、次世代モビリティに向けた熱技術を応用した製品の開発に注力してまいります。③5Gの運用が本格化して、通信ネットワークの高速化、高周波数化に対応するインフラ用大型高速サーバー・ルーター向けのプリント基板の需要の高まりから、さらなる高速化に対応した次世代高周波基板用銅箔F0X-WSを開発いたしました。今後、高周波基板用銅箔の製品群を拡充し、高速通信ネットワークの需要に対応してまいります。 以上、当該事業に係る研究開発費は2,112百万円であります。 (4)サービス・開発等①超電導製品部では、高機能低温超電導線材の開発・量産化を進めており、お客様のコイル製造プロセスを効率化する新商品の量産化を開始し、上市しております。また、SuperPower Inc.(米国)と連携し、低温超電導線材及び高温超電導線材の新製品の開発を進めております。②研究開発子会社である SuperPower Inc.(米国)において、イットリウム高温超電導線材の研究開発を継続しております。高温超電導線材は、当社製低温超電導線材と併せて用いることにより、次世代エネルギー源と期待される核融合炉や、新素材や先端医薬の開発に欠かせない高磁場マグネットなど、各方面への応用が期待されます。また、2020年8月より稼働した新工場で、本製品の増産体制の構築を行っております。また、国立研究開発法人科学技術振興機構からの委託により開発を行う未来社会創造事業において、京都大学と連携した共同研究グループでは、交流損失の低減を達成しました。標準的な薄膜高温超電導線と比較し、交流損失が約20分の1になることを実証しております。③新事業創出を目的としたソーシャルデザイン統括部にて、VOC(Voice Of Customer)から顧客ニーズを捉え、自社技術開発のみならずOI(オープンイノベーション)による他者連携も積極的に活用し、迅速にコンセプトサンプルを作製し、新たな価値を提案する活動を推進しております。新事業の創出に繋げるべく、社会インフラ維持管理・ライフサイエンス・宇宙分野などにおいて、当社の技術を活かした実証実験を行うと共に、一部社会実装を進めております。④米国カリフォルニア州のシリコンバレーに開設しているSilicon Valley Innovation Laboratories, Furukawa Electricでは、「古河電工グループ ビジョン2030」の実現につながる新技術を獲得することを目的として、スタートアップ企業とのオープンイノベーションを積極的に推進しております。シリコンバレーを拠点とするアクセラレータや各種イベントを通じて、スタートアップ企業情報や最新の技術及び市場動向を調査し、当社グループの製品やコア技術と、AIを中心としたソフトウェア技術やサービスとの結合による新たな価値創出に向け、実証検証を進めております。シリコンバレーを拠点とする企業との戦略的なパートナーシップ構築を視野にいれ、新技術獲得と新事業創出に取り組んでおります。⑤地球規模の社会課題である温室効果ガス削減に向けて北海道大学との共同研究を進めており、バイオガスなどの持続可能な資源をLPガスに変換する技術の開発に取り組んでおります。地域の資源から貯蔵・輸送しやすいLPガスへの創出により、一般家庭や一次産業等のエネルギーとしての利用や、災害時用のエネルギーとしての利用も可能となります。脱炭素社会への貢献が期待される本技術を社会実装すべく、今後も実証実験を進めてまいります。 以上、当該事業に係る研究開発費は3,777百万円であります。
FY2021|5,572 文字
5 【研究開発活動】当社グループは、新商品、新技術開発による新規事業の創出と展開を図るべく、国内の当社研究所等(サステナブルテクノロジー研究所、自動車・エレクトロニクス研究所、情報通信・エネルギー研究所、インキュベーター統括部、デジタルイノベーションセンター)及び海外の OFS Laboratories, LLC (米国)、 Furukawa Electric Institute of Technology Ltd.(ハンガリー)、SuperPower Inc.(米国)、 Silicon Valley Innovation Laboratories, Furukawa Electric (米国)を中心とした研究体制を有し、積極的に研究開発へ取り組んでおります。当連結会計年度における研究開発費は、前連結会計年度比6.6%減の20,217百万円とし、各セグメントの主な成果等は次のとおりであります。 (1)インフラ①次世代の大容量光デジタルコヒーレント通信向け超小型狭線幅制御回路付信号光源(Nano ITLA)の製品化を進めております。本製品は、大幅な小型化と低消費電力化に対応し、かつ超高速光通信に用いられる多値変調の光デジタルコヒーレント通信に要求される狭線幅の特性を有しております。また、光ファイバ通信の伝送特性向上及び伝送距離拡大に有効なインコヒーレント光を用いたラマン増幅用の新しい励起光源FRSi4XXシリーズの製品化も進めております。これらの技術は、5G時代の急激なトラフィックの増大を見据えて世界的に開発が進む600Gbps超の光デジタルコヒーレント通信を支えるキーデバイスです。引き続き次世代光ファイバ通信システムの高速化・大容量化・長距離化を支える技術開発を進め、5Gなど人々の生活利便性の向上に大きく貢献してまいります。②光ファイバ及び光ファイバケーブルについては、長距離用途におけるさらなる高性能化・低コスト化を進めております。また、データセンタや大都市ネットワーク用途で光ファイバネットワークの大容量化・多心化が求められていることから、省スペース化が可能な「ローラブルリボンを搭載した光ファイバケーブル」のさらなる高密度化を推し進めております。国立研究開発法人情報通信研究機構からの委託研究である「空間多重フォトニックノード基板技術の研究開発」及び「マルチコアファイバの実用化加速に向けた研究開発」、並びに総務省からの委託研究である「新たな社会インフラを担う革新的光ネットワーク技術の研究開発」を活用し、将来の超大容量光通信における空間多重技術の長距離幹線系・加入者アクセス系への適用に向けて、光ファイバ及び光ファイバケーブルの製造技術やこれらの性能検証、光ファイバの接続技術並びにマルチコア光増幅技術の検討を行っております。③ファイバレーザの製品群として、12kWのマルチモードファイバレーザを製品化しております。ビーム品質を良好に維持しつつ高出力化を行うことで、金属の厚板溶接や薄板の高速溶接が可能となり、高付加価値加工の実現及び製造コスト削減に大きく貢献しております。かねてより開発を進めているビームモード制御技術を活用することで、10kW超の高出力レーザを用いた厚板溶接で課題となるスパッタ飛散の抑制、自動車用亜鉛めっき鋼板やアルミニウム合金の高速かつ高品質な溶接を可能としております。また、日亜化学工業株式会社と共同開発した高輝度青色レーザダイオードモジュールを搭載したBlue-IRハイブリッドレーザ「BRACE™」を開発しました。本製品は、電動モビリティ向け主要部品であるリチウムイオン電池、モータ、インバータ等の導体となる銅の溶接工程の生産性向上(品質・加工速度の向上)や製造工程の省人化に貢献することができます。これまで、光反射率が極めて高い純銅は難加工素材とされておりましたが、本製品は銅加工において高水準の品質・深度・加工速度を実現しました。さらに、溶接品質管理のためのモニタリング技術等の開発も引き続き進めております。これらの研究開発により、自動車や船舶における難接合材の溶接等、高度な加工技術でものづくり競争力を支援し、持続可能な社会の実現に貢献してまいります。④国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の委託事業「高温超電導高安定磁場マグネットシステム技術開発」に参画し、国立研究開発法人産業技術研究機構と共同で高温超電導線と低温超電導線の接続の開発を実施しました。高温超電導線ではMRI マグネットで要求される10 -12Ω 以下の抵抗を達成し、超電導コイルの永久電流実現に成功いたしました。また、低温超電導線と高温超電導線を組み合わせたNMRコイルにおいても永久電流実現に向けた検証を実施しております。今後も、低温超電導と高温超電導を融合した応用開発を進めてまいります。⑤情報/エネルギー/モビリティが融合した次世代の新しいインフラを考案し社会実装を目指す組織として設立した次世代インフラ創生センターでは、「古河電工グループ ビジョン2030」を具現化するため、安全・安心・快適で地球環境にやさしい社会基盤の創出、さらに社会的受容性のあるコストでのスマートコミュニティの実現を目指し、パートナーの皆様との共創により活動を行っております。再生可能エネルギーにより発電した電力の安定供給に貢献するため、バイポーラ型蓄電池の開発を推進しております。本製品は、シンプルな構造のため電池の高容量化が実現でき、稼働時に空調レスとすることも可能であり電力貯蔵用リチウムイオン蓄電池と比してトータルコストを2分の1以下に抑制できる高い経済性も持ち合わせた電力貯蔵用蓄電池です。また、グリーントラフを地表面に配置し歩車共存の実現に貢献する「インテリジェント歩道®」を自動車技術に関する展示会で出展いたしました。 以上、当該事業に係る研究開発費は10,396百万円であります。 (2)電装エレクトロニクス①自動車用ワイヤハーネスについて、環境対応、性能向上及び車両軽量化へのニーズに応えるため、アルミ電線のさらなる適用部位拡大を進めております。また、 CASE (Connected:つながる化、 Autonomous:自動運転、 Shared & Services:シェアリング、 Electric:電動化)の進展に対応するため、次世代製品の開発を行っております。②自動車用バッテリ状態検知センサについて、過充電抑制による燃費向上及び過放電によるバッテリ上がり防止等に貢献しており、拡販及び受注活動とともに、高機能化に向けた開発を継続しております。また、今後予測される車載電子機器の増加やソフトウェアアップデート、自動車の電動化、自動運転化に対して、電源品質を維持する電源マネジメントシステムに関連した製品の開発を行っております。③雨、雪等の環境下でも安定して物体検知可能な車載用の 24GHz 帯周辺監視レーダの量産を行っております。先進安全運転支援システム高度化に適応するため、後方監視だけでなく前方監視まで機能を拡張した次世代品の量産開始を予定しております。また、建機・農機等向け周辺監視レーダの量産開始も予定しており、作業エリアの安全性向上に貢献する周辺監視レーダの開発も進めてまいります。④新しいワイヤレス電力伝送方法として期待される電界共振結合方式を用いて、世界で初めて 4.7kW の電力の伝送に成功しております。本方式は、軽量かつ金属異物を加熱し難い特徴を有しており、次世代の電動小型モビリティ、ロボット、無人搬送車などへのワイヤレス給電の適用を想定しております。今後は、窒化ガリウム(GaN)パワーデバイス開発の経験を活かし、さらなる小型・軽量化と大電力・高効率化により、モビリティの電動化に貢献してまいります。⑤シミュレーション技術及び分析技術を有効活用し、研究開発の効率化を推進しております。ワイヤハーネスなどの自動車用部品は変形・応力シミュレーション、電子機器開発は振動・熱流体シミュレーション、レーダ開発は電磁界シミュレーションを活用したほか、車載ソフト用のアルゴリズム構築についてのモデルベース開発等を行いました。また、触媒等の新材料に対しては、反応器設計のための流体計算や、先端電子顕微鏡を活用しております。 Furukawa Electric Institute of Technology Ltd. (ハンガリー)では、先進的なシミュレーション技術開発に取り組んでおり、車載バッテリの環境負荷を考慮した基礎シミュレーションの構築や触媒構造解析のための分子動力学シミュレーションを実施しました。引き続き、シミュレーション技術及び分析技術を活用し、メカニズムの解明や設計の最適化に加え、試作代替による環境負荷低減への取組みを推進してまいります。⑥高強度・高導電な銅合金及び貴金属めっきの開発を引き続き行っております。本開発により、電子機器における小型化・大容量化に伴う接続部品(コネクタ、端子等)の多極化・高密度化、発熱の制御、自動車の電動化や車載電子機器の増加に伴う電装品(ワイヤハーネス等)の高電圧化・大電流化への対応が可能となります。 以上、当該事業に係る研究開発費は4,350百万円であります。 (3)機能製品①セルロース繊維の高剛性及び軽量性の特長を活かし、自動車分野など様々な用途での活用が期待されるセルロース繊維強化樹脂の高効率製造法の実用化に向けた検証を行っております。また、プラスチック海洋汚染の対策やCO2排出量削減に取り組むべく、プラスチックパッケージごみをセルロース繊維強化材料にし、当社ケーブル関連商品に使用しております。さらに家庭用消費財の材料に関する開発も行い、環境省の「プラスチック・スマート」にも取り組んでおります。②ヒートシンク・ヒートパイプを活用した熱マネジメント(均熱・熱輸送・熱交換)技術により、情報/エネルギー/モビリティ分野の製品(データセンタ、スマートフォン、太陽光発電システム、鉄道、自動車等)の薄型化・軽量化を可能とする研究開発を進めております。エレクトロニクス機器の薄型化、軽量化、高発熱化に対応する製品や、次世代モビリティに向けた熱技術を応用した製品の開発に注力しております。③通信ネットワークの高速化、高周波数化に対応するインフラ用大型高速サーバー・ルーター向けのプリント基板の需要の高まりから、さらなる高速化に対応した次世代高周波基板用銅箔F1N-WSを開発いたしました。今後、高周波基板用銅箔の製品群を拡充し、高速通信ネットワークの需要に対応してまいります。 以上、当該事業に係る研究開発費は2,051百万円であります。 (4)サービス・開発等①超電導製品部では、高機能低温超電導線材の開発・量産化を進めており、お客様の巻線後にコイルを固定するプロセスを不要にする新商品の量産化を開始しております。また、SuperPower Inc.(米国)と連携し、低温超電導線材及び高温超電導線材の新製品の開発を進めております。②研究開発子会社である SuperPower Inc.(米国)において、イットリウム高温超電導線材の研究開発を継続しております。高温超電導線材は、当社製低温超電導線材と併せて用いることにより、次世代エネルギー源と期待される核融合炉や、新素材や先端医薬の開発に欠かせない高磁場マグネットなど、各方面への応用が期待されます。また、顧客の旺盛な需要に応えるため、現工場の近隣地区に新工場を建設、2020年8月に再稼働し、増産体制の構築を行っております。③オープン・イノベーションによる新事業創出を目的に営業部門と研究部門の連携組織として設立した先行開発センター(現 ソーシャルデザイン統括部)では、VOC(Voice Of Customer)から顧客ニーズを捉え迅速にコンセプトサンプルを作製し、新たな価値を提案する活動を推進しております。新事業の創出に繋げるべく、エネルギーインフラ・モビリティインフラ・ヘルスケア分野などにおいて、当社の技術を活かした実証実験を行っております。④米国カリフォルニア州のシリコンバレーに開設したSilicon Valley Innovation Laboratories, Furukawa Electricでは、「古河電工グループ ビジョン2030」の実現につながる新技術を獲得することを目的として、スタートアップ企業とのオープン・イノベーションを積極的に推進しております。シリコンバレーを拠点とするアクセラレータや自動車技術協議会などが主催するイベントを通じて、スタートアップ企業情報や最新の技術動向を調査し、実証実験を実施しております。⑤地球規模の社会課題である温室効果ガス削減に向けて北海道大学との共同研究を進めており、バイオガスをLPガスに変換する技術の開発に取り組んでおります。家畜のふん尿から得られる二酸化炭素とメタンから貯蔵・輸送しやすいLPガスへの創出によって、一般家庭や酪農場等でのエネルギーとしての利用や、災害時用のエネルギーとしての利用も可能となります。本技術は脱炭素社会への貢献に加え、エネルギーの地産地消を促す社会基盤の創出にもつながり、地域循環共生圏の形成にも貢献が期待されます。本技術を社会実装すべく、今後は実証試験を進めていく予定であります。 以上、当該事業に係る研究開発費は3,419百万円であります。
FY2020|5,379 文字
5 【研究開発活動】 当社グループは、新商品、新技術開発による新規事業の創出と展開を図るべく、国内の当社研究所等(先端技術研究所、コア技術融合研究所、自動車・エレクトロニクス研究所、情報通信・エネルギー研究所、次世代インフラ創生センター)及び海外のOFS Laboratories, LLC (米国)、Furukawa Electric Institute of Technology Ltd.(ハンガリー)、SuperPower Inc.(米国)、Silicon Valley Innovation Laboratories, Furukawa Electric(米国)を中心とした研究体制を有し、積極的に研究開発へ取り組んでおります。当連結会計年度における研究開発費は、注力分野及び新事業創出の強化を進めていくため、前連結会計年度比2.4%増の21,650百万円とし、各セグメントの主な成果等は次のとおりであります。 (1)インフラ①次世代の大容量光デジタルコヒーレント通信向け超小型狭線幅制御回路付信号光源(Nano ITLA)の開発に成功しました。本製品は、大幅な小型化と低消費電力化に対応し、かつ超高速光通信に用いられる多値変調の光デジタルコヒーレント通信に要求される狭線幅の特性を有しております。また、光ファイバ通信の伝送特性向上及び伝送距離拡大に有効なインコヒーレント光を用いたラマン増幅用の新しい励起光源FRSi4XXシリーズを開発しました。これらの技術は、5G時代の急激なトラフィックの増大を見据えて世界的に開発が進む600Gbps超の光デジタルコヒーレント通信を支えるキーデバイスです。引き続き次世代光ファイバ通信システムの高速化・大容量化・長距離化を支える技術開発を進め、5Gなど人々の生活利便性の向上に大きく貢献してまいります。②光ファイバ及び光ファイバ・ケーブルについては、長距離用途におけるさらなる低コスト化、並びに光ファイバネットワークの大容量化・多心化が求められているデータセンタや大都市ネットワーク用途における省スペース化が可能な「ローラブルリボンを搭載した光ファイバ・ケーブル」のさらなる高密度化を推し進めております。また、将来の超大容量光通信における空間多重技術の長距離幹線系、加入者アクセス系への適用に向けて、国立研究開発法人情報通信研究機構が実施するプロジェクトからの委託研究である「空間多重フォトニックノード基板技術の研究開発」、「マルチコアファイバの実用化加速に向けた研究開発」、総務省が実施する「新たな社会インフラを担う革新的光ネットワーク技術の研究開発」を活用し、1本の光ファイバに複数のコアを含むマルチコア光ファイバを用いた、光ファイバ及び光ファイバ・ケーブルの製造技術や光ファイバの接続技術並びにマルチコア光増幅技術の検討を行っております。③ファイバレーザの製品群として、新たに12kWのマルチモードファイバレーザを製品化しました。ビーム品質を良好に維持しつつ高出力化を行うことで、金属の厚板溶接や薄板の高速溶接が可能となり、高付加価値加工の実現及び製造コスト削減に大きく貢献しております。また、かねてより開発を進めているビームモード制御技術を活用することにより、10kW超の高出力レーザを用いた厚板溶接で課題となるスパッタ飛散の抑制、自動車用亜鉛めっき鋼板やアルミニウム合金の高速かつ高品質な溶接が可能となりました。さらに、溶接品質管理のためのモニタリング技術等の開発も進めております。これらの研究開発により、自動車や船舶における難接合材の溶接など高度な加工技術でものづくり競争力を支援し、持続可能な社会の実現に貢献してまいります。④国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の委託事業「高温超電導高安定磁場マグネットシステム技術開発」に参画し、高温超電導線材の超電導接続の開発を実施しました。また、MRIマグネットで要求される10-12Ω以下の抵抗を達成し、超電導コイルの永久電流実現に成功しました。引き続き、実用化に向けた開発を継続してまいります。⑤大型・高効率のフライホイールに用いられている高温超電導磁気軸受の開発を進めており、研究子会社であるSuperPower Inc.(米国)の高温超電導線材を用いた超電導コイルで、従来の4倍以上の荷重となる15トンの浮上に成功しました。また、㈱ミラプロ及び公益財団法人鉄道総合技術研究所と共同で鉄道用途に向けた超電導磁気軸受の実用化に取り組んでおります。⑥経済産業省の委託事業「浮体式洋上ウィンドファーム実証研究事業」に受託コンソーシアムの一員として参画し、現在、運転・メンテナンス実証を実施しております。当社は、浮体式設備の動きや波・潮流に追従し水中で浮遊する浮体式風力発電用ライザーケーブルを担当しており、発電事業期間となる20年間における維持管理手法のとりまとめを行いました。⑦情報・エネルギー・モビリティが融合した「次世代の新しいインフラ」を考案し社会実装を目指す組織として設立した「次世代インフラ創生センター」では、「古河電工グループ ビジョン2030」を具現化するため、安全・安心・快適で地球環境にやさしい社会基盤を創生すること、さらには社会的受容性のあるコストで社会基盤=スマートコミュニティを実現することを目指して、パートナーの皆様と共創しながら活動を推進しております。 以上、当該事業に係る研究開発費は11,333百万円であります。 (2)電装エレクトロニクス①自動車用ワイヤハーネスについては、車両軽量化への要請を背景としたアルミ電線のさらなる適用部位拡大やCASE(Connected:つながる化、Autonomous:自動運転、Shared&Services:シェアリング、Electric:電動化)対応への関連技術の開発を行っております。②自動車用バッテリ状態検知センサについては、過充電抑制での燃費向上及び過放電によるバッテリ上がり防止などへの貢献が期待されており、拡販及び受注活動とともに、高機能化に向けた開発を行っております。また、今後予測される車載電子機器の増加や自動車の電動化に対して、電源品質を維持する電源マネジメントシステムに関連した製品の開発を行っております。③パルス方式により複数の対象物を分離して正確に認識可能な車載用の24GHz帯周辺監視レーダの量産を行っております。さらに性能を向上させ、様々な車種の安全運転支援システムへの適用を検討しております。また、建機・農機等向け周辺監視レーダの量産開始も予定されております。今後、建機・農機等の無人化にも貢献できる周辺監視レーダの開発を進めてまいります。④新しいワイヤレス電力伝送方法として期待される電界共振結合方式を用いて、世界で初めて4.7kWの電力を伝送することに成功しました。本方式は、軽量かつ金属異物を加熱しないという特徴を有しており、次世代の電動小型モビリティ、ロボット、無人搬送車などへのワイヤレス給電の適用を想定しております。今後は、窒化ガリウム(GaN)パワーデバイス開発の経験を活かし、さらなる小型・軽量化と大電力・高効率化により、モビリティの電動化に貢献してまいります。⑤カーボンナノチューブ(CNT)電線開発技術については、NEDOの委託事業と環境省の補助事業を実施しております。NEDO「超先端材料超高速開発基盤技術プロジェクト」では、先端素材高速開発技術研究組合(ADMAT)の一員として、産業技術総合研究所とともに計算・計測・プロセスの三位一体でCNT電気電導シミュレーション開発を行いました。環境省「CO2排出削減対策強化誘導型技術開発・実証事業」では、CNT電線を用いた100W超級のモーター試作に成功、車載適用によるCO2削減効果を実証確認し、本補助事業を成功させました。NEDO事業は次年度へ継続となり、引き続きCNT電線の実用化に向けた開発を進めてまいります。⑥シミュレーション技術及び分析技術を有効活用し、研究開発の効率化を推進しております。ワイヤハーネスなどの自動車用部品の変形・応力シミュレーション、電子機器開発においては振動・熱流体シミュレーション、レーダ開発においては電磁界シミュレーションを活用したほか、車載ソフト用のアルゴリズム構築に際してのモデルベース開発などを行いました。また、CNTなどの新材料に対しては、第一原理計算を用いた材料特性予測や先端電子顕微鏡を活用しております。Furukawa Electric Institute of Technology Ltd.(ハンガリー)では、先進的なシミュレーション技術開発に取り組んでおり、車載バッテリの環境負荷を加味した基礎シミュレーションの構築やCNT生成プロセスを評価するための化学反応シミュレーションを実施しました。引き続き、シミュレーション技術及び分析技術を活用し、メカニズム解明や設計の最適化に加え、試作代替による環境負荷低減への取組みを推進してまいります。⑦電子機器における小型化・大容量化に伴う接続部品(コネクタ、端子等)の多極化・高密度化、発熱の制御、自動車の電動化や車載電子機器の増加に伴う電装品(ワイヤハーネス等)の高電圧化・大電流化へ対応できる、高強度・高導電な銅合金及び貴金属めっきの開発を行っております。 以上、当該事業に係る研究開発費は5,046百万円であります。 (3)機能製品①植物由来のセルロース繊維の高剛性・軽量性という特長を活かし、自動車分野など様々な用途での活用が期待されるセルロース強化樹脂の高効率製造法の開発を行い、その実用化に向けた検証を行っております。また、昨今のプラスチックごみ問題に対応すべく、リサイクルされていない使い捨てプラスチックパッケージと古紙でセルロース繊維強化樹脂を製造し、そのセルロース繊維強化樹脂を使用した製品の製造・販売を行っております。さらに、古紙の代わりに使用済みの家具・建材などの木質系廃棄物を使用したセルロース繊維強化樹脂の開発にも成功しました。引き続き、国内外の行政機関、プラスチック業界及びリサイクル業界と連携し、本技術の普及を進め、地球環境の改善に貢献してまいります。②ヒートシンク・ヒートパイプを活用した熱マネジメント(均熱・熱輸送・熱交換)技術により、データセンタ、スマートフォン、太陽光発電システム、鉄道、自動車などの情報/エネルギー/モビリティ分野の製品の薄型化・軽量化を可能とする研究開発を進めております。エレクトロニクス機器の薄型化、軽量化、高発熱化に対応する製品や次世代自動車への搭載に向けた製品の開発を行っております。③通信ネットワークの高速化、高周波数化に対応するインフラ用大型高速サーバー・ルーター向けのプリント基板の需要が高まっております。従来、FV-WSやFZ-WSなどを代表とする高周波基板用銅箔を供給してまいりましたが、さらなる高速化に対応した次世代高周波基板用銅箔を開発しました。今後、高周波基板用銅箔の製品群を拡充し、高速通信ネットワークの需要に対応してまいります。 以上、当該事業に係る研究開発費は2,180百万円であります。 (4)サービス・開発等①研究子会社であるSuperPower Inc.(米国)において、イットリウム系高温超電導線材の研究開発を継続しております。この高温超電導線材と当社製金属系超電導線材とを併せ用いることにより、次世代エネルギー源と期待される核融合炉、新素材や先端医薬の開発に欠かせない高磁場マグネットなど、各方面への応用が期待されます。また、顧客の旺盛な需要に応えるため、現工場の近隣地区に新工場を建設し、2020年夏に移転後再稼働・増産体制の構築を予定しております。②オープン・イノベーションによる新事業創出を目的に2017年9月に営業部門と研究部門の連携組織として設立した先行開発センターでは、VOC(Voice Of Customer)から顧客ニーズを捉え迅速にコンセプトサンプルを作製し、新たな価値を提案する活動を推進しております。同センターでは、新事業の創出に繋げるべく、エネルギーインフラ・モビリティインフラ・ヘルスケア分野などにおいて、当社の技術を活かした実証実験を行っております。③2018年8月に、米国カリフォルニア州のシリコンバレーに開設したSilicon Valley Innovation Laboratories, Furukawa Electric(SVIL)では、「古河電工グループ ビジョン2030」の実現に繋がる新技術を獲得することを目的として、スタートアップ企業とのオープン・イノベーションを積極的に推進しております。シリコンバレーを拠点とするアクセラレータや自動車技術協議会などが主催するイベントを通じて、スタートアップ企業情報や最新の技術動向を調査し、実証実験を実施しております。 以上、当該事業に係る研究開発費は3,089百万円であります。
FY2019|3,795 文字
5 【研究開発活動】 当社グループは、新商品、新技術開発による新規事業の創出と展開を図るべく、国内の当社研究所等(先端技術研究所、コア技術融合研究所、自動車・エレクトロニクス研究所、情報通信・エネルギー研究所、次世代インフラ創生センター)及び海外のOFS Laboratories, LLC (米国)、Furukawa Electric Institute of Technology Ltd.(ハンガリー)、SuperPower Inc.(米国)、Silicon Valley Innovation Laboratories, Furukawa Electric(米国)を中心とした研究体制を有し、積極的に研究開発へ取り組んでおります。当連結会計年度における研究開発費は、注力分野及び新事業創出の強化を進めていくため、前連結会計年度比8.2%増の21,141百万円とし、各セグメントの主な成果等は次のとおりであります。 (1)インフラ①次世代の400Gbps・1Tbps大容量光デジタルコヒーレント伝送向け制御回路付信号光源について、さらなる小型化・低消費電力化・狭線幅化を実現すべく、構成要素である半導体レーザチップ、パッケージ技術及び制御回路の開発ならびに特性評価を行っております。②将来の超大容量光通信における空間多重技術の長距離幹線系、加入者アクセス系への適用に向けて、国立研究開発法人情報通信研究機構が実施するプロジェクトからの委託研究である「マルチコアファイバによる周回伝送実験の研究」、また、総務省が実施する「新たな社会インフラを担う革新的光ネットワーク技術の研究開発」を活用し、1本の光ファイバに複数のコアを含むマルチコア光ファイバを用いた光ファイバ・ケーブルの製造技術及び光ファイバの接続技術、マルチコア光増幅技術の検討を行っております。③ファイバレーザについて、光出力が1.3kWまでのシングルモードファイバレーザ及び6kWまでのマルチモードファイバレーザを製品化しており、それらのさらなる小型化、低コスト化、低消費電力化を目指した開発を行っております。これらのファイバレーザは非常に優れたビーム品質を有し、出力ビーム形状制御技術を用いることにより、溶接加工品質向上(特に溶接飛沫の低減)に貢献するもので、顧客から高い評価を受けております。④国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の助成事業「電力送電用超電導ケーブルシステムの実用化開発」に参画し、超電導ケーブルの電力系統への適用の際に起こり得る不測の事故(地絡・短絡・外傷等)に対する安全性・信頼性の確立に向けたガイドラインの作成を東京電力ホールディングス株式会社と行いました。⑤公益財団法人鉄道総合技術研究所、山梨県企業局及び株式会社ミラプロと共同で進めている、次世代フライホイール蓄電システムの開発において高温超電導磁気軸受を開発し、山梨県米倉山の太陽光発電システムに設置して実証試験を行っております。さらに、公益財団法人鉄道総合技術研究所と共同で鉄道用途に向けた大荷重超電導磁気軸受の開発に成功しました。⑥経済産業省の委託事業「浮体式洋上ウィンドファーム実証研究事業」に受託コンソーシアムの一員として参画し、浮体式設備の動きや波・潮流に追従し水中で浮遊する浮体式風力発電用ライザーケーブルの開発を担当しております。7MW用風車及び5MW用風車に施工した22kVライザーケーブルの設計検証として、実証データに基づく挙動及び疲労解析を実施し、設計の妥当性を確認しました。⑦情報・エネルギー・モビリティが融合した「次世代の新しいインフラ」を考案し社会実装を目指す組織として、「次世代インフラ創生センター」を設立しました。安全・安心・快適で、環境にやさしい社会の創生に貢献する活動を推進してまいります。 以上、当該事業に係る研究開発費は11,162百万円であります。 (2)電装エレクトロニクス①アルミ電線を使用した自動車用ワイヤハーネスについては、車両軽量化への要請を背景としたさらなる適用部位拡大に向け、関連技術の開発を行っております。②自動車用バッテリ状態検知センサについては、過充電抑制での燃費向上及び過放電によるバッテリ上がり防止などへの貢献が期待されており、拡販及び受注活動とともに、高機能化に向けた開発を行っております。また、今後予測される車載電子機器の増加や自動車の電動化に対して、電源品質を維持する電源マネジメントシステムに関連した製品の開発を行っております。③パルス方式により複数の対象物を正確に認識可能な車載用の24GHz帯周辺監視レーダについて、量産を開始しておりますが、先進運転支援システムを支える検知技術のさらなる高性能化を目指し開発を行っております。④ハイブリッド自動車(HEV)や電気自動車(EV)の普及に伴い、燃費性能や動力性能を左右する駆動用モーターに対する小型化・高出力化の要求が一層高まっており、これらモーターの性能向上を可能とする高機能巻線の開発に注力しております。⑤窒化ガリウム(GaN)パワーデバイスは、同製品市場の有力事業者で資本提携先の Transphorm, Inc.(米国)との相互連携を図り、継続して両社のGaNパワーデバイス応用製品群の強化に取り組んでおります。⑥カーボンナノチューブ(CNT)電線開発技術について、NEDOの委託事業と環境省の補助事業を実施しております。NEDO「超先端材料超高速開発基盤技術プロジェクト」では、先端素材高速開発技術研究組合(ADMAT)の一員として、産業技術総合研究所とともに計算・計測・プロセスの三位一体でCNT電気電導シミュレーション開発を行いました。環境省「CO2排出削減対策強化誘導型技術開発・実証事業」では、CNT電線を用いて試作したモーターの稼働を確認しました。両事業ともに次年度へ継続となり、CNT電線の実用化に向けた開発を進めております。⑦研究開発の効率化のため、シミュレーション技術等の有効活用を推進しております。ワイヤハーネスなどの自動車用部品の変形・応力シミュレーション、電子機器開発においては振動・熱流体シミュレーション、レーダ開発においては電磁界シミュレーションを活用したほか、車載ソフト用のアルゴリズム構築に際してのモデルベース開発などを行いました。また、CNTなどの新材料に対し、第一原理計算を用いた材料シミュレーションを適用し、試作回数・費用の削減や設計の最適化に取り組んでおります。⑧電子機器における小型化・大容量化に伴う接続部品(コネクタ、端子等)の多極化・高密度化、発熱の制御、自動車の電動化や車載電子機器の増加に伴う電装品(ワイヤハーネス等)の高電圧化・大電流化へ対応できる、高強度・高導電な銅合金及び貴金属めっきの開発を行っております。 以上、当該事業に係る研究開発費は5,161百万円であります。 (3)機能製品 ①植物由来のセルロースナノファイバー(CNF)の高剛性・軽量性という特長を活かし、自動車分野など様々な用途活用が期待されるCNF強化樹脂の高効率製造法の開発を行い、その実用化に向けた検証を行っております。②ヒートパイプ技術を活用した熱マネジメント(均熱・放熱)技術システムについては、エレクトロニクス機器の薄型化、軽量化、高発熱化に対応する製品や次世代自動車への搭載に向けた製品の開発を行っております。③通信ネットワークの高速化、高周波数化に対応する高周波プリント基板用銅箔を製品化いたしました。引き続き、次世代高周波回路に適した銅箔の開発を行っております。 以上、当該事業に係る研究開発費は2,191百万円であります。 (4)サービス・開発等①研究子会社であるSuperPower Inc.(米国)において、イットリウム系高温超電導線材の研究開発を継続しております。この高温超電導線材と当社製金属系超電導線材とを併せ用いることにより、次世代エネルギー源と期待される核融合炉、新素材や先端医薬の開発に欠かせない高磁場マグネットなど、各方面への応用が期待されます。②VOC(Voice Of Customer)により得られた顧客ニーズに対して、コア技術融合研究所内に設置した先行開発センターを中心に、迅速にコンセプトサンプルを提示する活動に取り組んでおり、顧客とともに新たな価値の創出を実現する新製品または新事業の開発を進めております。③2018年8月に、米国カリフォルニア州のシリコンバレーに当社にとって4番目の海外研究拠点であるSilicon Valley Innovation Laboratories, Furukawa Electric(SVIL)を開設しました。世界中から優秀な人材や技術が集積し、イノベーションの発信地である同地で、最新技術の調査や現地のスタートアップ企業及び大学との協働の機会発掘に取り組んでおります。2019年5月に刷新した「古河電工グループビジョン2030」を踏まえ、長期的な視点でイノベーション活動に取り組む研究拠点となるよう努めてまいります。 以上、当該事業に係る研究開発費は2,626百万円であります。
FY2018|3,568 文字
5 【研究開発活動】 当社グループは、新商品、新技術開発による新規事業の創出と展開を図るべく、国内の当社4研究所(先端技術研究所、コア技術融合研究所、自動車・エレクトロニクス研究所、情報通信・エネルギー研究所)及び海外のOFS Laboratories, LLC (米国)、Furukawa Electric Institute of Technology Ltd.(ハンガリー)、SuperPower Inc.(米国)を中心とした研究体制を有し、積極的に研究開発へ取り組んでおります。当連結会計年度における研究開発費は、注力分野の強化を進めていくため、前連結会計年度比11.9%増の19,533百万円とし、各セグメントの主な成果等は次のとおりであります。 (1)インフラ①次世代の400Gbps・1Tbps大容量光デジタルコヒーレント伝送向け制御回路付信号光源について、さらなる高出力化・狭線幅化を実現すべく、構成要素である半導体レーザチップ、パッケージ技術及び制御回路の開発ならびに特性評価を行っております。②将来の超大容量光通信における空間多重技術の長距離幹線系、加入者アクセス系への適用に向けて、国立研究開発法人情報通信研究機構が実施するプロジェクトからの委託研究である「革新的光通信インフラの研究開発」及び「革新的光ファイバの実用化に向けた研究開発」を活用し、1本の光ファイバに複数のコアを含むマルチコア光ファイバを用いた光ファイバ・ケーブルの製造技術及び実用性の高い従来比5倍のコア密度を有する光ファイバの接続技術の検討を行っております。③ファイバレーザ発振器について、その光出力が1kWまでのシングルモード及び6kWまでのマルチモードに加え、1.3kWのシングルモードを開発し、製品化しました。これはシングルモード光出力のファイバレーザ発振器を複数台合成して構成されるマルチモード光出力のファイバレーザ発振器の高出力化へ寄与する技術になります。これらのファイバレーザ発振器は出力ビーム形状制御による溶接加工品質向上(特に溶接飛沫の低減)に貢献するもので、顧客から高い評価を受けております。④国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の助成事業「電力送電用超電導ケーブルシステムの実用化開発」に参画し、超電導ケーブルの電力系統への適用の際に起こり得る不測の事故(地絡・短絡・外傷等)を防止するためのシミュレーションを行い、安全性・信頼性の確立にむけた検証を行っております。⑤イットリウム系超電導薄膜を応用した超電導応用機器については、NEDOの委託事業「高磁場マグネットシステムの開発」に参画し、高磁場マグネットで必要とされる永久電流接続の技術開発を進め、実用的な超電導接続を実現しました。⑥公益財団法人鉄道総合技術研究所、山梨県企業局及び株式会社ミラプロと共同で進めている、次世代フライホイール蓄電システムの開発において高温超電導磁気軸受を開発し、システムの高効率化・長寿命化を達成しました。同蓄電システムについて、山梨県米倉山の太陽光発電システムに設置して実証試験を行い、太陽光発電の出力安定化の実現を確認しました。⑦経済産業省の委託事業「浮体式洋上ウィンドファーム実証研究事業」に受託コンソーシアムの一員として参画し、浮体式設備の動きや波・潮流に追従し水中で浮遊する浮体式風力発電用ライザーケーブルの開発を担当しております。7MW用風車及び5MW用風車に施工した22kVライザーケーブルの設計検証として、実証データと挙動解析を比較し挙動解析の妥当性を確認しました。引き続き、耐久性の向上に資する設計手法の検討を行っております。 以上、当該事業に係る研究開発費は9,949百万円であります。 (2)電装エレクトロニクス①アルミ電線を使用した自動車用ワイヤハーネスについては、車両軽量化への要請を背景とした更なる適用部位拡大に向け、関連技術の開発を行っております。②自動車用バッテリ状態検知センサについては、過充電抑制での燃費向上及び過放電によるバッテリ上がり防止などへの貢献が期待されており、拡販及び受注活動とともに、高機能化に向けた開発を行っています。また、今後予測される車載電子機器の増加や自動車の電動化に対して、電源品質を維持する電源マネジメントシステムに関連した製品の開発を行っております。③パルス方式により複数の対象物を正確に認識可能な車載用の24GHz帯周辺監視レーダについて、量産を開始しておりますが、先進運転支援システムを支える検知技術のさらなる高性能化を目指し開発を行っております。④HV・EV用モーターの小型化・高出力化に対応した高機能巻線の開発を行っております。Superior Essex Inc.(米国)との合弁会社であるEssex Furukawa Magnet Wire Europe GmbH(ドイツ)は、耐高電圧平角巻線(HVWW®)において、大手自動車部品メーカーであるMagna International Inc.(カナダ)のパワートレイン部門が実施する「2017年Innovation Award」の最優秀賞を化学メーカーであるSolvay S.A.(ベルギー)と共同で受賞しました。⑤窒化ガリウム(GaN)パワーデバイスは、同製品市場の有力事業者で資本提携先の Transphorm, Inc.(米国)との相互連携を図り、継続して両社のGaNパワーデバイス応用製品群の強化に取り組んでおります。⑥カーボンナノチューブ(CNT)電線開発技術について、NEDOにおける委託事業では、「超先端材料超高速開発基盤技術プロジェクト」に先端素材高速開発技術研究組合(ADMAT)の一員として取り組み、ADMATと産業技術総合研究所とともに計算・計測・プロセスの三位一体でCNT電気電導シミュレーション開発を行いました。また、環境省における補助事業の「CO2排出削減対策強化誘導型技術開発・実証事業」においては、当期の目標である小型・CNTモーターの稼働を確認し、次年度へ継続となりました。引き続き、CNT電線の実用化に向けて開発を行っております。⑦研究開発の効率化のため、シミュレーション技術等の有効活用を推進しております。ワイヤハーネス開発においては構造シミュレーション、電子機器開発においては振動・熱流体シミュレーション、レーダ開発においては電磁界シミュレーションを活用したほか、車載ソフト用のアルゴリズム構築に際してのモデルベース開発などを行いました。また、CNTなどの新材料に対し、第一原理計算を用いた材料シミュレーションを適用し、試作回数・費用の削減や設計の最適化に取り組んでおります。⑧電子機器における小型化・大容量化に伴う接続部品(コネクタ、端子等)の多極化・高密度化、発熱の制御、自動 車の電動化や車載電子機器の増加に伴う電装品(ワイヤハーネス等)の高電圧化・大電流化へ対応できる、高強 度・高導電な銅合金及び貴金属めっきの開発を行っております。 以上、当該事業に係る研究開発費は4,995百万円であります。 (3)機能製品 ①植物由来のセルロースナノファイバー(CNF)の高剛性・軽量性という特長を活かし、自動車分野など様々な用途活用が期待されるCNF強化樹脂の高効率製造法の開発を行い、その実用化に向けた検証を行っております。②ヒートパイプ技術を活用した熱マネジメント(均熱・放熱)技術システムについては、ハイブリッド電気自動車など次世代自動車への搭載に向けて、リチウムイオンバッテリやインバータ等による発熱量の増大に対応する製品の開発を行っております。③通信ネットワークの高速化、高周波数化に対応する高周波プリント基板用銅箔を製品化いたしました。引き続き、次世代高周波回路に適した銅箔の開発を行っております。 以上、当該事業に係る研究開発費は1,998百万円であります。 (4)サービス・開発等①研究子会社であるSuperPower Inc.(米国)において、イットリウム系高温超電導線材の研究開発を行い、特に超 高磁場超電導マグネット開発に貢献しております。②VOC(Voice Of Customer)により得られた顧客ニーズに対して、顧客に迅速にコンセプトサンプルを提示する活動 の核となる組織として、コア技術融合研究所内に先行開発センターを設置しました。同センターを中心にVOC活動を 行うことで顧客とともに新たな価値の創出を実現する新製品または新事業の開発を進めていきます。 以上、当該事業に係る研究開発費は2,589百万円であります。
FY2017|3,591 文字
6 【研究開発活動】当社グループは、新商品、新技術開発による新規事業の創出と展開を図るべく、国内の当社4研究所(コア技術融合研究所、先端技術研究所、自動車・エレクトロニクス研究所、情報通信・エネルギー研究所)および海外のOFS Laboratories, LLC (米国)、Furukawa Electric Institute of Technology Ltd.(ハンガリー)、SuperPower Inc.(米国)を中心とする研究体制を有し、積極的に研究開発を進めております。 当連結会計年度における研究開発費は17,454百万円であり、各セグメントの主な成果等は次のとおりであります。 (1)インフラ①光通信ネットワークにおいて波長チャネルを柔軟に運用するための次世代CDC-ROADMシステムの主要部品であるマルチキャストスイッチ(MCS)について、小型化、低消費電力化を実現すべく、比屈折率差5%以上となる高Δ(デルタ)石英導波路技術を適用したMCSチップの開発を進め、試作品の特性評価を進めております。②次世代の400Gbps・1Tbps大容量光デジタルコヒーレント伝送向け制御回路付信号光源について、更なる高出力化、狭線幅化を実現すべく、構成要素である半導体レーザチップ、パッケージ技術、制御回路の開発および特性評価を進めております。③信号ルート切替え装置の主要部品である波長選択スイッチ(WSS)に関する国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)プロジェクトからの委託研究「エラスティック光アグリゲーションネットワークの研究開発」において最大1x93chの多ポート低損失の帯域可変WSSの開発に成功いたしました。WSSはサービス毎に性質の異なる通信トラフィックを効率よく集約し、用途に合わせデータ容量を伸縮するエラスティック光アグリゲーションネットワークに不可欠の部品であり、帯域可変特性やスイッチング特性の評価および実証試験を進めております。④将来の超大容量光通信における空間多重技術として、NICTプロジェクトからの委託研究「革新的光通信インフラの研究開発」および「革新的光ファイバの実用化に向けた研究開発」を活用しつつ、1本の光ファイバに複数(7個あるいは19個)のコアを含むマルチコアファイバおよびその周辺技術としてマルチコア光増幅ならびにマルチコア光接続技術の開発に取り組み、長距離幹線系、加入者アクセス系、光インターコネクションへの適用に向けた技術検討を引き続き実施しております。⑤データセンターの低消費電力化や高速化を実現する光インターコネクション分野では、機器内ボードを接続する高密度光配線用接続部材の開発を進め、ユーザーにおいてサンプル評価を継続して実施しております。⑥開発したピーク光出力6kWまでのファイバレーザ発振機を用いて、加工試験実施による製品技術検討とアプリケーション開発を行うと共に、ユーザーにおける加工評価を進めております。⑦イットリウム系(Y系)高温超電導電力ケーブルについては、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の委託プロジェクト「次世代送電システムの安全性・信頼性に係る実証研究」に参画し、ケーブル破壊時の周囲環境への影響について、評価と検討を行っております。⑧Y系超電導薄膜を応用した超電導応用機器については、NEDOの委託プロジェクト「高温超電導実用化促進技術開発」(高磁場マグネットシステム開発)に参画しており、高磁場特性に優れたY系超電導線材を活用し、超電導MRI装置などに用いられる高安定磁場コイルシステム基盤技術の研究開発を進めております。⑨NEDOの助成プロジェクト「安全・低コスト大規模蓄電システム技術開発」にて公益財団法人鉄道総合技術研究所と共同で開発したフライホイール用高温超電導軸受を高性能化し、回転運動と電力の相互変換により電力の貯蔵を可能とするフライホイール蓄電システムに組み込んだうえ、大規模太陽光発電所と電力系に連係させる実証試験を進めております。⑩経済産業省の委託事業「浮体式洋上ウィンドファーム実証研究事業」に受託コンソーシアムの一員として参画し、浮体式設備の動きや波・潮流に追従し水中で浮遊する浮体式風力発電用ライザーケーブルの開発を担当しております。同事業における平成27年の7MW用風車および平成28年の5MW用風車設置に伴い、それぞれ22kVの大容量ライザーケーブルの施工を完了いたしました。 以上、当該事業に係る研究開発費は8,763百万円であります。 (2)電装エレクトロニクス①アルミ電線を使用したワイヤハーネスについては、車両軽量化の要請を背景とした更なる適用部位拡大に向け、高強度アルミ電線の開発や防食端子などの関連技術開発を進めております。②自動車用バッテリーセンサーについては、過充電抑制での燃費向上および過放電によるバッテリー上がり 防止などへの貢献が期待されており、拡販および受注活動とともに、高機能化に向けた開発を進めております。また、今後予測される車載電子機器の増加・電動化に対して、電源品質を維持する電源マネージメントシステムに関連した製品の開発を継続して実施しております。③パルス方式により人・複数物標などの対象物を正確に認識可能な自動車搭載用の24GHz帯周辺監視レーダにつき、国内初の量産品をリリースしました。先進運転支援システム(ADAS)を支える計測技術として、更に高機能・高性能化を目指し開発を継続していきます。④産業用や車載用のモーターに使用される巻線については高効率化を、スマートフォンをはじめとする電子部品分野で使用される高機能巻線については省スペース化を志向した研究開発を行っております。⑤非接触の電力給電方法として期待される、電界方式のワイヤレス給電システムの開発を継続して進めております。⑥GaN(窒化ガリウム)パワーデバイスは、同製品市場の有力事業者で資本提携先のTransphorm,Inc.(米国)との相互連携を図り、継続して両社のGaNパワーデバイス応用製品群の強化、育成を進めております。⑦平成28年度に終了したNEDOの「低炭素社会を実現する炭素材料実用化プロジェクト」助成事業の成果をもとに、カーボンナノチューブを用いた超軽量電線の実用化に向けて開発を継続していきます。⑧研究開発の効率化のため、シミュレーション技術等の有効活用を推進しております。ワイヤハーネス開発においては構造シミュレーション、電子機器の開発においては振動・熱流体シミュレーション、レーダ開発においては電磁界シミュレーションを活用したほか、車載ソフト用アルゴリズム構築に際してのモデルベース開発により、試作回数・費用の削減や設計の最適化を行っております。⑨自動車の電動化・電子化及び電子機器の小型化・高機能化に伴い、ワイヤハーネスの高電圧化、大電流化やコネクタの微細化、多極化が進行しており、これらの技術動向に対応する高機能な銅合金および貴金属めっきの開発及び製品化を進めております。⑩銅ナノ粒子を用いたエレクトロニクス向け接合・配線材料の開発を引き続き行い、顧客にてサンプル評価を進めております。 以上、当該事業に係る研究開発費は4,711百万円であります。 (3)機能製品①食料品包装用フィルムなどに用いられる植物性由来のセルロースナノファイバー(CNF)の軽くて硬い特徴を活かし、自動車分野をはじめ様々な用途が期待されるCNF強化樹脂の高効率製造法の開発を行い、その基礎を確立しました。②ヒートパイプ技術を活用した熱マネジメント(均熱・放熱)技術システムについては、ハイブリッド電気自動車など次世代自動車への搭載に向けて、リチウムイオンバッテリーやインバータなどによる発熱量の増大に対応する製品の開発を進めております。③リチウムイオン電池用銅箔として高強度銅箔を開発し、顧客にてサンプル評価を進めております。また、通信、ネットワークの高速化に対応した高周波プリント基板用銅箔を製品化いたしました。 以上、当該事業に係る研究開発費は1,837百万円であります。 (4)サービス・開発等 新事業分野等に関するものであります。 米国研究子会社SuperPower Inc.において、Y系高温超電導線材の研究開発を行い、特に超高磁場超電導マグネット開発に貢献しております。同社の超電導線材は、米国フロリダ州タラハシーの国立高磁場研究所(NHMFL)で開発した超電導試験マグネットシステムにおいて、平成28年4月に、世界最高磁場(40.2T)を達成いたしました。 以上、当該事業に係る研究開発費は2,141百万円であります。
FY2016|3,624 文字
6 【研究開発活動】当社グループは、新商品、新技術開発による新規事業の創出と展開を図るべく、国内の当社4研究所(コア技術融合研究所、先端技術研究所、自動車・エレクトロニクス研究所、情報通信・エネルギー研究所)とおよび海外のOFS Laboratories, LLC (米国)、Furukawa Electric Institute of Technology Ltd.(ハンガリー)、SuperPower Inc.(米国)を中心とした研究体制を有し、積極的に研究開発を進めております。 当連結会計年度における研究開発費は16,845百万円であり、主な成果等は次のとおりであります。 (1)情報通信部門①次世代CDC-ROADMシステムの主要部品であるマルチキャストスイッチ(MCS)について、小型化、低消費電力化を実現すべく、比屈折率差5%以上となる高Δ石英導波路技術を適用したMCSチップの開発を進め、試作品の特性評価を実施しております。②次世代の400G・1Tbps大容量光デジタルコヒーレント伝送向け制御回路付信号光源について、更なる高出力化、狭線幅化を実現すべく、構成要素である半導体レーザチップ、パッケージ技術、制御回路の開発および特性評価を進めております。③信号ルート切替え装置の主要部品である波長選択スイッチ(WSS)について、国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)プロジェクトからの委託研究「エラスティック光アグリゲーションネットワークの研究開発」にて最大1x93chの多ポート低損失の帯域可変WSSの開発に成功いたしました。WSSはサービス毎に性質の異なる通信トラフィックを効率よく集約し、用途に合わせデータ容量を伸縮するエラスティック光アグリゲーションネットワークに不可欠の部品であり、帯域可変特性やスイッチング特性の評価および実証試験を進めております。④将来の超大容量光通信における空間多重技術として、NICTプロジェクトからの委託研究「革新的光通信インフラの研究開発」および「革新的光ファイバの実用化に向けた研究開発」も活用しつつ、1本の光ファイバに複数(7個あるいは19個)のコアを含むマルチコアファイバ、およびその周辺技術としてマルチコア光増幅、マルチコア光接続技術の開発に取り組み、長距離幹線系、加入者アクセス系、光インターコネクションへの適用に向けた技術検討を進めております。⑤データセンターの低消費電力化や高速化を実現する光インターコネクション分野では、アクティブオプティカルケーブル(AOC)搭載用に開発した小型低消費電力光エンジンについて、次期規格である伝送速度28Gbpsでの製品化に向けた評価を引き続き行っております。また、機器内ボードを接続する高密度光配線用接続部材の開発を進め、ユーザーにおいてサンプル評価を継続して実施しております。⑥開発したピーク光出力6kWのファイバレーザ発振機を用いて、加工試験実施による製品技術検討とアプリケーション開発を行うと共に、ユーザーにおける加工評価を進めております。 以上、当該事業に係る研究開発費は7,344百万円であります。 (2)エネルギー・産業機材部門①内閣府が推進する戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)の課題の一つである革新的構造材料推進委員会に参画し、セルロースナノファイバー(CNF)強化樹脂の高効率製造法の開発を継続して進めております。②イットリウム系(Y系)高温超電導電力ケーブルについては、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の委託プロジェクト「次世代送電システムの安全性・信頼性に係る実証研究」に参画し、ケーブルを破壊した時の周囲の環境影響について、評価と検討を行っております。③Y系超電導薄膜を応用した超電導応用機器については、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)の委託プロジェクト「未来医療を実現する医療機器・システム研究開発事業」に参画しており、高磁場特性に優れたY系超電導線材を活用し、超電導MRI装置などに用いられる高安定磁場コイルシステム基盤技術の研究開発を進めております。④NEDOの助成プロジェクト「安全・低コスト大規模蓄電システム技術開発」にて公益財団法人鉄道総合技術研究所と共同で開発したフライホイール用高温超電導軸受を、回転運動と電力の相互変換により電力の貯蔵を可能とするフライホイール蓄電システムに組み込んだうえで、大規模太陽光発電所と電力系統に連係させる実証試験を開始しております。⑤経済産業省の委託事業「浮体式洋上ウィンドファーム実証研究事業」に受託コンソーシアムの一員として参画し、浮体式設備の動きや波・潮流に追従して水中で浮遊する浮体式風力発電用ライザーケーブルの開発を担当しております。平成27年に、7MW用風車の2期工事に向けて、22kVの大容量ライザーケーブルの施工を完了いたしました。 以上、当該事業に係る研究開発費は1,617百万円であります。 (3)電装・エレクトロニクス部門①アルミ電線を使用したワイヤハーネスについては、車両軽量化の要請を背景とした更なる適用部位拡大に向け、高強度アルミ電線の開発や防食端子などの関連技術開発を継続して進めております。②自動車用バッテリーセンサーについては、バッテリー電力を管理することにより自動車のエネルギー利用効率化への貢献が期待されており、拡販および受注活動とともに、高機能化に向けた開発を進めております。また、今後予測される車載電子機器の増加・電動化に対して、電源品質を維持する電源マネージメントシステムに関連した製品の開発を継続して実施しております。③先進運転支援システム(ADAS)を支える計測技術として、パルス方式により人・複数物標などの対象物を正確に認識可能な24GHz帯周辺監視レーダを開発しております。国内唯一のメーカーとなるべく、プロジェクトチームを発足させ、開発を加速しております。④ヒートパイプ技術を活用した熱マネジメント(均熱・放熱)技術システムについては、HEV(ハイブリッド電気自動車)など次世代自動車への搭載に向けて、リチウムイオンバッテリーやインバータなどの発熱量の増大に対応するべく開発を継続して進めております。⑤産業用・車載用モーターに使用される巻線については高効率化を、スマートフォンをはじめとする電子部品分野で使用される高機能巻線については省スペース化を志向した研究開発を行っております。⑥非接触の電力給電方法として期待される、電界方式のワイヤレス給電システムの開発を継続して進めております。⑦GaN(窒化ガリウム)パワーデバイスは、出資を行った同製品市場の有力事業者であるTransphorm, Inc.(米国)との相互連携を図り、継続して両社のGaNパワーデバイス応用製品群の強化、育成を進めております。⑧NEDOの「低炭素社会を実現する炭素材料実用化プロジェクト」助成事業にて採択された、カーボンナノチューブを用いた超軽量電線の開発を進めております。⑨研究開発の効率化のため、シミュレーション技術等の有効活用を推進しております。ワイヤハーネス開発においては構造シミュレーション、電子機器の開発においては振動・熱流体シミュレーション、レーダ開発においては電磁界シミュレーションを活用したほか、アルゴリズム構築の際にモデルベース開発などを行い、試作回数・費用の削減や設計の最適化を引き続き行っております。 以上、当該事業に係る研究開発費は4,263百万円であります。 (4)金属部門①自動車の次期ワイヤハーネス向けに高強度アルミ電線を開発し、顧客提案および製品化を進めております。②銅ナノ粒子を用いたエレクトロニクス向け接合・配線材料の開発を引き続き行い、顧客によるサンプル評価を進めております。③リチウムイオン電池用電解銅箔について、顧客の要求特性を満たすための銅箔設計指針を構築し、これを活用した設計を行っております。 以上、当該事業に係る研究開発費は1,157百万円であります。 (5)新事業分野に関するもの等(サービス・開発等部門)主に新事業分野に関するものであります。米国研究子会社SuperPower Inc.において、Y系高温超電導線材の研究開発を行い、特に超高磁場超電導マグネット開発に貢献しております。同社の超電導線材は、米国フロリダ州タラハシーの国立高磁場研究所(NHMFL)で開発の超電導試験マグネットシステムの世界最高磁場(27T)を達成したほか、当社参加の公益財団法人鉄道総合技術研究所のプロジェクトにおいて世界最大の超電導フライホイール電力貯蔵システム開発に使用されました。 以上、当該事業に係る研究開発費は2,462百万円であります。