事業の概要
- 金属チタン事業東邦チタニウムグループは、航空機や産業用途で使われるスポンジチタン、チタンインゴット、高純度チタン、チタン加工品の製造・販売を主力としています。これは、高い技術力と品質が求められる分野で、特に航空機産業の動向に収益が大きく左右される特徴があります。
- 触媒事業プロピレン重合用触媒など、化学製品の製造に不可欠な触媒製品の製造・販売も行っています。この事業は、プラスチック製品の需要、特にポリプロピレンの生産動向に連動しており、化学産業の景気や動向が収益に影響を与えます。
- 化学品事業超微粉ニッケルや高純度酸化チタンといった電子部品材料の製造・販売を手掛けています。これらの材料は積層セラミックコンデンサなどの電子部品に用いられ、電子機器市場の動向、特に主要顧客である電子部品メーカーの生産状況が収益に直結します。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
セグメント構成
- 金属チタン事業この事業は、スポンジチタン、チタンインゴット、高純度チタン、チタン加工品などを製造・販売しています。主に当社、Toho Titanium America Co.,Ltd.、トーホーテック株式会社、Advanced Metal Industries Cluster and Toho Titanium Metal Co.,Ltd.が担当しており、最新年度の売上高は655.68億円、営業利益は69.26億円と、グループの稼ぎ頭となっています。
- 触媒事業プロピレン重合用触媒などの触媒製品を製造・販売しています。当社とToho Titanium America Co.,Ltd.が主要な会社で、最新年度の売上高は106.8億円、営業利益は23.71億円です。この事業は、プラスチック製品の需要に連動し、安定した収益源となっています。
- 化学品事業超微粉ニッケルや高純度酸化チタンといった電子部品材料の製造・販売を行っています。当社と東邦マテリアル株式会社が主要な会社で、最新年度の売上高は127.24億円ですが、営業利益は-14.94億円と赤字になっています。これは、電子部品市場の生産調整などの影響を受けている可能性があります。
2025-03 セグメント別業績
| セグメント | 区分 | 売上(億) | 営業利益(億) | 営業利益率 |
|---|---|---|---|---|
| TitaniumBusinessReportableSegment | 地域 | 656 | 69 | 10.6% |
| CatalystBusinessReportableSegment | 地域 | 107 | 24 | 22.2% |
| ChemicalsBusinessReportableSegment | 地域 | 127 | -15 | -11.7% |
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3 【事業の内容】当社グループは当社、子会社2社及び関連会社3社により構成されており、金属チタン事業のほか、プロピレン重合用触媒等の触媒製品、超微粉ニッケル等の電子部品材料の製造、販売を主な事業としております。この他に親会社であるJX金属㈱があります。JX金属㈱は、非鉄金属事業を主な事業の内容としております。当社と関係会社の事業上の位置付け並びにセグメントとの関連は次のとおりであります。 セグメントの名称主要製品主要な会社金属チタン事業スポンジチタン、チタンインゴット、高純度チタン、チタン加工品当社、Toho Titanium America Co.,Ltd.、トーホーテック㈱、Advanced Metal Industries Cluster and Toho Titanium Metal Co.,Ltd.触媒事業触媒製品(プロピレン重合用触媒等)当社、Toho Titanium America Co.,Ltd.化学品事業電子部品材料(超微粉ニッケル、高純度酸化チタン)当社、東邦マテリアル㈱ 事業の系統図は次のとおりであります。 (注)関連会社である㈱TOHOWORLDは、報告セグメントに属しておりません。
事業の優位性(モート)
事業の質(有価証券報告書から抽出)
数字に出ない事業の性質を、同じ物差しで全銘柄そろえています。FY2025時点の記載が出典です。
| 価格決定力値上げを通せるか。強いほどインフレ耐性が高い | 弱い 製品価格は需要の動向により大きく変動する傾向があり、コストアップ分の転嫁が難しい場合があるため。 |
|---|---|
| 参入障壁新規参入を阻む要因の種類 | 技術 金属チタン、触媒、電子部品材料の製造には高度な生産技術と品質管理システムが必要。 |
| 顧客集中度特定顧客への依存度。高いほど失注リスクが大きい | 高い(依存) |
| 景気敏感度業績が景気循環にどれだけ振られるか | シクリカル |
| 設備投資の性質稼いだ現金がどれだけ設備維持に消えるか | 混合 |
| 規制依存規制は障壁にも足枷にもなる | 高い |
会社が挙げる主要リスク:特定用途向けの需要変動リスク / 原料代及び電力代の上昇に伴うリスク / 輸出比率が高いことによる為替リスク
同じ条件で他の銘柄を探す → 定性スクリーニング(価格決定力・参入障壁・景気敏感度などで絞り込めます)
モート総合 7 / 25 5類型それぞれの強度と、そう判定した根拠
無形資産☆☆☆☆☆
東邦チタニウムはチタン sponge の製造・販売を主事業としており、特定の強力なブランド、特許、規制ライセンス、独占的IPによる明確な無形資産の優位性は見られない。技術力は存在するものの、それが参入障壁として機能するほどの独占性は確認できない。
スイッチングコスト★☆☆☆☆
航空機産業向けチタンは、品質要求が非常に高く、サプライヤー変更には厳格な認証プロセスと長期間の開発・評価が必要となる。そのため、既存顧客との関係は一定のスイッチング・コストを生む可能性があるが、製品のコモディティ化が進む分野もあり、限定的。
ネットワーク効果☆☆☆☆☆
チタン sponge の製造・販売事業には、ユーザー数の増加が製品価値を直接的に高めるネットワーク効果は存在しない。事業モデルは、生産能力と品質、コスト競争力が中心となる。
コスト優位★★★☆☆
同社は、電解法によるチタン sponge 製造において、長年の操業ノウハウと生産効率の改善を進めてきた。特に、大手航空機メーカーとの長期契約や、国内唯一の航空機用チタンインゴット製造能力は、コスト競争力と安定供給能力に寄与している。
規模の経済★★★☆☆
チタン sponge 市場は、特殊な製造技術と設備投資が必要であり、世界的に寡占化が進んでいる。東邦チタニウムは、日本国内で主要な生産者の一つであり、航空宇宙産業向けなど高付加価値分野での一定の規模とシェアを確保している。
- 高純度チタン技術金属チタン事業では、航空機向けなどの高付加価値分野で使われるスポンジチタンや高純度チタンの製造に強みを持っています。これは、高度な技術と品質管理が要求されるため、新規参入が難しい分野であり、同社の技術力が競争優位性となっています。
- 多様な製品ポートフォリオ金属チタン、触媒、化学品と多岐にわたる事業を展開しており、特定の市場の変動リスクを分散する効果があります。例えば、航空機産業の需要が落ち込んでも、他の事業で補完できる可能性があります。
- 親会社との連携親会社であるJX金属株式会社は非鉄金属事業を主としており、原材料調達や技術面での連携が期待できます。これにより、安定的な事業運営や新たな技術開発において優位に立てる可能性があります。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
経営戦略
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経営方針・経営戦略
1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。 (1) 経営理念及び行動基本方針経営理念東邦チタニウムグループはチタンと関連技術の限りない可能性を追求し優れた製品とサービスを提供し続けることで持続可能な社会の発展に貢献します行動基本方針私たちは、経営理念を実現するため次の3つの基本方針に基づき行動します。1.安全とコンプライアンスを最優先し、健全で公正な企業活動を行います。2.変革と創造を実践し、従業員と企業の持続的成長を果たします。3.顧客、地域社会、株主をはじめとする全てのステークホルダーと対話を進め、信頼・共生関係を築きます。 (2) 経営環境当社を取り巻く社会環境としては、脱炭素社会の形成に向けた取組や企業とステークホルダーとの共生関係の強化等、企業の社会的責任の遂行が、今後もますます強く求められていくものと考えています。また、世界経済は米国では堅調な動きが続き、欧州、中国では持ち直しの兆しが見られましたが、米国新政権の政策による影響や中国経済の先行き懸念、地政学リスクの高まり、金融資本市場の変動等の影響など先行きが不透明な状況は依然として継続しております。当社グループを取り巻く事業環境は、金属チタン事業においては航空機向け需要の回復に加えウクライナ紛争に起因するサプライチェーンの変化もあり、製品販売は引き続き堅調に推移しました。また、中国における経済停滞等の影響が概ね底を打ち、化学品事業においては通信、車載、産業機器等の需要は回復がみられましたが、触媒事業においては中国国内におけるポリオレフィンの生産能力が過剰な状況が続いております。一方、コスト面では、輸入原材料価格や電力価格はピークアウトしたものの、依然として高い水準で推移しました。円の対米ドル相場は、前年度に比べさらに円安が進行しましたが、期末は円高傾向に推移し149.5円となりました。当社グループでは、社会的、経済的にも当社を取り巻く環境は、これまでとは大きく変わるものと考え、より長期的な視点で企業経営に取り組むことを全社的に共有することを目的に、2023年5月に「2030年ありたい姿」を再構築しています。そして2030年の目標に対するキャッチアップ戦略を立案し、向こう3年間のアクションプランを「2023-2025年度中期経営計画」と位置付けています。特に全社的な共通課題としてサステナビリティに関する取組を強化(「ESG経営の推進」)することとしています。なお、詳細は以下(3) 2030年ありたい姿、ESG経営の推進に記載しています。 (3) 2030年ありたい姿当社は2022年に中期経営計画の基本テーマとして新たに「ESG経営の推進」を加えました。これは、「E」「S」「G」の視点で、自社とステークホルダーを取り巻く重要な諸課題の解決に取り組み、社会の持続的な発展に貢献することが、私たちの目指す経営理念の実現には、必要不可欠な課題のひとつであると考えたからです。当社グループは2023年に創立70周年を迎えましたが、より長期的な視点で企業経営と社会への貢献に取り組み、「100年企業」を意識したいと考えています。 (4) 2023-2025年度 中期経営計画「2030年ありたい姿」では、セグメントごとに具体的な目標イメージを設定しました。目標と現状とのギャップを認識した上で、そこに向けてのキャッチアップ戦略を立案し、まずは向こう3年間のアクションプランを策定しています。そして、このアクションプランを2023-2025年度中期経営計画として位置付けています。 セグメント別の課題及び施策各セグメントごとの課題及び施策は、以下のとおりであります。なお、優先的に対処すべき課題は2023-2025年主要施策として以下に記載しております。 ① 金属チタン事業航空機向けを主因とする旺盛なチタン需要に対応するため、サウジアラビアのスポンジ生産合弁会社(ATTM社)におけるフル生産体制への移行を完了するとともに、国内の若松工場及び茅ヶ崎工場において3,000トン/年程度の生産能力増強計画を決定しております。また、原料価格の高止まりや電力、燃料価格の高騰が続く中、これらを反映した適正な製品販売価格の実現に引き続き取り組んでまいります。なお、金属チタン事業における2030年ありたい姿と23-25中計の主要施策は以下のとおりであります。 ② 触媒事業当社触媒の主な用途分野であるポリプロピレンの需要は、足元低迷しているものの、中長期的には拡大が見込まれる中、生産技術改善等による触媒の生産効率化及び増産に取り組んでまいります。あわせて、将来的な販売拡大を見据え、次の能力増強計画の検討を進めてまいります。なお、触媒事業における2030年ありたい姿と23-25中計の主要施策は以下のとおりであります。 ③ 化学品事業海外の景気減速を主因にMLCC需要は調整局面となっておりますが、中長期には需要拡大が期待できる小型・大容量MLCCに対応可能な超微粉ニッケルの供給体制を構築するため、若松工場内に新工場を建設することを決定しており、2025年度の完工及び営業運転開始に向けて、建設工事及び操業立上げを着実に進めてまいります。なお、化学品事業における2030年ありたい姿と23-25中計の主要施策は以下のとおりであります。 ④ 新規事業PEM(固体高分子膜)型水電解装置の陽極側拡散層としての活用が期待されているチタン多孔質体(WEBTi®)について、事業化に向けた準備・対応を進めており、供給能力の整備を含め、その早期事業化に取り組んでまいります。また、現在進めているその他の新規事業案件の事業化検討を加速するとともに、新たな事業化テーマの探索の取組を強化してまいります。なお、新規事業における2030年ありたい姿と23-25中計の主要施策は以下のとおりであります。 (5) 資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応
対処すべき課題
1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。 (1) 経営理念及び行動基本方針経営理念東邦チタニウムグループはチタンと関連技術の限りない可能性を追求し優れた製品とサービスを提供し続けることで持続可能な社会の発展に貢献します行動基本方針私たちは、経営理念を実現するため次の3つの基本方針に基づき行動します。1.安全とコンプライアンスを最優先し、健全で公正な企業活動を行います。2.変革と創造を実践し、従業員と企業の持続的成長を果たします。3.顧客、地域社会、株主をはじめとする全てのステークホルダーと対話を進め、信頼・共生関係を築きます。 (2) 経営環境当社を取り巻く社会環境としては、脱炭素社会の形成に向けた取組や企業とステークホルダーとの共生関係の強化等、企業の社会的責任の遂行が、今後もますます強く求められていくものと考えています。また、世界経済は米国では堅調な動きが続き、欧州、中国では持ち直しの兆しが見られましたが、米国新政権の政策による影響や中国経済の先行き懸念、地政学リスクの高まり、金融資本市場の変動等の影響など先行きが不透明な状況は依然として継続しております。当社グループを取り巻く事業環境は、金属チタン事業においては航空機向け需要の回復に加えウクライナ紛争に起因するサプライチェーンの変化もあり、製品販売は引き続き堅調に推移しました。また、中国における経済停滞等の影響が概ね底を打ち、化学品事業においては通信、車載、産業機器等の需要は回復がみられましたが、触媒事業においては中国国内におけるポリオレフィンの生産能力が過剰な状況が続いております。一方、コスト面では、輸入原材料価格や電力価格はピークアウトしたものの、依然として高い水準で推移しました。円の対米ドル相場は、前年度に比べさらに円安が進行しましたが、期末は円高傾向に推移し149.5円となりました。当社グループでは、社会的、経済的にも当社を取り巻く環境は、これまでとは大きく変わるものと考え、より長期的な視点で企業経営に取り組むことを全社的に共有することを目的に、2023年5月に「2030年ありたい姿」を再構築しています。そして2030年の目標に対するキャッチアップ戦略を立案し、向こう3年間のアクションプランを「2023-2025年度中期経営計画」と位置付けています。特に全社的な共通課題としてサステナビリティに関する取組を強化(「ESG経営の推進」)することとしています。なお、詳細は以下(3) 2030年ありたい姿、ESG経営の推進に記載しています。 (3) 2030年ありたい姿当社は2022年に中期経営計画の基本テーマとして新たに「ESG経営の推進」を加えました。これは、「E」「S」「G」の視点で、自社とステークホルダーを取り巻く重要な諸課題の解決に取り組み、社会の持続的な発展に貢献することが、私たちの目指す経営理念の実現には、必要不可欠な課題のひとつであると考えたからです。当社グループは2023年に創立70周年を迎えましたが、より長期的な視点で企業経営と社会への貢献に取り組み、「100年企業」を意識したいと考えています。 (4) 2023-2025年度 中期経営計画「2030年ありたい姿」では、セグメントごとに具体的な目標イメージを設定しました。目標と現状とのギャップを認識した上で、そこに向けてのキャッチアップ戦略を立案し、まずは向こう3年間のアクションプランを策定しています。そして、このアクションプランを2023-2025年度中期経営計画として位置付けています。 セグメント別の課題及び施策各セグメントごとの課題及び施策は、以下のとおりであります。なお、優先的に対処すべき課題は2023-2025年主要施策として以下に記載しております。 ① 金属チタン事業航空機向けを主因とする旺盛なチタン需要に対応するため、サウジアラビアのスポンジ生産合弁会社(ATTM社)におけるフル生産体制への移行を完了するとともに、国内の若松工場及び茅ヶ崎工場において3,000トン/年程度の生産能力増強計画を決定しております。また、原料価格の高止まりや電力、燃料価格の高騰が続く中、これらを反映した適正な製品販売価格の実現に引き続き取り組んでまいります。なお、金属チタン事業における2030年ありたい姿と23-25中計の主要施策は以下のとおりであります。 ② 触媒事業当社触媒の主な用途分野であるポリプロピレンの需要は、足元低迷しているものの、中長期的には拡大が見込まれる中、生産技術改善等による触媒の生産効率化及び増産に取り組んでまいります。あわせて、将来的な販売拡大を見据え、次の能力増強計画の検討を進めてまいります。なお、触媒事業における2030年ありたい姿と23-25中計の主要施策は以下のとおりであります。 ③ 化学品事業海外の景気減速を主因にMLCC需要は調整局面となっておりますが、中長期には需要拡大が期待できる小型・大容量MLCCに対応可能な超微粉ニッケルの供給体制を構築するため、若松工場内に新工場を建設することを決定しており、2025年度の完工及び営業運転開始に向けて、建設工事及び操業立上げを着実に進めてまいります。なお、化学品事業における2030年ありたい姿と23-25中計の主要施策は以下のとおりであります。 ④ 新規事業PEM(固体高分子膜)型水電解装置の陽極側拡散層としての活用が期待されているチタン多孔質体(WEBTi®)について、事業化に向けた準備・対応を進めており、供給能力の整備を含め、その早期事業化に取り組んでまいります。また、現在進めているその他の新規事業案件の事業化検討を加速するとともに、新たな事業化テーマの探索の取組を強化してまいります。なお、新規事業における2030年ありたい姿と23-25中計の主要施策は以下のとおりであります。 (5) 資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応
MD&A(経営者による分析)
4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。 (1) 経営成績等の概要並びにそれらに関する認識及び分析・検討内容① 事業全体当連結会計年度における我が国経済は、雇用・所得環境や企業業績の改善が続く中、個人消費や企業の設備投資が持ち直し景気は緩やかな回復基調が継続しました。世界経済は、米国では堅調な動きが続き、欧州、中国では持ち直しの兆しが見られましたが、米国新政権の政策による影響や中国経済の先行き懸念、地政学リスクの高まり、金融資本市場の変動等の影響など先行きが不透明な状況は依然として継続しております。当社グループを取り巻く事業環境は、金属チタン事業においては航空機向け需要の回復に加えウクライナ紛争に起因するサプライチェーンの変化もあり、製品販売は引き続き堅調に推移しました。また、中国における経済停滞等の影響が概ね底を打ち、化学品事業においては通信、車載、産業機器等の需要は回復がみられましたが、触媒事業においては中国国内におけるポリオレフィンの生産能力が過剰な状況が続いております。一方、コスト面では、輸入原材料価格や電力価格はピークアウトしたものの依然として高い水準を維持しております。円の対米ドル相場は前年度に比べさらに円安が進行しておりましたが、期末は円高傾向に推移し149.5円となりました。こうした中、当連結会計年度における経営成績は、売上高88,974百万円(前年同期比13.5%増)、営業利益5,880百万円(同4.5%増)、経常利益5,514百万円(同12.1%減)、親会社株主に帰属する当期純利益3,726百万円(同24.7%減)となりました。 営業利益の対前連結会計年度比較を以下に示します。 経常利益は、5,514百万円の利益となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は、3,726百万円の利益となりました。 なお、当社グループが数値目標として掲げている「自己資本利益率(ROE)」について、目標10%以上に対し、当連結会計年度の実績は6.5%となりました。 ② 各セグメントセグメントごとの売上高、営業利益については、以下のとおりです。 金属チタン事業当連結会計年度における金属チタンの販売は、米国の大手航空機メーカーであるボーイング社における品質問題やストライキの影響を受けたものの、航空機向け輸出スポンジチタンの販売は堅調に推移しました。一方、一般産業用途向けの販売については、中国メーカーによる過剰生産の影響を受け、前年同期を下回る結果となりました。また、半導体用途向け高純度チタンについては、需要が回復傾向にあり、前年同期を上回る水準で推移しました。収益面については、為替円安及び販売価格是正を主因に、当期の金属チタン事業は、売上高65,568百万円(前年同期比10.5%増)、営業利益6,926百万円(同53.6%増)となりました。 触媒事業当連結会計年度における触媒の販売は、中国国内でのポリオレフィンの生産能力が過剰となりポリプロピレンの輸出量が大幅に増加した影響で、中国周辺諸国の当社顧客において生産量の回復が遅れているものの、その他の地域では触媒使用量に回復の兆しが見られたため、前年同期を上回る水準となりました。こうした中、当期の触媒事業は、売上高10,680百万円(前年同期比45.8%増)、営業利益2,371百万円(同21.4%増)となりました。 化学品事業当連結会計年度における主要製品の超微粉ニッケルの販売は、主な用途である積層セラミックコンデンサ(MLCC)の中国における経済停滞等の影響が概ね底を打ち、まだ流通在庫調整はあるものの需要自体は各分野で回復し始めたことにより、前年同期を上回る水準となりました。一方、ニッケルの国際価格(LME〔ロンドン金属取引所〕価格)の下落等により販売価格が低下し、さらに在庫バランス改善のための超微粉ニッケルの生産調整を行なった結果、当期の化学品事業は、売上高12,724百万円(前年同期比8.6%増)、営業損失1,494百万円(前年同期は9億36百万円の利益)となりました。 ③ 経営成績に重要な影響を与える要因について主な要因として、特定用途向けの需要が大きな割合を占めていることによる需要変動の影響、原料代及び電力代の変動、為替の変動等が挙げられます。詳細は、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。④ 財政状態の状況資産の部は、売掛債権及び棚卸資産の減少等により、前連結会計年度末比1,222百万円減の124,780百万円となりました。負債の部は、短期借入金の減少を主因に、前連結会計年度末比3,005百万円減の66,449百万円となりました。純資産の部は、親会社株主に帰属する当期純利益の計上等により前連結会計年度末比1,783百万円増の58,330百万円となりました。 これらの結果、自己資本比率は前連結会計年度末比1.8ポイント改善し46.7%となりました。財務基盤強化の目安指標であるD/Eレシオについては、前連結会計年度末比0.08ポイント改善し、当連結会計年度末の実績は0.91倍となりました。 ⑤ キャッシュ・フローの状況当連結会計年度における現金及び現金同等物は4,599百万円と期首に比べ2,718百万円の増加となりました。キャッシュ・フローの状況は以下のとおりであります。営業活動によるキャッシュ・フローは19,283百万円の収入となりました。これは、売上債権の減少4,228百万円,棚卸資産の減少5,760百万円等による資金の増加要因があり、税金等調整前当期純利益5,333百万円、減価償却費7,553百万円等による資金の増加があったことによるものです。投資活動によるキャッシュ・フローは、11,631百万円の支出となりました。これは、有形固定資産の取得による支出12,373百万円等によるものです。財務活動によるキャッシュ・フローは、4,935百万円の支出となりました。これは、長期借入れによる収入8,000百万円があった一方、短期借入金純減額5,400百万円、長期借入金の返済による支出4,084百万円、配当金の支払1,850百万円、リース債務の返済による支出1,601百万円等の資金減少要因があったことによるものです。なお、キャッシュ・フロー関連指標は、次のとおりであります。 2021年3月期2022年3月期2023年3月期2024年3月期2025年3月期自己資本比率48.6%47.9%47.7%44.9%46.7%時価ベースの自己資本比率(株式時価総額/総資産)77.7%105.6%140.8%88.2%63.8%キャッシュ・フロー対有利子負債比率(有利子負債/営業キャッシュ・フロー)28.14.18.4-2.8インタレスト・カバレッジ・レシオ(営業キャッシュ・フロー/利払い)8.456.331.1-60.4 ⑥ 資本の財源及び資金の流動性当社グループは、収益性を高めるとともに資産の圧縮を進め、手元流動性の向上と強固な財務基盤の構築を実現していく考えであります。当社グループの主要な資金需要は、製品製造のための原材料費、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用、並びに設備新設、維持改修等に係る投資であります。これらの資金需要について、短期運転資金は自己資金及び金融機関からの短期借入を基本として、設備投資や長期運転資金は金融機関からの長期借入を基本として、それぞれ調達しております。手許の運転資金につきましては、当社及び一部の国内連結子会社においてCMS(キャッシュ・マネジメント・システム)により、余剰資金を当社へ集中し、一元管理を行うことで、資金効率の向上を図っております。なお、当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況については、「⑤ キャッシュ・フローの状況」をご覧ください。 ⑦ 重要な会計方針及び見積り当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されており、その作成において必要と思われる見積りは合理的な基準に基づいて実施しております。重要な会計方針及び見積りの詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項 4 会計方針に関する事項」、及び「同 連結財務諸表注記 重要な会計上の見積り」 をご覧ください。 (2) 生産、受注及び販売の実績① 生産実績当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。セグメントの名称金額(百万円)前年同期比(%)金属チタン事業44,240105.4触媒事業9,69099.5化学品事業10,58066.2合計64,51295.3 (注) 金額は売価基準で算出しております。 ② 受注実績受注生産は行っておりません。 ③ 販売実績当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。 セグメントの名称金額(百万円)前年同期比(%)金属チタン事業65,568110.5触媒事業10,680145.8化学品事業12,724108.6合計88,974113.5 (注) 1.セグメント間の取引については相殺消去しております。2.主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は次のとおりであります。 相手先前連結会計年度当連結会計年度金額(百万円)割合(%)金額(百万円)割合(%)Titanium MetalsCorporation26,26933.532,02436.0日本製鉄㈱15,58319.913,62415.3
事業リスク
- 特定用途への依存金属チタン事業は航空機向け、触媒事業はポリプロピレン、化学品事業は電子部品向けと、各事業が特定の用途に大きく依存しています。これらの用途先の業界が不調になると、販売量が大幅に減少し、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。例えば、新型コロナウイルス禍では航空機需要が大幅に減少し、業績に影響が出ました。
- 原材料・電力価格変動金属チタンの製造コストは、原料代と電力代が大部分を占めます。原料鉱石の価格は他業種の景気や地政学的リスクに、電力代は原油・LNG・石炭などのエネルギー価格に影響されます。これらのコストが上昇し、製品価格への転嫁が十分にできない場合、利益が圧迫され業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
- 為替変動リスク売上高の60.6%が輸出であり、その多くがUSドル建てのため、為替レートの変動が業績に大きく影響します。特に円高に大きく振れた場合、ドル建ての売上を円換算した際に減少するため、収益が悪化する可能性があります。為替予約取引でリスク軽減を図っていますが、急激な変動には対応しきれない場合があります。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
有価証券報告書「事業等のリスク」の全文を見る(年度切替)
3 【事業等のリスク】(1)リスクに関わる当社の取組当社グループでは、事業の継続性と安定的発展を確保するため、事業を取り巻くリスクに関わる課題及び対応策を総括的に協議、推進、進捗管理する組織として、従前からリスク管理委員会を設置しています。この体制のもと、具体的には、当社グループの経営理念、経営目標、経営戦略の達成を阻害する様々なリスクに対して、最適なコストで適切な処理を行うため、個別リスク事象毎に対応策の策定、取組等を担う主管部門と推進責任者を定め、リスク管理のための活動を推進しています。なお、当社のリスク管理体制については、「2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (3)リスク管理」及び「4 コーポレート・ガバナンスの状況等 (1) コーポレート・ガバナンスの概要 ③ 企業統治に関するその他の事項 ア.業務の適正を確保するための体制及び当該体制の運用状況 (ア)業務の適正を確保するための体制の整備にかかる決議の内容 3.損失の危険の管理に関する規程その他の体制」、及び「同(イ)業務の適正を確保するための体制の運用状況の概要 3.損失の危険の管理に関する規程その他の体制」をご覧ください。 (2)事業等のリスク当社グループの事業等のリスクについて、投資家の判断に影響を及ぼす可能性があると考えられる事項を以下に記載します。ただし、これらは当社グループに関する全てのリスクを網羅したものではありません。また、これらのリスクは将来に関する事項も含まれていますが、当連結会計年度末現在において判断したものです。 ① 特定用途向けの需要が大きな割合を占めていることによる需要変動のリスク 金属チタン事業の主力製品の一つであるスポンジチタンは、航空機向け用途が需要の中心です。触媒事業の中核製品である「THC」触媒は、プラスチック製品であるポリプロピレンの需要に影響を受けます。また、化学品事業における超微粉ニッケル及び高純度酸化チタンも、積層セラミックコンデンサなどの電子部品向けの用途が需要の大部分を占めています。このように当社グループの事業は、セグメント別では特定用途向けの需要が大きな割合を占め、当該用途先業界の好不調により販売量が大きく変動する傾向があります。具体的には、航空機向けのスポンジチタンは、これまで、世界の経済情勢や航空旅客数の動向や、航空会社による航空機の更新やメンテナンス需要の動向等により、大きな幅で好不調を繰り返してきました。2020年度には新型コロナウイルス禍の影響による航空機産業の事業環境悪化を受け大幅な需要減となった一方、その後は徐々に回復基調にありました。近年では、2022年のウクライナ紛争を契機に、地政学的リスクから欧米顧客がロシアからのチタンの調達を見直したことにより、ロシアを除く当社を含む生産国に対する需要が急拡大しています。一方、従来比較的堅調であった触媒事業においては、昨今の中国経済の停滞影響を受け、当社顧客である中国、東アジアを中心としたポリプロピレンメーカーでの触媒需要が減少しています。同様の理由から、化学品事業では、主要顧客の電子部品メーカーの生産調整の影響を大きく受け超微粉ニッケル等の需要が減少しています。このため、当社グループは、事業の多角化、製品の新たな用途開拓、競争力ある製品の提供により、その影響を最小限にすべく努めていますが、用途先業界の状況変化によっては、当社グループの業績に悪影響が及ぶ可能性があります。なお、当社グループの製品の価格は、需要の動向により大きく変動する傾向があります。顧客と交渉を重ね適切な価格設定を進めていますが、需要の動向によっては製品価格が大幅に下落し、当社グループの業績に悪影響が及ぶ可能性があります。 ② 原料代及び電力代の上昇に伴うリスク金属チタンの製造コストは、原料代及び電力代がその相当部分を占めております。原料鉱石については、鉱石を同じく原料とする他業種での景気動向や、原料産地の地政学的リスクに影響を受けます。また原油、LNG、石炭等の資源エネルギー価格の変動は、製造プロセスでの電力使用量が多いチタン事業では、電力代の増加につながります。ウクライナ紛争の影響による足元の原料及びエネルギー価格の上昇は、地政学的リスクの実現の顕著な例と言えます。当社はこれまでもこれらコスト上昇影響を緩和すべく、比較的安価な低品位鉱石の使用による原料の多様化や、省エネなどコスト削減に取り組んでまいりましたが、これらコスト低減努力を上回る原料価格や電力単価の上昇が継続した場合、あるいはコストアップ分の製品価格への転嫁等が十分できない場合には、当社グループの業績に悪影響が及ぶ可能性があります。 また化学品事業の主要原料であるニッケル地金は国際市況により取引価格が決定されます。当社顧客との間では、この国際市況価格を、一定期間の後、製品価格に反映する取引と、交渉により製品価格が決まる取引があります。したがって原料ニッケル価格の変動は、製品価格へ反映タイミングの期ズレや、交渉での転嫁が難しい場合には当社グループの期間損益や業績に大きな影響を与えることになります。当社では、国際市況価格が反映される取引に関しては、先物取引によるヘッジを利用してその影響を緩和する等対応策を実施していますが、国際市況価格が短期的にかつ急激に変動する場合には、当社の業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。 ③ 輸出比率が高いことによる為替リスク金属チタン事業のスポンジチタンや、触媒事業のTHCにおいては、輸出が販売量の大きな割合を占めており、当社グループ全体の売上高に占める輸出の割合は、当連結会計年度実績で60.6%でした。輸出の多くはUSドル建のため、為替による影響を受けます。当社グループは、短期的な変動に関し為替予約取引によるヘッジを行うなど、為替リスクを低減すべく努めていますが、為替が大きく円高に振れた場合には、当社グループの業績に悪影響が及ぶ可能性があります。 ④ 自然災害等に関するリスク当社グループは、製品のほとんどを自社で生産しており、自然災害による工場施設に対する被害により、製品の生産・販売に支障が生じる可能性があります。特に、茅ヶ崎工場は、東海地震の地震防災対策強化地域内に所在しており、設備の耐震強化、防災諸設備の整備、防災体制の強化、防災訓練の実施などの対策に努めているほか、生産設備の複数拠点化(BCP)の検討を進める等リスク低減を図っています。しかし自然災害の規模及び内容によって、当社グループの業績や財務状況に悪影響が及ぶ可能性があります。また、原材料においても調達先の複数化や適正在庫の確保など各種対応に取り組んでいますが、自然災害の規模及び内容により、当社グループの業績や財務状況に悪影響が及ぶ可能性があります。 ⑤ 環境・安全に関するリスク当社グループは、製造現場を持つ企業として、安全確保と環境保全は事業運営上、最も重視しなければならない事項と認識しています。特に設備面での老朽化が進む茅ヶ崎工場では、設備インフラの中期的更新計画を進め、さらに全社的に推進している抜本的な安全対策投資とあわせ、安全操業の維持と環境保全に万全を期して取り組んでいますが、万が一、事故・災害等が発生した場合は、操業の停止・制約や環境コスト、あるいは対策コストの発生により、当社グループの業績に悪影響が及ぶ可能性があります。また、金属チタン事業は、現在、好調な需要を受け、スポンジ生産設備は高い稼働を続けており、予期せぬ操業の停止・制約が起こった場合には、計画している販売量の未達や長期契約を締結する顧客に対する供給責任の未達等により、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。 ⑥ 品質に関するリスク素材メーカーである当社グループの社会的使命は、顧客に満足していただける製品・サービスを安定的に提供することにあります。そのため、当社グループは、ISO9001に基づく品質マネジメントシステムを整備するとともに、組織的に対応するための体制構築及び維持・改善のためのインフラ投資を行うことで、品質管理に万全を期しております。しかしながら、万が一、品質不良や品質事故などが発生した場合には、是正処置にかかるコストの発生や、当社グループ製品に対する評価の低下により、当社グループの業績に悪影響が及ぶ可能性があります。 ⑦ 知的財産に関するリスク当社グループは、特許権等の知的財産権を重要な経営資源の一つと捉え、法令に従い適切な取得保全手続きを行うと共に、知的財産権を含む第三者の権利を侵害することの無いよう細心の注意を払っています。しかしながら、当社グループの技術が十分に保護されず、又は当社グループが第三者の技術を侵害した場合には、収益機会の喪失・減少や損害賠償の支払いなど、当社グループの業績に悪影響が及ぶ可能性があります。当社グループでは、知的財産権管理の専門部署を設け、的確な対応に努めています。 ⑧ 情報漏洩に関するリスク業務上の過失や不正アクセス等、何らかの原因により顧客情報や個人情報が流出した場合には、損害賠償や信用の失墜等、当社グループの業績に悪影響が及ぶ可能性があります。当社グループでは、情報管理に係る規則を定め厳格な運用を行うと共に、必要なシステム対策を講じています。 ⑨ 親会社等との関係に関するリスク当社は、JX金属㈱の子会社であります。当社とJX金属㈱との間には、①当社からJX金属㈱への高純度チタンの販売、②JX金属㈱から当社への各種金属の溶解加工委託、③JX金属㈱から当社への非常勤役員の派遣、④JX金属グループから当社への従業員の出向等の関係があります。 当社と親会社との関係については、当社の自主性・独立性を確保したうえで、両社の企業価値向上を目指し連携・協力しあうことを基本と考えております。取引の条件等は協議・交渉を行ったうえで決定しており、当連結会計年度の当社の親会社への売上高も当社売上高総額の3.01%であり、当社が受ける制約はありません。しかしながら、親会社は当社の議決権の過半数を有しており、当社の株主総会における取締役の選解任等を通じて当社の経営判断に大きな影響を及ぼし得る立場にあるため、その議決権の行使は当社の少数株主の利益に反する可能性があります。なお、JX金属㈱による当社株式保有比率は、将来に亘って一定とは限りません。当該比率に大きな変動が生じた場合には、当社株式の流動性、株価形成に影響を及ぼす可能性があります。 (注)これまで当社の親会社であったENEOSホールディングス㈱は、当社の直接の親会社であるJX金属㈱の上場(2025年3月19日)に伴い、同社が保有するJX金属株式の一部売出しによって、当社の親会社に該当しないこととなりました。 ⑩ 海外事業に関するリスク当社グループは、チタン事業の中長期的な競争力向上を目的として、サウジアラビアでのスポンジチタン生産合弁事業に参画しております。当社(35%出資)とサウジアラビアの石油化学メーカーであるタスニー社のグループ企業AMIC社(65%出資)が共同で設立したAdvanced Metal Industries Cluster and Toho Titanium Metal Co.,Ltd.(ATTM社)は、2019年度にサウジアラビアのヤンブーにおいて、スポンジチタンの生産を開始しましたが、新型コロナウイルス感染症の影響等により立ち上げが遅れ収益性が低下した結果、同社は固定資産に係る減損損失を計上し、2020年12月末時点において債務超過となりました。当社の連結財務諸表においてATTM社は持分法で会計処理されており、2021年3月期連結会計年度において持分法適用上の同社への投資簿価をゼロまで減額し、持分法による投資損失を計上しました。同社の欠損を負担する責任が投資額の範囲に限られていることから、持分法による投資損失の計上リスクはありません。営業関連では、当社のスポンジチタン販売が好調であり、かつAMIC社側での引取ニーズが小さいため、現在のATTM社のスポンジ生産品の大半は当社が引き取っており、当社の重要なスポンジ調達先となっています。ATTM社のスポンジチタン生産に技術的な問題や何らかの制約が生じた場合、当社の販売面で影響を及ぼす可能性があり、そのことで当社の業績に悪影響を及ぼす可能性があります。また、契約上、将来、AMIC社サイドでのチタン下流事業が立ち上がり、スポンジ引取が発生し始めた場合、当社の必要とする引取量に制約が生じる可能性があります。当社としては、対応可能な支援を継続することとし、引き続き同社を取り巻く事業環境や同社の業績動向を注視してまいります。なお、当連結会計年度におけるATTM社との取引等に関しては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 関連当事者情報」に記載のとおりです。 ⑪ 法令等へ抵触するリスク当社グループは、国内外において事業を展開しており、許認可・通商・環境・税制・独占禁止法等各国の様々な法令・規制の適用を受けています。将来における法令等の新設・変更等が行われた場合、事業活動の停止・制限や対策コストが生じる可能性がありますが、不断の情報収集を通じその予防・回避に努めています。中でも、脱炭素社会実現への取組は世界的に加速している状況にあり、炭素税等法規制が厳格化する可能性があります。これに対し当社グループは、生産工程におけるCO2排出低減技術や再生可能エネルギー施策の活用等により、カーボンニュートラルの実現を目指し、当該リスクの低減を図る考えです。また、当社グループは、行動基本方針に「コンプライアンスの最優先」を掲げると共に定期的な教育を行うなど法令等の遵守に努めていますが、万が一これらの法令等への違反が認められた場合、各規制当局からの処分、訴訟の提起や社会的信用の失墜等により、当社グループの業績に悪影響が及ぶ可能性があります。 ⑫ 投資に関するリスク当社グループは、中期経営計画において「成長分野への重点投資による収益基盤の強化」を基本戦略として掲げるなど、継続的に様々な能力増強等のための設備投資等投資を行っています。投資にあたっては、かねてより需要予測や当社グループの競争力などから採算性を慎重に判断し実施していますが、将来の正確な予測は困難であり、販売量の増加やコストダウン等の投資による効果が当初計画を下回って推移した場合、償却費負担の増加や該当資産に係る減損損失の計上などにより、当社グループの業績に悪影響が及ぶ可能性があります。 ⑬ 人材確保に関するリスク当社グループの持続的な成長のためには、人材の確保は非常に重要な要素です。人材の確保が十分にできない場合には、生産・販売・サービス等のレベル低下により、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響をもたらす可能性があります。そのため、国籍や性別などにこだわらない多様な人材の採用活動を積極的に行うだけではなく、シニア社員には60歳以降も高いモチベーションで活躍してもらうために2023年4月より、定年年齢を60歳から65歳に延長しました。また、優秀な人材を確保するための魅力ある人事施策として、2024年度より、ポスティングシステム(社内公募制度)やキャリアチャレンジ(従業員が新たな職務への異動希望を会社に伝える仕組み)を導入しました。さらに、有能な人材確保のために取り組むだけではなく、設備の省力化・合理化等の設備投資を行うことで、労働生産性の向上を進めています。