研究開発活動(本文)
FY2025|3,856 文字
6 【研究開発活動】当社グループは、「つくろう、未来を。つくろう、素材で。」のスローガンの下、「素材メーカーのDNA」を活かした用途・商品開発と展開、スマート社会に向けた次世代事業の着実な育成と強化をめざして、自動車向け特殊鋼及びステンレス鋼の開発、特殊鋼を素材とする自動車部品用鍛造品の開発、電子機能材料・部品及び磁石応用製品の開発等を中心に積極的な研究開発活動を行っております。主力製品である特殊鋼・鍛造品では、自動車のマルチパスウェイへの対応として、電動化(HEV、PHEV、BEV、FCEV)時代の機構革新による、部品機能変化、新規搭載部品、ユニットの更なる小型軽量化、そしてエンジン部品も含め、グローバルコスト競争激化に対し、鍛鋼一貫・粗加一貫の技術力を活かし、材料設計から部品製造までを見据え、プロセススルーで開発を推進、新素材と既存開発鋼を駆使した高機能・高付加価値部品の提供を目指してまいります。当連結会計年度の研究開発活動に関する支出は、5,522百万円、研究開発人員は約270名であります。なお、研究開発活動に係る支出は無形資産に計上された開発資産を含んでおります。セグメント別の研究の目的、研究の成果及び研究開発活動に関する支出は、次のとおりであります。 (1) 鋼(ハガネ)カンパニー自動車部品用の新しい特殊鋼の開発を行っております。当連結会計年度の主な成果は次のとおりであります。鋼材開発では、省資源・低コストを実現した省Mo(モリブデン)鋼「SCrH20」の拡販を推進、更に他の鋼種についても省Mo化を検討しております。また、カーボンニュートラルへ貢献するため、部品の製造工程の省略を実現する鋼材開発や、CO2の発生の少ない環境対応プロセスに対応したグリーン鋼材の鋼材開発を推進しております。また、電動ユニットの小型・軽量化、機構変化に対応した高強度用鋼や低歪鋼の開発、鍛鋼一貫開発として、鍛(キタエル)カンパニーに関わる革新的な工法開発の競争力をより引き出す材料開発にも注力しております。加えて、次世代モビリティ時代を見据え東北大学との「次世代電動アクスル用素材・プロセス共創研究所」の設立や、当社での電動アクスル開発挑戦で得た設計技術・評価技術を活かし、更なる高強度鋼・高機能鋼の研究開発を推進しております。鋼(ハガネ)カンパニーに係る研究開発活動に関する支出は1,970百万円であります。 (2) ステンレスカンパニー インフラ関連や自動車部品用のステンレス鋼の開発を行っております。当連結会計年度の主な成果は次のとおりであります。ステンレス鋼ではエネルギー/社会インフラの高寿命化に貢献する商品であるステンレス鉄筋バーや二相系ステンレス形鋼の商品レパートリーの拡充、また、ステンレス構造部材ビジネスの拡大や、水素社会に対応する安全・安心な省資源・低コストの鋼材開発、そしてグループ会社のアイチ テクノメタル フカウミ㈱と連携した高級刃物用鋼の開発に取り組んでおります。燃料電池車向けの高圧水素用ステンレス鋼の開発では、2013年に高圧水素用ステンレス鋼「AUS316L-H2」を開発し、同年より水素ステーション向けに、2014年からはその高強度仕様鋼がトヨタ自動車㈱の燃料電池自動車初代MIRAIに採用されております。2020年には、新たにレアメタルであるMoを使用せず、既存の「AUS316L-H2」と同等の強度と耐水素脆化特性を確保すると共に、省資源化によるコスト低減と、お客様の部品加工性の向上にも大きく寄与する省資源高強度高圧水素用ステンレス鋼「AUS305-H2」を開発し、新型MIRAI向けに供給を開始いたしました。加えて、これら開発鋼の強度やサイズレパートリを拡充し、水素インフラへ供給拡大してきております。また、これらの開発に必要不可欠な、高圧水素ガス環境下での評価技術の構築にも注力しており、世界で初めて90MPa高圧水素ガス環境における回転曲げ疲労試験装置を開発し、試験評価を推進しています。当社は、1993年より水素社会実現に向けたNEDO事業に継続的に参画しており、2023年度から始まったNEDO事業「競争的な水素サプライチェーン構築に向けた技術開発事業/共通基盤整備に係る技術開発/水素社会構築に向けた鋼材研究開発」にも採択されました。NEDO事業を通して、水素社会実現に向けた基盤構築を進めるとともに、そこで得た確かな技術知見を高圧水素用ステンレス鋼の開発に活かしております。今後、更にこれまで培った技術知見や開発設備により開発を加速し、水素社会の早期実現に貢献していきます。ステンレスカンパニーに係る研究開発活動に関する支出は767百万円であります。 (3) 鍛(キタエル)カンパニー 自動車部品用の鍛造品製造プロセス開発、製造方法の開発を行っております。当連結会計年度の主な成果は次のとおりであります。次世代の電動ユニット車における部品の高機能化・低コスト化ニーズを受け、2017年に導入した研究開発用サーボ式鍛造プレスラインをフルに活用し、革新的な工法開発や、より高度な鍛造製品の開発を推進しております。また、新たな計測技術開発やCAEを用いた成形シミュレーションの精度向上、型設計自動最適化技術の開発などのデジタル技術の活用により、商品力の進化や飛躍的に開発スピードを向上させるためのDXの取り組みも推進しております。更に、熱間鍛造品メーカーから部品完成品メーカーへ進化を目指し、部品の付加価値を向上する設計技術開発、機械加工領域も含めた開発にも取り組んでおります。特に電動ユニット向けの部品開発に注力しており、鍛造技術と材料技術の融合による鍛鋼一貫の温間鍛造技術の開発でニアネットシェイプと熱処理省略を実現、それにより低コスト化とCO2排出量低減を達成し、2022年に量産を開始し、適用を広げてきております。また、更なる受注拡大に向けて、粗加一貫の取り組みによる部品の付加価値向上やコスト競争力向上、自動車部品のカーボンニュートラルへ貢献するグリーン鍛造品技術開発にも取り組んでおります。また、エンジン部品においてもデジタル技術や新工法開発によりクランクシャフトの競争力向上に取り組んでおります。鍛(キタエル)カンパニーに係る研究開発活動に関する支出は562百万円であります。 (4) スマートカンパニー車載電子機器用放熱部品の開発、MIセンサを活用した磁気マーカシステムの開発、モータ用磁石の開発など、進化を続けるスマート社会に向けた新しい素材、製品の開発等を行っております。当連結会計年度の主な成果は次のとおりであります。当社が開発した「磁気マーカシステム」は、2017年から国土交通省、内閣府などと共に様々な場所/環境で実証実験を行い、その性能、信頼性において高い評価を得ており、従来からの公道、公共交通分野では、JR東日本の気仙沼線BRT(※1)にて、2022年12月より柳津駅から陸前横山駅間で実用化された自動運転バスに導入されたほか、中部国際空港島などで更に実証を積み重ね、実用化に向けて着実に進捗させております。2021年度からは特に工場敷地内の牽引車の自動走行化について開発を推進し、2024年度にはトヨタグループの量産ラインでの実運用が正式に開始し、磁気マーカシステムを搭載した自動牽引車が物流の効率化に大きく貢献しております。モータ技術開発の分野では、2022年2月に、34,000回転/分の小型軽量モータに、小型高減速機を組み合わせ、省資源・小型軽量化に貢献する高速回転・高減速の次世代電動アクスルの技術実証に世界で初めて成功しました。2024年度からは、その電動アクスル挑戦で得た要素技術・評価技術を活かし、魅力ある高機能部品・素材の開発とそれらの実用化を推進しています。また、国公立大学法人などとイネ科植物が根から分泌する天然の鉄キレート剤(※2)「ムギネ酸」(※3)の化学構造を改良した環境調和型の鉄キレート剤「プロリンデオキシムギネ酸(以下、PDMA)」を開発しました。全世界の陸地の約3分の1は農耕に適さないとされるアルカリ性不良土壌で占められています。PDMAは世界の食料問題を解決する手段の一つとして今後の実用展開が期待されています。2021年9月には国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)の研究成果最適展開支援プログラム(A-STEP)に当社が代表企業機関となる「高活性生分解性キレート鉄肥料の実用化研究」が採択され、国公立大学法人とともにPDMAの低コスト化の研究開発と、様々な作物の実証を進めており、2024年にはトウモロコシでの実証を国際学術誌で発表し、アルカリ土壌での主要穀物の増産に貢献する可能性を示しました。スマートカンパニーに係る研究開発活動に関する支出は2,222百万円であります。 ※1 Bus Rapid Transitの略。バス専用道等を用いた高速輸送システム。※2 「キレート」はギリシャ語で「蟹のはさみ」の意。鉄イオンを取り囲んでアルカリ土壌中でも安定に存在させる物質。※3 植物が分泌する天然の鉄キレート物質。1976年に岩手大学の高城成一博士が「ムギの根から分泌する酸」として発見し、1978年にその化学構造式が竹本常松博士らによって決定され、この名が付けられた。
FY2024|3,922 文字
6 【研究開発活動】当社グループは、「つくろう、未来を。つくろう、素材で。」のスローガンの下、「素材業のDNA」を活かした用途・商品開発と展開、スマート社会に向けた次世代事業の着実な育成と強化をめざして、自動車向け特殊鋼及びステンレス鋼の開発、特殊鋼を素材とする自動車部品用鍛造品の開発、電子機能材料・部品及び磁石応用製品の開発等を中心に積極的な研究開発活動を行っております。主力製品である特殊鋼・鍛造品では、自動車の電動化(HEV、BEV、FCEV)時代の機構革新による、部品機能変化、新規搭載部品、ユニットの更なる小型軽量化、そしてグローバルコスト競争激化に対し、鍛鋼一貫の技術力を活かし、材料設計から部品製造までを見据え、プロセススルーで開発を推進、新素材と既存開発鋼を駆使した高機能・高付加価値部品の提供を目指してまいります。当連結会計年度の研究開発活動に関する支出は、5,203百万円、研究開発人員は約300名であります。なお、研究開発活動に係る支出は無形資産に計上された開発資産を含んでおります。セグメント別の研究の目的、研究の成果及び研究開発活動に関する支出は、次のとおりであります。 (1) 鋼(ハガネ)カンパニー自動車部品用の新しい特殊鋼の開発を行っております。当連結会計年度の主な成果は次のとおりであります。鋼材開発では、省資源・低コストを実現した省Mo(モリブデン)鋼「SCrH20」の拡販を推進、更に他の鋼種についても省Mo化を検討しております。また、カーボンニュートラルへ貢献するため、部品の製造工程の省略を実現する鋼材開発や、CO2の発生の少ない環境対応プロセスに対応した鋼材開発を推進しております。また、電動ユニット部品の小型・軽量化に対応した高強度用鋼の開発や、鍛鋼一貫開発として、鍛(キタエル)カンパニーに関わる革新的な工法開発の競争力をより引き出す材料開発にも注力しております。加えて、次世代モビリティ時代を見据え東北大学との「次世代電動アクスル用素材・プロセス共創研究所」の設立や、当社での電動アクスル開発挑戦で得た設計技術・評価技術を活かし、更なる高強度鋼・高機能鋼の研究開発を推進しております。鋼(ハガネ)カンパニーに係る研究開発活動に関する支出は1,826百万円であります。 (2) ステンレスカンパニー インフラ関連や自動車部品用のステンレス鋼の開発を行っております。当連結会計年度の主な成果は次のとおりであります。ステンレス鋼ではエネルギー/社会インフラの高寿命化に貢献する商品であるステンレス鉄筋バーや二相系ステンレス形鋼の商品レパートリーの拡充、また、ステンレス構造部材ビジネスの拡大や、水素社会に対応する安心安全な省資源・低コストの鋼材開発に取り組んでおります。特に燃料電池車向けの高圧水素用ステンレス鋼の開発に注力しており、2013年に高圧水素用ステンレス鋼「AUS316L-H2」を開発し、同年より水素ステーション向けに、2014年からはその高強度仕様鋼がトヨタ自動車㈱の燃料電池自動車初代MIRAIに採用されております。2020年には、新たにレアメタルであるMoを使用せず、既存の「AUS316L-H2」と同等の強度と耐水素脆化特性を確保すると共に、省資源化によるコスト低減と、お客様の部品加工性の向上にも大きく寄与する省資源高強度高圧水素用ステンレス鋼「AUS305-H2」を開発し、新型MIRAI向けに供給を開始いたしました。加えて、これら開発鋼の強度やサイズレパートリを拡充し、水素インフラへ供給拡大してきております。また、これらの開発に必要不可欠な、高圧水素ガス環境下での評価技術の構築にも注力しており、世界で初めて90MPa高圧水素ガス環境における回転曲げ疲労試験装置を開発、試験評価を開始しました。この装置により、長時間を要する疲労試験時間を10分の1以下に短縮することを実現しました。当社は、1993年より水素社会実現に向けたNEDO事業に継続的に参画しており、2023年度から始まったNEDO事業「競争的な水素サプライチェーン構築に向けた技術開発事業/共通基盤整備に係る技術開発/水素社会構築に向けた鋼材研究開発」にも採択されました。NEDO事業を通して、水素社会実現に向けた基盤構築を進めるとともに、そこで得た確かな技術知見を高圧水素用ステンレス鋼の開発に活かしております。今後、更にこれまで培った技術知見や開発設備により開発を加速し、水素社会の早期実現に貢献していきます。ステンレスカンパニーに係る研究開発活動に関する支出は726百万円であります。 (3) 鍛(キタエル)カンパニー 自動車部品用の鍛造品製造プロセス開発、製造方法の開発を行っております。当連結会計年度の主な成果は次のとおりであります。次世代の電動ユニット車における部品の高機能化・低コスト化ニーズを受け、2017年に導入した研究開発用サーボ式鍛造プレスラインをフルに活用し、革新的な工法開発や、より高度な鍛造製品の開発を推進しております。また、新たな計測技術開発やCAEを用いた成形シミュレーションの精度向上、型設計自動最適化技術の開発などのデジタル技術の活用により、商品力の進化や飛躍的に開発スピードを向上させるためのDXの取り組みも推進しております。更に、熱間鍛造品メーカーから部品完成品メーカーへ進化を目指し、部品の付加価値を向上する設計技術開発、機械加工領域も含めた開発にも取り組んでおります。特に電動ユニット向けの部品開発に注力しており、鍛造技術と材料技術の融合による鍛鋼一貫の温間鍛造技術の開発でニアネットシェイプと熱処理省略を実現、それにより低コスト化とCO2排出量低減を達成し、2022年に量産を開始し、適用を広げてきております。また、更なる受注拡大に向けて、部品の付加価値向上やコスト競争力向上により、自動車部品のカーボンニュートラルへ貢献する技術開発にも取り組んでおります。鍛(キタエル)カンパニー に係る研究開発活動に関する支出は549百万円であります。 (4) スマートカンパニー車載電子機器用放熱部品の開発、MIセンサの開発、モータ用磁石の開発など、進化を続けるスマート社会に向けた新しい素材、製品の開発等を行っております。当連結会計年度の主な成果は次のとおりであります。MIセンサ開発の分野では、セキュリティ・医療分野に向けたワイドレンジ型MIセンサの技術開発に成功し、2022年6月からサンプル販売を開始しました。微小磁場の高感度な検出と広い測定範囲(ワイドレンジ)を両立する「磁気フィードバック技術」を採用したセンサを展開することにより、強力な磁気を発するMRI検査室周辺での金属検知や、製造ラインでの異物混入検知、磁気式セキュリティゲートなどへの応用の拡大を目指しております。当社が開発した「磁気マーカシステム」は、2017年から国土交通省、内閣府などと共に様々な場所/環境で実証実験を行い、その性能、信頼性において高い評価を得ており、従来からの公道、公共交通分野では、JR東日本の気仙沼線BRT(※1)にて、2022年12月より柳津駅から陸前横山駅間で実用化された自動運転バスに導入されたほか、中部国際空港島などで更に実証を積み重ね、実用化に向けて着実に進捗させております。2023年度は特に工場敷地内の牽引車の自動走行化について開発を推進し、量産ラインでの実用化を達成し、事業化を開始いたしました。モータ開発の分野では、2022年2月に、34,000回転/分の小型軽量モータに、小型高減速機を組み合わせ、省資源・小型軽量化に貢献する高速回転・高減速の次世代電動アクスルの技術実証に世界で初めて成功しました。その電動アクスル挑戦で得た要素技術・評価技術を活かし、魅力ある高機能部品・素材の開発・実用化を推進しています。2023年度は世界最軽量の60kWクラスの電動アクスルの設計・試作を完了し、車両搭載し実車走行を達成しました。また、国公立大学法人や公益財団法人などとイネ科植物が根から分泌する天然の鉄キレート剤(※2)「ムギネ酸」(※3)の化学構造を改良した環境調和型の鉄キレート剤「プロリンデオキシムギネ酸(以下、PDMA)」を開発しました。全世界の陸地の約3分の1は農耕に適さないとされるアルカリ性不良土壌で占められています。PDMAは世界の食料問題を解決する手段の一つとして今後の実用展開が期待されています。2021年9月には国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)の研究成果最適展開支援プログラム(A-STEP)に当社が代表企業機関となる「高活性生分解性キレート鉄肥料の実用化研究」が採択され、国公立大学法人とともにPDMAの低コスト化の研究開発と、作用メカニズムの深堀、海外のアルカリ土壌での実証を進めており、論文や学会発表を積極的に進め、その認知度も上がってきています。スマートカンパニーに係る研究開発活動に関する支出は2,101百万円であります。 ※1 Bus Rapid Transitの略。バス専用道等を用いた高速輸送システム。※2 「キレート」はギリシャ語で「蟹のはさみ」の意。鉄イオンを取り囲んでアルカリ土壌中でも安定に存在させる物質。※3 植物が分泌する天然の鉄キレート物質。1976年に岩手大学の高城成一博士が「ムギの根から分泌する酸」として発見し、1978年にその化学構造式が竹本常松博士らによって決定され、この名が付けられた。
FY2023|3,920 文字
6 【研究開発活動】当社グループは、「つくろう、未来を。つくろう、素材で。」のスローガンの下、「素材業のDNA」を活かした用途・商品開発と展開、スマート社会に向けた次世代事業の着実な育成と強化をめざして、自動車向け特殊鋼及びステンレス鋼の開発、特殊鋼を素材とする自動車部品用鍛造品の開発、電子機能材料・部品及び磁石応用製品の開発等を中心に積極的な研究開発活動を行っております。主力製品である特殊鋼・鍛造品では、自動車の電動化(HEV、BEV、FECV)時代の機構革新による、部品機能変化、新規搭載部品、ユニットの更なる小型軽量化、そしてグローバルコスト競争激化に対し、鍛鋼一貫の技術力を活かし、材料設計から部品製造までを見据え、プロセススルーで開発を推進、新素材と既存開発鋼を駆使した高機能・高付加価値部品の提供を目指してまいります。当連結会計年度の研究開発活動に関する支出は、4,506百万円、研究開発人員は約290名であります。なお、研究開発活動に係る支出は無形資産に計上された開発資産を含んでおります。セグメント別の研究の目的、研究の成果及び研究開発活動に関する支出は、次のとおりであります。 (1) 鋼(ハガネ)カンパニー自動車部品用の新しい特殊鋼の開発を行っております。当連結会計年度の主な成果は次のとおりであります。鋼材開発では、省資源・低コストを実現した省Mo(モリブデン)鋼「SCrH20」の拡販を推進、更に他の鋼種についても省Mo化を検討しております。また、カーボンニュートラルへ貢献するため、部品の製造工程の省略を実現する鋼材開発や、CO2の発生の少ない環境対応プロセスに対応した鋼材開発を推進しております。また、電動ユニット部品の小型・軽量化に対応した高強度用鋼の開発や、鍛鋼一貫開発として、鍛(キタエル)カンパニーに関わる革新的な工法開発の競争力をより引き出す材料開発にも注力しております。加えて、次世代モビリティ時代を見据え東北大学と「次世代電動アクスル用素材・プロセス共創研究所」を設立しており、更なる高強度鋼の研究開発を推進しております。鋼(ハガネ)カンパニーに係る研究開発活動に関する支出は1,866百万円であります。 (2) ステンレスカンパニー インフラ関連や自動車部品用のステンレス鋼の開発を行っております。当連結会計年度の主な成果は次のとおりであります。ステンレス鋼ではエネルギー/社会インフラの高寿命化に貢献する商品であるステンレス鉄筋バーや二相系ステンレス形鋼の商品レパートリーの拡充、また、ステンレス構造部材ビジネスの拡大や、水素社会に対応する安心安全な省資源・低コストの鋼材開発に取り組んでおります。特に燃料電池車向けの高圧水素用ステンレス鋼の開発に注力しており、2013年に高圧水素用ステンレス鋼「AUS316L-H2」を開発し、同年より水素ステーション向けに、2014年からはその高強度仕様鋼がトヨタ自動車㈱の燃料電池自動車初代MIRAIに採用されております。2020年には、新たにレアメタルであるMoを使用せず、既存の「AUS316L-H2」と同等の強度と耐水素脆化特性を確保すると共に、省資源化によるコスト低減と、お客様の部品加工性の向上にも大きく寄与する省資源高強度高圧水素用ステンレス鋼「AUS305-H2」を開発し、新型MIRAI向けに供給を開始いたしました。また、これらの開発に必要不可欠な、高圧水素ガス環境下での評価技術の構築にも注力しており、世界で初めて90MPa高圧水素ガス環境における回転曲げ疲労試験装置を開発、試験評価を開始しました。この装置により、長時間を要する疲労試験時間を10分の1以下に短縮することを実現しました。当社は、1993年より水素社会実現に向けたNEDO事業に継続的に参画しており、2023年度から始まるNEDO事業「競争的な水素サプライチェーン構築に向けた技術開発事業/共通基盤整備に係る技術開発/水素社会構築に向けた鋼材研究開発」にも採択されました。NEDO事業を通して、水素社会実現に向けた基盤構築を進めるとともに、そこで得た確かな技術知見を高圧水素用ステンレス鋼の開発に活かしております。今後、更にこれまで培った技術知見や開発設備により開発を加速し、水素社会の早期実現に貢献していきます。ステンレスカンパニーに係る研究開発活動に関する支出は682百万円であります。 (3) 鍛(キタエル)カンパニー 自動車部品用の鍛造品製造プロセス開発、製造方法の開発を行っております。当連結会計年度の主な成果は次のとおりであります。次世代の電動ユニット車における部品の高機能化・低コスト化ニーズを受け、2017年に導入した研究開発用サーボ式鍛造プレスラインをフルに活用し、革新的な工法開発や、より高度な鍛造製品の開発を推進しております。また、新たな計測技術開発やCAEを用いた成形シミュレーションの精度向上などのデジタル技術の活用により、商品力の進化や飛躍的に開発スピードを向上させるためのDXの取り組みも推進しております。更に、熱間鍛造品メーカーから部品完成品メーカーへ進化を目指し、部品の付加価値を向上する設計技術開発、機械加工領域も含めた開発にも取り組んでおります。特に電動ユニット向けの部品開発に注力しており、鍛造技術と材料技術の融合による鍛鋼一貫の温間鍛造技術の開発でニアネットシェイプと熱処理省略を実現、それにより低コスト化とCO2排出量低減を達成し、2022年に量産を開始しました。また、更なる受注拡大に向けて、部品の付加価値向上やコスト競争力向上により、自動車部品のカーボンニュートラルへ貢献する技術開発にも取り組んでおります。鍛(キタエル)カンパニー に係る研究開発活動に関する支出は375百万円であります。 (4) スマートカンパニー車載電子機器用放熱部品の開発、MIセンサの開発、モータ用磁石の開発など、進化を続けるスマート社会に向けた新しい素材、製品の開発等を行っております。当連結会計年度の主な成果は次のとおりであります。MIセンサ開発の分野では、セキュリティ・医療分野に向けたワイドレンジ型MIセンサの技術開発に成功し、2022年6月からサンプル販売を開始しました。微小磁場の高感度な検出と広い測定範囲(ワイドレンジ)を両立する「磁気フィードバック技術」を採用したセンサを展開することにより、強力な磁気を発するMRI検査室周辺での金属検知や、製造ラインでの異物混入検知、磁気式セキュリティゲートなどへの応用の拡大を目指しております。当社が開発した「磁気マーカシステム」は、2017年から国土交通省、内閣府などと共に様々な場所/環境で実証実験を行い、その性能、信頼性において高い評価を得ており、従来からの公道、公共交通分野では、JR東日本の気仙沼線BRT(※1)にて、2022年12月より柳津駅から陸前横山駅間で実用化された自動運転バスに導入されたほか、中部国際空港島などで更に実証を積み重ねております。加えて、工場敷地内の牽引車の自動走行化についても開発を推進しており、それぞれの分野で、実用化に向けて着実に進捗させております。モータ開発の分野では、2022年2月に、34,000回転/分の小型軽量モータに、小型高減速機を組み合わせ、省資源・小型軽量化に貢献する高速回転・高減速の次世代電動アクスルの技術実証に世界で初めて成功しました。その成果をベースに、2022年4月には、NEDOの「グリーンイノベーション基金事業/次世代蓄電池・次世代モーターの開発」プロジェクトに、当社の「小型・軽量・省資源型、高効率電動アクスルの開発」が採択され、社会実装化に向けて開発を推進しています。また、国公立大学法人や公益財団法人などとイネ科植物が根から分泌する天然の鉄キレート剤(※2)「ムギネ酸」(※3)の化学構造を改良した環境調和型の鉄キレート剤「プロリンデオキシムギネ酸(以下、PDMA)」を開発しました。全世界の陸地の約3分の1は農耕に適さないとされるアルカリ性不良土壌で占められています。PDMAは世界の食料問題を解決する手段の一つとして今後の実用展開が期待されています。2021年9月には国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)の研究成果最適展開支援プログラム(A-STEP)に当社が代表企業機関となる「高活性生分解性キレート鉄肥料の実用化研究」が採択され、国公立大学法人とともにPDMAの低コスト化の研究開発と、作用メカニズムの深堀、海外のアルカリ土壌での実証を進めております。この他にも、世界で初めて工場実証に成功した、高い蓄熱能力を有し反復利用が可能な、カルシウム系蓄熱材の工場排熱利用蓄熱システムなど、エネルギーコストの削減と共に、地球温暖化抑制、カーボンニュートラルに寄与する近未来システムとして、実用化に向けた取り組みを継続してまいります。スマートカンパニーに係る研究開発活動に関する支出は1,581百万円であります。 ※1 Bus Rapid Transitの略。バス専用道等を用いた高速輸送システム。※2 「キレート」はギリシャ語で「蟹のはさみ」の意。鉄イオンを取り囲んでアルカリ土壌中でも安定に存在させる物質。※3 植物が分泌する天然の鉄キレート物質。1976年に岩手大学の高城成一博士が「ムギの根から分泌する酸」として発見し、1978年にその化学構造式が竹本常松博士らによって決定され、この名が付けられた。
FY2022|3,135 文字
5 【研究開発活動】当社グループは、「つくろう、未来を。つくろう、素材で。」のスローガンの下、「素材業のDNA」を活かした用途・商品開発と展開、スマート社会に向けた次世代事業の着実な育成と強化をめざして、自動車向け特殊鋼及びステンレス鋼の開発、特殊鋼を素材とする自動車部品用鍛造品の開発、電子機能材料・部品及び磁石応用製品の開発等を中心に積極的な研究開発活動を行っております。主力製品である特殊鋼・鍛造品では、自動車の電動化(HEV、BEV、FCV)時代の機構革新による、部品機能変化、新規搭載部品、ユニットの更なる小型軽量化、そしてグローバルコスト競争激化に対し、鍛鋼一貫の技術力を活かし、材料設計から部品製造までを見据え、プロセススルーで開発を推進、新素材と既存開発鋼を駆使した高機能・高付加価値部品の提供を目指してまいります。当連結会計年度の研究開発活動に関する支出は、4,343百万円、研究開発人員は約280名であります。なお、研究開発活動に係る支出は無形資産に計上された開発資産を含んでおりますセグメント別の研究の目的、研究の成果及び研究開発活動に関する支出は、次のとおりであります。 (1) 鋼(ハガネ)カンパニー自動車部品用の新しい特殊鋼の開発を行っております。当連結会計年度の主な成果は次のとおりであります。鋼材開発では、省資源・低コストを実現した省Mo(モリブデン)鋼「SCrH20」の拡販を推進、更に他の鋼種についても省Mo化を検討しております。また、カーボンニュートラルへ貢献するため、部品の製造工程の省略を実現する鋼材開発や、CO₂の発生の少ない環境対応プロセスに対応した鋼材開発を推進しております。また、電動ユニット部品の小型・軽量化に対応した高強度用鋼の開発や、鍛鋼一貫開発として、鍛(キタエル)カンパニーに関わる革新的な工法開発の競争力をより引き出す材料開発にも注力しております。鋼(ハガネ)カンパニーに係る研究開発活動に関する支出は1,767百万円であります。 (2) ステンレスカンパニー インフラ関連や自動車部品用のステンレス鋼の開発を行っております。当連結会計年度の主な成果は次のとおりであります。ステンレス鋼ではエネルギー/社会インフラの高寿命化に貢献する商品であるステンレス鉄筋バーや二相系ステンレス形鋼の商品レパートリーの拡充、また、ステンレス構造部材ビジネスの拡大や、水素社会に対応する安心安全な省資源・低コストの鋼材開発に取り組んでおります。特に燃料電池車向けの高圧水素用ステンレス鋼の開発に注力しており、2013年に高圧水素用ステンレス鋼「AUS316L-H2」を開発し、同年より水素ステーション向けに、2014年からはその高強度仕様鋼がトヨタ自動車㈱の燃料電池自動車初代MIRAIに採用されております。2020年には、新たにレアメタルであるMoを使用せず、既存の「AUS316L-H2」と同等の強度と耐水素脆化特性を確保すると共に、省資源化によるコスト低減と、お客様の部品加工性の向上にも大きく寄与する省資源高強度高圧水素用ステンレス鋼「AUS305-H2」を開発し、新型MIRAI向けに供給を開始いたしました。また、これらの開発に必要不可欠な、高圧水素ガス環境下での評価技術の構築にも注力しており、世界で初めて90MPa高圧水素ガス環境における回転曲げ疲労試験装置を開発、試験評価を開始しました。この装置により、長時間を要する疲労試験時間を10分の1以下に短縮することを実現しました。今後、これまで培った技術知見や開発設備により開発を加速し、水素社会の早期実現に貢献していきます。ステンレスカンパニーに係る研究開発活動に関する支出は689百万円であります。 (3) 鍛(キタエル)カンパニー 自動車部品用の鍛造品製造プロセス開発、製造方法の開発を行っております。当連結会計年度の主な成果は次のとおりであります。次世代の電動ユニット車における部品の高機能化・低コスト化ニーズを受け、2017年に導入した研究開発用サーボ式鍛造プレスラインをフルに活用し、革新的な工法開発や、より高度な鍛造製品の開発を推進しております。また、新たな計測技術開発やCAEを用いた成形シミュレーションの精度向上などのデジタル技術の活用により、商品力の進化や飛躍的に開発スピードを向上させるためのDXの取り組みも推進しております。更に、熱間鍛造品メーカーから部品完成品メーカーへ進化を目指し、部品の付加価値を向上する設計技術開発、機械加工領域も含めた開発にも取り組んでおります。特に電動ユニット向けの部品開発に注力しており、鍛造技術と材料技術の融合による鍛鋼一貫の開発で、部品の付加価値向上やコスト競争力向上、また熱処理工程などの工程省略の実現により、自動車部品のカーボンニュートラルへ貢献する技術開発にも取り組んでおります。鍛(キタエル)カンパニー に係る研究開発活動に関する支出は393百万円であります。 (4) スマートカンパニー車載電子機器用放熱部品の開発、MIセンサの開発、モータ用磁石の開発など、進化を続けるスマート社会に向けた新しい素材、製品の開発等を行っております。当連結会計年度の主な成果は次のとおりであります。当社が開発した「磁気マーカシステム」は、2017年から国土交通省、内閣府などと共に様々な場所/環境で実証実験を行い、その性能、信頼性において高い評価を得ており、従来からの公道、公共交通分野では、専用道を使ったBRT(JR東日本の気仙沼線BRT等)や、中部国際空港島などで更に実証を積み重ねております。加えて、工場敷地内の牽引車の自動走行化についても開発を推進しており、それぞれの分野で、実用化に向けて着実に進捗させております。モータ開発の分野では、2022年2月に、34,000回転/分の小型軽量モータに、小型高減速機を組み合わせ、省資源・小型軽量化に貢献する高速回転・高減速の次世代電動アクスルの技術実証に世界で初めて成功しました。その成果をベースに、2022年4月には、NEDOの「グリーンイノベーション基金事業/次世代蓄電池・次世代モーターの開発」プロジェクトに、当社の応募テーマ(事業)、「小型・軽量・省資源型、高効率電動アクスルの開発」が採択されました。また、国公立大学法人や公益財団法人などとイネ科植物が根から分泌する天然の鉄キレート剤(※1)「ムギネ酸」(※2)の化学構造を改良した環境調和型の鉄キレート剤「プロリンデオキシムギネ酸(以下、PDMA)」を開発しました。全世界の陸地の約3分の1は農耕に適さないとされるアルカリ性不良土壌で占められています。PDMAは世界の食料問題を解決する手段の一つとして今後の実用展開が期待されています。この他にも、世界で初めて工場実証に成功した、高い蓄熱能力を有し反復利用が可能な、カルシウム系蓄熱材の工場排熱利用蓄熱システムなど、エネルギーコストの削減と共に、地球温暖化抑制、カーボンニュートラルに寄与する近未来システムとして、実用化に向けた取り組みを継続してまいります。スマートカンパニーに係る研究開発活動に関する支出は1,493百万円であります。 ※1 「キレート」はギリシャ語で「蟹のはさみ」の意。鉄イオンを取り囲んでアルカリ土壌中でも安定に存在させる物質。※2 植物が分泌する天然の鉄キレート物質。1976年に岩手大学の高城成一博士が「ムギの根から分泌する酸」として発見し、1978年にその化学構造式が竹本常松博士らによって決定され、この名が付けられた。
FY2021|2,812 文字
5 【研究開発活動】当社グループは、「つくろう、未来を。つくろう、素材で。」のスローガンの下、「素材業のDNA」を活かした用途・商品開発と展開、スマート社会に向けた次世代事業の着実な育成と強化をめざして、自動車向け特殊鋼及びステンレス鋼の開発、特殊鋼を素材とする自動車部品用鍛造品の開発、電子機能材料・部品及び磁石応用製品の開発等を中心に積極的な研究開発活動を行っております。主力製品である特殊鋼・鍛造品では、自動車の電動化(HV/PHV、EV、FCV)時代の機構革新による、部品機能変化、新規搭載部品、ユニットの更なる小型軽量化、そしてグローバルコスト競争激化に対し、鍛鋼一貫の技術力を活かし、材料設計から部品製造までを見据え、プロセススルーで開発を推進、新素材と既存開発鋼を駆使した高機能・高付加価値部品の提供を目指してまいります。当連結会計年度の研究開発費は、4,054百万円、研究開発人員は約250名であります。なお、セグメント別の研究の目的、研究成果及び研究開発費は、次のとおりであります。 (1) 鋼(ハガネ)カンパニー自動車部品用の新しい特殊鋼の開発を行っております。当連結会計年度の主な成果は次のとおりであります。鋼材開発では、省資源・低コストを実現した省Mo(モリブデン)鋼「SCrH20」の拡販を推進、更に他の鋼種についても省Mo化を検討しております。また、電動化部品の小型・軽量化に対応した高強度用鋼の開発や、鍛鋼一貫開発として、鍛(キタエル)カンパニーに関わる革新的な工法開発の競争力をより引き出す材料開発にも注力しております。鋼(ハガネ)カンパニーに係る研究開発費は1,681百万円であります。 (2) ステンレスカンパニー インフラ関連や自動車部品用のステンレス鋼の開発を行っております。当連結会計年度の主な成果は次のとおりであります。ステンレス鋼ではエネルギー/社会インフラの高寿命化に貢献する商品であるステンレス鉄筋バーや二相系ステンレス形鋼の商品レパートリーの拡充、また、ステンレス構造部材ビジネスの拡大や、水素社会に対応する安心安全な省資源・低コストの鋼材開発に取り組んでおります。特に燃料電池車向けの高圧水素用ステンレス鋼の開発に注力しており、2020年12月発売のトヨタ自動車の燃料電池自動車新型MIRAI向けに省資源高強度高圧水素用ステンレス鋼「AUS305-H2」を開発し、供給を開始いたしました。当社は2013年に高圧水素用ステンレス鋼「AUS316L-H2」を開発し、同年より水素ステーション向けに、2014年からはその高強度仕様鋼が初代MIRAIに採用されておりますが、今回の開発鋼は、新たにレアメタルであるMoを使用せず、既存の「AUS316L-H2」と同等の強度と耐水素脆化特性を確保すると共に、省資源化によるコスト低減と、お客様の部品加工性の向上にも大きく寄与しております。ステンレスカンパニーに係る研究開発費は603百万円であります。 (3) 鍛(キタエル)カンパニー 自動車部品用の鍛造品製造プロセス開発、製造方法の開発を行っております。当連結会計年度の主な成果は次のとおりであります。次世代車における部品の高機能化・低コスト化ニーズを受け、2017年に導入した研究開発用サーボ式鍛造プレスラインをフルに活用し、革新的な工法開発や、より高度な鍛造製品の開発を推進しており、CAEを用いた成形シミュレーションの精度向上や、開発期間短縮などにも取り組んでおります。更に、熱間鍛造品メーカーから部品完成品メーカーへ進化を目指し、部品の付加価値を向上する設計技術開発、機械加工領域も含めた開発にも取り組んでおります。鍛(キタエル)カンパニー に係る研究開発費は384百万円であります。 (4) スマートカンパニー車載電子機器用放熱部品の開発、MIセンサの開発、モータ用磁石の開発など、進化を続けるスマート社会に向けた新しい素材、製品の開発等を行っております。当連結会計年度の主な成果は次のとおりであります。当社が開発した「磁気マーカシステム」は、2017年から国土交通省、内閣府などと共に様々な場所/環境で実証実験を行い、その性能、信頼性において高い評価を得ております。当連結会計年度は中部国際空港島で一般乗客を乗せた実証実験を行うなど、実用化に向けた動きが着実に進んでおります。磁石事業では、希少資源の使用を抑えつつ世界最高の磁力と高い形状自由度を実現した、独自開発のネオジム系異方性ボンド磁石「マグファイン®」(※1)により、2020年6月、経済産業省による「新グローバルニッチトップ企業100選」(※2)に選出されました。モータ開発の分野では、この「マグファイン®」と当社独自の鍛鋼一貫による高強度材料を融合させ、2030年以降の電動車の本格普及と、それに伴う資源不足への対応として、EV向け電動アクスルを従来比で40%の小型軽量化できる技術実証に世界で初めて成功いたしました。また、国公立大学法人や公益財団法人などとイネ科植物が根から分泌する天然の鉄キレート剤(※3)「ムギネ酸」(※4)の化学構造を改良した環境調和型の鉄キレート剤「プロリンデオキシムギネ酸(以下、PDMA)」を開発しました。全世界の陸地の約3分の1は農耕に適さないとされるアルカリ性不良土壌で占められています。PDMA は世界の食料問題を解決する手段の一つとして今後の実用展開が期待されています。この研究成果は、2021年3月10日付で英国の科学誌「ネイチャー・コミュニケーションズ」電子版に掲載されました。この他にも、世界で初めて工場実証に成功した、高い蓄熱能力を有し反復利用が可能な、カルシウム系蓄熱材の工場排熱利用蓄熱システムなど、エネルギーコストの削減と共に、地球温暖化抑制、カーボンニュートラルに寄与する近未来システムとして、実用化に向けた取り組みを継続してまいります。スマートカンパニーに係る研究開発費は1,384百万円であります。 ※1 レアアースであるDy(ジスプロシウム )不使用のNd(ネオジム)系異方性磁石粉末に種々のプラスチックを混ぜて成形した磁石。電動工具や自動車用シートモータ等に採用。※2 近年の厳しい経済環境の中においても、世界市場のニッチ分野で勝ち抜いている企業や、サプライチェーン上の重要性を増している部素材等の事業を有する企業などを選定する制度。※3 「キレート」はギリシャ語で「蟹のはさみ」の意。鉄イオンを取り囲んでアルカリ土壌中でも安定に存在させる物質。※4 植物が分泌する天然の鉄キレート物質。1976年に岩手大学の高城成一博士が「ムギの根から分泌する酸」として発見し、1978年にその化学構造式が竹本常松博士らによって決定され、この名が付けられた。
FY2020|2,576 文字
5 【研究開発活動】当社グループは、「つくろう、未来を。つくろう、素材で。」のスローガンの下、「素材業のDNA」を活かした用途・商品開発と展開、来るべきスマート社会を見据えた次世代事業の着実な育成と強化をめざして、自動車向け特殊鋼及びステンレス鋼の開発、特殊鋼を素材とする自動車部品用鍛造品の開発、電子機能材料・部品及び磁石応用製品の開発等を中心に積極的な研究開発活動を行っております。開発テーマの事業化スピードの加速、カンパニーとの一層の連携強化を狙いとし、2020年1月に組織改定を実施し、旧モノづくり・未来創生本部から、技術統括部(旧 技術企画部)、未来創生開発部、部品開発部、材料試験技術部(旧 分析・試験室)を分離し、新しく「開発本部」を立ち上げました。主力製品である特殊鋼・鍛造品では、自動車の電動化(HV/PHV、EV、FCV)時代の機構革新による、部品機能変化、新規搭載部品、ユニットの更なる小型軽量化、そしてグローバルコスト競争激化に対し、鍛鋼で設計、材料、部品製造プロセス一貫にて、新素材と既存開発鋼を駆使した高機能・高付加価値部品の提供を目指してまいります。当連結会計年度の研究開発費は、3,758百万円、研究開発人員は約240名であります。なお、セグメント別の研究の目的、研究成果及び研究開発費は、次のとおりであります。 (1) 鋼(ハガネ)カンパニー自動車部品用の新しい特殊鋼やステンレス鋼の研究及び製造方法の開発を行っております。当連結会計年度の主な成果は次のとおりであります。鋼材開発では、省資源・低コストを実現した省Mo(モリブデン)鋼「SCrH20」の拡販を推進、更に他の鋼種についても省Mo化を検討しております。また、電動化部品の小型・軽量化に対応した高強度用鋼の開発にも注力しております。ステンレス鋼ではエネルギー/社会インフラの高寿命化に貢献する商品であるステンレス鉄筋バーや二相系ステンレス形鋼の商品レパートリーの拡充、また、ステンレス構造部材ビジネスの拡大や、水素社会に対応する安心安全な省資源・低コストの鋼材開発に取り組んでおります。また、アイシン・エィ・ダブリュ株式会社、日本製鉄株式会社と共同で開発した『マイルド浸炭用鋼MSB20の開発』が、2020年1月、第8回ものづくり日本大賞の経済産業大臣賞を受賞しました。「MSB20」はMoとCr(クロム)を添加せず省合金化しながら自動車部品のさらなる高強度軽量化を実現し、素材コストの低減や自動車の燃費改善に貢献するだけではなく、省資源化による地球環境への負荷低減も実現した技術として更なる展開が期待されております。鋼(ハガネ)カンパニーに係る研究開発費は2,219百万円であります。 [補足]ものづくり日本大賞制度は、経済産業省が国土交通省、厚生労働省、文部科学省と連携し、日本の産業・文化を支えてきたものづくりを継承・発展させるため、ものづくりを支える人材の意欲を高めることを目的に導入された顕彰制度です。 (2) 鍛(キタエル)カンパニー 自動車部品用の鍛造品製造プロセス開発、製造方法の開発を行っております。当連結会計年度の主な成果は次のとおりであります。次世代車における部品の高機能化ニーズを受け、2017年に導入した研究開発用サーボ式鍛造プレスラインをフルに活用し、革新的な工法開発や、より高度な鍛造製品の開発を推進しております。さらに、CAEを用いた成形シミュレーションの精度向上や、IoT技術を用いた、製造データの記録/活用による開発期間短縮などにも取り組んでおります。また、品質を基軸とした活動にも重点をおいており、検査データの有効活用と不良発生のメカニズム解析により、品質ロス(不良率)の低減でも着実な成果を収めております。鍛(キタエル)カンパニー に係る研究開発費は209百万円であります。 (3) スマートカンパニー車載電子機器用放熱部品の開発、MIセンサの開発、モータ用磁石の開発など、将来のスマート社会に向けた新しい素材、製品の開発等を行っております。開発の更なるスピードアップのため、2020年1月の組織改定により、未来創生開発部内を、電池材料開発チーム、電子機能部品開発グループ、EVモータ開発グループ、MPS開発グループ、超高感度センサ開発グループ、環境エネルギー素材開発グループ、次世代あぐり開発グループの1チーム6グループに再編しました。更に各チーム/グループに、開発の推進、ビジネス化を牽引する、BPM(ビジネスプランニングマネージャー)を新設、指名し、事業企画及び戦略強化の推進を図っております。当連結会計年度の主な成果は次のとおりであります。当社が開発した「磁気マーカシステム」は、2017年から国土交通省、内閣府などと共に様々な場所/環境で実証実験を行い、その性能、信頼性において高い評価を得ておりますが、当連結会計年度はJR東日本管内の気仙沼BRT(バス高速輸送システム)で、当社を含む10社が参画し、より本格的な技術実証が進みました。更には、磁気マーカを正式に道路付属物として位置付ける法律(道路法)も整備されるなど、実用化に向けた動きが着実に進んでいます。磁石事業では、当社独自のDy(ジスプロシウム)フリーボンド磁石「マグファイン」を用いたドローン用モータを澤藤電機株式会社と共に共同開発しました。従来比3割のモータ軽量化に成功し、積載量アップや飛行時間延長に寄与できるものと期待されております。このドローン用モータは、株式会社日刊工業新聞社/モノづくり日本会議主催の2019年“超”・モノづくり部品大賞で「モノづくり日本会議 共同議長賞」を受賞いたしました。また、当社はトヨタグループの株式会社豊田中央研究所、当社子会社の近江鉱業株式会社と共に、高い蓄熱能力を有し、反復利用が可能なカルシウム系蓄熱材を開発し、これを用いて工場排熱を利用できる蓄熱システムを世界で初めて、工場(当社刈谷工場)に設置、実証いたしました。エネルギーコストの削減と共に、地球温暖化抑制に寄与する近未来システムとして、実用化に向けた取り組みを継続してまいります。スマートカンパニーに係る研究開発費は1,329百万円であります。
FY2019|2,039 文字
5 【研究開発活動】当社グループは、「素材業のDNA」を活かした用途・商品開発と展開、来るべきスマート社会を見据えた次世代事業の着実な育成と強化をめざして、自動車向け特殊鋼及びステンレス鋼の開発、特殊鋼を素材とする自動車部品用鍛造品の開発、電子機能材料・部品及び磁石応用製品の開発等を中心に積極的な研究開発活動を行っております。当連結会計年度の研究開発費は、3,992百万円、研究開発人員は約250名であります。なお、セグメント別の研究の目的、研究成果及び研究開発費は、次のとおりであります。 (1) 鋼(ハガネ)カンパニー自動車部品用の新しい特殊鋼やステンレス鋼の研究及び製造方法の開発を行っております。当連結会計年度の主な成果は次のとおりであります。特殊鋼における製造プロセスの革新として、①製造品質の鍵となる精錬・鋳造工程での良品製造条件の研究開発と具現化(設備開発)を推進。②出荷品質の鍵となる検査設備の保証精度向上のための研究開発と具現化(設備開発)を推進。HVを含めた自動車の電動化時代に対応するため、弊社の重要部品であるエンジン部品(クランクシャフト、コンロッド)、駆動伝達部品(ギヤ、シャフト)及びFCV部品(バルブ、継ぎ手)の素材を含めたプロセス開発として、③エンジン部品開発において、HV用エンジン等に向けた小型・低騒音を可能とする部品設計を含めた素材・プロセス開発を推進。④HV、EVをターゲットとした駆動伝達部品開発において、高面圧・高速回転化に対応する高強度歯車及び高強度シャフトの開発を推進。また、省資源化に対応する省Mo型の高強度ギヤ用鋼を開発し量産を開始。⑤FCVや水素ステーション向けに、省合金化による低コスト化を実現する高圧水素用ステンレス鋼AUS305-H2の素材・プロセス開発を推進し、水素社会化のさらなる拡大に向けた実用化開発を展開。また将来の需要増が見込まれるエネルギー・インフラ分野として、⑥ステンレス鉄筋バーや二相系ステンレス形鋼の商品レパートリーの拡充。鋼(ハガネ)カンパニーに係る研究開発費は2,268百万円であります。 (2) 鍛(キタエル)カンパニー 自動車部品用の鍛造品製造プロセス開発、製造方法の開発を行っております。当連結会計年度の主な成果は次のとおりであります。将来のグローバル展開及び次世代車の需要拡大を見据えて、①ディファレンシャルリングギヤ(※1)用熱間ローリングミル(※2)ラインを1ライン稼動開始(2019年3月)。・新開発の縦型ローリングミル採用による品質向上・国内トップレベルの高歩留り(※3)・高速生産ライン・電動サーボによる数値制御で高い品質再現性・FIA(※4)炉を採用することでエネルギー効率を高め、省エネルギー・CO2削減を図るとともに物流改善により生産リードタイムを短縮②誘導加熱用コイルの保温性能向上による省エネルギー・低CO2化。鍛(キタエル)カンパニー に係る研究開発費は353百万円であります。 ※1 ディファレンシャルリングギヤ:車が曲がるときの内側と外側の車輪の速度差を吸収する差動機構に使用されるリング状のギヤ※2 ローリングミル :ドーナツ状に成形した製品を圧延し外径を広げる工法で、当社が得意とする工法の1つ※3 歩留り :製品をつくるために必要な材料の重量と製品の重量の比※4 FIA(Forging Isothermal Annealing):熱間鍛造時の保有エネルギーを利用した熱処理 (3) スマートカンパニー車載電子機器用放熱部品の開発、MIセンサの開発、モータ用磁石の開発、歯科用磁性アタッチメントの開発等を行っております。当連結会計年度の主な成果は次のとおりであります。スマート社会への布石として、①自動運転システム・自動車関係では、車両底部に取り付けたMIセンサモジュールにより、走路に沿って敷設された磁気マーカの微弱な磁力から自車位置を高精度に計測する自動運転支援システムを開発。・滋賀県東近江市の道の駅「奥永源寺渓流の里」で国土交通省が実施した自動運転サービス実証実験への参画を皮切りに、数々の公道実証実験に参画し、良好な結果を収めています。・2018年2月に出資した先進モビリティ株式会社と共に自動運転バスの実証実験などに数多く参画し、高齢者が多く住む地域へ新たな交通手段を提供し、生活の足を守るとともに交通事故の未然防止につなげ、自動運転の安全性向上に貢献できるよう、鋭意開発に取り組んでまいります。②医療センシング高性能なアモルファスワイヤの開発に成功し、今後、更に高度なセンシング技術が必要とされる医療分野などの高感度センサへの適用に取り組んでまいります。③植物鉄供給材世界の3割を占めるアルカリ土壌用の植物鉄供給剤を開発し、実用化に向けた量産化技術開発に取り組んでまいります。スマートカンパニーに係る研究開発費は1,370百万円であります。
FY2018|2,734 文字
5 【研究開発活動】当社グループは、「素材業のDNA」を活かした用途・商品開発と展開、来るべきスマート社会を見据えた次世代事業の着実な育成と強化をめざして、自動車向け特殊鋼及びステンレス鋼の開発、特殊鋼を素材とする自動車部品用鍛造品の開発、さらには電子機能材料・部品及び磁石応用製品の開発等を中心に積極的な研究開発活動を行っております。当連結会計年度の研究開発費は、3,777百万円、研究開発人員は約250名であります。なお、セグメント別の研究の目的、研究成果及び研究開発費は、次のとおりであります。 (1) 鋼(ハガネ)カンパニー自動車部品用の新しい特殊鋼やステンレス鋼の研究及び製造方法の開発を行っております。当連結会計年度の主な成果は次のとおりであります。特殊鋼における製造プロセスの革新として、①新連続鋳造機を起点とした取組みをさらに発展(前後工程スルーでの品質ロス低減、生産効率向上活動の実施)②最新精整ライン設置、稼動開始により、出荷リードタイム短縮と検査能力向上を図り高度化する顧客ニーズへの対応力を向上自動車向けの燃費向上に重要なエンジン部品(クランクシャフト、コンロッド)及び駆動伝達部品(ギヤ、シャフト)の軽量化に貢献する高強度な素材・プロセスの研究開発として、③エンジン部品(クランクシャフト、コンロッド)開発において、従来に比較して疲労強度を20%向上した高強度クランク用鋼及び平成25年に開発した世界最高強度を有する高強度コンロッド用鋼のクラッキング性を向上することでコンロッドの製造工程省略につながる高強度クラッキングコンロッド用鋼を開発し、さらに実用化に向けた開発を加速④HV、EV用を視野に入れた駆動伝達部品(ギヤ、シャフト)開発において、JIS鋼に比較して30%の面圧強度を向上した高強度歯車用鋼のMo含有量を低減した省Mo型高強度ギヤ用鋼を開発し、さらに実用化に向けた開発を加速。低コスト化に寄与するMo含有量を低減した歯車用鋼のレパ-トリを拡充冷間工具鋼開発として、⑤従来のSX105Vより強度アップした材料で、SX105Vよりも高いハイテン用金型用として板金プレス金型用フレームハード鋼(冷間工具鋼)SX105スーパーを開発。平成30年夏の販売に向け、生産準備中。サステイナブル社会に貢献するステンレス鋼の開発及び市場創出として、⑥将来の需要増が見込まれるエネルギー・インフラ分野を狙ったステンレス鉄筋バーや二相系ステンレス形鋼の商品レパートリーの拡充及びステンレス部材ビジネスの拡大⑦水素社会に対応する高圧水素用ステンレス鋼AUS316L-H2の拡販と水素社会のさらなる拡大に向けた省合金化による低コスト化を実現する高圧水素用ステンレス鋼AUS305-H2の実用化開発鋼(ハガネ)カンパニーに係る研究開発費は2,560百万円であります。 (2) 鍛(キタエル)カンパニー 自動車部品用の鍛造品製造プロセス開発、製造方法の開発を行っております。当連結会計年度の主な成果は次のとおりであります。”魅せる工場づくり”として①世界一”きれい”な鍛造工場を目指した工場美化活動を、モデル工場から他工場へヨコテン将来のグローバル展開及び次世代車の需要拡大を見据えて②ディファレンシャルリングギヤ(※1)用熱間ローリングミル(※2)ラインを1ライン建設着工(稼動時期:平成31年3月予定)(1)新開発の縦型ローリングミル採用による品質向上、保全性向上(2)国内トップレベルの高歩留り(※3)・高速生産ライン(3)電動サーボによる数値制御で作業者のスキルに依存しない製造(4)FIA(※4)炉を採用することでエネルギー効率を高め、省エネルギー・CO2削減を図るとともに物流改善により生産リードタイムを短縮③誘導加熱用コイルの保温性能向上による省エネルギー・低CO2化④金型用熱風ヒーター開発による鍛造条件安定化(量産化完了)⑤成形時に発生するスケール回収技術開発による環境改善(量産化完了) 鍛(キタエル)カンパニー に係る研究開発費は36百万円であります。 ※1 ディファレンシャルリングギヤ:車が曲がるときの内側と外側の車輪の速度差を吸収する差動機構に使用されるリング状のギヤ※2 ローリングミル :ドーナツ状に成形した製品を圧延し外径を広げる工法で、当社が得意とする工法の1つ※3 歩留り :製品をつくるために必要な材料の重量と製品の重量の比※4 FIA(Forging Isothermal Annealing):熱間鍛造時の保有エネルギーを利用した熱処理 (3) スマートカンパニー車載電子機器用放熱部品の開発、MIセンサの開発、モータ用磁石の開発、歯科用磁性アタッチメントの開発等を行っております。さらに当連結会計年度は、次世代への開発姿勢を明確に打ち出し、その取組みを加速するため、平成30年1月に組織改変を実施、来るべきスマート社会に対する布石として開発リソーセスの集中をいたしました。具体的には、旧組織の先端・機能商品開発部を、モノづくり・未来創生本部に移設、再編、強化し、未来創生開発部を発足。電池材料、自動運転システム、医療センシング、地球環境・バイオなどの研究、開発にも注力しております。当連結会計年度の主な成果は次のとおりであります。モータ用磁石開発では、次世代自動車向け高効率モータ用磁性材料技術開発(NEDO委託業務研究組合)に引き続き参画し、当連結会計年度から2年契約にて、NEDOから委託を受けた開発業務の「モータ実装環境下の磁性材料評価・解析技術の開発」に取り組んでおります。MIセンサの開発では、平成29年9月に総合スポーツ用品メーカと共同で、野球ボール回転解析システムのボール内蔵センサモジュール開発に成功しました。また、自動車関係では、車両底部に取り付けたMIセンサモジュールにより、走路に沿って敷設された磁気マーカの微弱な磁力から自車位置を高精度に計測する自動運転支援システムを開発し、同年11月の滋賀県東近江市の道の駅「奥永源寺渓流の里」で国土交通省が実施した自動運転サービス実証実験への参画を皮切りに、数々の公道実証実験に参画し、良好な結果を収めています。当社は今後も、平成30年2月に出資した先進モビリティ株式会社と共に自動運転バスの実証実験などに数多く参画し、高齢者が多く住む地域へ新たな交通手段を提供し、生活の足を守るとともに交通事故の未然防止につなげ、自動運転の安全性向上に貢献できるよう、鋭意開発に取り組んでまいります。スマートカンパニーに係る研究開発費は1,179百万円であります。
FY2017|2,041 文字
6 【研究開発活動】当社グループは、産業の発展と社会貢献を通じて収益に結びつくオンリーワン技術の開発をめざして、自動車向け特殊鋼の開発、ステンレス鋼の開発、特殊鋼を素材とする自動車部品用鍛造品の開発、さらには電磁品の開発等を中心に積極的な研究開発活動を行っております。当連結会計年度の研究開発費は、3,304百万円、研究開発人員は約250名であります。なお、セグメント別の研究の目的、研究成果及び研究開発費は、次のとおりであります。 (1) 鋼材事業自動車部品用の新しい特殊鋼やステンレス鋼の研究及び製造方法の開発を行っております。当連結会計年度の主な成果は次のとおりであります。特殊鋼における製造プロセスの革新として、①新連続鋳造機を起点とした取組みを更に発展(前後工程スルーでの品質ロス低減、生産効率向上活動の実施)②分塊大形圧延工程リエンジニアリングの効果最大発揮(物流整流化により生産能力向上、品質安定化を達成)③精整検査工程の搬送設備を増強。建設中の最新精整ライン設置により、出荷リードタイム短縮と検査能力向上を図り高度化する顧客ニーズへの対応力を向上自動車向け特殊鋼の開発として、④燃費改善に貢献する「トラック用高強度板ばね用鋼」を実用化⑤燃費向上に重要なエンジン部品(クランクシャフト、コンロッド)及び駆動伝達部品(ギヤ、シャフト)の軽量化に貢献する高強度な素材・プロセスの研究開発を強力に推進⑥低コスト化に寄与するモリブデン含有量を低減した歯車用鋼のレパートリーを拡充。拡販に向けた取組みを加速ステンレス鋼の開発及び市場創出として、⑦将来の需要増が見込まれるエネルギー・インフラ分野を狙ったステンレス鉄筋バーや二相系ステンレス形鋼の商品レパートリーの拡充及びステンレス部材ビジネスの拡大⑧水素社会に対応する高圧水素用ステンレス鋼“AUS316L-H2”の拡販と水素社会のさらなる拡大に向けた省合金化による低コスト化を実現する高圧水素用ステンレス鋼の実用化開発当事業に係わる研究開発費は2,255百万円であります。 (2) 鍛造品事業 自動車部品用の鍛造品製造プロセス開発、製造方法の開発を行っております。当連結会計年度の主な成果は次のとおりであります。“魅せる工場づくり”として、①世界一“きれい”な鍛造工場を目指した工場美化活動を、モデル工場からスタート鍛造プロセスの高効率製造・鍛造品の低コスト化として、②CVT(※1)用熱間鍛造プレスラインを2ライン建設(1)高速自動鍛造化により、CVT車に搭載されるシャフト部品の世界トップクラスの生産性を達成(2)最新のFIA(※2)炉を採用することでエネルギー効率を高め、省エネルギー・CO2削減を図るともに物流改善により生産リードタイムを短縮(3)従来より進めてきた材料切断から機械加工までの全製造工程スルーでの生産性向上・エネルギー削減・生産リードタイム短縮を完了③誘導加熱用コイルの保温性能向上による省エネルギー・低CO2化④鍛造金型の長寿命化を目的とした表面処理技術開発と適用部品拡大当事業に係わる研究開発費は38百万円であります。 ※1 CVT(Continuously Variable Transmission):無断階変速機。変速比を連続的に変化させるトランスミッション※2 FIA(Forging Isothermal Annealing):熱間鍛造時の保有エネルギーを利用した熱処理 (3) 電磁品事業MIセンサの開発、モータ用磁石の開発、歯科用磁性アタッチメントの開発、車載電子機器用放熱部品の開発等を行っております。当連結会計年度の主な成果は、平成28年8月に革新工法「一体射出成形技術」によるDyフリーボンド磁石マグファイン®で充電式チェンソー用モータに採用されました。また次世代自動車向け高効率モータ用磁性材料技術開発(NEDO委託業務研究組合)にも参画し、国家プロジェクトでの次世代磁石開発の第一フェーズを終了しました。本年度からは、実用化開発フェーズでNEDOの「戦略的省エネルギー技術革新プログラム」で推進して参ります。一方、MIセンサの開発では、平成28~29年度の内閣府SIP(※3)の「自動運転」内のプロジェクトにおいて、磁気式レーンガイドシステムの開発を行っております。本システムでは、自動車に搭載されたMIセンサが道路上の磁気マーカの磁力を検知し、レーン内を自動で走行する支援を行います。当社は今後、自動運転バスに搭載する実証実験に参画し、高齢者が多く住む地域へ新たな交通手段を提供し、生活の足を守るとともに交通事故の未然防止につなげ、自動運転の安全性向上に貢献できるよう、鋭意開発に取り組んでおります。当事業に係わる研究開発費は1,010百万円であります。 ※3 SIP:戦略的イノベーション創造プログラム。科学技術イノベーション実現のために内閣府が創設した国家プロジェクト
FY2016|1,447 文字
6 【研究開発活動】当社グループは、産業の発展と社会貢献を通じて収益に結びつくオンリーワン技術の開発をめざして、自動車向け特殊鋼の開発、ステンレス鋼の開発、特殊鋼を素材とする自動車部品用鍛造品の開発、さらには電磁品の開発等を中心に積極的な研究開発活動を行っております。当連結会計年度の研究開発費は、3,282百万円、研究開発人員は約230名であります。なお、セグメント別の研究の目的、研究成果及び研究開発費は、次のとおりであります。 (1) 鋼材事業自動車部品用の新しい特殊鋼やステンレス鋼の研究及び製造方法の開発を行っております。当連結会計年度の主な成果は次のとおりであります。特殊鋼における製造プロセスの革新として、①新連続鋳造機活用による品質ロス低減活動の深化②分塊大形圧延工程のリエンジ実施(鋼片と鋼材のライン分離及び中間寸法の型格統一等による生産性向上)③精整検査工程の物流改善に着手(出荷リードタイムを短縮し、新設する精整ラインでは高度化する市場の要求品質に対応する最新の検査設備の導入)自動車向け特殊鋼の開発として、④エンジンの軽量化や燃費向上に貢献するクランクシャフトやコンロッド用鋼の研究開発⑤駆動伝達ユニットの軽量化や高出力化に貢献する高強度歯車用鋼及び低コスト化に貢献する省合金歯車用鋼(モリブデン含有量を低減)の研究開発ステンレス鋼の開発及び市場創出として⑥将来の需要増が見込まれるエネルギー・インフラ分野を狙ったステンレス鉄筋バーや二相系ステンレス形鋼の商品レパートリーの拡大及びステンレス部材ビジネスの強化⑦水素社会に対応する高圧水素用ステンレス鋼“AUS316L-H2”の省合金化、低コスト化をはかる高圧水素用ステンレス鋼の更なる研究開発当事業に係わる研究開発費は2,154百万円であります。 (2) 鍛造品事業 自動車部品用の鍛造品製造プロセス開発、製造方法の開発を行っております。当連結会計年度の主な成果は次のとおりであります。鍛造プロセスの高効率製造・低コスト化として、①CVTシャフトのショットブラスト工程及び機械加工工程の改善による生産性向上②小型クランクシャフト専用4500Tプレスでの適用拡大と大型クランク用6000Tプレスの集約③グローバル展開を見据えた、アップセッタ代替工法であるスクリュー成形によるリアアクスルシャフトの適用拡大④熱処理炉の炉内断熱強化による省エネルギー・低CO2化鍛造品の高精度・低コスト化として、⑤高精度パーキングロックギヤ成形のラインナップ拡大⑥鍛造金型の長寿命化を目的とした表面処理技術開発と適用部品拡大当事業に係わる研究開発費は57百万円であります。 (3) 電磁品事業MIセンサの開発、モータ用磁石の開発、歯科用磁性アタッチメントの開発、車載電子機器用放熱部品の開発等を行っております。当連結会計年度の主な成果は、9月にDyフリーボンド磁石マグファインの一体射出成形技術を確立し、充電式草刈機の新製品に採用されました。また次世代自動車向け高効率モータ用磁性材料技術開発(NEDO委託業務研究組合)にも参画し、次世代の磁石開発に鋭意取り組んでおります。一方、MIセンサの開発では、ローム株式会社との技術連携は計画どおり進んでおり、両社のシナジーを発揮したMI素子の販売拡大やMIセンサの特長である高精度・省電力を活かした次世代に向けた商品開発に取り組んでおります。当事業に係わる研究開発費は1,071百万円であります。