研究開発費(時系列)
| 年度 | R&D費用(億円) | 設備投資(億円) |
|---|---|---|
| 2025-03 | - | 5,704 |
| 2024-03 | - | 4,446 |
| 2023-03 | - | 4,236 |
| 2022-03 | - | 4,020 |
| 2021-03 | - | 4,661 |
研究開発活動(本文)
FY2025|7,671 文字
6 【研究開発活動】当社は、需要家のニーズや環境・エネルギー等に対する社会的ニーズが多様化するなかで、「技術先進性」の拡大を通じた利益成長とカーボンニュートラルの実現を含む環境に配慮した製鉄技術構築に資する研究開発分野に対し、重点的に経営資源を投入しています。鉄鋼研究所、先端技術研究所及びプロセス研究所の3つの中央研究組織と各製鉄所に配置した技術研究部が強固な連携体制を構築し、「リサーチ・アンド・エンジニアリング」の理念のもと、基礎基盤研究から、応用開発、エンジニアリングまでの一貫した研究開発を推進しています。当社の強みは、①研究開発とエンジニアリングの融合による総合力及び開発スピード、②需要家立地の研究開発体制と需要家ニーズに対する的確なソリューション提案力、③高度な基盤技術に基づく新技術の開発力、④製鉄プロセス技術を基盤とした環境・エネルギー課題への対応力、⑤産学連携、海外アライアンス及び需要家との共同研究です。当社はこれらの強みを活かし、鉄を中心とした新しい機能を持つ商品開発をはじめ、カーボンニュートラルの実現を含む環境に配慮した革新的生産プロセスの創出と迅速な実用化を図り、持続可能な開発目標(SDGs)に沿った社会の発展に貢献していきます。当連結会計年度における当社及び連結子会社全体の研究開発費は807億円です。各セグメントの研究主要課題、成果及び研究開発費は次のとおりです。 (製鉄)当セグメントに係る研究開発費は715億円です。当社は、3地点の研究開発センター(富津市、尼崎市、波崎市)を軸に、①鉄鋼研究所では、鉄鋼材料・商品と利用技術・ソリューション研究開発、②先端技術研究所では、共通基盤技術研究及びCO2の分離回収や再利用に関する研究、新素材事業を中心とした製鉄以外のセグメント事業支援開発、③プロセス研究所では、設備エンジニアリングと設備保全技術開発を担当する設備・保全技術センターと密接な連携を図りながらCO2削減も考慮した製鉄プロセス関連の研究開発に取り組み、開発の短期化・効率化を目指し、鉄源コストの削減・基幹ラインの生産性の抜本的向上・省CO2化等の研究開発の加速化を進めてきました。<薄板>・当社は、生産設備の新設・更新時のCO2排出量削減を目的として、制御盤筐体の仕様標準に塗装工程を省略できる着色高耐食めっき鋼板「スーパーダイマ®GB」を追加しました。スーパーダイマGBは、高耐食めっき鋼板スーパーダイマの後処理に顔料を用いて、一般的な電設資材に用いられる色調マンセル値「5Y7/」近似色を着色した鋼板です。従来、制御盤等の電設資材は塗装による防錆機能を担保していましたが、当社が提供する高耐食めっき鋼板(スーパーダイマ、ZAM®)を適用することで、製造工程でのCO2排出量を削減することが可能です。今回、当社は㈱TMEIC及び㈱ティエスイーと共同で、溶接以外の接合方法等の諸課題を解決し、名古屋製鉄所の制御盤91面(鋼材ベースで約45トン)、東当社所君津地区の制御盤4面(同2トン)での適用を決定し、すでに製造・設置を開始しています。スーパーダイマGBは、当社の高機能製品・ソリューション技術NSCarbolex® Solutionの構成製品の一つであり、社会におけるCO2排出量削減に寄与します。当社は今後も、高機能製品・ソリューション技術の提供を通じて、サプライチェーン全体でのカーボンニュートラルの実現に貢献していきます。・当社が提供するグリーンスチール「NSCarbolex® Neutral」は、様々な企業やプロジェクトで採用されています。日産自動車㈱の量産車に採用され、Scope3上流におけるCO2排出量削減に貢献しています。また、㈱㈱田窪工業所の鋼製物置製品や㈱日立製作所の電動機、南電機㈱の電路支持材商品にも採用され、各社のカーボンニュートラル目標達成に寄与しています。さらに、大阪万博コロンビア館の建築にも採用され、持続可能な開発目標(SDGs)達成に貢献しています。当社は、NSCarbolex Neutralを通じて、社会全体のCO2排出量削減とカーボンニュートラル社会の実現に向けて取り組んでいます。<厚板>・当社は、国立研究開発法人海上・港湾・航空技術研究所及び今治造船㈱と共同で開発した「衝突安全性に優れた船体用高延性厚鋼板」により、令和6年度文部科学大臣表彰 科学技術賞(開発部門)を受賞しました。この技術は、船舶からの大規模油流出を防止し、海洋環境を保全するために開発されました。最先端の数値シミュレーションと大型構造実験を駆使し、従来規則値の1.5倍以上の鋼材の伸びの目標を技術的に示し、延性向上のための冶金原理を確立しました。これにより、厚鋼板の製造条件の高度化と量産化が実現しました。高延性厚鋼板を船側部に使用することで、衝突による超大型原油タンカー等の油漏洩リスクを低減し、強度・靭性、溶接性等の加工性も従来鋼と同等であるため、造船所の施工負荷は変わりません。この技術を採用した船舶は、国土交通省告示第356号の「先進船舶」として税制優遇され、国際的な入港料減免制度の評価項目にも追加されています。すでに超大型原油タンカー8隻を含む63隻(計画を含む)に実装され、日本の海事産業の競争力向上に寄与しています。 <鋼管>・当社は、化学工業・ボイラ用鋼管製品において、一般社団法人サステナブル経営推進機構(SuMPO)の環境ラベルプログラム「SuMPO EPD」認証を新たに5件取得しました。これにより、資源採取から製造、物流、使用、廃棄・リサイクルまでの製品のライフサイクル全体を考えた環境情報を定量的に開示することが可能となり、公共調達物品におけるCO2排出量表示への対応も容易になります。当社の化学工業・ボイラ用鋼管は、耐食性・耐熱性・低温特性に優れ、石油精製、石油化学、電力・ガスのエネルギー分野で広く採用されています。また、原子力発電や高圧水素用途等の脱炭素、新エネルギー分野でも高機能製品・ソリューション技術「NSCarbolex® Solution」を提供しています。・当社は、熱押形鋼製品において、一般社団法人サステナブル経営推進機構(SuMPO)の環境ラベルプログラム「SuMPO EPD」認証を新たに3件取得しました。当社の熱押形鋼は「自由設計」、「小ロット製造」のミル特性を活かし、物流機器、建築、土木、特殊車両、工作機械、食品・医療機器、半導体製造装置等の様々な分野で採用されています。また、NSCarbolex® Solutionの構成製品として、鋼材加工時に溶接や切削を要する作業を省略することでCO2排出量の削減に寄与しています。当社は、リサイクル性に優れた環境に優しい鉄鋼製品の環境性能開示に積極的に取り組み、カーボンニュートラル社会の実現に貢献していきます。<棒線>・当社、日鉄溶接工業㈱及び日鉄ボルテン㈱は、日本政府によるバヌアツ共和国への無償資金協力事業「テオウマ橋災害復興計画」において、大日本土木㈱/㈱横河ブリッジに塗装周期延長鋼「CORSPACE®(コルスペース)」の鋼板(SM490YB-CORSPACE他)、溶接材料(SF-・PX他)、高力TCボルト(S10TCR)を納入しました。CORSPACEが海外橋梁工事に採用されるのは初めてです。CORSPACEは鋼中に微量のスズ(Sn)を添加し、塗膜欠陥部の鋼材腐食量や塗膜剥離面積を従来鋼に比べ大幅に抑制し、塗装の塗り替え周期を延長することでライフサイクルコスト低減を実現します。当社グループは今後もODA道路(橋梁)整備事業に対してCORSPACEを積極展開し、「質の高いインフラ」の輸出に貢献していきます。<建材>・当社は、建設ソリューションブランド「ProStruct™(プロストラクト)」の海外版を立ち上げ、2024年10月より運用を開始しました。ProStructは、高性能な鋼材製品と高度な鋼構造技術を組み合わせた「鋼材×利用技術」パッケージを提供し、構造物の強靭化・高機能化・最適化、工期短縮やコスト削減、CO2排出量削減に貢献します。海外版の第一弾として、建築分野向け「NSHYPER BEAMTM×Semi-rigid Composite Joint」、土木分野向け「Widest Hot rolled Sheet pile×Reusability」及び「Hat-type sheet pile×Close-proximity installation」の3パッケージを展開しました。当社は今後もProStructを通じて、社会・産業基盤の強靭化と発展に貢献していきます。・当社と㈱テノックスが提供する「TN-X工法」が、MCデジタル・リアルティ㈱のNRTデータセンターキャンパスに連続採用されました。NRT10(2021年9月)での初採用以降、NRT12(2024年3月)、そして2025年2月稼働予定のNRT4においても採用されています。TN-X工法は油圧式の拡縮掘削ヘッドにより杭先端部に最大直径2400㎜の根固め球根を築造し、大きな支持力を発揮します。この工法は、大型物流倉庫、庁舎、病院、空港施設等の重要建築構造物に採用されており、高い耐震性能と低排土特性が評価されています。当社は今後もTN-X工法を通じて、日本の社会・産業基盤の強靱化と発展に貢献していきます。・当社は、国内初かつ最高強度の高強度ハイパービーム「NSYP®385B」の販売を2024年4月に開始しました。この製品は、熱加工制御圧延法(TMCP)による製造技術を用いており、強度クラス550N/mm2を実現しています。NSYP385Bは高い強度と靭性を両立し、溶接性も向上しています。設計基準強度(F値)は385N/mm2で、ウェブ高さ700~1000mm、フランジ幅300~400mmのサイズバリエーションを提供しています。今回のNSYP385Bの販売開始により、建築物の大型化に伴う部材の高強度化ニーズ、深刻化する人手不足を背景としたさらなる工期短縮ニーズ、さらにはCO2排出量削減ニーズにも最大限にお応えできるとともに、需要の高まる超高層建築物等での採用拡大が期待されます。・当社は、鋼管杭・鋼管矢板製品において、一般社団法人サステナブル経営推進機構(SuMPO)の「エコリーフ宣言」認証を新たに3件取得しました。特にスパイラル鋼管製品としての認証取得は当社が初めてです。エコリーフ宣言は、製品のライフサイクル全体を考えた環境情報を定量的に開示するEPD認証制度であり、これにより鋼管製品の環境負荷を客観的に評価することが可能となります。 <チタン>・当社は、チタン厚板、チタン線材及び純ニッケル薄板製品において、一般社団法人サステナブル経営推進機構(SuMPO)の環境ラベルプログラム「SuMPO EPD」認証を取得しました。チタン厚板では標準のチタン厚板とTranTixxii®-Ecoの2種類が認証され、チタン線材では一般材とTranTixxii-Ecoの2種類が認証されました。TranTixxii-Ecoはチタンスクラップを50%以上使用し、製錬工程でのCO2発生量を大幅に削減する環境配慮型素材です。純ニッケル薄板は耐食性や高温強度に優れ、苛性ソーダプラントやリチウムイオン二次電池等で採用されています。これにより、製品のライフサイクル全体での環境負荷を客観的に評価し、公共調達物品におけるCO2排出量表示への対応が容易になります。当社は、カーボンニュートラル社会の実現に向けた取組みを強化していきます。・当社は、2025年1月より意匠性チタン「TranTixxii®」及び「TranTixxii®-ECO」の一部対象素材について、腐食による穴あきに関し30年間の耐用年数保証を開始します。さらに、所定の条件を満たす場合、最大4回の保証期間の追加延長が可能で、最長累計150年間の保証が提供されます。TranTixxiiは超長寿命、軽量高強度、優れた環境性能を持ち、独自技術で色彩美と色調美を発揮する最先端素材です。今回の保証開始により、建築家やデザイナーが手がける建築物の長期使用における経済性・環境負荷低減の観点でTranTixxiiの優位性を具体的に認識できるようになります。<交通産機品>・当社は、交通産機品製品において、一般社団法人サステナブル経営推進機構(SuMPO)の環境ラベルプログラム「SuMPO EPD」認証を新たに9件取得しました。認証された製品は、鍛鋼品、輪軸、環状品、型鍛造品(非調質鋼・調質鋼)、車輪、歯車、車軸、台車枠です。これにより、交通産機品のライフサイクルでの環境負荷を客観的に評価し、公共調達物品におけるCO2排出量表示への対応が容易になります。当社は、NSCarbolex Solutionを活用し、サプライチェーン全体でのカーボンニュートラルに向けた取組みを強化しています。<製鉄プロセス>・当社は、「当社カーボンニュートラルビジョン2050」を掲げ、国の支援を受けながら「高炉水素還元」技術の開発に取り組んでいます。この技術は、高炉での鉄鉱石の還元を石炭の代わりに水素を用いることでCO2排出を大幅に削減するものです。2024年1月から12月に実施した試験では、世界初となるCO2削減43%を実現し、開発目標を前倒しで達成しました。この成果は、国内外で開示されている実績値を大きく上回り、当社が脱炭素技術開発において世界のトップランナーであることを示しています。今後、当社はスケールアップ技術の開発を進め、製鉄プロセスからCO2排出を50%以上削減する技術の実用化に向けた取組みを加速していきます。この開発は、NEDOのグリーンイノベーション基金の支援を受け、JFEスチール㈱、㈱神戸製鋼所、一般財団法人金属系材料研究開発センターとのコンソーシアムで進められています。・当社は、公益社団法人発明協会による令和6年度全国発明表彰で「クロム資源循環・環境調和ステンレス製鋼プロセスの発明」により「発明賞」を受賞しました。この発明は、ステンレス製鋼プロセスにおけるクロムの還元回収能力を高め、クロム資源の有効活用と副産物であるスラグの環境負荷低減を実現する技術です。クロム資源は一部の国に偏在しており、日本では重要鉱物として国家備蓄の対象となっています。従来の製鋼法では、酸化精錬後に同じ炉内で還元精錬が行われていましたが、還元回収能力は不十分でした。本発明では、酸化精錬と還元精錬を完全に分離し、還元精錬を行う電気炉で溶鉄成分やスラグ成分を制御する技術を開発しました。還元時の溶鉄中の炭素濃度を高めることで還元力を大幅に向上させ、クロムの酸化ロスを低減しました。また、環境負荷のないアルミナや石灰を用いた最適なスラグ成分に制御することで、蛍石を使用せずに溶解性と反応性の両立を実現しました。これにより、高速・高効率なクロム還元回収プロセスを確立しました。<スラグ・セメント>・日鉄興和不動産㈱が発注する『(仮称)BIZCORE飯田橋計画』の地上躯体のスラブコンクリート工事において、㈱鴻池組が環境配慮型BFコンクリート「CELBIC」を適用し、コンクリート材料に由来するCO₂排出量を約28%削減しました。CELBICは、普通ポルトランドセメントの30%を高炉スラグ微粉末に置き換えたA種クラスのコンクリートで、高炉スラグ微粉末には日鉄スラグ製品㈱製のエスメント®を使用しています。また、杭についても普通ポルトランドセメントの40~45%を高炉スラグ微粉末に置き換えた高炉セメントB種を適用し、CO₂排出量を約43%削減しました。CELBICは、製鉄所で生成される副産物である高炉スラグ微粉末を使用することで、天然資源の使用削減にもつながります。今後も脱炭素社会の実現に向けて、環境配慮型コンクリートの普及を進めていきます。・当社が開発し、日鉄スラグ製品㈱が販売を代行している鉄鋼スラグ製品「カタマ®SP」は、2009年の販売開始以来、簡易でコストパフォーマンスの良い舗装資材として広く採用され、2024年12月に累計出荷1,000万トンを達成しました。カタマSPは鉄鋼スラグを原料とし、散水と重機による転圧で固化が進行する特性を持ちます。これにより、林道や農道、ソーラー発電所、遊休地、中央分離帯等での簡易舗装工事や防草対策に利用され、維持管理費や除草費用の軽減に貢献しています。さらに、鉄鋼副産物を有効活用する環境に優しい資材として、天然石材の保護や環境負荷の低減にも寄与しています。当社グループは、持続可能な開発目標(SDGs)に合致した活動を通じて、社会の発展に貢献していきます。 (エンジニアリング)当セグメントに係る研究開発費は24億円です。日鉄エンジニアリング㈱における研究開発への取組みは以下のとおりです。・環境・エネルギー分野 廃棄物発電プラント競争力強化、コージェネレーションの高効率化、カーボンリサイクルに向けた研究開発・海洋分野 洋上風力発電施設の開発、海底パイプライン敷設の開発・都市インフラ分野 免制震デバイス商品の開発、次世代商品の探索、土壌浄化技術の開発・陸上パイプライン分野 陸上パイプライン溶接技術の開発 (ケミカル&マテリアル)当セグメントに係る研究開発費は40億円です。日鉄ケミカル&マテリアル㈱における研究開発への取組みは以下のとおりです。・コールケミカル製品、化学品、機能材料、複合材料等に関する研究開発 (システムソリューション)当セグメントに係る研究開発費は28億円です。技術進化・ビジネストレンド・社会環境・人々の価値観の変化等の不確実な状況を踏まえ、新技術の探索、評価・検証、顧客企業への新技術導入支援等において長年にわたって蓄積してきた経験とノウハウを基に、社会全体の「サステナビリティ」の実現に向けた将来像を3つの「未来目標」として設定し、取り組みました。・未来目標1「究極のデジタルツイン(注)」 - すべてをデジタルな世界に転写して再現しよう・未来目標2「業務を理解・実行できる人工知能」 - 機械の知的能力をとことん人間に近づけよう・未来目標3「サステナブルな企業情報システム」 - 変化への対応力があり長持ちするシステムにしよう(注) デジタルツイン:工場の設備・製品等の実世界のオブジェクトをデータとしてデジタルな空間に転写・再現することで、リモートからの監視・制御や、過去の状況の再現・未来の予測シミュレーション等を可能にすること。
FY2024|7,994 文字
6 【研究開発活動】当社は、需要家のニーズや環境・エネルギー等に対する社会的ニーズが多様化するなかで、「技術先進性」の拡大を通じた利益成長とカーボンニュートラルの実現を含む環境に配慮した製鉄技術構築に資する研究開発分野に対し、重点的に経営資源を投入しています。鉄鋼研究所、先端技術研究所及びプロセス研究所の3つの中央研究組織と各製鉄所に配置した技術研究部が強固な連携体制を構築し、「リサーチ・アンド・エンジニアリング」の理念のもと、基礎基盤研究から、応用開発、エンジニアリングまでの一貫した研究開発を推進しています。当社の強みは、①研究開発とエンジニアリングの融合による総合力及び開発スピード、②需要家立地の研究開発体制と需要家ニーズに対する的確なソリューション提案力、③高度な基盤技術に基づく新技術の開発力、④製鉄プロセス技術を基盤とした環境・エネルギー課題への対応力、⑤産学連携、海外アライアンス及び需要家との共同研究です。当社はこれらの強みを活かし、鉄を中心とした新しい機能を持つ商品開発をはじめ、カーボンニュートラルの実現を含む環境に配慮した革新的生産プロセスの創出と迅速な実用化を図り、持続可能な開発目標(SDGs)に沿った社会の発展に貢献していきます。当連結会計年度における当社及び連結子会社全体の研究開発費は727億円です。各セグメントの研究主要課題、成果及び研究開発費は次のとおりです。 (製鉄)当セグメントに係る研究開発費は636億円です。当社は、3地点の研究開発センター(富津市、尼崎市、波崎市)を軸に、①鉄鋼研究所では、鉄鋼材料・商品と利用技術・ソリューション研究開発、②先端技術研究所では、共通基盤技術研究及びCO2の分離回収や再利用に関する研究、新素材事業を中心とした製鉄以外のセグメント事業支援開発、③プロセス研究所では、設備エンジニアリングと設備保全技術開発を担当する設備・保全技術センターと密接な連携を図りながらCO2削減も考慮した製鉄プロセス関連の研究開発に取り組み、開発の短期化・効率化を目指し、鉄源コストの削減・基幹ラインの生産性の抜本的向上・省CO2化等の研究開発の加速化を進めてきました。<薄板>・当社は、「超高強度鋼板冷間成形技術の開発」により、2023年度(第58回)日本塑性加工学会賞の最高賞である「学会大賞」を受賞しました。自動車にはCO2排出量削減と衝突安全性向上が求められており、車体の軽量化と高強度化が必要とされ、高強度な鋼板を車体に使用することが有効です。一般的なプレス加工では、鋼板が延ばされて板厚が薄くなり、これが限界を超えると鋼板が破断します。強度が高い鋼板ほどこの限界が低く、加工技術の確立が課題でした。当社は「せん断変形」に着目し、鋼板の変形を制御することで板厚の減少を抑えて成形する技術開発に取り組みました。これにより、自動車部品で特に成形が難しい部品や端部がL字形状やT字形状の部品に対して、「せん断成形工法」と「自由曲げ工法」というプレス工法を確立し、超高強度鋼板を用いても、割れやしわの発生なく製品形状に成形することが可能になります。また、プレス成形後に発生する余剰部分の削減にも成功し、鋼材使用量を従来比で約15%削減しました。開発工法により、難成形の自動車部品に1470MPa級までの超高強度鋼板の適用が可能となり、年間250万台以上の国産自動車の部品製造における車体の軽量化と高強度化に貢献、CO2排出量も42.6千トン/年削減に貢献しています。今回の日本塑性加工学会賞では、本開発に関連した学術論文「高強度鋼板のプレス成形におけるしわの生成過程(塑性と加工、vol.62-no.730)」に対する論文賞も併せて受賞しています。・当社は、2023年6月に新製品「ZEXEED縞板」の販売を開始しました。これは、2021年10月に販売を開始した高耐食めっき鋼板「ZEXEED®」の新しい製品ラインナップで、土木・社会インフラ分野で一般的に使用されている後めっきや従来の高耐食めっきを大幅に上回る耐食性を有しています(当社が実施した試験では、平面部の耐食性能が高耐食めっき鋼板の2倍、溶融亜鉛めっき鋼板GIの約10倍向上することを確認しています)。製造可能板厚範囲は2.3㎜~6.0㎜で、後めっきが熱歪影響から対応困難な板厚(2.3mm)についても対応できます。駐車場の床や工場・プラント・社会インフラ設備の床等、耐食性を必要とする用途を想定しています。当社は、この製品を通じて、各種設備の長寿命化、社会インフラの老朽化対策、省工程・省施工等のニーズに応え、カーボンニュートラル社会の実現に貢献します。・当社とNSハイパーツ㈱、日鉄テックスエンジ㈱が共同開発した「NSスーパーフレーム工法®」を用いた省エネ・高断熱事務所が和歌山県で竣工しました。この新工法で製造された建物は、業界トップ水準の断熱材を使用したハイブリッド断熱手法(外張り断熱と充填断熱)を採用しており、鉄骨造で品確法住宅の断熱等級6相当、外皮の高断熱化及び高効率な省エネルギー設備を備え、かつ再生可能エネルギーにより年間の一次エネルギー消費量をゼロに近づけた建築物として、Nearly ZEBの認証を取得しました。「NSスーパーフレーム工法」は当社のCO2削減に寄与する高機能製品・ソリューション技術の総称「NSCarbolex® Solution」ブランドの対象商品であり、外張り断熱・通気工法を標準採用し、省エネ性を実現することで使用時に排出されるCO2を削減します。また、高耐食めっき鋼板「スーパーダイマ®」を用いることで長寿命化に対応し、建設資材の削減によるCO2削減も可能となります。 ・当社は、スズキ㈱と㈱ベルソニカと共同で、新型スペーシアの軽量Aピラーの開発に取り組み、1470MPa級冷延ハイテンが初めて採用されました。1470MPa級冷延ハイテンは緻密な成分設計と組織制御により、高強度と加工性を両立しています。新型スペーシアのAピラーは、従来5部品で成形・溶接していた窓枠部分を一体成形することを可能にしました。また、遅れ破壊やスポット溶接性といった技術課題に対しても、3社で対策を講じ、軽量化とそれによるCO2排出量の削減及び大幅なコストダウンを実現しています。<厚板>・当社が提供するマスバランス方式を適用したグリーンスチール「NSCarbolex® Neutral」が山中造船㈱(以下、「山中造船」)の内航船向け鋼材に採用されました。山中造船では内航船向け鋼材に安全性向上と環境保護を目的とした高延性厚鋼板「NSafe®-Hull」をすでに採用いただいています。「NSafe®-Hull」は衝突安全性に優れた高延性厚鋼板であり、船舶が衝突した場合でもその衝撃を軽減し、亀裂も起きにくいため被害の拡大を最小限にとどめられます。これにより、山中造船で建造される船は環境に配慮したものとなり、付加価値の向上が期待されます。・<鋼管>・当社は、カーボンニュートラルを推進するお客様のニーズに応えるため、一般社団法人サステナブル経営推進機構(SuMPO)の「SuMPO環境ラベルプログラム」に基づく「エコリーフ宣言」の認証を鋼管分野で相次いで取得しました。2023年度に認証を新たに取得した鋼管製品は、国内向けの汎用鋼管(配管・構造管)、高合金油井管・ラインパイプ、そして電縫メカニカル鋼管及び継目無メカニカル鋼管です。これにより、鋼管製品のライフサイクルでの環境負荷を客観的に評価することが可能となり、サプライチェーン全体での環境負荷低減に貢献します。「エコリーフ宣言」は、資源採取から製造、物流、使用、廃棄・リサイクルまでの製品のライフサイクル全体を考えた環境情報を定量的に開示するもので、今後、公共調達におけるCO2排出量表示等への対応も容易となります。<棒線>・当社が提供する低CO2鋼材「NSCarbolex® Neutral」が、日鉄ボルテン㈱(以下、「日鉄ボルテン」)の高機能製品(トルシア形超高力ボルトSHTB®)の素材に採用されました。日鉄ボルテンの超高力ボルトは、従来のボルトに比べて約1.5倍の強度を持ち、建築時に使用するボルトの本数の低減や添接板の縮小化により鉄骨重量を軽減化が可能です。また、施工工数の削減と合わせて、鉄骨製作から現場施工までのCO2排出量を削減できる商品と評価いただいています。<建材>・当社は、鋼矢板製品(NS-PAC®鋼矢板製品を含む)において「エコリーフ宣言」の認証を取得しました。当社の鋼矢板製品を使用することで、鋼矢板製品のライフサイクルでの環境負荷を客観的に評価することが可能となります。また、施工省力化、軽量化、長寿命化といった効果を含めてサプライチェーン全体でのCO2排出量を削減し、カーボンニュートラルへの取組みを一層強化するとともに、今後注目される公共調達物品におけるCO2排出量表示にも対応することが可能です。<チタン>・当社は、チタン薄板において「エコリーフ宣言」の認証を取得しました。今回対象となったのは標準のチタン薄板とTranTixxii®-Ecoのチタン薄板の2種類です。特に、TranTixxii®-Ecoは、50%以上のチタンスクラップを使用してCO2排出量を大幅に削減しています。当社のチタン薄板は、「軽い」「強い」「錆びない」等の優れた特性から、航空宇宙や船舶、化学、電力等の業界から、自動車、建築、土木、医療、民生品へと使用範囲が広がっています。また、建築分野では優美で耐久性の高い意匠性チタン「TranTixxii®」を提供しています。今回の認証により、お客様はチタン薄板製品の環境負荷を客観的に評価することが可能となります。<交通産機品>・当社と東海旅客鉄道㈱(以下、「JR東海」)が共同で開発した「新幹線用新型ブレーキパッド」が令和5年度文部科学大臣表彰 科学技術賞(開発部門)を受賞しました。旧型のブレーキパッドが抱えていた、「高速運転時の急ブレーキによるディスクへの不均一な接触によるブレーキ力失墜」問題を解消するために開発されました。新型パッドは、ディスクの熱変形に追従して均一に接触するため、ブレーキ性能が向上し、ブレーキ距離の短縮を実現しました。当社は基本構造設計と有限要素法による解析、そしてJR東海と共同で性能評価と実車両テストを行いました。<製鉄プロセス>・当社は、海上輸送中の原料に関する運航情報をリアルタイムで取得可能なシステムを構築し、運用を開始しました。今回の新システムを活用すれば、最新の航海スケジュールや原料在庫見通しに基づく迅速な意思決定が可能となり、生産の安定化や在庫管理の最適化、サプライチェーンの効率化に寄与し、さらには運航・輸送効率の向上によりカーボンニュートラル社会の実現にもつながると考えています。データソースとして、㈱商船三井(以下、「商船三井」)の情報提供プラットフォーム「Lighthouse」とシステム間連携を行い、商船三井のみならず当社向けの輸入原料船の運航を行う海運会社のデータも管理できるシステム構成としています。 ・当社は、公益社団法人発明協会が主催する全国発明表彰で「LEDドットパターン投影による圧延中鋼板の高精度形状測定技術」により、発明賞を受賞しました。この技術は、燃費向上や環境対策を求める自動車産業における高強度鋼板の利用拡大に対応するためのもので、高温・高速で移動する熱間圧延中の鋼板形状を高精度に計測することが可能です。技術的には、千鳥状に配列された1200個の高輝度LED素子を用いて光のドットパターンを鋼板表面に投影し、撮像画像を処理して鋼板の瞬間的な形状を測定します。この技術により、24時間体制で、すべての圧延材に対する自動制御が実現し、品質と生産性が大幅に向上しました。また、既存の圧延設備への低投資での導入が可能となり、熟練作業者の減少による影響を軽減するため、日本鉄鋼業の国際競争力を向上させる効果も期待されます。・当社と日鉄ソリューションズ㈱は、製鋼工程の生産計画を高速立案する出鋼スケジューリングシステムを共同開発し、東日本製鉄所君津地区で運用を開始しました。DX戦略の一環として生産計画業務の一元化・迅速化を目指し、従来、熟練技能者が週次で作成していた計画を数秒から数分で立案することが可能になりました。システムは数理最適化技術を応用し、従来の計画時間を70%削減し、洗練されたアルゴリズムで計画担当者が計画評価・修正・最終計画の確定といった意思決定を行う時間を確保し、業務の質を向上させました。システム基盤としてパブリッククラウドを活用し、高速なCPUを並列処理に使いながら複数の計画案を短時間で作成しています。このシステムは全社の生産計画の一元化を目指し、各製鉄所に順次展開予定です。・当社は、水素を用いてCO2を削減するSuper COURSE50技術による高炉本体からのCO2排出量の削減率を更新し、2023年8月に報告した22%から33%へと大幅に向上させることに成功しました。これは高炉内の熱バランスを維持するために加熱した水素を用いて鉄鉱石の炭素還元を増やすことにより検証しています。同技術は当社が導入を目指す「日本製鉄カーボンニュートラルビジョン2050」の一環で、さらにCO2排出量50%以上削減を目指す大型高炉内でのSuper COURSE50技術の確立に向けた試験が継続されています。本開発はNEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)のグリーンイノベーション基金の一環としてJFEスチール㈱、㈱神戸製鋼所、一般財団法人金属系材料研究開発センターとのコンソーシアムで進めています。・当社は、「高炉の低炭素化とコスト削減に貢献するコークス強度向上技術」で第70回大河内記念生産賞を受賞しました。高炉での製鉄時に用いられるコークスは、鉄鉱石の還元、熱源、そして通気性や通液性の確保といった重要な役割を果たします。そのため、より効率的な還元を行い、CO2排出量を抑制するためには、強度が高いコークスが必要になります。一方、質の良いコークスを作るためには、高価な粘結炭の配合が必要であり、劣質炭の使用には限界がありました。そこで当社は、コークスの強度を低下させる欠陥の生成機構を解析し、劣質炭を3種類に分類、各種劣質炭の配合と粒度を最適化し、それに応じて粘結補填材を添加することで高強度のコークスを製造する技術を開発しました。この技術は、当社の九州製鉄所八幡地区のコークス炉に導入され、世界最高水準の劣質炭配合率74%を達成しながらも、強度の高いコークスを製造し、高炉の低炭素化とコークス製造コストの削減に大きく貢献しています。この技術は現在開発中の高炉を用いた水素還元技術と組み合わせることも可能で、将来の高炉の低炭素化に貢献する汎用性の高い技術です。<スラグ・セメント>・当社の高炉スラグを使用して製造した微粉末製品が、国土交通省の発注による低炭素型コンクリートブロックのモデル工事で相次いで採用されました。高炉スラグ微粉末製品は、鉄を溶かす高炉の副産物であり、セメントと同様に硬化します。国土交通省は、低炭素コンクリートの普及を推進するために、微粉末製品の使用比率を55%以上に高めた低炭素型コンクリートブロックを全国で推進しています。従来のセメント製造では1トンあたり700kgのCO2が発生しますが、高炉スラグ微粉末製品は製鉄副産物を使うため、CO2排出量を大幅に削減できます。今回のモデル工事では、低炭素型コンクリートブロック使用時に約53%、通常の高炉セメントよりも約12%のCO2削減が見込まれます。当社及びグループ各社は、高炉スラグ微粉末製品の確実な供給を通じて、建設業の脱炭素化に継続的に貢献します。・当社が開発した「ビバリー®ユニット」が、北海道函館市近郊の森町で、藻場造成のための施肥として使用されました。ビバリー®ユニットは、高炉スラグと廃木材を発酵させた腐植土を原料とする鉄分施肥材で、これまで全国44カ所の海岸に提供されてきました。今回の取組みでは、町内の2つの漁業協同組合と協力してホタテ貝殻を混合利用した人工石が藻場造成の基質として使用されました。これにより、ホタテ貝殻の再利用先に新たな可能性が生まれ、循環型社会への一歩となりました。今後も当社は、ビバリー®ユニットを通じた藻場再生によるCO2吸収・固定(ブルーカーボン)の推進に努めます。・当社が開発した「ビバリー®ユニット」を活用した取組みにおいて、海藻藻場によるCO2吸収量が算定され、2023年度のJブルークレジット®として認証され、認証式が開催されました。具体的には、北海道増毛町、北海道古宇郡泊村及び千葉県君津市沖での藻場造成事業で、合計33.3t-CO2の認証されたクレジット発行が行われました。ビバリー®ユニットの活用により、これまで藻場が再生・回復し、漁獲高向上の効果が報告されています。また、海草や藻類が大量のCO2の吸収を行うことから、ブルーカーボンという新たな地球温暖化防止策が注目されています。当社はさらに、全国21カ所の海域で新たにビバリー®ユニットによる藻場造成の実証試験を開始し、海藻の成長や海水中の鉄分濃度の変化等を研究しています。このような研究を通じて、藻場造成技術の高度化を目指しています。 (エンジニアリング)当セグメントに係る研究開発費は22億円です。日鉄エンジニアリング㈱における研究開発への取組みは以下のとおりです。・製鉄プラント分野 当社との共研を中心とした先進的製鉄プロセス関連の開発・環境・エネルギー分野 廃棄物・バイオマス発電プラント競争力強化、コージェネレーションの高効率化、カーボンリサイクルに向けた研究開発・海洋分野 洋上風力発電施設の開発、海底パイプライン敷設の開発・都市インフラ分野 免制震デバイス商品の開発、次世代商品の探索、土壌浄化技術の開発・陸上パイプライン分野 陸上パイプライン溶接技術の開発 (ケミカル&マテリアル)当セグメントに係る研究開発費は43億円です。日鉄ケミカル&マテリアル㈱における研究開発への取組みは以下のとおりです。・コールケミカル製品、化学品、機能材料、複合材料等に関する研究開発 (システムソリューション)当セグメントに係る研究開発費は24億円です。技術進化・ビジネストレンド・社会環境・人々の価値観の変化等の不確実な状況を踏まえ、新技術の探索、評価・検証、顧客企業への新技術導入支援等において長年にわたって蓄積してきた経験とノウハウを基に、社会全体の「サステナビリティ」の実現に向けた将来像を3つの「未来目標」として設定し、取り組みました。・未来目標1「究極のデジタルツイン(注)」 - すべてをデジタルな世界に転写して再現しよう・未来目標2「業務を理解・実行できる人工知能」 - 機械の知的能力をとことん人間に近づけよう・未来目標3「サステナブルな企業情報システム」 - 変化への対応力があり長持ちするシステムにしよう(注) デジタルツイン:工場の設備・製品等の実世界のオブジェクトをデータとしてデジタルな空間に転写・再現することで、リモートからの監視・制御や、過去の状況の再現・未来の予測シミュレーション等を可能にすること。
FY2023|8,508 文字
6 【研究開発活動】当社は、需要家のニーズや環境・エネルギー等に対する社会的ニーズが多様化するなかで、「技術先進性」の拡大を通じた利益成長とカーボンニュートラルの実現を含む環境に配慮した製鉄技術構築に資する研究開発分野に対し、重点的に経営資源を投入しています。鉄鋼研究所、先端技術研究所及びプロセス研究所の3つの中央研究組織と各製鉄所に配置した技術研究部が強固な連携体制を構築し、「リサーチ・アンド・エンジニアリング」の理念のもと、基礎基盤研究から、応用開発、エンジニアリングまでの一貫した研究開発を推進しています。当社の強みは、①研究開発とエンジニアリングの融合による総合力及び開発スピード、②需要家立地の研究開発体制と需要家ニーズに対する的確なソリューション提案力、③高度な基盤技術に基づく新技術の開発力、④製鉄プロセス技術を基盤とした環境・エネルギー課題への対応力、⑤産学連携、海外アライアンス及び需要家との共同研究です。当社はこれらの強みを活かし、鉄を中心とした新しい機能を持つ商品開発をはじめ、カーボンニュートラルの実現を含む環境に配慮した革新的生産プロセスの創出と迅速な実用化を図り、持続可能な開発目標(SDGs)に沿った社会の発展に貢献していきます。当連結会計年度における当社及び連結子会社全体の研究開発費は705億円です。各セグメントの研究主要課題、成果及び研究開発費は次のとおりです。 (製鉄)当セグメントに係る研究開発費は614億円です。当社は、3地点の研究開発センター(富津市、尼崎市、波崎市)を軸に、①鉄鋼研究所では、鉄鋼材料・商品と利用技術・ソリューション研究開発、②先端技術研究所では、共通基盤技術研究及びCO2の分離回収や再利用に関する研究、新素材事業を中心とした製鉄以外のセグメント事業支援開発、③プロセス研究所では、設備エンジニアリングと設備保全技術開発を担当する設備・保全技術センターと密接な連携を図りながらCO2削減も考慮した製鉄プロセス関連の研究開発に取り組み、開発の短期化・効率化を目指し、鉄源コストの削減・基幹ラインの生産性の抜本的向上・省CO2化等の研究開発の加速化を進めてきました。<薄板>・当社は、マツダ㈱(以下、「マツダ」)と共同で、1.8GPa級及び1.3GPa級アルミめっきホットスタンプ鋼板(以下、AL-HS鋼板)を使用したTWB(テーラードウェルドブランク)構造の軽量Bピラー開発に取り組み、このたびマツダ新型ラージSUVに採用されました。当社とマツダは本軽量Bピラーの実車適用を目指し、当社のNSafe®-AutoConcept(NSAC)技術である「直水冷ホットスタンプの実機設備化に向けての流体解析等による最適化」及び「衝突解析、多機能衝突試験等による板厚最適化」を活用し取り組みました。これまでAL-HS鋼板をTWB技術で接合すると、溶接部へアルミニウムが混入し継手強度が低下する課題や、異強度・異厚のTWBは部品の品質精度にばらつきが生じる課題があり、自動車車体への適用は困難でした。このたび九州製鉄所八幡地区で事業化した当社独自開発のTWB接合技術は、高い継手強度を実現しており、TWBレーザ接合技術の自動車車体への適用が可能となりました。さらに本軽量Bピラーでは、TWBと部分パッチワーク技術の適用により、従来の一体型Bピラーからレインフォース部品の省略が可能となり、34%の軽量化と衝突安全性の向上を実現しています。当社は、NSAC技術の適用することが、社会的共通課題である自動車安全性能の向上とカーボンニュートラル社会を実現する解決策の一つだと考えています。今後も、自動車の一層の軽量化、衝突安全性能向上及び温室効果ガス排出量の削減に貢献していきます。・当社は、このたび、電磁鋼板及びニッケルめっき鋼板(商品名:スーパーニッケル™)において、一般社団法人サステナブル経営推進機構(SuMPO)の「SuMPO環境ラベルプログラム」に基づく「エコリーフ宣言」の認証を取得しました。電磁鋼板は、電動車・各種電気機器のモーター・発電機中の鉄心や、送配電に使われる変圧器中の鉄心等に使用される鋼材です。電動車用モーターの需要拡大に加えて高性能要求や変圧器の高効率化の規制強化の動きがあるなか、相反するニーズを高レベルでバランスさせた最適材料の提案、能力・品質向上対策の推進を通じ、国内外のお客様から高い評価を得ています。スーパーニッケル™は、脱炭素社会の実現に向けて重要性を増す蓄電池(二次電池)のほか、乾電池(一次電池)や文房具等のコンシューマー商品、自動車等の分野で使用される薄板製品です。当社が提供するスーパーニッケル™の特徴である優れた加工性、厳格な介在物管理、めっき密着性及び豊富な素材メニューを基に、スーパーニッケル™を使用されたお客様の製品の長寿命化、生産性向上、高強度化等が図られ、これによりCO2削減及び環境負荷低減に貢献しています。 <厚板>・当社は国立研究開発法人海上/港湾/航空技術研究所及び今治造船㈱と共同で、公益社団法人発明協会による令和4年度全国発明表彰において「高延性厚鋼板(商品名 NSafe®-Hull)を用いた衝突安全性に優れた船体構造の発明」にて「発明賞」を受賞しました。タンカーからの油流出による海洋汚染が問題となり、船殻幅の拡大や構造変更による安全性の向上が検討されましたが、これらの構造対策は施工コストや船体重量の増加等、地球温暖化につながるうえ、船主負担増大も招きます。そこで、船体構造変更によらない有効で経済的な代替手段が期待されました。本発明者らは、上述のような船体構造変更ではなく、衝突による船舶の損傷を軽減する材料技術を発明しました。事故統計等も踏まえ、船舶の損傷を軽減するため、船側部の外板及び内板、さらにそれらに付随する補強部材に、国際船級協会連合の統一規格で規定された全伸びの値の1.4倍以上の全伸びを有する高延性厚鋼板を使用することで、十分に厳しい衝突速度(12ノット)でも超大型原油タンカーの破口発生を低減することが可能となりました。本発明により、船舶衝突に伴う人命の損失や積荷の逸失を防ぐことに繋がることはもちろんのこと、油漏洩による海洋生態系や漁業への影響を低減することは、国連のSDGs「海の豊かさを守ろう」にも整合します。すでに数多くの船舶に採用され、実装が進んでいます。・当社の開発したCORSPACE®は令和4年度に2件の表彰を受けています。経済産業省、文部科学省、厚生労働省及び国土交通省の4省連携により2005年に創設された、第9回「ものづくり日本大賞」において「鋼橋/港湾設備のライフサイクルコスト縮減に貢献する塗装周期延長鋼CORSPACE®の開発」が優秀賞を受賞しました。さらに、公益財団法人市村清新技術財団より、第55回(令和4年度)市村産業賞において、「鋼橋/港湾設備の長寿命化に資する塗装周期延長鋼」が貢献賞を受賞しました。重要な社会インフラである橋梁の多くは、高度経済成長期に建設され、老朽化が進行しています。老朽化した橋梁の補修・維持管理費用の縮減や少子高齢化に伴う労働人口の減少に対応可能な橋梁のミニマムメンテナンス化・長寿命化技術の構築が課題となっています。鋼橋の多くは塗装防食が施されていますが、塗装の傷部や部材鋭角部等の塗装欠陥部において鋼材の腐食が集中・進展することから、塗装寿命が著しく短縮する課題がありました。そこで、当社は塗装の弱点である塗装欠陥部の腐食抑制機能を有する新たな耐食鋼の開発に取り組みました。大気環境下での塗装欠陥部の腐食は薄い水膜中で進みます。当社が独自に考案した腐食計測手法により、大気環境下での塗装欠陥部の腐食は、水溶液が乾燥する過程で溶け出した鉄イオンと塩化物の化学反応による酸性溶液中で進行することを初めて解明しました。本知見を基に、酸性溶液で鉄が溶け出る反応を遅らせる元素を鋭意探索し、鋼材に微量のSnを添加することで、溶け出したSnイオンにより鉄の溶解反応を抑制し、塗装欠陥部の塗膜剥離面積を従来鋼に対して半減させる塗装周期延長鋼CORSPACE®を開発しました。CORSPACE®は、従来鋼に比べて塗装欠陥部の塗膜剥離面積を半減し、橋梁の塗装塗り替え期間を約2倍に延長でき、橋梁のライフサイクルコストを大幅に低減可能です。塗替え回数の削減により塗料製造に伴うVOC排出も抑制できることから、地球環境負荷の軽減にもつながります。塩害の厳しい沿岸部だけでなく、融雪塩を散布する積雪地域等を中心に、国内で50超の橋梁に採用され、また港湾クレーン等にも展開されています。CORSPACE®は、今後も国土強靭化や東日本大震災の復興に貢献し、持続的な社会の実現と安心安全な社会構築に大きく寄与します。<鋼管>・当社は化学工業プラント用の低炭素オーステナイト系ステンレスシームレス鋼管「NEXAGE®347AlPha」を新たに開発し、このたび需要家から初めて受注しました。NEXAGE®347AlPhaは低炭素オーステナイト鋼の特徴である耐食性と溶接部で発生する応力緩和割れの抑制効果に加え、汎用鋼の347Hに比べて高強度な独自開発鋼です。天然ガスから水素を製造するプラントでの使用にも適した材料であるため、カーボンニュートラル分野で貢献できることを期待しています。当社は過酷な環境用途に独自のオーステナイト系ステンレス鋼/Ni基合金を開発し、次世代のマテリアルソリューション「NEXAGE®」シリーズとして販売を開始しています。そのなかでも耐食性に優れた低炭素オーステナイト鋼のラインナップは特に過酷な環境である原油やガス等を高温に加熱して分解・改質する化学プラントにおいて、メンテナンス性向上とランニングコスト削減に貢献できる製品です。<棒線>・当社は2022年2月に「棒鋼製品」及び「線材製品」にて、一般社団法人サステナブル経営推進機構の「SuMPO環境ラベルプログラム」に基づく「エコリーフ宣言」を品種包括的に取得しておりましたが、棒鋼工程省略鋼、線材工程省略鋼において追加で認証を取得しました。棒鋼工程省略鋼はお客様での複数・多岐にわたる鋼材加工工程の一部を省略することができます。最終製品や部品としての品質要求を満たすため、鋼材加工工程においても相応のエネルギーを消費し、CO2が排出されます。当社はその課題解決のため、当社製造段階において独自の熱処理や製造工程の特別管理、微量元素添加等により鋼材特性を引き出すことで、鋼材加工における熱処理等の一部の工程省略を実現しています。CO2排出量削減が社会・市場から求められていくなか、今回エコリーフ宣言を取得した棒線工程省略鋼の活用によるCO2削減アクションは、お客様自身のGHGプロトコル・スコープ1削減を市場にPRいただくことを可能にします。 <建材>・当社は、2020年4月に圧延H形鋼としては世界最大のウェブ高さ1200mm・フランジ幅500mmの断面を持つメガハイパービーム®を販売開始し、これまで大型物流施設や工場、超高層ビル案件等を中心に採用いただいています。2022年7月には、ウェブ高さ800mm~1050mm・フランジ幅450mm~500mmのサイズを新たにラインナップに追加しました。これによりメガハイパービーム®の製造シリーズが18シリーズから30シリーズへ拡大し、フルラインナップとなりました。今回のメガハイパービーム®の製造シリーズ拡大により、建築物の大型化に伴う鉄骨の大断面化、深刻化する人手不足を背景としたさらなる工期の短縮化のニーズに最大限にお応えできるとともに、荷重が大きくかかる箇所でも梁の長さ・高さを変えずに設計が可能になるなど、需要の高まる大型物流倉庫やデータセンター等でのさらなる採用拡大が期待されます。・当社は、建物やインフラ構造物の建設市場に対して高度なソリューションを提供するブランド「ProStruct™(プロストラクト)」を立ち上げ、2022年10月より運用を開始しました。ProStruct™は建設市場の様々な課題に応えるために、当社の持つ高性能な鋼材製品と高度な鋼構造技術を組み合わせた「鋼材×利用技術」パッケージを材料から設計・施工までの総合技術サポートとともに提供することを目指します。当社は、大断面の形鋼や強度・靱性に優れた高性能な鋼材製品に加え、その性能を最大限引き出すための工法や設計・施工技術等の利用技術を開発し、建設市場における様々な課題の解決に貢献してきました。ProStruct™は、自然災害に対して「強く・安全」な構造物を「早く・経済的」に建設するために「使いやすく・確実」な鋼材×利用技術パッケージ(ソリューション)を提供することによって、構造物の強靱化・高機能化、工期短縮及びコスト削減に貢献します。さらに、これら3つの強みにより実現される構造の最適化・資材の低減及び鋼材加工・組立の高度化による現場施工の生産性向上は、構造物建設プロセスにおけるCO2排出量の削減にもつながり、「環境にやさしく・持続的」な社会の実現にも貢献します。当社は、建設分野においても市場環境の変化に対応すべく新しい鋼材製品や利用技術を開発し続けており、これらを順次「ProStruct™」に追加していく予定です。<チタン>・当社は東邦チタニウム㈱(以下、「東邦チタニウム」)と共同で、第69回(令和4年度)大河内賞において、「直接スラブ鋳造と表層組織制御によるチタン薄板の新製造プロセスの開発」にて大河内記念生産賞を受賞しました。大河内賞は、故大河内正敏博士の功績を記念し、公益財団法人大河内記念会が生産工学、生産技術、生産システムの研究開発及び実施等に関するわが国の業績で、学術の進歩と産業の発展に大きく貢献した個人、グループまたは事業体を表彰する伝統と権威のある賞です。チタン薄板の製造過程にて発生する結晶組織由来の欠陥を低減して品質と生産性を向上させることを目的に、製錬・溶解を行う東邦チタニウムと、圧延を行う当社が共同で「直接スラブ鋳造と表層組織制御」に関わる技術開発に取り組み、スラブ形状に鋳造したチタンインゴット(直接スラブ鋳造)の表層付近の凝固結晶方位を制御することで圧延時の欠陥発生を最小化できることを見出しました。インゴットを製造する溶解炉にて電子ビーム照射条件や引き抜き速度を調整して、鋳型内での初期凝固シェルの成長方向や厚さを最適化し、凝固結晶の方位を狙いの方向に一定程度制御することが可能となりました。さらに、凝固後のインゴットの表面および表層には鋳肌欠陥等の無害化を図る表層処理を施しています。これらの処理により、従来実施していたインゴットからスラブを製造する熱間工程の省略を可能にするとともに、圧延時の疵を低減しています。その結果、トータル歩留まりとエネルギー効率の大幅な向上等が実現でき、品質・価格ともに国際競争力のある高品位チタン薄板の生産に成功しています。さらに、工程省略によるCO2排出量削減につながり、環境負荷軽減にも貢献しています。<交通産機品>・当社のインドにおける鍛造クランクシャフト製造・販売会社であるSMI Amtek Crankshaft社は、㈱豊田自動織機のインドにおけるトヨタ車向けエンジン生産子会社Toyota Industries Engine India Pvt. LTDより、2021年度のBest Quality Supplier Award、Zero Defect Supplies Award及びBest Target Achieved Supplier in Deliveryの最優秀品質・製品欠陥ゼロ・最優秀デリバリー各賞をトリプル受賞しました。これまで6年連続で受賞してきたDeliveryに加え、Best QualityとZero Defectを初めて同時受賞したことは、安定的に高品質の製品を継続供給してきたことに加えて、グローバルモデルのさらなる品質改善・レベルアップに貢献したことが高く評価されたものです。<製鉄プロセス>・当社は日鉄ソリューションズ株式会社、日鉄テックスエンジ株式会社と共同でLPWA(省電力長距離無線通信)とクラウド技術を用いて、各製鉄所製造拠点データを一元管理する無線IoTセンサ活用プラットフォーム「NS-IoT」を構築し、東日本製鉄所君津地区と鹿島地区において設備の早期異常検知を目的とした実運用を2022年4月より開始しました。各製鉄所製造拠点では、それぞれセンサデータを収集/保持しており、それぞれの知見によって特異点検出など生産管理に活用しています。NS-IoTを導入することで、各製鉄所製造拠点に導入したセンサから取得するデータの管理を一元化し、他拠点から収集した統合ビッグデータが設備の異常検知やトレンド監視へ活用可能となります。また多拠点共通のエンジニアによる監視が可能となるため労働生産性の向上にもつながります。先行して導入した君津地区や鹿島地区における設備の早期異常検知を目的に実証したなかで現場作業での点検負荷の低減を確認しており、今後は全製鉄所製造拠点やグループ会社への適用拡大、さらにはパッケージとして他の製造業などへの展開も視野に入れています。 <スラグ・セメント>・当社は、北海道増毛町において増毛漁業協同組合と共同で、2004年から磯焼け対策、水産振興を目的に当社が開発した海域向け施肥材ビバリー®ユニットによる海藻藻場の造成に取り組んできました。2014年からは、増毛町別苅海岸にて、海岸線300mにも渡る大規模事業へと展開しました。別苅海岸での造成時から毎年実施している調査で、主にホソメコンブの藻場面積を測定し、造成1年後の2015年0.6haから8年目の2022年には3.3haと5.5倍に拡大していることを確認しました。造成された海藻藻場では大気中のCO2がブルーカーボンとして長期間貯留されることがすでに科学的に証明されていることから、海藻藻場の造成はCO2削減策として注目されています。今回、当社と増毛漁業協同組合が共同で、Jブルークレジット®に申請し、直近5年間の2018年から2022年に吸収・固定化されたCO2量(ブルーカーボン)として、49.5t-CO2の認証を経てクレジットの発行を受けました。これは、北海道のコンブ藻場で初めての認証であり、漁業協同組合と民間企業との共同申請も初めての事例です。今後も、増毛町での取組みを継続するとともに、全国で藻場造成活動を拡大していくことで、当社の技術を活かし、ブルーカーボンによるCO2削減に貢献していきます。 (エンジニアリング)当セグメントに係る研究開発費は22億円です。日鉄エンジニアリング㈱における研究開発への取組みは以下のとおりです。・製鉄プラント分野 当社との共研を中心とした先進的製鉄プロセス関連の開発・環境・エネルギー分野 廃棄物・バイオマス発電プラント競争力強化、コージェネレーションの高効率化、カーボンリサイクルに向けた研究開発・海洋分野 洋上風力発電施設の開発、海底パイプライン敷設の開発・都市インフラ分野 免制震デバイス商品の開発、次世代商品の探索、土壌浄化技術の開発・陸上パイプライン分野 陸上パイプライン溶接技術の開発 (ケミカル&マテリアル)当セグメントに係る研究開発費は45億円です。日鉄ケミカル&マテリアル㈱における研究開発への取組みは以下のとおりです。・コールケミカル製品、化学品、機能材料、複合材料等に関する研究開発 (システムソリューション)当セグメントに係る研究開発費は23億円です。技術進化・ビジネストレンド・社会環境・人々の価値観の変化等の不確実な状況を踏まえ、新技術の探索、評価・検証、顧客企業への新技術導入支援等において長年にわたって蓄積してきた経験とノウハウを基に、社会全体の「サステナビリティ」の実現に向けた将来像を3つの「未来目標」を設定し、取り組みました。・未来目標1「究極のデジタルツイン(注)」 - すべてをデジタルな世界に転写して再現しよう・未来目標2「業務を理解・実行できる人工知能」 - 機械の知的能力をとことん人間に近づけよう・未来目標3「サステナブルな企業情報システム」 - 変化への対応力があり長持ちするシステムにしよう(注) デジタルツイン:工場の設備・製品等の実世界のオブジェクトをデータとしてデジタルな空間に転写・再現することで、リモートからの監視・制御や、過去の状況の再現・未来の予測シミュレーション等を可能にすること。
FY2022|8,036 文字
5 【研究開発活動】当社は、需要家のニーズや環境・エネルギー等に対する社会的ニーズが多様化するなかで、「技術先進性」の拡大を通じた利益成長とカーボンニュートラルの実現を含む環境に配慮した製鉄技術構築に資する研究開発分野に対し、重点的に経営資源を投入しています。鉄鋼研究所、先端技術研究所及びプロセス研究所の3つの中央研究組織と各製鉄所に配置した技術研究部が強固な連携体制を構築し、「リサーチ・アンド・エンジニアリング」の理念のもと、基礎基盤研究から、応用開発、エンジニアリングまでの一貫した研究開発を推進しています。当社の強みは、①研究開発とエンジニアリングの融合による総合力及び開発スピード、②需要家立地の研究開発体制と需要家ニーズに対する的確なソリューション提案力、③高度な基盤技術に基づく新技術の開発力、④製鉄プロセス技術を基盤とした環境・エネルギー課題への対応力、⑤産学連携、海外アライアンス及び需要家との共同研究です。当社はこれらの強みを活かし、鉄を中心とした新しい機能を持つ商品開発をはじめ、カーボンニュートラルの実現を含む環境に配慮した革新的生産プロセスの創出と迅速な実用化を図り、持続可能な開発目標(SDGs)に沿った社会の発展に貢献してまいります。当連結会計年度における当社及び連結子会社全体の研究開発費は664億円です。各セグメントの研究主要課題、成果及び研究開発費は次のとおりです。 (製鉄)当セグメントに係る研究開発費は585億円です。当社は、3地点の研究開発センター(富津市、尼崎市、波崎市)を軸に、①鉄鋼研究所では、鉄鋼材料・商品と利用技術・ソリューション研究開発、②先端技術研究所では、共通基盤技術研究及びCO2の分離回収や再利用に関する研究、新素材事業を中心とした製鉄以外のセグメント事業支援開発、③プロセス研究所では、設備エンジニアリングと設備保全技術開発を担当する設備・保全技術センターと密接な連携を図りながらCO2削減も考慮した製鉄プロセス関連の研究開発に取り組み、開発の短期化・効率化を目指し、鉄源コストの削減・基幹ラインの生産性の抜本的向上・省CO2化等の研究開発の加速化を進めてまいりました。<薄板>・当社は次世代鋼製自動車コンセプト「NSafe®-AutoCencept(以下、「NSAC」という。)」を進化させています。2021年度、当社は新たに電動車向けに「NSAC xEV」を、次世代モビリティ向けの生産ソリューションとして「NSafe®-AutoFrameConcept(NSAFC)」を構築致しました。電動車は、大型バッテリー搭載により、安全性・性能・コストで従来のクルマづくりとは異なる課題があります。「NSAC xEV」では、電池、バッテリーボックスを含む車体構造、モーター分野における先進素材と素材性能を最大限に引き出すための「安全で性能・コストバランスに優れた提案」を実現しています。「NSAFC」では、CASEやMaaSなどにより、自動車の構造に関する最終ユーザーのニーズの多様化に対応します。「NSAFC」は、鋼管とその加工・構造ソリューション技術をもとに、金型を必要としない、あるいは金型数を削減した生産を実現するダイレス生産ソリューションコンセプトです。加えて、難成形部品への超ハイテン材の適用を可能にする新プレス工法「せん断成形工法(以下、「NSafe®-FORM-SS」という。)」が自動車メーカーに採用されました。「NSafe®-FORM-SS」は、シミュレーション技術を駆使して金型内での鋼材の挙動を解析し、鋼材のブランクの形や変形の仕方を変えることで割れやしわの発生を回避し、一気に強度1180MPa級ハイテンでの複雑形状の成形を可能にしました。また、本技術を活用することにより、超ハイテン材適用による部品の軽量化に加え、絞り成型法に比べ成形荷重の低下による生産性向上や材料歩留の向上による省資源化等、部品価値の向上にも寄与することが可能となります。・当社は、アルミめっきホットスタンプ鋼板(以下、「AL-HS鋼板」という。)のテーラードウェルドブランク技術(板厚や強度の異なる鋼板をレーザ溶接で接合する技術。以下、「TWB技術」という。)を独自開発し、国内で初めての事業化を行い、このたび九州製鉄所八幡地区で生産、製品販売を開始しました。TWB技術を用いることにより、部材の強度や板厚の最適化による車体性能向上、軽量化、及びコスト低減を図ることが可能です。しかしながら、AL-HS鋼板を従来のTWB技術で接合すると、溶接部へアルミが混入しホットスタンプ後の継手強度が低下する課題がありました。今回事業化したTWB技術は、当社独自開発の接合技術により高い継手強度を実現しています。センターピラーについて、従来のスポット溶接構造のAL-HS鋼板を用いた場合に対し、このAL-HS鋼板を用いたTWB材の適用により、車体性能の向上と安全性の確保、軽量化、さらには部品コスト低減が実現します。当社は、先進的な素材開発はもちろん、素材性能を最大限に引き出すための部品構造や新たな構造を具現化する加工技術の開発を進め、車体の軽量化や安全性向上を実現し、カーボンニュートラルの時代に対応したNSACを進化させています。・当社は、化成処理プロセスで意図的にクロムを添加しないクロメートフリーブリキの商業生産を開始致しました。当社は、海外での厳格な環境規制と需要家からの供給要請に応えるため、クロメートフリーブリキ「EZP™(イージーピー)」を開発しました。製造プロセスでは、現行のクロメート処理の代わりにジルコニウム処理を用い、従来ブリキのクロメート皮膜と同等の性能を有する酸化ジルコニウム皮膜を形成します。「EZP™」とは当社クロメートフリーブリキの商標名です。「EZP™」は食品容器用素材としての高い安全性が認められ、米国(FDA)及びEU(欧州連合)において「食品接触物質」としての正式認可を取得済であり、MERCOSUR(南米共同市場)でも承認手続き中です。当社では、2021年より「EZP™」の本格的な商業生産を開始しておりますが、「EZP™」に興味を持つ複数の需要家でも材料評価を進めており、今後販売量がさらに拡大していくと期待しています。 <厚板>・当社が開発した塗装周期延長鋼「CORSPACE®」は、沖縄県等の塩害の厳しい地域や融雪剤散布を行う東北・北陸等の積雪地帯等、将来的な塗装塗り替え用の足場設置が困難な道路や鉄道跨線橋等を中心に約50の橋に採用され、累計10,000トンを達成しました。「CORSPACE®」は、鋼材に微量のスズ(Sn)を添加することで、低pH下でのFeイオンの溶出をSnイオンが抑制することで腐食量を抑制することができます。同様の塗装条件・使用環境下における鋼材腐食量や塗装剥離面積が従来鋼に比べて大幅に抑制され、塗装塗り替えの周期を延長することが可能です。当社は、今後も「CORSPACE®」の適用拡大に取り組み、鋼構造物のインフラの寿命延長やライフサイクルコスト削減、環境負荷低減に貢献してまいります。<鋼管>・当社が新たに開発した油井管用特殊継手「NSSMAX™-GR-PS」が、㈱INPEX(以下、「INPEX」という。)と独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下、「JOGMEC」という。)がINPEX南阿賀鉱場(新潟県阿賀野市)において計画している新規坑井の掘削向けに世界で初めて採用されました。INPEXとJOGMECは共同でINPEX南阿賀油田において、CO2を用いた原油回収促進技術(EOR)の実証試験に向けた共同研究を開始しています。当社は上記実証試験の2022年に新規掘削が予定されている2坑井で使用される電縫管及び継目無油井管のすべてを受注しました。特に、浅層部の坑壁を保護するケーシングに使用される電縫油井管において「NSMAX™-GR-PS」を世界で初めて採用いただきました。「NSMAX™-GR-PS」は、当社独自の特殊な継手デザインにより、スムーズかつ高い締結安定性を実現しています。地球環境に配慮した地熱発電やEOR/CCS向けの掘削活動が世界的に増加すると見込まれます。多様化するニーズに対応し得る「NSMAX™-GR-PS」は、海外需要への展開も見据えています。・当社の高合金継目無油井管が、このたびEquinor ASAが欧州北海で主導するCCSプロジェクトであるNorthern Light Joint Ventureに採用されました。同JVはノルウェー都市部や周辺国の工場で発生する排ガスから吸収したCO2を100km沖合の中間貯蔵基地までパイプラインで運搬後、海底下2600mにある貯留槽に圧入するサービスの事業化を目指しています。液化したCO2を海底下に注入するため、使用する鋼管には高い耐食性が求められます。当社の高合金継目無油井管は、これまで非常に過酷な環境の石油・天然ガス開発に長年採用されています。同製品は世界でもトップクラスの優れた耐食性を有しており、高濃度CO2環境でも腐食することなく使用できます。<棒線>・当社は、「環境負荷低減型超ハイテン橋梁ケーブル用線材の開発」で令和3年度文部科学大臣表彰科学技術賞を受賞しました。同賞は、科学技術に関する開発、理解増進等において顕著な成果を納めたものの功績を讃える賞です。従来のケーブルは、溶融鉛浴に浸漬して金属組織と引張り強さを整える熱処理(以下、「LP処理」という。)を施し、引抜き加工及び亜鉛めっきを施して製造されていました。生産能力が低いことや、国によっては鉛が環境規制の対象になることから、LP処理を回避する線材の開発が求められていました。当社は、橋梁ケーブル用線材では使用例のないホウ素とチタンを添加し、線材圧延ライン中で圧延直後に溶融塩浴に浸漬して金属組織と引張強さを整えるDIrect In-Line Patenting処理を施すことでLP処理を省略して伸線可能な橋梁ケーブル用線材を世界で初めて開発しました。本開発により、LP処理省略とこれに伴うCO2排出量削減、鉛の使用の回避を含む環境負荷の低減を実現しました。本線材は中央支間長世界TOP10の長大橋の超ハイテンケーブルに複数採用されており、社会インフラの整備における国際競争力強化に寄与しています。<建材>・当社は、公益社団法人2025年日本国際博覧会協会及び大阪商工会議所が主催する実証実験において、㈱エムオーテック、東洋テクノ㈱及び日鉄建材と共同で『超軟弱地盤における「NSエコパイル®」打設&引抜実証実験及び「カルシア改質材」による支持力改良実験』を実施することになりました。実験の一つであるNSエコパイル®は鋼管開端部の先端にらせん状に加工した羽根を溶接した鋼管杭です。泥水・残土等の産業廃棄物や、騒音・振動といった環境的・社会的な問題を解決するとともに、高支持力・高耐震性・低コスト・短工期を実現する杭工法です。万博用の構造物の基礎には埋立て地盤の特性を把握し、杭打設及び万博閉幕後の杭の引抜・整地を確実に行うことが必要です。NSエコパイル®は小型機械による杭打設と閉幕後の引抜・整地を実証・確認することで万博会場整備を低コストかつ短工期で可能とすることを目指します。<チタン>・当社の「TranTixxii®が2021年度グッドデザイン賞を受賞しました。「TranTixxii®」は、長寿命・軽量高強度・優れた環境性能といったチタンの素材特性と独自技術による素材表面の光と色を制御し、素材自体が放つ多彩な美しさ(色彩美・色調美)を発揮する素材です。世界初で唯一の経年変化を最小化する独自技術により、色彩美を含めた長寿命性を実現しています。・当社が展開するチタン製品ブランド「TranTixxii®」の採用が広がっています。例えば、「TranTixxii®」の屋根材は、2021年度に亀山神社(広島県呉市)の遷座130年記念 令和の大修繕や、浄土宗大本山増上寺大殿(東京都港区)の改修に採用いただきました。これはチタン製屋根瓦の採用実績としては過去最大となります。「TranTixxii®」の国際的な採用も拡大しています。当社の「TranTixxii®」と日鉄ステンレスのステンレス鋼薄板を使用した三菱ケミカルインフラテック㈱のチタン・樹脂・ステンレス鋼複合板「アルポリック/fr® TCM」が中国の国際会議センターや、タイのCCI Automotive Products社の研究開発施設のエントランスに採用されました。タイでの当社チタン材の採用は今回が初めてとなります。 ・当社は、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「戦略的省エネルギー技術革新プログラム」にて東邦チタニウム㈱が実用化を進めている「新しい低コスト省エネルギー型チタン製造技術の開発」プロジェクトに参画しました。現行のチタン精錬法である「クロール法」は原料のチタン鉱石を塩素ガスと反応させて中間原料を生成する工程においてCO2が発生し、還元材である金属マグネシウムを再生する電解工程において大量の電力を消費します。本プロジェクトは別の固体還元材を用いた新しいチタン精錬法を開発し、電力消費量の70-80%削減及びチタン精錬工程からのCO2排出ゼロを目指すものです。本プロジェクトは2021年7月より実証開発フェーズに移行しており、当社は共同実施者として東邦チタニウム㈱が施策するパイロット規模のチタン新製錬-溶解材を素材に、チタン薄板等の展伸材製造確性試験・評価を担当します。当社は、金属チタン製錬段階でのエネルギー消費の抑制、環境負荷低減及びコスト低減によるチタン普及へのさらなる貢献を目指していきます。<交通産機品>・当社は、公益財団法人市村清新技術財団より「新幹線用新型ブレーキパッドの開発」にて第54回(令和3年度)市村産業賞 貢献賞を受賞しました。同賞は科学技術の進歩、産業の発展に貢献した技術開発者を表彰する伝統と権威ある賞です。新幹線の速度向上に際し、安全性を維持するためにはブレーキ性能の向上が必須になります。既存のブレーキパッドは摩擦材を一体で押し当てる構造のため、高速から急制動する際に熱変形するディスクと部分的に接触し、局所的な高温部(ヒートスポット)を生じ、結果としてブレーキ力の低下をはじめとして様々な問題を誘発していました。当社が有限要素法を駆使して開発した皿ばねを搭載した新型ブレーキパッドは、熱変形したブレーキディスクにブレーキパッドの摩擦材を追従させることでヒートスポットの発生を防止します。新型パッドでは、ディスク表面温度を従来品と比較して100℃以上低減させることに成功しています。温度低減により摩擦係数の低下を防ぎ、ブレーキ距離の短縮も実現することができました。現在では東海道新幹線すべての車両が新型パッド搭載車両となっており、今後ますますの適用拡大が期待されています。<製鉄プロセス>・当社は、公益財団法人大河内記念会より第68回(令和3年度)大河内賞において、「過酷な環境に適応した計測・制御による高強度鋼板の熱間圧延技術」にて大河内記念生産賞を受賞しました。今回の受賞した技術は、高強度鋼板等の高機能鋼板を高品質で安定的に大量生産することを目的に、高温、振動、大量の冷却水等の過酷な熱感圧延環境に適応した冷却帯内温度計、仕上げ平坦度系、仕上げ圧延スタンド間蛇行計の計測器とこれらを活用した高度制御技術を開発、実用化しました。いくつもの技術開発が関係していますが、例えば冷却体温度計は水を熱放射光の導光路とする画期的なものであり、冷却水が大量に存在する環境下で鋼板温度を測定することに初めて成功しました。本開発の結果、生産性が20%以上向上し、製造歩留まりロスが20%以上減少するなど、高強度鋼板の高品質製造、安定供給が可能になりました。同技術は熱間圧延工程からのCO2排出削減につながり、環境負荷低減にも貢献しています。・当社は、日鉄エンジニアリング及び公益財団法人地球環境産業技術研究機構と共同で、公益財団法人 市村清新技術財団より第54回(令和3年度)市村賞において、「工場排ガス中CO2の低エネルギー分離回収システムの開発」で市村地球環境産業賞 貢献賞を受賞しました。化学吸収法は、吸収液にCO2を選択的に反応吸収後、加熱してCO2を分離回収する技術です。CO2分離に必要な熱エネルギーが回収コストの大部分を占めるため、この熱エネルギーを低減することが開発のポイントでした。吸収液に用いるアミン化合物を量子化学計算やケモインフォマティクスも用いた効率的に探索し、吸収液の塑性検討を行うことで、熱エネルギー消費量を大幅に削減可能な新しい化学吸収液を開発しました。また、回収したCO2に同伴する不純物の種類を峻別し、これらを除去する方法を確立しました。その結果、従来の一般的な化学吸収液であるモノエタノールアミンと比べてエネルギー消費量を40%削減し、100℃未満の低温での再生を実現し、さらに不純物除去のため前処理設備及び後処理設備を付加することで不純物の多い排ガスに対応しました。該当技術は日鉄エンジニアリングが「ESCAP®」として商品化しています。<スラグ・セメント>・当社は、公益社団法人2025年日本国際博覧会協会及び大阪商工会議所が主催する実証実験において、㈱エムオーテック、東洋テクノ㈱及び日鉄建材と共同で『超軟弱地盤における「NSエコパイル®」打設&引抜実証実験及び「カルシア改質材」による支持力改良実験』を実施することになりました。実験の一つである製鋼スラグを原料として成分管理と粒度調整を施した「カルシア改質材」は、軟弱な浚渫土と混合することで強度を改善し、「カルシア改質土」として有効活用を図ることができます。カルシア改質材に含まれるCaが浚渫土のSi、Al、水分が混合することで水和物を形成し、強度の発現や濁りの抑制等の効果が得られます。万博会場の軟弱浚渫土地盤をカルシア改質材により改質し、支持力不足の解決につなげることを目指します。 (エンジニアリング)当セグメントに係る研究開発費は17億円です。日鉄エンジニアリング㈱における研究開発への取組みは以下のとおりです。・製鉄プラント分野 当社との共研を中心とした先進的製鉄プロセス関連の開発・環境・エネルギー分野 廃棄物・バイオマス発電プラント競争力強化、コージェネレーションの高効率化、カーボンリサイクルに向けた研究開発溶融炉競争力強化・海洋分野 洋上風力発電施設の開発、海底パイプライン敷設の開発・都市インフラ分野 免制震デバイス商品の開発、次世代商品の探索、土壌浄化技術の開発・陸上パイプライン分野 陸上パイプライン溶接技術の開発 (ケミカル&マテリアル)当セグメントに係る研究開発費は41億円です。日鉄ケミカル&マテリアル㈱における研究開発への取組みは以下のとおりです。・コールケミカル製品、化学品、機能材料、複合材料等に関する研究開発 (システムソリューション)当セグメントに係る研究開発費は19億円です。日鉄ソリューションズ㈱における研究開発への取組みは以下のとおりです。・システムの構築・運用における品質及び生産性の向上・ITサービスの競争力強化、価値共創の取組み・デジタルトランスフォーメーション(DX)を実現する技術への取組み
FY2021|7,535 文字
5 【研究開発活動】当社は、需要家のニーズや環境・エネルギー等に対する社会的ニーズが多様化するなかで、「技術先進性」の拡大を通じた利益成長とCO2削減を含む環境に配慮した製鉄技術構築に資する研究開発分野に対し、重点的に経営資源を投入しています。鉄鋼研究所、先端技術研究所及びプロセス研究所の3つの中央研究組織と各製鉄所に配置した技術研究部が強固な連携体制を構築し、「リサーチ・アンド・エンジニアリング」の理念のもと、基礎基盤研究から、応用開発、エンジニアリングまでの一貫した研究開発を推進しています。当社の強みは、①研究開発とエンジニアリングの融合による総合力及び開発スピード、②需要家立地の研究開発体制と需要家ニーズに対する的確なソリューション提案力、③高度な基盤技術に基づく新技術の開発力、④製鉄プロセス技術を基盤とした環境・エネルギー課題への対応力、⑤産学連携、海外アライアンス及び需要家との共同研究です。当社はこれらの強みを活かし、鉄を中心とした新しい機能を持つ商品開発をはじめ、環境に配慮した革新的生産プロセスの創出と迅速な実用化を図り、持続可能な開発目標(SDGs)に沿った社会の発展に貢献してまいります。当連結会計年度における当社及び連結子会社全体の研究開発費は653億円です。各セグメントの研究主要課題、成果及び研究開発費は次のとおりです。 (製鉄)当セグメントに係る研究開発費は573億円です。当社は、3地点の研究開発センター(富津市、尼崎市、波崎市)を軸に、①鉄鋼研究所では、鉄鋼材料・商品と利用技術・ソリューション研究開発、②先端技術研究所では、共通基盤技術研究及びCO2の分離回収や再利用に関する研究、新素材事業を中心とした製鉄以外のセグメント事業支援開発、③プロセス研究所では、設備エンジニアリングと設備保全技術開発を担当する設備・保全技術センターと密接な連携を図りながらCO2削減も考慮した製鉄プロセス関連の研究開発に取り組み、開発の短期化・効率化を目指し、鉄源コストの削減・基幹ラインの生産性の抜本的向上・省CO2化等の研究開発の加速化を進めてまいりました。<薄板>・当社は「自動車の進化を支える超高強度鋼板加工技術の開発」で第53回(令和2年度)市村産業賞貢献賞を受賞しました。市村賞は科学技術の進歩、産業の発展に貢献した技術開発者を表彰する伝統と権威ある賞です。当社は同賞を3年連続で受賞しております。自動車に求められる安全性向上のための車体高強度化とCO2排出量削減のための軽量化を両立するためには、車体により高強度の鋼板を適用することが有効です。当社は世界に先駆けて冷間プレス用超高強度鋼板を開発しましたが、強度が高いほどプレス成形性が低下して自動車部品への加工が困難となる課題がありました。そこでコンピューターシミュレーションを駆使して、プレス成型時の材料変形を適切に制御するプレス加工技術「自由曲げ工法」と「フランジ連続化工法」及び、それらを実現する金型装置を開発しました。開発技術は加工時の材料変形量を従来の50%以下に低減する画期的な工法であり、超高強度鋼板の形状が複雑な部品への加工を可能にしました。開発技術はお客様の歩留まり改善に貢献するとともに車体の軽量化と安全性向上を両立し、1000万台以上の自動車に適用されています。また、該当技術のCO2排出量の削減量は42,300トン/年と算出されております。・当社は超ハイテン鋼板の供給体制を強化するため、東日本製鉄所君津地区第6CGLの商業運転を開始しました。同設備は月産能力が33千トン、強度1.5GPa級の超ハイテン鋼板の製造が可能です。自動車業界においては、世界的に環境規制強化と衝突安全基準の厳格化が進み、車体の軽量化・高強度化ニーズの高まりから超ハイテン鋼の適用が増加しており、今後も需要拡大が見込まれます。また、今後さらなる普及が見込まれる電気自動車等の電動車においても走行距離やバッテリー重量の問題により車体軽量化ニーズが一層高まると考えられます。こうした車体の軽量化・高強度化を実現する超ハイテン鋼板ニーズの拡大に対応するために供給体制を強化しました。・当社が販売するブリキ、ティンフリースチール、ラミネート鋼板の3製品において、このたび国際規格ISO14025に準拠した一般社団法人サステナブル経営推進機構による「エコリーフ」環境ラベルの認証を取得しました。これらの製品はスチール缶の飲料容器をはじめ、さまざまな容器に用いられる極薄系のスチール素材です。容器用素材としては国内では初めての認証取得となります。「エコリーフ」はライフサイクルアセスメント手法を用いて、資源採取、製造から廃棄・リサイクルまでの製品のライフサイクルを考えた環境情報を定量的に開示するEPD認証制度の一つです。当社の製品を使用する場合、その製品に関わる環境負荷の客観的な評価ができます。・当社が開発した新商品「FeLuce®(フェルーチェ)」(ヘアライン調電気めっき鋼板)が、公益財団法人日本デザイン振興会が主催する2020年度グッドデザイン賞を受賞しました。当社の薄板製品としては初めての受賞となります。「FeLuce®」は防錆性能を担保するためのめっき層自体に意匠性を付与するというエコで無駄のない画期的な製法により生まれた新しい鋼板です。金属本来の素材感を活かすシンプルなものづくりに挑戦しました。素材表面に塗料やフィルム等を付加していく従来手法によらず、薄板に要求される機能性に金属本来が持つ美しさを加えました。 <厚板>・当社は衝突安全性に優れる船舶用高延性厚鋼板「Nsafe®-Hull」を開発しています。同厚鋼板は延性阻害成分である硫化物等の介在物の生成を極限まで低減させ、熱加工処理時の圧延・冷却を精密に制御することで従来規則の1.5倍以上の伸びを実機操業の大量生産で具現化し、衝突による船舶の損傷軽減を実現しています。該当技術は国立研究開発法人海上・港湾・航空技術研究所、今治造船㈱及び一般財団法人日本海事協会と共同で、岩谷直治記念財団より第47回(令和2年度)岩谷直治記念賞及び第3回日本オープンイノベーション大賞「国土交通大臣賞」を受賞しました。岩谷直治記念賞は、エネルギー及び環境に関する技術開発において顕著な産業上の貢献が認められる業績を表彰する賞であり、2018年度のHRX®19の開発に続く受賞となります。日本オープンイノベーション大賞は、組織の壁を越えて知識や技術、経営資源を組み合わせ新しい取組みを行うオープンイノベーションをさらに推進するために、今後のロールモデルとして期待される取り組みを表彰する賞であり、今回当社が鉄鋼メーカーとして初めて受賞しました。また、「Nsafe®-Hull」の開発技術は第51回(2018年度)市村産業貢献賞や第66回(令和元年度)大河内記念生産賞をはじめとした多くの賞を受賞しております。「Nsafe®-Hull」は超大型タンカー(VLCC)7隻を含めて31隻の実船に適用され、油流出防止並びに船舶の安全性向上に寄与しています。<鋼管>・当社の優れた商品開発力や高い納期遵守達成、サプライチェーン全体でのコスト削減、共同研究による20件以上のプロジェクト実績等が評価され、ロイヤルダッチシェルグループより石油・ガス掘削事業への貢献度の高いサプライヤーに対して与えられる「サプライヤーオブザイヤー(Equipment Supplier of the year)」を住友商事㈱と共同で受賞しました。この賞に選出されるのは世界で一社のみであり、2015年と2019年に続いて3度目の受賞となります。引き続き高い技術力とサービスを駆使して、近年ますます過酷化する石油ガス開発に貢献してまいります。<棒線>・当社は従来鋼に比べて靭性と対水素脆性を改善し、さらに低合金化にも成功した低合金高強度懸架ばね用鋼「RIDESWELL®」を開発しました。自動車の軽量化による燃費向上のため、自動車用懸架ばねにも高強度化による軽量化が強く求められています。近年、ばね加工技術の発展により規格鋼SUP12をより高強度で使用することが海外を中心に検討されていますが、高強度化に伴う靭性や対水素脆性等の必要な機械特性が低下するという課題がありました。そこで添加成分とプロセスを適切に制御したことで偏析や粒界炭化物の析出を抑制し、対水素脆化性が低下することなく高強度化を実現した「RIDESWELL®」の開発に成功しました。<建材>・当社は圧延プロセスを改善し、大断面サイズを中心とした「ハイパービーム®(外法一定H形鋼)」のサイズメニューを拡充し、「メガハイパービーム™(MEGA NSHYPER BEAM™)」として2020年4月より販売を開始しました。「ハイパービーム®」と「メガハイパービーム™」は一般社団法人サステナブル経営推進機構が認証する「エコリーフ」環境ラベルを取得しました。「ハイパービーム®」は1989年から製造販売を開始し、ウェブ高さとフランジ幅を一定にすることで設計簡素化と加工省力化を実現しております。今回の「メガハイパービーム™」の販売により、さらなる建築物の大型化に伴う鉄骨の大断面化、深刻化する人手不足を背景とした工期短縮ニーズにお応えします。<チタン>・当社が展開するチタン製品ブランド「TranTixxii®」の採用が広がっています。「TranTixxii®」は屋根材として、小田急電鉄片瀬江ノ島駅の新駅舎屋、弘前レンガ倉庫美術館と新潟県上越市の八坂神社に採用されました。屋根材以外にも利用が広がっています。新開発チタン合金Super-TIX20AFGがカシオ計算機㈱より2021年4月に発売される新モデルの時計に採用されました。また、社寺建築金物の一つである六葉金物の素材として日本で初めて採用・商品化され、さらにアイジー工業㈱の金属デザインパネル「Xium」にも採用されました。チタンはその高耐食性や装飾性以外でも耐震補強材として利用されております。当社と日鉄防食㈱が製造販売するチタン箔シートが世界遺産登録「富岡製糸場西置繭所」(国宝)耐震補強工事に補強材の接合材として採用されました。<交通産機品>・当社は新幹線用新型ブレーキパッドの開発で2020年度機械学会関西支部技術賞を東海旅客鉄道㈱と共同で受賞しました。新幹線の安全性を向上させるためのブレーキ制動距離の短縮と利便性を向上させるための速度向上、これら相反するニーズに応えるためには既存のブレーキ装置、特に従来のブレーキパッドでは適用できない領域に達しつつありました。このことから新幹線用のブレーキディスクで圧倒的なシェアを有する当社の強みを生かし、新型ブレーキパッドを開発しました。新型ブレーキパッドは、ブレーキディスクに適正化したばね構造で摩擦材を支持することでブレーキ時により均一にディスクとパッドを接触させ、既存のブレーキ装置と比べて最高速度からのフルブレーキで100℃以上の温度低下とブレーキ性能(摩擦係数)の安定化を達成しました。現在では東海道新幹線を走行する全ての車両(2020年7月にデビューしたN700Sを含む)に当社が開発した新型ブレーキパッドが採用されております。 <製鉄プロセス等>・当社は「新型高精度平坦度計を用いた高強度熱延鋼板製造技術の開発」で令和2年度文部科学大臣表彰科学技術賞(開発部門)を受賞しました。同技術は昨年度の第8回ものづくり日本大賞において製造・生産プロセス部門優秀賞に続く受賞となります。優れた機械特性を有する鋼材を製造するためには加工熱処理が必要になります。加工熱処理を高精度で行うためには熱延鋼板の平坦度確保が大前提となります。今回受賞した技術は、熱間圧延中に鋼板の伸び率の幅方向分布(平坦度)を高精度に測定したうえで圧延機を自動制御し、機械特性に優れた薄鋼板を安定的に製造する技術です。薄鋼板の熱間圧延においてすべての圧延材を対象に適用できる自動平坦度制御は世界初の技術です。・当社は、室蘭製鉄所構内において製銑設備を保有する北海製鉄㈱の第2高炉を昨年7月に吹き止めし改修工事を実施してきましたが、本年11月に火入れを行い、稼働を再開しました。今回の改修は、当社では初めて高炉本体を覆う「鉄皮」をそのまま残した状態で関連設備と耐火物の更新を行う工法を採用しました。また、数学モデルを用いた炉内状況予測モデルを導入しました。これまでに高炉に取り付けたセンサーから得られた情報を解析し、鉄鉱石等の原料投入量や炉内への熱風吹込み量について、最適な操業条件を自動で調整することが可能となりました。高炉操業安定化とオペレーターの負荷軽減につながることが期待されます。当社は、同システムの運用で得られた結果を他高炉に利用することでさらなる安定生産、生産性向上を図ってまいります。・当社は昨年7月に富山大学、千代田化工建設㈱、日鉄エンジニアリング㈱、ハイケム㈱及び三菱商事㈱と共同でNEDOの「カーボンリサイクル・次世代火力発電等技術開発/CO2排出削減・有効利用実用化技術開発/化学品へのCO2利用技術開発」に応募し、採択されました。当研究グループでは、CO2を原料とするパラキシレン製造に関する技術開発事業への取組みを開始しております。パラキシレンは高純度テレフタル酸を経由してポリエステル繊維やペットボトル用樹脂等に加工される化合物です。仮にパラキシレン需要のすべてをCO2原料に切り替えた場合のCO2固定量は1.6億トン/年になります。・当社は京都大学、公益財団法人高輝度科学研究センター及び信州大学と共同で従来の吸着材とは異なるゲート型吸着材を活用した二酸化炭素の高効率分離システムを提案しました。本研究グループは自身が吸熱的に構造変形することでCO2を取り込む際の熱発生を抑えることが可能なゲート型吸着剤に着目し、優れたCO2分離性能を明らかにしました。同時にゲート型吸着剤の特性を活用した高速度吸着分離システムを考案し、CO2分離効率を従来方式と比べて極めて高くできることを見出しました。・当社は製鉄所での設備状態監視基盤の構築に向けて、日本電気㈱のAI分析ソフトウェア「NEC Advanced Analytics - インバリアント分析」を採用し、製鉄製造現場におけるデジタルトランスフォーメーションを加速します。本年1月より東日本製鉄所君津地区で設備状態のオンライン監視における長期間運用テストを開始しました。インバリアント分析技術はリアルタイムに得られる計測データから“いつもの状態”を学習し、“いつもと違う”異常の予兆を自動検知し、トラブルによる設備の稼働停止や設備不良による製品の品質劣化を未然に防ぐことが期待されます。・当社と日鉄ソリューションズ㈱は室蘭製鉄所において、製鉄製造現場における自営無線網の適用検証を共同で開始します。自営無線網は高速な無線網を自社専用に運用することで、大量のデータ通信を容量無制限で実現することはもとより、社外の通信網を一切通らないことから極めて高いセキュリティを担保することができます。また、高い建造物の多い製鉄所に特有の電波が届きにくい場所も含めて広い敷地内の隅々まで通信できるメリットもあります。<スラグ・セメント>・当社の鉄鋼スラグ製品「カルシア改質材」が函館港の西防波堤補強工事に活用されています。今回の西防波堤補強工事の一環として行われている浚渫工事で発生した浚渫土に当社カルシア改質材を混合してカルシア改質土に変え、西防波堤の背後に盛土として補強のために利用されています。カルシア改質材は、軟弱な浚渫土の強度増強のみならず、濁りの発生を抑制できる改良材として活用されております。なお、北海道開発局の直轄工事でカルシア改質土を用いるのは初めてのことです。カルシア改質材は製鋼工程で副次的に生成される製鋼スラグを原料として、成分管理と粒度調整を施した軟弱浚渫土改質材です。カルシア改質材により改質されたカルシア改質土は深掘れ窪地の埋戻材料や埋立て工事材料、浅場・干潟の造成材料への有効活用が可能です。・当社は、北海道古宇郡泊村及び古宇郡漁業組合と共同で2019年11月に古宇郡泊村地区に鉄分供給鉄鋼スラグ製品「ビバリー®ユニット」を埋設し、磯焼けで藻場が失われた海域を再生する「海の森づくり」をスタートしています。その一環で昨年7月に「ビバリー®ユニット」を埋設した海域において藻場の再生が確認できました。これまで当社は日本全国38カ所で「海の森づくり」による藻場の再生に取り組んできました。磯焼けの原因の一つである鉄をはじめとする栄養分の不足が挙げられています。当社の「ビバリー®ユニット」は鉄分不足を解消するため、製鉄プロセスにおける副産物である鉄鋼スラグと腐食殿混合物をヤシの繊維で編んだ袋に入れることで、鉄イオンを腐食酸鉄として長時間持続的に海藻まで届けることが可能です。当社はこれからも藻場の再生を通じてCO2の吸収・固定に貢献してまいります。 (エンジニアリング)当セグメントに係る研究開発費は22億円です。日鉄エンジニアリング㈱における研究開発への取組みは以下のとおりです。・製鉄プラント分野 当社との共研を中心とした先進的製鉄プロセス関連の開発・環境分野 溶融炉競争力強化、土壌浄化技術の開発・エネルギー分野 オンサイト発電の高効率化/操業支援・海洋分野 海底パイプライン敷設の自動化・高速化・高品質化・建築分野 免制震デバイス商品の開発、次世代商品の探索・陸上パイプライン分野 陸上パイプライン溶接技術の開発 (ケミカル&マテリアル)当セグメントに係る研究開発費は39億円です。日鉄ケミカル&マテリアル㈱における研究開発への取組みは以下のとおりです。・コールケミカル製品、化学品、機能材料、複合材料等に関する研究開発 (システムソリューション)当セグメントに係る研究開発費は16億円です。日鉄ソリューションズ㈱における研究開発への取組みは以下のとおりです。・システムの構築・運用における品質及び生産性の向上・ITサービスの競争力強化、価値共創の取組み・デジタルトランスフォーメーション(DX)を実現する技術への取組み
FY2020|7,437 文字
5 【研究開発活動】当社は、需要家のニーズや環境・エネルギー等に対する社会的ニーズが多様化するなかで、「技術先進性」の拡大を通じた利益成長に資する研究開発分野に対し、重点的に経営資源を投入しています。鉄鋼研究所、先端技術研究所及びプロセス研究所の3つの中央研究組織と各製鉄所に配置した技術研究部が強固な連携体制を構築し、「リサーチ・アンド・エンジニアリング」の理念のもと、基礎基盤研究から、応用開発、エンジニアリングまでの一貫した研究開発を推進しています。当社の強みは、①研究開発とエンジニアリングの融合による総合力及び開発スピード、②需要家立地の研究開発体制と需要家ニーズに対する的確なソリューション提案力、③高度な基盤技術に基づく新技術の開発力、④製鉄プロセス技術を基盤とした環境・エネルギー課題への対応力、⑤産学連携、海外アライアンス及び需要家との共同研究です。当社はこれらの強みを活かし、鉄を中心とした新しい機能を持つ商品開発をはじめ、革新的生産プロセスの創出と迅速な実用化を図り、持続可能な開発目標(SDGs)に沿った社会の発展に貢献してまいります。当連結会計年度における当社及び連結子会社全体の研究開発費は776億円です。各セグメントの研究主要課題、成果及び研究開発費は次のとおりです。 (製鉄)当セグメントに係る研究開発費は695億円です。当社は、3地点の研究開発センター(富津市、尼崎市、波崎市)を軸に、①鉄鋼研究所では、鉄鋼材料・商品と利用技術・ソリューション研究開発、②先端技術研究所では、共通基盤技術研究及び新素材事業を中心とした製鉄以外のセグメント事業支援開発、③プロセス研究所では、設備エンジニアリングと設備保全技術開発を担当する設備・保全技術センターと密接な連携を図りながら製鉄プロセス関連の研究開発に取り組み、開発の短期化・効率化を目指し、鉄源コストの削減・基幹ラインの生産性の抜本的向上等の研究開発の加速化を進めてまいりました。<薄板>・当社が開発した自動車部品の軽量化と材料使用料削減を可能とする超高強度鋼板の加工技術が第8回ものづくり日本大賞において製造・生産プロセス部門経済産業大臣賞を受賞しました。成形性が低い超高強度鋼板をL字やT字状の複雑な形状に成形するためのプレス工法「自由曲げ工法」を開発し、材料歩留まりの改善とともにセンターピラーやフロントピラーなどの自動車骨格部品への超高強度鋼板(980 MPa、1180 MPa 材)の適用が可能となりました。当社は車体軽量化による走行時のCO2排出削減と、鋼材使用量削減による鋼材製造におけるCO2排出削減を実現し、合計 24 kt/年のCO2排出削減に貢献しています。・当社は、パナソニック㈱より同社商品のCO2削減や商品力強化に貢献し、特に優秀と認められた提案に贈られるECO・VC賞の金賞を2010年度から10年連続で受賞しました。今回の受賞は、加工後に塗装されていた鋼板を高加工性白色ビューコート®に置き換えることを提案し、パナソニック㈱における後塗装の省略によるコストダウン、品質改善、生産性向上を実現したことが評価されました。今後も鉄の可能性を最大限に引き出した新商品開発、シミュレーション技術による素材から加工方法までの一貫した提案により、お客様の要望にお応えしてまいります。・当社は、優れた表面硬度と疲労強度が得られるガス軟窒化鋼板を開発し、ユニプレス㈱が製造するトルクコンバータ用のダンパープレートの材料に採用されました。ダンパープレートは高強度・高耐摩耗性・高精度が求められる部品です。当社は鋼材中の化学成分の最適化により、浸炭窒化処理を行った熱延鋼板と同等以上の表面硬度と疲労強度を、より低温の熱処理(ガス軟窒化処理)で実現しました。この鋼板とユニプレス㈱の独自技術を組み合わせることにより、ダンパープレートの生産性と品質の向上が可能となりました。同鋼板を用いたダンパープレートは、トランスミッション(AT・CVT)の専門メーカーであるジヤトコ㈱が製造する軽自動車専用新型無段変速機(CVT)のトルクコンバータとして搭載されました。・当社は、変圧器の電力損失や騒音の低減に寄与する方向性電磁鋼板「オリエントコアハイビー®」を開発し、一般社団法人電気学会が選定する第13回でんきの礎において鉄鋼製品で初めて顕彰されました。当社は、この技術を用いて1968年から鉄鋼製品の商業生産を開始しており、現在では全世界にライセンス供与しています。当社は、電力システムを支える基盤材料としての同鋼板の供給を通じて世界全体の省エネルギー化に貢献してまいります。・日鉄日新製鋼㈱(2020年4月1日に当社と合併)は、高耐食性を有するZAM®鋼板の利用技術開発を進め、「プレス金型に対する潤滑(滑り込み)性」と新加工技術である「絞り加工部の板厚減少抑制技術」を組合せためっき鋼板加工技術を開発しました。同鋼板は加工の厳しい自動車用モーターケースに採用されました。<厚板>・当社は、衝突安全性に優れる船体用高延性厚鋼板「Nsafe®-Hull」を開発し、深刻な海洋汚染をもたらす船舶事故時の油漏洩防止による環境保全への貢献が評価され、公益財団法人大河内記念会の第66回(令和元年度)大河内賞において大河内記念生産賞及び第8回ものづくり日本大賞製造・技術開発部門九州経済産業局長賞を受賞しました。今回の受賞は、第51回(2018年度)市村賞において市村産業貢献賞に続く受賞であり本技術水準及び産業上の有用性が高く評価されたものです。加えて、同鋼板は、今治造船㈱が新たに開発した最新鋭の超大型原油タンカー(載貨重量31万トン)に当社製の原油タンカー用高耐食性鋼板"NSGP®-1, NSGP®-2"とともに世界で初めて同時採用されました。当社は船舶のさらなる大型化が進展するなか、衝突安全性のみならず、座礁に対する安全性の確保に向けた高延性厚鋼板の供給を通じて世界の環境保全に貢献してまいります。 <鋼管>・当社は、日鉄ステンレス㈱が開発した省合金型二相ステンレス鋼 「NSSC2120®」と同等材質の「YUS®2120シームレス鋼管」を新たに開発し、商業生産 を開始しました。「YUS®2120シームレス鋼管」は、汎用鋼である「SUS304シームレス鋼管」と比較して省合金型でありながら2倍の強度と同等以上の耐食性を実現しました。「SUS304シームレス鋼管」の代替として「YUS®2120シームレス鋼管」を適用することで、最大50%の薄肉設計や耐食性改善による設備長寿命化等ライフサイクルコスト低減への寄与が期待できます。当社は今後も伸び行くインフラ需要に鋼材供給から貢献してまいります。・当社と日鉄ステンレス鋼管㈱が製造・販売する高圧水素用ステンレス鋼「HRX19®」が、東京ガス㈱と日本水素ステーションネットワーク合同会社が共同で建設し、2020年1月16日に開所した「豊洲水素ステーション」に採用されました。同鋼管は、70 MPa級の高圧水素環境下で使用可能な鋼管で、溶接施工可能な唯一の材料です。数多くの継手部を溶接継手施工することで、水素ステーションのコンパクト化及び継手部からの水素漏れのリスクを排除し、施工及びメンテナンスコストの低減に貢献します。・当社の子会社である山陽特殊製鋼㈱は、各種工業炉における燃料削減とCO2排出削減を目的としたエネルギー効率の向上に貢献する、高温強度と耐高温腐食性に優れた次世代型レキュペレータ(廃熱回収装置)用耐熱鋼を開発しました。山陽特殊製鋼㈱は、レキュペレータ用の伝熱管として用いられる高クロムフェライト系耐熱鋼「SICシリーズ」を開発・製造・販売しておりますが、このたび開発した耐熱鋼は、SICシリーズの中で耐酸化性と耐高温腐食性が最も優れる「SIC12」をベースに高温強度を大幅に向上させました。この耐熱鋼をレキュペレータの伝熱管に適用することで、各種工業炉のエネルギー効率向上による燃料削減とCO2排出削減への貢献が期待されます。<棒線>・当社、アイシン・エィ・ダブリュ㈱及び愛知製鋼㈱が共同開発した、レアメタルレスを可能にした次世代高強度鋼材「MSB20」と歯車の開発が、第8回ものづくり日本大賞において製造・技術開発部門経済産業大臣賞を受賞しました。燃費向上のための自動車部品の高強度化による小型軽量化とともに、レアメタルの将来的な資源枯渇と価格高騰の懸念から、部品適用鋼材の省レアメタル化が求められております。「MSB20」を適用したマイルド浸炭歯車は、従来の浸炭歯車に対してレアメタル(クロムやモリブデン)の使用量をゼロとしつつ、強度の25%向上を達成しました。<建材>・当社は、木造住宅での鋼板使用量を拡大すべく開発を進めているスチールハウス工法で獲得した知見と技術を用いて、木造住宅向け金物の開発にも注力しています。当社は、住宅用金物メーカーの㈱タツミと共同で、接合金物として最適な素材と形状に進化させた木造住宅向け新型金物「TCW」を開発しました。TCWは、当社の「スーパーダイマ®」を使用して、従来の接合金物「テックワン®」に比べてコンパクトでありながら耐力向上を実現しました。・当社は覆工板「メトロデッキ®」を約50年ぶりに改良しました。「メトロデッキ®」は地下鉄工事をはじめ地下街の建設、地下配管工事等の各種路面掘削工事や仮設橋梁、作業構台等に使用されております。「メトロデッキ®」はスリップ防止のため、表面に格子模様の凹凸を付与しておりますが、凹部に雨水等が溜まりやすく水はけも悪いことから、雨天後も滑りやすくなる問題がありました。当社は、滑り抵抗値を15%向上させつつ、格子模様の凹凸を変更し、排水性を向上させ路面乾燥時間を1/5に短縮した新しい縞模様の「メトロデッキ®」を開発しました。当社は「メトロデッキ®」によって車両・建設機械の走行安全性の向上に貢献致します。<チタン>・当社が開発販売している意匠性の高い「TranTixxii®(トランティクシー)」が太宰府市のモニュメントや謙信公武道館(新潟県立武道館)の入り口庇屋根と正面入口のサイン、浄土宗大本山増上寺大殿の屋根瓦にそれぞれ採用されました。加えて、「TranTixxii®」は寺田倉庫株式会社が運営する画材ラボ「PIGMENT TOLYO」とのコラボレーションにより絵画用基底材カラーチタンパネルの提供を開始し、さらに富士フイルム製デジタルカメラのボディ外装に採用され、着実にその販路を広げております。「TranTixxii®」は当社独自の最先端技術によって、様々な色彩色調を実現可能な高い意匠性を持ち、さらに軽量で耐食性に優れた素材特性をも持ちます。今後も当社は、チタンの優れた特性を活用した様々な用途におけるニーズにお応えしてまいります。・当社と日鉄防食㈱はチタンの高い耐食性を活かして、鋼構造物へのチタン材適用拡大を推進しております。国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)の種子島宇宙センターで、チタン箔の優れた防食特性が評価され、チタン箔による防食工法が採用されました。種子島宇宙センターは、三方を海に囲まれることから塩害が非常に厳しい環境下にあります。防食工法が採用された箇所は、大型ロケット組立棟の扉上部のガイドレール部であり、腐食により扉の開閉に不具合が生じるとロケットの発射に支障をきたしうる非常に重要な箇所です。今回のチタン箔施工により、メンテナンスの省力化及びライフサイクルコストの低減とロケット発射の定時性への貢献が期待されています。・当社が開発したチタンローフィンチューブが、船舶用冷凍・冷蔵機器メーカーの日新工業㈱の漁船向け船舶用冷凍機の熱交換器に採用されました。チタンローフィンチューブは、チタン管表面に転造によりフィンを成形することで通常管に比べて2倍以上の伝達面積を実現した製品です。伝達面積を増やすことで、熱交換能力のアップとそれに伴う省スペース化に寄与し、さらにチタンの持つ優れた耐食性により海水やアンモニア等の腐食しやすい冷媒を使った船舶用冷凍機の熱交換器や空調設備に適用可能であり、漁船冷凍機の信頼性向上と長寿命化に貢献します。 <交通産機品>・当社が開発した中・大型商用車に使用される永久磁石式の補助ブレーキ装置(リターダ)が、第52回(令和元年度)市村産業賞において貢献賞を受賞しました。これは第53回(平成30年度)機械振興賞における機械振興協会会長賞に続く受賞であり、本技術水準及び産業上の有用性が高く評価されたものです。既存の流体式や電磁石式のリターダには装置寸法や重量、メンテナンス性に課題があり、国内ではほとんど使用されておりませんでした。当社は、ネオジウム磁石に着目し、その磁力を活用した小型軽量でメンテナンスフリーの世界初となる永久磁石式リターダを開発・実用化し、車重規制緩和、燃費改善、排気ガス規制、ドライバーの疲労軽減等の社会的なニーズに対応しております。当社は、世界唯一の永久磁石式リターダメーカーとして、海外販売や間接輸出により世界の交通安全や国産車両の競争力強化に貢献してまいります。・当社が開発した鉄道用低騒音歯車装置が、第54回(令和元年度)機械振興賞において機械振興協会会長賞を受賞しました。鉄道輸送は、エネルギー効率が高く、迅速かつ治療な輸送が可能であり、社会インフラとしての役割発揮が大きく期待されています。新幹線を中心に、輸送速度向上ニーズに応えるためには安全性、環境規制と乗り心地改善に向けた社内外の低騒音化が必要不可欠でした。特に、車外騒音は歯車装置から発生しており、その低騒音化が強く望まれていました。当社は、歯車噛み合い音の原因である振動起振力を従来品より1/6にする3次元歯車設計手法を確立するとともに、加工機メーカーと共同で開発したソフトにより高精度かつ高効率な歯面研削技術を開発し、鉄道輸送のさらなる高効率化に貢献してまいります。<製鉄プロセス等>・当社が開発した製鋼プロセス「YES」(Yawata Environment-friendly Smelter)が、平成31年度文部科学大臣表彰において科学技術賞(開発部門)を受賞しました。これは第64回(平成29年度)大河内賞 大河内記念生産特賞に続く受賞であり、本技術水準及び産業上の有用性が高く評価されたものです。転炉プロセスに合金鉄溶解炉プロセスを組み合わせたYESは炉底からアルゴンガス等を吹き込み、装入物の溶解と反応を促進させ、クロム含有のスクラップ、ダスト、スケール、転炉スラグを全量、さらに外部調達のクロム含有のスクラップのリサイクルが可能となり、環境面だけではなく生産性の向上とコスト削減が達成されます。・当社が開発したLEDドットパターン投影方式平坦度計を用いた高強度熱延鋼板の高精度製造技術が、第8回ものづくり日本大賞において製造・生産プロセス部門優秀賞を受賞しました。熱間圧延時の幅方向の伸び率不均等(平坦度)を高精度に測定し、圧延機をリアルタイムで制御して薄鋼板を製造する技術を開発しました。高輝度LEDで形成した光のパターン画像を処理することで、刻々と変化する圧延中の鋼板の瞬間的な形状をとらえ、圧延ロールの湾曲度と平行度を独立制御し、熟練した作業者の介入がなくても平坦度を自動修正することが可能になりました。同技術の開発により、水冷時温度むらや表面疵等の形状起因の不良発生が制御適用前に比べて約30%減少し、高強度鋼板の生産性と品質の向上が達成されました。<スラグ・セメント>・当社が展開するビバリー®シリーズのなかの、鉄鋼スラグによる多様な生態系サービスをもたらす海の森再生技術(ビバリー®ユニット)が、第52回(令和元年度)市村賞において市村地球環境産業賞を受賞しました。さらにビバリー®シリーズは、第2回エコプロアワードにおいて主催者賞(優秀賞)を受賞しました。ビバリー®ユニットは、製鋼スラグと腐植土を活用した海域向けの施肥材であり、多様な生態系サービスの提供と藻場(ブルーカーボン生態系)によるCO2吸収・固定による地球温暖化抑制に関する技術を開発・実用化しました。当社は2004 年からビバリー®ユニットによる海の森再生に着手し、北海道増毛町舎熊海岸で6tを埋設して海水の鉄濃度の上昇と藻場の再生(約0.6ha)を確認し、さらに2014年には同町別苅海岸で45tを埋設して約1.5haの藻場再生と1.8倍のウニ漁獲高の向上を確認しました。着実にビバリー®シリーズの生態系サービスへの有用性を実証しています。当社は、ビバリー®ユニットを全国38箇所に展開しており、調査した30箇所の再生藻場面積は約3.2haであり、ブルーカーボンとして固定化されたCO2は年間最大115tと試算しています。 (エンジニアリング)当セグメントに係る研究開発費は20億円です。日鉄エンジニアリング㈱における研究開発への取組みは以下のとおりです。・製鉄プラント分野 当社との共研を中心とした先進的製鉄プロセス関連の開発・環境分野 溶融炉競争力強化、土壌浄化技術の開発・エネルギー分野 オンサイト発電の高効率化/操業支援・海洋分野 海底パイプライン敷設の自動化・高速化・高品質化・建築分野 免制震デバイス商品の開発、次世代商品の探索・陸上パイプライン分野 陸上パイプライン溶接技術の開発 (ケミカル&マテリアル)当セグメントに係る研究開発費は41億円です。日鉄ケミカル&マテリアル㈱における研究開発への取組みは以下のとおりです。・コールケミカル製品、化学品、機能材料、複合材料等に関する研究開発 (システムソリューション)当セグメントに係る研究開発費は19億円です。日鉄ソリューションズ㈱における研究開発への取組みは以下のとおりです。・システムの構築・運用における品質及び生産性の向上・ITサービスの競争力強化、価値共創の取組み・IoT、AI・データ利活用領域への取組み
FY2019|6,765 文字
5 【研究開発活動】当社は、需要家のニーズや環境・エネルギー等に対する社会的ニーズが多様化するなかで、「技術先進性」の拡大を通じた利益成長に資する研究開発分野に対し、重点的に経営資源を投入しています。鉄鋼研究所、先端技術研究所及びプロセス研究所の3つの中央研究組織と各製鉄所に配置した技術研究部が強固な連携体制を構築し、「リサーチ・アンド・エンジニアリング」の理念のもと、基礎基盤研究から、応用開発、エンジニアリングまでの一貫した研究開発を推進しています。2018年4月には高度IT活用に関する研究機能強化のため、当社グループ内当該分野トップクラスの研究者を集結させた「インテリジェントアルゴリズム研究センター(略称:IA3センター 呼称:アイ・エー・キューブ)」を設立しました。当社の強みは、①研究開発とエンジニアリングの融合による総合力及び開発スピード、②需要家立地の研究開発体制と需要家ニーズに対する的確なソリューション提案力、③高度な基盤技術に基づく新技術の開発力、④製鉄プロセス技術を基盤とした環境・エネルギー課題への対応力、⑤産学連携、海外アライアンス及び需要家との共同研究です。これらの強みを活かし、鉄を中心とした新しい機能商品をはじめ、革新的生産プロセスの創出と迅速な実用化を図っています。当連結会計年度における当社及び連結子会社全体の研究開発費は720億円です。各セグメントの研究主要課題、成果及び研究開発費は次のとおりです。 (製鉄)当セグメントに係る研究開発費は628億円です。当社は、3地点の研究開発センター(富津市、尼崎市、波崎市)を軸に、①鉄鋼研究所では、鉄鋼材料・商品と利用技術・ソリューション研究開発、②先端技術研究所では、共通基盤技術研究及び新素材事業を中心とした製鉄以外のセグメント事業支援開発、③プロセス研究所では、設備エンジニアリングと設備保全技術開発を担当する設備・保全技術センターと密接な連携を図りながら製鉄プロセス関連の研究開発に取り組み、開発の短期化・効率化を目指し、鉄源コストの削減・基幹ラインの生産性の抜本的向上等の研究開発の加速化を進めてまいりました。<薄板>・当社は、次世代自動車とその要求性能を想定した、次世代自動車構造コンセプト「NSafe®-AutoConcept」を構築しました。本コンセプトでは先進的な素材開発に加え、性能を引き出すための最適な部品構造とそれを具現化する加工技術を組み合わせることにより、軽量化ソリューションを中心に、燃費・電費性能、走行・衝突安全性能、音振動・静粛性能に至るまで、自動車全体の付加価値向上策を提案するものです。今後も社会・産業の変化に対応した素材とソリューション提供を通じ、自動車産業のベストパートナーとしての役割を果たす努力を継続してまいります。・当社は、自動車部品の中でも複雑な形状でかつ成形が難しい骨格部品に適用可能な、高成形性980MPa級ハイテン(冷延・溶融亜鉛めっき鋼板)を開発し、日産自動車㈱が北米で発売した新型車に世界で初めて採用されました。同ハイテンは、緻密な成分設計と製造技術の確立により金属組織を最適化した結果、従来の590MPa級ハイテンと同等の成形性を有しています。本開発により当社は980MPa及び1,180MPa級両方の高成形性ハイテンを供給する世界初の鉄鋼メーカーとなります。今後もハイテンの機能向上を進め、自動車軽量化とお客様での価値創造に貢献してまいります。・当社は、マツダ㈱ (マツダ)と共同で1,310MPa級冷延ハイテン(1,310MPa級ハイテン)を用いた車体構造用冷間プレス部品の開発に取り組み、マツダ新型乗用車「MAZDA3」に世界で初めて採用されました。当社が1,310MPa級ハイテンの課題であるプレス成形性を解決する工法を提案し、マツダと共同で生産技術面、性能面の課題を解決したことで、1,310MPa級ハイテンが車体構造部品へ採用されました。・当社は、スパングル仕上げの溶融亜鉛めっき鋼板について、環境対応型クロメートフリー新商品「スパングルジンク™」として発売を開始しました。スパングル仕上げのめっき鋼板は主に建築物の空調ダクト用途にて使用されておりますが、鉛・六価クロム等環境負荷物質使用低減の社会的要請が高まっております。本製品はスパングル仕上げの鉛フリー化と表面処理のクロメートフリー化により、社会ニーズに応えた環境対応型新商品として実現したものです。今後も環境対応型商品の開発・販売により、環境にやさしい社会実現に貢献してまいります。・当社と東洋製罐㈱ (東洋製罐)は、共同で業界最軽量となるスチール缶を開発しました。開発した185g用スチール缶は従来缶に対して6%超の軽量化により業界最軽量を実現しました。この軽量化は従来の板厚0.185mmの鋼板に対し、成形時の破断原因となる介在物を低減した板厚0.170mmの極薄鋼板の開発に加え、東洋製罐の製缶プロセスの工夫により実現したものです。スチール缶の軽量化は、鋼板製造工程や輸送時のCO2排出量削減に寄与します。今後も地球環境に優しく、食品安全性に優れたスチール缶の開発に取り組んでまいります。・当社は、パナソニック㈱より同社商品のCO2削減や商品力強化に貢献し、特に優秀と認められた提案に贈られる「ECO・VC賞」の金賞を2010年度から9年連続で受賞しました。今回の受賞はモータのVA・高効率化を実現する新電磁鋼板シリーズの開発・提案による大幅なCO2削減が評価されました。今後も鉄の可能性を最大限引き出した新商品開発、シミュレーション技術による素材から加工方法まで一貫したご提案により、お客様のご要望にお応えしてまいります。<厚板>・当社が開発した衝突安全性に優れる船体用高延性厚鋼板NSafe®-Hullにより、深刻な海洋汚染をもたらす船舶事故時の油漏洩防止による環境保全への貢献が評価され、公益社団法人市村清新技術財団より第51回(2018年度)市村賞において市村産業賞貢献賞を、当社、今治造船㈱、国立研究開発法人海上・港湾・航空技術研究所の三者で共同受賞しました。同鋼板の適用により衝突時の破口に伴う油漏洩の危険性を大幅に低減可能で、生態系破壊の防止やその補償のための経済損失の低減に寄与します。<鋼管>・当社は、地球環境に配慮した油井管用ねじ継手新製品CLEANWELL® DRY STを開発し販売を開始しました。油田・ガス田掘削に使用される油井管は、鋼管をねじ継手で締結し使用されます。通常は締結箇所の焼付防止のため、環境負荷が大きいグリスが塗布されますが、そのグリスが海中に流出することが課題でした。本製品は固体潤滑被膜の活用により、グリスを使用しなくても、高い機能性(防錆性、耐焼き付き性、耐衝撃性、気密性及び繰り返し締結性)を有し、環境負荷物質の排出ゼロを実現したねじ継手です。さらに取扱い及びリペア等が容易なため、掘削能率向上による油田開発プロジェクト全体のコスト削減にも貢献します。・当社が開発した高圧水素用ステンレス鋼HRX19®は、70MPa級の高圧水素環境下で使用可能であり、溶接施工もできる世界で唯一の材料です。本鋼を溶接施工した配管を使って建設された水素ステーションの商用化が実現され、CO2 排出を大幅削減するための水素社会基盤構築に貢献してきました。その功績が高く評価され公益社団法人市村清新技術財団より第51回(2018年度)市村賞において市村地球環境産業賞貢献賞を、公益社団法人岩谷直治記念財団より第 45 回(2018年度)岩谷直治記念賞を受賞しました。いずれも環境・エネルギー分野において、顕著な産業上の貢献が認められる業績を表彰する賞であります。今後も世界最高の技術とものづくり力を追求し国連で採択された「持続可能な開発目標」(SDGs)にも合致した製品・サービスの提供を通じて、社会の発展に貢献してまいります。<棒線>・当社が開発した環境負荷低減型超ハイテン橋梁ケーブル用鋼線材が、大河内記念会の第65回(2018年度)大河内賞において大河内記念生産賞を受賞しました。今回の受賞は第47回(2014年度)市村賞における市村産業賞本賞、公益社団法人発明協会の2016年度全国発明表彰における日本経済団体連合会会長賞に続く受賞であり、本技術水準及び産業上の有用性が高く評価されたものです。今後も世界で計画される長大橋のみならず、構造物ロープや送電線などの交通・エネルギー分野への高強度ワイヤ素材供給を通じ、世界各国のインフラ整備に貢献してまいります。・当社は、燃費改善効果の高い中・小型自動車の無段変速機(CVT)に使用される、耐摩耗性に優れる肌焼き鋼を開発しました。CVTではプーリーと呼ばれる円錐状の金属部品でベルトを挟み、プーリーとベルトの摩擦力でトルクを伝達するため、部品に耐摩耗性が要求されます。そのため部品表層の炭素濃度を高める浸炭と呼ばれる表面硬化処理が行われますが、本開発鋼により同じ浸炭工程でも表層をより硬化させ耐摩耗性をより高めることが可能となりました。本開発鋼を用いた自動車部品は、CVT搭載車に広く使用され自動車の品質・信頼性向上に貢献しています。<建材>・当社は、日本集成材工業協同組合及び一般社団法人全国LVL協会と共同で「木鉄ハイブリッド耐火柱(本耐火柱)」を開発し商品化しました。国は国産木材の公共建築物への利用促進取り組みを進めていますが、一方で耐火構造が求められる建築物の場合、木材だけでは部材断面が大きくなる課題がありました。そこで角形の鋼管柱周囲をスギ材で被覆することで、木材の質感・温もりを生かし、小断面積で1時間の耐火性能を確保しつつ、木の温もりを持つスレンダーな柱が実現可能となりました。日本に広く生育するスギを用いた本耐火柱は、その質感に加え国産木材の利用促進するものであり、公共建築物を中心に広く普及することが期待されます。<チタン・特殊ステンレス>・当社と日鉄住金防蝕㈱(2019年4月1日付で日鉄防食㈱に商号変更)は、「明治期に建造された鋼製灯台への長期耐久性防食仕様の適用」におけるチタン箔を用いた防食工法への取り組みが評価され、国土交通省他主催の第二回(2018年度)インフラメンテナンス大賞優秀賞を受賞しました。静岡県の掛塚灯台は明治30年(1897年)の建造後120年経過した歴史ある建造物ですが、同工法適用により従来比で60年超の耐久性向上、及び約半分となったライフサイクルコストが高い評価を受け、今回の受賞に至ったものです。当社グループは、今後も海洋土木部門をはじめ様々な分野でインフラの長寿命化を実現し、社会基盤構築に貢献する製品・技術を提供してまいります。・当社は、高機能化が求められる電子デバイス機器等への使用に適した精密加工用ステンレス鋼板の製品ラインナップを「FYGRASTM」としてブランド展開を開始しました。近年、スマートフォンに代表される電子機器では、デバイスの多機能化や高密度化が進められ、優れた板厚精度や平坦性に加えて、フォトエッチングやレーザーカットといった精密二次加工にも優れたステンレス鋼板が求められています。本製品は、当社の材料造り込み技術により、最薄80ミクロン厚の鋼板内に1ミクロンクラスの超微細結晶粒を実現し、お客様に安心してご使用頂ける製品です。<交通産機品>・当社が開発した中・大型商用車に使用される永久磁石式の補助ブレーキ装置(リターダ)が、第53回(2018年度)機械振興賞において機械振興協会会長賞を受賞しました。当社は本製品開発を通じて、車重規制緩和、燃費改善、排気ガス規制、ドライバーの疲労軽減などの社会的ニーズへの対応を行ってまいりました。また補助ブレーキ装置の製品ラインナップの拡充、さらに軽量化による車両の燃費向上や磁石最少化によるレアアース原料使用削減など低環境負荷製品開発という新たな社会的使命に応える技術開発にも努めてまいりました。・当社は、㈱日立製作所 鉄道ビジネスユニット(以下鉄道BU)より、「Supplier of the Year 2018」を受賞しました。同賞は鉄道BUの全取引先の中から、品質・コスト・納入・開発などで、過去1年間最も貢献度が高いと評価された取引先に授与される賞であり、当社は、同社の鉄道車両向けへの車輪や車軸、台車等の高品質・高性能な鉄道車両品の長年にわたる納入、同社グローバルプロジェクトに対する積極的な協力への評価及び今後のパートナーシップ強化への期待より、今回の受賞となりました。今後もお客様のニーズに的確にお応えし、伸びゆく世界のインフラ事業に技術力と製品提案力で貢献してまいります。<製鉄プロセス等>・当社、当社子会社の日新製鋼㈱(2019年4月1日付で日鉄日新製鋼㈱に商号変更)及び新日鉄住金エンジニアリング㈱(2019年4月1日付で日鉄エンジニアリング㈱に商号変更)は、JFEスチール㈱、㈱神戸製鋼所と、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)による「環境調和型プロセス技術の開発/水素還元等プロセス技術の開発」(COURSE50)プロジェクトに参画し、高炉を使用した製鉄プロセスにて発生するCO2の排出量を約30%削減する技術開発に取り組んでいます。2008年開始の本プロジェクトは、10年間の第1開発段階(フェーズⅠ)を計画通り完了し、水素を活用した試験高炉操業及び世界トップレベルのCO2分離回収技術を実現しました。今後2030年の実用化を目指した技術開発に、現在も引き続き取り組んでおります。・当社は、2000年よりコークス炉化学原料化法によるプラスチックリサイクルに取り組んでおり、2008年に100万トン、2013年に200万トンと順調にリサイクルを進めてきましたが、このたび2018年11月14日に累計リサイクル量で300万トンを達成しました。コークス炉化学原料化法は、既存のコークス炉にてプラスチックを高温に加熱して得られる熱分解物を、製鉄原料、製鉄所内のエネルギーとしてほぼ100%有効利用するものであり、これまでの累計環境負荷削減効果は、CO2削減量としては約960万トン、埋立処分回避量として約1,200万m3となります。今後も本取組みを通じ、省エネ・CO2削減、循環型社会の形成に貢献してまいります。<スラグ・セメント>・当社は、製鉄工程で副次的に生産される製鋼スラグを原料とするカルシア改質材により、浚渫土を改質し海域での浅場造成資源として有効活用したこと、通常浚渫土改質に使用されるセメントに対してCO2を排出抑制したこと等の取組みが評価され、2018年度リデュース・リユース・リサイクル(以下3R)推進功労者等表彰において、3R推進協議会長賞を東亜建設工業㈱、君津市、千葉県漁業協同組合連合会と共同で受賞しました。今後も製鉄副産物及び建設副産物の有効活用の観点を含め、社会インフラ整備に幅広く貢献してまいります。 (エンジニアリング)当セグメントに係る研究開発費は25億円です。新日鉄住金エンジニアリング㈱(2019年4月1日付で日鉄エンジニアリング㈱に商号変更)における研究開発への取組みは以下のとおりです。・製鉄プラント分野 当社との共研を中心とした先進的製鉄プロセス関連の開発・環境分野 溶融炉競争力強化、バイオマス利用技術開発、土壌浄化技術の開発・エネルギー分野 オンサイト発電の高効率化/操業支援・海洋分野 海底パイプライン敷設の自動化・高速化・高品質化・建築分野 免制震デバイス商品の開発、次世代商品の探索・陸上パイプライン分野 陸上パイプライン溶接技術の開発 (ケミカル&マテリアル)当セグメントに係る研究開発費は49億円です。2018年10月に統合発足した日鉄ケミカル&マテリアル㈱における研究開発への取組みは以下のとおりです。・コールケミカル製品、化学品、機能材料、複合材料等に関する研究開発 (システムソリューション)当セグメントに係る研究開発費は16億円です。新日鉄住金ソリューションズ㈱(2019年4月1日付で日鉄ソリューションズ㈱に商号変更)における研究開発への取組みは以下のとおりです。・システムの構築・運用における品質及び生産性の向上・ITサービスの競争力強化、価値共創の取組み・IoT、AI活用領域への取組み
FY2018|5,101 文字
5 【研究開発活動】当社は、需要家のニーズや環境・エネルギー問題等の社会的ニーズが多様化するなかで、「技術先進性」の拡大を通じた利益成長に資する研究開発分野に対し、重点的に経営資源を投入しています。鉄鋼研究所、先端技術研究所及びプロセス研究所の3つの中央研究組織と各製鉄所に配置した技術研究部が強固な連携体制を構築し、「リサーチ・アンド・エンジニアリング」の理念のもと、基礎基盤研究から、応用開発、エンジニアリングまでの一貫した研究開発を推進しています。当社の強みは、①研究開発とエンジニアリングの融合による総合力及び開発スピード、②需要家立地の研究開発体制、③需要家のニーズに対する的確なソリューション提案力、④製鉄プロセス技術を基盤とした環境・エネルギー問題への対応力、⑤産学連携、海外アライアンス及び需要家との共同研究です。これらの強みを活かし、鉄を中心とした新しい機能商品をはじめ、革新的生産プロセスの創出と迅速な実用化を図っています。当連結会計年度における当社及び連結子会社全体の研究開発費は730億円です。各セグメントの研究主要課題、成果及び研究開発費は次のとおりです。 (製鉄)当セグメントに係る研究開発費は632億円です。当社は、3地点の研究開発センター(富津市、尼崎市、波崎市)を軸に、①鉄鋼研究所では、鉄鋼材料・商品と利用技術・ソリューション研究開発、②先端技術研究所では、共通基盤技術研究及び新素材事業を中心とした製鉄以外のセグメント事業支援開発、③プロセス研究所では、設備エンジニアリングと設備保全技術開発を担当する設備・保全技術センターと密接な連携を図りながら製鉄プロセス関連の研究開発に取り組み、開発の短期化・効率化を目指し、鉄源コストの削減・基幹ラインの生産性の抜本的向上等の研究開発の加速化を進めてまいりました。<薄板>・当社が開発した自動車外板用1,180MPa級冷延ハイテン、高穴広げ型980MPa級冷延ハイテン、連続フランジ工法などの超ハイテンおよびソリューション技術が、本田技研工業㈱(Honda)の新型軽乗用車「N-BOX」に採用されました。これらはHondaの研究開発を担う㈱本田技術研究所と連携のもとボディ部品に適用され、新型N-BOXの軽量化・高剛性化に寄与しています。今後も自動車の軽量化、価値向上に向け、超ハイテンやソリューション技術の開発、適用を幅広く進めてまいります。・当社は、パナソニック㈱より同社商品のCO2削減や商品力強化に貢献し、特に優秀と認められた提案に贈られる「ECO・VC賞」の金賞を平成22年度から8年連続で受賞しました。今回の受賞は耐食性・加工性に優れたスーパーダイマ®を原板とした高耐食性塗装鋼板の開発・提案が評価されました。本提案によりエアコン室外機用キャビネットの後塗装工程の省略を実現しました。今後、世界各拠点に順次展開されていく予定です。<厚板>・当社が開発した塗装周期延長鋼「CORSPACE®」が国内で最も塩害環境の厳しい沖縄の沖縄西海岸道路浦添北道路の「牧港高架橋」に採用されました。従来鋼の場合、腐食や塗装の剥がれによる定期的なメンテナンスが必要となりますが、「CORSPACE®」採用によりメンテナンス期間の短縮が見込まれます。今回、橋梁のライフサイクルコスト低減の観点から、鋼桁部全量(約350トン)に「CORSPACE®」が採用されました。今後も「CORSPACE®」の普及拡大を進め、社会・産業インフラを支える鋼構造物の寿命延長や維持管理費削減、塗装頻度削減による環境負荷軽減に貢献してまいります。<鋼管>・当社が開発した高圧水素用ステンレス鋼「HRX19®」は、溶接施工により70MPa級の高圧水素環境下で使用出来る唯一の材料であり、機械式継手の最大の課題であった水素漏れリスクを排除し、安全性向上を実現しております。当社グループは「HRX19®」の供給から水素ステーションの建設、高圧水素中での材料評価まで、水素社会の実現に必要不可欠なソリューションを提供しており、「HRX19®」は既に全国にある商用水素ステーションの約半数に採用されています。今後も、水素社会の実現に必要なインフラの構築の加速に貢献してまいります。<建材>・当社は、スチールハウス工法(NSスーパーフレーム工法®)用に開発した「高強度耐力壁」の用途の拡大に取り組んでおります。「高強度耐力壁」には当社が開発した高耐食性めっき鋼板「スーパーダイマ®」を使ったバーリング孔付き鋼板面材を使用しており、地震エネルギー吸収能力の大幅な向上を図ることができます。今後も「NSスーパーフレーム工法®」の進化を図っていくとともに、同工法の「短期間での現場施工」という特徴を活かしながら、幅広いインフラ整備に貢献してまいります。<チタン>・プレス成形性・溶接性・異方性等に優れた当社製「純チタンJIS1種材(TP270C)」がHondaの大型スポーツバイク「CBR1000RR SP」最新モデルの燃料タンク素材として採用されました。「CBR1000RR SP」はHonda/CBRシリーズの最上位モデルのスポーツバイクであり、公道用量産車での燃料タンク本体へのチタン採用は世界初となります。またエキゾーストシステムにも当社「純チタン2種材(TP340C等)」が採用され、軽量化に寄与しています。今後も二輪車および四輪車への価値向上へのソリューションの一環として、幅広い製品ラインアップ、研究開発力、デリバリー対応力によって、チタン製品の適用拡大を進めてまいります。・当社が開発した意匠性チタン製品「TranTixxii®」を使用したチタン複合板が中国江蘇省の江蘇大劇院 Jiangsu Grand Theatreに採用され、平成29年8月にオープンしました。江蘇大劇院は江蘇省最大の文化施設であり、当社チタン製品のこれまでの中国国内での採用実績に加え、優れた意匠性と、通常変色してしまうチタンを独自技術開発で変色しにくくした特性が高く評価され、本物件の外装での採用につながりました。今後もチタン製品の国内外の建築分野への普及に向け、引き続き尽力してまいります。・当社と日鉄住金防蝕㈱は、文化財等歴史的構造物へのチタン適用拡大を推進しております。このたび、善光寺/重要文化財の経蔵の耐震補強工事において、チタン箔シートが補強材の接合に採用されました。本件はチタン箔シートが重要文化財に初めて採用された事例となります。文化財では古材保護が重要視され、数百年単位の耐久性が必要とされることから、チタンが選ばれ文化庁に採用が認められました。今後もチタンの優れた特性を活かし歴史的構造物の耐震性・安全性向上及びライフサイクルコストの低減に貢献してまいります。・また、当社と日鉄住金防蝕㈱が開発した「チタン箔による防食工法」が第三管区海上保安本部の所管標識である静岡県の掛塚灯台で初めて試験的に採用されました。今後も海洋土木分野をはじめとした様々な分野で、ライフサイクルコストを低減し、さらなる長寿命化を実現して安心・安全な災害に強い社会基盤の構築に貢献する製品を提供してまいります。<交通産機品>・当社と当社の米国における鉄道用車輪・車軸の製造会社であるスタンダード・スチール社(SS社)は、高い品質と顧客対応力が評価され、米国TTX社より「Excellent Supplier 2016」を同時受賞しました。当社は平成16年の初受賞以来、11回目の受賞、SS社は賞創設以来、26回の連続受賞となります。今後も北米の車輪市場における高品質・高性能な車輪の供給を拡大し、お客様のニーズに応えてまいります。・当社の米国における鍛造クランクシャフト製造・販売事業会社であるインターナショナル・クランクシャフト社(ICI社)は、平成29年8月21日に操業開始25周年記念式典を開催しました。ICI社は、平成4年の第1ラインの操業開始後、米国マーケット需要に対応すべく生産能力を拡大し、平成27年には最新鋭の第4ラインの操業を開始しました。米国の鍛造クランクシャフト需要は、北米市場成長に加え、完成車輸入から現地生産化への切り替えの進展により、今後も成長が期待されます。ICI社は今後も米国マーケットでのクランクシャフト需要を捕捉してまいります。・当社の米国におけるクランクシャフト機械加工・販売事業会社であるニッポンスチール・アンド・スミキン・クランクシャフト社は、米国トラックメーカー最大手のナビスター・インターナショナル社(Navistar社)より、平成29年の「ダイヤモンド・サプライヤー・アワード(Diamond Supplier Award)」を受賞しました。本賞は、品質、納期、開発技術などで貢献をした上位2%のサプライヤーに贈られる賞で同社は初受賞となります。当社クランクシャフト事業は、一貫製造体制の構築及びお客様の幅広いニーズに応えるサービスを提供しております。今後も技術開発力・コスト競争力を高め、グローバルに事業を展開してまいります。・当社が開発した中・大型商用車に使用される永久磁石式の補助ブレーキ装置(リターダ)が、第7回「ものづくり日本大賞」において特別賞を受賞しました。車重規制緩和、燃費改善、排気ガス規制、ドライバーの疲労軽減などの課題を解決するリターダの普及により、商用車の安全・安心の確保に向け、今後も貢献してまいります。<製鉄プロセス等>・当社が開発した合金鉄溶解炉による「省資源・環境調和型・高生産性ステンレス製鋼プロセス」が、生産工学等における顕著な業績を表彰する大河内賞(第64回)において、最高賞である「大河内記念生産特賞」を受賞しました。本技術により、ステンレス鋼製造時に発生するクロム含有スクラップ・ダスト・スケールの全量リサイクル化を可能とするとともに、スラグ発生量のミニマム化、大量のエネルギーを消費して製造される合金鉄や生石灰の省資源化が可能となりました。また、本受賞に先立ち本技術は平成29年10月「資源循環技術・システム表彰 経済産業大臣賞」も合わせて受賞しております。<スラグ・セメント>・当社は、製鉄工程で副次的に生産される製鋼スラグを原料とするカルシア改質材により、浚渫土などの軟弱な泥土の有効活用に貢献しております。国土交通省四国地方整備局松山港湾・空港整備事務所から発注された東予港の埋立工事において、当社カルシア改質材が活用されました。東予港にて発生した浚渫土にカルシア改質材を混合・改質することで液状化に強いという特性が備わることにより、耐震強化岸壁の埋立工事の一部に活用されました。今後も建設副産物の有効活用の観点を含め、社会インフラ整備に幅広く貢献してまいります。 (エンジニアリング)当セグメントに係る研究開発費は28億円です。新日鉄住金エンジニアリング㈱における研究開発への取組みは以下のとおりです。・製鉄プラント分野 当社との共研を中心とした先進的製鉄プロセス関連の開発・環境分野 溶融炉競争力強化、バイオマス利用技術開発、土壌浄化技術の開発・エネルギー分野 オンサイト発電の高効率化/操業支援・海洋分野 海底パイプライン敷設の自動化・高速化・高品質化・建築分野 免制震デバイス商品の開発、次世代商品の探索・陸上パイプライン分野 陸上パイプライン溶接技術の開発 (化学)当セグメントに係る研究開発費は34億円です。新日鉄住金化学㈱における研究開発への取組みは以下のとおりです。・人造黒鉛電極用ニードルコークス及び各種炭素材料、機能樹脂材料、フレキシブル回路基板材料、液晶ディスプレイ材料、有機EL材料、エポキシ樹脂材料 (新素材)当セグメントに係る研究開発費は18億円です。新日鉄住金マテリアルズ㈱における研究開発への取組みは以下のとおりです。・金属箔、ボンディングワイヤ、はんだマイクロボール、球状フィラー、CMPパッドコンディショナー、HIP、炭素繊維及び炭素繊維複合材、メタル担体等の分野に関する研究開発 (システムソリューション)当セグメントに係る研究開発費は16億円です。新日鉄住金ソリューションズ㈱における研究開発への取組みは以下のとおりです。・システムの構築・運用における品質及び生産性の向上・ITサービスの競争力強化、価値共創の取組み・IoT、AI領域への取組み
FY2017|6,906 文字
6 【研究開発活動】当社は、需要家のニーズや環境・エネルギー問題等の社会的ニーズが多様化するなかで、「技術先進性」の拡大を通じた利益成長に資する研究開発分野に対し、重点的に経営資源を投入しています。鉄鋼研究所、先端技術研究所及びプロセス研究所の3つの中央研究組織と各製鉄所に配置した技術研究部が強固な連携体制を構築し、「リサーチ・アンド・エンジニアリング」の理念のもと、基礎基盤研究から、応用開発、エンジニアリングまでの一貫した研究開発を推進しています。当社の強みは、①研究開発とエンジニアリングの融合による総合力及び開発スピード、②需要家立地の研究開発体制、③需要家のニーズに対する的確なソリューション提案力、④製鉄プロセス技術を基盤とした環境・エネルギー問題への対応力、⑤産学連携、海外アライアンス及び需要家との共同研究です。これらの強みを活かし、鉄を中心とした新しい機能商品をはじめ、革新的生産プロセスの創出と迅速な実用化を図っています。当連結会計年度における当社及び連結子会社全体の研究開発費は691億円です。各セグメントの研究主要課題、成果及び研究開発費は次のとおりです。 (製鉄)当セグメントに係る研究開発費は596億円です。当社は、3地点の研究開発センター(富津市、尼崎市、波崎市)を軸に、①鉄鋼研究所では、鉄鋼材料・商品と利用技術・ソリューション研究開発、②先端技術研究所では、共通基盤技術研究及び新素材事業を中心とした製鉄以外のセグメント事業支援開発、③プロセス研究所では、設備エンジニアリングと設備保全技術開発を担当する設備・保全技術センターと密接な連携を図りながら製鉄プロセス関連の研究開発に取り組み、開発の短期化・効率化を目指し、鉄源コストの削減・基幹ラインの生産性の抜本的向上等の研究開発の加速化を進めてまいりました。<薄板>・当社のマレーシアにおける電気亜鉛めっき鋼板製造・販売会社であるN-EGALV社は、インドネシアのパイオニア エレクトロニクス アジアセンター社より品質管理・環境対策・コスト競争力・デリバリー対応・技術開発・サービス提供の項目で著しい貢献のあったサプライヤー社に贈られる「Best Supplier Award 2016」を受賞しました。・当社は、パナソニック㈱より同社商品のCO2削減や商品力強化に貢献し、特に優秀と認められた提案に贈られる「ECO・VC賞」の金賞を平成22年度から7年連続で受賞すると共に、本年新設された「特別貢献賞」も受賞致しました。今回の受賞は、コンプレッサーVA・高効率化とスクラップリサイクルを両立した新電磁鋼板の提案が評価されました。<厚板>・当社が開発した衝突安全性に優れた高延性造船用鋼板「NSafe®-Hull」を採用した今治造船㈱建造の大型ばら積み船が、一般財団法人日本海事協会から「Class Notation(HP-HDS)」を世界で初めて取得し、また本取得に当たり、当社は同協会から、当鋼材が従来鋼の規定要求値より5割以上の高い伸び特性を有する鋼板として、「KD36-HD50等の認証」を取得しました。また被衝突安全性に優れた船体用高延性鋼の開発と実船適用として「日本船舶海洋工学会賞」を、当社、今治造船㈱、国立研究開発法人海上・港湾・航空技術研究所 海上技術安全研究所及び一般財団法人日本海事協会の四者で共同受賞しました。・当社が開発した原油タンカー用高耐食性鋼板「NSGP®-1」及び「NSGP®-2」が、JXオーシャン㈱の原油タンカーに、SOLAS条約改正後世界で初めて同時採用されました。また、当社は「NSGP®-1」及び「NSGP®-2」専用溶接材料も開発し、構造物としての信頼性向上に寄与しています(製造販売:日鐵住金溶接工業㈱)。・当社が開発した塗装周期延長耐食鋼「CORSPACE®」を用いたアンローダー設備を当社名古屋製鐵所に設置しました。「CORSPACE®」の適用で、同じ塗装条件・使用環境下での塗膜欠陥部における鋼材腐食量や塗膜剥離面積が従来鋼に比べ大幅に抑制されます。また、当社は「CORSPACE®」専用溶接材料も開発し、構造物としての信頼性向上に寄与しており(製造販売:日鐵住金溶接工業㈱)、今後も「CORSPACE®」の普及拡大を進め、塩害が厳しい環境で使用される社会・産業インフラを支える鋼構造物の寿命延長や維持管理費削減、塗装頻度削減による環境負荷軽減に貢献します。・当社が開発した耐摩耗鋼ブランド「ABREX®」は、世界最高級の硬さを有するABREX600に加え、最薄4㎜の板厚から製造可能であるなど、お客様のニーズに応じ幅広い製品群を有しており、当社製鉄所内の設備をはじめ当社グループ各社での使用を伸ばすとともに、建設機械や産業機械を通じ、アジア・オセアニア・北中南米への展開を図っております。<棒線>・当社は、公益社団法人発明協会による平成28年度全国発明表彰において「環境負荷軽減型超ハイテンPWS用鋼線材の発明」にて「日本経済団体連合会会長賞」を受賞しました。全国発明表彰は、発明の奨励・育成を図り、我が国科学技術の向上と産業の発展に寄与することを目的として行われている伝統と権威のある賞です。・当社とジェイ-ワイテックス㈱は、高機能商品群「XSTEELIA®」の高耐食性めっき線「タフガード®」の硬鋼線タイプとして「タフガード®ハード」を共同開発しました。これにより「タフガード®フロスト」「タフガード®マイルド」と合わせ、めっき線の全領域をカバーすることが可能となります。当鋼材は、従来の亜鉛めっき線と比較し塩水噴霧試験及び野外暴露試験で約8倍の耐食性を持ち、関連製品・設備の飛躍的な長寿命化によるコスト低減を図ることができます。さらに取替え頻度の削減による労働力不足の緩和や産業廃棄物の排出減など社会的ニーズにも応えることが可能になりました。<鋼管>・当社、日鉄住金鋼管㈱、㈱エイチワンは共同で、自動車軽量化の画期的技術である角型鋼管による3次元熱間曲げ焼入れ(3DQ)技術を用いて、自動車のボディ骨格部品であるフロントピラーの開発に世界で初めて成功しました。このフロントピラーは、従来よりも優れた前方視認性に加え、乗員の安全性と部品の軽量化を両立する1,500MPa級の高強度及びボディの骨格部品に求められる高い形状精度を兼ね備えています。今後、3DQ技術をフロントピラーだけでなくボディ骨格全体にまで拡大し、その採用を自動車メーカーに積極的に提案してまいります。当社、日鉄住金鋼管㈱及び㈱エイチワンの各社は、今後も運転の快適性と衝突安全性を確保しながら、CO2削減に大きく寄与する車体の軽量化に徹底して取組み、地球と人に優しい車づくりに貢献していく方針です。・㈱日本製鋼所が商用化する高耐久化加工技術を確立した燃料電池車水素ステーション用のTYPE Ⅰ鋼製蓄圧器に、当社のシームレス鋼管が採用され、従来からの高耐久性と大幅なコストダウンを両立した、新たなTYPE Ⅰ鋼製蓄圧器を開発しました。また、同社新開発の圧縮機と蓄圧器を組み合わせた小型パッケージの高圧水素部位の配管や溶接継手類には当社が開発した「高圧水素用ステンレス鋼HRX19®」が採用されています。今後も、鉄鋼関連2社で材料供給からステーション機器製造まで一貫した連携を図り、水素社会の実現に向けて貢献してまいります。<建材>・㈱技研製作所と当社が共同開発した「ジャイロプレス工法®」による鋼管径2,000㎜の大径杭が、北海道における広域河川改修事業の護岸工事の一部に初めて採用されました。今後もジャイロプレス工法の特長を生かし、特に防災・減災分野で求められている狭隘域における壁高の大きな護岸や道路擁壁等大型壁構造物への適用を図ってまいります。・当社は、急速施工と構造合理化によるコスト削減が可能な鋼矢板をインドネシアで普及させるべく、鋼矢板の設計・施工法に関するインドネシア語版のガイドラインを、バンドン工科大学と発刊しました。また、当社が編集に参画した建築分野での鋼構造の普及に向けた鋼構造の教科書「Struktur Baja」がペリタハラパン大学より発刊されました。今後も現地大学等との連携を深め、現地エンジニア等へ鋼構造の設計・施工に関する認知度を拡大することにより、同国のインフラ整備に貢献してまいります。・当社が開発した1枚ものの熱延鋼矢板としては世界最大の幅を有しているハット形鋼矢板が、急速かつ安定した施工を実現できること、設計において断面性能の低減が不要であること、またサイズが豊富であることから、シンガポールAVENUE ENGINEERING社により建設が進められている公益企業庁発注の雨水幹線 LUCKY HEIGHT WATER DRAINAGEの土留め壁向け、およびオーストラリアMcConnell Dowell社により建設が進められている南オーストラリア州政府交通インフラ計画庁発注の道路トンネルO-BAHN CITY ACCESS PROJECTの土留め壁向けに採用されました。今後もアジア大洋州等の海外建設市場において当社製品・ソリューションの適用をさらに進め、質の高いインフラの整備に貢献してまいります。<チタン・特殊ステンレス>・当社が開発した意匠性チタンの製品ブランド「TranTixxii™」は、優れた耐変色性に加え、無塗装のカラーリング技術により、100種類以上のカラーバリエーションを有し、ロールダル仕上げ、ブラスト仕上げ、Hyperbeta™といった表面テクスチャーとの組み合わせで表現の自由度があり、今後「TranTixxii™」の製造・販売を通じて、チタン素材の優れた特性に素材の美しさを付加し、ものづくり・デザインの可能性の拡大、ライフサイクルコストの低減、環境・文化の保全、軽量化・安全性の向上に貢献してまいります。・当社が開発した変色しにくい「耐変色チタン」が世界で初めて大分銀行ドーム屋根に採用されてから15年が経過し、この度、屋根の色調経年変化の調査を実施したところ、美麗かつ健全なチタン表面を保った状態であることが確認され現在も良好な耐変色性能を発揮していることを実証しました。・プレス成形性・溶接性・異方性等の加工性に優れた新日鐵住金製「純チタンJIS1種材(TP270C)」が本田技研工業㈱のモトクロッサー「CRF450R」最新モデルの燃料タンク素材として採用されました。今回の燃料タンク本体へのチタン材採用は量産二輪では世界初となります。タンク主要素材である樹脂と比較して軽量化にも寄与しております。また、当社が開発したチタン合金「Super-TIX®10CU」が日産自動車㈱の新型スポーツカー「GT-R」のエキゾーストシステムに採用されました。この合金はチタンに1.0%の銅(Cu)を添加し、酸素を低減したもので、純チタンと同等の室温加工性を持ちながら、高温強度に優れています。今後も二輪車および四輪車への価値向上へのソリューションの一環として、幅広い製品ラインアップ、研究開発力、デリバリー対応力によって、チタン製品の適用拡大を進めてまいります。・当社と日鉄住金防蝕㈱が開発した「チタンカバー・ペトロラタム被覆工法(TP工法)」が第十一管区海上保安本部の所管標識である沖縄県の小浜航路第三号灯標で初めて試験的に採用されました。今後も海洋土木分野をはじめとした様々な分野に、ライフサイクルコストを低減し、更なる長寿命化を実現して安心・安全な災害に強い社会基盤の構築に貢献する製品を提供してまいります。・当社は「排気ガスケット用高機能ステンレスばね鋼板の開発」で日本ばね学会より、日本ばね学会賞「技術賞」を㈱本田技術研究所と共同受賞しました。日本ばね学会賞「技術賞」は、ばね技術の進歩に大きく貢献する独創的で優れた技術に対して授与される賞です。本製品は複数の自動車メーカーの排気系ガスケット材として採用されており、自動車の燃費向上や環境負荷軽減に貢献しております。<交通産機品>・当社の米国における鍛造クランクシャフトの製造・販売会社インターナショナル・クランクシャフト社(International Crankshaft Inc.)は、北米ホンダ社より「Excellence in Value 2015」 を初受賞しました。本賞は、北米ホンダ社のサプライヤー・カンファレンスにおいて、クオリティ、デリバリー、バリューの3つの分野からめざましい業績を上げたサプライヤーに贈られ、北米約650社のホンダ社のサプライヤーの中で27社がこの賞に選出されました。・当社と当社の米国における鉄道用車輪・車軸の製造会社スタンダード・スチール社(Standard Steel, LLC)は、高い品質と顧客対応力が評価され、米国TTX社より「Excellent Supplier 2015」を同時受賞しました。当社は平成16年の初受賞以来、10回目の受賞、スタンダード・スチール社(Standard Steel, LLC)は賞の創設以来、25回の連続受賞となります。今後は、南米や豪州をはじめとした、高荷重貨車用車輪へのニーズが高まっている世界市場への拡販も積極的に行ってまいります。・当社の中国における鍛造クランクシャフト製造・販売会社である恵州住金鍛造有限公司は、中国ゼネラルモーターズ社より平成27年の「Excellent Quality Award」を受賞しました。また、インドSMI Amtek Crankshaft社(SMI AMTEK CRANKSHAFT PRIVATE LIMITED)も同様に、インドゼネラルモーターズ社より同賞を受賞しました。2社とも安定的に高品質の製品を継続供給してきたことが高く評価され、昨年に続く2年連続受賞です。今後もこれまでの安定した品質・正確な納期対応に加え、エンジン設計にまで踏み込んだクランクシャフトの形状提案等で自動車メーカーのニーズに応えてまいります。・当社が開発した中大型商用車に使用される永久磁石式の補助ブレーキ装置(リターダ)が、「平成29年度 文部科学大臣表彰 科学技術賞(開発部門)」を受賞しました。本賞は科学技術に関する開発、理解増進等において顕著な成果を収めたものの功績を讃える賞であり、当社は平成19年度から11年連続での受賞になります。<製鉄プロセス等>・当社は、㈱IHIとともに、「国内微粉炭火力へのバイオマス混焼拡大への先進的な取り組み」で、一般財団法人新エネルギー財団の平成28年度「新エネ大賞」経済産業大臣賞を受賞しました。「新エネ大賞」は、新エネルギーに係る商品及び新エネルギーの導入、あるいは普及啓発活動の中から優れたものを表彰するものです。経済産業大臣賞は新エネ大賞の最高賞です。当社は、今後も木質バイオマス資源の活用を通じて、省エネルギー、CO2排出削減に取り組んでいくとともに、森林の整備、雇用の創出を通じて地域経済の活性化等に貢献してまいります。 (エンジニアリング)当セグメントに係る研究開発費は35億円です。新日鉄住金エンジニアリング㈱における研究開発への取組みは以下のとおりです。・製鉄プラント分野 既存商品の拡大展開や先進的製鉄プロセスを目指した開発・環境分野 溶融炉の競争力強化に向けた開発、バイオマス利用技術開発、土壌浄化技術の開発・エネルギー分野 オンサイトエネルギー供給の熱回収高効率化の開発・海洋分野 海底パイプライン敷設の自動化・高速化・高品質化の開発・建築分野 免制震デバイス商品の開発・陸上パイプライン分野 陸上パイプライン溶接技術の開発 (化学)当セグメントに係る研究開発費は23億円です。新日鉄住金化学㈱における研究開発への取組みは以下のとおりです。・人造黒鉛電極用高耐久性ニードルコークス及び炭素材新規応用技術、ディスプレイ向け有機EL材料、フレキシブル回路基板用無接着型銅張積層板、エポキシ樹脂材料、高機能電池材料、次世代自動車対応材料等の開発 (新素材)当セグメントに係る研究開発費は17億円です。新日鉄住金マテリアルズ㈱における研究開発への取組みは以下のとおりです。・金属箔、ボンディングワイヤ、ハンダマイクロボール、球状フィラー、CMPパッドコンディショナー、HIP、炭素繊維及び炭素繊維複合材、メタル担体、SiC単結晶ウェハ等の分野に関する研究開発 (システムソリューション)当セグメントに係る研究開発費は18億円です。新日鉄住金ソリューションズ㈱における研究開発への取組みは以下のとおりです。・情報システムの高度化、知的作業支援、ワークスタイル変革の促進、システムの構築・運用における品質及び生産性の向上
FY2016|5,674 文字
6 【研究開発活動】当社は、需要家のニーズや環境・エネルギー問題等の社会的ニーズが多様化するなかで、「技術先進性」の拡大を通じた利益成長に資する研究開発分野に対し、重点的に経営資源を投入しています。鉄鋼研究所、先端技術研究所及びプロセス研究所の3つの中央研究組織と各製鉄所に配置した技術研究部が強固な連携体制を構築し、「リサーチ・アンド・エンジニアリング」の理念のもと、基礎基盤研究から、応用開発、エンジニアリングまでの一貫した研究開発を推進しています。当社の強みは、①研究開発とエンジニアリングの融合による総合力及び開発スピード、②需要家立地の研究開発体制、③需要家のニーズに対する的確なソリューション提案力、④製鉄プロセス技術を基盤とした環境・エネルギー問題への対応力、⑤産学連携、海外アライアンス及び需要家との共同研究です。これらの強みを活かし、鉄を中心とした新しい機能商品をはじめ、革新的生産プロセスの創出と迅速な実用化を図っています。当連結会計年度における当社及び連結子会社全体の研究開発費は684億円です。各セグメントの研究主要課題、成果及び研究開発費は次のとおりです。 (製鉄)当セグメントに係る研究開発費は593億円です。当社は、3地点の研究開発センター(富津市、尼崎市、波崎市)を軸に、①鉄鋼研究所では、鉄鋼材料・商品と利用技術・ソリューション研究開発、②先端技術研究所では、共通基盤技術研究及び新素材事業を中心とした製鉄以外のセグメント事業支援開発、③プロセス研究所では、設備エンジニアリングと設備保全技術開発を担当する設備・保全技術センターと密接な連携を図りながら製鉄プロセス関連の研究開発に取り組み、開発の短期化・効率化を目指し、鉄源コストの削減・基幹ラインの生産性の抜本的向上等の研究開発の加速化を進めてまいりました。<薄板>・当社は、さらなる自動車軽量化等の市場ニーズに応えるべく590・780MPa級熱延ハイテン鋼板及び780MPa級熱延原板合金化溶融亜鉛めっきハイテン鋼板を開発致しました。これらのハイテン鋼板は、疲労特性・加工性・外観に優れ、成分設計と高度な温度制御で従来製品を上回る疲労特性を実現し、ホイール部品等の外観に厳格な品質を要求されるものにも適用可能となりました。これらにより自動車におけるハイテン適用範囲が拡がり、自動車軽量化のさらなる進展に貢献すると考えております。・当社は、パナソニック㈱より同社商品のCO2削減や商品力強化に貢献し、特に優秀と認められた提案に贈られるECO・VC賞の金賞を2010年度から6年連続で受賞致しました。今回の受賞は、フラグシップ・汎用モデル別設計の液晶TV下フレーム部品において、当社の剛性・強度・プレスCAE解析支援に基づく設計変更反映、形状に合わせた最適鋼材提案が評価されました。<厚板>・当社は、造船向け鋼材として、厳格な超音波探傷検査方法に対応する脆性亀裂伝播停止特性(BCA)と脆性亀裂発生特性(CTOD)の両方の特性を併せ持つ鋼材を開発し、世界5大船級の一つであるDnV-GL船級協会から世界で初めて承認を取得致しました。これによりコンテナ船の安全性をより高い次元で実現するだけでなく、国際船級協会連合(IACS)が規定する厳格検査プロセスの簡素化を図ることが可能となり、建造の効率化、コスト低減に寄与します。・当社は、原油タンカー用高耐食性厚鋼板「NSGP®-1」を世界で初めて開発・実用化し、さらに2014年には、原油タンカー用高耐食性厚鋼板「NSGP®-2」が世界で初めてタンク天井部用として船級承認を取得しました。この豊富な開発・実用化の知見をもとに、貨物倉の腐食を大幅に低減することができる厚鋼板「NSGP®-3」を開発し、今治造船㈱のグループ会社である多度津造船㈱で建造されたばら積み貨物船に初めて採用されました。これら造船耐食鋼は、溶接や加工を従来の鋼材とまったく同様に施すことが可能です。・当社が開発した高延性造船用鋼板「NSafe®-Hull」は、従来の施工性を維持しながら、高い延び性を有することにより、船舶の衝突安全性を高めることができる新しい鋼板です。船舶側面から衝突された際に穴が開くまでの衝撃吸収エネルギーが約3倍となり、浸水防止や貨物保護、深刻な環境汚染につながる油流出の防止の役割を担うことが可能です。・当社が開発した耐摩耗鋼ブランド「ABREX®」の低温靱性タイプで最高級グレードのABREX®500LT並びに標準タイプのABREX®450及びABREX®500の製造可能板厚を大幅に拡大し、お客様のニーズにきめ細かくお応えする体制を整えました。・当社が開発した塗装周期延長耐食鋼「CORSPACE®」が国土交通省新技術情報提供システム(NETIS)に登録されました。この鋼材は、塗膜欠陥部における鋼材腐食量を従来鋼に比べ大幅に抑制することでライフサイクルコスト縮減が期待でき、耐候性鋼橋梁の適用ができない沿岸地域や、凍結防止剤散布の影響を受ける部位で特に効果を発揮し、鋼構造物インフラの寿命延長、維持管理費削減及び塗装頻度削減による環境負荷軽減に貢献します。・当社が開発した橋梁用高降伏点鋼板(SBHS)は、JIS規格化後、各種鋼橋設計要領書等に掲載され普及促進の環境が整いました。制御冷却プロセスを駆使した組織制御技術を用いることで、一般的な橋梁用溶接構造用圧延鋼材(JIS G3106)と比較して高強度・高靭性を示す耐候性仕様のSBHS500Wが、奈良県十津川村に完成した沼田原橋に初めて採用されました。 <棒線>・棒線事業ブランド「SteeLinC®」のもと、当社の特徴ある製品・利用技術の活用を通じて、高強度・軽量化、工程省略・易加工性及び環境対応といったお客様のニーズにお応えし、世界経済の成長や循環型社会の構築に貢献すべく、高機能商品群「XSTEELIA®」の開発を強化しています。例えば、従来品に比べ耐食性を約5倍に向上させ、曲げ加工部や溶接部の耐食性にも優れためっき線「タフガード®マイルド」は、インフラの長寿命化、メンテナンスフリー化によるライフサイクルコスト低減に貢献します。また、線径5.0mm以下の線材商品「細径線材」のラインナップ拡充は、太陽光発電用シリコンウェハーの切断用ワイヤーの需要拡大や、工程省略・省エネルギーニーズに貢献します。今後も幅広い分野に貢献できる商品・技術の開発を進めてまいります。<鋼管>・当社の優れた製品供給力、商品開発力及び付加価値提案力が高く評価され、オランダのロイヤル・ダッチ・シェル社より石油・ガス掘削事業への貢献度の高いサプライヤーに対して与えられる「グローバルパートナーアワード」を住友商事㈱と共同で受賞致しました。今回、本賞を受賞した鋼管メーカーは、当社が唯一となります。・高い耐水素脆性、高強度特性及び優れた溶接施工性の3つの特長を有する高圧水素用ステンレス鋼「HRX19®」が、東京ガス㈱の「浦和水素ステーション」及び「千住水素ステーション」において、機械式継手に代わる溶接施工法として世界で初めて採用されました。「HRX19®」と溶接継手を採用することにより、設備がコンパクト化され、鋼材重量が削減されるだけでなく、振動等による継手部の漏洩リスクも低減され、高い保全性・安全性向上を確保できます。・当社は、九州工業大学大学院特任教授・増山不二光先生とともに、一般財団法人材料科学技術振興財団の「山崎貞一賞」を受賞致しました。本賞は、先端的な科学技術分野における新材料に関する基礎的研究を行うとともに、新材料の解析・評価を実施すること等により我が国の経済社会の発展と国民生活の向上に寄与した研究者に授与される賞です。受賞理由は、火力発電ボイラに適した高温で耐クリープ強度が高く、かつ耐酸化性・耐疲労性に優れた伝熱管として共同開発した2Cr~12Crフェライト系耐熱鋼4鋼種(HCM2S,HCM9M,HCM12,HCM12A)の材料研究開発及び実用化並びに国際標準化及び寿命評価のための研究の功績です。<建材>・当社は、高耐食性めっき鋼板「スーパーダイマ®」を使用した溶接軽量H形鋼「SDスマートビーム®」を開発・商品化致しました。フランジの厚さ9mm(従来は6mm以下)までのプレめっきのH形鋼が製造可能となり、後めっき品に対するトータルコストダウン、工期短縮を図ることができます。・当社とNSハイパーツ㈱は、名古屋工業大学の協力を得て、当社独自のスチールハウス工法「NSスーパーフレーム工法®」向けの「高強度の耐力壁」を共同で開発致しました。耐力壁の鋼板面材には、「スーパーダイマ®」にバーリング孔加工を施し、地震エネルギーの吸収能力向上を図ることで、従来よりも高層・大スパンの建物が建設可能となり、当社の4階建て社宅や関連会社の平家厚生施設に採用されました。今後は老朽更新時期を迎える企業の社宅・寮や高齢化に伴い益々増加が予想される介護老人保健施設向け建物を中心に、将来的には公共住宅での採用も目指してまいります。・当社が開発したハット形鋼矢板+H形鋼工法が、シンガポール陸上交通庁発注の地下鉄駅舎建設工事において、初めて仮設土留め壁向けとして採用されました。海外建設市場においても幅広く提案活動を行い、各国のインフラ整備に貢献してまいります。・近年のインフラの補強・更新工事や都市内の再開発工事の増加等に伴い、鋼管杭の現場溶接が不要で短時間接合が可能な機械式継手へのニーズが高まっています。こうした状況下、当社は、継手構造のコンパクト化・軽量化を図りつつ、現場接合と管理が容易で、大径、厚肉、高強度鋼管への対応が可能な機械式継手「ガチカムジョイント®」を開発し、一般財団法人土木研究センターの建設技術審査証明を取得致しました。<チタン・特殊ステンレス>・当社は、チタン合金の基礎研究から実用化、市場開拓までの一貫した研究開発、またそれらの成果として当社が独自開発したチタン合金Ti-5Al-1Feが自動車エンジンに採用されたこと等が評価され、「本多フロンティア賞」を受賞致しました。本賞は、物理冶金学の創始者である故本多光太郎博士を顕彰するために設立された、金属とその周辺材料に関する研究を行い、画期的な発見又は発明を行った研究者に贈られる賞です。・当社は、燃料電池内基幹部品における腐食環境に対して優れた耐食性を有する特殊圧延チタン箔の製造方法を開発し、トヨタ自動車㈱の燃料電池自動車「MIRAI」の燃料電池部品に採用されました。将来期待される水素社会の一翼を担う、先進性の高い事業分野への進出を加速し、チタン製品の新たな需要分野を開拓し、適用拡大を進めます。・当社が開発した亜熱帯・高波浪地域における信頼度の高い長期耐久性防食工法であるチタンカバー・ペトロラタム被覆工法が、沖縄県の公共案件である名護漁港、池間漁港及び阿嘉漁港の護岸の保全・改良工事における既設鋼矢板・鋼管矢板向けで初めて大規模採用されました。本工法は、海洋土木分野をはじめとした様々な分野におけるライフサイクルコストのミニマム化を実現し、安心・安全な社会基盤の構築に貢献します。<交通産機品>・「第46回市村産業賞貢献賞」を受賞した鉄道車両用アクティブサスペンションが、より安全で快適な乗り心地を実現した技術として評価され、北陸新幹線のグランクラスに採用されました。高速鉄道車両の横揺れを低減させたワンランク上の乗り心地を提供しています。 <製鉄プロセス等>・脱燐処理の高効率化や低コスト化、高生産対応としてスクラップの多量溶解を可能にする当社の画期的な製鋼プロセスが、公益財団法人大河内記念会の「第61回(平成26年度)大河内記念生産賞」受賞に続き、エコプロダクツ®製品の量産可能な多機能統合型転炉法として、「平成28年度科学技術賞(開発部門)の文部科学大臣表彰」を受賞致しました。本賞は、科学技術に関する開発及び理解増進等において顕著な成果を収めたものの功績を称える賞であり、当社は平成19年度から10年連続での受賞になります。 (エンジニアリング)当セグメントに係る研究開発費は33億円です。新日鉄住金エンジニアリング㈱における研究開発への取組みは以下のとおりです。・製鉄プラント分野 既存商品の拡大展開や先進的製鉄プロセスを目指した開発・環境分野 溶融炉の競争力強化に向けた開発、バイオマス利用技術開発・エネルギー分野 オンサイトエネルギー供給の熱回収高効率化の開発・海洋分野 海底パイプライン敷設の自動化・高速化・高品質化の開発・建築分野 省エネルギー技術、免震デバイス商品の開発・陸上パイプライン分野 施工コストダウンの開発 (化学)当セグメントに係る研究開発費は25億円です。新日鉄住金化学㈱における研究開発への取組みは以下のとおりです。・人造黒鉛電極用高耐久性ニードルコークス、ディスプレイ向け有機EL材料、液晶カラーフィルター材料、フレキシブル回路基板用無接着型銅張積層板、ハロゲンフリーエポキシ樹脂材料等の開発 (新素材)当セグメントに係る研究開発費は16億円です。新日鉄住金マテリアルズ㈱における研究開発への取組みは以下のとおりです。・金属箔、メタル担体、CMPドレッサー、HIP、炭素繊維及び複合材、ボンディングワイヤ、ハンダボール、球状フィラー、SiC事業化開発等の分野に関わる研究開発 (システムソリューション)当セグメントに係る研究開発費は15億円です。新日鉄住金ソリューションズ㈱における研究開発への取組みは以下のとおりです。・開発運用技術力強化、クラウドサービスの高付加価値化、ワークスタイルイノベーション、OT/IT融合領域における展開