5021

コスモエネルギーホールディングス(5021)は何で稼いでいるか — 事業の柱と依存度

石油・石炭製品 エネルギー資源

事業の概要

コスモエネルギーホールディングスは、原油の自主開発から輸入、精製、貯蔵、販売までを一貫して行う石油事業を主軸としています。子会社48社と関連会社33社からなるグループで、石油化学製品の製造・販売、風力発電、不動産事業なども手掛けています。特に、原油の調達から最終消費者への販売までをグループ内で完結させることで、安定的な収益構造を築いています。

出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
セグメント構成

コスモエネルギーホールディングスは主に4つの事業セグメントで構成されています。石油事業は原油の輸出入、精製、石油製品の販売、貯蔵、運送を行い、グループの売上の大部分を占める稼ぎ頭です。石油化学事業では石油化学製品の製造・販売を手掛けます。石油開発事業は原油の自主開発と生産を行い、再生可能エネルギー事業では風力発電事業を展開しています。その他、不動産売買・管理、工事、保険代理店なども行っています。

2025-03 セグメント別業績
セグメント区分売上(億)営業利益(億)営業利益率
PetroleumBusiness 地域 24,170
Petrochemicalbusiness 地域 2,970
OilExplorationAndProductionBusiness 地域 436
RenewableEnergyBusiness 地域 132
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FY2025|2,079 文字
3【事業の内容】 当社は持株会社として、子会社等の経営管理及びそれに附帯または関連する業務を行っております。当社グループは、子会社48社及び関連会社33社により構成され(2025年3月31日現在)、原油の自主開発から輸入・精製・貯蔵・販売を主な事業の内容としております。その他、一部の関係会社により石油化学製品製造・販売、風力発電、不動産の売買・管理、石油関連施設の工事、保険代理店等の事業も営んでおります。 なお、当社は、有価証券の取引等の規制に関する内閣府令第49条第2項に規定する特定上場会社等に該当しており、これにより、インサイダー取引規制の重要事実の軽微基準については連結ベースの数値に基づいて判断することとなります。 当社グループの主要な事業内容のセグメントとの関連及び主要な関係会社の当該事業における位置づけは、次のとおりであります。セグメント区分主要な会社会社数(社)石油開発事業原油の開発・生産コスモエネルギー開発㈱、Cosmo E&P Albahriya Limited、アブダビ石油㈱、合同石油開発㈱、他3社7石油事業原油・石油製品の輸出入COSMO OIL INTERNATIONAL PTE. LTD.、COSMO OIL OF U.S.A. INC.2石油精製コスモ石油㈱、他3社4潤滑油製造コスモ石油ルブリカンツ㈱1石油製品の販売コスモ石油マーケティング㈱、コスモ石油販売㈱、コスモ石油㈱、コスモエネルギーソリューションズ㈱、他19社23原油・石油製品の貯蔵コスモ松山石油㈱、沖縄石油基地㈱、東西オイルターミナル㈱、他3社6荷役・運送コスモ海運㈱、坂出コスモ興産㈱、コスモリファイナリーサポート堺㈱、他14社17石油化学事業石油化学製品製造・販売コスモ松山石油㈱、CMアロマ㈱、丸善石油化学㈱、京葉エチレン㈱、他10社14再生可能エネルギー事業風力発電事業コスモエコパワー㈱、伊方エコ・パーク㈱、㈱秋田ウインドパワー研究所、他3社6その他不動産売買・管理コスモ石油㈱、コスモビジネスアソシエイツ㈱、他2社4工事・保険他コスモエンジニアリング㈱、㈱コスモトレードアンドサービス、他6社8経理、財務、購買、総務、人事関連業務の受託コスモビジネスアソシエイツ㈱1 石油開発事業 連結子会社のコスモエネルギー開発㈱、連結子会社のアブダビ石油㈱及び持分法適用関連会社の合同石油開発㈱等は、原油の自主開発及び生産を行っております。 連結子会社のCosmo E&P Albahriya Limitedはアブダビ首長国 Offshore Block4鉱区における原油の探鉱活動を行っております。 石油事業連結子会社のコスモ石油㈱は産油国、商社、提携先各社及び原油の自主開発を行っている連結子会社のアブダビ石油㈱等から原油を購入し、シンガポールにおいてトレーディング業務を行っている連結子会社のCOSMO OIL INTERNATIONAL PTE. LTD.等を通じて原油及び石油製品を購入しております。購入した原油をコスモ石油㈱の製油所で石油製品に精製した上で、連結子会社のコスモ石油マーケティング㈱を通じて系列特約店より一般消費者に販売するとともに、一部大口需要家へはコスモ石油㈱及びコスモ石油マーケティング㈱が直接販売しております。販売に伴う国内輸送は、コスモ石油マーケティング㈱及び連結子会社のコスモ海運㈱等が行っております。なお、石油製品のうち、ナフサ等の石油化学原料に関しては、連結子会社のコスモ松山石油㈱、連結子会社のCMアロマ㈱、連結子会社の丸善石油化学㈱等の石油化学関連企業に販売しております。潤滑油に関しては、コスモ石油㈱が潤滑油の原料油を連結子会社のコスモ石油ルブリカンツ㈱に販売し、当該社が加工し需要家に販売しております。また持分法適用関連会社のジクシス㈱は液化石油ガス(LPG)を販売しております。この原油開発から輸入、精製、販売といった一連の石油事業を補完するため、石油製品の貯蔵を持分法適用関連会社の東西オイルターミナル㈱及び沖縄石油基地㈱等が行っております。 石油化学事業 連結子会社のコスモ松山石油㈱、連結子会社のCMアロマ㈱、連結子会社の丸善石油化学㈱、連結子会社の京葉エチレン㈱等は、石油化学製品製造及び販売を行っております。 再生可能エネルギー事業 連結子会社のコスモエコパワー㈱等は風力発電事業を行っております。 その他連結子会社のコスモ石油㈱及び連結子会社のコスモビジネスアソシエイツ㈱等は、不動産売買、管理を行っております。また、コスモビジネスアソシエイツ㈱は、当社グループの経理、財務、購買、総務、人事関連業務を受託しております。連結子会社のコスモエンジニアリング㈱は、当社グループの製油所設備の建設、維持補修工事を行っております。また、連結子会社の㈱コスモトレードアンドサービスは、系列給油所向けカーケア用品の販売、保険代理店業等の事業を行っております。 事業の系統図は、次のとおりであります。

事業の優位性(モート)

事業の質(有価証券報告書から抽出)
数字に出ない事業の性質を、同じ物差しで全銘柄そろえています。FY2025時点の記載が出典です。
価格決定力値上げを通せるか。強いほどインフレ耐性が高い 弱い
石油製品の販売価格は国内市況を反映して決定され、国際市況とのギャップやタイムラグが生じるため。
参入障壁新規参入を阻む要因の種類 設備
原油の自主開発から輸入・精製・貯蔵・販売までの一貫した大規模な設備投資が必要。
顧客集中度特定顧客への依存度。高いほど失注リスクが大きい 低い(分散)
景気敏感度業績が景気循環にどれだけ振られるか シクリカル
設備投資の性質稼いだ現金がどれだけ設備維持に消えるか 混合
規制依存規制は障壁にも足枷にもなる 高い
会社が挙げる主要リスク:脱炭素化の進展による石油需要の減少・事業資産への影響 / 環境規制・気候変動対策の強化に伴うポートフォリオ・戦略投資への影響 / 労働市場の変化による人材確保・育成の困難化
同じ条件で他の銘柄を探す → 定性スクリーニング(価格決定力・参入障壁・景気敏感度などで絞り込めます)
モート総合 10 / 25 5類型それぞれの強度と、そう判定した根拠
無形資産★☆☆☆☆
根拠:弱いブランド・特許・許認可

コスモ石油ブランドは一定の認知度を持つが、他社ブランドとの差別化は限定的。特許や独占的IPに関する情報は乏しく、無形資産による競争優位性は弱い。

スイッチングコスト★★☆☆☆
根拠:中程度乗り換えの手間・コスト

ガソリンスタンドの顧客は価格や利便性で選択することが多く、ブランドロイヤリティは高くない。法人向け燃料供給など一部ではスイッチングコストが発生しうるが、全体としては限定的。

ネットワーク効果☆☆☆☆☆
根拠:弱い利用者増が価値を生む

ネットワーク効果を享受する事業モデルではない。

コスト優位★★★☆☆
根拠:中程度同じ物を安く作れる

製油所・油槽所の効率的な運営や、仕入れ・物流網の最適化により、一定のコスト優位性を構築している可能性がある。ただし、原油価格変動の影響を受けやすい。

規模の経済★★★★☆
根拠:強い規模が参入障壁になる

国内有数の石油元売会社として、精製・販売インフラにおいて規模の経済が働く。業界再編が進む中で、一定の市場シェアを維持し、効率的な事業運営が可能。

同社グループの強みは、原油の自主開発から精製、販売までを垂直統合したサプライチェーンを持つ点にあります。これにより、原油価格変動リスクへの対応力や、安定した製品供給能力を確保しています。また、長年にわたる石油事業で培った広範な販売ネットワークと貯蔵・輸送インフラも強みです。再生可能エネルギー事業への展開も進めており、将来的なエネルギー転換期における事業ポートフォリオの多様化を図っています。

出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)

経営戦略

有価証券報告書「経営方針・対処すべき課題・MD&A」の全文を見る(年度切替)
経営方針・経営戦略
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。(1)経営方針及び経営戦略(Vision 2030)エネルギー変革期において期待されるのは中長期のビジョンであることから、Vision 2030として「未来を変えるエネルギー、社会を支えるエネルギー、新たな価値を創造する。」というスローガンを掲げ、以下の3つの施策に取り組み、ありたい姿の実現を目指してまいります。 (第7次連結中期経営計画の基本方針)当社グループは、第6次連結中期経営計画において収益改善施策の着実な実行により稼ぐ力を向上させ、財務体質を大幅に改善させました。第7次連結中期経営計画は、第6次連結中期経営計画のコンセプトをしっかりと引き継ぎながら、新たなステージへ変革し、企業価値向上をテーマとしてまいります。そのような位置づけを明確にすべく、スローガンを『Oil & New ~Next Stage~』として、「収益力の確保」「成長に向けたNew領域の拡充」「三位一体の資本政策実現」「経営基盤の変革」の4点を基本方針に、持続的な企業価値の向上に取り組んでおります。企業価値向上に向けて、非財務資本の活用による事業戦略の実現と、これによる収益力の向上、資本政策の充実、成長事業の拡大を図り、企業価値の最大化につなげてまいります。 (第7次連結中期経営計画 収益計画(2025年度))Oil事業における構造改善に加え、New事業の収益拡大により1,400億円(2022年度業績予想値、第7次連結中期経営計画公表時点)から250億円の増益を見込んでおり、在庫影響を除く経常利益は2025年度において1,650億円を目指しています。 (第7次連結中期経営計画 資本政策)株主還元、財務健全性、資本効率を三位一体で実行していくことで、企業価値の最大化を目指してまいります。また、株主の皆様への利益還元につきましては、資本政策を三位一体で実現していくなかで、最大限拡大していきます。 (第7次連結中期経営計画 収益改善の取組)石油事業においては製油所稼働の更なる改善、石油開発事業においてはヘイル油田の増産等を進めてまいります。加えて、New領域では国内初の大規模生産となるSAF生産開始等、連結中期経営計画における施策を着実に実行しております。 (第7次連結中期経営計画 経営基盤の変革)HRX(Human Resources Transformation)、DX(Digital Transformation)、GX(Green Transformation)を中心とした経営基盤の変革に取り組んでまいります。KPIとしてエンゲージメント指数の改善、人材育成投資の強化、データ活用コア人材の育成、GHG排出量削減を掲げています。 (第7次連結中期経営計画 経営目標(2025年度))第7次連結中期経営計画は企業価値向上を目指す新たなステージと位置づけています。収益力の向上、資本政策の充実、成長事業の拡大をしっかり実現し、ステークホルダーの皆様にご評価いただけますよう、努めてまいります。 《当事業年度における各事業セグメントの重点施策》(石油事業)石油事業においては、2013年度の坂出製油所閉鎖に加え、2019年度より開始したキグナス石油㈱への燃料油供給により、当社グループは生産数量が販売数量を下回るショートポジションを確立し、製油所の高稼働を維持しております。更なる稼働率向上のため、APM(注1)導入範囲の拡大やデジタルツイン(注2)構築に向けたVRデータ整備等DX強化を推進しました。 (注1)Asset Performance Managementの略。グローバルスタンダードの保全・設備信頼性業務プロセスをシステムに記憶させ、保全のビッグデータを効率的かつ効果的に管理し、網羅性・予見性・管理性を高めることができる。(注2)現実の製油所がデジタルの仮想空間で再現され、必要とする製油所設備の情報(運転データ、補修履歴、機器スペック等)をすぐに参照できる状態を作り出すこと。 カーライフ事業につきましては、デジタル化への対応として、2019年に開発したカーライフスクエアアプリが、2025年4月時点で累計900万ダウンロードを突破し、アプリを利用した給油回数は累計2億9千万回を超える等、多くのお客様にご利用いただいております。お客様とのつながり強化を目的として、アプリ上で見積りから決済まで完了できるコミット車検のほか、燃料油・カーケア商品のお得なクーポンの提供やお勧めの給油タイミングのお知らせ等、様々なサービスを提供しております。カーライフスクエアは2025年4月21日にコスモの公式アプリとして全面リニューアルしました。各種サービスをホーム画面に集約し、より直感的で使いやすいデザインに刷新したことに加え、コミっと車検の決済手段としてPayPay、d払い、楽天ペイが新たに追加される等、機能面も大幅に進化しました。アプリやコスモ・ザ・カード会員のデータを用いて、お客様の属性に合わせた情報配信を自動で行う等、新規顧客の獲得及び既存顧客の定着の施策を実施しており、引き続き異業種パートナーの持つデータも組み合わせ、販売促進に取り組んでまいります。 (石油化学事業)石油化学事業は、丸善石油化学㈱において基礎化学品分野では高稼働・高効率操業の実現、環境に左右されにくい機能化学品分野では半導体レジスト用樹脂等の生産拡大を目指しております。韓国のHD Hyundai Oilbank Co., Ltd.とコスモ石油㈱との合弁会社であるHD Hyundai Cosmo Petrochemical Co., Ltd.につきましては、2009年に設立され、パラキシレンを中心に一定の収益を上げてきましたが、近年は中国を中心とした設備増強や需要減速の影響により、パラキシレン市況の悪化が続き、事業環境が大幅に悪化しておりました。今後もパラキシレン市況の低迷が継続する見通しであることから、HD Hyundai Cosmo Petrochemical Co., Ltd.の全株式をHD Hyundai Oilbank Co., Ltd.に譲渡し、パラキシレン製造事業から撤退いたしました。また、エチレン生産体制に関しましては中国での大型装置の新設・増強による世界的な供給過剰及び国内におけるエチレン需要の減少から厳しいマーケット環境が続いていること等から、丸善石油化学㈱は2026年度を目途に自社エチレン製造装置を停止し、丸善石油化学㈱と住友化学㈱の合弁会社である京葉エチレン㈱に生産を集約することを住友化学㈱と合意しました。千葉地区での生産体制最適化を図ることで装置稼働率と競争力を更に高め、加えてカーボンネットゼロ実現に向けたグリーントランスフォーメーション(GX)への対応も図ってまいります。 (石油開発事業)石油開発事業では、2017年度よりヘイル油田において生産を開始しておりますが、2019年度以降、想定よりも油層の圧力低下が見られたため、生産を一部抑制しておりました。その後、水攻法により油層圧力の回復傾向が認められ、2024年12月末より生産抑制実施以前の水準での生産を再開いたしました。2025年4月現在も順調に生産を継続しております。今後、油層圧回復の施策を実行し、生産量の回復・最大化を目指してまいります。このほかの既存油田(ムバラス油田、ウム・アル・アンバー油田、ニーワット・アル・ギャラン油田)につきましても、安定した生産を継続しました。また、2021年度に取得した海上探鉱鉱区(Offshore Block 4)においては探鉱作業を行い、本鉱区における石油及び天然ガスの商業生産の可能性を調査しております。脱化石燃料の流れの中でも、必要とされるエネルギーを継続して供給することは当社グループの責任であると考えており、今後石油需要の減退が進行していく過程でも、その責任を果たすべく本鉱区を取得しております。本鉱区は、豊富な石油・天然ガスの資源量が賦存するだけでなく、単位数量あたり操業費がその他の地域と比べて低いとされるアラビア湾の浅海に位置し、かつ商業生産に至った場合には隣接するアブダビ石油㈱が保有する油田施設を共同で活用できるため、開発・操業コストの大幅な低減が期待されます。今後も、引き続き本鉱区における石油及び天然ガスの商業生産の可能性を調査すべく、探鉱作業を実施してまいります。 (再生可能エネルギー事業)再生可能エネルギー事業では風力発電事業を中心にグリーン電力サプライチェーンの構築に取り組んでおります。コスモエコパワー㈱は、風力発電業界におけるパイオニア的企業であり、国内業界シェアは約5%(2024年12月末時点)となります。陸上風力に関しては、順調な稼働を継続しており、またノンファーム型接続の開始等により新規サイトの開発も着実に進めています。2025年3月には新岩屋ウィンドパーク(青森県)の運転を開始しました。陸上風力では運転中の風力サイトに建設中、開発中のサイトを合わせると874MWとなりました。2030年度には約900MWの規模を目指しております。洋上風力に関しては、世界的な脱炭素の流れを受けて大規模なグリーン電源に対する期待は高まっており、当社としては、しっかりと収益性を確保した上で、プロジェクトを進めてまいります。2030年には陸上、洋上を合わせて1,500MW超の設備容量を目指します。 (2)経営環境当連結会計年度における日本経済は、雇用・所得環境が改善する下で各種政策の効果もあって、景気は緩やかに回復しております。一方で物価上昇の継続が消費者マインドの下振れ等を通じて個人消費に及ぼす影響や、米国の政策動向による影響等が、日本の景気を下押しするリスクとなっております。設備投資、個人消費は持ち直しの動きがみられ、消費者物価は上昇しております。こうしたなかで、石油製品の国内需要は、緩やかに需要減退の傾向がみられます。 原油価格(ドバイ原油)は、期初1バレル87ドル台から、中東の地政学リスクに対する懸念やOPECプラスの減産緩和延期等の価格上昇要因がありましたが、地政学リスクへの懸念の後退や米中の景気減速懸念等により年末にかけて下落基調で推移しました。その後、中国の景気刺激策への期待や米国のロシアに対する制裁措置等から一時上昇する場面も見られましたが、中東における停戦合意やOPECプラスによる段階的な減産緩和の実施決定、米国関税政策への懸念を背景に再び下落し、当連結会計年度末は75ドル台となりました。為替相場は、期初1ドル151円台から、日米金利差を背景に7月にかけて161円台まで円安が進みましたが、日銀の追加利上げや米国の利下げ観測等を受け円高に転じ、9月には一時140円台となりました。その後、米国大統領選挙の結果を受け、新政権移行後のインフレ懸念等から米長期金利が上昇し、年末にかけて158円台まで円安に進行しました。年明け以降、米国新政権が関税引き上げを示したことによる景気後退懸念や日銀の利上げ観測を背景に再び円高に推移し、当連結会計年度末は149円台となりました。 (3)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題国際社会では、ウクライナや中東情勢等の地政学的リスクが継続し、世界経済は不確実性が高い状態が続いています。米国の政治的変動も世界経済に影響を与えており、今後の政策を注視する必要があります。これらの外部環境変化を受けて、エネルギーセキュリティの強化が求められており、石油は引き続き重要なエネルギー資源であり、当面は石油製品がエネルギー需要の大きな比率を占めると想定されます。一方で、長期的には再生可能エネルギーをはじめとする脱炭素社会への取組が進むと予想されます。このようななか、石油事業を中心に収益力を強化しつつ、長期的な方向性を見据え、次の成長に向けて事業ポートフォリオを拡充してまいります。第7次連結中期経営計画においては、「収益力の確保」「成長に向けたNew領域の拡充」「三位一体の資本政策実現」「経営基盤の変革」を基本方針とし、企業価値の向上に取り組んでまいります。第7次連結中期経営計画を実行する上で、優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題は以下のとおりとなります。 《各事業セグメントにおける課題》(石油事業(石油精製事業))石油精製事業においては、製油所デジタルプラント化に向けた取り組み、運転・保全力の向上による更なる稼働率改善等を図ってまいります。また、定期整備の短縮に加えて、トラブルによる計画外停止を削減するためのソフトウェアであるAPMを導入し、予見性、網羅性、管理性を向上させることで、製油所高稼働の維持を推進してまいります。 (石油事業(石油販売・カーライフ事業))石油販売・カーライフ事業においては、当社グループの持つ豊富な顧客データと、異業種パートナーとのデータ連携を組み合わせることで、マーケティングサイエンスによる燃料油販売の高度化を進めてまいります。 (石油化学事業)石油化学事業においては、高稼働・高効率操業の実現、外部環境に左右されにくい化成品及び機能化学品の生産拡大を目指してまいります。また、機能化学品については、メチルエチルケトン(MEK)等の化成品、需要が増加している半導体レジスト用樹脂の生産拡大を進めてまいります。 (石油開発事業)石油開発事業においては、ヘイル油田や既存油田の生産量最大化、操業コストの最適化により収益構造を強靭化してまいります。また、2021年度に取得した海上探鉱鉱区(Offshore Block 4)においては探鉱作業を行い、本鉱区における石油及び天然ガスの商業生産の可能性を調査しております。 (再生可能エネルギー事業)世界的な脱炭素化の潮流のなか、今後大きな成長が期待される風力発電事業を中心に、引き続き積極的に規模拡大を進めてまいります。陸上風力においては、2025年3月には新岩屋ウィンドパーク(青森県)の運転を開始しております。その他にも、新むつ小川原(青森県)、遠州(静岡県)、あぶくま南(福島県)等の開発を着実に推進することで、2030年において陸上風力の設備容量約900MWの達成を目指しております。さらに、2050年のカーボンニュートラル達成に向けて、事業環境整備・投資機会拡大が見込まれる洋上風力においては、日本における同分野のリーディングカンパニーを目指しております。2022年12月に秋田港能代港プロジェクトの商業運転を開始しており、その他にも複数地域において洋上風力プロジェクトの開発を進めております。洋上風力においては競合他社の増加やコストの上昇等、事業環境の厳しさが増していますが、当社グループでは建設、O&M、売電先を含めた全てのサプライチェーンを精査し、徹底的なコスト競争力の強化を図ります。
対処すべき課題
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。(1)経営方針及び経営戦略(Vision 2030)エネルギー変革期において期待されるのは中長期のビジョンであることから、Vision 2030として「未来を変えるエネルギー、社会を支えるエネルギー、新たな価値を創造する。」というスローガンを掲げ、以下の3つの施策に取り組み、ありたい姿の実現を目指してまいります。 (第7次連結中期経営計画の基本方針)当社グループは、第6次連結中期経営計画において収益改善施策の着実な実行により稼ぐ力を向上させ、財務体質を大幅に改善させました。第7次連結中期経営計画は、第6次連結中期経営計画のコンセプトをしっかりと引き継ぎながら、新たなステージへ変革し、企業価値向上をテーマとしてまいります。そのような位置づけを明確にすべく、スローガンを『Oil & New ~Next Stage~』として、「収益力の確保」「成長に向けたNew領域の拡充」「三位一体の資本政策実現」「経営基盤の変革」の4点を基本方針に、持続的な企業価値の向上に取り組んでおります。企業価値向上に向けて、非財務資本の活用による事業戦略の実現と、これによる収益力の向上、資本政策の充実、成長事業の拡大を図り、企業価値の最大化につなげてまいります。 (第7次連結中期経営計画 収益計画(2025年度))Oil事業における構造改善に加え、New事業の収益拡大により1,400億円(2022年度業績予想値、第7次連結中期経営計画公表時点)から250億円の増益を見込んでおり、在庫影響を除く経常利益は2025年度において1,650億円を目指しています。 (第7次連結中期経営計画 資本政策)株主還元、財務健全性、資本効率を三位一体で実行していくことで、企業価値の最大化を目指してまいります。また、株主の皆様への利益還元につきましては、資本政策を三位一体で実現していくなかで、最大限拡大していきます。 (第7次連結中期経営計画 収益改善の取組)石油事業においては製油所稼働の更なる改善、石油開発事業においてはヘイル油田の増産等を進めてまいります。加えて、New領域では国内初の大規模生産となるSAF生産開始等、連結中期経営計画における施策を着実に実行しております。 (第7次連結中期経営計画 経営基盤の変革)HRX(Human Resources Transformation)、DX(Digital Transformation)、GX(Green Transformation)を中心とした経営基盤の変革に取り組んでまいります。KPIとしてエンゲージメント指数の改善、人材育成投資の強化、データ活用コア人材の育成、GHG排出量削減を掲げています。 (第7次連結中期経営計画 経営目標(2025年度))第7次連結中期経営計画は企業価値向上を目指す新たなステージと位置づけています。収益力の向上、資本政策の充実、成長事業の拡大をしっかり実現し、ステークホルダーの皆様にご評価いただけますよう、努めてまいります。 《当事業年度における各事業セグメントの重点施策》(石油事業)石油事業においては、2013年度の坂出製油所閉鎖に加え、2019年度より開始したキグナス石油㈱への燃料油供給により、当社グループは生産数量が販売数量を下回るショートポジションを確立し、製油所の高稼働を維持しております。更なる稼働率向上のため、APM(注1)導入範囲の拡大やデジタルツイン(注2)構築に向けたVRデータ整備等DX強化を推進しました。 (注1)Asset Performance Managementの略。グローバルスタンダードの保全・設備信頼性業務プロセスをシステムに記憶させ、保全のビッグデータを効率的かつ効果的に管理し、網羅性・予見性・管理性を高めることができる。(注2)現実の製油所がデジタルの仮想空間で再現され、必要とする製油所設備の情報(運転データ、補修履歴、機器スペック等)をすぐに参照できる状態を作り出すこと。 カーライフ事業につきましては、デジタル化への対応として、2019年に開発したカーライフスクエアアプリが、2025年4月時点で累計900万ダウンロードを突破し、アプリを利用した給油回数は累計2億9千万回を超える等、多くのお客様にご利用いただいております。お客様とのつながり強化を目的として、アプリ上で見積りから決済まで完了できるコミット車検のほか、燃料油・カーケア商品のお得なクーポンの提供やお勧めの給油タイミングのお知らせ等、様々なサービスを提供しております。カーライフスクエアは2025年4月21日にコスモの公式アプリとして全面リニューアルしました。各種サービスをホーム画面に集約し、より直感的で使いやすいデザインに刷新したことに加え、コミっと車検の決済手段としてPayPay、d払い、楽天ペイが新たに追加される等、機能面も大幅に進化しました。アプリやコスモ・ザ・カード会員のデータを用いて、お客様の属性に合わせた情報配信を自動で行う等、新規顧客の獲得及び既存顧客の定着の施策を実施しており、引き続き異業種パートナーの持つデータも組み合わせ、販売促進に取り組んでまいります。 (石油化学事業)石油化学事業は、丸善石油化学㈱において基礎化学品分野では高稼働・高効率操業の実現、環境に左右されにくい機能化学品分野では半導体レジスト用樹脂等の生産拡大を目指しております。韓国のHD Hyundai Oilbank Co., Ltd.とコスモ石油㈱との合弁会社であるHD Hyundai Cosmo Petrochemical Co., Ltd.につきましては、2009年に設立され、パラキシレンを中心に一定の収益を上げてきましたが、近年は中国を中心とした設備増強や需要減速の影響により、パラキシレン市況の悪化が続き、事業環境が大幅に悪化しておりました。今後もパラキシレン市況の低迷が継続する見通しであることから、HD Hyundai Cosmo Petrochemical Co., Ltd.の全株式をHD Hyundai Oilbank Co., Ltd.に譲渡し、パラキシレン製造事業から撤退いたしました。また、エチレン生産体制に関しましては中国での大型装置の新設・増強による世界的な供給過剰及び国内におけるエチレン需要の減少から厳しいマーケット環境が続いていること等から、丸善石油化学㈱は2026年度を目途に自社エチレン製造装置を停止し、丸善石油化学㈱と住友化学㈱の合弁会社である京葉エチレン㈱に生産を集約することを住友化学㈱と合意しました。千葉地区での生産体制最適化を図ることで装置稼働率と競争力を更に高め、加えてカーボンネットゼロ実現に向けたグリーントランスフォーメーション(GX)への対応も図ってまいります。 (石油開発事業)石油開発事業では、2017年度よりヘイル油田において生産を開始しておりますが、2019年度以降、想定よりも油層の圧力低下が見られたため、生産を一部抑制しておりました。その後、水攻法により油層圧力の回復傾向が認められ、2024年12月末より生産抑制実施以前の水準での生産を再開いたしました。2025年4月現在も順調に生産を継続しております。今後、油層圧回復の施策を実行し、生産量の回復・最大化を目指してまいります。このほかの既存油田(ムバラス油田、ウム・アル・アンバー油田、ニーワット・アル・ギャラン油田)につきましても、安定した生産を継続しました。また、2021年度に取得した海上探鉱鉱区(Offshore Block 4)においては探鉱作業を行い、本鉱区における石油及び天然ガスの商業生産の可能性を調査しております。脱化石燃料の流れの中でも、必要とされるエネルギーを継続して供給することは当社グループの責任であると考えており、今後石油需要の減退が進行していく過程でも、その責任を果たすべく本鉱区を取得しております。本鉱区は、豊富な石油・天然ガスの資源量が賦存するだけでなく、単位数量あたり操業費がその他の地域と比べて低いとされるアラビア湾の浅海に位置し、かつ商業生産に至った場合には隣接するアブダビ石油㈱が保有する油田施設を共同で活用できるため、開発・操業コストの大幅な低減が期待されます。今後も、引き続き本鉱区における石油及び天然ガスの商業生産の可能性を調査すべく、探鉱作業を実施してまいります。 (再生可能エネルギー事業)再生可能エネルギー事業では風力発電事業を中心にグリーン電力サプライチェーンの構築に取り組んでおります。コスモエコパワー㈱は、風力発電業界におけるパイオニア的企業であり、国内業界シェアは約5%(2024年12月末時点)となります。陸上風力に関しては、順調な稼働を継続しており、またノンファーム型接続の開始等により新規サイトの開発も着実に進めています。2025年3月には新岩屋ウィンドパーク(青森県)の運転を開始しました。陸上風力では運転中の風力サイトに建設中、開発中のサイトを合わせると874MWとなりました。2030年度には約900MWの規模を目指しております。洋上風力に関しては、世界的な脱炭素の流れを受けて大規模なグリーン電源に対する期待は高まっており、当社としては、しっかりと収益性を確保した上で、プロジェクトを進めてまいります。2030年には陸上、洋上を合わせて1,500MW超の設備容量を目指します。 (2)経営環境当連結会計年度における日本経済は、雇用・所得環境が改善する下で各種政策の効果もあって、景気は緩やかに回復しております。一方で物価上昇の継続が消費者マインドの下振れ等を通じて個人消費に及ぼす影響や、米国の政策動向による影響等が、日本の景気を下押しするリスクとなっております。設備投資、個人消費は持ち直しの動きがみられ、消費者物価は上昇しております。こうしたなかで、石油製品の国内需要は、緩やかに需要減退の傾向がみられます。 原油価格(ドバイ原油)は、期初1バレル87ドル台から、中東の地政学リスクに対する懸念やOPECプラスの減産緩和延期等の価格上昇要因がありましたが、地政学リスクへの懸念の後退や米中の景気減速懸念等により年末にかけて下落基調で推移しました。その後、中国の景気刺激策への期待や米国のロシアに対する制裁措置等から一時上昇する場面も見られましたが、中東における停戦合意やOPECプラスによる段階的な減産緩和の実施決定、米国関税政策への懸念を背景に再び下落し、当連結会計年度末は75ドル台となりました。為替相場は、期初1ドル151円台から、日米金利差を背景に7月にかけて161円台まで円安が進みましたが、日銀の追加利上げや米国の利下げ観測等を受け円高に転じ、9月には一時140円台となりました。その後、米国大統領選挙の結果を受け、新政権移行後のインフレ懸念等から米長期金利が上昇し、年末にかけて158円台まで円安に進行しました。年明け以降、米国新政権が関税引き上げを示したことによる景気後退懸念や日銀の利上げ観測を背景に再び円高に推移し、当連結会計年度末は149円台となりました。 (3)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題国際社会では、ウクライナや中東情勢等の地政学的リスクが継続し、世界経済は不確実性が高い状態が続いています。米国の政治的変動も世界経済に影響を与えており、今後の政策を注視する必要があります。これらの外部環境変化を受けて、エネルギーセキュリティの強化が求められており、石油は引き続き重要なエネルギー資源であり、当面は石油製品がエネルギー需要の大きな比率を占めると想定されます。一方で、長期的には再生可能エネルギーをはじめとする脱炭素社会への取組が進むと予想されます。このようななか、石油事業を中心に収益力を強化しつつ、長期的な方向性を見据え、次の成長に向けて事業ポートフォリオを拡充してまいります。第7次連結中期経営計画においては、「収益力の確保」「成長に向けたNew領域の拡充」「三位一体の資本政策実現」「経営基盤の変革」を基本方針とし、企業価値の向上に取り組んでまいります。第7次連結中期経営計画を実行する上で、優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題は以下のとおりとなります。 《各事業セグメントにおける課題》(石油事業(石油精製事業))石油精製事業においては、製油所デジタルプラント化に向けた取り組み、運転・保全力の向上による更なる稼働率改善等を図ってまいります。また、定期整備の短縮に加えて、トラブルによる計画外停止を削減するためのソフトウェアであるAPMを導入し、予見性、網羅性、管理性を向上させることで、製油所高稼働の維持を推進してまいります。 (石油事業(石油販売・カーライフ事業))石油販売・カーライフ事業においては、当社グループの持つ豊富な顧客データと、異業種パートナーとのデータ連携を組み合わせることで、マーケティングサイエンスによる燃料油販売の高度化を進めてまいります。 (石油化学事業)石油化学事業においては、高稼働・高効率操業の実現、外部環境に左右されにくい化成品及び機能化学品の生産拡大を目指してまいります。また、機能化学品については、メチルエチルケトン(MEK)等の化成品、需要が増加している半導体レジスト用樹脂の生産拡大を進めてまいります。 (石油開発事業)石油開発事業においては、ヘイル油田や既存油田の生産量最大化、操業コストの最適化により収益構造を強靭化してまいります。また、2021年度に取得した海上探鉱鉱区(Offshore Block 4)においては探鉱作業を行い、本鉱区における石油及び天然ガスの商業生産の可能性を調査しております。 (再生可能エネルギー事業)世界的な脱炭素化の潮流のなか、今後大きな成長が期待される風力発電事業を中心に、引き続き積極的に規模拡大を進めてまいります。陸上風力においては、2025年3月には新岩屋ウィンドパーク(青森県)の運転を開始しております。その他にも、新むつ小川原(青森県)、遠州(静岡県)、あぶくま南(福島県)等の開発を着実に推進することで、2030年において陸上風力の設備容量約900MWの達成を目指しております。さらに、2050年のカーボンニュートラル達成に向けて、事業環境整備・投資機会拡大が見込まれる洋上風力においては、日本における同分野のリーディングカンパニーを目指しております。2022年12月に秋田港能代港プロジェクトの商業運転を開始しており、その他にも複数地域において洋上風力プロジェクトの開発を進めております。洋上風力においては競合他社の増加やコストの上昇等、事業環境の厳しさが増していますが、当社グループでは建設、O&M、売電先を含めた全てのサプライチェーンを精査し、徹底的なコスト競争力の強化を図ります。
MD&A(経営者による分析)
4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】(1)経営成績等の状況の概要 当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。 ①財政状態及び経営成績の状況 当社グループは、第7次連結中期経営計画において、スローガンを『Oil & New ~Next Stage~』として、「収益力の確保」「成長に向けたNew領域の拡充」「三位一体の資本政策実現」「経営基盤の変革」の4点を基本方針に、非財務資本の活用による事業戦略の実現と、これによる収益力の向上、資本政策の充実、成長事業の拡大を図り、持続的な企業価値の向上に取り組んでおります。また、当連結会計年度において、ROE及びPER向上の取組を加速し、堅調な収益を背景に2年連続で連結中期経営計画の目標であるROE10%以上を達成いたしました。 こうした経営活動の結果、当連結会計年度の連結経営成績は、売上高は2兆7,999億円(前期比+703億円)、営業利益は1,282億円(前期比△210億円)、経常利益は1,508億円(前期比△108億円)、親会社株主に帰属する当期純利益は577億円(前期比△244億円)となりました。 各セグメントの業績を示すと次のとおりであります。(石油事業) 石油事業につきましては、売上高は前期並みの2兆5,069億円(前期比+613億円)となりました。一方、原油価格が下落したこと等により、セグメント利益は618億円(前期比△289億円)となりました。なお、在庫評価の影響を除くセグメント利益は926億円(前期比+13億円)となっております。(石油化学事業) 石油化学事業につきましては、引き続き製品市況が低迷したこと等により、売上高は3,402億円(前期比△216億円)、セグメント損失は50億円(前期はセグメント損失78億円)となりました。(石油開発事業) 石油開発事業につきましては、為替変動の影響等により、売上高は1,346億円(前期比+68億円)、セグメント利益は824億円(前期比+141億円)となりました。(再生可能エネルギー事業) 再生可能エネルギー事業につきましては、前期比で風力発電における風況が悪化したこと等により、売上高は133億円(前期比△10億円)、セグメント利益は13億円(前期比△15億円)となりました。  当連結会計年度末の連結財政状態は、総資産は2兆1,566億円となり、前連結会計年度末に比べ560億円減少しております。負債合計は1兆4,491億円となり、前連結会計年度末に比べ361億円減少しております。純資産合計は7,075億円となり、前連結会計年度末に比べ199億円減少しております。 ②キャッシュ・フローの状況 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の残高は349億円となり、前連結会計年度末に比べ706億円減少しております。 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。 (営業活動によるキャッシュ・フロー) 営業活動の結果、資金の増加は1,371億円(前期は1,779億円の資金の増加)となり、これは主に、税金等調整前当期純利益を計上したこと等によるものです。 (投資活動によるキャッシュ・フロー) 投資活動の結果、資金の減少は1,457億円(前期は328億円の資金の減少)となり、これは主に、有形固定資産の取得による支出等によるものです。 (財務活動によるキャッシュ・フロー) 財務活動の結果、資金の減少は690億円(前期は1,042億円の資金の減少)となり、これは主に、自己株式の取得による支出等によるものです。 ③生産、受注及び販売の実績a生産実績当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。セグメントの名称生産高(百万円)前年同期比(%)石油事業 1,624,044104.6石油化学事業 402,00789.0石油開発事業 13,308105.2合計2,039,359101.1(注)1 自家燃料は除いております。2 委託処理分を含み、受託処理分は除いております。3 上記の金額にセグメント間の生産高は含まれておりません。 b受注実績当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。セグメントの名称受注高(百万円)前年同期比(%)受注残高(百万円)前年同期比(%)その他14,634111.813,803106.3 c販売実績当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。セグメントの名称販売高(百万円)前年同期比(%)石油事業 2,417,033103.2石油化学事業 296,96094.8石油開発事業 43,606111.4再生可能エネルギー事業 13,15892.9その他 29,188131.9合計2,799,947102.6(注)1 上記の金額にセグメント間の販売高は含まれておりません。2 最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。相手先前連結会計年度(自 2023年4月1日至 2024年3月31日)当連結会計年度(自 2024年4月1日至 2025年3月31日)金額(百万円)割合(%)金額(百万円)割合(%)キグナス石油㈱363,43013.3369,04513.2※販売実績には、当該顧客と同一の企業集団に属する顧客に対する販売実績を含めております。 (2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。 ①重要な会計方針及び見積り 当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたり採用した会計方針及びその適用方法並びに見積りの評価については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」、財務諸表の作成にあたり採用した会計方針及びその適用方法並びに見積りの評価については、「第5 経理の状況 2 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 重要な会計方針」に記載のとおりです。 なお、連結財務諸表の作成に関して、認識している重要な見積りを伴う項目については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 重要な会計上の見積り」を参照ください。 ②経営成績の分析a売上高 売上高は、前連結会計年度並みとなり、703億円増加の2兆7,999億円となりました。 b売上原価、販売費及び一般管理費 売上原価は、前連結会計年度に比べ832億円増加し、2兆4,931億円となりました。売上高に対する売上原価の比率は、0.7ポイント増加して、89%となりました。 販売費及び一般管理費は、前連結会計年度に比べ82億円増加し、1,786億円となりました。売上高に対する販売費及び一般管理費の比率は、0.2ポイント増加して、6.4%となりました。 c営業利益 営業利益は、前連結会計年度に比べ210億円減少し、1,282億円となりました。これは主に、原油価格の下落等によるものです。 d営業外損益 営業外損益は、前連結会計年度に比べ101億円改善し、225億円の利益となりました。これは主に、為替差益が59億円増加したこと等によるものです。 e特別損益 特別損益は、前連結会計年度に比べ191億円悪化し、258億円の損失となりました。これは主に、特別損失として事業構造改善費用を169億円計上したこと等によるものです。 f親会社株主に帰属する当期純利益 親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度に比べ244億円減少し、577億円となりました。これは主に、法人税等が前連結会計年度に比べ14億円増加し660億円となったこと及び非支配株主に帰属する当期純利益が前連結会計年度に比べ70億円減少し13億円となったこと等によるものです。なお、1株当たりの当期純利益は、672.78円となりました。  なお、セグメントごとの経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。(石油事業) 原油価格が下落したこと等により、セグメント利益は前連結会計年度に比べ289億円減少し、618億円となりました。 2025年度は、堅調な販売マージンの確保及び製油所トラブル解消等を見込むものの、原油価格が下落すること等により当連結会計年度比で減益となる見通しとなっております。(石油化学事業) 引き続き製品市況が低迷したこと等により、セグメント損失は50億円(前連結会計年度はセグメント損失78億円)となりました。 2025年度は、事業構造改善によるコスト削減により当連結会計年度比で増益となる見通しとなっております。(石油開発事業) 為替変動の影響等により、セグメント利益は前連結会計年度に比べ141億円増加し、824億円となりました。 2025年度は、販売数量の増加を見込むものの原油価格の下落及び為替の円高影響により当連結会計年度比で減益となる見通しとなっております。(再生可能エネルギー事業) 風力発電における風況が悪化したこと等により、セグメント利益は前連結会計年度に比べ15億円減少し、13億円となりました。 2025年度は、設備容量拡大により当連結会計年度比で増益となる見通しとなっております。 ③資本の財源及び資金の流動性に関する分析a資金需要 当社グループの資金需要は主に運転資金と設備投資に関するものです。 運転資金需要は製品製造のための原材料仕入のほか、製造費、販売費及び一般管理費等によるものであり、設備投資需要は競争力強化を目的とした石油・石油化学製品の製造設備、サービスステーション設備や販売促進のためのシステム投資、原油の生産設備、風力発電設備等の取得や維持更新等によるものです。 b財務政策 2023年4月より開始された第7次連結中期経営計画では、株主還元、財務健全性、資本効率を三位一体で実行することで企業価値の最大化を目指しております。財務健全性においては、資産に内在するリスク、求められる資本効率、柔軟な資金調達といった観点を総合的に精査し、自己資本並びにネットD/Eレシオの目標値を設定しております。 当社は、財務の安全性と効率性を両立させる財務運営を目指しており、短期並びに長期社債による直接金融と金融機関からの借入等の間接金融を機動的に行うことで効率的な資金調達を行っております。また、原油備蓄資金の制度融資も活用しており、市中の金融機関のみならず政府系金融機関とも関係を維持し、調達先の多様化を行っております。また、持株会社である当社が一括して資金を調達し、グループ会社に融通するグループファイナンスを実行しており、資金の集中化並びに効率化を行っております。 当社は、円滑な資金調達を行うために日本格付研究所(JCR)並びに格付け投資情報センター(R&I)から格付を取得しております。当連結会計年度末において当社の格付は、JCR、R&IともにA-(安定的)となります。(特定融資枠契約) 平時における十分な流動性の確保と災害発生等の緊急時に円滑な資金調達を行うために取引金融機関と特定融資枠契約(コミットメントライン契約)を締結しております。なお、当連結会計年度末における当該契約の極度額は1,201億円です。 c株主還元方針 当社グループは、株主の皆様への利益還元を重要な課題の一つとして認識しております。 第7次連結中期経営計画では、株主還元、財務健全性、資本効率のいずれも欠けることなく、三位一体で実行していくことを資本政策として掲げ、企業価値の最大化を図っており、株主還元方針としましては、総還元性向60%以上(3ヵ年累計、在庫影響を除く純利益に対する比率)、配当1株当たり330円以上としております。 また、財務健全性が目標値(自己資本6,000億円以上、ネットD/Eレシオ1.0倍)に到達した場合は原則として追加の還元を実施いたします。 当連結会計年度は、堅調な収益をベースに配当の引き上げを行い、前連結会計年度から30円増配の1株当たり330円の配当を行うとともに、下限配当についても同額の330円に引き上げました。加えて、取得総額180億円の自己株式の取得を実施し、当連結会計年度は単年で総還元性向58%(在庫影響を除く純利益に対する比率)となりました。 引き続き企業価値向上を目指し、収益環境や株価等を見極めながら、還元を実施してまいります。なお、当連結会計年度の1株当たり配当額330円のうち、期末配当額180円については、2025年6月26日開催予定の定時株主総会の決議事項になっております。 d財政状態 当社グループは、自己資本やネットD/Eレシオといった財務健全性の向上を重要な課題の一つとして認識しております。財務健全性に加え、株主還元、資本効率を三位一体で実行することで企業価値の最大化を目指してまいります。 (資産) 当連結会計年度末における流動資産は1兆791億円となり、前連結会計年度末に比べ436億円減少しております。これは主に、売上債権が464億円減少したこと等によるものです。固定資産は1兆774億円となり、前連結会計年度末に比べ124億円減少しております。これは主に、投資有価証券が326億円減少したこと等によるものです。 この結果、総資産は2兆1,566億円となり、前連結会計年度末に比べ560億円減少しております。(負債) 当連結会計年度末における流動負債は9,455億円となり、前連結会計年度末に比べ621億円減少しております。これは主に、未払揮発油税が295億円減少したこと等によるものです。固定負債は5,037億円となり、前連結会計年度末に比べ262億円増加しております。これは主に、社債が162億円増加したこと等によるものです。 この結果、負債合計は1兆4,491億円となり、前連結会計年度末に比べ361億円減少しております。(純資産) 当連結会計年度末における純資産合計は7,075億円となり、前連結会計年度末に比べ199億円減少しております。これは主に、自己株式を371億円取得したこと等によるものです。 この結果、自己資本比率は27.1%(前連結会計年度末は27.2%)となりました。 eキャッシュ・フロー 当連結会計年度の各キャッシュ・フローの状況は、次のとおりであります。営業活動は税金等調整前当期純利益を計上したこと等により1,371億円の増加となりました。投資活動は有形固定資産の取得による支出等により1,457億円の減少となりました。財務活動は自己株式の取得による支出等により690億円の減少となりました。 以上の結果、当連結会計年度末の現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末に比べ706億円減少の349億円となりました。 なお、当社グループのキャッシュ・フロー指標のトレンドは下記のとおりであります。 2021年3月期2022年3月期2023年3月期2024年3月期2025年3月期自己資本比率19.0%23.5%24.9%27.2%27.1%時価ベースの自己資本比率12.9%11.4%17.7%30.4%24.5%キャッシュ・フロー対有利子負債比率3.6年5.4年84.5年3.5年4.5年インタレスト・カバレッジ・レシオ23.1倍16.7倍1.3倍38.3倍27.6倍(注)1 各指標は、以下の計算式によっております。自己資本比率:自己資本/総資産時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/営業キャッシュ・フローインタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー/利払い2 各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により計算しております。3 株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式総数(自己株式控除後)により計算しております。4 営業キャッシュ・フローは連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用しております。有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている借入金、コマーシャル・ペーパー、社債を対象としております。また、利払いについては、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。5 「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 会計方針の変更」に記載のとおり、当連結会計年度における会計方針の変更は遡及適用され、前連結会計年度のキャッシュ・フロー指標については遡及適用後の数値となっております。 ④経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等 当社グループは、中期的な経営の方向性を2025年度が最終年度となる第7次連結中期経営計画にて目標値として定めております。当該連結中期経営計画初年度の評価として、当連結会計年度における客観的指標の実績を示すとともにその達成状況を分析すると以下のとおりとなります。  株主還元・財務健全性・資本効率等、多くの指標で2025年度の目標を達成しております。その他の指標につきましても順調に推移しておりますが、引き続き全指標において目標を達成すべく各種施策を実行してまいります。なお、当連結会計年度の1株当たり配当額330円のうち、期末配当額180円については、2025年6月26日開催予定の定時株主総会の決議事項になっております。

事業リスク

主要なリスクとしては、脱炭素化の進展による石油需要の減少とそれに伴う事業資産の価値低下が挙げられます。また、環境規制や気候変動対策の強化がポートフォリオ転換や戦略投資に影響を与える可能性もあります。原油やLNGなどの資源価格の変動、世界的なインフレ、為替レートの変動も業績に悪影響を及ぼす可能性があります。さらに、大規模自然災害による設備被害やサプライチェーンの中断、情報セキュリティリスク、生産設備における事故なども事業運営上の重要なリスクです。

出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
有価証券報告書「事業等のリスク」の全文を見る(年度切替)
FY2025|8,748 文字
3【事業等のリスク】当社グループは、リスクマネジメントをマテリアリティの一つと位置づけ、事業活動を通じて発生するリスクを把握の上、適切な管理体制を整備し、計画・実践・評価・是正措置のサイクルを構築しています。当社グループのマテリアリティについては「2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (1)サステナビリティ課題全般について ④指標及び目標」をご参照ください。また、当社グループを取り巻く事業環境の変化や様々なリスクに対し、より適切に対応するため、中長期の視点を持つとともに、リスクを事業機会として捉え、企業価値を最大化しようとする全社的リスクマネジメント (ERM:Enterprise Risk Management)を構築しています。リスク抽出においては、経営によるトップダウン型のアプローチ手法を導入するとともに、リスク管理においてはリスクオーナー設定によるリスクカテゴリ毎のグループ横断的なリスク管理を推進しています。なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。 (1)リスク管理体制当社グループでは、各社の事業を発展的かつ安全に運営するため、グループリスクマネジメント統括部署(サステナビリティ推進部)が各社におけるリスクへの取組状況を集約し、サステナビリティ戦略委員会に報告します。サステナビリティ戦略委員会では、グループ全体に関わるリスクへの対策と進捗を審議し、その結果を経営執行会議、取締役会へ報告するとともに、サステナビリティ連絡会を通じてグループ各社へ展開します。(サステナビリティ戦略委員会については、「2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (1)サステナビリティ課題全般について」をご参照ください。)また、サステナビリティ戦略委員会の実務機能を担う機関として、サステナビリティコミッティを必要に応じて開催しています。 (2)リスク管理の運営経営層へのヒアリングやアンケートによりトップダウンで抽出した中長期的リスク及び各部門・グループ各社がボトムアップで抽出したリスクのうち、影響度や発生可能性が上位かつ、マテリアリティとの関連性や業界特性上の重要性が高いリスクを選定しました。これらのリスクについて、経営層がサステナビリティ戦略会議(2025年度からはサステナビリティ戦略委員会)において議論し、2024年4月に11項目をトップリスクとして決定し、取締役会へ報告しました。2025年度はその11項目を継続しつつ、直近の社内外の環境変化が当社グループに与えうる事象・影響をリスクシナリオに織り込み、対策の強化に取り組んでおります。トップリスクについては、グループ横断的に統制を図るため、当社グループ全体におけるグループリスクオーナーと、中核事業会社におけるリスクオーナーを設定しています。グループリスクオーナーであるグループ全体の統括責任部署が、トップリスクへの対策の策定並びにKPIの設定を実施した上でモニタリング・レビューを行い、更なる改善活動に繋げます。中核事業会社のリスクオーナーはグループリスクオーナーとの連携のもと、各社において同様のPDCAサイクルを実践します。また、トップリスクに含まれない、各部門・グループ各社から抽出したリスクについても、全社的リスクマネジメントの中で管理しております。 当社ERMにおけるPDCAサイクル (3)トップリスクトップリスクは、以下に記載のとおりです。トップリスクについては「(2)リスク管理の運営」に記載のとおり決定し、管理します。No.トップリスクカテゴリマテリアリティとの関連想定されるシナリオ・主な対策1脱炭素化の進展による石油需要の減少・事業資産への影響戦略○(シナリオ)エネルギートランジションの進行等により、想定外のスピードでの石油製品需要減少やGX-ETSや炭素賦課金によるコスト増に伴い、収益性が低下し、当社グループの事業資産が座礁化する(対策)中長期的な事業環境の変化を適切に捉え、将来の環境を見据えて事業方向性を検討2環境規制・気候変動対策の強化に伴うポートフォリオ・戦略投資への影響戦略○(シナリオ)エネルギー政策や規制変更等により気候変動対策が急激に強化され、ポートフォリオ転換・戦略投資の判断に影響を及ぼす(対策)中長期的な事業環境の変化を適切に捉え、将来の環境に応じた適切なポートフォリオ・事業戦略を構築3労働市場の変化による人材確保・育成の困難化戦略○(シナリオ)労働人口が減少する中で、既存・新規事業の両面で多様性かつ専門性を持った人材の確保・育成が困難になる(対策)経営人材の確保、事業戦略に合わせた人材の確保4カーボンニュートラル燃料への対応遅れ戦略○(シナリオ)カーボンニュートラル燃料に関して、上市されている当該燃料の調達が困難となる、あるいは新しい技術開発・導入が遅れる、または失敗することにより、対応が遅れる(対策)業界・政策動向のモニタリング、技術検討5原料・資材価格の変動戦略 (シナリオ)政情変化や経済変化、各国の政策変更等に伴う原油やLNG等の資源価格のボラティリティ上昇や、世界的な保護主義政策やインフレ(資機材、労務費等の高騰含む)、為替レートの変動により業績が悪化する(対策)業界・政策動向、産油国動向のモニタリング、調達体制の最適化6自然災害戦略○(シナリオ)地震や津波等の大規模自然災害により当社設備が壊滅的な被害を受け、早期復旧が困難となり巨額の損失を被る(対策)当社グループ全体での災害対策の構築7品質不正業務○(シナリオ)品質管理の不備と自浄作用の欠如により、(出荷後に)品質に関する問題が発覚し、製品回収による損失、ステークホルダーからの信用失墜を招く(対策)品質監査の実施、品質管理システムの高度化検討8サプライチェーンの中断業務○(シナリオ)当社グループのサプライチェーンは広範囲に及ぶため、政治情勢の悪化や取引先における様々な要因等により、原油生産拠点での操業停止、船舶輸送、製油所の整備や給油所の運営等において、サプライチェーンの中断、損失が発生する(対策)運送体制強化、調達体制の最適化9情報セキュリティリスク業務○(シナリオ)サイバー攻撃により業務停止や情報漏洩、身代金請求等の被害が発生する顧客情報管理の委託先に対する指導・監査を適切に行うことができず、個人情報が流出し、顧客からの信頼を失う(対策)ランサムウェアやウイルス対策の強化、個人情報保護等の対策強化10生産設備における事故、不具合・故障業務○(シナリオ)製油所・油田・発電所での事故や不具合・故障により、操業継続が困難となるほか、周辺地域の自然環境・生物に影響を及ぼす等損失が発生し、キャッシュ・フロー創出に影響する(対策)不具合の未然防止(APM(注1)の構築等)及び減災対策の強化、老朽化対策11内部統制不備による不正/不適切行為の発生財務・コンプライアンス○(シナリオ)内部統制システムが十分に機能せず、人員・ノウハウやIT技術導入不足等により重大な不備や不正が発生し、行政指導や刑事罰を受けるほか、ステークホルダーからの信用を失う企業の価値・競争力の源泉となる情報資産が社外へ漏えいすることで、企業価値・競争力が毀損される(対策)CSA(注2)の実施、グループガバナンス強化、知的財産管理強化(注1)APM(Asset Performance Management System):グローバルスタンダードの保全・設備信頼性業務プロセスをシステムの活用により、保全のビッグデータを効率的かつ効果的に管理し、網羅性・予見性・管理性を高めることができる。(注2)CSA(Control Self Assessment - 内部統制自己評価) なお、トップリスクに関連するリスク顕在化の可能性、影響の内容及び対策については次のとおりであります。 (トップリスクNo.1 脱炭素化の進展による石油需要の減少・事業資産への影響)当社グループの売上高のうち主要な部分を占めるガソリン・灯油・軽油は、一般消費者の需要動向の影響を強く受け、ナフサは石油化学業界の需要動向に影響されます。燃料油の国内需要は、少子高齢化や人口減少、自動車ハイブリッド化等による燃費改善や燃料転換等の構造的要因から減少傾向が継続するものと想定しております。また、油価の下落、産油国の政策変更による供給先変更及び国内のみならず海外も含めた経済や政治の動向等で石油および石油化学製品の需要が変動した場合は、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。そのため、当社グループは、需要減少に備え国内販路の確保や収益油種を集中して生産できる体制の構築等に取り組んでおります。また、新たな取組としては、日本初の国産SAF(持続可能な航空燃料。カーボンニュートラル燃料に関するリスクについてはトップリスクNo.4に記載)の大規模生産、グリーン電力販売の拡大、蓄電事業の実証の着実な推進、水素事業の推進に取り組んでおります。 (トップリスクNo.2 環境規制・気候変動対策の強化に伴うポートフォリオ・戦略投資への影響)エネルギー政策や規制変更等により気候変動対策が急激に強化され、ポートフォリオ転換・戦略投資の判断に影響を及ぼす可能性があります。風力発電事業では、開発段階において各種許認可の取得に加え、風況観測及び環境アセスメントが必要となるため、建設工事着工前から一定程度の先行的な投資が発生します。開発段階で事業化を断念しなければならない事象が発生し、投資額が回収できない場合は、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、資材、建設費等の高騰、競争の激化等から、収益性が低下する可能性があります。これらのリスクについてはそれぞれ施策を講じてリスク低減に取り組んでおります。一般海域における洋上風力発電事業の開発は「海洋再生可能エネルギー発電設備の整備に係る海域の利用の促進に関する法律」(平成30年法律第89号)に則って行われ、具体的な手続、スケジュールは経済産業省及び国土交通省により進められています。当社グループが想定している時期に促進区域に指定されず、事業計画に遅れが出るもしくは中止となった場合は、当社グループの経営成績及び財政状態及び将来の成長性に影響を及ぼす可能性があります。上記に対し、当社グループでは事業候補地におけるフィージビリティスタディ等を実施し、リスク低減に取り組んでおります。なお、当社グループにおける気候変動に関するリスク及び取組については、「2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (2)気候変動への対応」をご参照ください。 (トップリスクNo.3 労働市場の変化による人材確保・育成の困難化)近年、労働人口が減少する中で有能な人材の確保をめぐる競争は激化しています。在籍している社員の流出防止や、経営戦略の推進に必要な人材の確保・育成ができない場合には、当社グループの事業、業績及び財政状態が悪影響を受ける可能性があります。そのため、当社グループは、事業成長の源泉及び組織活力の維持を担う人材の継続的な確保と育成に努めています。既存・新規事業の両面で多様性かつ専門性を持った人材の確保・育成に対応するため、処遇制度の見直し、自律的キャリア形成強化、人材育成への投資強化、 女性・キャリア採用強化に取り組んでおります。具体的には、自己啓発制度の拡充、経営人材・女性社員・事業部門の育成強化、採用手法の多様化等を実施しています。これら当社グループの取組については、「2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (3)人的資本」をご参照ください。 (トップリスクNo.4 カーボンニュートラル燃料への対応遅れ)カーボンニュートラル燃料は、既存の石油製品サプライチェーンの活用が可能であること等から脱炭素社会の実現へ向け期待は大きくなっています。一方で、現状では生産効率やコスト等が課題であり、普及に向けて技術開発に取り組む必要があります。脱炭素社会が到来し、カーボンニュートラル燃料が主流となった環境において、技術開発の失敗等によりカーボンニュートラル燃料を扱えない場合には製品の供給が困難となり、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは、脱炭素社会に向けた様々な技術開発・検討を行っており、リスク低減に取り組んでおります。 (トップリスクNo.5 原料・資材価格の変動)原油価格は、世界経済や産油国の生産方針等の需給動向に加え、中東産油国の周辺地域を中心とした戦争勃発や政情の不安定化、テロ等の不測の事態を含む多様な要因により変動する恐れがあります。石油開発事業における原油価格に関するリスクに加え、当社グループは、原油在庫の価格を総平均法で評価しているため、原油価格の下落局面では、期初の在庫単価と期中に仕入れた在庫単価が平均され売上原価を押し上げることになり、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。当社グループの主要な石油製品コストは、国際市況である原油価格や為替レートを反映した形で決定されるのに対し、販売活動は主に国内で行っており、販売価格は国内市況を反映して決定されます。国際市況と国内市況とのギャップやタイムラグが生じた場合は、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります(注)。石油化学製品の価格については、国際市況であるナフサ価格や為替レートの変動、世界的な需要動向等の影響を受ける可能性があります。また、原油価格の下落により、棚卸資産の期末における正味売却価額が帳簿価額よりも低下し、棚卸資産の収益性が低下したと判断する場合があります。この場合、棚卸資産の収益性の低下を反映するために計上した評価損が、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。なお、当社グループは原油及び石油製品の輸出入に係る価格変動のリスクをヘッジすることを目的としてデリバティブ取引を利用しています。具体的な取組については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 金融商品関係」をご参照ください。世界的な保護主義政策やインフレによって資材調達、輸送等のコストが変動し、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。当社グループはパートナーとの提携や、在庫の適正化等の施策を講じてリスクの低減に取り組んでおります。資材価格の変動に関して、洋上風力設備の建設工事着工は入札時からのリードタイムが数年あるため、その間に鋼材や労務費等の上昇が発生した場合、建設費用が増加する可能性があります。また、海外からの資機材搬入の遅延等さまざまな要因により、工事が遅延する可能性があります。建設費増加または工事遅延が発生した場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性がありますが、当社グループではパートナーとの提携等により、これらのリスクの低減に努めております。 (注)2025年5月13日に公表した2026年3月期通期連結業績予想の経常利益へ与える原油価格変動、為替変動の感応度を測定しております。2025年4月~2026年3月の前提条件は原油価格65ドル/バレル、為替145円/ドルとしており、前提より原油価格+1ドル/バレルあたりの影響額及び為替+1円/ドルあたりの影響額は以下のとおりであります。なお期間中において原油価格、為替に変動なく一定に推移した前提で試算しております。 (トップリスクNo.6 自然災害)自然災害の発生時には、当社グループの設備が被害を受け巨額の損失を被るほか、何らかの要因で操業が停止する可能性があります。そのため、当社グループでは巨大地震等の自然災害を想定し、その影響を最小限に抑えるため、非常用電源設置、耐震改修、BCP(事業継続計画)マニュアル整備等を行っています。2024年9月に南海トラフ巨大地震を想定したBCP訓練を当社、コスモ石油㈱、コスモ石油マーケティング㈱の3社合同で行いました。初動対応から被災地へ向けた石油製品の供給・販売方針策定に重点を置き、災害情報を視覚的に表示するダッシュボードシステム等を活用しオンラインでの情報連携や共有を行う等、より実践的な訓練とし、BCPの実効性や課題を確認しました。さらに2024年11月には、首都直下地震により当社グループの本社機能が麻痺した状態を想定し、臨時危機対策本部をコスモ石油㈱堺製油所及びコスモ石油マーケティング㈱大阪オフィスに設置し、災害対応に関する意思決定の権限を委譲した前提のBCP訓練を実施しました。訓練を通じて抽出されたBCPの体制や訓練運営上の課題に対して、対策を進めております。 (トップリスクNo.7 品質不正)当社グループは、日々製品・サービスの品質管理体制の強化に努めておりますが、(出荷後に)品質に関する問題が発覚し、広域にわたり製品回収を行うことにより多額の損失を被るだけでなく、顧客からの信頼喪失やブランドイメージの低下により、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。当社グループにおいて、過去に一部製品における不適正な検査が顕在化した事案を踏まえ、教育の徹底、試験法管理の見直し、監査の強化等の対策を継続実施し、リスク低減に取り組んでおります。 (トップリスクNo.8 サプライチェーンの中断)昨今のウクライナ紛争の長期化、中東地域や東アジア地域の政情変化、欧米及び中国の経済変化に伴う原油価格の急激な変動、テロ等の不測の事態により原油調達が影響を受ける可能性があります。また、原油生産拠点での操業停止のほか、必要物資の確保が困難になる等の要因により、製油所の整備ができず操業停止に至る場合や給油所の運営が中断された場合は、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。そのため、当社グループにおける必要物資確保のために施策を講じてリスクの低減に取り組んでおります。なお、サプライチェーンにおける人権課題等の把握が遅れ、リスク発現時にサプライチェーンの変更が求められるほか、中断を招く可能性があります。人権課題に対しては、2021年に策定した人権方針に基づき、人権デューデリジェンス(サプライヤーの人権課題分析、ステークホルダーエンゲージメント、従業員教育の取組)を実施しました。 (トップリスクNo.9 情報セキュリティリスク)サイバー攻撃によって、事業活動の混乱、秘密情報の喪失、個人情報の漏洩等が発生する可能性があり、近年そのリスクは高まっております。個人情報を含む秘密情報の消失、漏洩、改ざん等のリスクが顕在化した場合には、事業運営に支障をきたす恐れがあるほか、顧客からの信頼を失い、ブランドイメージが低下し、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。そのため、当社グループではランサムウエアへの対応手順の整備、ウイルス対策や個人情報保護等の対策強化を実施しております。さらに、顧客情報を含む機密情報の管理、取り扱いにつきましては、社内体制、社内規程等を整備し、外部への委託先に対して監督管理を実施しております。 (トップリスクNo.10 生産設備における事故、不具合・故障)設備の老朽化や人為的なミスを原因とする事故や労働災害によって、製油所、物流基地及び油槽所等の操業が停止する可能性があります。また、製油所、物流基地及び油槽所等以外でも給油所、タンカー及びローリーでの事故で事業運営に支障をきたす場合は、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは、事故を未然に防止するために、OMS(注1)の仕組みを強化、千葉製油所・四日市製油所のスーパー認定に続き堺製油所のA認定(注2)を取得しました。加えて、APMの導入範囲拡大やデジタルツイン構築、各種データ連携、VRデータ整備等DX強化に取り組むことで、トラブルの低減及び更なる稼働率の向上を目指しております。 (注1)OMS(Operations Management System):「あるべき姿(世界トップレベルの安全安定操業)」と現状のギャップを洗い出し、「規則・マニュアル化」、「教育・訓練」、「定着・実践」、「継続的改善」を繰り返すことで、「あるべき姿」を目指す操業マネジメントシステム。(注2)A認定:認定高度保安実施者制度。従来のスーパー認定制度に、テクノロジー活用やサイバーセキュリティの要件等が追加された高圧ガス保安法における認定制度。 (トップリスクNo.11 内部統制不備による不正/不適切行為の発生)当社グループが構築した内部統制システムが有効に機能せず、コンプライアンス違反等が発生した場合、ステークホルダーの信頼を失い当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。そのため、当社グループでは、法令等の遵守のために財務報告に係る内部統制を含む、有効な内部統制システムの整備、運用及び強化を図っております。内部通報制度については、周知並びに教育の強化を引き続き実施いたしました。

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