5020

ENEOSホールディングス(5020)は何で稼いでいるか — 事業の柱と依存度

石油・石炭製品 エネルギー資源

事業の概要

  • 持株会社体制
    ENEOSホールディングスは、子会社497社と持分法適用会社等154社からなる企業グループ全体の経営を統括する持株会社です。グループ全体で多岐にわたる事業を展開しており、各事業会社がそれぞれの専門分野で事業活動を行っています。これにより、グループ全体の効率的な運営と事業ポートフォリオの最適化を図っています。
  • エネルギー事業が主軸
    かつてはエネルギーセグメントが中心でしたが、2024年4月1日にENEOS株式会社の機能材、電気、再生可能エネルギーの3事業を分社化しました。これにより、各事業の専門性を高め、それぞれの市場環境に合わせた戦略を推進しやすくなっています。石油製品の精製・販売が引き続き主要な収益源の一つです。
  • 事業構造の変革
    2025年3月19日には、JX金属株式会社が東京証券取引所プライム市場に上場し、同社株式の一部売却により子会社から持分法適用会社へ移行しました。これに伴い、金属事業は非継続事業に分類され、グループの事業ポートフォリオが大きく変化しています。これにより、新たな成長分野への注力や事業再編を進めていることが伺えます。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
セグメント構成
  • 石油製品ほかセグメント
    このセグメントは、主に石油製品の精製、販売、および石油化学製品の製造・販売を担っています。国内のガソリンスタンド網を通じて燃料油を供給するほか、産業用燃料やアスファルト、潤滑油なども扱っています。原油価格や石油製品の需給状況に収益が大きく左右される特徴があります。
  • 石油・天然ガス開発セグメント
    このセグメントでは、原油や天然ガスの探鉱、開発、生産を行っています。世界各地の油田・ガス田から原油や天然ガスを調達し、グループのエネルギー供給源として重要な役割を担っています。原油・天然ガス価格の国際市況が、このセグメントの業績に直接的な影響を与えます。
  • 機能材セグメント
    このセグメントは、タイヤ材料や二次電池材料などの高機能素材を製造・販売しています。自動車産業や電気自動車(EV)市場の動向と密接に関連しており、技術革新や顧客ニーズの変化に対応しながら、高付加価値製品を提供しています。原材料価格の変動や景気後退による自動車需要の低迷がリスクとなります。
有価証券報告書「事業の内容」の全文を見る(年度切替)
FY2025|484 文字
3【事業の内容】当社を持株会社とする企業集団(当社、子会社497社、持分法適用会社等154社)が営む主要な事業の内容と主要な関係会社の当該事業における位置づけは、次のとおりです。主要な会社の詳細は、「4 関係会社の状況」に記載しています。2024年4月1日に、従来のエネルギーセグメントに属するENEOS株式会社の3事業(機能材、電気、再生可能エネルギー)を分社化しました。また、2025年3月19日にJX金属株式会社(以下、JX金属)が東京証券取引所プライム市場に上場しました。株式上場に際し、JX金属株式の一部売出しを行ったことにより、JX金属は子会社から持分法適用会社となったため、金属事業を非継続事業へ分類しています。これらに伴い、報告セグメントの区分を変更しています。詳細は、「第5 経理の状況 連結財務諸表 注記7.セグメント情報」をご覧ください。 なお、当社は有価証券の取引等の規制に関する内閣府令第49条第2項に規定する特定上場会社等に該当しており、これにより、インサイダー取引規制の重要事実の軽微基準は連結ベースの数値に基づき判断することとなります。

事業の優位性(モート)

事業の質(有価証券報告書から抽出)
数字に出ない事業の性質を、同じ物差しで全銘柄そろえています。FY2025時点の記載が出典です。
価格決定力値上げを通せるか。強いほどインフレ耐性が高い 弱い
石油製品のマージンは原油価格と国内市場価格に左右され、コントロールし得ない要因で決定されるため。
参入障壁新規参入を阻む要因の種類 設備
石油精製能力や稼働率、石油・天然ガス開発における探鉱・開発地域の選定、設備の建設コスト。
景気敏感度業績が景気循環にどれだけ振られるか シクリカル
設備投資の性質稼いだ現金がどれだけ設備維持に消えるか 混合
規制依存規制は障壁にも足枷にもなる 高い
会社が挙げる主要リスク:市場リスク・商品価格変動リスク / 環境規制に関するリスク / 操業に関するリスク
同じ条件で他の銘柄を探す → 定性スクリーニング(価格決定力・参入障壁・景気敏感度などで絞り込めます)
モート総合 14 / 25 5類型それぞれの強度と、そう判定した根拠
無形資産★★★☆☆
根拠:中程度ブランド・特許・許認可

ENEOSは国内最大の石油元売であり、長年のブランド認知と政府からの規制・許認可(石油精製・販売業)が参入障壁となっている。特に、国内のインフラ維持という側面から、新規参入は極めて困難。ブランド力はガソリンスタンド網を通じて消費者に浸透している。

スイッチングコスト★★☆☆☆
根拠:中程度乗り換えの手間・コスト

法人顧客においては、既存の供給網や価格交渉力から、他社への切り替えには一定のコストや手間が発生する可能性がある。しかし、一般消費者にとっては、ガソリンスタンドの利便性や価格で選択されるため、スイッチング・コストは限定的。

ネットワーク効果☆☆☆☆☆
根拠:弱い利用者増が価値を生む

石油製品の供給網はネットワーク効果を生むものではなく、むしろ規模の経済やインフラの物理的制約が重要となる。

コスト優位★★★★☆
根拠:強い同じ物を安く作れる

国内最大の精製能力と調達力を背景に、スケールメリットによるコスト優位性を持つ。また、自社系列のサービスステーション網は、効率的な販売チャネルとして機能し、他社に対するコスト競争力を支えている。

規模の経済★★★★★
根拠:強い規模が参入障壁になる

国内石油精製・販売市場において圧倒的なシェア(約4割)を有しており、業界規模に対して最適化された少数寡占状態を形成している。この規模は、調達、精製、物流、販売の各段階で強力な効率性を生み出す。

  • 広範な事業ポートフォリオ
    ENEOSホールディングスは、エネルギー、機能材、電気、再生可能エネルギーなど多岐にわたる事業を展開しており、特定の事業に依存しないリスク分散が図られています。これにより、市場環境の変化や特定の事業の不振があった場合でも、グループ全体としての安定性を保ちやすい構造と言えます。
  • 強固な国内基盤
    国内における石油製品の精製・販売において、長年の実績と広範な供給網を持つことは、同社の大きな強みです。サービスステーション網や物流インフラは、新規参入企業が容易に構築できない規模であり、安定的な収益基盤を形成しています。
  • リスクマネジメント体制
    全社的リスクマネジメント(ERM)体制を整備・運用し、グループ経営に甚大な影響を与えうるリスク事象を毎年抽出し、対応策を実行しています。これにより、事業活動における潜在的なリスクを早期に特定し、適切な対策を講じることで、経営の安定性を高める努力をしていると考えられます。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)

経営戦略

有価証券報告書「経営方針・対処すべき課題・MD&A」の全文を見る(年度切替)
経営方針・経営戦略
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】文中の将来に関する事項は、当社が本報告書提出日現在において判断したものです。 (1)会社の経営の基本方針当社は、事業活動の基礎となる「ENEOSグループ理念」を次のとおり定めています。 また、当社グループを取り巻く事業環境はかつてない転換期を迎えています。このような環境の下、「ENEOSグループ理念」の実現に向けて「『今日のあたり前』を支え、『明日のあたり前』をリードする。」を新たな決意として掲げました。ENEOSグループは、困難な課題に挑戦し、「明日のあたり前」を創りつづけるリーディングカンパニーとして、ステークホルダーの皆様からの一層の信頼に応えていきます。 (2)ENEOSグループが目指す方向性<中長期 事業環境認識・当社事業戦略>中長期での事業環境認識や当社の事業戦略については、以下のとおりです。カーボンニュートラルに向けたトレンドは緩やかになっており、エネルギートランジションの本格分岐は従来の想定より遅れる可能性があるものと認識しています。いずれ迎えるエネルギートランジションの本格分岐に備え、基盤・素材事業を効率化・強化し、キャッシュ創出力を高めるとともに、基盤・素材事業で得られたキャッシュを、柔軟なキャッシュ・アロケーションを通じ価値創造につなげます。特に低炭素事業は、今後もカーボンニュートラルに向けた移行期におけるエネルギーとしての重要性が増大していくものと認識しており、当社も力を入れて取り組みます。 <ROIC・事業領域別収益規模>現状では基盤事業の占める割合が大きいものの、基盤事業を効率化・強化するとともに低炭素・脱炭素事業を着実に成長させていくことで、2040年にはROIC7%、ROE15%を目指します。 (3)第3次中期経営計画(2023年度から2024年度まで)の振り返りROE、ROICといった資本効率については引き続き注力が必要であるものの、当期利益並びにフリー・キャッシュ・フローは2024年度時点で目標を達成することができました。また、株主還元については、総額2,500億円の大規模な自社株買いと年間4円の増配を実施したことにより、同期間の総還元性向は77%となり、還元方針である総還元性向50%を大きく上回る水準の株主還元を実行しました。 第3次中期経営計画における事業面や経営基盤の成果の詳細は、以下のとおりです。 (4)対処すべき課題<基本方針>当社は、事業ポートフォリオ転換の一環として、2025年3月にJX金属株式会社(以下、JX金属)の上場を実施しました。本件を通じて、エネルギートランジションの実現に向けた、事業ポートフォリオ転換のための戦略投資等の資金を確保するとともに、コングロマリットディスカウントの解消を通じた企業価値向上を図りました。他方、エネルギーに関する社会情勢は、脱炭素の方向性に沿いつつも、石油を含めた安定かつ経済的なエネルギー供給がより重視される環境となっています。この背景として、エネルギー安全保障意識の高まりやトランプ政権の政策リスク、脱炭素社会実現に向けたコスト負担の増加、インフレ等によるプロジェクト採算の予見性低下といった、「不確実性の高まり」に因るところが大きいものと認識しています。こうした当社の状況及び社会情勢の大きな変化を踏まえ、2025年度から2027年度までの第4次中期経営計画(以下、第4次中計)を新たに編成しました。第4次中計においては前述の「不確実性」に対してより機動的かつ柔軟に対応すべく、「筋肉質な経営体質への転換」と「ポートフォリオ再編」を2本柱として、企業価値最大化の実現に向けた取組を加速します。 前述の2本柱の内、まず重要なのが「筋肉質な経営体質への転換」です。当社グループの改善すべきポテンシャルについてゼロベースで見直し効率化していくことで、より収益力を高めます。具体的には、収益改善機会の追求のため「見える化」を聖域なく徹底的に進めていくとともに、業務全域でのAI活用を通じ、業務効率の向上を図るだけではなく、組織のスリム化まで踏み込んで進めます。もう1つの柱である「ポートフォリオ再編」については、トレーディングを含む海外燃料油事業等を中心に早期収益化を狙える事業、LNG・バイオ燃料等の低炭素事業に優先的にリソースを投入します。投資に際しては、M&A活用を含めた成長機会を追求していくとともに、投資管理の高度化を両立させ、投資案件の厳選とパフォーマンスの最大化を図ります。また、これらの施策を実行・実現する人材育成のため、人的資本経営にも注力し、次世代のリーダーの早期選抜・育成と専門性の追求を軸としたジョブ型タレントマネジメントの徹底を図ります。これらの取組を通じてROE10%以上を早期に実現させ、「今日のあたり前」を支え、「明日のあたり前」をリードしていきます。 <財務目標・事業計画>第4次中計最終年度である2027年度の財務目標は、以下のとおりです。ROEは10%以上、ROICは6%以上、利益の絶対額については、在庫影響除き当期利益は3,200億円、在庫影響除き営業利益は5,000億円を目標としています。また、ネットD/Eレシオは他社開示事例等を踏まえ、第4次中計よりリース負債含み・非支配持分除きのベースで開示しています。 各セグメントの事業計画は、以下のとおりです。<筋肉質な経営体質への転換>「筋肉質な経営体質への転換」に向けた施策は、以下のとおりです。まず徹底的な「見える化」を通じたROICの改善を進めます。FP&A組織を設立し、この組織が事業環境変化に対して素早く、質の高い情報を提供するとともに、改善に向けたアクション・PDCAにつなげることで、社内の「見える化」を強力に推進します。また、この「見える化」の具体的な取組として、当社グループ会社のROIC改善・ガバナンス強化の取組があります。JX金属が上場し当社グループ連結対象会社は100社程度減少しましたが、それでもまだ直近で651社あります。ここには間違いなく効率化のポテンシャルが多く残されているものと確信しており、組織・体制の再構築を含め、しっかり見える化のメスを入れていくことで改善を図ります。リスクマネジメントについてもCROを置くとともにリスクマネジメント部を新設し、グループ横断的に重要リスクを選定するとともに迅速かつ的確にミティゲーションプランを立案することで、リスク低減を図ります。 AI活用の推進については、以下のとおりです。当社グループでは、これまで供給・製造領域におけるサプライチェーンの最適化や、R&D領域での新素材の探索において、深層学習を導入しました。第4次中計では、これらにとどまらず、業務全域でAIの活用可能性を追求します。販売においてはより高度な提案営業、経営においては経営指標やリスクのAIによる予測、また管理部門を中心に徹底した業務効率化をし、組織のスリム化を進めます。また、AI活用の専任組織である「AIイノベーション部」を6月に発足させ、グループ全体におけるAI活用を強力に推し進め、業務効率化やイノベーションの具現化を図ります。 <ポートフォリオ再編>ポートフォリオ再編に向けた、投資の厳選とリターンの最大化のための仕組み強化については、以下のとおりです。投資審査システムの再整備について、これまでも投資実行にあたっては一定の投資審査を実施しましたが、今後は投資審査の専任組織を置くとともにシステマティックかつ多面的な投資審査を実行し、投資審査を通じて当初計画から5%の投資額削減を目指します。投資リアプレイザルの実施については、投資案件の実行から一定期間後に当初計画と現状のギャップ分析を行うとともに、戦略の見直しや資源の再配分等の必要な対策を講じることで、パフォーマンスを最大化します。PMIについては、ポートフォリオ再編に向けてM&Aは即効性のある手段ですが、M&Aの成功に向けてはPMIが非常に重要なファクターであることから、「PMIガイドライン」を整備するとともに、PMI体制の強化を図ることで、M&Aにおけるリターン最大化を図ります。 <キャッシュ・アロケーション>第4次中計3か年累計の設備投融資は1兆5,600億円を計画しています。このうち、事業維持投資は8,200億円・戦略投資は7,400億円です。事業維持投資は、基盤・素材事業にしっかりとリソースを配分し競争力の維持・向上を図るとともに、戦略投資においては、その4割以上をLNG開発・SAF等の低炭素事業に振り向ける計画です。また、不確実な事業環境下において、柔軟にM&Aを含む戦略投資及び追加還元への資金配分を行うべく、設備投融資と株主還元の間の項目として、マネジメント・アロケーション枠を設定しました。ネットD/Eレシオについては、これまで財務健全性の観点から、ネットD/Eレシオの上限のみを示していましたが、ここから一歩踏み込み、0.7倍~0.9倍というレンジとしています。なお、この水準は現状の格付維持と資本コスト低減のバランスを総合的に勘案して決定したものです。 <株主還元>2025年度の配当については、第4次中計達成に向けた強い決意を込めて、1株当たり4円増配の30円としました。さらに、第4次中計期間中は、年間30円の配当を起点とする、業績に応じた累進配当を導入することを決定しました。安定的な配当の継続から一歩踏み出し、収益の拡大とともにさらなる増配を目指します。 <企業価値向上に向けた取組>2024年度はJX金属上場を通じたポートフォリオ再編や自社株式取得による最適資本構成の追求、製油所トラブル削減等の収益力強化に取り組みました。これらの取組を通じて実質的なROEは着実に改善していますが、安定的かつ継続的に株主資本コストを上回る状態とは言えず、結果としてPBRが1倍を下回る状況が継続しています。PBR1倍超えに向けた取組については、徹底的な効率化による既存事業の収益最大化、厳選した投資の実行による事業ポートフォリオ再編等の第4次中計に包含される取組を通じて、ROIC改善を推進します。 また、役員報酬制度を見直し、株式報酬の算定指標にTSRを導入しました。今後も、株主の皆様との価値共有を図るとともに、当社グループの中長期的な企業価値向上に努めます。 <次期の連結業績予想について(2025年5月公表)>2024年度に計上したのれん減損損失の反転、海運事業売却に伴う利益、五井火力発電所の通期での利益貢献等を織り込む一方で、円高・油ガス価下落による石油・天然ガス開発の減益、JX金属株式売却に伴う利益剥落等を織り込んでいます。前提条件に基づく次期の業績予想は下記のとおりです。●前提条件(2025年4月以降)為替:140円/ドル、原油(ドバイスポット):75ドル/バーレル売上高:11兆7,000億円 営業利益:3,600億円 親会社の所有者に帰属する当期利益:1,850億円在庫影響(総平均法及び簿価切下げによる棚卸資産の評価が売上原価に与える影響)を除いた営業利益相当額は、4,100億円と見込んでいます。
対処すべき課題
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】文中の将来に関する事項は、当社が本報告書提出日現在において判断したものです。 (1)会社の経営の基本方針当社は、事業活動の基礎となる「ENEOSグループ理念」を次のとおり定めています。 また、当社グループを取り巻く事業環境はかつてない転換期を迎えています。このような環境の下、「ENEOSグループ理念」の実現に向けて「『今日のあたり前』を支え、『明日のあたり前』をリードする。」を新たな決意として掲げました。ENEOSグループは、困難な課題に挑戦し、「明日のあたり前」を創りつづけるリーディングカンパニーとして、ステークホルダーの皆様からの一層の信頼に応えていきます。 (2)ENEOSグループが目指す方向性<中長期 事業環境認識・当社事業戦略>中長期での事業環境認識や当社の事業戦略については、以下のとおりです。カーボンニュートラルに向けたトレンドは緩やかになっており、エネルギートランジションの本格分岐は従来の想定より遅れる可能性があるものと認識しています。いずれ迎えるエネルギートランジションの本格分岐に備え、基盤・素材事業を効率化・強化し、キャッシュ創出力を高めるとともに、基盤・素材事業で得られたキャッシュを、柔軟なキャッシュ・アロケーションを通じ価値創造につなげます。特に低炭素事業は、今後もカーボンニュートラルに向けた移行期におけるエネルギーとしての重要性が増大していくものと認識しており、当社も力を入れて取り組みます。 <ROIC・事業領域別収益規模>現状では基盤事業の占める割合が大きいものの、基盤事業を効率化・強化するとともに低炭素・脱炭素事業を着実に成長させていくことで、2040年にはROIC7%、ROE15%を目指します。 (3)第3次中期経営計画(2023年度から2024年度まで)の振り返りROE、ROICといった資本効率については引き続き注力が必要であるものの、当期利益並びにフリー・キャッシュ・フローは2024年度時点で目標を達成することができました。また、株主還元については、総額2,500億円の大規模な自社株買いと年間4円の増配を実施したことにより、同期間の総還元性向は77%となり、還元方針である総還元性向50%を大きく上回る水準の株主還元を実行しました。 第3次中期経営計画における事業面や経営基盤の成果の詳細は、以下のとおりです。 (4)対処すべき課題<基本方針>当社は、事業ポートフォリオ転換の一環として、2025年3月にJX金属株式会社(以下、JX金属)の上場を実施しました。本件を通じて、エネルギートランジションの実現に向けた、事業ポートフォリオ転換のための戦略投資等の資金を確保するとともに、コングロマリットディスカウントの解消を通じた企業価値向上を図りました。他方、エネルギーに関する社会情勢は、脱炭素の方向性に沿いつつも、石油を含めた安定かつ経済的なエネルギー供給がより重視される環境となっています。この背景として、エネルギー安全保障意識の高まりやトランプ政権の政策リスク、脱炭素社会実現に向けたコスト負担の増加、インフレ等によるプロジェクト採算の予見性低下といった、「不確実性の高まり」に因るところが大きいものと認識しています。こうした当社の状況及び社会情勢の大きな変化を踏まえ、2025年度から2027年度までの第4次中期経営計画(以下、第4次中計)を新たに編成しました。第4次中計においては前述の「不確実性」に対してより機動的かつ柔軟に対応すべく、「筋肉質な経営体質への転換」と「ポートフォリオ再編」を2本柱として、企業価値最大化の実現に向けた取組を加速します。 前述の2本柱の内、まず重要なのが「筋肉質な経営体質への転換」です。当社グループの改善すべきポテンシャルについてゼロベースで見直し効率化していくことで、より収益力を高めます。具体的には、収益改善機会の追求のため「見える化」を聖域なく徹底的に進めていくとともに、業務全域でのAI活用を通じ、業務効率の向上を図るだけではなく、組織のスリム化まで踏み込んで進めます。もう1つの柱である「ポートフォリオ再編」については、トレーディングを含む海外燃料油事業等を中心に早期収益化を狙える事業、LNG・バイオ燃料等の低炭素事業に優先的にリソースを投入します。投資に際しては、M&A活用を含めた成長機会を追求していくとともに、投資管理の高度化を両立させ、投資案件の厳選とパフォーマンスの最大化を図ります。また、これらの施策を実行・実現する人材育成のため、人的資本経営にも注力し、次世代のリーダーの早期選抜・育成と専門性の追求を軸としたジョブ型タレントマネジメントの徹底を図ります。これらの取組を通じてROE10%以上を早期に実現させ、「今日のあたり前」を支え、「明日のあたり前」をリードしていきます。 <財務目標・事業計画>第4次中計最終年度である2027年度の財務目標は、以下のとおりです。ROEは10%以上、ROICは6%以上、利益の絶対額については、在庫影響除き当期利益は3,200億円、在庫影響除き営業利益は5,000億円を目標としています。また、ネットD/Eレシオは他社開示事例等を踏まえ、第4次中計よりリース負債含み・非支配持分除きのベースで開示しています。 各セグメントの事業計画は、以下のとおりです。<筋肉質な経営体質への転換>「筋肉質な経営体質への転換」に向けた施策は、以下のとおりです。まず徹底的な「見える化」を通じたROICの改善を進めます。FP&A組織を設立し、この組織が事業環境変化に対して素早く、質の高い情報を提供するとともに、改善に向けたアクション・PDCAにつなげることで、社内の「見える化」を強力に推進します。また、この「見える化」の具体的な取組として、当社グループ会社のROIC改善・ガバナンス強化の取組があります。JX金属が上場し当社グループ連結対象会社は100社程度減少しましたが、それでもまだ直近で651社あります。ここには間違いなく効率化のポテンシャルが多く残されているものと確信しており、組織・体制の再構築を含め、しっかり見える化のメスを入れていくことで改善を図ります。リスクマネジメントについてもCROを置くとともにリスクマネジメント部を新設し、グループ横断的に重要リスクを選定するとともに迅速かつ的確にミティゲーションプランを立案することで、リスク低減を図ります。 AI活用の推進については、以下のとおりです。当社グループでは、これまで供給・製造領域におけるサプライチェーンの最適化や、R&D領域での新素材の探索において、深層学習を導入しました。第4次中計では、これらにとどまらず、業務全域でAIの活用可能性を追求します。販売においてはより高度な提案営業、経営においては経営指標やリスクのAIによる予測、また管理部門を中心に徹底した業務効率化をし、組織のスリム化を進めます。また、AI活用の専任組織である「AIイノベーション部」を6月に発足させ、グループ全体におけるAI活用を強力に推し進め、業務効率化やイノベーションの具現化を図ります。 <ポートフォリオ再編>ポートフォリオ再編に向けた、投資の厳選とリターンの最大化のための仕組み強化については、以下のとおりです。投資審査システムの再整備について、これまでも投資実行にあたっては一定の投資審査を実施しましたが、今後は投資審査の専任組織を置くとともにシステマティックかつ多面的な投資審査を実行し、投資審査を通じて当初計画から5%の投資額削減を目指します。投資リアプレイザルの実施については、投資案件の実行から一定期間後に当初計画と現状のギャップ分析を行うとともに、戦略の見直しや資源の再配分等の必要な対策を講じることで、パフォーマンスを最大化します。PMIについては、ポートフォリオ再編に向けてM&Aは即効性のある手段ですが、M&Aの成功に向けてはPMIが非常に重要なファクターであることから、「PMIガイドライン」を整備するとともに、PMI体制の強化を図ることで、M&Aにおけるリターン最大化を図ります。 <キャッシュ・アロケーション>第4次中計3か年累計の設備投融資は1兆5,600億円を計画しています。このうち、事業維持投資は8,200億円・戦略投資は7,400億円です。事業維持投資は、基盤・素材事業にしっかりとリソースを配分し競争力の維持・向上を図るとともに、戦略投資においては、その4割以上をLNG開発・SAF等の低炭素事業に振り向ける計画です。また、不確実な事業環境下において、柔軟にM&Aを含む戦略投資及び追加還元への資金配分を行うべく、設備投融資と株主還元の間の項目として、マネジメント・アロケーション枠を設定しました。ネットD/Eレシオについては、これまで財務健全性の観点から、ネットD/Eレシオの上限のみを示していましたが、ここから一歩踏み込み、0.7倍~0.9倍というレンジとしています。なお、この水準は現状の格付維持と資本コスト低減のバランスを総合的に勘案して決定したものです。 <株主還元>2025年度の配当については、第4次中計達成に向けた強い決意を込めて、1株当たり4円増配の30円としました。さらに、第4次中計期間中は、年間30円の配当を起点とする、業績に応じた累進配当を導入することを決定しました。安定的な配当の継続から一歩踏み出し、収益の拡大とともにさらなる増配を目指します。 <企業価値向上に向けた取組>2024年度はJX金属上場を通じたポートフォリオ再編や自社株式取得による最適資本構成の追求、製油所トラブル削減等の収益力強化に取り組みました。これらの取組を通じて実質的なROEは着実に改善していますが、安定的かつ継続的に株主資本コストを上回る状態とは言えず、結果としてPBRが1倍を下回る状況が継続しています。PBR1倍超えに向けた取組については、徹底的な効率化による既存事業の収益最大化、厳選した投資の実行による事業ポートフォリオ再編等の第4次中計に包含される取組を通じて、ROIC改善を推進します。 また、役員報酬制度を見直し、株式報酬の算定指標にTSRを導入しました。今後も、株主の皆様との価値共有を図るとともに、当社グループの中長期的な企業価値向上に努めます。 <次期の連結業績予想について(2025年5月公表)>2024年度に計上したのれん減損損失の反転、海運事業売却に伴う利益、五井火力発電所の通期での利益貢献等を織り込む一方で、円高・油ガス価下落による石油・天然ガス開発の減益、JX金属株式売却に伴う利益剥落等を織り込んでいます。前提条件に基づく次期の業績予想は下記のとおりです。●前提条件(2025年4月以降)為替:140円/ドル、原油(ドバイスポット):75ドル/バーレル売上高:11兆7,000億円 営業利益:3,600億円 親会社の所有者に帰属する当期利益:1,850億円在庫影響(総平均法及び簿価切下げによる棚卸資産の評価が売上原価に与える影響)を除いた営業利益相当額は、4,100億円と見込んでいます。
MD&A(経営者による分析)
4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】(1)経営成績等の状況の概要2025年3月19日に、当社の子会社であるJX金属株式会社(以下、JX金属)が東京証券取引所プライム市場に新規上場しました。株式上場に際し、当社が保有するJX金属株式の一部につき売出しを行ったことにより、JX金属は子会社から持分法適用会社となりました。これに伴い、JX金属及び同社子会社等からなる金属事業(金属セグメント)を非継続事業に分類しています。売上高、営業利益及び税引前利益については、非継続事業を除いた継続事業の金額を記載しており、前年同期の数値も同様に組み替えています。 <ENEOSグループを取り巻く環境>当連結会計年度においては、インフレが徐々に落ち着きを見せつつあり、加えて貿易の持ち直し等も背景として、世界経済は底堅い成長を維持しました。わが国経済についても、物価高により節約志向が高まりましたが、企業の設備投資拡大や雇用・所得環境の改善等により、景気の緩やかな回復が継続しました。当連結会計年度における原油価格(ドバイ原油)は、期初は1バーレル当たり88ドルから始まり、期末には76ドル、期平均では前年同期比3ドル安の79ドルとなりました。期央にかけては地政学上の懸念はあるものの世界的な需給緩和見通しを背景に下落し、期末にかけては米国の政策動向の不透明感等から不安定な値動きとなりました。銅の国際価格(LME〔ロンドン金属取引所〕価格)は、期初は1ポンド当たり405セントから始まり、期末には439セント、期平均では前年同期比46セント高の425セントとなりました。中国製錬会社の減産合意報道やロシア産金属取引規制による供給リスクの高まりを受け、5月には492セントまで上昇し、史上最高値を更新、その後も高値を維持し期末にかけて堅調に推移しました。円の対米ドル相場は、日米の金利差拡大を背景に6月には約38年ぶりの161円台まで円安が進行しましたが、米国景気懸念や日銀の政策金利引き上げ等により円高が進行しました。その後、期末に向けて再び円安が進行し、期平均では前年同期比8円円安の153円となりました。 <連結業績の概要>こうした状況のもと、当連結会計年度における売上高は、前年同期比0.2%減の12兆3,225億円となりました。また、営業利益は、前年同期比2,753億円減益の1,061億円となりました。在庫影響(総平均法及び簿価切下げによる棚卸資産の評価が売上原価に与える影響)を除いた営業利益相当額は、前年同期比1,460億円減益の1,637億円となりました。金融収益と金融費用の純額179億円を差し引いた結果、税引前利益は、前年同期比2,797億円減益の882億円となり、法人所得税費用308億円を差し引いた継続事業からの当期利益は、前年同期比1,720億円減益の574億円となりました。非継続事業からの当期利益は、JX金属の上場に伴う売却関連収益の計上により、前年同期比1,135億円増益の2,295億円となりました。継続事業と非継続事業を合わせた当期利益は、前年同期比586億円減益の2,869億円となりました。なお、当期利益の内訳は、継続事業及び非継続事業の合算の親会社の所有者に帰属する当期利益が2,261億円、非支配持分に帰属する当期利益が608億円となりました。 (注)上図内の原油価格、銅価、為替レートは期平均値です。 セグメント別の概況は、次のとおりです。なお、当連結会計年度より、報告セグメントの区分を変更しています。詳細は、「第5 経理の状況 連結財務諸表 注記7.セグメント情報」をご覧ください。 [石油製品ほかセグメント]<主な事業内容>ENEOS株式会社は、国内最大の燃料油販売シェアを有する石油精製販売事業に加え、エネルギートランジション実現への取組として、SAF(*1)・水素・合成燃料といった次世代エネルギー事業にも取り組んでいます。*1 SAF : 持続可能な航空燃料 <トピックス>●製油所の競争力強化に向けた取組第3次中期経営計画の基本方針である「確かな収益の礎の確立」を成し遂げるべく、製油所稼働率の改善に向けた取組を推進しました。具体的には、定期修理における工事品質の向上、設備の連続運転に資する検査・監視の充実と対策の強化等によりトラブル削減を推進しました。結果として、当連結会計年度における製油所の計画外停止の割合は、前年同期の7%から良化し、5%となりました。また、装置の運転において、人の技量を支援し、より精緻で高度な安定性・効率性を実現して収益最大化を達成すべく、AIの活用にも取り組みました。具体的には、川崎製油所の原油処理を行う常圧蒸留装置で、AI自動運転モデルの活用を開始しました。これは、AI技術を用いて同装置の安定的な常時自動運転を実現した世界初の取組です。●エネルギートランジション実現への取組カーボンニュートラル社会においても当社グループが国内一次エネルギー供給のメインプレイヤーであり続けるべく、当連結会計年度においてもエネルギートランジション実現に向けた取組を推進しました。具体的には、SAFの分野においては、国内石油元売として初めてSAFを輸入し、複数の航空会社への供給を開始しました。また、和歌山製造所にて、年間約40万KLのSAF量産供給体制を構築すべく検討を進めています。合成燃料の分野においては、原料から合成燃料を一貫製造できる日本初のプラントである、合成燃料製造実証プラントの実証運転を開始しました。製造した合成燃料は、2025年4月から開催中の大阪・関西万博における大型車両走行実証等にも活用されています。 <事業概況>石油製品については、自動車の低燃費化を主因とする構造的な国内石油製品需要の減少や、製油所の稼働状況を受けて輸出数量が減少したことにより、販売数量は前年同期比減少したものの、販売構成の変化により数量が与える損益影響は前年同期比良化しました。石油化学製品のマージンについては、パラキシレンはガソリン需要減を背景に生産量が増加したためマージンは前年同期比で悪化、ベンゼンは旺盛な米国需要により前年同期比良化しました。また、金利上昇に伴う割引率の上昇等により、当連結会計年度においては統合のれん等の減損損失が発生しています。こうした状況のもと、石油製品ほかセグメントの当連結会計年度における売上高は、前年同期比0.8%減の10兆9,797億円となりました。営業損失は前年同期比3,125億円減益の507億円となりました。在庫影響による会計上の損失が576億円(前年同期は717億円の利益)含まれており、在庫影響を除いた営業利益相当額は、前年同期比1,832億円減益の69億円となりました。 [石油・天然ガス開発セグメント]<主な事業内容>ENEOS Xplora株式会社(以下、ENEOS Xplora)は、基盤事業である石油・天然ガスの開発・生産事業を軸としつつ、CCS/CCUS(*2、3)を中心とした環境対応型事業を成長事業と位置付けてもう一つの軸とする「二軸経営」を展開しています。*2 CCS :二酸化炭素回収・貯留*3 CCUS : 二酸化炭素回収・有効利用・貯留 <トピックス>●エネルギーの安全・安定供給エネルギーの安全・安定供給を実現するため、石油・天然ガス開発事業においても安全・安定・効率的事業運営を推進し、価値最大化を追求しました。具体的には、パプアニューギニアにおいては、2024年11月、新規ガス田であるアンゴレガス田からの生産を開始しました。また、インドネシアにおいては、同年11月、CCUSを含むタングーLNGプロジェクト拡張開発計画である「UCCプロジェクト」の最終投資決定(FID)を実施しました。さらに、ベトナムにおいては、2025年3月、1992年に権益を取得した15-2鉱区に関して、新たな生産分与契約(PSC)を締結しました。●環境対応型事業の推進環境対応型事業として、CCS/CCUSバリューチェーンのさらなる強化・構築を行うとともに、CCS/CCUS早期実装に向けた取組を推進しました。具体的には、米国においては2014年から推進しているPetra Nova CCUSプロジェクトに関して、2025年2月、世界有数のCO₂回収量となる累計500万トンを達成しました。また、日本郵船株式会社及びその関連会社との間でCO₂液化・貯蔵プロセス実証実験を実施しました。加えて、米国Calcite Carbon Removalが推進する直接空気回収(DAC)プロジェクトへ参画する等、ネガティブエミッション事業を推進しました。●社名変更ENEOS Xploraは、従来の石油・天然ガス開発・生産専業から、環境対応型事業の育成・促進も目指す「二軸経営」を推進する姿勢を明確にするため、2025年1月、「JX石油開発株式会社」から現在の社名に変更しました。 <事業概況>原油及び天然ガスの生産量については、一部プロジェクトで減退及び定期修繕に伴う操業停止影響があったものの、インドネシアのタングープロジェクトにおける第3系列液化ガス設備の稼働開始による増産影響等により、前年同期比増加しました。また、原油及び天然ガスの販売価格は、市況を反映し、概ね前年同期並となりました。こうした状況のもと、石油・天然ガス開発セグメントの当連結会計年度における売上高は、前年同期比18.5%増の2,428億円、営業利益は前年同期比41億円減益の874億円となりました。 [機能材セグメント]<主な事業内容>株式会社ENEOSマテリアルは、主にタイヤ材料として使用される合成ゴム及びその関連製品に加え、高機能化学品の生産・販売事業を展開しています。また、サステナブル原料の技術開発やカーボンニュートラル推進のための諸施策に取り組んでいます。 <トピックス>●競争力強化の取組機能材事業における戦略製品であり、主に低燃費タイヤの接地面に使用される溶液重合スチレン・ブタジエンゴム(SSBR)については、顧客の商品開発のリードタイムを意識し、ニーズを正確に先取りしながら、さらなる高機能・高付加価値化を目指した商品開発を進めました。こうした取組により、グローバル市場における需要を着実に取り込んだ結果、特に高機能グレードの販売が拡大し、当連結会計年度はSSBRの販売数量が過去最高を記録しました。また、他分野での戦略製品である電池用バインダーについては、当社グループの強みであるポリマー技術を活かして開発を進めており、機能材事業における2本目の柱に育てるべく取組を進めました。●電池用バインダー開発向けパイロットラボの導入電池用バインダーの開発効率を加速するとともに、グローバル市場でのさらなる事業拡大を目指すべく取組を推進しました。具体的には、中国における特殊化学品領域の大手商社であり、同国の主要EV及び電池メーカーへの電池材料の販売を手掛ける上海匯平化工有限公司(以下、SCM)と共同で、同国の南通市にラボを開設しました。当社グループは、既に日欧中にラボ機能を有しておりましたが、このたびSCMが保有する従来のラボを共同して抜本的に刷新し、電池評価可能な最新のパイロットスケール設備を導入したものであり、これによりお客様と同等の評価設備・技術を保有することとなりました。 <事業概況>機能材事業については、需要回復やサプライチェーンの正常化により、販売数量は堅調に推移し、前年同期比増加しました。また、原料市況の高騰や円安を主因としたマージン拡大等により、前年同期比増益となりました。こうした状況のもと、機能材セグメントの当連結会計年度における売上高は前年同期比13.1%増の3,470億円、営業利益は前年同期比105億円増益の177億円となりました。 [電気セグメント]<主な事業内容>ENEOS Power株式会社(以下、ENEOS Power)は、発電事業や電気小売事業を主要事業領域として、事業を展開しています。また、カーボンニュートラル社会の実現に向けて、電力の需給バランスの安定化に貢献するVPP(*4)事業にも取り組んでいます。*4 VPP : 仮想発電所 <トピックス>●五井火力発電所の営業運転開始電力の安定供給に貢献すべく、2018年に株式会社JERAと共同で検討を開始(後に九州電力株式会社が参画)し2021年に着工した五井火力発電所が、当初計画どおり2025年3月に全面運開しました(78万kW×3基 うち、当社持分1/3)。同発電所の営業開始により、ENEOS Powerの発電容量は約220万kWとなりました。同発電所は、LNG火力発電所としては世界最高水準の発電効率を誇り、CO₂排出量が少ない低炭素な電源となります。●室蘭蓄電池の営業運転開始2024年4月、発電量が随時変動し、電気の需給バランスを不安定化させる要因となる太陽光や風力に対し、当社グループが開発した運転制御アルゴリズムを活用して蓄電池の最適運用を行うことで電気の品質低下防止等に貢献し、カーボンニュートラル社会の実現を推進すべく、北海道室蘭市において国内最大級となる系統用蓄電池の営業運転を開始しました。●電気小売事業のさらなる強化「ENEOSでんき」ブランドで展開する電力小売サービスにおいて、お客様・社会のニーズに応えるために新たな料金メニューや付加価値サービスの提供を進めており、2024年12月には社会の脱炭素化ニーズへの対応として、電気のCO₂排出量を実質ゼロにできるカーボンフリー特約メニュー(*5)の提供を開始しました。また、お客様への情報提供やサービスの充実に努めた結果、当連結会計年度は経済産業省の「省エネコミュニケーション・ランキング」で満点の五つ星を獲得しました。*5 当社グループが調達する火力電源等から発電されたCO₂を排出する電気に環境価値を持つ証書(非化石証書(再エネ指定))を付加し、実質的に再生可能エネルギー100%かつCO₂排出量ゼロとみなされるメニュー <事業概況>電気事業については、小売販売数量は前年同期並となりましたが、五井火力発電所の運開、VPP事業における需給調整市場への参入、前年同期に計上した減損損失の反転等により、前年同期比増益となりました。こうした状況のもと、電気セグメントの当連結会計年度における売上高は前年同期比19.9%増の3,199億円、営業利益は前年同期比274億円増益の210億円となりました。 [再生可能エネルギーセグメント]<主な事業内容>ENEOSリニューアブル・エナジー株式会社は、太陽光・陸上風力・バイオマスといった再生可能エネルギーの電源開発・発電・販売事業を展開しており、今後は、洋上風力を含めた再生可能エネルギー全般を幅広くカバーし、業界のリーディングカンパニーとしての地位を確立すべく、諸施策に取り組んでいます。 <トピックス>●エネルギートランジション実現に向けた再生可能エネルギー発電所の開発第3次中期経営計画の基本方針である「エネルギートランジション実現に向けた取組加速」を成し遂げ、持続可能な脱炭素社会の実現に貢献すべく、当連結会計年度においても再生可能エネルギー発電所の開発を推進しました。具体的には、計12か所の陸上風力・太陽光発電所の運転を開始しました。また、2024年3月に当社グループが代表企業を務めるプロジェクト会社が事業者に選定された秋田県八峰町及び能代市沖における洋上風力発電所の開発を2025年度の着工に向けて着実に推進しました。●企業のCO₂排出量削減への貢献と再生可能エネルギーの安定供給再生可能エネルギー発電事業を通じ、企業のCO₂排出量削減に対する課題解決に貢献するとともに、高収益ビジネスモデルを確立するために、各種企業に対し、当社グループ保有の発電所が発電する電力又は環境価値を供給・提供する電力購入契約(PPA)の締結を進めました。また、出力制御のリスクを低減し、安定的な再生可能エネルギーの供給を図るため、太陽光発電所への蓄電池併設を推進しました。 <事業概況>再生可能エネルギーの発電量については、太陽光・陸上風力発電所における複数プロジェクトの新規稼働により前年同期比増加したものの、開発中止・採算性低下により複数プロジェクトで減損損失が発生した結果、前年同期比減益となりました。こうした状況のもと、再生可能エネルギーセグメントの当連結会計年度における売上高は前年同期比5.3%増の440億円、営業損失は前年同期比51億円減益の169億円となりました。 [その他]その他の事業の当連結会計年度における売上高は前年同期比2.1%増の5,025億円、営業利益は前年同期比8億円減益の504億円となりました。●株式会社NIPPO株式会社NIPPO(以下、NIPPO)は、舗装、土木及び建築の各工事並びにアスファルト合材の製造・販売を主要な事業内容としています。当連結会計年度は、公共投資は底堅く、民間設備投資は企業の高い設備投資意欲に支えられ増加傾向にあったものの、原材料価格の上昇や労働需給ひっ迫の影響を受け、厳しい経営環境にありました。このような環境の中、NIPPOが有する技術の優位性を活かした受注活動や生産性の向上及びコスト削減の推進により、競争力の強化に努めました。また、カーボンニュートラル社会の実現に向け、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)の提言に賛同し、CO₂排出量削減に効果がある中温化合材の販売拡大、カーボンオフセットアスファルトの導入等の取組を推進します。 上記各セグメント別の売上高には、セグメント間の内部売上高1,135億円(前年同期は408億円)が含まれています。 [金属セグメント(非継続事業)]<主な事業内容>JX金属は、半導体材料・情報通信材料を中心とした先端素材の開発・製造をはじめ、これらに必要な原材料を供給する資源開発、金属製錬、リサイクルに至るまで、一貫した事業を展開しており、半導体材料・情報通信材料のグローバルリーダーとして、技術立脚型企業への転身を目指し、諸施策に取り組んでいます。 <事業概況>半導体材料事業については、第3四半期連結会計期間にドイツ子会社ののれんについて減損損失を計上したものの、AI関連需要の拡大を受けた半導体用スパッタリングターゲット等の製品の増販や円安を主因に増収となり、営業利益は前年同期並となりました。情報通信材料事業については、サプライチェーンにおける在庫調整の一巡による圧延銅箔の増販や、AIサーバー用途での高機能銅合金の採用拡大等による増販を主因に、前年同期比増収増益となりました。なお、2024年8月にタツタ電線株式会社の公開買付が成立し、同社はJX金属の子会社となり、同年11月に完全子会社となりました。基礎材料事業については、円安や銅価上昇に伴う増益要因はあるものの、前年度2023年7月に実施したSCM Minera Lumina Copper Chile株式の一部譲渡に伴い生じた為替差益の反転や、2024年3月に実施したパンパシフィック・カッパー株式会社の株式の一部譲渡による同社売上高及び利益の剥落を主因として、前年同期比減収減益となりました。非継続事業の詳細は、「第5 経理の状況 連結財務諸表 注記15.売却目的保有に分類される処分グループ及び非継続事業」をご覧ください。 (2)生産、受注及び販売の実績ア.生産実績当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。セグメントの名称金額(百万円)前年同期比(%)石油製品ほか6,596,08699.8石油・天然ガス開発211,520116.3機能材278,404126.7その他78,83886.0合計7,164,848100.9(注)1.上記の金額は、各セグメントに属する製造会社の製品生産金額の総計(セグメント間の内部振替前)を記載しています。2.上記の金額は非継続事業からの実績は含んでいません。3.当連結会計年度より報告セグメントの区分を変更しており、前年同期比は変更後のセグメント区分に組み替えた数値に基づき算出しています。 電気セグメント及び再生可能エネルギーセグメントについては、提供するサービスの性格上、生産実績の記載になじまないため、当該記載を省略しています。 イ.受注実績当社グループでは主要製品について受注生産を行っていません。 ウ.発電容量 [参考]当連結会計年度末時点における電気セグメント及び再生可能エネルギーセグメントの出資持分割合に応じた発電容量(kW)は以下のとおりです。※建設中の電源を除く電気       :約220万kW再生可能エネルギー:約122万kW エ.販売実績当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。セグメントの名称金額(百万円)前年同期比(%)石油製品ほか10,902,30598.5石油・天然ガス開発242,813118.5機能材344,262112.6電気313,228117.4再生可能エネルギー43,338103.7その他476,548104.3合計12,322,49499.8(注)1.セグメント間の取引については、相殺消去しています。2.上記の金額は非継続事業からの実績は含んでいません。3.当連結会計年度より報告セグメントの区分を変更しており、前年同期比は変更後のセグメント区分に組み替えた数値に基づき算出しています。 (3)財政状態及びキャッシュ・フローの概況①流動性と資金の源泉当社は、効率的で安定的な資金の確保と、事業活動のための流動性の維持を、財務活動の取組として重視しています。効率的な調達に向けて、コマーシャル・ペーパーや社債等の直接金融と、金融機関からの借入等の間接金融を、機動的に選択しています。当社は、安定的な資金の確保に向けて、直接金融市場への継続的なアクセスを図るとともに、間接金融についても原油備蓄資金のための制度融資等も活用しており、政府系金融機関及び市中金融機関と幅広く関係を維持しています。また、トランジション・リンク・ローンといったサステナブル・ファイナンスによる資金調達を実施する等、調達ソースの多様化を図って十分な流動性を確保しています。また、金融市場の環境変化にも対応できる流動性を維持するために、現金及び現金同等物を確保する他、取引金融機関と特定融資枠契約(コミットメントライン契約)を締結しています。当該契約の極度額は当連結会計年度末では4,550億円であり、また同契約に係る借入残高はありません。連結における資金管理では、当社を中心に集中して資金調達を行い、国内外の金融子会社を通じてグループ各社に資金を配分するというグループファイナンス制度を設けています。その運営においてキャッシュマネジメントシステムを活用しており、流動性資金の一元管理及び効率化を実現しています。当社は、資金調達とグローバルなビジネスを円滑に行うため、格付投資情報センター(R&I)、日本格付研究所(JCR)、ムーディーズ・ジャパン(ムーディーズ)の3社から格付けを取得しています。3社の2025年6月時点の当社に対する格付け(長期/短期)は、R&IがA+(見通し安定的)/a-1、JCRがAA-(見通し安定的)/J-1+、ムーディーズがBaa2(見通し安定的)/(短期は取得無し)となっています。 ②連結財政状態計算書ア.資産 当連結会計年度末における資産合計は、JX金属及び同社子会社等を連結除外したことによる資産の減少を主因として、前連結会計年度末比1兆3,471億円減少の8兆7,894億円となりました。 イ.負債 当連結会計年度末における負債合計は、JX金属及び同社子会社等を連結除外したことによる負債の減少を主因として、前連結会計年度末比1兆1,139億円減少の5兆3,188億円となりました。有利子負債残高は、前連結会計年度末比4,832億円減少の2兆3,368億円となり、また、手元資金を控除したネット有利子負債は、前連結会計年度末比5,519億円減少の1兆4,481億円となりました。なお、有利子負債にはリース負債を含めていません。 ウ.資本 当連結会計年度末における資本合計は、自己株式の取得や配当金の支払による減少等により、前連結会計年度末比2,332億円減少の3兆4,706億円となりました。 なお、親会社所有者帰属持分比率は前連結会計年度末比3.5ポイント上昇し35.3%、1株当たり親会社所有者帰属持分は前連結会計年度末比72.68円増加の1,152.50円、ネットD/Eレシオ(ネット・デット・エクイティ・レシオ)は前連結会計年度末比0.12ポイント改善し、0.42倍(ハイブリッド債資本性調整前)となりました。 また、2025年度よりネットD/Eレシオ算出方法を変更します。ネット有利子負債にリース負債を加算するとともに、自己資本から非支配持分を除いて算出します。詳細は、「第5 経理の状況 連結財務諸表 注記21.金融商品(1)資本管理」をご参照ください。 ③連結キャッシュ・フロー当社は、第3次中期経営計画において、「確かな収益の礎の確立」を基本方針の柱の一つとして掲げて取り組みました。3ヵ年累計のフリー・キャッシュ・フロー(IFRS第16号「リース」適用除き)は、2024年度時点で目標達成(目標:5,000億円、実績:1兆3,171億円)となりました。第4次中期経営計画では、「ポートフォリオ再編」を基本方針の柱の一つとして掲げ、投資の厳選とリターン最大化のための仕組みを強化します。なお、当連結会計年度の各キャッシュ・フロー(IFRS第16号「リース」適用)の状況と主な要因は以下のとおりです。ア.営業活動によるキャッシュ・フロー営業活動の結果、資金は5,768億円増加しました(前期は1兆103億円の増加)。これは、営業債務の支払増加等による資金減少要因があったものの、税引前利益や減価償却費及び減損損失等の資金増加要因が上回ったことによるものです。イ.投資活動によるキャッシュ・フロー投資活動の結果、資金は1,308億円増加しました(前期は2,410億円の減少)。これは、石油製品ほかセグメントの石油精製設備の維持・更新等の資金減少要因があったものの、JX金属株式の一部売却による収入等の資金増加要因が上回ったことによるものです。ウ.財務活動によるキャッシュ・フロー財務活動の結果、資金は6,304億円減少しました(前期は3,310億円の減少)。これは、配当金の支払及び自己株式の取得といった株主還元施策や借入金の返済等の資金減少要因によるものです。 この結果、当連結会計年度末における現金及び現金同等物は8,466億円となり、期首に比べ707億円増加しました。 (4)重要性のある会計方針及び見積り当社の連結財務諸表はIFRSに準拠して作成しています。当社は、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」(昭和51年大蔵省令第28号)第1条の2第1号に掲げる「指定国際会計基準特定会社」の要件を満たすことから、同規則第312条の規定を適用しています。重要性のある会計方針及び見積りについては、「第5 経理の状況 連結財務諸表 注記3、4」をご参照ください。

事業リスク

  • 商品価格変動リスク
    原油、石油製品、石油化学製品、天然ガス、電力などの商品価格は、為替相場、産油地域の政治情勢、OPECの生産調整、世界的な需要変動など、同社がコントロールできない多くの要因によって大きく変動します。これらの価格変動は、原材料の調達コストや製品の販売価格に直接影響し、収益性を不安定にする可能性があります。
  • 為替変動リスク
    同社グループは、外貨建ての取引や資産・負債が多額に存在するため、外国為替相場の変動が、円換算した際の収益や資産価値に影響を及ぼす可能性があります。特に原油などの輸入は米ドル建てが多く、円安は調達コストの増加に直結し、業績に悪影響を与える可能性があります。
  • 環境規制・需要変動リスク
    同社グループの事業は、広範な環境規制の適用を受けており、規制強化は環境対策費用の増加や操業制限につながる可能性があります。また、「脱炭素社会」への移行に伴い、国内の石油製品需要は減少傾向にあり、低燃費車や電気自動車の普及、エネルギー転換の進展が、主要事業の収益に長期的な影響を与える可能性があります。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
有価証券報告書「事業等のリスク」の全文を見る(年度切替)
FY2025|7,641 文字
3【事業等のリスク】当社グループでは、グループ経営に関するリスク事象に的確な対応を図るため「全社的リスクマネジメント(Enterprise Risk Management: ERM)体制」を整備・運用しています。具体的には、毎年度グループ経営に甚大な影響を与えうるリスク事象を抽出した上で「重点対応リスク事象」を選定し、対応策の実行を進め、その取組状況を経営会議及び取締役会に報告するプロセスを導入しています。なお、2025年度には、主要事業会社により洗い出されたリスクから、「重点対応リスク事象」として、「個人情報漏洩」、「経済環境の変化に伴う保有資産価値の低下」を選定し、今後、所管部署を中心に、当該事象に対する対応方針を決定し、取組状況の確認等を実施していきます。リスクに対するガバナンス体制は「2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (1)ガバナンス」をご参照ください。当社グループの事業において、重要な影響を及ぼす可能性のある事項は以下のとおりです。なお、文中の将来に関する事項は、別段の表示がない限り、当社が本報告書提出日現在において判断したものです。 (1)市場リスク・商品価格変動リスク当社グループは、石油製品・石油化学製品・電力等の販売及びそれらの原料となる原油等の購入を行っていますが、これらの販売価格及び購入価格は商品市場価格の変動によって影響を受けることから、商品価格変動リスクに晒されています。 (石油製品ほかセグメント)国内の石油製品のマージンは、主に原油価格と国内の石油製品市場価格との関係に左右され、当社グループがコントロールし得ない要因によって決定されます。原油価格に影響を及ぼす要因としては、円の対米ドル為替相場、産油地域の政治情勢、OPECによる生産調整、シェールオイルの生産動向、全世界的な原油需要等があります。また、石油製品価格に影響を及ぼす要因としては、石油製品の国内需要、海外石油製品市況、国内の石油精製能力及び稼働率、国内のサービスステーション総数等があります。当社グループは、石油製品販売価格を石油製品の需給状況や市況動向を適切に反映して決定していますが、原油価格や石油製品市況の動向次第では、マージンが大きく変動します。また、石油化学製品のマージンも、原油価格やナフサ等の原料油価格と石油化学製品価格との関係に左右され、当社グループがコントロールし得ない要因によって決定されます。石油化学製品価格については、生産設備の新増設による供給能力拡大と衣料・自動車・家電等の需要動向に影響されます。需給が緩和した場合は、原油・原料油価格の上昇を製品価格に転嫁することが困難になります。従って、原油価格、石油製品価格、石油化学製品価格の変動等により、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 (石油・天然ガス開発セグメント)石油・天然ガス開発事業においては、原油及び天然ガス価格の上昇時には売上高が増加し、原油及び天然ガス価格の下落時には、売上高が減少します。従って、原油及び天然ガス価格の変動により、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 (機能材セグメント)機能材事業においては、原油価格やナフサ価格、ならびに主要原料であるブタジエンの市況変動により、原材料の調達価格や製品価格が変動し、マージンに影響を及ぼす可能性があります。また、本事業で取り扱うタイヤ材料や二次電池材料は、自動車および電気自動車(EV)の需要と関連性が高く、各国・地域の経済動向の影響を受けるリスクがあります。従って、景気後退等により自動車需要が低迷した場合には、当該事業の業績に悪影響を及ぼす可能性があります。 (電気セグメント)電気事業においては、当社グループの発電量が販売量を上回る場合は余剰電力を卸電力市場等へ売却し、下回る場合は不足電力を卸電力市場等から調達しています。そのため、燃料調達価格や卸電力市場価格の変動により、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 (再生可能エネルギーセグメント)再生可能エネルギー事業においては、当社グループの発電所が発電する電力の大半は固定価格により販売していますが、一部は市場価格に連動するスキームで販売しているため、市場価格の変動により、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、バイオマス発電事業では、燃料の市場価格が高騰した場合、収益が悪化する可能性があります。 ・為替リスク当社グループは、外貨建ての営業取引による収入及び支出が発生しており、また多額の外貨建て資産及び負債を有しています。そのため、外国為替相場の変動は、資産、負債、収入及び支出の円貨換算額に影響を及ぼす可能性があります。また、外国為替相場の変動は、海外の子会社、持分法適用会社、共同支配事業及び共同支配企業の財務諸表を円貨換算する場合にも影響を及ぼす可能性があります。なお、当社グループでは、デリバティブ金融商品を利用したヘッジを行い、市場リスクを低減する対策を講じています。その具体的な取組については、「第5 経理の状況 連結財務諸表 注記21.金融商品 (2)財務リスク管理 ③市場リスク」をご参照ください。また、上記の市場リスクのうち、当社グループの経営成績に影響を及ぼす主要なリスクである外国為替相場及び原油価格の市況変動による営業利益への影響額については、感応度を算定しています。次期の連結業績予想(2025年5月公表)へ与える市況変動の感応度は、下表のとおりです。なお、本感応度は一定の前提をおいて算定したもので、諸条件の変化によって影響額も変動します。 (2)環境規制に関するリスク当社グループの事業は、広範な環境規制の適用を受けており、これらの規制により、環境浄化のための費用を賦課され、環境汚染が生じた場合には、罰金・賠償金の支払いを求められ、又は操業の継続が困難となる可能性があります。また、今後、規制が強化される可能性があります。これらの環境規制及び基準に関する義務や負担は、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 (3)気候変動に関するリスク当項目は、「2 サステナビリティに関する考え方及び取組 2.持続可能な地球環境の形成・保全への貢献 (1)気候変動対応(TCFD)」の中で記載しています。 (4)操業に関するリスク当社グループの事業は、火災、爆発、事故、輸出入制限、自然災害、天候等の自然現象、労働争議、原料や製品の輸送制限等の様々な操業上のリスクを伴っており、これらの事故・災害等が発生した場合には、多大な損失を蒙る可能性があります。当社グループは、可能かつ妥当な範囲において、事故、災害等に関する保険を付していますが、それによってもすべての損害を填補し得ない可能性があります。 (5)需要変動に関するリスク当社グループの製品・サービスの需要は、それらを提供している国又は地域の経済状況、社会情勢の影響を強く受けています。国内石油製品需要については、「脱炭素社会」の実現に向けた動きが加速することを受けて、低燃費車の普及、ガス・電気等へのエネルギー転換が進展し、今後も減少することが予想されます。石油化学製品の販売はアジア諸国での需要に大きく依存しており、これらの地域における需要の変動が当社グループの製品需要に大きな影響を与えます。これら当社グループの需要の変動については、正確な予測に努め必要な対策を行っていますが、予測を超えた急激な変動がある時は、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 (6)競合に関するリスク当社グループは、様々な市場で激しい競争に晒されています。特に国内石油精製販売事業においては、企業間で激しい競争が行われていますが、国内需要の減少傾向が、この状況をさらに加速する可能性があります。また、機能材事業は、技術革新及び顧客ニーズの急速な変化を伴う事業環境下にあり、競合他社との競争に絶えず晒されています。このような競争環境の激化が、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 (7)原料供給源に関するカントリーリスク当社グループは、原料の多くを海外から調達しており、特に、原油は中東の限られた供給源に大きく依存しています。こうした国・地域における政治不安、社会混乱、労働争議、経済情勢の悪化、法令・政策の変更等のカントリーリスクが発生した場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 (8)資源開発に関するリスク当社グループが行っている油田・天然ガス田における探鉱及び開発活動は、現在、商業化に向けて、様々な段階にあります。探鉱及び開発の成功は、探鉱・開発地域の選定、設備の建設コスト、政府による許認可や税制、資金調達等、種々の要因に左右されます。個々のプロジェクトが商業化に至らず、投資費用が回収できない場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、探鉱・開発事業においては、高度な専門技術と幅広い経験を有する人材を確保する必要がありますが、当社グループが優秀な人材を十分に確保できない場合は、収益機会の逸失及び競争力低下につながる可能性があります。 (9)石油・天然ガスの埋蔵量確保に関するリスク国際的な資源獲得競争により、当社グループが石油・天然ガスの埋蔵量を確保するための競争条件は一段と厳しくなっています。当社グループの将来における石油・天然ガスの生産量は、探鉱、開発、権益取得等によって、商業ベースの生産が可能な埋蔵量を確保できるか否かにより左右されます。当社グループが石油・天然ガス埋蔵量を補填できない場合には、将来的に生産量が低下し、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、石油・天然ガス埋蔵量の見積りは、地質学的、技術的、経済的情報に基づいた主観的判断や決定を伴うため、正確に測定することが困難であり、進歩する回収技術の適用や生産活動を通じた新たな情報に基づいて大幅な修正が必要となる可能性があります。実際の埋蔵量が見積りを下回った場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 (10)石油・天然ガス開発機材に関するリスク石油・天然ガスの探鉱及び生産をするため、当社グループは、第三者から掘削機等の機材及びサービスの提供を受けています。原油価格が高騰している時期等は、これらの機材及びサービスが不足し、機材及びサービス提供の価格も上昇することになります。当社グループが、適切なタイミングかつ経済的に妥当な条件で、必要な機材やサービスの提供を受けることができない場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。 (11)第三者との提携、事業投資に関するリスク当社グループは、様々な事業分野において、合弁事業その他の第三者との提携及び他企業等への戦略的な投資を行っています。これらの提携や投資は、当社グループの事業において重要な役割を果たしており、種々の要因により、重要な合弁事業が経営不振に陥り、又は提携関係や投資における成果を上げることができない場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 (12)事業の再構築に関するリスク当社グループは、コスト削減、事業の集中と効率性の強化を図ることとしており、事業の再構築に伴う相当程度の損失が発生する可能性があります。当社グループがその事業の再構築を適切に行うことができず、又は、再構築によっても、想定した事業運営上の改善を実現することができなかった場合は、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 (13)設備投資及び投融資と減損に関するリスク当社グループにおいては、事業の維持・成長又は新たな事業機会の獲得のために、継続的な設備投資及び投融資を必要としていますが、キャッシュ・フローの不足等の要因によりこれらの計画を実行することが困難となる可能性があります。また、外部環境の変化等により、実際の投資額が予定額を大幅に上回り、あるいは計画どおりの収益が得られない可能性もあります。それにより、当社グループが所有している有形固定資産、のれん及び無形資産について投資額の回収が見込めなくなった場合には、これを反映させるように帳簿価額を減額し、その減少額を減損損失として計上することとなるため、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。 (14)繰延税金資産に関するリスク当社グループの繰延税金資産は、将来減算一時差異、未使用の繰越税額控除及び繰越欠損金を利用できる課税所得が生じる可能性が高い範囲内で金額を計上しています。課税所得発生の時期及び金額は、合理的な見積りに基づき決定していますが、課税所得が生じる時期及び金額は、将来の不確実な経済状況の変動によって影響を受ける可能性があり、実際に生じた時期及び金額が見積りと異なった場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。 (15)棚卸資産の収益性の低下による簿価切下げと棚卸資産評価に関するリスク当社グループは、多額の棚卸資産を所有しており、原油、石油製品等の価格下落等により、棚卸資産の期末における正味売却価額が帳簿価額よりも低下したときには、収益性が低下しているとみて、期末帳簿価額を正味売却価額まで切り下げて売上原価等に計上することとなるため、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。また、当社グループは、原油、石油製品等棚卸資産の評価を総平均法で行っており、原油価格の上昇局面では、期初の相対的に安価な棚卸資産の影響により売上原価が押し下げられて増益要因となりますが、原油価格の下落局面では、期初の相対的に高価な棚卸資産の影響により売上原価が押し上げられて減益要因となるため、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 (16)有利子負債に関するリスク当社グループは、多額の有利子負債により事業活動等に制約を受ける可能性があり、また、負債の元利金支払いのために、追加借入又は資産の売却等による資金調達を必要とする可能性がありますが、こうした資金調達を行うことができるか否かは、金融市場の状況、当社の株価、資産の売却先の有無等、様々な要因に依存しています。さらに、国内外の金利が上昇した場合には、金利負担が増加することにより、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 (17)確定給付制度に関するリスク当社グループは確定給付制度を含む退職給付制度を有しています。これらの各制度に係る確定給付制度債務の現在価値及び関連する勤務費用等は、数理計算上の仮定に基づいて算定されます。数理計算上の仮定には、割引率等、様々な変数についての見積り及び判断が求められます。これらの変数を含む数理計算上の仮定の適切性について、将来の不確実な経済状況の変動の結果によって影響を受ける可能性があり、見直しが必要となった場合、当社グループの財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、制度資産に関しては、主に資本性金融商品の価格や社債利率の変動リスクに晒されており、これらの資産の利回り低下も当社グループの財政状態に影響を及ぼす可能性があります。なお詳細は、「第5 経理の状況 連結財務諸表 注記19.退職後給付 (2)確定給付制度」をご参照ください。 (18)信用に関するリスク当社グループは、保有する売掛金などの金融債権が、債務者(取引先)の信用悪化や経営破綻などにより債務不履行になることにより、金融資産が回収不能になるリスク、すなわち信用リスクに晒されています。当該リスクに対応するために、与信管理規程等に基づき取引先ごとに与信限度額を設けた上で、取引先の財務状況等について定期的にモニタリングし、債権の期日及び残高を取引先ごとに適切に管理することにより、回収懸念の早期把握を図っています。さらに、必要に応じて担保設定・ファクタリング等を利用することによって保全措置を図っていますが、信用リスクが完全に回避される保証はありません。取引先の信用状態の悪化を受けて、保有する金融資産が回収不能になった場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 (19)知的財産に関するリスク当社グループは、事業遂行のため、特許権等の知的財産権を保有していますが、状況によってはその確保が困難となり、又は有効性が否認される可能性があります。また、当社グループの企業秘密が第三者により開示又は悪用される可能性もあります。さらに、急速な技術の発展により、当社グループの事業に必要な技術について知的財産権による保護が不十分となる可能性があります。また、当社グループの技術に関して第三者から知的財産権の侵害クレームを受けた場合は、多額のロイヤリティー支払い又は当該技術の使用差止めの可能性もあります。以上のように、当社グループがその事業を行うために必要な知的財産権を確保し、又はそれを十分に活用することができない場合等には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 (20)内部統制システムに関するリスク当社グループは、かねてからコンプライアンス、リスクマネジメント等の充実に努めており、財務報告に係る内部統制を含め、内部統制システムの充実強化を図っていますが、当社グループが構築した内部統制システムが有効に機能せず、コンプライアンス違反、巨額な損失リスクの顕在化、ディスクロージャーの信頼性の毀損等の事態が生じた場合には、ステークホルダーの信頼を一挙に失うことにもなりかねず、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 (21)情報システムに関するリスク当項目は、「2 サステナビリティに関する考え方及び取組 6.情報セキュリティ及びDX推進に関する事項」の中で記載しています。 (22)個人情報の管理に関するリスク当社グループは、石油販売等の事業に関連して顧客の個人情報を保有しており、それらに保護対策等を実施して適切に管理していますが、こうした対策に今後多額の費用を必要とする可能性があります。また、今後、仮に顧客の個人情報が流出し又は悪用された場合、上記事業に影響が及ぶ可能性があります。

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