研究開発活動(本文)
FY2025|5,250 文字
6【研究開発活動】当社グループは、グループ理念に定めた『エネルギー・資源・素材における創造と革新』を目指し、エネルギー関連を中心に研究開発活動を進めています。当連結会計年度における研究開発活動の概要は以下のとおりです。 (1)石油製品ほか (研究開発費 11,359百万円)エネルギー・素材関連の研究開発活動は、ENEOS株式会社(以下、ENEOS)の中央技術研究所と潤滑油カンパニーの潤滑油研究開発部が連携をしながら進めています。「エネルギー・素材の安定供給」と「カーボンニュートラル社会の実現」との両立に向け、エネルギートランジションを実現すべく、新規事業の創出、拡大に向けて重点領域を設定して、研究開発を推進しています。また、社外との連携にも力を入れており、大学・研究機関や企業・スタートアップとも連携を図り、オープンイノベーションを促進しています。これらの取組をさらに加速できるよう、研究所敷地内に新たな研究棟の建設を進めています。①脱炭素エネルギー分野カーボンニュートラル社会の実現に向け、海外の安価で潤沢な再生可能エネルギー(再エネ)を大量貯蔵・輸送に適した物質に変換し、エネルギー供給の安定性を高め、国内に使いやすい形で提供するための技術開発を進めています。CO₂フリー水素分野では、再エネから得られた電力で直接トルエンを電解水素化することで、貯蔵・輸送に適したメチルシクロヘキサン(MCH)を低コストで製造する技術(Direct MCH®)の商業化に向けた開発を進めています。豪州クイーンズランド州に建設した、工業化サイズの電極面積を有する中型電解槽実証プラント(150kW級)にて再エネを用いてMCHを製造、日本へ輸送し、取り出した水素を燃料電池小型バスへ充填、走行させることに成功しました。さらに2025年度に大型電解槽プラント(MW級)の建設を開始予定です。これらは、「直接MCH電解合成(Direct MCH®)技術開発」として、経済産業省及び国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の進めるGI基金事業に採択されており、本技術に関する発明が、未来創造発明奨励賞及び未来創造発明貢献賞を受賞しました。また、CO₂フリー水素と工場等や将来的には大気から回収したCO₂を原料に液体燃料を製造する「合成燃料」の開発についても、カーボンニュートラル社会の実現に向けて重要な取組と位置付け、技術開発を進めています。2024年度には、中央技術研究所敷地内にて、国内初となる原料から一貫製造可能な合成燃料製造実証プラントの実証運転を開始しており、製造した合成燃料を2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)開催期間中に駅シャトルバス、及び来賓・関係者向け車両に提供します。こちらもGI基金事業「CO₂等を用いた燃料製造技術開発プロジェクト」に採択されており、各反応工程の性能向上とプロセス全体の高効率化を通じて早期の技術確立を目指します。さらに大気中のCO₂を回収するClimeworks社製のDirect Air Capture(DAC)装置をアジア太平洋で初めて中央技術研究所内に導入し、DAC技術の実証試験を実施しています。バイオ燃料分野では、TOPPANホールディングス株式会社と古紙を原料とした国産バイオエタノールの事業化に向け共同開発契約を締結、実証事業を開始しており、本実証事業は、バイオものづくり革命推進事業に採択されています。再エネの有効活用に向けては、VPP(仮想発電所)事業における蓄電池の運用計画の最適化を行うシステムや、発電量や電力価格、水素需要に応じて水電解装置による水素製造を制御する水素EMS(エネルギーマネジメントシステム)の開発に取り組んでいます。自社開発したアルゴリズムによって、国内最大級の系統用蓄電池(室蘭事業所内)や大型蓄電池(根岸製油所内)、水素ステーション(横浜旭、福島、清水)内の水素製造装置等の運用最適化を行い、実設備での運用を通じて、技術・ノウハウの蓄積を進めています。また、東京都東村山市における電気自動車を活用したEMS実証や、静岡県裾野市におけるパイプラインによる水素供給効率化に向けた水素EMSの機能拡張等を通じて、地産地消エネルギー活用に向けた技術開発も推進中です。さらに循環型社会の実現に向け、廃プラスチックを利用したアスファルト舗装技術を開発し、実証試験を社内外複数のサイトで進めています。また、株式会社ブリヂストンと使用済タイヤの精密熱分解によるケミカルリサイクル技術の社会実装に向けた共同プロジェクトを進めています。本プロジェクトは「使用済タイヤ(廃ゴム)からの化学品製造技術の開発」としてGI基金事業に採択されており、検討を継続しています。社外連携については、早稲田大学との包括的かつ分野横断的なオープンイノベーションを通して、持続可能な未来社会の実現に資する革新的シーズ探索及び、蓄エネルギー技術や新規素材の開発に取り組んでいます。②燃料油・化学品製造技術分野製油所、製造所の安全・安定操業、競争力強化、及び液体燃料におけるCO₂削減を目指した研究を行っています。中でもデジタル化技術の開発・活用においてはAI技術による石油化学プラントの連続自動運転が実用段階に入っており、川崎製油所のブタジエン抽出装置及び常圧蒸留装置で手動操作を超える経済的・高効率な運転が実現可能なことを確認しました。引き続き石油化学プラントにおけるAI自動運転の実用化・導入拡大を目指し、開発を進めていきます。また、エンジンの熱効率向上が期待される革新燃焼技術(超希薄燃焼:スーパーリーンバーン)に適した燃料組成の検討を行い、製油所から得られる留分の利用によるCO₂削減の可能性を示すとともに、触媒・反応技術を活用し、自社原料のさらなる有効活用(ケミカルシフト)に向けた石油化学誘導品の開発や、医薬品製造を想定した有機系触媒の開発等も進めています。③潤滑油分野潤滑油分野では、地球環境に配慮した高性能潤滑油、グリースの製品開発を行っています。世界的な潮流である脱炭素化への貢献のため、植物由来の基材を活用した潤滑油の開発に取り組んでおり、植物由来のベースオイルを100%使用し、API SP、ILSAC GF-6の認証を取得したガソリンエンジン油の開発に新たに成功しました。また、電動モビリティ向けに冷却性能や電気絶縁性能と潤滑性を高次元で両立した製品の開発にも注力しており、2024年度には液浸冷却バッテリー技術における世界的リーダーであるXING Mobility社と戦略的パートナーシップに関する覚書を締結しました。今後大幅な増加が予測されるデータセンター(DC)の省エネルギー化に貢献する液浸冷却液「ENEOS IXシリーズ」の展開も進めており、2025年3月には国内初の商用液浸冷却DCの運用を開始したQuantum Mesh株式会社に、可燃性液体類のENEOS IX Type Jを納品しました。同社DCの冷却性能は一般的な空冷式DCに比較し各段に優れ、省エネ型DCとして今後の需要拡大が期待されます。このほかにも省燃費型駆動系油、安全・環境配慮型工業用潤滑油、自動車・産業用高性能グリース、新冷媒対応・省エネルギー型冷凍機油といった製品の開発を新規材料、新規解析評価技術を取り入れながら推進するとともに、高品質の製品を安定かつ効率的に製造するための製造技術の開発を行っています。④デジタル技術分野デジタル技術を活用して自社業務の効率化や新たな価値を生み出すことを目指した研究を行っています。具体的には、プラントデータを活用した運転効率化、画像解析による安全・安定操業支援に加え、革新的な素材・触媒探索技術の研究を推進しています。一例として、株式会社Preferred Networks(以下、PFN)と戦略的な協業体制を構築し、AI技術を活用した革新的事業創出に取り組んでいます。MI(マテリアルズ・インフォマティクス)分野では2021年にPFNとの合弁会社として株式会社Preferred Computational Chemistry(以下、PFCC)を設立し、共同開発した新物質開発・材料探索を高速化する汎用原子レベルシミュレータ「Matlantis™」のクラウドサービスを国内だけでなく米国の企業・団体向けにも展開しています。同サービスは自然界に存在するすべての元素を含む96元素に対応しており、2024年12月時点で100以上の企業・研究団体に導入され、触媒、電池材料、半導体、合金、潤滑油、セラミック材料、化学材料等、幅広い開発に用いられています。さらに、Matlantis™によってHPCシステムズ株式会社の手掛ける化学反応経路の自動探索ソフトウェア「GRRM」の高速化を実現した「GRRM20 with Matlantis」を同社、PFCCと共同で開発、サービス提供をしています。また、ロボティクスを活用したプラント・次世代型エネルギー設備への保守点検サービス事業について、株式会社イクシスに出資し、各種設備に適用できるロボットの共同開発を行っています。デジタル技術を活用した新たなビジネス創出につなげることも目指し、国内外のスタートアップ企業等との連携も活発化させています。 (2)石油・天然ガス開発(研究開発費 205百万円)石油・天然ガス開発事業(ENEOS Xplora株式会社)では、これまで蓄積した石油・天然ガス開発の知見を活かしてCCS/CCUSを中心とした環境対応型事業に関する研究開発活動に取り組んでいます。また、既存事業とは独立した環境で技術開発に専念することで、技術革新及び将来の成長事業の発掘を通じ当社の長期的な成長に貢献する組織として、2024年4月にe-テクノロジー・イノベーションセンターを設立しました。①CCS/CCUS関連技術地下に圧入したCO₂のモニタリング(監視)を低コストかつ継続的に行えるよう、常設された小規模な機材による自動化されたモニタリングシステムの構築を目指して技術開発を進めています。東京大学を始めとした国内、海外の大学等との共同研究を通じて、小型発振装置を使用した観測の実証実験、弾性波動の高精度モデル解析等の要素技術の確立、地下岩石サンプルを活用したデジタル岩石物理化学の研究を行っています。また、次世代のCCS技術としてCO₂を地下で鉱物化し貯留する技術に関する研究開発に取り組んでいます。CO₂鉱物化貯留はCO₂を固体として地下に貯留できるため、流体として貯留する一般的なCCSと異なり、長期的にCO₂を一定の場所に固定できる特徴があります。CO₂鉱物化の有望な貯留対象である火成岩は日本にも広く分布していることから日本におけるCCSの新たな選択肢となることが期待されます。②地球環境・資源エネルギー分野老朽油田を活用して地中で水素を製造し、温暖化ガス排出を低減しながら低コストで水素を製造する地下水素製造技術の開発を進めています。また、CO₂を物質に固定化することにより大気中のCO₂削減を行うCCU技術として、CO₂から固体炭素を製造する技術の研究開発に取り組んでいます。 (3)機能材(研究開発費 3,803百万円)株式会社ENEOSマテリアルでは、自社の強みである高分子製造技術、分子設計技術、配合技術、性能評価・分析技術を最大限に磨き、社会ニーズに応えるとともに、顧客ニーズを捉え、新たな価値の創造、社会的課題へのソリューションの提供に取り組んでいます。エラストマー事業では、摩耗粉塵の削減に寄与し、かつ低燃費で、安全に止まる高グリップ性能を有する高機能タイヤ用エラストマーSSBR(溶液重合スチレン・ブタジエンゴム)や、電気自動車(EV)への搭載を主とし、EVの性能向上に貢献する二次電池の材料等の開発を行っています。機能材事業では、次世代高速通信で使われる高周波帯に対応する低誘電LCP(液晶ポリマー)や、半導体封止材等への適用が期待される独自エポキシモノマーを使用した高耐熱熱硬化レジン等の開発を行っています。また、エラストマー事業と機能材事業それぞれが保有する技術の融合による新たな素材開発も進めています。さらに産学連携として、東京科学大学と共同研究講座を設置しています。競争力強化、新規事業の創出に繋がる要素技術確立を目指してオープンイノベーションの拠点としています。 (4)電気該当事項はありません。 (5)再生可能エネルギー該当事項はありません。 これらに、その他の事業における研究開発費749百万円を加え、非継続事業を除いた当連結会計年度における当社グループ全体の研究開発費は、16,116百万円です。
FY2024|5,943 文字
6【研究開発活動】当社グループは、グループ理念に定めた『エネルギー・資源・素材における創造と革新』を目指し、エネルギー関連と金属関連を中心に研究開発活動を進めています。当連結会計年度における研究開発活動の概要は以下のとおりです。 (1)エネルギー (研究開発費 15,460百万円)エネルギー・素材関連の研究開発活動は、ENEOS株式会社(以下、ENEOS)の中央技術研究所と各事業カンパニーの研究開発部が連携をしながら進めています。「エネルギー・素材の安定供給」と「カーボンニュートラル社会の実現」との両立に向け、エネルギートランジションを実現すべく、新規事業の創出、拡大に向けて重点領域を設定して、研究開発を推進しています。また、社外との連携にも力を入れており、大学・研究機関や企業・スタートアップとも連携を図り、オープンイノベーションを促進しています。①脱炭素エネルギー分野カーボンニュートラル社会の実現に向け、海外の安価で潤沢な再生可能エネルギー(再エネ)を大量貯蔵・輸送に適した物質に変換し、エネルギー供給の安定性を高め、国内に使いやすい形で提供するための技術開発を進めています。CO2フリー水素分野では、再エネから得られた電力で直接トルエンを電解水素化することで、貯蔵・輸送に適したメチルシクロヘキサン(MCH)を低コストで製造する技術(Direct MCH®)の商業化に向けた開発を進めています。豪クイーンズランド州に建設した、工業化サイズの電極面積を有する中型電解槽実証プラント(150kW級)にて再エネを用いてMCHを製造、日本へ輸送し、取り出した水素を燃料電池小型バスへ充填、走行させることに成功しました。さらに2025年度をめどに大型電解槽プラント(MW級)の建設を行う予定です。これらは、「直接MCH電解合成(Direct MCH®)技術開発」として、経済産業省及び国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の進めるGI基金事業に採択されています。また、CO2フリー水素と工場等や将来的には大気から回収したCO2を原料に液体燃料を製造する「合成燃料」の開発についても、カーボンニュートラル社会の実現に向けて重要な取組と位置付け、技術開発を進めています。中央技術研究所敷地内に1BD規模の小規模プラント建設を進めており、2024年度から実証運転を開始する計画です。また、試験製造した合成燃料を実際の自動車に充填、走行デモンストレーションを行い、従来のガソリンと変わらない走行性を確認しました。こちらもGI基金事業「CO2等を用いた燃料製造技術開発プロジェクト」に採択されており、各反応工程の性能向上とプロセス全体の高効率化を通じて早期の技術確立を目指します。さらに大気中のCO2を回収するClimeworks社製のDirect Air Capture(DAC)装置をアジア太平洋で初めて中央技術研究所内に導入し、DAC技術の実証試験を開始しています。バイオ燃料分野では、TOPPANホールディングス株式会社と古紙を原料とした国産バイオエタノールの事業化に向け共同開発契約を締結、実証事業を開始します。再エネの有効活用に向けては、VPP(仮想発電所)事業における蓄電池の運用計画の最適化を行うシステムや、発電量や電力価格、水素需要に応じて水電解装置による水素製造を制御する水素EMS(エネルギーマネジメントシステム)の開発に取り組んでいます。自社開発したアルゴリズムによって、大型蓄電池(根岸製油所内)、水素ステーション(横浜旭、福島)内の水素製造装置等の運用最適化を行い、実設備での運用を通じて、技術・ノウハウの蓄積を進めています。また、東京都東村山市における電気自動車を活用したEMS実証や、静岡県裾野市におけるパイプラインによる水素供給効率化に向けた水素EMSの機能拡張等、地産地消エネルギー活用に向けた技術開発も推進中です。さらに循環型社会の実現に向け、廃プラスチックを利用したアスファルト舗装技術を開発し、実証試験を開始しました。また、株式会社ブリヂストンと使用済タイヤの精密熱分解によるケミカルリサイクル技術の社会実装に向けた共同プロジェクトを進めています。本プロジェクトは「使用済タイヤ(廃ゴム)からの化学品製造技術の開発」としてGI基金事業に採択されており、検討を継続しています。社外連携については、早稲田大学との包括的かつ分野横断的なオープンイノベーションを通して、カーボンニュートラル社会の実現に資する技術を探索しています。早稲田キャンパス研究開発センターエリアに設置した「ENEOSラボ」を共同研究の拠点として、電池材料関連の「CO2削減に向けた革新技術の研究」に取り組んでいます。②燃料油・化学品製造技術分野製油所、製造所の安全・安定操業、競争力強化、及び液体燃料におけるCO2削減を目指した研究を行っています。中でもデジタル化技術の開発・活用においてはAI技術による石油化学プラントの連続自動運転が実用段階に入っており、川崎製油所のブタジエン抽出装置で手動操作を超える経済的・高効率な運転を達成、並行して常圧蒸留装置等の主要プラントや他製油所への同AIシステム展開を目指し、開発を進めています。また、エンジンの熱効率向上が期待される革新燃焼技術(超希薄燃焼:スーパーリーンバーン)に適した燃料組成の検討を行い、製油所から得られる留分の利用によるCO2削減の可能性を示すとともに、触媒・反応技術を活用し、自社原料の更なる有効活用(ケミカルシフト)に向けた石油化学誘導品の開発や、医薬品製造を想定した有機系触媒の開発等も進めています。 ③機能材分野機能材分野では、重点領域である「エラストマー」、「高機能モノマー」、「高機能ポリマー」において、自社の強みである分子設計技術、配合技術、性能評価・分析技術を最大限に磨き、社会ニーズに応えるとともに、新たな価値の創造、社会的課題へのソリューションの提供に取り組んでいます。エラストマー分野では、株式会社ENEOSマテリアル(以下、ENS)において摩耗粉塵の削減に寄与し、かつ低燃費で、安全に止まる高グリップ性能を有する高機能タイヤ用エラストマーSSBR(溶液重合スチレン・ブタジエンゴム)や、電気自動車(EV)への搭載を主とし、EVの性能向上に貢献する二次電池の材料等の開発を行っています。高機能ポリマー分野では、次世代高速通信で使われる高周波帯に対応する低誘電LCP(液晶ポリマー)や、半導体封止材等への適用が期待されるENEOSの独自エポキシ樹脂を使用した高耐熱熱硬化レジン等の開発を行っています。現在はENSが保有するエラストマー技術とENEOSが保有する技術との融合による新たな素材開発を進めています。また、産学連携として東京工業大学と共同研究講座を設置して、素材開発を加速・深化させるオープンイノベーションの拠点としています。④潤滑油分野潤滑油分野では、地球環境に配慮した高性能潤滑油、グリースの製品開発を行っています。世界的な潮流である脱炭素化への貢献のため、植物由来の基材を活用した製品の開発に取り組んでおり、大型トラックやバス等のディーゼルエンジン用として「GXディーゼル OW―30」、工作機械の油圧システム向けとして「GXハイランドSE32」、各種機械や軸受向けグリースとして「GXグリースМP2」を新たに発売しました。また、電動モビリティ向けに冷却性能や電気絶縁性能と潤滑性を高次元で両立した製品の開発に注力するとともに、今後大幅な増加が予測されるデータセンターの省エネルギー化に貢献する液浸冷却液「ENEOS IXシリーズ」を発売し、更なる冷却性向上に向けた検討を進めています。このほかにも省燃費型駆動系油、安全・環境配慮型工業用潤滑油、自動車・産業用高性能グリース、新冷媒対応・省エネルギー型冷凍機油といった製品の開発を、新規材料やシミュレーションを含めた新規解析評価技術を取り入れながら推進するとともに、高品質の製品を安定かつ効率的に製造するための製造技術の開発を行っています。⑤デジタル技術分野デジタル技術を活用して自社業務の効率化や新たな価値を生み出すことを目指した研究を行っています。具体的には、プラントデータを活用した運転効率化、画像解析による安全・安定操業支援に加え、革新的な素材・触媒探索技術の研究を推進しています。一例として、株式会社Preferred Networks(以下、PFN社)と戦略的な協業体制を構築し、AI技術を活用した革新的事業創出に取り組んでいます。MI(マテリアルズ・インフォマティクス)分野ではPFN社との合弁会社として株式会社Preferred Computational Chemistry(以下、PFCC社)を設立し、共同開発した新物質開発・材料探索を高速化する汎用原子レベルシミュレータ「Мatlantis™」をクラウドサービスとして提供する事業を国内だけでなく米国の企業・団体向けにも展開しています。同サービスは2023年12月1日時点で70以上の企業・研究団体に導入され、触媒、電池材料、半導体、合金、潤滑油、セラミック材料、化学材料等、幅広い開発に用いられています。さらに、HPCシステムズ株式会社の手掛ける化学反応経路の自動探索ソフトウェア「GRRМ」をМatlantis™によって高速化する「GRRМ20 with Мatlantis」を同社、PFCC社と共同で開発、サービス提供を開始しました。また、ロボティクスを活用したプラント・次世代型エネルギー設備への保守点検サービス事業について、株式会社イクシスに出資し、協業検討を行っています。デジタル技術を活用した新たなビジネス創出につなげることも目指し、国内外のスタートアップ企業等との連携も活発化させています。 (2)石油・天然ガス開発該当事項はありません。 (3)金属 (研究開発費 15,939百万円)金属事業(JX金属株式会社)では、長年培ってきたコア技術の進化・活用に加え、グループ企業内での技術コラボレーション、大学等研究機関との共同研究、外部企業とのパートナーシップ構築等、様々な形の共創を推進し、研究開発を行っています。データ社会の進展に寄与する次世代の先端素材の開発や、脱炭素や資源循環といった地球規模のESG課題解決に向けた製品・技術開発、車載用リチウムイオン電池(LiB)のリサイクル技術開発等に積極的に取り組んでいます。①新規事業開発CVD・ALD材料、結晶材料、プリンテッドエレクトロニクス材料、LiBリサイクル及び電池材料の開発等について、事業部、関係会社等を跨ぎ全社横断で早期事業化に向けた取組を強化しています。CVD・ALD材料は、原子レベルで厚み制御が必要とされる薄膜形成に利用されるため、更なる微細化や多層化が進む次世代半導体チップの製造においてニーズが高まることが見込まれています。「CVD・ALD材料事業推進室」を設置し、次世代半導体向けCVD・ALD材料の開発テーマ探索から量産化までを一貫して担い早期事業化を推進しています。結晶材料は、データ通信の大幅な増加やセンシング技術の高度化により、今後更なる成長が期待される特に有望な事業領域です。インジウムリン基板をはじめとする化合物半導体関連製品の生産能力拡大、防衛・メディカル等新規用途の探索・周辺事業への進出、新規製品の開発を実施しています。その一環として、2024年4月より、技術本部技術戦略部結晶材料事業推進室と、薄膜材料事業部営業部の化合物半導体担当グループを統合し、技術本部結晶材料事業推進部とすることで、より効果的で迅速な開発・マーケティングを行う体制を構築し事業部化を推進します。LiBリサイクルは、寿命を迎えた車載用LiBから有価金属を車載用電池材料の状態で抽出する「クローズドループ・リサイクル」の実現を目指しています。今後数年のうちに電気自動車(EV)の廃棄が本格化することが見込まれており、リサイクルの環境負荷定量評価、無害化、回収技術高度化といったサプライチェーン全体での資源循環システム構築に取り組んでいます。②半導体材料薄膜材料分野では、高純度化技術及び材料組成・結晶組織の制御技術をベースに、半導体・電子部品用途向け製品に関する開発を進めています。半導体用ターゲット、磁気記録膜用ターゲット等の各種スパッタリング用ターゲットや、その他電子材料における新規製品開発及び関連プロセスの技術開発に継続的に取り組んでいます。また、今後市場が広がっていくと見込まれる半導体後工程向け製品として、超高純度硫酸銅の開発にも取り組んでいます。③情報通信材料機能材料分野では、コネクタ等の用途に、精密な組成制御、独自の圧延加工プロセス及びユーザーニーズに適合した評価技術を用いて、強度・導電性・加工性・耐久性に優れた高機能銅合金の開発を進めています。次世代材料として、コルソン系及びチタン系新規銅合金の開発等、更なる高機能製品化に取り組んでいます。また、プリント配線板材及び シールド材用途等では、屈曲性、エッチング性、密着性等の高い機能を付加した銅箔等の開発・バージョンアップを進めています。④基礎材料資源分野では、選鉱工程に適用する自動化技術や鉱石からのレアメタル回収技術の開発を進めています。また、環境負荷低減に向けて、鉱山で使用する重機等のCO2排出量削減に資する技術等の調査を進めています。金属・リサイクル分野では、銅製錬におけるリサイクル原料処理拡大に向け、リサイクル原料から回収する貴金属及びレアメタル等の金属種拡大のための技術開発や、銅製錬工程からの有価金属回収工程の効率化を推進しています。他製錬所との差別化として、2040年にリサイクル原料処理量を50%とするハイブリッド製錬を実現することを目指し、技術開発を進めています。⑤重点取組事項データ解析技術・自働化技術とシミュレーション技術を担う部門を統合し「製造DX推進部」を設置しました。当社グループがこれまで各事業で培ってきた技術リソースを一元的に集約し、各事業の強靭化・効率化及びそれに伴うキャッシュフロー改善を推進しています。 これらに、その他の事業における研究開発費703百万円を加えた当連結会計年度における当社グループ全体の研究開発費は、32,102百万円です。
FY2023|5,361 文字
6【研究開発活動】当社グループは、グループ理念に定めた『エネルギー・資源・素材における創造と革新』を目指し、エネルギー関連と金属関連を中心に研究開発活動を進めています。当連結会計年度における研究開発活動の概要は以下のとおりです。 (1)エネルギー (研究開発費 14,930百万円)エネルギー・素材関連の研究開発活動は、ENEOS株式会社(以下、ENEOS)の中央技術研究所と各事業カンパニーの研究開発部が連携をしながら進めています。現在の事業領域については操業安定性向上と競争力強化を主体とした研究開発を進めるとともに、脱炭素・循環型社会の実現に貢献すべく、新規事業の創出、拡大に向けて重点領域を設定して、研究開発を推進しています。また、社外との連携にも力を入れており、大学との産学連携の推進のみならず、ベンチャーキャピタルへの出資やアクセラレータープログラムの実施等を通してベンチャー企業とも連携を図り、オープンイノベーションを促進しています。①脱炭素エネルギー分野カーボンニュートラル社会に向け、海外の安価で潤沢な再生可能エネルギーを大量貯蔵・輸送に適した物質に変換し、エネルギー供給の安定性を高め、国内に使いやすい形で提供するための技術開発を進めています。CO2フリー水素分野では、再生可能エネルギーから得られた電力で直接トルエンを電解水素化することで、貯蔵・輸送が簡単なメチルシクロヘキサン(MCH)を低コストで製造する技術(Direct MCH®)の商業化に向けた開発を進めています。2023年1月には電極面積を工業化サイズまで拡大した中型電解槽プラント(150kW級)を豪州クイーンズランド州に開所し、実証試験を行っています。さらに2025年度をめどに大型電解槽プラント(5,000kW級)の技術開発及び実証を行う予定です。これらは、「直接MCH電解合成(Direct MCH®)技術開発」として、経済産業省及び国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の進めるGI基金事業に採択されています。また、CO2フリー水素と工場等や大気から回収したCO2を原料に液体燃料を製造する「合成燃料」の開発についても、カーボンニュートラル社会の実現に向けて重要な取り組みと位置付け、技術開発を進めています。こちらもGI基金事業「CO2等を用いた燃料製造技術開発プロジェクト」に採択されており、2022年度から小規模プラント検証、2024年度以降はスケールアップした大規模パイロットプラント検証に向けた技術検討に取り組み、早期の社会実装を目指します。バイオ燃料分野では、凸版印刷株式会社と古紙を原料としたバイオエタノール事業の立上げについて協業検討を進めています。その他、バイオジェット燃料の商業化を目指した技術開発や事業化検討にも取り組んでいます。再生可能エネルギーの有効活用の実現に向け、再エネ発電量や電力価格、水素需要に応じて水電解装置による水素製造を制御する水素EMS(エネルギーマネジメントシステム)の開発やVPP(仮想発電所)事業における蓄電池運用計画の最適化に取り組んでいます。水素製造や蓄電池制御の最適化による電力需給バランスの調整等の検証を通して、技術・ノウハウの蓄積を進めるとともに、地産地消エネルギー活用推進の一環として、東京都東村山市において、電気自動車を活用したエネルギーマネジメントシステム実証を2022年度より開始し、最適制御手法を検討しています。さらに循環型社会の実現に向け、株式会社ブリヂストンと使用済タイヤの精密熱分解によるケミカルリサイクル技術の社会実装に向けた共同プロジェクトを進めています。本プロジェクトは「使用済タイヤからの化学品製造技術の開発」としてGI基金事業に採択されており、検討を継続しています。社外連携については、早稲田大学との包括的かつ分野横断的なオープンイノベーションを通して、カーボンニュートラル社会の実現に資する技術を探索しています。早稲田キャンパス研究開発センターエリアに設置した「ENEOSラボ」を共同研究の拠点として、水素、電池材料、ロボット関連の「CO2削減に向けた革新技術の研究」に取り組んでいます。②燃料油・化学品製造技術分野製油所、製造所の安全・安定操業、競争力強化、及び液体燃料におけるCO2削減を目指した研究を行っており、中でもデジタル化技術の開発・活用においては、AI技術による石油化学プラントの連続自動運転が実用段階に入っており、対象装置を広げ、検討を継続しています。また、エンジンの熱効率向上が期待される革新燃焼技術(超希薄燃焼:スーパーリーンバーン)に適した燃料組成の検討を行い、製油所から得られる留分を利用することによるCO2削減の可能性を示すとともに、自社原料の更なる有効活用(ケミカルシフト)に向け、触媒・反応技術を活用した石油化学誘導品を開発し、光学材料原料等でユーザーより高い評価を得ています。 ③機能材分野機能材分野では、重点領域である「エラストマー」「高機能原料」「高機能樹脂」において、自社の強みである分子設計技術、配合技術、性能評価・分析技術を最大限に磨き、社会ニーズに応える素材開発を行っています。2022年4月より、JSR株式会社のエラストマー事業を承継した株式会社ENEOSマテリアル(以下、ENS)が事業を開始しました。承継したエラストマー分野では、環境に優しく、かつ確実に安全に止まる性能を有する低燃費タイヤの原料SSBR(溶液重合スチレン・ブタジエンゴム)や、リチウムイオン電池の負極用バインダー(接着剤)等の開発を行っています。高機能原料分野では、高耐熱・高透明性等の特長を有し、光学レンズや次世代ディスプレイ向け各種光学樹脂への適用が期待される脂環式モノマー等の開発、高機能樹脂分野では、次世代高速通信で使われる高周波帯に対応する低誘電LCP(液晶ポリマー)や、半導体封止材等への適用が期待されるENEOSの独自エポキシ樹脂を使用した高耐熱熱硬化レジン等の開発を行っています。現在はENSが保有するエラストマー技術とENEOSが保有する技術との融合による新たな素材開発を進めています。また、産学連携として東京工業大学や横浜国立大学と共同研究講座を設置して、素材開発を加速・深化させるオープンイノベーションの拠点としています。④潤滑油分野潤滑油分野では、地球環境に配慮した高性能潤滑油、グリースの製品開発に取り組んでいます。一例として、最新国際規格であるAPI SP/ILSAC GF-6の適合性能に加え、省燃費性能、加速性能、乗り心地性に優れるエンジン油「ENEOS X PRIME」を開発しました。このほかにも省燃費型駆動系油、安全・環境配慮型工業用潤滑油、自動車・産業用高性能グリース、新冷媒対応・省エネルギー型冷凍機油といった製品の開発を新規材料、新規解析評価技術を取り入れながら推進するとともに、高品質の製品を安定かつ効率的に製造するための製造技術の開発も行っています。さらに、世界的な潮流である脱炭素化への貢献のため、植物由来の基材を使用した潤滑油及びグリースや、電動モビリティ向けに冷却性能や電気絶縁性能を潤滑性と高次元で両立させた製品の技術開発にも注力しています。⑤デジタル技術分野デジタル技術を活用して自社業務の効率化や新たな価値を生み出すことを目指した研究を行っています。具体的には、プラントデータを活用した運転効率化、画像解析による安全・安定操業支援に加え、革新的な素材・触媒探索技術の研究を推進しています。一例として、株式会社Preferred Networks(以下、PFN社)と戦略的な協業体制を構築し、AI技術を活用した革新的事業創出に取り組んでいます。MI(マテリアルズ・インフォマティクス)分野ではPFN社との合弁会社として株式会社Preferred Computational Chemistryを設立し、共同開発した新物質開発・材料探索を高速化する汎用原子レベルシミュレータ「Matlantis™」をクラウドサービスとして提供する事業を展開しています。同サービスは2022年9月1日時点で41の企業・研究団体に導入され、触媒、電池材料、半導体、合金、潤滑油、セラミック材料、化学材料等、幅広い開発に用いられています。さらに、本技術に関する論文は著名な学術誌Nature Communicationsに掲載され、同誌編集部が特に注目する論文として選出されており、世界的にも高く評価されています。また、ロボティクスを活用したプラント・次世代型エネルギー設備への保守点検サービス事業について、株式会社イクシスに出資し、協業検討を開始しました。デジタル技術を活用した新たなビジネス創出につなげることも目指し、国内外のスタートアップ企業等との連携も活発化させています。 (2)石油・天然ガス開発該当事項はありません。 (3)金属 (研究開発費 13,573百万円)金属事業(JX金属株式会社)では、長年培ってきたコア技術の進化・活用に加え、グループ企業内での技術コラボレーション、大学等研究機関との共同研究、外部企業とのパートナーシップ構築等、様々な形の共創を推進し、研究開発を行っています。データ社会の進展に寄与する次世代の先端素材の開発や、脱炭素や資源循環といった地球規模のESG課題解決に向けた製品・技術開発、車載用リチウムイオン電池(LiB)のリサイクル技術開発等に積極的に取り組んでいます。①新規事業開発CVD用塩化物、3Dプリンター用金属粉、銅微粉、LiBリサイクル及び電池材料の開発等について、事業部、関係会社等を跨ぎ全社横断で早期事業化に向けた取り組みを強化しています。LiBリサイクル関連では、2022年4月に採択された新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)のGI基金を活用し、リサイクルの環境負荷の定量評価、無害化、回収技術高度化をアカデミアと連携して進めています。さらに欧州では2022年1月にドイツ連邦経済・気候保護省(BMWK)が主導する共同研究開発コンソーシアム"HVBatCycle"へTANIOBIS GmbHを通じて参画し、TANIOBIS GmbH(ゴスラー)に、Volkswagen AG(フォルクスワーゲングループ)から提供される電池粉を用いるベンチスケールプラントを新設する等、国内・欧州でLiBリサイクル推進の取り組みを進めています。また、2022年7月に行った、ドイツのダルムシュタット工科大学発スタートアップで優れた接合技術を有するNanoWired GmbHへの出資、及び2022年9月に行った、先端素材の分野において20年以上の投資実績のあるベンチャーキャピタルファンドPangaea Ventures Impact Fund, LPへの出資等、各スタートアップとの共創を通したスピーディな新規事業創出の取り組みを進めています。②事業別(資源分野)資源分野では、選鉱工程に適用する自動化技術や鉱石からのレアメタル回収技術の開発を進めています。また、環境負荷低減に向けて、鉱山で使用する重機等のCO2排出量削減に資する技術等の調査を進めています。③事業別(金属・リサイクル分野)銅製錬におけるリサイクル原料処理拡大に向け、リサイクル原料から回収する貴金属及びレアメタル等の金属種拡大のための技術開発や、銅製錬工程からの有価金属回収工程の効率化を推進しています。他製錬所との差別化として、2040年にリサイクル原料処理量を50%とするハイブリッド製錬を実現することを目指し、技術開発を進めています。④事業別(薄膜材料分野)薄膜材料分野では、高純度化技術及び材料組成・結晶組織の制御技術をベースに、半導体・電子部品用途向け製品に関する開発を進めています。半導体用ターゲット、フラットパネルディスプレイ用ターゲット、磁気記録膜用ターゲット等の各種スパッタリング用ターゲットや、その他電子材料における新規製品開発及び関連プロセスの技術開発に継続的に取り組んでいます。⑤事業別(機能材料分野)機能材料分野では、コネクタ等の用途に、精密な組成制御、独自の圧延加工プロセス及びユーザーニーズに適合した評価技術を用いて、強度・導電性・加工性・耐久性に優れた高機能銅合金の開発を進めています。次世代材料として、コルソン系及びチタン系新規銅合金の開発等、更なる高機能製品化に取り組んでいます。また、プリント配線板材及び シールド材用途等では、屈曲性、エッチング性、密着性等の高い機能を付加した銅箔等の開発・バージョンアップを進めています。⑥基盤技術開発分析及びシミュレーションについて最先端技術の導入・開発を進め、それらを駆使することにより技術開発の促進・効率化を図っています。 これらに、その他の事業における研究開発費861百万円を加えた当連結会計年度における当社グループ全体の研究開発費は、29,364百万円です。
FY2022|4,829 文字
5【研究開発活動】当社グループは、グループ理念に定めた『エネルギー・資源・素材における創造と革新』を目指し、エネルギー関連と金属関連を中心に研究開発活動を進めています。当連結会計年度における研究開発活動の概要は以下のとおりです。 (1)エネルギー (研究開発費 12,219百万円)エネルギー・素材関連の研究開発活動は、中央技術研究所と各事業カンパニーの研究開発部が連携をしながら進めています。現在の事業領域については操業安定性向上と競争力強化を主体とした研究開発を進めるとともに、脱炭素・循環型社会の実現に貢献すべく、新規事業の創出、拡大に向けて重点領域を設定して、研究開発を推進しています。また、社外との連携にも力を入れており、大学との産学連携の推進のみならず、ベンチャーキャピタルへの出資やアクセラレータープログラムの実施等を通してベンチャー企業とも連携を図り、オープンイノベーションを促進しています。①低炭素エネルギー分野将来に向けた再生可能エネルギーの主力電源化に資する技術として、余剰電力を大規模、長期の貯蔵に適する物質に変換し、長距離の輸送を可能とする技術の開発を進めています。CO2フリー水素分野では、再生可能エネルギーから得られた電力で直接トルエンを電解水素化することで、貯蔵・輸送が簡単なメチルシクロヘキサン(MCH)を低コストで製造する技術(Direct MCH®)の商業化に向けた開発を進めています。2021年11月に豪州の再生可能エネルギーから本技術を用いてMCHを製造、日本で約6kgのCO2フリー水素を取り出し、燃料電池車に充填、走行する一連の実証に成功しました。2022~23年度には当社の水素ステーションで実際に販売できる量のCO2フリー水素が製造可能な中型電解槽プラント(150kW級)の実証、さらに2025年度をめどに大型電解槽プラント(5,000kW級)の技術開発及び実証を行う予定です。これらは、「直接MCH電解合成(Direct MCH®)技術開発」として、経済産業省及び国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の進めるグリーンイノベーション基金事業に採択されました。また、CO2フリー水素と工場等や大気から回収したCO2を原料に液体燃料を製造する「合成燃料」の開発についても、グリーンイノベーション基金事業に採択され、プロセス全体の早期技術確立に向けて技術開発を進めています。バイオ燃料分野では、凸版印刷株式会社と古紙を原料としたバイオエタノール事業の立上げについて協業検討を開始しました。その他、バイオジェット燃料の商業化を目指した技術開発や事業化検討にも取り組んでいます。再生可能エネルギーの有効活用の実現に向け、再エネ発電量や電力価格、水素需要に応じて水電解装置による水素製造を制御する水素EMS(エネルギーマネジメントシステム)の開発やVPP(仮想発電所)の実証試験に取り組んでいます。水素製造や蓄電池制御の最適化による電力需給バランスの調整などの検証を通して、技術・ノウハウの蓄積を進めるとともに、地産地消エネルギー活用推進の一環として、東京都東村山市において、電気自動車を活用したエネルギーマネジメントシステム実証を2022年9月より開始(予定)するため、最適制御手法を検討しています。さらに循環型社会の実現に向け、株式会社ブリヂストンと使用済タイヤの精密熱分解によるケミカルリサイクル技術の社会実装に向けた共同プロジェクトを開始しました。本プロジェクトは「使用済タイヤからの化学品製造技術の開発」としてグリーンイノベーション基金事業に採択されました。社外連携については、早稲田大学キャンパス内に「ENEOSラボ」を設置し共同研究拠点として活用しています。包括的かつ分野横断的なオープンイノベーションを通して、水素、電池材料、ロボット関連の「CO2削減に向けた革新技術の研究」に取り組んでいます。②燃料油・化学品製造技術分野製油所、製造所の安全・安定操業、競争力強化、及び液体燃料におけるCO2削減を目指した研究を行っており、中でもデジタル化技術の開発・活用においては、2021年度に国内で初めてAI技術による石油化学プラント自動運転に成功しました。また、エンジンの熱効率向上が期待される革新燃焼技術(超希薄燃焼:スーパーリーンバーン)に適した燃料組成の検討を行い、製油所から得られる留分を利用することによるCO2削減の可能性を示すとともに、自社原料のさらなる有効活用(ケミカルシフト)に向け、触媒・反応技術を活用した石油化学誘導品を開発し、光学材料原料などでユーザーより高い評価を得ています。③機能材分野機能材分野では、自動車、生活・産業インフラ、ニュートリションを研究重点領域と設定し、自動車の電動化・軽量化・知能化に寄与する素材や部材、IoT時代の高速通信を支える素材や部材、飼料向け等の人の健康に役立つ素材の開発を推進しています。 具体的には、自動車・インフラ分野では、脂環式構造を有し、高耐熱・透明・高耐光性などの特長を有するモノマー製品群や、低誘電・高耐熱といった特徴を持つポリマー製品群の開発、ニュートリション分野では、優れた抗酸化性能を持つ天然由来レアカロテノイド商品群の開発を進めています。また産学連携として東京工業大学や横浜国立大学と共同研究講座を設置して、素材開発を加速・深化させるオープンイノベーションの拠点としています。 ④潤滑油分野潤滑油分野では、地球環境に配慮した高性能潤滑油、グリースの製品開発に取り組んでいます。一例として、最新国際規格であるAPI SP/ILSAC GF-6の適合性能に加え、省燃費性能、加速性能、乗り心地性に優れるエンジン油「ENEOS X PRIME」を開発しました。このほかにも省燃費型駆動系油、安全・環境配慮型工業用潤滑油、自動車・産業用高性能グリース、新冷媒対応・省エネルギー型冷凍機油といった製品の開発を新規材料、新規解析評価技術を取り入れながら推進するとともに、高品質の製品を安定かつ効率的に製造するための製造技術の開発も行っています。さらに、脱炭素化の世界的潮流を背景に加速するモビリティの電動化シフトに対応するため、潤滑性能はもとより冷却性能や電気絶縁性能等を高次元で両立し得る電動車用潤滑油やグリースの技術開発にも注力しています。⑤デジタル技術分野デジタル技術を活用して自社業務の効率化や新たな価値を生み出すことを目指した研究を行っています。具体的には、プラントデータを活用した運転効率化、画像解析による安全・安定操業支援に加え、革新的な素材・触媒探索技術の研究を推進しています。一例として、AI技術の産業応用に向けた先進的な検討を推進している世界的なトップランナーである株式会社Preferred Networks(PFN社)と戦略的な協業体制を構築し、主にプラント自動運転や素材探索においてAI技術を活用した革新的事業創出に取り組んでいます。MI(マテリアルズ・インフォマティクス)分野ではPFN社との協業により、高速かつ高精度な汎用原子レベルシミュレータMatlantisTMの開発に成功しました。第一原理計算による従来法と比較して、最大約2,000万倍高速に分子の状態を予測することができます。さらにPFN社とJV「株式会社Preferred Computational Chemistry」を設立し、2021年7月よりクラウドサービスとしての提供を開始しました。デジタル技術を活用した新たなビジネス創出につなげることも目指し、国内外のスタートアップ企業などとの連携も活発化させています。 (2)石油・天然ガス開発該当事項はありません。 (3)金属 (研究開発費 11,077百万円)金属事業では、長年培ってきたコア技術の進化・活用に加え、グループ企業内での技術コラボレーション、大学等研究機関との共同研究、外部企業とのパートナーシップ構築等、様々な形の共創を推進し、研究開発を行っています。データ社会の進展に寄与する次世代の先端素材の開発や、脱炭素や資源循環といった地球規模のESG課題解決に向けた製品・技術開発、車載用リチウムイオン電池(LiB)のリサイクル技術開発等に積極的に取り組んでいます。①新規事業開発CVD用塩化物、3Dプリンター用金属粉、銅微粉、LiBリサイクル及び電池材料の開発等について、事業部、関係会社等を跨ぎ全社横断で早期事業化に向けた取り組みを強化しています。電池関連では、今後のEVの進展と資源循環社会への貢献に向けてLiBリサイクルと電池材料開発を一元的に進めるため、2021年8月に「電池材料・リサイクル事業推進室」及び「技術開発センター電池材料グループ」を設置した他、同日に欧州でJX Metals Circular Solutions Europe GmbHを設立し、当法人を拠点に欧州自動車メーカー等と連携し、実証試験を進めていきます。またJX金属サーキュラーソリューションズ(福井県敦賀市)が2021年10月より操業を開始し、中規模実証試験を実施しています。また、3Dプリンター用の金属粉の開発推進に向け、2020年1月に出資した金属3Dプリンター向けの合金設計等の事業を行う英国スタートアップ企業Alloyed社と協業を進めている他、次々世代のパワーデバイスの材料として期待される酸化ガリウム基板及びデバイスの開発を手掛けるノベルクリスタルテクノロジー社に2020年6月の出資に続き2022年2月に追加出資をして協業を加速する等、各スタートアップとの共創を通したスピーディな新規事業創出の取り組みを進めています。②事業別(資源分野)資源分野では、選鉱工程に適用する自動化技術や鉱石からのレアメタル回収技術の開発を進めています。また、環境負荷低減に向けて、鉱山で使用する重機等のCO2排出量削減に資する技術等の調査を進めています。③事業別(金属・リサイクル分野)銅製錬におけるリサイクル原料処理拡大に向け、リサイクル原料から回収する貴金属及びレアメタル等の金属種拡大のための技術開発や、銅製錬工程からの有価金属回収工程の効率化を推進しています。2040年にリサイクル原料処理量を50%とするハイブリッド製錬を実現することを目指し、技術開発を進めています。④事業別(薄膜材料分野)薄膜材料分野では、高純度化技術及び材料組成・結晶組織の制御技術をベースに、半導体・電子部品用途向け製品に関する開発を進めています。半導体用ターゲット、フラットパネルディスプレー用ターゲット、磁気記録膜用ターゲット等の各種スパッタリング用ターゲットや、その他電子材料における新規製品開発及び関連プロセスの技術開発に継続的に取り組んでいます。 ⑤事業別(機能材料分野)機能材料分野では、コネクタ等の用途に、精密な組成制御、独自の圧延加工プロセス及びユーザーニーズに適合した評価技術を用いて、強度・導電性・加工性・耐久性に優れた高機能銅合金の開発を進めています。次世代材料として、コルソン系及びチタン系新規銅合金の開発等、更なる高機能製品化に取り組んでいます。また、プリント配線板材及び シールド材用途等では、屈曲性、エッチング性、密着性等の高い機能を付加した銅箔等の開発・バージョンアップを進めています。⑥基盤技術開発分析及びシミュレーションについて最先端技術の導入・開発を進め、それらを駆使することにより技術開発の促進・効率化を図っています。 これらに、その他の事業における研究開発費855百万円を加えた当連結会計年度における当社グループ全体の研究開発費は、24,151百万円です。
FY2021|4,168 文字
5【研究開発活動】当社グループは、グループ理念に定めた『エネルギー・資源・素材における創造と革新』を目指し、エネルギー関連と金属関連を中心に研究開発活動を進めています。当連結会計年度における研究開発活動の概要は以下のとおりです。 (1)エネルギー (研究開発費 12,102百万円)エネルギー・素材関連の研究開発活動は、中央技術研究所と各事業カンパニーの研究開発部が連携をしながら進めています。現在の事業領域については操業安定性向上と競争力強化を主体とした研究開発を進めるとともに、新規事業の創出、拡大に向けて重点領域を設定して、研究開発を推進しています。また社外との連携にも力をいれており、大学との産学連携の推進のみならず、ベンチャーキャピタルへの出資やアクセラレータープログラムの実施等を通してベンチャー企業とも連携を図り、オープンイノベーションを促進しています。①燃料油・化学品製造技術分野製油所、製造所の安全・安定操業、競争力強化を目指した研究を行っています。国際海事機関(IMO)による2020年からの舶用燃料油の規制強化に対応し品質確保のための処方検討などを通じて、引き続き安定供給の体制構築を支援しました。あわせて自社原料のさらなる有効活用(ケミカルシフト)に向けたプロセスや要素技術の開発、並びに、当該分野におけるデジタル化技術の開発・活用推進を進めています。②機能材分野機能材分野では、自動車、生活・産業インフラ、ニュートリションを研究重点領域と設定し、自動車の電動化・軽量化・知能化に寄与する素材や部材、IoT時代の高速通信を支える素材や部材、健康食品、飼料向け等の人の健康に役立つ素材の開発を推進しています。具体的には、自動車・インフラ分野では、脂環式構造を有し、高耐熱・透明・高耐光性などの特長を有するモノマー製品群や、低誘電・高耐熱といった特徴を持つポリマー製品群の開発、ニュートリション分野では、優れた抗酸化性能を持つ天然由来レアカロテノイド商品群の開発を進めています。また社外との連携としてLG Japan Lab及び東京工業大学と共同研究講座を設置して、高機能材・デバイス機器の開発に取り組んでいます。③潤滑油分野潤滑油分野では、地球環境に配慮した高性能潤滑油、グリースの製品開発に取り組んでいます。一例として、最新国際規格であるAPI SP/ILSAC GF-6の適合性能に加え、乗り心地性にこだわったエンジン油「ENEOS X PRIME」を開発し、2020年7月に発売しました。このほかにも省燃費型駆動系油、安全・環境配慮型工業用潤滑油、自動車・産業用高性能グリース、新冷媒対応・省エネルギー型冷凍機油といった製品の開発を新規材料、新規解析評価技術を取り入れながら推進するとともに、高品質の製品を安定かつ効率的に製造するための製造技術の開発も行っています。さらに、脱炭素化の世界的潮流を背景に加速するモビリティの電動化シフトに対応するため、潤滑性能はもとより冷却性能や電気絶縁性能等を高次元で両立し得る電動車用潤滑油の技術開発にも注力しています。④水素分野水素分野では、水素エネルギー社会を見据えた水素の製造・貯蔵・輸送・供給に関する一連の技術開発を推進しています。あわせて、水素ステーションの整備推進を目指し、建設及び運営コストダウンに寄与する技術開発に取り組んでいます。⑤低炭素エネルギー分野将来に向けた再生可能エネルギーの主力電源化に資する技術として、余剰電力を大規模、長期の貯蔵に適する物質に変換し、長距離の輸送を可能とする技術の開発を進めています。CO2フリー水素分野では、再生可能エネルギーから得られた電力で直接トルエンを電解水素化することで、貯蔵・輸送が簡単な有機ハイドライド(メチルシクロヘキサン)を低コストで得る技術(Direct MCH®)の商業化に向けて開発しており、2022年度には当社の水素ステーションで実際に販売できる量の製造技術の実証を目指しています。さらにCO2フリー水素と工場等から回収したCO2を原料に液体燃料を合成する「再エネ合成燃料」の開発にも取り組んでいます。一方バイオ燃料分野では、藻類バイオマスを活用した社会の構築に向け、ちとせグループとの協業を開始しています。また、バイオジェット燃料の商業化を目指した技術開発や事業化検討に取り組んでいます。持続可能な未来社会実現に向けたイノベーション推進のため、早稲田大学との包括連携活動に関する協定書を締結し、CO2からの燃料・化学品製造技術の開発といった「CO2削減に向けた革新技術の研究」に取り組んでいます。再生可能エネルギーの有効な利活用に向け、VPP(仮想発電所)の実証試験に取り組んでいます。実証試験では、太陽電池・蓄電池を設置したサービスステーションや中央技術研究所などの当社拠点において、蓄電池制御の最適化や需給バランスの調整などの検証を通して、技術・経験の蓄積を進めています。さらに、循環型社会の実現に向け、プラスチック資源に関する高度循環技術として「プラスチックの化学原料化再生プロセスの開発」に取り組んでいます。⑥デジタル技術分野デジタル技術を活用して自社の業務を効率化することを目指した研究を行っています。具体的には、プラントデータを活用した運転効率化、画像解析による安全・安定操業支援などの研究を推進しています。一例として、AI技術の産業応用に向けた先進的な検討を推進している世界的なトップランナーである株式会社Preferred Networksと戦略的な協業体制を構築し、主にプラント自動運転や素材探索においてAI技術を活用した革新的事業創出に取り組んでいます。Preferred Networks社との協業により、MI(マテリアルズ・インフォマティクス)技術として超高速AI分子シミュレータを開発し、第一原理計算による従来法と比較して、最大約2,000万倍の高速化に成功しました。またデジタル技術を活用した新たなビジネス創出につなげることも想定し、国内外のスタートアップ企業などとの情報収集・交換を活発化させています。 (2)石油・天然ガス開発該当事項はありません。 (3)金属 (研究開発費 9,570百万円)金属事業では、長年培ってきたコア技術の進化・活用に加え、グループ企業内での技術コラボレーション、大学など研究機関との共同研究、外部企業とのパートナーシップ構築など、様々な形の共創を推進し、研究開発を行っています。データ社会の進展に寄与する次世代の先端素材の開発や、脱炭素や資源循環といった地球規模のESG課題解決に向けた製品・技術開発、車載用リチウムイオン電池(LiB)のリサイクル技術開発などに積極的に取り組んでいます。①新規事業開発CVD用塩化物、3Dプリンター用金属粉、銅微粉、全固体電池の開発などについて、事業部、関係会社等を跨ぎ全社横断で早期事業化に向けた取り組みを強化しています。また、3Dプリンター用の金属粉の開発推進に向け、2020年1月に出資した金属3Dプリンター向けの合金設計等の事業を行う英国スタートアップ企業Alloyed社(旧OxMet社)と協業を進めている他、次々世代のパワーデバイスの材料として期待される酸化ガリウム基板及びデバイスの開発を手掛けるノベルクリスタルテクノロジー社に2020年6月に出資し共同開発を開始するなど、各スタートアップとの共創を通したスピーディな新規事業創出の取り組みを進めています。②事業別(資源分野)資源分野では、選鉱工程に適用する自動化技術や鉱石からの不純物除去技術の開発を進めています。また、低品位銅鉱を対象とした独自の浸出技術であるJXヨウ素法については、世界知的所有権機関(WIPO)の枠組みであるWIPO GREENに特許を登録しました。③事業別(金属・リサイクル分野)2020年4月1日付組織変更で、金属・リサイクル事業部が発足、リサイクル原料処理拡大に向け、リサイクル原料から回収する貴金属及びレアメタル等の金属種拡大のための技術開発や、銅製錬工程からの有価金属回収工程の効率化を推進しています。2040年にリサイクル原料処理量を50%とするハイブリッド製錬を実現することを目指し、技術開発を進めています。LiBリサイクルについては、車載用LiBリサイクルの事業化推進を目的とするLiBリサイクル事業推進室を2020年4月に新設し、機動的な運営体制を整えました。現在、技術開発センター(日立)のベンチスケール設備で開発した高純度金属塩回収プロセスの実証試験のために敦賀工場のプロセスを改造中で、2021年半ばに硫酸ニッケル、2022年半ばに硫酸コバルトの回収工程を完成させるべく、工事を進めています。④事業別(薄膜材料分野)薄膜材料分野では、高純度化技術及び材料組成・結晶組織の制御技術をベースに、半導体・電子部品用途向け製品に関する開発を進めています。半導体用ターゲット、フラットパネルディスプレー用ターゲット、磁気記録膜用ターゲット等の各種スパッタリング用ターゲットや、その他電子材料における新規製品開発及び関連プロセスの技術開発に継続的に取り組んでいます。⑤事業別(機能材料分野)機能材料分野では、コネクタ等の用途に、精密な組成制御、独自の圧延加工プロセス及びユーザーニーズに適合した評価技術を用いて、強度・導電性・加工性・耐久性に優れた高機能銅合金の開発を進めています。次世代材料として、コルソン系及びチタン系新規銅合金の開発等、更なる高機能製品化に取り組んでいます。また、プリント配線板材及びシールド材用途では、屈曲性、エッチング性、密着性等の高い機能を付加した銅箔等の開発・バージョンアップを進めています。⑥基盤技術開発分析及びシミュレーションについて最先端技術の導入・開発を進め、それらを駆使することにより技術開発の促進・効率化を図っています。 これらに、その他の事業における研究開発費941百万円を加えた当連結会計年度における当社グループ全体の研究開発費は、22,613百万円です。
FY2020|2,872 文字
5【研究開発活動】当社グループは、グループ理念に定めた『エネルギー・資源・素材における創造と革新』を目指し、エネルギー関連と金属関連を中心に研究開発活動を進めています。当連結会計年度における研究開発活動の概要は以下のとおりです。 (1)エネルギー (研究開発費 10,344百万円)エネルギー・素材関連の研究開発活動は、中央技術研究所と各事業カンパニーの研究開発部が連携をしながら進めています。現在の事業領域については操業安定性向上と競争力強化を主体とした研究開発を進めるとともに、新規事業の創出、拡大に向けて重点領域を設定して、研究開発を推進しています。また社外との連携にも力をいれており、大学との産学連携の推進のみならず、ベンチャーキャピタルへの出資やアクセラレータープログラムの実施等を通してベンチャー企業とも連携を図り、オープンイノベーションを促進しています。①燃料油・化学品製造技術分野製油所、製造所の安全・安定操業、競争力強化を目指した研究を行っています。統合シナジー創出に貢献するため、技術的な検討を進めるとともに国際海事機関(IMO)による2020年からの舶用燃料油の規制強化に対応し品質確保のための処方検討などを通じて、安定供給の体制構築を支援しました。あわせて将来の自社原料のさらなる有効活用(ケミカルシフト)に向けたプロセスや要素技術の開発、非化石エネルギー源の利用拡大に資するセルロース系バイオエタノール等も開発しています。②機能材分野機能材分野では、透明性と高耐熱性を両立した透明ポリイミド用モノマー「エネハイド™」、麻里布製油所の高品位コークスを原料としたリチウムイオン電池(LiB)用負極材、優れた抗酸化性能を持つレアカロテノイド類を含む健康食品素材「AdoniCare™」、次世代高速通信を可能にする低誘電液晶ポリマー、当社不織布「ミライフ®」をしわ加工する保温性不織布、ナノインプリント技術を活用した無機波長板「Nanoable®Waveplate」など、独自技術による新規商品の開発を推進しています。また、次世代自動車、次世代住宅、ニュートリションを戦略領域と設定し、自動車の電動化・軽量化・知能化に寄与する素材や部材、住宅の省エネ・健康・快適に寄与する素材や部材、さらに、健康食品、飼料、化粧品などの素材の開発を推進しています。③潤滑油分野潤滑油分野では、環境配慮型自動車用潤滑油の開発、安全・環境を考慮した工業用潤滑油の開発、フロンを代替する新冷媒用の冷凍機油の開発、産業用・環境配慮型グリースの開発、グローバル商品の開発、商品の付加価値向上に資する添加剤の開発を推進しています。④水素分野水素分野では、水素エネルギー社会を見据えた水素の製造・貯蔵・輸送・供給に関する一連の技術開発を推進しています。あわせて、水素ステーションの整備推進を目指し、建設及び運営コストダウンに寄与する技術開発に取り組んでいます。⑤低炭素エネルギー分野将来に向けた再生可能エネルギーの主力電源化に資する技術として、余剰電力を大規模、長期の貯蔵に適する物質に変換し、長距離の輸送を可能とする技術の開発を進めています。一例として、再生可能エネルギーから得られた電力で直接トルエンを電解水素化することで、貯蔵・輸送が簡単な有機ハイドライド(メチルシクロヘキサン)を低コストで得る技術を商業化に向けて開発しています。この有機ハイドライドから取り出した水素は「CO2フリー水素」ということが出来ます。また、持続可能な未来社会実現に向けたイノベーション推進のため、早稲田大学との包括連携活動に関する協定書を締結し、CO2からの燃料・化学品製造技術の開発といった「CO2削減に向けた革新技術の研究」に取り組んでいます。さらに、循環型社会の実現に向け、プラスチック資源に関する高度循環技術として「プラスチックの化学原料化再生プロセスの開発」に取り組んでいます。⑥デジタル技術分野デジタル技術を活用して自社の業務効率化に生かしていくことを目指した研究を行っています。具体的には、プラントデータを活用した運転効率化、画像解析による安全・安定操業支援などの研究を推進しています。一例として、AI技術の産業応用に向けた先進的な検討を推進している世界的なトップランナーである株式会社Preferred Networksと戦略的な協業体制の構築に合意し、主にプラント自動運転や素材探索においてAI技術を活用した革新的事業創出に取り組んでいます。またデジタル技術を活用した新たなビジネス創出につなげることも想定し、ベンチャー企業などとの情報収集・交換を活発化させています。 (2)石油・天然ガス開発該当事項はありません。 (3)金属 (研究開発費 9,867百万円)①資源・製錬分野資源・製錬分野では、低品位銅鉱を対象とした独自の浸出技術であるJXヨウ素法、初生硫化銅鉱を対象とした湿式製錬技術である日鉱塩化法の開発を推進しており、JXヨウ素法については、チリでのリーチング実証試験で効果を確認しています。湿式製錬技術についても、豪州パースのパイロットプラントでの各種銅鉱石・金鉱石を用いた実証試験を完了しています。ここで得られた結果を基に、現在次のステップとなる実鉱山適用への検討を進めています。②環境リサイクル分野環境リサイクル分野では、リサイクル原料から回収する貴金属及びレアメタル等の金属種拡大のための技術開発や、銅製錬工程からの有価金属回収工程の効率化を推進しています。廃電池リサイクルについても、対象廃電池の更なる拡大と低コストを目指したプロセス開発を進めています。③薄膜材料分野薄膜材料分野では、高純度化技術及び材料組成・結晶組織の制御技術をベースに、半導体・電子部品用途向け製品に関する開発を進めています。半導体用ターゲット、フラットパネルディスプレー用ターゲット、磁気記録膜用ターゲット等の各種スパッタリング用ターゲットや、その他電子材料における新規製品開発及び関連プロセスの技術開発に継続的に取り組んでいます。④機能材料分野機能材料分野では、コネクタ等の用途に、精密な組成制御、独自の圧延加工プロセス及びユーザーニーズに適合した評価技術を用いて、強度・導電性・加工性・耐久性に優れた高機能銅合金の開発を進めています。次世代材料として、コルソン系及びチタン系新規銅合金の開発等、更なる高機能製品化に取り組んでいます。また、プリント配線板材及びシールド材用途では、屈曲性、エッチング性、密着性等の高い機能を付加した銅箔等の開発・バージョンアップを進めています。⑤基盤技術開発分析及びシミュレーションについて最先端技術の導入・開発を進め、それらを駆使することにより技術開発の促進・効率化を図っています。 これらに、その他の事業における研究開発費735百万円を加えた当連結会計年度における当社グループ全体の研究開発費は、20,946百万円です。
FY2019|2,503 文字
5【研究開発活動】当社グループは、グループ理念に定めた『エネルギー・資源・素材における創造と革新』を目指し、エネルギー関連と金属関連を中心に研究開発活動を進めています。当連結会計年度における研究開発活動の概要は以下のとおりです。 (1)エネルギー (研究開発費 10,397百万円)エネルギー・素材関連の研究開発活動は、中央技術研究所と各事業カンパニーの研究開発部が連携をしながら進めています。現在の事業領域については操業安定性向上と競争力強化を主体とした研究開発を進めるとともに、新規事業の創出、拡大に向けて重点領域を設定して、研究開発を推進しています。また社外との連携にも力をいれており、大学との産学連携の推進のみならず、ベンチャーキャピタルへの出資やアクセラレータープログラムの実施等を通してベンチャー企業とも連携を図り、オープンイノベーションを促進しています。①燃料油・化学品製造技術分野製油所、製造所の安全・安定操業、競争力強化を目指した研究を行っています。目標とする統合シナジー創出に貢献するため、技術的な検討を進めるとともに、国際海事機関(IMO)による2020年からの舶用燃料油の規制強化に向けた研究を行っています。あわせて将来の自社原料のさらなる有効活用(ケミカルシフト)に向けたプロセスや要素技術の開発、非化石エネルギー源の利用拡大に資するセルロース系バイオエタノール等も開発しています。②機能材分野機能材分野では、透明性と高耐熱性を両立した透明ポリイミド用モノマー「エネハイド™」、麻里布製油所の高品位コークスを原料としたリチウムイオン電池(LiB)用負極材、優れた抗酸化性能を持つレアカロテノイド類を含む健康食品素材「AdoniCare™」、次世代高速通信を可能にする低誘電液晶ポリマー、不織布「ミライフ®」をしわ加工することで羽毛代替となる保温性不織布、ナノインプリント技術を活用した無機波長板「Nanoable®Waveplate」など、独自技術による新規商品の開発を推進しています。また、次世代自動車、次世代住宅、ニュートリションを戦略領域と設定し、自動車の電動化・軽量化・知能化に寄与する素材や部材、住宅の省エネ・健康・快適に寄与する素材や部材、さらに、健康食品、飼料、化粧品などの素材の開発を推進しています。③潤滑油分野潤滑油分野では、環境配慮型自動車用潤滑油の開発、安全・環境を考慮した工業用潤滑油の開発、フロンを代替する新冷媒用の冷凍機油の開発、グローバル商品の開発、商品の付加価値向上に資する添加剤の開発を推進しています。④水素分野水素分野では、水素エネルギー社会を見据えた水素の製造・貯蔵・輸送・供給に関する一連の技術開発を推進しています。あわせて、水素ステーションの整備推進を目指し、建設及び運営コストダウンに寄与する技術開発に取り組んでいます。⑤低炭素エネルギー分野将来に向けた再生可能エネルギーの主力電源化に資する技術として、余剰電力を大規模、長期の貯蔵に適する物質に変換し、長距離の輸送を可能とする技術の開発を進めています。一例として、「CO2フリー水素」を低コストで製造する技術として、オーストラリアにて太陽光で発電した電気でトルエンを電解水素化してメチルシクロヘキサンに変換し、日本で水素を取り出す世界初の技術検証に成功しました。⑥デジタル技術分野デジタル技術を活用して自社の業務効率化に生かしていくことを目指した研究を行っています。具体的には、プラントデータを活用した運転効率化、画像解析による安全・安定操業支援などの研究を推進しています。またデジタル技術を活用した新たなビジネス創出につなげることも想定し、ベンチャー企業などとの情報収集・交換を活発化させています。 (2)石油・天然ガス開発該当事項はありません。 (3)金属 (研究開発費 8,023百万円)①資源・製錬分野資源・製錬分野では、低品位銅鉱を対象とした独自の浸出技術であるJXヨウ素法、初生硫化銅鉱を対象とした湿式製錬技術である日鉱塩化法の開発を推進しており、JXヨウ素法については、チリでのリーチング実証試験で効果を確認しています。湿式製錬技術についても、豪州パースのパイロットプラントでの各種銅鉱石・金鉱石を用いた実証試験を完了しています。ここで得られた結果を基に、現在次のステップとなる実鉱山適用への検討を進めています。②環境リサイクル分野環境リサイクル分野では、リサイクル原料から回収する貴金属及びレアメタル等の金属種拡大のための技術開発や、銅製錬工程からの有価金属回収工程の効率化を推進しています。廃電池リサイクルについても、対象廃電池の更なる拡大と低コストを目指したプロセス開発を進めています。③薄膜材料分野薄膜材料分野では、高純度化技術及び材料組成・結晶組織の制御技術をベースに、半導体・電子部品用途向け製品に関する開発を進めています。半導体用ターゲット、フラットパネルディスプレー用ターゲット、磁気記録膜用ターゲット等の各種スパッタリング用ターゲットや、その他電子材料における新規製品開発及び関連プロセスの技術開発に継続的に取り組んでいます。④機能材料分野機能材料分野では、コネクタ等の用途に、精密な組成制御、独自の圧延加工プロセス及びユーザーニーズに適合した評価技術を用いて、強度・導電性・加工性・耐久性に優れた高機能銅合金の開発を進めています。次世代材料として、コルソン系及びチタン系新規銅合金の開発等、更なる高機能製品化に取り組んでいます。また、プリント配線板材及びシールド材用途では、屈曲性、エッチング性、密着性等の高い機能を付加した銅箔等の開発・バージョンアップを進めています。⑤基盤技術開発分析及びシミュレーションについて最先端技術の導入・開発を進め、それらを駆使することにより技術開発の促進・効率化を図っています。 これらに、その他の事業における研究開発費707百万円を加えた当連結会計年度における当社グループ全体の研究開発費は、19,127百万円です。
FY2018|1,959 文字
5【研究開発活動】当社グループは、経営理念に定めた『エネルギー・資源・素材における創造と革新』を目指し、エネルギー関連と金属関連を中心に研究開発活動を進めています。当連結会計年度における研究開発活動の概要は以下のとおりです。 (1)エネルギー (研究開発費 13,323百万円)①燃料油・化学品製造技術分野燃料油・化学品製造技術分野では、石油製品の需給構造変化、コストダウン及び省エネへの対応として、石油精製プロセスの合理化・効率化、設備保全・監視技術の開発を行っています。さらに石油化学基礎原料やスペシャリティ化学品、潤滑油基油等の製造プロセスに関する開発を推進しています。また、非化石エネルギー源の利用拡大に資するセルロース系バイオエタノール等も開発しています。②機能材分野機能材分野では、ナノインプリント技術を活用した有機ELディスプレイ用反射防止フィルム、リサイクル可能でゴムのような性質を有する新素材「ジェラティック®」、透明性と高耐熱性を両立したポリイミド樹脂原料モノマー、麻里布製油所のコークスを原料としたリチウムイオン電池用負極材、発酵技術を活用し血糖値上昇を抑制する抗糖尿乳酸菌、次世代高速通信を可能にする低誘電液晶ポリマー、当社不織布「ミライフ®」をしわ加工することで羽毛代替となる保温性不織布など、独自技術による新規商品の開発を推進しています。また、次世代自動車、次世代住宅、ニュートリションを戦略領域と設定し、自動車の電動化・軽量化・知能化に寄与する素材や部材、住宅の省エネ・健康・快適に寄与する素材や部材、さらに、健康食品、飼料、化粧品などの素材の開発を推進しています。③潤滑油分野潤滑油分野では、環境配慮型自動車用潤滑油の開発、安全・環境を考慮した工業用潤滑油の開発、フロンを代替する新冷媒用の冷凍機油の開発、グローバル商品の開発、商品の付加価値向上に資する添加剤の開発を推進しています。④水素分野水素分野では、水素エネルギー社会を見据えた水素の製造・貯蔵・輸送・供給に関する一連の技術開発を推進しています。あわせて、水素ステーションの整備推進を目指し、建設及び運営コストダウンに寄与する技術開発に取り組んでいます。⑤産学連携の推進環境、エネルギー、潤滑油、機能材分野において革新的な技術の創出と社会実装を目的に、さまざまな大学と産学連携を推進しています。 (2)石油・天然ガス開発該当事項はありません。 (3)金属 (研究開発費 6,987百万円)①資源・製錬分野資源・製錬分野では、低品位銅鉱を対象とした独自の浸出技術であるJXヨウ素法、初生硫化銅鉱を対象とした湿式製錬技術である日鉱塩化法の開発を推進しており、JXヨウ素法については、チリでのリーチング実証試験で効果を確認しています。湿式製錬技術についても、当社独自の日鉱塩化法をベースに開発を推進しており、豪州パースのパイロットプラントでの各種銅鉱石・金鉱石を用いた実証試験を完了しています。ここで得られた結果を基に、現在次のステップとなる実鉱山適応への検討を進めています。②環境リサイクル分野環境リサイクル分野では、リサイクル原料から回収する貴金属及びレアメタル等の金属種拡大のための技術開発や、銅製錬工程からの有価金属回収工程の効率化を推進しています。廃電池リサイクルについても、対象廃電池の更なる拡大と低コストを目指したプロセス開発を進めています。③薄膜材料分野薄膜材料分野では、高純度化技術及び材料組成・結晶組織の制御技術をベースに、半導体・電子部品用途向け製品に関する開発を進めています。半導体用ターゲット、フラットパネルディスプレー用ターゲット、磁気記録膜用ターゲット等の各種スパッタリング用ターゲットや、その他電子材料における新規製品開発及び関連プロセスの技術開発に継続的に取り組んでいます。④機能材料分野機能材料分野では、コネクタ等の用途に、精密な組成制御、独自の圧延加工プロセス及びユーザーニーズに適合した評価技術を用いて、強度・導電性・加工性・耐久性に優れた高機能銅合金の開発を進めています。次世代材料として、コルソン系及びチタン系新規銅合金の開発等、更なる高機能製品化に取り組んでいます。また、プリント配線板材及びシールド材用途では、屈曲性、エッチング性、密着性等の高い機能を付加した銅箔等の開発・バージョンアップを進めています。⑤基盤技術開発分析及びシミュレーションについて最先端技術の導入・開発を進め、それらを駆使することにより技術開発の促進・効率化を図っています。 これらに、その他の事業における研究開発費751百万円を加えた当連結会計年度における当社グループ全体の研究開発費は、21,061百万円です。
FY2017|1,953 文字
6【研究開発活動】当社グループは、経営理念に定めた『エネルギー・資源・素材における創造と革新』を目指し、エネルギー関連と金属関連を中心に研究開発活動を進めています。当連結会計年度における研究開発活動の概要は以下のとおりです。 (1)エネルギー (研究開発費 12,370百万円)①燃料油・精製技術分野燃料油・精製技術分野では、石油製品の需給構造変化、コストダウン及び省エネへの対応として、精製プロセスの合理化・効率化、設備保全・監視技術、並びに石油化学基礎原料や潤滑油等の生産プロセスに関する開発を推進しています。また、非化石エネルギー源の利用拡大に資するセルロース系バイオエタノール等バイオ燃料の開発も推進しています。②化学品分野機能化学品分野では、窓ガラスをスクリーンにできる透明フィルム「カレイドスクリーン」、柔軟でリサイクル可能なプラスチックゴム新素材「ジェラティック」、透明で高耐熱なポリイミド樹脂原料モノマーなど、独自技術による新規商品の開発を推進しています。また、「次世代自動車」、「次世代住宅」、「ニュートリション」を戦略領域と設定し、自動車の電動化・軽量化・知能化に寄与する素材や部材、住宅の省エネ・健康・快適に寄与する素材や部材、さらに、健康食品、飼料、化粧品などの素材の開発を推進しています。③潤滑油分野潤滑油分野では、環境配慮型自動車用潤滑油の開発、フロンを代替する新冷媒用の冷凍機油の開発、グローバル商品の開発、商品の付加価値向上に資する添加剤の開発を推進しています。④水素分野水素分野では、水素エネルギー社会を見据えた水素の製造・貯蔵・輸送・供給に関する一連の技術開発を推進しています。あわせて、水素ステーションの整備推進を目指し、建設及び運営コストダウンに寄与する技術開発に取り組んでいます。⑤産学連携の推進環境、エネルギー、化学品分野において革新的な技術の創出と社会実装を目的に、さまざまな大学と産学連携を推進しています。 (2)石油・天然ガス開発該当事項はありません。 (3)金属 (研究開発費 7,733百万円)①資源・製錬分野資源・製錬分野では、コデルコ社(チリ国営銅公社)と共同で設立したバイオシグマ社(チリ法人)にて低品位鉱のバイオ浸出技術を開発してきましたが、技術の適用先が当面コデルコに限定され、当社グループの鉱山に適用される可能性は低いことから、今後のバイオシグマ技術に関する開発をコデルコに委ねることとし、平成28年10月28日にバイオシグマ社株式のコデルコへの譲渡に合意しました。一方、低品位鉱を対象にした独自の浸出技術であるJXヨウ素法については、チリでのリーチング実証試験でヨウ素の効果を確認しています。湿式製錬技術についても、当社独自の日鉱塩化法をベースに開発を推進しており、豪州パースのパイロットプラントでの各種銅鉱石・金鉱石を用いた実証試験を完了しています。ここで得られた結果を基に、現在次のステップとなる実鉱山適応への検討を進めています。②環境リサイクル分野環境リサイクル分野では、リサイクル原料から回収する貴金属及びレアメタル等の金属種拡大のための技術開発や、銅製錬工程からの有価金属回収工程の効率化を推進しています。廃電池リサイクルについても、対象廃電池の更なる拡大と低コストを目指したプロセス開発を進めています。③薄膜材料分野薄膜材料分野では、高純度化技術及び材料組成・結晶組織の制御技術をベースに、半導体・電子部品用途向け製品に関する開発を進めています。半導体用ターゲット、フラットパネルディスプレイ用ターゲット、磁気記録膜用ターゲット等の各種スパッタリング用ターゲットや、その他電子材料における新規製品開発及び関連プロセスの技術開発に継続的に取り組んでいます。④機能材料分野機能材料分野では、コネクタ用途等に、精密な組成制御、独自の圧延加工プロセス及びユーザーニーズに適合した評価技術を用いて、強度・導電性・加工性・耐久性に優れた高機能銅合金の開発を進めています。次世代材料として、コルソン系及びチタン系新規銅合金の開発等、更なる高機能製品化に取り組んでいます。また、プリント配線板材及びシールド材用途では、屈曲性、エッチング性、密着性等の高い機能を付加した銅箔等の開発・バージョンアップを進めており、高精細基板用の極薄銅箔は実用化段階に進んでいます。⑤基盤技術開発分析及びシミュレーションについて最先端技術の導入・開発を進め、それらを駆使することにより技術開発の促進・効率化を図っています。 これらに、その他の事業における研究開発費725百万円を加えた当連結会計年度における当社グループ全体の研究開発費は、20,828百万円です。
FY2016|1,997 文字
6【研究開発活動】当社グループは、経営理念に定めた『エネルギー・資源・素材における創造と革新』を目指し、エネルギー関連と金属関連を中心に研究開発活動を進めています。当連結会計年度における研究開発活動の概要は以下のとおりです。 (1)エネルギー (研究開発費 11,652百万円)①燃料油・精製技術分野燃料油・精製技術分野では、石油製品の需給構造変化、コストダウン及び省エネへの対応として、精製プロセスの合理化・効率化、設備保全・監視技術、並びに石油化学基礎原料や潤滑油等の生産プロセスに関する開発を推進しています。また、エネルギー多様化に資するセルロース系バイオエタノール等バイオ燃料の開発も推進しています。②化学品分野機能化学品分野では、窓ガラスをスクリーンにできる透明フィルム「カレイドスクリーン」、柔軟でリサイクル可能なプラスチックゴム新素材「新開発エラストマー(仮称)」、透明で高耐熱なポリイミド樹脂原料モノマーなど、独自技術による新規商品の開発を推進しています。また、「次世代自動車」、「次世代住宅」、「ニュートリション」を戦略領域と設定し、自動車の電動化・軽量化・知能化に寄与する素材や部材、住宅の省エネ・健康・快適に寄与する素材や部材、さらに、健康食品、飼料、化粧品などの素材の開発を推進しています。③潤滑油分野潤滑油分野では、環境配慮型自動車用潤滑油の開発、フロンを代替する新冷媒用の冷凍機油の開発、グローバル商品の開発、商品の付加価値向上に資する添加剤の開発を推進しています。④水素分野水素分野では、水素エネルギー社会への対応に不可欠な水素の製造・貯蔵・輸送・供給に関する一連の技術開発を推進しています。また、JXエネルギー株式会社は、これまで燃料電池自動車に水素を供給する水素ステーションについて実証事業を行い、技術面・運営面でのノウハウを蓄積してきました。平成26年12月に商用水素ステーションの1号店を開所して以降、平成27年度末までに37か所の水素ステーションを開所し、水素販売を展開しています。⑤産学連携の推進環境、エネルギー、化学品分野において革新的な技術の創出と社会実装を目的に、さまざまな大学と産学連携を推進しています。 (2)石油・天然ガス開発該当事項はありません。 (3)金属 (研究開発費 8,151百万円)①資源・製錬分野資源・製錬分野では、低品位鉱のバイオ浸出技術について、コデルコ社(チリ国営銅公社)と共同設立したバイオシグマ社(チリ法人)との連携により開発を進めています。また同じく低品位鉱を対象にした独自の浸出技術であるヨウ素法についても開発を進めており、チリでヒープリーチング法を用いた実証試験を完了しています。湿式製錬技術についても、当社独自の日鉱塩化法をベースに開発を推進しており、豪州パースのパイロットプラントでの各種銅鉱石・金鉱石を用いた実証試験を完了しています。ここで得られた結果を基に、現在、次のステップとなる実鉱山適応への検討を進めています。②環境リサイクル分野環境リサイクル分野では、リサイクル原料から回収する貴金属及びレアメタル等の金属種拡大のための技術開発や、銅製錬工程からの有価金属回収工程の効率化を推進しています。廃電池リサイクルについても、対象廃電池のさらなる拡大と低コストを目指したプロセス開発を進めています。③薄膜材料分野薄膜材料分野では、高純度化技術及び材料組成・結晶組織の制御技術をベースに、半導体・電子部品用途向け製品に関する開発を進めています。半導体用ターゲット、磁気記録膜用ターゲット等の各種スパッタリング用ターゲットや、その他電子材料における新規製品開発及び関連プロセスの技術開発に継続的に取り組んでいます。また、CVD及びALD(Atomic layer deposition)に用いる高純度塩化物の開発に取り組んでいます。④機能材料分野機能材料分野では、コネクタ用途等に、精密な組成制御、独自の圧延加工プロセス及びユーザーニーズに適合した評価技術を用いて、強度・導電性・加工性・耐久性に優れた高機能銅合金の開発を進めています。次世代材料として、コルソン系及びチタン系新規銅合金の開発等、さらなる高機能製品化に取り組んでいます。また、プリント配線板材及びシールド材用途では、屈曲性、エッチング性、密着性等の高い機能を付加した銅箔等の開発・バージョンアップを進めており、高精細基板用の極薄銅箔は実用化段階に進んでいます。⑤基盤技術開発分析及びシミュレーションについて最先端技術の導入・開発を進め、それらを駆使することにより技術開発の促進・効率化を図っています。 これらに、その他の事業における研究開発費881百万円を加えた当連結会計年度における当社グループ全体の研究開発費は、20,684百万円です。