研究開発費(時系列)
| 年度 | R&D費用(億円) | 設備投資(億円) |
|---|---|---|
| 2025-03 | - | 53 |
| 2024-03 | - | 57 |
| 2023-03 | - | 39 |
| 2022-03 | - | 57 |
| 2021-03 | - | 185 |
研究開発活動(本文)
FY2025|4,039 文字
6 【研究開発活動】当社グループにおいて研究開発活動は、当社、ペルノックス㈱、高圧化学工業㈱および山口精研工業㈱がおこなっております。顧客ニーズに対し提案型の製品開発をおこなうとともに、「つなぐを化学するSPECIALITY CHEMICALPARTNER」というビジョンに基づき鋭意研究開発活動を展開しております。2016年度に研究開発本部を設置して研究開発資源を一元化し、第5次中期5ヵ年経営実行計画がスタートした2021年度より技術面を軸に再編して機能性コーティング開発部、水系ポリマー開発部、フォレストケミカル開発部、ファイン・エレクトロニクス開発部、コーポレート開発部に開発推進部を加えた体制としております。あらためて当社グループのコア技術・素材を事業ポートフォリオの中核に据え、長期的に経営資源を投入し、顧客ニーズに対して研究開発部門の自律性を高め、多面的に対応できる形へと組み替えました。事業分野は機能性コーティング事業、製紙・環境事業、粘接着・バイオマス事業、ファイン・エレクトロニクス事業であり、その研究テーマは多岐にわたっております。当連結会計年度の研究開発費は3,058百万円であり、主な研究成果は次のとおりであります。なお、研究開発費には、報告セグメントに配賦しない中長期での成長の源泉となるコーポレート研究開発費用384百万円を含んでおり、ライフサイエンス分野などへの本格参入に向けてのコア技術(ロジンや水系ポリマーなど)の展開、および千葉アルコン製造㈱の安定製造に向けた技術的対応を進めております。(1) 機能性コーティング事業当事業では、光学フィルム用途、電子材料用途を中心に光硬化型機能性コーティング剤「ビームセット」「オプスター」や熱硬化型機能性コーティング剤「アラコート」の研究開発に注力しております。また、印刷インキや塗料用途において、環境負荷低減に向けた製品の研究開発をおこなうとともに、剥離紙・フィルム用離型剤としてシリコーン樹脂の開発もおこなっております。また、ポリマー合成技術を活かした機能性材料の新規用途開発にも積極的に取り組んでおります。光硬化型機能性コーティング剤「ビームセット」「オプスター」では、5G関連分野での量産に向け、市場からの高品質要求への対応に注力しております。ディスプレイ用途において、難密着素材への密着性付与、耐傷つき性、光学特性調整技術およびフレキシブル性のレベルアップを達成し、多くの採用が得られております。また、無溶剤光硬化型粘着剤の開発にも取り組んでおり、こちらもディスプレイ用途での実績が拡大しております。水系化による環境に配慮した製品の開発にも継続的に取り組んでおり、水系では塗料用やフィルムコーティング用にて顧客での高評価が得られつつあります。熱硬化型機能性コーティング剤「アラコート」は、非シリコーン系剥離コーティング剤の開発に取り組み、着実に電子材料用途で実績拡大が進んでおります。また、環境負荷低減のための水系化製品もラインアップしサンプルワークを開始しております。印刷インキ用樹脂では、各種原料ソースを使いこなす技術開発を進め、顧客での使用形態に応じたワニス製品の開発も進めることで、持続可能な製品供給を目指しています。バイオマス素材としてロジン系樹脂の開発にも取り組んでおり、バイオマス度の向上と機能性を付与したバイオマスインキ用に実績化の目途が得られております。剥離紙・フィルム用離型剤「シリコリース」は、硬化方式別に熱硬化型および光硬化型、形態別には溶剤系に加えて、環境に配慮した無溶剤系を取り揃えており、さらなる軽剥離化やミスト低減に優れた製品開発を進めております。また、従来からの剥離紙用途に加え、電子部材用途での検討が進み、実績が拡大しております。当事業に係る研究開発費は952百万円であります。(2) 製紙・環境事業当事業では、紙の強度を向上させる紙力増強剤や紙へのにじみ止め性を付与するサイズ剤など、紙の機能を向上させる薬品開発に加え、環境視点に基づいた水系ポリマーの技術と用途開発をおこなっております。顧客ニーズや年々悪化する古紙原料や抄紙条件に適応させ、紙のさらなる高機能化ならびに薬品の低コスト化、紙の生産性向上や合理化に寄与する技術の検討をおこなっており、中国、台湾、ASEAN等の海外市場向け製品の開発も積極的に進めております。また、水系ポリマー技術を活かした地球環境と社会に貢献できる新規の開発テーマにも取り組んでおります。紙力増強剤では、内添紙力増強剤「ポリストロンシリーズ」で高分子量化技術を駆使した、高い紙力増強効果を発現する製品が国内外で販売拡大しております。表面紙力増強剤「ポリマセットシリーズ」では、紙や塗工機の種類に応じた製品設計を行い、顧客での評価が進んでおります。また、地球環境に配慮した新規製品として、バイオマス由来の機能性成分の配合および高濃度化による輸送頻度の低減を通じて、CO2排出量削減に寄与する製品の実績化が進み、更なる拡大に向けて注力しております。また、環境に配慮した独自の水系ポリマー技術による紙用機能性コーティング剤の製品開発も進めております。ガスバリア性や耐水耐油性などを紙に付与する機能性コーティング剤の開発を進め、脱プラスチックやPFAS代替に向けて、顧客での評価が進んでおります。当事業に係る研究開発費は572百万円であります。(3) 粘接着・バイオマス事業当事業では、多様化する粘着・接着剤用樹脂に対する顧客ニーズに対応した高機能性製品の開発に取り組み、グローバルに展開しております。環境に配慮した製品の開発も推進しており、脱溶剤化やCO2削減に貢献する水系エマルジョン型粘着付与樹脂製品の高機能化や光硬化型粘着剤向け粘着付与樹脂の提案も積極的に進めております。2024年度は、「エマルジョン型タッキファイヤーの開発」について日本接着学会「技術賞」を受賞しました。また、バイオマス素材としての利点を活かしたロジン誘導体事業の拡大と持続性確保に向けてロジン変性技術の深化やロジンの有効活用を目指した開発にも取り組んでおります。ロジンエステル、超淡色ロジンなどのロジン誘導体や水素化石油樹脂は粘着付与樹脂として多く使用されております。一方で、これまで培ってきた素材に関するノウハウや変性技術を活用し、バイオマス複合材用途など最近の技術トレンドや社会のニーズに対応したプラスチック添加剤「PLAFIT™」の市場浸透やゴム用途への提案を進めております。また、ライフサイエンス分野での新規用途開拓を目指し、抗菌・抗バイオフィルム剤としての用途開発にも取り組んでいます。当事業に係る研究開発費は246百万円であります。(4) ファイン・エレクトロニクス事業当事業では、半導体・電子部品およびデジタルデバイス関連用途を中心として、精密部品洗浄剤や洗浄システム、はんだ関連材料、熱可塑性ポリイミド樹脂、機能性ファインケミカル材料、リチウムイオン二次電池向け材料の研究開発をおこなっております。ペルノックス㈱においては、エポキシ、ウレタン、シリコーン系の絶縁封止材料、コーティング材料、接着剤、導電ペースト材料を、主として電子部品、他に自動車関連部品、産業機器部品、各種センサー部品向けに開発、製造、販売しております。また、山口精研工業㈱においてはハードディスク用基板やSAWフィルター用基板、パワー半導体用SiC基板向け等の精密研磨剤の研究開発をおこなっております。精密部品洗浄剤「パインアルファ」では、AI半導体向けに水溶性フラックス洗浄剤を開発し、良好な顧客評価を得ており、環境対応としては、廃水レス洗浄システムを実績化しました。はんだ関連材料であるフラックスでは、新たに当社ロジン技術を活かした半導体パッケージ用途で電極材質に対応した製品を開発、実績化しました。溶剤可溶型低誘電ポリイミド樹脂「PIAD」では、5Gスマートフォンや5G基地局等に使用される高周波対応フレキシブルプリント回路基板用途、主にAI向け半導体パッケージ基板用途を中心に開発を進め、実績化が進みました。また、低誘電、柔軟性という特徴を持った感光性ポリイミド組成物を開発、エレクトロニクス実装学会主催の実装フェスタ関西2024にて「インパクトポスター賞」を受賞しました。AI等で発展著しいハイパフォーマンスコンピューティングに対応するべく、チップの高集積化に貢献していきます。リチウムイオン二次電池向け材料では、当社のコア技術である水系ポリマーの技術を活用し、負極用バインダーやセラミックコーティングセパレータ用バインダーを市場に提案しており、徐々に採用が進んでおります。ファインケミカル材料では、半導体向け材料をはじめ各種機能材料の開発を行っています。また当社グループの高圧化学工業㈱が保有する耐腐食性に優れ、高温・高圧・水素化反応にも対応できる設備での新規受託案件の実績化も着実に進んでおり、今後さらなる伸長が期待される状況です。半導体モジュール樹脂では、新たにUV硬化樹脂の開発に成功、基板封止保護材として実績化が進展、深部や影部硬化可能といった特徴ある製品開発を進めております。また低熱膨張と流動性を両立した高耐熱性液状注型樹脂の開発を推進、より一層の高性能化を追求し各種電子部品への展開を進めております。精密研磨剤製品では、データセンター用ハードディスクの高容量化に合わせて、研磨剤の品質向上、生産性向上に注力しております。当事業に係る研究開発費は901百万円であります。 なお、当連結会計年度末における研究開発スタッフは225名であり、取得済特許権保有件数は、国内501件、海外423件、出願中のものは国内154件、海外211件であります。
FY2024|4,522 文字
6 【研究開発活動】当社グループにおいて研究開発活動は、当社、ペルノックス㈱、高圧化学工業㈱および山口精研工業㈱がおこなっております。顧客ニーズに対し提案型の製品開発をおこなうとともに、「つなぐを化学するSPECIALITY CHEMICAL PARTNER」というビジョンに基づき鋭意研究開発活動を展開しております。当社においては、2016年度に研究開発本部を設置し、第5次中期5ヵ年経営実行計画がスタートした2021年度よりコア技術・素材別に再編して一元化しました。加えてAI・MIの活用に注力すると同時に選択と集中による効率化と新規開発、持続可能性への貢献を加速するため、機能性コーティング開発部、水系ポリマー開発部、フォレストケミカル開発部、ファイン・エレクトロニクス開発部、AI・MI推進部、コーポレート開発部に開発推進部を加えた体制にしております。あらためて当社グループのコア技術・素材を事業ポートフォリオの中核に据え、長期的に経営資源を投入し、顧客ニーズに対して研究開発部門の自律性を高め、多面的に対応できる形へと組み替えました。事業分野は機能性コーティング事業、製紙・環境事業、粘接着・バイオマス事業、ファイン・エレクトロニクス事業であり、その研究テーマは多岐にわたっております。当連結会計年度の研究開発費は2,965百万円であり、主な研究成果は次のとおりであります。なお、研究開発費には、報告セグメントに配賦しない中長期での成長の源泉となるコーポレート研究開発費用408百万円を含んでおり、ライフサイエンス分野などへの本格参入に向けてのコア技術(ロジンや水系ポリマーなど)の展開、および千葉アルコン製造㈱の安定製造に向けた技術的対応を進めております。(1) 機能性コーティング事業当事業では、デジタルデバイス関連用途を中心に光硬化型機能性コーティング剤「ビームセット」「オプスター」や熱硬化型機能性コーティング剤「アラコート」の研究開発に注力しております。また、印刷インキや塗料用途において、環境負荷低減に向けた製品の研究開発をおこなうとともに、剥離紙・フィルム用離型剤としてシリコーン樹脂の開発もおこなっております。また、ポリマー合成技術を活かした機能性材料の新規用途開発にも積極的に取り組んでおります。光硬化型機能性コーティング剤「ビームセット」「オプスター」では、5G関連分野への量産に向け、市場からの高品質要求への対応に注力しております。ディスプレイ用途において、耐傷つき性に加えて、難密着素材への密着性付与、光学調整技術の改良、フレキシブルデバイス用での技術対応を進め、それぞれで採用が得られております。また、光学用透明粘着剤(OCA)としての採用も進んでおり、さらなる拡大に向けて各用途に対応した機能性付与に取り組んでおります。水系化、無溶剤化による環境に配慮した製品の開発にも継続的に取り組んでおり、水系では塗料用を中心に顧客での高評価が得られています。熱硬化型機能性コーティング剤「アラコート」は、非シリコーン系剥離コーティング剤の開発に取り組み、電子材料用途を中心に着実に実績が拡大しております。印刷インキ用樹脂では、BCPの観点から各種原料ソースを使いこなす技術開発を進め、顧客での使用形態に応じたワニス製品の開発も進めることで、持続可能な製品供給を目指しています。また、ロジンの研究開発により、バイオマス度向上と機能性付与を両立した製品を開発し、バイオマスインキ用に実績化が始まっています。塗料用樹脂では、水系製品の有機溶剤中毒予防規則対応や溶剤系製品の特定化学物質障害予防規則対応ハイソリッドの市場要求に応える製品を開発し、顧客での採用が得られました。剥離紙・フィルム用離型剤「シリコリース」は、硬化方式別に熱硬化型および光硬化型、形態別には溶剤系に加えて、環境に配慮した無溶剤系および水分散系を揃えており、顧客要求に適合した製品開発を進めております。また、従来からの剥離紙用途に加え、電子部材用途での実績が拡大しました。水系ポリマー技術の展開としては、ポリマー合成技術を活かした高機能化に取り組んでおり、被塗物表面への親水性付与、無機材料のバインダーや分散剤などの機能付与の検討をおこない、顧客での評価が進んでおります。当事業に係る研究開発費は871百万円であります。(2) 製紙・環境事業当事業では、紙の強度を向上させる紙力増強剤や紙へのにじみ止め性を付与するサイズ剤など、紙の機能を向上させる薬品開発に加え、環境視点に基づいた水系ポリマーの技術と用途開発をおこなっております。顧客ニーズや年々悪化する古紙原料や抄紙条件に適応させ、紙のさらなる高機能化ならびに薬品の低コスト化、紙の生産性向上や合理化に寄与する技術の検討をおこなっております。また、水系ポリマー技術を活かした地球環境と社会に貢献できる開発テーマにも取り組んでおります。紙力増強剤では、内添紙力増強剤「ポリストロンシリーズ」で高分子量化技術を駆使した、高い紙力増強効果を発現する製品の販売が拡大しております。中国,台湾,ASEAN等の海外市場向け製品の開発は積極的に進めており、2022年3月に稼働を開始した荒川ケミカルベトナム社を中心に、特にASEANでの紙力増強剤の販売、マーケティングに注力しております。また、地球環境に配慮した新規製品として、バイオマス由来の機能性成分の配合および高濃度化による輸送頻度の低減を通じて、CO2排出量削減に寄与する製品の実績化が開始し、さらなる拡販に向けた取組みを進めております。内添サイズ剤では、バイオマス素材であり当社の強みでもあるロジンと、当社基盤技術である乳化剤及び乳化技術を組み合わせ、安定的な製品供給を目指しております。また、国内での長年の技術蓄積を活かしつつ、中国市場さらにはASEAN市場への展開を目指し、新規製品の開発を進めております。また、環境に配慮した独自の水系ポリマー技術による紙用機能性コーティング剤の製品開発も進めております。ガスバリア性や耐水耐油性などを紙に付与する機能性コーティング剤の開発を進め、脱プラスチックやフッ素系化合物の代替に向けて、顧客での評価が進んでおります。当事業に係る研究開発費は503百万円であります。(3) 粘接着・バイオマス事業当事業では、多様化する粘着・接着剤用樹脂に対する顧客ニーズに対応した高機能性製品の開発に取り組み、グローバルに展開しております。環境に配慮した製品の開発も推進しており、脱溶剤化やCO2削減に貢献する水系エマルジョン型粘着付与樹脂製品の高機能化や光硬化型粘着剤向け粘着付与樹脂の提案も積極的に進めております。また、バイオマス素材としての利点を活かしたロジン誘導体事業の拡大と持続性確保に向けてロジンの基礎技術、変性技術の深化や持続可能な再生原料の有効活用を目指した開発にも取り組んでおります。ロジンエステル、超淡色ロジンなどのロジン誘導体や水素化石油樹脂は粘着付与樹脂として多く使用されておりますが、これまで培ってきた素材に関するノウハウや変性技術を活用して新規にプラスチック添加剤「PLAFIT」の市場浸透を進めています。流動性向上、相溶化、分散性、低誘電といった特長をキーワードに最近の技術トレンドや社会のニーズに対応すべく、新規顧客への提案を進めております。さらにはライフサイエンス分野での新規開拓を目指し、抗菌・抗バイオフィルム剤の開発にも取り組んでいます。当事業に係る研究開発費は241百万円であります。(4) ファイン・エレクトロニクス事業当事業では、半導体・電子部品およびデジタルデバイス関連用途を中心として、精密部品洗浄剤や洗浄システム、はんだ関連材料、熱可塑性ポリイミド樹脂、機能性ファインケミカル材料、リチウムイオン二次電池向け材料の研究開発をおこなっております。ペルノックス㈱においては、車載用電子部品、各種センサー部品、半導体向けの絶縁封止材料や導電性材料の実績をベースに、最新のLEDやパワー半導体モジュール用の耐熱や信頼性に優れたエポキシ樹脂やシリコーン樹脂製品を大手電機部品メーカーや自動車部品メーカー向けに開発しております。また、山口精研工業㈱においてはハードディスク用アルミ基板やSAWフィルター用基板向けの精密研磨剤の研究開発をおこなっております。精密部品洗浄剤「パインアルファ」では、今後の伸長が期待されるパワー半導体分野向けにフラックス洗浄剤および洗浄機の実績化が開始しました。はんだ関連材料であるフラックスでは、洗浄性に優れた水溶性フラックスの新製品を開発し、市場への提案をおこなっております。溶剤可溶型低誘電ポリイミド樹脂「PIAD」では、5Gスマートフォンや5G基地局等に使用される高周波対応フレキシブルプリント回路基板用途、半導体パッケージ基板用途を中心に開発を進め、実績化が進みました。また、当社では初めてとなる一般社団法人日本有機資源協会の「バイオマスマーク認定」をミリ波対応可能な2製品にて取得、高まる環境ニーズに対応していきます。リチウムイオン二次電池向け材料では、当社のコア技術である水系ポリマーの技術を応用し、負極用バインダーやセラミックコーティングセパレータ用バインダーを市場に提案しており、顧客での評価が進展し徐々に採用が進んでおります。また、ファインケミカル材料では、半導体向け材料をはじめ各種機能材料の開発を行っています。当社グループの高圧化学工業㈱が保有する、耐腐食性に優れ、高温・高圧・水素化反応にも対応できる設備での新規受託案件数も着実に増加しており、今後さらなる伸長が期待される状況です。半導体モジュール向け樹脂では、低熱膨張と高流動化を両立した高耐熱性液状注型樹脂の開発に成功し、実績が拡大しました。また、チップLED向け高接着力1液シリコーン樹脂の開発を進め、実績化が進みました。さらに、CFRP(Carbon Fiber Reinforced Plastics,炭素繊維強化プラスチック)用バインダーの開発・製造にも携わり、国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)のH3ロケット開発及び試験機2号機打上げ成功への貢献に対して当該機構宇宙輸送技術部門長から感謝状が贈呈されました。精密研磨剤製品では、データセンター用ハードディスクの高容量化に合わせて、研磨剤の品質向上、生産性向上に注力しました。製品開発だけでなく、今後の需要拡大に備えて生産能力への投資を行い、昨年11月には山口精研工業(株)第2工場が完成しました。また、成長分野であるパワー半導体用研磨剤の開発へ人財を増員し、徐々に採用が進んでおります。当事業に係る研究開発費は939百万円であります。 なお、当連結会計年度末における研究開発スタッフは227名であり、取得済特許権保有件数は、国内485件、海外402件、出願中のものは国内157件、海外197件であります。
FY2023|4,464 文字
6 【研究開発活動】当社グループにおいて研究開発活動は、当社、ペルノックス㈱、高圧化学工業㈱および山口精研工業㈱がおこなっております。顧客ニーズに対し提案型の製品開発をおこなうとともに、「つなぐを化学するSPECIALITY CHEMICALPARTNER」というビジョンに基づき鋭意研究開発活動を展開しております。2016年度に研究開発本部を設置、第5次中期5ヵ年経営実行計画がスタートした2021年度よりコア技術・素材別に再編して一元化し、加えてAI・MIの活用にも注力することで選択と集中による効率化と新規開発、持続可能性への貢献を加速するため、機能性コーティング開発部、水系ポリマー開発部、フォレストケミカル開発部、ファイン・エレクトロニクス開発部、AI・MI推進部、コーポレート開発部に開発推進部を加えた体制にしております。あらためて当社グループのコア技術・素材を事業ポートフォリオの中核に据え、長期的に経営資源を投入し、顧客ニーズに対して研究開発部門の自律性を高め、多面的に対応できる形へと組み替えました。事業分野は機能性コーティング事業、製紙・環境事業、粘接着・バイオマス事業、ファイン・エレクトロニクス事業であり、その研究テーマは多岐にわたっております。当連結会計年度の研究開発費は3,024百万円であり、主な研究成果は次のとおりであります。なお、研究開発費には、報告セグメントに配賦しない中長期での成長の源泉となるコーポレート研究開発費用406百万円を含んでおり、ライフサイエンス分野などへの本格参入に向けてのコア技術(ロジンや水系ポリマーなど)の展開、および千葉アルコン製造㈱の立ち上げと安定製造に向けた技術的対応を進めております。なお、前連結会計年度までコーポレート研究開発費用として含めていた電池用材料につきましては、当連結会計年度よりファイン・エレクトロニクス事業の研究開発費としております。(1) 機能性コーティング事業当事業では、デジタルデバイス関連用途を中心に光硬化型機能性コーティング剤「ビームセット」「オプスター」や熱硬化型機能性コーティング剤「アラコート」の研究開発に注力しております。また、印刷インキや塗料用途において、環境負荷低減に向けた製品の研究開発をおこなうとともに、剥離紙・フィルム用離型剤としてシリコーン樹脂の開発もおこなっております。また、ポリマー合成技術を活かした機能性材料の用途開発にも積極的に取り組んでおります。光硬化型機能性コーティング剤「ビームセット」「オプスター」では、5G関連分野への量産に向け、市場からの高品質要求への対応に注力しております。ディスプレイ用途において、耐傷つき性に加えて、難密着素材への密着性付与、光学調整技術の改良、フレキシブルデバイス用での技術対応を進め、それぞれで採用が得られております。また、光硬化型粘着剤の開発にも取り組んでおり、光学用透明粘着剤(OCA)としての採用も進んでおります。水系化、無溶剤化による環境に配慮した製品の開発にも継続的に取り組んでおり、水系では塗料用やフィルムコーティング用にて顧客での高評価が得られつつあります。熱硬化型機能性コーティング剤「アラコート」は、非シリコーン系剥離コーティング剤の開発に取り組み、着実に実績拡大が進んでおります。また、機能性フィルムに使用されるPETフィルムのリサイクルに貢献する剥離コーティング剤の検討を進めており、持続可能な社会に向けた取り組みとして、開発を継続してまいります。印刷インキ用樹脂では、BCPの観点から各種原料ソースを使いこなす技術開発を進め、顧客での使用形態に応じたワニス製品の開発も進め、新製品の実績化が進みました。また、ロジン系樹脂のバイオマス素材としての開発にも取り組んでおり、さらなる機能性を付与したバイオマスインキ用にて一部で実績化も進んでおります。塗料用樹脂では、水系製品の有機溶剤中毒予防規則対応や溶剤系製品のハイソリッド化に加えて、原料のバイオマス化など環境対応製品の開発に取り組み、顧客での評価が進展しました。剥離紙・フィルム用離型剤は、硬化方式別に熱硬化型および光硬化型、形態別には溶剤系に加えて、環境に配慮した無溶剤系および水分散系を揃えており、さらなる軽剥離化やミスト低減に優れた製品開発を進めております。また、従来からの剥離紙用途に加え、電子部材用途での検討を進め、実績化が進みました。水系ポリマー技術の展開としては、ポリマー合成技術を活かした高機能化に取り組んでおり、被塗物表面への親水性付与、無機材料のバインダーや分散剤などの機能付与の検討をおこない、市場への提案を進めております。当事業に係る研究開発費は896百万円であります。(2) 製紙・環境事業当事業では、紙の強度を向上させる紙力増強剤や紙へのにじみ止め性を付与するサイズ剤など、紙の機能を向上させる薬品開発に加え、環境視点に基づいた水系ポリマーの技術と用途開発をおこなっております。顧客ニーズや年々悪化する古紙原料や抄紙条件に適応させ、紙のさらなる高機能化ならびに薬品の低コスト化、紙の生産性向上や合理化に寄与する技術の検討をおこなっております。また、中国,台湾,ASEAN等の海外向け製品の開発も積極的に進めており、荒川ケミカルベトナム社の本格稼働に向けて、特にASEANでの紙力増強剤のマーケティングに注力しております。また、水系ポリマー技術を活かした地球環境と社会に貢献できる開発テーマにも取り組んでおります。紙力増強剤では、内添紙力増強剤「ポリストロンシリーズ」で高分子量化技術を駆使した、高い紙力増強効果を発現する製品が国内外で販売が拡大しております。中国,台湾,ASEAN等の海外市場向け製品の開発は積極的に進めており、2022年3月に稼働を開始した荒川ケミカルベトナム社を中心に、特にASEANでの紙力増強剤の販売、マーケティングに注力しております。また、地球環境に配慮した新規製品として、バイオマス由来の機能性成分の配合および高濃度化による輸送頻度の低減を通じて、CO2排出量削減に寄与する製品の開発が進み、顧客での評価が進んでおります。内添サイズ剤では、バイオマス素材であり当社の強みでもあるロジンと、当社基盤技術である重合及び乳化を組み合わせ、安定かつ持続可能な製品供給を目指しております。また、国内での長年の技術蓄積を活かしつつ、中国市場さらにはASEAN市場への展開を目指し、独自製品の開発を進めております。また、環境に配慮した独自の水系ポリマー技術による紙用機能性コーティング剤の製品開発も進めております。ガスバリア性や耐水耐油性などを紙に付与する機能性コーティング剤の開発を進め、脱プラスチックやフッ素系化合物の代替に向けて、市場への提案を開始しております。当事業に係る研究開発費は479百万円であります。(3) 粘接着・バイオマス事業当事業では、多様化する粘着・接着剤用樹脂に対する顧客ニーズに対応した高機能性製品の開発に取り組み、グローバルに展開しております。環境に配慮した製品の開発も推進しており、脱溶剤化やCO2削減に貢献する水系エマルジョン型粘着付与樹脂製品の高機能化や光硬化型粘着剤向け粘着付与樹脂の提案も積極的に進めております。また、バイオマス素材としての利点を活かしたロジン誘導体事業の拡大と持続性確保に向けてロジンの基礎技術、変性技術の深化や持続可能な再生原料の有効活用を目指した開発にも取り組んでおります。ロジンエステル、超淡色ロジンなどのロジン誘導体や水素化石油樹脂はタッキファイヤーとして多く使用されておりますが、これまで培ってきた素材に関するノウハウや変性技術を活用して新規にプラスチック添加剤PLAFIT™の製品開発を進めています。流動性向上、相溶化、分散性、低誘電といった特長をキーワードに最近の技術トレンドや社会のニーズに対応すべく、提案・探索を進めております。また、はんだ用高性能ロジン樹脂のラインナップを拡大し国内外で拡販を進めています。当事業に係る研究開発費は256百万円であります。(4) ファイン・エレクトロニクス事業当事業では、半導体・電子部品およびデジタルデバイス関連用途を中心として、精密部品洗浄剤や洗浄システム、はんだ関連材料、熱可塑性ポリイミド樹脂、機能性ファインケミカル材料、リチウムイオン二次電池向け材料の研究開発をおこなっております。ペルノックス㈱においては、車載用電子部品、各種センサー部品、半導体向けの絶縁封止材料や導電性材料の実績をベースに、最新のLEDやパワー半導体モジュール用の耐熱や信頼性に優れたエポキシ樹脂やシリコーン樹脂製品を大手電機部品メーカーや自動車部品メーカー向けに開発しております。また、山口精研工業㈱においてはハードディスク用アルミ基板やSAWフィルター用基板向けの精密研磨剤の研究開発をおこなっております。精密部品洗浄剤「パインアルファ」では、競合他社との差別化商品として環境負荷低減が可能な水希釈型洗浄剤の実績化が進みました。はんだ関連材料であるフラックスでは、当社ロジン技術を活かした半導体パッケージ用途等に開発した新製品の実績化が進みました。溶剤可溶型低誘電ポリイミド樹脂「PIAD」では、5Gスマートフォンや5G基地局等に使用される高周波対応フレキシブルプリント回路基板用途、半導体パッケージ基板用途を中心に開発を進め、実績化が進みました。リチウムイオン二次電池向け材料では、当社のコア技術である水系ポリマーの技術を活用し、負極用バインダーやセラミックコーティングセパレータ用バインダーを市場に提案しており、徐々に採用が進んでおります。また、ファインケミカル材料では、半導体向け材料をはじめ各種機能材料の開発を行っています。当社グループの高圧化学工業㈱が保有する耐腐食性を有し、高温・高圧・水素化反応にも対応できる設備にて生産する新規受託案件数も着実に増加しており、今後さらなる伸長が期待される状況です。半導体モジュール向け樹脂では、低熱膨張と高流動化を両立した高耐熱性液状注型樹脂の開発に成功しました。また、チップLED向け高接着力1液シリコーン樹脂の開発を進め、実績化が進みました。精密研磨剤製品では、年度後半はデータセンター投資やスマートフォン需要が減速したものの、ハードディスクの大容量化やSAWフィルター用基板の複合化などの技術進展に合わせて、研磨技術の高度化や研磨剤の品質向上、生産性向上に注力し、実績化が進みました。当事業に係る研究開発費は986百万円であります。 なお、当連結会計年度末における研究開発スタッフは235名であり、取得済特許権保有件数は、国内502件、海外363件、出願中のものは国内168件、海外235件であります。
FY2022|3,909 文字
5 【研究開発活動】当社グループにおいて研究開発活動は、当社、ペルノックス㈱、高圧化学工業㈱および山口精研工業㈱がおこなっております。顧客ニーズに対し提案型の製品開発をおこなうとともに、「つなぐを化学するSPECIALITY CHEMICAL PARTNER」というビジョンに基づき鋭意研究開発活動を展開しております。2016年度に研究開発本部を設置、第5次中期5ヵ年経営実行計画がスタートした2021年度よりコア技術・素材別に再編して一元化し、加えてAI・MIの活用にも注力することで選択と集中による効率化と新規開発、持続可能性への貢献を加速するため、機能性コーティング開発部、水系ポリマー開発部、フォレストケミカル開発部、ファイン・エレクトロニクス開発部、AI・MI推進部、コーポレート開発部に開発推進部を加えた体制にしております。あらためて当社グループのコア技術・素材を事業ポートフォリオの中核に据え、長期的に経営資源を投入し、顧客ニーズに対して研究開発部門の自律性を高め、多面的に対応できる形へと組み替えました。事業分野は機能性コーティング事業、製紙・環境事業、粘接着・バイオマス事業、ファイン・エレクトロニクス事業であり、その研究テーマは多岐にわたっております。当連結会計年度の研究開発費は3,100百万円であり、主な研究成果は次のとおりであります。なお、研究開発費には、報告セグメントに配賦しない中長期での成長の源泉となる新規研究開発費用437百万円を含んでおり、千葉アルコン製造㈱の円滑な立ち上げに向けた技術的対応や水系ポリマーの電池用材料など新規用途への展開を進めております。(1) 機能性コーティング事業当事業では、デジタルデバイス関連用途を中心に光硬化型機能性コーティング剤「ビームセット」「オプスター」や熱硬化型機能性コーティング剤「アラコート」の研究開発に注力しております。また、印刷インキや塗料用途において、環境負荷低減に向けた製品の研究開発をおこなうとともに、剥離紙・フィルム用離型剤としてシリコーン樹脂の開発もおこなっております。また、ポリマー合成技術を活かした機能性材料の用途開発にも積極的に取り組んでおります。光硬化型機能性コーティング剤「ビームセット」「オプスター」では、5G関連分野への量産に向け、市場からの高品質要求への対応に注力しております。ディスプレイ用途において、耐傷つき性に加えて、難密着素材への密着性付与、光学調整技術の改良、フレキシブルデバイス用での技術対応を進め、それぞれで採用が得られております。また、光硬化型粘着剤の開発にも取り組んでおります。水系化、無溶剤化による環境に配慮した製品の開発にも継続的に取り組んでおり、塗料用やフィルムコーティング用を中心に水系製品のラインナップ拡充を進めております。熱硬化型機能性コーティング剤「アラコート」は、非シリコーン系剥離コーティング剤の開発に取り組み、技術面の進展により新規実績化が進みました。また、帯電防止コーティング剤では電子材料分野でのさらなる実績拡大に向けて、新たな顧客ニーズへの対応に取り組んでおります。印刷インキ用樹脂では、BCPの観点から各種原料ソースを使いこなす技術開発を進め、顧客での使用形態に応じたワニス製品の開発も進めることで実績が拡大しました。また、高付加価値化に繋がる製品の研究開発を進め、海外顧客において実績が拡大しました。加えて、ロジン系樹脂のバイオマス素材としての展開を進め、バイオマスインキ用樹脂として一部で実績化も進んでおります。塗料用樹脂では、水系製品の有機溶剤中毒予防規則対応やハイソリッドなど環境対応製品の開発に取り組み、顧客での評価が進展しました。また、親水性コーティング剤でも顧客での評価が進み、親水性に加えて新たな機能付与にも取り組み、市場への提案を進めております。剥離紙・フィルム用離型剤は、硬化方式別に熱硬化型および光硬化型、形態別には溶剤系に加えて、環境に配慮した無溶剤系および水分散系を揃えており、軽剥離性、ミスト低減に優れた製品開発を進めております。当事業に係る研究開発費は930百万円であります。(2) 製紙・環境事業当事業では、紙の強度を向上させる紙力増強剤や紙へのにじみ止め性を付与するサイズ剤など、紙の機能を向上させる薬品開発に加え、環境視点に基づいた水系ポリマーの技術と用途開発をおこなっております。顧客ニーズや年々悪化する古紙原料や抄紙条件に適応させ、紙のさらなる高機能化ならびに薬品の低コスト化、紙の生産性向上や合理化に寄与する技術の検討をおこなっております。また、中国,台湾,ASEAN等の海外向け製品の開発も積極的に進めており、荒川ケミカルベトナム社の本格稼働に向けて、特にASEANでの紙力増強剤のマーケティングに注力しております。また、水系ポリマー技術を活かした地球環境と社会に貢献できる開発テーマにも取り組んでおります。紙力増強剤では、内添紙力増強剤「ポリストロンシリーズ」で高分子量化技術を駆使した、高い紙力増強効果を発現する製品が国内、海外で実績化が拡大しております。また、地球環境に配慮した製品として、バイオマス由来の機能性成分の配合および高濃度化による輸送頻度の低減を通じて、CO2排出量削減に寄与する製品の開発が進みました。内添サイズ剤では、当社基盤技術である重合及び乳化プロセスを見直し、安定かつ持続可能な供給を目指す一方、中性抄紙系サイズ剤「サイズパインCAシリーズ」のさらなる高品質化を進めております。また、環境に配慮した化学物質規制やプラスチック削減の動きに対応すべく、独自の水系ポリマー技術による紙用機能性コーティング剤の製品開発も進めております。当事業に係る研究開発費は522百万円であります。(3) 粘接着・バイオマス事業当事業では、多様化する粘着・接着剤用樹脂に対する顧客ニーズに対応した高機能性製品の開発に取り組み、グローバルに展開しております。また、バイオマス素材としての利点を活かしたロジン誘導体事業の拡大と持続性確保に向けてロジンの基礎技術、変性技術の深化や持続可能な再生原料の有効活用を目指した開発にも取り組んでおります。ロジンエステル、超淡色ロジンなどのロジン誘導体はタッキファイヤーとして多く使用されておりますが、これまで培ってきた素材に関するノウハウや変性技術を活用して新規にプラスチック添加剤用に製品開発を進めています。流動性向上、相溶化、分散性、低誘電といった特長をキーワードに最近の技術トレンドや社会のニーズに対応すべく、提案・探索を進めております。さらに、当社は大阪大学宇山浩教授が代表幹事である「海洋生分解性バイオマスプラスチック開発プラットフォーム(MBBP)」に参画し、バイオマス素材としてのロジン誘導体を中心にライフサイエンス分野での新たな用途探索に取り組んでおります。環境に配慮した製品の開発も推進しており、低VOC品や水系エマルジョン型粘着付与樹脂製品のグローバル展開も積極的に進めております。当事業に係る研究開発費は284百万円であります。(4) ファイン・エレクトロニクス事業当事業では、半導体・電子部品およびデジタルデバイス関連用途を中心として、精密部品洗浄剤や洗浄システム、はんだ関連材料、熱可塑性ポリイミド樹脂、機能性ファインケミカル材料の研究開発をおこなっております。ペルノックス㈱においては、車載用電子部品、各種センサー部品、半導体向けの絶縁封止材料や導電性材料の実績をベースに、最新のLEDやパワー半導体モジュール用の耐熱や信頼性に優れたエポキシ樹脂やシリコーン樹脂製品を大手電機部品メーカーや自動車部品メーカー向けに開発しております。また、山口精研工業㈱においてはハードディスク用アルミ基板やSAWフィルター用基板向けの精密研磨剤の研究開発をおこなっております。精密部品洗浄剤「パインアルファ」では、競合他社との差別化商品として環境負荷低減が可能な水系・再生型洗浄剤の実績化が進みました。はんだ関連材料であるフラックスでは、当社ロジン技術を活かした半導体パッケージ用途等に開発した新製品の実績化が進みました。溶剤可溶型低誘電ポリイミド樹脂「PIAD」では、5Gスマートフォンや5G基地局等に使用される高周波対応フレキシブルプリント回路基板用途、半導体パッケージ基板用途を中心に開発を進め、実績化が進みました。また、ファインケミカル材料では、当社グループの高圧化学工業㈱が保有する耐腐食性を有し、高温・高圧・水素化反応にも対応できる設備の新規受託案件数が増加し、今後伸長が期待される新規受託の実績が拡大しました。半導体モジュール向け樹脂では、低熱膨張と高流動化を両立した高耐熱性液状注型樹脂に成功しました。また、チップLED向け高接着力1液シリコーン樹脂の開発を進め、実績化が進みました。精密研磨剤製品では、高速データ通信規格「5G」やクラウドサービスの普及で、データセンターの新増設が相次いでおり、ハードディスクの大容量化やSAWフィルター用基板の複合化に伴う研磨技術の高度化や研磨剤の品質向上、生産性向上に注力し、実績化が進みました。当事業に係る研究開発費は925百万円であります。 なお、当連結会計年度末における研究開発スタッフは236名であり、取得済特許権保有件数は、国内522件、海外331件、出願中のものは国内186件、海外283件であります。
FY2021|3,508 文字
5 【研究開発活動】当社グループにおいて研究開発活動は、当社、ペルノックス㈱、高圧化学工業㈱および山口精研工業㈱がおこなっております。顧客ニーズに対し提案型の製品開発をおこなうとともに、「つなぐを化学するSPECIALITY CHEMICAL PARTNER」というビジョンに基づき鋭意研究開発活動を展開しております。2016年度から機能本部制に移行し、研究開発本部を設置、環境の変化や顧客ニーズに対して速やかに、機動的に対応できる体制にしております。事業分野は製紙薬品事業、コーティング事業、粘接着事業および機能性材料事業であり、その研究テーマは多岐にわたっております。当連結会計年度の研究開発費は3,247百万円であり、主な研究成果は次のとおりであります。なお、研究開発費には、報告セグメントに配賦しない中長期での成長の源泉となる新規研究開発費用377百万円を含んでおり、千葉アルコン製造㈱の円滑な立ち上げに向けた技術的対応や水系ポリマーの電池用材料など新規用途への展開を進めております。(1) 製紙薬品事業当事業では、紙の強度を向上させる紙力増強剤や紙へのにじみ止め性を付与するサイズ剤など、紙の機能を向上させる薬品について研究開発をおこなっております。顧客ニーズや年々悪化する古紙原料や抄紙条件に適応させ、紙のさらなる高機能化並びに薬品の低コスト化の検討をおこなっております。また、中国,台湾,ASEAN等の海外向け製品の開発も積極的に進めており、荒川ケミカルベトナム社設立に伴い、特にASEAN地域での紙力増強剤のマーケティングに注力しております。紙力増強剤では、内添紙力増強剤「ポリストロンシリーズ」の紙力増強効果をさらに向上させるため、新たに高分子量化技術を駆使した製品を開発しました。国内、海外においてその効果が認められ実績化が拡大しております。また、高分子量化技術を水平展開した表面紙力増強剤「ポリマセットHPシリーズ」、多層抄きの紙の層間強度を高めつつ排水負荷を低減する層間スプレー用紙力増強剤「ポリマジェットシリーズ」の実績化も進んでおります。サイズ剤では、国内において中性抄紙系サイズ剤「サイズパインCAシリーズ」や海外での塗工条件に適応させた表面サイズ剤「ポリマロンKシリーズ」の実績化が進んでおります。当事業に係る研究開発費は663百万円であります。(2) コーティング事業当事業では、ディスプレイ用途を中心とした光硬化型機能性コーティング剤「ビームセット」「オプスター」やフィルム用を中心とした熱硬化型機能性コーティング剤「アラコート」の研究開発にも注力しております。また、印刷インキや塗料用途において、顧客ニーズに対応した高機能化およびコスト低減を実現する製品の研究開発をおこなうとともに、顧客のグローバル展開に合わせた海外向け製品の開発にも積極的に取り組んでおります。光硬化型機能性コーティング剤「ビームセット」「オプスター」では、5G関連分野への量産に向け、市場からの高品質要求の対応に注力しております。ディスプレイ用途において、耐傷つき性に加えて、難密着素材への密着性付与、光学調整に関する技術改良が進展し、新たな採用が得られつつあります。また、水系化、無溶剤化による環境に配慮した製品の開発にも継続的に取り組んでおり、塗料用やフィルムコーティング用を中心に水系製品のラインナップ拡充を進めております。熱硬化型機能性コーティング剤「アラコート」は、非シリコーン系剥離コーティング剤の開発に取り組み、技術面の進展により新規実績化が進みました。また、自己修復コーティング剤では市場ニーズの変化に迅速に対応し顧客での評価が進展しました。引き続き市場が求める各種機能を付与した製品の開発を進め、電子材料用途、自動車関連用途への展開を図っております。印刷インキ用樹脂では、BCPの観点から各種原料ソースを使いこなす技術開発に取り組んでおり、品質や生産性が向上した製品の実績が拡大しました。また、環境負荷の低減、高付加価値化に繋がる製品の研究開発を進め、海外市場向け製品の実績化が進みました。加えて、ロジン系樹脂のバイオマス素材としての展開を進め、一部で実績化も進みつつあります。塗料用樹脂では、水系製品の有機溶剤中毒予防規則対応やハイソリッドなど環境対応製品の開発に取り組み、顧客での評価が進展しました。また、親水性コーティング剤でも顧客での評価が進み、親水性に加えて新たな機能付与にも取り組み、市場への提案を進めております。当事業に係る研究開発費は884百万円であります。 (3) 粘接着事業当事業では、多様化する粘着・接着剤用樹脂に対する顧客ニーズに対応した高機能性製品の開発に取り組み、グローバルに展開しております。また、剥離紙・フィルム用離型剤としてシリコーン樹脂の開発をおこない、粘着・接着と剝離の両面からの知見を生かした開発に取り組んでおります。ロジンエステル、超淡色ロジンなどのロジン誘導体はタッキファイヤーとして多く使用されておりますが、新たに光学用途への展開を進めており、当社独自の水素化技術と製造プロセスを見直し、より効率よく透明性、耐熱性、耐候性に優れた製品の開発を進めました。また、相溶化剤、フィラー分散剤、可塑剤等のプラスチック添加剤としての展開を進めており、これまで課題であったプラスチックの透明性を維持しながら、改質に取り組んでおります。さらに、当社は大阪大学 宇山浩教授が代表幹事である「海洋生分解性バイオマスプラスチック開発プラットフォーム(MBBP;Marine-Biodegradable Biomass Plasticsの略称)」に参画し、ロジン誘導体を中心にプラスチック添加剤としてMBBP製品(デンプン成形体)の課題解決や物性の向上を図る製品開発、素材開発に協力し、海洋プラスチックごみ問題に取り組んでおります。環境に配慮した水系エマルジョン型粘着付与樹脂では、課題である耐水性を改良した製品を開発し、グローバル展開に向けて温度・湿度等の幅広い使用条件下に対応できる接着性能の向上を図り、サンプルワークを開始しております。剥離紙・フィルム用離型剤は、形態別にソルベント系、ソルベントレス系、エマルジョン系、硬化様式別に熱硬化型、UV硬化型を揃えており、軽剥離性、ミスト低減に優れた製品開発を進めております。当事業に係る研究開発費は370百万円であります。(4) 機能性材料事業当事業では、半導体・電子部品およびディスプレイ用途を中心として、精密部品洗浄剤や洗浄システム、はんだ関連材料、熱可塑性ポリイミド樹脂、機能性ファインケミカル材料の研究開発および受託製造をおこなっております。ペルノックス㈱においては、車載用電子部品、各種センサー部品、半導体向けの絶縁封止材料や導電性材料の実績をベースに、最新のLEDやパワー半導体モジュール用の耐熱や信頼性に優れたエポキシ樹脂やシリコーン樹脂製品を大手電機部品メーカーや自動車部品メーカー向けに開発しております。また、山口精研工業㈱においてはハードディスク用アルミ基板やSAWフィルター用基板向けの精密研磨剤の研究開発をおこなっております。精密部品洗浄剤「パインアルファ」では、競合他社との差別化商品として環境負荷低減が可能な水系・再生型洗浄剤の実績化が進みました。はんだ関連材料であるソルダペーストでは、高信頼性を要求されるサーバーや車載用途に開発した新製品の実績化が進みました。また、溶剤可溶型低誘電ポリイミド樹脂「PIAD」では、5Gスマートフォンに使用される高周波対応フレキシブルプリント回路基板用途を中心に開発を進め、実績が進みました。ファインケミカル材料では、高度な品質管理技術だけでなく、当社グループの高圧化学工業㈱が保有する耐腐食性を有し、高温・高圧・水素化反応にも対応できる設備を活かした技術対応により新規受託案件が増加し、受託製造部門での実績が拡大しました。精密研磨剤製品では、リモートワークの普及等でデータ保存、通信技術の進展が進み、ハードディスクの大容量化やSAWフィルター用基板の複合化に伴う研磨技術の高度化及び研磨剤の品質向上に注力し、実績化が進みました。当事業に係る研究開発費は950百万円であります。 なお、当連結会計年度末における研究開発スタッフは239名であり、取得済特許権保有件数は、国内477件、海外259件、出願中のものは国内219件、海外288件であります。
FY2020|3,272 文字
5 【研究開発活動】当社グループにおいて研究開発活動は、当社、ペルノックス㈱、高圧化学工業㈱および山口精研工業㈱がおこなっております。顧客ニーズに対し提案型の製品開発をおこなうとともに、「つなぐを化学するSPECIALITY CHEMICAL PARTNER」というビジョンに基づき鋭意研究開発活動を展開しております。2016年度から機能本部制に移行し、研究開発本部を設置、環境の変化や顧客ニーズに対して速やかに、機動的に対応できる体制にしております。事業分野は製紙薬品事業、コーティング事業、粘接着事業および機能性材料事業であり、その研究テーマは多岐にわたっております。研究開発スタッフは251人でありますが、これは総従業員数の約2割に当たります。当連結会計年度の研究開発費は3,041百万円であり、主な研究成果は次のとおりであります。なお、研究開発費には、報告セグメントに配賦しない中長期での成長の源泉となる新規研究開発費用294百万円を含んでおります。(1) 製紙薬品事業当事業では、紙へのにじみ止め性を付与するサイズ剤や紙の強度を向上させる紙力増強剤など、紙の機能を向上させる薬品について研究開発をおこなっております。顧客ニーズや年々悪化する古紙原料や抄紙環境に適応させ、紙の更なる高機能化並びに薬品の低コスト化の検討をおこなっております。また、中国・台湾をはじめとしてASEAN等、海外向け製品の開発も積極的に進めており、荒川ケミカルベトナム社設立にともない特にASEAN地域での紙力増強剤のマーケティングに注力しております。サイズ剤では、国内において中性抄紙系サイズ剤「サイズパインCAシリーズ」や海外では塗工条件に適応させた表面サイズ剤「ポリマロンKシリーズ」の実績化が進んでおります。紙力増強剤では、紙力効果を更に向上させるため、新たに高分子量化技術を駆使した製品を開発しました。国内、海外においてその効果が認められ実績化が拡大しております。また、高分子量化技術を水平展開した表面紙力増強剤「ポリマセットHPシリーズ」、多層抄きの紙の層間強度を高めつつ排水負荷を低減する層間スプレー用紙力増強剤「ポリマジェットシリーズ」の実績化も進んでおります。当事業に係る研究開発費は671百万円であります。(2) コーティング事業当事業では、印刷インキや塗料、粘着・接着剤用途において、顧客ニーズに対応した高機能化およびコスト低減を実現する製品の研究開発をおこなうとともに、顧客のグローバル展開に合わせた海外向け製品の開発にも積極的に取り組んでおります。また、ディスプレイ用途を中心とした光硬化型機能性コーティング剤「ビームセット」「オプスター」やフィルム用を中心とした熱硬化型機能性コーティング剤「アラコート」の研究開発にも注力しております。印刷インキ用樹脂では、原料であるロジンの研究を進め、合理化した製品の実績が拡大するとともに、BCPの観点でも各種原料ソースを使いこなす技術開発に取り組んでおります。また、環境負荷の低減、高付加価値化に繋がる製品の研究開発を進め、海外市場向け製品の実績化が進みました。塗料用樹脂では、水系製品の有機溶剤中毒予防規則対応やハイソリッドなど環境対応製品の開発に取り組み、実績化に向けた技術的進展が見られました。また、親水性コーティング剤では、家電向け用途での実績化が進み、新規用途への展開も図っております。機能性コーティング剤「アラコート」は、非シリコーン系離型コーティング剤や自己修復コーティング剤など新たな機能性を付与した製品の開発が進みました。引き続き市場が求める各種機能を付与した製品の開発を進め、電子材料用途、自動車関連用途への展開を図っております。光硬化型機能性コーティング剤「ビームセット」「オプスター」ではフィルムハードコーティング剤分野において、耐傷つき性の向上に加え、防汚性の改善、フレキシブル性の付与等の開発が進展し、新たな採用が得られました。また、環境対応として、水系化、無溶剤化のニーズに対応した開発にも取り組んでおり、高屈折率無溶剤コート剤、スプレー塗料用水系樹脂等の開発を進めております。熱硬化型機能性コーティング剤「アラコート」は、帯電防止コーティング剤での新規採用が加わり実績拡大が進みました。また、非シリコーン系離型コーティング剤の技術的進展が見られ、新規に実績化を開始しました。引き続き市場が求める各種機能を付与した製品の開発を進め、電子材料用途、自動車関連用途への展開を図っております。当事業に係る研究開発費は791百万円であります。 (3) 粘接着事業当事業では、多様化する粘着・接着剤用樹脂に対する顧客ニーズに対応した高機能性製品の開発に取り組み、グローバルに展開しております。また、剥離紙・フィルム用離型剤としてシリコーン樹脂の開発をおこない、粘着・接着と剝離の両面からの知見を生かした開発に取り組んでおります。ロジンエステル、超淡色ロジンなどのロジン誘導体はタッキファイヤーとして多く使用されておりますが、新たに光学用途への展開を進めており、当社独自の水素化技術と製造プロセスを見直し、より効率よく透明性、耐熱性、耐候性に優れた製品の開発を進めました。また、相溶化剤、フィラー分散剤、可塑剤等のプラスチック添加剤としての展開を進めており、これまで課題であったプラスチックの透明性を維持しながら、改質に取り組んでおります。環境に配慮した水系エマルジョン型粘着付与樹脂では、課題である耐水性を改良した製品を開発し、グローバル展開に向けて温度・湿度等の幅広い使用条件下に対応できる接着性能の向上を図り、サンプルワークを開始しております。剥離紙・フィルム用離型剤は、形態別にソルベント系、ソルベントレス系、エマルジョン系、硬化様式別に熱硬化型、UV硬化型を揃えており、軽剥離性、ミスト低減に優れた製品開発を進めております。当事業に係る研究開発費は353百万円であります。(4) 機能性材料事業当事業では、半導体・電子部品およびディスプレイ用途を中心として、精密部品洗浄剤や洗浄システム、はんだ関連材料、熱可塑性ポリイミド樹脂、機能性ファインケミカル材料の研究開発および受託製造をおこなっております。ペルノックス㈱においては、車載用電子部品、各種センサー部品、半導体向けの絶縁封止材料や導電性材料の実績をベースに、最新のLEDやパワー半導体モジュール用の耐熱や信頼性に優れたエポキシ樹脂やシリコーン樹脂製品を大手電機部品メーカーや自動車部品メーカー向けに開発しております。また、山口精研工業㈱においてはハードディスク用アルミ基板やSAWフィルター用基板向けの精密研磨剤の研究開発をおこなっております。精密部品洗浄剤「パインアルファ」では、競合他社との差別化商品として環境負荷低減が可能な水系・再生型洗浄剤の実績化が進みました。はんだ関連材料であるソルダペーストでは、高信頼性を要求されるサーバーや車載用途に開発した新製品の実績化が進みました。また、溶剤可溶型低誘電ポリイミド樹脂「PIAD」では、5Gスマートフォンに使用される高周波対応フレキシブルプリント回路基板用途を中心に開発を進め、実績が進みました。機能性ファインケミカル材料では、高度な品質管理技術だけでなく、当社グループの高圧化学工業㈱が保有する耐腐食性を有し、高温・高圧・水素化反応にも対応できる設備を活かした技術対応により新規受託案件が増加し、受託製造部門での実績が拡大しました。精密研磨剤製品では、ハードディスクの大容量化、SAWフィルター用基板の複合化に対応する研磨剤の性能、品質向上に注力し、実績が進みました。当事業に係る研究開発費は930百万円であります。 なお、当連結会計年度末における取得済特許権保有件数は、国内492件、海外266件、出願中のものは国内211件、海外252件であります。
FY2019|3,016 文字
5 【研究開発活動】当社グループにおいて研究開発活動は、当社、ペルノックス㈱および山口精研工業㈱がおこなっております。顧客ニーズに対し提案型の製品開発をおこなうとともに、「つなぐを化学するSPECIALITY CHEMICAL PARTNER」というビジョンに基づき鋭意研究開発活動を展開しております。2016年度から機能本部制に移行し、研究開発本部を設置、環境の変化や顧客ニーズに対して速やかに、機動的に対応できる体制にしております。事業分野は製紙薬品事業、コーティング事業、粘接着事業および機能性材料事業であり、その研究テーマは多岐にわたっております。研究開発スタッフは251人でありますが、これは総従業員数の約2割に当たります。当連結会計年度の研究開発費は3,051百万円であり、主な研究成果は次のとおりであります。なお、研究開発費には、報告セグメントに配賦しない中長期での成長の源泉となる新規研究開発費用352百万円を含んでおります。(1) 製紙薬品事業当事業では、紙へのにじみ止め性を付与するサイズ剤や紙の強度を向上させる紙力増強剤など、紙の機能を向上させる薬品について研究開発を行っております。顧客ニーズや年々悪化する古紙原料や抄紙環境に適応させ、紙の更なる高機能化並びに薬品の低コスト化に注力しております。また、中国をはじめとしてASEAN、韓国等、海外向け製品の開発も積極的に進めております。サイズ剤では、国内において中性抄紙系で高い効果を示す当社のオンリーワン製品である内添サイズ剤「サイズパインCAシリーズ」、製品安定性を改良した表面サイズ剤「ポリマロンEシリーズ」の実績化が進みました。また、海外では塗工条件に適応させた表面サイズ剤「ポリマロンKシリーズ」の実績化が進んでおります。紙力増強剤では、紙力効果を更に向上させるため、新たに開発した高分子量化技術を駆使した製品を開発しました。現在、様々な抄紙環境に適応させるため高分子量タイプ紙力増強剤のラインナップを取り揃え、国内、海外において効果が認められ実績化が拡大しております。また、高分子量化技術を水平展開した表面紙力増強剤「ポリマセットHPシリーズ」、多層抄きの紙の層間強度を高めつつ排水負荷を低減する層間スプレー用紙力増強剤「ポリマジェットシリーズ」の実績化が進んでおります。当事業に係る研究開発費は644百万円であります。(2) コーティング事業当事業では、印刷インキや塗料、粘着・接着剤用途において、顧客ニーズに対応した高機能化およびコスト低減を実現する製品の研究開発をおこなうとともに、顧客のグローバル展開に合わせた海外向け製品の開発にも積極的に取り組んでおります。また、ディスプレイ用途を中心とした光硬化型機能性コーティング剤や各種機能を付与したフィルム用コーティング剤などの研究開発にも注力しております。印刷インキ用樹脂では、原料面からの研究開発を進め、合理化した製品の実績が拡大しました。また、環境負荷の低減、高付加価値化に繋がる製品の研究開発を進め、海外市場向け製品の実績化が進みました。塗料用および接着剤用樹脂では、飲料缶用途において、樹脂合成技術と変性技術の融合により顧客要求を満たす樹脂を開発し、実績が拡大しました。また、新たに水系コーティング剤として、家電製品向け等で親水性コーティング剤の検討を進めております。機能性コーティング剤「アラコート」は、非シリコーン系離型コーティング剤や自己修復コーティング剤など新たな機能性を付与した製品の開発が進みました。引き続き市場が求める各種機能を付与した製品の開発を進め、電子材料用途、自動車関連用途への展開を図っております。光硬化型機能性コーティング剤「ビームセット」、「オプスター」ではフィルムハードコーティング剤分野において、屈折率制御、帯電防止性付与などの機能性改善を進めることで実績化が進みました。また、折り曲げ可能なハードコーティング剤の開発も進めており、今後拡大が見込まれるフレキシブルディスプレイへの適用を目指しています。VOC削減のためのUV塗料の水系化、光学用粘着剤などの製品開発にも引き続き取り組んでおります。当事業に係る研究開発費は758百万円であります。 (3) 粘接着事業当事業では、多様化する粘着・接着剤用樹脂に対する顧客ニーズに対応した高機能性製品の開発に取り組んでおります。また、剥離紙・フィルム用離型剤としてシリコーン樹脂の開発をおこない、粘着・接着と剝離の両面からの知見を生かした開発に取り組んでおります。ロジンエステル、超淡色ロジンなどのロジン誘導体はタッキファイヤーとして多く使用されておりますが、新たに光学用途への展開を進めており、当社独自の水素化技術と製造プロセスを見直し、より効率よく透明性、耐熱性、耐候性に優れた製品の開発を進めました。また、相溶化剤、フィラー分散剤、可塑剤等のプラスチック添加剤としての展開を進めております。環境に配慮した水系エマルジョン型粘着付与樹脂では、課題である耐水性を改良した製品開発し、グローバル展開に向けて温度・湿度等の幅広い使用条件下に対応できる接着性能の向上を目指しております。剥離紙・フィルム用離型剤は、形態別にソルベント系、ソルベントレス系、エマルジョン系、硬化様式別に熱硬化型、UV硬化型を揃えており、軽剥離性、ミスト低減に優れた製品開発を進めております。当事業に係る研究開発費は347百万円であります。(4) 機能性材料事業当事業では、半導体・電子部品およびディスプレイ用途を中心として、精密部品洗浄剤や洗浄システム、はんだ関連材料、熱可塑性ポリイミド樹脂、機能性ファインケミカル材料の研究開発および受託製造をおこなっております。ペルノックス㈱においては、車載用電子部品、各種センサー部品、半導体向けの絶縁封止材料や導電性材料の実績をベースに、最新のLEDやパワー半導体モジュール用の耐熱や信頼性に優れたエポキシ樹脂やシリコーン樹脂製品を大手電機部品メーカーや自動車部品メーカー向けに開発しております。また、山口精研工業㈱においてはハードディスク用アルミ基板やSAWフィルター用基板向けの精密研磨剤の研究開発をおこなっております。精密部品洗浄剤「パインアルファ」では、競合他社との差別化商品として環境負荷低減が可能な水系・再生型洗浄剤の開発を進めました。はんだ関連材料であるソルダペーストでは、高信頼性を要求される車載用途に開発した新製品の実績化が進みました。また、溶剤可溶型低誘電ポリイミド樹脂「PIAD」では、高周波回路基板用途を中心に開発を進め、実績が拡大しました。機能性ファインケミカル材料では、高度な品質管理技術だけでなく、2016年度に新設した耐腐食性を有し、高温高圧反応にも対応できる設備を活かした技術対応により新規受託案件が増加し、受託製造部門での実績が拡大しました。精密研磨剤製品では、ハードディスクの大容量化、アルミ基板の薄厚化に対応するべく研磨剤の性能、品質向上に注力し、実績が拡大しました。当事業に係る研究開発費は948百万円であります。 なお、当連結会計年度末における取得済特許権保有件数は、国内519件、海外250件、出願中のものは国内193件、海外243件であります。
FY2018|2,823 文字
5 【研究開発活動】当社グループにおいて研究開発活動は、当社、ペルノックス㈱および山口精研工業㈱がおこなっております。顧客ニーズに対し提案型の製品開発をおこなうとともに、「つなぐを化学する SPECIALITY CHEMICAL PARTNER」というビジョンに基づき鋭意研究開発活動を展開しております。2016年度から機能本部制に移行し、研究開発本部を設置、環境の変化や顧客ニーズに対して速やかに、機動的に対応できる体制にしております。事業分野は製紙薬品事業、コーティング事業、粘接着事業および機能性材料事業であり、その研究テーマは多岐にわたっております。研究開発スタッフは254人でありますが、これは総従業員数の約2割に当たります。当連結会計年度の研究開発費は32億20百万円であり、主な研究成果は次のとおりであります。なお、研究開発費には、報告セグメントに配賦しない中長期での成長の源泉となる新規研究開発費用3億74百万円を含んでおります。(1) 製紙薬品事業当事業では、紙へのにじみ止め性を付与するサイズ剤や紙の強度を向上させる紙力増強剤など、紙の機能を向上させる薬品について研究開発を行っております。顧客ニーズや年々変化する紙の抄紙環境に適応させ、紙の更なる高機能化並びに薬品の低コスト化に注力しております。また海外展開についても積極的に進めており、今後更に海外向け製品の開発に注力する予定であります。サイズ剤では、中性抄紙系で高い効果を示す当社のオンリーワン製品である新規内添サイズ剤の実績化が進みました。また、新たな乳化技術にて製品安定性を改良した表面サイズ剤「ポリマロンEシリーズ」の顧客評価も進んでおります。更に中国の抄紙条件に適合させた表面サイズ剤「ポリマロンKシリーズ」の開発も進んでおります。紙力増強剤では、紙力効果を更に向上させるため、新たに見出した高分子量化技術を駆使した製品を開発し、国内、海外で実績化が進みました。また、高分子量化技術を水平展開した表面紙力増強剤「ポリマセットHPシリーズ」、多層抄きの紙の層間強度を高めつつ排水負荷を低減する層間スプレー用紙力増強剤「ポリマジェットシリーズ」の顧客評価も進んでおります。さらに、紙パルプ技術協会主催「第60回 紙パルプ技術協会 年次大会」において、「佐々木賞」を受賞しました。これは当社の分析による両性紙力増強剤のパルプ繊維への定着状態の可視化技術とこれまでの紙パルプ業界への貢献が評価されたものであります。当事業に係る研究開発費は7億3百万円であります。(2) コーティング事業当事業では、印刷インキや塗料、粘着・接着剤用途において、顧客ニーズに対応した高機能化およびコスト低減を実現する製品の研究開発をおこなうとともに、顧客のグローバル展開に合わせた海外向け製品の開発にも積極的に取り組んでおります。また、ディスプレイ用途を中心とした光硬化型機能性コーティング剤や各種機能を付与したフィルム用コーティング剤などの研究開発にも注力しております。印刷インキ用樹脂では、原料面からの研究開発に加え、印刷インキの製造、印刷工程の合理化や環境負荷の低減、高付加価値化に繋がる製品、さらには海外市場向け製品の研究開発も進め、実績化が進みました。塗料用樹脂では、防錆塗料用途向けに原料組成の見直しを行ない、環境や法規制への対応を進めました。特に、低VOCである水系塗料用樹脂の開発を進め、表面処理剤への用途展開も視野に開発を進めております。機能性コーティング剤「アラコート」は、帯電防止コーティング、蒸着用アンカー、ハードコート用アンカーでの実績拡大が進みました。さらに自己修復性など市場が求める各種機能を付与した製品の開発を進め、電子材料用途、自動車関連用途への展開を図っております。光硬化型機能性コーティング剤「ビームセット」、「オプスター」ではフィルムハードコーティング剤分野において、ハードコート特性の改善とともに、防汚性、帯電防止性、屈折率制御などの機能性を付与した製品の開発を進めたことで実績化が進みました。ディスプレイ用途に加え自動車関連用途への展開を目指すとともに、光学用粘着剤や電子材料分野向けの製品開発にも取り組んでおります。当事業に係る研究開発費は7億98百万円であります。 (3) 粘接着事業当事業では、粘着・接着剤用途において多様化する粘着・接着剤用樹脂に対する顧客ニーズに対応した高機能性製品の開発に取り組んでおります。ロジンエステル、超淡色ロジンなどのロジン誘導体はタッキファイヤーとして多く使用されております。VOC、臭気の低減という環境課題に対して製造プロセスの最適化により低沸点成分の除去やロジン特有の臭気を大幅に低減させた製品開発を進めております。光学用途への展開では、透明性、耐熱性、耐候性に優れたロジン誘導体の開発を行い、また、新たな用途として、相溶化剤、フィラー分散剤、可塑剤等のプラスチック添加剤としての展開を進めております。環境配慮型水系エマルジョン型粘着付与樹脂では、グローバル展開に向けて温度・湿度等の幅広い使用条件下に対応できる接着性能の向上を目指し開発が進んでおります。当事業に係る研究開発費は3億円であります。(4) 機能性材料事業当事業では、半導体・電子部品およびディスプレイ用途を中心として、精密部品洗浄剤や洗浄システム、はんだ関連材料、熱可塑性ポリイミド樹脂、機能性ファインケミカル材料の研究開発をおこなっております。ペルノックス㈱においては、車載用電子部品、各種センサー部品、半導体向けの絶縁封止材料や導電性材料の実績をベースに、LEDやパワー半導体モジュール用に耐熱や信頼性に優れたエポキシ樹脂やシリコーン樹脂製品を開発しております。また、山口精研工業㈱においてはハードディスク用アルミ基板やSAWフィルター用基板向けの精密研磨剤の研究開発をおこなっております。精密部品洗浄剤「パインアルファ」では、洗浄工程で発生する排水を減少させることで環境負荷を低減できる水系・再生型洗浄剤の開発を進め、実績拡大しました。はんだ関連材料では、フローはんだ付け用のポストフラックス「パインフラックス」で、環境に配慮したハロゲンフリータイプを開発し、顧客認証を取得することができました。また、溶剤可溶型低誘電ポリイミド樹脂「PIAD」では、高周波回路基板用途を中心に開発を進め、実績が拡大しました。精密研磨剤製品では、ハードディスクのデータ保存容量増加に伴い、アルミ基板の品質を向上すべく研磨剤の性能向上に注力し、実績が拡大しました。当事業に係る研究開発費は10億42百万円であります。 なお、当連結会計年度末における取得済特許権保有件数は、国内542件、海外233件、出願中のものは国内185件、海外203件であります。
FY2017|2,583 文字
6 【研究開発活動】当社グループにおいて研究開発活動は、当社、ペルノックス㈱および山口精研工業㈱がおこなっております。顧客ニーズに対し提案型の製品開発をおこなうとともに、「つなぐを化学する SPECIALITY CHEMICAL PARTNER」というビジョンに基づき鋭意研究開発活動を展開しております。当連結会計年度から機能本部制に移行し、研究開発本部を設置、環境の変化や顧客ニーズに対して速やかに、機動的に対応できる体制にしております。事業分野は製紙薬品事業、コーティング事業、粘接着事業および機能性材料事業であり、その研究テーマは多岐にわたっております。研究開発スタッフは248人でありますが、これは総従業員数の約2割に当たります。当連結会計年度の研究開発費は31億79百万円であり、主な研究成果は次のとおりであります。なお、研究開発費には、報告セグメントに配賦しない中長期での成長の源泉となる新規研究開発費用3億85百万円を含んでおります。(1) 製紙薬品事業当事業では、紙へのにじみ止め性を付与するサイズ剤や紙の強度を向上させる紙力増強剤など、紙の機能を向上させる薬品について、様々に変化する顧客ニーズと紙の製造条件に対応して高機能化ならびにコスト低減を実現する製品および技術の開発を進めております。サイズ剤では、ロジンを使用しない新規板紙用内添サイズ剤の実績化が進みました。また、海外向けに新たな乳化技術にて開発した表面サイズ剤である「ポリマロンKシリーズ」に続き、国内の抄紙条件に適応させた「ポリマロンEシリーズ」の実用化検討を進めております。また、パルプへの自己定着能力を有したロジン系内添サイズ剤である「サイズパインCシリーズ」はASEAN市場でも実績化が進みました。紙力増強剤では、新たに見出した高分子量化技術により、紙力増強効果を向上させた新たな紙力増強剤を開発し、国内、海外で実績化が進みました。また、表面紙力剤でも新たな高分子量化技術により高性能化した「ポリマセットHPシリーズ」を開発し、実用化検討を進めております。当事業に係る研究開発費は6億79百万円であります。(2) コーティング事業当事業では、印刷インキや塗料、粘着・接着剤用途において、顧客ニーズに対応した高機能化およびコスト低減を実現する製品の研究開発をおこなうとともに、顧客のグローバル展開に合わせた海外向け製品の開発にも積極的に取り組んでおります。また、ディスプレイ用途を中心とした光硬化型機能性コーティング剤や各種機能を付与したフィルム用コーティング剤などの研究開発にも注力しております。印刷インキ用樹脂では、原料面からの研究開発に加え、印刷インキの製造、印刷工程の合理化や環境負荷の低減、高付加価値化に繋がる製品、さらには海外市場向け製品の研究開発も進め、実績が拡大しました。塗料用樹脂では、防錆用途向けに原料組成の見直しによる環境対応やVOCを含まない水系塗料用樹脂の開発を進め、高防錆化、高硬度化など高機能化製品の実績化を進めております。機能性コーティング剤「アラコート」は、帯電防止コーティング、蒸着用アンカー、ハードコート用アンカー、再剥離用微粘着剤での実績拡大が進みましたが、さらに市場が求める各種機能を付与した製品の開発を進め、電子材料用途、自動車関連用途への展開を図っております。光硬化型樹脂「ビームセット」「オプスター」ではフィルムハードコーティング剤分野において、高硬度化、アンチブロッキング性、屈折率制御などの機能性を付与した製品の開発を進めたことで実績化が進みました。製品のラインナップを取り揃え、ディスプレイ用途に加え自動車関連用途への展開を目指すとともに、光学用途で使用される粘着剤や電子材料分野においても製品化に取り組んでおります。当事業に係る研究開発費は7億63百万円であります。 (3) 粘接着事業当事業では、粘着・接着剤用途において多様化する粘着・接着剤用樹脂に対する顧客ニーズに対応した高機能性製品の開発に取り組んでいます。光学用途の粘着・接着剤に用いられる超淡色ロジンでは、新規開発グレードの実績化が進みつつあります。また、ロジン特有の臭気を大幅に低減させた超淡色の液状ロジンエステルをはじめとする透明性、耐熱性、耐候性に優れたロジン誘導体を開発し、相溶化剤、フィラー分散剤、可塑剤等のプラスチック添加剤としての展開を進めています。水系エマルジョン型粘着付与樹脂では、グローバル展開に向けて各地域で日本国内と異なる要求性能に応える製品の開発に取り組んでおります。当事業に係る研究開発費は3億9百万円であります。(4) 機能性材料事業当事業では、半導体・電子部品およびディスプレイ用途を中心として、精密部品洗浄剤や洗浄システム、はんだ関連材料、熱可塑性ポリイミド樹脂、機能性ファインケミカル材料の研究開発をおこなっております。ペルノックス㈱においては、車載用電子部品、各種センサー部品、半導体向けの絶縁封止材料や導電性材料の実績をベースに、LEDやパワー半導体モジュール用に耐熱や信頼性に優れたエポキシ樹脂やシリコーン樹脂製品を開発しております。また、山口精研工業㈱においてはハードディスク用アルミ基板やSAWフィルター用基板向けの精密研磨剤の研究開発をおこなっております。精密部品洗浄剤「パインアルファ」では、洗浄工程で発生する排水を低減することで環境負荷を低減できる水系・再生型の洗浄剤およびリンス剤を開発し、実績化が進みました。はんだ関連材料では、フローはんだ付け用のポストフラックス「パインフラックス」で、環境に配慮したハロゲンフリータイプの開発に取り組んでいます。また、熱可塑性ポリイミド「PIAD」では、高周波回路基板用途を中心に開発を進め、実績が拡大しました。精密研磨剤製品では、携帯電話などに使用されるSAWフィルターの需要増に伴い、基材であるタンタル酸リチウム/ニオブ酸リチウム用研磨剤の性能向上に注力し、実績が拡大しました。当事業に係る研究開発費は10億39百万円であります。 なお、当連結会計年度末における取得済特許権保有件数は、国内515件、海外185件、出願中のものは国内202件、海外189件であります。
FY2016|2,587 文字
6 【研究開発活動】当社グループにおいて研究開発活動は、当社、ペルノックス㈱および山口精研工業㈱がおこなっております。顧客ニーズに対し提案型の製品開発をおこなうとともに、「つなぐを化学する SPECIALITY CHEMICAL PARTNER」というビジョンに基づき鋭意研究開発活動を展開しております。事業分野は製紙薬品事業、化成品事業および電子材料事業(光電子材料事業と電子部材事業)であり、その研究テーマは多岐にわたっております。研究開発スタッフは242人でありますが、これは総従業員数の約2割に当たります。当連結会計年度の研究開発費は28億19百万円であり、主な研究成果は次のとおりであります。(1) 製紙薬品事業当事業では、紙へのにじみ止め性を発現するサイズ剤や紙の強度を向上させる紙力増強剤など、紙の機能性を向上させる薬品において、様々に変化する顧客ニーズと紙の製造条件に対応して高機能化ならびにコスト低減を実現する製品の研究開発を進めております。サイズ剤では、価格変動が著しいロジンを使用しない新規板紙用内添サイズ剤の実用化検討を進めております。また、海外向けに開発した表面サイズ剤である「ポリマロンKシリーズ」は主に台湾市場にて、またロジン系内添サイズ剤である「サイズパインCシリーズ」は中国市場にて実績化が進みました。紙力増強剤では、新たに見出した両イオン性高分子の設計技術により古紙の再利用による抄紙条件の悪化に対応できる新たな紙力増強剤を開発し、国内、海外での実績化が進みました。また、ポリアクリルアミド系ポリマーに新たな素材を組み込んだコストパフォーマンスの高い紙力増強剤の実用化検討を進めております。当事業に係る研究開発費は6億43百万円であります。(2) 化成品事業当事業では、印刷インキや塗料、粘着・接着剤用途において、顧客ニーズに対応した高機能化およびコスト低減を実現する製品の研究開発をおこなうとともに、顧客のグローバル展開に合わせた海外向け製品の開発にも積極的に取り組んでおります。また、各種機能を付与したフィルム用コーティング剤などの研究開発にも注力しております。印刷インキ用樹脂では、原料面からの研究開発に加え、印刷インキの製造や印刷工程の合理化に繋がる製品、環境負荷の低減に繋がる製品、さらには外市場向け製品の研究開発も進め、実績が拡大しました。塗料用樹脂では、防錆用途向けに低VOC化につながる溶剤系塗料の高濃度化やVOCを使用しない水系塗料用樹脂の開発を進め、高硬度化など高機能化製品の実績化を進めております。機能性コーティング剤「アラコート」は、帯電防止コーティング、蒸着用アンカー、ハードコート用アンカー、再剥離用微粘着剤での実績が拡大しており、顧客ニーズに対応した更なる機能の付与に向け、研究開発を加速させております。粘着・接着剤用樹脂では、光学用のテープや粘着剤に用いられる超淡色ロジンの開発を進めており、光学用途における新規開発グレードの実績化や、ロジン特有の臭気を大幅に低減させた超淡色の液状ロジンエステルの用途開発を進めております。機能性ファインケミカル製品では、これまで培ってきたロジン技術、水素化技術、重合技術、精密合成技術、高度精製技術を活かし、各種先端材料向けのプロセス開発や素材開発に注力し、半導体材料、高機能性材料での実績化が進みました。当事業に係る研究開発費は8億48百万円であります。 (3) 電子材料事業① 光電子材料事業当事業では、ディスプレイ用途を中心とした光硬化型機能性コーティング剤や当社独自の有機・無機ハイブリッド技術を応用した製品の研究開発をおこなっております。また、ペルノックスにおいては、スマートフォンやタブレット等のタッチパネル向けや、車載電子部品、センサー類、半導体、LED向けの導電性材料、絶縁封止材料、光学機能材料の実績をベースに、高機能、高信頼性製品、パワー半導体向け高耐熱樹脂等の開発を進めております。光硬化型樹脂「ビームセット」では、フィルムハードコート剤に、高硬度化、アンチブロッキング性、自己修復性などの機能性を付与した製品の開発を進め、実績化が進みました。各特性を組み合わせた製品のラインナップを取り揃え、家電や自動車関連用途への展開を目指しております。また、光学用途で使用される粘着剤や電子基板用の防湿コート剤などの用途においても製品化に取り組んでおります。シリコーン樹脂では、剥離途やテキスタイルコーティングで実績が拡大しております。また、家電用途および電子部材関連用途向けの高付加価値製品の開発も進めております。有機・無機ハイブリッド樹脂では、ディスプレイ用途を中心に、耐熱性や透明性に優れた製品開発をおこなっております。また、高周波回路基板向けに誘電特性に優れた素材の開発も進めております。② 電子部材事業当事業では、技術進展が著しい各種電子機器の半導体パッケージやプリント基板、他の電子部品等の実装工程に用いられるはんだ関連製品と実装後のはんだフラックスの洗浄工程における洗浄剤および洗浄装置を含めたシステムの研究開発をおこなっております。はんだ関連製品では、環境に配慮した、ハロゲンフリータイプでかつ微細線はんだ付けに対応したソルダペースト「パインソルダーPSP-F」のモバイル用途で実績化が進んでおり、高い信頼性が求められる医療器械用途への展開も進めております。洗浄関連製品では、フラックス以外の新たな洗浄分野への展開も進めており、電子機器の高性能化に伴うコンタミネーション・異物(生産工程上のごみ等)除去分野において、すすぎが不要な水系洗浄剤(パーティクル除去用洗浄剤)の開発に取組み、実績化が進みました。精密研磨剤製品では、ハードディスクドライブ用アルミディスク研磨でナノメートル未満の表面平滑度を実現できる研磨剤の開発を進めております。またスマートフォンなどに用いられる電子部品で、基板として使用されるタンタル酸リチウムの研磨でも実績化が進みました。 当事業に係る研究開発費は13億27百万円であります。 なお、当連結会計年度末における取得済特許権保有件数は、国内483件、海外163件、出願中のものは国内206件、海外194件であります。