事業の概要
- コンサルから運用まで一貫電通総研グループは、業務の課題解決やIT活用に関する相談から、顧客の要望に合わせたシステムの開発、自社で企画・開発したソフトウェアの提供、他社製ソフトウェアの導入支援、さらにはシステムの運用・保守まで、ITに関する幅広いサービスを一貫して提供しています。これにより、顧客はITに関するあらゆるニーズを同社グループで完結させることができます。
- システム開発と保守サービス顧客の個別の要求に基づいて情報システムを構築し、その後の保守サービスを提供することで収益を得ています。また、自社開発したソフトウェア製品の販売や、国内外のベンダーが開発したソフトウェアの導入支援、追加機能開発、ユーザー教育、保守サービスも手掛けています。これらのサービスは、企業のIT投資を多角的にサポートするものです。
- 多様なIT関連製品の販売情報システムやソフトウェアの提供に付随して必要となるハードウェア(情報機器)や、データベースソフト、ミドルウェア(OSとアプリケーションの中間をつなぐソフトウェア)などの販売も行っています。これにより、システム構築に必要なあらゆる要素をワンストップで提供し、顧客の利便性を高めるとともに、収益源を多様化しています。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
セグメント構成
- 金融ソリューション事業金融機関のビジネス変革や、一般企業の金融サービス活用を支援する事業です。売上高は348.32億円、営業利益は44.59億円で、同社グループの主要な収益源の一つとなっています。このセグメントには、電通総研ITや電通総研セキュアソリューションなどの連結子会社が含まれ、国内外の金融関連顧客にサービスを提供しています。
- ビジネスソリューション事業企業の人事や会計といった経営管理業務の効率化・高度化を支援する事業です。売上高は280.13億円、営業利益は69.94億円を計上しており、安定した収益を上げています。このセグメントは、企業の基幹業務を支える重要な役割を担っており、幅広い業種の顧客に対して、経営課題解決のためのITソリューションを提供しています。
- 製造ソリューション事業製造業のビジネスプロセスやサプライチェーン(製品が顧客に届くまでの流れ)の最適化・高度化を支援する事業です。売上高は610.39億円、営業利益は75.49億円と、同社グループ内で最も大きな売上と利益を誇る稼ぎ頭です。株式会社エステックやTwo Pillars GmbHなどの子会社がこの分野を担い、製造業の競争力強化に貢献しています。
2025-12 セグメント別業績
| セグメント | 区分 | 売上(億) | 営業利益(億) | 営業利益率 |
|---|---|---|---|---|
| FinancialSolutions | 事業 | 348 | 45 | 12.8% |
| BusinessSolutions | 地域 | 280 | 70 | 25.0% |
| ManufacturingSolutions | 事業 | 610 | 75 | 12.4% |
| CommunicationsIT | 事業 | 410 | 39 | 9.5% |
有価証券報告書「事業の内容」の全文を見る(年度切替)
3【事業の内容】 当社グループは、当連結会計年度末時点において、当社、連結子会社14社、持分法適用会社4社により構成され、6つのサービス品目を統合的に提供しております。また、業種およびソリューション別に「金融ソリューション」、「ビジネスソリューション」、「製造ソリューション」および「コミュニケーションIT」の4つを報告セグメントとしております。 (1)当社グループが提供するサービス品目① コンサルティングサービス 業務プロセスの変革やITの活用に関するコンサルティングサービスを提供しております。② 受託システム開発 顧客の個別要求に基づくシステム構築サービスおよび構築したシステムの保守サービスを提供しております。③ ソフトウェア製品 当社グループが独自に企画・開発したソフトウェア、導入支援サービス、追加機能の開発サービス、および保守サービスを提供しております。④ ソフトウェア商品 国内外のソフトウェア・ベンダーが開発したソフトウェア、導入支援サービス、追加機能の開発サービス、ユーザ教育などの技術サービス、および保守サービスを提供しております。⑤ アウトソーシング・運用保守サービス 顧客が保有するシステムの運用・保守サービスおよびBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)サービスを提供しております。⑥ 情報機器販売・その他 当社グループが提供する各種サービスに付随して必要となるハードウェアおよびデータベースソフトやミドルウェア等のソフトウェアを提供しております。(2)当社グループの報告セグメント 報告セグメント事業内容金融ソリューション金融業のビジネス変革および一般事業会社の金融サービス機能活用を支援するソリューションを提供しております。ビジネスソリューション人事・会計を中心に企業の経営管理業務の高度化を支援するソリューションを提供しております。製造ソリューション製造業のビジネスプロセスおよびバリューチェーンの高度化を支援するソリューションを提供しております。コミュニケーションIT企業のマーケティング変革および官庁や自治体のデジタル改革を支援するソリューションを提供しております。 詳細は、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (セグメント情報等)」をご参照ください。 当社の連結子会社を報告セグメントごとに記載すると概ね次のとおりであります。2025年12月31日現在報告セグメント連結子会社金融ソリューション―株式会社電通総研IT株式会社電通総研セキュアソリューションDENTSU SOKEN UK, LTD.DENTSU SOKEN USA, INC.DENTSU SOKEN HONG KONG LIMITED電通総研(上海)信息諮詢有限公司DENTSU SOKEN SINGAPORE PTE. LTD.DENTSU SOKEN (THAILAND) LIMITEDPT. DENTSU SOKEN INDONESIA株式会社電通総研アシスト株式会社電通総研ブライトビジネスソリューション―製造ソリューション株式会社エステックTwo Pillars GmbHコミュニケーションIT株式会社ミツエーリンクス(注)株式会社電通総研セキュアソリューションは、2026年1月1日付で、株式会社電通総研ITを吸収合併すると 共に、株式会社電通総研テクノロジーに商号変更いたしました。 (事業系統図)2025年12月31日現在 (注)株式会社電通総研セキュアソリューションは、2026年1月1日付で、株式会社電通総研ITを吸収合併すると共に、 株式会社電通総研テクノロジーに商号変更いたしました。
事業の優位性(モート)
事業の質(有価証券報告書から抽出)
数字に出ない事業の性質を、同じ物差しで全銘柄そろえています。FY2025時点の記載が出典です。
| 価格決定力値上げを通せるか。強いほどインフレ耐性が高い | 弱い 情報サービス業界の競争激化と新規参入業者の多さにより、価格競争に晒される可能性があるため。 |
|---|---|
| 参入障壁新規参入を阻む要因の種類 | 技術 情報技術の進化が激しく、急速な顧客ニーズの変化や技術革新への対応が求められる。 |
| 景気敏感度業績が景気循環にどれだけ振られるか | 中程度 |
| 設備投資の性質稼いだ現金がどれだけ設備維持に消えるか | 成長投資 |
| 規制依存規制は障壁にも足枷にもなる | 中程度 |
会社が挙げる主要リスク:システム開発に関するリスク / 人材確保・育成、労務管理に関するリスク / 情報セキュリティに関するリスク
同じ条件で他の銘柄を探す → 定性スクリーニング(価格決定力・参入障壁・景気敏感度などで絞り込めます)
モート総合 5 / 25 5類型それぞれの強度と、そう判定した根拠
無形資産★★☆☆☆
電通グループの強力なブランド力と、長年にわたるコンサルティング・リサーチ事業で培われた信頼性・専門知識は無形資産となり得る。特に、特定の業界やテーマに関する深い知見は、新規参入障壁となる可能性がある。
スイッチングコスト★★☆☆☆
顧客は電通グループの総合力を評価して取引している場合が多く、特に大規模なプロジェクトや戦略コンサルティングにおいては、担当者の変更や他社への乗り換えに伴う情報共有・関係構築コストが発生しうる。
ネットワーク効果☆☆☆☆☆
現時点では、ユーザー数増加に伴ってサービス価値が向上するような明確なネットワーク効果は見られない。事業モデルは主に受託型コンサルティングやリサーチ提供が中心である。
コスト優位☆☆☆☆☆
情報サービス・コンサルティング業界は、高度な専門人材の獲得・維持がコスト競争力の源泉となるが、電通総研が構造的なコスト優位性を持つという明確な証拠はない。
規模の経済★☆☆☆☆
電通グループの一員として、一定の規模とリソースを活用できる点は強みだが、業界全体で見た場合に、規模の経済による圧倒的な優位性があるとは断定しにくい。
- 多様なITサービスを統合提供電通総研グループは、コンサルティングからシステム開発、ソフトウェア提供、アウトソーシング、情報機器販売まで、ITに関する幅広いサービスを統合的に提供しています。これにより、顧客はITに関するあらゆる課題をワンストップで解決でき、複数のベンダーと契約する手間を省くことができます。この総合力が顧客にとっての大きな魅力となります。
- 専門性と顧客業界への深い理解金融、ビジネス、製造、コミュニケーションITといった特定の業界やソリューションに特化したセグメントを持ち、それぞれの分野で深い専門知識と経験を蓄積しています。これにより、各業界特有の課題やニーズを正確に把握し、より効果的なソリューションを提供することが可能です。例えば、金融ソリューションでは金融業のビジネス変革を支援しています。
- 強固なリスク管理体制同社グループは、サステナビリティ推進会議を中心に、事業継続に関わる様々なリスク(システム開発、人材、情報セキュリティなど)を組織横断的に識別・評価し、対策を講じる体制を構築しています。PMO委員会の設置によるプロジェクト管理の徹底や、情報セキュリティに関する国際認証取得など、リスクを未然に防ぎ、影響を最小化するための取り組みを強化しています。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
経営戦略
有価証券報告書「経営方針・対処すべき課題・MD&A」の全文を見る(年度切替)
経営方針・経営戦略
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】 当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。 (1)経営の基本方針 当社グループの経営の基本方針は、「誠実を旨とし、テクノロジーの可能性を切り拓く挑戦者として、顧客、生活者、社会の進化と共存に寄与する。」と定義した企業理念(ミッション)の実現に向け、事業活動を推進することです。企業理念はさらに、ビジョンとして当社グループが向かうべき方向を、行動指針として当社グループが大切にすべき価値観をそれぞれ定めており、従業員の日々の行動が企業理念全体の実現に繋がるよう、目標と戦略を経営計画に落とし込むとともに、従業員への浸透活動を積極的に実施しております。 (2)長期経営戦略 当社グループは2030年に向けた長期経営ビジョン「Vision 2030」を掲げております。長期経営ビジョン「Vision 2030」の概要については以下のとおりであります。 ① Vision 2030ステートメント電通総研グループは、社会と企業の変革を実現する存在“X Innovator”を目指し、自己変革していく ② 2030年のありたき姿 当社グループの2030年のありたき姿は、企業理念を体現する高付加価値企業として、社会、企業、生活者からの期待に応える存在になることです。そのためには、1985年に自ら標榜した“システムインテグレータ”の枠を超え、人とテクノロジーの多様性を備えた、社会や企業の変革を立案・実現する存在へと自己変革していく必要があると認識しています。このありたき姿を当社グループは、「“X Innovator” ~X Innovationの実践を通して社会と企業の変革を実現する存在~」と定義します。“システムインテグレータ”から“X Innovator”への自己変革により成長性を高め、2030年には、社会や企業の変革を実現するに相応しい多様な人材、多彩なテクノロジー、多種のソリューションを持つ集団として、売上高3,000億円、営業利益率20%の企業グループになることを目指します。 ③ 2030年に向けた活動方針 ありたき姿の実現に向けて、4つの自己変革を推進します。事業領域の拡張(拓くチカラ)事業領域を、企業の個別業務課題を解決するビジネスから、企業全体の課題解決や社会の変革を支援するビジネスへと、拡張を図ります。新しい能力の獲得(創るチカラ)テクノロジー実装の強みをさらに高めるとともに、社会や企業変革を導くために必要となる様々なケイパビリティを新たな強みとして獲得します。収益モデルの革新(稼ぐチカラ)ソリューションの拡充・強化に加え、新たなデリバリーモデルの構築等を通して、収益モデルの多様化と収益性の向上を図ります。経営基盤の刷新(支えるチカラ)自己変革のスピードを加速させるため、また、将来の環境変化に柔軟に適応する能力を獲得するため、経営の基盤を刷新します。 ④ 2030年までのステップ 2022年から2030年までの9年間を、3か年ごと3回にわけて中期経営計画を立案し、推進します。各期間の基本的な位置づけは以下のとおりとなります。2022~2024年成長を加速させつつ、将来に向けた布石として、当社グループの新しい基盤を構築していく期間とします。2025~2027年2025年に当社グループは創立50周年を迎えます。新しい当社グループとして、オーガニック・インオーガニック両面で従来以上の積極的なチャレンジを行い、さらに高い成長を目指す期間とします。2028~2030年ありたき姿の実現に向けて、積極的なチャレンジを継続するとともに、2030年以降を見据えた新しい長期経営ビジョンを検討する期間とします。 (3)中期経営計画(2025〜2027年)について① 事業環境認識 急速に進展するデジタル社会形成に向けた動き、ESG経営や人的資本経営など新たな経営アジェンダ出現に伴う企業の社会的責任の変化、国内の労働人口減少と人材獲得競争の激化、生成AIをはじめとするテクノロジーのさらなる進化の4点は、今後も大きく変わることのないメガトレンドであり、社会と企業の変革ニーズに対するテクノロジー実装力に強みを持つ企業に大きな成長機会が到来するものと考えております。 上記の事業環境認識を踏まえ、2025年より、長期経営ビジョン「Vision 2030」のもと第2回目の位置づけとなる3か年の中期経営計画「社会進化実装 2027」を推進しております。タイトルに掲げた「社会進化実装」は、当社グループが2024年に制定した事業コンセプトの名称で、シンクタンク、コンサルティング、システムインテグレーション機能の連携により、課題の提言からテクノロジーによる解決までの循環を生み出すという、事業の新しい形をまとめたものです。前中期経営計画で拡充した事業基盤を生かし、これまで以上に積極的なチャレンジを通して、さらなる成長を目指してまいります。 ② スローガン強みとなるケイパビリティを強化・活用して企業などの活動を支援し、社会の進化を実装する ③ 重点施策イ. 企業変革・社会変革起点での価値提供・営業機能の統合 複雑かつ広範囲におよぶお客様の期待に対して、全社として一貫した対応を可能にすべく、2025年1月に営業統括本部を設置し、営業機能を統合しました。アカウント営業、ソリューション営業、パートナーセールスの機能をさらに強化し、案件獲得と価値提供を加速します。 ・技術機能の統合 事業の枠を超えたスキルとノウハウの共有や、柔軟な人材アサインを可能にすべく、2025年1月に技術統括本部を設置し、技術機能を統合しました。高度デジタルプロジェクトリード人材の育成、プロジェクト品質の向上、事業環境変化にあわせた迅速かつ柔軟な人員配置を実現し、事業成長を加速させます。 ロ. ソリューションの強化・先端テクノロジーの活用 生成AIなどの先端テクノロジーを活用し、ソリューションの競争力と収益性を強化します。 ・外部連携の推進 電通グループを始め、企業、教育機関などとの提携とM&Aを通じて、ケイパビリティや事業領域を拡張します。 ・独自ソリューション強化 当社グループが独自に生み出したソリューションについて、競争優位性をさらに強固なものとするため、研究開発投資と製品投資を強化します。また、新規事業の企画・開発・実行を担当する専任組織が中心となり、2030年に向けて新しい事業領域を複数開拓します。 ハ. 経営基盤の強化・経営基盤改革 中長期の生産性と収益性向上ならびに企業価値の向上に向け、事業部門とコーポレート部門全体を横断するDXやサステナビリティ活動、経営管理高度化などを推進します。 ・人的資本強化 優秀な人材の採用を継続するとともに、個々の能力とパフォーマンスを最大化するため、さまざまな育成施策と流動性向上施策を実施します。 ④ 目標とする経営指標 当社グループは、顧客に提供する付加価値の最大化および企業価値の向上を重視しております。当中期経営計画においては、定量目標として「売上高」「営業利益」「営業利益率」「ROE」「就業人員数」の5項目に対して2027年12月期の目標値を設定するとともに、それを実現するための成長投資枠を設定しております。数値は以下のとおりであります。 <定量目標>項目2024年12月期2027年12月期 目標年平均成長率※売上高1,526億円2,100億円11.2%営業利益210億円315億円14.4%営業利益率13.8%15.0%―ROE17.4%18.0%以上―就業人員数4,413名6,000名10.8% ※ 2024年12月期実績を起点とした年平均成長率(CAGR) <成長投資枠>3か年累計投資枠対象750億円研究開発活動、社内の生産性向上活動、M&A等 (4)財務ポリシー 当社グループの財務ポリシーは、長期的かつ持続的に企業価値を向上させるため、成長分野への投資や株主への安定的な利益還元を行いつつ、健全な財務基盤を確立することです。このポリシーのもと、当中期経営計画では、2024年12月期末時点の現預金と当中期経営計画期間の3か年で予想されるフリーキャッシュフローから750億円の成長投資枠を設定しております。 なお、投資およびM&Aの推進に際しては、資本コストを踏まえた厳格な基準で投資判断を行います。また、非連続な成長を実現するため、必要な場合には自己資本比率50%以上の維持を目安に借り入れによる資金調達も視野に入れてまいります。 (5)株主還元 当社グループの配当の基本方針は、持続的な成長を実現するための内部留保を確保しつつ、適正かつ安定的な配当を継続することです。この基本方針のもと、業績成長と配当性向の向上を通して株主還元を強化してまいります。連結配当性向については、2027年12月期に50%を目指してまいります。
対処すべき課題
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】 当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。 (1)経営の基本方針 当社グループの経営の基本方針は、「誠実を旨とし、テクノロジーの可能性を切り拓く挑戦者として、顧客、生活者、社会の進化と共存に寄与する。」と定義した企業理念(ミッション)の実現に向け、事業活動を推進することです。企業理念はさらに、ビジョンとして当社グループが向かうべき方向を、行動指針として当社グループが大切にすべき価値観をそれぞれ定めており、従業員の日々の行動が企業理念全体の実現に繋がるよう、目標と戦略を経営計画に落とし込むとともに、従業員への浸透活動を積極的に実施しております。 (2)長期経営戦略 当社グループは2030年に向けた長期経営ビジョン「Vision 2030」を掲げております。長期経営ビジョン「Vision 2030」の概要については以下のとおりであります。 ① Vision 2030ステートメント電通総研グループは、社会と企業の変革を実現する存在“X Innovator”を目指し、自己変革していく ② 2030年のありたき姿 当社グループの2030年のありたき姿は、企業理念を体現する高付加価値企業として、社会、企業、生活者からの期待に応える存在になることです。そのためには、1985年に自ら標榜した“システムインテグレータ”の枠を超え、人とテクノロジーの多様性を備えた、社会や企業の変革を立案・実現する存在へと自己変革していく必要があると認識しています。このありたき姿を当社グループは、「“X Innovator” ~X Innovationの実践を通して社会と企業の変革を実現する存在~」と定義します。“システムインテグレータ”から“X Innovator”への自己変革により成長性を高め、2030年には、社会や企業の変革を実現するに相応しい多様な人材、多彩なテクノロジー、多種のソリューションを持つ集団として、売上高3,000億円、営業利益率20%の企業グループになることを目指します。 ③ 2030年に向けた活動方針 ありたき姿の実現に向けて、4つの自己変革を推進します。事業領域の拡張(拓くチカラ)事業領域を、企業の個別業務課題を解決するビジネスから、企業全体の課題解決や社会の変革を支援するビジネスへと、拡張を図ります。新しい能力の獲得(創るチカラ)テクノロジー実装の強みをさらに高めるとともに、社会や企業変革を導くために必要となる様々なケイパビリティを新たな強みとして獲得します。収益モデルの革新(稼ぐチカラ)ソリューションの拡充・強化に加え、新たなデリバリーモデルの構築等を通して、収益モデルの多様化と収益性の向上を図ります。経営基盤の刷新(支えるチカラ)自己変革のスピードを加速させるため、また、将来の環境変化に柔軟に適応する能力を獲得するため、経営の基盤を刷新します。 ④ 2030年までのステップ 2022年から2030年までの9年間を、3か年ごと3回にわけて中期経営計画を立案し、推進します。各期間の基本的な位置づけは以下のとおりとなります。2022~2024年成長を加速させつつ、将来に向けた布石として、当社グループの新しい基盤を構築していく期間とします。2025~2027年2025年に当社グループは創立50周年を迎えます。新しい当社グループとして、オーガニック・インオーガニック両面で従来以上の積極的なチャレンジを行い、さらに高い成長を目指す期間とします。2028~2030年ありたき姿の実現に向けて、積極的なチャレンジを継続するとともに、2030年以降を見据えた新しい長期経営ビジョンを検討する期間とします。 (3)中期経営計画(2025〜2027年)について① 事業環境認識 急速に進展するデジタル社会形成に向けた動き、ESG経営や人的資本経営など新たな経営アジェンダ出現に伴う企業の社会的責任の変化、国内の労働人口減少と人材獲得競争の激化、生成AIをはじめとするテクノロジーのさらなる進化の4点は、今後も大きく変わることのないメガトレンドであり、社会と企業の変革ニーズに対するテクノロジー実装力に強みを持つ企業に大きな成長機会が到来するものと考えております。 上記の事業環境認識を踏まえ、2025年より、長期経営ビジョン「Vision 2030」のもと第2回目の位置づけとなる3か年の中期経営計画「社会進化実装 2027」を推進しております。タイトルに掲げた「社会進化実装」は、当社グループが2024年に制定した事業コンセプトの名称で、シンクタンク、コンサルティング、システムインテグレーション機能の連携により、課題の提言からテクノロジーによる解決までの循環を生み出すという、事業の新しい形をまとめたものです。前中期経営計画で拡充した事業基盤を生かし、これまで以上に積極的なチャレンジを通して、さらなる成長を目指してまいります。 ② スローガン強みとなるケイパビリティを強化・活用して企業などの活動を支援し、社会の進化を実装する ③ 重点施策イ. 企業変革・社会変革起点での価値提供・営業機能の統合 複雑かつ広範囲におよぶお客様の期待に対して、全社として一貫した対応を可能にすべく、2025年1月に営業統括本部を設置し、営業機能を統合しました。アカウント営業、ソリューション営業、パートナーセールスの機能をさらに強化し、案件獲得と価値提供を加速します。 ・技術機能の統合 事業の枠を超えたスキルとノウハウの共有や、柔軟な人材アサインを可能にすべく、2025年1月に技術統括本部を設置し、技術機能を統合しました。高度デジタルプロジェクトリード人材の育成、プロジェクト品質の向上、事業環境変化にあわせた迅速かつ柔軟な人員配置を実現し、事業成長を加速させます。 ロ. ソリューションの強化・先端テクノロジーの活用 生成AIなどの先端テクノロジーを活用し、ソリューションの競争力と収益性を強化します。 ・外部連携の推進 電通グループを始め、企業、教育機関などとの提携とM&Aを通じて、ケイパビリティや事業領域を拡張します。 ・独自ソリューション強化 当社グループが独自に生み出したソリューションについて、競争優位性をさらに強固なものとするため、研究開発投資と製品投資を強化します。また、新規事業の企画・開発・実行を担当する専任組織が中心となり、2030年に向けて新しい事業領域を複数開拓します。 ハ. 経営基盤の強化・経営基盤改革 中長期の生産性と収益性向上ならびに企業価値の向上に向け、事業部門とコーポレート部門全体を横断するDXやサステナビリティ活動、経営管理高度化などを推進します。 ・人的資本強化 優秀な人材の採用を継続するとともに、個々の能力とパフォーマンスを最大化するため、さまざまな育成施策と流動性向上施策を実施します。 ④ 目標とする経営指標 当社グループは、顧客に提供する付加価値の最大化および企業価値の向上を重視しております。当中期経営計画においては、定量目標として「売上高」「営業利益」「営業利益率」「ROE」「就業人員数」の5項目に対して2027年12月期の目標値を設定するとともに、それを実現するための成長投資枠を設定しております。数値は以下のとおりであります。 <定量目標>項目2024年12月期2027年12月期 目標年平均成長率※売上高1,526億円2,100億円11.2%営業利益210億円315億円14.4%営業利益率13.8%15.0%―ROE17.4%18.0%以上―就業人員数4,413名6,000名10.8% ※ 2024年12月期実績を起点とした年平均成長率(CAGR) <成長投資枠>3か年累計投資枠対象750億円研究開発活動、社内の生産性向上活動、M&A等 (4)財務ポリシー 当社グループの財務ポリシーは、長期的かつ持続的に企業価値を向上させるため、成長分野への投資や株主への安定的な利益還元を行いつつ、健全な財務基盤を確立することです。このポリシーのもと、当中期経営計画では、2024年12月期末時点の現預金と当中期経営計画期間の3か年で予想されるフリーキャッシュフローから750億円の成長投資枠を設定しております。 なお、投資およびM&Aの推進に際しては、資本コストを踏まえた厳格な基準で投資判断を行います。また、非連続な成長を実現するため、必要な場合には自己資本比率50%以上の維持を目安に借り入れによる資金調達も視野に入れてまいります。 (5)株主還元 当社グループの配当の基本方針は、持続的な成長を実現するための内部留保を確保しつつ、適正かつ安定的な配当を継続することです。この基本方針のもと、業績成長と配当性向の向上を通して株主還元を強化してまいります。連結配当性向については、2027年12月期に50%を目指してまいります。
MD&A(経営者による分析)
4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】1.経営成績等の状況の概要(1)財政状態及び経営成績等の状況① 経営成績 当連結会計年度(2025年1月1日~2025年12月31日)におけるわが国経済は、雇用・所得環境の改善に伴い、緩やかな回復基調が続きました。当社グループを取り巻く事業環境についても、企業のデジタル投資意欲は強く、堅調に推移しました。一方、今後については、各国の政策動向や金融資本市場の変動、地政学リスク等による国内経済への影響が懸念され、先行きは不透明な状況にあります。 かかる状況のもと当社グループは、当連結会計年度より、長期経営ビジョン「Vision 2030」の実現に向けて第2回目の位置付けとなる3か年の中期経営計画「社会進化実装 2027」をスタートさせました。当中期経営計画では、3つの基本方針「企業変革・社会変革起点での価値提供」「ソリューションの強化」「経営基盤の強化」と5つの定量目標(2027年12月期の売上高2,100億円、営業利益315億円、営業利益率15.0%、ROE18.0%以上、就業人員数6,000名)を設定しています。前中期経営計画で拡充した事業基盤を生かし、これまで以上に積極的なチャレンジを通して、さらなる成長を目指してまいります。 当連結会計年度の業績は、売上高164,865百万円(前期比108.0%)、営業利益22,888百万円(同108.8%)、経常利益23,618百万円(同112.0%)、親会社株主に帰属する当期純利益16,365百万円(同108.3%)となりました。 売上高については、ビジネスソリューションおよびコミュニケーションITセグメントを中心に、全セグメント増収となりました。利益についても、ソフトウェア製品に関する無形固定資産の除却に伴う原価増や販売費及び一般管理費の増加等があったものの、増収効果により、すべての段階利益で増益となりました。 これにより、売上高は10期連続、営業利益および親会社株主に帰属する当期純利益は8期連続で過去最高となります。 (単位:百万円) 前連結会計年度(自 2024年1月1日 至 2024年12月31日)当連結会計年度(自 2025年1月1日 至 2025年12月31日)増減前期比売上高152,642164,865+12,223108.0%営業利益21,03922,888+1,849108.8%営業利益率13.8%13.9%+0.1p-経常利益21,09323,618+2,525112.0%親会社株主に帰属する当期純利益15,11716,365+1,248108.3% ROE17.4%17.1%△0.3p- ② 財政状態(資産) 当連結会計年度末における総資産は、前連結会計年度末と比較して17,724百万円増加し、165,055百万円となりました。流動資産は、売上債権および預け金の増加があったほか、顧客向けサービスのための保守・サブスクリプション型サービスの契約に係る前渡金が増加したこと等により、前連結会計年度末と比較して17,865百万円増加し、136,923百万円となりました。固定資産は、主にのれんおよび顧客関連資産の償却が進んだこと等により、前連結会計年度末と比較して142百万円減少し、28,131百万円となりました。(負債) 当連結会計年度末における総負債は、前連結会計年度末と比較して8,759百万円増加し、64,896百万円となりました。流動負債は、主に仕入債務の増加等により、8,405百万円増加し、60,949百万円となりました。固定負債は、前連結会計年度末と比較して355百万円増加し、3,947百万円となりました。(純資産) 当連結会計年度末における純資産は、剰余金の配当があったものの、主に当社株主に帰属する当期純利益の計上により利益剰余金が増加した結果、前連結会計年度末と比較して8,965百万円増加し、100,159百万円となりました。③ キャッシュ・フローの状況当連結会計年度末における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末と比較して7,697百万円増加し、69,419百万円となりました。 (営業活動によるキャッシュ・フロー)法人税等の支払等による資金の減少を、税金等調整前当期純利益等が上回ったことにより、資金は19,064百万円増加しました。前年同期との比較においては、仕入債務の増加等による資金の増加があったものの、売掛債権の増加および顧客向けサービスのための保守・サブスクリプション型サービス提供に係る前渡金の増加等による資金の減少を主因として4,657百万円の収入減となりました。(投資活動によるキャッシュ・フロー)ソフトウェア等の固定資産の取得等により、資金は2,956百万円減少しました。前年同期との比較においては、前年において実施した株式会社ミツエーリンクスの株式取得による支出の反動減により8,930百万円の支出減となりました。(財務活動によるキャッシュ・フロー)配当金の支払およびリース債務の返済等により、資金は8,552百万円減少しました。前年同期との比較においては、自己株式取得による支出の増加等により570百万円の支出増となりました。 (2)生産、受注及び販売の実績 当連結会計年度において、受注実績および受注残高が著しく増加しました。これは、主にビジネスソリューションセグメントの事業が好調に推移したことによるものです。 当連結会計年度における生産、受注及び販売の実績を報告セグメントごとに示すと、以下のとおりであります。 なお、当中期経営計画における成長戦略の実践に向けて、当連結会計年度より、報告セグメント配下の事業区分を変更しました。これに伴い、前連結会計年度の実績について、変更後の区分に組み替えた数値を記載し、比較・分析しております。 ① 生産実績報告セグメント生産高(百万円)前期比(%)金融ソリューション26,950100.4ビジネスソリューション17,342118.8製造ソリューション20,47391.3コミュニケーションIT17,763125.8合計82,529105.8(注)金額は、販売価格に換算して表示しております。 ② 受注実績報告セグメント受注高(百万円)前期比(%)受注残高(百万円)前期比(%)金融ソリューション39,029112.812,815148.7ビジネスソリューション32,757143.611,922166.1製造ソリューション68,038107.735,634124.4コミュニケーションIT41,519109.215,967103.5合計181,345114.376,339127.5 ③ 販売実績報告セグメント販売高(百万円)前期比(%)金融ソリューション34,832102.3ビジネスソリューション28,013118.6製造ソリューション61,039100.8コミュニケーションIT40,980119.1合計164,865108.0(注)主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、以下のとおりであります。 相手先前連結会計年度(自 2024年1月1日至 2024年12月31日)当連結会計年度(自 2025年1月1日至 2025年12月31日)金額(百万円)割合(%)金額(百万円)割合(%)株式会社電通グループ及びそのグループ会社21,44914.122,45513.6 2.経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。 (1)財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容 当連結会計年度の経営成績につきましては、「第2 事業の状況 4経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 1.経営成績等の状況の概要 (1)財政状態及び経営成績等の状況 ① 経営成績」に記載のとおりであります。 当中期経営計画における成長戦略の実践に向けて、第1四半期連結会計期間より、報告セグメント配下の事業区分を変更しました。これに伴い、前連結会計年度の実績について、変更後の区分に組み替えた数値を記載し、比較・分析しております。 報告セグメント別の売上高、営業利益および営業の状況は、以下のとおりであります。 (単位:百万円)報告セグメント前連結会計年度(自 2024年1月1日 至 2024年12月31日)当連結会計年度(自 2025年1月1日 至 2025年12月31日)増減額売上高営業利益営業利益率売上高営業利益営業利益率売上高営業利益金融ソリューション34,0504,34812.8%34,8324,45912.8%+782+111ビジネスソリューション23,6265,31922.5%28,0136,99425.0%+4,387+1,675製造ソリューション60,5648,57414.2%61,0397,54912.4%+475△1,025コミュニケーションIT34,4012,7978.1%40,9803,8869.5%+6,579+1,089合計 152,64221,03913.8% 164,86522,88813.9%+12,223+1,849(注)報告セグメントの情報につきましては、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (セグメント情報等)」も併せてご参照ください。 金融ソリューション 金融業のビジネス変革および一般事業会社の金融サービス機能活用を支援するソリューションを提供しています。 当連結会計年度は、受託システム開発案件がメガバンクや信託銀行向けに拡大したことに加え、次世代融資ソリューション「BANK・R」の導入案件が政府系金融機関や大手信用金庫向けに拡大したことにより、増収増益となりました。 ビジネスソリューション 人事・会計を中心に企業の経営管理業務の高度化を支援するソリューションを提供しています。 当連結会計年度は、連結会計ソリューション「STRAVIS」の導入案件が商社向けを中心に拡大したことに加え、統合人事ソリューション「POSITIVE」の導入案件が電気・ガス業や小売業向けに拡大したことにより、増収増益となりました。 製造ソリューション 製造業のビジネスプロセスおよびバリューチェーンの高度化を支援するソリューションを提供しています。 当連結会計年度は、SAPソリューションの導入案件は減少したものの、CAEやPLMソリューションの販売が輸送機器業向けに拡大したことにより、増収となりました。利益については、収益性の高いソフトウェア商品アドオン開発案件が減少したことに加え、人員増に伴い人件費が増加したことにより、減益となりました。 コミュニケーションIT 企業のマーケティング変革および官庁や自治体のデジタル改革を支援するソリューションを提供しています。 当連結会計年度は、公共や電通グループ向けビジネスが拡大したことに加え、前第3四半期連結会計期間から連結対象となった株式会社ミツエーリンクスの貢献があったことにより、増収増益となりました。 なお、当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 3事業等のリスク」に記載のとおりであります。 (2)キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報① キャッシュ・フローの状況 当社グループの当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況の分析につきましては、「第2 事業の状況 4経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 1.経営成績等の状況の概要 (1)財政状態及び経営成績等の状況 ③ キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。 ② 資本の財源及び資金の流動性に係る情報 当社グループにおける資金需要は、通常の運転資金に加え、事業拡大を目的としたソフトウェア製品の開発及び資本提携・M&A等のための投資資金がありますが、いずれも自己資金を充当することを基本としております。また、当社及び当社国内子会社の間ではCMS(キャッシュ・マネジメント・システム)を導入しており、グループ内の資金の流動性を高めるよう努めております。 なお、流動資産に計上している預け金は、親会社である株式会社電通グループに対し同社が運営するCMSを通じて預け入れた資金であり、当連結会計年度末は61,863百万円を預け入れております。これは、直ちに利用可能な財源であることから、連結キャッシュ・フロー計算書における現金及び現金同等物に含めております。 (3)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。その作成にあたっては、連結会計年度末日における財政状態並びに連結会計年度の経営成績に影響を与えるような見積り・予測を必要としております。当社グループは、過年度の実績や現状を踏まえ、合理的と判断される前提・仮定に基づき、かかる見積り・予測を行っておりますが、実際の結果はこれと異なる場合があります。 連結財務諸表の作成に当たり用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。 (4)経営上の目標の達成状況について 当社グループは、当中期経営計画において、「売上高」「営業利益」「営業利益率」「ROE」「就業人員数」の5項目に対して以下の定量目標値を設定しております。初年度となる当連結会計年度の進捗状況は以下のとおりであります。 項目2027年12月期 目標2025年12月期 実績売上高2,100億円1,648億円営業利益315億円228億円営業利益率15.0%13.9%ROE18.0%以上17.1%就業人員数6,000名4,618名 2026年12月期は、売上高182,000百万円、営業利益25,500百万円を見込んでおります。2027年12月期の定量目標達成に向け、初年度を上回る成長を目指してまいります。 なお、当社グループが取り組むべき経営課題への対応につきましては、「第2 事業の状況 1経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。
事業リスク
- システム開発の収益性低下と品質問題システム開発プロジェクトでは、予期せぬトラブルにより開発費用が増加し、利益が減少する可能性があります。また、納品後に重大な不具合が発生すると、修復費用や顧客への損害賠償、企業の信頼失墜につながるリスクがあります。同社はPMO委員会を設置し、計画段階から進捗まで厳格に管理し、技術教育で品質向上を図っています。
- 優秀な人材の確保と育成の困難IT業界は人材競争が激しく、同社グループが必要とする優秀な人材を確保・育成できない場合、または労働環境の悪化で従業員の生産性が低下した場合、事業の成長が阻害され、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。同社は採用強化、研修制度の充実、多様な働き方を支援する制度導入で、人材の定着と活性化に努めています。
- 情報セキュリティ事故による損害サイバー攻撃や従業員の過失により、情報システムが停止したり、顧客の個人情報や企業の機密情報が漏洩したりするリスクがあります。このような事態が発生すると、損害賠償請求や企業の信用失墜、事業活動の停止など、深刻な影響が生じる可能性があります。同社は情報セキュリティ委員会を設置し、国際規格認証取得や全従業員への教育を通じて対策を強化しています。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
有価証券報告書「事業等のリスク」の全文を見る(年度切替)
3【事業等のリスク】 当社グループは、経営目標の達成を阻害する、あるいは事業活動の継続を脅かす要因等を識別し、顕在化させないための予防策および顕在化した場合の影響を最小化するための対策として、リスク管理規程を制定しております。当規程に則り、想定されるリスクに関する情報を適時かつ組織横断的に集約し、全社的な観点から適切なリスク管理を推進しております。 なお、記載事項のうち将来に関する事項は、特に断りがない限り有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。 (1) リスク管理体制 当社グループでは、サステナビリティに関する取り組みを総合的に推進する「サステナビリティ推進会議」のもと、グループ全体を俯瞰したリスク管理を行っております。 サステナビリティ推進会議は、当社グループが事業活動を行うにあたって想定されるリスクの識別と評価、最重要リスクの抽出、リスク所管部署や責任者の決定、リスク対応計画の策定指示、対策実行状況等のモニタリングを実施し、その結果を取締役会に報告しております。 当社グループにおけるリスク管理体制は次のとおりです。 取締役会・リスク管理状況のモニタリングおよび管理体制の有効性確保サステナビリティ推進会議・当社およびグループ会社からのリスク情報収集、リスク識別と評価・最重要リスクおよびリスク所管部署/責任者の決定・グループ横断的課題への対応方針検討および調整・リスク対応計画の進捗状況およびリスク状況のモニタリングリスク所管部署・各委員会・リスク対応計画の策定およびリスク対策の実施各社リスクマネジメント部門・自社の最重要リスクの抽出、リスク対応計画の策定と実施 (2) リスク管理のプロセス(リスクの識別・評価) サステナビリティ推進会議は、経営環境や経営戦略、事業管理、危機管理、人事労務、経理財務、法務、コーポレートガバナンス、情報セキュリティ、倫理コンプライアンス等の観点から、顕在化する可能性のあるリスクを当社の各事業部門、グループ会社へのヒアリング等により網羅的に識別しております。識別したリスクについては、定期的に「発生可能性」「影響度」によりリスク評価を行います。 (最重要リスクの抽出) サステナビリティ推進会議は、リスク評価の結果より、事業継続に大きな影響を及ぼす可能性が高いと判断したリスクを「最重要リスク」に定め、それぞれのリスクについて、所管部署および責任者を選定します。 (リスク対応計画の策定) リスク所管部署・グループ会社のリスクマネジメント部門は、「最重要リスク」に関してリスクが顕在化しないための予防策および顕在化した場合の影響を最小化するためのリスク対策をリスク対応計画としてまとめ、サステナビリティ推進会議の承認または助言を得ます。 (リスク対応計画の実施とリスクモニタリング) リスク所管部署・グループ会社のリスクマネジメント部門は、策定したリスク対応計画に沿って活動を遂行するとともに、必要に応じて規程類や対策マニュアル等の整備・維持に努めております。サステナビリティ推進会議は、リスク対応計画の進捗状況およびリスクの状況についてモニタリングを実施し、その結果を取締役会に報告しております。さらに、リスクの顕在化等があった場合は、必要に応じてリスク対策の追加、計画の改善と実施を指示します。 (3) 主要なリスク 当社グループの経営目標の達成を阻害する、あるいは事業活動の継続を脅かす可能性がある主要なリスクを以下のとおり記載しております。しかしながら、これらのリスクは必ずしもすべてのリスクを網羅したものではなく、想定していないリスクや重要性が低いと考えられる他のリスクの影響を将来的に受ける可能性があります。 ① 最重要リスクイ.システム開発に関するリスク 当社グループが提供するシステム構築サービスは、開発工程中に想定外のトラブルが発生すること等により開発費用が増加し、収益性が低下する可能性があります。また、納品後に重大な不具合が発生し、顧客の業務に支障が生じた場合、当該システムの品質回復にかかる費用発生や損害賠償請求、信用失墜等が生じる可能性があります。 このため当社グループでは、PMO(プロジェクト・マネジメント・オフィス)委員会を設置し、提案前の段階から、要求仕様の内容、技術的難易度、受注金額、開発期間、開発費用見積等の計画につき評価を行うことに加え、受注から納品にいたる過程においても、計画に対する進捗状況の確認を随時行い、開発に伴うリスク管理を徹底しております。さらに、トラブル発生の可能性を極小化すべく、開発プロセス標準化やノウハウ共有等、技術に関する教育諸施策を積極的に推進しております。ロ.人材確保・育成、労務管理に関するリスク 当社グループが必要とする優秀な人材の確保・育成が想定どおりに進まない場合、あるいは労働環境の悪化等により生産性が低下した場合、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 このため当社グループでは、新卒・中途の採用活動および従業員教育・研修の強化、適切な人材配置を図るとともに、裁量労働制や65歳定年制、フェロー制度、育児・介護等と仕事の両立を支援する各種制度の導入・充実に努めております。また、適正な労働時間の管理や健康保持・増進のための取り組みなど、従業員のワーク・ライフ・バランスの実現を支援する人事諸施策を実施しております。 ハ.事業継続に関するリスク 大地震や豪雨等の自然災害の発生、重大感染症の流行、社会情勢の変化等の事象が発生した場合は、対応に係る費用の発生のほか、サービスの提供遅滞等により、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 このため当社グループでは、危機発生に備えた各種対応マニュアルや適時適切に対策を講じるための体制、円滑な業務を可能とするリモートワーク勤務制度および環境を整備し、従業員やパートナースタッフの安全確保と事業の継続性確保に努めております。 ニ.情報セキュリティに関するリスク コンピューターウイルスやサイバーテロ、過失等により、情報システムサービスの中断や個人情報・機密情報の漏洩等が発生した場合、顧客や個人からの損害賠償請求や信用失墜、事業の停滞等が生じる可能性があります。 このため当社グループでは、グループ全体の情報セキュリティマネジメントを統括する情報セキュリティ委員会のもと、各種規程類やガイドラインを整備・運用し、グループ一体となって情報セキュリティ管理に取り組んでおります。また、システム・ネットワークの継続的なセキュリティレベルの向上を図るとともに、全役員と従業員を対象にセキュリティ教育プラットフォームを導入し、教育・訓練を継続的に実施するなど、総合的なサイバーセキュリティ対策を推進しております。なお、当社グループでは、当社をはじめとする主要各社において、情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)の国際規格「ISO/IEC27001:2022」および本規格をもとにJIS化された「JISQ27001:2023」の認証を取得しているほか、「プライバシーマーク」の付与認定を受けております。 ホ.コンプライアンスに関するリスク コンプライアンス上の問題、法令等に抵触する事態が発生した場合、当社グループの信用が失墜し、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 このため当社グループでは、電通グループの行動規範である「電通グループ行動憲章」および「暴力団等反社会的勢力排除に対しての基本方針」、ならびに当社グループの行動規範である「私たちの行動宣言」を採択し、会社法、金融商品取引法、個人情報保護法をはじめ各種法令等の遵守を最優先に事業を推進しております。また、全役員と従業員を対象とするコンプライアンス教育の実施や、公益通報者保護制度に基づく通報窓口の設置等の施策を通じ、法令遵守の徹底を図っております。 ヘ.M&A等の出資・投資に関するリスク 当社グループの事業成長を加速させる上で有効な手段となる場合や、市場における優位性の確立に資するなどの効果が見込める場合は、国内外の企業への出資や新規事業への投資を実施する場合があります。しかしながら、事業環境の著しい変化等により、事業計画どおりに遂行できなかった場合、当該投資が当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 このため当社グループでは、投資の実施にあたり、市場動向や顧客のニーズ、相手先企業の業績・財政状況、技術優位性等を確認し、事業性を十分に検討した上で実施すべく努めております。また、経営会議または取締役会の決議事項とされるものに関する事前審議機関として投資委員会を設置し、案件の審査、出資先の経営状況モニタリング、出資時の事業計画から乖離が出た場合の対策を講じる体制を構築しております。 ② その他重要リスクイ.顧客の経営方針転換等に関するリスク 社会や経済の情勢の変動等により顧客の情報化投資動向が急変した場合、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 このため当社グループでは、国内外の経済動向を注視するとともに、市場ニーズに適合する経営戦略の立案や新規ソリューションの開拓および開発等、適時対策を講じております。 ロ.提供サービスの競争力に関するリスク 情報サービス業界における顧客ニーズおよび情報技術の進化は激しく、新規参入業者も多く競争が激化しているため、急速な顧客ニーズの変化あるいは技術革新に対する当社グループの対応が遅れた場合、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 このため当社グループでは、積極的な研究開発の実施、グループ体制・組織の最適化、国内外の企業への出資や提携等の各種経営施策を通じ、市場ニーズに適合する経営戦略の立案や新規ソリューションの開拓および開発等、適時対策を講じております。また、生成AI等の最新技術を活用したソフトウェア製品の機能強化やサービスの拡充等により提供価値の向上に努めております。 ハ.仕入先・協力会社に関するリスク 当社グループは、業務の一部を外部の協力会社に委託しております。協力会社の人員の逼迫や委託単価が上昇するなどの場合、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。特に海外の協力会社への業務委託につきましては、海外現地における社会情勢により、予期せぬ状況が発生する可能性があります。また、当社グループが仕入販売しているソフトウェア商品および情報機器については、当該仕入先の経営方針および事業計画等が変更された場合、顧客に対する商品およびサービスの提供に支障が生じる可能性があります。 このため当社グループでは、業務委託先に対し、システム開発標準化や生産性向上等に共同で取り組むほか、提供価格への適正な転嫁や、協力会社の新規開拓など、コスト構造を最適化するための努力を継続的に推進することにより、収益性の維持・向上を図っております。また、商品の仕入先に対しては、共同で販売戦略を立案するなど、緊密な関係を維持するほか、国内外で最先端技術や競争力の高い商品・サービスを有した企業をいち早く発掘すべく継続的に努力しております。 ニ.知的財産に関するリスク 当社グループの提供するシステム、ソフトウェア製品、サービス等に対して第三者から知的財産権の侵害を理由とする訴訟提起または請求を受け、その結果当社グループが損害賠償を負担するほか、代替技術の開発のための費用が発生する可能性があります。また、当社グループ自身が保有する知的財産権についても、第三者からの侵害、生成AI等の技術の利用拡大による当社グループの技術・ノウハウの模倣、ソフトウェア製品における機能の模造・類似品の出現などにより、期待される収益が失われる可能性があります。 このため当社グループでは、第三者が保有する特許権、商標権などの調査や、プロジェクトからの各種相談対応、ガイドライン整備、教育研修等を通じて、知的財産権に対する従業員の意識向上に努めております。 ホ.研究開発投資に関するリスク 当社グループは、将来に向けた事業機会の創出および高付加価値ソリューションの提供を実現するため、研究開発へ積極的に投資することを経営戦略に掲げております。しかしながら、研究開発投資が計画どおり進まない場合、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 このため当社グループでは、製品・サービスにかかわる研究開発等の投資に関する審査機関として投資委員会を設置しており、当委員会を通じて、案件の審査・進捗確認、投資および回収状況の監視を行い、リスクの顕在化を未然に防ぐ体制を構築しております。 へ.気候変動に関するリスク 当社グループの気候変動リスクとしては、政策・法規制・技術・市場の変化が生じることに起因する移行リスクと、気候変動に起因する自然災害の増加等によるサービスの提供遅滞等が発生する物理的リスクがあり、これらへの対応が遅れた場合、経営成績および中長期的な企業価値に影響を及ぼす可能性があります。 このため当社グループは「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」のフレームワークに基づき、気候変動対策に関するガバナンスの強化や、リスク・機会の分析とその財務的な影響等を踏まえたシナリオ分析を進め、気候変動リスクへの対応に取り組んでおります。気候変動リスクによる財務的影響は、当社グループにおいては限定的であると分析しておりますが、さらにリスクを低減すべく、ISO14001に沿った環境マネジメントシステムの確実な運用を行うとともに、再生可能エネルギー比率の向上やカーボン・クレジット等の活用を通して、CO2排出量の削減を図ります。また同時に、気候変動対策に関連するビジネス機会の創出を目指し、脱炭素化・サーキュラーエコノミーの実現やESG経営を支援するソリューションの新規開発および提供にも取り組んでおります。 ト.株式会社電通グループとの資本関係について 株式会社電通グループは、当連結会計年度末現在、当社の発行済株式総数のうち61.8%を所有しています。 当社グループは、親会社グループとの事業シナジーを最大限に生かした事業運営に取り組んでおりますが、事業展開における業務執行上の重要事項については、独立社外取締役が過半数を占める取締役会にて合議の上決定します。上場会社としての自主性・独立性を確保しつつ、親会社グループと連携して事業成長・発展に努めることは、非支配株主の利益につながるものと認識しております。