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FY2025|13,263 文字
3【事業等のリスク】 当社グループは中長期に会社の業績に大きな影響を与えるマテリアリティ(重要課題)を抽出しています。マテリアリティについては、確実で効率的な対応を心がけつつ、2022年スタートの長期経営計画「DIC Vision 2030」(注1)における成長シナリオをイメージしながら事業の推進に役立てています。また、経営環境の変化やリスクの多様化に適切かつ柔軟に対応するとともに、潜在的なリスクが顕在化することによる事業への影響を速やかに最小限に抑えるため、リスクマネジメント活動を進めています。広範なリスクのうち、「外部環境リスク」、「コーポレートリスク」は当社グループのサステナビリティ活動の審議機関であるサステナビリティ委員会及び下部組織のリスクマネジメント部会で、「ビジネスリスク」については業務執行に係る重要な事項の審議機関である経営会議や執行会議など重要会議を通じて適切にモニタリングし、リスクが顕在化した場合の影響を低減するように各リスクに主管部署を定めてリスク対策を実施しています。 後述する重要な事業リスクについては、当社グループの事業活動におけるマテリアリティ(注2)をベースにリスクマネジメント部会で実施する調査結果を踏まえて、各リスクが顕在化した場合に、当社グループのビジネス及びステークホルダーに与え得る影響度合いを大、中、小に分類しています。 なお、将来に関する事項についての記載は、当連結会計年度末現在における判断に基づくものであり、また当社グループに関する全てのリスクを網羅したものではありません。 (注1)長期経営計画「DIC Vision 2030」の詳細は、以下をご覧ください。https://www.dic-global.com/pdf/ir/management/plan/DIC_Vision_2030_Phase2.pdf(注2)事業活動におけるマテリアリティの詳細は「2 サステナビリティに関する考え方及び取組」をご覧ください。 リスクマネジメント体制 リスクマネジメント活動の全体像 (1)重要な事業リスク 投資家の判断に重大な影響を及ぼす可能性のある当社グループのリスクは以下のとおりであると考えています。 これらの重要なリスクは、執行役員や本社管理部門の部長等を評価者としたリスクアセスメントにより、影響度、発生可能性、想定されるリスクシナリオ、その他の社内外の諸事情や要因を加味した上で、リスクマネジメント部会が重大リスクとして選定し、サステナビリティ委員会と取締役会での審議、確認を経て毎年特定しているものです。 一部については、積極的な情報開示の観点から、必ずしも重大な影響を及ぼすとまでは言えないリスクも記載しています。 掲載順序リスク分類リスク項目影響度発生可能性時期区分関連1外部環境需要の急減な変化や低迷に伴うリスク大中短~中①②③A・B2地政学に関するリスク大中不明①②他3金利・為替の急激な変動に起因するリスク大高短~中①③C4大地震発生に伴うリスク大中短~長①③他5環境・資源気候変動に伴う環境変化や社会変革への対応に関するリスク中中中~長①②③A・B6環境負荷低減の要請に関するリスク中中短~長①②③A・B7経営戦略・事業戦略買収戦略失敗のリスク大中短~中①②③A・B8事業ポートフォリオマネジメント失敗のリスク大中短~中①②③A・B9サプライチェーンに関するリスク中中短~長①②③A・B10管理・業務コンプライアンスに関するリスク大中不明②A・B・他11イノベーションの停滞・失敗のリスク中中中~長②③A・B・他12人材確保に関するリスク中高短~長②③A・B13品質問題発生のリスク中中不明②③A・B14サイバーセキュリティに関するリスク大中不明②B15知的財産に関するリスク中低不明①②③A・B 影響度(当連結会計年度末現在における各リスクが発現したときに起こり得る影響の大きさ)大:影響度が大きい 中:影響度が中程度 小:影響度が小さい 発生可能性(当連結会計年度末現在における各リスクが将来的に顕在化する可能性)高:可能性が高い 中:可能性が中程度 低:可能性が低い 時期(当連結会計年度末現在における各リスクが顕在化し得る時期やタイミング)長期:5年超 中期:概ね3~4年程度 短期:概ね2年以内不明:顕在化するタイミングが予想できない 区分(発生要因別の当社における管理上のリスク区分)①:発生防止を自社でコントロールできない外部環境リスク②:会社のマネジメントで発生防止対策を取り得るコーポレートリスク③:事業の中で認識すべきビジネスリスク 関連(長期経営計画「DIC Vision 2030」で定めた事業戦略との関連)A:成長実現に向けた事業ポートフォリオの変革B:グローバル経営、ESG経営及び安全経営を下支えする経営基盤の強化C:キャッシュ・フローマネジメント他:事業戦略の関係なし 1.外部環境に関するリスク(1) 需要の急激な変化や低迷に伴うリスク①リスクの内容・業績に与える影響の内容当社グループは、グローバルに事業を展開しており、世界の各地域、各国で需要急減、低迷長期化のリスクがあります。欧州経済や中国経済の低迷長期化等により、域内需要の減少に止まらず、世界同時不況に発展する可能性があります。また、先行きに対する不安や所得の伸び悩み等により、個人消費を中心に需要が急減し、需要の想定以上の抑制や回復の遅れが生じる可能性があります。新興国においては、政治や経済の混乱に起因した為替変動の拡大や通貨価値の下落等の可能性が想定されます。②当社グループの取組当社グループでは、インテリジェンス機能としてグローバルで政治・経済情勢を定期的にモニタリングし、地域ごと、需要業界ごとに事業環境の変化を把握しています。また各事業への影響と実行すべきアクションについての考察や経営改善の意思決定を定期的に行うとともに、必要に応じて地域ポートフォリオの見直しを行い、リスクの分散と低減に努めています。 (2) 地政学に関するリスク①リスクの内容・業績に与える影響の内容政治・社会情勢の著しい変化や、各種法規制・国際条約の変更等に関する予期せぬ事態が生じた場合、これらに起因して生じるコスト増、製品・原料の輸出入制限、送金停止、サプライチェーン分断等が、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。例えば、米中対立等を背景とした経済安全保障上の措置による製品・原料等の輸出入停止及び関税率アップに伴うコスト急増、渡航規制強化による適時適切な現地対応や人材配置の制限、あるいは中東における紛争・政治不安、その他政変・テロ・暴動等に起因するエネルギーや天然資源の価格高騰、物流の混乱等が挙げられます。②当社グループの取組当社グループでは、本社による全体的な管理に加え、地域統括会社による日常的な管理により、事業面及び機能面の双方で事業を展開する各国における様々なリスクをモニタリングしています。生産・販売面においては、事業部門を主体としたBCP(事業継続計画)の確立や原料の複数調達体制の構築を通じて、カントリーリスクへの対応に取り組んでいます。サプライチェーンの分断には、世界中に広がる当社グループのネットワークを有効活用することで、リスクを低減しています。加えて、人命・信用・資産等、各種経営資源の保全に向け、必要に応じて現地拠点とも協力しながらグループ全体での情報共有・対策立案・教育訓練にも取り組んでいます。 (3) 金利・為替の急激な変動に起因するリスク①リスクの内容・業績に与える影響の内容金融危機については、何らかの契機によってリスク資産が急落するとともに信用リスクが上昇した場合、まず社債・CP市場の機能不全から始まり、銀行が資産価格下落による自己資本比率低下から資金回収に転じることで、資金調達に支障が生じる可能性があります。為替については、金融市場の混乱から急激な円高が進行、輸出採算悪化や海外子会社収益の円換算額が減少し、業績に著しい影響を与えます。さらに為替換算調整勘定のマイナスが拡大し、純資産が棄損することで財務バランスが悪化する可能性があります。金利については、金利上昇によって支払利息が増加します。当社グループのグロス有利子負債は4千億円程度であり、金利が1%上昇することで、中期的に年間45億円程度の支払利息増加となるリスクがあります。②当社グループの取組金融危機対策としては、将来の資金需要を一定期間カバーする手元資金及びコミットメント空き枠を維持しています。また、資金調達に占める長期比率を8割程度としているほか、長期資金の期日分散化を図っています。為替、特に円高への対策としては、輸出入や配当等の決済における為替変動リスク低減のため、先物予約等を活用しています。また、為替リスク管理委員会でヘッジ方針を策定し、実施状況を適宜モニタリングしています。なお、対象となる通貨・金額は、ヘッジコストとヘッジ効果に鑑み、為替リスク管理委員会で総合的に判断しています。金利上昇対策としては、引き続きグループ運転資本の適正化に向け、事業部門ごとの年間目標を設定し、月次で進捗管理を実施するほか、現預金の圧縮による有利子負債調達の抑制によって金融収支改善を図っています。 (4) 大地震発生に伴うリスク①リスクの内容・業績に与える影響の内容当社グループは、国内外における事業継続を脅かす自然災害の発生を重要リスクとして認識しており、その中でも本社機能を有する日本での大地震発生は、事業継続に重大な影響を及ぼすと想定しています。南海トラフ地震が発生した場合、四日市工場、堺工場、滋賀工場、小牧工場、大阪支店、名古屋支店で震度6程度が予想され、堺工場や四日市工場では液状化現象が、本社のある東京でも津波発生の可能性があります。また、首都直下地震の場合、本社、東京工場、埼玉工場、千葉工場、総合研究所で震度6程度の地震発生の可能性があります。これらの事業所では、電力会社からの電力供給停止、配管ラインの損傷による工業用水の停止、ボイラー停止による蒸気停止、排水設備の損傷による排水停止等の可能性があります。生産設備は、配管ラインの破損と原材料の漏洩、地盤隆起による設備の傾斜、生産ライン中の異常反応、ユーティリティ供給停止による設備破損、通信不能によるDCS制御停止、津波による浸水等の可能性があります。人員面では、交通網遮断による帰宅・出社困難、厚生施設の機能停止、構内常駐協力会社の手配困難等の可能性があります。また、本社ビルは一時滞在施設に指定されているため、地域の帰宅困難者受入を図る必要があります。これらの結果、数週間から数ヶ月程度の生産停止、設備・機材・人員不足による復旧難航、原材料入荷や製品出荷の遅滞・停止等のほか、行政による安全検証作業のための事業活動停滞の可能性があります。②当社グループの取組(i) 当社グループでは、BCPの管理指標を見直し、国内外の事業環境を踏まえた事業継続体制の強化を進めています。また、災害時危機管理ポータル「DIC BCPortal」を活用し、災害発生時の情報収集・共有・連絡体制の強化、初動対応能力の向上を図っています。本社では、災害時の一斉帰宅抑制を想定した体制整備に加え、行政ガイドラインを踏まえた災害時帰宅困難者対策の強化として、備蓄物資の確保、地域連携体制の整備を進めています。(ii) 当社グループは事業のグローバル化が進展していることから、海外グループ会社におけるBCP水準のギャップ是正を重要な課題として認識しています。2025年度より海外拠点へのBCP展開を開始しており、地政学リスクを含む地域特性を踏まえながら、事業継続体制の整備を推進しています。 2.環境・資源に関するリスク(1) 気候変動に伴う環境変化や社会変革への対応に関するリスク①リスクの内容・業績に与える影響の内容当社グループは2021年6月より「DIC NET ZERO 2050」として、「2030年CO2排出量の50%削減(2013年度比)」と「2050年カーボンネットゼロの実現」を長期目標に掲げています。この目標を達成するための活動において、以下をリスクと捉えています。a.排出権取引、化石燃料賦課金等の諸政策実施に伴って原料価格や電力価格が上昇した場合、収益が低下する可能性があります。b.CO2排出量削減の社会的要求や顧客ニーズに極端な変化が生じた場合、既存事業の縮小・撤退や新規投資案件の中止も検討せざるを得なくなる可能性があります。c.循環型社会に向けた急激な需要変化に対応できない場合、収益の低下や既存事業からの撤退を余儀なくされる可能性があります。d.異常気象による気象災害の深刻化・頻発化が事業所の稼働停止や原料調達の不安定化につながった場合、収益が低下する可能性があります。e.国際的に情報開示に対する要求が厳しくなっている中、不適切な情報開示を行った場合、レピュテーションが毀損したり、グリーンウォッシュ訴訟を提起されたりする可能性があります。②当社グループの取組(i) 当社グループは、積極的な環境投資と省エネ施策の推進を通じてCO2排出削減に取り組んでいます。当社グループで統一した製品カーボンフットプリント(PCF)算出のガイドラインを策定し、製品のPCF算定を実施しています。このガイドラインについて、国際規格ISO 14067:2019及び「TfS PCF ガイドライン」などに準拠していることを証明する第三者認証を取得し、2025年11月に広報しました。2025年1月からは、サステナビリティ委員会の下部組織として気候変動部会を設置し、グループ目標として相応しいCO2排出削減目標とそれを達成するための計画を策定しています。また、気候変動による需要の変化に的確に対応すべく、脱炭素社会に向けた5R(Reuse, Reduce, Renew, Recycle, Redesign)のグループ定義を掲げ、サーキュラーエコノミーを含めた製品・サービスの開発を進めています。物理的リスクに対しては、重要原料の供給対策も含むBCPの策定を進めているほか、沿岸立地事業所の気象災害リスクへの対策強化にも努めています。(ii) 確度の高い情報収集とグループ内での情報共有により、高度な情報開示要求に対し、グリーンウォッシュのような事態に陥ることなく、グループ全体の情報の適切な開示に努めています。 (2) 環境負荷低減の要請に起因するリスク①リスクの内容・業績に与える影響の内容当社グループには、生産活動を通じて様々な環境負荷が発生するリスクがあります。具体的な環境負荷としては、大気汚染物質や水質汚濁物質、産業廃棄物、プラスチック廃棄物が挙げられます。a.通常は環境負荷の排出を一定レベルに抑えていますが、トラブル等によって環境負荷物質を想定以上に排出してしまった場合、その回収コストの負担や損害賠償責任が発生する可能性があります。b.環境負荷に対する環境規制の強化、業界基準の変更、さらには社会的要請等に適切に対応できなかった場合、生産を継続することができなくなる可能性があります。また、社会情勢の変化に伴う製品要求性能の急変に対応できなかった場合、事業収益の低下や事業継続の可否に関わるリスクが顕在化する可能性もあります。②当社グループの取組(i) 当社グループは、生産と事業の両面から環境負荷の低減に努めています。生産面においては、生産拠点所在地における環境負荷低減に関連する様々な法令や規制の遵守はもとより、具体的な削減目標を定めた上で定期的に環境負荷データをモニタリングして、新たに発生する環境負荷物質の削減に努めています。また、トラブルに対しては、緊急事態に対応したマニュアルを整備し、環境負荷物質の排出を最小限に抑える体制をとっています。同時に、社会的変化に対応すべく環境保護設備の積極的な導入に努めています。(ii) 事業活動においても、製品の環境負荷低減を図りながら、地球環境と社会課題に貢献できるよう努めています。具体的には、バイオベース材料やマスバランス方式原料の採用、製品の再利用や再商品化、ケミカルリサイクルあるいはマテリアルリサイクルを含めたサーキュラーエコノミーを視野に入れた製品、サービスの開発及び普及に取り組んでいます。 3.経営戦略・事業戦略に関するリスク(1) 買収戦略失敗のリスク①リスクの内容・業績に与える影響の内容当社グループは、事業ポートフォリオ変革のため、企業買収や資本提携を積極的に実施しています。当社グループが実施する統合・協業が不十分又は想定どおり進まない場合、当初計画していた効果が得られないため、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。②当社グループの取組当社グループでは、設定した指標に基づいて投資判断を行うとともに、自社による調査のほか、外部機関も活用して徹底したデューデリジェンスを行ってリスクを事前に洗い出し、対策を講じています。買収後はグループ一体となったPMI(統合活動)の推進やシナジーの実現に向けたアクションを実施することにより、リスク低減に取り組んでいます。また、買収後に業績不振に陥ったときは、グループ一体となって構造改革や効率化の取組みをスピードアップし、収支構造の改善に取り組んでいます。 (2) 事業ポートフォリオマネジメント失敗のリスク①リスクの内容・業績に与える影響の内容長期経営計画「DIC Vision 2030」のPhase2(2026-2030)では、社会課題を解決し、社会の持続的繁栄に貢献する重点事業領域に経営資源を集中させることで事業ポートフォリオの変革に取り組んでいます。事業ポートフォリオの変革に遅れが生じた場合、硬直化によって成長が鈍化した場合、及び製品ライフサイクルに伴い成熟事業の収益性が徐々に低下した場合には、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。②当社グループの取組当社グループは、長期経営計画「DIC Vision 2030」において、持続的成長と稼ぐ力を備えた事業ポートフォリオの構築に取り組んでいます。また、当社グループの事業戦略にそぐわない低収益事業の縮小・撤退の基準を設けて定期レビューを行うとともに、取締役会及び執行会議では長期経営計画で定めた事業戦略の進捗を定期的に確認し、事業環境に応じて施策を更新、追加しています。長期的計画を確実に実現させるため、2025年までの前半の4年間(Phase1)を「DIC Vision 2030」の目指す姿を実現するための基盤づくりの期間、2030年までの後半の5年間(Phase2)を目指す姿を実現して展開する期間と位置づけています。Phase2では、中核事業(インキ・パッケージ材料、顔料、ポリマ)の質的転換により収益力の強化を図ると共に、ケミトロニクス、コンポジット/デバイス事業を成長事業と位置づけ、主に当社の経営資源を活かせる半導体、バッテリー、フィジカルAIなどのAI関連事業において素材及びソリューションを提供してまいります。これらにより社会の持続的繁栄に貢献する事業ポートフォリオを構築し、引き続き「DIC Vision 2030」の目指す姿の実現に取り組んでいきます。 (3) サプライチェーンに関するリスク①リスクの内容・業績に与える影響の内容当社グループは、短期及び中長期的な視点で原料の安価・安定調達に加え、持続可能なサプライチェーンの構築、原料調達の実現に向けた取組みを推進しています。本件に関するリスクとして、国際商品市況の影響による原料価格上昇、原料サプライヤーの事故・トラブル・自然災害等を起因とした需給バランスの変動、その他の事情に伴う物流混乱、化学物質に関する法規制・業界規制の強化等によって原料の調達が困難になる場合、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。また中長期的観点では、サステナビリティ活動への取組みが不十分なサプライヤーからの原料調達は、供給の不安定化に加え、サプライチェーン全体の価値低下やそれに伴う顧客等からの信用失墜につながり、当社グループの事業継続に支障を来たす可能性があります。②当社グループの取組(i) 当社グループは、複数購買・契約購買・代替原料の導入等を通じ、原料コストの削減や調達リスクの低減を図り、安価で安定した調達を目指しています。また、中長期的観点では、環境負荷低減や人権尊重を始めとしたサステナビリティ活動全般への取組みをサプライヤーに要請するとともに、外部評価機関や自社製アンケートを使用した活動状況の調査及び改善啓発を行い、持続可能な原料調達の実現を目指しています。(ii) これらの取組みを通じた製品の供給安定化や品質安定化、健全化により顧客からの信頼確保を図るとともに、収益性を確保するための適切かつ計画的な価格設定等にも努めています。 4.管理・業務に関するリスク(1) コンプライアンスに関するリスク①リスクの内容・業績に与える影響の内容当社グループは、世界各国で事業活動を行っており、商取引、安全、環境や化学物質等に関する様々な法規制の適用を受けています。法規制等に違反した場合、事業の停止命令や罰金が課され、又は損害賠償責任が発生し、当社グループの業績や財務状況に影響を与えるだけでなく、社会的信用の失墜にもつながる可能性があります。②当社グループの取組(i) 当社グループでは、法規制のほか、ビジネスを実践する上で遵守すべきコンプライアンスに関する基準として「DICグループ行動規範」を定めています。社長は、役員を含む全社員に向けて、コンプライアンスの重要性や、ビジネスよりもコンプライアンスが優先すべき価値であることを折に触れて自らの言葉で発信しています。全社員は、具体的事例を取り上げたeラーニングや研修によって、その認識を深めています。さらに、コンプライアンス上の疑問を持った場合に相談できる体制を整備し、内部通報制度の活用や担当部署から独立した部署による監査・調査等を通じ、コンプライアンス違反があった場合の早期発見、早期是正を図っています。また、相談を行った者や調査等に協力した者に報復することは禁じられており、「DICグループ行動規範」に対する重大な違反となります。(ii) 法規制変更時の周知徹底、化学物質情報管理システムの運用徹底・DX(デジタルトランスフォーメーション)化や効率化、デザインレビューの運用徹底等、あらゆる段階でコンプライアンスリスクの低減に必要な対策を講じています。 (2) イノベーションの停滞・失敗のリスク①リスクの内容・業績に与える影響の内容当社グループは、環境面における社会変革への対応が非常に重要と捉え、「グリーン社会、デジタル社会、QOL社会」に貢献する製品開発をグループ一丸となって取り組んでいます。同時に、急速に進展するデジタルテクノロジーの活用、DX推進に遅れを取らないように対策を進めています。しかしながら、当社グループのイノベーションが停滞して社会要請に応える製品を開発・上市できない場合、成長が鈍化する可能性があります。②当社グループの取組(i) 当社グループは、保有する既存の基盤技術に加え、無機材料やバイオに関する新しい基盤技術を活用して、グリーン社会に貢献する次世代向けパッケージ、デジタル社会に貢献する高速通信関連材料、環境に配慮した非PFAS素材、QOL社会に貢献する高機能ニュートリション等、様々な市場やニーズに応じたサステナブル製品の開発を進めています。技術部門では、開発テーマの審査体制とリソース運用ルールを整備し、技術部門のアイディエーション促進及び社内外連携の仕組みを強化しています。CVC(Corporate Venture Capital)を通じ重点領域の投資方針を策定し、DS活用拡大とAI/MI基盤の将来像を構築しています。また、タウンミーティングにより業務負荷を把握し業務効率化策、改善策に取り組んでいます。(ii) 生産技術部門においても、工場のスマート化に向けた生産技術のDX推進に精力的に取り組んでいます。 (3) 人材確保に関するリスク①リスクの内容・業績に与える影響の内容先進国を中心に少子化に起因した労働人口減少が進む中、期待水準を満たす人材の獲得が困難になるとともに、人材獲得競争が激化しています。また、労働市場の流動化が高まる中、社員から見た当社の魅力が相対的に落ちた場合、優秀人材の離職が進むことで事業継続が困難になる可能性があります。②当社グループの取組(i) 日本においては、新卒採用は広報活動強化により企業認知度を向上させ、ターゲット層の掘り起こしを図っています。初任給水準を含む賃金設定の柔軟化も検討しています。キャリア採用は、スペシャリストや嘱託等の柔軟な処遇体系の設定に加え、アルムナイ、リファラル採用の開設・定着を図る等、多様な採用チャネルを活用しています。また、日本国内のグループ会社とは採用ツールの共通化や採用ノウハウの共有にも取り組んでいます。海外各地域における採用活動の実態も把握しており、グローバルHR会議で課題を設定しながら今後も取組みを強化していきます。海外グループ各社のニーズがあれば、ブランディング、採用ツール、採用ノウハウ面でもグローバル共通の取組みに着手していきます。リテンションの面において、日本ではエンゲージメントサーベイを実施していますが、調査→分析→対策策定→実施のPDCAをさらに磨いていきます。海外でも中国などサーベイを展開している拠点もあり、今後はグローバルでの合同実施も検討していきます。(ii) 優秀人材確保は普遍的課題であり、特に日本においては、採用力の強化、エンゲージメントの向上、日本人に頼らない仕組み作りを優先事項としています。 (4) 品質問題発生のリスク①リスクの内容・業績に与える影響の内容当社グループの製品又は業務プロセスにおいて、欠陥、不正もしくは偽装等が疑われる事象が発生した場合、あるいは重大なクレーム又は製造物責任(PL)に係る問題が発生した場合には、製品回収、損害賠償の負担、行政当局又は第三者機関による措置その他の対応を求められる可能性があります。これらの対応に伴い、生産活動の停止、製品出荷の中断等が生じた場合には、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼすおそれがあります。さらに、当該事象の発生は、当社グループの社会的信用を毀損し、中長期的な事業運営、取引関係及び企業価値に影響を与える可能性があります。②当社グループの取組(i) 当社グループでは、年度計画に基づき各製造拠点において品質監査を実施し、品質管理システムが適切且つ有効に管理され、社会及び事業環境の変化に対応した運用が確保されていることを確認しています。品質監査においては、実態確認に基づく改善・是正要求及びその対応に加え、その後のフォローアップを確実に行うことにより、ルール及び業務プロセスの運用の改善に取り組んでいます。(ii) 当社グループでは、品質に係る教育・啓発を通じた品質文化の醸成を重要な取組みとして位置づけ、「品質コンプライアンスに関するe-ラーニング」のほか、関係会社社長や営業部署への品質教育などを継続的に実施しています。これらの取組みにより、品質に関する役割・責任の理解を深めるとともに、適切な判断及び行動の定着を図っています。なお、教育施策の実施状況については、受講状況等を把握し、必要に応じて内容の見直し・改善を行うことで、教育の有効性向上に努めています。 (5) サイバーセキュリティに関するリスク①リスクの内容・業績に与える影響の内容懸念される重大リスクシナリオとして、ランサムウェア等のサイバー攻撃により、外部の攻撃者が当社グループネットワークに不正侵入し、社内サーバー等を乗っ取って重要機密情報を含むデータを窃取、暗号化することが想定されます。当社グループがインシデント対応手順を誤って被害の拡大を招くと、各種ITシステムが長期間にわたり使用できなくなる可能性があります。また、当社グループの従業員や元従業員による重要機密情報の不正な持ち出し・持ち込み、あるいは改竄・破壊・不正利用等の内部不正行為も想定されます。さらに、急速に業務適用が進展する生成AIにも不適切利用に関するセキュリティリスクがあります。生成AIの不適切利用としては、社外の生成AIに不用意に入力した当社グループの機密情報が学習データに利用されて外部公開される、又は、生成物に含まれる第三者の著作物をそれと気づかず対外利用してしまうということが想定されます。これらのリスクが発現した場合、業務プロセス、生産ライン、サプライチェーン、デジタルエコシステム等が中断・停止され、当社グループの事業活動や収益だけでなく、顧客や取引先、地域社会にも多大な影響を与えてしまいます。さらに、重要技術情報等の外部漏洩が生じた場合、当社グループの技術的優位性の喪失、新製品開発の遅延、市場での競争力低下等をもたらします。また、財務データが破壊・改竄されると、財務報告の誤りや不正確な情報公表につながり、投資家の信頼を失うことにもなります。これらの結果として、短期・長期での企業競争力低下、会社のブランドイメージ棄損、顧客や社会からの信頼喪失等を惹起するほか、損害賠償を含む法的対応の義務が生じる可能性もあります。②当社グループの取組(i) 当社グループでは、国内外グループ会社におけるITインフラのセキュリティ対策強化、実践的インシデント対応力強化、従業員のセキュリティ意識向上、生成AI利用ガイドラインなど、ITセキュリティに関するガイドラインの継続的な更改の浸透を図っています。(ii) 第三者セキュリティアセスメント及び侵入テスト結果に基づく対策の実施、各種訓練や啓発活動も計画的かつ継続的に実施しており、リスクは確実に低減しています。 (6) 知的財産に関するリスク①リスクの内容・業績に与える影響の内容当社グループは、事業活動の中で生み出される新たな技術やノウハウを保護するため、知的財産権の取得に努めています。一方、他社の権利を侵害しないよう適切な対応を講じ、第三者の正当な知的財産権を尊重した事業活動を行っています。しかしながら、権利の解釈や見解の相違等により、知的財産に関する紛争が発生した場合、製品開発や販売の停止、損害賠償金の発生等により、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。また、当社グループが保有する技術情報やノウハウが不測の事態により外部に流出した場合、当社グループ製品の模倣品や類似品が流通し、製品の競争力が失われ、事業収益に影響を与える可能性があります。その他、第三者が当社グループのロゴや商標を不当に使用して類似品や劣化品を市場に流通させることで、当社グループの業績への影響やブランド毀損が生じる可能性があります。②当社グループの取組(i) 当社グループでは、製品開発の各ステージにおいて、第三者の知的財産権の侵害予防調査を実施し、知的財産部門に在籍する弁理士や、国内外の特許事務所及び法律事務所の弁理士、弁護士による判断のもと、第三者の正当な知的財産権を尊重した製品化を行っています。万一、知的財産に関する紛争が発生した場合にも、事案に応じて社内外の弁理士、弁護士が適切に連携して対応できる体制をとっています。また、当社グループでは、「情報セキュリティに関する方針」のもと、「機密情報管理規程」を制定し、技術情報等を厳格に管理しています。外部への技術情報の開示に際しては、学会発表や展示会への出展等、開示形態に応じた監視体制を整え、機密情報の漏洩を防止しています。(ii) 当社グループのロゴや商標の不当使用に対しては、電子商取引サイトの監視や商標データベース調査により、当社グループのロゴや商標の不正使用、悪質な類似商標出願を確認した場合には、電子商取引サイトの出店差し止め請求や、類似商標の登録防止措置を講じています。
FY2024|12,912 文字
3【事業等のリスク】 当社グループは中長期に会社の業績に大きな影響を与えるマテリアリティ(重要課題)を抽出しています。マテリアリティについては、確実で効率的な対応を心がけつつ、2022年スタートの長期経営計画「DIC Vision 2030」(注1)における成長シナリオをイメージしながら事業の推進に役立てています。また、経営環境の変化やリスクの多様化に適切かつ柔軟に対応するとともに、潜在的なリスクが顕在化することによる事業への影響を速やかに最小限に抑えるため、リスクマネジメント活動を進めています。広範なリスクのうち、「外部環境リスク」、「コーポレートリスク」は当社グループのサステナビリティ活動の審議機関であるサステナビリティ委員会及び下部組織のリスクマネジメント部会で、「ビジネスリスク」については業務執行に係る重要な事項の審議機関である執行会議など重要会議を通じて適切にモニタリングし、リスクが顕在化した場合の影響を低減するように各リスクに主管部署を定めてリスク対策を実施しています。 後述する重要な事業リスクについては、当社グループの事業活動におけるマテリアリティ(注2)をベースにリスクマネジメント部会で実施する調査結果を踏まえて、各リスクが顕在化した場合に、当社グループのビジネス及びステークホルダーに与え得る影響度合いを大、中、小に分類しています。なお、将来に関する事項についての記載は、当連結会計年度末現在における判断に基づくものであり、また当社グループに関する全てのリスクを網羅したものではありません。 (注1)長期経営計画「DIC Vision 2030」の詳細は、以下をご覧ください。https://www.dic-global.com/pdf/ir/management/plan/DIC_Vision_2030.pdfhttps://www.dic-global.com/pdf/ir/management/plan/Revision_%20DIC_Vision_2030_ja.pdf(注2)事業活動におけるマテリアリティの詳細は、本報告書「2 サステナビリティに関する考え方及び取組」をご参照ください。 リスクマネジメント体制 リスクマネジメント活動の全体像 (1)重要な事業リスク 投資家の判断に重大な影響を及ぼす可能性のある当社グループのリスクは以下のとおりであると考えています。 これらの重要なリスクは、執行役員や本社管理部門の部長等を評価者としたリスクアセスメントにより、影響度、発生可能性、想定されるリスクシナリオ、その他の社内外の諸事情や要因を加味した上で、リスクマネジメント部会が重大リスクとして選定し、サステナビリティ委員会と取締役会での審議、確認を経て毎年特定しているものです。 一部については、積極的な情報開示の観点から、必ずしも重大な影響を及ぼすとまでは言えないリスクも記載しています。 掲載順序リスク分類リスク項目影響度発生可能性時期区分関連1外部環境需要の急減な変化や低迷に伴うリスク大中短~中①②③A・B2地政学に関するリスク大中不明①②他3金利・為替の急激な変動に起因するリスク大中短~中①③C4大地震発生に伴うリスク大中短~長①③他5環境・資源気候変動に伴う環境変化や社会変革への対応に関するリスク中中中~長①②③A・B6環境負荷低減の要請に関するリスク中中短~長①②③A・B7経営戦略・事業戦略買収戦略失敗のリスク大中短~中①②③A・B8事業ポートフォリオマネジメント失敗のリスク大中短~中①②③A・B9サプライチェーンに関するリスク中中短~長①②③A・B10管理・業務コンプライアンスに関するリスク大中不明②A・B・他11イノベーションの停滞・失敗のリスク大中中~長②③A・B・他12人材確保に関するリスク中高短~長②③A・B13品質問題発生のリスク中中不明②③A・B14サイバーセキュリティに関するリスク中中不明②B15知的財産に関するリスク中低不明①②③A・B 影響度(当連結会計年度末現在における各リスクが発現したときに起こり得る影響の大きさ)大:影響度が大きい 中:影響度が中程度 小:影響度が小さい 発生可能性(当連結会計年度末現在における各リスクが将来的に顕在化する可能性)高:可能性が高い 中:可能性が中程度 低:可能性が低い 時期(当連結会計年度末現在における各リスクが顕在化し得る時期やタイミング)長期:5年超 中期:概ね3~4年程度 短期:概ね2年以内不明:顕在化するタイミングが予想できない 区分(発生要因別の当社における管理上のリスク区分)①:発生防止を自社でコントロールできない外部環境リスク②:会社のマネジメントで発生防止対策を取り得るコーポレートリスク③:事業の中で認識すべきビジネスリスク 関連(長期経営計画「DIC Vision 2030」で定めた事業戦略との関連)A:成長実現に向けた事業ポートフォリオの変革B:グローバル経営、ESG経営及び安全経営を下支えする経営基盤の強化C:キャッシュフローマネジメント他:事業戦略の関係なし 1.外部環境に関するリスク(1) 需要の急激な変化や低迷に伴うリスク①リスクの内容・業績に与える影響の内容当社グループは、グローバルに事業を展開しており、世界の各地域、各国で需要急減、低迷長期化のリスクがあります。欧州経済や中国経済の低迷長期化等により、域内需要の減少に止まらず、世界同時不況に発展する可能性があります。また、先行きに対する不安や所得の伸び悩み等により、個人消費を中心に需要が急減し、深刻なデフレの再来や長期化の可能性があります。新興国においては、政治や経済の混乱に起因した通貨暴落等、通貨危機の可能性が想定されます。②当社グループの取組当社グループでは、インテリジェンス機能としてグローバルで政治・経済情勢を定期的にモニタリングし、地域ごと、需要業界ごとに事業環境の変化を把握しています。また四半期事業検討会や予算・ローリング検討会等を通じて、各事業への影響と実行すべきアクションについての考察や経営改善の意思決定を行うとともに、必要に応じて地域ポートフォリオの見直しを行い、リスクの分散と低減に努めています。 (2) 地政学に関するリスク①リスクの内容・業績に与える影響の内容政治・社会情勢の著しい変化や、各種法規制・国際条約の変更等に関する予期せぬ事態が生じた場合、これらに起因して生じるコスト増、製品・原料の輸出入制限、送金停止、サプライチェーン分断等が、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。例えば、米中対立による製品・原料等の輸出入停止及び関税率アップに伴うコスト急増、渡航規制強化による適時適切な現地対応や人材配置の制限、あるいは中東における紛争・政治不安、その他政変・テロ・暴動等に起因するエネルギーや天然資源の価格高騰、物流の混乱等が挙げられます。②当社グループの取組当社グループでは、本社による全体的な管理に加え、地域統括会社による日常的な管理により、事業面及び機能面の双方で事業を展開する各国における様々なリスクをモニタリングしています。生産・販売面においては、事業部門を主体としたBCP(事業継続計画)の確立や原料の複数調達体制の構築を通じて、カントリーリスクへの対応に取り組んでいます。サプライチェーンの分断には、世界中に広がる当社グループのネットワークを有効活用することで、リスクを低減しています。加えて、人命・信用・資産等、各種経営資源の保全に向け、必要に応じて現地拠点とも協力しながらグループ全体での情報共有・対策立案・教育訓練にも取り組んでいます。 (3) 金利・為替の急激な変動に起因するリスク①リスクの内容・業績に与える影響の内容金融危機については、何らかの契機によってリスク資産が急落するとともに信用リスクが上昇した場合、まず社債・CP市場の機能不全から始まり、銀行が資産価格下落による自己資本比率低下から資金回収に転じることで、資金調達に支障が生じる可能性があります。為替については、金融市場の混乱から急激な円高が進行、輸出採算悪化や海外子会社収益の円換算額が減少し、業績に著しい影響を与えます。さらに為替換算調整勘定のマイナスが拡大し、純資産が棄損することで財務バランスが悪化する可能性があります。金利については、金利上昇によって支払利息が増加します。当社グループのグロス有利子負債は5千億円程度であり、金利が1%上昇することで、中期的に年間50億円程度の支払利息増加となるリスクがあります。②当社グループの取組金融危機対策としては、将来の資金需要を一定期間カバーする手元資金及びコミットメント空き枠を維持しています。また、資金調達に占める長期比率を8割程度としているほか、長期資金の期日分散化を図っています。為替、特に円高への対策としては、輸出入や配当等の決済における為替変動リスク低減のため、先物予約等を活用しています。また、為替リスク管理委員会でヘッジ方針を策定し、実施状況を適宜モニタリングしています。エクスポージャーが大きなドル・ユーロについては、100百万ドル及び100百万ユーロの純投資ヘッジを実施しました。なお、対象となる通貨・金額は、ヘッジコストとヘッジ効果に鑑み、為替リスク管理委員会で総合的に判断しています。金利上昇対策としては、引き続きグループ運転資本の適正化に向け、事業部門ごとの年間目標を設定し、月次で進捗管理を実施するほか、現預金の圧縮による有利子負債調達の抑制によって金融収支改善を図っています。 (4) 大地震発生に伴うリスク①リスクの内容・業績に与える影響の内容特に、本社機能がある日本での大地震発生を想定しています。南海トラフ地震が発生した際の災害状況としては、四日市工場、堺工場、滋賀工場、小牧工場、大阪支店で震度6程度が予想され、本社のある東京でも2~3mの津波が発生する可能性があるほか、堺工場や四日市工場では液状化現象が発生する可能性もあります。また、首都直下地震の場合、本社で震度6強、東京工場、千葉工場、総合研究所、鹿島工場で震度5弱の地震発生の可能性があります。これらの事業所では、電力会社からの供給停止、配管ラインの損傷による工業用水の停止、ボイラー停止による蒸気停止、排水設備の損傷による排水停止等の可能性があります。生産設備は、配管ラインの破損と原材料の漏洩、地盤の隆起による設備の傾斜、生産ライン中の異常反応、ユーティリティ供給停止による設備破損、通信不能によるDCS制御停止、津波による浸水等の可能性があります。人員面では、交通網遮断による帰宅・出社困難、厚生施設の機能停止、構内常駐協力会社の手配困難等の可能性があります。また、本社ビルは一時滞在施設に指定されているため、地域の帰宅困難者受入を図る必要があります。これらの結果、数週間から数ヵ月程度の生産停止、設備・機材・人員不足による復旧工事難航、原材料入荷や製品出荷の遅滞・停止等のほか、行政による安全検証作業のための事業活動停滞の可能性があります。②当社グループの取組(i) 当社グループでは、BCPの管理指標を見直し、海外グループ会社への展開も進めながら、より実効性を向上させるよう取り組んでいます。また、災害発生時専用ポータルである「DIC BCPortal」を構築し、その運用や必要な訓練を進めています。本社では、地域の帰宅困難者等への適切な対応や一斉帰宅抑制の対応を想定した体制整備も進めています。(ii) 大地震発生リスク自体の大きさは変わっていませんが、事業環境や地域事情等の違いから、BCPに関する海外と日本とのギャップは大きいため、グローバルに事業を展開している当社グループにとって、地政学リスクも考慮するとリスクが増大している側面もあります。 2.環境・資源に関するリスク(1) 気候変動に伴う環境変化や社会変革への対応に関するリスク①リスクの内容・業績に与える影響の内容当社グループは2021年6月より「DIC NET ZERO 2050」として、「2030年CO2排出量の50%削減(2013年度比)」と「2050年カーボンネットゼロの実現」を長期目標に掲げています。この目標を達成するための活動において、以下をリスクと捉えています。a.排出権取引、化石燃料賦課金等の諸政策実施に伴って原料価格や電力価格が上昇した場合、収益が低下する可能性があります。b.CO2排出量削減の社会的要求や顧客ニーズに極端な変化が生じた場合、既存事業の縮小・撤退や新規投資案件の中止も検討せざるを得なくなる可能性があります。c.循環型社会に向けた急激な需要変化に対応できない場合、収益の低下や既存事業からの撤退を余儀なくされる可能性があります。d.異常気象による気象災害の深刻化・頻発化が事業所の稼働停止や原料調達の不安定化につながった場合、収益が低下する可能性があります。e.国際的に情報開示に対する要求が厳しくなっている中、不適切な情報開示を行った場合、レピュテーションが毀損したり、グリーンウォッシュ訴訟を提起されたりする可能性があります。②当社グループの取組(i) 当社グループは、積極的な環境投資と省エネ施策の推進を通じてCO2排出削減に取り組んでいます。当社グループで統一した製品カーボンフットプリント(PCF)算出のガイドラインを策定し、製品のPCF算定を実施しています。2024年はアジアパシフィック地域、中国地域の製品の算定を開始しました。2025年1月には、サステナビリティ委員会の下部組織として気候変動部会を設置しました。グループ目標として相応しいCO2排出削減目標とそれを達成するための計画を策定していきます。また、気候変動による需要の変化に的確に対応すべく、脱炭素社会に向けた5R(Reuse, Reduce, Renew, Recycle, Redesign)のグループ定義を掲げ、サーキュラーエコノミーを含めた製品・サービスの開発を進めています。物理的リスクに対しては、重要原料の供給対策も含むBCPの策定を進めているほか、沿岸立地事業所の気象災害リスクへの対策強化にも努めています。(ii) 確度の高い情報収集とグループ内での情報共有により、高度な情報開示要求に対し、グリーンウォッシュのような実態に陥ることなく、グループ全体の情報の適切な開示に努めています。 (2) 環境負荷低減の要請に起因するリスク①リスクの内容・業績に与える影響の内容当社グループには、生産活動を通じて様々な環境負荷が発生するリスクがあります。具体的な環境負荷としては、以下のような大気汚染物質や水質汚濁物質、産業廃棄物、プラスチック廃棄物が挙げられます。a.通常は環境負荷の排出を一定レベルに抑えていますが、トラブル等によって環境負荷物質を想定以上に排出してしまった場合、その回収コストの負担や損害賠償責任が発生する可能性があります。b.環境負荷に対する環境規制の強化、業界基準の変更、さらには社会的要請等に適切に対応できなかった場合、生産を継続することができなくなる可能性があります。また、社会情勢の変化に伴う製品要求性能の急変に対応できなかった場合、事業収益の低下や事業継続の可否に関わるリスクが顕在化する可能性もあります。②当社グループの取組(i) 当社グループは、生産と事業の両面から環境負荷の低減に努めています。生産面においては、生産拠点所在地における環境負荷低減に関連する様々な法令や規制の遵守はもとより、具体的な削減目標を定めた上で定期的に環境負荷データをモニタリングして、環境負荷物質の削減に努めています。また、トラブルに対しては、緊急事態に対応したマニュアルを整備し、環境負荷物質の排出を最小限に抑える体制をとっています。同時に、社会的変化に対応すべく環境保護設備の積極的な導入に努めています。(ii) 事業活動においても、製品の環境負荷低減を図りながら、地球環境と社会課題に貢献できるよう努めています。具体的には、バイオベース材料やマスバランス方式原料の採用、製品の再利用や再商品化、ケミカルリサイクルあるいはマテリアルリサイクルを含めたサーキュラーエコノミーを視野に入れた製品、サービスの開発及び普及に取り組んでいます。 3.経営戦略・事業戦略に関するリスク(1) 買収戦略失敗のリスク①リスクの内容・業績に与える影響の内容当社グループは、事業ポートフォリオ変革のため、企業買収や資本提携を積極的に実施しています。当社グループが実施する統合・協業が不十分又は想定どおり進まない場合、当初計画していた効果が得られないため、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。②当社グループの取組当社グループでは、設定した指標に基づいて投資判断を行うとともに、自社による調査のほか、外部機関も活用して徹底したデューデリジェンスを行ってリスクを事前に洗い出し、対策を講じています。買収後はグループ一体となったPMI(統合活動)の推進やシナジーの実現に向けたアクションを実施することにより、リスク低減に取り組んでいます。また、買収後に業績不振に陥ったときは、グループ一体となって構造改革や効率化の取組みをスピードアップし、収支構造の改善に取り組んでいます。 (2) 事業ポートフォリオマネジメント失敗のリスク①リスクの内容・業績に与える影響の内容長期経営計画「DIC Vision 2030」では、社会課題を解決し、社会の持続的繁栄に貢献する5つの重点事業領域を定め、そこに経営資源を集中させることで事業ポートフォリオの変革に取り組んでいます。事業ポートフォリオの変革に遅れが生じた場合、硬直化によって成長が鈍化した場合、及び製品ライフサイクルに伴い成熟事業の収益性が徐々に低下した場合には、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。②当社グループの取組当社グループは、長期経営計画「DIC Vision 2030」において、サステナブルエネルギー領域、ヘルスケア領域、スマートリビング領域、カラーサイエンス領域、サステナブルパッケージ領域を5つの重点事業領域として定め、成果創出に注力しています。また、当社グループの事業戦略にそぐわない低収益事業の縮小・撤退の基準を設けて定期レビューを行うとともに、取締役会及び執行会議では長期経営計画で定めた事業戦略の進捗を定期的に確認し、事業環境に応じて施策を更新、追加しています。長期的計画を確実に実現させるため、2025年までの前半の4年間は「DIC Vision 2030」の目指す姿を実現するための基盤づくりの期間、2030年までの後半の5年間を目指す姿を実現して展開する期間と位置づけています。これまでの成果と課題を踏まえ、早期かつ確実に成果を得られる施策を絞り込み、メリハリのある経営資源配分を徹底します。また、短期的にはケミトロニクスを中核としたスマートリビング領域にリソースを集中し、次世代・成長事業の早期創出を目指します。さらに、直近の経営環境を踏まえ、2026年以降の計画をより実効性のあるものに見直しながら、引き続き「DIC Vision 2030」の目指す姿の実現に取り組んでいきます。 (3) サプライチェーンに関するリスク①リスクの内容・業績に与える影響の内容当社グループは、短期及び中長期的な視点で原料の安価・安定調達に加え、持続可能なサプライチェーンの構築、原料調達の実現に向けた取り組みを推進しています。本件に関するリスクとして、国際商品市況の影響による原料価格上昇、原料サプライヤーの事故・トラブル・自然災害等を起因とした需給バランスの変動、その他の事情に伴う物流混乱、化学物質に関する法規制・業界規制の強化等によって原料の調達が困難になる場合、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。また中長期的観点では、サステナビリティ活動への取り組みが不十分なサプライヤーからの原料調達は、供給の不安定化に加え、サプライチェーン全体の価値低下やそれに伴う顧客等からの信用失墜につながり、当社グループの事業継続に支障を来たす可能性があります。②当社グループの取組(i) 当社グループは、複数購買・契約購買・代替原料の導入等を通じ、原料コストの削減や調達リスクの低減を図り、安価で安定した調達を目指しています。また、中長期的観点では、環境負荷低減や人権尊重を始めとしたサステナビリティ活動全般への取り組みをサプライヤーに要請するとともに、外部評価機関や自社製アンケートを使用した活動状況の調査及び改善啓発を行い、持続可能な原料調達の実現を目指しています。(ii) これらの取り組みを通じた製品の供給安定化や品質安定化、健全化により顧客からの信頼確保を図るとともに、収益性を確保するための適切かつ計画的な価格設定等にも努めています。 4.管理・業務に関するリスク(1) コンプライアンスに関するリスク①リスクの内容・業績に与える影響の内容当社グループは、世界各国で事業活動を行っており、商取引、安全、環境や化学物質等に関する様々な法規制の適用を受けています。法規制等に違反した場合、事業の停止命令や罰金が課され、又は損害賠償責任が発生し、当社グループの業績や財務状況に影響を与えるだけでなく、社会的信用の失墜にもつながる可能性があります。②当社グループの取組(i) 当社グループでは、法規制のほか、ビジネスを実践する上で遵守すべきコンプライアンスに関する基準として「DICグループ行動規範」を定めています。社長は、役員を含む全社員に向けて、コンプライアンスの重要性や、ビジネスよりもコンプライアンスが優先すべき価値であることを折に触れて自らの言葉で発信しています。全社員は、具体的事例を取り上げたeラーニングや研修によって、その認識を深めています。さらに、コンプライアンス上の疑問を持った場合に相談できる体制を整備し、内部通報制度の活用や担当部署から独立した部署による監査・調査等を通じ、コンプライアンス違反があった場合の早期発見、早期是正を図っています。また、相談を行った者や調査等に協力した者に報復することは禁じられており、「DICグループ行動規範」に対する重大な違反となります。(ii) 法規制変更時の周知徹底、化学物質情報管理システムの運用徹底・DX(デジタルトランスフォーメーション)化や効率化、デザインレビューの運用徹底等、あらゆる段階でコンプライアンスリスクの低減に必要な対策を講じています。 (2) イノベーションの停滞・失敗のリスク①リスクの内容・業績に与える影響の内容当社グループは、環境面における社会変革への対応が非常に重要と捉え、「グリーン社会、デジタル社会、QOL社会」に貢献する製品開発をグループ一丸となって取り組んでいます。同時に、急速に進展するデジタルテクノロジーの活用、DX推進に遅れを取らないように対策を進めています。しかしながら、当社グループのイノベーションが停滞して社会要請に応える製品を開発・上市できない場合、成長が鈍化する可能性があります。②当社グループの取組(i) 当社グループは、保有する既存の基盤技術に加え、無機材料やバイオに関する新しい基盤技術を活用して、グリーン社会に貢献する次世代向けパッケージ、デジタル社会に貢献する高速通信関連材料、環境に配慮した非PFAS素材、QOL社会に貢献する高機能ニュートリション等、様々な市場やニーズに応じたサステナブル製品の開発を進めています。技術部門では、製品開発の成功率アップと開発期間短縮のために最新の実験計画法や機械学習ツールを積極的に活用するとともに、量子コンピュータのコンソーシアムへの参加等、オープンイノベーション活用による最先端デジタルテクノロジーの導入を積極的に進めています。(ii) 生産技術部門においても、工場のスマート化に向けた生産技術のDX推進に精力的に取り組んでいます。 (3) 人材確保に関するリスク①リスクの内容・業績に与える影響の内容先進国を中心に少子化に起因した労働人口減少が進む中、期待水準を満たす人材の獲得が困難になるとともに、人材獲得競争が激化する可能性があります。また、労働市場の流動化が高まる中、社員から見た当社の魅力が相対的に落ちた場合、優秀人材の離職が進むことで事業継続が困難になる可能性があります。②当社グループの取組(i) 日本においては、新卒採用は広報活動強化により企業認知度を向上させ、ターゲット層の掘り起こしを図っています。初任給水準を含む賃金設定の柔軟化も検討しています。キャリア採用は、スペシャリストや嘱託等の柔軟な処遇体系の設定に加え、アルムナイ、リファラル採用の開設・定着を図る等、多様な採用チャネルを活用しています。海外各地域における採用活動の実態も把握しており、グローバルHR会議で課題を設定しながら今後も取り組みを強化していきます。各社のニーズに応じ、ブランディング、採用ツール、採用ノウハウ面でもグローバル共通の取り組みに着手していきます。リテンションの面において、日本ではエンゲージメントサーベイを実施していますが、調査→分析→対策策定→実施のPDCAをさらに磨いていきます。海外でも中国などサーベイを展開している拠点もあり、今後はグローバルでの合同実施も検討していきます。(ii) 優秀人材確保は普遍的課題であり、特に日本においては、採用力の強化、エンゲージメントの向上、日本人に頼らない仕組み作りを優先事項としています。 (4) 品質問題発生のリスク①リスクの内容・業績に与える影響の内容当社グループの製品やプロセスに欠陥・不正・偽装が疑われた場合、重大なクレームや製造物責任が問われるなどの事象が発生した場合、あるいは製品回収や損害賠償責任が生じた場合、出荷や生産の停止が生じるだけでなく、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。さらに、これらの事象の発生が当社グループの社会的信用の失墜につながる可能性があります。②当社グループの取組(i) 年度計画に基づき、各工場で品質監査を実施し、監査結果を品質委員会に報告しています。品質監査においては、実態確認に基づく改善・是正要求と対応だけでなく、その後のフォローアップを確実に行うことで、ルールやプロセスに対する運用の適正化に取り組んでいます。(ii) 当社グループは、「常に信頼される製品を提供して顧客と社会の繁栄に貢献する」を「品質に関する方針」としています。本方針に基づき、2024年1月に組織変更を実施しました。これにより、本社と事業所における品質保証や品質管理に関係する部署の機能と役割を、より明確に整理しました。今後も全社における品質部門の機能と役割の定着や更なる浸透により、より正しくガバナンスを利かせることができる体制の構築を図っていきます。 (5) サイバーセキュリティに関するリスク①リスクの内容・業績に与える影響の内容懸念される重大リスクシナリオとして、ランサムウェア等のサイバー攻撃により、外部の攻撃者が当社グループネットワークに不正侵入し、社内サーバー等を乗っ取って重要機密情報を含むデータを窃取、暗号化することが想定されます。当社グループがインシデント対応手順を誤って被害の拡大を招くと、各種ITシステムが長期間にわたり使用できなくなる可能性があります。また、当社グループの従業員や元従業員による重要機密情報の不正な持ち出し・持ち込み、あるいは改竄・破壊・不正利用等の内部不正行為も想定されます。さらに、急速に業務適用が進展する生成AIにも不適切利用に関するセキュリティリスクがあります。生成AIの不適切利用としては、社外の生成AIに不用意に入力した当社グループの機密情報が学習データに利用されて外部公開される、又は、生成物に含まれる第三者の著作物をそれと気づかず対外利用してしまうということが想定されます。これらのリスクが発現した場合、業務プロセス、生産ライン、サプライチェーン、デジタルエコシステム等が中断・停止され、当社グループの事業活動や収益だけでなく、顧客や取引先、地域社会にも多大な影響を与えてしまいます。さらに、重要技術情報等の外部漏洩が生じた場合、当社グループの技術的優位性の喪失、新製品開発の遅延、市場での競争力低下等をもたらします。また、財務データが破壊・改竄されると、財務報告の誤りや不正確な情報公表につながり、投資家の信頼を失うことにもなります。これらの結果として、短期・長期での企業競争力低下、会社のブランドイメージ棄損、顧客や社会からの信頼喪失等を惹起するほか、損害賠償を含む法的対応の義務が生じる可能性もあります。②当社グループの取組(i) 当社グループでは、国内外グループ会社におけるITインフラのセキュリティ対策強化、インシデント対応力強化、従業員のセキュリティ意識向上、生成AI利用ガイドラインの浸透を図っています。(ii) 各種訓練や啓発活動も計画的かつ継続的に実施しており、リスクは確実に低減しています。 (6) 知的財産に関するリスク①リスクの内容・業績に与える影響の内容当社グループは、事業活動の中で生み出される新たな技術やノウハウを保護するため、知的財産権の取得に努めています。一方、他社の権利を侵害しないよう適切な対応を講じ、第三者の正当な知的財産権を尊重した事業活動を行っています。しかしながら、権利の解釈や見解の相違等により、知的財産に関する紛争が発生した場合、製品開発や販売の停止、又は損害賠償金の発生等により、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。また、当社グループが保有する技術情報やノウハウが不測の事態により外部に流出した場合、当社グループ製品の模倣品や類似品が流通し、製品の競争力が失われ、事業収益に影響を与える可能性があります。その他、第三者が当社グループのロゴや商標を不当に使用して類似品や劣化品を市場に流通させることで、当社グループの業績への影響やブランド毀損が生じる可能性があります。②当社グループの取組(i) 当社グループでは、製品開発の各ステージにおいて、第三者の知的財産権の侵害予防調査を実施し、知的財産部門に在籍する弁理士や、国内外の特許事務所及び法律事務所の弁理士、弁護士による判断のもと、第三者の正当な知的財産権を尊重した製品化を行っています。万一、知的財産に関する紛争が発生した場合にも、事案に応じて社内外の弁理士、弁護士が適切に連携して対応できる体制をとっています。また、当社グループでは、「情報セキュリティに関する方針」のもと、「機密情報管理規程」を制定し、技術情報等を厳格に管理しています。外部への技術情報の開示に際しては、学会発表や展示会への出展等、開示形態に応じた監視体制を整え、機密情報の漏洩を防止しています。(ii) 当社グループのロゴや商標の不当使用に対しては、電子商取引サイトの監視や商標データベース調査により、当社グループのロゴや商標の不正使用、悪質な類似商標出願を確認した場合には、電子商取引サイトの出店差し止め請求や、類似商標の登録防止措置を講じています。
FY2023|12,309 文字
3【事業等のリスク】 当社グループは中長期に会社の業績に大きな影響を与える重要課題(マテリアリティ)を定めています。これらの重要課題については、確実で効率的な対応を心がけつつ、2022年スタートの長期経営計画「DIC Vision 2030」(注1)における事業の推進に役立てています。また、経営環境の変化やリスクの多様化に適切かつ柔軟に対応するとともに、潜在的なリスクが顕在化することによる事業への影響を速やかに最小限に抑えるため、当社グループのサステナビリティ経営の諮問機関であるサステナビリティ委員会の下部組織であるリスクマネジメント部会が中心となって、リスクマネジメント活動を進めています。広範なリスクから、リスクアセスメントによって発生可能性と影響度で評価し、当社グループにとっての主要なリスクを特定しています。特定されたリスクのうち、特に重要なリスクにはリスクオーナーを設置して対策を講じ、リスクマネジメント部会が進捗や成果を確認しています。これらの活動全般については、サステナビリティ委員会や取締役会で適宜報告するとともに、適切なモニタリングを行っています。 後述する主要なリスクについては、当社グループのマテリアリティ(注2)をベースにリスクマネジメント部会で実施する調査結果を踏まえて、各リスクが顕在化した場合に、当社グループのビジネス及びステークホルダーに与え得る影響度合いを大、中、小に分類しています(注3)。 なお、将来に関する事項についての記載は、当連結会計年度末現在における判断に基づくものであり、また当社グループに関する全てのリスクを網羅したものではありません。 (注1)長期経営計画「DIC Vision 2030」の詳細は、https://www.dic-global.com/ja/ir/management/plan.htmlをご覧ください。(注2)マテリアリティの詳細は、DICレポート(統合報告書)https://www.dic-global.com/ja/csr/annual/をご覧ください。(注3)各リスクが顕在化する可能性や時期など表中における項目の詳細は以下のとおりです。 可能性 (当連結会計年度末現在における各リスクが将来的に顕在化する可能性)高: 可能性が高い中: 可能性が中程度低: 可能性が低い 時期 (当連結会計年度末現在における各リスクが顕在化し得る時期やタイミング)長期: 5年超中期: 3、4年程度短期: 2年以内不明: 顕在化するタイミングが予想できない 区分 (発生要因別の当社グループにおける管理上のリスク区分)①: 発生防止を自社でコントロールできない外部環境リスク②: 会社のマネジメントで発生防止対策を取り得るコーポレートリスク③: 事業の中で認識すべきビジネスリスク 関連 (長期経営計画「DIC Vision 2030」で定めた事業戦略との関連)A: 成長実現に向けた事業ポートフォリオの変革B: グローバル経営、ESG経営及び安全経営を下支えする経営基盤の強化C: キャッシュ・フローマネジメント他: 事業戦略の関係なし (1)顕在化した場合の影響が大きいリスク リスク及び業績に与える影響の内容可能性時期区分関連当社グループの取り組みポートフォリオ転換に関するリスク長期経営計画「DIC Vision 2030」では、社会課題を解決し、社会の持続的繁栄に貢献する5つの重点事業領域を定め、経営資源を集中させることで事業ポートフォリオの変革に取り組んでいます。事業ポートフォリオの変革に遅れが生じた場合、硬直化により成長が鈍化した場合、及び製品ライフサイクルに伴い成熟事業の収益性が徐々に低下した場合には、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。 中 短~長期 ②③ A 当社グループは、長期経営計画「DIC Vision 2030」において、サステナブルエネルギー領域、ヘルスケア領域、スマートリビング領域、カラーサイエンス領域、サステナブルパッケージ領域を5つの重点事業領域として定め、各事業部門と新事業統括本部との協働による成果創出に注力しています。また、当社グループの事業戦略にそぐわない低収益事業の縮小・撤退の基準を設けて定期レビューを行うとともに、取締役会及び執行会議では長期経営計画で定めた事業戦略の進捗を定期的に確認し、事業環境に応じた施策の更新・追加を講じています。長期的計画を確実に実現させるため、2025年までの前半の4年間は「DIC Vision 2030」の目指す姿を実現するための基盤づくりの期間、2030年までの後半の5年間を目指す姿を実現して展開する期間と位置づけています。これまでの成果と課題を踏まえ、2024-2025年は早期かつ確実に収益化が見込まれるテーマに経営資源を集中投入すること、効率的なリソース配分を実行することにより、引き続き「DIC Vision 2030」の目指す姿の実現に取り組んでいきます。 企業買収・資本提携が想定どおり進まないことに起因するリスク当社グループは、事業ポートフォリオ変革のため、企業買収や資本提携を積極的に実施しています。当社グループが実施する統合・協業が不十分又は想定どおり進まない場合、当初計画していた効果が得られないため、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。 中 中~長期 ②③ AC 当社グループでは、設定した投資指標に基づいて投資判断を行うとともに、自社による調査の他、外部機関も活用して徹底したデューデリジェンスを行い、リスク事項を事前に洗い出し、対策を講じています。買収後はグループ一体となったPMI(統合活動)の推進やシナジーの実現に向けたアクションを実施することにより、リスク低減に取り組んでいます。また、買収後に業績不振に陥る場合は、グループ一体となって構造改革・効率化をスピードアップし収支構造の改善に取り組みます。 政治・地政学変動に関するリスク政治・社会情勢の著しい変化や各種法規制・国際条約の変更等の予期せぬ事態が生じた場合、これらに起因して生じるコスト増、製品・原料の輸出入制限、送金停止、サプライチェーン分断等が、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。例えば、米中対立による製品・原料等の輸出入停止及び関税率アップに伴うコスト急増、渡航規制強化による適時適切な現地対応や人材配置の制限、あるいは中東における紛争・政治不安、ロシアによるウクライナ侵攻に起因する混乱、台湾有事が顕在化した場合等によるエネルギーや天然資源の価格高騰、物流の混乱等が挙げられます。 中 不明 ①② 他 当社グループでは、本社による全体的な管理に加え、地域統括会社による日常的な管理により、事業面及び機能面の双方で事業を展開する各国における様々なリスクをモニタリングしています。生産・販売面においては、事業部門を主体としたBCP(事業継続計画)の確立や原料の複数調達体制の構築を通じてカントリーリスクへの対応に取り組んでいます。サプライチェーンの分断には、世界中にまたがるネットワークを有効活用することでリスクを低減しています。加えて、人命・信用・資産等、各種経営資源の保全に向け、必要に応じて現地拠点とも協力しながらグループ全体での情報共有・対策立案・教育訓練にも取り組んでいます。 災害、事故の発生に伴うリスク大規模自然災害や事業活動に伴う災害・事故により、人的・物的損害が発生した結果、工場操業や事業活動の停止が生じた場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。また、事故災害の発生により、事業所周辺の地域社会等に対するレピュテーションの毀損に伴い、当社グループの事業活動への影響が発生する可能性があります。 高 短~長期 ①②③ 他 当社グループでは、重大災害等発生時の危機管理規則や個別のリスク別(大規模地震・台風・水害等の自然災害、パンデミック、工場における爆発・火災・漏洩等)の対策マニュアルを全社マニュアルとして整備するとともに、製品本部ごとにBCPを策定しています。事業所の事故災害防止活動を推進するため、経営層の安全活動への意思表明、方針策定と周知徹底、定期的な監査の実施、積極的かつ継続的な教育・訓練を実施しています。事故災害が発生した場合は要因分析・対策を行い、全社で情報共有を行うことで、グループ全体の事故災害防止を図っています。急増する自然災害への対策としては、耐震・耐水等への継続投資、他社・外注先との連携強化を進めています。なお、緊急事態には専用のコミュニケーションツール等を活用し、事業所と本社で効率的な情報共有や対策を講じています。 イノベーションの停滞に関するリスク当社グループは、環境面における社会変革への対応が非常に重要と捉え、「グリーン社会、デジタル社会、QOL社会」に貢献する製品開発をグループ一丸となって取り組んでいます。同時に、急速に進展するデジタルテクノロジーの活用、DX推進に遅れを取らないように対策を進めています。しかしながら、当社グループのイノベーションが停滞して社会要請に応える製品を開発・上市できない場合、成長が鈍化する可能性があります。 中 中~長期 ②③ ABC 当社グループは、保有する既存の基盤技術に加え、無機材料やバイオに関する新しい基盤技術を活用して、グリーン社会に貢献する次世代向けパッケージ、デジタル社会に貢献する高速通信関連材料、QOL社会に貢献する高機能ニュートリション等、様々な市場やニーズに応じたサステナブル製品の開発を進めています。技術部門では、製品開発の成功率アップと開発期間短縮のためにMI(マテリアルインフォマティックス)を積極的に活用するとともに、量子コンピュータのコンソーシアムへの参加等、オープンイノベーション活用による最先端デジタルテクノロジーの導入を積極的に進めています。さらに生産技術部門では、工場のスマート化に向けた生産技術のDX推進に精力的に取り組んでいます。 気候変動に伴う環境変化や社会変革への対応に関するリスク当社グループは2021年6月より「DIC NET ZERO 2050」として、「2030年CO2排出量の50%削減(2013年度比)」と「2050年カーボンネットゼロの実現」を長期目標に掲げています。この目標を達成するための活動において、以下をリスクと捉えています。1)日本国内では2026年度の排出量取引(GX-ETS)の本格稼働、2028年度の化石燃料賦課金の導入が決定されています。これにより原燃料価格や電力価格の上昇が懸念されます。2)CO2排出量削減の社会的要求や顧客ニーズが極端に大きくなる場合には、排出量の大きい既存事業からの縮小・撤退の可能性があります。3)脱炭素社会に向け、サーキュラーエコノミー等による急激な需要の変化が起きた場合、対応できなければ大幅な事業収益の低下をもたらす要因となります。4)異常気象による気象災害の深刻化・頻発化により事業所の稼働停止、原料調達の不安定化等を誘発し事業収益の低下と事業継続の可否に関わるリスクがあります。5)国際的に情報開示に対する要求が厳しくなっているなか、開示しないことによるレピュテーションの毀損、グリーンウォッシュによる訴訟のリスクがあります。 中 中~長期 ①②③ AB 当社グループは、積極的な環境投資と省エネ施策の推進を通じてCO2排出削減に取り組んでいます。また、「DIC NET ZERO 2050」の実現に向けたロードマップの策定を進めています。・SBTiの認定を2023年1月に取得しました。CO2削減目標達成に向け、各地域で環境投資を立案、実施していきます。日本では経済産業省の主導するGXリーグに2023年9月より参画しました。2026年度の本格稼働に備え、社内体制の整備やScope1排出量削減を検討しています。・製品カーボンフットプリントの提供は、欧米では2022年から日本では2023年から開始しています。これにより当社グループの製品のCO2排出量を明らかにし、カーボンニュートラル社会の実現に貢献していきます。・気候変動による需要の変化に的確に対応すべくサーキュラーエコノミーを含めた脱炭素社会に向けた製品・サービスの開発を進めるため、5R(Reuse, Reduce, Renew, Recycle, Redesign)のグループ定義を策定しました。・物理的リスクに対して重要原料の供給対策も含むBCPの策定を進めています。また、沿岸立地事業所の気象災害リスクへの対策強化にも努めています。・確度の高い情報収集とグループ内での情報共有により、高度な情報開示要求に対し、グリーンウォッシュのような実態に陥ることなく、グループ全体の情報を適時適切に開示していきます。 環境負荷低減の要請に起因するリスク当社グループは、生産活動を通じて様々な環境負荷が発生するリスクがあります。具体的には、大気汚染物質や水質汚濁物質、産業廃棄物、プラスチック廃棄物等が挙げられます。通常、環境負荷の排出は一定レベルに抑えていますが、トラブルにより環境負荷物質が想定以上に排出されてしまった場合、その回収コスト負担や賠償責任の可能性があります。また、環境負荷に対する環境規制の強化や、業界基準の変更、さらには社会的要請に適切に対応できなければ、生産を継続できなくなるリスクがあります。また、社会情勢の変化に伴う製品要求性能の急変に対応できなければ、事業収益の低下と事業継続の可否に関わるリスクが顕在化する可能性があります。 中 短~長期 ①②③ AB 当社グループは、生産と事業の両面から環境負荷の低減に努めています。生産面においては、生産拠点所在地における環境負荷低減に関連する様々な法令や規制の遵守はもとより、具体的な削減目標を定めた上で定期的に環境負荷データをモニタリングして、環境負荷物質の削減に努めています。また、トラブルに対しては、緊急事態に対応したマニュアルを整備し、環境負荷物質の排出を最小限に抑える体制をとっています。同時に、社会的変化に対応すべく環境保護設備の積極的な投資や導入期間短縮を図っています。事業活動においても、製品の環境負荷低減を図りながら、地球環境と社会課題に貢献する製品の拡大に取り組んでいます。具体的にはバイオベース材料を使用した製品等、製品の再利用や再商品化等、ケミカルリサイクルあるいはマテリアルリサイクルを含めたサーキュラーエコノミーに取り組んでいます。また、環境負荷を低減し、健全でバランスの取れた生態系を保全・維持するため、生物多様性への取り組みとして「生物多様に関する方針」を策定しました。 (2)顕在化した場合の影響が中程度のリスクリスク及び業績に与える影響の内容可能性時期区分関連当社グループの取り組みコンプライアンス違反に関するリスク当社グループは、世界各国で事業活動を行っており、商取引、安全、環境や化学物質等に関する様々な法規制の適用を受けています。法規制等に違反した場合、事業の停止命令や罰金が課され、又は損害賠償責任が発生し、当社グループの業績や財務状況に影響を与える可能性があります。 低 不明 ② AB他 当社グループでは、法規制の他、ビジネスを実践する上で遵守すべきコンプライアンスに関する基準として「DICグループ行動規範」を定めています。社長は、役員を含む全社員に向けて、コンプライアンスの重要性や、ビジネスよりもコンプライアンスが優先すべき価値であることを折に触れて自らの言葉で発信しています。全社員は、具体的事例を取り上げたeラーニングや研修によって、その認識を深めています。さらに、コンプライアンス上の疑問を持った場合に相談できる体制を整備し、内部通報制度の活用や担当部署から独立した部署による監査・調査等を通じ、コンプライアンス違反があった場合の早期発見、早期是正を図っています。また、法規制変更時の周知徹底、化学物質情報管理システムの運用徹底・DX(デジタルトランスフォーメーション)化/効率化、デザインレビューの運用徹底等、あらゆる段階でコンプライアンスリスクの低減に必要な対策を講じています。 人材確保に関するリスク当社グループの成長を維持するためには、事業運営や業務遂行に必要となる多彩な人材を採用し、確保し続ける必要があります。労働市場全体で、グローバルに活躍できる人材や高い専門性を有する人材の必要性が高まっている中、このような人材の確保は競争が激化しているため、より実効性のある採用・育成・定着に向けた各種施策の立案と遂行が急務の課題となっています。当社グループがグループワイドに活躍できる多彩な人材を採用し、継続的に雇用し、育成することができない場合、当社グループの事業運営や組織設計に影響を与える可能性があります。 高 短~長期 ②③ AB 当社グループでは、必要な人材をタイムリーに採用するために、新卒採用においてはインターンシップ、先輩社員との座談会イベント、研究室単位での説明会等、きめ細かく接点を設けるような対応を実施しています。キャリア採用においては、人材会社やスカウトサービスの活用等、多様な手段を通じ、多彩な人材の採用を推進しています。また、DICレポート(統合報告書)の充実化や採用ホームページの刷新等、ブランディング活動の推進にも取り組みながら、労働市場への有効なアピールにも努めています。さらに、社員が一体感を持ちながら協働していくことを推進するため、ダイバーシティの推進、複線的な人事制度の導入、キャリア支援制度の拡充、タレントマネジメントの強化、人材育成制度の拡充、メンタルヘルスの向上、グローバルでの後継者計画・配置転換計画の策定、柔軟な働き方に向けたワークスタイル改革等、エンゲージメント向上や人材育成につながる各種施策を積極的に展開しています。 金利変動に起因するリスク当社グループは、有利子負債による資金調達を実施しており、金融市場に急激な変動が起こった場合、当社グループの業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。 中 短~中期 ① C 当社グループは、財務の健全性の評価指標として、ネットD/Eレシオを採用し、財務体質の維持・強化と有利子負債の削減に努めています。また、各国の金利動向を注視しながら、固定金利調達を増やすなど、将来の金利変動リスク、金利負担の低減を図る措置を講じています。 為替変動に起因するリスク当社グループは、世界各国で事業活動を行っており、在外子会社等の財務諸表項目の円換算額には為替相場の変動による影響があります。そのため、為替相場に大幅な変動が生じた場合、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。また、輸出入等の外貨建取引についても、為替相場変動による換算上の影響があるため、同様に業績に影響を及ぼす可能性があります。 中 短期 ①③ C他 当社グループは、本社のリーダーシップのもと、各地域で為替リスク管理体制を整備し、為替相場の変動に伴う業績影響や在外子会社の換算影響の把握に努めています。また、先物為替予約等の為替変動ヘッジ取引や資金調達・投資の複数通貨対応等を通じて、そのリスクを軽減する措置を講じています。品質問題の発生に伴うリスク製品やプロセスに欠陥・不正・偽装が疑われた場合、重大なクレームや製造物責任が問われるなどの事象が発生した場合、あるいは製品回収や損害賠償責任が生じた場合、出荷や生産の停止が生じるだけでなく、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。さらに、これらの事象が発生したことにより、社会的信用の失墜につながる可能性があります。 高 不明 ②③ AB 当社グループは、「常に信頼される製品を提供して顧客と社会の繁栄に貢献する」を「品質に関する方針」とし、毎年社長が社員に向けて品質保証の重要性を喚起しています。また、「全ての基本は安全操業と品質保証である」との生産担当役員のメッセージを強く発信しながら啓発や教育を繰り返すとともに、全社員が品質に関わる当事者意識を持ってQMS(品質管理システム)の正しい運用を徹底し、品質の改善に取り組んでいます。また、社長直轄の品質委員会は、これら品質に係る全社の活動を監視監督している他、本社品質保証部長を実施責任者とする品質監査を毎年行うなど、品質管理体制の構築・増強を図っています。出荷済みの製品において欠陥等が発覚した場合に社会的責任を果たすため、2021年に「品質管理規程」を廃止して「品質に関する規程」に変更し、組織体制と活動の実行体制を見直しました。2024年1月から品質保証組織は、グループ全体の品質に関する活動の明確化を目的に、従来の一本化された組織から、製品品質を担う工場品質保証グループと、その品質ガバナンスを担う本社品質保証部、品質管理部に組織を改編し、役割を分担しました。 持続可能なサプライチェーンの構築(原料)に関するリスク当社グループは、短期及び中長期的な視点で原料の安価・安定調達に加え、持続可能なサプライチェーンの構築、原料調達の実現に向けた取り組みを推進しています。本件に関するリスクとして、国際商品市況の影響による原料価格上昇、原料サプライヤーの事故・トラブル・自然災害等を起因とした需給バランスの変動、その他の事情に伴う物流混乱、化学物質に関する法規制・業界規制の強化等によって原料の調達が困難になる場合、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。また中長期的観点では、サステナビリティ活動への取り組みが不十分なサプライヤーからの原料調達は、供給の不安定化に加え、サプライチェーン全体の価値低下やそれに伴う顧客等からの信用失墜につながり、当社グループの事業継続に支障を来たす可能性があります。 中 短~長期 ①②③ AB 当社グループは、複数購買・契約購買・代替原料の導入等を通じ、原料コストの削減や調達リスクの低減を図り、安価で安定した調達を目指しています。また、中長期的観点では、環境負荷低減や人権尊重を始めとしたサステナビリティ活動全般への取り組みをサプライヤーに要請するとともに、外部評価機関や自社製アンケートを使用した活動状況の調査及び改善啓発を行い、持続可能な原料調達の実現を目指しています。これらの取り組みを通じた製品の供給安定化や品質安定化、健全化により顧客からの信頼確保を図るとともに、収益性を確保するための適切かつ計画的な価格設定等にも努めています。情報セキュリティに起因するリスクサイバー攻撃等によるデータ逸失や改竄、情報漏洩、災害や障害等による業務システム・設備・機器等の停止や誤動作、グローバルネットワークの国家間遮断等が発生した場合、それらが引き起こす事業の停滞及び事業機会ロスにより、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。 中 不明 ② B 当社グループは、情報系及び制御系インフラのサイバーセキュリティ機能の継続的強化、BCP整備(災害時復旧・バックアップ・体制等)、サイバー攻撃や情報漏洩等を想定したセキュリティ教育・訓練の継続的な更新・実施等を、第三者機関によるサイバーセキュリティリスクアセスメントに基づく対策ロードマップのもとで計画・実行し、リスク低減・影響最小化に取り組んでいます。 コーポレート・ガバナンスの不備に起因するリスク日本のみならず、中国、アジア・パシフィック、北米、中南米、欧州、中東、アフリカ等、グローバルに展開する当社グループ会社において、コーポレート・ガバナンスの不備・無効化・対策未実施等に起因して、不正行為、粉飾決算、法令違反が発生して会社が損害を受ける、又は当社グループの社会的信用の失墜につながる可能性があります。 中 不明 ② B他 コンプライアンスに関する「DICグループ行動規範」を主要な所在地言語に翻訳して、全ての地域において従業員がこの規範に準拠した正しい判断と行動を行うよう、統制環境を整備しています。また、全ての当社グループ会社において、コーポレート・ガバナンスに必要な権限承認規程等の規程類を具備しています。当社グループは、日本、中国、アジア・パシフィック、北米、中南米、欧州、中東、アフリカの各地域をカバーする内部統制組織を有しており、ほぼ全ての事業拠点をカバーするように定期的な内部監査によるモニタリングを実施するとともに、内部監査部門と監査役と会計監査人が十分に連携しながら、グループ会社の法令順守、コーポレート・ガバナンスが適切に機能していることを確認しています。内部監査の結果は取締役会、監査役会に報告されます。また、不正行為等に対しては、内部通報制度を当社グループの全ての社員に周知し、不正が起きにくい環境の整備・維持に努めています。加えて、経営ビジョンの刷新や行動指針実践事例の表彰制度等を通じ、経営の基本的な考え方である「The DIC Way」のグローバルでの周知・浸透を図っています。 (3)顕在化した場合の影響が小さいリスクリスク及び業績に与える影響の内容可能性時期区分関連当社グループの取り組み知的財産に関するリスク当社グループは、事業活動の中で生み出される新たな技術やノウハウを保護するため、知的財産権の取得に努めています。一方、他社の権利を侵害しないよう適切な対応を講じ、第三者の正当な知的財産権を尊重した事業活動を行っています。しかしながら、権利の解釈や見解の相違等により、知的財産に関する紛争が発生した場合、製品開発や販売の停止や、損害賠償金の発生により、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。また、当社グループが保有する技術情報やノウハウが不測の事態により外部に流出した場合、当社グループ製品の模倣品や類似品が流通し、製品の競争力が失われ、事業収益に影響を与える可能性があります。その他、第三者が当社グループのロゴや商標を不当に使用して類似品や劣化品を市場に流通させることで、当社グループの業績への影響やブランド毀損が生じる可能性があります。 低 不明 ②③ A他 当社グループでは、製品開発の各ステージにおいて、第三者の知的財産権の侵害調査を実施し、知的財産部門に在籍する弁理士や、国内外の特許事務所及び法律事務所の弁理士、弁護士による判断のもと、第三者の正当な知的財産権を尊重した製品化を行っています。万一、知的財産に関する紛争が発生した場合にも、事案に応じて社内外の弁理士、弁護士が適切に連携して対応できる体制をとっています。また、当社グループでは、「情報セキュリティに関する方針」のもと、「機密情報管理規程」を制定し、技術情報等を厳格に管理しています。外部への技術情報の開示に際しては、学会発表や展示会への出展等、開示形態に応じた監視体制を整え、機密情報の漏洩を防止しています。当社グループのロゴや商標の不当使用に対しては、電子商取引サイトの監視や商標DB調査により、当社グループのロゴや商標の不正使用、悪質な類似商標出願を確認した場合には、電子商取引サイトの出店差し止め請求や、類似商標の登録防止措置を講じています。 水資源に関するリスク当社グループは、事業活動を通じて水資源の有効活用に努めています。しかし、取水源において想定以上の水不足や水質低下が起きた場合、生産活動に制約が生じる可能性や、水価格上昇により収益性が低下する可能性があります。 中 長期 ②③ AB 当社グループでは、各事業所における取水、排水の実績をモニタリングして、水資源の利用状況を把握しています。さらに、各生産拠点においては、所在地域における水資源の情報と工場の操業状況を評価したリスクアセスメントを実施し、対策状況を管理しています。また、水を再利用(リユース・リサイクル)することにより、水使用量の低減に取り組んでいます。 税務に関するリスク当社グループは、世界各国で販売や生産等の事業活動を行っており、グループ内でも相互に取引があります。各国の移転価格税制等の国際税務リスクについて細心の注意を払っていますが、各国税務当局との見解の相違によって予期しない課税を受けた場合、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 中 不明 ①② 他 当社グループは、本社のリーダーシップのもと、各国の税法に準拠した適正な納税を行っており、定められた移転価格文書を整備しています。また、「税務に関する方針」を策定・公表しており、透明性の高い税務管理に取り組んでいます。パンデミックに関するリスク感染症が世界的規模で拡大(パンデミック)した場合、それに起因する経済活動の停滞や需要減によって出荷が落ち込む可能性があります。また、政府の要請等による事業への制約あるいは当社グループ社員への感染の広がりで、営業拠点や研究所の閉鎖や工場の操業停止によって一時的に事業の継続が困難となる可能性があります。これらの結果として、当社グループの業績や財政状態に影響する可能性があります。 低 短期 ①③ B 当社グループにおける生産及び研究・開発等の事業拠点はグローバルに立地しており、複数工場によるバックアップ生産策を推進することで、拠点閉鎖や操業停止等によるリスクを低減しています。また、当社グループでは、ITインフラの整備・増強を推進するとともに、テレワーク制度の普及・浸透により、情報のデジタル化、社内手続の電子承認によるペーパーレス化等の対応と併せ、パンデミック発生時にテレワークを活用した、円滑な事業継続を行うための環境を整えています。長期経営計画におけるマクロ環境に影響されにくい強靭な事業体質への変換を目指し、事業ポートフォリオの転換を図ることで、更なる事業リスクの分散を進めています。
FY2022|11,972 文字
2【事業等のリスク】 当社グループは中長期に会社の業績に大きな影響を与える重要課題(マテリアリティ)を抽出しています。抽出した重要課題については、確実で効率的な対応を心がけつつ、2022年スタートの長期経営計画「DIC Vision 2030」(注1)における成長シナリオをイメージしながら事業の推進に役立てています。また、経営環境の変化やリスクの多様化に適切かつ柔軟に対応するとともに、潜在的なリスクが顕在化することによる事業への影響を速やかに最小限に抑えるため、リスクマネジメント活動を進めています。広範なリスクのうち、「外部環境リスク」、「コーポレートリスク」は当社グループのサステナビリティ経営の諮問機関であるサステナビリティ委員会及び下部組織のリスクマネジメント部会で、「ビジネスリスク」については業務執行に係る重要な事項の審議機関である執行会議など重要会議を通じて適切にモニターし、リスクが顕在化した場合の影響を低減するように各リスクに主管部署を定めてリスク対策を実施しています。 後述する主要なリスクについては、当社グループのマテリアリティ(注2)をベースにリスクマネジメント部会で実施する調査結果を踏まえて、各リスクが顕在化した場合に、当社グループのビジネス及びステークホルダーに与え得る影響度合いを大、中、小に分類しています(注3)。 なお、将来に関する事項についての記載は、当連結会計年度末現在における判断に基づくものであり、また当社グループに関する全てのリスクを網羅したものではありません。 (注1)長期経営計画「DIC Vision 2030」の詳細は、https://www.dic-global.com/ja/ir/management/plan.htmlをご覧 ください。(注2)マテリアリティの詳細は、DICレポート(統合報告書) https://www.dic-global.com/ja/csr/annual/をご覧ください。(注3)各リスクが顕在化する可能性や時期など表中における項目の詳細は以下のとおりです。 可能性 (当連結会計年度末現在における各リスクが将来的に顕在化する可能性)高: 可能性が高い中: 可能性が中程度低: 可能性が低い 時期 (当連結会計年度末現在における各リスクが顕在化し得る時期やタイミング)長期: 5年超中期: 3、4年程度短期: 2年以内不明: 顕在化するタイミングが予想できない 区分 (発生要因別の当社における管理上のリスク区分)①: 発生防止を自社でコントロールできない外部環境リスク②: 会社のマネジメントで発生防止対策を取り得るコーポレートリスク③: 事業の中で認識すべきビジネスリスク 関連 (長期経営計画「DIC Vision 2030」で定めた事業戦略との関連)A: 成長実現に向けた事業ポートフォリオの変革B: グローバル経営、ESG経営及び安全経営を下支えする経営基盤の強化C: キャッシュ・フローマネジメント他: 事業戦略の関係なし (1)顕在化した場合の影響が大きいリスクリスク及び業績に与える影響の内容可能性時期区分関連当社グループの取り組み気候変動に伴う環境変化や社会変革への対応に関するリスク国際社会では、急速に2050年カーボンニュートラルへの要請が高まり、今後も競争ルールの変更を伴う社会システムの変化が予測されます。当社グループはこれまでのCO₂排出量の削減目標を見直し、2021年6月に「DIC NET ZERO 2050」として、「2030年CO₂排出量の50%削減(2013年度比)」と「2050年カーボンネットゼロの実現」とを新たな長期目標としました。この目標を達成するための活動を進めていく中で以下を業績に深刻な影響を与える可能性のある気候変動リスクと捉えています。1)日本国内では排出権取引の導入が決定され、Scope 1の排出量によっては2026年度以降にペナルティ支払いによる直接的なコスト負担増の可能性があります。また、今後カーボンプライシングが導入された場合、尚一層の原燃料価格や電力価格の上昇が危惧されます。2)カーボンフットプリント(CFP)の観点から、CO₂排出量削減の社会的要求や顧客ニーズに極端な変化が生じた場合、既存事業の撤退や新規投資案件の中止も検討せざるを得なくなる可能性があります。3)気候変動に伴う脱炭素社会への移行リスクとして、サーキュラーエコノミー等による急激な需要の変化が起きた場合、これへの対応ができなければ大幅な事業収益の低下をもたらす要因となります。4)極端な物理的リスクとして、異常気象による気象災害が深刻化・頻発化すると、事業所の稼働停止、原料調達の不安定化等により製品供給不能や供給の遅延を生じる可能性があり、事業収益の低下と事業継続の可否に関わるリスクとなる可能性があります。 高 中~長期 ①②③ AB 当社グループは、積極的な環境投資と省エネ施策の推進を通じてCO₂排出削減に取り組んでいます。また、「DIC NET ZERO 2050」の実現に向けたロードマップの策定を進めています。加えて、CO₂排出に関わるコスト意識を醸成するとともに、CO₂削減へのインセンティブを高めながら取り組めるよう、2021年7月から社内カーボンプライス(ICP)の運用を開始しました。また、既存か新規かを問わず、グループの全ての投資・事業・製品に関するCFP算出等に取り組むなど、ライフサイクルアセスメント(LCA)の徹底も必要だと考えています。当社グループは、CO₂排出削減に関するイニシアチブであるSBT(Science Based Target)の認定を取得し、Scope 3(サプライチェーンを通じたCO₂排出)も含めたCO₂削減目標を新たに設定し、Scope 1, 2, 3の排出削減に取り組みます。更に、気候変動による需要の変化に的確に対応すべく将来のサーキュラーエコノミーへの移行を視野に入れた製品開発、脱炭素に向けて貢献する製品・サービスの開発及び普及に取り組み、気候変動に関する社会課題の解決を目指しています。一方、物理的リスクに対して重要原料の供給対策も含むBCP(事業継続計画)の策定を進めています。また、沿岸立地事業所の気象災害リスクへの対策強化にも努めています。こうした活動については積極的な情報開示を通じて外部とのコミュニケーションも図り、ステークホルダーからの理解が得られるよう取り組んでいます。これらの取組と並行して、確度の高い情報収集とグループ内での啓発や共通認識の醸成を図ることにより、グリーンウォッシュのような実態に陥ることを防ぎ、実効性を伴った着実な取組がグループ全体で行われるよう努めていきます。 リスク及び業績に与える影響の内容可能性時期区分関連当社グループの取り組みポートフォリオ転換に関するリスク長期経営計画「DIC Vision 2030」では、社会課題を解決し、社会の持続的繁栄に貢献する5つの重点事業領域を定め、経営資源を集中させることで事業ポートフォリオの変革に取り組んでいます。事業ポートフォリオの変革に遅れが生じた場合、硬直化により成長が鈍化した場合、及び製品ライフサイクルに伴い成熟事業の収益性が徐々に低下した場合には、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。 中 短~長期 ②③ A 当社グループは、長期経営計画「DIC Vision 2030」において、サステナブルエネルギー領域、ヘルスケア領域、スマートリビング領域、カラーサイエンス領域、サステナブルパッケージ領域を5つの重点事業領域として定め、各事業部門と新事業統括本部との協働による成果創出に注力しています。また、当社グループの事業戦略にそぐわない低収益事業の縮小・撤退の基準を設けて定期レビューを行うとともに、取締役会及び執行会議では長期経営計画で定めた事業戦略の進捗を定期的に確認し、事業環境に応じた施策の更新・追加を講じています。長期的計画を確実に実現させるため、2025年までの前半の4年間は「DIC Vision 2030」の目指す姿を実現するための基盤づくりの期間、2030年までの後半の5年間を目指す姿を実現して展開する期間と位置づけています。更に、当社グループの強みを発揮して社会課題の解決に貢献できる「サステナブル製品」比率の拡大を通じ、社会の持続的繁栄に貢献する事業ポートフォリオを構築していきます。 環境負荷低減の要請に起因するリスク当社グループは、事業活動を通じて発生する様々な環境負荷の低減に努めています。しかし、環境汚染物質、産業廃棄物、海洋プラスチック廃棄物等の環境負荷物質がトラブルにより想定以上に排出されてしまった場合、その回収コスト負担や賠償責任の可能性があります。環境規制の強化による業界基準の変更、又は持続的な社会に向けたシステムの変化に適切に対応できなければビジネスを継続できなくなるリスクがあります。また、社会情勢の変化に伴う製品要求性能の急変に対応できなければ、事業収益の低下と事業継続の可否に関わるリスクが顕在化する可能性があります。 中 短~長期 ①②③ AB 当社グループは、生産と事業の両面から環境負荷の低減に努めています。生産面においては、環境保護設備の積極的な投資拡大や導入期間短縮を図るとともに、生産拠点所在地における環境負荷低減に関連する様々な法令や規制の遵守はもとより、具体的な削減目標を定めた上で定期的に環境負荷データをモニタリングして、環境負荷物質の削減に努めながらリスクを管理しています。事業活動においても、製品の環境負荷低減を図りながら、地球環境と社会課題に貢献する「サステナブル製品」の拡大に取り組んでいます。具体的にはバイオベース材料を使用した製品等、環境に配慮した製品の比率向上に努めています。また、製品の再利用や再商品化等、ケミカルリサイクルあるいはマテリアルリサイクルを含めたサーキュラーエコノミーへの取り組みを推進しています。 リスク及び業績に与える影響の内容可能性時期区分関連当社グループの取り組みイノベーションの停滞に関するリスク当社グループは、環境面における社会変革への対応が非常に重要と捉え、「グリーン社会、デジタル社会、QOL社会」に貢献する製品開発をグループ一丸となって取り組んでいます。同時に、急速に進展するデジタルテクノロジーの活用、DX(デジタルトランスフォーメーション)推進に遅れを取らないように対策を進めています。しかしながら、当社のイノベーションが停滞して社会要請に応える製品を開発・上市できない場合、会社の成長が鈍化する可能性があります。 中 中~長期 ②③ ABC 当社グループは、保有する既存の基盤技術に加えて、無機材料技術やバイオ技術等の新しい基盤技術を活用して、グリーン社会に貢献するバイオマスパッケージ等の次世代向けパッケージ、デジタル社会に貢献する5G/6G通信対応材料や機能性無機材料、QOL社会に貢献する高機能ニュートリション等、様々な市場やニーズに応じたサステナブル製品の開発を進めています。特に技術部門では、製品開発の成功率を高めると同時に開発期間を短縮するためにMI(マテリアルインフォマティックス)を積極的に活用しています。また、量子コンピューターのコンソーシアムへの参加を通じて最先端の量子コンピューティング技術の導入に努めるとともに、外部研究機関との共同研究やCVC活用による新技術の導入等、オープンイノベーションにも積極的に取り組んでいます。更に、新規技術テーマ評価法の導入と、それに基づく社内リソースの増強や配分適正化にも努めています。同時に、当社グループはAI、IoT等のデジタル化による社会変革に対応すべく、専門部署のDX推進部を中心に、生産部門におけるスマート工場化に向けた取組や、ビジネスモデルの変革に積極的に取り組みながら、高効率でCO₂排出も抑制した生産技術開発を進めるとともに、製品の安定生産や品質の維持向上に努めています。 リスク及び業績に与える影響の内容可能性時期区分関連当社グループの取り組み人材確保に関するリスク当社グループの成長を維持するためには、事業運営や業務遂行に必要となる多彩な人材を採用し、確保し続ける必要があります。労働市場全体でグローバルに活躍できる人材や、高い専門性を有する人材の必要性が高まっている中、このような人材の確保は競争が激化しているため、より実効性のある採用・育成・定着に向けた各種施策の立案と遂行が急務の課題となっています。当社グループがグループワイドに活躍できる多彩な人材を採用し、継続的に雇用し、育成することができない場合、当社グループの事業運営や組織設計に影響を与える可能性があります。 中 短~長 ②③ AB 当社グループでは、必要な人材をタイムリーに採用するために、新卒の一括採用だけではなく、多様な採用手段を通じて専門性の高い即戦力となるキャリア採用を強化しています。また、DICレポート(統合報告書)の充実化やブランディング活動の推進にも取り組みながら、労働市場への有効なアピールにも努めています。更に、多彩な社員が一体感を持ちながら協働していくことを推進するため、ダイバーシティの推進、複線的な人事制度の導入、キャリア支援制度の拡充、タレントマネジメントの強化、人材育成制度の拡充、メンタルヘルスの向上、グローバルでの後継者計画・配置転換計画の策定、柔軟な働き方に向けたワークスタイル改革等、各種施策を積極的に展開しています。 持続可能なサプライチェーンの構築(原料)に関するリスク当社グループは、短期及び中長期的な視点で品質と価格、安定供給に加え、持続可能なサプライチェーンの構築、特に持続可能な原料調達の実現に向けた取り組みを推進しています。本件に関するリスクとして、国際商品市況の影響により原料価格が大幅に上昇する場合、及び、原料サプライヤーの事故・トラブルや自然災害等を起因とした需給バランスの変動、その他の事情に伴う物流混乱、化学物質法規制の対象物質追加等の様々な要因によって、主要原料供給停止やモノポリー原料入手困難化等、原料の調達が困難になる場合、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。また、中長期的観点では、サステナビリティ活動(環境・社会・ガバナンス)に取り組んでいないサプライヤーからの原料調達は、当社グループの事業継続に支障を来たす可能性があります。 中 短~長期 ①②③ AB 当社グループは、複数購買化、契約購買化、代替原料調達導入等を通じ、原料コストの削減や調達リスクの低減を図り、安価で安定した調達を目指しています。中長期的観点では、「DICグループサステナビリティ調達ガイドライン」に基づき、厳格な化学物質の管理や環境負荷の低減を始めとしたサステナビリティ活動への取組をサプライヤーに要請するとともに、活動状況の調査やその後のフォローを通じて同活動を推進しています。これらの取組を通じた供給や品質の安定化や健全化による顧客からの信頼確保を基盤として、収益性を確保するための適切かつ計画的な価格設定等にも努めています。 リスク及び業績に与える影響の内容可能性時期区分関連 当社グループの取り組み政治・地政学変動に関するリスク政治・社会情勢の著しい変化や各種法規制・国際条約の変更等の予期せぬ事態が生じた場合、これらに起因して生じるコスト増、製品・原料の輸出入制限、送金停止、サプライチェーン分断等が、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。例えば、米中対立による製品・原料等の輸出入停止及び関税税率アップに伴うコスト急増、渡航規制強化による適時適切な現地対応や人材配置の制限、あるいは中東における紛争・政治不安、ロシアによるウクライナ侵攻に起因する混乱、台湾有事が顕在化した場合等によるエネルギーや天然資源の価格高騰、物流の混乱等が挙げられます。 中 不明 ①② 他 当社グループでは、本社による全体的な管理に加え、地域統括会社による日常的な管理により、事業面及び機能面の双方で事業を展開する各国における様々なリスクをモニタリングしています。生産・販売面においては、事業部門を主体としたBCP(事業継続計画)体制の確立や原料の複数調達体制の構築を通じてカントリーリスクへの対応に取り組んでいます。サプライチェーンの分断には、世界中にまたがるネットワークを有効活用することでリスクを低減しています。加えて、人命・信用・資産等、各種経営資源の保全に向け、必要に応じて現地拠点とも協力しながらグループ全体での情報共有・対策立案・教育訓練にも取り組んでいます。 (2)顕在化した場合の影響が中程度のリスクリスク及び業績に与える影響の内容可能性時期区分関連当社グループの取り組み災害、事故の発生に伴うリスク大規模自然災害や事業活動に伴う災害・事故により、人的・物的損害が発生した結果、工場操業や事業活動の停止が生じた場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。また、事故災害の発生により、事業所周辺の地域社会等に対するレピュテーションの毀損に伴い、当社事業活動への影響が発生する可能性があります。 中 短~長 ①②③ 他 当社グループでは、重大災害等発生時の危機管理規則や個別のリスク別(大規模地震・台風・水害等の自然災害、パンデミック、工場における爆発・火災・漏洩等)の対策マニュアルを全社マニュアルとして整備した上で、製品本部ごとにBCP(事業継続計画)を策定しています。安全衛生・防災の観点では、労働安全衛生・保安防災を推進するための、方針策定と周知徹底、経営層が率先して安全活動を推進することを実現するための体制整備、定期的な監査の実施、積極的かつ継続的な教育・訓練の実施を推進しています。また、4M解析による事故要因分析・対策立案、反応系実験での事前検証等、事故防止の取組を徹底しています。急増する自然災害への対策としては、耐震・耐水等への継続投資、他社・外注先との連携強化を進め、不測の事態への準備も進めています。 品質問題の発生に伴うリスク製品やプロセスに欠陥・不正・偽装が疑われた場合、重大なクレームや製造物責任が問われるなどの事象が発生した場合、あるいは製品回収や損害賠償責任が生じた場合、出荷や生産の停止が生じるだけでなく、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。更に、これらの事象が発生したことにより、社会的信用の失墜が生じる可能性があります。 中 不明 ②③ AB 当社グループは、「常に信頼される製品を提供して顧客と社会の繁栄に貢献する」を品質に関する方針とし、毎年社長が社員に向けて品質保証の重要性を喚起しています。また、「全ての基本は安全操業と品質保証である」との生産担当役員のメッセージを強く発信しながら啓発や教育を繰り返すとともに、全社員が品質に関わる当事者意識を持ってQMS(品質管理システム)の正しい運用を徹底し、品質の改善に取り組んでいます。2021年度に一本化された品質保証組織は、グループ全体の品質に関する活動を一括管理し、顧客重視の視点で製品の品質により生じるリスクのマネジメントに真摯に取り組んでいます。また、社長直轄の品質委員会は、これら品質に係る全社の活動を監視監督している他、本社品質保証部長を実施責任者とする品質監査を毎年行うなど、品質管理体制の構築・増強を図っています。出荷済みの製品において欠陥等が発覚した場合に社会的責任を果たすため、2021年に「品質管理規程」を廃止して「品質に関する規程」に変更し、組織体制と活動の実行体制を見直しました。 パンデミックに関するリスク感染症が世界的規模で拡大(パンデミック)した場合、それに起因する経済活動の停滞や需要減によって出荷が落ち込む可能性があります。また、政府の要請等による事業への制約あるいは当社グループ社員への感染の広がりで、営業拠点や研究所の閉鎖や工場の操業停止によって一時的に事業の継続が困難となる可能性があります。これらの結果として、当社グループの業績や財政状態に影響する可能性があります。 中 短期 ①③ B 当社グループにおける生産及び研究・開発等の事業拠点は、日本、中国、アジアパシフィック、欧州、北米、中南米とグローバルに立地しており、複数工場によるバックアップ生産策を推進することで、拠点閉鎖や操業停止等によるリスクを低減しています。また、ITインフラの整備・増強を進めた上で、情報のデジタル化、社内手続の電子承認によるペーパーレス化を進め、在宅勤務等のテレワークの積極的活用を推進し、パンデミック発生時に円滑な事業継続を行うための環境整備を進めています。長期経営計画におけるマクロ環境に影響されにくい強靭な事業体質への変換を目指し、事業ポートフォリオの転換を図ることで、更なる事業リスクの分散を進めています。 金利変動に起因するリスク当社グループは、有利子負債による資金調達を実施しており、金融市場に急激な変動が起こった場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。 中 短~中期 ① C 当社グループは、財務の健全性の評価指標として、ネットD/Eレシオを採用し、財務体質の維持・強化と有利子負債の削減に努めています。また、各国の金利動向を注視しながら、固定金利調達を増やすなど、将来の金利変動リスク、金利負担の低減を図る措置を講じています。 為替変動に起因するリスク当社グループは、世界各国で事業活動を行っており、在外子会社等の財務諸表項目の円換算額には為替相場の変動による影響があります。そのため、為替相場に大幅な変動が生じた場合、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。また、輸出入等の外貨建取引についても、為替相場変動による換算上の影響があるため、同様に業績に影響を及ぼす可能性があります。 中 短期 ① C他 当社グループは、本社のリーダーシップの下で各地域で為替リスク管理体制を整備し、為替相場の変動に伴う業績影響や在外子会社の換算影響の把握に努めています。また、先物為替予約等の為替変動ヘッジ取引や資金調達・投資の複数通貨対応等を通じて、そのリスクを軽減する措置を講じています。企業買収・資本提携が想定どおり進まないことに起因するリスク当社グループは、事業ポートフォリオ変革のため、企業買収や資本提携を積極的に実施しています。当社グループが実施する統合・協業が不十分または想定どおり進まない場合、当初計画していた効果が得られないため、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。 低 中~長期 ②③ AC 当社グループでは、当社で設定した投資指標に基づいて投資判断を行うとともに、自社による調査の他、外部機関も活用して徹底したデューデリジェンスを行い、リスク事項を事前に洗い出し、対策を講じています。買収後はグループ一体となったPMI(統合活動)の推進やシナジーの実現に向けたアクションを実施することにより、リスク低減に取り組んでいます。 コーポレートガバナンスの不備に起因するリスク日本のみならず、中国、アジアパシフィック、北米、中南米、欧州、中東、アフリカ等、グローバルに展開する当社グループ会社において、コーポレートガバナンスの不備・無効化・対策未実施等に起因して、不正行為、粉飾決算、法令違反が発生して会社が損害を受ける、または当社グループの社会的信用に傷がつく可能性があります。 低 不明 ② B他 コンプライアンスに関する「DICグループ行動規範」を主要な所在地言語に翻訳して、全ての地域において従業員がこの規範に準拠した正しい判断と行動を行うよう、統制環境を整備しています。また、全ての当社グループ会社において、コーポレートガバナンスに必要な権限承認規程等の規程類を具備しています。当社グループは、日本、中国、アジアパシフィック、北米、中南米、欧州、中東、アフリカの各地域をカバーする内部統制組織を有しており、ほぼ全ての事業拠点をカバーするように定期的な内部監査によるモニタリングを実施するとともに、内部監査部門と監査役と会計監査人が十分に連携しながら、グループ会社の法令順守、コーポレートガバナンスが適切に機能していることを確認しています。また、不正行為等に対しては、内部通報制度を当社グループの全ての社員に周知し、不正が起きにくい環境の整備・維持に努めています。加えて、経営ビジョンの刷新や行動指針実践事例の表彰制度等を通じ、経営の基本的な考え方である「The DIC Way」のグローバルでの周知・浸透を図っています。 コンプライアンス違反に関するリスク当社グループは、世界各国で事業活動を行っており、商取引、安全、環境や化学物質等に関する様々な法規制の適用を受けています。法規制等に違反した場合、事業の停止命令や罰金が課され、または損害賠償責任が発生し、当社グループの業績や財務状況に影響を与える可能性があります。 低 不明 ② AB他 当社グループでは、法規制の他、ビジネスを実践する上で遵守すべきコンプライアンスに関する基準として「DICグループ行動規範」を定めています。社長は、役員を含む全社員に向けて、コンプライアンスの重要性やビジネスよりもコンプライアンスが優先すべき価値であることを折に触れて自らの言葉で発信しています。全社員は、具体的事例を取り上げたeラーニングや研修によって、その認識を深めています。更に、コンプライアンス上の疑問を持った場合に相談できる体制を整備し、内部通報制度の活用や担当部署から独立した部署による監査・調査などによってコンプライアンス違反があった場合の早期発見、早期是正を図っています。また、法規制変更時の周知徹底、化学物質情報管理システムの運用徹底・DX化/効率化、デザインレビューの運用徹底等、あらゆる段階でコンプライアンスリスクの低減に必要な対策を講じています。 情報セキュリティに起因するリスクサイバー攻撃等によるデータ逸失や改竄、情報漏洩、災害や障害等による業務システム・設備・機器等の停止や誤動作、グローバルネットワークの国家間遮断等が発生した場合、それらが引き起こす事業の停滞及び事業機会ロスにより、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。 低 不明 ② B 当社グループは、情報系及び制御系インフラのセキュリティ機能の継続的強化、ITのBCP整備(災害復旧・バックアップ・体制等)、情報セキュリティ教育訓練の継続的な更新・実施等を行うとともに、サイバー攻撃等を想定した第三者による情報セキュリティリスクアセスメントを実施し、その結果に基づいて対策ロードマップを策定することで、リスク低減に取り組んでいます。 (3)顕在化した場合の影響が小さいリスクリスク及び業績に与える影響の内容可能性時期区分関連当社グループの取り組み水資源に関するリスク当社グループは、事業活動を通じて水資源の有効活用に努めています。しかし、取水源において想定以上の水不足や水質低下が起きた場合、生産活動に制約が生じる可能性や、水価格上昇により収益性が低下する可能性があります。 低 長期 ②③ AB 当社グループでは、各事業所における取水、排水の実績をモニタリングして、水資源の利用状況を把握しています。更に、各生産拠点においては、所在地域における水資源の情報と工場の操業状況を評価したリスクアセスメントを実施し、対策状況を管理しています。そして、水を再利用(リユース・リサイクル)することにより、水使用量の低減に取り組んでいます。税務に関するリスク当社グループは、世界各国で販売や生産等の事業活動を行っており、グループ内でも相互に取引があります。各国の移転価格税制等の国際税務リスクについて細心の注意を払っていますが、各国税務当局との見解の相違によって予期しない課税を受けた場合、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 低 不明 ① 他 当社グループは、本社のリーダーシップの下に、各国の税法に準拠した適正な納税を行っており、定められた移転価格文書を整備しています。また、「DICグループの税務に関する方針」を策定・公表しており、透明性の高い税務管理に取り組んでいます。知的財産に関するリスク当社グループが保有する技術資産・ノウハウが不測の事態により外部へ流出した場合、また、知的財産に関しての紛争が発生した場合、製品販売への影響、訴訟対応とその結果によっては業績に影響を与える可能性があります。 低 不明 ②③ A他 当社グループでは、情報セキュリティ基本方針の下、機密情報管理規程を制定し技術情報等を厳格に管理しています。一方、製品開発に当たっては事前の厳格な知財権調査(特許・商標ほか)を義務づけ紛争回避のための施策を実施しています。
FY2021|10,924 文字
2【事業等のリスク】当社グループは中長期に会社の業績に大きな影響を与える重要課題(マテリアリティ)を抽出しています。抽出した重要課題については、確実で効率的な対応を心がけつつ、2022年スタートの長期経営計画「DIC Vision 2030」(注1)における成長シナリオをイメージしながら事業の推進に役立てています。また、経営環境の変化やリスクの多様化に適切かつ柔軟に対応するとともに、潜在的なリスクが顕在化することによる事業への影響を速やかに最小限に抑えるため、リスクマネジメント活動を進めています。広範なリスクのうち、「外部環境リスク」、「コーポレートリスク」は当社グループのサステナビリティ経営の諮問機関であるサステナビリティ委員会及び下部組織のサステナビリティ部会で、「ビジネスリスク」については業務執行に係る重要な事項の審議機関である執行会議など重要会議を通じて適切にモニターし、リスク対策を実施しています。後述する主要なリスクの記載順序は、当社グループのマテリアリティ・マトリックス(注2)をベースとしており、各リスクが顕在化した場合に、当社グループのビジネス及びステークホルダーに与え得る影響度合いを大、中、小に分類しています(注3)。当連結会計年度末現在において、各リスクが顕在化し当社グループの業績や財政状態に大きな影響をもたらす可能性は、概ね中程度から低いものと想定していますが、リスクが顕在化した場合の影響を低減するように各リスクに主管部署を定めて対策に取り組んでいます。なお、将来に関する事項についての記載は、当連結会計年度末現在における判断に基づくものであり、また当社グループに関する全てのリスクを網羅したものではありません。 (注1)長期経営計画「DIC Vision 2030」の詳細は、https://www.dic-global.com/ja/ir/management/plan.htmlをご覧ください。(注2)マテリアリティ・マトリックスの詳細は、DICレポート(統合報告書) https://www.dic-global.com/ja/csr/annual/をご覧ください。(注3)各リスクが顕在化する可能性や時期など表中における項目の詳細は以下のとおりです。 可能性 (当連結会計年度末現在における各リスクが将来的に顕在化する可能性)高: 可能性が高い中: 可能性が中程度低: 可能性が低い 時期 (当連結会計年度末現在における各リスクが顕在化し得る時期やタイミング)長期: 5年超中期: 3、4年程度短期: 2年以内不明: 顕在化するタイミングが予想できない 区分 (発生要因別の当社における管理上のリスク区分)①: 発生防止を自社でコントロールできない外部環境リスク②: 会社のマネジメントで発生防止対策を取り得るコーポレートリスク③: 事業の中で認識すべきビジネスリスク 関連 (長期経営計画「DIC Vision 2030」で定めた事業戦略との関連)A: 成長実現に向けた事業ポートフォリオの変革B: グローバル経営、ESG経営及び安全経営を下支えする経営基盤の強化C: キャッシュ・フローマネジメント他: 事業戦略の関係なし (1)顕在化した場合の影響が大きいリスクリスク及び業績に与える影響の内容可能性時期区分関連当社グループの取り組み気候変動に伴う環境変化や社会変革への対応に関するリスク国際社会では、急速に2050年カーボンニュートラルへの要請が高まり、今後も競争ルールの変更を伴う社会システムの変化が予測されます。当社グループはこれまでのCO2排出量の削減目標を見直し、2021年6月に新たな長期目標として、「2050年カーボンネットゼロの実現」と「2030年CO2排出量の50%削減」(2013年度比)を決定しました。この目標を達成するための活動を進めていく中で以下を業績に深刻な影響を与える可能性のある気候変動リスクと捉えています。1)今後カーボンプライシングが導入された場合、原燃料価格や電力価格の上昇、輸出品目の課税措置等が課され、CO2排出量が直接的なコスト圧迫要因となります。2)気候変動に伴う脱炭素社会への移行リスクとして、サーキュラーエコノミー等による急激な需要の変化が起きた場合、これへの対応ができなければ大幅な事業収益の低下をもたらす要因となります。3)極端な物理的リスクとして、異常気象による気象災害が深刻化・頻発化すると、事業所の稼働停止、原料調達の不安定化等により製品供給不能や供給の遅延を生じる可能性があり、事業収益の低下と事業継続の可否に関わるリスクとなる可能性があります。 高 中~長期 ①③ AB 2050年カーボンニュートラルの要請、また将来の導入が予測されるカーボンプライシングによるコスト影響を回避するため[小さくするため]、当社グループでは積極的な環境投資と省エネ施策の推進を通じてCO2排出削減に取り組んでいます。また、これまでのCO2排出量削減目標を見直し、あらたに「2050年カーボンネットゼロの実現」と「2030年CO2排出量の50%削減」(2013年度比)を決定し、ロードマップの策定に向けた取り組みを進めています。加えて、CO2排出に関わるコスト意識を醸成し、CO2削減に向けたインセンティブを高め取り組めるように社内カーボンプライス(ICP)の運用を開始しました。また当社グループでは気候変動による需要の変化に的確に対応するべく将来のサーキュラーエコノミーへの移行を視野に入れた製品開発、脱炭素に向けて貢献する製品・サービスの開発及び普及に取り組み、気候変動に関する社会課題の解決を目指します。一方、物理的リスクに対して重要原料の供給対策も含むBCP(事業継続計画)の策定を進め、また沿岸立地事業所の気象災害リスクへの対策強化にも努めています。こうした活動については積極的な情報開示を行い、外部とのコミュニケーションも図り、ステークホルダーからの理解を頂く様取り組んでいます。 リスク及び業績に与える影響の内容可能性時期区分関連当社グループの取り組みポートフォリオ転換に関するリスク長期経営計画「DIC Vision 2030」では、社会課題を解決し、社会の持続的繁栄に貢献する5つの重点事業領域を定め、経営資源を集中させることで事業ポートフォリオの変革に取り組んでいます。事業ポートフォリオの変革に遅れが生じた場合、硬直化により成長が鈍化した場合、及び製品ライフサイクルに伴い成熟事業の収益性が徐々に低下した場合には、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。 中 短~長期 ②③ A 当社グループでは長期経営計画「DIC Vision 2030」において、サステナブルエネルギー領域、ヘルスケア領域、スマートリビング領域、カラーサイエンス領域、サステナブルパッケージ領域を5つの重点事業領域として定め、事業部門と新事業統括本部の事業活動を通じて注力しています。 また、当社の事業戦略にそぐわない低収益事業の縮小・撤退の基準を設けて定期レビューを行い、リスクへの対応に取り組んでいます。取締役会及び執行会議では長期経営計画で定めた事業戦略の進捗を定期的に確認し、事業環境に応じた施策更新・追加施策を講じています。長期的計画を確実に実現させるため、2025年までの前半の4年間は「DIC Vision 2030」の目指す姿を実現する為の基盤づくりの期間と位置づけ、2030年までの後半の5年間を目指す姿を実現し、展開する期間と位置づけています。また、当社の強みを発揮し社会課題の解決に貢献できる「サステナブル製品」比率の拡大を通じて、社会の持続的繁栄に貢献する事業ポートフォリオを構築して参ります。 環境負荷低減の要請に起因するリスク当社グループは、事業活動を通じて発生する様々な環境負荷(環境汚染物質、産業廃棄物、海洋プラスチック廃棄物)の低減に努めています。しかし、環境負荷物質がトラブルにより想定以上に排出されてしまった場合、その回収コスト負担や賠償責任の可能性があります。環境規制の強化による業界基準の変更、又は持続的な社会に向けたシステムの変化に適切に対応できなければビジネスを継続できなくなるリスクがあります。 中 短~長期 ①③ AB 当社グループは、生産と事業の両面から環境負荷の低減に努めています。生産面においては、生産拠点所在地における環境負荷低減に関連する様々な法令や規制遵守はもとより、定期的に環境負荷データをモニタリングしてリスクを管理しています。また、国内においては環境負荷物質の削減目標を定め、毎年モニタリングしながらその削減に努めています。事業活動においても、サステナビリティ指標を用いて製品の環境負荷低減に努めると共に、地球環境と社会課題に貢献する「サステナブル製品」の拡大に取り組んでいます。具体的にはバイオベース材料を使用した製品など、環境に配慮した製品の比率向上に努めています。また、ケミカルリサイクルを含めたサーキュラーエコノミーへの取り組みを推進しています。 イノベーションの停滞に関するリスク当社グループは環境面における社会変革への対応が非常に重要と捉え、「グリーン社会、デジタル社会、QOL社会」に貢献する製品開発をグループ一丸となって取り組んでいます。同時に、急速に進展するデジタルテクノロジーの活用、DX(デジタルトランスフォーメーション)推進に遅れを取らないように対策を進めています。しかしながら、当社のイノベーションが停滞して社会要請に応える製品を開発・上市できない場合、会社の成長が鈍化する可能性があります。 低 中~長期 ②③ ABC 当社は、当社グループが保有する既存の基盤技術に加えて、無機材料技術やバイオ技術などの新しい基盤技術を活用して、グリーン社会に貢献するバイオマスパッケージ等の次世代向けパッケージ、デジタル社会に貢献する5G/ 6G 通信対応材料や機能性無機材料、QOL社会に貢献する高機能ニュートリションなど様々な市場に向けてサステナブル製品の開発を進めています。特に技術部門では、製品開発の成功率を高めると同時に開発期間を短縮するためにMI(マテリアルインフォマティックス)を積極的に活用しています。また、量子コンピューターのコンソーシアムへの参加を通じて最先端の量子コンピューティング技術の導入に努めています。さらに、外部研究機関との共同研究やCVC活用による新技術の導入などオープンイノベーションにも積極的に取り組んでいます。同時に、当社グループはAI、IoT等のデジタル化による社会変革に対応すべく、専門部署のDX推進部を中心に、生産部門におけるスマート工場化に向けた取組や、ビジネスモデルの変革に積極的に取り組んでいます。 (2)顕在化した場合の影響が中程度のリスクリスク及び業績に与える影響の内容可能性時期区分関連当社グループの取り組みパンデミックリスク感染症が世界的規模で拡大(パンデミック)した場合には、それに起因する経済活動の停滞や需要減によって出荷が落ち込む可能性があります。また、政府の要請等による事業への制約又は当社グループ社員への感染の広がりで、営業拠点や研究所の閉鎖や工場の操業停止によって一時的に事業の継続が困難となる可能性があります。これらの結果として当社グループの業績や財政状態に影響する可能性があります。 中 短期 ①③ B 当社グループは自動車や電気・電子向け材料などを供給する一方で、食品パッケージなどの社会インフラに不可欠な分野への製品もグローバルに供給しています。長期経営計画におけるマクロ環境に影響されにくい強靭な事業体質への変換を目指し事業ポートフォリオの転換を図ることで、更なる事業リスクの分散を進めています。また生産及び研究・開発などの事業拠点を日本、中国とアジア・オセアニア地域、欧州、北米・中南米とグローバルに立地していることにより、拠点の閉鎖や操業停止などによるリスクが抑えられています。新型コロナウイルス感染症に対する従業員の安全、健康を守る取り組みとして、生産拠点やオフィスにおける「感染予防対策のガイドライン」を設けて、時差出退勤や班分けによるローテション勤務等の適用、勤務時のソーシャルディスタンスの配慮、消毒の徹底等を行っています。また、ITインフラの整備・増強を進めた上で、情報のデジタル化、社内手続の電子承認化によるペーパーレス化を進め、在宅勤務等のテレワークの積極的活用を推進し、就業環境の感染予防対策を徹底しています。品質問題の発生に伴うリスク製品の欠陥や製造物責任が問われるなどの事象が発生し、出荷・生産の停止が生じた場合、また製品回収や損害賠償責任が生じた場合、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。更にこれらの事象が発生したことにより社会的信用の失墜が生じる可能性があります。 中~低 不明 ②③ AB 当社グループは、「常に信頼される製品を提供して顧客と社会の繁栄に貢献する」を品質に関する方針とし、毎年社長が社員に向けて品質保証の重要性を喚起しています。「コンプライアンスは何よりも勝るDICグループの優先的価値」との認識のもと、全社員が品質に関わる当事者意識を持ってQMS(品質管理システム)の正しい運用を徹底し、品質の改善に取り組んでいます。2021年度に一本化された品質保証組織は、グループ全体の品質に関する活動を一括管理し、顧客重視の視点で製品の品質により生じるリスクのマネジメントに真摯に取り組んでいます。また、社長直轄の品質委員会は、これら品質に係る全社の活動を監視監督しています。出荷済みの製品において欠陥等が発覚した場合に社会的責任を行使するため、2021年に関係マニュアルを見直しました。 リスク及び業績に与える影響の内容可能性時期区分関連当社グループの取り組み原料調達に関するリスク当社グループは短期及び中長期的な視点で品質と価格、安定供給に加え持続可能な原料調達の実現に向けた取り組みを推進しています。国際商品市況の影響により原料価格が上昇した場合や、原料サプライヤーの事故・トラブル、自然災害等を起因とした需給バランスの変動により原料の調達が困難になる場合、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。また中長期的観点では、サステナビリティ(環境・社会・ガバナンス)に取り組んでいないサプライヤーからの原料調達は当社グループの事業継続に支障が生じる可能性があります。 中 短~長期 ①②③ AB 当社グループは、代替ソース開拓による複数購買化や長期契約等により原料コストの削減や調達リスクの低減を図り、安価で安定した調達を目指しています。また中長期的観点では取引先に示している「DICグループサステナビリティ調達ガイドライン」に基づき、厳格な化学物質の管理や環境負荷の低減を求めながらサステナビリティ活動に取り組む優良なサプライヤーからの調達を推進しています。 金利変動に起因するリスク当社グループは、有利子負債による資金調達を実施しており、金融市場に急激な変動が起こった場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。 中 短~中期 ① C 当社グループは、財務の健全性の評価指標として、ネットD/Eレシオを採用し、財務体質の維持・強化と有利子負債の削減に努めています。また、各国の金利動向を注視しながら足元の低金利環境を活かし、固定金利調達を増やすなど、将来の金利変動リスク、金利負担の低減を図る措置を講じています。為替変動に起因するリスク当社グループは、世界各国で事業活動を行っており、在外子会社等の財務諸表項目の円換算額には為替相場の変動による影響があります。そのため為替相場に大幅な変動が生じた場合、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。また輸出入等の外貨建取引についても、為替相場変動による換算上の影響があるため、同様に業績に影響を及ぼす可能性があります。 中 短期 ① C他 当社グループは、本社のリーダーシップの下で各地域で為替リスク管理体制を整備し、為替相場の変動に伴う業績影響や在外子会社の換算影響の把握に努めています。また先物為替予約等の為替変動ヘッジ取引や資金調達・投資の複数通貨対応等を通じて、そのリスクを軽減する措置を講じています。企業買収・資本提携が想定どおり進まないことに起因するリスク当社グループが実施する統合・協業が不十分又は想定どおり進まない場合には、当初計画していた効果が得られないため当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。 低 中~長期 ②③ AC 当社グループでは、自社による調査の他、外部機関も活用して徹底したデューデリジェンスを行い、リスク事項を事前に洗い出し対策を講じています。買収後はグループ一体となったPMI(統合活動)の推進や、シナジーの実現に向けたアクションを実施することによりリスク低減に取り組んでいます。 リスク及び業績に与える影響の内容可能性時期区分関連当社グループの取り組み情報セキュリティに起因するリスクサイバー攻撃等によるデータ逸失や改竄、情報漏えい、災害や障害等による業務システムの停止・設備・機器等の停止や誤動作が発生した場合、それらが引き起こす事業の停滞及び事業機会ロスの可能性があります。 低 不明 ② B 当社グループの情報系及び制御系インフラのセキュリティ機能の継続的強化と、ITのBCP整備(災害復旧・バックアップ・体制など)また情報セキュリティ教育・訓練の継続的な更新と実施を行うことでリスク低減に取り組んでいます。コンプライアンス違反に関するリスク当社グループは、世界各国で事業活動を行っており、商取引、安全、環境や化学物質などに関する様々な法規制の適用を受けています。法規制などに違反した場合、事業の停止命令や罰金が課され、又は損害賠償責任が発生し、当社グループの業績や財務状況に影響を与える可能性があります。 低 不明 ② AB他 当社グループでは、法規制の他、ビジネスを実践する上で遵守すべきコンプライアンスに関する基準として「DICグループ行動規範」を定めています。社長は役員を含む全社員に向けて、コンプライアンスの重要性やビジネスよりもコンプライアンスが優先すべき価値であることを折に触れて自らの言葉で発信しています。さらに、全社員は具体的事例を取り上げたeラーニングや研修によってその認識を深めています。また、コンプライアンス上の疑問を持った場合に相談できる体制を整備し、内部通報制度の活用や担当部署から独立した部署による監査・調査などによってコンプライアンス違反があった場合の早期発見、早期是正を図っています。法規制の変更については、各担当部署が社外の専門家とも連携の上確認し、必要な対応を講じています。 リスク及び業績に与える影響の内容可能性時期区分関連当社グループの取り組みコーポレートガバナンスの不備に起因するリスク日本のみならず中国地域、アジアパシフィック地域、北米、中南米、欧州・中東・アフリカなど、グローバルに展開する当社グループ会社で、コーポレートガバナンスの不備に起因して、従業員による不正行為、粉飾決算、法令違反が発生して会社が損害を受ける、又は当社グループの社会的信用に傷がつく可能性があります。 低 不明 ② B他 絶えざるイノベーションにより豊かな価値を創造し、顧客と社会の持続可能な発展に貢献するという経営理念を始めとする当社グループの経営の基本的な考え方である「The DIC Way」、及び、前述の当社グループ社員のコンプライアンスに関する「DICグループ行動規範」を主要な所在地言語に翻訳して、すべての地域において従業員がこの規範に準拠した正しい判断と行動を行うよう、統制環境を整備しています。また、全ての当社グループ会社においてコーポレートガバナンスに必要な権限承認規定等の規定類が具備されています。日本、中国、アジア・パシフィック、北米、中南米、欧州・中東・アフリカの各地域をカバーする内部統制組織を有しており、ほぼすべての事業拠点をカバーするように定期的な内部監査によるモニタリングを実施して、グループ会社の法令順守、コーポレートガバナンスが適切に機能していることを確認しています。従業員の不正行為等に対しては内部通告制度が全ての当社グループ会社の従業員に周知され、従業員による不正が起きにくい環境の整備・維持に努めています。人材確保に関するリスク当社グループの成長を維持するためには、事業遂行に必要な優秀な人材を採用し、確保し続ける必要があります。特にグローバルに活躍できる人材や、高い専門性を有する人材の必要性は高まってきており、このような人材の採用の競争は激化しており、同時に定着させることも急務の課題となっています。当社グループが優秀な人材を採用し、継続的に雇用し、育成することができない場合には、結果によっては当社にとって影響を与える可能性があります。 低 短~長 ② AB 当社グループでは、必要な人材をタイムリーに採用するために、新卒の一括採用だけではなく、専門性の高い即戦力となるキャリア採用を強化するとともに、優秀な社員の流出を防ぐため、ダイバーシティの推進、多様な人材がそれぞれの能力を最大限発揮できるための複線的な人事制度の導入や、キャリア支援制度の拡充、タレントマネジメントの強化や人材育成制度の拡充、ワークスタイル改革を通じた柔軟な働き方に向けた施策を展開しています。 (3)顕在化した場合の影響が小さいリスクリスク及び業績に与える影響の内容可能性時期区分関連当社グループの取り組み水資源に関するリスク当社グループは、事業活動を通じて水資源の有効活用に努めています。しかし、取水源において想定以上の水不足や水質低下が起きた場合、生産活動に制約が生じる可能性や、水価格上昇により収益性が低下する可能性があります。 低 長期 ②③ AB 当社グループでは、各事業所における取水、排水の実績をモニタリングして、水資源の利用状況を把握しています。更に、日本・中国・アジア太平洋の各事業所においては、所在地域における水資源の情報と工場の操業状況を評価したリスクアセスメントを実施し、対策状況を管理しています。そして、水を再利用(リユース・リサイクル)することにより水使用量の低減に取り組んでいます。 災害、事故の発生に伴うリスク大規模自然災害や、事業活動に伴う災害・事故により、人的・物的損害が発生し、その結果工場の操業停止や事業活動の停止が生じた場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。また、事故災害の発生により、事業所周辺の地域社会等に対するレピュテーションの毀損に伴い、当社事業活動への影響が発生する可能性があります。 低 不明 ①②③ 他 当社グループでは、重大災害等発生時の危機管理規則や個別のリスク別(大規模地震・台風・水害等の自然災害、パンデミック、工場における爆発・火災・漏洩等)に対策マニュアルを全社マニュアルとして整備したうえで、製品本部ごとにBCP(事業継続計画)を策定しています。また、安全衛生・防災という観点では、社会の一員として、安全・環境・健康の確保が経営の基盤であることを認識し、このことを事業活動の全てに徹底しています。具体的には、当社グループ全体・従業員一人ひとりが「安全第一」を共通認識として、労働安全衛生・保安防災を推進するための、方針策定と周知徹底、経営層が率先して安全活動を推進することを実現するための体制整備、定期的な監査の実施、積極的かつ継続的な教育・訓練の実施を推進しています。 リスク及び業績に与える影響の内容可能性時期区分関連当社グループの取り組み政治・地政学変動リスク政治や社会情勢等に起因して生じる予期せぬ事態、各種法令・規制の変更等によるコスト増、製品・原料輸出入や送金の停止、サプライチェーン分断による影響が生じた場合に、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。例えば、米中貿易摩擦による製品・原料等の輸出入停止及び関税税率アップに伴うコスト急増、又は中東地域における紛争・政治不安等による原油高騰等が財務影響を及ぼす可能性として挙げられます。なお、2022年2月以降のロシアの侵攻に端を発したロシア及びウクライナ情勢の影響については、紛争が短期間で終息した場合は限定的な影響に留まる一方で、これが長期化する場合には、当社グループの業績及び財務に一定の影響を及ぼすことになる可能性があると想定します。 低 不明 ① 他 当社グループでは、本社による全体的な管理に加えて、地域統括会社による通常の管理により事業面及び機能面の双方で事業を展開する各国における様々なリスクをモニタリングしています。生産・販売面におけるBCP(事業継続計画)体制の確立や原料の複数調達体制の構築を通じてカントリーリスクへの対応に取り組んでいます。また、サプライチェーンの分断には、世界中にまたがるネットワークを有効活用することでリスクを低減しています。税務リスク当社グループは、世界各国で販売や生産などの事業活動を行っており、グループ内でも相互に取引があります。各国の移転価格税制等の国際税務リスクについて細心の注意を払っていますが、各国税務当局との見解の相違により予期しない課税を受けた場合、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 低 不明 ① 他 当社グループは、本社のリーダーシップの下に、各国の税法に準拠した適正な納税を行っており、定められた移転価格文書を整備しています。また、「DICグループの税務に関する方針」を策定・公表しており、透明性の高い税務管理に取り組んでいます。知的財産に関するリスク当社グループが保有する技術資産・ノウハウが不測の事態により外部へ流出した場合、また、知的財産に関しての紛争が発生した場合、製品販売への影響、訴訟対応とその結果によっては業績に影響を与える可能性があります。 低 不明 ②③ A他 当社グループでは、情報セキュリティ基本方針の下、機密情報管理規程を制定し技術情報等を厳格に管理しています。一方、製品開発に当たっては事前の厳格な知財権調査(特許・商標ほか)を義務づけ紛争回避のための施策を実施しています。
FY2020|9,759 文字
2【事業等のリスク】 当社グループは中長期に会社の業績に大きな影響を与える重要課題(マテリアリティ)を抽出しています。抽出した重要課題については、確実で効率的な対応を心がけつつ、2019年スタートの中期経営計画「DIC111」(注1)と、さらにその先の成長シナリオをイメージしながら事業の推進に役立てています。また、経営環境の変化やリスクの多様化に適切かつ柔軟に対応するとともに、潜在的なリスクが顕在化することによる事業への影響を速やかに最小限に抑えるため、リスクマネジメント活動を進めています。広範なリスクのうち、「外部環境リスク」、「コーポレートリスク」は当社グループのサステナビリティ経営の諮問機関であるサステナビリティ委員会及び下部組織のサステナビリティ部会で、「ビジネスリスク」については業務執行に係る重要な事項の審議機関である執行会議など重要会議を通じて適切にモニターし、リスク対策を実施しています。後述する主要なリスクの記載順序は、当社グループのマテリアリティ・マトリックス(注2)をベースとしており、各リスクが顕在化した場合に、当社グループのビジネス及びステークホルダーに与え得る影響度合いを大、中、小に分類しています(注3)。当連結会計年度末現在において、各リスクが顕在化し当社グループの業績や財政状態に大きな影響をもたらす可能性は、概ね中程度から低いものと想定していますが、リスクが顕在化した場合の影響を低減するように各リスクに主管部署を定めて対策に取り組んでいます。なお、将来に関する事項についての記載は、当連結会計年度末現在における判断に基づくものであり、また当社グループに関する全てのリスクを網羅したものではありません。 (注1)中期経営計画「DIC111」の詳細は、https://www.dic-global.com/ja/ir/management/plan.htmlをご覧ください。(注2)マテリアリティ・マトリックスの詳細は、DICレポート(統合報告書)https://www.dic-global.com/ja/csr/annual/をご覧ください。(注3)各リスクが顕在化する可能性や時期など表中における項目の詳細は以下のとおりです。 可能性 (当連結会計年度末現在における各リスクが将来的に顕在化する可能性)高: 可能性が高い中: 可能性が中程度低: 可能性が低い 時期 (当連結会計年度末現在における各リスクが顕在化し得る時期やタイミング)長期: 5年超中期: 3、4年程度短期: 2年以内不明: 顕在化するタイミングが予想できない 区分 (発生要因別の当社における管理上のリスク区分)①: 発生防止を自社でコントロールできない外部環境リスク②: 会社のマネジメントで発生防止対策を取り得るコーポレートリスク③: 事業の中で認識すべきビジネスリスク 関連 (中期経営計画「DIC111」で定めた3つの事業戦略との関連)A: 成長実現に向けたポートフォリオ転換B: グローバル経営、ESG経営及び安全経営を下支えする経営基盤の強化C: キャッシュ・フローマネジメント他: 事業戦略の関係なし (1)顕在化した場合の影響が大きいリスクリスク及び業績に与える影響の内容可能性時期区分関連当社グループの取り組み気候変動に伴う環境変化や社会変革への対応に関するリスク国際社会では、急速に2050年カーボンニュートラルへの要請が高まり、今後競争ルールの変更を伴う社会システムの変化が予測されます。現在当社グループは2013年度を基準年として2030年度までに事業所で排出するCO2排出量を30%削減の目標設定を行い、CO2排出量の削減に取り組んでいますが、一方で以下を業績に深刻な影響を与える可能性のある気候変動リスクと捉えています。1)今後カーボンプライシングや国境炭素税等が導入された場合、原燃料価格の上昇や電力価格の上昇や輸出品目の課税措置等が課され、CO2排出量が直接的なコスト圧迫要因となります。2)気候変動に伴う移行リスクとして、脱炭素社会に向けたサーキュラーエコノミー等による急激な需要の変化が起きた場合、これへの対応ができなければ大幅な事業収益の低下をもたらす要因となります。3)極端な物理的リスクとして、異常気象による気象災害が深刻化・頻発化すると、事業所の稼働停止、原料調達の不安定化により製品供給不能や供給の遅延を生じる可能性があり、事業収益の低下と事業継続の可否に関わるリスクとなる可能性があります。 高 中~長期 ①③ AB 2050年カーボンニュートラルの要請、また将来の導入が予測されるカーボンプライシングによるコスト影響を回避するため、当社グループでは積極的な環境投資と省エネ施策の推進を通じてCO2排出削減に取り組んでいます。また現行の2030年までのCO2排出量削減目標(2013年度~2030年度 30%削減)を見直し、2050年を視野に長期的な更に強力なCO2排出量削減目標の策定に向けた取組を進めています。また当社グループでは気候変動による需要の変化に的確に対応するべく将来のサーキュラーエコノミーへの移行を視野に入れた製品開発、脱炭素に向けて貢献する製品・サービスの開発及び普及に取り組み、気候変動に関する社会課題の解決を目指します。一方、物理的リスクに対して重要原料の供給対策も含むBCP(事業継続計画)の策定を進め、また沿岸立地事業所の気象災害リスクへの対策強化にも努めています。こうした活動については積極的な情報開示を行い、外部とのコミュニケーションも図り、ステークホルダーからの理解を頂く様取り組んでいます。 リスク及び業績に与える影響の内容可能性時期区分関連当社グループの取り組みポートフォリオ転換に関するリスク中期経営計画「DIC111」では、マクロ環境に影響されにくい強靭な事業体質への変換を目指して社会課題を解決する事業の推進とポートフォリオ転換に向けた基盤の整備に取り組んでいます。事業ポートフォリオの転換に遅れが生じた場合、硬直化により成長が鈍化した場合、及び製品ライフサイクルに伴い成熟事業の収益性が徐々に低下した場合には、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。 中 短期 ②③ A 当社グループでは中期経営計画「DIC111」に掲げたValue Transformation及びNew Pillar Creationの推進と、当社の事業戦略にそぐわない低収益事業の縮小・撤退の基準を設けて定期レビューを行い、リスクへの対応に取り組んでいます。取締役会及び執行会議では中期経営計画で定めた事業戦略の進捗を定期的に確認し、事業環境に応じた追加施策を講じています。当社の強み・特長を活かして価値を創出していく事業の強化を図ります。また、新たにサステナビリティ指標を設定し、社会的価値の向上を更に推進していきます。 環境負荷低減の要請に起因するリスク当社グループは、事業活動を通じて発生する様々な環境負荷(環境汚染物質、海洋プラスチックなどの廃棄物)の低減に努めています。しかし、環境負荷物質がトラブルにより想定以上に排出されてしまった場合、その回収コスト負担や賠償責任の可能性があります。環境規制の強化による業界基準の変更、又は持続的な社会に向けたシステムの変化に適切に対応できなければビジネスを継続できなくなるリスクがあります。 中 長期 ①③ AB 当社グループは、生産と事業の両側面から環境負荷の低減に努めています。生産面においては、生産拠点所在地における環境負荷低減に関連する様々な法令や規制遵守はもとより、定期的に環境負荷データをモニタリングしてリスクを管理しています。また、国内においては環境負荷物質の削減目標を定め、毎年モニタリングしながらその削減に努めています。事業面においては、従来より、環境負荷低減に貢献する「環境調和型製品」の社内認定制度の下、バイオマス原料を使用した製品などの環境調和型製品比率の向上に努めています。また、ケミカルリサイクルを含めたサーキュラーエコノミーへの取り組みを推進しています。 リスク及び業績に与える影響の内容可能性時期区分関連当社グループの取り組みイノベーションの停滞に関するリスク当社グループは環境面における社会変革への対応が非常に重要と考え、サステナブルな社会に貢献しグリーン成長戦略につながる製品開発をグループ一丸となって取り組んでいます。同時に、急速に進展するデジタル化による不連続な技術革新、DX(デジタルトランスフォーメーション)推進に遅れを取らないように対策を進めています。しかしながら、当社のイノベーションが停滞して社会要請に応える製品を開発・上市できない場合、会社の成長が鈍化する可能性があります。 低 中~長期 ③ AB 当社は、当社グループが保有する既存の基盤技術に加えて、無機材料技術やバイオ技術などの新しい基盤技術を活用して、次世代向けパッケージ、サステナブル・ポリマー、機能性無機材料、ヘルスケア、ニュートリションなどの様々な市場に向けてサステナブル製品の開発を進めています。特に技術部門では、製品開発の成功率を高めると同時に開発期間を短縮するためにMI(マテリアルインフォマティックス)を積極的に活用しています。また、量子コンピューターのコンソーシアムへの参加を通じて最先端の量子コンピューティング技術の導入に努めています。さらに、外部研究機関との共同研究やCVC活用による新技術の導入などオープンイノベーションにも積極的に取り組んでいます。同時に、当社グループはAI、IoT等のデジタル化技術の進展による社会変革に対応すべく、専門部署のデジタルトランスフォーメーション推進部を立ち上げ、生産部門におけるスマート工場化に向けた取組や、技術部門におけるAI技術の活用に積極的に取り組んでいます。 (2)顕在化した場合の影響が中程度のリスクリスク及び業績に与える影響の内容可能性時期区分関連当社グループの取り組みパンデミックリスク感染症が世界的規模で拡大(パンデミック)した場合には、それに起因する経済活動の停滞や需要減によって出荷が落ちこむ可能性があります。また、政府の要請等による事業への制約又は当社グループ社員への感染の広がりで、営業拠点や研究所の閉鎖や工場の操業停止によって一時的に事業の継続が困難となる可能性があります。これらの結果として当社グループの業績や財政状態に大きく影響する可能性があります。 中 短期 ①③ B 当社グループは自動車や電気・電子向け材料などを供給する一方で、新聞や印刷・出版関係、食品パッケージなどの社会インフラに不可欠な分野への製品もグローバルに供給しています。中期経営計画におけるマクロ環境に影響されにくい強靭な事業体質への変換を目指し事業ポートフォリオの転換を図ることで、更なる事業リスクの分散を進めています。新型コロナウイルス感染症に対する従業員の安全、健康を守る取り組みとして、生産拠点やオフィスにおける「感染予防対策のガイドライン」を設けて、時差出退勤や班分けによるローテション勤務等の適用、勤務時のソーシャルディスタンスの配慮、消毒の徹底等を行っています。また、ITインフラの整備・増強を進めた上で、情報のデジタル化、社内手続の電子承認化によるペーパーレス化を進め、在宅勤務等のテレワークの積極的活用を推進し、就業環境の感染予防対策を徹底しています。品質問題の発生に伴うリスク製品の欠陥や製造物責任訴訟の提起などの事象が発生して出荷・生産の停止が生じた場合、また製品回収や損害賠償が発生したために費用増が生じた場合、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。更にこれらの事象が発生したことにより社会的信用の失墜が生じる可能性があります。 中~低 不明 ③ A 当社グループでは、品質に関して「常に信頼される製品を提供して顧客と社会の繁栄に貢献する」をグループ方針とし、毎年社長が社員に向けて品質の重要性を喚起しています。品質保証と品質の向上に向けた活動に努め、教育研修を強化し「コンプライアンス遵守」の認識を徹底すると同時にQMS(品質管理システム)の正しい運用を徹底しています。製品本部から独立した品質保証部を設置し、グループ全体の品質保証機能を一括管理することで、顧客重視の視点で製品の品質により生じるリスクへの対応策に真摯に取り組んでいます。2021年からは社長直轄の品質委員会を設置しグループとして品質マネジメントの更なる強化に取り組んでいきます。 リスク及び業績に与える影響の内容可能性時期区分関連当社グループの取り組み原料調達に関するリスク当社グループは短期及び中長期的な視点で品質と価格、安定供給に加え持続可能な原料調達の実現に向けた取り組みを推進しています。国際商品市況の影響により原料価格が上昇した場合や需給バランスの変動により原料の調達が困難になる場合、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。また中長期的観点では、サステナビリティ(環境・社会・ガバナンス)に取り組んでいないサプライヤーからの原料調達は当社グループの事業継続に支障が生じる可能性があります。 中 短~長期 ② A 当社グループは、代替ソース開拓による複数購買化や長期契約等により原料コストの削減や調達リスクの低減を図り、安価で安定した調達を目指しています。また中長期的観点では取引先に示している「DICグループサステナビリティ調達ガイドライン」に基づき、厳格な化学物質の管理や環境負荷の低減を求めながらサステナビリティ活動に取り組む優良なサプライヤーからの調達を推進していきます。 金利変動に起因するリスク当社グループは、有利子負債による資金調達を実施しており、金融市場に急激な変動が起こった場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。 中 短~中期 ① C 当社グループは、財務の健全性の評価指標として、D/Cレシオを採用し、財務体質の維持・強化と有利子負債の削減に努めています。また、各国の金利動向を注視しながら足元の低金利環境を活かし、固定金利調達を増やすなど、将来の金利変動リスク、金利負担の低減を図る措置を講じています。為替変動に起因するリスク当社グループは、世界各国で事業活動を行っており、在外子会社等の財務諸表項目の円換算額には為替相場の変動による影響があります。そのため為替相場に大幅な変動が生じた場合、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。また輸出入等の外貨建取引についても、為替相場変動による換算上の影響があるため、同様に業績に影響を及ぼす可能性があります。 中 短期 ① C他 当社グループは、本社のリーダーシップの下で各地域で為替リスク管理体制を整備し、為替相場の変動に伴う業績影響や在外子会社の換算影響の把握に努めています。また為替予約等の金融商品取引や資金調達・投資の複数通貨対応等を通じて、そのリスクを軽減する措置を講じています。企業買収・資本提携が想定どおり進まないことに起因するリスク当社グループが実施する統合・協業が不十分又は想定どおり進まない場合には、当初計画していた効果が得られないため当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。 低 中~長期 ②③ A 当社グループでは、外部機関も活用して徹底したデューデリジェンスを行い、グループ一体となったPMI(買収完了後の統合)活動の推進や、シナジーの実現に向けたアクションを実施することによりリスク低減に取り組んでいます。 リスク及び業績に与える影響の内容可能性時期区分関連当社グループの取り組み情報セキュリティに起因するリスクサイバー攻撃等によるデータ逸失や改竄、情報漏えい、災害や障害等による業務システムの停止・設備・機器等の停止や誤動作が発生した場合、それらが引き起こす事業の停滞及び事業機会ロスの可能性があります。 低 不明 ② B 当社グループの情報系及び制御系インフラのセキュリティ機能の継続的強化と、ITのBCP整備(災害復旧・バックアップ・体制など)また情報セキュリティ教育・訓練の継続的な更新と実施を行うことでリスク低減に取り組んでいます。コンプライアンス違反に関するリスク当社グループは、世界各国で事業活動を行っており、商取引、安全、環境や化学物質などに関する様々な法規制の適用を受けています。法規制などに違反した場合、事業の停止命令や罰金が課され、又は損害賠償責任が発生し、当社グループの業績や財務状況に影響を与える可能性があります。 低 不明 ② B 当社グループでは、法規制の他、ビジネスを実践する上で遵守すべきコンプライアンスに関する基準として「DICグループ行動規範」を定めています。社長は役員を含む全社員に向けて、コンプライアンスの重要性やビジネスよりもコンプライアンスが優先すべき価値であることを折に触れて自らの言葉で発信しています。さらに、全社員は具体的事例を取り上げたeラーニングや研修によってその認識を深めています。また、コンプライアンス上の疑問を持った者が相談できる体制を整備し、内部通報制度の活用や担当部署から独立した部署による監査・調査などによってコンプライアンス違反の早期発見、早期是正を図っています。法規制の変更については、各担当部署が社外の専門家とも連携の上確認し、必要な対応を講じています。子会社ガバナンスの不備に起因するリスク日本のみならず中国地域、アジアパシフィック地域、北米、中南米、欧州・中東・アフリカなど、グローバルに展開する当社グループ子会社で、コーポレートガバナンスの不備に起因して、従業員による横領等の不正行為、粉飾決算、法令違反が発生して会社が損害を受ける、又は当社グループの社会的信用に傷がつく可能性があります。 低 不明 ③ 他 当社グループ従業員の行動規範である「DICグループ行動規範」を制定し、主要な所在地言語に翻訳の上、すべての地域において従業員がこの規範に準拠した正しい判断と行動を行うよう、統制環境を整備しています。また、全ての当社グループ子会社においてコーポレートガバナンスに必要な権限承認規定等の規定類が具備されています。日本、中国、アジア・パシフィック、北米、中南米、欧州・中東・アフリカの各地域をカバーする内部統制組織を有しており、ほぼすべての事業拠点をカバーするように定期的な内部監査によるモニタリングを実施して、グループ会社の法令順守、コーポレートガバナンスが適切に機能していることを確認しています。従業員の不正行為等に対しては内部通告制度が全ての子会社の従業員に周知され、従業員による不正が起きにくい環境の整備・維持に努めています。 (3)顕在化した場合の影響が小さいリスクリスク及び業績に与える影響の内容可能性時期区分関連当社グループの取り組み水資源に関するリスク当社グループは、事業活動を通じて水資源の有効活用に努めていますが、水資源に関わる量的な物理リスク、質的な物理リスク及び規制/社会的評判リスクが顕在化した場合、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。量的な物理リスクとしては、取水源における水不足とそれに伴う水価格の上昇により、生産能力に制約が生じたり、収益性が低下する可能性があります。質的な物理リスクとしては、取水源や排水先の水質低下により、生産能力や収益性が低下する可能性があります。また、排水等の環境規制が急激なスピードで実施された場合、対策へのコスト増加や生産活動が制限される可能性があります。 低 長期 ②③ AB 当社グループでは、所在地域毎の水資源に関する情報を入手しつつ、事業所における取水、排水のデータをモニタリングして、水資源に関するリスクを管理しています。また、水を再利用(リユース・リサイクル)することにより水使用量の低減に取り組んでいます。災害、事故の発生に伴うリスク大規模災害や事故により、人的・物的損害が発生し、その結果工場の操業停止や事業活動の停止が生じた場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。また、事故災害の発生により、事業所周辺の地域社会等に対するレピュテーションの毀損に伴い、当社事業活動への影響が発生する可能性があります。 低 不明 ①②③ 他 当社グループでは、重大災害等発生時の危機管理規則や個別のリスク別(大規模地震・台風・水害等の自然災害、パンデミック、工場における爆発・火災・漏洩等)に対策マニュアルを全社マニュアルとして整備したうえで、製品本部ごとにBCP(事業継続計画)を策定しています。また、安全衛生・防災という観点では、社会の一員として、安全・環境・健康の確保が経営の基盤であることを認識し、このことを事業活動の全てに徹底していきます。具体的には、当社グループ全体・従業員一人ひとりが「安全第一」を共通認識として、労働安全衛生・保安防災を推進するための、方針策定と周知徹底、経営層が率先して安全活動を推進することを実現するための体制整備、定期的な監査の実施、積極的かつ継続的な教育・訓練の実施を推進しています。 リスク及び業績に与える影響の内容可能性時期区分関連当社グループの取り組み政治・地政学変動リスク政治や社会情勢等に起因して生じる予期せぬ事態、各種法令・規制の変更等によるコスト増、製品・原料輸出入や送金の停止、サプライチェーン分断による影響、また為替変動が生じた場合に、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。例えば、米中貿易摩擦による製品・原料等の輸出入停止及び関税税率アップに伴うコスト増、又は中東地域における紛争・政治不安等による原油高騰が財務影響を及ぼす可能性として挙げられます。 低 不明 ① 他 当社グループでは、本社による全体的な管理に加えて、地域統括会社による通常管理により事業面及び機能面の双方で事業を展開する各国における様々なリスクをモニタリングしています。生産・販売面におけるBCP(事業継続計画)体制の確立や原料の複数調達体制の構築を通じてカントリーリスクへの対応に取り組んでいます。また、サプライチェーンの分断には、当社の世界に幅広く有する拠点を有効活用することでリスクを低減しています。 税務リスク当社グループは、世界各国で販売や生産などの事業活動を行っており、グループ内でも相互に取引があります。各国の移転価格税制等の国際税務リスクについて細心の注意を払っていますが、各国税務当局との見解の相違により予期しない課税を受けた場合、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 低 不明 ① 他 当社グループは、本社のリーダーシップの下に、各国の税法に準拠した適正な納税を行っており、定められた移転価格文書を整備しています。また、「DICグループの税務に関する方針」を策定・公表しており、透明性の高い税務管理に取り組んでいます。知的財産に関するリスク当社グループが保有する技術資産・ノウハウが不測の事態により外部へ流出した場合、また、知的財産に関しての紛争が発生した場合、製品販売への影響、訴訟対応とその結果によっては業績に影響を与える可能性があります。 低 不明 ③ A他 当社グループでは、情報セキュリティ基本方針の下、機密情報管理規程を制定し技術情報等を厳格に管理しています。一方、製品開発に当たっては事前の厳格な知財権調査(特許・商標ほか)を義務づけ紛争回避のための施策を実施しています。
FY2019|3,205 文字
2【事業等のリスク】 当社グループは、経営環境の変化やリスクの多様化に適切かつ柔軟に対応するとともに、発現したリスクによる損害を速やかに最小限に抑えるため、リスクマネジメント活動を進めています。事業継続に支障を来たすおそれのある、あらゆるリスクをBCM(事業継続マネジメント)の想定対象とし、これらを発生する可能性、経営に与える影響度等から総合的に評価し、重要度の高いものからリスク対策に取り組んでいます。 しかし、有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関して、以下のようなリスクが顕在化した場合には、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性があります。 なお、将来に関する事項についての記載は、当連結会計年度末現在における判断に基づくものであり、当社グループに関する全てのリスクを網羅したものではありません。 1.需要業界・地域の動向 当社グループは、素材から加工に至る様々な製品群を広範な産業に提供しています。これらの業界において需要の低迷、競争の激化等が生じた場合、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。 また、当社グループは世界各国で事業活動を行っているため、所在国において、景気の悪化、競争の激化、カントリーリスクの顕在化等の状況が生じた場合、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。 2.為替レートの変動 当社グループは、世界各国で事業活動を行っており、在外子会社等の財務諸表項目の円換算額は為替レートの変動による影響を受けるため、為替レートに大幅な変動が生じた場合、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。 また、輸出入等の外貨建取引について、為替予約等によりリスクを軽減する措置を講じていますが、同様の可能性があります。 3.原料調達 当社グループの事業に用いる原料には、原油・ナフサ等に由来する石油化学系誘導品が多く含まれています。複数購買等の施策により安価で安定した調達を目指していますが、国際商品市況の急激な変動により原料価格が大幅に上昇した場合、又は、需給バランスの逼迫化により原料の調達が困難になった場合には、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。 4.有利子負債 当社グループは、有利子負債による資金調達を実施しており、金融市場に急激な変動が起こった場合には、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。 5.固定資産の減損 当社グループの資産の時価が著しく下落した場合、又は事業の収益性が悪化した場合には、減損会計の適用により固定資産の減損損失が発生し、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。 6.繰延税金資産 当社グループは、繰越欠損金及び将来減算一時差異に対して繰延税金資産を計上しています。繰延税金資産の計算は、将来の課税所得に関する予測・仮定に基づいており、その予測・仮定が変更された場合、又は、税率変更を含む税制改正等があった場合は、繰延税金資産の計算の見直しが必要になり、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。 7.退職給付債務 当社グループの退職給付債務及び退職給付費用は、年金数理計算上使用される各種の基礎率と年金資産の運用利回りなどに基づき計算されています。年金資産の変動、金利動向、退職金・年金制度の変更等に伴う退職給付債務及び退職給付費用の変動が、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。 8.公的規制 当社グループは、世界各国で事業活動を行っており、各種許認可のほか、商取引、安全、環境、労働、租税などに関する様々な法規制の適用を受けています。当社グループでは、すべての国の法律、国際ルールの遵守にとどまらず、ビジネスを実践する上で遵守すべき行動原則として「DICグループ行動規範」を制定し、この行動規範の啓蒙・教育を含めコンプライアンス体制の構築に努めています。しかし、今後、規制の強化や変更により、事業活動が制限されたり、対応コストが発生した場合、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。 9.紛争、訴訟等 当社グループは、国内外の事業活動に関連して、紛争、訴訟、行政処分等の対象となる可能性があります。その結果、当社グループに損害賠償責任や制裁金の支払等が生じた場合には、当社グループの信用、業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。 10.製品の品質 当社グループは、製品企画から、設計開発、原材料調達、製造、販売に至るすべてのプロセスにおいて、品質向上を目指した取り組みを行っています。しかし、製品の欠陥や製造物責任訴訟の提起といった事象が発生し、製品回収、損害賠償、又は社会的信用の失墜につながった場合、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。 11.知的財産 当社グループは、競争力基盤の強化のため、様々な知的財産権を保有し、維持・管理していますが、第三者による侵害や訴訟の提起が当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。 12.災害、事故 当社グループは、災害や事故発生時の被害を最小限にとどめ、速やかな復旧により事業を円滑に継続できる体制の整備と維持に努めています。また、生産機能の相互補完をはじめとしたBCP(事業継続計画)の策定・更新など、継続的にリスク対策を図っています。しかし、予想を上回る規模の地震や台風等の自然災害に見舞われた場合、又は、火災等の事故が発生した場合には、人的、物的損害のほか、事業活動の停止、制約等により、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。 13.情報管理 当社グループは、様々な情報システムを使用して事業活動を行っており、その重要性が高まっています。そのため、情報セキュリティの確保に取り組んでいますが、ウイルス感染等による大量のデータ逸失、情報漏えい、システム障害等が発生した場合には、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。 14.企業買収、資本提携、事業再構築 当社グループは、基盤事業の安定化、成長牽引事業の拡充、次世代事業の創出といった観点で、企業買収、資本提携等を模索しています。これらの実施に際しては、経済的価値、相手企業の調査を十分に行い決定しますが、事業活動には予想できない様々な不確実性が伴います。その結果、当初期待していた効果が得られない場合には、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。 また、当社グループは、企業価値の増大に向けて事業の選択と集中に取り組んでいます。この過程において事業再構築に伴う一時損失が発生し、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。 15.気候変動への対応 当社グループは、事業活動を通じてCO₂排出量の削減に取り組み、気候変動リスクの低減に努めていますが、気候変動に関連する移行リスクや物理的リスクが顕在化する場合、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。 気候変動に関する移行リスクとして、脱炭素社会への急速な移行に対応できず、原燃料価格の上昇やこれに伴う電力価格の上昇などに伴うコストの増加により、収益性が低下する可能性があります。物理的リスクとしては、異常気象の深刻化により、生産オペレーションやサプライチェーンに悪影響を及ぼし、生産能力の低下や製品供給の遅延といった事態を引き起こす可能性があります。 一方で当社グループは、気候変動をビジネスの機会と捉え、低炭素製品・サービスの開発及び普及等に取り組むといった事業活動を通じて、気候変動に関する社会課題の解決を目指します。
FY2018|2,819 文字
2【事業等のリスク】 当社グループは、経営環境の変化やリスクの多様化に適切かつ柔軟に対応するとともに、発現したリスクによる損害を速やかに最小限に抑えるため、リスクマネジメント活動を進めています。事業継続に支障を来たすおそれのある、あらゆるリスクをBCM(事業継続マネジメント)の想定対象とし、これらを発生する可能性、経営に与える影響度等から総合的に評価し、重要度の高いものからリスク対策に取り組んでいます。 しかし、有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関して、以下のようなリスクが顕在化した場合には、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性があります。 なお、将来に関する事項についての記載は、当連結会計年度末現在における判断に基づくものであり、当社グループに関する全てのリスクを網羅したものではありません。 1.需要業界・地域の動向 当社グループは、素材から加工に至る様々な製品群を広範な産業に提供しています。これらの業界において需要の低迷、競争の激化等が生じた場合、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。 また、当社グループは世界各国で事業活動を行っているため、所在国において、景気の悪化、競争の激化、カントリーリスクの顕在化等の状況が生じた場合、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。 2.為替レートの変動 当社グループは、世界各国で事業活動を行っており、在外子会社等の財務諸表項目の円換算額は為替レートの変動による影響を受けるため、為替レートに大幅な変動が生じた場合、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。 また、輸出入等の外貨建取引について、為替予約等によりリスクを軽減する措置を講じていますが、同様の可能性があります。 3.原料調達 当社グループの事業に用いる原料には、原油・ナフサ等に由来する石油化学系誘導品が多く含まれています。複数購買等の施策により安価で安定した調達を目指していますが、国際商品市況の急激な変動により原料価格が大幅に上昇した場合、又は、需給バランスの逼迫化により原料の調達が困難になった場合には、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。 4.有利子負債 当社グループは、有利子負債による資金調達を実施しており、金融市場に急激な変動が起こった場合には、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。 5.固定資産の減損 当社グループの資産の時価が著しく下落した場合、又は事業の収益性が悪化した場合には、減損会計の適用により固定資産の減損損失が発生し、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。 6.繰延税金資産 当社グループは、繰越欠損金及び将来減算一時差異に対して繰延税金資産を計上しています。繰延税金資産の計算は、将来の課税所得に関する予測・仮定に基づいており、その予測・仮定が変更された場合、又は、税率変更を含む税制改正等があった場合は、繰延税金資産の計算の見直しが必要になり、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。 7.退職給付債務 当社グループの退職給付債務及び退職給付費用は、年金数理計算上使用される各種の基礎率と年金資産の運用利回りなどに基づき計算されています。年金資産の変動、金利動向、退職金・年金制度の変更等に伴う退職給付債務及び退職給付費用の変動が、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。 8.公的規制 当社グループは、世界各国で事業活動を行っており、各種許認可のほか、商取引、安全、環境、労働、租税などに関する様々な法規制の適用を受けています。当社グループでは、すべての国の法律、国際ルールの遵守にとどまらず、ビジネスを実践する上で遵守すべき行動原則として「DICグループ行動規範」を制定し、この行動規範の啓蒙・教育を含めコンプライアンス体制の構築に努めています。しかし、今後、規制の強化や変更により、事業活動が制限されたり、対応コストが発生した場合、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。 9.紛争、訴訟等 当社グループは、国内外の事業活動に関連して、紛争、訴訟、行政処分等の対象となる可能性があります。その結果、当社グループに損害賠償責任や制裁金の支払等が生じた場合には、当社グループの信用、業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。 10.製品の品質 当社グループは、製品企画から、設計開発、原材料調達、製造、販売に至るすべてのプロセスにおいて、品質向上を目指した取り組みを行っています。しかし、製品の欠陥や製造物責任訴訟の提起といった事象が発生し、製品回収、損害賠償、又は社会的信用の失墜につながった場合、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。 11.知的財産 当社グループは、競争力基盤の強化のため、様々な知的財産権を保有し、維持・管理していますが、第三者による侵害や訴訟の提起が当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。 12.災害、事故 当社グループは、災害や事故発生時の被害を最小限にとどめ、速やかな復旧により事業を円滑に継続できる体制の整備と維持に努めています。また、生産機能の相互補完をはじめとしたBCP(事業継続計画)の策定・更新など、継続的にリスク対策を図っています。しかし、予想を上回る規模の地震や台風等の自然災害に見舞われた場合、又は、火災等の事故が発生した場合には、人的、物的損害のほか、事業活動の停止、制約等により、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。 13.情報管理 当社グループは、様々な情報システムを使用して事業活動を行っており、その重要性が高まっています。そのため、情報セキュリティの確保に取り組んでいますが、ウイルス感染等による大量のデータ逸失、情報漏えい、システム障害等が発生した場合には、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。 14.企業買収、資本提携、事業再構築 当社グループは、基盤事業の安定化、成長牽引事業の拡充、次世代事業の創出といった観点で、企業買収、資本提携等を模索しています。これらの実施に際しては、経済的価値、相手企業の調査を十分に行い決定しますが、事業活動には予想できない様々な不確実性が伴います。その結果、当初期待していた効果が得られない場合には、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。 また、当社グループは、企業価値の増大に向けて事業の選択と集中に取り組んでいます。この過程において事業再構築に伴う一時損失が発生し、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。
FY2017|2,819 文字
4【事業等のリスク】 当社グループは、経営環境の変化やリスクの多様化に適切かつ柔軟に対応するとともに、発現したリスクによる損害を速やかに最小限に抑えるため、リスクマネジメント活動を進めています。事業継続に支障を来たすおそれのある、あらゆるリスクをBCM(事業継続マネジメント)の想定対象とし、これらを発生する可能性、経営に与える影響度等から総合的に評価し、重要度の高いものからリスク対策に取り組んでいます。 しかし、有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関して、以下のようなリスクが顕在化した場合には、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性があります。 なお、将来に関する事項についての記載は、当連結会計年度末現在における判断に基づくものであり、当社グループに関する全てのリスクを網羅したものではありません。 1.需要業界・地域の動向 当社グループは、素材から加工に至る様々な製品群を広範な産業に提供しています。これらの業界において需要の低迷、競争の激化等が生じた場合、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。 また、当社グループは世界各国で事業活動を行っているため、所在国において、景気の悪化、競争の激化、カントリーリスクの顕在化等の状況が生じた場合、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。 2.為替レートの変動 当社グループは、世界各国で事業活動を行っており、在外子会社等の財務諸表項目の円換算額は為替レートの変動による影響を受けるため、為替レートに大幅な変動が生じた場合、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。 また、輸出入等の外貨建取引について、為替予約等によりリスクを軽減する措置を講じていますが、同様の可能性があります。 3.原料調達 当社グループの事業に用いる原料には、原油・ナフサ等に由来する石油化学系誘導品が多く含まれています。複数購買等の施策により安価で安定した調達を目指していますが、国際商品市況の急激な変動により原料価格が大幅に上昇した場合、又は、需給バランスの逼迫化により原料の調達が困難になった場合には、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。 4.有利子負債 当社グループは、有利子負債による資金調達を実施しており、金融市場に急激な変動が起こった場合には、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。 5.固定資産の減損 当社グループの資産の時価が著しく下落した場合、又は事業の収益性が悪化した場合には、減損会計の適用により固定資産の減損損失が発生し、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。 6.繰延税金資産 当社グループは、繰越欠損金及び将来減算一時差異に対して繰延税金資産を計上しています。繰延税金資産の計算は、将来の課税所得に関する予測・仮定に基づいており、その予測・仮定が変更された場合、又は、税率変更を含む税制改正等があった場合は、繰延税金資産の計算の見直しが必要になり、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。 7.退職給付債務 当社グループの退職給付債務及び退職給付費用は、年金数理計算上使用される各種の基礎率と年金資産の運用利回りなどに基づき計算されています。年金資産の変動、金利動向、退職金・年金制度の変更等に伴う退職給付債務及び退職給付費用の変動が、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。 8.公的規制 当社グループは、世界各国で事業活動を行っており、各種許認可のほか、商取引、安全、環境、労働、租税などに関する様々な法規制の適用を受けています。当社グループでは、すべての国の法律、国際ルールの遵守にとどまらず、ビジネスを実践する上で遵守すべき行動原則として「DICグループ行動規範」を制定し、この行動規範の啓蒙・教育を含めコンプライアンス体制の構築に努めています。しかし、今後、規制の強化や変更により、事業活動が制限されたり、対応コストが発生した場合、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。 9.紛争、訴訟等 当社グループは、国内外の事業活動に関連して、紛争、訴訟、行政処分等の対象となる可能性があります。その結果、当社グループに損害賠償責任や制裁金の支払等が生じた場合には、当社グループの信用、業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。 10.製品の品質 当社グループは、製品企画から、設計開発、原材料調達、製造、販売に至るすべてのプロセスにおいて、品質向上を目指した取り組みを行っています。しかし、製品の欠陥や製造物責任訴訟の提起といった事象が発生し、製品回収、損害賠償、又は社会的信用の失墜につながった場合、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。 11.知的財産 当社グループは、競争力基盤の強化のため、様々な知的財産権を保有し、維持・管理していますが、第三者による侵害や訴訟の提起が当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。 12.災害、事故 当社グループは、災害や事故発生時の被害を最小限にとどめ、速やかな復旧により事業を円滑に継続できる体制の整備と維持に努めています。また、生産機能の相互補完をはじめとしたBCP(事業継続計画)の策定・更新など、継続的にリスク対策を図っています。しかし、予想を上回る規模の地震や台風等の自然災害に見舞われた場合、又は、火災等の事故が発生した場合には、人的、物的損害のほか、事業活動の停止、制約等により、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。 13.情報管理 当社グループは、様々な情報システムを使用して事業活動を行っており、その重要性が高まっています。そのため、情報セキュリティの確保に取り組んでいますが、ウイルス感染等による大量のデータ逸失、情報漏えい、システム障害等が発生した場合には、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。 14.企業買収、資本提携、事業再構築 当社グループは、基盤事業の安定化、成長牽引事業の拡充、次世代事業の創出といった観点で、企業買収、資本提携等を模索しています。これらの実施に際しては、経済的価値、相手企業の調査を十分に行い決定しますが、事業活動には予想できない様々な不確実性が伴います。その結果、当初期待していた効果が得られない場合には、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。 また、当社グループは、企業価値の増大に向けて事業の選択と集中に取り組んでいます。この過程において事業再構築に伴う一時損失が発生し、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。
FY2016|1,538 文字
4【事業等のリスク】 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある「事業等のリスク」には、以下のようなものがあります。 なお、将来に関する事項についての記載は、当連結会計年度末現在における判断に基づくものです。 1.需要業界・地域の動向 当社グループの製品は、印刷、IT、住宅、自動車等の業界において生産財として使用されています。したがって、これらの業界における需要の低迷、競争の激化等の要因により、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。 また、当社グループは、中国をはじめとするアジア地域を今後の成長市場ととらえ、生産・販売拠点の設置など重点的な投資を行っています。これらの地域において景気の悪化、競争の激化、カントリーリスクの顕在化等の状況が生じた場合、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。 2.為替レートの変動 当社グループは全世界で事業活動を行っており、海外における活動の比率が高いため、為替レートの変動により、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。 3.原料調達 当社グループの事業に用いる原料の中には、原油・ナフサや天然ガスの誘導品が多く含まれています。これらの価格は国際商品市況の影響を受けるため、市況によって原料費が上昇した場合、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。 また、需給バランスの急激な変動が起こった場合には、購入価格の上昇のほか、原料の調達が困難になることにより、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。 4.有利子負債 当社グループは、有利子負債による資金調達を実施しており、金融市場に急激な変動が起こった場合には、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。 5.減損会計 当社グループの資産の時価が著しく下落した場合や事業の収益性が悪化した場合には、減損会計の適用により固定資産について減損損失が発生し、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。 6.退職給付債務 当社グループの退職給付債務及び費用は、割引率、年金資産の期待運用利回り等の年金数理上の前提条件に基づいて算出されています。実際の結果が前提条件と異なった場合、又は、前提条件に変更があった場合には、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。 7.紛争、訴訟等 当社グループは、知的財産権の侵害、製品の欠陥、環境規制、その他国内外の事業活動に関連して、紛争、訴訟、行政処分等の対象となる可能性があります。その結果、当社グループに損害賠償責任や制裁金の支払等が生じた場合には、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。 8.災害、事故 当社グループが地震、台風等の自然災害に見舞われ、又は、火災等の事故が発生した場合には、人的、物的損害のほか、事業活動の停止、制約等により、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。 9.事業再構築 当社グループは、企業価値の増大に向けて事業の選択と集中に取り組んでいます。この過程において事業再構築に伴う一時損失が発生し、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。 10.環境規制 当社グループは多種の化学物質を取り扱っており、国内外の環境規制等を遵守して事業活動を行っています。これらの規制の強化等により、対応するためのコストが生じた場合、又は、事業活動が制限された場合には、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。