研究開発活動(本文)
FY2025|3,299 文字
6【研究開発活動】 当社グループは、経営ビジョン「彩りと快適を提供し、人と地球の未来をより良いものに- Color & Comfort -」の実現に向けて、光学・色彩、有機分子設計、高分子設計、分散など既存基盤技術の深耕に加え、新たな基盤技術として無機・バイオ材料設計の確立に取り組んでいます。さらに、これらの技術を複合化することで、持続的成長につながる次世代製品・新技術の開発を積極的に推進しています。 日本国内の研究開発組織は、事業に直結した製品の開発・改良を担う技術統括本部、DICグラフィックス㈱の技術本部、基盤技術の深耕と創生を担うR&D統括本部、並びに戦略的な新事業創出と事業部門の次世代製品群の事業化を担う新事業統括本部より構成されています。なお、2026年より、技術統括本部に集約されていた製品群別の技術本部を各事業部門に移管しました。これまで培ってきた技術本部間の連携体制を維持しつつ、製造・販売・技術が一体化した組織運営を行うことで、顧客ニーズへの迅速な対応及び現場との連携強化を図ります。 海外においては、サンケミカルの研究所(米国、英国及びドイツ)、青島迪愛生創新科技有限公司(中国)をはじめ、中国及びアジア・パシフィック地域を中心とした技術開発拠点として、印刷インキ技術センター、ポリマ技術センター、ソリッドコンパウンド技術センター、顔料技術センター、テープ技術センターなどを展開しており、これらの拠点が連携してグローバルに製品・技術の開発を行っています。 また、データサイエンスセンターを中核として、研究開発へのMI(Materials Informatics)などAI技術の活用を推進するとともに、AI分野のスペシャリスト育成を進めています。併せて、CVC(Corporate Venture Capital)や産官学連携などオープンイノベーションも積極的に活用し、研究開発の効率化を加速しています。 当連結会計年度における研究開発費は、15,964百万円であり、このほか、当社及びDICグラフィックス㈱における製品の改良・カスタマイズなどに関わる技術関連費用は、15,445百万円です。主な研究開発の進捗状況は以下のとおりです。 (1) パッケージング&グラフィック 印刷インキでは、バイオマス由来原料とUVインキ原料を融合させ、バイオマス度50%(当社調べ)という業界最高水準を実現したハイブリッド型UVインキを発売しました。本製品は、従来のUV印刷機でそのまま使用することが可能であり、紙器パッケージ印刷におけるカーボンニュートラルの推進に貢献します。また、食品包装向けグラビアインキにおいても、従来品同様にバイオマス原料を使用しながら、ラミネート強度や印刷濃度などの性能を向上させた次世代インキを発売しました。 パッケージ材料では、食品包装用色柄発泡トレーにおけるトレーからトレーへの水平リサイクル実現に向け、溶解分離リサイクル手法を用いたリサイクルポリスチレンの量産を開始しました。 海外では、サステナブルパッケージへの需要増加に対応するため、ポリエチレン単一素材に酸素バリア性を付与することでパッケージ材料としての採用可能性を高める白インキや、化学的に修飾されていない天然由来材料を用いた、食品に直接接触可能なコート剤を開発しました。 (2) カラー&ディスプレイ ディスプレイのカラーフィルタ用では、新規色材の開発を進めています。 化粧品用では、メイクアップ、スキンケア、ボディケア、サンケア製品などに幅広く使用可能な高彩度のメタリックエフェクト顔料を開発しました。本顔料は、肌への色残りやブリーディングを起こすことがなく、紫外線安定性にも優れ、動物性原料の不使用が求められるビーガン化粧品の処方設計や、カルミンを含まない化粧品への高い需要に向けた革新的なソリューションを提供します。 自動車向け及び工業用では、優れた隠蔽力、輝度、明度を兼ね備え、溶剤系及び水性系システムの双方に対応可能な鮮やかな青み赤のアルミ系エフェクト顔料、高彩度と繊細なきらめきを実現した、理想的なマゼンタ色の小粒径合成マイカをベースとした半透明エフェクト顔料及び純白で清涼感のある光沢と上品なサテン効果を生み出す次世代の合成マイカ・パール顔料を開発しました。 繊維製品用では、高堅牢性を有するとともに脱色が可能な、当社独自の顔料捺染剤を開発しました。本捺染剤を用いたプリント加工製品は、一般プリント加工品と同様に使用することができ、使用後には特殊洗浄によりプリント加工前に近いレベルにまで脱色することが可能で、再度基材に戻せるためリサイクルの適用範囲及び用途の拡大につながり、プリント加工製品の易リサイクル設計に寄与します。 (3) ファンクショナルプロダクツ 合成樹脂では、高周波回路基板向けの低誘電特性を有する樹脂の量産を開始しました。併せて、密着性を改善した樹脂についても顧客評価が進展し、少量生産を開始しました。また、自動車補修、建築機械・産業機械向けに従来のハイソリッドタイプ標準品と比較して、塗膜外観の向上に加え、低VOC化、速乾性と長い作業可能時間を両立した二成分硬化型のアスパラギン酸エステル複合型アクリル樹脂を開発しました。さらに、住宅設備、土木インフラ、ボード、船舶、自動車部品向けの不飽和ポリエステル樹脂及びビニルエステル樹脂の両製品において、「ISCC PLUS認証」を当社グループとして国内で初めて取得しました。これにより、バイオマス原料を活用した製品展開を進めるとともに環境負荷低減に向けた取組みを強化しています。 界面活性剤では、フッ素系界面活性剤の代替が可能な高性能PFASフリー界面活性剤について、20品番を超える製品ラインナップへと拡充しました。 PPSコンパウンドでは、電気性能の指標である耐トラッキング性を向上させたタイプのほか、有機繊維強化によりギア耐久性を向上させたタイプ、流動性と靭性のバランスを改善した金属部品被覆用などを開発しました。 工業用テープでは、テープを伸ばすだけで部品に触れずに剥がす事ができるため、薄い・脆い部品のハンドリングが可能な電子部品の製造工程用ストレッチテープを開発しました。 (4) その他 当社グループの新たな基盤技術の創生への取組みとして、バイオ材料において、高い保水性を有する多糖体「サクラネクス®」の原料である培養スイゼンジノリの量産化に向けた培養・生産プロセスの改善を進めています。併せて、グローバル市場への供給に向け、安定供給体制及び品質管理体制の整備も進めています。無機材料では、大学と連携して進めている水素製造光触媒の開発において、当社独自の粒子設計技術を適用した顔料中間体により、業界トップレベルの水分解光触媒性能を達成しました。 また、「Direct to Society」をコンセプトに、従来の化学メーカーの枠を超えて社会に新たな価値を提案し、業種や業界の垣根を超えたエコシステム(経済圏)の構築及び多様な事業の創出を目指して開発した全方位マルチコプター「HAGAMOSphere®(アガモスフィア)」は、2025年1月にラスベガスで開催された「CES2025」において、ドローン部門でイノベーションアワードを受賞しました。本機は、並進飛行及び地上回転が可能な画期的なドローンであり、災害救助や保守点検、エンターテイメントなど、様々な場面での活用を目指しています。このほか、リチウムイオン電池の熱暴走による発火の延焼リスクに対する延焼防止吸熱パッド「GELRAMICTM(ゲラミック)」を開発しました。本製品は、発火に至る熱暴走時に発生する高温を強力に吸収(吸熱)する特殊ゲルを内包し、熱エネルギーを効率的に制御することで温度上昇を抑制し、電池外部への延焼を防止します。さらに、高温下でゲルがセラミック化することにより、断熱性及び耐破片性を発揮し、延焼と熱伝搬を物理的に遮断します。
FY2024|2,361 文字
6【研究開発活動】 当社グループは、経営ビジョン「彩りと快適を提供し、人と地球の未来をより良いものに- Color & Comfort -」の実現に向けて、光学・色彩、有機分子設計、高分子設計、分散など既存基盤技術の深耕に加え、新たな基盤技術として無機・バイオ材料設計の確立に取り組んでいます。さらに、これらの技術を複合化することで、持続的成長につながる次世代製品・新技術の開発を積極的に推進しています。 日本国内の研究開発組織は、事業に直結した製品の開発・改良を担う技術統括本部とDICグラフィックス㈱の技術本部、基盤技術の深耕と創生を担うR&D統括本部、戦略的な新事業創出と事業部門の次世代製品群の事業化を担う新事業統括本部よりなり、これに加えて海外では、サンケミカルの研究所(米国、英国及びドイツ)、青島迪愛生創新科技有限公司(中国)、主に中国、アジア・パシフィック地域における技術開発活動の拠点となる印刷インキ技術センター、ポリマ技術センター、藻類研究センター、ソリッドコンパウンド技術センター、顔料技術センター、テープ技術センター、3Dプリンティング材料研究室などが一体となってグローバルに製品・技術の開発を行っています。 また、データサイエンスセンターを軸に、研究開発へのMI(Materials Informatics)などAI技術の活用とAI分野のスペシャリスト育成を進めており、CVC(Corporate Venture Capital)や産官学連携などオープンイノベーションも積極的に活用し、研究開発の効率化を加速しています。 当連結会計年度における研究開発費は、16,313百万円であり、このほか、当社及びDICグラフィックス㈱における製品の改良・カスタマイズなどに関わる技術関連費用は、15,409百万円です。主な研究開発の進捗状況は以下のとおりです。 (1) パッケージング&グラフィック 印刷インキ分野では、油性インキとUVOPニスを組み合わせた次世代型紙器用インキを開発し、「TOKYO PACK 2024 ―2024東京国際包装展―」で発表しました。また、PFAS(有機フッ素化合物)フリーでありながら耐油性、耐水性に優れた食品接触可能な水性コーティング剤が、フィルムを使用しない紙製フードケースに採用されました。そのほか、カラーマネジメント技術を活用し、オフセット、グラビア、フレキソ、インクジェットそれぞれの印刷方式で出力したい色彩情報を正確かつ瞬時に再現できるサブスクリプションタイプのデジタルサービスのリリースも行いました。 パッケージ材料では、ポリスチレンの溶解分離リサイクル設備の稼働を開始し、業界で初めてマテリアルリサイクルによる色柄付き発泡食品トレーのトレーからトレーへの水平リサイクルを進めています。 海外では、サステナビリティ戦略の一環として、高密度ポリエチレン容器ラベルのリサイクル性基準を満たす脱墨可能な水性インキや、高温食品包装用のバイオ再生可能低マイグレーションインキを開発しました。電子材料関連ではプリント基板、太陽電池、バッテリーなどの製造においてより正確な蒸着を可能にする誘電体を製品群に加えました。 (2) カラー&ディスプレイ ディスプレイのカラーフィルタ用の顔料の新製品開発を進めているほか、化粧品用ではユニークな色調とサステナビリティ性をコンセプトとしたエフェクト顔料の新製品を市場に投入しました。またインクジェットインキ用では食品包装、塩ビ壁紙、ラベルなど非吸収メディアに対応した水性顔料分散体の市場展開を開始しました。 海外では、日光による発熱を抑え、機能性、デザイン性に優れる黒色顔料の製品群を拡充し、また自動車塗装に高彩度の色と輝きを提供するエフェクト顔料を市場に投入しました。 (3) ファンクショナルプロダクツ 合成樹脂では、次世代通信規格5G、6G用の電子回路基板用低誘電樹脂の量産を開始しました。また、易解体性をコンセプトにしたエポキシ樹脂や、200℃以上の耐熱性とリサイクル性を備えたエポキシ樹脂硬化剤の開発も進めています。さらに、ひび割れ補修材、滑り止め舗装用バインダー、排水性舗装用トップコートなど各種インフラ補修材料にバイオマスマーク取得製品を揃え、サステナブル活動を推進しました。界面活性剤では、PFASフリーで高い消泡性、熱安定性、優れた耐久性を実現した自動車(EV)向け潤滑油用消泡剤を開発し、PFASフリー製品のラインアップ拡充を進めています。めっきメーカーと共同開発したPPSコンパウンドは、既存のプラスチックめっき設備で金属めっき処理を可能にし、電動化が進む自動車の電子機器筐体などの金属部品を樹脂化し、周波数帯に合わせた電磁シールド特性を付与することができます。工業用テープでは、スマートデバイス向けに超薄型粘着テープのノントル型グレードのラインアップ拡充と増産を行いました。 (4) その他 当社グループの新たな基盤技術の創生への取り組みとして、無機材料の分野では、薄型・高感度の振動/触覚センサーに応用できる圧電フィラー及び圧電コンポジットシートのプロトタイプを完成させ、センサーのモックアップを「SENSOR EXPO JAPAN(センサエキスポジャパン)2024」に出展し、自動車、重工業、ロボット、医療、食品などへのサンプルワークを開始しました。また、放熱基板用途で業界トップレベルの放熱性能を発現する高熱伝導性ワニスでもプロトタイプによるサンプルワークを開始しました。バイオ材料関連では、ヒアルロン酸の5倍以上の保水力をもつ「サクラン®」を抽出するための培養スイゼンジノリの量産化に注力しています。
FY2023|2,302 文字
6【研究開発活動】 当社グループは、経営ビジョン「彩りと快適を提供し、人と地球の未来をより良いものに - Color & Comfort -」の実現に向けて、光学・色彩、有機分子設計、高分子設計、分散など既存基盤技術の深耕に加え、新たな基盤技術として無機・バイオ材料設計の確立に取り組んでいます。さらに、これらの技術を複合化することで、持続的成長につながる次世代製品・新技術の開発を積極的に推進しています。 日本国内の研究開発組織は、事業に直結した製品の開発・改良を担う技術統括本部とDICグラフィックス㈱の技術本部、基盤技術の深耕と創生を担うR&D統括本部、戦略的な新事業創出と事業部門の次世代製品群の事業化を担う新事業統括本部よりなり、これに加えて海外では、サンケミカルグループの研究所(米国、英国及びドイツ)、青島迪愛生精細化学有限公司(中国)、主に中国、アジア・パシフィック地域における技術開発活動の拠点となる印刷インキ技術センター、ポリマ技術センター、藻類研究センター、ソリッドコンパウンド技術センター、顔料技術センター、テープ技術センター、3Dプリンティング材料研究室などが一体となってグローバルに製品・技術の開発を行っています。 また、データサイエンスセンターを軸に、研究開発へのMI(Materials Informatics)などAI技術の活用とAI分野のスペシャリスト育成を進めており、CVC(Corporate Venture Capital)や産官学連携などオープンイノベーションも積極的に活用し、研究開発の効率化を加速しています。 当連結会計年度における研究開発費は、17,189百万円であり、このほか、当社及びDICグラフィックス㈱における製品の改良・カスタマイズなどに関わる技術関連費用は、14,981百万円です。主な研究開発の進捗状況は以下のとおりです。 (1) パッケージング&グラフィック 印刷インキ分野では、印刷適性を向上させたLED対応高感度UVインキ新製品の販売を開始、ヒートシール剤では医薬品用PTP(Press Through Package)向け水性タイプやPVC容器フィルムを含む各種容器向けに低温領域から性能を発揮する新製品を開発しました。また、硝化綿やホルムアルデヒド未使用で従来型と同レベルの耐熱性を有するOP(Over Print)ニスの展開を開始しました。 イージーピールフィルムでは、フードロス削減に対応したコンビニ向け総菜容器用や冷凍宅配弁当容器用の蓋材が実績を拡大しており、オーブン等高温加熱調理の場面で使われる耐熱C-PET容器にシールできるタイプも開発しました。 海外ではサンケミカルグループがサステナビリティ戦略のもと、インキ、コーティング剤、接着剤の開発に取り組んでおり、様々な包装のリサイクル化を進め、欧州の新しい「使い捨てプラスチック指令」に準拠する天然由来の原料をベースにしたバリアコート剤、剥離剤、ヒートシール剤を開発しました。新製品のレトルトフィルム用水性インキは印刷適性が大幅に向上し、シュリンクラベル用の水性インキは高速フレキソ印刷を可能にしました。 (2) カラー&ディスプレイ 有機顔料では、ディスプレイのカラーフィルタ用顔料の新製品開発に注力しているほか、新たにインクジェットインキ用顔料を製品化しました。サンケミカルグループにおいては、小粒径タイプのエフェクト顔料の新しい製品群の販売を開始、高い鮮映性、輝度感を有することから自動車等の塗料用途で色空間の幅を広げています。また、防腐剤や防カビ剤等のバイオサイドを含まない水系塗料向け易分散顔料の製品ポートフォリオや、抗酸化作用を有しメイクアップ化粧品・スキンケア製品に使用できる天然色素製品を発表しました。 (3) ファンクショナルプロダクツ 合成樹脂では、次世代通信規格5G、6G用の電子回路基板用低誘電樹脂の開発を進めているほか、合成皮革用の環境配慮型水系ウレタン樹脂の新製品を市場に投入しました。本製品は最終製品の臭気、GHG、VOCの低減に貢献し、かつ溶剤系同等の性能を発揮します。界面活性剤では有機フッ素化合物「PFAS」フリーの環境対応型新製品を開発、ディスプレイ、半導体、自動車、塗料等の用途で従来品を代替していきます。硫黄系添加剤では既存の天然油脂よりも環境に優しい藻類油が原料の新製品を開発、潤滑油の摩擦低減と酸化安定性改善等に貢献し、自動車(特にEV)や金属加工用潤滑油等への採用が見込まれます。工業用テープでは、スマートデバイス向けに易解体性・貼り直し性に優れるノントル型粘着製品のラインアップを拡充し、またUV照射により剥離可能な光学部品製造工程用の粘着テープを量産化しました。 (4) その他 当社の新たな基盤技術の創生への取り組みとして、バイオ材料関連では、天然由来ポリアスパラギン酸とそれを活用した生分解性を有する高吸水性ポリマの開発においてパイロット生産設備の計画準備や、藍藻類スイゼンジノリから抽出したヒアルロン酸の5倍以上の保水力を持つ「サクラン®」の安定供給に向けた培養スイゼンジノリの小規模生産を開始しました。無機材料の分野では、2022年に量産サンプルの提供を開始した放熱フィラーに加え、圧電フィラー、誘電制御フィラー、磁性フィラーの開発も進んでいます。リチウムイオン二次電池の関連部材では、優れた膨張抑制効果や低い内部抵抗率等の特長により電池の長寿命化に貢献する負極用水系バインダーのサンプルワークを開始しました。
FY2022|2,424 文字
5【研究開発活動】 当社グループは、経営ビジョン「彩りと快適を提供し、人と地球の未来をより良いものに - Color & Comfort -」の実現に向けて、光学・色彩、有機分子設計、高分子設計、分散など既存基盤技術の深耕に加え、新たな基盤技術として無機材料及びバイオ材料設計の確立に取り組み、各種技術の複合化により持続的成長につながる次世代製品・新技術の開発を積極的に推進しています。 研究開発組織としては、日本国内では、事業に直結した製品の開発・改良を担う技術統括本部とDICグラフィックス株式会社の技術本部、従来の基盤技術の深耕と新規の基盤技術の創生を担うR&D統括本部、戦略的な新事業創出と事業部門の次世代製品群の事業化を担う新事業統括本部が、海外ではサンケミカルグループの研究所(米国、英国及びドイツ)、青島迪愛生精細化学有限公司(中国)、主に中国、アジア・パシフィック地域における技術開発活動の拠点となる印刷インキ技術センター、ポリマ技術センター、ファインケミカル技術センター、藻類研究センター、ソリッドコンパウンド技術センター、顔料技術センター、さらに2023年に開設したテープ技術センターが一体となり、グローバルに製品・技術の開発を行っています。 また、データサイエンスセンターを軸に研究開発へのMI(Materials Informatics)などAI技術の活用とAI分野のスペシャリスト育成を進めており、CVC(Corporate Venture Capital)や産官学連携などオープンイノベーションも積極的に活用し、研究開発の効率化を加速しています。 当連結会計年度における研究開発費は、15,144百万円であり、このほか、当社及びDICグラフィックス株式会社における製品の改良・カスタマイズなどに関わる技術関連費用は、14,749百万円です。主な研究開発の進捗状況は以下のとおりです。 (1) パッケージング&グラフィック 印刷インキ分野では、乾燥時のガス消費量を抑えCO2排出量を低減させた低温乾燥オフ輪インキの新シリーズや、日本有機資源協会のバイオマスマークを取得したUVクリヤーニス、抗菌・抗ウイルス剤を含んだUV OP(Over Print)ニスを開発し市場に投入しました。包装材料ではリサイクルに適したモノマテリアル(単一素材)材料に対応したバリア接着剤、コーティング剤、耐熱コーティング剤などの製品ラインアップを拡充しました。また、フードロス削減に対応したコンビニエンスストア向け総菜容器用や冷凍宅配弁当向けパルプモールド容器用の蓋材としてイージーピールフィルムが実績を拡大しました。 海外ではサンケミカルグループが、サステナビリティ戦略の下、プラスチックから紙パッケージへの転換に対応したコーティング剤、接着剤、シール剤、リサイクル可能なモノウェブラベル用インキなど、リサイクル性を高めたパッケージを作るための新しいバリア・保護コーティングソリューションの展開に注力しました。 (2) カラー&ディスプレイ カラーマテリアルでは、ディスプレイのカラーフィルタ用顔料の新製品開発に注力しているほか、有害アミンを低減して安全性を高めた水性フレキソ印刷インキ用顔料を製品化しました。また、藍藻類スイゼンジノリ由来多糖類「サクラン®」を化粧品用活性成分としたサンスクリーン用UV分散体の開発に成功し、サンプル活動を開始しました。液晶材料では、液晶技術を応用したスマートウィンドウ製品やLiDAR用液晶の開発を進めています。 海外ではサンケミカルグループにおいて、2種のオレンジと8種の新しいナチュラルベースの化粧品用エフェクト顔料や、より幅広いエフェクトと色の選択肢を提供する8種の自動車塗装向けエフェクト顔料などの販売を開始しました。 (3) ファンクショナルプロダクツ 合成樹脂では、次世代通信規格5G、6G用の電子回路基板用低誘電樹脂や、バイオ&リサイクル由来モノマーとバイオ由来溶剤からなるオールサステナブルアルキド樹脂など各種バイオマス樹脂の開発に注力しました。金属石鹸では塗料用の非コバルトドライヤを環境先進地域である欧州市場に投入しました。100%植物由来原料から製造されたポリエステル系可塑剤は、米国農務省(USDA)のバイオベース製品認証を取得し、米国や欧州、中国などの幅広い業界での採用拡大を目指しています。PPSコンパウンドは絶縁性高熱伝導タイプを電気自動車や電動二輪車のモーター部品用途に展開を進め、工業用テープはスマートフォン向け部品固定用途やPC向けパネル固定用途向けに、易解体性・リワーク性に優れる粘着テープの製品ラインアップを拡充しました。 (4) その他 当社の新たな基盤技術の創生への取り組みとして、無機材料の分野では、フィラー高充填タイプの放熱部材用熱伝導性アルミナフィラーの量産化プロセスを開発、量産サンプルの提供を開始しました。バイオ材料関連では、天然由来ポリアスパラギン酸とそれを活用した生分解性を有する高吸水性ポリマの開発において、紙おむつ用をターゲットとしたサンプル活動を開始し、藍藻類スイゼンジノリの培養技術の開発では、世界で初めて屋内での大量培養技術の確立に成功、スイゼンジノリから抽出したヒアルロン酸の5倍以上の保水力をもつ「サクラン®」の安定供給に向け試験的生産を開始しました。ほかにも、3Dプリンタ向け熱可塑性プラスチック材料の開発では、抗ウイルス・抗菌性TPU樹脂フィラメントが積層造形法用の材料としては国内で初めてSIAA認証を取得し、また、当社の再剥離性粘着テープなどを組み合わせたやわらかい無線センサー「ハッテトッテ®」では、従来の温度・湿度・照度のセンシングに加え室内の換気状態の確認に必要なCO2濃度を計測できる新製品を開発、販売を開始しました。
FY2021|2,530 文字
5【研究開発活動】 当社グループは、ブランドスローガン「Color & Comfort」の下、光学・色彩、有機分子設計、高分子設計、分散などの基盤技術の深耕とそれらの複合化により、持続的成長につながる次世代製品・新技術の開発に積極的に取り組んでいます。 事業に直結した研究開発を担う技術統括本部、従来の基盤技術の深耕と新規の基盤技術の創製を担うR&D統括本部、戦略的な新事業創出と事業部門の次世代製品群の事業化を担う新事業統括本部が当社の研究開発組織として、さらにDICグラフィックス株式会社、海外ではサンケミカルグループの研究所(米国、英国及びドイツ)、青島迪愛生精細化学有限公司(中国)、主に中国、アジア・パシフィック地域における技術開発活動の拠点となる印刷インキ技術センター、ポリマ技術センター、ファインケミカル技術センター、藻類研究センター、ソリッドコンパウンド技術センター、顔料技術センターが一体となって、グローバルに製品・技術の開発を行っています。 一方、次世代技術領域の探索・基礎研究については、産官学連携などオープンイノベーションも積極的に活用しています。 また、2021年には、データサイエンスセンターを新設し、研究開発へのAI(MI;Materials Informatics)活用とAI分野のスペシャリスト育成の強化に取り組み、研究開発の効率化を加速しています。 当連結会計年度における研究開発費は、13,503百万円であり、このほか、当社及びDICグラフィックス株式会社における製品の改良・カスタマイズなどに関わる技術関連費用は、14,524百万円です。主な研究開発の進捗状況は以下のとおりです。 (1) パッケージング&グラフィック 印刷インキ分野では、パンなど食品包装フィルムへの印刷でバターなどの油類やアルコール除菌剤に対する高い耐性を付与した表刷りバイオマスグラビアインキと、アルコール耐性が高く耐熱・耐油性にも優れた抗菌ニスの開発を同時に進め、両製品の販売を開始しました。バイオマス原料を使用した製品では、裏刷りグラビアインキ「フィナート® BM」が国内のグラビアインキでは初めて生分解性プラスチックの国際認証「OK Compost INDUSTRIAL」及び「OK Compost HOME」を取得し、オフ輪インキやUV OP(Over Print)ニスは日本有機資源協会のバイオマスマークを取得しました。軟包装材用接着剤でも従来の石油由来製品と同等の接着性能を発揮するバイオマス系接着剤が市場での実績を拡大しています。また、大手製パンメーカーと協業し、パンの食品包装に使用されるプラスチック由来の軟包装フィルムをマテリアルリサイクルにより再資源化するための取り組みも開始しました。 海外ではサンケミカルグループが、PVCフリーのラミネーション用インキや、紙・フィルムをコンポスト化するコーティング、バイオマス原料の含有量を高めた水性インキ及びコーティング、脱墨可能なインキなど、サステナブルなパッケージの構成に貢献する製品群の市場展開を進めています。 (2) カラー&ディスプレイ カラーマテリアルでは、ディスプレイのカラーフィルタ用顔料の新製品開発に注力しているほか、化粧品におけるサステナブル意識の高まり、天然志向に合わせた、リナブルー等の天然色素の活用検討や、グリーンバイオベンチャー企業との資本業務提携による藍藻類スイゼンジノリ由来多糖類サクランを用いたUVケア関連製品などの開発を行っています。 液晶材料では、液晶技術を応用したスマートウィンドウ製品や液晶アンテナの開発も進めています。 海外ではサンケミカルグループにおいて、冷却コストの削減に貢献する近赤外線反射顔料や、プラスチックリサイクルの高効率化を実現する透明顔料が、環境意識の高まりを背景に実績を伸ばしています。また、化粧品用のカラートラベルエフェクト顔料や、特殊用途向けのメタリック顔料などの新製品を市場に投入しました。 (3) ファンクショナルプロダクツ 合成樹脂では、次世代通信規格5Gの本格的な普及に向けた電子回路基板用低誘電材料や、内装建材用途を狙った超高防湿タイプ反応性ホットメルト接着剤、無機フィラーを多く含有する生分解性樹脂コンパウンドの流動性を改善する高バイオマス度改質剤などを開発しました。 PPSコンパウンドでは、自動車関連で電動化に関わる各種パーツ向けにアロイ系を、車載センサー用に非アルミナ系絶縁性放熱タイプなどを市場に投入しました。 工業用テープでは、スマートフォン向けに薄型で易解体性と強接着を有する粘着テープや、PC向けにリワーク性に優れる粘着テープを開発しました。 また、可視光光触媒と抗菌金属を複合化した無機系抗ウイルス剤を市場に投入し、皮脂等の特定の有機物汚れに対するセルフクリーニング性などの独自機能も見い出し用途展開に注力しています。 (4) その他 当社の新たな基盤技術の創製への取り組みとして、無機材料の分野では、独自の無機酸化物合成技術を用いてサイズ及び結晶構造を制御したアルミナフィラー製品のラインアップを拡充、放熱性や、補強性、耐摩耗性、耐熱性等の特徴を生かした様々な用途への展開を行っています。 サステナブル関連では、天然由来アスパラギン酸及びそれを活用した生分解性を有する高吸水性ポリマの開発に注力、再生可能資源を原料とし生分解性を兼備するポリマの低コストプロセスを開発することにより、低炭素社会の実現とプラスチック廃棄問題の解決への貢献を目指しています。 また、資本業務提携を行っている太陽ホールディングス株式会社の子会社である太陽インキ製造株式会社とは、次世代通信規格5Gの高周波帯域で使用される高周波対応配線形成用新シードフィルムの共同開発を進めています。ほかにも、当社の再剥離性粘着テープなどを組み合わせた温度・湿度・照度のセンシングが可能なやわらかい無線センサー「ハッテトッテ®」を商標登録し、販売を開始するなど、新事業創出の柱の一つとしてエレクトロニクス分野の強化にも注力しています。
FY2020|2,274 文字
5【研究開発活動】 当社グループは、ブランドスローガン「Color & Comfort」の下、光学・色彩、有機分子設計、高分子設計、分散などの基盤技術の深耕とそれらの複合化により、持続的成長につながる次世代製品・新技術の開発に積極的に取り組んでいます。 事業に直結した研究開発を担う技術統括本部、従来の基盤技術の深耕と新規の基盤技術の創製を担うR&D統括本部、戦略的な新事業創出と事業部門の次世代製品群の事業化を担う新事業統括本部が当社の研究開発組織として、さらにDICグラフィックス株式会社、海外ではサンケミカルグループの研究所(米国、英国及びドイツ)、青島迪愛生精細化学有限公司(中国)、主に中国、アジア・パシフィック地域における技術開発活動の拠点となる印刷インキ技術センター、ポリマ技術センター、ファインケミカル技術センター、藻類研究センター、ソリッドコンパウンド技術センター、顔料技術センターが一体となって、グローバルに製品・技術の開発を行っています。 一方、次世代技術領域の探索・基礎研究については、産官学連携などオープンイノベーションも積極的に活用しています。 また、近年、研究開発へのAI(MI;Material Informatics)活用とAI分野のスペシャリスト育成にも積極的に取り組んでまいりましたが、2021年1月、データサイエンティストやAI活用エンジニアを組織化したデータサイエンスセンターを新設しました。AI(MI)人材のさらなる育成強化と、外部のAI(MI)専門企業との協業を推進し、研究開発の効率化を加速していきます。 当連結会計年度における研究開発費は、12,029百万円であり、このほか、当社及びDICグラフィックス株式会社における製品の改良・カスタマイズなどに関わる技術関連費用は、14,158百万円です。主な研究開発の進捗状況は以下のとおりです。 (1) パッケージング&グラフィック パッケージ分野では、一般消費者から回収したペットボトルをケミカルリサイクルにより原料として使用する軟包装材用ドライラミネート接着剤や、バイオマスプラスチックを原料に使用し表層に梨皮のような凹凸表面を有することで和紙に近い風合いを表現できる包装用高意匠フィルムの新製品を開発しました。イージーピールシーラントフィルムも食品ロス削減に対応したコンビニ向けサラダ容器用フィルムとして市場展開を進めています。 グラビアインキでは、汎用フィルム表刷り用、収縮フィルム用、紙用の各製品群でバイオマス認定を取得し、環境調和型製品を拡充しました。抗菌・抗ウイルス関連分野では、フィルム表刷り用抗菌ニスが抗菌マスクの個包装パッケージ用途で実績化し、またパン包装用ノントルエン型表刷りインキはグレードアップとバイオマス化への設計が完了し、耐アルコール性を向上した新製品の市場展開に注力しています。UVインキでは、新NL規制(印刷インキに関する自主規制)に対応した各種シリーズを開発しました。 海外ではサンケミカルグループが、コンポスト化可能な接着剤、食品に直接触れても良いインキ、脱墨可能なインキ、バイオマス原料の高含有量製品などの市場展開を進め、また抗菌コーティング剤の開発も開始しました。 (2) カラー&ディスプレイ カラーマテリアルでは、高画質次世代有機ELディスプレイ向けカラーフィルタ用グリーン顔料及びブルー顔料の新製品を開発しました。また、化粧品用として、特徴ある表面処理技術を活用した新規色材の開発を開始しています。海外ではサンケミカルグループが、天然由来ワックスをベースとした化粧品用顔料分散体の市場展開を進めています。 液晶材料では、8Kディスプレイ向けに高信頼性高速応答PSA(Polymer Sustained Alignment)液晶の新製品を市場に投入したほか、液晶技術を応用したスマートウィンドウ製品や液晶アンテナの開発にも注力しています。 (3) ファンクショナルプロダクツ 合成樹脂では、レジスト用の弱アルカリ現像対応型高耐熱ノボラック樹脂や、防食塗料用で乾燥性を向上させた1液型水性エポキシ樹脂などを開発しました。塗料や印刷インキの硬化や乾燥促進に用いられる金属石鹸(ドライヤー)では、コストと環境への負荷が課題であるコバルトを使用せず、コバルトドライヤーと同等以上の速乾性能を有する新製品を、また工業用テープではスマートフォン向けに薄型で易解体性と強接着性を有する新製品を開発しました。 抗菌・抗ウイルス関連分野では、床用塗料としてSIAA(抗菌製品技術協議会)基準を満たす抗ウイルスUV塗料や、内装材用途などに向けた無機系抗菌・抗ウイルス剤、抗菌性を付与したガラス繊維強化タフPPSコンパウンド、PET繊維用、熱可塑性樹脂用抗ウイルスマスターバッチなどを開発し、市場展開を進めています。 (4) その他 無機材料を基盤技術とする分野では、電子機器等の放熱用途で用いられる特殊形状のアルミナフィラーの新製品を開発し、新たな領域への展開を進めています。 また、サステナブル関連の基盤技術創製への取り組みでは、天然由来アスパラギン酸及びそれを活用した生分解性を有する高吸水性ポリマの開発において、紙おむつ用プロトタイプのサンプル活動を開始しました。再生可能資源を原料とし、生分解性を兼備するポリマの低コストプロセスを開発することにより、低炭素社会の実現とプラスチック廃棄問題の解決への貢献を目指しています。
FY2019|2,296 文字
5【研究開発活動】 当社グループは、ブランドスローガン「Color & Comfort」の下、光学・色彩、有機分子設計、高分子設計、分散などの基盤技術の深耕とそれらの複合化により、持続的成長につながる次世代製品・新技術の開発に積極的に取り組んでいます。 事業に直結した研究開発を担う技術統括本部、従来の基盤技術の深耕と新規の基盤技術の創製を担うR&D統括本部、戦略的な新事業創出と事業部門の次世代製品群の事業化を担う新事業統括本部が当社の研究開発組織として、さらにDICグラフィックス株式会社、海外ではサンケミカルグループの研究所(米国、英国及びドイツ)、青島迪愛生精細化学有限公司(中国)、主に中国、アジア・パシフィック地域における技術開発活動の拠点となる印刷インキ技術センター、ポリマ技術センター、ファインケミカル技術センター、藻類研究センター、ソリッドコンパウンド技術センター、顔料技術センターが一体となって、グローバルに製品・技術の開発を行っています。 一方、次世代技術領域の探索・基礎研究については、産官学連携などオープンイノベーションも積極的に活用しています。 当連結会計年度における研究開発費は、12,505百万円であり、このほか、当社及びDICグラフィックス株式会社における製品の改良・カスタマイズなどに関わる技術関連費用は、15,431百万円です。主な研究開発の進捗状況は以下のとおりです。 (1) パッケージング&グラフィック グラビアインキは、裏刷り、表刷り、シュリンクフィルム等各種用途でバイオマス認証を取得し、広範なラインアップで市場展開しています。またオフセットインキも、従来型及びLED-UVランプ対応型のパッケージ印刷用途向けUVインキでバイオマス認証を取得しました。接着剤では、VOCやCO2の排出を削減し、エージング時間を半減できる速硬化型無溶剤接着剤とそれを用いた新規無溶剤ラミネーションシステムを開発しました。海外ではサンケミカルグループが、環境への意識がより高まっている市場ニーズに対応し、従来の水性インキよりも大幅にCO2発生量を抑制した新製品が実績を拡大しており、またプラスチック包装のリサイクル性を向上させる脱墨インキの開発なども進めています。 パッケージ分野では、包材使用量の削減を目標にフィルムの薄膜化を推進し、フィルムの強度と包装適性を維持しつつ環境負荷を低減したことが評価されパン包装用フィルムとして、またイージーピール型フィルムは容器のトップシール化により食品の賞味期間を延長できることによるフードロス対策などからコンビニ向けサラダ容器のフタ材として、各々実績を拡大しています。 (2) カラー&ディスプレイ カラーマテリアルでは、ディスプレイのカラーフィルタ用顔料の新製品開発に注力しているほか、藍藻類スピルリナから抽出した天然青色色素について、これまでの食品用途に加え化粧品原料への展開にも取り組み、化粧品に関する欧州の統一基準である「COSMOS」認証を取得しました。海外ではサンケミカルグループが、種子コーティング用や芝生着色剤用、風船着色用などの顔料、また化粧品用の天然ワックス分散体など、各種新製品を市場に投入しました。 液晶材料では8Kディスプレイ向けに、高透過率、高速応答、高反応性のPSA(Polymer Sustained Alignment)液晶のサンプルワークを進めています。また、次世代ディスプレイ材料では、インクジェット印刷方式による量子ドットカラーフィルタ用インクの開発に注力しています。 (3) ファンクショナルプロダクツ 電気電子材料用途では、スマートフォンの基地局向けに誘電特性に優れたエポキシ硬化剤の実績が拡大しています。またパッケージレジスト用高耐熱・高速現像性ノボラック樹脂の開発にAI技術を活用し、開発開始からわずか1年での商業化生産を実現しました。工業用粘着テープでは、貼付作業性と接着性に優れる薄型粘着テープがスマートフォン向けに、テープを引伸ばして剥がせる易解体性粘着テープの厚手タイプがテレビ向けに実績を拡大しています。 自動車関連用途では、自動車部品用スーパータフPPSコンパウンド、カーボンブラック超高分散技術により成形品の表面平滑性と高漆黒性を両立した各種エンプラ用着色剤、自動車構造接着剤用の柔軟性エポキシ樹脂などを市場に展開しています。 サステナブルな新製品としては、再生可能資源である植物を原料とするポリエステル系可塑剤を開発し、業界初となるバイオマス度100%の認定を取得しました。 (4) その他 当社グループの配線用導電インキを用いた印刷方式と当社の再剥離性粘着テープなどを組み合わせて、柔らかく曲げることができ、貼る、剥がすといった設置・除去作業の簡便化を実現した無線タイプのセンシングデバイスを開発しました。温度や湿度、照度を計測するセンサーとして、ショッピングセンターでのIoT実証実験を開始しており、早期の製品化を図るとともに、センサーのラインナップ拡充も検討しています。 また、サステナブル関連の基盤技術創製への取り組みとして、バイオベンチャー企業であるGreen Earth Institute社と天然由来アスパラギン酸及びそれを活用した生分解性を有する高吸水性ポリマの共同研究を開始しました。再生可能資源を原料とし、生分解性を兼備するポリマの低コストプロセスを開発することにより、低炭素社会の実現とプラスチック廃棄問題の解決への貢献を目指しています。
FY2018|1,950 文字
5【研究開発活動】 当社グループは、ブランドスローガン「Color & Comfort」の下、光学・色彩、有機分子設計、高分子設計、分散などの基盤技術の深耕とそれらの複合化により、持続的成長につながる次世代製品・新技術の開発に積極的に取り組んでいます。 当社の研究開発組織は、事業に直結した研究開発を担う技術統括本部、次世代事業の創出と基盤技術の強化・拡大を担うR&D統括本部、さらに技術統括本部とR&D統括本部の中間領域において、技術複合型新製品やR&D統括本部開発品の早期事業化をプロジェクト形式で推進する製品化推進センターからなります。 また、国内のDICグラフィックス株式会社、サンケミカルグループの研究所(米国、英国及びドイツ)や青島迪愛生精細化学有限公司(中国)とも連携し、さらに2014年からは、主に中国、アジア・パシフィック地域における技術開発活動の拠点として、印刷インキ技術センター、ポリマ技術センター、ファインケミカル技術センター、藻類研究センター、ソリッドコンパウンド技術センター、顔料技術センターを整備し、グループが一体となってグローバルに製品・技術の開発を行っています。 一方、次世代技術領域の探索・基礎研究については、産官学連携などオープンイノベーションも積極的に活用しています。 当連結会計年度における研究開発費は、12,923百万円であり、このほか、当社及びDICグラフィックス株式会社における製品の改良・カスタマイズなどに関わる技術関連費用は、15,457百万円です。主な研究開発の進捗状況は以下のとおりです。 (1) プリンティングインキ グラビアインキではバイオマス系のラミネート用インキを開発しバイオマス認定を取得、包装用接着剤の新製品もバイオマス認定を取得し、バイオマス製品のラインアップの拡充を進めています。また、耐油性、耐水性を付与できる食品紙容器の内面に使用できる水性コーティング剤や、高精細印刷対応のボイル・レトルトパッケージ向け水性フレキソインキ、各種用途向け高感度UVインキなどの環境調和型の製品を市場に投入しました。海外ではサンケミカルグループが、再生可能な包装材への取り組みを強化しており、植物由来の再生可能な樹脂をベースにした水性インキの新シリーズの拡充を図っています。 (2) ファインケミカル ディスプレイ関連の新製品開発に注力しており、カラーフィルタ用顔料の輝度向上や、ディスプレイの製造工程短縮に有用な高反応性PSA(Polymer Sustained Alignment)液晶、ディスプレイの高速応答化に有用なナノ相分離液晶、ポリイミド配向膜が不要な自発垂直配向型液晶などの開発に取り組んでいます。また、次世代ディスプレイ材料では、インクジェット印刷方式による量子ドットカラーフィルタ用インキに関しNanosys社(米国)との共同開発を進めています。 (3) ポリマ 電子材料用途では、耐熱性等に優れる半導体封止材向け活性エステル型硬化剤や、半導体実装向け厚膜レジスト用樹脂を開発しました。特に、厚膜レジスト用樹脂は独自の高分子設計技術とAI技術を駆使し新たなフェノール樹脂骨格を見出すことにより高耐熱性と柔軟性を両立したものです。また、低VOC型コイルコーティング用ハイソリッドポリエステル/アクリルハイブリッド樹脂や各種水性樹脂、無溶剤型樹脂など環境調和型製品の開発に注力しています。 (4) コンパウンド 電気自動車のモータ部品や機能部品用に、PPSコンパウンドの新製品を開発しました。自動車部品用途向けではほかにも、高耐冷熱衝撃性グレード、高流動良耐冷熱衝撃グレードなどのラインアップの拡充を図りました。ジェットインキ関連製品では、サンケミカルグループがテキスタイル用の顔料IJインキを市場に投入しました。プリンテッドエレクトロニクス分野では、高導電性銀インクや銅ナノペーストなどの開発に注力しています。新規分野では、3Dプリンタ向けの成型材料として光造形用コンパウンドの開発が本格化し、歯科分野や工業用分野での成形部品などへの展開に取り組んでいます。 (5) アプリケーションマテリアルズ 工業用粘着テープでは、テープを引き延ばして剥がせる易解体性を付与した両面粘着テープを開発、強接着で剥がせるという機能が大型ディスプレイの固定用として市場の好評価を得ています。多層フィルムでは、透明薄手フィルムとマット調フィルムが菓子パン包装用で、イージーピール型はコンビニの惣菜用容器のシール用で市場実績を拡大しています。ヘルスケア関連では、次世代食用天然着色料の研究にFermentalg社(フランス)と共同で取り組んでいます。
FY2017|2,187 文字
6【研究開発活動】当社グループは、ブランドスローガン「Color & Comfort」の下、光学・色彩、有機分子設計、高分子設計、分散などの基盤技術の深耕とそれらの複合化により、持続的成長につながる次世代製品・新技術の開発に積極的に取り組んでいます。当社の研究開発組織は、事業に直結した研究開発を担う技術統括本部、次世代事業の創出と基盤技術の強化・拡大を担うR&D統括本部、さらに技術統括本部とR&D統括本部の中間領域において、技術複合型新製品やR&D統括本部開発品の早期事業化をプロジェクト形式で推進する製品化推進センターからなります。また、国内のDICグラフィックス株式会社や、海外ではサンケミカルグループの研究所(米国、英国及びドイツ)や青島迪愛生精細化学有限公司(中国)、印刷インキ技術センター(中国、アジア・パシフィック(AP)地域)、ポリマ技術センター(中国、AP地域)、ファインケミカル技術センター(韓国)、ソリッドコンパウンド技術センター(中国、ドイツ、AP地域)、藻類研究センター(米国)などの技術拠点と一体となり、グローバルに製品・技術の開発を行っています。一方、次世代技術領域の探索・基礎研究については、産官学連携などオープンイノベーションも積極的に活用しています。当連結会計年度における研究開発費は、12,427百万円であり、このほか、当社及びDICグラフィックス株式会社における製品の改良・カスタマイズなどに関わる技術関連費用は、14,983百万円です。主な研究開発の進捗状況は以下のとおりです。 (1) プリンティングインキ環境調和型製品の開発に注力し、米ぬか油の非食用部(廃棄成分)を原料とする食品の包装材料(以下、包材)に用いる表刷りグラビアインキや植物油インキマーク対応高感度UVインキ、また、詰替え包材用に高隠蔽性と物性を両立させたラミネート用白インキなどを開発、販売を開始しました。包材用接着剤においても植物由来原料を使用した新製品を開発しました。海外ではサンケミカルグループが、植物由来原料を使用した新しい水性インキシステムや、カルトン、フィルムなどの包材用UV LEDインキなどを市場に投入し、また、シュリンクラベル用の自己脱離型接着剤などの開発を進めています。 (2) ファインケミカルディスプレイ関連の新製品開発に注力しています。カラーフィルタ用顔料では、ブルー顔料の性能向上に取り組み、市場での実績が拡大しました。液晶材料では、PSA(Polymer Sustained Alignment)液晶ディスプレイの製造工程短縮に有用な高反応性モノマーのサンプルワークを進めています。また、当社独自技術であるナノ相分離液晶ではPSA液晶と同等の透過率を保持したまま応答速度を大幅に改良しました。配向膜が不要な自発垂直配向型n型液晶では新材料のサンプル提供を開始しました。一方、次世代ディスプレイ材料では、インクジェット印刷方式による量子ドットカラーフィルタ用インキの開発をNanosys社(米国)と共同で進めています。 (3) ポリマ塗料用樹脂では、遮熱ガラス向けバインダーとして塗装作業性に優れ長期耐久性塗膜を形成するUV硬化型無機-有機複合コート剤や、塗装鋼板(プレコートメタル)用塗料向けに高機能・低VOCのグローバルスタンダード製品を開発したほか、防食塗料用水性エポキシ樹脂の改良を進め、環境規制強化の進む中国市場において実績を拡大しました。また、熱交換器の着霜防止用途や塗料用添加剤として高い滑水性を付与するフッ素系界面活性剤を開発しました。電子材料用途では半導体パッケージ基板材料としてナフタレン型エポキシ樹脂を開発、市場での採用が進みました。 (4) コンパウンドプリンテッドエレクトロニクス材料では、金属めっき膜の下地となる銀ナノ粒子及び高分子密着層材料を商業化しました。エネルギー関連では、太陽電池バックシート用接着剤を中国、インド市場向けに展開し、また、リチウムイオン電池セパレーター用バインダーを市場に投入しました。PPSコンパウンドでは、米国FDAの規格に適合し食品接触部分に使用可能な新製品を開発、欧州でサンプルワークを開始し、また、高強度・高耐湿熱タイプの新製品を水廻り部品向けに販売開始するとともに、本命の自動車冷却部品用途に向けてサンプルワークを加速しました。繊維用カラーマスターバッチでは、台湾において調色体制を確立、染料代替テーマに取り組み、カラービジネスの拡大を目指しています。 (5) アプリケーションマテリアルズ工業用粘着テープでは、モバイル機器用に導電性を有する薄型テープを開発、スマートフォン用に採用されました。建材関連では、太陽熱を有効に活用し室内の温度変化を抑える蓄熱シートが住宅メーカーに採用され、さらなる用途展開に取り組んでいます。液体中の溶存気体の除去に使用されている中空糸膜モジュールでは、純水・超純水製造工程におけるイオン交換樹脂の延命に寄与する脱炭酸タイプを開発、販売を開始しました。ヘルスケア関連では、合成着色料からの移行が急速に進む天然系色素市場をターゲットとして、食品用藻類天然色素の次世代製品についてFermentalg社(フランス)との共同開発を開始しました。
FY2016|2,135 文字
6【研究開発活動】当社グループは、経営ビジョン「Color & Comfort by Chemistry」の実現を目指し、光学・色彩、有機分子設計、高分子設計、分散などの基盤技術の深耕とそれらの複合化により、持続的成長につながる次世代製品・新技術の開発に積極的に取り組んでいます。当社の研究開発組織は、事業に直結した研究開発を担う技術統括本部と、次世代事業の創出と基盤技術の強化・拡大を担うR&D本部、さらに技術統括本部とR&D本部の中間領域において、技術複合型新製品やR&D本部開発品の早期事業化にプロジェクト形式で推進する製品化推進センターからなります。また、国内ではDICグラフィックス株式会社など、海外ではサンケミカルグループの研究所(米国、英国及びドイツ)や青島迪愛生精細化学有限公司(中国)、印刷インキ技術センター(中国、アジア・パシフィック(AP)地域)、ポリマ技術センター(中国、AP地域)、PPS技術サービスセンター(中国、ドイツ)、藻類研究センター(米国)などの技術拠点と一体となり、グローバルに製品・技術の開発を行っています。一方、次世代技術領域の探索・基礎研究については、産官学連携などオープンイノベーションも積極的に活用しています。当連結会計年度における研究開発費は、11,206百万円であり、このほか、当社及びDICグラフィックス株式会社における製品の改良・カスタマイズなどに関わる技術関連費用は、14,972百万円です。主な研究開発の進捗状況は以下のとおりです。 (1) プリンティングインキパッケージ用印刷インキでは、グラビア印刷並みの高濃度印刷を実現する水性フレキソインキを開発し、中国やインドなどアジア地域に向けた戦略製品と位置付け、拡販を進めています。UVインキでは、低マイグレーションタイプや高感度密着タイプなどの新製品を開発しました。また、印刷工程全般を効率化するソリューションとして、新しい色指定の仕組みを提供する「DIC COLORCLOUD」をリリースしました。軟包装材用接着剤では、アルミ蒸着フィルムのバリア性能を向上させる蒸着補強型接着剤の実績化を進めているほか、洗剤や柔軟剤などの内容物に対して優れた耐久性を持つ詰替包材用の無溶剤型接着剤を開発しました。海外ではサンケミカルが、コバルトと鉱油を含まないインモールドラベル用の枚葉インキや、芳香族炭化水素の含有量を1%以下に抑えたヒートセットインキなど、環境に配慮した製品の開発に注力しました。 (2) ファインケミカル液晶材料では、PSA(Polymer Sustained Alignment)液晶ディスプレイの製造工程短縮に有用な高反応性のモノマーを開発しサンプル提供を開始しました。また、TV用TFT液晶の新製品の本格量産を開始しました。顔料では、液晶ディスプレイのカラーフィルタ用で広色域対応の新規グリーン顔料の実績拡大に注力したほか、顔料のグローバル生産体制の確立を進めました。サンケミカルでは、化粧品用のマイカ顔料の新色4タイプを市場に投入しました。 (3) ポリマ塗料用樹脂では、環境規制強化の進む中国市場向けに、水性の防食塗料用エポキシ樹脂を開発しました。世界的に進むVOC規制とアジアを中心とした新興地域の大規模なインフラ開発需要に対応する水性樹脂等の環境対応型製品を、ポリマ技術センター中国と連携し展開しています。新規用途では、鋳造を効率的にする砂型積層3Dプリンター用のフェノール樹脂バインダー(接着剤)や、半導体製造の次世代プロセスとして有望なナノインプリント技術に対応したレジスト用樹脂、次世代のバイオ素材として期待されているセルロースナノファイバーと複合化し機械特性を大幅に向上させたエポキシ樹脂マスターバッチなどを開発しました。 (4) コンパウンドPPS関連製品では、三次元成形品に電気回路を形成する技術の一つであるレーザー・ダイレクト・ストラクチャリング(LDS)工法に使用可能なPPSコンパウンドを開発し、サンプル出荷を開始しました。LDS工法によるデザイン性の高さとPPSの優れた耐熱性、耐薬品性から、自動車部品や医療機器などの部材として用途拡大が期待されます。PPSコンパウンドはほかにも、高強度・高耐湿熱タイプの新製品を自動車部品用で、また、高耐トラッキングタイプを鉄道部品用として、市場展開を進めています。ジェットインキ関連製品では、サンケミカルが安定性に優れたプロセスカラー用エコソルベント分散体を開発し、市場に投入しました。 (5) アプリケーションマテリアルズ工業用粘着テープでは、貼付時のエア抜け性に優れるドット形状粘着テープを開発し、スマートフォンメーカーに採用されました。建築住設材料では、汚れが付着しにくい不燃化粧板を開発し、工場や医療施設などでの実績化が進みました。多層フィルムでは、レトルト食品の成形容器のフタ材として130℃での加圧加熱殺菌処理に対応する易開封性のシーラントフィルムを、また、医薬品や化粧品のような揮発性成分の包装材用として高シール性と低吸着性を有するシーラントフィルムを開発しました。