事業の概要
- 創薬ベンチャー事業ラクオリア創薬グループは、新しい医薬品の研究開発に特化したベンチャー企業です。自社で開発した薬の候補(開発化合物)の特許を、製薬会社にライセンス供与(使用許諾)することで収益を得ています。具体的には、契約一時金、開発の進捗に応じたマイルストン収入、薬が販売された後のロイヤルティ収入、共同研究の対価としての研究協力金が主な収入源となります。
- 医薬品開発の初期段階に特化新薬開発は「探索研究」から「販売」まで非常に長いプロセスですが、ラクオリア創薬グループは主に「探索研究」「前臨床試験」「初期臨床試験」という初期段階に注力しています。これは、後期臨床試験に進むと莫大な費用がかかるため、リスクと費用を抑えつつ、有効性と安全性が確認できた段階で製薬会社に開発化合物を導出(ライセンスアウト)する戦略をとっているためです。
- 低分子化合物と新規モダリティこれまで主に「低分子化合物」と呼ばれる種類の薬の研究開発を行ってきましたが、近年では抗体医薬やワクチンといった「バイオ医薬」の研究も盛んです。ラクオリア創薬グループは、これまでの低分子化合物に関する高い技術力を活かしつつ、市場の動向や自社の技術との相性を考慮しながら、新しいタイプの医薬品(新規モダリティ)の研究開発にも挑戦しています。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
セグメント構成
- 創薬研究開発事業ラクオリア創薬グループは、単一セグメントとして「創薬研究開発事業」を展開しています。これは、新しい医薬品の候補(開発化合物)を自社で生み出し、その知的財産権を国内外の製薬会社にライセンス供与することで収益を得るビジネスモデルです。特定の疾患領域に限定せず、医療ニーズの高い分野で革新的な医薬品の創出を目指しています。
- 初期開発段階への集中この事業では、医薬品開発の初期段階である「探索研究」「前臨床試験」「初期臨床試験」に重点を置いています。これは、後期臨床試験に進むと多額の研究開発費とリスクが必要となるため、有効性と安全性が確認できた段階で製薬会社に導出することで、自社の費用負担とリスクを軽減し、効率的な事業運営を図る戦略です。
- 低分子から新規モダリティへの展開従来の主力であった「低分子化合物」の研究開発に加え、抗体医薬やワクチンといった「新規モダリティ」と呼ばれる新しいタイプの医薬品の研究開発にも取り組んでいます。これにより、技術の多様化と市場ニーズへの対応力を高め、将来的な収益源の拡大を目指しています。
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3【事業の内容】当社グループは、単一セグメントであるため、セグメント情報の記載を省略しております。 (1)事業の概要当社グループは、当社(ラクオリア創薬株式会社)及び連結子会社2社(テムリック株式会社及びファイメクス株式会社)により構成されております。なお、2026年1月1日付で、当社を存続会社、テムリック株式会社を消滅会社とする吸収合併を行っております。当社グループは、先端科学技術を活用し、医療分野においてニーズの高い疾患領域に対する新たな医薬品を生み出すことを目指す研究開発型の創薬ベンチャー企業であり、独自に創出した開発化合物(*)の知的財産権を製薬企業各社等に対して導出(使用許諾契約によりライセンスアウト)することにより収益を獲得することを事業展開の基本としております。 ① 当社グループの事業の背景世界的な規模で進行する人口の高齢化や新興国の発展により世界の医薬品市場は拡大しています。遺伝子治療、細胞医薬、デジタルヘルスケア等、新たな技術が医薬品の開発や治療法に革新をもたらし、これらの技術がさらなる成長をもたらす可能性があります。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)により製薬業界も大きな変化を経験しましたが、mRNAワクチンの開発・製造・販売等、業界の成長に寄与する変化も生まれました。一方、日本国内では、常態化した毎年の薬価改定による薬剤費の削減や医療保険の適用基準の厳格化等の影響により、医薬品販売高の成長率は鈍化しております。また、近年、新薬開発の成功確率の低下と必要なコストの増加により、製薬企業各社の研究開発費は増加の一途をたどっています。このような状況の中、製薬企業各社は、医薬品として成功する可能性の高い高品質な開発化合物(*)を外部からも積極的に導入し、パイプラインを充実させております。米国では新薬の約6割の起源がバイオベンチャー由来とされており、医療ニーズに応える新薬候補の供給源としてのバイオベンチャーに対する期待はますます高まっております。当社グループは研究開発型の創薬ベンチャー企業として、このような製薬企業各社の期待に応えるべく、自社の研究開発に留まらず、アカデミアやスタートアップ、ベンチャー企業等との協力関係を深め、次世代型創薬バリューチェーンの構築を通じて、医薬品の研究開発事業を展開しております。 ② 医薬品研究開発の一般的進行(*)及び当社グループの事業領域一般的に新薬の開発は、探索研究、前臨床試験、臨床試験、厚生労働省(あるいは米国食品医薬品局(FDA:Food and Drug Administration)等の各国の医薬品許認可審査機関)への製造販売承認申請、医薬品としての承認取得、薬価基準収載(*)を経て行われます。その後、初めて新薬として販売が開始され、病院・医師・患者へ提供することが可能となります。(注)医薬品の研究開発における標準的な各段階の所要年数は、あくまでも標準的な想定期間を表示したものであり、各プロジェクトがこの想定期間どおりに進捗するとは限りません。各プロジェクトが経過した、あるいは現在進行中の各段階の幅についても、実際の所要期間あるいは想定所要期間を示すものではありません。 当社グループは、医薬品の研究開発段階のうち、探索研究段階、前臨床試験段階及び初期臨床試験段階を主たる事業分野としております。第Ⅲ相臨床試験などの後期臨床試験段階においては多額の研究開発費が必要となるため、当社グループにおける研究開発に係る費用及びリスク負担を低減する目的から、有効性及び安全性が概ね評価可能となる段階(前期第Ⅱ相臨床試験)までを当社グループにて行い、その後製薬企業各社等へ開発化合物(*)を導出することを基本としております。 ③ 低分子化合物から新規モダリティ(*)への展開を目指す研究開発活動当社グループは、従来、低分子化合物に係る研究開発を行ってまいりました。近年、医薬品業界においては、抗体医薬やワクチン等のいわゆるバイオ医薬の研究開発が盛んに行われておりますが、低分子化合物は依然として医薬品開発の大きな柱であります。当社グループにおきましては、これまで蓄積してきた低分子化合物に係る高い技術力を軸に据えつつ、業界の動向や当社グループが保有する技術との親和性等を総合的に考慮して低分子化合物以外の新たなモダリティ(*)への展開にも取り組んでおります。 ④ 研究開発活動(A)研究開発の概要当社グループの研究開発部門が行っている研究開発の概要とその流れは、以下のとおりであります。当社グループでは、創薬標的分子(*)の探索から初期臨床試験(主として第Ⅰ相臨床試験、必要に応じて前期第Ⅱ相臨床試験)まで、博士・修士号を有した研究者を中心にこの業務を推進しております。 (B)当社グループの研究開発体制当社グループは、豊富な知識と経験を有する研究員を有し、国内バイオベンチャートップクラスのインフラを最大限に活かした創薬研究開発体制を構築しております。 a)プロジェクトを中心とした研究開発体制当社グループの研究開発体制は、組織横断的なプロジェクトを単位として運営されており、迅速な意思決定及び業務の遂行を可能にしております。実際の業務は、プロジェクト単位で協議し決定され、特に重要な方針に関わる場合は、プロジェクトから経営戦略委員会へ提案が行われ、その決定は速やかにプロジェクト活動に反映されます。 b)研究・開発・事業開発活動の一体化当社グループにおいては、探索研究から開発そして導出に至るまで、プロジェクトチームが一貫して主体性を持ち、組織横断的に業務を実施しております。これにより、一貫した研究・開発、導出計画の下、必要な情報を随時共有し、適切な情報をタイムリーに導出先企業に提供することを可能としております。 (C)研究開発ポートフォリオ(*)による展開当社グループの研究開発は、創薬の初期段階を担うものであり、少数の限られたプロジェクトを選択して経営資源を集中することにより、研究開発ポートフォリオ(*)を拡充し、製薬企業各社等へ開発化合物(*)を導出していくことに重点を置いたものであります。医薬品開発は、研究開発のいずれの段階においても、安全性、有効性及び薬物動態(*)並びにその他の開発上の問題から中止される可能性があります。当社グループにおいては、探索段階から海外市場において上市済みのものまで、各段階のプロジェクトを保有しており、さらに、自社の探索研究から新たな開発化合物(*)を継続して創出する能力を備えていることから、複数のプロジェクトからなる研究開発ポートフォリオ(*)を拡充するとともに、開発リスクを低減し、より安定した事業の遂行を図りたいと考えております。 ⑤ 導出活動当社グループの導出活動は、内外の各製薬企業各社における医薬品として成功する可能性の高い高品質な化合物に対するニーズに対応するため、初期探索段階から臨床開発段階までの各段階において保有する研究開発ポートフォリオ(*)のすべてを対象とし、機動的かつ柔軟に営業活動を進めております。また、研究開発ポートフォリオ(*)は、各プロジェクトの特性と導出先である製薬企業各社等のニーズに応じて、日本・東アジア・米国・欧州等の地域ごと、あるいは剤形(経口剤、注射剤、局所用剤)ごと、さらには動物用医薬品用途での導出等、様々な形態で導出を図っております。 ⑥ 当社グループの収益当社グループの収益は、探索研究、前臨床試験及び初期臨床試験の成果として創出した開発化合物(*)を製薬企業各社等に導出することにより獲得するものであり、その概要は以下のとおりであります。収 益内 容契約一時金収入導出または共同研究に係る契約締結時に、当社グループが提供するそれまでの研究開発成果の対価等として受け取る収入マイルストン収入契約相手先の研究開発の進捗(契約書に規定された研究開発段階の達成)または売上の進捗(契約書に規定された売上高の達成)に応じて受け取る収入ロイヤルティ収入医薬品の上市後に販売額の一定割合(契約書に規定された料率に基づく)を受け取る収入研究協力金収入共同研究の期間中に提供する役務等の対価等として受け取る収入 ⑦ 事業系統図当社グループの事業の系統図は、以下のとおりであります。 (2)当社グループの研究開発対象領域及び研究開発ポートフォリオ(*)① 当社グループの研究開発対象領域当社グループは、当社の前身であるファイザー株式会社中央研究所から引き続き消化器疾患領域及び疼痛疾患領域を中心に研究開発活動を行ってまいりましたが、2014年より国立大学法人東海国立大学機構名古屋大学(以下「名古屋大学」)に研究拠点を移した後は、幅広い疾患領域における魅力ある創薬テーマの研究開発に取り組んでおります。テムリック株式会社及びファイメクス株式会社の買収等も通じて、疾患領域の拡大に取り組み、現在はがんと神経疾患を含む医療ニーズの高い疾患に対する創薬研究開発を進めております。 ② 当社グループのポートフォリオ(*)及び研究開発の状況一般的に医薬品の研究開発は長期に渡って多額の資金を必要とされております。当社グループは、当社グループ保有の開発化合物(*)の研究開発投資において、パートナーシップに基づくオープンイノベーション型の研究開発を積極的に展開するとともに適切な選択と集中を行うことで、資源の有効活用を図っております。具体的には、当社グループが強みを持つ探索段階から第Ⅰ相臨床試験を中心に自社単独で開発化合物(*)の研究開発に注力して導出に向けて推進するプログラムを「導出準備プログラム」、当社グループからの導出後に導出先が中心となって開発を進めるプログラムを「導出済みプログラム」と定義しております。また、探索研究段階においては、当社グループと提携先企業の双方が強みを持ち寄りイノベーティブな開発化合物(*)の創出を目指す共同研究プログラムを「共同研究プログラム」と定義しております。当連結会計年度末現在の主な「導出準備プログラム」及び「導出済みプログラム」、「共同研究プログラム」の状況は、以下のとおりであります。 (A)導出準備プログラム当連結会計年度末現在の「導出準備プログラム」は、以下のとおりであります。当社グループは、これらのプロジェクトに関して一部導出済みの契約を除き、全世界を対象とする開発、販売及び製造に関する権利を有しております。プログラム化合物コード(注)1導出対象地域主な想定適応症研究開発段階5-HT4作動薬RQ-00000010全世界胃不全麻痺機能性胃腸症(*)慢性便秘第Ⅰ相臨床試験終了(英国)5-HT2B拮抗薬RQ-00310941全世界下痢型過敏性腸症候群(*)第Ⅰ相臨床試験終了(英国)モチリン受容体作動薬RQ-00201894全世界胃不全麻痺機能性胃腸症(*)術後イレウス前臨床試験終了グレリン受容体作動薬RQ-00433412全世界便秘がんに伴う食欲不振悪液質症候群前臨床試験終了TRPM8遮断薬RQ-00434739日本疼痛(注)2選択的ナトリウムチャネル遮断薬非開示全世界疼痛・掻痒―タミバロテンtamibaroteneTM-411全世界がん臨床段階IRAK-M分解誘導薬FIM-001全世界がん前臨床試験実施中(注)1.化合物コードは、RQ-(当社)、FIM-(ファイメクス株式会社)、TM-(テムリック株式会社)で始まるコードで表記されており、当社グループで研究・開発・評価に使用するすべての化合物に対して付与しております。2.日本以外の権利を導出しているXgene Pharmaceutical Co. Ltd.(香港)により、前臨床試験が行われ、当連結会計年度末時点で豪州における第Ⅰ相臨床試験が進行中です。 (B)導出済みプログラム当連結会計年度末現在、当社グループの導出済みのプログラムの状況は、以下のとおりであります。なお、契約内容の詳細については、後述の「第2 事業の状況 5 重要な契約等」をご参照ください。 [ヒト用医薬品領域]プロジェクト化合物コード(注)1主な想定適応症研究開発段階権利地域導出先カリウムイオン競合型アシッドブロッカー(P-CAB)RQ-00000004(tegoprazan)胃食道逆流症(*)販売中(韓国、中国、フィリピン、インドネシア、メキシコを含む中南米諸国など、全19カ国)審査中・承認申請準備中(米国、ベトナム他)第Ⅰ相臨床試験終了(日本)全世界HK inno.N Corporation(韓国)EP4拮抗薬RQ-00000007(grapiprant)疼痛第Ⅰ相臨床試験終了(中国)(注)2全世界株式会社AskAtがん第Ⅰ相臨床試験終了(米国)(注)3第Ⅰ相臨床試験実施中(中国)RQ-00000008変形性関節症、自己免疫疾患他前臨床試験終了5-HT4部分作動薬RQ-00000009アルツハイマー病第Ⅰ相臨床試験終了(注)3全世界シクロオキシゲナーゼ-2(COX-2)阻害薬RQ-00317076疼痛第Ⅰ相臨床試験実施中(中国)(注)2全世界CB2作動薬RQ-00202730疼痛等第Ⅰ相臨床試験実施中(英国)全世界P2X7受容体拮抗薬RQ-00466479-非開示(注)4全世界旭化成ファーマ株式会社TRPM8遮断薬RQ-00434739慢性疼痛第Ⅰ相臨床試験実施中(豪州)日本を除く全世界Xgene Pharmaceutical Co. Ltd.(香港)ナトリウムチャネル遮断薬RQ-00350215慢性疼痛非開示全世界久光製薬株式会社(注)1.化合物コードは、RQ-(当社)で始まるコードで表記されており、当社グループで研究・開発・評価に使用するすべての化合物に対して付与しております。2.Pfizer Inc.(米国)において、前期第Ⅱ相臨床試験を実施済みです。3.Pfizer Inc.(米国)において、第Ⅰ相臨床試験を実施済みです。4.2021年1月にEli Lilly and Company(米国)にサブライセンスされ開発が進められておりましたが、当連結会計年度におけるパイプライン見直しによりPainを対象とした開発からは除外されました。なお、ライセンス契約は有効に存続しており、今後の開発方針は同社にて検討されております。 [動物用医薬品領域]プロジェクト化合物コード(注)7主適応症研究開発段階権利地域導出先グレリン受容体作動薬RQ-00000005(capromorelin、ENTYCE™、ELURA™)食欲不振(犬)販売中(米国)全世界Elanco Animal Health Inc.(米国)慢性腎疾患の体重減少管理(猫)販売中(米国、フランス、ベルギー、日本、ブラジル)全世界EP4拮抗薬RQ-00000007(grapiprant、GALLIPRANT®)変形性関節症(犬)販売中(米国、欧州、日本他)全世界シクロオキシゲナーゼ-2(COX-2)阻害薬RQ-00317076疼痛パイロットフィールド試験実施中(注)2全世界株式会社AskAt/Velo-1, Inc.(米国)5-HT4作動薬RQ-00000010腸管運動障害(犬・猫)POC試験実施中全世界Vetbiolix SAS特定の4化合物非開示評価中評価中全世界Velovia Pharma, LLC(注)1.化合物コードは、RQ-で始まるコードで表記されており、当社グループで研究・開発・評価に使用するすべての化合物に対して付与しております。2.2022年7月にVelo-1, Inc.(米国)にサブライセンスされ、現在、パイロットフィールド試験を実施中です。 (C)共同研究プログラム当連結会計年度末現在、製薬企業各社等との共同研究プログラムは、以下のとおりであります。なお、研究内容の詳細については、後述の「第2 事業の状況 6 研究開発活動」をご参照ください。プロジェクト共同研究先研究開発段階眼疾患治療薬創製に向けた共同研究株式会社デ・ウエスタン・セラピテクス研究所探索研究段階メッセンジャーRNA(mRNA)を標的とした低分子医薬品の創出に向けた共同研究株式会社Veritas In Silico探索研究段階
事業の優位性(モート)
事業の質(有価証券報告書から抽出)
数字に出ない事業の性質を、同じ物差しで全銘柄そろえています。FY2025時点の記載が出典です。
| 価格決定力値上げを通せるか。強いほどインフレ耐性が高い | 中程度 新薬開発の成功確率の低下とコスト増加により、製薬企業は高品質な開発化合物を外部から導入する傾向 |
|---|---|
| 参入障壁新規参入を阻む要因の種類 | 技術 医薬品の研究開発は長期間と巨額の研究開発費用が必要であり、成功確率が低い。高度な専門知識・技能が必要。 |
| 景気敏感度業績が景気循環にどれだけ振られるか | ディフェンシブ |
| 設備投資の性質稼いだ現金がどれだけ設備維持に消えるか | 成長投資 |
| 規制依存規制は障壁にも足枷にもなる | 高い |
会社が挙げる主要リスク:医薬品研究開発の長期性・高費用・低成功確率 / 競合品の存在や研究開発の進捗 / 製薬会社等への導出契約締結の不確実性
同じ条件で他の銘柄を探す → 定性スクリーニング(価格決定力・参入障壁・景気敏感度などで絞り込めます)
モート総合 2 / 25 5類型それぞれの強度と、そう判定した根拠
無形資産★★☆☆☆
ラクオリア創薬は、医薬品の研究開発における独自の創薬プラットフォームと、複数のパイプラインを保有している。特に、中枢神経系疾患領域における新規化合物の創出能力は、将来的な特許取得やライセンスアウトの可能性を示唆するが、現時点では具体的な大型ライセンス契約や大型特許の収益化には至っていない。
スイッチングコスト☆☆☆☆☆
医薬品の研究開発段階の企業であり、現時点では顧客との間に直接的なスイッチング・コストが発生する事業モデルではない。製薬企業との提携は存在するが、これは事業提携であり、顧客が乗り換えることによる直接的な損失は想定されない。
ネットワーク効果☆☆☆☆☆
事業内容は医薬品の研究開発であり、ユーザーが増えることでサービスの価値が増大するようなネットワーク効果は発生しない。研究開発の成果は個別のプロジェクトに依存する。
コスト優位☆☆☆☆☆
医薬品の研究開発は、高度な専門知識と設備投資を要するが、ラクオリア創薬が他社と比較して構造的に低いコストで研究開発を行えるという優位性は見られない。むしろ、研究開発費は高額になる傾向がある。
規模の経済☆☆☆☆☆
医薬品の研究開発段階の企業であり、業界規模に対して最適な少数寡占を形成するような事業構造ではない。研究開発の成果は個別のパイプラインの成功に依存する。
- 高度な創薬研究開発力ラクオリア創薬グループは、博士・修士号を持つ研究者を中心に、創薬標的分子の探索から初期臨床試験までを一貫して推進できる高い研究開発能力を持っています。国内のバイオベンチャーの中でもトップクラスのインフラを活用し、豊富な知識と経験を持つ研究員が、新しい医薬品の候補を効率的に生み出す体制を構築しています。
- プロジェクト中心の迅速な意思決定研究開発は、組織を横断するプロジェクト単位で運営されており、迅速な意思決定と業務遂行が可能です。重要な方針は経営戦略委員会で決定され、すぐにプロジェクト活動に反映されるため、市場の変化や研究の進捗に柔軟に対応し、効率的な開発を進めることができます。
- 多様な導出戦略とポートフォリオ同社は、初期探索段階から臨床開発段階まで、保有する全ての研究開発ポートフォリオを対象に、国内外の製薬企業に対して機動的かつ柔軟に営業活動を行っています。日本、東アジア、米国、欧州といった地域ごとや、経口剤、注射剤、局所用剤などの剤形ごと、さらには動物用医薬品用途など、様々な形態での導出を追求し、収益機会の最大化と開発リスクの分散を図っています。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
経営戦略
有価証券報告書「経営方針・対処すべき課題・MD&A」の全文を見る(年度切替)
経営方針・経営戦略
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題は、以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。 (1) 経営方針① 会社の経営の基本方針当社グループは、先端科学技術を活用し、医療分野においてニーズの高い疾患領域に対する新たな医薬品を生み出すことを目指す研究開発型の創薬ベンチャー企業であり、独自に創出した新薬の開発化合物(*)を製薬会社等に対して導出することにより契約一時金収入、マイルストン収入、ロイヤルティ収入を獲得することを事業展開の基本としております。当社グループの基本方針は、以下のとおりであります。(A)探索研究から初期開発さらに導出までを一体化して進める創薬ビジネスモデルを確立し、体制の整備及び効率化を図る。(B)産学官連携を含む外部提携先との提携によって革新的な開発化合物(*)の創出を目指す。(C)事業パートナーとの信頼関係を構築し、確実なビジネス成果に結びつける。 ② 目標とする経営指標当社グループは、医薬品の研究開発を推進し、探索研究、前臨床試験及び初期の臨床試験の成果として創出した開発化合物(*)の導出、さらには導出先での上市・販売によって収益を確保することにより、持続的な成長を図ってまいります。研究開発プロジェクトを一層充実させ、各開発候補化合物(*)及び開発化合物(*)の研究開発をすることにより、各研究開発プロジェクトの価値を高めることを目標として事業活動を推進しております。 ③ 中長期的な会社の経営戦略一般的に医薬品の研究開発は長期かつ多額の費用を要するものであります。また、研究開発の各段階においては、有効性、安全性やその他の問題により研究開発の中止や遅延等の事態が生じる等、開発化合物(*)が上市に至るまでには様々なリスクがあり、その成功確率は高いものではありません。こうした中、当社グループは、以下のような戦略をもって事業を展開しております。 (A)導出及びアライアンスマネジメント戦略当社グループの導出活動は、初期探索段階から開発段階までの各段階において保有する研究開発ポートフォリオ(*)のすべてを対象とすることにより、機動的かつ柔軟な導出活動を展開しております。当社グループの研究開発ポートフォリオ(*)は、その研究開発戦略の特性から、全世界を対象とする開発、販売及び製造に関する権利の導出を最優先の目標としておりますが、各プロジェクトの特性と顧客である製薬会社等のニーズに応じて、地域ごと、あるいは剤形ごと、さらには動物用医薬品用途での導出等、収益の最大化を図るべく様々な形態で導出を図る方針であります。また、当社グループは、既に導出されている開発候補化合物(*)及び開発化合物(*)等に対し、各導出先企業との協力体制のもと、順調な開発の推進を支援し、収益獲得を可能な限り早期に実現させること、更には長期的かつ安定的な収益を獲得することを目的として、アライアンスマネジメントを遂行しております。 (B)研究開発戦略a)継続的な研究開発ポートフォリオ(*)の強化当社グループは、創業時より疼痛疾患領域及び消化管疾患領域を研究開発の重点領域として開発化合物(*)の創出に取り組んできました。2014年度及び2021年度においては、それぞれ名古屋大学及び岐阜薬科大学に産学連携にかかる講座を設置し、アカデミアにおける最先端の研究成果に基づく創薬研究にも取り組んでおります。創薬研究基盤の強化としては、とりわけモダリティ(*)に着目し、タンパク質分解誘導剤やmRNA標的低分子等の低分子化合物から派生する新規モダリティ(*)等への取り組みを進めております。テムリック株式会社及びファイメクス株式会社の買収等も通じて、疾患領域の拡大に取り組み、現在はがんと神経疾患を含む医療ニーズの高い疾患に対する創薬研究開発を進めております。今後も国内外の製薬会社やスタートアップ企業との連携を推し進め、研究開発ポートフォリオ(*)を継続的に強化してまいります。 b)開発プロジェクトの価値向上と早期の収益化の実現臨床試験段階においては、多額の研究開発費が必要となるため、当社グループにおける研究開発に係る費用及びリスク負担を軽減することを目的とし、当社グループ保有の開発化合物(*)について「選択と集中」を図ってまいりました。今後は、この戦略をさらに発展させるものとして、成長ドライバーとなる品目への戦略的投資を進めてまいります。選択したプログラムへの内部リソースの集中に加え、必要に応じて、外部プロジェクト・ファイナンス等を活用して開発を加速化し、プロジェクト価値の向上による将来的な収益の積み上げを目指します。 (2) 経営環境医薬品市場は、先進国においては高齢化によって、途上国においては医療の発展による市場拡大が続いており、医療費をはじめとする社会保障費用も増加の一途を辿っています。このため、先進国においては、医療費の抑制と効率化が急務となっておりますが、各国において法規制は年々厳しくなっていることから新薬の開発難易度とコストは高騰しております。日本においては、医薬品産業の競争力強化に向けた緊急的・集中実施的な総合戦略として、研究・医療の環境の整備や産学官の連携に加え、新薬創出・適応外薬解消等促進加算制度が導入されるなど、革新的新薬創出のためのイノベーションを促す諸策が講じられております。このような経営環境の中で、当社グループは創薬ベンチャーとして新薬を研究開発・上市するためには、次の「(3) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題」に掲げた5点が重要課題であると認識しております。 (3) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題当社グループは、以下の点を主要な経営課題として取り組んでまいります。 ① 研究開発基盤の強化及び研究開発ポートフォリオ(*)の拡充 当社グループが創薬ベンチャー企業として企業価値を高めていくためには、いまだ満たされていない医療ニーズが存在する疾患に対する画期的な新薬候補の創製に取り組み、研究開発ポートフォリオ(*)を強化していく必要があります。このため、当社グループは、新規医薬品候補化合物のパイプラインの充実、及びその基盤となる創薬研究機能の強化に取り組んでおります。当連結会計年度においては、重点領域を神経疾患およびがん領域に再定義した上で、新規モダリティ(*)(標的タンパク質分解誘導剤(TPD)、mRNA標的低分子、細胞内抗体等)に関する研究を拡大し、探索段階プログラムの増加や連結子会社であるファイメクス株式会社(本社:神奈川県藤沢市、以下「ファイメクス」)が保有するプラットフォーム技術の強化等、研究基盤の強化を進めてまいりました。翌連結会計年度以降も、実績ある低分子創薬に加え新規モダリティ(*)を積極的に活用し、当社グループの創薬バリューチェーンを継続的に拡張してまいります。また、引き続き、外部との共同研究を拡大するとともに、研究設備の整備および専門性を有する人材の確保を進めることで、創薬研究の質およびスピードのさらなる向上を図ってまいります。 ② パイプライン及びプログラムの価値の向上 当社グループは、資金や人的リソースを効率的に活用して研究開発を進めるために、以下に示すプログラム分類にあわせた対応を取っております。・単独研究プログラム 単独で画期的な開発化合物(*)を目指した探索研究を当社グループが単独で実施するプログラム・共同研究プログラム 探索研究段階から当社グループと提携先企業の双方が持つ強みを持ち寄り画期的な開発化合物(*)の創出を目指す共同研究プログラム・導出準備プログラム 当社グループが強みを持つ探索研究から初期臨床開発段階(第Ⅰ~第Ⅱ相臨床試験)を中心に自社単独で開発化合物(*)の研究開発に注力して導出に向けて推進するプログラム・導出済みプログラム 導出先が主軸となって進める臨床開発について当社グループがサポートをメインに行うプログラム 当連結会計年度においては、単独研究プログラム及び共同研究プログラムでは上記①の経営課題で述べた方策を進めたほか、導出準備プログラムではグレリン受容体作動薬及びIRAK‑M分解誘導薬の両プログラムについて臨床開発準備を進めてまいりました。導出済みプログラムにおいては、導出先企業での臨床試験が着実に進行するなど、保有パイプラインの価値向上が着実に進んでおります。また、当社の長年のパートナーであるHK inno.N Corporation(本社:韓国・オソン、以下「HKイノエン社」)との間で資本業務提携を実施し、胃酸分泌抑制剤tegoprazanの日本国内での事業化、当社が保有する開発化合物(*)の価値向上、共同研究の実施等において連携することといたしました。翌連結会計年度以降も、成功確度、医療ニーズ、市場規模等を踏まえた投資配分の最適化を図りつつ、最新の科学と当社グループが保有する技術に立脚した上で、スタートアップ企業やアカデミア等との連携も積極的に活用して新たな開発候補物質の創出に取り組むとともに、開発候補物質同定済みのパイプラインにおいても適応症の拡大や知的財産権の強化等を継続して実施し、自社が保有するパイプライン及びプログラムの価値の向上を図ります。また、HKイノエン社と実施する共同研究では、役割分担による効率化に加え、両者の強みを合わせることで得られる相乗効果の創出に焦点を当て、価値の創出と最大化を追求してまいります。また、導出先企業における導出済みパイプライン及びプログラムについても同様にして価値の向上を図るべく取り組んでまいります。 ③ 導出活動とアライアンスマネジメントの強化当社グループが有する開発化合物(*)を製品化して上市し医療現場に届けるには、臨床開発及び製造販売を担う製薬会社等に導出し、導出後は一日も早い製品上市のため、導出先企業とのアライアンスを適切にマネジメントする必要があります。現在、当社グループはこれを最重要課題として様々なチャネルを通じてグローバルな導出活動に取り組んでおります。当連結会計年度は、胃酸分泌抑制剤tegoprazanの日本の権利をHKイノエン社に新たに導出しました。また、ファイメクスの共同研究事業では、アステラス製薬株式会社(本社:東京都中央区、以下「アステラス製薬」))との共同研究の標的を追加するという成果を得ました。既存の導出済みパイプライン及びプログラムにおいては、導出先に対して技術支援やデータ提供を継続し、導出先企業における開発進展を支援いたしました。翌連結会計年度以降は、導出準備プログラムから毎期1件以上のライセンス契約獲得を継続的な目標とし、パートナー候補企業の拡大や交渉プロセスの深化を進め、導出活動の強化を図ります。加えて、導出先との信頼関係の強化と適切な開発支援を通じて、マイルストン収入およびロイヤルティ収入の早期化・拡大を目指します。ファイメクスの共同研究事業についても、毎期1件以上の新規共同研究契約の獲得を目指し、研究段階での収益基盤を強化してまいります。 ④ 財務基盤の強化と資源配分の最適化当社グループのような創薬ベンチャー企業は、製品が上市するまでの間、パイプラインの開発進展、開発化合物(*)の増加等に伴い、事業活動に合わせて資金調達を確実に行っていく必要があります。そのため、当社グループは、資金調達手段の確保・拡充に向けて、株式市場からの必要な資金の獲得や銀行からの融資を受けるなど、資金調達の多様化を進めてまいりました。また、予算管理の徹底を通じてコスト抑制を図ることで財務基盤の強化に努めております。当連結会計年度は、探索研究および前臨床開発を中心とした投資を継続しつつ、HKイノエン社との資本業務提携の機会も活用することで財務基盤の維持に努めてまいりました。翌連結会計年度以降も引き続き研究開発投資の重点化を継続し、重点分野に対して資源を優先的に配分することで研究開発効率および投資回収可能性の向上を図ります。また、中期的には3期連続の営業黒字および安定的な収益成長の実現を目標とし、資金調達手段の多様化やコスト管理の高度化を進めることで、企業価値向上に資する財務運営の強化を行ってまいります。 ⑤ 人的資本の拡充創薬ベンチャー企業のビジネスモデルにおいては、価値の高い新規医薬品候補物質及び研究開発プログラムを継続的に創出し製薬会社等に導出することが事業活動の根幹です。人材は当社グループの事業活動においてきわめて重要な資本であり、高度な専門性を有する多様な人材を確保し、企業としての成長力を維持・発展させる必要があります。当連結会計年度は、人材採用や人事制度・報酬体系の運用や多様な働き方を実現する環境整備を通じて、従業員エンゲージメントの向上を図るとともに、専門人材の確保・育成及びグループ内連携を強化してまいりました。翌連結会計年度以降も引き続き、従業員のエンゲージメントの向上、専門人材の計画的採用及び育成を進めるほか、設備拡充や新技術の導入による研究環境の高度化を図ります。また、安全衛生およびコンプライアンス体制の強化を継続し、持続的な研究活動を支える組織基盤の維持向上に取り組んでまいります。
対処すべき課題
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題は、以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。 (1) 経営方針① 会社の経営の基本方針当社グループは、先端科学技術を活用し、医療分野においてニーズの高い疾患領域に対する新たな医薬品を生み出すことを目指す研究開発型の創薬ベンチャー企業であり、独自に創出した新薬の開発化合物(*)を製薬会社等に対して導出することにより契約一時金収入、マイルストン収入、ロイヤルティ収入を獲得することを事業展開の基本としております。当社グループの基本方針は、以下のとおりであります。(A)探索研究から初期開発さらに導出までを一体化して進める創薬ビジネスモデルを確立し、体制の整備及び効率化を図る。(B)産学官連携を含む外部提携先との提携によって革新的な開発化合物(*)の創出を目指す。(C)事業パートナーとの信頼関係を構築し、確実なビジネス成果に結びつける。 ② 目標とする経営指標当社グループは、医薬品の研究開発を推進し、探索研究、前臨床試験及び初期の臨床試験の成果として創出した開発化合物(*)の導出、さらには導出先での上市・販売によって収益を確保することにより、持続的な成長を図ってまいります。研究開発プロジェクトを一層充実させ、各開発候補化合物(*)及び開発化合物(*)の研究開発をすることにより、各研究開発プロジェクトの価値を高めることを目標として事業活動を推進しております。 ③ 中長期的な会社の経営戦略一般的に医薬品の研究開発は長期かつ多額の費用を要するものであります。また、研究開発の各段階においては、有効性、安全性やその他の問題により研究開発の中止や遅延等の事態が生じる等、開発化合物(*)が上市に至るまでには様々なリスクがあり、その成功確率は高いものではありません。こうした中、当社グループは、以下のような戦略をもって事業を展開しております。 (A)導出及びアライアンスマネジメント戦略当社グループの導出活動は、初期探索段階から開発段階までの各段階において保有する研究開発ポートフォリオ(*)のすべてを対象とすることにより、機動的かつ柔軟な導出活動を展開しております。当社グループの研究開発ポートフォリオ(*)は、その研究開発戦略の特性から、全世界を対象とする開発、販売及び製造に関する権利の導出を最優先の目標としておりますが、各プロジェクトの特性と顧客である製薬会社等のニーズに応じて、地域ごと、あるいは剤形ごと、さらには動物用医薬品用途での導出等、収益の最大化を図るべく様々な形態で導出を図る方針であります。また、当社グループは、既に導出されている開発候補化合物(*)及び開発化合物(*)等に対し、各導出先企業との協力体制のもと、順調な開発の推進を支援し、収益獲得を可能な限り早期に実現させること、更には長期的かつ安定的な収益を獲得することを目的として、アライアンスマネジメントを遂行しております。 (B)研究開発戦略a)継続的な研究開発ポートフォリオ(*)の強化当社グループは、創業時より疼痛疾患領域及び消化管疾患領域を研究開発の重点領域として開発化合物(*)の創出に取り組んできました。2014年度及び2021年度においては、それぞれ名古屋大学及び岐阜薬科大学に産学連携にかかる講座を設置し、アカデミアにおける最先端の研究成果に基づく創薬研究にも取り組んでおります。創薬研究基盤の強化としては、とりわけモダリティ(*)に着目し、タンパク質分解誘導剤やmRNA標的低分子等の低分子化合物から派生する新規モダリティ(*)等への取り組みを進めております。テムリック株式会社及びファイメクス株式会社の買収等も通じて、疾患領域の拡大に取り組み、現在はがんと神経疾患を含む医療ニーズの高い疾患に対する創薬研究開発を進めております。今後も国内外の製薬会社やスタートアップ企業との連携を推し進め、研究開発ポートフォリオ(*)を継続的に強化してまいります。 b)開発プロジェクトの価値向上と早期の収益化の実現臨床試験段階においては、多額の研究開発費が必要となるため、当社グループにおける研究開発に係る費用及びリスク負担を軽減することを目的とし、当社グループ保有の開発化合物(*)について「選択と集中」を図ってまいりました。今後は、この戦略をさらに発展させるものとして、成長ドライバーとなる品目への戦略的投資を進めてまいります。選択したプログラムへの内部リソースの集中に加え、必要に応じて、外部プロジェクト・ファイナンス等を活用して開発を加速化し、プロジェクト価値の向上による将来的な収益の積み上げを目指します。 (2) 経営環境医薬品市場は、先進国においては高齢化によって、途上国においては医療の発展による市場拡大が続いており、医療費をはじめとする社会保障費用も増加の一途を辿っています。このため、先進国においては、医療費の抑制と効率化が急務となっておりますが、各国において法規制は年々厳しくなっていることから新薬の開発難易度とコストは高騰しております。日本においては、医薬品産業の競争力強化に向けた緊急的・集中実施的な総合戦略として、研究・医療の環境の整備や産学官の連携に加え、新薬創出・適応外薬解消等促進加算制度が導入されるなど、革新的新薬創出のためのイノベーションを促す諸策が講じられております。このような経営環境の中で、当社グループは創薬ベンチャーとして新薬を研究開発・上市するためには、次の「(3) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題」に掲げた5点が重要課題であると認識しております。 (3) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題当社グループは、以下の点を主要な経営課題として取り組んでまいります。 ① 研究開発基盤の強化及び研究開発ポートフォリオ(*)の拡充 当社グループが創薬ベンチャー企業として企業価値を高めていくためには、いまだ満たされていない医療ニーズが存在する疾患に対する画期的な新薬候補の創製に取り組み、研究開発ポートフォリオ(*)を強化していく必要があります。このため、当社グループは、新規医薬品候補化合物のパイプラインの充実、及びその基盤となる創薬研究機能の強化に取り組んでおります。当連結会計年度においては、重点領域を神経疾患およびがん領域に再定義した上で、新規モダリティ(*)(標的タンパク質分解誘導剤(TPD)、mRNA標的低分子、細胞内抗体等)に関する研究を拡大し、探索段階プログラムの増加や連結子会社であるファイメクス株式会社(本社:神奈川県藤沢市、以下「ファイメクス」)が保有するプラットフォーム技術の強化等、研究基盤の強化を進めてまいりました。翌連結会計年度以降も、実績ある低分子創薬に加え新規モダリティ(*)を積極的に活用し、当社グループの創薬バリューチェーンを継続的に拡張してまいります。また、引き続き、外部との共同研究を拡大するとともに、研究設備の整備および専門性を有する人材の確保を進めることで、創薬研究の質およびスピードのさらなる向上を図ってまいります。 ② パイプライン及びプログラムの価値の向上 当社グループは、資金や人的リソースを効率的に活用して研究開発を進めるために、以下に示すプログラム分類にあわせた対応を取っております。・単独研究プログラム 単独で画期的な開発化合物(*)を目指した探索研究を当社グループが単独で実施するプログラム・共同研究プログラム 探索研究段階から当社グループと提携先企業の双方が持つ強みを持ち寄り画期的な開発化合物(*)の創出を目指す共同研究プログラム・導出準備プログラム 当社グループが強みを持つ探索研究から初期臨床開発段階(第Ⅰ~第Ⅱ相臨床試験)を中心に自社単独で開発化合物(*)の研究開発に注力して導出に向けて推進するプログラム・導出済みプログラム 導出先が主軸となって進める臨床開発について当社グループがサポートをメインに行うプログラム 当連結会計年度においては、単独研究プログラム及び共同研究プログラムでは上記①の経営課題で述べた方策を進めたほか、導出準備プログラムではグレリン受容体作動薬及びIRAK‑M分解誘導薬の両プログラムについて臨床開発準備を進めてまいりました。導出済みプログラムにおいては、導出先企業での臨床試験が着実に進行するなど、保有パイプラインの価値向上が着実に進んでおります。また、当社の長年のパートナーであるHK inno.N Corporation(本社:韓国・オソン、以下「HKイノエン社」)との間で資本業務提携を実施し、胃酸分泌抑制剤tegoprazanの日本国内での事業化、当社が保有する開発化合物(*)の価値向上、共同研究の実施等において連携することといたしました。翌連結会計年度以降も、成功確度、医療ニーズ、市場規模等を踏まえた投資配分の最適化を図りつつ、最新の科学と当社グループが保有する技術に立脚した上で、スタートアップ企業やアカデミア等との連携も積極的に活用して新たな開発候補物質の創出に取り組むとともに、開発候補物質同定済みのパイプラインにおいても適応症の拡大や知的財産権の強化等を継続して実施し、自社が保有するパイプライン及びプログラムの価値の向上を図ります。また、HKイノエン社と実施する共同研究では、役割分担による効率化に加え、両者の強みを合わせることで得られる相乗効果の創出に焦点を当て、価値の創出と最大化を追求してまいります。また、導出先企業における導出済みパイプライン及びプログラムについても同様にして価値の向上を図るべく取り組んでまいります。 ③ 導出活動とアライアンスマネジメントの強化当社グループが有する開発化合物(*)を製品化して上市し医療現場に届けるには、臨床開発及び製造販売を担う製薬会社等に導出し、導出後は一日も早い製品上市のため、導出先企業とのアライアンスを適切にマネジメントする必要があります。現在、当社グループはこれを最重要課題として様々なチャネルを通じてグローバルな導出活動に取り組んでおります。当連結会計年度は、胃酸分泌抑制剤tegoprazanの日本の権利をHKイノエン社に新たに導出しました。また、ファイメクスの共同研究事業では、アステラス製薬株式会社(本社:東京都中央区、以下「アステラス製薬」))との共同研究の標的を追加するという成果を得ました。既存の導出済みパイプライン及びプログラムにおいては、導出先に対して技術支援やデータ提供を継続し、導出先企業における開発進展を支援いたしました。翌連結会計年度以降は、導出準備プログラムから毎期1件以上のライセンス契約獲得を継続的な目標とし、パートナー候補企業の拡大や交渉プロセスの深化を進め、導出活動の強化を図ります。加えて、導出先との信頼関係の強化と適切な開発支援を通じて、マイルストン収入およびロイヤルティ収入の早期化・拡大を目指します。ファイメクスの共同研究事業についても、毎期1件以上の新規共同研究契約の獲得を目指し、研究段階での収益基盤を強化してまいります。 ④ 財務基盤の強化と資源配分の最適化当社グループのような創薬ベンチャー企業は、製品が上市するまでの間、パイプラインの開発進展、開発化合物(*)の増加等に伴い、事業活動に合わせて資金調達を確実に行っていく必要があります。そのため、当社グループは、資金調達手段の確保・拡充に向けて、株式市場からの必要な資金の獲得や銀行からの融資を受けるなど、資金調達の多様化を進めてまいりました。また、予算管理の徹底を通じてコスト抑制を図ることで財務基盤の強化に努めております。当連結会計年度は、探索研究および前臨床開発を中心とした投資を継続しつつ、HKイノエン社との資本業務提携の機会も活用することで財務基盤の維持に努めてまいりました。翌連結会計年度以降も引き続き研究開発投資の重点化を継続し、重点分野に対して資源を優先的に配分することで研究開発効率および投資回収可能性の向上を図ります。また、中期的には3期連続の営業黒字および安定的な収益成長の実現を目標とし、資金調達手段の多様化やコスト管理の高度化を進めることで、企業価値向上に資する財務運営の強化を行ってまいります。 ⑤ 人的資本の拡充創薬ベンチャー企業のビジネスモデルにおいては、価値の高い新規医薬品候補物質及び研究開発プログラムを継続的に創出し製薬会社等に導出することが事業活動の根幹です。人材は当社グループの事業活動においてきわめて重要な資本であり、高度な専門性を有する多様な人材を確保し、企業としての成長力を維持・発展させる必要があります。当連結会計年度は、人材採用や人事制度・報酬体系の運用や多様な働き方を実現する環境整備を通じて、従業員エンゲージメントの向上を図るとともに、専門人材の確保・育成及びグループ内連携を強化してまいりました。翌連結会計年度以降も引き続き、従業員のエンゲージメントの向上、専門人材の計画的採用及び育成を進めるほか、設備拡充や新技術の導入による研究環境の高度化を図ります。また、安全衛生およびコンプライアンス体制の強化を継続し、持続的な研究活動を支える組織基盤の維持向上に取り組んでまいります。
MD&A(経営者による分析)
4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】(1) 経営成績等の状況の概要当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」)の状況の概要は次のとおりであります。 ① 財政状態及び経営成績の状況当連結会計年度における我が国経済は、米国の関税政策や資源価格の上昇等により先行き不透明な状況が続いているものの、堅調な企業業績に基づく株価上昇や新政権誕生による政治の安定化と景気浮揚策への期待もあって緩やかに回復しております。一方、消費市場は、恒常的な物価上昇と実質所得の伸び悩みの下での節約志向の高まりにより、全般に消費マインドが鈍化しており停滞状況が続いております。日銀短観12月調査によれば、大企業・製造業の景況感は、緩やかに景気の持ち直しが続く中、3四半期連続で改善し、大企業・非製造業の景況感は、宿泊・飲食サービスが中国人観光客の減少への懸念もあって小幅に悪化した反面、活発な企業活動を背景に対事業所サービスが改善したほか、需要の底堅さを反映してその他の業種でもおおむね高い水準での推移が続いたことにより、横ばいとなりました。医薬品業界につきましては、2025年12月、日本製薬工業協会(JPMA)、米国研究製薬工業協会(PhRMA)、欧州製薬団体連合会(EFPIA Japan)の日米欧製薬3団体共同声明として、2026年度(令和8年度)薬価制度改革及び費用対効果評価制度改革に関する意見が表明され、特許期間中の薬価の維持や新薬の薬価算定の改善が提言されております。このような業界の動向の中において、当社グループのような創薬ベンチャーが果たすべき役割はますます大きくなっております。このような環境下において、当連結会計年度における当社グループの業績は以下のとおりとなりました。 上市済みのヒト用医薬品につきましては、HKイノエン社が韓国で販売中の胃酸分泌抑制剤K-CAB®(一般名:tegoprazan、以下「tegoprazan」)の売上が引き続き好調に推移しております。当連結会計年度の売上は、処方データで2,179億ウォン(前年同期比10.7%増、約239.7億円/1韓国ウォン=0.11円)となりました。韓国の消化性潰瘍治療薬市場でのシェアは15%であり、引き続きシェア第1位を維持しております。Tegoprazanのグローバル展開も着実に進展しております。当社は、HKイノエン社との間で、tegoprazanの開発・製造及び販売の再実施許諾権(サブライセンス権)付き独占的ライセンス契約を締結しており、HKイノエン社及び同社からライセンスまたは製品輸出を受けた世界各国の提携先企業によってtegoprazanに関する事業活動が進められております。当連結会計年度末の時点で、tegoprazanは日本を含む世界57カ国で開発・製造・販売等の事業活動が行われております。また、HKイノエン社は、K-CAB®をはじめとするtegoprazan製品について、2030年の全世界における年間売上高3兆ウォンの達成を目指しています。当連結会計年度末の時点でtegoprazan製品が販売されている国は、韓国、中国、モンゴル、フィリピン、インドネシア、シンガポール、メキシコ、ペルー、チリ、コロンビア、ドミニカ共和国、ニカラグア、ホンジュラス、グアテマラ、エルサルバドル、パナマ、マレーシア、インド及びタイの19カ国であり、当社はHKイノエン社を通じて、製品の売上高等に応じたロイヤルティを受領しております。東南アジアや中南米のその他の国々でも承認審査が進行中であるほか、ブラジル、中東地域等の国々で承認申請の準備が進められております。当連結会計年度においては、2025年1月、HKイノエン社は、Southern XP IP Pty Ltd(本社:オーストラリア・ビクトリア州、以下「Southern XP社」)に対して、オーストラリア・ニュージーランドを対象地域としたライセンス契約を締結しました。Southern XP社は、20年以上製薬事業を営んできたオーストラリアの製薬会社であり、オーストラリア及びニュージーランド内の医薬品の登録及び流通に強みを持つ企業です。また、2025年4月には、HKイノエン社は、Tabuk Pharmaceutical Manufacturing Company(本社:サウジアラビア・リヤド、以下「Tabuk社」)との間で、2024年4月に締結した中東・北アフリカ地域におけるライセンス契約の地域拡大契約を締結しました。これにより、Tabuk社の対象地域は、エジプト、スーダン、エチオピア、モロッコ、イエメン、リビアの6カ国が追加となり、合計16カ国に拡大されました。さらに、HKイノエン社の提携先であるDr. Reddy’s Laboratories(本社:インド・ハイデラバード、以下「Dr. Reddy’s社」)がインド中央医薬品標準管理機構(Central Drugs Standard Control Organization (CDSCO))より販売承認を取得したことに伴い、マイルストン達成が認定され、当社はHKイノエン社から一時金を受領いたしました。インドの消化性潰瘍薬の市場規模は、2024年時点で約1兆5,200億ウォン(約1,672億円)と評価されており、中国、米国、日本に次ぐ世界第4位の規模となっております。インドでは人口の約38%が胃食道逆流症(GERD)(*)に悩まされているとされ、Dr. Reddy’s社は本製品の投入により、同国の消化性潰瘍治療のパラダイムシフトを目指しております。 米国におきましては、2025年4月、HKイノエン社は、サブライセンス先であるSebela Pharmaceuticals Inc.(本社:米国・ジョージア州)の一部門であるBraintree Laboratories(本社:米国・マサチューセッツ州、以下「Braintree社」)が米国で実施中の第Ⅲ相臨床試験(以下「TRIUMpH試験」)について、良好なトップライン結果を発表しました。TRIUMpH試験は、EE(びらん性胃食道逆流症)及びNERD(非びらん性胃食道逆流症)を対象とした米国第Ⅲ相臨床試験のピボタル試験として実施されました。TRIUMpH試験において、tegoprazanはEE試験とNERD試験の両方で全ての主要評価項目と副次評価項目を達成しました。さらに、2025年8月には、Braintree社が継続して実施していたEE治癒後の維持療法についても良好な試験結果が得られたこと及び試験の完了が発表されました。また、当社は、tegoprazanの韓国物質特許(韓国特許番号:特許第1088247号)について、韓国の後発品メーカー等60社以上により消極的権利範囲確認審判が請求され、延長された特許権の効力範囲について争っておりましたが、当連結会計年度において、特許審判院の審決(第一審に相当)及び審決取消訴訟(第二審)に続いて大法院(第三審)においても、全件勝訴判決を獲得いたしました。これにより、2031年までの韓国におけるK-CAB®錠の独占販売権は完全に確立され、揺るぎない法的保護のもとで当社の市場優位性が盤石なものとなりました。当社が旭化成ファーマ株式会社(本社:東京都千代田区、以下「旭化成ファーマ社」)に導出したP2X7受容体拮抗薬(化合物コード:AK1780/RQ-00466479/LY3857210)につきましては、当連結会計年度において、旭化成ファーマ社のライセンス先であるEli Lilly and Company(本社:米国インディアナ州、以下「Lilly社」)のパイプラインが更新され、標的疾患をPainとして開発されていた本化合物は除外となりました。ただし、このことはLilly社におけるP2X7プログラム全体の終了を意味するものではありません。旭化成ファーマ社とLilly社とのライセンス契約は現在も有効に存続しており、今後の開発プランはLilly社によって検討されております。ペット用医薬品につきましては、Elanco Animal Health Inc.(本社:米国・インディアナ州、以下「Elanco社」)に導出した犬の骨関節炎治療薬GALLIPRANT®(一般名:grapiprant)、犬の食欲不振症の適応を持つENTYCE™(一般名:capromorelin)、及び猫の体重減少管理の適応を持つELURA™(一般名:capromorelin)の売上が順調に推移しております。その他の導出済みプログラムにつきましても、導出先及びサブライセンス先の企業において前臨床開発段階以降の取り組みが進められております。 導出準備プログラムにつきましては、自社で開発を進めているグレリン受容体作動薬の前臨床試験を完了し、提携先獲得を目指した事業開発活動を実施しております。また、tegoprazanにつきましては、当連結会計年度において、当社は、HKイノエン社との間で締結した2019年11月26日付ライセンス契約を変更するAMENDMENT TO LICENSE AGREEMENT OF TEGOPRAZAN IN NORTH AMERICA AND EUROPE(以下「ライセンス契約変更契約」)を締結し、日本を対象とした独占的な開発・製造・販売権をHKイノエン社に許諾しました。ライセンス契約変更契約の締結によって、HKイノエン社がtegoprazan製品の開発・承認取得を目的とした後期臨床試験に向けた取り組みを進めることになります。日本を対象とした独占的な開発・製造・販売権の許諾にかかる一時金はありませんが、当社は、今後の事業化の進展に応じたマイルストン、販売ロイヤルティ及びHKイノエン社が提携先から受け取る収益の一部を受け取る権利を取得します。 探索研究段階におきましても、引き続き、新たな開発候補化合物(*)の創出に向けた探索研究を進めております。当社グループは、既存技術と新技術の相乗効果によって創薬バリューチェーンを強化することで従来の技術では対処が困難とされてきた未開拓の創薬標的(遺伝子・タンパク質等)に対する医薬品を生み出すことを重要な成長戦略とし、「モダリティ(*)」、「創薬標的」、「疾患領域」及び「基盤技術」の4つの切り口で、技術及びパイプラインの強化に取り組んでおります。当連結会計年度においては、2025年5月、株式会社デ・ウエスタン・セラピテクス研究所(本社:愛知県名古屋市)と共同で実施中の眼疾患治療薬創製に向けた共同研究について、良好な結果が得られました。本結果をもとに更なる検証を進め、次の段階への協業の可能性を追求してまいります。また、がん治療薬の創出を目標として、mRNAを標的とする低分子医薬品の創出に向けた共同研究を株式会社Veritas In Silico(本社:東京都品川区)と進めております。当連結会計年度においては、共同研究で取り扱う標的遺伝子の研究範囲を拡大すると共に、双方のノウハウを活かして複数遺伝子に対するスクリーニングを実施し、開発化合物(*)の創出を目指した創薬研究の起点となり得る低分子化合物を複数取得しました。 さらに、連結子会社のファイメクスを中核として創薬の新たなモダリティ(*)である標的タンパク質分解誘導剤の研究開発を進めております。ファイメクスは、アステラス製薬とともに、ファイメクスが保有する、標的タンパク質分解誘導剤に特化した独自のプラットフォーム技術であるRaPPIDS™(Rapid Protein Proteolysis Inducer Discovery System)を用いて、がんを標的疾患として複数の標的を対象とした標的タンパク質分解誘導剤の探索に取り組んでおります。当連結会計年度においては、2025年3月、ファイメクスは、アステラス製薬との共同研究において、特定の1つのプログラムについて、次段階の初期目標を達成し、アステラス製薬から2億円の一時金を受領いたしました。また、11月には、新たに2つの標的を追加することで合意いたしました。これに伴い、ファイメクスは契約条件に伴いアステラス製薬から一時金4億円を受領しております。開発候補化合物(*)が同定され、新たな医薬品の製品化に至った場合、ファイメクスは、開発、申請・承認、販売等の進捗に応じたマイルストンとして最大で150億円を上回る金額を受領するとともに、製品の売上高に対して一桁台の料率のロイヤルティを受領する可能性があります。 当社は、2025年3月21日、HKイノエン社との間で資本業務提携契約(以下「原提携」)を締結し、HKイノエン社に対して第三者割当による新株式の発行を決議し、当社普通株式2,592,100株を割り当てました。原提携は、HKイノエン社による出資を通じた財務基盤の強化と、両社間の戦略的なパートナーシップの構築を目的としております。これにより、研究開発をはじめ多岐にわたる分野で相乗効果を創出し、企業価値の最大化を目指します。さらに、当社は、2025年12月12日開催の取締役会において、HKイノエン社との間で第三者割当による新株式(以下「本株式」)の発行(以下「本資金調達」)に係る新株引受契約(以下「新株引受契約」)を締結すること、ライセンス契約変更契約を締結すること、HKイノエン社及び当社の監査等委員である柿沼佑一氏との間で2025年3月21日に締結した株主間契約を変更する株主間契約変更契約(以下「株主間契約変更契約」)を締結することを決議し、新株引受契約、ライセンス契約変更契約及び株主間契約変更契約を締結いたしました(以下「本提携」)。本提携は、原提携の拡大を行うものであり、当社は、本資金調達により、HKイノエン社に対して、当社普通株式1,555,900株を割り当てます。原提携の拡大の中で最も大きな点は、tegoprazanについて日本を対象とした独占的な開発・製造・販売権をHKイノエン社に許諾し、HKイノエン社がtegoprazan製品の開発・承認取得を目的とした後期臨床試験に向けた取り組みを進めることです。これに加えて、tegoprazanに続く画期的な医薬品の創出を目的とした創薬研究基盤の強化に取り組みます。本株式の発行により調達する資金は、当社グループの創薬研究開発基盤のさらなる強化を目的とし、研究開発費及び研究設備投資に充当する予定です。これにより、当社グループの強みである低分子創薬技術に加えて次世代創薬技術を活用するなど、tegoprazanに続く画期的な医薬品の創出を目的とした創薬研究基盤の強化に取り組み、当社グループの中長期的な株主価値の向上を図るとともに、当社のミッション「イノベーションの力で、いのちに陽をもたらす」を実現できるよう、創薬研究開発に係る事業活動をさらに加速化してまいります。 当社は、2025年10月17日、2026年1月1日を合併効力発生日として、当社の完全子会社であるテムリック株式会社を吸収合併(以下「本合併」)することを取締役会において決議いたしました。本合併は、当社グループの事業効率化を図るため、コストの削減と管理業務の簡素化及び効率化を実現することを目的としております。 以上の結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。 (A)財政状態(資 産)当連結会計年度末における資産合計は、前連結会計年度末に比べ858百万円増加(前連結会計年度比8.9%増)し、10,514百万円となりました。これは主に、現金及び預金の減少99百万円、売掛金及び契約資産の増加1,239百万円、のれんの減少165百万円によるものであります。(負 債)当連結会計年度末における負債合計は、前連結会計年度末に比べ467百万円減少(前連結会計年度比11.4%減)し、3,617百万円となりました。これは主に、未払金の増加72百万円、長期借入金の減少512百万円によるものであります。(純資産)当連結会計年度末における純資産合計は、前連結会計年度末に比べ1,325百万円増加(前連結会計年度比23.8%増)し、6,896百万円となりました。これは主に、第三者割当増資等に伴う資本金及び資本剰余金の増加1,040百万円、親会社株主に帰属する当期純利益273百万円の計上によるものであります。 以上の結果、自己資本比率は65.1%(前連結会計年度末比7.7ポイント増)となりました。(B)経営成績事業収益3,979百万円(前期比28.1%増)、営業利益483百万円(前期は、営業損失213百万円)、経常利益437百万円(前期は、経常損失361百万円)、親会社株主に帰属する当期純利益273百万円(前期は、親会社株主に帰属する当期純損失495百万円)となりました。また、事業費用の総額は3,496百万円(前期比5.3%増)であり、その内訳は、事業原価711百万円(前期比13.8%増)、研究開発費1,599百万円(前期比6.1%減)、その他の販売費及び一般管理費1,184百万円(前期比19.5%増)となりました。なお、当社グループは、単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。 ② キャッシュ・フローの状況当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ102百万円増加(前連結会計年度比3.3%増)し、3,244百万円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりであります。(営業活動によるキャッシュ・フロー)営業活動により使用した資金は、前連結会計年度末に比べ535百万円減少し354百万円(前年同期は、資金の獲得180百万円)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益437百万円及び減価償却費202百万円及びのれん償却額285百万円を計上したことのほか、売上債権の増加1,239百万円及び前渡金の増加58百万円によるものであります。(投資活動によるキャッシュ・フロー)投資活動により獲得した資金は、前連結会計年度末に比べ3,789百万円増加し124百万円(前年同期は、資金の使用3,665百万円)となりました。これは主に、定期預金の預入による支出200百万円、定期預金の払戻による収入400百万円、有形固定資産の取得による支出67百万円によるものであります。(財務活動によるキャッシュ・フロー)財務活動により獲得した資金は、前連結会計年度末に比べ2,604百万円減少し378百万円(前年同期比87.3%減)となりました。これは主に、長期借入金の返済による支出512百万円、株式発行による収入1,018百万円及びリース債務の返済による支出76百万円によるものであります。 ③ 生産、受注及び販売の実績(A)生産実績当社グループは研究開発を主体としており、生産実績を定義することが困難であるため、生産実績は記載しておりません。(B)受注実績当社グループは研究開発を主体としており、受注生産を行っておりませんので、受注実績は記載しておりません。(C)販売実績当連結会計年度の販売実績は、以下のとおりであります。 当連結会計年度(自 2025年1月1日 至 2025年12月31日)前年同期比(%)事業収益 合計 (千円)3,979,956128.1 (注)1.最近2連結会計年度における主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、それぞれ以下のとおりであります。相手先前連結会計年度(自 2024年1月1日 至 2024年12月31日)当連結会計年度(自 2025年1月1日 至 2025年12月31日)金額(千円)割合(%)金額(千円)割合(%)HK inno.N Corporation1,180,81638.02,051,46851.5アステラス製薬株式会社601,85619.41,052,41226.4Elanco Animal Health, Inc.1,128,82236.3852,77821.42.販売実績の総販売実績に対する割合が10%未満の相手先については記載を省略しております。 (2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。 ① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容(A) 経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容当社グループは、2025年2月14日に事業計画及び成長可能性に関する事項『中期経営計画2025-2027』を公表し、事業を推進しております。当連結会計年度は、自社による単独研究、または提携先の企業もしくはアカデミアとの共同研究に基づく医薬品の開発化合物(*)の創出活動や研究開発ポートフォリオ(*)の拡充を図る一方、保有する開発化合物(*)の導出活動ならびに価値向上のための研究開発を推進してまいりました。以上の結果、当連結会計年度の業績は、事業収益3,979百万円(前期比28.1%増)、営業利益483百万円(前期は、営業損失213百万円)、経常利益437百万円(前期は、経常損失361百万円)、親会社株主に帰属する当期純利益273百万円(前期は、親会社株主に帰属する当期純損失495百万円)となりました。なお、事業費用の総額は3,496百万円(前期比5.3%増)であり、その内訳は、事業原価711百万円(前期比13.8%増)、研究開発費1,599百万円(前期比6.1%減)、その他の販売費及び一般管理費1,184百万円(前期比19.5%増)となりました。当連結会計年度を含む3ヶ年の経営成績は、以下のとおりであります。(単位:百万円) 2023年度2024年度2025年度3ヶ年累計(計画)(実績)(計画)(実績)(計画)(実績)(計画)(実績)事業収益2,7991,9014,5353,1073,8893,97911,2238,987事業費用2,5382,2384,2223,3203,7693,49610,5299,054営業利益又は営業損失(△)260△337313△213118483691△67経常利益又は経常損失(△)242△293290△36173437605△217親会社株主に帰属する当期純利益又は親会社株主に帰属する当期純損失(△)183△323236△495△71273348△545 (B) 経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容当社グループの当連結会計年度の財政状態及び経営成績は、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」をご参照ください。 (C) 経営成績に重要な影響を与える要因について当社グループは研究開発型の創薬ベンチャー企業であり、開発化合物(*)の導出による契約一時金収入、研究開発の進捗に応じたマイルストン収入、医薬品の上市後において医薬品販売高に応じたロイヤルティ収入等の対価を受領することにより収益を得る契約形態を採用しております。しかしながら、依然として開発化合物(*)の導出に伴う契約一時金収入、あるいは開発の進捗に基づくマイルストン収入の割合も大きいことから、導出交渉及び開発の成否が全体の事業収益に大きな影響を与える可能性があります。詳細は、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」をご参照ください。 ② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報当連結会計年度のキャッシュ・フローは、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況の分析」をご参照ください。当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、次のとおりであります。当社グループは、事業活動のための適切な流動性の確保と株主価値向上のための資金調達戦略の提示と実行を基本方針としております。資本の財源につきましては、医薬品の上市品目が増えたことにより、長期的かつ安定的なロイヤルティ収入が主要な財源となっております。一定規模以上の臨床開発を除き、ロイヤルティ収入を財源として医薬品の研究開発を進めてまいります。また、今後の臨床開発等の資金需要に対して、機動的かつ安定的な資金調達手段を確保するため、金融機関と総額5億円のコミットメントライン契約を締結しているほか、ファイナンス・リースや銀行借入等の活用により財務基盤の強化を図っております。資金の流動性につきましては、当連結会計年度末における流動比率は445.7%となっており、十分な流動性を確保できているものと認識しております。 ③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。連結財務諸表の作成に当たり、資産及び負債又は損益の状況に影響を与える会計上の見積りは、過去の実績等の連結財務諸表作成時に入手可能な情報に基づき合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
事業リスク
- 長期・高コスト・低成功率の開発リスク医薬品の研究開発は、承認取得までに非常に長い期間と莫大な費用がかかる一方で、成功する確率は極めて低いという特性があります。品質、有効性、安全性に関するデータが不十分な場合や、規制変更による承認要件の変更があった場合、開発費用の増大や承認取得の遅延が発生し、事業計画に大きな影響を与える可能性があります。
- 競合激化と導出の不確実性医薬品の研究開発分野では、多くの製薬会社や創薬ベンチャー企業が活動しており、常に競合のリスクがあります。競合品の開発状況によっては、自社の開発化合物の導出が困難になったり、想定していた契約条件と大きく異なる結果になる可能性があります。また、製薬会社が共同研究や開発化合物の導入を判断する基準は様々であり、必ずしも同社の意図する時期に契約が締結できる保証はありません。
- 小規模組織と人材流出のリスクラクオリア創薬グループは、役員と従業員を合わせても比較的小規模な組織であり、内部管理体制もそれに合わせた規模となっています。事業活動には高度な専門知識を持つ優秀な人材が不可欠ですが、人材の流出や代替要員の不足が生じた場合、事業運営に支障をきたす可能性があります。また、重要な機密情報の漏洩リスクも完全に回避することは困難です。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
有価証券報告書「事業等のリスク」の全文を見る(年度切替)
3【事業等のリスク】以下において、当社グループの事業展開その他に関してリスク要因と考えられる主な事項を記載しております。また、必ずしもそのようなリスク要因に該当しないと思われる事項についても、投資家の判断上、重要であると考えられる事項については、積極的な情報開示の観点から以下において開示しております。これらリスクの顕在化に伴う問題が生じた場合には、当社グループの事業展開、財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況並びに当社株式の市場価格に影響を及ぼす可能性があります。状況によっては事業存続が困難になる可能性があります。当社グループは、これらのリスク発生の可能性を認識した上で発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針でありますが、本株式に関する投資判断は、本項及び本書中の本項以外の記載内容も併せて慎重に検討した上で行われる必要があると考えております。また、以下の記載は、本株式への投資に関するリスクのすべてを網羅するものではありませんのでご留意ください。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。 (1)事業の内容について① 医薬品の研究開発を取り巻く環境について一般的に医薬品の研究開発は探索研究段階から承認取得に至るまで長期間を要し、巨額の研究開発費用が必要とされる一方、成功確率は他産業に比して極めて低いものとされております。また、研究開発、製造及び販売のそれぞれの事業活動において、各国の薬事法その他関係法令や規則及びそれに関わる行政指導により、様々な規制を受けております。加えて、医薬品分野は、技術革新が著しい分野でもあります。そのため、品質、有効性及び安全性に関する十分なデータが得られず、医薬品としての有用性を示すことができない可能性、規制の変更に伴う承認要件の変更の結果、当社グループあるいは導出先における開発費用の増大や承認取得時期の遅延が発生する可能性、新技術等への対応が遅れる可能性があります。また、これらのリスクは、既に他社に導出した開発品に関しても同様に発生する可能性があります。 ② 競合について当社グループの主たる事業である医薬品の研究開発においては、多くの製薬会社や創薬ベンチャー企業等による研究開発活動が行われており、当社グループの研究開発との間に競合関係が生じております。競合品の存在やその研究開発の進捗等が当社グループの開発化合物(*)の導出等に影響を及ぼす可能性があります。 ③ 製薬会社等への導出等による収益獲得について一般的に、製薬会社等において共同研究の実施や開発化合物(*)の導入に際しての評価・判断は、個々の製薬会社等により異なります。当社グループが契約締結を企図するプロジェクトや開発化合物(*)が製薬会社等における導入や当社グループとの業務提携の意欲や目的を充足する保証はなく、企図した時期に契約締結に結び付かない、又は契約条件が当社グループの想定と大きく異なる等の可能性があります。 ④ 為替リスクについて当社グループは、事業活動をグローバルに展開しており、海外での研究開発活動や海外企業とのライセンスにおいて外貨建取引が存在します。そのため、急激な為替変動によって為替リスクが顕在化する可能性があります。 (2)社内体制について① 小規模組織であることについて当社グループは、役員6名(取締役(監査等委員である取締役を除く)3名、監査等委員である取締役3名)、従業員85名(2025年12月31日現在)と小規模であり、内部管理体制も相応の規模となっております。当社グループにおいては、業務上必要な人員の増強及び内部体制の充実を図っていく方針ではありますが、人材流出や代替要員の不在などの問題が生じる可能性があります。 ② 人材の確保について当社グループは、事業活動には高度な専門的な知識・技能を持った優秀な人材の確保が必要であると考えております。当社グループでは、このため常に優秀な人材の確保と育成に努めておりますが、人材確保に支障が生じる可能性や、優秀な人材が社外に流出する可能性があります。 ③ 情報管理体制について当社グループの行う事業においては、研究開発における技術及び知見等は極めて重要性の高いものであり、事業の競争性を確保するものであります。また導出先である製薬会社等と共有する情報等は高い機密性を保持することが要請されます。当社グループは、情報管理体制の強化に努めておりますが、重要な機密情報の漏洩等を完全に回避することは困難であり、問題が生じる可能性があります。 (3)知的財産権について① 当社グループの保有する知的財産権について特許は、出願及び取得した場合においても出願した全てが成立する保証はなく、また特許出願によっても当社グループの権利を確実に保全できる保証はありません。更に、当社グループが所有又は使用許諾を受けた知的財産権に優位する知的財産権が第三者によって生み出される可能性や、第三者の知的財産権の侵害に基づく将来の係争を完全に回避することは困難です。なお、日本その他の国の特許関連法規、あるいは各国当局の解釈により、競合他社、あるいはその他の組織が当社グループに補償等を行うことなく技術を使用し、医薬品等の開発及び販売を行うことができる可能性があります。 ② 職務発明に係る社内対応について2016年4月1日から施行された特許法の改正に伴い、当社グループでは、代表取締役、執行役員及び従業員が協議の上、取締役会決議により「知的財産権管理規程」を作成し、運用しております。しかしながら、将来、発明者の認定及び職務発明の対価の相当性についての係争を完全に回避することは困難であり、問題が生じる可能性があります。 (4)事業における事故やトラブル等のリスクについて① 当社グループの臨床開発における健康被害について当社グループは、研究開発活動において、開発化合物(*)の有効性及び安全性を評価するため、前臨床試験を実施した上で、細心の注意を払って臨床試験を実施しております。しかしながら、被験者における重大な健康被害の発生を完全に回避することは困難であり、問題が生じる可能性があります。 ② 研究施設における事故等について当社グループは、研究開発活動において、各種化学物質、特に危険物質を取り扱っております。何らかの要因により火災や爆発事故又は環境汚染事故等が発生する可能性があります。 ③ 自然災害等のリスクについて当社グループが本拠地とする中部及び関東地域において、地震(東南海地震含む)、津波又は台風等の自然災害や大規模な事故、火災、テロ等により、当社グループの設備の損壊や各種インフラの供給制限等の不測の事態が発生する可能性があります。 ④ 訴訟の可能性について当社グループは、事業を展開する上で、当社グループの瑕疵又は責任の有無に拘わらず、第三者の権利又は利益を侵害した場合には、損害賠償等の訴訟を提起される可能性があります。また、取引関係や労使関係その他において何らかのトラブルが生じた場合、訴訟等に発展する可能性があります。さらに、業務委託先においてコンプライアンス違反が発生した場合、発注元である当社グループに対しても責任が問われる可能性があります。 (5)経営上の重要な契約について「第2 事業の状況 5 重要な契約等」に記載した、当社グループの経営上の重要な契約について、将来、期間満了、解除、中断、延期等、又は当該契約の更新に際し当社グループにとって不利な改定が行われる可能性があります。 (6)経営成績及び財政状態について① 今後における損失計上の見通しについて当社グループは、引き続き多額の研究開発費を先行投資する必要があります。販売計画や研究開発計画が当社グループの想定どおりに進捗しなかった場合は、想定以上に損失計上が継続する可能性があり、その状況によっては当社グループの事業継続が困難となる可能性があります。 ② 事業資金の確保について当社グループは、研究開発型の創薬ベンチャー企業であることから、今後も研究開発投資、運転資金及び設備投資等の資金需要が予想されます。適時適切な資金調達ができなかった場合、当社グループの事業継続が困難となる可能性があります。 (7)大学及び公的研究機関等との関係について当社グループは、新たな技術の導入・移転を目的として、名古屋大学をはじめとする大学や公的研究機関との共同研究を実施しております。企業と大学等との関係は、法令等の改正や組織改正などに影響を受ける可能性があり、その結果共同研究の方向性や権利関係につき当社グループにとって不利となる変更を余儀なくされる可能性があります。 (8)その他他社との戦略的提携・企業買収等の成否について当社グループは、競争力の強化及び事業分野の拡大等のため、他社の事業部門の譲り受け、他社の買収、他社との業務提携、合弁会社の設立、他社への投資等の戦略的提携など(以下「戦略的提携等」)を行うことがあります。こうした戦略的提携等において、パートナー企業との思惑に相違が生じて提携・統合が円滑に進まない可能性や、当初期待していた効果が得られない可能性、投資した金額の全部又は一部が回収できない可能性等があります。またパートナー企業が当社グループの利益に反する決定を行う可能性があり、パートナー企業が事業戦略を変更した場合などには戦略的提携等の関係を維持することが困難になる可能性があります。