事業の概要
- RNA医薬開発候補の提供最先端のサイエンスを治療現場に届けるため、世界中の製薬企業にRNA医薬の開発候補アセット(知的財産や物質)を提供し、ライセンス収入を得るビジネスモデルです。具体的には、非臨床試験や初期臨床試験で有望と判断された開発候補品を、後期臨床開発が可能な大手製薬企業に導出します。
- マイルストーンとロイヤリティ開発候補アセットを製薬企業に導出する際に、契約一時金や開発の進捗に応じたマイルストーン(段階的な支払い)を受け取ります。さらに、開発が成功して医薬品が販売された場合には、その売上に応じたロイヤリティ(使用料)を受け取ることで収益を上げています。
- 受託研究開発サービス自社のRNA医薬開発に関するノウハウや技術力を活かし、国内外の企業やアカデミア(大学などの研究機関)からRNA創薬の研究開発を受託するビジネスも展開しています。これにより、安定的な収益源を確保しつつ、多様な研究開発プロジェクトに貢献しています。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
セグメント構成
- RNA医薬開発候補アセット事業RNA医薬の開発候補アセット(知的財産や物質)を製薬企業に提供し、マイルストーンやロイヤリティを得る事業です。変形性膝関節症治療薬候補(RUNX1 mRNA)や脳腫瘍治療薬候補(TUG1 ASO)など、複数のパイプラインを保有し、主に国内および海外の製薬企業を対象としています。
- RNA創薬受託ビジネスRNA医薬開発に関するノウハウや技術力を活かし、国内外の企業やアカデミアからRNA創薬の研究開発を受託する事業です。これにより、自社パイプライン開発と並行して、安定的な収益源を確保し、多様な研究開発ニーズに応えています。
- 耳鼻咽喉科領域医薬品販売セオリアファーマ株式会社と共同開発した耳鼻咽喉科領域の医薬品「コムレクス®耳科用液1.5%(ENT103)」の販売による収益です。外耳炎および中耳炎を対象とした製品で、2023年6月から販売が開始されており、国内市場での売上貢献を目指しています。
有価証券報告書「事業の内容」の全文を見る(年度切替)
FY2025|3,040 文字
3【事業の内容】当社グループの主たる事業は、最先端のサイエンスをいち早く治療現場へ届けるため、世界中の製薬企業にRNA医薬の開発候補アセット(IP及び物質)を提供し、世界の人々の健康に貢献することです。当社はミセル化ナノ粒子技術を活用し、ナノ粒子内に低分子などの医薬品を封入した抗がん剤を中心に、革新的な医薬品の開発を進めてまいりましたが、2023年1月、ビジネスモデルを転換いたしました。創業以来実施してまいりました低分子抗がん剤や核酸医薬開発及びDDS技術の知見を活かし、新たな治療技術として注目されるmRNAをはじめとする核酸医薬に特化し、効率的に複数のRNA医薬の創薬及び知財獲得を進め、後期臨床開発ステージに入る時点までに、臨床開発を実施可能な製薬企業にライセンスアウトいたします。当社は、mRNA医薬の研究開発に国内企業に先駆けて取り組んできた経験と実績及びこれまでに築いた豊富なネットワークを生かして、複数のパイプラインを同時並行でインキュベートしRNA治療薬を創出します。 (1)当社設立の経緯当社は、東京大学の片岡一則名誉教授、東京女子医科大学の岡野光夫名誉教授らが発明したミセル化ナノ粒子技術による医薬品の開発を目的に、1996年6月に設立されました。同教授らは、医薬品を封入したミセル化ナノ粒子が静脈内投与された場合、薬物が血中に長時間循環することにより、効果が持続する薬物キャリアとなり得ること及びがん組織等の病変部へ集積(標的化)することを示しました。2022年までに、低分子抗がん剤として、複数のパイプラインの後期臨床開発を進めてまいりましたが、実用化には至らず、開発をすべて中止いたしました。その間、DDS技術が不可欠である核酸医薬の研究も並行して実施しており、その経験を活かしたRNA創薬に特化した事業に転換することを2023年1月に決定し、新たなRNA医薬の開発候補アセットの早期ライセンスアウトモデルを推進しております。 (2)当社開発品の特長当社開発品は、siRNA・アンチセンスオリゴ核酸(ASO)・mRNAの核酸医薬の開発に特化し、特に新たな開発候補品の拡充として核酸医薬の中でも新しいモダリティとなったmRNA医薬の創薬を中心に行っております。mRNA医薬とは、人工的に製造したmRNAを生体に投与し、mRNAにコードされたタンパク質を体内で発現させることにより疾患の予防もしくは治療を行う医薬品です。COVID-19の感染予防ワクチンの開発成功により、急激に市場が拡大したmRNA創薬分野ですが、感染症ワクチン以外の治療薬等の領域はこれから医薬品としての開発競争が始まっています。当社は、国内企業に先駆けて、mRNA創薬ビジネスモデルの旗艦プロジェクトとして、既に変形性膝関節症に対する再生医薬の開発を推進しています。今後、製薬企業や非製薬企業、アカデミア等との共同研究を推進し、新規パイプラインの拡充を推進してまいります。 (3)当社の事業展開当社は、非臨床試験や初期臨床試験を実施して得られた開発候補アセットを製薬会社等に導出し、市場に高品質のRNA医薬を効率的にもたらすRNA創薬ビジネスを展開しております。当社がRNA創薬を推進するうえで、当社のDDS抗がん剤開発および製造経験や核酸医薬の研究開発経験、さらにはこれら経験に基づく多様なDDS選択オプション(独自のポリマーDDS技術やLNPと呼ばれる脂質ナノ粒子など)により、医薬品開発に速やかに進むことが可能となる高品質なアセットを創出し導出してまいります。 ①当社の収益モデル当社は、mRNAをはじめとするRNA創薬を目指すアカデミアやバイオベンチャー、企業との共同研究を推進し、当社のRNA創薬にかかるノウハウを活かしIPを創出、非臨床試験または初期臨床試験まで実施し、医薬候補のアセットとして、後期臨床開発が実施可能な大手製薬企業等に導出いたしします。アセットの導出時に、マイルストーンを受領し、また開発に成功し販売に至った場合には、ロイヤリティを受領します。また、当社のRNA医薬開発のバリューチェーンを利用した受託ビジネスを開始しており、国内外の企業からRNA創薬の研究開発を受託します。 ②当社のパイプラインについて 本書提出日現在、当社の創薬パイプラインは以下のとおりです。(創薬パイプライン)TUG1 ASO:TUG1は、長鎖非翻訳RNA TUG1に対するASO(アンチセンスオリゴ核酸)のDDS製剤であり、名古屋大学を中心として、AMEDの革新的がん医療実用化研究事業に2期連続で採択されております。当社は、分担研究機関として治療薬の供給及び薬物動態解析などを行ってまいります。2024年2月に開始した医師主導第Ⅰ相治験は、最も悪性度が高い脳腫瘍である膠芽腫患者を対象として進められています。本治験は、予定されている4段階の用量の第3段階まで順調に進捗しており、重篤な副作用は現時点まで報告されていません。薬物動態および抗腫瘍効果についても検討中です。RUNX1 mRNA:(PrimRNA)軟骨の増殖・分化に関わる転写因子RUNX1のmRNAをミセル製剤化し膝関節内に直接投与する変形性膝関節症の進行抑制及び疼痛の軽減を実現する革新的な疾患修飾型治療薬候補で、AMEDの医療研究開発革新基盤創成事業(CiCLE)に採択されております。変形性膝関節症患者を対象とした国内の医師主導第Ⅰ相治験の準備を進めておりましたが、AMEDの承認を得て、オーストラリアにおいて企業治験として実施することとしました。これにより、2025年6月以降に治験開始申請を見込んでおります。眼科領域:2024年8月、千寿製薬株式会社と標的疾患及び治療標的を選定し、共同研究を開始しました。当社のミセルDDS製剤に加えて、LNPを用いた新たなDDS製剤の可能性についても検討を行っており、2025年中にも開発候補品を選定の予定です。免疫寛容ワクチン:花王株式会社が独自開発した免疫制御技術を用いたmRNA医薬の創製に向けた包括共同研究契約の下、免疫寛容ワクチンに関する共同プロジェクトを進めております。一番手のプロジェクトについては、2025年中に最新の競合状況などを踏まえた総合的な検討から開発候補としての採否を決定する予定です。後続のプロジェクトについても、両社合意の基に薬効試験など開始に向けた準備を進めております。PRDM14 siRNA:転写因子PRDM14に対するsiRNAのDDS製剤に関する金沢大学等との共同開発プロジェクトです。医師主導第Ⅰ相臨床治験は公益財団法人がん研究会有明病院において実施され、急性輸注反応が見られず、安全性・忍容性に優れ、その薬物動態は動物試験結果よりも良好な傾向が見られたことが報告されました。現在、治験完了に向けた手続きを進めております。PRDM14 siRNAの開発者である金沢大学がん進展制御研究所の谷口博昭先生は新たなPRDM14 siRNAの研究をAMED次世代治療・診断のための創薬基盤技術開発事業の資金を得て継続されており、当社も分担機関として継続してYBCポリマーの提供を行っております。上記の他、コムレクス®耳科用液1.5%(開発コードENT103)は、2023年6月からセオリアファーマ株式会社により販売されております。
FY2024|3,327 文字
3【事業の内容】当社グループの主たる事業は、最先端のサイエンスをいち早く治療現場へ届けるため、世界中の製薬企業にIPを提供し、世界の人々の健康に貢献することです。当社はミセル化ナノ粒子技術を活用し、ナノ粒子内に低分子などの医薬品を封入した抗がん剤を中心に、革新的な医薬品の開発を進めてまいりましたが、2023年1月、ビジネスモデルを転換いたしました。創業以来実施してまいりました低分子抗がん剤や核酸医薬開発及びDDS技術の知見を活かし、新たな治療技術として注目されるmRNAに特化し、効率的に複数のmRNA医薬の創薬及び知財獲得を進め、後期臨床開発ステージに入る時点までに、臨床開発を実施可能な製薬企業にライセンスアウトいたします。当社は、mRNA医薬の研究開発に国内企業に先駆けて取り組んできた経験と実績及びこれまでに築いた豊富なネットワークを生かして、大手製薬企業の開発体制に匹敵する開発及び事業開発体制を構築しており、多数のパイプラインを同時並行でインキュベートしmRNA治療薬のIPを継続的に創出します。 (1)当社設立の経緯当社は、東京大学の片岡一則名誉教授、東京女子医科大学の岡野光夫名誉教授らが発明したミセル化ナノ粒子技術による医薬品の開発を目的に、1996年6月に設立されました。同教授らは、医薬品を封入したミセル化ナノ粒子が静脈内投与された場合、薬物が血中に長時間循環することにより、効果が持続する薬物キャリアとなり得ること及びがん組織等の病変部へ集積(標的化)することを示しました。2022年までに、低分子抗がん剤として、複数のパイプラインの後期臨床開発を進めてまいりましたが、実用化には至らず、開発をすべて中止いたしました。その間、DDS技術が不可欠である核酸医薬の研究も並行して実施しており、その経験を活かしたmRNA創薬に特化した事業に転換することを2023年1月に決定し、新たなビジネスモデルを推進しております。 (2)当社開発品の特長当社開発品は、mRAN医薬に特化しております。mRNA医薬とは、人工的に製造したmRNAを生体に投与し、mRNAにコードされたタンパク質を体内で発現させることにより疾患の予防もしくは治療を行う医薬品です。COVID-19の感染予防ワクチンの開発成功により、急激に市場が拡大したmRNA創薬分野ですが、感染症ワクチン以外の治療薬等の領域はこれから医薬品としての開発競争が始まります。当社は、国内企業に先駆けて、mRNA創薬ビジネスモデルの旗艦プロジェクトとして、既に変形性膝関節症に対する再生医薬の開発を推進しています。今後、製薬企業や非製薬企業、アカデミア等との共同研究を推進し、新規パイプラインの拡充を推進してまいります。 (3)当社の事業展開当社は、非臨床試験を実施して得られた研究シーズを製薬会社等に導出し、市場に高品質のmRNA新薬を効率的にもたらすmRNA創薬ビジネスを展開しております。当社がmRNA創薬を推進するうえで、mRNA創薬の製造及び非臨床試験実施における包括的な業務提携関係にある株式会社アクセリード、及びIPガイア株式会社の保有するネットワークからの情報をもとに、当社保有パイプラインの導出活動をIPガイアが支援する包括的な業務提携契約を締結しております。当社はIPガイア及びアクセリードとの一体化により、大手製薬企業の創薬体制に匹敵する、研究開発及び事業開発体制を構築しており、製薬企業が求める質の高いmRNA医薬品候補を創出し、医薬品開発に速やかに進むことが可能となるアセットとして導出してまいります。 ①当社の収益モデル 当社は、mRNA創薬を目指すアカデミアやバイオベンチャー、企業との共同研究を推進し、当社のmRNA創薬にかかるノウハウを活かしIPを創出、非臨床試験まで実施し、mRMA医薬候補のアセットとして、臨床開発が実施可能な大手製薬企業等に導出いたしします。アセットの導出時に、マイルストーンを受領し、また開発に成功し販売に至った場合には、ロイヤリティを受領します。 ②当社のパイプラインについて 本書提出日現在、当社パイプラインは以下のとおりです。 (mRNA医薬パイプライン)mRNA医薬は、2023年のノーベル生理学・医学賞を受賞した新たなモダリティです。本技術は、さまざまな疾患へ展開されつつあり、COVID-19ワクチン以外の感染症予防ワクチン、がん治療ワクチン、遺伝性疾患治療薬、また組織再生医薬などにおいて臨床POCが得られてきています。当社の変形性膝関節症に対するmRNA組織再生医薬は、感染症予防ワクチン以外では国内初とも言えるものです。本品の医師主導治験は、当期中の開始を目指して規制当局と相談を進めてまいりました。その結果、本医師主導治験の開始を2024年度後半とすることとし、準備を継続しております。花王株式会社との共同研究につきましては、順調に推移しており、新たなプロジェクトの開始についても協議を進めております。今後、企業及びアカデミア等のさまざまなパートナーとの共同研究開発などによりパイプラインを拡充し、創製した開発候補の製薬企業等へのライセンスアウトを進めてまいります。 RUNX1 mRNA:アクセリード株式会社と共同で設立した株式会社PrimRNAにおいて、変形性膝関節症患者を対象とした医師主導第Ⅰ相臨床試験に向け、規制当局との相談を進めております。RUNX1のmRNAは、軟骨の増殖・分化に関わる転写因子のmRNA医薬で、変形性膝関節症の進行抑制及び疼痛の軽減を実現する革新的な疾患修飾型治療薬となり得るものです。なお、本プロジェクトは、AMEDの医療研究開発革新基盤創成事業(CiCLE)に採択されております。免疫寛容ワクチン:花王株式会社が独自開発した免疫制御技術を用いて共同で実施した研究成果に基づき、2023年11月、mRNA医薬の創製に向けた包括共同研究契約を締結いたしました。共同研究では、アレルギー疾患をはじめ数多くある免疫疾患を対象に治療ワクチンの研究から、順次、候補品を創出し、開発企業へライセンスアウトすることを目指しております。感染症予防ワクチン:名古屋大学発ベンチャーCrafton Biotechnology株式会社が研究代表機関となり、AMED先進的研究開発戦略センター(SCARDA)事業に採択された感染症mRNAワクチンの研究開発が進められております。本研究開発は、RNA医薬に欠かせないCap化技術に日本発の新しい技術を適応したものです。当社は次世代バイオ医薬品製造技術研究組合(MAB組合、神戸)などとともに分担研究機関として参画し、非臨床試験及び臨床試験を担当いたします。 (mRNA医薬以外のパイプライン)mRNA医薬以外のパイプラインの開発も継続して行っております。TUG1 ASO:脳腫瘍の中で最も悪性度が高い膠芽腫を対象とするTUG1ASOの医師主導第Ⅰ相臨床試験が2024年2月に開始され、順調に進捗しております。TUG1は、長鎖非翻訳RNA TUG1に対するASO(アンチセンスオリゴ核酸)のDDS製剤であり、名古屋大学を中心として、AMEDの革新的がん医療実用化研究事業に2期連続で採択されております。当社は、分担研究機関として治療薬の供給及び薬物動態解析などを行ってまいります。なお、2023年8月に本課題の基盤となる2件の特許について、再実施許諾権(サブライセンス権)付独占ライセンス権を獲得し、導出活動を開始しております。NC-6100:公益財団法人がん研究会有明病院において、医師主導第Ⅰ相臨床試験が実施されております。高用量コホートまで試験が進捗しており、薬物動態解析を進めております。NC-6100は、慶應義塾大学等との共同開発プロジェクトであり、転写因子PRDM14に対するsiRNAのDDS製剤です。上記の他、コムレクス®耳科用液1.5%(開発コードENT103)は、2023年6月からセオリアファーマ株式会社により販売されております。
FY2023|2,680 文字
3【事業の内容】当社グループの主たる事業は、最先端のサイエンスをいち早く治療現場へ届けるため、世界中の製薬企業にIPを提供し、世界の人々の健康に貢献することです。当社はミセル化ナノ粒子技術を活用し、ナノ粒子内に低分子などの医薬品を封入した抗がん剤を中心に、革新的な医薬品の開発を進めてまいりましたが、2023年1月、ビジネスモデルを転換いたしました。創業以来実施してまいりました低分子抗がん剤や核酸医薬開発及びDDS技術の知見を活かし、新たな治療技術として注目されるmRNAに特化し、効率的に複数のmRNA医薬の創薬及び知財獲得を進め、後期臨床開発ステージに入る時点までに、臨床開発を実施可能な製薬企業にライセンスアウトいたします。当社は、mRNA医薬の研究開発に国内企業に先駆けて取り組んできた経験と実績及びこれまでに築いた豊富なネットワークを生かして、大手製薬企業の開発体制に匹敵する開発及び事業開発体制を構築しており、多数のパイプラインを同時並行でインキュベートしmRNA治療薬のIPを継続的に創出します。 (1)当社設立の経緯当社は、東京大学の片岡一則名誉教授(現 当社取締役)、東京女子医科大学の岡野光夫名誉教授(現 当社取締役)らが発明したミセル化ナノ粒子技術による医薬品の開発を目的に、1996年6月に設立されました。同教授らは、医薬品を封入したミセル化ナノ粒子が静脈内投与された場合、薬物が血中に長時間循環することにより、効果が持続する薬物キャリアとなり得ること及びがん組織等の病変部へ集積(標的化)することを示しました。2022年までに、低分子抗がん剤として、複数のパイプラインの後期臨床開発を進めてまいりましたが、実用化には至らず、開発をすべて中止いたしました。その間、DDS技術が不可欠である核酸医薬の研究も並行して実施しており、その経験を活かしたmRNA創薬に特化した事業に転換することを2023年1月に決定し、新たなビジネスモデルを推進しております。 (2)当社開発品の特長当社開発品は、mRAN医薬に特化しております。mRNA医薬とは、人工的に製造したmRNAを生体に投与し、mRNAにコードされたタンパク質を体内で発現させることにより疾患の予防もしくは治療を行う医薬品です。COVID-19の感染予防ワクチンの開発成功により、急激に市場が拡大したmRNA創薬分野ですが、感染症ワクチン以外の治療薬等の領域はこれから医薬品としての開発競争が始まります。当社は、国内企業に先駆けて、mRNA創薬ビジネスモデルの旗艦プロジェクトとして、既に変形性膝関節症に対する再生医薬の開発を推進しています。今後、製薬企業や非製薬企業、アカデミア等との共同研究を推進し、新規パイプラインの拡充を推進してまいります。 (3)当社の事業展開当社は、非臨床試験を実施して得られた研究シーズを製薬会社等に導出し、市場に高品質のmRNA新薬を効率的にもたらすmRNA創薬ビジネスを展開しております。当社がmRNA創薬を推進するうえで、mRNA創薬の製造及び非臨床試験実施における包括的な業務提携関係にある株式会社アクセリード、及びIPガイア株式会社の保有するネットワークからの情報をもとに、当社保有パイプラインの導出活動をIPガイアが支援する包括的な業務提携契約を締結しております。当社はIPガイア及びアクセリードとの一体化により、大手製薬企業の創薬体制に匹敵する、研究開発及び事業開発体制を構築しており、製薬企業が求める質の高いmRNA医薬品候補を創出し、医薬品開発に速やかに進むことが可能となるアセットとして導出してまいります。 ①当社の収益モデル 当社は、mRNA創薬を目指すアカデミアやバイオベンチャー、企業との共同研究を推進し、当社のmRNA創薬にかかるノウハウを活かしIPを創出、非臨床試験まで実施し、mRMA医薬候補のアセットとして、臨床開発が実施可能な大手製薬企業等に導出いたしします。アセットの導出時に、マイルストーンを受領し、また開発に成功し販売に至った場合には、ロイヤリティを受領します。 ②当社のパイプラインについて 本書提出日現在、当社パイプラインは以下のとおりです。 (mRNA医薬パイプライン)RUNX1:アクセリード株式会社と共同で株式会社PrimRNAを設立し、医師主導第Ⅰ相臨床試験開始に向けた研究開発を行っております。非臨床薬効試験において良好な成績が得られましたので、非臨床安全性試験及び原薬・製剤などの準備を現在進めております。RUNX1(mRNA)は、軟骨の増殖・分化に関わる転写因子RUNX1のmRNA医薬です。軟骨組織の修復を促進することにより、変形性膝関節症の進行を抑制するとともに疼痛の軽減も実現する革新的な疾患修飾型治療薬を目指し、局組織再生mRNA医薬として研究を推進しております。本プロジェクトは、日本医療研究開発機構(AMED)の医療研究開発革新基盤創成事業に採択されております。 (mRNA医薬以外のパイプライン) これまで実施してまいりましたパイプラインの開発も継続して行っております。 コムレクス®耳科用液1.5%(開発コードENT103):国内における中耳炎を対象とした第Ⅲ相臨床試験において、主要評価項目を達成し、2022年4月、セオリアファーマ株式会社(以下「セオリアファーマ」といいます。)が外耳炎及び中耳炎を対象に製造販売承認申請を行い、2023年3月、同社は国内製造販売承認を取得しました。 コムレクス®(開発コードENT103)はセオリアファーマとの耳鼻咽喉科領域における共同開発品で、新規耳科用抗菌薬です。2023年6月より販売を開始いたしました。 NC-6100:公益財団法人がん研究会有明病院において、再発・進行HER2陰性乳がんを対象に医師主導第Ⅰ相臨床試験を実施しております。 NC-6100は、慶應義塾大学との共同開発プロジェクトによる転写因子PRDM14に対するsiRNA DDS製剤です。 TUG1:脳腫瘍の中でも悪性度が高い膠芽腫を対象とした医師主導第Ⅰ相臨床試験開始に向け、鍵となる非臨床安全性試験を終え現在治験薬の準備などを進めております。 TUG1 ASO(ASO:アンチセンスオリゴ)は、長鎖非翻訳RNA TUG1に対するASO DDS製剤です。本プロジェクトは、名古屋大学との共同研究であり、AMEDの革新的がん医療実用化研究事業に採択されております。
FY2022|4,057 文字
3【事業の内容】当社の主たる事業は、「新たな価値を創造するとともに、人々の健康と幸福に貢献する」ため、革新的な治療薬を生み出し、有効な治療法がない患者さんに対し新たな治療を提供することです。新しいモダリティ技術による遺伝子治療製品や、独自のDDS技術を活用した核酸医薬などの臨床開発を推進し、新しいメカニズムによる難治がんの治療薬や再生医薬の提供を目指しております。現在、ENT103(中耳炎及び外耳炎)が製造販売承認申請段階にあり、VB-111(卵巣がん)が臨床第Ⅲ相試験、核酸医薬NC-6100(乳がん)が臨床第Ⅰ相試験の段階に進んでおります。 (1)当社設立の経緯当社は、東京大学の片岡一則名誉教授(現 当社取締役)、東京女子医科大学の岡野光夫名誉教授(現 当社取締役)らが発明したミセル化ナノ粒子技術による医薬品の開発を目的に、1996年6月に設立されました。同教授らは、医薬品を封入したミセル化ナノ粒子が静脈内投与された場合、薬物が血中に長時間循環することにより、効果が持続する薬物キャリア*1となり得ること及び、がん組織等の病変部へ集積(標的化)することを示しました。当社では、同技術の応用により、従来の薬物療法の有効性と安全性を高めるとともに、これまで狙えなかったターゲット因子などを狙えることで、新しいメカニズムによる治療薬を創造できると考えており、ミセル化ナノ粒子(高分子ミセル)*2技術のパイオニアとして同技術のポテンシャルを最大限に活かした製品開発を目指し、治療法がない、または十分には満たされていないなどのアンメットメディカルニーズを満たす疾患を中心に事業を展開しております。現在、当技術については、あらたなモダリティ技術として注目される核酸医薬におけるデリバリー技術として開発を推進しております。また、アンメットメディカルニーズの強い疾患に対し、新しい治療法を提供すべく、より画期的な製品や技術の導入なども積極的に展開しています。 (2)当社技術の特長当社コア技術は、水に溶けやすいポリマーであるポリエチレングリコール(PEG)と水に溶けにくいポリアミノ酸からなるポリマーを結合させたブロックコポリマー*3から構成され、アミノ酸部分に薬物や核酸、その他生理活性物質を結合または吸着させることができ、これら化合物の血中における安定性を高めます。同技術を応用する医薬品開発上のメリットとして、①投与後の消失の速い薬物や核酸などの血中持続性が高まる、②徐放化により薬物の血中濃度を副作用が発現する濃度以下に制御されることで安全性が高まる、③腫瘍などへの薬物の移行量を増やすことで効果が高まる、などが期待できます。 (3)当社の事業展開当社は、コア技術を特許等の知的財産として所有しており、ナノテクノロジーを応用した創薬技術を基盤に研究開発を進め、事業化を行っております。自社技術を活用した新たなモダリティ技術である核酸医薬の開発にも進出し、再生医療分野への活用にも着手しております。一方、M&Aや提携によっても、パイプラインの拡充を図っております。後期ステージにある治療薬を獲得する、オープンイノベーションの活用により新しいモダリティや創薬シーズを獲得し新規パイプラインを創製するなどにより、切れ目のないパイプラインの構築・維持に努めております。 ①ビジネスモデルとその収益について自社製品及び導入製品(ライセンスイン)などにおいて、臨床開発を行い、自社販売することによる収入の確保、開発の途中ステージで他社へライセンスアウトすることによる契約一時金及びやマイルストーン、及びロイヤリティ収入の確保を見込んでおります。 (ⅰ)ライセンスイン他社が保有する有望な医薬品候補を導入し、当社が開発・販売することで販売収入を計上します。ただし、ライセンス元に対して契約一時金、マイルストーン、販売高に対するロイヤリティや製剤供給費用を当社が支払うことになります。ライセンスインについては、開発後期段階の有望な医薬品候補を導入するため一定の費用が発生しますが、初期段階から開発を行うよりも短期間で上市が期待でき、当社の収益に寄与するものと考えております。 (ⅱ)ライセンスアウト自社で研究開発中の医薬品候補を導出し、契約時点までの知的財産権を含む研究開発成果及び開発・販売・製造権の実施許諾に対する契約一時金、所定の開発段階に到達したときに支払われるマイルストーン収入、医薬品上市後の販売高に対するロイヤリティ収入等が計上されます。ライセンス契約による提携は、当社が保有する特許権及びノウハウについての実施許諾、さらに当社が独占的な実施権を有する特許権の再実施許諾がベースになります。ライセンス契約後の研究開発等の経費は提携先が負担することになり、当社の開発コスト及び開発リスクが軽減されます。 ②オープンイノベーションについて当社は、ミセル化ナノ粒子技術をはじめとし、大学発の研究成果(シーズ)を医薬品として実用化するために、大学又は企業などの研究機関から知的財産権のライセンスイン(独占的実施許諾権の獲得)及びこれら研究機関との共同研究を行っております。一方、上記のライセンスインをした知的財産権や共同研究の成果を提携企業に対してライセンスアウトする場合があります。また、これらの知的財産権や成果に基づき提携企業と共同開発を実施する場合もあります。それらの提携関係は下図のとおりです。 (当社作成) ③当社のパイプラインについて本書提出日現在、当社が臨床開発を進めているパイプラインは以下のとおりです。(ⅰ)VB-111Vascular Biogenics Ltd.(イスラエル)からライセンスを受けた遺伝子治療製品です。VB-111は腫瘍血管を破壊しがんを兵糧攻めにするとともに、腫瘍免疫を惹起する2つの作用を併せ持ちます。治療法がないプラチナ製剤に耐性となった卵巣がんに対する革新的な治療薬になると期待されます。開発後期ステージ製品であることから、早期の収益化が期待できると考えております。(ⅱ)ENT103セオリアファーマ株式会社との共同開発品で、外耳炎及び中耳炎を対象疾患とした抗菌点耳薬です。耳科領域において四半世紀ぶりに行われた本格的な臨床試験となり、新たな治療薬の投入が期待されます。VB-111同様に早期の収益化が期待できると考えております。 (ⅲ)NC-6300(エピルビシンミセル)エピルビシンは、乳がん、卵巣がん、胃がんなどの適応症で世界的に普及しているアントラサイクリン系抗がん剤ですが、投与を重ねると心臓疾患を引き起こすため、その使用が制限されます。当社は、がん細胞内にミセル化ナノ粒子が取り込まれた際に細胞内のpH変化に応答し、エピルビシンが一気に放出される機能を付加しました。これによりエピルビシンが持つ副作用の軽減と薬効の増強を期待できる新薬を目指しております。 ④核酸医薬パイプラインについて上述のパイプラインに続く核酸医薬パイプラインとして、以下の研究開発を推進しております。(ⅰ)NC-6100独自の核酸DDS技術を用いたsiRNA医薬であり、がん幹細胞の成長を抑制させることが期待されます。これまでの医薬品では狙えなかったターゲット分子PRDM14を標的にすることで、現在治療法がない乳がんのタイプに新たな治療の選択肢をもたらすと期待しています。治癒的切除不能又は遠隔転移を有する再発乳がんを対象に公益財団法人がん研究会有明病院において医師主導第Ⅰ相臨床試験が開始されています。独自の核酸デリバリー技術を用いたsiRNA医薬であり、がん幹細胞の成長を抑制させることが期待されます。(ⅱ)TUG1(ASO)独自の核酸DDS技術からなるアンチセンスオリゴ(ASO)医薬であり、国立大学法人東海国立大学機構名古屋大学との共同研究プロジェクトです。膠芽腫に高発現しているTUG1をASOにより抑制することで、がん細胞を細胞死に導きます。国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)の革新的がん医療実用化研究事業に採択され、臨床試験入りに向けた非臨床試験を推進中です。(ⅲ)RUNX1(mRNA)独自の核酸DDS技術からなるメッセンジャーRNA(mRNA)医薬であり、軟骨の再生を誘導するRUNX1のmRNAによる変形性膝関節症の再生医薬として開発します。AMEDの医療研究開発革新基盤創成事業に採択され、アクセリード株式会社と共同で設立した株式会社PrimRNAが主体となり研究開発を推進しております。本事業では、第Ⅰ相臨床試験まで実施する計画です。 [用語解説](*1) 薬物キャリア薬物を封入するなどして、組織へ送達するためのシステムであり、薬物運搬体とも呼ばれます。当社のミセル化ナノ粒子や、リポソームなどが含まれます。(*2) 高分子ミセル高分子ミセルとは、水に溶けやすい部分と水に溶けにくい部分を持つブロックコポリマーから形成される球状構造体のことです。水にも油にも溶ける両親媒性ブロックコポリマーを水に溶かすと、ある濃度範囲で外側に水に溶けやすい部分、また内側に水に溶けにくい部分を向けて自己会合し、明確な内核と外殻の二重構造を持つ球状構造体を形成します。この球状構造体を高分子ミセルといいます。(*3) ポリマーポリマーとは、1種類の単位化合物の分子が重合して、分子量が1万程度以上の化合物のことです。代表的なポリマーとしてはプラスチック類が挙げられます。医薬品として使われるポリマーは、生体内で分解される性質を有するものが多く存在します。ブロックコポリマーとは、2種類以上の異なるポリマーが結合したものであり、当社のポリマーは、水に溶けやすい親水性部分がポリエチレングリコール、水に溶けにくい疎水性部分がポリアミノ酸からなるブロックコポリマーです。
FY2021|4,431 文字
3【事業の内容】当社の主たる事業は、有効な治療法がない患者さんに対し新たな治療を提供することであり、独自のDDS技術を活用した抗がん剤の開発並びに、新しいモダリティ技術である遺伝子治療製品及び核酸創薬による難治がん治療薬や組織再生を促進する医薬の開発に取り組んでおります。現在、VB-111(卵巣がん)、ENT103(中耳炎)、NC-6004(頭頸部がん)、NC-6300(軟部肉腫)、核酸医薬NC-6100(乳がん)の5つが臨床試験段階にあります。これらを含め革新的な医薬品を患者さんにお届けし、健康と幸福に貢献することを目的としております。 (1)当社設立の経緯当社は、東京大学の片岡一則名誉教授(現 当社取締役)、東京女子医科大学の岡野光夫名誉教授(現 当社取締役)らが発明したミセル化ナノ粒子技術による医薬品の開発を目的に、1996年6月に設立されました。同教授らは、医薬品を封入したミセル化ナノ粒子が静脈内投与された場合、薬物が血中に長時間循環することにより、効果が持続する薬物キャリア*1となり得ること及び、がん組織等の病変部へ集積(標的化)することを示しました。当社では、同技術を利用した医薬品の実用化によって従来の薬物療法の有効性と安全性が高まれば、これまで期待する効果が得られなかったがん等の難治性疾患における薬物療法の有効性を高めることができると考えており、ミセル化ナノ粒子(高分子ミセル)*2技術のパイオニアとして同技術のポテンシャルを最大限に活かした製品開発を目指し、社会的ニーズの高い疾患領域を中心に事業を展開しております。 (2)当社技術の特長当社のコア技術であるミセル化ナノ粒子は、水に溶けやすいポリマーであるポリエチレングリコール(PEG)と水に溶けにくいポリアミノ酸からなるポリマーを結合させたブロックコポリマー*3から構成されます。ブロックコポリマーを水中で拡散すると、外側が親水性で内側が疎水性という構造を有する20~100ナノメートル(nm)*4サイズの球状のミセルを形成します。表面がPEGで覆われたミセルの疎水性内核部分には薬物や核酸、その他の生理活性物質を封入することができ、封入した物質の血中における安定性を高めます。ミセル化ナノ粒子を応用する医薬品開発上のメリットとして、①投与後の消失の速い薬物や核酸などの血中持続性が高まる、②徐放化により薬物の血中濃度を副作用が発現する濃度以下に制御されることで安全性が高まる、③腫瘍などへの薬物の移行量を増やすことで効果が高まる、などが期待できます。 (3)当社の事業展開当社は、ミセル化ナノ粒子技術を特許等の知的財産として所有しており、ナノテクノロジーを応用した創薬技術を基盤に研究開発を進め、事業化を行っております。自社技術を活用した抗がん剤の開発に加えて、新たなモダリティ技術である核酸医薬の開発にも進出し、再生医療分野への活用にも着手しております。一方、M&Aや提携によっても、パイプラインの拡充を図っております。後期ステージにある治療薬を獲得する、オープンイノベーションの活用により新しいモダリティや創薬シーズを獲得し新規パイプラインを創製するなどにより、切れ目のないパイプラインの構築・維持に努めております。 ① ビジネスモデルとその収益について自社製品及び導入製品(ライセンスイン)などにおいて、臨床開発を行い、自社販売することによる収入の確保、開発の途中ステージで他社へライセンスアウトすることによる契約一時金及びやマイルストーン、及びロイヤリティ収入の確保を見込んでおります。 (ⅰ)ライセンスイン他社が保有する有望な医薬品候補を導入し、当社が開発・販売することで販売収入を計上します。ただし、ライセンス元に対して契約一時金、マイルストーン、販売高に対するロイヤリティや製剤供給費用を当社が支払うことになります。ライセンスインについては、開発後期段階の有望な医薬品候補を導入するため一定の費用が発生しますが、初期段階から開発を行うよりも短期間で上市が期待でき、当社の収益に寄与するものと考えております。(ⅱ)ライセンスアウト自社で研究開発中の医薬品候補を導出し、契約時点までの知的財産権を含む研究開発成果及び開発・販売・製造権の実施許諾に対する契約一時金、所定の開発段階に到達したときに支払われるマイルストーン収入、医薬品上市後の販売高に対するロイヤリティ収入等が計上されます。ライセンス契約による提携は、当社が保有する特許権及びノウハウについての実施許諾、さらに当社が独占的な実施権を有する特許権の再実施許諾がベースになります。ライセンス契約後の研究開発等の経費は提携先が負担することになり、当社の開発コスト及び開発リスクが軽減されます。 ② オープンイノベーションについて当社は、ミセル化ナノ粒子技術をはじめとし、大学発の研究成果(シーズ)を医薬品として実用化するために、大学又は企業などの研究機関から知的財産権のライセンスイン(独占的実施許諾権の獲得)及びこれら研究機関との共同研究を行っております。一方、上記のライセンスインをした知的財産権や共同研究の成果を提携企業に対してライセンスアウトする場合があります。また、これらの知的財産権や成果に基づき提携企業と共同開発を実施する場合もあります。それらの提携関係は下図のとおりです。 (当社作成) ③ 当社のパイプラインについて本書提出日現在、当社が臨床開発を進めているパイプラインは以下のとおりです。(ⅰ)VB-111Vascular Biogenics Ltd.(イスラエル)からライセンスを受けた遺伝子治療製品です。VB-111は腫瘍血管を破壊しがんを兵糧攻めにするとともに、腫瘍免疫を惹起する2つの作用を併せ持ちます。治療法がないプラチナ製剤に耐性となった卵巣がんに対する革新的な治療薬になると期待されます。開発後期ステージ製品であることから、早期の収益化が期待できると考えております。(ⅱ)ENT103セオリアファーマ株式会社との共同開発品で、中耳炎を対象疾患とした抗菌点耳薬です。耳科領域において四半世紀ぶりに行われた本格的な臨床試験となり、新たな治療薬の投入が期待されます。VB-111同様に早期の収益化が期待できると考えております。(ⅲ)NC-6004(シスプラチンミセル)シスプラチンは、その有効性により各領域のがん化学療法の中心的薬剤であり、近年は、免疫チェックポイント阻害剤の併用薬として非常に期待が高まっています。その一方でシスプラチンの腎機能障害、神経障害や催吐作用が極めて強いため、がん治療の中断を余儀なくされるなど、治療や生活の質(QOL*5)を著しく低下させます。当社は、シスプラチンが持つこれらの副作用をミセル化により軽減し、かつ効果の増強も期待できる新薬を目指し、抗PD-1抗体との併用で臨床開発を推進しています。(ⅳ)NC-6300(エピルビシンミセル)エピルビシンは、乳がん、卵巣がん、胃がんなどの適応症で世界的に普及しているアントラサイクリン系抗がん剤ですが、投与を重ねると心臓疾患を引き起こすため、その使用が制限されます。当社は、がん細胞内にミセル化ナノ粒子が取り込まれた際に細胞内のpH変化に応答し、エピルビシンが一気に放出される機能を付加しました。これによりエピルビシンが持つ副作用の軽減と薬効の増強を期待できる新薬を目指し、臨床開発を推進しています。(ⅴ)NC-6100独自の核酸DDS技術を用いたsiRNA医薬であり、がん幹細胞の成長を抑制させることが期待されます。これまでの医薬品では狙えなかったターゲット分子PRDM14を標的にすることで、現在治療法がない乳がんのタイプに新たな治療の選択肢をもたらすと期待しています。治癒的切除不能又は遠隔転移を有する再発乳がんを対象に公益財団法人がん研究会有明病院において医師主導第Ⅰ相臨床試験が開始されています。独自の核酸デリバリー技術を用いたsiRNA医薬であり、がん幹細胞の成長を抑制させることが期待されます。 ④ 次期パイプライン候補について上述の臨床開発段階のパイプラインに続く次期のパイプライン候補として、以下の研究開発を推進しております。(ⅰ)TUG1(ASO)独自の核酸DDS技術からなるアンチセンスオリゴ(ASO)医薬であり、国立大学法人東海国立大学機構名古屋大学との共同研究プロジェクトです。膠芽腫に高発現しているTUG1をASOにより抑制することで、がん細胞を細胞死に導きます。国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)の革新的がん医療実用化研究事業に採択され、非臨床試験を推進中です。(ⅱ)RUNX1(mRNA)独自の核酸DDS技術からなるメッセンジャーRNA(mRNA)医薬であり、軟骨の再生を誘導するRUNX1のmRNAによる変形性膝関節症の再生医薬として開発します。AMEDの医療研究開発革新基盤創成事業に採択され、アクセリード株式会社と共同で設立した株式会社PrimRNAが主体となり研究開発を推進します。本事業では、第Ⅰ相臨床試験まで実施する計画です。 [用語解説](*1) 薬物キャリア薬物を封入するなどして、組織へ送達するためのシステムであり、薬物運搬体とも呼ばれます。当社のミセル化ナノ粒子や、リポソームなどが含まれます。(*2) 高分子ミセル高分子ミセルとは、水に溶けやすい部分と水に溶けにくい部分を持つブロックコポリマーから形成される球状構造体のことです。水にも油にも溶ける両親媒性ブロックコポリマーを水に溶かすと、ある濃度範囲で外側に水に溶けやすい部分、また内側に水に溶けにくい部分を向けて自己会合し、明確な内核と外殻の二重構造を持つ球状構造体を形成します。この球状構造体を高分子ミセルといいます。(*3) ポリマーポリマーとは、1種類の単位化合物の分子が重合して、分子量が1万程度以上の化合物のことです。代表的なポリマーとしてはプラスチック類が挙げられます。医薬品として使われるポリマーは、生体内で分解される性質を有するものが多く存在します。ブロックコポリマーとは、2種類以上の異なるポリマーが結合したものであり、当社のポリマーは、水に溶けやすい親水性部分がポリエチレングリコール、水に溶けにくい疎水性部分がポリアミノ酸からなるブロックコポリマーです。(*4) ナノメートル(nm)1ナノメートルは10億分の1メートルに相当します。(*5) QOLQuality Of Lifeの略語で、主に患者の「生活の質、人生の質」を意味する言葉です。医療提供者が患者への治療効果を判定する際に、患者の人生の充実感や満足度から評価しようという考え方のことを言います。
FY2020|7,844 文字
3【事業の内容】当社の主たる事業目的は、日本発のナノテクノロジーを応用したミセル化ナノ粒子をコア技術として、主にがん領域において新しい医薬品を生み出し、社会に貢献することです。 (1)当社設立の経緯当社は、東京大学の片岡一則教授(現 当社取締役)、東京女子医科大学の岡野光夫教授(現 当社取締役)らが発明したミセル化ナノ粒子技術による医薬品の開発を目的に、1996年6月に設立されました。同教授らは、医薬品を封入したミセル化ナノ粒子が静脈内投与された場合、血中に薬物が長時間循環することができ、効果が持続する薬物キャリア(*1)となり得ることと、がん組織等の病変部へ集積(標的化)することを示しました。当社では、同技術を利用した医薬品の実用化によって、従来の薬物療法より有効性と安全性が高まれば、これまで期待する効果が得られなかったがん等の難治性疾患の薬物療法をより有効にすることができると考えており、今後もミセル化ナノ粒子(高分子ミセル)(*2)技術のパイオニアとして同技術のポテンシャルを最大限に活かした製品開発を目指すとともに、当面は社会的ニーズと貢献度の高い抗がん剤事業に特化したグローバル展開を行っております。 (2)当社技術の特長当社のコア技術であるミセル化ナノ粒子は、水に溶けやすい性質を示すポリエチレングリコール(PEG)からなる親水性ポリマーと水に溶けにくい性質を示すポリアミノ酸からなる疎水性ポリマーを分子レベルで結合させたブロックコポリマー(*3)から構成されます。ブロックコポリマーを水中で拡散すると、外側が親水性で内側が疎水性という明確な二層構造を有する20~100ナノメートル(nm)(*4)サイズの球状の集合体であるミセルを形成します。このミセルの疎水性内核部分に薬物や生理活性物質を封入することができます。アミノ酸の種類や構造を化学的に変化させることで様々な化合物に対応が可能です。表面をPEGが覆うことで血液中での安定性を確保します。ミセル化ナノ粒子を応用した医薬品開発の新薬開発上のメリットとしては、ミセル化ナノ粒子内からの薬物放出をコントロールすることで、副作用を引き起こす濃度以下に調整し安全性を高めるアプローチや、投与後の消失の速い薬物などの血中持続性を高めるアプローチ、腫瘍などへの薬物の移行量を増やすことで効果を高めるアプローチなどが期待できます。ミセル化ナノ粒子を利用した抗がん剤開発の患者に期待されるメリットとしては、患者の生存期間の延長やがん関連症状の緩和へつながる治療効果の増大、安全性の向上(=副作用の軽減)、簡便な投与で通院治療が可能になるなどの負担軽減、日帰り治療の可能性などから医療費削減など、患者のQOL(*5)の向上を目指します。 <ミセル化ナノ粒子のサイズ>(当社作成) <ミセル化ナノ粒子の一例> (3)当社の事業展開① ビジネスモデルとその収益について当社は、ミセル化ナノ粒子技術を特許等の知的財産として所有しており、ナノテクノロジーを応用した製造技術を基盤に創薬の研究開発を進め、事業化を行っております。当社では、有用性(有効性、安全性)を向上させた、医療ニーズに応える新規医薬品の開発、提供を目指しており、パイプラインの研究・開発を進めて製品化に到達するために、事業段階に応じた展開を図っております。当社の現状のビジネスモデルは、ミセル化ナノ粒子技術を基盤とした(ⅰ)自社開発、(ⅱ)共同研究開発、(ⅲ)ライセンスアウトに加え、他社からの(ⅳ)ライセンスインの4つの形態をとっております。それぞれの内容は以下のとおりです。(ⅰ)自社開発開発医薬品の上市又は臨床開発後期段階まで自社開発を推進することにより、製品付加価値が上がり、より大きな収入を確保することができます。しかしながら、これには多額の費用と人員を要することから、下述(ⅱ)の共同研究開発、(ⅲ)のライセンスアウトへ移行することも選択肢となります。 (ⅱ)共同研究開発当社のミセル化ナノ粒子技術に興味を示した提携先とミセル製剤化に関する共同研究契約を締結する場合もあります。この場合、提携先が所有する活性成分又は開発可能な活性成分を当社のミセル化ナノ粒子技術に応用し、新規医薬品として開発を進めます。フィージビリティスタディ段階からさらに先に進め、共同研究開発契約やライセンスアウトに進展することを目指しております。 (ⅲ)ライセンスアウト(ⅰ)の自社開発又は(ⅱ)の共同研究開発の事業形態においては、研究開発の経過段階で、ライセンスアウトを行います。この場合は、ライセンス契約時点までの知的財産権を含む研究開発成果及び製造権の実施許諾に対する契約一時金(アップフロント)、所定の開発段階に到達したときに支払われるマイルストーン収入、医薬品上市後の販売高に対するロイヤリティ収入や製剤供給収入等が計上されることになります。ライセンス契約による提携は、当社が保有する特許権及びノウハウについての実施許諾、さらに当社が独占的な実施権を有する特許権の再実施許諾がベースになります。ライセンス契約後の研究開発等の経費は提携先が負担することになり、当社の開発コスト及び開発リスクが軽減されます。 (ⅳ)ライセンスイン(ⅲ)のライセンスアウトとは逆に、ミセル化ナノ粒子技術以外の他社が保有する有望な技術やパイプラインを導入し、当社が開発を行います。この場合は、当社が医薬品の承認・販売まで行うことで多額の販売収入を計上することになりますが、ライセンス元に対して当社がアップフロント、マイルストーン、販売高に対するロイヤリティや製剤供給費用を支払うことになります。よって、一定の開発段階や承認後の販売段階で(ⅲ)のライセンスアウトに移行することも選択肢となります。ライセンスインについては、開発後期段階の有望な医薬品候補を導入するため一定の費用が発生しますが、初期段階から開発を行うよりも短期間での上市が期待できるため、当社の収益の安定化に寄与するものと考えております。 各ビジネスモデルの収益については、医薬品の上市まで自社開発を行い、自社販売を行った場合、当該製品の販売による収入が計上されることとなりますが、当社においてはその段階まで進んでいるパイプラインはありません。共同研究開発の場合には、提携先からの研究開発に対する製剤技術及びノウハウの開示による対価並びにミセル原薬及び製剤の供給収入が計上されることとなり、当社においては複数のパイプラインで当該収入を得てまいりました。他社にライセンスアウトをする場合は、ライセンス契約時点までの研究開発成果に対する対価及び製剤の供給に対して提携時の契約一時金、所定の開発段階に到達したときに支払われるマイルストーン収入、開発医薬品上市後の医薬品販売高に対するロイヤリティ等の収入が計上されることになり、当社においては契約一時金や臨床試験開始に伴うマイルストーン収入を得ているパイプラインがあります。当社では、開発医薬品の上市前に上述のような他社からの契約一時金収入、マイルストーン収入及び研究開発用の製剤供給に対する対価を得ることにより、開発医薬品上市前の研究開発費の負担を軽減し、財務面のリスクの極小化を図っております。 ② 抗がん剤への特化について抗がん剤の発見と開発の分野は製薬業界の研究開発の中でも最も活発な分野のひとつであり、近年開発が進められている新薬のなかでも、抗がん剤の占める割合は高いものの、未だ製品の改良や新規開発領域の残された分野でもあります。抗がん剤の中には、世界中の医療現場で汎用されながらも、薬物自体及び製剤化のために添加されている溶解剤による副作用が問題となっているものが多数あります。その中から当社は、タキサン系、白金系及びアントラサイクリン系の抗がん剤を選び、ミセル化ナノ粒子医薬品の開発を行っております。また、がん組織への選択性を高めるために、がん標的性のある抗体(*6)などをミセル化ナノ粒子の表面に結合させ、がん細胞への特異的な集積(アクティブターゲティング)(*7)を狙った次世代の抗がん剤を研究・開発しております。 ③ その他領域における開発と販売についてミセル化ナノ粒子技術を応用した化粧品開発を行い、株式会社アルビオンとの共同開発に基づき、同社より販売中の化粧品原料を供給するとともに、同社との共同開発品であるスカルプトータルケア製品事業を共同で推進しております。抗がん剤以外での早期収益化に向けた他技術の取り込みによる後期ステージパイプラインの拡充にも注力しており、セオリアファーマ株式会社との間で耳鼻咽喉科領域における医薬品の共同開発を行っております。 ④ 研究機関及び提携企業との連携について当社は、大学発の研究成果(シーズ)を医薬品として実用化するために、大学又は研究機関から知的財産権のライセンスイン(独占的実施許諾権の獲得)及びこれら研究機関との共同研究を行っております。一方、上記のライセンスインをした知的財産権や共同研究の成果を提携企業に対してライセンスアウトする場合があります。また、これらの知的財産権や成果に基づき提携企業と共同開発を実施する場合もあります。それらの提携関係は下図のとおりです。 (当社作成) ⑤ 製造について当社は自社開発医薬品、提携企業との共同開発医薬品にかかわらず、原則として自社が所有又は独占的実施権を有する特許やノウハウを利用して製品(ミセル原薬及びその中間体又は最終製剤)の製造を自社で行うことを目標としております。しかしながら、自社工場を所有することはその投資の大きさ、固定費の増加等から現状では現実的ではないと考えており、既に設備を保有し、GMP(*8)基準を満たしている医薬品製造受託企業との間で製品の製造委託契約を交わし、製品製造を委託しております。但し、委託製造といっても、全面的な委託ではなく、当社による原料供給、技術提供及び製造管理を行っており、原材料の受け入れから最終製品の品質保証まで当社が行っております。 ⑥ 医薬品開発の流れ医薬品を研究・開発する標準的な段階は以下のとおりであり、日本製薬工業協会資料を参考に表示しております。この開発段階は日米欧でほぼ共通となっております。 <医薬品開発の流れ> <各事業ステージの内容>ステージ内容基礎試験合成目標とするミセル化ナノ粒子を形成するポリマーの合成、ミセル化ナノ粒子の製造及び製剤化評価試験(in vitro・in vivo)製剤の有効性及び安全性を試験管内などの人工的な条件下で確認する試験(in vitro試験)製剤の有効性及び毒性を動物を用いて予備的に確認する試験(in vivo試験)非臨床・臨床試験非臨床試験実験動物を用いて、有効性及び安全性を確認する試験臨床試験以下の各相があります。第Ⅰ相臨床試験(PⅠ):少数健康成人(但しがんの場合は患者)を対象にして、安全性及び薬物動態を確認する試験第Ⅱ相臨床試験(PⅡ):少数の患者を対象にして、有効性、安全性及び用法・用量を確認する試験第Ⅲ相臨床試験(PⅢ):多数の患者を対象にして、標準治療との比較により有効性及び安全性を確認する試験製造販売承認の申請・承認新薬承認各国の審査機関による新薬の審査・承認 ⑦ 当社の主要パイプラインについて本書提出日現在、当社が研究開発を進めている主要パイプラインは以下のとおりです。(ⅰ)シスプラチンミセル(NC-6004)シスプラチンは、その有効性により各領域のがん化学療法の中心的薬剤となっています。その一方でシスプラチンの腎機能障害、神経障害や催吐作用が極めて強いため、がん患者にとって苦痛度が高く、さらに投与の際には長時間にわたる大量の輸液が必要なことから、患者の生活の質(QOL)を著しく低下させています。当社は、シスプラチンが持つこれらの副作用を軽減し、かつ抗腫瘍効果の増強も期待できる新薬を目指し、ミセル化ナノ粒子を応用した新規化合物シスプラチンミセル(NC-6004)を開発しています。 (ⅱ)エピルビシンミセル(NC-6300)エピルビシンは、乳がん、卵巣がん、胃がんなどの適応症で世界的に普及しているアントラサイクリン系抗がん剤ですが、投与を重ねると心臓疾患を引き起こすので、その使用が制限されています。当社は、その副作用を軽減するために細胞内のpH変化に応答して薬物を効果的に放出するシステムを開発しています。細胞内に薬物が結合したミセル化ナノ粒子素材(ブロックコポリマー)が取り込まれる際に、エンドソームと呼ばれる細胞膜が陥没して形成される小胞に取り込まれると考えられています。エンドソーム内のpHは酸性であることが知られており、このpHの低下により薬物とブロックコポリマーの結合が外れて、薬物が放出される作用機序を利用し、時限的かつ急激に薬物をがん細胞内に放出する効果が期待されます。 (ⅲ)VB-111Vascular Biogenics Ltd.(イスラエル)からライセンスを受けた遺伝子治療製品です。当社のミセル化ナノ粒子製剤は、腫瘍細胞を標的にした治療薬を目指しているのに対し、VB-111は腫瘍血管を標的としてがんを兵糧攻めにするとともに、腫瘍免疫を惹起する効果が期待されます。ミセル化ナノ粒子とは異なるメカニズムによる治療製品をパイプラインに持つことで、がん領域における当社の選択肢が拡がり、当社の将来的な経営基盤強化に資するものと考えております。 (ⅳ)ENT103セオリアファーマ株式会社との共同開発パイプラインです。同社が有する中耳炎を対象疾患とした抗菌点耳薬であり、抗菌活性物質濃度は従来品の10倍程度あり、高い有効性が期待されるとともに、短期間で製造販売承認を取得することも期待されます。 (ⅴ)パクリタキセルミセル(NK105)パクリタキセル(タキソール®)は乳がん、卵巣がん、肺がん、胃がんなどの適応症で世界的に普及している抗がん剤ですが、水に溶けにくいため、製剤には特殊な溶媒が使用されております。その溶媒による副作用が生じることがあり、投与時に副作用軽減のための補助薬剤(ステロイド剤、抗ヒスタミン剤及び抗潰瘍剤)を投与するなど医療現場での使いにくさがあります。当社はミセル化ナノ粒子技術を応用することにより、パクリタキセルを封入したミセル化ナノ粒子を開発しました。現在、ライセンスアウト先である日本化薬株式会社において開発が進められております。 ⑧ 次世代パイプライン候補について上述の臨床開発段階又は臨床試験計画中の主要パイプラインに続く次世代のパイプライン候補として、以下の研究開発を推進しております。ADCM(センサー結合型ミセル)ADCM(Antibody/Drug-Conjugated Micelle)は、アクティブターゲティングを可能とする次世代型プラットフォーム技術で、世界的に開発が活発化している抗体医薬ADC(Antibody Drug Conjugate:抗体薬物複合体)の課題を補う次世代型DDS技術です。標的細胞を狙ったターゲティング療法であるADCMは、がん細胞に現れる特異的な抗原を認識する抗体をミセル化ナノ粒子表面に結合し、標的細胞への選択性を高めることができます。抗体と薬物が結合した従来のミサイル療法より多くの薬物を標的細胞に届けることができるため、高い効果と副作用の軽減が期待されております。 用語解説(*1) 薬物キャリア薬物を封入するなどして、組織へ送達するためのシステムであり、薬物運搬体とも呼ばれます。当社のミセル化ナノ粒子や、リポソームなどが含まれます。(*2) 高分子ミセル高分子ミセルとは、水に溶けやすい部分と水に溶けにくい部分を持つブロックコポリマーから形成される球状構造体のことです。水にも油にも溶ける両親媒性ブロックコポリマーを水に溶かすと、ある濃度範囲で外側に水に溶けやすい部分、また内側に水に溶けにくい部分を向けて自己会合し、明確な内核と外殻の二重構造を持つ球状構造体を形成します。この球状構造体を高分子ミセルといいます。(*3) ポリマーポリマーとは、1種類の単位化合物の分子が重合して、分子量が1万程度以上の化合物のことです。代表的なポリマーとしてはプラスチック類が挙げられます。医薬品として使われるポリマーは、生体内で分解される性質を有するものが多く存在します。ブロックコポリマーとは、2種類以上の異なるポリマーが結合したものであり、当社のポリマーは、水に溶けやすい親水性部分がポリエチレングリコール、水に溶けにくい疎水性部分がポリアミノ酸からなるブロックコポリマーです。(*4) ナノメートル(nm)1ナノメートルは10億分の1メートルに相当します。(*5) QOLQuality Of Lifeの略語で、主に患者の「生活の質、人生の質」を意味する言葉です。医療提供者が患者への治療効果を判定する際に、患者の人生の充実感や満足度から評価しようという考え方のことを言います。(*6) 抗体抗体は、細菌やウイルスなどの抗原(免疫を誘発する物質)の刺激の結果、免疫反応によって生体内に誘導されるタンパク質で、抗原と特異的に結合する活性を持つものの総称です。(*7) アクティブターゲティングアクティブターゲティングとは、例えば、がん細胞と選択的に結合するセンサーのような働きをする物質をミセル化ナノ粒子の表面に付けることで効率よく、積極的にがん細胞へ薬物を入れたミセル化ナノ粒子を送り届けることをいいます。センサーのような働きをする物質には抗体のような物質を使うことができます。(*8) GMPICH(日・米・EUの3極間で、新医薬品の製造承認に際して要求される資料を共通化することによって、医薬品開発の迅速化・効率化を目指す会議)によって協議・合意決定された取り決め事項を「ICHガイドライン」と呼び、日米EUでの医薬品開発におけるガイドラインとしての役目を果たします。ICHガイドラインは以下のような構成となっており、GMPはその一部です。GLP(Good Laboratory Practice)非臨床試験の実施基準医薬品の製造販売承認申請などのために行われる安全性に関する非臨床試験データについて、信頼性を高めるための試験実施上の基準。GCP(Good Clinical Practice)臨床試験の実施基準人を対象とした臨床試験(治験)が倫理的な配慮のもとに適正かつ科学的に実施されることを目的として定められた基準。GMP(Good Manufacturing Practice)製造管理及び品質管理の基準製造所の構造設備や製造管理及び品質管理の全般にわたって、医薬品の製造を行う者が守るべき要件を定めた基準。GPMSP(Good Post Marketing Surveillance Practice)市販後の調査基準市販後調査の適切な実施と調査資料の信頼性の確保を図り、医薬品の適正使用の確保を目的として定められた基準。
FY2019|8,507 文字
3 【事業の内容】当社の主たる事業目的は、日本発のナノテクノロジーを応用したミセル化ナノ粒子をコア技術として、主にがん領域において新しい医薬品を生み出し、社会に貢献することです。 (1) 当社設立の経緯当社は、東京大学の片岡一則教授、東京女子医科大学の岡野光夫教授(現 当社取締役)らが発明したミセル化ナノ粒子技術による医薬品の開発を目的に、代表取締役社長CEO 中冨一郎が、上記の発明者らとともに1996年6月に設立しました。同教授らは、医薬品を封入したミセル化ナノ粒子が静脈内投与された場合、血中に薬物が長時間循環することができ、効果が持続する薬物キャリア(*1)となり得ることと、がん組織等の病変部へ集積(標的化)することを示しました。当社では、同技術を利用した医薬品の実用化によって、従来の薬物療法より有効性と安全性が高まれば、これまで期待する効果が得られなかったがん等の難治性疾患の薬物療法をより有効にすることができると考えており、今後もミセル化ナノ粒子(高分子ミセル)(*2)技術のパイオニアとして同技術のポテンシャルを最大限に活かした製品開発を目指すとともに、当面は社会的ニーズと貢献度の高い抗がん剤事業に特化したグローバル展開を行っております。 (2) 当社技術の特長当社のコア技術であるミセル化ナノ粒子は、水に溶けやすい性質を示すポリエチレングリコール(PEG)からなる親水性ポリマーと水に溶けにくい性質を示すポリアミノ酸からなる疎水性ポリマーを分子レベルで結合させたブロックコポリマー(*3)から構成されます。ブロックコポリマーを水中で拡散すると、外側が親水性で内側が疎水性という明確な二層構造を有する20~100ナノメートル(nm)(*4)サイズの球状の集合体であるミセルを形成します。このミセルの疎水性内核部分に薬物や生理活性物質を封入することができます。アミノ酸の種類や構造を化学的に変化させることで様々な化合物に対応が可能です。表面をPEGが覆うことで血液中での安定性を確保します。ミセル化ナノ粒子を応用した医薬品開発の新薬開発上のメリットとしては、ミセル化ナノ粒子内からの薬物放出をコントロールすることで、副作用を引き起こす濃度以下に調整し安全性を高めるアプローチや、投与後の消失の速い薬物などの血中持続性を高めるアプローチ、腫瘍などへの薬物の移行量を増やすことで効果を高めるアプローチなどが期待できます。ミセル化ナノ粒子を利用した抗がん剤開発の患者に期待されるメリットとしては、患者の生存期間の延長やがん関連症状の緩和へつながる治療効果の増大、安全性の向上(=副作用の軽減)、簡便な投与で通院治療が可能になるなどの負担軽減、日帰り治療の可能性などから医療費削減など、患者のQOL(*5)の向上を目指します。 <ミセル化ナノ粒子のサイズ>(当社作成) <ミセル化ナノ粒子の一例> (3) 当社の事業展開① ビジネスモデルとその収益について当社は、ミセル化ナノ粒子技術を特許等の知的財産として所有しており、ナノテクノロジーを応用した製造技術を基盤に創薬の研究開発を進め、事業化を行っています。当社では、有用性(有効性、安全性)を向上させた、医療ニーズに応える新規医薬品の開発、提供を目指しており、パイプラインの研究・開発を進めて製品化に到達するために、事業段階に応じた展開を図っております。当社の現状のビジネスモデルは、ミセル化ナノ粒子技術を基盤とした(ⅰ)自社開発、(ⅱ)共同研究開発、(ⅲ)ライセンスアウト、(ⅳ)ライセンスインの4つの形態をとっております。それぞれの内容は以下のとおりです。 (ⅰ)自社開発開発医薬品の上市もしくは臨床開発後期段階まで自社開発を推進することにより、製品付加価値が上がり、より大きい収入を確保することができます。しかしながら、これには多額の費用と人員を要することから、下述(ⅱ)の共同研究開発、(ⅲ)のライセンスアウトへ移行することも選択肢となります。 (ⅱ)共同研究開発当社のミセル化ナノ粒子製剤技術に興味を示した提携先とミセル製剤化に関する共同研究契約を締結する場合もあります。この場合、提携先が所有する活性成分又は開発可能な活性成分を当社のミセル化ナノ粒子技術に応用し、新規医薬品として開発を進めます。フィージビリティスタディ段階からさらに先に進め、共同研究開発契約やライセンスアウトに進展することを目指しております。 (ⅲ)ライセンスアウト(ⅰ)の自社開発あるいは(ⅱ)の共同研究開発の事業形態においては、研究開発の経過段階で、ライセンスアウトを行います。この場合は、ライセンス契約時点までの知的財産権を含む研究開発成果及び製造権の実施許諾に対する契約一時金(アップフロント)、所定の開発段階に到達したときに支払われるマイルストーン収入、医薬品上市後の販売高に対するロイヤリティ収入や製剤供給収入等が計上されることになります。ライセンス契約による提携は、当社が保有する特許権及びノウハウについての実施許諾、さらに当社が独占的な実施権を有する特許権の再実施許諾がベースになります。ライセンス契約後の研究開発等の経費は提携先が負担することになり、当社の開発コスト及び開発リスクが軽減されます。 (ⅳ)ライセンスイン(ⅲ)のライセンスアウトとは逆に、ミセル化ナノ粒子技術以外の他社が保有する有望な技術やパイプラインを導入し、当社が開発を行います。この場合は、当社が医薬品の承認・販売まで行えば多額の販売高を計上することになりますが、ライセンス元に対して当社がアップフロント、マイルストーン、販売高に対するロイヤリティや製剤供給費用を支払うことになります。また、一定の開発段階や承認後の販売段階で(ⅲ)のライセンスアウトに移行することもあります。ライセンスインについては、開発後期段階の有望な医薬品候補を導入するため一定の費用が発生しますが、初期段階から開発を行うよりも短期間での上市が期待できるため、当社の収益の安定化に寄与するものと考えております。 各ビジネスモデルの収益については、医薬品の上市まで自社開発を行い、自社販売を行った場合、当該製品の販売による収入が計上されることとなりますが、当社においてはその段階まで進んでいるパイプラインはありません。共同研究開発の場合には、提携先からの研究開発に対する製剤技術及びノウハウの開示による対価並びにミセル原薬及び製剤の供給収入が計上されることとなり、当社においては複数のパイプラインで当該収入を得ております。他社にライセンスアウトをする場合は、ライセンス契約時点までの研究開発成果に対する対価及び製剤の供給に対して提携時の契約一時金、所定の開発段階に到達したときに支払われるマイルストーン、開発医薬品上市後の医薬品販売高に対するロイヤリティ等の収入が計上されることになり、当社においては契約一時金や臨床試験開始に伴うマイルストーン収入を得ているパイプラインがあります。当社では、開発医薬品の上市前に上述のような他社からの契約一時金収入、マイルストーン収入及び研究開発用の製剤供給に対する対価を得ることにより、開発医薬品上市前の研究開発費の負担を軽減し、財務面のリスクの極小化を図っております。 ② 抗がん剤への特化について抗がん剤の発見と開発の分野は製薬業界の研究開発の中でも最も活発な分野のひとつであり、近年開発が進められている新薬のなかでも、抗がん剤の占める割合は高いものの、未だ製品の改良や新規開発領域の残された分野でもあります。抗がん剤の中には、世界中の医療現場で汎用されながらも、薬物自体及び製剤化のために添加されている溶解剤による副作用が問題となっているものが多数あります。その中から当社は、タキサン系、白金系及びアントラサイクリン系の抗がん剤を選び、ミセル化ナノ粒子医薬品の開発を行っております。また、がん組織への選択性を高めるために、がん標的性のある抗体(*6)などをミセル化ナノ粒子の表面に結合させ、がん細胞への特異的な集積(アクティブターゲティング)(*7)を狙った次世代の抗がん剤を研究・開発しております。最近では、高分子化合物のsiRNA(*8)、あるいは各種サイトカイン(*9)などのタンパク質医薬品の開発を行っており、体内ですみやかに分解されてしまうという体内投与時の欠点を補うミセル製剤の開発を進めています。 ③ その他領域における開発と販売についてミセル化ナノ粒子技術を応用した化粧品開発を行い、株式会社アルビオンとの共同開発に基づき、同社より販売中の化粧品原料を供給するとともに、同社との共同開発品であるスカルプトータルケア製品の販売を行っております。抗がん剤以外での早期収益化に向けた他技術の取り込みによる後期ステージパイプラインの拡充にも注力しており、セオリアファーマ株式会社との間で耳鼻科領域医薬品の共同開発を行っております。 ④ 研究機関及び提携企業との連携について当社は、大学発の研究成果(シーズ)を医薬品として実用化するために、積極的に大学あるいは国公立研究機関から知的財産権のライセンスイン(独占的実施許諾権の獲得)及びこれら研究機関との共同研究を行っております。一方、上記のライセンスインをした知的財産権や共同研究の成果を提携企業に対してライセンスアウトする場合があります。また、これらの知的財産権や成果に基づき提携企業と共同開発を実施する場合もあります。それらの提携関係は下図のとおりです。 (当社作成) ⑤ 製造について当社は自社開発医薬品、提携企業との共同開発医薬品にかかわらず、原則として自社が所有、又は独占的実施権を有する特許やノウハウを利用して製品(ミセル原薬及びその中間体、あるいは最終製剤)の製造を自社で行うことを目標としております。しかしながら、自社工場を所有することはその投資の大きさ、固定費の増加等から現状では現実的ではないと考えており、既に設備を保有し、GMP(*10)基準を満たしている医薬品製造受託企業との間で製品の製造委託契約を交わし、製品製造を委託しております。但し、委託製造といっても、全面的な委託ではなく、当社による原料供給、技術提供及び製造管理を行っており、原材料の受け入れから最終製品の品質保証まで当社が行っております。 ⑥ 医薬品開発の流れ医薬品を研究・開発する標準的な段階は以下のとおりであり、日本製薬工業協会資料を参考に表示しております。この開発段階は日米欧でほぼ共通となっております。 <医薬品開発の流れ> <各事業ステージの内容> ステージ内容基礎試験合成目標とするミセル化ナノ粒子を形成するポリマーの合成、ミセル化ナノ粒子の製造及び製剤化評価試験(in vitro・in vivo)製剤の有効性及び安全性を試験管内などの人工的な条件下で確認する試験(in vitro試験)製剤の有効性及び毒性を動物を用いて予備的に確認する試験(in vivo試験)非臨床・臨床試験非臨床試験実験動物を用いて、有効性及び安全性を確認する試験臨床試験以下の各相があります。第Ⅰ相臨床試験(PⅠ): 少数健康成人(但しがんの場合は患者)を対象にして、安全性及び薬物動態を確認する試験第Ⅱ相臨床試験(PⅡ): 少数の患者を対象にして、有効性、安全性及び用法・用量を確認する試験第Ⅲ相臨床試験(PⅢ): 多数の患者を対象にして、標準治療との比較により有効性及び安全性を確認する試験製造販売承認の申請・承認新薬承認各国の審査機関による新薬の審査・承認 ⑦ 当社の主要パイプラインについて本書提出日現在、当社が研究開発を進めている主要パイプラインは以下のとおりです。 (ⅰ)シスプラチンミセル(NC-6004)シスプラチンは、その有効性により各領域のがん化学療法の中心的薬剤となっています。その一方でシスプラチンの腎機能障害、神経障害や催吐作用が極めて強いため、がん患者にとって苦痛度が高く、さらに投与の際には長時間にわたる大量の輸液が必要なことから、患者の方々の生活の質(QOL)を著しく低下させています。当社は、シスプラチンが持つこれらの副作用を軽減し、かつ抗腫瘍効果の増強も期待できる新薬を目指し、ミセル化ナノ粒子(MediCelle®システム)を応用した新規化合物シスプラチンミセル(NC-6004)を開発しています。 (ⅱ)エピルビシンミセル(NC-6300)エピルビシンは、乳がん、卵巣がん、胃がんなどの適応症で世界的に普及しているアントラサイクリン系抗がん剤ですが、投与を重ねると心臓疾患を引き起こすので、その使用が制限されています。当社は、その副作用を軽減するために細胞内のpH変化に応答して薬物を効果的に放出するシステムを開発しています。細胞内に薬物が結合したミセル化ナノ粒子素材(ブロックコポリマー)が取り込まれる際に、エンドソームと呼ばれる細胞膜が陥没して形成される小胞に取り込まれると考えられています。エンドソーム内のpHは酸性であることが知られており、このpHの低下により薬物とブロックコポリマーの結合が外れて、薬物が放出される作用機序を利用し、時限的かつ急激に薬物をがん細胞内に放出する効果が期待されます。 (ⅲ)VB-111Vascular Biogenics Ltd.(イスラエル)からライセンスを受けた遺伝子治療薬です。当社のミセル化ナノ粒子製剤は、腫瘍細胞を標的にした治療薬を目指しているのに対し、VB-111は腫瘍血管を標的としてがんを兵糧攻めにするとともに、腫瘍免疫を惹起する効果が期待されます。ミセル化ナノ粒子とは異なるメカニズムによる治療薬をパイプラインに持つことで、がん領域における当社の選択肢が拡がり、当社の将来的な経営基盤強化に資するものと考えております。 (ⅳ)ENT103セオリアファーマ株式会社との共同開発パイプラインです。同社が有する中耳炎を対象疾患とした抗菌点耳薬であり、抗菌活性物質濃度は従来品の10倍程度あり、高い有効性が期待されるとともに、短期間で製造販売承認を取得することも期待されます。 (ⅴ)パクリタキセルミセル(NK105)パクリタキセル(タキソール®)は乳がん、卵巣がん、肺がん、胃がんなどの適応症で世界的に普及している抗がん剤ですが、水に溶けにくいため、製剤化にはアルコールを基にした特殊な溶媒が使用されております。その溶媒による副作用が生じることがあり、投与時に副作用軽減のための補助薬剤(ステロイド剤、抗ヒスタミン剤及び抗潰瘍剤)を投与するなど医療現場での使いにくさがあります。当社はミセル化ナノ粒子技術(NanoCap®システム)を応用することにより、パクリタキセルを封入したミセル化ナノ粒子を開発しました。現在、ライセンスアウト先である日本化薬株式会社において開発が進められております。 (注)「MediCelle®」及び「NanoCap®」は当社の登録商標です。 ⑧ 次世代パイプライン候補について上述の臨床開発段階又は臨床試験計画中の主要パイプラインに続く次世代のパイプライン候補として、以下の研究開発を推進しております。 (ⅰ)ADCM(センサー結合型ミセル)ADCM(Antibody/Drug-Conjugated Micelle)は、アクティブターゲティングを可能とする次世代型プラットフォーム技術で、世界的に開発が活発化している抗体医薬ADC(Antibody Drug Conjugate:抗体薬物複合体)の課題を補う次世代型DDS技術です。標的細胞を狙ったターゲティング療法であるADCMは、がん細胞に現れる特異的な抗原を認識する抗体をミセル化ナノ粒子表面に結合し、標的細胞への選択性を高めることができます。抗体と薬物が結合した従来のミサイル療法より多くの薬物を標的細胞に届けることができるため、高い効果と副作用の軽減が期待されております。 (ⅱ)siRNAミセルsiRNAなどの核酸医薬は血中に投与すると直ちに代謝を受けて血中から速やかに消失し、充分な薬効を期待できず、医薬品として開発する場合は血中での安定化が必要不可欠となっております。当社では、siRNAなどの核酸医薬をミセル化ナノ粒子へ封入する技術で血中での安定化を図ります。また、がんや炎症部位に選択的に薬物を運ぶことで薬効を高めることが期待されます。 用語解説(*1)薬物キャリア薬物を封入するなどして、組織へ送達するためのシステムであり、薬物運搬体とも呼ばれます。当社のミセル化ナノ粒子や、リポソームなどが含まれます。 (*2)高分子ミセル高分子ミセルとは、水に溶けやすい部分と水に溶けにくい部分を持つブロックコポリマーから形成される球状構造体のことです。水にも油にも溶ける両親媒性ブロックコポリマーを水に溶かすと、ある濃度範囲で外側に水に溶けやすい部分、また内側に水に溶けにくい部分を向けて自己会合し、明確な内核と外殻の二重構造を持つ球状構造体を形成します。この球状構造体を高分子ミセルといいます。 (*3)ポリマーポリマーとは、1種類の単位化合物の分子が共有結合して、分子量が1万程度以上の化合物のことです。代表的なポリマーとしてはプラスチック類が挙げられます。医薬品として使われるポリマーは、生体内で分解される性質を有するものが多く存在します。ブロックコポリマーとは、2種類以上の異なるポリマーが結合したものであり、当社のポリマーは、水に溶けやすい親水性部分がポリエチレングリコール、水に溶けにくい疎水性部分がポリアミノ酸からなるブロックコポリマーです。 (*4)ナノメートル(nm)1ナノメートルは10億分の1メートルに相当します。 (*5)QOLQuality Of Lifeの略語で、主に患者の「生活の質、人生の質」を意味する言葉です。医療提供者が患者への治療効果を判定する際に、患者の人生の充実感や満足度から評価しようという考え方のことを言います。 (*6)抗体抗体は、細菌やウイルスなどの抗原(免疫を誘発する物質)の刺激の結果、免疫反応によって生体内に誘導されるタンパク質で、抗原と特異的に結合する活性を持つものの総称です。 (*7)アクティブターゲティングアクティブターゲティングとは、例えば、がん細胞と選択的に結合するセンサーのような働きをする物質をミセル化ナノ粒子の表面に付けることで効率よく、積極的にがん細胞へ薬物を入れたミセル化ナノ粒子を送り届けることをいいます。センサーのような働きをする物質には抗体のような物質を使うことができます。 (*8)siRNAsiRNAとは、標的となる遺伝子の一部と同じ配列を有する短い二本鎖RNAのことで、遺伝子の働きを強力に抑制する特徴を有しています。がんなどの疾患では、疾患に関係する遺伝子が過剰に働くことが原因とされているものが多いため、標的遺伝子を強力に抑制することができるsiRNAは、次世代の核酸医薬として、近年特に期待が高まっています。 (*9)サイトカインサイトカインとは、体の中の細胞から放出される、体の機能を制御するタンパク質の総称です。免疫機能、抗腫瘍作用、造血機能などを制御する機能を有するものが知られています。 (*10)GMPICH(日・米・EUの3極間で、新医薬品の製造承認に際して要求される資料を共通化することによって、医薬品開発の迅速化・効率化を目指す会議)によって協議・合意決定された取り決め事項を「ICHガイドライン」と呼び、日米EUでの医薬品開発におけるガイドラインとしての役目を果たします。ICHガイドラインは以下のような構成となっており、GMPはその一部です。GLP(Good Laboratory Practice)非臨床試験の実施基準医薬品の製造販売承認申請などのために行われる安全性に関する非臨床試験データについて、信頼性を高めるための試験実施上の基準。GCP(Good Clinical Practice)臨床試験の実施基準人を対象とした臨床試験(治験)が倫理的な配慮のもとに適正かつ科学的に実施されることを目的として定められた基準。GMP(Good Manufacturing Practice)製造管理及び品質管理の基準製造所の構造設備や製造管理及び品質管理の全般にわたって、医薬品の製造を行う者が守るべき要件を定めた基準。GPMSP(Good Post Marketing Surveillance Practice)市販後の調査基準市販後調査の適切な実施と調査資料の信頼性の確保を図り、医薬品の適正使用の確保を目的として定められた基準。
FY2018|8,815 文字
3 【事業の内容】当社の主たる事業目的は、日本発のナノテクノロジーを応用したミセル化ナノ粒子をコア技術として、主にがん領域において新しい医薬品を生み出し、社会に貢献することです。 (1) 当社設立の経緯当社は、東京大学の片岡一則教授、東京女子医科大学の岡野光夫教授(現 当社取締役)らが発明したミセル化ナノ粒子技術による医薬品の開発を目的に、代表取締役社長CEO 中冨一郎が、上記の発明者らとともに平成8年6月に設立しました。同教授らは、医薬品を封入したミセル化ナノ粒子が静脈内投与された場合、血中に薬物が長時間循環することができ、効果が持続する薬物キャリア(*1)となり得ることと、がん組織等の病変部へ集積(標的化)することを示しました。当社では、同技術を利用した医薬品の実用化によって、従来の薬物療法より有効性と安全性が高まれば、これまで期待する効果が得られなかったがん等の難治性疾患の薬物療法をより有効にすることができると考えており、今後もミセル化ナノ粒子(高分子ミセル)(*2)技術のパイオニアとして同技術のポテンシャルを最大限に活かした製品開発を目指すとともに、当面は社会的ニーズと貢献度の高い抗がん剤事業に特化したグローバル展開を行っております。 (2) 当社技術の特長当社のコア技術であるミセル化ナノ粒子は、水に溶けやすい性質を示すポリエチレングリコール(PEG)からなる親水性ポリマーと水に溶けにくい性質を示すポリアミノ酸からなる疎水性ポリマーを分子レベルで結合させたブロックコポリマー(*3)から構成されます。ブロックコポリマーを水中で拡散すると、外側が親水性ポリマーで内側が疎水性ポリマーという明確な二層構造を有する20~100ナノメートル(nm)(*4)サイズの球状の集合体であるミセルを形成します。このミセルの疎水性内核部分に薬物や生理活性物質を封入することができます。アミノ酸の種類や構造を化学的に変化させることで様々な化合物に対応が可能です。表面をPEGが覆うことで血液中での安定性を確保します。ミセル化ナノ粒子を応用した医薬品開発の新薬開発上のメリットとしては、ミセル化ナノ粒子内からの薬物放出をコントロールすることで、副作用を引き起こす濃度以下に調整し安全性を高めるアプローチや、投与後の消失の速い薬物などの血中持続性を高めるアプローチ、腫瘍などへの薬物の移行量を増やすことで効果を高めるアプローチなどが期待できます。ミセル化ナノ粒子を利用した抗がん剤開発の患者に期待されるメリットとしては、患者の生存期間の延長やがん関連症状の緩和へつながる治療効果の増大、安全性の向上(=副作用の軽減)、簡便な投与で通院治療が可能になるなどの負担軽減、日帰り治療の可能性などから医療費削減など、患者のQOL(*5)の向上を目指します。 <ミセル化ナノ粒子のサイズ>(当社作成) <ミセル化ナノ粒子の一例> (3) 当社の事業展開①ビジネスモデルとその収益について当社は、ミセル化ナノ粒子技術を特許等の知的財産として所有しており、ナノテクノロジーを応用した製造技術を基盤に創薬の研究開発を進め、事業化を行っています。当社では、有用性(有効性、安全性)を向上させた、医療ニーズに応える新規医薬品の開発、提供を目指しており、パイプラインの研究・開発を進めて製品化に到達するために、事業段階に応じた展開を図っております。当社の現状のビジネスモデルは、ミセル化ナノ粒子技術を基盤とした(ⅰ)自社開発、(ⅱ)共同研究開発、(ⅲ)ライセンスアウト、(ⅳ)ライセンスインの4つの形態をとっております。それぞれの内容は以下の通りです。 (ⅰ)自社開発極力製品付加価値を上げてより大きい収入を確保するため、開発医薬品の上市もしくは臨床開発後期段階まで、可能な限り自社開発を推進する方針であり、ワールドワイドな臨床試験を当社主導により展開し、医薬品としての承認・上市を目指す計画です。ただし、これには多額の費用と人員を要することから、共同開発先やライセンスアウト先の探索を行う一方、薬物候補の選択と合成、製剤、薬効に関する検討を行った後、非臨床試験及び臨床試験を行い、臨床試験で有用性を証明できた段階で下述(ⅲ)のライセンスアウトに移行していくことが適切な選択となります。 (ⅱ)共同研究開発当社のミセル化ナノ粒子製剤技術に興味を示した提携先とミセル製剤化に関する共同研究契約を締結する場合もあります。この場合、提携先が所有する活性成分又は開発可能な活性成分を当社のミセル化ナノ粒子技術に応用し、新規医薬品として開発を進めます。フィージビリティスタディ段階からさらに先に進め、共同研究開発契約やライセンスアウトに進展することを目指しております。 (ⅲ)ライセンスアウト(ⅰ)の自社開発あるいは(ⅱ)の共同研究開発の事業形態においては、研究開発の経過段階で、ライセンスアウトを行います。この場合は、ライセンス契約時点までの知的財産権を含む研究開発成果及び製造権の実施許諾に対する契約一時金(アップフロント)、所定の開発段階に到達したときに支払われるマイルストーン収入、医薬品上市後の販売高に対するロイヤリティ収入や製剤供給収入等が計上されることになります。ライセンス契約による提携は、当社が保有する特許権及びノウハウについての実施許諾、さらに当社が独占的な実施権を有する特許権の再実施許諾がベースになります。ライセンス契約後の研究開発等の経費は提携先が負担することになり、当社の開発コスト及び開発リスクが軽減されます。 (ⅳ)ライセンスイン(ⅲ)のライセンスアウトとは逆に、ミセル化ナノ粒子技術以外の他社が保有する有望な技術やパイプラインを導入し、当社が開発を行います。この場合は、当社が医薬品の承認・販売まで行えば多額の販売高を計上することになりますが、ライセンス元に対して当社がアップフロント、マイルストーン、販売高に対するロイヤリティや製剤供給費用を支払うことになります。また、一定の開発段階や承認後の販売段階で(ⅲ)のライセンスアウトに移行することもあります。ライセンスインについては、開発後期段階の有望な医薬品候補を導入するため一定の費用が発生しますが、初期段階から開発を行うよりも短期間での上市が期待できるため、当社の収益の安定化に寄与するものと考えております。 各ビジネスモデルの収益については、医薬品の上市まで自社開発を行い、自社販売を行った場合、当該製品の販売による収入が計上されることとなりますが、当社においてはその段階まで進んでいるパイプラインはありません。共同研究開発の場合には、提携先からの研究開発に対する製剤技術及びノウハウの開示による対価並びにミセル原薬及び製剤の供給収入が計上されることとなり、当社においては複数のパイプラインで当該収入を得ております。他社にライセンスアウトをする場合は、ライセンス契約時点までの研究開発成果に対する対価及び製剤の供給に対して提携時の契約一時金、所定の開発段階に到達したときに支払われるマイルストーン、開発医薬品上市後の医薬品販売高に対するロイヤリティ等の収入が計上されることになり、当社においては契約一時金や臨床試験開始に伴うマイルストーン収入を得ているパイプラインがあります。当社では、開発医薬品の上市前に上述のような他社からの契約一時金収入、マイルストーン収入及び研究開発用の製剤供給に対する対価を得ることにより、開発医薬品上市前の研究開発費の負担を軽減し、財務面のリスクの極小化を図っております。 ②抗がん剤への特化について抗がん剤の発見と開発の分野は製薬業界の研究開発の中でも最も活発な分野のひとつであり、近年開発が進められている新薬のなかでも、抗がん剤の占める割合は高いものの、未だ製品の改良や新規開発領域の残された分野でもあります。抗がん剤の中には、世界中の医療現場で汎用されながらも、薬物自体及び製剤化のために添加されている溶解剤による副作用が問題となっているものが多数あります。その中から当社は、タキサン系、白金系及びアントラサイクリン系の抗がん剤を選び、ミセル化ナノ粒子医薬品の開発を行っております。また、がん組織への選択性を高めるために、がん標的性のある抗体(*6)などをミセル化ナノ粒子の表面に結合させ、がん細胞への特異的な集積(アクティブターゲティング)(*7)を狙った次世代の抗がん剤を研究・開発しております。最近では、高分子化合物のsiRNA(*8)、あるいは各種サイトカイン(*9)などのタンパク質医薬品の開発を行っており、体内ですみやかに分解されてしまうという体内投与時の欠点を補うミセル製剤の開発を進めています。また、ミセル化ナノ粒子技術を応用した化粧品開発を行い、株式会社アルビオンとの共同開発に基づき、同社より販売中の化粧品原料を供給するとともに、同社との共同開発品であるスカルプトータルケア製品の販売を行っております。 ③研究機関及び提携企業との連携について当社は、大学発の研究成果(シーズ)を医薬品として実用化するために、積極的に大学あるいは国公立研究機関から知的財産権のライセンスイン(独占的実施許諾権の獲得)及びこれら研究機関との共同研究を行っております。一方、上記のライセンスインをした知的財産権や共同研究の成果を提携企業に対してライセンスアウトする場合があります。また、これらの知的財産権や成果に基づき提携企業と共同開発を実施する場合もあります。それらの提携関係は下図の通りです。 (当社作成) ④製造について当社は自社開発医薬品、提携企業との共同開発医薬品にかかわらず、原則として自社が所有、又は独占的実施権を有する特許やノウハウを利用して製品(ミセル原薬及びその中間体、あるいは最終製剤)の製造を自社で行うことを目標としております。しかしながら、自社工場を所有することはその投資の大きさ、固定費の増加等から現状では現実的ではないと考えており、既に設備を保有し、GMP(*10)基準を満たしている医薬品受託企業との間で製品の製造委託契約を交わし、製品製造を委託しております。但し、委託製造といっても、全面的な委託ではなく、当社による原料供給、技術提供及び製造管理を行っており、原材料の受け入れから最終製品の品質保証まで当社が行っております。 ⑤医薬品開発の流れ医薬品を研究・開発する標準的な段階は以下の通りであり、日本製薬工業協会資料を参考に表示しております。この開発段階は日米欧でほぼ共通となっております。 <医薬品開発の流れ> <各事業ステージの内容> ステージ内容基礎試験合成目標とするミセル化ナノ粒子を形成するポリマーの合成、ミセル化ナノ粒子の製造及び製剤化評価試験(in vitro・in vivo)製剤の有効性及び安全性を試験管内などの人工的な条件下で確認する試験(in vitro試験)製剤の有効性及び毒性を動物を用いて予備的に確認する試験(in vivo試験)非臨床・臨床試験非臨床試験実験動物を用いて、有効性及び安全性を確認する試験臨床試験以下の各相があります。第Ⅰ相臨床試験(PⅠ): 少数健康成人(但しがんの場合は患者)を対象にして、安全性及び薬物動態を確認する試験第Ⅱ相臨床試験(PⅡ): 少数の患者を対象にして、有効性、安全性及び用法・用量を確認する試験第Ⅲ相臨床試験(PⅢ): 多数の患者を対象にして、標準治療との比較により有効性及び安全性を確認する試験製造販売承認の申請・承認新薬承認各国の審査機関による新薬の審査・承認 ⑥当社の主要パイプラインについて本書提出日現在、当社が研究開発を進めている主要パイプラインは以下の通りです。 (ⅰ)シスプラチンミセル(NC-6004)シスプラチンは、その有効性により各領域のがん化学療法の中心的薬剤となっています。その一方でシスプラチンの腎機能障害、神経障害や催吐作用が極めて強いため、がん患者にとって苦痛度が高く、さらに投与の際には長時間にわたる大量の輸液が必要なことから、患者の方々の生活の質(QOL)を著しく低下させています。当社は、シスプラチンが持つこれらの副作用を軽減し、かつ抗腫瘍効果の増強も期待できる新薬を目指し、ミセル化ナノ粒子(MediCelle®システム)を応用した新規化合物シスプラチンミセル(NC-6004)を開発しています。 (ⅱ)ダハプラチンミセル(NC-4016)オキサリプラチンは、世界的に大腸がんの標準的薬剤として成功を収めている抗がん剤ですが、「いつも手足がしびれるような感じ」がするというような末梢神経障害が現れることが知られており、治療中止の大きな要因になっています。オキサリプラチンは生体内で抗がん活性のより強いダハプラチンに変換されますが、当社ではこのダハプラチンをミセル化ナノ粒子へ結合・封入(MediCelle®システム)することで、オキサリプラチンが持つ上述の副作用を軽減し、かつ抗腫瘍効果の増強も期待できる新規の抗がん剤が開発できると考えています。 (ⅲ)エピルビシンミセル(NC-6300)エピルビシンは、乳がん、卵巣がん、胃がんなどの適応症で世界的に普及しているアントラサイクリン系抗がん剤ですが、投与を重ねると心臓疾患を引き起こすので、その使用が制限されています。当社は、その副作用を軽減するために細胞内のpH変化に応答して薬物を効果的に放出するシステムを開発しています。細胞内に薬物が結合したミセル化ナノ粒子素材(ブロックコポリマー)が取り込まれる際に、エンドソームと呼ばれる細胞膜が陥没して形成される小胞に取り込まれると考えられています。エンドソーム内のpHは酸性であることが知られており、このpHの低下により薬物とブロックコポリマーの結合が外れて、薬物が放出される作用機序を利用し、時限的かつ急激に薬物をがん細胞内に放出する効果が期待されます。 (ⅳ)VB-111Vascular Biogenics Ltd.(イスラエル)からライセンスを受けた遺伝子治療薬です。当社のミセル化ナノ粒子製剤は、腫瘍細胞を標的にした治療薬を目指しているのに対し、VB-111は腫瘍血管を標的としてがんを兵糧攻めにするとともに、腫瘍免疫を惹起する効果が期待されます。ミセル化ナノ粒子とは異なるメカニズムによる治療薬をパイプラインに持つことで、がん領域における当社の選択肢が拡がり、当社の将来的な経営基盤強化に資するものと考えております。 (ⅴ)パクリタキセルミセル(NK105)パクリタキセル(タキソール®)は乳がん、卵巣がん、肺がん、胃がんなどの適応症で世界的に普及している抗がん剤ですが、水に溶けにくいため、製剤化にはアルコールを基にした特殊な溶媒が使用されております。その溶媒による副作用が生じることがあり、投与時に副作用軽減のための補助薬剤(ステロイド剤、抗ヒスタミン剤及び抗潰瘍剤)を投与するなど医療現場での使いにくさがあります。当社はミセル化ナノ粒子技術(NanoCap®システム)を応用することにより、パクリタキセルを封入したミセル化ナノ粒子を開発しました。 (注)「MediCelle®」及び「NanoCap®」は当社の登録商標です。 ⑦次世代パイプライン候補について上述の臨床開発段階又は臨床試験計画中の主要パイプラインに続く次世代のパイプライン候補として、以下の研究開発を推進しております。 (ⅰ)ADCM(センサー結合型ミセル)ADCM(Antibody/Drug-Conjugated Micelle)は、アクティブターゲティングを可能とする次世代型プラットフォーム技術で、世界的に開発が活発化している抗体医薬ADC(Antibody Drug Conjugate:抗体薬物複合体)の課題を補う次世代型DDS技術です。標的細胞を狙ったターゲティング療法であるADCMは、がん細胞に現れる特異的な抗原を認識する抗体をミセル化ナノ粒子表面に結合し、標的細胞への選択性を高めることができます。抗体と薬物が結合した従来のミサイル療法より多くの薬物を標的細胞に届けることができるため、高い効果と副作用の軽減が期待されております。 (ⅱ) siRNAミセルsiRNAなどの核酸医薬は血中に投与すると直ちに代謝を受けて血中から速やかに消失し、充分な薬効を期待できず、医薬品として開発する場合は血中での安定化が必要不可欠となっております。当社では、siRNAなどの核酸医薬をミセル化ナノ粒子へ封入する技術(NanoFect®システム)で血中での安定化を図ります。また、がんや炎症部位に選択的に薬物を運ぶことで薬効を高めることが期待されます。 (注)「NanoFect®」は当社の登録商標です。 ⑧化粧品事業の展開について当社は、コア技術であるミセル化ナノ粒子技術の医薬品事業以外への応用を目指しており、特に化粧品事業への展開を推進しております。株式会社アルビオンと共同開発した化粧品の原材料を供給しております。また、同社との共同開発製品であるスカルプトータルケア製品を当社が販売しております。 用語解説(*1)薬物キャリア薬物を封入するなどして、組織へ送達するためのシステムであり、薬物運搬体とも呼ばれます。当社のミセル化ナノ粒子や、リポソームなどが含まれます。 (*2)高分子ミセル高分子ミセルとは、水に溶けやすい部分と水に溶けにくい部分を持つブロックコポリマーから形成される球状構造体のことです。水にも油にも溶ける両親媒性ブロックコポリマーを水に溶かすと、ある濃度範囲で外側に水に溶けやすい部分、また内側に水に溶けにくい部分を向けて自己会合し、明確な内核と外殻の二重構造を持つ球状構造体を形成します。この球状構造体を高分子ミセルといいます。 (*3)ポリマーポリマーとは、1種類の単位化合物の分子が共有結合して、分子量が1万程度以上の化合物のことです。代表的なポリマーとしてはプラスチック類が挙げられます。医薬品として使われるポリマーは、生体内で分解される性質を有するものが多く存在します。ブロックコポリマーとは、2種類以上の異なるポリマーが結合したものであり、当社のポリマーは、水に溶けやすい親水性部分がポリエチレングリコール、水に溶けにくい疎水性部分がポリアミノ酸からなるブロックコポリマーです。 (*4)ナノメートル(nm)1ナノメートルは10億分の1メートルに相当します。 (*5)QOLQuality Of Lifeの略語で、主に患者の「生活の質、人生の質」を意味する言葉です。医療提供者が患者への治療効果を判定する際に、患者の人生の充実感や満足度から評価しようという考え方のことを言います。 (*6)抗体抗体は、細菌やウイルスなどの抗原(免疫を誘発する物質)の刺激の結果、免疫反応によって生体内に誘導されるタンパク質で、抗原と特異的に結合する活性を持つものの総称です。 (*7)アクティブターゲティングアクティブターゲティングとは、例えば、がん細胞と選択的に結合するセンサーのような働きをする物質をミセル化ナノ粒子の表面に付けることで効率よく、積極的にがん細胞へ薬物を入れたミセル化ナノ粒子を送り届けることをいいます。センサーのような働きをする物質には抗体のような物質を使うことができます。 (*8)siRNAsiRNAとは、標的となる遺伝子の一部と同じ配列を有する短い二本鎖RNAのことで、遺伝子の働きを強力に抑制する特徴を有しています。がんなどの疾患では、疾患に関係する遺伝子が過剰に働くことが原因とされているものが多いため、標的遺伝子を強力に抑制することができるsiRNAは、次世代の核酸医薬として、近年特に期待が高まっています。 (*9)サイトカインサイトカインとは、体の中の細胞から放出される、体の機能を制御するタンパク質の総称です。免疫機能、抗腫瘍作用、造血機能などを制御する機能を有するものが知られています。 (*10)GMPICH(日・米・EUの3極間で、新医薬品の製造承認に際して要求される資料を共通化することによって、医薬品開発の迅速化・効率化を目指す会議)によって協議・合意決定された取り決め事項を「ICHガイドライン」と呼び、日米EUでの医薬品開発におけるガイドラインとしての役目を果たします。ICHガイドラインは以下のような構成となっており、GMPはその一部です。GLP(Good Laboratory Practice)非臨床試験の実施基準医薬品の製造販売承認申請などのために行われる安全性に関する非臨床試験データについて、信頼性を高めるための試験実施上の基準。GCP(Good Clinical Practice)臨床試験の実施基準人を対象とした臨床試験(治験)が倫理的な配慮のもとに適正かつ科学的に実施されることを目的として定められた基準。GMP(Good Manufacturing Practice)製造管理/品質管理の基準製造所の構造設備や製造管理及び品質管理の全般にわたって、医薬品の製造を行う者が守るべき要件を定めた基準。GPMSP(Good Post Marketing Surveillance Practice)市販後の調査基準市販後調査の適切な実施と調査資料の信頼性の確保を図り、医薬品の適正使用の確保を目的として定められた基準。
FY2017|8,246 文字
3 【事業の内容】当社の主たる事業目的は、日本発のナノテクノロジーを応用したミセル化ナノ粒子をコア技術として、主にがん領域において新しい医薬品を生み出し、社会に貢献することです。 (1) 当社設立の経緯当社は、東京大学の片岡一則教授、東京女子医科大学の岡野光夫教授(現 当社取締役)らが発明したミセル化ナノ粒子技術による医薬品の開発を目的に、代表取締役社長CEO 中冨一郎が、上記の発明者らとともに平成8年6月に設立しました。同教授らは、医薬品を封入したミセル化ナノ粒子が静脈内投与された場合、血中に薬物が長時間循環することができ、効果が持続する薬物キャリア(*1)となり得ることと、がん組織等の病変部へ集積(標的化)することを示しました。当社では、同技術を利用した医薬品の実用化によって、従来の薬物療法より有効性と安全性が高まれば、これまで期待する効果が得られなかったがん等の難治性疾患の薬物療法をより有効にすることができると考えており、 今後もミセル化ナノ粒子(高分子ミセル)(*2)技術のパイオニアとして同技術のポテンシャルを最大限に活かした製品開発を目指すとともに、当面は社会的ニーズと貢献度の高い抗がん剤事業に特化したグローバル展開を行っております。 (2) 当社技術の特長当社のコア技術であるミセル化ナノ粒子は、水に溶けやすい性質を示すポリエチレングリコール(PEG)からなる親水性ポリマーと水に溶けにくい性質を示すポリアミノ酸からなる疎水性ポリマーを分子レベルで結合させたブロックコポリマー(*3)から構成されます。ブロックコポリマーを水中で拡散すると、外側が親水性ポリマーで内側が疎水性ポリマーという明確な二層構造を有する20~100ナノメートル(nm)(*4)サイズの球状の集合体であるミセルを形成します。このミセルの疎水性内核部分に薬物や生理活性物質を封入することができます。アミノ酸の種類や構造を化学的に変化させることで様々な化合物に対応が可能です。表面をPEGが覆うことで血液中での安定性を確保します。ミセル化ナノ粒子を応用した医薬品開発の新薬開発上のメリットとしては、ミセル化ナノ粒子内からの薬物放出をコントロールすることで、副作用を引き起こす濃度以下に調整し安全性を高めるアプローチや、投与後の消失の速い薬物などの血中持続性を高めるアプローチ、腫瘍などへの薬物の移行量を増やすことで効果を高めるアプローチなどが期待できます。ミセル化ナノ粒子を利用した抗がん剤開発の患者に期待されるメリットとしては、患者の生存期間の延長やがん関連症状の緩和へつながる治療効果の増大、安全性の向上(=副作用の軽減)、簡便な投与で通院治療が可能になるなどの負担軽減、日帰り治療の可能性などから医療費削減など、患者のQOL(*5)の向上を目指します。 <ミセル化ナノ粒子のサイズ>(当社作成) <ミセル化ナノ粒子の一例> (3) 当社の事業展開①ビジネスモデルとその収益について当社は、ミセル化ナノ粒子技術を特許等の知的財産として所有しており、ナノテクノロジーを応用した製造技術を基盤に創薬の研究開発を進め、事業化を行っています。当社では、有用性(有効性、安全性)を向上させた、医療ニーズに応える新規医薬品の開発、提供を目指しており、パイプラインの研究・開発を進めて製品化に到達するために、事業段階に応じた展開を図っております。当社の現状のビジネスモデルは、ミセル化ナノ粒子技術を基盤とした(ⅰ)自社開発、(ⅱ)共同研究開発、(ⅲ)ライセンスアウトの3つの形態をとっております。それぞれの内容は以下の通りです。 (ⅰ)自社開発極力製品付加価値を上げてより大きい収入を確保するため、開発医薬品の上市もしくは臨床開発後期段階まで、可能な限り自社開発を推進する方針であり、ワールドワイドな臨床試験を当社主導により展開し、医薬品としての承認・上市を目指す計画です。ただし、これには多額の費用と人員を要することから、共同開発先やライセンスアウト先の探索を行う一方、薬物候補の選択と合成、製剤、薬効に関する検討を行った後、非臨床試験及び臨床試験を行い、臨床試験で有用性を証明できた段階で下述(ⅲ)のライセンスアウトに移行していくことが適切な選択となります。 (ⅱ)共同研究開発当社のミセル化ナノ粒子製剤技術に興味を示した提携先とミセル製剤化に関する共同研究契約を締結する場合もあります。この場合、提携先が所有する活性成分又は開発可能な活性成分を当社のミセル化ナノ粒子技術に応用し、新規医薬品として開発を進めます。フィージビリティスタディ段階からさらに先に進め、共同研究開発契約やライセンスアウトに進展することを目指しております。 (ⅲ)ライセンスアウト(ⅰ)の自社開発あるいは(ⅱ)の共同研究開発の事業形態においては、研究開発の経過段階で、ライセンスアウトを行います。この場合は、ライセンス契約時点までの知的財産権を含む研究開発成果及び製造権の実施許諾に対する契約一時金(アップフロント)、所定の開発段階に到達したときに支払われるマイルストーン収入、医薬品上市後の販売高に対するロイヤリティ収入や製剤供給収入等が計上されることになります。ライセンス契約による提携は、当社が保有する特許権及びノウハウについての実施許諾、さらに当社が独占的な実施権を有する特許権の再実施許諾がベースになります。ライセンス契約後の研究開発等の経費は提携先が負担することになり、当社の開発コスト及び開発リスクが軽減されます。 各ビジネスモデルの収益については、医薬品の上市まで自社開発を行い、自社販売を行った場合、当該製品の販売による収入が計上されることとなりますが、当社においてはその段階まで進んでいるパイプラインはありません。共同研究開発の場合には、提携先からの研究開発に対する製剤技術及びノウハウの開示による対価並びにミセル原薬及び製剤の供給収入が計上されることとなり、当社においては複数のパイプラインで当該収入を得ております。他社にライセンスアウトをする場合は、ライセンス契約時点までの研究開発成果に対する対価及び製剤の供給に対して提携時の契約一時金、所定の開発段階に到達したときに支払われるマイルストーン、開発医薬品上市後の医薬品販売高に対するロイヤリティ等の収入が計上されることになり、当社においては契約一時金や臨床試験開始に伴うマイルストーン収入を得ているパイプラインがあります。当社では、開発医薬品の上市前に上述のような他社からの契約一時金収入、マイルストーン収入及び研究開発用の製剤供給に対する対価を得ることにより、開発医薬品上市前の研究開発費の負担を軽減し、財務面のリスクの極小化を図っております。 ②抗がん剤への特化について抗がん剤の発見と開発の分野は製薬業界の研究開発の中でも最も活発な分野のひとつであり、近年開発が進められている新薬のなかでも、抗がん剤の占める割合は高いものの、未だ製品の改良や新規開発領域の残された分野でもあります。抗がん剤の中には、世界中の医療現場で汎用されながらも、薬物自体及び製剤化のために添加されている溶解剤による副作用が問題となっているものが多数あります。その中から当社は、タキサン系、白金系及びアントラサイクリン系の抗がん剤を選び、ミセル化ナノ粒子医薬品の開発を行っております。また、がん組織への選択性を高めるために、がん標的性のある抗体(*6)などをミセル化ナノ粒子の表面に結合させ、がん細胞への特異的な集積(アクティブターゲティング)(*7)を狙った次世代の抗がん剤を研究・開発しております。最近では、高分子化合物のsiRNA(*8)、あるいは各種サイトカイン(*9)などのタンパク質医薬品の開発を行っており、体内ですみやかに分解されてしまうという体内投与時の欠点を補うミセル製剤の開発を進めています。また、ミセル化ナノ粒子技術を応用した化粧品開発を行い、株式会社アルビオンとの共同開発に基づき、同社より販売中の化粧品原料を供給するとともに、同社との共同開発品である男性用スカルプトータルケア製品の販売を行っております。 ③研究機関及び提携企業との連携について当社は、大学発の研究成果(シーズ)を医薬品として実用化するために、積極的に大学あるいは国公立研究機関から知的財産権のライセンスイン(独占的実施許諾権の獲得)及びこれら研究機関との共同研究を行っております。一方、上記のライセンスインをした知的財産権や共同研究の成果を提携企業に対してライセンスアウトする場合があります。また、これらの知的財産権や成果に基づき提携企業と共同開発を実施する場合もあります。それらの提携関係は下図の通りです。 (当社作成) ④製造について当社は自社開発医薬品、提携企業との共同開発医薬品にかかわらず、原則として自社が所有、又は独占的実施権を有する特許やノウハウを利用して製品(ミセル原薬及びその中間体、あるいは最終製剤)の製造を自社で行うことを目標としております。しかしながら、自社工場を所有することはその投資の大きさ、固定費の増加等から現状では現実的ではないと考えており、既に設備を保有し、GMP(*10)基準を満たしている医薬品受託企業との間で製品の製造委託契約を交わし、製品製造を委託しております。但し、委託製造といっても、全面的な委託ではなく、当社による原料供給、技術提供及び製造管理を行っており、原材料の受け入れから最終製品の品質保証まで当社が行っております。 ⑤医薬品開発の流れ医薬品を研究・開発する標準的な段階は以下の通りであり、日本製薬工業協会資料を参考に表示しております。この開発段階は日米欧でほぼ共通となっております。 <医薬品開発の流れ> <各事業ステージの内容> ステージ内容基礎試験合成目標とするミセル化ナノ粒子を形成するポリマーの合成、ミセル化ナノ粒子の製造及び製剤化評価試験(in vitro・in vivo)製剤の有効性及び安全性を試験管内などの人工的な条件下で確認する試験(in vitro試験)製剤の有効性及び毒性を動物を用いて予備的に確認する試験(in vivo試験)非臨床・臨床試験非臨床試験実験動物を用いて、有効性及び安全性を確認する試験臨床試験以下の各相があります。第Ⅰ相臨床試験(PⅠ): 少数健康成人(但しがんの場合は患者)を対象にして、安全性及び薬物動態を確認する試験第Ⅱ相臨床試験(PⅡ): 少数の患者を対象にして、有効性、安全性及び用法・用量を確認する試験第Ⅲ相臨床試験(PⅢ): 多数の患者を対象にして、標準治療との比較により有効性及び安全性を確認する試験製造販売承認の申請・承認新薬承認各国の審査機関による新薬の審査・承認 ⑥当社の主要パイプラインについて本書提出日現在、当社が研究開発を進めている主要パイプラインは以下のとおりであります。 (ⅰ)シスプラチンミセル(NC-6004)シスプラチンは、その有効性により各領域のがん化学療法の中心的薬剤となっています。その一方でシスプラチンの腎機能障害、神経障害や催吐作用が極めて強いため、がん患者にとって苦痛度が高く、さらに投与の際には長時間にわたる大量の輸液が必要なことから、患者の方々の生活の質(QOL)を著しく低下させています。 当社は、シスプラチンが持つこれらの副作用を軽減し、かつ抗腫瘍効果の増強も期待できる新薬を目指し、ミセル化ナノ粒子(MediCelle®システム)を応用した新規化合物シスプラチンミセル(NC-6004)を開発しています。 (ⅱ)ダハプラチンミセル(NC-4016)オキサリプラチンは、世界的に大腸がんの標準的薬剤として成功を収めている抗がん剤ですが、「いつも手足がしびれるような感じ」がするというような末梢神経障害が現れることが知られており、治療中止の大きな要因になっています。 オキサリプラチンは生体内で抗がん活性のより強いダハプラチンに変換されますが、当社ではこのダハプラチンをミセル化ナノ粒子へ結合・封入(MediCelle®システム)することで、オキサリプラチンが持つ上述の副作用を軽減し、かつ抗腫瘍効果の増強も期待できる新規の抗がん剤が開発できると考えています。 (ⅲ)エピルビシンミセル(NC-6300)エピルビシンは、乳がん、卵巣がん、胃がんなどの適応症で世界的に普及しているアントラサイクリン系抗がん剤ですが、投与を重ねると心臓疾患を引き起こすので、その使用が制限されています。当社は、その副作用を軽減するために細胞内のpH変化に応答して薬物を効果的に放出するシステムを開発しています。細胞内に薬物が結合したミセル化ナノ粒子素材(ブロックコポリマー)が取り込まれる際に、エンドソームと呼ばれる細胞膜が陥没して形成される小胞に取り込まれると考えられています。エンドソーム内のpHは酸性であることが知られており、このpHの低下により薬物とブロックコポリマーの結合が外れて、薬物が放出される作用機序を利用し、時限的かつ急激に薬物をがん細胞内に放出する効果が期待されます。 (ⅳ)パクリタキセルミセル(NK105)パクリタキセル(タキソール®)は乳がん、卵巣がん、肺がん、胃がんなどの適応症で世界的に普及している抗がん剤ですが、水に溶けにくいため、製剤化にはアルコールを基にした特殊な溶媒が使用されております。その溶媒による副作用が生じることがあり、投与時に副作用軽減のための補助薬剤(ステロイド剤、抗ヒスタミン剤及び抗潰瘍剤)を投与するなど医療現場での使いにくさがあります。当社はミセル化ナノ粒子技術(NanoCap®システム)を応用することにより、パクリタキセルを封入したミセル化ナノ粒子を開発しました。 (注)「MediCelle®」及び「NanoCap®」は当社の登録商標です。 ⑦次世代パイプライン候補について上述の臨床開発段階にある主要パイプラインに続く次世代のパイプライン候補として、以下の研究開発を推進しております。 (ⅰ)ADCM(センサー結合型ミセル)ADCM(Antibody/Drug-Conjugated Micelle)は、アクティブターゲティングを可能とする次世代型プラットフォーム技術で、世界的に開発が活発化している抗体医薬ADC(Antibody Drug Conjugate:抗体薬物複合体)の課題を補う次世代型DDS技術です。標的細胞を狙ったターゲティング療法であるADCMは、がん細胞に現れる特異的な抗原を認識する抗体をミセル化ナノ粒子表面に結合し、標的細胞への選択性を高めることができます。抗体と薬物が結合した従来のミサイル療法より多くの薬物を標的細胞に届けることができるため、高い効果と副作用の軽減が期待されております。 (ⅱ) siRNAミセルsiRNAなどの核酸医薬は血中に投与すると直ちに代謝を受けて血中から速やかに消失し、充分な薬効を期待できず、医薬品として開発する場合は血中での安定化が必要不可欠となっております。当社では、siRNAなどの核酸医薬をミセル化ナノ粒子へ封入する技術(NanoFect®システム)で血中での安定化を図ります。また、がんや炎症部位に選択的に薬物を運ぶことで薬効を高めることが期待されます。 (注)「NanoFect®」は当社の登録商標です。 ⑧化粧品事業の展開について当社は、コア技術であるミセル化ナノ粒子技術の医薬品事業以外への応用を目指しており、特に化粧品事業への展開を推進しております。株式会社アルビオンと共同開発した化粧品の原材料を供給しております。また、同社との共同開発製品である男性用スカルプトータルケア製品を当社が販売しております。 用語解説(*1)薬物キャリア薬物を封入するなどして、組織へ送達するためのシステムであり、薬物運搬体とも呼ばれます。当社のミセル化ナノ粒子や、リポソームなどが含まれます。 (*2)高分子ミセル高分子ミセルとは、水に溶けやすい部分と水に溶けにくい部分を持つブロックコポリマーから形成される球状構造体のことです。水にも油にも溶ける両親媒性ブロックコポリマーを水に溶かすと、ある濃度範囲で外側に水に溶けやすい部分、また内側に水に溶けにくい部分を向けて自己会合し、明確な内核と外殻の二重構造を持つ球状構造体を形成します。この球状構造体を高分子ミセルといいます。 (*3)ポリマーポリマーとは、1種類の単位化合物の分子が共有結合して、分子量が1万程度以上の化合物のことです。代表的なポリマーとしてはプラスチック類が挙げられます。医薬品として使われるポリマーは、生体内で分解される性質を有するものが多く存在します。ブロックコポリマーとは、2種類以上の異なるポリマーが結合したものであり、当社のポリマーは、水に溶けやすい親水性部分がポリエチレングリコール、水に溶けにくい疎水性部分がポリアミノ酸からなるブロックコポリマーです。 (*4)ナノメートル(nm)1ナノメートルは10億分の1メートルに相当します。 (*5)QOLQuality Of Lifeの略語で、主に患者の「生活の質、人生の質」を意味する言葉です。医療提供者が患者への治療効果を判定する際に、患者の人生の充実感や満足度から評価しようという考え方のことを言います。 (*6)抗体抗体は、細菌やウイルスなどの抗原(免疫を誘発する物質)の刺激の結果、免疫反応によって生体内に誘導されるタンパク質で、抗原と特異的に結合する活性を持つものの総称です。 (*7)アクティブターゲティングアクティブターゲティングとは、例えば、がん細胞と選択的に結合するセンサーのような働きをする物質をミセル化ナノ粒子の表面に付けることで効率よく、積極的にがん細胞へ薬物を入れたミセル化ナノ粒子を送り届けることをいいます。センサーのような働きをする物質には抗体のような物質を使うことができます。 (*8)siRNAsiRNAとは、標的となる遺伝子の一部と同じ配列を有する短い二本鎖RNAのことで、遺伝子の働きを強力に抑制する特徴を有しています。がんなどの疾患では、疾患に関係する遺伝子が過剰に働くことが原因とされているものが多いため、標的遺伝子を強力に抑制することができるsiRNAは、次世代の核酸医薬として、近年特に期待が高まっています。 (*9)サイトカインサイトカインとは、体の中の細胞から放出される、体の機能を制御するタンパク質の総称です。免疫機能、抗腫瘍作用、造血機能などを制御する機能を有するものが知られています。 (*10)GMPICH(日・米・EUの3極間で、新医薬品の製造承認に際して要求される資料を共通化することによって、医薬品開発の迅速化・効率化を目指す会議)によって協議・合意決定された取り決め事項を「ICHガイドライン」と呼び、日米EUでの医薬品開発におけるガイドラインとしての役目を果たします。ICHガイドラインは以下のような構成となっており、GMPはその一部です。GLP(Good Laboratory Practice)非臨床試験の実施基準医薬品の製造販売承認申請などのために行われる安全性に関する非臨床試験データについて、信頼性を高めるための試験実施上の基準。GCP(Good Clinical Practice)臨床試験の実施基準人を対象とした臨床試験(治験)が倫理的な配慮のもとに適正かつ科学的に実施されることを目的として定められた基準。GMP(Good Manufacturing Practice)製造管理/品質管理の基準製造所の構造設備や製造管理及び品質管理の全般にわたって、医薬品の製造を行う者が守るべき要件を定めた基準。GPMSP(Good Post Marketing Surveillance Practice)市販後の調査基準市販後調査の適切な実施と調査資料の信頼性の確保を図り、医薬品の適正使用の確保を目的として定められた基準。
FY2016|8,288 文字
3 【事業の内容】当社の主たる事業目的は、日本発のナノテクノロジーを応用したミセル化ナノ粒子をコア技術として、主にがん領域において新しい医薬品を生み出し、社会に貢献することです。 (1) 当社設立の経緯当社は、東京大学の片岡一則教授、東京女子医科大学の岡野光夫教授(現 当社取締役)らが発明したミセル化ナノ粒子技術による医薬品の開発を目的に、代表取締役社長CEO 中冨一郎が、上記の発明者らとともに平成8年6月に設立しました。 同教授らは、医薬品を封入したミセル化ナノ粒子が静脈内投与された場合、血中に薬物が長時間循環することができ、効果が持続する薬物キャリア(*1)となり得ることと、がん組織等の病変部へ集積(標的化)することを示しました。 当社では、同技術を利用した医薬品の実用化によって、従来の薬物療法より有効性と安全性が高まれば、これまで期待する効果が得られなかったがん等の難治性疾患の薬物療法をより有効にすることができると考えており、 今後もミセル化ナノ粒子(高分子ミセル)(*2)技術のパイオニアとして同技術のポテンシャルを最大限に活かした製品開発を目指すとともに、当面は社会的ニーズと貢献度の高い抗がん剤事業に特化したグローバル展開を行っております。 (2) 当社技術の特長当社のコア技術であるミセル化ナノ粒子は、水に溶けやすい性質を示すポリエチレングリコール(PEG)からなる親水性ポリマーと水に溶けにくい性質を示すポリアミノ酸からなる疎水性ポリマーを分子レベルで結合させたブロックコポリマー(*3)から構成されます。 ブロックコポリマーを水中で拡散すると、外側が親水性ポリマーで内側が疎水性ポリマーという明確な二層構造を有する20~100ナノメートル(nm)(*4)サイズの球状の集合体であるミセルを形成します。このミセルの疎水性内核部分に薬物や生理活性物質を封入することができます。アミノ酸の種類や構造を化学的に変化させることで様々な化合物に対応が可能です。表面をPEGが覆うことで血液中での安定性を確保します。 ミセル化ナノ粒子を応用した医薬品開発の新薬開発上のメリットとしては、ミセル化ナノ粒子内からの薬物放出をコントロールすることで、副作用を引き起こす濃度以下に調整し安全性を高めるアプローチや、投与後の消失の速い薬物などの血中持続性を高めるアプローチ、腫瘍などへの薬物の移行量を増やすことで効果を高めるアプローチなどが期待できます。 ミセル化ナノ粒子を利用した抗がん剤開発の患者に期待されるメリットとしては、患者の生存期間の延長やがん関連症状の緩和へつながる治療効果の増大、安全性の向上(=副作用の軽減)、簡便な投与で通院治療が可能になるなどの負担軽減、日帰り治療の可能性などから医療費削減など、患者のQOL(*5)の向上を目指します。 <ミセル化ナノ粒子のサイズ>(当社作成) <ミセル化ナノ粒子の一例> (3) 当社の事業展開①ビジネスモデルとその収益について当社は、ミセル化ナノ粒子技術を特許等の知的財産として所有しており、ナノテクノロジーを応用した製造技術を基盤に創薬の研究開発を進め、事業化を行っています。当社では、有用性(有効性、安全性)を向上させた、医療ニーズに応える新規医薬品の開発、提供を目指しており、パイプラインの研究・開発を進めて製品化に到達するために、事業段階に応じた展開を図っております。当社の現状のビジネスモデルは、ミセル化ナノ粒子技術を基盤とした(ⅰ)自社開発、(ⅱ)共同研究開発、(ⅲ)ライセンスアウトの3つの形態をとっております。それぞれの内容は以下の通りです。 (ⅰ)自社開発極力製品付加価値を上げてより大きい収入を確保するため、開発医薬品の上市もしくは臨床開発後期段階まで、可能な限り自社開発を推進する方針であり、ワールドワイドな臨床試験を当社主導により展開し、医薬品としての承認・上市を目指す計画です。ただし、これには多額の費用と人員を要することから、共同開発先やライセンスアウト先の探索を行う一方、薬物候補の選択と合成、製剤、薬効に関する検討を行った後、非臨床試験及び臨床試験を行い、臨床試験で有用性を証明できた段階で下述(ⅲ)のライセンスアウトに移行していくことが適切な選択となります。 (ⅱ)共同研究開発当社のミセル化ナノ粒子製剤技術に興味を示した提携先とミセル製剤化に関する共同研究契約を締結する場合もあります。この場合、提携先又は開発可能な活性成分を当社のミセル化ナノ粒子技術に応用し、新規医薬品として開発を進めます。フィージビリティスタディ段階からさらに先に進め、共同研究開発契約やライセンスアウトに進展することを目指しております。 (ⅲ)ライセンスアウト(ⅰ)の自社開発あるいは(ⅱ)の共同研究開発の事業形態においては、研究開発の経過段階で、ライセンスアウトを行います。この場合は、ライセンス契約時点までの知的財産権を含む研究開発成果及び製造権の実施許諾に対する契約一時金(アップフロント)、所定の開発段階に到達したときに支払われるマイルストーン収入、医薬品上市後の販売高に対するロイヤリティ収入や製剤供給収入等が計上されることになります。ライセンス契約による提携は、当社が保有する特許権及びノウハウについての実施許諾、さらに当社が独占的な実施権を有する特許権の再実施許諾がベースになります。ライセンス契約後の研究開発等の経費は提携先が負担することになり、当社の開発コスト及び開発リスクが軽減されます。 各ビジネスモデルの収益については、医薬品の上市まで自社開発を行い、自社販売を行った場合、当該製品の販売による収入が計上されることとなりますが、当社においてはその段階まで進んでいるパイプラインはありません。共同研究開発の場合には、提携先からの研究開発に対する製剤技術及びノウハウの開示による対価並びにミセル原薬及び製剤の供給収入が計上されることとなり、当社においては複数のパイプラインで当該収入を得ております。他社にライセンスアウトをする場合は、ライセンス契約時点までの研究開発成果に対する対価及び製剤の供給に対して提携時の契約一時金、所定の開発段階に到達したときに支払われるマイルストーン、開発医薬品上市後の医薬品販売高に対するロイヤリティ等の収入が計上されることになり、当社においては契約一時金や臨床試験開始に伴うマイルストーン収入を得ているパイプラインがあります。当社では、開発医薬品の上市前に上述のような他社からの契約一時金収入、マイルストーン収入及び研究開発用の製剤供給に対する対価を得ることにより、開発医薬品上市前の研究開発費の負担を軽減し、財務面のリスクの極小化を図っております。 ②抗がん剤への特化について抗がん剤の発見と開発の分野は製薬業界の研究開発の中でも最も活発な分野のひとつであり、近年開発が進められている新薬のなかでも、抗がん剤の占める割合は高いものの、未だ製品の改良や新規開発領域の残された分野でもあります。抗がん剤の中には、世界中の医療現場で汎用されながらも、薬物自体及び製剤化のために添加されている溶解剤による副作用が問題となっているものが多数あります。その中から当社は、タキサン系、白金系及びアントラサイクリン系の抗がん剤を選び、ミセル化ナノ粒子医薬品の開発を行っております。また、がん組織への選択性を高めるために、がん標的性のある抗体(*6)などをミセル化ナノ粒子の表面に結合させ、がん細胞への特異的な集積(アクティブターゲティング)(*7)を狙った次世代の抗がん剤を研究・開発しております。最近では、高分子化合物のsiRNA(*8)、あるいは各種サイトカイン(*9)などのタンパク質医薬品の開発を行っており、体内ですみやかに分解されてしまうという体内投与時の欠点を補うミセル製剤の開発を進めています。また、ミセル化ナノ粒子技術を応用した化粧品開発を行い、自社販売を経て、アルビオン社との共同開発に基づき、同社より新規化粧品の販売を行っております。 ③研究機関及び提携企業との連携について当社は、大学発の研究成果(シーズ)を医薬品として実用化するために、積極的に大学あるいは国公立研究機関から知的財産権のライセンスイン(独占的実施許諾権の獲得)及びこれら研究機関との共同研究を行っております。一方、上記のライセンスインをした知的財産権や共同研究の成果を提携企業に対してライセンスアウトする場合があります。また、これらの知的財産権や成果に基づき提携企業と共同開発を実施する場合もあります。それらの提携関係は下図の通りです。 (当社作成) ④製造について当社は自社開発医薬品、提携企業との共同開発医薬品にかかわらず、原則として自社が所有、又は独占的実施権を有する特許やノウハウを利用して製品(ミセル原薬及びその中間体、あるいは最終製剤)の製造を自社で行うことを目標としております。しかしながら、自社工場を所有することはその投資の大きさ、固定費の増加等から現状では現実的ではないと考えており、既に設備を保有し、GMP(*10)基準を満たしている医薬品受託企業との間で製品の製造委託契約を交わし、製品製造を委託しております。但し、委託製造といっても、全面的な委託ではなく、当社による原料供給、技術提供及び製造管理を行っており、原材料の受け入れから最終製品の品質保証まで当社が行っております。 ⑤医薬品開発の流れ医薬品を研究・開発する標準的な段階は以下の通りであり、日本製薬工業協会資料を参考に表示しております。この開発段階は日米欧でほぼ共通となっております。 <医薬品開発の流れ> <各事業ステージの内容> ステージ内容基礎試験合成目標とするミセル化ナノ粒子を形成するポリマーの合成、ミセル化ナノ粒子の製造及び製剤化評価試験(in vitro・in vivo)製剤の有効性及び安全性を試験管内などの人工的な条件下で確認する試験(in vitro試験)製剤の有効性及び毒性を動物を用いて予備的に確認する試験(in vivo試験)非臨床・臨床試験非臨床試験実験動物を用いて、有効性及び安全性を確認する試験臨床試験以下の各相があります。第Ⅰ相臨床試験(PⅠ): 少数健康成人(但しがんの場合は患者)を対象にして、安全性及び薬物動態を確認する試験第Ⅱ相臨床試験(PⅡ): 少数の患者を対象にして、有効性、安全性及び用法・用量を確認する試験第Ⅲ相臨床試験(PⅢ): 多数の患者を対象にして、標準治療との比較により有効性及び安全性を確認する試験製造販売承認の申請・承認新薬承認各国の審査機関による新薬の審査・承認 ⑥当社の主要パイプラインについて本書提出日現在、当社が研究開発を進めている主要パイプラインは以下のとおりであります。 (ⅰ)ナノプラチン®(NC-6004)シスプラチンは、その有効性により各領域のがん化学療法の中心的薬剤となっています。その一方でシスプラチンの腎機能障害、神経障害や催吐作用が極めて強いため、がん患者にとって苦痛度が高く、さらに投与の際には長時間にわたる大量の輸液が必要なことから、患者の方々の生活の質(QOL)を著しく低下させています。 当社は、シスプラチンが持つこれらの副作用を軽減し、かつ抗腫瘍効果の増強も期待できる新薬を目指し、ミセル化ナノ粒子(MediCelle®システム)を応用した新規化合物ナノプラチン®(NC-6004、シスプラチン誘導体ミセル)を開発しています。 (ⅱ)ダハプラチン誘導体ミセル(NC-4016)オキサリプラチンは、世界的に大腸がんの標準的薬剤として成功を収めている抗がん剤ですが、「いつも手足がしびれるような感じ」がするというような末梢神経障害が現れることが知られており、治療中止の大きな要因になっています。 オキサリプラチンは生体内で抗がん活性のより強いダハプラチンに変換されますが、当社ではこのダハプラチンをミセル化ナノ粒子へ結合・封入(MediCelle®システム)することで、オキサリプラチンが持つ上述の副作用を軽減し、かつ抗腫瘍効果の増強も期待できる新規の抗がん剤が開発できると考えています。 (ⅲ)エピルビシンミセル(NC-6300/K-912)エピルビシンは、乳がん、卵巣がん、胃がんなどの適応症で世界的に普及しているアントラサイクリン系抗がん剤ですが、投与を重ねると心臓疾患を引き起こすので、その使用が制限されています。当社は、その副作用を軽減するために細胞内のpH変化に応答して薬物を効果的に放出するシステムを開発しています。細胞内に薬物が結合したミセル化ナノ粒子素材(ブロックコポリマー)が取り込まれる際に、エンドソームと呼ばれる細胞膜が陥没して形成される小胞に取り込まれると考えられています。エンドソーム内のpHは酸性であることが知られており、このpHの低下により薬物とブロックコポリマーの結合が外れて、薬物が放出される作用機序を利用し、時限的かつ急激に薬物をがん細胞内に放出する効果が期待されます。 (ⅳ)パクリタキセルミセル(NK105)パクリタキセル(タキソール®)は乳がん、卵巣がん、肺がん、胃がんなどの適応症で世界的に普及している抗がん剤ですが、水に溶けにくいため、製剤化にはアルコールを基にした特殊な溶媒が使用されております。その溶媒による副作用が生じることがあり、投与時に副作用軽減のための補助薬剤(ステロイド剤、抗ヒスタミン剤及び抗潰瘍剤)を投与するなど医療現場での使いにくさがあります。当社はミセル化ナノ粒子技術(NanoCap®システム)を応用することにより、パクリタキセルを封入したミセル化ナノ粒子を開発しました。 (注)「ナノプラチン®」、「MediCelle®」及び「NanoCap®」は当社の登録商標です。 ⑦次世代パイプライン候補について上述の臨床開発段階にある主要パイプラインに続く次世代のパイプライン候補として、以下の研究開発を推進しております。 (ⅰ)ADCM(センサー結合型ミセル)ADCM(Antibody/Drug-Conjugated Micelle)は、アクティブターゲティングを可能とする次世代型プラットフォーム技術で、世界的に開発が活発化している抗体医薬ADC(Antibody Drug Conjugate:抗体薬物複合体)の課題を補う次世代型DDS技術です。標的細胞を狙ったターゲティング療法であるADCMは、がん細胞に現れる特異的な抗原を認識する抗体をミセル化ナノ粒子表面に結合し、標的細胞への選択性を高めることができます。抗体と薬物が結合した従来のミサイル療法より多くの薬物を標的細胞に届けることができるため、高い効果と副作用の軽減が期待されております。 (ⅱ) siRNAミセルsiRNAなどの核酸医薬は血中に投与すると直ちに代謝を受けて血中から速やかに消失し、充分な薬効を期待できず、医薬品として開発する場合は血中での安定化が必要不可欠となっております。当社では、siRNAなどの核酸医薬をミセル化ナノ粒子へ封入する技術(NanoFect®システム)で血中での安定化を図ります。また、がんや炎症部位に選択的に薬物を運ぶことで薬効を高めることが期待されます。 ⑧化粧品事業の展開について当社は、コア技術であるミセル化ナノ粒子技術の医薬品事業以外への応用を目指しており、特に化粧品事業への展開を推進しております。アルビオン社と共同開発した美容液「エクラフチュール」は平成25年10月より販売を開始しており、その後も、同社との共同研究を継続し、美容液や育毛剤など新しい製品の事業化を目指して研究開発を行っております。また、化粧品事業の進展を踏まえ、平成27年1月より化粧品事業部を創設し、組織及び人材面での拡充を図っております。 用語解説(*1)薬物キャリア薬物を封入するなどして、組織へ送達するためのシステムであり、薬物運搬体とも呼ばれます。当社のミセル化ナノ粒子や、リポソームなどが含まれます。 (*2)高分子ミセル高分子ミセルとは、水に溶けやすい部分と水に溶けにくい部分を持つブロックコポリマーから形成される球状構造体のことです。水にも油にも溶ける両親媒性ブロックコポリマーを水に溶かすと、ある濃度範囲で外側に水に溶けやすい部分、また内側に水に溶けにくい部分を向けて自己会合し、明確な内核と外殻の二重構造を持つ球状構造体を形成します。この球状構造体を高分子ミセルといいます。 (*3)ポリマーポリマーとは、1種類の単位化合物の分子が共有結合して、分子量が1万程度以上の化合物のことです。代表的なポリマーとしてはプラスチック類が挙げられます。医薬品として使われるポリマーは、生体内で分解される性質を有するものが多く存在します。ブロックコポリマーとは、2種類以上の異なるポリマーが結合したものであり、当社のポリマーは、水に溶けやすい親水性部分がポリエチレングリコール、水に溶けにくい疎水性部分がポリアミノ酸からなるブロックコポリマーです。 (*4)ナノメートル(nm)1ナノメートルは10億分の1メートルに相当します。 (*5)QOLQuality Of Lifeの略語で、主に患者の「生活の質、人生の質」を意味する言葉です。医療提供者が患者への治療効果を判定する際に、患者の人生の充実感や満足度から評価しようという考え方のことを言います。 (*6)抗体抗体は、細菌やウイルスなどの抗原(免疫を誘発する物質)の刺激の結果、免疫反応によって生体内に誘導されるタンパク質で、抗原と特異的に結合する活性を持つものの総称です。 (*7)アクティブターゲティングアクティブターゲティングとは、例えば、がん細胞と選択的に結合するセンサーのような働きをする物質をミセル化ナノ粒子の表面に付けることで効率よく、積極的にがん細胞へ薬物を入れたミセル化ナノ粒子を送り届けることをいいます。センサーのような働きをする物質には抗体のような物質を使うことができます。 (*8)siRNAsiRNAとは、標的となる遺伝子の一部と同じ配列を有する短い二本鎖RNAのことで、遺伝子の働きを強力に抑制する特徴を有しています。がんなどの疾患では、疾患に関係する遺伝子が過剰に働くことが原因とされているものが多いため、標的遺伝子を強力に抑制することができるsiRNAは、次世代の核酸医薬として、近年特に期待が高まっています。 (*9)サイトカインサイトカインとは、体の中の細胞から放出される、体の機能を制御するタンパク質の総称です。免疫機能、抗腫瘍作用、造血機能などを制御する機能を有するものが知られています。 (*10)GMPICH(日・米・EUの3極間で、新医薬品の製造承認に際して要求される資料を共通化することによって、医薬品開発の迅速化・効率化を目指す会議)によって協議・合意決定された取り決め事項を「ICHガイドライン」と呼び、日米EUでの医薬品開発におけるガイドラインとしての役目を果たします。ICHガイドラインは以下のような構成となっており、GMPはその一部です。GLP(Good Laboratory Practice)非臨床試験の実施基準医薬品の製造販売承認申請などのために行われる安全性に関する非臨床試験データについて、信頼性を高めるための試験実施上の基準。GCP(Good Clinical Practice)臨床試験の実施基準人を対象とした臨床試験(治験)が倫理的な配慮のもとに適正かつ科学的に実施されることを目的として定められた基準。GMP(Good Manufacturing Practice)製造管理/品質管理の基準製造所の構造設備や製造管理及び品質管理の全般にわたって、医薬品の製造を行う者が守るべき要件を定めた基準。GPMSP(Good Post Marketing Surveillance Practice)市販後の調査基準市販後調査の適切な実施と調査資料の信頼性の確保を図り、医薬品の適正使用の確保を目的として定められた基準。
事業の優位性(モート)
事業の質(有価証券報告書から抽出)
数字に出ない事業の性質を、同じ物差しで全銘柄そろえています。FY2025時点の記載が出典です。
| 価格決定力値上げを通せるか。強いほどインフレ耐性が高い | 中程度 独自のDDS技術やLNPなどの多様なDDS選択オプションにより高品質なアセットを創出。 |
|---|---|
| 参入障壁新規参入を阻む要因の種類 | 技術 ミセル化ナノ粒子技術、DDS技術、mRNA医薬の研究開発経験と実績、豊富なネットワーク。 |
| 顧客集中度特定顧客への依存度。高いほど失注リスクが大きい | 高い(依存) |
| 景気敏感度業績が景気循環にどれだけ振られるか | ディフェンシブ |
| 設備投資の性質稼いだ現金がどれだけ設備維持に消えるか | 軽い(資本不要) |
| 規制依存規制は障壁にも足枷にもなる | 高い |
会社が挙げる主要リスク:新規パイプライン創製に関するリスク / 非臨床ステージ以降のパイプラインに関するリスク / 研究開発資金の確保に関するリスク
同じ条件で他の銘柄を探す → 定性スクリーニング(価格決定力・参入障壁・景気敏感度などで絞り込めます)
モート総合 2 / 25 5類型それぞれの強度と、そう判定した根拠
無形資産☆☆☆☆☆
根拠:弱いブランド・特許・許認可
財務サマリに時系列データが未収録であり、ブランド、特許、規制ライセンス、独占的IPに関する具体的な情報が得られないため、無形資産による競争優位性は現時点では評価できない。
スイッチングコスト★☆☆☆☆
根拠:弱い乗り換えの手間・コスト
医薬品は一般的に開発・承認に長い年月と巨額の費用がかかるため、一度確立された製品や治療法からの乗り換えには一定のスイッチングコストが伴う可能性がある。しかし、具体的な顧客データや契約情報がないため、その度合いは低いと判断される。
ネットワーク効果☆☆☆☆☆
根拠:弱い利用者増が価値を生む
医薬品事業において、ユーザー数の増加が直接的に製品価値を高めるネットワーク効果は一般的に見られない。特定のプラットフォームやサービスを提供する事業ではないため、該当しない。
コスト優位☆☆☆☆☆
根拠:弱い同じ物を安く作れる
医薬品業界は研究開発費や製造コストが高額であり、構造的なコスト優位性を確立することは困難である。公開情報からは、同社が他社より著しく低コストで製品を生産・提供できる根拠は見当たらない。
規模の経済★☆☆☆☆
根拠:弱い規模が参入障壁になる
医薬品業界は研究開発、製造、販売に多額の投資が必要であり、一定の規模がないと効率的な事業運営が難しい。しかし、現時点での市場シェアや売上規模に関する情報が不足しており、効率規模による優位性は限定的と推測される。
- mRNA医薬の先行経験国内企業に先駆けてmRNA医薬の研究開発に取り組んできた経験と実績があり、この分野における豊富なノウハウとネットワークを築いています。COVID-19ワクチンで注目されたmRNA医薬は、感染症以外にも治療薬としての大きな可能性を秘めており、この先行者としての強みは大きな競争優位性となります。
- 独自のDDS技術と知見創業以来培ってきたミセル化ナノ粒子技術や、低分子抗がん剤、核酸医薬開発におけるDDS(ドラッグデリバリーシステム)技術の知見が強みです。医薬品を効率的に病変部に届け、副作用を低減させるDDSは、特に核酸医薬において不可欠であり、多様なDDS選択肢を持つことで高品質なアセット創出に貢献します。
- 豊富なパイプラインと提携複数のRNA医薬パイプラインを同時並行でインキュベート(育成)しており、変形性膝関節症治療薬(RUNX1 mRNA)や脳腫瘍治療薬(TUG1 ASO)など、多様な疾患領域をカバーしています。また、千寿製薬や花王、名古屋大学、金沢大学といった企業やアカデミアとの共同研究により、新規パイプラインの拡充と技術力の強化を図っています。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
経営戦略
有価証券報告書「経営方針・対処すべき課題・MD&A」の全文を見る(年度切替)
経営方針・経営戦略
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】(1)経営方針当社の主たる事業は、核酸医薬開発及びDDS技術の知見を活かしつつ、他企業との協業等を活用することで効率的に複数の核酸医薬の開発候補アセットの創出を進め、後期臨床開発ステージに入る時点までに、製薬企業にライセンスアウトを行うことです。RNA医薬の研究開発経験と実績及びこの間に築いた豊富なネットワークを生かし、複数のパイプラインを同時並行でインキュベートし “mRNA for Health”のグローバルリーダーとなることを目指します。 (2)目標とする経営指標当社は、非臨床試験や初期臨床試験を実施して得られた開発候補品のアセットを製薬会社等に導出し、市場に高品質のmRNA新薬を効率的にもたらすmRNA創薬ビジネスを2023年1月から開始しておりますが、現時点では継続的な事業利益を計上する段階には至っておりません。当社は、RNA創薬を目指すアカデミアやバイオベンチャー、企業との共同研究を推進し、当社のRNA創薬にかかるノウハウを活かしIPを創出、非臨床試験や初期臨床試験まで実施し、RMA医薬候補のアセットとして、大規模な臨床開発が実施可能な大手製薬企業等に導出(ライセンスアウト)します。アセットの導出時に、マイルストーンを受領し、また開発に成功し販売に至った場合には、ロイヤリティを受領します。これに加え、当社の核酸医薬に関する研究開発経験を活かし、開発候補に至らずとも収益が得られる受託型事業にも取り組んでおり、収益の増加を目指しております。開発候補品の選定については、補助金事業の利用や企業との共同開発などにより自社の開発コストを削減しながら、製薬企業のニーズに沿ったアセットの選択により導出確率を高めたIP取得の積み上げを図り、複数のアセットを継続的に導出し、早期に継続的な黒字化を実現することを中長期的な目標としております。 (3)経営環境及び対処すべき課題当社は、2023年1月にmRNA医薬の開発候補及び知的財産を創製し、大きな資金及びリソースの投入が必要な後期臨床開発を開始する前のステージで製薬企業へ導出することにより収益を得るという事業モデルに転換し2年が経過しました。今後の当社の成長戦略として、以下の3項目を重点課題として取り組んでまいります。 ①臨床試験の加速化既に臨床試験入りしているTUG1 ASOの治験を加速化していち早くPOCを確立し、製薬企業との導出或いはアライアンスを進めてまいります。オーストラリアでの治験開始が間近に迫っているRUNX1 mRNAに関しても臨床データを早急に取得し、POC確立および製薬企業とのアライアンスの道を探ってまいります。 ②mRNAシーズの探索自社における探索に加え、企業、バイオベンチャー、及びアカデミアからシーズを、共同研究などを通じ導入し、mRNA医薬のパイプラインの拡充を図ります。これには、mRNAエンコード抗体、ゲノム編集、in vivo /ex vivo、CAR-T療法などmRNAの適応が見込まれる新規のプロジェクトが含まれます。 ③DDS技術の見直しPRDM14、TUG1 ASOおよびRUNX1 mRNAの臨床および非臨床試験データが蓄積し、ナノキャリア時代から積み上げて来たポリマーDDS技術の核酸創薬への応用が急速に進むと共にGMP製造のパートナー候補との交渉も進んでおり、プラットフォーム技術としての価値が向上しております。今後は疾患およびmodalityに応じて、ポリマーとLNPを適切に選択し、パイプラインへの応用或いはプラットフォーム技術としてのアライアンスを検討してまいります。
対処すべき課題
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】(1)経営方針当社の主たる事業は、核酸医薬開発及びDDS技術の知見を活かしつつ、他企業との協業等を活用することで効率的に複数の核酸医薬の開発候補アセットの創出を進め、後期臨床開発ステージに入る時点までに、製薬企業にライセンスアウトを行うことです。RNA医薬の研究開発経験と実績及びこの間に築いた豊富なネットワークを生かし、複数のパイプラインを同時並行でインキュベートし “mRNA for Health”のグローバルリーダーとなることを目指します。 (2)目標とする経営指標当社は、非臨床試験や初期臨床試験を実施して得られた開発候補品のアセットを製薬会社等に導出し、市場に高品質のmRNA新薬を効率的にもたらすmRNA創薬ビジネスを2023年1月から開始しておりますが、現時点では継続的な事業利益を計上する段階には至っておりません。当社は、RNA創薬を目指すアカデミアやバイオベンチャー、企業との共同研究を推進し、当社のRNA創薬にかかるノウハウを活かしIPを創出、非臨床試験や初期臨床試験まで実施し、RMA医薬候補のアセットとして、大規模な臨床開発が実施可能な大手製薬企業等に導出(ライセンスアウト)します。アセットの導出時に、マイルストーンを受領し、また開発に成功し販売に至った場合には、ロイヤリティを受領します。これに加え、当社の核酸医薬に関する研究開発経験を活かし、開発候補に至らずとも収益が得られる受託型事業にも取り組んでおり、収益の増加を目指しております。開発候補品の選定については、補助金事業の利用や企業との共同開発などにより自社の開発コストを削減しながら、製薬企業のニーズに沿ったアセットの選択により導出確率を高めたIP取得の積み上げを図り、複数のアセットを継続的に導出し、早期に継続的な黒字化を実現することを中長期的な目標としております。 (3)経営環境及び対処すべき課題当社は、2023年1月にmRNA医薬の開発候補及び知的財産を創製し、大きな資金及びリソースの投入が必要な後期臨床開発を開始する前のステージで製薬企業へ導出することにより収益を得るという事業モデルに転換し2年が経過しました。今後の当社の成長戦略として、以下の3項目を重点課題として取り組んでまいります。 ①臨床試験の加速化既に臨床試験入りしているTUG1 ASOの治験を加速化していち早くPOCを確立し、製薬企業との導出或いはアライアンスを進めてまいります。オーストラリアでの治験開始が間近に迫っているRUNX1 mRNAに関しても臨床データを早急に取得し、POC確立および製薬企業とのアライアンスの道を探ってまいります。 ②mRNAシーズの探索自社における探索に加え、企業、バイオベンチャー、及びアカデミアからシーズを、共同研究などを通じ導入し、mRNA医薬のパイプラインの拡充を図ります。これには、mRNAエンコード抗体、ゲノム編集、in vivo /ex vivo、CAR-T療法などmRNAの適応が見込まれる新規のプロジェクトが含まれます。 ③DDS技術の見直しPRDM14、TUG1 ASOおよびRUNX1 mRNAの臨床および非臨床試験データが蓄積し、ナノキャリア時代から積み上げて来たポリマーDDS技術の核酸創薬への応用が急速に進むと共にGMP製造のパートナー候補との交渉も進んでおり、プラットフォーム技術としての価値が向上しております。今後は疾患およびmodalityに応じて、ポリマーとLNPを適切に選択し、パイプラインへの応用或いはプラットフォーム技術としてのアライアンスを検討してまいります。
MD&A(経営者による分析)
4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】(業績等の概要)(1)業績当連結会計年度における我が国経済は、雇用や所得環境が改善するなど、景気は緩やかな回復傾向にあります。一方、エネルギー価格や物価の上昇、米国新政権による貿易政策の変更による経済変調など、依然として先行き不透明な状況が続いております。このような経済環境のもと、当社は、既存パイプラインの研究開発推進、初期段階パイプラインの推進及び新規課題の探索に加え、顧客からのニーズに応える形でmRNA医薬品の創製に関する受託研究などを進めてまいりました。当社臨床開発パイプラインであるTUG1 ASOに関しては、膠芽腫を対象とする医師主導第Ⅰ相治験が予想を大きく超えるスピードで症例登録が順調に進み、計画されている4段階の増量コホート中、第3段階の用量まで到達しました。本治験において、これまでのところ重篤な副作用は確認されておらず、2025年度内には症例の登録が完了出来る見込みです。治験の推進と並行して、2025年2月にTIDES ASIA 2025、また4月にThe 4th China Nucleic Acid Drug and Neotype Vaccine Industrial Conferenceにおいて、TUG1 ASOおよびDDSとして使用している当社独自のYBCポリマーについて紹介するなど、製薬企業への導出活動も進めております。引き続き、積極的に国際的なイベントへの参加を予定しており、導出を実現するべく活動を行ってまいります。なお、TUG1 ASOで用いている当社独自のDDS技術YBCポリマーは、先行するPRDM14 siRNAの医師主導治験でも使用しており、これらの成績から本技術の安全性および高い血中滞留性が既に検証されており、プラットフォームDDS技術としての価値が向上しています。RUNX1 mRNAに関しては、当社子会社の株式会社PrimRNAが医師主導第Ⅰ相治験の国内実施に向けて準備を進めてまいりました。しかしながら、規制当局との交渉が長引いたため、AMED(国立研究開発法人日本医療研究開発機構)と研究開発計画の変更について協議し、企業治験としてオーストラリアで実施することに承認を得ました。これにより2025年6月頃には治験が開始できると見込んでおります。花王株式会社との共同研究で進めているアレルギー疾患を対象とする免疫寛容ワクチンに関しては、一番手のプロジェクトについて開発候補品の選定に向けた薬理研究を進めております。動物試験施設の変更に伴うスケジュールの遅れを取り戻すべく花王株式会社と協力してプロジェクトの加速を図り、2025年中に、最新の競合状況、花王株式会社が独自開発した免疫制御技術の本疾患領域での優位性などを総合的に評価し、導出候補品としての採否を決定する予定です。mRNA医薬の研究開発については、RUNX1 mRNAの第Ⅰ相治験開始が視野に入ったなどの状況から、パイプラインの拡充についての取り組みを進めております。この中には、mRNAエンコード抗体、ゲノム編集、in vivo/ex vivo CAR-T療法などmRNAの適応が見込まれるプロジェクトが含まれています。一方で、事業推進の新たなエンジンとして、顧客からのニーズに応える形で、mRNA医薬品の創製に関する受託研究型ビジネスを開始しました。既に、顧客が保有するmRNA医薬品候補の研究開発支援を実施し、収益を計上しております。また、当社が保有する抗体およびその産生株について、64Cu で標識した本抗体を用いて、膵臓がんを対象とした診断薬および治療薬の開発を推進するリンクメッド株式会社に譲渡することとし、2025年2月、一時金の受領および診断薬の販売に至った場合に、総額数億円程度のロイヤリティの受領が可能となる契約を締結いたしました。当社の創薬パイプラインの状況については、第一部「企業情報」第1「企業の概況」3「事業の内容」をご参照ください。 (受託研究)顧客からのニーズに応える形で、mRNA医薬品の創製に関する受託研究型ビジネスを開始しております。Crafton Biotechnology社および神戸MAB組合との協業で進めているSCARDA事業“PureCap 法を基盤とした高純度 mRNA国内生産体制の構築と送達キャリアフリーの安全なmRNAワクチンの臨床開発”に関しては、分担機関として非臨床試験を担当しております。今後も、企業からの受託研究事業およびAMED等の公的資金を活用する事業に参画する形で受託的研究事業を積極的に展開してまいります。 (販売事業の状況)株式会社アルビオンが販売する美容液エクラフチュール及び薬用美白美容液エクシア ブライトニング イマキュレート セラム用の当社技術を応用した原材料を供給しております。コムレクス®耳科用液1.5%(開発コードENT103)は、2023年6月からセオリアファーマ株式会社により販売されております。 以上の結果、当連結会計年度の売上高は、化粧品材料供給収入及び受託研究収入等により108,516千円(前連結会計年度比19.9%減)、営業損失は755,349千円(前連結会計年度営業損失864,415千円)、経常損失は687,546千円(前連結会計年度経常損失749,847千円)、親会社株主に帰属する当期純損失は835,380千円(前連結会計年度親会社株主に帰属する当期純損失780,002千円)となりました。なお、当連結会計年度におきまして、以下の営業外収益及び営業外費用並びに特別損失を計上しております。・研究開発等に係る補助金収入41,954千円を営業外収益に計上しております。・外国為替相場の変動による為替差損4,794千円を営業外費用に計上しております。これは主に、当社の保有する外貨建預金の評価替えにより発生したものであります。・投資有価証券評価損144,000千円を特別損失に計上しております。これは、当社の保有する投資有価証券の時価の著しい下落に伴う減損処理により発生したものであります。 (2)キャッシュ・フローの状況当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ378,061千円減少し、1,197,201千円となりました。当連結会計年度のキャッシュ・フローの概況は以下のとおりです。 (営業活動によるキャッシュ・フロー)営業活動によるキャッシュ・フローは、401,617千円の支出(前連結会計年度は585,081千円の支出)となりました。研究開発の推進に伴う研究開発費の支出等による税金等調整前当期純損失832,594千円等によるものです。 (投資活動によるキャッシュ・フロー)投資活動によるキャッシュ・フローは、587,528千円の収入(前連結会計年度は793,007千円の収入)となりました。有価証券の取得による支出5,200,160千円、有価証券の償還による収入5,800,000千円等によるものです。 (財務活動によるキャッシュ・フロー)財務活動によるキャッシュ・フローは、568,775千円の支出(前連結会計年度は3,728千円の収入)となりました。転換社債型新株予約権付社債の償還による支出568,675千円等によるものです。 (生産、受注及び販売の状況)(1)生産実績当社グループは研究開発を主体としており、生産実績を定義することが困難であるため、生産実績の記載はしておりません。 (2)受注実績当社グループは受注生産を行っておりませんので、受注実績の記載はしておりません。 (3)販売実績当連結会計年度における販売実績を示すと、次のとおりであります。当連結会計年度(自 2024年4月1日 至 2025年3月31日)販売高(千円)前年同期比(%)108,51680.1(注)主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。相手先前連結会計年度(自 2023年4月1日至 2024年3月31日)当連結会計年度(自 2024年4月1日至 2025年3月31日)販売高(千円)割合(%)販売高(千円)割合(%)株式会社アルビオン104,79977.375,70069.7セオリアファーマ株式会社26,22219.4--日本電気株式会社--22,81621.0 (経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容)経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。 (1)財政状態当連結会計年度末における資産は、主に現金及び預金並びに有価証券の減少等により、前連結会計年度末に比べ1,074,394千円減少し、3,996,884千円となりました。負債は、主に転換社債型新株予約権付社債の一部償還に伴う減少等により、前連結会計年度末に比べ392,837千円減少し、1,257,054千円となりました。純資産は、親会社株主に帰属する当期純損失の計上による利益剰余金の減少等により、前連結会計年度末に比べ681,557千円減少し、2,739,830千円となりました。 (2)経営成績当連結会計年度における経営成績については、「(業績等の概要) (1)業績」をご参照ください。 (3)キャッシュ・フロー当社グループは現在、主たる定例的な営業収益がありませんので、研究開発の推進に伴う研究開発費の支出を、主に株式の発行による収入及び化粧品原材料の供給収入で賄っております。当連結会計年度末日現在の資金残高は1,197,201千円ですが、一時的な余剰資金については預金又は元本維持を原則とした安全かつ流動性の高い金融商品等に限定して運用しており、それら預金や金融商品まで合わせますと3,505,832千円となります。一方、支出側としましては、当連結会計年度の経常損失は687,546千円、第30期の予想経常損失が856,318千円でありますので、当面のRNA創薬ビジネスに係る研究開発資金の確保やM&A等の支出にも対応できる資金の確保までできていると判断しております。 (4)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであます。
事業リスク
- 新規パイプライン創出の不確実性創薬シード(医薬品の元となる候補物質)が必ずしも順調に新規パイプラインへと移行するとは限りません。研究開発の途中で期待通りの効果が得られなかったり、安全性に問題が見つかったりする可能性があり、その場合、多額の投資が無駄になり、将来のライセンス収入が得られないリスクがあります。
- 研究開発の遅延と資金確保新薬の研究開発は長期にわたり多額の資金を必要とします。早期ライセンスアウトを目指すビジネスモデルに転換したものの、計画通りに研究開発が進まず、資金調達が困難になる可能性があります。営業キャッシュ・フローがマイナスの状態が続く間は、追加の資金調達が必要となり、経営に影響を及ぼすリスクがあります。
- 小規模組織と外部依存従業員数20名という小規模な組織であるため、特定の人材への依存度が高く、人材の流出や業務遂行上の支障が事業に大きな影響を与える可能性があります。また、非臨床試験や臨床試験、治験薬製造などを外部機関に委託しているため、委託先の倒産や契約解消などが生じた場合、事業継続に重大な影響を及ぼすリスクがあります。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
有価証券報告書「事業等のリスク」の全文を見る(年度切替)
FY2025|4,315 文字
3【事業等のリスク】有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社が判断したものであります。 (1)パイプラインに関するリスク(特に重要なリスク)①新規パイプラインの創製に関するリスク当社は、創薬シードを効率的に新たなRNA医薬パイプラインとして創製するとともに知財権を取得、非臨床研究終了後から早期臨床試験終了時までに導出し、ライセンス収入を得る事業を展開します。具体的には、創薬シードは、自社及び共同研究の実施などを通じたオープンイノベーションによりアカデミア、製薬また非製薬企業から確保いたします。開発候補を創製する過程において、RNAなどの核酸の配列及び最適なデリバリー方法などを検討し知財権を確立します。その後、非臨床開発、早期臨床試験と併行してライセンスアウトいたします。しかしながら、すべての創薬シードが順調に新規パイプラインへ移行しない可能性があります。このため、創薬シードは、オープンイノベーションを最大限に活用し幅広いソースから質の高いシードを定常的に確保することでリスク低減に努めております。また、シードから新規パイプライン創製に至る確率を向上させるため、共同研究や他社及びアカデミアからの技術導入及び提携やM&A等による技術導入を柔軟に行います。なお、各プロジェクトについては、定期的に優先順位付けを行い経営資源を効率的に投入しております。 ②非臨床ステージ以降に進捗したパイプラインに関するリスク当社のすべてのパイプラインは研究開発途中であり、順調に推移しない可能性が常に存在します。また、当社が意図しない提携解消の可能性、研究開発が一定の段階まで進捗した際にライセンスアウトできない可能性、ライセンスアウトできたとしても当社の望む契約条件とならない可能性もあります。これらが顕在化した場合、研究開発の遅延、研究開発コストの増加、将来のライセンス収入の減少等により、投下資金の回収が困難又は遅延することとなり、株価の低迷や他のパイプラインへの悪影響等も想定され、研究開発計画及び経営成績等に重大な影響を及ぼすおそれがあります。当社は医療ニーズや開発トレンドに応じた開発方針の変更、提携先の探索等により本リスクの低減に努めております。 ③ENT103(商品名:コムレクス®耳科用液1.5%)に関するリスク当社がセオリアファーマ株式会社と共同開発を実施してきた耳鼻咽喉科領域における開発品ENT103は、2022年4月にセオリアファーマ株式会社により外耳炎及び中耳炎を対象に製造販売承認申請を行い、2023年3月に製造販売承認を取得し、2023年6月に販売開始しておりますが、想定した売上を達成できない可能性があり、これらが顕在化した場合、中長期的な事業計画の達成が困難になるおそれがあります。このため、当社はセオリアファーマ株式会社と販売計画や販売プロモーション計画の協議等により、売上目標の精度を高め、目標達成に向けて体制整備を行っております。 (2)研究開発資金の確保に関するリスク(特に重要なリスク)新薬の研究開発には長期にわたり多額の研究開発投資を要しますが、当社は大規模となる後期ステージの開発を自社で実施せず早期ライセンスアウトを目指す戦略とし、大規模な資金投入を伴わない開発段階までのパイプライン創製を行うビジネスモデルに転換しました。当社において研究開発資金の確保は重要課題の1つでありますが、これまでに実施したファイナンスによる調達資金及び公的な競争的資金等の活用などにより研究開発資金を確保しております。さらに、新規パイプライン創製を開始後ライセンスアウトまでには複数年の研究開発投資が必要ですが計画通りに進捗する保証はなく、定常的ライセンスアウトが実現する状態に到達するまで営業キャッシュ・フローがマイナスの状態が継続いたします。このため、研究開発プロジェクトの優先順位付けにより質の高いプロジェクトに集中し、進捗管理を厳密に行うことで進捗速度の最大化とコスト削減を両立させております。また、資金調達が必要となった場合に備え、効率的な資金調達手段を検討しております。 (3)小規模組織であることに関するリスク①人材の確保及び特定の人材への依存に関するリスク当連結会計年度末現在、当社は従業員数20名の小規模組織であります。限られた人的資源に依存しているため、従業員に業務遂行上の支障が生じた場合や大量に退職した場合には、各種業務に影響を及ぼすおそれがあります。また、事業モデルにあわせた採用計画を立案、実施しておりますが、想定したタイミングで適切な人材を採用できなかった場合も、各種業務に影響を及ぼすおそれがあります。このため、教育訓練の実施、業務手順の文書化等、内部統制のフレームワークを活用した属人化の解消策等により、人材のバックアップ体制を拡充しております。また株式報酬制度の導入等による従業員へのインセンティブの付与や成果主義に基づく人事制度の導入等により従業員のモチベーション向上にも努めております。 ②第三者への依存に関するリスク現在当社は、事業の遂行に必要な機能のすべては有していないため、それらの業務は外部へ委託しており、主には、非臨床試験、臨床試験を研究開発業務受託機関に、治験薬の製造を医薬品製造受託機関等にそれぞれ委託しております。これら受託機関等の倒産、契約の解消、当社が望む条件で契約締結又は更新できない等の可能性があり、当社は第三者への依存度が高い状況にあるため、これらリスクが顕在化した場合、代替機関の選定や移管のためのコスト増、臨床試験の遅延等が生じ、事業継続に重大な影響を及ぼすおそれがあります。委託先とは相互利益の考えのもとに契約を締結しており、今後もこの考えを継続することで現契約の維持につながると考えております。また、定期的な連絡会議や担当者レベルでの日常的なコミュニケーション等により、関係の強化や認識の共有等にも努めております。万が一の事態に備え、代替候補先の探索検討を行うことでも、本リスクの低減を図っております。 ③導入、M&A等に関するリスク当社は、新規パイプラインを基本的にはRNA創薬に限定し、同薬剤開発に必要なアセットを取得し、製薬企業に導出する企業を目指しています。その上で、既に当社内で保有しているパイプラインに加え、質の高い創薬シード及びRNA医薬品開発効率を向上させるための様々な新規技術を世界中のアカデミア、バイオベンチャーの情報を収集し、評価を進め、それらを獲得すべくライセンス契約又はM&Aを行ってまいります。かかる導入、投資又は買収等が成功する保証はなく、想定した時期に提携やM&A等が成立する保証もなく、また、成立しても想定した成果が得られない可能性もあり、中長期的な事業目標が達成できないおそれがあります。このため、導入やM&A等の検討にあたっては、対象となる企業に関する詳細なデューデリジェンスを行うなど、意思決定に必要十分な情報を収集し、企業価値、事業価値等について慎重な評価検討を行うこととしております。 (4)その他のリスク①競合に関するリスク当社は現時点では主にRNA医薬品開発を実施しております。新規医薬品の市場は国内外を問わないことから、常に日本国内のみならず世界中の同業他社と競合状態にあります。当社としては、いち早く競争力のある新薬パイプラインを創製すべく研究開発に邁進しておりますが、他社がより優位性のある製品を開発した場合、当社のパイプラインの導出に関する成功確率が低下する可能性があり、事業継続に重大な影響を及ぼすおそれがあります。このため、選択する創薬シードの質を高める、定期的に競合優位性を確認し、優先順位を柔軟に変更するなどにより、当社の研究開発ポートフォリオ価値を保っております。 ②知的財産に関するリスク当社は、創薬シードから開発候補を創製する過程で得られた成績を基に、候補ごとに特許を出願し、権利化いたします。しかしながら、出願した特許が全て成立するとは限りません。また、ある候補についての特許を実施するためにはライセンスを受ける必要のある第三者特許が生じ、そのライセンスを受けることができなかった場合や、多額の実施料の支払いが必要になった場合には、当該候補の他社への導出が困難となり事業計画や経営成績等に影響を及ぼすおそれがあります。さらに、他者が当社と同様の研究開発を行っていないという保証はなく、今後も当社が他者の特許に抵触するような問題が発生しないという保証はありません。このような問題を未然に防止するため、当社は、自社及び特許事務所等を通じた特許調査を実施しております。しかし、このような知的財産権の侵害に関する問題の発生を完全に回避することは困難であり、第三者との間で特許権に関する紛争が生じた場合には、事業戦略や経営成績等に重大な影響を及ぼすおそれがあります。 ③化粧品材料販売に関するリスク当社は株式会社アルビオンに対し化粧品の材料供給を行っておりますが、同社に対する依存度が高く、同社からの材料発注が想定を下回ることにより、事業計画を達成できないリスクがあります。また、化粧品事業は、常に激しい企業間競争にさらされており、他社がより優位性のある製品を発売した場合や、顧客のニーズの移り変わりなど、市場から受け入れられなくなるリスクは常に存在し、これらのリスクが顕在化した場合、化粧品材料供給収入の減少等、経営成績等に影響を及ぼすおそれがあります。このため、消費者ニーズのタイムリーな把握による製品の改良、新製品の開発等により本リスクの低減に努めております。さらに、当社の供給する原材料等の品質管理には検査の徹底等により万全を期しておりますが、品質や安全性について疑義が生じた場合は、化粧品材料供給収入の減少等により経営成績等に影響を及ぼすおそれがあり、また結果的に当社の製品及び原材料に品質欠陥や安全性に関する問題が生じなかった場合においても、風評被害等により、同様の影響を受けるおそれがあります。このため、製造受託機関による品質適合検査の実施及び当社による検査結果の確認等により、品質管理とその維持に努めております。
FY2024|4,463 文字
3【事業等のリスク】有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社が判断したものであります。 (1)パイプラインに関するリスク(特に重要なリスク)①新規パイプラインの創製に関するリスク当社は、創薬シードを効率的に新たなRNA医薬パイプラインとして創製するとともに知財権を取得、非臨床研究終了後から早期臨床試験終了時までに導出し、ライセンス収入を得る事業を展開します。具体的には、創薬シードは、自社及び共同研究の実施などを通じたオープンイノベーションによりアカデミア、製薬また非製薬企業から確保いたします。開発候補を創製する過程において、RNAなどの核酸の配列及び最適なデリバリー方法などを検討し知財権を確立します。その後、非臨床開発、早期臨床試験と併行してライセンスアウトいたします。しかしながら、すべての創薬シードが順調に新規パイプラインへ移行しない可能性があります。このため、創薬シードは、オープンイノベーションを最大限に活用し幅広いソースから質の高いシードを定常的に確保することでリスク低減に努めております。また、シードから新規パイプライン創製に至る確率を向上させるため、共同研究や他社及びアカデミアからの技術導入及び提携やM&A等による技術導入を柔軟に行います。なお、各プロジェクトについては、定期的に優先順位付けを行い経営資源を効率的に投入しております。 ②非臨床ステージ以降に進捗したパイプラインに関するリスク当社のすべてのパイプラインは研究開発途中であり、順調に推移しない可能性が常に存在します。また、当社が意図しない提携解消の可能性、研究開発が一定の段階まで進捗した際にライセンスアウトできない可能性、ライセンスアウトできたとしても当社の望む契約条件とならない可能性もあります。これらが顕在化した場合、研究開発の遅延、研究開発コストの増加、将来のライセンス収入の減少等により、投下資金の回収が困難又は遅延することとなり、株価の低迷や他のパイプラインへの悪影響等も想定され、研究開発計画及び経営成績等に重大な影響を及ぼすおそれがあります。当社は医療ニーズや開発トレンドに応じた開発方針の変更、提携先の探索等により本リスクの低減に努めております。 ③ENT103(商品名:コムレクス®耳科用液1.5%)に関するリスク当社がセオリアファーマと共同開発を実施してきた耳鼻咽喉科領域における開発品ENT103は、2022年4月にセオリアファーマにより外耳炎及び中耳炎を対象に製造販売承認申請を行い、2023年3月に製造販売承認を取得し、2023年6月に販売開始しておりますが、想定した売上を達成できない可能性があり、これらが顕在化した場合、中長期的な事業計画の達成が困難になるおそれがあります。このため、当社はセオリアファーマと販売計画や販売プロモーション計画の協議等により、売上目標の精度を高め、目標達成に向けて体制整備を行っております。 (2)研究開発資金の確保に関するリスク(特に重要なリスク)新薬の研究開発には長期にわたり多額の研究開発投資を要しますが、当社は大規模となる後期ステージの開発を自社で実施せず早期ライセンスを目指す戦略とし、大規模な資金投入を伴わない開発段階までのパイプライン創製を行うビジネスモデルに転換しました。当社において研究開発資金の確保は重要課題の1つでありますが、これまでに実施したファイナンスによる調達資金及び公的な競争的資金等の活用などにより研究開発資金を確保しております。しかしながら、mRNA創薬においては研究初期ではmRNAの最適化のため少量多種のRNA合成を迅速に行う必要があり、また非臨床ステージでは安全性試験やそれに供するmRNAの合成が必要です。これらをスムーズに行える体制を構築し、費用の低減も実現するためCRDMO(医薬品開発・製造受託機関)と包括協業提携を行うことといたしました。さらに、新規パイプライン創製を開始後ライセンスアウトまでには複数年の研究開発投資が必要ですが計画通りに進捗する保証はなく、定常的ライセンスアウトが実現する状態に到達するまで営業キャッシュ・フローがマイナスの状態が継続いたします。このため、研究開発プロジェクトの優先順位付けにより質の高いプロジェクトに集中し、進捗管理を厳密に行うことで進捗速度の最大化とコスト削減を両立させております。また、資金調達が必要となった場合に備え、効率的な資金調達手段を検討しております。 (3)小規模組織であることに関するリスク①人材の確保及び特定の人材への依存に関するリスク当連結会計年度末現在、当社は従業員数18名の小規模組織であります。限られた人的資源に依存しているため、従業員に業務遂行上の支障が生じた場合や大量に退職した場合には、各種業務に影響を及ぼすおそれがあります。また、事業モデルにあわせた採用計画を立案、実施しておりますが、想定したタイミングで適切な人材を採用できなかった場合も、各種業務に影響を及ぼすおそれがあります。このため、教育訓練の実施、業務手順の文書化等、内部統制のフレームワークを活用した属人化の解消策等により、人材のバックアップ体制を拡充しております。また株式報酬制度の導入等による従業員へのインセンティブの付与や成果主義に基づく人事制度の導入等により従業員のモチベーション向上にも努めております。 ②第三者への依存に関するリスク現在当社は、事業の遂行に必要な機能のすべては有していないため、それらの業務は外部へ委託しており、主には、非臨床試験、臨床試験を研究開発業務受託機関に、治験薬の製造を医薬品製造受託機関等にそれぞれ委託しております。これら受託機関等の倒産、契約の解消、当社が望む条件で契約締結又は更新できない等の可能性があり、当社は第三者への依存度が高い状況にあるため、これらリスクが顕在化した場合、代替機関の選定や移管のためのコスト増、臨床試験の遅延等が生じ、事業継続に重大な影響を及ぼすおそれがあります。委託先とは相互利益の考えのもとに契約を締結しており、今後もこの考えを継続することで現契約の維持につながると考えております。また、定期的な連絡会議や担当者レベルでの日常的なコミュニケーション等により、関係の強化や認識の共有等にも努めております。万が一の事態に備え、代替候補先の探索検討を行うことでも、本リスクの低減を図っております。 ③導入、M&A等に関するリスク当社は、新規パイプラインを基本的にはmRNA創薬に限定し、同薬剤開発に必要なIPを取得し、製薬企業に導出する企業へと変革しました。その上で、既に当社内で保有しているパイプラインに加え、質の高い創薬シード及びmRNA医薬品開発効率を向上させるための様々な新規技術を世界中のアカデミア、バイオベンチャーの情報を収集し、評価を進め、それらを獲得すべくライセンス契約又はM&Aを行ってまいります。かかる導入、投資又は買収等が成功する保証はなく、想定した時期に提携やM&A等が成立する保証もなく、また、成立しても想定した成果が得られない可能性もあり、中長期的な事業目標が達成できないおそれがあります。このため、導入やM&A等の検討にあたっては、対象となる企業に関する詳細なデューデリジェンスを行うなど、意思決定に必要十分な情報を収集し、企業価値、事業価値等について慎重な評価検討を行うこととしております。 (4)その他のリスク①競合に関するリスク当社は現時点では主にmRNA医薬品開発を実施しております。新規医薬品の市場は国内外を問わないことから、常に日本国内のみならず世界中の同業他社と競合状態にあります。当社としては、いち早く競争力のある新薬パイプラインを創製すべく研究開発に邁進しておりますが、他社がより優位性のある製品を開発した場合、当社のパイプラインの導出に関する成功確率が低下する可能性があり、事業継続に重大な影響を及ぼすおそれがあります。このため、選択する創薬シードの質を高める、定期的に競合優位性を確認し、優先順位を柔軟に変更するなどにより、当社の研究開発ポートフォリオ価値を保っております。 ②知的財産に関するリスク当社は、創薬シードから開発候補を創製する過程で得られた成績を基に、候補ごとに特許を出願し、権利化いたします。しかしながら、出願した特許が全て成立するとは限りません。また、ある候補についての特許を実施するためにはライセンスを受ける必要のある第三者特許が生じ、そのライセンス受けることができなかった場合や、多額の実施料の支払いが必要になった場合には、当該候補の他社への導出が困難となり事業計画や経営成績等に影響を及ぼすおそれがあります。さらに、他者が当社と同様の研究開発を行っていないという保証はなく、今後も当社が他者の特許に抵触するような問題が発生しないという保証はありません。このような問題を未然に防止するため、当社は、自社及び特許事務所等を通じた特許調査を実施しております。しかし、このような知的財産権の侵害に関する問題の発生を完全に回避することは困難であり、第三者との間で特許権に関する紛争が生じた場合には、事業戦略や経営成績等に重大な影響を及ぼすおそれがあります。 ③化粧品材料販売に関するリスク当社は株式会社アルビオンに対し化粧品の材料供給を行っておりますが、同社に対する依存度が高く、同社からの材料発注が想定を下回ることにより、事業計画を達成できないリスクがあります。また、化粧品事業は、常に激しい企業間競争にさらされており、他社がより優位性のある製品を発売した場合や、顧客のニーズの移り変わりなど、市場から受け入れられなくなるリスクは常に存在し、これらのリスクが顕在化した場合、化粧品材料供給収入の減少等、経営成績等に影響を及ぼすおそれがあります。このため、消費者ニーズのタイムリーな把握による製品の改良、新製品の開発等により本リスクの低減に努めております。さらに、当社の供給する原材料等の品質管理には検査の徹底等により万全を期しておりますが、品質や安全性について疑義が生じた場合は、化粧品材料供給収入の減少等により経営成績等に影響を及ぼすおそれがあり、また結果的に当社の製品及び原材料に品質欠陥や安全性に関する問題が生じなかった場合においても、風評被害等により、同様の影響を受けるおそれがあります。このため、製造受託機関による品質適合検査の実施及び当社による検査結果の確認等により、品質管理とその維持に努めております。
FY2023|4,592 文字
3【事業等のリスク】有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社が判断したものであります。 (1)パイプラインに関するリスク(特に重要なリスク)①新規パイプラインの創製に関するリスク当社は、創薬シードを効率的に新たなRNA医薬パイプラインとして創製するとともに知財権を取得、非臨床研究終了後から早期臨床試験終了時までに導出し、ライセンス収入を得る事業を展開します。具体的には、創薬シードは、自社及び共同研究の実施などを通じたオープンイノベーションによりアカデミア、製薬また非製薬企業から確保いたします。開発候補を創製する過程において、RNAなどの核酸の配列及び最適なデリバリー方法などを検討し知財権を確立します。その後、非臨床開発、早期臨床試験と併行してライセンスアウトいたします。しかしながら、すべての創薬シードが順調に新規パイプラインへ移行しない可能性があります。このため、創薬シードは、オープンイノベーションを最大限に活用し幅広いソースから質の高いシードを定常的に確保することでリスク低減に努めております。また、シードから新規パイプライン創製に至る確率を向上させるため、共同研究や他社及びアカデミアからの技術導入及び提携やM&A等による技術導入を柔軟に行います。なお、各プロジェクトについては、定期的に優先順位付けを行い経営資源を効率的に投入しております。 ②非臨床ステージ以降に進捗したパイプラインに関するリスク当社のすべてのパイプラインは研究開発途中であり、順調に推移しない可能性が常に存在します。また、当社が意図しない提携解消の可能性、研究開発が一定の段階まで進捗した際にライセンスアウトできない可能性、ライセンスアウトできたとしても当社の望む契約条件とならない可能性もあります。これらが顕在化した場合、研究開発の遅延、研究開発コストの増加、将来のライセンス収入の減少等により、投下資金の回収が困難又は遅延することとなり、株価の低迷や他のパイプラインへの悪影響等も想定され、研究開発計画及び経営成績等に重大な影響を及ぼすおそれがあります。当社は医療ニーズや開発トレンドに応じた開発方針の変更、提携先の探索等により本リスクの低減に努めております。 ③ENT103(商品名:コムレクス®耳科用液1.5%)に関するリスク当社がセオリアファーマと共同開発を実施してきた耳鼻咽喉科領域における開発品ENT103は、2022年4月にセオリアファーマにより外耳炎及び中耳炎を対象に製造販売承認申請を行い、2023年3月に製造販売承認を取得し、2023年6月に販売開始しておりますが、想定した売上を達成できない可能性があり、これらが顕在化した場合、中長期的な事業計画の達成が困難になるおそれがあります。このため、当社はセオリアファーマと販売計画や販売プロモーション計画の協議等により、売上目標の精度を高め、目標達成に向けて体制整備を行っております。 (2)研究開発資金の確保に関するリスク(特に重要なリスク)新薬の研究開発には長期にわたり多額の研究開発投資を要しますが、当社は大規模となる後期ステージの開発を自社で実施せず早期ライセンスを目指す戦略とし、大規模な資金投入を伴わない開発段階までのパイプライン創製を行うビジネスモデルに転換しました。当社において研究開発資金の確保は重要課題の1つでありますが、これまでに実施したファイナンスによる調達資金及び公的な競争的資金等の活用などにより研究開発資金を確保しております。しかしながら、mRNA創薬においては研究初期ではmRNAの最適化のため少量多種のRNA合成を迅速に行う必要があり、また非臨床ステージでは安全性試験やそれに供するmRNAの合成が必要です。これらをスムーズに行える体制を構築し、費用の低減も実現するためCRDMO(医薬品開発・製造受託機関)と包括協業提携を行うことといたしました。さらに、新規パイプライン創製を開始後ライセンスアウトまでには複数年の研究開発投資が必要ですが計画通りに進捗する保証はなく、定常的ライセンスアウトが実現する状態に到達するまで営業キャッシュ・フローがマイナスの状態が継続いたします。このため、研究開発プロジェクトの優先順位付けにより質の高いプロジェクトに集中し、進捗管理を厳密に行うことで進捗速度の最大化とコスト削減を両立させております。また、資金調達が必要となった場合に備え、効率的な資金調達手段を検討しております。 (3)小規模組織であることに関するリスク①人材の確保及び特定の人材への依存に関するリスク当連結会計年度末現在、当社は従業員数17名の小規模組織であります。限られた人的資源に依存しているため、従業員に業務遂行上の支障が生じた場合や大量に退職した場合には、各種業務に影響を及ぼすおそれがあります。また、事業モデルにあわせた採用計画を立案、実施しておりますが、想定したタイミングで適切な人材を採用できなかった場合も、各種業務に影響を及ぼすおそれがあります。このため、教育訓練の実施、業務手順の文書化等、内部統制のフレームワークを活用した属人化の解消策等により、人材のバックアップ体制を拡充しております。また株式報酬制度の導入等による従業員へのインセンティブの付与や成果主義に基づく人事制度の導入等により従業員のモチベーション向上にも努めております。 ②第三者への依存に関するリスク現在当社は、事業の遂行に必要な機能のすべては有していないため、それらの業務は外部へ委託しており、主には、非臨床試験、臨床試験を研究開発業務受託機関に、治験薬の製造を医薬品製造受託機関等にそれぞれ委託しております。これら受託機関等の倒産、契約の解消、当社が望む条件で契約締結又は更新できない等の可能性があり、当社は第三者への依存度が高い状況にあるため、これらリスクが顕在化した場合、代替機関の選定や移管のためのコスト増、臨床試験の遅延等が生じ、事業継続に重大な影響を及ぼすおそれがあります。委託先とは相互利益の考えのもとに契約を締結しており、今後もこの考えを継続することで現契約の維持につながると考えております。また、定期的な連絡会議や担当者レベルでの日常的なコミュニケーション等により、関係の強化や認識の共有等にも努めております。万が一の事態に備え、代替候補先の探索検討を行うことでも、本リスクの低減を図っております。 ③導入、M&A等に関するリスク当社は、新規パイプラインを基本的にはmRNA創薬に限定し、同薬剤開発に必要なIPを取得し、製薬企業に導出する企業へと変革しました。その上で、既に当社内で保有しているパイプラインに加え、質の高い創薬シード及びmRNA医薬品開発効率を向上させるための様々な新規技術を世界中のアカデミア、バイオベンチャーの情報を収集し、評価を進め、それらを獲得すべくライセンス契約又はM&Aを行ってまいります。かかる導入、投資又は買収等が成功する保証はなく、想定した時期に提携やM&A等が成立する保証もなく、また、成立しても想定した成果が得られない可能性もあり、中長期的な事業目標が達成できないおそれがあります。このため、導入やM&A等の検討にあたっては、対象となる企業に関する詳細なデューデリジェンスを行うなど、意思決定に必要十分な情報を収集し、企業価値、事業価値等について慎重な評価検討を行うこととしております。 (4)その他のリスク①競合に関するリスク当社は現時点では主にmRNA医薬品開発を実施しております。新規医薬品の市場は国内外を問わないことから、常に日本国内のみならず世界中の同業他社と競合状態にあります。当社としては、いち早く競争力のある新薬パイプラインを創製すべく研究開発に邁進しておりますが、他社がより優位性のある製品を開発した場合、当社のパイプラインの導出に関する成功確率が低下する可能性があり、事業継続に重大な影響を及ぼすおそれがあります。このため、選択する創薬シードの質を高める、定期的に競合優位性を確認し、優先順位を柔軟に変更するなどにより、当社の研究開発ポートフォリオ価値を保っております。 ②知的財産に関するリスク当社は、創薬シードから開発候補を創製する過程で得られた成績を基に、候補ごとに特許を出願し、権利化いたします。しかしながら、出願した特許が全て成立するとは限りません。また、ある候補についての特許を実施するためにはライセンスを受ける必要のある第三者特許が生じ、そのライセンス受けることができなかった場合や、多額の実施料の支払いが必要になった場合には、当該候補の他社への導出が困難となり事業計画や経営成績等に影響を及ぼすおそれがあります。さらに、他者が当社と同様の研究開発を行っていないという保証はなく、今後も当社が他者の特許に抵触するような問題が発生しないという保証はありません。このような問題を未然に防止するため、当社は、自社及び特許事務所等を通じた特許調査を実施しております。しかし、このような知的財産権の侵害に関する問題の発生を完全に回避することは困難であり、第三者との間で特許権に関する紛争が生じた場合には、事業戦略や経営成績等に重大な影響を及ぼすおそれがあります。 ③化粧品事業に関するリスク当社は株式会社アルビオンとの化粧品の自社技術を用いた共同開発により、化粧品事業を展開しております。当社は主に、同社に対し化粧品の材料供給を行っており、結果として同事業は株式会社アルビオンに対する依存度が高く、契約の解消や当社の望む条件で契約更新できなかった場合等、化粧品事業の継続に重大な影響を及ぼすおそれがあります。同社とは相互利益の考えのもとに契約を締結しており、今後もこの考えを継続することで現契約の維持につながると考えております。また、化粧品事業は、常に激しい企業間競争にさらされており、他社がより優位性のある製品を発売した場合や、顧客のニーズの移り変わりなど、市場から受け入れられなくなるリスクは常に存在し、これらのリスクが顕在化した場合、化粧品材料供給収入の減少等、経営成績等に影響を及ぼすおそれがあります。このため、消費者ニーズのタイムリーな把握による製品の改良、新製品の開発等により本リスクの低減に努めております。さらに、当社の供給する原材料等の品質管理には検査の徹底等により万全を期しておりますが、品質や安全性について疑義が生じた場合は、化粧品材料供給収入の減少等により経営成績等に影響を及ぼすおそれがあり、また結果的に当社の製品及び原材料に品質欠陥や安全性に関する問題が生じなかった場合においても、風評被害等により、同様の影響を受けるおそれがあります。このため、製造受託機関による品質適合検査の実施及び当社による検査結果の確認等により、品質管理とその維持に努めております。
FY2022|5,804 文字
2【事業等のリスク】有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が提出会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。 (1)パイプラインに関するリスク①既存のパイプラインの進捗に関するリスク(特に重要なリスク)当社は、新規医薬品を創出することを目的に複数のパイプラインの研究及び開発を進めておりますが、当社のすべてのパイプラインは研究開発途中であり、臨床試験段階における有害事象の発生等により、開発中止や遅延等の可能性が常に存在します。また、当社が意図しない提携解消の可能性、臨床開発が一定の段階まで進捗した際にライセンスアウトできない可能性、ライセンスアウトできたとしても当社の望む契約条件とならない可能性等もあります。これらが顕在化した場合、研究開発の遅延、研究開発コストの増加、将来の売上高の減少等により、投下資金の回収が困難又は遅延することとなり、株価の低迷や他のパイプラインへの悪影響等も想定され、研究開発計画及び経営成績等に重大な影響を及ぼすおそれがあります。当社は後述のとおり小規模組織であるため、選択と集中によるパイプラインの優先順位付けと絞り込みを行い、経営資源の効率的な投入、プロジェクト管理の徹底及び強化、医療ニーズや開発トレンドに応じた開発方針の変更、提携先の探索、新規パイプラインの拡充等により本リスクの低減に努めております。 ②新規パイプラインの拡充に関するリスク当社は、現時点においては既存のパイプラインの進捗を最優先として推進しているものの、経営基盤強化のためには、新たなパイプラインを増やしていく必要があると考えており、研究段階プロジェクトの臨床段階へのステージアップ、提携やM&A等による他社の技術やパイプラインの導入も並行して検討を進めております。しかしながら、研究段階プロジェクトが想定通りに臨床段階へステージアップできない可能性、他社の技術やパイプラインの導入ができない可能性、導入できたとしても製造販売承認を取得できない可能性等があります。これらが顕在化した場合、中長期的な事業計画、事業目標の達成が困難となるおそれがあります。また新規パイプラインの拡充は、既存のパイプラインのバックアップにもなりうるため、「(1)既存のパイプラインの進捗に関するリスク」が顕在化した場合のリスクヘッジ機能が低下するおそれもあります。このため、研究段階プロジェクトのステージアップについては、優先順位付けと絞り込みを行い、経営資源を効率的に投入しております。また、他社の技術やパイプラインの導入については、対象となる企業、技術、パイプライン等に関する詳細なデューデリジェンスを行うなど、意思決定に必要十分な情報を収集し、企業価値、事業価値、シナジー等について慎重に評価検討することとしております。 (2)研究開発資金の確保に関するリスク(特に重要なリスク)当社はいち早く新薬の製造販売承認を取得すべく研究開発に邁進しておりますが、新薬の開発には長期にわたり多額の研究開発投資を要するため、営業キャッシュ・フローがマイナスの状態が続いております。当社において研究開発資金の確保は重要課題の1つでありますが、これまでに実施したファイナンス等により当面の研究開発資金の確保、またライセンスインやM&A等の支出にも対応できる資金の確保までできていると判断しております。しかしながら、研究開発が計画通りに進捗する保証はないため、研究開発の遅延等が生じ、研究開発資金に不足が予想された場合には新たな資金調達が必要となります。適切なタイミングで十分な資金調達ができなかった場合には事業存続に重大な影響を及ぼすおそれがあります。このため、選択と集中によるパイプラインや研究段階プロジェクトの優先順位付けと絞り込みを行い、経営資源の効率的な投入、プロジェクト管理の徹底及び強化、その他コスト削減策の実施等により支出を抑えております。また、資金調達が必要となった場合に備え、効果的かつ効率的な資金調達手段を検討しております。さらに、医療ニーズや開発トレンドに応じた開発方針の変更、提携先の探索等、多角的に本リスクの低減に努めております。 (3)小規模組織であることに関するリスク①人材の確保及び特定人材への依存に関するリスク当事業年度末現在、当社は従業員数24名の小規模組織であります。限られた人的資源に依存しているため、従業員に業務遂行上の支障が生じた場合や大量に退職した場合には、各種業務に影響を及ぼすおそれがあります。また、事業ステージにあわせた採用計画を立案、実施しておりますが、想定したタイミングで適切な人材を採用できなかった場合も、各種業務に影響を及ぼすおそれがあります。このため、教育訓練の実施、業務の文書化等、内部統制のフレームワークを活用した属人化の解消策等により、人材のバックアップ体制を拡充しております。また株式報酬制度の導入等による従業員へのインセンティブの付与や成果主義に基づく人事制度の導入等により従業員のモチベーション向上にも努めております。 ②第三者への依存に関するリスク現在当社は、医薬品開発企業として必要な機能のすべては有していないため、それらの業務については外部へ委託しており、主には、臨床試験については開発業務受託機関に、治験薬の製造については医薬品製造受託機関等にそれぞれ委託しております。これら受託機関等の倒産、契約の解消、当社が望む条件で契約締結又は更新できない等の可能性があり、当社は第三者への依存度が高い状況にあるため、これらリスクが顕在化した場合、代替機関の選定や移管のためのコスト増、臨床試験の遅延等が生じ、事業継続に重大な影響を及ぼすおそれがあります。委託先とは相互利益の考えのもとに契約を締結しており、今後もこの考えを継続することで現契約の維持につながると考えております。また、定期的な連絡会議や担当者レベルでの日常的なコミュニケーション等により、関係の強化や認識の共有等にも努めております。万が一の事態に備え、代替候補先の探索検討を行うことでも、本リスクの低減を図っております。 ③M&Aに関するリスク当社は、医薬品事業の経営基盤構築及び関連事業や周辺事業の拡大のためには、提携やM&A等を通じた外部経営資源の活用や外部成長の取り込みを図っていくことが有力な選択肢になると考えており、適宜、探索や検討を進めております。また並行して、外部からのパイプラインの導入、製薬やバイオ企業への投資又は買収等も検討しておりますが、かかる導入、投資又は買収等が成功する保証はなく、想定した時期に提携やM&A等が成立する保証もなく、また、成立しても想定したシナジー効果が得られない可能性もあり、中長期的な事業目標が達成できないおそれがあります。このため、提携やM&A等の検討にあたっては、対象となる企業に関する詳細なデューデリジェンスを行うなど、意思決定に必要十分な情報を収集し、企業価値、事業価値とシナジー等について慎重な評価検討を行うこととしております。 (4)その他のリスク①競合に関するリスク当社は現時点では主に抗がん剤領域の医薬品開発を実施しております。抗がん剤を含めた新規医薬品の市場は国内外を問わないことから、常に日本国内のみならず世界中の同業他社と競合状態にあります。当社としては、いち早く新薬の製造販売承認を取得すべく研究開発に邁進しておりますが、他社がより優位性のある製品を開発した場合、当社の医薬品開発の成功確率が低下する可能性があり、事業継続に重大な影響を及ぼすおそれがあります。また将来当社が製造販売承認を取得した後に他社がより優れた製品の製造販売承認を取得した場合、将来の売上高の減少等により、経営成績等に重大な影響を及ぼすおそれがあります。このため、他分野への進出や他社の技術の導入等により本リスクの低減を図っております。 ②知的財産に関するリスク当社が現在臨床開発を推進しているパイプラインは、当社が保有又は当社が他者からライセンスインをしている特許権若しくは特許出願を基礎とするものであり、これらの特許は医薬品市場の大きい米国、ヨーロッパ及び日本を含むアジアを中心に出願されております。しかしながら、現在出願中の特許が全て成立するとは限らず、また、当社が事業活動を行う全ての地域又は競合相手が存在する全ての地域において特許を出願しているわけではありません。また、特許が成立しても、当社の研究開発を超える優れた研究開発により当社の特許に含まれる技術が淘汰される可能性は常に存在します。これらが顕在化した場合、当社パイプラインの開発継続が困難になるなど、事業継続や経営成績等に重大な影響を及ぼすおそれがあります。さらに、当社の今後の事業展開の中でライセンスインする必要のある特許が生じ、そのライセンスインができなかった場合や、多額の実施料の支払いが必要になった場合には、研究開発コストの増加など、事業計画や経営成績等に影響を及ぼすおそれがあります。なお、当事業年度末現在において、当社の開発に関連した特許権等の知的財産権について、第三者との間で訴訟やクレームが発生した事実はありませんが、他者が当社と同様の研究開発を行っていないという保証はなく、今後も当社が他者の特許に抵触するような問題が発生しないという保証はありません。このような問題を未然に防止するため、当社及び特許事務所等を通じた特許調査を実施しており、現時点において当社技術が他者の特許に抵触しているという事実は認識しておりません。しかし、当社のような研究開発型企業にとって、このような知的財産権の侵害に関する問題の発生を完全に回避することは困難であり、第三者との間で特許権に関する紛争が生じた場合又は当社が共同研究開発の相手方と第三者の紛争に巻き込まれた場合には、事業戦略や経営成績等に重大な影響を及ぼすおそれがあります。 ③製造物責任に関するリスク医薬品の開発及び製造には、製造物責任のリスクが内在します。将来、当社が開発し製品として販売された医薬品が健康障害を引き起こした場合若しくは臨床試験、製造、営業又は販売において不適当な点が発見された場合、当社は製造物責任を負うこととなり、売上高の減少や損害賠償費用等、経営成績等に重大な影響を及ぼすおそれがあります。また、たとえ当社に対する損害賠償の請求等が認められなかったとしても、損害賠償請求が与えるネガティブなイメージにより、当社及び当社が開発した医薬品に対する信頼性に悪影響を及ぼし、事業継続に影響を及ぼすおそれがあります。現時点において当社の医薬品事業は研究開発段階であるため、本リスクの可能性は製造業務、つまり委託先に内在すると考えており、製造委託機関への監査等を実施することで、品質管理とその維持に努めております。(化粧品事業については、「(4)化粧品事業に関するリスク」を参照) ④化粧品事業に関するリスク当社は株式会社アルビオンとの化粧品の自社技術を用いた共同開発により、化粧品事業を展開しております。当社は主に、同社に対し化粧品の材料供給を行っております。化粧品業界は、参入障壁が低いこともあり、激しい企業間競争にさらされておりますが、当社は同社とともに既存の製品にない画期的な製品を開発し、また同社の持つブランド力、マーケティング力及び販売力を活用することにより、現時点において化粧品事業は堅調に進捗しております。しかしながら、他社がより優位性のある製品を発売した場合や、顧客のニーズの移り変わりなど、市場から受け入れられなくなるリスクは常に存在し、これらのリスクが顕在化した場合、化粧品材料供給収入の減少等、経営成績等に影響を及ぼすおそれがあります。このため、消費者ニーズのタイムリーな把握による製品の改良、新製品の開発等により本リスクの低減に努めております。また、化粧品事業は株式会社アルビオンに対する依存度が高く、契約の解消や当社の望む条件で契約更新できなかった場合等、化粧品事業の継続に重大な影響を及ぼすおそれがあります。同社とは相互利益の考えのもとに契約を締結しており、今後もこの考えを継続することで現契約の維持につながると考えております。また、定期的な連絡会議や担当者レベルでの日常的なコミュニケーション等により、関係の強化や認識の共有等にも努めております。さらに、当社の供給する原材料等の品質管理には検査の徹底等により万全を期しておりますが、品質や安全性について疑義が生じた場合は、化粧品材料供給収入の減少等により経営成績等に影響を及ぼすおそれがあり、また結果的に当社の製品及び原材料に品質欠陥や安全性に関する問題が生じなかった場合においても、風評被害等により、同様の影響を受けるおそれがあります。このため、製造受託機関による品質適合検査の実施及び当社による検査結果の確認等により、品質管理とその維持に努めております。 (5)新型コロナウイルス感染症に関するリスク今般の新型コロナウイルス感染症の感染拡大により、世界各国の経済活動に影響が及んでおります。当社は医薬品等の研究開発段階にあるため、当社への影響は限定的と考えておりますが、①臨床開発段階のパイプラインにおける患者登録の遅れに伴う試験期間の延長、②百貨店等における化粧品の店頭販売の低迷等に伴う当社化粧品材料供給収入の減少等の可能性があり、本リスクは今後、新型コロナウイルス感染症の収束後数ヵ月から数年程度存在すると予想しております。①については、治験登録施設の追加等を実施しておりますが、臨床開発の遅延による開発コストの増加、将来の売上高の計上時期の遅れ等の可能性があり、②については、対策が困難であるため、化粧品材料供給収入の減少等の可能性もあり、いずれも経営成績等や事業展開に影響を及ぼすおそれがあります。
FY2021|5,879 文字
2【事業等のリスク】有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が提出会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。 1.パイプラインに関するリスク(1)既存のパイプラインの進捗に関するリスク(特に重要なリスク)当社は、新規医薬品を創出することを目的に複数のパイプラインの研究及び開発を進めておりますが、当社のすべてのパイプラインは研究開発途中であり、臨床試験段階における有害事象の発生等により、開発中止や遅延等の可能性が常に存在します。また、当社が意図しない提携解消の可能性、臨床開発が一定の段階まで進捗した際にライセンスアウトできない可能性、ライセンスアウトできたとしても当社の望む契約条件とならない可能性等もあります。これらが顕在化した場合、研究開発の遅延、研究開発コストの増加、将来の売上高の減少等により、投下資金の回収が困難又は遅延することとなり、株価の低迷や他のパイプラインへの悪影響等も想定され、研究開発計画及び経営成績等に重大な影響を及ぼすおそれがあります。当社は後述のとおり小規模組織であるため、選択と集中によるパイプラインの優先順位付けと絞り込みを行い、経営資源の効率的な投入、プロジェクト管理の徹底及び強化、医療ニーズや開発トレンドに応じた開発方針の変更、提携先の探索、新規パイプラインの拡充等により本リスクの低減に努めております。 (2)新規パイプラインの拡充に関するリスク当社は、現時点においては既存のパイプラインの進捗を最優先として推進しているものの、経営基盤強化のためには、新たなパイプラインを増やしていく必要があると考えており、研究段階プロジェクトの臨床段階へのステージアップ、提携やM&A等による他社の技術やパイプラインの導入も並行して検討を進めております。しかしながら、研究段階プロジェクトが想定通りに臨床段階へステージアップできない可能性、他社の技術やパイプラインの導入ができない可能性、導入できたとしても製造販売承認を取得できない可能性等があります。これらが顕在化した場合、中長期的な事業計画、事業目標の達成が困難となるおそれがあります。また新規パイプラインの拡充は、既存のパイプラインのバックアップにもなりうるため、「(1)既存のパイプラインの進捗に関するリスク」が顕在化した場合のリスクヘッジ機能が低下するおそれもあります。このため、研究段階プロジェクトのステージアップについては、優先順位付けと絞り込みを行い、経営資源を効率的に投入しております。また、他社の技術やパイプラインの導入については、対象となる企業、技術、パイプライン等に関する詳細なデューデリジェンスを行うなど、意思決定に必要十分な情報を収集し、企業価値、事業価値、シナジー等について慎重に評価検討することとしております。 2.研究開発資金の確保に関するリスク(特に重要なリスク)当社はいち早く新薬の製造販売承認を取得すべく研究開発に邁進しておりますが、新薬の開発には長期にわたり多額の研究開発投資を要するため、営業キャッシュ・フローがマイナスの状態が続いております。当社において研究開発資金の確保は重要課題の1つでありますが、これまでに実施したファイナンス等により当面の研究開発資金の確保、またライセンスインやM&A等の支出にも対応できる資金の確保までできていると判断しております。しかしながら、研究開発が計画通りに進捗する保証はないため、研究開発の遅延等が生じ、研究開発資金に不足が予想された場合には新たな資金調達が必要となります。適切なタイミングで十分な資金調達ができなかった場合には事業存続に重大な影響を及ぼすおそれがあります。このため、選択と集中によるパイプラインや研究段階プロジェクトの優先順位付けと絞り込みを行い、経営資源の効率的な投入、プロジェクト管理の徹底及び強化、その他コスト削減策の実施等により支出を抑えております。また、資金調達が必要となった場合に備え、効果的かつ効率的な資金調達手段を検討しております。さらに、医療ニーズや開発トレンドに応じた開発方針の変更、提携先の探索等、多角的に本リスクの低減に努めております。 3.小規模組織であることに関するリスク(1)人材の確保及び特定人材への依存に関するリスク当事業年度末現在、当社は従業員数27名の小規模組織であります。限られた人的資源に依存しているため、従業員に業務遂行上の支障が生じた場合や大量に退職した場合には、各種業務に影響を及ぼすおそれがあります。また、事業ステージにあわせた採用計画を立案、実施しておりますが、想定したタイミングで適切な人材を採用できなかった場合も、各種業務に影響を及ぼすおそれがあります。このため、教育訓練の実施、業務の文書化等、内部統制のフレームワークを活用した属人化の解消策等により、人材のバックアップ体制を拡充しております。また株式報酬制度の導入等による従業員へのインセンティブの付与や成果主義に基づく人事制度の導入等により従業員のモチベーション向上にも努めております。 (2)第三者への依存に関するリスク現在当社は、医薬品開発企業として必要な機能のすべては有していないため、それらの業務については外部へ委託しており、主には、臨床試験については開発業務受託機関に、治験薬の製造については医薬品製造受託機関等にそれぞれ委託しております。これら受託機関等の倒産、契約の解消、当社が望む条件で契約締結又は更新できない等の可能性があり、当社は第三者への依存度が高い状況にあるため、これらリスクが顕在化した場合、代替機関の選定や移管のためのコスト増、臨床試験の遅延等が生じ、事業継続に重大な影響を及ぼすおそれがあります。委託先とは相互利益の考えのもとに契約を締結しており、今後もこの考えを継続することで現契約の維持につながると考えております。また、定期的な連絡会議や担当者レベルでの日常的なコミュニケーション等により、関係の強化や認識の共有等にも努めております。万が一の事態に備え、代替候補先の探索検討を行うことでも、本リスクの低減を図っております。 (3)M&Aに関するリスク当社は、医薬品事業の経営基盤構築及び関連事業や周辺事業の拡大のためには、提携やM&A等を通じた外部経営資源の活用や外部成長の取り込みを図っていくことが有力な選択肢になると考えており、適宜、探索や検討を進めております。また並行して、外部からのパイプラインの導入、製薬やバイオ企業への投資又は買収等も検討しておりますが、かかる導入、投資又は買収等が成功する保証はなく、想定した時期に提携やM&A等が成立する保証もなく、また、成立しても想定したシナジー効果が得られない可能性もあり、中長期的な事業目標が達成できないおそれがあります。このため、提携やM&A等の検討にあたっては、対象となる企業に関する詳細なデューデリジェンスを行うなど、意思決定に必要十分な情報を収集し、企業価値、事業価値とシナジー等について慎重な評価検討を行うこととしております。 4.その他のリスク(1)競合に関するリスク当社はミセル化ナノ粒子技術をコアとして、現時点では主に抗がん剤領域の医薬品開発を実施しております。抗がん剤を含めた新規医薬品の市場は国内外を問わないことから、常に日本国内のみならず世界中の同業他社と競合状態にあります。当社としては、いち早く新薬の製造販売承認を取得すべく研究開発に邁進しておりますが、他社がより優位性のある製品を開発した場合、当社技術を利用した医薬品開発の成功確率が低下する可能性があり、事業継続に重大な影響を及ぼすおそれがあります。また将来当社が製造販売承認を取得した後に他社がより優れた製品の製造販売承認を取得した場合、将来の売上高の減少等により、経営成績等に重大な影響を及ぼすおそれがあります。このため、技術の改良や深化に努めて当社技術の優位性を確保し続けるとともに、他分野への進出や他社の技術の導入等により本リスクの低減を図っております。 (2)知的財産に関するリスク当社が現在臨床開発を推進しているパイプラインは、当社が保有又は当社が他者からライセンスインをしている特許権若しくは特許出願を基礎とするものであり、これらの特許は医薬品市場の大きい米国、ヨーロッパ及び日本を含むアジアを中心に出願されております。しかしながら、現在出願中の特許が全て成立するとは限らず、また、当社が事業活動を行う全ての地域又は競合相手が存在する全ての地域において特許を出願しているわけではありません。また、特許が成立しても、当社の研究開発を超える優れた研究開発により当社の特許に含まれる技術が淘汰される可能性は常に存在します。これらが顕在化した場合、当社パイプラインの開発継続が困難になるなど、事業継続や経営成績等に重大な影響を及ぼすおそれがあります。さらに、当社の今後の事業展開の中でライセンスインする必要のある特許が生じ、そのライセンスインができなかった場合や、多額の実施料の支払いが必要になった場合には、研究開発コストの増加など、事業計画や経営成績等に影響を及ぼすおそれがあります。なお、当事業年度末現在において、当社の開発に関連した特許権等の知的財産権について、第三者との間で訴訟やクレームが発生した事実はありませんが、他者が当社と同様の研究開発を行っていないという保証はなく、今後も当社が他者の特許に抵触するような問題が発生しないという保証はありません。このような問題を未然に防止するため、当社及び特許事務所等を通じた特許調査を実施しており、現時点において当社技術が他者の特許に抵触しているという事実は認識しておりません。しかし、当社のような研究開発型企業にとって、このような知的財産権の侵害に関する問題の発生を完全に回避することは困難であり、第三者との間で特許権に関する紛争が生じた場合又は当社が共同研究開発の相手方と第三者の紛争に巻き込まれた場合には、事業戦略や経営成績等に重大な影響を及ぼすおそれがあります。 (3)製造物責任に関するリスク医薬品の開発及び製造には、製造物責任のリスクが内在します。将来、当社が開発し製品として販売された医薬品が健康障害を引き起こした場合若しくは臨床試験、製造、営業又は販売において不適当な点が発見された場合、当社は製造物責任を負うこととなり、売上高の減少や損害賠償費用等、経営成績等に重大な影響を及ぼすおそれがあります。また、たとえ当社に対する損害賠償の請求等が認められなかったとしても、損害賠償請求が与えるネガティブなイメージにより、当社及び当社が開発した医薬品に対する信頼性に悪影響を及ぼし、事業継続に影響を及ぼすおそれがあります。現時点において当社の医薬品事業は研究開発段階であるため、本リスクの可能性は製造業務、つまり委託先に内在すると考えており、製造委託機関への監査等を実施することで、品質管理とその維持に努めております。(化粧品事業については、「(4)化粧品事業に関するリスク」を参照) (4)化粧品事業に関するリスク当社はミセル化ナノ粒子技術の応用範囲を広げ、株式会社アルビオンとの共同開発により、化粧品事業を展開しております。当社は主に、同社に対し化粧品の材料供給を行っております。化粧品業界は、参入障壁が低いこともあり、激しい企業間競争にさらされておりますが、当社は同社とともに既存の製品にない画期的な製品を開発し、また同社の持つブランド力、マーケティング力及び販売力を活用することにより、現時点において化粧品事業は堅調に進捗しております。しかしながら、他社がより優位性のある製品を発売した場合や、顧客のニーズの移り変わりなど、市場から受け入れられなくなるリスクは常に存在し、これらのリスクが顕在化した場合、化粧品材料供給収入の減少等、経営成績等に影響を及ぼすおそれがあります。このため、消費者ニーズのタイムリーな把握による製品の改良、新製品の開発等により本リスクの低減に努めております。また、化粧品事業は株式会社アルビオンに対する依存度が高く、契約の解消や当社の望む条件で契約更新できなかった場合等、化粧品事業の継続に重大な影響を及ぼすおそれがあります。同社とは相互利益の考えのもとに契約を締結しており、今後もこの考えを継続することで現契約の維持につながると考えております。また、定期的な連絡会議や担当者レベルでの日常的なコミュニケーション等により、関係の強化や認識の共有等にも努めております。さらに、当社の供給する原材料等の品質管理には検査の徹底等により万全を期しておりますが、品質や安全性について疑義が生じた場合は、化粧品材料供給収入の減少等により経営成績等に影響を及ぼすおそれがあり、また結果的に当社の製品及び原材料に品質欠陥や安全性に関する問題が生じなかった場合においても、風評被害等により、同様の影響を受けるおそれがあります。このため、製造委託機関による品質適合検査の実施及び当社による検査結果の確認等により、品質管理とその維持に努めております。 5.新型コロナウイルス感染症に関するリスク今般の新型コロナウイルス感染症の感染拡大により、世界各国の経済活動に影響が及んでおります。当社は医薬品等の研究開発段階にあるため、当社への影響は限定的と考えておりますが、①臨床開発段階のパイプラインにおける患者登録の遅れに伴う試験期間の延長、②百貨店等における化粧品の店頭販売の低迷等に伴う当社化粧品材料供給収入の減少等の可能性があり、本リスクは今後、新型コロナウイルス感染症の収束後数ヵ月乃至数年程度存在すると予想しております。①については、治験登録施設の追加等を実施しておりますが、臨床開発の遅延による開発コストの増加、将来の売上高の計上時期の遅れ等の可能性があり、②については、対策が困難であるため、化粧品材料供給収入の減少等の可能性が高く、いずれも経営成績等や事業展開に影響を及ぼすおそれがあります。
FY2020|5,917 文字
2【事業等のリスク】有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が提出会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。 1.パイプラインに関するリスク(1)既存のパイプラインの進捗に関するリスク(特に重要なリスク)当社は、新規医薬品を創出することを目的に複数のパイプラインの研究及び開発を進めておりますが、当社のすべてのパイプラインは研究開発途中であり、臨床試験段階における有害事象の発生等により、開発中止や遅延等の可能性が常に存在します。また、当社が意図しない提携解消の可能性、臨床開発が一定の段階まで進捗した際にライセンスアウトできない可能性、ライセンスアウトできたとしても当社の望む契約条件とならない可能性等もあります。これらが顕在化した場合、研究開発の遅延、研究開発コストの増加、将来の売上高の減少等により、投下資金の回収が困難又は遅延することとなり、株価の低迷や他のパイプラインへの悪影響等も想定され、研究開発計画及び経営成績等に重大な影響を及ぼすおそれがあります。当社は後述のとおり小規模組織であるため、選択と集中によるパイプラインの優先順位付けと絞り込みを行い、経営資源の効率的な投入、プロジェクト管理の徹底及び強化、医療ニーズや開発トレンドに応じた開発方針の変更、提携先の探索、新規パイプラインの拡充等により本リスクの低減に努めております。 (2)新規パイプラインの拡充に関するリスク当社は、現時点においては既存のパイプラインの進捗を最優先として推進しているものの、経営基盤強化のためには、新たなパイプラインを増やしていく必要があると考えており、研究段階プロジェクトの臨床段階へのステージアップ、提携やM&A等による他社の技術やパイプラインの導入も並行して検討を進めております。しかしながら、研究段階プロジェクトが想定通りに臨床段階へステージアップできない可能性、他社の技術やパイプラインの導入ができない可能性、導入できたとしても製造販売承認を取得できない可能性等があります。これらが顕在化した場合、中長期的な事業計画、事業目標の達成が困難となるおそれがあります。また新規パイプラインの拡充は、既存のパイプラインのバックアップにもなりうるため、「(1)既存のパイプラインの進捗に関するリスク」が顕在化した場合のリスクヘッジ機能が低下するおそれもあります。このため、研究段階プロジェクトのステージアップについては、優先順位付けと絞り込みを行い、経営資源を効率的に投入しております。また、他社の技術やパイプラインの導入については、対象となる企業、技術、パイプライン等に関する詳細なデューデリジェンスを行うなど、意思決定に必要十分な情報を収集し、企業価値、事業価値、シナジー等について慎重に評価検討することとしております。 2.研究開発資金の確保に関するリスク(特に重要なリスク)当社はいち早く新薬の製造販売承認を取得すべく研究開発に邁進しておりますが、新薬の開発には長期にわたり多額の研究開発投資を要するため、営業キャッシュ・フローがマイナスの状態が続いております。当社において研究開発資金の確保は重要課題の1つでありますが、これまでに実施したファイナンス等により当面の研究開発資金の確保、またライセンスインやM&A等の支出にも対応できる資金の確保までできていると判断しております。しかしながら、研究開発が計画通りに進捗する保証はないため、研究開発の遅延等が生じ、研究開発資金に不足が予想された場合には新たな資金調達が必要となります。適切なタイミングで十分な資金調達ができなかった場合には事業存続に重大な影響を及ぼすおそれがあります。このため、選択と集中によるパイプラインや研究段階プロジェクトの優先順位付けと絞り込みを行い、経営資源の効率的な投入、プロジェクト管理の徹底及び強化、その他コスト削減策の実施等により支出を抑えております。また、資金調達が必要となった場合に備え、効果的かつ効率的な資金調達手段を検討しております。さらに、医療ニーズや開発トレンドに応じた開発方針の変更、提携先の探索等、多角的に本リスクの低減に努めております。 3.小規模組織であることに関するリスク(1)人材の確保及び特定人材への依存に関するリスク当事業年度末現在、当社は従業員数29名の小規模組織であります。限られた人的資源に依存しているため、従業員に業務遂行上の支障が生じた場合や大量に退職した場合には、各種業務に影響を及ぼすおそれがあります。また、事業ステージにあわせた採用計画を立案、実施しておりますが、想定したタイミングで適切な人材を採用できなかった場合も、各種業務に影響を及ぼすおそれがあります。このため、教育訓練の実施、業務の文書化等、内部統制のフレームワークを活用した属人化の解消策等により、人材のバックアップ体制を拡充しております。また株式報酬制度の導入検討(本有価証券報告書提出日現在において決定)等による従業員へのインセンティブの付与や成果主義に基づく人事制度の導入等により従業員のモチベーション向上にも努めております。 (2)第三者への依存に関するリスク現在当社は、医薬品開発企業として必要な機能のすべては有していないため、それらの業務については外部へ委託しており、主には、臨床試験については開発業務受託機関に、治験薬の製造については医薬品製造受託機関等にそれぞれ委託しております。これら受託機関等の倒産、契約の解消、当社が望む条件で契約締結又は更新できない等の可能性があり、当社は第三者への依存度が高い状況にあるため、これらリスクが顕在化した場合、代替機関の選定や移管のためのコスト増、臨床試験の遅延等が生じ、事業継続に重大な影響を及ぼすおそれがあります。委託先とは相互利益の考えのもとに契約を締結しており、今後もこの考えを継続することで現契約の維持につながると考えております。また、定期的な連絡会議や担当者レベルでの日常的なコミュニケーション等により、関係の強化や認識の共有等にも努めております。万が一の事態に備え、代替候補先の探索検討を行うことでも、本リスクの低減を図っております。 (3)M&Aに関するリスク当社は、医薬品事業の経営基盤構築及び関連事業や周辺事業の拡大のためには、提携やM&A等を通じた外部経営資源の活用や外部成長の取り込みを図っていくことが有力な選択肢になると考えており、適宜、探索や検討を進めております。また並行して、外部からのパイプラインの導入、製薬やバイオ企業への投資又は買収等も検討しておりますが、かかる導入、投資又は買収等が成功する保証はなく、想定した時期に提携やM&A等が成立する保証もなく、また、成立しても想定したシナジー効果が得られない可能性もあり、中長期的な事業目標が達成できないおそれがあります。このため、提携やM&A等の検討にあたっては、対象となる企業に関する詳細なデューデリジェンスを行うなど、意思決定に必要十分な情報を収集し、企業価値、事業価値とシナジー等について慎重な評価検討を行うこととしております。 4.その他のリスク(1)競合に関するリスク当社はミセル化ナノ粒子技術をコアとして、現時点では主に抗がん剤領域の医薬品開発を実施しております。抗がん剤を含めた新規医薬品の市場は国内外を問わないことから、常に日本国内のみならず世界中の同業他社と競合状態にあります。当社としては、いち早く新薬の製造販売承認を取得すべく研究開発に邁進しておりますが、他社がより優位性のある製品を開発した場合、当社技術を利用した医薬品開発の成功確率が低下する可能性があり、事業継続に重大な影響を及ぼすおそれがあります。また将来当社が製造販売承認を取得した後に他社がより優れた製品の製造販売承認を取得した場合、将来の売上高の減少等により、経営成績等に重大な影響を及ぼすおそれがあります。このため、技術の改良や深化に努めて当社技術の優位性を確保し続けるとともに、他分野への進出や他社の技術の導入等により本リスクの低減を図っております。 (2)知的財産に関するリスク当社が現在臨床開発を推進しているパイプラインは、当社が保有又は当社が他者からライセンスインをしている特許権若しくは特許出願を基礎とするものであり、これらの特許は医薬品市場の大きい米国、ヨーロッパ及び日本を含むアジアを中心に出願されております。しかしながら、現在出願中の特許が全て成立するとは限らず、また、当社が事業活動を行う全ての地域又は競合相手が存在する全ての地域において特許を出願しているわけではありません。また、特許が成立しても、当社の研究開発を超える優れた研究開発により当社の特許に含まれる技術が淘汰される可能性は常に存在します。これらが顕在化した場合、当社パイプラインの開発継続が困難になるなど、事業継続や経営成績等に重大な影響を及ぼすおそれがあります。さらに、当社の今後の事業展開の中でライセンスインする必要のある特許が生じ、そのライセンスインができなかった場合や、多額の実施料の支払いが必要になった場合には、研究開発コストの増加など、事業計画や経営成績等に影響を及ぼすおそれがあります。なお、当事業年度末現在において、当社の開発に関連した特許権等の知的財産権について、第三者との間で訴訟やクレームが発生した事実はありませんが、他者が当社と同様の研究開発を行っていないという保証はなく、今後も当社が他者の特許に抵触するような問題が発生しないという保証はありません。このような問題を未然に防止するため、当社及び特許事務所等を通じた特許調査を実施しており、現時点において当社技術が他者の特許に抵触しているという事実は認識しておりません。しかし、当社のような研究開発型企業にとって、このような知的財産権の侵害に関する問題の発生を完全に回避することは困難であり、第三者との間で特許権に関する紛争が生じた場合又は当社が共同研究開発の相手方と第三者の紛争に巻き込まれた場合には、事業戦略や経営成績等に重大な影響を及ぼすおそれがあります。 (3)製造物責任に関するリスク医薬品の開発及び製造には、製造物責任のリスクが内在します。将来、当社が開発し製品として販売された医薬品が健康障害を引き起こした場合若しくは臨床試験、製造、営業又は販売において不適当な点が発見された場合、当社は製造物責任を負うこととなり、売上高の減少や損害賠償費用等、経営成績等に重大な影響を及ぼすおそれがあります。また、たとえ当社に対する損害賠償の請求等が認められなかったとしても、損害賠償請求が与えるネガティブなイメージにより、当社及び当社が開発した医薬品に対する信頼性に悪影響を及ぼし、事業継続に影響を及ぼすおそれがあります。現時点において当社の医薬品事業は研究開発段階であるため、本リスクの可能性は製造業務、つまり委託先に内在すると考えており、製造委託機関への監査等を実施することで、品質管理とその維持に努めております。(化粧品事業については、「(4)化粧品事業に関するリスク」を参照) (4)化粧品事業に関するリスク当社はミセル化ナノ粒子技術の応用範囲を広げ、株式会社アルビオンとの共同開発により、化粧品事業を展開しております。当社は主に、同社に対し化粧品の材料供給を行っております。化粧品業界は、参入障壁が低いこともあり、激しい企業間競争にさらされておりますが、当社は同社とともに既存の製品にない画期的な製品を開発し、また同社の持つブランド力、マーケティング力及び販売力を活用することにより、現時点において化粧品事業は堅調に進捗しております。しかしながら、他社がより優位性のある製品を発売した場合や、顧客のニーズの移り変わりなど、市場から受け入れられなくなるリスクは常に存在し、これらのリスクが顕在化した場合、化粧品材料供給収入の減少等、経営成績等に影響を及ぼすおそれがあります。このため、消費者ニーズのタイムリーな把握による製品の改良、新製品の開発等により本リスクの低減に努めております。また、化粧品事業は株式会社アルビオンに対する依存度が高く、契約の解消や当社の望む条件で契約更新できなかった場合等、化粧品事業の継続に重大な影響を及ぼすおそれがあります。同社とは相互利益の考えのもとに契約を締結しており、今後もこの考えを継続することで現契約の維持につながると考えております。また、定期的な連絡会議や担当者レベルでの日常的なコミュニケーション等により、関係の強化や認識の共有等にも努めております。さらに、当社の供給する原材料等の品質管理には検査の徹底等により万全を期しておりますが、品質や安全性について疑義が生じた場合は、化粧品材料供給収入の減少等により経営成績等に影響を及ぼすおそれがあり、また結果的に当社の製品及び原材料に品質欠陥や安全性に関する問題が生じなかった場合においても、風評被害等により、同様の影響を受けるおそれがあります。このため、製造委託機関による品質適合検査の実施及び当社による検査結果の確認等により、品質管理とその維持に努めております。 5.新型コロナウイルス感染症に関するリスク今般の新型コロナウイルス感染症の感染拡大により、世界各国の経済活動に影響が及んでおります。当社の主たる事業は医薬品等の研究開発であり、上市された製品もないため、当社への影響は限定的と考えておりますが、①臨床開発段階のパイプラインにおける患者登録の遅れに伴う試験期間の延長、②百貨店等における化粧品の店頭販売の低迷等に伴う当社化粧品材料供給収入の減少等の可能性があり、本リスクは今後、新型コロナウイルス感染症の収束後数ヵ月乃至数年程度存在すると予想しております。①については、治験登録施設の追加等を実施しておりますが、臨床開発の遅延による開発コストの増加、将来の売上高の計上時期の遅れ等の可能性があり、②については、対策が困難であるため、化粧品材料供給収入の減少等の可能性が高く、いずれも経営成績等や事業展開に影響を及ぼすおそれがあります。
FY2019|10,945 文字
2 【事業等のリスク】以下において、当社の事業展開その他に関してリスク要因と考えられる主な事項を記載しています。また、投資家の投資判断上、重要であると考えられる事項については、投資家に対する積極的な情報開示の観点から以下に開示しております。なお、当社は、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針ですが、本株式に関する投資判断は、以下の記載事項及び本項以外の記載事項を慎重に検討した上で行われる必要があると考えます。また、文中の将来に関する事項については、本書提出日現在において当社が判断したものであります。 1.会社の事業内容について(1)現在の事業内容① 提携候補先とのライセンス契約の締結について当社は、ミセル化ナノ粒子技術を特許等の知的財産として所有しており、有用性(有効性、安全性)を向上させた医療ニーズに応える新規医薬品を提供すべく、ナノテクノロジーを応用した製剤技術を基盤に創薬の研究開発を進めております。また、当社技術と関連性が深く、相乗効果の見込める他社技術の導入も行っております。各パイプラインの研究開発を進めて製品化に到達するために、当社は事業段階に応じた展開を図っており、現状のビジネスモデルは、(ⅰ)自社開発、(ⅱ)共同研究開発、(ⅲ)ライセンスアウト、(ⅳ)ライセンスインの4パターンとなっています。上記のビジネスモデルのうち、(ⅱ)共同研究開発、(ⅲ)ライセンスアウト及び(ⅳ)ライセンスインに関しては、事業展開上、各パイプラインにおける提携候補先との共同研究開発契約、若しくはライセンス契約の締結時期及び条件は、当社の事業計画に重大な影響を及ぼすこととなります。また、契約を想定通りに締結できなかった場合や想定通りに契約を締結できた場合であっても提携先とのその後の方針の不一致等により共同研究開発契約等が解消された場合にも、経営成績及び財政状態並びに開発計画等に重大な影響を与えることとなります。 ② 既存の化合物を利用することによる医薬品開発のリスク低減について当社が取り組むプロジェクトの主たるものは、既に薬効が確認されている化合物をベースにミセル化ナノ粒子技術と融合させ、新剤型医薬品、あるいは新有効成分としていることから、当社では、全く新規(この世の中に存在していなかった)の構造を有する化合物に比して、医薬品とするための開発リスクが低く、成功確率が高いと考えております。しかし、長期の開発期間中に管轄当局の規制方針の変更などにより、開発リスクや成功確率が当社の想定通りの水準におさまるとは断定できず、当社の想定以上に開発リスクが高くなった場合、あるいは成功確率が低くなった場合には、当社の事業展開に支障を及ぼすこととなります。 ③ パイプラインの拡充について当社は、薬物と当社のポリマーを結合させて新有効成分とする研究開発の過程で生じる新しい発明の特許出願を行い、排他性を確保することが重要になります。当社ではこれらの特許等に裏付けられた技術をベースにパイプラインを増やしていく必要があると考えています。しかし、想定通りに特許等に裏付けられたパイプラインを増やしていけるかどうかは不確定であり、また、各パイプラインの研究開発を想定通りに進めていけるという保証もありません。想定通りにパイプラインを増やせなかった場合、あるいは各パイプラインの研究開発が想定通りに進められなかった場合、当社の事業展開は悪影響を受けることになります。 ④ 医薬品の申請区分に関する評価について当社は既存化合物だけではなく、新薬についても当社技術と融合して新有効成分とする医薬品の開発を目指しており、申請区分については、当社開発中の製品のほとんどが新規化合物になると考えております。しかしながら、実際に想定通りの評価が得られるとは限らず、管轄当局より、当社想定通りの評価を得られなかった場合、当社の事業展開は影響を受ける可能性があります。 (2)当社の医薬品の開発状況について① 当社のパイプラインについて当社には、現在まで上市された承認済の医薬品はありません。当社の主要パイプラインは、シスプラチンミセル(NC-6004)、エピルビシンミセル(NC-6300)、ENT103及びパクリタキセルミセル(NK105)であり、この他臨床試験計画中や基礎研究中の新規開発パイプラインがあります。当社のパイプラインは全て、未だ研究開発途中であり、将来、医薬品として上市される保証はなく、臨床試験段階における重篤事象の発生等による開発中止の可能性や、開発遅延の可能性もあります。また、当社がライセンス・提携先との契約を解消した場合は、当社の研究開発活動に遅延が生じることで、当社の開発計画及び業績等に重大な影響を及ぼす可能性があります。また、先行して臨床開発段階に入っている上記パイプラインの承認の可否は、当社事業に重大な影響を及ぼすおそれがあります。さらに、日本及び海外の両地域で展開予定のパイプラインについては、先行地域の臨床開発が遅延した場合、後続地域の臨床開発遅延につながる可能性もあり、当社の事業計画の進捗に影響を及ぼすおそれがあります。また、当社パイプラインが将来医薬品として上市されたとしても、当該医薬品が市場から受け入れられる保証はなく、各国における医薬品承認制度や知的財産制度等の影響を受ける可能性もあるため、当該医薬品が当社の想定通り製造及び販売される保証はありません。 ② 第三者への依存について当社は、当社が開発する医薬品の臨床試験については、開発業務受託機関にその実施を委託しており、また、臨床試験に用いる治験薬については、医薬品製造受託機関等にその製造を委託しております。開発業務受託機関又は医薬品製造受託機関等がこれらに課せられる各種規制等を遵守できない場合、当社と開発業務受託機関又は医薬品製造受託機関等との契約が終了し、当社が別の開発業務受託機関又は医薬品製造受託機関等と当社が望む条件で契約を締結できない場合等において、当社の想定通り臨床試験が進まない可能性があります。また、上市後の医薬品の製造についても、医薬品製造受託機関等との関係では、上記の要因による影響を受ける可能性があります。また、上市後の医薬品の販売等について当社は第三者に販売権をライセンスアウトし、ロイヤリティ収入を得ることを想定しておりますが、かかる第三者とライセンス契約を締結できる保証はありません。また、第三者との間で販売にかかるライセンス契約を締結できない場合には、当該医薬品の販売等を自社で行う必要がありますが、この場合には、自社販売体制の構築等に想定外の費用が発生し、想定通りに販売が進まない可能性があります。 (3)化粧品事業の展開について当社はミセル化ナノ粒子技術の応用範囲を広げ、株式会社アルビオンとの共同開発により、化粧品事業を展開しております。当社は、同社に対し、化粧品原材料の供給を行うとともに、同社から共同研究開発製品を仕入れ、最終消費者への販売を行っております。 ① 競合について化粧品業界は、参入障壁が低いこともあり、激しい企業間競争にさらされております。当社は既存の製品にない画期的な商品を開発し、株式会社アルビオンの持つブランド力、マーケティング力及び販売力を生かして、化粧品事業を推進していく所存ですが、当社の製品が顧客のニーズに合致せず、市場から受け入れられない場合には事業計画通りの売上を達成できず、当社の財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。 ② 当社製品及び原材料の品質及び安全性について当社の製品及び原材料の品質や安全性について疑義が生じた場合は、当社の財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。また、結果的に当社の製品及び原材料に品質欠陥や安全性に関する問題が生じなかった場合においても、風評被害等により、同様の影響を受ける可能性があります。 ③ 株式会社アルビオンへの依存について現在の当社化粧品事業は、株式会社アルビオンとの共同開発及び共同事業によるものが主であり、同社との契約が終了し、当社が望む条件で契約を締結できない場合等において、当社事業計画の達成に影響を及ぼす可能性があります。 (4)今後の事業の見通しについて当社は早期の新薬の製造販売承認を目指して研究開発を進めておりますが、新薬の開発には長期にわたり多額の研究開発投資を要します。2018年4月に実施した第三者割当による新株予約権発行、2019年5月に実施した第三者割当による転換社債型新株予約権付社債及び新株予約権の発行等により当面の研究開発資金の確保に目処はつきましたが、研究開発が計画通り進捗する保証はありません。研究開発が計画通りに進捗しない場合、新薬の製造販売承認の時期も不確定となるため、計画通りに新薬の製造及び販売が行われる保証はありません。なお、製造販売承認が得られなければ開発コストを回収できないこととなり、また製造販売承認が得られても、当社の事業計画上の目標売上を達成できない可能性もあります。 (5)特定の取引先への依存について① 特定の販売先への依存について当社の主な販売先は、「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(生産、受注及び販売の状況)(3)販売実績」に記載のとおりであり、Orient Europharma Co., Ltd.、株式会社アルビオン等が挙げられますが、これらの会社が今後、当社との取引を継続的に行う保証はありません。よってこれらの会社の当社との取引方針の変更、収益動向の変化又は事業活動の停止などにより、当社の業績に重大な影響が生じる可能性があります。 ② 特定の仕入先への依存について当社の原料及び研究用試薬並びに化粧品の主な調達先は、株式会社SENSE、一丸ファルコス株式会社、家田化学薬品株式会社等が挙げられますが、これらの会社が当社との取引を今後も継続的に行う保証はありません。よってこれらの会社の当社との取引方針の変更、収益動向の変化又は事業活動の停止などにより、当社の研究開発活動に遅延が生じ、当社の業績に重大な影響が生じる可能性があります。 (6)経営成績及び財政状態について当社は1996年6月14日の設立以降一貫して医薬品の開発を目指した研究開発活動を行っており、現在まで毎期研究開発費を中心とした費用が収益を上回り、当期純損失を計上する状態が続いています。また営業活動によるキャッシュ・フローもマイナスの状況が続いています。現時点における当社の収益は、当社が第三者と締結した共同研究開発契約及びライセンス契約に基づく契約一時金及びマイルストーン収入に依存しており、今後提携候補先とこれらの契約を締結できない場合や契約の相手先がこれらの契約に定められたマイルストーンを達成できなかった場合には、契約一時金の支払いやマイルストーン収入を受けられない場合があります。このような場合には、当社の純損失が想定よりも拡大する場合があります。 (7)マイナスの繰越利益剰余金が計上されていることについて当社は研究開発型のベンチャー企業であり、臨床段階にあるパイプラインが上市され、ロイヤリティ収入等の安定した収益を受ける体制となるまでは、多額の研究開発費用が先行して計上されることとなります。そのため連続して当期純損失を計上しており、当事業年度末において、マイナスの繰越利益剰余金を計上しております。当社は、パイプラインを計画通り、迅速、効率的かつ着実に推進することにより、早期の利益確保を目指しておりますが、将来において計画通りに当期純利益を計上できない可能性もあります。また、当社の事業が計画通りに進展せず、当期純利益を計上できない場合には、マイナスの繰越利益剰余金がプラスとなる時期が著しく遅れる可能性があります。 (8)資金繰りについて当社は研究開発型企業として、自社研究や研究機関との共同研究開発等を行っておりますが、多額の研究開発資金を必要とします。そのため、事業計画が計画通りに進展しない等の理由から想定したタイミングで資金を確保できなかった場合には資金不足となり、当社の資金繰りの状況によっては事業存続に多大な影響を与える可能性があります。 (9)税務上の繰越欠損金について当社には税務上の繰越欠損金が存在しております。繰越欠損金は、一般的に将来の課税所得から控除することが可能であるため、繰越欠損金を利用することにより将来の税額を減額することができます。しかしながら繰越欠損金の利用額と利用期間には、税務上、一定の制限も設けられております。よって計画通りに課税所得が発生しない場合、繰越欠損金を計画通り利用できないこととなるため、通常の税率に基づく法人税等が課税されることになり、当期純利益やキャッシュ・フローに影響を与える可能性があります。 (10)競合について当社はミセル化ナノ粒子技術をコアとして、現時点では抗がん剤に特化した医薬品開発を実施しております。抗がん剤を含めた新規医薬品の市場は国内外を問わないことから、日本国内のみならず世界中の同業他社と競合状態にあります。タキソール系のパクリタキセル、あるいはシスプラチンなどの白金系抗がん剤をリポソーム化した新規製剤や、類似の薬物を用いた経口剤がいくつか開発されており、当社の開発品目にとって、これらは競合する可能性があると考えます。当社としては、早期の新薬開発、発売を目指しておりますが、他社が同様の効果や、より安全性のある製品を当社より先に販売した場合や、当社製品の販売後にこれを上回る製品が販売された場合、当社が新製品を発売しても期待通りの収益をあげることができない可能性があります。 2.経営上の重要な契約等当社のビジネス展開上、重要と思われる契約の内容については、「4 経営上の重要な契約等」に記載のとおりです。当社事業計画はこれらの契約に基づく収入等を前提に策定しているため、これら重要な契約の破棄が行われた場合、当社にとって不利な契約変更が行われた場合及び契約期間満了後に契約が継続されない場合は、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。 3.当社の組織体制について(1)人材の確保について当社の競争力の核は研究開発力にあるため、専門性の高い研究者の確保が不可欠であります。同様に、事業拡大を支えるために、事業開発、製造、内部管理等の人材も充実させる必要があります。当社は、優秀な人材の確保及び社内人材の教育に努めていきますが、人材の確保及び社内人材の教育が計画通りに進まない場合には、当社の業務に支障をきたすおそれがあります。 (2)小規模組織であることについて当社は小規模組織であり、研究開発体制及び社内管理体制も、この規模に応じたものとなっております。そしてこのように限られた人材の中でも業務遂行体制の充実に努めておりますが、限られた人的資源に依存しているために、社員に業務遂行上の支障が生じた場合、あるいは社員が大量に退職した場合には、当社の業務に支障をきたすおそれがあります。一方、急激な規模拡大は、固定費の増加につながり、当社の業績に影響を与えるおそれがあります。 (3)特定人物への依存について当社の事業の推進者は、代表取締役社長CEOである中冨一郎であります。中冨は当社の経営戦略の決定、研究開発、事業開発及び管理業務の推進において、当社の最高責任者として影響力を有しております。このため当社は中冨に過度に依存しない体制を構築すべく、経営組織の強化を図っておりますが、中冨が何らかの理由により当社の業務を継続することが困難となった場合には、当社の事業戦略に影響を及ぼす可能性があります。 (4)アドバイザー及び顧問について当社は社外の研究者とアドバイザー契約又は顧問契約を締結しており、最先端の研究成果を当社の研究開発に生かせる体制を整えております。アドバイザー契約及び顧問契約は単年度ごとの契約になっておりますため、何らかの理由で契約の更新ができなかった場合等、契約を継続できなくなった場合には、当社の研究開発に影響を及ぼす可能性があります。 (5)M&Aについて当社は、医薬品事業の経営基盤構築及び関連事業や周辺事業の拡大のため、有力な企業との資本・事業提携、M&Aを通じた外部経営資源の活用や外部成長の取り込みを図っていくことが有力な選択肢になると考えており、検討を進めております。また、外部からの製品パイプラインの導入や製薬・バイオ企業への投資・買収なども検討しておりますが、かかる投資・買収が成功裏に完了する保証はありません。 4.知的財産権について(1)当社の特許戦略について当社は、特許によって他社に対して優位性をもち、他方、他社の権利を尊重しつつ自社の権利行使を推し進めます。当社が現状臨床開発を推進しているパイプラインは、当社が保有又は当社が他者からライセンスインをしている特許権若しくは特許出願を基礎とするものであり、これらの特許は医薬品市場の大きい米国、ヨーロッパ、日本及びアジアを中心に出願されております。しかしながら、当社が保有及びライセンスインをしている現在出願中の特許が全て成立するとは限らず、また、当社が事業活動を行う全ての地域又は競合相手が存在する全ての地域において特許を出願しているわけではありません。また、特許が成立しても、当社の研究開発を超える優れた研究開発により当社の特許に含まれる技術が淘汰される可能性は、常に存在しております。さらに、当社の特許権の権利範囲に含まれない優れた技術が開発された場合や成立した特許権が事後的に取り消されたような場合には、当社の事業戦略や経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。なお、当社の展開する主要パイプライン及び新規開発パイプラインに関して、必要な他者所有の特許については、ライセンスインをしております。さらに、当社の今後の事業展開の中でライセンスインする必要のある特許が生じ、そのライセンスインができなかった場合や、多額の実施料の支払いが必要になった場合には、当社の事業戦略や経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。 (2)知的財産権に関する訴訟、クレーム等について当事業年度末現在において、当社の開発に関連した特許権等の知的財産権について、第三者との間で訴訟やクレームが発生したという事実はありません。なお、他者が当社と同様の研究開発を行っていないという保証はなく、今後も当社が他者の特許に抵触するような問題が発生しないという保証はありません。当社としては、このような問題を未然に防止するため、事業展開にあたっては当社及び特許事務所等を通じた特許調査を実施しており、当社技術が他者の特許に抵触しているという事実は認識しておりません。しかし、当社のような研究開発型企業にとって、このような知的財産権の侵害に関する問題の発生を完全に回避することは困難であり、第三者との間で特許権に関する紛争が生じた場合又は当社が共同研究開発の相手方と第三者の紛争に巻き込まれた場合には、当社の事業戦略や経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。 5.製造物責任のリスクについて医薬品の開発及び製造には、製造物責任のリスクが内在しています。将来、開発したいずれかの医薬品が健康障害を引き起こし、又は臨床試験、製造、営業若しくは販売において不適当な点が発見された場合、当社は製造物責任を負うこととなり、当社の業務及び財政状態に重大な悪影響を及ぼす可能性があります。また、たとえ当社に対する損害賠償の請求が認められなかったとしても、製造物責任請求が与えるネガティブなイメージにより、当社及び当社の医薬品に対する信頼に悪影響が生じ、当社の事業に影響を与える可能性があります。 6.法規制について当社は、現在医薬品の研究開発を行っておりますが、今後研究開発の成果に基づき医薬品の製造を行うことを目指しています。この場合、日本においては、医薬品医療機器等法その他の関連法規の規制を受けることとなります。この法律は、医薬品、医薬部外品、化粧品及び医療用具の品質、有効性及び安全性の確保を目的としており、これらの製造販売には所轄官公庁の承認又は許可が必要となります。今後、開発の進捗に伴い、適宜承認・許可を取得する必要があります。また、国外においても各国で類似の法律や関連法規の規制を受けることになります。また、当社のパイプラインについては、開発、製造、販売などにつき各国における健康保険制度に関する法規制及び患者のプライバシーに関する規制その他の規制に服することになります。さらに、当社が日本国内において臨床試験を計画中のVB-111は遺伝子治療薬であり、カルタヘナ法(遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律)に基づく規制当局の承認を受ける必要があり、当該承認を受けられなかった場合、開発計画の遅延等の影響を受ける可能性があります。 7.主要な事業活動の前提となる事項について主要パイプラインに係るライセンス契約① 大学等からの知的財産権のライセンスインについて当社は、大学発の研究成果(シーズ)を医薬品として実用化するために、積極的に大学及び研究機関から知的財産権のライセンスインを行っており、特に主要なパイプラインに係る下記のライセンス契約に関しては、いずれも当社事業の根幹に関わる重要な契約であると認識しております。現時点では、下記契約の継続に支障をきたす要因は発生しておりませんが、当該契約の継続に支障をきたす要因が発生した場合、あるいは当社にとって不利な契約改定が行われた場合及び契約期間満了後に契約が継続されない場合は、当社の開発計画及び業績等に重大な影響を及ぼす可能性があります。契約書名契約会社名(契約締結日)契約内容実施許諾契約書株式会社東京大学TLO(2001年1月26日)後述の「4 経営上の重要な契約等 (2)技術導入契約 ①実施許諾契約書」をご参照ください。 ② 提携先へのライセンスアウトについて当社は、医薬開発品上市前の研究開発費の負担を軽減し、当社の財務面のリスクの極小化を図るため、(ⅰ)自社開発、(ⅱ)共同研究開発、(ⅲ)ライセンスアウト、(ⅳ)ライセンスインの4パターンのビジネスモデルで研究開発を進めており、現時点でライセンスアウト中の2パイプライン(パクリタキセルミセル(NK105)、シスプラチンミセル(NC-6004))があります。下記のライセンス契約に関しては、いずれも当社事業の根幹に関わる重要な契約であると認識しております。現時点では、下記契約の継続に支障をきたす要因は発生しておりませんが、当該契約の継続に支障をきたす要因が発生した場合、あるいは当社にとって不利な契約改定が行われた場合及び契約期間満了後に契約が継続されない場合は、当社の開発計画及び業績等に重大な影響を及ぼす可能性があります。契約書名契約会社名(契約締結日)契約内容実施許諾基本契約日本化薬株式会社(2002年6月12日)後述の「4 経営上の重要な契約等 (1)技術導出契約 ①実施許諾基本契約」をご参照ください。EXTENDED LICENSE AGREEMENT for NC-6004 TechnologyOrient Europharma Co., Ltd.(2012年11月7日)後述の「4 経営上の重要な契約等 (1)技術導出契約 ②EXTENDED LICENSE AGREEMENT for NC-6004 Technology」をご参照ください。License and Collaborative Development Agreement for NC-6004 TechnologyOrient Europharma Co., Ltd.(2018年7月20日)後述の「4 経営上の重要な契約等 (1)技術導出契約 ③License and Collaborative Development Agreement for NC-6004 Technology」をご参照ください。 8.配当政策について当社は創業以降、当期純損失を計上しており、利益配当は実施しておりません。当社の医薬品事業については引き続き研究開発活動を実施していく必要があるため、研究開発活動の継続的な実施に備えた資金の確保を優先する方針です。株主への利益還元については重要な経営課題と認識しておりますが、利益計上された段階において経営成績及び財政状態を勘案し、方針を検討する所存であります。 9.ストック・オプションを含む新株予約権の発行について当社はストック・オプション制度を採用しており、本書提出日の前月末現在でストック・オプションとして発行している新株予約権は2,119,000株相当(既行使分を除く)であります。このほか、資金調達のために新株予約権を発行しており、第4回無担保転換社債型新株予約権付社債に付された新株予約権は最大で7,431,338株相当、行使価額修正状況付第16回新株予約権1,813,000株相当、第17回新株予約権及び第18回新株予約権それぞれ7,840,000株(いずれも既行使分を除く)を合計すると24,924,338株相当となります。これら発行済の新株予約権が全て行使された場合の潜在株式数は27,043,338株であり、この潜在株式数と発行済株式総数52,514,671株とを合計した株式数(79,558,009株)に対し33.99%となり、当社の1株当たりの株式価値は希薄化する可能性があります。なお、当社は、今後も優秀な人材確保のためにストック・オプション制度を継続して実施していくことを検討しております。従いまして、今後新株予約権が付与され、権利行使された場合には、1株当たりの株式価値は希薄化する可能性があります。また、新たなストック・オプションについては費用計上が義務付けられているため、付与条件によっては、今後のストック・オプションの付与により、当社の業績が影警を受ける可能性があります。 10.為替差損等について当社は、欧米において臨床試験を行っておりますが、臨床試験に要する費用の支払いについては、主として外貨によって行っており、またそれらの支払いに備えて外貨建て預金を保有しております。また、当社の売上高の一部は外貨により計上される場合があります。従いまして、為替相場の変動は、当社の業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
FY2018|10,742 文字
2 【事業等のリスク】以下において、当社の事業展開その他に関してリスク要因と考えられる主な事項を記載しています。また、投資家の投資判断上、重要であると考えられる事項については、投資家に対する積極的な情報開示の観点から以下に開示しております。なお、当社は、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針ですが、本株式に関する投資判断は、以下の記載事項及び本項以外の記載事項を慎重に検討した上で行われる必要があると考えます。また、文中の将来に関する事項については、本書提出日現在において当社が判断したものであります。 1.会社の事業内容について(1)現在の事業内容①提携候補先とのライセンス契約の締結について当社は、ミセル化ナノ粒子技術を特許等の知的財産として所有しており、有用性(有効性、安全性)を向上させた医療ニーズに応える新規医薬品を提供すべく、ナノテクノロジーを応用した製剤技術を基盤に創薬の研究開発を進めております。また、当社技術と関連性が深く、相乗効果の見込める他社技術の導入も行っております。各パイプラインの研究開発を進めて製品化に到達するために、当社は事業段階に応じた展開を図っており、現状のビジネスモデルは、(ⅰ)自社開発、(ⅱ)共同研究開発、(ⅲ)ライセンスアウト、(ⅳ)ライセンスインの4パターンとなっています。上記のビジネスモデルのうち、(ⅱ)共同研究開発、(ⅲ)ライセンスアウト及び(ⅳ)ライセンスインに関しては、事業展開上、各パイプラインにおける提携候補先との共同研究開発契約、若しくはライセンス契約の締結時期及び条件は、当社の事業計画に重大な影響を及ぼすこととなります。また、契約を想定通りに締結できなかった場合や想定通りに契約を締結できた場合であっても提携先とのその後の方針の不一致等により共同研究開発契約等が解消された場合にも、経営成績及び財政状態並びに開発計画等に重大な影響を与えることとなります。 ②既存の化合物を利用することによる医薬品開発のリスク低減について当社が取り組むプロジェクトの主たるものは、既に薬効が確認されている化合物をベースにミセル化ナノ粒子技術と融合させ、新剤型医薬品、あるいは新有効成分としていることから、当社では、全く新規(この世の中に存在していなかった)の構造を有する化合物に比して、医薬品とするための開発リスクが低く、成功確率が高いと考えております。しかし、長期の開発期間中に管轄当局の規制方針の変更などにより、開発リスクや成功確率が当社の想定通りの水準におさまるとは断定できず、当社の想定以上に開発リスクが高くなった場合、あるいは成功確率が低くなった場合には、当社の事業展開に支障を及ぼすこととなります。 ③パイプラインの拡充について当社は、薬物と当社のポリマーを結合させて新有効成分とする研究開発の過程で生じる新しい発明の特許出願を行い、排他性を確保することが重要になります。当社ではこれらの特許等に裏付けられた技術をベースにパイプラインを増やしていく必要があると考えています。しかし、想定通りに特許等に裏付けられたパイプラインを増やしていけるかどうかは不確定であり、また、各パイプラインの研究開発を想定通りに進めていけるという保証もありません。想定通りにパイプラインを増やせなかった場合、あるいは各パイプラインの研究開発が想定通りに進められなかった場合、当社の事業展開は悪影響を受けることになります。 ④医薬品の申請区分に関する評価について当社は既存化合物だけではなく、新薬についても当社技術と融合して新有効成分とする医薬品の開発を目指しており、申請区分については、当社開発中の製品のほとんどが新規化合物になると考えております。しかしながら、実際に想定通りの評価が得られるとは限らず、管轄当局より、当社想定通りの評価を得られなかった場合、当社の事業展開は影響を受ける可能性があります。 (2)当社の医薬品の開発状況について①当社のパイプラインについて当社には、現在まで上市された承認済の医薬品はありません。シスプラチンミセル(NC-6004)、ダハプラチンミセル(NC-4016)、エピルビシンミセル(NC-6300)及びパクリタキセルミセル(NK105)の4品目が臨床開発段階にあり、この他臨床試験計画中や基礎研究中の新規開発パイプラインがあります。当社のパイプラインは全て、未だ研究開発途中であり、将来、医薬品として上市される保証はなく、臨床試験段階における重篤事象の発生等による開発中止の可能性や、開発遅延の可能性もあります。また、当社がライセンス・提携先との契約を解消した場合は、当社の研究開発活動に遅延が生じることで、当社の開発計画及び業績等に重大な影響を及ぼす可能性があります。また、先行して臨床開発段階に入っている上記パイプラインの承認の可否は、当社事業に重大な影響を及ぼすおそれがあります。さらに、日本及び海外の両地域で展開予定のパイプラインについては、先行地域の臨床開発が遅延した場合、後続地域の臨床開発遅延につながる可能性もあり、当社の事業計画の進捗に影響を及ぼすおそれがあります。また、当社パイプラインが将来医薬品として上市されたとしても、当該医薬品が市場から受け入れられる保証はなく、各国における医薬品承認制度や知的財産制度等の影響を受ける可能性もあるため、当該医薬品が当社の想定通り製造及び販売される保証はありません。 ②第三者への依存について当社は、当社が開発する医薬品の臨床試験については、開発業務受託機関にその実施を委託しており、また、臨床試験に用いる治験薬については、医薬品製造受託機関等にその製造を委託しております。開発業務受託機関又は医薬品製造受託機関等がこれらに課せられる各種規制等を遵守できない場合、当社と開発業務受託機関又は医薬品製造受託機関等との契約が終了し、当社が別の開発業務受託機関又は医薬品製造受託機関等と当社が望む条件で契約を締結できない場合等において、当社の想定通り臨床試験が進まない可能性があります。また、上市後の医薬品の製造についても、医薬品製造受託機関等との関係では、上記の要因による影響を受ける可能性があります。また、上市後の医薬品の販売等について当社は第三者に販売権をライセンスし、ロイヤリティ収入を得ることを想定しておりますが、かかる第三者とライセンス契約を締結できる保証はありません。また、第三者との間で販売にかかるライセンス契約を締結できない場合には、当該医薬品の販売等を自社で行う必要がありますが、この場合には、自社販売体制の構築等に想定外の費用が発生し、想定通りに販売が進まない可能性があります。 (3)化粧品事業の展開について当社はミセル化ナノ粒子技術の応用範囲を広げ、株式会社アルビオンとの共同開発により、化粧品事業を展開しております。当社は、同社に対し、化粧品原材料の供給を行うとともに、同社から共同研究開発製品を仕入れ、最終消費者への販売を行っております。 ①競合について化粧品業界は、参入障壁が低いこともあり、激しい企業間競争にさらされております。当社は既存の製品にない画期的な商品を開発し、株式会社アルビオンの持つブランド力、マーケティング力及び販売力を生かして、化粧品事業を推進していく所存ですが、当社の製品が顧客のニーズに合致せず、市場から受け入れられない場合には事業計画通りの売上を達成できず、当社の財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。 ②当社製品及び原材料の品質及び安全性について当社の製品及び原材料の品質や安全性について疑義が生じた場合は、当社の財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。また、結果的に当社の製品及び原材料に品質欠陥や安全性に関する問題が生じなかった場合においても、風評被害等により、同様の影響を受ける可能性があります。 ③株式会社アルビオンへの依存について現在の当社化粧品事業は、株式会社アルビオンとの共同開発及び共同事業によるものが主であり、同社との契約が終了し、当社が望む条件で契約を締結できない場合等において、当社事業計画の達成に影響を及ぼす可能性があります。 (4)今後の事業の見通しについて当社は早期の新薬の製造販売承認を目指して研究開発を進めておりますが、新薬の開発には長期にわたり多額の研究開発投資を要します。平成25年10月に実施した公募増資、平成30年4月に実施した第三者割当による新株予約権発行等により当面の研究開発資金の確保に目処はつきましたが、研究開発が計画通り進捗する保証はありません。研究開発が計画通りに進捗しない場合、新薬の製造販売承認の時期も不確定となるため、計画通りに新薬の製造及び販売が行われる保証はありません。なお、製造販売承認が得られなければ開発コストを回収できないこととなり、また製造販売承認が得られても、当社の事業計画上の目標売上を達成できない可能性もあります。 (5)特定の取引先への依存について①特定の販売先への依存について当社の主な販売先は、「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(生産、受注及び販売の状況)(3)販売実績」に記載の通りであり、株式会社アルビオン等が挙げられますが、これらの会社が今後、当社との取引を継続的に行う保証はありません。よってこれらの会社の当社との取引方針の変更、収益動向の変化又は事業活動の停止などにより、当社の業績に重大な影響が生じる可能性があります。 ②特定の仕入先への依存について当社の原料及び研究用試薬並びに化粧品の主な調達先は、アルプス薬品工業株式会社、株式会社SENSE、一丸ファルコス株式会社、家田化学薬品株式会社等が挙げられますが、これらの会社が当社との取引を今後も継続的に行う保証はありません。よってこれらの会社の当社との取引方針の変更、収益動向の変化又は事業活動の停止などにより、当社の研究開発活動に遅延が生じ、当社の業績に重大な影響が生じる可能性があります。 (6)経営成績及び財政状態について当社は平成8年6月14日の設立以降一貫して医薬品の開発を目指した研究開発活動を行っており、現在まで毎期研究開発費を中心とした費用が収益を上回り、当期純損失を計上する状態が続いています。また営業活動によるキャッシュ・フローもマイナスの状況が続いています。現時点における当社の収益は、当社が第三者と締結した共同研究開発契約及びライセンス契約に基づく契約一時金及びマイルストーン収入に依存しており、今後提携候補先とこれらの契約を締結できない場合や契約の相手先がこれらの契約に定められたマイルストーンを達成できなかった場合には、契約一時金の支払いやマイルストーン収入を受けられない場合があります。このような場合には、当社の純損失が想定よりも拡大する場合があります。 (7)マイナスの繰越利益剰余金が計上されていることについて当社は研究開発型のベンチャー企業であり、臨床段階にあるパイプラインが上市され、ロイヤリティ収入等の安定した収益を受ける体制となるまでは、多額の研究開発費用が先行して計上されることとなります。そのため連続して当期純損失を計上しており、当事業年度末において、マイナスの繰越利益剰余金を計上しております。当社は、パイプラインを計画通り、迅速、効率的かつ着実に推進することにより、早期の利益確保を目指しておりますが、将来において計画通りに当期純利益を計上できない可能性もあります。また、当社の事業が計画通りに進展せず、当期純利益を計上できない場合には、マイナスの繰越利益剰余金がプラスとなる時期が著しく遅れる可能性があります。 (8)資金繰りについて当社は研究開発型企業として、自社研究や大学等との共同研究開発等を行っておりますが、多額の研究開発資金を必要とします。そのため、事業計画が計画通りに進展しない等の理由から想定したタイミングで資金を確保できなかった場合には資金不足となり、当社の資金繰りの状況によっては事業存続に多大な影響を与える可能性があります。 (9)税務上の繰越欠損金について当社には税務上の繰越欠損金が存在しております。繰越欠損金は、一般的に将来の課税所得から控除することが可能であるため、繰越欠損金を利用することにより将来の税額を減額することができます。しかしながら繰越欠損金の利用額と利用期間には、税務上、一定の制限も設けられております。よって計画通りに課税所得が発生しない場合、繰越欠損金を計画通り利用できないこととなるため、通常の税率に基づく法人税等が課税されることになり、当期純利益やキャッシュ・フローに影響を与える可能性があります。 (10)競合について当社はミセル化ナノ粒子技術をコアとして、現時点では抗がん剤に特化した医薬品開発を実施しております。抗がん剤を含めた新規医薬品の市場は国内外を問わないことから、日本国内のみならず世界中の同業他社と競合状態にあります。タキソール系のパクリタキセル、あるいはシスプラチンなどの白金系抗がん剤をリポソーム化した新規製剤や、類似の薬物を用いた経口剤がいくつか開発されており、当社の開発品目にとって、これらは競合する可能性があると考えます。当社としては、早期の新薬開発、発売を目指しておりますが、他社が同様の効果や、より安全性のある製品を当社より先に販売した場合や、当社製品の販売後にこれを上回る製品が販売された場合、当社が新製品を発売しても期待通りの収益をあげることができない可能性があります。 2.経営上の重要な契約等当社のビジネス展開上、重要と思われる契約の内容については、「4 経営上の重要な契約等」に記載の通りです。当社事業計画はこれらの契約に基づく収入等を前提に策定しているため、これら重要な契約の破棄が行われた場合、当社にとって不利な契約変更が行われた場合及び契約期間満了後に契約が継続されない場合は、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。 3.当社の組織体制について(1)人材の確保について当社の競争力の核は研究開発力にあるため、専門性の高い研究者の確保が不可欠であります。同様に、事業拡大を支えるために、事業開発、製造、内部管理等の人材も充実させる必要があります。当社は、優秀な人材の確保及び社内人材の教育に努めていきますが、人材の確保及び社内人材の教育が計画通りに進まない場合には、当社の業務に支障をきたすおそれがあります。 (2)小規模組織であることについて当社は小規模組織であり、研究開発体制及び社内管理体制も、この規模に応じたものとなっております。そしてこのように限られた人材の中でも業務遂行体制の充実に努めておりますが、限られた人的資源に依存しているために、社員に業務遂行上の支障が生じた場合、あるいは社員が大量に退職した場合には、当社の業務に支障をきたすおそれがあります。一方、急激な規模拡大は、固定費の増加につながり、当社の業績に影響を与えるおそれがあります。 (3)特定人物への依存について当社の事業の推進者は、代表取締役社長CEOである中冨一郎であります。中冨は当社の経営戦略の決定、研究開発、事業開発及び管理業務の推進において、当社の最高責任者として影響力を有しております。このため当社は中冨に過度に依存しない体制を構築すべく、経営組織の強化を図っておりますが、中冨が何らかの理由により当社の業務を継続することが困難となった場合には、当社の事業戦略に影響を及ぼす可能性があります。 (4)アドバイザー及び顧問について当社は社外の研究者とアドバイザー契約又は顧問契約を締結しており、最先端の研究成果を当社の研究開発に生かせる体制を整えております。アドバイザー契約及び顧問契約は単年度ごとの契約になっておりますため、何らかの理由で契約の更新ができなかった場合等、契約を継続できなくなった場合には、当社の研究開発に影響を及ぼす可能性があります。 (5)M&Aについて当社は、医薬品事業の経営基盤構築及び関連事業や周辺事業の拡大のため、有力な企業との資本・事業提携、M&Aを通じた外部経営資源の活用や外部成長の取り込みを図っていくことが有力な選択肢になると考えており、検討を進めております。また、外部からの製品パイプラインの導入や製薬・バイオ企業への投資・買収なども検討しておりますが、かかる投資・買収が成功裏に完了する保証はありません。 4.知的財産権について(1)当社の特許戦略について当社は、特許によって他社に対して優位性をもち、他方、他社の権利を尊重しつつ自社の権利行使を推し進めます。当社が現状臨床開発を推進しているパイプラインは、当社が保有又は当社が他者からライセンスインをしている特許権若しくは特許出願を基礎とするものであり、これらの特許は医薬品市場の大きい米国、ヨーロッパ、日本及びアジアを中心に出願されております。しかしながら、当社が保有及びライセンスインをしている現在出願中の特許が全て成立するとは限らず、また、当社が事業活動を行う全ての地域又は競合相手が存在する全ての地域において特許を出願しているわけではありません。また、特許が成立しても、当社の研究開発を超える優れた研究開発により当社の特許に含まれる技術が淘汰される可能性は、常に存在しております。さらに、当社の特許権の権利範囲に含まれない優れた技術が開発された場合や成立した特許権が事後的に取り消されたような場合には、当社の事業戦略や経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。なお、当社の展開する主要パイプライン及び新規開発パイプラインに関して、必要な他者所有の特許については、ライセンスインをしております。さらに、当社の今後の事業展開の中でライセンスインする必要のある特許が生じ、そのライセンスインができなかった場合や、多額の実施料の支払いが必要になった場合には、当社の事業戦略や経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。 (2)知的財産権に関する訴訟、クレーム等について当事業年度末現在において、当社の開発に関連した特許権等の知的財産権について、第三者との間で訴訟やクレームが発生したという事実はありません。なお、他者が当社と同様の研究開発を行っていないという保証はなく、今後も当社が他者の特許に抵触するような問題が発生しないという保証はありません。当社としては、このような問題を未然に防止するため、事業展開にあたっては当社及び特許事務所等を通じた特許調査を実施しており、当社技術が他者の特許に抵触しているという事実は認識しておりません。しかし、当社のような研究開発型企業にとって、このような知的財産権の侵害に関する問題の発生を完全に回避することは困難であり、第三者との間で特許権に関する紛争が生じた場合又は当社が共同研究開発の相手方と第三者の紛争に巻き込まれた場合には、当社の事業戦略や経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。 5.製造物責任のリスクについて医薬品の開発及び製造には、製造物責任のリスクが内在しています。将来、開発したいずれかの医薬品が健康障害を引き起こし、又は臨床試験、製造、営業若しくは販売において不適当な点が発見された場合、当社は製造物責任を負うこととなり、当社の業務及び財政状態に重大な悪影響を及ぼす可能性があります。また、たとえ当社に対する損害賠償の請求が認められなかったとしても、製造物責任請求が与えるネガティブなイメージにより、当社及び当社の医薬品に対する信頼に悪影響が生じ、当社の事業に影響を与える可能性があります。 6.法規制について当社は、現在医薬品の研究開発を行っておりますが、今後研究開発の成果に基づき医薬品の製造を行うことを目指しています。この場合、日本においては、医薬品医療機器等法その他の関連法規の規制を受けることとなります。この法律は、医薬品、医薬部外品、化粧品及び医療用具の品質、有効性及び安全性の確保を目的としており、これらの製造販売には所轄官公庁の承認又は許可が必要となります。今後、開発の進捗に伴い、適宜承認・許可を取得する必要があります。また、国外においても各国で類似の法律や関連法規の規制を受けることになります。また、当社のパイプラインについては、開発、製造、販売などにつき各国における健康保険制度に関する法規制及び患者のプライバシーに関する規制その他の規制に服することになります。さらに、当社が日本国内において臨床試験を計画中のVB-111は遺伝子治療薬であり、カルタヘナ法(遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律)に基づく規制当局の承認を受ける必要があり、当該承認を受けられなかった場合、開発計画の遅延等の影響を受ける可能性があります。 7.主要な事業活動の前提となる事項について主要パイプラインに係るライセンス契約①大学等からの知的財産権のライセンスインについて当社は、大学発の研究成果(シーズ)を医薬品として実用化するために、積極的に大学及び研究機関から知的財産権のライセンスインを行っており、特に主要なパイプラインに係る下記のライセンス契約に関しては、いずれも当社事業の根幹に関わる重要な契約であると認識しております。現時点では、下記契約の継続に支障をきたす要因は発生しておりませんが、当該契約の継続に支障をきたす要因が発生した場合、あるいは当社にとって不利な契約改定が行われた場合及び契約期間満了後に契約が継続されない場合は、当社の開発計画及び業績等に重大な影響を及ぼす可能性があります。契約書名契約会社名(契約締結日)契約内容実施許諾契約書株式会社東京大学TLO(平成13年1月26日)後述の「4 経営上の重要な契約等 (2)技術導入契約 ①実施許諾契約書」をご参照ください。実施許諾契約書株式会社東京大学TLO(平成16年5月19日)後述の「4 経営上の重要な契約等 (2)技術導入契約 ②実施許諾契約書及び覚書」をご参照ください。覚書国立大学法人東京大学及び株式会社東京大学TLO(平成18年3月31日) ②提携先へのライセンスアウトについて当社は、医薬開発品上市前の研究開発費の負担を軽減し、当社の財務面のリスクの極小化を図るため、(ⅰ)自社開発、(ⅱ)共同研究開発、(ⅲ)ライセンスアウト、(ⅳ)ライセンスインの4パターンのビジネスモデルで研究開発を進めており、現時点でライセンスアウト中の2パイプライン(パクリタキセルミセル(NK105)、シスプラチンミセル(NC-6004))があります。下記のライセンス契約に関しては、いずれも当社事業の根幹に関わる重要な契約であると認識しております。現時点では、下記契約の継続に支障をきたす要因は発生しておりませんが、当該契約の継続に支障をきたす要因が発生した場合、あるいは当社にとって不利な契約改定が行われた場合及び契約期間満了後に契約が継続されない場合は、当社の開発計画及び業績等に重大な影響を及ぼす可能性があります。契約書名契約会社名(契約締結日)契約内容実施許諾基本契約日本化薬株式会社(平成14年6月12日)後述の「4 経営上の重要な契約等 (1)技術導出契約 ①実施許諾基本契約」をご参照ください。EXTENDED LICENSE AGREEMENT for NC-6004 TechnologyOrient Europharma Co., Ltd.(平成24年11月7日)後述の「4 経営上の重要な契約等 (1)技術導出契約 ②EXTENDED LICENSE AGREEMENT for NC-6004 Technology」をご参照ください。 8.配当政策について当社は創業以降、当期純損失を計上しており、利益配当は実施しておりません。当社の医薬品事業については引き続き研究開発活動を実施していく必要があるため、研究開発活動の継続的な実施に備えた資金の確保を優先する方針です。株主への利益還元については重要な経営課題と認識しておりますが、利益計上された段階において経営成績及び財政状態を勘案し、方針を検討する所存であります。 9.ストック・オプションを含む新株予約権の発行について当社はストック・オプション制度を採用しており、当事業年度末現在でストック・オプションとして発行している新株予約権は2,236,800株相当(既行使分を除く)であります。このほか、資金調達のために新株予約権を発行しており、第3回無担保転換社債型新株予約権付社債に付された新株予約権2,171,052株相当並びに第14回新株予約権5,450,000株相当(いずれも既行使分を除く)を合計すると7,621,052株相当となります。これら発行済の新株予約権が全て行使された場合の潜在株式数は9,857,852株であり、この潜在株式数と発行済株式総数43,236,584株とを合計した株式数(53,094,436株)に対し18.57%となり、当社の1株当たりの株式価値は希薄化する可能性があります。なお、当社は、今後も優秀な人材確保のためにストック・オプション制度を継続して実施していくことを検討しております。従いまして、今後新株予約権が付与され、権利行使された場合には、1株当たりの株式価値は希薄化する可能性があります。また、新たなストック・オプションについては費用計上が義務付けられているため、付与条件によっては、今後のストック・オプションの付与により、当社の業績が影警を受ける可能性があります。 10.為替差損等について当社は、欧米において臨床試験を行っておりますが、臨床試験に要する費用の支払いについては、主として外貨によって行っており、またそれらの支払いに備えて外貨建て預金を保有しております。また、当社の売上高の一部は外貨により計上される場合があります。従いまして、為替相場の変動は、当社の業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
FY2017|10,454 文字
4 【事業等のリスク】以下において、当社の事業展開その他に関してリスク要因と考えられる主な事項を記載しています。また、投資家の投資判断上、重要であると考えられる事項については、投資家に対する積極的な情報開示の観点から以下に開示しております。なお、当社は、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針ですが、本株式に関する投資判断は、以下の記載事項及び本項以外の記載事項を慎重に検討した上で行われる必要があると考えます。 また、文中の将来に関する事項については、本書提出日現在において当社が判断したものであります。 1.会社の事業内容について(1)現在の事業内容①提携候補先とのライセンス契約の締結について当社は、ミセル化ナノ粒子技術を特許等の知的財産として所有しており、有用性(有効性、安全性)を向上させた医療ニーズに応える新規医薬品を提供すべく、ナノテクノロジーを応用した製剤技術を基盤に創薬の研究開発を進めております。各パイプラインの研究開発を進めて製品化に到達するために、当社は事業段階に応じた展開を図っており、現状のビジネスモデルは、(ⅰ)自社開発、(ⅱ)共同研究開発、(ⅲ)ライセンスアウトの3パターンとなっています。上記のビジネスモデルのうち、(ⅱ)共同研究開発及び(ⅲ)ライセンスアウトに関しては、事業展開上、各パイプラインにおける提携候補先との共同研究開発契約、若しくはライセンス契約の締結時期及び条件は、当社の事業計画に重大な影響を及ぼすこととなります。また、契約を想定通りに締結できなかった場合や想定通りに契約を締結できた場合であっても提携先とのその後の方針の不一致等により共同研究開発契約等が解消された場合にも、経営成績及び財政状態並びに開発計画等に重大な影響を与えることとなります。 ②既存の化合物を利用することによる医薬品開発のリスク低減について当社が取り組むプロジェクトの主たるものは、既に薬効が確認されている化合物をベースにミセル化ナノ粒子技術と融合させ、新剤型医薬品、あるいは新有効成分としていることから、当社では、全く新規(この世の中に存在していなかった)の構造を有する化合物に比して、医薬品とするための開発リスクが低く、成功確率が高いと考えております。しかし、長期の開発期間中に管轄当局の規制方針の変更などにより、開発リスクや成功確率が当社の想定通りの水準におさまるとは断定できず、当社の想定以上に開発リスクが高くなった場合、あるいは成功確率が低くなった場合には、当社の事業展開に支障を及ぼすこととなります。 ③パイプラインの拡充について当社は、薬物と当社のポリマーを結合させて新有効成分とする研究開発の過程で生じる新しい発明の特許出願を行い、排他性を確保することが重要になります。当社ではこれらの特許等に裏付けられた技術をベースにパイプラインを増やしていく必要があると考えています。しかし、想定通りに特許等に裏付けられたパイプラインを増やしていけるかどうかは不確定であり、また、各パイプラインの研究開発を想定通りに進めていけるという保証もありません。想定通りにパイプラインを増やせなかった場合、あるいは各パイプラインの研究開発が想定通りに進められなかった場合、当社の事業展開は悪影響を受けることになります。 ④医薬品の申請区分に関する評価について当社は既存化合物だけではなく、新薬についても当社技術と融合して新有効成分とする医薬品の開発を目指しており、申請区分については、当社開発中の製品のほとんどが新規化合物になると考えております。しかしながら、実際に想定通りの評価が得られるとは限らず、管轄当局より、当社想定通りの評価を得られなかった場合、当社の事業展開は影響を受ける可能性があります。 (2)当社の医薬品の開発状況について①当社のパイプラインについて当社には、現在まで上市された承認済の医薬品はありません。シスプラチンミセル(NC-6004)、ダハプラチンミセル(NC-4016)、エピルビシンミセル(NC-6300)及びパクリタキセルミセル(NK105)の4品目が臨床開発段階にあり、この他基礎研究中の新規開発パイプラインがあります。当社のパイプラインは全て、未だ研究開発途中であり、将来、医薬品として上市される保証はなく、臨床試験段階における重篤事象の発生等による開発中止の可能性や、開発遅延の可能性もあります。また、当社がライセンス・提携先との契約を解消した場合は、当社の研究開発活動に遅延が生じることで、当社の開発計画及び業績等に重大な影響を及ぼす可能性があります。また、先行して臨床開発段階に入っている上記パイプラインの承認の可否は、当社事業に重大な影響を及ぼすおそれがあります。さらに、日本及び海外の両地域で展開予定のパイプラインについては、先行地域の臨床開発が遅延した場合、後続地域の臨床開発遅延につながる可能性もあり、当社の事業計画の進捗に影響を及ぼすおそれがあります。また、当社パイプラインが将来医薬品として上市されたとしても、当該医薬品が市場から受け入れられる保証はなく、各国における医薬品承認制度や知的財産制度等の影響を受ける可能性もあるため、当該医薬品が当社の想定通り製造及び販売される保証はありません。 ②第三者への依存について当社は、当社が開発する医薬品の臨床試験については、開発業務受託機関にその実施を委託しており、また、臨床試験に用いる治験薬については、医薬品製造受託機関等にその製造を委託しております。開発業務受託機関又は医薬品製造受託機関等がこれらに課せられる各種規制等を遵守できない場合、当社と開発業務受託機関又は医薬品製造受託機関等との契約が終了し、当社が別の開発業務受託機関又は医薬品製造受託機関等と当社が望む条件で契約を締結できない場合等において、当社の想定通り臨床試験が進まない可能性があります。また、上市後の医薬品の製造についても、医薬品製造受託機関等との関係では、上記の要因による影響を受ける可能性があります。また、上市後の医薬品の販売等について当社は第三者に販売権をライセンスし、ロイヤリティ収入を得ることを想定しておりますが、かかる第三者とライセンス契約を締結できる保証はありません。また、第三者との間で販売にかかるライセンス契約を締結できない場合には、当該医薬品の販売等を自社で行う必要がありますが、この場合には、自社販売体制の構築等に想定外の費用が発生し、想定通りに販売が進まない可能性があります。 (3)化粧品事業の展開について当社はミセル化ナノ粒子技術の応用範囲を広げ、株式会社アルビオンとの共同開発により、化粧品事業を展開しております。当社は、同社に対し、化粧品原材料の供給を行うとともに、同社から共同研究開発製品を仕入れ、最終消費者への販売を行っております。 ①競合について化粧品業界は、参入障壁が低いこともあり、激しい企業間競争にさらされております。当社は既存の製品にない画期的な商品を開発し、株式会社アルビオンの持つブランド力、マーケティング力及び販売力を生かして、化粧品事業を推進していく所存ですが、当社の製品が顧客のニーズに合致せず、市場から受け入れられない場合には事業計画通りの売上を達成できず、当社の財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。 ②当社製品及び原材料の品質及び安全性について当社の製品及び原材料の品質や安全性について疑義が生じた場合は、当社の財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。また、結果的に当社の製品及び原材料に品質欠陥や安全性に関する問題が生じなかった場合においても、風評被害等により、同様の影響を受ける可能性があります。 ③株式会社アルビオンへの依存について現在の当社化粧品事業は、株式会社アルビオンとの共同開発及び共同事業によるものが主であり、同社との契約が終了し、当社が望む条件で契約を締結できない場合等において、当社事業計画の達成に影響を及ぼす可能性があります。 (4)今後の事業の見通しについて当社は早期の新薬の製造販売承認を目指して研究開発を進めておりますが、新薬の開発には長期にわたり多額の研究開発投資を要します。平成25年10月に実施した公募増資等により当面の研究開発資金の確保に目処はつきましたが、研究開発が計画通り進捗する保証はありません。研究開発が計画通りに進捗しない場合、新薬の製造販売承認の時期も不確定となるため、計画通りに新薬の製造及び販売が行われる保証はありません。なお、製造販売承認が得られなければ開発コストを回収できないこととなり、また製造販売承認が得られても、当社の事業計画上の目標売上を達成できない可能性もあります。 (5)特定の取引先への依存について①特定の販売先への依存について当社の主な販売先は、「2 生産、受注及び販売の状況 (3) 販売実績」に記載のとおりであり、株式会社アルビオン等が挙げられますが、これらの会社が今後、当社との取引を継続的に行う保証はありません。よってこれらの会社の当社との取引方針の変更、収益動向の変化又は事業活動の停止などにより、当社の業績に重大な影響が生じる可能性があります。 ②特定の仕入先への依存について当社の原料及び研究用試薬の主な調達先は、Orient Pharma Co., Ltd.、家田化学薬品株式会社、日油株式会社等が挙げられますが、これらの会社が当社との取引を今後も継続的に行う保証はありません。よってこれらの会社の当社との取引方針の変更、収益動向の変化又は事業活動の停止などにより、当社の研究開発活動に遅延が生じ、当社の業績に重大な影響が生じる可能性があります。 (6)経営成績及び財政状態について当社は平成8年6月14日の設立以降一貫して医薬品の開発を目指した研究開発活動を行っており、現在まで毎期研究開発費を中心とした費用が収益を上回り、当期純損失を計上する状態が続いています。また営業活動によるキャッシュ・フローもマイナスの状況が続いています。現時点における当社の収益は、当社が第三者と締結した共同研究開発契約及びライセンス契約に基づく契約一時金及びマイルストーン収入に依存しており、今後提携候補先とこれらの契約を締結できない場合や契約の相手先がこれらの契約に定められたマイルストーンを達成できなかった場合には、契約一時金の支払いやマイルストーン収入を受けられない場合があります。このような場合には、当社の純損失が想定よりも拡大する場合があります。 (7)マイナスの繰越利益剰余金が計上されていることについて当社は研究開発型のベンチャー企業であり、臨床段階にあるパイプラインが上市され、ロイヤリティ収入等の安定した収益を受ける体制となるまでは、多額の研究開発費用が先行して計上されることとなります。そのため連続して当期純損失を計上しており、当事業年度末において、マイナスの繰越利益剰余金を計上しております。当社は、パイプラインを計画通り、迅速、効率的かつ着実に推進することにより、早期の利益確保を目指しておりますが、将来において計画通りに当期純利益を計上できない可能性もあります。また、当社の事業が計画通りに進展せず、当期純利益を計上できない場合には、マイナスの繰越利益剰余金がプラスとなる時期が著しく遅れる可能性があります。 (8)資金繰りについて当社は研究開発型企業として、自社研究や大学等との共同研究開発等を行っておりますが、多額の研究開発資金を必要とします。そのため、事業計画が計画通りに進展しない等の理由から想定したタイミングで資金を確保できなかった場合には資金不足となり、当社の資金繰りの状況によっては事業存続に多大な影響を与える可能性があります。 (9)税務上の繰越欠損金について当社には税務上の繰越欠損金が存在しております。繰越欠損金は、一般的に将来の課税所得から控除することが可能であるため、繰越欠損金を利用することにより将来の税額を減額することができます。しかしながら繰越欠損金の利用額と利用期間には、税務上、一定の制限も設けられております。よって計画通りに課税所得が発生しない場合、繰越欠損金を計画通り利用できないこととなるため、通常の税率に基づく法人税等が課税されることになり、当期純利益やキャッシュ・フローに影響を与える可能性があります。 (10)競合について当社はミセル化ナノ粒子技術をコアとして、現時点では抗がん剤に特化した医薬品開発を実施しております。抗がん剤を含めた新規医薬品の市場は国内外を問わないことから、日本国内のみならず世界中の同業他社と競合状態にあります。タキソール系のパクリタキセル、あるいはシスプラチンなどの白金系抗がん剤をリポソーム化した新規製剤や、類似の薬物を用いた経口剤がいくつか開発されており、当社の開発品目にとって、これらは競合する可能性があると考えます。当社としては、早期の新薬開発、発売を目指しておりますが、他社が同様の効果や、より安全性のある製品を当社より先に販売した場合や、当社製品の販売後にこれを上回る製品が販売された場合、当社が新製品を発売しても期待通りの収益をあげることができない可能性があります。 2.経営上の重要な契約等当社のビジネス展開上、重要と思われる契約の内容については、「5 経営上の重要な契約等」に記載の通りであります。当社事業計画はこれらの契約に基づく収入等を前提に策定しているため、これら重要な契約の破棄が行われた場合、当社にとって不利な契約変更が行われた場合及び契約期間満了後に契約が継続されない場合は、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。 3.当社の組織体制について(1)人材の確保について当社の競争力の核は研究開発力にあるため、専門性の高い研究者の確保が不可欠であります。同様に、事業拡大を支えるために、事業開発、製造、内部管理等の人材も充実させる必要があります。当社は、優秀な人材の確保、及び社内人材の教育に努めていきますが、人材の確保及び社内人材の教育が計画通りに進まない場合には、当社の業務に支障をきたすおそれがあります。 (2)小規模組織であることについて当社は小規模組織であり、研究開発体制及び社内管理体制も、この規模に応じたものとなっております。そしてこのように限られた人材の中でも業務遂行体制の充実に努めておりますが、限られた人的資源に依存しているために、社員に業務遂行上の支障が生じた場合、あるいは社員が大量に退職した場合には、当社の業務に支障をきたすおそれがあります。一方、急激な規模拡大は、固定費の増加につながり、当社の業績に影響を与えるおそれがあります。 (3)特定人物への依存について当社の事業の推進者は、代表取締役社長CEOである中冨一郎であります。中冨は当社の経営戦略の決定、研究開発、事業開発及び管理業務の推進において、当社の最高責任者として影響力を有しております。このため当社は中冨に過度に依存しない体制を構築すべく、経営組織の強化を図っておりますが、中冨が何らかの理由により当社の業務を継続することが困難となった場合には、当社の事業戦略に影響を及ぼす可能性があります。 (4)アドバイザー及び顧問について当社は社外の研究者とアドバイザー契約又は顧問契約を締結しており、最先端の研究成果を当社の研究開発に生かせる体制を整えております。アドバイザー契約及び顧問契約は単年度ごとの契約になっておりますため、何らかの理由で契約の更新ができなかった場合等、契約を継続できなくなった場合には、当社の研究開発に影響を及ぼす可能性があります。 (5)M&Aについて当社は、医薬品事業の経営基盤構築及び関連事業や周辺事業の拡大のため、有力な企業との資本・事業提携、M&Aを通じた外部経営資源の活用や外部成長の取り込みを図っていくことが有力な選択肢になると考えており、検討を進めております。また、外部からの製品パイプラインの導入や製薬・バイオ企業への投資・買収なども検討しておりますが、かかる投資・買収が成功裏に完了する保証はありません。 4.知的財産権について(1)当社の特許戦略について当社は、特許によって他社に対して優位性をもち、他方、他社の権利を尊重しつつ自社の権利行使を推し進めます。当社が現状臨床開発を推進しているパイプラインは、当社が保有又は当社が他者からライセンスインをしている特許権若しくは特許出願を基礎とするものであり、これらの特許は医薬品市場の大きい米国、ヨーロッパ、日本及びアジアを中心に出願されております。しかしながら、当社が保有及びライセンスインをしている現在出願中の特許が全て成立するとは限らず、また、当社が事業活動を行う全ての地域又は競合相手が存在する全ての地域において特許を出願しているわけではありません。また、特許が成立しても、当社の研究開発を超える優れた研究開発により当社の特許に含まれる技術が淘汰される可能性は、常に存在しております。さらに、当社の特許権の権利範囲に含まれない優れた技術が開発された場合や成立した特許権が事後的に取り消されたような場合には、当社の事業戦略や経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。なお、当社の展開する主要パイプライン及び新規開発パイプラインに関して、必要な他者所有の特許については、ライセンスインをしております。さらに、当社の今後の事業展開の中でライセンスインする必要のある特許が生じ、そのライセンスインができなかった場合や、多額の実施料の支払いが必要になった場合には、当社の事業戦略や経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。 (2)知的財産権に関する訴訟、クレーム等について当事業年度末現在において、当社の開発に関連した特許権等の知的財産権について、第三者との間で訴訟やクレームが発生したという事実はありません。なお、他者が当社と同様の研究開発を行っていないという保証はなく、今後も当社が他者の特許に抵触するような問題が発生しないという保証はありません。当社としては、このような問題を未然に防止するため、事業展開にあたっては当社及び特許事務所等を通じた特許調査を実施しており、当社技術が他者の特許に抵触しているという事実は認識しておりません。しかし、当社のような研究開発型企業にとって、このような知的財産権の侵害に関する問題の発生を完全に回避することは困難であり、第三者との間で特許権に関する紛争が生じた場合又は当社が共同研究開発の相手方と第三者の紛争に巻き込まれた場合には、当社の事業戦略や経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。 5.製造物責任のリスクについて医薬品の開発及び製造には、製造物責任のリスクが内在しています。将来、開発したいずれかの医薬品が健康障害を引き起こし、又は臨床試験、製造、営業若しくは販売において不適当な点が発見された場合、当社は製造物責任を負うこととなり、当社の業務及び財政状態に重大な悪影響を及ぼす可能性があります。また、たとえ当社に対する損害賠償の請求が認められなかったとしても、製造物責任請求が与えるネガティブなイメージにより、当社及び当社の医薬品に対する信頼に悪影響が生じ、当社の事業に影響を与える可能性があります。 6.法規制について当社は、現在医薬品の研究開発を行っておりますが、今後研究開発の成果に基づき医薬品の製造を行うことを目指しています。この場合、日本においては、医薬品医療機器等法その他の関連法規の規制を受けることとなります。この法律は、医薬品、医薬部外品、化粧品及び医療用具の品質、有効性及び安全性の確保を目的としており、これらの製造販売には所轄官公庁の承認又は許可が必要となります。今後、開発の進捗に伴い、適宜承認・許可を取得する必要があります。また、国外においても各国で類似の法律や関連法規の規制を受けることになります。また、当社のパイプラインについては、開発、製造、販売などにつき各国における健康保険制度に関する法規制及び患者のプライバシーに関する規制その他の規制に服することになります。 7.主要な事業活動の前提となる事項について 主要パイプラインに係るライセンス契約①大学等からの知的財産権のライセンスインについて当社は、大学発の研究成果(シーズ)を医薬品として実用化するために、積極的に大学及び研究機関から知的財産権のライセンスインを行っており、特に主要なパイプラインに係る下記のライセンス契約に関しては、いずれも当社事業の根幹に関わる重要な契約であると認識しております。現時点では、下記契約の継続に支障をきたす要因は発生しておりませんが、当該契約の継続に支障をきたす要因が発生した場合、あるいは当社にとって不利な契約改定が行われた場合及び契約期間満了後に契約が継続されない場合は、当社の開発計画及び業績等に重大な影響を及ぼす可能性があります。契約書名契約会社名(契約締結日)契約内容実施許諾契約書株式会社東京大学TLO(平成13年1月26日)後述の「5 経営上の重要な契約等 (2)技術導入契約 ①実施許諾契約書」をご参照ください。実施許諾契約書株式会社東京大学TLO(平成16年5月19日)後述の「5 経営上の重要な契約等 (2)技術導入契約 ②実施許諾契約書及び覚書」をご参照ください。覚書国立大学法人東京大学及び株式会社東京大学TLO(平成18年3月31日) ②提携先へのライセンスアウトについて当社は、医薬開発品上市前の研究開発費の負担を軽減し、当社の財務面のリスクの極小化を図るため、(ⅰ)自社開発、(ⅱ)共同研究開発、(ⅲ)ライセンスアウトの3パターンのビジネスモデルで研究開発を進めており、現時点でライセンスアウト中の2パイプライン(パクリタキセルミセル(NK105)、シスプラチンミセル(NC-6004))があります。下記のライセンス契約に関しては、いずれも当社事業の根幹に関わる重要な契約であると認識しております。現時点では、下記契約の継続に支障をきたす要因は発生しておりませんが、当該契約の継続に支障をきたす要因が発生した場合、あるいは当社にとって不利な契約改定が行われた場合及び契約期間満了後に契約が継続されない場合は、当社の開発計画及び業績等に重大な影響を及ぼす可能性があります。契約書名契約会社名(契約締結日)契約内容実施許諾基本契約日本化薬株式会社(平成14年6月12日)後述の「5 経営上の重要な契約等 (1)技術導出契約 ①実施許諾基本契約」をご参照ください。EXTENDED LICENSE AGREEMENT for NC-6004 TechnologyOrient Europharma Co., Ltd.(平成24年11月7日)後述の「5 経営上の重要な契約等 (1)技術導出契約 ②EXTENDED LICENSE AGREEMENT for NC-6004 Technology」をご参照ください。 8.配当政策について当社は創業以降、当期純損失を計上しており、利益配当は実施しておりません。当社の医薬品事業については引き続き研究開発活動を実施していく必要があるため、研究開発活動の継続的な実施に備えた資金の確保を優先する方針です。株主への利益還元については重要な経営課題と認識しておりますが、利益計上された段階において経営成績及び財政状態を勘案し、方針を検討する所存であります。 9.ストック・オプションを含む新株予約権の発行について当社はストック・オプション制度を採用しており、当事業年度末現在でストック・オプションとして発行している新株予約権は2,593,000株相当(既行使分を除く)であります。このほか、資金調達のために新株予約権を発行しており、第3回無担保転換社債型新株予約権付社債に付された新株予約権2,171,052株相当並びに第14回新株予約権5,450,000株相当(いずれも既行使分を除く)を合計すると7,621,052株相当となります。これら発行済の新株予約権が全て行使された場合の潜在株式数は10,214,052株であり、この潜在株式数と発行済株式数43,179,384株とを合計した株式数(53,393,436株)に対し19.13%となり、当社の1株当たりの株式価値は希薄化する可能性があります。なお、当社は、今後も優秀な人材確保のためにストック・オプション制度を継続して実施していくことを検討しております。従いまして、今後新株予約権が付与され、権利行使された場合には、1株当たりの株式価値は希薄化する可能性があります。また、新たなストック・オプションについては費用計上が義務付けられているため、付与条件によっては、今後のストック・オプションの付与により、当社の業績が影警を受ける可能性があります。 10.為替差損等について当社は、欧米において臨床試験を行っておりますが、臨床試験に要する費用の支払いについては、主として外貨によって行っており、またそれらの支払いに備えて外貨建て預金を保有しております。また、当社の売上高の一部は外貨により計上される場合があります。従いまして、為替相場の変動は、当社の業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
FY2016|10,680 文字
4 【事業等のリスク】以下において、当社の事業展開その他に関してリスク要因と考えられる主な事項を記載しています。また、投資家の投資判断上、重要であると考えられる事項については、投資家に対する積極的な情報開示の観点から以下に開示しております。なお、当社は、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針ですが、本株式に関する投資判断は、以下の記載事項及び本項以外の記載事項を慎重に検討した上で行われる必要があると考えます。 また、文中の将来に関する事項については、本書提出日現在において当社が判断したものであります。 1.会社の事業内容について(1)現在の事業内容①提携候補先とのライセンス契約の締結について当社は、ミセル化ナノ粒子技術を特許等の知的財産として所有しており、有用性(有効性、安全性)を向上させた医療ニーズに応える新規医薬品を提供すべく、ナノテクノロジーを応用した製剤技術を基盤に創薬の研究開発を進めております。各パイプラインの研究開発を進めて製品化に到達するために、当社は事業段階に応じた展開を図っており、現状のビジネスモデルは、(ⅰ)自社開発、(ⅱ)共同研究開発、(ⅲ)ライセンスアウトの3パターンとなっています。上記のビジネスモデルのうち、(ⅱ)共同研究開発及び(ⅲ)ライセンスアウトに関しては、事業展開上、各パイプラインにおける提携候補先との共同研究開発契約、若しくはライセンス契約の締結時期及び条件は、当社の事業計画に重大な影響を及ぼすこととなります。また、契約を想定通りに締結できなかった場合や想定通りに契約を締結できた場合であっても提携先とのその後の方針の不一致等により共同研究開発契約等が解消された場合にも、経営成績及び財政状態並びに開発計画等に重大な影響を与えることとなります。 ②既存の化合物を利用することによる医薬品開発のリスク低減について当社が取り組むプロジェクトの主たるものは、既に薬効が確認されている化合物をベースにミセル化ナノ粒子技術と融合させ、新剤型医薬品、あるいは新有効成分としていることから、当社では、全く新規(この世の中に存在していなかった)の構造を有する化合物に比して、医薬品とするための開発リスクが低く、成功確率が高いと考えております。しかし、長期の開発期間中に管轄当局の規制方針の変更などにより、開発リスクや成功確率が当社の想定通りの水準におさまるとは断定できず、当社の想定以上に開発リスクが高くなった場合、あるいは成功確率が低くなった場合には、当社の事業展開に支障を及ぼすこととなります。 ③パイプラインの拡充について当社は、薬物と当社のポリマーを結合させて新有効成分とする研究開発の過程で生じる新しい発明の特許出願を行い、排他性を確保することが重要になります。当社ではこれらの特許等に裏付けられた技術をベースにパイプラインを増やしていく必要があると考えています。しかし、想定通りに特許等に裏付けられたパイプラインを増やしていけるかどうかは不確定であり、また、各パイプラインの研究開発を想定通りに進めていけるという保証もありません。想定通りにパイプラインを増やせなかった場合、あるいは各パイプラインの研究開発が想定通りに進められなかった場合、当社の事業展開は悪影響を受けることになります。 ④医薬品の申請区分に関する評価について当社は既存化合物だけではなく、新薬についても当社技術と融合して新有効成分とする医薬品の開発を目指しており、申請区分については、当社開発中の製品のほとんどが新規化合物になると考えております。しかしながら、実際に想定通りの評価が得られるとは限らず、管轄当局より、当社想定通りの評価を得られなかった場合、当社の事業展開は影響を受ける可能性があります。 (2)当社の医薬品の開発状況について①当社のパイプラインについて当社には、現在まで上市された承認済の医薬品はありません。ナノプラチン®(NC-6004)、ダハプラチン誘導体ミセル(NC-4016)、エピルビシンミセル(NC-6300/K-912)及びパクリタキセルミセル(NK105)の4品目が臨床開発段階にあり、この他基礎研究中の新規開発パイプラインがあります。当社のパイプラインは全て、未だ研究開発途中であり、将来、医薬品として上市される保証はなく、臨床試験段階における重篤事象の発生等による開発中止の可能性や、開発遅延の可能性もあります。また、平成23年3月にDebiopharm S.A.(スイス)とのライセンス契約が終了したことによりダハプラチン誘導体ミセル(NC-4016)の臨床試験が中断されましたが、同様に当社が他の提携先との契約を解消した場合は、当社の研究開発活動に遅延が生じることで、当社の開発計画及び業績等に重大な影響を及ぼす可能性があります。また、先行して臨床開発段階に入っている上記パイプラインの承認の可否は、当社事業に重大な影響を及ぼすおそれがあります。さらに、日本及び海外の両地域で展開予定のパイプラインについては、先行地域の臨床開発が遅延した場合、後続地域の臨床開発遅延につながる可能性もあり、当社の事業計画の進捗に影響を及ぼすおそれがあります。また、当社パイプラインが将来医薬品として上市されたとしても、当該医薬品が市場から受け入れられる保証はなく、各国における医薬品承認制度や知的財産制度等の影響を受ける可能性もあるため、当該医薬品が当社の想定通り製造及び販売される保証はありません。 ②第三者への依存について当社は、当社が開発する医薬品の臨床試験については、開発業務受託機関にその実施を委託しており、また、臨床試験に用いる治験薬については、医薬品製造受託機関等にその製造を委託しております。開発業務受託機関又は医薬品製造受託機関等がこれらに課せられる各種規制等を遵守できない場合、当社と開発業務受託機関又は医薬品製造受託機関等との契約が終了し、当社が別の開発業務受託機関又は医薬品製造受託機関等と当社が望む条件で契約を締結できない場合等において、当社の想定通り臨床試験が進まない可能性があります。また、上市後の医薬品の製造についても、医薬品製造受託機関等との関係では、上記の要因による影響を受ける可能性があります。また、上市後の医薬品の販売等について当社は第三者に販売権をライセンスし、ロイヤリティ収入を得ることを想定しておりますが、かかる第三者とライセンス契約を締結できる保証はありません。また、第三者との間で販売にかかるライセンス契約を締結できない場合には、当該医薬品の販売等を自社で行う必要がありますが、この場合には、自社販売体制の構築等に想定外の費用が発生し、想定通りに販売が進まない可能性があります。 (3)化粧品事業の展開について当社はミセル化ナノ粒子技術の応用範囲を広げ、株式会社アルビオンとの共同開発により、化粧品事業を展開しております。当社は、アルビオン社に対し、化粧品原材料の供給を行うとともに、アルビオン社から共同研究開発製品を仕入れ、最終消費者への販売を行っております。 ①競合について化粧品業界は、参入障壁が低いこともあり、激しい企業間競争にさらされております。当社は既存の製品にない画期的な商品を開発し、株式会社アルビオンの持つブランド力、マーケティング力及び販売力を生かして、化粧品事業を推進していく所存ですが、当社の製品が顧客のニーズに合致せず、市場から受け入れられない場合には事業計画通りの売上を達成できず、当社の財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。 ②当社製品及び原材料の品質及び安全性について当社の製品及び原材料の品質や安全性について疑義が生じた場合は、当社の財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。また、結果的に当社の製品及び原材料に品質欠陥や安全性に関する問題が生じなかった場合においても、風評被害等により、同様の影響を受ける可能性があります。 ③アルビオン社への依存について現在の当社化粧品事業は、株式会社アルビオンとの共同開発及び共同事業によるものが主であり、同社との契約が終了し、当社が望む条件で契約を締結できない場合等において、当社事業計画の達成に影響を及ぼす可能性があります。 (4)今後の事業の見通しについて当社は早期の新薬の製造販売承認を目指して研究開発を進めておりますが、新薬の開発には長期にわたり多額の研究開発投資を要します。平成25年10月に実施した公募増資等により当面の研究開発資金の確保に目処はつきましたが、研究開発が計画通り進捗する保証はありません。研究開発が計画通りに進捗しない場合、新薬の製造販売承認の時期も不確定となるため、計画通りに新薬の製造及び販売が行われる保証はありません。なお、製造販売承認が得られなければ開発コストを回収できないこととなり、また製造販売承認が得られても、当社の事業計画上の目標売上を達成できない可能性もあります。 (5)特定の取引先への依存について①特定の販売先への依存について当社の主な販売先は、「2 生産、受注及び販売の状況 (3) 販売実績」に記載のとおりであり、株式会社アルビオン等が挙げられますが、これらの会社が今後、当社との取引を継続的に行う保証はありません。よってこれらの会社の当社との取引方針の変更、収益動向の変化又は事業活動の停止などにより、当社の業績に重大な影響が生じる可能性があります。 ②特定の仕入先への依存について当社の原料及び研究用試薬の主な調達先は、家田化学薬品株式会社、Orient Pharma Co., Ltd.、長瀬産業株式会社等が挙げられますが、これらの会社が当社との取引を今後も継続的に行う保証はありません。よってこれらの会社の当社との取引方針の変更、収益動向の変化又は事業活動の停止などにより、当社の研究開発活動に遅延が生じ、当社の業績に重大な影響が生じる可能性があります。 (6)経営成績及び財政状態について当社は平成8年6月14日の設立以降一貫して医薬品の開発を目指した研究開発活動を行っており、現在まで毎期研究開発費を中心とした費用が収益を上回り、当期純損失を計上する状態が続いています。また営業活動によるキャッシュ・フローもマイナスの状況が続いています。現時点における当社の収益は、当社が第三者と締結した共同研究開発契約及びライセンス契約に基づく契約一時金及びマイルストーン収入に依存しており、今後提携候補先とこれらの契約を締結できない場合や契約の相手先がこれらの契約に定められたマイルストーンを達成できなかった場合には、契約一時金の支払いやマイルストーン収入を受けられない場合があります。このような場合には、当社の純損失が想定よりも拡大する場合があります。 (7)マイナスの繰越利益剰余金が計上されていることについて当社は研究開発型のベンチャー企業であり、臨床段階にあるパイプラインが上市され、ロイヤリティ収入等の安定した収益を受ける体制となるまでは、多額の研究開発費用が先行して計上されることとなります。そのため連続して当期純損失を計上しており、当事業年度末において、マイナスの繰越利益剰余金を計上しております。当社は、パイプラインを計画通り、迅速、効率的かつ着実に推進することにより、早期の利益確保を目指しておりますが、将来において計画通りに当期純利益を計上できない可能性もあります。また、当社の事業が計画通りに進展せず、当期純利益を計上できない場合には、マイナスの繰越利益剰余金がプラスとなる時期が著しく遅れる可能性があります。 (8)資金繰りについて当社は研究開発型企業として、自社研究や大学等との共同研究開発等を行っておりますが、多額の研究開発資金を必要とします。そのため、事業計画が計画通りに進展しない等の理由から想定したタイミングで資金を確保できなかった場合には資金不足となり、当社の資金繰りの状況によっては事業存続に多大な影響を与える可能性があります。 (9)税務上の繰越欠損金について当社には税務上の繰越欠損金が存在しております。繰越欠損金は、一般的に将来の課税所得から控除することが可能であるため、繰越欠損金を利用することにより将来の税額を減額することができます。しかしながら繰越欠損金の利用額と利用期間には、税務上、一定の制限も設けられております。よって計画通りに課税所得が発生しない場合、繰越欠損金を計画通り利用できないこととなるため、通常の税率に基づく法人税等が課税されることになり、当期純利益やキャッシュ・フローに影響を与える可能性があります。 (10)競合について当社はミセル化ナノ粒子技術をコアとして、現時点では抗がん剤に特化した医薬品開発を実施しております。抗がん剤を含めた新規医薬品の市場は国内外を問わないことから、日本国内のみならず世界中の同業他社と競合状態にあります。タキソール系のパクリタキセル、あるいはシスプラチンなどの白金系抗がん剤をリポソーム化した新規製剤や、類似の薬物を用いた経口剤がいくつか開発されており、当社の開発品目にとって、これらは競合する可能性があると考えます。当社としては、早期の新薬開発、発売を目指しておりますが、他社が同様の効果や、より安全性のある製品を当社より先に販売した場合や、当社製品の販売後にこれを上回る製品が販売された場合、当社が新製品を発売しても期待通りの収益をあげることができない可能性があります。 2.経営上の重要な契約等当社のビジネス展開上、重要と思われる契約の内容については、「5 経営上の重要な契約等」に記載の通りであります。当社事業計画はこれらの契約に基づく収入等を前提に策定しているため、これら重要な契約の破棄が行われた場合、当社にとって不利な契約変更が行われた場合及び契約期間満了後に契約が継続されない場合は、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。 3.当社の組織体制について(1)人材の確保について当社の競争力の核は研究開発力にあるため、専門性の高い研究者の確保が不可欠であります。同様に、事業拡大を支えるために、事業開発、製造、内部管理等の人材も充実させる必要があります。当社は、優秀な人材の確保、及び社内人材の教育に努めていきますが、人材の確保及び社内人材の教育が計画通りに進まない場合には、当社の業務に支障をきたすおそれがあります。 (2)小規模組織であることについて当社は小規模組織であり、研究開発体制及び社内管理体制も、この規模に応じたものとなっております。 そしてこのように限られた人材の中でも業務遂行体制の充実に努めておりますが、限られた人的資源に依存しているために、社員に業務遂行上の支障が生じた場合、あるいは社員が大量に退職した場合には、当社の業務に支障をきたすおそれがあります。一方、急激な規模拡大は、固定費の増加につながり、当社の業績に影響を与えるおそれがあります。 (3)特定人物への依存について当社の事業の推進者は、代表取締役社長CEOである中冨一郎であります。中冨は当社の経営戦略の決定、研究開発、事業開発及び管理業務の推進において、当社の最高責任者として影響力を有しております。このため当社は中冨に過度に依存しない体制を構築すべく、経営組織の強化を図っておりますが、中冨が何らかの理由により当社の業務を継続することが困難となった場合には、当社の事業戦略に影響を及ぼす可能性があります。 (4)アドバイザー及び顧問について当社は社外の研究者とアドバイザー契約又は顧問契約を締結しており、最先端の研究成果を当社の研究開発に生かせる体制を整えております。アドバイザー契約及び顧問契約は単年度ごとの契約になっておりますため、何らかの理由で契約の更新ができなかった場合等、契約を継続できなくなった場合には、当社の研究開発に影響を及ぼす可能性があります。 (5)M&Aについて当社は、医薬品事業の経営基盤構築及び関連事業や周辺事業の拡大のため、有力な企業との資本・事業提携、M&Aを通じた外部経営資源の活用や外部成長の取り込みを図っていくことが有力な選択肢になると考えており、検討を進めております。また、外部からの製品パイプラインの導入や製薬・バイオ企業への投資・買収なども検討しておりますが、かかる投資・買収が成功裏に完了する保証はありません。 4.知的財産権について(1)当社の特許戦略について当社は、特許によって他社に対して優位性をもち、他方、他社の権利を尊重しつつ自社の権利行使を推し進めます。当社が現状臨床開発を推進しているパイプラインは、当社が保有又は当社が他者からライセンスインをしている特許権若しくは特許出願を基礎とするものであり、これらの特許は医薬品市場の大きい米国、ヨーロッパ、日本及びアジアを中心に出願されております。しかしながら、当社が保有及びライセンスインをしている現在出願中の特許が全て成立するとは限らず、また、当社が事業活動を行う全ての地域又は競合相手が存在する全ての地域において特許を出願しているわけではありません。また、特許が成立しても、当社の研究開発を超える優れた研究開発により当社の特許に含まれる技術が淘汰される可能性は、常に存在しております。さらに、当社の特許権の権利範囲に含まれない優れた技術が開発された場合や成立した特許権が事後的に取り消されたような場合には、当社の事業戦略や経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。なお、当社の展開する主要パイプライン及び新規開発パイプラインに関して、必要な他者所有の特許については、ライセンスインをしております。さらに、当社の今後の事業展開の中でライセンスインする必要のある特許が生じ、そのライセンスインができなかった場合や、多額の実施料の支払いが必要になった場合には、当社の事業戦略や経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。 (2)知的財産権に関する訴訟、クレーム等について当事業年度末現在において、当社の開発に関連した特許権等の知的財産権について、第三者との間で訴訟やクレームが発生したという事実はありません。なお、他者が当社と同様の研究開発を行っていないという保証はなく、今後も当社が他者の特許に抵触するような問題が発生しないという保証はありません。当社としては、このような問題を未然に防止するため、事業展開にあたっては当社及び特許事務所等を通じた特許調査を実施しており、当社技術が他者の特許に抵触しているという事実は認識しておりません。しかし、当社のような研究開発型企業にとって、このような知的財産権の侵害に関する問題の発生を完全に回避することは困難であり、第三者との間で特許権に関する紛争が生じた場合又は当社が共同研究開発の相手方と第三者の紛争に巻き込まれた場合には、当社の事業戦略や経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。 5.製造物責任のリスクについて医薬品の開発及び製造には、製造物責任のリスクが内在しています。将来、開発したいずれかの医薬品が健康障害を引き起こし、又は臨床試験、製造、営業若しくは販売において不適当な点が発見された場合、当社は製造物責任を負うこととなり、当社の業務及び財政状態に重大な悪影響を及ぼす可能性があります。また、たとえ当社に対する損害賠償の請求が認められなかったとしても、製造物責任請求が与えるネガティブなイメージにより、当社及び当社の医薬品に対する信頼に悪影響が生じ、当社の事業に影響を与える可能性があります。 6.法規制について当社は、現在医薬品の研究開発を行っておりますが、今後研究開発の成果に基づき医薬品の製造を行うことを目指しています。この場合、日本においては、医薬品医療機器等法その他の関連法規の規制を受けることとなります。この法律は、医薬品、医薬部外品、化粧品及び医療用具の品質、有効性及び安全性の確保を目的としており、これらの製造販売には所轄官公庁の承認又は許可が必要となります。 今後、開発の進捗に伴い、適宜承認・許可を取得する必要があります。また、国外においても各国で類似の法律や関連法規の規制を受けることになります。また、当社のパイプラインについては、開発、製造、販売などにつき各国における健康保険制度に関する法規制及び患者のプライバシーに関する規制その他の規制に服することになります。 7.主要な事業活動の前提となる事項について 主要パイプラインに係るライセンス契約①大学等からの知的財産権のライセンスインについて当社は、大学発の研究成果(シーズ)を医薬品として実用化するために、積極的に大学及び研究機関から知的財産権のライセンスインを行っており、特に主要なパイプラインに係る下記のライセンス契約に関しては、いずれも当社事業の根幹に関わる重要な契約であると認識しております。現時点では、下記契約の継続に支障をきたす要因は発生しておりませんが、当該契約の継続に支障をきたす要因が発生した場合、あるいは当社にとって不利な契約改定が行われた場合及び契約期間満了後に契約が継続されない場合は、当社の開発計画及び業績等に重大な影響を及ぼす可能性があります。契約書名契約会社名(契約締結日)契約内容実施許諾契約書株式会社東京大学TLO(平成13年1月26日)後述の「5 経営上の重要な契約等 (2)技術導入契約 ①実施許諾契約書」をご参照ください。実施許諾契約書株式会社東京大学TLO(平成16年5月19日)後述の「5 経営上の重要な契約等 (2)技術導入契約 ②実施許諾契約書及び覚書」をご参照ください。覚書国立大学法人東京大学及び株式会社東京大学TLO(平成18年3月31日) ②提携先へのライセンスアウトについて当社は、医薬開発品上市前の研究開発費の負担を軽減し、当社の財務面のリスクの極小化を図るため、(ⅰ)自社開発、(ⅱ)共同研究開発、(ⅲ)ライセンスアウトの3パターンのビジネスモデルで研究開発を進めており、現時点でライセンスアウト中の3パイプライン(パクリタキセルミセル(NK105)、ナノプラチン®(NC-6004)及びエピルビシンミセル(NC-6300/K-912))があります。下記のライセンス契約に関しては、いずれも当社事業の根幹に関わる重要な契約であると認識しております。現時点では、下記契約の継続に支障をきたす要因は発生しておりませんが、当該契約の継続に支障をきたす要因が発生した場合、あるいは当社にとって不利な契約改定が行われた場合及び契約期間満了後に契約が継続されない場合は、当社の開発計画及び業績等に重大な影響を及ぼす可能性があります。契約書名契約会社名(契約締結日)契約内容実施許諾基本契約日本化薬株式会社(平成14年6月12日)後述の「5 経営上の重要な契約等 (1)技術導出契約 ①実施許諾基本契約」をご参照ください。EXTENDED LICENSE AGREEMENT for NC-6004 TechnologyOrient Europharma Co., Ltd.(平成24年11月7日)後述の「5 経営上の重要な契約等 (1)技術導出契約 ②EXTENDED LICENSE AGREEMENT for NC-6004 Technology」をご参照ください。NC-6300ライセンス及び共同開発に関する契約興和株式会社(平成23年9月26日)後述の「5 経営上の重要な契約等 (1)技術導出契約 ④NC-6300ライセンス及び共同開発に関する契約」をご参照ください。 8.配当政策について当社は創業以降、当期純損失を計上しており、利益配当は実施しておりません。当社の医薬品事業については引き続き研究開発活動を実施していく必要があるため、研究開発活動の継続的な実施に備えた資金の確保を優先する方針です。株主への利益還元については重要な経営課題と認識しておりますが、利益計上された段階において経営成績及び財政状態を勘案し、方針を検討する所存であります。 9.ストック・オプションを含む新株予約権の発行について当社はストック・オプション制度を採用しており、当事業年度末現在でストック・オプションとして発行している新株予約権は2,631,000株相当(既行使分を除く)であります。このほか、資金調達のために新株予約権を発行しており、第3回無担保転換社債型新株予約権付社債に付された新株予約権2,631,578株相当並びに第14回新株予約権5,525,000株相当(いずれも既行使分を除く)を合計すると8,156,578株相当となります。これら発行済の新株予約権が全て行使された場合の潜在株式数は10,787,578株であり、この潜在株式数と発行済株式数42,628,858株とを合計した株式数(53,416,436株)に対し20.20%となり、当社の1株当たりの株式価値は希薄化する可能性があります。なお、当社は、今後も優秀な人材確保のためにストック・オプション制度を継続して実施していくことを検討しております。従いまして、今後新株予約権が付与され、権利行使された場合には、1株当たりの株式価値は希薄化する可能性があります。また、新たなストック・オプションについては費用計上が義務付けられているため、付与条件によっては、今後のストック・オプションの付与により、当社の業績が影警を受ける可能性があります。 10.為替差損等について当社は、欧米において臨床試験を行っておりますが、臨床試験に要する費用の支払いについては、主として外貨によって行っており、またそれらの支払いに備えて外貨建て預金を保有しております。また、当社の売上高の一部は外貨により計上される場合があります。従いまして、為替相場の変動は、当社の業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。