研究開発費(時系列)
| 年度 | R&D費用(億円) | 設備投資(億円) |
|---|---|---|
| 2025-03 | - | 1 |
| 2024-03 | - | 0 |
| 2021-03 | - | 0 |
研究開発活動(本文)
FY2025|3,348 文字
6【研究開発活動】当社グループは、製品開発型のバイオベンチャー企業として、当社グループ独自の技術による他社との差別化を図るために、経営資源を体外診断用医薬品関連へ積極的に投資しております。当連結会計年度における研究開発費は、抗体関連事業において、119,028千円であります。研究開発活動の内容等は次のとおりであります。 研究開発活動①診断・試薬サービス当サービスでは、今までに研究用試薬として販売していたELISA測定キットのうち、診断に向け測定価値の認められるものを体外診断用医薬品原料や体外診断用医薬品登録に向けて開発を行ってまいります。既に国内外での登録を視野に入れ、海外他社との連携も開始しており、今後、生産量に応じた収益を見込んでまいります。イ 外リンパ瘻患者は突発性難聴やメニエール病などの症候学的に診断されている疾患に潜伏していることも多く、似通った症候を示す外リンパ瘻が見落とされるケースが発生しております。その患者数は正確には算出されておりませんが、潜在的に外リンパ瘻患者が含まれていると考えられ、めまいなどの有訴者数は約400万人にものぼると算出されており、外リンパ瘻の疑われる患者に対して、当社が製造を担当しているCTP ELISA「コスミック」を用いることにより正確な診断が可能になることが期待されます。当社は、学校法人埼玉医科大学と簡便性・迅速性に優れたイムノクロマト法によるCTP測定試薬の開発を共同で行っております。ロ グルカゴンは、膵臓のランゲルハンス島のα細胞から分泌されるホルモンで、血糖調節因子として知られておりますが、ELISA法による測定は類似ペプチドの交叉による影響を受けやすく、正確な測定が難しいとされてきました。両断端に特異的な2抗体を用いた膵グルカゴン特異的測定系の開発により、血中グルカゴン濃度の正確な評価が可能となり、今後、糖尿病の病態や病気を診断するための独立した新しい指標となる可能性が示唆されています。当抗体を使用したELISAキットは、株式会社コスミック・コーポレーションが製造販売元、当社が製造元となり、体外診断用医薬品(製品名:Glucagon ELISA「コスミック」Ⅱ)の製造販売の届出を行い、受理されました(2024年8月6日公表の「体外診断用医薬品の製造販売届出に関するお知らせ」を参照)。また、当抗体は、体外診断用医薬品原料として海外診断薬メーカーへの販売を開始致しました。ハ 神経筋疾患患者の尿中に存在するタイチンというタンパク質に対するELISA測定キットを開発し、神経筋疾患の病気診断・病態のモニタリングマーカーとして、2026年3月期の販売承認申請を目指し、研究開発を行ってまいります。また、販売承認の申請までの間、研究用試薬として販売をするために、認定検査試薬としての確認申請を行い、承認されましたので、認定検査試薬として販売を開始しております。タイチンは神経筋疾患のみならず、老化に伴うサルコペニア、フレイル等の疾患との関係も示唆されており、対象疾患の広がりが期待されています。ニ 赤痢アメーバ症は赤痢アメーバ(Entamoeba histolytica)という寄生性の原虫が原因となって引き起こされる病気で、日本国内において、2012年以降、感染症法に基づく報告数は900例を超えてきており、増加傾向にあります。そこで当社は、簡便な血液検査で赤痢アメーバ感染の有無をチェックできる体外診断用医薬品(製品名:赤痢アメーバ抗体 ELISA-IBL)の製造販売承認を取得し、現在、保険申請を第1四半期に予定しており、2025年12月までに保険適用される見込みとなっております。ホ シスメックス株式会社との業務提携により、両社の診断薬開発技術の相互利用を進めることで、より独創的で高品質な製品を開発し全世界に向けて提供することを目指しております。本業務提携により当社は、自社の特長ある抗体ライブラリをシスメックスのHISCLTMをはじめとする測定プラットフォーム向けに最適化し、診断薬原材料として供給することが可能になります。また当社の強みである抗体開発技術を活かしてグローバル市場の様々な診断ニーズに対応した抗体を開発し、シスメックスへの供給を通じて診断薬市場向け事業を拡大します。現在、数品目の診断薬原料候補の抗体やタンパク質の共同開発を行っております。詳細につきましては、守秘義務があるため、開示しておりません。ヘ 海外診断薬メーカーとの共同研究により、当社が保有する有用な抗体を体外診断用医薬品原料として提供するために評価・検討を行っております。なお、現在、1品目の体外診断用医薬品用の原料提供が決定しており、今後も数品目の採用を予定しております。詳細につきましては、守秘義務があるため、開示しておりません。 ②検査サービス当サービスは、「LipoSEARCH®」を主とした研究検査と登録衛生検査所「IBL解析センター」による検査で構成されております。また、生活習慣病領域での創薬・研究支援に加え予防・診断支援などに特化した事業を行っております。特に、世界で唯一の高感度ゲルろ過高速液体クロマトグラフィーを用いた血中リポタンパク質詳細プロファイリングサービス「LipoSEARCH®」は、最先端のリポタンパク質解析技術として、当領域の専門研究機関・製薬企業・食品企業における研究・開発及び創薬支援として広く利用されております。本「LipoSEARCH®」は、血中の各リポタンパク質の粒子サイズにより分画した波形データ(クロマトグラム)と、各分画におけるコレステロール量と中性脂肪量を提供する事により、病態や薬剤投与の影響によるリポタンパク質プロファイルの全体的かつ詳細な変化をとらえることができます。さらに、伴侶動物(ペット)向けの脂質代謝関連疾患検査サービス「LipoTEST」を動物病院の獣医師を経由して飼い主様に提供しております。また、IBL解析センターでは、診断試薬サービスで開発された独自のELISA測定キットを用いた研究検査の受託測定を実施しており、生活習慣病関連疾患や老化関連疾患領域での総合的な支援を推進しております。このように、当社グループはヒトから伴侶動物に至るまで、豊富な研究ネットワークを有して、総合的な支援を通じた医療貢献を目指しております。 ③TGカイコサービス遺伝子組換え手法によりカイコの繭に生産させた各種抗体等のタンパク質の販売を行っております。また、株式会社ニッピとの共同研究により、iPS細胞等の培養足場材として有効であるラミニン511-E8(iMatrix-511 silk)の生産にも成功し、研究用試薬としての販売も実現しております。遺伝子組換えカイコで生産したラミニン511-E8は、機能および価格的優位性から、多くの研究者の皆様に利用いただいております。また、化粧品原料「ネオシルク®-ヒト型コラーゲンⅠ」につきましても、美容機器製品等の開発に成功したイタリア法人の303 Pharmaとの間でOEM契約を締結し、同社の自社ブランド製品として提供しております。また、当サービスにおいては、ヒト感染性の病原体を持たないカイコを用い、組換え型の血漿フィブロネクチン(Fibronectin Neosilk®,Plasma)と細胞性フィブロネクチン(Fibronectin Neosilk®, Cellular)の生産技術を開発し、研究用試薬として販売しております。フィブロネクチンは、代表的な細胞外マトリックスタンパク質の一つであり、細胞の接着・伸展、移動、増殖および分化等を制御することから、間葉系幹細胞をはじめとする各種培養細胞の足場材として再生医療領域での研究等に使用可能です。また、本製品は、遺伝子組換えカイコの繭から精製するために動物由来成分の混入が無い、いわゆるXeno-freeであることから、安全性の高い製品としても期待されています。 (注)用語解説については、「第4提出会社の状況 4コーポレート・ガバナンスの状況等」の末尾に記載しております。
FY2024|3,347 文字
6【研究開発活動】当社グループは、製品開発型のバイオベンチャー企業として、当社グループ独自の技術による他社との差別化を図るために、経営資源を体外診断用医薬品関連へ積極的に投資しております。当連結会計年度における研究開発費は、抗体関連事業において、129,983千円であります。研究開発活動の内容等は次のとおりであります。 研究開発活動①診断・試薬サービス当サービスでは、今までに研究用試薬として販売していたELISA測定キットのうち、診断に向け測定価値の認められるものを体外診断用医薬品原料や体外診断用医薬品登録に向けて開発を行ってまいります。既に国内外での登録を視野に入れ、海外他社との連携も開始しており、今後、生産量に応じた収益を見込んでまいります。イ 学校法人埼玉医科大学が所有する、難聴・めまいの原因を生化学的に診断できる世界初のバイオマーカー「CTP(cochlintomo-protein)」に関する発明を元に、体外診断用医薬品としての薬事申請・販売の権利を株式会社コスミックコーポレーションに譲渡しました。その後、2020年6月に体外診断用医薬品承認され、さらに、2022年7月1日付で、外リンパ瘻を疑う患者に対して、診断の補助を目的として保険収載(保険点数:460点)されました(2022年8月3日発表)。当社は本品の製造を担当いたします。外リンパ瘻患者は突発性難聴やメニエール病などの症候学的に診断されている疾患に潜伏していることも多く、似通った症候を示す外リンパ瘻が見落とされるケースが発生しております。その患者数は正確には算出されておりませんが、潜在的に外リンパ瘻患者が含まれていると考えられる、めまいなどの有訴者数は約400万人にものぼると算出されており、外リンパ瘻の疑われる患者に対して本CTP ELISA「コスミック」を用いることにより正確な診断が可能になることが期待されます。さらに、当社は、学校法人埼玉医科大学と簡便性・迅速性に優れたイムノクロマト法によるCTP測定試薬の開発を共同で行っております。ロ グルカゴンは、膵臓のランゲルハンス島のα細胞から分泌されるホルモンで、血糖調節因子として知られておりますが、ELISA法による測定は類似ペプチドの交叉による影響を受けやすく、正確な測定が難しいとされてきました。両断端に特異的な2抗体を用いた膵グルカゴン特異的測定系の開発により、血中グルカゴン濃度の正確な評価が可能となり、今後、糖尿病の病態や病気を診断するための独立した新しい指標となる可能性が示唆されています。当社は、群馬大学と共同で、血清中グルカゴン値を測定する体外診断用医薬品として、2025年3月期の承認申請に向けて研究開発を行っております。ハ 神経筋疾患患者の尿中に存在するタイチンというタンパク質に対するELISA測定キットを開発し、神経筋疾患の病気診断・病態のモニタリングマーカーとして、2025年3月期の販売承認申請を目指し、研究開発を行ってまいります。また、販売承認の申請までの間、研究用試薬として販売をするために、認定検査試薬としての確認申請を行い、承認されましたので、認定検査試薬として販売を開始しております。タイチンは神経筋疾患のみならず、老化に伴うサルコペニア、フレイル等の疾患との関係も示唆されており、対象疾患の広がりが期待されています。ニ 赤痢アメーバ症は赤痢アメーバ(Entamoeba histolytica)という寄生性の原虫が原因となって引き起こされる病気で、日本国内において、2012年以降、感染症法に基づく報告数は900例を超えてきており、増加傾向にあります。そこで当社は、簡便な血液検査で赤痢アメーバ感染の有無をチェックできる体外診断用医薬品の開発を行っておりましたが、体外診断用医薬品(製品名:赤痢アメーバ抗体 ELISA-IBL)の製造販売承認を取得いたしました。現在、保険適用に向けて準備をしており、保険適用後、販売を開始致します。ホ シスメックス株式会社との業務提携により、両社の診断薬開発技術の相互利用を進めることで、より独創的で高品質な製品を開発し全世界に向けて提供することを目指しております。本業務提携によりIBLは、自社の特長ある抗体ライブラリをシスメックスのHISCLをはじめとする測定プラットフォーム向けに最適化し、診断薬原材料として供給することが可能になります。またIBLの強みである抗体開発技術を活かしてグローバル市場の様々な診断ニーズに対応した抗体を開発し、シスメックスへの供給を通じて診断薬市場向け事業を拡大します。現在、数品目の診断薬原料候補の抗体やたんぱく質の共同開発を行っております。詳細につきましては、守秘義務があるため、開示しておりません。 ②検査サービス当サービスは、秋田解析センターにおける「LipoSEARCH」を主とした研究検査と登録衛生検査所「IBL解析センター」による検査で構成されております。秋田解析センターでは、生活習慣病領域での創薬・研究支援に加え予防・診断支援などに特化した事業を行っております。特に、世界で唯一の高感度ゲルろ過高速液体クロマトグラフィーを用いた血中リポタンパク質詳細プロファイリングサービス「LipoSEARCH」は、最先端のリポタンパク質解析技術として、当領域の専門研究機関・製薬企業・食品企業における研究・開発及び創薬支援として広く利用されております。本「LipoSEARCH」は、血中の各リポタンパク質の粒子サイズにより分画した波形データ(クロマトグラム)と、各分画におけるコレステロール量と中性脂肪量を提供する事により、病態や薬剤投与の影響によるリポタンパク質プロファイルの全体的かつ詳細な変化をとらえることができます。さらに、伴侶動物(ペット)向けの脂質代謝関連疾患検査サービス「LipoTEST」を動物病院の獣医師を経由して飼い主様に提供しております。また、IBL解析センターでは、診断試薬サービスで開発された独自のELISA測定キットを用いた研究検査の受託測定を実施しており、生活習慣病関連疾患や老化関連疾患領域での総合的な支援を推進しております。このように、当社グループはヒトから伴侶動物に至るまで、豊富な研究ネットワークを有して、総合的な支援を通じた医療貢献を目指しております。 ③TGカイコサービス遺伝子組換え手法によりカイコの繭に生産させた各種抗体等のタンパク質の販売を行っております。また、株式会社ニッピとの共同研究により、iPS細胞等の培養足場材として有効であるラミニン511-E8の生産にも成功し、研究用試薬としての販売も実現しております。遺伝子組換えカイコで生産したラミニン511-E8(iMatrix-511 silk)は、機能および価格的優位性から、多くの研究者の皆様に利用いただいております。また、化粧品原料「ネオシルク®-ヒト型コラーゲンⅠ」につきましても、美容機器製品等の開発に成功したイタリア法人の303 Pharma との間でOEM契約を締結し、同社の自社ブランド製品として提供してまいります。また、当サービスにおいては、ヒト感染性の病原体を持たないカイコを用い、組換え型の血漿フィブロネクチン(Fibronectin Neosilk®,Plasma)と細胞性フィブロネクチン(Fibronectin Neosilk®, Cellular)の生産技術を開発し、研究用試薬として販売を開始しました。フィブロネクチンは、代表的な細胞外マトリックスタンパク質の一つであり、細胞の接着・伸展、移動、増殖および分化等を制御することから、間葉系幹細胞をはじめとする各種培養細胞の足場材として再生医療領域での研究等に使用可能です。また、本製品は、遺伝子組換えカイコの繭から精製するために動物由来成分の混入が無い、いわゆるXeno-freeであることから、安全性の高い製品としても期待されています。 (注)用語解説については、「第4提出会社の状況 4コーポレート・ガバナンスの状況等」の末尾に記載しております。
FY2023|2,822 文字
6 【研究開発活動】 当社グループは、製品開発型のバイオベンチャー企業として経営資源を医薬品研究開発へ積極的に投資しております。当連結会計年度における当社グループ全体の研究開発費は179,656千円であり、各事業の研究開発費については、抗体関連事業は99,242千円、遺伝子組換えカイコ開発事業は80,414千円となりました。各事業における研究開発活動の内容等は次のとおりであります。 事業別の研究開発活動① 抗体関連事業〇医薬品シーズとしての可能性がある研究開発イ 当社はABCONTEK社との間で合弁企業の株式会社AIBioを設立し、ダニ媒介性感染症であるSFTS(重症熱性血小板減少症候群)を治療するための抗体医薬品候補「ACT101」を共同開発し、早期導出を目指しておりました。しかしながら、ABCONTEK社より同社の経営事情において、今後AIBioへの研究開発費 の負担が困難となる旨の通知を受け、取締役及び監査役の員数の変更などにより、当社のAIBioの経営における実質的な支配権が増加したため、AIBio を子会社化することといたしました(2023年3月14日発表)。この度の子会社化により、研究開発資金が縮小されることになりますので、予定していたカニクイザルを使用した非臨床試験を一旦中止し、現時点で取得済みの試験結果を用いて早期の導出に注力して参ります。ロ 国立大学法人徳島大学との共同開発によって、胃や腸の消化管壁の粘膜下にある未熟な間葉系細胞に由来する「肉腫」の一種とされるGIST(消化管間質腫瘍)を診断、治療するための抗体医薬品を開発し、製薬企業等への導出等を目指しております。現在の状況につきましては、特許出願を完了し、さらに前臨床試験に向けた準備を進めております。〇下記の体外診断用医薬品の上市を目指します。(開発中の主なテーマと進捗状況)イ 学校法人埼玉医科大学が所有する、難聴・めまいの原因を生化学的に診断できる世界初のバイオマーカー「CTP(cochlintomo-protein)」に関する発明を元に、体外診断用医薬品としての薬事申請・販売の権利を株式会社コスミックコーポレーションに譲渡しました。その後、2020年6月に体外診断用医薬品承認され、さらに、2022年7月1日付で、外リンパ瘻を疑う患者に対して、診断の補助を目的として保険収載 (保険点数:460点)されました(2022年8月3日発表)。当社は本品の製造を担当いたします。 外リンパ瘻患者は突発性難聴やメニエール病などの症候学的に診断されている疾患に潜伏していることも多く、似通った症候を示す外リンパ瘻が見落とされるケースが発生しております。その患者数は正確には算出されておりませんが、潜在的に外リンパ瘻患者が含まれていると考えられる、めまいなどの有訴者数は約400万人にものぼると算出されており、 外リンパ瘻疑い患者に対して本CTP ELISA「コスミック」を用いることにより正確な診断が可能になることが期待されます。 さらに、当社は、学校法人埼玉医科大学と簡便性・迅速性に優れたイムノクロマト法によるCTP測定試薬の開発を共同で行っております。ロ グルカゴンは、膵臓のランゲルハンス島のα細胞から分泌されるホルモンで、血糖調節因子として知られていますが、ELISA法による測定は類似ペプチドの交叉による影響を受けやすく、正確な測定が難しいとされてきました。両断端に特異的な2抗体を用いた膵グルカゴン特異的測定系の開発により、血中グルカゴン濃度の正確な評価が可能となり、今後、糖尿病の病態や病気を診断するための独立した新しい指標となる可能性が示唆されています。当社は、群馬大学と共同で、血清中グルカゴン値を測定する体外診断用医薬品の開発を行っておりますが、先行して研究用試薬としての販売を開始いたしました(2022年8月22日)。さらに、2024年3月期第1四半期の体外診断用医薬品の販売承認申請に向けた研究開発を継続してまいります。ハ 神経筋疾患患者の尿中に存在するタイチンというタンパク質に対するELISA測定キットを開発し、神経筋疾患の病気診断・病態のモニタリングマーカーとして、2025年3月期の販売承認申請を目指し、研究開発を行ってまいります。また、販売承認の申請までの間、研究用試薬として販売をするために、認定検査試薬としての確認申請を行い、承認されましたので、認定検査試薬として販売を開始しております。タイチンは神経筋疾患のみならず、老化に伴うサルコペニア、フレイル等の疾患との関係も示唆されており、対象疾患の広がりが期待されています。二 赤痢アメーバ症は赤痢アメーバ(Entamoeba histolytica)という寄生性の原虫が原因となって引き起こされる病気で、日本国内において、2012年以降、感染症法に基づく報告数は900例を超えてきており、増加傾向にあります。そこで当社は、簡便な血液検査で赤痢アメーバ感染の有無をチェックできる体外診断用医薬品の開発を行っております。なお、2024年3月期第1四半期中に体外診断用医薬品製造販売承認申請に向けて準備中です。ホ その他当社グループが所有するアルツハイマー病関連及びSFTS関連の抗体を用いた体外診断用医薬品の開発を行っております。 ② 遺伝子組み換えカイコ開発事業 当事業は、遺伝子組換えカイコの繭から抗体等のタンパク質を発現させる技術を用いて、種々のタンパク質の産業利用に向けた研究を進めており、研究用試薬から診断薬原料、化粧品原料としての開発を推進してまいります。また、利益の拡大を目指すために、現在製造されている抗体・タンパク質や新規開発しているタンパク質の生産コストの低減が、利益拡大の課題となっており、当該課題の基礎研究に集中してまいります。 当社は、ヒト感染性の病原体を持たないカイコを用い、組換え型の血漿フィブロネクチン(Fibronectin Neosilk®, Plasma)と細胞性フィブロネクチン(Fibronectin Neosilk®, Cellular)の生産技術を開発し、研究用試薬として販売を開始しました(2023年3月13日)。 フィブロネクチンは、代表的な細胞外マトリックスタンパク質の一つであり、細胞の接着・伸展、移動、増殖および分化等を制御することから、間葉系幹細胞をはじめとする各種培養細胞の足場材として再生医療領域での研究等に使用可能です。また、本製品は、遺伝子組換えカイコの繭から精製するために動物由来成分の混入が無い、いわゆるXeno-freeであることから、安全性の高い製品としても期待されています。 (注) 用語解説については、「第4提出会社の状況 4コーポレート・ガバナンスの状況等」の末尾に記載しております。
FY2022|2,197 文字
5 【研究開発活動】 当社グループは、製品開発型のバイオベンチャー企業として経営資源を医薬品研究開発へ積極的に投資しております。当連結会計年度における当社グループ全体の研究開発費は188,585千円であり、各事業の研究開発費については、抗体関連事業は93,330千円、遺伝子組換えカイコ開発事業は95,255千円となりました。各事業における研究開発活動の内容等は次のとおりであります。 事業別の研究開発活動① 抗体関連事業〇医薬品シーズとしての可能性がある研究開発イ Abcontek社と、ダニ媒介性感染症であるSFTS(重症熱性血小板減少症候群)を治療するための抗体医薬品候補「ACT101」を共同開発し、早期に承認を目指し、2023年度の販売開始を目標としております。なお、このSFTSの治療には、現在、対症療法しかなく、死亡例も出ておりますが、有効な治療薬やワクチンは開発されていません。ABCONTEK社と合弁会社「株式会社AI Bio」を設立し、現在、外部リソースを活用し製造に適する生産細胞株の構築を実施しております。今後については、導出を視野に入れた研究開発ならびに導出活動を進めてまいります。現在の状況につきましては、CDMO(医薬品受託開発製造)企業にてマスターセルバンク(MCB)及びワーキングセルバンク(WCB)を製造し、製造条件の最適化をおこない、非臨床試験薬の製造、及びカニクイザルによる非臨床安全性試験を進めております。ロ 国立大学法人徳島大学と胃や腸の消化管壁の粘膜下にある未熟な間葉系細胞に由来する「肉腫」の一種とされるGIST(消化管間質腫瘍)を診断、治療するための抗体医薬品を研究開発し、製薬企業等への導出等を目指して参ります。現在の状況につきましては、動物実験を踏まえ特許出願を完了し、さらに前臨床試験に向けた準備を進めております。(製薬企業等へのシーズ導出等を目指して参ります。)〇下記の体外診断用医薬品の上市を目指します。(開発中の主なテーマと進捗状況)イ 学校法人埼玉医科大学が所有する、難聴・めまいの原因を生化学的に診断できる世界初のバイオマーカー「CTP(cochlintomo-protein)」に関する発明に関して、株式会社コスミックコーポレーションに日本国内での薬事申請・販売の権利を譲渡し、2019年6月26日に体外診断用医薬品製造販売承認申請をおこない、PMDAと協議を行っております。なお、同製品の製造は、当社が行います。なお、株式会社コスミックコーポレーションは、体外診断用医薬品製造販売承認を取得し、現在、保険適用の申請を行ったところです。今後につきましては、保険収載を経て、販売を開始する予定です。さらに、当社は、学校法人埼玉医科大学と簡便性・迅速性に優れたイムノクロマト法によるCTP測定試薬の開発を共同で行っております。ロ グルカゴンは、膵臓のランゲルハンス島のα細胞から分泌されるホルモンで、血糖調節因子として知られていますが、ELISA法による測定は類似ペプチドの交叉による影響を受けやすく、正確な測定が難しいとされてきました。両断端に特異的な2抗体を用いた膵グルカゴン特異的測定系の開発により、血中グルカゴン濃度の正確な評価が可能となり、今後、糖尿病の病態や病気を診断するための独立した新しい指標となる可能性が示唆されています。当社は、群馬大学と共同で、血清中グルカゴン値を測定する体外診断用医薬品の開発を行っております。2024年3月期の販売承認申請に向けた研究開発を行っております。ハ 神経筋疾患患者の尿中に存在するタイチンというタンパク質に対する、神経筋疾患の病気診断・病態のモニタリングマーカーとして、2025年3月期の販売承認申請を目指し、研究開発を行ってまいります。また、販売承認の申請までの間、研究用試薬として販売をするために、認定試薬としての確認申請を行い、承認されましたので、認定試薬として販売を開始しております。二 赤痢アメーバ症は赤痢アメーバ(Entamoeba histolytica)という寄生性の原虫が原因となって引き起こされる病気で、日本国内において、2012年以降、感染症法に基づく報告数は900例を超えてきており、増加傾向にあります。そこで当社は、簡便な血液検査で赤痢アメーバ感染の有無をチェックできる体外診断用医薬品の開発を行っております。なお、2023年3月期第2四半期に体外診断用医薬品製造販売承認申請に向けて準備中です。ホ その他当社グループが所有するアルツハイマー関連及びSFTS関連の抗体を用いた体外診断用医薬品の開発を行っております。 ② 遺伝子組み換えカイコ開発事業 当事業は、遺伝子組換えカイコの繭から抗体等のタンパク質を発現させる技術を用いて、種々のタンパク質の産業利用に向けた研究を進めており、研究用試薬から診断薬原料、化粧品原料としての開発を推進してまいります。また、利益の拡大を目指すために、現在製造されている抗体・タンパク質や新規開発しているタンパク質の生産コストの低減が、利益拡大の課題となっており、当該課題の基礎研究に集中してまいります。 (注) 用語解説については、「第4提出会社の状況 4コーポレート・ガバナンスの状況等」の末尾に記載しております。
FY2021|3,452 文字
5 【研究開発活動】 当社グループは、製品開発型のバイオベンチャー企業として経営資源を医薬品研究開発へ積極的に投資しております。当連結会計年度における当社グループ全体の研究開発費は267,111千円であり、各事業の研究開発費については、診断・試薬事業は92,889千円、遺伝子組換えカイコ事業は172,722千円、検査事業は1,499千円となりました。各事業における研究開発活動の内容等は次のとおりであります。 事業別の研究開発活動 ① 遺伝子組換えカイコ事業 当社は、遺伝子組換えカイコの繭から抗体等のタンパク質を発現させる技術を用いて、種々のタンパク質の産業利用に向けた研究を進めており、研究用試薬から診断薬原料、化粧品原料、さらに、ヒト及び動物向け医薬品としての開発を推進してまいります。イ 医薬品原料の生産 当社は、いままで、遺伝子組換えカイコの繭により産生されるフィブリノゲンや抗HIV抗体を開発し、医薬品原料の生産を目指し研究開発を行なってまいりましたが、いずれも生産コストの問題等により生産を断念することになりました。当社は、生産コストの問題を解決することは、今後の遺伝子組換えカイコ事業最大の挑戦と捉え、ひとつの繭から獲得できる抗体やタンパク質の生産コストを1/10 程度に低減にするための基礎研究に集中してまいります。この問題を解決することが出来れば、医薬品原料生産の可能性を大きく高めることが出来ます。ロ 動物用医薬品原料の生産 当社は、動物用医薬品メーカーと共同で、遺伝子組換えカイコによって動物用医薬品原料となるタンパク質の生産を進めております。遺伝子組換えカイコ生産技術の利点を最大限に生かし、高い安全性および有効性が要求される動物用医薬品の原料として活用することを目指しております。ハ 研究用試薬および体外診断用医薬品原料としての抗体 当社は、研究用試薬や体外診断用医薬品に使用する抗体を、遺伝子組換えカイコにより生産する技術を開発しております。なお、この技術を活用して、当社の製品であるアミロイドβ測定キットに用いている抗体を、遺伝子組換えカイコ生産抗体に切り替えたほか、大手体外診断用医薬品メーカーへも、抗体の供給を行っております。 ② 診断・試薬事業(医薬用関連) 当事業では、今までに研究用試薬として販売していたEIA測定キットのうち、診断に向け測定価値の認められるものを体外診断用医薬品登録に向けて開発を行ってまいります。既に国内外での登録を視野に入れ、海外他社との連携も開始しており、今後、キットの生産量に応じた収益を見込んでまいります。イ 学校法人埼玉医科大学が所有する、難聴・めまいの原因を生化学的に診断できる世界初のバイオマーカー「CTP(cochlintomo-protein)」に関する発明に関して、株式会社コスミックコーポレーションに日本国内での薬事申請・販売の権利を譲渡しております。現在、株式会社コスミックコーポレーションは、体外診断用医薬品製造販売承認を取得し、現在、保険適用の申請を行っております。さらに、当社は、学校法人埼玉医科大学と簡便性・迅速性に優れたイムノクロマト法によるCTP測定試薬の開発を共同で行っております。ロ クロウ・深瀬(POEMS)症候群は、骨髄の中にある形質細胞という細胞の異常増殖によっておこる疾患で、国の難病に指定されています(指定難病16)。この疾患においては、血清中VEGF(血管内皮増殖因子)値が異常に高値となることが示されており、血清中VEGF値の測定が疾患の診断補助及び治療、経過モニタリングとして有用であることが報告されています。当社は、製薬企業と共同で、血清中VEGF値を測定する体外診断用医薬品の開発を行い、終了しております。現在、藤本製薬株式会社は、製造販売承認の取得し、保険適用の申請が完了しております。なお、本製品の安定的な製造、供給は、当社が担当してまいります。ハ グルカゴンは、膵臓のランゲルハンス島のα細胞から分泌されるホルモンで、血糖調節因子として知られていますが、ELISA法による測定は類似ペプチドの交叉による影響を受けやすく、正確な測定が難しいとされてきました。両断端に特異的な2抗体を用いた膵グルカゴン特異的測定系の開発により、血中グルカゴン濃度の正確な評価が可能となり、今後、糖尿病の病態や病気を診断するための独立した新しい指標となる可能性が示唆されています。当社は、群馬大学と共同で、血清中グルカゴン値を測定する体外診断用医薬品の開発を行っております。二 筋ジストロフィー患者の尿中に存在するタイチンというタンパク質に対する、筋ジストロフィーの病気診断・病態のモニタリングマーカーとして測定系を開発し、研究用試薬として販売を開始しておりますが、2022年3月期中に体外診断用医薬品製造販売承認申請を予定しており、現在、申請準備中であります。ホ 赤痢アメーバ症は赤痢アメーバ(Entamoeba histolytica)という寄生性の原虫が原因となって引き起こされる病気で、日本国内において、2012年以降、感染症法に基づく報告数は900例を超えてきており、増加傾向にあります。そこで当社は、簡便な血液検査で赤痢アメーバ感染の有無をチェックできる体外診断用医薬品の開発を行っております。なお、2022年3月期第4四半期に体外診断用医薬品製造販売承認申請を予定しております。 ③ 診断・試薬事業(研究用関連) 研究用関連では、将来、診断に役立つ事を目指した抗体開発、及びそれを用いた測定キットの新製品の開発に取り組んでおります。分野として、当社の強みであるアルツハイマー病、がん・炎症及び糖・脂質代謝関連疾患の領域に特化した開発を行っております。イ 老化関連分子に対する抗体・測定系の開発この領域においては、既に可溶性α-Klotho測定キットを製品化し、国内外を問わず広く使用されております。2016年7月にはマウス版を製品化し、研究用試薬として販売を開始してから、現在でも数多くのユーザーから求められております。また、本分子以外にも老化に関連する分子に対する抗体・測定系の開発を進めております。 ロ アルツハイマー型認知症(AD)関連タンパク質に対する抗体・測定系の開発アミロイドβを中心とした種々のタンパク質に対する抗体・測定系の開発を進めています。これまでもアミロイドβ、及びその前駆体蛋白であるAPPなどに対する製品を広くラインアップしておりますが、新規の分子に対する開発も進めております。 ハ メタボリックシンドローム・生活習慣病関連分子に対する抗体・測定系の開発これまでにも糖代謝、脂質代謝、及び血圧調節などに関連する分子に対して特異的な測定系を開発、製品化しておりますが、その中で、血糖値をコントロールするインスリンに対する高感度測定系を開発し上市いたしました。これらの脂質代謝関連タンパク質における体外診断薬への展開も視野に入れ、研究開発を推進して参ります。これらの脂質代謝関連タンパク質は、いわゆるメタボリックシンドロームといわれる疾患の中でも、特に脂質異常症に関連する因子であり、これらの測定キットはこの領域での基礎的な研究及び治療薬の研究開発などに有効なものになると考えます。今後の研究成果によっては、研究用試薬に終わることなく、体外診断薬への展開も期待できます。また、検査事業におけるLipoSEARCHの測定サービスの提供と並行してプロモーションしていくことで、相乗効果を上げることが期待できます。これらの測定キット、測定サービスなどにより、この領域における当社の製品ラインアップを充実させ、当社の存在意義を確立し、販売促進に努めてまいります。二 Muse細胞に関する開発株式会社生命科学インスティテュート(以下「LSII」という)とMuse細胞を用いた再生医療事業に関して共同研究を実施し、Muse細胞のマーカーであるSSEA-3という物質に対する抗体の作製に成功し、研究用試薬として販売を開始いたしました。本抗体は世界で初めてのIgGクラスのモノクローナル抗体であり、本抗体を用いた再生医療研究が飛躍的に進歩することが期待されます。 (注) 用語解説については、「第4提出会社の状況 4コーポレート・ガバナンスの状況等」の末尾に記載しております。
FY2020|3,873 文字
5 【研究開発活動】 当社グループは、製品開発型のバイオベンチャー企業として経営資源を医薬品研究開発へ積極的に投資しております。当連結会計年度における当社グループ全体の研究開発費は318,353千円であり、各事業の研究開発費については、診断・試薬事業は68,182千円、遺伝子組換えカイコ事業は240,964千円、検査事業は9,206千円となりました。各事業における研究開発活動の内容等は次のとおりであります。 事業別の研究開発活動 ① 遺伝子組換えカイコ事業 当社は、遺伝子組換えカイコの繭から抗体等のタンパク質を発現させる技術を用いて、種々のタンパク質の産業利用に向けた研究を進めており、研究用試薬から診断薬原料、化粧品原料、さらに、ヒト及び動物向け医薬品としての開発を推進してまいります。 イ 抗HIV抗体 当社は、遺伝子組換えカイコにより生産した抗体の糖鎖には「フコース」が含まれないことを発見し、その技術により、高いADCC活性を有する抗体医薬品が製造できることを示してきました。その技術を用い、フコースを含まない抗HIV抗体を開発し、ADCC活性を飛躍的に増強させ、遺伝子組換えカイコを用いた抗体医薬品の実用化を目指しております。本研究開発をテーマとする株式会社CUREDとの共同研究は順調に推移したため、2018年3月には、両者が共同で事業化を推進することを前提とした発展的な共同開発契約を締結しております。 ロ 動物用医薬品原料の生産 当社は、動物用医薬品メーカーと共同で、遺伝子組換えカイコによって動物用医薬品原料となるタンパク質の生産を進めております。遺伝子組換えカイコ生産技術の利点を最大限に生かし、高い安全性および有効性が要求される動物用医薬品の原料として活用することを目指しております。 ハ 研究用試薬および体外診断用医薬品原料としての抗体 当社は、研究用試薬や体外診断用医薬品に使用する抗体を、遺伝子組換えカイコにより生産する技術を開発しております。なお、この技術を活用して、当社の製品であるアミロイドβ測定キットに用いている抗体を、遺伝子組換えカイコ生産抗体に切り替えたほか、大手体外診断用医薬品メーカーへも、抗体の供給を行っております。 ニ ヒト型コラーゲン 当社は、遺伝子組換えカイコにより、アレルギーを起こす危険性が低い安心・安全なヒト型コラーゲンを開発することに成功しました。このコラーゲンを「ネオシルクⓇ-ヒト型コラーゲンⅠ」と命名し、化粧品原料として販売しております。また、新規化粧品原料として、コラーゲンTypeⅢ(ベビーコラーゲン)「ネオシルクⓇ-ヒト型コラーゲンⅢ」の販売を準備しております。なお、当該ヒト型コラーゲンⅢは、ネオシルク化粧品のフレヴァンシリーズへも配合してまいります。 ② 診断・試薬事業(医薬用関連) 当社では、抗体作製技術を基盤として、治療用医薬品あるいは診断用医薬品に適した抗体の創製に取り組んでおります。治療用医薬品開発においては、製薬企業各社がパイプラインを充実させるために医薬シーズに係る権利の譲渡又は許諾を受ける活動を積極的に展開していることを受けて、当社の人的資源と効率を鑑み、創薬ターゲットの探索及びそのターゲットに対する各種抗体の作製とそれらの抗体の薬効評価に特化しております。 また、診断用医薬品開発においては、当社研究用試薬として製品化してまいりました、アルツハイマー病、及び糖・脂質代謝関連疾患の領域での研究開発を進めております。 主な研究開発の進捗状況は以下の通りであります。 イ がん領域における抗体医薬品シーズ探索 当社グループは、大学との共同研究から、がん領域等における新たな抗体医薬品、及び体外診断用医薬品シーズの開発を行っております。 某大学との共同研究では、ヒト成人T細胞白血病(ATL)の診断に有効と考えられる関連タンパク質に対する抗体や測定系の開発を進めております。 ロ 耳鼻科領域における、めまい・難聴にかかわる疾患の体外診断用医薬品 当社は、大学のシーズを元に、めまい・難聴の原因を生化学的に診断できる世界初のバイオマーカー「CTP(Cochlin-tomoprotein)」に関して体外診断用医薬品としての開発を行ってきましたが、㈱コスミックコーポレーションと再実施許諾契約を締結し、日本国内での薬事申請・販売の権利を譲渡いたしました。2019年6月26日に体外診断用医薬品製造販売承認申請をおこない、PMDAと協議を行っております。また、本製品の製造は当社において行うことで、将来、売上の拡大が期待されます。 ハ 筋ジストロフィー患者の診断マーカーの測定系開発 某大学及び研究機関との共同研究によって、筋ジストロフィー患者の診断のためのバイオマーカーとして、尿中のタイチンというタンパク質に対する測定系の開発を進めてまいりましたが、2016年11月に研究用試薬として販売を開始いたしました。筋ジストロフィーとは骨格筋の壊死・再生を主病変とする遺伝性筋疾患です。患者尿中の解析において、このタイチンという巨大なタンパク質の断片が存在することが報告されており、本測定キットはこのタンパク質を特異的に検出することで、病気の診断・病態のモニタリングマーカー、あるいは、運動のモニタリングマーカーとして有用であると考えられ、2020年10月に体外診断用医薬品製造販売承認申請を予定し、申請準備中であります。二 クロウ・深瀬(POEMS)症候群は、骨髄の中にある形質細胞という細胞の異常増殖によっておこる疾患で、国の難病に指定されています(指定難病16)。この疾患においては、血清中VEGF(血管内皮増殖因子)値が異常に高値となることが示されており、血清中VEGF値の測定が疾患の診断補助及び治療・経過モニタリングとして有用であることが報告されています。当社は、 製薬企業と共同で、血清中VEGF値を測定する体外診断用医薬品の開発を行い、終了しております。今後は、製薬企業により、製造販売承認の取得、保険適用申請を行ってまいります。また、本製品の安定的な製造、供給は、当社が担当して参ります。 ③ 診断・試薬事業(研究用関連) 研究用関連では、将来、診断に役立つ事を目指した抗体開発、及びそれを用いた測定キットの新製品の開発に取り組んでおります。分野として、当社の強みであるアルツハイマー病、がん・炎症及び糖・脂質代謝関連疾患の領域に特化した開発を行っております。 イ 老化関連分子に対する抗体・測定系の開発 この領域においては、既に可溶性α-Klotho測定キットを製品化し、国内外を問わず広く使用されております。2016年7月にはマウス版を製品化し、研究用試薬として販売を開始いたしました。マウス動物モデルでの使用ユーザーに対して販売を促進して参ります。本分子以外にも老化に関連する分子に対する抗体・測定系の開発を進めております。 ロ アルツハイマー型認知症(AD)関連タンパク質に対する抗体・測定系の開発 アミロイドβを中心とした種々のタンパク質に対する抗体・測定系の開発を進めています。これまでもアミロイドβ、及びその前駆体蛋白であるAPPなどに対する製品を広くラインアップしておりますが、新規の分子に対する開発も進めております。 ハ メタボリックシンドローム・生活習慣病関連分子に対する抗体・測定系の開発 これまでにも糖代謝、脂質代謝、及び血圧調節などに関連する分子に対して特異的な測定系を開発、製品化しておりますが、その中で、血糖値をコントロールするインスリンに対する高感度測定系を開発し上市いたしました。 これらの脂質代謝関連タンパク質における体外診断薬への展開も視野に入れ、研究開発を推進して参ります。 これらの脂質代謝関連タンパク質は、いわゆるメタボリックシンドロームといわれる疾患の中でも、特に脂質異常症に関連する因子であり、これらの測定キットはこの領域での基礎的な研究及び治療薬の研究開発などに有効なものになると考えます。今後の研究成果によっては、研究用試薬に終わることなく、体外診断薬への展開も期待できます。また、検査事業におけるLipoSEARCHの測定サービスの提供と並行してプロモーションしていくことで、相乗効果を上げることが期待できます。これらの測定キット、測定サービスなどにより、この領域における当社の製品ラインアップを充実させ、当社の存在意義を確立し、販売促進に努めてまいります。 二 Muse細胞に関する開発 株式会社生命科学インスティテュート(旧株式会社Clio、以下「LSII」という)とMuse細胞を用いた再生医療事業に関して共同研究を実施しています。Muse細胞は多能性幹細胞であり、損傷部位に集積・生着し、組織特異的な細胞に分化することで、損傷を受けた組織の構造や機能を修復します。当社は、Muse細胞の分離・精製等に関わる研究を進め、Muse細胞のマーカーであるSSEA-3という物質に対する抗体の作製に成功し、研究用試薬として販売を開始いたしました。本抗体は世界で初めてのIgGクラスのモノクローナル抗体であり、本抗体を用いた再生医療研究が飛躍的に進歩することが期待されます。 (注) 用語解説については、「第4提出会社の状況 4コーポレート・ガバナンスの状況等」の末尾に記載しております。
FY2019|4,112 文字
5 【研究開発活動】 当社グループは、製品開発型のバイオベンチャー企業として経営資源を医薬品研究開発へ積極的に投資しております。当連結会計年度における当社グループ全体の研究開発費は236,668千円であり、各事業の研究開発費については、診断・試薬事業は68,434千円、遺伝子組換えカイコ事業は164,212千円、検査事業は4,021千円となりました。各事業における研究開発活動の内容等は次のとおりであります。 事業別の研究開発活動 ① 遺伝子組換えカイコ事業 当社は、遺伝子組換えカイコの繭から抗体等のタンパク質を発現させる技術を用いて、種々のタンパク質の産業利用に向けた研究を進めており、研究用試薬から診断薬原料、化粧品原料、さらに、ヒト及び動物向け医薬品としての開発を推進してまいります。 イ 抗HIV抗体 当社は、遺伝子組換えカイコにより生産した抗体の糖鎖には「フコース」が含まれないことを発見し、その技術により、高いADCC活性を有する抗体医薬品が製造できることを示してきました。その技術を用い、フコースを含まない抗HIV抗体を開発し、ADCC活性を飛躍的に増強させ、遺伝子組換えカイコを用いた抗体医薬品の実用化を目指しております。本研究開発をテーマとする株式会社CUREDとの共同研究は順調に推移したため、2018年3月には、両者が共同で事業化を推進することを前提とした発展的な共同開発契約を締結しております。 ロ 動物用医薬品原料の生産 当社は、動物用医薬品メーカーと共同で、遺伝子組換えカイコによって動物用医薬品原料となるタンパク質の生産を進めております。遺伝子組換えカイコ生産技術の利点を最大限に生かし、高い安全性および有効性が要求される動物用医薬品の原料として活用することを目指すものであります。 ハ 研究用試薬および体外診断用医薬品原料としての抗体 当社は、研究用試薬や体外診断用医薬品に使用する抗体を、遺伝子組換えカイコにより生産する技術を開発しております。なお、この技術を活用して、当社の製品であるアミロイドβ測定キットに用いている抗体を、遺伝子組換えカイコ生産抗体に切り替えたほか、大手体外診断用医薬品メーカーへも、抗体の供給を行っております。 ニ ヒト型コラーゲン 当社は、遺伝子組換えカイコにより、アレルギーを起こす危険性が低い安心・安全なヒト型コラーゲンを開発することに成功しました。このコラーゲンを「ネオシルクⓇ-ヒト型コラーゲンⅠ」と命名し、化粧品原料として販売しております。また、新規化粧品原料として、コラーゲンTypeⅢ(ベビーコラーゲン)「ネオシルクⓇ-ヒト型コラーゲンⅢ」の販売を準備しております。なお、当該ヒト型コラーゲンは、ネオシルク化粧品のフレヴァンシリーズへも配合してまいります。 ② 診断・試薬事業(医薬用関連) 当社では、抗体作製技術を基盤として、治療用医薬品あるいは診断用医薬品に適した抗体の創製に取り組んでおります。治療用医薬品開発においては、製薬企業各社がパイプラインを充実させるために医薬シーズに係る権利の譲渡又は許諾を受ける活動を積極的に展開していることを受けて、当社の人的資源と効率を鑑み、創薬ターゲットの探索及びそのターゲットに対する各種抗体の作製とそれらの抗体の薬効評価に特化しております。 また、診断用医薬品開発においては、当社研究用試薬として製品化してまいりました、アルツハイマー病、及び糖・脂質代謝関連疾患の領域での研究開発を進めております。 主な研究開発の進捗状況は以下の通りであります。 イ がん領域における抗体医薬品シーズ探索 当社グループは、大学との共同研究から、がん領域等における新たな抗体医薬品、及び体外診断用医薬品シーズの開発を行っております。 某大学との共同研究では、ヒト成人T細胞白血病(ATL)の診断に有効と考えられる関連タンパク質に対する抗体や測定系の開発を進めております。 ロ アルツハイマー病(AD)領域における治療用医薬品候補抗体の研究開発 当社は、京都大学、千葉大学との共同研究から、神経細胞に毒性を有するとされているアミロイドβの毒性コンフォマーに対する抗体を創出しております。モデル動物を使った薬効試験によるアルツハイマー型認知症治療薬シーズとしての評価、さらに診断における臨床的意義の検証を行い、特許出願、論文発表に至っています。その成果として、以下にも記すように、アミロイドβ毒性コンフォマーに対する抗体を用いたELISA測定キットを開発し、研究用試薬として販売を開始しました。引き続き、本抗体の機能評価などを実施し、治療薬シーズとしての導出を進めてまいります。 ハ AD領域における体外診断用医薬品 当社は、ADの診断を目的とした関連タンパク質であるタウ、およびリン酸化タウタンパク質測定キットの開発を行い、海外向けに研究用試薬として販売を開始いたしました。さらに、国内において、体外診断薬としての開発を進めてまいります。 ニ 耳鼻科領域における、めまい・難聴にかかわる疾患の体外診断用医薬品 当社は、大学のシーズを元に、めまい・難聴の原因を生化学的に診断できる世界初のバイオマーカー「CTP(Cochlin-tomoprotein)」に関して体外診断用医薬品としての開発を行ってきましたが、㈱コスミックコーポレーションと再実施許諾契約を締結し、日本国内での薬事申請・販売の権利を譲渡いたしました。現在、㈱コスミックコーポレーションが主体となって、体外診断用医薬品の承認申請に向けてデータ採取、資料作成を進行中です。承認された時は、当社は販売金額に応じたロイヤリティーを受領することになります。さらに、本製品の製造は当社において行うことで、将来、売上の拡大が期待されます。 ホ 筋ジストロフィー患者の診断マーカーの測定系開発 某大学及び研究機関との共同研究によって、筋ジストロフィー患者の診断のためのバイオマーカーとして、尿中のタイチンというタンパク質に対する測定系の開発を進めてまいりましたが、2016年11月に研究用試薬として販売を開始いたしました。筋ジストロフィーとは骨格筋の壊死・再生を主病変とする遺伝性筋疾患です。患者尿中の解析において、このタイチンという巨大なタンパク質の断片が存在することが報告されており、本測定キットはこのタンパク質を特異的に検出することで、病気の診断・病態のモニタリングマーカー、あるいは、運動のモニタリングマーカーとして有用であると考えられ、診断薬としてさらなる研究、開発を進めてまいります。 ③ 診断・試薬事業(研究用関連) 研究用関連では、将来、診断に役立つ事を目指した抗体開発、及びそれを用いた測定キットの新製品の開発に取り組んでおります。分野として、当社の強みであるアルツハイマー病、がん・炎症及び糖・脂質代謝関連疾患の領域に特化した開発を行っております。 イ 老化関連分子に対する抗体・測定系の開発 この領域においては、既に可溶性α-Klotho測定キットを製品化し、国内外を問わず広く使用されております。2016年7月にはマウス版を製品化し、研究用試薬として販売を開始いたしました。マウス動物モデルでの使用ユーザーに対して販売を促進してまいります。本分子以外にも老化に関連する分子に対する抗体・測定系の開発を進めております。 ロ アルツハイマー型認知症(AD)関連タンパク質に対する抗体・測定系の開発 アミロイドβを中心とした種々のタンパク質に対する抗体・測定系の開発を進めています。これまでもアミロイドβ、及びその前駆体蛋白であるAPPなどに対する製品を広くラインアップしておりますが、新規の分子に対する開発も継続しております。 ハ メタボリックシンドローム・生活習慣病関連分子に対する抗体・測定系の開発 これまでにも糖代謝、脂質代謝、及び血圧調節などに関連する分子に対して特異的な測定系を開発、製品化しておりますが、その中で、血糖値をコントロールするインスリンに対する高感度測定系を開発し上市いたしました。さらに、本領域においては新規の開発を進めてまいります。 これらの脂質代謝関連タンパク質における体外診断薬への展開も視野に入れ、本共同研究を推進して参ります。 これらの脂質代謝関連タンパク質は、いわゆるメタボリックシンドロームといわれる疾患の中でも、特に脂質異常症に関連する因子であり、これらの測定キットはこの領域での基礎的な研究、及び治療薬の開発研究などに有効なものになると考えます。今後の研究成果によっては、研究用試薬に終わることなく、体外診断薬への展開も期待できます。また、検査事業におけるLipoSEARCH、あるいはコレステロールの吸収/合成マーカーなどの測定サービスの提供と、並行してプロモーションしていくことで、相乗効果を上げることが期待できます。これらの測定キット、測定サービスなどにより、この領域における当社の製品ラインアップを充実させ、当社の存在意義を確立し、販売促進に努めてまいります。 二 Muse細胞に関する開発 株式会社生命科学インスティテュート(旧株式会社Clio、以下「LSII」という)とMuse細胞を用いた再生医療事業に関して共同研究を実施しています。Muse細胞は多能性幹細胞であり、損傷部位に集積・生着し、組織特異的な細胞に分化することで、損傷を受けた組織の構造や機能を修復します。当社は、Muse細胞の分離・精製等に関わる研究を進めておりましたが、Muse細胞のマーカーであるSSEA-3という物質に対する抗体の作製に成功し、研究用試薬として販売を開始いたしました。本抗体は世界で初めてのIgGクラスのモノクローナル抗体であり、本抗体を用いた再生医療研究が飛躍的に進歩することが期待されます。 (注) 用語解説については、「第4提出会社の状況 4コーポレート・ガバナンスの状況等」の末尾に記載しております。
FY2018|4,423 文字
5 【研究開発活動】 当社グループは、製品開発型のバイオベンチャー企業として経営資源を医薬品研究開発へ積極的に投資しております。当連結会計年度における当社グループ全体の研究開発費は173,030千円であり、各事業の研究開発費については、診断・試薬事業は59,807千円、遺伝子組換えカイコ事業は109,637千円、検査事業は3,585千円となりました。各事業における研究開発活動の内容等は次のとおりであります。 事業別の研究開発活動 ① 遺伝子組換えカイコ事業 当社は、遺伝子組換えカイコの繭から抗体等のタンパク質を発現させる技術を用いて、種々のタンパク質の産業利用に向けた研究を進めており、研究用試薬から診断薬原料、化粧品原料、さらに、ヒト及び動物向け医薬品としての開発を推進してまいります。 イ 抗HIV抗体 当社は、遺伝子組換えカイコにより生産した抗体の糖鎖には「フコース」が含まれないことを発見し、その技術により、高いADCC活性を有する抗体医薬品が製造できることを示してきました。その技術を用い、フコースを含まない抗HIV抗体を開発し、ADCC活性を飛躍的に増強させ、遺伝子組換えカイコを用いた抗体医薬品の実用化を目指しております。本研究開発をテーマとする株式会社CUREDとの共同研究は順調に推移したため、2018年3月には、両者が共同で事業化を推進することを前提とした発展的な共同開発契約を締結しております。 ロ 動物用医薬品原料の生産 当社は、動物用医薬品メーカーと共同で、遺伝子組換えカイコによって動物用医薬品原料となるタンパク質の生産を進めております。遺伝子組換えカイコ生産技術の利点を最大限に生かし、高い安全性および有効性が要求される動物用医薬品の原料として活用することを目指すものであります。 ハ 研究用試薬および体外診断用医薬品原料としての抗体 当社は、研究用試薬や体外診断用医薬品に使用する抗体を、遺伝子組換えカイコにより生産する技術を開発してまいりました。この技術を活用して、当社の製品であるアミロイドβ測定キットに用いている抗体を、遺伝子組換えカイコ生産抗体に切り替えたほか、大手体外診断用医薬品メーカーへも、抗体の供給を行っております。 ニ ヒト型コラーゲン 当社は、遺伝子組換えカイコにより、アレルギーを起こす危険性が低い安心・安全なヒト型コラーゲンを開発することに成功しました。このコラーゲンを「ネオシルクⓇ-ヒト型コラーゲンⅠ」と命名し、化粧品原料として販売しております。また、ネオシルク化粧品のフレヴァンシリーズへも配合しております。 ホ ラミニン511-E8 iPS細胞等の培養足場材として有効であるラミニン511-E8を遺伝子組換えカイコを用いて安価に製造する方法を確立しました。2016年9月より、㈱マトリクソームが研究用試薬(商品名:iMatrix-511 silk)の販売を開始しました。 ② 診断・試薬事業(医薬用関連) 当社では、抗体作製技術を基盤として、治療用医薬品あるいは診断用医薬品に適した抗体の創製に取り組んでおります。治療用医薬品開発においては、製薬企業各社がパイプラインを充実させるために医薬シーズに係る権利の譲渡又は許諾を受ける活動を積極的に展開していることを受けて、当社の人的資源と効率を鑑み、創薬ターゲットの探索及びそのターゲットに対する各種抗体の作製とそれらの抗体の薬効評価に特化しております。 また、診断用医薬品開発においては、当社研究用試薬として製品化してまいりました、アルツハイマー病、及び糖・脂質代謝関連疾患の領域での研究開発を進めております。 主な研究開発の進捗状況は以下の通りであります。 イ がん領域における抗体医薬品シーズ探索 当社グループは、大学との共同研究から、がん領域等における新たな抗体医薬品、及び体外診断用医薬品シーズの開発を行っております。 某大学との共同研究では、ヒト成人T細胞白血病(ATL)の診断に有効と考えられる関連タンパク質に対する抗体や測定系の開発を進めております。 ロ アルツハイマー病(AD)領域における治療用医薬品候補抗体の研究開発 当社は、京都大学、千葉大学との共同研究から、神経細胞に毒性を有するとされているアミロイドβの毒性コンフォマーに対する抗体を創出しております。モデル動物を使った薬効試験によるアルツハイマー型認知症治療薬シーズとしての評価、さらに診断における臨床的意義の検証を行い、特許出願、論文発表に至っています。その成果として、以下にも記すように、アミロイドβ毒性コンフォマーに対する抗体を用いたELISA測定キットを開発し、研究用試薬として販売を開始しました。引き続き、本抗体の機能評価などを実施し、治療薬シーズとしての導出を進めてまいります。 ハ AD領域における体外診断用医薬品 当社は、ADの診断を目的とした関連タンパク質であるタウ、およびリン酸化タウタンパク質測定キットの開発を行い、海外向けに研究用試薬として販売を開始いたしました。さらに、国内において、体外診断薬としての開発を進めてまいります。 ニ 耳鼻科領域における、めまい・難聴にかかわる疾患の体外診断用医薬品 当社は、大学のシーズを元に、めまい・難聴の原因を生化学的に診断できる世界初のバイオマーカー「CTP(Cochlin-tomoprotein)」に関して体外診断用医薬品としての開発を行ってきましたが、㈱コスミックコーポレーションと再実施許諾契約を締結し、日本国内での薬事申請・販売の権利を譲渡いたしました。現在、㈱コスミックコーポレーションが主体となって、体外診断用医薬品の承認申請に向けてデータ採取、資料作成を進行中です。承認された時は、当社は販売金額に応じたロイヤリティーを受領することになります。さらに、本製品の製造は当社において行うことで、将来、売上の拡大が期待されます。 ホ 筋ジストロフィー患者の診断マーカーの測定系開発 某大学及び研究機関との共同研究によって、筋ジストロフィー患者の診断のためのバイオマーカーとして、尿中のタイチンというタンパク質に対する測定系の開発を進めてまいりましたが、平成28年11月に研究用試薬として販売を開始いたしました。筋ジストロフィーとは骨格筋の壊死・再生を主病変とする遺伝性筋疾患です。患者尿中の解析において、このタイチンという巨大なタンパク質の断片が存在することが報告されており、本測定キットはこのタンパク質を特異的に検出することで、病気の診断・病態のモニタリングマーカー、あるいは、運動のモニタリングマーカーとして有用であると考えられ、診断薬としてさらなる研究、開発を進めてまいります。 ③ 診断・試薬事業(研究用関連) 研究用関連では、将来、診断に役立つ事を目指した抗体開発、及びそれを用いた測定キットの新製品の開発に取り組んでおります。分野として、当社の強みであるアルツハイマー病、がん・炎症及び糖・脂質代謝関連疾患の領域に特化した開発を行っております。 イ 老化関連分子に対する抗体・測定系の開発 この領域においては、既に可溶性α-Klotho測定キットを製品化し、国内外を問わず広く使用されております。平成28年7月にはマウス版を製品化し、研究用試薬として販売を開始いたしました。マウス動物モデルでの使用ユーザーに対して販売を促進してまいります。本分子以外にも老化に関連する分子に対する抗体・測定系の開発を進めております。 ロ アルツハイマー型認知症(AD)関連タンパク質に対する抗体・測定系の開発 アミロイドβを中心とした種々のタンパク質に対する抗体・測定系の開発を進めています。これまでもアミロイドβ、及びその前駆体蛋白であるAPPなどに対する製品を広くラインアップしておりますが、新規の分子に対する開発も継続しております。その中で、アミロイドβと並び重要なターゲット分子であるタウタンパク質の測定系開発も進めており、海外向けに研究用試薬として販売を開始いたしました。 ハ メタボリックシンドローム・生活習慣病関連分子に対する抗体・測定系の開発 これまでにも糖代謝、脂質代謝、及び血圧調節などに関連する分子に対して特異的な測定系を開発、製品化しておりますが、その中で、血糖値をコントロールするインスリンに対する高感度測定系を開発し上市いたしました。さらに、本領域においては新規の加発を進めてまいります。 脂質代謝関連分子に関しては、脂肪の分解をつかさどる各種リパーゼ測定系の開発を進めており、既に発売を開始していた内皮性リパーゼ(EL)、肝性リパーゼ(HTGL)などの測定系を改良し高感度化した製品を開発、販売を開始いたしました。 また、平成29年4月6日群馬大学において研究発表がありましたタンパク質GPIHBP1につきましても測定キットを開発し、販売を開始いたしました。これらの脂質代謝関連タンパク質における体外診断薬への展開も視野に入れ、本共同研究を推進して参ります。 これらの脂質代謝関連タンパク質は、いわゆるメタボリックシンドロームといわれる疾患の中でも、特に脂質異常症に関連する因子であり、これらの測定キットはこの領域での基礎的な研究、及び治療薬の開発研究などに有効なものになると考えます。今後の研究成果によっては、研究用試薬に終わることなく、体外診断薬への展開も期待できます。また、検査事業におけるLipoSEARCH、あるいはコレステロールの吸収/合成マーカーなどの測定サービスの提供と、並行してプロモーションしていくことで、相乗効果を上げることが期待しています。これらの測定キット、測定サービスなどにより、この領域における当社の製品ラインアップを充実させ、当社の存在意義を確立し、販売促進に努めてまいります。 二 Muse細胞に関する開発 株式会社生命科学インスティテュート(旧株式会社Clio、以下「LSII」という)とMuse細胞を用いた再生医療事業に関して共同研究を実施しています。Muse細胞は多能性幹細胞であり、損傷部位に集積・生着し、組織特異的な細胞に分化することで、損傷を受けた組織の構造や機能を修復します。当社は、Muse細胞の分離・精製等に関わる研究を進めておりましたが、Muse細胞のマーカーであるSSEA-3という物質に対する抗体の作製に成功し、研究用試薬として販売を開始いたしました。本抗体は世界で初めてのIgGクラスのモノクローナル抗体であり、本抗体を用いた再生医療研究が飛躍的に進歩することが期待されます。 (注) 用語解説については、「第4提出会社の状況 6コーポレート・ガバナンスの状況等」の末尾に記載しております。
FY2017|5,079 文字
6 【研究開発活動】 当社グループは、製品開発型のバイオベンチャー企業として経営資源を医薬品研究開発へ積極的に投資しております。当連結会計年度における当社グループ全体の研究開発費は1,239,563千円であり、各事業の研究開発費については、診断・試薬事業は56,058千円、遺伝子組換えカイコ事業は1,175,612千円、検査事業は7,892千円となりました。なお、当連結会計年度において、前橋研究所は研究開発拠点としての意味合いが増加したため、同施設で計上していた設備等を研究開発費として941,704千円一括計上しております。各事業における内容等は次のとおりであります。 事業別の研究開発活動 ① 遺伝子組換えカイコ事業 当社は、遺伝子組換えカイコの繭から抗体等のタンパク質を発現させる技術を用いて、種々のタンパク質の産業利用に向けた研究を進めており、研究用試薬から診断薬原料、化粧品原料、さらに、ヒト及び動物向け医薬品としての開発を推進してまいります。 イ ヒトフィブリノゲン 当社は、血液凝固活性を有する組換えヒトフィブリノゲンを遺伝子組換えカイコの繭中に生産させることに成功し、血液に代わって、ウイルス等の混入の可能性が無い、安全な製剤原料を提供できる可能性を見出してきました。現在、ヒトフィブリノゲンの医薬品原料としての製品化を目指し、アステラス製薬株式会社と共同研究を精力的に進めております。 ロ 動物用医薬品原料の生産 当社は、動物用医薬品メーカーと共同で、遺伝子組換えカイコによって動物用医薬品原料となるタンパク質の生産を進めております。遺伝子組換えカイコ生産技術の利点を最大限に生かし、高い安全性および有効性が要求される動物用医薬品の原料として活用することを目指すものであります。 ハ 研究用試薬および体外診断用医薬品原料としての抗体 当社は、研究用試薬や体外診断用医薬品に使用する抗体を、遺伝子組換えカイコにより生産する技術を開発してまいりました。この技術を活用して、当社の製品であるアミロイドβ測定キットに用いている抗体を、遺伝子組換えカイコ生産抗体に切り替えたほか、大手体外診断用医薬品メーカーへも、抗体の供給を行っております。 ニ ヒト型コラーゲン 当社は、遺伝子組換えカイコにより、アレルギーを起こす危険性が低い安心・安全なヒト型コラーゲンを開発することに成功しました。このコラーゲンを「ネオシルクⓇ-ヒトコラーゲンⅠ」と命名し、化粧品原料として販売しております。また、ネオシルク化粧品のフレヴァンシリーズへも配合しております。 ホ ラミニン511-E8 iPS細胞等の培養足場材として有効であるラミニン511-E8を遺伝子組換えカイコを用いて安価に製造する方法を確立しました。2016年9月より、㈱マトリクソームが研究用試薬(商品名:iMatrix-511 silk)の販売を開始しました。 へ 抗HIV抗体 当社は、遺伝子組換えカイコにより生産した抗体の糖鎖には「フコース」が含まれないことを発見し、その技術により、高いADCC活性を有する抗体医薬品が製造できる可能性を示してきました。その技術を用い、フコースを含まない抗HIV抗体を開発し、ADCC活性を飛躍的に増強させ、遺伝子組換えカイコを用いた抗体医薬品の実用化を目指して、共同研究開発を進めており、順調に推移しております。 ② 診断・試薬事業(医薬用関連) 当社では、抗体作製技術を基盤として、治療用医薬品あるいは診断用医薬品に適した抗体の創製に取り組んでおります。治療用医薬品開発においては、製薬企業各社がパイプラインを充実させるために医薬シーズに係る権利の譲渡又は許諾を受ける活動を積極的に展開していることを受けて、当社の人的資源と効率を鑑み、創薬ターゲットの探索及びそのターゲットに対する各種抗体の作製とそれらの抗体の薬効評価に特化しております。 また、診断用医薬品開発においては、当社研究用試薬として製品化してまいりました、アルツハイマー病、及び糖・脂質代謝関連疾患の領域での研究開発を進めております。 主な研究開発の進捗状況は以下の通りであります。 イ がん領域における抗体医薬品シーズ探索 当社グループは、大学との共同研究から、がん領域等における新たな抗体医薬品、及び体外診断用医薬品シーズの開発を行っております。 某大学との共同研究では、ヒト成人T細胞白血病(ATL)の診断に有効と考えられる関連タンパク質に対する抗体や測定系の開発を進めております。 ロ アルツハイマー病領域における治療用医薬品候補抗体の研究開発 当社は、京都大学、千葉大学との共同研究から、神経細胞に毒性を有するとされているアミロイドβの毒性コンフォマーに対する抗体を創出しております。モデル動物を使った薬効試験によるアルツハイマー型認知症治療薬シーズとしての評価、さらに診断における臨床的意義の検証を行ってまいりました。その結果、一定の認知機能障害の抑制効果、及び診断的意義が認められたことから論文発表を行いました。また、その成果として、以下にも記すように、アミロイドβ毒性コンフォマーに対する抗体を用いたELISA測定キットを開発し、研究用試薬として販売を開始しました。引き続き、本抗体の機能評価などを実施し、治療薬シーズとしての導出を進めてまいります。 ハ アルツハイマー病に対する体外診断用医薬品 当社は、海外他社とアルツハイマー病の診断を目的とした原因タンパク質の測定キットの共同開発を行い、欧州において体外診断用医薬品としての販売に至りました。今後は、安定的な製造を進めてまいります。 ニ 耳鼻科領域における、めまい・難聴にかかわる疾患の体外診断用医薬品 当社は、大学のシーズを元に、めまい・難聴の原因を生化学的に診断できる世界初のバイオマーカー「CTP(Cochlin-tomoprotein)」に関して体外診断用医薬品としての開発を行っております。この度、体外診断薬申請 の経験豊富な体外診断薬メーカー、㈱コスミックコーポレーションと再実施許諾契約を締結し、日本国内での薬事申請・販売の権利を譲渡いたしました。現在、㈱コスミックコーポレーションが主体となって、体外診断用医薬品の承認申請に向けてデータ採取、資料作成を進行中です。承認された時は、当社は販売金額に応じたロイヤリティーを受領することになります。さらに、本製品の製造は当社において行うことで、将来、売上の拡大が期待されます。 ホ 筋ジストロフィー患者の診断マーカーの測定系開発 某大学及び研究機関との共同研究によって、筋ジストロフィー患者の診断のためのバイオマーカーとして、尿中のタイチンというタンパク質に対する測定系の開発を進めてまいりましたが、平成28年11月に研究用試薬として販売を開始いたしました。筋ジストロフィーとは骨格筋の壊死・再生を主病変とする遺伝性筋疾患です。患者尿中の解析において、このタイチンという巨大なタンパク質の断片が存在することが報告されており、本測定キットはこのタンパク質を特異的に検出することができます。また、このタンパク質は筋肉に存在することから、運動負荷による筋肉障害のバイオマーカーとしても有用であると考えています。病気の診断・病態のモニタリングマーカー、あるいは、運動のモニタリングマーカーとして、さらなる研究、開発を進めてまいります。 ③ 診断・試薬事業(研究用関連) 研究用関連では、将来、診断に役立つ事を目指した抗体開発、及びそれを用いた測定キットの新製品の開発に取り組んでおります。分野として、当社の強みであるアルツハイマー病、がん・炎症及び糖・脂質代謝関連疾患の領域に特化した開発を行っております。 イ 老化関連分子に対する抗体・測定系の開発 この領域においては、既に可溶性α-Klotho測定キットを製品化し、国内外を問わず広く使用されております。平成28年7月にはマウス版を製品化し、研究用試薬として販売を開始いたしました。マウス動物モデルでの使用ユーザーに対して販売を促進してまいります。本分子以外にも老化に関連する分子に対する抗体・測定系の開発を進めております。 ロ アルツハイマー型認知症関連タンパク質に対する抗体・測定系の開発 アミロイドβを中心とした種々のタンパク質に対する抗体・測定系の開発を進めています。これまでもアミロイドβ、及びその前駆体蛋白であるAPPなどに対する製品を広くラインアップしておりますが、新規の分子に対する開発も継続しております。先述したように、アミロイドβ毒性オリゴマー測定キットを平成28年11月に発売いたしました。また、アミロイドβと並び重要なターゲット分子であるタウタンパク質の測定系開発も進めております。今後もユニークな製品を開発してまいります。 ハ メタボリックシンドローム・生活習慣病関連分子に対する抗体・測定系の開発 これまでにも糖代謝、脂質代謝、及び血圧調節などに関連する分子に対して特異的な測定系を開発、製品化しておりますが、既存製品の高感度化、あるいは新規ターゲットに対する測定系の開発等、継続して特徴のある新規製品を開発しております。その中で、糖代謝に関連する分子に対して特異的な測定系を開発、製品化してまいりましたが、特に、血糖値をコントロールするインスリンの分泌を促進するインクレチンというホルモンの測定系開発に注力しており、既存の製品に加えて、高感度化した新製品の開発、上市を進めてまいりました。その結果、平成28年5~7月にかけて、GIP、GLP-1各High sensitivityキットの販売を開始いたしました。さらに、インスリン自体に対しても、マウスやラットなどを用いた動物実験に使用可能な高感度の測定系を開発し同年9月に上市いたしました。 脂質代謝関連分子に関しては、脂肪の分解をつかさどる各種リパーゼ測定系の開発を進めております。その中で、リポプロテインリパーゼの酵素活性の新規測定系の開発を進めておりましたが、試作品が出来上がり、海外検査会社での評価を実施、平成29年度第2四半期には販売開始の予定です。さらに、既に発売を開始していた内皮性リパーゼ(EL)、肝性リパーゼ(HTGL)などの測定系を改良し高感度化した製品で、平成29年度第1四半期には販売開始の予定です。 また、平成29年4月6日群馬大学において研究発表がありましたタンパク質GPIHBP1につきましても測定キットを開発しております。このタンパク質は血管内部でLPLと結合して脂質異常症に関連する血管内皮細胞アンカータンパク質です。これらの脂質代謝関連タンパク質における体外診断薬への展開も視野に入れ、本共同研究を推進して参ります。 これらの脂質代謝関連タンパク質は、いわゆるメタボリックシンドロームといわれる疾患の中でも、特に脂質異常症に関連する因子であり、これらの測定キットはこの領域での基礎的な研究、及び治療薬の開発研究などに有効なものになると考えます。今後の研究成果によっては、研究用試薬に終わることなく、体外診断薬への展開も期待できます。また、検査事業においても、脂質に係るタンパク質であるリポタンパク質の詳細なプロファイリング測定サービスであるLipoSEARCH、あるいはコレステロールの吸収/合成マーカー測定サービスの提供を推進しており、これらの測定キットの販売、及び受託測定サービスなどを並行してプロモーションしていくことで、相乗効果を上げることが期待できます。これらの測定キット、測定サービスなどにより、この領域における当社の製品ラインアップを充実させ、存在意義を確立し、販売促進に努めてまいります。 二 Muse細胞に関する開発 株式会社生命科学インスティテュート(旧株式会社Clio、以下「LSII」という)とMuse細胞を用いた再生医療事業に関して共同研究を実施しています。Muse細胞は多能性幹細胞であり、損傷部位に集積・生着し、組織特異的な細胞に分化することで、損傷を受けた組織の構造や機能を修復します。当社は、Muse細胞の分離・精製等に関わる研究を進めております。 (注) 用語解説については、「第4提出会社の状況 6コーポレート・ガバナンスの状況等」の末尾に記載しております。
FY2016|3,579 文字
6 【研究開発活動】 当社グループは、製品開発型のバイオベンチャー企業として経営資源を医薬品研究開発へ積極的に投資しております。当連結会計年度における当社グループ全体の研究開発費は193,037千円であり、各事業の研究開発費については、診断・試薬事業は71,054千円、遺伝子組換えカイコ事業は114,056千円、検査事業は7,926千円となりました。各事業における内容等は次のとおりであります。 事業別の研究開発活動 ① 遺伝子組換えカイコ事業 当社は、遺伝子組換えカイコの繭から抗体等のタンパク質を発現させる技術を用いて、種々のタンパク質の産業利用に向けた研究を進めており、研究用試薬から診断薬原料、化粧品原料、さらに、ヒト及び動物向け医薬品としての開発を推進してまいります。 イ ヒトフィブリノゲン 当社は、血液凝固活性を有する組換えヒトフィブリノゲンを遺伝子組換えカイコの繭中に生産させることに成功し、血液に代わって、ウイルス等の混入の可能性が無い、安全な製剤原料を提供できる可能性を見出してきました。現在、ヒトフィブリノゲンの医薬品原料としての製品化を目指し、アステラス製薬株式会社との共同研究を精力的に進めております。 ロ 動物用医薬品原料の生産 当社は、動物用医薬品メーカーと共同で、遺伝子組換えカイコによって動物用医薬品原料となるタンパク質の生産を進めております。遺伝子組換えカイコ生産技術の利点を最大限に生かし、高い安全性および有効性が要求される動物用医薬品の原料として活用することを目指すものであります。 ハ 研究用試薬および体外診断用医薬品原料としての抗体 当社は、研究用試薬や体外診断用医薬品に使用する抗体を、遺伝子組換えカイコにより生産する技術を開発してまいりました。この技術を活用して、当社の製品であるアミロイドβ測定キットに用いている抗体を、遺伝子組換えカイコ生産抗体に切り替えたほか、大手体外診断用医薬品メーカーへも、抗体の供給を行っております。 ニ ヒトコラーゲン 当社は、遺伝子組換えカイコにより、アレルギーを起こす危険性が低い安心・安全なヒトコラーゲンを開発することに成功しました。このコラーゲンを「ネオシルクⓇ-ヒトコラーゲンⅠ」と命名し、化粧品原料としての販売を開始しております。 ホ ラミニン511-E8 iPS細胞等の培養足場材として有効であるラミニン511-E8を遺伝子組換えカイコを用いて安価に製造する方法を確立しました。研究用試薬原料として販売する準備を進めております。 へ 抗HIV抗体 当社は、遺伝子組換えカイコにより生産した抗体の糖鎖には「フコース」が含まれないことを発見し、その技術により、高いADCC活性を有する抗体医薬品が製造できる可能性を示してきました。その技術を用い、フコースを含まない抗HIV抗体を開発し、ADCC活性を飛躍的に増強させ、遺伝子組換えカイコを用いた抗体医薬品の実用化を目指して、共同研究開発を進めております。 ② 診断・試薬事業(医薬用関連) 当社では、抗体作製技術を基盤として、治療用医薬品あるいは診断用医薬品に適した抗体の創製に取り組んでおります。治療用医薬品開発においては、製薬企業各社がパイプラインを充実させるために医薬シーズに係る権利の譲渡又は許諾を受ける活動を積極的に展開していることを受けて、当社の人的資源と効率を鑑み、創薬ターゲットの探索及びそのターゲットに対する各種抗体の作製とそれらの抗体の薬効評価に特化しております。 また、診断用医薬品開発においては、当社研究用試薬として製品化してまいりました、アルツハイマー病、及び糖・脂質代謝関連疾患の領域での研究開発を進めております。 主な研究開発の進捗状況は以下の通りであります。 イ がん領域における抗体医薬品シーズ探索 当社グループは、大学医学部との共同研究から、がん領域等における新たな抗体医薬品、及び体外診断用医薬品シーズの開発を行っております。 某大学との共同研究では、ヒト成人T細胞白血病(ATL)の診断に有効と考えられる関連タンパク質に対する抗体や測定系の開発を進めております。 ロ アルツハイマー病領域における治療用医薬品候補抗体の研究開発 当社は、大学等との共同研究から、神経細胞に毒性を有するとされているアミロイドβの毒性コンフォマーに対する抗体を創出しております。現在は、大学及び専門研究機関と共同でモデル動物を使った薬効試験によるアルツハイマー型認知症治療薬シーズとしての評価、さらに診断における臨床的意義の検証を進めております。 ハ アルツハイマー病に対する体外診断用医薬品 当社は、海外他社とアルツハイマー病の診断を目的とした原因タンパク質の測定キットの共同開発を行い、欧州において体外診断用医薬品としての販売に至りました。今後は、安定的な製造を進めてまいります。 ニ 耳鼻科領域における、めまい・難聴にかかわる疾患の体外診断用医薬品 当社は、大学のシーズを元に、めまい・難聴の原因を生化学的に診断できる世界初のバイオマーカー「CTP(Cochlin-tomoprotein)」に関して体外診断用医薬品としての開発を行っております。この度、体外診断薬申請 の経験豊富な体外診断薬メーカー、㈱コスミックコーポレーションと再実施許諾契約を締結し、日本国内での薬事申請・販売の権利を譲渡いたしました。これにより、早期に体外診断用医薬品の承認申請及び製品化を実現するとともに、当社は、本再実施許諾契約により一時金及び販売金額に応じたロイヤリティーを受領することになります。さらに、本製品の製造は当社において行うことで売上の拡大を目指してまいります。 ホ LPL(リポ蛋白リパーゼ)のラテックス自動化診断薬の開発 当社は既に販売しているLPL測定用キットをラテックス自動化診断薬として開発し、製造販売承認を取得いたしました。今後、販売を目指してまいります。LPLの診断薬は、既に脂質異常症の高TG血症患者を対象として他社から販売されておりますが、当社が開発する製品は、ラテックス凝集法による自動分析装置での測定を可能にするものです。これにより少数の検体から多数の検体まで幅広く対応することが出来、測定操作も簡便になり検査センターや病院の検査部門などでも広く測定することが可能となります。 へ 筋ジストロフィー患者の診断マーカーの測定系開発 某大学、及び研究機関との共同研究によって、筋ジストロフィー患者の診断のためのバイオマーカーとして、尿中のタイチンというタンパク質に対する測定系の開発を進めております。筋ジストロフィーとは骨格筋の壊死・再生を主病変とする遺伝性筋疾患です。患者尿中の解析において、タイチンという巨大なタンパク質の断片が存在することが発見され、それに対する抗体と測定系を開発しています。また、このタンパク質は筋肉に存在することから、運動負荷による筋肉障害のバイオマーカーとしても有用であると考えています。病気の診断・病態のモニタリングマーカー、あるいは、運動のモニタリングマーカーとしての開発を進めてまいります。 ③ 診断・試薬事業(研究用関連) 研究用関連では、将来、診断に役立つ事を目指した抗体開発、及びそれを用いた測定キットの新製品の開発に取り組んでおります。分野として、当社の強みであるアルツハイマー病、がん・炎症及び糖・脂質代謝関連疾患の領域に特化した開発を行っております。 イ 老化関連分子に対する抗体・測定系の開発 この領域においては、既に可溶性α-Klotho測定キットを製品化し、国内外を問わず広く使用されております。本分子以外にも老化に関連する分子に対する抗体・測定系の開発を進めております。 ロ アルツハイマー型認知症関連タンパク質に対する抗体・測定系の開発 アミロイドβを中心とした種々のタンパク質に対する抗体・測定系の開発を進めています。これまでもアミロイドβ、及びその前駆体蛋白であるAPPなどに対する製品を広くラインアップしておりますが、新規の分子種に対する開発を継続しております。今後もユニークな製品を開発してまいります。 ハ メタボリックシンドローム・生活習慣病関連分子に対する抗体・測定系の開発 これまでにも糖代謝、脂質代謝、及び血圧調節などに関連する分子に対して特異的な測定系を開発、製品化しておりますが、既存製品の高感度化、あるいは新規ターゲットに対する測定系の開発等、継続して特徴のある新規製品を開発してまいります。 (注) 用語解説については、「第4提出会社の状況 6コーポレート・ガバナンスの状況等」の末尾に記載しております。