事業の内容
免疫生物研究所は、主に抗体関連事業と化粧品関連事業を展開しています。主力は抗体関連事業で、診断薬の材料となる抗体や研究用試薬の製造・販売、特定のタンパク質を分析する検査サービス、そしてカイコを使って医薬品原料やヒト型コラーゲンを大量生産する受託サービスなどを提供しています。特に、抗体を基盤とした研究用試薬や体外診断用医薬品原料の提供が収益の柱となっています。化粧品関連事業では、ヒト型コラーゲンを配合した化粧品の開発・販売を行っています。
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FY2025|6,742 文字|出典 docID: S100W7T7
3【事業の内容】1.当社グループの事業概要について(1)当社グループの概要当社グループ(当社及び当社の関係会社)は、株式会社免疫生物研究所(当社)及び連結子会社2社で構成されております。当社グループの事業内容及び当社と関係会社の当該事業に係る位置付けは次のとおりであります。 ①抗体関連事業主要なサービスは、診断試薬サービス、検査サービス及びTGカイコサービスを展開しております。診断試薬サービスは、主に抗体を基盤とした研究用試薬、体外診断用医薬品、及び体外診断用医薬品原料の製造・販売並びに試薬関連受託サービスの提供、さらに、医薬シーズライセンス導出事業を行っております。検査サービスは主にLipoSEARCH®を中核事業とし、臨床研究、基礎研究、動物医療及び自由診療領域でのリポタンパク質プロファイリング詳細解析サービスを提供しております。また、藤岡研究所内に登録衛生検査所「IBL解析センター」を開設し、当社独自のELISA測定キットを用いた研究検査の受託測定を実施しております。TGカイコサービスは、カイコの繭中に目的タンパク質や抗体を効率よく大量生産できる技術による受託サービスや試薬原料並びに、ヒト型コラーゲンの製造・販売を行っております。・・・株式会社免疫生物研究所・・・株式会社AI Bio(連結子会社) ②化粧品関連事業化粧品原料「ネオシルク®-ヒト型コラーゲンⅠ」を配合した化粧品の製品開発、販売が主な事業となっております。・・・株式会社ネオシルク化粧品(連結子会社) 当社グループの事業内容を図示すると以下のようになります。 2.当社グループの事業セグメントについて(1)抗体関連事業抗体関連事業は、診断試薬サービス、検査サービス及びTGカイコサービスから構成されております。その各々の事業内容は次のとおりであります。①診断試薬サービス診断試薬サービスは、研究用試薬販売、試薬関連受託サービス、医薬シーズライセンス及び体外診断用医薬品並びに体外診断用医薬品原料の製造・販売から構成されております。研究用試薬販売は、抗体関連試薬販売及びその他の試薬販売に分類されます。抗体関連試薬販売では、ELISA測定キット及び抗体を販売しております。また、その他の試薬販売では、合成ペプチドその他を販売しております。 ・抗体関連試薬販売主に抗体を基盤にした研究用試薬を販売しており、当事業の主力製品であります。抗体試薬は、抗原の定性及び定量、単離・精製など幅広く利用されており、現在では生命科学の研究に欠かせないツールとなっております。当事業では様々な研究に使用する抗体試薬を供給できる体制を整えております。また、免疫反応を利用した体外診断用医薬品及び体外診断用医薬品原料では抗体試薬は大量に使用されますが、このような需要に対しても、バルク及びOEM供給できる体制を整えております。これらの事業を適正に遂行するために、診断薬を含む医療機器に関する品質マネジメントシステムISO13485を取得しております。イ ELISA測定キット抗原を定性あるいは定量するための研究用キットであります。抗体、酵素、反応液、反応をさせるためのプレートなど測定に必要な試薬が全てセットになっており、血液や尿中等に存在する目的の抗原物質の濃度を簡便に測定することができます。ロ 抗体生化学、分子生物学及び病理学等の基礎研究に広く使用されております。例えば免疫組織染色用の抗体は、薄切された組織を染色することで、病因となる抗原の有無や組織中での局在状態など、多くの情報を得ることができます。その他、抗原抗体反応を利用した多くの技術が広く研究を行う現場で使用されております。 ・その他の試薬販売イ 細胞培養関連試薬細胞の栄養源となる細胞培養液など、細胞を培養するために必要な試薬であります。ロ 合成ペプチド抗体を作製するために、抗原として使用するペプチドであり、有機化学の手法によって合成されるものであります。ハ その他細胞の分離に必要な試薬や研究用キットの部品などであります。 ・試薬関連受託サービス製薬企業の多くは、経営の効率化から研究開発をアウトソーシングする方針を打ち出しております。一方、公的研究機関や国立大学においても、法人化への移行に伴い研究の効率化が求められております。このような環境の下、研究開発に対する支援事業の需要は高まっております。一方、確実に成果の得られる支援先企業の選択が行われております。当社グループは「抗体作製に関する技術力の高さ」を強みとして、公的研究機関、大学、製薬企業などに対して、以下に掲げるサービスを主に提供しております。イ 抗体の作製、精製、標識ロ 細胞培養によるタンパク質製造ハ 抗体による測定系の開発ニ 受託試験 ・医薬シーズライセンス当社では、抗体作製技術を基盤として、治療用医薬品あるいは診断用医薬品に適した抗体の創製に取り組んでおります。治療用医薬品開発においては、製薬企業各社がパイプラインを充実させるために医薬シーズに係る権利の譲渡又は許諾を受ける活動を積極的に展開していることを受けて、当社の人的資源と効率を鑑み、創薬ターゲットの探索及びそのターゲットに対する各種抗体の作製とそれらの抗体の薬効評価に特化しております。イ 当社はABCONTEK社との間で合弁企業の株式会社AI Bioを設立し、ダニ媒介性感染症であるSFTS(重症熱性血小板減少症候群)を治療するための抗体医薬品候補「ACT101」を共同開発し、早期導出を目指しておりました。しかしながら、ABCONTEK社より同社の経営事情において、今後AI Bioへの研究開発費の負担が困難となる旨の通知を受け、取締役及び監査役の員数の変更などにより、当社のAI Bioの経営における実質的な支配権が増加したため、AI Bioを子会社化することといたしました(2023年3月14日発表)。AI Bioは、SML Biopharm Co., Ltd.と、SFTSウイルスに対する抗体遺伝子配列を治療薬目的にて使用する独占的実施許諾契約を締結いたしました。(2024年6月20日公表の「抗重症熱性血小板減少症候群(SFTS)ウイルス抗体遺伝子の独占的実施許諾契約締結に関するお知らせ」を参照) ロ 国立大学法人徳島大学との共同開発によって、胃や腸の消化管壁の粘膜下にある未熟な間葉系細胞に由来する「肉腫」の一種とされるGIST(消化管間質腫瘍)を診断、治療するための抗体医薬品を開発し、製薬企業等への導出等を目指しております。現在は、日本国内における「c-KIT陽性腫瘍特異的抗体断片」に関する特許を取得(2024年4月4日公表の「特許取得に関するお知らせ」参照)し、今後について、提携先と協議を進めております。 ・体外診断用医薬品販売及び体外診断用医薬品原料今までに研究用試薬として販売していたELISA測定キットのうち、診断に向け測定価値の認められるものを体外診断用医薬品や体外診断用医薬品原料登録に向けて開発を行ってまいります。既に国内外での登録を視野に入れ、海外他社との連携も開始しており、今後、生産量に応じた収益を見込んでまいります。イ 外リンパ瘻患者は突発性難聴やメニエール病などの症候学的に診断されている疾患に潜伏していることも多く、似通った症候を示す外リンパ瘻が見落とされるケースが発生しております。その患者数は正確には算出されておりませんが、潜在的に外リンパ瘻患者が含まれていると考えられる、めまいなどの有訴者数は約400万人にものぼると算出されており、外リンパ瘻の疑われる患者に対して、当社が製造を担当しているCTP(cochlin-tomoprotein) ELISA「コスミック」を用いることにより正確な診断が可能になることが期待されます。当社は、学校法人埼玉医科大学と簡便性・迅速性に優れたイムノクロマト法によるCTP測定試薬の開発を共同で行っております。ロ グルカゴンは、膵臓のランゲルハンス島のα細胞から分泌されるホルモンで、血糖調節因子として知られておりますが、ELISA法による測定は類似ペプチドの交叉による影響を受けやすく、正確な測定が難しいとされてきました。両断端に特異的な2抗体を用いた膵グルカゴン特異的測定系の開発により、血中グルカゴン濃度の正確な評価が可能となり、今後、糖尿病の病態や病気を診断するための独立した新しい指標となる可能性が示唆されています。当抗体を使用したELISAキットは、株式会社コスミック・コーポレーションが製造販売元、当社が製造元となり、体外診断用医薬品(製品名:Glucagon ELISA「コスミック」Ⅱ)の製造販売の届出を行い、受理されました(2024年8月6日公表の「体外診断用医薬品の製造販売届出に関するお知らせ」を参照)。また、当抗体は、体外診断用医薬品原料として海外診断薬メーカーへの販売を開始致しました。ハ 神経筋疾患患者の尿中に存在するタイチンというタンパク質に対するELISA測定キットを開発し、神経筋疾患の病気診断・病態のモニタリングマーカーとして、2026年3月期の販売承認申請を目指し、研究開発を行ってまいります。また、販売承認の申請までの間、研究用試薬として販売をするために、認定検査試薬としての確認申請を行い、承認されましたので、認定検査試薬として販売を開始しております。タイチンは神経筋疾患のみならず、老化に伴うサルコペニア、フレイル等の疾患との関係も示唆されており、対象疾患の広がりが期待されています。ニ 赤痢アメーバ症は赤痢アメーバ(Entamoeba histolytica)という寄生性の原虫が原因となって引き起こされる病気で、日本国内において、2012年以降、感染症法に基づく報告数は900例を超えてきており、増加傾向にあります。そこで当社は、簡便な血液検査で赤痢アメーバ感染の有無をチェックできる体外診断用医薬品(製品名:赤痢アメーバ抗体 ELISA-IBL)の製造販売承認を取得し、現在、保険申請を第1四半期に予定しており、2025年12月までに保険適用される見込みとなっております。ホ シスメックス株式会社との業務提携により、両社の診断薬開発技術の相互利用を進めることで、より独創的で高品質な製品を開発し全世界に向けて提供することを目指しております。本業務提携によりIBLは、自社の特長ある抗体ライブラリをシスメックスのHISCLTMをはじめとする測定プラットフォーム向けに最適化し、診断薬原材料として供給することが可能になります。またIBLの強みである抗体開発技術を活かしてグローバル市場の様々な診断ニーズに対応した抗体を開発し、シスメックスへの供給を通じて診断薬市場向け事業を拡大します。現在、数品目の診断薬原料候補の抗体やタンパク質の共同開発を行っております。詳細につきましては、守秘義務があるため、開示しておりません。ヘ 海外診断薬メーカーとの共同研究当社が保有する有用な抗体を体外診断用医薬品原料として提供するために評価・検討を行っております。なお、現在、1品目の体外診断用医薬品用の原料提供が決定しており、今後も数品目の採用を予定しております。(詳細につきましては、守秘義務があるため、開示しておりません。) ②検査サービス当サービスは、「LipoSEARCH®」を主とした研究検査と登録衛生検査所「IBL解析センター」による検査で構成されております。「LipoSEARCH®」を主とした研究検査では、生活習慣病領域での創薬・研究支援に加え予防・診断支援などに特化した事業を行っております。特に、世界で唯一の高感度ゲルろ過高速液体クロマトグラフィーを用いた血中リポタンパク質詳細プロファイリングサービス「LipoSEARCH®」は、最先端のリポタンパク質解析技術として、当領域の専門研究機関・製薬企業・食品企業における研究・開発及び創薬支援として広く利用されております。本「LipoSEARCH®」は、血中の各リポタンパク質の粒子サイズにより分画した波形データ(クロマトグラム)と、各分画におけるコレステロール量と中性脂肪量を提供する事により、病態や薬剤投与の影響によるリポタンパク質プロファイルの全体的かつ詳細な変化をとらえることができます。さらに、伴侶動物(ペット)向けの脂質代謝関連疾患検査サービス「LipoTEST」を動物病院の獣医師を経由して飼い主様に提供しております。また、IBL解析センターでは、診断試薬サービスで開発された独自のELISA測定キットを用いた研究検査の受託測定を実施しており、生活習慣病関連疾患や老化関連疾患領域での総合的な支援を推進しております。このように、当社グループはヒトから伴侶動物に至るまで、豊富な研究ネットワークを有して、総合的な支援を通じた医療貢献を目指しております。 ③TGカイコサービス当サービスは、目的とするタンパク質を遺伝子組換え手法によりカイコの繭に産生させる技術を有しております。この産生技術は、下記の図に示しますように、目的とするタンパク質の元になる遺伝子を用意することから始まります。用意した遺伝子を、ベクターと呼ばれる遺伝子の運び屋に組み込み、次にそのベクターをカイコの卵に注入することで、目的タンパク質の遺伝子が組み込まれた遺伝子組換えカイコを作出します。この遺伝子組換えカイコは、目的タンパク質を繭の中に吐き出すように工夫されており、そのため繭から簡便にタンパク質を回収することが可能です。当サービスは、遺伝子組換え手法によりカイコの繭に産生させた各種抗体等のタンパク質の販売を行っております。また、株式会社ニッピとの共同研究により、iPS細胞等の培養足場材として有効であるラミニン511-E8の生産にも成功し、研究用試薬としての販売も実現しております。遺伝子組換えカイコで生産したラミニン511-E8(iMatrix-511 silk)は、機能および価格的優位性から、多くの研究者の皆様に利用いただいております。また、化粧品原料「ネオシルク®-ヒト型コラーゲンⅠ」につきましても、美容機器製品等の開発に成功したイタリア法人の303 Pharmaとの間でOEM契約を締結し、同社の自社ブランド製品として提供しております。 また、当サービスにおいては、ヒト感染性の病原体を持たないカイコを用い、組換え型の血漿フィブロネクチン(Fibronectin Neosilk®, Plasma)と細胞性フィブロネクチン(Fibronectin Neosilk®, Cellular)の生産技術を開発し、研究用試薬として販売しております。フィブロネクチンは、代表的な細胞外マトリックスタンパク質の一つであり、細胞の接着・伸展、移動、増殖および分化等を制御することから、間葉系幹細胞をはじめとする各種培養細胞の足場材として再生医療領域での研究等に使用可能です。また、本製品は、遺伝子組換えカイコの繭から精製するために動物由来成分の混入が無い、いわゆるXeno-freeであることから、安全性の高い製品としても期待されています。一方で、化粧品原料「ネオシルク®-ヒト型コラーゲンⅢ」の販売が開始されましたが、産生効率が不均等なため、産生効率向上の改善を図っております。 (2)化粧品関連事業当事業は、当社グループの遺伝子組換えカイコサービスにおいて開発した化粧品原料「ネオシルク®-ヒト型コラーゲンI」及びネオシルク®-ヒト型コラーゲンⅠ配合化粧品「フレヴァン」を化粧品業界や美容業界に広く販売するため、連結完全子会社の株式会社ネオシルク化粧品が事業を展開しております。「ネオシルク®-ヒト型コラーゲンI」は、遺伝子組換えカイコの繭に生産させたもので、現在使用されている魚や豚等の異種動物から生産されるコラーゲンとは異なる、今までにない全く新しい化粧品原料です。また、繭から精製したネオシルク®-ヒト型コラーゲンIには、組換え遺伝子は含まれておらず、純粋にヒトのコラーゲンと同等なアミノ酸骨格を有するものであることから、安全性が高く、消費者の皆様に安心してお使いいただける化粧品原料であると考えております。 (注)用語解説については、「第4提出会社の状況 4コーポレート・ガバナンスの状況等」の末尾に記載しております。
FY2024|6,749 文字|出典 docID: S100TTJJ
3【事業の内容】1.当社グループの事業概要について(1)当社グループの概要当社グループ(当社及び当社の関係会社)は、株式会社免疫生物研究所(当社)及び連結子会社2社で構成されております。当社グループの事業内容及び当社と関係会社の当該事業に係る位置付けは次のとおりであります。なお、当連結会計年度より、報告セグメントの区分を変更しております。詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(セグメント情報等)」をご参照ください。 ①抗体関連事業主要なサービスは、診断試薬サービス、検査サービス及びTGカイコサービスを展開しております。診断試薬サービスは、主に抗体を基盤とした研究用試薬、体外診断用医薬品、及び体外診断用医薬品原料の製造・販売並びに試薬関連受託サービスの提供、さらに、医薬シーズライセンス導出事業を行っております。検査サービスは主にLipoSEARCHⓇを中核事業とし、臨床研究、基礎研究、動物医療及び自由診療領域でのリポタンパク質プロファイリング詳細解析サービスを提供しております。また、藤岡研究所内に登録衛生検査所「IBL解析センター」を開設し、当社独自のELISA測定キットを用いた研究検査の受託測定を実施しております。TGカイコサービスは、カイコの繭中に目的タンパク質や抗体を効率よく大量生産できる技術による受託サービスや試薬原料の製造・販売を行っております。・・・株式会社免疫生物研究所・・・株式会社AI Bio(連結子会社) ②化粧品関連事業化粧品原料「ネオシルクⓇ-ヒト型コラーゲンⅠ」を配合した化粧品の製品開発、販売が主な事業となっております。・・・株式会社ネオシルク化粧品(連結子会社) 当社グループの事業内容を図示すると以下のようになります。 2.当社グループの事業セグメントについて(1)抗体関連事業抗体関連事業は、診断試薬サービス、検査サービス及びTGカイコサービスから構成されております。その各々の事業内容は次のとおりであります。①診断試薬サービス診断試薬サービスは、研究用試薬販売、試薬関連受託サービス、医薬シーズライセンス及び体外診断用医薬品並びに体外診断用医薬品原料の製造・販売から構成されております。研究用試薬販売は、抗体関連試薬販売及びその他の試薬販売に分類されます。抗体関連試薬販売では、ELISA測定キット及び抗体を販売しております。また、その他の試薬販売では、合成ペプチドその他を販売しております。 ・抗体関連試薬販売主に抗体を基盤にした研究用試薬を販売しており、当事業の主力製品であります。抗体試薬は、抗原の定性及び定量、単離・精製など幅広く利用されており、現在では生命科学の研究に欠かせないツールとなっております。当事業では様々な研究に使用する抗体試薬を供給できる体制を整えております。また、免疫反応を利用した体外診断用医薬品及び体外診断用医薬品原料では抗体試薬は大量に使用されますが、このような需要に対しても、バルク及びOEM供給できる体制を整えております。これらの事業を適正に遂行するために、診断薬を含む医療機器に関する品質マネジメントシステムISO13485を取得しております。イ ELISA測定キット抗原を定性あるいは定量するための研究用キットであります。抗体、酵素、反応液、反応をさせるためのプレートなど測定に必要な試薬が全てセットになっており、血液や尿中等に存在する目的の抗原物質の濃度を簡便に測定することができます。ロ 抗体生化学、分子生物学及び病理学等の基礎研究に広く使用されております。例えば免疫組織染色用の抗体は、薄切された組織を染色することで、病因となる抗原の有無や組織中での局在状態など、多くの情報を得ることができます。その他、抗原抗体反応を利用した多くの技術が広く研究を行う現場で使用されております。 ・その他の試薬販売イ 細胞培養関連試薬細胞の栄養源となる細胞培養液など、細胞を培養するために必要な試薬であります。ロ 合成ペプチド抗体を作製するために、抗原として使用するペプチドであり、有機化学の手法によって合成されるものであります。ハ その他細胞の分離に必要な試薬や研究用キットの部品などです。 ・試薬関連受託サービス製薬企業の多くは、経営の効率化から研究開発をアウトソーシングする方針を打ち出しております。一方、公的研究機関や国立大学においても、法人化への移行に伴い研究の効率化が求められております。このような環境の下、研究開発に対する支援事業の需要は高まっております。一方、確実に成果の得られる支援先企業の選択が行われております。当社グループは「抗体作製に関する技術力の高さ」を強みとして、公的研究機関、大学、製薬企業などに対して、以下に掲げるサービスを主に提供しております。イ 抗体の作製、精製、標識ロ 細胞培養によるタンパク質製造ハ 抗体による測定系の開発ニ 受託試験 ・医薬シーズライセンス当社では、抗体作製技術を基盤として、治療用医薬品あるいは診断用医薬品に適した抗体の創製に取り組んでおります。治療用医薬品開発においては、製薬企業各社がパイプラインを充実させるために医薬シーズに係る権利の譲渡又は許諾を受ける活動を積極的に展開していることを受けて、当社の人的資源と効率を鑑み、創薬ターゲットの探索及びそのターゲットに対する各種抗体の作製とそれらの抗体の薬効評価に特化しております。イ 当社はABCONTEK社との間で合弁企業の株式会社AIBioを設立し、ダニ媒介性感染症であるSFTS(重症熱性血小板減少症候群)を治療するための抗体医薬品候補「ACT101」を共同開発し、早期導出を目指しておりました。しかしながら、ABCONTEK社より同社の経営事情において、今後AI Bioへの研究開発費の負担が困難となる旨の通知を受け、取締役及び監査役の員数の変更などにより、当社のAI Bioの経営における実質的な支配権が増加したため、AI Bio を子会社化することといたしました(2023年3月14日発表)。この度の子会社化により、研究開発資金が縮小されることになりますので、予定していたカニクイザルを使用した非臨床試験を一旦中止し、現時点で取得済みの試験結果を用いて早期の導出に注力して参ります。 ロ 国立大学法人徳島大学との共同開発によって、胃や腸の消化管壁の粘膜下にある未熟な間葉系細胞に由来する「肉腫」の一種とされるGIST(消化管間質腫瘍)を診断、治療するための抗体医薬品を開発し、製薬企業等への導出等を目指しております。現在は、日本国内における「c-KIT陽性腫瘍特異的抗体断片」に関する特許を取得(2024年4月4日公表の「特許取得に関するお知らせ」参照)し、今後について、提携先と協議を進めております。 ・体外診断用医薬品販売及び体外診断用医薬品原料今までに研究用試薬として販売していたELISA測定キットのうち、診断に向け測定価値の認められるものを体外診断用医薬品や体外診断用医薬品原料登録に向けて開発を行ってまいります。既に国内外での登録を視野に入れ、海外他社との連携も開始しており、今後、生産量に応じた収益を見込んでまいります。イ 学校法人埼玉医科大学が所有する、難聴・めまいの原因を生化学的に診断できる世界初のバイオマーカー「CTP(cochlintomo-protein)」に関する発明を元に、体外診断用医薬品としての薬事申請・販売の権利を株式会社コスミックコーポレーションに譲渡しました。その後、2020年6月に体外診断用医薬品承認され、さらに、2022年7月1日付で、外リンパ瘻を疑う患者に対して、診断の補助を目的として保険収載(保険点数:460点)されました(2022年8月3日発表)。当社は本品の製造を担当いたします。外リンパ瘻患者は突発性難聴やメニエール病などの症候学的に診断されている疾患に潜伏していることも多く、似通った症候を示す外リンパ瘻が見落とされるケースが発生しております。その患者数は正確には算出されておりませんが、潜在的に外リンパ瘻患者が含まれていると考えられる、めまいなどの有訴者数は約400万人にものぼると算出されており、外リンパ瘻の疑われる患者に対して本CTP ELISA「コスミック」を用いることにより正確な診断が可能になることが期待されます。さらに、当社は、学校法人埼玉医科大学と簡便性・迅速性に優れたイムノクロマト法によるCTP測定試薬の開発を共同で行っております。ロ グルカゴンは、膵臓のランゲルハンス島のα細胞から分泌されるホルモンで、血糖調節因子として知られておりますが、ELISA法による測定は類似ペプチドの交叉による影響を受けやすく、正確な測定が難しいとされてきました。両断端に特異的な2抗体を用いた膵グルカゴン特異的測定系の開発により、血中グルカゴン濃度の正確な評価が可能となり、今後、糖尿病の病態や病気を診断するための独立した新しい指標となる可能性が示唆されています。当社は、群馬大学と共同で、血清中グルカゴン値を測定する体外診断用医薬品として、2025年3月期の承認申請に向けて研究開発を行っております。ハ 神経筋疾患患者の尿中に存在するタイチンというタンパク質に対するELISA測定キットを開発し、神経筋疾患の病気診断・病態のモニタリングマーカーとして、2025年3月期の販売承認申請を目指し、研究開発を行ってまいります。また、販売承認の申請までの間、研究用試薬として販売をするために、認定検査試薬としての確認申請を行い、承認されましたので、認定検査試薬として販売を開始しております。タイチンは神経筋疾患のみならず、老化に伴うサルコペニア、フレイル等の疾患との関係も示唆されており、対象疾患の広がりが期待されています。ニ 赤痢アメーバ症は赤痢アメーバ(Entamoeba histolytica)という寄生性の原虫が原因となって引き起こされる病気で、日本国内において、2012年以降、感染症法に基づく報告数は900例を超えてきており、増加傾向にあります。そこで当社は、簡便な血液検査で赤痢アメーバ感染の有無をチェックできる体外診断用医薬品の開発を行っておりましたが、体外診断用医薬品(製品名:赤痢アメーバ抗体 ELISA-IBL)の製造販売承認を取得いたしました。現在、保険適用に向けて準備をしており、保険適用後、販売を開始致します。ホ シスメックス株式会社との業務提携により、両社の診断薬開発技術の相互利用を進めることで、より独創的で高品質な製品を開発し全世界に向けて提供することを目指しております。本業務提携によりIBLは、自社の特長ある抗体ライブラリをシスメックスのHISCLをはじめとする測定プラットフォーム向けに最適化し、診断薬原材料として供給することが可能になります。またIBLの強みである抗体開発技術を活かしてグローバル市場の様々な診断ニーズに対応した抗体を開発し、シスメックスへの供給を通じて診断薬市場向け事業を拡大します。現在、数品目の診断薬原料候補の抗体やたんぱく質の共同開発を行っております。詳細につきましては、守秘義務があるため、開示しておりません。 ②検査サービス当サービスは、秋田解析センターにおける「LipoSEARCH」を主とした研究検査と登録衛生検査所「IBL解析センター」による検査で構成されております。秋田解析センターでは、生活習慣病領域での創薬・研究支援に加え予防・診断支援などに特化した事業を行っております。特に、世界で唯一の高感度ゲルろ過高速液体クロマトグラフィーを用いた血中リポタンパク質詳細プロファイリングサービス「LipoSEARCH」は、最先端のリポタンパク質解析技術として、当領域の専門研究機関・製薬企業・食品企業における研究・開発及び創薬支援として広く利用されております。本「LipoSEARCH」は、血中の各リポタンパク質の粒子サイズにより分画した波形データ(クロマトグラム)と、各分画におけるコレステロール量と中性脂肪量を提供する事により、病態や薬剤投与の影響によるリポタンパク質プロファイルの全体的かつ詳細な変化をとらえることができます。さらに、伴侶動物(ペット)向けの脂質代謝関連疾患検査サービス「LipoTEST」を動物病院の獣医師を経由して飼い主様に提供しております。また、IBL解析センターでは、診断試薬サービスで開発された独自のELISA測定キットを用いた研究検査の受託測定を実施しており、生活習慣病関連疾患や老化関連疾患領域での総合的な支援を推進しております。このように、当社グループはヒトから伴侶動物に至るまで、豊富な研究ネットワークを有して、総合的な支援を通じた医療貢献を目指しております。 ③TGカイコサービス当サービスは、目的とするタンパク質を遺伝子組換え手法によりカイコの繭に生産させる技術を有しております。この生産技術は、下記の図に示しますように、目的とするタンパク質の元になる遺伝子を用意することから始まります。用意した遺伝子を、ベクターと呼ばれる遺伝子の運び屋に組み込み、次にそのベクターをカイコの卵に注入することで、目的タンパク質の遺伝子が組み込まれた遺伝子組換えカイコを作出します。この遺伝子組換えカイコは、目的タンパク質を繭の中に吐き出すように工夫されており、そのため繭から簡便にタンパク質を回収することが可能です。当サービスは、遺伝子組換え手法によりカイコの繭に生産させた各種抗体等のタンパク質の販売を行っております。また、株式会社ニッピとの共同研究により、iPS細胞等の培養足場材として有効であるラミニン511-E8の生産にも成功し、研究用試薬としての販売も実現しております。遺伝子組換えカイコで生産したラミニン511-E8(iMatrix-511 silk)は、機能および価格的優位性から、多くの研究者の皆様に利用いただいております。また、化粧品原料「ネオシルク®-ヒト型コラーゲンⅠ」につきましても、美容機器製品等の開発に成功したイタリア法人の303 Pharma との間でOEM契約を締結し、同社の自社ブランド製品として提供してまいります。 また、当サービスにおいては、ヒト感染性の病原体を持たないカイコを用い、組換え型の血漿フィブロネクチン(Fibronectin Neosilk®,Plasma)と細胞性フィブロネクチン(Fibronectin Neosilk®, Cellular)の生産技術を開発し、研究用試薬として販売を開始しました。フィブロネクチンは、代表的な細胞外マトリックスタンパク質の一つであり、細胞の接着・伸展、移動、増殖および分化等を制御することから、間葉系幹細胞をはじめとする各種培養細胞の足場材として再生医療領域での研究等に使用可能です。また、本製品は、遺伝子組換えカイコの繭から精製するために動物由来成分の混入が無い、いわゆるXeno-freeであることから、安全性の高い製品としても期待されています。 (2)化粧品関連事業当事業は、当社グループの遺伝子組換えカイコサービスにおいて開発した化粧品原料「ネオシルクⓇ-ヒト型コラーゲンI」及びネオシルクⓇ-ヒト型コラーゲンⅠ配合化粧品「フレヴァン」を化粧品業界や美容業界に広く販売するため、連結完全子会社の株式会社ネオシルク化粧品が事業を展開しております。「ネオシルクⓇ-ヒト型コラーゲンI」は、遺伝子組換えカイコの繭に生産させたもので、現在使用されている魚や豚等の異種動物から生産されるコラーゲンとは異なる、今までにない全く新しい化粧品原料です。また、繭から生成したネオシルクⓇ-ヒト型コラーゲンIには、組換え遺伝子は含まれておらず、純粋にヒトのコラーゲンと同等なアミノ酸骨格を有するものであることから、安全性が高く、消費者の皆様に安心してお使いいただける化粧品原料であると考えております。また、化粧品原料「ネオシルクⓇ-ヒト型コラーゲンⅢ」の販売が開始され、今後は、「ネオシルクⓇ-ヒト型コラーゲンⅢ」を使用した高級化粧品の開発に取り組み、幅広いユーザーに提供できる製品を開発してまいります。 (注)用語解説については、「第4提出会社の状況 4コーポレート・ガバナンスの状況等」の末尾に記載しております。
FY2023|7,423 文字|出典 docID: S100R9RY
3 【事業の内容】1.当社グループの事業概要について (1) 当社グループの概要 当社グループ(当社及び当社の関係会社)は、株式会社免疫生物研究所(当社)及び連結子会社2社で構成されております。 当社グループの事業内容及び当社と関係会社の当該事業に係る位置付けは次のとおりであります。 ① 抗体関連事業 主要なサービスは、診断試薬サービス、検査サービス及びTGカイコサービスを展開しております。診断試薬サービスは、主に抗体を基盤とした研究用試薬、体外診断用医薬品、及び体外診断用医薬品原料の製造・販売並びに試薬関連受託サービスの提供、さらに、医薬シーズライセンス導出事業を行っております。検査サービスは主にLipoSEARCHⓇを中核事業とし、臨床研究、基礎研究、動物医療及び自由診療領域でのリポタンパク質プロファイリング詳細解析サービスを提供しております。また、藤岡研究所内に登録衛生検査所「IBL解析センター」を開設し、IBL独自のELISA測定キットを用いた研究検査の受託測定を実施しております。さらに、大手検査会社との提携や株式会社フェニックスバイオとの業務提携により、脂質代謝研究用素材である「PXB-cells LA」を用いた受託試験サービスを開始し、検査受託を安定的に、かつ、拡大してまいります。TGカイコサービスは、カイコの繭中に目的タンパク質や抗体を効率よく大量生産できる技術による受託サービスや試薬原料の製造・販売を行っております。 ・・・株式会社免疫生物研究所 ・・・株式会社AI Bio(連結子会社) ② 遺伝子組換えカイコ開発事業 当事業は、当事業の技術の有用性が発揮でき、売上規模が比較的大きいと見込まれる新規タンパク質や抗体の開発を進めてまいります。また、遺伝子組換えカイコの繭から生産する抗体やタンパク質の生産コストの低減が、利益創出の課題となっており、当該課題の基礎研究に集中しております。・・・株式会社免疫生物研究所 ③ 化粧品関連事業 化粧品原料「ネオシルクⓇ-ヒト型コラーゲンⅠ」を配合した化粧品の製品開発、販売が主な事業となっております。・・・株式会社ネオシルク化粧品(連結子会社) 当社グループの事業内容を図示すると以下のようになります。 2.当社グループの事業セグメントについて (1) 抗体関連事業 抗体関連事業は、診断試薬サービス、検査サービス及びTGカイコサービスから構成されております。その各々の事業内容は次のとおりであります。① 診断試薬サービス 診断試薬サービスは、研究用試薬販売、試薬関連受託サービス、医薬シーズライセンス及び体外診断用医薬品販売から構成されております。研究用試薬販売は、抗体関連試薬販売及びその他の試薬販売に分類されます。抗体関連試薬販売では、EIA測定キット及び抗体を販売しております。また、その他の試薬販売では、合成ペプチドその他を販売しております。 ・ 抗体関連試薬販売 主に抗体を基盤にした研究用試薬を販売しており、当事業の主力製品であります。抗体試薬は、抗原の定性及び定量、単離・精製など幅広く利用されており、現在では生命科学の研究に欠かせないツールとなっております。当事業では様々な研究に使用する抗体試薬を供給できる体制を整えております。また、免疫反応を利用した体外診断用医薬品では抗体試薬は大量に使用されますが、このような需要に対しても、バルク及びOEM供給できる体制を整えております。これらの事業を適正に遂行するために、診断薬を含む医療機器に関する品質マネジメントシステムISO13485を取得しております。 イ EIA測定キット 抗原を定性あるいは定量するための研究用キットであります。抗体、酵素、反応液、反応をさせるためのプレートなど測定に必要な試薬が全てセットになっており、血液や尿中等に存在する目的の抗原物質の濃度を簡便に測定することができます。 ロ 抗体 生化学、分子生物学及び病理学等の基礎研究に広く使用されております。例えば免疫組織染色用の抗体は、薄切された組織を染色することで、病因となる抗原の有無や組織中での局在状態など、多くの情報を得ることができます。その他、抗原抗体反応を利用した多くの技術が広く研究を行う現場で使用されております。 ・ その他の試薬販売 イ 細胞培養関連試薬 細胞の栄養源となる細胞培養液など、細胞を培養するために必要な試薬であります。 ロ 合成ペプチド 抗体を作製するために、抗原として使用するペプチドであり、有機化学の手法によって合成されるものであります。 ハ その他 細胞の分離に必要な試薬や研究用キットの部品などです。 ・ 試薬関連受託サービス 製薬企業の多くは、経営の効率化から研究開発をアウトソーシングする方針を打ち出しております。一方、公的研究機関や国立大学においても、法人化への移行に伴い研究の効率化が求められております。このような環境の下、研究開発に対する支援事業の需要は高まっております。一方、確実に成果の得られる支援先企業の選択が行われております。当社グループは「抗体作製に関する技術力の高さ」を強みとして、公的研究機関、大学、製薬企業などに対して、以下に掲げるサービスを主に提供しております。 イ 抗体の作製、精製、標識 ロ 細胞培養によるタンパク質製造 ハ 抗体による測定系の開発 ニ 受託試験 ・ 医薬シーズライセンス 当社では、抗体作製技術を基盤として、治療用医薬品あるいは診断用医薬品に適した抗体の創製に取り組んでおります。治療用医薬品開発においては、製薬企業各社がパイプラインを充実させるために医薬シーズに係る権利の譲渡又は許諾を受ける活動を積極的に展開していることを受けて、当社の人的資源と効率を鑑み、創薬ターゲットの探索及びそのターゲットに対する各種抗体の作製とそれらの抗体の薬効評価に特化しております。イ 当社はABCONTEK社との間で合弁企業の株式会社AIBioを設立し、ダニ媒介性感染症であるSFTS(重症熱性血小板減少症候群)を治療するための抗体医薬品候補「ACT101」を共同開発し、早期導出を目指しておりました。しかしながら、ABCONTEK社より同社の経営事情において、今後AIBioへの研究開発費の負担が困難となる旨の通知を受け、取締役及び監査役の員数の変更などにより、当社のAIBioの経営における実質的な支配権が増加したため、AIBio を子会社化することといたしました(2023年3月14日発表)。この度の子会社化により、研究開発資金が縮小されることになりますので、予定していたカニクイザルを使用した非臨床試験を一旦中止し、現時点で取得済みの試験結果を用いて早期の導出に注力して参ります。ロ 国立大学法人徳島大学との共同開発によって、胃や腸の消化管壁の粘膜下にある未熟な間葉系細胞に由来する「肉腫」の一種とされるGIST(消化管間質腫瘍)を診断、治療するための抗体医薬品を開発し、製薬企業等への導出等を目指しております。現在は、特許出願を完了し、さらに前臨床試験に向けた準備を進めております。 ・ 体外診断用医薬品販売 当事業では、今までに研究用試薬として販売していたEIA測定キットのうち、診断に向け測定価値の認められるものを体外診断用医薬品登録に向けて開発を行ってまいります。既に国内外での登録を視野に入れ、海外他社との連携も開始しており、今後、キットの生産量に応じた収益を見込んでまいります。イ 学校法人埼玉医科大学が所有する、難聴・めまいの原因を生化学的に診断できる世界初のバイオマーカー「CTP(cochlintomo-protein)」に関する発明を元に、体外診断用医薬品としての薬事申請・販売の権利を株式会社コスミックコーポレーションに譲渡しました。その後、2020年6月に体外診断用医薬品承認され、さらに、2022年7月1日付で、外リンパ瘻を疑う患者に対して、診断の補助を目的として保険収載 (保険点数:460点)されました(2022年8月3日発表)。当社は本品の製造を担当いたします。 外リンパ瘻患者は突発性難聴やメニエール病などの症候学的に診断されている疾患に潜伏していることも多く、似通った症候を示す外リンパ瘻が見落とされるケースが発生しております。その患者数は正確には算出されておりませんが、潜在的に外リンパ瘻患者が含まれていると考えられる、めまいなどの有訴者数は約400万人にものぼると算出されており、 外リンパ瘻の疑われる患者に対して本CTP ELISA「コスミック」を用いることにより正確な診断が可能になることが期待されます。 さらに、当社は、学校法人埼玉医科大学と簡便性・迅速性に優れたイムノクロマト法によるCTP測定試薬の開発を共同で行っております。ロ グルカゴンは、膵臓のランゲルハンス島のα細胞から分泌されるホルモンで、血糖調節因子として知られていますが、ELISA法による測定は類似ペプチドの交叉による影響を受けやすく、正確な測定が難しいとされてきました。両断端に特異的な2抗体を用いた膵グルカゴン特異的測定系の開発により、血中グルカゴン濃度の正確な評価が可能となり、今後、糖尿病の病態や病気を診断するための独立した新しい指標となる可能性が示唆されています。当社は、群馬大学と共同で、血清中グルカゴン値を測定する体外診断用医薬品の開発を行っておりますが、先行して研究用試薬としての販売を開始いたしました(2022年8月22日)。さらに、2024年3月期第1四半期の体外診断用医薬品の販売承認申請に向けた研究開発を継続してまいります。ハ 神経筋疾患患者の尿中に存在するタイチンというタンパク質に対するELISA測定キットを開発し、神経筋疾患の病気診断・病態のモニタリングマーカーとして、2025年3月期の販売承認申請を目指し、研究開発を行ってまいります。また、販売承認の申請までの間、研究用試薬として販売をするために、認定検査試薬としての確認申請を行い、承認されましたので、認定検査試薬として販売を開始しております。タイチンは神経筋疾患のみならず、老化に伴うサルコペニア、フレイル等の疾患との関係も示唆されており、対象疾患の広がりが期待されています。ニ 赤痢アメーバ症は赤痢アメーバ(Entamoeba histolytica)という寄生性の原虫が原因となって引き起こされる病気で、日本国内において、2012年以降、感染症法に基づく報告数は900例を超えてきており、増加傾向にあります。そこで当社は、簡便な血液検査で赤痢アメーバ感染の有無をチェックできる体外診断用医薬品の開発を行っております。なお、2024年3月期第1四半期中に体外診断用医薬品製造販売承認申請に向けて準備中です。ホ その他、当社グループが所有するアルツハイマー関連及びSFTS関連の抗体を用いた体外診断用医薬品の開発を行っております。 ② 検査サービス 当サービスは、秋田解析センターにおける「LipoSEARCH」を主とした研究検査と登録衛生検査所「IBL解析センター」による検査で構成されております。秋田解析センターでは、生活習慣病領域での創薬・研究支援に加え予防・診断支援などに特化した事業を行っております。特に、世界で唯一の高感度ゲルろ過高速液体クロマトグラフィーを用いた血中リポタンパク質詳細プロファイリングサービス「LipoSEARCH」は、最先端のリポタンパク質解析技術として、当領域の専門研究機関・製薬企業・食品企業における研究・開発及び創薬支援として広く利用されております。 本「LipoSEARCH」は、血中の各リポタンパク質の粒子サイズにより分画した波形データ(クロマトグラム)と、各分画におけるコレステロール量と中性脂肪量を提供する事により、病態や薬剤投与の影響によるリポタンパク質プロファイルの全体的かつ詳細な変化をとらえることができます。 さらに、伴侶動物(ペット)向けの脂質代謝関連疾患検査サービス「LipoTEST」を動物病院の獣医師を経由して飼い主様に提供しております。 また、IBL解析センターでは、診断試薬サービスで開発された独自のELISA測定キットを用いた研究検査の受託測定を実施しており、生活習慣病関連疾患や老化関連疾患領域での総合的な支援を推進しております。 さらに、大手検査会社との提携や、株式会社フェニックスバイオとの業務提携による「PXB-cells LA」を用いた受託試験サービスの開始等により、検査サービスを安定的に、かつ、拡大させてまいります。 このように、当社グループはヒトから伴侶動物に至るまで、豊富な研究ネットワークを有して、総合的な支援を通じた医療貢献を目指しております。 ③ TGカイコサービス 遺伝子組換え手法によりカイコの繭に生産させた各種抗体等のタンパク質の販売を行っております。また、株式会社ニッピとの共同研究により、iPS細胞等の培養足場材として有効であるラミニン511-E8の生産にも成功し、研究用試薬としての販売も実現しております。遺伝子組換えカイコで生産したラミニン511-E8(iMatrix-511 silk)は、機能および価格的優位性から、多くの研究者の皆様に利用いただいております。また、化粧品原料「ネオシルク®-ヒト型コラーゲンⅠ」につきましても、欧州において医療機器として使用されたことにより、様々な国から問い合わせが増加しております。 また、当事業においては、ヒト感染性の病原体を持たないカイコを用い、組換え型の血漿フィブロネクチン(Fibronectin Neosilk®,Plasma)と細胞性フィブロネクチン(Fibronectin Neosilk®, Cellular)の生産技術を開発し、研究用試薬として販売を開始しました(2023年3月13日)。 フィブロネクチンは、代表的な細胞外マトリックスタンパク質の一つであり、細胞の接着・伸展、移動、増殖および分化等を制御することから、間葉系幹細胞をはじめとする各種培養細胞の足場材として再生医療領域での研究等に使用可能です。また、本製品は、遺伝子組換えカイコの繭から精製するために動物由来成分の混入が無い、いわゆるXeno-freeであることから、安全性の高い製品としても期待されています。 (2) 遺伝子組換えカイコ開発事業 当事業では、目的とするタンパク質を遺伝子組換え手法によりカイコの繭に生産させる技術を有しております。この生産技術は、下記の図に示しますように、目的とするタンパク質の元になる遺伝子を用意することから始まります。用意した遺伝子を、ベクターと呼ばれる遺伝子の運び屋に組み込み、次にそのベクターをカイコの卵に注入することで、目的タンパク質の遺伝子が組み込まれた遺伝子組換えカイコを作出します。この遺伝子組換えカイコは、目的タンパク質を繭の中に吐き出すように工夫されており、そのため繭から簡便にタンパク質を回収することが可能です。 当事業では、この技術により生産したタンパク質の実用化を進めております。遺伝子組換えカイコで生産したモノクローナル抗体は、安価であるうえに、安定性やバックグラウンドの低さ等に優位性を有しており、当社のELISA測定キットの原料として利用しているほか、大手診断用医薬品メーカーへも供給されております。 また、本技術を利用してヒト型コラーゲンを大量生産させることに成功し、将来全世界に販売活動を行うことが可能なように、新規化粧品原料として「INCI名」を取得いたしました。このような戦略的な活動を通じて、世界の化粧品業界において、カイコ由来のヒト型コラーゲンが広く活用されるよう事業を推進いたします。 これら研究用試薬や化粧品分野での製品を製造販売する事業に加えて、当社は、遺伝子組換えカイコによるバイオ医薬品製造の実現へ向けた挑戦を続けてまいりました。遺伝子組換えカイコは、動物細胞では生産が困難な高分子量のタンパク質等を生産することが可能です。また、特に抗体においては、糖鎖にフコースを持たないため、高いADCC活性を発揮させることが可能です。さらに、カイコの飼育においては養蚕業で培われた優れた飼育技術を利用することができるため、医薬品に適した安定した品質のタンパク質を生産できる利点もあります。しかしながら、遺伝子組換えカイコの繭から生産する抗体やタンパク質の生産コストの低減が、利益創出の課題となっておりました。当該課題の基礎研究に集中してきましたが、医薬品原料としての生産コストに見合う生産量が得られなかったため、新規の医薬品原料開発は見送ることとさせていただきます。 (3) 化粧品関連事業 当事業は、当社グループの遺伝子組換えカイコ開発事業において開発した化粧品原料「ネオシルクⓇ-ヒト型コラーゲンI」及びネオシルクⓇ-ヒト型コラーゲンⅠ配合化粧品「フレヴァン」を化粧品業界や消費者の皆様に広く販売するため、連結完全子会社の株式会社ネオシルク化粧品が事業を展開しております。「ネオシルクⓇ-ヒト型コラーゲンI」は、遺伝子組換えカイコの繭に生産させたもので、現在使用されている魚や豚等の異種動物から生産されるコラーゲンとは異なる、今までにない全く新しい化粧品原料です。また、繭から生成したネオシルクⓇ-ヒト型コラーゲンIには、組換え遺伝子は含まれておらず、純粋にヒトのコラーゲンと同等なアミノ酸骨格を有するものであることから、安全性が高く、消費者の皆様に安心してお使いいただける化粧品原料であると考えております。また、化粧品原料「ネオシルクⓇ-ヒト型コラーゲンⅢ」の販売が開始され、今後は、「ネオシルクⓇ-ヒト型コラーゲンⅢ」を使用した高級化粧品の開発に取り組み、幅広いユーザーに提供できる製品を開発してまいります。 (注) 用語解説については、「第4提出会社の状況 4コーポレート・ガバナンスの状況等」の末尾に記載しております。
FY2022|7,332 文字|出典 docID: S100OIQD
3 【事業の内容】1.当社グループの事業概要について (1) 当社グループの概要 当社グループ(当社及び当社の関係会社)は、株式会社免疫生物研究所(当社)及び連結子会社1社、関連会社2社(持分法適用会社)で構成されております。なお、当連結会計年度より報告セグメントの区分を変更しております。詳細は、「第5経理の状況1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表注記事項(セグメント情報等)」をご参照ください。 当社グループの事業内容及び当社と関係会社の当該事業に係る位置付けは次のとおりであります。 ① 抗体関連事業 主要なサービスは、診断試薬サービス、検査サービス及びTGカイコサービスを展開しております。診断試薬サービスは、主に抗体を基盤とした体外診断用医薬品、研究用試薬及び体外診断用医薬品原料の製造・販売並びに試薬関連受託サービスの提供、さらに、医薬シーズライセンス導出事業を行っております。検査サービスは主にLipoSEARCHⓇを中核事業とし、臨床研究、基礎研究、動物医療及び自由診療領域でのリポタンパク質プロファイリング詳細解析サービスを提供しております。藤岡研究所内に登録衛生検査所「IBL解析センター」を開設し、IBL独自のELISA測定キットを用いた研究検査の受託測定を開始しております。さらに、大手検査会社と提携したことや株式会社フェニックスバイオとの業務提携により、脂質代謝研究用素材である「PXB-cells LA」を用いた受託試験サービスを開始し、検査受託を安定的に、かつ、拡大してまいります。TGカイコサービスは、カイコの繭中に目的タンパク質や抗体を効率よく大量生産できる技術による受託サービスや試薬原料の販売を行っております。 ・・・株式会社免疫生物研究所 ・・・株式会社AI Bio(持分法適用会社) ・・・株式会社CURED(持分法適用会社) ② 遺伝子組換えカイコ開発事業 当事業は、当事業の技術の有用性が発揮でき、売上規模が比較的大きいと見込まれる新規タンパク質や抗体の開発を進めてまいります。また、遺伝子組換えカイコの繭から生産する抗体やタンパク質の生産コストの低減が、利益創出の課題となっており、当該課題の基礎研究に集中しております。・・・株式会社免疫生物研究所 ③ 化粧品関連事業 化粧品原料「ネオシルクⓇ-ヒト型コラーゲンⅠ」を配合した化粧品の製品開発、販売が主な事業となっております。・・・株式会社ネオシルク化粧品(連結子会社) 当社グループの事業内容を図示すると以下のようになります。 2.当社グループの事業セグメントについて (1) 抗体関連事業 抗体関連事業は、診断試薬サービス、検査サービス及びTGカイコサービスから構成されております。その各々の事業内容は次のとおりであります。① 診断試薬サービス 診断試薬サービスは、研究用試薬販売、試薬関連受託サービス、医薬シーズライセンス及び体外診断用医薬品販売から構成されております。研究用試薬販売は、抗体関連試薬販売及びその他の試薬販売に分類されます。抗体関連試薬販売では、EIA測定キット及び抗体を販売しております。また、その他の試薬販売では、合成ペプチドその他を販売しております。 ・ 抗体関連試薬販売 主に抗体を基盤にした研究用試薬を販売しており、当事業の主力製品であります。抗体関連試薬は、抗原の定性及び定量、単離・精製など幅広く利用されており、現在では生命科学の研究に欠かせないツールとなっております。当事業は様々な研究に使用する抗体試薬を供給できる体制を整えております。一方で、免疫反応を利用した診断用に抗体試薬は大量に使用されますが、このような需要に対しても、バルク及びOEM供給できる体制を整えております。さらに、診断薬を含む医療機器に関する品質マネジメントシステムISO13485を取得しております。 イ EIA測定キット 抗原を定性あるいは定量するための研究用キットであります。抗体、酵素、反応液、反応をさせるためのプレートなど測定に必要な試薬が全てセットになっており、血液や尿中等に存在する目的の抗原物質の濃度を簡便に測定することができます。 ロ 抗体 生化学、分子生物学及び病理学等の基礎研究に広く使用されております。例えば免疫組織染色用の抗体は、薄切された組織を染色することで、病因となる抗原の有無や組織中での局在状態など、多くの情報を得ることができます。その他、抗原抗体反応を利用した多くの技術が広く研究を行う現場で使用されております。 ・ その他の試薬販売 イ 細胞培養関連試薬 細胞の栄養源となる細胞培養液など、細胞を培養するために必要な試薬であります。 ロ 合成ペプチド 抗体を作製するために、抗原として使用するペプチドであり、有機化学の手法によって合成されるものであります。 ハ その他 細胞の分離に必要な試薬や研究用キットの部品などです。 ・ 試薬関連受託サービス 製薬企業の多くは、経営の効率化から研究開発をアウトソーシングする方針を打ち出しております。一方、公的研究機関や国立大学においても、法人化への移行に伴い研究の効率化が求められております。このような環境の下、研究開発に対する支援事業の需要は高まっております。一方、確実に成果の得られる支援先企業の選択が行われております。当社グループは「抗体作製に関する技術力の高さ」を強みとして、公的研究機関、大学、製薬企業などに対して、以下に掲げるサービスを主に提供しております。 イ 抗体の作製、精製、標識 ロ 細胞培養によるタンパク質製造 ハ 抗体による測定系の開発 ニ 受託試験 ・ 医薬シーズライセンス 当社では、抗体作製技術を基盤として、治療用医薬品あるいは診断用医薬品に適した抗体の創製に取り組んでおります。治療用医薬品開発においては、製薬企業各社がパイプラインを充実させるために医薬シーズに係る権利の譲渡又は許諾を受ける活動を積極的に展開していることを受けて、当社の人的資源と効率を鑑み、創薬ターゲットの探索及びそのターゲットに対する各種抗体の作製とそれらの抗体の薬効評価に特化しております。イ Abcontek社(韓国)と合弁会社「株式会社AI Bio」を設立し、ダニ媒介性感染症であるSFTSを治療するための抗体医薬品候補「ACT101」を共同開発し、現在、外部ソースを活用し製造に適する生産細胞株の構築を実施しております。今後については、導出を視野に入れた研究開発ならびに導出活動を進めてまいります。なお、このSFTSの治療には、現在、対症療法しかなく、死亡例も出ておりますが、有効な薬剤やワクチンは開発されておりません。 現在、CDMO(医薬品受託開発製造)企業にてマスターセルバンク(MCB)及びワーキングセルバンク(WCB)を製造し、製造条件の最適化を行い、非臨床試験薬の製造、及びカニクイザルによる非臨床安全性試験を進めております。ロ 国立大学法人徳島大学と胃や腸の消化管壁の粘膜下にある未熟な間葉系細胞に由来する「肉腫」の一種とされるGIST(消化管間質腫瘍)を診断、治療するための抗体医薬品を研究開発し、製薬企業等への導出等を目指してまいります。 現在、動物実験を踏まえ特許出願を完了し、さらに非臨床試験に向けた準備を進めております。 ・ 体外診断用医薬品販売 当事業では、今までに研究用試薬として販売していたEIA測定キットのうち、診断に向け測定価値の認められるものを体外診断用医薬品登録に向けて開発を行ってまいります。既に国内外での登録を視野に入れ、海外他社との連携も開始しており、今後、キットの生産量に応じた収益を見込んでまいります。イ 学校法人埼玉医科大学が所有する、難聴・めまいの原因を生化学的に診断できる世界初のバイオマーカー「CTP(cochlintomo-protein)」に関する発明に関して、株式会社コスミックコーポレーションに日本国内での薬事申請・販売の権利を譲渡しております。株式会社コスミックコーポレーションは、体外診断用医薬品製造販売承認を取得し、現在、保険適用の申請を行っております。今後は、保険収載を経て、販売を開始する予定です。また、当社は、学校法人埼玉医科大学と簡便性・迅速性に優れたイムノクロマト法によるCTP測定試薬の開発を共同で行っております。ロ クロウ・深瀬(POEMS)症候群は、骨髄の中にある形質細胞という細胞の異常増殖によっておこる疾患で、国の難病に指定されています(指定難病16)。この疾患においては、血清中VEGF(血管内皮増殖因子)値が異常に高値となることが示されており、血清中VEGF値の測定が疾患の診断補助及び治療、経過モニタリングとして有用であることが報告されています。当社は、製薬企業と共同で、血清中VEGF値を測定する体外診断用医薬品の開発を行い、終了しております。現在、藤本製薬株式会社は、製造販売承認の取得し、保険適用の申請が完了しております。なお、本製品の安定的な製造、供給は、当社が担当してまいります。なお、本キットは、2021年6月に保険適用になり、販売が開始されました。ハ グルカゴンは、膵臓のランゲルハンス島のα細胞から分泌されるホルモンで、血糖調節因子として知られておりますが、ELISA法による測定は類似ペプチドの交叉による影響を受けやすく、正確な測定が難しいとされてきました。両断端に特異的な2抗体を用いた膵グルカゴン特異的測定系の開発により、血中グルカゴン濃度の正確な評価が可能となり、今後、糖尿病の病態や病気を診断するための独立した新しい指標となる可能性が示唆されております。当社は、群馬大学と共同で、血清中グルカゴン値を測定する体外診断用医薬品の開発を行っております。 なお、本キットは、2024年3月期の販売承認申請に向けた研究開発を行っております。二 筋ジストロフィー患者の尿中に存在するタイチンというタンパク質に対する、筋ジストロフィーの病気診断・病態のモニタリングマーカーとして測定系を開発し、研究用試薬として販売を開始しておりますが、2022年3月期中に体外診断用医薬品製造販売承認申請を予定しておりましたが、対象疾患を「筋ジストロフィー」から「神経筋疾患」へ変更し、2025年3月期の販売承認申請を目指し、研究開発を行ってまいります。また、販売承認の申請までの間、研究用試薬として販売をするために、認定試薬としての確認申請を行い、承認されましたので、認定試薬として販売を開始しております。ホ 赤痢アメーバ症は赤痢アメーバ(Entamoeba histolytica)という寄生性の原虫が原因となって引き起こされる病気で、日本国内において、2012年以降、感染症法に基づく報告数は900例を超えてきており、増加傾向にあります。そこで当社は、簡便な血液検査で赤痢アメーバ感染の有無をチェックできる体外診断用医薬品の開発を行っております。なお、本キットは、2022年3月期第4四半期に体外診断用医薬品製造販売承認申請を予定しておりましたが、2023年3月期第2四半期に体外診断用医薬品製造販売承認申請に向けて準備中です。へ その他、当社グループが所有するアルツハイマー関連及びSFTS関連の抗体を用いた体外診断用医薬品の開発を行っております。 ② 検査サービス 当サービスは、「LipoSEARCH」を主とした研究検査と登録衛生検査所「IBL解析センター」による検査で構成されております。秋田解析センターでは、生活習慣病領域での創薬・研究支援に加え予防・診断支援などに特化した事業を行っております。特に、世界で唯一の高感度ゲルろ過高速液体クロマトグラフィーを用いた血中リポタンパク質詳細プロファイリングサービス「LipoSEARCH」は、最先端のリポタンパク質解析技術として、当領域の専門研究機関・製薬企業・食品企業における研究・開発及び創薬支援として広く利用されております。 本「LipoSEARCH」は、血中の各リポタンパク質の粒子サイズにより分画した波形データ(クロマトグラム)と、各分画におけるコレステロール量と中性脂肪量を提供する事により、病態や薬剤投与の影響によるリポタンパク質プロファイルの全体的かつ詳細な変化をとらえることができます。 また診断試薬サービスで開発製品化した、生活習慣病関連に係わる各種バイオマーカー測定の受託サービスも提供しており、本領域での新たな疾患マーカーの探索や、食品素材の機能性に関する研究等に対する総合的な支援を推進しております。 さらに、伴侶動物(ペット)向けの脂質代謝関連疾患検査サービス「LipoTEST」を動物病院の獣医師様を経由して飼い主様に提供しております。IBL解析センターでは、診断試薬サービス部門で開発された独自のELISA測定キットを用いた研究検査の受託測定を実施しております。さらに、大手検査会社と提携したことや株式会社フェニックスバイオとの業務提携により、脂質代謝研究用素材である「PXB-cells LA」を用いた受託試験サービスの開始により、検査受託を安定的に、かつ、拡大させてまいります。 このように、当社グループはヒトから伴侶動物に至るまで、豊富な研究ネットワークを有して、総合的な支援を通じた医療貢献を目指しております。 ③ TGカイコサービス 遺伝子組換え手法によりカイコの繭に生産させた各種抗体等のタンパク質の販売を行っております。また、株式会社ニッピとの共同研究により、iPS細胞等の培養足場材として有効であるラミニン511-E8の生産にも成功し、研究用試薬としての販売も実現しております。遺伝子組換えカイコで生産したラミニン511-E8(iMatrix-511 silk)は、機能および価格的優位性から、多くの研究者の皆様に利用いただいております。また、化粧品原料「ネオシルク®-ヒト型コラーゲンⅠ」につきましても、欧州において医療機器として使用されたことにより、様々な国から問い合わせが増加しております。 (2) 遺伝子組換えカイコ開発事業 当事業では、目的とするタンパク質を遺伝子組換え手法によりカイコの繭に生産させる技術を有しております。この生産技術は、下記の図に示しますように、目的とするタンパク質の元になる遺伝子を用意することから始まります。用意した遺伝子を、ベクターと呼ばれる遺伝子の運び屋に組み込み、次にそのベクターをカイコの卵に注入することで、目的タンパク質の遺伝子が組み込まれた遺伝子組換えカイコを作出します。この遺伝子組換えカイコは、目的タンパク質を繭の中に吐き出すように工夫されており、そのため繭から簡便にタンパク質を回収することが可能です。 当事業では、この技術により生産したタンパク質の実用化を進めております。遺伝子組換えカイコで生産したモノクローナル抗体は、安価であるうえに、安定性やバックグラウンドの低さ等に優位性を有しており、当社のELISA測定キットの原料として利用しているほか、大手診断用医薬品メーカーへも供給されております。 また、本技術を利用してヒト型コラーゲンを大量生産させることに成功し、将来全世界に販売活動を行うことが可能なように、新規化粧品原料として「INCI名」を取得いたしました。このような戦略的な活動を通じて、世界の化粧品業界において、カイコ由来のヒト型コラーゲンが広く活用されるよう事業を推進いたします。 これら研究用試薬や化粧品分野での製品を製造販売する事業に加えて、当社は、遺伝子組換えカイコによるバイオ医薬品製造の実現へ向けた挑戦を続けております。遺伝子組換えカイコは、動物細胞では生産が困難な高分子量のタンパク質等を生産することが可能です。また、特に抗体においては、糖鎖にフコースを持たないため、高いADCC活性を発揮させることが可能です。さらに、カイコの飼育においては養蚕業で培われた優れた飼育技術を利用することができるため、医薬品に適した安定した品質のタンパク質を生産できる利点もあります。しかしながら、遺伝子組換えカイコの繭から生産する抗体やタンパク質の生産コストの低減が、利益創出の課題となっており、当該課題の基礎研究に集中しております。一方で、遺伝子組換えカイコの繭により産生される抗体やタンパク質は、非特異反応が低いことや動物愛護の対象とならないことなどから、診断薬原料や化粧品原料には適しており、製造数の増加が見込まれております。 (3) 化粧品関連事業 当事業は、当社グループの遺伝子組換えカイコ開発事業において開発した化粧品原料「ネオシルクⓇ-ヒト型コラーゲンI」及びネオシルクⓇ-ヒト型コラーゲンⅠ配合化粧品「フレヴァン」を化粧品業界や消費者の皆様に広く販売するため、連結完全子会社の株式会社ネオシルク化粧品が事業を展開しております。「ネオシルクⓇ-ヒト型コラーゲンI」は、遺伝子組換えカイコの繭に生産させたもので、現在使用されている魚や豚等の異種動物から生産されるコラーゲンとは異なる、今までにない全く新しい化粧品原料です。また、繭から生成したネオシルクⓇ-ヒト型コラーゲンIには、組換え遺伝子は含まれておらず、純粋にヒトのコラーゲンと同等なアミノ酸骨格を有するものであることから、安全性が高く、消費者の皆様に安心してお使いいただける化粧品原料であると考えております。また、化粧品原料「ネオシルクⓇ-ヒト型コラーゲンⅢ」の販売が開始され、今後は、「ネオシルクⓇ-ヒト型コラーゲンⅢ」を使用した高級化粧品の開発に取り組み、幅広いユーザーに提供できる製品を開発してまいります。 (注) 用語解説については、「第4提出会社の状況 4コーポレート・ガバナンスの状況等」の末尾に記載しております。
FY2021|6,818 文字|出典 docID: S100LTFE
3 【事業の内容】1.当社グループの事業概要について (1) 当社グループの概要 当社グループ(当社及び当社の関係会社)は、株式会社免疫生物研究所(当社)及び連結子会社2社、関連会社2社(持分法適用会社)で構成されております。 当社グループの事業内容及び当社と関係会社の当該事業に係る位置付けは次のとおりであります。 ① 診断・試薬事業 主要な製品およびサービスは、研究用関連では、主に抗体を基盤とした研究用試薬販売及び試薬関連受託サービスを行っております。また、医薬用関連では、医薬シーズライセンス事業及び体外診断用医薬品原料の製造・販売を行っております。 ・・・株式会社免疫生物研究所 ・・・株式会社AI Bio(持分法適用会社) ② 遺伝子組換えカイコ事業 カイコの繭中に目的タンパク質を効率よく大量生産できる技術による受託サービスや化粧品原料の販売、さらに診断薬、医薬品への実用化を目指し、製薬企業等との共同研究を推進しております。・・・株式会社免疫生物研究所・・・株式会社CURED(持分法適用会社) ③ 検査事業 主にLipoSEARCHⓇを中核事業とし、臨床研究、基礎研究、動物医療及び自由診療領域でのリポタンパク質プロファイリング詳細解析サービスを提供しております。 藤岡研究所内に、登録衛生検査所「IBL解析センター」を開設し、IBL独自のELISA測定キットを用いた研究検査の受託測定を開始しております。さらに、大手検査会社と提携したことにより、検査受託を安定的に、かつ、拡大してまいります。 ・・・株式会社免疫生物研究所 ・・・株式会社スカイライト・バイオテック(連結子会社) ④ 化粧品関連事業 化粧品原料「ネオシルクⓇ-ヒト型コラーゲンⅠ」を配合した化粧品の製品開発、販売が主な事業となっております。・・・株式会社ネオシルク化粧品(連結子会社) 当社グループの事業内容を図示すると以下のようになります。 2.当社グループの事業セグメントについて (1) 診断・試薬事業 診断・試薬事業は、研究用関連と医薬用関連から構成されております。その各々の事業内容は次のとおりであります。 ① 研究用関連 研究用関連は、研究用試薬販売及び試薬関連受託サービスから構成されております。研究用試薬販売は、抗体関連試薬販売及びその他の試薬販売に分類されます。抗体関連試薬販売では、EIA測定キット及び抗体を販売しております。また、その他の試薬販売では、合成ペプチドその他を販売しております。 ・ 抗体関連試薬販売 主に抗体を基盤にした研究用試薬を販売しており、当事業の主力製品であります。抗体関連試薬は、抗原の定性及び定量、単離・精製など幅広く利用されており、現在では生命科学の研究に欠かせないツールとなっております。当事業は様々な研究に使用する抗体試薬を供給できる体制を整えております。一方で、免疫反応を利用した診断用に抗体試薬は大量に使用されますが、このような需要に対しても、バルク及びOEM供給できる体制を整えております。さらに、診断薬を含む医療機器に関する品質マネジメントシステムISO13485を取得しております。 イ EIA測定キット 抗原を定性あるいは定量するための研究用キットであります。抗体、酵素、反応液、反応をさせるためのプレートなど測定に必要な試薬が全てセットになっており、血液や尿中等に存在する目的の抗原物質の濃度を簡便に測定することができます。 ロ 抗体 生化学、分子生物学及び病理学等の基礎研究に広く使用されております。例えば免疫組織染色用の抗体は、薄切された組織を染色することで、病因となる抗原の有無や組織中での局在状態など、多くの情報を得ることができます。その他、抗原抗体反応を利用した多くの技術が広く研究を行う現場で使用されております。 ・ その他の試薬販売 イ 細胞培養関連試薬 細胞の栄養源となる細胞培養液など、細胞を培養するために必要な試薬であります。 ロ 合成ペプチド 抗体を作製するために、抗原として使用するペプチドであり、有機化学の手法によって合成されるものであります。 ハ その他 細胞の分離に必要な試薬や研究用キットの部品などです。 ・ 試薬関連受託サービス 製薬企業の多くは、経営の効率化から研究開発をアウトソーシングする方針を打ち出しております。一方、公的研究機関や国立大学においても、法人化への移行に伴い研究の効率化が求められております。このような環境の下、研究開発に対する支援事業の需要は高まっております。一方、確実に成果の得られる支援先企業の選択が行われております。当社グループは「抗体作製に関する技術力の高さ」を強みとして、公的研究機関、大学、製薬企業などに対して、以下に掲げるサービスを主に提供しております。 イ 抗体の作製、精製、標識 ロ 細胞培養によるタンパク質製造 ハ 抗体による測定系の開発 ニ 受託試験 ② 医薬用関連 医薬用関連は、医薬シーズライセンス及び体外診断用医薬品販売から構成されております。医薬シーズライセンスでは、当社独自あるいは公的研究機関や大学との共同研究から創製された抗体を、治療用医薬品あるいは診断用医薬品のシーズとして製薬企業に権利譲渡又は権利許諾を行い、その対価として、契約一時金、開発の進捗に応じたマイルストーン契約金、製品発売後にはロイヤリティーを受領するという収益構造を想定しております。また、診断用医薬品及びその候補品に対する原料供給による収益構造も想定しております。 他方、体外診断用医薬品販売では、牛海綿状脳症に対する動物用体外診断用医薬品を受託製造しております。さらに今後、自社製品のうち有望な製品を診断薬として申請登録して販売していく方針であります。 ・ 医薬シーズライセンス 当社では、抗体作製技術を基盤として、治療用医薬品あるいは診断用医薬品に適した抗体の創製に取り組んでおります。治療用医薬品開発においては、製薬企業各社がパイプラインを充実させるために医薬シーズに係る権利の譲渡又は許諾を受ける活動を積極的に展開していることを受けて、当社の人的資源と効率を鑑み、創薬ターゲットの探索及びそのターゲットに対する各種抗体の作製とそれらの抗体の薬効評価に特化しております。イ Abcontek社(韓国)と合弁会社「株式会社AI Bio」を設立し、ダニ媒介性感染症であるSFTSを治療するための抗体医薬品候補「ACT101」を共同開発し、現在、外部ソースを活用し製造に適する生産細胞株の構築を実施しております。今後については、導出を視野に入れた研究開発ならびに導出活動を進めてまいります。なお、このSFTSの治療には、現在、対症療法しかなく、死亡例も出ておりますが、有効な薬剤やワクチンは開発されていません。ロ 国立大学法人徳島大学と胃や腸の消化管壁の粘膜下にある未熟な間葉系細胞に由来する「肉腫」の一種とされるGIST(消化管間質腫瘍)を診断、治療するための抗体医薬品を研究開発し、製薬企業等への導出等を目指して参ります。 ・ 体外診断用医薬品販売 当事業では、今までに研究用試薬として販売していたEIA測定キットのうち、診断に向け測定価値の認められるものを体外診断用医薬品登録に向けて開発を行ってまいります。既に国内外での登録を視野に入れ、海外他社との連携も開始しており、今後、キットの生産量に応じた収益を見込んでまいります。イ 学校法人埼玉医科大学が所有する、難聴・めまいの原因を生化学的に診断できる世界初のバイオマーカー「CTP(cochlintomo-protein)」に関する発明に関して、株式会社コスミックコーポレーションに日本国内での薬事申請・販売の権利を譲渡しております。現在、株式会社コスミックコーポレーションは、体外診断用医薬品製造販売承認を取得し、現在、保険適用の申請を行っております。さらに、当社は、学校法人埼玉医科大学と簡便性・迅速性に優れたイムノクロマト法によるCTP測定試薬の開発を共同で行っております。ロ クロウ・深瀬(POEMS)症候群は、骨髄の中にある形質細胞という細胞の異常増殖によっておこる疾患で、国の難病に指定されています(指定難病16)。この疾患においては、血清中VEGF(血管内皮増殖因子)値が異常に高値となることが示されており、血清中VEGF値の測定が疾患の診断補助及び治療、経過モニタリングとして有用であることが報告されています。当社は、製薬企業と共同で、血清中VEGF値を測定する体外診断用医薬品の開発を行い、終了しております。現在、藤本製薬株式会社は、製造販売承認の取得し、保険適用の申請が完了しております。なお、本製品の安定的な製造、供給は、当社が担当してまいります。ハ グルカゴンは、膵臓のランゲルハンス島のα細胞から分泌されるホルモンで、血糖調節因子として知られていますが、ELISA法による測定は類似ペプチドの交叉による影響を受けやすく、正確な測定が難しいとされてきました。両断端に特異的な2抗体を用いた膵グルカゴン特異的測定系の開発により、血中グルカゴン濃度の正確な評価が可能となり、今後、糖尿病の病態や病気を診断するための独立した新しい指標となる可能性が示唆されています。当社は、群馬大学と共同で、血清中グルカゴン値を測定する体外診断用医薬品の開発を行っております。二 筋ジストロフィー患者の尿中に存在するタイチンというタンパク質に対する、筋ジストロフィーの病気診断・病態のモニタリングマーカーとして測定系を開発し、研究用試薬として販売を開始しておりますが、2022年3月期中に体外診断用医薬品製造販売承認申請を予定しており、現在、申請準備中であります。ホ 赤痢アメーバ症は赤痢アメーバ(Entamoeba histolytica)という寄生性の原虫が原因となって引き起こされる病気で、日本国内において、2012年以降、感染症法に基づく報告数は900例を超えてきており、増加傾向にあります。そこで当社は、簡便な血液検査で赤痢アメーバ感染の有無をチェックできる体外診断用医薬品の開発を行っております。なお、2022年3月期第4四半期に体外診断用医薬品製造販売承認申請を予定しております。 その他、新規製品の体外診断薬としての研究開発を進めてまいります。 (2) 遺伝子組換えカイコ事業 当事業では、目的とするタンパク質を遺伝子組換え手法によりカイコの繭に生産させる技術を有しております。この生産技術は、下記の図に示しますように、目的とするタンパク質の元になる遺伝子を用意することから始まります。用意した遺伝子を、ベクターと呼ばれる遺伝子の運び屋に組み込み、次にそのベクターをカイコの卵に注入することで、目的タンパク質の遺伝子が組み込まれた遺伝子組換えカイコを作出します。この遺伝子組換えカイコは、目的タンパク質を繭の中に吐き出すように工夫されており、そのため繭から簡便にタンパク質を回収することが可能です。 遺伝子組換えカイコ事業では、この技術により生産したタンパク質の実用化を進めています。遺伝子組換えカイコで生産したモノクローナル抗体は、安価であるうえに、安定性やバックグラウンドの低さ等に優位性を有しており、当社のELISAキットの原料として利用しているほか、大手診断用医薬品メーカーへも供給されております。さらに、株式会社ニッピとの共同研究により、iPS細胞等の培養足場材として有効であるラミニン511-E8の生産にも成功し、研究用試薬としての販売も実現しています。遺伝子組換えカイコで生産したラミニン511-E8(iMatrix-511 silk)は、機能および価格的優位性から、多くの研究者の皆様に利用いただいております。 また、本技術を利用してヒト型コラーゲンを大量生産させることに成功し、将来全世界に販売活動を行うことが可能なように、新規化粧品原料として「INCI名」を取得いたしました。このような戦略的な活動を通じて、世界の化粧品業界において、カイコ由来のヒト型コラーゲンが広く活用されるよう事業を推進します。 これら研究用試薬や化粧品分野での製品を製造販売する事業に加えて、当社は、遺伝子組換えカイコによるバイオ医薬品製造の実現へ向けた挑戦を続けております。遺伝子組換えカイコは、動物細胞では生産が困難な高分子量のタンパク質等を生産することが可能です。また、特に抗体においては、糖鎖にフコースを持たないため、高いADCC活性を発揮させることが可能です。さらに、カイコの飼育においては養蚕業で培われた優れた飼育技術を利用することができるため、医薬品に適した安定した品質のタンパク質を生産できる利点もあります。遺伝子組換えカイコによる医薬品製造を実現させるには、GMP(医薬品及び医薬部外品の製造管理及び品質管理の基準)などの規制への対応も必要です。当社は、2016年に遺伝子組換えカイコによる医薬品製造のパイロットプラントである前橋研究所を建設しました。この設備にて、安定した品質の医薬品原薬を製造するために、遺伝子組換えカイコの系統管理や製造管理技術の開発を進めています。これらの試みにより、遺伝子組換えカイコによる世界初のバイオ医薬品製造の実現を目指してまいります。 (3) 検査事業 当事業は、株式会社スカイライト・バイオテックによる「LipoSEARCH」を主とした研究検査と登録衛生検査所「IBL解析センター」による検査で構成されております。株式会社スカイライト・バイオテックでは生活習慣病領域での創薬・研究支援に加え予防・診断支援などに特化した事業を行っております。特に、世界で唯一の高感度ゲルろ過高速液体クロマトグラフィーを用いた血中リポタンパク質詳細プロファイリングサービス「LipoSEARCH」は、最先端のリポタンパク質解析技術として、当領域の専門研究機関・製薬企業・食品企業における研究・開発及び創薬支援として広く利用されております。 本「LipoSEARCH」は、血中の各リポタンパク質の粒子サイズにより分画した波形データ(クロマトグラム)と、各分画におけるコレステロール量と中性脂肪量を提供する事により、病態や薬剤投与の影響によるリポタンパク質プロファイルの全体的かつ詳細な変化をとらえることができます。 また診断・試薬事業部門で開発製品化した、生活習慣病関連に係わる各種バイオマーカー測定の受託サービスも提供しており、本領域での新たな疾患マーカーの探索や、食品素材の機能性に関する研究等に対する総合的な支援を推進しております。 さらに、伴侶動物(ペット)向けの脂質代謝関連疾患検査サービス「LipoTEST」を動物病院の獣医師様を経由して飼い主様に提供しております。IBL解析センターでは、診断・試薬事業部門で開発された独自のELISA測定キットを用いた研究検査の受託測定を実施しております。さらに、大手検査会社と提携したことにより、検査受託を安定的に、かつ、拡大させてまいります。 このように、当社グループはヒトから伴侶動物に至るまで、豊富な研究ネットワークを有して、総合的な支援を通じた医療貢献を目指しております。 (4) 化粧品関連事業 当事業は、当社グループの遺伝子組換えカイコ事業において開発した化粧品原料「ネオシルクⓇ-ヒト型コラーゲンI」及びネオシルクⓇ-ヒト型コラーゲンⅠ配合化粧品「フレヴァン」を化粧品業界や消費者の皆様に広く販売するため、連結完全子会社の株式会社ネオシルク化粧品が事業を展開しております。「ネオシルクⓇ-ヒト型コラーゲンI」は、遺伝子組換えカイコの繭に生産させたもので、現在使用されている魚や豚等の異種動物から生産されるコラーゲンとは異なる、今までにない全く新しい化粧品原料です。また、この繭はもちろんのこと、繭から生成したネオシルクⓇ-ヒト型コラーゲンIには、組換え遺伝子は含まれておらず、純粋にヒトのコラーゲンと同等なアミノ酸骨格を有するものであることから、安全性が高く、消費者の皆様に安心してお使いいただける化粧品原料であると考えております。また、化粧品原料「ネオシルクⓇ-ヒト型コラーゲンⅢ」の販売が開始され、今後は、「ネオシルク®-ヒト型コラーゲンⅢ」を使用した高級化粧品の開発に取り組み、幅広いユーザーに提供できる製品を開発してまいります。 (注) 用語解説については、「第4提出会社の状況 4コーポレート・ガバナンスの状況等」の末尾に記載しております。
FY2020|7,166 文字|出典 docID: S100J01V
3 【事業の内容】1.当社グループの事業概要について (1) 当社グループの概要 当社グループ(当社及び当社の関係会社)は、株式会社免疫生物研究所(当社)及び連結子会社2社、関連会社1社(持分法適用会社)で構成されております。 当社グループの事業内容及び当社と関係会社の当該事業に係る位置付けは次のとおりであります。 ① 診断・試薬事業 主要な製品およびサービスは、研究用関連では、主に抗体を基盤とした研究用試薬販売及び試薬関連受託サービスを行っております。また、医薬用関連では、医薬シーズライセンス事業及び体外診断用医薬品原料の製造・販売を行っております。 ・・・株式会社免疫生物研究所 ② 遺伝子組換えカイコ事業 カイコの繭中に目的タンパク質を効率よく大量生産できる技術による受託サービスや化粧品原料の販売、さらに診断薬、医薬品への実用化を目指し、製薬企業等との共同研究を推進しております。・・・株式会社免疫生物研究所・・・株式会社CURED(持分法適用会社) ③ 検査事業 主にLipoSEARCHⓇを中核事業とし、臨床研究、基礎研究、動物医療及び自由診療領域でのリポタンパク質プロファイリング詳細解析サービスを提供しております。 ・・・株式会社スカイライト・バイオテック(連結子会社) 藤岡研究所内に、登録衛生検査所「IBL解析センター」を開設し、IBL独自のELISA測定キットを用いた研究検査の受託測定を開始しております。さらに、大手検査会社との提携により、検査受託を軌道に乗せることを目指してまいります。 ・・・株式会社免疫生物研究所 ④ 化粧品関連事業 化粧品原料「ネオシルクⓇ-ヒト型コラーゲンⅠ」を配合した化粧品の製品開発、販売が主な事業となっております。・・・株式会社ネオシルク化粧品(連結子会社) 当社グループの事業内容を図示すると以下のようになります。 2.当社グループの事業セグメントについて (1) 診断・試薬事業 診断・試薬事業は、研究用関連と医薬用関連から構成されております。その各々の事業内容は次のとおりであります。 ① 研究用関連 研究用関連は、研究用試薬販売及び試薬関連受託サービスから構成されております。研究用試薬販売は、抗体関連試薬販売及びその他の試薬販売に分類されます。抗体関連試薬販売では、EIA測定キット及び抗体を販売しております。また、その他の試薬販売では、合成ペプチドその他を販売しております。 ・ 抗体関連試薬販売 主に抗体を基盤にした研究用試薬を販売しており、当事業の主力製品であります。抗体関連試薬は、抗原の定性及び定量、単離・精製など幅広く利用されており、現在では生命科学の研究に欠かせないツールとなっております。当事業は様々な研究に使用する抗体試薬を供給できる体制を整えております。一方で、免疫反応を利用した診断用に抗体試薬は大量に使用されますが、このような需要に対しても、バルク及びOEM供給できる体制を整えております。さらに、診断薬を含む医療機器に関する品質マネジメントシステムISO13485を取得しております。 イ EIA測定キット 抗原を定性あるいは定量するための研究用キットであります。抗体、酵素、反応液、反応をさせるためのプレートなど測定に必要な試薬が全てセットになっており、血液や尿中等に存在する目的の抗原物質の濃度を簡便に測定することができます。 ロ 抗体 生化学、分子生物学及び病理学等の基礎研究に広く使用されております。例えば免疫組織染色用の抗体は、薄切された組織を染色することで、病因となる抗原の有無や組織中での局在状態など、多くの情報を得ることができます。その他、抗原抗体反応を利用した多くの技術が広く研究を行う現場で使用されております。 ・ その他の試薬販売 イ 細胞培養関連試薬 細胞の栄養源となる細胞培養液など、細胞を培養するために必要な試薬であります。 ロ 合成ペプチド 抗体を作製するために、抗原として使用するペプチドであり、有機化学の手法によって合成されるものであります。 ハ その他 細胞の分離に必要な試薬や研究用キットの部品などです。 ・ 試薬関連受託サービス 製薬企業の多くは、経営の効率化から研究開発をアウトソーシングする方針を打ち出しております。一方、公的研究機関や国立大学においても、法人化への移行に伴い研究の効率化が求められております。このような環境の下、研究開発に対する支援事業の需要は高まっております。一方、確実に成果の得られる支援先企業の選択が行われております。当社グループは「抗体作製に関する技術力の高さ」を強みとして、公的研究機関、大学、製薬企業などに対して、以下に掲げるサービスを主に提供しております。 イ 抗体の作製、精製、標識 ロ 細胞培養によるタンパク質製造 ハ 抗体による測定系の開発 ニ 受託試験 ② 医薬用関連 医薬用関連は、医薬シーズライセンス及び体外診断用医薬品販売から構成されております。医薬シーズライセンスでは、当社独自あるいは公的研究機関や大学との共同研究から創製された抗体を、治療用医薬品あるいは診断用医薬品のシーズとして製薬企業に権利譲渡又は権利許諾を行い、その対価として、契約一時金、開発の進捗に応じたマイルストーン契約金、製品発売後にはロイヤリティーを受領するという収益構造を想定しております。また、診断用医薬品及びその候補品に対する原料供給による収益構造も想定しております。 他方、体外診断用医薬品販売では、牛海綿状脳症に対する動物用体外診断用医薬品を受託製造しております。さらに今後、自社製品のうち有望な製品を診断薬として申請登録して販売していく方針であります。 ・ 医薬シーズライセンス 当社では、抗体作製技術を基盤として、治療用医薬品あるいは診断用医薬品に適した抗体の創製に取り組んでおります。治療用医薬品開発においては、製薬企業各社がパイプラインを充実させるために医薬シーズに係る権利の譲渡又は許諾を受ける活動を積極的に展開していることを受けて、当社の人的資源と効率を鑑み、創薬ターゲットの探索及びそのターゲットに対する各種抗体の作製とそれらの抗体の薬効評価に特化しております。 イ.アルツハイマー病領域における治療用医薬品候補抗体の研究開発 当社は、京都大学、千葉大学との共同研究から、神経細胞に毒性を有するとされているアミロイドβの毒性コンフォマーに対する抗体を創出しております。モデル動物を使った薬効試験によるアルツハイマー型認知症治療薬シーズとしての評価、さらに診断における臨床的意義の検証を行ってまいりました。その結果、一定の認知機能障害の抑制効果、及び診断的意義が認められたことから論文発表を行いました。また、その成果として、アミロイドβ毒性コンフォマーに対する抗体を用いたELISA測定キットを開発し、研究用試薬として販売開始しました。引き続き、新規のアルツハイマー病モデルマウスを用いた本抗体の機能評価などを継続し、治療薬シーズとしての導出を進めてまいります。 ロ.がん領域における抗体医薬品シーズ探索 当社グループは、大学医学部との共同研究から、がん領域等における新たな抗体医薬品、及び体外診断用医薬品シーズの開発を行っております。某大学との共同研究では、ヒト成人T細胞白血病(ATL)の診断に有効と考えられる関連タンパク質に対する抗体や測定系の開発を進めております。 ・ 体外診断用医薬品販売 イ 牛海綿状脳症(BSE)に対する体外診断用医薬品ニッピブルBSE検査キット 異常型プリオンタンパク質は、牛海綿状脳症(BSE)の原因とされております。当社は、その測定キットを、動物用体外診断用医薬品として株式会社ニッピと共同開発いたしました。本製品は、既存製品と比較して、安価かつ簡便に検査ができるという特長を有しております。当社は、2004年8月に、本製品の製造販売について農林水産省に承認申請し、2006年11月に承認を受けており、現在は株式会社ニッピから製造委託を受け、本製品の供給をしております。 ロ 診断用医薬品抗体 当事業では、今までに研究用試薬として販売していた抗体のうち数種類を体外診断用医薬品として使用する契約を締結してまいりました。c-Kit抗体やガレクチン-3抗体は、体外診断用医薬品原料として広く世界で使用されております。これらは今後も原料供給量や、ロイヤリティー契約、及びキットの生産量に応じた収益が見込まれております。 ハ 新規診断用医薬品キット 当事業では、今までに研究用試薬として販売していたEIA測定キットのうち、診断に向け測定価値の認められるものを体外診断用医薬品登録に向けて開発を行ってまいります。既に国内外での登録を視野に入れ、海外他社との連携も開始しており、今後、キットの生産量に応じた収益を見込んでまいります。〇CTP(Cochlin-tomoprotein)測定キット大学のシーズを元に、めまい・難聴の原因を生化学的に診断できる世界初のバイオマーカー「CTP(Cochlin-tomoprotein)」に関して体外診断用医薬品としての開発を行っております。より早期の承認申請取得、販売開始を目指して、㈱コスミックコーポレーションと再実施許諾契約を締結し、日本国内での薬事申請・販売の権利を譲渡いたしました。現在、㈱コスミックコーポレーションが主体となって、体外診断用医薬品の承認申請に向けてデータ採取、資料作成を進行中です。承認されることにより、当社は販売金額に応じたロイヤリティーを受領することになります。さらに、本製品の製造は当社において行うことで、将来、売上の拡大が期待されます。〇タイチン測定キット筋ジストロフィー患者の尿中に存在するタイチンというタンパク質に対するELISA測定系の開発を某大学、及び研究機関との共同研究で実施し、2016年11月に研究用試薬として販売を開始致しました。筋ジストロフィーとは骨格筋の壊死・再生を主病変とする遺伝性筋疾患であり、患者尿中の解析において、タイチンの断片が存在することが発見され、病気の診断・病態のモニタリングマーカーとしての有用性に関する論文を発表致しました。今後、体外診断薬としての開発を進めてまいります。○Tauタンパク質、リン酸化Tauタンパク質測定キット認知症関連タンパク質として、アミロイドβと並び重要なターゲット分子であるタウタンパク質の測定系開発を進めておりましたが、先ずは、海外向けに研究用試薬としての販売を開始しました。さらに、日本国内において、体外診断薬としての開発を進めてまいります。現在、販売しているアミロイドβと併せた相乗効果が期待できます。 その他、新規製品の体外診断薬としての研究開発を進めてまいります。 (2) 遺伝子組換えカイコ事業 当事業では、目的とするタンパク質を遺伝子組換え手法によりカイコの繭に生産させる技術を有しております。この生産技術は、下記の図に示しますように、目的とするタンパク質の元になる遺伝子を用意することから始まります。用意した遺伝子を、ベクターと呼ばれる遺伝子の運び屋に組み込み、次にそのベクターをカイコの卵に注入することで、目的タンパク質の遺伝子が組み込まれた遺伝子組換えカイコを作出します。この遺伝子組換えカイコは、目的タンパク質を繭の中に吐き出すように工夫されており、そのため繭から簡便にタンパク質を回収することが可能です。 遺伝子組換えカイコ事業では、この技術により生産したタンパク質の実用化を進めています。遺伝子組換えカイコで生産したモノクローナル抗体は、安価であるうえに、安定性やバックグラウンドの低さ等に優位性を有しており、当社のELISAキットの原料として利用しているほか、大手診断用医薬品メーカーへも供給されております。さらに、株式会社ニッピとの共同研究により、iPS細胞等の培養足場材として有効であるラミニン511-E8の生産にも成功し、研究用試薬としての販売も実現しています。遺伝子組換えカイコで生産したラミニン511-E8(iMatrix-511 silk)は、機能および価格的優位性から、多くの研究者の皆様に利用いただいております。 また、本技術を利用してヒト型コラーゲンを大量生産させることに成功し、将来全世界に販売活動を行うことが可能なように、新規化粧品原料として「INCI名」を取得いたしました。このような戦略的な活動を通じて、世界の化粧品業界において、カイコ由来のヒト型コラーゲンが広く活用されるよう事業を推進します。 これら研究用試薬や化粧品分野での製品を製造販売する事業に加えて、当社は、遺伝子組換えカイコによるバイオ医薬品製造の実現へ向けた挑戦を続けております。遺伝子組換えカイコは、動物細胞では生産が困難な高分子量のタンパク質等を生産することが可能です。また、特に抗体においては、糖鎖にフコースを持たないため、高いADCC活性を発揮させることが可能です。さらに、カイコの飼育においては養蚕業で培われた優れた飼育技術を利用することができるため、医薬品に適した安定した品質のタンパク質を生産できる利点もあります。これらの利点を生かしてバイオ医薬品の開発を進めておりますが、現在、最も注力しているのは、抗HIV抗体の開発です。この抗体は、熊本大学・エイズ学研究センターの松下修三教授らが、HIVに感染しながらも発症しない稀な患者から発見したものであり、当社は株式会社CURED(持分法適用関連会社)との共同研究において、この抗体を遺伝子組換えカイコで製造する研究開発を進めております。遺伝子組換えカイコにより生産することで、抗HIV抗体のADCC活性を飛躍的に増強させ、HIV感染症の根治を可能にする画期的な抗体医薬品の開発を進めております。遺伝子組換えカイコによる医薬品製造を実現させるには、GMP(医薬品及び医薬部外品の製造管理及び品質管理の基準)などの規制への対応も必要です。当社は、2016年に遺伝子組換えカイコによる医薬品製造のパイロットプラントである前橋研究所を建設しました。この設備にて、安定した品質の医薬品原薬を製造するために、遺伝子組換えカイコの系統管理や製造管理技術の開発を進めています。これらの試みにより、遺伝子組換えカイコによる世界初のバイオ医薬品製造の実現を目指してまいります。 (3) 検査事業 当事業は、株式会社スカイライト・バイオテックによる「LipoSEARCH」を主とした研究検査と登録衛生検査所「IBL解析センター」による検査で構成されております。株式会社スカイライト・バイオテックでは生活習慣病領域での創薬・研究支援に加え予防・診断支援などに特化した事業を行っております。特に、世界で唯一の高感度ゲルろ過高速液体クロマトグラフィーを用いた血中リポタンパク質詳細プロファイリングサービス「LipoSEARCH」は、最先端のリポタンパク質解析技術として、当領域の専門研究機関・製薬企業・食品企業における研究・開発及び創薬支援として広く利用されております。 本「LipoSEARCH」は、血中の各リポタンパク質の粒子サイズにより分画した波形データ(クロマトグラム)と、各分画におけるコレステロール量と中性脂肪量を提供する事により、病態や薬剤投与の影響によるリポタンパク質プロファイルの全体的かつ詳細な変化をとらえることができます。 また診断・試薬事業部門で開発製品化した、生活習慣病関連に係わる各種バイオマーカー測定の受託サービスも提供しており、本領域での新たな疾患マーカーの探索や、食品素材の機能性に関する研究等に対する総合的な支援を推進しております。 さらに、伴侶動物(ペット)向けの脂質代謝関連疾患検査サービス「LipoTEST」を動物病院の獣医師様を経由して飼い主様に提供しております。IBL解析センターでは、診断・試薬事業部門で開発された独自のELISA測定キットを用いた研究検査の受託測定を実施しております。さらに、大手検査会社との提携により、検査受託を軌道に乗せることを目指してまいります。 このように、当社グループはヒトから伴侶動物に至るまで、豊富な研究ネットワークを有して、総合的な支援を通じた医療貢献を目指しております。 (4) 化粧品関連事業 当事業は、当社グループの遺伝子組換えカイコ事業において開発した化粧品原料「ネオシルクⓇ-ヒト型コラーゲンI」及びネオシルクⓇ-ヒト型コラーゲンⅠ配合化粧品「フレヴァン」を化粧品業界や消費者の皆様に広く販売するため、連結完全子会社の株式会社ネオシルク化粧品が事業を展開しております。「ネオシルクⓇ-ヒト型コラーゲンI」は、遺伝子組換えカイコの繭に生産させたもので、現在使用されている魚や豚等の異種動物から生産されるコラーゲンとは異なる、今までにない全く新しい化粧品原料です。また、この繭はもちろんのこと、繭から生成したネオシルクⓇ-ヒト型コラーゲンIには、組換え遺伝子は含まれておらず、純粋にヒトのコラーゲンと同等なアミノ酸骨格を有するものであることから、安全性が高く、消費者の皆様に安心してお使いいただける化粧品原料であると考えております。 (注) 用語解説については、「第4提出会社の状況 4コーポレート・ガバナンスの状況等」の末尾に記載しております。
FY2019|7,034 文字|出典 docID: S100G606
3 【事業の内容】1.当社グループの事業概要について (1) 当社グループの概要 当社グループ(当社及び当社の関係会社)は、株式会社免疫生物研究所(当社)及び連結子会社2社、関連会社2社(うち1社は持分法非適用会社)で構成されております。 当社グループの事業内容及び当社と関係会社の当該事業に係る位置付けは次のとおりであります。 ① 診断・試薬事業 主要な製品およびサービスは、研究用関連では、主に抗体を基盤とした研究用試薬販売及び試薬関連受託サービスを行っております。また、医薬用関連では、医薬シーズライセンス事業及び体外診断用医薬品原料の製造・販売を行っております。 ・・・株式会社免疫生物研究所 ② 遺伝子組換えカイコ事業 カイコの繭中に目的タンパク質を効率よく大量生産できる技術による受託サービスや化粧品原料の販売、さらに診断薬、医薬品への実用化を目指し、製薬企業等との共同研究を推進しております。・・・株式会社免疫生物研究所・・・株式会社CURED(持分法適用会社) ③ 検査事業 主にLipoSEARCHⓇを中核事業とし、臨床研究、基礎研究、動物医療及び自由診療領域でのリポタンパク質プロファイリング詳細解析サービスを提供しております。 ・・・株式会社スカイライト・バイオテック(連結子会社) ④ 化粧品関連事業 化粧品原料「ネオシルクⓇ-ヒト型コラーゲンⅠ」を配合した化粧品の製品開発、販売が主な事業となっております。・・・株式会社ネオシルク化粧品(連結子会社) ⑤ その他の事業 主に医療用品の販売を行っております。 ・・・株式会社セルリムーバー(持分法非適用会社) 当社グループの事業内容を図示すると以下のようになります。 2.当社グループの事業セグメントについて (1) 診断・試薬事業 診断・試薬事業は、研究用関連と医薬用関連から構成されております。その各々の事業内容は次のとおりであります。 ① 研究用関連 研究用関連は、研究用試薬販売及び試薬関連受託サービスから構成されております。研究用試薬販売は、抗体関連試薬販売及びその他の試薬販売に分類されます。抗体関連試薬販売では、EIA測定キット及び抗体を販売しております。また、その他の試薬販売では、細胞培養関連試薬、合成ペプチドその他を販売しております。 ・ 抗体関連試薬販売 主に抗体を基盤にした研究用試薬を販売しており、当事業の主力製品であります。抗体関連試薬は、抗原の定性及び定量、単離・精製など幅広く利用されており、現在では生命科学の研究に欠かせないツールとなっております。当事業は様々な研究に使用する抗体試薬を供給できる体制を整えております。一方で、免疫反応を利用した診断用に抗体試薬は大量に使用されますが、このような需要に対しても、バルク及びOEM供給できる体制を整えております。さらに、診断薬を含む医療機器に関する品質マネジメントシステムISO13485を取得しております。 イ EIA測定キット 抗原を定性あるいは定量するための研究用キットであります。抗体、酵素、反応液、反応をさせるためのプレートなど測定に必要な試薬が全てセットになっており、血液や尿中等に存在する目的の抗原物質の濃度を簡便に測定することができます。 ロ 抗体 生化学、分子生物学及び病理学等の基礎研究に広く使用されております。例えば免疫組織染色用の抗体は、薄切された組織を染色することで、病因となる抗原の有無や組織中での局在状態など、多くの情報を得ることができます。その他、抗原抗体反応を利用した多くの技術が広く研究を行う現場で使用されております。 ・ その他の試薬販売 イ 細胞培養関連試薬 細胞の栄養源となる細胞培養液など、細胞を培養するために必要な試薬であります。 ロ 合成ペプチド 抗体を作製するために、抗原として使用するペプチドであり、有機化学の手法によって合成されるものであります。 ハ その他 細胞の分離に必要な試薬や研究用キットの部品などです。 ・ 試薬関連受託サービス 製薬企業の多くは、経営の効率化から研究開発をアウトソーシングする方針を打ち出しております。一方、公的研究機関や国立大学においても、法人化への移行に伴い研究の効率化が求められております。このような環境の下、研究開発に対する支援事業の需要は高まっております。一方、確実に成果の得られる支援先企業の選択が行われております。当社グループは「抗体作製に関する技術力の高さ」を強みとして、公的研究機関、大学、製薬企業などに対して、以下に掲げるサービスを主に提供しております。 イ 抗体の作製、精製、標識 ロ 細胞培養によるタンパク質製造 ハ 抗体による測定系の開発 ニ 受託試験 ② 医薬用関連 医薬用関連は、医薬シーズライセンス及び体外診断用医薬品販売から構成されております。医薬シーズライセンスでは、当社独自あるいは公的研究機関や大学との共同研究から創製された抗体を、治療用医薬品あるいは診断用医薬品のシーズとして製薬企業に権利譲渡又は権利許諾を行い、その対価として、契約一時金、開発の進捗に応じたマイルストーン契約金、製品発売後にはロイヤリティーを受領するという収益構造を想定しております。また、診断用医薬品及びその候補品に対する原料供給による収益構造も想定しております。 他方、体外診断用医薬品販売では、牛海綿状脳症に対する動物用体外診断用医薬品を受託製造しております。さらに今後、自社製品のうち有望な製品を診断薬として申請登録して販売していく方針であります。 ・ 医薬シーズライセンス 当社では、抗体作製技術を基盤として、治療用医薬品あるいは診断用医薬品に適した抗体の創製に取り組んでおります。治療用医薬品開発においては、製薬企業各社がパイプラインを充実させるために医薬シーズに係る権利の譲渡又は許諾を受ける活動を積極的に展開していることを受けて、当社の人的資源と効率を鑑み、創薬ターゲットの探索及びそのターゲットに対する各種抗体の作製とそれらの抗体の薬効評価に特化しております。 イ.アルツハイマー病領域における治療用医薬品候補抗体の研究開発 当社は、京都大学、千葉大学との共同研究から、神経細胞に毒性を有するとされているアミロイドβの毒性コンフォマーに対する抗体を創出しております。モデル動物を使った薬効試験によるアルツハイマー型認知症治療薬シーズとしての評価、さらに診断における臨床的意義の検証を行ってまいりました。その結果、一定の認知機能障害の抑制効果、及び診断的意義が認められたことから論文発表を行いました。また、その成果として、アミロイドβ毒性コンフォマーに対する抗体を用いたELISA測定キットを開発し、研究用試薬として販売開始しました。引き続き、新規のアルツハイマー病モデルマウスを用いた本抗体の機能評価などを継続し、治療薬シーズとしての導出を進めてまいります。ロ. がん領域における抗体医薬品シーズ探索 当社グループは、大学医学部との共同研究から、がん領域等における新たな抗体医薬品、及び体外診断用医薬品シーズの開発を行っております。某大学との共同研究では、ヒト成人T細胞白血病(ATL)の診断に有効と考えられる関連タンパク質に対する抗体や測定系の開発を進めております。 ・ 体外診断用医薬品販売 イ 牛海綿状脳症(BSE)に対する体外診断用医薬品ニッピブルBSE検査キット 異常型プリオンタンパク質は、牛海綿状脳症(BSE)の原因とされております。当社は、その測定キットを、動物用体外診断用医薬品として株式会社ニッピと共同開発いたしました。本製品は、既存製品と比較して、安価かつ簡便に検査ができるという特長を有しております。当社は、2004年8月に、本製品の製造販売について農林水産省に承認申請し、2006年11月に承認を受けており、現在は株式会社ニッピから製造委託を受け、本製品の供給をしております。 ロ 診断用医薬品抗体 当事業では、今までに研究用試薬として販売していた抗体のうち数種類を体外診断用医薬品として使用する契約を締結してまいりました。c-Kit抗体やガレクチン-3抗体は、体外診断用医薬品原料として広く世界で使用されております。これらは今後も原料供給量や、ロイヤリティー契約、及びキットの生産量に応じた収益が見込まれております。 ハ 新規診断用医薬品キット 当事業では、今までに研究用試薬として販売していたEIA測定キットのうち、診断に向け測定価値の認められるものを体外診断用医薬品登録に向けて開発を行ってまいります。既に国内外での登録を視野に入れ、海外他社との連携も開始しており、今後、キットの生産量に応じた収益を見込んでまいります。〇CTP(Cochlin-tomoprotein)測定キット大学のシーズを元に、めまい・難聴の原因を生化学的に診断できる世界初のバイオマーカー「CTP(Cochlin-tomoprotein)」に関して体外診断用医薬品としての開発を行っております。より早期の承認申請取得、販売開始を目指して、㈱コスミックコーポレーションと再実施許諾契約を締結し、日本国内での薬事申請・販売の権利を譲渡いたしました。現在、㈱コスミックコーポレーションが主体となって、体外診断用医薬品の承認申請に向けてデータ採取、資料作成を進行中です。承認されることにより、当社は販売金額に応じたロイヤリティーを受領することになります。さらに、本製品の製造は当社において行うことで、将来、売上の拡大が期待されます。〇タイチン測定キット筋ジストロフィー患者の尿中に存在するタイチンというタンパク質に対するELISA測定系の開発を某大学、及び研究機関との共同研究で実施し、2016年11月に研究用試薬として販売を開始致しました。筋ジストロフィーとは骨格筋の壊死・再生を主病変とする遺伝性筋疾患であり、患者尿中の解析において、タイチンの断片が存在することが発見され、病気の診断・病態のモニタリングマーカーとしての有用性に関する論文を発表致しました。今後、体外診断薬としての開発を進めてまいります。○Tauタンパク質、リン酸化Tauタンパク質測定キット認知症関連タンパク質として、アミロイドβと並び重要なターゲット分子であるタウタンパク質の測定系開発を進めておりましたが、先ずは、海外向けに研究用試薬としての販売を開始しました。さらに、日本国内において、体外診断薬としての開発を進めてまいります。現在、販売しているアミロイドβと併せた相乗効果が期待できます。 その他、新規製品の体外診断薬としての研究開発を進めてまいります。 (2) 遺伝子組換えカイコ事業 当事業では、目的とするタンパク質を遺伝子組換え手法によりカイコの繭に生産させる技術を有しております。この生産技術は、下記の図に示しますように、目的とするタンパク質の元になる遺伝子を用意することから始まります。用意した遺伝子を、ベクターと呼ばれる遺伝子の運び屋に組み込み、次にそのベクターをカイコの卵に注入することで、目的タンパク質の遺伝子が組み込まれた遺伝子組換えカイコを作出します。この遺伝子組換えカイコは、目的タンパク質を繭の中に吐き出すように工夫されており、そのため繭から簡便にタンパク質を回収することが可能です。 遺伝子組換えカイコ事業では、この技術により生産したタンパク質の実用化を進めています。遺伝子組換えカイコで生産したモノクローナル抗体は、安価であるうえに、安定性やバックグラウンドの低さ等に優位性を有しており、当社のELISAキットの原料として利用しているほか、大手診断用医薬品メーカーへも供給されております。さらに、株式会社ニッピとの共同研究により、iPS細胞等の培養足場材として有効であるラミニン511-E8の生産にも成功し、研究用試薬としての販売も実現しています。遺伝子組換えカイコで生産したラミニン511-E8(iMatrix-511 silk)は、機能および価格的優位性から、多くの研究者の皆様に利用いただいております。 また、本技術を利用してヒト型コラーゲンを大量生産させることに成功し、将来全世界に販売活動を行うことが可能なように、新規化粧品原料として「INCI名」を取得いたしました。このような戦略的な活動を通じて、世界の化粧品業界において、カイコ由来のヒト型コラーゲンが広く活用されるよう事業を推進します。 これら研究用試薬や化粧品分野での製品を製造販売する事業に加えて、当社は、遺伝子組換えカイコによるバイオ医薬品製造の実現へ向けた挑戦を続けております。遺伝子組換えカイコは、動物細胞では生産が困難な高分子量のタンパク質等を生産することが可能です。また、特に抗体においては、糖鎖にフコースを持たないため、高いADCC活性を発揮させることが可能です。さらに、カイコの飼育においては養蚕業で培われた優れた飼育技術を利用することができるため、医薬品に適した安定した品質のタンパク質を生産できる利点もあります。これらの利点を生かしてバイオ医薬品の開発を進めておりますが、現在、最も注力しているのは、抗HIV抗体の開発です。この抗体は、熊本大学・エイズ学研究センターの松下修三教授らが、HIVに感染しながらも発症しない稀な患者から発見したものであり、当社は株式会社CURED(2019年3月に関連会社化)との共同研究において、この抗体を遺伝子組換えカイコで製造する研究開発を進めております。遺伝子組換えカイコにより生産することで、抗HIV抗体のADCC活性を飛躍的に増強させ、HIV感染症の根治を可能にする画期的な抗体医薬品の開発を進めております。遺伝子組換えカイコによる医薬品製造を実現させるには、GMP(医薬品及び医薬部外品の製造管理及び品質管理の基準)などの規制への対応も必要です。当社は、2016年に遺伝子組換えカイコによる医薬品製造のパイロットプラントである前橋研究所を建設しました。この設備にて、安定した品質の医薬品原薬を製造するために、遺伝子組換えカイコの系統管理や製造管理技術の開発を進めています。これらの試みにより、遺伝子組換えカイコによる世界初のバイオ医薬品製造の実現を目指してまいります。 (3) 検査事業 当事業では、生活習慣病領域での創薬・研究支援に加え予防・診断支援などに特化した事業を行っております。特に、世界で唯一の高感度ゲルろ過高速液体クロマトグラフィーを用いた血中リポタンパク質プロファイリングサービス「LipoSEARCH」は、最先端のリポタンパク質解析技術として、当領域の専門研究機関・製薬企業・食品企業における研究・開発及び創薬支援として広く利用されております。 本「LipoSEARCH」は、血中の各リポタンパク質の粒子サイズにより分画した波形データ(クロマトグラム)と、各分画におけるコレステロール量と中性脂肪量を提供する事により、病態や薬剤投与の影響によるリポタンパク質プロファイル全体の変化を視覚的に、および各分画ごとのコレステロール量および中性脂肪量を定量的に捉えることを可能としており、全体的な変化と詳細な分画ごとの変化をとらえることができます。さらに、リポタンパク質の「粒子サイズ」に加え「粒子数」の分析が可能になり、より詳細なデータが取得できるようになりました。 また診断・試薬事業部門で開発製品化した、生活習慣病関連に係わる各種バイオマーカー測定の受託サービスも提供しており、本領域での新たな疾患マーカーの探索や、食品素材の機能性に関する研究等に対する総合的な支援を推進しております。 さらに、伴侶動物(ペット)向けの脂質代謝関連疾患検査サービス「LipoTEST」を動物病院の獣医師様を経由して飼い主様に提供しております。このように、当社グループはヒトから伴侶動物に至るまで、本領域での豊富な研究ネットワークを有して、総合的な支援を通じた医療貢献を目指しております。 (4) 化粧品関連事業 当事業は、当社グループの遺伝子組換えカイコ事業において開発した化粧品原料「ネオシルクⓇ-ヒト型コラーゲンI」及びネオシルクⓇ-ヒト型コラーゲンⅠ配合化粧品「フレヴァン」を化粧品業界や消費者の皆様に広く販売するため、連結完全子会社の株式会社ネオシルク化粧品が事業を展開しております。「ネオシルクⓇ-ヒト型コラーゲンI」は、遺伝子組換えカイコの繭に生産させたもので、現在使用されている魚や豚等の異種動物から生産されるコラーゲンとは異なる、今までにない全く新しい化粧品原料です。また、この繭はもちろんのこと、繭から生成したネオシルクⓇ-ヒト型コラーゲンIには、組換え遺伝子は含まれておらず、純粋にヒトのコラーゲンと同等なアミノ酸骨格を有するものであることから、安全性が高く、消費者の皆様に安心してお使いいただける化粧品原料であると考えております。 (注) 用語解説については、「第4提出会社の状況 4コーポレート・ガバナンスの状況等」の末尾に記載しております。
FY2018|6,941 文字|出典 docID: S100DF6B
3 【事業の内容】1.当社グループの事業概要について (1) 当社グループの概要 当社グループ(当社及び当社の関係会社)は、株式会社免疫生物研究所(当社)及び連結子会社2社、持分法非適用会社1社で構成されております。 当社グループの事業内容及び当社と関係会社の当該事業に係る位置付けは次のとおりであります。 ① 診断・試薬事業 主要な製品およびサービスは、研究用関連では、主に抗体を基盤とした研究用試薬販売及び試薬関連受託サービスを行っております。また、医薬用関連では、医薬シーズライセンス事業及び体外診断用医薬品原料の製造・販売を行っております。 ・・・株式会社免疫生物研究所 ② 遺伝子組換えカイコ事業 カイコの繭中に目的タンパク質を効率よく大量生産できる技術による受託サービスや化粧品原料の販売、さらに診断薬、医薬品への実用化を目指し、製薬企業等との共同研究を推進しております。・・・株式会社免疫生物研究所 ③ 検査事業 主にLipoSEARCHⓇを中核事業とし、臨床研究、基礎研究、動物医療及び自由診療領域でのリポタンパク質プロファイリング詳細解析サービスを提供しております。 ・・・株式会社スカイライト・バイオテック(連結子会社) ④ 化粧品関連事業 化粧品原料「ネオシルクⓇ-ヒト型コラーゲンⅠ」を配合した化粧品の製品開発、販売が主な事業となっております。・・・株式会社ネオシルク化粧品(連結子会社) ⑤ その他の事業 主に医療用品の販売を行っております。 ・・・株式会社セルリムーバー(持分法非適用会社) 当社グループの事業内容を図示すると以下のようになります。 2.当社グループの事業セグメントについて (1) 診断・試薬事業 診断・試薬事業は、研究用関連と医薬用関連から構成されております。その各々の事業内容は次のとおりであります。 ① 研究用関連 研究用関連は、研究用試薬販売及び試薬関連受託サービスから構成されております。研究用試薬販売は、抗体関連試薬販売及びその他の試薬販売に分類されます。抗体関連試薬販売では、EIA測定キット及び抗体を販売しております。また、その他の試薬販売では、細胞培養関連試薬、合成ペプチドその他を販売しております。 ・ 抗体関連試薬販売 主に抗体を基盤にした研究用試薬を販売しており、当事業の主力製品であります。抗体関連試薬は、抗原の定性及び定量、単離・精製など幅広く利用されており、現在では生命科学の研究に欠かせないツールとなっております。当事業は様々な研究に使用する抗体試薬を供給できる体制を整えております。一方で、免疫反応を利用した診断用に抗体試薬は大量に使用されますが、このような需要に対しても、バルク及びOEM供給できる体制を整えております。さらに、診断薬を含む医療機器に関する品質マネジメントシステムISO13485を取得しております。 イ EIA測定キット 抗原を定性あるいは定量するための研究用キットであります。抗体、酵素、反応液、反応をさせるためのプレートなど測定に必要な試薬が全てセットになっており、血液や尿中等に存在する目的の抗原物質の濃度を簡便に測定することができます。 ロ 抗体 生化学、分子生物学及び病理学等の基礎研究に広く使用されております。例えば免疫組織染色用の抗体は、薄切された組織を染色することで、病因となる抗原の有無や組織中での局在状態など、多くの情報を得ることができます。その他、抗原抗体反応を利用した多くの技術が広く研究を行う現場で使用されております。 ・ その他の試薬販売 イ 細胞培養関連試薬 細胞の栄養源となる細胞培養液など、細胞を培養するために必要な試薬であります。 ロ 合成ペプチド 抗体を作製するために、抗原として使用するペプチドであり、有機化学の手法によって合成されるものであります。 ハ その他 細胞の分離に必要な試薬や研究用キットの部品などです。 ・ 試薬関連受託サービス 製薬企業の多くは、経営の効率化から研究開発をアウトソーシングする方針を打ち出しております。一方、公的研究機関や国立大学においても、法人化への移行に伴い研究の効率化が求められております。このような環境の下、研究開発に対する支援事業の需要は高まっております。一方、確実に成果の得られる支援先企業の選択が行われております。当社グループは「抗体作製に関する技術力の高さ」を強みとして、公的研究機関、大学、製薬企業などに対して、以下に掲げるサービスを主に提供しております。 イ 抗体の作製、精製、標識 ロ 細胞培養によるタンパク質製造 ハ 抗体による測定系の開発 ニ 受託試験 ② 医薬用関連 医薬用関連は、医薬シーズライセンス及び体外診断用医薬品販売から構成されております。医薬シーズライセンスでは、当社独自あるいは公的研究機関や大学との共同研究から創製された抗体を、治療用医薬品あるいは診断用医薬品のシーズとして製薬企業に権利譲渡又は権利許諾を行い、その対価として、契約一時金、開発の進捗に応じたマイルストーン契約金、製品発売後にはロイヤリティーを受領するという収益構造を想定しております。また、診断用医薬品及びその候補品に対する原料供給による収益構造も想定しております。 他方、体外診断用医薬品販売では、牛海綿状脳症に対する動物用体外診断用医薬品を受託製造しております。さらに今後、自社製品のうち有望な製品を診断薬として申請登録して販売していく方針であります。 ・ 医薬シーズライセンス 当社では、抗体作製技術を基盤として、治療用医薬品あるいは診断用医薬品に適した抗体の創製に取り組んでおります。治療用医薬品開発においては、製薬企業各社がパイプラインを充実させるために医薬シーズに係る権利の譲渡又は許諾を受ける活動を積極的に展開していることを受けて、当社の人的資源と効率を鑑み、創薬ターゲットの探索及びそのターゲットに対する各種抗体の作製とそれらの抗体の薬効評価に特化しております。 イ.アルツハイマー病領域における治療用医薬品候補抗体の研究開発 当社は、京都大学、千葉大学との共同研究から、神経細胞に毒性を有するとされているアミロイドβの毒性コンフォマーに対する抗体を創出しております。モデル動物を使った薬効試験によるアルツハイマー型認知症治療薬シーズとしての評価、さらに診断における臨床的意義の検証を行ってまいりました。その結果、一定の認知機能障害の抑制効果、及び診断的意義が認められたことから論文発表を行いました。また、その成果として、アミロイドβ毒性コンフォマーに対する抗体を用いたELISA測定キットを開発し、研究用試薬として販売開始しました。引き続き、新規のアルツハイマー病モデルマウスを用いた本抗体の機能評価などを継続し、治療薬シーズとしての導出を進めてまいります。ロ. がん領域における抗体医薬品シーズ探索 当社グループは、大学医学部との共同研究から、がん領域等における新たな抗体医薬品、及び体外診断用医薬品シーズの開発を行っております。某大学との共同研究では、ヒト成人T細胞白血病(ATL)の診断に有効と考えられる関連タンパク質に対する抗体や測定系の開発を進めております。 ・ 体外診断用医薬品販売 イ 牛海綿状脳症(BSE)に対する体外診断用医薬品ニッピブルBSE検査キット 異常型プリオンタンパク質は、牛海綿状脳症(BSE)の原因とされております。当社は、その測定キットを、動物用体外診断用医薬品として株式会社ニッピと共同開発いたしました。本製品は、既存製品と比較して、安価かつ簡便に検査ができるという特長を有しております。当社は、平成16年8月に、本製品の製造販売について農林水産省に承認申請し、平成18年11月に承認を受けており、現在は株式会社ニッピから製造委託を受け、本製品の供給をいたしております。 ロ 診断用医薬品抗体 当事業では、今までに研究用試薬として販売していた抗体のうち数種類を体外診断用医薬品として使用する契約を締結してまいりました。c-Kit抗体やガレクチン-3抗体は、体外診断用医薬品原料として広く世界で使用されております。これらは今後も原料供給量や、ロイヤリティー契約、及びキットの生産量に応じた収益が見込まれております。 ハ 新規診断用医薬品キット 当事業では、今までに研究用試薬として販売していたEIA測定キットのうち、診断に向け測定価値の認められるものを体外診断用医薬品登録に向けて開発を行ってまいります。既に国内外での登録を視野に入れ、海外他社との連携も開始しており、今後、キットの生産量に応じた収益を見込んでまいります。〇CTP(Cochlin-tomoprotein)測定キット大学のシーズを元に、めまい・難聴の原因を生化学的に診断できる世界初のバイオマーカー「CTP(Cochlin-tomoprotein)」に関して体外診断用医薬品としての開発を行っております。より早期の承認申請取得、販売開始を目指して、㈱コスミックコーポレーションと再実施許諾契約を締結し、日本国内での薬事申請・販売の権利を譲渡いたしました。現在、㈱コスミックコーポレーションが主体となって、体外診断用医薬品の承認申請に向けてデータ採取、資料作成を進行中です。承認されることにより、当社は販売金額に応じたロイヤリティーを受領することになります。さらに、本製品の製造は当社において行うことで、将来、売上の拡大が期待されます。〇タイチン測定キット筋ジストロフィー患者の尿中に存在するタイチンというタンパク質に対するELISA測定系の開発を某大学、及び研究機関との共同研究で実施し、平成28年11月に研究用試薬として販売を開始致しました。筋ジストロフィーとは骨格筋の壊死・再生を主病変とする遺伝性筋疾患であり、患者尿中の解析において、タイチンの断片が存在することが発見され、病気の診断・病態のモニタリングマーカーとしての有用性に関する論文を発表致しました。今後、体外診断薬としての開発を進めてまいります。○Tauタンパク質、リン酸化Tauタンパク質測定キット認知症関連タンパク質として、アミロイドβと並び重要なターゲット分子であるタウタンパク質の測定系開発を進めておりましたが、先ずは、海外向けに研究用試薬としての販売を開始しました。さらに、日本国内において、体外診断薬としての開発を進めてまいります。現在、販売しているアミロイドβと併せた相乗効果が期待できます。 その他、新規製品の体外診断薬としての研究開発を進めてまいります。 (2) 遺伝子組換えカイコ事業 当事業では、目的とするタンパク質を遺伝子組換え手法によりカイコの繭に生産させる技術を有しております。この生産技術は、下記の図に示しますように、目的とするタンパク質の元になる遺伝子を用意することから始まります。用意した遺伝子は、ベクターと呼ばれる遺伝子の運び屋の中に組み込まれます。次にそのベクターがカイコの卵に注入され、最終的に遺伝子の組み込まれた、目的タンパク質を発現する遺伝子組換えカイコを選別します。この遺伝子組換えカイコは、目的とするタンパク質を、繭の中に吐き出すように工夫されております。 現在、遺伝子組換えによるタンパク質生産技術においては、大腸菌、酵母または動物細胞を用いた生産方法が主に用いられております。これらの方法にはそれぞれ一長一短があり、その目的に応じた生産方法が取られておりますが、当事業の技術は、他の方法と比較して多くの点で有利な点を有しております。下記にそれぞれの遺伝子組換え宿主による比較を行っております。 生産コスト生産できるタンパク質精製大量生産大腸菌低い単純タンパク質困難容易酵母低い単純タンパク質比較的困難容易哺乳動物細胞高い複雑な構造のタンパク質も可能比較的容易比較的困難カイコバキュロウイルス系比較的低い複雑な構造のタンパク質も可能困難容易カイコ繭低い複雑な構造のタンパク質も可能容易容易 最も有利な点は、目的とするタンパク質の精製が非常に簡単なことです。目的タンパク質を発現した繭を溶液中で撹拌するだけで高純度に抽出・精製することが可能なため、その生産コストの低減化を実現できることになります。また、昆虫であるカイコは複雑な構造を有するタンパク質の生産にも有利です。実際に、フィブリノゲンと呼ばれる止血にかかわるタンパク質については、大腸菌や酵母ではこれまで生産出来なかったものが、本技術によって生産が可能になりました。さらに遺伝子組換えカイコにより生産した抗体の糖鎖には「フコース」が含まれないことを発見し、その技術により、高いADCC活性を有する抗体医薬品が製造できる可能性を示してきました。このようにカイコの繭中に目的タンパク質を生産させる本技術は無限の可能性を有しております。 遺伝子組換えカイコ事業では、実用化を目指した活動を行っております。現在、当社グループ製品に使用している主要なモノクローナル抗体を、遺伝子組換えカイコを用いて繭に生産させることに成功し、現在使用している抗体原料からカイコ由来原料に置き換えた製品製造を開始しております。さらに、株式会社ニッピとの共同研究により、iPS細胞等の培養足場材として有効であるラミニン511-E8を遺伝子組換えカイコを用いて製造する技術を確立し、製造したラミニン511-E8フラグメント(ラミニン511-E8)を研究用試薬原料として販売しています。 また、本技術を利用してヒト型コラーゲンを大量生産させることに成功し、将来全世界に販売活動を行うことが可能なように、新規化粧品原料として「INCI名」を取得いたしました。このような戦略的な活動を通じて、世界の化粧品業界において、カイコ由来のヒト型コラーゲンが広く活用されるよう事業を推進します。 中長期的には、研究用試薬、診断薬原料などに向けた実用化、さらに将来に向けて動物用医薬品、抗HIV抗体や治療用抗体など、バイオ医薬品開発への挑戦をしていく所存であります。 (3) 検査事業 当事業では、生活習慣病領域での創薬・研究支援に加え予防・診断支援などに特化した事業を行っております。特に、世界で唯一の高感度ゲルろ過高速液体クロマトグラフィーを用いた血中リポタンパク質プロファイリングサービス「LipoSEARCHⓇ」は、最先端の脂質代謝解析技術として、当領域の専門研究機関・製薬企業・食品企業における研究・開発及び創薬支援として広く利用されております。 本「LipoSEARCHⓇ」は、血中の各リポタンパク質の粒子サイズにより分画した波形データ(クロマトグラム)と、各分画におけるコレステロール量と中性脂肪量を提供する事により、病態や薬剤投与の影響によるリポタンパク質プロファイル全体の変化を視覚的に、および各分画ごとのコレステロール量および中性脂肪量を定量的に捉えることを可能としており、全体的な変化と詳細な分画ごとの変化をとらえることができます。さらに、リポタンパク質の「粒子サイズ」に加え「粒子数」の分析が可能になり、より詳細なデータが取得できるようになりました。また診断・試薬事業部門で開発製品化した、生活習慣病関連に係わる各種バイオマーカー測定の受託サービスも提供しており、本領域での新たな疾患マーカーの探索や、食品素材の機能性に関する研究等に対する総合的な支援を推進しております。さらに、伴侶動物(ペット)向けの脂質代謝関連疾患検査サービス「LipoTESTⓇ」を動物病院の獣医師様を経由して飼い主様に提供しております。このように、当社グループはヒトから伴侶動物に至るまで、本領域での豊富な研究ネットワークを有して、総合的な支援を通じた医療貢献を目指しております。 (4) 化粧品関連事業 当事業は、当社グループの遺伝子組換えカイコ事業において開発した化粧品原料「ネオシルクⓇ-ヒト型コラーゲンI」及びネオシルクⓇ-ヒト型コラーゲンⅠ配合化粧品「フレヴァン」を化粧品業界や消費者の皆様に広く販売するため、連結完全子会社の株式会社ネオシルク化粧品が事業を展開しております。「ネオシルクⓇ-ヒト型コラーゲンI」は、遺伝子組換えカイコの繭に生産させたもので、現在使用されている魚や豚等の異種動物から生産されるコラーゲンとは異なる、今までにない全く新しい化粧品原料です。また、この繭はもちろんのこと、繭から生成したネオシルクⓇ-ヒト型コラーゲンIには、組換え遺伝子は含まれておらず、純粋にヒトのコラーゲンと同等なアミノ酸骨格を有するものであることから、安全性が高く、消費者の皆様に安心してお使いいただける化粧品原料であると考えております。 (注) 用語解説については、「第4提出会社の状況 6コーポレート・ガバナンスの状況等」の末尾に記載しております。
FY2017|6,665 文字|出典 docID: S100AP20
3 【事業の内容】1.当社グループの事業概要について (1) 当社グループの概要 当社グループ(当社及び当社の関係会社)は、株式会社免疫生物研究所(当社)及び連結子会社2社、持分法非適用会社1社で構成されております。 当社グループの事業内容及び当社と関係会社の当該事業に係る位置付けは次のとおりであります。 ① 診断・試薬事業 主要な製品およびサービスは、研究用関連では、主に抗体を基盤とした研究用試薬販売及び試薬関連受託サービスを行っております。また、医薬用関連では、医薬シーズライセンス事業及び体外診断用医薬品原料の製造・販売を行っております。 ・・・株式会社免疫生物研究所 ② 遺伝子組換えカイコ事業 カイコの繭中に目的タンパク質を効率よく大量生産できる技術による受託サービスや化粧品原料の販売、さらに診断薬、医薬品への実用化を目指し、製薬企業等との共同研究を推進しております。・・・株式会社免疫生物研究所 ③ 検査事業 主にLipoSEARCHⓇを中核事業とし、臨床研究、基礎研究、動物医療及び自由診療領域でのリポタンパク質プロファイリング詳細解析サービスを提供しております。 ・・・株式会社スカイライト・バイオテック(連結子会社) ④ 化粧品関連事業 化粧品原料「ネオシルクⓇ-ヒトコラーゲン」を配合した化粧品の製品開発、販売が主な事業となっております。・・・株式会社ネオシルク化粧品(連結子会社) ⑤ その他の事業 主に医療用品の販売を行っております。 ・・・株式会社セルリムーバー(持分法非適用会社) 当社グループの事業内容を図示すると以下のようになります。 2.当社グループの事業セグメントについて (1) 診断・試薬事業 診断・試薬事業は、研究用関連と医薬用関連から構成されております。その各々の事業内容は次のとおりであります。 ① 研究用関連 研究用関連は、研究用試薬販売及び試薬関連受託サービスから構成されております。研究用試薬販売は、抗体関連試薬販売及びその他の試薬販売に分類されます。抗体関連試薬販売では、EIA測定キット及び抗体を販売しております。また、その他の試薬販売では、細胞培養関連試薬、合成ペプチドその他を販売しております。 ・ 抗体関連試薬販売 主に抗体を基盤にした研究用試薬を販売しており、当事業の主力製品であります。抗体関連試薬は、抗原の定性及び定量、単離・精製など幅広く利用されており、現在では生命科学の研究に欠かせないツールとなっております。当事業は様々な研究に使用する抗体試薬を供給できる体制を整えております。一方で、免疫反応を利用した診断用に抗体試薬は大量に使用されますが、このような需要に対しても、バルク及びOEM供給できる体制を整えております。さらに、診断薬を含む医療機器に関する品質マネジメントシステムISO13485を取得しております。 イ EIA測定キット 抗原を定性あるいは定量するための研究用キットであります。抗体、酵素、反応液、反応をさせるためのプレートなど測定に必要な試薬が全てセットになっており、血液や尿中等に存在する目的の抗原物質の濃度を簡便に測定することができます。 ロ 抗体 生化学、分子生物学及び病理学等の基礎研究に広く使用されております。例えば免疫組織染色用の抗体は、薄切された組織を染色することで、病因となる抗原の有無や組織中での局在状態など、多くの情報を得ることができます。その他、抗原抗体反応を利用した多くの技術が広く研究を行う現場で使用されております。 ・ その他の試薬販売 イ 細胞培養関連試薬 細胞の栄養源となる細胞培養液など、細胞を培養するために必要な試薬であります。 ロ 合成ペプチド 抗体を作製するために、抗原として使用するペプチドであり、有機化学の手法によって合成されるものであります。 ハ その他 細胞の分離に必要な試薬や研究用キットの部品などです。 ・ 試薬関連受託サービス 製薬企業の多くは、経営の効率化から研究開発をアウトソーシングする方針を打ち出しております。一方、公的研究機関や国立大学においても、法人化への移行に伴い研究の効率化が求められております。このような環境の下、研究開発に対する支援事業の需要は高まっております。一方、確実に成果の得られる支援先企業の選択が行われております。当社グループは「抗体作製に関する技術力の高さ」を強みとして、公的研究機関、大学、製薬企業などに対して、以下に掲げるサービスを主に提供しております。 イ 抗体の作製、精製、標識 ロ 細胞培養によるタンパク質製造 ハ 抗体による測定系の開発 ニ 受託試験 ② 医薬用関連 医薬用関連は、医薬シーズライセンス及び体外診断用医薬品販売から構成されております。医薬シーズライセンスでは、当社独自あるいは公的研究機関や大学との共同研究から創製された抗体を、治療用医薬品あるいは診断用医薬品のシーズとして製薬企業に権利譲渡又は権利許諾を行い、その対価として、契約一時金、開発の進捗に応じたマイルストーン契約金、製品発売後にはロイヤリティーを受領するという収益構造を想定しております。また、診断用医薬品及びその候補品に対する原料供給による収益構造も想定しております。 他方、体外診断用医薬品販売では、牛海綿状脳症に対する動物用体外診断用医薬品を受託製造しております。さらに今後、自社製品のうち有望な製品を診断薬として申請登録して販売していく方針であります。 ・ 医薬シーズライセンス 最近の治療用医薬品開発における話題の一つに、病因の物質のみに作用する分子標的治療薬があります。分子標的治療薬の中心は抗体医薬品であり、抗原のみに結合するという抗体の機能を利用し、高い薬効と低い副作用発現率を実現しております。当初、マウスなどで作製されたモノクローナル抗体は、そのままではヒトに対して異種タンパク質となるため、抗体医薬品に対する中和抗体がヒトの生体内で生成されて薬効が発揮できず、治療用医薬品として発売されるには至りませんでした。しかし、抗体作製技術の発達によって、中和抗体の生成が少ないマウス-ヒトキメラ抗体、ヒト化抗体、そして完全なヒト型抗体を作る技術が順次開発されました。これらの技術革新によって、現在では、世界各国でいくつもの抗体医薬品が発売されております。 一方、診断用医薬品分野においても、テーラーメイド医療の手段あるいは病気の早期発見を目的としたより精度の高い診断用医薬品を開発するという点で、抗体の持つ特異性という特徴が注目されております。既に契約を締結しているパイプラインを以下に記載いたします。 治療用医薬候補品抗ヒトアミロイドβ抗体(82E1) 当事業は、アルツハイマー型認知症との関連が示唆されているアミロイドβタンパク質に対する各種抗体の研究開発を行っております。その中で、当社グループは開発に成功した抗体のうちコード名「82E1」について、平成18年12月に米国Intellect Neurosciences, Inc.とアルツハイマー型認知症治療薬としての独占的開発、製造及び販売権を譲渡する契約を締結いたしました。その後、Intellect社は、本契約の元、アルツハイマー病治療薬としての開発を進めてまいりましたが、より実現可能性の高いターゲットとして、対象疾患を加齢性黄斑変性へ変更いたしました。それにともない、当社とIntellect社は、本契約を解除し、新たにマイルストーン契約を締結いたしました。今後当社グループは、開発の進捗に応じてマイルストーン契約金を、そして製品発売後には売上に対する一定率のロイヤリティーを受領する予定であります。 ・ 体外診断用医薬品販売 イ 牛海綿状脳症(BSE)に対する体外診断用医薬品ニッピブルBSE検査キット 異常型プリオンタンパク質は、牛海綿状脳症(BSE)の原因とされております。当社は、その測定キットを、動物用体外診断用医薬品として株式会社ニッピと共同開発いたしました。本製品は、既存製品と比較して、安価かつ簡便に検査ができるという特長を有しております。当社は、平成16年8月に、本製品の製造販売について農林水産省に承認申請し、平成18年11月に承認を受けており、現在は株式会社ニッピから製造委託を受け、本製品の供給をいたしております。 ロ 診断用医薬品抗体 当事業では、今までに研究用試薬として販売していた抗体のうち数種類を体外診断用医薬品として使用する契約を締結してまいりました。c-Kit抗体やガレクチン-3抗体は、体外診断用医薬品原料として広く世界で使用されております。これらは今後も原料供給量や、ロイヤリティー契約、及びキットの生産量に応じた収益が見込まれております。 ハ 新規診断用医薬品キット 当事業では、今までに研究用試薬として販売していたEIA測定キットのうち、診断に向け測定価値の認められるものを体外診断用医薬品登録に向けて開発を行ってまいります。既に国内外での登録を視野に入れ、海外他社との連携も開始しており、今後、キットの生産量に応じた収益を見込んでまいります。 その中で、大学のシーズを元に、めまい・難聴の原因を生化学的に診断できる世界初のバイオマーカー「CTP(Cochlin-tomoprotein)」に関して体外診断用医薬品としての開発を行っております。この度、体外診断薬申請の経験豊富な体外診断薬メーカー、㈱コスミックコーポレーションと再実施許諾契約を締結し、日本国内での薬事申請・販売の権利を譲渡いたしました。現在、㈱コスミックコーポレーションが主体となって、体外診断用医薬品の承認申請に向けてデータ採取、資料作成を進行中です。承認されることにより、当社は販売金額に応じたロイヤリティーを受領することになります。さらに、本製品の製造は当社において行うことで、将来、売上の拡大が期待されます。また、LPL(リポ蛋白リパーゼ)のラテックス自動化診断薬を開発し製造販売認証を取得いたしました。その他、新規製品の販売開始及び研究開発を進めてまいります。 (2) 遺伝子組換えカイコ事業 当事業では、目的とするタンパク質を遺伝子組換え手法によりカイコの繭に生産させる技術を有しております。この生産技術は、下記の図に示しますように、目的とするタンパク質の元になる遺伝子を用意することから始まります。用意した遺伝子は、ベクターと呼ばれる遺伝子の運び屋の中に組み込まれます。次にそのベクターがカイコの卵に注入され、最終的に遺伝子の組み込まれた、目的タンパク質を発現する遺伝子組換えカイコを選別します。この遺伝子組換えカイコは、目的とするタンパク質を、繭の中に吐き出すように工夫されております。 現在、遺伝子組換えによるタンパク質生産技術においては、大腸菌、酵母または動物細胞を用いた生産方法が主に用いられております。これらの方法にはそれぞれ一長一短があり、その目的に応じた生産方法が取られておりますが、当事業の技術は、他の方法と比較して多くの点で有利な点を有しております。下記にそれぞれの遺伝子組換え宿主による比較を行っております。 生産コスト生産できるタンパク質精製大量生産大腸菌低い単純タンパク質困難容易酵母低い単純タンパク質比較的困難容易哺乳動物細胞高い複雑な構造のタンパク質も可能比較的容易比較的困難カイコバキュロウイルス系比較的低い複雑な構造のタンパク質も可能困難容易カイコ繭低い複雑な構造のタンパク質も可能容易容易 最も有利な点は、目的とするタンパク質の精製が非常に簡単なことです。目的タンパク質を発現した繭を溶液中で撹拌するだけで高純度に抽出・精製することが可能なため、その生産コストの低減化を実現できることになります。また、昆虫であるカイコは複雑な構造を有するタンパク質の生産にも有利です。実際に、フィブリノゲンと呼ばれる止血にかかわるタンパク質については、大腸菌や酵母ではこれまで生産出来なかったものが、本技術によって生産が可能になりました。さらに遺伝子組換えカイコにより生産した抗体の糖鎖には「フコース」が含まれないことを発見し、その技術により、高いADCC活性を有する抗体医薬品が製造できる可能性を示してきました。このようにカイコの繭中に目的タンパク質を生産させる本技術は無限の可能性を有しております。 遺伝子組換えカイコ事業では、実用化を目指した活動を行っております。現在、当社グループ製品に使用している主要なモノクローナル抗体を、遺伝子組換えカイコを用いて繭に生産させることに成功し、現在使用している抗体原料からカイコ由来原料に置き換えた製品製造を開始しております。さらに、株式会社ニッピとの共同研究により、iPS細胞等の培養足場材として有効であるラミニン511-E8を遺伝子組換えカイコを用いて製造する技術を確立し、製造したラミニン511-E8フラグメント(ラミニン511-E8)を研究用試薬原料として販売しています。 また、本技術を利用してヒト型コラーゲンを大量生産させることに成功し、将来全世界に販売活動を行うことが可能なように、新規化粧品原料として「INCI名」を取得いたしました。このような戦略的な活動を通じて、世界の化粧品業界において、カイコ由来のヒト型コラーゲンが広く活用されるよう事業を推進します。 中長期的には、研究用試薬、診断薬原料などに向けた実用化、さらに将来に向けて動物用医薬品、ヒト型フィブリノゲンや治療用抗体など、バイオ医薬品開発への挑戦をしていく所存であります。 (3) 検査事業 当事業では、生活習慣病領域での創薬・研究支援に加え予防・診断支援などに特化した事業を行っております。特に、世界で唯一の高感度ゲルろ過高速液体クロマトグラフィーを用いた血中リポタンパク質プロファイリングサービス「LipoSEARCHⓇ」は、最先端の脂質代謝解析技術として、当領域の専門研究機関・製薬企業・食品企業における研究・開発及び創薬支援として広く利用されております。 本「LipoSEARCHⓇ」は、血中の各リポタンパク質の粒子サイズにより分画した波形データ(クロマトグラム)と、各分画におけるコレステロール量と中性脂肪量を提供する事により、病態や薬剤投与の影響によるリポタンパク質プロファイル全体の変化を視覚的に捉えることを可能としております。 さらに、リポタンパク質の「粒子サイズ」に加え「粒子数」の分析が可能になり、より詳細なデータが取得できるようになりました。また生活習慣病関連に係わる各種バイオマーカー測定の受託サービスも提供しており、本領域での新たな疾患マーカーの探索や、食品素材の機能性に関する研究等に対する総合的な支援を推進しております。さらに、伴侶動物(ペット)向けの脂質代謝関連疾患検査サービス「LipoTESTⓇ」を動物病院の獣医師様を経由して飼い主様に提供しております。このように、当社グループはヒトから伴侶動物に至るまで、本領域での豊富な研究ネットワークを有して、総合的な支援を通じた医療貢献を目指しております。 (4) 化粧品関連事業 当事業は、当社グループの遺伝子組換えカイコ事業において開発した化粧品原料「ネオシルクⓇ-ヒトコラーゲンI」及びネオシルクⓇ-ヒトコラーゲンⅠ配合化粧品「フレヴァン」を化粧品業界や消費者の皆様に広く販売するため、連結完全子会社の株式会社ネオシルク化粧品が事業を展開しております。「ネオシルクⓇ-ヒトコラーゲンI」は、遺伝子組換えカイコの繭に生産させたもので、現在使用されている魚や豚等の異種動物から生産されるコラーゲンとは異なる、今までにない全く新しい化粧品原料です。また、この繭はもちろんのこと、繭から生成したネオシルクⓇ-ヒトコラーゲンIには、組換え遺伝子は含まれておらず、純粋にヒトのコラーゲンと同等なアミノ酸骨格を有するものであることから、安全性が高く、消費者の皆様に安心してお使いいただける化粧品原料であると考えております。 (注) 用語解説については、「第4提出会社の状況 6コーポレート・ガバナンスの状況等」の末尾に記載しております。
FY2016|6,571 文字|出典 docID: S10080H1
3 【事業の内容】1.当社グループの事業概要について (1) 当社グループの概要 当社グループ(当社及び当社の関係会社)は、株式会社免疫生物研究所(当社)及び連結子会社2社、持分法非適用会社1社で構成されております。 当社グループの事業内容及び当社と関係会社の当該事業に係る位置付けは次のとおりであります。 ① 診断・試薬事業 主要な製品およびサービスは、研究用関連では、主に抗体を基盤とした研究用試薬販売及び試薬関連受託サービスを行っております。また、医薬用関連では、医薬シーズライセンス事業及び体外診断用医薬品原料の製造・販売を行っております。 ・・・株式会社免疫生物研究所 ② 遺伝子組換えカイコ事業 カイコの繭中に目的タンパク質を効率よく大量生産できる技術による受託サービスや化粧品原料の販売、さらに診断薬、医薬品への実用化を目指し、製薬企業等との共同研究を推進しております。・・・株式会社免疫生物研究所 ③ 検査事業 主にLipoSEARCHⓇを中核事業とし、臨床研究、基礎研究、動物医療及び自由診療領域でのリポタンパク質プロファイリング詳細解析サービスを提供しております。 ・・・株式会社スカイライト・バイオテック(連結子会社) ④ 化粧品関連事業 化粧品原料「ネオシルクⓇ-ヒトコラーゲン」を配合した化粧品の製品開発、販売が主な事業となっております。・・・株式会社ネオシルク化粧品(連結子会社) ⑤ その他の事業 主に医薬療用品の販売を行っております ・・・株式会社セルリムーバー(持分法非適用会社) 当社グループの事業内容を図示すると以下のようになります。 2.当社グループの事業セグメントについて (1) 診断・試薬事業 診断・試薬事業は、研究用関連と医薬用関連から構成されております。その各々の事業内容は次のとおりであります。 ① 研究用関連 研究用関連は、研究用試薬販売及び試薬関連受託サービスから構成されております。研究用試薬販売は、抗体関連試薬販売及びその他の試薬販売に分類されます。抗体関連試薬販売では、EIA測定キット及び抗体を販売しております。また、その他の試薬販売では、細胞培養関連試薬、合成ペプチドその他を販売しております。 ・ 抗体関連試薬販売 主に抗体を基盤にした研究用試薬を販売しており、当事業の主力製品であります。抗体関連試薬は、抗原の定性及び定量、単離・精製など幅広く利用されており、現在では生命科学の研究に欠かせないツールとなっております。当事業は様々な研究に使用する抗体試薬を供給できる体制を整えております。一方で、免疫反応を利用した診断用に抗体試薬は大量に使用されますが、このような需要に対しても、バルク及びOEM供給できる体制を整えております。さらに、診断薬を含む医療機器に関する品質マネジメントシステムISO13485を取得しております。 イ EIA測定キット 抗原を定性あるいは定量するための研究用キットであります。抗体、酵素、反応液、反応をさせるためのプレートなど測定に必要な試薬が全てセットになっており、血液や尿中等に存在する目的の抗原物質の濃度を簡便に測定することができます。 ロ 抗体 生化学、分子生物学及び病理学等の基礎研究に広く使用されております。例えば免疫組織染色用の抗体は、薄切された組織を染色することで、病因となる抗原の有無や組織中での局在状態など、多くの情報を得ることができます。その他、抗原抗体反応を利用した多くの技術が広く研究を行う現場で使用されております。 ・ その他の試薬販売 イ 細胞培養関連試薬 細胞の栄養源となる細胞培養液など、細胞を培養するために必要な試薬であります。 ロ 合成ペプチド 抗体を作製するために、抗原として使用するペプチドであり、有機化学の手法によって合成されるものであります。 ハ その他 細胞の分離に必要な試薬や研究用キットの部品などです。 ・ 試薬関連受託サービス 製薬企業の多くは、経営の効率化から研究開発をアウトソーシングする方針を打ち出しております。一方、公的研究機関や国立大学においても、法人化への移行に伴い研究の効率化が求められております。このような環境の下、研究開発に対する支援事業の需要は高まっております。一方、確実に成果の得られる支援先企業の選択が行われております。当社グループは「抗体作製に関する技術力の高さ」を強みとして、公的研究機関、大学、製薬企業などに対して、以下に掲げるサービスを主に提供しております。 イ 抗体の作製、精製、標識 ロ 細胞培養によるタンパク質製造 ハ 抗体による測定系の開発 ニ 受託試験 ② 医薬用関連 医薬用関連は、医薬シーズライセンス及び体外診断用医薬品販売から構成されております。医薬シーズライセンスでは、当社独自あるいは公的研究機関や大学との共同研究から創製された抗体を、治療用医薬品あるいは診断用医薬品のシーズとして製薬企業に権利譲渡又は権利許諾を行い、その対価として、契約一時金、開発の進捗に応じたマイルストーン契約金、製品発売後にはロイヤリティーを受領するという収益構造を想定しております。また、診断用医薬品及びその候補品に対する原料供給による収益構造も想定しております。 他方、体外診断用医薬品販売では、牛海綿状脳症に対する動物用体外診断用医薬品を受託製造しております。 さらに今後、自社製品のうち有望な製品を診断薬として申請登録して販売していく方針であります。 ・ 医薬シーズライセンス 最近の治療用医薬品開発における話題の一つに、病因の物質のみに作用する分子標的治療薬があります。分子標的治療薬の中心は抗体医薬品であり、抗原のみに結合するという抗体の機能を利用し、高い薬効と低い副作用発現率を実現しております。当初、マウスなどで作製されたモノクローナル抗体は、そのままではヒトに対して異種タンパク質となるため、抗体医薬品に対する中和抗体がヒトの生体内で生成されて薬効が発揮できず、治療用医薬品として発売されるには至りませんでした。しかし、抗体作製技術の発達によって、中和抗体の生成が少ないマウス-ヒトキメラ抗体、ヒト化抗体、そして完全なヒト型抗体を作る技術が順次開発されました。これらの技術革新によって、現在では、世界各国でいくつもの抗体医薬品が発売されております。 一方、診断用医薬品分野においても、テーラーメイド医療の手段あるいは病気の早期発見を目的としたより精度の高い診断用医薬品を開発するという点で、抗体の持つ特異性という特徴が注目されております。既に契約を締結しているパイプラインを以下に記載いたします。 治療用医薬候補品抗ヒトアミロイドβ抗体(82E1) 当事業は、アルツハイマー型認知症との関連が示唆されているアミロイドβタンパク質に対する各種抗体の研究開発を行っております。その中で、当社グループは開発に成功した抗体のうちコード名「82E1」について、平成18年12月に米国Intellect Neurosciences, Inc.とアルツハイマー型認知症治療薬としての独占的開発、製造及び販売権を譲渡する契約を締結いたしました。その後、Intellect社は、本契約の元、アルツハイマー病治療薬としての開発を進めてまいりましたが、より実現可能性の高いターゲットとして、対象疾患を加齢性黄斑変性へ変更いたしました。それにともない、当社とIntellect社は、本契約を解除し、新たにマイルストーン契約を締結いたしました。今後当社グループは、開発の進捗に応じてマイルストーン契約金を、そして製品発売後には売上に対する一定率のロイヤリティーを受領する予定であります。 ・ 体外診断用医薬品販売 イ 牛海綿状脳症(BSE)に対する体外診断用医薬品ニッピブルBSE検査キット 異常型プリオンタンパク質は、牛海綿状脳症(BSE)の原因とされております。当社は、その測定キットを、動物用体外診断用医薬品として株式会社ニッピと共同開発いたしました。本製品は、既存製品と比較して、安価かつ簡便に検査ができるという特長を有しております。当社は、平成16年8月に、本製品の製造販売について農林水産省に承認申請し、平成18年11月に承認を受けており、現在は株式会社ニッピから製造委託を受け、本製品の供給をいたしております。 ロ 診断用医薬品抗体 当事業では、今までに研究用試薬として販売していた抗体のうち数種類を体外診断用医薬品として使用する契約を締結してまいりました。c-Kit抗体やガレクチン-3抗体は、体外診断用医薬品原料として広く世界で使用されております。これらは今後も原料供給量や、ロイヤリティー契約、及びキットの生産量に応じた収益が見込まれております。 ハ 新規診断用医薬品キット 当事業では、今までに研究用試薬として販売していたEIA測定キットのうち、診断に向け測定価値の認められるものを体外診断用医薬品登録に向けて開発を行ってまいります。既に国内外での登録を視野に入れ、海外他社との連携も開始しており、今後、キットの生産量に応じた収益を見込んでまいります。 その中で、学校法人埼玉医科大学と共同で進めてまいりました、難聴・めまいの原因を生化学的に診断できる世界初のバイオマーカー「CTP (Cochlin tomoprotein)」の測定系に関して、体外診断薬申請の経験豊富な体外診断薬メーカー、㈱コスミックコーポレーションと再実施許諾契約を締結し、日本国内での薬事申請・販売の権利を譲渡いたしました。これにより、早期に体外診断用医薬品の承認申請及び製品化を実現するとともに、当社は、本再実施許諾契約により一時金及び販売金額に応じたロイヤリティーを受領することになります。さらに、本製品の製造は当社において行うことで売上の拡大を目指してまいります。 (2) 遺伝子組換えカイコ事業 遺伝子組換えカイコ事業では、目的とするタンパク質を遺伝子組換え手法によりカイコの繭に生産させる技術を有しております。この生産技術は、下記の図に示しますように、生産を目的とするタンパク質の元になる遺伝子を用意することから始まります。用意した遺伝子は、ベクターと呼ばれる遺伝子の運び屋の中に組み込まれます。次にそのベクターがカイコの卵に注入され、最終的に遺伝子の組み込まれた、目的タンパク質を発現する遺伝子組換えカイコを選別します。この遺伝子組換えカイコは、生産目的としたタンパク質を、繭の中に吐き出すように工夫されております。 現在、遺伝子組換えによるタンパク質生産技術においては、大腸菌、酵母または動物細胞を用いた生産方法が主に用いられております。これらの方法にはそれぞれ一長一短があり、その目的に応じた生産方法が取られておりますが、当事業の技術は、他の方法と比較して多くの点で有利な点を有しております。下記にそれぞれの遺伝子組換え宿主による比較を行っております。 生産コスト生産できるタンパク質精製大量生産大腸菌低い単純タンパク質困難容易酵母低い単純タンパク質比較的困難容易哺乳動物細胞高い複雑な構造のタンパク質も可能比較的容易比較的困難カイコバキュロウイルス系比較的低い複雑な構造のタンパク質も可能困難容易カイコ繭低い複雑な構造のタンパク質も可能容易容易 最も有利な点は、目的とするタンパク質の精製が非常に簡単なことです。目的タンパク質を発現した繭を溶液中で撹拌するだけで高純度に抽出・精製することが可能なため、その生産コストの低減化を実現できることになります。また、昆虫であるカイコは複雑な構造を有するタンパク質の生産にも有利です。実際に、フィブリノゲンと呼ばれる止血にかかわるタンパク質については、大腸菌や酵母ではこれまで生産出来なかったものが、本技術によって生産が可能になりました。さらに遺伝子組換えカイコにより生産した抗体の糖鎖には「フコース」が含まれないことを発見し、その技術により、高いADCC活性を有する抗体医薬品が製造できる可能性を示してきました。このようにカイコの繭中に目的タンパク質を生産させる本技術は無限の可能性を有しております。 遺伝子組換えカイコ事業では、実用化を目指した活動を行っております。現在、当社グループ製品に使用している主要なモノクローナル抗体を、遺伝子組換えカイコを用いて繭に生産させることに成功し、現在使用している抗体原料からカイコ由来原料に置き換えた製品製造を開始しております。さらに、株式会社ニッピとの共同研究により、iPS細胞等の培養足場材として有効であるラミニン511-E8を遺伝子組換えカイコを用いて製造する技術を確立しました。製造したラミニン511-E8フラグメント(ラミニン511-E8)を研究用試薬原料として販売する体制を構築していきます。 また、本技術を利用してヒトコラーゲンを大量生産させることに成功し、将来全世界に販売活動を行うことが可能なように、新規化粧品原料として「INCI 名」を取得いたしました。このような戦略的な活動を通じて、世界の化粧品業界において、カイコ由来のヒトコラーゲンが広く活用されるよう事業を推進します。 中長期的には、研究用試薬、診断薬原料などに向けた実用化、さらに将来に向けて動物用医薬品、ヒト型フィブリノゲンや治療用抗体など、バイオ医薬品開発への挑戦をしていく所存であります。 (3) 検査事業 当事業では、生活習慣病領域での創薬・研究支援に加え予防・診断支援などに特化した事業を行っております。特に、世界で唯一の高感度ゲルろ過高速液体クロマトグラフィーを用いた血中リポタンパク質プロファイリングサービス「LipoSEARCHⓇ」は、最先端の脂質代謝解析技術として、当領域の専門研究機関・製薬企業・食品企業における研究・開発及び創薬支援として広く利用されております。 本「LipoSEARCHⓇ」は、血中の各リポタンパク質の粒子サイズを分画した波形データ(クロマトグラム)を提供する事により、病態や薬剤投与の影響によるリポタンパク質プロファイル全体の変化を視覚的に捉えることを可能としております。 さらに、リポタンパク質の「粒子サイズ」に加え「粒子数」の分析が可能になり、より詳細なデータが取得できるようになりました。また生活習慣病関連に係わる各種バイオマーカー測定の受託サービスも提供しており、本領域での新たな疾患マーカーの探索や、食品素材の機能性に関する研究等に対する総合的な支援を推進しております。さらに、伴侶動物(ペット)向けの脂質代謝関連疾患検査サービス「LipoTESTⓇ」を動物病院の獣医師様を経由して飼い主様に提供しております。このように、当社グループはヒトから伴侶動物に至るまで、本領域での豊富な研究ネットワークを有して、総合的な支援を通じた医療貢献を目指しております。 (4) 化粧品関連事業 化粧品関連事業は、当社グループの遺伝子組換えカイコ事業において開発した化粧品原料「ネオシルクⓇ-ヒトコラーゲンI」及びネオシルクⓇ-ヒトコラーゲンⅠ配合化粧品「フレヴァン」を化粧品業界や消費者の皆様に広く販売するため、連結完全子会社の株式会社ネオシルク化粧品が事業を展開しております。「ネオシルクⓇ-ヒトコラーゲンI」は、遺伝子組換えカイコの繭に発現させたもので、現在使用されている魚や豚等の異種タンパク質から生産されるコラーゲンとは異なる、今までにない全く新しい化粧品原料です。また、この繭はもちろんのこと、繭から生成したネオシルクⓇ-ヒトコラーゲンI には、組換え遺伝子は含まれておらず、純粋にヒトのコラーゲンと同等なアミノ酸骨格を有するものであることから、安全性が高く、消費者の皆様に安心してお使いいただける化粧品原料であると考えております。 (注) 用語解説については、「第4提出会社の状況 6コーポレート・ガバナンスの状況等」の末尾に記載しております。