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栄研化学(4549)は何で稼いでいるか — 事業の柱と依存度

医薬品 医薬品

事業の概要

  • 臨床検査薬の製造販売:栄研化学グループは、病気の診断や健康状態の把握に使われる「検査薬」を製造し、医療機関などに販売しています。これが主な収益源であり、人々の健康を支える重要な役割を担っています。
  • 海外子会社による受託生産・販売:中国にある連結子会社「栄研生物科技(中国)有限公司」は、親会社である栄研化学の検査薬の生産を請け負うほか、自社でも検査薬を仕入れて製造・販売しています。これにより、生産体制の強化と中国市場での事業展開を進めています。
  • グループ全体での事業展開:栄研化学グループは、親会社と2つの連結子会社、そして1つの持分法適用関連会社で構成されています。これらの会社が連携し、検査薬事業を中心にグローバルに事業を展開することで、安定的な収益基盤を築いています。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
セグメント構成
  • 検査薬の製造販売(日本):栄研化学グループの主要な事業は、日本国内における検査薬の製造と販売です。病気の診断や健康状態のチェックに使われる様々な検査薬を提供しており、これがグループ全体の収益の大部分を占める基盤となっています。
  • 検査薬の受託生産・販売(中国):中国の連結子会社である「栄研生物科技(中国)有限公司」は、親会社である栄研化学の検査薬の生産を請け負う役割を担っています。さらに、自社でも検査薬を仕入れて製造・販売しており、中国市場における事業展開と生産能力の強化に貢献しています。
  • 新規事業準備(アメリカ):アメリカの連結子会社である「EIKEN MEDICAL AMERICA INC.」は、現時点では事業を開始していませんが、将来的な新規事業展開に向けた準備段階にあると考えられます。これにより、北米市場への進出や新たな収益源の確立を目指す可能性があります。
有価証券報告書「事業の内容」の全文を見る(年度切替)
FY2025|314 文字
3 【事業の内容】当社グループは、当社、連結子会社(栄研生物科技(中国)有限公司及びEIKEN MEDICAL AMERICA INC.)の計3社及び持分法適用関連会社1社により構成されており、検査薬の製造販売を主な事業として営んでおります。栄研生物科技(中国)有限公司は、当社検査薬の受託生産及び検査薬の仕入製造販売を主な事業として営んでおります。EIKEN MEDICAL AMERICA INC.は、事業を開始しておりません。 以上のことを事業の系統図として示すと次のとおりであります。 [事業系統図] (注)EIKEN MEDICAL AMERICA INC.及び持分法適用関連会社1社は、上記系統図に含めておりません。

事業の優位性(モート)

事業の質(有価証券報告書から抽出)
数字に出ない事業の性質を、同じ物差しで全銘柄そろえています。FY2025時点の記載が出典です。
価格決定力値上げを通せるか。強いほどインフレ耐性が高い 弱い
診療報酬改定による保険点数の引き下げ、原材料費・人件費・物流費の高騰。
参入障壁新規参入を阻む要因の種類 規制
国・地域ごとの薬事規制等に従い製品を販売しており、薬事承認の遅延がリスクとなる。
景気敏感度業績が景気循環にどれだけ振られるか ディフェンシブ
設備投資の性質稼いだ現金がどれだけ設備維持に消えるか 混合
規制依存規制は障壁にも足枷にもなる 高い
会社が挙げる主要リスク:海外事業展開に係るリスク / 新製品・新技術・新規事業に係るリスク / 医療制度・薬事規制等に係るリスク
同じ条件で他の銘柄を探す → 定性スクリーニング(価格決定力・参入障壁・景気敏感度などで絞り込めます)
モート総合 8 / 25 5類型それぞれの強度と、そう判定した根拠
無形資産★★☆☆☆
根拠:中程度ブランド・特許・許認可

栄研化学は体外診断用医薬品分野で高い技術力を有し、特に感染症診断薬で強みを持つ。長年の研究開発によるノウハウや、特定の疾患領域におけるブランド認知は無形資産となりうるが、特許の有効期間や競合の追随リスクを考慮すると、現時点では限定的。

スイッチングコスト★★★☆☆
根拠:中程度乗り換えの手間・コスト

医療機関が栄研化学の診断薬・機器を導入した場合、既存の検査フローやデータ管理システムとの連携、医療従事者のトレーニングコストなどを考慮すると、他社製品への切り替えには一定のスイッチング・コストが発生する。特に、長年使用してきた機器や試薬との互換性が重要となる。

ネットワーク効果☆☆☆☆☆
根拠:弱い利用者増が価値を生む

体外診断用医薬品のビジネスモデルは、ユーザーが増えることで直接的な製品価値が向上するネットワーク効果は働きにくい。個々の医療機関での利用が中心であり、プラットフォーム型のような広範なユーザー間での相互作用は限定的。

コスト優位★☆☆☆☆
根拠:弱い同じ物を安く作れる

体外診断用医薬品の製造には高度な品質管理と専門知識が必要であり、一般的な製造業のような規模の経済による圧倒的なコスト優位性を築くことは難しい。一部の汎用的な試薬においてはコスト競争力がある可能性も否定できないが、主要な強みとは言えない。

規模の経済★★☆☆☆
根拠:中程度規模が参入障壁になる

体外診断用医薬品市場は、大手グローバル企業も参入する競争環境にある。栄研化学は国内市場で一定のシェアを持つものの、グローバルな視点で見ると、市場全体に対する最適規模の少数寡占を形成しているとは言い難い。国内でのプレゼンスは一定の規模の経済を示唆する。

  • 品質マネジメントシステムの確立:栄研化学グループは、国際的な品質マネジメントシステムであるISO13485認証やMDSAP認証を取得しており、製品の品質保証に力を入れています。これにより、高品質な検査薬を安定的に供給し、顧客からの信頼を得ています。
  • リスク管理体制の整備:「栄研グループ・リスク管理規程」を制定し、「リスク管理・コンプライアンス委員会」を設置するなど、体系的なリスク管理体制を構築しています。これにより、事業活動における様々なリスクを早期に特定し、適切に対応することで、経営の安定性を高めています。
  • 事業継続計画(BCP)の策定:大規模災害やパンデミックなど、予期せぬ事態が発生した場合でも製品供給を維持できるよう、事業継続計画(BCP)を策定しています。安全在庫の確保や複数社購買などにより、安定供給体制を強化し、事業の中断リスクを低減しています。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)

経営戦略

有価証券報告書「経営方針・対処すべき課題・MD&A」の全文を見る(年度切替)
経営方針・経営戦略
1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。(1) 経営方針当社グループは、「経営理念」、「経営ビジョン」、「モットー」からなる “EIKEN WAY”を制定し、グループ全体で“EIKEN WAY”を実践することにより持続的な企業価値の向上を図り、取引先の繁栄と株主並びに社会への貢献を果たしてまいります。 EIKEN WAY□経営理念  :ヘルスケアを通じて人々の健康を守ります。□経営ビジョン:EIKENグループは、人々の健康を守るため、検査のパイオニアとしてお客様に信頼される製品・サービスを提供し、企業価値の向上を図ります。□モットー  :品質で信頼され、技術で発展する“EIKEN” (2) 経営戦略等当社グループは、事業を取り巻く環境変化に対応するとともに、サステナビリティ経営の視点を取り込むため、2030年をゴールとして、「EIKEN ROAD MAP 2030」を策定いたしました。2030年の当社グループが目指す姿に向かっていくためのスローガンとして、「Beyond the Field ~ Team × Challenge ~」を掲げ、従業員一人ひとりがそれぞれの能力を高め自らが活躍できる領域を広げていくこと、その高めた個の力を、領域を超えて結集しチームでチャレンジすることで新しい可能性を生み出すこと、そして、現在の事業領域から一歩踏み出し、医療のプロセスにイノベーションを起こし、検査の未来を創っていくことを目指してまいります。「EIKEN ROAD MAP 2030」では、現在の事業領域を中核事業としつつ、注力事業分野として「がんの予防・治療への貢献」、「感染症撲滅・感染制御への貢献」、「ヘルスケアに役立つ製品・サービスの提供」の3つを設定しております。「がん」の分野ではより治療に直結する領域に、「感染症」の分野ではより簡易な検査技術の確立に注力いたします。また、「ヘルスケア」の分野ではQOL(生活の質)の向上を目指し、遠隔診療や在宅での検査に対応できる製品・サービスを拡大してまいります。 <中長期を見据えたビジョン>■がんの予防・治療への貢献当社グループは、これまで検診事業(予防と早期発見)に注力し、特に大腸がんではスクリーニングプログラムをグローバルに構築し、早期発見により死亡率減少と医療費抑制に貢献してまいりました。一方で、がんの治療には高額の医療費を必要とすることから適切な治療の選択が重要です。がんの予防・早期発見だけではなく、このような医療課題に対しても対応すべく、治療薬の選択や治療効果の判定まで網羅した検査システムを開発し提供することによって、がんによる死亡率の更なる減少を目指してまいります。■感染症撲滅・感染制御への貢献脅威となる感染症への対策として製品ラインアップを拡充し、グローバルでの結核やマラリアなど遺伝子検査システムを展開してまいります。また、より簡易で誰でもどこでも使える迅速で精確な感染症診断システムを開発することで、医療アクセスの向上に寄与してまいります。■ヘルスケアに役立つ製品・サービスの提供健康寿命の延伸に向けて、遠隔診療や在宅での検査の領域を広げて、モバイルヘルスへ発展させていきます。最終的には本人が意識しなくても健康状態を知らせてくれる暮らしに寄り添ったモニタリングシステムの開発を目指してまいります。 <中期経営計画>2025年4月から始まる新中期経営計画(2026年3月期~2028年3月期)では、「Challenges to Innovation」をスローガンに掲げ、収益基盤の強化に向けた抜本的な変革を進めてまいります。事業戦略では、海外市場の開拓・拡大、製品ポートフォリオの再構築、新製品の開発を基本方針とし、持続的な成長を目指します。海外市場においては、当社の成長を牽引する便潜血検査用試薬の新規採用国の増加に加え、各国における大腸がん検診の受診対象年齢の拡大により、検査需要は今後も大幅な拡大が見込まれます。これに対応すべく、積極的な海外展開を通じてその需要を確実に取り込んでまいります。また、国連及びWHOの方針により顕微鏡検査から遺伝子検査への移行が進む結核診断では、当社のLAMP法の特長を活かした結核検査システム(TB-LAMP)をインド及びアフリカ諸国で展開し、採用の拡大を図ります。これにより、途上国における結核検査へのアクセスを向上させ、感染症の撲滅に貢献してまいります。製品ポートフォリオの再構築では、主力製品群、収益製品群及び育成製品群へ集中的に投資するとともに、低収益製品群を中心に、①適正な製品価格への見直し、②製品剤型数の整理・集約、③市場環境や需要動向を踏まえた経営資源の再配分を進め、収益力の向上を図ります。さらに、新製品開発では、便潜血検査試薬市場の拡大を目指し、便潜血測定装置の後継機の開発を進めます。加えて、国内市場での競争力強化に向けて、ラテックス試薬の新規項目の開発を推進するとともに、次世代シーケンサーを活用した多遺伝子変異検索システム(MINtS)の肺がん項目の拡充にも取り組んでまいります。これらの事業戦略を支える基盤として、需要予測の精度向上や生産拠点の統合など、生産・供給体制の整備、効率性向上にも積極的に取り組んでまいります。財務・資本戦略としては、ROICを導入することで収益力と資本効率性を数値化したうえで、その達成に向けた具体的なアクションプランを策定し、企業価値の向上を目指します。また、成長を見据えたキャッシュアロケーションを設定し、内部留保の積極的な活用により成長分野への戦略投資を推進するほか、安定的かつ継続的な株主還元の強化にも取り組みます。さらに、新たな視点や機動力の向上を目的に執行体制を一新し、製品開発及びグローバル浸透策を加速させるとともに、サステナビリティ戦略の推進を通じたガバナンスの強化を図ってまいります。 (3) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等当社グループは、中期経営計画において2028年3月期を最終年度として、売上高46,900百万円(海外向け売上高15,100百万円)、営業利益5,900百万円(営業利益率12.6%)、ROIC 8.1%、ROE 9.3%を達成することを目指しております。 (4) 経営環境今後の見通しにつきましては、ウクライナ情勢や中東地域をはじめとする地政学リスクの継続、資源・原材料価格の高止まり、米国における保護主義的な通商政策の強まりなどにより、依然として不確実性の高い状況が続くことが見込まれます。当社グループは、事業を取り巻く環境変化に対応するとともに、経営構想「EIKEN ROAD MAP 2030」の下、現在の事業領域を中核事業としつつ、「がんの予防・治療への貢献」、「感染症撲滅・感染制御への貢献」、「ヘルスケアに役立つ製品・サービスの提供」の3つを注力事業分野として重点施策を展開してまいります。「がん」の分野ではより治療に直結する領域に、「感染症」の分野ではより簡易な検査技術の確立に注力いたします。また、「ヘルスケア」の分野では遠隔健診や在宅での検査に対応できる製品・サービスを拡大してまいります。2025年4月から始まる新中期経営計画(2026年3月期~2028年3月期)では、海外市場の開拓・拡大、製品ポートフォリオの再構築、新製品の開発を基本方針として、重点施策を展開してまいります。また、当社グループは、持続可能な社会の実現に向けて、優先的に取り組むべき11のマテリアリティ(重要課題)を特定し、具体的な行動計画に展開しています。各マテリアリティについて、達成度を評価するための指標(KPI)を設けて進捗状況をモニタリングしながら取組を進めております。世界の人々の健康を守る企業として「医療」の課題、そして「環境」・「社会」・「ガバナンス」の課題にも積極的に取り組み、社会課題の解決を通じて、さらなる企業価値の向上と持続可能な社会の実現につなげてまいります。次期の業績見通しにつきましては、海外での便潜血検査用試薬及び結核菌群検出試薬キットの売上増加により、売上高42,200百万円(前期比4.1%増)を見込んでおります。うち、海外向け売上高は12,050百万円(同12.5%増)と売上比率で28.6%を見込んでおります。利益面では、営業利益3,250百万円(同8.3%増)、経常利益3,100百万円(同3.1%減)、親会社株主に帰属する当期純利益3,770百万円(同69.2%増)を予想しております。 (5) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題当社グループは、当連結会計年度において、「EIKEN ROAD MAP 2030」及び中期経営計画(2023年3月期~2025年3月期)に基づき、以下の重点課題に取り組んでまいりました。①がんの予防・治療への貢献2024年9月及び11月には、『遺伝子解析プログラム MINtS Analyzer』及び『MINtS 肺癌マルチ CDx ライブラリー調製試薬キット』の製造販売承認を取得し、同年12月に保険適用となりました。これにより、非小細胞肺癌コンパニオン診断を目的としたEGFR遺伝子変異、ALK融合遺伝子、BRAF遺伝子変異(V600E)の検出及び抗悪性腫瘍薬の適応判定の補助に使用が可能となりました。今後もコンパニオン診断システムの普及に向けた取組を強化してまいります。また、便潜血検査用試薬に関し、採便容器に使用する緩衝液を改良し、ヘモグロビンの安定性及び抗体との反応性を向上させることに成功しました。この改良緩衝液はすでに市場へ展開しており、高温環境下における郵送検診の実施を可能としました。今後も郵送検診の普及を通じて、大腸がん検診の受診率向上を促進してまいります。②感染症撲滅・感染制御への貢献LAMP法を用いた結核検査システム(TB-LAMP)は、2023年にナイジェリア連邦共和国において巡回健診による積極的結核患者スクリーニングプログラムとして大規模に採用されました。この取組は2024年度も継続・拡大され、現地における結核撲滅に向けた貢献を果たしています。また、マラリアやNTDs(顧みられない熱帯病)への対応にも注力し、感染症撲滅にむけた活動を継続してまいります。③ヘルスケアに役立つ製品・サービスの提供2023年には、便中カルプロテクチン測定試薬に「クローン病の病態把握の補助」を目的とした使用(臨床的意義)について薬事承認を取得しました。これにより、非侵襲的な便検査によりクローン病の病態を把握できる新たな選択肢として注目され、2024年度も国内の医療機関への導入が進みました。また、海外では、欧米を中心に便中カルプロテクチン検査の活用が広がっており、今後も海外市場における展開を積極的に推進してまいります。新中期経営計画(2026年3月期~2028年3月期)では、海外市場の開拓・拡大、製品ポートフォリオの再構築、新製品の開発を基本方針とした経営を推進し、持続的な成長と着実な収益性の向上を目指してまいります。
対処すべき課題
1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。(1) 経営方針当社グループは、「経営理念」、「経営ビジョン」、「モットー」からなる “EIKEN WAY”を制定し、グループ全体で“EIKEN WAY”を実践することにより持続的な企業価値の向上を図り、取引先の繁栄と株主並びに社会への貢献を果たしてまいります。 EIKEN WAY□経営理念  :ヘルスケアを通じて人々の健康を守ります。□経営ビジョン:EIKENグループは、人々の健康を守るため、検査のパイオニアとしてお客様に信頼される製品・サービスを提供し、企業価値の向上を図ります。□モットー  :品質で信頼され、技術で発展する“EIKEN” (2) 経営戦略等当社グループは、事業を取り巻く環境変化に対応するとともに、サステナビリティ経営の視点を取り込むため、2030年をゴールとして、「EIKEN ROAD MAP 2030」を策定いたしました。2030年の当社グループが目指す姿に向かっていくためのスローガンとして、「Beyond the Field ~ Team × Challenge ~」を掲げ、従業員一人ひとりがそれぞれの能力を高め自らが活躍できる領域を広げていくこと、その高めた個の力を、領域を超えて結集しチームでチャレンジすることで新しい可能性を生み出すこと、そして、現在の事業領域から一歩踏み出し、医療のプロセスにイノベーションを起こし、検査の未来を創っていくことを目指してまいります。「EIKEN ROAD MAP 2030」では、現在の事業領域を中核事業としつつ、注力事業分野として「がんの予防・治療への貢献」、「感染症撲滅・感染制御への貢献」、「ヘルスケアに役立つ製品・サービスの提供」の3つを設定しております。「がん」の分野ではより治療に直結する領域に、「感染症」の分野ではより簡易な検査技術の確立に注力いたします。また、「ヘルスケア」の分野ではQOL(生活の質)の向上を目指し、遠隔診療や在宅での検査に対応できる製品・サービスを拡大してまいります。 <中長期を見据えたビジョン>■がんの予防・治療への貢献当社グループは、これまで検診事業(予防と早期発見)に注力し、特に大腸がんではスクリーニングプログラムをグローバルに構築し、早期発見により死亡率減少と医療費抑制に貢献してまいりました。一方で、がんの治療には高額の医療費を必要とすることから適切な治療の選択が重要です。がんの予防・早期発見だけではなく、このような医療課題に対しても対応すべく、治療薬の選択や治療効果の判定まで網羅した検査システムを開発し提供することによって、がんによる死亡率の更なる減少を目指してまいります。■感染症撲滅・感染制御への貢献脅威となる感染症への対策として製品ラインアップを拡充し、グローバルでの結核やマラリアなど遺伝子検査システムを展開してまいります。また、より簡易で誰でもどこでも使える迅速で精確な感染症診断システムを開発することで、医療アクセスの向上に寄与してまいります。■ヘルスケアに役立つ製品・サービスの提供健康寿命の延伸に向けて、遠隔診療や在宅での検査の領域を広げて、モバイルヘルスへ発展させていきます。最終的には本人が意識しなくても健康状態を知らせてくれる暮らしに寄り添ったモニタリングシステムの開発を目指してまいります。 <中期経営計画>2025年4月から始まる新中期経営計画(2026年3月期~2028年3月期)では、「Challenges to Innovation」をスローガンに掲げ、収益基盤の強化に向けた抜本的な変革を進めてまいります。事業戦略では、海外市場の開拓・拡大、製品ポートフォリオの再構築、新製品の開発を基本方針とし、持続的な成長を目指します。海外市場においては、当社の成長を牽引する便潜血検査用試薬の新規採用国の増加に加え、各国における大腸がん検診の受診対象年齢の拡大により、検査需要は今後も大幅な拡大が見込まれます。これに対応すべく、積極的な海外展開を通じてその需要を確実に取り込んでまいります。また、国連及びWHOの方針により顕微鏡検査から遺伝子検査への移行が進む結核診断では、当社のLAMP法の特長を活かした結核検査システム(TB-LAMP)をインド及びアフリカ諸国で展開し、採用の拡大を図ります。これにより、途上国における結核検査へのアクセスを向上させ、感染症の撲滅に貢献してまいります。製品ポートフォリオの再構築では、主力製品群、収益製品群及び育成製品群へ集中的に投資するとともに、低収益製品群を中心に、①適正な製品価格への見直し、②製品剤型数の整理・集約、③市場環境や需要動向を踏まえた経営資源の再配分を進め、収益力の向上を図ります。さらに、新製品開発では、便潜血検査試薬市場の拡大を目指し、便潜血測定装置の後継機の開発を進めます。加えて、国内市場での競争力強化に向けて、ラテックス試薬の新規項目の開発を推進するとともに、次世代シーケンサーを活用した多遺伝子変異検索システム(MINtS)の肺がん項目の拡充にも取り組んでまいります。これらの事業戦略を支える基盤として、需要予測の精度向上や生産拠点の統合など、生産・供給体制の整備、効率性向上にも積極的に取り組んでまいります。財務・資本戦略としては、ROICを導入することで収益力と資本効率性を数値化したうえで、その達成に向けた具体的なアクションプランを策定し、企業価値の向上を目指します。また、成長を見据えたキャッシュアロケーションを設定し、内部留保の積極的な活用により成長分野への戦略投資を推進するほか、安定的かつ継続的な株主還元の強化にも取り組みます。さらに、新たな視点や機動力の向上を目的に執行体制を一新し、製品開発及びグローバル浸透策を加速させるとともに、サステナビリティ戦略の推進を通じたガバナンスの強化を図ってまいります。 (3) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等当社グループは、中期経営計画において2028年3月期を最終年度として、売上高46,900百万円(海外向け売上高15,100百万円)、営業利益5,900百万円(営業利益率12.6%)、ROIC 8.1%、ROE 9.3%を達成することを目指しております。 (4) 経営環境今後の見通しにつきましては、ウクライナ情勢や中東地域をはじめとする地政学リスクの継続、資源・原材料価格の高止まり、米国における保護主義的な通商政策の強まりなどにより、依然として不確実性の高い状況が続くことが見込まれます。当社グループは、事業を取り巻く環境変化に対応するとともに、経営構想「EIKEN ROAD MAP 2030」の下、現在の事業領域を中核事業としつつ、「がんの予防・治療への貢献」、「感染症撲滅・感染制御への貢献」、「ヘルスケアに役立つ製品・サービスの提供」の3つを注力事業分野として重点施策を展開してまいります。「がん」の分野ではより治療に直結する領域に、「感染症」の分野ではより簡易な検査技術の確立に注力いたします。また、「ヘルスケア」の分野では遠隔健診や在宅での検査に対応できる製品・サービスを拡大してまいります。2025年4月から始まる新中期経営計画(2026年3月期~2028年3月期)では、海外市場の開拓・拡大、製品ポートフォリオの再構築、新製品の開発を基本方針として、重点施策を展開してまいります。また、当社グループは、持続可能な社会の実現に向けて、優先的に取り組むべき11のマテリアリティ(重要課題)を特定し、具体的な行動計画に展開しています。各マテリアリティについて、達成度を評価するための指標(KPI)を設けて進捗状況をモニタリングしながら取組を進めております。世界の人々の健康を守る企業として「医療」の課題、そして「環境」・「社会」・「ガバナンス」の課題にも積極的に取り組み、社会課題の解決を通じて、さらなる企業価値の向上と持続可能な社会の実現につなげてまいります。次期の業績見通しにつきましては、海外での便潜血検査用試薬及び結核菌群検出試薬キットの売上増加により、売上高42,200百万円(前期比4.1%増)を見込んでおります。うち、海外向け売上高は12,050百万円(同12.5%増)と売上比率で28.6%を見込んでおります。利益面では、営業利益3,250百万円(同8.3%増)、経常利益3,100百万円(同3.1%減)、親会社株主に帰属する当期純利益3,770百万円(同69.2%増)を予想しております。 (5) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題当社グループは、当連結会計年度において、「EIKEN ROAD MAP 2030」及び中期経営計画(2023年3月期~2025年3月期)に基づき、以下の重点課題に取り組んでまいりました。①がんの予防・治療への貢献2024年9月及び11月には、『遺伝子解析プログラム MINtS Analyzer』及び『MINtS 肺癌マルチ CDx ライブラリー調製試薬キット』の製造販売承認を取得し、同年12月に保険適用となりました。これにより、非小細胞肺癌コンパニオン診断を目的としたEGFR遺伝子変異、ALK融合遺伝子、BRAF遺伝子変異(V600E)の検出及び抗悪性腫瘍薬の適応判定の補助に使用が可能となりました。今後もコンパニオン診断システムの普及に向けた取組を強化してまいります。また、便潜血検査用試薬に関し、採便容器に使用する緩衝液を改良し、ヘモグロビンの安定性及び抗体との反応性を向上させることに成功しました。この改良緩衝液はすでに市場へ展開しており、高温環境下における郵送検診の実施を可能としました。今後も郵送検診の普及を通じて、大腸がん検診の受診率向上を促進してまいります。②感染症撲滅・感染制御への貢献LAMP法を用いた結核検査システム(TB-LAMP)は、2023年にナイジェリア連邦共和国において巡回健診による積極的結核患者スクリーニングプログラムとして大規模に採用されました。この取組は2024年度も継続・拡大され、現地における結核撲滅に向けた貢献を果たしています。また、マラリアやNTDs(顧みられない熱帯病)への対応にも注力し、感染症撲滅にむけた活動を継続してまいります。③ヘルスケアに役立つ製品・サービスの提供2023年には、便中カルプロテクチン測定試薬に「クローン病の病態把握の補助」を目的とした使用(臨床的意義)について薬事承認を取得しました。これにより、非侵襲的な便検査によりクローン病の病態を把握できる新たな選択肢として注目され、2024年度も国内の医療機関への導入が進みました。また、海外では、欧米を中心に便中カルプロテクチン検査の活用が広がっており、今後も海外市場における展開を積極的に推進してまいります。新中期経営計画(2026年3月期~2028年3月期)では、海外市場の開拓・拡大、製品ポートフォリオの再構築、新製品の開発を基本方針とした経営を推進し、持続的な成長と着実な収益性の向上を目指してまいります。
MD&A(経営者による分析)
4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】(1) 経営成績等の状況の概要当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。① 財政状態及び経営成績の状況当連結会計年度における国内外の経済は、依然として資源価格の高騰や地政学的リスク、主要国の金融政策等の影響を受け、不安定な状況のまま推移しました。臨床検査薬業界においては医療費抑制策と円安や原油高による物流及び原材料調達などのコスト上昇の継続により経営環境は一層厳しさを増しております。各企業には一層のコスト競争力の強化と、戦略的な海外市場への展開が求められております。このような経営環境の下、当社グループは経営構想「EIKEN ROAD MAP 2030」に基づき策定された中期経営計画に沿って、「がんの予防・治療への貢献」、「感染症撲滅・感染制御への貢献」、「ヘルスケアに役立つ製品・サービスの提供」の3つの注力事業分野を中心に重点施策を展開し、グループ全体で持続的な成長と着実な収益性の向上に努めております。また、世界の人々の健康を守る企業として「医療」の課題、そして「環境」・「社会」・「ガバナンス」の課題にも積極的に取り組み、さらなる企業価値の向上と持続可能な社会の実現を目指しております。当連結会計年度の売上高は、国内においては前年並みの水準で推移し、一方、海外の販売が堅調に推移したことにより、40,539百万円(前期比1.2%増)となりました。なお、当社の業績予想に対しては0.8%増になりました。全体としては、国内外ともに安定した売上を維持する結果となりました。製品ごとの売上高では、微生物検査用試薬は、迅速診断キットが売上を伸ばし、4,501百万円(同4.4%増)となりました。尿検査用試薬は、国内外で堅調に推移し、4,620百万円(同5.0%増)となりました。免疫血清検査用試薬は、海外向けの便潜血検査用試薬の売上が増加し、また、東ソー株式会社から導入・販売している製品が堅調に推移し、22,540百万円(同3.8%増)となりました。生化学検査用試薬は573百万円(同0.4%減)、器具・食品環境関連培地は1,960百万円(同0.1%減)となりました。その他(医療機器・遺伝子関連等)につきましては、医療機器の売上と新型コロナウイルス検出試薬の売上及びLAMP法の特許料収入が大幅に減少し、6,342百万円(同10.5%減)となりました。なお、海外向け売上高は、尿検査用試薬および便潜血検査用試薬の売上が伸び、10,710百万円(同5.9%増)となりました。利益面では、高利益品目である新型コロナウイルス検出試薬の売上及びLAMP法の特許料収入の減少など売上構成の変化により、営業利益は2,999百万円(同11.2%減)、経常利益は3,198百万円(同10.4%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は2,228百万円(同15.4%減)となりました。 当連結会計年度末の財政状態は以下のとおりであります。前連結会計年度末に比べ総資産は720百万円増加、負債は3,093百万円増加、純資産は2,373百万円減少いたしました。増減の主なものとして、資産の部では、自己株式の取得等により現金及び預金が6,434百万円減少、受取手形、売掛金及び契約資産が750百万円減少しております。野木新生産棟建設費用の支払に伴う建設仮勘定計上等により有形固定資産が5,116百万円増加しております。また、関係会社株式が900百万円増加、長期預金が1,100百万円増加しております。負債の部では、電子記録債務が478百万円増加、未払法人税等が401百万円増加しております。純資産の部では、親会社株主に帰属する当期純利益の計上があったものの、配当金の支払や自己株式の取得等により株主資本が2,170百万円減少しております。これらの結果、自己資本比率は前連結会計年度末の74.0%から69.3%となりました。 ② キャッシュ・フローの状況当連結会計年度における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ3,326百万円減少し、当連結会計年度末には7,640百万円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。(営業活動によるキャッシュ・フロー)営業活動による資金は、6,033百万円の収入(前連結会計年度は3,806百万円の収入)となりました。これは主に、売上債権の減少により740百万円の収入、棚卸資産の増加により403百万円の支出、仕入債務の増加により1,081百万円の収入及び税金等調整前当期純利益が2,991百万円あったことによります。 なお、減価償却費は2,554百万円発生しております。 (投資活動によるキャッシュ・フロー)投資活動による資金は、4,499百万円の支出(前連結会計年度は2,216百万円の支出)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出が5,214百万円、関係会社株式の取得による支出が900百万円、定期預金の預入による支出が3,467百万円及び定期預金の払戻による収入が5,470百万円あったことによります。(財務活動によるキャッシュ・フロー)財務活動による資金は、4,857百万円の支出(前連結会計年度は6,694百万円の支出)となりました。これは主に、自己株式の取得による支出が2,675百万円、配当金の支払額が1,799百万円あったことによります。 ③ 生産、受注及び販売の実績当社グループは、検査薬事業のみの単一セグメントであるため、生産、受注及び販売の実績については製品の種類別区分ごとに記載しております。(ア)生産実績当連結会計年度における生産実績を製品の種類別区分ごとに示すと、次のとおりであります。 製品の種類別区分の名称当連結会計年度(自 2024年4月1日至 2025年3月31日)前期比(%)微生物検査用試薬(百万円)4,274106.9尿検査用試薬(百万円)4,58894.3免疫血清検査用試薬(百万円)6,91590.5器具・食品環境関連培地(百万円)10682.9その他(百万円)1,828117.8合計(百万円)17,71397.4 (注) 金額は、売価換算値で表示しております。 (イ)商品仕入実績当連結会計年度における商品仕入実績を製品の種類別区分ごとに示すと、次のとおりであります。 製品の種類別区分の名称当連結会計年度(自 2024年4月1日至 2025年3月31日)前期比(%)微生物検査用試薬(百万円)34297.9尿検査用試薬(百万円)27145.8免疫血清検査用試薬(百万円)10,379112.5生化学検査用試薬(百万円)329110.8器具・食品環境関連培地(百万円)1,500100.5その他(百万円)3,557108.4合計(百万円)16,137110.0 (ウ)受注実績当社グループは見込み生産を行っているため、該当事項はありません。 (エ)販売実績当連結会計年度における販売実績を製品の種類別区分ごとに示すと、次のとおりであります。 製品の種類別区分の名称当連結会計年度(自 2024年4月1日至 2025年3月31日)前期比(%)微生物検査用試薬(百万円)4,501104.4尿検査用試薬(百万円)4,620105.0免疫血清検査用試薬(百万円)22,540103.8生化学検査用試薬(百万円)57399.6器具・食品環境関連培地(百万円)1,96099.9その他(百万円)6,34289.5合計(百万円)40,539101.2 (注)  最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。 相手先前連結会計年度(自 2023年4月1日至 2024年3月31日)当連結会計年度(自 2024年4月1日至 2025年3月31日)金額(百万円)割合(%)金額(百万円)割合(%)㈱スズケン4,89112.24,82911.9アルフレッサ㈱4,47611.24,55911.2東邦薬品㈱4,32810.84,45011.0 (2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであり、将来のリスク、不確実性及び仮定を伴う予測情報を含んでおります。「3 事業等のリスク」などに記載された事項及びその他の要因により、当社グループの実際の業績は、これらの予測情報から予測された内容とは大幅に異なる可能性があります。 ① 重要な会計方針及び見積り当社の連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。当社経営陣は、連結財務諸表の作成に際し、決算日における資産・負債の報告数値及び偶発資産・負債の開示、並びに報告期間における収入・費用の報告数値に影響を与える見積り及び仮定設定を行わなければなりません。経営陣は、貸倒債権、退職金、投資、偶発事象や訴訟等に関する見積り及び判断に対して、継続して評価を行っております。経営陣は、過去の実績や状況に応じ合理的だと考えられる様々な要因に基づき、見積り及び判断を行い、その結果は、他の方法では判定しにくい資産・負債の簿価及び収入・費用の報告数字についての判断の基礎となります。実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。当社は、特に以下の重要な会計方針が、当社の連結財務諸表の作成において使用される当社の重要な判断と見積りに大きな影響を及ぼすと考えております。(ア)貸倒引当金当社グループは、顧客の支払不能時に発生する損失の見積額について、貸倒引当金を計上しております。顧客の財務状態が悪化し、その支払能力が低下した場合、追加引当が必要となる可能性があります。(イ)退職給付費用当社においては従業員退職給付費用及び債務は、数理計算上で設定される前提条件に基づいて算出しております。これらの前提条件には、割引率、将来の給与水準、退職率、直近の統計数値に基づいて算出される死亡率及び年金資産の収益率などが含まれます。当社の年金制度においては、割引率は日本の国債の市場利回りを参考値として、在籍従業員の平均残存勤務期間内の一定の年数で算出しております。期待収益率は、年金資産が投資されている資産の種類毎の期待収益率の加重平均に基づいて計算しております。実際の結果が前提条件と異なる場合、または前提条件が変更された場合、その影響は累積され、将来にわたって規則的に認識されるため、一般的には将来期間において認識される費用及び計上される債務に影響を及ぼします。また、割引率の低下及び年金資産運用での損失は、当社グループの退職給付費用に対して悪影響を及ぼす可能性があります。(ウ)投資の減損当社グループは、取引関係維持のために、特定の顧客の株式を保有しております。これらの株式には価格変動性が高い公開会社の株式と、株価の決定が困難である非公開会社の株式が含まれます。また、関係会社に対して出資を行っております。当社グループは投資価値が著しく下落し、回復の見込みがないと判断した場合、投資の減損を計上しております。将来の市況悪化または投資先の業績不振により、現在の簿価に反映されていない損失または簿価の回収不能が発生した場合、評価損の計上が必要となる可能性があります。(エ)棚卸資産の評価「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り) 」に記載のとおりであります。 ② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容当社グループの当連結会計年度の経営成績等は、以下のとおりであります。当連結会計年度の売上高は、国内においては前年並みの水準で推移し、一方、海外の販売が堅調に推移したことにより、40,539百万円(前期比1.2%増)となりました。 売上原価は24,027百万円、売上原価率は59.3%となり、前連結会計年度に比べ1.0ポイント上昇いたしました。 売上総利益は前連結会計年度に比べ210百万円減少し、16,512百万円となりました。販売費及び一般管理費については前連結会計年度に比べ167百万円増加し、13,512百万円となりました。 営業利益は前連結会計年度に比べ377百万円減少し、2,999百万円となりました。売上高営業利益率は7.4%となり前連結会計年度に比べ1.0ポイント低下いたしました。 営業外収益は235百万円を計上し、前連結会計年度に比べ49百万円減少いたしました。 営業外費用は36百万円を計上し、前連結会計年度に比べ57百万円減少いたしました。 経常利益は営業外損益で199百万円を計上し、3,198百万円となり、前連結会計年度に比べ369百万円減少いたしました。経常利益率は前連結会計年度に比べ1.0ポイント低下し、7.9%となりました。 特別利益は49百万円を計上し、前連結会計年度に比べ48百万円増加いたしました。特別損失は256百万円を計上し、前連結会計年度に比べ190百万円増加いたしました。 税金等調整前当期純利益は特別損益で207百万円の純損失を計上し、2,991百万円となりました。税金等調整前当期純利益に対する法人税、住民税及び事業税の負担率は前連結会計年度24.8%に対して当連結会計年度が25.5%となり、0.7ポイント上昇いたしました。 親会社株主に帰属する当期純利益は前連結会計年度に比べ406百万円減少し、2,228百万円となり、当期純利益率としては1.1ポイント低下し5.5%となりました。 当社グループは、経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等として、2025年3月期に売上高43,100百万円、営業利益5,660百万円、ROE9.5%の達成を目指しておりましたが、売上高40,539百万円、営業利益2,999百万円、ROE5.0%となり目標値に対して未達となりました。 指標2024年3月期2025年3月期目標実績目標実績連結売上高(百万円)42,00040,05243,10040,539連結営業利益(百万円)5,3803,3775,6602,999ROE(%)8.45.69.55.0 当社グループの資本の財源及び資金の流動性については以下のとおりであります。(ア)キャッシュ・フロー当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、「(1) 経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。(イ)財務政策当社グループの財務政策における基本方針は、資本効率の向上による財務体質の強化であり、継続的に実行しております。 資金の調達及び運用については、当社グループとして一体となり実行しており当社の信用力を最大限に活用しております。運転資金及び設備投資については、基本的に手持資金(利益等の内部留保資金)にて調達しております。なお、運転資金の効率的な調達を行うため金融機関との間で、総額8,600百万円の当座貸越契約及び貸出コミットメント契約を締結しております。余剰資金の運用については、安全性・流動性の高い金融商品にて実行しております。当社グループの高いキャッシュポジションに対して、今後の効率的・戦略的な資金運用を検討しております。 当社グループは、その健全な財務状態、営業活動によるキャッシュ・フローを生み出す能力、売掛債権信託(債権流動化)及び貸出コミットメント契約により、当社グループの成長を維持するために将来必要な運転資金及び設備投資資金を調達することが可能と考えておりますが、設備投資等の長期資金需要に関しては金融機関からの長期借入、社債またはその組み合わせによる調達方法も実施しております。 また、当社は、財務体質の強化と積極的な事業展開による持続的な企業価値の向上を経営目標に掲げるとともに、株主の皆様に対する継続的な利益還元を経営上の最重要施策の一つとして位置付け、中間配当と期末配当の年2回の剰余金の配当を行うことを基本方針としております。上記方針を踏まえ、株主の皆様に対する利益還元の強化を目的として、「総還元性向50%以上」を目指します。

事業リスク

  • 海外事業展開におけるリスク:グローバルに事業を展開する中で、各国の経済状況の変化、パンデミック、地政学的リスクなどが、主力製品である便潜血検査用試薬の需要に影響を与える可能性があります。また、新製品の薬事承認の遅延や高関税の課税も、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
  • 新製品・新技術開発のリスク:「EIKEN ROAD MAP 2030」達成のためには新製品・新技術の開発が不可欠ですが、研究開発には不確実性が伴います。開発の遅延や中止、市場ニーズとの不一致などにより、投資回収が困難になったり、事業化の機会を逸したりする可能性があり、中長期的な業績に影響を与える恐れがあります。
  • 医療制度・薬事規制変更のリスク:各国・地域の医療制度改革による医療費抑制策や薬事規制の強化、環境規制の厳格化などが、製品価格や販売方法、薬事申請プロセスに影響を与える可能性があります。これにより、製品の競争力が低下したり、事業活動に制約が生じたりして、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
有価証券報告書「事業等のリスク」の全文を見る(年度切替)
FY2025|2,915 文字
3 【事業等のリスク】   当社グループは、臨床検査薬の製造・販売を主たる事業として、経営構想「EIKEN ROAD MAP 2030」に基づき、グローバルに事業活動を展開しています。事業活動において存在する様々なリスクに対応するため、当社グループではグループのリスク管理を体系的に定める「栄研グループ・リスク管理規程」を制定するとともに、全執行役を委員とする「リスク管理・コンプライアンス委員会」を設置することにより、リスクマネジメント活動を統括しています。リスクマネジメントに関する取組が取締役会へ報告され、取締役会がその実効性を監督しています。   有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項は、以下のようなものがあります。   なお、これらのほかにも現在及び将来において、財政状態及び経営成績に影響を与える可能性のある様々なリスクが存在しており、ここに記載されたリスクは当社グループのすべてのリスクではありません。また、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。 (1)海外事業展開に係るもの   「EIKEN ROAD MAP 2030」の達成のためには、グローバル展開の推進が必要となります。しかし、国・地域ごとの経済・景気の変化、パンデミックの発生や地政学的リスク等により、主力製品である便潜血検査用試薬に関して大腸がん検診のスクリーニングプログラムの遅延または実施の中断や中止などがあった場合や新製品の薬事承認の遅延があった場合、また、米国で販売する検査用試薬や医療機器に高い関税が課せられた場合には、財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。   このようなリスクを踏まえ、当社グループでは海外営業部門が、販売代理店等を通じて各国の経済動向及びリスク情報の迅速な収集・共有に努め、適時適切に対応してまいります。 (2)新製品・新技術・新規事業に係るもの   「EIKEN ROAD MAP 2030」の達成のためには、新製品・新技術・新規事業の展開も必要となります。当社グループは、医療ニーズ及び中長期的なビジョンに基づき新製品・新技術の企画・開発の強化及び新規事業の創出を図っております。しかし、研究開発の不確実性(遅延・中断や中止)により研究開発投資の回収が困難になった場合若しくはそれによる事業化機会の逸失または刻々と変化する市場動向との不整合等により十分な成果に結びつかなかった場合や新規事業の計画の遅延や中断があった場合には、中長期的な事業計画が影響を受け、財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。   このようなリスクを踏まえ、当社グループでは「EIKEN ROAD MAP 2030」及び中期経営計画において、事業環境の変化に応じた事業戦略を策定し、新製品・新技術の戦略的推進を図り、また、投資回収の基準を設定し、経営会議、取締役会等で進捗を評価・管理しております。 (3)医療制度・薬事規制等に係るもの   当社グループは、国・地域ごとの薬事規制等に従い製品を販売しておりますが、各国の医療制度改革の動向により医療費抑制や薬事規制が強化された場合、また、検査用試薬や医療機器への環境規制が強化された場合には、製品価格や製品の使用方法のほか、薬事申請や入札条件等が影響を受け、財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。   このようなリスクを踏まえ、当社グループでは薬事部門が各国の医療制度や薬事規制の動向の迅速な把握に努め、適時適切に対応してまいります。 (4)製品品質に係るもの   当社グループは、品質マネジメントシステム(ISO13485認証、MDSAP認証)に基づく品質管理体制のもと製品の品質保証に取り組んでおります。しかし、万一製品に品質問題が発生し製品の供給維持ができなくなった場合には、財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。   このようなリスクを踏まえ、当社グループでは生産技術力の強化による品質の安定化と品質マネジメントシステムの適切な運用及び市場における製品の品質評価の調査・分析により品質のモニタリングと品質保証の強化に取り組んでおります。 (5)製品の安定供給に係るもの   当社グループまたはサプライヤーの工場・設備が、大規模な地震、風水害等の自然災害や火災等の重大な事故により甚大な被害を被った場合やパンデミックの発生または地政学的リスク等により、長期間の操業停止となった場合には、製品の供給維持ができなくなり、財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。   このようなリスクを踏まえ、当社グループでは製品の安全在庫の確保とともに、重要な原材料の在庫量確保や複数社購買などによるリスク回避に努めるほか、事業継続計画(BCP)を策定し、供給維持が図れるよう対応能力の継続的向上に取り組んでおります。なお、当社は、内閣官房国土強靭化推進室が進める国土強靭化貢献団体認証(レジリエンス認証)を取得しております。 (6)ITシステムに係るもの   当社グループは、業務効率化のため各種ITシステムを導入し、ビジネスプロセスの改善に取り組んでおります。そのため、災害等によるシステム障害、サイバー攻撃やコンピュータウイルス感染による業務の阻害や社外への情報流出等が発生し長期間の対応が必要となった場合には、財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。   このようなリスクを踏まえ、当社グループでは適切な情報セキュリティ対策を構築するとともに、標的型攻撃メール対応やITリテラシー向上を目的とした教育訓練を定期的に実施しております。 (7)原材料価格・輸送コストの高騰等に係るもの   当社グループの製品に使用する原材料の価格は、国・地域ごとの経済情勢の変化、パンデミックの発生や地政学的リスク等に伴う市場価格、燃料費、為替等の変化によって変動します。当該価格がこれらの原因等により高騰した場合や製品の輸送コストが高騰した場合には、当該製品の原価が上昇し、財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。   このようなリスクを踏まえ、当社グループでは主要な原材料の複数社購買、原材料の市場動向等の情報収集、適正在庫の確保等の対応策や継続的な生産効率化による製造原価の低減を実施しております。 (8)棚卸資産の評価   当社グループは、2025年3月期連結貸借対照表において棚卸資産として8,500百万円を計上しており、総資産に対する比率は13.6%となっております。急激な需給バランスの悪化等により製商品市況が著しく下落した場合には、棚卸資産の評価減により、財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。   このようなリスクを踏まえ、当社グループでは、在庫品の状況を注視し、安全在庫を念頭においた適正な在庫管理を行うなど、過剰在庫等が発生するリスクの軽減を図ってまいります。

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