事業の概要
- 医療機器の多角的な事業展開テルモは、心臓血管、メディカルケアソリューション、血液・細胞テクノロジーの3つの主要事業領域で医療機器やサービスを提供しています。これにより、特定の医療分野に依存せず、幅広い医療ニーズに対応することで安定した収益基盤を築いています。世界中の医療現場に貢献することで、持続的な成長を目指しています。
- グローバルな事業体制連結子会社99社、持分法適用会社4社からなる企業集団として、グローバルに事業を展開しています。これにより、各地域の医療制度やニーズに合わせた製品・サービスを提供し、国際的な市場での競争力を高めています。多様な地域での事業展開は、特定の市場リスクを分散する効果も期待できます。
- 専門性の高い製品群心臓血管分野ではカテーテル治療関連製品、メディカルケアソリューションでは輸液ポンプや注射針、血液・細胞テクノロジーでは献血・細胞治療関連製品など、専門性の高い医療機器を提供しています。これらの製品は高度な技術と品質が求められるため、参入障壁が高く、安定した収益源となっています。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
セグメント構成
- 心臓血管カンパニー心臓血管系の疾患治療に特化した医療機器を提供しており、売上高2,615.29億円、営業利益607.87億円と、テルモグループの稼ぎ頭となっています。カテーテル治療関連製品など、高度な技術を要する製品が多く、高収益性を実現しています。グローバルな市場で競争力を持ち、成長を牽引する事業です。
- メディカルケアソリューションズカンパニー病院や在宅医療で使われる汎用的な医療機器やサービスを提供しており、売上高1,579.46億円、営業利益237.72億円を計上しています。輸液ポンプや注射針など、幅広い製品ラインナップで医療現場の多様なニーズに応えています。安定した需要が見込まれる事業であり、グループ全体の基盤を支えています。
- 血液・細胞テクノロジーカンパニー献血関連製品や細胞治療・再生医療関連製品を手掛けており、売上高944.83億円に対し、営業利益は-29.06億円と赤字を計上しています。この事業は、将来の医療を支える革新的な技術開発に注力しており、現在は研究開発投資が先行している段階と考えられます。長期的な視点での成長が期待される分野です。
FY2017 セグメント別業績
| セグメント | 区分 | 売上(億) | 営業利益(億) | 営業利益率 |
|---|---|---|---|---|
| CardiacAndVascularCompany | 事業 | 2,615 | 608 | 23.2% |
| GeneralHospitalCompany | 事業 | 1,579 | 238 | 15.1% |
| BloodManagementCompany | 事業 | 945 | -29 | -3.1% |
有価証券報告書「事業の内容」の全文を見る(年度切替)
3 【事業の内容】当社の企業集団は、連結財務諸表提出会社(以下、「当社」)と、連結子会社99社、持分法適用会社4社により構成されており、その事業区分を「心臓血管カンパニー」、「メディカルケアソリューションズカンパニー」、「血液・細胞テクノロジーカンパニー」の3事業に区分しております。上記事業は「第5経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 ⑥連結財務諸表注記 5.セグメント情報」に掲げるセグメントの区分と同一です。当社グループを構成している各会社間の取引の概要と位置づけは以下の図のとおりです。関係会社と事業区分の関係は「第1企業の概況 4関係会社の状況」に、事業区分ごとの主要な製品は「第5経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 ⑥連結財務諸表注記 5.セグメント情報」に記載のとおりです。
事業の優位性(モート)
事業の質(有価証券報告書から抽出)
数字に出ない事業の性質を、同じ物差しで全銘柄そろえています。FY2025時点の記載が出典です。
| 価格決定力値上げを通せるか。強いほどインフレ耐性が高い | 中程度 医療現場の効率化やGHG排出量削減に寄与する製品提供で価格交渉力を持つ。 |
|---|---|
| 参入障壁新規参入を阻む要因の種類 | 技術 薬剤溶出型冠動脈ステントの適応拡大やカスタムメイド製品提供サービスなど、高度な技術とサービス。 |
| 景気敏感度業績が景気循環にどれだけ振られるか | ディフェンシブ |
| 設備投資の性質稼いだ現金がどれだけ設備維持に消えるか | 混合 |
| 規制依存規制は障壁にも足枷にもなる | 高い |
会社が挙げる主要リスク:自然災害による建物・設備・在庫被害、操業停止 / 炭素税導入・強化によるエネルギーコスト・原材料費増加 / GHG排出規制強化に伴う設備投資コスト増加
同じ条件で他の銘柄を探す → 定性スクリーニング(価格決定力・参入障壁・景気敏感度などで絞り込めます)
モート総合 11 / 25 5類型それぞれの強度と、そう判定した根拠
無形資産★★★☆☆
テルモはカテーテル、人工心肺、血糖測定システムなど、高度な医療機器分野で長年の実績と高いブランド認知度を確立。特に心臓血管領域や糖尿病ケア分野における技術力と品質への信頼は、新規参入障壁となっている。研究開発への継続的な投資も強み。
スイッチングコスト★★★★☆
医療機器は、一度導入されると、医師や看護師のトレーニング、既存システムとの互換性、安全性・有効性に関する長年の使用実績などから、他社製品への切り替えには高いコストとリスクが伴う。特に高度な手術で使用されるカテーテルなどは、その傾向が強い。
ネットワーク効果☆☆☆☆☆
医療機器の性質上、ユーザー(医師、患者)が増えることで直接的な製品価値が向上するネットワーク効果は限定的である。
コスト優位★☆☆☆☆
高度な医療機器の製造には、厳格な品質管理と高度な技術が必要であり、構造的なコスト優位性を築くことは難しい。一部の消耗品などでは規模の経済が働く可能性はあるが、全体としては限定的。
規模の経済★★★☆☆
グローバルに事業を展開し、主要な医療機器市場で一定のシェアを確保している。特に心臓血管、糖尿病ケア、一般外科などの分野では、一定の規模の経済が働き、効率的な生産・供給体制を構築していると考えられる。
- 高度な技術力と研究開発テルモは、医療現場のニーズに応えるための研究開発に注力し、心肺補助装置ECMOの改良などで高い技術力を示しています。特に、新型コロナウイルス感染症重症患者の救命率向上に貢献したECMOの功績は、「日本医療研究開発大賞 内閣総理大臣賞」を受賞するほどで、その技術力が社会的に高く評価されています。
- 強固なリスク管理体制グループ全体で「グループリスク管理規程」を制定し、内外のリスク事象に対応する体制を整備しています。特に気候変動リスクに対しては、TCFD提言に基づき、取締役会レベルでの監督や環境安全委員会による戦略策定・目標設定・進捗管理を行うなど、包括的かつ具体的な管理体制を構築しており、事業継続性を高めています。
- 国際的な信頼と実績世界中で医療機器を提供し、多くの医療従事者や患者からの信頼を得ています。新型コロナウイルス感染症拡大時にも「製品の安定供給」を基本方針に掲げ、医療現場を支え続けた実績は、テルモのブランド価値と社会的責任を果たす姿勢を示しています。これにより、長期的な顧客関係と市場での優位性を築いています。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
経営戦略
有価証券報告書「経営方針・対処すべき課題・MD&A」の全文を見る(年度切替)
経営方針・経営戦略
1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。 (1) 経営方針当社グループは、医療を通じて社会に貢献する、という不変の「企業理念」に加え、この企業理念を実現するために、追求していく方向性を示す「Our Promise 私たちの約束」、アソシエイト(社員)が行動の基礎とする共通の価値観である「コアバリューズ」、アソシエイトが高い倫理観をもって正しく行動するために守るべき行動原則となる「テルモグループ行動規範」、この4つをグループ共通の理念として定めています。全アソシエイトがこの企業理念体系に基づいた事業活動を行うことで、患者さんや医療従事者をはじめ、広く社会にとって価値ある企業を目指します。 Our Promise 私たちの約束:すべては、患者さんへの揺るぎない約束から始まります。私たちは、患者さんの声に真摯に耳を傾け、その希望や願いを深く理解することで、世界中の患者さんの生活の質が向上するように、さらなるイノベーションを大胆かつ情熱を込めて追求し続けます。 コアバリューズ:「Respect(尊重)-他者の尊重」「Integrity(誠実)-企業理念を胸に」「Care(ケア)-患者さんへの想い」「Quality(品質)-優れた仕事へのこだわり」「Creativity(創造力)-イノベーションの追求」 (2) 経営環境、経営戦略及び優先的に対処すべき課題医療は大きな変化の途中にあります。世界的な高齢化と生活水準向上の帰結として、慢性疾患の増加など「疾病構造」の変化が起きています。このような慢性疾患の増加は、患者管理の長期化など、「医療の時間軸」に変化を与えています。また、バイオ医薬や細胞・遺伝子治療及びデジタル・AI技術の発展は「医療を支える技術」に変化をもたらしています。これらの変化はいずれも、テルモが真摯に取り組むべき課題であり、その課題解決に向けて、5カ年成長戦略「GS26」の達成を目指しています。 5カ年成長戦略「GS26」1)中長期を見据えたビジョンテルモは、2021年12月に次の10年超を見据えた5カ年成長戦略「GS26」を策定し、そのビジョンを「デバイスからソリューションへ」と掲げました。具体的には、この中で3つの“D”に取り組みます。1つ目はDeliveryです。心臓血管カンパニーの成長ドライバーである「ラディアル・アプローチ(TRI)」を支えるカテーテルなど、強みである生体内へのアクセス・デリバリーという機能とそれを支える技術を指します。今後の新しいソリューション開発においても、これらの技術は最大の武器です。2つ目はDigitalです。データを活用した効率改善や、診断・治療の最適化に活用するデジタル技術など、医療機器の分野においても不可欠なものになっています。患者さんに提供するバイタル測定機器やアプリの開発など、「デジタルペーシェントジャーニー」のソリューションが具体的な例です。3つ目はDeviceuticalsです。これは、テルモが目指す、Device(機器)とPharmaceuticals(薬剤)の融合を表した造語です。テルモの機器が、薬剤の利用や製造に、付加価値を提供することを目指します。血液・細胞テクノロジーカンパニーが取り組んでいる原料血漿の分野もこの一例です。 2)カンパニー別成長戦略<心臓血管カンパニー>GS26のビジョンとして、「患者さんに寄り添い、変わりゆく治療の未来を共に創造する」ことを掲げます。これを実現するための戦略として、以下の3つを実行します。 ①新製品ローンチを通じた治療事業の拡大脳血管・大動脈・下肢動脈の疾患や、がんの治療セグメントに向けた新製品を発売することでパイプラインを拡充し、大きな市場で高い成長を実現していきます。同時に、デジタル技術を用いた個別化医療へのソリューション提供を進めます。 ②疾病横断でのラディアル手技の普及これまでは心臓血管を中心に実施されてきたラディアル手技(患者さんの負担がより少ない手首の血管からのカテーテル治療)を、下肢血管・腹部血管・脳血管など、全身の血管に拡げていきます。並行して、蓄積した治療成績のビッグデータに基づき、ラディアル手技のメリットを明確にすることで、個々の患者さんにとって最適な治療方針をドクターに提案していきます。 ③成長を支えるオペレーションの進化心臓血管カンパニーの全事業にわたって、グローバルで最適地生産を進めていくことで、需要の拡大に備えた増産体制を構築すると同時に、コストダウンを図ります。また、DXによる生産の効率化も進めていきます。これらによって、高付加価値製品へのシフトにとどまらない収益性の改善を実現します。 <メディカルケアソリューションズカンパニー>GS26のビジョンとして、「独自の技術を融合した患者本位のソリューションを通して医療の質向上と変革に貢献する」ことを掲げます。この実現に向けて、以下の4つの戦略を実行します。 ①ホスピタルケアソリューション院内における医療機器とデータの管理や、医療安全、さらには病院経営の効率化などの価値を提供します。例えば、薬剤の投与情報を院内の部門システムとつなげることにより、記録やバイタルの管理、誤投与の防止に貢献します。また、感染対策のソリューションについては、単なる製品の販売にとどまらず、現場での使用状況を解析し、さらなる改善に向けた提案をしていきます。 ②ライフケアソリューション慢性疾患の患者さんへの個別化医療を支えるデータや、モニタリングの仕組みを作ります。糖尿病領域では、血糖測定やインスリン投与の情報を管理するシステムや、食事・運動・服薬などの情報と併せて解析し、医師による、個別の患者さんへの最適な指導や治療を支援する仕組みを作ります。さらに、インスリンポンプと持続血糖測定器を投与アルゴリズムで連動させることで、グルコース濃度の細かな調整が期待できる、インスリン自動投与制御(AID)システムを提供していきます。 ③ファーマシューティカルソリューション製薬会社に対して、薬剤の価値を最大化させるユニークなデバイスやサービスを組み合わせたソリューションを提案します。薬剤の安全・効率に資するソリューションから徐々にステップアップし、パッチポンプや皮内投与デバイスによって薬剤の効果を向上させることを目指します。また、核酸医薬、遺伝子治療の効果にフォーカスしたデバイス開発により、中枢・循環器・がん領域への展開を目指します。 ④海外ビジネスソリューション東南アジアでは高機能の薬剤投与システム、北米ではBtoBを活用した静脈アクセス製品の販売を拡大します。糖尿病領域では、欧州でのインスリンポンプ販売を徐々に拡大させるとともに、巨大市場となりつつある中国で事業展開の礎を築きます。また、製薬会社とのビジネスでは、強みであるプラスチック製の薬剤充填用シリンジ「PLAJEX」のグローバル展開を図ります。 <血液・細胞テクノロジーカンパニー>GS26のビジョンとして、「血液と細胞の可能性を活かして、治療効果の向上とアンメットニーズに応えるイノベーションをグローバルに展開する」ことを掲げます。この実現に向けて、以下の4つの戦略を実行します。 ①Blood and Beyond(血液からの発展)採血業務の効率化に寄与する原料血漿採取システムを米国からスタートさせ、さらにこれを米国以外の市場にも展開させることを目指します。また、細胞処理の領域では、フォーカス領域を拡大し、細胞治療を受ける患者さんと、細胞治療のプロセス全体にアプローチします。そして、血液治療の領域では、選択的血漿交換療法へ進出し、この療法が有効な患者さんの治療に貢献します。 ②Equipment and Beyond(機器からの発展)全血の製剤化プロセスの自動化や、サービス・ソフトウェアなどの強みを生かして、血液センターをはじめ、顧客の業務効率化を支援します。また、原料血漿市場においても、技術と技術を補完するサービスを共に展開する、デジタルエコシステムを導入することを目指します。 ③地域展開中国、中南米、アフリカなどの成長著しい地域において製品ポートフォリオを拡充し、より複合的なソリューションを提供します。 ④オペレーショナル・エクセレンスフレキシブルなグローバル供給体制の構築、改良改善文化の浸透、そして、マーケティング活動のレベルアップを図り、より高いサービスの提供を目指します。 3)コーポレート戦略①イノベーションソリューション開発の3つの方向性について、目指すべき長期的なゴールを設定しています。Deliveryでは、低侵襲治療の普及率が60%にとどまっていることに対して、高度な疾患治療における高付加価値な生体アクセス・デリバリーにより、低侵襲治療100%の世界を目指します。Digitalについては、患者さんの長期的なQOL向上を妨げる要因として、慢性疾患の治療の継続が難しいことを課題と認識し、デジタルを駆使して治療の完遂率100%を目指します。Deviceuticalsでは、薬剤治療効果が高められない原因として、医薬品とデバイスのコンビネーション製品が少ないことを課題と認識し、デリバリー技術のイノベーションで、コンビネーション製品の進化を加速させます。これらの長期的な課題解決と、各カンパニーの提供する中期的なイノベーションとのシナジーを創出することで、将来の成長を牽引します。 ②デジタルトランスフォーメーション(DX)社内に有するDX機能を強化し、データ分析、遠隔モニタリング、ロボティクスなどの具体的なテーマに沿った検討を進めます。同時に、M&Aや提携の機会を積極的に探索することで、他社に負けないスピードでこれを実現していきます。 ③人財中長期のビジョンを実現する上で重要なスキルを特定し、その獲得・強化を目指すことによって、グローバルでの適所適材を実現します。また、変革を推進するためには、アソシエイト一人ひとりが、新しいことに挑戦することで成長できるというマインドを持つことが重要と考え、これを「Growth Mindset」と呼んで推進していきます。 ④全社収益改善生産、調達、ロジスティクス、定型管理機能の4つの機能領域に注力し、グローバルでの最適化を図ります。グループ内のコラボレーションを通じて、将来の成長を支える強固な基盤を構築し、企業価値を高めます。 ⑤生産コスタリカ、日本、ベトナムの三極生産体制を強化し、グローバル生産の最適化に努めます。また、コストの効率化にとどまらず、個別の工場で獲得した自動化、省力化、デジタル化のノウハウをグローバルに展開することで、生産イノベーションを推進します。 ⑥CSV/ESG財務目標だけでなく、サステナビリティ経営にもコミットします。事業活動を通じて実現するCSV(社会への価値創造)と、それを支える基盤としてのESG(環境、社会、ガバナンス)という2つのカテゴリーを構成し、CSVでは、「医療技術・サービスの普及、医療アクセスの向上」、「一人ひとりの人生に寄り添う医療の提供」、「持続可能な医療システムの共創」という3つの重点領域において、各カンパニーの具体的なテーマを設定しました。ESGについては、環境、社会、ガバナンスのそれぞれについて、重点テーマを抽出し、具体的な数値目標を設定しています。 (3) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等当社グループでは、2021年12月に次の5カ年を対象とする成長戦略を策定し、成長性、収益性、効率性においてそれぞれ以下の目標を掲げ、達成に向けて取り組んでいます。 目標成長性売上収益:1桁後半の成長収益性営業利益率※:20%以上資本効率性ROIC※:10%以上ROE:10%以上を堅持 想定為替レート:USD=107円、EUR=128円※ 新規M&Aの影響を除く
対処すべき課題
1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。 (1) 経営方針当社グループは、医療を通じて社会に貢献する、という不変の「企業理念」に加え、この企業理念を実現するために、追求していく方向性を示す「Our Promise 私たちの約束」、アソシエイト(社員)が行動の基礎とする共通の価値観である「コアバリューズ」、アソシエイトが高い倫理観をもって正しく行動するために守るべき行動原則となる「テルモグループ行動規範」、この4つをグループ共通の理念として定めています。全アソシエイトがこの企業理念体系に基づいた事業活動を行うことで、患者さんや医療従事者をはじめ、広く社会にとって価値ある企業を目指します。 Our Promise 私たちの約束:すべては、患者さんへの揺るぎない約束から始まります。私たちは、患者さんの声に真摯に耳を傾け、その希望や願いを深く理解することで、世界中の患者さんの生活の質が向上するように、さらなるイノベーションを大胆かつ情熱を込めて追求し続けます。 コアバリューズ:「Respect(尊重)-他者の尊重」「Integrity(誠実)-企業理念を胸に」「Care(ケア)-患者さんへの想い」「Quality(品質)-優れた仕事へのこだわり」「Creativity(創造力)-イノベーションの追求」 (2) 経営環境、経営戦略及び優先的に対処すべき課題医療は大きな変化の途中にあります。世界的な高齢化と生活水準向上の帰結として、慢性疾患の増加など「疾病構造」の変化が起きています。このような慢性疾患の増加は、患者管理の長期化など、「医療の時間軸」に変化を与えています。また、バイオ医薬や細胞・遺伝子治療及びデジタル・AI技術の発展は「医療を支える技術」に変化をもたらしています。これらの変化はいずれも、テルモが真摯に取り組むべき課題であり、その課題解決に向けて、5カ年成長戦略「GS26」の達成を目指しています。 5カ年成長戦略「GS26」1)中長期を見据えたビジョンテルモは、2021年12月に次の10年超を見据えた5カ年成長戦略「GS26」を策定し、そのビジョンを「デバイスからソリューションへ」と掲げました。具体的には、この中で3つの“D”に取り組みます。1つ目はDeliveryです。心臓血管カンパニーの成長ドライバーである「ラディアル・アプローチ(TRI)」を支えるカテーテルなど、強みである生体内へのアクセス・デリバリーという機能とそれを支える技術を指します。今後の新しいソリューション開発においても、これらの技術は最大の武器です。2つ目はDigitalです。データを活用した効率改善や、診断・治療の最適化に活用するデジタル技術など、医療機器の分野においても不可欠なものになっています。患者さんに提供するバイタル測定機器やアプリの開発など、「デジタルペーシェントジャーニー」のソリューションが具体的な例です。3つ目はDeviceuticalsです。これは、テルモが目指す、Device(機器)とPharmaceuticals(薬剤)の融合を表した造語です。テルモの機器が、薬剤の利用や製造に、付加価値を提供することを目指します。血液・細胞テクノロジーカンパニーが取り組んでいる原料血漿の分野もこの一例です。 2)カンパニー別成長戦略<心臓血管カンパニー>GS26のビジョンとして、「患者さんに寄り添い、変わりゆく治療の未来を共に創造する」ことを掲げます。これを実現するための戦略として、以下の3つを実行します。 ①新製品ローンチを通じた治療事業の拡大脳血管・大動脈・下肢動脈の疾患や、がんの治療セグメントに向けた新製品を発売することでパイプラインを拡充し、大きな市場で高い成長を実現していきます。同時に、デジタル技術を用いた個別化医療へのソリューション提供を進めます。 ②疾病横断でのラディアル手技の普及これまでは心臓血管を中心に実施されてきたラディアル手技(患者さんの負担がより少ない手首の血管からのカテーテル治療)を、下肢血管・腹部血管・脳血管など、全身の血管に拡げていきます。並行して、蓄積した治療成績のビッグデータに基づき、ラディアル手技のメリットを明確にすることで、個々の患者さんにとって最適な治療方針をドクターに提案していきます。 ③成長を支えるオペレーションの進化心臓血管カンパニーの全事業にわたって、グローバルで最適地生産を進めていくことで、需要の拡大に備えた増産体制を構築すると同時に、コストダウンを図ります。また、DXによる生産の効率化も進めていきます。これらによって、高付加価値製品へのシフトにとどまらない収益性の改善を実現します。 <メディカルケアソリューションズカンパニー>GS26のビジョンとして、「独自の技術を融合した患者本位のソリューションを通して医療の質向上と変革に貢献する」ことを掲げます。この実現に向けて、以下の4つの戦略を実行します。 ①ホスピタルケアソリューション院内における医療機器とデータの管理や、医療安全、さらには病院経営の効率化などの価値を提供します。例えば、薬剤の投与情報を院内の部門システムとつなげることにより、記録やバイタルの管理、誤投与の防止に貢献します。また、感染対策のソリューションについては、単なる製品の販売にとどまらず、現場での使用状況を解析し、さらなる改善に向けた提案をしていきます。 ②ライフケアソリューション慢性疾患の患者さんへの個別化医療を支えるデータや、モニタリングの仕組みを作ります。糖尿病領域では、血糖測定やインスリン投与の情報を管理するシステムや、食事・運動・服薬などの情報と併せて解析し、医師による、個別の患者さんへの最適な指導や治療を支援する仕組みを作ります。さらに、インスリンポンプと持続血糖測定器を投与アルゴリズムで連動させることで、グルコース濃度の細かな調整が期待できる、インスリン自動投与制御(AID)システムを提供していきます。 ③ファーマシューティカルソリューション製薬会社に対して、薬剤の価値を最大化させるユニークなデバイスやサービスを組み合わせたソリューションを提案します。薬剤の安全・効率に資するソリューションから徐々にステップアップし、パッチポンプや皮内投与デバイスによって薬剤の効果を向上させることを目指します。また、核酸医薬、遺伝子治療の効果にフォーカスしたデバイス開発により、中枢・循環器・がん領域への展開を目指します。 ④海外ビジネスソリューション東南アジアでは高機能の薬剤投与システム、北米ではBtoBを活用した静脈アクセス製品の販売を拡大します。糖尿病領域では、欧州でのインスリンポンプ販売を徐々に拡大させるとともに、巨大市場となりつつある中国で事業展開の礎を築きます。また、製薬会社とのビジネスでは、強みであるプラスチック製の薬剤充填用シリンジ「PLAJEX」のグローバル展開を図ります。 <血液・細胞テクノロジーカンパニー>GS26のビジョンとして、「血液と細胞の可能性を活かして、治療効果の向上とアンメットニーズに応えるイノベーションをグローバルに展開する」ことを掲げます。この実現に向けて、以下の4つの戦略を実行します。 ①Blood and Beyond(血液からの発展)採血業務の効率化に寄与する原料血漿採取システムを米国からスタートさせ、さらにこれを米国以外の市場にも展開させることを目指します。また、細胞処理の領域では、フォーカス領域を拡大し、細胞治療を受ける患者さんと、細胞治療のプロセス全体にアプローチします。そして、血液治療の領域では、選択的血漿交換療法へ進出し、この療法が有効な患者さんの治療に貢献します。 ②Equipment and Beyond(機器からの発展)全血の製剤化プロセスの自動化や、サービス・ソフトウェアなどの強みを生かして、血液センターをはじめ、顧客の業務効率化を支援します。また、原料血漿市場においても、技術と技術を補完するサービスを共に展開する、デジタルエコシステムを導入することを目指します。 ③地域展開中国、中南米、アフリカなどの成長著しい地域において製品ポートフォリオを拡充し、より複合的なソリューションを提供します。 ④オペレーショナル・エクセレンスフレキシブルなグローバル供給体制の構築、改良改善文化の浸透、そして、マーケティング活動のレベルアップを図り、より高いサービスの提供を目指します。 3)コーポレート戦略①イノベーションソリューション開発の3つの方向性について、目指すべき長期的なゴールを設定しています。Deliveryでは、低侵襲治療の普及率が60%にとどまっていることに対して、高度な疾患治療における高付加価値な生体アクセス・デリバリーにより、低侵襲治療100%の世界を目指します。Digitalについては、患者さんの長期的なQOL向上を妨げる要因として、慢性疾患の治療の継続が難しいことを課題と認識し、デジタルを駆使して治療の完遂率100%を目指します。Deviceuticalsでは、薬剤治療効果が高められない原因として、医薬品とデバイスのコンビネーション製品が少ないことを課題と認識し、デリバリー技術のイノベーションで、コンビネーション製品の進化を加速させます。これらの長期的な課題解決と、各カンパニーの提供する中期的なイノベーションとのシナジーを創出することで、将来の成長を牽引します。 ②デジタルトランスフォーメーション(DX)社内に有するDX機能を強化し、データ分析、遠隔モニタリング、ロボティクスなどの具体的なテーマに沿った検討を進めます。同時に、M&Aや提携の機会を積極的に探索することで、他社に負けないスピードでこれを実現していきます。 ③人財中長期のビジョンを実現する上で重要なスキルを特定し、その獲得・強化を目指すことによって、グローバルでの適所適材を実現します。また、変革を推進するためには、アソシエイト一人ひとりが、新しいことに挑戦することで成長できるというマインドを持つことが重要と考え、これを「Growth Mindset」と呼んで推進していきます。 ④全社収益改善生産、調達、ロジスティクス、定型管理機能の4つの機能領域に注力し、グローバルでの最適化を図ります。グループ内のコラボレーションを通じて、将来の成長を支える強固な基盤を構築し、企業価値を高めます。 ⑤生産コスタリカ、日本、ベトナムの三極生産体制を強化し、グローバル生産の最適化に努めます。また、コストの効率化にとどまらず、個別の工場で獲得した自動化、省力化、デジタル化のノウハウをグローバルに展開することで、生産イノベーションを推進します。 ⑥CSV/ESG財務目標だけでなく、サステナビリティ経営にもコミットします。事業活動を通じて実現するCSV(社会への価値創造)と、それを支える基盤としてのESG(環境、社会、ガバナンス)という2つのカテゴリーを構成し、CSVでは、「医療技術・サービスの普及、医療アクセスの向上」、「一人ひとりの人生に寄り添う医療の提供」、「持続可能な医療システムの共創」という3つの重点領域において、各カンパニーの具体的なテーマを設定しました。ESGについては、環境、社会、ガバナンスのそれぞれについて、重点テーマを抽出し、具体的な数値目標を設定しています。 (3) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等当社グループでは、2021年12月に次の5カ年を対象とする成長戦略を策定し、成長性、収益性、効率性においてそれぞれ以下の目標を掲げ、達成に向けて取り組んでいます。 目標成長性売上収益:1桁後半の成長収益性営業利益率※:20%以上資本効率性ROIC※:10%以上ROE:10%以上を堅持 想定為替レート:USD=107円、EUR=128円※ 新規M&Aの影響を除く
MD&A(経営者による分析)
4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】[業績等の概要](1) 業績当社グループでは、2021年12月に次の5カ年を対象とする成長戦略を策定しました。高齢化社会における慢性疾患との共生や患者さんのQOL向上、ゲノム医療とAIの進化による個別化医療の進展といった、医療のパラダイムシフトに対応するための中長期ビジョンとして「デバイスからソリューションへ」を掲げました。製品軸から顧客軸へフォーカスを移し、医療のエコシステム全体とより積極的にかかわることで、顧客の課題に複合的なソリューションを提案できる企業を目指して経営を推進しています。5カ年成長戦略の3年目となる当期の連結業績は以下のとおりです。 前連結会計年度(百万円)当連結会計年度(百万円)増減額(百万円)増減率(%)売上収益921,8631,036,171114,30812.4(海外)710,742818,964108,22215.2(日本)211,121217,2066,0852.9調整後営業利益156,785203,44546,66029.8営業利益140,096157,66817,57212.5税引前利益140,829154,57413,7459.8当期利益106,374116,97810,60410.0親会社の所有者に帰属する当期利益106,374116,97810,60410.0 セグメントの業績は以下のとおりです。 セグメントの名称 前連結会計年度(百万円)当連結会計年度(百万円)増減額(百万円)心臓血管カンパニー売上収益555,716624,35768,641調整後営業利益123,850154,68230,831メディカルケアソリューションズカンパニー売上収益197,569211,23513,665調整後営業利益19,78922,9933,203血液・細胞テクノロジーカンパニー売上収益168,328200,28031,951調整後営業利益16,39426,48210,088 (注) 調整後営業利益は、営業利益から買収に伴い取得した無形資産の償却費及び一時的な損益を調整した利益です。 2025年4月1日付で、心臓血管カンパニーの一部事業名称の変更ならびに血液・細胞テクノロジーカンパニーの開示セグメントの変更を行いました。事業名称の変更は、各事業がグローバルで展開するビジネスブランドと事業名称の統一を目的としたものであり、各事業で取り扱う製品やサービスに変更はありません。また、開示セグメントの変更は、2024年に実施した組織変更の反映に伴うものです。 <心臓血管カンパニー>海外は、インターベンショナルシステムズ事業(旧TIS事業)やニューロ事業(旧ニューロバスキュラー事業)を中心に全事業で伸長、為替も寄与し、前期比13.6%の増収となりました。日本は、ニューロ事業やアオルティック事業(旧血管事業)の売上が好調に推移しましたが、公定価格下落の影響もありインターベンショナルシステムズ事業の売上が減少し、前期比0.6%の微増に留まりました。その結果、心臓血管カンパニーの売上収益は前期比12.4%増の6,244億円となりました。 <メディカルケアソリューションズカンパニー>日本は、価格政策及び堅調な需要継続を背景に、ホスピタルケアソリューション事業が伸長し、前期比3.8%の増収となりました。海外は、米州を中心に売上収益が増加し、前期比15.5%の増収となりました。その結果、メディカルケアソリューションズカンパニーの売上収益は前期比6.9%増の2,112億円となりました。 <血液・細胞テクノロジーカンパニー>海外は、北米における血漿イノベーションビジネスの展開加速や、欧米での採血関連ビジネスの売上が増加するなど、グローバルブラッドソリューション(旧血液センター向けビジネス)が好調に推移し、前期比20.3%の増収となりました。日本でも、採血関連製品の売上収益が増加し、前期比2.0%の増収となりました。その結果、血液・細胞テクノロジーカンパニーの売上収益は前期比19.0%増の2,003億円となりました。 (2) キャッシュ・フロー≪キャッシュ・フロー計算書概要≫ 前連結会計年度(百万円)当連結会計年度(百万円)増減額(百万円)営業活動によるキャッシュ・フロー146,330210,80264,472投資活動によるキャッシュ・フロー△81,472△82,481△1,008財務活動によるキャッシュ・フロー△62,079△108,766△46,686現金及び現金同等物の期末残高204,883221,87216,989 (営業活動によるキャッシュ・フロー)営業活動の結果得られた資金は、2,108億円となりました。税引前利益1,546億円、減価償却費及び償却費854億円、減損損失225億円、法人所得税の支払額513億円が主な要因です。 (投資活動によるキャッシュ・フロー)投資活動の結果使用した資金は、825億円となりました。生産設備等への投資に伴う有形固定資産の取得による支出686億円、新ITシステムへの投資等に伴う無形資産の取得による支出137億円が主な要因です。 (財務活動によるキャッシュ・フロー)財務活動の結果使用した資金は、1,088億円となりました。長期借入れによる収入300億円、社債の発行による収入698億円、デリバティブの決済による収入254億円、長期借入金の返済による支出1,603億円、配当金の支払額356億円、自己株式の取得による支出301億円が主な要因です。 また、上記に加えて、現金及び現金同等物に係る換算差額により26億円減少した結果、現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は、前連結会計年度末より170億円増加して2,219億円となりました。 [生産、受注及び販売の状況](1) 生産実績当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、以下のとおりです。 報告セグメント金額(百万円)前連結会計年度比(%)心臓血管カンパニー620,8977.7メディカルケアソリューションズカンパニー197,0762.2血液・細胞テクノロジーカンパニー205,67318.8合計1,023,6488.6 (注) 1.金額は販売価格によっており、セグメント間の内部振替前の数値によっております。2.報告セグメントに含まれる製品は、「第5経理の状況 1連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 ⑥連結財務諸表注記 5.セグメント情報 (1) 報告セグメントに関する基礎」をご覧ください。3.当連結会計年度の仕入製品の仕入実績は、当連結会計年度平均販売価格算出で、35,217百万円です。 (2) 受注実績当社グループは主として見込み生産を行っているため、受注実績の記載をしておりません。 (3) 販売実績当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、以下のとおりです。 報告セグメントサブセグメント金額(百万円)前連結会計年度比(%)心臓血管カンパニーインターベンショナルシステムズ406,28111.5ニューロ97,19716.9カーディオバスキュラー67,3478.4アオルティック53,53016.4メディカルケアソリューションズカンパニーホスピタルケアソリューション145,2658.0ライフケアソリューション21,360△6.8ファーマシューティカルソリューション44,60911.3血液・細胞テクノロジーカンパニー―200,28019.0調整額29819.8合計1,036,17112.4 (注) 1.調整額298百万円は、報告セグメントに帰属しない外部向け人材派遣による収入等です。2.報告セグメントに含まれる製品は、「第5経理の状況 1連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 ⑥連結財務諸表注記 5.セグメント情報 (1) 報告セグメントに関する基礎」をご覧ください。 [財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析]文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2025年6月23日)現在において判断したものです。将来に関する事項は不確実性を内包しておりますので将来生じる実際の結果と差異が生じる可能性があります。 (1) 経営成績<連結業績について> 前連結会計年度(百万円)当連結会計年度(百万円)増減額(百万円)増減率(%)売上収益921,8631,036,171114,30812.4売上総利益479,174560,67081,49517.0調整後営業利益156,785203,44546,66029.8営業利益140,096157,66817,57212.5税引前利益140,829154,57413,7459.8当期利益106,374116,97810,60410.0親会社の所有者に帰属する当期利益106,374116,97810,60410.0 ① 売上収益売上収益は、前期比12.4%増の1兆362億円となりました。グローバルで医療需要の拡大が継続し、米州を中心に海外で主要ビジネスが成長、為替も寄与し、当社グループの販売は好調に推移しました。海外は、アクセス製品を中心としたインターベンショナルシステムズ事業や、血漿イノベーションビジネスの展開加速を受けてグローバルブラッドソリューションが拡大、為替も寄与し、前期比15.2%の増収となりました。日本は、ホスピタルケアソリューション事業の売上が好調に推移し、前期比2.9%の増収となりました。なお、地域別の売上収益及びその前期比は、下図のとおりです。 ② 利益売上総利益は、売上収益の増加を中心に、前期比17.0%増の5,607億円となりました。調整後営業利益は、売上総利益の増加等により、前期比29.8%増の2,034億円となりました。営業利益、税引前利益、親会社の所有者に帰属する当期利益は、売上総利益の増加により、いずれも増益となりました。 なお、当社グループは、当社グループが適用する会計基準であるIFRSにおいて定義されていない、調整後営業利益という業績管理指標を追加的に開示しております。調整後営業利益は、営業利益から買収に伴い取得した無形資産の償却費及び一時的な損益を調整した利益であり、セグメント利益と一致しています。調整後営業利益は、当社グループが中長期的に持続的な成長を目指す上で、各事業運営の業績を把握するために経営管理に利用している指標であり、財務諸表の利用者が当社グループの業績を評価する上でも、有用な情報であると考えております。 セグメントごとの業績の概況については、「業績等の概要 (1) 業績」に記載しております。 (2) 財政状態の分析<主要財務指標> 前連結会計年度当連結会計年度親会社所有者帰属持分当期利益率8.7%8.7%資産合計当期利益率6.2%6.4%親会社所有者帰属持分比率72.5%74.8%1株当たり親会社所有者帰属持分893.80円927.85円フリー・キャッシュ・フロー64,857百万円128,321百万円 (注) 当社は、2024年4月1日付で普通株式1株につき2株の割合で株式分割を行っており、前連結会計年度の期首に当該株式分割が行われたと仮定し、「1株当たり親会社所有者帰属持分」を算定しております。 ① 資産当連結会計年度末における資産合計は、前連結会計年度末に比べ30億円減の1兆8,284億円となりました。これは主に、為替相場が円高方向に推移した影響及び減損損失等によりのれん及び無形資産が430億円減少した一方、事業規模の拡大等により現金及び現金同等物、棚卸資産がそれぞれ170億円、78億円増加、生産設備への投資等により有形固定資産が152億円増加したことによるものです。 ② 負債当連結会計年度末における負債合計は、前連結会計年度末に比べ445億円減の4,599億円となりました。これは主に、長期借入金の返済等により社債及び借入金が570億円減少したことによるものです。 ③ 資本当連結会計年度末における資本合計は、前連結会計年度末に比べ414億円増の1兆3,685億円となりました。これは主に、当期利益の計上により1,170億円増加した一方で、為替相場が円高方向に推移した影響等に伴うその他の包括利益の計上により102億円減少、自己株式の取得により300億円減少、剰余金の配当により356億円減少したことによるものです。 なお、キャッシュ・フローの状況については、「業績等の概要 (2) キャッシュ・フロー」に記載しております。 (3) 資本の財源及び資金の流動性① キャッシュ・フロー当連結会計年度の「業績等の概要 (2) キャッシュ・フロー」に記載のとおりです。 ② 財務政策当社グループは、資本政策の基本方針として「事業オペレーション改善などを通じた資産効率の向上と、財務健全性も考慮した適正な資本構成の構築を図りつつ、売上成長・利益率改善に加えて、投下資本利益率(ROIC)及び株主資本利益率(ROE)の改善を目指します」を掲げております。運転資金需要の主なものは、製品製造のための原材料、部品購入のほか、製造費用、販売費及び一般管理費等の営業費用によるものです。研究開発費は営業費用の一部として計上されます。また、持続的な成長のため、設備投資をはじめ、企業買収による投資などへの投資資金需要が発生します。当連結会計年度における重要な資本的支出の予定とその主な財源は「第3設備の状況 3設備の新設、除却等の計画」に記載のとおりです。当社グループは、事業活動に必要な資金を安定的に確保するため、資本政策の基本方針に沿って、内部資金、借入、社債等により調達しております。具体的には、年度事業計画にもとづく資金調達計画を策定・更新するとともに、定期的に手元流動性及び有利子負債の状況等を把握・集約しております。また、欧米・アジア・中国の拠点とキャッシュマネジメントシステムを運用し、グループ内余剰資金を活用するなど資金効率の向上に努めています。さらに、金融機関には十分な借入枠を有しており、内部資金、資金調達と併せ、当社グループの成長を維持するために将来必要な運転資金及び設備等投資資金を調達することは可能であると考えています。中長期的な成長投資は継続しつつ、さらにM&Aに関しても持続的かつ収益性のある成長に資する案件は、今後も継続し追求します。一方、不急とみなすことのできる経費や投資案件は見直していきます。また、利益配分につきましては、「安定した増配に加えて、自己株式取得による還元も活用し、総還元性向として50%水準を目標」を基本方針としております。2025年6月24日開催予定の定時株主総会における期末配当の議案により、当期の年間配当金は1株につき26円(うち中間配当金13円)となり、当社は2024年4月1日を効力発生日として普通株式1株を2株に分割しておりますため、実質4円増配を予定しております。次期の年間配当金につきましては、1株につき30円(うち中間配当金15円)を予定しております。 なお、当連結会計年度の有利子負債の残高については、「第5経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 ⑥連結財務諸表注記 15.社債及び借入金」に記載のとおりです。 (4) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定は、「第5経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 ⑥連結財務諸表注記 2.作成の基礎 (5) 見積り及び判断の利用」に記載のとおりです。 (5) 次期の見通し2025年度においても、医療需要の増加傾向が継続し、欧米を中心に売上収益の拡大が見込まれます。マクロ環境は、サプライチェーン混乱のリスクが緩和する一方で、原材料価格の高止まりは継続するものと考えます。また、米国における関税政策の動向が流動的であり、先行きは不透明な状況になっています。このような環境下において、業績予想については、売上収益、調整後営業利益において増収増益を見込んでいます。製造現場における生産性の向上、コスト削減策等、市場環境に応じた適切な対策については、今後も継続していきます。高成長が見込まれる分野では、引き続き生産能力の拡大を中心とする設備投資を進める予定です。また、5カ年成長戦略「GS26」の達成に向けて、医療従事者の不足や院内業務効率化の推進等、医療現場の課題に向き合い、新たな価値・ソリューションを提供する事業の拡大・創出に取り組んでいきます。なお、米国における関税政策の影響については、一定の想定に基づき影響額を推定しているものの、現時点では流動的であることから本業績見通しには織り込んでおりません。
事業リスク
- 自然災害による事業中断リスク地震や洪水などの自然災害が発生した場合、事業所の建物・設備・在庫に被害が生じ、製品の供給が一時的に停止する可能性があります。これにより、製品を必要とする医療現場への供給が滞り、テルモの売上機会の損失や信頼性の低下につながる恐れがあります。特に、4℃シナリオではこのリスクの影響度が大きいと推定されています。
- 気候変動に伴うコスト増加リスク炭素税の導入・強化やGHG排出規制の強化により、エネルギーコストや原材料費が増加する可能性があります。また、環境配慮型製品への需要が高まることで、対応コストが増加したり、対応が困難な場合には機会損失が生じることも考えられます。1.5℃シナリオでは、炭素税によるコスト増加が比較的大きな影響を及ぼすと推定されています。
- 感染症拡大による事業影響リスク新型コロナウイルス感染症のような大規模な感染症が再び発生した場合、サプライチェーンの混乱や医療体制への負荷増大により、製品の安定供給に支障が生じる可能性があります。また、従業員の健康と安全確保のための追加コストや、特定の製品需要の急増・急減など、事業運営に多岐にわたる影響を及ぼす可能性があります。
出典: FY2022 有価証券報告書(AI要約)
有価証券報告書「事業等のリスク」の全文を見る(年度切替)
2 【事業等のリスク】当社は、内外で発生する種々のリスク事象に対応するため、「グループリスク管理規程」を制定し、組織体制の整備及び各事象への対応を行っています。当社グループの経営成績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性のある主要なリスクには、以下のようなものがあります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。(1)包括的なリスクと機会 (2)気候変動によるリスクと機会への対応(TCFD提言に基づく情報開示)テルモは、気候変動に伴う事業活動への影響を把握するため、リスクと機会の分析を行っています。金融安定理事会が提言する「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」のフレームワークを活用し、以下の項目について整理を行いました。ガバナンス取締役会のメンバーであるEHS担当取締役が気候変動を含む環境に関わる監督責任者です。EHS担当取締役が議長を務める環境安全委員会が、気候変動に関する最高の意思決定機関であり、気候関連リスクと機会の特定、方針、戦略、目標の策定と見直し、目標の達成状況の監視を行い、経営会議に報告しています。本委員会を年3回開催する他、本委員会の下にEHS専門部会としてエネルギー部会を設置し、エネルギーに関わる目標の進捗管理、環境安全委員会への定期的な報告を行っています。EHS担当取締役の下でカーボンニュートラル実現に向けたプロジェクトを発足させ、生産部門だけでなく、財務部門を含む本社機能部門とも横断的に連携して温室効果ガス(GHG)排出量削減に向けた対応方針、戦略、目標の策定と見直し、目標の達成状況の監視を行い、取締役会に報告を行っていきます。戦略「医療を通じて社会に貢献する」という企業理念のもと、人の命と健康を守るため医療機器・医薬品の提供を止めないことが最も重要であると認識しています。さらに、新しい治療方法の提供を通して、医療の効率化と医療現場からのGHG排出量削減を実現することが可能と考えています。気候シナリオとして、物理的リスクの増大を想定した産業革命前からの気温上昇が4℃のシナリオ(RCP8.5)と、移行リスクの増大を想定した気温上昇を1.5℃以内に抑えるシナリオ(RCP1.9)の2つを念頭に置き、事業に影響を及ぼすリスクと機会を以下表の通り整理しています。リスク管理環境安全委員会が、気候関連リスクと機会を特定、事業への影響を評価し、関連部門に対してリスクの低減と機会の促進のための管理を指示し、進捗状況を管理しています。テルモグループのリスクマネジメントにおける重要リスクの特定プロセスにも、環境安全委員会から挙げられた気候関連リスクが含められ、リスク管理委員会における評価、リスク管理計画に基づくモニタリングが行われています。指標•目標テルモではパリ協定が求める水準と整合したGHG排出量削減目標を設定し、Scope1+2のGHG排出量を2030年度までに2018年度比30%削減、Scope3の売上収益当たりのGHG排出量を2030年度までに2018年度比60%削減することを目指しています。また、この目標は国際的な団体である「Science Based Targets initiative」(SBTイニシアチブ)から、科学的根拠に基づくものとして認定されています。さらに、カーボンニュートラル実現に向けて、GHG排出量削減目標の再設定を検討しています。 「Scope」については、GHGプロトコルによる以下の区分で報告しています。 Scope1:直接排出(燃料燃焼などの自社の排出) Scope2:購入した電気などのエネルギー生産に伴う間接排出(電力事業者などの排出) Scope3:Scope2以外の間接排出(原料生産、輸送、廃棄などの他社の排出)」 事業に影響を及ぼすリスクリスクリスクの内容物理的リスク自然災害が発生した場合の建物・設備・在庫への被害、操業の一時停止により製品の供給に支障が生じた場合の機会損失慢性的な気温上昇や水不足によるエネルギーコストの増加、労働生産性の低下、操業に一時的な支障が生じた場合の機会損失社会インフラである医療体制が自然災害の影響を受けた場合の特定製品に対する需要の急増、医療体制の機能低下・停滞が長期化した場合の収益への影響移行リスク炭素税が導入・強化された場合のエネルギーコスト・原材料費の増加GHG排出規制などの環境規制強化に伴う設備変更とそれに伴う設備投資コストの増加顧客やビジネスパートナーからのGHG排出量削減要請や環境配慮型製品の供給要請が高まった場合の対応コストの増加、対応が困難な場合の機会損失 事業に影響を及ぼす機会機会機会の内容物理的機会気候変動に伴う長期的な疾病構造の変化に対応した製品の提供、医療体制のレジリエンス強化に寄与する製品の提供移行機会生産やサプライチェーンのエネルギー効率向上によるコスト削減医療現場の効率性向上やGHG排出量削減に寄与する製品の提供 4℃シナリオ、1.5℃シナリオそれぞれにおいて、上記のリスク・機会がテルモの事業に与える影響度を分析した結果、以下のリスクが比較的影響度が大きいと推定されました。<4℃シナリオ>自然災害が発生した場合の事業所の建物・設備・在庫への被害、操業の一時停止により製品の供給に支障が生じた場合の機会損失<1.5℃シナリオ>自然災害が発生した場合の事業所の建物・設備・在庫への被害、操業の一時停止により製品の供給に支障が生じた場合の機会損失炭素税が導入・強化された場合のエネルギーコストや原材料費の増加 自然災害など事業継続に関わるリスクへの対応については、テルモグループ共通の基本的な考え方および体制・対応事項を「グループ事業継続マネジメント(BCM)規程」で定めています。エネルギーコストや原材料費の増加に対しては、エネルギー効率の高い生産設備の導入や、より少ない原材料やエネルギーで生産できる製品の開発などに継続的に取り組んでいきます。 (3)新型コロナウイルス感染症拡大に対してテルモグループは、「全てのアソシエイト(社員)の健康と安全の確保」、「製品の安定供給」、「感染防止と治療への積極的貢献」という3つの基本方針を掲げながら、新型コロナウイルス感染症との闘いの最前線に立つ医療従事者の皆さまへの支援と、患者さんへのケアを継続することに、グループ全体で取り組み続けてきました。このような中で、2021年12月には、「心肺機能を補助する医療機器ECMOについて、研究開発を通じて長期使用に応えるため耐久性を追求した改良を継続し、また医療現場の人材支援を行い、新型コロナウイルス感染症重症患者の救命率向上を実現した」という功績に対する「第5回日本医療研究開発大賞 内閣総理大臣賞」を、竹田晋浩先生(NPO法人日本ECMOnet 理事長)と共に受賞致しました。ポストコロナの世界においても、引き続きテルモグループ全体で3つの基本方針に沿った取り組みを継続します。