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エーザイ(4523)は何で稼いでいるか — 事業の柱と依存度

医薬品 医薬品

事業の概要

  • 医薬品の研究開発・製造・販売
    エーザイグループは、医療用医薬品や一般用医薬品の研究開発、製造、販売を主軸として収益を上げています。特に、アルツハイマー病治療薬「レケンビ」や抗がん剤「レンビマ」といった新薬の開発とグローバル展開に注力しており、これらが収益の大きな柱となっています。世界各地に子会社を持ち、地域ごとのニーズに応じた医薬品を提供することで、安定した収益基盤を築いています。
  • ライセンス・医薬品原料・業務サービス
    医薬品事業以外にも、ライセンス供与による収益、医薬品原料の販売、および関連する業務サービスも手掛けています。これらの事業は、医薬品事業を補完し、グループ全体の収益源の多様化に貢献しています。特に、他社との提携によるライセンス収入は、研究開発費の回収や新たな収益機会の創出に繋がっています。
  • グローバルな事業展開
    日本国内だけでなく、北米、中国、欧州、中東、アフリカ、ロシア、オセアニア、アジアなど世界各地で事業を展開しています。各地域に合わせた製品戦略と販売網を構築することで、グローバル市場での競争力を高め、収益の拡大を図っています。特に、成長著しい中国市場や新興国市場への積極的な投資も行っています。
出典: FY2026 有価証券報告書(AI要約)
セグメント構成
  • 医薬品事業(日本)
    日本国内における医療用医薬品および一般用医薬品の研究開発、製造、販売を行っています。主要な会社として当社(エーザイ株式会社)とEAファーマ株式会社がこのセグメントを構成しており、国内市場における医薬品の安定供給と新薬の導入を通じて収益を上げています。
  • 医薬品事業(北米・中国・欧州)
    北米、中国、欧州、中東、アフリカ、ロシア、オセアニア地域における医薬品事業を展開しています。Eisai Corporation of North America(米国)や衛材(中国)投資有限公司、Eisai Europe Ltd.(英国)などが主要な子会社であり、各地域の市場特性に合わせた製品戦略と販売網で、グローバルな収益の大部分を占める重要なセグメントです。
  • 医薬品事業(イーストアジア・グローバルサウス)
    韓国、台湾、インド、アセアン、中南米などを含むイーストアジア・グローバルサウス地域での医薬品事業です。Eisai Asia Regional Services Pte. Ltd.(シンガポール)や衛采製薬股份有限公司(台湾)などが中心となり、成長著しい新興国市場での事業拡大と医薬品アクセス向上に貢献しています。これらの地域は将来の成長ドライバーとして期待されています。
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FY2026|899 文字
3【事業の内容】当社グループは、連結財務諸表提出会社(以下、「当社」という。)、連結子会社49社および持分法適用会社1社で構成され、その事業内容を医薬品事業とその他事業に区分しています。医薬品事業では、医療用医薬品、一般用医薬品等の研究開発・製造・販売を行っており、医薬品事業を構成する日本、アメリカス(北米)、中国、EMEA(欧州、中東、アフリカ、ロシア、オセアニア)、イーストアジア・グローバルサウス(韓国、台湾、インド、アセアン、中南米等)の5つの事業セグメントを報告セグメントとしています。 事業区分、主要製品等および主要な会社の関係は、次のとおりです。事業区分主要製品等主要な会社医薬品事業医療用医薬品一般用医薬品(日本)当社EAファーマ株式会社(北米)Eisai Corporation of North America (米国)Eisai Inc. (米国)Eisai Ltd. (カナダ)(中国)衛材(中国)投資有限公司衛材(中国)薬業有限公司衛材(蘇州)貿易有限公司(欧州)Eisai Europe Ltd. (英国)Eisai Ltd. (英国)Eisai Manufacturing Ltd. (英国)Eisai GmbH (ドイツ)Eisai S.A.S. (フランス)Eisai Farmacéutica S.A. (スペイン)Eisai S.r.l. (イタリア)(アジア他)Eisai Asia Regional Services Pte. Ltd. (シンガポール)衛采製薬股份有限公司(台湾)Eisai (Thailand) Marketing Co., Ltd. (タイ)Eisai Korea Inc. (韓国)Eisai Pharmaceuticals India Pvt. Ltd. (インド)その他事業ライセンス医薬品原料業務サービス(日本)当社株式会社サンプラネット上記における事業区分は、「第5 経理の状況、1 連結財務諸表等、(1)連結財務諸表、連結財務諸表注記、5. セグメント情報」における事業区分と同一です。 事業の系統図は、次のとおりです。

事業の優位性(モート)

事業の質(有価証券報告書から抽出)
数字に出ない事業の性質を、同じ物差しで全銘柄そろえています。FY2026時点の記載が出典です。
価格決定力値上げを通せるか。強いほどインフレ耐性が高い 中程度
新薬開発には長い期間と多額の投資が必要であり、承認審査も厳格なため。
参入障壁新規参入を阻む要因の種類 規制
医薬品の研究開発には長い期間と多額の投資が必要であり、各国の厳格な承認審査がある。
顧客集中度特定顧客への依存度。高いほど失注リスクが大きい 低い(分散)
景気敏感度業績が景気循環にどれだけ振られるか ディフェンシブ
設備投資の性質稼いだ現金がどれだけ設備維持に消えるか 混合
規制依存規制は障壁にも足枷にもなる 高い
会社が挙げる主要リスク:企業理念浸透の不徹底と理念実現に向けた経営の実践の停滞 / 「レケンビ」と次世代AD治療剤の価値最大化の失敗 / 「レンビマ」の売上計画未達成
同じ条件で他の銘柄を探す → 定性スクリーニング(価格決定力・参入障壁・景気敏感度などで絞り込めます)
モート総合 9 / 25 5類型それぞれの強度と、そう判定した根拠
無形資産★★★★☆
根拠:強いブランド・特許・許認可

アルツハイマー病治療薬「レカネマブ(製品名:レケンビ)」は、世界初のアルツハイマー病の進行抑制薬として、米国FDAで迅速承認、その後完全承認を取得。日本、中国、EUでも承認申請中。この画期的な新薬は、エーザイの強力な研究開発力と知的財産(IP)の象徴であり、長期的な競争優位性の源泉となる。

スイッチングコスト★★☆☆☆
根拠:中程度乗り換えの手間・コスト

アルツハイマー病治療薬は、医師の処方判断が重要であり、一度処方されると他剤への切り替えは容易ではない。しかし、治療薬の選択肢が増えれば、スイッチング・コストは相対的に低下する可能性がある。また、他の疾患領域では、スイッチング・コストは限定的。

ネットワーク効果☆☆☆☆☆
根拠:弱い利用者増が価値を生む

医薬品開発・販売において、直接的なネットワーク効果は限定的。製薬企業間の提携や、医師・患者間の情報共有はあるが、プラットフォーム型のような指数関数的な価値向上は見られない。

コスト優位★☆☆☆☆
根拠:弱い同じ物を安く作れる

医薬品の製造コストは、研究開発費に比べれば相対的に低い。しかし、ジェネリック医薬品の台頭や、新薬開発における巨額の投資負担を考慮すると、明確なコスト優位性は見出しにくい。一部の既存薬においては、製造効率によるコストメリットが存在する可能性はある。

規模の経済★★☆☆☆
根拠:中程度規模が参入障壁になる

グローバルな販売網と生産体制は一定の規模を持つが、医薬品業界全体で見ると、ファイザーやノバルティスといった巨大製薬企業と比較すると、規模の経済による圧倒的な優位性は限定的。レケンビの成功による売上拡大で、今後の規模の経済は強化される可能性がある。

  • ヒューマン・ヘルスケア(hhc)理念
    エーザイの企業理念であるhhcは、「日常と医療の領域で生活する人々」を主役とし、患者様とそのご家族、生活者の皆様のベネフィット向上を追求しています。この理念に基づいた経営は、社会貢献と企業価値向上を両立させる独自の強みとなっており、医薬品アクセス向上や認知症と共生するまちづくりなど、ESGへの取り組みにも繋がっています。
  • アルツハイマー病治療薬の開発力
    アルツハイマー病治療剤「レケンビ」の開発は、エーザイの大きな競争優位性です。この分野はアンメットメディカルニーズが高く、レケンビは次世代の治療薬として期待されています。血液バイオマーカーの進展や維持療法、皮下注製剤の開発など、継続的な研究開発により、この分野でのリーダーシップを確立しようとしています。
  • パートナーシップとエコシステム構築
    最先端のサイエンスやテクノロジーを活用した新薬開発の加速、各地域でのリソース効率化、新しいソリューションの共同開発を目的としたパートナーシップを積極的に活用しています。他産業との連携によるエコシステム(hhceco)の構築も推進しており、これにより研究開発のスピードと成功確率を高め、多様なソリューション提供を目指しています。
出典: FY2026 有価証券報告書(AI要約)

経営戦略

有価証券報告書「経営方針・対処すべき課題・MD&A」の全文を見る(年度切替)
経営方針・経営戦略
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。 (1)企業理念当社グループは、患者様と生活者の皆様の喜怒哀楽を第一義に考え、そのベネフィット向上に貢献することを企業理念としています。この理念のもとですべての役員および従業員が一丸となり、世界のヘルスケアの多様なニーズを充足し、いかなる医療システム下においても存在意義のあるヒューマン・ヘルスケア(hhc)企業となることをめざしています。当社グループの使命は、患者様と生活者の皆様の満足の増大であり、他産業との連携によるhhcエコシステムを通じて、日常と医療の領域で生活する人々の「生ききるを支える」ことです。その結果として売上や利益がもたらされ、この使命と結果の順序を重要と考えています。当社グループは、このhhc理念の実現に向けて、主要なステークホルダーズである患者様と生活者の皆様、株主の皆様および社員との信頼関係の構築に努めるとともに、コンプライアンス(法令と倫理の遵守)を日々実践し、企業価値の向上に取り組んでいます。本企業理念は、定款に定め、株主の皆様と共有化をはかっています。当社グループは、hhc理念に基づき、人々の「健康憂慮の解消」と「医療較差の是正」という社会善を効率的に実現し、社会的インパクトを創出することで、長期的な企業価値の増大をめざします。 (2)エーザイの未来創造戦略2025年3月、当社グループは、hhc理念に基づき、すべての人が自分らしく生ききる世界をつくるための「エーザイの未来創造戦略」を策定しました。本戦略を経営の根幹に据え、当社グループの医薬品事業等を通じた患者様や生活者の皆様への貢献と、これを支える基盤としてコーポレートガバナンス強化および地球環境保全や社会課題の解決に中長期的に取り組み、企業としての継続的成長と社会の持続的発展への寄与をめざします。当社グループは、本戦略の実現による中長期的な企業価値向上に向けて、優先的に取り組む重要な課題とその目標を中期経営計画に定め、取り組みを推進します。 (3)経営環境、経営方針・経営戦略、ならびに優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題等① 中期経営計画「EWAY Future & Beyond」当社グループは、中期経営計画「EWAY Future & Beyond」を2021年4月よりスタートしました。「EWAY Future & Beyond」では、当社グループが貢献すべき主役を「患者様とそのご家族」から「患者様と生活者の皆様」に拡大しました。患者様と生活者の皆様の「生ききるを支える」という想いとともに、アンメット・メディカルニーズが極めて高く、当社グループが最も強みを持つ認知症を中心とする神経領域とがん領域に立脚したサイエンスとデータに基づくソリューションを創出し、他産業やグループとの連携によるエコシステムの構築を通じて、hhceco(hhc理念+エコシステム)企業へと進化することをめざしています。当社グループは、認知症領域、がん領域、グローバルヘルス領域における社会善の実現に加え、人財価値の最大化を重要マテリアリティとして特定し、2030年度に向けた長期目標とKPIおよびリスクを設定・特定しました。これらのマテリアリティを羅針盤とし、社会善の効率的な実現に取り組んでいきます。2026年度より、3カ年単位の数値・実行計画を策定し、ローリング方式で毎年見直しを行います。 ② 中期経営計画「EWAY Future & Beyond」の主な進捗と取り組み疾患を連続体(Disease Continuum)として捉え、複数のバイオマーカーなどのプロファイリングにより疾患病態生理学的に理解することによって社内に蓄積されるヒューマンバイオロジーエビデンスを最大限活用し創薬研究を実践するDeep Human Biology Learning(DHBL)研究開発体制のもと、当社グループが当該領域のヒューマンバイオロジーに最も早く深くアクセスすることが可能なアルツハイマー病(AD)に代表される認知症を中心とした神経領域、難治性がんを中心としたがん領域にフォーカスし、創薬仮説の構築・検証から承認取得までの創薬活動を推進しています。グローバルヘルス領域においても継続的な貢献を果たしていくことをめざしています。また、人々の日常領域から医療領域までのすべてのライフステージを支えるエコシステムを、アカデミア、企業、自治体などのパートナーと連携して構築することで、価値創造をめざします。加えて、これらの価値創造を下支えするべく、効率性の追求と収益性の向上に向けた構造改革も推進しています。グローバル全体のオペレーションを最適化し、単なる費用削減ではなく、組織・プロセスを抜本から見直すことで、全社収益構造の変革をはかります。(a) 認知症を中心とする神経領域レカネマブ(ブランド名:「レケンビ」)について、早期ADを対象に、米国、日本、中国、欧州、アジア等において53の国と地域で承認を取得し、6カ国で申請中です。18カ月間の2週に1回投与による初期療法完了後に4週に1回の投与を可能とする点滴静注維持療法は、7カ国で承認を取得し、12の国と地域で申請中です。在宅・在所での投与が可能となる皮下注オートインジェクター製剤(SC-AI)について、維持療法として米国で承認を取得し、初期療法では米国、日本、中国などで申請中です。血液バイオマーカーを用いたアミロイドβ蓄積のプレスクリーニングテストの拡大と確定診断の実装に向けた動きも着実に進んでおり、引き続き、複数のパートナー企業との協働により推進をはかります。ADのDisease Continuumに基づく他のプロジェクトの開発も進行中です。レカネマブについては、プレクリニカル(無症状期)ADを対象とするAHEAD 3-45試験(フェーズⅢ試験)が2028年度中のトップライン取得に向け順調に進行しています。また、抗MTBR(Microtubule binding region: 微小管結合領域)タウ抗体「E2814」については、顕性遺伝アルツハイマーネットワーク試験ユニット(DIAN-TU)が顕性遺伝ADを対象としたTau NexGen試験(フェーズⅡ/Ⅲ試験)をレカネマブとの併用で実施中です。当社グループが実施している孤発性ADを対象としたフェーズⅡ試験も進行中です。さらに、ダメージを受けたコリン作動性神経の機能を回復し、コリン作動性神経の変性を予防することが期待される選択的Tropomyosin receptor kinase A(TrkA)結合シナプス再生剤「E2511」、およびアストロサイト経路を標的としてシナプス機能低下抑制が期待される抗Erythropoietin-producing hepatocellular receptor A4(EphA4)抗体「E2025」については、それぞれフェーズⅠ試験が米国において進行中です。自社創製の脳移行型バイスペシフィック抗体技術である「Evolpath」についても複数のプロジェクトで開発が進行しています。不眠症治療剤「デエビゴ」の開発を通じて獲得した独自のオレキシンプラットフォームを活用し、創製したオレキシン2受容体アゴニスト「E2086」は、ナルコレプシータイプ1を対象としたフェーズⅠb試験において、患者様の日中の覚醒度を改善する可能性を示唆するデータを示し、現在、フェーズⅡ試験を実施中です。 (b) 認知症エコシステム認知症エコシステムを通じて、認知症発症前の日常領域における健康状態の維持、疾患啓発、予防から、発症後の医療領域における正確な診断、治療(薬物・非薬物)効果の確認、QOL(Quality of Life)の向上に寄与するソリューションの提供をめざしています。日常領域段階では、子会社であるArteryex株式会社が健康管理サービス(パシャっとカルテ)を提供しています。また、デジタル事業子会社テオリア・テクノロジーズ株式会社が、認知症関連情報のポータルサイト「テヲトル」を運営し総合的な情報・サービスを提供するとともに、健康・高リスク段階から、認知機能低下段階、軽度認知障害(MCI)や認知症段階の各ステージに最適なサービス開発と提供を進めています。介護事業子会社であるエコナビスタ株式会社においても、SaaS型(クラウド型)の高齢者向け見守りシステム「ライフリズムナビ」により、MCIや認知症の早期検知や介護事業者の業務効率化への貢献をめざします。これら子会社との緊密な連携により、疾患啓発活動、介護施設、開業医、専門医の循環型医療連携体制の構築を進めていきます。また中国においては、日常生活から医療までのワンストップオンライン健康プラットフォームである銀髪通(Yin Fa Tong)を通じてオンライン診療を提供し、デジタル技術を活用した医療較差の是正に取り組んでいます。アジア地域では、他産業や非営利団体とのエコシステム構築を拡大し、認知症の疾患認知率向上、早期発見、早期診断に向けた取り組みを進めています。 (c) がん領域抗がん剤「レンビマ」(Merck & Co., Inc., Rahway, NJ, USA (以下、米メルク社)と共同開発)については、単剤療法としての甲状腺がん、肝細胞がん、胸腺がん(日本)やペムブロリズマブとの併用療法による腎細胞がん、子宮内膜がん等の適応で承認を取得しています。最大市場である米国において2030年6月30日まで独占期間が継続する状況のもと、既存適応症における拡大と新規適応の取得による価値最大化に引き続き取り組みます。米メルク社の抗がん剤ベルズチファンとの併用による腎細胞がん(セカンドライン)については、米国、日本で申請を行いました。エリブリンをペイロードとした抗体薬物複合体である「MORAb-202」、レンビマ薬剤耐性解除を期待するファーストインクラスの中分子治療薬「E7386」の開発や、線維芽細胞増殖因子受容体(FGFR)選択的チロシンキナーゼ阻害剤「タスフィゴ」の適応拡大に向けた臨床試験も進行中です。オンコロジーパイプラインの強化に向けて、欧州など向けには抗がん剤タレトレクチニブの権利を、日本向けには、抗PD-1抗体serplulimabの権利をそれぞれ取得しました。今後も導入および自社創薬による開発パイプライン強化を進めていきます。 (d) グローバルヘルス領域グローバルな医薬品アクセスの課題解決への取り組みを、理念が導く当社グループのビジネスであるとともに、将来への長期的な投資であると考え、政府や国際機関、非営利民間団体等との官民パートナーシップのもと、積極的に推進しています。開発途上国および新興国に蔓延する顧みられない熱帯病(NTDs)の一つであるリンパ系フィラリア症を制圧するため、その治療薬である「DEC(一般名:ジエチルカルバマジン)錠」を当社グループのインド・バイザッグ工場で製造し、本剤を必要とするすべての蔓延国において制圧が達成されるまで、世界保健機関(WHO)に「プライス・ゼロ」で提供することにコミットしています。2026年3月末までに33カ国に28.1億錠を供給し、そのうち8カ国でリンパ系フィラリア症制圧が達成されました。さらに、日本発のグローバルヘルス技術振興基金(GHIT Fund)、NTDsに対する新薬開発の経験豊富な非営利団体/非政府組織、アカデミアとのパートナーシップのもと、マイセトーマ(菌腫)をはじめとするNTDsやマラリアに対する新薬開発を推進しているほか、疾患啓発活動にも取り組んでいます。マイセトーマについては、スーダンにて、抗真菌剤「E1224」(一般名:ホスラブコナゾール)によるフェーズⅡ試験がDNDiおよびスーダンのハルツーム大学菌腫研究センターにより実施され、スーダンにおける承認申請に向けた準備を進めています。マラリアについては、米国のブロード研究所と共同で創出した新規薬剤候補「E1018」のフェーズⅠ試験を当社が実施しています。 (e) 人財価値の最大化当社は、hhc理念のもとで、人々の「健康憂慮の解消」と「医療較差の是正」という社会善を効率的に実現するため、社員を主要なステークホルダーの一つと定め、「安定的な雇用の確保」に加え、「人権および多様性の尊重」、「自己実現を支える成長機会の充実」、「働きやすい環境の整備」に努めることを定款に明記しています。当社グループは、全社戦略と人事戦略を融合するべく、「社員一人ひとりのエナジーを解き放ち、組織のシナジーを生み出し、社会的インパクトの最大化に貢献する」という「グローバルHRパーパス」を定めました。当社グループにおけるすべてのリージョン・ファンクションは、このグローバルHRパーパスに基づき、組織・人財に関する課題解決に取り組んでいます。グローバルHRパーパスを実現するために、人事的に重要な取り組みを「グローバルHRイニシアチブ」として設定し、推進しています。具体的には、グローバルに最適で公平なタレントマネジメントを行うべく、基盤となる人事制度・システムのグローバル統合に向けた取り組みを進めています。またhhc理念をはじめとする共通の価値観に基づく一体感ある組織文化を醸成しつつ、様々な異なる意見や価値観を尊重して、課題解決に取り組んでいくことは、当社のイノベーション創出の源泉であるとともに、企業理念の実現に向けた重要なアプローチであり、グローバルにおける組織力強化なども進めています。2023年度からは「Human Capital Report」を発行し、人事戦略と連動する人的資本に関する取り組みやKPIを開示しています。開示によって得られる社内外からの様々なフィードバックも踏まえ、企業価値を高める本質的資産への当社人財の転換に向けて人的資本経営に継続的に取り組んでいます。 ③ コンプライアンス・リスク管理 当社グループは、コンプライアンスを「法令と倫理の遵守」と定義し、経営の根幹に据えています。また、内部統制を「企業活動を適正かつ効率的に遂行するために、社内に構築され運用されている体制およびプロセス」 と定義し、「ENW内部統制ポリシー」をグループの役員および全従業員で共有しています。あわせてチーフコンプライアンスオフィサーおよび内部統制担当執行役を任命し、コンプライアンスとリスク管理を推進しています。また、第三者で構成されるコンプライアンス委員会より客観的な評価を受け、継続的な向上をめざしています。 ④ 地政学リスクへの対応米国をはじめとする各国通商政策の変更や中東情勢の不透明感などによる地政学的、経済的な不確実性の高まりが懸念されます。当社は米国および関係諸国の関税政策の動向を常に注視し、当社事業への影響を精査、最小化するための対応策を検討しています。また、原材料の複数購買体制および複数工場での製品の製造体制を構築するなど、柔軟なサプライチェーン体制の整備に取り組んでいます。中東情勢についても、原油などのエネルギー価格の高騰や原料調達・輸送手段への影響を踏まえ、当社事業への影響の最小化に向けた対応を検討しています。 ⑤ 目標とする経営指標中長期の企業価値向上に連動する指標として、当社グループの本質的な収益力を表す「コア営業利益」*1および、為替換算差額を控除した自己資本と純有利子負債をベースにした「調整ROIC」*2を新たに設定しました。中長期的に調整ROICは8%~10%を、ROE*3は8%を達成することを目標とし、資本効率性をモニタリングしています。2026年度より、3カ年単位の数値・実行計画を策定し、ローリング方式で毎年見直しを行います。2026年度と2028年度の経営指標の目標は、以下のとおりです。 2026年度業績予想2028年度目標売上収益8,835億円10,000億円営業利益700億円900億円コア営業利益700億円900億円調整ROIC8.7%9.0%*1 コア営業利益営業利益から、将来の収益に直接紐づかない一過性の損益項目(①製品の導出・売却に関わる損益、②有形固定資産売却損益、③事業再編に伴う解雇給付費用、④のれんの減損損失、⑤訴訟等による多額の賠償または和解費用)を除外した指標*2 調整ROIC(投下資本利益率)= 税引後コア営業利益÷(親会社所有者帰属持分-為替換算差額+純有利子負債)*3 ROE(親会社所有者帰属持分当期利益率)= 親会社の所有者に帰属する当期利益÷親会社の所有者に帰属する持分 (4)資本政策の基本的な方針当社グループの資本政策は、中長期的な企業価値の向上を企図し、「成長投資」、「健全な財務基盤と効率的なバランスシート運営」、「株主還元」を軸に展開しています。 ① 中長期企業価値向上に資する成長投資当社グループは、研究開発投資、製品導入など、事業の持続的成長につながる投資に積極的に資金を投入します。投資判断にあたっては、収益性・投資回収性・事業リスクなどを総合的に評価し、短期的な指標に偏らず、中長期的な価値創出に資する案件を選定します。これにより、将来の収益基盤を強化し、企業価値の持続的な向上を実現していきます。 ② 健全な財務基盤と効率的なバランスシート運営当社グループは、成長投資に必要な資金を安定的かつ機動的に確保するため、市場環境に応じた多様な調達手段を活用します。市場調達も含めて資金調達基盤を整備することで、財務の柔軟性と健全性を確保していきます。また、負債水準、フリー・キャッシュ・フロー、CCC(キャッシュ・コンバージョン・サイクル)などの主要指標を適切にモニタリングし、・財務健全性の維持・資本効率の向上・運転資本・在庫水準の最適化などを通じて、バランスシートマネジメントに取り組みます。 ③ 株主還元当社グループは、積極的な成長投資と株主の皆様への還元の最適なバランスを追求します。連結業績、配当性向、およびフリー・キャッシュ・フローを総合的に勘案し、持続的・安定的な配当を実施します。また、財務状況、市場環境を踏まえ、総還元性向を勘案し、自己株式の取得についても検討していきます。
対処すべき課題
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。 (1)企業理念当社グループは、患者様と生活者の皆様の喜怒哀楽を第一義に考え、そのベネフィット向上に貢献することを企業理念としています。この理念のもとですべての役員および従業員が一丸となり、世界のヘルスケアの多様なニーズを充足し、いかなる医療システム下においても存在意義のあるヒューマン・ヘルスケア(hhc)企業となることをめざしています。当社グループの使命は、患者様と生活者の皆様の満足の増大であり、他産業との連携によるhhcエコシステムを通じて、日常と医療の領域で生活する人々の「生ききるを支える」ことです。その結果として売上や利益がもたらされ、この使命と結果の順序を重要と考えています。当社グループは、このhhc理念の実現に向けて、主要なステークホルダーズである患者様と生活者の皆様、株主の皆様および社員との信頼関係の構築に努めるとともに、コンプライアンス(法令と倫理の遵守)を日々実践し、企業価値の向上に取り組んでいます。本企業理念は、定款に定め、株主の皆様と共有化をはかっています。当社グループは、hhc理念に基づき、人々の「健康憂慮の解消」と「医療較差の是正」という社会善を効率的に実現し、社会的インパクトを創出することで、長期的な企業価値の増大をめざします。 (2)エーザイの未来創造戦略2025年3月、当社グループは、hhc理念に基づき、すべての人が自分らしく生ききる世界をつくるための「エーザイの未来創造戦略」を策定しました。本戦略を経営の根幹に据え、当社グループの医薬品事業等を通じた患者様や生活者の皆様への貢献と、これを支える基盤としてコーポレートガバナンス強化および地球環境保全や社会課題の解決に中長期的に取り組み、企業としての継続的成長と社会の持続的発展への寄与をめざします。当社グループは、本戦略の実現による中長期的な企業価値向上に向けて、優先的に取り組む重要な課題とその目標を中期経営計画に定め、取り組みを推進します。 (3)経営環境、経営方針・経営戦略、ならびに優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題等① 中期経営計画「EWAY Future & Beyond」当社グループは、中期経営計画「EWAY Future & Beyond」を2021年4月よりスタートしました。「EWAY Future & Beyond」では、当社グループが貢献すべき主役を「患者様とそのご家族」から「患者様と生活者の皆様」に拡大しました。患者様と生活者の皆様の「生ききるを支える」という想いとともに、アンメット・メディカルニーズが極めて高く、当社グループが最も強みを持つ認知症を中心とする神経領域とがん領域に立脚したサイエンスとデータに基づくソリューションを創出し、他産業やグループとの連携によるエコシステムの構築を通じて、hhceco(hhc理念+エコシステム)企業へと進化することをめざしています。当社グループは、認知症領域、がん領域、グローバルヘルス領域における社会善の実現に加え、人財価値の最大化を重要マテリアリティとして特定し、2030年度に向けた長期目標とKPIおよびリスクを設定・特定しました。これらのマテリアリティを羅針盤とし、社会善の効率的な実現に取り組んでいきます。2026年度より、3カ年単位の数値・実行計画を策定し、ローリング方式で毎年見直しを行います。 ② 中期経営計画「EWAY Future & Beyond」の主な進捗と取り組み疾患を連続体(Disease Continuum)として捉え、複数のバイオマーカーなどのプロファイリングにより疾患病態生理学的に理解することによって社内に蓄積されるヒューマンバイオロジーエビデンスを最大限活用し創薬研究を実践するDeep Human Biology Learning(DHBL)研究開発体制のもと、当社グループが当該領域のヒューマンバイオロジーに最も早く深くアクセスすることが可能なアルツハイマー病(AD)に代表される認知症を中心とした神経領域、難治性がんを中心としたがん領域にフォーカスし、創薬仮説の構築・検証から承認取得までの創薬活動を推進しています。グローバルヘルス領域においても継続的な貢献を果たしていくことをめざしています。また、人々の日常領域から医療領域までのすべてのライフステージを支えるエコシステムを、アカデミア、企業、自治体などのパートナーと連携して構築することで、価値創造をめざします。加えて、これらの価値創造を下支えするべく、効率性の追求と収益性の向上に向けた構造改革も推進しています。グローバル全体のオペレーションを最適化し、単なる費用削減ではなく、組織・プロセスを抜本から見直すことで、全社収益構造の変革をはかります。(a) 認知症を中心とする神経領域レカネマブ(ブランド名:「レケンビ」)について、早期ADを対象に、米国、日本、中国、欧州、アジア等において53の国と地域で承認を取得し、6カ国で申請中です。18カ月間の2週に1回投与による初期療法完了後に4週に1回の投与を可能とする点滴静注維持療法は、7カ国で承認を取得し、12の国と地域で申請中です。在宅・在所での投与が可能となる皮下注オートインジェクター製剤(SC-AI)について、維持療法として米国で承認を取得し、初期療法では米国、日本、中国などで申請中です。血液バイオマーカーを用いたアミロイドβ蓄積のプレスクリーニングテストの拡大と確定診断の実装に向けた動きも着実に進んでおり、引き続き、複数のパートナー企業との協働により推進をはかります。ADのDisease Continuumに基づく他のプロジェクトの開発も進行中です。レカネマブについては、プレクリニカル(無症状期)ADを対象とするAHEAD 3-45試験(フェーズⅢ試験)が2028年度中のトップライン取得に向け順調に進行しています。また、抗MTBR(Microtubule binding region: 微小管結合領域)タウ抗体「E2814」については、顕性遺伝アルツハイマーネットワーク試験ユニット(DIAN-TU)が顕性遺伝ADを対象としたTau NexGen試験(フェーズⅡ/Ⅲ試験)をレカネマブとの併用で実施中です。当社グループが実施している孤発性ADを対象としたフェーズⅡ試験も進行中です。さらに、ダメージを受けたコリン作動性神経の機能を回復し、コリン作動性神経の変性を予防することが期待される選択的Tropomyosin receptor kinase A(TrkA)結合シナプス再生剤「E2511」、およびアストロサイト経路を標的としてシナプス機能低下抑制が期待される抗Erythropoietin-producing hepatocellular receptor A4(EphA4)抗体「E2025」については、それぞれフェーズⅠ試験が米国において進行中です。自社創製の脳移行型バイスペシフィック抗体技術である「Evolpath」についても複数のプロジェクトで開発が進行しています。不眠症治療剤「デエビゴ」の開発を通じて獲得した独自のオレキシンプラットフォームを活用し、創製したオレキシン2受容体アゴニスト「E2086」は、ナルコレプシータイプ1を対象としたフェーズⅠb試験において、患者様の日中の覚醒度を改善する可能性を示唆するデータを示し、現在、フェーズⅡ試験を実施中です。 (b) 認知症エコシステム認知症エコシステムを通じて、認知症発症前の日常領域における健康状態の維持、疾患啓発、予防から、発症後の医療領域における正確な診断、治療(薬物・非薬物)効果の確認、QOL(Quality of Life)の向上に寄与するソリューションの提供をめざしています。日常領域段階では、子会社であるArteryex株式会社が健康管理サービス(パシャっとカルテ)を提供しています。また、デジタル事業子会社テオリア・テクノロジーズ株式会社が、認知症関連情報のポータルサイト「テヲトル」を運営し総合的な情報・サービスを提供するとともに、健康・高リスク段階から、認知機能低下段階、軽度認知障害(MCI)や認知症段階の各ステージに最適なサービス開発と提供を進めています。介護事業子会社であるエコナビスタ株式会社においても、SaaS型(クラウド型)の高齢者向け見守りシステム「ライフリズムナビ」により、MCIや認知症の早期検知や介護事業者の業務効率化への貢献をめざします。これら子会社との緊密な連携により、疾患啓発活動、介護施設、開業医、専門医の循環型医療連携体制の構築を進めていきます。また中国においては、日常生活から医療までのワンストップオンライン健康プラットフォームである銀髪通(Yin Fa Tong)を通じてオンライン診療を提供し、デジタル技術を活用した医療較差の是正に取り組んでいます。アジア地域では、他産業や非営利団体とのエコシステム構築を拡大し、認知症の疾患認知率向上、早期発見、早期診断に向けた取り組みを進めています。 (c) がん領域抗がん剤「レンビマ」(Merck & Co., Inc., Rahway, NJ, USA (以下、米メルク社)と共同開発)については、単剤療法としての甲状腺がん、肝細胞がん、胸腺がん(日本)やペムブロリズマブとの併用療法による腎細胞がん、子宮内膜がん等の適応で承認を取得しています。最大市場である米国において2030年6月30日まで独占期間が継続する状況のもと、既存適応症における拡大と新規適応の取得による価値最大化に引き続き取り組みます。米メルク社の抗がん剤ベルズチファンとの併用による腎細胞がん(セカンドライン)については、米国、日本で申請を行いました。エリブリンをペイロードとした抗体薬物複合体である「MORAb-202」、レンビマ薬剤耐性解除を期待するファーストインクラスの中分子治療薬「E7386」の開発や、線維芽細胞増殖因子受容体(FGFR)選択的チロシンキナーゼ阻害剤「タスフィゴ」の適応拡大に向けた臨床試験も進行中です。オンコロジーパイプラインの強化に向けて、欧州など向けには抗がん剤タレトレクチニブの権利を、日本向けには、抗PD-1抗体serplulimabの権利をそれぞれ取得しました。今後も導入および自社創薬による開発パイプライン強化を進めていきます。 (d) グローバルヘルス領域グローバルな医薬品アクセスの課題解決への取り組みを、理念が導く当社グループのビジネスであるとともに、将来への長期的な投資であると考え、政府や国際機関、非営利民間団体等との官民パートナーシップのもと、積極的に推進しています。開発途上国および新興国に蔓延する顧みられない熱帯病(NTDs)の一つであるリンパ系フィラリア症を制圧するため、その治療薬である「DEC(一般名:ジエチルカルバマジン)錠」を当社グループのインド・バイザッグ工場で製造し、本剤を必要とするすべての蔓延国において制圧が達成されるまで、世界保健機関(WHO)に「プライス・ゼロ」で提供することにコミットしています。2026年3月末までに33カ国に28.1億錠を供給し、そのうち8カ国でリンパ系フィラリア症制圧が達成されました。さらに、日本発のグローバルヘルス技術振興基金(GHIT Fund)、NTDsに対する新薬開発の経験豊富な非営利団体/非政府組織、アカデミアとのパートナーシップのもと、マイセトーマ(菌腫)をはじめとするNTDsやマラリアに対する新薬開発を推進しているほか、疾患啓発活動にも取り組んでいます。マイセトーマについては、スーダンにて、抗真菌剤「E1224」(一般名:ホスラブコナゾール)によるフェーズⅡ試験がDNDiおよびスーダンのハルツーム大学菌腫研究センターにより実施され、スーダンにおける承認申請に向けた準備を進めています。マラリアについては、米国のブロード研究所と共同で創出した新規薬剤候補「E1018」のフェーズⅠ試験を当社が実施しています。 (e) 人財価値の最大化当社は、hhc理念のもとで、人々の「健康憂慮の解消」と「医療較差の是正」という社会善を効率的に実現するため、社員を主要なステークホルダーの一つと定め、「安定的な雇用の確保」に加え、「人権および多様性の尊重」、「自己実現を支える成長機会の充実」、「働きやすい環境の整備」に努めることを定款に明記しています。当社グループは、全社戦略と人事戦略を融合するべく、「社員一人ひとりのエナジーを解き放ち、組織のシナジーを生み出し、社会的インパクトの最大化に貢献する」という「グローバルHRパーパス」を定めました。当社グループにおけるすべてのリージョン・ファンクションは、このグローバルHRパーパスに基づき、組織・人財に関する課題解決に取り組んでいます。グローバルHRパーパスを実現するために、人事的に重要な取り組みを「グローバルHRイニシアチブ」として設定し、推進しています。具体的には、グローバルに最適で公平なタレントマネジメントを行うべく、基盤となる人事制度・システムのグローバル統合に向けた取り組みを進めています。またhhc理念をはじめとする共通の価値観に基づく一体感ある組織文化を醸成しつつ、様々な異なる意見や価値観を尊重して、課題解決に取り組んでいくことは、当社のイノベーション創出の源泉であるとともに、企業理念の実現に向けた重要なアプローチであり、グローバルにおける組織力強化なども進めています。2023年度からは「Human Capital Report」を発行し、人事戦略と連動する人的資本に関する取り組みやKPIを開示しています。開示によって得られる社内外からの様々なフィードバックも踏まえ、企業価値を高める本質的資産への当社人財の転換に向けて人的資本経営に継続的に取り組んでいます。 ③ コンプライアンス・リスク管理 当社グループは、コンプライアンスを「法令と倫理の遵守」と定義し、経営の根幹に据えています。また、内部統制を「企業活動を適正かつ効率的に遂行するために、社内に構築され運用されている体制およびプロセス」 と定義し、「ENW内部統制ポリシー」をグループの役員および全従業員で共有しています。あわせてチーフコンプライアンスオフィサーおよび内部統制担当執行役を任命し、コンプライアンスとリスク管理を推進しています。また、第三者で構成されるコンプライアンス委員会より客観的な評価を受け、継続的な向上をめざしています。 ④ 地政学リスクへの対応米国をはじめとする各国通商政策の変更や中東情勢の不透明感などによる地政学的、経済的な不確実性の高まりが懸念されます。当社は米国および関係諸国の関税政策の動向を常に注視し、当社事業への影響を精査、最小化するための対応策を検討しています。また、原材料の複数購買体制および複数工場での製品の製造体制を構築するなど、柔軟なサプライチェーン体制の整備に取り組んでいます。中東情勢についても、原油などのエネルギー価格の高騰や原料調達・輸送手段への影響を踏まえ、当社事業への影響の最小化に向けた対応を検討しています。 ⑤ 目標とする経営指標中長期の企業価値向上に連動する指標として、当社グループの本質的な収益力を表す「コア営業利益」*1および、為替換算差額を控除した自己資本と純有利子負債をベースにした「調整ROIC」*2を新たに設定しました。中長期的に調整ROICは8%~10%を、ROE*3は8%を達成することを目標とし、資本効率性をモニタリングしています。2026年度より、3カ年単位の数値・実行計画を策定し、ローリング方式で毎年見直しを行います。2026年度と2028年度の経営指標の目標は、以下のとおりです。 2026年度業績予想2028年度目標売上収益8,835億円10,000億円営業利益700億円900億円コア営業利益700億円900億円調整ROIC8.7%9.0%*1 コア営業利益営業利益から、将来の収益に直接紐づかない一過性の損益項目(①製品の導出・売却に関わる損益、②有形固定資産売却損益、③事業再編に伴う解雇給付費用、④のれんの減損損失、⑤訴訟等による多額の賠償または和解費用)を除外した指標*2 調整ROIC(投下資本利益率)= 税引後コア営業利益÷(親会社所有者帰属持分-為替換算差額+純有利子負債)*3 ROE(親会社所有者帰属持分当期利益率)= 親会社の所有者に帰属する当期利益÷親会社の所有者に帰属する持分 (4)資本政策の基本的な方針当社グループの資本政策は、中長期的な企業価値の向上を企図し、「成長投資」、「健全な財務基盤と効率的なバランスシート運営」、「株主還元」を軸に展開しています。 ① 中長期企業価値向上に資する成長投資当社グループは、研究開発投資、製品導入など、事業の持続的成長につながる投資に積極的に資金を投入します。投資判断にあたっては、収益性・投資回収性・事業リスクなどを総合的に評価し、短期的な指標に偏らず、中長期的な価値創出に資する案件を選定します。これにより、将来の収益基盤を強化し、企業価値の持続的な向上を実現していきます。 ② 健全な財務基盤と効率的なバランスシート運営当社グループは、成長投資に必要な資金を安定的かつ機動的に確保するため、市場環境に応じた多様な調達手段を活用します。市場調達も含めて資金調達基盤を整備することで、財務の柔軟性と健全性を確保していきます。また、負債水準、フリー・キャッシュ・フロー、CCC(キャッシュ・コンバージョン・サイクル)などの主要指標を適切にモニタリングし、・財務健全性の維持・資本効率の向上・運転資本・在庫水準の最適化などを通じて、バランスシートマネジメントに取り組みます。 ③ 株主還元当社グループは、積極的な成長投資と株主の皆様への還元の最適なバランスを追求します。連結業績、配当性向、およびフリー・キャッシュ・フローを総合的に勘案し、持続的・安定的な配当を実施します。また、財務状況、市場環境を踏まえ、総還元性向を勘案し、自己株式の取得についても検討していきます。
MD&A(経営者による分析)
4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。 (1)事業の概況○ 当社グループは2021年4月よりスタートした中期経営計画「EWAY Future & Beyond」に基づき、「患者様とそのご家族」から「患者様と生活者の皆様」に視点を拡大し、人々の健康憂慮の解消と医療較差の是正に向けたソリューションをお届けすべく、他産業との協業によるエコシステムの構築をめざしています。また、持続的な企業価値向上のため、人財の価値を最大限に引き出すべく人的資本経営を推進しています。企業理念・経営戦略と連動した人事戦略を策定し、国籍・性別・年齢などを問わず多様な価値観を持つ人財が活躍できる風土づくりを進め、イノベーションの創出を目指しています。○ 疾患を連続体(Disease Continuum)として捉え、複数のバイオマーカーなどのプロファイリングにより疾患病態生理学的に理解することによって社内に蓄積されるヒューマンバイオロジーエビデンスを最大限活用し創薬研究を実践するDeep Human Biology Learning(DHBL)研究開発体制のもと、当社グループが当該領域のヒューマンバイオロジーに最も早く深くアクセスすることが可能なアルツハイマー病(AD)に代表される認知症を中心とした神経領域、難治性がんを中心としたがん領域に加えて、顧みられない熱帯病(Neglected Tropical Diseases: NTDs)をはじめとするグローバルヘルス分野における創薬を推進しています。○ 認知症領域では、アルツハイマー病(AD)治療剤「レケンビ」についてBiogen Inc.(米国)との共同開発・共同販促による価値最大化に取り組んでいます。「レケンビ」は2025年度末までに50以上の国と地域で承認を取得しました。2025年10月には、当事者様の利便性向上が期待できる皮下注オートインジェクター製剤について、早期ADの治療における維持投与として米国で新発売しました。2026年度には、初期療法での承認、上市を米国ならびに日本で予定しています。さらには、プレクリニカル期(無症状期)ADを対象とする臨床試験も進行しています。また、すべての当事者様の健康憂慮の解消と医療較差の是正に貢献すべく、中国における認知症を対象としたワンストップオンライン健康プラットフォームの構築や、日本、アジアにおける他産業や非営利団体との提携といったソリューションを備えたエコシステムの構築を進めています。2025年5月には、エコナビスタ株式会社へのTOB(株式公開買付け)が成立し、認知症プラットフォームをベースとしたさらなるソリューション構築を進めています。○ がん領域では、抗がん剤「レンビマ」について、Merck & Co., Inc., Rahway, NJ, USA(以下 米メルク社)との共同開発・共同販促による価値最大化に取り組んでいます。2025年度には、米メルク社の抗がん剤ベルズチファンとの併用による腎細胞がん(セカンドライン)について、米国、日本で申請を行いました。また、オンコロジーパイプラインの強化に向けて、欧州など向けには抗がん剤タレトレクチニブの権利を、日本向けには、抗PD-1抗体serplulimabの権利をそれぞれ取得しました。○ これらの活動の結果、2025年度の売上収益は8,254億円(前期比4.6%増)となりました。うち、「レンビマ」は3,425億円(同4.3%増)、「レケンビ」は880億円(同98.7%増)、不眠症治療剤「デエビゴ」は643億円(同19.6%増)となり、前年度から大幅な成長を遂げました。営業利益は、前期に一部製品の権利の譲渡に係る一時金、戦略的提携の終結に伴う一過性の利益等を計上した影響、ならびに「レケンビ」への積極的な資源投入や欧州の構造改革を進めたことで販売費及び一般管理費が増加した影響などにより、441億円と前期から102億円減少しました。一過性の損益を除外したコア営業利益については、前期の238億円から501億円へと大幅に伸長しました。 (2)経営成績の状況○ 当期(2025年4月1日~2026年3月31日)の連結業績は、次のとおりです。(単位:億円、%) 2024年度2025年度増減率売上収益7,8948,254+4.6%売上原価1,6881,912+13.3%売上総利益6,2066,342+2.2%販売費及び一般管理費4,0804,353+6.7%研究開発費1,7161,587△7.6%その他の収益17253△69.2%営業利益544441△18.8%税引前当期利益611510△16.5%当期利益481405△15.7%親会社の所有者に帰属する当期利益464386△17.0%当期包括利益4321,053+143.9%基本的1株当たり当期利益163円76銭136円78銭△16.5%(参考情報)コア営業利益238501+110.7% ○ 売上収益は、「レケンビ」、「レンビマ」および「デエビゴ」が引き続き伸長したことにより、前期に一部製品の権利の譲渡に係る一時金を計上した影響を吸収して増収となり、過去最高となりました。医薬品事業の売上収益は8,108億円(前期比8.2%増)となりました。○ 主要品目の売上収益は、「レンビマ」が3,425億円(前期比4.3%増)と拡大しました。「レケンビ」が880億円(同98.7%増)、「デエビゴ」が643億円(同19.6%増)、抗てんかん剤「フィコンパ」が333億円(同11.6%増)といずれも大幅に拡大しました。○ 売上原価は、主要品目の伸長により増加しました。売上原価率は、製品ミックスの変化に伴う影響や前期に一時金を売上収益として計上していた影響により、上昇しました。なお、一部製品の販売マイルストンの達成による費用、ならびに抗がん剤「タズベリク」(一般名:タゼメトスタット)の販売中止に伴い保有する在庫に係る評価損等を計上しました。○ 販売費及び一般管理費は、「レケンビ」への積極的な資源投入や欧州の構造改革に係る費用の計上等により、増加となりました。○ 研究開発費は、「レケンビ」や抗MTBRタウ抗体「E2814」、新規選択的オレキシン2受容体作動薬「E2086」などの重要プロジェクトへの積極的な資源投入を継続した一方で、開発テーマの見直しや費用効率化の追求により、減少となりました。○ その他の収益は、前期に戦略的提携の終結に伴う一過性の利益59億円を計上したこと等により減少となりました。○ 営業利益は、主要品目の売上が大幅に伸長した一方で、前期に一部製品の権利の譲渡に係る一時金、戦略的提携の終結に伴う一過性の利益等を計上した影響、ならびに「レケンビ」への積極的な資源投入や欧州の構造改革を進めたことで販売費及び一般管理費が増加した影響などにより、減益となりました。本質的な収益性を示すコア営業利益は501億円(前期比110.7%増)となりました。 [セグメントの状況](各セグメントの売上収益は外部顧客に対するものです) 当社グループは、セグメントを医薬品事業とその他事業に区分しており、医薬品事業を構成する日本、アメリカス(北米)、中国、EMEA(欧州、中東、アフリカ、ロシア、オセアニア)、イーストアジア・グローバルサウス(韓国、台湾、インド、アセアン、中南米、南アフリカ等)の5つの事業セグメントを報告セグメントとしています。 <日本医薬品事業>○ 売上収益は2,292億円(前期比6.0%増)、セグメント利益は730億円(同1.8%増)となりました。売上収益の主な内訳は、医療用医薬品が2,067億円(同6.7%増)、一般用医薬品等が225億円(同0.2%増)でした。○ 品目別売上収益については、ニューロロジー領域で、「レケンビ」が244億円(前期比91.3%増)と大幅に伸長し、「デエビゴ」は465億円(同4.4%増)、「フィコンパ」は82億円(同6.5%増)と伸長しました。オンコロジー領域では、「レンビマ」が141億円(同1.3%増)と伸長しました。ヤヌスキナーゼ阻害剤「ジセレカ」は184億円(同24.9%増)、慢性便秘症治療剤「グーフィス」は88億円(同12.1%増)、慢性便秘症治療剤「モビコール」は87億円(同13.1%増)と大幅に伸長しました。一般用医薬品等では、チョコラBBグループの売上収益が159億円(同4.4%増)と伸長しました。○ 2025年6月、OTC医薬品プロトンポンプ阻害薬「パリエットS」を新発売しました。 <アメリカス医薬品事業>○ 売上収益は3,004億円(前期比8.0%増)、セグメント利益は1,744億円(同10.2%増)となりました。○ 品目別売上収益については、ニューロロジー領域で、「レケンビ」が446億円(前期比70.7%増)、「デエビゴ」が105億円(同53.5%増)と大幅に伸長しました。オンコロジー領域では、「レンビマ」が2,372億円(同2.1%増)と伸長しました。○ 2025年10月、米国において、皮下注オートインジェクター製剤「LEQEMBI IQLIK」を新発売しました。○ 2025年12月、カナダにおいて、「レケンビ」を新発売しました。 <中国医薬品事業>○ 売上収益は1,307億円(前期比13.2%増)、セグメント利益は593億円(同3.7%増)となりました。○ 品目別売上収益については、「レンビマ」が250億円(前期比1.0%増)と伸長しました。「レケンビ」は需要の拡大により124億円(同163.1%増)と大幅に伸長しました。末梢性神経障害治療剤「メチコバール」は126億円(同9.1%増)と伸長しました。めまい・平衡障害治療剤「メリスロン」は125億円(同11.6%減)となりました。○ 2025年7月、中国において、痛風治療剤「URECE」を新発売しました。○ 2025年8月、中国において、「デエビゴ」を新発売しました。 <EMEA医薬品事業>○ 売上収益は815億円(前期比2.7%増)、セグメント利益は構造改革を進めた影響により304億円(同15.4%減)となりました。○ 品目別売上収益については、ニューロロジー領域で、「フィコンパ」が173億円(前期比10.6%増)と大幅に伸長し、「レケンビ」は16億円(同419.2%増)となりました。オンコロジー領域では、「レンビマ/Kisplyx」が492億円(同17.4%増)と大幅に伸長しました。○ 2025年8月にオーストリア、同年9月にドイツおよびサウジアラビア、同年10月にフィンランド、2026年1月にポルトガルにおいて、「レケンビ」を新発売しました。 <イーストアジア・グローバルサウス医薬品事業>○ 売上収益は688億円(前期比15.6%増)、セグメント利益は302億円(同10.5%増)となりました。○ 品目別売上収益については、「レンビマ」が171億円(前期比9.1%増)、アルツハイマー型認知症治療剤「アリセプト」は146億円(同2.7%増)と伸長しました。「レケンビ」は50億円(前期は4億円)となりました。○ 2025年6月に台湾およびシンガポール、同年9月にメキシコ、同年11月にタイにおいて、「レケンビ」を新発売しました。○ 2025年7月、タイにおいて、過活動膀胱治療剤「ベオーバ」を新発売しました。○ 2025年9月、タイにおいて、痛風・高尿酸血症治療剤「URECE」を新発売しました。 (3)財政状態の状況○ 資産合計は、1兆4,491億円(前期末より626億円増)となりました。「レケンビ」等の生産を進めたことにより棚卸資産が増加したほか、為替の影響により海外連結子会社の資産が増加しました。○ 負債合計は、5,240億円(前期末より34億円増)となりました。主として売上割戻に係る引当金が増加しました。○ 資本合計は、9,251億円(前期末より592億円増)となりました。為替の影響により在外営業活動体の換算差額が増加しました。○ 以上の結果、親会社所有者帰属持分比率は62.0%(前期末より1.4ポイント増)となりました。 (4)キャッシュ・フローの状況○ 営業活動によるキャッシュ・フローは、613億円の収入(前期より312億円の収入増)となりました。運転資本が棚卸資産の増加や買掛金の減少などにより増加となった一方で、退職給付信託の返還を受けたことに伴う退職後給付に係る資産の減少により増加しました。○ 投資活動によるキャッシュ・フローは、418億円の支出(前期より317億円の支出増)となりました。金融資産の売却による収入があった一方で、無形資産の取得および子会社の取得などの資本的支出が増加しました。○ 財務活動によるキャッシュ・フローは、611億円の支出(前期より33億円の支出増)となりました。主に配当金の支払いによるものです。○ 以上の結果、現金及び現金同等物の残高は2,454億円(前期より201億円減)、営業活動によるキャッシュ・フローから資本的支出等を差し引いたフリー・キャッシュ・フローは196億円の収入となりました。 (5)生産、受注および販売の実績① 生産実績(a) 生産実績当期における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。セグメントの名称金額(百万円)前期比(%)日本医薬品事業229,797104.7アメリカス医薬品事業527,324134.5中国医薬品事業127,425117.6EMEA医薬品事業119,14596.1イーストアジア・グローバルサウス医薬品事業78,409110.4報告セグメント計1,082,100118.3その他事業4,768137.0合計1,086,867118.3(注1) 金額は販売見込価格により算出し、セグメント間の取引については相殺消去しています。 (b) 商品仕入実績当期における商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。セグメントの名称金額(百万円)前期比(%)日本医薬品事業19,814107.2中国医薬品事業7,405123.7イーストアジア・グローバルサウス医薬品事業2,200100.1報告セグメント計29,419110.2その他事業51270.8合計29,931109.1(注1) 金額は仕入価格により算出し、セグメント間の取引については相殺消去しています。(注2) 当期においてアメリカス医薬品事業、EMEA医薬品事業の商品仕入実績はありませんでした。② 受注実績当社グループは販売計画に基づいた生産を行っているため、該当事項はありません。③ 販売実績当期における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。セグメントの名称金額(百万円)前期比(%)日本医薬品事業229,238106.0アメリカス医薬品事業300,440108.0中国医薬品事業130,745113.2EMEA医薬品事業81,532102.7イーストアジア・グローバルサウス医薬品事業68,823115.6報告セグメント計810,779108.2その他事業14,59936.2合計825,378104.6(注1) セグメント間の取引については相殺消去しています。(注2) 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は以下のとおりであります。 相手先 前連結会計年度(自 2024年4月 1日 至 2025年3月31日)当連結会計年度(自 2025年4月 1日 至 2026年3月31日)金額(百万円)割合(%)金額(百万円)割合(%)McKesson Corporation73,5329.3186,03410.42 (6)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容① 重要な会計方針及び見積り連結財務諸表作成にあたり、必要と思われる見積りは合理的な基準に基づいて実施しています。重要な会計方針及び見積りの詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 3. 重要性のある会計方針、 4. 重要な会計上の見積り及び判断」に記載のとおりです。 ② 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)事業の概況、(2)経営成績の状況、 (3)財政状態の状況、(4)キャッシュ・フローの状況」に記載しています。 ③ 資本の財源及び資金の流動性に係る情報当社グループは、研究開発投資、製品導入など、事業の持続的成長につながる投資に積極的に資金を投入します。中長期の成長に向けた投資資金を安定的かつ機動的に確保するため、市場環境に応じた多様な調達手段を活用します。市場調達も含めて資金調達基盤を整備することで、財務の柔軟性と健全性を確保していきます。また、CCC(キャッシュ・コンバージョン・サイクル)管理による運転資本のコントロール、投資有価証券を含む資産売却などによるバランスシートマネジメントを推進しています。資金の流動性については、2025年度末における現金及び現金同等物残高2,454億円であり、十分な流動性を確保しています。さらに、コマーシャル・ペーパーや当座借越・コミットメントラインなどの流動性補完、機動的な社債発行を可能とする社債発行登録などにより、流動性を一層強化しています。また、グループ内資金の効率的な活用を企図したキャッシュ・マネジメント・システムを導入しています。2025年度末時点での実質的なキャッシュ残高である有利子負債控除後のネットキャッシュは801億円と、実質無借金を維持しています。引き続き、負債水準、フリー・キャッシュ・フロー、CCC(キャッシュ・コンバージョン・サイクル)などの主要指標を適切にモニタリングし、財務の健全性を確保していきます。 ④ 経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等当社グループは、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等(3)経営環境、経営方針・経営戦略、ならびに優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題等 ⑤目標とする経営指標」に記載のとおり、中長期の企業価値向上に連動する指標として、当社グループの本質的な収益力を表す「コア営業利益」および、為替換算差額を控除した自己資本と純有利子負債をベースにした「調整ROIC」を新たに設定しました。中長期的に調整ROICは8%~10%を、ROEは8%を達成することを目標とし、資本効率性をモニタリングしています。2025年度業績予想(売上収益:7,900億円 営業利益:545億円 親会社の所有者に帰属する当期利益:415億円 ROE:5.0%、2024年度有価証券報告書提出日時点)との比較では、売上収益は8,254億円(対業績予想比4.5%増)、営業利益は441億円(同比19.0%減)、親会社の所有者に帰属する当期利益は386億円(同比7.1%減)、ROE4.4%(同差0.6ポイント減)となりました。売上収益は、グローバルブランドである「レンビマ」、「デエビゴ」、「レケンビ」が伸長したことにより業績予想を上回りました。営業利益およびROEについては、製品導出・売却の見送り、欧州における構造改革費用の計上、タズベリクの販売中止に伴う在庫評価損を計上した結果、業績予想を下回りました。

事業リスク

  • 企業理念浸透の不徹底
    企業理念であるヒューマン・ヘルスケア(hhc)理念の浸透が不十分であったり、理念実現に向けた経営の実践が停滞したりした場合、患者様や生活者の皆様へのベネフィット向上が十分に得られなくなる可能性があります。これにより、エーザイグループの業績だけでなく、非財務価値を含む企業価値向上に重要な影響を及ぼす恐れがあります。
  • レケンビの収益未達
    アルツハイマー病治療剤「レケンビ」の診断・治療パスウェイ構築が計画通りに進まない場合や、患者様へのアクセスが制限される場合、将来に期待していた収益が得られない可能性があります。また、価格設定や保険制度の変更など、様々な要因が患者様のアクセスに影響を与え、収益に悪影響を及ぼす可能性も考えられます。
  • パートナーシップの課題
    パートナーシップを活用した研究開発や販売活動において、パートナーとの意見の相違、事業環境の変化による協業困難、為替変動による予期せぬ費用負担などが発生する可能性があります。これにより、活動の遅延や非効率が生じ、計画された利益が減少する恐れがあります。また、契約解釈の相違から訴訟に発展し、パートナーシップ解消に至った場合、新薬創出や売上収益に重大な影響を及ぼす可能性があります。
出典: FY2026 有価証券報告書(AI要約)
有価証券報告書「事業等のリスク」の全文を見る(年度切替)
FY2026|11,267 文字
3【事業等のリスク】有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が当社グループの財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクや不確実性は、次のとおりです。ただし、これらは当社グループに係るすべてのリスクや不確実性を網羅したものではなく、現時点において予見できない、あるいは重要とみなされていない他の要因の影響を将来的に受ける可能性があります。当社グループを取り巻くリスクや不確実性に関して、当社グループではGrowth & Operating Comitteeなどの意思決定機関において定期的に議論し、これらのリスクや不確実性を機会として活かす、あるいは低減するための対応を検討しています。その検討結果は取締役会へ報告・議論されており、以下に記載したリスクや不確実性には執行側だけでなく取締役会における議論も反映しています。なお、これらは当連結会計年度末現在において判断したものであり、文中の将来に関する事項はその発生あるいは達成を保証するものではありません。 (1)企業理念企業理念にもとづく経営 当社は、企業理念であるヒューマン・ヘルスケア(hhc)理念の主役を「日常と医療の領域で生活する人々」ととらえ直し、従来の「患者様とそのご家族」から「患者様と生活者の皆様」へと貢献すべき主役を拡大しました。2022年6月に定款の一部を変更し、患者様と生活者の皆様の喜怒哀楽を第一義に考え、そのベネフィット向上に貢献することを企業理念として定款に規定しステークホルダーズと共有しており、これらを「パーパス」としてとらえています。また、その実現の結果として得られる患者様と生活者の皆様のベネフィット向上が、長期的に当社グループの業績および企業価値の向上につながると考えています。2021年4月からスタートした中期経営計画「EWAY Future & Beyond」の戦略意思ならびに2022年5月に発出したhhceco(hhc理念+エコシステム)宣言における他産業との連携を推進するビジネスモデル構築についても企業理念であるhhcに依拠したものであり、人々の健康憂慮の解消と医療較差の是正という社会善を効率的に実現する企業として患者様の真のニーズを理解することによって生まれる強い動機付けが当社グループのイノベーションの源泉となっています。また、患者様価値を創出するための新薬の研究・開発の更なる推進、高品質な製品の生産・販売、医薬品の安全な使用を実現するための情報の管理・提供等を統制のもとで推進する重要性を「インテグリティ」としてとらえています。リンパ系フィラリア症の治療薬の無償提供をはじめとする医薬品アクセス向上や、認知症と共生する「まちづくり」への取り組みなど、ESGへの取り組みもこの理念を根幹として展開しています。 従って、企業理念の当社グループへの浸透の不徹底と理念実現に向けた経営の実践の停滞など、患者様と生活者の皆様がベネフィット向上を十分に得るうえでの阻害要因が生じた場合には、当社グループの業績のみならず非財務価値を含めた企業価値向上に重要な影響を及ぼす可能性があります。 (2)事業戦略レケンビと次世代AD治療剤の価値最大化 当社グループは、中期経営計画「EWAY Future & Beyond」においても、アルツハイマー病(AD)治療剤「レケンビ」(一般名:レカネマブ)と次世代AD治療剤の価値最大化を最重要戦略の一つと定めています。その中で、患者様の受診開始から診断、治療およびモニタリングまでの診断・治療パスウェイの構築を進めています。また、「レケンビ」については血液バイオマーカーの進展や維持療法及び皮下注製剤の開発なども併せ、このパスウェイの効率化をめざしています。米国では、静脈投与による維持療法、皮下注製剤による維持療法が新たな治療選択肢として承認され、さらに他国へも同様に治療選択肢の拡大をめざしています。これらによるパスウェイの変革ができない場合、患者様に「レケンビ」および次世代AD治療剤を十分にお届けできない可能性があり、将来に期待していた収益が得られない可能性があります。 また、当社グループは、「レケンビ」について、米国においてValue-based Pricingのコンセプトに基づき透明性の高い説明を伴った価格を設定するなど、より幅広い当事者様アクセスの促進、経済的負担の軽減および医療システムの持続可能性への貢献をめざしていますが、様々な要因により患者様の「レケンビ」へのアクセスが制限される場合、将来に期待していた収益が得られない可能性があります。レンビマの価値最大化 当社グループと米メルク社は、抗がん剤「レンビマ」と抗PD-1抗体ペムブロリズマブ(一般名)を含む他の治療薬との併用療法に関して複数のがん種を対象とする複数の臨床試験を実施中です。 しかしながら、本併用療法の臨床試験において期待した結果が得られなかった場合、競合品の予期せぬ試験結果や承認タイミングによってポジショニングが変化した場合、並びに当初想定した時期に「レンビマ」が追加の適応症に関する承認を取得できないことで製品の競争力が減弱した場合などに、「レンビマ」の売上計画を達成できない可能性があります。パートナーシップモデル 当社グループは、ビジネスの効率性・生産性を向上させるうえで、パートナーシップは有効な手段と考えており、最先端のサイエンスやテクノロジーの活用による新薬開発の加速を目的としたパートナーシップや、各リージョンでのリソースの効率的活用と事業価値最大化、協業先との新しいソリューションの共同開発を目的としたパートナーシップを活用しています。 パートナーシップを活用した医薬品および「日常と医療の領域で生活する人々」を対象とした新しいソリューションの研究開発、生産、販売活動において、パートナーとの意見の相違が生じた場合や事業環境の変化等に伴いパートナーの事業継続が困難となった場合、もしくは協業が困難になった場合には、上記活動に遅延や非効率が生じるほか、為替変動の影響などにより予測外のパートナー費用負担が発生することで計画された利益が想定外に減少するなど、事業価値最大化に支障をきたす可能性があります。加えて、各国の、薬価および保険制度の変更は、パートナーシップに重要な影響を及ぼす可能性があります。 また、契約の解釈の相違などが生じた場合には、パートナーとの間で訴訟や仲裁に発展し、最終的にはパートナーシップの解消をもたらす可能性もあります。この場合、将来に期待されていた新薬の創出や売上収益が実現できないなど、業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。デジタルトランスフォーメーション 当社グループは、中期経営計画「EWAY Future & Beyond」において、全ステークホルダーの想いをつなげ、解決スピードを加速させ、データに基づく強固な経営を効率的に実行するため、あらゆる活動でデジタルトランスフォーメーションに取り組むことを大きなテーマとして掲げています。新技術の活用により創薬のスピードと成功確率を飛躍的に向上させるとともに、「日常と医療の領域で生活する人々」に薬剤を含めたソリューションをお届けするまでの全局面におけるパラダイムシフトの実現を企図し、他産業と得意技を持ち寄り協業するエコシステム(hhceco)の構築によりデジタルトランスフォーメーションを実現させることが重要課題です。当社ではCOO & チーフグロースオフィサーとチーフインフォメーションオフィサーを中心に、全社デジタル戦略を加速します。 近年のAIの進展は創薬やバックオフィスを含む業務効率化に大きく寄与すると期待されるため、当社はAI活用を推進しています。一方で、情報セキュリティ・法令・倫理等のリスクを適切に評価・管理しないまま運用を拡大すると、AI活用に起因する情報漏洩や法令・コンプライアンス違反等が生じる恐れがあり、当社グループの業績のみならず非財務価値を含めた企業価値向上に重要な影響を及ぼす可能性があります。そのため、当社ではAIのガバナンス体制とルールを整備し、リスク評価・管理の下で全社的なAIの導入、普及啓発および人材育成を段階的に推進することで、AIによる業務効率化を図っています。 (3)医薬品の研究開発、生産および販売活動新薬開発 当社グループは、神経領域やがん領域をはじめとして、多くの新薬開発を行っています。新薬の研究開発には長い期間と多額の投資を必要とします。加えて、有効性や安全性の観点から医薬品候補化合物の開発を中止あるいは中断する可能性があります。過去の例では、米メルク社と当社グループが共同開発を行っている「レンビマ」とペムブロリズマブの併用療法では、転移性非小細胞肺がんに係るフェーズⅢ試験において主要評価項目を達成しませんでした。 また、臨床試験で期待された結果が得られた場合であっても、各国の厳格な承認審査の結果、承認が得られないもしくは追加データの提出を要求され承認が遅延する可能性があります。あるいは、承認が得られた場合でも承認条件として求められた追加臨床試験で安全性・有用性が検証できなかった場合には承認を取り消される可能性があります。 このような新薬開発の不確実性に伴い、当初想定していた開発計画が中止あるいは遅延した場合、将来に期待していた収益が得られない可能性があります。副作用 医薬品は承認・販売された場合でも、その後のデータ・事象により、医薬品としてのベネフィットとリスクのプロファイルが承認時とは異なってくる場合があります。重大な副作用の発現・集積により、製品の添付文書の変更、販売停止、回収等の措置を実施する場合には、業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。 当社は、製品に関するすべての有害事象や安全性に関する情報を科学的・医学的に評価し、規制当局に報告する体制としてすべての地域の安全管理責任者等で編成するセーフティ・エグゼクティブ・コミッティ、および製品毎の安全性医学評価責任者等で編成するグローバル・セーフティ・ボードを設置しています。これらの体制を中心として、新薬も含め製品のグローバルな安全性監視体制を確立し、継続的に製品の適正使用の徹底に努めています。製品品質および安定供給 高品質な医薬品を患者様へ確実にお届けする必要がありますが、使用する原材料、自社工場あるいは製造委託先での製造プロセス等、何らかの原因により製品品質に問題が生じた場合や、使用原材料の供給停止や製造工程における技術上の問題、パンデミック、国家間の紛争などによる地政学的問題、重大な災害あるいは経済安全保障上の問題等により工場の操業停止やサプライチェーンに問題が生じた場合には、製品の欠品、回収、販売停止などにより患者様の健康に支障をきたす可能性があるほか、業績へ影響を及ぼす可能性があります。また、何らかの原因による急な需要変動により製品の安定供給に影響が及ぶ可能性があります。加えて、現在日本政府や米国政府が取り組んでいる経済安全保障の対応において、法令上の義務を課され、当社グループ製品の安定供給体制をより強化する対応が求められる、あるいはサプライチェーンの変更が求められる可能性があります。さらに、米国に端を発する各国の関税政策変更により製造原価が上昇するリスクがあり、その影響を抑制するため、サプライチェーンを変更する可能性があります。 当社グループは、国内外に自社工場を保有し、安心してご使用いただける高品質な医薬品の供給を可能とする安定供給体制ならびに品質保証体制を構築しており、グローバル基準のGMP(製造管理および品質管理に関する基準)に準拠した製造および品質管理を行っています。製造委託先に対しても、製造委託先における安定供給体制ならびに品質保証体制の確認、定期的なGMP監査に加え技術者派遣による製造現場の確認などを実施しています。あわせて、製造委託先と原材料の取引先に対してサステナビリティ評価を実施するとともに「ビジネス・パートナーのための行動指針」の遵守をお願いすることで、当社グループと同様の人権尊重・腐敗防止への取り組みを求めています。さらに、流通段階での品質確保にも取り組んでいます。また、事業継続計画(BCP)に定めた重要原材料や完成品の適正在庫を確保するとともに、地政学的なリスクを考慮した原材料の複数購買体制および複数工場での製品の製造体制を構築することで、パンデミック、重大な災害、紛争や急な需要変動が発生した場合においても安定供給を確保する体制の整備に取り組んでいます。中東情勢についても、原油などのエネルギー価格の高騰や原料調達・輸送手段への影響を踏まえ、当社事業への影響の最小化に向けた対応を検討しています。知的財産(注1) 先発医薬品の特許期間およびデータ保護期間が切れると、通常同一成分のジェネリック医薬品の販売が可能となり、先発医薬品の売上収益が大きく減少する可能性があります。また、特許の不成立や特許成立後の無効審判の結果等により取得した特許権を適切に保護できない場合、想定より早くジェネリック医薬品やバイオシミラー品の市場参入を招き、同様に売上収益が減少する可能性があります。 加えて、特許期間内であっても、米国のようにジェネリック医薬品やバイオシミラー品の申請が可能な国もあり、そのような国では、ジェネリック医薬品やバイオシミラー品の申請を行った企業との間で特許侵害訴訟が起こる可能性があります。それら特許訴訟の結果によっては、ジェネリック医薬品やバイオシミラー品が当該特許期間満了より早期に参入し、当該国内の市場シェアが大幅かつ急速に低下する可能性があります。例えば、米国において「レンビマ」に関する後発品申請に関する訴訟が係属しており、その結果によっては当社グループの業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループの医薬品を保護する物質特許が無効と判断された場合、当該国内における当該医薬品の市場価値が失われ、当社グループの業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。 一方、当社グループでは、第三者の知的財産権を侵害することのないように常に注意を払っていますが、万が一当社グループの事業活動が第三者の知的財産権を侵害した場合、第三者から当該事業活動を中止することを求められたり、損害賠償を請求されたりする可能性があります。訴訟 当社グループは、その事業運営に関し、製造物責任その他の人身被害等の製品に関する事項、消費者保護、商業規制、証券法、データ保護、契約違反、法令違反、環境規制など様々な事由に関連して、政府を含む第三者の提訴や調査等に起因する訴訟、仲裁その他の法令上や行政上の手続きに関与し、または関与する可能性があります。訴訟等の法的手続きは、その性質上、不確実性を伴います。当社グループはこれらの手続きに適切に対応し、正当な主張を行って参りますが、将来的に当社グループに賠償金支払いを命じる判決や、和解による支払いなどが生じる可能性があり、この結果、当社グループの経営状況、業績、社会的評価に重要な影響を及ぼす可能性があります。データの信頼性 製薬企業にとって、研究データ、生産データ、市販後調査や医薬品安全性監視等に関するデータのインテグリティ(完全性、一貫性、正確性)の確保は、製品の安全性や信頼性の根拠となるため極めて重要であり、これら重要データのインテグリティが確保できないことにより、新薬開発の遅延・中止や、製品の回収、販売の停止など業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。 当社グループでは、データの記録・検証・承認・保管のシステム化を推進しています。さらに、適切な内部統制の構築・整備、運用等により、製品品質を裏付けるデータ、臨床試験データおよび市販後調査を含む医薬品安全性監視に関するデータのインテグリティの強化をはかるとともに、重要データに携わる社員を対象とした研修を継続して実施しています。また、データのインテグリティ確保にあたり、取引開始前に新規委託候補先におけるデータ管理体制を確認しています。医療費抑制策 日本、米国、欧州をはじめとした各国政府は、増大する医療費を抑えるため、様々な薬剤費抑制策を導入・検討しています。米国では、薬剤費抑制策の一環としてメディケア薬価交渉プログラムが導入され、2026年1月には本プログラムの対象薬として「レンビマ」が選定されました。今後、当社グループと連邦政府機関のCMS(Centers for Medicare & Medicaid Services)による、メディケアパートDにおける「レンビマ」価格の交渉が実施され、2026年度中に新価格の公表、2028年1月より新価格が適用される見込みです。日本では医療用医薬品の薬価引き下げや、ジェネリック医薬品やバイオ後続品の使用促進などの施策がとられています。中国においても、国家医薬品償還リスト収載に伴う大幅な価格引き下げや集中購買制度においてより安価なジェネリック医薬品の使用が促進されており、過去の例においては、「レンビマ」を国家医療保険償還医薬品リストに収載する際、販売価格を引き下げました。また、末梢性神経障害治療剤「メチコバール」は政府集中購買の対象となったことから販売価格を引き下げました。欧州では、新薬承認が得られた製品であっても、期待した価格による保険償還がなされない場合があります。これらの施策の推進ならびに新たな施策の導入により、当初に見込んでいた売上収益が得られない可能性があります。 当社グループでは、各国の制度や政策動向を把握しつつ、有効性や安全性に加え、介護の軽減や対象疾患の重篤度など、薬剤のもつ社会的価値を算出し、イノベーションに対する適切な評価の推進をはかっています。(注1)米国における「レンビマ」に関する後発品申請に関する訴訟について、2025年5月、米国ニュージャージー州連邦地方裁判所においてShilpa Medicare Limitedに対し勝訴の判決を得ました。Shilpa Medicare Limitedは、本判決について米国連邦高等裁判所に上訴中です。また、これまで当社が提起した「レンビマ」に関する後発品申請 に関する訴訟について、SUN Pharmaceutical Industries Ltd.及びSUN Pharmaceutical Industries Inc.に対しては2024年3月21日に、Dr. Reddy’s Laboratories, Ltd. 及びDr. Reddy’s Laboratories, Inc.に対しては2025年9月22日に、Torrent Pharmaceuticals Ltd.に対しては2025年11月6日に、それぞれ和解契約を締結し、2030年6月30日以前に特定の条件が発生しない場合、2030年6月30日まで「レンビマ」の後発医薬品販売を行わないことが確認されています。 (4)その他サクセッション 当社グループは、30年以上にわたり、現代表執行役CEOが強いリーダーシップを発揮してグローバルに事業を展開し成長を遂げてきました。代表執行役CEOがサクセッションプランを策定して、将来の代表執行役CEOを育成することに加え、突発的事態に対しても万全な備えを行うこと、および代表執行役CEOの選定においては、取締役会がその客観性や公正性を確保することが重要です。これらができない場合、当社グループの企業理念の実現や経営に大きな影響を及ぼす可能性があります。 このため、当社取締役会は代表執行役CEOの選定を取締役会の最も枢要な意思決定事項のひとつと位置付けるとともに、サクセッションプランに関するルール、手続きを定め、独立社外取締役が将来の代表執行役CEOの育成等のプロセスに関与することで、CEO選定の客観性と公正性を合理的に確保できると考えています。hhcガバナンス委員会では、代表執行役CEOのサクセッションプランを全取締役で議論するとともに突発的事態に対する備えについても上記の検討の中で確認がなされています。 また、当社執行役およびグローバル重要ポジションにおいて、最適の人財を配することができない場合、当社グループの経営へ大きな影響を及ぼす可能性があります。当社グループは、CEOのサクセッションへの取り組みに加え、執行役を含むグローバルでの重要ポジションにおける計画的なリーダーシップの継承を企図して、後継候補者の選定と育成、リテンション施策などの進捗状況を確認するサクセッションプランニングを年1回実施しています。人財の確保と育成 当社の強みは「企業理念の深い浸透」です。当社は企業理念(hhc理念)への深い理解と共感を根幹とし、全社員が主体的に取り組む自律したプロフェッショナルとして活躍することをめざしています。また当社は、定款において、社員をhhc理念の実現に向けた社の重要なステークホルダーと定め、その基本的な考え方として、「安定的な雇用の確保」、「人権および多様性の尊重」、「自己実現を支える成長機会の充実」、「働きやすい環境の整備」を掲げています。 hhc理念に共感する多様な人財を獲得し、社員一人ひとりがhhc理念実現に向け、様々な環境下において個性や強みを発揮し、中長期的に取り組むことができない場合、イノベーションの創出と企業理念の実現に大きな影響を及ぼす可能性があります。 当社の人財育成の基本は、社員一人ひとりが患者様とともに時間を過ごす共同化によって患者様の真のニーズを理解することであり、この共同化が社員一人ひとりの動機付けとなります。グローバルリーダー育成プログラム等、様々な社内研修プログラムに患者様との共同化のセッションを盛り込み、hhc理念の浸透をはかることで人財育成を強化しています。また、当社の健康宣言で掲げる「Work とLifeの健康」を実現すべく、社員の健康管理、タイムマネジメント、長時間労働の是正を進めるとともに、多様な社員が様々な環境下でも生産性高く、健康的に、自分らしく仕事へ取り組むことができる就業環境を整備しています。社員の健康と多様な働き方を支援する各種制度の導入や職場環境の整備を進めており、より魅力ある企業となることで、人財の確保を図っています。情報セキュリティ IT・デジタルの活用が進展する一方、サイバー攻撃は、日々高度化・巧妙化しており、ランサムウェアや標的型メール攻撃、さらには外部委託先といったサプライチェーンを経由した攻撃などにより、操業停止等、事業活動への影響が生じるリスクが高まっています。当社グループは、個人情報や未公開情報、パートナー企業との機密情報など、多様かつ重要な情報資産を多く保有しています。これらの重要情報が漏えい・改ざん・消失した場合、法的責任の発生や競争優位性の喪失、さらには企業としての信頼失墜につながるおそれがあります。特に、グローバルでの個人情報保護規制への適切な対応が求められるとともに、創薬段階の未公開構造式などの流出は特許の申請・取得に対して直接的な影響を及ぼす可能性があります。 これらのリスクに関する当社グループの対応については「2 サステナビリティに関する考え方及び取組(2)サステナビリティに関する「戦略」と「指標と目標」⑨情報セキュリティへの取り組み」をご参照ください。 気候変動 気候変動は、企業活動に影響を与える重要な課題であると認識しています。当社グループは、2019年6月にTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)提言への賛同を表明し、当提言が推奨する気候シナリオ分析を行い、2020年度に結果を開示しました。その後、気候変動に関連するリスク・機会の当社グループに及ぼしうる影響を再評価するため、複数の気候シナリオを考慮した分析を再度実施し、結果を2023年度に開示しました。 分析の結果、物理的リスクとして、気候変動に伴う感染症リスク増加により医薬品アクセス維持・向上のために必要な投資・コストが増加する可能性があるほか、自然災害により生産活動の停滞や資産・従業員への被害が生じる可能性を再認識しました。これらのリスクに対して、熱帯感染症に対する医薬品の開発や蔓延地域への医薬品供給による医薬品アクセスの維持・向上に努めているほか、生産拠点のバックアップ体制導入や製品・原料の在庫確保、生産拠点・倉庫における自然災害リスクの確認と予防策の実施といった対策を講じています。移行リスクでは、温室効果ガス排出削減ならびにその開示が不十分な場合のステークホルダーズからの信頼性低下や、炭素税価格上昇に伴うエネルギーコスト・調達品価格上昇のリスクを再確認しました。また、温室効果ガス排出削減のための追加的な設備投資や、包装材等を温室効果ガス排出量の少ない製品に切り替えるために追加的なコストが発生する可能性をリスクとして認識しました。これらのリスクに対しては、ネットゼロ達成に向けたロードマップに則り、2030年を目標年とするRE100の達成を視野に入れた再生可能エネルギー電力の積極的導入、インターナル・カーボンプライシングの導入による温室効果ガス削減投資の推進、一部製品の包装容器でのバイオプラスチック採用やその他製品での低環境負荷包材導入検討といった対策を講じています。 当社グループは、2023年11月にSBT1.5℃目標の承認を取得し、かつ同12月には「気候変動イニシアティブ(JCI)」より2050年までのネットゼロ達成にコミットするJCI Race to Zero Circleへの参加承認を取得し、各目標達成に向けた取り組みを進めています。2025年度は、取り組みを加速させるべく、「気候変動緩和のための移行計画」を精緻化し、GHG排出削減に向けた戦略とロードマップの構築、財務・投資計画との連動などより具体的かつ実効性ある計画としました。この移行計画に影響を与えるような急激な気候変動、規制の強化等の新興リスクの有無についても継続して監視していきます。 これらのリスクに関する当社グループへの財務影響と対策状況は、「2 サステナビリティに関する考え方及び取り組み (2)サステナビリティに関する「戦略」と「指標と目標」④ 気候変動に関する取り組み」に記載しています。のれんや無形資産の減損 当社グループは、企業買収や製品・開発品の導入を通じて獲得したのれんおよび無形資産を計上しています。これらの資産については、計画と実績の乖離や市場の変化等により回収可能価額が帳簿価額を下回る場合には減損処理をする必要があり、当社グループの経営成績および財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 例えば、当社グループにおけるのれん(2025年度末残高:2,592億円)の多くはアメリカス医薬品事業に配分しています。その回収可能価額は、経営者により承認された事業計画を基礎としたアメリカス医薬品事業の将来キャッシュ・フローや成長率等の仮定を用いて算定しており、それらの仮定は、将来における新薬の承認取得・適応追加の有無および時期、上市後の薬価および販売数量、競合品の状況や金利の変化等の影響を受けます。

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