4507

塩野義製薬(4507)は何で稼いでいるか — 事業の柱と依存度

医薬品 医薬品

事業の概要

  • 医薬品の研究開発
    塩野義製薬グループは、医療用医薬品の研究開発を中核事業としています。新薬の発見から臨床試験、承認取得まで、長い年月と多額の投資を要するプロセスを通じて、革新的な医薬品を生み出すことを目指しています。特に感染症領域に強みを持つとされています。
  • 医薬品の製造・販売
    研究開発によって生み出された医薬品を、自社または提携企業を通じて製造し、国内外の医療機関や患者に提供しています。これにより、医薬品の安定供給と収益の確保を図っています。販売網の構築やマーケティング活動も重要な事業内容です。
  • 付随業務とグループ経営
    医薬品事業に付随する様々な業務(例:品質管理、物流、情報提供)も行っています。また、当社、連結子会社41社、関連会社5社、共同支配企業2社からなるグループ全体で事業を推進しており、各社が研究、製造、ヘルスケア製品、技術支援など、それぞれの役割を担い、グループとしての総合力を高めています。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
セグメント構成
  • 医療用医薬品の研究開発
    塩野義製薬グループは、主に医療用医薬品の研究開発に注力しています。新薬の候補物質探索から非臨床試験、そして人での安全性と有効性を確認する臨床試験まで、多岐にわたる研究活動を行っています。特に感染症領域に強みを持ち、新しい治療薬やワクチンの創出を目指しています。
  • 医薬品の仕入・製造・販売
    研究開発で承認された医薬品の原材料を仕入れ、自社の工場や提携先で製造しています。製造された医薬品は、国内外の医療機関や薬局を通じて患者さんのもとに届けられます。この一連のプロセスを通じて、安定した医薬品供給と収益の確保を図っています。
  • 単一セグメントでの事業運営
    塩野義製薬グループは、医療用医薬品の研究開発、仕入、製造、販売、およびこれらに付随する業務を「単一セグメント」として運営しています。これは、グループ全体の事業が密接に関連しており、特定の事業分野に限定せず、一体として医薬品事業を展開していることを示しています。主要な会社には、シオノギファーマやシオノギヘルスケアなどがあります。
有価証券報告書「事業の内容」の全文を見る(年度切替)
FY2025|654 文字
3 【事業の内容】当社グループ(当社及び当社の関係会社)は、当社、連結子会社41社、関連会社5社及び共同支配企業2社(2025年3月31日現在)より構成されており、医療用医薬品の研究開発、仕入、製造、販売並びにこれらの付随業務を事業内容とする単一セグメントであります。主要な会社は次のとおりであります。当社、シオノギファーマ株式会社、シオノギヘルスケア株式会社、シオノギテクノアドバンスリサーチ株式会社、株式会社UMNファーマ、シオノギビジネスパートナー株式会社、Shionogi Inc.、Qpex Biopharma, Inc.、Tetra Therapeutics Inc.、Shionogi-Apnimed Sleep Science, LLC、Shionogi B.V.、台湾塩野義製薬股份有限公司、北京塩野義医薬科技有限公司、塩野義(香港)商業有限公司、平安塩野義(中国)有限公司、その他34社事業の内容と当社グループ各社の当該事業における位置付けを事業系統図によって示すと、次のとおりであります。 (注)1.連結子会社29社、関連会社4社及び共同支配企業1社は小規模のため表中には表示しておりません。2.平安塩野義(中国)有限公司は、2025年4月1日をもって、塩野義有限公司に社名を変更しております。3.2025年4月1日を効力発生日として株式会社UMNファーマを吸収分割会社、シオノギファーマ株式会社を吸収分割承継会社とする吸収分割を行っており、2025年度中に清算結了を予定しております。

事業の優位性(モート)

事業の質(有価証券報告書から抽出)
数字に出ない事業の性質を、同じ物差しで全銘柄そろえています。FY2025時点の記載が出典です。
価格決定力値上げを通せるか。強いほどインフレ耐性が高い 中程度
医薬品は厳しい審査を経て承認され、市場の予見性が低い感染症領域で事業展開。
参入障壁新規参入を阻む要因の種類 規制
医薬品の製造販売には厚生労働省、FDA、EMA等の所管当局の厳しい審査と認可が必要。
景気敏感度業績が景気循環にどれだけ振られるか ディフェンシブ
設備投資の性質稼いだ現金がどれだけ設備維持に消えるか 混合
規制依存規制は障壁にも足枷にもなる 高い
会社が挙げる主要リスク:感染症領域の収益不安定性と市場予見性の低さ / パイプライン開発の不確実性と多額の投資 / 人的資本マネジメントの失敗による競争力毀損
同じ条件で他の銘柄を探す → 定性スクリーニング(価格決定力・参入障壁・景気敏感度などで絞り込めます)
モート総合 9 / 25 5類型それぞれの強度と、そう判定した根拠
無形資産★★★★☆
根拠:強いブランド・特許・許認可

塩野義製薬は、長年にわたる研究開発で培われた強力なパイプラインと、特定の疾患領域における深い専門知識という無形資産を持つ。特に感染症領域では、長年の実績とノウハウが強み。新薬開発における特許や、承認を得るための規制当局との折衝能力も無形資産と言える。

スイッチングコスト★★☆☆☆
根拠:中程度乗り換えの手間・コスト

医師や患者は、有効性や安全性の高い医薬品に切り替えるインセンティブはあるが、特定の治療法が確立されている場合や、処方医の慣習により、スイッチング・コストが一定程度存在する。しかし、新薬の登場や競合品の優位性により、スイッチングは比較的起こりやすい。

ネットワーク効果☆☆☆☆☆
根拠:弱い利用者増が価値を生む

医薬品の価値は、個々の製品の有効性や安全性に依存し、ユーザーが増えることで価値が増大するネットワーク効果は基本的に見られない。

コスト優位★☆☆☆☆
根拠:弱い同じ物を安く作れる

医薬品の製造コストは、研究開発費や設備投資に比べると相対的に低いが、ジェネリック医薬品との競争や、後発品メーカーによるコスト削減努力と比較すると、明確なコスト優位性は限定的である。

規模の経済★★☆☆☆
根拠:中程度規模が参入障壁になる

グローバルな製薬企業と比較すると、塩野義製薬の規模は中堅クラスであり、圧倒的な規模の経済によるコスト優位性は限定的。ただし、特定の製品群においては一定の市場シェアを確保している。

  • 感染症領域の専門性
    塩野義製薬は、感染症領域における長年の研究開発と実績により、この分野で高い専門性と技術的優位性を持っています。薬剤耐性菌治療薬やHIV治療薬、ワクチンなど、社会的なニーズの高い感染症に対するソリューション提供に注力しており、これが競争上の強みとなっています。
  • グローバルな事業展開力
    海外のパートナー企業との提携を通じて、自社製品のグローバル展開を進めてきました。今後は欧米亜での自社主導による開発、薬事申請、販売体制の強化を目指しており、世界中の患者に医薬品を届けることで、収益基盤の拡大とブランド力の向上を図っています。
  • 多様なヘルスケアソリューション
    従来の医薬品開発に加えて、ワクチンやデジタルアプリを活用した新しいヘルスケアサービスの提供にも挑戦しています。これにより、パテント切れによる収益変動リスクを緩和し、医薬品以外の分野でも患者や社会の多様な困りごとを解決する機会を追求することで、持続的な成長を目指しています。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)

経営戦略

有価証券報告書「経営方針・対処すべき課題・MD&A」の全文を見る(年度切替)
経営方針・経営戦略
1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループ(当社及び連結子会社、以下「SHIONOGI」という)が判断したものであります。 (1) 経営方針・経営戦略等 ■経営の基本方針SHIONOGIは、「常に人々の健康を守るために必要な最もよい薬(ヘルスケアソリューション)を提供する」ことを基本方針(SHIONOGI Group Heritage)としております。そのためには、益々よい薬を創り、かつ製造するとともに、益々多くの人々に知らせ使っていただかなければなりません。このことを成し遂げるために、SHIONOGIのあらゆる人々が日々技術を向上させることが、すべてのステークホルダー(顧客、株主・投資家、社会、従業員など)の利益の拡大につながるものと考えております。 ■2030年に成し遂げたいビジョンSHIONOGIは、「新たなプラットフォームでヘルスケアの未来を創り出す」ことをSHIONOGI Group Visionとして掲げ、事業の変革を進めております。社会保障費の増加に対する懸念の高まりや医療ニーズの高度化、多様化が進む中で懸命にこれに対処し、人々の健康と持続可能な社会の実現に貢献し続けることがSHIONOGIの社会的使命であると認識しております。一方で医療用医薬品ビジネスには、主力製品の特許切れという事業のサステイナビリティに関わる課題が常に存在します。SHIONOGIは従来の医療用医薬品を中心に提供する「創薬型製薬企業」から、ヘルスケアサービスを提供する「HaaS(Healthcare as a Service)企業」へと自らを変革し、社会に対して新たな価値を提供し続けていくことで、患者さまや社会の抱える困り事をより包括的に解決したいと考えております。そのためには、創造力と専門性をベースとした創薬型製薬企業としての強みをさらに進化させ、ヘルスケア領域の新たなプラットフォーム構築に向けて、異なる強みを持つ他社・他産業から選ばれる「協創の核」とならねばなりません。SHIONOGIは、変化を恐れず、多様性を受容し、既成概念を超えて自らを「Transform」することで、SHIONOGI Group Visionの実現に取り組んでまいります。 ■経営環境及び経営戦略グローバルにおけるビジネス環境は複雑さを増し、将来の予測が困難な状態にあります。世界人口の増加と高中所得国における少子高齢化の進行、地球規模で起こる気候変動等の環境変化とそれらに伴う疾病構造やヘルスケアに求められるニーズの変化、人工知能の飛躍的な進化、人々の価値観の多様化、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)のパンデミックを契機とした創薬の研究開発の進め方やグローバル展開の考え方の変革等、ヘルスケア産業を取り巻く外部環境は急速に変化しております。また、医療保険財政のひっ迫に伴い、先進諸国で薬剤費抑制の圧力が強まる中、我が国においては医療用医薬品について2021年度より毎年薬価改定が実施されるなど、経営を取り巻く環境は厳しさを増しております。さらには、大国同士による技術・経済・安全保障などの分野における主導権争いや、ロシアによるウクライナへの侵略長期化・中東対立の拡大など、諸外国におけるビジネス展開や医薬品の原材料の調達・供給が停滞するリスクなども日々顕在化してきております。このような中でSHIONOGIは新型コロナウイルス感染症(COVID-19)治療薬の開発に取り組み、これまでにないスピードで創薬から臨床開発、承認申請へと進み、緊急承認を取得するなど、一定の成果を示すことができました。さらにHIVフランチャイズについては、長時間作用型のカボテグラビルを軸とした製品群へとシフトさせていくViiV Healthcare Ltd.(以下「ヴィーブ社」)の取り組みが順調に推移していることで、抗HIV薬ドルテグラビルの特許切れによるパテントクリフを事実上乗り越え、今後も安定的な成長が期待できる見通しとなりました。当社グループは、2030年Visionを実現するために、2020年に中期経営計画「Shionogi Transformation Strategy 2030(STS2030)を発表し、取り組みを進めてまいりましたが、前述した外部環境の変化や、STS2030を策定してから2023年までの3年間の取り組みによる成果や学びから、STS2030達成に向けた道筋をより明確にするため2023年6月にSTS2030をアップデートし、STS2030 Revisionとして再策定しました。 ■STS2030 Revisionの概要 STS2030 Revisionでは、2023年度から2025年度の3ヵ年を新たにSTS Phase2と位置付け、変革による成長を加速することとしました。また、2026年度から2030年度までをSTS Phase3として新たな計画を策定、実行していく予定です。 STS Phase1では、自社創製品の拡大と医療用医薬品以外の製品・サービスの進展、さらにガバナンスの強化を通じて主要KPIを概ね達成することができました。STS Phase2では「感染症領域を中心としたグローバルでのトップラインの成長」と「積極投資による成長ドライバーの育成を実現すること」を基本方針とし、3つの柱である「HIVビジネスの更なる成長」、「急性呼吸器感染症事業」、「新製品・新規事業拡大」を通じて、成長を加速させてまいります。 2030年Vision実現に向けた成長① HIVビジネスの更なる伸長 HIVビジネスは、ヴィーブ社による経口2剤合剤や長時間作用型製剤の販売が好調なことにより、売上及び市場シェアが順調に伸長しております。引き続き長時間作用型の治療薬「Cabenuva」及び予防薬「Apretude」を推進するとともに、4ヵ月又は6ヵ月に1回の投与で治療または予防が完結する超長時間作用型製剤などの開発により、HIVビジネスの継続的な成長を実現してまいります。 ② 急性呼吸器感染症事業 COVID-19やインフルエンザをはじめとする急性感染症は、急激な流行と収束を繰り返し、その予測も困難であることから、市場は大きな不確実性を伴います。そのため、急性感染症をビジネスとして継続的に推し進めるためには、流行に左右されない持続可能なビジネスモデルを確立する必要があります。SHIONOGIでは、COVID-19とインフルエンザという2つの異なる感染症に対する治療薬を保有する強みを活かし、収益の安定化とさらなる成長を目指してまいります。特にCOVID-19に関しては、エンシトレルビルの新たなエビデンスを集積し、グローバルでの提供を実現すべく取り組むとともに、より多くの方にご使用いただけるよう、さらに優れた新規治療薬の創出にも注力し、継続的な成長を実現してまいります。さらに、抗ウイルス薬の提供にとどまらず、診断分野での研究開発の取り組みを進め、正確かつ簡便で安価な診断薬の提供を通じて、誰もが、どこからでも・いつでも診断を受けて、適切な治療へとつがることができる「Test to Treat」のグローバルでの具現化に取り組んでまいります。 ③ 新製品・新規事業の拡大新製品については、現在の開発パイプラインの中から2030年度までに10製品以上の上市を目指しており、既存アセットの成長や積極投資による製品導入などを合わせて、グローバルでの成長を実現します。ワクチン事業については、着実に実績を積み上げ、競争力を獲得しながら2030年には売上収益1,000億円への成長を目指してまいります。 ■SHIONOGIの重要課題(マテリアリティ)とSTS2030 Revisionとの関係 SHIONOGIは事業活動を通じて社会課題や医療ニーズに応え、社会に必要とされる企業として成長し、その成果をステークホルダーと共有することを目指しております。その実現のため、SHIONOGIを取り巻く環境を捉え、環境変化に対する機会と脅威の評価及びSHIONOGIの現状や課題などの分析を通じて重要課題(マテリアリティ)を特定しております。これらマテリアリティのうち、2030年までのSHIONOGIの成長や社会からの要請を考慮し、特に欠かせない要素をSTS2030 Revisionの戦略に組み入れております。 マテリアリティの詳細については「第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組」に記載しております。 ※重要課題(マテリアリティ)の特定プロセス及びリスクと機会の分析・評価に関する詳細については、ウェブサイトをご覧ください。https://www.shionogi.com/jp/ja/company/strategy/important-issues.html (2) STS2030 Revision で優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題マテリアリティの中で特に重視している課題は「感染症の脅威からの解放」であり、その実現こそが感染症のリーディングカンパニーとしてのSHIONOGIの使命であると考え、STS2030 Revisionでは感染症領域における種々のヘルスケア課題の解決と持続可能なビジネスモデル構築を目指しております。また、「健やかで豊かな人生への貢献」についても特に重視するマテリアリティの1つに据え、従来注力領域に掲げていた「精神・神経疾患」と「疼痛」にこだわらず「認知症」、「肥満症」、「子どもの疾患・希少疾患」や「睡眠障害」といった社会的影響度の高いQOL疾患にフォーカスし、誰もが自分らしく生き生きとした生活を送ることができる社会の実現に貢献いたします。 ■社会課題の解決を通じた価値創造①感染症の脅威からの解放SHIONOGIは、60年以上にわたって感染症の研究・開発を続けており、これまで多くの感染症治療薬を社会に提供してまいりました。長い活動で培われた感染症領域への深い理解、化合物や病原体のライブラリなどの強みをベースに、今後もアンメットニーズの充足に貢献するソリューションを提供することが出来ると考えております。世界を新型コロナウイルス感染症パンデミックから一日でも早く解放することを最優先に、COVID-19治療薬の開発に加え、今後出現する可能性のある変異株、さらにはコロナウイルスによる次のパンデミックに対しても有効なユニバーサルワクチンの創製にも取り組んでおります。さらに、島津製作所との合弁会社である株式会社AdvanSentinelによる下水疫学調査サービスの提供、COVID-19診断薬の開発や供給など、感染症のトータルケア(治療のみではなく未病、予防、診断、予後なども含めた疾患全体のケア)の実現に向けた製品・サービスの整備を行いました。引き続き、エンシトレルビルのエビデンス構築、小児や予防などの適応拡大により、満たされていないニーズの充足に貢献するとともに、感染症のトータルケアをグローバルに展開することで、トップラインの成長、持続可能なビジネスモデルの構築の実現を目指してまいります。また、世界三大感染症についても、HIVのみならず、結核やマラリアなどの治療に長期間を要する感染症にコミットすることで、感染症のリーディングカンパニーとしての使命を果たしてまいります。さらに、SHIONOGI単独では対応が難しい感染症の課題に対しても、社会とともに解決するための仕組みの構築に取り組んでまいります。薬剤耐性(AMR)はサイレント・パンデミックと称され、喫緊かつグローバルな脅威として徐々に認知が高まっておりますが、将来的な脅威の拡大が危惧されているにもかかわらず、創薬の難易度や投資が回収できないといったビジネスリスクの為に世界的に新規治療薬の開発が停滞している現状があります。SHIONOGIは、AMRに対する有望な治療選択肢として、世界で初めてのシデロフォアセファロスポリン抗菌薬であるセフィデロコルを創出するとともに、Qpex Biopharma, Inc.(以下「Qpex社」)を完全子会社化することで広域阻害スペクトラムを有するβ-ラクタマーゼ阻害剤を獲得すると共に、新たな研究拠点であるQpex US Lab.を開設するなど、抗菌薬研究開発のケイパビリティ強化及び米国でのネットワーク強化に取り組んでおります。 加えて、低中所得国を含めた世界中の国々の感染症治療薬へのアクセスの改善を目的に、SHIONOGIはMPP(Medicines Patent Pool)とパートナーシップを形成し、GARDP(Global Antibiotic Research and Development Partnership)、CHAI(Clinton Health Access Initiative)との間でも提携契約を締結しております。 ②健やかで豊かな人生への貢献SHIONOGIは、誰もが自分らしく生き生きとした生活を送ることができる社会の実現を目指し、STS2030 Revisionでは注力する領域として社会的影響度の高いQOL疾患を掲げ、すでに研究開発を進めていた精神・神経疾患、疼痛だけでなく、肥満症や睡眠障害などの特にアンメットニーズの高い領域のパイプラインの開発を進めております。2024年度には不眠症治療薬「クービビック®錠25mg 50mg」の国内販売を開始しており、今後も継続して新製品の上市を見込んでおります。また、HaaS企業としての更なる成長を実現するため、医療用医薬品を軸としたSolutionプラットフォームを提供し、より多くの患者さまのより多くのニーズに深く応えるための取り組みを進めております。2024年度には小児期における注意欠如多動症(ADHD)に対するデジタル治療用アプリ「ENDEAVORRIDE(エンデバーライド)®」の国内製造販売承認を取得すると共に、サスメドの不眠障害用アプリやFRONTEOと共同で会話型認知機能検査用AIプログラム医療機器の開発などにも取り組み、患者さまのニーズに寄り添うHaaS構想の具現化を進めております。また、一人ひとりの児童生徒に合致した適切な教育プランを教員に提案する教育支援サービスを提供するYui Connection株式会社の設立、ピクシーダストテクノロジーズとの連携による音刺激を活用した認知症機能改善に向けた取り組みの推進など、HaaS実現に向けた環境整備を進展することができました。今後も、治療薬の提供にとどまらず、革新的な治療選択肢やサービスの開発・提供を通じて患者さまとそのご家族、さらには周囲で支援する皆さまの困りごとを解決し、QOLや社会の生産性の向上に貢献してまいります。 (3) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等STS2030 Revisionでは、達成すべき財務経営指標として3つの成長性指標と3つの株主還元指標を設定しております。成長性指標については、トップラインの成長を優先して進めていくことから売上収益、またその成長をグローバルに成し遂げていくことから海外売上高 CAGR(Compound Annual Growth Rate:年平均成長率)、そして成長に向けた積極的な投資を行っていくことと稼ぐ力を測るためにEBITDA(Earnings Before Interest, Taxes, Depreciation, and Amortization:利払い・税引き・償却前利益、コア営業利益に減価償却費を加えた利益)の3つを設定しております。また、株主還元指標として、事業成長と財務施策の観点からEPS、DOE、ROEの3つを継続して設定しております。エンシトレルビルなどの感染症薬を中心にグローバルでのトップラインの成長を実現することで、各年度の売上収益及び海外売上高 CAGR目標を達成するとともに、さらなる収益ドライバーを確立するためのM&Aや導入、アライアンスなどの事業開発機会の探索を継続し、強固な財務基盤を活かして、価値に見合った投資を積極的に実行していくことで、経営指標の達成を目指してまいります。 業績評価指標(KPI)2025年度 目標※12030年度目標※1成長性売上収益5,300億円8,000億円海外売上高 CAGR(ロイヤリティー収入を除く)成長計画を見直し (次年度以降の成長を見据え、 KPIを再設定する予定)成長計画を見直し (次年度以降の成長を見据え、 KPIを再設定する予定)EBITDA1,960億円-株主還元EPS※2200円以上-DOE4%-ROE14%以上- ※1 当社は、2025年5月12日に開示いたしました2024年度決算において、2025年度目標の主要業績評価指標(KPI)のうち、売上収益を5,500億円から5,300億円、EBITDAを2,000億円から1,960億円に修正いたしました。また、海外売上高CAGRについては、2026年度以降の更なる成長を見据え再設定する予定です。修正の背景や理由等の詳細は、「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等」をご参照ください。 ※2 当社は、2024年10月1日を効力発生日として、普通株式1株につき3株の割合をもって株式分割を行っております。2025年度目標のEPSには株式分割後の数値を記載しております。
対処すべき課題
1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループ(当社及び連結子会社、以下「SHIONOGI」という)が判断したものであります。 (1) 経営方針・経営戦略等 ■経営の基本方針SHIONOGIは、「常に人々の健康を守るために必要な最もよい薬(ヘルスケアソリューション)を提供する」ことを基本方針(SHIONOGI Group Heritage)としております。そのためには、益々よい薬を創り、かつ製造するとともに、益々多くの人々に知らせ使っていただかなければなりません。このことを成し遂げるために、SHIONOGIのあらゆる人々が日々技術を向上させることが、すべてのステークホルダー(顧客、株主・投資家、社会、従業員など)の利益の拡大につながるものと考えております。 ■2030年に成し遂げたいビジョンSHIONOGIは、「新たなプラットフォームでヘルスケアの未来を創り出す」ことをSHIONOGI Group Visionとして掲げ、事業の変革を進めております。社会保障費の増加に対する懸念の高まりや医療ニーズの高度化、多様化が進む中で懸命にこれに対処し、人々の健康と持続可能な社会の実現に貢献し続けることがSHIONOGIの社会的使命であると認識しております。一方で医療用医薬品ビジネスには、主力製品の特許切れという事業のサステイナビリティに関わる課題が常に存在します。SHIONOGIは従来の医療用医薬品を中心に提供する「創薬型製薬企業」から、ヘルスケアサービスを提供する「HaaS(Healthcare as a Service)企業」へと自らを変革し、社会に対して新たな価値を提供し続けていくことで、患者さまや社会の抱える困り事をより包括的に解決したいと考えております。そのためには、創造力と専門性をベースとした創薬型製薬企業としての強みをさらに進化させ、ヘルスケア領域の新たなプラットフォーム構築に向けて、異なる強みを持つ他社・他産業から選ばれる「協創の核」とならねばなりません。SHIONOGIは、変化を恐れず、多様性を受容し、既成概念を超えて自らを「Transform」することで、SHIONOGI Group Visionの実現に取り組んでまいります。 ■経営環境及び経営戦略グローバルにおけるビジネス環境は複雑さを増し、将来の予測が困難な状態にあります。世界人口の増加と高中所得国における少子高齢化の進行、地球規模で起こる気候変動等の環境変化とそれらに伴う疾病構造やヘルスケアに求められるニーズの変化、人工知能の飛躍的な進化、人々の価値観の多様化、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)のパンデミックを契機とした創薬の研究開発の進め方やグローバル展開の考え方の変革等、ヘルスケア産業を取り巻く外部環境は急速に変化しております。また、医療保険財政のひっ迫に伴い、先進諸国で薬剤費抑制の圧力が強まる中、我が国においては医療用医薬品について2021年度より毎年薬価改定が実施されるなど、経営を取り巻く環境は厳しさを増しております。さらには、大国同士による技術・経済・安全保障などの分野における主導権争いや、ロシアによるウクライナへの侵略長期化・中東対立の拡大など、諸外国におけるビジネス展開や医薬品の原材料の調達・供給が停滞するリスクなども日々顕在化してきております。このような中でSHIONOGIは新型コロナウイルス感染症(COVID-19)治療薬の開発に取り組み、これまでにないスピードで創薬から臨床開発、承認申請へと進み、緊急承認を取得するなど、一定の成果を示すことができました。さらにHIVフランチャイズについては、長時間作用型のカボテグラビルを軸とした製品群へとシフトさせていくViiV Healthcare Ltd.(以下「ヴィーブ社」)の取り組みが順調に推移していることで、抗HIV薬ドルテグラビルの特許切れによるパテントクリフを事実上乗り越え、今後も安定的な成長が期待できる見通しとなりました。当社グループは、2030年Visionを実現するために、2020年に中期経営計画「Shionogi Transformation Strategy 2030(STS2030)を発表し、取り組みを進めてまいりましたが、前述した外部環境の変化や、STS2030を策定してから2023年までの3年間の取り組みによる成果や学びから、STS2030達成に向けた道筋をより明確にするため2023年6月にSTS2030をアップデートし、STS2030 Revisionとして再策定しました。 ■STS2030 Revisionの概要 STS2030 Revisionでは、2023年度から2025年度の3ヵ年を新たにSTS Phase2と位置付け、変革による成長を加速することとしました。また、2026年度から2030年度までをSTS Phase3として新たな計画を策定、実行していく予定です。 STS Phase1では、自社創製品の拡大と医療用医薬品以外の製品・サービスの進展、さらにガバナンスの強化を通じて主要KPIを概ね達成することができました。STS Phase2では「感染症領域を中心としたグローバルでのトップラインの成長」と「積極投資による成長ドライバーの育成を実現すること」を基本方針とし、3つの柱である「HIVビジネスの更なる成長」、「急性呼吸器感染症事業」、「新製品・新規事業拡大」を通じて、成長を加速させてまいります。 2030年Vision実現に向けた成長① HIVビジネスの更なる伸長 HIVビジネスは、ヴィーブ社による経口2剤合剤や長時間作用型製剤の販売が好調なことにより、売上及び市場シェアが順調に伸長しております。引き続き長時間作用型の治療薬「Cabenuva」及び予防薬「Apretude」を推進するとともに、4ヵ月又は6ヵ月に1回の投与で治療または予防が完結する超長時間作用型製剤などの開発により、HIVビジネスの継続的な成長を実現してまいります。 ② 急性呼吸器感染症事業 COVID-19やインフルエンザをはじめとする急性感染症は、急激な流行と収束を繰り返し、その予測も困難であることから、市場は大きな不確実性を伴います。そのため、急性感染症をビジネスとして継続的に推し進めるためには、流行に左右されない持続可能なビジネスモデルを確立する必要があります。SHIONOGIでは、COVID-19とインフルエンザという2つの異なる感染症に対する治療薬を保有する強みを活かし、収益の安定化とさらなる成長を目指してまいります。特にCOVID-19に関しては、エンシトレルビルの新たなエビデンスを集積し、グローバルでの提供を実現すべく取り組むとともに、より多くの方にご使用いただけるよう、さらに優れた新規治療薬の創出にも注力し、継続的な成長を実現してまいります。さらに、抗ウイルス薬の提供にとどまらず、診断分野での研究開発の取り組みを進め、正確かつ簡便で安価な診断薬の提供を通じて、誰もが、どこからでも・いつでも診断を受けて、適切な治療へとつがることができる「Test to Treat」のグローバルでの具現化に取り組んでまいります。 ③ 新製品・新規事業の拡大新製品については、現在の開発パイプラインの中から2030年度までに10製品以上の上市を目指しており、既存アセットの成長や積極投資による製品導入などを合わせて、グローバルでの成長を実現します。ワクチン事業については、着実に実績を積み上げ、競争力を獲得しながら2030年には売上収益1,000億円への成長を目指してまいります。 ■SHIONOGIの重要課題(マテリアリティ)とSTS2030 Revisionとの関係 SHIONOGIは事業活動を通じて社会課題や医療ニーズに応え、社会に必要とされる企業として成長し、その成果をステークホルダーと共有することを目指しております。その実現のため、SHIONOGIを取り巻く環境を捉え、環境変化に対する機会と脅威の評価及びSHIONOGIの現状や課題などの分析を通じて重要課題(マテリアリティ)を特定しております。これらマテリアリティのうち、2030年までのSHIONOGIの成長や社会からの要請を考慮し、特に欠かせない要素をSTS2030 Revisionの戦略に組み入れております。 マテリアリティの詳細については「第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組」に記載しております。 ※重要課題(マテリアリティ)の特定プロセス及びリスクと機会の分析・評価に関する詳細については、ウェブサイトをご覧ください。https://www.shionogi.com/jp/ja/company/strategy/important-issues.html (2) STS2030 Revision で優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題マテリアリティの中で特に重視している課題は「感染症の脅威からの解放」であり、その実現こそが感染症のリーディングカンパニーとしてのSHIONOGIの使命であると考え、STS2030 Revisionでは感染症領域における種々のヘルスケア課題の解決と持続可能なビジネスモデル構築を目指しております。また、「健やかで豊かな人生への貢献」についても特に重視するマテリアリティの1つに据え、従来注力領域に掲げていた「精神・神経疾患」と「疼痛」にこだわらず「認知症」、「肥満症」、「子どもの疾患・希少疾患」や「睡眠障害」といった社会的影響度の高いQOL疾患にフォーカスし、誰もが自分らしく生き生きとした生活を送ることができる社会の実現に貢献いたします。 ■社会課題の解決を通じた価値創造①感染症の脅威からの解放SHIONOGIは、60年以上にわたって感染症の研究・開発を続けており、これまで多くの感染症治療薬を社会に提供してまいりました。長い活動で培われた感染症領域への深い理解、化合物や病原体のライブラリなどの強みをベースに、今後もアンメットニーズの充足に貢献するソリューションを提供することが出来ると考えております。世界を新型コロナウイルス感染症パンデミックから一日でも早く解放することを最優先に、COVID-19治療薬の開発に加え、今後出現する可能性のある変異株、さらにはコロナウイルスによる次のパンデミックに対しても有効なユニバーサルワクチンの創製にも取り組んでおります。さらに、島津製作所との合弁会社である株式会社AdvanSentinelによる下水疫学調査サービスの提供、COVID-19診断薬の開発や供給など、感染症のトータルケア(治療のみではなく未病、予防、診断、予後なども含めた疾患全体のケア)の実現に向けた製品・サービスの整備を行いました。引き続き、エンシトレルビルのエビデンス構築、小児や予防などの適応拡大により、満たされていないニーズの充足に貢献するとともに、感染症のトータルケアをグローバルに展開することで、トップラインの成長、持続可能なビジネスモデルの構築の実現を目指してまいります。また、世界三大感染症についても、HIVのみならず、結核やマラリアなどの治療に長期間を要する感染症にコミットすることで、感染症のリーディングカンパニーとしての使命を果たしてまいります。さらに、SHIONOGI単独では対応が難しい感染症の課題に対しても、社会とともに解決するための仕組みの構築に取り組んでまいります。薬剤耐性(AMR)はサイレント・パンデミックと称され、喫緊かつグローバルな脅威として徐々に認知が高まっておりますが、将来的な脅威の拡大が危惧されているにもかかわらず、創薬の難易度や投資が回収できないといったビジネスリスクの為に世界的に新規治療薬の開発が停滞している現状があります。SHIONOGIは、AMRに対する有望な治療選択肢として、世界で初めてのシデロフォアセファロスポリン抗菌薬であるセフィデロコルを創出するとともに、Qpex Biopharma, Inc.(以下「Qpex社」)を完全子会社化することで広域阻害スペクトラムを有するβ-ラクタマーゼ阻害剤を獲得すると共に、新たな研究拠点であるQpex US Lab.を開設するなど、抗菌薬研究開発のケイパビリティ強化及び米国でのネットワーク強化に取り組んでおります。 加えて、低中所得国を含めた世界中の国々の感染症治療薬へのアクセスの改善を目的に、SHIONOGIはMPP(Medicines Patent Pool)とパートナーシップを形成し、GARDP(Global Antibiotic Research and Development Partnership)、CHAI(Clinton Health Access Initiative)との間でも提携契約を締結しております。 ②健やかで豊かな人生への貢献SHIONOGIは、誰もが自分らしく生き生きとした生活を送ることができる社会の実現を目指し、STS2030 Revisionでは注力する領域として社会的影響度の高いQOL疾患を掲げ、すでに研究開発を進めていた精神・神経疾患、疼痛だけでなく、肥満症や睡眠障害などの特にアンメットニーズの高い領域のパイプラインの開発を進めております。2024年度には不眠症治療薬「クービビック®錠25mg 50mg」の国内販売を開始しており、今後も継続して新製品の上市を見込んでおります。また、HaaS企業としての更なる成長を実現するため、医療用医薬品を軸としたSolutionプラットフォームを提供し、より多くの患者さまのより多くのニーズに深く応えるための取り組みを進めております。2024年度には小児期における注意欠如多動症(ADHD)に対するデジタル治療用アプリ「ENDEAVORRIDE(エンデバーライド)®」の国内製造販売承認を取得すると共に、サスメドの不眠障害用アプリやFRONTEOと共同で会話型認知機能検査用AIプログラム医療機器の開発などにも取り組み、患者さまのニーズに寄り添うHaaS構想の具現化を進めております。また、一人ひとりの児童生徒に合致した適切な教育プランを教員に提案する教育支援サービスを提供するYui Connection株式会社の設立、ピクシーダストテクノロジーズとの連携による音刺激を活用した認知症機能改善に向けた取り組みの推進など、HaaS実現に向けた環境整備を進展することができました。今後も、治療薬の提供にとどまらず、革新的な治療選択肢やサービスの開発・提供を通じて患者さまとそのご家族、さらには周囲で支援する皆さまの困りごとを解決し、QOLや社会の生産性の向上に貢献してまいります。 (3) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等STS2030 Revisionでは、達成すべき財務経営指標として3つの成長性指標と3つの株主還元指標を設定しております。成長性指標については、トップラインの成長を優先して進めていくことから売上収益、またその成長をグローバルに成し遂げていくことから海外売上高 CAGR(Compound Annual Growth Rate:年平均成長率)、そして成長に向けた積極的な投資を行っていくことと稼ぐ力を測るためにEBITDA(Earnings Before Interest, Taxes, Depreciation, and Amortization:利払い・税引き・償却前利益、コア営業利益に減価償却費を加えた利益)の3つを設定しております。また、株主還元指標として、事業成長と財務施策の観点からEPS、DOE、ROEの3つを継続して設定しております。エンシトレルビルなどの感染症薬を中心にグローバルでのトップラインの成長を実現することで、各年度の売上収益及び海外売上高 CAGR目標を達成するとともに、さらなる収益ドライバーを確立するためのM&Aや導入、アライアンスなどの事業開発機会の探索を継続し、強固な財務基盤を活かして、価値に見合った投資を積極的に実行していくことで、経営指標の達成を目指してまいります。 業績評価指標(KPI)2025年度 目標※12030年度目標※1成長性売上収益5,300億円8,000億円海外売上高 CAGR(ロイヤリティー収入を除く)成長計画を見直し (次年度以降の成長を見据え、 KPIを再設定する予定)成長計画を見直し (次年度以降の成長を見据え、 KPIを再設定する予定)EBITDA1,960億円-株主還元EPS※2200円以上-DOE4%-ROE14%以上- ※1 当社は、2025年5月12日に開示いたしました2024年度決算において、2025年度目標の主要業績評価指標(KPI)のうち、売上収益を5,500億円から5,300億円、EBITDAを2,000億円から1,960億円に修正いたしました。また、海外売上高CAGRについては、2026年度以降の更なる成長を見据え再設定する予定です。修正の背景や理由等の詳細は、「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等」をご参照ください。 ※2 当社は、2024年10月1日を効力発生日として、普通株式1株につき3株の割合をもって株式分割を行っております。2025年度目標のEPSには株式分割後の数値を記載しております。
MD&A(経営者による分析)
4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】経営者の視点による当社グループ(当社及び連結子会社)の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。また、当社グループの事業は、医療用医薬品の研究開発、仕入、製造、販売並びにこれらの付随業務を事業内容とする単一セグメントであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。 (1) 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容① 経営成績等a.財政状態当連結会計年度末の資産合計は1兆5,353億49百万円で、前連結会計年度末に比べて1,184億31百万円増加しました。非流動資産は、6,768億44百万円で、仕掛研究開発資産等の無形資産や使用権資産、その他の金融資産の増加等により前連結会計年度末に比べて441億32百万円増加となりました。流動資産は8,585億4百万円で、3ヶ月超の定期預金および債券(流動資産のその他の金融資産に含みます)の増減、現金及び現金同等物やその他の流動資産の増加等の結果、前連結会計年度末に比べて742億98百万円増加しました。資本については1兆3,624億97百万円となりました。配当金の支払があった一方で、当期利益の計上により、前連結会計年度末に比べて1,099億34百万円増加しました。負債については1,728億52百万円で、前連結会計年度末に比べて84億96百万円増加しました。非流動負債は434億59百万円で、リース負債の増加等により前連結会計年度末に比べて130億10百万円増加しました。流動負債は1,293億92百万円で、その他の金融負債の減少等により、前連結会計年度末に比べて45億14百万円減少しました。 b.経営成績当連結会計年度(自 2024年4月1日 至 2025年3月31日)の経営成績は、以下のとおりであります。(単位:百万円) 当連結会計年度前連結会計年度増減増減率(%)売上収益438,268410,07328,1956.9売上収益(ライセンス移管に伴う利益含む)438,268435,0813,1860.7営業利益156,603153,3103,2922.1コア営業利益※1158,362170,421△12,059△7.1税引前利益200,750198,2832,4661.2親会社の所有者に帰属する当期利益170,435162,0308,4055.2EBITDA※2179,296188,745△9,449△5.0 ※1 コア営業利益:営業利益から非経常的な項目(減損損失、有形固定資産売却益など)を調整した利益※2 Earnings Before Interest, Taxes, Depreciation, and Amortization:コア営業利益に減価償却費を加えた利益 売上収益(ライセンス移管に伴う利益を含む)につきましては4,383億円(前期比0.7%増)となりました。前連結会計年度はADHD治療薬のライセンス移管に伴う一時金250億円が計上されていましたが、海外事業およびロイヤリティー収入の増加を中心に、各事業が伸展した結果、当連結会計年度の売上収益は前連結会計年度を上回り、3年連続で過去最高の売上収益を更新する結果となりました。利益面につきまして、売上収益に占める製品構成の変化に伴う売上原価の増加に加え、主要な開発プロジェクトへの積極的な投資や為替の影響による研究開発費の増加、さらにはグローバル展開に伴う販売費及び一般管理費の増加等により、費用は前連結会計年度に比べて増加しました。一方で、前連結会計年度は特別早期退職プログラムの実施による一過的な費用が発生したこともあり、費用全体の増加幅は限定的となりました。結果として費用は増加したものの、各事業の伸展により売上収益が増加したことで、営業利益は1,566億円(同2.1%増)となりました。また、税引前利益につきましては2,008億円(同1.2%増)、親会社の所有者に帰属する当期利益につきましては1,704億円(同5.2%増)、EBITDAにつきましては1,793億円(同5.0%減)となりました。当連結会計年度は、グローバル展開や中長期の成長に向けた新規事業ならびに成長ドライバーに対する積極投資を行ったことで、売上収益と営業利益について3年連続で過去最高業績を更新する結果となりました。 ・国内医療用医薬品国内の医療用医薬品の売上収益は988億円(前期比34.6%減)となりました。これは、前連結会計年度に計上されたADHD治療薬のライセンス移管に伴う一時金250億円の影響に加え、感染症薬の売上が減少したことが主な要因です。前連結会計年度と比較して、 COVID-19の流行が極めて低調に推移したことで、ゾコーバの売上は減少しました。一方で、COVID-19治療薬市場におけるゾコーバのシェアは、前連結会計年度と比較して大きく拡大しました。また、インフルエンザ治療薬のゾフルーザについても高い市場シェアを獲得し、今冬のインフルエンザの流行拡大時には着実に売上を計上しました。各製品はそれぞれの治療薬市場において、計画通りのシェアを獲得しており、今後も流行が拡大した際には安定して業績に貢献することが期待されます。当連結会計年度のCOVID-19関連製品およびインフルエンザ関連製品(ゾフルーザ、ラピアクタ)の売上収益の合計は518億円となりました。また、当連結会計年度においては2024年12月より不眠症治療薬クービビックの販売を新たに開始しました。 ・海外子会社および輸出海外事業における売上収益は591億円(前期比18.4%増)となりました。欧米市場ではセフィデロコル(米国の製品名:Fetroja、欧州の製品名:Fetcroja)の販売が好調に推移し、米国事業は234億円(同30.6%増)、欧州事業は168億円(同24.0%増)の売上収益となりました。セフィデロコルの成長の要因としては、既上市国における臨床エビデンスの蓄積による市場浸透が挙げられます。引き続き、セフィデロコルの販売国の拡大や既上市国でのさらなる浸透、サブスクリプション型償還モデル※の採用国の拡大を通じ、欧米事業の成長を促進してまいります。中国における売上収益は、87億円(同18.3%減)と対前年で減収となりましたが、一方でセフィデロコルの承認申請の実施や、ナルデメジンの第3相臨床試験での主要評価項目の達成など、新薬ビジネスへの転換に向けて着実に事業を進展させることができました。 ※ 抗菌薬の処方量と切り離し、国が開発企業に対して固定報酬を支払う代わりに、必要なときに抗菌薬を受け取ることができるモデル ・ロイヤリティー収入およびヴィーブ社からの配当金収入ヴィーブ社からのロイヤリティー収入は、 経口2剤合剤や長時間作用型製剤(Long Acting製剤:LA製剤)の力強い成長に加え、為替の影響もあり、2,404億円(前期比22.8%増)となりました。その他のロイヤリティー収入は、43億円(同6.8%減)となりました。ヴィーブ社からの配当金は、ヴィーブ社のビジネスが順調に進捗したことで、403億円(同18.8%増)となりました。以上の結果から、当連結会計年度のロイヤリティー収入およびヴィーブ社からの配当金収入の合計は、2,850億円(同21.6%増)となり、過去最高の金額を更新しました。 ・経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載しましたとおり、当社グループは、2023年6月にSTS2030を改定し、STS2030 Revisionとして再策定しました。STS2030 Revisionでは、達成すべき財務経営指標として3つの成長性指標と3つの株主還元指標を設定しました。成長性指標については、トップラインの成長を優先して進めていくことから売上収益、またその成長をグローバルに成し遂げていくことから海外売上高 CAGR(Compound Annual Growth Rate:年平均成長率)、そして成長に向けた積極的な投資を行っていくことと稼ぐ力を測るためにEBITDA(Earnings Before Interest, Taxes, Depreciation, and Amortization:利払い・税引き・償却前利益、コア営業利益に減価償却費を加えた利益)の3つを設定しております。また、株主還元指標として、事業成長と財務施策の観点からEPS、DOE、ROEの3つを継続して設定しております。主要事業の状況については、HIV事業が引き続き堅調な成長を遂げ、セフィデロコルを中心とした海外事業も順調に推移しております。エンシトレルビルに関しては当初計画からやや後ろ倒しとなりましたが、米国での承認申請を完了し、今後のグローバル展開が本格化する見込みです。また、2025年5月7日付で発表しました日本たばこ産業(JT)株式会社グループの医薬事業の買収に伴い、国内売上比率が一時的に上昇する見通しです。こうした事業環境の変化を踏まえ、STS Phase 2における主要成長性指標を見直し、2025年度の売上収益目標を5,500億円から5,300億円へ、EBITDA目標を2,000億円から1,960億円へと修正いたしました。また、海外売上高CAGRについては、エンシトレルビルのグローバル展開が本格化する2026年度以降を見据え、改めて設定する予定です。今後も感染症領域を中心にグローバルでのトップライン成長を図るとともに、強固な財務基盤を活用して、価値に見合ったM&Aや導入、アライアンス等を積極的に実行することで、新たな収益源の創出にも取り組んでまいります。これにより、設定した経営指標の達成を目指してまいります。 業績評価指標(KPI)2024年度実績2025年度目標2030年度目標成長性売上収益4,383億円5,300億円8,000億円海外売上高 CAGR(ロイヤリティー収入を除く)17.9%成長計画を見直し (次年度以降の成長を見据え、 KPIを再設定する予定)成長計画を見直し (次年度以降の成長を見据え、 KPIを再設定する予定)EBITDA1,793億円1,960億円-株主還元EPS※200.36円200円以上-DOE4.0%4%-ROE13.1%14%以上- ※ 当社は、2024年10月1日を効力発生日として、普通株式1株につき3株の割合をもって株式分割を行っております。2024年度実績及び2025年度目標のEPSには株式分割後の数値を記載しております。 c.キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、税引前利益の増加、営業債権の減少、法人所得税の支払額の減少等により、前連結会計年度に比べて411億76百万円多い1,954億60百万円の収入となりました。投資活動によるキャッシュ・フローは、無形資産の取得による支出の増加や定期預金の増減等により、前連結会計年度に比べて1,220億2百万円多い1,160億80百万円の支出となりました。財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払いが増加した一方で、自己株式の取得による支出が前連結会計年度に比べて減少したことにより、前連結会計年度に比べて619億44百万円少ない649億8百万円の支出となりました。これらを合わせた当連結会計年度の現金及び現金同等物の増減額は167億4百万円の増加となり、当連結会計年度末の現金及び現金同等物の期末残高は、3,747億95百万円となりました。 〔キャッシュ・フロー指標のトレンド〕 2023年3月期2024年3月期2025年3月期親会社所有者帰属持分比率83.9%87.2%88.7%時価ベースの親会社所有者帰属持分比率134.1%155.1%124.4%キャッシュ・フロー対有利子負債比率0.1 0.1 0.1 インタレスト・カバレッジ・レシオ1,885.3 937.5 639.7 (注) 親会社所有者帰属持分比率:親会社の所有者に帰属する持分/資産合計時価ベースの親会社所有者帰属持分比率:株式時価総額/資産合計キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/キャッシュ・フローインタレスト・カバレッジ・レシオ:キャッシュ・フロー/利払い1.指標は、いずれも連結ベースの財務数値により計算しております。2.株式時価総額は自己株式を除く発行済株式数をベースに計算しております。3.キャッシュ・フローは営業活動によるキャッシュ・フローを使用しております。4.有利子負債は、連結財政状態計算書に計上されている負債のうち利子を払っている全ての負債を対象としております。 ② 生産、受注及び販売の実績a.生産実績当連結会計年度における生産実績は次のとおりであります。 セグメントの名称金額(百万円)前期比(%)医薬品事業119,870 △30.6 (注) 金額は、正味販売見込価格により算出したものであります。 b.商品仕入実績当連結会計年度における商品仕入実績は次のとおりであります。 セグメントの名称金額(百万円)前期比(%)医薬品事業11,601 △12.8 (注) 金額は、実際仕入額によっております。 c.受注状況当社グループは、主として販売計画に基づいて生産計画をたてて生産しております。当社及び一部の連結子会社で受注生産を行っておりますが、受注高及び受注残高の金額に重要性はありません。 d.販売実績当連結会計年度における販売実績は次のとおりであります。 セグメントの名称金額(百万円)前期比(%)医薬品事業438,2686.9 (注) 1.販売金額は、外部顧客に対する売上収益を表示しております。2.主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。相手先前連結会計年度当連結会計年度金額(百万円)割合(%)金額(百万円)割合(%)ViiV Healthcare Ltd.195,78247.7240,40454.9株式会社スズケン※50,44412.3-- ※当連結会計年度の株式会社スズケンに対する販売実績は、総販売実績に対する割合が10%未満であるため、記載を省略しております。 (2) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定当社グループの連結財務諸表は、IFRS会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたり、必要と思われる見積りは合理的な基準に基づいて実施しております。重要性がある会計方針及び見積りの詳細等につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 2.作成の基礎 (4) 重要な会計上の判断、見積り及び仮定」をご参照ください。

事業リスク

  • 感染症領域の市場変動
    感染症治療薬は、流行状況や耐性菌の出現、政府の備蓄政策などにより市場の予見性が低く、収益が不安定になる可能性があります。特に新規抗菌薬は、耐性菌の発現を抑えるため使用が限定される傾向があり、開発に成功しても投資回収が困難になるリスクがあります。
  • 新薬開発の不確実性
    医薬品の研究開発は、多額の投資と長い期間を要するにもかかわらず、臨床試験での効果不足や副作用などにより、承認が得られないリスクが常に存在します。期待された治療薬やワクチンが創出できなかった場合、将来の売上収益に重大な影響を及ぼす可能性があります。
  • グローバル展開の遅延・失敗
    海外での開発計画や販売戦略が想定通りに進まない場合、またはパートナーとの関係が悪化した場合、グローバルでの事業拡大が遅延・失敗するリスクがあります。これにより、期待される収益が実現せず、業績に重要な影響を与える可能性があります。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
有価証券報告書「事業等のリスク」の全文を見る(年度切替)
FY2025|8,780 文字
3 【事業等のリスク】SHIONOGIは、事業機会の創出及びリスクの回避や低減など適切なマネジメントを行うとともに、パンデミック、自然災害、テロやサイバー攻撃などのクライシスマネジメントも含めたグループ全体のビジネスリスクを統括する全社的リスクマネジメント(ERM:Enterprise Risk Management)体制を経営戦略・経営基盤の重要な仕組みとしております。全社的リスクマネジメントの運用・管理は、業績及び経営に重大な影響を及ぼす可能性があると評価した重要なリスクを、戦略の意思決定に内在及び戦略の遂行を阻害する「事業戦略上のリスク」、経営目標を支える業務遂行に影響を与える「事業遂行上のリスク」の2つに分類し、責任の明確化及び対応状況の透明化を図ることで包括的なリスク管理を行っています。これらのリスクは経営会議及び取締役会にて審議・承認されています。「事業戦略上のリスク及び事業遂行上のリスク」については、四半期ごとに経営会議で議論を行い、リスクリストの更新、対応すべきリスクの特定及び責任管掌の任命を行っています。責任管掌は他管掌を含む関連組織と連携を図りながら、不確実性を機会として活かす、あるいは低減するための 対応計画の立案・推進を行い、経営会議で進捗状況をモニタリングしています。また、管掌は自管掌下におけるリスクにリスクオーナーを任命して モニタリングし、リスクの影響度や発生可能性を勘案した上で、必要に応じて「事業戦略上のリスクまたは事業遂行上のリスク」として経営会議へエスカレーションする責務を担っています。この管掌を中心としたリスク管理体制を取ることで、期中においても迅速かつ柔軟に課題の抽出、対応計画 の立案・推進を行っております。クライシスマネジメントについては、危機管理規則等に基づき、事業継続計画を含む総合的な管理体制のもと、人命を尊重し、地域社会への配慮、貢献及び企業価値毀損の抑制を主眼とした管理を推進し、クライシスが発生した場合には速やかに対処し、当該クライシスを克服するよう努めております。また、リスクマネジメントの実効性を高めるため、「内部統制システムの整備・運用に関する基本方針」に基づき業務の適正を確保する体制の整備・運用にも注力しております。これらの活動は定期的に経営会議及び取締役会に報告され、取締役より助言を得ることで改善を図るなど、リスクマネジメント活動を監督する体制を構築しています。なお、文中の将来に関する事項及びリスクは、当連結会計年度末現在において判断したものです。 1.事業戦略上のリスク(1)感染症領域を中心としたグローバルな成長 <概要>感染症領域は収益が流行に左右されやすく、他の疾患領域と比較して市場の予見性が低く、薬剤の開発に成功しても投資回収に至らないケースがあります。また、耐性菌の発現率を減少させることを目的とし、治療選択肢が限られている場合にのみ新規抗菌薬を使用することに主眼が置かれており、抗菌薬の将来的な市場予測が非常に難しくなっております。一方、昨今の感染症に対する社会的関心の高まりから、SHIONOGIではこれらを機会として捉えており、マテリアリティにも「感染症の脅威からの解放」を定めております。SHIONOGIは、「薬剤耐性(AMR)治療薬」、「HIV治療薬」、「ワクチン」、「急性呼吸器感染症治療薬」を組み合わせ、最適な収益モデルを構築することで、疾患トータルとしてサステイナブルなビジネスとすることに取り組んでおります。特に急性呼吸器感染症においては、インフルエンザ・COVID-19、RSウイルス感染症の治療・予防薬をグローバルに展開することで、安定から“成長”ステージへの進展を目指しています。これまでSHIONOGIは海外展開品の多くをパートナー企業との提携を軸に取り組み、製品売上高の一部からロイヤリティーを取得してきました。HIV事業を中心に今後もこうしたパートナーとの関係を良好に保ちつつ、SHIONOGI創製品の欧・米・亜における開発、薬事申請並びに承認取得、マーケティング・販売などの事業活動や、低中所得国への展開など医療アクセスの向上に向けた活動をSHIONOGIが主体となって取り組んで行けるよう、グローバル展開を強化する必要があります。しかしながら、当初想定していた開発計画や販売戦略が遅延・失敗した場合、将来に期待されていた治療薬やワクチンの創出や売上収益が実現できない場合など、業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。<主な対応・取り組み>・COVID-19、インフルエンザ治療薬の販売と適正使用の推進・薬剤耐性(AMR)治療薬セフィデロコルの販売拡大・COVID-19、インフルエンザ予防ワクチンの開発・HIVとともに生きる人々のQOLを高める長時間作用型の治療・予防薬の研究開発・アンメットニーズの高い感染症(結核・マラリア・非結核性抗酸菌症等)における新たな治療の研究開発・治療に加え、未病、予防、検査、診断、予後なども含めた疾患のトータルケアを実現する製品・サービスの創出・海外展開品目のグローバル開発・承認申請の実施と海外生産・流通・販売体制のさらなる整備・備蓄やサブスクリプション償還モデルの拡大など、各国政府や規制当局との交渉 (2) パイプラインの拡充 <概要>SHIONOGIは、誰もが自分らしく生き生きとした生活を送ることができる社会の実現を目指し、薬剤をはじめとした人々の困りごとを解決するヘルスケアソリューションの研究開発に取り組んでおります。医薬品の研究開発においては長い期間と多額の投資を必要とするうえに、臨床試験で期待した効果を得られず、承認が得られない可能性があります。このように不確実性の高い中、創薬の成功確率を高めて医療ニーズを満たす魅力あるパイプラインを形成していくためには、SHIONOGIが培ってきた感染症や低分子医薬品の研究開発技術に加えて、新規モダリティの獲得や外部ネットワークの活用、積極的な投資による外部からの成長ドライバーの獲得、それらに対応する人材の育成が不可欠です。また、医薬品のみでは解決しきれない患者さまや社会が抱える多様な困りごとを解決する機会と捉え、従来の医薬品のパテントに基づく収益に偏重したビジネスモデルを転換し、ワクチン及び新しいヘルスケアサービスの提供にも挑戦しております。医療用医薬品ビジネスとそれ以外のビジネスとのバランスを図ることでパテント切れによる収益の変動を緩和することが必要と考えております。<主な対応・取り組み>・新たなモダリティ・技術への挑戦・外部との協創によるものづくりの推進・インライセンスなど成長ドライバーへの積極投資・最先端の研究開発能力を確保するための人材育成・高い自社創薬比率の維持・デジタルアプリなど、従来の治療薬にとどまらない革新的な治療選択肢の開発・すべての人々が活躍できる環境整備に必要なサービスの開発 (3) 人的資本マネジメント<概要>SHIONOGIが事業モデルの転換を図り、STS2030 Revisionで目標とする成長を実現していくためには、従業員一人ひとりが変革を牽引する「競争力の源泉」となり、SHIONOGIがそうした強みを持つ多様な人材の集団として構成されている必要があります。そのために2030年のVision達成に向けた人的資本マネジメントを事業機会と捉え、戦略上の主要テーマとして設定しております。外部人材の登用や能力重視の人材登用を進めることで人材ポートフォリオの変革を行い、多様な価値観を持った人材の融合を実現し、2030年Visionの実現を目指しています。従業員が目指すべき人材像を「Shionogi Way:他者を惹きつける強みを持ち、貪欲に知識とスキルを高めつつ、積極的に挑戦しやり遂げる人」と定め、様々な施策を通じて、全員が備えるべき能力や個々の役割ごとに求められる能力の獲得を促しております。また、キャリア採用を強化し、不足している専門性を獲得していきます。加えて、各種制度や仕組みを整備することで、多様な人材がエンゲージメントを高め、活躍できる環境の整備も進めております。さらに、それらの取り組みを行う上で必要な従業員の健康や作業者の安全の確保にも努めております。しかしながら、施策や人材獲得の失敗、従業員の健康や安全に影響を及ぼす事象の発生などの阻害要因が生じた場合には、SHIONOGIの人的資本の価値が毀損され、SHIONOGIの変革が停滞し、業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。<主な対応・取り組み>・キャリア採用強化・人事制度の改定・様々な属性が活躍できる働き方改革・チャレンジを歓迎し賞賛するイベントの実施・各事業所におけるEHSマネジメントシステムの運用強化・原薬の作業者暴露に関する暴露基準(OEL)設定の推進・作業者暴露に関する取扱い基準の設定と運用 (4) DX変革の実現<概要>SHIONOGIは昨今の技術革新やそれを取り巻くダイナミックな環境変化を機会と捉えており、STS2030 Revisionにおいて、意思決定のスピードを加速させ、データに基づく新たな価値創造を実現するため、あらゆる活動でデジタルトランスフォーメーションに取り組むことを大きなテーマとして掲げております。従来のビジネスモデルの変革が求められる中、AIやITを活用した生産性の向上は必須であり、その実現に向けた取り組みの停滞が生じた場合には、SHIONOGIの業績のみならず企業価値向上に重要な影響を及ぼす可能性があります。<主な対応・取り組み>・グローバルIT基盤の構築・AI創薬の実践、AI活用による市中在庫予測などのビジネスモデル/オペレーション変革・疾病の診断・治療を目的とした医療機器プログラム(SaMD)、疾患検知アルゴリズムの開発・業務効率化と新たな価値創造を実現するデータ利活用基盤の整備 ・デジタルコア人材を輩出する育成施策の実施 2.事業遂行上のリスク (1) 品質 <概要>SHIONOGIは医薬品等の製造管理及び品質管理の基準(GMP)や医薬品規制調和国際会議(ICH)ガイドライン等の薬事関連法規に準拠した厳格な品質管理体制のもと製品の製造及び委託製造を行っております。また、厚生労働省、米国食品医薬品局(FDA)や欧州医薬品庁(EMA)等の所管当局の査察を受け、製造販売の認可を取得しておりますが、何らかの原因により、品質不良やロット不適が発生するなどの品質問題が発生した場合、以下のリスクが想定されます。・製品由来のレピュテーションの低下・承認書と製造実態の不整合による品質不良、出荷停止、回収、行政処分による業務停止等・データ完全性の不備による回収や当局査察での重大な指摘・企業の信頼低下<主な対応・取り組み>・SHIONOGIグループ品質ポリシーの制定・推進・社内における教育イベント等の開催による品質の重要性の理解浸透・Quality Cultureの醸成活動等の推進・製造所監査等を通じた管理監督活動・社内関連部署との連携会議等によるBad News Fast/Firstの体制強化 (2) グローバルサプライチェーンマネジメント <概要>大地震や暴風雨、洪水などの自然災害やパンデミックの発生、または米中経済対立や台湾有事などの地政学的影響や人権・環境などのサステイナビリティの観点による影響などでサプライチェーンに問題が生じた場合、以下のリスクが想定されます。・工場の操業停止・原材料や製商品の調達困難・卸物流網の寸断並びに情報の停滞・医薬品の安定供給に対する重大な影響・社会や公衆衛生への悪影響 <主な対応・取り組み>・保有在庫量の独自基準に基づく在庫管理・一部製品に含有される原薬の国内製造体制の構築・製品の安定供給のための原材料調達先分散(地政学的リスクの高い原材料のセカンドベンダーの選定)・優先して供給すべきBCP品目の設定及び定期的な見直し・サプライヤーに対するデューディリジェンス並びに監査の実施と改善要求 ・サプライヤーに対する「SHIONOGIグループビジネスパートナーに求める行動規範」への同意取得・「マルチステークホルダー方針」に則った取引先への配慮・取引卸との円滑な連携と災害時対策の協議・立案・卸並びに市中在庫の透明化・危機管理体制及び危機管理規程類の見直し (3) ITセキュリティ・情報管理<概要>個人情報を含む多くの機密情報を保有し、アウトソーシング先を含めて各種ITシステムを利活用している中、従業員及びアウトソーシング企業などの不注意または故意による行為、あるいは悪意を持った第三者によるサイバー攻撃などにより、ITセキュリティが脅かされた場合、以下のリスクが想定されます。・重要システム停止による事業の継続困難・個人情報を含む機密情報の流出・損害賠償請求などの法的な損害や事後対応に係る費用などの発生・業績やレピュテーションの低下<主な対応・取り組み>・グループ従業員に対する情報管理や個人情報の重要性に対する認識や個人情報保護に関する法令遵守の必要性及びSHIONOGIグループグローバルプライバシーポリシーについての教育の徹底・サイバー攻撃や大規模災害などの危機事象発生に備えたIT-BCP体制構築プロジェクトの推進・ITインフラの整備、情報セキュリティ基盤の強化・運用の改善・グローバルセキュリティアセスメントの結果に基づくグループ全体でのネットワーク体制の強化 (4) 製品安全<概要>医薬品は、世界各国の所轄官庁の厳しい審査を経て承認を受け販売しております。市販後は、安全性情報を収集し、医薬品の安全性確保及び適正使用のために必要な対策を実施しております。また、当社はHaaS企業として医薬品以外の製品・サービスの販売を拡充しております。製品・サービスによっては世界的に審査基準が未策定な分野も存在することから、所轄官庁との個別議論により製品・サービスそのものの安全性を確保することが重要です。また、医薬品を含む製品・サービスを適切に使用して頂くことも重要であるため、顧客に対する当該疾患に関する情報発信・啓発を実施しています。医薬品や製品サービスに対して予期せぬ副作用や不具合の発生及び副作用報告の漏れや遅延、不具合への対応の遅れ等が発生した場合、あるいは当社からの情報発信内容に誤りがあった場合、以下のリスクが想定されます。・製品の販売中止や回収・健康被害に関する損害賠償訴訟の提起・業績やレピュテーションへの影響<主な対応・取り組み>・副作用や不具合等の安全に関する情報を適切に収集・分析・評価・報告する体制の強化及びシステムの構築・副作用や不具合等の拡大や被害の抑制につながる全従業員教育の実施・経営層を対象とした製品安全に関する教育の実施・医薬品の副作用等に基づく医療被害補償の保険加入・提供情報や啓発内容に対する専門家による監修及び社内審査の実施、内容の定期更新の実施 (5) コンプライアンス<概要>SHIONOGIではコンプライアンスを法律、規則、規制等の遵守に留まらず、社会規範の遵守、更には企業・社会人としての倫理的行動を含むという認識のもと、事業活動遂行における法令違反、社会規範の逸脱、倫理に反する行為・行動を重要なリスクと捉えており、当該リスクが顕在化した場合、以下の影響が想定されます。・レピュテーションの低下・ステークホルダーからの信頼の失墜・経営成績及び財政状態の悪化<主な対応・取り組み>・SHIONOGIグループ コード・オブ・コンダクトの制定・推進・Global Compliance & Quality Weekを通じた、グループ全従業員のコンプライアンス意識の強化・組織の構成に応じたコンプライアンス推進体制の運用・代表取締役会長兼社長CEOを委員長としたコンプライアンス委員会の開催(年4回)・コンプライアンス委員会活動状況の取締役会への報告(年2回)・全従業員対象のコンプライアンス意識調査の実施と各組織への分析結果のフィードバック・行動に迷った際に、立ち止まって自らの行動の是非を見つめ直すための5つのチェック項目に関するグローバル全社員への教育の実施 (6) 環境<概要>医薬品の研究、開発、製造等の事業活動を行う過程において、環境や生態系などに影響を及ぼす事象が発生する可能性があります。それらによる被害が顕在化した場合、以下のリスクが想定されます。・施設や設備の稼働停止や対策・復旧/改修費用の発生・損害賠償訴訟の提起、補償費用の支払い・業績やレピュテーションの低下<主な対応・取り組み>・EHSポリシー・EHS行動規範の制定によるガバナンスの強化・環境及び安全衛生(EHS)統括管理体制の整備・環境マテリアリティ並びにEHSに関する中期行動計画の推進・各事業所における、ISO14001、ISO45001並びにそれらに準じたEHSマネジメントシステムの運用強化・関連法令を遵守するとともに、より厳しい自主管理基準・目標を策定して対応を実施 (7) 他社とのパートナーシップ <概要>事業パートナーとの協業は、経営資源や内部情報を互いに提供し、相互の強みを活かして事業強化を図ることが目的ですが、以下のリスクが想定されます。・パートナーによる自社技術やノウハウの業務提携目的外の利用・自社による意図しない他社技術の無断利用や知的財産の侵害による訴訟・自社による機密情報の漏洩・他社による機密情報の漏洩によるブランドイメージやレピュテーション、投資家からの信頼の低下<主な対応・取り組み>・パートナーとコミュニケーションを充実させることによる認識の齟齬の解消、信頼関係の維持・向上・想定されるリスクを織り込んだ秘密保持契約の締結・知的財産権の取り扱いや損害賠償に関する事項などを明確化した契約の締結・問題点や侵害リスクの調査を目的とした知的財産の定期的な点検による訴訟リスクの回避・データの適切な暗号化やアクセス制御の強化、ファイヤーウォールによる外部からの不正アクセスの防止、セキュリティ監視体制の整備などによる情報管理体制の構築・パートナーへ共有する情報の最小化と情報共有ルールの整備・共有する情報の使用状況やアクセスログを監視する体制の整備・パートナー企業の情報管理体制の定期的な監査と評価・パートナー企業の信頼性や財務状況、法的な問題などについて多角的な観点からのデューディリジェンスの実施・問題点や改善点の早期発見を目的としたパートナーシップの定期的な監査と評価の実施 (8) 知的財産<概要>SHIONOGIの製品は、知的財産権(特許権等)により保護されて利益を生み出しますが、グループ会社の増加や事業領域の変化・拡大等の要因により種々の知的財産が充分に保護できない恐れや、第三者の知的財産権を侵害する可能性があります。SHIONOGIが保有する知的財産権が第三者から侵害を受けた場合あるいはSHIONOGIの製品が第三者の知的財産権を侵害した場合には、以下のリスクが想定されます。・期待される収益が失われることによる経営成績及び財政状態の悪化・知的財産権保護のための係争や訴訟・損害賠償金の支払い・当該製品の製造販売の差止め・企業ブランドやレピュテーションの低下 <主な対応・取り組み>・知的財産権の適切な権利化と管理体制の整備、第三者による権利侵害に対する継続的な監視・事業活動にあたっては、侵害予防調査の実施・導出入活動における知財デューディリジェンスの実施など、侵害予防のための体制の整備・e-Learning等による従業員教育の定期的な実施 (9) 制度・行政<概要>医薬品事業は、各国・地域の政策により様々な規制を受けております。医療保険財政のひっ迫に加え、米国インフレ抑制法(IRA)等により、特に先進諸国で薬剤費抑制の圧力がさらに強まる可能性があります。また、米国を始めとする世界各国での政権変化に伴う政策、国際関係への影響を注視する必要があります。我が国においては、高齢化進展に伴う医療費増加を見越した医療保険制度改革や毎年の薬価改定など、行政施策の動向がSHIONOGIの業績に影響を与える可能性があります。また、医薬品の開発、製造などに関連する国内外の規制の変更により、追加的な費用や新たな対応が発生する可能性があります。それらが顕在化した場合、以下のリスクが想定されます。・医療用医薬品事業の予見性の低下・創出したイノベーションの価値と乖離した薬価の算定・医薬品、ワクチン等の研究開発の遅れや供給不安・医薬品、ワクチン等の売上高・利益の減少<主な対応・取り組み>・革新的な医薬品やヘルスケアサービスの創出と社会が許容できる価格での提供・創出したイノベーションの価値を示すエビデンスの構築・業界団体活動を通じ、イノベーションの価値を訴求する取り組みの推進・薬価制度や医薬品等の研究開発・製造・販売の各種規制などに関する最新情報の入手と迅速な対処 上記の重要なリスクに加え、訴訟、パンデミック・自然災害、金融市場・為替動向など、SHIONOGIの経営成績及び財務状態に影響を及ぼす可能性のある様々なリスクが存在します。ここに掲載されたものが、SHIONOGIのすべてのリスクではありません。

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