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サイバートラスト(4498)は何で稼いでいるか — 事業の柱と依存度

情報・通信業 情報通信・サービスその他

事業の概要

  • デジタルトラスト事業の展開
    サイバートラストは、インターネット社会における「ヒト」「モノ」「コト」の信頼性を証明する「デジタルトラスト事業」を主軸としています。具体的には、ウェブサイトの安全性を証明するSSL/TLS証明書や、デバイスの信頼性を確認するデバイス証明書管理サービス、電子契約などで本人確認や文書の改ざん防止を担う電子署名サービスなどを提供し、デジタル社会の基盤を支えることで収益を得ています。
  • プラットフォームサービスの提供
    同社は、企業向けのLinux OS「MIRACLE LINUX」の提供や、オープンソースソフトウェア(OSS)を活用したITインフラの安定稼働支援を行っています。また、IoT機器のセキュリティ対策や組込みLinux技術のサポートも手掛けており、これらの製品ライセンス販売、カスタマイズや導入支援などのプロフェッショナルサービス、継続的なサポートサービス(リカーリングサービス)を通じて収益を上げています。
  • 多様な取引形態と収益源
    サイバートラストの収益は、主に3つの取引形態から成り立っています。自社製品を提供する「ライセンス」、製品のカスタマイズや導入支援、セキュリティコンサルティングを行う「プロフェッショナルサービス」、そして電子認証サービスや製品サポートなど、契約更新によって継続的な収益が見込まれる「リカーリングサービス」です。これにより、安定した収益基盤を構築しています。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
セグメント構成
  • デジタルトラスト事業
    サイバートラストの主要な事業セグメントであり、デジタル社会の信頼を支えるサービス全般を指します。この事業は、主に「トラスト」と「プラットフォーム」の二つのサービス区分で構成されています。2025年4月より、従来の「トラストサービス事業」から名称が変更され、より広範なデジタル社会での信頼の基盤を意味するようになりました。
  • トラストサービス区分
    このサービス区分は、公開鍵基盤(PKI)技術を活用し、Webサイトの運営組織の実在証明(EV SSL/TLS証明書)、デバイスの信頼性証明(デバイス証明書管理サービス)、本人確認や電子文書の改ざん防止(電子署名、リモート署名サービス)などを提供しています。これは、デジタル取引の安全性と信頼性を確保するための基盤となるサービスであり、同社の主要な収益源の一つです。
  • プラットフォームサービス区分
    このサービス区分は、Linux OS「MIRACLE LINUX」などのオープンソースソフトウェア(OSS)を活用したエンタープライズ向けサービスや、IoT機器のセキュリティ対策、組込みLinux技術の支援などを提供しています。OSからシステム監視、バックアップまでITインフラの安定稼働を支援し、IoT機器のライフサイクル全体にわたる安心・安全な利用を可能にすることで、幅広い顧客のニーズに応えています。
有価証券報告書「事業の内容」の全文を見る(年度切替)
FY2025|7,995 文字
3【事業の内容】当社グループ(当社及び当社の子会社及び関連会社)は、当連結会計年度末現在、当社と連結子会社2社及び持分法適用関連会社1社で構成されており、「デジタルトラスト事業」を主たる業務としております。デジタルトラストとは、さまざまなモノがインターネットに繋がりあらゆるプロセスがデジタル化される社会において、「ヒト」「モノ」「コト」の正当性・完全性・真正性などを証明しデジタル社会の信頼を支えるサービスです。2024年10月より、DX進展に伴い顧客のトータルニーズへの提案力を強化し、さらなる事業成長を目指すため従来の「Linux/OSS」と「IoT」を統合し「プラットフォーム」にサービス区分を変更しております。また、2025年4月より、事業セグメントの名称を「トラストサービス事業」から、より広範なデジタル社会での信頼の基盤を意味する「デジタルトラスト事業」に変更しております。この変更はセグメント名称の変更であり、セグメント情報に与える影響はありません。トラストサービスという名称は、近年、PKI(公開鍵基盤)を用いたサービスを指す用語として認識されるようになってきているため、「プラットフォームサービス」を含む当社グループの事業全体を表現する名称(事業セグメントの名称)に見直しました。これに伴い、2025年4月より、従来の「認証・セキュリティ」から「トラスト」にサービス区分の名称を変更しております。 「3事業の内容」においては、変更後の事業セグメント、サービス区分の名称を用いております。 「デジタルトラスト事業」を構成する主要なサービスの内容は、下記のとおりであります。セグメントサービス区分主なサービスの内容報告セグメントデジタルトラスト事業トラスト(旧 認証・セキュリティ)公開鍵基盤(PKI)技術(*1)によって以下を実現●EV SSL/TLS証明書(*2)(*3)により、Webサイトの運営組織が実在することを証明●デバイス証明書管理サービスにより、信頼できるデバイスであることを証明●本人確認サービス、電子署名(*4)用証明書、リモート署名サービスにより、本人が実在し同一であることや電子文書が改ざんされていないこと、署名が真正に成立していることを証明プラットフォーム(旧 Linux/OSS及び旧 IoT)(*5)(*6)(*8)ベンダーフリーでオープンスタンダードな技術と長期サポートにより以下を実現●LinuxOSに代表されるオープンソースを活用したエンタープライズ向けサービスでは、OS(*7)からシステム監視、システムバックアップ等の製品を提供し、ITインフラが正しく動作することを支援組込みLinuxと電子認証の技術を融合し以下を実現●IoT機器の脆弱性の低減や脅威への対策、更新ソフトウエアを安全に配信できる仕組みなど、IoT機器のライフサイクルを通して、安心・安全に利用できる仕組みを提供●組込み向けのOSS技術についても、システムが安定して正しく動作することを支援それぞれのサービスには3つの取引形態があります。・ライセンス主に自社の製品(Linux/OSS製品など)を提供・プロフェッショナルサービス製品のカスタマイズや導入支援、セキュリティコンサルティングなどを提供・リカーリングサービス(契約が更新されることで継続した収益が見込まれるもの)電子認証サービスや自社製品のサポートサービスなどを提供 <デジタルトラスト事業の特長>(1) トラストサービス(旧 認証・セキュリティサービス)①パブリック証明書サービス当社グループは、電子認証局(*9)を国内に持つ電子認証事業者として、SSL/TLS証明書「SureServer」を提供しております。当社グループが提供する「SureServer」は、SSL/TLS証明書として3種の認証レベルが存在するうち、EV証明書とOV証明書を提供しております。EV証明書は、審査レベルが最も高く、ドメインの所有組織確認と対象組織の実在性審査を実施するEV証明書で、ブラウザ上で安全なWebサイトであることを視覚的に確認可能にします。 ②デバイス証明書管理サービス当社グループが提供しているデバイス証明書管理サービス「サイバートラスト デバイスID」は、デバイス証明書を使い、あらかじめシステム担当者が許可したPCやスマートフォンなどのデバイスだけを社内ネットワークにアクセスできるようにするサービスです。昨今のワークスタイル変革に伴って、スマートデバイスやクラウドを利用するテレワークが一般化し、いつでもどこからでも情報資産にアクセスでき業務を遂行できる環境が必須の要件になっています。同時に、リモートアクセス環境の安全を担保して業務データの情報流出を防ぎ不正アクセスから守るためのセキュリティ対策は、企業のシステム担当者にとっての重要な課題になっています。当社グループでは、「ユーザー認証」に「デバイス認証」を加えることで、強固な多要素認証環境を作り上げ、また、システム担当者が遠隔から管理、運用できるサービスにより、管理の負担や人的コストの削減を可能にします。 ③電子認証サービス当社グループは、電子取引の信頼性を高めるための電子署名、eシール(*10)、タイムスタンプ(*11)などを含む包括的な電子認証サービスを提供しております。当社グループは、世の中の大きな流れであるデジタルトランスフォーメーションの中でもビジネスプロセスのデジタル化において特に重要となる本人確認のデジタル完結、契約の電子化を含む電子文書の真正性確保を実現するための「iTrust」を提供します。「iTrust」は、犯収法(*12)などで求められる本人確認をデジタル完結する「iTrust本人確認サービス」、電子契約(*13)などでの電子署名で用いる「iTrust電子署名用証明書」、契約や書面の電子化で求められる真正性を保証する「iTrustリモート署名サービス」から構成されております。サービス内容iTrust本人確認サービス主務大臣認定を取得し、犯収法に対応したオンラインでの本人確認や現況確認を実現するクラウドサービスです。iTrust電子署名用証明書WebTrust監査に合格した書面の電子化や電子契約のための信頼性の高い電子署名用証明書です。iTrustリモート署名サービス書面の電子化や電子契約で求められる長期にわたる真正性を保証する長期署名に対応したクラウドサービスです。日本情報経済社会推進協会の審査に合格し、JIPDECトラステッド・サービスに登録されております。 (2) プラットフォームサービス(旧 Linux/OSSサービス)①サーバー向けOS当社グループは、Linux OS「MIRACLE LINUX」を、企業向けLinuxサーバー用途に加え、産業用コンピューター(*14)、各種アプライアンス製品(*15)など特定業務用機器への組込み用途で提供しております。Linux OS「MIRACLE LINUX」というソフトウエアの提供に加え、国内のエンジニアによる10年にわたる長期サポートも提供しており、基幹サーバーに求められる安定運用や、特定業務用機器への組込みに必須となる柔軟なカスタマイズまで対応しております。またCentOSというLinux OSはRHEL(*16)の代表的なクローンで、Linuxの普及とともにRHELクローンとしての安定した実績から日本国内でも多数の企業が利用しておりますが、2024年6月のコミュニティサポート終了により利用者は他のOSに移行するか、当社など事業者が提供する延長サポートを当面利用しないと安全な運用ができない状況になっております。当社は、米国Cloud Linux Software, Inc.(旧CloudLinux社)と提携しCentOS7の延長サポートやCentOSからの次期移行先OS候補として有力視される国際標準OSのAlmaLinuxのサポートサービス等を提供しております。また当社はAlmaLinuxについてCentOSからの移行先OSとしての展開に加えて、国際安全基準・法規制のもとミッションクリティカルな環境での長期間の運用が求められる重要インフラ分野向けに高品質長期サポート、セキュリティ対応、無停止でのOS更新機能などを国内ワンストップで提供する高付加価値有償サービスとしてハードウェア、仮想化環境のベンダーと連携し展開を進めております。なお、各OSSの分野ではコミュニティ(*17)と呼ばれる、世界中に散在している利用者、開発者、企業などからなる組織によって、メンバー間でソースコードを共有し、共同開発や関連情報の発信、勉強会開催などを非営利目的で運営しております。当社グループが主に参加しているLinuxなどのOSSは、大手企業が積極的にコミュニティ活動に参加し、相互に協力しております。また、OSSはソースコードが広く公開されているため、いかなる企業・団体や個人も当社グループと類似の開発を行うことが可能である点がOSSの特徴であります。当社グループは、企業としてカーネル(*18)レベルの技術に精通したエンジニアによりOSSをパッケージ化してライセンス提供すること、迅速なサポートサービスを提供すること、さらに、製品導入時に導入支援及びカスタマイズなどが必要なお客様とは密にコミュニケーションをとりながらコンサルティングサービスを提供すること、これらが当社グループの優位性につながっております。 ②エッジ(IoT・組込み機器)向けOSIoTなどの組込み機器向けのLinux OS「EMLinux」を提供しております。かつて組込みOSの主流であったリアルタイムOS(RTOS)(*19)と比較して組込みLinuxの不利な点とされていた、リアルタイム性、起動の高速化、省リソース(*20)などの課題をLinuxのチューニングによって解決し、また、IoT・組込み機器の開発において今や必ず対策しなければならないデバイスレベルからのセキュリティソリューションも備えています。IoT機器の耐用年数は15年に及ぶものもあり、PCなどに比べて長期のサポートが必要となりますが、個々のメーカーが長期サポートを提供するには莫大なコストがかかるため、関連する企業が協力して、OSSコミュニティが中心となり、CIP(Civil Infrastructure Platform)(*21)などで長期サポートの実現に取り組み、ユーザーが安心安全に利用できるよう支援しております。当社グループは、カーネルレベルの技術に精通した技術力を持つエンジニアを擁し、CIPなどのコミュニティと共同歩調をとることで、IoT・組込み機器には必須の長期サポートを実現します。組込みLinux OS「EMLinux」によって、お客様が組込みアプリケーションの開発に注力し、開発期間を短縮し開発コストを削減すると共にIoT機器の出荷後も長期にわたって安心・安全に使い続けることを可能にします。③セキュアIoTプラットフォーム当社グループは、公開鍵基盤(PKI)と多角的な認証によるIoT機器や利用者の真正性の確保と、暗号化による機密性の保持、電子署名による改ざん防止・安全性確保等の機能を備え、OSやソフトウエアをセキュアに更新する仕組みを一括して提供するシステム基盤を提供しております。「セキュアIoTプラットフォーム」は、半導体設計時から廃棄処分工程まで、ライフサイクルを通じてIoT機器のセキュリティ状態を一気通貫で管理できます。 「セキュアIoTプラットフォーム」の特長は、以下のとおりであります。特長内容製品ライフサイクルのあらゆる段階でトラストチェーンを担保  IoT機器を特定する識別情報が埋め込まれたセキュアエレメントと、国際基準の電子認証局から発行される電子証明書を組み合わせることで多段階の認証を行い、製造時から廃棄まで製品の一貫してトラストチェーンを維持しデータの改ざんやなりすましを防ぎます。 信頼の基点(Root of Trust)(*22)となるセキュアエレメントは、SIOTPと連携した ICチップベンダーが製造する耐タンパー性に優れたハードウェアセキュアエレメントを利用でき、物理的な攻撃を受けてもトラストチェーンを破られることなく運用が可能です。リモートアップデート(OTA)など IoT機器の運用に必要なサービスを提供 ①認証情報の保護・管理 機器の本物性を担保する認証情報(トラストアンカー)をICチップの製造時から書き込み、電子証明書を用いた個体識別を行うことで、クラウドサービスとの安全なアクセスを担保します。②IoT機器の一元管理 IoT管理サービス「Device Management Console」でWeb UIの管理画面から、IoT機器の状態(接続状況・FWバージョン等)を一元管理できます。システムへの機器の登録や更新・停止・再登録が設定可能です。③ソフトウェアアップデート長期間運用するIoT機器では、出荷後に脆弱性が顕在化します。アップデートは、脆弱性を狙う攻撃に対処するのに必要な手段です。セキュアIoTプラットフォームのリモートアップデート機能(OTA)は、IoT機器の製造から出荷後まで不正なマルウェアの混入を防ぎ、安全なアップデートを提供します。④LINEOWarp!!当社グループ会社のリネオソリューションズ社によりIoT機器向けの高速起動製品を提供しております。組込み機器では自動車やスマート家電製品などバッテリーを使用している製品や、業務用コピー機など省エネの観点で待機電力の極小化を求められる製品が多く、電源投入時、あるいは待機状態からシステムが正常起動するまでの起動時間の短縮が課題になっています。「LINEOWarp!!」により、LinuxやAndroid OSで構成されているシステムを最短、1秒から数秒の高速での起動を実現します。コンシューマ機器や車載機器、産業機器などすでに、100種を超える製品での採用実績があります。 (*1)公開鍵基盤(PKI)技術Public Key Infrastructureの略で、公開鍵と秘密鍵の2つの鍵を使用したデータ暗号化技術、及び電子証明書と組み合せて、認証や電子署名を行う技術の総称。(*2)SSL/TLS証明書Webサーバーを運営する組織の実在性を証明するもので、フィッシング詐欺等の対策となる証明書。また、通信の暗号化により盗聴や改ざんを防ぐ効果もあり、インターネットの利用者が安心してWebを利用できるようになる。“SSLサーバー証明書”や“サーバー証明書”とも呼ばれる。(*3)EV証明書EVとはExtended Validationの略称で、最も信頼性の高いSSL/TLS証明書。厳格な審査により、組織の実在性が確認される。(*4)電子署名電磁的に記録された情報について、作成者の意思に基づいて作成されたこと、その内容が改ざんされていないことを証明する仕組み。書面へのサインや押印に相当する電子的措置。(*5)Linux無償でソースコードが公開され、誰もが利用・複製・改変・再配できるオペレーティングシステム。必要な機能を選択して再構築できることから、サーバーや組込みシステムとして電化製品などの幅広い用途に利用されている。(*6)OSS(オープンソースソフトウエア)ソフトウエアの設計図にあたるソースコードが無償で公開されており、誰でも使用及び改良や再配布ができるソフトウエア。(*7)OSオペレーティングシステムの略称。コンピューターのシステム全体を管理し、種々のアプリケーションソフトに共通する利用環境を提供する基本的なプログラム。(*8)IoTInternet of Thingsの頭文字で、「モノのインターネット」とも呼ばれる。日常で利用されているさまざまな機器(モノ)がネットワーク上で相互接続し、それらの機器に搭載された内蔵センサーからデータを収集し、そのデータがさまざまなサービスに活用されること。(*9)電子認証局規程に基づいて電子証明書の発行や失効などを行う第三者機関。登録局(審査を実施)と発行局(発行や失効などを実施)により構成される。(*10)eシール電子データや文書の起源とその完全性を証明する仕組み。eシールは、法人が発行した文書を認証できる他、ソフトウエアコードなどの法人のデジタル資産の認証にも利用できる。 (*11)タイムスタンプある時刻にその電子データが存在していたことと、それ以降改ざんされていないことを証明する仕組み。(*12)犯収法犯罪収益移転防止法(正式名称:「犯罪による収益の移転防止に関する法律」)。犯罪によって得られた不当な収益を洗浄する行為を防止するための法律。金融機関などの取引時に顧客が本人と一致しているかを確認する方法などを定めている。(*13)電子契約従来、紙で行っていた契約書の締結や管理をインターネット上で行うシステム。電子署名やタイムスタンプを付与した電子ファイルを利用して合意成立の証拠とする。(*14)産業用コンピューター産業業務用途に特化した性能を持つPC製品。設備の制御装置や製造現場、さまざまな産業機器への組込みなどの長時間の安定稼働を前提としたシビアな用途向けに設計されている。一般向けのパソコンと異なる特長として「耐環境性」「長期安定供給」などが求められる。(*15)アプライアンス製品特定の機能や用途に特化して最適化して設計・開発された専用機器。サーバー機器本体に、特定の目的に必要なソフトウエアをあらかじめインストールして、容易に導入や管理ができるよう工夫した製品。(*16)RHELRed Hat Enterprise Linuxの略称、レッドハット社によって開発、販売されている業務向けのLinuxディストリビューションのこと。(*17)コミュニティオープンソースソフトウエア(OSS)の開発や改善、情報交換などを主な目的として、利用者、開発者、愛好者らによって構成され非営利目的で運営される団体。世界中に散在するメンバー間でソースコードを共有し、共同開発や関連情報の発信、勉強会の開催などを行っている。(*18)カーネル階層型に設計されているOSの核となる部分のプログラム。ソフトウエアとハードウエアがやり取りするための基本的な機能を処理し、コンピューターを動作させるための基幹となるサービスを提供する。(*19)リアルタイムOS(RTOS)一般的な汎用OSと違い、リアルタイム性を重視した、組込みシステムで多く用いられるOS。(*20)省リソース組込みシステムにおいて、プロセッサーの処理能力やメモリ容量などの計算リソースに対して、処理能力の低いプロセッサーを使うことや使用するメモリ量を少なくすることなどが求められること。(*21)CIP(Civil Infrastructure Platform)社会インフラシステム向けに、プラットフォームとしてLinuxやオープンソースの実装を進めていくことを目指すプロジェクト。The Linux Foundationが運営する。(*22)RoT(Root of Trust : 信頼の基点)ハードウエアやソフトウエアに関するセキュリティにおいて、信頼性を実現する根幹となる部分。 [事業系統図]

事業の優位性(モート)

事業の質(有価証券報告書から抽出)
数字に出ない事業の性質を、同じ物差しで全銘柄そろえています。FY2025時点の記載が出典です。
価格決定力値上げを通せるか。強いほどインフレ耐性が高い 中程度
WebTrust監査への適合やグローバルスタンダードなセキュリティ監査に毎年合格しているため。
参入障壁新規参入を阻む要因の種類 技術
公開鍵基盤(PKI)技術、組込みLinuxと電子認証の技術融合、WebTrust監査への適合。
顧客集中度特定顧客への依存度。高いほど失注リスクが大きい 低い(分散)
景気敏感度業績が景気循環にどれだけ振られるか ディフェンシブ
設備投資の性質稼いだ現金がどれだけ設備維持に消えるか 混合
規制依存規制は障壁にも足枷にもなる 中程度
会社が挙げる主要リスク:ルート認証局の普及遅延と提携解消リスク / OSSライセンス変更や権利侵害のリスク / WebTrust監査不適合による事業制約リスク
同じ条件で他の銘柄を探す → 定性スクリーニング(価格決定力・参入障壁・景気敏感度などで絞り込めます)
モート総合 4 / 25 5類型それぞれの強度と、そう判定した根拠
無形資産★☆☆☆☆
根拠:弱いブランド・特許・許認可

サイバートラストは、日本で数少ない認証局(CA)事業者であり、電子証明書発行に関する一定の信頼と実績を持つ。しかし、グローバルなIT企業と比較すると、ブランド力や特許による独占的な優位性は限定的である。

スイッチングコスト★★☆☆☆
根拠:中程度乗り換えの手間・コスト

電子証明書は一度導入すると、システム変更や再設定に手間がかかるため、顧客が他社へ乗り換える際のスイッチングコストは一定程度存在する。特に、長年利用している企業にとっては、移行のハードルは高くなる可能性がある。

ネットワーク効果☆☆☆☆☆
根拠:弱い利用者増が価値を生む

同社の事業モデルは、ユーザーが増えることでサービス価値が直接的に向上するネットワーク効果を生み出す構造ではない。個々の顧客との契約に基づくサービス提供が中心である。

コスト優位☆☆☆☆☆
根拠:弱い同じ物を安く作れる

認証局事業は、高度なセキュリティインフラと専門知識が必要であり、コスト競争力で他社を圧倒するような構造的な優位性は見出しにくい。参入障壁は高いものの、コストリーダーシップは取れていない。

規模の経済★☆☆☆☆
根拠:弱い規模が参入障壁になる

国内の認証局市場においては一定のシェアを持つと考えられるが、グローバルなITインフラ市場全体で見ると、その規模は限定的である。効率的な規模の経済が働くほどの圧倒的な市場支配力はない。

  • 高水準な認証技術と実績
    サイバートラストは、Webサイトの運営組織の実在性を証明するEV SSL/TLS証明書や、信頼できるデバイスのみをネットワークに接続させるデバイス証明書管理サービスを提供しています。これらのサービスは、グローバルスタンダードなセキュリティ監査「WebTrust」に毎年合格しており、高い信頼性と堅牢な運用実績が強みとなっています。これにより、顧客は安心してデジタル取引を行えます。
  • オープンソース技術の専門性
    同社は、Linux OS「MIRACLE LINUX」をはじめとするオープンソースソフトウェア(OSS)の活用に強みを持っています。ベンダーフリーでオープンスタンダードな技術と長期サポートを提供し、企業ITインフラの安定稼働を支援しています。特に、CentOSのサポート終了に伴う移行先OSの提供や、重要インフラ分野向けの高品質な長期サポートは、市場のニーズに応える競争優位性となっています。
  • 包括的な電子認証サービス
    サイバートラストは、本人確認サービス「iTrust本人確認サービス」、電子署名用証明書、リモート署名サービスなど、電子取引の信頼性を高めるための包括的な電子認証サービス「iTrust」を提供しています。犯収法対応のオンライン本人確認や電子契約における真正性保証など、デジタル化が進む社会で不可欠なサービスを提供することで、顧客のビジネスプロセスを強力に支援しています。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)

経営戦略

有価証券報告書「経営方針・対処すべき課題・MD&A」の全文を見る(年度切替)
経営方針・経営戦略
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。(1) 経営基本方針 当社グループは、「信頼とともに」という経営理念の下、「安心・安全なデジタル社会の実現」をパーパス(社会における存在意義)に掲げ、デジタル社会における全てのヒト・モノ・コトに信頼を提供します。 (2) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等 当社グループは、(i)事業進捗及び収益性を計る指標として「売上高」及び「営業利益及び営業利益率」に加え設備投資を要する事業であることから疑似的なキャッシュ・フロー指標であるEBITDA(注)を、また(ii)リカーリング型ビジネスによる高収益率の事業を目指しているためリカーリング売上及び全体の売上に占める割合(リカーリング売上比率)を経営の重要指標と考えております。(注)EBITDA=営業利益+減価償却費+のれん償却費+資産除去債務関連費用 (3) 経営環境、経営戦略及び対処すべき課題DXの進展、国際安全基準・法規制の動向など当社を取り巻く経営環境から、デジタル技術がこれまで以上に社会と融合するデジタル社会での信頼の基盤を提供する当社のデジタルトラスト事業は益々必要になっていくものと考えております。このような環境を受け機会を逃さず、当社が持続的な成長を実現するために対処すべき課題として特に以下の5点を重要なテーマと捉え、積極的に推進してまいります。 ①人的資本投資と柔軟な組織(a)リーダーシップ研修や資格取得・研修等の支援など人材育成、(b)新報酬制度の導入、(c)多様な人材が活躍できる風土・人事制度・オフィス環境の整備による働き方改革、(d)エンゲージメント施策を講じ組織の状態の可視化により、ウェルビーイングな職場環境を構築し優秀な人材の獲得と維持につなげるため人的資本投資を積極的に行ってまいります。また、今後予想される経営環境の変化に、アジリティ(俊敏性)をもって適応し、あるいは環境の変化をリードしていくため、組織体制の最適化に柔軟に取り組み企業成長の実現を目指してまいります。 ②事業領域の拡大と成長領域への投資トラストサービスでは法規制による本人確認厳格化、法制度の整備による電子契約の利用範囲の拡大、総務省のeシール認定制度創設を受け、「iTrust」のさらなる利用拡大に向けて取り組んでまいります。プラットフォームサービスでは国際安全基準・法規制の具体化の流れを受け、重要インフラ15分野の事業者に対して、サーバー向けにはSBOMに対応した国際標準OSである「AlmaLinux」を、エッジ(組込み・IoT機器)向けにはSBOMに対応した「EMLinux」を、それぞれ長期サポートとともに提供してまいります。これらの既存の事業領域に加えて、デジタルトラスト事業の継続成長に向け資本提携やM&Aなど内部留保資金を有効活用し既存の枠組みにとらわれない成長領域への投資も行ってまいります。 ③グローバル展開グローバル市場への展開を目指し、海外を含むパートナーとの連携構築を進めてまいります。また「AlmaLinux」の開発コミュニティであるThe Alma Linux OS Foundationへ参画し「AlmaLinux」の開発提供体制やSBOM対応を推進する取り組みや、OpenSSFなど他のOSSグローバルコミュニティによるソフトウエアサプライチェーンのセキュリティ対策の推進に貢献し、SBOM対応OSの提供など当社サービスの強化につながる活動に引き続き取り組んでまいります。※OpenSSF:Open Source Security Foundationの略。Linux Foundation下で進められているオープンソースソフトウエアのセキュリティ強化を目的として活動するグローバルコミュニティ。 ④サービス提供能力の強化「iTrust」のトランザクション数の増加などDXの進展に応じてトラストサービス提供基盤の経済社会活動に与える影響が拡大しております。そのため、第二認証センターの新規構築、24時間365日対応可能な運用体制の導入など処理能力の増強、冗長性の確保およびサービスレベルの向上などサービス提供能力の強化に取り組んでまいります。また、プロフェッショナルサービス・サポートサービスに関する技術・ノウハウの次世代への伝承プロセスの構築、顧客やパートナーとのインターフェイスの品質向上施策、耐量子計算機暗号、ブロックチェーン、C2PAなど当社事業の根幹に関わる先行技術に関する研究開発活動を積極的に行い、技術の変化に応じたデジタルトラスト事業のサービス提供能力の強化に取り組み、お客様に安全・安心なデジタルトラストを持続的に提供してまいります。 ※C2PA:the Coalition for Content Provenance and Authenticityの略。AIによるディープフェイク等への対策技術となり得る、デジタルコンテンツの出所・来歴情報の認証標準。 ⑤コーポレートガバナンスの強化当社は、持続的な事業成長と企業価値の向上・経営基盤の強化を図る上で、経営の透明性・公正性を高めステークホルダーのみなさまの信頼に応えることが重要であると考えております。そのため、内部管理体制及びコーポレートガバナンスの整備を着実に進めるとともに、それを支える人材育成や戦略的投資、外部環境変化への柔軟な対応に取り組んでおります。加えて、株主のみなさまとの積極的かつ建設的なコミュニケーションを通じて、多様なご意見を経営に反映し、企業価値のさらなる向上を目指してまいります。また、当社はサステナビリティに対する課題として以下の4つのマテリアリティに取り組んでおり事業活動と一体的に推進してまいります。・DXを支えるトラストサービス推進による安心・安全なデジタル社会の実現・オープンイノベーションによるテクノロジーの発展・省資源・省エネルギー化によるサステナブルな社会への貢献・レジリエントな組織づくりによる企業成長の実現 ※2025年4月より当社グループの事業セグメントの名称をトラストサービス事業から、より広範なデジタル社会での信頼の基盤を意味するデジタルトラスト事業に変更しております。 トラストサービスという名称は、近年、PKI(公開鍵基盤)を用いたサービスを指す用語として認識されるようになってきているため、プラットフォームサービスを含む当社グループの事業全体を表現する名称(事業セグメントの名称)を変更いたしました。これに伴い、サービスの名称について、従来の認証・セキュリティサービスからトラストサービスに変更しております。 (4) 事業環境 当社グループの主要な製品、サービスの市場動向及び競合環境は以下のとおりとなります。①電子認証サービス:iTrust 「iTrust」は、マイナンバーカードによる公的個人認証等を用いたオンライン本人確認や、電子取引の信頼性を高めるための電子署名、eシール、タイムスタンプなどを含む包括的な電子認証サービスです。 マイナンバーカードに格納された電子証明書等を活用する公的個人認証サービスが主務大臣の認定を受けることを前提に民間事業者の利用が可能となっているところ、マイナンバーカードの人口に対する保有枚数率が78.5%(2025年4月末時点)と普及が進み、かつ犯収法など法改正による本人確認厳格化の流れを受け、オンライン本人確認の利用範囲が拡大することが見込まれます。また、法整備が進む中で、電子署名、eシール等の利用範囲も拡大していくことを見込んでおります。そのため、ターゲット市場として以下に強みを持つパートナー企業と提携して、電子認証サービスを提供しております。カテゴリ サービス対象業務金融サービス口座開設等 銀行・証券口座開設等 保険 保険契約・控除証明書 クレジットカード申込みなど携帯電話 新規回線契約ニュービジネス アカウント登録等 スマート決済 新規登録 シェアサービス 新規登録 フィンテック 新規登録 仮想通貨取引所 口座開設など電子契約、電子帳票 企業間電子契約、不動産関連契約 法人融資、住宅ローン契約 電子帳票、電子インボイスなど自治体 行政オンライン申請など文教 学修歴証明書など ②デバイス証明書管理サービス:サイバートラスト デバイスID デバイス認証市場で、当社グループが主要市場の再販売業者との提携を強化し、その販売実績も拡大している状況であること等と比較した競合先の販売推進の動向等から、現在の市場シェアは当社グループがほぼ独占している状態であると考えております。またデバイス認証市場規模については、以下の要因により、今後は従来以上の成長が見込めると当社グループでは予測しております。・企業でのクラウド型サービスの利用増加に伴い、クラウドアクセス時の認証ニーズ増加・セキュリティ強化を目的に、パスワードなどの“知識”と電子証明書や物理トークンなどの“所有物”、指紋などの“生体”から二つ以上の要素を必要とする多要素認証の導入増加 当社グループは、今後もテレワークの定着、クラウド利用の拡大などにより法人の保有するノートPC、スマートフォンなどの端末に対するデバイス認証市場の成長は継続するものと考えております。このような中、当社グループはデバイス証明書管理サービス「サイバートラスト デバイスID」の基本戦略として、ネットワーク機器ベンダーやセキュリティツールベンダー等のパートナー企業との連携を強化するとともに、ゼロトラスト・ソリューション・ベンダーとの技術協業を進め、主要市場の再販売業者に対してさらなる優位性強化を図ります。 ③SSL/TLS証明書:iTrust SSL/TLS サーバー証明書(2025年6月にSureServerからブランド名を変更) 当社グループは、国内のEV SSL/TLS証明書(以下、EV証明書)市場において枚数シェア50.0%でNo.1(Netcraft Ltd.社の「SSL Survey」2024年8月発表データをもとに算出)となっております。EV証明書を含むSSL/TLS証明書の市場規模については、株式会社富士キメラ総研「2022ネットワークセキュリティビジネス調査総覧」では、堅調な市場として位置付けられております。 ④EMLinux スマートホームやコネクテッドカーにスマート家電、そしてスマート工場、スマートインフラなど、IoT化は、わたしたちの暮らしや仕事に、新しい価値や豊かさをもたらしております。その一方で、あらゆるモノがインターネットにつながる社会は、悪意のあるハッカーや犯罪組織などから、国境を越えて狙われる危険性もはらんでいます。「令和5年版情報通信白書」(総務省)によるとパソコンやスマートフォンだけでなく、家電や自動車、ビルや工場などがネットワークにつながることで世界のIoT機器数は2025年には440億台まで増加する予測となっております。 IoT機器数の増加に伴い、乗っ取りやデータの改ざん、盗聴などのサイバーセキュリティリスクが高まり、また国際的な経済活動や社会インフラのリスクが高まってきたことから、米国連邦政府が国防調達の基準としているサイバーセキュリティガイドライン SP800シリーズや、国際電気標準会議が標準化を行っている産業システム向けの制御システムセキュリティガイドラインIEC62443の対応が活発化し、欧州サイバーレジリエンス法の適用開始時期が2027年に定まるなど、国際的にIoT機器のサイバーセキュリティ対策の強化などを義務化する法規制も進んでおります。そこで産業界でも国際安全基準・法規制への適合、システムの長期安定運用のため脆弱性管理に有用なSBOMに対応したOSであるEMLinuxやその長期サポートは益々必要とされるものと考えており、重要インフラ15分野(*1)及び国際競争力を有する産業機器、自動車等を主要なターゲット市場と考えております。 (*1)重要インフラ15分野  内閣サイバーセキュリティセンター(NISC)が公表する「重要インフラの情報セキュリティ対策に係る第4次行動計画」において重要インフラとして定めた15分野をいう。
対処すべき課題
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。(1) 経営基本方針 当社グループは、「信頼とともに」という経営理念の下、「安心・安全なデジタル社会の実現」をパーパス(社会における存在意義)に掲げ、デジタル社会における全てのヒト・モノ・コトに信頼を提供します。 (2) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等 当社グループは、(i)事業進捗及び収益性を計る指標として「売上高」及び「営業利益及び営業利益率」に加え設備投資を要する事業であることから疑似的なキャッシュ・フロー指標であるEBITDA(注)を、また(ii)リカーリング型ビジネスによる高収益率の事業を目指しているためリカーリング売上及び全体の売上に占める割合(リカーリング売上比率)を経営の重要指標と考えております。(注)EBITDA=営業利益+減価償却費+のれん償却費+資産除去債務関連費用 (3) 経営環境、経営戦略及び対処すべき課題DXの進展、国際安全基準・法規制の動向など当社を取り巻く経営環境から、デジタル技術がこれまで以上に社会と融合するデジタル社会での信頼の基盤を提供する当社のデジタルトラスト事業は益々必要になっていくものと考えております。このような環境を受け機会を逃さず、当社が持続的な成長を実現するために対処すべき課題として特に以下の5点を重要なテーマと捉え、積極的に推進してまいります。 ①人的資本投資と柔軟な組織(a)リーダーシップ研修や資格取得・研修等の支援など人材育成、(b)新報酬制度の導入、(c)多様な人材が活躍できる風土・人事制度・オフィス環境の整備による働き方改革、(d)エンゲージメント施策を講じ組織の状態の可視化により、ウェルビーイングな職場環境を構築し優秀な人材の獲得と維持につなげるため人的資本投資を積極的に行ってまいります。また、今後予想される経営環境の変化に、アジリティ(俊敏性)をもって適応し、あるいは環境の変化をリードしていくため、組織体制の最適化に柔軟に取り組み企業成長の実現を目指してまいります。 ②事業領域の拡大と成長領域への投資トラストサービスでは法規制による本人確認厳格化、法制度の整備による電子契約の利用範囲の拡大、総務省のeシール認定制度創設を受け、「iTrust」のさらなる利用拡大に向けて取り組んでまいります。プラットフォームサービスでは国際安全基準・法規制の具体化の流れを受け、重要インフラ15分野の事業者に対して、サーバー向けにはSBOMに対応した国際標準OSである「AlmaLinux」を、エッジ(組込み・IoT機器)向けにはSBOMに対応した「EMLinux」を、それぞれ長期サポートとともに提供してまいります。これらの既存の事業領域に加えて、デジタルトラスト事業の継続成長に向け資本提携やM&Aなど内部留保資金を有効活用し既存の枠組みにとらわれない成長領域への投資も行ってまいります。 ③グローバル展開グローバル市場への展開を目指し、海外を含むパートナーとの連携構築を進めてまいります。また「AlmaLinux」の開発コミュニティであるThe Alma Linux OS Foundationへ参画し「AlmaLinux」の開発提供体制やSBOM対応を推進する取り組みや、OpenSSFなど他のOSSグローバルコミュニティによるソフトウエアサプライチェーンのセキュリティ対策の推進に貢献し、SBOM対応OSの提供など当社サービスの強化につながる活動に引き続き取り組んでまいります。※OpenSSF:Open Source Security Foundationの略。Linux Foundation下で進められているオープンソースソフトウエアのセキュリティ強化を目的として活動するグローバルコミュニティ。 ④サービス提供能力の強化「iTrust」のトランザクション数の増加などDXの進展に応じてトラストサービス提供基盤の経済社会活動に与える影響が拡大しております。そのため、第二認証センターの新規構築、24時間365日対応可能な運用体制の導入など処理能力の増強、冗長性の確保およびサービスレベルの向上などサービス提供能力の強化に取り組んでまいります。また、プロフェッショナルサービス・サポートサービスに関する技術・ノウハウの次世代への伝承プロセスの構築、顧客やパートナーとのインターフェイスの品質向上施策、耐量子計算機暗号、ブロックチェーン、C2PAなど当社事業の根幹に関わる先行技術に関する研究開発活動を積極的に行い、技術の変化に応じたデジタルトラスト事業のサービス提供能力の強化に取り組み、お客様に安全・安心なデジタルトラストを持続的に提供してまいります。 ※C2PA:the Coalition for Content Provenance and Authenticityの略。AIによるディープフェイク等への対策技術となり得る、デジタルコンテンツの出所・来歴情報の認証標準。 ⑤コーポレートガバナンスの強化当社は、持続的な事業成長と企業価値の向上・経営基盤の強化を図る上で、経営の透明性・公正性を高めステークホルダーのみなさまの信頼に応えることが重要であると考えております。そのため、内部管理体制及びコーポレートガバナンスの整備を着実に進めるとともに、それを支える人材育成や戦略的投資、外部環境変化への柔軟な対応に取り組んでおります。加えて、株主のみなさまとの積極的かつ建設的なコミュニケーションを通じて、多様なご意見を経営に反映し、企業価値のさらなる向上を目指してまいります。また、当社はサステナビリティに対する課題として以下の4つのマテリアリティに取り組んでおり事業活動と一体的に推進してまいります。・DXを支えるトラストサービス推進による安心・安全なデジタル社会の実現・オープンイノベーションによるテクノロジーの発展・省資源・省エネルギー化によるサステナブルな社会への貢献・レジリエントな組織づくりによる企業成長の実現 ※2025年4月より当社グループの事業セグメントの名称をトラストサービス事業から、より広範なデジタル社会での信頼の基盤を意味するデジタルトラスト事業に変更しております。 トラストサービスという名称は、近年、PKI(公開鍵基盤)を用いたサービスを指す用語として認識されるようになってきているため、プラットフォームサービスを含む当社グループの事業全体を表現する名称(事業セグメントの名称)を変更いたしました。これに伴い、サービスの名称について、従来の認証・セキュリティサービスからトラストサービスに変更しております。 (4) 事業環境 当社グループの主要な製品、サービスの市場動向及び競合環境は以下のとおりとなります。①電子認証サービス:iTrust 「iTrust」は、マイナンバーカードによる公的個人認証等を用いたオンライン本人確認や、電子取引の信頼性を高めるための電子署名、eシール、タイムスタンプなどを含む包括的な電子認証サービスです。 マイナンバーカードに格納された電子証明書等を活用する公的個人認証サービスが主務大臣の認定を受けることを前提に民間事業者の利用が可能となっているところ、マイナンバーカードの人口に対する保有枚数率が78.5%(2025年4月末時点)と普及が進み、かつ犯収法など法改正による本人確認厳格化の流れを受け、オンライン本人確認の利用範囲が拡大することが見込まれます。また、法整備が進む中で、電子署名、eシール等の利用範囲も拡大していくことを見込んでおります。そのため、ターゲット市場として以下に強みを持つパートナー企業と提携して、電子認証サービスを提供しております。カテゴリ サービス対象業務金融サービス口座開設等 銀行・証券口座開設等 保険 保険契約・控除証明書 クレジットカード申込みなど携帯電話 新規回線契約ニュービジネス アカウント登録等 スマート決済 新規登録 シェアサービス 新規登録 フィンテック 新規登録 仮想通貨取引所 口座開設など電子契約、電子帳票 企業間電子契約、不動産関連契約 法人融資、住宅ローン契約 電子帳票、電子インボイスなど自治体 行政オンライン申請など文教 学修歴証明書など ②デバイス証明書管理サービス:サイバートラスト デバイスID デバイス認証市場で、当社グループが主要市場の再販売業者との提携を強化し、その販売実績も拡大している状況であること等と比較した競合先の販売推進の動向等から、現在の市場シェアは当社グループがほぼ独占している状態であると考えております。またデバイス認証市場規模については、以下の要因により、今後は従来以上の成長が見込めると当社グループでは予測しております。・企業でのクラウド型サービスの利用増加に伴い、クラウドアクセス時の認証ニーズ増加・セキュリティ強化を目的に、パスワードなどの“知識”と電子証明書や物理トークンなどの“所有物”、指紋などの“生体”から二つ以上の要素を必要とする多要素認証の導入増加 当社グループは、今後もテレワークの定着、クラウド利用の拡大などにより法人の保有するノートPC、スマートフォンなどの端末に対するデバイス認証市場の成長は継続するものと考えております。このような中、当社グループはデバイス証明書管理サービス「サイバートラスト デバイスID」の基本戦略として、ネットワーク機器ベンダーやセキュリティツールベンダー等のパートナー企業との連携を強化するとともに、ゼロトラスト・ソリューション・ベンダーとの技術協業を進め、主要市場の再販売業者に対してさらなる優位性強化を図ります。 ③SSL/TLS証明書:iTrust SSL/TLS サーバー証明書(2025年6月にSureServerからブランド名を変更) 当社グループは、国内のEV SSL/TLS証明書(以下、EV証明書)市場において枚数シェア50.0%でNo.1(Netcraft Ltd.社の「SSL Survey」2024年8月発表データをもとに算出)となっております。EV証明書を含むSSL/TLS証明書の市場規模については、株式会社富士キメラ総研「2022ネットワークセキュリティビジネス調査総覧」では、堅調な市場として位置付けられております。 ④EMLinux スマートホームやコネクテッドカーにスマート家電、そしてスマート工場、スマートインフラなど、IoT化は、わたしたちの暮らしや仕事に、新しい価値や豊かさをもたらしております。その一方で、あらゆるモノがインターネットにつながる社会は、悪意のあるハッカーや犯罪組織などから、国境を越えて狙われる危険性もはらんでいます。「令和5年版情報通信白書」(総務省)によるとパソコンやスマートフォンだけでなく、家電や自動車、ビルや工場などがネットワークにつながることで世界のIoT機器数は2025年には440億台まで増加する予測となっております。 IoT機器数の増加に伴い、乗っ取りやデータの改ざん、盗聴などのサイバーセキュリティリスクが高まり、また国際的な経済活動や社会インフラのリスクが高まってきたことから、米国連邦政府が国防調達の基準としているサイバーセキュリティガイドライン SP800シリーズや、国際電気標準会議が標準化を行っている産業システム向けの制御システムセキュリティガイドラインIEC62443の対応が活発化し、欧州サイバーレジリエンス法の適用開始時期が2027年に定まるなど、国際的にIoT機器のサイバーセキュリティ対策の強化などを義務化する法規制も進んでおります。そこで産業界でも国際安全基準・法規制への適合、システムの長期安定運用のため脆弱性管理に有用なSBOMに対応したOSであるEMLinuxやその長期サポートは益々必要とされるものと考えており、重要インフラ15分野(*1)及び国際競争力を有する産業機器、自動車等を主要なターゲット市場と考えております。 (*1)重要インフラ15分野  内閣サイバーセキュリティセンター(NISC)が公表する「重要インフラの情報セキュリティ対策に係る第4次行動計画」において重要インフラとして定めた15分野をいう。
MD&A(経営者による分析)
4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】(1) 経営成績等の状況の概要当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。 文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。 ①財政状態の状況                       (単位:百万円) 2024年3月期2025年3月期総資産8,4179,577純資産6,0326,578自己資本比率71.6%68.7% (資産)当連結会計年度末の資産は、前連結会計年度末より1,160百万円増加して9,577百万円となりました。 流動資産は、前連結会計年度末より914百万円増加して7,096百万円となりました。これは主として売上の入金などにより現金及び預金が669百万円増加したことによります。 固定資産は、前連結会計年度末より245百万円増加して2,481百万円となりました。これは主として「日本サイバーセキュリティファンド1号投資事業有限責任組合」への出資などにより投資有価証券が110百万円、ソフトウエアが331百万円増加し、ソフトウエア仮勘定が256百万円減少したことによります。 (負債) 当連結会計年度末の負債は、前連結会計年度末より614百万円増加して2,999百万円となりました。 流動負債は、前連結会計年度末より574百万円増加して2,415百万円となりました。これは主として契約負債が229百万円、賞与引当金が80百万円、未払法人税等が74百万円増加したことによります。 固定負債は、前連結会計年度末より39百万円増加して583百万円となりました。これは主として本社移転に伴い資産除去債務とリース債務が流動負債となり減少し、原状回復義務として計上している資産除去債務の一部について、新たな情報の入手に伴い増加したことによります。これにより資産除去債務が95百万円増加し、リース債務が65百万円減少しております。 (純資産) 当連結会計年度末の純資産は、前連結会計年度末より545百万円増加して6,578百万円となりました。 これは主として親会社株主に帰属する当期純利益の969百万円の計上及び配当金の支払いによる減少141百万円により、利益剰余金が827百万円増加したことによります。さらに、新株予約権の権利行使に伴う新株発行により、資本金および資本剰余金がそれぞれ15百万円増加したほか、自己株式の取得により、自己株式が311百万円増加したことによります。この結果、自己資本比率は前連結会計年度末の71.6%から68.7%となりました。 ②経営成績の状況 売上高(百万円)営業利益及び営業利益率(百万円、%)経常利益(百万円)親会社株主に帰属する当期純利益(百万円)1株当たり当期純利益金額(円)2025年3月期7,4421,421 (19.1)1,448969119.262024年3月期6,4661,112 (17.2)1,12151864.26増減率(%)15.127.829.286.985.6  当連結会計年度(2024年4月1日から2025年3月31日まで)におけるわが国経済は、一部に足踏みが残るものの、雇用・所得環境の改善や、各種政策の効果もあり、国内経済は緩やかに回復しております。しかしながら、米国の政策動向や国内物価上昇を背景とした経済・物価動向に対する懸念から先行き不透明な状況が継続しております。 一方で、当社を取り巻く経営環境は、デジタル技術の進歩、電子化に伴う法制度の改正などDX推進の流れが加速しております。また、各国でセキュリティの国際安全基準の整備や、経済安全保障の動きが進んでおり、国内の重要インフラやグローバルに事業を展開する製造業などを中心に経済安全保障に関わる基準・法規制対応の必要性も顕在化しております。  このような環境の中、認証・セキュリティサービスにおいては、DX市場の拡大によるセキュリティニーズを捉え、(1)電子認証サービス「iTrust」では金融機関向けeKYCサービスや電子契約サービスを展開する各パートナー、(2)デバイス証明書管理サービス「デバイスID」では企業向けのクラウド認証サービスを展開する各パートナーとの取引増加により伸長しました。 プラットフォームサービスにおいては、2024年6月コミュニティサポート終了に伴うCentOS7延長サポートならびに提携先のCloud Linux Software, Inc.(旧CloudLinux社)の商材が大きく伸長しました。EMLinuxにおいては、法規制、業界でのサイバーセキュリティガイドライン対応で脆弱性管理、長期サポートが求められている機器での採用が拡大しました。また、リネオソリューションズ㈱の受託開発案件獲得が堅調に推移し伸長しました。 以上の結果、売上高は7,442百万円(前期比15.1%増)、人員増加に伴う人件費の増加等により費用全体は増加傾向にありますが、売上高が堅調に推移したことによる結果、営業利益1,421百万円(同27.8%増)、持分法による投資利益等の営業外収益、投資事業組合運用損等による営業外費用により経常利益1,448百万円(同29.2%増)、本社移転費用及び税効果会計の影響により親会社株主に帰属する当期純利益969百万円(同86.9%増)となりました。 なお、当社グループはトラストサービス事業の単一セグメントのため、セグメント情報の記載を省略しております。 <主なサービス内容>・認証・セキュリティサービス SSL/TLSサーバー証明書「SureServer」、「デバイスID」等のクライアント証明書、「iTrust」、ウェブセキュリティサービス及び脆弱性診断サービス・プラットフォームサービス「MIRACLE LINUX」、CentOS、「AlmaLinux」などLinuxOS、「MIRACLE Vul Hammer」、「MIRACLE ZBX」及び「EMLinux」のサポートサービス等、連結子会社のリネオソリューションズ㈱は、組込み/IoT向け受託開発及び「LINEOWarp!!」 <取引形態>・ライセンス 主に自社の製品(Linux/OSS製品など)を提供・プロフェッショナルサービス 製品のカスタマイズや導入支援、セキュリティコンサルティングなどを提供・リカーリングサービス(契約が更新されることで継続した収益が見込まれるもの) 電子認証サービスや自社製品のサポートサービスなどを提供     なお、各サービスにおける取引形態別の売上高は下表のとおりであります。        (単位:百万円)サービス取引形態前連結会計年度当連結会計年度増減額増減率(%)認証・セキュリティサービスライセンス158125△33△21.1プロフェッショナルサービス5986868814.7リカーリングサービス3,1863,3281414.4小計3,9434,1391965.0プラットフォームサービスライセンス40551410927.0プロフェッショナルサービス1,0751,18811310.6リカーリングサービス1,0421,59855653.3小計2,5233,30277930.9売上合計6,4667,44297515.1全社ライセンス5646407513.5プロフェッショナルサービス1,6731,87520112.1リカーリングサービス4,2294,92669716.5 なお、当社グループは、単一セグメントであるトラストサービス事業の主要なサービスとして、認証・セキュリティサービス、Linux/OSSサービス、IoTサービスの3つをサービス区分としておりましたが、DX進展に伴い顧客のトータルニーズへの提案力を強化し、さらなる事業成長を目指すため2024年10月よりサービス区分を見直し、Linux/OSSサービスとIoTサービスを「プラットフォームサービス」に統合しました。なお、認証・セキュリティサービスに変更はございません。2025年3月期を連続的に同一視点で事業に関するご理解を頂くため変更前のサービス区分を前提とした当連結会計年度の説明を以下に併記いたします。 <主なサービス内容>・認証・セキュリティサービスSSL/TLSサーバー証明書「SureServer」、デバイス証明書管理サービス「デバイスID」等のクライアント証明書、電子的本人確認や電子署名などの電子認証サービス「iTrust」、ウェブセキュリティサービス、脆弱性診断サービスなどを提供しております。・Linux/OSSサービス「MIRACLE LINUX」、CentOS、「AlmaLinux」など企業向けLinuxOSのサポートサービスや統合システム監視ソリューション「MIRACLE ZBX」、バックアップソフトやカーネル技術を活かしたLinuxソリューションなど、オープンソースソフトウエアに関わるサービスを提供しております。・IoTサービス組込みLinuxと電子認証の技術を融合し、機器の開発、製造段階から脆弱性の低減や脅威への対策を考慮して長期の運用とセキュリティを実装する仕組みや、更新ソフトウエアが安全に配信される仕組みなど、IoTデバイスの安全・安心な利用を実現するための開発支援サービスとして、長期利用可能なIoT・組込み用LinuxOS「EMLinux」、認証基盤「Secure IoT Platform」などを提供しております。連結子会社のリネオソリューションズ㈱はLinuxを中心とした組込み/IoT向け受託開発、及び高速起動製品「LINEOWarp!!」、開発環境サービスなどの販売を行っております。    なお、各サービスにおける取引形態別の売上高は下表のとおりであります。      (単位:百万円)サービス取引形態前連結会計年度当連結会計年度増減額増減率(%)認証・セキュリティサービスライセンス158125△33△21.1プロフェッショナルサービス5986868814.7リカーリングサービス3,1863,3281414.4小計3,9434,1391965.0Linux/OSSサービスライセンス29446617258.6プロフェッショナルサービス157109△48△31.0リカーリングサービス9421,38344046.8小計1,3941,95956440.5IoTサービスライセンス11147△63△56.9プロフェッショナルサービス9171,07916217.7リカーリングサービス100215115115.1小計1,1281,34321419.0売上合計6,4667,44297515.1全社ライセンス5646407513.5プロフェッショナルサービス1,6731,87520112.1リカーリングサービス4,2294,92669716.5 ③キャッシュ・フローの状況 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前連結会計年度末より690百万円増加して5,560百万円となりました。 当連結会計年度末における各キャッシュ・フローの状況と、それらの要因は次のとおりであります (単位:百万円) 2025年3月期(参考)2024年3月期営業活動によるキャッシュ・フロー1,9931,221投資活動によるキャッシュ・フロー△870△571財務活動によるキャッシュ・フロー△429△126現金及び現金同等物の期末残高5,5604,870 (営業活動によるキャッシュ・フロー) 営業活動の結果、得られた資金は1,993百万円となりました。主として、税金等調整前当期純利益が1,422百万円あったことに加え、減価償却費が571百万円発生し、法人税等の支払額が353百万円生じたことによるものです。 (投資活動によるキャッシュ・フロー) 投資活動の結果、使用した資金は870百万円となりました。主として、自社開発ソフトウエアなどの無形固定資産の取得による支出419百万円、有形固定資産の取得による支出260百万円、「日本サイバーセキュリティファンド1号投資事業有限責任組合」への投資有価証券取得による支出100百万円によるものです。 (財務活動によるキャッシュ・フロー) 財務活動の結果、使用した資金は429百万円となりました。主として、自己株式取得による支出311百万円、配当金支払による支出141百万円によるものです。 ④生産、受注及び販売の実績a.生産実績 当社グループの生産は、完成後ただちに顧客に引き渡しており、生産実績は販売実績とほぼ一致しているため、記載を省略しております。 b.受注実績当連結会計年度の受注実績は、次のとおりであります。セグメントの名称受注高(百万円)前期比(%)受注残高(百万円)前期比(%)トラストサービス事業7,701118.31,373123.0合計7,701118.31,373123.0(注)当社グループはトラストサービス事業の単一セグメントのため、セグメント情報の記載を省略しております。 c.販売実績当連結会計年度の販売実績は、次のとおりであります。セグメントの名称当連結会計年度(自 2024年4月1日至 2025年3月31日)前期比(%)トラストサービス事業(百万円)7,442115.1合計(百万円)7,442115.1(注)1.当社グループはトラストサービス事業の単一セグメントのため、セグメント情報の記載を省略しております。2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、総販売実績に対する割合が100分の10以上の相手先がいないため記載を省略しております。 (2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は以下のとおりであります。文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。 ①重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定 当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。 連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。 当社グループの連結財務諸表の作成にあたって採用している重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。 ②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容a.財政状態の分析前述の「(1)経営成績等の状況の概要①財政状態の状況」に記載のとおりであります。b.経営成績の分析前述の「(1)経営成績等の状況の概要②経営成績の状況」に記載のとおりであります。c.キャッシュ・フローの分析前述の「(1)経営成績等の状況の概要③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。 ③資本の財源及び資金の流動性についての分析当社グループの主な資金需要となる、運転資金及び設備投資資金につきましては、金利コスト等を勘案しながら、自己資金又は増資により資金調達することを基本としております。なお、当社は短期的な支払いに支障が生じないよう流動比率を150%以上に保つことを目標としており、当連結会計年度末において流動比率が293.8%とその水準を上回っていることから資金の流動性に問題はないと認識しております。 ④経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等」に記載のとおり、「売上高」、「営業利益及び営業利益率」、EBITDA、リカーリング売上及びリカーリング売上比率を重要指標としております。当連結会計年度における売上高は前期比で15.1%増加し7,442百万円となりました。営業利益については前期比で27.8%増加し1,421百万円となっております。また営業利益率については19.1%となっており、前連結会計年度より1.9ポイント増加しております。この原因としては、リカーリング売上が伸長したためとなります。なお、リカーリング売上については前期比で16.5%増加し4,926百万円、リカーリング売上比率については前期比で0.8ポイント増加しております。EBITDAについては、営業利益の増加に加え、リカーリングサービスの継続的成長に必要な設備投資により償却費が増加したため、前期比で16.1%増加し1,993百万円となっております。 ⑤経営成績に重要な影響を与える要因について経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「3 事業等のリスク」をご参照下さい。 ⑥経営者の問題意識と今後の方針について経営者の問題意識と今後の方針については、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」をご参照下さい。

事業リスク

  • 認証局の依存と事業影響
    サイバートラストは、自社ルート認証局の普及までの間、セコムトラストシステムズ社のルート認証局を用いてサーバー証明書事業を展開しています。もし同社との関係に変化が生じ、サービス提供が損なわれた場合、サイバートラストの経営成績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。このリスクは中長期的に顕在化する可能性があります。
  • オープンソース利用の潜在リスク
    同社は、製品・サービスにオープンソースソフトウェア(OSS)を利用していますが、OSSライセンスの大幅な変更や、第三者の権利侵害が発覚した場合、製品の交換・修正、提供・販売への影響を通じて経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。ライセンス管理チームによるチェックは行われているものの、リスクは常に存在します。
  • 監査不適合による事業制約
    サイバートラストの認証サービスは、WebTrust監査への適合が信頼性の重要な要素です。万が一、情報システムや電子商取引の信頼性についてWebTrustプログラムに適合しないと判断された場合、電子証明書発行業務に制約を受け、経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。このリスクは中長期的に顕在化する可能性があります。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
有価証券報告書「事業等のリスク」の全文を見る(年度切替)
FY2025|9,424 文字
3【事業等のリスク】本書に記載した事業の状況、経理の状況などに関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。また、リスク要因に該当しない事項についても、投資家の投資判断上、重要であると考えられる事項については、投資者に対する積極的な情報開示の観点から以下のとおり記載しております。当社グループは、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針であります。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであり、将来において発生の可能性があるすべてのリスクを網羅するものではありません。 (1) 当社グループの事業の特長等について①トラストサービスについて 当社グループが提供するSSL/TLS証明書は、2019年9月にDigiCert社のルート認証局を用いたサーバー証明書事業に関わる契約を終了し、自社ルート認証局を用いたサーバー証明書事業を推進する方針に転換しております。 一方、ルート認証局の普及には数年を要するため、それまでの間、セコムトラストシステムズ社とパブリックCA署名サービス契約を締結し、一時的にセコムトラストシステムズ社のルート認証局を用いてサーバー証明書事業を展開しております。 当社はセコムトラストシステムズ社との同契約に基づいて、今後も良好な関係を維持してまいりますが、同社との関係に大きな変化が生じるなどして、該当期間内に同社からのサービス提供が損なわれた場合には、経営成績及び財政状態に一定の影響を及ぼす可能性があり、このようなリスクがすぐに顕在化する可能性は低いものの、中長期的に顕在化する可能性があると認識しております。 ②プラットフォームサービスについて 現在、当社グループは、OSSサービスを主とする製品・サービスの開発及び運用にあたり、当社以外の第三者がその著作権等を有するオープンソースソフトウエア(OSS)を利用しております。当社グループでは、外部ライセンス取扱いの担当チームにより利用パテントのチェック作業などを実施し、製品・サービスにOSSを組み込む場合、各OSSライセンスに則って組み込んでおります。また、OSSコミュニティなどの社外交流を行いOSS環境の動向を注視しております。しかしながら、当該ライセンス内容が大幅に変更された場合やかかるOSSが第三者の権利を侵害するものであることが発見された場合などは、当該プログラム製品の交換・修正・かかる第三者との対応などにより、提供・販売・流通などに影響した結果、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性がありこのようなリスクがすぐに顕在化する可能性は低いものの、リスクは常に存在すると認識しております。 ③当社グループのサービスに係る特有の制約条件等について 当社グループが提供している認証サービスでは、グローバル・スタンダードなセキュリティ監査である「WebTrust」に毎年合格し、堅牢な運用を行っております。また、当社はWebTrust監査に対応する事務局を認証局内に設置し自主監査も行っております。しかしながら、信頼性が重要な要素である電子証明書市場では、独立した監査によりWebTrust指針もしくはそれと同等の認定の一部を満たした電子認証局のみがEV証明書の発行を許されており、万が一、監査機関より、当社の情報システムや電子商取引の信頼性等について、WebTrust及びWebTrust EVプログラムに適合の保証が受けられない場合には、電子証明書発行業務に制約を受け、当社グループの経営成績その他に重大な影響を及ぼす可能性があり、このようなリスクがすぐに顕在化する可能性は低いものの、中長期的に顕在化する可能性があると認識しております。(「WebTrust」とは、主にインターネットビジネスにおける利用者保護のために、米国公認会計士協会とカナダ勅許会計士協会により策定されたプログラム) ④業界規制について 当社グループが提供しているサーバー証明書については、様々な団体やブラウザベンダによる自主規制ルール等による規制を受けております。当社グループはこれらのルール等の策定又は改定等に対しては早期の情報収集と、規制に適合したサービスの速やかな提供に努めております。しかしながら、規制により当社グループのサービス提供に大きな制約や変更を余儀なくされた場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があり、このようなリスクが中長期的に顕在化する可能性があると認識しております。 ⑤システム開発について 当社グループのシステム開発を伴う案件においては、開発したシステムの不具合の発生や、顧客の仕様変更などによって開発が長期化し、利益率が悪化するリスクがあります。当社グループでは、適切なプロジェクトマネジメントの実行による工程管理、品質向上や、顧客都合による仕様変更に対しては適切な対価の交渉等に努めております。しかしながら、当社グループのプロジェクトマネジメントが十分でない場合、交渉しても十分な結果が得られない場合、利益率が悪化し当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があり、このようなリスクがすぐに顕在化する可能性は低いものの、リスクは常に存在すると認識しております。 ⑥業績の季節変動性について 当社グループが提供するサービスの一部は、企業システムの業務処理やネットワークなどに関するシステムのコンサルティング、設計・構築及び保守・運用などを支援する総合的なサービスの提供であり、主として顧客企業による情報関連投資及び設備投資が対象になります。取引先企業の多くは決算期が3月であることから、当該サービスの売上高及び利益は、期末(3月)にかけて集中する傾向があるため、当社グループでは案件管理や納期管理を徹底しております。しかしながら、経済環境の変化等による失注や、顧客の都合等により検収時期が遅延し、計画通りに売上計上ができない場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。このようなリスクがすぐに顕在化する可能性は低いものの、リスクは常に存在すると認識しております。  ⑦経済安全保障に関わる基準・法規制のプラットフォームサービスへの影響について プラットフォームサービスにおいては重要インフラ分野に対してエッジ(IoT・組込み機器)向けのリカーリングサービスであるEMLinuxの案件獲得の前段階の取引としてプロフェッショナルサービスであるセキュリティコンサルティング案件と組込受託開発案件の獲得、遂行に注力しております。これらは国際的な経済安全保障の推進の流れに伴い案件の増加を見込んでおります。当社グループはこれらの経済安全保障に関わる各国の基準・法規制に関する早期の情報収集と、基準・法規制に適合したサービスの速やかな提供に努めております。しかしながら、政策の施行の遅れなど各国の基準・法規制の状況に変化が生じた場合、案件獲得が進まず当社グループの経営成績及び財政状態に一定の影響を及ぼす可能性があり、このようなリスクが中長期的に顕在化する可能性があると認識しております。 (2) 情報セキュリティ対策について 当社グループは、セキュリティマネジメントシステムの国際標準規格である「ISO/IEC 27001」及び国内規格である「JIS Q 27001」の認証を取得し、従業員研修を繰り返し実施する等、これらの情報管理には万全な方策を講じております。また、機密情報を含むデータベースへのアクセス可能者を限定し、アクセス履歴を記録するセキュリティシステムの導入などにより防衛策を講じるとともに、従業員のモラル教育を徹底し、当社グループ従業員による情報漏洩への関与を未然に防ぐ措置を講じております。また、電子証明書サービスを提供する事業者として厳重な情報セキュリティ管理体制において自社内の機密情報を管理するとともに、監査機関より、当社の情報システムや電子商取引の信頼性等について、WebTrust 及び WebTrust EV プログラムに適合している保証を受けています。このような対策にもかかわらず、当社グループが情報を漏洩又は誤用した場合には、損害賠償責任を負う可能性があるほか、当社グループが企業としての社会的信用を喪失し、当社グループの事業及び経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があり、このようなリスクがすぐに顕在化する可能性は低いものの、中長期的に顕在化する可能性があると認識しております。 (3) 技術革新への対応について 当社グループが属する情報サービス業界は技術革新が激しいことから、当社グループが現在保有する技術・ノウハウなどが陳腐化する可能性があります。当社グループは技術革新のスピードに対処するために、研究開発部門により、耐量子計算機暗号、ブロックチェーン、AIの普及を背景に課題となっている電子コンテンツの真贋判定技術など当社事業に関わる先行技術に関する調査や新製品・サービスの開発に向け研究開発基盤の強化を行っております。また、常に新しい技術・ノウハウを組織的に習得し、従業員全体の能力を高め、事業の推進に必要な人材を適切に確保・育成し活用することにより、顧客のニーズに対して的確に対応していく能力を備えるなどの方針を採っております。 今後、これらの技術革新や顧客ニーズの変化に対し、当社グループが適切かつ迅速に対応できなかった場合には、業務の継続関係や業務委託に関する契約が変更又は解消されることなどにより、当社グループの事業展開、経営成績及び財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があり、このようなリスクがすぐに顕在化する可能性は低いものの、中長期的に顕在化する可能性があると認識しております。 (4) 人材の育成・確保について 当社グループが、今後更なる事業拡大に対応するためには、継続して優秀な人材の確保・育成が重要な課題となります。企業価値の更なる向上、持続的な成長を目的とした株式報酬の導入、報酬制度の充実を図っております。また、テレワーク勤務や遠隔者勤務者など柔軟な採用政策による人材の獲得に加え、入社後の社内における研修、各種勉強会の開催、福利厚生の充実など、社員の育成及び人材の流出に対応した各種施策を推進し、状況に応じて外部への業務委託も実施しております。しかし、新規の採用や社内における人材の育成が計画どおりに進まず、適正な人員配置が困難になった場合には、当社の事業及び業績に一定の影響を及ぼす可能性があり、このようなリスクが中長期的に顕在化する可能性があると認識しております。 (5) 特定取引先への収益依存について 当社の親会社は、ソフトバンクグループ㈱、ソフトバンクグループジャパン㈱、ソフトバンク㈱及びSBテクノロジー㈱です。ソフトバンクグループ㈱は、「持株会社投資事業」、「ソフトバンク・ビジョン・ファンド事業」、「ソフトバンク事業」、「アーム事業」、「その他」などを展開しており、そのうち「ソフトバンク事業」を営むソフトバンク㈱は、国内通信事業を展開しております。また、ソフトバンクグループジャパン㈱は中間持株会社であります。SBテクノロジー㈱は、国内の法人及び官公庁を中心にICTサービス事業を展開しております。同社は当社の議決権の57.99%(当連結会計年度末現在)を保有する筆頭株主です。当社グループは、ソフトバンクグループ㈱を中心とした企業集団において、「トラストサービス」「プラットフォームサービス」の2つのサービスを展開し、「ヒト」「モノ」「コト」の正当性・完全性・真正性などを証明しデジタル社会の信頼を支えるデジタルトラスト事業を営んでおります。 当社グループは、2025年3月期における連結売上高に占めるソフトバンク㈱に対する売上高の合計の割合が7.4%であり、顧客の中で上位1番目の位置づけとなっております。また、2025年3月期における連結売上高に占めるSBテクノロジー㈱に対する売上高の合計の割合が6.1%であり、顧客の中で上位2番目の位置づけとなっており、両社とは現在良好な関係を維持しておりますが、何らかの事情によりこれら販売先との取引が大きく変動した場合などには当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。しかしながら両社との取引は、それぞれ連結売上高の10%未満であり、売上構造の比率として特定の取引先として偏り過ぎた構造ではないと考えております。ただし、今後も両社と現状の良好な取引関係を継続していく方針は変わりませんので、結果として取引量が多くなっていく可能性はあります。 なお、当社の支配株主(親会社)であるSBテクノロジー㈱は、SBテクノロジー㈱の支配株主(親会社)であるソフトバンク㈱の公開買付けを通じたSBテクノロジー㈱株式の取得及びその後のスクイーズアウト手続きを通じて、2024年9月6日をもって上場廃止となりました。 両社との取引の内容については、「(7)親会社との関係について ③親会社グループとの取引関係について」に記載しているとおりであります。 なお、関連当事者取引等の実施につきましては、その取引が当社グループの経営の健全性を損なっていないか、その取引が合理的判断に照らし合わせて有効であるか、また取引条件は、他の関連を有しない第三者との取引と比較して同等の条件であるか等に留意して、その取引の合理性(事業上の必要性)及び取引条件の妥当性を、職務権限規程に定める決裁権限者及び執行役員会議、取締役会等の会議体により検証し、意思決定しております。 (6) 事業継続性について 当社グループは、サービスの継続稼働のため、セキュリティ対策、設備投資、自然災害等を想定したデータセンター及び事業所でのシステム運用を行っております。万が一の災害などに備えて、業務継続のため、システムやインフラの災害対策強化やサービスの冗長化などの設備面での体制と、サポート業務などを遠隔拠点で冗長化する人的リソース面での体制の強化を図っております。また、迅速に適切な危機管理を実施するため、危機発生時の緊急連絡先、及び危機対策本部を設置する体制を備え、リスク管理規程に定めております。しかしながら、当社グループが提供する各種サービスは、インターネットを始めとした通信ネットワーク及びコンピュータシステムにより提供されており、想定を上回るサービスへのアクセスに伴うシステム障害や、地震・津波などの自然災害及び火災・事故・停電・感染症の拡大等の予期せぬ事象の発生、またその長期化などによりサーバーがダウンした場合などには、事業を円滑に運営できなくなる可能性があります。このようなリスクが顕在化する可能性は低いものの、リスクは常に存在すると認識しております。 (7) 親会社との関係について①親会社が支配権を有することに伴うリスク 当社は、SBテクノロジー㈱が当社発行済普通株式の過半数(当連結会計年度末現在で当社の議決権の57.99%)を所有しており、同社の子会社であります。同社は、連結関係を維持するために必要となる当社株式数を継続的に所有する方針です。そのため、当社取締役の選任・解任、合併その他組織再編の承認、重要な事業の譲渡、当社定款の変更及び剰余金の配当などの基本的事項決定権又は拒否権に関して、他株主の意向にかかわらず同社が影響を与える可能性があります。また当社の経営及びその他事項のうち、同社が影響力又は支配力を有するものに関して、いわゆる利益相反取引のように、同社の利害は、当社の他株主の利害とは異なる可能性があります。これに対して、当社は社外取締役を3名選任しており、他株主の利益保護の視点から監督の実効性を確保しております。 なお、当社が同社に対し事前承認を必要とする事項はなく、当社は独立性をもって経営の意思決定を行っております。 また、SBテクノロジー㈱との良好な関係は当社グループの事業にとって重要であり、何らかの理由により関係が悪化した場合又は悪化したと受け取られた場合には、当社グループの事業及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 なお、「(5) 特定取引先への収益依存について」に記載の通り、SBテクノロジー㈱はソフトバンク㈱の公開買付けを通じたSBテクノロジー㈱株式の取得及びその後のスクイーズアウト手続きを通じて、2024年9月6日をもって上場廃止となりました。 ②親会社グループ内の他社との競合について 当社は、上場しているソフトバンクグループ㈱及びソフトバンク㈱並びに非上場のSBテクノロジー㈱の子会社であるため親子上場というかたちとなりますが、当社がITインフラやセキュリティサービスを提供するにあたっては上場により中立性を高め、親会社グループ外の企業との連携を加速させることが当社の成長に欠かせないとの考えに基づくものであります。 一方、ソフトバンクグループ㈱グループに属することにより、IoTなどに関する最新技術情報の共有や先進的な取り組みなど、その関係性を活かすことが当社グループの成長戦略の実現可能性を高めることにつながるものと考えておりますが、当社グループの事業の展開については、当社グループ独自に決定しており、また現在ソフトバンクグループ㈱グループ内の他社との競合関係はありません。 しかし、ソフトバンクグループ㈱及びその子会社はさまざまな事業の運営に関わり、新たな事業展開の検討を日々行っていることから、将来的に、当社グループはソフトバンクグループ㈱グループ内の他社と競合する可能性があります。当社グループとしては、それらの会社と連携を検討するなど対応を行っていきますが、当社グループの事業に何らかの影響を及ぼす可能性があります。 なお、「(5) 特定取引先への収益依存について」に記載の通り、SBテクノロジー㈱はソフトバンク㈱の公開買付けを通じたSBテクノロジー㈱株式の取得及びその後のスクイーズアウト手続きを通じて、2024年9月6日をもって上場廃止となりました。 ③親会社グループとの取引関係について 当社グループは、ソフトバンクグループ㈱グループ各社と取引を行っています。2025年3月に終了した事業年度における主な取引は次のとおりであります。なお、親会社からの債務保証は受けておりません。取引の内容取引先取引金額(百万円)取引条件等の決定方法製品の販売ソフトバンク㈱550当社と関連を有しない他社との取引条件を勘案して決定しております。(注)1賃借料の支払ソフトバンク㈱182近隣の取引実勢に基づいて、交渉の上決定しております。(注)2リース債務の返済ソフトバンク㈱8当社と関連を有しない他社との取引条件を勘案して決定しております。支払利息ソフトバンク㈱0当社と関連を有しない他社との取引条件を勘案して決定しております。製品の販売SBテクノロジー㈱451当社と関連を有しない他社との取引条件を勘案して決定しております。(注)1製品の仕入高SBテクノロジー㈱12当社と関連を有しない他社との取引条件を勘案して決定しております。製品の販売日本RA㈱189当社と関連を有しない他社との取引条件を勘案して決定しております。(注)1製品の販売SB C&S㈱146当社と関連を有しない他社との取引条件を勘案して決定しております。(注)1(注)1.他社と同一の価格体系に沿っており、割引についても他社と同一の条件で決定しております。(注)2.利用面積の割合に応じて決定しております。 当社グループの独立性の観点を踏まえ、関連当事者との取引については、当該取引の事業上の必要性と取引条件の妥当性など取引内容について審議し、社内規程に定められた承認を得ることとし、取引の健全性及び適正性を確保する体制を築いています。 (8) 減損に関するリスクについて 当社グループは、主に収益の獲得をするためにソフトウエアの開発を継続的に行っております。また、のれんに関しては、リネオソリューションズ株式会社の子会社化の際に計上しております。 これらのソフトウエア及びのれんは、無形固定資産に計上しておりますが、これらの資産における将来キャッシュ・フロー創出能力について毎期測定し、減損の兆候の有無を把握しております。減損の兆候が認められた資産について、減損の認識の必要性に関して詳細な減損テストを実施し、かかるテストの結果、経営環境の著しい変化や収益状況の悪化等により十分な将来キャッシュ・フローが見込めない資産については、相当する減損損失を計上する可能性があります。 このような影響が生じる可能性を低減させるため、当社グループでは投資実施時の計画の精査をし、将来キャッシュ・フローの獲得について確かな根拠を基にした投資を引き続き行っていくとともに、投資実行後も新規事業の収益獲得計画や出資先の事業計画の検証、定期的な収益のモニタリングを継続的に実施することで計画との乖離の有無を逐次確認し、減損の兆候の可能性がある資産の早期の把握及び適切な対応の実施をするよう努めており、このようなリスクがすぐに顕在化する可能性は低いと認識しておりますが顕在化した場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。 (9) 会計基準等の変更について 当社グループの取引内容が変わらない場合であっても、会計制度や会計基準の改正により会計方針を変更した場合には、当社グループの経営成績や財政状態に影響を及ぼす可能性があり、このようなリスクが中長期的に顕在化する可能性があると認識しております。 (10) ストックオプション行使による株式価値の希薄化に伴うリスク 当社は、当社の役職員及び業務委託契約を締結している者に対しインセンティブを目的として、ストックオプション(新株予約権)を付与しております。本書提出日の前月末(2025年5月31日)現在、この新株予約権による潜在株式は597,200株であり、本書提出日の前月末(2025年5月31日)現在の発行済株式総数8,189,000株の7.3%に相当しております。これらの新株予約権が行使された場合は、当社の1株当たりの株式価値は希薄化し、株価形成に影響を与える可能性があり、このようなリスクが短中期的に顕在化する可能性があると認識しております。 なお、昨年まで記載しておりました「「Cybertrust」ブランド及び電子認証局ソフトウエアの使用について」は、Verizon Australia Pty Limited及びその関連企業との契約により「Cybertrust」ブランドは当社が権利を譲り受け、また電子認証局ソフトウエアUniCERTは当社の開発した代替システムへの移行目途がついております。これらの結果、事業等のリスクから項目を削除いたしました。

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