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FY2025|9,543 文字|出典 docID: S100XUX3
3 【事業の内容】当社グループは、当社及び重要な子会社である株式会社メドレーフィナンシャルサービスを含む連結子会社7社で構成されております。 当社グループは「医療ヘルスケアの未来をつくる」というミッションのもと、医療ヘルスケア領域において各種インターネットサービスを開発・提供しております。医療ヘルスケア領域においては、医療技術は日々進歩しているものの、法規制の存在やテクノロジー活用の遅れ等の要因により、万人が技術の恩恵を受けられる状況に至るまでには多くの課題が存在しております。そのような中で、医療ヘルスケア領域における様々なステークホルダーと連携しながらインターネットテクノロジーによって課題をひとつひとつ解決していくことが、結果的に患者と医療従事者の双方にとって「納得できる医療」の実現につながると考え、当社グループは社会の実需に対応した課題解決型のサービスを提供しております。 現在は、医療ヘルスケア領域における人材の不足や地域偏在という課題を解決する人材プラットフォーム事業として「ジョブメドレー」、「グッピー求人」及び「ジョブメドレーアカデミー」等を、医療機関の業務効率の改善や患者の医療アクセスの向上等を実現するための医療プラットフォーム事業として「CLINICS」、「MEDIXS」、「DENTIS」、「MALL」、「@link」、「MEDLEY」及び「melmo」等を展開しております。また、新規開発サービスにおいて、中長期的な成長の準備として、介護施設を探す方のための介護施設紹介サービス「みんかい」及び米国向け人材採用システム「Jobley」にも取り組んでおります。 (1) 人材プラットフォーム事業高齢化の進む日本において、医療ヘルスケア領域でのサービス提供の担い手不足は深刻な課題です。実際に、医療ヘルスケア領域における有効求人倍率は全産業平均と比べて数倍高い水準で推移しています。しかしながら、病院・診療所等の医療機関や介護・保育等の事業所には中小規模の事業所も多く、採用にリソースを割くことが難しい場合や高単価の人材紹介サービスを利用することが難しい場合もあり、多くの事業所が採用に課題を抱えています。このような課題を解決するべく、当社グループは人材プラットフォーム事業として、医療ヘルスケア領域の事業所向けに成果報酬型の人材採用システム「ジョブメドレー」、閲覧課金型の人材採用システム「グッピー求人」及びオンライン研修システム「ジョブメドレーアカデミー」を運営・提供しております。「ジョブメドレー」、「グッピー求人」及び「ジョブメドレーアカデミー」は、以下のような特長を備えております。 ①「ジョブメドレー」 (ア)採用成功時の成果報酬を低単価に設定「ジョブメドレー」は、顧客事業所に求職者が実際に入職した時点で費用が発生する成果報酬型のビジネスモデルを採用しています。医療ヘルスケア領域での人材採用に一般的に利用されている人材紹介サービスを手がける競合他社も、採用時の成果報酬型という点では同一ですが、人材紹介サービスではまず紹介事業者が求職者と電話又は対面によりヒアリングをした上で様々な顧客事業所を紹介し、事業所との面接設定や、内定時の採用条件調整といった業務を行うことが一般的です。これに対して「ジョブメドレー」では、求職者側が自ら絞り込んだ条件のもと求人情報を閲覧し、関心のある顧客事業所に直接応募した後に面接に向けたコミュニケーションを取ることができるよう設計しており、人材紹介サービス企業が行う上述のような業務を、顧客事業所と求職者が「ジョブメドレー」のサイト上で完結できるようになっております。このように人的コストを省き、インターネット上で採用を完結させられるという低コスト構造を実現することで、「ジョブメドレー」では採用成功時の成果報酬を低単価に抑えることができています。医療ヘルスケア領域の人材採用における一般的なビジネスモデルである人材紹介サービスでは、入職者の年収の20~35%(注1)を採用時の成果報酬として設定していることが多い中、「ジョブメドレー」における採用時の成果報酬は、入職者の年収対比で3~12%(注2)という水準となっております。 (注)1. 一般的な人材紹介サービスの成果報酬額については、「ジョブメドレー」が取り扱う50以上の職種の中で、看護師、保育士、理学療法士、歯科医師、介護職等の職種についての人材紹介業の報酬として多くみられる一般的な額を記載したものです(上記とは異なる報酬額設定方法を採用する人材紹介サービスも存在します。)。 2. 当社の成果報酬の年収比は厚生労働省の「令和4年賃金構造基本統計調査」より算出しています。 (イ)医療ヘルスケア領域における幅広い職種の従事者会員を有する日本における約1,070万人の医療ヘルスケア領域の労働従事者のうち、約21%が医師・看護師・薬剤師となっており、従来からこれらの職種については多くの人材紹介サービスを手がける企業が市場に参入し、競合企業が多く存在しています。一方で、医師・看護師・薬剤師以外の残り約79%の人数を占める職種(注3)については大規模な企業による参入が多くなかったため、「ジョブメドレー」ではこれら職種も含めての幅広く求人を取り扱うことにより、多数の顧客事業所を獲得することに成功しております。また、その結果として「ジョブメドレー」では、医療ヘルスケア領域において幅広い職種の従事者が登録する会員基盤を構築できており、サービス提供開始以降の累計登録会員数は2025年12月末時点で約304万人に達しております。 (注)3. 医療事務、保育士、歯科助手・歯科衛生士、介護職・ヘルパー、看護助手、管理栄養士等。これらの職種においては人材紹介サービスを提供する競合企業があまり存在せず、ハローワークや掲載課金型のタウン誌等で求人が行われることが多くなっております。 (ウ)ダイレクトリクルーティングの機能医療ヘルスケア領域における人材の地域偏在が課題となっている昨今、当社グループでは、全国的な採用活動を行うことが難しい中小規模の事業所が人材を確保するためには、事業者自らが積極的に「求める人材を探し出し、魅力を伝え、採用する」という採用手法(ダイレクトリクルーティング)が有効であると考えています。「ジョブメドレー」では、顧客である事業所がその知名度や地域にかかわらず、必要な人材を採用できる手法を提供するために、求職者向けスカウトメッセージの送信機能を充実させています。この結果として、2025年12月期において「ジョブメドレー」上で送信されたスカウト通数は1,626万件に上っております。上記の特長を活かし、「ジョブメドレー」の顧客事業所数は堅調に増加しており、現在では、医療ヘルスケア領域の事業所全体の115.5万事業所(注4)のうち約37%に相当する42.2万事業所(注5)が「ジョブメドレー」の顧客となっております。また、これらの顧客事業所のうち約半数が掲載事業所(顧客事業所のうち、「ジョブメドレー」に求人案件を掲載している事業所をいう。以下同じ。)となっており、47.1万件以上(注5)の求人案件が「ジョブメドレー」上に掲載されております。また、求職者にとってはより多くの求人情報が掲載されていることが利便性につながるため、「ジョブメドレー」では顧客事業所のうち求人案件を掲載している掲載事業所を増やし、また掲載されている求人案件の数も増やすための利用促進の取り組みにも注力しております。これに加えて、サイト上での事業所インタビュー記事やバナー広告掲載等のオプションプラン提供にも取り組んでおります。(注)4. 厚生労働省、総務省、内閣府及び一般社団法人全国訪問看護事業協会提供の各事業所数の統計数値の合算値。 5. 2025年12月末日現在。 ②「グッピー求人」当社グループは、2024年4月に株式会社グッピーズを株式取得により子会社化、2024年6月に完全子会社化(注6)いたしました。中途転職者向けに求人情報を提供する「グッピー求人」の料金体系は、主に求人情報の詳細ページが閲覧されたとき等に料金が発生する閲覧課金(クリック課金)となっております。Web広告では一般的な閲覧課金ですが、求人サイトは期間掲載型料金又は成果報酬型料金が一般的であるため、他社サービスとは一線を画しており、低コストで人材を募集することが可能です。「グッピー求人」は、長年にわたり医療・介護・福祉業界に特化した求人サイトを運営した実績、ノウハウを有しております。(注)6. 当社は2025年4月に株式会社グッピーズを吸収合併しております。 ③「ジョブメドレーアカデミー」当社グループは、2021年2月に株式会社メディパスを株式取得により完全子会社化(注7)いたしました。同社は、医療機関及び介護事業所向けのサービスを複数展開しており、特に、オンライン研修サービス「ジョブメドレーアカデミー」(注8)では、2018年のリリース以降、介護事業所や障がい福祉事業所向けに多数のコンテンツを提供しており、豊富な導入実績を誇っております。当社グループが従前から有している「ジョブメドレー」の顧客基盤を活用し、2023年には訪問歯科や在宅調剤領域、2025年には看護領域でのサービス提供を開始しております。このように介護事業所以外の事業所にも横展開することで、医療ヘルスケア領域における人材育成を通じて人材の不足や地域偏在の課題解決にアプローチできると考えております。「ジョブメドレー」、「グッピー求人」及び「ジョブメドレーアカデミー」の顧客事業所数(注9)は下表のとおりです。該当四半期顧客事業所数(万件)2022年12月期第1四半期末26.52022年12月期第2四半期末27.32022年12月期第3四半期末28.32022年12月期期末29.42023年12月期第1四半期末30.52023年12月期第2四半期末31.72023年12月期第3四半期末32.62023年12月期期末33.92024年12月期第1四半期末35.12024年12月期第2四半期末38.82024年12月期第3四半期末39.72024年12月期期末40.82025年12月期第1四半期末41.92025年12月期第2四半期末43.12025年12月期第3四半期末43.82025年12月期期末44.8 (注)7. 当社は2025年1月に株式会社メディパスの発行済株式全てを売却しております。 8. 当社は2022年1月にオンライン研修システム事業「メディパスアカデミー介護」を当社に移管し、2022年5月に「ジョブメドレーアカデミー」に名称変更しております。 9. 2021年12月期第2四半期末より「ジョブメドレーアカデミー」、2024年12月期第2四半期末より「グッピー求人」も対象となっております。 (2) 医療プラットフォーム事業日本の医療においては、少子高齢化が加速し医療需要が増大する一方で、人口減少などの影響により現場を支える医療従事者の不足が懸念されています。こうした構造的な人手不足に対応すべく、政府も働き方改革や医療リソースの最適化に向けた議論を本格化させています。一方、生成AI関連技術の進化は、医療現場や生活者に新たな可能性をもたらしています。従来、人手に依存していた医療従事者の業務の一部を、より効率的かつ高精度に支援できるようになり、AI関連の市場規模は今後急速に拡大すると見込まれています。当社グループは、医療プラットフォーム事業として、2015年2月より医療情報提供サービス「MEDLEY」、2016年2月より無床医科診療所向けクラウド診療支援システム「CLINICS」、2022年1月からは歯科向けのクラウド業務支援システム「DENTIS」の提供を行ってきました。また、M&Aによるプロダクトラインナップ強化として、2021年1月に中小病院向け電子カルテ「MALL」を展開する株式会社パシフィックメディカルを、2024年10月に病院・有床診療所向け予約システム「@link」を展開する株式会社オフショアを、2025年4月には調剤薬局向けシステム「MEDIXS」等を展開するアクシスルートホールディングス株式会社をそれぞれ子会社化しました。(注1、2、3)このように各領域でプロダクトを拡充してまいりましたが、上述のような市場環境の急速な変化に対応するため、2025年9月より、病院・有床診療所、無床医科診療所、歯科診療所、調剤薬局等の各領域におけるプロダクト群を束ねるブランド「MEDLEY AI CLOUD」を新設しました。「MEDLEY AI CLOUD」は「より良い患者体験」「AI活用」「安心・安全」「オープン連携」「リーズナブル」という5つのブランド・プロミスのもと、医療現場における業務効率化と患者体験の向上の実現を目指します。AIを用いて病院や診療所、調剤薬局など各領域の業務を幅広くサポートすることで、医療従事者の業務負担軽減に貢献してまいります。医療プラットフォーム事業においては、上述のような事業展開方針を踏まえ、以下のような個別事業を運営しております。 (注)1. 当社は2025年9月に株式会社パシフィックメディカルを吸収合併しております。 2. 当社は2025年4月に株式会社オフショアを吸収合併しております。 3. 当社は2025年9月にアクシスルートホールディングス株式会社を吸収合併しております。 ① 無床医科診療所向けクラウド診療支援システム「CLINICS」「CLINICS」は、電子カルテやレセコンといった基幹システムに加え、かかりつけ支援機能及びAI関連機能等を通じて、医療機関の業務プロセス全体をシームレスに支援するクラウドシステムです。「CLINICS」のクラウド型電子カルテは、医療機関が患者と「つながる」ことをコンセプトとしており、当社グループは2018年4月より医療機関向けにシステム提供を開始しております。クラウド型電子カルテは診療データや疾患情報等を医療機関がアプリ経由で患者に共有したり、患者が事前に記入した問診票をカルテ上に反映したりすることが可能になっています。従来のオンプレミス型(注4)電子カルテでは実現できなかった患者への通院サポートや、診察待ちの時間を短縮することによる診療業務の効率化等のメリットを備えた新しいコンセプトのクラウド型電子カルテとして、利用医療機関数を拡大してきております。「CLINICS」のかかりつけ支援機能は、Web予約、Web問診、オンライン診療、チェックイン機能、及びスマート会計等から構成されており、患者向けアプリ「melmo」と連携することで、待ち時間のない、快適で便利な通院体験の実現を支援しています。また、「CLINICS」では、カルテや医療文書の作成を支援する「AIアシスト機能」の提供を開始し、AIによる音声入力や文書内容の提案などを行うことで、作成業務にかかる時間の軽減を実現しております。(注)4. オンプレミス型とは、システム利用拠点に用意されたサーバーにソフトウェアをインストールしてシステムを利用する形態を指し、サーバーがクラウド上に存在するクラウド型と対比される形態です。 ② 調剤薬局向けシステム「MEDIXS」「MEDIXS」は、電子薬歴、レセコン、在庫管理、及びかかりつけ支援等の機能を一気通貫で提供し、調剤薬局における業務効率化とかかりつけ薬局への転換を強力に支援する統合型クラウドソリューションです。従前の「Pharms」が持つオンライン服薬指導、処方箋ネット受付、キャッシュレス決済等の機能と、「MEDIXS」の薬歴管理・レセコン機能等を統合し、調剤薬局向けシステムを「MEDIXS」として一本化いたしました。「MEDIXS」を導入している調剤薬局では、薬剤師はAIを活用した効率的な薬歴入力やグループ間でのデータ連携が可能になり、患者はスマートフォンを用いて処方箋の事前送信やオンライン服薬指導、キャッシュレス決済、電子お薬手帳などをワンストップで利用することができます。「MEDIXS」は、デジタル活用の関心の高い調剤薬局業界において、導入が進んでいます。 ③ クラウド歯科業務支援システム「DENTIS」当社グループは、2022年1月より、新しい患者体験の提供と業務効率の向上をめざした歯科向けのクラウド業務支援システム「DENTIS」の提供を開始しております。レセコン、電子カルテといった基幹システムに加えて、患者の医療体験を向上させるかかりつけ支援機能までをトータルで提供することで、患者自身の主体的な関与(患者エンゲージメント)を促し、治療中心の診療から予防中心の診療への変化を支援するプロダクトとなっています。 ④ 病院向け電子カルテ「MALL」当社グループは、「MALL」を運営する株式会社パシフィックメディカルを2021年1月に株式取得により子会社化(注5)いたしました。「MALL」は、中小病院向けに電子カルテを開発・提供しております。「MALL」は、低コスト及び高機能性の双方を実現しているため、利用継続率は99%を誇り、高い顧客満足度を得ております。当社グループでは、当社グループが従前から有している顧客基盤を活用した病院向け電子カルテのシェアの拡大、及び、オンライン診療システムとの連携及び医療・介護・在宅連携を促進するグループ法人向けシステム「MINET」との提携等を進め、病院向け電子カルテの普及及び医療介護連携の強化に取り組んでおります。(注)5. 当社は2025年9月に株式会社パシフィックメディカルを吸収合併しております。 ⑤ 病院・有床診療所向け予約システム「@link」当社グループは、「@link」を運営する株式会社オフショアを2024年10月に株式取得により完全子会社化(注6)いたしました。「@link」は、予約・受付管理、Web問診、オンライン決済、電子お薬手帳などの機能を網羅し、産婦人科における業務効率化と患者体験の向上を実現する業務支援システムです。集患から出産後(卒院後)までの一連のプロセスを統合管理することができ、産科婦人科の診察予約システム領域においてトップシェア(注7)を誇ります。(注)6. 当社は2025年4月に株式会社オフショアを吸収合併しております。 7. 出典:ミーカンパニー株式会社提供SCUELデータベース ⑥ 診療報酬債権等のファクタリングサービス「メドレー早期資金サポート」当社グループは、2023年9月に完全子会社化した株式会社メドレーフィナンシャルサービスにおいて、診療報酬債権等のファクタリング事業「メドレー早期資金サポート」を展開しております。顧客医療機関・介護施設等が社会保険診療報酬支払基金や国民健康保険団体連合会等に対して有する診療報酬債権や介護給付費債権等を買い取ることで、通常これらの債権の回収まで約2ヶ月かかる期間を短縮し、顧客の早期資金化ニーズに応えるサービスです。 ⑦ 医療情報提供サービス「MEDLEY」当社グループは、患者やその家族に向けて疾患、処方薬及び医療機関等の医療情報を提供するメディアサービスとして、「MEDLEY」を2015年より運営・提供しています。「MEDLEY」は、患者やその家族が適切な医療情報を取得し、医師との間の情報の非対称性を解消することで自ら医療と向き合う力を持つことをサポートすることを目指しております。「MEDLEY」は、当社グループ所属の医師や約870名の外部の協力医師により、日進月歩の医療情報を最新の情報に更新し、約1,500件の病気、約3万件の医薬品、約16万件の医療機関の情報をインターネット上で無償公開しています。「MEDLEY」のコンテンツは、他社が提供する電子カルテサービスや携帯キャリアが運営するヘルスケア関連サービスにも、当社グループからのデータ提供を通じて導入されている他、医師が患者に病気を説明する際の補足資料としても利用されており、医療ヘルスケア領域の様々な場面で活用されています。また「MEDLEY」では、既存事業で培った知見や新たに開発したアルゴリズムを活かし、一般ユーザーが入力した症状候補の組み合わせから罹患可能性の高い疾患を絞り込む「症状チェッカー」機能も提供しております。 医療プラットフォーム事業において、当社グループでは無床医科診療所向けクラウド診療支援システム「CLINICS」、調剤薬局向けシステム「MEDIXS」、歯科向けクラウド歯科業務支援システム「DENTIS」、病院向け電子カルテ「MALL」等の当社システムの利用医療機関数を重要指標に設定しています。サービス開始以降の利用医療機関数(注8)の推移は下表のとおりであり、2025年12月期期末における利用医療機関数の2.2万件は、日本の医療機関全体の約9%(注9)を占めています。該当四半期利用医療機関数(万件)2022年12月期第1四半期末1.12022年12月期第2四半期末1.32022年12月期第3四半期末1.42022年12月期期末1.42023年12月期第1四半期末1.52023年12月期第2四半期末1.52023年12月期第3四半期末1.62023年12月期期末1.62024年12月期第1四半期末1.62024年12月期第2四半期末1.72024年12月期第3四半期末1.82024年12月期期末1.92025年12月期第1四半期末2.02025年12月期第2四半期末2.22025年12月期第3四半期末2.22025年12月期期末2.2 (注)8. 利用医療機関数とは、当社システム(「CLINICS」、「MEDIXS」、「DENTIS」、「MALL」等)の利用を開始し、解約又は中断せず利用を続けている医療機関の数であり、複数システムを利用している場合は1としてカウントしています。 9. 全国の病院数、一般診療所数及び調剤薬局数の合計を約26万件として計算しております。出典:厚生労働省「令和4(2022)年医療施設(動態)調査・病院報告の概況」、「令和4年度衛生行政報告例の概要」 (3) 新規開発サービス当社グループでは、中長期的な成長に向けた新規事業の開発を継続的に行っております。かかる新規開発サービスの1つである「みんかい」は、介護施設情報を提供するWeb及び対面サービスです。「みんかい」では、介護施設の基本情報、設備、写真、費用、施設評価等の幅広い情報を提供しており、介護施設への入居を検討する方やそのご家族が入居先の介護施設を検討し、入居可否の問い合わせ等を行うことをサポートしています。また、「みんかい」では、医療機関を退院した患者が介護施設に入居するに当たって重要視することの多い、各種疾患を持った患者の医療ケア受け入れ体制についての情報を充実させていることが特長です。加えて、米国において2022年11月に現地法人を設立し、人材採用システム「Jobley」の事業拡大に向けた投資を実施しております。 [事業系統図]
FY2024|10,789 文字|出典 docID: S100VGHP
3 【事業の内容】当社グループは、当社及び重要な子会社である株式会社パシフィックメディカル、株式会社グッピーズ及び株式会社メディパスを含む連結子会社9社で構成されております。なお、株式会社メディパスは、2025年1月6日に売却しており、本書提出日では重要な子会社から外れております。 当社グループは「医療ヘルスケアの未来をつくる」というミッションのもと、医療ヘルスケア領域において各種インターネットサービスを開発・提供しております。医療ヘルスケア領域においては、医療技術は日々進歩しているものの、法規制の存在やテクノロジー活用の遅れ等の要因により、万人が技術の恩恵を受けられる状況に至るまでには多くの課題が存在しております。そのような中で、医療ヘルスケア領域における様々なステークホルダーと連携しながらインターネットテクノロジーによって課題をひとつひとつ解決していくことが、結果的に患者と医療従事者の双方にとって「納得できる医療」の実現につながると考え、当社グループは社会の実需に対応した課題解決型のサービスを提供しております。 現在は、医療ヘルスケア領域における人材の不足や地域偏在という課題を解決する人材プラットフォーム事業として「ジョブメドレー」、「グッピー求人」及び「ジョブメドレーアカデミー」等を、医療機関の業務効率の改善や患者の医療アクセスの向上等を実現するための医療プラットフォーム事業として「CLINICS」、「Pharms」、「MEDLEY」、「Dentis」、「MALL」及び「@link」等を展開しております。また介護施設を探す方のための介護施設検索サイト「介護のほんね」及び診療報酬債権等のファクタリングサービス等の新規開発サービスにも、中長期的な成長の準備として取り組んでおります。当社グループの詳細な事業の内容は以下のとおりです。 (1) 人材プラットフォーム事業高齢化の進む日本において、医療ヘルスケア領域でのサービス提供の担い手不足は深刻な課題です。実際に、医療ヘルスケア領域における有効求人倍率は全産業平均と比べて数倍高い水準で推移しています。しかしながら、病院・診療所等の医療機関や介護・保育等の事業所には中小規模の事業所も多く、採用にリソースを割くことが難しい場合や高単価の人材紹介サービスを利用することが難しい場合もあり、多くの事業所が採用に課題を抱えています。このような課題を解決するべく、当社グループは人材プラットフォーム事業として、医療ヘルスケア領域の事業所向けに成果報酬型の人材採用システム「ジョブメドレー」、閲覧課金型の人材採用システム「グッピー求人」及びオンライン研修システム「ジョブメドレーアカデミー」を運営・提供しております。ジョブメドレー、グッピー求人及びジョブメドレーアカデミーは、以下のような特長を備えております。 ① ジョブメドレー (ア)採用成功時の成果報酬を低単価に設定ジョブメドレーは、求人事業所に求職者が実際に入職した時点で費用が発生する成果報酬型のビジネスモデルを採用しています。医療ヘルスケア領域での人材採用に一般的に利用されている人材紹介サービスを手がける競合他社も、採用時の成果報酬型という点では同一ですが、人材紹介サービスではまず紹介事業者が求職者と電話又は対面によりヒアリングをした上で様々な求人事業所を紹介し、事業所との面接設定や、内定時の採用条件調整といった業務を行うことが一般的です。これに対してジョブメドレーでは、求職者側が自ら絞り込んだ条件のもと求人情報を閲覧し、関心のある求人事業所に直接応募した後に面接に向けたコミュニケーションを取ることができるよう設計しており、人材紹介サービス企業が行う上述のような業務を、求人事業所と求職者がジョブメドレーのサイト上で完結できるようになっております。このように人的コストを省き、インターネット上で採用を完結させられるという低コスト構造を実現することで、ジョブメドレーでは採用成功時の成果報酬を低単価に抑えることができています。医療ヘルスケア領域の人材採用における一般的なビジネスモデルである人材紹介サービスでは、入職者の年収の20~35%(注1)を採用時の成果報酬として設定していることが多い中、ジョブメドレーにおける採用時の成果報酬は、入職者の年収対比で2~13%(注2)という水準となっております。 (注)1. 一般的な人材紹介サービスの成果報酬額については、ジョブメドレーが取り扱う50以上の職種の中で、看護師、保育士、理学療法士、歯科医師、介護職等の職種についての人材紹介業の報酬として多くみられる一般的な額を記載したものです(上記とは異なる報酬額設定方法を採用する人材紹介サービスも存在します。)。 2. 当社の成果報酬の年収比は厚生労働省の「平成30年賃金構造基本統計調査」より算出しています。 (イ)医療ヘルスケア領域における幅広い職種の従事者会員を有する日本における約1,070万人の医療ヘルスケア領域の労働従事者のうち、約22%が医師・看護師・薬剤師となっており、従来からこれらの職種については多くの人材紹介サービスを手がける企業が市場に参入し、競合企業が多く存在しています。一方で、医師・看護師・薬剤師以外の残り約78%の人数を占める職種(注3)については大規模な企業による参入が多くなかったため、ジョブメドレーではこれら職種も含めての幅広く求人を取り扱うことにより、多数の顧客事業所を獲得することに成功しております。また、その結果としてジョブメドレーでは、医療ヘルスケア領域において幅広い職種の従事者が登録する会員基盤を構築できており、サービス提供開始以降の累計登録会員数は2024年12月末時点で247万人に達しております。 (注)3. 医療事務、保育士、歯科助手・歯科衛生士、介護職・ヘルパー、看護助手、管理栄養士等。これらの職種においては人材紹介サービスを提供する競合企業があまり存在せず、ハローワークや掲載課金型のタウン誌等で求人が行われることが多くなっております。 (ウ)ダイレクトリクルーティングの機能医療ヘルスケア領域における人材の地域偏在が課題となっている昨今、当社グループでは、全国的な採用活動を行うことが難しい中小規模の事業所が人材を確保するためには、事業者自らが積極的に「求める人材を探し出し、魅力を伝え、採用する」という採用手法(ダイレクトリクルーティング)が有効であると考えています。ジョブメドレーでは、顧客である事業所がその知名度や地域にかかわらず、必要な人材を採用できる手法を提供するために、求職者向けスカウトメッセージの送信機能を充実させています。この結果として、2024年12月期においてジョブメドレー上で送信されたスカウト通数は1,189万件に上っております。上記の特長を活かし、ジョブメドレーの顧客事業所数は堅調に増加しており、現在では、医療ヘルスケア領域の事業所全体の115.0万事業所(注4)のうち約33%に相当する38.0万事業所(注5)がジョブメドレーの顧客となっております。また、これらの顧客事業所のうち約半数が掲載事業所(顧客事業所のうち、ジョブメドレーに求人案件を掲載している事業所をいう。以下同じ。)となっており、41.9万件以上(注5)の求人案件がジョブメドレー上に掲載されております。また、求職者にとってはより多くの求人情報が掲載されていることが利便性につながるため、ジョブメドレーでは顧客事業所のうち求人案件を掲載している掲載事業所を増やし、また掲載されている求人案件の数も増やすための利用促進の取り組みにも注力しております。これに加えて、サイト上での事業所インタビュー記事やバナー広告掲載等のオプションプラン提供にも取り組んでおります。(注)4. 厚生労働省、総務省、内閣府及び一般社団法人全国訪問看護事業協会提供の各事業所数の統計数値の合算値。 5. 2024年12月末日現在。 ② グッピー求人当社グループは、2024年4月に株式会社グッピーズを株式取得により子会社化、2024年6月に完全子会社化いたしました。同社は、人材サービス事業を展開しており、医療・介護・福祉業界に特化した求人サイトの運営を中心としております。中途転職者向けに求人情報を提供する「グッピー求人」の料金体系は、主に求人情報の詳細ページが閲覧されたとき等に料金が発生する閲覧課金(クリック課金)となっております。WEB広告では一般的な閲覧課金ですが、求人サイトは期間掲載型料金又は成果報酬型料金が一般的であるため、他社サービスとは一線を画しており、低コストで人材を募集することが可能です。同社は、約25年にわたり医療・介護・福祉業界に特化した求人サイトを運営した実績、ノウハウを有しております。 ③ ジョブメドレーアカデミー当社グループは、2021年2月に株式会社メディパスを株式取得により完全子会社化いたしました。同社は、医療機関及び介護事業所向けのサービスを複数展開しており、特に、オンライン研修サービス「ジョブメドレーアカデミー」(注6)では、2018年のリリース以降、介護事業所や障がい福祉事業所向けに多数のコンテンツを提供しており、豊富な導入実績を誇っております。2023年には、当社グループが従前から有しているジョブメドレーの顧客基盤を活用し、訪問歯科や在宅調剤領域でのサービス提供を開始しております。このように介護事業所以外の事業所にも横展開することで、医療ヘルスケア領域における人材育成を通じて人材の不足や地域偏在の課題解決にアプローチできると考えております。ジョブメドレー、グッピー求人及びジョブメドレーアカデミーの顧客事業所数(注7)は下表のとおりです。該当四半期顧客事業所数(万件)2021年12月期第1四半期末22.62021年12月期第2四半期末23.62021年12月期第3四半期末24.62021年12月期期末25.52022年12月期第1四半期末26.52022年12月期第2四半期末27.32022年12月期第3四半期末28.32022年12月期期末29.42023年12月期第1四半期末30.52023年12月期第2四半期末31.72023年12月期第3四半期末32.62023年12月期期末33.92024年12月期第1四半期末35.12024年12月期第2四半期末38.82024年12月期第3四半期末39.72024年12月期期末40.8 (注)6. 2022年5月に「メディパスアカデミー介護」を「ジョブメドレーアカデミー」に名称変更しております。 7. 2021年12月期第2四半期末よりジョブメドレーアカデミー、2024年12月期第2四半期末よりグッピー求人も対象となっております。 (2) 医療プラットフォーム事業日本の医療においては、診察・会計・処方箋交付までの待ち時間が長いこと、疾患情報へのアクセスが十分でないこと、及び疾患の治療に関わる情報を患者自身で管理することが難しいこと等、患者の通院体験における様々な課題が存在しています。このような課題に対処するため、当社グループの医療プラットフォーム事業では、医療機関の業務効率の改善や患者の通院体験の向上を目指した事業を展開しています。当社グループでは、オンライン診療にまつわる規制緩和に歩みを合わせる形で、2016年2月よりオンライン診療システム「CLINICSオンライン診療」を医療機関向けに開発・提供してきました。その後、クラウド型電子カルテ「CLINICSカルテ」及びその機能拡張プロダクトである「CLINICS予約」や「CLINICS問診」等を通じて、医療機関が予約、診療、会計までを一貫して1つのシステムで管理できるようにすることで、医療機関の診療効率の改善に寄与するとともに、患者の通院体験も向上させるSaaS(注1)として、医療機関からシステム利用料を徴収するビジネスモデルのクラウド診療支援システム「CLINICS」を開発・提供しています。2021年1月には中小病院向けに電子カルテ「MALL」を開発・提供する株式会社パシフィックメディカルを子会社化、2024年10月には病院・有床診療所向けの予約システム「@link」を運営する株式会社オフショアを子会社化し、より多くの医療機関のデジタルトランスフォーメーションを推進することで、患者の医療アクセスのさらなる向上等を目指します。また、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(以下「薬機法」という。)の改正に伴い、2020年9月より、全国的にオンライン服薬指導が可能になったことを受け、同月にかかりつけ薬局支援システム「Pharms」の提供を開始しています。「Pharms」により、調剤薬局はオンライン服薬指導の予約受付、オンライン服薬指導、処方薬の代金決済までを一括管理することができ、患者は「CLINICSオンライン診療」と組み合わせることで、診療から服薬指導まで、一気通貫でのオンライン医療体験が可能となります。2022年1月には、新しい患者体験の提供と業務効率の向上をめざした歯科向けのクラウド業務支援システム「Dentis」の提供を開始しています。「Dentis」は、レセコンや電子カルテといった基幹システムに加えて、患者の医療体験を向上させるWEB予約、オンライン診療、キャッシュレス決済、リコールといったかかりつけ支援機能までをトータルで提供することで、患者自身の主体的な関与(患者エンゲージメント)を促し、キュア中心からケア中心の診療への変化を支援します。さらに、患者やその家族が適切な医療情報にアクセスすることが難しく、医師との間に医療情報の非対称性が存在している、という課題に取り組むために医療情報提供サービス「MEDLEY」をメディアとして提供しており、医療プラットフォーム事業全体として、医療機関の診療業務を効率化するだけでなく、患者が医療と向き合っていくための助力となるための事業を展開しております。医療プラットフォーム事業においては、上述のような事業展開方針を踏まえ、以下のような個別事業を運営しております。 (注)1. SaaS(Software as a Service)とは、サービス提供者側で稼働しているソフトウェアをインターネット等のネットワーク経由で利用者向けに提供する方式を指します。 ① クラウド診療支援システム「CLINICS」CLINICSは、オンライン診療システム「CLINICSオンライン診療」、及びクラウド型電子カルテ「CLINICSカルテ」とその機能拡張プロダクトを通じて、医療機関が予約、診療、会計までを一貫して1つのシステムで管理できるようにすることで、医療機関の診療効率の改善に寄与するとともに、患者の通院体験も向上させるクラウド診療支援システムです。CLINICSオンライン診療は、医療機関がオンライン診療を実施する際に必要な診察予約管理、ビデオチャット、会計及び薬の処方等の機能を提供するオンライン診療システムです。2015年8月に発行された厚生労働省からの通達(2015年8月10日 厚生労働省医政局長 事務連絡)で、オンライン診療の実施はへき地・離島に限られず、また特定の慢性疾患以外の一般の疾患にも利用可能であることが明らかにされたことを受け、当社グループでは2016年2月よりオンライン診療システムの提供を開始しました。2020年4月10日には、初診患者にもオンライン診療を時限的に認める事務連絡が発出され、2022年度診療報酬改定において、政府方針としてオンライン診療の更なる利用促進が推進されております。当社グループではこのような規制環境下において、学会や行政等と連携しながら、CLINICSを用いたオンライン診療の拡大に取り組んでおります。CLINICSオンライン診療を導入している医療機関を受診する場合、患者はスマートフォンやパソコンを用いて、自宅や会社にいながらオンライン診療を受けることができます。オンライン診療の終了後、医療機関は、診察費を患者がCLINICS上に登録したクレジットカードに請求し、必要に応じて患者に医薬品や処方箋を送付します。CLINICSオンライン診療は、医療過疎地域から都市部まで、また診療所から大学病院まで幅広く様々な診療科において活用されております。CLINICSオンライン診療では、医療機関の業務フローの中にオンライン診療を取り入れるための導入支援や、豊富な活用事例に根ざした導入後の活用促進サポートに注力しております。また、CLINICS予約は、オンライン診療だけでなく、対面診療の予約管理にも対応していることから、医療機関がオンライン診療と対面診療を負担なく組み合わせて予約管理を効率化できるシステムとなっております。 CLINICSカルテは、医療機関が患者と「つながる」ことをコンセプトとしたクラウド型電子カルテであり、当社グループは2018年4月より医療機関向けにシステム提供を開始しております。CLINICSカルテはCLINICSオンライン診療と連携しており、診療データや疾患情報等を医療機関がアプリ経由で患者に共有したり、患者が事前に記入した問診票をカルテ上に反映したりすることが可能になっています。従来のオンプレミス型電子カルテ(注2)では実現できなかった患者への通院サポートや、診察待ちの時間を短縮することによる診療業務の効率化等のメリットを備えた新しいコンセプトのクラウド型電子カルテとして、利用医療機関数を拡大してきております。(注)2. オンプレミス型とは、システム利用拠点に用意されたサーバーにソフトウェアをインストールしてシステムを利用する形態を指し、サーバーがクラウド上に存在するクラウド型と対比される形態です。 ② かかりつけ薬局支援システム「Pharms」Pharmsは、オンライン服薬指導、処方箋ネット受付、キャッシュレス決済等の機能を提供し、調剤薬局における業務の効率化や「かかりつけ薬局」への転換を支援するシステムです。薬機法の改正に伴い、2020年9月より全国的にオンライン服薬指導が可能になったことを受け、同月に調剤薬局向けのサービスとして運営・提供を開始しました。Pharmsを導入している調剤薬局を利用する場合、患者はCLINICSオンライン診療を利用する際と同様に、スマートフォンやパソコンを用いて、自宅にいながらオンライン服薬指導を受けることができます。オンライン服薬指導の終了後、調剤薬局は、患者がCLINICS上に登録したクレジットカードに調剤報酬を請求し、患者の自宅に薬剤を送付します。また、2021年4月より、従前のオンライン服薬指導の機能に加え、電子お薬手帳、服薬フォローアップ等の新機能の提供を開始し、かかりつけ薬局に求められる各種業務がワンストップで実施可能になりました。Pharmsは、デジタル活用の関心の高い調剤薬局業界において、大手・準大手チェーンを中心に導入が進んでいます。 ③ クラウド歯科業務支援システム「Dentis」当社グループは、2022年1月より、新しい患者体験の提供と業務効率の向上をめざした歯科向けのクラウド業務支援システム「Dentis」の提供を開始しております。レセコン、電子カルテといった基幹システムに加えて、患者の医療体験を向上させるかかりつけ支援機能までをトータルで提供することで、患者自身の主体的な関与(患者エンゲージメント)を促し、治療中心の診療から予防中心の診療への変化を支援するプロダクトとなっています。 ④ 病院向け電子カルテ「MALL」当社グループは、2021年1月に株式会社パシフィックメディカルを株式取得により子会社化いたしました。同社は、約20年間にわたり、中小病院向けに電子カルテを開発・提供しております。同社の電子カルテは、低コスト及び高機能性の双方を実現しているため、利用継続率は99%を誇り、高い顧客満足度を得ております。当社グループでは、当社グループが従前から有している顧客基盤を活用した病院向け電子カルテのシェアの拡大、及び、オンライン診療システムとの連携及び医療・介護・在宅連携を促進するグループ法人向けシステム「MINET」の提携等を進め、病院向け電子カルテの普及及び医療介護連携の強化に取り組んでおります。 ⑤ 病院・有床診療所向け予約システム「@link」当社グループは、2024年10月に株式会社オフショアを株式取得により完全子会社化いたしました。同社は、2001年に設立され、20年以上にわたり医療機関の課題解決や業務改革に向き合い、病院・有床診療所向けの予約システム「@link」、及び、患者向けサービス統合管理アプリ「アットリンクアプリ」等を展開しております。同社の「@link」は、集患から出産後(卒院後)までの一連のプロセスを統合管理することができ、産科婦人科の予約システム領域においてトップシェア(※5)を誇ります。(注)5. 出典:ミーカンパニー株式会社提供SCUELデータベース 医療プラットフォーム事業において、当社グループではクラウド診療支援システム「CLINICS」、かかりつけ薬局支援システム「Pharms」、クラウド歯科業務支援システム「Dentis」、病院向け電子カルテ「MALL」等の当社システムの利用医療機関数を重要指標に設定しています。サービス開始以降の利用医療機関数(注6)の推移は下表のとおりであり、2024年12月期期末における利用医療機関数の1.9万件は、日本の医療機関全体の約7%(注7)を占めています。該当四半期利用医療機関数(万件)2021年12月期第1四半期末0.72021年12月期第2四半期末0.72021年12月期第3四半期末0.82021年12月期期末1.12022年12月期第1四半期末1.12022年12月期第2四半期末1.32022年12月期第3四半期末1.42022年12月期期末1.42023年12月期第1四半期末1.52023年12月期第2四半期末1.52023年12月期第3四半期末1.62023年12月期期末1.62024年12月期第1四半期末1.62024年12月期第2四半期末1.72024年12月期第3四半期末1.82024年12月期期末1.9 (注)6. 利用医療機関数とは、当社システム(CLINICS、Pharms、Dentis等)の利用を開始し、解約又は中断せず利用を続けている医療機関の数であり、複数システムを利用している場合は1としてカウントしています。 7. 全国の病院数、一般診療所数及び調剤薬局数の合計を約26万件として計算しております。出典:厚生労働省「令和4(2022)年医療施設(動態)調査・病院報告の概況」、「令和4年度衛生行政報告例の概要」 ⑥ 医療情報提供サービス「MEDLEY」当社グループは、患者やその家族に向けて疾患、処方薬及び医療機関等の医療情報を提供するメディアサービスとして、「MEDLEY」を2015年より運営・提供しています。MEDLEYは、患者やその家族が適切な医療情報を取得し、医師との間の情報の非対称性を解消することで自ら医療と向き合う力を持つことをサポートすることを目指しております。MEDLEYは、当社グループ所属の医師や約850名の外部の協力医師により、日進月歩の医療情報を最新の情報に更新し、約1,500件の病気、約3万件の医薬品、約16万件の医療機関の情報をインターネット上で無償公開しています。MEDLEYのコンテンツは、他社が提供する電子カルテサービスや携帯キャリアが運営するヘルスケア関連サービスにも、当社グループからのデータ提供を通じて導入されている他、医師が患者に病気を説明する際の補足資料としても利用されており、医療ヘルスケア領域の様々な場面で活用されています。またMEDLEYでは、既存事業で培った知見や新たに開発したアルゴリズムを活かし、一般ユーザーが入力した症状候補の組み合わせから罹患可能性の高い疾患を絞り込む「症状チェッカー」機能も提供しております。 ⑦ 医療サポート当社グループが2021年2月に完全子会社化した株式会社メディパスが展開する医療サポート事業では、高齢者施設への歯科・医科訪問診療を行う医療機関に対して、経営・運営支援、診療支援、医療事務支援、及び営業支援サービスを提供しております。また、要介護高齢者を対象に、同社のあん摩マッサージ師による医療保険適用の施術を提供しております。 (3) 新規開発サービス当社グループでは、中長期的な成長に向けた新規事業の開発を継続的に行っております。かかる新規開発サービスの1つである「介護のほんね」は、介護施設情報を掲載するWEBサービスです。介護のほんねでは、介護施設の基本情報、設備、写真、費用、施設評価等の幅広い情報をサイト上に掲載しており、介護施設への入居を検討する方やそのご家族が入居先の介護施設を検討し、入居可否の問い合わせ等を行うことをサポートしています。また、介護のほんねでは、医療機関を退院した患者が介護施設に入居するに当たって重要視することの多い、各種疾患を持った患者の医療ケア受け入れ体制についての情報を充実させていることが特長です。また、米国において2022年11月に現地法人を設立し、人材採用システムの事業拡大に向けた投資を実施しております。その他、当社グループが2023年9月に完全子会社化した株式会社GCMにおいて、診療報酬債権等のファクタリング事業を展開しております。顧客医療機関・介護施設等が社会保険診療報酬支払基金や国民健康保険団体連合会等に対して有する診療報酬債権や介護給付費債権等を買い取ることで、通常これらの債権の回収まで約2ヶ月かかる期間を短縮し、顧客の早期資金化ニーズに応えるサービスです。なお、2025年1月より株式会社GCMを株式会社メドレーフィナンシャルサービスに名称変更し、ファクタリング事業を「メドレー早期資金サポート」として提供しています。 [事業系統図]
FY2023|9,761 文字|出典 docID: S100T4CH
3 【事業の内容】当社グループは、当社及び重要な子会社である株式会社パシフィックメディカル及び株式会社メディパスを含む連結子会社6社で構成されております。 当社グループは「医療ヘルスケアの未来をつくる」というミッションのもと、医療ヘルスケア領域において各種インターネットサービスを開発・提供しております。医療ヘルスケア領域においては、医療技術は日々進歩しているものの、法規制の存在やテクノロジー活用の遅れ等の要因により、万人が技術の恩恵を受けられる状況に至るまでには多くの課題が存在しております。そのような中で、医療ヘルスケア領域における様々なステークホルダーと連携しながらインターネットテクノロジーによって課題をひとつひとつ解決していくことが、結果的に患者と医療従事者の双方にとって「納得できる医療」の実現につながると考え、当社グループは社会の実需に対応した課題解決型のサービスを提供しております。 現在は、医療ヘルスケア領域における人材の不足や地域偏在という課題を解決する人材プラットフォーム事業として「ジョブメドレー」及び「ジョブメドレーアカデミー」を、医療機関の業務効率の改善や患者の医療アクセスの向上等を実現するための医療プラットフォーム事業として「CLINICS」、「Pharms」、「MEDLEY」、「Dentis」及び「MALL」を展開しております。また介護施設を探す方のための介護施設検索サイト「介護のほんね」等の新規開発サービスにも、中長期的な成長の準備として取り組んでおります。当社グループの詳細な事業の内容は以下のとおりです。 (1) 人材プラットフォーム事業高齢化の進む日本において、医療ヘルスケア領域でのサービス提供の担い手不足は深刻な課題です。実際に、医療ヘルスケア領域における有効求人倍率は全産業平均と比べて数倍高い水準で推移しています。しかしながら、病院・診療所等の医療機関や介護・保育等の事業所には中小規模の事業所も多く、採用にリソースを割くことが難しい場合や高単価の人材紹介サービスを利用することが難しい場合もあり、多くの事業所が採用に課題を抱えています。このような課題を解決するべく、当社グループは人材プラットフォーム事業として、医療ヘルスケア領域の事業所向けに成果報酬型の人材採用システム「ジョブメドレー」及びオンライン研修システム「ジョブメドレーアカデミー」を運営・提供しております。ジョブメドレー及びジョブメドレーアカデミーは、以下のような特長を備えております。 ① ジョブメドレー (ア)採用成功時の成果報酬を低単価に設定ジョブメドレーは、求人事業所に求職者が実際に入職した時点で費用が発生する成果報酬型のビジネスモデルを採用しています。医療ヘルスケア領域での人材採用に一般的に利用されている人材紹介サービスを手がける競合他社も、採用時の成果報酬型という点では同一ですが、人材紹介サービスではまず紹介事業者が求職者と電話又は対面によりヒアリングをした上で様々な求人事業所を紹介し、事業所との面接設定や、内定時の採用条件調整といった業務を行うことが一般的です。これに対してジョブメドレーでは、求職者側が自ら絞り込んだ条件のもと求人情報を閲覧し、関心のある求人事業所に直接応募した後に面接に向けたコミュニケーションを取ることができるよう設計しており、人材紹介サービス企業が行う上述のような業務を、求人事業所と求職者がジョブメドレーのサイト上で完結できるようになっております。このように人的コストを省き、インターネット上で採用を完結させられるという低コスト構造を実現することで、ジョブメドレーでは採用成功時の成果報酬を低単価に抑えることができています。医療ヘルスケア領域の人材採用における一般的なビジネスモデルである人材紹介サービスでは、入職者の年収の20~35%(注1)を採用時の成果報酬として設定していることが多い中、ジョブメドレーにおける採用時の成果報酬は、入職者の年収対比で2~13%(注2)という水準となっております。 (注)1. 一般的な人材紹介サービスの成果報酬額については、ジョブメドレーが取り扱う50以上の職種の中で、看護師、保育士、理学療法士、歯科医師、介護職等の職種についての人材紹介業の報酬として多くみられる一般的な額を記載したものです(上記とは異なる報酬額設定方法を採用する人材紹介サービスも存在します。)。 2. 当社の成果報酬の年収比は厚生労働省の「平成30年賃金構造基本統計調査」より算出しています。 (イ)医療ヘルスケア領域における幅広い職種の従事者会員を有する日本における約1,020万人の医療ヘルスケア領域の労働従事者のうち、約22%が医師・看護師・薬剤師となっており、従来からこれらの職種については多くの人材紹介サービスを手がける企業が市場に参入し、競合企業が多く存在しています。一方で、医師・看護師・薬剤師以外の残り約78%の人数を占める職種(注3)については大規模な企業による参入が多くなかったため、ジョブメドレーではこれら職種も含めての幅広く求人を取扱うことにより、多数の顧客事業所を獲得することに成功しております。また、その結果としてジョブメドレーでは、医療ヘルスケア領域において幅広い職種の従事者が登録する会員基盤を構築できており、サービス提供開始以降の累計登録会員数は2023年12月末時点で195万人に達しております。 (注)3. 医療事務、保育士、歯科助手・歯科衛生士、介護職・ヘルパー、看護助手、管理栄養士等。これらの職種においては人材紹介サービスを提供する競合企業があまり存在せず、ハローワークや掲載課金型のタウン誌等で求人が行われることが多くなっております。 (ウ)ダイレクトリクルーティングの機能医療ヘルスケア領域における人材の地域偏在が課題となっている昨今、当社グループでは、全国的な採用活動を行うことが難しい中小規模の事業所が人材を確保するためには、事業者自らが積極的に「求める人材を探し出し、魅力を伝え、採用する」という採用手法(ダイレクトリクルーティング)が有効であると考えています。ジョブメドレーでは、顧客である事業所がその知名度や地域にかかわらず、必要な人材を採用できる手法を提供するために、求職者向けスカウトメッセージの送信機能を充実させています。この結果として、2023年12月期においてジョブメドレー上で送信されたスカウト通数は872.8万件に上っております。上記の特長を活かし、ジョブメドレーの顧客事業所数は堅調に増加しており、現在では、医療ヘルスケア領域の事業所全体の113.9万事業所(注4)のうち約30%に相当する33.7万事業所(注5)がジョブメドレーの顧客となっております。また、これらの顧客事業所のうち約半数が掲載事業所(顧客事業所のうち、ジョブメドレーに求人案件を掲載している事業所をいう。以下同じ。)となっており、36.1万件以上(注5)の求人案件がジョブメドレー上に掲載されております。また、求職者にとってはより多くの求人情報が掲載されていることが利便性につながるため、ジョブメドレーでは顧客事業所のうち求人案件を掲載している掲載事業所を増やし、また掲載されている求人案件の数も増やすための利用促進の取り組みにも注力しております。これに加えて、サイト上での事業所インタビュー記事やバナー広告掲載等のオプションプラン提供にも取り組んでおります。(注)4. 厚生労働省、総務省、内閣府及び一般社団法人全国訪問看護事業協会提供の各事業所数の統計数値の合算値。5. 顧客事業所数及び求人案件数はいずれも2023年12月末日現在。顧客事業所数の内訳は医科3.6万、薬局5.6万、歯科2.3万、介護13.2万、その他9.3万。 ② ジョブメドレーアカデミー当社グループは、2021年2月に株式会社メディパスを株式取得により完全子会社化いたしました。同社は、医療機関及び介護事業所向けのサービスを複数展開しており、特に、オンライン研修サービス「ジョブメドレーアカデミー」(注6)では、2018年のリリース以降、介護事業所向けに多数のコンテンツを提供しており、豊富な導入実績を誇っております。2023年には、当社グループが従前から有しているジョブメドレーの顧客基盤を活用し、訪問歯科や在宅調剤領域でのサービス提供を開始しております。このように介護事業所以外の事業所にも横展開することで、医療ヘルスケア領域における人材育成を通じて人材の不足や地域偏在の課題解決にアプローチできると考えております。ジョブメドレー及びジョブメドレーアカデミーの顧客事業所数(注7)は下表のとおりです。 該当四半期顧客事業所数(万件)2020年12月期第1四半期末19.22020年12月期第2四半期末19.82020年12月期第3四半期末20.72020年12月期期末21.62021年12月期第1四半期末22.62021年12月期第2四半期末23.62021年12月期第3四半期末24.62021年12月期期末25.52022年12月期第1四半期末26.52022年12月期第2四半期末27.32022年12月期第3四半期末28.32022年12月期期末29.42023年12月期第1四半期末30.52023年12月期第2四半期末31.72023年12月期第3四半期末32.62023年12月期期末33.9 (注)6. 2022年5月に「メディパスアカデミー介護」を「ジョブメドレーアカデミー」に名称変更しております。 7. 2021年12月期第2四半期末より、ジョブメドレーアカデミーも対象となっております。 (2) 医療プラットフォーム事業日本の医療においては、診察・会計・処方箋交付までの待ち時間が長いこと、疾患情報へのアクセスが十分でないこと、及び疾患の治療に関わる情報を患者自身で管理することが難しいこと等、患者の通院体験における様々な課題が存在しています。このような課題に対処するため、当社グループの医療プラットフォーム事業では、患者の通院体験の向上を目指した事業を展開しています。当社グループでは、オンライン診療にまつわる規制緩和に歩みを合わせる形で、2016年2月よりオンライン診療システム「CLINICSオンライン診療」を医療機関向けに開発・提供してきました。その後、クラウド型電子カルテ「CLINICSカルテ」及びその機能拡張プロダクトである「CLINICS予約」や「CLINICS問診」等を通じて、医療機関が予約、診療、会計までを一貫して1つのシステムで管理できるようにすることで、医療機関の診療効率の改善に寄与するとともに、患者の通院体験も向上させるSaaS(注1)として、医療機関からシステム利用料を徴収するビジネスモデルでクラウド診療支援システム「CLINICS」を開発・提供しています。また、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(以下「薬機法」という。)の改正に伴い、2020年9月より、全国的にオンライン服薬指導が可能になったことを受け、同月にかかりつけ薬局支援システム「Pharms」の提供を開始しています。「Pharms」により、調剤薬局はオンライン服薬指導の予約受付、オンライン服薬指導、処方薬の代金決済までを一括管理することができ、患者は「CLINICSオンライン診療」と組み合わせることで、診療から服薬指導まで、一気通貫でのオンライン医療体験が可能となります。2022年1月には、新しい患者体験の提供と業務効率の向上をめざした歯科向けのクラウド業務支援システム「Dentis」の提供を開始しています。「Dentis」は、レセコンや電子カルテといった基幹システムに加えて、患者の医療体験を向上させるWEB予約、オンライン診療、キャッシュレス決済、リコールといったかかりつけ支援機能までをトータルで提供することで、患者自身の主体的な関与(患者エンゲージメント)を促し、キュア中心からケア中心の診療への変化を支援します。さらに、患者やその家族が適切な医療情報にアクセスすることが難しく、医師との間に医療情報の非対称性が存在している、という課題に取り組むために医療情報提供サービス「MEDLEY」をメディアとして提供しており、医療プラットフォーム事業全体として、医療機関の診療業務を効率化するだけでなく、患者が医療と向き合っていくための助力となるための事業を展開しております。 医療プラットフォーム事業においては、上述のような事業展開方針を踏まえ、以下のような個別事業を運営しております。 (注)1. SaaS(Software as a Service)とは、サービス提供者側で稼働しているソフトウェアをインターネット等のネットワーク経由で利用者向けに提供する方式を指します。 ① クラウド診療支援システム「CLINICS」CLINICSは、オンライン診療システム「CLINICSオンライン診療」、及びクラウド型電子カルテ「CLINICSカルテ」とその機能拡張プロダクトを通じて、医療機関が予約、診療、会計までを一貫して1つのシステムで管理できるようにすることで、医療機関の診療効率の改善に寄与するとともに、患者の通院体験も向上させるクラウド診療支援システムです。CLINICSオンライン診療は、医療機関がオンライン診療を実施する際に必要な診察予約管理、ビデオチャット、会計及び薬の処方等の機能を提供するオンライン診療システムです。2015年8月に発行された厚生労働省からの通達(2015年8月10日 厚生労働省医政局長 事務連絡)で、オンライン診療の実施はへき地・離島に限られず、また特定の慢性疾患以外の一般の疾患にも利用可能であることが明らかにされたことを受け、当社グループでは2016年2月よりオンライン診療システムの提供を開始しました。2020年4月10日には、初診患者にもオンライン診療を時限的に認める事務連絡が発出され、2022年度診療報酬改定において、政府方針としてオンライン診療の更なる利用促進が推進されております。当社グループではこのような規制環境下において、学会や行政等と連携しながら、CLINICSを用いたオンライン診療の拡大に取り組んでおります。CLINICSオンライン診療を導入している医療機関を受診する場合、患者はスマートフォンやパソコンを用いて、自宅や会社にいながらオンライン診療を受けることができます。オンライン診療の終了後、医療機関は、診察費を患者がCLINICS上に登録したクレジットカードに請求し、必要に応じて患者に医薬品や処方箋を送付します。CLINICSオンライン診療は、医療過疎地域から都市部まで、また診療所から大学病院まで幅広く様々な診療科において活用されております。CLINICSオンライン診療では、医療機関の業務フローの中にオンライン診療を取り入れるための導入支援や、豊富な活用事例に根ざした導入後の活用促進サポートに注力しております。また、CLINICS予約は、オンライン診療だけでなく、対面診療の予約管理にも対応していることから、医療機関がオンライン診療と対面診療を負担なく組み合わせて予約管理を効率化できるシステムとなっております。 CLINICSカルテは、医療機関が患者と「つながる」ことをコンセプトとしたクラウド型電子カルテであり、当社グループは2018年4月より医療機関向けにシステム提供を開始しております。CLINICSカルテはCLINICSオンライン診療と連携しており、診療データや疾患情報等を医療機関がアプリ経由で患者に共有したり、患者が事前に記入した問診票をカルテ上に反映したりすることが可能になっています。従来のオンプレミス型電子カルテ(注2)では実現できなかった患者への通院サポートや、診察待ちの時間を短縮することによる診療業務の効率化等のメリットを備えた新しいコンセプトのクラウド型電子カルテとして、利用医療機関数を拡大してきております。 (注)2. オンプレミス型とは、システム利用拠点に用意されたサーバーにソフトウェアをインストールしてシステムを利用する形態を指し、サーバーがクラウド上に存在するクラウド型と対比される形態です。 ② かかりつけ薬局支援システム「Pharms」Pharmsは、オンライン服薬指導、処方箋ネット受付、キャッシュレス決済等の機能を提供し、調剤薬局における業務の効率化や「かかりつけ薬局」への転換を支援するシステムです。薬機法の改正に伴い、2020年9月より全国的にオンライン服薬指導が可能になったことを受け、同月に調剤薬局向けのサービスとして運営・提供を開始しました。Pharmsを導入している調剤薬局を利用する場合、患者はCLINICSオンライン診療を利用する際と同様に、スマートフォンやパソコンを用いて、自宅にいながらオンライン服薬指導を受けることができます。オンライン服薬指導の終了後、調剤薬局は、患者がCLINICS上に登録したクレジットカードに調剤報酬を請求し、患者の自宅に薬剤を送付します。また、2021年4月より、従前のオンライン服薬指導の機能に加え、電子お薬手帳、服薬フォローアップ等の新機能の提供を開始し、かかりつけ薬局に求められる各種業務がワンストップで実施可能になりました。Pharmsは、デジタル活用の関心の高い調剤薬局業界において、大手・準大手チェーンを中心に導入が進んでいます。 ③ クラウド歯科業務支援システム「Dentis」当社グループは、2022年1月より、新しい患者体験の提供と業務効率の向上をめざした歯科向けのクラウド業務支援システム「Dentis」の提供を開始しております。レセコン、電子カルテといった基幹システムに加えて、患者の医療体験を向上させるかかりつけ支援機能までをトータルで提供することで、患者自身の主体的な関与(患者エンゲージメント)を促し、治療中心の診療から予防中心の診療への変化を支援するプロダクトとなっています。 医療プラットフォーム事業において、当社グループではクラウド診療支援システム「CLINICS」、かかりつけ薬局支援システム「Pharms」、及びクラウド歯科業務支援システム「Dentis」等の当社システムの利用医療機関数を重要指標に設定しています。サービス開始以降の利用医療機関数(注3)の推移は下表のとおりであり、2023年12月期期末における利用医療機関数の1.6万件は、日本の医療機関全体の約6%(注4)を占めています。該当四半期利用医療機関数(万件)2020年12月期第1四半期末0.12020年12月期第2四半期末0.22020年12月期第3四半期末0.42020年12月期期末0.62021年12月期第1四半期末0.72021年12月期第2四半期末0.72021年12月期第3四半期末0.82021年12月期期末1.12022年12月期第1四半期末1.12022年12月期第2四半期末1.32022年12月期第3四半期末1.42022年12月期期末1.42023年12月期第1四半期末1.52023年12月期第2四半期末1.52023年12月期第3四半期末1.62023年12月期期末1.6 (注)3. 利用医療機関数とは、当社システム(CLINICS、Pharms、Dentis等)の利用を開始し、解約又は中断せず利用を続けている医療機関の数であり、複数システムを利用している場合は1としてカウントしています。 4. 全国の病院数、一般診療所数及び調剤薬局数の合計を約26万件として計算。出典:厚生労働省「令和3(2021)年医療施設(動態)調査・病院報告の概況」、「令和2年度衛生行政報告例の概要」 ④ 医療情報提供サービス「MEDLEY」当社グループは、患者やその家族に向けて疾患、処方薬及び医療機関等の医療情報を提供するメディアサービスとして、「MEDLEY」を2015年より運営・提供しています。MEDLEYは、患者やその家族が適切な医療情報を取得し、医師との間の情報の非対称性を解消することで自ら医療と向き合う力を持つことをサポートすることを目指しております。MEDLEYは、当社グループ所属の医師や約800名の外部の協力医師により、日進月歩の医療情報を最新の情報に更新し、約1,500件の病気、約3万件の医薬品、約16万件の医療機関の情報をインターネット上で無償公開しています。MEDLEYのコンテンツは、他社が提供する電子カルテサービスや携帯キャリアが運営するヘルスケア関連サービスにも、当社グループからのデータ提供を通じて導入されている他、医師が患者に病気を説明する際の補足資料としても利用されており、医療ヘルスケア領域の様々な場面で活用されています。またMEDLEYでは、既存事業で培った知見や新たに開発したアルゴリズムを活かし、一般ユーザーが入力した症状候補の組み合わせから罹患可能性の高い疾患を絞り込む「症状チェッカー」機能も提供しております。 ⑤ 病院向け電子カルテ「MALL」当社グループは、2021年1月に株式会社パシフィックメディカルを株式取得により連結子会社化いたしました。同社は、約20年間に渡り、中小病院向けに電子カルテを開発・提供しております。同社の電子カルテは、低コスト及び高機能性の双方を実現しているため、利用継続率は99%を誇り、高い顧客満足度を得ております。当社グループでは、当社グループが従前から有している顧客基盤を活用した病院向け電子カルテのシェアの拡大、及び、オンライン診療システムとの連携及び医療・介護・在宅連携を促進するグループ法人向けシステム「MINET」の提携等を進め、病院向け電子カルテの普及及び医療介護連携の強化に取り組んでおります。 ⑥ 医療サポート当社グループが2021年2月に連結子会社化(完全子会社化)した株式会社メディパスが展開する医療サポート事業では、高齢者施設への歯科・医科訪問診療を行う医療機関に対して、経営・運営支援、診療支援、医療事務支援、及び営業支援サービスを提供しております。また、要介護高齢者を対象に、同社のあん摩マッサージ師による医療保険適用の施術を提供しております。 (3) 新規開発サービス当社グループでは、中長期的な成長に向けた新規事業の開発を継続的に行っております。かかる新規開発サービスの1つである「介護のほんね」は、介護施設情報を掲載するWEBサービスです。介護のほんねでは、介護施設の基本情報、設備、写真、費用、施設評価等の幅広い情報をサイト上に掲載しており、介護施設への入居を検討する方やそのご家族が入居先の介護施設を検討し、入居可否の問い合わせ等を行うことをサポートしています。また、介護のほんねでは、医療機関を退院した患者が介護施設に入居するに当たって重要視することの多い、各種疾患を持った患者の医療ケア受け入れ体制についての情報を充実させていることが特長です。また、米国において2022年11月に現地法人を設立し、市場調査及びテストマーケティングを実施しております。他、当社グループが2023年9月に連結子会社化した株式会社GCMにおいて、診療報酬債権等のファクタリング事業を展開しております。顧客医療機関・介護施設等が社会保険診療報酬支払基金や国民健康保険団体連合会等に対して有する診療報酬債権や介護給付費債権等を買い取ることで、通常これらの債権の回収まで約2ヶ月かかる期間を短縮し、顧客の早期資金化ニーズに応えるサービスです。 [事業系統図]
FY2022|9,820 文字|出典 docID: S100QGWO
3 【事業の内容】当社グループは、当社及び重要な子会社である株式会社パシフィックメディカル及び株式会社メディパスを含む連結子会社10社で構成されております。 当社グループは「医療ヘルスケアの未来をつくる」というミッションのもと、医療ヘルスケア領域において各種インターネットサービスを開発・提供しております。医療ヘルスケア領域においては、医療技術は日々進歩しているものの、法規制の存在やテクノロジー活用の遅れ等の要因により、万人が技術の恩恵を受けられる状況に至るまでには多くの課題が存在しております。そのような中で、医療ヘルスケア領域における様々なステークホルダーと連携しながらインターネットテクノロジーによって課題をひとつひとつ解決していくことが、結果的に患者と医療従事者の双方にとって「納得できる医療」の実現につながると考え、当社グループは社会の実需に対応した課題解決型のサービスを提供しております。 現在は、医療ヘルスケア領域における人材の不足や地域偏在という課題を解決する人材プラットフォーム事業として「ジョブメドレー」及び「ジョブメドレーアカデミー」を、医療機関の業務効率の改善や患者の医療アクセスの向上等を実現するための医療プラットフォーム事業として「CLINICS」、「Pharms」、「MEDLEY」、「Dentis」及び「MALL」を展開しております。また介護施設を探す方のための介護施設検索サイト「介護のほんね」等の新規開発サービスにも、中長期的な成長の準備として取り組んでおります。当社グループの詳細な事業の内容は以下のとおりです。 (1) 人材プラットフォーム事業高齢化の進む日本において、医療ヘルスケア領域でのサービス提供の担い手不足は深刻な課題です。実際に、医療ヘルスケア領域における有効求人倍率は全産業平均と比べて数倍高い水準で推移しています。しかしながら、病院・診療所等の医療機関や介護・保育等の事業所には中小規模の事業所も多く、採用にリソースを割くことが難しい場合や高単価の人材紹介サービスを利用することが難しい場合もあり、多くの事業所が採用に課題を抱えています。このような課題を解決するべく、当社グループは人材プラットフォーム事業として、医療ヘルスケア領域の事業所向けに成果報酬型の人材採用システム「ジョブメドレー」及びオンライン研修システム「ジョブメドレーアカデミー」を運営・提供しております。ジョブメドレー及びジョブメドレーアカデミーは、以下のような特長を備えております。 ① ジョブメドレー (ア)採用成功時の成果報酬を低単価に設定ジョブメドレーは、求人事業所に求職者が実際に入職した時点で費用が発生する成果報酬型のビジネスモデルを採用しています。医療ヘルスケア領域での人材採用に一般的に利用されている人材紹介サービスを手がける競合他社も、採用時の成果報酬型という点では同一ですが、人材紹介サービスではまず紹介事業者が求職者と電話又は対面によりヒアリングをした上で様々な求人事業所を紹介し、事業所との面接設定や、内定時の採用条件調整といった業務を行うことが一般的です。これに対してジョブメドレーでは、求職者側が自ら絞り込んだ条件のもと求人情報を閲覧し、関心のある求人事業所に直接応募した後に面接に向けたコミュニケーションを取ることができるよう設計しており、人材紹介サービス企業が行う上述のような業務を、求人事業所と求職者がジョブメドレーのサイト上で完結できるようになっております。このように人的コストを省き、インターネット上で採用を完結させられるという低コスト構造を実現することで、ジョブメドレーでは採用成功時の成果報酬を低単価に抑えることができています。医療ヘルスケア領域の人材採用における一般的なビジネスモデルである人材紹介サービスでは、入職者の年収の20〜35%(注1)を採用時の成果報酬として設定していることが多い中、ジョブメドレーにおける採用時の成果報酬は、入職者の年収対比で2〜13%(注2)という水準となっております。 (注)1. 一般的な人材紹介サービスの成果報酬額については、ジョブメドレーが取り扱う50以上の職種の中で、看護師、保育士、理学療法士、歯科医師、介護職等の職種についての人材紹介業の報酬として多くみられる一般的な額を記載したものです(上記とは異なる報酬額設定方法を採用する人材紹介サービスも存在します。)。 2. 当社の成果報酬の年収比は厚生労働省の「平成30年賃金構造基本統計調査」より算出しています。 (イ)医療ヘルスケア領域における幅広い職種の従事者会員を有する日本における約1,020万人の医療ヘルスケア領域の労働従事者のうち、約22%が医師・看護師・薬剤師となっており、従来からこれらの職種については多くの人材紹介サービスを手がける企業が市場に参入し、競合企業が多く存在しています。一方で、医師・看護師・薬剤師以外の残り約78%の人数を占める職種(注3)については大規模な企業による参入が多くなかったため、ジョブメドレーではこれら職種も含めての幅広く求人を取扱うことにより、多数の顧客事業所を獲得することに成功しております。また、その結果としてジョブメドレーでは、医療ヘルスケア領域において幅広い職種の従事者が登録する会員基盤を構築できており、サービス提供開始以降の累計登録会員数は2022年12月末時点で150万人に達しております。 (注)3. 医療事務、保育士、歯科助手・歯科衛生士、介護職・ヘルパー、看護助手、管理栄養士等。これらの職種においては人材紹介サービスを提供する競合企業があまり存在せず、ハローワークや掲載課金型のタウン誌等で求人が行われることが多くなっております。 (ウ)ダイレクトリクルーティングの機能医療ヘルスケア領域における人材の地域偏在が課題となっている昨今、当社グループでは、全国的な採用活動を行うことが難しい中小規模の事業所が人材を確保するためには、事業者自らが積極的に「求める人材を探し出し、魅力を伝え、採用する」という採用手法(ダイレクトリクルーティング)が有効であると考えています。ジョブメドレーでは、顧客である事業所がその知名度や地域にかかわらず、必要な人材を採用できる手法を提供するために、求職者向けスカウトメッセージの送信機能を充実させています。この結果として、2022年12月期においてジョブメドレー上で送信されたスカウト通数は583.7万件に上っております。上記の特長を活かし、ジョブメドレーの顧客事業所数は堅調に増加しており、現在では、医療ヘルスケア領域の事業所全体の112.7万事業所(注4)のうち約26%に相当する29.2万事業所(注5)がジョブメドレーの顧客となっております。また、これらの顧客事業所のうち約半数が掲載事業所(顧客事業所のうち、ジョブメドレーに求人案件を掲載している事業所をいう。以下同じ。)となっており、30.9万件以上(注5)の求人案件がジョブメドレー上に掲載されております。また、求職者にとってはより多くの求人情報が掲載されていることが利便性につながるため、ジョブメドレーでは顧客事業所のうち求人案件を掲載している掲載事業所を増やし、また掲載されている求人案件の数も増やすための利用促進の取り組みにも注力しております。これに加えて、サイト上での事業所インタビュー記事やバナー広告掲載等のオプションプラン提供にも取り組んでおります。(注)4. 厚生労働省、総務省、内閣府及び一般社団法人全国訪問看護事業協会提供の各事業所数の統計数値の合算値。5. 顧客事業所数及び求人案件数はいずれも2022年12月末日現在。顧客事業所数の内訳は医科2.9万、薬局5.1万、歯科2.0万、介護11.5万、その他7.7万。 ② ジョブメドレーアカデミー当社グループは、2021年2月に株式会社メディパスを株式取得により完全子会社化いたしました。同社は、医療機関及び介護事業所向けのサービスを複数展開しており、特に、オンライン研修サービス「ジョブメドレーアカデミー」(注6)では、2018年のリリース以降、介護事業所向けに多数のコンテンツを提供しており、豊富な導入実績を誇っております。当社グループが従前から有しているジョブメドレーの顧客基盤を活用することで、より多くの介護事業所にコンテンツを提供し、さらに、介護事業所以外の事業所にも横展開することで、医療ヘルスケア領域における人材育成を通じて人材の不足や地域偏在の課題解決にアプローチできると考えております。ジョブメドレー及びジョブメドレーアカデミーの顧客事業所数(注7)は下表のとおりです。 該当四半期顧客事業所数(万件)2019年12月期第1四半期末15.62019年12月期第2四半期末16.52019年12月期第3四半期末17.52019年12月期期末18.22020年12月期第1四半期末19.22020年12月期第2四半期末19.82020年12月期第3四半期末20.72020年12月期期末21.62021年12月期第1四半期末22.62021年12月期第2四半期末23.62021年12月期第3四半期末24.62021年12月期期末25.52022年12月期第1四半期末26.52022年12月期第2四半期末27.32022年12月期第3四半期末28.32022年12月期期末29.4 (注)6. 2022年5月に「メディパスアカデミー介護」を「ジョブメドレーアカデミー」に名称変更しております。 7. 2021年12月期第2四半期末より、ジョブメドレーアカデミーも対象となっております。 (2) 医療プラットフォーム事業日本の医療においては、診察・会計・処方箋交付までの待ち時間が長いこと、疾患情報へのアクセスが十分でないこと、及び疾患の治療に関わる情報を患者自身で管理することが難しいこと等、患者の通院体験における様々な課題が存在しています。このような課題に対処するため、当社グループの医療プラットフォーム事業では、患者の通院体験の向上を目指した事業を展開しています。当社グループでは、オンライン診療にまつわる規制緩和に歩みを合わせる形で、2016年2月よりオンライン診療システム「CLINICSオンライン診療」を医療機関向けに開発・提供してきました。その後、クラウド型電子カルテ「CLINICSカルテ」や予約管理システム「CLINICS予約」の機能拡張を行い、医療機関が予約、診療、会計までを一貫して1つのシステムで管理できるようにすることで、医療機関の診療効率の改善に寄与するとともに、患者の通院体験も向上させるSaaS(注1)として、医療機関からシステム利用料を徴収するビジネスモデルでクラウド診療支援システム「CLINICS」を開発・提供しています。また、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(以下「薬機法」という。)の改正に伴い、2020年9月より、全国的にオンライン服薬指導が可能になったことを受け、同月にかかりつけ薬局支援システム「Pharms」の提供を開始しています。「Pharms」により、調剤薬局はオンライン服薬指導の予約受付、オンライン服薬指導、処方薬の代金決済までを一括管理することができ、患者は「CLINICSオンライン診療」と組み合わせることで、診療から服薬指導まで、一気通貫でのオンライン医療体験が可能となります。2022年1月には、新しい患者体験の提供と業務効率の向上をめざした歯科向けのクラウド業務支援システム「Dentis」の提供を開始しています。「Dentis」は、レセコンや電子カルテといった基幹システムに加えて、患者の医療体験を向上させるWEB予約、オンライン診療、キャッシュレス決済、リコールといったかかりつけ支援機能までをトータルで提供することで、患者自身の主体的な関与(患者エンゲージメント)を促し、キュア中心からケア中心の診療への変化を支援します。さらに、患者やその家族が適切な医療情報にアクセスすることが難しく、医師との間に医療情報の非対称性が存在している、という課題に取り組むために医療情報提供サービス「MEDLEY」をメディアとして提供しており、医療プラットフォーム事業全体として、医療機関の診療業務を効率化するだけでなく、患者が医療と向き合っていくための助力となるための事業を展開しております。医療プラットフォーム事業においては、上述のような事業展開方針を踏まえ、以下のような個別事業を運営しております。 (注)1. SaaS(Software as a Service)とは、サービス提供者側で稼働しているソフトウェアをインターネット等のネットワーク経由で利用者向けに提供する方式を指します。 ① クラウド診療支援システム「CLINICS」CLINICSは、オンライン診療システム「CLINICSオンライン診療」、予約管理システム「CLINICS予約」及びクラウド型電子カルテ「CLINICSカルテ」を通じて、医療機関が予約、診療、会計までを一貫して1つのシステムで管理できるようにすることで、医療機関の診療効率の改善に寄与するとともに、患者の通院体験も向上させるクラウド診療支援システムです。CLINICSオンライン診療は、医療機関がオンライン診療を実施する際に必要な診察予約管理、ビデオチャット、会計及び薬の処方等の機能を提供するオンライン診療システムです。2015年8月に発行された厚生労働省からの通達(2015年8月10日 厚生労働省医政局長 事務連絡)で、オンライン診療の実施はへき地・離島に限られず、また特定の慢性疾患以外の一般の疾患にも利用可能であることが明らかにされたことを受け、当社グループでは2016年2月よりオンライン診療システムの提供を開始しました。2020年4月10日には、初診患者にもオンライン診療を時限的に認める事務連絡が発出され、2022年度診療報酬改定において、政府方針としてオンライン診療の更なる利用促進が推進されております。当社グループではこのような規制環境下において、学会や行政等と連携しながら、CLINICSを用いたオンライン診療の拡大に取り組んでおります。CLINICSオンライン診療を導入している医療機関を受診する場合、患者はスマートフォンやパソコンを用いて、自宅や会社にいながらオンライン診療を受けることができます。オンライン診療の終了後、医療機関は、診察費を患者がCLINICS上に登録したクレジットカードに請求し、必要に応じて患者に医薬品や処方箋を送付します。CLINICSオンライン診療は、医療過疎地域から都市部まで、また診療所から大学病院まで幅広く様々な診療科において活用されております。CLINICSオンライン診療では、医療機関の業務フローの中にオンライン診療を取り入れるための導入支援や、豊富な活用事例に根ざした導入後の活用促進サポートに注力しております。また、CLINICS予約は、オンライン診療だけでなく、対面診療の予約管理にも対応していることから、医療機関がオンライン診療と対面診療を負担なく組み合わせて予約管理を効率化できるシステムとなっております。 CLINICSカルテは、医療機関が患者と「つながる」ことをコンセプトとしたクラウド型電子カルテであり、当社グループは2018年4月より医療機関向けにシステム提供を開始しております。CLINICSカルテはCLINICSオンライン診療と連携しており、診療データや疾患情報等を医療機関がアプリ経由で患者に共有したり、患者が事前に記入した問診票をカルテ上に反映したりすることが可能になっています。従来のオンプレミス型電子カルテ(注2)では実現できなかった患者への通院サポートや、診察待ちの時間を短縮することによる診療業務の効率化等のメリットを備えた新しいコンセプトのクラウド型電子カルテとして、利用医療機関数を拡大してきております。 また、CLINICSカルテは、利用医療機関が効率的な診療を実現するための特長として、国内有数の市場シェアを持つ日本医師会標準レセプトソフト(注3)であるORCAを内包しております。これにより、利用医療機関はレセプトソフトを別途操作する必要がなく、患者受付・診察・会計・レセプト処理まで全ての業務を統一されたユーザーインターフェースで操作することができるため、業務効率を大幅に向上させることができます。(注)2. オンプレミス型とは、システム利用拠点に用意されたサーバーにソフトウェアをインストールしてシステムを利用する形態を指し、サーバーがクラウド上に存在するクラウド型と対比される形態です。3. レセプトソフトとは、医療機関がレセプト(診療報酬明細書)を支払基金や国民健康保険団体連合会に提出するための診療報酬計算を行う医事会計ソフトウェアを指します。 ② かかりつけ薬局支援システム「Pharms」Pharmsは、オンライン服薬指導、処方箋ネット受付、キャッシュレス決済等の機能を提供し、調剤薬局における業務の効率化や「かかりつけ薬局」への転換を支援するシステムです。薬機法の改正に伴い、2020年9月より全国的にオンライン服薬指導が可能になったことを受け、同月に調剤薬局向けのサービスとして運営・提供を開始しました。Pharmsを導入している調剤薬局を利用する場合、患者はCLINICSオンライン診療を利用する際と同様に、スマートフォンやパソコンを用いて、自宅にいながらオンライン服薬指導を受けることができます。オンライン服薬指導の終了後、調剤薬局は、患者がCLINICS上に登録したクレジットカードに調剤報酬を請求し、患者の自宅に薬剤を送付します。また、2021年4月より、従前のオンライン服薬指導の機能に加え、電子お薬手帳、服薬フォローアップ等の新機能の提供を開始し、かかりつけ薬局に求められる各種業務がワンストップで実施可能になりました。Pharmsは、デジタル活用の関心の高い調剤薬局業界において、大手・準大手チェーンを中心に導入が進んでいます。 ③ クラウド歯科業務支援システム「Dentis」当社グループは、2022年1月より、新しい患者体験の提供と業務効率の向上をめざした歯科向けのクラウド業務支援システム「Dentis」の提供を開始しております。レセコン、電子カルテといった基幹システムに加えて、患者の医療体験を向上させるかかりつけ支援機能までをトータルで提供することで、患者自身の主体的な関与(患者エンゲージメント)を促し、治療中心の診療から予防中心の診療への変化を支援するプロダクトとなっています。 医療プラットフォーム事業において、当社グループではクラウド診療支援システム「CLINICS」、かかりつけ薬局支援システム「Pharms」、及びクラウド歯科業務支援システム「Dentis」等の当社システムの利用医療機関数を重要指標に設定しています。サービス開始以降の利用医療機関数(注4)の推移は下表のとおりであり、2022年12月期期末における利用医療機関数の14,165件は、日本の医療機関全体の約6%(注5)を占めています。該当四半期利用医療機関数(件)2019年12月期第1四半期末1,0322019年12月期第2四半期末1,0872019年12月期第3四半期末1,1762019年12月期期末1,1872020年12月期第1四半期末1,2712020年12月期第2四半期末2,1732020年12月期第3四半期末4,3962020年12月期期末5,6142021年12月期第1四半期末6,7562021年12月期第2四半期末7,0332021年12月期第3四半期末7,8082021年12月期期末10,6112022年12月期第1四半期末11,3612022年12月期第2四半期末13,1722022年12月期第3四半期末13,8612022年12月期期末14,165 (注)4. 利用医療機関数とは、当社システム(CLINICS、Pharms、Dentis等)の利用を開始し、解約又は中断せず利用を続けている医療機関の数であり、複数システムを利用している場合は1としてカウントしています。 5. 全国の病院数、一般診療所数及び調剤薬局数の合計を約25万件として計算。出典:厚生労働省「令和元(2019)年医療施設(動態)調査・病院報告の概況」、「令和2年度衛生行政報告例の概要」 ④ 医療情報提供サービス「MEDLEY」当社グループは、患者やその家族に向けて疾患、処方薬及び医療機関等の医療情報を提供するメディアサービスとして、「MEDLEY」を2015年より運営・提供しています。MEDLEYは、患者やその家族が適切な医療情報を取得し、医師との間の情報の非対称性を解消することで自ら医療と向き合う力を持つことをサポートすることを目指しております。MEDLEYは、当社グループ所属の医師や約800名の外部の協力医師により、日進月歩の医療情報を最新の情報に更新し、約1,500件の病気、約3万件の医薬品、約16万件の医療機関の情報をインターネット上で無償公開しています。MEDLEYのコンテンツは、他社が提供する電子カルテサービスや携帯キャリアが運営するヘルスケア関連サービスにも、当社グループからのデータ提供を通じて導入されている他、医師が患者に病気を説明する際の補足資料としても利用されており、医療ヘルスケア領域の様々な場面で活用されています。またMEDLEYでは、既存事業で培った知見や新たに開発したアルゴリズムを活かし、一般ユーザーが入力した症状候補の組み合わせから罹患可能性の高い疾患を絞り込む「症状チェッカー」機能も提供しております。 ⑤ 病院向け電子カルテ「MALL」当社グループは、2021年1月に株式会社パシフィックメディカルを株式取得により連結子会社化いたしました。同社は、約20年間に渡り、中小病院向けに電子カルテを開発・提供しております。同社の電子カルテは、低コスト及び高機能性の双方を実現しているため、利用継続率は99%を誇り、高い顧客満足度を得ております。当社グループでは、当社グループが従前から有している顧客基盤を活用した病院向け電子カルテのシェアの拡大、及び、オンライン診療システムとの連携及び医療・介護・在宅連携を促進するグループ法人向けシステム「MINET」の提携等を進め、病院向け電子カルテの普及及び医療介護連携の強化に取り組んでおります。 ⑥ 医療サポート当社グループが2021年2月に連結子会社化(完全子会社化)した株式会社メディパスが展開する医療サポート事業では、高齢者施設への歯科・医科訪問診療を行う医療機関に対して、経営・運営支援、診療支援、医療事務支援、及び営業支援サービスを提供しております。また、要介護高齢者を対象に、同社のあん摩マッサージ師による医療保険適用の施術を提供しております。 (3) 新規開発サービス当社グループでは、中長期的な成長に向けた新規事業の開発を継続的に行っております。かかる新規開発サービスの1つである「介護のほんね」は、介護施設情報を掲載するサービスです。介護のほんねでは、介護施設の基本情報、設備、写真、費用、施設評価等の幅広い情報をサイト上に掲載しており、介護施設への入居を検討する方やそのご家族が入居先の介護施設を検討し、入居可否の問い合わせ等を行うことをサポートしています。また、介護のほんねでは、医療機関を退院した患者が介護施設に入居するに当たって重要視することの多い、各種疾患を持った患者の医療ケア受け入れ体制についての情報を充実させていることが特長です。 [事業系統図]
FY2021|9,544 文字|出典 docID: S100NQDO
3 【事業の内容】当社グループは、当社及び重要な子会社である株式会社パシフィックメディカル、株式会社メディパスを含む連結子会社6社で構成されております。 当社グループは「医療ヘルスケアの未来をつくる」というミッションのもと、医療ヘルスケア領域において各種インターネットサービスを開発・提供しております。医療ヘルスケア領域においては、医療技術は日々進歩しているものの、法規制の存在やテクノロジー活用の遅れ等の要因により、万人が技術の恩恵を受けられる状況に至るまでには多くの課題が存在しております。そのような中で、医療ヘルスケア領域における様々なステークホルダーと連携しながらインターネットテクノロジーによって課題をひとつひとつ解決していくことが、結果的に患者と医療従事者の双方にとって「納得できる医療」の実現につながると考え、当社グループは社会の実需に対応した課題解決型のサービスを提供しております。 現在は、医療ヘルスケア領域における人材の不足や地域偏在という課題を解決する人材プラットフォーム事業として「ジョブメドレー」及び「メディパスアカデミー介護」を、医療機関の業務効率の改善や患者の医療アクセスの向上等を実現するための医療プラットフォーム事業として「CLINICS」、「Pharms」、「MEDLEY」、「Dentis」及び「MALL」を展開しております。また介護施設を探す方のための介護施設検索サイト「介護のほんね」等の新規開発サービスにも、中長期的な成長の準備として取り組んでおります。当社グループの詳細な事業の内容は以下のとおりです。 (1) 人材プラットフォーム事業高齢化の進む日本において、医療ヘルスケア領域でのサービス提供の担い手不足は深刻な課題です。実際に、医療ヘルスケア領域における有効求人倍率は全産業平均と比べて数倍高い水準で推移しています。しかしながら、病院・診療所等の医療機関や介護・保育等の事業所には中小規模の事業所も多く、採用にリソースを割くことが難しい場合や高単価の人材紹介サービスを利用することが難しい場合もあり、多くの事業所が採用に課題を抱えています。このような課題を解決するべく、当社グループは人材プラットフォーム事業として、医療ヘルスケア領域の事業所向けに成果報酬型の人材採用システム「ジョブメドレー」及びオンライン研修システム「メディパスアカデミー介護」を運営・提供しております。ジョブメドレー及びメディパスアカデミー介護は、以下のような特長を備えております。 ① ジョブメドレー (ア)採用成功時の成果報酬を低単価に設定ジョブメドレーは、求人事業所に求職者が実際に入職した時点で費用が発生する成果報酬型のビジネスモデルを採用しています。医療ヘルスケア領域での人材採用に一般的に利用されている人材紹介サービスを手がける競合他社も、採用時の成果報酬型という点では同一ですが、人材紹介サービスではまず紹介事業者が求職者と電話又は対面によりヒアリングをした上で様々な求人事業所を紹介し、事業所との面接設定や、内定時の採用条件調整といった業務を行うことが一般的です。これに対してジョブメドレーでは、求職者側が自ら絞り込んだ条件のもと求人情報を閲覧し、関心のある求人事業所に直接応募した後に面接に向けたコミュニケーションを取ることができるよう設計しており、人材紹介サービス企業が行う上述のような業務を、求人事業所と求職者がジョブメドレーのサイト上で完結できるようになっております。このように人的コストを省き、インターネット上で採用を完結させられるという低コスト構造を実現することで、ジョブメドレーでは採用成功時の成果報酬を低単価に抑えることができています。医療ヘルスケア領域の人材採用における一般的なビジネスモデルである人材紹介サービスでは、入職者の年収の20〜35%(注1)を採用時の成果報酬として設定していることが多い中、ジョブメドレーにおける採用時の成果報酬は、入職者の年収対比で2〜12%(注2)という水準となっております。 (注)1. 一般的な人材紹介サービスの成果報酬額については、ジョブメドレーが取り扱う50以上の職種の中で、看護師、保育士、理学療法士、歯科医師、介護職等の職種についての人材紹介業の報酬として多くみられる一般的な額を記載したものです(上記とは異なる報酬額設定方法を採用する人材紹介サービスも存在します。)。 2. 当社の成果報酬の年収比は厚生労働省の「令和2年賃金構造基本統計調査」より算出しています(各分野から代表的な職種を抽出した年収額は、概数で看護師492万円、保育士375万円、理学療法士419万円、歯科医師788万円、介護職392万円)。 (イ)医療ヘルスケア領域における幅広い職種の従事者会員を有する日本における約990万人の医療ヘルスケア領域の労働従事者のうち、約22%が医師・看護師・薬剤師となっており、従来からこれらの職種については多くの人材紹介サービスを手がける企業が市場に参入し、競合企業が多く存在しています。一方で、医師・看護師・薬剤師以外の残り約78%の人数を占める職種(注3)については大規模な企業による参入が多くなかったため、ジョブメドレーではこれら職種も含めての幅広く求人を取扱うことにより、多数の顧客事業所を獲得することに成功しております。また、その結果としてジョブメドレーでは、医療ヘルスケア領域において幅広い職種の従事者が登録する会員基盤を構築できており、サービス提供開始以降の累計登録会員数は2021年12月末時点で118万人に達しております。 (注)3. 医療事務、保育士、歯科助手・歯科衛生士、介護職・ヘルパー、看護助手、管理栄養士等。これらの職種においては人材紹介サービスを提供する競合企業があまり存在せず、ハローワークや掲載課金型のタウン誌等で求人が行われることが多くなっております。 (ウ)ダイレクトリクルーティングの機能医療ヘルスケア領域における人材の地域偏在が課題となっている昨今、当社グループでは、全国的な採用活動を行うことが難しい中小規模の事業所が人材を確保するためには、事業者自らが積極的に「求める人材を探し出し、魅力を伝え、採用する」という採用手法(ダイレクトリクルーティング)が有効であると考えています。ジョブメドレーでは、顧客である事業所がその知名度や地域にかかわらず、必要な人材を採用できる手法を提供するために、求職者向けスカウトメッセージの送信機能を充実させています。この結果として、2021年12月期においてジョブメドレー上で送信されたスカウト通数は344.2万件に上っております。上記の特長を活かし、ジョブメドレーの顧客事業所数は堅調に増加しており、現在では、医療ヘルスケア領域の事業所全体の110.6万事業所(注4)のうち約23%に相当する25.4万事業所(注5)がジョブメドレーの顧客となっております。また、これらの顧客事業所のうち約半数が掲載事業所(顧客事業所のうち、ジョブメドレーに求人案件を掲載している事業所をいう。以下同じ。)となっており、25.2万件以上(注5)の求人案件がジョブメドレー上に掲載されております。また、求職者にとってはより多くの求人情報が掲載されていることが利便性につながるため、ジョブメドレーでは顧客事業所のうち求人案件を掲載している掲載事業所を増やし、また掲載されている求人案件の数も増やすための利用促進の取り組みにも注力しております。これに加えて、サイト上での事業所インタビュー記事やバナー広告掲載等のオプションプラン提供にも取り組んでおります。(注)4. 厚生労働省、総務省、内閣府及び一般社団法人全国訪問看護事業協会提供の各事業所数の統計数値の合算値。5. 顧客事業所数及び求人案件数はいずれも2021年12月末日現在。顧客事業所数の内訳は医科2.3万、薬局4.8万、歯科1.8万、介護10.2万、その他6.2万。 ② メディパスアカデミー介護当社グループは、2021年2月に株式会社メディパスを株式取得により完全子会社化いたしました。同社は、医療機関及び介護事業所向けのサービスを複数展開しており、特に、オンライン研修サービス「メディパスアカデミー介護」では、2018年のリリース以降、介護事業所向けに多数のコンテンツを提供しており、豊富な導入実績を誇っております。当社が従前から有しているジョブメドレーの顧客基盤を活用することで、より多くの介護事業所にコンテンツを提供し、さらに、介護事業所以外の事業所にも横展開することで、医療ヘルスケア領域における人材育成を通じて人材の不足や地域偏在の課題解決にアプローチできると考えておりますジョブメドレー及びメディパスアカデミー介護の顧客事業所数(注6)と顧客事業所当たり売上額は下表のとおりです。 該当四半期顧客事業所数(件)(注6)顧客事業所当たり売上額(円)2019年12月期第1四半期末156,1224,8422019年12月期第2四半期末165,2529,3002019年12月期第3四半期末174,6625,6312019年12月期期末182,2205,1742020年12月期第1四半期末192,3785,7892020年12月期第2四半期末197,8199,8702020年12月期第3四半期末207,0626,7612020年12月期期末216,0446,0122021年12月期第1四半期末226,0306,7492021年12月期第2四半期末236,42011,4682021年12月期第3四半期末246,0557,5612021年12月期期末255,1187,627 (注)6. 2021年12月期第2四半期末より、メディパスアカデミー介護も対象となっております。 (2) 医療プラットフォーム事業日本の医療においては、診察・会計・処方箋交付までの待ち時間が長いこと、疾患情報へのアクセスが十分でないこと、及び疾患の治療に関わる情報を患者自身で管理することが難しいこと等、患者の通院体験における様々な課題が存在しています。このような課題に対処するため、当社グループの医療プラットフォーム事業では、患者の通院体験の向上を目指した事業を展開しています。当社グループでは、オンライン診療にまつわる規制緩和に歩みを合わせる形で、2016年2月よりオンライン診療システム「CLINICSオンライン診療」を医療機関向けに開発・提供してきました。その後、クラウド型電子カルテ「CLINICSカルテ」や予約管理システム「CLINICS予約」の機能拡張を行い、医療機関が予約、診療、会計までを一貫して1つのシステムで管理できるようにすることで、医療機関の診療効率の改善に寄与するとともに、患者の通院体験も向上させるSaaS(注1)として、医療機関からシステム利用料を徴収するビジネスモデルでクラウド診療支援システム「CLINICS」を開発・提供しています。また、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(以下「薬機法」という。)の改正に伴い、2020年9月より、全国的にオンライン服薬指導が可能になったことを受け、同月にかかりつけ薬局支援システム「Pharms」の提供を開始しています。「Pharms」により、調剤薬局はオンライン服薬指導の予約受付、オンライン服薬指導、処方薬の代金決済までを一括管理することができ、患者は「CLINICSオンライン診療」と組み合わせることで、診療から服薬指導まで、一気通貫でのオンライン医療体験が可能となります。さらに、患者やその家族が適切な医療情報にアクセスすることが難しく、医師との間に医療情報の非対称性が存在している、という課題に取り組むために医療情報提供サービス「MEDLEY」をメディアとして提供しており、医療プラットフォーム事業全体として、医療機関の診療業務を効率化するだけでなく、患者が医療と向き合っていくための助力となるための事業を展開しております。医療プラットフォーム事業においては、上述のような事業展開方針を踏まえ、以下のような個別事業を運営しております。 (注)1. SaaS(Software as a Service)とは、サービス提供者側で稼働しているソフトウェアをインターネット等のネットワーク経由で利用者向けに提供する方式を指します。 ① クラウド診療支援システム「CLINICS」CLINICSは、オンライン診療システム「CLINICSオンライン診療」、予約管理システム「CLINICS予約」及びクラウド型電子カルテ「CLINICSカルテ」を通じて、医療機関が予約、診療、会計までを一貫して1つのシステムで管理できるようにすることで、医療機関の診療効率の改善に寄与するとともに、患者の通院体験も向上させるクラウド診療支援システムです。CLINICSオンライン診療は、医療機関がオンライン診療を実施する際に必要な診察予約管理、ビデオチャット、会計及び薬の処方等の機能を提供するオンライン診療システムです。2015年8月に発行された厚生労働省からの通達(2015年8月10日 厚生労働省医政局長 事務連絡)で、オンライン診療の実施はへき地・離島に限られず、また特定の慢性疾患以外の一般の疾患にも利用可能であることが明らかにされたことを受け、当社グループでは2016年2月よりオンライン診療システムの提供を開始しました。2020年4月10日には、初診患者にもオンライン診療を時限的に認める事務連絡が発出され、2022年度診療報酬改定において、政府方針としてオンライン診療の更なる利用促進が推進されております。当社グループではこのような規制環境下において、学会や行政等と連携しながら、CLINICSを用いたオンライン診療の拡大に取り組んでおります。CLINICSオンライン診療を導入している医療機関を受診する場合、患者はスマートフォンやパソコンを用いて、自宅や会社にいながらオンライン診療を受けることができます。オンライン診療の終了後、医療機関は、診察費を患者がCLINICS上に登録したクレジットカードに請求し、必要に応じて患者に医薬品や処方箋を送付します。CLINICSオンライン診療は、医療過疎地域から都市部まで、また診療所から大学病院まで幅広く様々な診療科において活用されております。CLINICSオンライン診療では、医療機関の業務フローの中にオンライン診療を取り入れるための導入支援や、豊富な活用事例に根ざした導入後の活用促進サポートに注力しております。また、CLINICS予約は、オンライン診療だけでなく、対面診療の予約管理にも対応していることから、医療機関がオンライン診療と対面診療を負担なく組み合わせて予約管理を効率化できるシステムとなっております。 CLINICSカルテは、医療機関が患者と「つながる」ことをコンセプトとしたクラウド型電子カルテであり、当社グループは2018年4月より医療機関向けにシステム提供を開始しております。CLINICSカルテはCLINICSオンライン診療と連携しており、診療データや疾患情報等を医療機関がアプリ経由で患者に共有したり、患者が事前に記入した問診票をカルテ上に反映したりすることが可能になっています。従来のオンプレミス型電子カルテ(注2)では実現できなかった患者への通院サポートや、診察待ちの時間を短縮することによる診療業務の効率化等のメリットを備えた新しいコンセプトのクラウド型電子カルテとして、利用医療機関数を拡大してきております。 また、CLINICSカルテは、利用医療機関が効率的な診療を実現するための特長として、国内有数の市場シェアを持つ日本医師会標準レセプトソフト(注3)であるORCAを内包しております。これにより、利用医療機関はレセプトソフトを別途操作する必要がなく、患者受付・診察・会計・レセプト処理まで全ての業務を統一されたユーザーインターフェースで操作することができるため、業務効率を大幅に向上させることができます。(注)2. オンプレミス型とは、システム利用拠点に用意されたサーバーにソフトウェアをインストールしてシステムを利用する形態を指し、サーバーがクラウド上に存在するクラウド型と対比される形態です。3. レセプトソフトとは、医療機関がレセプト(診療報酬明細書)を支払基金や国民健康保険団体連合会に提出するための診療報酬計算を行う医事会計ソフトウェアを指します。 ② かかりつけ薬局支援システム「Pharms」Pharmsは、オンライン服薬指導、処方箋ネット受付、キャッシュレス決済等の機能を提供し、調剤薬局における業務の効率化や「かかりつけ薬局」への転換を支援するシステムです。薬機法の改正に伴い、2020年9月より全国的にオンライン服薬指導が可能になったことを受け、同月に調剤薬局向けのサービスとして運営・提供を開始しました。Pharmsを導入している調剤薬局を利用する場合、患者はCLINICSオンライン診療を利用する際と同様に、スマートフォンやパソコンを用いて、自宅にいながらオンライン服薬指導を受けることができます。オンライン服薬指導の終了後、調剤薬局は、患者がCLINICS上に登録したクレジットカードに調剤報酬を請求し、患者の自宅に薬剤を送付します。また、2021年4月より、従前のオンライン服薬指導の機能に加え、電子お薬手帳、服薬フォローアップ等の新機能の提供を開始し、かかりつけ薬局に求められる各種業務がワンストップで実施可能になりました。Pharmsは、デジタル活用の関心の高い調剤薬局業界において、大手・準大手チェーンを中心に導入が進んでいます。 医療プラットフォーム事業において、当社グループではクラウド診療支援システム「CLINICS」及びかかりつけ薬局支援システム「Pharms」等の当社システムの利用医療機関数を重要指標に設定しています。サービス開始以降の利用医療機関数(注4)の推移は下表のとおりであり、2021年12月期期末における利用医療機関数の10,611件は、日本の医療機関全体の約6%(注5)を占めています。該当四半期利用医療機関数(件)2019年12月期第1四半期末1,0322019年12月期第2四半期末1,0872019年12月期第3四半期末1,1762019年12月期期末1,1872020年12月期第1四半期末1,2712020年12月期第2四半期末2,1732020年12月期第3四半期末4,3962020年12月期期末5,6142021年12月期第1四半期末6,7562021年12月期第2四半期末7,0332021年12月期第3四半期末7,8082021年12月期期末10,611 (注)4. 利用医療機関数とは、当社システム(CLINICS、Pharms等)の利用を開始し、解約又は中断せず利用を続けている医療機関の数であり、複数システムを利用している場合は1としてカウントしています。 5. 全国の病院数、一般診療所数及び調剤薬局数の合計を約17万件として計算。出典:厚生労働省「令和2(2020)年医療施設(動態)調査・病院報告の概況」、「令和元年度衛生行政報告例の概要」 ③ 医療情報提供サービス「MEDLEY」当社グループは、患者やその家族に向けて疾患、処方薬及び医療機関等の医療情報を提供するメディアサービスとして、「MEDLEY」を2015年より運営・提供しています。MEDLEYは、患者やその家族が適切な医療情報を取得し、医師との間の情報の非対称性を解消することで自ら医療と向き合う力を持つことをサポートすることを目指しております。MEDLEYは、当社グループ所属の医師や約800名の外部の協力医師により、日進月歩の医療情報を最新の情報に更新し、1,500以上の病気、3万以上の医薬品、17万以上の医療機関の情報をインターネット上で無償公開しています。MEDLEYのコンテンツは、他社が提供する電子カルテサービスや携帯キャリアが運営するヘルスケア関連サービスにも、当社グループからのデータ提供を通じて導入されている他、医師が患者に病気を説明する際の補足資料としても利用されており、医療ヘルスケア領域の様々な場面で活用されています。またMEDLEYでは、既存事業で培った知見や新たに開発したアルゴリズムを活かし、一般ユーザーが入力した症状候補の組み合わせから罹患可能性の高い疾患を絞り込む「症状チェッカー」機能も提供しております。 ④ クラウド歯科業務支援システム「Dentis」当社グループは、2022年1月より、新しい患者体験の提供と業務効率の向上をめざした歯科向けのクラウド業務支援システム「Dentis」の提供を開始しております。レセコン、電子カルテといった基幹システムに加えて、患者の医療体験を向上させるかかりつけ支援機能までをトータルで提供することで、患者自身の主体的な関与(患者エンゲージメント)を促し、治療中心の診療から予防中心の診療への変化を支援するプロダクトとなっています。 ⑤ 病院向け電子カルテ「MALL」当社グループは、2021年1月に株式会社パシフィックメディカルを株式取得により連結子会社化いたしました。同社は、17年間に渡り、中小病院向けに電子カルテを開発・提供しております。同社の電子カルテは、低コスト及び高機能性の双方を実現しているため、過去17年間の利用継続率は98%を誇り、高い顧客満足度を得ております。当社グループでは、当社が従前から有している顧客基盤を活用した病院向け電子カルテのシェアの拡大、及び、オンライン診療システムとの連携及び医療・介護・在宅連携を促進するグループ法人向けシステム「MINET」の提携等を進め、病院向け電子カルテの普及及び医療介護連携の強化に取り組んでおります。 ⑥ 医療サポート当社グループが2021年2月に連結子会社化(完全子会社化)した株式会社メディパスが展開する医療サポート事業では、高齢者施設への歯科・医科訪問診療を行う医療機関に対して、経営・運営支援、診療支援、医療事務支援、及び営業支援サービスを提供しております。また、要介護高齢者を対象に、同社のあん摩マッサージ師による医療保険適用の施術を提供しております。 (3) 新規開発サービス当社グループでは、中長期的な成長に向けた新規事業の開発を継続的に行っております。かかる新規開発サービスの1つである「介護のほんね」は、介護施設情報を掲載するサービスです。介護のほんねでは、介護施設の基本情報、設備、写真、費用、施設評価等の幅広い情報をサイト上に掲載しており、介護施設への入居を検討する方やそのご家族が入居先の介護施設を検討し、入居可否の問い合わせ等を行うことをサポートしています。また、介護のほんねでは、医療機関を退院した患者が介護施設に入居するに当たって重要視することの多い、各種疾患を持った患者の医療ケア受け入れ体制についての情報を充実させていることが特長です。 [事業系統図]
FY2020|8,858 文字|出典 docID: S100L0V1
3 【事業の内容】当社グループは、当社及び連結子会社(完全子会社)の株式会社NaClメディカル、MEDS株式会社、株式会社オーティーオーの4社で構成されております。当社グループは「医療ヘルスケアの未来をつくる」というミッションのもと、医療ヘルスケア領域において各種インターネットサービスを開発・提供しております。医療ヘルスケア領域においては、医療技術は日々進歩しているものの、法規制の存在やテクノロジー活用の遅れ等の要因により、万人が技術の恩恵を受けられる状況に至るまでには多くの課題が存在しております。そのような中で、医療ヘルスケア領域における様々なステークホルダーと連携しながらインターネットテクノロジーによって課題をひとつひとつ解決していくことが、結果的に患者と医療従事者の双方にとって「納得できる医療」の実現につながると考え、当社グループは社会の実需に対応した課題解決型のサービスを提供しております。 現在は、医療ヘルスケア領域における人材の不足や地域偏在という課題を解決する人材プラットフォーム事業として「ジョブメドレー」を、医療機関の業務効率の改善や患者の医療アクセスの向上等を実現するための医療プラットフォーム事業として「CLINICS」、「Pharms」及び「MEDLEY」を展開しております。また介護施設を探す方のための介護施設検索サイト「介護のほんね」等の新規開発サービスにも、中長期的な成長の準備として取り組んでおります。当社グループの詳細な事業の内容は以下のとおりです。 (1) 人材プラットフォーム事業高齢化の進む日本において、医療ヘルスケア領域でのサービス提供の担い手不足は深刻な課題です。実際に、医療ヘルスケア領域における有効求人倍率は全産業平均と比べて数倍高い水準で推移しています。しかしながら、病院・診療所等の医療機関や介護・保育等の事業所には中小規模の事業所も多く、採用にリソースを割くことが難しい場合や高単価の人材紹介サービスを利用することが難しい場合もあり、多くの事業所が採用に課題を抱えています。このような課題を解決するべく、当社グループは人材プラットフォーム事業として、医療ヘルスケア領域の事業所向けに成果報酬型の人材採用システム「ジョブメドレー」を運営・提供しております。ジョブメドレーは、各々の事業所による積極的な採用活動を通して求人事業所と求職者のマッチング数を最大化することを目指しており、その実現のため以下のような特長を備えております。 ① 採用成功時の成果報酬を低単価に設定ジョブメドレーは、求人事業所に求職者が実際に入職した時点で費用が発生する成果報酬型のビジネスモデルとなっています。医療ヘルスケア領域での人材採用に一般的に利用されている人材紹介サービスを手がける競合他社も、採用時の成果報酬型という点では同一ですが、人材紹介サービスではまず紹介事業者が求職者と電話又は対面によりヒアリングをした上で様々な求人事業所を紹介し、事業所との面接設定や、内定時の採用条件調整といった業務を行うことが一般的です。これに対してジョブメドレーでは、求職者側が自ら絞り込んだ条件のもと求人情報を閲覧し、関心のある求人事業所に直接応募した後に面接に向けたコミュニケーションを取ることができるよう設計しており、人材紹介サービス企業が行う上述のような業務を、求人事業所と求職者がジョブメドレーのサイト上で完結できるようになっております。このように人的コストを省き、インターネット上で採用を完結させられるという低コスト構造を実現することで、ジョブメドレーでは採用成功時の成果報酬を低単価に抑えることができております。医療ヘルスケア領域の人材採用における一般的なビジネスモデルである人材紹介サービスでは、入職者の年収の20~35%(注1)を採用時の成果報酬として設定していることが多い中、ジョブメドレーにおける採用時の成果報酬は、入職者の年収対比で2~13%(注2)という水準となっております。 (注)1. 一般的な人材紹介サービスの成果報酬額については、ジョブメドレーが取り扱う50以上の職種の中で、看護師、保育士、理学療法士、歯科医師、介護職等の職種についての人材紹介業の報酬として多くみられる一般的な額を記載したものです(上記とは異なる報酬額設定方法を採用する人材紹介サービスも存在します。)。 2. 当社の成果報酬の年収比は厚生労働省の「平成30年賃金構造基本統計調査」より算出しています(各分野から代表的な職種を抽出した年収額は、概数で看護師480万円、保育士358万円、理学療法士408万円、歯科医師849万円、介護職340万円)。 ② 医療ヘルスケア領域における幅広い職種の従事者会員を有する日本における約870万人の医療ヘルスケア領域の労働従事者のうち、約25%が医師・看護師・薬剤師となっており、従来からこれらの職種については多くの人材紹介サービスを手がける企業が市場に参入し、競合企業が多く存在しています。一方で、医師・看護師・薬剤師以外の残り約75%の人数を占める職種(注3)については大規模な企業による参入が多くなかったため、ジョブメドレーではこれら職種も含めての幅広く求人を取扱うことにより、多数の顧客事業所を獲得することに成功しております。また、その結果としてジョブメドレーでは、医療ヘルスケア領域において幅広い職種の従事者が登録する会員基盤を構築できており、サービス提供開始以降の累計登録会員数は2020年12月末時点で85.9万人に達しております。 (注)3. 医療事務、保育士、歯科助手・歯科衛生士、介護職・ヘルパー、看護助手、管理栄養士等。これらの職種においては人材紹介サービスを提供する競合企業があまり存在せず、ハローワークや掲載課金型のタウン誌等で求人が行われることが多くなっております。 ③ ダイレクトリクルーティングの機能医療ヘルスケア領域における人材の地域偏在が課題となっている昨今、当社グループでは、全国的な採用活動を行うことが難しい中小規模の事業所が人材を確保するためには、事業者自らが積極的に「求める人材を探し出し、魅力を伝え、採用する」という採用手法(ダイレクトリクルーティング)が有効であると考えています。ジョブメドレーでは、顧客である事業所がその知名度や地域にかかわらず、必要な人材を採用できる手法を提供するために、求職者向けスカウトメッセージの送信機能を充実させています。この結果として、2020年12月期第4四半期会計期間においてジョブメドレー上で送信されたスカウト通数は60.6万件に上っております。上記の特長を活かし、ジョブメドレーの顧客事業所数は堅調に増加しており、現在では、医療ヘルスケア領域の事業所全体の110.6万事業所(注4)のうち約20%に相当する21.6万事業所(注5)がジョブメドレーの顧客となっております。また、これらの顧客事業所のうち約半数が掲載事業所(顧客事業所のうち、ジョブメドレーに求人案件を掲載している事業所をいう。以下同じ。)となっており、21.5万件以上(注5)の求人案件がジョブメドレー上に掲載されております。また、求職者にとってはより多くの求人情報が掲載されていることが利便性につながるため、ジョブメドレーでは顧客事業所のうち求人案件を掲載している掲載事業所を増やし、また掲載されている求人案件の数も増やすための利用促進の取り組みにも注力しております。これに加えて、サイト上での事業所インタビュー記事やバナー広告掲載等のオプションプラン提供にも取り組んでおります。ジョブメドレーの顧客事業所数及び顧客事業所当たり売上額は下表のとおりです。該当四半期顧客事業所数(件)顧客事業所当たり売上額(円)2018年12月期第1四半期末124,2433,4932018年12月期第2四半期末132,8577,2802018年12月期第3四半期末140,9444,3952018年12月期期末148,2634,0902019年12月期第1四半期末156,1224,8422019年12月期第2四半期末165,2529,3002019年12月期第3四半期末174,6625,6312019年12月期期末182,2205,1742020年12月期第1四半期末192,3785,7892020年12月期第2四半期末197,8199,8702020年12月期第3四半期末207,0626,7612020年12月期期末216,0446,012 (注)4. 厚生労働省、総務省、内閣府及び一般社団法人全国訪問看護事業協会提供の各事業所数の統計数値の合算値。 5. 顧客事業所数及び求人案件数はいずれも2020年12月末日現在。顧客事業所数の内訳は医科1.9万、薬局4.4万、歯科1.4万、介護8.8万、その他4.9万。 (2) 医療プラットフォーム事業日本の医療においては、診察・会計・処方箋交付までの待ち時間が長いこと、疾患情報へのアクセスが十分でないこと、及び疾患の治療に関わる情報を患者自身で管理することが難しいこと等、患者の通院体験における様々な課題が存在しています。このような課題に対処するため、当社グループの医療プラットフォーム事業では、患者の通院体験の向上を目指した事業を展開しています。当社グループでは、オンライン診療にまつわる規制緩和に歩みを合わせる形で、2016年2月よりオンライン診療システム「CLINICSオンライン診療」を医療機関向けに開発・提供してきました。その後、クラウド型電子カルテ「CLINICSカルテ」や予約管理システム「CLINICS予約」の機能拡張を行い、医療機関が予約、診療、会計までを一貫して1つのシステムで管理できるようにすることで、医療機関の診療効率の改善に寄与するとともに、患者の通院体験も向上させるSaaS(注1)として、医療機関からシステム利用料を徴収するビジネスモデルでクラウド診療支援システム「CLINICS」を開発・提供しています。また、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(以下「薬機法」という。)の改正に伴い、2020年9月より、全国的にオンライン服薬指導が可能になったことを受け、同月に調剤薬局窓口支援システム「Pharms」の提供を開始しています。「Pharms」により、調剤薬局はオンライン服薬指導の予約受付、オンライン服薬指導、処方薬の代金決済までを一括管理することができ、患者は「CLINICSオンライン診療」と組み合わせることで、診療から服薬指導まで、一気通貫でのオンライン医療体験が可能となります。さらに、患者やその家族が適切な医療情報にアクセスすることが難しく、医師との間に医療情報の非対称性が存在している、という課題に取り組むために医療情報提供サービス「MEDLEY」をメディアとして提供しており、医療プラットフォーム事業全体として、医療機関の診療業務を効率化するだけでなく、患者が医療と向き合っていくための助力となるための事業を展開しております。 (注)1. SaaS(Software as a Service)とは、サービス提供者側で稼働しているソフトウェアをインターネット等のネットワーク経由で利用者向けに提供する方式を指します。 当社グループが医療プラットフォーム事業として提供するシステム及びサービスの特長は以下のとおりです。① CLINICSオンライン診療、CLINICS予約CLINICSオンライン診療は、医療機関がオンライン診療を実施する際に必要な診察予約管理、ビデオチャット、会計及び薬の処方等の機能を提供するオンライン診療システムです。2015年8月に発行された厚生労働省からの通達(2015年8月10日 厚生労働省医政局長 事務連絡)で、オンライン診療の実施はへき地・離島に限られず、また特定の慢性疾患以外の一般の疾患にも利用可能であることが明らかにされたことを受け、当社グループでは2016年2月よりオンライン診療システムの提供を開始しました。2020年4月10日には、初診患者にもオンライン診療を時限的に認める事務連絡が発出され、同年9月に菅政権が発足し、デジタル化推進策の1つとして、オンライン診療に関する時限的措置の恒久化も検討されております。当社グループではこのような規制環境下において、学会や行政等と連携しながら、CLINICSを用いたオンライン診療の拡大に取り組んでおります。CLINICSオンライン診療を導入している医療機関を受診する場合、患者はスマートフォンやパソコンを用いて、自宅や会社にいながらオンライン診療を受けることができます。オンライン診療の終了後、医療機関は、診察費を患者がCLINICS上に登録したクレジットカードに請求し、必要に応じて患者に医薬品や処方箋を送付します。CLINICSオンライン診療は、医療過疎地域から都市部まで、また診療所から大学病院まで幅広く様々な診療科において活用されております。CLINICSオンライン診療では、医療機関の業務フローの中にオンライン診療を取り入れるための導入支援や、豊富な活用事例に根ざした導入後の活用促進サポートに注力しております。また、CLINICS予約は、オンライン診療だけでなく、対面診療の予約管理にも対応していることから、医療機関がオンライン診療と対面診療を負担なく組み合わせて予約管理を効率化できるシステムとなっております。 ② CLINICSカルテCLINICSカルテは、医療機関が患者と「つながる」ことをコンセプトとしたクラウド型電子カルテであり、当社グループは2018年4月より医療機関向けにシステム提供を開始しております。CLINICSカルテはCLINICSオンライン診療と連携しており、診療データや疾患情報等を医療機関がアプリ経由で患者に共有したり、患者が事前に記入した問診票をカルテ上に反映したりすることが可能になっています。従来のオンプレミス型電子カルテ(注2)では実現できなかった患者への通院サポートや、診察待ちの時間を短縮することによる診療業務の効率化等のメリットを備えた新しいコンセプトのクラウド型電子カルテとして、利用医療機関数を拡大してきております。 また、CLINICSカルテは、利用医療機関が効率的な診療を実現するための特長として、国内有数の市場シェアを持つ日本医師会標準レセプトソフト(注3)であるORCAを内包しております。これにより、利用医療機関はレセプトソフトを別途操作する必要がなく、患者受付・診察・会計・レセプト処理まで全ての業務を統一されたユーザーインターフェースで操作することができるため、業務効率を大幅に向上させることができます。(注)2. オンプレミス型とは、システム利用拠点に用意されたサーバーにソフトウェアをインストールしてシステムを利用する形態を指し、サーバーがクラウド上に存在するクラウド型と対比される形態です。3. レセプトソフトとは、医療機関がレセプト(診療報酬明細書)を支払基金や国民健康保険団体連合会に提出するための診療報酬計算を行う医事会計ソフトウェアを指します。 ③ 調剤薬局向け窓口支援システム「Pharms」Pharmsは、オンライン服薬指導、処方箋ネット受付、キャッシュレス決済等の機能を提供し、調剤薬局における業務の効率化や「かかりつけ薬局」への転換を支援するシステムです。薬機法の改正に伴い、2020年9月より全国的にオンライン服薬指導が可能になったことを受け、同月に調剤薬局向けのサービスとして運営・提供を開始しました。Pharmsを導入している調剤薬局を利用する場合、患者はCLINICSオンライン診療を利用する際と同様に、スマートフォンやパソコンを用いて、自宅にいながらオンライン服薬指導を受けることができます。オンライン服薬指導の終了後、調剤薬局は、患者がCLINICS上に登録したクレジットカードに調剤報酬を請求し、患者の自宅に薬剤を送付します。Pharmsは、デジタル活用の関心の高い調剤薬局業界において、大手・準大手チェーンを中心に導入が進んでいます。また、2020年12月には、株式会社オーティーオーを連結子会社化(完全子会社化)し、調剤薬局向け窓口支援システムの機能拡張や新たなプロダクトの開発を目的とした実証実験拠点として調剤薬局を運営しています。医療プラットフォーム事業において、当社グループではクラウド診療支援システム「CLINICS」及び調剤薬局窓口支援システム「Pharms」等の当社システムの利用医療機関数を重要指標に設定しています。サービス開始以降の利用医療機関数(注4)の推移は下表のとおりであり、2020年12月期期末における利用医療機関数の5,614件は、日本の医療機関全体の約3%(注5)を占めています。該当四半期利用医療機関数(件)2018年12月期第1四半期末7982018年12月期第2四半期末8032018年12月期第3四半期末8822018年12月期期末9722019年12月期第1四半期末1,0322019年12月期第2四半期末1,0872019年12月期第3四半期末1,1762019年12月期期末1,1872020年12月期第1四半期末1,2712020年12月期第2四半期末2,1732020年12月期第3四半期末4,3962020年12月期期末5,614 (注)4. 利用医療機関数とは、当社システム(CLINICS、Pharms等)の利用を開始し、解約又は中断せず利用を続けている医療機関の数であり、複数システムを利用している場合は1としてカウントしています。 5. 全国の病院数、一般診療所数及び調剤薬局数の合計を約18万件として計算。出典:厚生労働省「医療施設調査・病院報告の結果の概要」、「衛生行政報告例の概要」 ④ 医療情報提供サービス「MEDLEY」当社グループは、患者やその家族に向けて疾患、処方薬及び医療機関等の医療情報を提供するメディアサービスとして、「MEDLEY」を2015年より運営・提供しています。MEDLEYは、患者やその家族が適切な医療情報を取得し、医師との間の情報の非対称性を解消することで自ら医療と向き合う力を持つことをサポートすることを目指しております。MEDLEYは、当社グループ所属の医師や約800名の外部の協力医師により、日進月歩の医療情報を最新の情報に更新し、1,400以上の病気、3万以上の医薬品、16万以上の医療機関の情報をインターネット上で無償公開しています。MEDLEYのコンテンツは、他社が提供する電子カルテサービスや携帯キャリアが運営するヘルスケア関連サービスにも、当社グループからのデータ提供を通じて導入されている他、医師が患者に病気を説明する際の補足資料としても利用されており、医療ヘルスケア領域の様々な場面で活用されています。またMEDLEYでは、既存事業で培った知見や新たに開発したアルゴリズムを活かし、一般ユーザーが入力した症状候補の組み合わせから罹患可能性の高い疾患を絞り込む「症状チェッカー」機能も提供しております。 ⑤ 株式会社NaClメディカル当社グループは、2019年3月に株式会社NaClメディカルを株式取得により完全子会社化いたしました。同社は、日本医師会標準レセプトソフト「ORCA」(医事会計ソフトウェア)の開発を長年担ってきた株式会社ネットワーク応用通信研究所の医療システム開発チームを、会社分割により関連する事業とともに承継することで2019年2月に設立された新設会社です。同社の事業は、日本医師会ORCA管理機構株式会社からのORCAソフトウェア開発案件の受託事業と、同社の所在地周辺に拠点を有する診療所に向けてORCAの活用・保守を提供するサポート事業の2つから構成されております。当社グループでは、同社が有するレセプトソフト開発ノウハウを活用し、これに当社グループが従前から有していたインターネット技術をかけあわせることで、高い付加価値を持ったプロダクト開発に取り組んでおります。 (3) 新規開発サービス当社グループでは、当社グループの中長期的な成長に向けた新規事業の開発を継続的に行っております。かかる新規開発サービスの1つである「介護のほんね」は、10万件以上の介護施設情報を掲載するサービスです。介護のほんねでは、介護施設の基本情報、設備、写真、費用、施設評価等の幅広い情報をサイト上に掲載しており、介護施設への入居を検討する方やそのご家族が入居先の介護施設を検討し、入居可否の問い合わせ等を行うことをサポートしています。また、介護のほんねでは、医療機関を退院した患者が介護施設に入居するに当たって重要視することの多い、各種疾患を持った患者の医療ケア受け入れ体制についての情報を充実させていることが特長です。なお、,介護のほんねの主な収益形態は顧客である介護施設への入居者紹介の成果報酬が主な収益形態となっておりますが、新規事業であることから、将来的に変更される可能性があります。 [事業系統図](注)1. 新規開発サービス(介護のほんね)については、様々な収益形態を模索しておりますが、現時点で実施している事業形態を記載しております。2. 株式会社オーティーオーは、2020年12月に当社が全株式を取得し、完全子会社(連結子会社)といたしました。
FY2019|8,198 文字|出典 docID: S100IB7R
3 【事業の内容】当社グループは、当社及び連結子会社(完全子会社)の株式会社NaClメディカルの2社で構成されております。当社グループは「医療ヘルスケアの未来をつくる」というミッションのもと、医療ヘルスケア領域において各種インターネットサービスを開発・提供しております。医療ヘルスケア領域においては、医療技術は日々進歩しているものの、法規制の存在やテクノロジー活用の遅れ等の要因により、万人が技術の恩恵を受けられる状況に至るまでには多くの課題が存在しております。そのような中で、医療ヘルスケア領域における様々なステークホルダーと連携しながらインターネットテクノロジーによって課題をひとつひとつ解決していくことが、結果的に患者と医療従事者の双方にとって「納得できる医療」の実現につながると考え、当社グループは社会の実需に対応した課題解決型のサービスを提供しております。 現在は、医療ヘルスケア領域における人材の不足や地域偏在という課題を解決する人材プラットフォーム事業として「ジョブメドレー」を、医療機関の業務効率の改善や患者の医療アクセスの向上等を実現するための医療プラットフォーム事業として「CLINICS」及び「MEDLEY」を展開しております。また介護施設を探す方のための介護施設検索サイト「介護のほんね」等の新規開発サービスにも、中長期的な成長の準備として取り組んでおります。当社グループの詳細な事業の内容は以下のとおりです。 (1) 人材プラットフォーム事業高齢化の進む日本において、医療ヘルスケア領域でのサービス提供の担い手不足は深刻な課題です。実際に、医療ヘルスケア領域における有効求人倍率は全産業平均と比べて数倍高い水準で推移しています。しかしながら、病院・診療所等の医療機関や介護・保育等の事業所には中小規模の事業所も多く、採用にリソースを割くことが難しい場合や高単価の人材紹介サービスを利用することが難しい場合もあり、多くの事業所が採用に課題を抱えています。このような課題を解決するべく、当社グループは人材プラットフォーム事業として、医療ヘルスケア領域の事業所向けに成果報酬型の人材採用システム「ジョブメドレー」を運営・提供しております。 ジョブメドレーは、各々の事業所による積極的な採用活動を通して求人事業所と求職者のマッチング数を最大化することを目指しており、その実現のため以下のような特長を備えております。 ① 採用成功時の成果報酬を低単価に設定ジョブメドレーは、求人事業所に求職者が実際に入職した時点で費用が発生する成果報酬型のビジネスモデルとなっています。医療ヘルスケア領域での人材採用に一般的に利用されている人材紹介サービスを手がける競合他社も、採用時の成果報酬型という点では同一ですが、人材紹介サービスではまず紹介事業者が求職者と電話又は対面によりヒアリングをした上で様々な求人事業所を紹介し、事業所との面接設定や、内定時の採用条件調整といった業務を行うことが一般的です。これに対してジョブメドレーでは、求職者側が自ら絞り込んだ条件のもと求人情報を閲覧し、興味のある求人事業所に直接応募した後に面接に向けたコミュニケーションを取ることができるよう設計しており、人材紹介サービス企業が行う上述のような業務を、求人事業所と求職者がジョブメドレーのサイト上で完結できるようになっております。 このように人的コストを省き、インターネット上で採用を完結させられるという低コスト構造を実現することで、ジョブメドレーでは採用成功時の成果報酬を低単価に抑えることができております。医療ヘルスケア領域の人材採用における一般的なビジネスモデルである人材紹介サービスでは、入職者の年収の20〜35%(注1)を採用時の成果報酬として設定していることが多い中、ジョブメドレーにおける採用時の成果報酬は、入職者の年収対比で2〜13%(注2)という水準となっております。 (注)1. 一般的な人材紹介サービスの成果報酬額については、ジョブメドレーが取り扱う50以上の職種の中で、看護師、保育士、理学療法士、歯科医師、介護職等の職種についての人材紹介業の報酬として多くみられる一般的な額を記載したものです(上記とは異なる報酬額設定方法を採用する人材紹介サービスも存在します。)。 2. 当社の成果報酬の年収比は厚生労働省の「平成30年賃金構造基本統計調査」より算出しています(各分野から代表的な職種を抽出した年収額は、概数で看護師480万円、保育士358万円、理学療法士408万円、歯科医師849万円、介護職340万円)。 ② 医療ヘルスケア領域における幅広い職種の従事者会員を有する日本における約700万人の医療ヘルスケア領域の労働従事者のうち、約3割が医師・看護師・薬剤師となっており、従来からこれらの職種については多くの人材紹介サービスを手がける企業が市場に参入し、競合企業が多く存在しています。一方で、医師・看護師・薬剤師以外の残り約7割の人数を占める職種(注3)については大規模な企業による参入が多くなかったため、ジョブメドレーではこれら職種も含めての幅広く求人を取扱うことにより、多数の顧客事業所を獲得することに成功しております。また、その結果としてジョブメドレーでは、医療ヘルスケア領域において幅広い職種の従事者が登録する会員基盤を構築できており、サービス提供開始以降の累計登録会員数は2019年12月末時点で58.3万人に達しております。 (注)3. 医療事務、保育士、歯科助手・歯科衛生士、介護職・ヘルパー、看護助手、管理栄養士等。これらの職種においては人材紹介サービスを提供する競合企業があまり存在せず、ハローワークや掲載課金型のタウン誌等で求人が行われることが多くなっております。 ③ ダイレクトリクルーティングの機能医療ヘルスケア領域における人材の地域偏在が課題となっている昨今、当社グループでは、全国的な採用活動を行うことが難しい中小規模の事業所が人材を確保するためには、事業者自らが積極的に「求める人材を探し出し、魅力を伝え、採用する」という採用手法(ダイレクトリクルーティング)が有効であると考えています。ジョブメドレーでは、顧客である事業所がその知名度や地域にかかわらず、必要な人材を採用できる手法を提供するために、求職者向けスカウトメッセージの送信機能を充実させています。この結果として、2019年12月期第4四半期会計期間においてジョブメドレー上で送信されたスカウト通数は48.5万通に上っております。 上記の特長を活かし、ジョブメドレーの顧客事業所数は堅調に増加しており、現在では、医療ヘルスケア領域の事業所全体の70.6万事業所(注4)のうち約26%に相当する18.2万事業所(注5)がジョブメドレーの顧客となっております。また、これらの顧客事業所のうち約半数が掲載事業所(顧客事業所のうち、ジョブメドレーに求人案件を掲載している事業所をいう。以下同じ。)となっており、20.2万件以上(注5)の求人案件がジョブメドレー上に掲載されております。また、求職者にとってはより多くの求人情報が掲載されていることが利便性につながるため、ジョブメドレーでは顧客事業所のうち求人案件を掲載している掲載事業所を増やし、また掲載されている求人案件の数も増やすための利用促進の取り組みにも注力しております。これに加えて、サイト上での事業所インタビュー記事やバナー広告掲載等のオプションプラン提供にも取り組んでおります。ジョブメドレーの顧客事業所数及び顧客事業所当たり売上は下表のとおりです。該当四半期顧客事業所数顧客事業所当たり売上(円)2017年12月期第1四半期末93,4872,3952017年12月期第2四半期末99,3454,3902017年12月期第3四半期末103,3933,0942017年12月期期末118,1593,2162018年12月期第1四半期末124,2433,4932018年12月期第2四半期末132,8577,2802018年12月期第3四半期末140,9444,3952018年12月期期末148,2634,0902019年12月期第1四半期末156,1224,8422019年12月期第2四半期末165,2529,3002019年12月期第3四半期末174,6625,6312019年12月期期末182,2205,174 (注)4. 厚生労働省及び一般社団法人全国訪問看護事業協会提供の各事業所数の統計数値の合算値。 5. 顧客事業所数及び求人案件数はいずれも2019年12月末日現在。顧客事業所数の内訳は医科1.5万、 薬局4.0万、歯科1.4万、介護7.7万、その他3.6万。 (2) 医療プラットフォーム事業日本の医療においては、診察・会計・処方箋交付までの待ち時間が長いこと、疾患情報へのアクセスが十分でないこと、及び疾患の治療に関わる情報を患者自身で管理することが難しいこと等、患者の通院体験における様々な課題が存在しています。このような課題に対処するため、当社グループの医療プラットフォーム事業では、患者の通院体験の向上を目指した事業を展開しています。当社グループでは、オンライン診療にまつわる規制緩和に歩みを合わせる形で、2016年2月よりオンライン診療システム「CLINICSオンライン診療」を医療機関向けに開発・提供してきました。その後、クラウド型電子カルテ「CLINICSカルテ」や予約管理システム「CLINICS予約」の機能拡張を行い、医療機関が予約、診療、会計までを一貫して1つのシステムで管理できるようにすることで、医療機関の診療効率の改善に寄与するとともに、患者の通院体験も向上させるSaaS(注1)として、医療機関からシステム利用料を徴収するビジネスモデルでクラウド診療支援システム「CLINICS」を開発・提供しています。 また、医療プラットフォーム事業では、患者やその家族が適切な医療情報にアクセスすることが難しく、医師との間に医療情報の非対称性が存在している、という課題に取り組むために医療情報提供サービス「MEDLEY」をメディアとして提供しており、医療プラットフォーム事業全体として、医療機関の診療業務を効率化するだけでなく、患者が医療と向き合っていくための助力となるための事業を展開しております。当社グループが医療プラットフォーム事業として提供するシステム及びサービスの特長は以下のとおりです。 (注)1. SaaS(Software as a Service)とは、サービス提供者側で稼働しているソフトウェアをインターネット等のネットワーク経由で利用者向けに提供する方式を指します。 ① CLINICSオンライン診療、CLINICS予約CLINICSオンライン診療は、医療機関がオンライン診療を実施する際に必要な診察予約管理、ビデオチャット、会計及び薬の処方等の機能を提供するオンライン診療システムです。2015年8月に発行された厚生労働省からの通達(2015年8月10日 厚生労働省医政局長 事務連絡)で、オンライン診療の実施はへき地・離島に限られず、また特定の慢性疾患以外の一般の疾患にも利用可能であることが明らかにされたことを受け、当社グループでは2016年2月よりオンライン診療システムの提供を開始しました。そのような中、2018年4月には厚生労働省からの指針公布や診療報酬改定が行われ、「オンライン診療料」や「オンライン医学管理料」、「オンライン在宅管理料」等のオンライン診療に対する保険点数が新設されることとなりました。当社グループではこのような規制環境下において、学会や行政等と連携しながら、CLINICSを用いたオンライン診療の拡大に取り組んでおります。 CLINICSオンライン診療を導入している医療機関を受診する場合、患者はスマートフォンやパソコンを用いて、自宅や会社にいながらオンライン診療を受けることができるようになります。オンライン診療の終了後、医療機関は、診察費を患者がCLINICS上に登録したクレジットカードに請求し、必要に応じて患者に医薬品や処方箋を送付します。CLINICSオンライン診療は、医療過疎地域から都市部まで、また診療所から大学病院まで幅広く様々な診療科において活用されております。CLINICSオンライン診療では、医療機関の業務フローの中にオンライン診療を取り入れるための導入支援や、豊富な活用事例に根ざした導入後の活用促進サポートに注力しており、株式会社富士経済による「2020年医療ITのシームレス化・クラウド化と医療ビッグデータビジネスの将来展望 No.1 医療IT・医療情報プラットフォーム編」のレポートでは、オンライン診療システム/サービスカテゴリにおいて、当社のCLINICSオンライン診療が2018年の医療機関導入シェアNo.1と示されております。 また、CLINICS予約は、オンライン診療だけでなく、対面診療の予約管理にも対応していることから、医療機関がオンライン診療と対面診療を負担なく組み合わせて予約管理を効率化できるシステムとなっております。 ② CLINICSカルテCLINICSカルテは、医療機関が患者と「つながる」ことをコンセプトとしたクラウド型電子カルテであり、当社グループは2018年4月より医療機関向けにシステム提供を開始しております。CLINICSカルテはCLINICSオンライン診療と連携しており、診療データや疾患情報等を医療機関がアプリ経由で患者に共有したり、患者が事前に記入した問診票をカルテ上に反映したりすることが可能になっています。従来のオンプレミス型電子カルテ(注2)では実現できなかった患者への通院サポートや、診察待ちの時間を短縮することによる診療業務の効率化等のメリットを備えた新しいコンセプトのクラウド型電子カルテとして、利用医療機関数を拡大してきております。 また、CLINICSカルテは、利用医療機関が効率的な診療を実現するための特長として、国内有数の市場シェアを持つ日本医師会標準レセプトソフト(注3)であるORCAを内包しております。これにより、利用医療機関はレセプトソフトを別途操作する必要がなく、患者受付・診察・会計・レセプト処理まで全ての業務を統一されたユーザーインターフェースで操作することができるため、業務効率を大幅に向上させることができます。 医療プラットフォーム事業において、当社グループではCLINISオンライン診療及びCLINICSカルテの利用医療機関数を重要指標に設定しています。サービス開始以降の利用医療機関数の推移は下表のとおりであり、2019年12月期期末における利用医療機関数(注4)である1,187医療機関は、日本の医療機関全体に対する比率として約1.2%(注5)となっております。該当四半期利用医療機関数2017年12月期第1四半期末2982017年12月期第2四半期末4432017年12月期第3四半期末5812017年12月期期末6672018年12月期第1四半期末7982018年12月期第2四半期末8032018年12月期第3四半期末8822018年12月期期末9722019年12月期第1四半期末1,0322019年12月期第2四半期末1,0872019年12月期第3四半期末1,1762019年12月期期末1,187 (注)2. オンプレミス型とは、システム利用拠点に用意されたサーバーにソフトウェアをインストールしてシステムを利用する形態を指し、サーバーがクラウド上に存在するクラウド型と対比される形態です。 3. レセプトソフトとは、医療機関がレセプト(診療報酬明細書)を支払基金や国民健康保険団体連合会に提出するための診療報酬計算を行う医事会計ソフトウェアを指します。 4. 利用医療機関数とは、当該日時点でシステムの利用を開始し、解約又は中断せず利用を続けている医療機関数であり、複数システムを利用している場合は1としてカウントしています。 5. 全国の一般診療所数を約10万件として計算。出典:厚生労働省「医療施設調査・病院報告の結果の概要」 ③ 医療情報提供サービス「MEDLEY」当社グループは、患者やその家族に向けて疾患、処方薬及び医療機関等の医療情報を提供するメディアサービスとして、「MEDLEY」を2015年より運営・提供しています。MEDLEYは、患者やその家族が適切な医療情報を取得し、医師との間の情報の非対称性を解消することで自ら医療と向き合う力を持つことをサポートすることを目指しています。MEDLEYは、当社グループ所属の医師による編集や700人を超える外部の協力医師により、日進月歩の医療情報を最新の情報に更新し、1,400以上の病気、3万以上の医薬品、16万以上の医療機関の情報をインターネット上で無償公開しています。MEDLEYのコンテンツは、他社が提供する電子カルテサービスや携帯キャリアが運営するヘルスケア関連サービスにも、当社グループからのデータ提供を通じて導入されている他、医師が患者に病気を説明する際の補足資料としても利用されており、医療ヘルスケア領域の様々な場面で活用されています。またMEDLEYでは、既存事業で培った知見や新たに開発したアルゴリズムを活かし、一般ユーザーが入力した症状候補の組み合わせから罹患可能性の高い疾患を絞り込む「症状チェッカー」機能も提供しております。 ④ 株式会社NaClメディカル当社グループは、2019年3月に株式会社NaClメディカルを株式取得により完全子会社化いたしました。同社は、日本医師会標準レセプトソフト「ORCA」(医事会計ソフトウェア)の開発を長年担ってきた株式会社ネットワーク応用通信研究所の医療システム開発チームを、会社分割により関連する事業とともに承継することで2019年2月に設立された新設会社です。同社の事業は、日本医師会ORCA管理機構株式会社からのORCAソフトウェア開発案件の受託事業と、同社の所在地周辺に拠点を有する診療所に向けてORCAの活用・保守を提供するサポート事業の2つから構成されております。当社グループでは、同社が有するレセプトソフト開発ノウハウを活用し、これに当社グループが従前から有していたインターネット技術をかけあわせることで、高い付加価値を持ったプロダクト開発に取り組んでおります。 (3) 新規開発サービス当社グループでは、当社グループの中長期的な成長に向けた新規事業の開発を継続的に行っております。かかる新規開発サービスの1つである「介護のほんね」は、10万件以上の介護施設情報を掲載するサービスです。介護のほんねでは、介護施設の基本情報、設備、写真、費用、施設評価等の幅広い情報をサイト上に掲載しており、介護施設への入居を検討する方やそのご家族が入居先の介護施設を検討し、入居可否の問い合わせ等を行うことをサポートしています。介護のほんねでは、医療機関を退院した患者が、介護施設に入居するに当たって重要視することの多い、各種疾患を持った患者の医療ケア受け入れ体制についての情報を充実させていることが特長です。介護のほんねでは、現在は顧客である介護施設への入居者紹介の成果報酬が主な収益形態となっておりますが、新規事業であることから、収益形態は将来的に変更される可能性もあり、最適な収益構造については現時点でも模索中です。 [事業系統図] (注)1. 新規開発サービス(介護のほんね)については、様々な収益形態を模索しておりますが、現時点で実施している事業形態を記載しております。2. 株式会社NaClメディカルは、2019年3月に当社が全株式を取得し、完全子会社(連結子会社)といたしました。