研究開発費(時系列)
| 年度 | R&D費用(億円) | 設備投資(億円) |
|---|---|---|
| 2025-03 | - | 187 |
| 2024-03 | - | 207 |
| 2023-03 | - | 204 |
| 2022-03 | - | 146 |
| 2021-03 | - | 143 |
研究開発活動(本文)
FY2025|4,029 文字
6 【研究開発活動】当社の研究開発体制は、事業部が統括する7つの開発研究所(樹脂添加剤開発研究所、情報化学品開発研究所、電子材料開発研究所、機能化学品開発研究所、機能高分子開発研究所、電池材料開発研究所、食品開発研究所)と、コーポレート研究及び事業間の技術融合やイノベーション創出を担う研究企画部により構成されています。国内の連結子会社である日本農薬㈱、ADEKAクリーンエイド㈱、ADEKAケミカルサプライ㈱、及びADEKA総合設備㈱でも、独自の研究開発を行っています。また海外拠点においては、国内の研究所と連携しつつ研究開発のローカライゼーションを推進しています。なお、2025年4月1日付の組織改定に伴い、情報化学品開発研究所及び電子材料開発研究所を廃止し、半導体材料開発研究所を、機能化学品開発研究所及び機能高分子開発研究所を廃止し、環境材料開発研究所をそれぞれ新設しました。また研究企画部は、研究技術企画部、技術情報管理部、先進技術開発部へ再編し、新設した研究技術統括本部に組み入れました。当連結会計年度の研究開発費の総額は、17,569百万円です。 (1) 化学品事業① 樹脂添加剤分野ポリプロピレン(PP樹脂)において世界最高レベルの透明性を実現する新規高性能透明化剤アデカトランスパレックスを開発しました。PP樹脂の可能性を更に広げることで、カーボンフットプリントの低いPP樹脂への転換やリサイクルしやすいモノマテリアル化への貢献を通じて事業の拡大につなげるべく、様々な新規用途への展開を推進しています。また、高性能イントメッセント系難燃剤や、アデカシクロエイドシリーズでは、バイオマス原料を活用した塩ビ用可塑剤、リサイクルプラスチックに従来と同等以上の機能を付与する添加剤パッケージの開発を更に進めています。② 電子材料分野電子材料本部のあるべき姿として「サステナブル社会を支えるSociety5.0の実現に向け、基盤技術である最先端半導体を素財でリードする」ことを掲げ、以下の製品群を中心とした研究開発活動を推進しました。(ⅰ) メモリ半導体材料DRAMやNANDメモリの微細化・高容量化・省電力化の実現を目指し、素子構造の変化に対応した最先端ALD材料の開発を進めました。(ⅱ) ロジック半導体材料トランジスタ素子や配線構造の変化を見据え、業界トップ企業や半導体装置メーカーと新規ALD材料の共同開発を進めました。(ⅲ) 半導体リソグラフィ材料ArF・EUVといった先端リソグラフィにフォーカスした研究開発を行い、EUVレジスト用光酸発生剤や次世代レジスト材料などの採用が拡大しました。(ⅳ) 半導体後工程材料当社の基板技術や既存製品を半導体後工程分野に応用展開する研究活動を進め、シードエッチング剤、放熱樹脂シート、絶縁接着フィルム、銅ペーストなどの性能評価が各ユーザーで進展しています。(ⅴ) ディスプレイ材料中国市場にフォーカスして研究開発を進め、ブラックマトリクスレジストや光学フィルム向け光硬化樹脂などの採用が拡大しました。また、中国での技術サポート体制を拡充しました。③ 環境材料分野モビリティ・エレクトロニクス・環境関連市場へ経営資源の集中と当社化学品の基盤技術・ノウハウを結集し、戦略製品・環境貢献製品を中心とした主製品群の拡大・新規事業の創出に向けて研究開発に注力しています。機能化学品開発研究所及び機能高分子開発研究所では、潤滑油添加剤・接着材料・化粧品原料などの新製品開発を進めました。「アデカレミロップ」シリーズでは、省エネルギー・高接着力を特徴とするエレクトロニクス向け接着剤の開発を進めています。また、接着材料分野において当社研究員が合成樹脂工業協会賞・学術賞を受賞しました。化粧品原料では、バイオマス原料を活用し100%自然由来の化粧品用グリコール「アデカノール EHG eco」を開発しました。自然派化粧品のトレンドを受け国内外からサンプルの引き合いを頂いています。電池材料開発研究所では、モビリティー用途を中心にSPANとグラフェンの市場開発を進めています。SPANの研究開発では、顧客・産学連携のもと樹脂箔を用いた軽量リチウム-硫黄二次電池の試作に成功しました。 (2) 食品事業人々の健康で豊かな暮らしに貢献する食品の創造を目標に掲げ、サプライチェーン全体での環境負荷の低減や食品ロスの削減、労働力不足への対応といった社会課題や、消費行動の変化を捉えた新製品開発を推進しています。 2025年3月には、『Healthy & Sustainable ~世界の食卓のあたり前に~ 』をテーマとして、以下の製品を中心とした新製品8品を発表しました。年度新製品で原料にパーム油を配合している製品は、RSPO認証製品となります。① プラントベースフード「デリプランツ」シリーズ非動物性原料のみで“プラントベースフードの常識を覆すおいしさ”を実現した「デリプランツ」シリーズに以下4品を拡充しました。(ⅰ) オーツ麦のおいしさを活かした、冷凍耐性のあるホイップクリーム「デリプランツ ホイップEX」及び手軽にお使いいただけるホイップ済みの冷凍三角袋タイプ「デリプランツ フローズンホイップ」(ⅱ) 加熱、非加熱の両用途でお使いいただけるシュレッドタイプ「デリプランツ チーズ(シュレッド)」(ⅲ) 卵不使用でもふんわりとした焼き菓子が作れる練込素材「デリプランツ EG-W」② 練込油脂 パンの経時的な品質低下を抑制することで消費期限を延長し、食品ロス削減に貢献する機能性練込油脂「マーベラス」シリーズに、多様な粉原料を配合したパンの品質を向上させる練込油脂「マーベラス LG」を追加しました。③ ホイップクリーム多量の液体原料を混合可能であり、素材を活かした多様なホイップを作ることが出来る、新しいコンセプトの機能性クリーム「フレシオホイップ」に、洋菓子店舗、ホテル、レストランでも使いやすい1L品を追加しました。上記製品を加え、より多彩となったラインナップでターゲット市場の拡大と展開を進めてまいります。 (3) ライフサイエンス事業連結子会社である日本農薬㈱では、新規剤創出に向けた創薬力基盤強化と新規事業分野(作物保護資材、医薬・動物薬、新生産技術)の研究開発力向上を目標に掲げ、探索研究では化学農薬パイプライン剤の拡充とそれらの最速ステージアップに注力しました。また、将来を見据え、DX推進やAI活用を含むデータ駆動型創薬を精力的に展開しています。開発研究では、新規開発剤の価値最大化に向け、これまでに構築した世界同時開発・登録体制を実践に移すとともに、既存剤の販売維持・拡大を含め、海外グループ会社とも連携して戦略的かつグローバルな研究活動を継続しています。当期における主な成果は以下のとおりです。① 新規汎用性殺虫剤シベンゾキサスルフィル(開発コード:NNI-2101)本年度も一般社団法人日本植物防疫協会が実施する新農薬実用化試験に供試し、農薬登録申請に必要な有効な試験事例を集積しました。これら知見により幅広い殺虫スペクトル、既存剤に感受性の低下した害虫に対する有効性、優れた浸透移行性など、本剤の特長を示すことができたと考えています。また、多くの害虫や作物を対象に散布に加えて灌注処理での実用性が確認され、利便性の高い害虫防除剤として2025年に農薬登録を申請予定です。本剤はグローバル市場でも広く開発を検討しており、韓国やインドなど登録性や市場性の見込まれる国や地域から開発を開始しています。さらにこれに続く新規パイプライン候補として2剤を開発検討中です。② 水稲用殺虫剤ベンズピリモキサン日本ではオーケストラフロアブルに加えて混合剤(オーケストラロムダンモンカットエアー、オーケストラスタークルエアー、オーケストラロムダンモンカット粉剤DL)の販売を開始し、これら製品ラインアップにより本分野の市場シェア拡大及び水稲本田散布剤としてのブランド確立を進めています。また、水稲の農薬市場が大きいインドでは、既に販売を開始したOrchestra剤に加え、速効性に優れるピメトロジンとの混合剤Orchestra Duetの販売を開始し、本剤ビジネスの最大化を目指した混合剤開発を継続してまいります。他の国ではベトナム(2023年12月登録)に加え、水稲栽培の盛んなアジア広域において市場ニーズに合わせて単剤及び混合剤の開発を進めてまいります。③ 汎用性園芸殺菌剤ピラジフルミド国内では無人航空機散布やセルトレイ処理など幅広い処理法での適用拡大(登録内容の拡大)を進め、市場拡大を目的とした混合剤の開発を進めました。また、カナダ、ペルーでは販売開始に向けた準備を進めており、ベトナム(2025年2月登録)、ウクライナ(2024年7月登録)では新規に登録を取得しました。米国、エジプト、シリア、パキスタン、ブラジル、コロンビア、チュニジアでは登録申請中であり、インドでは混合剤を開発中です。今後もさらなるビジネス拡大を目指し、その他の地域でも開発の可能性を検討してまいります。 (4) 新規事業の推進ライフサイエンス及びカーボンニュートラル実現に資する研究開発を推進しています。ADEKAグループの強みと将来ニーズを意識し、組織の壁を越えた技術の融合とオープンイノベーションにより、早期事業化に向けて取り組んでいます。ライフサイエンス分野では、脱細胞化材料の研究開発や、日本農薬㈱との動物用医薬品創出を目指した共同研究を継続しています。カーボンニュートラル実現に資する研究では、各種バイオマスの資源化や高付加価値化、CO2の利活用、GHG排出量の削減を意識した製造プロセスの開発に取り組んでいます。
FY2024|4,037 文字
6 【研究開発活動】当社の研究開発体制は、既存事業に密着した6つの開発研究所(樹脂添加剤開発研究所、情報化学品開発研究所、電子材料開発研究所、機能化学品開発研究所、機能高分子開発研究所、食品開発研究所)、将来の柱となる新規事業の創出を担う2つのコーポレート研究所(ライフサイエンス材料研究所、環境・エネルギー材料研究所)、及びこれらを支援する研究企画部により構成されています。国内の連結子会社である日本農薬㈱、ADEKAクリーンエイド㈱、ADEKAケミカルサプライ㈱、及びADEKA総合設備㈱でも、独自の研究開発を行っています。また、海外拠点においては、国内の研究所と連携しつつ研究開発のローカライゼーションを推進しています。第162期(2023年度)の研究開発方針として、① 持続可能な社会と人々の豊かなくらしに貢献する研究開発を推進する。② 戦略製品と環境貢献製品を中心とした市場開発・新製品開発に注力し、更なる事業拡大へ繋げる。③ エネルギー、環境、次世代ICT、ライフサイエンスなどフロンティア領域での新規事業創出を加速する。④ カーボンニュートラルの実現に向けて、GHG排出量低減と、CO2の利活用に向けた研究開発に取り組む。の4項目を掲げて研究開発活動を推進しました。当連結会計年度の研究開発費の総額は、16,130百万円です。 (1) 化学品事業事業のさらなる拡大に向け、戦略製品を中心とした市場開発や新製品開発に注力しています。市場環境の変化やユーザーニーズを鋭敏に捉えて社内で共有することで、タイムリーな製品開発を推進しています。① 樹脂添加剤分野環境対応型製品アデカシクロエイドシリーズとして、バイオマス原料を活用した塩ビ用可塑剤や、生分解性バイオプラスチック用可塑剤、リサイクルプラスチックに従来のプラスチックと同等以上の機能を付与する添加剤パッケージなどを開発しています。また、新しい機能付与剤として、ポリプロピレンの靭性と衝撃性を向上するβ晶核剤や繊維向け帯電防止剤、3Dプリンタ用フィラメント向け改質剤の紹介を進めています。② 情報・電子化学品分野半導体向けでは、次世代DRAM用の新規高誘電ALD成膜材料の開発に注力しています。ロジック半導体向けの新規ALD材料も、ユーザーでの性能評価が進展しています。また、ArFやEUVなどの先端フォトレジスト向けに光酸発生剤や周辺材料の採用が拡大しています。3月には、ALD成膜材料の研究開発機能を強化するため、ADEKA KOREA CORP.の研究開発センターを華城市に移転、延床面積を7倍に拡張しました。③ 機能化学品分野一般社団法人日本接着学会より、「第45回技術賞」を㈱デンソーとともに受賞しました。共同開発した「カーボンニュートラル レーザ硬化型接着システム」が、省エネルギー化を達成し、CO2削減を可能にする接着技術として高く評価されました。一方、自動車エンジンオイル向け潤滑油添加剤サクラルーブは、海外市場開発が進展し、中国や米国を中心に海外での採用が拡大しています。化粧品原料は、自然由来化を進めており、皮膜剤、高粘度油剤、保湿剤など複数の製品を開発し化粧品メーカーへの提案を進めました。 子会社であるADEKAクリーンエイド㈱の業務用洗浄剤分野では、環境衛生用途のウェットワイプに含浸させる新たな薬剤を上市しました。本品は、各種業界のガイドラインに記載されている酸化剤を使用し、従来市販品よりも酸化剤安定性、除菌性、低材質影響性に優れています。また、あらかじめ薬液をワイプに含侵させているため、使い勝手にも優れており、お客様から好評です。食品工業用洗浄剤分野では、高濃縮対応の中性除菌洗浄剤を上市しました。本品は、高濃縮型のため地球環境に優しく、汚れの多い条件下でも十分な除菌・洗浄力を発揮し、お客様の衛生環境の改善に貢献します。 子会社であるADEKAケミカルサプライ㈱の湿式伸線剤分野では、取引先との共同研究において、中量試験に向け、新たに2製品を紹介しました。2024年2月に新たな試験機を導入し、開発スピードをいっそう加速していきます。粉末冶金用潤滑剤分野では、取引先との共同研究テーマにおいて、潤滑剤サンプルの実機レベル評価が決定しました。今後は、ナノ粒子配合サンプルの効果をより明確にするための評価を実施予定です。 (2) 食品事業人々の健康で豊かなくらしに貢献する食品の創造を目標に掲げ、サプライチェーンのあらゆる場面での環境負荷の低減や食品ロス削減、労働力不足などの社会課題や、消費行動など市場ニーズを捉えた新製品開発を行っています。2023年度新製品は、「おいしさと笑顔を食卓のあたり前に ~Healthy & Sustainable~」をテーマに、以下の製品を中心とした10製品をラインナップしました。年度新製品で原料にパーム油を配合する製品にあっては持続可能なRSPO認証パーム油を使用しています。 ① プラントベースフード「デリプランツ」シリーズ非動物性原料のみで“プラントベースフードの常識を覆すおいしさ”を実現した「デリプランツ」シリーズのラインナップを拡充しました。(ⅰ) バターのような自然なコク味を持つ「デリプランツ コクバター」、(ⅱ) シュレッド加工やダイス加工など様々な用途に対応できる「デリプランツ チーズ(セミハード)」、(ⅲ) 昨年発売し好評の「デリプランツ オーツコンク」「同 ホイップ」「同 チーズ クリーミー」の小容量個包装タイプなど、計7製品を上市しました。今後もラインナップを拡充するとともにアプリケーションの開発を進め、市場への更なる浸透を図ってまいります。② 食品ロス削減対応製品パンの経時的な品質低下を抑制することで消費期限を延長し、食品ロス削減に貢献する機能が好評の製パン用練込油脂「マーベラス」のコンセプトを進化させた製品開発を推進しました。(ⅰ) 油脂の使用量を従来よりも約40%低減が可能な高濃度タイプの機能性練込油脂「マーベラスCNC」、(ⅱ) パン、菓子、惣菜の製造時の品質を安定させ生産ロスを削減する高濃度タイプの機能性リキッド「フォーカスC」などの3製品を上市しました。より多彩となったラインナップでターゲット市場の拡大と展開を進めてまいります。 (3) ライフサイエンス事業連結子会社である日本農薬㈱では、持続的な新規剤創出を目指したパイプライン化合物の拡充及びそれらの最速ステップアップのための選択と集中を推し進めるとともに、さらなる将来を見据え、AI活用を含むデータ駆動型創薬のための研究環境を整備し、新たなリード化合物の創出にも精力的に取り組みました。また、新規開発剤の価値最大化や既存剤価値の維持・拡大のため、海外グループ会社とも連携して戦略的かつグローバルな研究活動を推進しました。当期における主な成果は以下のとおりです。新規汎用性殺虫剤(開発コード:NNI-2101)は、本年度も一般社団法人日本植物防疫協会が実施する新農薬実用化試験に供試し、農薬登録申請に必要な有効な試験事例を集積しました。これら知見により幅広い殺虫スペクトル、既存剤に感受性の低下した害虫に対する有効性、優れた浸透移行性など、本剤の特長を示すことができたと考えています。また、多くの害虫や作物を対象に様々な処理方法で実用性が確認されつつありますので、利便性の高い害虫防除資材となるように農薬登録申請を準備中です。水稲用殺虫剤ベンズピリモキサンは、日本ではオーケストラフロアブルに加えて混合剤(オーケストラロムダンモンカットエアー、オーケストラスタークルエアー、オーケストラロムダンモンカット粉剤DL)の販売を開始し、さらに新規混合剤(開発コード:NNIF-2241フロアブル)の開発も開始しました。また、水稲の農薬市場が大きいインドでは、既に販売を開始したOrchestra剤に加え、速効性に優れるピメトロジンとの混合剤Orchestra Duet(2023年6月登録取得)の販売を開始しました。インドでも本剤ビジネスの最大化を目指して混合剤開発を進めてまいります。汎用性園芸殺菌剤ピラジフルミドは、国内では省力的で使いやすい製品を目指して、無人航空機散布やセルトレイ処理など幅広い処理法での適用拡大(登録内容の拡大)を進めました。また、各国での開発も進めており、カナダ、ヨルダン、ペルーでは新規に登録を取得し、米国、メキシコ、コロンビア、エクアドル、チリ、サウジアラビア、ベトナムでは登録申請中です。 (4) 新規事業の推進エネルギー、環境、次世代ICT、ライフサイエンスなどフロンティア領域において、ADEKAグループの強みを活かした新規事業創出を推進しています。将来ニーズと時間軸を意識し、組織の壁を越えた技術の融合とオープンイノベーションにより、早期事業化に向けて取り組んでいます。① ライフサイエンス分野日本農薬㈱とライフサイエンス分野における新規事業創出を目指した共同研究を進めています。動物用医薬品の創出を目指した取り組みにおいて、抗寄生虫薬として期待される化合物群を見出し、本化合物群に関する特許出願4報が世界知的財産機構(WIPO)より国際公開されました。本化合物の動物薬メーカーへの導出を開始し、パイプラインの継続的な拡充に向けて本共同研究を加速していきます。② 環境・エネルギー分野硫黄変性ポリアクリロニトリル「SPAN」の開発と、SPANを用いて世界最軽量二次電池を実証したことが評価され、産経新聞社主催の「第36回 独創性を拓く先端技術大賞」において、「経済産業大臣賞」(社会人部門の最優秀賞)を受賞しました。また、公益社団法人新化学技術推進協会より、第22回GSC賞「奨励賞」を受賞しました。
FY2023|4,469 文字
6 【研究開発活動】当社の研究開発体制は、既存事業に密着した6つの開発研究所(樹脂添加剤開発研究所、情報化学品開発研究所、電子材料開発研究所、機能化学品開発研究所、機能高分子開発研究所、食品開発研究所)、将来の柱となる新規事業の創出を担う2つのコーポレート研究所(ライフサイエンス材料研究所、環境・エネルギー材料研究所)、及びこれらを支援する研究企画部により構成されています。国内の連結子会社である日本農薬㈱、ADEKAクリーンエイド㈱、ADEKAケミカルサプライ㈱、及びADEKA総合設備㈱でも、独自の研究開発を行っています。また、海外拠点においては、国内の研究所と連携しつつ研究開発のローカライゼーションを推進しています。第161期(2022年度)の研究開発方針として、① 持続可能な社会と人々の豊かなくらしに貢献する研究開発を推進する。② 戦略製品を中心とした市場開発・新製品開発に注力し、更なる事業拡大へ繋げる。③ エネルギー、環境、次世代ICT、ライフサイエンスなどフロンティア領域での新規事業創出を加速する。④ カーボンニュートラルの実現をADEKAグループの目標として意識し、研究開発による取り組みを本格化する。の4項目を掲げて研究開発活動を推進しました。当連結会計年度の研究開発費の総額は、15,041百万円です。 (1) 化学品事業既存事業のさらなる拡大に向け、戦略製品を中心とした市場開発や新製品開発に注力しています。市場環境の変化やユーザーニーズを鋭敏に捉えて社内で共有することで、タイムリーな製品開発を推進しています。当期における主な成果は以下のとおりです。① 樹脂添加剤分野環境対応型製品アデカシクロエイドでは、バイオマス原料を活用した塩ビ用可塑剤や、生分解性バイオプラスチックであるPLA(ポリ乳酸)の成形エネルギーコストを削減できるPLA用可塑剤、リサイクルプラスチックに従来のプラスチックと同等もしくはそれ以上の機能を付与する添加剤パッケージを開発しました。ユーザーでの評価が順調に進展するのと並行して、更なる製品のラインナップの拡充を図っています。食品容器のテイクアウト需要やCOVID-19による医療機器需要に対応して、透明性と剛性に優れるPP(ポリプロピレン)製品の軽量・薄肉化技術を市場に提案し、各地域で評価されています。第31回ポリマー材料フォーラム(2022年11月15日~16日開催)では、PPの耐衝撃性を向上するβ晶核剤に関するポスター発表が優秀発表賞を受賞しました。② 情報・電子化学品分野半導体向けでは、最先端DRAM向けの新規高誘電ALD成膜材料の採用が本格化しています。ロジック半導体向けの新規ALD材料も、ユーザーでの性能評価が進展しています。また、EUV向けを含む先端フォトレジスト向け光酸発生剤や関連材料の採用が拡大しています。③ 機能化学品分野高強度の炭素繊維強化プラスチック(CFRP)成形品を効率よく生産できる技術「ファイバーtoコンポジット(F to C)成形プロセス」の市場開発を開始しました。自動車・モビリティ、コンストラクション用として素材の特徴を生かした新たなソリューションをユーザーに提供します。化粧品原料では、ウレタン皮膜形成剤「アデカノールOU-2 eco」や、高粘度基油「アデカノールOUH eco」といった天然由来原料からなる製品群を開発し、化粧品展示会等でユーザーへの提案を進めました。 子会社であるADEKAクリーンエイド㈱の業務用洗浄剤分野では、経済産業省及びNITEから発表された「新型コロナウイルスに有効な界面活性剤」を一定濃度以上含む手指用殺菌・洗浄剤 セーフメイトノロCS(医薬部外品)のリニューアルに着手しました。本品は従来品よりも殺菌力を強化し、泡色変化で手洗い時間を知ることができます。またRSPO認証を得ていることから、持続可能な社会の実現に貢献できる製品です。食品工業用洗浄剤分野では、生分解性キレート剤ベースのタンク・配管用洗浄添加剤 クリーンエイド9を上市しました。本品は、毒物及び劇物取締法や労働安全衛生法、PRTR法の対象物を含まず、またキレート剤が生分解性のため、環境負荷の低減に貢献できる製品です。 子会社であるADEKAケミカルサプライ㈱の粉末冶金用潤滑剤分野では、世界大手の粉末冶金用鉄粉製造販売企業と次世代製品の開発を目的とした共同開発を行っています。共同開発テーマである高湿度流動対応潤滑剤の開発においては、ナノ粒子配合により流動性の改善に非常に高い効果が得られました。建材用添加剤分野では、コンプライアンス上問題になる可能性のある検査項目(水分、見掛比重、有効成分)について、ユーザーと調整し、規格変更が了承されました。今後は、委託工場にて検査項目の変更の説明を行い、2023年7月納入分から変更することを目標としています。 子会社であるADEKA KOREA CORP.では、最先端半導体向け成膜材料の合成設備、成膜評価装置、分析機器を保有し、取引先との共同研究を実施しています。12名の研究員が在籍し、次世代半導体の先端技術調査から、顧客トラブル時のテクニカルサポート(詳細分析、ソリューション提供)、新規プロセスの提案まで幅広く対応しています。2023年8月には京畿道華城市に研究開発センターを移転し、延床面積7倍、クリーンルームも2倍となる新施設を開設する予定です。新施設では成膜・評価装置と人員の倍増を計画しており、最先端の半導体成膜材料の評価・分析のスペシャリティとして、先端半導体の発展に貢献してまいります。 (2) 食品事業カーボンニュートラルをはじめとする環境配慮、食品ロス削減、労働力不足、健康志向、持続可能な原料調達などの社会課題や、食品産業の構造変化や働き方の多様化、消費行動の変化などに伴う課題に対して、市場ニーズを捉えた新製品開発を行っています。2022年度新製品は、「おいしさとやさしさで貢献します~持続可能な社会の実現~」をテーマに、以下の製品を中心とした7製品をラインナップしました。2021年度新製品に引き続き、原料にパーム油を配合する製品にあっては持続可能なパーム油(RSPO認証油)を使用しています。① プラントベースフード※ 「デリプランツ」シリーズ従来のプラントベースフードのイメージを一新する“おいしさ”と“使いやすさ”を実現した新ブランド「デリプランツ」シリーズの展開を開始しました。2022年4月に、(ⅰ)高濃度のため少量で効果的に使用できる「デリプランツ オーツコンク」、(ⅱ)作業性の良さと焼き残り・冷凍耐性を持つ「デリプランツ チーズ(クリーミー)」、(ⅲ)良好な作業性と保形性を持つ「デリプランツ ホイップ」、(ⅳ)コクのあるプラントベースフードが作れる「デリプランツ マーガリン」の4製品を2022年度新製品として上市しました。続いて2022年7月には、(ⅴ)自然な動物脂のようなコクを付与する調味用油脂「デリプランツ コクファット」を追加上市しました。今後もシリーズラインナップを拡充すると共にアプリケーションの開発を進め、市場への浸透を図ってまいります。※弊社では、原材料及び食品添加物に動物性原料を直接配合していない製品を「プラントベース」と表記しています。② 「マーベラス」シリーズパンの経時的な品質低下を抑制することで消費期限を延長し、食品ロス削減に貢献する製パン用練込油脂「マーベラス」シリーズが引き続き好評を得ています。焼きたてのおいしさが持続する「マーベラス」、レンジ加熱耐性のある「マーベラスSL」、リテール向けのポンドタイプ「マーベラスアソシエ」の既存3製品に続き、パンをボリュームアップさせながらも保型性の向上によりきれいな外観を保たせ、物流・陳列時のロスを減少させる「マーベラスV」を上市しました。今後、ユーザーの用途に合わせて4製品での展開を進めてまいります。 (3) ライフサイエンス事業連結子会社である日本農薬㈱では、持続的な新規剤創出を目指したパイプライン化合物の拡充及びステップアップと、新たなリード化合物の創出に継続して取り組むとともに、既存剤の維持・拡大を目指し全社的な連携による戦略的かつグローバルな研究開発を推進しています。当期における主な成果は以下のとおりです。2021年9月に国内開発を決定した新規汎用性殺虫剤(開発コード:NNI-2101)は、一般社団法人日本植物防疫協会が実施する新農薬実用化試験に供試するなど、農薬登録取得に向けた開発活動が進捗しています。本剤は幅広い殺虫スペクトルを示すこと、既存剤に感受性の低下した害虫にも有効であること、浸透移行性に優れることから、汎用性に優れた新しい有効成分です。多くの害虫や作物を対象として様々な処理方法で実用性を検討中であり、利便性の高い害虫防除資材を目指して開発を進めています。水稲用殺虫剤ベンズピリモキサン(商品名「オーケストラ」)は、国内・インドでの本格販売を開始し、混合剤開発などの応用研究を進めるとともに、作用機構解析を含むプロモーションデータのさらなる拡充に努めました。さらに新規混合剤開発も進めており、製品ラインナップの拡充により本分野の市場シェア拡大及び水稲本田散布剤としてのブランド確立を進めてまいります。汎用性園芸殺菌剤ピラジフルミド(商品名「パレード」)は、省力的で使いやすい製品を目指して、無人航空機散布やセルトレイ処理など幅広い処理法で登録を取得し、普及を進めています。また、グローバルでも開発を進めており、カナダでは新規に登録を取得し、米国、メキシコ、コロンビア、エクアドル、ペルー、チリ、サウジアラビア、ベトナムでは登録申請中です。 (4) 新規事業の推進エネルギー、環境、次世代ICT、ライフサイエンスなどフロンティア領域において、組織の壁を越えた技術を融合し、ADEKAグループの強みを活かした新規事業創出を推進しています。将来ニーズと時間軸を意識し、組織の壁を越えた技術の融合とオープンイノベーションにより、早期事業化に向けて取り組んでいます。① ライフサイエンス分野臓器修復など、多用途への展開を検討している脱細胞化ウシ心のう膜は、国内外の医療関係者へのヒアリング調査を実施するとともに、医療機器としての認証取得に向けた試験やサプライチェーンの構築に取り組んでいます。② 環境・エネルギー分野硫黄変性ポリアクリロニトリル「SPAN」を正極活物質としたリチウム硫黄(Li-S)系二次電池セルを設計・試作し、世界最軽量(700W/kgを超える重量エネルギー密度)と世界最長寿命(5,000サイクルの充放電試験)の実証に成功しました。この成果は、第63回電池討論会(2022年11月8日~10日開催)で発表しました。
FY2022|3,720 文字
5 【研究開発活動】当社の研究開発体制は、既存事業に密着した6つの開発研究所(樹脂添加剤開発研究所、情報化学品開発研究所、電子材料開発研究所、機能化学品開発研究所、機能高分子開発研究所、食品開発研究所)、将来の柱となる新規事業の創出を担う2つのコーポレート研究所(ライフサイエンス材料研究所、環境・エネルギー材料研究所)、及びこれらを支援する研究企画部により構成されています。国内の連結子会社である日本農薬㈱、㈱ADEKAクリーンエイド、ADEKAケミカルサプライ㈱、及びADEKA総合設備㈱でも、独自の研究開発を行っています。また、海外拠点においては、国内の研究所と連携しつつ研究開発のローカライゼーションを推進しています。第160期(2021年度)の研究開発方針として、① 持続可能な社会と人々の豊かなくらしに貢献する研究開発を心がける。② 戦略製品を中心とした市場開発・新製品開発に注力し、更なる事業拡大へ繋げる。③ 「エネルギー」「環境」「次世代ICT」「ライフサイエンス」などフロンティア領域での新規事業創出を推進する。の3項目を掲げて研究開発活動を推進しました。当連結会計年度の研究開発費の総額は、14,520百万円です。なお、新型コロナウイルス感染症による研究開発活動への影響は、本報告書提出日現在においてはほとんど顕在化していません。感染のさらなる拡大など今後の情勢変化が大きくなった場合は、適切に対策をしてまいります。 (1) 化学品事業既存事業のさらなる拡大に向け、戦略製品を中心とした市場開発や新製品開発に注力しています。市場環境の変化やユーザーニーズを鋭敏に捉えて社内で共有することで、タイムリーな製品開発を推進しています。主な成果は以下の通りです。① 樹脂添加剤電気自動車用のバッテリー周辺部材や家電の内部部品など金属代替を目的とした用途を中心に、ガラス繊維強化ポリプロピレン向けの難燃剤「FP-2500S」の採用が増加しました。自動車や家電、日用品等のプラスチック製品に使用される環境対応型製品アデカシクロエイドは、昨年の上市以来、ユーザーでの評価件数が順調に増加しています。 ② 情報・電子化学品半導体向けでは、最先端DRAM向けの新規高誘電ALD成膜材料の採用が本格化しています。ロジック半導体向けの新規ALD材料もユーザーでの性能評価が進展しています。また、EUVを含む先端フォトレジスト向け光酸発生剤の採用が拡大しています。 ③ 機能化学品自動車向けでは、電気自動車のモーターなどに使われる電磁鋼板向けの水系樹脂や、高分子型エンジン油用摩擦調整剤を開発し顧客提案を進めています。水系塗料や粘接着剤に用いられるアクリル樹脂エマルジョン用の反応性乳化剤「アデカリアソープ」は、地域や用途特性に合わせた処方提案を進め、海外大手メーカーでの実績が拡大しています。船舶のSOx排出規制に対応する低硫黄燃料向けのスラッジ分散剤、潤滑性向上剤、低温流動性向上剤を開発し、4月開催のSEA JAPANに出展。徐々に採用が拡大しています。 子会社であるADEKAクリーンエイド㈱の業務用洗浄剤分野では、高濃縮タイプの食器洗浄機用固形洗浄剤に機能付加した新製品を開発・上市しました。この新製品は、取り扱いやすい非劇物で、アルミニウム材質にも使用できることに加え、従来は配合が困難であった塩素化剤の安定配合を可能としており、除菌・洗浄効果に優れていることが特長です。既に特許も出願済みです。一方で食品工業用洗浄剤分野では、使用量の多いお客様がいることから、改正PRTR法で新たに対象となった物質を含んだ製品の代替検討を行い、一部製品を除いて新配合を確立しました。対象物質を含まないことで、お客様による対象物質の排出・移動量の把握や国への届け出が不要になります。今後は現場での性能確認試験を実施します。 子会社であるADEKAケミカルサプライ㈱の湿式伸線剤では、世界的な物流の停滞を受け、主力製品の原料に供給不安が生じています。そこで、供給安定化とコストダウンを目的に原料の複数購買化を進めています。他社との共同研究においては、試作品3品種を提出し、3月より試験を開始しました。また、潤滑性に関する機構のさらなる解明に向けた研究も行っています。乾式伸線剤では、生産技術再構築として小型二軸押出機による生産の検討を開始しました。生産に必要なパラメーターの洗い出しを行っています。粉末冶金用潤滑剤では、粉末冶金用鉄粉製造販売の世界大手と次世代製品の開発を目的とした共同開発契約の協議を進めています。締結後は、共同開発会議を行い、試作品3品種を紹介予定です。 (2) 食品事業食品ロス削減や労働力不足、健康志向、持続可能な原料調達など、社会課題への対応をはじめ、食品産業の構造変化や働き方の多様化、消費行動の変化などに伴う課題を捉え、ニーズに即した新製品開発を行っています。 2021年度新製品は、「おいしさとやさしさで貢献します~世の中の変化と課題に対応~」をテーマに、以下を中心とした7製品をラインナップしました。なお、2020年度新製品に引き続き、原料にパーム油を配合する製品にあっては、持続可能なパーム油(RSPO認証油)を使用しています。また、全ての新製品が低トランス脂肪酸対応品です。① 加工油脂パンの経時的な品質低下を抑制することで消費期限を延長し、食品ロス削減に貢献する製パン用練込油脂『マーベラス』シリーズのアイテム拡充を図りました。冷凍・冷蔵で販売されるパンに向けて電子レンジで加熱した際の品質低下を抑制する「マーベラスSL」を、リテールベーカリーに向けて焼き立てパンのおいしさを保持する「マーベラスアソシエ」を上市しました。加えて、プラントミルクとして人気のアーモンドミルク風味のファットスプレッド「ソルクリーム(アーモンドミルク)」を上市しました。 ② 加工食品冷凍・解凍後もおいしさを保持できるフローズンチルド製品向けホイップクリームの拡充アイテムとして、濃厚なガナッシュ風味を付与した「ガナッシュホイップFC」を上市しました。また、労働力不足への対応の一助となるよう、湯煎焼きをせず、直焼きでもスフレ製品が簡便に作れる機能性練込用素材「リスエール」を上市しました。“おいしさ”はもちろん、社会の変化に応じて浮上する様々な社会課題の解決に貢献する“やさしさ”を兼ね備えた商品がご好評をいただいています。 (3) ライフサイエンス事業連結子会社である日本農薬㈱では、持続的な新規剤創出を目指してパイプラインの早期拡充に取り組むとともに、既存剤の維持・拡大を目指し全社的な連携による戦略的な研究開発を推進しています。当期における主な成果は以下の通りです。当連結会計年度より新規汎用性殺虫剤(開発コード:NNI-2101)の国内開発を開始しました。本剤は、チョウ目およびコウチュウ目害虫など幅広い殺虫スペクトルを示し、浸透移行性にも優れ、既存剤抵抗性害虫に対しても高い効果を示すことから、汎用性に優れた新規有効成分です。そのため様々な対象害虫や処理方法での委託試験を実施予定であり、利便性の高い害虫防除資材となるように国内開発を進めてまいります。日本およびインドで農薬登録を取得した新規水稲用殺虫剤ベンズピリモキサン(商品名「オーケストラ」)は、製品ラインアップの強化を進めています。インドでは2022年より販売開始予定であり、水稲栽培の盛んなアジア広域で本剤ビジネスの最大化を図ります。新規汎用性殺菌剤ピラジフルミド(商品名「パレード」)は、新規処理分野(セル苗灌注処理)での開発に加え、多くの作物で登録を取得して幅広い場面で使用可能となりました。また、グローバルな開発も展開中であり、米国(カリフォルニア州含む)、カナダ、メキシコ、コロンビア、ベトナムで登録を申請し、米国では2022年内に果樹、ナッツ、芝での登録認可を見込んでいます。 (4) 新規事業の推進「エネルギー」「環境」「次世代ICT」「ライフサイエンス」などフロンティア領域において、組織の壁を越えた技術を融合し、ADEKAグループの強みを活かした新規事業創出を推進しています。将来ニーズと時間軸を意識し、組織の壁を越えた技術の融合とオープンイノベーションにより、早期事業化に向けて取り組んでいます。 ① ライフサイエンス臓器修復など、多用途への展開を検討している脱細胞化ウシ心のう膜は、国内外の医療関係者へのヒアリング調査を実施するとともに、医療機器としての認証取得に向けた試験やサプライチェーンの構築に取り組んでいます。② 環境・エネルギー次世代二次電池用途では、グラフェンのサンプル配布に向けて、三重工場に設置したパイロット設備において溶剤分散液グレードの試作を開始しました。一方で、水系分散液の開発にも着手しています。硫黄変性ポリアクリロニトリル「SPAN」は、硫黄含量を高めたグレードを開発し、複数のユーザーで性能評価が開始しています。
FY2021|4,406 文字
5 【研究開発活動】当社の研究開発体制は、既存事業に密着した6つの開発研究所(樹脂添加剤開発研究所、情報化学品開発研究所、電子材料開発研究所、機能化学品開発研究所、機能高分子開発研究所、食品開発研究所)、将来の柱となる新規事業の創出を担う2つのコーポレート研究所(ライフサイエンス材料研究所、環境・エネルギー材料研究所)、及びこれらを支援する研究企画部により構成されています。国内の連結子会社である日本農薬㈱、㈱ADEKAクリーンエイド、ADEKAケミカルサプライ㈱、及びADEKA総合設備㈱でも、独自の研究開発を行っています。また、海外拠点においては、国内の研究所と連携しつつ研究開発のローカライゼーションを推進しています。昨今の新型コロナウイルス感染症による研究開発活動への影響は、本報告書提出日現在においてはほとんど顕著化していません。感染のさらなる拡大など今後の情勢変化が大きくなった場合は、適切に対策をしてまいります。なお、当連結会計年度の研究開発費の総額は、13,945百万円です。 (1) 化学品事業当社の基盤技術を活用し、市場環境の変化に対応した研究開発を行っています。単に素材を提供するだけでなく、ユーザーにおける課題を解決できるソリューションとして提案すべく、評価技術の向上を図るとともに、グループ内の技術連携にも努めています。また、成長が期待される新規分野や先端素材の研究開発では、外部機関との連携も積極的に推進しています。主な成果は以下の通りです。① 樹脂添加剤新興国の経済成長や自動車のマルチマテリアル化などに伴い、プラスチックの需要は拡大の一途をたどっています。その一方で、プラスチックごみによる環境汚染や石化資源の利用による地球温暖化など、製造側には新たな対策が求められています。当社は、省エネや環境負荷低減を可能とする高機能樹脂添加剤である核剤/透明化剤、光安定剤、難燃剤などの開発を通じ、持続可能な社会に貢献します。環境対応型樹脂添加剤の新ブランド「アデカシクロエイド」を立ち上げ、リサイクル樹脂向けワンパック添加剤とバイオ由来原料塩ビ用可塑剤等を開発し、サンプル提供を開始しました。環境対応型プラスチック市場に製品を積極投入することで、プラスチック資源の循環型社会へ貢献してまいります。ビスフェノールAフリーで現行品に比べ低添加量で高い難燃性を示すエンジニアリングプラスチック向け難燃剤「アデカスタブFP-900L」や、燃焼時の一酸化炭素や黒煙の発生を大幅に抑制し、添加した成型品の引張伸度が優れる熱可塑性ポリウレタン樹脂向けイントメッセント系難燃剤「同FP-2600U」を開発するなど、ハロゲンフリー難燃剤のラインナップ拡充を進めています。② 情報・電子化学品5G通信の商用化エリア拡大に伴うスマートフォンの高機能化や基地局の拡大、企業のビッグデータ利用推進によるデータセンターの需要拡大、ディスプレイでは液晶から有機ELへの置き換えが本格化しています。当社は、このような市場環境変化に加え、主要顧客からの要求に対するスピーディーな対応と、対韓国輸出規制も鑑み、研究開発を推進しています。EUV(極端紫外線)プロセスの実用化で加速する回路線幅の微細化に対応するDRAM向け高誘電材料を開発し、大手DRAMメーカーに採用が進んでいます。半導体フォトレジスト向け光酸発生剤や周辺材料の開発では、評価技術を強化することでお客様への提案内容を充実させ、市場開発を加速しています。③ 機能化学品持続可能な開発目標(SDGs)やパリ協定の採択により、以前にも増して環境意識が高まり、環境に関する課題への取組みがますます大きな機会をもたらすと考えられます。当社は、自動車のエンジンオイルへ添加すると燃費向上効果を発揮するモリブデン系潤滑油添加剤「アデカサクラルーブ」や、国内外で排出規制強化が進む揮発性有機化合物(VOC)低減に貢献する水系コーティング材料をはじめとする環境配慮型製品の開発を推進しています。反応性乳化剤として世界で初めて米国食品医薬品局(FDA)の認証を取得していた「アデカリアソープ」シリーズについて、使用量上限を3%に引き上げて、改めて認証を取得しました。粘着剤用ポリマーの製造における配合の自由度が高まることで、これまで以上に食品包装やラベル用途での採用拡大が期待でき、米国・欧州市場を中心に提案を強化してまいります。また、自然由来原料を使用した化粧品用グリコール「アデカノール NHG eco」および「同CGE eco」を開発し、サンプルワークを開始しました。ナチュラル、サステナブルのニーズが特に欧米で高まっており、化粧品の防腐剤フリー処方の実現と持続可能な原料の活用を両立しました。 子会社であるADEKAクリーンエイド㈱では、業務用洗浄剤分野において、医療向けに販売開始した“中性でありながら、薬剤耐性の強いノロウイルスに有効なウエットクロス用薬剤”について、他社製品との比較・差別化データの取得、顧客への勉強会実施などを行い、コロナ禍で拡販サポートに注力しました。一方で食品工業用洗浄剤分野では、持続可能な開発目標(SDGs)への取り組みとして、生分解性に優れるアルカリ用洗浄添加剤を開発しています。本品は、好気的微生物で排水処理を行っている工場において、排水放流基準値の1つであるCOD値を低減可能です。また、超高温殺菌ラインにおいて、材質を腐食することなく殺菌条件下でアルカリ洗浄を行えるため、洗浄時間の短縮にも繋がります。 子会社であるADEKAケミカルサプライ㈱の湿式伸線剤では、STC業界最大手との環境対応型湿式伸線剤の共同開発を2つの方向性で進めています。その一つである、特定成分代替系は試作品3品をサンプル提出しました。評価アップは5月中を見込んでおり、評価終了次第、結果をフォローします。粉末冶金用潤滑剤では、ADEKA DRAW MEL-03に対して大幅な性能向上を目指し、基材からの見直しを進めて来ました。特定成分を用いる事で20%以上の性能向上が認められました。併用成分の選択、調整及び海外法規の再確認後に新たな高性能製品として市場投入します。 (2) 食品事業食品ロスの削減や人手不足、環境への配慮といった社会的な課題への対応に加え、食品産業の構造変化、また新型コロナウイルス感染症禍による働き方の多様化や消費行動の変化などに伴う課題をとらえ、ニーズに即した新製品開発を行っています。 2020年4月には、「おいしさとやさしさで貢献します」をテーマに以下の新製品を発表しました。① 加工油脂焼き立てのパンのような食感を時間が経っても維持できる機能性練込油脂「マーベラス」(※)、さっくりとした食感に仕上がり、作業性に優れ長持ちする固形フライオイル「EZフライオイル」など。(※)2021年1月、「マーベラス」は社会問題である食品ロス削減に貢献するという新しいアプローチの製品であることが評価され、「2020年日経優秀製品・サービス賞 日経MJ賞」(主催:日本経済新聞社)を受賞いたしました。 ② 加工食品合わせる素材の風味を引き立て、冷凍・解凍後もおいしさを維持できる混合用のホイップクリーム「アレンジホイップ」、洋菓子生地の食感改良や形状安定化による歩留まり向上に効果のある練込素材「スタビリティリキッド」など。パーム油を配合する製品にあっては、全て持続可能なパーム油(RSPO認証油)を使用しています。また、全ての新製品が低トランス脂肪酸対応品です。“おいしさ”はもちろん、食品ロス削減や労働力不足解消、持続可能な原料の使用など、お客様や環境、社会、健康に貢献する“やさしさ”を兼ね備えた商品がご好評をいただいています。 (3) ライフサイエンス事業連結子会社である日本農薬㈱では、持続的な新規剤創出を目指してパイプラインの早期拡充に取り組むとともに、既存剤の維持・拡大を目指し全社的な連携による戦略的な研究開発を推進しています。当期における主な成果は以下の通りです。日本・インド同時開発を進めている新規水稲用殺虫剤ベンズピリモキサン(商品名「オーケストラ」)は、2020年9月に日本で農薬登録を取得し、2021年5月に販売を開始いたしました。インドでも2019年2月に登録申請を完了し、順調に評価が進んでおり、2022年の登録取得を見込んでいます。汎用性殺菌剤ピラジフルミド(国内商品名「パレード」)は、国内において野菜用で新規処理分野(セル苗灌注処理)での開発を推進し、レタス、はくさい、キャベツに加え、新たにねぎでの登録を取得しました。同剤については、グローバルな開発も展開中であり、2019年3月に韓国において製剤登録を取得し、現地販社と協力して2020年に販売を開始しました。2019年には米国(カリフォルニア州含む)、カナダ、メキシコへ登録申請し、2022年の登録、販売開始を見込んでいます。さらに欧州、ブラジルおよびその他の国および地域においても開発の可能性を検討しています。 (4) 新規事業の推進 注力分野として「ライフサイエンス」、「環境」、「エネルギー」を掲げ、研究開発体制を強化して新規事業の創出に取り組んでいます。 ① ライフサイエンス世界に前例のない超高齢化が進む日本では、健康長寿社会の形成が急務です。健康と長寿を共に享受するため、疾病の予防や早期発見による重症化防止、高齢者の生活機能低下の抑制、疾病や創傷の治療のあとのQOL改善のための対策を講じなくてはなりません。当社はこれまでに蓄積した化学品分野と食品分野の技術やネットワークはもちろんのこと、社外リソースの活用も図り、健康長寿社会の形成に貢献する新規事業の創出を加速しています。脱細胞化再生医療用材料は、主要市場である欧米の医師に感触や使いやすさを確認し、良好な評価を得ました。② 環境・エネルギー再生可能エネルギーの導入拡大の中で太陽光や風力などの電源のコスト低減が進み、コスト競争力のある電源となったことで、更なる導入拡大を生むというサイクルが世界的に生じています。しかしながら、太陽光や風力のような変動電源をさらに増加させるには出力変動に対応する必要があり、その対策の一つに二次電池を用いた電力貯蔵技術が挙げられます。当社では、次世代二次電池向けの電極材料や電解液添加剤などの各種材料の開発を推進しています。東京工業大学 物質理工学院 応用化学系 大塚 英幸教授と共同で、プラスチックに自己修復性を付与できる架橋剤を開発しました。高分子学会広報委員会パブリシティ賞を受賞し、「第29回ポリマー材料フォーラム」において発表しました。
FY2020|4,473 文字
5 【研究開発活動】当社の研究開発体制は、既存事業に密着した6つの開発研究所(樹脂添加剤開発研究所、情報化学品開発研究所、電子材料開発研究所、機能化学品開発研究所、機能高分子開発研究所、食品開発研究所)、将来の柱となる新規事業の創出を担う2つのコーポレート研究所(ライフサイエンス材料研究所、環境・エネルギー材料研究所)、及びこれらを支援する研究企画部により構成されています。国内の連結子会社である日本農薬㈱、㈱ADEKAクリーンエイド、ADEKAケミカルサプライ㈱、及びADEKA総合設備㈱でも、独自の研究開発を行っています。また、海外拠点における研究開発のローカライゼーションも推進しており、国内の研究所から人的支援や技術支援を行っています。なお、当連結会計年度の研究開発費の総額は、14,398百万円です。 (1) 化学品事業 当社の基盤技術を活用し、市場環境の変化に対応した研究開発を行っています。単に素材を提供するだけでなく、ユーザーにおける課題を解決できるソリューションとして提案すべく、評価技術の向上を図るとともに、グループ内の技術連携にも務めています。また、成長が期待される新規分野や先端素材の研究開発では、外部機関との連携も積極的に推進しています。主な成果は以下の通りです。① 樹脂添加剤新興国の経済成長や自動車のマルチマテリアル化などに伴い、プラスチックの需要は拡大の一途をたどっています。その一方で、海洋プラスチック問題で注目されるバイオプラスチックや、廃プラスチック再利用時の実用性向上など、製造側には新たな対策が求められています。当社は以前から、省エネや環境負荷低減を可能とする高機能樹脂添加剤である核剤/透明化剤、光安定剤、難燃剤などの開発を通じ、持続可能な社会に貢献しています。ポリオレフィン製自動車部材の力学物性を高めることで、軽量化による燃費向上および二酸化炭素削減に寄与する高性能核剤を開発しました。さらに、樹脂のリサイクル時の劣化抑制による用途拡大を可能にする添加剤パッケージを開発しました。また、植物由来の原料を使用した可塑剤や、鉛、カドミウムといった有害重金属を使用しないポリ塩化ビニル用安定剤などの環境配慮型製品の開発も推進しています。② 情報・電子化学品 5G通信の商用化エリア拡大に伴うスマートフォンの高機能化や基地局の拡大、企業のビッグデータ利用推進によるデータセンターの需要拡大が進んでいます。また、スマートフォンやプリント配線基板では、中国企業の台頭が目覚ましく、中国内での部材の地産地消が進んでいます。このような市場環境変化に加え、主要顧客からの要求に対するスピーディーな対応と、対韓国輸出規制も鑑み、研究開発体制を整えています。ADEKA KOREAの開発拠点では、半導体メモリ用高誘電成膜材料の評価設備を増設し、現地ユーザー向け開発体制を強化しました。タッチパネル張り合わせなどでディスプレイ用パネル製造において採用が加速しているUV-LED(紫外線発光ダイオード)光源に対応する光重合開始剤やUV硬化樹脂を開発しました。③ 機能化学品 持続可能な開発目標(SDGs)やパリ協定の発効により、以前にも増して環境意識が高まり、環境に関する課題への取組みがますます大きな機会をもたらすと考えられます。当社では以前から、自動車のエンジンオイルへ添加すると燃費向上効果を発揮するモリブデン系潤滑油添加剤「アデカサクラルーブ」や、国内外で排出規制強化が進む揮発性有機化合物(VOC)低減に貢献する水系コーティング材料といった環境配慮型製品の開発を推進しています。大気汚染の原因となるSOxの規制強化に対応した各種船舶用燃料添加剤を開発しました。スラッジ分散剤「アデカエコロイヤルSD-20」、耐摩耗剤「同AW-37F」、防カビ剤「同AF-50」のユーザーでの評価・採用が進んでいます。化粧品原料では、サスティナビリティーへの対応や自然派化粧品のニーズが高まっていることを受け、使用原料の天然由来化や持続可能なパーム油のための円卓会議(RSPO)の認証取得に取り組みました。水系コーティング材料の海外、特に中国での市場開発を加速するため、ADEKA(中国)投資有限公司上海創新中心(イノベーションセンター)を設置しました。 子会社であるADEKAクリーンエイド㈱では、広く殺菌・除菌・防腐成分として用いられているDDAC(ジデシルジメチルアンモニウムクロリド)を一定濃度以上含むものが、2019年7月より劇物指定されたことを受け、DDACを配合していた洗浄剤や除菌剤について性能低下を招くことなく非配合品への代替を実施しました。ついては、DDAC配合の他社製品を使用する顧客へ、非劇物の当社製品を紹介することで採用に繋げています。 また、食品工場向けには、ビール製造設備用の洗浄剤 アデカサイクルBD35を上市しました。本製品に使用したキレート剤(金属イオン封鎖剤)は、他社製品よりもスケール汚れの溶解力に優れ、かつ好気性微生物処理において速やかに生分解されます。そのため、排水処理設備を持つビール工場においては、排水放流基準値の一つであるCOD値(COD:化学的酸素要求量で、排水放流基準値の一つ)の低減に貢献できる洗浄剤となります。 子会社であるADEKAケミカルサプライ㈱の湿式伸線剤では、環境対応型湿式伸線剤の開発を加速させるため、外部連携先の探索を開始しました。現在、東京理科大学トライボロジーセンターと共同研究を前提に協議しています。また、塑性加工時の応力シミュレーションが可能な協業先も探索中です。粉末冶金用潤滑剤では、カナダの鉄粉メーカー向けとして、MEL-03の改良品試作品、2品を設定しました。本試作品は、キャラクターの異なる設計を行い、ユーザーの要望に広く応えるものと期待しています。早期の評価を経て、上市を目指してまいります。 (2) 食品事業当社食品部門では、市場環境変化に伴う課題を捉え、ユーザーのヒット商品創出に貢献できる新製品開発を行っています。また海外関係会社でも中国や東南アジア諸国など、各国の嗜好性や流行に合致した製品開発を進めています。① 加工油脂自然なバター風味と使いやすさを特徴としたコンパウンドタイプの練込油脂「EZマーガリンCP」、折込油脂「オリンピアクレール(スライス)」を上市しました。香料に頼らず作り上げた自然なバター風味によって、低コンパウンド率ながらベーカリー製品に豊かなバター風味を付与できる点に加えて、幅広い温度で使える作業性の良さがお客様の好評をいただいています。② 加工食品 高品質なフローズンチルドデザート作りを可能にするホイップクリーム「ブレンドホイップFC」を上市しました。人手不足による製造効率化、食品ロス削減、販売チャネル拡大(ネット販売や海外輸出)等の課題によって拡大するフローズンチルドデザートのニーズに応える製品としてお客様の好評をいただいています。濃厚な風味でなめらかな食感の日持ちクリーム「ナイスワンNEO(カスタード、キャラメル)」を上市しました。ますます活性化する土産菓子やロングライフパン市場において、おいしさを追求した多彩なメニュー開発が可能になる素材として好評をいただいています。 今後も市場環境の変化を鋭敏に捉えながら、お客様の「商品価値」や「作業性、生産性」の向上に貢献する製品開発に取り組んでまいります。 (3) ライフサイエンス事業連結子会社である日本農薬㈱では、持続的な新規剤創出を目指してパイプラインの早期拡充に取り組むとともに、既存剤の維持・拡大を目指し全社的な連携による戦略的な研究開発を推進しています。当期における主な成果は以下の通りです。日本・インド同時開発を進めている新規水稲用殺虫剤ベンズピリモキサン(商品名「オーケストラ」)は、2019年2月に日本およびインドで登録申請を完了しており、順調に評価が進んでおります。同剤は日本で2020年、インドで2022年の登録取得を見込んでおります。汎用性殺菌剤ピラジフルミド(国内商品名「パレード」)は、国内において野菜用で新規処理分野(セル苗灌注処理)での開発を推進し、2019年8月にレタスで、2020年1月にキャベツ、ハクサイでの農薬登録を取得しました。同剤については、グローバルな開発も展開中であり、2019年2月に韓国において製剤登録を取得し、韓国販社と協力し、2020年3月に販売を開始しました。また、2019年11月に米国での農薬登録申請をしました。 (4) 新規事業の推進 注力分野として「ライフサイエンス」、「環境」、「エネルギー」を掲げ、研究開発体制を強化して新規事業の創出に取り組んでいます。世界に前例のない超高齢化が進む日本では、健康長寿社会の形成が急務です。健康と長寿を共に享受するため、疾病の予防や早期発見による重症化防止、高齢者の生活機能低下の抑制、疾病や創傷の治療のあとのQOL改善のための対策を講じなくてはなりません。当社はこれまでに蓄積した化学品分野と食品分野の技術やネットワークはもちろんのこと、社外リソースの活用も図り、健康長寿社会の形成に貢献する新規事業の創出を加速しています。国立研究法人農業・食品産業技術総合研究機構 生物系特定産業技術研究支援センターの委託プロジェクト「新規機能性成分によるナス高付加価値化のための機能性表示食品開発」において、国立大学法人信州大学、学校法人電子開発学園北海道情報大学らとともに、ナス由来の成分コリンエステルの血圧改善効果と気分改善効果を臨床試験にて世界で初めて実証しました。本成果は栄養学の分野で評価の高い「Nutrients」に掲載されました。また、医療機器の品質マネジメントシステムに関する国際規格「ISO13485:2016」認証を、脱細胞化再生医療材料として日本で初めて取得し、サンプル提供を開始しました。臨床応用等に向けた医療機関との共同研究が可能となり、実用化に向けた取り組みを進めていきます。再生可能エネルギーの導入拡大の中で電源のコスト低減が進み、コスト競争力のある電源となったことで、更なる導入拡大を生むというサイクルが世界的に生じています。しかしながら、太陽光や風力のような変動電源が増加するには出力変動に対応する必要があり、その対策の一つにリチウムイオン二次電池を用いた電力貯蔵技術が挙げられます。当社では、次世代二次電池向けの電極材料や電解液添加剤といった各種材料の開発を推進しています。レアメタルフリーの次世代二次電池向け電極活物質であるSPAN(硫黄変性ポリアクリロニトリル)や導電助剤として用いられるグラフェンのパイロットプラントを相馬工場に設置しました。電気自動車や定置用蓄電池向けをターゲットにサンプル提供を開始しました。
FY2019|2,307 文字
5 【研究開発活動】当社の研究開発体制は、現事業に密着した6つの開発研究所(樹脂添加剤開発研究所、情報化学品開発研究所、電子材料開発研究所、機能化学品開発研究所、機能高分子開発研究所、食品開発研究所)、将来の柱となる事業探索を担う2つのコーポレート研究所(ライフサイエンス材料研究所、環境・エネルギー材料研究所)、及びこれらを支援する研究企画部により構成されています。国内の連結子会社である日本農薬㈱、㈱ADEKAクリーンエイド、ADEKAケミカルサプライ㈱、及びADEKA総合設備㈱でも、独自の研究開発を行っています。また、海外拠点における研究開発のローカライゼーションも推進しており、国内の研究所から人的支援や技術支援を行っています。なお、当連結会計年度の研究開発費の総額は、11,829百万円です。 (1) 化学品事業当社の基盤技術を活用し、市場環境の変化に対応した研究開発を行っています。単に素材を提供するだけでなく、ユーザーにおける課題を解決できるソリューションとして提案すべく、評価技術の向上を図るとともに、グループ内の技術連携にも務めています。また、成長が期待される新規分野や先端素材の研究開発では、外部機関との連携も積極的に推進しています。主な成果は以下の通りです。① 樹脂添加剤環境配慮型製品など独創性・新規性のある核剤/透明化剤、光安定剤、難燃剤などの開発を推進しています。難燃剤では、エンジニアリングプラスチック向けに環境配慮型リン系難燃剤を開発し、市場に投入しました。市場ニーズの大きい永久帯電防止剤の開発に取り組み、競争力のある新製品を開発しました。② 情報・電子化学品半導体デバイス向けケミカル素材や光学フィルム、半導体レジスト向け高機能感光性材料など、先端技術の急速な進展に対応し、世界に通用する新製品の開発を進めています。半導体メモリ用高誘電成膜材料では、次世代DRAM向けに新規材料が採用されました。紫外線やLED光源による硬化が可能で、有機溶剤を使用しない「水溶性UV硬化材料」を開発し、本成果に対して「第27回ポリマー材料フォーラム」(11月21日開催)において、高分子学会広報委員会パブリシティ賞を受賞しました。③ 機能化学品界面化学技術を利用した潤滑油添加剤や機能性化粧品原料、コーティング材料の開発、機能性樹脂材料の電子部品・自動車・建設インフラ用途等への応用を推進しています。反応性乳化剤は食品接触材料の接着用途で米国FDAの上市前届出認可(FCN)を取得、食品接触用途への新規展開を進めています。エポキシ樹脂接着剤は採用が拡大し、新たな用途への横展開も進展しています。 (2) 食品事業当社食品部門では、ユーザーの「商品価値」(おいしさ、安心、安全)を高め、「作業性、生産性」の向上に貢献できる新製品の開発を行っています。また海外関係会社でも中国や東南アジア諸国など、各国の嗜好性や流行に合致した製品開発を進めています。① 加工油脂明瞭な内層のデニッシュ生地が作れる折込油脂「オリンピアエフィーユシート」、パンの歯切れや口溶けを向上させる機能性練込油脂「コンツェル」を上市しました。ベーカリー製品のおいしさ、お客様の作業性を改善する効果が好評をいただいています。② 加工食品パンのしっとり感に着目した機能性練込用クリーム「ビオラモイスト」を上市しました。パンの水分を保持し、焼きたての食感を持続させる機能が好評をいただいています。クリームチーズ風味ペースト「フロマクリエ ガトー」を上市しました。自然な風味を持ち、生食、練り込み、包餡、焼き込みなど、あらゆる洋菓子用途に使用できるため、お客様の多彩なメニュー開発に貢献できる素材として市場展開を進めています。 今後もお客様の「商品価値」や「作業性、生産性」の向上に貢献する製品開発に取り組んでまいります。 (3) ライフサイエンス事業 連結子会社である日本農薬㈱では、持続的な新規剤創出を目指してパイプラインの早期拡充に取り組むとともに、既存剤の維持・拡大を目指し全社的な連携による戦略的な研究開発を推進しています。当連結会計年度における主な成果は以下のとおりです。日本・インド同時開発を進めている新規水稲用殺虫剤ベンズピリモキサンは、2019年2月に両国における登録申請を完了しました。本剤は日本で2021年、インドで2022年の登録取得を見込んでいます。2018年3月に国内登録を取得し、同年4月より販売を開始した新規汎用性殺菌剤ピラジフルミド(国内商品名「パレード」)は、2019年3月より国内芝生分野において「ディサイド」の商品名で販売を開始したほか、新規処理分野での開発を推進しています。殺虫剤ピリフルキナゾン(国内商品名「コルト」)は、2018年11月に米国食用登録を取得し、本分野での販売を開始しました。 (4) 新規事業の推進注力分野として「ライフサイエンス」、「環境」、「エネルギー」を掲げ、研究開発体制を強化して新規事業の創出に取り組んでいます。ライフサイエンス分野では、アルキルリン脂質(プラズマローゲン前駆体)含有の機能性食品素材を開発中です。岩手大学で実施された乾燥肌誘導マウスの抗皮膚炎試験では、摂餌により皮膚の保湿に関する脂質であるセラミド合成系が変化して炎症が改善されることを見出し、2018年度栄養食糧学会で発表しました。環境・エネルギー分野では、次世代二次電池用活物質「硫黄変性ポリアクリロニトリル(SPAN)」を開発し、2020年度の製品化を目指してサンプル提供を開始しました。
FY2018|2,482 文字
5【研究開発活動】当社の研究開発体制は、現事業に密着した開発研究所(樹脂添加剤開発研究所、情報化学品開発研究所、電子材料開発研究所、機能化学品開発研究所、機能高分子開発研究所及び食品開発研究所)に加え、将来の柱とすべき事業の探索部門であるライフサイエンス材料研究所、環境・エネルギー材料研究所及びこれらを支援する研究企画部により構成されています。国内の連結子会社である㈱ADEKAクリーンエイド、ADEKAケミカルサプライ㈱及びADEKA総合設備㈱でも、独自の研究開発を行っています。また、海外拠点における研究開発のローカライゼーションも推進しており、国内の研究所から人的支援を行っています。なお、当連結会計年度の研究開発費の総額は、93億27百万円です。(1)化学品事業当社の基盤技術を活用し、市場環境の変化に対応した研究開発を行っています。また、成長が期待される新規分野や先端素材の研究開発では、外部機関からの技術導入も積極的に推進しています。主な成果は以下の通りです。①情報・電子化学品半導体デバイス向けケミカル素材や光学フィルム、半導体レジスト向け高機能感光性材料など、先端技術の急速な進展に対応し、世界に通用する新製品の開発を進めています。また、お客様とのパートナーシップの構築や装置メーカーや材料メーカーとの協業により、サプライチェーンマネジメントの強化も進めています。半導体メモリ向けには、更なる微細化・高容量化に対応できる材料を開発しています。ロジック半導体向けでは、10nm世代で採用が決定し、量産を開始しました。また、有機溶剤を含有せずLED光源に対応した水溶性UV硬化樹脂材料を開発し、サンプルワークを開始しました。②機能化学品環境配慮型製品など独創性・新規性のある樹脂添加剤の開発や、界面化学技術を利用した高機能化粧品材料やコーティング材料の開発、機能性樹脂材料の電子部品・自動車・建設インフラの各用途への応用等を推進しています。樹脂添加剤では、イントメッセント系難燃剤が機能性材料の分野では世界初となるUL検証マークを取得し、輸送関連部品や家電、建材向けに採用が加速しています。反応性乳化剤「アデカリアソープ」は、水系の建築塗料用途や粘接着剤用途で販売が伸長しました。エポキシ樹脂関連では、従来品より強度を高め、より短い時間で成形可能なガラス繊維強化プラスチック形成用材料を開発し、お客様との実用化検討に着手しました。 子会社であるADEKAクリーンエイド㈱の業務用洗浄剤分野では、平成29年4月より医療用ウエットワイプ薬液の共同研究を開始しました。その研究成果として、芽胞菌に有効な塩基性第4級アンモニウム塩製剤が除菌持続性に優れ、多剤耐性菌であるMRSAに対しても除菌効果が持続していることが確認されました。ついては、製品拡販に繋げるため、病院関係者が多く参加している日本環境感染学会にて成果発表をしています。今後も有用なデータを収集し、医療用製品の拡販をサポートして行きます。食品工業用分野では、飲料製造ラインで洗浄し難いフレーバーの除去剤を上市しました。従来品と比較して、フレーバー除去力のみならず、低泡ですすぎ性に優れ、さらに高濃縮化でランニングコストを低減できる点が特徴になります。実際の製造ラインにおける検証でも、フレーバーの除去効果が向上し、また水やエネルギー、時間の削減、さらには薬剤のランニングコストも安くなることが確認され、採用に至っています。なお、本新製品は、差別化された重要技術であるため、すでに特許出願も行っています。子会社であるADEKAケミカルサプライ㈱の湿式伸線剤では、中国最大手の伸線メーカーにて、中国市場で実績のある湿式伸線剤の評価試験が開始されました。次世代伸線剤の共同開発へと進展する予定です。粉末冶金用ワックス系潤滑剤では、新規ワックス系潤滑剤は、製造条件を変更し粒径を大きくした試作品が、ユーザーにて成形抜出圧の低減効果が認められ量産試験へと移行しました。防錆剤では、食缶用途等のブリキ板用一次防錆剤がEU大手鉄鋼メーカーに採用方向となり、REACH登録手続きを開始しました。(2)食品事業当社食品部門では、「安心・安全」を基本に、お客様の商品価値向上と使い易さを特徴とする新製品開発を行っています。また海外関係会社でも中国や東南アジア諸国など、各国の嗜好性や流行に合致した製品開発を進めています。①加工油脂平成29年度は、芳醇なバター風味と使い易さを特徴とする練込油脂「ジェネルー」、折込油脂「オリンピアジェネルーシート」、生地への分散性が良く、従来よりも幅広い温度で使用できる練込油脂「EZマーガリン」や濃厚な練乳風味が特徴のパン用サンドクリーム「ディオネホイップ練乳」を上市しました。これらの製品は、お客様の商品品質を向上させ、また作業効率の向上や特徴ある商品開発にお役に立っています。②加工食品ホワイトチョコを配合したホイップクリーム「マリアネージュ」やチーズ風味のフィリングクリーム「フロマクリエ」を上市しています。「マリアネージュ」は、柑橘系・ベリー系のフルーツやナッツ類など風味の強い素材と相性が良いとお客様から好評を頂いています。「フロマクリエ」は、包餡・注入・トッピングなど様々な用途に適しており、広くご利用頂いています。 今後もお客様の商品価値や生産効率の向上に貢献する製品開発に取り組んでまいります。 (3)新規事業の推進注力分野として、「ライフサイエンス」「環境・エネルギー」を掲げ、研究開発体制を強化し早期実需化を目指しています。ライフサイエンス分野では、独自の製法により水溶性を向上し、麦独特の風味も抑えた「大麦ベータグルカン 30SP」を開発しました。健康とおいしさを両立し、幅広い食品への適用を可能にしました。環境・エネルギー分野では、樹脂への分散性を向上したグラフェンを開発しました。リチウムイオン二次電池の導電助剤や、樹脂・塗料用への展開を推進しています。
FY2017|3,025 文字
6【研究開発活動】当社の研究開発体制は、現事業に密着した開発研究所(樹脂添加剤開発研究所、情報化学品開発研究所、電子材料開発研究所、機能化学品開発研究所、機能高分子開発研究所及び食品開発研究所)に加え、将来の柱とすべき事業の探索部門であるライフサイエンス材料研究所、環境・エネルギー材料研究所及びこれらを支援する研究企画部により構成されています。また、国内の連結子会社である㈱ADEKAクリーンエイド、ADEKAケミカルサプライ㈱及びADEKA総合設備㈱では、独自の研究開発を行っています。海外の連結子会社における研究開発のローカライゼーションも推進しており、当社研究所から人的支援を行っています。なお、当連結会計年度の研究開発費の総額は、87億35百万円です。(1)化学品事業当社の基盤技術を活用し、市場環境の変化に対応した研究開発を行っています。また、成長が期待される新規分野や先端素材の研究開発では、外部機関からの技術導入を積極的に推進しています。化学品事業の主な研究成果は以下の通りです。①情報・電子化学品分野半導体デバイス向けケミカル素材や光学フィルム、半導体レジスト向け高機能感光性材料など、先端技術の急速な変化に対応し、世界に通用する新製品の開発を進めています。また、顧客とのパートナーシップの構築、装置メーカーや材料メーカーとの協業により、サプライチェーンマネジメントの強化も進めています。半導体メモリ向け材料は、更なる微細化及び多層化に対応すべく、新規材料の開発が進展しました。ロジック半導体向け材料は、各ユーザーに向けた量産を開始しました。光硬化樹脂や光重合開始剤、カラーフィルターの劣化を防止する潜在性添加剤は、ユーザーでの評価が進展、採用が拡大しました。②機能化学品分野環境配慮型製品などの世界で通用する独創性・新規性のある各種添加剤の開発、界面化学技術を利用した高機能化粧品材料やコーティング材料の開発、機能性樹脂材料の電子・環境・エネルギー・自動車用途への応用等を推進しています。樹脂添加剤では、透明化剤・核剤の市場開発が進展し、アジアや北南米において採用が拡大しました。有機モリブデン系潤滑油添加剤「アデカサクラルーブ」は、国内及び中国にて採用が拡大し、欧州ユーザーでも検討が進展しています。低塩素エポキシ樹脂及びエポキシ樹脂接着剤は、採用が拡大しました。米国に開発拠点を設置し、北米での市場開発を強化しました。 子会社であるADEKAクリーンエイド㈱の業務用洗浄剤分野では、原料メーカーと共同で特殊なコーティング塩素化剤を開発し、従来不可能であった固形アルカリ食器洗浄剤への塩素配合を可能にしました。これにより、洗浄力や洗浄機内の衛生状態向上が期待できます。今後は、性状・性能・長期安定性データを収集し、平成29年10月の上市を目指します。この差別化された技術は、既に特許出願も完了しています。食品工業用分野では、使用水量の削減や衛生状態の改善が可能な新規ドライ潤滑剤を開発しました。本品は非シリコン系で、他社特許への抵触リスクがなく、またシリコンを嫌うビール工場での使用も期待できます。既に特許出願も完了しており、現在、現場テスト先を選定しています。子会社であるADEKAケミカルサプライ㈱の湿式伸線剤では、中国市場において、色調変化を改善したAL-805は、伸線メーカー採用に続き、ローカル大手においても採用が決定しました。韓国伸線メーカーでは、中国工場にて製品説明会を実施し、平成29年4月から現場試験を行うことが決定しました。粉末冶金用ワックス系潤滑剤では、MEL-03の適用範囲を広げるため、流動性改善を目的としてMEL-15他の試作品を開発、ユーザー評価を実施しました。結果は、流動性改善不十分となり、現在配合成分の見直し、添加剤含め検討中です。早期開発を進め、採用拡大を図ってまいります。 (2)食品事業主要な取引先である製パン・製菓市場では、消費者は商品の品質を見極め、購入する傾向が強まっています。また、安心・安全な食を求める消費者の意識も益々高まっています。このような状況の中、製パン・製菓メーカーは、高品質・高付加価値製品や値頃感のある製品を投入するなど、消費者ニーズに対応した商品を提供しています。このような事業環境下に対し、ADEKAグループ食品部門では、「安心・安全」を基本に、お客様の美味しさの向上に繋がる新製品開発を行うと共に、お客様のご要望に応える製品創設への対応も迅速に進めています。また、展示会や勉強会などを通じた技術活動の推進も積極的に行っています。中国や東南アジア諸国の市場展開に関しましては、海外の連結子会社との連携により各国の嗜好に合った製品開発を進めています。また、市場調査等を目的に駐在員事務所をベトナムに設立し、さらなる事業強化を図っていきます①加工油脂分野平成28年度に上市した練込油脂「エレバール」は、ADEKA独自素材を活用し、パン本来の味わいを向上させることを特徴として上市しました。さらにフィリングクリームの風味を引き立てる効果もあります。折込油脂「オリンピアメローシート」は、生地の旨味が引き立つデニッシュペーストリーができます。これら製品は、パン類のおいしさを高める加工油脂製品として好評を頂いています。フィリングクリーム「コンプリート(モカコーヒー/アーモンド)」は、コーヒーやアーモンドの風味が際立ったクリームです。お客様の特徴ある商品開発にお役に立っています。②加工食品分野ロールインフィリングでは、濃厚なコーヒー風味の「レジーナシート(モカコーヒー)」を上市しました。本製品は、微粉砕したモカコーヒー豆を配合し、モカコーヒーの濃厚な風味と深いコクが特徴で、かつソフトでしっとりとした食感のパンができ、お客様から好評を頂いています。ホイップクリームでは、ピュアブレンドホイップシリーズを強化し、好評を頂いています。本シリーズは、自然な乳風味、すっきりとした口溶けや良好な保型性を特徴としています。 食品事業では、さらに、美味しさを構成する様々な要素の研究・開発を進め、平成29年度春季新製品の上市に向けた新製品を開発してまいりました。今後は、新しい技術・手法で「美味しい」を表現することにも積極的に取り組んでまいります。 (3)新規事業の推進注力分野として「ライフサイエンス」「環境・エネルギー」を掲げ、体制を強化し早期実需化を目指しています。ライフサイエンス分野では、大麦ベータグルカン抽出物を高脂肪食に配合することにより、糖尿病予備軍に相当する耐糖能異常が起こりにくく、腹腔内及び肝臓脂肪の蓄積が抑制されることを、マウスを使った実験で確認しました。大麦ベータグルカン抽出物がメタボリックシンドローム予防に有用である可能性を見出しました。環境・エネルギー分野では、国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)のプロジェクト「エネルギー・環境新技術先導プログラム」において、次世代燃料電池向け触媒へ当社グラフェンを用い可能性を検討しました。 (4)その他平成29年度環境省補助金事業に対し、これまでバイオスティミュレーション補助剤の共同開発を進めてきたゼネコンと応募したところ採択されたため、共同出願手続きを開始する予定です。
FY2016|3,252 文字
6【研究開発活動】当社の研究開発体制は、現事業に密着した開発研究所(樹脂添加剤開発研究所、機能化学品開発研究所、情報化学品開発研究所、電子材料開発研究所及び食品開発研究所)に加え、将来の柱とすべき事業の探索部門であるライフサイエンス材料研究所、環境・エネルギー材料研究所及びこれらを支援する研究企画部により構成されています。また、連結子会社である㈱ADEKAクリーンエイド、ADEKAケミカルサプライ㈱及びADEKA総合設備㈱では、独自の研究開発を行っています。なお、当連結会計年度の研究開発費の総額は、85億88百万円です。(1)化学品事業当社の基盤技術を活用し、市場環境の変化に対応した研究開発を行っています。また、成長が期待される新規分野や先端素材の研究開発では、外部機関からの技術導入を積極的に推進しています。化学品事業の主な研究成果は以下の通りです。①情報・電子化学品分野半導体デバイス向けケミカル素材や、光学フィルムや半導体レジスト向け高機能感光性材料など、先端技術の急速な変化に対応し、世界に通用する新製品の開発を進めています。また、顧客とのパートナーシップの構築、装置メーカーや材料メーカーとの協業により、サプライチェーンマネジメントの強化も進めています。微細化が進む半導体メモリ向け高誘電材料は、20 nm世代向けのプロセスに対応した製品の採用が拡大しました。更に研究開発を進め、10 nm世代に対応できる技術も確立しました。NAND型フラッシュメモリ及びロジック半導体向け材料でも、採用が拡大するなど進展しました。光学フィルム向け感光性材料では、ユーザーでの評価が進展し、大手ユーザーへの採用が拡大しています。高感度光重合開始剤は、ディスプレイの高機能化に伴い、様々な用途で採用されました。②機能化学品分野環境配慮型製品などの世界で通用する独創性・新規性のある樹脂添加剤の創出、界面化学技術を利用した高機能化粧品材料の開発、また機能性樹脂材料の電子・環境・エネルギー・自動車用途への応用等を推進しています。樹脂添加剤では、自動車内装用途や農業用フィルム用途のヒンダードアミン系光安定剤において、ユーザーの評価が進展し、採用が拡大しました。透明化剤・核剤、酸化防止剤においては、社外連携を強化し、独自性の高い高機能製品の開発を推進しています。有機モリブデン系潤滑油添加剤「アデカサクラルーブ」では、評価試験設備を充実させ、欧米、中国、東南アジアでの市場開拓を強化しました。平成25年11月から平成28年2月まで参画しましたNEDOプロジェクト「風車部品高度実用化開発」において、曲げ強度が従来品の1.5倍向上する繊維強化プラスチック向け樹脂を開発しました。 子会社であるADEKAクリーンエイド㈱の業務用洗浄剤分野では、台湾市場でのニーズに基づき、既存の食器洗浄機用乾燥仕上剤(リンス剤)の泡立ちを抑えた改良品を開発しました。この改良品は、既に現場テストで泡立ちが大幅に低減されていることが確認され、上市も完了しています。食品工業用分野では、新技術で高濃度の苛性ソーダ溶液中に、難溶性の抑包剤と強キレート剤を安定配合した製造設備用液体洗浄剤を開発しました。これにより、従来実施していた酢洗浄の工程の削減あるいは低減が可能となり、ユーザーは時間・水・エネルギー及びそのコストの削減に繋がります。現在は、5月下旬より現場テストが実施できるよう準備を進めています。子会社であるADEKAケミカルサプライ㈱の湿式伸線剤では、AL-805の使用液色調改良品を開発し、中国市場において評価実施中です。中国のスチールコードメーカーでは、1ヶ月の伸線試験で問題無い結果となり、集中槽による拡大試験へ移行する予定となっています。一方、日本のスチールコードメーカーでは、高硬度・難加工線用に開発したAL-642の試験を開始、スチールコードでのゴム接着評価後、ソーワイヤーでの評価も行う予定です。粉末冶金用ワックス系潤滑剤では、MEL-05が磁性部品において、磁性特性が現行品よりも良好との結果を得て、新製品での量産試験に入る予定です。 (2)食品事業食を取り巻く環境は、原料価格の変動や国産乳製品の需給逼迫、美味しさや食品安全への関心の高まりなど事業環境の変化にめまぐるしいものがあります。このような状況の中、食品産業全般では、品質向上や新製品開発への積極的な取り組み、消費者ニーズに対応した付加価値の高い商品を提供する動きが活発になっています。また、従来のフードセーフティ(食品安全)に加え、フードディフェンス(食品防御)への取り組みも強く求められている状況にあります。このような事業環境下に対し、当社食品部門では、「安心・安全」を基本コンセプトに位置づけ、お客様の特色ある商品作りに役立つ新製品開発を行うと共に、お客様のご要望に応える製品創出への対応も迅速に進めています。中国も含めアジア諸国の市場展開に関しましては、海外関係会社との連携により各国の嗜好に合った製品開発を進めています。 ①加工油脂分野練込油脂では、「スーパーバーナード」を上市しました。本製品はパンのソフト性に加え歯切れと口溶け、風味を向上させることが特徴です。折込油脂ではデニッシュペストリーの食感と歯切れを向上させる「オリンピアフレーキーシート」を上市しました。これら製品は、パン類の総合的な品質を高める加工油脂製品として好評を頂いています。フィリング類では、良好な風味の付与とその風味発現性を高めた各種製品を上市しました。フィリング・スプレッド用マーガリンの「コクメルソフト」は、乳のコク味や風味立ちに優れていることが特徴です。すっきりとした甘さのなかに濃厚な乳風味をきわだたせたファットスプレッドの「コンプリート練乳」と共にお客様の商品開発に貢献しています。②加工食品分野甘くないロールインシートフィリング「セイボリーシート」は、平成26年度上市した「ピザ風味」に加え、「チェダーチーズ風味」や「コンソメ風味」等いろいろな風味を品揃えし、拡販を促しました。また、国産乳原料が逼迫する中、少量添加でクリーム等の乳風味を強化できる風味素材「ディアリキッド」を上市、洋菓子・製菓市場を中心に展開を進め、お客様から好評を得ています。 食品事業では、今後も、お客様の商品の美味しさ向上に役立つ製品創出に注力するともに、その品質を高めるための新しい技術開発にも積極的に取り組んでまいります。 (3)新規事業の推進注力分野として、「ライフサイエンス」「環境・エネルギー」を掲げ、体制を強化し早期実需化を目指しています。ライフサイエンス分野では、経鼻投与型ワクチン向けアジュバント(ワクチンの効果を高める補強剤)を開発しています。このアジュバントとインフルエンザワクチンを混合して鼻から吸入することにより、粘膜に抗体が産生し、インフルエンザウィルスへの感染を防御できることを、マウスを用いた実験で確認しました。環境・エネルギー分野では、東京大学から独占ライセンスを取得し、ナノカーボンの一種であるグラフェンの高濃度かつ高品質な分散液を開発、サンプル提供を開始しました。 (4)その他子会社であるADEKA総合設備㈱では、ジオメイトBIO-213の開発にあたり、大手ゼネコンとの連携による実績づくりを平成23年度から行ってきました。微生物栄養剤のニーズとして、浄化期間の短縮、高濃度VOCへのさらなる対応などが存在することが判り、これらの条件を満たすサイトを有するゼネコンと共同でジオメイトの機能向上を図るジオメイト補助剤(添加剤)を開発しました。未だサイトでのモニタリング中ではありますが、ジオメイトのみを対象に比較して補助剤を添加したエリアは高濃度VOCの低減保身効果が確認されています。平成27年度はモニタリング業務を契約、受注しました。