4204

積水化学工業(4204)は何で稼いでいるか — 事業の柱と依存度

化学 素材・化学

事業の概要

  • 住宅事業の展開
    積水化学工業は、鉄骨系・木質系ユニット住宅の製造から販売、施工までを一貫して手掛けています。さらに、土地の販売、リフォーム、不動産仲介、賃貸管理、高齢者向け介護サービスなど、住宅に関連する幅広いサービスを提供し、顧客の住まいに関する多様なニーズに応えることで収益を上げています。
  • 環境・ライフライン事業
    塩化ビニル管やポリエチレン管、雨水貯留材、建材、介護機器など、社会インフラや生活に密着した製品の製造・販売・施工を行っています。これらの製品は、都市機能の維持や災害対策、高齢化社会への対応など、社会課題の解決に貢献することで安定的な収益基盤を築いています。
  • 高機能プラスチックス事業
    液晶用微粒子、半導体材料、光学フィルム、自動車部品、医療衛生材料など、幅広い分野で使われる高機能なプラスチック製品を製造・販売しています。高い技術力と研究開発力を背景に、多岐にわたる産業の進化を支えることで、高付加価値製品からの収益を追求しています。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
セグメント構成
  • 住宅事業
    戸建住宅の製造・販売・施工に加え、リフォームや不動産仲介、介護サービスなど、住まいに関する幅広いサービスを提供しています。売上高は5,239.12億円、営業利益は314.98億円で、同社の主要な収益源の一つとなっています。
  • 環境・ライフライン事業
    塩化ビニル管や雨水貯留材、建材、介護機器など、社会インフラや生活に密着した製品の製造・販売・施工を行っています。売上高は2,274.01億円、営業利益は229.58億円で、社会貢献性の高い事業として安定的な収益を上げています。
  • 高機能プラスチックス事業
    液晶用微粒子、半導体材料、光学フィルム、自動車部品、医療衛生材料など、多岐にわたる産業向けの高機能プラスチック製品を提供しています。売上高は4,423.66億円、営業利益は612.35億円と、最も高い営業利益を計上しており、同社の成長を牽引する事業です。
2025-03 セグメント別業績
セグメント区分売上(億)営業利益(億)営業利益率
Housing 地域 5,239 315 6.0%
UrbanInfrastructureAndEnvironmentalProducts 事業 2,274 230 10.1%
HighPerformancePlastics 事業 4,424 612 13.8%
Medical 事業 992 128 12.9%
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FY2025|3,879 文字
3【事業の内容】 当社及び当社の関係会社(国内子会社89社、海外子会社66社、関連会社13社(2025年3月31日現在)により構成)においては、住宅事業、環境・ライフライン事業、高機能プラスチックス事業、メディカル事業、その他事業の5セグメントに関係する事業を主として行っている。各事業における当社及び当社の関係会社の位置づけ等は次のとおりである。 (住宅事業)  当事業部門においては、鉄骨系・木質系ユニット住宅の製造、施工、販売ならびに分譲用土地の販売、リフォーム、不動産仲介、賃貸管理、インテリア、エクステリアの販売・施工、高齢者向け介護サービス、まちづくり事業等を行っている。[主な関係会社](原材料の購買)セキスイ・グローバル・トレーディング㈱(建築部材の購買) セキスイハイムサプライ㈱(製品の製造)北海道セキスイハイム工業㈱ 東北セキスイハイム工業㈱ セキスイハイム工業㈱中四国セキスイハイム工業㈱ 九州セキスイハイム工業㈱ セキスイボード㈱Sekisui-SCG Industry Co., Ltd.(製品の販売・施工)北海道セキスイハイム㈱ セキスイハイム東北㈱ 栃木セキスイハイム㈱ 群馬セキスイハイム㈱セキスイハイム信越㈱ 東京セキスイハイム㈱ セキスイハイム中部㈱ セキスイハイム近畿㈱セキスイハイム中四国㈱ セキスイハイム九州㈱ 茨城セキスイハイム㈱ セキスイハイム東海㈱セキスイハイム山陽㈱ セキスイハイム東四国㈱(製品の施工・サービス等)北海道セキスイファミエス㈱ セキスイファミエス東北㈱ セキスイファミエス信越㈱東京セキスイファミエス㈱ セキスイファミエス中部㈱ セキスイファミエス近畿㈱セキスイファミエス中四国㈱ セキスイファミエス九州㈱ セキスイデザインワークス㈱東北セキスイハイム不動産㈱ セキスイハイム不動産㈱ 中四国セキスイハイム不動産㈱九州セキスイハイム不動産㈱ セキスイユニディア㈱ セキスイオアシス㈱ ㈱ヘルシーサービス東京セキスイハイム施工㈱ 近畿セキスイハイム施工㈱ セキスイハイム不動産少額短期保険㈱(製品の販売・サービス等)セキスイ合人社タウンマネジメント㈱ (環境・ライフライン事業)  当事業部門においては、塩化ビニル管・継手、ポリエチレン管・継手、プラスチックバルブ、強化プラスチック複合管、塩素化塩ビ樹脂コンパウンド、雨水貯留材、建材(雨とい、エクステリア材)、介護機器、浴室ユニット、合成木材、防音制振材料、不燃性ポリウレタン、耐火材料、管きょ更生材料及び工法、パネルタンク等の製造、販売、施工を行っている。[主な関係会社](原材料の製造)※(徳山積水工業㈱)(製品の製造)東日本積水工業㈱ 山梨積水㈱ 甲府積水産業㈱ 千葉積水工業㈱ 西日本積水工業㈱ 四国積水工業㈱四積化工㈱ 九州積水工業㈱ 奈良積水㈱ 積水(無錫)塑料科技有限公司(製品の販売)㈱ヴァンテック 東日本セキスイ商事㈱ 中部セキスイ商事㈱ 西日本セキスイ商事㈱九州セキスイ商事インフラテック㈱Sekisui SPR Americas, LLC. Sekisui Chemical G.m.b.H. Sekisui Singapore Pte. Ltd.Sekisui Vietnam Co., Ltd. (製品の製造・販売等)積水アクアシステム㈱ 積水ホームテクノ㈱ 積水化学北海道㈱ 積水ソフランウイズ㈱ 東都積水㈱東積加工㈱ ㈱日本インシークSEKISUI ESLON B.V. Sekisui Rib Loc Group Pty. Ltd. Sekisui Rib Loc Australia Pty. Ltd.積水塑膠管材股份有限公司Sekisui Specialty Chemicals(Thailand)Co., Ltd. S and L Specialty Polymers Co., Ltd. なお、上記関係会社のうち ※( )書きの会社は、高機能プラスチックス事業についても、原材料及び製品の製造を行っている。 (高機能プラスチックス事業) 当事業部門においては、液晶用微粒子、感光性材料、半導体材料、光学フィルム、工業用テープ、合わせガラス用中間膜、発泡ポリオレフィン、車輌用樹脂・ラバー成型品、放熱材料(グリス・シート)、炭素繊維強化プラスチック(CFRP)等複合材成型品、加飾シート、ポリビニルアルコール樹脂、ブロー容器、建設用資材、接着剤、包装用テープ、プラスチックコンテナ、樹脂畳「MIGUSA」、衛生材料等の製造、販売を行っている。[主な関係会社](原材料及び製品の製造)徳山積水工業㈱(製品の製造)積水武蔵化工㈱ 積水水口化工㈱ 積水多賀化工㈱ 奈積精密加工㈱(製品の販売)積水マテリアルソリューションズ㈱ Sekisui Alveo A.G. Sekisui Alveo G.m.b.H.Sekisui Alveo(Benelux)B.V. Sekisui Alveo S.A. Sekisui Alveo S.r.L. Sekisui Alveo(GB)Ltd.Sekisui Specialty Chemicals Mexico, S.de R.L.de C.V.※(Sekisui Chemical G.m.b.H. Sekisui Singapore Pte. Ltd. Sekisui Vietnam Co., Ltd.Sekisui Korea Co., Ltd. Sekisui Products, LLC. 積水(上海)国際貿易有限公司Sekisui(Hong Kong)Ltd. 台湾積水化学股份有限公司)(製品の製造・販売)積水ナノコートテクノロジー㈱ 積水テクノ成型㈱ 積水フーラー㈱ 積水ポリマテック㈱住化積水フィルム㈱ 積水成型工業㈱ 積水成型茨城㈱ 積水成型千葉㈱ 積水成型兵庫㈱ 積水成型出雲㈱Sekisui Voltek, LLC. Sekisui Alveo B.V. Sekisui Alveo BS G.m.b.H. 映甫化学㈱積水映甫高新材料(無錫)有限公司 Thai Sekisui Foam Co., Ltd.Sekisui Pilon Pty. Ltd. Sekisui S-Lec America, LLC. Sekisui S-Lec B.V. 積水中間膜(蘇州)有限公司Sekisui S-Lec (Thailand) Co., Ltd. Sekisui S-Lec Mexico S.A. de C.V.Sekisui Specialty Chemicals America, LLC. Sekisui Specialty Chemicals Europe, S.L.Sekisui DLJM Molding Private Limited 積水保力馬科技(上海)有限公司Sekisui Polymatech(Thailand)Co., Ltd. PT. Sekisui Polymatech IndonesiaSekisui Polymatech America, LLC. Sekisui Polymatech Europe B.V. Sekisui Aerospace CorporationAIM Group USA Inc. AIM Aerospace Renton, Inc. AIM Aerospace Auburn, Inc.AIM Aerospace Sumner, Inc. AIM Aerospace Atlanta, Inc. Quatro Composites, LLC.SEKISUI KYDEX, LLC.(サービス等)PT Asia HD Limited なお、上記関係会社のうち ※( )書きの会社は、環境・ライフライン事業についても、各々販売を行っている。 (メディカル事業) 当事業部門においては、臨床検査薬、自動分析装置、採血管、医薬品原薬・中間体、創薬支援、酵素原料等の製造・販売を行っている。 [主な関係会社](製品の製造)積水医療科技(蘇州)有限公司(製品の販売)Sekisui Diagnostics G.m.b.H.(製品の製造・販売)積水メディカル㈱ Sekisui Diagnostics, LLC. Sekisui Diagnostics P.E.I. Inc.Sekisui Diagnostics (UK) Limited 積水医療科技(中国)有限公司 Veredus Laboratories Pte. Ltd.(その他事業) 当事業部門においては、フィルム型リチウムイオン電池及び上記4事業部門に含まれない製品の製造、販売及びサービスを行っている。[主な関係会社](製品の製造)積水LBテック㈱(製品の製造・販売)㈱プラスチック工学研究所 積水バイオリファイナリー㈱ 積水ソーラーフィルム㈱(サービス等)セキスイ保険サービス㈱ ㈱セキスイアカウンティングセンターSekisui Europe B.V. Sekisui America Corporation 積水化学(中国)有限公司Sekisui Southeast Asia Co., Ltd. その他主要な関連会社に、積水化成品工業㈱がある。[事業系統図] 以上述べた事項を事業系統図によって示すと次のとおりである。

事業の優位性(モート)

事業の質(有価証券報告書から抽出)
数字に出ない事業の性質を、同じ物差しで全銘柄そろえています。FY2025時点の記載が出典です。
価格決定力値上げを通せるか。強いほどインフレ耐性が高い 中程度
原材料価格高騰に対し、原価低減施策と製品付加価値向上、販売価格改定で対応。
参入障壁新規参入を阻む要因の種類 技術
各事業部門で基礎研究や応用技術から新規事業開拓まで先端技術の研究・開発を進めている。
顧客集中度特定顧客への依存度。高いほど失注リスクが大きい 中程度
景気敏感度業績が景気循環にどれだけ振られるか シクリカル
設備投資の性質稼いだ現金がどれだけ設備維持に消えるか 混合
規制依存規制は障壁にも足枷にもなる 高い
会社が挙げる主要リスク:経済動向および製品市況の変動 / 原材料の市況変動及び調達 / 為替・金利・保有資産価格の変動
同じ条件で他の銘柄を探す → 定性スクリーニング(価格決定力・参入障壁・景気敏感度などで絞り込めます)
モート総合 11 / 25 5類型それぞれの強度と、そう判定した根拠
無形資産★★☆☆☆
根拠:中程度ブランド・特許・許認可

積水化学工業は、独自の高機能プラスチック技術や、住宅事業におけるブランド力「セキスイハイム」を有している。特に、環境配慮型製品や高機能フィルム分野での特許取得は競争優位の源泉となりうるが、化学業界全体で技術革新が速く、特許の陳腐化リスクも存在する。

スイッチングコスト★★☆☆☆
根拠:中程度乗り換えの手間・コスト

住宅事業においては、ブランド力と長年の実績から顧客のスイッチングコストは一定程度存在する。しかし、建材や化学品事業においては、顧客が代替品に切り替える際のコストは限定的であり、価格や性能が主な選択要因となる場合が多い。

ネットワーク効果☆☆☆☆☆
根拠:弱い利用者増が価値を生む

積水化学工業の事業モデルは、直接的なネットワーク効果を生み出す性質のものではない。製品やサービスがユーザー数に応じて価値を高めるような構造は、主要事業には見られない。

コスト優位★★★☆☆
根拠:中程度同じ物を安く作れる

長年の生産ノウハウと規模の経済により、一部製品においてコスト競争力を有している。特に、汎用的な化学品や建材分野では、効率的な生産体制が強みとなる。しかし、原材料価格の変動や新興国メーカーの台頭により、コスト優位の維持には継続的な努力が必要。

規模の経済★★★★☆
根拠:強い規模が参入障壁になる

積水化学工業は、住宅、化学品、高機能プラスチックスの各分野で、日本国内およびグローバル市場において確固たる地位を築いている。特に住宅事業では国内トップクラスのシェアを誇り、化学品事業でも特定のニッチ市場で高いシェアを持つ。この規模は、研究開発投資や設備投資において有利に働く。

  • 多角的な事業ポートフォリオ
    積水化学工業は、住宅、環境・ライフライン、高機能プラスチックス、メディカルと多岐にわたる事業を展開しており、特定の市場変動リスクを分散しています。これにより、例えば住宅市場が低迷しても、他の事業で収益を補完できる可能性があります。
  • グローバルな事業展開
    日本だけでなく、北米、欧州、アジアなど世界20以上の国や地域に拠点を持ち、生産・販売活動を行っています。これにより、特定の地域経済の変動リスクを軽減し、多様な市場からの収益機会を獲得できる可能性があります。
  • 技術開発力と製品ラインナップ
    液晶用微粒子や半導体材料、高機能フィルム、医薬品原薬など、高い技術力を要する製品を多数手掛けています。これにより、競合他社との差別化を図り、高付加価値製品を提供することで、安定した収益を確保できる可能性があります。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)

経営戦略

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経営方針・経営戦略
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】 当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりである。 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものである。(1) 経営理念および行動準則 積水化学グループは、経営に対する理念を体系化している。企業活動の根底にある考え方や方針を示す「社是」、社是をうけて中長期で当社グループが目指す姿を示した「グループビジョン」、グループビジョンを実現していくための具体的な「経営戦略」により構成されている。 ①社是「3S精神」 当社の社章は、創業当時の社名「積水産業」の頭文字の「S」3つを化学記号ベンゼン環の中に配置して、「水」という文字をかたどったものである。1959年11月、当社は、このマークに「3S精神」という明確な定義づけを行い、社是として制定した。 「企業活動を通じて社会的価値を創造する(Service)」「積水を千仞の谿に決するスピードをもって市場を変革する(Speed)」「際立つ技術と品質で社会からの信頼を獲得する(Superiority)」の3S精神は、積水化学グループの理念体系の根幹をなすものであり、約2万7千名の全社員の間で、しっかりと共有されている。<社是「3S精神」>・Service  :企業活動を通じて社会的価値を創造する・Speed   :積水を千仞の谿に決するスピードをもって市場を変革する・Superiority:際立つ技術と品質で社会からの信頼を獲得する ②グループビジョン 積水化学グループは、ステークホルダーの期待に応え、社会的価値を創造し、事業を通して社会に貢献することを目指している。 地球規模での人口増加や気候変動、先進国を中心とする高齢化、都市基盤の老朽化などに加え、これらすべてに関連する資源エネルギー問題がこれまで以上に喫緊な社会的課題になりつつある中、グループがこれまで蓄積してきた「住・社会のインフラ創造」と「ケミカルソリューション」の分野に関する経験・知見を活用して、これらの社会課題の解決に資する価値を創造し続けることを目指している。<グループビジョン>積水化学グループは、際立つ技術と品質により、「住・社会のインフラ創造」と「ケミカルソリューション」のフロンティアを開拓し続け、世界のひとびとのくらしと地球環境の向上に貢献します。 ③積水化学グループ企業行動指針 積水化学グループは、グループの役員・従業員が従うべき行動指針である「積水化学グループ企業行動指針」を定め、日々の事業活動を通じて社会的信頼を高め、より一層魅力ある会社を目指している。<企業行動指針>1 社会の発展に役立つ事業活動を行う。2 個人の能力を最大限に発揮し、活力ある組織をつくる。3 お客様・取引先・株主・地域など広く社会から信頼される企業をめざす。4 あらゆる企業活動において法およびその精神を遵守し、誠実に行動する。5 よき企業市民として、サステナブルな視点で地球環境問題と社会貢献に取り組む。 (2) グループビジョンを実現するための経営戦略 積水化学グループは、社是「3S精神」の下、グループビジョンに掲げる「住・社会のインフラ創造」と「ケミカルソリューション」を両輪として成長していくため、長期ビジョン「Vision 2030」、ならびに2023年度から2025年度までの3か年を対象期間とした中期経営計画「Drive 2.0」を策定し、以下の取り組みを推進している。 ①長期ビジョン「Vision 2030」 長期ビジョン「Vision 2030」では、積水化学グループがイノベーションを起こし続けることにより、「サステナブルな社会の実現に向けてLIFEの基盤を支え『未来につづく安心』を創造していく」という強い意志を込めたビジョンステートメント「Innovation for the Earth」を掲げている。レジデンシャル(住まい)、アドバンストライフライン(社会インフラ)、イノベーティブモビリティ(エレキ/移動体)、ライフサイエンス(健康・医療)の4つの事業領域を設定し、「ESG経営を中心においた革新と創造」を戦略の軸にして現有事業の拡大と新領域への挑戦に取り組み、2030年の業容倍増を狙う。<ESG経営> 積水化学グループの「ESG経営」では、「サステナブルな社会の実現」と「当社グループの持続的な成長」の両立の実現を目指し、その鍵となる以下の3つのステップをステークホルダーとともに取り組んでいる。 イ)環境・CS品質・人材の「3つの際立ち」と「ガバナンス」の磨き上げ ロ)3つのアプローチ(量を増やす・質を高める・持続的に提供する)で社会課題解決を加速 ハ)4つの事業領域で「未来につづく安心」という価値の創出・拡大 このESG経営を加速するため、当社グループ主要施策について中長期目標を定めるとともに、今中期経営計画ではESG強化費550億円(設備投資+費用)を設定し、重大インシデントにつながるリスク軽減に向けた取り組みやDX(デジタル変革)・人材・環境など経営基盤の強化を推進する。 ②中期経営計画「Drive 2.0」<中期経営計画「Drive 2.0」の全体像> 長期ビジョンの第2フェーズとなる中期経営計画「Drive 2.0」では、積水化学グループの業容倍増に向け、“持続的成長”と“仕込み充実”により、長期ビジョンの実現を目指すことを基本方針とし、①戦略的創造、②現有事業強化、③ESG経営基盤強化の3つの基本戦略に取り組み、企業価値の向上を推進する。 <中期経営計画の数値目標> 2025年度目標中期経営計画中期増分売上高14,100億円+1,674億円営業利益(率)1,150億円(8.2%)+233億円(+0.8%)親会社株主に帰属する当期純利益820億円+127億円ROIC(投下資本利益率)8.5%+0.9%ROE(自己資本利益率)11.0%+1.0% 海外売上高(比率)4,800億円(34%)+1,049億円(+4%)EBITDA(利払い前・税引前・減価償却前利益)1,750億円+329億円 <基本戦略> 中期経営計画「Drive 2.0」の基本戦略は、ESG経営を実践し持続的に企業価値を向上させていくために、長期ビジョンの第2フェーズとして①戦略的創造、②現有事業強化、③ESG経営基盤強化の3つに取り組むこと、それらを牽引するドライバーとしてサステナビリティ貢献製品の創出と拡大を加速させることにある。 イ)戦略的創造(Strategic Innovation)   新事業領域の創出を目指した仕込みの具体化 ロ)現有事業強化(Organic Growth)   現有事業の着実な成長とポートフォリオの磨き上げ ハ)ESG経営基盤強化(Strengthen Sustainability)   持続的成長と仕込み充実に資するESGマネジメント強化 <投資・財務戦略> 中期経営計画「Drive 2.0」の3年間に獲得するキャッシュに加え、適切かつ機動的な資金調達を行うため、投資枠6,000億円を設定する。設備投資枠(戦略投資+通常投資)、M&A投資枠としてそれぞれ3,000億円を設定し、市場開拓に伴う増産投資や、M&Aによる技術やノウハウ、グローバルの販路獲得などに活用する。また、環境負荷低減、人的資本投資、デジタル変革など長期的に資本コストを抑制し、企業価値向上に寄与する取り組みを実行するために、ESG強化費550億円(設備投資+費用)を設定している。 <株主還元> 中期経営計画「Drive 2.0」では、株主の皆様への「剰余金の配当等に関する基本方針」の内容を見直し、株主還元のコミットを強化・明確化した。連結配当性向40%以上、総還元性向50%以上(D/Eレシオ(負債資本倍率)が0.5以下の場合)としつつ、DOE(自己資本配当率)3%以上を確保し、業績に応じ、かつ安定的な配当政策を実施する。 ③気候変動課題への取り組み 当社グループは、気候変動は大きな社会課題であると同時に、当社グループにとって大きなリスクであると認識し、その解決に積極的に取り組んできた。2018年、2℃目標ベースのGHG(Greenhouse Gas:二酸化炭素やメタンなどの温室効果ガス)削減ロードマップをベースに化学業界初となるSBT認証(注)を取得したが、2022年にはマイルストーンの前倒し達成を受け、1.5℃目標ベースのロードマップへと見直し、SBT認証を再取得した。この目標とは2030年にGHG排出量削減率についてはScope1+2を2019年度比で50%減、Scope3を2019年度比30%減とするものである。これまでは老朽設備更新の促進などの「エネルギー消費革新」、購入電力の再生可能エネルギー(以下、「再エネ」)転換や自家消費型太陽光発電設備の導入などの「エネルギー調達革新」を進めてきた。 現在は、燃料使用設備の電化や低炭素燃料への転換の促進、さらには「生産プロセス革新」による燃料由来GHG排出量の削減という技術的難易度の高い取り組みも進めており、中長期のGHG排出量削減目標の達成を目指す。(注)SBT(Science Based Targets)認証:企業が定めた温室効果ガス削減目標が、長期的な気候変動対策への貢献と科学的に整合していると、国連グローバル コンパクトをはじめとする共同イニシアチブにより認証されたもの。(注)1.Scope1:事業者自らによる温室効果ガスの直接排出(燃料の燃焼、工業プロセス)   2.Scope2:他社から供給された電気、熱・蒸気の使用に伴う間接排出   3.Scope3:Scope1、Scope2以外の間接排出(事業者の活動に関連する他社の排出) 2023年度から開始した中期計画において、最終年度である2025年度は以下の目標を目指して取り組みを進めている。脱炭素化 GHG排出量削減率(Scope1+2)   ▲33%(基準年2019年度)     購入電力の再エネ比率  70% 2024年度のGHG排出量の削減率については、生産量減少と電力の再エネ転換が進んだ。グループ全体における購入電力の再エネ比率は計画通りに進捗している。 ④資源循環の実現に向けた対応 当社グループは2050年にサーキュラーエコノミーを実現し、持続可能な社会を目指す。この長期ゴール実現のために2020年度に下記の資源循環方針を定めた。 イ)資源循環に関するイノベーションを推進する ロ)事業活動で使用する非化石由来および再生材料の使用を拡大する ハ)ライフサイクルにおいて排出される廃棄物においてはマテリアルへの再資源化を最大化する 2023年度から開始した中期計画において、最終年度である2025年度は以下の目標を目指して取り組みを進めている。 再資源化の促進  廃プラスチックのマテリアルリサイクル率(国内)65%  2024年度は、工場から排出される廃プラスチックに対して、既存技術の活用によるマテリアルリサイクルの水平展開に加え、難リサイクル材に対しての新しいリサイクル技術の検討を進めた。今後は実装に向けて検討を進める。 更に、真のサーキュラーエコノミーの実現をめざし、使用する原料について、再生可能もしくはバイオマス由来の原料など循環可能な資源に転換する取り組みも加速する。 ⑤サステナビリティ貢献製品による「持続可能な開発目標(SDGs)」への貢献 気候変動などの社会課題が深刻化し、企業に対しては持続可能な社会の実現への貢献を求める声が高まっている。当社グループにおいても、さまざまな製品や事業を通じて、2030年までに世界が成し遂げるべき「持続可能な開発目標(SDGs)」の達成に向けた企業活動を推進している。 なかでも、自動車向け遮音・遮熱中間膜や太陽光発電システム搭載住宅、管路更生SPR工法といった、自然環境および社会環境における課題解決への貢献度が高い製品をサステナビリティ貢献製品と認定し、連結売上高に占めるサステナビリティ貢献製品比率を高めている。 「サステナブルな社会の実現に向けて、LIFEの基盤を支え“未来につづく安心”を創造する」企業として、サステナビリティ貢献製品の創出と市場における拡大を通じ、SDGsをはじめとする社会課題解決への貢献と企業としての更なる成長を目指す。”未来につづく安心“を創造する今後のサステナビリティ貢献製品としては、フィルム型のぺロブスカイト太陽電池やCO2固定化技術、バイオリファイナリー技術などがあり、社会実装をめざし、実証・スケールアップなどを行っている段階である。 ⑥人的資本経営の取り組み 当社は人材理念に「従業員は社会からお預かりした貴重な財産である」と定め、人的資本を企業価値向上の源泉と位置づけている。長期ビジョンの実現、ならびに全員が挑戦したくなる活力ある会社の実現に向け、今中期は「挑戦する風土の醸成」「適所適材の実現」「ダイバーシティの実現」を人事戦略に掲げている。役割軸の人事制度や挑戦の促進など、人材マネジメントの転換に向けて各種施策を展開している。なお、従業員のキャリア拡大への投資、ならびにグループ各社の人員確保(労働条件の改善、人員の補強、働く環境の整備)として、3年で120億円を人的資本に投資することとしている。 イ)挑戦する風土の醸成重点KPI:挑戦行動発現度。“挑戦の場づくり”としては、人材公募などを通じてチャレンジ機会を提供するとともに、“挑戦の後押し”としては、挑戦風土の醸成やキャリア自律を促進している。ロ)適所適材の実現重点KPI:後継者候補準備率。“ビジネスリーダーの育成”としては、全社をあげて後継者候補の認定・登用および計画的育成に取り組むとともに、“プロ人材の確保”としては、高度専門人材の確保および事業ニーズに即したリスキルを実施している。ハ)ダイバーシティの実現重点KPI:定着率。“多様な人材の活躍”としては、多様な人材の雇用と定着促進、DEIの推進および両立支援、“個と職場の活力を高める環境”としては、働き方改革ならびに健康経営を推進している。 (3) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題2025年度目標連結売上高   13,645億円親会社株主に帰属する当期純利益 820億円連結営業利益   1,150億円ROE(自己資本利益率)     10.0% 2025年度は、中期経営計画「Drive 2.0」の最終年度として、様々な市況の変化や低迷にあっても、中期経営計画達成を狙うところまで着実に成長を継続していく。 市況については不透明ながら2024年度並みと見込んでいる。引き続き社会課題解決に資する高付加価値事業・製品販売の拡大、スプレッドの維持に努め、全てのセグメントで増収・増益、全社での、過去最高売上高更新、中期計画通りの営業利益、各段階利益の過去最高益更新を目指す。 <住宅カンパニー> 2025年度は、新築住宅事業での高価格帯商品拡販による棟単価上昇の効果、またリフォーム、レジデンシャル(不動産、まちづくり)事業の売上拡大により、増収・増益の計画である。 新築住宅事業では、都市部での受注回復、棟単価上昇を中心に、増収の見通しである。引き続き、戸建請負、集合住宅など高価格帯商品の受注拡大を図るとともに、各エリアのニーズに応じた商品開発や販売戦略を推進し、受注金額の伸長を図る。 リフォーム事業では、営業体制強化、定期診断の充実化を継続し、受注拡大に注力する。 レジデンシャル事業では、不動産事業は、管理戸数増大による賃貸事業の拡大、仲介や買取再販など流通事業の拡大に注力する。まちづくり事業は、新規案件確保に注力し、持続的な売上増大を図る。 <環境・ライフラインカンパニー>  2025年度は、国内の住宅・非住宅建築市況は当期並みに推移し、設備投資需要は下期に向け拡大していくと想 定している。総コストの上昇傾向は継続するものの、人手不足やインフラ老朽化などの社会課題解決に資する重 点拡大製品の拡販と海外売上の拡大、新値の定着でカバーし、増収・増益の計画である。 パイプ・システムズ分野では、引き続き重点拡大製品の拡販、下期より回復が見込まれるプラント設備投資需要の着実な獲得、塩素化塩ビ(CPVC)樹脂の新製品の拡販に注力する。 住・インフラ複合材分野では、耐火・不燃材料、介護用製品、大型高排水システムなどの拡販に注力する。また合成木材(FFU)は、欧州を中心に鉄道まくらぎ用途の採用を加速させる。 インフラ・リニューアル分野では、管路更生は、国内下水道の全国重点調査を受けて発現する物件の獲得、海外での施工パートナー連携による受注拡大、給水用パネルタンクの販売強化などにより売上拡大を図る。 <高機能プラスチックスカンパニー> 2025年度は、グローバル市況は不透明ながら、すべての分野で売上拡大を図り、増収・増益、3期連続の最高益更新の計画である。また、米国の関税政策や為替の変動を注視し、販売価格への反映やアロケーション推進などの対策を速やかに実施し、影響の最小化を図っていく。 エレクトロニクス分野では、スマートフォン市況については当期をやや上回って推移し、大型パネル需要も堅調であると想定する。引き続き高性能半導体向けを中心とした非液晶分野での拡販を加速させ、増収を図る。 モビリティ分野では、ヘッドアップディスプレイ用を中心とした新高機能中間膜の拡販を推進するとともに、航空機需要の一定の回復を見込み、増収を図る。 インダストリアル分野では、売値の維持に努めるとともに、成長領域に定めている施工省力化製品や環境対応製品の拡販を継続し、増収を図る。 <メディカル事業> 2025年度は、検査事業では、国内および中国での凝固機器のラインナップの拡充、新規顧客の獲得を推進し、医療事業では、引き続き新規受注の獲得に注力し、増収・増益および2期連続の最高益更新の計画である。(4) 株主との建設的な対話に関する基本方針 持続的な成長と中長期的な企業価値の向上に向け、株主との対話を行うことは極めて重要である。当社は、社長および経営戦略部担当取締役を中心に、株主総会はもとより四半期毎の決算説明会や国内外の投資家面談などを積極的に行い、株主との建設的な対話に努めている。 当社は、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上に向け、株主との建設的な対話に関して、以下の基本方針を定めている。①中長期的経営戦略の立案およびIRを統括する経営戦略部担当取締役を責任者と定め、投資家との間で建設的な対話を実現するための体制整備・取り組みを行う。②経営戦略部担当取締役は、各カンパニー、経営管理部、法務部、コーポレートコミュニケーション部、その他関係部署を中心に、インサイダー情報の漏洩に留意しつつ、対話を補助する部門間での情報共有を確実に行うなど有機的な連携を確保する。③株主との建設的な対話を促進するため、株主構造の把握に努め、また対話の手段として、以下の取り組みを実施し、対話の充実に努める。 イ)社長や経営戦略部担当取締役などによる四半期毎の決算説明会の実施 ロ)国内外投資家との個別面談の実施 ハ)株主・投資家向け事業説明会などの適宜実施 ニ)当社ウェブサイトにおける国内外投資家へ向けた情報開示の充実(統合報告書、決算説明会資料、音声など開催模様含む) ホ)当社ウェブサイトにおける意見投稿機会の確保④経営戦略部担当取締役は「企業情報開示規則」に則り、対話によって得られた投資家の意見などを取りまとめ、適時適切に取締役会などで共有し、経営に活かす。⑤「企業情報開示規則」および「インサイダー取引規制規則」に則り、情報管理を強化していく。株主との対話においても細心の注意を払う。
対処すべき課題
1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】 当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりである。 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものである。(1) 経営理念および行動準則 積水化学グループは、経営に対する理念を体系化している。企業活動の根底にある考え方や方針を示す「社是」、社是をうけて中長期で当社グループが目指す姿を示した「グループビジョン」、グループビジョンを実現していくための具体的な「経営戦略」により構成されている。 ①社是「3S精神」 当社の社章は、創業当時の社名「積水産業」の頭文字の「S」3つを化学記号ベンゼン環の中に配置して、「水」という文字をかたどったものである。1959年11月、当社は、このマークに「3S精神」という明確な定義づけを行い、社是として制定した。 「企業活動を通じて社会的価値を創造する(Service)」「積水を千仞の谿に決するスピードをもって市場を変革する(Speed)」「際立つ技術と品質で社会からの信頼を獲得する(Superiority)」の3S精神は、積水化学グループの理念体系の根幹をなすものであり、約2万7千名の全社員の間で、しっかりと共有されている。<社是「3S精神」>・Service  :企業活動を通じて社会的価値を創造する・Speed   :積水を千仞の谿に決するスピードをもって市場を変革する・Superiority:際立つ技術と品質で社会からの信頼を獲得する ②グループビジョン 積水化学グループは、ステークホルダーの期待に応え、社会的価値を創造し、事業を通して社会に貢献することを目指している。 地球規模での人口増加や気候変動、先進国を中心とする高齢化、都市基盤の老朽化などに加え、これらすべてに関連する資源エネルギー問題がこれまで以上に喫緊な社会的課題になりつつある中、グループがこれまで蓄積してきた「住・社会のインフラ創造」と「ケミカルソリューション」の分野に関する経験・知見を活用して、これらの社会課題の解決に資する価値を創造し続けることを目指している。<グループビジョン>積水化学グループは、際立つ技術と品質により、「住・社会のインフラ創造」と「ケミカルソリューション」のフロンティアを開拓し続け、世界のひとびとのくらしと地球環境の向上に貢献します。 ③積水化学グループ企業行動指針 積水化学グループは、グループの役員・従業員が従うべき行動指針である「積水化学グループ企業行動指針」を定め、日々の事業活動を通じて社会的信頼を高め、より一層魅力ある会社を目指している。<企業行動指針>1 社会の発展に役立つ事業活動を行う。2 個人の能力を最大限に発揮し、活力ある組織をつくる。3 お客様・取引先・株主・地域など広く社会から信頼される企業をめざす。4 あらゆる企業活動において法およびその精神を遵守し、誠実に行動する。5 よき企業市民として、サステナブルな視点で地球環境問題と社会貢献に取り組む。 (2) グループビジョンを実現するための経営戦略 積水化学グループは、社是「3S精神」の下、グループビジョンに掲げる「住・社会のインフラ創造」と「ケミカルソリューション」を両輪として成長していくため、長期ビジョン「Vision 2030」、ならびに2023年度から2025年度までの3か年を対象期間とした中期経営計画「Drive 2.0」を策定し、以下の取り組みを推進している。 ①長期ビジョン「Vision 2030」 長期ビジョン「Vision 2030」では、積水化学グループがイノベーションを起こし続けることにより、「サステナブルな社会の実現に向けてLIFEの基盤を支え『未来につづく安心』を創造していく」という強い意志を込めたビジョンステートメント「Innovation for the Earth」を掲げている。レジデンシャル(住まい)、アドバンストライフライン(社会インフラ)、イノベーティブモビリティ(エレキ/移動体)、ライフサイエンス(健康・医療)の4つの事業領域を設定し、「ESG経営を中心においた革新と創造」を戦略の軸にして現有事業の拡大と新領域への挑戦に取り組み、2030年の業容倍増を狙う。<ESG経営> 積水化学グループの「ESG経営」では、「サステナブルな社会の実現」と「当社グループの持続的な成長」の両立の実現を目指し、その鍵となる以下の3つのステップをステークホルダーとともに取り組んでいる。 イ)環境・CS品質・人材の「3つの際立ち」と「ガバナンス」の磨き上げ ロ)3つのアプローチ(量を増やす・質を高める・持続的に提供する)で社会課題解決を加速 ハ)4つの事業領域で「未来につづく安心」という価値の創出・拡大 このESG経営を加速するため、当社グループ主要施策について中長期目標を定めるとともに、今中期経営計画ではESG強化費550億円(設備投資+費用)を設定し、重大インシデントにつながるリスク軽減に向けた取り組みやDX(デジタル変革)・人材・環境など経営基盤の強化を推進する。 ②中期経営計画「Drive 2.0」<中期経営計画「Drive 2.0」の全体像> 長期ビジョンの第2フェーズとなる中期経営計画「Drive 2.0」では、積水化学グループの業容倍増に向け、“持続的成長”と“仕込み充実”により、長期ビジョンの実現を目指すことを基本方針とし、①戦略的創造、②現有事業強化、③ESG経営基盤強化の3つの基本戦略に取り組み、企業価値の向上を推進する。 <中期経営計画の数値目標> 2025年度目標中期経営計画中期増分売上高14,100億円+1,674億円営業利益(率)1,150億円(8.2%)+233億円(+0.8%)親会社株主に帰属する当期純利益820億円+127億円ROIC(投下資本利益率)8.5%+0.9%ROE(自己資本利益率)11.0%+1.0% 海外売上高(比率)4,800億円(34%)+1,049億円(+4%)EBITDA(利払い前・税引前・減価償却前利益)1,750億円+329億円 <基本戦略> 中期経営計画「Drive 2.0」の基本戦略は、ESG経営を実践し持続的に企業価値を向上させていくために、長期ビジョンの第2フェーズとして①戦略的創造、②現有事業強化、③ESG経営基盤強化の3つに取り組むこと、それらを牽引するドライバーとしてサステナビリティ貢献製品の創出と拡大を加速させることにある。 イ)戦略的創造(Strategic Innovation)   新事業領域の創出を目指した仕込みの具体化 ロ)現有事業強化(Organic Growth)   現有事業の着実な成長とポートフォリオの磨き上げ ハ)ESG経営基盤強化(Strengthen Sustainability)   持続的成長と仕込み充実に資するESGマネジメント強化 <投資・財務戦略> 中期経営計画「Drive 2.0」の3年間に獲得するキャッシュに加え、適切かつ機動的な資金調達を行うため、投資枠6,000億円を設定する。設備投資枠(戦略投資+通常投資)、M&A投資枠としてそれぞれ3,000億円を設定し、市場開拓に伴う増産投資や、M&Aによる技術やノウハウ、グローバルの販路獲得などに活用する。また、環境負荷低減、人的資本投資、デジタル変革など長期的に資本コストを抑制し、企業価値向上に寄与する取り組みを実行するために、ESG強化費550億円(設備投資+費用)を設定している。 <株主還元> 中期経営計画「Drive 2.0」では、株主の皆様への「剰余金の配当等に関する基本方針」の内容を見直し、株主還元のコミットを強化・明確化した。連結配当性向40%以上、総還元性向50%以上(D/Eレシオ(負債資本倍率)が0.5以下の場合)としつつ、DOE(自己資本配当率)3%以上を確保し、業績に応じ、かつ安定的な配当政策を実施する。 ③気候変動課題への取り組み 当社グループは、気候変動は大きな社会課題であると同時に、当社グループにとって大きなリスクであると認識し、その解決に積極的に取り組んできた。2018年、2℃目標ベースのGHG(Greenhouse Gas:二酸化炭素やメタンなどの温室効果ガス)削減ロードマップをベースに化学業界初となるSBT認証(注)を取得したが、2022年にはマイルストーンの前倒し達成を受け、1.5℃目標ベースのロードマップへと見直し、SBT認証を再取得した。この目標とは2030年にGHG排出量削減率についてはScope1+2を2019年度比で50%減、Scope3を2019年度比30%減とするものである。これまでは老朽設備更新の促進などの「エネルギー消費革新」、購入電力の再生可能エネルギー(以下、「再エネ」)転換や自家消費型太陽光発電設備の導入などの「エネルギー調達革新」を進めてきた。 現在は、燃料使用設備の電化や低炭素燃料への転換の促進、さらには「生産プロセス革新」による燃料由来GHG排出量の削減という技術的難易度の高い取り組みも進めており、中長期のGHG排出量削減目標の達成を目指す。(注)SBT(Science Based Targets)認証:企業が定めた温室効果ガス削減目標が、長期的な気候変動対策への貢献と科学的に整合していると、国連グローバル コンパクトをはじめとする共同イニシアチブにより認証されたもの。(注)1.Scope1:事業者自らによる温室効果ガスの直接排出(燃料の燃焼、工業プロセス)   2.Scope2:他社から供給された電気、熱・蒸気の使用に伴う間接排出   3.Scope3:Scope1、Scope2以外の間接排出(事業者の活動に関連する他社の排出) 2023年度から開始した中期計画において、最終年度である2025年度は以下の目標を目指して取り組みを進めている。脱炭素化 GHG排出量削減率(Scope1+2)   ▲33%(基準年2019年度)     購入電力の再エネ比率  70% 2024年度のGHG排出量の削減率については、生産量減少と電力の再エネ転換が進んだ。グループ全体における購入電力の再エネ比率は計画通りに進捗している。 ④資源循環の実現に向けた対応 当社グループは2050年にサーキュラーエコノミーを実現し、持続可能な社会を目指す。この長期ゴール実現のために2020年度に下記の資源循環方針を定めた。 イ)資源循環に関するイノベーションを推進する ロ)事業活動で使用する非化石由来および再生材料の使用を拡大する ハ)ライフサイクルにおいて排出される廃棄物においてはマテリアルへの再資源化を最大化する 2023年度から開始した中期計画において、最終年度である2025年度は以下の目標を目指して取り組みを進めている。 再資源化の促進  廃プラスチックのマテリアルリサイクル率(国内)65%  2024年度は、工場から排出される廃プラスチックに対して、既存技術の活用によるマテリアルリサイクルの水平展開に加え、難リサイクル材に対しての新しいリサイクル技術の検討を進めた。今後は実装に向けて検討を進める。 更に、真のサーキュラーエコノミーの実現をめざし、使用する原料について、再生可能もしくはバイオマス由来の原料など循環可能な資源に転換する取り組みも加速する。 ⑤サステナビリティ貢献製品による「持続可能な開発目標(SDGs)」への貢献 気候変動などの社会課題が深刻化し、企業に対しては持続可能な社会の実現への貢献を求める声が高まっている。当社グループにおいても、さまざまな製品や事業を通じて、2030年までに世界が成し遂げるべき「持続可能な開発目標(SDGs)」の達成に向けた企業活動を推進している。 なかでも、自動車向け遮音・遮熱中間膜や太陽光発電システム搭載住宅、管路更生SPR工法といった、自然環境および社会環境における課題解決への貢献度が高い製品をサステナビリティ貢献製品と認定し、連結売上高に占めるサステナビリティ貢献製品比率を高めている。 「サステナブルな社会の実現に向けて、LIFEの基盤を支え“未来につづく安心”を創造する」企業として、サステナビリティ貢献製品の創出と市場における拡大を通じ、SDGsをはじめとする社会課題解決への貢献と企業としての更なる成長を目指す。”未来につづく安心“を創造する今後のサステナビリティ貢献製品としては、フィルム型のぺロブスカイト太陽電池やCO2固定化技術、バイオリファイナリー技術などがあり、社会実装をめざし、実証・スケールアップなどを行っている段階である。 ⑥人的資本経営の取り組み 当社は人材理念に「従業員は社会からお預かりした貴重な財産である」と定め、人的資本を企業価値向上の源泉と位置づけている。長期ビジョンの実現、ならびに全員が挑戦したくなる活力ある会社の実現に向け、今中期は「挑戦する風土の醸成」「適所適材の実現」「ダイバーシティの実現」を人事戦略に掲げている。役割軸の人事制度や挑戦の促進など、人材マネジメントの転換に向けて各種施策を展開している。なお、従業員のキャリア拡大への投資、ならびにグループ各社の人員確保(労働条件の改善、人員の補強、働く環境の整備)として、3年で120億円を人的資本に投資することとしている。 イ)挑戦する風土の醸成重点KPI:挑戦行動発現度。“挑戦の場づくり”としては、人材公募などを通じてチャレンジ機会を提供するとともに、“挑戦の後押し”としては、挑戦風土の醸成やキャリア自律を促進している。ロ)適所適材の実現重点KPI:後継者候補準備率。“ビジネスリーダーの育成”としては、全社をあげて後継者候補の認定・登用および計画的育成に取り組むとともに、“プロ人材の確保”としては、高度専門人材の確保および事業ニーズに即したリスキルを実施している。ハ)ダイバーシティの実現重点KPI:定着率。“多様な人材の活躍”としては、多様な人材の雇用と定着促進、DEIの推進および両立支援、“個と職場の活力を高める環境”としては、働き方改革ならびに健康経営を推進している。 (3) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題2025年度目標連結売上高   13,645億円親会社株主に帰属する当期純利益 820億円連結営業利益   1,150億円ROE(自己資本利益率)     10.0% 2025年度は、中期経営計画「Drive 2.0」の最終年度として、様々な市況の変化や低迷にあっても、中期経営計画達成を狙うところまで着実に成長を継続していく。 市況については不透明ながら2024年度並みと見込んでいる。引き続き社会課題解決に資する高付加価値事業・製品販売の拡大、スプレッドの維持に努め、全てのセグメントで増収・増益、全社での、過去最高売上高更新、中期計画通りの営業利益、各段階利益の過去最高益更新を目指す。 <住宅カンパニー> 2025年度は、新築住宅事業での高価格帯商品拡販による棟単価上昇の効果、またリフォーム、レジデンシャル(不動産、まちづくり)事業の売上拡大により、増収・増益の計画である。 新築住宅事業では、都市部での受注回復、棟単価上昇を中心に、増収の見通しである。引き続き、戸建請負、集合住宅など高価格帯商品の受注拡大を図るとともに、各エリアのニーズに応じた商品開発や販売戦略を推進し、受注金額の伸長を図る。 リフォーム事業では、営業体制強化、定期診断の充実化を継続し、受注拡大に注力する。 レジデンシャル事業では、不動産事業は、管理戸数増大による賃貸事業の拡大、仲介や買取再販など流通事業の拡大に注力する。まちづくり事業は、新規案件確保に注力し、持続的な売上増大を図る。 <環境・ライフラインカンパニー>  2025年度は、国内の住宅・非住宅建築市況は当期並みに推移し、設備投資需要は下期に向け拡大していくと想 定している。総コストの上昇傾向は継続するものの、人手不足やインフラ老朽化などの社会課題解決に資する重 点拡大製品の拡販と海外売上の拡大、新値の定着でカバーし、増収・増益の計画である。 パイプ・システムズ分野では、引き続き重点拡大製品の拡販、下期より回復が見込まれるプラント設備投資需要の着実な獲得、塩素化塩ビ(CPVC)樹脂の新製品の拡販に注力する。 住・インフラ複合材分野では、耐火・不燃材料、介護用製品、大型高排水システムなどの拡販に注力する。また合成木材(FFU)は、欧州を中心に鉄道まくらぎ用途の採用を加速させる。 インフラ・リニューアル分野では、管路更生は、国内下水道の全国重点調査を受けて発現する物件の獲得、海外での施工パートナー連携による受注拡大、給水用パネルタンクの販売強化などにより売上拡大を図る。 <高機能プラスチックスカンパニー> 2025年度は、グローバル市況は不透明ながら、すべての分野で売上拡大を図り、増収・増益、3期連続の最高益更新の計画である。また、米国の関税政策や為替の変動を注視し、販売価格への反映やアロケーション推進などの対策を速やかに実施し、影響の最小化を図っていく。 エレクトロニクス分野では、スマートフォン市況については当期をやや上回って推移し、大型パネル需要も堅調であると想定する。引き続き高性能半導体向けを中心とした非液晶分野での拡販を加速させ、増収を図る。 モビリティ分野では、ヘッドアップディスプレイ用を中心とした新高機能中間膜の拡販を推進するとともに、航空機需要の一定の回復を見込み、増収を図る。 インダストリアル分野では、売値の維持に努めるとともに、成長領域に定めている施工省力化製品や環境対応製品の拡販を継続し、増収を図る。 <メディカル事業> 2025年度は、検査事業では、国内および中国での凝固機器のラインナップの拡充、新規顧客の獲得を推進し、医療事業では、引き続き新規受注の獲得に注力し、増収・増益および2期連続の最高益更新の計画である。(4) 株主との建設的な対話に関する基本方針 持続的な成長と中長期的な企業価値の向上に向け、株主との対話を行うことは極めて重要である。当社は、社長および経営戦略部担当取締役を中心に、株主総会はもとより四半期毎の決算説明会や国内外の投資家面談などを積極的に行い、株主との建設的な対話に努めている。 当社は、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上に向け、株主との建設的な対話に関して、以下の基本方針を定めている。①中長期的経営戦略の立案およびIRを統括する経営戦略部担当取締役を責任者と定め、投資家との間で建設的な対話を実現するための体制整備・取り組みを行う。②経営戦略部担当取締役は、各カンパニー、経営管理部、法務部、コーポレートコミュニケーション部、その他関係部署を中心に、インサイダー情報の漏洩に留意しつつ、対話を補助する部門間での情報共有を確実に行うなど有機的な連携を確保する。③株主との建設的な対話を促進するため、株主構造の把握に努め、また対話の手段として、以下の取り組みを実施し、対話の充実に努める。 イ)社長や経営戦略部担当取締役などによる四半期毎の決算説明会の実施 ロ)国内外投資家との個別面談の実施 ハ)株主・投資家向け事業説明会などの適宜実施 ニ)当社ウェブサイトにおける国内外投資家へ向けた情報開示の充実(統合報告書、決算説明会資料、音声など開催模様含む) ホ)当社ウェブサイトにおける意見投稿機会の確保④経営戦略部担当取締役は「企業情報開示規則」に則り、対話によって得られた投資家の意見などを取りまとめ、適時適切に取締役会などで共有し、経営に活かす。⑤「企業情報開示規則」および「インサイダー取引規制規則」に則り、情報管理を強化していく。株主との対話においても細心の注意を払う。
MD&A(経営者による分析)
4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】(1) 経営成績等の状況の概要 当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という)の状況の概要は次のとおりである。① 財政状態及び経営成績の状況 2024年度は積水化学グループの長期ビジョン「Vision 2030」に基づき策定した、中期経営計画「Drive 2.0」の2年目として、国内の新築住宅市況が低迷し、自動車生産、スマートフォン出荷などグローバル市況も低調に推移した。 そのような環境のもと、高付加価値品の販売拡大に加え、為替の効果もあり、売上高は過去最高を更新した。 また、高付加価値品の販売拡大、スプレッドの確保に加え、固定費の抑制に努めるとともに、為替の効果もあり、全てのセグメントで増益となり、全社での営業利益は100,000百万円超えを達成し、各段階利益は過去最高益を更新した。 その結果、売上高は前連結会計年度比3.3%増の1,297,754百万円、営業利益は14.4%増の107,951百万円、経常利益は4.8%増の110,958百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は5.1%増の81,925百万円となった。 セグメントごとの経営成績は次のとおりである。 イ)住宅事業 当連結会計年度の売上高は前連結会計年度比1.1%減の524,010百万円、営業利益は前連結会計年度比13.6%増の31,498百万円となった。当連結会計年度は、リフォーム事業および不動産事業の売上は伸長したが、新築住宅事業において売上棟数が前期を下回ったことで、売上高は前期をやや下回り、減収となった。また、営業利益は新築住宅事業における収益性強化策の効果が発現するとともにリフォーム事業が順調に拡大し、増益となった。 施策面については、引き続き新築住宅、リフォーム、まちづくりの各事業でスマート&レジリエンスの訴求を図った。新築住宅事業では、エリア別商品戦略強化やデザイン向上を図るなどマーケティング活動強化に注力した。 新築住宅事業の受注は、物価上昇の影響により地方部での需要回復が鈍く、棟数は前期をやや下回ったものの、都市部での需要は比較的堅調に推移し、受注金額は前期を上回った。 リフォーム事業の受注は、営業体制強化、定期診断の継続、断熱リフォームを軸とした改装などの拡販により、前期を上回った。 ロ)環境・ライフライン事業 当連結会計年度の売上高は前連結会計年度比2.4%増の240,492百万円、営業利益は前連結会計年度比3.7%増の22,958百万円となった。当連結会計年度は、国内の住宅・非住宅建築市況が低調であったことに加え、第4四半期に工事遅延などによる荷動きの悪化があったものの、売値改善、重点拡大製品の販売伸長により、売上高は増収、営業利益は3期連続で過去最高益を更新し、増収増益となった。 パイプ・システムズ分野では、国内の住宅向け非住宅向けとも需要は低調で、塩素化塩ビ(CPVC)樹脂はインド市場の低迷の影響を受けたが、売値の改善、重点拡大製品の拡販などにより、売上高は前期を上回った。 住・インフラ複合材分野では、耐火・不燃材料などの重点拡大製品の拡販、欧州を中心に合成木材(FFU)の鉄道まくら木用途の受注が進み、売上高は前期を上回った。 インフラ・リニューアル分野では、管路更生が国内外で工事遅延などの影響を受けるも、給水用パネルタンク需要は堅調に推移し、売上高は前期を上回った。 ハ)高機能プラスチックス事業 当連結会計年度の売上高は前連結会計年度比8.3%増の447,354百万円、営業利益は前連結会計年度比20.2%増の61,235百万円となった。当連結会計年度は、グローバル市況の低迷が継続したが、高機能品の販売が拡大するとともに、為替の効果もあり、売上高は増収、営業利益は大幅な増益となり、過去最高益を更新した。 エレクトロニクス分野では、半導体関連の需要が回復し新規需要獲得も順調に進捗したことにより、売上高は前期を上回った。 モビリティ分野では、一部の航空機関連の需要低迷や自動車生産停滞の影響があったものの、新高機能中間膜(ヘッドアップディスプレイ用、遮熱、カラー・デザイン)の拡販が着実に進捗し、売上高は前期を上回った。 インダストリアル分野では、欧州の建築・消費財需要は想定を下回るも、売値の改善が進捗、フォーム材、テープなどの省力化・環境貢献製品の拡販も寄与し、売上高は前期を上回った。 ニ)メディカル事業 当連結会計年度の売上高は前連結会計年度比7.1%増の99,175百万円、営業利益は前連結会計年度比16.8%増の12,788百万円となった。当連結会計年度は、免疫項目を中心とした国内検査需要の確実な取り込みや、米国での感染症検査キット拡販に注力、医療事業における主要原薬、創薬支援の受注も堅調に推移したことにより、増収増益となり、過去最高益を更新した。 ホ)その他事業 当連結会計年度の売上高は前連結会計年度比4.1%増の7,553百万円、営業損失は前連結会計年度比767百万円増の11,589百万円となった。 ② キャッシュ・フローの状況 当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末より5,471百万円減少し、当連結会計年度末には120,895百万円となった。 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況と要因は次のとおりである。(営業活動によるキャッシュ・フロー) 当連結会計年度において営業活動の結果増加した資金は119,231百万円(前連結会計年度は106,632百万円の増加)となった。これは、主に税金等調整前当期純利益119,973百万円、減価償却費52,361百万円、前受金の増加額12,159百万円等の増加要因が、法人税等の支払額41,902百万円、棚卸資産の増加額16,407百万円等の減少要因を上回ったためである。(投資活動によるキャッシュ・フロー) 当連結会計年度において投資活動の結果減少した資金は61,508百万円(前連結会計年度は18,515百万円の減少)となった。これは、主に重点及び成長分野を中心とした有形固定資産の取得による支出58,104百万円、無形固定資産の取得による支出12,213百万円等の減少要因が、投資有価証券の売却及び償還による収入16,134百万円等の増加要因を上回ったためである。(財務活動によるキャッシュ・フロー) 当連結会計年度において財務活動の結果減少した資金は61,200百万円(前連結会計年度は53,023百万円の減少)となった。これは、配当金の支払額32,936百万円(非支配株主への配当金の支払額を含む)、長期借入金の返済による支出10,069百万円、自己株式の取得による支出8,922百万円等があったためである。 ③ 生産、受注及び販売の状況イ)生産実績 当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりである。セグメントの名称金額(百万円)前期比(%)住宅535,717△ 0.4環境・ライフライン239,8921.5高機能プラスチックス454,2749.2メディカル105,4355.9報告セグメント計1,335,3183.5その他6,172△ 24.8合計1,341,4913.3 (注)金額は販売価格による概算値であり、セグメント間の内部振替前の数値によっている。 ロ)受注状況 当連結会計年度における住宅事業の受注状況を示すと、次のとおりである。なお、住宅事業を除くセグメントで取扱う製品については、主として見込生産を行っている。セグメントの名称受注高(百万円)前期比(%)受注残高(百万円)前期比(%)住宅455,6025.1180,99830.0 ハ)販売実績 当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりである。セグメントの名称金額(百万円)前期比(%)住宅523,912△ 1.0環境・ライフライン227,4012.5高機能プラスチックス442,3668.5メディカル99,1757.1報告セグメント計1,292,8563.3その他4,8975.2合計1,297,7543.3 (注)セグメント間の取引については相殺消去している。 (2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりである。 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものである。 ① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容 (財政状態) 当連結会計年度末の総資産は前連結会計年度末から7,542百万円増加し、1,330,786百万円となった。イ)資産 流動資産については、前連結会計年度末より17,540百万円増加し、703,104百万円となった。主な要因は現金及び預金が4,013百万円、棚卸資産が15,586百万円増加した一方、営業債権が合計で6,192百万円減少したためである。 また、固定資産については、9,997百万円減少し、627,681百万円となった。ロ)負債 前受金が12,121百万円増加した一方、短期借入金が9,229百万円、未払法人税等が8,216百万円、支払手形、電子記録債務、買掛金の仕入債務が306百万円減少したことなどにより負債合計が6,898百万円減少し、495,420百万円となった。ハ)純資産 当連結会計年度末の純資産は14,441百万円増加し、835,366百万円となった。主な要因は、親会社株主に帰属する当期純利益の計上81,925百万円、配当金の支払31,964百万円等の増減による利益剰余金42,854百万円の増加と、その他有価証券評価差額金14,307百万円、為替換算調整勘定5,666百万円、資本剰余金3,553百万円及び退職給付に係る調整累計額2,920百万円の減少、自己株式の取得8,922百万円による減少である。 (経営成績)イ)売上高及び営業利益 当連結会計年度の売上高は1,297,754百万円(前連結会計年度比+3.3%、41,215百万円増)となった。 また、当連結会計年度の営業利益は107,951百万円(前連結会計年度比+14.4%、13,551百万円増)となった。 なお、売上高及び営業利益の詳細については、「(1)経営成績等の状況の概要」に記載している。ロ)営業外損益 営業外収益については、為替差益が6,958百万円、持分法による投資利益が843百万円減少したことなどにより、前連結会計年度と比較して6,049百万円減少した。営業外費用については、固定資産圧縮損が1,500百万円、持分法による投資損失が1,092百万円増加したことなどにより、前連結会計年度と比較して2,464百万円増加した。ハ)特別損益 特別利益については、投資有価証券売却益14,567百万円を計上した。 特別損失については、減損損失2,788百万円、固定資産除売却損2,251百万円、投資有価証券評価損512百万円の合計5,552百万円を計上した。 固定資産除売却損の内訳については「第5[経理の状況]1[連結財務諸表等](1) [連結財務諸表]の[注記事項](連結損益計算書関係)」に記載のとおりである。ニ)親会社株主に帰属する当期純利益 以上の結果、当連結会計年度の税金等調整前当期純利益は前連結会計年度に比べて8,494百万円増加し、119,973百万円となった。税金費用と非支配株主に帰属する当期純利益を控除した結果、親会社株主に帰属する当期純利益は81,925百万円となった。② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報 当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析・検討内容は、「(1) 経営成績等の状況の概要②キャッシュ・フローの状況」に含めて記載している。 当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、中期経営計画において、「負債も活用し、積極的に成長を志向する」ことを基本方針としており、資金調達については、内部資金を活用すると共に、必要に応じて借入・社債発行等による外部調達を行うこととしている。なお、外部調達に関しては、運転資金については借入金またはコマーシャル・ペーパーで、生産設備・M&A等の長期資金需要には長期借入金または普通社債の発行で調達している。 ③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定 連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5[経理の状況]1[連結財務諸表等](1) [連結財務諸表]の[注記事項](重要な会計上の見積り)」に記載のとおりである。

事業リスク

  • 経済動向と製品市況の変動
    世界経済の動向や、自動車・エレクトロニクス・住宅・インフラなどの市場の変動は、積水化学工業の業績に影響を及ぼす可能性があります。特に、原燃料価格の高騰や消費マインドの減退、米国の関税政策などが、製品需要の減少やコスト増加につながるリスクがあります。
  • 原材料の市況変動と調達リスク
    鉄鋼、木材、石油関連の原材料価格の変動や、一部の希少原材料の安定調達は、積水化学工業の生産コストや製品供給に影響を与える可能性があります。価格高騰や供給不足が発生した場合、業績に大きな影響を及ぼすリスクがあります。
  • 為替・金利・資産価格の変動
    海外売上高比率が高い積水化学工業にとって、為替レートの変動は海外取引や在外子会社の円換算額に影響を及ぼす可能性があります。また、金利変動は借入コストや住宅事業の需要に影響を与え、保有資産の価格変動は減損処理のリスクにつながる可能性があります。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
有価証券報告書「事業等のリスク」の全文を見る(年度切替)
FY2025|6,789 文字
3【事業等のリスク】 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがある。なお、当社は、当社グループにおける各種リスク発生の可能性を把握し、発生の回避及び発生時に迅速・的確な対応ができるようにするための体制の確立に努めている。 また、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末において当社グループが判断したものである。 (1) 経営環境に関するリスク 当社では、下記①~⑤に記載する、経済、市況、金融、災害、政治・社会をはじめとした各環境変化に対して迅速な対応をはかるべく、毎月の取締役会、および四半期ごとの予算編成会議において、各事業部門からの報告に基づいて対応策の議論と意思決定を行い、また、経営計画における指標や財務状況の適時・適切な見直しと開示に努めている。①経済動向および製品市況の動向 当社グループ製品の事業展開エリアである日本、北米、欧州、アジアなどでの経済環境の動向や、モビリティ、エレクトロニクス、住宅、建築、インフラなどの市場の動向は、当社グループの業績や財務状況に影響を及ぼす可能性がある。 具体的には、ここ数年で発生したCOVID-19の感染拡大や、ロシアのウクライナ侵攻を契機とした原燃料価格の高騰、そこから波及した世界的な物価高は、消費マインドを減退させているが、今後の状況によって、当社グループの業績にも影響を及ぼす。また、特に米国の関税政策による影響は大きいと捉え、業績影響および対応について都度検討をしている。 事業別に見ると、高機能プラスチックスカンパニーの事業のうち、モビリティ分野の事業が対象とする市場は、グローバルな自動車産業や航空機産業の景況・需要動向の影響を受けやすく、エレクトロニクス分野の事業が対象とする市場は技術的な進歩が速く、また需要の変動も大きく、短期間に需要が縮小する場合もある。それらのリスクへの対応として、サプライチェーンのコスト革新に継続的に取り組み、またR&Dセンター強化検討や新技術・M&A候補の探索を進めている。また、住宅カンパニーの事業では、国内の住宅取得に関する政策や税制、金利動向および個人消費や各エリアの経済動向の影響を受けるが、エリア別の商品戦略を取ることでリスクを低減している。また、建設業就業者数が減少傾向であることから必要な労働者を確保できず工期の遅れや労務費の上昇に繋がるリスクがある。その対応として、ユニット住宅の生産工場内の物流効率化等の生産革新計画を進めており、また現地での施工工数削減についてもテーマ化し研究を進めている。環境・ライフラインカンパニーの事業は、官公庁との取引を含むため、政府および地方自治体の政策によって決定される公共投資の動向による影響を受ける可能性がある。更に住宅、非住宅の着工戸数の動向にも影響を受ける可能性があるが、それらの対応としてエリア(国内/海外)や顧客(公共/民間)等のポートフォリオを組み、管理していくことでリスク分散している。ライフサイエンス分野の事業では社会環境変化等を背景とした医療制度改革に影響を受ける可能性があるが、その対応として事業領域の拡大や新製品開発に注力することでリスクヘッジしていく。 また、当社グループ全体としても、事業の多角化や展開地域のグローバル化等によりリスクをヘッジしているが、製品需要が大きく変動した場合、業績に大きな影響を及ぼす可能性がある。②原材料の市況変動及び調達 当社グループの生産活動に使用される鉄鋼、木材、塩化ビニル・オレフィン等石油関連の原材料の価格は、世界各国の経済環境や需給バランスの変動による供給の逼迫や遅延、供給国の通商政策の影響を受ける。また、一部の希少な原材料については、安定調達に関わるリスクがある。 急激な原材料価格の高騰は、生産コスト上昇につながり、また、希少原材料の需要動向やサプライヤでのトラブルは当社グループの製品供給に支障をきたす可能性がある。 当社グループでは、原材料調達ソースの多様化等により、安定的な調達に努めるとともに、原材料価格の上昇に対しては、継続的な原価低減施策を行うと同時に、製品の付加価値を高め、必要に応じて販売価格の改定を行い、それらのリスクをヘッジしているが、価格変動が大きな場合等は、業績に大きな影響を及ぼす可能性がある。③為替・金利・保有資産価格の変動 当社グループは、グローバルに事業展開しており、2025年3月期の海外売上高比率は32.6%となっている。そのため、外貨に対する円の価値変動は、外国通貨建ての取引や、在外連結子会社等の財務諸表項目の円換算額に影響を及ぼす可能性がある。外国通貨建ての取引では社内為替レートを使用しているが実勢の乖離を回避すべく、四半期ごとに米ドルおよびユーロの社内為替レート見直しを行っている。また、現在の事業展開と規模において、乖離が出た際の営業利益への影響額は1円/米ドルにつき約5億円、1円/ユーロにつき約1億円と認識して開示している。 また、金利の変動は、当社グループにおける受取利息・支払利息の増減や、住宅事業の需要に影響を与える可能性がある。 当社グループが保有する土地などの不動産、その他棚卸資産や有形固定資産、のれんなどの無形固定資産、投資有価証券等の投資その他の資産についても、市場環境や経営環境の変化により減損処理が必要となるリスクがある。 これらによって、当社グループの業績および財務状況に影響を与える可能性がある。④大地震、自然災害等 当社グループの事業拠点における大地震・津波等の自然災害および感染症の蔓延等の発生に伴い、当社グループの事業活動の中断などのリスクが存在する。 それに伴い生ずる社会的信用の失墜、補償等を含む産業事故災害への対応費用、生産活動の停止による機会損失および顧客に対する補償等により、当社グループの業績および財務状況に影響を与える可能性がある。⑤政治・社会 当社グループは成長戦略の1つとしてグローバル展開を進めており、現在は20の国や地域に拠点を構え、生産および販売活動を行っている。 海外における事業活動では、世界経済全体の動向に加え、テロ・戦争などの政治的混乱、関税報復措置、予期しない政策・法律・規制の変更、税制改正、産業基盤の脆弱性、自然災害、感染症、人種差別、不買運動その他の要因による社会的または政治的混乱のリスクが存在する。特に米国の関税政策による影響は大きいと捉え、業績影響および対応について都度検討をしている。 これらのリスクが顕在化した場合、当社グループの海外での事業活動に支障が生じ、当社グループの業績および将来計画に影響を与える可能性がある。 当社グループは米国・欧州・中国・ASEANの4か所に地域統括会社を設置し、当社グループが拠点を構える各国の経済・社会・政治的状況や、各国法規制の動向について情報を収集している。 また対応が必要な事象が生じた際には、当該グループ会社、地域統括会社および日本本社の専門部門が連携して適宜対応している。 (2) 業務リスク 積水化学グループでは、当社の持続的な成長および企業価値を毀損する可能性のあるリスク項目のうち、特に重大なものを全社重大リスクとして位置づけ、領域別の各分科会、サステナビリティ委員会、取締役会を経て、対応方針と施策を決定し、各部署の実行計画に落とし込んでいる。また、当社のサプライヤに対しても「持続可能な調達」調査の実施などにより、責任あるサプライチェーンを構築し、持続可能な調達の実現・維持に向けて取り組んでいる。①安全・衛生、産業事故 当社グループの工場および研究所における周辺地域に影響する大きな産業事故(火災や爆発、有害物質漏洩等)、それに伴い生ずる社会的信用の失墜、補償等を含む産業事故災害への対応費用が発生するリスクが存在する。 当社グループでは、火災や爆発、有害物質漏洩等の産業事故の未然防止に向けて、自然災害も想定した各生産拠点でのリスクマネジメント活動によるリスク抽出と対応を行うとともに、本社の専門部門による実地監査と是正指導(設備本質安全化等)をグローバルで定期的に実施している。 あわせて海外においては、海外危機管理事務局が中心となって地域統括会社とともに自然災害を含む危機管理情報の共有やタイムリーな注意喚起等を行っている。②製品、品質 当社グループでは品質に万全を期すための品質保証・向上の取り組みを継続している。 しかしながら、それらにも関わらず、重大な製品事故が発生した場合、製品に対する安全性・環境問題・各国法規制対応等に疑義が持たれた場合、知的財産に係る紛争が生じ当社グループに不利な判断がなされた場合等において、商品の回収や製造中止およびこれらに伴う補償や顧客からの信頼を失うリスクがある。 これらのリスクが顕在化した場合には、当社グループの業績および財務状況に影響を与える可能性がある。 当社グループは、お客様に継続的に選択していただける価値を常にお届けする「CS 品質経営」に取り組んでいる。「重要品質問題ゼロ」を当社グループの重要指標の1つとして設定し、商品化後に起こりうる品質リスクの開発段階での事前予測による品質問題の発生の未然防止、製造部門が実行すべき日常の管理の基本的指針の徹底など、バリューチェーン全体で一貫した品質管理を行い、そのレベルの向上を図っている。 また、当社グループでは、技術の「際立ち」を最大限に活かすために知的財産戦略を重視し、強い特許の獲得による事業競争力確保を目指しているが、あわせて他者の知的財産を侵害しないよう調査を行うとともに、知的財産侵害に対する回避・予防策などの適切な措置をとっている。③コンプライアンス 当社グループは事業の遂行にあたり、様々な法規制の適用を受けている。 これらの法規制の改正や予期しない法規制の導入等に起因した違反事案や、業績目標達成のプレッシャー等に起因した不正等の重大なコンプライアンス違反事案が発生した場合、その対応に要するコストに加え、顧客からの信頼を失い、当社グループの業績および財務状況に影響を与える可能性がある。 当社グループでは、2003年に「コンプライアンス宣言」を制定し、「社会への貢献」「信頼される企業」「法やその精神の遵守」などの考え方を基本として、当社グループの理念体系や企業行動憲章に掲げられた精神に則り、コンプライアンスを通じて社会から高い信頼を獲得する姿勢を明確にしてきた。2020年10月には、当社社長加藤のもと、当社グループにとって成長の基盤となるものがコンプライアンスであり、役員・従業員(一人ひとり)が社会常識に反する行為をせず、高い倫理観と責任感を持った行動をとることを宣言している。 また、取締役会において、「コンプライアンスに関する基本方針等」の審議を行うとともに、当社および当社グループ会社におけるコンプライアンス体制の構築および実践を図ることを目的として、社長が委員長を務めるサステナビリティ委員会の専門分科会として「コンプライアンス分科会」を設置し、コンプライアンスに関する重要事項の企画、検討及び決定を行っている。さらに、本社の専門部門による監査と是正指導をグローバルで定期的に実施している。 当社グループが広く社会から信頼されるよう、コンプライアンス意識の向上に今後も取り組んでいく。④情報管理 当社グループは、生産、販売、研究開発、調達、会計などのビジネスプロセスにおいて、ITを効率的に活用する一方で、ITシステムへの依存度は高くなっている。また、これらビジネスプロセスの機密情報に加え、住宅事業ではその特性上、多くのお客様の個人情報を取り扱っている。 そのため、サイバー攻撃や停電、自然災害、機器やソフトウェアの障害・欠陥等に伴う事業の中断や損害賠償の発生、個人情報や高度な技術情報を含む機密情報の漏洩等のリスクが存在する。これらのリスクが顕在化した場合、当社グループの事業活動に支障が生じ、当社グループの業績および財務状況に影響を与える可能性がある。 当社グループでは、指針となる「情報セキュリティ方針」を制定の上、対応強化のためにCSIRT(シーサート、Computer Security Incident Response Team)を設置し、システム上でインシデント発生の有無を常時監視するとともに、万一の発生時には適切な対応と再発防止を図る体制を整備し、従業員教育による人的な情報漏洩の未然防止も図っている。 また、大地震などの自然災害等による基幹システム停止リスクに対しては、データセンターの複数か所への分散設置、重要業務システムの完全二重化等の対策を講じている。 更に、より機密性の高い特定の事業においては、関係省庁のサポートを受けながら情報管理を推進している。⑤気候変動・環境問題 気候変動や、資源枯渇、水リスク、海洋プラスチックごみ等は社会の共通課題であるとの認識が世界で共有される中、環境保護を後押しする政策や規制への対応の遅れは、炭素税等によるエネルギー調達コストの上昇、製品の低炭素化に必要な材料の調達難、社会からの信頼の喪失・レピュテーションや競争力の低下につながり、財務状況に影響を与える可能性がある。 当社グループは、環境や社会の課題解決に寄与することで地球および社会のサステナビリティを向上するサステナビリティ貢献製品の創出・認定とその市場拡大、温暖化対策としての2030年までの購入電力の100%再生可能エネルギー化、燃料使用設備の電化や低炭素燃料への転換、非化石由来および再生材料の使用拡大、廃棄物の再資源化などにサプライヤとも連携してサーキュラーエコノミーの実現に取り組んでいる。また、海洋プラスチック問題を解決するための企業イニシアティブの「CLOMA※1」「CPs※2」や「SusPla※3」に参加するなど産官学や企業連携を通じ、同問題の解決を促進する活動も行っている。 ※1 経済産業省と農林水産省が主体となる海洋プラスチックに対処する企業イニシアティブ ※2 経済産業省が「成長志向型の資源自律経済戦略」に基づき設立したパートナーシップ ※3 品質向上・安定供給に資するマテリアルリサイクルによる再生プラスチック市場の拡大を目指して設立された団体⑥人的資本 当社グループは長期ビジョンにおいて、2030年の貢献量倍増を目指し、戦略的創造による成長の加速と現有事業の強化を推進している。一方で、採用競争力の低下や離職の増加、挑戦機会やマネジメント経験の不足、労務構成の偏りや事業ニーズにスキルが適合しない場合等、人的資本の不足によって事業計画の未達や想定する成長スピードが実現できない可能性がある。 これを解消すべく、「挑戦する風土の醸成」「適所適材の実現」「ダイバーシティの実現」を推進している。人材公募制度などの挑戦機会の提供やキャリア自律に向けた風土づくり、次代を担うリーダーの早期育成と抜擢や高度専門人材の確保と事業ニーズに即したリスキル、多様な人材の活躍推進と健康で安心して働ける環境整備、これらに取り組むことで、長期ビジョンを実現するサステナブルな組織を目指している。 (3) 戦略リスク 第三者との提携や合併・買収、およびR&D活動を通して新規事業への参入を模索する可能性があるが、その取り組みが成功しないことや想定以上に期間がかかるといったリスクが存在する。また、新規事業への参入が成功した際にも、当該市場における新たな経営環境リスクが発現することが考えられる。 (4) リスクの特定、管理体制 積水化学グループでは、専門領域別および海外地域別にリスク情報を網羅的に収集し、「起こりやすさ」と「インパクト」から評価を行っている。その結果を踏まえ、各専門領域の管掌役員による全社リスク検討部会において一元的評価を行い、全社重大リスクを特定している。これらリスクの発現を未然に防止する活動(全社リスク管理:ERM)と、リスクが顕在化した時に対応する活動(危機管理)を一元的に管理するリスクマネジメント体制を推進しており、この一元化により、組織の状況に応じて、常に変化するリスク危機に適応できる体制を構築している。 また、万一の災害、事故等の発生時においてグローバルでの早急に把握する緊急連絡網の体制を構築するとともに、適切な初動対応のための従業員教育を強化している。

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