4045

東亞合成(4045)は何で稼いでいるか — 事業の柱と依存度

化学 素材・化学

事業の概要

  • 多角的な化学製品事業
    東亞合成グループは、基幹化学品から高機能材料、接着剤、樹脂加工製品まで、幅広い化学製品の製造・販売を手掛けています。カセイソーダやアクリル酸などの基礎的な化学品から、瞬間接着剤「アロンアルファ」のような一般消費者向け製品、さらには介護用品まで多岐にわたる製品を提供し、多様な産業と生活を支えるビジネスモデルを構築しています。
  • グローバルな事業展開
    日本国内だけでなく、アメリカやアジア地域にも生産・営業拠点を持ち、グローバルに事業を展開しています。これにより、特定の地域経済の変動リスクを分散し、世界中の市場ニーズに対応することで収益機会を拡大しています。子会社や関連会社を通じて、各地域の特性に合わせた製品供給やサービス提供を行っています。
  • 研究開発と技術革新
    アクリルポリマーや光硬化型樹脂などの高分子技術、高純度無機化学品といった分野で、研究開発に注力しています。これにより、高付加価値製品を生み出し、モビリティやエレクトロニクスといった成長分野の需要を取り込むことで、持続的な成長を目指しています。技術力を基盤とした製品開発が収益の源泉となっています。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
セグメント構成
  • 基幹化学品事業
    カセイソーダ、硫酸、アクリル酸などの基礎的な化学品を製造・販売しています。これらは様々な産業の基盤となる素材であり、東亞合成グループの売上高717.72億円、営業利益87.52億円と、最も大きな収益を上げています。主に工業用途で使われ、経済活動の根幹を支える事業です。
  • ポリマー・オリゴマー事業
    アクリルポリマーや光硬化型樹脂などの高分子製品を手掛けています。これらは塗料、接着剤、電子材料など幅広い分野で利用され、売上高361.69億円、営業利益30.18億円を計上しています。技術力を活かした高付加価値製品の開発に注力しており、成長分野への貢献が期待されます。
  • 樹脂加工製品事業
    環境インフラシステム製品(管工機材)、建材・土木製品、介護用品などのライフサポート製品、エラストマーコンパウンドなどを製造・販売しています。売上高281.77億円、営業利益27.54億円と、安定した収益を上げています。多様な最終製品を通じて、社会インフラや生活の質の向上に貢献しています。
2025-12 セグメント別業績
セグメント区分売上(億)営業利益(億)営業利益率
CommodityChemicals 事業 718 88 12.2%
PolymerAndOligomer 事業 362 30 8.3%
AdhesiveMaterial 事業 136 3 2.4%
PerformanceChemicals 事業 102 12 11.5%
Plastics 事業 282 28 9.8%
有価証券報告書「事業の内容」の全文を見る(年度切替)
FY2025|1,125 文字
3 【事業の内容】当社グループは、当社、子会社24社および関連会社11社で構成され、その主な事業内容と当社および主要な関係会社の当該事業にかかる位置付けは次のとおりであります。なお、TOAGOSEI CHEMICAL INDIA PRIVATE LIMITEDを新たに設立したため、当連結会計年度から連結の範囲に含めております。また、Elmer's & Toagosei Co.の合弁契約解消に伴い、当連結会計年度において同社を持分法適用の範囲から除外しております。また、当連結会計年度からセグメントの区分を一部変更しております。変更の内容は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(セグメント情報等)」に記載のとおりであります。 セグメント主な事業主要な関係会社基幹化学品事業カセイソーダ、カセイカリ、次亜塩素酸ソーダなどの電解製品、硫酸、工業用ガス、アクリル酸、アクリル酸エステルなどのアクリルモノマー等の製造販売東亞テクノガス㈱TOAGOSEI SINGAPORE PTE. LTD.MTエチレンカーボネート㈱中部液酸㈱他関連会社6社ポリマー・オリゴマー事業アクリルポリマー、高分子凝集剤、光硬化型樹脂などのアクリルオリゴマー等の製造販売MTアクアポリマー㈱Toa-Jet Chemical Co.,Ltd.Taiwan Toagosei Co., Ltd.TOAGOSEI (Zhangjiagang)New Technology Co., Ltd.Toagosei (Shanghai) ManagementCo., Ltd.Toagosei (Thailand) Co., Ltd.TOAGOSEI VIETNAM CO., LTD.接着材料事業瞬間接着剤、機能性接着剤等の製造販売アロン包装㈱Toagosei America Inc.Toagosei (Zhuhai) LimitedTOAGOSEI HONG KONG LIMITEDTOAGOSEI CHEMICAL INDIAPRIVATE LIMITED高機能材料事業高純度無機化学品、無機機能材料等の製造販売子会社1社他関連会社1社樹脂加工製品事業環境インフラシステム製品(管工機材製品等)、建材・土木製品、ライフサポート製品(介護用品等)、エコマテリアル(エラストマーコンパウンド)等の製造販売アロン化成㈱Aronkasei (Thailand) Co., Ltd他子会社2社その他の事業商社事業、輸送事業等東亞物流㈱東亞興業㈱㈱TGコーポレーション東亞ビジネスアソシエ㈱他関連会社3社 以上に述べた事項を系統図に示すと、次のとおりになります。

事業の優位性(モート)

事業の質(有価証券報告書から抽出)
数字に出ない事業の性質を、同じ物差しで全銘柄そろえています。FY2025時点の記載が出典です。
価格決定力値上げを通せるか。強いほどインフレ耐性が高い 弱い
基幹化学品事業を中心とした汎用化学製品は、他社製品との差別化が困難で価格競争が激化。
参入障壁新規参入を阻む要因の種類 技術
独自技術に基づく高機能化製品の開発、高純度化学品製造技術。
景気敏感度業績が景気循環にどれだけ振られるか ディフェンシブ
設備投資の性質稼いだ現金がどれだけ設備維持に消えるか 混合
規制依存規制は障壁にも足枷にもなる 高い
会社が挙げる主要リスク:自然災害の発生 / 事故の発生 / 市場ニーズの変化、競争激化
同じ条件で他の銘柄を探す → 定性スクリーニング(価格決定力・参入障壁・景気敏感度などで絞り込めます)
モート総合 10 / 25 5類型それぞれの強度と、そう判定した根拠
無形資産★★☆☆☆
根拠:中程度ブランド・特許・許認可

アクリル酸エステルやMMA(メタクリル酸メチル)などの機能性化学品分野で長年の実績と技術蓄積がある。特定の高付加価値製品におけるブランド認知や顧客からの信頼は一定程度存在するが、特許による独占性は限定的。

スイッチングコスト★★☆☆☆
根拠:中程度乗り換えの手間・コスト

アクリル酸エステルやMMAは、顧客の製造プロセスに組み込まれている場合が多く、仕様変更にはコストや時間がかかる可能性がある。しかし、代替材料の存在や、顧客が複数のサプライヤーを確保する傾向もあるため、スイッチング・コストは中程度。

ネットワーク効果☆☆☆☆☆
根拠:弱い利用者増が価値を生む

ネットワーク効果が働く事業モデルではない。

コスト優位★★★☆☆
根拠:中程度同じ物を安く作れる

長年の生産ノウハウとスケールメリットにより、主要製品であるアクリル酸エステルやMMAにおいて一定のコスト競争力を有している。特に、原料調達や生産プロセスの効率化に継続的に取り組んでいる点が強み。

規模の経済★★★☆☆
根拠:中程度規模が参入障壁になる

アクリル酸エステルやMMAの分野では、国内有数の生産能力を持つ。業界全体としては寡占化が進んでおり、一定の規模を持つ同社は市場での地位を確立している。

  • 幅広い製品ポートフォリオ
    東亞合成は、基幹化学品から高機能材料、接着剤、樹脂加工製品、環境インフラ製品まで、非常に幅広い製品群を持っています。これにより、特定の産業や景気変動に左右されにくい安定した収益構造を築いており、多様な顧客ニーズに対応できる点が強みです。例えば、汎用化学品と高付加価値製品のバランスが取れています。
  • グローバルな生産・販売網
    日本国内に加え、アメリカやアジアに生産・営業拠点を持ち、グローバルな販売・調達活動を展開しています。これにより、地域ごとの市場特性や需要変動に対応し、効率的なサプライチェーンを構築しています。特にアジア地域での子会社設立や事業展開は、成長市場へのアクセスを強化しています。
  • 技術力と製品開発力
    アクリルモノマー、アクリルポリマー、光硬化型樹脂、高純度無機化学品などの分野で独自の技術を有しています。瞬間接着剤「アロンアルファ」に代表されるような機能性接着剤や、高機能材料の開発を通じて、モビリティやエレクトロニクスといった成長分野の需要を取り込んでいます。これにより、他社との差別化を図り、競争優位性を確立しています。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)

経営戦略

有価証券報告書「経営方針・対処すべき課題・MD&A」の全文を見る(年度切替)
経営方針・経営戦略
1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。 (1) 経営の基本方針当社グループは、企業理念である「素材と機能の可能性を追求し、化学の力で新しい幸せをあなたへ届けます。」に基づき、既存事業の拡大と新たな柱となる新製品・新事業の創出により持続的な成長を目指しております。 (2) 経営環境当社グループを取りまく経営環境につきましては、米国の関税政策や地政学的リスクの高まりなどの不確実性が続いたものの、AI関連投資の拡大などを背景に、総じて底堅い成長を維持しました。そのような中、米国は内需を中心に成長を維持し、中国は回復の勢いは弱く、欧州は低成長が続くなど地域差がみられました。また、わが国経済は、賃上げが続く一方で物価上昇が上回り、雇用環境の改善やインバウンド需要の回復、株価上昇などの下支えはあるものの、景気の持ち直しには力強さを欠く状況でした。なお、今後の見通しにつきましては、世界経済の不安定な状況が続く一方、日本国内ではインフレの進行に伴う物価上昇が一段と顕在化すると予想されます。 (3) 中期的な経営戦略および会社の対処すべき課題2026年2月12日に発表しました2026年から2028年の3年間を対象とする中期経営計画「Connect and Create 2028(共創で未来を拓く)」では、過去の投資成果を最大化しつつ、注力分野への積極的な投資を継続します。革新的な研究開発力のさらなる強化と生産基盤の深化により、事業環境の変化にも揺るがない事業体制を築いてまいります。 ①中期経営計画の基本方針と重要施策(ア)注力分野への積極的な開発と投資の継続・注力分野(モビリティ分野・半導体分野・メディカル分野・環境インフラ分野)に対する広さ(用途展 開)と深さ(技術の差別化)を追求し、国内外のユーザーへの展開を推進・アカデミア・ベンチャーとの共同開発に加えて、M&Aなどの手段を含めて、技術力強化と事業領域の拡大 を推進(イ)既存事業のブラッシュアップと収益性の向上・事業ポートフォリオの最適化に向けた選択と集中・グローバル展開を一層進め、世界で独自の価値を提供・生産および品質管理、研究開発、間接業務などのあらゆる場面でデジタル技術を活用した業務変革 (DX)を推進(ウ)企業価値の向上と持続可能な価値創造・財務戦略の実施による資本構成の最適化と投資判断の厳格化による資本効率性の改善・投資回収の推進と積極的な設備投資の継続・従業員が誇りを持って働ける環境作りと、多様なプロフェッショナル人財の育成と確保・サステナビリティの追求とESGの推進 ②2026-2028年 東亞合成グループ中期経営計画 「Connect and Create 2028(共創で未来を拓く)」数値目標 2028年計画連結売上高1,800億円連結営業利益(売上高営業利益率)180億円(10.0%)売上高研究開発比率(研究開発費)4%以上(72億円以上)EPS (1株当たり純利益)130円/株設備投資額(計画期間)590億円(2026-2028年)GHG排出削減率(2013年比)△40%女性管理職比率8.0%自己資本当期純利益率(ROE)6.5%株価純資産倍率(PBR)1.0倍以上 (ア)研究開発費、設備投資計画研究開発費は売上高比率4%以上を継続する。設備投資は、ソーダ電解工場の更新や高機能ポリマー工場増強などの新規・増強案件の他、サステナビリティ関連にも注力し、2026年から2028年までの3年間の累計で590億円の投資を計画する。(イ)財務資本戦略   2028年にPBR1倍以上を目標とし、資本効率を早期に改善させ、株主の期待に応える積極的な株主還元およ    び株主優待制度の継続により、株式市場評価を高める。また、財務健全性を維持しつつ、最適な資本構成    を追求する。   <株主還元方針>    中期経営計画期間の総還元性向を90%程度として、配当性向を期間平均70%程度に高める。(ウ)人的資本戦略   中期経営計画の実現に向けた 「人への投資」として、組織と人財の力を最大限活かすための制度改革や環    境整備を強化する。ステークホルダーの一員である従業員からも選ばれ続ける企業であるために、多様な    挑戦・成長機会の提供、新たな働き方改革など従業員がベストを尽くせる環境整備に積極的に取り組む。
対処すべき課題
1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。 (1) 経営の基本方針当社グループは、企業理念である「素材と機能の可能性を追求し、化学の力で新しい幸せをあなたへ届けます。」に基づき、既存事業の拡大と新たな柱となる新製品・新事業の創出により持続的な成長を目指しております。 (2) 経営環境当社グループを取りまく経営環境につきましては、米国の関税政策や地政学的リスクの高まりなどの不確実性が続いたものの、AI関連投資の拡大などを背景に、総じて底堅い成長を維持しました。そのような中、米国は内需を中心に成長を維持し、中国は回復の勢いは弱く、欧州は低成長が続くなど地域差がみられました。また、わが国経済は、賃上げが続く一方で物価上昇が上回り、雇用環境の改善やインバウンド需要の回復、株価上昇などの下支えはあるものの、景気の持ち直しには力強さを欠く状況でした。なお、今後の見通しにつきましては、世界経済の不安定な状況が続く一方、日本国内ではインフレの進行に伴う物価上昇が一段と顕在化すると予想されます。 (3) 中期的な経営戦略および会社の対処すべき課題2026年2月12日に発表しました2026年から2028年の3年間を対象とする中期経営計画「Connect and Create 2028(共創で未来を拓く)」では、過去の投資成果を最大化しつつ、注力分野への積極的な投資を継続します。革新的な研究開発力のさらなる強化と生産基盤の深化により、事業環境の変化にも揺るがない事業体制を築いてまいります。 ①中期経営計画の基本方針と重要施策(ア)注力分野への積極的な開発と投資の継続・注力分野(モビリティ分野・半導体分野・メディカル分野・環境インフラ分野)に対する広さ(用途展 開)と深さ(技術の差別化)を追求し、国内外のユーザーへの展開を推進・アカデミア・ベンチャーとの共同開発に加えて、M&Aなどの手段を含めて、技術力強化と事業領域の拡大 を推進(イ)既存事業のブラッシュアップと収益性の向上・事業ポートフォリオの最適化に向けた選択と集中・グローバル展開を一層進め、世界で独自の価値を提供・生産および品質管理、研究開発、間接業務などのあらゆる場面でデジタル技術を活用した業務変革 (DX)を推進(ウ)企業価値の向上と持続可能な価値創造・財務戦略の実施による資本構成の最適化と投資判断の厳格化による資本効率性の改善・投資回収の推進と積極的な設備投資の継続・従業員が誇りを持って働ける環境作りと、多様なプロフェッショナル人財の育成と確保・サステナビリティの追求とESGの推進 ②2026-2028年 東亞合成グループ中期経営計画 「Connect and Create 2028(共創で未来を拓く)」数値目標 2028年計画連結売上高1,800億円連結営業利益(売上高営業利益率)180億円(10.0%)売上高研究開発比率(研究開発費)4%以上(72億円以上)EPS (1株当たり純利益)130円/株設備投資額(計画期間)590億円(2026-2028年)GHG排出削減率(2013年比)△40%女性管理職比率8.0%自己資本当期純利益率(ROE)6.5%株価純資産倍率(PBR)1.0倍以上 (ア)研究開発費、設備投資計画研究開発費は売上高比率4%以上を継続する。設備投資は、ソーダ電解工場の更新や高機能ポリマー工場増強などの新規・増強案件の他、サステナビリティ関連にも注力し、2026年から2028年までの3年間の累計で590億円の投資を計画する。(イ)財務資本戦略   2028年にPBR1倍以上を目標とし、資本効率を早期に改善させ、株主の期待に応える積極的な株主還元およ    び株主優待制度の継続により、株式市場評価を高める。また、財務健全性を維持しつつ、最適な資本構成    を追求する。   <株主還元方針>    中期経営計画期間の総還元性向を90%程度として、配当性向を期間平均70%程度に高める。(ウ)人的資本戦略   中期経営計画の実現に向けた 「人への投資」として、組織と人財の力を最大限活かすための制度改革や環    境整備を強化する。ステークホルダーの一員である従業員からも選ばれ続ける企業であるために、多様な    挑戦・成長機会の提供、新たな働き方改革など従業員がベストを尽くせる環境整備に積極的に取り組む。
MD&A(経営者による分析)
4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】(1) 経営成績等の概要当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローの状況の概要は次のとおりであります。 ①財政状態および経営成績の状況当連結会計年度(2025年1月1日から2025年12月31日まで)の世界経済は、米国の関税政策や地政学的リスクの高まりなどの不確実性が続いたものの、AI関連投資の拡大などを背景に、総じて底堅い成長を維持しました。そのような中、米国は内需を中心に成長を維持し、中国は回復の勢いは弱く、欧州は低成長が続くなど地域差がみられました。また、わが国経済は、賃上げが続く一方で物価上昇が上回り、雇用環境の改善やインバウンド需要の回復、株価上昇などの下支えはあるものの、景気の持ち直しには力強さを欠く状況でした。このような状況下、当社グループは、拡販活動やコスト削減に注力するとともに、製造設備の増強、研究開発力の強化、海外拠点の設立など、今後の成長に寄与する投資を進めてまいりました。また、政策保有株式の売却を進め、資本効率化を図りました。その結果、売上高は1,623億1千2百万円(前年度比3.2%減収)、営業利益は141億8千万円(前年度比0.4%減益)、経常利益は150億6千7百万円(前年度比5.8%減益)、親会社株主に帰属する当期純利益は127億6千6百万円(前年度比7.5%増益)となりました。 セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。 基幹化学品事業電解製品は、販売数量が減少し、減収となりました。アクリルモノマーは、一部製品の販売数量減少と原料価格の下落に連動した販売価格低下が影響し、減収となりました。工業用ガスは、製造関連会社のトラブルによる稼働停止により販売数量が減少し、減収となりました。これらの結果、当セグメントの売上高は717億7千2百万円(前年度比9.3%減収)となりました。営業利益は、全般的に販売数量が減少したものの固定費の削減により、87億5千2百万円(前年度比3.0%増益)となりました。 ポリマー・オリゴマー事業アクリルポリマーは、化粧品および半導体用途向けの販売数量が増加し、増収となりました。アクリルオリゴマーは、原料価格上昇分を価格転嫁したことにより、増収となりました。高分子凝集剤は、海外向けの販売数量増加と国内向けの採算是正により、増収となりました。これらの結果、当セグメントの売上高は361億6千9百万円(前年度比2.8%増収)となりました。営業利益は、原材料価格の上昇や固定費の増加により、30億1千8百万円(前年度比20.1%減益)となりました。 接着材料事業家庭用は、米国での合弁解消による体制変更の影響により、増収となりました。機能性接着剤は、車載用およびスマートフォン用部品向けの販売数量が堅調で、増収となりました。これらの結果、当セグメントの売上高は136億7百万円(前年度比2.0%増収)となりました。営業利益は、米国での体制変更に関わる固定費の増加により、3億2千3百万円(前年度比21.0%減益)となりました。 高機能材料事業高純度無機化学品は、AI向け半導体の旺盛な需要が継続しましたが、その他の需要回復が遅れたことにより販売数量が減少し、減収となりました。無機機能材料は、無機抗菌剤の採算是正により、増収となりました。これらの結果、当セグメントの売上高は102億2千5百万円(前年度比0.3%増収)となりました。営業利益は、高純度無機化学品の販売数量の減少により、11億7千7百万円(前年度比7.7%減益)となりました。 樹脂加工製品事業環境インフラシステム製品(旧 管工機材製品)は、下水道関連向けの販売数量の増加により、増収となりました。ライフサポート製品は、介護製品の需要低迷により販売数量が減少し、減収となりました。エコマテリアル(旧 エラストマーコンパウンド)は、タイの拠点での販売数量の増加により、増収となりました。これらの結果、当セグメントの売上高は281億7千7百万円(前年度比1.7%増収)となりました。 営業利益は、環境インフラシステムのインフラ老朽化対策向け製品の増販とライフサポートの採算是正およびエコマテリアルのタイでの増販が寄与し、27億5千4百万円(前年度比56.4%増益)となりました。 その他の事業商社事業、輸送事業などにより構成されている当セグメントは、商社事業が増収となり、売上高は23億6千万円(前年度比16.9%増収)となりました。 営業損益は、商社事業の増益により、3億9千8百万円(前年度比8.5%増益)となりました。なお、当連結会計年度から経営管理区分の見直しを行い、従来その他の事業に含めていた新規製品の研究開発事業にかかる費用を全社費用としてセグメント利益または損失の調整額に計上しております。前年度比につきましては、変更後の区分方法により作成した前連結会計年度の数値と比較しております。 財政状態につきましては、資産合計は、設備投資により「建設仮勘定」が増加したため、前連結会計年度末に比べ110億8千4百万円、4.0%増加し、2,891億5百万円となりました。負債合計は、新規社債の発行により「社債」が増加したため、前連結会計年度末に比べ88億8百万円、13.7%増加し、731億6千万円となりました。純資産合計は、「その他有価証券評価差額金」が増加したため、前連結会計年度末に比べ22億7千6百万円、1.1%増加し、2,159億4千4百万円となり、自己資本比率は74.3%となりました。 ②キャッシュ・フローの状況当連結会計年度における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ116億7千万円減少し、当連結会計年度末には287億6千3百万円となりました。 営業活動によるキャッシュ・フローは、売上債権が減少したため、前連結会計年度に比べ収入が21億1千1百万円増加し、222億9千4百万円の収入となりました。投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出が増加したため、前連結会計年度に比べ支出が160億4千万円増加し、296億3千5百万円の支出となりました。財務活動によるキャッシュ・フローは、社債の発行による収入が増加したため、前連結会計年度に比べ支出が100億1千2百万円減少し、44億9千5百万円の支出となりました。 なお、キャッシュ・フローに関する指標は以下のとおりです。 (参考)当社グループのキャッシュ・フロー指標の推移 2023年12月期2024年12月期2025年12月期自己資本比率(%)77.776.574.3時価ベースの自己資本比率(%)58.761.160.9キャッシュ・フロー対有利子負債比率(年)0.50.50.9インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)171.7140.1128.9 (注) 1 各指標は、いずれも連結ベースの財務数値を用いて、以下の計算式により算出しております。自己資本比率:自己資本/総資産時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/営業キャッシュ・フローインタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー/利払い2 株式時価総額は、期末株価終値×自己株式控除後の期末発行済株式数により算出しております。3 有利子負債は、連結貸借対照表上に計上されている負債のうち、利息を支払っている負債(リース債務を除く)を対象としております。4 営業キャッシュ・フローおよび利払いは、連結キャッシュ・フロー計算書に計上されている「営業活動によるキャッシュ・フロー」および「利息の支払額」を用いております。 ③生産、受注および販売の実績(イ) 生産実績当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。セグメントの名称金額(百万円)前年度比(%)基幹化学品事業67,054△8.8ポリマー・オリゴマー事業31,3381.1接着材料事業14,1108.1高機能材料事業10,0613.9樹脂加工製品事業26,461△0.2その他の事業3172.9合計149,344△3.1 (注) 1 金額は、販売価格により算出しております。 (ロ) 受注状況当社グループは受注生産はほとんど行わず、主として見込み生産であります。 (ハ) 販売実績当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。セグメントの名称金額(百万円)構成比(%)前年度比(%)基幹化学品事業71,77244.2△9.3ポリマー・オリゴマー事業36,16922.32.8接着材料事業13,6078.42.0高機能材料事業10,2256.30.3樹脂加工製品事業28,17717.41.7その他の事業2,3601.416.9合計162,312100.0△3.2 (注) 1 総販売実績に対し10%以上に該当する販売先はありません。 (2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。 ①重要な会計方針および見積り当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。連結財務諸表の作成においては、過去の実績や状況に応じ合理的だと考えられる様々な要因に基づき見積りおよび判断を行っておりますが、見積りにつきましては不確実性があるため、実際の結果と異なる場合があります。連結財務諸表で採用する重要な会計方針および会計上の見積りは、「第5[経理の状況]1[連結財務諸表等](1)[連結財務諸表][注記事項](連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)および(重要な会計上の見積り)」に記載しております。 ②当連結会計年度の経営成績の状況に関する認識および分析・検討内容当社グループの当連結会計年度の売上高は販売数量が減少したことなどにより、1,623億1千2百万円(前年度比3.2%減収)となりました。営業利益は、販売数量の減少に加え、労務費や減価償却費などの固定費の増加により、141億8千万円(前年度比0.4%減益)、経常利益は150億6千7百万円(前年度比5.8%減益)となりました。なお、セグメントごとの売上高と営業利益につきましては、(1)経営成績等の概要 ①財政状態および経営成績の状況をご参照ください。また、特別損益で投資有価証券の売却を進めたことなどにより、親会社株主に帰属する当期純利益は127億6千6百万円(前年度比7.5%増益)となりました。 当社グループの資本の財源および資金の流動性については、必要資金は自己資金のほか、金融機関からの借入や社債などで確保しています。2026年は、197億円の設備投資および30億円の自己株式取得を計画しており、主に自己資金を充当する予定です。また、必要に応じて、当社グループの財政状態および市場環境等を考慮しながら、金融機関からの借入や資本市場からの資金調達などを総合的に勘案し、最適な方法で資金調達を実施する予定です。当社グループの資金の流動性については、グループ内資金の効率的な活用と金融費用の削減を目的にキャッシュ・マネジメント・システムを導入しており、グループ全体の資金効率化を図っています。また、緊急時の資金調達手段の確保を目的として、一部の取引銀行と当座貸越契約を締結しており、代替調達手段を備えております。 ③経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等2023年から2025年を対象期間とする中期経営計画「Leap Forward to the Next 2025」の数値目標に対する結果は以下のとおりです。 2023年実績2024年実績2025年実績2025年計画連結売上高1,593億円1,675億円1,623億円1,830億円連結営業利益(売上高営業利益率)124億円(7.8%)142億円(8.5%)141億円(8.7%)200億円(11.0%)EBITDA(金利、税金、減価償却前利益)231億円255億円258億円320億円設備投資154億円269億円706億円(2023-25年)680億円(2023-25年)高付加価値製品売上高比率44.1%43.6%45.6%48%研究開発費50億円58億円67億円56億円海外売上高266億円289億円294億円405億円GHG排出削減(2013年比)25.3%減25.8%減28.4%減35.0%減女性管理職比率4.0%4.4%5.1%5.0%1株当たり純利益(EPS)102.78円104.56円117.02円153円総資産経常利益率(ROA)5.4%5.8%5.3%8.2%自己資本当期純利益率(ROE)5.8%5.6%6.0%7.3% 2023年から2025年にかけての経済環境は、インフレや金利上昇、地政学リスク、為替変動などにより不確実性が高まりました。特に中国経済の減速や欧州の景気後退懸念が企業活動に影響を与え、米国では関税引き上げを再開したことで、国際貿易の先行き不確実性がさらに増し、企業はサプライチェーンの見直しやコスト管理の強化を迫られました。我が国においても、資源価格の高止まりや円安進行による輸入コストの上昇が企業収益を圧迫し、個人消費や設備投資の回復に足踏みが見られました。こうした環境下、当社グループは拡販活動やコスト削減に注力したものの半導体市場の回復遅れとモビリティ市場におけるEV成長鈍化の影響を受け、投資案件の収益化が遅れたことと人的資本投資としての賃上げ推進など固定費の増加により2025年の業績目標としていた連結営業利益は、59億円未達の141億円に留まりました。 このような状況でありますが、中計の基本方針である以下3点の深化を推進しました。「新製品・新技術の開発力強化」については、新たな研究所として川崎フロンティエンスR&Dセンターの開設および研究人員の増員により注力分野の開発力強化を進めました。また、設備投資は、今後の成長に寄与する事業基盤の整備と強化を進め計画値を上回りました。「海外売上高の拡大」については、米国接着剤事業の再編およびアジア域拠点(上海・深圳・ベトナム・インド)の立上げを実施し、現地ニーズの獲得をめざす体制と今後の拡販体制を確立しました。「持続可能な社会の実現に貢献」については、再生可能エネルギー(太陽光発電、小水力発電)を順次導入中であり、2026年以降本格化する予定です。また、多様な従業員が活躍できる環境整備として女性管理職比率を向上させ、計画値を上回りました。

事業リスク

  • 自然災害による事業停止
    国内外に多数の生産・営業拠点を有しており、地震、台風、洪水などの自然災害が発生した場合、建屋や設備の損壊、操業停止のリスクがあります。特に、東海・東南海・南海地震や首都直下地震が発生した場合、主要な生産拠点や本社機能に甚大な被害が生じ、事業活動に大きな影響を与える可能性があります。
  • 化学製品製造に伴う事故
    化学製品の製造は、火災、爆発、化学物質漏えいなどの事故リスクを常に伴います。設備トラブルやヒューマンエラーが原因で事故が発生した場合、操業停止、設備損壊、周辺地域への環境汚染、さらには多額の賠償責任が発生し、企業の信頼性や業績に深刻な影響を及ぼす可能性があります。
  • 市場ニーズの変化と競争激化
    幅広い製品群を持つ一方で、汎用化学製品は他社との差別化が難しく、価格競争が激化するリスクがあります。また、高付加価値製品もモビリティやエレクトロニクス分野の需要変動に影響を受けやすく、代替素材の登場や競合他社の動向によって販売数量や価格が変動し、中期経営計画の目標達成が困難になる可能性があります。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
有価証券報告書「事業等のリスク」の全文を見る(年度切替)
FY2025|5,258 文字
3 【事業等のリスク】有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、当社グループの財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは以下のとおりです。ただし、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のあるリスクは、これらに限定されるものではありません。当社グループは、グループリスク管理規程を定め、リスクの洗い出しや評価、対策の策定、対策状況のチェックなどを定期的に行うとともに、以下に記載する各リスクへの対応策を実施していますが、リスクが顕在化する確率および顕在化した場合の影響を完全に抑制できるわけではありません。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。 (1) 自然災害の発生当社グループは、国内外に生産・営業拠点を有し、当該拠点が地震、台風、火山噴火、豪雨、竜巻、突風、洪水、津波、高潮などの自然災害に被災した場合、建屋・設備の損壊、操業・事業活動の停止といった被害が発生する可能性があります。特に、東海地震、東南海地震または南海地震が発生した場合、主要な生産拠点である当社の名古屋工場をはじめ、東海地方、近畿地方および四国地方の周辺に存在する当社グループの生産・営業拠点で大きな損害が発生する可能性があります。また、首都直下地震が発生した場合、当社の本社をはじめ、関東地方の周辺に存在する当社グループの生産・営業拠点で大きな損害が発生する可能性があります。各拠点では、耐震工事の実施、地震・火災を想定した定期防災訓練、地震・火災・風水害に備えた保険加入といった対策を講じています。 (2) 事故の発生当社グループの主な事業は化学製品の製造であり、国内外の工場では設備トラブルやヒューマンエラーなどによって、火災、爆発、化学物質の漏えいといった事故が発生し、建屋・設備の損壊、操業・事業活動の停止、被災者・地域への賠償などが発生する可能性があります。各工場では、緊急時自動停止装置の設置、設備の新設・変更時に保安防災等を審議する防災会議の実施、定期的な防災訓練および事故に備えた保険加入といった対策を講じています。 (3) 市場ニーズの変化、競争激化当社グループの事業は5つのセグメントで構成され、産業の基礎素材となる汎用化学製品から一般消費者向けの最終製品まで幅広い製品群を有し、景気の変動に影響され難いバランスのよい事業構造を築いています。一方、広範な産業および地域に製品を供給しているため、世界的または地域的な需給環境の変動、代替素材の登場、供給先の購買方針の変更、競合他社の販売価格等によって、当社グループの製品の販売数量および販売価格が大幅に変動する可能性があります。特に、基幹化学品事業を中心とした汎用化学製品は、性質・性能面において他社製品との差別化が困難なものが多く、激化する価格競争の環境下においては、同等の製品をより低価格で販売可能な競合他社に対して、当社グループが優位性を維持できなくなる可能性があります。一方、ポリマー・オリゴマー事業、接着材料事業、高機能材料事業を中心とした高付加価値製品は、当社グループが注力するモビリティやエレクトロニクスといった分野・顧客の需要動向によって、販売数量および販売価格が大幅に変動する可能性があります。なお、2月12日に公表した中期経営計画「Connect and Create 2028(共創で未来を拓く)」では、当社グループの売上高を2025年の162,312百万円から2028年に180,000百万円へ高めることを目標にしていますが、市場ニーズや他社との競争によっては目標を達成できない可能性があります。 (4) 各種規制・法改正・貿易制限・国際関係悪化等当社グループは日本国内だけでなく、アメリカやアジアに生産・営業拠点を有するとともに、グローバルな販売・調達活動を行っています。したがって、日本の独占禁止法、不正競争防止法、下請法、金融商品取引法、外為法、輸出取引規制、労働法、税法、化学物質関連規制等および関連する諸外国・地域の各種法令等の違反、解釈変更、当局との見解相違などが生じることにより、操業・事業活動の停止、刑事罰・課徴金、訴訟等が発生する可能性があります。また、こうした法令等は、制度改革、規制緩和・強化、貿易制限によって変更され、対応費用の発生や違反リスクの増加を招く可能性があります。当社グループは、化学物資関連規制に対しては特に重視し、本社および製造拠点の環境保安・品質保証部門等が連携して違反を防止する体制を整えています。また、他の法令等についても、「第4 [提出会社の状況] 4 [コーポレート・ガバナンスの状況等] (1) [コーポレート・ガバナンスの概要]」に記載のコンプライアンス委員会によって、当社グループ全体のコンプライアンスの実践状況を監督・調査しています。また、現在、国際的な緊張状態が高まりをみせています。当社グループでは、専門家や政府関係機関等から情報を収集し、適宜必要な対策を講じております。 (5) 固定資産の減損当社グループは、主に化学製品の製造のため、土地や機械装置をはじめ多額の固定資産を保有しています。また、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上のため、積極的な設備投資を行うとともに、第三者との間で合弁事業、戦略的提携、事業買収等を行うことがあります。こうした設備投資等は、資本コストを十分に精査したうえで意思決定しますが、経営環境の著しい悪化等による収益性の低下、市場価格の下落、シナジー効果の減少等によって、減損損失が発生する可能性があります。なお、中期経営計画「Connect and Create 2028(共創で未来を拓く)」では、2026年から2028年の3年間累計で59,000百万円の設備投資を行うことを目標にしています。 (6) 製造物責任、リコール、品質不良等当社グループが製造・販売する製品の欠陥・品質不良に起因して、顧客および第三者に対して損害を与えた場合、損害賠償やリコールに要する費用などが発生するとともに、当該製品の販売が減少する可能性があります。当社グループは、顧客要求事項および適用される法令・規制要求事項を満たした製品を供給すべく、各製造拠点で品質検査を実施し、要求事項に適応できる体制を整備しております。また、生産物賠償責任保険への加入によって、損害が発生した場合の影響を抑える対策を講じています。 (7) 情報セキュリティ当社グループは、経営上、営業上および技術上の重要な情報ならびに従業員等の個人情報を保有しています。取引先関係者や従業員等が故意または過失によって当該情報を漏えいさせた場合、または、悪意を持った第三者が当社グループの情報管理サーバー等に侵入して情報を不正に取得した場合、経営上、営業上および技術上の優位性の低下、情報の漏えいによる制裁・賠償金および当該情報の奪還に要する費用発生といった損害が発生する可能性があります。また、サイバー攻撃等の外部からの攻撃により、当社基幹システムに影響が生じる可能性があります。当社グループは、重要な情報を共有する取引先関係者とは秘密保持契約を締結し、従業員には教育によって管理意識や取扱いルールの浸透を図ることで、情報漏えいの発生を防止しています。また、コンピュータウイルスへの対策など、情報セキュリティ対策の継続的な改善を行っています。 (8) 原燃料・資材等の高騰、原油・ナフサ価格の変動原燃料・資材等の高騰は、当社グループの製造コストの上昇につながります。特に、原油・ナフサ価格の高騰は、基幹化学品事業のアクリルモノマー製品をはじめとした製造コストの上昇の要因となり、当該変動を反映した販売価格の是正および合理化が十分に実施できなかった場合、当社グループの利益を圧迫する可能性があります。一方、原油・ナフサ価格の下落は、当社グループの販売価格が低下する要因になるとともに、棚卸資産にかかる評価損失を発生させる可能性があります。原油・ナフサ価格に連動した適正な製造コストおよび販売価格となるように、国内の取引先を中心に価格フォーミュラを取り決めていますが、価格が乱高下する場面や海外の競争市場では、こうした対策が機能しない可能性もあります。 (9) 感染症・伝染病隔離・行動制限が必要な感染症・伝染病が広範囲に流行した場合、経済活動の全般的な停滞に加え、当社グループの販売先や調達先の事業活動および物流が中断されることで、当社グループの操業・事業活動も制限される可能性があります。また、当社グループの従業員に感染が拡大した場合、操業が一時的に停止する可能性があります。当社グループは、テレワーク可能な体制の整備や消毒液等の感染予防品の設置によって、感染拡大を防止するとともに安全かつ継続的な操業・事業活動ができる体制を構築しています。 (10)原燃料供給の停止、サプライチェーンの切断当社グループは、コストダウンと調達の安定性のバランスを念頭において事業を行っていますが、調達先の事故、生産停止、倒産などの事情によって、製造に不可欠な原燃料が調達できない場合、当社グループの操業が停止する可能性があります。複数購買の実施および調達先との継続的なコミュニケーション等を図り、安定的な供給体制の構築に努めています。 (11)環境汚染、サステナビリティの要請当社グループは、環境保全にかかる法令を遵守するとともに、二酸化炭素排出量の削減目標公表や環境負荷物質の自主管理値設定による管理徹底など、環境に配慮した事業活動を行っていますが、化学工場である以上、土壌・大気・水質等に関する汚染が発見され、生産活動の中断や補償費用が発生する可能性があります。また、SDGsやESG投資に代表されるように、持続的な社会発展のため、エネルギー多消費型産業である化学事業においても、二酸化炭素のさらなる排出量削減をはじめとした社会的な要求に応えることが強く求められています。当社グループは、社長を議長とする「サステナビリティ推進会議」を中心として、温室効果ガス排出量、エネルギー使用量、廃棄物および環境負荷物資の削減にいっそう取り組んでいきます。特に、温室効果ガス排出量削減に関しては、2021年に削減目標を従来から引き上げ、「2030年に2013年比50%削減(215千トン)」、「2050年にカーボンニュートラル(実質ゼロ)」を目標としたロードマップを作成しています。また、サプライチェーンを含めた3つの区分(Scope1-3)での温室効果ガス排出量を算定し、国際エネルギー機関(IEA)や気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が公表する複数の既存シナリオを参照の上、「1.5℃シナリオ」および「4℃シナリオ」を用いて、当社事業に2050年までに影響を与え得る重要なリスクと機会について分析を行っています。 (12)為替の変動当社グループは、海外からも原材料を輸入するとともに、日本国内で製造した製品を海外に輸出していますが、原材料の輸入高は製品の輸出高を上回っています。したがって、外国通貨に対して円安が進行した場合、全体として費用が増加することになります。ただし、円安が進行する場合、一般的に日本国内の輸出産業は国際競争力が高まり、当社グループが販売する製品の需要も喚起されやすくなります。また、今後の当社グループの海外事業展開によっては、リスクの内容は変化する可能性があります。こうしたリスクへの対応策として、輸出や海外関係会社からの配当によって獲得した外国通貨を輸入による支払いにあてるよう資金計画を組むといった対策を講じています。なお、中期経営計画「Connect and Create 2028(共創で未来を拓く)」では、グローバル展開の推進を重点施策としており、2025年に18%だった海外売上高比率を2028年までに23%とすることを目指しますが、計画の進捗によってはリスクの内容に影響を与える可能性があります。 (13)人権・コンプライアンスリスクの発生当社グループ内またはサプライチェーン上の人権課題やコンプライアンス違反に対して当社が適切な対応を取れなかった場合には、行政罰や顧客との取引停止、社会的信頼の喪失につながる可能性があります。当社グループでは、国際的な原則に基づき「東亞合成グループ人権方針」を策定するとともに、「サステナブル調達ガイドライン」を定めて取引先に当社の考えを示しています。また、ハンドブックの作成等により従業員へのコンプライアンス教育を行っています。これらを通じて、人権・コンプライアンスリスクの抑制に努めています。

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