研究開発費(時系列)
| 年度 | R&D費用(億円) | 設備投資(億円) |
|---|---|---|
| 2025-03 | - | 102 |
| 2024-03 | - | 88 |
| 2023-03 | - | 53 |
| 2022-03 | - | 45 |
| 2021-03 | - | 61 |
研究開発活動(本文)
FY2025|2,672 文字
6 【研究開発活動】 当社グループは「「社会」、「生命」、「環境」に貢献する。」という基本理念に基づき、有機化学、無機化学の各分野における新製品の開発や生産技術の向上に取り組むとともに、世界的な関心が高まる環境、エネルギー、バイオ、IT、食料等の各領域において、有機、無機の垣根にこだわることなく、新規事業の探索にも取り組んでおります。当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費は、10,736百万円となりました。 セグメントごとの研究開発は、次のとおりであります。 (有機化学事業)農薬については、自社開発原体を中心に新規製剤や新規混合剤の開発の他、農薬登録国や適用作物の拡大などに向けた研究開発に注力して取り組んでおります。成長戦略剤のひとつである殺虫剤シクラニリプロール(チョウ目・カメムシ目を始め広いスペクトラムを持つ)は、米国、カナダ、ブラジル、メキシコ等の米州諸国、インド、オーストラリア、韓国や日本で販売しております。2025年にはフィリピン、ベトナム、マレーシア、イスラエルなどでの販売開始を目指しております。人畜・作物安全性に優れるトウモロコシ用除草剤トルピラレートは、2017年に米国で単剤の販売を開始して以降、販売地域をアルゼンチン、メキシコ、チリ、フィリピン、カナダ、韓国、米国、ブラジル及び日本に拡大しました。ウクライナでは2024年から混合剤の販売を開始しました。引き続き、中南米、アジア、大洋州で開発を進めており、順次販売を開始します。当初はトウモロコシ専用除草剤として開発してきましたが、2019年より麦類での商業化を進め、麦類を対象とした製品向けのトルピラレート原体販売をカナダでは2023年に、米国では2024年から開始しました。当社の農薬事業は、自社創生・開発の新農薬をベースとしておりますが、環境変化の激しい昨今、他社開発剤の導入や他社との共同開発にも積極的に取り組んでおります。なかでも、非選択性除草剤チアフェナシルは韓国FarmHannong社と世界的に共同開発を行っております。当社は成長戦略剤のひとつに位置づけ開発、販売に注力しております。国内の食の安全・安心志向の高まりや抵抗性発達あるいは耐性菌発生を防ぐために有効な既存化学農薬が不足しているなどの市場ニーズに対応するため、微生物殺菌剤、接触型忌避剤、天敵昆虫及びバイオスティミュラントなどのバイオロジカル製品群も開発、販売しております。2023年よりイネの高温ストレス耐性を促すバイオスティミュラント製品「ライスフル」の販売も開始しました。当社は、近未来の植物防疫の姿を見据え、これら一連の安全性が高く環境負荷に配慮した当社創製化学農薬群とバイオロジカル製品とを組み合わせて、独自のIPMやICMプログラムを確立していきます。また、従来の化学農薬のコンセプトである農薬用途以外に、生活環境での防疫や環境保全においても当社製品を含む有機化学技術の普及拡大を目指しております。 農薬以外では、ヘルスケア事業(動物用医薬品、人体用医薬品・医療機器関連)についても、特色ある商品開発を進めております。動物用医薬品では、フザプラジブナトリウム(一水和物)がイヌ膵炎急性期用抗炎症剤として、日本国内では『パノクエル』及び『ブレンダ』、米国では『PANOQUELL』のブランド名で販売されております。適応疾患の拡大や他の炎症性疾患向け、さらにフザプラジブナトリウム(一水和物)以外の治療薬など、後続するパイプラインの整備を推進中であります。人体用医薬品・医療機器分野では、口腔乾燥症状改善薬であるセビメリン塩酸塩の原薬を1999年より製造し、国内外の製薬会社へ販売しております。その他に、当社の要素技術や独自開発した物質を応用することで生まれた、効能・効果の高い人体用医薬品や医療機器の商品開発を進めております。 当事業における研究開発費は、9,802百万円となりました。 (無機化学事業)長年に亘る酸化チタン事業で蓄積されてきた技術をベースに、既存製品の収益拡大、新規製品・新規事業の開発に力を入れて取り組んでおります。機能性色材事業に関し、収益拡大の取り組みとして、化粧品用酸化チタンは水中油滴型日焼け止めに使用し易い微粒子酸化チタンの設計が完了し、省エネに寄与する遮熱顔料は市場要望に応じた品質改良に取り組み、どちらも量産化の準備段階に進みました。新規製品の取り組みとして、LUSHDE BLACKブランドで展開している硫化ビスマス黒色顔料は特異な反射特性(可視光吸収、赤外線反射)と漆黒度が高いことから引き合いが多く、顧客との遣り取りを行いながら、工業化も含めて商品化検討を進めております。また、SILKIAブランドとして展開している“シルクのような質感”と“光輝感”を両立した色彩顔料は、技術難度が高く世界唯一の色彩顔料であり、引き続き、安定製造方法の確立と表面改質に取り組んでおります。電子材料事業に関し、収益拡大の取り組みとしては、電気自動車、第5世代通信(5G)、及びデータセンターなどで需要拡大が期待される次世代の積層セラミックコンデンサー(MLCC)用の高純度酸化チタンの開発に注力しております。微粒子で分散性に優れた開発品を含め種々の粒子径サイズ品をラインナップすることで、顧客の汎用から最先端用途までの要求に応えるべく改良を進めており、工業化検討の段階に進んでいます。新規製品の開発に関しては、有機/無機の材料合成技術を活用し“酸化チタンの特徴である高屈折率”と“微粒子化による透明性”を両立した酸化チタンの溶剤分散体を開発し、AR(拡張現実)やVR(仮想現実)用デバイスセンサーなどの次世代光学材料用途向けに顧客が要望する改良に取り組んでおります。また、既存品より低温で成膜することを特徴とする銅ナノ粒子は需要家への紹介を進めるとともに市場投入に向けて工業化などの検討を進めております。ファインケミカル事業に関し、収益拡大の取り組みとしては、既存の主力製品である「高耐候性酸化チタン」について、さらなる成長に向けた改良に取り組んでおります。また、新規事業の創出を目的として、蓄熱材料(ハスクレイ)の市場投入に向け、用途開拓とともに生産体制の確立を進めております。 当事業における研究開発費は、787百万円となりました。 なお、当連結会計年度におけるセグメントに帰属しない全社共通の研究開発費の金額は147百万円となりました。
FY2024|2,610 文字
6 【研究開発活動】 当社グループは「『社会』、『生命』、『環境』に貢献する。」という基本理念に基づき、有機化学、無機化学の各分野における新製品の開発や生産技術の向上に取り組むとともに、世界的な関心が高まる環境、エネルギー、バイオ、IT、食料等の各領域において、有機、無機の垣根にこだわることなく、新規事業の探索にも取り組んでおります。当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費は、9,758百万円となりました。 セグメントごとの研究開発は、次のとおりであります。 (有機化学事業)農薬については、自社開発原体を中心に新規製剤や新規混合剤の開発の他、農薬登録国や適用作物の拡大などに向けた研究開発に注力して取り組んでおります。近年開発したチョウ・蛾類を始め広いスペクトラムを持つ殺虫剤シクラニリプロールは、米国、カナダ、ブラジル、メキシコ等の米州諸国や韓国、日本で販売しております。2023年にはインドでも登録認可され、販売を開始しました。2024年にはフィリピン、ベトナムでの登録認可、販売開始を目指しております。人畜・作物安全性に優れるトウモロコシ用除草剤トルピラレートは、各国での単剤の登録認可販売しております。混合剤開発も行い、米国、日本で2021年に上市しました。加えて、2024年にはCISで混合剤の販売を開始します。引き続き、単剤及び混合剤を米州、インド、東南アジア及びアフリカで開発しております。さらに、国内の食の安全・安心志向の高まりや、抵抗性発達のために有効な既存化学農薬が不足しているなどの市場ニーズに対応するため、微生物殺菌剤、接触型忌避剤及び天敵昆虫などのバイオロジカル製品群の開発にも注力しております。2019年より食品添加物を有効成分とするコナジラミ忌避剤ベミデタッチを販売開始し、難防除の植物ウイルス病を低減できる剤として好評を得ております。さらに、2023年よりイネの高温ストレス耐性を促すバイオスティミュラント製品「ライスフル」の販売も開始しました。引き続き、安全性の高い剤の開発も進めております。当社は、近未来の植物防疫の姿を見据え、これら一連のバイオラショナル製品と、安全性が高く環境負荷に配慮した当社創製化学農薬群を組み合わせて、独自のIPMやICMプログラムを確立していきます。また、従来の化学農薬のコンセプトである農薬用途以外に、生活環境での防疫や環境保全においても当社製品を含む有機化学技術の普及拡大を目指しております。当社の農薬事業は、自社の創生・開発の新農薬をベースとしておりますが、環境変化の激しい昨今、他社開発剤の導入や他社との共同開発にも積極的に取り組んでおり、2010年以降、海外企業から導入した水稲除草剤を国内で開発・上市したほか、2015年には韓国FarmHannong社と非選択性除草剤チアフェナシルを全世界で共同開発する契約を同企業と締結しました。2020年に本剤の米国登録取得し、2021年に米国で、2023年6月にカナダで本剤の販売を開始しました。加えて、アルゼンチンでも本剤の登録申請を済ませており、さらに日本、東南アジア、中南米各国でも本剤の開発、登録作業を進めております。さらに、当該成分の混合剤の開発も行っており、2025年に販売開始予定です。 農薬以外では、ヘルスケア事業(動物用医薬品、人体用医薬品・医療機器関連)についても、特色ある商品開発を進めております。動物用医薬品では、フザプラジブナトリウム(一水和物)がイヌ膵炎急性期用抗炎症剤として、日本国内では『ブレンダ』、米国では『PANOQUELL』のブランド名で販売されております。さらに、皮膚系疾患や他の炎症性疾患の治療薬において、後続するパイプラインの整備を推進中であります。人体用医薬品・医療機器分野では、口腔乾燥症状改善薬であるセビメリン塩酸塩の原薬を1999年より製造し、国内外の製薬会社へ販売しております。その他に、当社の要素技術や独自開発した物質を応用することで生まれた、効能・効果の高い人体用医薬品や医療機器の商品開発を進めております。 当事業における研究開発費は、8,278百万円となりました。 (無機化学事業)長年に亘る酸化チタン事業で蓄積されてきた技術をベースに、既存製品の収益改善、新規製品・新規事業の開発に力を入れて取り組んでおります。既存製品の収益改善に関しては、電気自動車や第5世代通信(5G)用に需要が期待される次世代の積層セラミックコンデンサー(MLCC)用の高純度酸化チタンの開発に注力しております。微粒子で分散性に優れた開発品を含め種々の粒子径サイズ品をラインナップすることで、顧客の汎用から最先端用途までの要求に応えるべく改良を進めております。また、我々の生活に関係する省エネに寄与する遮熱顔料、化粧品用酸化チタンは、市場要望に応じた品質改良に取り組んでおります。新規製品の開発に関しては、SILKIAブランドとして“シルクのような質感”と“光輝感”を両立した世界唯一の色彩顔料を市場投入するべく、安定製造方法の確立と表面改質に取り組んでおります。また、LUSHADE BLACKブランドとして硫化ビスマス黒色顔料は、特異な反射特性(可視光吸収、赤外線反射)と漆黒度が高いことを特徴に市場開拓を進めており、工業化も含めて商品化検討を加速させております。有機/無機の材料合成技術を活かして開発した酸化チタンの溶剤分散体も、“酸化チタンの特徴である高屈折率”と“微粒子化による透明性”を両立させており、次世代の光学材料用途向けに顧客が要望する改良に取り組んでおります。一方、新たな新規事業の創出を目的としている新規事業開発は、銅ナノ粒子が既存品より低温で成膜することを特徴にして、市場投入に向けて工業化などの検討を行っております。また、再生可能エネルギーへの取り組みとして、有機薄膜太陽電池材料の開発にも注力しております。さらに、蓄熱材料(ハスクレイ)は、低温排熱利用分野において実証実験で有効性が確認されており、顧客からの問合せも増えており、今後の展開が期待されております。 当事業における研究開発費は、1,324百万円となりました。 なお、当連結会計年度におけるセグメントに帰属しない全社共通の研究開発費の金額は155百万円となりました。
FY2023|2,532 文字
6 【研究開発活動】 当社グループは「『社会』、『生命』、『環境』に貢献する。」という基本理念に基づき、無機化学、有機化学の各分野における新製品の開発や生産技術の向上に取り組むとともに、世界的な関心が高まる環境、エネルギー、バイオ、IT、食料等の各領域において、無機、有機の垣根にこだわることなく、新規事業の探索にも取り組んでおります。当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費は、9,156百万円となりました。 セグメントごとの研究開発は、次のとおりであります。 (無機化学事業)長年に亘る酸化チタン事業で蓄積されてきた技術をベースに、高機能・高付加価値品の開発に力を入れて取り組んでおります。 高付加価値品に関しては、板状チタン酸は“シルクのような質感”と“光輝感”を両立した世界唯一の色彩を有する顔料で、本顔料をSILKIAブランドとして市場投入するべく、安定製造方法の確立と表面改質に取り組んでおります。艶消し材料は、既存品に対して耐候性や艶ムラが少なくなることを特徴に、塗料分野向けの技術データ採取に取り組んでおります。また、硫化ビスマス黒色顔料は、特異な反射特性(可視光吸収、赤外線反射)と漆黒度が高いことを特徴に各種展示会に出展して好感触を得ており、工業化も含めて商品化検討を加速させております。 機能性材料に関しては、電気自動車や第5世代通信(5G)用に需要が期待される次世代の積層セラミックコンデンサー(MLCC)用の高純度酸化チタンの開発に注力しております。微粒子で分散性に優れた開発品を含め種々の粒子径サイズ品をラインナップすることで、顧客の汎用から最先端用途までの要求に応えるべく改良を進めております。また、有機/無機の材料合成技術を活かして開発した酸化チタンの溶剤分散体は、“酸化チタンの特徴である高屈折率”と“微粒子化による透明性”を両立させており、次世代の光学材料用途向けに顧客が要望する改良に取り組んでおります。 一方、新たな無機事業の創出を目的としている新規事業開発関連は、銅ナノ粒子が既存品より低温で成膜することを特徴にして、市場投入に向けて工業化などの検討を行っております。また、再生可能エネルギーへの取り組みとして、有機薄膜太陽電池材料の開発にも注力しております。さらに、蓄熱材料(ハスクレイ)は、低温排熱利用分野において実証実験で有効性が確認されており、顧客からの問合せも増えており、今後の展開が期待されております。 当事業における研究開発費は、1,544百万円となりました。 (有機化学事業)農薬については、自社開発原体を中心に新規製剤や新規混合剤の開発の他、農薬登録国や適用作物の拡大などに向けた研究開発に注力して取り組んでおります。 近年開発したチョウ・蛾類を始め広いスペクトラムを持つ殺虫剤シクラニリプロールは、2017年に韓国、2018年には日本、米国、カナダでの販売に続いて、アジア及び中南米を中心に開発を進めてきており、2021年にブラジル、メキシコでの販売を開始しました。2023年にはインドでも登録認可され、同年の販売開始を目指しております。人畜・作物安全性に優れるトウモロコシ用除草剤トルピラレートは、各国での単剤認可/販売以降、混合剤開発も行い2021年に米国、日本で上市しました。引き続き、単剤・混合剤ともに中南米、インド、東南アジア及びCISで開発を進めております。 さらに、国内の食の安全・安心志向の高まりや、抵抗性発達のために有効な既存化学農薬が不足しているなどの市場ニーズに対応するため、微生物殺菌剤、接触型忌避剤及び天敵昆虫などのバイオラショナル製品群の開発にも注力しております。2019年より食品添加物を有効成分とするコナジラミ忌避剤ベミデタッチを販売開始し、難防除の植物ウイルス病を低減できる剤として好評を得ております。さらに、2023年よりイネの高温ストレス耐性を促すバイオスティミュラント・ライスフルの販売も開始しました。当社は、近未来の植物防疫の姿を見据え、これら一連のバイオラショナル製品と、安全性が高く環境負荷に配慮した当社創製化学農薬群を組み合わせて、独自のIPMやICMプログラムを確立していきます。また、従来の化学農薬のコンセプトである農薬用途以外に、生活環境での防疫や環境保全においても当社製品を含む有機化学技術の普及拡大を目指しております。 当社の農薬事業は、自社の創生・開発の新農薬をベースとしておりますが、環境変化の激しい昨今、他社開発剤の導入や他社との共同開発にも積極的に取り組んでおり、2010年以降、海外企業から導入した水稲除草剤を国内で開発・上市したほか、2015年には韓国FarmHannong社と非選択性除草剤チアフェナシルを全世界で共同開発する契約を同企業と締結しました。2020年に本剤の米国登録取得し、2021年に米国で本剤の販売を開始しました。2023年6月にカナダでも同剤の登録認可を見込んでおり、認可後速やかに同国で販売開始する予定です。ブラジルでは同剤の混合剤の開発も進めており、2023年中の同剤の登録認可を見込んでおります。加えて、アルゼンチンでも本剤の登録申請を済ませており、さらに東南アジア、中南米各国でも本剤の開発、登録作業を進めております。 農薬以外では、ヘルスケア事業(医薬・動物用医薬品関連)についても、特色ある商品開発を進めております。動物用医薬品では、長年にわたる研究開発で培った技術とシーズ化合物を活かし、フザプラジブナトリウムを、イヌ膵炎急性期用抗炎症剤『ブレンダ』として発売しております。本薬剤は米国でも2023年度初頭より商業化しております。さらに、皮膚系疾患や他の炎症性疾患の治療薬において、後続するパイプラインの整備を推進中であります。 また、人体用医薬原薬「セビメリン塩酸塩」の製造受託事業においてもその拡大に取り組んでおります。 当事業における研究開発費は、7,434百万円となりました。 なお、当連結会計年度におけるセグメントに帰属しない全社共通の研究開発費の金額は178百万円となりました。
FY2022|2,632 文字
5 【研究開発活動】 当社グループは「『社会』、『生命』、『環境』に貢献する。」という基本理念に基づき、無機化学、有機化学の各分野における新製品の開発や生産技術の向上に取り組むとともに、世界的な関心が高まる環境、エネルギー、バイオ、IT、食料等の各領域において、無機、有機の垣根にこだわることなく、新規事業の探索にも取り組んでおります。当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費は、8,165百万円となりました。 セグメントごとの研究開発は、次のとおりであります。 (無機化学事業)長年に亘る酸化チタン事業で蓄積されてきた技術をベースに、高機能・高付加価値品の開発に力を入れて取り組んでおります。 高付加価値品に関しては、板状チタン酸は“シルクのような質感”と“光輝感”を両立した世界唯一の色彩を有する顔料で、本顔料をSILKIAブランドとして市場投入するべく、安定製造方法の確立と表面改質に取り組んでおります。艶消し材料については、既存品に対して耐候性や塗布ムラが少なくなることを特徴に、塗料分野やプラスチックス分野向けの技術データ採取に取組んでおります。また、黒色顔料については、当社製品のマンガン系黒色遮熱顔料より漆黒度が高い硫化ビスマス顔料について商品化検討を加速させております。 機能性材料に関しては、電気自動車や第5世代通信(5G)用に需要が期待される次世代の積層セラミックコンデンサー(MLCC)用の高純度酸化チタンの開発に注力しております。微粒子で分散性に優れた開発品を含め種々の粒子径サイズ品をラインナップすることで、顧客の汎用から最先端用途までの要求に応えるべく改良を進めております。また、有機/無機の材料合成技術を活かして開発した酸化チタンの溶剤分散体は、“酸化チタンの特徴である高屈折率”と“微粒子化による透明性”を両立させており、次世代の光学材料用途向けに顧客が要望する改良に取り組んでおります。 一方、新たな無機事業の創出を目的としている新規事業開発関連では、大学との共同研究を進めてきた銅ナノ粒子において既存品では未達であった低温で成膜する粒子のスケールアップ合成法を確立し、市場投入に向けての検討を行っております。また、再生可能エネルギーへの取り組みとして、有機薄膜太陽電池材料の開発にも注力しております。 当事業における研究開発費は、1,292百万円となりました。 (有機化学事業)農薬については、自社開発原体を中心に新規製剤や新規混合剤の開発の他、農薬登録国や適用作物の拡大などに向けた研究開発に注力して取り組んでおります。 近年開発した新規剤では、うどんこ病に卓効を持つ殺菌剤ピリオフェノンが各国で農薬登録を取得後、上市が進んでいるほか、菌核・灰色かび病など広いスペクトラムを持つ殺菌剤イソフェタミドは、2015年のカナダ、米国での上市を皮切りに、2018年には日本、欧州で、さらに中南米、大洋州でも販売を開始しました。また、チョウ・蛾類を初め広いスペクトラムを持つ殺虫剤シクラニリプロールは、2017年に韓国、2018年には日本、米国、カナダでも販売を開始しました。現在は、アジア及び中南米を中心に開発を進めており、2021年にブラジル、メキシコでの販売を開始しました。人畜・作物安全性に優れるトウモロコシ用除草剤トルピラレートは、2017年の国内及び米国における単剤販売開始以降、アルゼンチン、メキシコ、カナダ、韓国及びフィリピンに販売地域を拡大し、2021年には米国及び日本で混合剤を上市しました。水稲用除草剤ランコトリオンは、国内で2019年に単剤登録が、2020年に混合剤登録が認可され、2021年より販売を開始しました。 さらに、国内の食の安全・安心指向の高まりや、抵抗性発達のために有効な既存化学農薬が不足しているなどの市場ニーズに対応するため、微生物殺菌剤、接触型忌避剤及び天敵昆虫などのバイオラショナル製品群の開発にも注力しております。特に2種の天敵昆虫類については、農家の利便性に配慮した簡易型組立資材(バンカーシート)を付帯した製品を開発、農食事業26070Cで実用化技術を確立し、2016年からバンカーシートと組み合わせた3製品をJA全農の全国組織を通じて販売しております。また、2019年より食品添加物を有効成分とするコナジラミ忌避剤ベミデタッチを販売開始し、難防除の植物ウイルス病を低減できる剤として好評を得ております。当社は、近未来の植物防疫の姿を見据え、これら一連のバイオラショナル製品と、安全性が高く環境負荷に配慮した当社創製化学農薬群を組み合わせて、独自のIPMやICMプログラムを確立していきます。また、従来の農業用化学農薬コンセプト・分野とは異なる防疫、環境保全などの様々な場面においても、当社全製品を含む有機化学技術の普及拡大を目指しております。 当社の農薬事業は、自社の創生・開発の新農薬をベースとしておりますが、環境変化の激しい昨今、他社開発剤の導入や他社との共同開発にも積極的に取り組んでおり、2010年以降、海外企業から導入した水稲除草剤を国内で開発・上市したほか、2015年には海外他社の非選択性除草剤を全世界で共同開発する契約を同企業と締結し、昨年より米国で販売を開始しております。既に、カナダ、ブラジル及びアルゼンチン等でも登録申請を済ませており、更に東南アジア、中南米各国でも開発、登録作業を進めております。 農薬以外では、ヘルスケア事業(医薬・動物用医薬品関連)についても、特色ある商品開発を進めております。長年にわたる研究開発で培った技術とシーズ化合物を活かし、IKV-741(フザプラジブナトリウム)が、動物用医薬品の第一弾であるイヌ膵炎急性期用抗炎症剤として、2021年3月より自社製品『ブレンダ』として発売されております。本薬剤は米国でも開発を進めており、2022年度の商業化を目指しております。さらに、皮膚系疾患や内分泌系疾患の治療薬において、後続するパイプラインの整備を推進中であります。 また、人体用医薬原薬「セビメリン塩酸塩」の製造受託事業においてもその拡大に取り組んでおります。 当事業における研究開発費は、6,732百万円となりました。 なお、当連結会計年度におけるセグメントに帰属しない全社共通の研究開発費の金額は140百万円となりました。
FY2021|2,696 文字
5 【研究開発活動】 当社グループは「『社会』、『生命』、『環境』に貢献する。」という基本理念に基づき、無機化学、有機化学の各分野における新製品の開発や生産技術の向上に取り組むとともに、世界的な関心が高まる環境、エネルギー、バイオ、IT、食料等の各領域において、無機、有機の垣根にこだわることなく、新規事業の探索にも取り組んでおります。当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費は、8,639百万円となりました。 セグメントごとの研究開発は、次のとおりであります。 (無機化学事業)長年に亘る酸化チタン事業で蓄積されてきた技術をベースに、高機能・高付加価値品の開発に力を入れております。 高付加価値品に関しては、独自の粒子合成技術を応用した板状チタンについて量産化の目途を付けました。同品は、“シルクのような質感”と“輝き”を両立させた意匠感を示すことが特徴で、新たな色彩ブランドを立ち上げて市場投入してまいります。艶消し材料については、既存品に対して耐候性や触感が良好であることに着目し、塗料分野やプラスチックス分野向けの技術データ採取に取組んでおります。また、黒色遮熱材料は、従来のマンガン系製品以上に漆黒度が高い物質を見出し、商品化検討を加速させております。 機能性材料に関しては、電気自動車や第5世代通信(5G)用に需要が期待される次世代の積層セラミックコンデンサー(MLCC)用の高純度酸化チタンの開発に注力しております。同品の優れた分散性が顧客から評価されており、更なる改良を進めております。既に商品化している可視光応答型光触媒酸化チタンは、昨今のコロナ禍の影響を受けて引き合いが大幅に増えたことから、顧客の使い勝手が更に良くなるように、加工品タイプの改良に力を入れております。 大学と共同研究を進めてきた銅ナノ粒子については、既存品では未達であった低温で成膜する粒子のスケールアップ合成法を確立し、実用化への目途を立てました。また、有機/無機の材料合成技術を活かして開発した酸化チタンの溶剤分散体は、“酸化チタンの特徴である高屈折率”と“微粒子化による透明性”を両立させており、顧客から次世代の光学材料として高い評価を受けております。 当事業における研究開発費は、1,539百万円となりました。 (有機化学事業)農薬については、自社開発原体を中心に新規製剤や新規混合剤の開発の他、農薬登録国や適用作物の拡大などに向けた研究開発に注力して取り組んでおります。 近年開発した新規剤では、うどんこ病に卓効を持つ殺菌剤ピリオフェノンが各国で農薬登録を取得後、上市が進んでいる他、菌核・灰色かび病など広いスペクトラムを持つ殺菌剤イソフェタミドは、2015年のカナダ、米国での上市を皮切りに、2018年には日本、欧州で、さらに中南米、大洋州でも販売を開始しました。また、チョウ・蛾類を初め広いスペクトラムを持つ殺虫剤シクラニリプロールは、2017年に韓国、2018年には日本、米国、カナダでも販売を開始しました。現在は、アジア及び中南米を中心に開発を進めており、2021年にブラジル、メキシコ及びベトナムでの販売開始を予定しております。安全性に優れるトウモロコシ用除草剤トルピラレートは、2017年より、国内及び米国で単剤の販売を開始して以降、アルゼンチン、メキシコ、カナダ、韓国、フィリピンに販売地域を拡大しており、2021年から米国及び日本で混合剤の販売を開始する予定です。水稲用除草剤ランコトリオンは、国内で2019年に単剤登録が、2020年に混合剤登録が認可され、2021年より販売を開始します。 さらに、国内の食の安全・安心指向の高まりや、抵抗性発達のために有効な既存化学農薬が不足しているなどの市場ニーズに対応するため、微生物殺菌剤、接触型忌避剤及び天敵昆虫等の製品群の開発にも注力しております。特に2種の天敵昆虫類については、農家の利便性に配慮した簡易型組立資材(バンカーシート)を付帯した製品を開発、農食事業26070Cで実用化技術を確立し、2016年からバンカーシートと組み合わせた3製品をJA全農の全国組織を通じて販売しています。また、2019年より食品添加物を有効成分とするコナジラミ忌避剤ベミデタッチを販売開始し、好評を得ております。当社では近未来の植物防疫の姿を見据え、これらと安全性の高い当社の化学農薬群を組み合わせて、独自のIPMプログラムを確立するとともに、従来の化学農薬コンセプト・分野とは異なる場面においても、当社全製品の普及拡大を目指しております。当社の農薬事業は、自社での創生・開発をベースとしておりますが、環境変化の激しい昨今、他社開発剤の導入や他社との共同開発にも積極的に取り組んでおり、2010年以降海外企業から導入した水稲除草剤を国内で開発・上市したほか、2015年には海外企業が発明した新規の非選択性除草剤を全世界で共同開発する契約を締結し、第一優先国である米国、カナダ、ブラジル、オーストラリア、アルゼンチンで登録申請を済ませており、更に東南アジア、中南米等でも開発、登録作業を開始しております。なお、審査期間の短いスリランカでは登録を取得、2019年より販売を開始しております。 農薬以外では、ヘルスケア事業(医薬・動物用医薬品関連)についても、特色ある商品開発を進めております。長年にわたる研究開発で培った技術とシーズ化合物を活かし、IKV-741(フザプラジブナトリウム)が、動物用医薬品の第一弾であるイヌ膵炎急性期用抗炎症剤として、2018年に共同開発先の日本全薬工業(株)から『ブレンダZ』のブランド名で発売され、さらに2021年3月より自社製品『ブレンダ』として発売されています。本薬剤は米国でも開発を進めており、2022年度の商業化を目指しております。さらに、皮膚系疾患や駆虫系の薬剤において、後続するパイプラインの整備を推進中です。 当社の有機化学コア技術に基づくCF3ピリジン化合物(医薬用中間体)を、医薬原薬「セビメリン塩酸塩」に続く製造受託事業の柱と位置づけ、新たな受託生産につなげるべく、普及活動に取り組んでおります。 2014年4月より推進してきた新規バイオ抗がん剤(医薬用HVJ-E)の開発は、2020年10月9日、開発撤退を公表しました。 当事業における研究開発費は、6,983百万円となりました。 なお、当連結会計年度におけるセグメントに帰属しない全社共通の研究開発費の金額は116百万円となりました。
FY2020|3,087 文字
5 【研究開発活動】 当社グループは「『社会』、『生命』、『環境』に貢献する。」という基本理念に基づき、無機化学、有機化学の各分野における新製品の開発や生産技術の向上に取り組むとともに、世界的な関心が高まる環境、エネルギー、バイオ、IT、食料等の各領域において、無機、有機の垣根にこだわることなく、新規事業の探索にも取り組んでおります。当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費は、9,150百万円となりました。 セグメントごとの研究開発は、次のとおりであります。 (無機化学事業) 酸化チタン顔料については、塩素法と硫酸法の2つの製造プロセスを自社で有する特徴を活かし、塗料、インキ、プラスチックなどの各分野で市場ニーズに対応した高付加価値銘柄や顧客の厳しい要求に応えるカスタマイズ銘柄などの開発に注力して取り組んでおります。特に塗料分野においては、平滑な表面で底艶を抑制することができる新たな艶消し用酸化チタンを製品化するとともに、黒色などの濃色系でも高い艶消し効果を発揮できる透明タイプの開発も進め、建材内外装や工業分野を始めとする多方面での艶消しニーズに対応しております。 機能材料については、次世代のコア事業としての盤石な地位を確立すべく、酸化チタン応用製品の一層のスペシャリティー化と新規分野の開拓に注力して取り組んでおります。電子材料分野では、電気自動車や第5世代通信(5G)用に需要が期待される次世代積層セラミックコンデンサー(MLCC)用の高純度酸化チタンの開発を継続しており、MLCC用チタン酸バリウムの原料として、優れた分散性がユーザーから評価されております。また、環境・省エネルギー問題に対応する素材として、耐候性の優れた黒色系遮熱材料が多方面で評価され、建築用途からスポーツ分野など、黒色でかつ赤外線反射が求められる分野での需要増を見越した量産体制が整いつつあります。この他、意匠性材料、導電性材料及び光触媒材料など、独自技術によるユニークな製品開発と市場開発を推進しております。 新しい無機事業の創出を目的として有機分野と無機分野の融合を図り、新しい価値を創生した商品の研究開発にも取り組んでおります。当社有機化学部門とのコラボレーションの他、大学との共同研究や社外技術の導入などオープンイノベーションへの取り組みも積極的に進めており、あらゆる場面で成長に繋がる研究開発活動を行っております。当事業における研究開発費は、1,468百万円となりました。 (有機化学事業)農薬については、自社開発原体を中心に新規製剤や新規混合剤の開発の他、農薬登録国や適用作物の拡大などに向けた研究開発に注力して取り組んでおります。 近年開発した新規剤では、うどんこ病に卓効を持つ殺菌剤ピリオフェノンが各国で農薬登録を取得後、上市が進んでいる他、菌核・灰色かび病など広いスペクトラムを持つ殺菌剤イソフェタミドは、2015年のカナダ、米国での上市を皮切りに、2018年には日本、欧州でも販売を開始、さらに中南米、大洋州での商業化を進めております。また、チョウ・蛾類を初め広いスペクトラムを持つ殺虫剤シクラニリプロールは、2017年に韓国、2018年には日本、米国、カナダでも販売を開始し、現在はアジア及び中南米を中心に開発を進めております。安全性に優れるトウモロコシ用除草剤トルピラレートは、国内では2017年より、米国、アルゼンチンでは2018年から販売を開始しており、さらにカナダ、韓国、フィリピンでも販売開始に向け準備を進めております。水稲用除草剤ランコトリオンは、2019年2月に国内で登録認可され、更に混合剤の登録も順調に取得しており、2021年より本格的に販売を開始する予定であります。 さらに、国内の食の安全・安心指向の高まりや、抵抗性発達のために有効な既存化学農薬が不足しているなどの市場ニーズに対応するため、微生物殺菌剤、接触型忌避剤、及び天敵昆虫等の製品群の開発にも注力しております。特に2種の天敵昆虫類については、農家の利便性に配慮した簡易型組立資材(バンカーシート)を付帯した製品を開発、農食事業26070Cで実用化技術を確立し、2016年からバンカーシートと組み合わせた3製品をJA全農の全国組織を通じて販売しております。また、2019年より食品添加物を有効成分とするコナジラミ忌避剤ベミデタッチを販売開始しました。近未来の植物防疫の姿を見据えると、これらと安全性の高い当社の化学農薬群を組み合わせて、当社独自のIPMプログラムを確立するとともに、従来の化学農薬コンセプト・分野とは異なる場面でも、当社全製品の普及拡大を目指してまいります。 当社の農薬事業は、自社での創生・開発をベースとしておりますが、環境変化の激しい昨今、他社開発剤の導入や他社との共同開発にも積極的に取り組んでおり、2010年以降海外企業から導入した水稲除草剤を国内で開発・上市したほか、2015年には海外企業が発明した新規の非選択性除草剤を全世界で共同開発する契約を締結し、第一優先国である米国、カナダ、ブラジル、オーストラリア、アルゼンチンで登録申請を済ませており、更に東南アジア、中南米等でも開発、登録作業を開始しております。なお、審査期間の短いスリランカでは登録を取得、2019年より販売を開始しております。 農薬以外では、ライフサイエンス事業(医薬・医療機器関連)についても、特色ある商品開発を進めております。当社の有機化学コア技術に基づくCF3ピリジン化合物(医薬用中間体)を、医薬原薬「セビメリン塩酸塩」に続く製造受託事業の柱と位置づけ、新たな受託生産につなげるべく、普及活動に取り組んでおります。 バイオ研究者向けの研究用試薬「ゲノムワン」(遺伝子機能解析用HVJ-Eベクターキット並びに関連製品)については、国内外で販売を行っており、利用者の要請にも対応して、より高い機能開発に取り組んでおります。HVJ-Eについては、新規バイオ抗がん剤としての開発にも取り組んでおり、大阪大学医学部附属病院と連携して、医師主導治験により臨床開発を進めております。悪性黒色腫(メラノーマ)、悪性胸膜中皮腫(中皮腫)及び前立腺がん対象の第Ⅰ相試験においてヒトでの安全性が確認されました。2018年12月よりメラノーマ対象(免疫チェックポイント阻害剤との併用)及び中皮腫対象(標準療法;シスプラチン+アリムタとの併用)の第Ⅱ相試験が始まり、併用での安全性が確認されました。現在、有効性主体の評価を進めております。前立腺がんについても、引き続き科学技術振興機構(JST)の産学共同実用化開発事業として非臨床試験や臨床開発を推進してまいります。 また、長年にわたる農薬、医薬創製の研究・開発で培った技術とシーズ化合物を活かし、動物薬の研究開発に取り組んでおり、第一弾としてIKV-741(フザプラジブナトリウム)がイヌ膵炎急性期用抗炎症剤『ブレンダZ』として共同開発先の日本全薬工業(株)から発売されております。また、本薬剤は米国でも開発を進めており、2020年度に臨床試験実施、2021年度に商業化を目指しております。さらに、皮膚系疾患や駆虫系の薬剤において、後続するパイプラインの整備を推進中であります。当事業における研究開発費は、7,562百万円となりました。 なお、当連結会計年度におけるセグメントに帰属しない全社共通の研究開発費の金額は119百万円となりました。
FY2019|2,847 文字
5 【研究開発活動】 当社グループは「社会、生命、環境に貢献する」という基本理念に基づき、無機化学、有機化学の各分野における新製品の開発や生産技術の向上に取り組むとともに、世界的な関心が高まる環境、エネルギー、バイオ、IT、食料等の各領域において、無機、有機の垣根にこだわることなく、新規事業の探索にも取り組んでおります。当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費は、8,070百万円となりました。 セグメントごとの研究開発は、次のとおりであります。 (無機化学事業)酸化チタン顔料については、塩素法と硫酸法の2つの製造プロセスを自社で有する特徴を活かし、塗料、インキ、プラスチックなどの各分野で市場ニーズに対応した高付加価値銘柄や顧客の厳しい要求に応えるカスタマイズ銘柄などの開発に注力して取り組んでおります。特に塗料分野においては、平滑な表面で底艶を抑制することができる新たな艶消し用酸化チタンを製品化するとともに、黒色などの濃色系でも高い艶消し効果を発揮できる透明タイプの開発も進め、建材内外装や工業分野を始めとする多方面での艶消しニーズに対応しています。機能材料については、次世代のコア事業としての盤石な地位を確立すべく、酸化チタン応用製品の一層のスペシャリティー化と新規分野の開拓に注力して取り組んでおります。電子材料分野では、積層セラミックコンデンサの需要が通信機器、自動車、産業機器の各分野で大きく伸長する中、それぞれの要求特性に沿った高純度酸化チタンの商品開発を強力に推進しています。また、環境・省エネルギー問題に対応する素材として、建材向け塗料や人工木材などに耐候性の優れた黒色系遮熱材料の開発を進めている他、意匠性材料、導電性材料及び光触媒材料など、独自技術によるユニークな製品開発と市場開発を推進しております。新しい無機事業の創出を目的としている新規事業企画開発部では、有機分野と無機分野の融合を図り、新しい価値を創生した商品の研究開発にも取り組んでおります。当社有機化学部門とのコラボレーションの他、大学との共同研究や社外技術の導入などオープンイノベーションへの取り組みも積極的に進めており、あらゆる場面で成長に繋がる研究開発活動を行っております。当事業における研究開発費は、911百万円となりました。 (有機化学事業)農薬については、自社開発原体を中心に新規製剤や新規混合剤の開発の他、農薬登録国や適用作物の拡大などに向けた研究開発に注力して取り組んでおります。近年開発した新規剤では、うどんこ病に卓効を持つ殺菌剤ピリオフェノンが各国で農薬登録を取得後、上市が進んでいる他、菌核・灰色かび病など広いスペクトラムを持つ殺菌剤イソフェタミドは、2015年のカナダ、米国での上市を皮切りに、2018年には日本、欧州でも販売を開始しました。また、チョウ・蛾類を初め広いスペクトラムを持つ殺虫剤シクラニリプロールは、2017年に韓国、2018年には日本、米国、カナダでも販売を開始しました。安全性に優れるトウモロコシ用除草剤トルピラレートは、国内では2017年より、米国、アルゼンチンでは2018年から販売を開始しており、さらにカナダ、韓国、フィリピンでも販売開始に向け準備を進めております。水稲用除草剤ランコトリオンは、2019年2月に国内で登録認可され、現在混合剤の登録申請を行っており、2021年より本格的に販売を開始する予定です。さらに、国内の食の安全・安心指向の高まりや、抵抗性発達のために有効な既存化学農薬が不足しているなどの市場ニーズに対応するため、微生物殺菌剤、接触型忌避剤、及び天敵昆虫等の製品群の開発にも注力しております。特に2種の天敵昆虫類については、農家の利便性に配慮した簡易型組立資材(バンカーシート)を付帯した製品を開発、農食事業26070Cで実用化技術を確立し、2016年12月からバンカーシートと組み合わせた3製品をJA全農の全国組織を通じて販売しています。近未来の植物防疫の姿を見据えると、これらと安全性の高い当社の化学農薬群を組み合わせて、当社独自のIPMプログラムを確立するとともに、従来の化学農薬コンセプト・分野とは異なる場面でも、当社全製品の普及拡大を目指していきます。当社の農薬事業は、自社での創生・開発をベースとしていますが、環境変化の激しい昨今、他社開発剤の導入や他社との共同開発にも積極的に取り組んでおり、2010年以降海外企業から導入した水稲除草剤を国内で開発・上市したほか、2015年には海外企業が発明した新規の非選択性除草剤を全世界で共同開発する契約を締結し、第一優先国である米国、カナダ、ブラジル、オーストラリア、アルゼンチンで登録申請を済ませており、更に東南アジア、中南米等でも開発、登録作業を開始しております。なお、審査期間の短いスリランカでは既に登録を取得し、本年4月より販売を開始しております。農薬以外では、ライフサイエンス事業についても、特色ある商品開発を進めています。当社の有機化学コア技術に基づくCF3ピリジン化合物(医薬用中間体)を、医薬原薬「セビメリン塩酸塩」に次ぐ受託事業と位置づけ、新たな受託生産につなげるべく普及活動に取り組んでいます。バイオ研究者向けの研究用試薬「ゲノムワン」(遺伝子機能解析用HVJ-Eベクターキット並びに関連製品)については、国内外で販売を行っており、利用者の要請にも対応して、より高い機能開発に取り組んでいます。HVJ-Eについては、新規バイオ抗がん剤としての開発にも取り組んでおり、大阪大学医学部附属病院と連携して、医師主導治験により臨床開発を進めています。悪性黒色腫(メラノーマ)、悪性胸膜中皮腫(中皮腫)及び前立腺がん対象の第Ⅰ相試験においてヒトでの安全性が確認されました。2018年12月よりメラノーマ及び中皮腫対象の第Ⅱ相試験が始まっており、有効性の確認を進めます。前立腺がんについても、引き続き科学技術振興機構(JST)の産学共同実用化開発事業として非臨床試験や臨床開発を推進していきます。長年にわたる農薬、医薬創製の研究・開発で培った技術とシーズ化合物を活かし、動物薬の研究開発にも取り組んでいます。その商品化計画の第一弾として、新規作用機序を有するイヌ用抗膵炎薬「ブレンダ」の国内における薬事承認(農林水産省による)を2018年9月28日に取得し、共同開発先である日本全薬工業㈱より同年10月1日から販売を開始しました。また、本薬剤は米国でも臨床開発を行なっており、2021年度内の商業化を目指しております。さらに、皮膚系疾患や駆虫系の薬剤において、後続するパイプラインの整備を推進中です。当事業における研究開発費は、7,066百万円となりました。 なお、当連結会計年度におけるセグメントに帰属しない全社共通の研究開発費の金額は92百万円となりました。
FY2018|2,652 文字
5 【研究開発活動】 当社グループは「社会、生命、環境に貢献する」という基本理念に基づき、無機化学、有機化学の各分野における新製品の開発や生産技術の向上に取り組むとともに、世界的な関心が高まる環境、エネルギー、バイオ、IT、食料等の各領域において、無機、有機の垣根にこだわることなく、新規事業の探索にも取り組んでおります。当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費は、8,706百万円となりました。 セグメントごとの研究開発は、次のとおりであります。 (無機化学事業)酸化チタン顔料については、塩素法と硫酸法の2つの製造プロセスを自社で有する特徴を活かし、塗料、インキ、プラスチックの各分野で市場ニーズに対応した高付加価値銘柄や顧客の厳しい要求に応えるカスタマイズ銘柄などの開発に注力して取り組んでおります。機能材料については、次世代のコア事業としての盤石な地位を確立すべく、酸化チタン応用製品の一層のスペシャリティー化と新規分野の開拓に注力して取り組んでおります。電子材料分野では、電子機器の小型化、省電力化、高機能化に伴い、使用される材料の一層の微粒化が求められる中、これに対応した高純度酸化チタンの商品開発を強力に推進しています。また、環境・省エネルギー問題に対応する素材として、建材向け塗料や人工木材などに耐候性の優れた黒色系遮熱材料の開発を進めている他、意匠性材料、導電性材料及び光触媒材料など、独自技術によるユニークな製品開発と市場開発を推進しております。新しい無機事業の創出を目的としている新規事業企画開発部では、有機分野と無機分野の融合を図り、新しい価値を創生した商品の研究開発にも取り組んでおります。当社有機化学部門とのコラボレーションの他、大学との共同研究や社外技術の導入などオープンイノベーションへの取り組みも積極的に進めており、あらゆる場面で成長に繋がる研究開発活動を行っております。当事業における研究開発費は、1,378百万円となりました。 (有機化学事業)農薬については、自社開発原体を中心に新規製剤や新規混合剤の開発の他、農薬登録国や適用作物の拡大などに向けた研究開発に注力して取り組んでおります。近年開発した新規剤では、うどんこ病に卓効を持つ殺菌剤ピリオフェノンが各国で農薬登録を取得後、上市が進んでいる他、菌核・灰色かび病など広いスペクトラムを持つ殺菌剤イソフェタミドは、2015年のカナダ、米国での上市を皮切りに、2018年以降日本、欧州でも販売を開始する予定です。また、チョウ・蛾類を初め広いスペクトラムを持つ殺虫剤シクラニリプロールは、2017年から韓国で販売を開始し、2018年には米国、日本でも上市する予定です。安全性に優れるトウモロコシ用除草剤トルピラレートは、国内では2017年より販売を開始しており、さらに米国、カナダでは2018年の販売開始に向け準備を進めております。水稲用除草剤ランコトリオンは、2016年に国内の登録申請を行い、現在混合剤の開発などを進めており、さらに近隣・東南アジアへの展開も検討中です。さらに、国内の食の安全・安心指向の高まりや、抵抗性発達のために有効な既存化学農薬が不足しているなどの市場ニーズに対応するため、微生物殺菌剤、接触型忌避剤及び天敵昆虫等の製品群の開発にも注力しております。特に2種の天敵昆虫類については、農家の利便性に配慮した簡易型組立資材(バンカーシート)を付帯した製品を開発、農林水産省農食事業26070Cで実用化技術を確立し、2016年12月からバンカーシートと組み合わせた3製品をJA全農の全国組織を通じて販売しています。近未来の植物防疫の姿を見据えると、これらと安全性の高い当社の化学農薬群を組み合わせて、当社独自のIPMプログラムを確立するとともに、従来の化学農薬コンセプト・分野とは異なる場面でも、当社全製品の普及拡大を目指していきます。当社の農薬事業は、自社での創生・開発をベースとしていますが、環境変化の激しい昨今、他社開発剤の導入や他社との共同開発にも積極的に取り組んでおり、2010年以降海外企業から導入した水稲除草剤を国内で開発・上市したほか、2015年には海外企業が発明した新規の非選択性除草剤を全世界で共同開発する契約を締結し、米国、カナダ、ブラジル、オーストラリア等主要国での登録申請を実施しました。農薬以外では、ライフサイエンス事業(医薬品・医療機器開発)についても、特色ある商品開発を進めています。酸化チタンの機能性を利用した国産初の人工関節固定用骨セメント「オセジョイン」については、2016年9月に製造販売承認を取得しました。2018年中に保険適用を目指し、その後の上市を予定しております。また、当社の有機化学コア技術であるCF3ピリジン化合物(医薬用中間体)の受託生産事業としての販路拡大を進めております。バイオ研究者向けの研究用試薬「ゲノムワン」(遺伝子機能解析用HVJ-Eベクターキット並びに関連製品)については、国内外で販売を行っており、利用者の要請にも対応して、より高い機能開発に取り組んでいます。HVJ-Eについては、新規バイオ抗がん剤としての開発も目指しており、大阪大学医学部附属病院と連携して、医師主導治験により臨床開発を進めております。悪性黒色腫(メラノーマ)、悪性胸膜中皮腫(中皮腫)及び前立腺がん対象の第Ⅰ相試験においてヒトでの安全性が確認されました。2018年度よりメラノーマ及び中皮腫対象の第Ⅱ相試験を開始する予定で、前立腺がんについても、引き続き科学技術振興機構(JST)の産学共同実用化開発事業として臨床開発を推進していきます。長年にわたる農薬、医薬創製の研究・開発で培った技術とシーズ化合物を活かし、動物薬の研究開発にも取り組んでいます。その商品化計画の第一弾として、新規作用機序を有する動物用抗炎症薬が、現在国内で承認申請中であり、2018年度の第2四半期から第3四半期にかけての上市を予定しております。また、本薬剤は米国でも臨床開発を行なっており、2020年度内の商業化を目指しております。さらに、皮膚系疾患や駆虫系の薬剤において、後続するパイプラインの整備を推進中です。当事業における研究開発費は、7,253百万円となりました。 なお、当連結会計年度におけるセグメントに帰属しない全社共通の研究開発費の金額は74百万円となりました。
FY2017|2,589 文字
6 【研究開発活動】 当社グループは「社会、生命、環境に貢献する」という基本理念に基づき、無機化学、有機化学の各分野における新製品の開発や生産技術の向上に取り組むとともに、世界的な関心が高まる環境、エネルギー、バイオ、IT、食料等の各領域において、無機、有機の垣根にこだわることなく、新規事業の探索にも取り組んでおります。当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費は、8,173百万円となりました。 セグメントごとの研究開発は、次のとおりであります。 (無機化学事業)酸化チタン顔料については、塩素法と硫酸法の2つの製造プロセスを自社で有する特徴を活かし、塗料、インキ、プラスチックの各分野で市場ニーズに対応した高付加価値銘柄や顧客の厳しい要求に応えるカスタマイズ銘柄などの開発に注力して取り組んでおります。機能材料については、次世代のコア事業としての磐石な地位を確立すべく、酸化チタン応用製品の一層のスペシャリティー化と新規分野の開拓に注力して取り組んでおります。電子材料分野では、電子機器の小型化、高機能化に伴い一層の微粒化が求められる中、これに対応した高純度酸化チタンの商品開発を強力に推進する他、環境・省エネルギー問題に対応する素材として、建材向け塗料や人工木材などに黒色系遮熱材料の開発を進めており、その増産体制の確立に関しても技術面からサポートしております。また、新規分野では、微細配線、接合(高温ハンダ)、装飾などの用途に使われる金属微粒子、需要が高まっている電子機器の熱対策材料としての高熱伝導材料の他、意匠性材料、化粧品用材料及び光触媒材料など、独自技術によるユニークな製品開発と市場開発を推進しております。新しい無機事業の創出を目的に発足した新規事業企画開発部では、これまで培った無機、有機の技術を融合させ、新しい価値を創生した商品の研究開発にも取り組んでおります。また、当社有機化学部門とのコラボレーションした開発テーマの他、関係企業との協業や社外技術の導入などオープンイノベーションへの取り組みも積極的に進めており、あらゆる場面で成長に繋がる活動を行っております。電池材料については、車載用途や電力蓄電用途などで中大型のリチウムイオン電池が使用される大きな市場拡大が見込まれる中、負極材の1つとして有望視されるチタン酸リチウムの製品開発に取り組んでおります。当事業における研究開発費は、1,313百万円となりました。 (有機化学事業)農薬については、自社開発原体を中心に新規製剤や新規混合剤の開発の他、農薬登録国や適用作物の拡大などに向けた研究開発に注力して取り組んでおります。近年開発した新規剤では、うどんこ病に卓効を持つ殺菌剤ピリオフェノンが各国で農薬登録を取得後、上市が進んでいる他、菌核・灰色かび病など広いスペクトラムを持つ殺菌剤イソフェタミドは、2015年のカナダ、米国での上市を皮切りに、順次販売地域を拡大しております。また、チョウ・蛾類をはじめ広いスペクトラムを持つ殺虫剤シクラニリプロールや安全性に優れるトウモロコシ用除草剤トルピラレートも、既に一部の国では販売が始まっておりますが、今後主力市場で順次上市を進めてまいります。水稲用除草剤ランコトリオンは、2016年に国内の登録申請を行い、現在混合剤の開発などを進めており、さらに近隣・東南アジアへの展開も検討中です。さらに、国内の食の安全・安心指向の高まりや、抵抗性発達のために有効な既存化学農薬が不足しているなどの市場ニーズに対応するため、微生物殺菌剤、接触型忌避剤及び天敵昆虫等の製品群の開発にも注力しております。特に3種の天敵昆虫類については、農家の利便性に配慮した簡易型組立資材(バンカーシート)を付帯した製品を開発、農林水産省農食事業26070Cで実用化技術を確立し、現在順次上市を進めています。近未来の植物防疫の姿を見据えると、これらと安全性の高い当社の化学農薬群を組み合わせて、当社独自のIPMプログラムを確立するとともに、従来の化学農薬コンセプト・分野とは異なる場面でも、当社全製品の普及拡大を目指していきます。当社の農薬事業は、自社での創生・開発をベースとしていますが、環境変化の激しい昨今、他社開発剤の導入や他社との共同開発にも積極的に取り組んでおり、2010年以降海外企業から導入した水稲除草剤を国内で開発・上市したほか、2015年には海外企業が発明した新規の非選択性除草剤を全世界で共同開発する契約を締結し、現在、主要国での登録申請の作業を進めております。農薬以外では、医薬品・医療機器開発の分野で、特色ある商品開発を進めております。酸化チタンの機能性を利用した国産初の人工関節固定用骨セメント「オセジョイン」は、2016年9月に製造販売承認を取得し、2017年中に保険適用を受け、その後の上市を計画しております。また、当社有機部門のコア技術であるCF3ピリジン化合物(医薬原薬用中間体)についても、受託生産事業拡大を目指した研究開発を進めております。バイオ研究者向けの研究用試薬「ゲノムワン」(遺伝子機能解析用HVJ-Eベクターキット並びに関連製品)については、国内外で販売を行っており、利用する研究者の要請にも対応して、より高い機能開発に取り組んでいます。HVJ-Eについては、新規バイオ抗がん剤としての開発を目指し、大阪大学医学部附属病院と連携して医師主導臨床治験を進めております。第Ⅰ相試験でヒトでの安全性が確認された悪性黒色腫(メラノーマ)、悪性胸膜中皮腫については、2017年度より第Ⅱ相試験を開始する予定で、前立腺がんについては、引き続き科学技術振興機構(JST)の産学共同実用化開発事業としての第Ⅰ相試験を推進していきます。長年にわたる農薬、医薬創製の研究・開発で培った技術とシーズ化合物を活かし、動物薬の研究開発にも取り組んでいます。その第一弾として、現在、新規作用機序を有する動物用抗炎症薬を国内承認申請中であり、2017年度末ないしは2018年度初の上市を見込んでおります。当事業における研究開発費は、6,775百万円となりました。 なお、当連結会計年度におけるセグメントに帰属しない全社共通の研究開発費の金額は84百万円となりました。
FY2016|2,832 文字
6 【研究開発活動】 当社グループは、基本理念の一つである「社会、生命、環境に貢献する」を具現化するため、無機化学及び有機化学の各事業において人と環境にやさしい製品の開発から生産技術の開発に至るまで、積極的かつ重点的な研究開発に取り組んでおります。また、環境、エネルギー、IT、バイオ、食料等といった事業に関連した領域で、新たな市場ニーズを探索し、無機、有機の垣根を超えた新たな事業に繋がる新技術の研究開発にも取り組んでおります。無機化学事業の内、酸化チタン顔料や機能材料等の開発は、四日市の開発企画研究本部において、商品開発から製造技術検討までを効率的かつ柔軟に進めております。一方、電池材料の開発は、電池・発電材料開発推進本部において、技術・生産・営業が商品開発から量産技術開発まで一体となって取り組んでおります。また、グループ会社である富士チタン工業(株)は、主力製品である化繊向け酸化チタン、電子材料用チタン酸バリウム及びそれらから派生する化学関連品を対象に独自に研究開発に取り組んでおりますが、当社との研究領域が近いため、必要に応じて研究開発協力を行っております。一方、有機化学事業(農薬、医薬等)は草津の中央研究所において研究開発を推進しております。当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費は、8,988百万円となりました。 セグメントごとの研究開発は、次のとおりであります。 (無機化学事業)酸化チタン顔料については、塩素法及び硫酸法の2つの製法を有する特徴を活かし、塗料,インキ,プラスチックの各分野向けに市場ニ-ズに合致した高付加価値銘柄やカスタマイズ銘柄の開発に注力して取り組んでおります。機能材料については、新規分野の開拓や酸化チタンの持つ機能を活かした製品のスペシャリティー化に注力して取り組んでおります。特に、近年、環境・省エネルギー問題の高まりから注目される遮熱分野では、透明遮熱ガラスコート剤を既存の光触媒コート剤と合わせて市場展開を進めている他、2014年に上市した黒色系遮熱材料は、建材向け塗料や人工木材などへの応用展開を進めております。超微粒子高純度酸化チタンでは、MLCC等電子部品の高性能化・ダウンサイジング化に対応するため、更なる微粒子化、高品質化が求められており、開発を急いでおります。新規分野の開拓としては、微細配線や接合(高温ハンダ)及び装飾用途に使われる金属微粒子、電子機器の熱対策需要の高まりを受けた高熱伝導材料、特殊形状合成技術を用いた意匠性材料など、独自技術によるユニークな製品開発と市場展開を推進しております。 電池材料については、車載用途や電力蓄電用途など中大型電池が使用される分野で今後大きな市場拡大が見込まれているリチウムイオン電池の負極材として有望視されている、チタン酸リチウムの製品開発を引き続き推進しております。当事業における研究開発費は、1,647百万円となりました。 (有機化学事業)農薬については、主力剤の多くが特許切れとなり、市場ではジェネリックとの競合に晒されておりますが、研究開発面では、新規製剤・新規混合剤の投入、登録国・適用作物の拡大を進めるなど、各種対抗策を具体化させることにより、引き続き、販売の維持・拡大を図っております。新規うどんこ病殺菌剤は、各国で登録認可され、順次上市しております。新規菌核・灰色かび病殺菌剤は既に登録申請が行われ、2015年のカナダ、米国を皮切りに順次、上市予定です。また、新規チョウ・蛾類殺虫剤は2013年末から2016年初めにかけて世界各地で登録申請を行い、早期登録を目指しております。新規トウモロコシ用除草剤は、2014年に国内で登録申請、2015年以降、順次、欧州及び米州各国で登録申請を進めております。新規水稲用除草剤は、2016年第2四半期に国内での登録申請を予定しております。更に、国内の食の安全・安心指向の高まり、更に抵抗性発達の為に有効な既存化学農薬が不足するなどの市場ニーズに合致した、微生物殺菌剤、接触型忌避剤及び天敵昆虫類等の製品群の開発に注力しております。微生物殺菌剤は2012年から国内販売を開始しており、また、2015年以降、接触型忌避剤、3種の天敵昆虫類の国内登録を取得し、2016年末から順次上市の予定です。近未来の植物防疫の姿を見据え、これらと当社の安全性の高い化学農薬群を組み合わせた当社独自のIPMプログラムの確立とともに、従来の化学農薬コンセプト・分野とは異なる場面でも、当社全製品の普及拡大を目指していきます。農薬事業を取り巻く環境が激しく変化する昨今、自社創生・開発に加えて、他社開発剤の導入や他社との共同開発にも取り組んでおります。水稲除草剤に関しては、2010年以降、海外企業から導入したヒエ防除剤をベースとした一発剤、中・後期剤を開発し、国内で上市しております。また、2015年には、海外企業が発明した新規の非選択性除草剤を全世界で共同で開発する契約を締結しました。今後、この剤の販売供給でも同企業との協力関係を構築する等、新たなビジネススタイルの実現を目指しております。また、近年、長年にわたる農薬、医薬創製の研究・開発で培った技術とシードを活かし、動物薬の本格開発に取り組んでおります。その一つである新規作用機序を有する動物用抗炎症薬は、国内での臨床試験が終了し、2017年度内の上市を予定しております。ライフサイエンス事業(医薬品・医療機器開発)についても、特色ある商品開発を進めております。酸化チタンの機能性を利用した人工関節固定用骨セメントについては、京都大学医学部と共同で開発を進めてきましたが、2016年3月に製造販売承認申請を行いました。2016年度中に医療機器としての承認を取得し、保険適用後の上市を予定しております。バイオ研究者向けの研究用試薬「ゲノムワン」(遺伝子機能解析用HVJ-Eベクターキット並びに関連製品)については、国内販売だけでなく、欧米を中心にグローバルな販売を行っており、利用者の要請にも対応して、より高い機能開発に取り組んでおります。なお、HVJ-Eについては、新規バイオ抗がん剤としての開発も目指しており、大阪大学医学部附属病院と連携して、前立腺がん、悪性黒色腫(メラノーマ)及び悪性胸膜中皮腫の3がん種を対象とした第Ⅰ相臨床試験を進めております。この内、前立腺がん治療薬の開発については、2014年2月に科学技術振興機構(JST)の産学共同実用化開発事業の課題に採択されております。また、長く蓄積してきた遺伝子技術を駆使し、青色花卉の作出研究や商品化を目指した取り組みも進めております。当事業における研究開発費は、7,334百万円となりました。 なお、当連結会計年度におけるセグメントに帰属しない全社共通の研究開発費の金額は6百万円となりました。