4023

クレハ(4023)は何で稼いでいるか — 事業の柱と依存度

化学 素材・化学

事業の概要

  • 多角的な化学事業展開
    クレハグループは、機能製品、化学製品、樹脂製品の製造・販売を主軸としています。これに加え、各事業を支える設備の建設・補修、物流、環境対策、その他のサービスといった幅広い事業活動を展開しており、多様な収益源を持つビジネスモデルを構築しています。
  • グローバルな事業体制
    日本国内だけでなく、米国、ドイツ、中国、ベトナムなど世界各地に子会社や関連会社を持ち、機能製品の販売や製造をグローバルに展開しています。これにより、特定の地域経済に依存しない安定した事業運営を目指しています。
  • グループ連携による効率化
    グループ内には、製品販売を担う商社機能を持つ会社や、物流、建設、環境処理、福利厚生サービスを提供する会社が存在します。これらが連携することで、原材料の調達から製品の販売、事業運営に必要なサービスまでを一貫してグループ内で完結させ、効率的な事業運営とコスト削減を図っています。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
セグメント構成
  • 機能製品事業
    機能樹脂、炭素製品の製造・販売が中心です。特にPGA(ポリグリコール酸)樹脂やフッ化ビニリデン樹脂は、シェールオイル・ガス掘削やリチウムイオン二次電池向けなど、先端分野で需要が見込まれる高機能素材です。米国、欧州、中国にも販売・製造拠点を持ち、グローバルに展開しています。
  • 化学製品事業
    農薬、医薬品、無機薬品、有機薬品の製造・販売を行っています。幅広い産業分野に製品を供給しており、国内外の経済活動や法規制の動向が事業に影響を与える可能性があります。製品の一部は外部委託生産も活用しています。
  • 樹脂製品事業
    食品包装材や家庭用品の製造・販売が主な内容です。海外にも生産拠点があり、国際的な物流網や現地の物価・エネルギーコストが事業に影響を与えることがあります。なお、熱収縮多層フィルム事業からは2024年度に撤退しており、事業ポートフォリオの見直しを進めています。
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FY2025|2,054 文字
3 【事業の内容】当企業集団は、当社および子会社29社(内、連結子会社26社)、関連会社5社(内、持分法適用会社1社)から構成され、機能製品、化学製品、樹脂製品の製造・販売をその主な事業内容とし、更に各事業に関連する設備の建設・補修、物流、環境対策およびその他のサービス等の事業活動を行っています。 当企業集団の事業に係わる位置付けおよびセグメントとの関連は、次のとおりです。 ① 機能製品事業・当社は、機能樹脂、炭素製品の製造・販売を行っています。・㈱クレハトレーディングは、機能製品の販売を行っており、当社は製品の一部を同社を通じて販売を行うとともに、原料の一部について同社を通じて購入しています。また、レジナス化成㈱に出資を行っています。・クレハエクストロン㈱は、機能製品の製造・販売を行っており、当社は同社に対し原料を供給する一方、同社製品の一部の購入を行っています。・クレハGmbH(独)は、欧州において当社の機能製品の販売を行っています。・クレハ・アメリカInc.(米)は、当社の機能製品の販売を行っています。また、クレハ・ピージーエーLLC(米)、クレハ・エナジー・ソリューションズLLC(米)およびフォートロン・インダストリーズLLC(米)に出資を行っています。・クレハ・ピージーエーLLC(米)は、米国においてPGA(ポリグリコール酸)樹脂の製造を行っており、当社は同社製品の購入を行っています。・クレハ・エナジー・ソリューションズLLC(米)は、機能製品の販売および技術サービスを行っており、当社は製品の一部を同社を通じて販売を行っています。・呉羽(上海)炭繊維材料有限公司(中)は、中国において炭素製品の製造・販売を行っており、当社は同社に対し原料を供給する一方、同社製品の一部の購入を行っています。・呉羽(中国)投資有限公司(中)は、当社に機能製品の販売を行うとともに、当社は同社を通じて機能製品の一部の販売を行っています。また、呉羽(常熟)フッ素材料有限公司(中)に出資を行っています。・呉羽(常熟)フッ素材料有限公司(中)は、中国においてフッ化ビニリデン樹脂の製造を行っており、当社は同社製品の購入を行っています。 ② 化学製品事業・当社は、農薬、医薬品、無機薬品、有機薬品の製造・販売を行っています。・㈱クレハトレーディングは、化学製品の販売を行っており、当社は製品の一部を同社を通じて販売を行うとともに、原料の一部について同社を通じて購入しています。 ③ 樹脂製品事業・当社は、食品包装材、家庭用品の製造・販売を行っています。・㈱クレハトレーディングは、樹脂製品の販売を行っており、当社は製品の一部を同社を通じて販売を行うとともに、原料の一部について同社を通じて購入しています。・クレハ合繊㈱は、合成繊維の製造・販売を行っており、当社は同社に対し原料を供給しています。・クレハ・アメリカInc.(米)は、樹脂製品の販売を行っています。・クレハ・ヨーロッパB.V.(蘭)は、クレハロンB.V.(蘭)、クレハGmbH(独)およびクレハロン・オーストラリアPty Ltd.(豪)に対する出資を行っています。なお、熱収縮多層フィルム事業の撤退に伴い、クレハロンB.V.(蘭)およびクレハロン・オーストラリアPty Ltd.(豪)は、清算手続を行っています。・呉羽(中国)投資有限公司(中)は、樹脂製品の販売を行っています。・クレハ・ベトナムCo.,Ltd.(越)は、食品包装材の製造・販売を行っており、当社は同社に対し原料を供給する一方、同社製品の一部の購入を行っています。 ④ 建設関連事業・クレハ建設㈱は、土木・建築工事の施工請負を行っており、当社は同社に対して同業務の一部を発注しています。 ⑤ その他関連事業・㈱クレハトレーディングは、その他サービスの販売を行っています。・クレハ運輸㈱は、運送および倉庫業務を行っており、当社は同社に対して同業務の一部を委託しています。・クレハサービス㈱は、土地建物の売買・賃貸・管理、損害保険代理業および生命保険募集業、各種受託事業を行っており、当社は同社に対して福利厚生等の業務の一部を委託しています。・㈱クレハ環境は、産業廃棄物の処理および環境関連処理設備の販売を行っており、当社は同社に対して産業廃棄物の処理業務の一部を委託しています。また、ひめゆり総業㈱に出資を行っています。・社団医療法人呉羽会は、病院および介護老人保健施設の運営を行っています。 事業の系統図は、次のとおりです。 (注)1 ㈱クレハは、機能・化学・樹脂の各事業セグメントの製品の販売を行っています。2 ㈱クレハトレーディング、クレハ・アメリカInc.、呉羽(中国)投資有限公司は、複数の事業セグメントにまたがっているため、各セグメントに記載しています。3 樹脂製品事業のクレハロンB.V.、クレハロン・オーストラリアPty Ltd.は、清算手続きを行っています。

事業の優位性(モート)

事業の質(有価証券報告書から抽出)
数字に出ない事業の性質を、同じ物差しで全銘柄そろえています。FY2025時点の記載が出典です。
価格決定力値上げを通せるか。強いほどインフレ耐性が高い 中程度
原燃料価格変動時に顧客の理解を得ながら製品販売価格への転嫁に努めているため。
参入障壁新規参入を阻む要因の種類 技術
独自技術と他社差別化技術を主軸とし、スペシャリティを追求しているため。
顧客集中度特定顧客への依存度。高いほど失注リスクが大きい 中程度
景気敏感度業績が景気循環にどれだけ振られるか 中程度
設備投資の性質稼いだ現金がどれだけ設備維持に消えるか 混合
規制依存規制は障壁にも足枷にもなる 中程度
会社が挙げる主要リスク:各事業セグメントにおける事業環境の変化 / コンプライアンスリスク / 原燃料等の市況・調達
同じ条件で他の銘柄を探す → 定性スクリーニング(価格決定力・参入障壁・景気敏感度などで絞り込めます)
モート総合 10 / 25 5類型それぞれの強度と、そう判定した根拠
無形資産★★★☆☆
根拠:中程度ブランド・特許・許認可

クレハは「キラップ®」ブランドで知られる食品包装材分野で高いシェアを持つ。また、農薬・医薬中間体分野でも独自の合成技術やノウハウを蓄積しており、これが無形資産として競争優位の源泉となっている。特に、高機能性ポリマー分野における長年の研究開発がブランド力と技術的優位性を支えている。

スイッチングコスト★★☆☆☆
根拠:中程度乗り換えの手間・コスト

食品包装材においては、顧客(食品メーカー)は品質や機能性、コストなどを総合的に評価してサプライヤーを選定する。一度採用された製品がすぐに切り替えられるリスクは低いが、競合他社の新技術やコスト競争力によっては、長期的に見ればスイッチング・コストが限定的になる可能性もある。特殊な用途向け製品ではスイッチング・コストが高まる傾向がある。

ネットワーク効果☆☆☆☆☆
根拠:弱い利用者増が価値を生む

クレハの事業は、化学製品の製造・販売が中心であり、特定のプラットフォーム上でユーザーが増えることで価値が増大するネットワーク効果は基本的に見られない。

コスト優位★★☆☆☆
根拠:中程度同じ物を安く作れる

化学業界全体として、規模の経済や効率的な生産プロセスによるコスト競争力が重要となる。クレハも生産効率の向上に努めているが、原料価格の変動や競合他社の技術革新によるコスト構造の変化リスクは存在する。特定のニッチ分野ではコスト優位を築いている可能性もあるが、業界全体での圧倒的なコスト優位性は見出しにくい。

規模の経済★★★☆☆
根拠:中程度規模が参入障壁になる

クレハは、特定の化学製品分野(例:炭素繊維、高機能性樹脂、食品包装材)において、一定の生産規模と市場シェアを有している。これにより、原料調達や生産プロセスにおいて効率性を発揮し、一定の競争優位を確保していると考えられる。ただし、グローバルな化学メーカーと比較すると、規模の面で劣後する部分もある。

  • 高機能素材の開発力
    PGA(ポリグリコール酸)樹脂やフッ化ビニリデン樹脂、炭素製品といった高機能な化学素材の製造・販売に強みを持っています。これらの素材は、シェールオイル・ガス掘削、リチウムイオン二次電池、自動車、電気・電子分野など、成長が見込まれる先端産業で活用されており、高い技術力と製品開発力が競争優位の源泉となっています。
  • グローバルな販売・製造網
    欧州、米国、中国、ベトナムなど世界各地に販売拠点や製造拠点を有しており、地域ごとの市場ニーズに迅速に対応できる体制を構築しています。これにより、特定の市場変動リスクを分散し、安定的な事業展開を可能にしています。
  • 多角的な事業ポートフォリオ
    機能製品、化学製品、樹脂製品といった主要事業に加え、建設、環境、物流などの関連事業も展開しています。これにより、特定の事業分野の景気変動に左右されにくい、安定した収益基盤を築いています。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)

経営戦略

有価証券報告書「経営方針・対処すべき課題・MD&A」の全文を見る(年度切替)
経営方針・経営戦略
1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において判断したものです。(1) 会社の経営の基本方針当社グループは「中長期的な企業価値の向上」と「持続可能な社会への貢献」を両立し、サステナビリティ経営を推進して当社グループを一層発展させるべく、『クレハグループ企業理念』、『クレハビジョン』、2030年度に向けた『経営方針』および「クレハグループ中長期経営計画『未来創造への挑戦』」を策定し、当該経営計画の達成に向け活動しています。 <クレハグループ企業理念およびクレハビジョンについて> <経営方針について>クレハビジョンの実現のため、2030年度に向けた『経営方針』として3つの目標と3つの最重要施策を定めています。 [目標]継続的な経済価値の向上・「環境・エネルギー」、「ライフ」、「情報通信」の3分野を重点事業分野とし、クレハグループの経営資源を集中して経済価値の向上を目指す。・マーケットインの視点で既存商品の性能向上とバリューチェーンの拡大を図り、コスト競争力をもって顧客への提案力を強化し、収益を拡大する。 社会課題解決への貢献・これまでも、3つの重点事業分野で社会貢献してきたクレハグループの商品を、自社による技術開発と外部技術の融合によりさらに進化させ、社会に提供する商品、技術、サービスを拡充する。 環境負荷低減への貢献・2050年度にカーボンニュートラルを目指す。・循環型生産にかなう生産技術の高度化を推進し、廃棄物削減やリサイクルの推進により環境負荷を低減する。 [最重要施策]技術立社の再興(研究・技術開発力の強化)・新商品の研究開発と環境負荷低減に集中的に資源を投下し、差別化された商品の開発を加速する。・他社との協創・協業、M&A等を通じ自社保有技術と外部技術の融合を図り、新規事業を創出し拡大する。・成長事業の生産体制の構築を迅速に進めるとともに、環境負荷低減に向けた生産技術力、エンジニアリング力を強化する。 経営基盤の強化・サステナビリティ経営を推進する組織の強化と、執行体制の効率化、リスク・マネジメントの強化等を継続的に実施する。・クレハグループの経営資源を有効活用し、強固な連結事業基盤を構築する。・顧客・社会の潜在ニーズと研究開発、製造、営業をつなぐバリューチェーンの連携により、経営の高度化を実現するデジタル化戦略を推進する。 会社と社員の共生・社員の『働きがい』と『ミッション』を調和、融合し、社員と会社がともに成長を目指す。・会社と社員のコミュニケーションを充実するとともに、挑戦する社員を登用する。・社員の多様な価値観や立場を尊重し、働きやすい職場環境を整備するとともに、障がい者の就労機会を積極的に提供し自立を支援する。 (2)『クレハグループ中長期経営計画ローリングプラン2025』の進捗当社グループは経営方針の中で掲げた目標の実現に向けて、2023年4月より中長期経営計画をスタートさせましたが、成長ドライバーと位置づけたリチウムイオン二次電池用バインダー向けのフッ化ビニリデン樹脂事業が、電気自動車市場の一時的な成長率の鈍化により停滞を余儀なくされました。このような状況を踏まえ、当社グループは、『クレハグループ中長期経営計画ローリングプラン2025』(以下ローリングプラン)を2024年4月に策定し、これまでの業績重視に加えて資本収益性も重視するバランス経営を実行していくこととしました。本ローリングプランでは、既存事業における成長施策および全社でのコスト削減策に基づいて2025年度の業績目標を修正し、併せて重要業績評価指標および資本政策における新たな目標設定を行いました。 [業績目標および重要業績評価指標(KPI)] (注)「2025年度計画」のROEには、2025年6月4日に実施した自己株式立会外買付取引による影響は織り込んでいません。 事業の進捗しかしながら、2024年度は欧州での景気後退により、欧州電気自動車市場の回復が想定より遅れ、フッ化ビニリデン樹脂事業が大幅計画未達となりました。2025年度も電気自動車向け需要の急回復は見込まれないものの、ESS(Energy Storage System、定置用蓄電池)市場はAI関連のデータセンター増加、再生エネルギー利用の拡大から、当面は15~30%の割合で北米の市場が伸長すると見込まれ、当社フッ化ビニリデン樹脂も既に同用途への出荷が始まっています。また堅調な成長が続く中国の電気自動車向けについては、当社の日本および中国のR&D拠点を活用し、リチウムイオン二次電池メーカーとの共同開発、サンプル評価が進んでいます。工業用途についても更なる拡販を目指し、石油掘削時に用いられるパイプ、半導体製造装置などに使われる接手やパイプ、水処理膜用途向けにマーケティングを継続しており、特定の分野に偏らない拡販を目指しています。シェールオイル・ガス掘削向けのPGA(ポリグリコール酸)樹脂加工品は、中高温鉱区で一定のシェアを確保しているものの、産出されるガスの価格が低迷し、2024年度の計画を下回りました。2025年度後半には、大型の液化施設が立ち上がり、需要の回復が見込まれます。市場の7割弱を占める低温鉱区向けに上市したプラグの本格販売を進めるとともに、トランプ政権下における貿易やエネルギー政策の変化をタイムリーかつ的確に捉え、事業採算の改善を図ります。化学製品事業では、農業・園芸用殺菌剤は顧客の在庫調整により、2024年度計画が未達となりました。2025年度以降は、顧客での在庫調整が完了し、メトコナゾールの欧州再登録の効果もあり、販売が回復する見込みです。また新規農業用殺菌剤については順調に開発が進んでおり、2030年ごろの上市を目指しています。樹脂製品事業では、ラップ市場は堅調に推移しており、今後も時短や効率を重視した調理スタイルの高まりにより微増を見込み、底堅い市場であると認識しています。クレラップは1960年に日本で初めて販売を開始した家庭用ラップとして評価されている強みを生かし事業拡大に向け、販売、商品、販促、広告宣伝、データ分析等あらゆるマーケティング施策の見直し、強化を進めています。 2025年度の定量計画は、以下のとおりです。2025年度はフッ化ビニリデン樹脂の市場回復の遅れ、PGA(ポリグリコール酸)樹脂加工品の拡販遅れにより、ローリングプランで掲げた目標に対して、大幅な未達計画となっています。前期比では営業利益が46億円増加し、2024年度を底に今後は業績が回復していくものとみています。 (注)「2025年度計画」の親会社の所有者に帰属する当期利益およびROEには、2025年6月4日に実施した自己株式立会外買付取引による影響は織り込んでいません。 資本政策ローリングプランで掲げた資本政策、目指す自己資本比率については変更ありません。自己株式の購入については、当初計画(2025年度150億円)に基づき2025年6月3日までに1,535,700株(取得価額の総額49億円)取得しておりましたが、ローリングプランで定めた自己資本比率目標に向けて、一層の株主還元の充実、更なる資本効率の向上および経営環境に応じた機動的な資本政策の遂行として、新たに自己株式の取得枠を設定し、2025年6月4日に自己株式立会外買付取引(ToSTNeT-3)により自己株式1千万株を341億円で取得しました。利益の配分については、将来の事業展開に向けた積極投資に資する内部留保を充実させつつ安定的な配当を行うことを基本方針とし、2025年度から配当基準として、DOE(連結株主資本配当率)を導入し、2025年度、2026年度の2年間DOE5%を目安とした配当を行います。遊休資産について、2024年度は、英国拠点の土地建屋を売却しました。2025年度も国内および海外の拠点の売却を予定しています。政策保有株式についても、2024年度に売却を進め、186億円まで圧縮しました。引き続き政策保有株式の売却を進め、政策保有株式の保有割合について、2030年度までに連結純資産比5%程度を目指します。 環境負荷低減ローリングプランで掲げた2030年度目標(CO2排出量を2013年度比で30%以上削減、2025年度廃棄物ゼロエミ率 1.5%)は変更ありません。 なお、2030年度の業績目標および重要業績評価指標は、2026年度から始まる次期中期経営計画発表時にあらためて開示します。
対処すべき課題
1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において判断したものです。(1) 会社の経営の基本方針当社グループは「中長期的な企業価値の向上」と「持続可能な社会への貢献」を両立し、サステナビリティ経営を推進して当社グループを一層発展させるべく、『クレハグループ企業理念』、『クレハビジョン』、2030年度に向けた『経営方針』および「クレハグループ中長期経営計画『未来創造への挑戦』」を策定し、当該経営計画の達成に向け活動しています。 <クレハグループ企業理念およびクレハビジョンについて> <経営方針について>クレハビジョンの実現のため、2030年度に向けた『経営方針』として3つの目標と3つの最重要施策を定めています。 [目標]継続的な経済価値の向上・「環境・エネルギー」、「ライフ」、「情報通信」の3分野を重点事業分野とし、クレハグループの経営資源を集中して経済価値の向上を目指す。・マーケットインの視点で既存商品の性能向上とバリューチェーンの拡大を図り、コスト競争力をもって顧客への提案力を強化し、収益を拡大する。 社会課題解決への貢献・これまでも、3つの重点事業分野で社会貢献してきたクレハグループの商品を、自社による技術開発と外部技術の融合によりさらに進化させ、社会に提供する商品、技術、サービスを拡充する。 環境負荷低減への貢献・2050年度にカーボンニュートラルを目指す。・循環型生産にかなう生産技術の高度化を推進し、廃棄物削減やリサイクルの推進により環境負荷を低減する。 [最重要施策]技術立社の再興(研究・技術開発力の強化)・新商品の研究開発と環境負荷低減に集中的に資源を投下し、差別化された商品の開発を加速する。・他社との協創・協業、M&A等を通じ自社保有技術と外部技術の融合を図り、新規事業を創出し拡大する。・成長事業の生産体制の構築を迅速に進めるとともに、環境負荷低減に向けた生産技術力、エンジニアリング力を強化する。 経営基盤の強化・サステナビリティ経営を推進する組織の強化と、執行体制の効率化、リスク・マネジメントの強化等を継続的に実施する。・クレハグループの経営資源を有効活用し、強固な連結事業基盤を構築する。・顧客・社会の潜在ニーズと研究開発、製造、営業をつなぐバリューチェーンの連携により、経営の高度化を実現するデジタル化戦略を推進する。 会社と社員の共生・社員の『働きがい』と『ミッション』を調和、融合し、社員と会社がともに成長を目指す。・会社と社員のコミュニケーションを充実するとともに、挑戦する社員を登用する。・社員の多様な価値観や立場を尊重し、働きやすい職場環境を整備するとともに、障がい者の就労機会を積極的に提供し自立を支援する。 (2)『クレハグループ中長期経営計画ローリングプラン2025』の進捗当社グループは経営方針の中で掲げた目標の実現に向けて、2023年4月より中長期経営計画をスタートさせましたが、成長ドライバーと位置づけたリチウムイオン二次電池用バインダー向けのフッ化ビニリデン樹脂事業が、電気自動車市場の一時的な成長率の鈍化により停滞を余儀なくされました。このような状況を踏まえ、当社グループは、『クレハグループ中長期経営計画ローリングプラン2025』(以下ローリングプラン)を2024年4月に策定し、これまでの業績重視に加えて資本収益性も重視するバランス経営を実行していくこととしました。本ローリングプランでは、既存事業における成長施策および全社でのコスト削減策に基づいて2025年度の業績目標を修正し、併せて重要業績評価指標および資本政策における新たな目標設定を行いました。 [業績目標および重要業績評価指標(KPI)] (注)「2025年度計画」のROEには、2025年6月4日に実施した自己株式立会外買付取引による影響は織り込んでいません。 事業の進捗しかしながら、2024年度は欧州での景気後退により、欧州電気自動車市場の回復が想定より遅れ、フッ化ビニリデン樹脂事業が大幅計画未達となりました。2025年度も電気自動車向け需要の急回復は見込まれないものの、ESS(Energy Storage System、定置用蓄電池)市場はAI関連のデータセンター増加、再生エネルギー利用の拡大から、当面は15~30%の割合で北米の市場が伸長すると見込まれ、当社フッ化ビニリデン樹脂も既に同用途への出荷が始まっています。また堅調な成長が続く中国の電気自動車向けについては、当社の日本および中国のR&D拠点を活用し、リチウムイオン二次電池メーカーとの共同開発、サンプル評価が進んでいます。工業用途についても更なる拡販を目指し、石油掘削時に用いられるパイプ、半導体製造装置などに使われる接手やパイプ、水処理膜用途向けにマーケティングを継続しており、特定の分野に偏らない拡販を目指しています。シェールオイル・ガス掘削向けのPGA(ポリグリコール酸)樹脂加工品は、中高温鉱区で一定のシェアを確保しているものの、産出されるガスの価格が低迷し、2024年度の計画を下回りました。2025年度後半には、大型の液化施設が立ち上がり、需要の回復が見込まれます。市場の7割弱を占める低温鉱区向けに上市したプラグの本格販売を進めるとともに、トランプ政権下における貿易やエネルギー政策の変化をタイムリーかつ的確に捉え、事業採算の改善を図ります。化学製品事業では、農業・園芸用殺菌剤は顧客の在庫調整により、2024年度計画が未達となりました。2025年度以降は、顧客での在庫調整が完了し、メトコナゾールの欧州再登録の効果もあり、販売が回復する見込みです。また新規農業用殺菌剤については順調に開発が進んでおり、2030年ごろの上市を目指しています。樹脂製品事業では、ラップ市場は堅調に推移しており、今後も時短や効率を重視した調理スタイルの高まりにより微増を見込み、底堅い市場であると認識しています。クレラップは1960年に日本で初めて販売を開始した家庭用ラップとして評価されている強みを生かし事業拡大に向け、販売、商品、販促、広告宣伝、データ分析等あらゆるマーケティング施策の見直し、強化を進めています。 2025年度の定量計画は、以下のとおりです。2025年度はフッ化ビニリデン樹脂の市場回復の遅れ、PGA(ポリグリコール酸)樹脂加工品の拡販遅れにより、ローリングプランで掲げた目標に対して、大幅な未達計画となっています。前期比では営業利益が46億円増加し、2024年度を底に今後は業績が回復していくものとみています。 (注)「2025年度計画」の親会社の所有者に帰属する当期利益およびROEには、2025年6月4日に実施した自己株式立会外買付取引による影響は織り込んでいません。 資本政策ローリングプランで掲げた資本政策、目指す自己資本比率については変更ありません。自己株式の購入については、当初計画(2025年度150億円)に基づき2025年6月3日までに1,535,700株(取得価額の総額49億円)取得しておりましたが、ローリングプランで定めた自己資本比率目標に向けて、一層の株主還元の充実、更なる資本効率の向上および経営環境に応じた機動的な資本政策の遂行として、新たに自己株式の取得枠を設定し、2025年6月4日に自己株式立会外買付取引(ToSTNeT-3)により自己株式1千万株を341億円で取得しました。利益の配分については、将来の事業展開に向けた積極投資に資する内部留保を充実させつつ安定的な配当を行うことを基本方針とし、2025年度から配当基準として、DOE(連結株主資本配当率)を導入し、2025年度、2026年度の2年間DOE5%を目安とした配当を行います。遊休資産について、2024年度は、英国拠点の土地建屋を売却しました。2025年度も国内および海外の拠点の売却を予定しています。政策保有株式についても、2024年度に売却を進め、186億円まで圧縮しました。引き続き政策保有株式の売却を進め、政策保有株式の保有割合について、2030年度までに連結純資産比5%程度を目指します。 環境負荷低減ローリングプランで掲げた2030年度目標(CO2排出量を2013年度比で30%以上削減、2025年度廃棄物ゼロエミ率 1.5%)は変更ありません。 なお、2030年度の業績目標および重要業績評価指標は、2026年度から始まる次期中期経営計画発表時にあらためて開示します。
MD&A(経営者による分析)
4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】(1)経営成績等の状況の概要当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社および持分法適用会社)の経営成績等の状況の概要は次のとおりです。 ① 財政状態および経営成績の状況(経営成績の状況)当期のわが国を含む世界経済は、景気の緩やかな回復が続くことが期待される一方、中国経済の停滞や中東およびウクライナ情勢の長期化、世界的な金融引き締め、米国の通商政策動向に伴う影響等が懸念され、先行きが不透明な状況が続きました。このような状況のなか、当社グループは、「中長期的な企業価値の向上」と「持続可能な社会への貢献」を両立し、サステナビリティ経営を推進して当社グループを一層発展させるべく、『クレハグループ企業理念』、『クレハビジョン』、2030年度に向けた『経営方針』と「クレハグループ中長期経営計画『未来創造への挑戦』」に加えて、事業環境の変化等を踏まえ、『クレハグループ中長期経営計画ローリングプラン2025』を新たに策定し、取り組んでいます。当連結会計年度は、電気自動車の市況低迷に伴う需要停滞により機能製品事業のリチウムイオン二次電池用バインダー向けのフッ化ビニリデン樹脂の売上げが減少したことに加え、樹脂製品事業の業務用食品包装材分野において熱収縮多層フィルムの販売を上期で終了したことにより、売上げは前期比で減少しました。営業利益は、前期に計上したリストラクチャリング費用が減少し、また前期に計上した中国におけるフッ化ビニリデン樹脂製造設備の増強計画中止に伴う固定資産減損損失の計上が当期はないものの、フッ化ビニリデン樹脂の売上げ減少およびPGA(ポリグリコール酸)樹脂加工品の棚卸資産評価減の戻入益が前期に比べて減少したことにより、前期比で減少しました。売上収益は前期比9.0%減の1,620億15百万円、営業利益は前期比26.3%減の94億28百万円、税引前利益は前期比26.6%減の102億18百万円、当期利益は前期比19.8%減の78億96百万円、親会社の所有者に帰属する当期利益は前期比19.9%減の78億円となりました。 セグメントの業績は次のとおりです。(単位:百万円) 売 上 収  益営 業 損 益前期当期増減前期当期増減機能製品事業64,51057,372△7,1384,837△1,991△6,828化学製品事業33,94930,677△3,2711,655592△1,062樹脂製品事業47,32840,528△6,7998,1947,097△1,097建設関連事業13,94814,8428941,4801,393△87その他関連事業18,23718,5933562,4662,911445セグメント合計177,973162,015△15,95818,63410,002△8,631調整額 (注)---△5,834△5745,260連結合計177,973162,015△15,95812,8009,428△3,371 (注)営業損益の調整額には、報告セグメントに配分していないその他の収支が含まれています。詳細は、連結財務諸表注記「26.その他の収益」および「27.その他の費用」に記載しています。 機能製品事業機能樹脂分野では、リチウムイオン二次電池用バインダー向けのフッ化ビニリデン樹脂、PPS樹脂およびシェールオイル・ガス掘削用途のPGA(ポリグリコール酸)樹脂加工品の売上げが減少したこと、およびPGA(ポリグリコール酸)樹脂加工品の棚卸資産評価減の戻入益が前期に比べて減少したことから、この分野での売上げ、営業利益はともに減少しました。炭素製品分野では、球状活性炭の売上げは増加しましたが、高温炉用断熱材の売上げが減少したことから、この分野での売上げ、営業利益はともに減少しました。この結果、本セグメントの売上収益は前期比11.1%減の573億72百万円となり、前期48億37百万円の営業利益から19億91百万円の営業損失となりました。 化学製品事業農薬・医薬分野では、農業・園芸用殺菌剤および慢性腎不全用剤「クレメジン」の売上げが減少したことから、この分野での売上げ、営業利益はともに減少しました。工業薬品分野では、無機および有機薬品類の売上げが減少したことから、この分野での売上げ、営業利益はともに減少しました。この結果、本セグメントの売上収益は前期比9.6%減の306億77百万円となり、営業利益は前期比64.2%減の5億92百万円となりました。 樹脂製品事業コンシューマー・グッズ分野では、フッ化ビニリデン釣糸「シーガー」の売上げが増加しましたが、家庭用ラップ「NEWクレラップ」の売上げが減少したことから、この分野での売上げ、営業利益はともに減少しました。業務用食品包装材分野では、熱収縮多層フィルムの販売を上期で終了したことにより、売上げ、営業利益はともに減少しました。この結果、本セグメントの売上収益は前期比14.4%減の405億28百万円となり、営業利益は前期比13.4%減の70億97百万円となりました。 建設関連事業公共工事および民間工事が増加したことにより、売上げは増加しましたが、売上構成の変化により営業利益は減少しました。この結果、本セグメントの売上収益は前期比6.4%増の148億42百万円となり、営業利益は前期比5.9%減の13億93百万円となりました。 その他関連事業環境事業では、廃棄物処理数量の増加により、売上げ、営業利益はともに増加しました。その他の事業では、売上げは前期並みとなりましたが、病院事業での病床稼働率の改善により営業利益は増加しました。この結果、本セグメントの売上収益は前期比2.0%増の185億93百万円となり、営業利益は前期比18.0%増の29億11百万円となりました。 (財政状態の状況)当期末の資産合計につきましては、前期末比146億68百万円増の3,452億98百万円となりました。流動資産は、営業債権及びその他の債権、棚卸資産が減少したこと等により、前期末比151億26百万円減の1,047億74百万円となりました。非流動資産は、投資有価証券の売却によりその他の金融資産が減少したものの、主にフッ化ビニリデン樹脂生産設備増強工事に伴い有形固定資産が増加したこと等により、前期末比297億94百万円増の2,405億24百万円となりました。負債合計につきましては、前期末比266億77百万円増の1,341億59百万円となりました。これは、リストラクチャリング引当金等の引当金が減少した一方で、有利子負債が社債の発行や借入金の増加等により前期末比311億7百万円増の860億11百万円となったこと等によるものです。資本合計につきましては、前期末比120億9百万円減の2,111億39百万円となりました。これは、親会社の所有者に帰属する当期利益を78億円計上した一方で、自己株式の取得を150億2百万円、剰余金の配当を46億60百万円実施したこと等によるものです。 ② キャッシュ・フローの状況営業活動によるキャッシュ・フローは295億25百万円の収入となり、前期に比べ179億24百万円収入が増加しました。これは、営業債権及びその他の債権の減少による収入が増加したこと、および法人所得税の支払額が減少したこと等によるものです。投資活動によるキャッシュ・フローは394億36百万円の支出となり、前期に比べ51億47百万円支出が増加しました。これは、投資有価証券の売却による収入が増加した一方、有形固定資産及び無形資産の取得による支出が増加したこと等によるものです。財務活動によるキャッシュ・フローは84億37百万円の収入となり、前期に比べ36億97百万円収入が減少しました。これは、自己株式の取得による支出が増加したこと等によるものです。以上の結果、現金及び現金同等物の当期末残高は、前期末に比べ16億30百万円減少し215億円となりました。 ③ 生産、受注および販売の実績a. 生産実績当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。 セグメントの名称生産高(百万円)前期比(%)機能製品事業49,871△22.0化学製品事業17,571△6.4樹脂製品事業31,487△2.3合計98,930△13.9 (注)金額は平均販売単価によっています。 b. 受注実績当連結会計年度における土木・建築工事の施工請負等の受注実績は次のとおりです。なお、これ以外の製品については見込生産を行っています。 セグメントの名称受注高(百万円)前期比(%)受注残高(百万円)前期比(%)建設関連事業17,775+25.810,915+36.7その他関連事業873△24.1596△20.2合計18,648+22.111,512+31.8 c. 販売実績当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。 セグメントの名称販売高(百万円)前期比(%)機能製品事業57,372△11.1化学製品事業30,677△9.6樹脂製品事業40,528△14.4建設関連事業14,842+6.4その他関連事業18,593+2.0合計162,015△9.0 (2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりです。文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。 ① 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容(経営成績)当社グループは、前連結会計年度において「中長期的な企業価値の向上」と、「持続可能な社会への貢献」を両立させるサステナビリティ経営を推進し当社グループを一層発展させるべく、新たに『クレハグループ企業理念』、『クレハビジョン』、2030年度に向けた『経営方針』と「クレハグループ中長期経営計画『未来創造への挑戦』」を策定しました。また、当連結会計年度において、2025年度までの計画を見直した『クレハグループ中長期経営計画ローリングプラン2025』を策定し、事業活動を推進しています。当連結会計年度は、欧州経済の減速に伴う電気自動車普及の鈍化により顧客生産活動が低迷し、リチウムイオン二次電池用バインダー向けフッ化ビニリデン樹脂の販売減少が当社グループ業績に大きく影響し、減収減益となりました。引き続き、米国第二次トランプ政権による大幅かつ急激な政策転換、世界的な金融引き締め、エネルギー価格を含む物価の高騰、中国および欧州経済の減速や中東およびウクライナ情勢等による影響が懸念され、先行きが不透明な状況ではありますが、各セグメントにおいて事業への影響を注意深くモニタリングし、適時適切な対応を図り、安定した事業運営を図ってまいります。なお、経営成績の分析については、「4.経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(1)経営成績等の状況の概要①財政状態および経営成績の状況」に、分析に基づく検討内容については、「1.経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載しています。 (経営成績に重要な影響を与える要因)当社グループの経営成績等に重要な影響を与える要因については、「3.事業等のリスク」に記載のとおりです。 (セグメントごとの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容)機能製品事業フッ化ビニリデン樹脂は、欧州経済の減速により電気自動車の普及に鈍化が見られ、リチウムイオン二次電池用バインダー向け販売が減少しました。また当面の需要予測の見直しに伴い、生産調整を行ったことにより棚卸資産評価減を計上し、利益は減少しました。一方で、中長期的には電気自動車の普及に加え、ESS(Energy Storage System、定置用蓄電池)需要も増加が予想されており、本用途での需要は底堅く、競争力のある製品の安定供給が求められるものと判断し、日本における生産設備の増強を計画通り進めています。PGA(ポリグリコール酸)樹脂加工品は、当社が現在主力とする中高温地区で主に産出されるガスの価格が低迷し、掘削活動が停滞したことに加え、棚卸資産評価減の戻入益が前期に比べ減少したことにより、売上げ・利益ともに減少しました。PPS樹脂は、国内および米国持分法適用会社ともに、増益となりました。 化学製品事業農薬は、ウクライナ情勢による穀物市場価格高騰の影響を見越した在庫確保の動きにより世界的に農薬の需要が旺盛であった状況から、在庫調整局面に入っています。当連結会計年度は、顧客での在庫調整により、販売数量は減少し、新剤の研究開発費等の増加もあり営業利益も減少しました。工業薬品は、苛性ソーダの販売数量減少等により減収減益となりました。 樹脂製品事業コンシューマー・グッズ分野では、前期、販売が好調であった家庭用ラップ「NEWクレラップ」の販売数量が減少し、営業利益も減少しました。フッ化ビニリデン釣糸「シーガー」は、中国市場での販促活動の積極展開や新製品の販売等と合わせ、原材料価格も低下したことにより、前年比増収増益となりました。業務用食品包装材分野では、熱収縮多層フィルムの事業撤退により、大きく売上げが減少したため、前年比で減収減益となりました。 建設関連事業建設事業では、公共・民間工事ともに売上げは増加したものの、売上げ構成の変化により利益は減少しました。 その他関連事業環境事業については、廃棄物の処理数量増加により、増収増益となりました。 ② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容ならびに資本の財源および資金の流動性に関する情報(キャッシュ・フロー)「4. 経営者による財務状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。 (資本の財源および資金の流動性)当社グループは、必要な資金を金融機関からの借入、社債およびコマーシャル・ペーパーの発行により調達しています。また、当社グループとしての資金の効率的な活用と金融費用の削減を目的として、キャッシュ・マネジメント・システムを導入しています。資金の流動性については、現金及び現金同等物に加え、コマーシャル・ペーパーの発行枠の確保、金融機関とのコミットメントライン契約、当座貸越契約等の活用により、流動性を確保できています。当社グループは、計画利益の確保と資産の効率化による営業キャッシュ・フローの最大化を図り、優先的に新規事業および既存事業拡大のための設備投資、投融資、研究開発投資、および株主への配当等に資金を配分することを基本方針としています。その上で、長期的な資金の確保を第一としながら、長短借入金のバランスについても考慮し、必要な資金調達を実施しています。重要な資本的支出の予定およびその資金の調達源については、フッ化ビニリデン樹脂生産設備(当社)の増強をはじめとした機能製品事業を中心に設備投資を予定し、その資金調達は自己資金、社債及び借入金を考えています。 ③ 重要な会計上の見積りおよび当該見積りに用いた仮定当社グループの連結財務諸表は、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」(以下「連結財務諸表規則」という。)第312条の規定によりIFRSに準拠して作成しています。この連結財務諸表の作成に当たって、必要と思われる見積りは、合理的な基準に基づいて実施しています。なお、当社グループの連結財務諸表で採用する重要性がある会計方針、重要な会計上の見積りおよび当該見積りに用いた仮定は、「第5.経理の状況 1.連結財務諸表等(1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 3.重要性がある会計方針 4.重要な会計上の見積りおよび判断」に記載しています。

事業リスク

  • 事業環境の変化
    PGA樹脂の国際市況変動やフッ化ビニリデン樹脂の電気自動車販売動向、炭素製品のシリコンウェハ生産動向など、各事業セグメントは市場や顧客の動向、競合状況、地政学的リスクに影響を受けます。これにより、主要顧客の操業度変動や原材料価格の変動が、クレハグループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
  • コンプライアンス違反
    クレハグループは多岐にわたる事業を国内外で展開しており、関連法令の頻繁な改正や複雑化により、コンプライアンスリスクを完全に回避できない可能性があります。法令違反が発生した場合、社会的信用の失墜、ブランドイメージの低下、課徴金の支払いなどが発生し、経営成績に重大な影響を与える恐れがあります。
  • 原燃料の市況変動と調達リスク
    製品の製造に必要な原燃料は市況の影響を受けやすく、価格が変動するとクレハグループの経営成績に影響が出る可能性があります。また、希少な原料や海外からの調達に依存する原料については、供給元の状況や物流の混乱により調達が困難になるリスクがあり、製品生産に支障をきたす可能性があります。
出典: FY2025 有価証券報告書(AI要約)
有価証券報告書「事業等のリスク」の全文を見る(年度切替)
FY2025|4,316 文字
3 【事業等のリスク】当社グループでは、クレハグループの経営に悪影響を及ぼすリスクを把握し、その顕在化を未然に防止し、また、リスクが顕在化した場合の影響を軽減して許容範囲に収めるよう、必要な対応策を予め講じ備えておくことをクレハグループリスク・マネジメント基本方針としています。当社では「リスク・マネジメント規程」を定め、リスク・マネジメントの推進・統括のために、サステナビリティ推進委員会の下部組織としてリスク・マネジメント部会を設置し、その役割を以下としています。また、部会の主管部署がグループ会社のリスクの最小化および機会の最大化を支援する役割も担っています。 1. 当社のリスク・マネジメントに関する年度計画の策定および進捗管理2. 当社に存在するリスクの特定および分析・評価3. 2.の分析・評価に基づき、「重要リスク」と評価されたリスクへの対応策の検討・実施、実施状況のモニタリング4. 当社のリスク・マネジメント・システム(体制、実施プロセスを含むリスク・マネジメントの仕組み)の維持、是正・改善の実施5. 当社グループ各社のリスク・マネジメントの支援6. 当社事業継続計画(BCP) 策定・具備、運用および改善の取組みの検討7. その他リスク・マネジメントに関すること 当社グループの経営成績等の状況に重要な影響を与える可能性がある「重要リスク」は、以下のとおりです。なお、文中の将来に関する事項および記載したリスクは、提出日現在において判断したものです。 ① 各事業セグメントにおける事業環境の変化当社グループの事業分野は、PGA(ポリグリコール酸)樹脂加工品、フッ化ビニリデン樹脂、PPS樹脂等を中心とする「機能製品事業」、農薬、医薬品、工業薬品等を中心とする「化学製品事業」、家庭用品、食品包装材を中心とする「樹脂製品事業」、建設、エンジニアリングを中心とする「建設関連事業」、環境関連事業等の事業を含む「その他関連事業」と多岐にわたっており、地域的にもグローバルに事業展開しています。当社グループの事業および経営成績等は、市場や顧客の動向、あるいは競合他社との競争激化といった事業環境の変化や各国・地域における政治的・軍事的緊張の高まりによる地政学的リスク等により影響を受ける可能性があります。当社の各事業部、各グループ会社は事業環境の変化およびその兆候の把握に努めるとともに、各事業セグメントにおける事業環境の変化の有無および対応策について経営会議で議論、定期的に取締役会等に報告しています。 機能製品事業PGA(ポリグリコール酸)樹脂加工品:中東情勢が一因となるオイル・ガスの国際市況変動、米国第二次トランプ政権の関税政策の動向・エネルギー政策方針の転換、物価高騰や景気減退等を要因とした、主要顧客である米国シェールオイル・ガス掘削事業会社の操業度変動や当社の製品開発状況、競合各社の動向等により事業活動への影響が生じる可能性があります。フッ化ビニリデン樹脂:リチウムイオン二次電池用バインダー向けに中長期においては需要の拡大を見込んでいますが、米国第二次トランプ政権の関税政策の動向・エネルギー政策方針の転換、電気自動車の販売動向や原材料価格の変動、競合他社の生産状況、競合素材の動向等により事業活動への一時的な影響が生じる可能性があります。炭素製品:高温炉用断熱材向けの炭素繊維を製造・販売していますが、シリコンウェハの生産・販売動向等により事業活動への影響が生じる可能性があります。上記製品を含め機能製品事業は、主に自動車、電気・電子分野での用途へ展開しているため、米国第二次トランプ政権の関税政策の影響等を受けた顧客の生産活動動向が、当社グループの事業活動に影響を及ぼす可能性があります。 化学製品事業工業薬品:販売先の事業分野の裾野が広く、国内外の経済活動の停滞による需要減退、原燃料価格、製品市況等の影響を受ける可能性があります。農薬:外部委託生産に依っているため、委託先の操業リスクの影響を受ける可能性があります。また、各国の法規制や登録制度の改変、見直し等により事業活動への影響が生じる可能性があります。 樹脂製品事業業務用食品包装材:生産拠点を海外に有しており、現地の物価やエネルギーコスト、国際的な物流網に混乱が生じた場合等、事業活動への影響が生じる可能性があります。なお、熱収縮多層フィルムにおいては、事業ポートフォリオの見直しを進めた結果、2024年度に同事業から撤退しました。 建設・その他関連事業建設事業:国内の経済活動停滞に起因して民間建設工事件数減少による影響を受ける可能性があります。環境事業:産業廃棄物処理事業において廃棄物の排出量が減少することによる影響を受ける可能性があります。 ② コンプライアンスリスク当社グループは、「クレハグループ企業行動憲章」、「クレハグループ行動規範」および「コンプライアンス規程」を策定し、当社グループ各社における教育・研修等の取組みを通じて、法令および社会的規範の理解と遵守の徹底を図っています。しかしながら、当社グループの事業は多岐にわたっており、国内外の関連法令等が頻繁に改正される等の理由からコンプライアンスリスクを完全には回避できない可能性があります。法令等に抵触する事態が発生した場合、当社グループの社会的信用やブランドイメージの低下、課徴金の支払い等により、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。 ③ 原燃料等の市況・調達当社グループが使用する原燃料は市況の影響を受けるため、価格変動時に当社グループの経営成績等が影響を受ける可能性があります。また、希少原料や海外調達原料等については、供給元の状況や物流状況等に起因する調達リスクにより、当該原料を使用する製品生産に影響が出る可能性があります。原燃料価格の変動については顧客の理解を得ながら製品販売価格への転嫁、調達面では、購買先の複数化推進、価格変動のヘッジ等により、影響の低減に努めています。 ④ 自然災害・事故等の発生当社グループは、大規模地震や台風等の自然災害、火災や事故等により生産設備が損害を受けた場合、また、新型コロナウイルス感染症等のパンデミック発生等により事業活動が甚大な影響を受けた場合には、操業停止、人身災害、財産損害に伴う修理費用が発生し、当社グループの経営成績等が影響を受ける可能性があります。当社グループでは、事業継続計画(BCP)の整備、防火・防災訓練の実施や生産設備の保全、更新等安全の確保に継続的に取り組んでいます。 ⑤ 製造物責任・製品品質当社グループの生産品に重大な品質問題が発生した場合等には、製品回収や交換、賠償請求、ブランドイメージの低下などが生じ、当社グループの経営成績等が影響を受ける可能性があります。当社グループでは、品質マネジメントシステムの運用により製造物および製造行為に係るリスクを抽出・認識して継続的な改善を図っており、また、製造物責任(PL)保険の付保によりリスクの軽減を図っています。 ⑥ 環境リスク当社グループは、気候変動問題や循環型経済への関心が高まる中、当社グループ事業活動において環境負荷軽減の対策を実施していますが、環境に係る新たな規制等の導入や当社事業活動が環境に対して重大な負荷を発生させた場合、これらへの対応のために当社グループの経営成績等が影響を受ける可能性があります。当社グループでは、不断に事業活動での環境負荷低減に努めるとともに、レスポンシブル・ケア部会を中心に、環境関連情報を収集し諸規制の状況を監視し、事業部門・生産部門・研究開発部門と対応策を立案しリスク軽減を図っています。 ⑦ 訴訟等の発生当社グループは、国内外事業に関連して、知的財産権侵害、製造物責任、環境違反、労働紛争等に関する訴訟を受けるリスクがあり、重要な訴訟等が提起された場合、訴訟費用、賠償請求、企業イメージの低下などが生じ、当社グループの経営成績等が影響を受ける可能性があります。当社グループでは、法務や知的財産等に関する教育・研修を通じた予防措置を講じるとともに、弁護士等の専門家と連携を適宜図ることでリスクの低減を図っています。 ⑧ 情報セキュリティリスク当社グループは、事業運営に係る営業・技術、顧客を含む個人情報等の重要情報を有しており、事業活動においては基幹システム・プラント制御システム等を活用し、IoT・AI等のデジタル技術の導入に取り組んでいます。これらのデジタル技術の活用にあたり重要情報の漏洩、各種業務システムの大規模障害およびサイバー攻撃・コンピューターウイルスの感染等により事業活動に影響が出た場合、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。当社は、情報セキュリティ部会を設置しており、情報セキュリティ基本方針および情報セキュリティ管理規程を運用し、当社グループとしての管理体制を整備しています。その下で、外部リソースを適宜活用しつつ、当社グループ従業員に対する情報セキュリティ教育、情報セキュリティ対策の遵守状況のモニタリング、各種セキュリティシステムの更新等によりリスク軽減を図っています。 ⑨ 海外事業展開リスク当社グループは、グローバルに事業活動を展開しており、事業活動を行う各国・地域における政治・経済・社会情勢の悪化、法規制の変更、自然災害等の不測の事態が発生した場合等には、当社グループの経営成績等が影響を受ける可能性があります。また、海外グループ会社の財務諸表の換算、各種外貨取引について、為替相場の変動により、当社グループの経営成績等が影響を受ける可能性があります。当社グループでは、海外動向に係る情報収集に努め、為替変動については、為替予約等によるリスクの低減に努めています。 ⑩ 新技術の登場と開発リスク当社グループは、各事業分野において研究開発を展開しています。特に機能製品事業においては、対象市場での技術革新の進展のスピードが著しく、市場の変化が想定の範囲を超え新製品の開発・市場投入ができない場合や他社での画期的な技術革新により当社製品・技術の一部が陳腐化する等の事象により、当社グループの経営成績等が影響を受ける可能性があります。当社の研究開発部門および新事業推進本部は、事業部門との協働を図り、研究開発方針に基づく研究テーマの改廃・見直し、研究資源の配分の見直し、産学連携活動等を通じて新製品の開発を積極的に進めています。

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